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川口市窓口サービス等ワーキング報告書

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川口市窓口サービス等ワーキング報告書
川口市
窓口サービス等ワ-キング
報告書
∼市民目線の窓口サービスを目指して∼
平成27年3月
川口市庁舎建設検討第一部会
窓口サービス等ワーキング
目次
1
2
はじめに.............................................................................................................................................. 1
窓口サービスを取り巻く環境 ............................................................................................................. 2
2.1 窓口サービスとは ............................................................................................................... 2
2.2 ワンストップ総合窓口 ........................................................................................................ 2
2.3 現在までの取り組み............................................................................................................ 3
2.4 世界最先端IT国家創造宣言.............................................................................................. 3
2.5 番号制度 ............................................................................................................................. 4
3
手続きの現状 ........................................................................................................................................ 5
3.1 現状の課題整理 ................................................................................................................... 5
3.2 手続きの整理 ...................................................................................................................... 9
3.3 行政センターにおける課題 ............................................................................................... 10
3.4 川口市新庁舎建設基本構想パブリックコメント ............................................................... 13
4. 窓口サービスの理想モデル ............................................................................................................... 14
4.1 ワンストップ総合窓口の理想モデル ................................................................................. 14
4.2 実現モデルへ向けた課題解決............................................................................................ 16
4.3 ワンストップ総合窓口の実現モデルへ考察 ...................................................................... 17
5. 窓口サービスの実現モデル ............................................................................................................... 18
5.1 案内 .................................................................................................................................. 18
5.2 場所 .................................................................................................................................. 20
