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石油精製等高度化技術開発 (PDF形式:1659KB
石油精製等高度化技術開発 プロジェクト評価(事後)報告書 平成21年3月 産業構造審議会産業技術分科会 評 価 小 委 員 会 はじめに 研究開発の評価は、研究開発活動の効率化・活性化、優れた成果の獲得や社会・経済へ の還元等を図るとともに、国民に対して説明責任を果たすために、極めて重要な活動であり、 このため、経済産業省では、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成17年3月29日、 内閣総理大臣決定)等に沿った適切な評価を実施すべく「経済産業省技術評価指針」(平成1 7年4月1日改定)を定め、これに基づいて研究開発の評価を実施している。 経済産業省において実施した、「石油精製等高度化技術開発事業」は、石油製品を製造す る工程における廃棄物、排出物の低減やエネルギー使用の効率化を図るため石油精製設備 等の一層の高度化を進めるために必要となる技術開発をするため、平成15年度から平成19 年度までの5年間、実施したものである。 今回の評価は、この「石油精製等高度化技術開発事業」の事後評価であり、実際の評価に 際しては、省外の有識者からなる石油精製等高度化技術開発事業事後評価検討会(座長:菊 地 英一 早稲田大学理工学術院応用化学科 教授)を開催した。 今般、当該検討会における検討結果が評価報告書の原案として産業構造審議会産業技術 分科会評価小委員会(小委員長:平澤 泠 東京大学名誉教授)に付議され、内容を審議し、 了承された。 本書は、これらの評価結果を取りまとめたものである。 平成21年3月 産業構造審議会 産業技術分科会 評価小委員会 産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会 委 員 名 簿 委員長 平澤 泠 池村 淑道 長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 伊澤 達夫 東京工業大学 大島 まり 東京大学大学院情報学環 教授 東京大学生産技術研究所 教授 菊池 純一 鈴木 潤 東京大学 名誉教授 理事・副学長 青山学院大学法学部・大学院法学研究科ビジネス法務専攻 政策研究大学院大学 智子 日本水産株式会社 冨田 房男 放送大学北海道学習センター 久美代 顧問 所長 株式会社SRA先端技術研究所 主幹 東京大学先端技術研究センター 特任教授 山地 憲治 東京大学大学院工学系研究科 吉本 陽子 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 経済・社会政策部 教授 教授 辻 中小路 教授 教授 主任研究員 (委員敬称略、五十音順) 事務局:経済産業省産業技術環境局技術評価室 石油精製等高度化技術開発事業事後評価検討会 委 員 名 簿 座長 菊地 英一 早稲田大学理工学術院応用化学科 教授 委員 内山 裕夫 筑波大学大学院生命環境科学研究科 教授 委員 小野崎 正樹 財団法人エネルギー総合工学研究所 プロジェクト試験研究部 部長 委員 渕野 哲郎 東京工業大学大学院理工学研究科 准教授 委員 森田 裕二 財団法人エネルギー経済研究所計量分析ユニット ユニット総括 研究理事 (敬称略、五十音順) 事務局:経済産業省資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油精製備蓄課 石油精製等高度化技術開発事業の事後評価に係る省内関係者 【事後評価時】 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油精製備蓄課長 角野 然生(事業担当課長) 産業技術環境局産業技術政策課技術評価室長 長濱 裕二 【中間評価時】 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油精製備蓄課長 箱崎 慶一(事業担当課長) 産業技術環境局 技術評価調査課長 柴尾 浩朗 【事前評価時】(事業初年度予算要求時) 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油精製備蓄課長 根井 寿規(事業担当課長) 石油精製等高度化技術開発事業事後評価 審 議 経 過 ○第1回事後評価検討会(平成20年12月4日) ・評価の在り方及び評価の手順等について ・評価報告書の構成(案)、評価コメント、評点法等について ・プロジェクトの概要説明について ・質疑応答 ○第2回事後評価検討会(平成21年3月3日) ・評価報告書(案)について ・質疑応答 ○産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会(平成21年3月24日) ・評価報告書(案)について 審議の結果、評価報告書(案)に、評価小委員会としての意見を追記することで了承となっ た。このため、「第3章 評価」に、「8.評価小委員会としての意見」として、次のとおり追記。 「 ○ 本件は、全体としてよく練られたプロジェクトであり、評価においてもよく検討が深め られており、レベルの高いものとなっている。 ○ 触媒の高度化、安全性の確保、腐食に対する対策等の課題があるものの、着実な 成果をあげており、この成果をさらに活かしつつ、事業化に向けて取り組んでいくことが 望まれる。 ○ なお、コンビナートにおける業種・企業を越えた連携推進が重要になってくると考えら れることから、石油化学をはじめ、ガスや電気等との連携により推進していくことを検討 することが望まれる。また、推進する受け皿についても工夫が必要であると考えられ る。 」 目 次 はじめに 産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会 委員名簿 石油精製等高度化技術開発事業事後評価検討会 委員名簿 石油精製等高度化技術開発事業の事後評価に係る省内関係者 石油精製等高度化技術開発事業の事後評価 審議経過 評価報告書概要 ……………………………………………………………………… ページ ⅰ 第1章 評価の実施方法 1.評価目的 …………………………………………………………………… 2.評価者 ……………………………………………………………………… 3.評価対象 …………………………………………………………………… 4.評価方法 …………………………………………………………………… 5.プロジェクト評価における標準的な評価項目・評価基準 …………… 1 1 2 2 2 第2章 プロジェクトの概要 1.事業の目的・政策的位置付け …………………………………………… 2.研究開発等の目標 ………………………………………………………… 3.成果、目標の達成度 ……………………………………………………… 4.事業化、波及効果について ……………………………………………… 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等 ………………… 6.まとめ ……………………………………………………………………… 5 9 19 44 48 53 第3章 評価 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 ………………………………… 2.研究開発等の目標の妥当性 ……………………………………………… 3.成果、目標の達成度の妥当性 …………………………………………… 4.事業化、波及効果についての妥当性 …………………………………… 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 ……… 6.総合評価 …………………………………………………………………… 7.今後の研究開発の方向等に関する提言 ………………………………… (個別要素技術に関するコメント)……………………………………………… 8.評価小委員会としての意見 ………………………………………………… 54 56 58 59 61 63 65 68 74 第4章 76 評点法による評点結果 …………………………………………………… 参考 今後の研究開発の方向等に関する提言に対する対処方針 研究開発実施者提供資料 事後評価報告書概要 プロジェクト名 石油精製等高度化技術開発事業 上位施策名 燃料技術開発プログラム 事業担当課 経済産業省資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油精製備蓄課 プロジェクトの目的・概要 本事業は、製油所におけるエネルギー利用の効率化、二酸化炭素排出抑制、廃棄物発生の 抑制及び汚染物質の効率的な処理を図ることを目的として石油精製プロセスにおける熱利用 高度化、運転最適化、設備管理における技術、精製廃棄物削減、汚染土壌処理技術の開発を するため、平成15年度から平成19年度までの5年間、実施した。 予算額等 開始年度 平成 15 年度 H15FY 予算額 (千円) 2,614,880 終了年度 平成 19 年度 中間評価時期 平成 17 年度 H16FY 予算額 (千円) 3,060,000 H17FY 予算額 (千円) 3,800,000 目標・指標及び成果・達成度 (1)全体目標に対する成果・達成度 目標の達成度を測定する指標 ①環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (C O2削減) 石油精製プロセスにおける熱利用高度化、運転 最適化、設備管理における技術開発を行い、製油 所における省エネ効果及びCO2排出抑制を図る。 具体的には、次の各テーマにおいて、テーマ・サブ テーマの技術開発結果が、我が国における他の製 油所へも波及する効果も含めて、国内製油所総C O2排出量約4,383万ton-CO2年(2001年度)の約5 %(200万ton-CO2/年)の削減を可能とする技術の 開発を目指す。 ⅰ 事後評価時期 平成 20 年度 事業実施主体 財団法人石油産業 活性化センター H18FY 予算額 H 19FY 予算額 (千円) (千円) 2,900,000 726,750 総 予 算 額 ( 15FY 総執行額 (15FY ∼ 19FY)(千円) ∼ 19FY)(千円) 13,101,630 12,094,964 成 果 達成度 石油精製プロセスにおける熱利用高度 達成 化、運転最適化、設備管理における技 術開発を行い、製油所における省エネ 効果及びCO2排出抑制を図り、我が国 における他の製油所へも波及する効果 を含めて、国内製油所総CO2排出量約 4,383万ton-CO2/年(2001年度)の約5 %(200万ton-CO2/年)の削減を可能と する技術の開発となった。 ②廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロ エミッション) 製油所における精製廃棄物・排出物削減、汚染 土壌処理における技術開発を行い、製油所におけ る廃棄物発生の抑制及び汚染物質の効率的な処 理を図る。具体的には、次の各テーマにおいて、テ ーマ・サブテーマの技術開発結果が我が国におけ る他の製油所へも波及する効果を含めて、最終処 分廃棄物量として国内製油所総廃棄量約2.5万ton /年の約30%(1.0万ton/年)の削減を可能とする技 術の開発を目指す。 個別テーマの達成度 ①熱利用高度化(R1) 要素技術 目標の達成度を測定する指標 低位熱回収システ 低位熱回収システムを既設流 ムの開発 動接触分解(FCC)装置に適用 (R1.1.1) することにより、効率的なエネ ルギー回収を行う。 ①主分留塔塔頂熱量の回収率 :65.0% ②回収熱量に対する発電効率 :4.5% 高性能熱交換設備 の導入による蒸留 塔の熱回収システ ムの開発 (R1.1.2) 製油所における精製廃棄物・排出物削 達成 減、汚染土壌処理における技術開発を 行い、製油所における廃棄物発生の抑 制及び汚染物質の効率的な処理を図 り、我が国における他の製油所へも波 及する効果を含めて、最終処分廃棄物 量として国内製油所総廃棄量約2.5万t on/年の約30%(1.0万ton/年)の削減を 可能とする技術の開発となった。 成 果 達成度 実証装置の設置を行い、実証化運転に より、低位熱回収設備の性能評価、動 力回収設備の性能評価を実施した。 ①主分留塔塔頂熱量の回収率は72. 達成 4%であり、目標達成 ②回収熱量に対する発電効率は6.7 達成 %であり、目標達成 既設FCC装置における制約を 回避し、効率的な廃熱回収に よ り、原料油加熱 炉を停止可 能とする。 ①高性能熱交換器の適合化 ① 高 性 能 ヘ リ カ ル 熱 交 換 器 を 導 入 し 達成 た。実装置に設置した実証試験を行 い、スラリー堆積の汚れもなく計画通り の性能を発揮している。 ②熱交換設備の最適配列によ ②熱交換システムも計画通り機能し、 達成 る熱回収システムの開発 所定の加熱炉停止ができ、目標とする 熱回収能力以上の成果を達成した。 ②精製プロセス高度活用、効率化(R2) 要素技術 目標の達成度を測定する指標 成 果 達成度 高効率水素発生シ ①現状水素発生量にて、単位 ①既存水素製造装置に予備改質器、 達成 ステムの開発 発生水素当たりの燃料油消費 改質器用加熱炉、改質炉廃熱回収設 (R2.1.1) 量を10%削減 備等の実証設備を導入し、各工程の最 ⅱ 適化によるスチーム・カーボン比(S/ C)比の低減、廃熱回収の効率化を図 り、燃料消費量は従来技術に対して10 %以上削減可能なことを検証した。 ②単位当たり燃料消費量一定 ②水素発生量の増加目標12%に対し 一部達成 の条件で、水素発生量を12% ては、4%増加の確認にとどまった。 増加 この原因は、予備改質器および既存改 質器の改質工程までは期待通りの性 能発揮を確認したが、水素製造装置の 最終工程である既存水素回収設備(P SA)で水素回収の能力低下が判明し、 発生した水素回収が充分出来ず、装置 全体としては目標未達となった。 今後、本装置の定期補修時等にてPS Aの性能回復操作を行い、目標達成を 目指す。 水素製造装置への 超高次脱硫触媒を 適用した技術の開 発 (R2.1.2) 超高次脱硫触媒を適用して、 水素製造装置に超高次脱硫触媒とメタ 低S/C運転により10%のエ ン化促進触媒を導入し、S/C低減目 ネルギー削減を達成する。 標を「現状−0.9」としたシビア運転下 で性能確認を行った結果、エネルギー ①改質触媒活性劣化抑制・低 削減は10.1%であり、合計で目標を 達成 S/C運転 による燃料消費量 達成した。 の削減:6% なお、①燃料消費量削減は5.1%、 ②蒸気使用量削減は5.0%であった。 ② 低S/C運転による蒸気使 用量の削減(燃料換算):4% 高性能膜と改質技 術を組み合わせた 製油所副生ガスの 有効利用に関する 研究開発(R2.1.3) 高性能膜分離技術、改質技術およびP SA水素高純度化技術を組み合わせる ことによる製油所副生ガスを原料として 有効活用し、既存技術よりもCO2排出 量削減可能な水素製造システムを構築 した。 ①膜分離技術:水素濃度60% ①膜分離技術は水素濃度99.5%以 達成 以上、回収率80%以上 上、回収率80%であり、目標達成 省燃費型自動車用 潤滑油生産に向け た次世代鉱油系基 油製造プロセスの ②PSA(pressure swing adso rption)技術:水素濃度99.5% 以上、回収率75%以上 ①粘度指数(VI)140以上、硫黄 分1ppm以下の潤滑油基油を、 現 行比1/2以下のエネルギ ーで製造するプロセスの開発 ⅲ ②PSA技術は、水素濃度99.99%、 達成 回収率88%以上であり、目標達成 ①硫化物触媒の担体の第三成分を検 達成 討した結果、20%以上のGrⅠ基油を 含む低品質ワックスを原料としても、VI 140以上、硫黄分1 ppm以下の高性能 研究開発 (R2.1.4) 潤滑油基油を収率51%で得られ、目標 の製造プロセス開発を達成した。 ②開発された基油を使用し、燃 ②開発した基油を使用し、かつ添加剤 達成 費を5%向上させる潤滑油の を最適化したエンジン油を使用しECモ 開発 ードで省燃費性を測定した結果2.83 %(5W30対比)を得た。ATFでも2.43 % (従来ATF対比)の向上を得、合計 5.26%と、目標を達成した。 ③オイル交換距離を1.2倍延 長するエンジン油の開発、VI安 定性を1.2倍とする緩衝器油 の開発、電力消費を1%削減 する作動油の開発 ③開発基油を使用し、添加剤を最適化 達成 したエンジン油の寿命が、従来GrⅢエ ンジン油より1.2倍以上であり、目標を 達成した。 また、実機耐久試験にて、開発した高 性 能SAFの 粘度安 定 性 を評価した結 果、VI安定性は1.2倍以上であること を実証した。 さらに、ATFの作動油への応用拡大を 検討し、省エネルギー評価装置にて本 開発作動油の1%以上の電力消費量 削減効果を確認し、目標を達成した。 省エネ型脱硫接触 分解触媒の実用化 研究 (R2.2.1) ①前処理水素化装置及び接触 分解装置の組合せにおいて、 前処理水素化装置の水素使用 量の低減:5%以上 ②接触分解触媒のFCCガソリ ン脱硫率:25%以上 触媒担体の細孔分布制御技術および 触媒細孔への金属担持技術を駆使し、 脱硫機能を有するFCC触媒を製造し、 従来触媒と比較しFCCガソリン収率が 高く、コーク収率が低い性能を確認し た。 また、開発触媒の耐メタル性、耐再生 性、耐摩耗性といった実用性能を評価 し、従来触媒と比較し問題ないことを確 認した。 ①水素使用量は5%以上低減し、目標 達成 達成 ②脱硫率は25%以上で、目標達成 達成 低水素消費型ガソ リン脱硫技術の開 発 (R2.2.2) ①硫黄分50ppm、リサーチオ クタン価(RON)90のFCCガソ リンを選択的に水素化脱硫処 理し、硫黄分10ppm以下、RO N87.5以上のガソリンを製造 する。 ①高選択性脱硫触媒と2段脱硫プロセ 達成 スの開発を行い、2万BPDスケールの 実証化装置の2年間運転により検証し た結果、硫黄分が10ppm以下、オクタ ン価がRON87.5以上のFCCガソリン を製造し、目標を達成した。 ⅳ LCO有効利用のた めの省エネルギー 型精製技術の開発 (R2.2.3) ②FCC-C4留分を利用した高 オクタン価基材製造プロセスを 開発し、選択脱硫技術とのパッ ケージとして、オクタン価低下 ゼロで硫黄分10ppm以下のガ ソリンを製造する。 ②高オクタン価基材製造プロセス(C4 達成 二量化、C4脱水素環化)を開発し、2段 脱硫プロセスと高オクタン価基材製造 プロセスを組み合わせることにより、オ クタン価低下がゼロ、硫黄分が10ppm 以下のガソリン製造を検証し、目標を達 成した。 ライトサイクルオイル(LCO)高 度精製反応における水素対油 比を低減した水素化処理によ り 、 セ タ ン指 数 40 以 上、 硫黄 濃度10ppm以下、窒素濃度 10ppm以下の生成油を製造す る。さらに、使用する貴金属触 媒の寿命を1年以上とする。 第1段+第2段リアクターシステムで最 達成 適運転条件での寿命安定性について の評価を実施した。 セタン指数は40∼42(230∼360℃の 軽油留分としては48)、硫黄濃度は10 ppm以下、窒素濃度は1ppm以下であ り、触媒寿命は2∼3年見込みとなり目 標を達成した。 ③製油所総合監視自動化システム(R3) 要素技術 目標の達成度を測定する指標 装置運転無人化を ①運転ノウハウのシステム化によ 指 向 し た 自 動 化 ・ り、経験の浅い運転員でも安 支援システムの開 全確実な作業が可能な支援シ 発(R3.1.1) ステムを実現する。 成 果 達成度 ①オペレーターノウハウの抽出ロジックの構築、 達成 原油種切替時の類似条件検索システ ムを開発し、非定常運転自動化支援シ ステム開発の目標を達成した。 ②ボード/フィールド双方向の連携 業務をシステム化することによ り、現場型(ユビキタス)ボードマン が可能な支援システムを実現 する。 ②危険物エリアで使用可能な防爆型無 達成 線LANを開発し、通信基盤を確立した。 また携帯端末による計器室からの情報 表示システム、ICタグによる計器・機器識 別機能を構築し、ボード/フィールド連携支 援システム開発の目標を達成した。 ③音及び熱画像を測定・分析 して、人間では把握できないレ ベルでの早期異常発見システ ムを実現、及び現場でフィールドマ ンが画像による遠隔確認できる モバイル端末を実現する。 ③ランダムノイズ解析による漏洩異常検知 達成 の基本機能を確立。また画像処理につ いては画像位置変換機能の設計を終 え、異常監視・診断支援システム開発 の目標を達成した。 製油所装置異常診 ①製油所内で防爆仕様を満足 ①画像センサ及び音響センサを搭載し 達成 断自動化による安 する監視装置を開発する。 た耐圧防爆構造の監視装置を開発し、 全対策技術開発 画像・音・制御信号を無線伝送する装 (Ⅰ) 置についても防爆構造とし、目標を達 (R3.1.3) 成した。 ⅴ ②プラント内で想定される異常 ②油やガス漏洩による白煙発生、異常 達成 を検知できる画像処理を開発 加熱や音調不良による示温材の変化 する。 を画像処理により検知するロジックを開 発し、目標を達成した。 ③音響データを解析し、漏洩場 ③模擬ガス漏洩実験を実施し、漏洩場 達成 所を特定する技術を開発する。 所との距離を変えた音の周波数スペク トルを解析することにより漏洩場所を特 定する技術を開発し、目標を達成した。 ④移動監視装置と固定監視装 ④模擬異常ではあるが、固定監視が異 達成 置を組み合せた協調監視技術 常を検知した場合に、移動監視モード を開発する。 を変更して白煙検知する協調監視技術 を開発し、目標を達成した。 音響モニタリング システムによる往 復動圧縮機の連続 状態監視システム 開発 (R3.1.4) 音響データ収集技術、連続収 集データ解析技術及び異常信 号評価技術を開発し、音響モ ニタリングシステム全体の実用 化評価を行う。 ④製油所設備管理(R4) 要素技術 目標の達成度を測定する指標 機器及び配管設備 ① ガイド 波透過検 査法による の腐食検査技術の 超音波探傷装置を開発する。 開発 (R4.1.2) 様々な運転条件下において連続的に 達成 データ収集を行い、ピーク値及び平均 値と変動幅のトレンドデータ監視を実施 した。 実用化評価のために対象往復動圧縮 機の開放点検した際に、ごく軽微な異 常が確認されたシリンダバルブについ て、圧力や温度などの運転トレンドデー タからは特に異常が見られないが、音 響特性より正常/異常の状態の差が解 析により可能となり目標を達成した。 今後の異常検知精度を高める技術とし て、より適切なバンドパスフィルタ設計 と運用におけるデータ蓄積、様々な破 損モードとの対応が必要であるという課 題が明確となった。 成 果 達成度 ①励起波形の最適化、探傷用スキャナ 達成 ーの開発、ガイド波伝播速度の自動測 定手法、ノイズの影響を低減すべく時 間加算平均化処理・べき乗探触子移動 加算平均化処理を行う解析ソフト等を 開発し、超音波探傷システムを構築し、 目標を達成した。 ② ガイド波透過検 査法による ②局部腐食減肉に対するガイド波の伝 達成 肉厚測定手法を確立する。 播特性挙動を解析し、局部腐食で発生 ⅵ する微弱な高次モード波の音速を測定 するために必要な解析ソフト(データ平 均化処理)の開発を行い、微弱な信号 を検出可能とし、目標を達成した。 ③ 測定誤差は± 10%以内と ③全面腐食で厚みが減肉するケース 達成 する。(元厚10mm程度の配管 は、板厚の±10%以内の測定精度を で±1mm) 検証し、目標を達成した。 ④測定範囲は配管20m、機器 ④保温配管及び保温機器等に関する 一部達成 10mとする。 検証試験の結果、探傷範囲は保温機 器のケースが目標の10mを達成でき たものの、保温配管のケースは約10 mが限界であると分かった。 これは、測定環境における外部ノイズ 強度によって、その測定範囲は限定さ れるためである。また、防油堤貫通部 等の防食テープ施工した配管はガイド 波の減衰が著しく、約1mが限界であ る。 コーティング材料を ①施工材料の防食機能が4年 ①代表的な製油所設備の各種腐食環 達成 用いた防食技術の 以上保持するコーティング技術 境を調査選定し、選定したコーティング 開発 を開発する。 材料を施工した。コーティング材料の防 (R4.1.3) 食機能は母材肉厚の測定や腐食環境 に挿入した試験片を評価し、コーティン グ材料には異常のないことを確認し、 目標を達成した。 ② コーテ ィ ング 材料 の劣 化評 ②各種腐食環境下における腐食試験 達成 価装置を開発する。 片によりコーティング材料の腐食劣化 機構を解明し、劣化評価装置の物理的 測定値と界面腐食量の相関関係に関 する評価手法を開発し、目標を達成し た。 ③防食システムを開発する。 腐食環境推定技術、施工技 術、塗膜評価技術、及び塗膜 余寿命予測技術を統合した防 食管理技術の確立 ⅶ ③シミュレーション技術による腐食環境 一部達成 の推定技術を構築し、有機系・無機系 コーティング材料の施工技術まで確立 した。 防食システム確立まで手が届くところま で開発が進んだため、一般研究で継続 研究した結果、システムを確立し事業 化を実施した。 石油精製設備の運 転最適化による防 食管理技術の開発 (R4.1.4) ①湿潤水硫化アンモニウム腐 食の感度として、10μm/yの 感度を設定し、この感度を4年 間維持できるプローブ技術を 開発する。 ①10μm/yの感度を有する電気抵抗 達成 法式腐食モニタリングプローブの適用 性を廃水処理施設で検証し、水硫化ア ンモニウム腐食の高感度モニタリング 技術を開発した。また、電気化学式腐 食モニタリング法の適用性も確認し、目 標を達成した。 ② 精 度よく湿 潤水 硫化 アンモ ニウム環境の腐食性を推定す るシミュレーション技術を開発 し、シミュレーション解析結果を ラボ腐食試験結果と比較検証 する。 ②湿潤水硫化アンモニウム環境の腐食 達成 性を推定するシミュレーション技術を開 発し、現場設備で最も腐食性が高いと 予想される部位を推定できるモニタリン グ部位選定手法を構築し目標を達成し た。 ③構築された高感度腐食モニ ③運転改善による防食管理モデルを構 達成 タリングシステムによる防食管 築し、電気抵抗法腐食モニタリングの 理手法の実用性を実機で検証 現場適用性を確認し、目標を達成した。 する。 ⑤排出物削減・高度リサイクル利用(R5) 要素技術 目標の達成度を測定する指標 磁気分離装置を用 ①既設流動接触分解(FCC)装 いたFCC廃触媒削 置に設置した実証化装置によ 減技術の開発 り有効性を確認する。 (R5.1.1) 成 果 達成度 ①FCC触媒を乾燥状態で分離する世界 達成 初の高勾配磁気分離機を開発し、FCC 実装置に実証化装置を取り付けて有効 性を確認し、目標を達成した。 ②FCCにおける触媒廃棄量を ②FCC実装置に設置した実証化装置に 達成 30%削減する。 より、触媒廃棄量を30%削減し、目標 を達成した。 製油所汚泥の高削 ①高い汚泥削減率のときの排 ①製油所の廃水処理設備に付設した 達成 減技術の開発 水 性 状 へ の 影 響 を 抑 制 し つ 実証試験装置において長期汚泥削減 (R5.1.2) つ、安定的に余剰汚泥削減率 運転を実施し、高生分解性可溶化によ 90%以上を可能にする高汚泥 り90%以上の高汚泥削減率の運転時 削減システムを開発する。 においても、排水(処理水)性状、汚泥 性状に変化が無いことを検証し、目的 を達成した。 また、可溶化率向上効果のある添加剤 を見出し、実証試験装置で効果を確認 できた。 ⅷ ②汚泥可溶化剤量の10%分 ②汚泥可溶化薬剤の10%分に高COD 達成 に廃ソーダを用いることができ 廃ソーダを利用可能であることを実験 る技術を開発する。 室規模の活性汚泥試験により検証し、 目標を達成した。 硫黄の需要創造に 向けた高効率改質 硫黄固化体製造シ ステムの研究開発 (R5.1.3) ① 10分以内/バッチとなる高 効率で安価な改質硫黄固化体 を製造するシステムの設計・建 設を行う。 ②製品の土木・建築用資材と しての活用性を確立する。 高効率化な改質硫黄固化体製造シス テムの実証試験と、製造された検体の 現場実験により、コンクリートと同等以 上の性能が確認された。 ①効率的改質硫黄固化体製造システ 達成 ムの実運 転により 、4分以内/バッチ (サイクル)とし、目標を達成した。 ②約1トン/個規模の検体を海中下で 達成 の性能確認を開始し、良好な生物着生 性の確認と自然環境(海中、水中等)及 び酸性雰囲気で高い安定性を示すこと を確認し、目標を達成した。 廃 触 媒 ミ ニ マ ム化 ①再生後の触媒強度を触媒再 ①再生時の触媒強度低下抑制に有望 達成 技術の開発 充填基準(強度低下抑制10% な第三成分の探索を行い、アルカリ土 (R5.1.4) 以上)に適合させる。 類金属を添加することで、触媒強度低 下抑制を10%以上とし、目標を達成し た。 ②再生後の活性を新触媒に対 ②長期寿命評価の結果、脱硫活性の 達成 し80%以上に維持させる。 反応温度は、基準の触媒システムと比 較して同等であり、その他の実用性能 である脱メタル活性、脱窒素活性、脱 残炭活性、水素化能等の機能や安定 性についてもすべて基準の触媒システ ム と比 較 して 同 等で あ るこ とを確 認し た。 更に、1年間相当のメタルを蓄積させた 開発触媒を再生し、新触媒と脱硫活性 を比較した結果、再生触媒は目標の8 0%以上の性能を有しており、2年目も 充分使用できることが確認でき、目標を 達成した。 重質油から高品質 ① 重質油の拡散に適したメソ な灯軽油を製造す 孔を有していること。 るためのDAO高 度水素化分解技術 の開発 (R5.1.5) ⅸ ①ゼオライトを脱アルミニウム処理する 達成 ことによりメソポアを開孔し、熱処理を 加え骨格外Alの大部分を骨格内Alに変 えることにより35∼500Åのメソおよ びマクロ細孔が増加し、マルテンの分 解に有効に働くことが確認できた。 また、粒子径の大きいNaYをUSY化する ことで50∼500Åに新たなメソ細孔が多 く生成することが確認され、目標を達成 した。 ②重質油の分解に適した固体 ②上記①により固体酸性量の増加も確 達成 酸性質を有していること。 認され、目標を達成した。 製油所における廃 油軽質留分の高度 処理技術の開発 (R5.1.6) ③アモルファス系触媒に比べ 約2倍の相対分解活性と触媒 寿命を有し、かつ同程度の中 間 留分選択 性を有しているこ と。 ③開発触媒の溶剤脱れき油(DAO)水 達成 素化分解寿命試験より2.2倍の運転 寿命であることが確認できた。中間留 分選択性は80%となり、目標を達成し た。 ④分解率70%以上,中間留分 選択性70%以上の条件でセタ ン指数60以上の軽油が得ら れること。 ⑤未分解油をFCC原料油とし て用いたとき、高収率で高品質 なガソリンが得られること。 ④分解率80%、中間留分選択性80 達成 %、セタン指数60の軽油が得られ、目 標を達成した。 10万BPD規模の製油所で処理 している廃油軽質留分99,000 KL/年の効率的な処理方法を 開発する。 ⑤DAO分解反応の375℃ +未分解油の 達成 FCC原料油としての評価を行い、通常 脱硫VGOに比べ、分解率、ガソリン収 率、コーク収率、水素収率に極めて優 れていることが明らかとなり、高品質な ガソリンの製造が可能となり、目標を達 成した。 廃油軽質留分のモデル油を用いて実 達成 装置での処理検討を行った結果、約 1,000KLのモデル油を問題なく処理で きることを確認した。 この処理量は、10万BPD規模の製油 所を例にすると約83,000KLの廃油軽 質留分の処理に相当するが、モデル 油を装置原料油へ10%混合程度で あれば、間接脱硫装置での廃油軽質 留分99,000KL/年 処理は十分可能で あることが確認され、目標を達成し た。 触媒再生技術によ ①触媒の詳細分析技術を確立 ①XRD,XPS,TEM等を用いて触媒に担持 達成 る廃触媒削減技術 し、再生方法最適化技術を開 された金属の価数、凝集性等を評価 の研究開発 発する。 できる分析技術を確立した。 (R5.1.7) また、再生触媒の分析結果より、触 媒の性能(再使用の可否)を判定す る「再生触媒使用のスクリーニング ⅹ 技術」を開発した。さらに、その後 の「回収工程」、「使用工程」におけ る再生触媒の使用比率を高めるため に、再生触媒の性能判定結果を「再 生工程」にフィードバックし、再生 方法の最適化を可能とする「触媒再 生方法最適化の指針」を確立し、目 標を達成した。 ②1回の触媒再生につき活性 ②留出油脱硫装置で使用された触媒 達成 低下が5%以下である触媒再生 について、活性低下の小さい触媒構 技術を開発する。 造(担持金属Moの構造)が発現する ようにラボ再生を行った結果、活性 低下は1回目のラボ再生が2%、2回目 のラボ再生が3%となり、触媒再生に つき活性低下が5%以下となり、目標 を達成した。 ③開発した触媒再生技術を検 ③再生触媒予備硫化・再生技術最適 達成 証する。 化装置により、再生した触媒を予備 硫化した後の活性を評価し、開発し た触媒再生技術を検証した。 低エミッション型高 ①重質残油の高度脱硫による 開発した間脱、直脱及びFCC触媒のベ 達成 度重質油処理技術 生成硫黄分を0.2%及び触媒 ンチプラント及び製油所実装置で実証 の開発 寿命を1年とする。 化研究を実施し、目標達成を確認した。 (R5.2.1) ①重質残油の生成油硫黄分0.2%、現 状の触媒寿命を1年まで延長し、廃触 媒を半分に低減 ②減圧軽油の高度脱硫による ②減圧軽油の生成油硫黄分0.1%、現 達成 生成硫黄分を0.1%及び触媒 状の触媒寿命を2年まで延長し、廃触 寿命を2年とする。 媒を半分に低減 ③FCCガソリンのオクタン価を ③FCC実装置による実証化研究から、 達成 0.5%向上させる。 オクタン価の0.5%向上を確認 さらに、高度前処理した原料油をFCC 実装置に供給し、再生塔負荷の低減効 果、原料油の分解性向上、並びにガソ リン収率の向上を実証した。 C重 油削 減を目指 ①FCCボトム得率を残油FCC ①直脱後段触媒のホウ素添加技術の 達成 したFCC前処理触 (RFCC)原料基準で1%以上低 最適化とシリカの新添加により窒素低 媒の高機能化のた 減する。 減が実現し、FCCボトム得率が1%以上 めの技術開発 低減し、目標を達成した。 11 (R5.2.2) ②基準直脱原料油メタル分よ りも10%以上多い原料油を処 理しても触媒寿命が短命化し ないこと。 ②マクロ孔量及び比表面積を最適化す 達成 ることにより脱メタル性能が向上した前 段触媒を開発し、直脱後段触媒との組 合せた長期寿命試験を実施した結果、 触媒寿命が短命化しないことを確認し、 目標を達成した。 新規熱分解法によ る高度排出物削減 型残油処理プロセ スの研究開発 (R5.2.3) ①熱分解工程においては、廃 触媒を発生させることなく残油 の70%程度を軽質な石油製品 化原料として回収できるプロセ スを開発する。 ①新規の熱分解・ガス化技術(超臨界 達成 水中での重質油熱分解・ガス化技術) により、原料の減圧残油に対する水 素、燃料ガス、LPG分、分解油の製品 重量収率で約79%(炭素換算収率で は70%)が有用な生成物として生成、 回収され、目標を達成した。 ②分解残渣分のガス化反応工 ②残渣は1%となる残油処理が可能で 程と併せ、残渣の発生量を処 あることを確認し、目標を達成した。 理残油の5%以下に抑える処 理法を確立する。 重質油有効利用の ガスタービン実機燃焼器一缶分の実圧 ためのガスタービ 燃焼試験装置に接続した「水熱反応利 ン燃料化技術の研 用大型重油改質試験装置」により、重 究開発 質油改質技術を検証し、目標達成を確 (R5.2.4) 認した。 ①重質油中のバナジウム含有 ①ガスタービン翼腐食原因となるバナ 量を1ppm以下とする。 ジウムを,現行ガスタービン許容値であ る1ppm以下まで除去でき,要素試験と 同等の改質性能が得られることを確認 した。 ②改質された燃料特性評価と ②ガス燃料,液体油燃料をガスタービ して、安定燃焼,NOx,CO発 ン実機と同規模圧力で燃焼試験し、NO 生量を従来燃料並みとする。 x,CO排出量を従来ガスタービン燃料 油燃焼時と同等以下に抑制できること を確認した。 ③改質器の耐腐食性を3年間 ③従来の超臨界水反応装置に用いら 無交換可能とする。 れているインコネル材料に対し、コスト が1/2以下となるSUS316材料で大型装 置を設計するとともに,要素試験にて耐 腐食性を詳細検討し、重油改質反応器 に使用できる可能性を確認した。また 減肉速度から、10年以上の使用におい ても問題ないことを確認した。 ④システムの総合コスト評価に ④機器仕様詳細評価,システムの総合 より、機器費回収期間の目標 コスト試算および特性解析を実施し、装 を3年とする。 置コスト回収期間の目標3年以内が実 12 達成 達成 達成 達成 達成 現可能なことを確認した。 ⑥含油土壌高度浄化(R6) 要素技術 目標の達成度を測定する指標 化学・微 生物複合 化学処理法と微生物処理法を 型重質油汚染土壌 組合せ、重質油汚染土壌の炭 の浄化技術の開発 化水素分(5,000ppm)を3ヶ月以 (R6.1.1) 内に1,000ppm以下まで浄化す る。 石油含有土壌の高 ①地下水中の軽質炭化水素類 度浄化技術の研究 の濃度を90%以下に浄化 開発 (R6.1.2) 成 果 達成度 実汚染土壌による総合評価として200 達成 kg処理規模で化学/微生物の連続処理 を実施、目標である油分濃度1,000ppm 以下までの浄化を確認し、目標を達成 した。 ①実験室レベルと実汚染現場での実証 達成 試験用浄化壁により、軽質炭化水素類 を90%以上浄化できる技術を確立し、 目標を達成した。 ②設置費用:4.5∼5.0万円 ②経済性評価により、500㎡以上の規 達成 /㎡ 模において浄化壁の建設・維持管理コ ストは4.5∼5.0万円/㎡以下となるこ とを確認し、目標を達成した。 製油所、油槽所に おける土壌汚染状 況把握技術の開発 (R6.1.3) ポータブルモニターにより土壌ガスを測 定し、データを現場にてパソコン処理す ることにより、場所の制約を極力回避 し、短時間で測定可能なシステムを開 発した。 ①油分含有濃度を500mg/kg以 ①実汚染現場で、検出油分濃度500 達成 上の精度で検出可能な土壌汚 mg/kgの評価精度を確認し、目標を達 染把握システムを確立する。 成した。 ②本評価技術とボーリング調 ①従来と比較してコストと調査期間が 達成 査等を組み合わせ、従来評価 1/2になることを確認し、目標を達成し 法に比較し、コストと調査期間 た。 を1/2にする。 石油汚染土壌浄化 ①バイオレメディエーションの ①土壌酸素、土壌温度、土壌水分含有 達成 の省力化に関する 条件を自動管理する、数m 3 の 量の最適浄化条件範囲を自動的に維 技術開発(R6.1.4) ベンチスケールの自動浄化装 持・管理をするスクープ撹拌方式を用 置を考案・開発する。 いた土壌撹拌システムを考案・開発し、 石油汚染土壌浄化の実証試験を行っ た。 ②油臭・油膜が消失する浄化 ②開発されたシステムにより、軽質油 達成 終了までに要する浄化期間を から重質油まで種々の油種を含む土壌 現 行 技 術 ( ラ ン ド フ ァ ー ミ ン グ を油臭・油膜が消失する浄化期間を現 法)に対して30%短縮する。 行技術の40%∼60%短縮することを 確認し、目標を達成した。 13 CO2洗浄技術を用 いた汚染土壌の浄 化システムの最適 化開発 (R6.1.5) ①軽質油から重質な油汚染土 壌を時間オーダーの条件で浄 化し、残留油分濃度200mg/ kg以下或は無臭とするととも に 、 ベン ゼ ンの溶 出 量に つ い ても0.01mg/ℓ以下とする。 ①超臨界CO2(助剤添加を含む)を用い 達成 ることにより、軽質油∼重質油汚染土 壌を時間オーダーの条件で浄化し、残 留油分濃度200mg/kg(土壌)以下或 は無臭の目標を達成するとともに、ベン ゼンの溶出量についても0.01mg/リッ トル以下とし、目標を達成した。 ②可搬型オンサイトCO2土壌浄 ② 実 証 試 験 で 得 ら れ た デ ー タ に 基 づ 達成 化システムを構築する。 き、石油系汚染土壌の浄化に対応した 土壌浄化システムを構築し、実機を想 定した可搬型オンサイトCO 2 土壌浄化 システムを構築した。 高濃度 ・重質油含 ① C重油 を5% 以上 含有 する 有土壌に対応可能 土 壌 を 油 回 収 工 法 に よ り 、 油 な原位置浄化工法 分1%以下に低減する。 の開発(R6.1.6) 原位置で浄化できる薬剤や工法を開発 し、目標を達成した。 ①油回収工法により、油分1%以下に 達成 低減 ②C重油を1%含有する土壌を ②化学酸化分解工法により、油分0.3 達成 化学酸化分解工法により、油 %以下に低減 分0.3%以下に低減する。 ③C重油を0.3%含有する土 ③バイオ分解工法により、油臭・油膜な 達成 壌をバイオ分解工法により、油 しに浄化 臭・油膜なしに浄化する。 ④現行法の油臭・油膜の有無 ④機器分析により、現行法の油臭・油 達成 判定と90%以上合致する油臭 膜の有無判定と90%以上合致する油 ・油膜の定量法を開発する。 臭・油膜の定量法を開発し、目標を達 成した。 バイオサーファクタ ①浄化目標として油分1,000mg ①ランドファーミングにおいて、バイオ 達成 ン ト を 使 用 し た 土 /kg及び油膜・油臭なしとする。 サーファクタント(BS)添加により重質油 壌浄化技術の開発 含有土壌に対し、油分濃度1000mg/kg (R6.1.7) 以下、油臭・油膜なしにすることを実証 し、目標を達成した。 さらにスラリーリアクターにBSを使用す ると廃白土のように多孔質内に取り込 まれた油分除去に有効であることが確 認できた。 ②油膜・油臭処理期間の短縮 ②BSを2段階で投入することにより、油 達成 等で、浄化期間を従来法の2/ 臭・油膜なしとする期間が2/3以下に 3に短縮させる。 短縮可能となることから、BS添加にコス 14 トがかかるものの、工期短縮によるコス ト削減が可能であることが判明し、目標 を達成した。 <共通指標> 論文数 論文の被 特許等件数 特許権の 引用度数 (出願を含む) 実施件数 48 0 137 7 ライセンス 供与数 0 取得ライ センス料 0 国際標準 への寄与 0 (2)目標及び計画の変更の有無 特になし 評価概要 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 石油精製プロセスにおけるCO2削減、廃棄物削減・再利用・汚染浄化などの環境保全 対策は、我が国のエネルギー供給の主流である石油の社会的意義から極めて重要な課題 である。石油精製産業では、これまで省エネルギー技術の開発に積極的に取り組んでき た結果、CO2削減に資する技術開発の余地は少ない。このため、更なる省エネルギー 技術は、難易度が高く、かつリスクをともなう開発である。 また、ゼロエミッションに関わる技術開発も同様に、経済的メリットが少なく、しか し製油所の多くは大都市近郊という立地条件を考慮すれば、循環型社会実現に必須の技 術開発対象である。このような石油精製産業の置かれている状況を考えると、個別企業 による対応、自発的努力だけでは達成が困難な分野であり、石油精製業全体の課題とし て捉え国が積極的に関与し推進していくことが重要である。 一方、開発された技術の石油精製業全体への普及を可能とする政策的な取り組みを配 慮すべきである。 2.研究開発等の目標の妥当性 石油精製業にあっては、これまで省エネルギー化を推進し、既存技術では限界に近づ きつつある。一方、近年の環境保全に対する社会的要請による環境対応型製品の製造(燃 料中のベンゼンの低減、サルファーフリー化)に伴ってエネルギー消費量が増加する結 果となった。この増加分に対応するCO2の削減を本プロジェクトの目標としたことは、 評価できる。 また、製油所の廃棄物削減では、廃棄物総量が極限となっている現状を改善するため、 廃棄物発生量の削減を技術開発目標としている点で評価できる。このような目標を極力 数値化しての取り組み方は、社会からみても客観性があり、設けられた目標水準もほぼ 妥当な設定である。 一方、技術開発の目標としては評価できるものの、最終的には国内全製油所で実用化 されての数値であり、普及に向けた早急の取り組みが可能となるよう配慮すべきである。 また、我が国の全ての製油所に波及した場合に200万トン/年削減する技術を開発する ことであり、技術が開発されても経済性から必ずしも波及することにはならないため、 15 今後、普及を促進するための施策が必要である。 3.成果、目標の達成度の 妥 当 性 テーマによって達成度にバラツキがあるものの概ね目標を達成しており、成果の全体 で見ても開発された技術を全製油所に導入すれば目標を達成し得る水準に達している。 特許出願や学会発表などによる普及活動も進展している。また、研究開発の成果は、目標 に対して妥当なものであり、個別技術については、目標に照らして概ね妥当な成果が得 られた。 一方、全体を通じて概ね目標値を達成しているが、課題によっては実用化までの距離が 明確ではなく、また、開発された技術がどのような条件で経済的に成り立つかどうかが明 確に示されていないため、実用化の可能性を含めて、道筋をある程度明確にすべきであ る。 4.事業化、波及効果についての妥当性 多くは一般研究にて継続中であるが、一般研究で取り上げることを事業化の可能性と みれば、概ね事業化の見通しは立っていると考えられる。各研究開発はほぼ目標を達成 しており、事業目的に適合した波及効果は期待できると考えられる。 テーマによって基礎的研究レベルから実証化装置レベルでの成果と大幅なバラツキが 見られるものの、精製プロセス高度活用・効率化や廃棄物削減・高度リサイクル技術開 発等においては、事業化が十分に期待できるテーマが認められる。また、高性能触媒の 開発、無線LANシステム開発、含油土壌浄化・処理技術開発等で得られた要素技術は 他分野への波及効果が期待される。 一方、エネルギー価格が乱高下する中で導入の費用対効果が極めて見えにくい状況に なっていることから、どのような点を訴求点とすれば導入が進展するのか、事業化に向 けて取り組むべき課題を改めて整理することも必要と思われる。 また、今後の長期運転などでの試験は必要であるが、実用化が可能なものは、国内の他 の製油所への普及に向けた取り組みに配慮すべきである。 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 財団法人石油産業活性化センターの持つ事業ミッションと本事業の目的は一致するも のである。中間評価の段階で事業計画の変更や中止を行っており、同センター内の技術 企画委員会が機能していたと判断される。技術開発事業毎に技術小委員会・報告会を実施 しており、技術開発面での意思決定や連絡調整に特に問題はなく、制度運用も適切であ ったと判断される。資金配分も技術開発の進捗状況を見極めた上で運用されていたと判 断される。 研究期間を5年間とし、前半期間で適用技術の見極め、後半期間で実用化検証を設定 し、中間段階で社会情勢を考慮して事業計画の見直しを行ったことは適切である。研究 開発実施者の体制・運営も適切に行われている。また、資金配分もメリハリの利いた運 用を行っており妥当である。 一方、本事業の費用対効果については、事業成果を定量的に算出することが困難であ るがために、現時点で正確な最終評価を行うことは難しく、得られた成果が業界全体に 浸透・実用化された後に、真の正確な評価が可能となろう。したがって、今後も引き続 16 き事業の波及化作戦・事業化展開に努力することが重要である。 また、新規プラントの建設が少ない今日、既存のプラントの安全、安定操業がサステ イナビリティの鍵を握る。その意味で、保全、保安、安全関連の技術開発に関する投資 が少ないように思える。なお、事業の普及に向けてエネルギー価格の下落が阻害要因に ならないか検証を行っておく必要がある。 6.総合評価 石油精製における環境適応技術の開発に伴うCO2排出量の削減、並びに廃触媒を始 めとする製油所廃棄物の削減は、石油精製産業の国際競争力強化と、それによる国民経 済への好ましい影響を考慮すると、極めて重要な技術開発課題である。地球温暖化対策 の推進にも繋がり、社会的ニーズに適合するものである。国の政策的支援の下で研究開 発を進めていくべきと判断する。得られた成果は初期の目標をほぼ達成しており、個々 の研究開発の内容についても、成果は概ね順調に蓄積されていると判断される。 また、省エネルギー、プロセスの効率化、操業支援、設備管理、排出物削減、土壌改質 については、直接的・間接的に石油精製の高度化に係る技術開発を網羅している。ほぼ 全ての開発目標に対して、実証を行い、技術的には事業化の段階まで達しており、事業 としては良好なものと考えられる。 一方、得られた成果は、一製油所のみでは大きな効果が得られない内容であり、国の プロジェクトとしては、成果が広く波及し実用化される必要があり、国内製油所を横断 的に、より戦略的に展開し、継続して取り組むことが今後の課題として望まれる。 7.今後の研究開発の方向等に関する提言 ○国家プロジェクトとして展開されねばならない所以は、わが国の石油精製における省 エネルギーが既に限界に近づきつつある(世界のトップクラスのレベルにある)ことに ある。今後は石油精製産業に限定せず、電力・ガスなど他のエネルギー産業との横断的な 連携プロジェクトにより、より一層の省エネルギーへの道を追及するべきではなかろう か。 ○本事業で対象とした課題は、国内のみならず国外においても重要課題であり、限られ た研究期間内で得られた成果を以て、即、実用化・事業化できるテーマは限定されるも のの、大部分のテーマにおいて今後も弛みない努力を重ねることによって事業化が可能 となることが期待できる。従って、今後も引き続き戦略的に継続・発展させることが強 く望まれる。 ○石油精製等高度化技術は、設計、建設、運転、保全、改造、廃棄のライフサイクルア クティビティのための要素技術と、その要素技術の情報、及び要素技術によって得られ る情報を、ライフサイクルで共有・有効利用し整合性の取れた意思決定に繋げてゆくた めの情報基盤とによって支えられる。一方、既にあるレベルまで高度化が進み、新規プ ラントの建設がさほど多くない状況の日本においては、既存の設備を如何に上手く管理 して、安全を確保した上で安定操業を行うかが、サステイナビリティを左右する重要な 技術となり、そのための要素技術と支援環境の構築は重要な課題に思える。安全性の観 点からは、省エネルギーシステムの導入も、触媒技術の導入も、変更管理の手続きを経 て導入されるものであり、設計ベース、運転計画、設備の状態、設備保全の間の整合性 の管理が鍵を握る。アセットとしてのプラントの状態を検査・診断する技術と、その情 17 報を運転にフィードバックしたり、保全計画に反映させる情報基盤の整備、設計ベース との整合性をチェックするための仕組み、高度な自動化運転をするためのセンシング技 術や、それを支援するための情報基盤の整備、省エネルギーのための要素技術や触媒の 開発と、それらの導入に変更管理するための情報基盤などなど、サステイナビリティに 係る技術基盤の整備が、次の課題ではないだろうか。 ○各テーマにおいて開発された要素技術を今後事業化していく過程において、残された 技術的課題、事業化に向けて克服すべき課題は何かを明らかにしていくことが求められ る。また、事業化の対象がわが国の石油産業だけでなく、他の産業あるいは諸外国に及 ぶことが期待できるならば、どのようにすれば進展が望めるのか、国の関与の必要性も 含めて検討してゆく必要があるのではないか。運転員の世代交代や合理化の中で、製油 所の安全操業は極めて重要な課題であり、製油所の操業支援システムや製油所の設備管 理技術の開発は非常に重要なテーマと思われる。ただ、これらの技術の開発が更なる合 理化、要員の削減に繋がり、結果的に製油所の安全操業に支障をきたすことが無いよう、 更なる成果の普及・広報活動に努め、技術の共有化を促進する必要がある。 ○開発技術は、設備の導入、触媒開発、ソフト開発など多岐にわたっている。各技術の 経済性評価を踏まえて、それぞれの技術の特性に応じて実用化のシナリオを明確にする ことが必要である。特に、環境負荷削減効果が著しい技術については、普及を進める上 で必要な施策の検討が待たれる。 ○省エネルギーなど、利益に直接関係するテーマの目標、達成度は定量的に判断できる が、安全の仕組みなどは、効果を評価する仕組みが充分でないように思える。事業の効 果を測定、評価する方法の開発が必要である。 8.評価小委員会としての意見 ○本件は、全体としてよく練られたプロジェクトであり、評価においてもよく検討が深められてお り、レベルの高いものとなっている。 ○触媒の高度化、安全性の確保、腐食に対する対策等の課題があるものの、着実な成果をあ げており、この成果をさらに活かしつつ、事業化に向けて取り組んでいくことが望まれる。 ○なお、コンビナートにおける業種・企業を越えた連携推進が重要になってくると考えられること から、石油化学をはじめ、ガスや電気等との連携により推進していくことを検討することが望ま れる。また、推進する受け皿についても工夫が必要であると考えられる。 18 評点結果 19 第1章 評価の実施方法 第1章 評価の実施方法 本プロジェクト評価は、「経済産業省技術評価指針」(平成 17 年 4 月 1 日改定、以 下「評価指針」という。)に基づき、以下のとおり行われた。 1.評価目的 評価指針においては、評価の基本的考え方として、評価実施する目的として (1)研究開発に対する経済的・社会的ニーズの反映 (2)より効率的・効果的な研究開発の実施 (3)国民への施策・事業等の開示 (4)資源の重点的・効率的配分への反映 (5)研究開発機関の自己改革の促進等 を定めるとともに、評価の実施にあたっては、 (1)透明性の確保 (2)中立性の確保 (3)継続性の確保 (4)実効性の確保 を基本理念としている。 プロジェクト評価とは、評価指針における評価類型の一つとして位置付けられ、 プロジェクトそのものについて、同評価指針に基づき、事業の目的・政策的位置付 けの妥当性、研究開発等の目標の妥当性、成果、目標の達成度の妥当性、事業 化、波及効果についての妥当性、研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果 等の妥当性の評価項目について、評価を実施するものである。 その評価結果は、本プロジェクトの実施、運営等の改善や技術開発の効果、効 率性の改善、更には予算等の資源配分に反映させることになるものである。 2.評価者 評価を実施するにあたり、評価指針に定められた「評価を行う場合には、被評価 者に直接利害を有しない中立的な者である外部評価者の導入等により、中立性 の確保に努めること」との規定に基づき、外部の有識者・専門家で構成する検討 会を設置し、評価を行うこととした。 これに基づき、評価検討会を設置し、プロジェクトの目的や研究内容に即した専 1 門家や経済・社会ニーズについて指摘できる有識者等から評価検討会委員名簿 にある5名が選任された。 なお、本評価検討会の事務局については、指針に基づき経済産業省資源エネ ルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課が担当した。 3.評価対象 石油精製等高度化技術開発事業(実施期間:平成15年度から平成19年度)を評 価対象として、研究開発実施者(財団法人石油産業活性化センター)から提出された プロジェクトの内容・成果等に関する資料及び説明に基づき評価した。 4.評価方法 第1回評価検討会においては、研究開発実施者からの資料提供、説明及び質疑 応答、並びに委員による意見交換が行われた。 第2回評価検討会においては、それらを踏まえて「プロジェクト評価における標準的 評価項目・評価基準」、今後の研究開発の方向等に関する提言等及び要素技術につ いて評価を実施し、併せて4段階評点法による評価を行い、評価報告書(案)を審議、 確定した。 また、評価の透明性の確保の観点から、知的財産保護、個人情報で支障が生じる と認められる場合等を除き、評価検討会を公開として実施した。 5.プロジェクト評価における標準的な評価項目・評価基準 評価検討会においては、経済産業省産業技術環境局技術評価調査課において平 成19年6月1日に策定した「経済産業省技術評価指針に基づく標準的評価項目・評 価基準について」の「プロジェクト評価」の「中間評価」に沿った評価項目・評価基準と した。 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 (1)国の事業として妥当であるか、国の関与が必要とされる事業か。 ・国民や社会のニーズに合っているか。 ・官民の役割分担は適切か。 (2)事業目的は妥当で、政策的位置付けは明確か。 2 ・事業の政策的意義(上位の施策との関連付け等) ・事業の科学的・技術的意義 (新規性・先進性・独創性・革新性・先導性等) ・社会的・経済的意義(実用性等) 2.研究開発等の目標の妥当性 (1)研究開発等の目標は適切かつ妥当か。 ・目的達成のために具体的かつ明確な研究開発等の目標及び目標水準を設 定しているか。特に、中間評価の場合、中間評価時点で、達成すべき水準 (基準値)が設定されているか。 ・目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。 3.成果、目標の達成度の妥当性 (1)成果は妥当か。 ・得られた成果は何か。 ・設定された目標以外に得られた成果はあるか。 ・共通指標である、論文の発表、特許の出願、国際標準の形成、プロトタイプの 作製等があったか。 (2)目標の達成度は妥当か。 ・設定された目標の達成度(指標により測定し、中間評価時点の達成すべき水 準(基準値)との比較)はどうか。 4.事業化、波及効果についての妥当性 (1)事業化については妥当か。 ・事業化の見通し(事業化に向けてのシナリオ、事業化に関する問題点及び解決 方策の明確化等)は立っているか。 (2)波及効果は妥当か。 ・成果に基づいた波及効果を生じたか、期待できるか。 ・当初想定していなかった波及効果を生じたか、期待できるか。 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 (1)研究開発計画は適切かつ妥当か。 ・事業の目標を達成するために本計画は適切であったか(想定された課題への 対応の妥当性)。 3 ・採択スケジュール等は妥当であったか。 ・選別過程は適切であったか。 ・採択された実施者は妥当であったか。 (2)研究開発実施者の実施体制・運営は適切かつ妥当か。 ・適切な研究開発チーム構成での実施体制になっているか、いたか。 ・全体を統括するプロジェクトリーダー等が選任され、十分に活躍できる環境が 整備されているか、いたか。 ・目標達成及び効率的実施のために必要な、実施者間の連携/競争が十分に 行われる体制となっているか、いたか。 ・成果の利用主体に対して、成果を普及し関与を求める取組を積極的に実施し ているか、いたか。 (3)資金配分は妥当か。 ・資金の過不足はなかったか。 ・資金の内部配分は妥当か。 (4)費用対効果等は妥当か。 ・投入された資源量に見合った効果が生じたか、期待できるか。 ・必要な効果がより少ない資源量で得られるものが他にないか。 (5)変化への対応は妥当か。 ・社会経済情勢等周辺の状況変化に柔軟に対応しているか(新たな課題への 対応の妥当性)。 ・代替手段との比較を適切に行ったか。 6.総合評価 7.今後の研究開発の方向等に関する提言 (個別要素技術に関するコメント) 4 第2章 プロジェクトの概要 1.事業の目的・政策的位置付け 1-1 事業の目的 (1)事業の目的 石 油 は、現 在 我 が国 における一 次 エネルギー総 供 給 の5割 近 く(2006年 度:約 47%)を 占めており、各種エネルギーの中で最も高くなっているとともに、今後は新エネルギー開発の 加速によりエネルギー源の多様化が図られる中、重要なエネルギー源として位置付けられて いる(エネルギー白書2008)。 他方、近年、エネルギーを取り巻く情勢変化により、石油の需要・供給における様々な課題 が再認識されている。原油のほぼ全量を輸入し、その約9割を中東地域に依存している我が 国 においては、他 の先 進 国 と比 較 して依 然 として脆 弱 な石 油 供 給 構 造 を有 するとともに、今 後 、原 油 の重 質 化 や国 内 需 要 における白 油 化 等 需 給 構 造 の変 化 が見 込 まれる中 、迅 速 な 需 給 調 整 が図 られ、石 油 製 品 を安 定 的 かつ効 率 的 に供 給 するための環 境 整 備 が求 められ ている。 また、中国やインドをはじめとする諸外国の石油需要の急増によるエネルギー資源獲得競 争の激 化、産 油国 の供 給 余力 の減 少 等、中 長 期 的には世 界における石 油需 給の逼 迫も懸 念 されており、今 後 とも我 が国 のエネルギーセキュリティを確 保 する上 で石 油 の安 定 的 な供 給はますます重要な課題となっている。1990年代には低レベルで推移していた原油価格は、 2004年以降騰勢を強めており、原油の最も効率的な利用方法が重要となってきた。 さらに、石油の精製や石油製品の利用に起因する大気汚染の防止、地球温暖化対策等、 環境保全上の社会的要請が高まっており、環境に適合した石油製品の製造や利用をこれま で以上に進める必要がある。特にエネルギー多消費産業である石油精製業(製油所)の多く は大都市近郊に立地していることから、その環境保全への対応は 今後一層厳しく、さらなる 推進が求められている。 このような状況の中、我が国の石油精製業が今後とも石油製品の低廉かつ安定的な供給 を確保していくためには、石油精製設備等の一層の効率化及び高度化により石油精製に伴 う環境負荷の大幅低減を進めることが急務となる。 このため、本事業においては、今後も引き続き我が国の経済活動や国民生活に必要不可 欠である石 油製 品の安 定かつ低 廉 な供 給を確 保するために、必要 な国際 競 争 力 を有し、か つ環 境 保 全 に関 する対 策 も確 保 した製 油 所 の実 現 を通じて、石 油 製 品 の製 造、利 用 に伴 う 環 境 負 荷 の低 減 、地 球 温 暖 化 防 止 対 策 を図 ることを目 的 として、石 油 製 品 を製 造 する工 程 における廃棄物、排出物の低減や、製造におけるエネルギー使用の効率化を図るとともに環 境への負荷低減を図る技術の開発等を行う。 (2)事業の概要 図1−2に開発 事業の概要を示す。本事業は、「1.環境 負荷 低減 型 石油 精製プロセス技 術 開 発 (CO2削 減 )」および、「2.廃 棄 物 削 減 ・再 利 用 ・汚 染 浄 化 技 術 開 発 (ゼロエミッショ ン)」の2分野に取り組み、「1.環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減)」に ついては、①熱 利 用 高 度 化(R1)、②精 製プロセス高 度 活 用・効 率 化(R2)、③製 油 所 総合 監 視 自 動 化 システム(R3)、④製 油 所 設 備 管 理 (R4)の4本 柱 、「2.廃 棄 物 削 減 ・再 利 用 ・ 汚 染 浄 化 技 術 開 発 (ゼロエミッション)」については①排 出 物 削 減 ・高 度 リサイクル(R5)、② 含油土壌高度浄化(R6)の2本柱の計6本柱で構成される。 5 製油所を取り巻く状況と今後の方向 規制緩和(特石法廃止) 地球環境・地域環境保全 海外製品とのコスト競争 環境負荷低減への対応 余剰設備廃棄 による製油所 稼動率向上 製造技術高度 化による生産 効率向上 クリーン燃料 の製造 環境負荷低減 技術の製油所 への導入 環境対応型の高効率製油所に! 図1−1 石油精製等高度化技術開発 (グリーンリファイナリ−事業) 事業の必要性 石油製品の安定かつ低廉な供給を確保するために必要 な国際競争力を有し、かつ環境保全に関する対策も確 保した製油所の実現のため、石油製品製造の高度化・ 効率化、環境負荷低減型の石油精製プロセス及び製油 所廃棄物削減等に関する技術開発を行う。 1.環境負荷低減型 石油精製プロセス技術開発(CO2削減) ①熱利用高度化(R1) ②精製プロセス高度活用・効率化(R2) ③製油所総合監視自動化システム(R3) ④製油所設備管理(R4) 2.廃棄物削減・再利用・ 汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) ①排出物削減・高度リサイクル(R5) ②含油土壌高度浄化(R6) 図1−2 開発事業の概要 6 石油精製プロセスにおける熱利 石油精製プロセスにおける熱利 用高度化、運転最適化、設備管 理における技術開発を行い、製 油所における省エネ効果拡大及 びCO2排出抑制を図る。 製油所における精製廃棄物削減、 汚染土壌処理における技術開発 を行い、製油所における廃棄物 発生の抑制及び汚染物質の効率 的な処理を図る。 1-2 国の関与の必要性 石油精製業においては、経団連の自主行動計画に基づき、石油製品の製造に伴うエネル ギー消 費 量 の低 減 や廃 棄 物 削 減 を進 めている。また、これまでも環 境 保 全 に対 する社 会 的 要請に対応 するため、燃料中のベンゼンの低減、サルファーフリー化等の品質 の改善により 石油製品の利用に伴う環境負荷低減のために大きな貢献を果たしてきたところである。 他方、これまでの製油所における省エネルギー対策の取り組みにより製油所における消費 エネルギーの原単位は年々低減されているものの、我が国における石油製品の需要量増加 及び環境に適合した燃料品質の改善に対応するため、製油所における消費エネルギーは増 大し、CO2 排出量も増加している。 こうした中、石油精製業においては、引き続き環境に配慮した石油製品を製造する中で、さ らなるエネルギー消費量の削減を図るとともに、石油精製に起因する廃棄物の排出量を削減 していくことが求められている。 このような課題に対しては、これまで同様に独自の取り組みにより対応可能なものもあるが、 一方で、既存技術では充分対応できないため、新たな技術の開発が不可欠なものがある。特 に、新たな技 術の開 発 ・導入 において、生 産 性 向 上に直 結せず、投 資 回 収が困 難な環 境 負 荷 低 減 に資 する技 術 や開 発 レベルが高 度 なためリスクが高 いものについては、民 間 企 業 の 自発 的 取り組みのみでは、研究開 発の進 展が充分 見 込まれず、地球 温暖 化 問題 や大気 環 境 汚 染 の改 善 が進 まない恐 れがある。また本 事 業 で設 定 しているような短 期 間 で一 定 の成 果を得るためには多額の経費が必要となり、市場機能の活用のみでは十分な技術開発、普 及を図ることは困難だと考えられる。 このため、こうした技術を効率的に開発していくためには、国としてこの施策に関与すること により当該技術に関する専門家を集め、有機的に連携しながら集中的に研究を推進すること で取り組みを加速するとともに、これらの開発 技術を産 業 界全 体に広 範に技 術展 開すること により、早急に地球温暖化問題や大気環境汚染の改善を図ることが最も効果的である。 1-3 政策的位置付け 本事業の最終目的は、石油製品を製造する段階から使用する段階までを含めゼロエミッシ ョン化を進め、石油製品の製造・利用段階での環境負荷低減を図るものであり、これはエネル ギー基本計画(2003年10月閣議決定)における石油、ガス及び石炭に関する技術における 重点的施策に対応するものである。 また、第 2期 科 学 技 術 基 本 計 画 (2001年 3月 閣 議 決 定 )における国 家 的 ・社 会 的 課 題 に 対応した研究開発の重点分野であるエネルギー分野、分野別推進戦略(2001年9月総合科 学技 術会 議 )における重点 分野 であるエネルギー分 野に位置づけられるものである。さらに、 2005年 6月 に示 された第 3期 科 学 技 術 基 本 計 画 策 定 の基 本 方 針 においても、「地 球 温 暖 化・エネルギー問 題の克 服」、「環 境と調 和 する循 環 型 社 会の実 現」に対するより具 体 化され た政策目標として位置づけられている。 加えて、産業技術戦略(2000年4月工業技術院)における社会的ニーズ(環境と調和した 経済社会システムの構築、エネルギー・資源の安定供給確保)への対応、革新的、基盤技 術 (エネルギー・環 境 技 術 )の涵 養 への対 応 を図 るものであるほか、「産 業 発 掘 戦 略 −技 術 改 革」(「経済財政運営と構造改革に関する基本計画2002」(2002年6月閣議決定)に基づき 2002年12月に取りまとめ)の「環 境・エネルギー」分 野 における戦 略 目 標に対 応するもので ある。 7 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2 削減) 京都議定書(COP3)を持ち出すまでもなく、CO2 排出削減問題の克服はエネルギー・環境 問題の根幹をなす人類共通の課題となっている。科学技術基本政策策定の基本方針(200 5年6月)では、「地球温暖化・エネルギー問題の克服」のため、「温暖化ガスを効果的に排出 削減する技術の実用化」、「世界を先導する省エネルギー社会の実現」、「世界で利用される 新たな環境調和型のエネルギー供給の実現」が個別政策目標例として示されており、本技術 開発はこれらの政策目標に合致するものとなっている。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 廃棄物の大量発生が大きな社会問題になっており、環境負荷が低減された循環型社会の 構築が強く求められている。科学技術基本政策策定の基本方針(2005年6月)では、「環境 と調和する循環型社 会 の実現」のため、「3R(発生抑制、再利用、リサイクル)による資源の 有 効 利 用 と廃 棄 物 の削 減 」が個 別 政 策 目 標 例 として示 されており、本 技 術 開 発 はこの政 策 目標に合致するものである。 8 2.研究開発目標 2‐1 研究開発目標 第1次石油ショックを契機に我が国製造業においては省エネルギー化を推進し世界で最も 省エネが進み、企業レベルで実施する省エネルギー対策については、相当程度広がっている ことから、既 存 技 術 による対 策 では限 界 に近 づきつつあるとさえ言 われている。石 油 精 製 業 においても装置産業として業界をあげて省エネに取り組んできた歴史があり、図2−1の製油 所におけるエネルギー消費指数の国別比較によると、我が国製油所は世界の中でも効率化 の観点ではトップクラスにあるといえる。 しかしながら、石油 精 製業 において、さらなる地球 環 境 保 全といった社会 的 要 請 に対 応す る上で、今後とも省エネルギー等の取り組みを進めることが重要となっている。 このため、本事業では、このような背景のもと、将来を見据えた技術開発として、製油所の 高度化・経済性向上に力点をおき、「CO2 排出量の削減」、「廃棄物量の削減」という環境の 視点より製油所の高効率化、高度化を進めることとした。 115 113 110 105 100 102 101 100 95 高効率 90 日本 日本 先進アジア諸国*2) 西ヨーロッパ(15 ヶ国) 先進アジア諸国 西ヨーロッパ(15カ国) *1) 米国・カナダ 米国・カナダ 図2−1 製油所におけるエネルギー消費指数 の国別比較 注 :*1)Solomon 社 独 自 の指 標 で、換 算 通 油 量 を用 いており石 連 が自 主 行 動 計 画 で採 用 している製 油 所 原 単 位 と類 似 した性 格 を持 つ *2)韓 国 ・シンガポール・マレーシア・タイ、中 国 を含 まない 出 典:石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行動 計画2005年度(第8回)フォローアップ(2005 年 10 月) 本事業の遂行に際しては、石油精製の個別要素技術のこれまで以上のさらなる高度化が 必要なことから、成果の普及や製油所での実証を進める上で、最先端技術はもちろんのこと、 泥臭い技術の組合せも含め積極的に取り組む必要があると評価された(2003年3月 (財) 石油産業活性化センター技術企画委員会)。これらの事前評価に基づき、技術開発テーマの 目標として CO2 削減量及び最終廃棄物削減量を定めると共に、実証化技術開発の位置付 けを明確にすることとした。 9 2‐1‐1 全体の目標設定 事業全体の研究開発目標設定を表2−1に示す。 表2−1 全体の目標 事業 目標・指標 設定理由・根拠等 (1)環 境 負 荷 低 減 国内製油所の CO2 排出 本 事 業 開 始 時 の2002年 度 におけるエネルギー 型石油精製プ 量 を 2 0 0 万 ton-CO2/ 年 消費量は自主行動計画の基準となる1990年対比 ロセス技術開 の削 減 が可 能 となる技 術 28.8パーセント増である。この内訳である①「製品 発(CO2削減) の開発 の需 要 量 増 への対 応 」:14%、②「製 品 の需 要 構 成 の変 化 への対 応 」:10%、③「環 境 に配 慮 した品 質 への対 応 」: 5% であり、この③「環 境 に配 慮 し た品 質 への対 応 」のエネルギー消 費 量 の増 加 分 以 上 (200万 ton-CO2/年 )の削 減 を可 能 とする技 術 の開発を目指す事とした。 (2)廃 棄 物 削 減 ・ 製 油 所 における最 終 処 製 油 所 廃 棄 物 の内 で発 生 量 の半 分 を占 め製 油 再利 用・汚染 浄 分 廃 棄 物 量 を1万 ton/年 所 内での減 量 化 にエネルギーを要 している汚 泥 と、 化 技 術 開 発 (ゼ 削 減 が可 能 となる技 術 の 高 価 な金 属 類 を含 み廃 棄 物 としても価 値 が高 い使 ロエミッション) 開発 用済触媒に着目した。 これらについて単に最 終 処分 量を減 らすのではな く、廃 棄 物 発 生 量 自 体 の削 減 という抜 本 的 な技 術 開 発 を通 して、汚 泥 と使 用 済 触 媒 の「減 量 化 後 の 再資源化と最終処分」合計量 約5万 ton/年を1万 ton/年以上を削減するとした。 10.5 (原油換算KL/千KL) 製油所エネルギー消費原単位 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 図 2−2に製 油 所 エネルギー消 費 原 単 位 の年 度 別 推 移 、また図 2−3に石 油 精 製 に起 因 する CO2 排出量、これまでの CO2 削減効果及び CO2 発生原単位の年度別推移を示した。 これらの図からわかるように石油精製に必要な製油所消費エネルギーの原単位は石油精 製 業 のたゆまぬ省 エネ努 力 により1991年 以 来 漸 減 しているものの、石 油 製 品 の需 要 量 増 大、環境保全のための燃料品質の改善という社会的要請への対応によりエネルギー消費量 は増加傾向にあり、それに伴い CO2 排出量も増加している。 本事業においては、このような背景を踏まえ、さらなるエネルギー消費量抑制、CO2 排出抑 制を目指し研究開発目標を設定し技術開発事業を展開した。 10.0 9.5 9.17KL/千KL ⇒ 2010年度目標値 9.0 8.5 8.0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 図2−2 製油所エネルギー消費原単位の年度別推移 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ 2005 年 10 月 石 油 連 盟 10 年度 60 28 CO2排出量・CO2削減効果 (百万トンCO2/年) CO2排出量 CO2削減効果 CO2原単位 50 1990年対比 26 28.8% 40 24 30 22 20 20 10 18 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 16 年度 図2−3 CO2 排出量、CO2 削減効果、CO2 排出原単位の年度別推移 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ (2005 年 10 月 石 油 連 盟 )に PEC にて追 記 図2−3からわかるように、本事業開始時の2002年度におけるエネルギー消費量は自主 行動計画の基準となる1990年対比 28.8%増である。この内訳である①「製品の需要量増へ の対応」:14%、②「製品の需要構成の変化への対応」:10%、③「環境に配慮した品質への対 応」: 5% であり、この③「環境に配慮した品質への対応」のエネルギー消費量の増加分以上 ( 200 万 ton-CO2/年)の削減を可能とする技術の開発を目指す事とした。 本 目 標 の達 成 により、サルファーフリー等 本 来 環 境 負 荷 低 減 を目 指 したにもかかわらず CO2 排出面で排出量が増加するという矛盾の解消が可能となる。そのためには新たな技術 開発要素が不可欠であり、相反する技術として従来取り上げ難かった課題・新規技術等を取 り上げ、廃熱回収、熱効率向上、プロセスの高効率化等の観点で製油所装置に対する抜本 的な技術開発、さらに製油所実装置での運転検証を行い、技術の波及を目指すこととした。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 石油精製工程においては廃油・スラッジ、汚泥、廃酸、廃アルカリ、電気集塵機の捕集ダス ト、使 用 済 み触 媒 、建 設 廃 材 等 の廃 棄 物 が発 生 する。製 油 所 では廃 棄 物 発 生 量 自 体 の抑 制とともに、廃油・スラッジの油分回収、汚泥の脱水などの中間処理による減量化、また廃油 の再 精 製 、汚 泥 や捕 集 ダスト及 び保 温 廃 材 のセメント原 材 料 化 、建 設 廃 材 の分 別 化 による 路盤 材 料への転換、さらには他 の業界との連 係による再 資源 化に積 極的 に取り組み、石油 精 製 工 程におけるゼロエミッション化を目 指している。さらに硫黄、重 質 残 渣・重 質 油 等の精 製排出物についても、今後、排出量が問題となる可能性がある。 図 2−4に製 油 所 における廃 棄 物 の発 生 量 、減 量 化 量 、再 資 源 化 量 、最 終 処 分 量 の推 移を示した。1999年以降では、廃棄物発生量は 50∼60 万 ton/年でほぼ一定の水準にある が、中間処理による減量化、所内での再利用及び他の業界との連係による再資源化に努め ることにより、再資源化の割合を増やしつつ、一方で図2−5に示したように最終処分量の大 幅削減を達成している。 11 120 減量化量 再資源化量 最終処分量 100 100 廃 棄 80 物 量 ㌧ 90 再資源化率 80 最終処分量 60 再 資 源 70 化 再資源化量 率 60 % 40 発生量 減量化量 20 50 0 40 1990 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 年度 図2−4 製油所における廃棄物の発生量、減量化量、再資源化量、最終処分量の推移 廃 棄 物 最 終 処 分 量 ( 万 トン) 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ( 2005 年 10 月 石 油 連 盟 ) を用 いて PEC で作 成 12 10 9.9 8 6.6 2010年度目標値 5.3 6 3.3 3.6 4 2.8 2.5 2.4 2 1.4 1.1 2003 2004 0 1990 1996 1998 1999 2000 2001 2002 年度 図2−5 製油所における最終処分量の年度別推移 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ( 2005 年 10 月 石 油 連 盟 ) 12 石油精製業では、廃棄物削減の環境自主行動計画において廃棄物の最終処分量を199 0年度対比で 67%削減し 3.3 万 ton/年以下とすることを目標として対策を進めており、本事業 計画時の2001年度の最終処分量は 2.5 万 ton/年で既に目標を達成、その後も2004年度 1.1 万 ton/年と着実に削減を進めている状況である。 