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働きがいとモチベーション

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働きがいとモチベーション
働きがいとモチベーション
阿部真也
谷村麻衣
飛澤彰
松永昌樹
山田実希
1
目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
2
問題意識
働きがいの定義
研究目的
モデル
成長・達成を高める要因
有意義感を高める要因
責任感を高める要因
結果からの知識を高める要因
達成感・成長感と犠牲のつながり
犠牲の要因
働きがいの測定尺度
アンケート調査概要と分析方法
基本統計量
重回帰分析
働きがいの分析
仮説一覧
まとめ
今後の課題
参考文献
1.問題意識
<仕事を選ぶ理由>
仕事内容が面白い!
し
か
し
<仕事をしている上で悩んだ理由>
仕事が面白くない!
男性:2位/女性1位
(厚生労働省 2008)
<離職理由>
男女ともに
「仕事の内容」を
重視する割合が高くなっている。
(厚生労働省 2008)
3
1.問題意識
働きがいに注目!!
4
2.働きがいの定義
そもそも・・・
“働きがい”
とは・・・?
5
2.働きがいの定義
「達成と成長を感じることである」
(守島,2010,p55)
「不満足感や未充足感が
どこかになければならない」
(浦上,2008,p14)
「働きがい」は、「働く」ことに苦が
あるという認識を踏まえた表現である。
(浦上,2008,p11)
6
2.働きがいの定義
働きがいとは犠牲を払いながら、目標に向かって働き、
達成や成長を感じたときに得られる感情である。
達成
成長
働きがい
7
犠牲
2.働きがいの定義
働きがい(達成・成長・犠牲)の度合い
達成
・
成長
達成
・
成長
>
犠牲
犠牲
達成
・
成長
8
>
<
犠牲
2.働きがいの定義
犠牲(ストレス)と生産性との関係性
引用
ストレスレベルが高すぎても、低すぎても生産性は落ちる!
一定のストレス量が必要なのである。
つまり・・
9
3.研究目的
達成・成長と犠牲の関係性によって働きがいが
規定されるという研究は、存在しない。
達成・成長と犠牲が、働きがいとどのように
関係しているのか明らかにすること!!
10
4.モデル
成長
①(+)
④(+)
技能多様性
・
仕事の
有意義感
達成
②(+)
タスク完結性
結果への
③(+)
責任感
タスク重要性
犠牲
⑦(+)
自律性
フィードバック
⑤(+)
⑥(+)
結果からの
⑧(+)
知識
圧迫感
ストレス反応
⑨(-)
環境
11
ストレッサー
⑩(-)
⑪(+)
倦怠感
5.成長感・達成感を高める要因
仕事の
有意義感
①(+)
成長
・
達成
有意義がある仕事は、モチベーションを高め、
結果として成長感・達成感を高める。
(金井,2007)
仮説1
12
仕事の有意義感が高くなると、
成長感・達成感が高まる。
5.成長感・達成感を高める要因
結果への
責任感
②(+)
成長
・
達成
仕事結果に対する責任感がある仕事は、
モチベーションを高め、結果として成長感・達成感を高める。
(金井,2007)
仮説2
13
結果への責任感が高くなると、
成長感・達成感が高まる。
5.成長感・達成感を高める要因
結果からの
知識
③(+)
成長
・
達成
仕事結果についての知識のある仕事は、
モチベーションを高め、結果として成長感・達成感を高める。
(金井,2007)
仮説3
14
結果からの知識が高くなると、
成長感・達成感が高まる。
6.有意義感を高める要因
技能多様性
宅配ドライバー
セールス活動、集配業務、
料金回収など様々な仕事を
一人で行う。
職務を行う上で、多様な技能や能力が
要求される場合、技能多様性が高くなる。
15
6.有意義感を高める要因
タスク完結性
顧客の開拓や売り込み、
フォローに至るまで
仕事の一連のまとまりに
携わる。
営業マン
まとまった一連の仕事に関与している場合、
タスク完結性が高くなる。
16
6.有意義感を高める要因
タスク重要性
車のブレーキ組み立て作業は
乗る人々の生命に関わる。
車の組み立て作業員
自分の職務が周りの人(社内の人・顧客)に
与える影響が大きい場合、タスク重要性が高くなる。
17
6.有意義感を高める要因
技能多様性
タスク完結性
タスク重要性
④(+)
仕事の
有意義感
技能多様性・タスク完結性・タスク重要性の高い
仕事に携わる人は、その仕事を有意義なものと
感じる度合いが高くなる。
(金井,2007)
仮説4
18
技能多様性・タスク完結性・タスク重要性が
高くなると、仕事の有意義感が高まる。
7.責任感を高める要因
自律性
営業マン
月の売上目標金額を
達成するために仕事の手順など、
自由に決める。
