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第59期 事業報告書

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第59期 事業報告書
第59期 事業報告書
平成17年4月1日∼平成18年3月31日
トップメッセージ
より良い次の100年に向けて
皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上
げます。お蔭様で当社グループはこのたび、創業100周年を迎
えることができました。私どもはこの機を第二の創業ととら
え、一層の成長を目指す3年間の中期経営計画「Next100∼
NO.1企業の集合体へ∼」を平成17年4月に策定いたしました。
この計画にもとづき、事業構造の変革に取り組むとともに、
次の100年も力強く成長し続けていく企業グループを目指して
まいります。今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げます。
期ぶりに3,000億円台を回復することができました。平成
売上高3,000億円台を回復
14(2002)年3月期の厳しい状況から構造改革に着手、痛み
当初目標を達成
を伴う変革に耐えた結果、3期連続増収、4期連続増益を達
成することができました。
創業101年目となる来期には、中期計画目標を上方修正
中期経営計画初年度に当たる当期の業績は、連結売上高
3,039億円、連結営業利益141億円、連結経常利益155億円
し、過去最高を更新する連結売上高3,450億円に挑みます。
と、いずれも当初目標(連結売上高3,020億円、連結営業利
高い目標ではありますが、達成に向け全社を挙げてチャレ
益140億円、連結経常利益155億円)を達成し、売上高は8
ンジしたいと思います。
平成16
(2004)年
3月期
平成17
(2005)年
3月期
平成18
(2006)年
3月期
(百万円)
400,000
300,000
273,462
283,518
303,959
平成18
(2006)年
3月期
8,865
12,158
14,105
1,000
0
0
益
連 連
結売 結営
上 業
高 利
益
連 連
結売 結営
上 業
高 利
益
15,598
8,875
平成17
(2005)年
3月期
平成18
(2006)年
3月期
41.88
40
33.82
12,573
30
5,206
5,000
5,000
平成16
(2004)年
3月期
(円)
50
15,000
10,000
連 連
結売 結営
上 業
高 利
1
平成17
(2005)年
3月期
(百万円)
20,000
200,000
10,000
平成16
(2004)年
3月期
4,144
20
15.38
18.5
15
15
10
1,949
0
連
結経
常
利
益
連
結純
当利
期益
連
結経
常
利
益
連
結純
当利
期益
連
結経
常
利
益
連
結純
当利
期益
1 株当
当期
た純
り利
益
1 株配
当当
た額
り
1 株当
当期
た純
り利
益
1 株配
当当
た額
り
1 株当
当期
た純
り利
益
1 株配
当当
た額
り
特集1:中期経営計画「Next100∼NO.1企業の集合体へ∼」
当社グループの事業構造の変革
中計達成に向け順調にスタート
コクヨグループでは現在、平成20(2008)年3月期を最終
平成18
(2006)
年3月期
成熟事業
1,509億円(49%)
成長事業
1,454億円(48%)
新規事業
76億円(3%)
年度とした3年間の中期経営計画「Next100∼NO.1企業の
集合体へ∼」に取り組んでいます。グループ各企業が独自
の強みを確立し、それぞれの市場でNO.1となることで株
主価値の向上を図るというものです。最終年度には、連結
平成19
(2007)
年3月期
成熟事業
1,450億円(42%)
成長事業
1,800億円(52%)
新規事業
200億円(6%)
売上高3,600億円、連結営業利益250億円、連結ROE8%の
達成を目指します。
計画では、グループの事業を新規事業・成長事業・成熟
事業の3つに分け、新規事業・成長事業に経営資源を集中
主な事業
主な事業
主な事業
投下し、事業領域の拡大に努めます。一方の成熟事業では、
効率化やコストダウンを徹底し、収益の拡大につなげます。
