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国内外の化学物質管理に関する試験法の調査(PDF形式

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国内外の化学物質管理に関する試験法の調査(PDF形式
平成 24 年度
経済産業省
環境対応技術開発等
平成24年度環境対応技術開発等
(国内外の化学物質管理に関する試験法の調査)
成果報告書
平成 25 年 3 月
一般財団法人 化学物質評価研究機構
<目次>
I. はじめに.................................................................................................................................... 1
II. 国際標準化への貢献............................................................................................................. 1
1. レポーター遺伝子アッセイ ..........................................................................................................1
1.1. ER レポーター遺伝子アッセイ (アンタゴニスト活性検出系) .............................................1
1.1.1 はじめに..........................................................................................................................1
1.1.2 材料及び方法.................................................................................................................1
1.1.3 結果 ................................................................................................................................7
1.1.4 まとめ.............................................................................................................................21
1.2. AR レポーター遺伝子アッセイ(アゴニスト/アンタゴニスト活性検出系) ............................22
1.2.1 はじめに........................................................................................................................22
1.2.2 材料及び方法...............................................................................................................22
1.2.3 結果 ..............................................................................................................................29
1.2.4 まとめ.............................................................................................................................32
2. 受容体結合試験 .......................................................................................................................33
2.1. 緒言 ....................................................................................................................................33
2.2. 実施内容 ............................................................................................................................33
2.2.1 電話会議-① .................................................................................................................33
2.2.2 電話会議-② .................................................................................................................35
2.2.3 VMG-NA での進捗報告...............................................................................................38
3. 国際会議への参加....................................................................................................................38
3.1. 緒言 ....................................................................................................................................38
3.2. VMG-NA の報告 ................................................................................................................39
4. まとめ .........................................................................................................................................47
i
I. はじめに
これまでに経済産業省は、in vitro 試験法として ER 及び AR のそれぞれについて、レポーター
遺伝子アッセイ及び受容体結合試験を開発してきた。これらの試験法のうち、日本がリード国を務
め、既に OECD に対して SPSF(Standard Project Submission Form)を提出済みのレポーター遺伝
子アッセイ(①HeLa-9903 細胞を用いた ER レポーター遺伝子アッセイ(アンタゴニスト系)[以下、
ER アンタゴニスト系]及び②・EcoScreen™細胞を用いる AR レポーター遺伝子アッセイ(アゴニスト
/アンタゴニスト系)[以下 AR アゴニスト/アンタゴニスト系])並びに経済産業省で開発し、米国主
導で検証が進められている受容体結合試験法に関してテストガイドライン化に必要な対応を進め
てきた。
本事業では、経済産業省で開発を行った手法の中で、日本がリード国を務め、既に OECD に
対して SPSF(Standard Project Submission Form)を提出済みの 2 試験系並びに経済産業省で開
発し、米国主導で検証が進められている受容体結合試験法に関してテストガイドライン化に必要
な対応を実施することを目的としている。
II. 国際標準化への貢献
1. レポーター遺伝子アッセイ
1.1. ER レポーター遺伝子アッセイ (アンタゴニスト活性検出系)
1.1.1 はじめに
平成 20 年度より ER アンタゴニスト系について、施設間バリデーションを国内 3 施設 (本機構、
大塚製薬株式会社、株式会社カネカテクノリサーチ) で実施した。しかし、このバリデーション試
験において事業撤退により追加試験の実施が困難になったことが判明したため、バリデーション
要件を満足すべく更に 1 施設 (株式会社日吉) による追加試験が計画され、実施されている。バ
リデーション試験は Task-1:Edge 効果の有無及びアゴニスト実験による実施能力の確認、Task-2:
4 物質の ER アンタゴニスト実験による実施能力の確認、Task-3:ラボ内及びラボ間の試験結果の
再現性を評価するために、コード化された物質による実験に分けて段階的に進められており、
Task-2 まで終了しているが、日吉における標準物質測定結果が基準を満足しない事態となって
いる。本年度の事業では、バリデーション研究を貫徹させるため JaCVAM との協調のもと、リードラ
ボとして技術的支援として株式会社日吉において実験結果が基準を満たさない原因究明と対策
の検討及びバリデーション研究の円滑な実施のための支援を行った。
1.1.2 材料及び方法
1.1.2-1) 実験材料
ER アンタゴニスト活性測定試験に使用した試薬を表 1.1.-1 に示す。
1
表 1.1.-1 ER アンタゴニスト活性測定試験に使用した試薬
試薬
17β-Estradiol(天然型女性ホルモン)
4-Hydroxytamoxifen
Tamoxifen
RU486
Flutamide
Digitonin
Trypsin-EDTA
炭酸水素ナトリウム
PBS
塩化マグネシウム
Dextran
Charcoal
スクロース
ルシフェラーゼアッセイ試薬(Steady-Glo)
WST-8 細胞毒性測定試薬(Cell Counting Kit-8)
略語
E2
OHT
TAM
―
Flu
Dig
―
―
―
―
―
―
―
―
―
メーカー
和光純薬工業
Sigma
Sigma
Sigma
和光純薬工業
和光純薬工業
GIBCO
GIBCO
GIBCO
和光純薬工業
Sigma
Sigma
和光純薬工業
Promega
Dojindo
1.1.2-2) 細胞培養
hERα-HeLa-9903 (以下 HeLa9903) を dextran-coated-charcoal (DCC) 処理済み牛胎児血清
(FBS、Invitrogen) を 10%の割合で添加した Eagle’s Minimum Essential Medium (EMEM、フェノ
ールレッド不含、日水製薬株式会社) 中、37°C、5% CO2 の条件下で維持培養し、使用した。
1.1.2-3) 試薬の調製
1.1.2-3)-(1) リファレンスケミカル及びコントロールケミカル溶液の調製
リ フ ァ レ ン ス ケ ミ カ ル ( OHT 、 TAM 、 RU486 、 Flu ) 及 び コ ン ト ロ ー ル ケ ミ カ ル ( E2 ) は
Dimethylsulfoxide (DMSO、SIGMA) を溶媒として、100 mM あるいは 10 mM の溶液を調製し、
4°C 及び-20°C で保存した。
1.1.2-3)-(2) 75 pM E2 を含む 10%DCC-FBS-EMEM の調製
DMSO を用いて 25 nM E2 溶液を希釈調製した。25 nM E2 溶液を 60 μL を 20 mL の
10%DCC-FBS-EMEM に添加し、75 pM の E2 を含む 10%DCC-FBS-EMEM を調整した。
1.1.2-3)-(3) 0.3% DMSO を含む 10%DCC-FBS-EMEM の調製
DMSO 12 μL と り 、 20 mL の 10%DCC-FBS-EMEM に 添 加 し 、 0.3%DMSO を 含 む
10%DCC-FBS-EMEM を調整した。
1.1.2-3)-(4) ルシフェラーゼアッセイ試薬の調製
ルシフェラーゼアッセイ試薬 (Steady-Glo Luciferase assay system、Promega) を使用した。
2
Steady-Glo Luciferase Assay Substrate 1 バイアルに Steady-Glo Luciferase Assay buffer 1 バイア
ル全量を直接加えて溶解した後、-20°C 以下で保存した。使用前に解凍し、0.3 mM MgCl2 を含
む PBS を 1:1 で混合して使用した。
1.1.2-3)-(5) WST-8 溶液
WST-8 細胞毒性測定試薬 (Cell Counting Kit-8) を使用した。10%DCC-FBS-EMEM 16.5
mL に Cell Counting Kit-8 溶液 880 µL を加えて溶解した。使用直前に調製した。
1.1.2-4) 96well プレートへの細胞播種
96-well プレートは、ER アンタゴニスト活性測定には 96F Nunclon delta microwell SI (Nunc,
Cat No.136102) を用い、細胞毒性測定には 96well cell cluster flat bottom (Costar, Cat No.3595)
を用いた。
10%DCC-FBS-EMEM を用い細胞数が 1×105cells/mL になるように懸濁し、懸濁後、各 well
に 100 μL ずつ添加し(1×104 cells/well)、37°C、5% CO2、3 時間培養した。
1.1.2-5) リファレンスケミカル及びコントロールケミカルの暴露
調製した各リファレンスケミカルを希釈用のプレートにて 10 倍ずつ段階希釈した (図 1.1.-1 左
参照)。この時 OHT のみ、調製したストックをあらかじめ 10-4M まで 10 倍ずつ段階希釈し、10-3 M
を G-3 well に、10-4 M を A-1 well に添加した。
また、同プレート上の H-3 well と H-4 well に 10-6M まで段階希釈した E2 を、G-4 well に 100
mM に調製した Dig を、G-1~H2 well に DMSO をそれぞれ添加した。
Deep-well プレートには PP-Masterblock 0.5 mL, 96well, V-form (Greiner bio-one, Cat No.REF
786261) を使用した。A1~G4 well まで 75 pM E2 を含む 10%DCC-FBS-EMEM を 500 μL ずつ添
加し、H1~H4 well まで 0.3% DMSO を含む 10%DCC-FBS-EMEM を 500 μL ずつ添加した。8 連
マイクロピペットを用い、図 1.1.-1 のように希釈プレートから Deep-well プレートに 1.5 μL ずつ添加
し、よくピペッティングして攪拌した。
Deep-well プレートから 8 連マイクロピペットを用いて 50 μL ずつ取り、「1.1.2-4) 96well プレー
トへの細胞播種」で細胞を播種し、3 時間培養した ER アンタゴニスト活性測定用、細胞毒性測定
用の各プレートに添加し (図 1.1.-2 参照)、37°C、5% CO2 の条件で 20~24 時間培養した。
3
A
B
C
D
1
OHT
10 -4M
10 -5M
10 -6M
10 -7M
DMSO Dilutions
2
3
TAM
RU486
10 -2M
10 -1M
-3
10 M
10 -2M
-4
10 M
10 -3M
-5
10 M
10 -4M
4
Flu
10 -1M
10 -2M
10 -3M
10 -4M
A
B
C
D
E
10 -8M
10 -6M
10 -5M
10 -5M
E
F
10 -9M
10 -7M
10 -6M
10 -6M
F
G
DMSO
DMSO
DMSO
DMSO
100 mM
Dig.
1 µM of
E2
G
H
1 mM
OHT
1 µM of
E2
H
Deep-well plate
1
2
3
4
11 12
OHT
TAM RU486
Flu
3x10 -7M 3x10 -5M 3x10 -4M 3x10 -4M
3x10 -8M 3x10 -6M 3x10 -5M 3x10 -5M
3x10 -9M 3x10 -7M 3x10 -6M 3x10 -6M
3x10 3x10 -8M 3x10 -7M 3x10 -7M
-10
M
3x10 3x10 -9M 3x10 -8M 3x10 -8M
-11
M
3x10
3x10 3x10 -9M 3x10 -9M
-12
-10
M
M
DMSO DMSO 3 µM 300 µM
OHT
Dig.