5.3 保護 .................................................................................................................................. 22
5.4 業務 .................................................................................................................................. 23
5.5 体制 .................................................................................................................................. 24
6
新庁舎建設に向けたスケジュール ..................................................................................................... 25
資料1 課題整理表
資料2 課題解決策整理表
資料3 窓口サービス関連スケジュール
1
はじめに
本市では、簡素で便利、かつ効率的な行政サービスの実現に向けて、川口駅前行政セン
ターやパスポートセンターの設置等の市民窓口を充実させるとともに、将来の総合窓口も
見据えた情報システムの全体最適化など IT 環境の整備等にも取り組んできた。
しかしながら、市民本位の窓口サービスの実現は、市民目線によるサービス向上への意
識改革や、組織の垣根を取り払った行政全体での最適化を意識した業務改革を行うといっ
た行政ガバナンスを確立することにより、実現できるものである。
また、複数の関連する手続を一度に行えるようにするワンストップ化は、バックオフィ
スでの業務間のデータ連携が実現して初めて可能になる。そのためにはバックオフィスに
おける業務フローの見直しを行うとともに、将来的なあるべき姿の検討も重要となってく
る。現状では、平成 18 年、19 年に行われた自治体EA事業の成果物を活用し、既に SOA1
ベースの行政サービス基盤である共通基盤システムの構築が完了し、データを最大限活用
できる環境が整備されており、今後はそれをどう生かしていくかという段階となっている。
本報告書は、このような状況の下、新庁舎建設の検討を契機とした、窓口サービスのあ
り方について具体的な検討を行うことを目的として、川口市庁舎建設検討第一部会下に設
置された窓口サービス等ワーキングチームによる検討内容を取りまとめたものである。
Service Oriented Architecture、サービス指向のアーキテクチャ。業務上の処理に相当する機能をサ
ービスと見立て、そのサービスをネットワーク上で連携させてシステムの全体を構築していくこと
1
1
2
窓口サービスを取り巻く環境
2.1 窓口サービスとは
窓口サービスとは広義には市民との接点でのサービス全般を言うことがあり、業務内
容を充実させたり、苦情等を分析し業務改善に活用することも含める場合がある。しか
し、本書における窓口サービスとは、実際の窓口において市民を対象とした各種証明書
の発行や手続き等に関わる対人的なサービスのことと定義する。
2.2
ワンストップ総合窓口
政府は 2001 年に e-Japan 戦略より、電子政府の実現による行政サービスのワンストップ
化を計画している。これは主にインターネット等の情報通信技術を想定したものであった
が、近年では、ワンストップサービスとは、行政の窓口を 1 本化する総合窓口を導入する
などして複数の関連する手続を一度にあるいは 1 カ所で完了できる「行政サービス」が一
般的となっている。そこで、本書ではこのような窓口サービスを「ワンストップ総合窓口」
と呼ぶこととし、庁舎建設に合わせてその実現の可能性を検討することとする。
なお、本市の川口駅前行政センターはその意味においてワンストップ総合窓口の1つと
して位置づけられる。
【ワンストップサービスのイメージ】
2
2.3
現在までの取り組み
本市では、平成 18 年、19 年に行われた自治体EA事業により、業務の現状分析を行う
とともに、あるべき姿の考察を行い、その成果物として「自治体 EA 業務・システム刷新化
の手引き」としてまとめられている。これを踏まえ、平成 19 年度より内閣官房IT戦略室
による次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチームに参加し、引越・退職ワン
ストップサービスワーキンググループのうち、退職ワンストップサービス実現検討ワーキ
ンググループに参加し検討を行っている。この検討では、ライフイベント2単位での手続き
をワンストップ化することで、利用者の利便性の向上、行政の効率化の実現等を図ること
を目的に、全庁的なBPR3(Business Process Re-engineering)による効率化、添付書
類の削減、一元的でわかりやすい情報提供などを推進することが望まれるとの方向性が示
されている。
2.4
世界最先端IT国家創造宣言
平成 25 年 6 月 14 日に閣議決定され、翌平成 26 年 6 月 24 日に番号制度関連の記述等を
追加して改訂された世界最先端IT国家創造宣言において、目指すべき社会・姿として「3.
公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会」として記されて
いる。この中では、全ての行政サービスが簡便な手段で電子的に受けられることを原則と
し、少子高齢化社会への対応や離島を含む地方の活性化、人材の流動性の向上などの基盤
として、安心で使い勝手が良く、ワンストップで誰でもどこでもいつでも公共サービスを
受けられる、
「便利なくらし」社会を実現するとしている。その際には、クラウドや社会保
障・税番号制度(以下「番号制度」という。)の徹底活用により、省庁の縦割りを打破し、
官民の協働によって、より便利で利用者負担の少ない行政サービスを創造するとされてい