当社グループの事業領域
新規事業
成長事業
成熟事業
オフィスサプライ
事 業
BtoC
事 業
セキュリティ
事 業
卸 事 業
官公庁事業
BPO事業
(ビジネスプロセスアウトソーシング)
オフィス通販
事 業
中 国 事 業
事業領域を拡大し、次代の柱となる新規事
業を確立します。
顧客に望まれる商材やサービスを提供し、
顧客アカウントを徹底します。
また、海外販売にも注力します。
卸事業やオフィスサプライ事業等の成熟事
業は、効率化を徹底し、恒常的に収益を拡
大します。
また、成熟事業の一部を成長事業へと変革
させます。
2
特集1:中期経営計画「Next100∼NO.1企業の集合体へ∼」
新規事業・成長事業の中での“重点施策”についてご説明します。
そこで当期には、北欧輸入家具などの仕入・販売を手掛
ファニチャー分野での販売力を強化
ける「(株)アクタス」をグループに加えました。高付加価
一般消費者向け(B to C)事業:売上高193億円
値商品を得意とする同社は、私たちが拡大を見込むファニ
チャー分野でのB to C事業を牽引し、消費者のプレミアム
消費への需要を満たせると期待しています。
また、ステーショナリー分野では、電子暗記カード「メ
モリボ」や北欧モダンをコンセプトとしたライフスタイル
専門店のトップランナーである「イルムス」とコラボレー
ションしたステーショナリーを発売するなど魅力ある商品
の開発に努めました。今後とも、消費者が望む“価値”の
実現に努め、来期には売上高355億円を目指します。
当社グループでは、法人顧客向け(B to B)事業が売上
実績・目標
の大部分を占めており、一般消費者向け(B to C)事業の
売上193億円
比率はあまり多くありません。そのため、国内総生産
(GDP)の約60%を占める個人消費は、当社の成長にとっ
て欠かせない市場です。当社では従来から、ステーショナ
リーなどの分野で製品を数多く発売してきましたが、これ
からはファニチャーなどの新領域でも消費者との関わりを
強化したいと考えています。
現在、景気の回復につれ消費者の間には、気に入ったも
のには多少値段が高くとも対価を支払う「プレミアム消費」
の傾向が強まっています。
3
(前期比+7.2%)
(億円)
500
B to C 売上目標
次期目標
355
400
300
200
目標355億円
目標
190
実績
193
100
ステーショナリー
0
ファニチャー
平成18(2006)年
3月期
平成19(2007)年
3月期
独自のワンストップ提案を推進
オフィス通販事業「Easy buy」が好スタート
セキュリティ事業:売上高35億円
中国事業:売上高16億円
オフィスのセキュリティ管理には、ハード・ソフト両面
当社グループの中国事業は、日系企業が進出する際のオフ
の技術に加え、オフィス構築に関するノウハウが不可欠で
ィス構築のお手伝いから始まりました。そして現在、現地企
す。そこで、当社グループは、身近なファイリングのノウ
業を対象としたオフィス通販や、欧米系企業にオフィス家具
ハウなどアナログ技術と最新のIC技術、オフィス構築等
を販売するなど、そのステージを急拡大しつつあります。
を組み合わせた「トータルセキュリティ」を提案していま
当期には、日系企業として初めて上海地区を対象とした
す。当社グループは、こうした技術を併せ持つ数少ない存
オフィス通販「Easy buy」を開始しました。カタログ発
在であり、他社には真似できない独自のサービスを提供す
刊だけでなく、別冊カタログの発行やインターネット通販
ることで、オフィス・セキュリティブランドのNO.1を目
サイト等サービスを強化し、登録顧客数は、今期6万社に
指します。
到達しました。来期には範囲を北京、広州にも広げ、登録
個人情報保護法の施行などでセキュリティへの関心が高
顧客数25万社、売上高15億円を目指します。
まる中、この事業は当期、売上高が前期比169%という高
一方、従来から手掛ける日系企業向けオフィス構築事業
成長を遂げました。当社グループでは、引き続き、我々の
では、顧客の要求水準が一段と高まっています。今後は内
独自の「トータルセキュリティ」を提供することにより、
装工事や家具販売のみならず、進出準備のためのレンタル
来期には売上高55億円に挑みます。
オフィス提供から消耗品の供給、新オフィスへの移転支援
までのワンストップサービスを手掛け、顧客の利便性向上
につなげます。
