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地盤環境学 ∼第13週目 5. 地盤安定処理と化学

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地盤環境学 ∼第13週目 5. 地盤安定処理と化学
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
地盤環境学
∼第13週目 5. 地盤安定処理と化学∼
佐賀大学低平地沿岸海域研究センター 日野剛徳
1
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
0. 地盤安定処理と化学
■第12週講義では各種の地盤汚染について、メカニズムを中心に取り上げて
解説し、さらに現在取り組まれつつある対策工法にも触れた。
■上記の地盤汚染対策では地盤の固化処理が重要な位置を占めており、
地盤の化学的処理として従来から積極的に研究開発がなされてきた地盤安定
処理工法が、地盤環境学の分野においてもきわめて有効に適用できる手法
であることがわかる。
■第13週講義では、始めに土の固化のメカニズムについて従来から多用
されている石灰・セメント固化を代表として取り上げ、各種の地盤安定処理工法
のうちの化学的処理工法から学び始める。
2
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
■固化による地盤安定処理工法で比較的多く使われている固化材は
セメント系と石灰系とにわけられる。
■セメント系には普通ポルトランドセメント・混合セメント・セメント系固化材
などがある。
■石灰系には生石灰・消石灰・複合石灰などがある。
■上記の固化材と土との固化反応機構の基本的な部分は、ポルトランド
セメントおよび石灰と土の反応で説明できる。
3
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (1)
参考資料 石灰石の採掘現場(山口県美祢市)
4
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (2)
参考資料 ダイナマイトの装填状況
5
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (3)
参考資料 ダイナマイト粉砕された石灰石の搬出状況(トラックのタイヤの直径は約2m)
6
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (4)
参考資料 石灰石の採掘現場から発見される化石の一例
7
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (5)
参考資料 セメントの製造工場
8
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (6)
■ポルトランドセメントは石灰質原料と
粘土質原料を粉砕・調合して高温で
焼成して得られたクリンカーに、凝結
時間を遅延させる目的で小量の石こうを
加えて粉砕したもので、後述する4種類
のセメント構成化合物が生成される。
9
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (7)
■石灰質原料...石灰石の主成分で
ある炭酸カルシウム(CaCO3)は、約800
℃以上の高温下で酸化カルシウム(CaO)
と炭酸ガス(CO2)に分解される。
■粘土質原料...粘土の成分は二酸化
ケイ素(SiO2)・酸化アルミニウム(Al2O3)
・酸化第二鉄(Fe2O3)など。
10
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.1 ポルトランドセメントの組成 (8)
■
・ケイ酸三石灰 3CaO・SiO2
(C3Sと略記)
・ケイ酸二石灰 2CaO・SiO2
(C2Sと略記)
・アルミン酸三石灰 3CaO・Al2O3
(C3Aと略記)
・鉄アルミン酸三石灰 4CaO・Al2O3・Fe2O3)
(C4AFと略記)
ここに略記はセメント化学で一般に使用
されているもので、CaO=C、Al2O3=A、
SiO2=S、Fe2O3=Fである。
11
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.2 ポルトランドセメントの水和機構 (1)
図−5.1 セメント構成化合物の代表的水和反応(教科書204ページ)
12
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.2 ポルトランドセメントの水和機構 (2)
【Note!】 セメント水和の模式図について説明できるようにノートを
作成しておいて下さい。
図−5.2 セメント水和の模式図(教科書205ページ)
13
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.2 ポルトランドセメントの水和機構 (3)
■注水直後...セメントは、水と接した
直後からC3SおよびC3A等の加水分解
によりC3SやC3Aの表面からCa2+を
放出し、液相を急速にアルカリ性に
変える。
■誘導期...液相のアルカリ度が十分
高くなるとCa2+の放出がゆるやかになり
凝結の準備期に入る。ここまでの期間を
「誘導期」と呼んでいる。
14
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.2 ポルトランドセメントの水和機構 (4)
■加速期...次いで「加速期」に入って
水和反応は活発に進行し、水和物の量
が増えて粒子間隙が埋められる。
■減速期...未水和セメント粒子表面
がこのような水和生成物で厚く覆われる
と、反応速度にブレーキのかかる
「減速期」になる。
減速期の時期になるとセメント硬化体
は強さを持つようになり、この硬化体が
セメントになる安定処理土の強度発現
に寄与する。
15
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.3 石灰の組成 (1)
■CaCO3を主成分とする石灰石を高温でか焼し、脱炭酸して製造されるCaOを
生石灰といい、熱分解反応は次式で表される。
CaCO3
→ CaO+CO2↑
(加熱)
■消石灰は生石灰に水を作用させて水和反応(消化反応)させたもので、
化学的名称は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)である。水和反応は次式で表さ
れる。
CaO+H2O
→
Ca(OH)2 + 63kJ/mol(発熱)
16
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.3 石灰の組成 (2)
■前述のセメントが水硬性セメントであるのに対し、消石灰は長い時間かけて
空気中のCO2と反応して、水に溶けないCaCO3になる。これは耐候性の結合材
であり、水中では使えず空気中だけで使用できるので、気硬性セメントと
呼ばれている。炭酸化反応は次式で表される。
Ca(OH)2 + CO2
