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ロービジョンケアによって就労継続が可能であった 原発開放

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ロービジョンケアによって就労継続が可能であった 原発開放
427
症
例
報
告
ロービジョンケアによって就労継続が可能であった
原発開放隅角緑内障の1例
松浦将人・石井雅子・張替涼子・福地健郎
新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻
感覚統合医学講座視覚病態学分野
It is One Example of The Primary Open-angle Glacoma for which
The Continuation of Working was Possible by Low Vision Care
Masato MATSUURA, Masako ISHII, Ryoko HARIGAI and Takeo FUKUCHI
DL
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no
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I
・
S
J
わ,
要
旨
中途視覚障害者 が就労 を継続す るためには,正確 な視機能評価 を行 った上で,それ に基づ い
て適切 な視環境 を整 えることや,心理的サポー トが重要 と され るが,本 人の就労への強 い意志
も必要 で ある.症例 は 58歳,男性.原発開放隅 角緑 内障のために右眼 は光覚 を失 い,左眼 は視
力低下 お よび緑 内障性視野狭窄のために就労 に支障 をきた した.復職 を目的 に入院 中に ロー ビ
ジ ョン外来 を受診 した.復職後 も近 見作業 の困難 に対応 した視覚補助具の選定 ・処方 および失
明に対す る不安への心理 的サボ- 卜を中心 として 9年間 に渡 りロービジ ョンケアを継続 中であ
る.障害者の就労 を支援 す るために必要 とされ る情報提供 を行 うことで,日常生活用具 および
補装具の申請,障害者雇用率制度 での雇用等の障害者手帳 のサービスを使 った社会資源の活用
が可能 となった,眼科医療の中での ロー ビジ ョンケアは,就労継続 に有用で あった.
キーワー ド :
緒
言
息 で あ る 1).大規 模 な緑 内障 の疫 学 調 査 で あ る多
0歳 以 上の 日本 人 の緑 内障有
治 見 ス タデ ィで は,4
本邦 において緑 内障 は視覚 障害 の原 因の首位 疾
Re
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a951-8
51
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pa
n
0% で あ る こ とが報 告 され て い る 2).縁
病 率 は 5.
別刷請求先 :〒9
5卜 8
51
0 新潟市 中央区旭町通 1-7
5
7
新潟 大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学
専攻感覚統合医学講座視覚病態学分野
松 浦 将 人
428
新潟 医学会雑誌
第1
2
7巻
第 8号
平成 2
5年 (
2
01
3)8月
湖崎分類(
動的量的視野における病期分類)
/
之までのもの
Ⅲ期:
中期緑内障でGPのV4視野が狭窄し、それが1
a
.V4視野の狭窄が1
/
4までのもの
図 1 ロービジョン外来初診時の左眼ゴール ドマン視野
内障 は慢性疾患であ り,無症状の ままゆっくりと
家族歴 :特記事項な し.
緩慢 に視機能 が障害 され るため,自覚症状 が現れ
現病歴 :小学生の頃 より強度近視のため視力不
た時 に はか な り病 状 が進 行 し患 者 の生 活 の 質
良でハ ー ドコンタク トレンズ (
以下 ,HCL) を装
q
ua
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i
t
yo
fl
i
f
e(
QOL)が極端 に損 なわれ,就労 を
4歳頃 より視野欠損 を自覚 した.3
9
用 していた.2
諦め ることが多い.中途視覚障害者の就労に関 し
歳時に近医にて左眼の円錐角膜 を指摘 された.4
0
ては就労 を促進す るための様々な取組がな されて
歳時に右眼 に霧視 を自覚 し緑 内障 と診断 され,精
い る 3).しか し視覚障害者 が仕事 を継続 させ るこ
査加療 目的で当科 を紹 介受診 した.視 力 は右眼
とは他の障害 に比べて厳 しい状況下にある 4).眼
0.
01(0.
5× - 21
.
O
D〇c
y1- 1
.
O
DAx1
6 0) 左 眼
科医療の中での受障早期か らの ロービジ ョンケア
0.
0
3(
0.
4× - 1
9.