再 資 源 化 +最 終 処 分 量 (万 t/年 ) 40 汚泥 廃白土 廃酸 35 30 使用済触媒 集塵ダスト 建設廃材 廃油 廃 ア ル カリ その他 再資源化量と最終処分量の合計はほぼ一定で変わらない 25 20 15 10 5 0 1995 2000 2001 2002 2003 2004 年度 汚泥と使用済触媒の「再資源化+最終処分」合計量 図2−6 製油所廃棄物の「再資源化量」と「最終処分量」の合計量 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ( 2005 年 10 月 石 油 連 盟 )を 用 いて PEC で作 成 図2−6に、この数年間における製油所廃棄物の「再資源化」と「最終処分」の合計量の推 移 を示 した。前 述 の図 2−5に示 したように最 終 処 分 量 は減 少 しているものの製 油 所 から排 出される廃 棄物総量、すなわち「再資源化」と「最終処 分」の合計量はほとんど変わらない状 況であり、業界から排出される廃棄物の大部分が、何らかの形で再資源化に回されているの が現状である。 本技術開発においては、製油所廃棄物の内で発生量の半分を占め製油所内での減量化 にエネルギーを要している汚泥と、高価な金属類を含み廃棄物としても価値が高い使用済触 媒に着目した。これらについて単に最終処分量を減らすのではなく、廃棄物発生量自体の削 減という抜本的な技術開発を通して、図2−6に示したように汚泥と使用済触媒の「減量化後 の再資源化と最終処分」合計量 約 5 万 ton から 1.0 万 ton 以上を削減するとした。 13 2‐1-2 個別要素技術の目標設定 図2−7に石油精製等高度化技術開発事業での目標とその達成度を測る指標を示した。 目標 指標 1.環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 製油所における省エネ効果及びCO2排出抑制 ① 熱利用高度化技術の開発 ② 製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発 廃熱回収、 熱効率向上 プロセスの高効率化 効率運転、 保全費削減 安定操業技術の確立 国内製油所 CO2総排出量 CO2総排出量 200万 200万ton/年の ton/年の 削減 ③ 製油所総合監視自動化システム技術の開発 ④ 防食管理技術・効率的検査技術の開発 2.廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 製油所における廃棄物発生の抑制及び 汚染物質の効率的な処理 減容化・長寿命化 再利用、高効率浄化 ⑤ 排出物削減・高度リサイクル技術の開発 ⑥ 含油土壌浄化・処理技術の開発 最終処分 廃棄物量 1万ton/年の ton/年の 削減 図2−7 石油精製等高度化技術開発事業の目標とその達成度を測る指標 具体的な目標は以下の通りである。 1.環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (CO2 削減) 石油精製プロセスにおける熱利用高度化、運転最適化、設備管理における技術開 発を行い、製油所における省エネ効果及び CO2 排出抑制を図る。 具体的には、次の各テーマにおいて、テーマ・サブテーマの技術開発結果が、我が 国 における他 の製 油 所 へも波 及 する効 果 も含 めて、国 内 製 油 所 総 CO2 排 出 量 約 4,383 万 ton-CO2/年(2001 年度)の約5%(200 万 ton-CO2/年)の削減を可能とする 技術の開発を目指す。 ①熱利用高度化技術の開発(R1) ②製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) ③製油所総合監視自動化システム技術の開発(R3) ④防食管理技術・効率的検査技術の開発(R4) 2.廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 製油所における精製廃棄物・排出物削減、汚染土壌処理における技術開発を行い、 製油所における廃棄物発生の抑制及び汚染物質の効率的な処理を図る。 具体的には、次の各テーマにおいて、テーマ・サブテーマの技術開発結果が我が国 における他の製油所へも波及する効果を含めて、最終処分廃棄物量として国内製油 14 所総廃棄量約2.5万ton/年の約30%(1.0万ton/年)の削減を可能とする技術の開発を 目指す。 ①排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) ②含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (CO2 削減) 表2−2に環境 負 荷 低 減型 石 油 精 製プロセス技術 開 発 分 野のテーマ毎の内容、目標・指 標、及び設定理由・根拠等を示した。 15 表2−2 分野別テーマと目標(CO2削減) 分野 要素技術 熱 利 <テーマ名称> 用 高 低 位 熱 回 収 システムの 開 度 化 発(R1.1.1) (R1) <開発内容> 流 動 接 触 分 解 装 置 (FCC) の反 応 塔 下 流 主 分 留 塔 塔 頂 部での従 来は回 収が困 難 であった低 位 廃 熱 を、高 圧 ・低 圧 2種 の蒸 発 器 を有 した2 段 ラン キン システ ム を 採 用 した発 電 システムを用 いて回収する。 <テーマ名称> 高 性 能 熱 交 換 設 備 の導 入 による蒸 留 塔 の熱 回 収 シ ステムの開発(R1.1.2) <開発内容> 従 来 、熱 交 換 不 可 能 であ った高 粘 度 で触 媒 粉 を含 む 流 体 からの熱 回 収 を行 う高 性能熱交換器を開発する。 精 製 <テーマ名称> プ ロ セ 高 効 率 水 素 発 生 システム ス 高 の開発(R2.1.1) 度 活 <開発内容> 用 、効 既存の水素製造装置に予 率 化 備 改 質 装 置 を設 置 し、スチ (R2) ーム導 入 量 の削 減 と、水 素 発 生 量 の増 加 が可 能な技 術開発を行う。 <テーマ名称> 水素製造装置への超高次 脱 硫 触 媒 を適 用 した技 術 の 開発(R2.1.2) <開発内容> 水素 製造 装 置に超 高 次 脱 硫 触 媒 ・メタン化 促 進 触 媒 の導 入 により硫 黄 被 毒 と コーキングを抑 制し、高 負 荷 運 転 を可 能 にする技 術 を 開発する。 <テーマ名称> 高 性 能 膜 と改 質 技 術 を組 み合わせた製油 所副 生 ガス の有効利用に関する研究開 発(R2.1.3) <開発内容> 水素を含有する FCC 副生 ガスを膜 分 離 プロセスと改 質 プロセスによる水 素 製 造 技術を開発する。 <テーマ名称> 省燃費型自動車用潤滑 油生 産に向 けた次世 代 鉱 油 系 基 油 製 造 プロセスの研 究開発(R2.1.4) <開発内容> 石 油 系 ワックスを原 料 とし た高 性 能 潤 滑 油 基 油 製 造 プロセスを開 発 し、省 燃 費 型 自 動 車 用 潤 滑 油 を開 発 する。 目標・指標 設定理由・根拠等 低位熱回収システムを既設 FCC 装置に適用することにより、 効率的なエネルギー回収を行う。 ①主 分 留 塔 塔 頂 熱 量 の回 収 率 : 65.0% ②回 収 熱 量 に対 する発 電 効 率 : 4.5% 石 油 製 品 を分 留 する蒸 留 塔 頭 頂 部 の熱 は、保 有 エネルギ ーが大 きいにもかかわらず低 位 (低 温 )レベルであるため回 収 することなく系 外 へ排 出 して いる。 従 って低 位 熱 を効 率 的 に回 収 し有 効 な電 力 エネルギーへ 変 換 するとともにCO2 排 出 量 を削 減 し環 境 負 荷 を低 減 させ る。 既設 FCC 装置における制約を 回 避 し、効 率 的 な廃 熱 回 収 によ り、原 料 油 加 熱 炉 を停 止 可 能 と する。 ①高性能熱交換器の適合化 ②熱 交 換 設 備 の最 適 配 列 による 熱回収システムの開発 高 粘 度 で触 媒 粉 を含 む流 体 を使 用 した高 性 能 熱 交 換 器 を FCC に適用した事例がない。 従 って、国 内 外 で初 の高 性 能 熱 交 換 器 の技 術 を開 発 し、 省エネルギーを実現する。 ①現 状 水 素 発 生 量 にて、単 位 発 従 来 では事 例 のない予 備 改 生 水 素 当 たりの燃 料 油 消 費 量 質 装 置 の技 術 開 発 を行 い、燃 を10%削減 料油削減とCO2 排出削減によ ②単 位 当 たり燃 料 消 費 量 一 定 の り、省エネルギーを実現する。 条 件 で、水 素 発 生 量 を12%増 加 超 高 次 脱 硫 触 媒 を適 用 して、 低 スチ ーム・ カーボン 比 ( S/C) 運 転 により10%のエネルギー削 減を達成する。 ①改 質 触 媒 活 性 劣 化 抑 制 ・低 S /C運 転 による燃 料 消 費 量 の 削減:6% ②低 S/C 運 転 に よる 蒸 気 使 用 量の削減(燃料換算):4% 触 媒 活 性 劣 化 抑 制 に よ り生 じた反応温度の余裕を利用 し、既 存 プロセスを変 更 するこ となく、高 負 荷 運 転 による省 エ ネルギーを実現する。 ①膜 分 離 技 術 :水 素 濃 度 60% 以上、回収率80%以上 ② PSA ( pressure swing adsorption) 技 術 :水 素 濃 度 99.5%以 上 、 回収率75%以上 従 来 は加 熱 炉 やガスタービン に使用されている FCC 副生ガ スを原 料 として水 素 を製 造 す ることにより省 エネルギーを実 現する。 ①粘 度 指 数 (VI)140 以 上 、硫 黄 分 1ppm 以下の潤滑油基油を、 現 行 比 1/2以 下 のエネルギー で製造するプロセスの開発 ②開 発 された基 油 を使 用 し燃 費 を5%向上させる潤滑油の開発 ③オイル交 換 距 離を1.2倍 延 長 するエンジン油の開発、VI 安定 性 を1.2倍 とする緩 衝 器 油 の 開 発 、電 力 消 費 を1%削 減 する 作動油の開発 潤 滑 油 基 油 製 造 に伴 うエネ ルギー消 費 を下 げるとともに、 開 発 した基 油 を使 用 した潤 滑 油 により燃 費 の向 上 、寿 命 延 長 及 び電 力 消 費 を削 減 するこ とにより省エネルギーを実現す る。 16 製 油 所 総 合 監 視 自 動 化 システ ム (R3) <テーマ名称> ①前 処 理 水 素 化 装 置 及 び接 触 省 エネ型 脱 硫 接 触 分 解 触 分 解 装 置 の組 合 せにおいて、 媒の実用化研究 前 処 理 水 素 化 装 置 の水 素 使 (R2.2.1) 用量の低減:5%以上 <開発内容> ②接触分解触媒の FCC ガソリン 接 触 分 解 装 置 において、 脱硫率:25%以上 重 質 油 を原 料 とした低 硫 黄 FCC ガソリンを製 造 する脱 硫接 触分 解 触媒を開発 す る。 FCC ガソリン中の硫黄分を1 0ppm∼30ppm まで低 減 させ る高 脱 硫 性 能 の接 触 分 解 触 媒 を 開 発 し 省 エネルギ ーを 実 現する。 <テーマ名称> ①硫黄分 50ppm、リサーチオクタ 低 水 素 消 費 型 ガソリン脱 ン価(RON)90 の FCC ガソリン 硫技術の開発(R2.2.2) を選 択 的 に水 素 化 脱 硫 処 理 <開発内容> し、硫黄分 10ppm 以下、RON FCC ガソリンの脱硫におい 87.5 以 上 のガソリンを製 造 す てオレフィンの水 素 化 反 応 る。 を 極 力 抑 制 し オ ク タ ン 価 を ②FCC-C4 留 分 を利 用 した高 オ 維持しつつ効果 的に脱 硫す クタン価 基 材 製 造 プロセスを る「低水素消費型脱硫 技 開 発 し、選 択 脱 硫 技 術 とのパ 術 」の実 用 化 と高 性 能 化 を ッケージとして、オクタン価 低 目指す。 下ゼロで硫黄分 10ppm 以下の ガソリンを製造する。 FCC ガソリンのオクタン価 を 維持し、硫黄分を 10ppm 以下 とする低 硫 黄 ガソリン製 造 プロ セスを開 発 し、ガソリン車 の排 気ガス浄化を実現する。 <テーマ名称> LCO 有効利用のための省 エネルギー型 精製 技術の開 発(R2.2.3) <開発内容> FCC か ら 発 生 す る LCO を、2段 反 応 により低 エネル ギー運 転 でクリーン燃 料 化 を可 能 とする金 属 触 媒 とプ ロセスを開発する。 ライトサイクルオイル(LCO)高 度 精 製 反 応 における水 素 対 油 比 を 低 減 した水 素 化 処 理 により、セタ ン指数 40 以上、硫黄濃度 10ppm 以下、窒素濃度 10ppm 以下の生 成 油 を製 造 する。さらに、使 用 す る貴 金 属 触 媒 の寿 命 を1年 以 上 とする。 品 質 が劣 悪 なため主 に重 油 ブレンド基 材 として使 用 されて いる FCC から発 生する LCO を、高 品 質 でクリーンな燃 料 と する水素対油比を大幅に低減 したプロセスを開 発 し、省 エネ ルギー化を実現する。 <テーマ名称> ①運 転 ノウハウのシステム化 によ 装 置 運 転 無 人 化 を指 向 し り、経 験 の浅 い運 転 員 でも安 全 た自 動 化 ・支 援 システムの 確 実 な作 業 が可 能 な支 援 シス 開発(R3.1.1) テムを実現する。 <開発内容> ②ボード/フィールド双 方 向 の連 ベテランオペレータの運 転 実 績 携 業 務 をシステム化 することに デ ー タ か ら 操 作 監 視 ノ ウ ハ より、現 場 型 (ユビキタス)ボードマン ウを抽 出 し、自 動 化 を目 指 が可 能 な支 援 システムを実 現 す。併 せてボード/フィール する。 ドとの連 携を強 化 する運 転・ ③ 音 及 び 熱 画 像 を 測 定 ・ 分 析 し 監視・操作支 援システム(現 て、人 間では把 握できないレベル 場 員 へのガイダンス機 能 を含 で の 早 期 異 常 発 見 シ ス テ ム を む ) 及 び 異 常 音 検 知 シ ス テ 実 現 、及 び現 場 でフィールドマンが ム・異 常 温 度 分 布 感 知 シス 画 像 による遠 隔 確 認 できるモバ テムを開発する。 イル端末を実現する。 「熟 練 運 転 員 の減 少 と経 験 の浅 い運 転 員 比 率 の増 大 」及 び「4年 連 続 運 転 に伴 う非 定 常 操 作 の経 験 機 会 の減 少 」を 踏 まえ、設 備 異 常 の未 然 防 止 と早 期 発 見 やプロセスの高 効 率 運 転 を図 るため、IT を活 用 し、運 転 員 の技 術 伝 承 支 援 、 運 転 支 援 及 び設 備 異 常 を早 期 発 見 する技 術 を開 発 し、製 油 所 の安 定 操 業 維 持 を確 保 する。 <テーマ名称> 製油所装置異常診断自 動 化 による安 全 対 策 技 術 開発(Ⅰ)(R3.1.3) <開発内容> 製 油 所 内 を広 範 囲 に監 視 するために、防 爆 無 線 装 置 を使 用 した移 動 監 視 装 置 及 び固 定 監 視 装 置 を開 発 す る。 これらの監 視 装 置 を現 場 に設 置 し、現 場 の音 と画 像 から異常を検知する。 製 油 所 では巡 回 員 が五 感 を 駆 使 して漏 洩 や回 転 機 の不 具 合 などを監 視 しているが、製 油 所 は広 いので常 時 巡 回 員 のみ で監視するには限界がある。 そこで、プラント内を常時監視 できる装置を開発し、監視技術 の核 となる画 像 変 化 検 知 技 術 や音 による監 視 技 術 を研 究 開 発し安全操業を確保する。 ①製 油所 内 で防爆 仕 様 を満 足す る監視装置を開発する。 ②プラント内 で想 定 される異 常 を 検 知 できる画 像 処 理 を開 発 す る。 ③音 響 データを解 析 し、漏 洩 場 所を特定する技術を開発する。 ④移動監視装置と固定監視装置 を組 み合 せた協 調 監 視 技 術 を 開発する。 17 <テーマ名称> 音 響 モニタリングシステム による往 復 動圧 縮機の連 続状 態監 視 システム開 発 (R3.1.4) <開発内容> 現 状 では適 切 な連 続 監 視 システムがない往 復 動 圧 縮 機 に、音 響 信 号 による連 続 状 態 監 視 システムを設 置 す る。 音 響 データ の連 続 収 集 / 解 析 技 術 の開 発 を行 い、機 器の運転状態を連続的に 監 視 するシステムの実 用 化 を図る。 音 響 データ収 集 技 術 、連 続 収 集 データ解 析 技 術 及 び異 常 信 号 評価 技 術の開発し、音 響 モニタリ ングシステム全 体 の実 用 化 評 価 を行う。 往 復 動 圧 縮 機 の音 響 信 号 に よる連 続 状 態 監 視 システムを 開 発 実 用 化 し、往 復 動 圧 縮 機 の保 全 手 法 を時 間 基 準 保 全 (TBM) か ら 状 態 基 準 保 全 (CBM)へ転換を図ることによっ て、機 器 の安 全 性 及 び信 頼 性 を確 保 して点 検 周 期 の延 長 を 可 能 とするシステムを開 発 し、 保全費用削減と点検の都度 排 出 される産 業 廃 棄 物 の削 減 を実現する。 製 油 <テーマ名称> 所 設 機器 及び配 管設 備の腐 食 備 管 検査技術の開発(R4.1.2) 理 <開発内容> (R4) 直 接 アクセスできない機 器 や配 管 などを精 度 良 く減 肉 評価可能な検査技術とし て、ガイド波 が肉 厚 に応 じて 音 速 が変 化 する特 性 を利 用 したガイド波 透 過 検 査 法 による新 規 検査 手法の開 発を行う。 ①ガイド波 透 過 検 査 法 による超 音波探傷装置を開発する。 ②ガイド波 透 過 検 査 法 による肉 厚測定手法を確立する。 ③測 定 誤 差 は±10%以 内 とする。 ( 元 厚 10mm 程 度 の 配 管 で ± 1mm) ④ 測 定 範 囲 は 配 管 20m 、 機 器 10m とする。 保 温 や耐 火 材 の施 工 された 機 器 、埋 設 部 または高 所 の配 管 等 の直 接 アクセスできない 設備 に対する高 精 度非 破壊 検 査 手 法 (ガイド波 を用 いた超 音 波探 傷手 法)の開発を行 い、製 油 所 設 備 の腐 食 減 肉 による漏 洩事故を未然に防止する。 <テーマ名称> ①施 工 材 料 の防 食 機 能 が4年 以 コーティング材 料 を用 いた 上 保 持 する コ ーテ ィ ン グ 技 術 を 防食技術の開発(R4.1.3) 開発する。 <開発内容> ②コーティング材 料 の劣 化 評 価 製 油 所 設 備 の厳 しい腐 食 装置を開発する。 環 境 を 対 象 に 耐 食 性 の 高 ③防食システムを開発する。 いコーティング材 料 を選 定 腐 食 環 境 推 定 技 術 、 施 工 技 若 しくは開 発 し、最 適 施 工 術 、塗 膜 評 価 技 術 、及 び塗 膜 技術を開発する。 余 寿 命 予 測 技 術 を統 合 した防 ま た 、 コ ー テ ィ ン グ 材 料 の 食管理技術の確立 劣 化 評 価 技 術 及 び余 寿 命 予測技術を開発する。 従 来 よりも耐 食 性 の高 いコー ティング材 料 を選 定 若 しくは開 発 を行 い、選 定 された材 料 の 装 置 への施 工 技 術 とコーティ ング材 料 の余 寿 命 測 定 技 術を 開 発 し、石 油 精 製 装 置 の長 寿 命 化 ・メンテナンスフリー化 に 貢 献 する防 食 技 術 を開 発 する ことにより、防 食 コスト等 (設 備 費 ,メンテナンス費 )の低 減 を 実現する。 <テーマ名称> ①湿 潤 水 硫 化 アンモニウム腐 食 石油精製設備の運転最適 を、10μm/y の感度で 4 年間測 化 に よ る 防 食 管 理 技 術 の 定 できるプローブ技 術 を開 発 す 開発(R4.1.4) る。 <開発内容> ② 精 度 よく 湿 潤 環 境 の 腐 食 性 を 水 硫 化 ア ン モ ニ ウ ム 腐 食 推 定 するシミュレーション技 術 を が 問 題 と な る 機 器 を 対 象 と 開 発 し、シミュレーション解 析 結 した高感度腐食モニタリング 果 を ラ ボ 腐 食 試 験 結 果 と 比 較 シ ス テ ム を 開 発 し 、 流 体 の 検証する。 腐 食 性 を リ ア ル タ イ ム で 監 ③構築された高感度腐食モニタリ 視して運転 管理にフィードバ ングシステムによる防 食 管 理 手 ッ ク さ せ る 防 食 管 理 手 法 を 法の実用性を実機で検証する。 構築する。 水 硫 化 アンモニウム腐 食 の モニタリング技 術 を開 発 すると と もに 、 長 期 連 続 運 転 中 の 腐 食 データ連 続 収 集 のための最 適 モニタリング部 位 の選 定 手 法を確立することにより長期連 続 運 転 における設 備 の信 頼 性 を向上させる。 18 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 表2−3に廃棄物削減・再利用・汚染土壌浄化技術開発分野のテーマ毎の内容、目標・指 標、及び設定理由・根拠等を示した。 表2−3 分野別テーマと目標(ゼロエミッション) 分野 排 出 物 削 減・高 度 リサ イクル 利 用 (R5) 要素技術 目標・指標 設定理由・根拠等 <テーマ名称> ①既 設 流 動 接 触 分 解 (FCC)装 置 磁 気 分 離 装 置 を 用 い た に設置した実証化装置により有 FCC 廃 触 媒 削 減 技 術 の開 効性を確認する。 発(R5.1.1) ②FCC における触 媒 廃 棄 量 を3 <開発内容> 0%削減する。 磁 気 を活 用 して重 金 属 汚 染度が高く劣化した触媒 と、重 金 属 汚 染 度 が低 い触 媒 を分 離 し廃 棄 触 媒 量 を削 減する技術を開発する。 FCC 触媒中の劣化した触媒 粒子のみを磁気を利用して 分離し、廃棄触媒量を削減す る 分 離 装 置を 開 発 す ることに より、 製 油 所 廃 棄 物 削 減 と廃 棄物の有効利用を実現する。 <テーマ名称> ①高 い汚 泥 削 減 率 のときの排 水 製油所汚泥の高削減技術 性 状 への影 響 を抑 制 しつつ、安 の開発(R5.1.2) 定 的 に余 剰 汚 泥 削 減 率 90% <開発内容> 以 上 を可 能 にする高 汚 泥 削 減 製 油 所 廃 棄 物 の う ち 、 発 システムを開発する。 生 量 が最 も多 い余 剰 汚 泥を ② 汚 泥 可 溶 化 剤 量 の 1 0 % 分 に 削 減 する シ ス テ ム を 開 発 す 廃ソーダを用いることができる技 る。 術を開発する。 製 油 所 廃 棄 物 のうち、発 生 量が最も多い余剰汚泥 を削減 するシステムを開 発 することに より、製 油 所 余 剰 汚 泥 を大 幅 に削 減 し、汚 泥 処 理 費 用 の低 減を実現する。 <テーマ名称> ①10分 以 内 /バッチとなる高 効 硫 黄 の需 要 創 造 に向 けた 率 で安 価 な改 質 硫 黄 固 化 体 を 高 効 率 改 質 硫 黄 固 化 体 製 製 造 するシステムの設 計 ・建 設 造 シ ス テ ム の 研 究 開 発 を行う。 (R5.1.3) ②製品の土木・建築用資材として <開発内容> の活用性を確立する。 硫 黄 の有 効 活 用 のため、 改 質 硫 黄 を用 いて河 川 ・海 洋及び耐酸・耐腐食用構造 物 等 の 土 木 ・建 設 材 料 と し て活 用 する技 術 開 発を行 う。 硫 黄 を改 質 した「改 質 硫 黄 」 を用 いて、鉄 鋼 スラグや石 炭 灰 等 の産 業 副 産 物 ・廃 棄 物 を リサイクルし、土 木 ・建 設 資 材 として優 れた性 質 を持 つ改 質 硫 黄 固 化 体 を高 効 率 かつ安 価 に製 造 するシステムを開 発・ 構 築 し、硫 黄 廃 棄 物 の有 価 物 化を図る。 <テーマ名称> 廃 触 媒 ミニマム化 技 術 の 開発(R5.1.4) <開発内容> 重油脱硫触媒の再生条 件の最適化と、硫酸やバナ ジウムをトラップできる 新たな第三成分を添加し て担体の変質を抑制する ことで、再生性を向上させ る技術を開発する。 <テーマ名称> 重 質 油 から高 品 質 な灯 軽 油を製造するための DAO 高 度 水 素 化 分 解 技 術 の開 発 (R5.1.5) <開発内容> 溶 剤 脱 れき油 (DAO)の分 解 に適 したメソ孔 および固 体酸性質を有する遷移 金属 挿 入 ゼオライトとそれを活 性 成 分 とする水 素 化 分 解 触 媒 の開発を行う。 ① 再 生 後 の 触 媒 強 度 を 触 媒 再 重 油 脱 硫 触 媒 の最 適 な再 生 充 填 基 準 (強 度 低 下 抑 制 10% 条 件 と再 生 性 を向 上 する触 媒 以上)に適合させる。 の開発を行うことにより廃 棄物 ②再 生 後 の活 性 を新 触 媒 に対 し の削減を実現する。 80%以上に維持させる。 ①重質 油の拡散 に適したメソ孔 を 有していること。 ②重 質 油 の分 解 に適 した固 体 酸 性質を有していること。 ③アモルファス系触媒に比べ約 2 倍 の相 対 分 解 活 性 と触 媒 寿 命 を有 し、かつ同 程 度 の中 間 留 分 選択性を有していること。 ④分 解 率 70%以 上 ,中 間 留 分 選 択 性 70%以 上 の条 件 でセタン 指 数 60以 上 の軽 油 が得 られる こと。 ⑤未分解油を FCC 原料油として 用いたとき、高収率で高品質な ガソリンが得られること。 19 DAO を高 品 質 な灯 軽 油 およ び未 分 解 油 に効 率 よく変 換 で きる 高 度 水 素 化 分 解 技 術 、と りわけ触 媒 の開 発 を行 い、重 質油の有効利用を図る。 10 万 BPD 規模の製油所で処 <テーマ名称> 製 油 所 における廃 油 軽 質 理 し て い る 廃 油 軽 質 留 分 留 分 の 高 度 処 理 技 術 の 開 99,000KL/年 の 効 率 的 な 処 理 方 発(R5.1.6) 法を開発する。 <開発内容> 製油所内の製造設備等 から発生する廃油の軽質 留分を重質留分と分けて 直接二次装置で処理する ことにより、廃油軽質留 分を効率的に処理する技 術の開発を行う。 熱履歴を受け性質の悪化す る廃油軽質留分を、直接二次 装置で処理する効率的な技 術を開発し、一次装置に係る 精製エネルギーの削減を実 現する。 <テーマ名称> ①触媒の詳細分析技術を確立 触 媒 再 生 技 術 による廃 触 し、再生方法最適化技術を開 媒 削 減 技 術 の 研 究 開 発 発する。 (R5.1.7) ②1 回の触媒再生につき活性低 <開発内容> 下が5%以下である触媒再生 留 出 油 脱 硫 装 置 で 使 用 技術を開発する。 された触媒について活性 ③開発した触媒再生技術を検 低下機構・触媒再生機構を 証する。 把握し、活性低下を予測 し、最適な触媒再生方法の 指針を見出し、活性低下の 小さい触媒再生技術を開 発する。 留出油脱硫装置で使用され た触媒について再生方法を 検討し、従来に比べて活性低 下の小さい触媒再生技術を 開発することにより、製油所 廃棄触媒の有効利用を図る。 <テーマ名称> ①重 質 残 油 の高 度 直 脱 による生 低 エミッション型 高 度 重 質 成 硫 黄 分 を 0 . 2 % 及 び 触 媒 寿 油処理技術の開発(R5.2.1) 命を1年とする。 ②減 圧 軽 油 の高 度 直 脱 による生 <開発内容> FCC 前 処 理 において、 重 成 硫 黄 分 を0.1%及 び触 媒 寿 質 油 を 低 温 で 目 的 の 転 化 命を2年とする。 率 が得 られる長 寿 命 な触 媒 ③FCC ガソリンのオクタン価を0. を開発する。また、FCC では 5%向上させる。 高 度 前 処 理 に伴 うオクタン 価 低 下 を補 う触 媒 を開 発 す る。 低 温 で効 率 的 な転 化 率 が得 られる長 寿 命な触 媒 及 び FCC では高 度 前 処 理 に伴 うオクタン 価 低 下 を 補 うために 触 媒 開 発 することにより、エネルギー利 用 の効 率 化 と低 エミッション効 果を得る。 <テーマ名称> C 重油削減を目指した FCC 前 処 理 触 媒 の高 機 能 化 の た め の 技 術 開 発 (R5.2.2) <開発内容> FCC 前処 理 である直脱装 置 用後 段 触 媒の脱 窒 素 性 能 を向 上 することで分 解 反 応 性 を改 善 し、C 重 油 の分 解 残 油 の得 率を低 減 する技 術開発を行う。 <テーマ名称> 新 規 熱 分 解 法 による高 度 排出物削減型残油処理プ ロセスの研究開発(R5.2.3) <開発内容> 超臨界水中 の熱分解反応 により石 油 製 品 とし易 い分 解 軽 質 油 を得 るとともに、分 解 残 渣を水 素へガス化 転 換 するプロセスを開発する。 ①FCC 装 置 のボトム得 率 を残 油 FCC(RFCC) 原 料 基 準 で 1 % 以 上低減する。 ② 基 準 直 脱 原 料 油 メ タ ル 分 より も10%以 上 多 い原 料 油 を処 理 し て も触 媒 寿 命 が 短 命 化 し ないこと。 RFCC 前 処 理 触 媒 ( 直 脱 触 媒)を高機 能 化することにより、 RFCC 原 料 油の反 応 性 を向上 して接触分解プロセスから発生 する分解残油得率を低下さ せ、C 重油基材を削減すること でその需 給 バランスを改 善 す る。 ①熱 分 解 工 程 においては、廃 触 媒 を発 生 させることなく残 油 の 70%程 度 を軽 質 な石 油 製 品 化 原料として回収できるプロセスを 開発する。 ②分 解 残 渣 分 のガス化 反 応 工 程と併せ、残 渣の発 生 量を処 理 残 油 の5%以 下 に抑 える処 理法を確立する。 超 臨 界 水 中 での重 質 油 熱 分 解・ガス化 技 術を適 用した石 油 残油処理プロセスを開発するこ とにより、利 用 性 の低い残 油の 排 出 を削 減 するとともに、重 油 直 接 脱 硫の廃 触 媒 等を削 減 す る。 20 含 油 土 壌 高 度 浄 化 (R6) <テーマ名称> 重 質 油 有 効 利 用 のための ガスタービン燃 料 化 技 術 の 研究開発(R5.2.4) <開発内容> 高温・高圧 蒸気による水 熱 反 応 により、重 質 油 中 の 微 量 金 属 (バナジウム,ナト リウム,カリウム等 )を選 択 的 に除 去 し,ガスタービン向 け燃 焼 に改 質 するシステム を開発する。 ①重 質 油 中 のバナジウム含 有 量 を1ppm 以下とする。 ②改 質 された燃 料 特 性 評 価 とし て、安 定 燃 焼 ,NOx,CO発 生 量を従来燃料並みとする。 ③改 質 器 の耐 腐 食 性 を3年 間 無 交換可能とする。 ④システムの総 合 コスト評 価 によ り、機 器 費 回 収 機 関 の目 標 を3 年とする。 高 温 ・高 圧 蒸 気 による水 熱 反 応 を利 用 した重 質 油 の高 性 能 な脱 金 属 システムの開 発 より、 低 コスト化 と重 質 油 の有 効 利 用を図る。 <テーマ名称> 化 学 ・微 生 物 複 合 型 重 質 油 汚 染 土 壌 の浄 化 技 術 の 開発(R6.1.1) <開発内容> 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 の組 合 せにより、重 質 油 汚 染 に適 用 でき、かつ従 来 の微生物法に対して浄化期 間 も短 縮 できる技 術 を開 発 する。 <テーマ名称> 石油含有土 壌の高度浄化 技術の研究開発(R6.1.2) <開発内容> 油 汚 染 土 壌 から地 下 水 に 溶出した炭 化水 素化 合 物 類 を浄 化 壁 により原 位 置 で 浄化する技術を開発する。 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 を 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 組 合 せ、重 質 油 汚 染 土 壌 の炭 化 を組 合 せた重 質 油 汚 染 土 壌を 水 素 分 (5,000ppm)を 3 ヶ月 以内 浄 化 す る こ と に よ り 、 コ ス ト 削 に 1,000ppm 以下まで浄化する。 減と土地の有効利用を図る。 ① 地 下 水 中 の 軽 質 炭 化 水 素 類 浄 化 壁 技 術 (バイレメ)による 原 位 置 浄 化 法 を利 用 した地 下 の濃度を90%以下に浄化 ②設置費用 4.5∼5.0 万円/㎡ 水 の 石 油 汚 染 の 拡 散 防 止 技 術 の開 発 により、環 境 への負 荷が小さく、かつ、低コスト化を 図る。 <テーマ名称> ①油分含有濃度を 500mg/kg 以 製 油 所 、 油 槽 所 に お け る 上 の精 度 で検 出 可 能 な土 壌 汚 土 壌 汚 染 状 況 把 握 技 術 の 染把握システムを確立する。 開発(R6.1.3) ②本 評 価 技 術 とボーリング調 査 <開発内容> 等 を組 み合 わせ、従 来 評 価 法 表 層 での土 壌 ガス分 析 を に比 較 し、コストと調 査 期 間 を 行 うことで、石 油 軽 質 分 によ 1/2 にする。 り汚 染 された土 壌 の油 分 分 布 状 況 を把 握 するシステム を確立する。 ポータブルモニターを活 用 し て、測 定 器 、場 所 の制 約 を極 力 回 避 し埋 設 物 を傷 つけるこ となく、汚 染 状 況 が短 時 間 で 評価できるシステムを開発する ことにより低コスト化を図る。 <テーマ名称> ①バイオレメディエーションの条 石油汚染土壌浄化の省力 件 を自 動 管 理 する、数 m 3 のベ 化 に 関 す る 技 術 開 発 ンチスケールの自 動 浄 化 装 置 (R6.1.4) を考案・開発する。 <開発内容> ②油 臭 ・油 膜 が消 失 する浄 化 終 自 動 土 壌 撹 拌 システム、 了 までに要 する浄 化 期 間 を現 自 動 散 水 システム、各 条 件 行技術(ランドファーミング法)に モニタリングシステムを組 み 対して30%短縮する。 合 わせたシステムを用 いて 自 動 的 に最 適 浄 化 条 件 を 維 持 ・管 理 していく技 術 を開 発する。 バイオレメディエーション技 術 の浄 化 因 子 を最 適 な条 件 に制 御 する自 動 管 理 装 置 を開 発 す ることにより、浄化の期間短 縮 、省 力 化 を促 進 し低 コスト化 を図る。 <テーマ名称> ①軽質油から重質な油汚染土壌 超臨界 CO 2 流体が有する油 CO 2 洗 浄 技 術 を 用 い た 汚 を時間オーダーの条件で浄化 の抽 出 能 力 を活 用 し、 低 温 で 染 土 壌 の浄 化 システムの最 し、残留油分濃度 200mg/kg 以 迅 速 に 石 油 汚 染 土 壌 の 浄 化 適化開発(R6.1.5) 下或は無臭とするとともに、ベン 技 術 を開 発 することにより、廃 <開発内容> ゼンの溶出量についても 0.01 棄 物 発 生 がない等 の環 境 負 超臨界 CO 2 を用いた汚染 mg/ℓ以下とする。 荷 の低 減 や汚 染 拡 大 防 止 を 油 の抽 出 ・回 収 を温 度 及 び ②可搬型オンサイト CO 2 土壌浄 実現する。 圧 力 の調 整 で行 い、廃 棄 物 化システムを構築する。 の発生及び土壌の変質がな ③浄 化 コストは2.5∼5万 円 / い低温での迅速な浄化 が可 トンとする。 能な技術を開発する。 21 <テーマ名称> 高 濃 度 ・重 質 油 含 有 土 壌 に対 応 可 能 な原 位 置 浄 化 工法の開発(R6.1.6) <開発内容> 高 濃 度 の重 質 油 を含 有 す る土 壌 を原 位 置 で浄 化 でき る薬 剤 および工 法 を開 発 す る。また、嗅 覚や視 覚 によっ て判 断 されている油 臭 ・油 膜 を機 器 分 析 により再 現 性 および定量 性に優れた評価 法を開発する。 ①C重 油 を5%以 上 含 有 する土 壌を油回 収 工 法により、油 分 1%以下に低減する。 ②C重 油 を1%含 有 する土 壌 を 化学酸化分解工法により、油分 0.3%以下に低減する。 ③C重 油 を0.3%含 有 する土 壌 をバイオ分 解 工 法により、油 臭・ 油膜なしに浄化する。 ④現 行 法 の油 臭 ・油 膜 の有 無 判 定 と90%以 上 合 致 する油 臭 ・ 油膜の定量法を開発する。 製 油 所 、油 槽 所 等 の敷 地 内 等 での高 濃 度 ・重 質 油 含 有 土 壌 の油 分 除 去 効 果 が高 い原 位 置 浄 化 技 術 を開 発 すること により、環 境 負 荷 が少 なく、稼 動 中 の施 設 にも対 応 可 能 とす る。 <テーマ名称> ① 浄 化 目 標 と し て 油 分 1,000 バイオサーファクタントを使 mg/kg 及 び油 膜 ・油 臭 なしとす 用 し た 土 壌 浄 化 技 術 の 開 る。 発(R6.1.7) ②油 膜 ・油 臭 処 理 期 間 の短 縮 等 <開発内容> で、浄化期間を従来法の 2/3 に バイオサーファクタントを活 短縮させる。 用 して、今 まで適 用 が難 し かったC重 油 等 の重 質 油 汚 染 土 壌 に対 してバイオレメ ディエーション工 法 による浄 化する技術を開発する。 バイオサーファクタントの活 用 したバイオレメディエーション工 法 により油 汚 染 土 壌 を浄 化 す る技 術 を開 発 することにより、 重質油の浄 化を可能とするとと もに油 膜 ・油 臭 処 理 期 間 の短 縮 等 で、浄 化 期 間 を短 縮 させ 浄化コストの削減を図る。 22 3.成果、目標の達成度 3-1 成果 3‐1‐1 全体成果 本技術開発は平成15年度∼平成19年度までの5年間実施し、終了に当たり事後評価を 行うものである。各テーマとも基盤技術を確立し、最終目標を達成した。 ①環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (CO2 削減) 石油精製プロセスにおける熱利用高度化、運転最適化、設備管理における技術開発 を行い、製油所における省エネ効果及び CO2 排出抑制を図り、我が国における他の製 油所へも波及する効果を含めて、国内製油所総 CO2 排出量約 4,383 万 ton-CO2/年 (2001 年度)の約5%(200 万 ton-CO2/年)の削減を可能とする技術の開発となった。 ②廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 製油所における精製廃棄物・排出物削減、汚染土壌処理における技術開発を行い、 製油所における廃棄物発生の抑制及び汚染物質の効率的な処理を図り、我が国におけ る他の製油所へも波及する効果を含めて、最終処分廃棄物量として国内製油所総廃棄 量約2.5万ton/年の約30%(1.0万ton/年)の削減を可能とする技術の開発となった。 