→
CaCO3+H2O
17
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (1)
表−5.1 石灰安定処理の作用と効果(教科書206ページ)
18
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (2)
■石灰による土の安定処理効果は
物理的な要因と化学的な要因が組み
合わさって発現し、特に化学反応に伴う
安定処理は表−5.1に示すように短期の
反応である物理的特性の改良効果と、
長期の反応である強度増加とに分けら
れる。
19
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (3)
図−5.3 セメントおよび石灰と土との基本的な反応の一覧(教科書207ページ)
20
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (4)
【Note!】 土と石灰の反応について説明できるようにノート を作成
しておいて下さい。
■土に添加された消石灰は溶解し、
次のようにCa2+とOH-とに電離する。
Ca(OH)2
→
Ca2+ + 2OH−
■一方、土中に含まれる粘土粒子は
一般に負の電荷を有するためH+、Na+、
K+などの陽イオンや分極した水分子が
付着しており、陽イオン交換によりCa2+
が粘土粒子表面に吸着されると、粘土
粒子表面の帯電状態が変化し粘土粒子
相互間の反発が減少して粘土粒子が
凝集し団粒化する。
21
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (5)
■陽イオン交換容量の大きい粘土も
凝集によってせん断強度が増大する
ため、地すべり粘土の改良にCa2+を
添加するイオン交換工法が地すべり
防止などにも有効に利用されている。
22
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (6)
■粘土を形成しているSiO2、Al2O3は
高アルカリ状態の石灰溶液中に溶解し、
Ca2+と反応し:
・ケイ酸石灰水和物
(CaO−SiO2−H2O);
・アルミン酸石灰水和物
(CaO−Al2O3−H2O);
・ケイ酸石灰アルミネート水和物
(CaO−Al2O3−SiO2−H2O);
などを生成する。
23
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (7)
■前述の反応はポゾラン反応と呼ばれ、
長期間にわたって進行し、反応生成物
は結合材となって粘土の強度を増大
させる作用をもっている。
■しかし、ポゾラン反応は安定処理
対象土の中に含まれる粘土鉱物の種類
および含有量(注:間隙水中の溶存
シリカ濃度)によって発現する強度が
異なる点に十分配慮する必要がある。
24
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (8)
■消石灰の一部は土中に含まれるCO2
により炭酸化反応を生じ、土粒子間の
有力な団結作用の一つになると考え
られていたが、現在はポゾラン反応ほど
には重視されていない。
■むしろ、CaCO3はポゾラン反応によって
生じたアルミン酸石灰の一部と結合して
安定な複塩化合物
(C3A・CaCO3・12H2O)を生成し、
土を緻密化し強度を増加させる作用
がある。
25
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.4 土と石灰の反応 (9)
■以上の石灰による反応は前述の
セメントと粘土との反応においても、
セメントの水和反応の過程で生成される
Ca(OH)2によるものと同じである。
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平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (1)
・既往の地盤改良工法における物理化学的な知見では解決困難な問題となっている。
平成12年末∼13年初頭における
深刻な海苔色落ち被害の発生
諫早湾の締切および干拓事業に主因論が集中
平成15年度,有明海に謎の浮遊物の大量発生
干拓造成現場における石灰系固化材による
地盤改良が原因に指摘されるようになってき
ている
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平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (2)
1)諫早干拓造成現場における浮泥・底泥・粘土地盤に対して石灰系固化材を用いた
地盤改良を行うと、土中からアルカリ分が溶出する。(Al3+やSi4+のことを指している
ものと思われる。)
2)溶出したアルカリ分が調整池内に流れ込んで珪藻類の資源となり、調整池内で
大量の珪藻が増産されることになる。(Al3+やSi4+は珪藻骨格の主成分。)
3)大量増産された珪藻類は、調整池の開門に伴って有明海へ放流される。
(なぜか海苔漁期におけるポンプ排水については言及されない。)
4)有明海に放流された珪藻類はその後赤潮と化し、海苔を始めとする水産資源養殖場
に遡上して先に栄養塩類を消化してしまい、その後被害をもたらす。
本当か???
28
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (3)
・自然条件下においても泥類からのアルカリ分溶出は起こり得る。
1)有明海沿岸低平地域に堆積する海成の浮泥・底泥・粘土は、その中に大量の貝殻
や珪藻遺骸・火山ガラス(無定形シリカという。)を含む。
2)貝殻は,海水のようなCa2+過飽和かつ弱アルカリ性の環境で保存条件がよく、逆に
珪藻遺骸・火山ガラスは酸性環境で保存条件のよいことがわかっている。
(相反する保存条件を好む物質が粘土中に含まれている.)
3)この泥類が塩溶脱に代表される2次的な環境の変化をもたらされると、含有貝殻の
溶解が生じ、アルカリ性が高まる。すると珪藻遺骸・火山ガラスの溶解が始まって、
泥類中にAl3+、Si4+等のアルカリ分が溶出される。
4)2次的な環境の変化をもたらされた泥類中にはCa2+,Al3+,Si4+のアルカリ分が溶存
することになるが、これらは泥類の外には溶出せずに泥類中で固化している可能性が
ある。(まるで石灰系固化材による地盤改良のメカニズム。)
5)しかるに海成泥類の鋭敏性や圧縮性が発達するに至る。
29
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (4)
・表は、土木研究センター深層混合処理工法マニュアル編集委員会(1999)による。
改良材の種類
化学組成(%)
比表面積
備
考
(cm2/g)
SiO2
Al2O3
CaO
SO3
普通ポルトランドセメント
2,500以上
20∼23
3.8∼5.8
63∼65
1.5∼2.3
JIS R 5210,5211を参照
高炉セメントB種
3,000以上
24∼27
7.0∼9.5
52∼58
1.2∼2.6
高炉セメントにはA種、B種、C種があるが、
主にB種が用いられる.