DMSO DMSO 3 nM of 3 nM of
E2
E2
10% DCC FBS-EMEM containing 75 pM E2
10% DCC-FBS-EMEM containing 0.3 % DMSO
図 1.1.-1 希釈プレートレイアウト (例:リファレンスケミカル)
OHT
2
A 10 -7M →
B 10 -8M →
C 10 -9M →
10
→
D
-10
M
10
→
E
-11
M
10
→
F
-12
M
G 0.1% →
DMSO
1
H
0.1% →
DMSO
3
→
→
→
→
TAM
5
10 -5M →
10 -6M →
10 -7M →
10 -8M →
→
10 -9M
4
6
→
→
→
→
RU486
8
10 -4M →
10 -5M →
10 -6M →
10 -7M →
7
9
→
→
→
→
Flu.
10
11
10 -4M →
10 -5M →
10 -6M →
10 -7M →
12
→
→
→
→
→ →
10 -8M
→ →
10 -8M
→
→
→ 10 -10M → →
10 -9M
→ →
10 -9M
→
→
→
1 µM
OHT
→ →
100
µM
Dig
1 nM
E2
→
→
→
→
0.1%
DMSO
→ →
→
0.1% → → 1 nM → →
DMSO
E2
図 1.1.-2 細胞暴露時のプレートレイアウト
1.1.2-6) ルシフェラーゼ活性の測定
20-24 時間培養後、ER アンタゴニスト活性測定用プレート上の培地を除去した。次いで予め調
製しておいたルシフェラーゼアッセイ試薬を 100 µL/well 添加し、室温で 10 分間、遮光下で静置
した後、ルシフェラーゼ活性を測定した。測定には化学発光測定装置(TopCount NXT™、
PerkinElmer) を使用した。化学発光量は 1 well 当り 1 秒間測定し、Relative luminescence units
4
(RLU)として求めた。
1.1.2-7) 細胞毒性の測定
20-24 時間培養後、細胞毒性測定用プレート上の培地を除去し、PBS 100 µL/well をおだや
かに添加し、細胞を洗浄した。PBS を除去した後、予め調製しておいた WST-8 溶液を 150
µL/well 添加し、CO2 インキュベータ内で更に 1.5 時間培養後、450 nm の吸光度を測定した。
測定にはマイクロプレートリーダー(ARVOTM SX 1420-011、PerkinElmer)を使用した。
1.1.2-8) データ解析
ルシフェラーゼ活性及び細胞毒性の測定でそれぞれ得られた RLU 及び吸光度を、Task-3
用の解析フォーマットを用いて解析した。なお、ER アンタゴニストの許容クライテリアは下記のと
おりである。
許容範囲
Fold-induction of Spike-in Control (25 pM of E2)
>= 4
RTA of 1 nM E2
>= 100%
RTA of 1 µM OHT
=< 40.6%
RTA of 100 µM Dig.
=< 0%
許容範囲
OHT
TAM
RU486
Ful
log [lin.IC30]
-9.58 ~ -8.63
log [lin.IC50]
-9.36 ~ -8.09
log [var.IC50]
-9.26 ~ -8.12
log [lin.IC30]
-7.68 ~ -6.37
log [lin.IC50]
-7.14 ~ -5.90
log [var.IC50]
-7.21 ~ -5.78
log [lin.IC30]
-6.10 ~ -5.41
log [lin.IC50]
-5.57 ~ -5.10
log [var.IC50]
-5.51 ~ -4.91
log [lin.IC30]
-
log [lin.IC50]
-
log [var.IC50]
-
5
1.1.2-9) 実施項目
1.1.2-9)-(1) 日吉技術指導及び Web 会議
CERI 東京事業所にて日吉試験担当者が 2 名来所し、ER アンタゴニスト活性測定試験の技
術指導を実施した。その際、CERI で播種した細胞及び器具を用いた場合と、日吉が持参し、
播種した細胞及び器具を用いた場合の 2 通りで ER アンタゴニスト活性測定を実施し、クライテ
リアを満足できない原因究明を試みた。指導後、2 回 Web 会議を実施し、検証試験結果を報告、
並びに新たな検証実験の打ち合わせを実施した。
1.1.2-9)-(2) 化学物質希釈時に使用する試験器具の違いによる影響の評価
技術指導の際に判明した化学物質希釈時に使用するマルチチャンネルマイクロピペットの
違いを検討し、その結果をまとめた。
① CERI で従来使用:5-50μl マルチチャンネルマイクロピペット(Eppendorf 社)
② 今回検討したピペット:0.5-10μl マルチチャンネルマイクロピペット(Eppendorf 社)
1.1.2.9)-(3) DMSO 及び培地を用いたピペット検定
マイクロピペットに関しては器具だけではなく、化学物質希釈の際、希釈プレートから
Masterblock への添加時に、正確にピペットで 1.5μl 採取できているか、実際の試験に近い形
で確認した。
チューブ内に、測定時に用いる EMEM を 500μl 入れ、これを天秤にのせゼロ合わせをし
た。
8 連ピペットに 8 本チップを刺し、1 チャンネルごとに DMSO を 1.5μl 吸い、チューブ内の
EMEM に、ピペットで吸った DMSO を移した。この時試験と同様に 4~5 回ピペッティングをし
た。1 チャンネル分が終わったら、再びゼロ合わせをし、チップを外さず次のチャンネルで同様
な操作を実施した。以下 8 チャンネル目まで測定した。8 チャンネル分、重さを測定したら、チュ
ーブと EMEM を新しいものに変えた。以下、10 回測定し、測定後各チャンネルの重さの平均
(Mean)と標準偏差(SD)を算出した。なお、計算に用いた DMSO の密度は 1.1 g/cm3 とし、測
定時の室温は CERI:21℃、日吉:22℃であった。
1.1.2-9)-(4) 細胞の使用可能な継代数の検討
ER アンタゴニストアッセイにおいて、細胞の使用上限等の基準は設けられておらず、何代ま
で安定的に使用可能か不明であった。そこで、HeLa9903 が何代まで安定的に ER アンタゴニ
ストアッセイが可能か調べることを目的とし、20 代を上限として各継代時に ER アンタゴニストア
ッセイを実施した。
6
1.1.2-9)-(5) 日吉維持継代細胞の評価
日吉で調製、使用している培地を用い、日吉で使用されていた細胞の維持継代及び ER ア
ンタゴニストアッセイを実施し、適切に使用可能な培地か検証した。
1.1.2-9)-(6) 1well あたりの細胞数の影響評価
1well あたりの細胞数が原因になりうるか、5000/well, 8000/well, 10000/well, 13000/well,
15000/well, 20000/well の 6 通りの条件で ER アンタゴニストアッセイを実施した。
1.1.2-10) 日吉の Task3 再開
1well あたりの細胞数を 5000/well とし、日吉は Task3 を再開することになった。
Task3 再開にあたり、CERI で調製した 10%DCC-FBS-EMEM を 50mL コニカルチューブに
50mL ずつ分注したものを 8 本日吉へ送付した。
1.1.3 結果
1.1.3-1) 日吉技術指導及び Web 会議
CERI で播種した細胞及び試験器具を用いて試験した CERI 及び日吉の試験結果を表 1.1.-2
に示した。また、日吉の持参した細胞及び試験器具を用いて試験した CERI 及び日吉の試験結
果を表 1.1.-3 に示した。日吉試験担当者の試験操作を確認したところ、問題はなく、CERI の準備
した細胞及び試験器具を用いたところ、日吉もクライテリアを満足した。一方日吉が持参し播種し
た細胞及び試験器具を用いて試験したところ CERI 及び日吉とも OHT、TAM、RU486 のクライテ
リアを満足しなかった。
このことから、日吉の試験器具並びに細胞に原因がある可能性が示唆されたが、技術指導時
だけでは原因の特定に結びつかず、原因を一つずつ検証していくこととなった。技術指導時のミ
ーティング及び Web 会議を 2 回開催し、検証した項目を表 1.1.-4 にまとめた。また、各検証項目
に関して結果を次項以降に記載した。
7
表 1.1.-2 CERI 細胞及び CERI で使用している試験器具を用いた ER アンタゴニストアッセイ結
果 (左:CERI 結果、右:日吉結果)
図表解説:日吉での結果不良の原因を特定するため、日吉所属の技術者に CERI 細胞及び
CERI で使用している試験器具類を用いて実験を行ってもらったところ、CERI 及び日吉は結果の
数値もほぼ同じであり、全クライテリア(1.1.2-8))を満たすことができた。このことから、日吉所属の
技術者の操作手技に関しては問題ないことが示された。
表 1.1.-3 日吉細胞及び日吉で使用している試験器具を用いた ER アンタゴニストアッセイ結果
(左:CERI 結果、右:日吉結果)
表
図表解説:日吉での結果不良の原因を特定するため、日吉から持参した細胞及び日吉で使用し
ている試験器具を用いて実験を行ったところ、CERI 及び日吉の両者ともクライテリア(1.1.2-8))の
許容範囲を満たさなかった。このことから、日吉のクライテリアを満たさない原因は細胞もしくは試
8
験器具にある可能性が示された。
表 1.1.-4 技術指導時のミーティング及び Web 会議で挙がった原因
図表解説:日吉での結果不良の原因を特定するため、技術指導時のミーティング及び Web 会議
を 2 回実施し、原因として表に示した項目が挙げられた。
試験器具に関しては、化学物質の希釈時に使用しているマルチチャンネルマイクロピペットに
関して CERI と日吉で使用している容量(CERI:5-50μl、日吉:0.5-10μl )が異なり、これによりマ
イクロピペット用チップも異なるため、希釈不十分によりクライテリア未達の原因になっている可能
性が考えられた。
細胞に関しては、①試験使用時細胞の継代数、②日吉で維持継代している細胞そのもの及び
③播種時の細胞数が異なるという 3 点が考えられた。
9
1.1.3-2) 試験器具及び消耗品の違いによる影響の評価
検討したピペットごとの結果を表 1.1.-5 及び表 1.1.-6 にまとめた。結果からどのピペットを用い
ても、CERI で実施した場合は全クライテリアを満たした。このことから、ピペットによる影響はないと
考えられた。
表 1.1.-5 ER アンタゴニストアッセイ結果 (2-50μl ピペット使用)
図表解説:原因候補項目のうち、試験器具に関して検証を行なった結果、CERI で使用している
2-50μl マルチチャンネルマイクロピペットを用いて化学物質を希釈して試験した場合、全クライ
テリア(1.1.2-8))を満たした。
表 1.1.-6 ER アンタゴニストアッセイ結果(0.5-10μl ピペット使用)
図表解説:原因候補項目のうち、試験器具に関して検証を行なった結果、日吉で使用している
10
0.5-10μl マルチチャンネルマイクロピペットを用いて化学物質を希釈して試験した場合において
も、全クライテリア(1.1.2-8))を満たした。従って、表 1.1.-5 及び表 1.1.-6 から試験器具は日吉の結
果不良の原因ではないことが示された。
1.1.3-3) DMSO を用いたピペット検定
CERI 及び日吉の DMSO を用いたピペット検定の結果を表 1.1.-7 にまとめた。
結果から、日吉の結果は CERI と比較して若干 1.5μl から離れているものの、大差のない結果
であり、共に精度良く採取できていることが分かった。このため、ピペットの取扱に関しても、原因と
は考えられなかった。
表 1.1.-7 DMSO を用いたピペット検定
図表解説:原因候補項目のうち、試験器具及び操作に関して検証としてマルチチャンネルマイク
ロピペットの各1チャンネルのピペット検定を CERI 試験担当者及び日吉試験担当者でそれぞれ
実施し、結果を比較した。その結果、CERI と日吉で明らかな差は無く、更に 1.1.3-2)の結果から、
試験器具及び操作に問題ないことが示唆された。
11
1.1.3-4) 日吉維持継代細胞の評価
日吉から送付された培地及び細胞を用いた ER アンタゴニストアッセイの結果を表 1.1.-8 にまと
めた。結果から、全クライテリアを満たし、日吉で使用している細胞及び培地には問題ないことが
分かった。
表 1.1.-8 日吉調製培地及び日吉細胞を用いた ER アンタゴニストアッセイ 結果
図表解説:原因候補項目のうち、細胞に関する検証の一環として、日吉から日吉にて調製された