こうした事業に取り組むことで、来期には、事業全体で
実績・目標
売上高40億円を目指します。
売上35億円
目標55億円
(前期比+169%)
(億円)
100
売上16億円
(前期比+220%)
実績・目標
セキュリティ売上目標
80
20
目標
22
次期目標
40
40
ステーショナリー
平成18(2006)年
3月期
中国売上目標
60
実績
35
0
平成19(2007)年
3月期
目標40億円
80
次期目標
55
60
40
(億円)
100
ファニチャー
20
目標
18 実績
16
0
平成18(2006)年
3月期
平成19(2007)年
3月期
4
営業の概要
が、お客様の声を反映したカタログの発刊や、別冊カタロ
ステーショナリー関連事業
グ「カウネットアネックス」での取扱アイテムの拡大、オ
フィスレイアウトサービスの拡充等のサービス強化に取り
組んだ結果、業績は好調に推移しました。また、新規連結
ステーショナリー関連事業は、売上高1,594億円(前期比
しましたフォーレスト(株)が展開する「フォレストウェ
11.7%増)、営業利益85億円(前期比19.6%増)と増収増益に
イ」も順調でした。
なりました。
*MoMA…ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)
当セグメントの関連市場では、顧客ニーズの多様化、消
耗品購買チャネルの変化等厳しい事業環境が続いています。
このような状況のもと、当社グループは、セキュリティ
関連商品、発売8ヶ月で売上100万個を突破したテープのり
「ドットライナー」、片手で持ち歩ける「スリムB5ノート」
等高付加価値商品を積極的に上市しました。
また、表裏どちら側からでもページを開きやすいよう裁
断面を工夫したユニバーサルデザイン商品「キャンパスノ
150,000
137,691
142,807
平成18
(2006)年
3月期
159,449
100,000
10,000
個の立方体を集めた消しゴム「カドケシ」が「MoMA*
5,000
デザインコレクション」に選ばれるなど、デザイン面でも
0
高い評価を頂きました。
一方、オフィス通販事業におきましては、
(株)カウネット
店舗関連事業は、売上高は211億円(前
期比15.7%増)となったものの、競争環境
5
平成17
(2005)年
3月期
(百万円)
200,000
ート(パラクルノ)」がグッドデザイン賞金賞を受賞、10
店舗関連事業
平成16
(2004)年
3月期
売
上
高
営
業
利
益
8,512
7,117
5,430
売
上
高
営
業
利
益
売
上
高
営
業
利
益
かとなり、市場は全体として厳しい事業
環境のまま推移しました。
の激化により営業利益は1億円(前期比
このような状況のもと、当社グループ
71.0%減)と、前年を下回る厳しい結果と
は、店舗什器の積極的な提案営業活動に
なりました。
取り組みました。また、アジア最大級の
当期には、量販店の新規出店や改装需
店舗総合見本市である「JAPAN SHOP
要はあったものの、業態により出店計画
2006」に出展し、最新の店舗什器を展示
に開きが出て全般的な出店ペースは緩や
するとともに、出店計画から開店後の店
一方、高付加価値商品の提供にとどまらず、企業の経営
戦略に沿ったオフィスや、そこで働く社員のパフォーマン
ファニチャー関連事業
スを最大限に引き出すオフィスの構築を実施。ファシリテ
ィマネジメントやワークスタイルの課題解決等、企業価値
を高めるソリューション提案活動を積極的に行いました。
ファニチャー関連事業は、売上高1,233億円(前期比
0.8%増)、営業利益54億円(前期比21.5%増)と、増収増益
官公庁分野におきましても、昨年度に続いて全国に展開す
になりました。
る当社グループ企業が地元密着型の営業に取り組み、市町
村合併に伴う庁舎移転コンサルティング提案活動を推進し
当期には、景気回復に伴う企業の移転需要や既存ビルの
ました。
リニューアルの増加、セキュリティ関連需要の増加等の環
境好転がありました。一方では、首都圏の大型ビルの供給
平成16
(2004)年
3月期
が端境期に入って空室率が低下し、移転可能なオフィスが
減少したこと、価格競争や地方経済に未だ底打ち感が乏し
このような状況のもと、当社グループは、平成17年11月
150,000
に東京ショールームにおいて「2006コクヨフェア
100,000