自分のやっている仕事の中で、自分なりに工夫して
仕事のやり方を決めることができる程度が大きい場合、
自律性が高くなる。
19
7.責任感を高める要因
自律性
⑤(+)
結果への
責任感
自律性のある仕事は、責任の自覚を高める。
(金井,2007)
仮説5
20
自律性が高くなると、結果への責任感が高まる。
8.結果からの知識を高める要因
フィードバック
電話をかけた件数と契約できた
件数が数字としてわかる。
職務の遂行を通じて、自分の仕事の出来映えが
わかる程度が大きい場合、フィードバックが増す。
21
テレフォン
アポインター
8.結果からの知識を高める要因
フィードバック
⑥(+)
結果からの
知識
フィードバックのある仕事は、結果からの知識を高める。
(金井,2007)
仮説6
22
フィードバックが増えると、結果からの知識が増す。
9.達成感・成長感と犠牲のつながり
達成・成長
犠牲(ストレス)
一方・・・
23
10.犠牲の要因
ストレスは、1)ストレッサー、2)ストレス反応の2側面から構成されている。
1)心身の安全を脅かす環境や刺激
2)対応した結果としての心身の状態
(小杉,2007,p2)
ストレッサー
24
ストレス反応
10.犠牲の要因
人間関係
意思決定のなさ
単調な仕事
評価制度
有意義感・責任感の
有意義感・責任感の
環境的ストレス
勤務時間・残業 低い場合のストレス 仕事をコントロールできない
高い場合のストレス
重い責任
困難な仕事
組織の再編成
タイムプレッシャー
重い責任
意思決定のなさ
単調な仕事
技能を生かせない仕事
ストレッサー
設備・施設
人事制度
雇用システム
人事制度
評価制度
勤務時間・残業
雇用不安定
サイクルの短い仕事
設備・施設
人間関係
技能を生かせない
タイムプレッシャー
雇用不安定
25
困難な仕事
圧迫感
倦怠感
雇用システム
10.犠牲の要因
仕事の
⑦(+)
有意義感
仮説7
有意義感が高くなると、圧迫感が高まる。
結果への
責任感
仮説8
26
圧迫感
⑧(+)
圧迫感
責任感が高くなると、圧迫感が高まる。
10.犠牲の要因
仕事の
⑨(-)
有意義感
仮説9
有意義感が低くなると、倦怠感が高まる。
結果への
責任感
仮説10
27
倦怠感
⑩(-)
倦怠感
責任感が低くなると、倦怠感が高まる。
10.犠牲の要因
暑い
環境
ストレッサー
仮説11
28
⑨(+)
倦怠感
環境ストレッサーが高くなると、倦怠感が高くなる。
11.働きがいの測定尺度
達成
・
成長
高
A B C
働きがい得点は
Bが最も高いとい
うことを示唆する。
D E F
低
仮説12
29
犠牲
働きがい得点はBの時に最も高くなる。
12.アンケート調査概要と分析方法
【調査対象】
社会人計74名
私たちの知り合いの方々に
アンケート調査を行いました。
【調査時期】
9月20日~9月26日
【配布方法】
手渡しや電子メール等で行いました。
【分析方法】
重回帰分析
30
13.基本統計量
度数
有効
統計量
統計量
統計量
統計量
統計量
統計量
31
多様性1
多様性2
完結性1
完結性2
重要性1
重要性2
平均値
74
74
74
74
74
74
度数
有効
自律性1
自律性2
平均値
度数
有効
有意義感1
有意義感2
74
74
責任感1
責任感2
74
74
5
4
5.18
4.78
0.65
0.388
0.627
0.675
Cronbach'sα
5
5
中央値
4.55
4.39
0.712
Cronbach'sα
中央値
平均値
74
74
5
4
4.7
4.19
0.42
Cronbach'sα
中央値
平均値
度数
有効
5
4
4.53
4.38
0.475
Cronbach'sα
中央値
平均値
度数
有効
5
4
4
5
5
6
4.38
3.81
74
74
Cronbach'sα
中央値
平均値
度数
有効
知識1
知識2
4.95
3.95
4.03
4.77
4.54
5.42
74
74
FB1
FB2
中央値
0.626
Cronbach'sα
5
5
0.675
13.基本統計量
度数
統計量
平均値
有効
達成
74
4.45
4.00
成長
74
4.77
5.00
度数
統計量
平均値
有効
74
4.70
5.00
働きがい2
74
4.61
5.00
平均値
有効
32
中央値
働きがい1
度数
統計量
中央値
中央値
環境1
74
2.46
2.00
環境2
74
2.77
2.00
環境3
74
2.54
2.00
環境4
74
2.62
2.00
環境5
74
2.85
3.00
環境6
74
2.89
3.00
Cronbach'sα
0.611
Cronbach'sα
0.884
Cronbach'sα
0.863
13.基本統計量
圧迫感
度数
有効
統計量
平均値
74
74
74
74
74
74
74
74
74
74
74
74
74