セメント系固化材*
(一般軟弱土用)
2,700以上
15∼25
3.5以上
40∼70
4.0以上
−
*)セメント系固化材には、上記の「一般軟弱土用」以外に「高有機質土用」、「特殊固化用」等の多数の製品がある。
これら特殊用途製品はメーカー各社の固有の技術で混合成分の適正化を図っていることから、使用に際しては改良土対象に適した
ものを選定する必要がある。
30
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (5)
・表は、土木研究センター深層混合処理工法マニュアル編集委員会(1999)による。
・セメントはそれ自身に固まる成分(Si4+,Al3+等)を有している。石灰は有していない。
化学組成(%)
改良材の種類
備
SiO2
Al2O3
CaO
SO3
生石灰(特級)
−
−
93.0以上
−
消石灰(特級)
−
−
72.5以上
−
2成分系固化材
1∼20
2∼25
60∼95
0∼20
考
JIS R 9001 を参照
石灰系固化材には2成分系,3成分系,多成分系があるが,主
に2成分系が用いられる.
*)石灰系固化材は生石灰や消石灰を主成分(母材)とし、これに添加材料として石こう、セメント、スラグ微粉末、アルミナ含有物質、
またはフライアッシュなどを配合したものである。母材に1種類の添加材料を組み合わせたものを2成分系、2種類の添加材料を
組み合わせたものを3成分系、3種類以上の添加材料を組み合わせたものを多成分系という。
31
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (6)
・図は、土木研究センター深層混合処理工法マニュアル編集委員会(1999)による。
・生石灰、水および「粘土粒子」と説明されているところに問題。純粋化学の範疇ではこの解釈でよい。
実際の粘土の場合のメカニズムは異なる。
32
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (7)
・一般に、我が国における沖積粘土を石灰系固化材で地盤改良すると、7日養生における
一軸圧縮強さは28日養生のものに対して概ね50%∼80%の値を示し、強度発現が早い。
・しかしながら、なぜ「強度発現」が早いのか、については「お座なり」。
一軸圧縮強さ
0
我が国における強度発現の一般的特徴
ポゾラン反応の正しい理解
28
養生日数
33
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (8)
・底質の観察結果(表層から5cmの部分)。
・堆積当初の形をとどめる珪藻遺骸が多数混在。
珪藻遺骸(非晶質シリカの一部)
15kv
5μm
34
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (9)
図−5.3 セメントおよび石灰と土との基本的な反応の一覧(教科書207ページ)
35
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (10)
A5 92.5
C2
A4 56.7
A5 172.8
C1 247.8
162.9
筑後川
A4 154.9
A2
147.1
R2 R3
154.2
R4
138.3
六角川
筑後川
A3172.5 A6
121.9
169.7
有明海
有明海
A3 58.4 A6
81.2
A2 49.4
R161.4
A1 32.5
137.8 C1178.1
C2
R1151.5 171.7
R2 R3
154.2
R4
六角川 153.8
200∼250
150∼200
200∼250
150∼200
100∼150
50∼100
/L)
単位:(μg/L)
0∼50
100∼150
50∼100
/L)
単位:(μg/L)
0∼50
有明海・主要河川における溶存シリカの
濃度分布
浮泥・底泥中間隙水における溶存シリカの
濃度分布
36
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 閉鎖性水域における地盤改良工事のトラブル事例 (11)
・地盤改良工法による影響は今のところ否定的。
・調整堤防の存在が正常な物質循環を妨げている可能性はある。要継続調査。
・浚渫土においては貧酸素水塊を生じさせぬよう注意が必要。
37
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
1.5 セメントおよび石灰による固化を阻害する要因
■セメントや石灰による安定処理土の強度発現に悪影響を及ぼすものとして、
土に含まれる有機物中のフミン酸・フルボ酸などが知られている。
■固化対象土が有機物を含むと考えられる腐植土やへどろなどの場合には、
固化材の選定に十分な注意をはらう必要がある。
■また、現在これら腐植土やへどろなどを対象とした固化材には、対象土の
物性に対応したセメント系固化材が開発され市販されている。
38
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (1)
39
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (2)
ボーリング実施の経緯と特徴的な点
ボーリング実施の経緯
■平成14年度から河川域周辺を中心に調査が開始される。
■平成15年10月∼12月にかけて、50m級基準コア3箇所、翌平成16年3月に
50m級基準コア1箇所および30m級ボーリングの一部が掘削される。50m級
ボーリングの調査間隔はほぼ2.5kmピッチ。
■平成16年10月∼12月にかけて、50m級ボーリングの調査間隔を補う形で
30m級ボーリングが掘削される。30m級ボーリングの調査間隔はほぼ500m
ピッチ。