(KOKUYO 100th Anniversary Fair)
」を開催し、多数の
10,000
製品・サービスを展示・紹介。また、体の動きに応じて背
5,000
もたれが立体的に可動し、柔軟性あるフィット感を得られ
0
るオフィスチェア「FOSTER(フォスター)」等、業界初の
平成17
(2005)年
3月期
ピールしました。
一方、店舗用品カタログ通販事業「ス
トアグッズ」の普及やソリューションビ
ジネスの拡販にも努めました。
(百万円)
200,000
135,771
122,452
123,383
営
業
利
益
5,425
4,465
3,435
売
上
高
新技術を採用した魅力ある新製品を数多く上市しました。
「トータルストアソリューション」をア
平成18
(2006)年
3月期
(百万円)
200,000
いこと等もあり、本格的な需要回復には至りませんでした。
舗運営に至るまでの諸問題を解決する
平成17
(2005)年
3月期
売
上
高
営
業
利
益
売
上
高
営
業
利
益
※平成17(2005)年3月
期第1四半期より事業
区 分 を 変 更 し 、
ファニチャー(オフィ
スファニチャー)と店
舗に分離
平成18
(2006)年
3月期
21,125
18,258
150,000
100,000
1,000
576
500
167
0
売上高
営業利益
売上高
営業利益
6
トピックス
体の動きに応じて背もたれが立体的に可動し、柔軟性あるフィット感を得られる
オフィスチェア「FOSTER」を発売
コクヨファニチャー(株)は、業界初の「3Dフィット構造」を背もたれに採用したオフィスチ
ェア「FOSTER(フォスター)
」を発売しました。背上部フレームを左右独立して動くようにし
たことで、体のひねりに合わせて背もたれが立体的に追随。これまでのイスにないフィット感、
快適さを実現しました。
独自構造の背もたれのほか、座面をメッシュの上にウレタンクッションを重ねた2重構造とす
ることで、適度な弾力性と姿勢の保ちやすさを両立しました。大きく曲線を描くフレームと背も
たれの特殊メッシュ、快適な座面が、先進的ながらも柔らかさのあるスタイリッシュなデザイン
を実現しています。
「2006
コクヨフェア(KOKUYO 100th
Anniversary
Fair)」を開催
コクヨグループは、ファニチャーを中心としたグループの新製品を紹介する「2006 コクヨ
フェア(KOKUYO 100th Anniversary Fair)
」を昨年11月17、18の2日間、当社東京ショール
ームで開催しました。創業100周年を記念した今回のフェアでは、製品のほか、コクヨグループ
100年間の歩みなども紹介しました。
フェアのテーマは「KOKUYO Symphony(コクヨ シンフォニー)
」
。お客様の声を訊き、それ
に応えたいという当社の願いを、
「共に響きあう」という意味の単語「Symphony」に込めました。
会場には100周年にちなんで、歴代のコクヨ製品が並ぶ「History100」
、色や形の違う100脚の
コクヨのイスなどを集めた「Product100」
、近未来のセキュリティ技術を紹介する「Secure100」
などのコーナーが設けられ、2日間で約7,000人が来訪し、盛況を博しました。
電子暗記カード「memoribo(メモリボ)
」を発売
コクヨS&T(株)は、電子暗記カード「memoribo(メモリボ)
」を発売しました。重量約50グラ
ムの軽さで、最大で暗記カード2,000枚分の質問・解答を手軽に持ち歩けます。
専用コンテンツとして旺文社「英単語ターゲット1900」が付属するほか、専用アプリケーションを
使って、覚えたいことをユーザー自身がパソコン経由で入力・編集することが可能 となっています。
「漢字ターゲット1700」などのコンテンツもホームページから無料でダウンロードできます。
ボタン操作ひとつで画面上の問題と解答の切り替えが可能で、ページを自動的に送る「自動再生機
能」
、問題をランダムに表示する「シャッフル機能」
、電源を切ったページを記憶する「しおり機能」
など、多彩な学習モードを搭載しています。
7
「ドットライナー」がミリオンセールスを達成
コクヨS&T(株)が販売している日本初のドットパターンのテープのり「ドットライナー」が、
発表8ヶ月目で売上100万個を達成しました。
(平成18年3月末時点では160万個)