3‐1‐2 個別要素技術成果 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 1)熱利用の高度化技術の開発(R1) ①低位熱回収システムの開発(R1.1.1) 当 該 事 例 は、流 動 接 触 分 解 装 置(FCC)の反 応 塔 下 流 主 分 留 塔 塔 頂 部 での従 来 は回 収が困難であった低位廃熱を、高圧・低圧2種の蒸発器を有した2段ランキンシステムを採 用した発電システムを用いて回収したものである。(図3−1参照) 低 位 熱 回 収 シ ス テ ム 概 略 フ ロ ー 図 P IC 既 設 設 備 高 圧 タ ー ビ ン 高 圧 蒸 発 器 L IC P IC 低 圧 蒸 発 器 低 圧 タ ー ビ ン L IC F IC 海 水 主分留塔 凝 縮 器 海 水 既 設 チ ラ ー 水 F IC 主 分 留 塔 塔 頂 受 槽 ホ ゚ン フ ゚ 受 槽 ホ ゚ン フ ゚ 既 設 図3−1 低位熱回収システム概略フロー図 23 蒸 発 器 および発 電 システムを組 み合 わせた熱 回 収 システム化 の検 討 、設 計 を経 て、実 装置に実証システムを設置(図3−2)し、性能評価を実施した。 高圧蒸発器 タービン 低圧蒸発器 図3−2 実証装置設置状況 その結果、主分留塔塔頂熱量の回収率目標65%、回収熱量に対する発電効率目標4. 5%を達成した。省エネルギー効果としては、発電可能量は 1,200kw/h、CO2排出削減量 は、6,670 トン/年。 ②高性能熱交換設備の導入による蒸留塔の熱回収システムの開発(R1.1.2) 当該 事例は、流動接触 分解 装置(FCC)の反 応塔 下流 主 分留 塔塔 底 部の高 粘度 かつ 触 媒 粉を含 む系にて、高 性 能 熱 交 換 設 備(ヘリカル熱 交 換 器)を導 入し、熱 回 収 システム を開発したものである。(図3−3参照) 高性能熱交換器の 適用研究 ①スラリー系 ②分解軽油系 塔頂除熱量 の削減 チャージ (VHHGO+DSRC) 熱回収システムの開発 FG LCO P6 主 HCO 分 P4 留 削減 量の 却 冷 製品 CLO 塔 停止 炉の 熱 油加 原料 ボイラ給水 From 反応塔 200#ST’M To反応塔 To COボイラー 図3−3 研究開発全体概要図 24 事 前 に、シュミレーション解 析 等 で高 性 能 熱 交 換 器 は従 来 型 熱 交 換 器 に比 較 して低 差 圧でスラリー堆積防止効果が期待でき伝熱性能も良いことを確認したうえで(図3−4)、実 装置に実証装置を設置し、運転性能解析及び評価を行った。その結果、高性能熱交換器 はほぼ計画通りの性能を発揮し、スラリー堆積による汚れは見られなかった。 また、高 性 能熱 交 換器 を含む熱 回 収システム全体 も、計 画通り原料 加熱 炉を停 止する ことができ、4,300 FOEKL/年の燃料削減およびCO2 削減 11.4 千トンを達成した。 (a)従来型熱交換器(バッフル数 4 枚) (b)ヘリカル熱交換器(バッフル数 11 枚) 図3−4 従来型熱交換器とヘリカル熱交換器の胴内線速解析結果 2)精製プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) ①水素製造装置への超高次脱硫触媒を適用した技術の開発(R2.1.2) 水 素 製 造 装 置に超 高 次 脱 硫 触 媒・メタン化 促 進 触 媒の導 入による実 証 運 転を継 続し、 その性 能 評 価 を行 うとともに、改 質 炉 出 口 温 度 上 昇 対 策 として改 質 炉 チューブを交 換 し、 スチーム・カーボン比(S/C)低減運転時に生じる脱炭酸系熱不足対策として低圧スチーム リボイラーを設置した(図3−5)。 S/C 低減目標を「現状−0.9」としたシビア運転条件での性能確認を行った。その結果、 エネルギー削減目標値 10%に対し、合計 10.1%のエネルギー削減を達成した。 低 減 (S/C低 減 ) スチーム 加熱炉 改質装置 前処理 CO変性 高温 メタン化促進触媒導入 低温 反応温度上昇 原料ガス 超高 次 脱 硫触 媒へ の 変 更 触媒管材質変更 燃料 ガ ス 削減 脱炭酸 炭酸ガス 水素 メタネ ー ター 脱炭 酸 系 熱交 換器 追 加 図3−5 水素製造装置における超高次脱硫触媒・メタン化促進触媒の導入 25 ②省エネ型脱硫接触分解触媒の実用化研究(R2.2.1) 触媒担体の細孔分布制御技術および触媒細孔への金属担持技術を駆使し、脱硫機能 を有するFCC触媒の試作および性能評価を実施した(図3−6)。 その結果、実験室規模で従来触媒と比較しFCCガソリン収率が高く、コーク収率が低い といった性能を有し、最終目標とする脱硫 率 25%以上 を達成する触媒を開発した。また開 発触媒の耐メタル性、耐再生性、耐摩耗性といった実用性能を評価し、従来触媒と比較し 問題ないことを確認した。 アルミナ (大細孔 ) (大細孔) アルミナ (中細孔) 脱硫重油 H+ S H + H+ M M ゼオライト (小細孔) H2S C−C−C−C S S M : 水素化能を持つ金属担持 : 強酸のアルミナ 図3−6 開発触媒の細孔構造概念図 ③低水素消費型ガソリン脱硫技術開発(R2.2.2) オクタン価 低下・水素 消費を抑えた選択 脱 硫 20,000BPDスケールの実 証化 装 置(図3 −7)を建設し長期実証化運転を実施した。高選択性脱硫触媒の開発、2段脱硫 プロセス の開発を行い、2 年間の運転を継続するとともに、①「硫黄分 10ppm 以下のFCCガソリンを 製造」②「オクタン価の低下が 2.5 以下」をともに達成することができた。またオクタン価補償 のための高オクタン価基材製造プロセス(C4 二量化、C4 脱水素環化)を開発し、2段脱硫 プロセスと高オクタン価 基 材 製 造 プロセスを組 み合わすことでオクタン価ロスの少 ない、硫 黄分 10ppm 以下のガソリン製造の可能性があることを検証した。 図3−7 低水素消費型ガソリン製造技術実証化設備 26 3)製油所総合監視自動化システム技術(R3) ①装置運転無人化を指向した自動化・支援システムの開発(R3.1.1) 未だ完 成 されたシステムとして報 告 がない「非 定 常 運 転 自 動 化 支 援 システム」、「ボード /フィールド連 携 支 援 システム」という通 常 民 間 企 業 単 独ではなかなか開 発 出 来ないシス テムの開発について、経験の浅いボードマン・フィールドマンでも安全確実な作業が実施で きる事をコンセプトとした支援システムの基本機能を開発 /設計を行い、非定常運転自動 化支援システム、ボード/フィールド連携支援システム、異常監視・診断システムを開発し、 テーマ終了時の目標は達成されたと言える。 なお、本 分 野 の技 術 開 発 を進 める中 で開 発 された「防 爆 型 無 線 LANアクセスポイント」 (図3−8)は経済産業省からの強い要望があり、同一施策にある「石油プラント保守・点検 作業支援システムの開発」事業に成果が提供され、有効に活用されている。 図3−8 防爆型無線LANアクセスポイント 4)防食管理技術・効率的検査技術(R4) ①石油精製設備の運転最適化による防食管理技術の開発(R4.1.4) 国 内 外 でニーズの高い水 硫 化 アンモニウム(NH 4 HS)腐 食 が問 題となる機 器を対 象 とし た高感度腐食モニタリングシステムを開発し、流体の腐食性をリアルタイムで監視して運転 管理にフィードバックさせる防食管理手法を構築し、その実用性を実機で検証した(図3− 9)。 図3−9 腐食モニタリングを用いた運転最適化による防食管理モデル 27 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 1)排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) ①磁気分離装置を用いたFCC廃触媒削減技術の開発(R5.1.1) FCC(流動接触分解)触媒は、重金属が堆積し活性が低下するため触媒の一部を連続 的に抜き出し新触媒に交換しているが、抜き出しにあたっては活性が低下していない触媒 も同時に抜き出されてしまう。本技術開発は、密閉型の高勾配磁気分離機を開発し、効率 よく活性が低下した触媒のみ分離し廃触媒量を削減するものである。(図3−10) Fin付き配管 350℃ 既設設備 <100℃ デガッサー 磁気分離機 500℃ Nonmag. Mag 平衡触媒 ホッパー 再生塔 ホッパー Mag触媒. 着磁(Mag) クーラー Air 150℃ Nonmag触媒 非着磁 (Nonmag) 図3−10 計量 ドラム 廃棄 再使用 連続式磁気分離装置フロー 開発にあたり、平衡触媒および分 離触媒の金 属堆積量、磁性、粒径 および活性 を分析 し、磁 気 強 度 を変 化 させることにより磁 気 強 度 と分 離 効 率 の関 係 を明 確 にしたあと、連 続 式磁気分離装置の構造検討、基本設計および詳細設計実施後、実証化装置を建設した。 (図3−11 ) 連続式磁気分離装置全景 図3−11 磁気分離機本体 実証化装置設置状況 28 その結果、目標である30%の廃触媒削減が可能であることを実証できた。これ は、FCC一装置あたり年間500トン以上の触媒削減に相当する。(図3−12) ・金属堆積量一定 3,000ppm ・触媒性能一定 処理量:16.8ton/d 再生塔 磁気分離機 200ton 廃棄 4.2ton/d 4,286ppm 電磁石 触媒廃棄量 6.0 ⇒ 4.2ton/d (30.0%) 年間:630ton 再使用:12.6ton/d 2,572ppm 図3−12 連続式磁気分離装置の効果 ②硫黄の需要創造に向けた高効率改質硫黄固化体製造システム開発(R5.1.3) 改質硫 黄固 化体は、石 油精製 過程 で副生する硫黄に添加 剤を加えた「改質硫黄」をバ インダーとして、鉄 鋼 スラグや石 炭 灰 等 の産 業 副 産 物 ・廃 棄 物 を骨 材 として固 化 するもの で、その用途は河川・海洋および耐酸・耐腐食用土木・建設資材を主とする。(図3−13) 図3−13 改質硫黄固体化の製造スキム 本 研 究 では、効 率 的 な改 質 硫 黄 固 化 体 の最 適 製 造 システムを開 発 するとともに、実 証 試験により、その活用性について検証した。 その結果、改質硫黄固化体製造システムの目標処理時間1バッチ当り10分に対 して、実績4分と目標を大幅に達成し、実用化に向けた量産による採算性向上を検 証した。(図3−14) 29 図3−14 製造能力の確認とシステムの最適化 また、製造した検体の実現場試験を行い(図3−15)、活用性はコンクリートと 同等以上であることを検証した。 図3−15 漂砂制御マット設置 (福岡県芦屋海岸 ) 海洋生物着生性試験( 室蘭市追直漁港 ) ③低エミッション型高度重質油処理技術の開発(R5.2.1) 間脱触媒として、中間目標である基準触媒の1.3倍以上の脱硫活性を有する触 媒を開発し、直脱触媒として基準触媒の1.4倍相当の脱硫活性を有する触媒を開 発した。開発した間脱・直脱触媒及びFCC触媒の実証化研究を実施した。間脱及 び直脱触媒のベンチプラントによる長期寿命評価において、減圧軽油の高度間接脱 硫技術(生成油硫黄分0.1wt%)の開発及び現状1年の間脱触媒寿命を2年まで 延長することで廃触媒を半分に低減可能なこと、また重質残油の高度直接脱硫技術 (生成油硫黄分0.2wt%)の開発により現状半年の直脱触媒寿命を1年まで延 長することで廃触媒を半分に低減可能なことを確認した。 製油所実装置における実証化研究により、ラボと同等の性能を発揮することを確 認した(図3−16、図3−17)。また、FCC実装置を用いた実証化研究から、 目標としたFCCガソリンのオクタン価向上を確認すると共に(図3―18)、高度 前処理した原料油をFCC実装置に供給することにより、再生塔負荷の低減効果、 原料油の分解性向上、並びにガソリン収率の向上効果が得られることを実証した。 30 要求温度(℃) Base+10 Base-10 Base-20 推定値 実測値( analyzer値) 実測値 基準触媒 Base-30 Base Base-10 Base-20 実測値(実証化触媒系) 推定値( 実証化触媒系) 推定値( 基準触媒系) 0 20 40 60 80 100 0 通油日数 (Vol%) オレフィン含有量 オクタン価 + 1.0 + 0.8 + 0.6 + 0.4 + 0.2 Base 50 100 150 通油日数 図3−16 間脱実証化触媒の活性推移 図3−17 直脱実証化触媒の活性推移 目標レベル ⊿RON=0.5 +4.0 +2.0 Base - 2.0 - 4.0 実証化触媒 (Run 1) 基準触媒 実証化触媒 (Run 2) 実証化触媒 (Run 3) 実証化触媒 (Run 4) 図3−18 FCC実証化におけるオクタン価の確認 ④C 重油削減を目指したFCC前処理触媒の高機能化のための技術開発(R5.2.2) 直脱後段触媒へのホウ素添加技術を最適化すること、添加物として新たにシリカ を検討することで、基準触媒に対して最大200ppm程度のさらなる窒素低減が 可能 な 後段 触媒 を 開発 した ( 図3 −1 9)。 これ ら の開 発触 媒 の直 脱処 理 油 は FCC 反応性が改善され、FCCボトム得率が1%以上低減した。一方、前段触媒について は、マクロ孔量及び比表面積を最適化することで、基準触媒よりも脱メタル性能が 向上した前段触媒を開発した(図3−20)。メタル含有化合物の触媒細孔内拡散が 促進され、耐メタル性が改善されていることが使用済み触媒解析及び処理油詳細解 析結果から確認された。開発触媒の組み合わせ最適化を行った後、完成された開発 触媒システムの長期寿命試験(1年間)を実証化作業として開始した。事業終了時 点で運転期間7ヶ月まで進捗しており、最終開発目標(FCC分解残油得率1%以 上低減)が継続して達成されていることを確認した。 500 N in RDS Effluent (TLP) / wtppm 要求温度(℃) Base 400 300 200 100 基準触媒 B a s0e -100 ホウ素及 びシリカ添 加による活性 点の 質的 向上 -200 開 発 触 媒 (ホ ウ 素 添 加 ) -300 -400 開 発 触 媒 (シ リ カ 添 加 ) -500 40 50 60 70 80 90 100 110 120 R e la t iv e a m o u n t o f N O a d s o r b e d / % 図3−19 ホウ素及びシリカ添加後段触媒における活性点の質的向上 及び脱窒素性能の向上 31 200 V+Ni in RDS Effluent / wtppm 1.5 1.0 0.5 試作触媒C 基準触媒 Base 0.0 ←比表面積向上 -0.5 -1.0 試作触媒B -1.5 C−2 -2.0 -2.5 C−4 試作触媒A C−3 -3.0 -3.5 Macro Pore Volume / arb. 図3−20 マクロ孔量及び比表面積の最適化による前段触媒脱メタル性能の向上 2)含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) ①石油含油土壌の高度浄化技術の研究開発(R6.1.2) 軽質炭化水素化合物類の土壌汚染に起因した地下水油汚染の拡散防止技術の開発 を行った。汚染源の地下水流の下流側に設置する浄化壁についての構造、製造条件、 また土壌微生物の活用による浄化効率の向上技術を確立した(図3−21)。 実験室レベルで、要素技術の開 浄化壁 発後、浄化壁実験装置で目標とし た浄化能力を確認し、実証試験用 浄化壁の仕様を決定した。 油 石油関連施設の実現場に設置し 地下水面 浄化された地下水 た実証試験用浄化壁により汚染地 下水の浄化能力を確認し、技術を 確立した。 油汚染 本事業の成果により、地下水を 地下水流れ 経由した石油汚染拡散防止対策に 本技術が実用化できる目途を得た。 不透水層 図3−21 浄化壁による地下水油汚染の拡散防止 32 3-1-3 特許出願状況等 平成15年から19年の5年間における技術開発において、特許出願は137件、 論文、学会発表等の対外発表実績は合計328件に達している。 分野別特許等出願状況を表3−1に示す。また、「製油所操業支援システム(R3)」 で開発された防爆型無線LANアクセスポイントは、すでに実用化の域にあり、同一 施策にある「石油プラント保守・点検作業支援システムの開発」事業に成果を提供し活 用されている。 表3−1 分野別特許等出願状況 分野(グループ) 環境負荷低減 型石油精製プロ セス技術開発 (CO2 削減) 廃棄物削減・再 利用・汚染浄化 技術開発(ゼロエ ミッション) 計 熱利用高度化 (R1) 精製プロセス高 度活用・効率化 (R2) 製油所操業支 援システム(R3) 製油所設備管 理(R4) 排出物削減・高 度リサイクル (R5) 含油土壌高度 浄化(R6) 国 際 標 準 へ の 寄 与 取 得 ラ イ セ ン ス 料 論 文 被 引 用 度 数 計 論 文 発 表 雑 誌 等 投 稿 学 会 等 発 表 特 許 出 願 特 許 権 実 施 件 数 3 1 4 0 0 0 0 - 8 10 11 15 37 0 0 0 - 73 5 5 26 14 4 0 0 - 50 1 2 11 5 2 0 0 - 19 25 87 86 65 1 0 0 - 263 4 2 30 16 0 0 0 - 52 48 108 172 137 7 0 0 - 465 特許出願においては件数のみならず事業戦略に沿って適切に出願されているかと いう観点も重要である。表3−1における137件の特許出願は、いずれも各参加会 社の事業戦略に基づき出願されたもので、無駄なく技術範囲をカバーし将来の事業展 開に不可欠な要素となっている。さらに、海外での事業展開が想定される場合、海外 特許出願を適切に行うことも重要である。上記137件のうち優先権を主張して海外 に出願された特許は13件となり、その海外出願に関しては我が国のみならずアジア 地区での事業展開も視野に入れた事業戦略の上で出願されたものであり、独自技術の 権利化に向けた取り組みとなっている。 また特許出願以外では、論文発表は48件、学会等発表は172件、雑誌等投稿(新 聞掲載含む)は108件を実施している。学会発表、雑誌掲載は将来の事業化の布石 33 として活用しており、技術開発実施企業の実用化への意気込みを示すものである。ま た新聞掲載は硫黄固化体、低水素消費型脱硫プロセスといった既に実証レベルに近い 開発案件が取材を受ける形で公表された内容が多く、技術開発の注目度および社会か らの要請が高いことを意味している。 34 3-2 目標の達成度 開発期間に発生した課題について柔軟に対応することにより技術基盤を確立し、実 証化検討を進めた結果、当該事業の目標を達成し実用化の目途を確認した。 以下に具体的な技術開発案件の達成状況を示す。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 表3−2に環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発分野のテーマ毎の目標・指標、成果、 及び達成度を示した。 表3−2 分野別テーマと成果、目標の達成度(CO2削減) 分野 要素技術 目標・指標 ○ :達 成 △:一 部 未 達 成 成果 熱 利 低 位 熱 回 低 位 熱 回 収 システムを既 設 流 動 接 用 高 収 シ ス テ ム 触 分 解 (FCC)装 置 に適 用 することに 度化 の開発 よ り 、 効 率 的 な エ ネ ル ギ ー回 収 を 行 (R1) (R1.1.1) う。 ①主 分 留 塔 塔 頂 熱 量 の回 収 率 :6 5.0% ② 回 収 熱 量 に 対 する 発 電 効 率 : 4 . 5% 実 証 装 置 の設 置 を行 い、実 証 化 運 転 により、 低 位 熱 回 収 設 備 の性 能 評 価 、動 力 回 収 設 備 の性 能 評 価 を実 施 した。 ①主分留塔塔頂熱量の回収率は7 2.4%であり、目標達成 ②回 収 熱 量 に対 する発 電 効 率 は6. 7%であり、目標達成 高性能熱 交換設備 の導 入 によ る蒸留 塔の 熱 回 収 シス テムの開発 (R1.1.2) 精 製 プロセ ス 高 度 活 用 、効 率化 (R2) 既設 FCC 装置における制約を回避 ① 高 性 能 ヘ リ カ ル 熱 交 換 器 を 導 入 し し 、 効 率 的 な 廃 熱 回 収 に よ り 、 原 料 た。実 装 置 に設 置 した実 証 試 験 を行 油加熱炉を停止可能とする。 い、スラリー堆積の汚れもなく計画 通 ①高性能熱交換器の適合化 りの性能を発揮している。 ② 熱 交 換 設 備 の 最 適 配 列 に よ る 熱 ②熱 交 換 システムも計 画 通 り機 能 し、 回収システムの開発 所 定 の加 熱 炉 停 止 ができ、目 標 とす る熱 回 収 能 力 以 上 の成 果 を達 成 し た。 高 効 率 水 ① 現 状 水 素 発 生 量 に て 、 単 位 発 生 ①既 存 水 素 製 造 装 置 に予 備 改 質 器 、 素 発 生 シス 水 素 当 た り の 燃 料 油 消 費 量 を 1 改 質 器 用 加 熱 炉 、改 質 炉 廃 熱 回 収 テムの開発 0%削減 設備等の実証設備を導入し、各工程 (R2.1.1) ② 単 位 当 た り 燃 料 消 費 量 一 定 の 条 の最 適 化によるスチーム・カーボン比 (S/C)比 の低 減 、廃 熱 回 収 の効 率 件で、水素発生量を12%増加 化 を図 り、燃 料 消 費 量 は従 来 技 術 に 対して10%以上 削減 可 能なことを検 証した。 ②水素発生量の増加目標12%に対し ては、4%増加の確認にとどまった。 この原 因 は、予 備 改 質 器 および既 存 改 質 器 の改 質 工 程 までは期 待 通 り の性 能 発 揮 を確 認 したが、水 素 製 造 装 置 の最 終 工 程 である既 存 水 素 回 収 設 備 (PSA)で水 素 回 収 の能 力 低 下 が判 明 し、発 生 した水 素 回 収 が充 分 出 来 ず、装 置 全 体 としては目 標 未 達となった。 今 後 、本 装 置 の定 期 補 修 時 等 に てPSAの性 能 回 復 操 作 を行 い、目 標達成を目指す。 水素製造 装 置 への 超高次脱 硫触媒を適 用 し た技 術 の開発 (R2.1.2) 超 高 次 脱 硫 触 媒 を適 用 して、低 S /C運 転 により10%のエネルギー削 減を達成する。 ①改 質 触 媒 活 性 劣 化 抑 制 ・低 S/C 運転による燃料消費量の削減: 6% ②低 S/C運 転 による蒸 気 使 用 量 の 削減(燃料換算):4% 35 水 素 製 造 装 置 に超 高 次 脱 硫 触 媒 と メタン化 促 進 触 媒 を導 入 し、S/C低 減目標を「現状−0.9」としたシビア運 転下で性能確認を行った結果、エネル ギー削 減 は10.1%であり、合 計 で目 標を達成した。 なお、①燃 料 消 費 量 削 減 は5.1%、 ②蒸 気 使 用 量 削 減 は5.0%であっ た。 達成 度 ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ 高 性 能 膜 ①膜分 離 技 術:水 素濃 度60%以 と 改 質 技 術 上、回収率80%以上 を 組 み 合 わ ② P S A ( pressure swing adsorption) 技 せた製 油 所 術 : 水 素 濃 度 9 9 .5 % 以 上 、 回 収 副 生 ガ ス の 率75%以上 有 効 利用 に 関 する 研 究 開発 (R2.1.3) 高性能膜分離技術、改質技術および PSA水 素 高 純 度 化 技 術 を組 み合 わ せることによる製 油 所 副 生 ガスを原 料 として有効活用し、既存技術よりも CO2 排出量削減可能な水素製造シス テムを構築した 。 ①膜 分 離 技 術 は水 素 濃 度 99.5%以 上、回収率80%であり、目標達成 ②PSA技術は、水素濃度99.9 9%、回 収 率 88%以 上 であり、目 標達成 省 燃 費 型 ① 粘 度 指 数 (VI)140 以 上 、 硫 黄 分 ① 硫 化 物 触 媒 の 担 体 の 第 三 成 分 を 自 動 車 用 1ppm 以 下 の潤 滑 油 基 油 を、現 行 検討した結果、20%以上の GrⅠ 潤 滑 油 生 比1/2以下のエネルギーで製造す 基 油 を 含 む 低 品 質 ワ ッ ク ス を 原 料 産 に 向 け た るプロセスの開発 としても、VI140 以上、硫黄分 1 ppm 次 世 代 鉱 ②開 発 された基 油 を使 用 し、燃 費 を 以 下 の 高 性 能 潤 滑 油 基 油 を 収 率 油 系 基 油 5%向上させる潤滑油の開発 51%で得られ、目標の製造プロセス 製 造 プ ロ セ ③オイル交換距離を1.2倍延長する 開発を達成した。 スの研 究 開 エンジン油の開発、VI 安定性を1. ②開発した基油を使用し、かつ添加 発 2倍 とする緩 衝 器 油 の開 発 、電 力 剤 を 最 適 化 し た エ ン ジ ン 油 を 使 用 (R2.1.4) 消費を1%削減する作動油の開発 し EC モードで省燃費性を測定した 結果2.83%(5W30 対比)を得 た。ATF でも2.43% (従来 ATF 対比)の向上を得、合計5.26% と、目標を達成した。 ③開発基油を使用し、添加剤を最適 化したエンジン油の寿命が、従来 GrⅢ エ ン ジ ン 油 よ り 1 . 2 倍 以 上 であり、目標を達成した。 また、実機耐久試験にて、開発し た高性能 SAF の粘度安定性を評価 した結果、VI 安定性は1.2倍以 上であることを実証した。 さらに、ATF の作動油への応用拡 大を検討し、省エネルギー評価装 置にて本開発作動油の1%以上の 電力消費量削減効果を確認し、目 標を達成した。 省 エ ネ 型 ①前 処 理 水 素 化 装 置 及 び接 触 分 解 脱 硫 接 触 装置の組合せにおいて、前処理水 分 解 触 媒 素 化 装 置 の水 素 使 用 量 の低 減 : 5%以上 の 実 用 化 研究 ②接触分解触媒の FCC ガソリン脱硫 (R2.2.1) 率:25%以上 触 媒 担 体 の細 孔 分 布 制 御 技 術 およ び触 媒 細 孔 への金 属 担 持 技 術 を駆 使 し、脱硫機能を有する FCC 触媒を製造 し、従来触媒と比較し FCC ガソリン収 率 が高 く、コーク収 率 が低 い性 能 を確 認した。 また、開 発 触 媒 の耐 メタル性 、耐 再 生性、耐摩 耗性といった実用性能を評 価 し、従 来 触 媒 と比 較 し問 題 ないこと を確認した。 ①水 素 使 用 量 は 5% 以 上 低 減 し 、 目 標達成 ②脱硫率は25%以上で、目標達成 低 水 素 消 ① 硫 黄 分 5 0 ppm 、 リ サ ー チ オ ク タ ン ① 高 選 択 性 脱 硫 触 媒 と 2 段 脱 硫 プ ロ 価(RON)90の FCC ガソリンを選 セスの開 発 を行 い、2万 BPDスケー 費 型ガソリ 択 的 に 水 素 化 脱 硫 処 理 し 、 硫 黄 ルの実証化装置の2年間運転により ン 脱 硫 技 分 10ppm 以 下 、RON87.5以 上 検 証 した結 果 、硫 黄 分 が10ppm 以 術の開発 のガソリンを製造する。 下 、オクタン価が RON87.5以 上の (R2.2.2) ②FCC-C4 留 分 を利 用 した高 オクタ FCC ガソリンを製造し、目標を達成し ン価 基 材 製 造 プロセスを 開 発 し、 た。 選 択 脱 硫 技 術 とのパッケージとし ②高 オクタン価 基 材 製 造 プロセス(C4 て、オクタン価低下ゼロで硫黄分1 二量化、C4 脱水素環化)を開発し、 0ppm 以下のガソリンを製造する。 2段 脱 硫 プロセスと高 オクタン価 基 材 製 造 プロセスを組 み合 わせること により、オクタン価 低 下 がゼロ、硫 黄 分 が10ppm 以 下 のガソリン製 造 を 検証し、目標を達成した。 36 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ LCO 有効 利 用のため の省 エネル ギー型 精 製 技 術 の 開発 (R2.2.3) 製 油 所 総 合 監 視 自 動 化 システ ム (R3) 第1段+第2段リアクターシステムで 最 適 運 転 条 件 での寿 命 安 定 性 につい ての評価を実施した。 セタン指 数 は40∼42(230∼360℃ の軽油留分としては48)、硫黄濃度は 10ppm 以下、窒素濃度は1ppm 以下 であり、触 媒 寿 命 は2∼3年 見 込 みと なり目標を達成した。 ○ 装 置 運 転 ①運 転 ノウハウのシステム化 により、経 ① オ ヘ ゚ レ ー タ ー ノ ウ ハ ウ の 抽 出 ロ シ ゙ ッ ク の 構 無人化を指 験 の浅 い運 転 員 でも安 全 確 実 な作 築 、原 油 種 切 替 時 の類 似 条 件 検 索 向 し た自 動 業 が可 能 な支 援 システムを実 現 す システムを開 発し、非 定 常 運 転 自 動 化 ・ 支 援 シ る。 化 支 援 システム開 発 の目 標 を達 成 ス テ ム の 開 ②ボード/フィールド双 方 向 の連 携 業 務 した。 発(R3.1.1) をシステム化 すること により、現 場 ② 危 険 物 エリアで 使 用 可 能 な 防 爆 型 無線 LAN を開発し、通信基盤を確 型(ユビキタス)ボードマンが可能な支援 立 した。また携 帯 端 末 による計 器 室 システムを実現する。 からの情 報 表 示システム、ICタグによる ③音 及 び熱 画 像 を測 定 ・分 析 して、 計 器 ・機 器 識 別 機 能 を構 築 し、ボー 人 間 では把 握 できないレベルでの早 ド/フィールド連 携 支援 システム開 発の 期 異 常 発 見 システムを実 現 、及 び 目標を達成した。 現 場 でフィールドマンが画 像 による遠 隔 確 認 できるモバイル端 末 を実 現 す ③ランダムノイズ解 析 による漏 洩 異 常 検 知 の基 本 機 能 を確 立 。また画 像 処 る。 理 については画 像 位 置 変 換 機 能 の 設 計 を終 え、異 常 監 視 ・診 断 支 援 シ ステム開発の目標を達成した。 ○ 製油所装 置異常診 断自動化 による安 全 対策技術 開発(Ⅰ) (R3.1.3) ① 製 油 所 内 で 防 爆 仕 様 を 満 足 す る ①画像センサ及び音響 センサを搭載し 監視装置を開発する。 た耐 圧 防 爆 構 造 の監 視 装 置 を開 発 ② プ ラ ン ト 内 で 想 定 さ れ る 異 常 を 検 し、画 像 ・音 ・制 御 信 号 を 無 線 伝 送 知できる画像処理を開発する。 する装 置 についても防 爆 構 造 とし、 ③音 響 データを解 析 し、漏 洩 場 所 を 目標を達成した。 特定する技術を開発する。 ②油やガス漏洩による白煙発生、異常 ④ 移 動 監 視 装 置 と 固 定 監 視 装 置 を 加 熱 や音 調 不 良 による示 温 材 の変 組 み 合 せ た 協 調 監 視 技 術 を 開 発 化 を画 像 処 理 により検 知 するロジッ する。 クを開発し、目標を達成した。 ③模 擬 ガス漏 洩 実 験 を実 施 し、漏 洩 場 所 との 距 離 を 変 えた 音 の 周 波 数 スペクトルを解 析 することにより漏 洩 場所を特 定 する技 術を開発し、目 標 を達成した。 ④模 擬 異 常 ではあるが、固 定 監 視 が 異常を検知した場合に、移動監視モ ードを変更して白煙検知 する協調 監 視技術を開発し、目標を達成した。 ○ 音響データ収集技術、連続収集デー 様 々 な 運 転 条 件 下 に お い て 連 続 的 タ 解 析 技 術 及 び異 常 信 号 評 価 技 術 にデータ収 集 を行 い、ピーク値 及 び平 を開 発 し、音 響 モニタリングシステム 均 値 と変 動 幅 のトレンドデータ監 視 を 全体の実用化評価を行う。 実施した。 実 用 化 評 価 のために対 象 往 復 動 圧 縮 機 の開 放 点 検 した際 に、ごく軽 微 な 異 常 が確 認 されたシリンダバルブにつ いて、圧 力 や温 度 などの運 転 トレン ド データからは特 に異 常 が見 られない が、音 響 特 性 より正 常 /異 常 の状 態 の 差 が解 析 により可 能 となり目 標 を達 成 した。 今 後 の異 常 検 知 精 度 を高 める技 術 と し て 、 よ り 適 切 な バ ン ド パ ス フィ ル タ 設 計 と運 用 におけるデータ蓄 積 、様 々 な破 損 モードとの対 応 が必 要 であると いう課題が明確となった。 ○ 音響モニタ リングシス テムによる 往復動圧 縮 機 の連 続状態監 視 システム 開発 (R3.1.4) ライトサイクルオイル(LCO)高 度 精 製反 応 における水 素 対 油比を低 減し た水 素 化 処 理 により、セタン指 数 40 以 上 、硫 黄 濃 度 10ppm 以 下 、窒 素 濃度10ppm 以下の生成油を製造す る。さらに、使用する貴金属触媒の寿 命を1年以上とする。 37 ○ ○ ○ ○ ○ 製 油 所 設 備 管 理 (R4) 機 器 及 び ①ガイド波 透 過 検 査 法 による超 音 波 ① 励 起 波 形 の 最 適 化 、 探 傷 用 ス キ ャ ○ ナーの開 発 、ガイド波 伝 播 速 度 の自 配 管 設 備 探傷装置を開発する。 の 腐 食 検 ②ガイド波 透 過 検 査 法 による肉 厚 測 動 測 定 手 法 、ノイズの影 響 を低 減 す べく時 間 加 算 平 均 化 処 理 ・べき乗 探 査 技 術 の 定手法を確立する。 開発 ③測 定 誤 差 は±10%以 内 とする。 触 子 移 動 加 算 平 均 化 処 理 を行 う解 析ソフト等を開発し、超音 波探傷シス (R4.1.2) (元厚 10mm 程度の配管で±1mm) ④測 定 範 囲 は配 管 20m、機 器 10m テムを構築し、目標を達成した。 ②局 部 腐 食 減 肉 に対 するガイド波 の ○ とする。 伝 播 特 性 挙 動 を解 析 し、局 部 腐 食 で 発 生 する微 弱 な高 次 モード波 の音 速 を測 定 するために必 要 な解 析 ソフト (データ平 均 化 処 理 )の開 発 を行 い、 微 弱 な信 号 を検 出 可 能 とし、目 標 を 達成した。 ③全 面 腐 食 で厚 みが 減 肉 するケ ース ○ は、板 厚 の±10%以 内 の測 定 精 度 を検証し、目標を達成した。 ④保 温 配 管 及 び保 温 機 器 等 に関 する △ 検 証 試 験 の結 果 、探 傷 範 囲 は保 温 機 器 のケースが目 標 の10mを達 成 できた もの の 、 保 温 配 管 のケ ース は 約10mが限界であると分かった。 これは、測 定 環 境 における外 部 ノ イズ強 度 に よって、その 測 定 範 囲 は 限 定 されるためである。また、防 油 堤 貫通部等の防食テープ施工した配管 はガイド波 の減 衰 が著 しく、約 1mが 限界である。 コーティング ①施 工 材 料 の防 食 機 能 が4年 以 上 ① 代 表 的 な 製 油 所 設 備 の 各 種 腐 食 ○ 材 料 を 用 い 保 持 するコーティング技 術 を開 発 す 環 境 を調 査 選 定 し、選 定 したコーテ た防 食 技 術 る。 ィング材 料 を施 工 した。コーティング ②コーティング材 料 の劣 化 評 価 装 置 の開発 材料の防食機能は母材肉厚の測定 を開発する。 (R4.1.3) や腐 食 環 境 に挿 入 した試 験 片 を評 ③防食システムを開発する。 価 し、 コーテ ィング 材 料 に は異 常 の 腐 食 環 境 推 定 技 術 、施 工 技 術 、塗 ないことを確認し、目標を達成した。 膜 評 価 技 術 、及 び塗 膜 余 寿 命 予 測 ②各 種 腐 食 環 境 下 における腐 食 試 験 ○ 技 術 を統 合 した防 食 管 理 技 術 の確 片 によりコーティング材 料 の腐 食 劣 立 化 機 構 を解 明 し、劣 化 評 価 装 置 の 物 理 的 測 定 値 と界 面 腐 食 量 の相 関 関係に関する評価手法を開発し、目 標を達成した。 ③シミュレーション技 術 による腐 食 環 △ 境 の推 定 技 術 を構 築 し、有 機 系 ・無 機系コーティング材料の施工技 術ま で確立した。 防 食 システム確 立 まで手 が届くとこ ろまで開発が進んだため、一般研究 で継 続 研 究 した結 果 、システムを確 立し事業化を実施した。 石 油 精 製 ①湿 潤 水 硫 化 アンモニウム腐 食 の感 ①10μm/y の感度を有する電気抵抗 ○ 設 備 の 運 度 として、10μm/y の感 度 を設 定 法 式 腐 食 モ ニ タ リ ン グ プ ロ ー ブ の 適 転 最 適化 に し、 この 感 度 を4 年 間 維 持 で き るプ 用 性 を廃 水 処 理 施 設 で検 証 し、水 硫 よ る 防 食 管 ローブ技術を開発する。 化 アンモニウム腐 食 の高 感 度 モニタ 理 技 術 の ②精 度 よく 湿 潤 水 硫 化 アンモニ ウム リング技 術 を開 発 した。また、電 気 化 開発 環 境の腐食 性を推 定するシミュレー 学 式 腐 食 モニタリング法 の適 用 性 も (R4.1.4) ション技 術 を開 発 し、シミュレーショ 確認し、目標を達成した。 ン解 析 結 果 をラボ腐 食 試 験 結 果 と ②湿 潤 水 硫 化 アンモニウム環 境 の腐 ○ 比較検証する。 食 性 を推 定 するシミュレーション技 術 ③ 構 築 さ れ た 高 感 度 腐 食 モ ニ タ リ ン を開 発 し、現 場 設 備 で最 も腐 食 性 が グ シ ス テ ム に よ る 防 食 管 理 手 法 の 高 いと 予 想 される 部 位 を推 定 でき る 実用性を実機で検証する。 モニタリ ン グ 部 位 選 定 手 法 を 構 築 し 目標を達成した。 ③運 転 改 善 による防 食 管 理 モデルを ○ 構 築 し、 電 気 抵 抗 法 腐 食 モニタリン グの現 場 適 用 性 を確 認 し、目 標 を達 成した。 38 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 表3−3に廃棄物 削減 ・再利用・汚染浄化 技術 開発分 野のテーマ毎の目標・指標、成果、 及び達成度を示した。 表3−3 分野別テーマと成果、目標の達成度(ゼロエミッション) 分野 排 出 物 削 減・高 度 リサ イクル 利 用 (R5) 要素技術 目標・指標 ○ :達 成 △:一 部 未 達 成 成果 磁 気 分 離 ①既 設 流 動 接 触 分 解 (FCC) 装 置 に ①FCC 触媒を乾燥状態で分離する世 装 置 を 用 い 設 置 した実 証 化 装 置 により有 効 性 界初の高勾配磁気分離機を開発 た FCC 廃 を確認する。 し、FCC 実装置に実証化装置を取 触 媒 削 減 ②FCC における触 媒 廃 棄 量 を30% り付けて有効性を確認し、目標を達 技 術 の 開 削減する。 成した。 発 ②FCC 実装置に設置した実証化装置 (R5.1.1) により、触媒廃棄量を30%削減し、 目標を達成した。 達成 度 ○ ○ 製 油 所 汚 ①高い汚泥削減率のときの排水性状 ①製 油 所 の廃 水 処 理 設 備 に付 設 した 泥 の 高 削 へ の 影 響 を 抑 制 し つ つ 、 安 定 的 に 実 証 試 験 装 置 において 長 期 汚 泥 削 減 技 術 の 余 剰 汚 泥 削 減 率 90%以 上 を可 能 減運転を実施し、高生分解性可溶化 開発 にする高 汚 泥 削 減 シス テムを 開 発 により90%以 上 の高 汚 泥 削 減 率 の (R5.1.2) 運 転 時 においても、排 水 (処 理 水 )性 する。 ②汚 泥 可 溶 化 剤 量 の10%分 に廃 ソ 状 、汚 泥 性 状 に変 化 が無 いことを検 ーダを用 いることができる技 術 を開 証し、目的を達成した。 また、可溶 化 率向 上 効果 のある添 発する。 加 剤 を見 出 し、実 証 試 験 装 置で効 果 を確認できた。 ②汚泥可溶化薬剤の10%分に高 COD 廃 ソーダを利 用 可 能 であること を実験室規模の活性汚泥試験により 検証し、目標を達成した。 ○ 硫 黄 の 需 ①10分 以 内 / バッチとなる高 効 率 で 要創造に向 安 価 な改 質 硫 黄 固 化 体 を製 造 する けた高 効 率 システムの設計・建設を行う。 改 質 硫 黄 ②製 品 の土 木 ・建 築 用 資 材 としての 固 化 体 製 活用性を確立する。 造システム の 研 究 開 発 (R5.1.3) 高 効 率 化 な改 質 硫 黄 固 化 体 製 造 シ ステムの実 証 試 験 と、製 造 された検 体 の現 場 実 験 により、コンクリートと同 等 以上の性能が確認された。 ①効 率 的 改 質 硫 黄 固 化 体 製 造 システ ムの実運転により、4 分以内/バッチ (サイクル)とし、目標を達成した。 ②約 1トン/個 規 模 の検 体 を海 中 下 で の性 能 確 認 を開 始 し、良 好 な生 物 着 生 性 の確 認 と自 然 環 境 (海 中 、水 中 等 )及 び酸 性 雰 囲 気 で高 い安 定 性 を 示すことを確認し、目標を達成した。 ○ 廃 触 媒 ミ ①再 生 後 の触 媒 強 度 を触 媒 再 充 填 ①再 生 時 の触 媒 強 度 低 下 抑 制 に有 望 ニ マ ム 化 技 基 準 (強 度 低 下 抑 制 10%以 上 )に な第 三 成 分 の探 索 を行 い、アルカリ 術の開発 適合させる。 土 類 金 属 を添 加 することで、触 媒 強 (R5.1.4) ②再 生 後 の 活 性 を新 触 媒 に対 し8 度 低 下 抑 制 を10% 以 上 とし、目 標 0%以上に維持させる。 を達成した。 ②長 期 寿 命 評 価 の結 果 、脱 硫 活 性 の 反 応温 度は、基 準の触 媒システムと 比 較 して同 等 であり、その他 の実 用 性 能 である脱 メタル活 性 、脱 窒 素 活 性 、脱 残 炭 活 性 、水 素 化 能 等 の機 能 や安 定 性 についてもすべて基 準 の触 媒 システムと比 較 して同 等 であ ることを確認した。 更に、1 年間相当のメタルを蓄積さ せた開 発 触 媒 を再 生 し、新 触 媒 と脱 硫 活 性 を比 較 した結 果 、再 生 触 媒 は目 標 の80%以 上 の性 能 を有 して おり、2年 目 も充 分 使 用 できることが 確認でき、目標を達成した。 ○ 39 ○ ○ ○ 重質油か ら高 品 質 な 灯軽油を製 造 するため のDAO高 度水素化 分解技術 の開発 (R5.1.5) ①重 質 油 の拡 散 に適 したメソ孔 を有 ①ゼオライトを脱アルミニウム処理する ○ こと に より メ ソポア を 開 孔 し、 熱 処 理 していること。 ② 重 質 油 の 分 解 に 適 し た 固 体 酸 性 を加え骨格外 Al の大部分を骨格内 Al に変えることにより35∼500Åの 質を有していること。 ③アモルファス系 触 媒 に比 べ約 2倍 メソおよびマクロ細 孔 が増 加 し、マル の 相 対 分 解 活 性 と 触 媒 寿 命 を 有 テン の 分 解 に 有 効 に 働 くこと が 確 認 し、かつ同 程 度 の中 間 留 分 選 択 性 できた。 また、粒子径の大きい NaY を USY を有していること。 ④分 解 率 70 %以 上 ,中 間 留 分 選 択 化することで 50∼500Åに新たなメソ 性 70%以 上 の条 件 でセタン指 数 6 細孔 が多く生 成することが確認 され、 目標を達成した。 0以上の軽油が得られること。 ⑤未分解油を FCC 原料油として用い ② 上 記 ① に よ り 固 体 酸 性 量 の 増 加 も ○ たとき、高 収 率 で高 品 質 なガソリン 確認され、目標を達成した。 ③開 発 触 媒 の溶 剤 脱 れき油 (DAO)水 ○ が得られること。 素 化 分 解 寿 命 試 験 より2.2倍 の運 転 寿 命 であることが確 認 できた。中 間 留 分 選 択 性 は80%となり、目 標 を 達成した。 ④分 解 率 80%、中 間 留 分 選 択 性 8 ○ 0%、セタン指 数 60の軽 油 が得 ら れ、目標を達成した。 ⑤DAO 分解反応の 375℃ + 未分解油の ○ FCC 原 料 油 としての評 価 を行 い、通 常脱硫 VGO に比べ、分解率,ガソリン 収 率 ,コーク収 率 ,水 素 収 率 に極 めて 優 れていることが明 らかとなり、高 品 質 なガソリンの製 造 が可 能 となり、目 標を達成した。 製 油 所 に 10 万 BPD 規模の製油所で処理し お け る 廃 て い る 廃 油 軽 質 留 分 99,000KL/ 年 油 軽 質 留 の効率的な処理方法を開発する。 分の高度 処理技術 の開発 (R5.1.6) 廃油軽質留分のモデル油を用いて ○ 実装置での処理検討を行った結果、 約 1,000KL のモデル油を問題なく処 理できることを確認した。 この処理量は、10 万 BPD 規模の製 油所を例にすると約 83,000KL の廃 油軽質留分の処理に相当するが、モ デル油を装置原料油へ10%混合 程度であれば、間接脱硫装置での廃 油 軽 質 留 分 99,000KL/年 処 理 は 十 分可能であることが確認され、目標 を達成した。 触 媒 再 生 ① 触 媒 の 詳 細 分 析 技 術 を 確 立 し 、 ①XRD,XPS,TEM 等を用いて触媒に担 ○ 技 術 による 再生方法最適化技術を開発する。 持 さ れ た 金 属 の 価 数 、 凝 集 性 等 を 廃 触 媒 削 ② 1 回 の 触 媒 再 生 に つ き 活 性 低 下 評価できる分析技術を確立した。 減 技 術 の が 5%以 下 で あ る 触 媒 再 生 技 術 を また、再生触媒の分析結果より、 開発する。 研究開発 触媒の性能(再使用の可否)を判 ③開発した触媒再生技術を検証す 定する「再生触媒使用のスクリー (R5.1.7) る。 ニング技術」を開発した。さらに、 その後の「回収工程」、 「使用工程」 における再生触媒の使用比率を高 めるために、再生触媒の性能判定 結果を「再生工程」にフィードバ ックし、再生方法の最適化を可能 とする「触媒再生方法最適化の指 針」を確立し、目標を達成した。 ②留出油脱硫装置で使用された触 ○ 媒について、活性低下の小さい触 媒構造(担持金属 Mo の構造)が発 現するようにラボ再生を行った結 果、活性低下は 1 回目のラボ再生 が 2%、2 回目のラボ再生が 3%とな り、触媒再生につき活性低下が 5% 以下となり、目標を達成した。 ③再生触媒予備硫化・再生技術最適 ○ 化装置により、再生した触媒を予 備硫化した後の活性を評価し、開 発した触媒再生技術を検証した。 40 低 エミ ッ シ ① 重 質 残 油 の 高 度 脱 硫 に よ る 生 成 ョ ン 型 高 度 硫 黄 分 を0.2%及 び触 媒 寿 命 を1 重 質 油 処 年とする。 理 技 術 の ②減 圧 軽 油 の高 度 脱 硫 による生 成 開発 硫 黄 分 を0.1%及 び触 媒 寿 命 を2 (R5.2.1) 年とする。 ③FCC ガソリンのオクタン価を0.5% 向上させる。 開発した間脱、直脱及び FCC 触媒 のベンチプラント及び製油 所実装 置で 実 証 化 研 究 を実 施 し、目 標 達 成 を確 認した。 ①重 質 残 油 の生 成 油 硫 黄 分 0.2%、 現 状 の触 媒 寿 命 を1年 まで延 長 し、 廃触媒を半分に低減 ②減 圧 軽 油 の生 成 油 硫 黄 分 0.1%、 現 状 の触 媒 寿 命 を2年 まで延 長 し、 廃触媒を半分に低減 ③ FCC 実 装 置 に よ る 実 証 化 研 究 か ら、オクタン価の 0.5%向上を確認 ○ ○ ○ さらに、高度前処理した原料油を FCC 実 装置 に供給し、再 生塔 負荷の 低 減 効 果 、原 料 油 の分 解 性 向 上 、並 びにガソリン収率の向上を実証した。 C 重 油 削 ①FCC ボトム得率を残油 FCC(RFCC) ①直 脱 後 段 触 媒 のホウ素 添 加 技 術 の 最 適 化 とシリ カの新 添 加 により窒 素 減 を 目 指 し 原料基準で1%以上低減する。 た FCC 前 ② 基 準 直 脱 原 料 油 メ タ ル 分 よ り も 1 低 減 が 実 現 し 、 FCC ボ ト ム 得 率 が 処 理 触 媒 0%以上多い原料油を処理しても触 1%以上低減し、目標を達成した。 ②マクロ 孔 量 及 び比 表 面 積 を 最 適 化 の 高 機 能 媒寿命が短命化しないこと。 することにより脱 メタル性 能 が向 上 し 化 のための た前 段 触 媒 を開 発し、直 脱 後 段 触 媒 技術開発 との組 合せた長 期寿 命 試 験を実 施し (R5.2.2) た結 果 、触 媒 寿 命 が短 命 化 しないこ とを確認し、目標を達成した。 ○ 新 規 熱 分 ①熱 分 解 工 程 においては、廃 触 媒 を ①新 規 の熱 分 解 ・ガス化 技 術 (超 臨 界 解 法 に よ る 発生させることなく残油の 70%程度 水 中 で の 重 質 油 熱 分 解 ・ ガ ス 化 技 高 度 排 出 を軽 質 な 石 油 製 品 化 原 料 と して回 術 ) により、原 料 の減 圧 残 油 に対 す 物 削 減 型 収できるプロセスを開発する。 る水 素 、燃 料 ガス、LPG 分 、分 解 油 残 油 処 理 ② 分 解 残 渣 分 の ガ ス 化 反 応 工 程 と の製 品 重 量 収 率 で約 79%(炭 素 換 プ ロ セ ス の 併 せ、残 渣 の発 生 量 を処 理 残 油 の 算収率では70%)が有用な生成物と 研究開発 5%以 下 に抑 える処 理 法 を確 立 す して生 成 、回 収 され、目 標 を達 成 し (R5.2.3) た。 る。 ②残渣は1%となる残油処理が可能で あることを確認し、目標を達成した。 ○ 重 質 油 有 ①重 質 油 中 のバナジウム含 有 量 を1 効 利 用 のた ppm 以下とする。 め の ガ ス タ ②改 質 され た燃 料 特 性 評 価 として、 ービン燃 料 安 定 燃 焼 ,NOx,CO発 生 量 を従 化 技 術 の 来燃料並みとする。 研究開発 ③改 質 器 の耐 腐 食 性 を3年 間 無 交 (R5.2.4) 換可能とする。 ④システムの総 合 コスト評 価 により、 機 器 費 回 収 期 間 の目 標 を3年 とす る。 41 ガスタービン実 機 燃 焼 器 一 缶 分 の実 圧 燃 焼 試 験 装 置 に 接 続 した「 水 熱 反 応 利 用 大 型 重 油 改 質 試 験 装 置 」によ り、重 質 油 改 質 技 術 を検 証 し、目 標 達 成を確認した。 ①ガスタービン翼 腐 食 原 因 となるバナ ジウムを,現 行 ガスタービン許 容 値 である 1ppm 以下まで除去でき,要素 試験と同等 の改質性能 が得られるこ とを確認した。 ②ガス燃 料 ,液 体 油 燃 料 をガスタービ ン実 機 と同 規 模 圧 力 で燃 焼 試 験 し、 NOx,CO 排出量を従来ガスタービン 燃 料 油 燃 焼 時 と同 等 以 下 に抑 制 で きることを確認した。 ③従 来 の超 臨 界 水 反 応 装 置 に用 いら れているインコネル材 料 に対 し、コス トが 1/2 以下となる SUS316 材料で 大 型 装 置 を 設 計 するとと もに, 要 素 試験にて耐 腐食 性を詳 細検 討し、重 油 改 質 反 応 器 に 使 用 で きる 可 能 性 を 確 認 し た 。 ま た 減 肉 速 度 か ら 、 10 年 以 上 の使 用 においても問 題 ないこ とを確認した。 ④機 器 仕 様 詳 細 評 価 ,システムの総 合 コスト試 算 および特 性 解 析 を実 施 し、装置 コスト回 収期 間 の目標 3 年 以内が実現可能なことを確認した。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 含 油 土 壌 高 度 浄 化 (R6) 化 学 ・ 微 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 を組 合 生 物 複 合 せ、重 質 油 汚 染 土 壌 の炭 化 水 素 分 型 重 質 油 (5,000ppm)を 3 ヶ月以内に 1,000ppm 汚 染 土 壌 以下まで浄化する。 の浄 化 技 術の開発 (R6.1.1) 実汚染 土壌 による総合 評価として 200kg 処 理 規 模 で化 学 /微 生 物 の連 続 処 理 を実 施 、目 標 である油 分 濃 度 1,000ppm 以 下 までの浄 化 を確 認 し、 目標を達成した。 ○ 石 油 含 有 ①地 下 水 中 の軽 質 炭 化 水 素 類 の濃 ①実 験 室 レベルと実 汚 染 現 場 での実 土 壌 の 高 度を90%以下に浄化 証 試 験用 浄 化 壁により、軽 質 炭化 水 度 浄 化 技 ②設置費用:4.5∼5.0万円/㎡ 素 類 を90%以 上 浄 化 できる技 術 を 術 の 研 究 確立し、目標を達成した。 開発 ②経 済 性 評 価 により、500㎡以 上 の (R6.1.2) 規 模 において浄 化 壁 の建 設 ・維 持 管 理 コストは4.5∼5.0万 円 /㎡以 下 となることを確 認 し、目 標 を達 成 し た。 製 油 所 、 ①油分含有濃度を 500mg/kg 以上の ポータブルモニターにより土 壌 ガスを 油 槽 所 にお 精 度で検 出 可 能な土 壌 汚 染把 握シ 測 定 し 、 デ ー タ を 現 場 に て パ ソ コ ン 処 理 することにより、場 所 の制 約 を極 力 ける土 壌 汚 ステムを確立する。 染 状 況 把 ②本 評 価 技 術 とボーリング調 査 等 を 回 避 し、短 時 間 で測 定 可 能 なシステム 握 技 術 の 組 み 合 わ せ 、 従 来 評 価 法 に 比 較 を開発した。 開発 し、コストと調査期間を 1/2 にする。 ①実 汚 染 現 場 で、検 出 油 分 濃 度 500 mg/kg の評 価 精 度 を確 認 し、目 標 を (R6.1.3) 達成した。 ②従 来 と比 較 してコストと調 査 期 間 が 1/2 になることを確認し、目標を達成 した。 ○ ○ ○ ○ 石 油 汚 染 ①バイオレメディエーションの条 件 を ①土 壌 酸 素 、土 壌 温 度 、土 壌 水 分 含 土 壌 浄 化 自 動 管 理 する、数 m 3 のベンチスケ 有 量 の最 適 浄 化 条 件 範 囲 を自 動 的 の省 力 化 に ールの自 動 浄 化 装 置 を考 案 ・開 発 に 維 持 ・ 管 理 を す る ス ク ー プ 撹 拌 方 関 する技 術 する。 式を用いた土壌 撹 拌システムを考 開発 ②油臭・油膜が消失する浄化終了ま 案 ・開 発 し、石 油 汚 染 土 壌 浄 化 の実 (R6.1.4) でに要する浄化期間を現行技術(ラ 証試験を行った。 ン ド フ ァ ー ミ ン グ 法 ) に 対 し て 3 0 % ②開発されたシステムにより、軽質油 短縮する。 から重質油まで種々の油種を含む土 壌を油臭・油膜が消失する浄化期間 を現行技術の40%∼60%短縮する ことを確認し、目標を達成した。 ○ CO 2 洗 浄 ① 軽 質 油 か ら 重 質 な 油 汚 染 土 壌 を ①超 臨 界 CO 2 (助 剤 添 加 を含 む)を用 技 術 を用 い 時 間 オ ー ダ ー の 条 件 で 浄 化 し 、 残 い る こ と に よ り 、 軽 質 油 ∼ 重 質 油 汚 た 汚 染 土 留油分濃度200mg/kg 以下或は無 染 土 壌 を 時 間 オ ー ダ ー の 条 件 で 浄 壌の浄化シ 臭 と す る と と も に 、 ベ ン ゼ ン の 溶 出 化 し 、 残 留 油 分 濃 度 2 0 0 mg/kg ( 土 ス テ ム の最 量 に つ い て も 0 . 0 1 mg/ ℓ 以 下 と す 壌 )以 下 或 は無 臭 の目 標 を達 成 する 適化開発 る。 とともに、ベンゼンの溶 出 量 について (R6.1.5) ②可搬型オンサイト CO 2 土壌浄化シ も0.01mg/リットル以下 とし、目標を 達成した。 ステムを構築する。 ②実 証 試 験 で得 られたデータに基 づ き、石 油 系 汚 染 土 壌 の浄 化 に対 応 し た土 壌 浄 化 システムを構 築 し、実 機 を想 定 した可 搬 型 オンサイト CO 2 土 壌浄化システムを構築した。 高 濃 度 ・ ①C重 油 を5%以 上 含 有 する土 壌 を 原位置で浄化できる薬剤や工法を開 重 質 油 含 油 回 収 工 法 に よ り 、 油 分 1 % 以 下 発し、目標を達成した。 有 土 壌 に に低減する。 ①油回収工法により、油分1%以下に 対 応 可 能 ②C重 油 を1%含 有 する土 壌 を化 学 低減 な 原 位 置 酸 化 分 解 工 法 により、油 分 0.3% ②化 学 酸 化 分 解 工 法 により、油 分 0. 浄 化 工 法 以下に低減する。 3%以下に低減 の開発 ③C重油を0.3%含有する土壌をバ ③バイオ分 解 工 法 により、油 臭 ・油 膜 (R6.1.6) イオ分 解 工 法 により、油 臭 ・油 膜 な なしに浄化 ④機 器 分 析 により、現 行 法 の油 臭 ・油 しに浄化する。 膜の有無判定と90%以上合致する ④現行法の油臭・油膜の有無判定と 油臭・油膜の定量 法を開 発し、目 標 90%以 上 合 致 する油 臭 ・油 膜 の を達成した。 定量法を開発する。 ○ 42 ○ ○ ○ ○ ○ ○ バ イ オ サ ①浄 化 目 標 として油 分 1000 mg/kg ①ランドファーミングにおいて、バイオ ー フ ァ ク タ 及び油膜・油臭なしとする。 サーファクタント(BS)添 加 により重 質 ン ト を 使 用 ②油膜・油臭 処理期 間の短縮等で、 油 含 有 土 壌 に 対 し 、 油 分 濃 度 した土 壌 浄 浄 化 期 間 を従 来 法 の2/3に短 縮 1000mg/kg 以 下 、油 臭 ・油 膜 なしに 化技術の させる。 することを実証し、目標を達成した。 開発 さらにスラリーリアクターに BS を使 (R6.1.7) 用 すると廃 白 土 のように多 孔 質 内 に 取 り込 まれた油 分 除 去 に有 効 である ことが確認できた。 ②BS を2段 階 で投 入 することにより、 油 臭 ・ 油 膜 な し と する 期 間 が 2 / 3 以 下 に短 縮 可 能 となることから、BS 添 加にコストがかかるものの、工期短縮 によるコスト削 減 が可 能 であることが 判明し、目標を達成した。 43 ○ ○ 4.事業化、波及効果 4-1 事業化の見通し 本 事 業 の技 術 開 発 テーマにおいて計 画 通 り目 標 を達 成 しており、今 後 の実 用 化 ・事 業 化 が十分可能なレベルにあるといえる。 例えば、高性能ヘリカル熱交換器、FCC選択脱硫技術、防爆型無線LANシステム、腐食 モニタリング技術、改質硫黄固化体、重質油有効利用の為のガスタービン燃料化技術、地下 水汚染拡散防止浄化壁システム等は、開発期間において事業化可能な技術レベルに達して おり、国産技術として世界に誇れるものとして今後の展開に期待できる。 今後の実用化に際しては、伝熱性能の時間変化、触媒寿命、実証化運転による長時間の 運転実績の蓄積等いくつかの課題を克服しており、実用化展開に移行できる目途を得ている と考える。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 1)熱利用高度化技術の開発(R1) 本開発は、製油所の CO2 排出量削減の一環としてこれまで民間企業では投資回収困難 なレベルの低温排熱の有効利用技術に対し、高効率熱利用・熱回収技術の実証化を行った。 一 方 で、実 証 化 後 に必 ずしも直 ちに事 業 化 に移 行 出 来 る訳 ではなく、開 発 技 術 の適 合 可 能 性、経済性の厳密な検討、コストダウンによる普及促進策の検討等その後の課題は大きいも のの、製油所等石油精製業界のみならず化学業界等他業界への技術展開による事業化/ 事業展開に関するハードルはかなり低くなると考えられる。 2)製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) 接触分解装置等の副生ガス(C/H 比が低く、水素含有率は30%程度)を水素と炭化水素 ガスに膜 分 離 し、炭 化 水 素 ガスを改 質 して高 純 度 水 素 を製 造 する要 素 技 術 開 発 は、この副 生ガスを水素製造用原料として有効活用することによって、CO2 発生を削減する新規な水素 製 造 方 法 である。事 業 化 に際しては、本 事 業 で開 発する基 盤 的 要 素 技 術をもとに実 証 化 検 討を行い来るべき水素社会に備え事業化の目途を得る必要がある。 3)製油所総合監視自動化システム技術(R3) 今回開発した無線 LAN システムや音響画像監視は高い先進性があり、研究開発を通じて 2つのメーカーへ特許権の供与を行っている事も示す通り、ハード的にはすでに実用レベルに あると考えられる。 ソフト面では、監視システムのアルゴリズムなどに改善の余地はまだ残されているが、いず れも、実際 の製造 現 場 での使用を前提 に開 発 されたものであり、条 件付 き(現 場にあわせた チューニングが必要)で実用可能な段階まで開発されていると考えられる。従って、本分野の 技術開発では、今後、広報活動(学会発表、論文発表、展示会等での啓蒙活動)を通じて技 術の普及を図ることが肝要である。 4)防食管理技術・効率的検査技術(R4) 腐食検査システムは実用化可能であることを検証したが、適用出来 る限界も明らかとなっ た。今後は、適用限界に対する解決策の検討を行い、実機器及び配管設備を用いた検証デ ータを蓄積するとともに、さらに研究成果を公表し評価を受けることで、実用化可能な腐食検 44 査技術として確立できると考えられる。 石油 精 製設 備の運 転 最 適化 による防食 管 理技 術の開 発は、水硫化 アンモニウム腐食 環 境下に腐食モニタリングセンサを取付けるべく、シミュレーションで腐食が最も進行すると予想 される最適な部位を推定し、実設備に取付け実証化を行った。今後、コーティング材料を用い た防食技術の開発とともに、腐食モニタリング実証データを継続して採取し実用化を目指す。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 1)排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) 製油所における排出物削減と環境負荷低減を図るべく、石油精製装置から大量に排出さ れる廃棄触 媒の排出量 のミニマム化技術、排水処理から発生する汚泥を削減する技術、超 クリーン燃 料 製 造 に伴 い製 油 所 から排 出 量 が増 加 する硫 黄 並 びに廃 油 軽 質 留 分 を有 効 利 用するリサイクル技術の開発、重質油の白油化や高付加価値化に対応する高度分解プロセ ス・処理技術の開発を行い、いずれの技術開発においても計画通り終了した。大部分のテー マについてはすでに実証化・工業化検討を開始し検証を実施中であり、今後さらに事業化検 討を行っていく予定であり、事業として確立できる可能性は高いと考えられる。 2)含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) 油汚染土壌への効率的な対応を図るため、汚染土壌の浄化、汚染の拡散防止、汚染状 況の迅速把握の 3 つの観点から技術開発を進めた。実験室規模・実現場での実証試験によ り目標達成を得て、現在は事業化に向けた検討を進めている。今後、事業化に対し実施例を 積み上げる必要があり、着実な検討が必要であり時間が掛かると予想されるが、本事業で蓄 積した技術をもとに事業化は十分可能であると判断する。 4-2 波及効果 本事業における各技術開発は計画通りに終了しており、今後、実用化・事業化を図り、さら に本成果を他業界への横展開を図ることでより一層の効果が期待される。 以下に具体的な技術開発内容の関連分野他への波及効果の有無、期待について示す(表 4−1)。今後の幅広い普及、波及効果を上げるためにも、実用化・事業家の検討を通じ、さら なる長期の耐久性、信頼性の確立が必要であり、用途の見極めと応用技術の開発が必要で ある。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 1)熱利用高度化技術の開発(R1) 各 種 熱 交 換 機 器の実 証 装 置の設 計 、実 証 化 運 転 により、高 効 率 高 性 能 熱 交 換 技 術、高 効率バーナー等新たに確立した熱利用技術は、石油精製業のみならず化学反応を伴うプロ セスを取り扱う業界においては共通の技術であり、今後の研究を通じて適用限界を明らかに し、性能実績・運転ノウハウの公表により石油精製業のみならず他業界への展開も可能とな る。 なお、熱利用高度化の技術開発目標を達成したことにより、我が国のすべての製油所に本 技術を適用したとすると 97 万 ton-CO2/年の削減が期待される。 45 2)製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) 省エネ型プロセス開発における開発項目である「高性能触媒の開発」等の要素技術は、ナ ノレベル分子制御技術開発等最先端技術開発を伴い、開発した基盤技術は他分野における 高選択性触媒の開発指針等に貢献するものと考えられ、波及効果は大きいと考えられる。 また、特 に高 性 能 分 離 膜 と改 質 技 術 を組 合 せた製 油 所 副 生 ガスの有 効 利 用 に関 する研 究 開 発 は、その研 究 成 果 が他 分 野 、例 えば燃 料 電 池 用 純 水 素 製 造 技 術 へ応 用 することが 可 能 であり、将 来 の水 素 社 会 構 築 に向 けたインフラ整 備 や効 率 的 な水 素 供 給 に寄 与 すると いった大きな波及効果が期待されている。 なお、製油所プロセス高度活用・効率化の技術開発目標を達成したことにより、我が国のす べての製油所に本技術を適用したとすると 130 万 ton-CO2/年の削減が期待される。 3)製油所総合監視自動化システム技術(R3) 今回開発した無線 LAN システムや音響・画像監視は高い先進性があり、かつ防爆対応を 前提に開発されているため、石油精製業以外の装置産業全般への適用拡大が可能である。 特に無線 LAN は従来市販品に防爆対応のものが無く、本研究を通して防爆対応品を開発 しており、既に他事業で採用されるなど汎用性の高い要素技術の成果物となっている。 なお、製油所総合監視自動化システムの技術開発目標を達成したことにより、我が国のす べての製油所に本技術を適用したとすると 14 万 ton-CO2/年の削減が期待される。 4)防食管理技術・効率的検査技術(R4) 設備管理診断技術、防食管理技術は、大型プラントの長期的な安定/安全運転確保に欠 かすことのできない技術であり我が国装置産業において最も重要な課題の一つである。今回 開発を行った設備の腐食劣化に対する防食管理技術・検査技術において、基礎研究や実設 備を用いた検証データを蓄積することによって、石油精製設備だけでなく、あらゆる産業の腐 食劣 化環 境 に応用することが可能 であり、実 証化 後の展 開が期 待でき波 及効 果 は大きいも のと考えられる。 特 に、水 硫 化 アンモニウム環 境の腐 食 機 構の解 明 に関する知 見 は、腐 食 科 学 的 にも高く 評価される内容であり、モニタリングの測定精度を高める上で重要なだけでなく、モニタリング 結果の信頼性向上に波及効果が期待できる。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 1)排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) 排出物削減・リサイクル技術、硫黄等の排出物の高度利用に関する要素技術は、我が国 のみならずアジア地区の新興国等はもちろんのこと環境負荷低減・排出物削減に取り組まな ければならない世界中のすべての製油所にも適用可能な要素技術であり本技術開発の波及 効果は大きい。 なお、排出物削減・高度リサイクルの技術開発目標を達成したことにより、我が国のすべて の製油所に本技術を適用したとすると 32 万 ton-CO2/年の削減、および 9,500ton/年の廃 触媒、2 万 ton/年の廃アルカリ、1.8 万 ton/年の汚泥の削減が期待される。 2)含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) 含油土壌浄化・処理技術は、石油各社の国内各製油所・油槽所のみならず、給油所や市 中の油製品を扱う設備等に対しても展開を図ることができる。生活環境の保全の観点で国民 生活への直 接的な寄与 にもつながる極めて重 要な技術開 発課題であり、これら要素技術 確 46 立・実証化運転による技術確立後の波及効果は大きい。 表4−1 分野別波及効果 CO2削減量 万Ton−CO2/年 分野(グループ) 環境負荷低減型 石油精製プロセス 技術開発 (CO2削減) 熱利用高度化(R1) 97 − 精製プロセス高度 活用、効率化(R2) 130 − 14 − − − 32 汚泥:1.8 廃触媒:0.95 廃アルカリ:2 − − 製油所総合監視 自動化システム(R3) 製油所設備管理 (R4) 廃棄物削減・再利用 ・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 再利用+廃棄物 削減量万 ton/年 排出物削減・高度 リサイクル(R5) 含油土壌高度浄化 (R6) 273 計 汚泥:1.8 廃触媒:0.95 (廃アルカリ:2) 合 計:4.75 (廃アルカリ含む) 注)事業全体の研究開発目標は、①国内製油所の CO2 排出量を200万 ton/年の削減、及 び②国内製油所における最終処分廃棄物量を約1万 ton/年の削減であり、波及効果を 考慮すると研究開発目標を達成。 47 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等 5-1 研究開発計画 本 事 業 は、環 境 負 荷 低 減 ・廃 棄 物 削 減 という国 民 的 課 題 に対 し、実 証 化 までを視 野 に入 れた技 術 課 題 の克 服 を目 指 すというプログラムとなっており、技 術 開 発 を実 施 する計 画 にお いて5年間という事業期間は必要かつ十分な期間である。図5−1に本事業の事業計画を示 す。 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 環境負荷低減型石油精製プロセス技術(CO2削減) 熱利用高度化技術開発 (R1) 精製プロセス高度活用・効率 化技術開発(R2) 実用性能評価 導入・評価 要素技術開発 システム設計 プロセス設計・開発 実証化検討 導入・評価 実用性能評価 要素技術開発 システム化検討 実証化試験 実用性能評価 基本設計 要素技術検証 管理手法の確立・実証試験 排出物削減・高度リサイクル技 術開発(R5) 含油土壌高度浄化技術開 発(R6) 図5−1 プロセス検討・開発 詳細設計 試作・実証化検討 基本特性把握 浄化手法確立 導入・評価 分析方法・除染条件設定 価 廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術(ゼロエミッション) 総合検証 評 要素技術開発 複合化開発 総合検証 後 個別システム開発 全体システム仕様検討 総合検証 事 製油所設備管理技術開発 (R4) 詳細設計 中 間 評 価 製油所操業支援システム技術 開発(R3) 基本設計 工業化検討 評価・検証 実用性能評価 総合検証 プロセス開発・試作 石油精製等高度化技術開発の事業計画 5年間の研究開発計 画では、前半期間においては要素技術開発、基本設計、詳細設計を 実施し適用技術の見極めを行い、後半期間においては実用性能評価、実証化検討を実施し 技術検証を行った。なお、一部のテーマにおいて、中間段階で社会情勢の変化も加味し事業 計画の変更を実施したものもあるが、平成 19 年度に計画通り研究目標を達成し事業を終了 した。 5-2 研究開発実施者の事業体制・運営 事 業 の実 施 にあたっては、技 術 開 発 事 業 に即 した専 門 の研 究 室 を設 置 し、それらの研 究 室を技術開発分野として六つの研究開発グループに大別し、当該専門分野の最先端研究者 である大学、公的研究機関、民間会社における技術者からなる技術小委員会を組織した(図 5-2)。年3回程度の報告会等(計 92 回/5年間)を開催し、専門家並びに有識者の適切な 助 言 指 導 を受 け、技 術 開 発 目 標 に対 する到 達 度 、進 捗 管 理 等 を実 施 するとともに、研 究 室 間の技術情報交換並びに技術課題の共有化を行った。 図5−3に本事業の実施体制を示す。各研究室はグループ毎に組織された技術小委員会 の助 言・指 導を受 け、研 究 開 発 期 間を通 じて適 切 かつ妥 当 に運 営 され、目 標 達 成 に向 け効 48 率 的 に技 術 開 発を実 施 た。また、複 数 の研 究 室 による共 同 研 究 等、他 と異なる形 態 の研 究 体制も含まれており、適切な研究従事者の配置、関係者間の十分な連携を確保した。 技術企画委員会 熱利用高度化 技術小委員会 ︵ R1︶ 精製プロセス高度活用 技術小委員会 ︵ R21︶ 精製プロセス効率化 技術小委員会 ︵ R22︶ 製油所操業支援 技術小委員会 ︵ R3︶ 製油所設備管理 技術小委員会 ︵ R4︶ ム テ ス シ 排出物削減・ 高度 技術小委員会 ︵ R51︶ 重質油削減・ 高度利用 技術小委員会 ︵ R52︶ 含油土壌高度浄化 技術小委員会 ︵ R6︶ ル ク イ サ リ 賛助会員研究室 図5−2 石油精製等高度化技術開発の技術小委員会(平成17年度) 賛助会員 熱利用高度化(R1) 熱利用高度化(R1) 製油所操業支援システム(R3) 製油所操業支援システム(R3) 製油所設備管理(R4) 製油所設備管理(R4) ゼロエミッション 排出物削減 排出物削減 ・高度リサイクル/利用(R5) ・高度リサイクル/利用(R5) 含油土壌高度浄化(R6) 含油土壌高度浄化(R6) 参加研究 CO2削減 ︵ 財︶ 石油産業活性化センター 補助金 経済産業省 資源エネルギー庁 資源・ 燃料部 石油精製備蓄課 図5−3 精製プロセス高度活用・効率化(R2) 精製プロセス高度活用・効率化(R2) 石油 エンジニ アリング メーカー 触媒 メーカー 非鉄 金属 ゼネコ ン 石油精製等高度化技術開発の実施体制 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 対象となる4グループ、22研究室 において上 記に述べたような適切な運営がなされた。開 催された技術小委員会は5年間で計47回におよび、目標設定のあり方、具体的な目標値の 49 議 論から、達 成した成 果 内 容の検 証、目 標 値 の見 直 し(必 要があれば)、等 に関 する議 論を 実施し、最終目標に対する課題整理等を実施した。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 対象となる2グループ、23研究室においても適切な運営がなされた。開催された技術小委 員会 は5年 間で計45回であり、目標 値の設 定、環 境変 化を踏まえた検証、達 成した成 果 内 容の吟味・把握と今後の課題整理等に関する議論を実施し、最終目標に対する課題整理等 を実施した。 5-3 資金配分 本 事 業 は、平 成 15年 度 から平 成 19年 度 までの5年 間 実 施 され、補 助 金 として約 121億 円を投入したプロジェクトであり、事業全体を見ると各技術グループにおいて計画通り目標が 達成された。 本事業における事業費推移を表5−1に示す。本事業においては、主に要素技術の抽出、 要素技術の確立、確立した要素技術の検証、要素技術を適用した実証化検討の4段階を経 るが、6グループにグループ分 けし、技 術 開 発 分 野 毎 に技 術 開 発 の進 捗 度 に応 じ適 切 な資 金配分を行い、研究資金の偏りをなくし効率的な運営を心がけた。具体的には、要素技術の 検証、要素技術を適用した実証化検討の2項目は設備建設等を伴い巨額の資金を必要とす る場合が多いが、要素技術の確立が早かった「熱利用高度化」、「製油所総合監視自動化シ ステム」、「土壌 浄化」の一部のテーマにおいて技術 開発 初期における事業費 配 分を相対的 に大 きくし、要 素 技 術抽 出に時 間をかけた「製 油 所プロセス高 度 活 用 ・効率 化」、「排出 物 削 減・高度リサイクル」では中間評価頃までに要素技術確立を行い、検証段階に移行し終了し た。また、「防食管理」、「土壌浄化」の一部は開発検証が長期にわたり、継続監視すること自 体が技術 開 発事 業そのものであるため、5年 間という開 発期 間を通 じて資 金 配 分は大きくな いもののほぼ一定の資金配分を行っている。 以 上 述 べたように、限 られた補 助 金 を有 効 活 用 し最 大の効 果を得 るためメリハリのきいた 予算運用を行った。 表5−1 事業費推移 (値は補助金ベース、(事業費ベース)、単位:百万円) H15FY 環境負荷低減型石油精製プロセス技術 (CO2削減) 熱利用高度化技術の開発 H16FY H17FY H18FY H19FY 1,423 1,496 2,231 1,389 444 (2,164) (2,282) (3,404) (2,156) (823) 502 229 516 406 - 1,653 (346) (776) (610) - (2,498) 510 897 1,434 897 444 4,182 (823) (6,572) (770) 製油所総合監視自動化シ ステム技術の開発 289 260 213 (442) (398) (327) 防食管理技術・効率的検 査技術の開発 122 110 (186) (168) 廃棄物削減・再利用・汚染浄化技 術(ゼロエミッション) (1,396) 排出物削減・高度リサイ クル技術の開発 (990) 含油土壌浄化・処理技術 の開発 263 199 152 228 123 (406) (305) (236) (348) (193) 総 計 6,983 (10,829) (766) 製油所プロセス高度活 用・効率化技術の開発 その他 合計 914 (1,370) (2,194) 68 (107) (1,414) 86 (132) - 849 (1,299) - - 300 - - (461) 1,144 1,293 1,375 253 4,978 (1,752) (1,979) (2,082) (416) (7,626) 651 945 (1,447) 1,141 1,147 130 4,014 (1,743) (1,734) (223) (6,137) 964 (1,488) 22 22 30 30 30 134 (33) (33) (45) (45) (45) (201) 2,359 2,662 3,553 2,794 (3,594) (4,068) (5,428) (4,283) 50 727 (1,284) 12,095 (18,656) 5-4 費用対効果 前述のように本事業は5カ年亘り実施され、計画通り目標を達成し将来の事業化等に関し ても実現の期待が大きいプロジェクトであるが、石油の安定供給によって国民全体にもたらさ れる便 益 について、それが直 接 的 な効 果 のみならず間 接 的 な効 果 も含 めて極 めて幅 広 くか つ多様であるため、予算額に対しどの程度の効果をあげることができたのかを定量的に算出 することは極めて難しい。