る。このような考えの下、現在、高コスト構造となっている政府情報システムを抜本的に
2
ライフイベントとは、生活に身近な誰もが経験する可能性のあるイベントを時系列に整理したもの
3企業活動や業務の流れを分析し、最適化することである。
3
見直し、利用者視点や業務改革(BPR)を踏まえた、より付加価値の高いものに再構築する
ための戦略的な取組を推進すると記されている。
2.5
番号制度
番号制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社
会基盤として位置づけられている。その中では、たとえばマイポータルと呼ばれる専用の
ウェブサイトで電子申請によるワンストップサービスが予定されているところである。ま
た、国民一人ひとりに付番される個人番号により、行政の効率化として、行政機関・地方
公共団体での作業の無駄が削減され、手続きがスムーズとなること、国民の利便性の向上
として、申請時に必要な課税証明書といった資料の添付を省略できるようになること、公
平・公正な社会の実現として、行政機関が国民の所得状況などを把握しやすくなり、不正
受給を防止できることなどがメリットとして考えられている。
具体的には、今後は窓口において申請書に個人番号を記入し、その番号を利用して税情
報や福祉資格情報などを自治体間の情報連携により取得できるようになることで、手当等
の申請時に添付していた住民票や課税(非課税)証明書を省略できるようになることが想
定されている。そのため、窓口の事務フローや取り扱い数は大きな変化が予想され、ワン
ストップサービスを検討する上でも番号制度によって事務フローがどのように変わるか見
据えることが必要となる。
4
3
手続きの現状
3.1
現状の課題整理
窓口サービス等ワーキングでは、窓口業務における課題について検討を行い、導き出さ
れた課題を大きく以下の5つに分類した。
① 案内
案内表示等、場所の分かりやすさに関することによるもの
② 場所
スペースが狭い、窓口が本庁舎と離れているなど場所や環境に関すること
③ 保護
個人のプライバシーの保護等、特別な配慮が必要なもの
④ 業務
処理に時間がかかる、1箇所で完結しないなど、業務内容に関すること
⑤ 体制
職員の担当が分かれているなど、職員体制に関すること
※
詳細については別添資料 1 のとおり。
5
本ワーキングではこのほか、総合窓口化する場合には、1人の職員がすべて受け付
けるため1回で済むメリットがある反面、1人に対する時間がかかる課題があり、一
方、総合窓口化しない場合には対応窓口が明確で専門的な対応が可能な反面、各課ご
とに市民が回らなければならないデメリットがあるという意見があった。
また、IT 戦略室の次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチームでは、次
の課題も挙げられている。
【市民目線での課題】
・訪問機関が多く、手続のために費用や時間がかかる
・必要な添付書類が多く、添付書類を準備するための手間や費用がかかる
・市役所内の訪問窓口が多く、各窓口での申請書入力の負担が多い
・住民の属性やニーズにあった情報が提供できていないため、住民が適切なサービスを
受けられない可能性がある
【行政側の課題】
・担当課ごとに重複作業を行っているため、業務コストが増大しており、また、入力ミ
スが発生する可能性がある
・行政が保有する情報の連携ができていないため、情報入力等の業務コストが増大する
6
7
8
3.2
手続きの整理
現状の転入及び転出の届における関連する窓口は以下の通り整理した。
【転入届】
(年金加入)
(国民健康保険加入)
(中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 年金課 市民課 → 国民健康保険課 市民課 → 子ども育成課
(障害者手帳)
(後期高齢者医療制度)
市民課 → 障害福祉課 市民課 → 高齢者保険事業室
(後期高齢者医療制度・要介護認定者)
市民課 → 高齢者保険事業室 → 介護保険課
(国民健康保険・年金加入・中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 国民健康保険課 → 年金課 → 子ども育成課
(国民健康保険・年金加入・中学卒業前の児童・生徒・身体障害者手帳)
市民課 → 国民健康保険課 → 年金課 → 子ども育成課 → 障害福祉課
(国民健康保険・年金加入・障害者手帳)
市民課 → 国民健康保険課 → 年金課 → 障害福祉課
(年金加入、受給・障害者手帳)
市民課 → 年金課 → 障害福祉課
(年金加入、受給・障害者手帳・中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 年金課 → 障害福祉課 → 子ども育成課
(後期高齢者医療制度・要介護認定者・年金加入)
市民課 → 高齢者保険事業室 → 介護保険課 → 年金課
【転出届】
(国民健康保険証の返却) (中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 国民健康保険課 市民課 → 子ども育成課
(国民健康保険証の返却・中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 国民健康保険課 → 子ども育成課
(後期高齢者医療制度被保険証の返却)
市民課 → 高齢者保険事業室
(後期高齢者医療制度被保険証の返却・要介護認定者保険証の返却)
市民課 → 高齢者保険事業室 → 介護保険課
(原動機付自転車ナンバープレート返却)
市民課 → 市民税課
【転居届】
(国民健康保険証の住所変更)(中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 国民健康保険課 市民課 → 子ども育成課
(国民健康保険証の住所変更・中学卒業前の児童・生徒)
市民課 → 国民健康保険課 → 子ども育成課
9
(後期高齢者医療制度被保険証の住所変更)
市民課 → 高齢者保険事業室
(後期高齢者医療制度被保険証の住所変更・要介護認定者保険証の住所変更)