「ドットライナー」は、新開発ののりと独自のシリコン製ローラー式ヘッドを用いた、のりが
ドット(= 点)状に粘着するテープのり。従来のテープのりに比べ、塗りムラが無く、のり切れ
も良いのが特徴です。封かんなどの事務作業を行うユーザー層から高い支持を頂戴しており、今
年2月には、使いきりミニタイプの「ドットライナーミニ」も発売しています。今後もラインナ
ップを充実させ、ユーザー層の拡大を目指します。
ベトナムに文具の工場を建設
コクヨグループは、ベトナム北部のハイフォン市に事務用品の製造会社を設立、新生産工場の建
設に入りました。今年8月に第一期工事が竣工する予定です。ベトナムは優秀な労働力を低賃金で
確保でき、政治・社会情勢も安定していることから、近年投資対象国として注目されています。
新会社の名称は「KOKUYO VIETNAM Co.,LTD.」
。資本金は800万米ドルで、当社グループ企業
2社が全額を出資しています。新工場では主に事務用文具、紙製品などを生産する予定をしていま
す。当面は、生産量の大半は日本へ輸出します。
今後はより一層のコストダウンの推進と共にアジア諸国への輸出拠点となることを目指します。
(完成予想図)
「霞ヶ関ライブオフィス」をリニューアル
コクヨオフィスシステム(株)は、同社のオフィスを兼ねたワークプレイス提案型ショールー
ム「霞ヶ関ライブオフィス」をリニューアルしました。オフィスではたらく社員にとって活動的
にストレスなく働ける環境を整備するとともに、ワーカーの持っている力を効果的に引き出すオ
フィススペース(Real WorkPlace)とITツール(Virtual WorkPlace)のベストな組み合わせを構築
しています。また、セキュリティ面においても、社内情報の漏洩を防止するように最新鋭の仕組
みを整備しています。
8
特集2:コクヨ今昔物語
「正100枚」に込められたコクヨの“心”
今はもう、ほとんど見かけることもなくなった「和式帳簿(和帳)」。
この和帳こそ、コクヨが初めて手掛けた完成品。
後のステーショナリー国内ナンバーワン企業への原点となった一品でした。
そして、その表紙には誇らしげに「正100枚」の文字が描かれていたのです。
﹁業
正界
1の
0常
0識
枚を
﹂破
っ
た
創業者・黒田善太郎がコクヨの前身となる
「これはおかしい。お客
「黒田表紙店」を興したのが明治38年。和帳の
様に嘘を付いていることに
表紙のみを下請け製造するという、ほんの小
なるじゃないか」
。善太郎は
さな仕事が出発点でした。善太郎は昼夜なく
そう考えました。使う人を
働き、注文も増えていきましたが、労力の割
第一に考え、使う人に正直
には利益が上がりません。表紙の価格が和帳
であること。それが善太郎
全体の5%に過ぎなかったからです。そこで創
の信念だったからです。善
業から3年目、善太郎は和帳自体を作る決心を
太郎は、自分の和帳では帳
したのでした。
簿紙をきちんと100枚挟もう
善太郎は市販の和帳を手当たり次第研究し、
意外なことに気付きます。ほとんどが「中身
紙に「正100枚」という表記
100枚」を名乗りながらも、実際には96枚の帳
を載せました。紙数を増や
簿紙しか挟まれていなかったのです。人に聞
せば費用はかさみます。しかし、お客様に納得してもらうこ
くと、表紙なども入れて100枚とするのが業界
との方が大切、と考えたのです。
の習慣だ、という理由でした。
9
と決心し、その証として表
品
質
へ
の
こ
だ
わ
り
善太郎は、「正100枚」の「正」に、もう
一つの意味を込めました。それは、「正しい
品質」であるという誇りです。当時の和帳
用紙には、筆で書き込みやすいよう、ざら
ついた和紙が使われていました。しかし、
急速に普及してきていた西洋式のペンだと、
ペン先が紙に引っかかってすぐに破れたり
していたのです。もうすぐペンの時代が来
る、と予想していた善太郎は、ペンでも使
いやすい紙質にこだわり、製紙会社に頼ん
で滑らかな紙を特別に作ってもらいました。
また、最後のページまできちんと使い切れ
誇
り
と
精
神
は
今
も
な
お
「正100枚」の和帳はたちまち消費者の心
を掴み、当時の業界に衝撃を与えました。あ
る時善太郎は同業者たちから呼び出され、
「正100枚」の製造を止めるよう迫られます。
しかし、善太郎は信念を曲げません。「皆様
も同じものを作ればよい。世の中は『正100
枚』のものを求めているのですから」と、毅