OD),眼 圧 は右 2
9
mmHg,左
2
0
mmHgであった.両眼共に緑内障性視野障害 が
譜め られ,原発開放隅角緑内障 と診断 された.4
9
は保有視機能 を最大限 に活用 し Q
OLの保全 を目
指す ことが可能であり,さらに教育,福祉,労働機
関 と連携することで就労 を支 えることができる 5).
緑内障の治療 と平行 して 9年間に渡 りロービジ
ョンケアを行い,就労 を継続 している症例 を経験
したので報告する.
0
歳時に右眼線維柱帯切開術,5
7歳時に右眼超音波
切除白内障乳化吸引術,眼内 レンズ挿入術および
左眼線維柱帯切開術 を施行 された,点眼治療 と手
術治療 を受 けたが眼圧 コン トロール不良の ため,
右眼は光覚 を失い,左眼 は視力および視野障害が
症
例
進行 した.左眼の緑内障手術のための入院中に当
科 ロービジ ョン外来 を受診 した.
患
者 :4
9歳,男性.
既往歴 :特記事項な し.
0
0
4
ロービジ ョン外来 での視機能検査成績 :2
年 6月 (
49歳時)遠見視力は右眼光覚弁な し,左
4
2
9
松浦他 :ロービジョンケアによって就労継続が可能であった原発開放隅角緑内障の 1例
泰\
恥拭)
世瑚■滋
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k
L
文字サイズ 暮
ogMARt
pt
I
最 大読書 速度 :文字 サ イズが適 当な場 合(
臨界 文字 サ イズ より大きい)
に得 られ る読 書 速 度 の 平 均値
臨界 文 字サ イズ :効率 よく読 める(
最 大読書 速 度 で読 める)
文字 サ イズの最 小値
読 書視 力:なん とか読 む ことができる最 小 の文 字 サ イズ
図 2 MNREAD-Jによる読書曲線
眼 (
0
.
4
pX-2
2
.
7
5
D。
c
yll 4
.
5
DAxl
l
O
o )
,ゴ ー
a(湖崎分類 )
ル ドマ ン視野 は右眼消 失,左眼 は Ⅲ
で あったことか ら網膜像 を拡大す る 目的で作業距
離 を短 く した ハ イパ ワ ー プ ラ ス眼 鏡 (
処方値
(
図 1
),ハ ン プ リー視 野 の 左 眼 の MD値 は -
R :- 1
2
D,L :- 1
6
D〇
c
y1- 4.
O
DAxl
l o) を
21
.
2
5
dBで あった.2
01
0年 2月,MNREAD-Jに
処 方 した.読 書評価 の結果 か ら,作業効率 を向上
よる読書評価 で は,通常 チ ャー ト (
黒文字,白背
LED
させ るため に眼 鏡 と併 用 す る近 用 拡 大 鏡 (
O
3
0,
3
6文字/分,臨界文字
景 )の最大読書速度 は 1
ライ ト付 き手持 ち型 2
0
D) を選定 し,使 い方の指
サ イズ は 1
.
1
0l
o
gMAR 読 書 視 力 は 0
.
9
6
l
o
gMAR,
導 を した上 で処 方 した.電 子ル ーペ と拡大読書器
反転 チ ャー ト (
白文字,黒背景)の最大議書速度
のデモ ンス トレーシ ョン, 白黒反転定規 や リーデ
は1
01
.
7
1文字/分,臨界文字サ イズは 1
.
1
0l
o
gMAR,
ィングス リッ トなどの低視覚者 に対 して も見やす
.
4
8
l
o
gMARで あった (
図2
)
.2
01
2年
読書視 力は 0
い タイポスコープ類 の紹 介,視覚 障害者向 けのパ
9月 (
5
8歳時),遠見視力は左眼 0
.
0
8(
0
.
4
pX- 3
.
0
5 ,左 眼 の ゴ ール ドマ ン視 野
D^
c
y
1- 2
.
O
DAx6
湖崎分類),左眼のハ ンプ リー視野の MD
は Ⅲa (
値 は- 2
3
.
9
4
d
Bで あった.