■計画路線範囲において、計24本のボーリングが掘削された。
ボーリング調査に特徴的な点
■短期間かつ限られた季節(農繁期終了後)に広域かつ一斉に調査がなされている。
■調査箇所はいずれもほぼ処女地盤の形を留めていると考えられるところ。
■調査会社との間で、原位置試験、シンウォールの開封手順および土質試験の実施
位置、土質試験方法などについて密な連絡協議を図り、極力人為的な誤差要因を除
くことに努めた。
40
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (3)
ボーリング調査の内容
調
査
深
度
m
地
層
構
成
概
要
ボ
|
リ
ン
グ
孔
径
φmm
オ
|
ル
コ
ア
孔
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
軟
弱
粘
土
層
標
準
貫
入
試
験
酸 p 塩 不 土 自
化 H 分 攪 粒 然
濃 乱 子 含
還
度 試 の 水
元
試 料 密 比
電
験 採 度 ωn
位
取 ρs
TW
サ
ン
プ
リ
ン
グ
孔
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
● ● ● ●
●
粒 液 湿 一 室
度 性 潤 軸 内
試 ・ 密 圧 ベ
験 塑 度 縮 |
性 ρt 試 ン
限
験 試
界
qu 験
ωL
・
ωp
鋭
敏
比
圧
密
試
験
塩
ビ
管
立
込
み
・
水
質
分
析
軟
弱
粘
土
の
ボ
|
リ
ン
グ
孔
径
φ
mm
P 三
水 S 成
質 検 分
分 層 コ
|
析
ン
不
貫
攪
入
乱
試
試
験
料
採
取
TW
調
査
深
度
m
地
層
構
成
概
要
オ
|
ル
コ
ア
孔
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
86
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
50m級ボーリングの内容
ボ
|
リ
ン
グ
孔
径
φmm
1
2
3
4
5
軟
6
弱
7
粘
8
土
サ
ン
プ
リ
ン
グ
孔
標
準
貫
入
試
験
不
攪
乱
試
料
採
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TW
土
粒
子
の
密
度
ρs
自
然
含
水
比
ωn
粒 液 湿 一 圧
度 性 潤 軸 密
試 ・ 密 圧 試
験 塑 度 縮 験
性 ρt 試
験
限
qu
界
ωL
ωp
塩
ビ
管
立
込
み
・
水
質
分
析
三
成
分
コ
|
ン
貫
入
試
験
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ● ●
86
● ● ● ● ● ● ● ●
30m級ボーリングの内容
41
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (4)
シンウォールサンプラーにおける各土質試験の実施位置
○
試料押し抜き方向
G.L.
0cm
パラフィン
・土粒子密度、粒度、液塑予備。
・ORP、塩分、pH予備。
捨
10cm
捨
20cm
物理
予備
物理
予備
湿潤密度
湿潤密度
・切り出し後に湿潤密度のみ測定。
・土粒子密度、粒度、液塑予備。
・ORP、塩分、pH予備。
・切り出し後に湿潤密度のみ測定。
・土粒子密度、粒度、液塑予備。
・ORP、塩分、pH予備。
30cm
ORP
一 軸1
湿潤密度
ベーン1
塩分・pH
40cm
液塑キャ1
圧密
50cm
ORP
湿潤密度
塩分・pH
・ORP、湿潤密度測定の後一軸供試体の整形。
・一軸供試体のサイズは直径3.5cm×高さ7cm(供試体直径に対して1.8∼2.5倍)。
・一軸供試体と削りくずを足し合わせて含水比、塩分、pHの測定(要迅速測定)。
・足し合わせた試料を用いて室内ベーン試験の実施。
・室内ベーンにおける練返しの程度は手もみで団粒を感じなくなるまでもみほぐす。
・以上の試験を経て土粒子密度試料、粒度試験試料に用いる。
・ORP、湿潤密度測定の後圧密・液塑供試体に分割。
・圧密供試体の削りくずを用いて塩分・pHの測定(要迅速測定)。
・削りくずを上下一軸供試体のものと足し合わせて土粒子密度試料、粒度試験試料
に用いる。
・液塑キャ1、2を足し合わせて液塑キャサグランデ法。
液塑キャ2
ORP
一 軸2
湿潤密度
ベーン2
塩分・pH
60cm
ORP
一 軸3
湿潤密度
ベーン3
塩分・pH
・ORP、湿潤密度測定の後一軸供試体の整形。
・一軸供試体のサイズは直径3.5cm×高さ7cm(供試体直径に対して1.8∼2.5倍)。
・一軸供試体と削りくずを足し合わせて含水比、塩分、pHの測定(要迅速測定)。
・足し合わせた試料を用いて室内ベーン試験の実施。
・室内ベーンにおける練返しの程度は手もみで団粒を感じなくなるまでもみほぐす。
・以上の試験を経て土粒子密度試料、粒度試験試料に用いる。
・ORP、湿潤密度測定の後一軸供試体の整形。
・一軸供試体のサイズは直径3.5cm×高さ7cm(供試体直径に対して1.8∼2.5倍)。
・一軸供試体と削りくずを足し合わせて含水比、塩分、pHの測定(要迅速測定)。
・足し合わせた試料を用いて室内ベーン試験の実施。
・室内ベーンにおける練返しの程度は手もみで団粒を感じなくなるまでもみほぐす。
70cm
・土粒子密度、粒度、液塑予備。
・ORP、塩分、pH予備。
捨
80cm
パラフィン
42
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (5)
深層混合処理工法に及ぼす影響に関する既往の研究
セメント
含水比が低いほど,強度が出ることが分かっ
ている.