しかしながら、エネルギー供給不安による国民経済への影響、燃料 の生産、利用による環境負荷の増大がもたらす地球環境悪化への事後的な対策に係るコス トを考えるに、本施策による費用対効果は大きいものと考えられる。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減):総事業費 108 億円 平成15∼19年度の5年間において、事業費約108億円(うち補助金約70億円)を投入し た。 本 事 業の最 終 的な成 果 は、同 様 の設 備を有する我 が国のみならず世 界 各 国の製 油 所 に 対して広く展開できるものであり、我が国すべての製油所に本技術を適用できたとすると約2 40万トン-CO2 の CO2 を削減することが可能となる。仮に将来CO2排出権として2,500円/ トン-CO2 の価値を生じたとすると、この削減量は60億円/年にも達する膨大な量であることに なる。環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発の与えるインパクトの大きさを示す指標の 一つといえよう。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション):総事業費 76 億円 平 成15∼19年 度の5年 間において、事 業 費 約76億 円(うち補 助金 約50億 円)を投 入し た。 廃棄物の削減技術についてはリサイクル等へ回す必要もなく排出物の本質的な削減を可 能 とするもので、本 技 術 が実 用 化 された場 合 には、国 民 経 済 的 に極 めて大 きなインパクトが あると考えられる。また、これらの成果は同様の設備を有する各製油所に対して広く展開でき るものであり、我 が国 すべての製 油 所 の本 開 発 技 術 を適 用 出 来 たとすると、約 32万 トンの CO2(8億円/年、@2,500円/トン-CO2)、約1万 ton の廃触媒(3億円/年、@3万円/トン廃触媒)、約4万 ton の廃アルカリ・汚泥(8億円/年、@2万円/ton-廃アルカリ・汚泥)を削 減できることになり、国民経済的な影響は大きく十分な経済的効果のみならず国土の有効利 用等が期待される。 さらに、土壌汚染の浄化技術については、製油所のみならず他産業において、石油漏洩事 故 等 が発 生 した場 合 、迅 速 かつ効 果 的 に土 壌 ・地 下 水 の浄 化 を可 能 とするもので、本 技 術 の実用化は、環境被害防止、周辺住民等への被害の最小限化といった観点から、社会的に 大きな効果を有するものである。 5-5 変化への対応 エネルギーを取 り巻 く環 境 はここ数 年 大 きく変 化 しており、平 成 15年 度 に事 業 開 始 以 来 5 年間が経過した時点において、開始当初からの大きな環境変化は、以下の3点である。 ①京都議定書(COP3)は既に我が国においては批准されていたが(平成14年6月4日)、 ロシアの締 結 により発 効 条 件 が満 たされ平 成 17年 2月 16日 に発 効 の運 びとなった。こ れにより、我が国は2008年∼2012年の第1次約束期間内に1990年比6%の排出CO2削 減を義務づけられることが正式に決定した。 ②2005年に入り顕在化 した原油価 格の高騰は最近になっても衰えることを知らず、2008年 51 には原油価格は100$/bblを超える時代を迎えることとなった。 ③上記の背景を踏まえ、我が国政府においてもエネルギー政策の見直しが行われ、①国民 に信頼されるエネルギー安全保障の確立、②エネルギー問題と環境問題の一体的解決 による持 続 可 能 な成 長 基 盤 の確 立 、③アジア・世 界 のエネルギー問 題 克 服 への積 極 的 貢献を戦略によって実現を目指す目標とした。一次エネルギーにおける石油の位置づけ も見 直 され、「石 油 依 存 度 を、今 後 、2030年 までに40%を下 回 る水 準 を目 指 す」とした (新・国家エネルギー戦略;2006年5月)。 このように、本 事 業 を取 り巻 く環 境 は事 業 開 始 当 初 から大 きく変 化 したが、これにより本 事 業の重要性は低下することはなく、事業のさらなる推進及び技術の確立により、我が国のエネ ルギーセキュリティを図らなければならない状況となっている。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 2-1-1 項で述べたように、石油精製業からの CO2 排出原単位は業界の自主努力によって 毎年低下の一途をたどっているが、排出量自体は我が国の経済活動の拡大による石油処理 量の拡大に伴い増加しているのが現状である。 我が国が国際的な約束を達成する上で、本事業の目標を計画通りに達成し、CO2 削減に 寄与することがますます重要となっており、引き続き事業の波及効果を達成する必要がある。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 廃 棄 物 削 減 ・汚 染 土 壌 浄 化 技 術 開 発 においても前 記 状 況 変 化 に対 応 する上 で、本 事 業 の目 標 とする技 術 開 発 を確 立 したが、今 後 も引 き続 き事 業 化 を目 指 す展 開を図 る必 要 があ る。 52 6.まとめ 本技術開発事業は、製油所におけるエネルギー使用の効率化を図り、製油所からの廃棄 物、排出物を低減することにより、地球温暖化防止や地球環境汚染に寄与することを目的と して平成15年度から5年間にわたり実施し、当初の技術開発目標を達成して平成19年度に 終了した。 製油所におけるエネルギー使用の効率化技術 開発では、国内製油所 からのCO2発生 量 を年間200万トン削減することを目標に対し、本事業において波及効果を含めて年間270万 トンのCO2の削減を可能とする技術を開発した。また、製油所からの廃棄物、排出物低減技 術開発では、波及効果を含めて廃棄物発生量を年間1万トン削減することを目標に対し、削 減対象である汚泥と使用済触媒を年間2.7万トン削減可能とする技術を開発した。 合 計 6本 の柱 から構 成 された分 野 別 テーマの成 果 は、石 油 精 製 設 備 等 の一 層 の効 率 化 及 び高 度 化 により石 油 精 製 に伴 う環 境 負 荷 の大 幅 な低 減 に貢 献 するとともに、我 が国 の石 油精製業が今後とも石油製品の低廉かつ安定的な供給を確保していくことに繋がるものであ る。 以 上 53 第3章 評価 第3章 評価 (事業全体に対する評価) 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 石油精製プロセスにおけるCO2削減、廃棄物削減・再利用・汚染浄化など の環境保全対策は、我が国のエネルギー供給の主流である石油の社会的意義 から極めて重要な課題である。石油精製産業では、これまで省エネルギー技 術の開発に積極的に取り組んできた結果、CO2削減に資する技術開発の余 地は少ない。このため、更なる省エネルギー技術は、難易度が高く、かつリ スクをともなう開発である。また、ゼロエミッションに関わる技術開発も同 様に、経済的メリットが少なく、しかし製油所の多くは大都市近郊という立 地条件を考慮すれば、循環型社会実現に必須の技術開発対象である。このよ うな石油精製産業の置かれている状況を考えると、個別企業による対応、自 発的努力だけでは達成が困難な分野であり、石油精製業全体の課題として捉 え国が積極的に関与し推進していくことが重要である。 一方、開発された技術の石油精製業全体への普及を可能とする政策的な取 り組みを配慮すべきである。 (肯定的意見) ・石油精製プロセスにおけるCO2削減、廃棄物削減・再利用・汚染浄化などの環 境保全対策は、わが国のエネルギー供給の主流である石油の社会的意義から極 めて重要な課題である。石油精製産業では、これまで省エネルギー技術の開発 に積極的に取り組んできた結果、CO2削減に資する技術開発の余地は少ない。 また更なる省エネルギー技術は、難易度が高く、かつリスクをともなう開発で ある。またゼロエミッションに関わる技術開発も同様に、経済的メリットが少 なく、しかし製油所の多くは大都市近郊という立地条件を考慮すれば、循環型 社会実現に必須の技術開発対象である。このような石油精製産業のおかれてい る状況を考えると、本プロジェクトの経済的・社会的意義は小さくなく、国益に かなうものである。 ・環境保全に配慮し国際競争力を有したエネルギー源の持続的・効率的利用は国 策に合致した重要課題であるため、これを目標とする技術開発は国の主導に基 づいて戦略的かつ効果的に推進する必要があり、本事業の目的・政策的位置づ けは妥当である。 ・エネルギーの安定供給に直接・間接的に関係する技術であり、国が関与する必 要性は大きい。特に、サステイナビリティに係る技術(安全、環境、人健康) は、今日社会の要求事項であり、重要である。 54 ・省エネルギーの促進、CO2排出量の削減を目的とした技術開発は個別企業に よる対応、自発的努力だけでは達成が困難な分野であり、石油精製業全体の課 題として捉え国が積極的に関与し推進していくことが重要である。 ・我が国の製油所が十分に環境に配慮し、かつ世界的に競争力を維持していく上 で、環境負荷低減および廃棄物削減のための技術開発が必要であり、本事業の 目的は妥当である。 (問題点・改善すべき点) ・開発された技術の石油精製業全体への普及を可能とする政策的な取り組みを 配慮すべきである。 ・実用化段階での費用対効果を重視して、開発した技術が基盤技術となり得るよ うな計画の立案が必要である。特に運転など、人間系の支援環境の開発には、 設計・運転・保全の論理化が不可欠であり、そのための情報基盤の整備も検討 すべきであろう。また、国の開発としてはサステイナビリティに係る問題に注 力する必要があると感じる。 55 2.研究開発等の目標の妥当性 石油精製業にあっては、これまで省エネルギー化を推進し、既存技術では 限界に近づきつつある。一方、近年の環境保全に対する社会的要請による環 境対応型製品の製造(燃料中のベンゼンの低減、サルファーフリー化)に伴 ってエネルギー消費量が増加する結果となった。この増加分に対応するCO 2の削減を本プロジェクトの目標としたことは、評価できる。また、製油所 の廃棄物削減では、廃棄物総量が極限となっている現状を改善するため、廃 棄物発生量の削減を技術開発目標としている点で評価できる。このような目 標を極力数値化しての取り組み方は、社会からみても客観性があり、設けら れた目標水準もほぼ妥当な設定である。 一方、技術開発の目標としては評価できるものの、最終的には国内全製油所 で実用化されての数値であり、普及に向けた早急の取り組みが可能となるよ う配慮すべきである。 また、我が国の全ての製油所に波及した場合に200万トン/年削減する 技術を開発することであり、技術が開発されても経済性から必ずしも波及す ることにはならないため、今後、普及を促進するための施策が必要である。 (肯定的意見) ・石油精製業にあっては、これまで省エネルギー化を推進し、既存技術では限界 に近づきつつある。一方で、近年の環境保全に対する社会的要請による環境対 応型製品の製造(燃料中のベンゼンの低減、サルファーフリー化)にともなっ てエネルギー消費量が増加する結果となった。この増加分に対応するCO2の 削減を本プロジェクトの目標としたことは評価できる。また製油所の廃棄物削 減では、廃棄物総量が極限となっている現状を改善するため、廃棄物発生量の 削減を技術開発目標としている点で評価できる。 ・CO2排出量の削減および廃棄物のゼロエミッション化は適切な研究目標で あり、また、目標を極力数値化しての取り組み方は社会からみても客観性があ り、設けられた目標水準もほぼ妥当な設定である。 ・ハードウェアーを中心とした開発に関しては、概ね妥当であると思われる。 ・ガソリン、軽油等の石油製品に含有される硫黄分の低減対策など、環境に配慮 した品質への対応に伴い増加したCO2排出量の削減を目標に置いており、適 切かつ妥当と思われる。 ・製油所からのCO2排出量を200万トン/年削減する目標は、現在の排出量 を5%削減するもので妥当である。最終処分廃棄物量を1万トン/年削減する 目標は、再資源化+最終処分量の約5万トン/年に対して十分に効果が認めら れる妥当な値である。 56 (問題点・改善すべき点) ・技術開発の目標としては評価できるが、最終的には国内全製油所で実用化され ての数値であり、普及に向けた早急の取り組みが可能となるよう配慮すべきで ある。 ・環境負荷低減化に関しては、量的削減のみならず人体や生態系に対する質的 (リスク)低減化についても明確な当初目標・方針を設定すると共に、低減化 の経済性を考慮に入れたリスクアセスメントを技術開発と並行して行うことが 望まれた。また、当初目標にある国際競争力を有す製油所の実現については、 より明確な戦略・目標を設定すべきであった。 ・サステイナビリティに係る問題は、数値的な目標を置きにくいものや、評価 がしにくいものがあったりする。情報基盤など、ソフトウェアーの開発などに 対する評価の仕組みを持っていない。観測しやすい項目での目標設定ではなく、 本質的な評価が出来る仕組みを作る必要がある。間接的な効果をどのように評 価するのかも、検討する必要がある。 ・含油土壌は社会的に大きな問題であり、浄化技術の開発は極めて重要であるが、 汚染の主体者である個別企業が責任をもって対応すべき課題であるようにも思 われ、ここで研究開発目標として掲げることには若干の違和感がある。 ・我が国の全ての製油所に波及した場合に200万トン/年削減する技術を開 発することであり、技術が開発されても経済性から必ずしも波及することには ならない点に注意を要する。普及を促進するための施策が今後、必要である。 57 3.成果、目標の達成度の妥当性 テーマによって達成度にバラツキがあるものの概ね目標を達成しており、 成果の全体で見ても開発された技術を全製油所に導入すれば目標を達成し得 る水準に達している。特許出願や学会発表などによる普及活動も進展してい る。また、研究開発の成果は、目標に対して妥当なものであり、個別技術につ いては、目標に照らして概ね妥当な成果が得られた。 一方、全体を通じて概ね目標値を達成しているが、課題によっては実用化ま での距離が明確ではなく、また、開発された技術がどのような条件で経済的に 成り立つかどうかが明確に示されていないため、事業化の可能性を含めて、 道筋をある程度明確にすべきである。 (肯定的意見) ・技術開発の進捗の観点からも、自己評価結果から判断しても、概ね予定通りに 研究開発がなされ、開発そのものの計画に対する目標の達成は妥当であると思 われる。 ・テーマ毎によって目標の達成度が異なるものの、概ね得られた成果・目標達成 度は妥当である。 ・研究開発の成果は、目標に対して妥当なものである。 ・テーマによって達成度にバラツキがあるものの概ね目標を達成しており、成果 の全体で見ても開発された技術を全製油所に導入すれば目標を達成し得る水準 に達している。特許出願や学会発表などによる普及活動も進展している。 ・個別技術については、目標に照らして概ね妥当な成果が得られた。 (問題点・改善すべき点) ・全体を通じて概ね目標値を達成しているが、課題によっては実用化までの距離 が明確ではなく、事業化の可能性を含めて、道筋をある程度明確にすべきであ ろう。 ・実験室レベルで得られた成果なのか、あるいは実証化装置レベルでのものなの かが不明なテーマも見受けられる。また、事業費総額の規模と照らし合わせる と特許出願数は必ずしも満足できるレベルにまで達していないと思われる。 ・分野(グループ)により特許出願や論文発表、学会発表による成果数に濃淡が あり、成果の普及に向けて若干の懸念が残る。 ・開発された技術がどのような条件で経済的に成り立つかどうかが明確に示さ れていない。 58 4.事業化、波及効果についての妥当性 多くは一般研究にて継続中であるが、一般研究で取り上げることを事業化 の可能性とみれば、概ね事業化の見通しは立っていると考えられる。各研究 開発はほぼ目標を達成しており、事業目的に適合した波及効果は期待できる と考えられる。 テーマによって基礎的研究レベルから実証化装置レベルでの成果と大幅な バラツキが見られるものの、精製プロセス高度活用・効率化や廃棄物削減・ 高度リサイクル技術開発等においては、事業化が十分に期待できるテーマが 認められる。また、高性能触媒の開発、無線LANシステム開発、含油土壌 浄化・処理技術開発等で得られた要素技術は他分野への波及効果が期待され る。 一方、エネルギー価格が乱高下する中で導入の費用対効果が極めて見え にくい状況になっていることから、どのような点を訴求点とすれば導入が進 展するのか、事業化に向けて取り組むべき課題を改めて整理することも必要 と思われる。 また、今後の長期運転などでの試験は必要であるが、実用化が可能なもの は、国内の他の製油所への普及に向けた取り組みに配慮すべきである。 (肯定的意見) ・多くは一般研究にて継続中であるが、一般研究で取り上げることを事業化の可 能性とみれば、概ね事業化の見通しは立っていよう。各研究開発はほぼ目標を 達成しており、事業目的に適合した波及効果は期待できると考えられる。 ・テーマによって基礎的研究レベルから実証化装置レベルでの成果と大幅なバ ラツキが見られるものの、精製プロセス高度活用・効率化や廃棄物削減・高度 リサイクル技術開発等においては事業化が十分に期待できるテーマが認められ る。また、高性能触媒の開発、無線LANシステム開発、含油土壌浄化・処理技術 開発等で得られた要素技術は他分野への波及効果が期待される。 ・事業化の見通しが立っており、事業化については妥当なレベルである。技術的 には多くが実証済みである。 ・低水素消費型ガソリン脱硫技術や改質硫黄固体化製造システムなど実証化段 階に入ったテーマもあり、波及効果は十分に期待できる。 ・蒸留塔高性能熱交換器、腐食モニタリング技術など実用化が図れる技術は、早 期に事業化を進めて欲しい。 (問題点・改善すべき点) ・今後の長期運転などでの試験は必要であるが、実用化が可能なものは、国内 59 の他の製油所への普及に向けた取り組みに配慮すべきである。 ・一事業所で得られた成果を全国の事業所に波及させる際に、どのような阻害因 子が存在するのかを明確化し、適切な対策を講じることが本事業の費用対効果 を高める上でも重要である。 ・コストパフォーマンスの向上に課題を残すものが多い。導入実績を上げていか なければ、事業化は厳しい。そのためにも、技術の標準化を考える必要がある 。サステイナビリティに関連するもの(安全、保全関連)に関しては、インセ ンティブ次第で導入に動くと考えられるが、インプリメントが部分的であるた めに、導入後の継続的な利用に関しては疑問がある。ライフサイクル全体をス コープに入れた開発が必要ではないか? ・エネルギー価格が乱高下する中で導入の費用対効果が極めて見えにくい状況 になっていることから、どのような点を訴求点とすれば導入が進展するのか、 事業化に向けて取り組むべき課題を改めて整理することも必要と思われる。 ・触媒開発のように触媒寿命の試験など開発に時間のかかるテーマについては、 おおよそのスケジュールを明らかにして欲しい。 60 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 財団法人石油産業活性化センターの持つ事業ミッションと本事業の目的は 一致するものである。中間評価の段階で事業計画の変更や中止を行っており、 同センター内の技術企画委員会が機能していたと判断される。技術開発事業毎 に技術小委員会・報告会を実施しており、技術開発面での意思決定や連絡調整 に特に問題はなく、制度運用も適切であったと判断される。資金配分も技術開 発の進捗状況を見極めた上で運用されていたと判断される。 研究期間を5年間とし、前半期間で適用技術の見極め、後半期間で実用化検 証を設定し、中間段階で社会情勢を考慮して事業計画の見直しを行ったことは 適切である。研究開発実施者の体制・運営も適切に行われている。また、資金 配分もメリハリの利いた運用を行っており妥当である。 一方、本事業の費用対効果については、事業成果を定量的に算出すること が困難であるがために、現時点で正確な最終評価を行うことは難しく、得ら れた成果が業界全体に浸透・実用化された後に、真の正確な評価が可能とな ろう。したがって、今後も引き続き事業の波及化作戦・事業化展開に努力す ることが重要である。 また、新規プラントの建設が少ない今日、既存のプラントの安全、安定操 業がサステイナビリティの鍵を握る。その意味で、保全、保安、安全関連の 技術開発に関する投資が少ないように思える。 なお、事業の普及に向けてエネルギー価格の下落が阻害要因にならないか検 証を行っておく必要がある。 (肯定的意見) ・石油産業活性化センターの持つ事業ミッションと本事業の目的は一致するも のである。中間評価の段階で事業計画の変更や中止を行っており、技術企画委 員会が機能していたと判断される。各開発事業毎に技術小委員会・報告会を実施 しており、技術開発面での意思決定や連絡調整に特に問題はなく、制度運用も 適切であったと判断する。資金配分も技術開発の進捗状況を見極めた上で運用 されていたと判断される。 ・研究期間を5年間とし、前半期間で適用技術の見極め、後半期間で実用化検証 を設定し、中間段階で社会情勢を考慮して事業計画の見直しを行ったことは適 切である。研究開発実施者の体制・運営も適切に行われた。また、資金配分も メリハリの利いた運用を行い妥当である。 ・ハードウェアーを含む開発が主体であり、開発費用としては妥当なレベルと考 える。 ・実証化を視野に入れて5年間という事業期間を組んでおり、事業の実施に際し ては専門家、有識者により組織された技術小委員会の助言、指導を受けるなど 適切な管理、運営のもとで開発が進められている。 ・専門ごとの小委員会を設置し、幅広い分野の開発課題を的確に推進してきた。 61 製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発や排出物削減・高度リサイクル技 術の開発に重点的に資金が配分され、成果を上げている。 (問題点・改善すべき点) ・本事業の費用対効果について、事業成果を定量的に算出することが困難である 為に現時点で正確な最終評価を行うことは難しく、得られた成果が業界全体に 浸透・実用化され後に、真の正確な評価が可能となろう。従って、今後も引き 続き事業の波及化作戦・事業化展開に努力することが重要ある。 ・新規プラントの建設が少ない今日、既存のプラントの安全、安定操業がサステ イナビリティの鍵を握る。その意味で、保全、保安、安全関連の技術開発に関す る投資が少ないように思える。 ・事業の普及に向けてエネルギー価格の下落が阻害要因にならないか検証を行 っておく必要があるのではないか。 ・本技術開発は波及効果が大きく開発に意味があるものの、経済性を有して広く 普及するのは一部の技術である。費用対効果が十分に大きいかを評価するのは 極めて難しい。 62 6.総合評価 石油精製における環境適応技術の開発に伴うCO2排出量の削減、並びに 廃触媒を始めとする製油所廃棄物の削減は、石油精製産業の国際競争力強化 と、それによる国民経済への好ましい影響を考慮すると、極めて重要な技術 開発課題である。地球温暖化対策の推進にも繋がり、社会的ニーズに適合す るものである。国の政策的支援の下で研究開発を進めていくべきと判断する 。得られた成果は初期の目標をほぼ達成しており、個々の研究開発の内容に ついても、成果は概ね順調に蓄積されていると判断される。 また、省エネルギー、プロセスの効率化、操業支援、設備管理、排出物削減 、土壌改質については、直接的・間接的に石油精製の高度化に係る技術開発 を網羅している。ほぼ全ての開発目標に対して、実証を行い、技術的には事 業化の段階まで達しており、事業としては良好なものと考えられる。 一方、得られた成果は、一製油所のみでは大きな効果が得られない内容で あり、国のプロジェクトとしては、成果が広く波及し実用化される必要があ り、国内製油所を横断的に、より戦略的に展開し、継続して取り組むことが 今後の課題として望まれる。 (肯定的意見) ・石油精製における環境適応技術の開発に伴うCO2排出量の削減、並びに廃触 媒を始めとする製油所廃棄物の削減は、石油精製産業の国際競争力強化と、そ れによる国民経済への好ましい影響を考慮すると、極めて重要な技術開発課題 である。地球温暖化対策の推進にも繋がり、社会的ニーズに適合するものであ る。国の政策的支援の下で研究開発を進めていくべきと判断する。得られた成 果は初期の目標をほぼ達成しており、個々の研究開発の内容についても、成果 は概ね順調に蓄積されていると判断される。 ・本事業では、当初計画である国内製油所からのCO2発生量の削減、及び製油所 からの廃棄物発生量の削減のいずれにおいても、開発した技術が全国の施設に 波及した暁には目標値を上回る成果を達成することになるため、概ね評価する ことができる。 ・省エネルギー、プロセスの効率化、操業支援、設備管理、排出物削減、土壌改 質と石油精製の高度化に直接、間接的に係る技術の開発を網羅している。ほぼ 全ての開発目標に対して、実証を行い、技術的には事業化の段階まで達してお り、事業としては良好なものと考えられる。 ・製油所における省エネルギーの促進、CO2排出量の削減ならびに排出物の削減 はわが国のみならず世界的に見ても極めて重要な課題であり、これに向けた技 術の開発が一定の成果を挙げていることは高く評価される。石油需要の減少、 63 油価の低迷などによる経営環境の悪化が、これらの技術の導入に対する阻害要 因とならぬよう、国の一層の関与、支援を望みたい。 ・製油所におけるCO2発生を削減し、また、廃棄物発生量を削減する技術の開発 は、我が国の石油精製の競争力を維持しつつ環境負荷の低減に貢献するもので あり、高く評価できる。 (問題点・改善すべき点) ・得られた成果は、一製油所のみでは大きな効果が得られない内容であり、国の プロジェクトとしては、国内製油所を横断的に、より戦略的な展開が今後の課 題として望まれる。 ・上記のとおり、本事業を真の成功したプログラムとするためには、得られた成 果が広く波及し実用化される必要があり、今後も戦略を立てて継続して取り組 むことが不可欠である。 ・事業化を前提として、テーマの絞込みにおいて、事業化段階での費用対効果を 考慮する必要があるのではないか。プラントライフサイクルを通じた技術開発 であるが、各技術が独立しており、ライフサイクル全体でシナジー効果を生み 出すための基盤技術の開発を目指す必要がある。そのためにも、ライフサイク ルを通じた評価の仕組みを作る必要がある。省エネルギーなど、利益に直接関 係するテーマの目標、達成度は定量的に判断できるが、安全の仕組みなどは、 効果を評価する仕組みが充分でないように思える。事業の効果を測定、評価す る方法の開発が必要である。 ・省燃費型自動車用潤滑油生産は、間接的にはわが国の省エネルギーに寄与する ことが期待できるものの、石油精製全体への波及効果は少なく、むしろ個別企 業が自社の製品の競争力を高める事を目的として独自で行うべき技術開発テー マのように思われる。 ・技術毎に経済性を含めて評価を行い、今後の普及のためのシナリオを明確にし て実用化を図ることが期待される。 64 7.今後の研究開発の方向等に関する提言 ○国家プロジェクトとして展開されねばならない所以は、わが国の石油精製 における省エネルギーが既に限界に近づきつつある(世界のトップクラスの レベルにある)ことにある。今後は石油精製産業に限定せず、電力・ガスなど 他のエネルギー産業との横断的な連携プロジェクトにより、より一層の省エ ネルギーへの道を追及するべきではなかろうか。 ○本事業で対象とした課題は、国内のみならず国外においても重要課題であ り、限られた研究期間内で得られた成果を以て、即、実用化・事業化できる テーマは限定されるものの、大部分のテーマにおいて今後も弛みない努力を 重ねることによって事業化が可能となることが期待できる。従って、今後も 引き続き戦略的に継続・発展させることが強く望まれる。 ○石油精製等高度化技術は、設計、建設、運転、保全、改造、廃棄のライフ サイクルアクティビティのための要素技術と、その要素技術の情報、及び要 素技術によって得られる情報を、ライフサイクルで共有・有効利用し整合性 の取れた意思決定に繋げてゆくための情報基盤とによって支えられる。一方 、既にあるレベルまで高度化が進み、新規プラントの建設がさほど多くない 状況の日本においては、既存の設備を如何に上手く管理して、安全を確保し た上で安定操業を行うかが、サステイナビリティを左右する重要な技術とな り、そのための要素技術と支援環境の構築は重要な課題に思える。安全性の 観点からは、省エネルギーシステムの導入も、触媒技術の導入も、変更管理 の手続きを経て導入されるものであり、設計ベース、運転計画、設備の状態 、設備保全の間の整合性の管理が鍵を握る。アセットとしてのプラントの状 態を検査・診断する技術と、その情報を運転にフィードバックしたり、保全 計画に反映させる情報基盤の整備、設計ベースとの整合性をチェックするた めの仕組み、高度な自動化運転をするためのセンシング技術や、それを支援 するための情報基盤の整備、省エネルギーのための要素技術や触媒の開発と 、それらの導入に変更管理するための情報基盤などなど、サステイナビリテ ィに係る技術基盤の整備が、次の課題ではないだろうか。 ○各テーマにおいて開発された要素技術を今後事業化していく過程において 、残された技術的課題、事業化に向けて克服すべき課題は何かを明らかにし ていくことが求められる。また、事業化の対象がわが国の石油産業だけでな く、他の産業あるいは諸外国に及ぶことが期待できるならば、どのようにす れば進展が望めるのか、国の関与の必要性も含めて検討してゆく必要がある 65 のではないか。運転員の世代交代や合理化の中で、製油所の安全操業は極め て重要な課題であり、製油所の操業支援システムや製油所の設備管理技術の 開発は非常に重要なテーマと思われる。ただ、これらの技術の開発が更なる 合理化、要員の削減に繋がり、結果的に製油所の安全操業に支障をきたすこ とが無いよう、更なる成果の普及・広報活動に努め、技術の共有化を促進す る必要がある。 ○開発技術は、設備の導入、触媒開発、ソフト開発など多岐にわたっている 。各技術の経済性評価を踏まえて、それぞれの技術の特性に応じて実用化の シナリオを明確にすることが必要である。特に、環境負荷削減効果が著しい 技術については、普及を進める上で必要な施策の検討が待たれる。 ○省エネルギーなど、利益に直接関係するテーマの目標、達成度は定量的に 判断できるが、安全の仕組みなどは、効果を評価する仕組みが充分でないよ うに思える。事業の効果を測定、評価する方法の開発が必要である。 ・国家プロジェクトとして展開されねばならない所以は、わが国の石油精製にお ける省エネルギーが既に限界に近づきつつある(世界のトップクラスのレベル にある)ことにある。今後は石油精製産業に限定せず、電力・ガスなど他のエネ ルギー産業との横断的な連携プロジェクトにより、より一層の省エネルギーへ の道を追及するべきではなかろうか。 ・本事業で対象とした課題は、国内のみならず国外においても重要課題であり、 限られた研究期間内で得られた成果を以て、即、実用化・事業化できるテーマ は限定されるものの、大部分のテーマにおいて今後も弛みない努力を重ねるこ とによって事業化が可能となることが期待できる。従って、今後も引き続き戦 略的に継続・発展させることが強く望まれる。 ・石油精製等高度化技術は、設計、建設、運転、保全、改造、廃棄のライフサイ クルアクティビティのための要素技術と、その要素技術の情報、及び要素技術 によって得られる情報を、ライフサイクルで共有・有効利用し整合性の取れた 意思決定に繋げてゆくための情報基盤とによって支えられる。一方、既にある レベルまで高度化が進み、新規プラントの建設がさほど多くない状況の日本に おいては、既存の設備を如何に上手く管理して、安全を確保した上で安定操業 を行うかが、サステイナビリティを左右する重要な技術となり、そのための要 素技術と支援環境の構築は重要な課題に思える。安全性の観点からは、省エネ ルギーシステムの導入も、触媒技術の導入も、変更管理の手続きを経て導入さ れるものであり、設計ベース、運転計画、設備の状態、設備保全の間の整合性 の管理が鍵を握る。アセットとしてのプラントの状態を検査・診断する技術と 66 、その情報を運転にフィードバックしたり、保全計画に反映させる情報基盤の 整備、設計ベースとの整合性をチェックするための仕組み、高度な自動化運転 をするためのセンシング技術や、それを支援するための情報基盤の整備、省エ ネルギーのための要素技術や触媒の開発と、それらの導入に変更管理するため の情報基盤などなど、サステイナビリティに係る技術基盤の整備が、次の課題 ではないだろうか。 ・各テーマにおいて開発された要素技術を今後事業化していく過程において、残 された技術的課題、事業化に向けて克服すべき課題は何かを明らかにしていく ことが求められる。また、事業化の対象がわが国の石油産業だけでなく、他の 産業あるいは諸外国に及ぶことが期待できるならば、どのようにすれば進展が 望めるのか、国の関与の必要性も含めて検討してゆく必要があるのではないか 。運転員の世代交代や合理化の中で、製油所の安全操業は極めて重要な課題で あり、製油所の操業支援システムや製油所の設備管理技術の開発は非常に重要 なテーマと思われる。ただ、これらの技術の開発が更なる合理化、要員の削減 に繋がり、結果的に製油所の安全操業に支障をきたすことが無いよう、更なる 成果の普及・広報活動に努め、技術の共有化を促進する必要がある。 ・開発技術は、設備の導入、触媒開発、ソフト開発など多岐にわたっている。各 技術の経済性評価を踏まえて、それぞれの技術の特性に応じて実用化のシナリ オを明確にすることが必要である。特に、環境負荷削減効果が著しい技術につ いては、普及を進める上で必要な施策の検討が待たれる。 67 (個別要素技術に関するコメント) (1)熱利用高度化 【成果に対する評価】 ・実証装置を用いて得られた成果は他分野への波及効果が期待され、目標値を達 成できたことは評価できるが、特許出願が皆無でどのような理由なのかは理解 しがたい。また、高性能熱交換器の性能評価は、実用化を前提としたより長期 間の運転試験で行う必要はなかったか。 ・設定された目標であるエネルギー回収量、発電効率に対しては、充分にその目 標を達成している。しかし、タービンシステムでの電力回収は、どうしても発 電効率が低くなる。設定した電力回収ターゲット自体の有効性は、費用の割に 低い。 ・2テーマともに目標を上回る成果を挙げており、CO2の削減効果も大きい。 他の装置あるいは海外への展開の可能性もあることから、事業化に向けて一層 の進展を期待したい。 ・蒸留塔塔頂における低位熱回収は石油精製だけではなく化学産業全般にとっ て重要な課題である。今回のFCC装置の主分留塔における熱回収の取り組み は高く評価できる。回収した熱を原料の予熱のように熱として積極的に使用し ていくことが望まれる。バッフルプレート設置の改善で実現できた意義は大き い。 【実用化の見通しに関する評価】 ・実証試験後に直ちに事業化へ移行することは困難であっても、将来的に全国の 施設に波及させるためにはさまざまな装置でテーターを収集し、装置適合性の 検討等を行う必要があるだろう。 ・熱交換器の開発に関しては、設計の標準化などを確立させれば、リバンプなど の投資機会に充分に実用化してゆくと考えられる。しかし、低位熱回収システ ムは、オイル関係も含めてタービンシステムのコストが非常に高い。その割に は、回収エネルギーの大部分をコンデンサーで放出しなければならない。更に は、同じ蒸留塔を利用していても、熱回収システムによっては、導入できるサ イトが限られてくる。実用化時(開発費用ではなく)の費用対効果及び普及可 能性を考慮したテーマ設定が必要ではないか。 ・実用化は十分に可能であると評価されるが、熱交換器等の機器類のコストを含 め、現下の油価の低迷の中でこれらの技術がどのような評価、位置づけになる のか気になるところである。また、他の分野(グループ)と比較して学会発表 等の発表数が少ないようにも思われ、より一層の普及活動を期待したい。 68 ・低位の熱回収では発電効率が低いことは理論上やむをえないことであり、いか に熱回収および発電のための装置費を下げられるかがポイントである。その課 題に対する方針が明らかになっていないのが残念である。熱交換器のバッフル プレートの改善で熱回収を可能とした技術は、比較的安価な投資で効果が得ら れると考えられ、実用化が期待できる。 (2)精製プロセス高度活用・効率化 【成果に対する評価】 ・開発の成果が普遍的に利用されるには以下のような点を明確に示す必要があ ると考える。 1)水素製造プロセスにおいて、プレリフォーマーを導入することによる省 エネルギー効果は既に明らかであったこと。メタン化促進触媒の開発がどのよ うに関係するのかが明確になっていない。 2)製油所における水素分離技術として、PSAと膜(高分子膜、無機膜) 分離との適合性を明確にすべき。 3)接触分解反応器で脱硫を一部行うことのメリット。 ・目標は概ね達成されており、特に低水素消費型ガソリン脱硫技術の開発(R2.2 .2)では実証化装置での長期運転で有効性が確認できたため今後が期待される 。一方、高効率水素発生システムの開発(R2.1.1)では当初目標値を達成でき なかったが、その原因・対策が練られているため、今後の巻き返しに期待した い。脱硫機能を付加した省エネ型脱硫接触分解触媒の開発(R2.2.1)では有効 な触媒が開発されたが、実証規模による触媒寿命等に関する検証が不可欠とな る。 ・水素製造装置への超高次脱硫触媒を適用した技術、低水素消費型ガソリン脱硫 技術開発については、充分な目標達成があったと思われる。省エネ型脱硫接触 分解触媒の実用化研究は、まだ実験室レベルであり、目標達成の評価は出来な い。脱硫を含め、水素使用量が増えている今日、低S/C運転を可能にする技術や 、水素消費量を抑える技術の開発は、目標値以上に意義は大きいと考える。 ・低水素消費型のFCCガソリン脱硫技術や、LCO有効利用のための省エネル ギー型精製技術など、処理原油の重質化と製品の低硫黄化、軽質化、高品質化 という方向性が相反する課題への対応技術が一定の成果を挙げていることは高 く評価される。 ・この領域は、実績のある水素製造におけるスチームリフォーミングやPSA、 膜分離、高次脱硫技術を、さらにその効率を若干でも高める試みであり、地道 69 な省エネ技術の開発として評価できる。 【実用化の見通しに関する評価】 ・低水素消費型ガソリン脱硫技術に見られるように、実用化が十分に期待できる テーマがある反面、実用化がペンディング状態のテーマも見受けられる。この 停滞要因を見極め、実用化に走らせる指導・支援を強力に行う必要がある。 ・実用化には、触媒ライフの問題をクリアにしたうえで、実績を上げる必要があ る。装置の大幅な改造が必要となる場合は、どうしても費用対効果を考慮しな い限り、実用化へのステップは見込めない。 ・高効率水素発生システムの開発のように予備改質設備の設置にまとまった額 の追加投資が必要となるテーマについては、費用対効果の詳細な検討が必要と 思われる。 ・いずれの技術も実際のプロセスの改良が主体であり、その改善の効果が見え易 い技術である。事業化の見通しとして定量的な記載が望まれる。 (3)製油所総合監視自動化システム 【成果に対する評価】 ・大部分のテーマにおいて当初目標を達成し、一部遅れているテーマにおいても 対処法が明確にされているため、問題はない。