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ZigBee センサーネットワークに対する マイクロ波無線電力供給システム
社団法人 電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS 信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE SPS2009-12 (2010-03) ZigBee センサーネットワークに対する マイクロ波無線電力供給システムの研究開発 鈴木 望† 三谷 友彦† †京都大学生存圏研究所 〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄 E-mail: †{n-suzuki, mitani}@rish.kyoto-u.ac.jp あらまし センサーネットワークのバッテリー交換にかかるコストを解消するために,マイクロ波無線電力伝送 を行うことによるバッテリーレスまたは遠距離から無線での充電が可能なワイヤレスネットワークの実現を目指 す.本研究では低消費電力で駆動する無線通信規格である ZigBee をセンサーネットワークとして用いる.まず送 電に用いる周波数を決定するため電波を照射した状態での ZigBee 通信実験を行った.また,整流回路と DC-DC コンバータで構成されるマイクロ波受電回路を用いて,マイクロ波電力による ZigBee の動作実験を行った. キーワード マイクロ波無線電力伝送,ZigBee,整流回路,DC-DC コンバータ Study and Development of Microwave Power Transmission System for ZigBee Sensor Network Nozomu SUZUKI† Tomohiko MITANI† †Research Institute for Sustainable Humanosphere, Kyoto University Gokashoo, Uji-shi, Kyoto, 611-0011 Japan E-mail: Abstract †{n-suzuki, mitani}@rish.kyoto-u.ac.jp Battery maintenance cost is an important problem for spreading a wireless sensor network. The objective of the present study is realization of the a “battery-less” or ”wireless-charging” wireless sensor network by using microwave power transmission. In this study, we firstly performed a communication test between ZigBees under continuous microwave irradiation. Then, we conducted microwave power transmission experiments for driving a ZigBee by using the microwave receiving system which consists of a rectifier circuit and a DC-DC converter. Keyword Microwave power transmission, ZigBee, Full-wave rectifier circuit, DC-DC converter 本研究の目的は,マイクロ波による無線電力伝送に 1. 研 究 背 景 ・ 目 的 現在,センサーネットワークは様々な用途において よってノードの電源を確保することでバッテリーレス 注目されており,例を挙げるとビルの空調やセキュリ または遠距離からの充電を可能としたメンテナンスフ ティなどの管理システム等に応用されている.しかし リーに近いセンサーネットワークの開発である.この 有線通信を使ったシステムの場合,センサーノード本 技術は海上など電源の確保が困難な場所におけるセン 体のコストより配線にかかるコストの方が高い.そこ サーネットワークの運用の他,災害時などの緊急時の で通信を無線にすることで設置コストを抑え,また配 状況確認などにも応用が期待される.また,普段は使 置の変更も有線よりはるかに低コストで行うことがで 用しないセンサーに対してマイクロ波を照射し電力を きる.また,電源ケーブルも廃止してバッテリー式に 供給することで一時的にセンサーを動作させることが することで更なる低コスト化,および電源の供給が難 でき,定期的な検査等にも応用が可能である.