市民課 → 高齢者保険事業室 → 介護保険課
【手続きにおける事務関連個所】
3.3
行政センターにおける課題
本市におけるワンストップ総合窓口として川口駅前行政センターがあるが、そこでの現
状課題を整理する。
①
人員の不足
取り扱い件数が増大しているにもかかわらず、人員が削減され、窓口対応職員の確
保や時間外の交代体制に苦慮している。
②
専門職員の必要性
複数の手続きを同時に受付するので、職員の養成に一定の期間が必要。
本庁閉庁時は、確認できない為に証明発行できず、市民は二度手間になり、クレー
ムの対象になる。
③
多数の申請書の記入
10
さまざまな届出が可能なため、1人に対し多数の申請書の記入が必要な場合があり、
その時には対応時間がかなりの時間を要することもある。
④
異なる業務の対応
戸籍の届出に住民異動・国保・年金・子ども関係の手続きが加わる場合、係をまたが
っての手続きになるため、他係の職員に引き継ぐまでに時間がかかる。
⑤
問い合わせ対応
受付できない業務についてのクレームや、受付可能業務の問合せの電話も非常に多く、
通常の窓口業務を圧迫している。
このように、行政センターでは、1 箇所でさまざまな手続きが可能であり、市民にと
っては利便性の高い反面、1人に対する時間がかかることや、専門分野の対応などの課
題があげられる。
【行政センターにおける主な取扱い業務一覧】
・戸籍に関する届出(出生届、婚姻届、離婚届、転籍・分籍・入籍届、認知届など)
・住民異動に関する届出(転入・転居・転出、世帯主の変更届、世帯分離・合併届など)
・印鑑登録(印鑑登録カードの発行)
・証明書発行
○市民課系証明/住民票、印鑑登録証明書、戸籍(原戸籍・除籍)謄抄本、受理証明書、戸籍の附
票、身分証明書、年金受給者現況届の証明など
○税証明/個人市・県民税(課税・非課税・納税)証明書、固定資産税(評価・全部事項・課税・納
税)証明書、軽自動車税納税証明書(主に車検用)など
・市税納付(市・県民税、固定資産税、償却資産税、国民健康保険税、軽自動車税、法人市民税、事業
所税など)
・国民健康保険(新規加入届、脱退届、退職者被保険者切替届、マル学被保険者証届、療養費支給申請、
出産育児一時金支給申請、葬祭費支給申請、被保険者証の再交付、高齢受給者証の再交付など)
・国民年金(資格手続きに関すること、給付に関すること)
・福祉
○子ども医療(受給資格登録・喪失・内容等変更届、医療費支給申請など)
○児童手当(認定請求、額改定請求、現況届、受給事由消滅届、指定金融機関変更届など)
○ひとり親家庭等医療費支給申請
○重度心身障害者医療費支給申請
○後期高齢者医療(資格取得・変更・喪失届、葬祭費支給申請、医療費支給申請など)
・介護に関すること(介護保険料の収納、介護保険料納付確認書の交付、介護保険被保険者証の再交付
など)
・ごみ(粗大ごみ処理手数料納付券の売り捌き)
11
・水道(上下水道料金の収納)
・住民基本台帳ネットワーク(住民基本台帳カードの交付申請、広域交付住民票)
・公的個人認証サービス
・その他
○妊娠届(母子健康手帳の交付)
○交通・学童災害共済申込、見舞金請求
○市民手帳の販売
○市営住宅家賃などの収納
○県収入証紙の売り捌きなど
○川口駅東口公共広場(キュポ・ラ広場)の利用申請など
12
3.4
川口市新庁舎建設基本構想パブリックコメント
川口市新庁舎建設基本構想パブリックコメントでは、市民利用空間について7件の意見
が寄せられた。この中では、機能が分散化の課題と、「ワンストップサービス」導入の意見も見受け
られた。
○寄せられたご意見とその意見に対する市の考え方等
意見概要
③市民利用空間について
複数の施設に機能が分散して利用者
の利便性や職員の効率的な業務に支
障をきたしている部分は集約化すべ
き。
市民協働や交流空間は不要ではない
か。可能な限り予算を抑えるためにも
既存施設にないものや他で代替でき
るものは新庁舎に盛り込まないで欲し
い。
件数
現在、分散化している庁舎等に配置されている部署は、市民サ
ービスの向上や業務効率化を図る観点から、新庁舎に可能な
3
限り集約して参ります。
1
既存庁舎を有効利用しつつも分散化
による不便解消を図るため、一つの窓
口で用事が済む「ワンストップサービ
ス」を導入してはどうか。
1
展示・イベント等に活用可能な空間
(兼災害対応スペース)は、雨天時や
震災にも耐えられる屋根付きが良い
のではないか。
先進的な街づくりを目指し、地域活性
化につながる近隣施設をも巻き込ん
だ取り組みとしていただきたい。
意見に対する市の考え方等
1
1
市民協働スペースは、現在、キュポ・ラ本館棟にある「かわぐち
市民パートナーステーション」が対応しており、今後も変わらず
対応して参ります。また、市民協働スペースの充実が必要とされ
る場合には、新庁舎集約後の既存庁舎を活用する予定です。
市民交流スペースは、現在、市役所ロビーの一部を活用してお
り、同様に活用できるスペースを検討する予定です。
複数の部署等にまたがっていた行政手続きを一度にまとめて行
える環境「ワンストップサービス」については、かねてより課題で
あるととらえており、行政として別途検討しています。新庁舎で
は、市民窓口部門として市民の利用頻度が高い住民・福祉・医
療保険・税関係部局の集中配置が望ましく、また本庁舎機能の
分散化を解消するためにも新庁舎に移転集約すべきと考えて
います。
ご意見を踏まえ、基本構想P13の(1)市民利便性に関わる空間
の1)②に、以下の事項を追加致しました。
「市民が手続きをできる限りまとめて行うことができる
等、市民の行きやすさや利用しやすさ、市民への案内のし
やすさに配慮します。」
具体的な検討については、基本計画及び設計段階で検討しま
すが、新庁舎の入口付近を想定し、屋内での設置を検討してい
ます。
なお、ご意見を踏まえ、基本構想P18の(4)その他の機能につ
いて、以下のように修正致しました。
「日常時には展示、イベントやミニコンサート等に活用し、
災害発生時には災害対策スペースとなるような屋内空間の
配置を検討します。」
新庁舎は市民が利用しやすく親しみやすい庁舎として整備しま
す。
13
4.