ー ソナル コンピュー タ (
以 下パ ソコ ン)のハ イコ
0 )
ロービジ ョンケアの経過 :ロービジ ョン外来初
ン トラス ト画面設定 や文字拡大 ソフ トの指導 を行
った.就業継続 への不安 に対 して は障害者雇 用率
NPO 法人
制 度 お よび障害 者就労継 続 支援 団体 (
ター トル)の情報提供 を行 った.
諺 (
4
9歳時)のニ-ズは,退院後の職場復帰の た
5
1歳時,身体障害者手帳 (
硯覚 障害 )5級 を取
めの近用眼鏡の処方 で あった.仕事 は一般企業 で
得 した.近見作業 で不 自由 を感 じる ことが多 くな
の経理 を担 当 していた.近見視 力検査 の結果,左
り,仕 事 に困難 を きたす こ とが 多 くな った ため,
眼 に- 1
6.
O
D〇
c
y
1- 4.
O
DAxl
l
Ooを装 用 す るこ と
パ ソコ ンのハ イコン トラス ト画面設定の再指導 お
c
m で 0.
5の近見視標の視認が可能
で,作業距離 6
よび音声パ ソコ ン教室 の情報提供 を行 った.日常
4
3
0
新潟医学会雑誌
第1
2
7巻
第 8号
平成
2
5年 (
2
01
3)8月
表 1 ロー ビジ ョンケ アの内容
処方
49歳 時
51
歳時
情報捷供
指導
ハイパワープラス眼鏡
近用拡大鏡
t子ル-ペ
近用拡大鏡 (
L
EDライト付き手持ち型 2
0
D)
/{
ソコン関連情報 (
ハイコントラスト画面設定.
拡大鏡ソフト) 拡大読書量
タイポスコ
陣害者就労継続支援団
陣書者雇用串制度
ープ
怖く
NPO法人タートル )
近用達光線焦 (
東海光学ccP
4
0 TS)
拡大喜
先暮静
音声パソコン教室
V1
0
0
)
据えtき型拡大玩暮器 (
アシストビジョン.
ネオ A
身体障害者手帳
/
i
t
Jコン関連情報(
現先幹
(
ハイコント
事)
5
ラスト
故 画面設定)
白杖
53歳 時
遠用遮光眼鏡 (
東海光学CCP
4
0
0TS)
携帯型拡大醗暮器 (
センスビュー)
身体樺害者辛味(
視覚 )
2
枚
陣穿揮生年金2
級
54歳 時
屋外用達光オーバーグラス(
東海光学 S
TG4
0
0SC)
b
.
視野推移
a
.
視力推移
0
8
定量
0
6
∼:
輝
○)
︻
4g歳時
51
歳時
53歳時
5
4歳時
56歳時
58歳時
49%嘩
与喝 嘩
軸 晦
SG
j
晦
軸 嘩
( )内は小数視力
※ 5
3歳5
4歳時 は ハー ドコンタクトレンズで領 正
図 3 視機能の変化 (
左眼)
生活用具 と して据 え置 き型拡大読書器 (
アシス ト
くっ きりして コ ン トラス トが向上 して具合 がよい
O
O) を入手 し家庭 で使 用 し
ビジ ョン ・ネオ AVI
との ことであった.近見作業 での義 明感 に対応す
た.仕事 での書字 に対応す るため拡大読書器での
るため HCL上 か ら装 用す る近用遮光眼鏡 (
処方
書字練 習 を行 ったが,この時点 では本 人は職場 で
値
の拡大読書器の使用 に抵抗感 があったため読書器
を処方 した.歩行 は左眼のみの単眼視 で あること
R:+3
.
O
D,L:+3
.
O
D東海光学 CCP
4
0
0
TS)
を自宅 に設置 し,必要 に応 じて仕事 を持 ち帰 る対
に加 え,左眼鼻側視野 の欠損 の ため,右側 の周辺
応 を行 って いた.拡大読書器 は白黒反転 モ ー ドが
状況 が確認 しに くく,人や ドアな どに当 た ること
松浦他 :ロービジョンケアによって就労継続が可能であった原発開放隅角緑内障の 1例
が多い とい う訴 えがあった.白杖の機能 と有用性
4
3
1
してゆ く予定で ある.