無線LANシステムや音響画像監視 システム等、得られた成果は他分野でも有効であるため、波及効果が期待でき る。一方、得られた成果を以て製油所の安全操業が確保されることは非常に大 きな意味を持つが、本事業の当初目標であるCO2削減とはどの様な結びつきにあ るのか、いまひとつ明確でない。 ・設定した目標は充分に達成されていると考えられる。オペレーションに係る支 援環境の整備に関しては、目標の設定、開発テーマの設定が難しい上に、効果 が図りにくい。しかし、Safety, Health, Environmentに係るものであり、重 要な課題である。但し、将来の運転のあり方や、運転の論理化、監視した情報 を意思決定に繋げる仕組みなどの議論が先に必要で、これがないゆえに、パッ チワーク的なシステム導入の感がある。 ・地道な活動の成果であり、製油所の安全操業という大きな課題に向けて各テー マが概ね目標を達成していることは高く評価したい。 ・我が国の石油精製事業の競争力を高める上で、製油所の監視自動化は重要な課 題である。目標はかなりの程度達成されたと考えるが、今後とも地道な開発が 望まれる。 70 【実用化の見通しに関する評価】 ・いずれの技術も既に実用化段階に入っており、他分野での活用が大いに期待さ れるため、今後は積極的な普及活動を行う必要がある。 ・ノウハウをノウハウのままで抽出しても仕方がない。ノウハウをノウホワイに する仕組みが必要で、このままでは実用化、普及には繋がらない。監視システ ムについても、意思決定にどのようにつなげるかが問題で、データを情報にす る仕組み、技術基準の確立が必要である。また、上記のように、運転のあり方 、運転の論理化の議論が必要であり、設計、運転、保全、監視業務のモデル化 及び情報の統合化を早急に議論し、インプリメントする必要がある。 ・人員削減による合理化、ベテラン作業員から若手作業員への世代の交代といっ た操業環境がより厳しくなる状況下で、運転のノウハウをいかに伝承し、ヒュ ーマンエラーをどのように削減していくかが石油産業にとって大きな課題とな っている。開発の成果として50件に及ぶ学会発表などが示されているが、今 後より一層の普及、広報活動を望みたい。 ・全体のシステム導入とその他の細かなアイデアと技術から成り立つものであ り、まず、可能なものから逐次導入していくことが必要である。 (4)製油所設備管理 【成果に対する評価】 ・防食技術については、実証施設での長期間の検証が不可欠である。 ・保全は、安全を担う、サステイナビリティに係る重要な技術である。想定外の 劣化は、漏洩、火災、爆発に繋がる。この想定外の劣化の多くは、運転と設備 状態との不整合から生ずる。劣化リスクの増大を運転に直接つなげる仕組みは 、既存プラントを上手く管理していかなければならない今日、非常に重要であ る。 ・防食管理は技術的に非常に難しい分野であり、必ずしも十分な成果が挙がって いない部分もある。ただ、製油所の事故防止という観点からは非常に意義のあ る技術の開発が行われており、今後の進展に期待したい。 ・設備の管理技術は目立たない存在でありながら、低成長化の石油産業にとって 極めて重要度の高い技術である。特に防食管理モデルの構築のように、企業の 枠を超えて長期に亘ってデータを蓄積し、解析することが必要である。目標は おおむね達成されているが、今後とも長期にデータを蓄積していくことが望ま れる。 71 【実用化の見通しに関する評価】 ・いずれのテーマも実用化への道は遠いと感じるが、立ちはだかる阻害要因を究 明しその対策を立てることによって推進していただきたい。 ・水硫化アンモニウム腐食が対象であるが、どのコンビナートにもあるHDSプ ロセスではよく問題となる腐食であり、実用化は充分に期待できる。運転・設 備管理支援システムとするためには、運転と設備管理との情報やり取りを明示 化し、全て劣化モードに対して運転と設備状態との整合を、変更管理を含めて 管理するシステムとする必要がある。 ・我が国の製油所にとどまらず、広く海外の石油産業あるいは他の産業において も応用し得る要素技術の開発が行われており、成果の普及、広報活動等を通じ て更に技術の深掘りが行われていくことを期待したい。 ・防食管理については、幅広いデータの蓄積があって実用化の意味がある。今後 とも長期に亘ってフォローしていくことが重要である。 (5)排出物削減・高度サイクル 【成果に対する評価】 ・達成度を定量的に把握することが困難なテーマが一部に見られるが、総体的に は目標をほぼ達成できたと判断する。特に、硫黄の高効率固体化システム開発 では当初目標を上回る成果が得られ、評価に値する。一方、R5では各種の触媒 を活用したゼロエミッション化への様々な取り組みがなされたが、廃触媒の削 減化に伴うエネルギー消費の評価および廃触媒の最終処理に関するリスク評価 は必ずしも十分に行われておらず、さまざまな観点からトータルに評価する姿 勢が望まれた。 ・充分な目標達成度と考える。環境負荷の観点からも、達成された成果自体の意 義は大きい。触媒の長寿命化に加えて、副生成物である硫黄の製品化は、深度 脱硫が不可欠となった今日、製造自体のサステイナビリティになくてはならな いものである。 ・FCC廃触媒削減技術や製油所汚泥の高削減技術、重油中のバナジウム除去技 術など、石油精製業において直面している様々な課題に対応すべき技術として 適切なテーマが選択され、順調に成果が挙がっている。改質硫黄固化体の製造 システムなどは、石油製品の低硫黄化に対応して回収される硫黄の新たな用途 分野として画期的なシステムと思われ、今後は我が国だけでなく海外の製油所 にも応用できる技術として期待される。 ・各技術に意義があるが、特に、磁気分離装置によるFCC廃触媒削減技術は、 実証化装置を設置し30%の廃触媒削減を可能としたもので、その効果は大き い。廃油軽質留分の間接脱硫による処理や、FCC原料の前処理としての間接脱硫 72 触媒の多機能化のように、脱硫触媒・装置の改良に関しての課題が多く、今般 、かなりの成果が挙げられた。 【実用化の見通しに関する評価】 ・改質硫黄固化体製造ではすでに実用化に入っており、国内外での今後のさら なる発展を期待したい。その他の課題については、実用化への見通しにバラツ キがあり、基礎データーの収集で終わり実用化への道が甚だ遠いものもあるが 、取り上げられた要素技術は世界中の製油所にも適用可能なものであるため今 後とも押し進める必要がある。 ・充分に実用化が期待できる。硫黄の製品化については、市場のニーズ、市場規 模などから、恒常的な製造の可能性を調査する必要もあるし、様々な代替製品 の開発をこれからも続けていかなければならないと考える。 ・実用化に際しては、類似技術の有無、類似技術と比較した優位性(コスト競争 力など)といった観点も重要であり、今後は実用化に向けて克服すべき課題を 明らかにし、対応策を詳細に検討していく必要がある。 ・それぞれに成果が挙がっており、出来るところから実用化を進めて欲しい。 (6)含油土壌高度浄化 【成果に対する評価】 ・含油土壌の浄化に際し、現場診断、拡散防止、浄化技術の3カテゴリーに整理 して開発を行ったことは様々な汚染環境状況に対処可能とする極めて適切な取 り組みであった。また、微生物が関与する浄化技術では、浄化に関与する微生 物群集およびそれらの浄化機構等に関する学術的解明が未だ十分ではない困難 な状況下で開発を行ったが、そのような背景に配慮すると概ね目標を達成した と考える。得られた成果には、他業界にも有効なものが多く含まれており、今 後の発展を期待したい。 ・目標を充分達成している。ガソリンスタンドなど跡地の利用のための低価格処 理技術が開発されることで、資産の有効活用につながり、経営の安定化に繋が るなど、製造業の持続性に寄与する技術であり、達成された成果の意義は大き い。 ・含油土壌の浄化に向けたアプローチの方法がそれぞれ異なるものの、いずれの テーマも概ね目標を達成しており、学会等における発表など成果の普及、広報 活動も熱心に行われている。 ・製油所における油汚染土壌の処理を迅速にまた経済的に実施する技術開発を 目指したもので、実証試験でも効果を確認している。 73 【実用化の見通しに関する評価】 ・油汚染の対象である土壌は不均一であると共に、サイト毎にその性状が異なる ため、得られた技術成果をそのまま全国に普及させることは無理であるが、今 後、実施例を数多く重ねると共に高度浄化技術を構築する両輪の一方に相当す る基礎研究部分にも投資することにより、十分に波及・実用化は可能と考える 。また、油汚染に限らず種々の汚染対策にも応用可能な要素技術が開発されて おり、他業界への波及が楽しみである。 ・コストの問題をクリアできれば、充分に実用化可能な技術と考える。 ・含油土壌の浄化は個別の企業の責任により行なわれることから、事業化に際し て、いずれの技術が最も適しているのか選択に迷う局面も予想される。このこ とから、各テーマ間の比較、それぞれの技術の長所と短所、類似技術と比較し た場合の優位性、費用対効果などの検討も必要と思われる。 ・含油汚泥の浄化促進に貢献が期待される。 74 8.評価小委員会としての意見 ○ 本件は、全体としてよく練られたプロジェクトであり、評価においてもよ く検討が深められており、レベルの高いものとなっている。 ○ 触媒の高度化、安全性の確保、腐食に対する対策等の課題があるものの、 着実な成果をあげており、この成果をさらに活かしつつ、事業化に向けて取 り組んでいくことが望まれる。 ○ なお、コンビナートにおける業種・企業を越えた連携推進が重要になって くると考えられることから、石油化学をはじめ、ガスや電気等との連携によ り推進していくことを検討することが望まれる。また、推進する受け皿につ いても工夫が必要であると考えられる。 75 第4章 評点法による評点結果 第4章 評点法による評点結果 「石油精製等高度化技術開発事業」に係るプロジェクト評価の実施に併せて、以 下に基づき、本評価検討会委員による「評点法による評価」を実施した。その結果 は「3.評点結果」のとおりである。 1.趣 旨 評点法による評価については、産業技術審議会評価部会の下で平成11年度に評 価を行った研究開発事業(39プロジェクト)について「試行」を行い、本格的導 入の是非について評価部会において検討を行ってきたところである。その結果、第 9回評価部会(平成12年5月12日開催)において、評価手法としての評点法に ついて、 (1)数値での提示は評価結果の全体的傾向の把握に有効である、 (2)個々のプロジェクト毎に評価者は異なっても相対評価はある程度可能である、 との判断がなされ、これを受けて今後のプロジェクト評価において評点法による評 価を行っていくことが確認されている。 また、平成17年4月1日に改定された「経済産業省技術評価指針」においても、 プロジェクト評価の実施に当たって、評点法の活用による評価の定量化を行うこと が規定されている。 上記を受け、課題(事業)の中間・事後プロジェクト評価においては、 (1)評価結果をできる限りわかりやすく提示すること、 (2)プロジェクト間の相対評価がある程度可能となるようにすること、 を目的として、評価委員全員による評点法による評価を実施することとする。 本評点法は、各評価委員の概括的な判断に基づき点数による評価を行うもので、 評価報告書をとりまとめる際の議論の参考に供するとともに、それ自体評価報告書 を補足する資料とする。また、評点結果は分野別評価、制度評価にも活用する。 2.評価方法 ・各項目毎に4段階(A(優)、B(良)、C(可)、D(不可)<a,b,c,dも同様 >)で評価する。 ・4段階はそれぞれ、A(a)=3点、B(b)=2点、C(c)=1点、D(d)=0 点に該当する。 ・評価シートの記入に際しては、評価シートの《判定基準》に示された基準を参 照し、該当と思われる段階に○を付ける。 ・大項目(A,B,C,D)及び小項目(a,b,c,d)は、それぞれ別に評 点を付ける。 ・総合評価は、各項目の評点とは別に、プロジェクト全体に総合点を付ける。 76 3.評点結果 評点法による評点結果 石油精製等高度化技術開発事業 評 価 項 目 平 均 点 標準偏差 1.事業の目的・政策的位置付けの妥当性 2.60 0.55 2.研究開発等の目標の妥当性 2.00 0.71 3.成果、目標の達成度の妥当性 2.00 0.71 4.事業化、波及効果についての妥当性 2.20 0.45 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等の妥当性 2.60 0.89 6.総合評価 2.20 0.45 77 「石油精製等高度化技術開発事業」プロジェクト評価(事後) 今後の研究開発の方向等に関する提言に対する対処方針 提 言 対 処 方 針 ○ 国家プロジェクトとして展開されねばならない所以は、わが国 ○ 本事業では従来取り上げ難かった課題や新規技術等を取り の石油精製における省エネルギーが既に限界に近づきつつあ 上げ、廃熱回収、熱効率向上、プロセスの高効率化等の観点 る(世界のトップクラスのレベルにある)ことにある。今後は石油 で技術開発、実証検証を実施し、当初の目標をほぼ達成でき 精製産業に限定せず、電力・ガスなど他のエネルギー産業との た。しかし、ご指摘のとおりわが国の省エネルギー技術は世 横断的な連携プロジェクトにより、より一層の省エネルギーへの 界のトップクラスにあることから、更なる高効率化を図るため、 道を追及するべきではなかろうか。 コンビナートにおける業種・企業を越えた連携推進のための 事業を別途実施している。今後も、石油精製業のより一層の 省エネルギー推進とともに、横断的な連携プロジェクトも検討 してまいりたい。 ○ 本事業で対象とした課題は、国内のみならず国外においても ○ 本事業で得られた成果を実用化・事業化するために事業終 重要課題であり、限られた研究期間内で得られた成果を以て、 了後も引き続き、事業実施者においてフォローアップ研究を 即、実用化・事業化できるテーマは限定されるものの、大部分 継続しており、これらの検討、評価を通じて早期の事業化が のテーマにおいて今後も弛みない努力を重ねることによって事 達成されるよう努めてまいりたい。 業化が可能となることが期待できる。従って、今後も引き続き戦 国としても引き続き戦略的に継続・発展させるための検討 略的に継続・発展させることが強く望まれる。 をしてまいりたい。 1 ○ 石油精製等高度化技術は、設計、建設、運転、保全、改造、 ○ ご指摘の内容のサステイナビリティに係る技術基盤の整備 廃棄のライフサイクルアクティビティのための要素技術と、その という観点も踏まえ、今後検討してまいりたい。 要素技術の情報、及び要素技術によって得られる情報を、ライ フサイクルで共有・有効利用し整合性の取れた意思決定に繋 げてゆくための情報基盤とによって支えられる。一方、既にある レベルまで高度化が進み、新規プラントの建設がさほど多くな い状況の日本においては、既存の設備を如何に上手く管理し て、安全を確保した上で安定操業を行うかが、サステイナビリテ ィを左右する重要な技術となり、そのための要素技術と支援環 境の構築は重要な課題に思える。安全性の観点からは、省エ ネルギーシステムの導入も、触媒技術の導入も、変更管理の 手続きを経て導入されるものであり、設計ベース、運転計画、 設備の状態、設備保全の間の整合性の管理が鍵を握る。アセ ットとしてのプラントの状態を検査・診断する技術と、その情報 を運転にフィードバックしたり、保全計画に反映させる情報基盤 の整備、設計ベースとの整合性をチェックするための仕組み、 高度な自動化運転をするためのセンシング技術や、それを支 援するための情報基盤の整備、省エネルギーのための要素技 術や触媒の開発と、それらの導入に変更管理するための情報 基盤などなど、サステイナビリティに係る技術基盤の整備が、 次の課題ではないだろうか。 2 ○ 各テーマにおいて開発された要素技術を今後事業化していく 過程において、残された技術的課題、事業化に向けて克服す べき課題は何かを明らかにしていくことが求められる。また、事 業化の対象がわが国の石油産業だけでなく、他の産業あるい は諸外国に及ぶことが期待できるならば、どのようにすれば進 展が望めるのか、国の関与の必要性も含めて検討してゆく必 要があるのではないか。運転員の世代交代や合理化の中で、 製油所の安全操業は極めて重要な課題であり、製油所の操業 支援システムや製油所の設備管理技術の開発は非常に重要 なテーマと思われる。ただ、これらの技術の開発が更なる合理 化、要因の削減に繋がり、結果的に製油所の安全操業に支障 をきたすことが無いよう、更なる成果の普及・広報活動に努め、 技術の共有化を促進する必要がある。 ○ 開発された技術の事業化、普及については一義的には事 業実施者が取り組むべき話ではあるが、企業間の連携を促 進させるよう、また、諸外国への普及に関しては、資源外交の 観点から、産学官が連携出来るよう検討してまいりたい。 製油所の安全操業はご指摘のとおり極めて重要な課題で あり、安全操業に係る事業として石油産業安全基盤整備事業 を推進しているところである。今後とも、更なる成果の普及・広 報活動に努め、技術の共有化を促進させるよう取り組んでま いりたい。 ○ 開発技術は、設備の導入、触媒開発、ソフト開発など多岐に ○ 本事業で得られた成果を実用化・事業化するために、事業 わたっている。各技術の経済性評価を踏まえて、それぞれの技 終了後も引き続き事業実施者においてフォローアップ研究を 術の特性に応じて実用化のシナリオを明確にすることが必要で 継続しており、これらの検討、評価を通じて実用化のシナリオ ある。特に、環境負荷削減効果が著しい技術については、普及 を明確化し、早期の事業化が達成されるよう努めてまいりた を進める上で必要な施策の検討が待たれる。 い。 3 参考資料 研究開発実施者提供資料 (石油精製等高度化技術開発) - 目次 - 1.事業の目的・政策的位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-1 事業の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-2 国の関与の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1-3 政策的位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2.研究開発目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2‐1 研究開発目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2‐1-1 全体の目標設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2‐1-2 個別要素技術の目標設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 3.成果、目標の達成度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3-1 成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3-1-1 全体成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3-1-2 個別要素技術成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3-1-3 特許出願状況等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 3-2 目標の達成度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 4.事業化、波及効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 4-1 事業化の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 4-2 波及効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 5-1 研究開発計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 5-2 研究開発実施者の事業体制・運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 5-3 資金配分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 5-4 費用対効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 5-5 変化への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 6.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 1.事業の目的・政策的位置付け 1-1 事業の目的 (1)事業の目的 石 油 は、現 在 我 が国 における一 次 エネルギー総 供 給 の5割 近 く(2006年 度:約 47%)を 占めており、各種エネルギーの中で最も高くなっているとともに、今後は新エネルギー開発の 加速によりエネルギー源の多様化が図られる中、重要なエネルギー源として位置付けられて いる(エネルギー白書2008)。 他方、近年、エネルギーを取り巻く情勢変化により、石油の需要・供給における様々な課題 が再認識されている。原油のほぼ全量を輸入し、その約9割を中東地域に依存している我が 国 においては、他 の先 進 国 と比 較 して依 然 として脆 弱 な石 油 供 給 構 造 を有 するとともに、今 後 、原 油 の重 質 化 や国 内 需 要 における白 油 化 等 需 給 構 造 の変 化 が見 込 まれる中 、迅 速 な 需 給 調 整 が図 られ、石 油 製 品 を安 定 的 かつ効 率 的 に供 給 するための環 境 整 備 が求 められ ている。 また、中国やインドをはじめとする諸外国の石油需要の急増によるエネルギー資源獲得競 争の激 化、産 油国 の供 給 余力 の減 少 等、中 長 期 的には世 界における石 油需 給の逼 迫も懸 念 されており、今 後 とも我 が国 のエネルギーセキュリティを確 保 する上 で石 油 の安 定 的 な供 給はますます重要な課題となっている。1990年代には低レベルで推移していた原油価格は、 2004年以降騰勢を強めており、原油の最も効率的な利用方法が重要となってきた。 さらに、石油の精製や石油製品の利用に起因する大気汚染の防止、地球温暖化対策等、 環境保全上の社会的要請が高まっており、環境に適合した石油製品の製造や利用をこれま で以上に進める必要がある。特にエネルギー多消費産業である石油精製業(製油所)の多く は大都市近郊に立地していることから、その環境保全への対応は 今後一層厳しく、さらなる 推進が求められている。 このような状況の中、我が国の石油精製業が今後とも石油製品の低廉かつ安定的な供給 を確保していくためには、石油精製設備等の一層の効率化及び高度化により石油精製に伴 う環境負荷の大幅低減を進めることが急務となる。 このため、本事業においては、今後も引き続き我が国の経済活動や国民生活に必要不可 欠である石 油製 品の安 定かつ低 廉 な供 給を確 保するために、必要 な国際 競 争 力 を有し、か つ環 境 保 全 に関 する対 策 も確 保 した製 油 所 の実 現 を通じて、石 油 製 品 の製 造、利 用 に伴 う 環 境 負 荷 の低 減 、地 球 温 暖 化 防 止 対 策 を図 ることを目 的 として、石 油 製 品 を製 造 する工 程 における廃棄物、排出物の低減や、製造におけるエネルギー使用の効率化を図るとともに環 境への負荷低減を図る技術の開発等を行う。 (2)事業の概要 図1−2に開発 事業の概要を示す。本事業は、「1.環境 負荷 低減 型 石油 精製プロセス技 術 開 発 (CO2削 減 )」および、「2.廃 棄 物 削 減 ・再 利 用 ・汚 染 浄 化 技 術 開 発 (ゼロエミッショ ン)」の2分野に取り組み、「1.環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減)」に ついては、①熱 利 用 高 度 化(R1)、②精 製プロセス高 度 活 用・効 率 化(R2)、③製 油 所 総合 監 視 自 動 化 システム(R3)、④製 油 所 設 備 管 理 (R4)の4本 柱 、「2.廃 棄 物 削 減 ・再 利 用 ・ 汚 染 浄 化 技 術 開 発 (ゼロエミッション)」については①排 出 物 削 減 ・高 度 リサイクル(R5)、② 含油土壌高度浄化(R6)の2本柱の計6本柱で構成される。 1 製油所を取り巻く状況と今後の方向 規制緩和(特石法廃止) 地球環境・地域環境保全 海外製品とのコスト競争 環境負荷低減への対応 余剰設備廃棄 による製油所 稼動率向上 製造技術高度 化による生産 効率向上 クリーン燃料 の製造 環境負荷低減 技術の製油所 への導入 環境対応型の高効率製油所に! 図1−1 石油精製等高度化技術開発 (グリーンリファイナリ−事業) 事業の必要性 石油製品の安定かつ低廉な供給を確保するために必要 な国際競争力を有し、かつ環境保全に関する対策も確 保した製油所の実現のため、石油製品製造の高度化・ 効率化、環境負荷低減型の石油精製プロセス及び製油 所廃棄物削減等に関する技術開発を行う。 1.環境負荷低減型 石油精製プロセス技術開発(CO2削減) ①熱利用高度化(R1) ②精製プロセス高度活用・効率化(R2) ③製油所総合監視自動化システム(R3) ④製油所設備管理(R4) 2.廃棄物削減・再利用・ 汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) ①排出物削減・高度リサイクル(R5) ②含油土壌高度浄化(R6) 図1−2 開発事業の概要 2 石油精製プロセスにおける熱利 石油精製プロセスにおける熱利 用高度化、運転最適化、設備管 理における技術開発を行い、製 油所における省エネ効果拡大及 びCO2排出抑制を図る。 製油所における精製廃棄物削減、 汚染土壌処理における技術開発 を行い、製油所における廃棄物 発生の抑制及び汚染物質の効率 的な処理を図る。 1-2 国の関与の必要性 石油精製業においては、経団連の自主行動計画に基づき、石油製品の製造に伴うエネル ギー消 費 量 の低 減 や廃 棄 物 削 減 を進 めている。また、これまでも環 境 保 全 に対 する社 会 的 要請に対応 するため、燃料中のベンゼンの低減、サルファーフリー化等の品質 の改善により 石油製品の利用に伴う環境負荷低減のために大きな貢献を果たしてきたところである。 他方、これまでの製油所における省エネルギー対策の取り組みにより製油所における消費 エネルギーの原単位は年々低減されているものの、我が国における石油製品の需要量増加 及び環境に適合した燃料品質の改善に対応するため、製油所における消費エネルギーは増 大し、CO2 排出量も増加している。 こうした中、石油精製業においては、引き続き環境に配慮した石油製品を製造する中で、さ らなるエネルギー消費量の削減を図るとともに、石油精製に起因する廃棄物の排出量を削減 していくことが求められている。 このような課題に対しては、これまで同様に独自の取り組みにより対応可能なものもあるが、 一方で、既存技術では充分対応できないため、新たな技術の開発が不可欠なものがある。特 に、新たな技 術の開 発 ・導入 において、生 産 性 向 上に直 結せず、投 資 回 収が困 難な環 境 負 荷 低 減 に資 する技 術 や開 発 レベルが高 度 なためリスクが高 いものについては、民 間 企 業 の 自発 的 取り組みのみでは、研究開 発の進 展が充分 見 込まれず、地球 温暖 化 問題 や大気 環 境 汚 染 の改 善 が進 まない恐 れがある。また本 事 業 で設 定 しているような短 期 間 で一 定 の成 果を得るためには多額の経費が必要となり、市場機能の活用のみでは十分な技術開発、普 及を図ることは困難だと考えられる。 このため、こうした技術を効率的に開発していくためには、国としてこの施策に関与すること により当該技術に関する専門家を集め、有機的に連携しながら集中的に研究を推進すること で取り組みを加速するとともに、これらの開発 技術を産 業 界全 体に広 範に技 術展 開すること により、早急に地球温暖化問題や大気環境汚染の改善を図ることが最も効果的である。 1-3 政策的位置付け 本事業の最終目的は、石油製品を製造する段階から使用する段階までを含めゼロエミッシ ョン化を進め、石油製品の製造・利用段階での環境負荷低減を図るものであり、これはエネル ギー基本計画(2003年10月閣議決定)における石油、ガス及び石炭に関する技術における 重点的施策に対応するものである。 また、第 2期 科 学 技 術 基 本 計 画 (2001年 3月 閣 議 決 定 )における国 家 的 ・社 会 的 課 題 に 対応した研究開発の重点分野であるエネルギー分野、分野別推進戦略(2001年9月総合科 学技 術会 議 )における重点 分野 であるエネルギー分 野に位置づけられるものである。さらに、 2005年 6月 に示 された第 3期 科 学 技 術 基 本 計 画 策 定 の基 本 方 針 においても、「地 球 温 暖 化・エネルギー問 題の克 服」、「環 境と調 和 する循 環 型 社 会の実 現」に対するより具 体 化され た政策目標として位置づけられている。 加えて、産業技術戦略(2000年4月工業技術院)における社会的ニーズ(環境と調和した 経済社会システムの構築、エネルギー・資源の安定供給確保)への対応、革新的、基盤技 術 (エネルギー・環 境 技 術 )の涵 養 への対 応 を図 るものであるほか、「産 業 発 掘 戦 略 −技 術 改 革」(「経済財政運営と構造改革に関する基本計画2002」(2002年6月閣議決定)に基づき 2002年12月に取りまとめ)の「環 境・エネルギー」分 野 における戦 略 目 標に対 応するもので ある。 3 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2 削減) 京都議定書(COP3)を持ち出すまでもなく、CO2 排出削減問題の克服はエネルギー・環境 問題の根幹をなす人類共通の課題となっている。科学技術基本政策策定の基本方針(200 5年6月)では、「地球温暖化・エネルギー問題の克服」のため、「温暖化ガスを効果的に排出 削減する技術の実用化」、「世界を先導する省エネルギー社会の実現」、「世界で利用される 新たな環境調和型のエネルギー供給の実現」が個別政策目標例として示されており、本技術 開発はこれらの政策目標に合致するものとなっている。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 廃棄物の大量発生が大きな社会問題になっており、環境負荷が低減された循環型社会の 構築が強く求められている。科学技術基本政策策定の基本方針(2005年6月)では、「環境 と調和する循環型社 会 の実現」のため、「3R(発生抑制、再利用、リサイクル)による資源の 有 効 利 用 と廃 棄 物 の削 減 」が個 別 政 策 目 標 例 として示 されており、本 技 術 開 発 はこの政 策 目標に合致するものである。 4 2.研究開発目標 2‐1 研究開発目標 第1次石油ショックを契機に我が国製造業においては省エネルギー化を推進し世界で最も 省エネが進み、企業レベルで実施する省エネルギー対策については、相当程度広がっている ことから、既 存 技 術 による対 策 では限 界 に近 づきつつあるとさえ言 われている。石 油 精 製 業 においても装置産業として業界をあげて省エネに取り組んできた歴史があり、図2−1の製油 所におけるエネルギー消費指数の国別比較によると、我が国製油所は世界の中でも効率化 の観点ではトップクラスにあるといえる。 しかしながら、石油 精 製業 において、さらなる地球 環 境 保 全といった社会 的 要 請 に対 応す る上で、今後とも省エネルギー等の取り組みを進めることが重要となっている。 このため、本事業では、このような背景のもと、将来を見据えた技術開発として、製油所の 高度化・経済性向上に力点をおき、「CO2 排出量の削減」、「廃棄物量の削減」という環境の 視点より製油所の高効率化、高度化を進めることとした。 115 113 110 105 100 102 101 100 95 高効率 90 日本 日本 先進アジア諸国*2) 西ヨーロッパ(15 ヶ国) 先進アジア諸国 西ヨーロッパ(15カ国) *1) 米国・カナダ 米国・カナダ 図2−1 製油所におけるエネルギー消費指数 の国別比較 注 :*1)Solomon 社 独 自 の指 標 で、換 算 通 油 量 を用 いており石 連 が自 主 行 動 計 画 で採 用 している製 油 所 原 単 位 と類 似 した性 格 を持 つ *2)韓 国 ・シンガポール・マレーシア・タイ、中 国 を含 まない 出 典:石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行動 計画2005年度(第8回)フォローアップ(2005 年 10 月) 本事業の遂行に際しては、石油精製の個別要素技術のこれまで以上のさらなる高度化が 必要なことから、成果の普及や製油所での実証を進める上で、最先端技術はもちろんのこと、 泥臭い技術の組合せも含め積極的に取り組む必要があると評価された(2003年3月 (財) 石油産業活性化センター技術企画委員会)。これらの事前評価に基づき、技術開発テーマの 目標として CO2 削減量及び最終廃棄物削減量を定めると共に、実証化技術開発の位置付 けを明確にすることとした。 5 2‐1‐1 全体の目標設定 事業全体の研究開発目標設定を表2−1に示す。 表2−1 全体の目標 事業 目標・指標 設定理由・根拠等 (1)環 境 負 荷 低 減 国内製油所の CO2 排出 本 事 業 開 始 時 の2002年 度 におけるエネルギー 型石油精製プ 量 を 2 0 0 万 ton-CO2/ 年 消費量は自主行動計画の基準となる1990年対比 ロセス技術開 の削 減 が可 能 となる技 術 28.8パーセント増である。この内訳である①「製品 発(CO2削減) の開発 の需 要 量 増 への対 応 」:14%、②「製 品 の需 要 構 成 の変 化 への対 応 」:10%、③「環 境 に配 慮 した品 質 への対 応 」: 5% であり、この③「環 境 に配 慮 し た品 質 への対 応 」のエネルギー消 費 量 の増 加 分 以 上 (200万 ton-CO2/年 )の削 減 を可 能 とする技 術 の開発を目指す事とした。 (2)廃 棄 物 削 減 ・ 製 油 所 における最 終 処 製 油 所 廃 棄 物 の内 で発 生 量 の半 分 を占 め製 油 再利 用・汚染 浄 分 廃 棄 物 量 を1万 ton/年 所 内での減 量 化 にエネルギーを要 している汚 泥 と、 化 技 術 開 発 (ゼ 削 減 が可 能 となる技 術 の 高 価 な金 属 類 を含 み廃 棄 物 としても価 値 が高 い使 ロエミッション) 開発 用済触媒に着目した。 これらについて単に最 終 処分 量を減 らすのではな く、廃 棄 物 発 生 量 自 体 の削 減 という抜 本 的 な技 術 開 発 を通 して、汚 泥 と使 用 済 触 媒 の「減 量 化 後 の 再資源化と最終処分」合計量 約5万 ton/年を1万 ton/年以上を削減するとした。 10.5 (原油換算KL/千KL) 製油所エネルギー消費原単位 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 図 2−2に製 油 所 エネルギー消 費 原 単 位 の年 度 別 推 移 、また図 2−3に石 油 精 製 に起 因 する CO2 排出量、これまでの CO2 削減効果及び CO2 発生原単位の年度別推移を示した。 これらの図からわかるように石油精製に必要な製油所消費エネルギーの原単位は石油精 製 業 のたゆまぬ省 エネ努 力 により1991年 以 来 漸 減 しているものの、石 油 製 品 の需 要 量 増 大、環境保全のための燃料品質の改善という社会的要請への対応によりエネルギー消費量 は増加傾向にあり、それに伴い CO2 排出量も増加している。 本事業においては、このような背景を踏まえ、さらなるエネルギー消費量抑制、CO2 排出抑 制を目指し研究開発目標を設定し技術開発事業を展開した。 10.0 9.5 9.17KL/千KL ⇒ 2010年度目標値 9.0 8.5 8.0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 図2−2 製油所エネルギー消費原単位の年度別推移 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ 2005 年 10 月 石 油 連 盟 6 年度 60 28 CO2排出量・CO2削減効果 (百万トンCO2/年) CO2排出量 CO2削減効果 CO2原単位 50 1990年対比 26 28.8% 40 24 30 22 20 20 10 18 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 16 年度 図2−3 CO2 排出量、CO2 削減効果、CO2 排出原単位の年度別推移 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ (2005 年 10 月 石 油 連 盟 )に PEC にて追 記 図2−3からわかるように、本事業開始時の2002年度におけるエネルギー消費量は自主 行動計画の基準となる1990年対比 28.8%増である。この内訳である①「製品の需要量増へ の対応」:14%、②「製品の需要構成の変化への対応」:10%、③「環境に配慮した品質への対 応」: 5% であり、この③「環境に配慮した品質への対応」のエネルギー消費量の増加分以上 ( 200 万 ton-CO2/年)の削減を可能とする技術の開発を目指す事とした。 本 目 標 の達 成 により、サルファーフリー等 本 来 環 境 負 荷 低 減 を目 指 したにもかかわらず CO2 排出面で排出量が増加するという矛盾の解消が可能となる。そのためには新たな技術 開発要素が不可欠であり、相反する技術として従来取り上げ難かった課題・新規技術等を取 り上げ、廃熱回収、熱効率向上、プロセスの高効率化等の観点で製油所装置に対する抜本 的な技術開発、さらに製油所実装置での運転検証を行い、技術の波及を目指すこととした。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 石油精製工程においては廃油・スラッジ、汚泥、廃酸、廃アルカリ、電気集塵機の捕集ダス ト、使 用 済 み触 媒 、建 設 廃 材 等 の廃 棄 物 が発 生 する。製 油 所 では廃 棄 物 発 生 量 自 体 の抑 制とともに、廃油・スラッジの油分回収、汚泥の脱水などの中間処理による減量化、また廃油 の再 精 製 、汚 泥 や捕 集 ダスト及 び保 温 廃 材 のセメント原 材 料 化 、建 設 廃 材 の分 別 化 による 路盤 材 料への転換、さらには他 の業界との連 係による再 資源 化に積 極的 に取り組み、石油 精 製 工 程におけるゼロエミッション化を目 指している。さらに硫黄、重 質 残 渣・重 質 油 等の精 製排出物についても、今後、排出量が問題となる可能性がある。 図 2−4に製 油 所 における廃 棄 物 の発 生 量 、減 量 化 量 、再 資 源 化 量 、最 終 処 分 量 の推 移を示した。