窓口サービスの理想モデル
4.1
ワンストップ総合窓口の理想モデル
理想モデルは、現在の制約条件にとらわれず、長期的な設計思想に基づいて作成する理
想的なサービスモデルである。理想モデルは、技術革新や業務環境の変化等に応じて改善
していくことが求められる。また、実際にサービスを構築する際には、理想モデルを目指
しつつも、費用対効果、法制度、既存システム等の制約を考慮する必要がある。
モデルは、実現時期や環境整備の状況によって、
「理想モデル」と「実現モデル」の 2 段
階に分けて考える。
「理想モデル」は、グランドデザインを踏まえ、現状の問題点を解決し
たワンストップ総合窓口のあるべき姿を示したモデルである。
一方、
「実現モデル」は、優先的に取組むべき問題点を解決した、理想モデルを実現するた
めの第一段階として目指すモデルである。
理想モデルとしては、行政の窓口を 1 本化する総合窓口を導入するなどして複数の関連
する手続を一度に、あるいは 1 カ所で完了できるワンストップ総合窓口を想定した。
【ワンストップ総合窓口の理想モデル】
①
総合案内による案内サービスの充実
総合案内窓口により目的の課所がすぐわかるようになるとともに、案内サービスによ
り来庁した方にどんな手続きが必要か案内することができる。
②
1箇所ですべての手続きが完了するための総合受付窓口の設置
1箇所ですべての手続きができるようになるため、市民が複数課所に移動しなくても
よくなる。また、同じフロアに関連する担当課を配置することで、関連する業務の連携
をスムーズに対応することができる。
③
市民のさまざまな相談を受け付けることができる相談サービスの充実
相談窓口を充実させることにより、同じ場所でさまざまな相談を受け付けることがで
きるとともに、該当の手続きの相談だけでなく関連する総合的な相談を行うことができ
14
る。
④
情報連携システムによるバックオフィス連携
受付した申請書情報をバックオフィスで連携することにより、窓口と担当課との連携
を図ることができる。また、申請書作成補助システム等による申請書入力負担の軽減•
情報連携システムによる添付書類の削減・電子化も可能となる。
⑤
オンライン申請等でそもそも来庁を不要とする対応
インターネットを通じた電子申請により、そもそも来庁を不要とすることができる。
⑥
設備の充実
キッズスペース、バリアフリーなどの設備が充実している。
15
4.2
実現モデルへ向けた課題解決
本ワーキングでは、現状の課題を踏まえ、理想モデルに向けた解決策についての検討を
行った。このうち、LED 照明による明るさの確保や、証明来庁者の動線による必要な所へ
の案内板の設置など、新庁舎建設時ではなくとも実現可能と思われるものを As-Is、スペー
スの問題等で現状では実現が困難と思われるものについては To-Be として整理し、このう
ち To-Be モデルについて新庁舎に向けた検討とすることとした。(別添資料2)
16
4.3
ワンストップ総合窓口の実現モデルへ考察
ワンストップ総合窓口の理想モデルに対し、その実現方法についての検討を行った。
ワンストップ窓口の対応方法として3つに分かれる。
①
申請者が1つの窓口に座り、1人の職員が対応する(支所形式)
②
申請者が1つの窓口に座り、担当課の職員が交代で対応する。
③
申請者が関係する課の窓口から呼ばれたらその課の窓口で手続きをする。
①は1人に長い時間がかかり、窓口が占有されてしまう。また、固定の職員の配置だと研
修・年休・育休の対応や職員のスキルアップが必要となり、各課の繁忙期の対応が難しい
等、デメリットの方が大きい。
②1人に長い時間がかかり、窓口が占有されてしまう。担当課の職員が対応するのでスキ
ルアップの期間や研修や休みの問題は無くなる。関連する課の対応が上手く繋がれば良い
が間が空いたり放置されたりされる可能性もあり難しい。
③長屋方式で、各課から職員が当番制等で総合窓口に出向き、自課の申請に来た方を順番