然と言い放ったのです。結局は、善太郎のや
り方が業界に浸透していき、昭和24年には
JIS規格で品質や表示についてのルールが定
められました。善太郎の心意気は、世間を30
年以上もリードしたものだったのです。
るよう、後ろの2、3枚には手漉きの丈夫な
紙を使ったのでした。使いやすい「正しい品質」の紙が、
「正100枚」の和帳はその後のコクヨの主力製品となり、
確かに「100枚」入っています。それが、「正100枚」の表
大正から昭和の初めにかけて製造のピークを迎えます。そ
記に善太郎が込めたメッセージでした。
の後は洋式帳簿にその座を譲りましたが、昭和23年に善太
郎の決断で製造を打ち切るまで、黎明期のコクヨを支え続
けました。
和帳はなくなりましたが、「正100枚」の表記は今でも、
コクヨの書翰箋(便箋)の表紙で生き続けています。そし
てその誇りと精神は、コクヨの手掛ける製品全ての中で、
変わらず息づいているのです。
10
連結財務諸表
連結貸借対照表(要旨)
(単位:百万円)
当 期
科 目
連結剰余金計算書
前 期
(単位:百万円)
当 期
科 目
平成18年3月31日現在 平成17年3月31日現在
前 期
自 平成17年4月 1 日 自 平成16年4月 1 日
至 平成18年3月31日 至 平成17年3月31日
資本剰余金の部
資産の部
Ⅰ流動資産
134,327
130,482
Ⅰ資本剰余金期首残高
Ⅱ固定資産
180,244
161,168
Ⅱ資本剰余金増加高
資産合計
314,572
291,651
負債の部
自己株式処分差益
Ⅲ資本剰余金期末残高
Ⅰ流動負債
83,594
71,996
Ⅱ固定負債
37,468
32,271
121,062
104,268
負債合計
少数株主持分
少数株主持分
339
資本の部
19,066
―
1
―
1
19,068
19,068
153,828
154,696
4,144
5,206
利益剰余金の部
Ⅰ利益剰余金期首残高
Ⅱ利益剰余金増加高
当期純利益
1,677
19,068
Ⅲ利益剰余金減少高
配当金
4,144
5,206
3,241
6,075
2,257
1,842
Ⅰ資本金
15,847
15,847
役員賞与
61
63
Ⅱ資本剰余金
19,068
19,068
連結子会社増加に伴う減少高
922
335
Ⅲ利益剰余金
154,731
153,828
連結子会社除外に伴う減少高
―
553
12,004
5,894
持分法適用会社減少に伴う減少高
―
3,279
154,731
153,828
Ⅳその他有価証券評価差額金
Ⅴ為替換算調整勘定
9
△577
Ⅵ自己株式
△9,829
△7,017
資本合計
191,832
187,043
負債、少数株主持分及び資本合計
314,572
291,651
Ⅳ利益剰余金期末残高
連結キャッシュ・フロー計算書(要旨)
(単位:百万円)
当 期
科 目
連結損益計算書(要旨)
(単位:百万円)
当 期
科 目
Ⅰ売上高
Ⅱ営業利益
自 平成17年4月 1 日 自 平成16年4月 1 日
至 平成18年3月31日 至 平成17年3月31日
Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
11,488
10,168
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
△17,217
△20,778
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
2,058
7,074
303,959
283,518
Ⅳ現金及び現金同等物に係る換算差額
13
△2
14,105
12,158
Ⅴ現金及び現金同等物の減少額
△3,656
△3,537
16,261
Ⅲ経常利益
15,598
12,573
Ⅵ現金及び現金同等物の期首残高
12,807
Ⅳ税金等調整前当期純利益
10,154
12,122
ⅥⅠ連結子会社増加に伴う現金及び現金同等物の増加高
130
83
4,144
5,206
ⅤⅢ現金及び現金同等物の期末残高
9,280
12,807
Ⅴ当期純利益
11
前 期
前 期
自 平成17年4月 1 日 自 平成16年4月 1 日
至 平成18年3月31日 至 平成17年3月31日
個別財務諸表
個別貸借対照表(要旨)
(単位:百万円)
当 期
科 目
利益処分計算書
(単位:百万円)
前 期
平成18年3月31日現在 平成17年3月31日現在