本研究 し い 場 所 で の 運 用 も 可 能 と な る [1].し か し ,多 く の ノ で は 低 消 費 電 力 の 無 線 通 信 規 格 で あ る ZigBee を 用 い ードを持つ大規模なワイヤレスセンサーネットワーク て ZigBee セ ン サ ー ネ ッ ト ワ ー ク に 対 す る マ イ ク ロ 波 においては各々の機器に対して定期的にバッテリーの 無線電力供給システムの開発を目指す. 交換が必要なってしまい,イニシャルコストは抑える ことができてもランニングコストが大きくなる. - 11 - 7) 2. ZigBee に つ い て 3. 送 受 電 シ ス テ ム の 構 成 ZigBee は 通 信 距 離 と 通 信 速 度 を 抑 え る こ と で 低 コ ZigBee に 接 続 す る マ イ ク ロ 波 電 力 供 給 シ ス テ ム の ス ト ,低 消 費 電 力 を 目 指 し た IEEE802.15.4 規 格 で あ る . 概略図を図 2 に示す.送電されたマイクロ波をレクテ IEEE802.15.4 で 定 め ら れ た 周 波 数 帯 は 868MHz , ナにより直流の電力に変換して蓄電回路に溜めておき, 915MHz, 2.4GHz の 3 種 類 あ り , 本 研 究 で は 日 本 で 唯 マイクロ波による給電が途切れたり不安定になった際 一 認 め ら れ て い る 2.4GHz 帯 の み を 取 り 扱 う . 変 調 方 に は 蓄 電 回 路 か ら 電 力 を 供 給 し ZigBee を 動 作 さ せ る . 式 は O-QPSK,拡 散 方 式 は DSSS を 用 い て い る .ZigBee DC-DC コ ン バ ー タ は 電 圧 を 一 定 に す る た め に 用 い る . の ノ ー ド に は ネ ッ ト ワ ー ク 全 体 を 制 御 す る ZC,ネ ッ ト 蓄電回路は必要に応じて使用し,バッテリーレスの実 ワ ー ク の 中 継 を す る ZR, ネ ッ ト ワ ー ク の 末 端 と な る 現も同時に目指す. ZED の 3 種 類 の ノ ー ド が あ り , 各 ノ ー ド は ZR を 中 継 本 研 究 で は 主 に 受 電 ア ン テ ナ お よ び RF-DC 整 流 回 し て ZC ま で 情 報 を 送 る . こ の マ ル チ ホ ッ プ ・ ネ ッ ト 路のレクテナ部分を設計し,必要に応じて蓄電回路の ワークを形成することで通信可能距離を確保しつつ消 設 計 も 行 う . DC-DC コ ン バ ー タ に は 現 在 NTT 社 製 の 費 電 力 を 抑 え て い る . ノ ー ド の 電 源 を ON に し た 時 な 昇 圧 コ ン バ ー タ を 使 用 し て い る が , 自 作 の DC-DC コ どネットワークを構成する際には自動的に各ノードは ンバータの使用も検討している.受電アンテナには有 最 も 近 い ZR ノ ー ド を 中 継 地 点 に 設 定 す る . ま た , 中 効開口面積が大きく生産性に優れたパッチアンテナを 継 地 点 と し て 働 い て い た ZR が 何 ら か の 理 由 で 通 信 が 使用する. 行えなくなった際にも自動的に別の通信ルートを検索 無 線 電 力 伝 送 に 用 い る 周 波 数 は ISM バ ン ド で あ る し ,ZC と の 通 信 を 確 保 す る 機 能 も 持 っ て い る .ZigBee 2.45GHz 付 近 を 想 定 し て い る .し か し ,ZigBee の 通 信 に は 図 1 に 示 す よ う な 16 の チ ャ ネ ル が 設 定 さ れ て お り , に 用 い る 周 波 数 も 同 じ 2.4GHz 帯 で あ る た め , 状 況 に 各 チ ャ ネ ル の 中 心 周 波 数 は 2405MHz か ら 2480MHz ま よっては送電マイクロ波により通信が正常に行えなく で 5MHz 刻 み に 存 在 し ,チ ャ ネ ル 幅 は 2MHz で あ る [1]. なるという問題が生じる.この問題を回避するには 本 研 究 で 使 用 す る NEC 社 製 の ZB24FM-Z に は 温 度 5.8GHz を 使 っ て 送 電 す る こ と も 有 効 と 考 え ら れ る が , センサーが取り付けられており,各ノードは設定した 一つの機器に二つの周波数帯を使用することは周波数 一定時間ごとに気温のデータをパソコンに接続した の 有 効 利 用 の 観 点 か ら 望 ま し く な い た め , 2.45GHz 帯 ZC に 送 信 す る 仕 様 と な っ て い る .パ ソ コ ン に よ り 現 在 の使用を中心に研究を進める. のネットワーク形態の確認も可能である. 