で呼び対応する方式である。この方式では申請者が居ない時には、その場で受けた申請の
入力処理等を行えば良く、支所や行政センター等のように定数の固定職員より柔軟に、か
つ個々の判断がその場でできるのでメリットが大きい。
また、③の方式の考えをさらに進めると、無理して窓口を1つにまとめる必要も無いと
考えられ、証明発行窓口や高齢者窓口など統合することが効率的である場合は統合し、そ
れ以外は関連する手続きに必要な窓口が近接していればワンストップ総合窓口と同様の効
果を発揮できると思われる。なお、この実現のためには、総合受付窓口など、来庁時に申
請窓口を適切に振り分ける機能が必須と考えられる。
17
5.
窓口サービスの実現モデル
実現モデルへ向けた課題解決を整理した結果、案内、場所、保護、業務、体制のそれぞ
れの面からみた実現モデルを以下に提示する。
5.1
案内
5.1.1 分かりやすい案内板の設置
全庁的に統一された、来庁者に分かり易く目に付きやすい案内表示が必要と考えられる
が、現状では壁や建物等で物理的に各関連課が分断されており、総合的な案内板を設置し
たとしてもわかりやすく案内することは困難であると思われる。そのため、今後建設され
る新庁舎においては、来庁者の動線も考慮した総合案内板の設置とともに関連課の適切な
配置が望まれる。
①
ユニバーサルデザインによる総合案内板
窓目的別に色分けすることによる区別や、大きな文字とピクトグラム4を用いたサイン
を用いるなど見やすい一目瞭然の総合案内板を設置。
②
庁舎フロア案内
該当フロアだけでなく庁舎全体で統一した表示とするとともに、目的と連動した色分
けや窓口の番号表示などの工夫を行う。
③
要所に案内板を設置
エレベータ前や駐車場などの要所に適切な案内板を設置する。また、目的の場所に行
きやすいよう誘導サインも工夫する。
④
表示方法の配慮
筆談マークや多言語表記、音声案内など表示方法にも配慮した案内を行う。
4「絵文字」
「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)。
18
5.1.2 総合受付の設置
市民が最初にどこに行ったらよいかわからないという課題の解決策として、総合受付を
設置し 1 か所で受付した後、所定の窓口を案内するという方法が考えられる。これにより
受付場所を明確にすることが出来るとともに、適切な手続きに窓口を案内することが可能
となる。
①
総合受付窓口
総合受付窓口を設置することにより、来庁した方が迷うことなく受付を行うことがで
きる。
②
フロアマネージャの設置
総合受付とともにフロアマネージャを設置するにより該当窓口まで、より確実に手続
き場所の案内を行う。
③
受付システムの導入
番号札発券機と連動した総合受付システムを導入することにより、効率的に順番に手
続きを行うことができる。また、待ち時間、進み具合等がわかるようにすることも可能
となる。
19
5.2
場所
現在の庁舎においては、空間的な制限により必要なスペースが確保出来ない等の理由に
より必要な設備の設置が困難な場合がある。そこで、新庁舎ではあらかじめ業務の関連に
よる適切な課所の配置や必要な設備について考慮しておくことが重要である。
5.2.1 窓口及び担当課の適切な配置
来庁者の動線や利便性を考慮し、窓口及び担当課の適切な配置を行う。
①
関連する窓口の統合
高齢3課(長寿支援課・介護保険課・高齢者保険事業室)など関連する窓口の統合
が望ましい場合や、市民課、国民健康保険、国民年金課など統合するのではなく関連
する課が近接する方が望ましい場合があるため、単純に1つの窓口にすべての受付を
集約するのではなく。業務の関連を分析した上で適切な窓口の統合を行うことが望ま
しい。
②
関連する課をワンフロアに
総合窓口のほか、など、関連する窓口が同じフロアにあり、大きな移動が無く手続
き出来るのが望ましい。
5.2.2 必要な設備の適切な設置
新庁舎においては、必要と思われる設備は適切に配置できるよう設計段階より考慮