培地及び日吉にて維持継代していた細胞を入手し、CERI にて培養し、試験に供したところ、問題
なく全クライテリア(1.1.2-8))を満たした。このことから、日吉で調製された培地及び日吉で維持継
代された細胞には問題ないことが分かり、原因ではないことが示された。
1.1.3-5) 細胞の使用可能な継代数の検討
結果は 4 代目の RU486 の IC50 だけ結果が Fail になったものの、その後 20 代目まで全てクラ
イテリアを Pass した(表 1.1.-9)。このことから、現状の ER アンタゴニストアッセイ条件においては+
20 代まで安定的に ER アンタゴニストアッセイが可能であることが確認できた。
また、リファレンスケミカルごとに各継代数のレスポンスカーブ及び日吉のレスポンスカーブをま
とめた(図 1.1.-3、図 1.1.-4 及び図 1.1.-5)。結果、日吉では細胞暴露の化学物質の終濃度が薄ま
っているのではないかと考えられたが、化学物質の希釈操作、希釈に用いるピペット及びピペット
操作には問題がないため、その可能性は低いとした。
12
表 1.1.-9 各継代数での ER アンタゴニストアッセイ 結果
継代数
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
Fold
11.9
11.9
11.6
13.0
13.5
14.5
9.4
11.1
10.4
11.0
9.6
10.1
9.7
7.0
8.0
8.7
8.4
8.9
VC (RLU)
2399.3
1424.0
2970.8
1231.7
1284.8
1370.2
1055.0
1233.2
1695.0
907.0
1555.5
1215.0
1152.2
2568.3
1598.2
1308.2
1231.8
1306.7
RTA(E2) RTA(OHT) RTA(Dig)
166.16
148.49
189.52
223.97
216.75
190.96
194.46
211.85
217.45
213.00
219.69
224.22
176.41
166.77
189.15
208.13
208.82
186.86
20.13
32.29
25.45
36.60
34.19
31.83
31.05
37.15
34.96
39.71
35.87
35.69
30.99
18.52
31.98
34.23
33.66
30.70
-8.29
-7.80
-7.84
-6.95
-6.54
-5.57
-10.14
-8.29
-8.62
-8.08
-9.84
-9.65
-10.16
-15.59
-13.10
-11.40
-12.20
-11.12
OHT
IC30
IC50
-9.15
-8.82
-9.00
-8.43
-9.11
-8.63
-8.64
-8.16
-8.92
-8.38
-8.94
-8.43
-8.70
-8.24
-8.72
-8.21
-8.70
-8.25
-8.70
-8.15
-8.84
-8.32
-8.77
-8.29
-8.97
-8.42
-9.24
-9.00
-8.75
-8.24
-8.78
-8.25
-8.82
-8.24
-9.05
-8.51
TAM
IC30
IC50
-6.93
-6.49
-6.53
-6.05
-7.02
-6.42
-6.62
-6.08
-6.87
-6.20
-6.83
-6.27
-6.64
-6.18
-6.65
-6.10
-6.77
-6.18
-6.53
-5.90
-6.65
-6.06
-6.94
-6.12
-6.70
-6.15
-7.31
-6.70
-6.79
-6.20
-6.62
-6.05
-6.67
-6.07
-7.07
-6.23
:Fail
RU486
IC30
IC50
-5.75
-5.32
-5.51
-5.95
-5.47
-5.76
-5.30
-5.72
-5.34
-5.98
-5.51
-5.82
-5.40
-5.77
-5.35
-5.91
-5.44
-5.80
-5.34
-5.82
-5.36
-5.83
-5.44
-5.75
-5.35
-6.08
-5.55
-5.88
-5.46
-5.80
-5.41
-5.84
-5.45
-5.87
-5.45
図表解説:原因候補項目のうち、細胞の継代数に関して検証として、継代 3 代目から 1 代ごとに
試験に供した結果、4 代目の RU486 の IC50 の値が Fail になった以外はクライテリア(1.1.2-8))を
満たした。このことから、細胞の継代数は原因ではないことが示された。
13
4-Hydroxytamoxifen
200
3
4
5
6
7
180
160
140
100
80
60
40
20
0
-10
-9
-8
-7
-6
-5
%
120
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
日吉
Log Conc. (M)
図 1.1.-3 各継代数における 4-Hydroxytamoxifen のレスポンスカーブ
図 表 解 説 : 日 吉 の 結 果 不 良 の 原 因 解 明 の た め 、 継 代 3 代 目 か ら 20 代 目 ま で の
4-Hydroxytamoxifen のレスポンスカーブ及び日吉の 4-Hydroxytamoxifen のレスポンスカーブを
比較した。その結果、日吉での実験結果は CERI の各結果と比較して 10-7M における E2 に対す
るアンタゴニスト活性が低いことが分かった。
14
Tamoxifen
3
140
4
5
120
6
7
8
80
9
10
%
100
60
11
12
13
40
14
15
20
16
17
18
0
-9
-8
-7
-6
-5
-4
Log Conc. (M)
19
20
日吉
図 1.1.-4 各継代数における Tamoxifen のレスポンスカーブ
図表解説:日吉の結果不良の原因解明のため、継代 3 代目から 20 代目までの Tamoxifen のレス
ポンスカーブ及び日吉の Tamoxifen のレスポンスカーブを比較した結果、日吉での実験結果は
CERI の各結果と比較して 10-6M における E2 に対するアンタゴニスト活性が低いことが分かった。
15
RU486
3
4
140
5
120
6
7
8
9
10
80
11
%
100
60
12
13
40
14
15
16
-9
-8
-7
-6
-5
20
17
18
0
19
-4
Log Conc. (M)
20
日吉
図 1.1.-5 各継代数における RU486 のレスポンスカーブ
図表解説:日吉の結果不良の原因解明のため、継代 3 代目から 20 代目までの RU486 のレスポ
ンスカーブ及び日吉の RU486 のレスポンスカーブを比較した結果、日吉での試験結果は CERI
の各結果と比較して 10-5M における E2 に対するアンタゴニスト活性が低いことが分かった。
16
1.1.3-6) 1well あたりの細胞数の影響評価
今までの検証結果から、希釈操作、試験器具及び使用細胞に問題がないとされた。そこで、
CERI があらかじめ播種した場合に日吉担当者も全クライテリアを満たしたことから、播種に原因が
あるのではないかと考えられた。播種に原因がある場合、1well あたりの細胞数が異なっていると
いうことが考えられるため、1well あたりの細胞数の影響を検証した。その結果を表 1.1.-10 及び表
1.1.-11 にまとめた。結果から、細胞数が 20000/well では RU486 が Fail になったものの、他の細
胞数では影響がなく全クライテリアを満たすことが分かった。しかしながら、日吉では細胞数
5000/well にした場合、全クライテリアを満たすことができた(表 1.1.-12)。これは、本試験だけでは
特定できないが、計数前の懸濁不十分による見かけの細胞数が 1/2 倍であったため、播種時の
細胞懸濁液を実際の細胞数の 2 倍近くに調製してしまい、結果、播種した細胞数が 20000/well
近くになっていたためではないかと推測された。
表 1.1.-10 ER アンタゴニストアッセイ 結果 (1well 当たりの細胞数 5000~10000)
図表解説:原因候補項目のうち、1well 当たりの細胞数が試験結果に及ぼす影響を調べるため、
CERI の使用器材を用いて 1well 当たりの細胞数を 5000、8000、10000 に設定して実験を行った
結果、いずれの細胞数でも全クライテリア(1.1.2-8))を満たすことが分かり、1well 当たりの細胞数
が 10000 よりも少ない場合は、原因ではないことが示された。
17
表 1.1.-11 ER アンタゴニストアッセイ 結果 (1well 当たりの細胞数 13000~20000)
図表解説:原因候補項目のうち、1well 当たりの細胞数が試験結果に及ぼす影響を調べるため、
CERI の使用器材を用いて 1well 当たりの細胞数を 13000、15000 に設定して実験を行った場合、
いずれの各細胞数でも全クライテリア(1.1.2-8))を満たしたが、20000 に設定して実験を行った場
合、RU486 のクライテリアを満たさないことが分かった。このことから、1well 当たりの細胞数が
20000 を超えると結果不良の原因になる可能性が示された。
表 1.1.-12 ER アンタゴニストアッセイ 結果(日吉:細胞数 5000/well)
図表解説:原因候補項目のうち、1well 当たりの細胞数に関して、日吉において細胞数を減じた
18
場合の結果について検証した。1well 当たりの細胞数 5000/well に設定し実験をした。その結果、
全クライテリア(1.1.2-8))を満たすことができたことから、日吉での使用器材では細胞数が試験結
果に影響し、細胞数を減じることにより、良好な結果が得られる可能性が示唆された。
1.1.3-7) 日吉の Task3 再開
日吉の Task3 の結果を表 1.1.-13 にまとめた。現在 JaCVAM を中心に、日吉の Task3 の結果の
解析が実施されている。
表 1.1.-13 日吉の Task3 試験結果
1) Task3 1 回目
HIYOSHI Task-3
1-1(STD)
項目
採用
標準物質測定プレート
5.2 >=4 Pass
Fold Induction
229.56
Pass
RTA of 1nM E2
RTA of 1μM OHT
18.56
Pass
-23.49
Pass
RTA of 100 μM Dig.
-8.54
Fail
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-8.29 in ±2SD
OHT
log[var.IC50]
-6.37 in ±2SD
log[lin.IC30]
in ±2SD
TAM
log[lin.IC50]
-6.01
log[var.IC50]
log[lin.IC30]
-5.71 in ±2SD
Fail
log[lin.IC50] RU486
log[var.IC50]
-4.71
Pass
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-4.31
Pass
Flu.
log[var.IC50]
Pass
1-1(1-4)
15.8
228.48
34.13
-6.28
Task3
1-2(STD)
1-1(5-8)
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
14.5
222.99
30.89
-6.94
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-2(9-12)
1.6
355.02
-77.05
-174.07
-8.93
-8.79
Fail
Pass
Pass
Pass
in ±2SD
in ±2SD
-6.91
-6.75
in ±2SD
in ±2SD
-8.19
-6.44
Fail
Fail
-4.41
-
Pass
Pass
1.8
298.24
-52.60
-122.79
Fail
Pass
Pass
Pass
1-2(13-16)
5.4 >=4 Pass
207.51
Pass
16.05
Pass
-21.48
Pass
1-2(17-20)
4.8 >=4 Pass
243.56
Pass
17.59
Pass
-25.11
Pass
2) Task3 2 回目
HIYOSHI Task-3
1-1(STD)
項目
採用
標準物質測定プレート
12.4 > 6 Pass
Fold Induction
224.35
Pass
RTA of 1nM E2
RTA of 1μM OHT
39.06
Pass
-8.16
Pass
RTA of 100 μM Dig.