現在,マイクロ波を送電する方式として以下の方法 を構想している. 1. 常 に マ イ ク ロ 波 を 送 電 し 続 け ,通 信 と 給 電 を 同 時に行う. 2. 一 部 の ノ ー ド に マ イ ク ロ 波 を 送 電 し ,給 電 中 は 通 信 を 行 わ な い .マ イ ク ロ 波 を 受 電 し て い な い ノードは蓄電した電力により通信を行う. 1.の 方 法 に お い て は 前 述 の よ う に 通 信 と 送 電 用 マ イ ク ロ波を共存させる必要があり,送電電力には制限があ 図 1: ZigBee の チ ャ ネ ル る .2.の 方 法 は ZR が 通 信 を 行 え な く な る と 別 の ZR を 経 由 し て 再 度 ネ ッ ト ワ ー ク を 構 成 す る ZigBee の 特 徴 を利用したもので,充電中のノードは通信を行わない 前 提 の た め 送 電 用 マ イ ク ロ 波 の 電 力 密 度 の 上 限 が 1.の 方法に比べて大きくなる. 図 2:ZigBee に 接 続 す る マ イ ク ロ 波 受 電 シ ス テ ム の 概 略 図 - 12 - 7) 4. 連 続 マ イ ク ロ 波 照 射 環 境 下 に お け る ZigBee 5. ZigBee の 消 費 電 力 の 測 定 ZigBee(ZED) の 入 力 端 の 電 圧 , お よ び 入 力 端 に 直 列 通信実験 電力伝送に用いる適切な周波数を定めるために,図 に繋いだシャント抵抗の電圧から電流を測定し,ノー 3 に示す実験装置を用いて外部からマイクロ波を照射 ド の 消 費 電 力 を 測 定 し た .ノ ー ド の 構 造 上 ZigBee 部 分 し た 際 に ZigBee 間 で 通 信 が 行 え な く な る マ イ ク ロ 波 だ け の 消 費 電 力 を 測 定 す る こ と は 難 し い た め , ZigBee 電力密度を様々な周波数に対して 5 回繰り返し測定し と温度センサーおよび制御部分を合わせたノード全体 た .送 信 ア ン テ ナ に は 利 得 15.9dB の 矩 形 ホ ー ン ア ン テ の消費電力を測定した.電圧の測定にはオシロスコー ナ を 使 用 し , ZigBee( ZED) と の 距 離 を 2m と し た . プを使い,電圧波形および電流波形より消費電力を求 この時通信に使用したチャネル中心周波数は め た . 図 5(a)の よ う な ネ ッ ト ワ ー ク 構 成 で 通 信 間 隔 を 2405MHz,通 信 頻 度 は 5s 毎 で あ る .実 験 の 結 果 を 図 4 5s と し た と き ,図 6(a)の よ う な 電 流 波 形 が 測 定 さ れ た . に示す.なお,グラフ中の点線はマイクロ波増幅器の ま た ,ネ ッ ト ワ ー ク 構 成 を 図 5(b),(c)の よ う に 変 更 し 最大出力に対応する電力密度であり,それより上の実 た 場 合 , お よ び 図 5(a)の ネ ッ ト ワ ー ク 構 成 で 通 信 間 隔 測点は少なくともその電力密度では通信が途切れなか を 30s に 変 更 し た 場 合 で も 同 様 の 電 流 波 形 が 得 ら れ た . ったことを示している.測定ごとに値が大きく異なっ ZB24FM-Z の 仕 様 書 に よ る と 待 機 時 の 電 流 は 20μ A と たものの,かなり弱い外部電波出力で通信不能となる あ る が ,こ の 値 は ZigBee 部 分 の 電 流 で あ り ,実 際 に は 周波数と比較的通信を阻害しない周波数があることが センサーおよび制御部分でより大きな電力を消費して わ か っ た .し か し ,ZigBee の 通 信 規 格 で 定 め ら れ た チ い る と 思 わ れ る .図 6(a)に 示 し た よ う に ZED の 動 作 状 ャネルと比較してもそれらの規則性は見られなかった. 態の時間は待機状態の時間に比べ非常に短いため,時 こ の 結 果 よ り 2.4575GHz,2.8GHz を 電 力 伝 送 用 の 電 波 間 平 均 を 取 る と 67.7mW と 待 機 時 の 消 費 電 力 と ほ と ん の周波数とした場合には他の周波数に比べ比較的高い ど変わらない.この特性により動作時の消費電力がよ 1000mW/m 前 後 の 電 力 密 度 で 送 電 で き る こ と に な る り大きい,また通信の頻度がより多い異なる機種の た め ,暫 定 的 に 2.4575GHz を 使 用 す る も の と し て 研 究 ZigBee に お い て も 平 均 消 費 電 力 に 大 き な 差 は な い と を進める. 考えられる. 