する必要がある。
①
待合スペースの確保
現状ではそれぞれの受付窓口前に待合スペースを設けているが、新庁舎においては
共用の待ちスペースを広く取り、各窓口においても対応できる広さの待ちスペースが
望ましい。
②
バリアフリー対応
現状、窓口及び待合スペースの通路が狭いため、特に高齢者は足が不自由で車椅子で
20
来庁してくるケースもあるので、スペース確保など配慮を心掛けた対策が必要である。
③
キッズスペースやベビーチェアなどの設備
キッズスペースやベビーチェア、授乳スペースなど必要と思われる設備を確保。
④
エスカレータの設置
総合受付と主要な申請窓口のある1階部分と、税関連課や福祉関連課のある2階、3
階部分をつなぐため、エスカレータで簡単に担当課に行けるようにすることも考えられ
る。
【実現モデルの配置イメージ】
21
5.3
保護
個人のプライバシーの保護等、特別な配慮が必要なものを設置する。なお、必要な個数
や配置については、設計段階において調査等により設定されるものと考える。
①
横仕切り型プライバシーパネル
申請窓口は、申請内容によりプライバシーに配慮が必要であるため、隣の受付の内容
が容易に覗かれたりしないよう配慮が必要であることから、申請窓口にはプライバシー
パネル等の設置が望ましい。
②
ブース型プライバシーパネル
申請窓口のうち、戸籍届出等特にプライバシーに配慮が必要な場合には、横仕切りだけ
でなくブース型プライバシーパネル等を設置することにより、隣に容易に内容を知られな
いような市民に対する安心感が与えることが望まれる。
③
個室型の相談室
生活福祉課や納税課など、個別相談を行う場合には、他人に内容を知られないよう個室
型の相談室の対応が必要となる。
22
5.4
業務
業務の特性や処理の流れを整理し、業務の処理方法から課題の解決を図ることも検討
する必要がある。
①
業務フローの見直し
総合受付窓口の設置、窓口統合にあわせて担当課の業務フローを見直し、より効率的
な運用を行う。
② ICT の活用
情報通信技術(ICT)を活用することにより、例えば住民サービスコンシェルジェ機
能等を構築し、どこでも基本的な情報は記入済みであるような申請書の出力が可能とし
たり、必要な手続きをシステムにより判定し、お知らせすることができるプッシュ型サ
ービスを行うことなどが可能となる。
③
コンビニ交付用マルチコピー機の導入
住民票・印鑑証明書用にコンビニ交付が検討されているが、市役所窓口においてもコ
ンビニ交付用マルチコピー機を設置することにより、証明書の申請を削減することがで
き、窓口混雑を緩和することができる。
23
5.5
体制
窓口体制を充実させるためには、応援体制や研修の充実などの体制づくりも重要である。
①
業務体制の整備
住民異動関係・税関系・子育て関係と部門ごとにフロアを分けるなどして、総合受付
窓口から該当課への案内をする。また、窓口職員に過度な負担とならないよう、適切な
バックアップ体制を整備する。
②
職員研修の充実
窓口開課時の研修と同様の研修を人事異動時にも常に行い、法改正などによる対応に
ついても研修会を開くなど、定期的に職員間の意志疎通をはかる。また窓口統合する場
合にはそれに対応するための職員研修を充実させる。
24
6
新庁舎建設に向けたスケジュール
窓口関連サービスについて、窓口業務に影響のあると思われる番号制度と、空間として
の要素である新庁舎建設、業務的な要素である窓口サービスの検討、技術的な要素である
情報システムについての想定スケジュールを設定した。(別添資料3)
今後は、新庁舎建設基本設計、実施設計が行われることとなるが、それらと歩調を合わ
せながら窓口サービスに関する内容を反映していくとともに、工事完了後を目途とした総
合受付や業務間連携についての業務体制についても準備を進めていく必要があると考える。
25
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