自然含水比 セメント,添加量20%の場合,
自然含水比100,150%では一軸圧縮強度で
1.5倍の強度差がある.
PH
石灰
含水比が低いほど,強度が出ることが分かっ
ている.
1m3あたり生石灰50kg/m3の添加量の場合
含水比100,150では2倍の強度差がある.
酸性では強度が出ない事が分かっている.
高炉B種,添加量30%の場合,
pH3の珪藻土では,中性に改善するため
PH5,7.5では一軸圧縮強さで2倍の強度差が セメントよりも強度がでるという報告がある.
ある.
活性度
特に記述なし
有機物
セメント,石灰共に有機物を含むと強度が出ないことが分かっている.
有機物を含む場合,セメント系固化材のほうがセメント,石灰よりも強度がでる.
塩濃度
塩分はセメントの硬化促進剤であることが
分かっている.
鋭敏比
自然含水と供に混合度に影響する.鋭敏比15の有明粘土と,鋭敏比4の風化表層とで5分間
混合した場合,1.01倍の差がある.
ORP
塩分は生石灰の硬化促進剤であることが
分かっている.
生石灰の場合,塩分の添加によって
10∼30%の強度増加をする.
酸化している層では強度がでない事がわかっている.
ORPの具体的な値と強度との関係はわかっていない.
43
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (6)
pHに関する深さ分布の特徴と平面分布の特徴
10
aAc
aAc
aHl
aHl
a(下方の傾き)/b(上方の傾き)
分布範囲
a(傾き)/1
1
A
9
8
B
A
7
6
0
分布形状
GL-(m)
5
10
pH分布範囲
pH
pH
6 7 8 9 6 7 8 9 10
0
aHu
aHu
B
上方の傾き b
15
dM
A
20
dM
B
分布範囲
5
4
下方の傾き a
パターン α
パターン β
パターン γ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819202122232425262728
-1
調査位置
■分布パターンは2パターン存在し、Bor.3のように分布が弓状となる地域A
およびBor.10のように直線分布する地域Bに分類される。
■地域AではpHの分布幅の下端値が中性側にあり、地域Bではそれよりも
高い傾向が認められる。
44
平成22年度前学期 地盤環境学
Institute of Lowland and Marine Research, Saga University, JAPAN
1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (7)
塩濃度に関する深さ分布の特徴と平面分布の特徴
aAc
aAc
GL- (m)
aAc
aHl
10
aHl
aHl
dM
15
20
A
dM
dM
B
dAso-4
塩濃度分布範囲 (g/L NaCl)
5
20
分布範囲 (g/L NaCl)
a(下方の傾き)/b(上方の傾き)
a(傾き)/1
2
A
15
10
A
1
5
0
0
-5
-10
B
C
C
C
B
分布形状
塩濃度
塩濃度
塩濃度
(g/L NaCl) (g/L NaCl) (g/L NaCl)
0 10 20 0 10 20 0 10 20 30
0
aHu
aHu
aHu
-1
-15
dAso-4
C
-20
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819202122232425262728
-2
C
調査位置
■分布パターンは3パターン存在し、Bor.3のように分布パターンが直線分布
となる地域A、Bor.19のように強い弓なり形状となる地域B、およびBor.11の
ように弱い弓なり形状となる地域Cに分類される。
■地域Aでは蓮池層下部で塩分溶脱現象が、地域Cでは全体的に塩分溶脱
現象がみられる。
45
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (8)
鋭敏比に関する深さ分布の特徴と平面分布の特徴
St
St
St
0 10 20 30 0 10 20 30 0 10 20 30 40
0
aHu
aHu
aHu
50
分布範囲
a(下方の傾き)/b(上方の傾き)
a(傾き)/1
10
aHl
aAc
aAc
1
20
10
0
0
-10
aHl
-20
aHl
15
dM
dM
-1
-30
-40
dM
20
分布形状
GL-(m)
aAc
鋭敏比分布範囲
30
5
2
40
-50
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819202122232425262728
-2
調査位置
■分布パターンは3パターン存在するが、非常に複雑な分布形状といえる。
■鋭敏比の分布幅の下端値はどの地域も等しく、上端が25を超える分布幅が
大きい地域を黄色で示している。
46
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (9)
酸化還元電位(ORP)に関する深さ分布の特徴と平面分布の特徴
ORP (mv)
ORP (mv)
0
aHu
400
aAc
GL-(m)
aAc
10
aAc
aHl
20
a(下方の傾き)/b(上方の傾き)
a(傾き)/1
A
15
10
300
200
5
100
0
0
dM
-300
A
-10
-400
dM
A
-5
-200
aHl
A
分布範囲 (mV)
-100
aHl
15
ORP分布範囲 (mV)
aHu
5
500
分布形状
ORP (mv)
-400-200 0 200 -400-200 0 200 -400-200 0 200 400
A
dM
dAso
-500
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819202122232425262728
-15
調査位置
■分布パターンは3パターン存在するが、鋭敏比と同様に複雑な分布形状
である。
47
平成22年度前学期 地盤環境学
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1. 土の固化
参考資料 深層混合処理工法の影響因子に関する現地調査 (10)
まとめ
本研究で得られた知見をまとめると、次のようである。
■Bor.1∼4の範囲における塩濃度は直線分布、pHは弓なり分布する。
また、ORPが複雑な分布を示す。
■Bor.5∼9の範囲における含水比、pHともに弓なり分布となる。
また、鋭敏比の分布幅が大きい。
■Bor.10∼20の範囲では自然含水比および塩濃度が弓なり分布となる。
■Bor.21∼28の範囲では、自然含水比が直線分布する。
48
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理 (1)
■化学的特性や物理化学的特性を利用して、各種の地盤安定処理工法が
開発されている。
■軟弱な地盤を改良する場合、基本的に次のような改良原理が考えられる。