についで 情報 を提供 し,必要 に応 じて使用す るこ
とを提案 した.
考
察
53歳時,視力および視野 が低下 し身体障害者手
帳 (
視覚障害 ) を 2級 に級変更 した.障害厚生年
障害 を もつ者 が仕事 に就 くことは困難 が伴 う.
金 2級 に該 当 したため本人の意向 を確認 し申請 し
特 に視覚障害者 に とって文字の 「
読み」と 「
書 き」
た.外出時の蓋 明感 に対応 して HCL上 か ら装用
が大 きな壁で あるために,就業 が厳 しい状況 で あ
す る遠 用遮光 眼鏡 (
処 方値 R :- 3
.
O
D,L :-
る.中途視覚障害 では就業先 の適切 なサポー トや
3.
O
D東海光学 CCP4
0
0
TS) を処方 した.携帯型拡
0
0
8年
理解 がな く離職す るケースが少な くない.2
大読 書器 (
セ ンス ビュー) は 目立 たず に使 用 で
の厚生労働 省社会 ・援護局障害福祉部企画課の調
普,白黒反転画面 も利 用で きるため職場で使用の
重 では,視覚障害者 の就業率 は 21.
4%で る.そ し
希望 があった.前回の据 え置 き型拡大読書器の申
て,就業者の 29.
4%が伝統 的職業 と して三療 (
あ
請 よ り 8年以内で あったが,自治体の裁量で 日常
ん まマ ッサ ー ジ指圧 ,は り,きゅう) に従事 して
生活用具 と して公費で入手す ることがで きた.
いる (
h仕p:
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www.
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5
4歳時,眼の保護 と眼が不 自由で あることを示
す 目的で屋外用遮光 オ ーバ ーグ ラス (
処方値 度
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gy)技 術 の 進 歩 や普 及 に よ り,
な し東海光学 STG4
0
0
SC) を処方 した.
パ ソコ ンの画面文字の拡大や音声 ソフ トの利用で
55歳時,勤務 していた会社の関連子会社 に出向
文字処理 が克服 で きるよ うになってか ら事務系職
した.業務の内容 は これ まで と同様 の経理 を中心
種 の職域拡大 が進 んでい る.しか し,祝電 障害者
と した事務仕事 を担 当す ることになった.その会
4% と身体障害者 の中で
の事務職への就職率 は 7.
社 は障害者雇用給付金制度 を利用 して介助者 を置
最 も低 い率で ある 6).
き,重度障害者 を多数雇用 していた.書類 などの
本症例 は就労継続 を目標 と して 9年 間に渡 って
拡大 コピーや移動の際の介助 を して くれ るなどの
医療機 関で,病状 に合わせて ロー ビジ ョンケアを
障害 に対 しての理解 があった.以前 よ りもパ ソコ
行 った.その結果,企業の経理担 当 と して就労継
ンの人力作業が増 えた ことで拡大鏡 ソフ トを使用
続 が可能 で あった.障害者 に理解の ある会社 で あ
し作業姿勢,キーボー ドや原稿 などの配置 につい
るところ も大 きいが,視機 能 の状態 に合 わせ て,
て も工夫す ることを勧 めた.
近見作業 に用 い るパ ソコン,拡大読書器 お よび タ
5
8歳時,左眼の白内障手術 を施行 した.術後の
イポスコープを駆使 して文字処理 を克服 した こと
屈折変化 によ り近 見矯正 は不要 となった.屋外で
が功 を奏 した と考 える.また,適切 な時期 に身体
の義 明が軽減 し,遮 光眼鏡 も不用 となった.職場
障害者手帳 を取得 し拡大読書器 を日常生活用具 と
に も据 え置 き型の拡大読書器 を置 き,近業作業 は
して,遮光眼鏡 および矯正眼鏡 を補装具 と して申
用途 に応 じてパ ソコンまたは据 え置 き型および携
請 で 重,さらに障害者給付金制度 を利 用 しての雇
帯型拡大読書器の 3種類の機器 を用いて対応 し仕
用 が可能 とな り就労 にあたって介助者 がつ いたこ
事 は概 ね うまくい っていた.しか し,左眼の白内
となどの社会資源の活用が十分で あった ことも就
障の進行か ら右眼の ように失明す るのではないか
労継続 を可能 とした要因 と考 える.