74
怒り
動悸息切れ
腹立ち
緊張感
胃腸が不調
苛立ち
不安
めまい
食欲
疲労
落ち着かない
頭痛
不眠
ヘトヘト
中央値
2.54
1.66
2.23
3.14
2.31
2.35
2.77
1.68
1.69
2.62
2.18
2.24
2.04
2.41
2.00
1.00
2.00
3.00
2.00
2.00
3.00
1.00
1.00
2.00
2.00
2.00
2.00
2.00
Cronbach'sα
0.882
倦怠感
統計量
33
だるさ
ゆううつ
気が散る
面倒
悲しさ
活気
元気
気分が悪い
イキイキ
集中不足
度数
有効
74
74
74
74
74
74
74
74
74
74
平均値
中央値
Cronbach'sα
2.68
2.41
1.82
2.24
2.04
3.43
2.99
2.42
3.34
2.08
2.00
2.00
2.00
2.00
2.00
3.00
3.00
2.00
3.00
2.00
0.902
13.基本統計量
性別
度数
女
男
合計
有効
22
52
74
80
合計
パーセント
有効パーセント 累積パーセント
27.5
29.7
29.7
65
70.3
100
92.5
100
100
年齢
度数
10代
20代
30代
40代
50代
60代以上
合計
有効
度数
0~5年
6~10年
11~15年
16~20年
21~29年
30年以上
合計
有効
パーセント
1
38
11
14
9
1
74
1.3
47.5
13.8
17.5
11.3
1.3
92.5
有効パーセント 累積パーセント
1.4
1.4
51.4
52.7
14.9
67.6
18.9
86.5
12.2
98.6
1.4
100
100
勤続年数
パーセント
有効パーセント 累積パーセント
42
52.5
56.8
56.8
19
23.8
25.7
82.4
3
3.8
4.1
86.5
6
7.5
8.1
94.6
2
2.5
2.7
97.3
2
2.5
2.7
100
74
92.5
100
部課名
度数
ライン部門
スタッフ部門
合計
有効
34
合計
18
34
52
80
パーセント
有効パーセント 累積パーセント
22.5
34.6
34.6
42.5
65.4
100
65
100
100
2
調整済R=0.490***
P(F)=0.000
14.重回帰分析
成長
達成
2
調整済R=0.246***
P(F)=0.000
仮説1
ベータ=0.435***
t=4.609
仕事の
有意義感
仮説4
ベータ=0.288***
t=3.168
***
ベータ=0.520
t=5.077
技能多様性
タスク完結性
タスク重要性
支持!
支持!
仮説2
支持!
2
調整済R=0.00
P(F)=0.418
支持!
結果への
責任感
仮説5
調整済R=0.398***
P(F)=0.000
結果からの 仮説3
知識
支持!
***
ベータ=0.600
t=6.545
仮説6
フィードバック
棄却!
ベータ=0.221*
t=1.806
自律性
35
2
***
ベータ=0.254
t=2.767
(注1)***=1%水準で有意
**=5%水準で有意
*=10%水準で有意
(注2)統制変数として、性別・年齢・年数を投入した。
いずれも非有意
14.重回帰分析
2
調整済R=0.256***
P(F)=0.000
圧迫感
仮説7
ベータ=-0.540***
t=-4.908
36
棄却!
仮説8
支持!
ベータ=0.016 *
t=0.145
仕事の
結果への
有意義感
責任感
(注1)***=1%水準で有意
**=5%水準で有意
*=10%水準で有意
(注2)統制変数として、性別・年齢・年数を投入した。
いずれも非有意
14.重回帰分析
2
調整済R=0.498 ***
P(F)=0.000
倦怠感
仮説9
ベータ=-0.472***
t=-4.655
仕事の
有意義感
仮説11
ベータ=0.371***
t=3.842
支持!
環境
ストレッサー
37
仮説10
支持!
支持!
ベータ=-0.039*
t=-0.435
結果への
責任感
(注1)***=1%水準で有意
**=5%水準で有意
*=10%水準で有意
(注2)統制変数として、性別・年齢・年数を投入した。
いずれも非有意
15.働きがいの分析
仮説12
38
A
B
C
D
E
F
15.働きがいの分析
t検定
働きがい平均値得点
t値
p
A⇔B
A:5.6176 ⇔ B:5.0714
1.95
0.084
B⇔C
B:5.0714 ⇔ C:4.833
0.783
0.456
仮説12は、
棄却された!!
BがAよりも高いと予測したが、Aの
方が10%水準で有意で
あることが分かった!
BがCよりも高いと予測したが、B
とCに統計的に有意な差が
ないことが分かった!
39
16.仮説一覧