2 次 に 図 5(d)の よ う な ネ ッ ト ワ ー ク 構 成 で ZigBee(ZR) の 消 費 電 力 を 同 様 に 測 定 し た と こ ろ , 図 6(b)の よ う な 電 流 波 形 が 得 ら れ た .ZR は 動 作 状 態 の 時 間 が 非 常 に 長 く ZED よ り も 消 費 電 力 が 大 き い た め , 当 面 は ZED を マイクロ波無線電力伝送により動作させること目的と する. 図 3: 連 続 マ イ ク ロ 波 照 射 環 境 下 に お け る ZigBee 通 信 の 概 略 図 図 5: 消 費 電 力 測 定 時 の ZigBee ネ ッ ト ワ ー ク 構 成 図 4: ZigBee が 通 信 不 可 能 と な っ た 連 続 マ イ ク ロ 波 電 力 - 13 - 7) 用 い る 必 要 が あ る .こ れ に 伴 い ダ イ オ ー ド に Avago 社 製 HSMS-2824 を 使 っ た 場 合 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 っ た .こ れ は HSMS-2864 に 比 べ て 抵 抗 は 同 じ だ が ブ レ ー ク ダ ウ ン 電 圧 が 倍 以 上 高 く ,C j 0 や I s の 値 が 大 き い と い う 特 性 を 持 つ .シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 図 11 に 示 す . こ の ダ イ オ ー ド を 用 い た 際 に は 300mW を 入 力 し て も ブレークダウンすること無く整流が行えたが効率は HSMS-2864 使 用 時 と 比 べ 数 % 低 下 し て し ま い ,ま た 低 電力での効率は著しく低下した.これらの結果より 60mW 以 下 程 度 の 低 電 力 の 整 流 に は HSMS-2864 が ,そ れ 以 上 の 電 力 の 整 流 に は HSMS-2824 が 適 し て い る と 言える. 図 6: ZED お よ び ZR の 消 費 電 力 の 測 定 結 果 の 概 略 図 6. 整 流 回 路 アンテナによって受け取ったマイクロ波を整流す る回路を作製した.製作した整流回路の概要を図 7 に 示 す .こ の 回 路 は 1/4 波 長 線 路 ,ダ イ オ ー ド ,DC カ ッ 図 7: 整 流 回 路 の 概 略 図 トコンデンサ,および平滑コンデンサより成る全波整 流 回 路 で , 理 想 的 な 条 件 で は 効 率 は 100% と な る が 現 実においては主にダイオードにより消費される電力で 損 失 が 生 じ る [2].実 際 に は 図 8 の よ う に ダ イ オ ー ド と DC カ ッ ト コ ン デ ン サ の 間 に イ ン ピ ー ダ ン ス 整 合 ス タ ブ を 挿 入 し て い る .使 用 し た ダ イ オ ー ド は Avago 社 製 HSMS-2864 で あ る . こ の 整 流 回 路 の 適 正 出 力 負 荷 は NTT 社 製 DC-DC コ ン バ ー タ に 合 わ せ て 30Ω と し て 設 計 し ,シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 上 に お い て は 効 率 60% 程 で あ った. こ の 回 路 の 入 力 電 力 -効 率 特 性 を 図 9 に 示 す .こ の と き の 負 荷 抵 抗 は 適 正 出 力 負 荷 の 30Ω で あ る . 効 率 は 45% を 達 成 し た が , DC-DC コ ン バ ー タ の 効 率 を 75% 図 8: 試 作 し た 整 流 回 路 の 写 真 と す る と 総 合 効 率 は 30% と な っ て し ま い ,ZigBee の 消 費 電 力 を 供 給 し 続 け る に は 210mW も の マ イ ク ロ 波 電 力が必要となってしまう.整流回路の効率向上のため には昇圧コンバータではなく降圧コンバータを使用, ま た は DC-DC コ ン バ ー タ で は な く 蓄 電 池 や 蓄 電 回 路 を整流回路に接続することで整流回路の出力負荷を大 きくし,ダイオードによる電力損失を抑えることが有 効 で あ る .図 10 は 適 正 出 力 負 荷 を 150Ω と し て 設 計 し た整流回路のシミュレーションにおける効率特性であ る . 80%の 効 率 が 得 ら れ た が 負 荷 が 高 く な っ た 分 出 力 電 圧 が 高 く な っ て し ま い ,入 力 電 力 75mW 程 で ダ イ オ 図 9: 試 作 整 流 回 路 の RF-DC 変 換 効 率 の 測 定 結 果 ードがブレークダウンを起こしてしまい整流可能電力 (出 力 負 荷 30Ω ) が小さくなってしまっている.