とい う不安 を抱 えてお り,心理 的サポー トに努め
中途視覚障害者 が保有視機能 を活用 して社会生
た.定年 まで 2年 あるが子供の教育の こともあ り,
活 を円滑 にお くるため には,医療機 関 は十分 な視
定年以降 も働 きたい と希望 してい る.年齢別の ロ
機能評価 を行 った上で,早 い時期 か ら労働 諸機 関
ービジ ョンケアの内容 を表 1に示 した.ゆっ くり
や福祉 と連携 し治療 と平行 して適切 なロー ビジ ョ
ではあるが視機能 は低下 してお り (
図 3),今後 も
ンケア を行 う必要 がある.ロー ビジ ョンケアが受
仕事の困難度 に対応 した ロービジ ョンケアを継続
障者の QOLの維持 ・向上 に有 用で あ ることは明
4
32
新潟医学会雑誌 第 1
2
7巻 第 8号 平成 2
5年 (
2
01
3)8月
参考 文献
らかで あ る 7).また, 高橋 らは就 労 の継 続 や復帰
は,本 人 の強 い意 思 と早期 の眼 科 医療 の 中での ロ
ー ビジ ョンケアが大切 だが,支援 者 や職 場 の協 力
も必要不可 欠で ある と報 告 して い る 6).
本症例 には就学 中の子供 が 2人 い た.その ため
子供 が成 人す るまで は一家 の大黒柱 と して経済的
な家庭崩壊 を免れ るため に働 きたい とい う強 い意
思 が就労継 続への意欲 と して働 いた結果 と思 われ
る.
ロー ビジ ョンケアに よ り,
眼 が見 えに くくて も,
1) 日本眼科 医会研 究班報告 2
00- 20
08 :日本 に
おける視覚障害 の社会的 コス ト.日本の眼科 8
0
付録 9-l
l
,
20
09.
2)I
wa
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e
va
l
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ha
l
mo
l
o
g
y,1
1
6
41-11
6
48,
200
4.
3)NPO法 人 ター トル :視感覚障害者 の就労の基
盤 となる事務処理技術及び医療 ・福祉 ・就労機
見 えな くて も仕事 がで きるとい う情報 が事例 を交
関の連携 による相談支援の在 り方 に関す る研究
えて適宜提 供 され る ことが有効 で あ る.視覚 障害
報告.平成 2
0年障害者保健福祉推進事業 (
障害
,
者 の就 労 には 「で きる こと」 と 「で きない こと」
者 自立支援調査研究 プロジェク ト).2
00
9.
を判断 し,自分 自身の能 力 を最大限 に活 かす こと
4)築島永- :中途視覚障害者の職場復帰 を考 える.
が重 要 で あ り周 囲 に理 解 と必 要 な手 助 け を求 め,
日本 ロービジ ョン学会誌 3:1
5-1
8,
2
003.
5)高橋 宏 :働 く視覚障害者への支援 「ロービジ
工夫 や制度 の活用 な ど環境 を変 える対応能 力 が必
要 で あ る.医療側 か らそ うい った情報 が必要 時 に
伝 え られ る ことで,視機 能 が低 下 して も無 用 な不
安 を引 き起 こす ことな く,冷静 な対応 が とれ るこ
とが望 まれ る.中途視覚 障害者 の就 労 の継 続 に医
療側 の果 たす役割 は大 きい.
ョンケア」 を知 ってい ますか.労働 の科 学 65,
3
0-43,
2
01
0.
6) 高橋
宏,工藤正一 :視覚障害者の就労の現状
と課 題 .日本 ロー ビジ ョン学 会 誌 9:1
3-1
8,
20
09.
7)永井春彦 :眼科医療機 関での ロービジ ョンケア
の実際 と課題.眼紀 50:
907-91
1
,1
9
99.
(
平成 25年 2月 2
2日受付)
Fly UP