①良質な土で置き換える
②脱水・圧密を図る
③締め固めて高密度化を図る
④土を固化する
⑤他の材料で補強する
49
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理 (2)
表−5.2 地盤改良工法の分類と適用性(教科書209ページ)
50
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理 (3)
図−2.5 建設工事による周辺地盤の変形の傾向(教科書72ページ)
51
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理 (4)
■土を固化する化学的固結工法は、
化学的な地盤改良の代表的工法であり、
近年、表中にある多くの物理的工法
とともによく用いられている。
■化学的固結工法として、石灰やセメント
を用いた浅層混合処理工法や深層混合
処理工法がよく用いられており、さらに
都市土木工事やトンネル工事において
薬液注入工法は必須のものとなっている。
52
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理 (5)
■この表の他にも化学的に地盤を改良
する工法が開発されており、地すべり
地帯ではイオン交換工法などが適用
されている。
■土を固めるだけでなく、化学的に
あるいは電気的に脱水する工法も開発
されている。
■このような地盤の固化や圧密によって
地盤の物性を改善すると、地盤の変形を
拘束したり支持力を直接高めたりすること
ができる。
53
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理 (6)
■さらに、従来は不良土として捨土
されていたものを活用したり、基礎地盤
の改良によって設計されるべき基礎
構造物の簡素化を図ったりすることも
可能である。
54
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.1 浅層混合処理工法 (1)
図−5.4 浅層混合処理工法の施工手順(教科書211ページ)
55
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.1 浅層混合処理工法 (2)
■水硬性材料を添加混合して軟弱土を
改良する浅層混合処理工法は古来から
広く用いられている。
■石灰・セメント系の材料の添加による
反応生成物によって固化を図るだけで
なく脱水・発熱作用をも利用する。
■近年は広範囲の不良土に対応できる
固化材が開発されたことや、改良の機械
についても超軟弱な地盤へ適用しうる
ものの開発・改良効率の向上・改良深度
の増加などが図られて、一層用途が
広がっている。
56
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.1 浅層混合処理工法 (3)
■軟弱地盤上の施工機械のトラフィカ
ビリティーを得ることや、構造物の基礎
地盤の改良、埋戻し土や残土の早期
安定などを図る目的で使用される。
■浅層が対象とする改良の深さについて
の定説はないが、一般に地表面下1.5m
∼3mまでの地盤と考えられる。
■設計の際には、対象となる土の物性
の把握や現場の条件・改良目的等を
十分検討する必要がある。
■固化反応性を配合実験によって必ず
確かめ、固化材の添加量を決めねば
ならない。
57
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.2 深層混合処理工法 (1)
図−5.5 深層混合処理工法の施工機械の例(教科書212ページ)
58
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.2 深層混合処理工法 (2)
図−5.6 深層混合処理工法の施工手順(教科書213ページ)
59
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.2 深層混合処理工法 (3)
■スラリー状にしたセメントまたは粉体状
の石灰・セメントを深層の軟弱土と原位置
で機械的に撹拌して、土を鉛直方向へ
改良する工法である。
■改良体の設置方法によって、杭状から
壁状・格子状・ブロック状に地盤改良が
可能である。
■主として粘性土の支持力向上・すべり
破壊防止・土圧軽減等に用いられるが、
壁状改良体の拘束効果を利用して近年
では砂地盤の液状化防止のために
適用されることもある。
60
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.2 深層混合処理工法 (4)
■設計にあたっては、改良体の変形
挙動が元地盤のそれと大きな差を生じる
ことから、構造体としての評価が求め
られる。
■したがって、大きな安全率が必要と
なり、改良体自体の内部安定と全体
としての外部安定の両者を満足する
設計がなされねばならない。
61
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.2 深層混合処理工法 (5)
■固化材と地盤とが充分に混合される
ことが、改良体の均一性を高めるために
重要であるため、撹拌翼の形式に多くの
工夫がなされている。
■また、回転速度やトルク・貫入引抜き
速度・改良体同士の重ね合わせなど
十分な施工管理が求められる。
62
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.3 薬液注入工法 (1)
表−5.3 注入方式ごとの主な特徴(教科書214∼215ページ)
63
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.3 薬液注入工法 (2)
■水ガラス・薬液・セメント・粘土等を、
地中の間隙や亀裂に圧入・充填して
止水効果や支持力の増大を得る工法
である。
■一般には薬液はA液とB液からなり、
二つの液を混合すると一定の時間後
にゲル化することを利用している。
■ゲル化時間には数秒程度の瞬結性
のものから数分ないし数十分に及ぶもの
まで,目的に合わせて調節しうる。
64
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.3 薬液注入工法 (3)
■水ガラスが薬液として最も多く使用
されているが、硬化剤としてセメントなど
を用いた懸濁液型のものと、硬化剤に
無機系・有機系の化合物を用いた
溶液型のものとがある。
■前者は地盤固化作用に優れている
のに対し、後者は地盤中への浸透性
に優れている。
■現在用いられている注入方式(二重管
単相注入・多重管複相注入・二重管
ダブルパッカー注入)ごとに得られる注入
形態とそれらの特徴をまとめると表−5.3
のようになる。
65
平成22年度前学期 地盤環境学
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2. 地盤安定処理