仮説1 仕事の有意義感が高くなると,成長感・達成感が高まる。⇒支持!!
仮説2 結果への責任感が高くなると,成長感・達成感が高まる。⇒支持!!
仮説3 結果からの知識が高くなると,成長感・達成感が高まる。⇒支持!!
仮説4 技能多様性・タスク完結性・タスク重要性が高くなると,
仕事の有意義感が高まる。⇒支持!!
仮説5 自律性が高くなると,結果への責任感が高まる。⇒棄却
仮説6 フィードバックが増えると,結果からの知識が増す。⇒支持!!
仮説7 有意義感が高くなると,圧迫感が高まる。⇒棄却
仮説8 責任感が高くなると,圧迫感が高まる。⇒支持!!
仮説9 有意義感が低くなると,倦怠感が高まる。⇒支持!!
仮説10責任感が低くなると,倦怠感が高まる。⇒支持!!
仮説11環境ストレッサが高くなると,倦怠感が高まる。⇒支持!!
仮説12働きがい得点はBの時に最も高くなる。⇒棄却
40
17.まとめ
本研究を行うことで,達成感と成長感が高くなることで、
働きがいも高まることが明らかになった。
達成
成長
働きがい
しかしながら、働きがいのもう一つの要因と示唆していた
犠牲に関しては、低い方が働きがいが高くなることが
明らかになった。
41
18.今後の課題
ストレス
達成・成長が低水準にお
いて上昇した場合、
ストレスの少ない分の働き
がいが急激に減少する現
象は注目するに
値する。
働
き
が
い
達成感・成長感
42
達成・成長が高い水準において上昇すると、犠牲の高中低にかかわらず、
働きがいは急激に上昇する。
しかし注目点は、達成・成長が低水準の場合、犠牲の高中低にかかわらず、
働きがいは減少することである。
19.参考文献

守島 基博(2010)「働きがいを提供する人事」『人事実務』第 巻 第 号 pp54
-57

守島 基博(2010)「今こそ働きがいの回復へ」『かけはし』第 巻 第 号 pp4-8

金井 壽宏(2010)『経営組織』 日本経済新聞出版社

島 悟・佐藤 恵美(2007)『ストレスマネジメント入門』日本経済新聞出版社

小杉 正太郎(2007)『ストレス心理学』川島書店

大下 明文(2010)「特集 褒める、認める、働きやすい!!」『企業と人材』第 巻 第
号 pp21-28

浦上 昌則(2008)「働きがい」と「あきらめ」

(財)パブリックヘルスリサーチセンター(2008)『ストレススケールガイドブック』実
務教育出版

ハンス・セリエ(2006)『現代社会とストレス』法政大学出版局

高橋 俊介(2007)『人が育つ会社を作る』日本経済新聞出版社

開本 浩矢(2004)『入門組織行動論』中央経済社

梶原 豊(2006)『働きがいを感じる会社』同友館
43
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