-8.48
Fail
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-8.17 in ±2SD
OHT
log[var.IC50]
-6.13
Fail
log[lin.IC30]
Fail
log[lin.IC50]
TAM
-5.56
log[var.IC50]
log[lin.IC30]
-5.34
Fail
Fail
RU486 log[lin.IC50] log[var.IC50]
-4.39
Pass
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-4.07
Pass
Flu.
log[var.IC50]
Pass
Task3
1-1(1-4)
12.1
233.18
38.95
-8.44
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-1(5-8)
13.5
234.89
36.55
-7.43
19
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-2(9-12)
14.4
225.85
39.25
-6.91
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-2(13-16)
13.0
234.51
39.18
-7.71
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-2(17-20)
13.9
231.90
43.51
-7.03
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
3) Task3 3 回目
HIYOSHI Task-3
1-3(STD)
項目
採用
標準物質測定プレート
13.7 > 6 Pass
Fold Induction
225.23
Pass
RTA of 1nM E2
RTA of 1μM OHT
31.30
Pass
-7.34
Pass
RTA of 100 μM Dig.
-8.63 in ±2SD
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-8.24 in ±2SD
OHT
log[var.IC50]
-6.27
Fail
log[lin.IC30]
Fail
TAM
log[lin.IC50]
-5.79
log[var.IC50]
log[lin.IC30]
-5.36
Fail
Fail
RU486 log[lin.IC50] log[var.IC50]
-4.58
Pass
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-4.23
Pass
Flu.
log[var.IC50]
Task3
1-3(1-4)
13.8
210.70
29.33
-7.36
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-3(5-8)
15.8
210.22
32.20
-6.33
1-3(9-12)
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
14.1
219.43
33.46
-7.16
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-313-16)
15.3
218.76
32.53
-6.53
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-3(17-20)
12.4
214.80
31.88
-8.35
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
4) Task3 4 回目
HIYOSHI Task-3
1-4(STD)
項目
採用
標準物質測定プレート
8.2 > 6 Pass
Fold Induction
312.98
Pass
RTA of 1nM E2
RTA of 1μM OHT
50.17
Fail
-12.03
Pass
RTA of 100 μM Dig.
-8.18
Fail
log[lin.IC30]
Fail
log[lin.IC50] OHT
log[var.IC50]
-5.78
Fail
log[lin.IC30]
Fail
TAM
log[lin.IC50]
-5.19
log[var.IC50]
log[lin.IC30]
-5.01
Fail
Fail
RU486 log[lin.IC50] log[var.IC50]
-4.30
Pass
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-4.04
Pass
Flu.
log[var.IC50]
Task3
1-4(1-4)
9.0
293.59
49.89
-10.40
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
1-4(5-8)
9.1
277.21
47.06
-11.07
1-4(9-12)
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
8.7
273.14
42.19
-11.97
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
1-4(13-16)
9.2
266.66
44.27
-11.22
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
1-4(17-20)
8.7
252.13
42.03
-12.11
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
5) Task3 5 回目
HIYOSHI Task-3
1-5(STD)
項目
採用
標準物質測定プレート
4.4 >=4 Pass
Fold Induction
282.87
Pass
RTA of 1nM E2
RTA of 1μM OHT
37.93
Pass
-26.99
Pass
RTA of 100 μM Dig.
-8.34
Fail
log[lin.IC30]
Fail
log[lin.IC50]
-8.05
OHT
log[var.IC50]
-6.06
Fail
log[lin.IC30]
Fail
TAM
log[lin.IC50]
-5.72
log[var.IC50]
log[lin.IC30]
-5.20
Fail
Fail
RU486 log[lin.IC50] log[var.IC50]
-4.62
Pass
log[lin.IC30]
log[lin.IC50]
-4.38
Pass
Flu.
log[var.IC50]
Task3
1-5(1-4)
8.6
241.73
41.96
-11.64
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
1-5(5-8)
10.1
224.83
39.34
-9.51
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-5(9-12)
8.3
254.79
40.06
-9.91
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
1-5(13-16)
9.4
241.10
44.62
-10.54
> 6 Pass
Pass
Fail
Pass
1-5(17-20)
9.2
239.00
40.03
-10.65
> 6 Pass
Pass
Pass
Pass
図表解説:日吉において結果の好転がみられたため、JaCVAM との協議の結果が Task-3 を再開。
結果は JaCVAM に送られ、現在解析が進められている。
20
1.1.4 まとめ
本年度は昨年度から引き続き日吉の技術支援を実施し、クライテリアを満足しない原因の究明
及び不足資材の供給を実施した。クライテリアを満足しない原因に関しては、1well あたりの細胞
数が考えられ、1well あたりの細胞数を 10000/well から 5000/well に変更したところ、全クライテリ
アを満足できるようになった。このことから、Task3 試験に必要な DCC 処理した血清を日吉へ供給
し、日吉は Task3 を再開した。
現在 JaCVAM を中心に、日吉の Task3 の結果の解析が実施されている。今後、JaCVAM と協調
し、今後の検証実験・検証報告書作成方針について決定する。
21
1.2. AR レポーター遺伝子アッセイ(アゴニスト/アンタゴニスト活性検出系)
1.2.1 はじめに
AR EcoscreenTM 細胞を用いた AR アゴニスト/アンタゴニスト系のレポーター遺伝子アッセイは
大塚製薬によって開発され、AR EcoscreenTM 細胞は既に the Japanese Collection of Research
Bioresources (JCRB) Cell Bank に JCRB1328 として既に寄託されている。本アッセイ系のガイド
ライン化を目的としたバリデーション試験は 2005 年に国内4施設を参加ラボとして実施され、2010
年にそのバリデーション報告書が OECD に提出された。その後、OECD 主導で専門家によるピア
レビューが実施され、2011 年に正式なピアレビューコメントが OECD WNT に提出され承認され
た。
ガイドライン化にあたり、次年度には追加被験物質を用いた施設間バリデーションを予定してお
り、本年度は新たに参加する韓国食品医薬品局(KFDA)への技術移転を実施した。また、これま
でアゴニスト活性検出系のリファレンスケミカルである R1881 が入手不可能となったため、これに
替わるリファレンスケミカル候補の化合物(mestanolone)の暫定クライテリアを作成した。
1.2.2 材料及び方法
1.2.2-1) 実験材料
AR レポーター遺伝子アッセイに用いた試薬を表に示す。
表 1.2.-1 AR アゴニスト活性測定試験に使用した試薬
試薬
略語
DHT
DEHP
―
―
―
―
―
―
―
5α-Dihydroteststelone
Mestanolone
Di-2-ethylhexyl phthalate
Trypsin-EDTA
PBS
塩化マグネシウム
Dextran
Charcoal
スクロース
ルシフェラーゼアッセイ試薬(Steady-Glo)
22
メーカー
和光純薬工業
APIN chemical
Sigma
GIBCO
GIBCO
和光純薬工業
Sigma
Sigma
和光純薬工業
Promega
表 1.2.-2 AR アンタゴニスト活性測定試験に使用した試薬
試薬
略語
DHT
5α-Dihydroteststelone
Hydroxyflutamide
HF
Bisphenol A
Di-2-ethylhexyl phthalate
Cycroheximide
Trypsin-EDTA
PBS
Dextran
Charcoal
スクロース
ルシフェラーゼアッセイ試薬(Dual-Glo)
BisA
DEHP
Cx
―
―
―
―
―
―
メーカー
和光純薬工業
Tronto Research
Chemicals Inc.