2.3 薬液注入工法 (4)
■脈状に注入されて未改良部分が残る
ことの防止対策や注入管理の面から
工法的に多くの工夫がなされている。
■また、未反応な薬液が地下水中に
流入して汚染問題が生じたことから、
無公害薬液の開発などの努力が
なされている。
■高圧噴射注入によって地盤をジェッ
ト力で強制的に破壊し、固化材と混合
させて均一な改良地盤を作製するという
手法も取られることもがある。
66
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (1)
67
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (2)
68
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (3)
69
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (4)
70
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (5)
71
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (6)
■人類が地球に誕生した太古の時代から、地盤は人類の出すごみを快く
引き受け、残渣を分解、汚水を浄化し、環境を保全してきた。
■しかし、近年では人口の増加、生活習慣の変化、産業、技術の発達に伴い
様々の種類の廃棄物が多量に発生するようになり、地盤環境の容量を
オーバー、処分地不足、不法投棄、長距離あるいは越境移動、地盤の汚染
など、様々の社会問題を引き起こしている。
72
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (7)
図−3.26 廃棄物の分類(法律による分類を簡略化して示している)(教科書138ページ)
73
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (8)
■我が国では「廃棄物の処理及び清掃
に関する法律(廃棄物処理法)」で、
「“廃棄物”とはごみ、燃えがら、汚泥、
し尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の
死体その他汚物または不要物であって、
固形状または液状のもの(放射性物質
及びこれによって汚染されたものを除く)
と言う」と定義され、これを一般廃棄物(地方自治体に処理が義務づけられる)
と産業廃棄物(事業者責任において処理処分される)とに分類している。
74
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (9)
■一般廃棄物のうち人の日常生活に伴い発生するごみの排出量は約5000
万トン(1989年度)で量、種類とも増加傾向にある。
■一方、産業廃棄物の排出は家庭ごみの約7倍の約35000万トンと推定される
が、特に近年では汚泥や建設廃材など建設工事に関連した廃棄物の排出量が
多く、貴重な最終処分場をいたずらに消費している。
■産業廃棄物のうち、中間処理による減量や再生利用されるものを除いた
約30%、約9000万トンは最終処分場に持ち込まれているが、産業廃棄物の
最終処分場の残存容量は1.5年分にすぎないという状況である。
75
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (10)
■我が国では1992年に廃棄物処理法が改正され、廃棄物の減量化・再生の
推進、適正処理の確保、処理施設の整備が講じられている。
■また、1991年には「再生資源の利用促進に関する法律(リサイクル法)」が
施行され、指定副産物(土砂、石炭灰、鉄鋼スラグ、コンクリート塊)の
再資源化・再利用が法整備を伴って促進されようとしている。
76
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (11)
表−3.5 廃棄物のリサイクルと有効利用の方法(教科書140ページ)
77
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (12)
■焼却処理は廃棄物中の水分等を除去
して減容化し、有機成分等を燃焼分解
して安定化、無害化するもので、処理
手法として我が国で最も普及している。
■また、1000℃以上の高温で廃棄物を
溶融し、重金属類を封じ込めて安定化を
図る溶融処理も行われつつある。
78
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.1 廃棄物の発生とその現状 (13)
【Note!】有効利用されなかった廃棄物
は、その有害性、安定性などのレベル
に対応して:
①浸出水対策不要の「安定型処分場」
②浸出水の処理施設を持つ
「管理型処分場」
③水の流入、流出を遮断する
「遮断型処分場」
に最終処分される。
79
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(1)地盤工学的特性 (1)
■廃棄物の埋立用材としての工学的特性を考えると次のようである。
①無機性の廃棄物で粗粒、乾燥状態あるいは透水性の良好なもの(良質土、
がれき、金属、ガラス、スラグ、残渣類)は締固めを十分行えば良好な地盤が
得られるが、粗大がれきが混入していると構造物建造の際に問題となる。
②無機性の廃棄物で細粒で高含水状態のもの(高含水比粘性土など)は沈下
が大きく支持力が不足しており、圧密が終了して安定な地盤となるまでに
長年月を要する。したがって、跡地利用にあたってはプラスチックボード
ドレーン工法やサンドドレーン工法などの圧密促進の地盤改良が行われる。
80
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(1)地盤工学的特性 (2)
図−3.27 埋立地の年代と平均N値(教科書141ページ)
81
平成22年度前学期 地盤環境学
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(1)地盤工学的特性 (3)
参考資料 吉見吉昭:標準貫入試験(Standard Penetration Test = SPT)
(http://homepage2.nifty.com/yoshimi-y/spt.htm)
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(1)地盤工学的特性 (4)
③有機物からなる廃棄物(紙、木、繊維、
樹脂、動植物性残渣など)は年月の経過
により廃棄物の分解に伴う地盤沈下、
ガス発生等がみられる。通常の地盤は
年月が経てば圧密強化されていくが、
生ごみ埋立地盤ではごみの分解により
地盤支持力が低下していく傾向が
みられる。地盤改良工法としては
バーチカルドレーンなどの圧密促進工法
よりも、圧縮による工法(サンド