変換効率を考慮すると ZigBee の 消 費 電 力 を 整 流 す る に は 複 数 の 整 流 回 路 を - 14 - 7) 図 12: マ イ ク ロ 波 電 力 供 給 ZigBee の 動 作 実 験 表 1: DC-DC コ ン バ ー タ を 整 流 回 路 に 接 続 し た 際 の 動 作 図 10: 適 正 負 荷 を 150Ω に し た 場 合 の 整流回路シミュレーション結果 8. 今 後 の 課 題 ま ず は 整 流 回 路 に よ っ て ZigBee を 動 作 さ せ る こ と が 必 要 不 可 欠 で あ る た め ,ZigBee の 駆 動 に 十 分 な 電 力 を供給する整流回路を開発する.また,実際の運用に おいては送電電力に限界があることや送電効率を考慮 図 11:HSMS-2824 使 用 時 の 整 流 回 路 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 す る と ,ZigBee の 通 信 待 機 時 に 受 電 し た 余 剰 な 電 力 を キャパシタ等に充電しておき通信時に必要な電力とす 7. 整 流 回 路 と DC-DC コ ン バ ー タ を 接 続 し た ることが有効であると思われるため,蓄電池を使用し た 動 作 も 試 み る .ZigBee の 動 作 が 確 認 さ れ た 後 に 無 線 ZigBee 動 作 実 験 電 力 伝 送 に よ っ て ZigBee を 動 作 さ せ る 送 受 電 シ ス テ 図 12 の よ う に 整 流 回 路 に DC-DC コ ン バ ー タ を 接 続 ム の 構 築 を し ,シ ス テ ム 全 体 の 効 率 の 向 上 に 取 り 組 む . し,シグナルジェネレータを用いて有線によりマイク ロ 波 電 力 を 入 力 し ZigBee の 動 作 実 験 を 行 っ た と こ ろ , また,蓄電池ではなくキャパシタを用いた蓄電回路 最 大 整 流 可 能 電 力 を 入 力 し て も ZigBee を 動 作 さ せ る を使用したシステムの作成も行う.蓄電回路の利点と こ と は で き な か っ た .こ れ は ZigBee の 起 動 時 に は 平 均 して蓄電池より製作コストおよび素子のサイズが押さ 消費電力より大きな電力を必要とするため十分な電力 えられる,放電と充電を繰り返しても品質が劣化しに を供給できなかったことが原因と考えられる.整流回 くい等が挙げられる. 路 の 効 率 ,お よ び 整 流 可 能 電 力 を 大 き く す る と RF-DC 十分な電力を受け取るためには受電アンテナであ 整 流 電 力 に よ る ZigBee の 動 作 が 可 能 に な る と 思 わ れ るパッチアンテナを複数個使用して受電可能な面積を る. 大きくする必要があるが,その際には電力を結合して 図 12 に お い て ZigBee の 代 わ り に 電 子 負 荷 を DC-DC 整流回路に入力する,またはそれぞれのアンテナに整 コンバータに接続して電力を入力し,ある電力を入力 流回路を取り付けて整流した後に電力を結合すると言 し た 際 に DC-DC コ ン バ ー タ が 定 格 出 力 電 圧 の 4.07V うどちらかの方法を採ることになる.しかし,これは を出力する負荷抵抗,およびその時の総合効率を測定 整流回路の効率が下がることになってしまうため,今 した.測定結果を表 1 に示す.入力電力が大きいほど 後はその最終的な変換効率を考慮して使用する回路を DC-DC コ ン バ ー タ が 正 常 に 動 作 す る 負 荷 抵 抗 が 小 さ 決定する. く な る が ,待 機 時 に お け る ZigBee の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン 文 ス は 130Ω 程 な の で 回 路 が 整 流 可 能 な 範 囲 で は 正 常 な 献 [1] 鄭 立 ,ZigBee 開 発 ハ ン ド ブ ッ ク ,株 式 会 社 リ ッ ク テレコム,東京 [2] 橋 谷 真 紀 ,建 物 内 無 線 配 電 シ ス テ ム の た め の 大 電 力レクテナの高効率化に関する研究,京都大学, 2007 DC-DC コ ン バ ー タ の 動 作 が 見 込 め な い .こ の こ と か ら も 図 12 の 接 続 に よ る ZigBee の 動 作 は 不 適 で あ る こ と がわかり,主に出力インピーダンスに着目した回路設 計が必要である. - 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