TCI
Sigma
和光純薬工業
GIBCO
GIBCO
Sigma
Sigma
和光純薬工業
Promega
1.2.2-2) 細胞
AR EcoscreenTM 細胞(大塚製薬)を用いた。
1.2.2-3) 培養液
1.2.2-3)-(1) 培養液① (サンプル希釈用)
D-MEM/F-12 Phenol Red Free (Gibco)を使用した。冷蔵保存した。
1.2.2-3)-(2) 培養液② (継代用)
Fetal Bovine Serum (FBS)をあらかじめウォーターバスにて 56℃、30 分間非働化処理を行った。
D-MEM/F-12 (Gibco) 500 mL 溶 液 に FBS 25 mL 、 Penicillin/Streptomycin( 大 日 本 製 薬 ,
#DNS1670049) 5 mL を添加し、これを使用した。冷蔵保存した。
なお、Zeocin (100 mg/mL ZeocinTM, Invitrogen)を最終濃度 200 µg/mL、Hygromycin (100 mg/mL
HygroGoldTM, Invivogen)を最終濃度 100 µg/mL になるように継代操作終了後、継代用培養液に
直接混ぜた。
1.2.2-3)-(3) 培養液③ (アッセイ用)
dextran-coated-charcoal (DCC) 処理済み FBS をあらかじめウォーターバスにて 56℃、30 分間、
非働化処理を行った(DCC-FBS)。D-MEM/F-12 Phenol Red Free (Gibco) 500 mL に DCC-FBS
25 mL、Penicillin/Streptomycin (Invitrogen) 5 mL を添加混合し、これを使用した。冷蔵保存した。
23
1.2.2-4) 試薬の調製
1.2.2-4)-(1) コントロールケミカル(DHT)
10 mM となるように DMSO を加えて溶解した。-20℃にて冷凍保存した。
1.2.2-4)-(2) リファレンスケミカル
リファレンスケミカル(アゴニスト:Mestanolone、アンタゴニスト:HF、BisA、DEHP)は 10 mM とな
るように DMSO を加えて溶解した。-20℃にて冷凍保存した。
1.2.2-4)-(3)
細胞毒性対照物質
細胞毒性対照物質(Cx)を 10 mg/mL となるように DMSO を加えて溶解した。-20℃にて冷凍保存
した。
1.2.2-4)-(4) ルシフェラーゼアッセイ試薬の調製
AR アゴニスト活性測定にはルシフェラーゼアッセイ試薬 (Steady-Glo Luciferase assay system、
Promega) を使用した。Steady-Glo Luciferase Assay Substrate 1 バイアルに Steady-Glo Luciferase
Assay buffer 1 バイアル全量を直接加えて溶解した後、-20°C 以下で保存した。使用前に解凍し、
0.3 mM MgCl2 を含む PBS を 1:1 で混合して使用した。
AR アンタゴニスト活性測定には Dual-Glo ルシフェラーゼ活性測定試薬(Dual-Glo Luciferase
Assay System, Promega)を使用した。Dual-Glo luciferase substrate 1 vial に Dual-Glo luciferase
buffer 1 vial 全量を直接加えて溶解した。調製後、保存する場合は-20℃以下で保存した。
Stop&Glo substrate については必ず使用直前に Stop&Glo Buffer で 100 倍希釈して使用した。
Stop&Glo Buffer は、冷蔵保存した。
1.2.2-5) 96 well microplate への細胞播種
70%~90% confluent まで培養した細胞を準備した。培養液③を用い、細胞密度が 1×105/mL
になるように培養液③に分散した。96 well microplate (Nunc, Cat No.136101)に 1 well 当たり 90
µL ずつ播種し、CO2 インキュベーターにて一晩培養(24 時間)した。培養後、被験物質及び対照
物質添加に用いた。
1.2.2-6) 希釈系列の作製(アゴニスト検出系)
希釈用 96 well プレート(Nunc, Cat No.267334)の H7 及び H10 well を除く 1、4、7、10 列の B-H
行に 90 μL の DMSO を、2-3、5-6、8-9、11-12 列の A-H 行に培養液①90 μL を添加した。10 mM
に調製した各被験物質をそれぞれ A1、A4、A7 well に 25 μL 添加した。図 1.2.-1 の配置例に従っ
て A1、A4、A7 well の被験物質溶液 10 μL を次の B 行の well に添加して充分にピペッティングし
て混合した後、順次 10 μL を次の行に添加混合し 1/10 段階希釈を行い 1 mM、100 μM、10 μM、1
μM、100 nM 及び 10 nM 溶液を調製した。陽性対照物質の DHT に関しては 10 mM 調製液から
24
希釈調製した 1 mM DHT を A10 well に 25 μL 添加した後、同様に 1/10 段階希釈を行い 100 μM、
10 μM、1 μM、100 nM、10 nM 及び 1 nM 溶液を調製した。H7 及び H10 well に陽性対照物質 10
μM DHT を 15 μL 添加した。続いて 8 連のピペットを用いて 1 列目から 2 列目、2 列目から 3 列目
へ順次 10 μL を次の列に添加混合し 1/10 段階希釈を行った。同様に、4、7、10 列目についても希
釈を行った。3、6、9、12 列目を被験物質及び対照物質添加に使用した。
1(被験物
質 1)
2
3
4(被験
5
6
物質 2)
7(被験物
8
9
10(DHT)
11
質 3)
A
10 mM
10 mM
10 mM
DHT 1 mM
B
1 mM
1 mM
1 mM
C
100 μM
100 μM
100 μM
DHT 10 μM
D
10 μM
10 μM
10 μM
DHT 1 μM
E
1 μM
1 μM
1 μM
DHT 100nM
F
100 nM
100 nM
100 nM
DHT 10 nM
G
10 nM
10 nM
H
DMSO
DMSO
10 nM
PC(DHT)
DHT 100 μM
DHT 1 nM
PC(DHT)
図 1.2.-1 希釈プレートフォーマット例(アゴニスト)
1.2.2-6) 希釈系列の作製 (アンタゴニスト検出系)
希釈用 96 well プレート(Nunc, Cat No.267334)の 1、4、7、10 列の B-G 行及び H1 well に 90 μL
の DMSO を添加した。10 mM に調製した陽性対照物質 DHT を 56 nM DHT, 0.1% DMSO となる
ように培養液①を加えて調製した。調製した 56 nM DHT, 0.1% DMSO 培養液①を 2、5、8、11 列
の A-G 行、H8 及び H11 well に 90 μL 添加した。3、6、9、12 列の A-H 行、H2 及び H5 well に培
養液①90 μL を添加した。10 mM に調製した被験物質を A1、A4、A7 well にだけ 25 μL 添加した。
図 1.2.-2 の配置例に従って A1、A4、A7 well の被験物質溶液 10 μL を次の B 行の well に添加し
て充分にピペッティングして混合した後、順次 10 μL を次の行に添加混合し 1/10 段階希釈を行い
1 mM、100 μM、10 μM、1 μM、及び 100 nM 溶液を調製した。陽性対照物質の DHT に関しては
10 mM 調製液から希釈調製した 1 mM DHT を A10 well にだけ 25 μL 添加した後、同様に 1/10
段階希釈を行い 100 μM、10 μM、1 μM、100 nM 及び 10 nM 溶液を調製した。H4 well に陽性対
照物質 10 μM DHT を 15 μL 添加した。H7 well に陽性対照物質 1 mM HF を 15 μL 添加した。H10
well に細胞毒性対照物質 10 mg/mL Cx を 15 μL 添加した。続いて 8 連のピペットを用いて 1 列目
から 2 列目、2 列目から 3 列目へ順次 10 μL を次の列に添加混合し 1/10 段階希釈を行った。同様
に、4、7、10 列目についても希釈を行った。3、6、9、12 列目を被験物質及び対照物質添加に使用
した。
25
12
1(被験物
2
3
4(被験物
質 1)
5
6
7(被験物
質 2)
質 3)
8
9
10(DHT)
A
10 mM
10 mM
10 mM
B
1 mM
1 mM
1 mM
C
100 μM
100 μM
100 μM
DHT 10 μM
D
10 μM
10 μM
10 μM
DHT 1 μM
E
1 μM
1 μM
1 μM
DHT 100nM
F
100 nM
100 nM
100 nM
G
DMSO
DMSO
H
DMSO
DHT
DMSO
HF
DHT 10 nM
DMSO
11
DHT 1 mM
DHT 100 μM
Cx
:培養液①
:56 nM DHT, 0.1% DMSO 培養液①
図 1.2.-2
希釈プレートフォーマット例(アンタゴニスト)
1.2.2-7) ルシフェラーゼ活性の測定
1.2.2-7)-(1) アゴニスト活性検出系
CO2 インキュベーターより測定プレートを取り出し、予め調製しておいた Steady-Glo ルシフェラ
ーゼ活性測定試薬 40 μL をプレートの各ウェルに添加し、5 分間プレートシェーカーで混合後、化
学発光測定装置(TopCount NXT™、PerkinElmer)にて測定した。化学発光量は 1 well 当り 1 秒間
測定し、Relative luminescence units (RLU)として求めた。
1.2.2-7)-(2) アンタゴニスト活性検出系
CO2 インキュベーターより測定プレートを取り出し、各ウェルの培地を 60 μL 除去した後、予め
Dual-Glo luciferase buffer に溶解して調製しておいた Dual-Glo luciferase substrate 40 μL をプレ
ートの各ウェルに添加し、10 分間プレートシェーカーで混合後、化学発光検出装置(TopCount
NXT™、PerkinElmer)を用いてレポーター遺伝子の化学発光量を測定した。予め Stop&Glo
Buffer で 100 倍希釈して調製しておいた Stop&Glo substrate 40 μL をプレートの各ウェルに添加
し、10 分間プレートシェーカーで混合後、化学発光検出装置を用いてコントロール遺伝子の化学
発光量を測定した。
26
12
1.2.2-8) データ解析
ルシフェラーゼ活性及び細胞毒性の測定でそれぞれ得られた RLU 及び吸光度を、アゴニスト
及びアンタゴニストそれぞれの解析フォーマットを用いて解析した。
AR アゴニスト及び AR アンタゴニストのクライテリアは下記のとおりである。
AR アゴニスト リファレンスケミカルの許容クライテリア
Fold-induction
> = 6.4
PC10 value
Greater than 1 (fold-induction of VC) +2SD
Chemical Name [CAS No.]
logPC10
logPC50
logEC50
Hill Slope
Test range
5α-Dehydrotestosterone
-9.87 ~-12.08 -9.00 ~ -11.03 -9.13 ~ -11.02 0.577 ~ 4.358 10-6 ~ 10-12M
(DHT) [521-18-6]
Methyltrienolone (R1881)
-10.57 ~ -11.07 -9.10 ~ -10.86 -9.37 ~ -10.83 3.996 ~ 0.599 10-5 ~ 10-11M
[965-93-5]
Di(2-ethylhexyl)phthalate
10-5 ~ 10-10M
(DEHP) [117-81-7]
AR アンタゴニスト リファレンスケミカルの許容クライテリア
Fold induction of spike-in
> = 5.0
[Spike-in of 500 pM DHT]
/[Vehicle Control]
PCATG inhibitory ratio
= <46
log
log
Chemical Name [CAS No.]