コンパクションパイル工法、重錘落下
締固め工法、プレロード工法など)の
適用性が高い。
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(2)発生ガスの特性 (1)
図−3.28 ごみ埋立地の発生ガス組成の経年変化の模式図(教科書142ページ)
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(2)発生ガスの特性 (2)
■埋め立てられた廃棄物に含まれる
生ごみなどの有機物はごみ層内の
微生物によって分解され、二酸化炭素、
メタン、アンモニア、硫化水素等様々の
ガスを発生する。
■ガス発生は廃棄物の種類と性質、埋立形式や構造、自然条件等の影響を
受けるが、図−3.28のように模式化される。
■また、ガスと同様にごみの分解過程で発生する熱の影響で地中温度が
上昇し、70℃近くに達することもある。
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3. 廃棄物埋立地盤の対策工法
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(2)発生ガスの特性 (3)
■廃棄物埋立地の跡地を利用する場合、
建造した構造物により発生ガスが閉鎖
空間中に溜まったり、ガス噴出による
植物の枯死、悪臭、火災発生等の危険を
伴うため、ガス抜き管設置等の発生ガス
対策が必要となる。
■廃棄物埋立跡地につくられた東京港内のゴルフ場では、逆にその発生ガス
を場内施設の温水用熱源の一部に有効利用している。
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (1)
図−3.29 ごみ埋立地地盤からの浸出水のBOD、COD、NH4+-Nの経年変化の模式図(教科書143ページ)
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (2)
■重金属や有機成分を含む廃棄物の
埋立処分では、これらの汚濁成分が
降雨などと接触することにより溶出して
周辺の地表水や地下水を汚染すること
が懸念される。
【Note!】重金属による汚染は溶出時間と
pHの影響が大きく、埋立初期に大部分
が溶出し、アルカリ側では溶出が抑制
されているといわれている。
【Note!】一方、有機成分による汚濁は、
微生物の分解に伴い汚濁成分が逐次
形成されるため、浸出水の汚染が長期
にわたって継続する。
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (3)
■埋立処分場、特に山間や丘陵の谷間を利用した陸上埋立処分場から発生
する浸出水が下流の地表水、地下水の汚染につながる環境問題を引き起こし
た事例は多い。
■上記のような有害な浸出水をもたらす廃棄物を埋立処分する場合、浸出水
の処理と遮水工の施工が重要である。
■安定型、管理型、遮断型の三つの処分方式のうち、有害な廃棄物を処分
する遮断型処分地では雨水侵入防止のための覆いと浸出水流出防止の
コンクリート製仕切設備が堅固に構築される。
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (4)
図−3.30 二重ライナーシステムの断面(教科書144ページ)
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (5)
■一方、一般廃棄物および産業廃棄物
の最終処分地として用いられる管理型
処分地では、ライナーにより廃棄物層を
外部環境と隔離し、浸出水による汚染を
防止している。
■ライナーとしてはジオメンブレン等が
使用されるが、ライナーが損傷した場合、
その補修工事はおろか、損傷の確認
作業すら至難の技である。
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (6)
参考資料 ジオメンブレンの一例(三井化学産資株式会社:http://www.mitsui-sanshi.co.jp/product/p1-2.html)
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (7)
参考資料 遮水工の一例(三井化学産資株式会社:http://www.mitsui-sanshi.co.jp/product/p1-2.html)
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (8)
■アメリカ合衆国環境保全局(EPA)では
ライナーの安全性と耐久性の確保のため
に、図−3.30に示すようなジオテキスタ
イルとジオメンブレンを組み合わせた
二重ライナーシステムを定めている。
■遮水材の間の粘土ライナー層は遮水
機能だけでなく有害物質の吸着機能も
期待したものであるが、最近ではライナー
材として廃棄物である石炭灰等を適用
する方法も提案されている。
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (9)
■また、ベントナイトなどの粘土とジオ
テキスタイル材料とを合成したジオ
シンセティック粘土ライナーも開発されて
いる。
ジオシンセティック...土構造物の補強
用材料であるジオテキスタイル(織布、
不織布、編物)、ジオグリッド、ジオネット、
ジオメンブレン、ジオテキスタイル関連
製品およびジオコンポジット(複合製品)
等の総称。
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3. 廃棄物
3.2 廃棄物で造成する人工の地盤
(3)浸出水の特性 (10)
参考資料 ジオテキスタイルの一例(前田工繊株式会社:http://www.maedakosen.jp/product/hokyou/a-6.html)
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2. 地盤安定処理
2.7 廃棄物埋立地盤の対策工法 (1)
表−5.4 地盤改良工法の廃棄物埋立地盤への適用例(教科書218∼219ページ)
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2. 地盤安定処理
2.7 廃棄物埋立地盤の対策工法 (2)
■廃棄物埋立地盤の安定処理は、
早期に跡地を利用するために、今後
地盤環境学上の重要な課題となること
が予想される。
■その対策として従来の地盤安定処理
工法がどの程度適用可能であるかの
検討が必要であるが、土砂系の廃棄物
材料であれば、従来工法をそのまま適用
できる。
■しかしながら、分解性の材料、特に
生ごみ埋立地盤や粗大物が混入して
いるような地盤等では、表−5.4に示す
ような五つの主として物理的安定処理
工法が比較検討されている。
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