科 目
当 期
当期未処分利益
資産の部
Ⅰ流動資産
34,273
37,085
固定資産圧縮積立金取崩額
Ⅱ固定資産
200,078
184,901
合 計
資産合計
234,351
221,986
Ⅰ流動負債
17,177
10,047
Ⅱ固定負債
30,286
26,174
負債合計
47,463
36,221
Ⅰ資本金
15,847
15,847
Ⅱ資本剰余金
19,066
19,066
退職給与積立金
Ⅲ利益剰余金
149,832
151,941
配当準備積立金
11,968
5,926
(1株当たり配当金)
役員賞与金
資本の部
Ⅳその他有価証券評価差額金
Ⅴ自己株式
△9,827
△7,016
資本合計
186,887
185,765
負債、少数株主持分及び資本合計
234,351
221,986
個別損益計算書(要旨)
7,011
906
1,351
(うち監査役賞与金)
次期繰越利益
普通配当7円50銭
(普通配当7円50銭) 創業100周年記念配当
3円50銭
50
61
(−)
(5)
100
100
100
100
3,548
5,398
※1.平成17年12月9日に906百万円(1株につき7円50銭)の中間配当を実施
しました。
2.固定資産圧縮積立金の取崩額は、租税特別措置法の規定に基づくもの
です。
前 期
14,468
Ⅱ営業利益
3,009
796
Ⅲ経常利益
3,809
2,420
Ⅳ税引前当期純利益
△176
1,368
Ⅵ当期未処分利益
332
4,704
自 平成17年4月 1 日 自 平成16年4月 1 日
至 平成18年3月31日 至 平成17年3月31日
Ⅰ営業収入
Ⅴ当期純利益
6,679
1
(単位:百万円)
当 期
科 目
4,702
これを次のとおり処分します。
利益配当金
負債の部
前 期
91,851
210
338
4,702
6,679
12
連結子会社一覧
コクヨ株式会社は、平成16年10月に持株会社制に移行しました。
各事業会社は、製造・サービス・販売に分かれ、各社が顧客起点に立脚した
新しい成長戦略を実行しています。
コクヨ事務用品工業株式会社
事 業 会 社
コ ク ヨ 株 式 会 社
株式会社コクヨ工業滋賀
株式会社アーベル
コクヨS&T株式会社
コクヨファニチャー株式会社
社 長
コクヨ(マレーシア)
コクヨオフィスシステム株式会社
株式会社アクタス
株式会社カウネット
コクヨ東京販売株式会社
監査役会
株
主
総
会
コクヨ西関東販売株式会社
取締役会
コクヨ中部販売株式会社
コクヨ近畿販売株式会社
持株会社
戦略スタッフ
コクヨ中国販売株式会社
国誉貿易(上海)有限公司
コクヨ九州販売株式会社
国誉商業(上海)有限公司
コクヨエンジニアリング&テクノロジー株式会社
コーポレート
R&D
国誉装飾技術(上海)有限公司
コクヨストアクリエーション株式会社
コクヨインターナショナルアジア
コクヨインターナショナル株式会社
コクヨビジネスサービス株式会社
コクヨファイナンス株式会社
株式会社コクヨロジテム
株式会社ネットコクヨ
フォーレスト株式会社
製 造
サービス
販
売
本社・事業所・営業所
■本 社オフィス 〒537-8686 大阪市東成区大今里南6丁目1番1号 TEL.06-6976-1221( 大代表 )
■東京品川オフィス 〒108-8710 東 京 都 港 区 港 南 1 丁 目 8 番 3 5 号 TEL.03-3450-5111( 大代表 )
コクヨショールーム
■東京ショールーム 〒108-8710 東 京 都 港 区 港 南 1 丁 目 8 番 3 5 号 TEL.03-3474-6006(ショールームに関するお問合せ)
■大阪ショールーム 〒537-8686 大阪市東成区大今里南6丁目1番1号 TEL.06-6976-8200(ショールームに関するお問合せ)
13
会社概要
平成18年3月31日現在
会社概要
平成18年6月29日現在
役員
●創
業 明治38(1905)年10月
●資
本
金 158億円
● 従 業 員 数 (単体)187名 (連結)4,747名
● 上場証券取引所 東京・大阪・名古屋
● 事 業 内 容 持株会社
●事
業
所
本
社 〒537-8686 大阪市東成区大今里南6丁目1番1号
TEL
(06)
6976-1221
(大代表)
営 業 拠 点 東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡
生 産 拠 点 三重、千葉、滋賀、鳥取
海 外 拠 点 アメリカ、ドイツ、中国、タイ、マレーシア、
ベトナム、インド
代表取締役会長
代表取締役社長
専 務 取 締 役
取
締
常 任 監 査 役
監
査
役
平成18年3月31日現在
株式情報
役
黒田 障之助
曉
黒田 章裕
黒田 錦吾
黒田 康裕
岡村 礼三
小谷 洋一
大久保俊文
上田 義一
尾 山竒
司
森川 卓也
川田 文郎
関口 要蔵
松元 保磨
播磨 幸夫
発行済株式総数 ………………………………………………………128,742,463株
発行可能株式総数 …………………………………………………398,000,000株
名義書換及び株式数
当期の名義書換件数 …………………………………………………………1,207件
当期の名義書換株式数 ……………………………………………12,408,469株
当期末現在株主数 ……………………………………………………………14,021名
〈所有株数別〉
株主名
コクヨ(株)
コクヨ共栄会
日本トラスティ・サービス信託銀行(株)
(信託口)
日本マスタートラスト信託銀行(株)
(信託口)
(財)黒田緑化事業団
コクヨ共和会
(株)三井住友銀行
黒田耕司
全国共済農業協同組合連合会
(株)黒田興産
計
100,000株以上(125名)
97,271千株
75.55%
発行済株式総数に対する
所有株式数(千株) 所有株式数の割合(%)
7,915
7,133
6,547
5,351
3,403
2,964
2,650
2,604
2,439
2,115
43,124
6.15
5.54
5.09
4.16
2.64
2.30
2.06
2.02
1.89
1.64
33.50
※千株未満を切り捨てています。
1,000株以上(5,673名)
1,000株未満(6,982名) 10,468千株
5,000株以上(675名)
8.13%
1,527千株
4,388千株
1.19%
3.41%
128,742千株
平成18年3月31日現在
大株主
平成18年3月31日現在
所有者区分別株式分布状況
10,000株以上(493名)
9,960千株
7.74%
50,000株以上(73名)
5,125千株
3.98%
自己名義株式(1名)
7,915千株
6.15%
金融機関(87名)
34,083千株
個人その他(12,422名)
26.47%
33,706千株
26.18%
証券会社(34名)
14,021名
417千株
0.32%
〈所有者別〉
外国法人等(200名)
13,973千株
10.85%
その他の法人(1,277名)
38,645千株
30.03%
※千株未満を切り捨てています。
14
株式のご案内
事
業
年
度
毎年4月1日から3月31日まで
定 時 株 主 総 会
毎年6月開催
基
定時株主総会 毎年3月31日
期 末 配 当 金 毎年3月31日
中 間 配 当 金 毎年9月30日
準
日
(郵便物送付先) 〒183-8701
東京都府中市日鋼町1番10
住友信託銀行株式会社 証券代行部
( 電 話 照 会 先 ) 住所変更等用紙のご請求 70120-175-417
その他のご照会
70120-176-417
(インターネットホームページURL)
http://www.sumitomotrust.co.jp/
STA/retail/service/daiko/index.html
同
住友信託銀行株式会社
全国各支店
その他必要ある時は、
あらかじめ公告して定めた日。
株主名簿管理人
大阪市中央区北浜4丁目5番33号
住友信託銀行株式会社
同事務取扱場所
大阪市中央区北浜4丁目5番33号
住友信託銀行株式会社 証券代行部
取
次
所
公 告 掲 載 新 聞
日本経済新聞
上場証券取引所
東京・大阪・名古屋
ホームページのご案内
コクヨのホームページ(http://www.kokuyo.co.jp/)では、決算短信や事
業報告書などのIR情報のほか、プレスリリースや最新の商品情報、創
業100周年を記念した「コクヨ100年物語」などがお読み頂けます。ぜ
ひ一度お立ち寄り下さい。
〒537-8686 大阪市東成区大今里南6丁目1番1号 TEL(06)6976-1221(大代表)
http://www.kokuyo.co.jp/
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