logIC50
Hill Slope
Test range
linearIC30
linearIC50
Hydroxyflutamide
-6.41 ~ -8.37 -6.17 ~ -7.80 -6.26 ~ -7.71 -2.503 ~ -0.652 10-5 ~ 10-10M
(HF) [52806-53-8]
Bisphenol A
-4.48 ~ -7.52 -4.29 ~ -7.05 -4.38 ~ -6.89 -2.973 ~ -0.598 10-5 ~ 10-10M
(BisA) [80-05-7]
Di(2-ethylhexyl)phthalate
10-5 ~ 10-10M
(DEHP) [117-81-7]
27
1.2.2-9) 実施項目
1.2.2-9)-(1) KFDA 技術移管
以下のスケジュールで技術移管を実施した。
10 月 16 日
13:00-14:00
イントロ、アゴニスト用プレートへの細胞の播種(培養 3 時間)
14:00-16:00
アゴニスト実験用化学物質の希釈
16:00-17:00
化学物質の細胞への暴露
17:00-17:30
Discussion
10 月 17 日
9:00-10:30
アンタゴニスト-プレートへの細胞の播種
アゴニスト-プレートへの細胞の播種(培養 24 時間)
10:30-12:00
アンタゴニスト用化学物質の希釈
昼食
13:00-13:30
化学物質の細胞への暴露
13:30-14:00
アゴニスト-ルシフェラーゼアッセイ
14:00-16:30
アゴニスト-データ解析(培養 3 時間)
Discussion (他手技に関する質疑応答)
打合わせ (今後のスケジュール等)
16:30-17:30
ラボ見学
10 月 18 日
9:00-11:00
アゴニス用化学物質の希釈及び暴露(培養 24 時間)
アンタゴニスト-Dual Glo アッセイ
11:00-12:00
アンタゴニスト-データ解析
Discussion
10 月 19 日
アゴニスト-ルシフェラーゼアッセイ(培養 24 時間:CERI のみ)
-データ解析(培養 24 時間:CERI のみ)
スケジュールの都合上、播種から化学物質暴露までの培養時間を 3 時間とした。アゴニストに
関しては、17 日に播種し、24 時間後化学物質希釈及び細胞へ暴露したプレートも用意した。ルシ
28
フェラーゼアッセイは 19 日に CERI で実施した。
1.2.2-9)-(2) 施設間バリデーション使用検討物質の暫定クライテリア作成
Mestanolone を用いて AR アゴニスト検出系の試験を実施した。試験は繰り返し 10 回実施した。
CERI で実施した 10 回及び大塚製薬で実施した際の PC10 及び PC50 値の平均±2SD を暫定ク
ライテリアとした。
1.2.3 結果
1.2.3-1) KFDA 技術移管
技術移管した後の AR アゴニストアッセイ、AR アンタゴニストアッセイの結果を表 1.2.-3、表
1.2.-4 及び表 1.2.-5 にまとめた。結果から、培養 3 時間の AR アゴニストアッセイに関しては、Fold
のクライテリアを CERI 及び KFDA 共に満足しなかったが、CERI と KFDA で結果に大差なかった。
培養 24 時間の AR アゴニストアッセイ及び AR アンタゴニストアッセイの結果に関しては、全クライ
テリアを満足し、数値も CERI と大差なかった。以上のことから、AR EcoscreenTM 細胞を用いたレ
ポーター遺伝子アッセイのスムーズな技術移管ができた。
表 1.2.-3
AR アゴニストアッセイ結果(培養 3 時間)
図表解説:播種後の培養時間を 3 時間にしたところ、CERI 及び KFDA は Fold 及び DHT のクラ
イテリア(1.2.2-8))を満たさなかったものの、両者共に同等の数値を得られることが分かった。
表 1.2.-4
AR アゴニストアッセイ結果(培養 24 時間)
表. AR アンタゴニストアッセイ結果
図表解説:播種後の培養時間を 24 時間にしたところ、CERI 及び KFDA は Fold 及び DHT のク
ライテリア(1.2.2-8))を満し、かつ両者共に同等の数値を得られることが分かった。
29
表 1.2.-5
AR アンタゴニストアッセイ 結果
図表解説:CERI 及び KFDA は全クライテリア(1.2.2-8))を満し、かつ両者共に同様の数値を得ら
れることが分かった。
30
1.2.3-2) 施設間バリデーション使用検討物質の暫定クライテリア作成
Mestanolone の繰り返し 10 回の AR アゴニストアッセイの結果を表 1.2.-6 及び図 1.2.-3 にまとめ
た。log PC10 の平均及び標準偏差は-10.71 及び 0.10、log PC50 の平均及び標準偏差は-9.77 及
び 0.24 となった。この結果から、Mestanolone の暫定クライテリアは、log PC10 は-10.97~-10.46、
log PC50 は-10.39~-9.16 となった。10 月に研修した KFDA の結果は、log PC10 は-10.72、log
PC50 は-9.72 であったため、このクライテリア(1.2.2-8))を満たすことを確認できた。
表 1.2.-6. Mestanolone の繰り返し実験の結果 まとめ
CERI
Otuka
KFDA
n=1
n=2
n=3
n=4
n=5
n=6
n=7
n=8
n=9
n=10
-
Mean
SD
CV
2.5SD
Mean-2.5SD
Mean+2.5SD
Mestanolone
log[PC10]
log[PC50]
-10.77
-9.83
-10.73
-9.78
-10.58
-9.62
-10.55
-9.62
-10.65
-9.60
-10.66
-9.64
-10.75
-9.73
-10.75
-9.73
-10.74
-9.73
-10.75
-9.77
-10.93
-10.47
-10.72
-9.72
-10.71
-9.77
0.10
0.24
0.97
2.50
0.26
0.61
-10.97
-10.39
-10.46
-9.16
図表解説:R1881 の代替として標準物質候補となる Mestanolone を用いて繰り返し測定を実施し
結果の安定性に関して情報を得た。その結果、log PC10 の平均及び標準偏差は-10.71 及び 0.10、
log PC50 の平均及び標準偏差は-9.77 及び 0.24 となった。KFDA の結果は log PC10 は-10.72、
log PC50 は-9.72 であった。
31
Mestanolone AR agonist
1
0.8
0.6
0.4
Relative transcriptional activity
1.2
0.2
0
-12
-11
-10
-9
-8
-7
-6
-0.2
Log(M)
n=1
n=2
n=3
n=4
n=5
n=6
n=7
n=8
n=9
n=10
KFDA
図 1.2.-3Mestanolone 繰り返し実験結果
図表解説:R1881 の代替として標準物質候補となる Mestanolone を用いて繰り返し測定を実施し
各実験でのレスポンスカーブを比較した結果、各試験同じ挙動を示すことが確認された。
1.2.4 まとめ
本年度は今後実施予定である追加物質の施設間バリデーションの準備として、新規参加ラボで
ある KFDA への技術移管及び、R1881 の代替リファレンスケミカル候補物質として Mestanolone
の暫定クライテリアを作成した。KFDA への技術移管に関しては、指導後 CERI と大差のない結果
を AR アゴニスト、アンタゴニスト共に取得できることを確認でき、スムーズに移管を完了できた。
Mestanolone の暫定クライテリアに関しては、log PC10 は-10.97~-10.46、log PC50 は-10.39~
-9.16 となった。技術移管した KFDA もこの暫定クライテリアを満足することを確認できた。
32
2. 受容体結合試験
2.1. 緒言
化学物質の性ホルモン受容体に対する結合性 (受容体結合試験)内分泌かく乱作用発現に
おける重要な作用メカニズムのひとつと考えられており、OECD の非動物試験検証管理グループ
会議 (VMG non-animal) において、ガイドライン化を前提とした検証作業が進められている。
受容体結合試験については、経済産業省事業においてヒトエストロゲン受容体 (hER) α 結合
試験系を構築しており、その試験系を含んだ国際バリデーション研究が OECD ガイドライン化手
順に沿って、米国環境保護庁 (US-EPA) リードの下、欧州委員会/健康・消費者保護研究所
(EC/IHCP)、Bayer (欧州) 及び日本で実施された。この hERα の受容体結合試験の国際バリデー
ションでは、FWA プロトコール (米・欧州で作成)、CERI プロトコール (経済産業省事業の中で本
機構で開発) の 2 法について、米国、欧州、日本(本機構、CERI) の施設間バリデーションが実
施された。試験は、初めに使用受容体の特性を調べる“Saturation analysis”を行った後に、
Task-1:3 物質による繰り返し実験により実施能力及び再現性の確認、Task-2:被験物質名が開示
された 12 物質によるラボ内及びラボ間の再現性及び妥当性の確認、Task-3:被験物質名がコー
ド化された 14 物質によるラボ内及びラボ間の再現性及び妥当性の確認の 4 段階に分けて実施さ
れた。現在、これらの施設間データの解析が US-EPA により実施され、検証報告書案が作成され
ているところであり、今後、ガイドライン案の策定、OECD への提出が見込まれている。
そこで、米国が行う検証報告書案作成等に関し、技術的かつ専門的助言等を行うため電話会
議に参加した。
2.2. 実施内容
本年度は、hERα の受容体結合試験のガイドライン化作業に関して、米国環境保護庁(EPA)が
主体となり、2 回の電話会議が実施された。
電話会議-① (2012 年 10 月 18 日 )
電話会議-② (2012 年 11 月 6 日)
電話会議の内容を以下に示す。
2.2.1 電話会議-①
2.2.1-1) 出席者
1. Alexius Freyberger (Bayer)
2. Yumi Akahori (CERI)
3. Masahiro Takeyoshi (CERI)
4. Miriam Jacobs (IHCP)
33
5. Susan Laws (US-EPA)
6. Vickie Wilson (US-EPA)
7. Jim Kariya (US-EPA)
2.2.1-2) 内容
2.2.1-2)-(1) 前回の電話会議からの進捗
EPA から以下の報告があった。
検証試験結果の要約を現在作成中である。試験法の開発歴及びラボ間の飽和結合試験部分
の暫定的な報告が書きあがり、競合結合試験部分が未完成である。US-EPA の結合試験の専門
家である Dr. Wilson がその内容についてのアシストをした後、コメントを求めるために、メンバーに
配布する予定とのこと。
2.2.1-2)-(2) 性能に基づくテストガイドライン (PBTG) としての考え方について
FWA プロトコールと CERI プロトコールの両者をカバーする性能に基づくテストガイドライン
(Performance Based Test Guideline;PBTG) の策定が可能か、という議題に対して、hERα の
Ligand binding domain を含む受容体タンパク質用いた受容体結合試験であれば、一定の性能
基準を策定できるはずである、との意見が CERI を含めた多数の参加者から上げられた。
IHCP (欧州) の Dr Jacobs より、今度の VMG-NA 会議では蛍光偏光法を用いた検証試験の提
案があることが伝えられ、恐らく、PBTG の対象になりうるのではないか、とのことであった。
2.2.1-2)-(3) 溶媒に関して
「USEPA’s Endocrine Disruptor Screening Program」のデータによれば、検証試験に参画した米
国ラボでは、析出の取扱に関してプロトコールに記載されていない内容 (他の溶媒の使用または
half-logs での濃度の低減) を必ずしも遵守していなかった、とのことであった。
溶媒の選択に関するガイダンスは PBTG にも残すことが提案された。このことにより、規制当局が
溶媒に関して適切な対応が取られていないことでデータの受入れ拒否ができるためである。
今後、US-EPA の Dr. Kariya より米国ラボでの溶媒に関する検討内容をメンバーに配布される。
2.2.1-2)-(4) 標準物質 (Standard Chemcial)
現在、ラボ間の検証試験で弱い陽性対照として選定している norethynodrel の将来的入手可能
性についての懸念があがった。
また、陰性対照としている dibutyl phthalate (DBP) も 1 mM レベルでは放射標識リガンドの置換
が起こることが説明された。しかし、Dr. Freyberger 及び Dr. Wilson より 1 mM での溶解性に疑義が
上げられた。本件は、昨年度の電話会議で CERI からも指摘している内容である。
34
代替できる物質候補を検討するため今後、US-EPA の Dr. Kariya より2プロトコールで実施した
2 ラボの弱い陽性物質と、陰性物質の結果が送られてくる予定。
2.2.1-2)-(5) 期限について
最低でも、2014 年春の WNT 会合を目指し、理想的には 2013 年春の WNT 会合への提出を
目指す。
2.2.2 電話会議-②
2.2.2-1) 出席者
1.
Alexius Freyberger (Bayer)
2.
Yumi Akahori (CERI)
3.
Masahiro Takeyoshi (CERI)
4.
Miriam Jacobs (IHCP)
5.
Susan Laws (US-EPA)
6.
Vickie Wilson (US-EPA)
7.
Jim Kariya (US-EPA)
2.2.2-2) 内容
2.2.2-2)-(1) 前回の電話会議以降の進捗
Dr. Freyberger が Steraloids 社にコンタクトしたところ、norethynodrel が次回いつ製造されるのか
確認するとのことであり、再度進捗を確認することとなった。
2.2.2-2)-(2) 期限について
議論を踏まえ、VMG-NA の会議では以下の期限(案)を提出することとなった。
January
February
March
May
August
2013
September
October
Nov/Dec
2014
January
February
・ Draft Integrated Summary Report
・ VMG-NA review and comment
・ Final Integrated Summary Report
・ Peer Review
・ Peer Review comments received
・ Respond to comments
・ Validation decision (USEPA)
・ 1st WNT commenting round
・ Creation of VMG-NA subgroup
・ Response to 1st WNT commenting round: VMG-NA subgroup review,
discussion, revisions to draft PBTG and PS
・ WNT 2nd commenting round
・ Response to 2nd WNT commenting round:
・ VMG-NA subgroup review, discussion, revisions to draft PBTG and PS
・ Submission to WNT (at least 6 weeks before the April WNT meeting)
35
April
April-May
July
・ WNT meeting with discussion on draft PBTG and PS
・ VMG-NA subgroup response to WNT recommendations
・ VMG-NA review of revisions to draft TG and PS
・ Joint Meeting decision
2.2.2-2)-(3) Peer review に課す質問について
以下の 2 種類の質問についての議論を行った。
・ Dr. Jacobs が提供した“typical peer review charge questions” (OECD Guidance Document
34 に従った質問 (以下、GD34 版;図 2-1)
・ U.S. EDSP Tier 1 battery の試験の Peer Review で使用している US-EPA の質問(以下、
EDSP 版;図 2-2)
結論として、EDSP 版に GD34 版の内容はカバーされている。ただし、GD34 版の Charge
questions 7 (All data supporting the assessment of the validity of the test method should be
available for expert review) 及び 8 (Ideally, all data supporting the validity of a test method should
have been obtained in accordance with the principles of Good Laboratory Practice (GLP)) の手続
き的な内容についてはピアレビューに対して必要な情報を提供する。
Dr. Kariya から、EDSP 版を実際のピアレビューでは使用した旨の希望が伝えられた。
なお、hERα の結合試験のピアレビューについても US-EPA で実施される予定である。
36
Typical Peer Review charge questions:
The eight OECD principles and criteria for test method validation
Charge question 1: A rationale for the test method should be available, including a clear statement of
scientific basis and the regulatory purpose and need for the test method
Charge question 2: The relationship between the test method endpoint(s) and the biological effect
and to the toxicity of interest should be described, addressing also limitations of
the test methods
Charge question 3: A detailed protocol for the test method should be available
Charge question 4: Within- and between-laboratory reproducibility of the test method should be
demonstrated
Charge question 5: Demonstration of the test method’s performance should be based on testing of
representative, preferably coded reference chemicals
Charge question 6: The performance of test methods should have been evaluated in relation to
existing relevant toxicity data as well as information from the species of concern
Charge question 7: All data supporting the assessment of the validity of the test method should be
available for expert review
Charge question 8: Ideally, all data supporting the validity of a test method should have been
obtained in accordance with the principles of Good Laboratory Practice (GLP)
Recommendations of the reviewers.
図 2-1 OECD で通常使用される質問 (GD34 版)
CHARGE TO PEER REVIEWERS for
INDEPENDENT PEER REVIEW OF THE ESTROGEN RECEPTOR BINDING ASSAY AS A
POTENTIAL SCREEN IN THE ENDOCRINE DISRUPTOR SCREENING PROGRAM
(EDSP) TIER-1 BATTERY
March 13, 2009
Charge Questions:
Please respond to each of the following questions:
1. Is the stated purpose of the assay clear?
2. Is the assay biologically and toxicologically relevant to the stated purpose?
3. Does the protocol describe the methodology of the assay in a clear, and concise manner so
that the laboratory can:
a) comprehend the objective;
b) conduct the assay;
c) observe and measure prescribed endpoints;
d) compile and prepare data for statistical analyses; and
e) report the results?
What additional advice, if any, can be given regarding the protocol?
4. Have the strengths and/or limitations of the assay been adequately addressed?
5. Were the (a) test substances, (b) analytical methods, and (c) statistical methods chosen
appropriate to demonstrate the performance of the assay?
6. Considering the variability inherent in biological and chemical test methods, were the
results obtained with this assay sufficiently repeatable and reproducible?
7. With respect to performance criteria, were appropriate parameters selected and reasonable
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values chosen to ensure proper performance of the assay?
8. Are the data interpretation criteria clear, comprehensive, and consistent with the stated
purpose?
9. Please comment on the overall utility of the assay as a screening tool described in the
introduction of the ISR to be used by the EPA to identify chemicals that have the potential
to interact with the endocrine system.
図 2-2 US-EPA で使用されている質問 (EDSP 版)
2.2.2-2)-(4) チンパンジーのリコンビナントアンドロゲン受容体結合試験について
米国ではこの試験法に関する検討を資金的理由から昨年度終了した (試験に関することが理
由ではない)。Dr. Jacobs より OECD としては米国が実施したプレバリデーション試験の結果があれ
ば、他の国が関心を寄せた際に重複した労力を削除することができると考えるだろう、と述べた。
それが実施可能かどうか米国側で検討することとなった。
2.2.3 VMG-NA での進捗報告
内容については第 10 回 VMG-NA 会議にて米国環境保護庁の担当者(Jim Kariya)から報告
された。
3. 国際会議への参加
3.1. 緒言
経済産業省では内分泌かく乱作用物質試験法の国際標準化作業の一環として受容体結合試
験、レポーター遺伝子アッセイ等の試験法に関して開発を進めている。これらの試験法の検証作
業はOECD本部で開催されるTHE 10th MEETING OF THE VALIDATION MANAGEMENT
GROUP FOR NON-ANIMAL TESTING (VMG-NA9)参加メンバーの協調の基で進められている。
これまでレポーター遺伝子アッセイに関しては、日本がリード国を努めると共にCERIがリードラボと
して試験法の検証及び検証報告書の作成を行い、HeLa9903細胞を用いたレポーター遺伝子アッ
セイのアゴニスト系ガイドラインはOECD TG455として承認された。現在は同細胞を用いるアンタゴ
ニスト系ガイドラインのバリデーション試験が実施中であり、本事業の目的として定められたテストガ
イドライン化への対応としてバリデーション状況を本会議において報告する必要がある。また、AR
EcoScreen細胞を用いたARアゴニスト/アンタゴニスト系アッセイのバリデーション報告書はOECDに
既に提出されピアレビュー結果に対する対応が求められている。本事業の最終目標である国際標
準化(OECDガイドライン化)は国際協調・国際協力が不可欠である。本会議はOECDガイドライン
化のプロセスの初期段階で非常に重要な意味を持つ会合である。また、今回の会議からサテライト
会議となった甲状腺影響に関する in vitro試験法の会議は、未開拓の分野であり、今後の内分泌
かく乱試験法開発の動向を知る上で重要な会議となることから情報収集を目的に参加した。
以下の会議の概要を記載する。
38
3.2. VMG-NA の報告
2012年11月28日-11月30 日(OECD本部:Paris, France )にOECD本部で開催された①THE
THYROID SCOPING EFFORT EXPERT SUBGROUP MEETING 及びTHE 10th MEETING OF
THE VALIDATION MANAGEMENT GROUP FOR NON-ANIMAL TESTING (VMG-NA10)の
議事及び議論された内容は以下のとおりである。
1
Opening of the meeting and approval of the draft agenda
事務局からの開会宣言。自己紹介が行われ、Agendaが承認された。
2
Introduction by the Secretariat
Brief introduction (e.g. outcome of WNT meeting on relevant issues...)
Presentation of the documents for the meeting
前回の会議に関する短い紹介が行われ、TG455がPBTG及びアゴニスト部分のガイドラインに
統合されたことなどが紹介された。その他、新しいガイドライン化の動きとしてER-MELN、EUの
ARTA、前日に行われたThyroid scoping effect groupの動きについて紹介があった。
現在のレポーター遺伝子のTGはSTTAとBG1 lucの二つからなり、TG455はagonistのみ、
TG457はagonist及びantagonistからなる。将来的にはTG4xxとしてantagonistのみのガイドライン
として独立。TG457は廃止とする案が示された。
3
Outcome of the thyroid scoping effort meeting
The Thyroid scoping effort expert subgroup will meet on 28 November 2012, back to back with
the meeting of the VMG NA. The objective of the meeting will be to discuss and agree on the
document prepared by the Secretariat and identify assays for the detection of thyroid disrupters, in
terms of regulatory needs, validation needs and potential Test Guideline development in the short
or longer term. The subgroup will present the outcome of the meeting.
The VMG-NA will be invited to comment on the presentation.
前日に行われたthe thyroid scoping effort meetingの概要に関して報告が行われた。
OECDのConceptual frameworkには甲状腺影響評価法はin vivoしかない。
In vitro法として知られているものとしては、TRE-Luc assayでアゴニスト作用は検出可能。分泌
影響を評価したいが方法がない。甲状腺影響として重要と思われるエンドポイントとしては中枢
かく乱、甲状腺ホルモン分泌、代謝、分泌と輸送、細胞応答、血中レベル、標的部位での濃度、
活性化阻害などが考えられるが、体系的にまとめられたものがないため、本グループでは重要と
思われる8つのエンドポイントについて既存のアッセイを完成度に応じてA, B, Cとして分類。各
39
試験についてレビューを行うボランティア(担当者、チャンピオン)を決定。2013年1月末までに終
了させるとのこととなった。
Aは直ぐにでもValidationに移行できるレベルの試験法、Bは有望な試験法と思われるもの、C
は試験法としては知られているものとし、最終的にはレビューを行った試験項目からガイドライン
化が可能と思われる項目を提案する予定であることを報告。
1. 中枢制御系(Central regulation)
TRH-R act Pit
TRH-R act Thy
TRH
production
hypothalamus
A
B
Assay
exist –No
Assay
exist –No
Assay
exist –No
chemical known
chemical known
chemical known
(Barb)
(Barb)
(Barb)
TPO inh
NHS act
TH production
Kevin (Alex)
Barb (Kohrie)
C
2.甲状腺ホルモン合成(TH synthesis)
A
B
C
(Tinka)
3. 甲状腺ホルモン分泌及び輸送(Secretion and transport)
TTR binding
TBG binding
Transport
over
placenta and BBB
A
(Mary G)
B
(Mary G)
Less testing
C
(Tinka)
40
4. 甲状腺ホルモンの代謝と排泄(Metabolism and excretion)
Deionation
Deionation
Glucron
Glucron
inhibition
upregulation
sulfation
sulfation
inhibition
inhibition
A
B
C
Huge gap
Huge gap
(Miriam)
5. 局所におけるホルモン濃度(Local cellular concentration)
TH
membrane
transporter
A
B
C
Mike (Theo Visser)
6. 細胞の応答性(Cellular response)
A
B
TR binding to
Effect on TR
Co-regulator
Activation
Non
LBD
mediated TA
interaction
dimerization
TR
pertoners TR
response
Being done
Beeing done
(Toxcast)
(Toxcast)
Transactivatio
n (Warren)
For SRC2
(Warren
nuclear
mediated
Progressed as
will
find victim)
following
work
up
from
DRP?
C
No assay
7. 複数の作用機序に基づく短期試験(Relevant short term assay integrating multiple MOAs)
41
Zebrafish
Sea Uclum
embryo
GFP Xenopus
Short
term
embryo
Xenopus meta
Thyroid grand
assay
A
Being
validated
B
Kate
Tinka
Pat
C
8. 相互作用に基づく細胞試験(Interactive Cellar assay)
T-screen
(T3
induced
Human natural
progenitor cell
proliferation
TSH screen
TSH mediated
proliferation
Stem
cell
derived
thymocyte
assay)
A
B
Anne Marie
C
Anne Marie
ヒト胎児由来
Tinka
材料が必要
Part I: Presentation and discussion of projects included in theTest Guidelines Workplan
4
Project 4.34: Stably Transfected Transcriptional Activation (STTA) Assay for the detection
of anti-estrogenic activity of chemicals (lead: Japan)
Validation data are expected to be available mid 2012. Japan will present the status of the project,
the validation results and the proposed next steps.
The VMG-NA will be invited to comment on the presentation and agree on next steps.
国衛研の小野敦職員よりバリデーション状況に関して、日吉が最終バリデーション実験を実施
しており、次回のVMGで報告する旨、報告された。前述のアゴ、アンタゴ別ガイドラインより受容
体毎にすべきとの意見があった。ガイドラインの番号の付け方について様々な議論があったが
結論はなし。
5
Project 4.64: Transcriptional Assay for the Detection of Estrogenic and Anti-Estrogenic
Compounds using the MELN Cells (lead: European Commission)
This assay is currently under validation. The EC will present the status of the project.
The VMG-NA will be invited to comment on the presentation.
42
ECから報告。MELN細胞を用いた実験系であり、現在、2ラボにて16化合物のデータを取得。
今年の終わりまでに実験は終了予定。施設間試験はコード化された20化合物(13agonist、3
antagonist)を用いて EC50を指標として評価。
本試験系はエッジエフェクト有り、プレートレイアウトでは周囲1列を未使用としている。今後、バリ
デーション報告書を作成後、VMGに提出予定。Antagonist系のスパイクにはEC50の1000倍の
E2を添加。さらに試験の自動化に関する検討を15化合物で実施。近々終了予定
ロボットアッセイの場合、バリデートされた方法と同じものを使う必要があるかという質問に対し
て、PSを満足すればよいとの意見があった。
Agonist protocolに関しては今年の12月終わりまでにPBTG PSを作成予定。
6
Project 4.33: Stably Transfected Transcriptional Activation (STTA) Assay for the detection
of androgenic and anti-androgenic activity of chemicals (lead: Japan)
The peer review and WNT agreement on the follow-up to the peer review was published as No.
161 in the Series on Testing and Assessment. According to the WNT agreement, more substances
should be tested in a new inter-laboratory validation, while ensuring a good balance of substances
with androgenic and anti-androgenic activity, negative and positive control substances. At the
VMG NA 9 in 2011, and following the meeting, a few chemicals were proposed for further
validation. Japan will present the status of the additional validation work using these chemicals.
The VMG-NA will be invited to comment on the presentation.
化学物質評価研究機構 武吉職員からARTAの現状を報告。ECOscreen細胞の受容体発現
状態に関して質問。特にGRの発現とグルココルチコイドとの交差反応について質問があり、多く
の時間が使われた。当方からGRは発現しているであろうこと。細胞のレポーターコンストラクトに
使用したプロモータがラット前立腺C3遺伝子由来のものであり、グルココルチコイドとの交差反応
は殆どないことを説明。この点が他の細胞と比較して大きなECOscreenの利点である。また、昨
年の会議の後に実施された追加バリデーションに使用する化合物の構成に関して意義が出され
若干の修正が行われる可能性がある。
急遽、会議後に関係者のみで追加のディスカッション実施。結果的に現リストでピアレビュー
パネルの要求用件を満たしていると判断。そのまま使用することで合意。
今回の議論にあるようにARの系に関してはGRとの交差反応が極めて重要であり、経代回数
とGR反応性の関係に関して実例が報告されたが、これはあくまでもGRの発現との関連性に於
いて重要であるが、ECOscreen細胞はプロモータの特性でGR反応性を押さえているため極めて
重要な利点といえる。この点に関してはガイドライン案に利点として脚注に記載することとなっ
た。OECD事務局からタイムラインに関する質問があった。この件に関して現在、原発事故後の
復興予算との兼ね合いで予算の獲得・執行時期が不透明であることについて回答した。
43
また、EUが予定しているARTAのPBTGの作成に協力要請があった。予算次第と回答。
7
Project 4.31: Human Recombinant Estrogen Receptor Alpha Binding Assays (hrERA, 2
protocols) (leads: US, EU, Germany, Japan)
The development of the validation report was delayed due to several issues that needed to be
solved. It is expected that the validation report is ready early January 2013 and will be
followed by a peer review. The US will present the status of the project and the proposed
next steps.
The VMG-NA will be invited to comment on the presentation and agree on next steps.
米国環境保護庁のJim Kariya氏がER binding assayのバリデーション状況に関して報告。
現在、バリデーション試験結果の統計解析が終了。バリデーション報告書を作成中。
ピアレビューは米国の専門家3人によって行われる予定で来年5月から実施。夏からコメントを募
集。年末までに最初のコメントに回答及びPS・TG案を作成予定。2014年初頭から2回目のコメン
ト収集・回答を実施。WNTに提出。7月くらいまでにVMG-NAで修正版のTG・PSのレビューを実
施予定。JMの決定を目指す。PBTGに関して現在、ERのみしか記載されていない受容体種に
関して種差を考慮して原生的に書くべきとの意見もあった。
8
Follow-up / status of projects for possible inclusion in the annex 1 of the workplan
- Project 4.47: MCF-7 Cell Proliferation Assay for the Detection of Estrogen Receptor
Agonist and Antagonist (lead: US)
C Warren氏がバリデーション研究の結果について報告。
施設間バリデーションの結果、アゴニストの結果のみ良好。アゴニスト性能はBG1に劣る。プロ
トコールが複雑で簡易化する必要有り。USの規制当局では規制用途では使用しない予定であ
り、ICCVAMもこれ以上のサポートは行わないとのこと。
- Project 4.48: Chimpanzee Recombinant Androgen Receptor Binding Assay (lead: US)
A validation report / pre-validation report are respectively expected for these projects so
that it can be kept track of the work done if not supported by the lead anymore. The US will
present the status of these projects.
The VMG-NA will be invited to take note of the status of the projects.
進展なし。
Part II: Other activities
44
9
Medium and high throughput in vitro screening
Case studies will be presented on the automatisation of the transactivation assays for the detection
of estrogenic and anti-estrogenic compounds. This will be followed by a brief update on EDSP 21
and by a presentation on the example of the use of the ER binding assays in the context of
decision making.
Based on the presentations made, the VMG NA will be invited to discuss if the availble
information can support/demonstrate that the implementation of automated assays doesn’t
change the assay compared to the manual methods.
BG1 ERTAのTox21への適用についてC Warren氏から報告。年間10000化合物を50試験によ
ってスクリーニング。高次試験への優先順位付けを目的とする。1536ウェルプレートで完全自動
化を実施。15プレートで15濃度の希釈系列を試験。試験期間も3日間に短縮。アゴニストの一致
率は61化合物で98%。Apigenin, 2-sec-Butylphenol等で結果の相違がみられた。アンタゴニスト
の一致率は73化合物で96%。タモキシフェン関連化合物等で感度の差がみられた。結果として
は有望な実験系と結論。
DR Patricia ShmeiderからEPAのEDSPについてプレゼンで紹介。
Prescreening→Screeningまで3段階からなり化学物質の有害性検索プログラム。これからの取
り組み。
10
Identification of new activities
1) New SPSFs
- New SPSF related to projects concerning the VMG-NA may have been submitted before the
meeting (the deadline for SPSF submission for the 2013 WNT meeting is mid November 2012)
- Update from the EC (EURL ECVAM) regarding the launch of a validation study aimed at the
development of Performance Standards and a PBTG for ARTA methods (agonist and antagonist)
今後、PBTGの作成に向けて調整が行われることになるが、ガイドライン化を目指す以上、AR
ECOscreenに関しても避けて通れないため、今後の対応に関して整理しておく必要がある。
2) Other test methods not yet included in the workplan (if any)
Dr. Dong氏(オランダ)からER CALUXをTG455、PBTGに加えることはできないか?との打診
があった。現時点では情報不足、データ等の情報を検討した後、再考することになった。
3) Metabolic capacities of VMG NA assays
Dr. Miriam Jacobs (EFSA)が概要に関して報告。DRP発行後、関連のプロジェクトはなし。前
回のVMGでメタボリズムサブグループの白書案を作成し議論。ピアレビューが11月に終了。In
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vitro試験への代謝系0導入の必要性を確認、検討を進める必要ありとの結論となった。
Reference chemicalのcharacterizationが必要との意見あり。サブグループで各化合物の代謝様
式に関して纏める方向。
4) Proposals for further work by the EDTA AG – review of document ENV/JM/TG(2012)22
議論なし。
5) Follow up on DRP on new endpoints
Dr. Miriam Jacobs (EFSA)から報告。今後、どんなin vitro試験(エンドポイント)に注目し、支
援をしていこうかという話。甲状腺影響評価法グループの状況を確認する必要有り。特に決定事
項及び議論なし。
6) Update from McKim workshop on epigenetic endpoints (US) (to be confirmed)
The VMG-NA will be invited to comment on, and revise the SPSFs as appropriate, and to
identify any new VMG NA activities based on the discussion of the above mentioned topics.
Dr Kate Walletsから報告。現状の発がん性分類に関するデータが動物実験に依存している問
題を指摘。また、発がん性の懸念は動物実験の実施に帰結する問題を指摘。そこでこのワーク
ショップのゴールはtoxicity pathway baseで非動物試験によって効率的な評価スキームの構築を
目的としている。
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Work on species specific differences
The development of a discussion paper on species specific differences and integration of
DRP new endpoints including PPAR alpha (see ENV/JM/TG(2012)22, item 31) will start in
November. Although it won’t be ready by the meeting, it is expected that initial discussion
points are available at the meeting.
The VMG-NA will be invited to comment on initial discussion points and agree on the next
steps.
PPARに関しては毒性学的にと云うよりも薬理学的興味の方が主であり、建設的意見はなかっ
た。サブグループを募って議論するとのこと。
12
Presentation on progress of QSAR group activities
The QSAR group will report on QSAR activities.
The VMG-NA will be invited to comment on QSAR activities.
Dr Kate Walletsから報告。日本は28日反復毒性のデータベースをOECDツールボックスに提
供することを報告。EPAは進展なし。
46
13
Adverse Outcome pathways
The Secretariat will present relevant updates on the project on Adverse Outcome Pathways.
The VMG-NA will be invited to comment on the presentation, and identify one or several
AoPs and lead experts for its development.
議論なし。
14
Any other business
次回はEDTAと同時開催の予定とのこと。従って開催地はパリとなる予定。
長年、事務局を勤めた Laurence MUSSETが今回で引退するとのことで、有志より蘭の鉢植え
が送られた。
15
Concluding discussion – next steps
特になし。
4. まとめ
平成 24 年度環境対応技術開発等(国内外の化学物質管理に関する試験法の調査)の一環と
して経済産業省で開発を行った手法の中で、日本がリード国を務め、既に OECD に対して SPSF
(Standard Project Submission Form)を提出済みの 2 試験系(ER アンタゴニスト系及び AR アゴニ
スト/アンタゴニスト系)並びに経済産業省で開発し、米国主導で検証が進められている受容体結
合試験法に関してテストガイドライン化に必要な対応を実施した。
具体的にはERアンタゴニスト系、ARアゴニスト/アンタゴニスト系のOECDガイドライン化に付随
する調整・技術支援、受容体結合試験に関しては米国が行う検証報告書、テストガイドライン案作
成に関し、専門的助言実施した。
また、OECD 本部で開催された VMG-NA 会議等に関する会議に出席し、ER アンタゴニスト系
のレポーター遺伝子アッセイのバリデーション状況について報告すると共に AR アゴニスト/アンタ
ゴニスト系バリデーション研究の実施方針に関して会議メンバーと協議し、試験物質候補の選定
等の次年度以降実施する可能性のある各試験法のバリデーション研究のための準備作業を行っ
た。
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