1999年以降では、廃棄物発生量は 50∼60 万 ton/年でほぼ一定の水準にある が、中間処理による減量化、所内での再利用及び他の業界との連係による再資源化に努め ることにより、再資源化の割合を増やしつつ、一方で図2−5に示したように最終処分量の大 幅削減を達成している。 7 120 減量化量 再資源化量 最終処分量 100 100 廃 棄 80 物 量 ㌧ 90 再資源化率 80 最終処分量 60 再 資 源 70 化 再資源化量 率 60 % 40 発生量 減量化量 20 50 0 40 1990 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 年度 図2−4 製油所における廃棄物の発生量、減量化量、再資源化量、最終処分量の推移 廃 棄 物 最 終 処 分 量 ( 万 トン) 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ( 2005 年 10 月 石 油 連 盟 ) を用 いて PEC で作 成 12 10 9.9 8 6.6 2010年度目標値 5.3 6 3.3 3.6 4 2.8 2.5 2.4 2 1.4 1.1 2003 2004 0 1990 1996 1998 1999 2000 2001 2002 年度 図2−5 製油所における最終処分量の年度別推移 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ( 2005 年 10 月 石 油 連 盟 ) 8 石油精製業では、廃棄物削減の環境自主行動計画において廃棄物の最終処分量を199 0年度対比で 67%削減し 3.3 万 ton/年以下とすることを目標として対策を進めており、本事業 計画時の2001年度の最終処分量は 2.5 万 ton/年で既に目標を達成、その後も2004年度 1.1 万 ton/年と着実に削減を進めている状況である。 再 資 源 化 +最 終 処 分 量 (万 t/年 ) 40 汚泥 廃白土 廃酸 35 30 使用済触媒 集塵ダスト 建設廃材 廃油 廃 ア ル カリ その他 再資源化量と最終処分量の合計はほぼ一定で変わらない 25 20 15 10 5 0 1995 2000 2001 2002 2003 2004 年度 汚泥と使用済触媒の「再資源化+最終処分」合計量 図2−6 製油所廃棄物の「再資源化量」と「最終処分量」の合計量 出 典 :「石 油 業 界 の地 球 環 境 保 全 自 主 行 動 計 画 」 2005 年 度 (第 8 回 )フォローアップ( 2005 年 10 月 石 油 連 盟 )を 用 いて PEC で作 成 図2−6に、この数年間における製油所廃棄物の「再資源化」と「最終処分」の合計量の推 移 を示 した。前 述 の図 2−5に示 したように最 終 処 分 量 は減 少 しているものの製 油 所 から排 出される廃 棄物総量、すなわち「再資源化」と「最終処 分」の合計量はほとんど変わらない状 況であり、業界から排出される廃棄物の大部分が、何らかの形で再資源化に回されているの が現状である。 本技術開発においては、製油所廃棄物の内で発生量の半分を占め製油所内での減量化 にエネルギーを要している汚泥と、高価な金属類を含み廃棄物としても価値が高い使用済触 媒に着目した。これらについて単に最終処分量を減らすのではなく、廃棄物発生量自体の削 減という抜本的な技術開発を通して、図2−6に示したように汚泥と使用済触媒の「減量化後 の再資源化と最終処分」合計量 約 5 万 ton から 1.0 万 ton 以上を削減するとした。 9 2‐1-2 個別要素技術の目標設定 図2−7に石油精製等高度化技術開発事業での目標とその達成度を測る指標を示した。 目標 指標 1.環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 製油所における省エネ効果及びCO2排出抑制 ① 熱利用高度化技術の開発 ② 製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発 廃熱回収、 熱効率向上 プロセスの高効率化 効率運転、 保全費削減 安定操業技術の確立 国内製油所 CO2総排出量 CO2総排出量 200万 200万ton/年の ton/年の 削減 ③ 製油所総合監視自動化システム技術の開発 ④ 防食管理技術・効率的検査技術の開発 2.廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 製油所における廃棄物発生の抑制及び 汚染物質の効率的な処理 減容化・長寿命化 再利用、高効率浄化 ⑤ 排出物削減・高度リサイクル技術の開発 ⑥ 含油土壌浄化・処理技術の開発 最終処分 廃棄物量 1万ton/年の ton/年の 削減 図2−7 石油精製等高度化技術開発事業の目標とその達成度を測る指標 具体的な目標は以下の通りである。 1.環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (CO2 削減) 石油精製プロセスにおける熱利用高度化、運転最適化、設備管理における技術開 発を行い、製油所における省エネ効果及び CO2 排出抑制を図る。 具体的には、次の各テーマにおいて、テーマ・サブテーマの技術開発結果が、我が 国 における他 の製 油 所 へも波 及 する効 果 も含 めて、国 内 製 油 所 総 CO2 排 出 量 約 4,383 万 ton-CO2/年(2001 年度)の約5%(200 万 ton-CO2/年)の削減を可能とする 技術の開発を目指す。 ①熱利用高度化技術の開発(R1) ②製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) ③製油所総合監視自動化システム技術の開発(R3) ④防食管理技術・効率的検査技術の開発(R4) 2.廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 製油所における精製廃棄物・排出物削減、汚染土壌処理における技術開発を行い、 製油所における廃棄物発生の抑制及び汚染物質の効率的な処理を図る。 具体的には、次の各テーマにおいて、テーマ・サブテーマの技術開発結果が我が国 における他の製油所へも波及する効果を含めて、最終処分廃棄物量として国内製油 10 所総廃棄量約2.5万ton/年の約30%(1.0万ton/年)の削減を可能とする技術の開発を 目指す。 ①排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) ②含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (CO2 削減) 表2−2に環境 負 荷 低 減型 石 油 精 製プロセス技術 開 発 分 野のテーマ毎の内容、目標・指 標、及び設定理由・根拠等を示した。 11 表2−2 分野別テーマと目標(CO2削減) 分野 要素技術 熱 利 <テーマ名称> 用 高 低 位 熱 回 収 システムの 開 度 化 発(R1.1.1) (R1) <開発内容> 流 動 接 触 分 解 装 置 (FCC) の反 応 塔 下 流 主 分 留 塔 塔 頂 部での従 来は回 収が困 難 であった低 位 廃 熱 を、高 圧 ・低 圧 2種 の蒸 発 器 を有 した2 段 ラン キン システ ム を 採 用 した発 電 システムを用 いて回収する。 <テーマ名称> 高 性 能 熱 交 換 設 備 の導 入 による蒸 留 塔 の熱 回 収 シ ステムの開発(R1.1.2) <開発内容> 従 来 、熱 交 換 不 可 能 であ った高 粘 度 で触 媒 粉 を含 む 流 体 からの熱 回 収 を行 う高 性能熱交換器を開発する。 精 製 <テーマ名称> プ ロ セ 高 効 率 水 素 発 生 システム ス 高 の開発(R2.1.1) 度 活 <開発内容> 用 、効 既存の水素製造装置に予 率 化 備 改 質 装 置 を設 置 し、スチ (R2) ーム導 入 量 の削 減 と、水 素 発 生 量 の増 加 が可 能な技 術開発を行う。 <テーマ名称> 水素製造装置への超高次 脱 硫 触 媒 を適 用 した技 術 の 開発(R2.1.2) <開発内容> 水素 製造 装 置に超 高 次 脱 硫 触 媒 ・メタン化 促 進 触 媒 の導 入 により硫 黄 被 毒 と コーキングを抑 制し、高 負 荷 運 転 を可 能 にする技 術 を 開発する。 <テーマ名称> 高 性 能 膜 と改 質 技 術 を組 み合わせた製油 所副 生 ガス の有効利用に関する研究開 発(R2.1.3) <開発内容> 水素を含有する FCC 副生 ガスを膜 分 離 プロセスと改 質 プロセスによる水 素 製 造 技術を開発する。 <テーマ名称> 省燃費型自動車用潤滑 油生 産に向 けた次世 代 鉱 油 系 基 油 製 造 プロセスの研 究開発(R2.1.4) <開発内容> 石 油 系 ワックスを原 料 とし た高 性 能 潤 滑 油 基 油 製 造 プロセスを開 発 し、省 燃 費 型 自 動 車 用 潤 滑 油 を開 発 する。 目標・指標 設定理由・根拠等 低位熱回収システムを既設 FCC 装置に適用することにより、 効率的なエネルギー回収を行う。 ①主 分 留 塔 塔 頂 熱 量 の回 収 率 : 65.0% ②回 収 熱 量 に対 する発 電 効 率 : 4.5% 石 油 製 品 を分 留 する蒸 留 塔 頭 頂 部 の熱 は、保 有 エネルギ ーが大 きいにもかかわらず低 位 (低 温 )レベルであるため回 収 することなく系 外 へ排 出 して いる。 従 って低 位 熱 を効 率 的 に回 収 し有 効 な電 力 エネルギーへ 変 換 するとともにCO2 排 出 量 を削 減 し環 境 負 荷 を低 減 させ る。 既設 FCC 装置における制約を 回 避 し、効 率 的 な廃 熱 回 収 によ り、原 料 油 加 熱 炉 を停 止 可 能 と する。 ①高性能熱交換器の適合化 ②熱 交 換 設 備 の最 適 配 列 による 熱回収システムの開発 高 粘 度 で触 媒 粉 を含 む流 体 を使 用 した高 性 能 熱 交 換 器 を FCC に適用した事例がない。 従 って、国 内 外 で初 の高 性 能 熱 交 換 器 の技 術 を開 発 し、 省エネルギーを実現する。 ①現 状 水 素 発 生 量 にて、単 位 発 従 来 では事 例 のない予 備 改 生 水 素 当 たりの燃 料 油 消 費 量 質 装 置 の技 術 開 発 を行 い、燃 を10%削減 料油削減とCO2 排出削減によ ②単 位 当 たり燃 料 消 費 量 一 定 の り、省エネルギーを実現する。 条 件 で、水 素 発 生 量 を12%増 加 超 高 次 脱 硫 触 媒 を適 用 して、 低 スチ ーム・ カーボン 比 ( S/C) 運 転 により10%のエネルギー削 減を達成する。 ①改 質 触 媒 活 性 劣 化 抑 制 ・低 S /C運 転 による燃 料 消 費 量 の 削減:6% ②低 S/C 運 転 に よる 蒸 気 使 用 量の削減(燃料換算):4% 触 媒 活 性 劣 化 抑 制 に よ り生 じた反応温度の余裕を利用 し、既 存 プロセスを変 更 するこ となく、高 負 荷 運 転 による省 エ ネルギーを実現する。 ①膜 分 離 技 術 :水 素 濃 度 60% 以上、回収率80%以上 ② PSA ( pressure swing adsorption) 技 術 :水 素 濃 度 99.5%以 上 、 回収率75%以上 従 来 は加 熱 炉 やガスタービン に使用されている FCC 副生ガ スを原 料 として水 素 を製 造 す ることにより省 エネルギーを実 現する。 ①粘 度 指 数 (VI)140 以 上 、硫 黄 分 1ppm 以下の潤滑油基油を、 現 行 比 1/2以 下 のエネルギー で製造するプロセスの開発 ②開 発 された基 油 を使 用 し燃 費 を5%向上させる潤滑油の開発 ③オイル交 換 距 離を1.2倍 延 長 するエンジン油の開発、VI 安定 性 を1.2倍 とする緩 衝 器 油 の 開 発 、電 力 消 費 を1%削 減 する 作動油の開発 潤 滑 油 基 油 製 造 に伴 うエネ ルギー消 費 を下 げるとともに、 開 発 した基 油 を使 用 した潤 滑 油 により燃 費 の向 上 、寿 命 延 長 及 び電 力 消 費 を削 減 するこ とにより省エネルギーを実現す る。 12 製 油 所 総 合 監 視 自 動 化 システ ム (R3) <テーマ名称> ①前 処 理 水 素 化 装 置 及 び接 触 省 エネ型 脱 硫 接 触 分 解 触 分 解 装 置 の組 合 せにおいて、 媒の実用化研究 前 処 理 水 素 化 装 置 の水 素 使 (R2.2.1) 用量の低減:5%以上 <開発内容> ②接触分解触媒の FCC ガソリン 接 触 分 解 装 置 において、 脱硫率:25%以上 重 質 油 を原 料 とした低 硫 黄 FCC ガソリンを製 造 する脱 硫接 触分 解 触媒を開発 す る。 FCC ガソリン中の硫黄分を1 0ppm∼30ppm まで低 減 させ る高 脱 硫 性 能 の接 触 分 解 触 媒 を 開 発 し 省 エネルギ ーを 実 現する。 <テーマ名称> ①硫黄分 50ppm、リサーチオクタ 低 水 素 消 費 型 ガソリン脱 ン価(RON)90 の FCC ガソリン 硫技術の開発(R2.2.2) を選 択 的 に水 素 化 脱 硫 処 理 <開発内容> し、硫黄分 10ppm 以下、RON FCC ガソリンの脱硫におい 87.5 以 上 のガソリンを製 造 す てオレフィンの水 素 化 反 応 る。 を 極 力 抑 制 し オ ク タ ン 価 を ②FCC-C4 留 分 を利 用 した高 オ 維持しつつ効果 的に脱 硫す クタン価 基 材 製 造 プロセスを る「低水素消費型脱硫 技 開 発 し、選 択 脱 硫 技 術 とのパ 術 」の実 用 化 と高 性 能 化 を ッケージとして、オクタン価 低 目指す。 下ゼロで硫黄分 10ppm 以下の ガソリンを製造する。 FCC ガソリンのオクタン価 を 維持し、硫黄分を 10ppm 以下 とする低 硫 黄 ガソリン製 造 プロ セスを開 発 し、ガソリン車 の排 気ガス浄化を実現する。 <テーマ名称> LCO 有効利用のための省 エネルギー型 精製 技術の開 発(R2.2.3) <開発内容> FCC か ら 発 生 す る LCO を、2段 反 応 により低 エネル ギー運 転 でクリーン燃 料 化 を可 能 とする金 属 触 媒 とプ ロセスを開発する。 ライトサイクルオイル(LCO)高 度 精 製 反 応 における水 素 対 油 比 を 低 減 した水 素 化 処 理 により、セタ ン指数 40 以上、硫黄濃度 10ppm 以下、窒素濃度 10ppm 以下の生 成 油 を製 造 する。さらに、使 用 す る貴 金 属 触 媒 の寿 命 を1年 以 上 とする。 品 質 が劣 悪 なため主 に重 油 ブレンド基 材 として使 用 されて いる FCC から発 生する LCO を、高 品 質 でクリーンな燃 料 と する水素対油比を大幅に低減 したプロセスを開 発 し、省 エネ ルギー化を実現する。 <テーマ名称> ①運 転 ノウハウのシステム化 によ 装 置 運 転 無 人 化 を指 向 し り、経 験 の浅 い運 転 員 でも安 全 た自 動 化 ・支 援 システムの 確 実 な作 業 が可 能 な支 援 シス 開発(R3.1.1) テムを実現する。 <開発内容> ②ボード/フィールド双 方 向 の連 ベテランオペレータの運 転 実 績 携 業 務 をシステム化 することに デ ー タ か ら 操 作 監 視 ノ ウ ハ より、現 場 型 (ユビキタス)ボードマン ウを抽 出 し、自 動 化 を目 指 が可 能 な支 援 システムを実 現 す。併 せてボード/フィール する。 ドとの連 携を強 化 する運 転・ ③ 音 及 び 熱 画 像 を 測 定 ・ 分 析 し 監視・操作支 援システム(現 て、人 間では把 握できないレベル 場 員 へのガイダンス機 能 を含 で の 早 期 異 常 発 見 シ ス テ ム を む ) 及 び 異 常 音 検 知 シ ス テ 実 現 、及 び現 場 でフィールドマンが ム・異 常 温 度 分 布 感 知 シス 画 像 による遠 隔 確 認 できるモバ テムを開発する。 イル端末を実現する。 「熟 練 運 転 員 の減 少 と経 験 の浅 い運 転 員 比 率 の増 大 」及 び「4年 連 続 運 転 に伴 う非 定 常 操 作 の経 験 機 会 の減 少 」を 踏 まえ、設 備 異 常 の未 然 防 止 と早 期 発 見 やプロセスの高 効 率 運 転 を図 るため、IT を活 用 し、運 転 員 の技 術 伝 承 支 援 、 運 転 支 援 及 び設 備 異 常 を早 期 発 見 する技 術 を開 発 し、製 油 所 の安 定 操 業 維 持 を確 保 する。 <テーマ名称> 製油所装置異常診断自 動 化 による安 全 対 策 技 術 開発(Ⅰ)(R3.1.3) <開発内容> 製 油 所 内 を広 範 囲 に監 視 するために、防 爆 無 線 装 置 を使 用 した移 動 監 視 装 置 及 び固 定 監 視 装 置 を開 発 す る。 これらの監 視 装 置 を現 場 に設 置 し、現 場 の音 と画 像 から異常を検知する。 製 油 所 では巡 回 員 が五 感 を 駆 使 して漏 洩 や回 転 機 の不 具 合 などを監 視 しているが、製 油 所 は広 いので常 時 巡 回 員 のみ で監視するには限界がある。 そこで、プラント内を常時監視 できる装置を開発し、監視技術 の核 となる画 像 変 化 検 知 技 術 や音 による監 視 技 術 を研 究 開 発し安全操業を確保する。 ①製 油所 内 で防爆 仕 様 を満 足す る監視装置を開発する。 ②プラント内 で想 定 される異 常 を 検 知 できる画 像 処 理 を開 発 す る。 ③音 響 データを解 析 し、漏 洩 場 所を特定する技術を開発する。 ④移動監視装置と固定監視装置 を組 み合 せた協 調 監 視 技 術 を 開発する。 13 <テーマ名称> 音 響 モニタリングシステム による往 復 動圧 縮機の連 続状 態監 視 システム開 発 (R3.1.4) <開発内容> 現 状 では適 切 な連 続 監 視 システムがない往 復 動 圧 縮 機 に、音 響 信 号 による連 続 状 態 監 視 システムを設 置 す る。 音 響 データ の連 続 収 集 / 解 析 技 術 の開 発 を行 い、機 器の運転状態を連続的に 監 視 するシステムの実 用 化 を図る。 音 響 データ収 集 技 術 、連 続 収 集 データ解 析 技 術 及 び異 常 信 号 評価 技 術の開発し、音 響 モニタリ ングシステム全 体 の実 用 化 評 価 を行う。 往 復 動 圧 縮 機 の音 響 信 号 に よる連 続 状 態 監 視 システムを 開 発 実 用 化 し、往 復 動 圧 縮 機 の保 全 手 法 を時 間 基 準 保 全 (TBM) か ら 状 態 基 準 保 全 (CBM)へ転換を図ることによっ て、機 器 の安 全 性 及 び信 頼 性 を確 保 して点 検 周 期 の延 長 を 可 能 とするシステムを開 発 し、 保全費用削減と点検の都度 排 出 される産 業 廃 棄 物 の削 減 を実現する。 製 油 <テーマ名称> 所 設 機器 及び配 管設 備の腐 食 備 管 検査技術の開発(R4.1.2) 理 <開発内容> (R4) 直 接 アクセスできない機 器 や配 管 などを精 度 良 く減 肉 評価可能な検査技術とし て、ガイド波 が肉 厚 に応 じて 音 速 が変 化 する特 性 を利 用 したガイド波 透 過 検 査 法 による新 規 検査 手法の開 発を行う。 ①ガイド波 透 過 検 査 法 による超 音波探傷装置を開発する。 ②ガイド波 透 過 検 査 法 による肉 厚測定手法を確立する。 ③測 定 誤 差 は±10%以 内 とする。 ( 元 厚 10mm 程 度 の 配 管 で ± 1mm) ④ 測 定 範 囲 は 配 管 20m 、 機 器 10m とする。 保 温 や耐 火 材 の施 工 された 機 器 、埋 設 部 または高 所 の配 管 等 の直 接 アクセスできない 設備 に対する高 精 度非 破壊 検 査 手 法 (ガイド波 を用 いた超 音 波探 傷手 法)の開発を行 い、製 油 所 設 備 の腐 食 減 肉 による漏 洩事故を未然に防止する。 <テーマ名称> ①施 工 材 料 の防 食 機 能 が4年 以 コーティング材 料 を用 いた 上 保 持 する コ ーテ ィ ン グ 技 術 を 防食技術の開発(R4.1.3) 開発する。 <開発内容> ②コーティング材 料 の劣 化 評 価 製 油 所 設 備 の厳 しい腐 食 装置を開発する。 環 境 を 対 象 に 耐 食 性 の 高 ③防食システムを開発する。 いコーティング材 料 を選 定 腐 食 環 境 推 定 技 術 、 施 工 技 若 しくは開 発 し、最 適 施 工 術 、塗 膜 評 価 技 術 、及 び塗 膜 技術を開発する。 余 寿 命 予 測 技 術 を統 合 した防 ま た 、 コ ー テ ィ ン グ 材 料 の 食管理技術の確立 劣 化 評 価 技 術 及 び余 寿 命 予測技術を開発する。 従 来 よりも耐 食 性 の高 いコー ティング材 料 を選 定 若 しくは開 発 を行 い、選 定 された材 料 の 装 置 への施 工 技 術 とコーティ ング材 料 の余 寿 命 測 定 技 術を 開 発 し、石 油 精 製 装 置 の長 寿 命 化 ・メンテナンスフリー化 に 貢 献 する防 食 技 術 を開 発 する ことにより、防 食 コスト等 (設 備 費 ,メンテナンス費 )の低 減 を 実現する。 <テーマ名称> ①湿 潤 水 硫 化 アンモニウム腐 食 石油精製設備の運転最適 を、10μm/y の感度で 4 年間測 化 に よ る 防 食 管 理 技 術 の 定 できるプローブ技 術 を開 発 す 開発(R4.1.4) る。 <開発内容> ② 精 度 よく 湿 潤 環 境 の 腐 食 性 を 水 硫 化 ア ン モ ニ ウ ム 腐 食 推 定 するシミュレーション技 術 を が 問 題 と な る 機 器 を 対 象 と 開 発 し、シミュレーション解 析 結 した高感度腐食モニタリング 果 を ラ ボ 腐 食 試 験 結 果 と 比 較 シ ス テ ム を 開 発 し 、 流 体 の 検証する。 腐 食 性 を リ ア ル タ イ ム で 監 ③構築された高感度腐食モニタリ 視して運転 管理にフィードバ ングシステムによる防 食 管 理 手 ッ ク さ せ る 防 食 管 理 手 法 を 法の実用性を実機で検証する。 構築する。 水 硫 化 アンモニウム腐 食 の モニタリング技 術 を開 発 すると と もに 、 長 期 連 続 運 転 中 の 腐 食 データ連 続 収 集 のための最 適 モニタリング部 位 の選 定 手 法を確立することにより長期連 続 運 転 における設 備 の信 頼 性 を向上させる。 14 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 表2−3に廃棄物削減・再利用・汚染土壌浄化技術開発分野のテーマ毎の内容、目標・指 標、及び設定理由・根拠等を示した。 表2−3 分野別テーマと目標(ゼロエミッション) 分野 排 出 物 削 減・高 度 リサ イクル 利 用 (R5) 要素技術 目標・指標 設定理由・根拠等 <テーマ名称> ①既 設 流 動 接 触 分 解 (FCC)装 置 磁 気 分 離 装 置 を 用 い た に設置した実証化装置により有 FCC 廃 触 媒 削 減 技 術 の開 効性を確認する。 発(R5.1.1) ②FCC における触 媒 廃 棄 量 を3 <開発内容> 0%削減する。 磁 気 を活 用 して重 金 属 汚 染度が高く劣化した触媒 と、重 金 属 汚 染 度 が低 い触 媒 を分 離 し廃 棄 触 媒 量 を削 減する技術を開発する。 FCC 触媒中の劣化した触媒 粒子のみを磁気を利用して 分離し、廃棄触媒量を削減す る 分 離 装 置を 開 発 す ることに より、 製 油 所 廃 棄 物 削 減 と廃 棄物の有効利用を実現する。 <テーマ名称> ①高 い汚 泥 削 減 率 のときの排 水 製油所汚泥の高削減技術 性 状 への影 響 を抑 制 しつつ、安 の開発(R5.1.2) 定 的 に余 剰 汚 泥 削 減 率 90% <開発内容> 以 上 を可 能 にする高 汚 泥 削 減 製 油 所 廃 棄 物 の う ち 、 発 システムを開発する。 生 量 が最 も多 い余 剰 汚 泥を ② 汚 泥 可 溶 化 剤 量 の 1 0 % 分 に 削 減 する シ ス テ ム を 開 発 す 廃ソーダを用いることができる技 る。 術を開発する。 製 油 所 廃 棄 物 のうち、発 生 量が最も多い余剰汚泥 を削減 するシステムを開 発 することに より、製 油 所 余 剰 汚 泥 を大 幅 に削 減 し、汚 泥 処 理 費 用 の低 減を実現する。 <テーマ名称> ①10分 以 内 /バッチとなる高 効 硫 黄 の需 要 創 造 に向 けた 率 で安 価 な改 質 硫 黄 固 化 体 を 高 効 率 改 質 硫 黄 固 化 体 製 製 造 するシステムの設 計 ・建 設 造 シ ス テ ム の 研 究 開 発 を行う。 (R5.1.3) ②製品の土木・建築用資材として <開発内容> の活用性を確立する。 硫 黄 の有 効 活 用 のため、 改 質 硫 黄 を用 いて河 川 ・海 洋及び耐酸・耐腐食用構造 物 等 の 土 木 ・建 設 材 料 と し て活 用 する技 術 開 発を行 う。 硫 黄 を改 質 した「改 質 硫 黄 」 を用 いて、鉄 鋼 スラグや石 炭 灰 等 の産 業 副 産 物 ・廃 棄 物 を リサイクルし、土 木 ・建 設 資 材 として優 れた性 質 を持 つ改 質 硫 黄 固 化 体 を高 効 率 かつ安 価 に製 造 するシステムを開 発・ 構 築 し、硫 黄 廃 棄 物 の有 価 物 化を図る。 <テーマ名称> 廃 触 媒 ミニマム化 技 術 の 開発(R5.1.4) <開発内容> 重油脱硫触媒の再生条 件の最適化と、硫酸やバナ ジウムをトラップできる 新たな第三成分を添加し て担体の変質を抑制する ことで、再生性を向上させ る技術を開発する。 <テーマ名称> 重 質 油 から高 品 質 な灯 軽 油を製造するための DAO 高 度 水 素 化 分 解 技 術 の開 発 (R5.1.5) <開発内容> 溶 剤 脱 れき油 (DAO)の分 解 に適 したメソ孔 および固 体酸性質を有する遷移 金属 挿 入 ゼオライトとそれを活 性 成 分 とする水 素 化 分 解 触 媒 の開発を行う。 ① 再 生 後 の 触 媒 強 度 を 触 媒 再 重 油 脱 硫 触 媒 の最 適 な再 生 充 填 基 準 (強 度 低 下 抑 制 10% 条 件 と再 生 性 を向 上 する触 媒 以上)に適合させる。 の開発を行うことにより廃 棄物 ②再 生 後 の活 性 を新 触 媒 に対 し の削減を実現する。 80%以上に維持させる。 ①重質 油の拡散 に適したメソ孔 を 有していること。 ②重 質 油 の分 解 に適 した固 体 酸 性質を有していること。 ③アモルファス系触媒に比べ約 2 倍 の相 対 分 解 活 性 と触 媒 寿 命 を有 し、かつ同 程 度 の中 間 留 分 選択性を有していること。 ④分 解 率 70%以 上 ,中 間 留 分 選 択 性 70%以 上 の条 件 でセタン 指 数 60以 上 の軽 油 が得 られる こと。 ⑤未分解油を FCC 原料油として 用いたとき、高収率で高品質な ガソリンが得られること。 15 DAO を高 品 質 な灯 軽 油 およ び未 分 解 油 に効 率 よく変 換 で きる 高 度 水 素 化 分 解 技 術 、と りわけ触 媒 の開 発 を行 い、重 質油の有効利用を図る。 10 万 BPD 規模の製油所で処 <テーマ名称> 製 油 所 における廃 油 軽 質 理 し て い る 廃 油 軽 質 留 分 留 分 の 高 度 処 理 技 術 の 開 99,000KL/年 の 効 率 的 な 処 理 方 発(R5.1.6) 法を開発する。 <開発内容> 製油所内の製造設備等 から発生する廃油の軽質 留分を重質留分と分けて 直接二次装置で処理する ことにより、廃油軽質留 分を効率的に処理する技 術の開発を行う。 熱履歴を受け性質の悪化す る廃油軽質留分を、直接二次 装置で処理する効率的な技 術を開発し、一次装置に係る 精製エネルギーの削減を実 現する。 <テーマ名称> ①触媒の詳細分析技術を確立 触 媒 再 生 技 術 による廃 触 し、再生方法最適化技術を開 媒 削 減 技 術 の 研 究 開 発 発する。 (R5.1.7) ②1 回の触媒再生につき活性低 <開発内容> 下が5%以下である触媒再生 留 出 油 脱 硫 装 置 で 使 用 技術を開発する。 された触媒について活性 ③開発した触媒再生技術を検 低下機構・触媒再生機構を 証する。 把握し、活性低下を予測 し、最適な触媒再生方法の 指針を見出し、活性低下の 小さい触媒再生技術を開 発する。 留出油脱硫装置で使用され た触媒について再生方法を 検討し、従来に比べて活性低 下の小さい触媒再生技術を 開発することにより、製油所 廃棄触媒の有効利用を図る。 <テーマ名称> ①重 質 残 油 の高 度 直 脱 による生 低 エミッション型 高 度 重 質 成 硫 黄 分 を 0 . 2 % 及 び 触 媒 寿 油処理技術の開発(R5.2.1) 命を1年とする。 ②減 圧 軽 油 の高 度 直 脱 による生 <開発内容> FCC 前 処 理 において、 重 成 硫 黄 分 を0.1%及 び触 媒 寿 質 油 を 低 温 で 目 的 の 転 化 命を2年とする。 率 が得 られる長 寿 命 な触 媒 ③FCC ガソリンのオクタン価を0. を開発する。また、FCC では 5%向上させる。 高 度 前 処 理 に伴 うオクタン 価 低 下 を補 う触 媒 を開 発 す る。 低 温 で効 率 的 な転 化 率 が得 られる長 寿 命な触 媒 及 び FCC では高 度 前 処 理 に伴 うオクタン 価 低 下 を 補 うために 触 媒 開 発 することにより、エネルギー利 用 の効 率 化 と低 エミッション効 果を得る。 <テーマ名称> C 重油削減を目指した FCC 前 処 理 触 媒 の高 機 能 化 の た め の 技 術 開 発 (R5.2.2) <開発内容> FCC 前処 理 である直脱装 置 用後 段 触 媒の脱 窒 素 性 能 を向 上 することで分 解 反 応 性 を改 善 し、C 重 油 の分 解 残 油 の得 率を低 減 する技 術開発を行う。 <テーマ名称> 新 規 熱 分 解 法 による高 度 排出物削減型残油処理プ ロセスの研究開発(R5.2.3) <開発内容> 超臨界水中 の熱分解反応 により石 油 製 品 とし易 い分 解 軽 質 油 を得 るとともに、分 解 残 渣を水 素へガス化 転 換 するプロセスを開発する。 ①FCC 装 置 のボトム得 率 を残 油 FCC(RFCC) 原 料 基 準 で 1 % 以 上低減する。 ② 基 準 直 脱 原 料 油 メ タ ル 分 より も10%以 上 多 い原 料 油 を処 理 し て も触 媒 寿 命 が 短 命 化 し ないこと。 RFCC 前 処 理 触 媒 ( 直 脱 触 媒)を高機 能 化することにより、 RFCC 原 料 油の反 応 性 を向上 して接触分解プロセスから発生 する分解残油得率を低下さ せ、C 重油基材を削減すること でその需 給 バランスを改 善 す る。 ①熱 分 解 工 程 においては、廃 触 媒 を発 生 させることなく残 油 の 70%程 度 を軽 質 な石 油 製 品 化 原料として回収できるプロセスを 開発する。 ②分 解 残 渣 分 のガス化 反 応 工 程と併せ、残 渣の発 生 量を処 理 残 油 の5%以 下 に抑 える処 理法を確立する。 超 臨 界 水 中 での重 質 油 熱 分 解・ガス化 技 術を適 用した石 油 残油処理プロセスを開発するこ とにより、利 用 性 の低い残 油の 排 出 を削 減 するとともに、重 油 直 接 脱 硫の廃 触 媒 等を削 減 す る。 16 含 油 土 壌 高 度 浄 化 (R6) <テーマ名称> 重 質 油 有 効 利 用 のための ガスタービン燃 料 化 技 術 の 研究開発(R5.2.4) <開発内容> 高温・高圧 蒸気による水 熱 反 応 により、重 質 油 中 の 微 量 金 属 (バナジウム,ナト リウム,カリウム等 )を選 択 的 に除 去 し,ガスタービン向 け燃 焼 に改 質 するシステム を開発する。 ①重 質 油 中 のバナジウム含 有 量 を1ppm 以下とする。 ②改 質 された燃 料 特 性 評 価 とし て、安 定 燃 焼 ,NOx,CO発 生 量を従来燃料並みとする。 ③改 質 器 の耐 腐 食 性 を3年 間 無 交換可能とする。 ④システムの総 合 コスト評 価 によ り、機 器 費 回 収 機 関 の目 標 を3 年とする。 高 温 ・高 圧 蒸 気 による水 熱 反 応 を利 用 した重 質 油 の高 性 能 な脱 金 属 システムの開 発 より、 低 コスト化 と重 質 油 の有 効 利 用を図る。 <テーマ名称> 化 学 ・微 生 物 複 合 型 重 質 油 汚 染 土 壌 の浄 化 技 術 の 開発(R6.1.1) <開発内容> 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 の組 合 せにより、重 質 油 汚 染 に適 用 でき、かつ従 来 の微生物法に対して浄化期 間 も短 縮 できる技 術 を開 発 する。 <テーマ名称> 石油含有土 壌の高度浄化 技術の研究開発(R6.1.2) <開発内容> 油 汚 染 土 壌 から地 下 水 に 溶出した炭 化水 素化 合 物 類 を浄 化 壁 により原 位 置 で 浄化する技術を開発する。 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 を 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 組 合 せ、重 質 油 汚 染 土 壌 の炭 化 を組 合 せた重 質 油 汚 染 土 壌を 水 素 分 (5,000ppm)を 3 ヶ月 以内 浄 化 す る こ と に よ り 、 コ ス ト 削 に 1,000ppm 以下まで浄化する。 減と土地の有効利用を図る。 ① 地 下 水 中 の 軽 質 炭 化 水 素 類 浄 化 壁 技 術 (バイレメ)による 原 位 置 浄 化 法 を利 用 した地 下 の濃度を90%以下に浄化 ②設置費用 4.5∼5.0 万円/㎡ 水 の 石 油 汚 染 の 拡 散 防 止 技 術 の開 発 により、環 境 への負 荷が小さく、かつ、低コスト化を 図る。 <テーマ名称> ①油分含有濃度を 500mg/kg 以 製 油 所 、 油 槽 所 に お け る 上 の精 度 で検 出 可 能 な土 壌 汚 土 壌 汚 染 状 況 把 握 技 術 の 染把握システムを確立する。 開発(R6.1.3) ②本 評 価 技 術 とボーリング調 査 <開発内容> 等 を組 み合 わせ、従 来 評 価 法 表 層 での土 壌 ガス分 析 を に比 較 し、コストと調 査 期 間 を 行 うことで、石 油 軽 質 分 によ 1/2 にする。 り汚 染 された土 壌 の油 分 分 布 状 況 を把 握 するシステム を確立する。 ポータブルモニターを活 用 し て、測 定 器 、場 所 の制 約 を極 力 回 避 し埋 設 物 を傷 つけるこ となく、汚 染 状 況 が短 時 間 で 評価できるシステムを開発する ことにより低コスト化を図る。 <テーマ名称> ①バイオレメディエーションの条 石油汚染土壌浄化の省力 件 を自 動 管 理 する、数 m 3 のベ 化 に 関 す る 技 術 開 発 ンチスケールの自 動 浄 化 装 置 (R6.1.4) を考案・開発する。 <開発内容> ②油 臭 ・油 膜 が消 失 する浄 化 終 自 動 土 壌 撹 拌 システム、 了 までに要 する浄 化 期 間 を現 自 動 散 水 システム、各 条 件 行技術(ランドファーミング法)に モニタリングシステムを組 み 対して30%短縮する。 合 わせたシステムを用 いて 自 動 的 に最 適 浄 化 条 件 を 維 持 ・管 理 していく技 術 を開 発する。 バイオレメディエーション技 術 の浄 化 因 子 を最 適 な条 件 に制 御 する自 動 管 理 装 置 を開 発 す ることにより、浄化の期間短 縮 、省 力 化 を促 進 し低 コスト化 を図る。 <テーマ名称> ①軽質油から重質な油汚染土壌 超臨界 CO 2 流体が有する油 CO 2 洗 浄 技 術 を 用 い た 汚 を時間オーダーの条件で浄化 の抽 出 能 力 を活 用 し、 低 温 で 染 土 壌 の浄 化 システムの最 し、残留油分濃度 200mg/kg 以 迅 速 に 石 油 汚 染 土 壌 の 浄 化 適化開発(R6.1.5) 下或は無臭とするとともに、ベン 技 術 を開 発 することにより、廃 <開発内容> ゼンの溶出量についても 0.01 棄 物 発 生 がない等 の環 境 負 超臨界 CO 2 を用いた汚染 mg/ℓ以下とする。 荷 の低 減 や汚 染 拡 大 防 止 を 油 の抽 出 ・回 収 を温 度 及 び ②可搬型オンサイト CO 2 土壌浄 実現する。 圧 力 の調 整 で行 い、廃 棄 物 化システムを構築する。 の発生及び土壌の変質がな ③浄 化 コストは2.5∼5万 円 / い低温での迅速な浄化 が可 トンとする。 能な技術を開発する。 17 <テーマ名称> 高 濃 度 ・重 質 油 含 有 土 壌 に対 応 可 能 な原 位 置 浄 化 工法の開発(R6.1.6) <開発内容> 高 濃 度 の重 質 油 を含 有 す る土 壌 を原 位 置 で浄 化 でき る薬 剤 および工 法 を開 発 す る。また、嗅 覚や視 覚 によっ て判 断 されている油 臭 ・油 膜 を機 器 分 析 により再 現 性 および定量 性に優れた評価 法を開発する。 ①C重 油 を5%以 上 含 有 する土 壌を油回 収 工 法により、油 分 1%以下に低減する。 ②C重 油 を1%含 有 する土 壌 を 化学酸化分解工法により、油分 0.3%以下に低減する。 ③C重 油 を0.3%含 有 する土 壌 をバイオ分 解 工 法により、油 臭・ 油膜なしに浄化する。 ④現 行 法 の油 臭 ・油 膜 の有 無 判 定 と90%以 上 合 致 する油 臭 ・ 油膜の定量法を開発する。 製 油 所 、油 槽 所 等 の敷 地 内 等 での高 濃 度 ・重 質 油 含 有 土 壌 の油 分 除 去 効 果 が高 い原 位 置 浄 化 技 術 を開 発 すること により、環 境 負 荷 が少 なく、稼 動 中 の施 設 にも対 応 可 能 とす る。 <テーマ名称> ① 浄 化 目 標 と し て 油 分 1,000 バイオサーファクタントを使 mg/kg 及 び油 膜 ・油 臭 なしとす 用 し た 土 壌 浄 化 技 術 の 開 る。 発(R6.1.7) ②油 膜 ・油 臭 処 理 期 間 の短 縮 等 <開発内容> で、浄化期間を従来法の 2/3 に バイオサーファクタントを活 短縮させる。 用 して、今 まで適 用 が難 し かったC重 油 等 の重 質 油 汚 染 土 壌 に対 してバイオレメ ディエーション工 法 による浄 化する技術を開発する。 バイオサーファクタントの活 用 したバイオレメディエーション工 法 により油 汚 染 土 壌 を浄 化 す る技 術 を開 発 することにより、 重質油の浄 化を可能とするとと もに油 膜 ・油 臭 処 理 期 間 の短 縮 等 で、浄 化 期 間 を短 縮 させ 浄化コストの削減を図る。 18 3.成果、目標の達成度 3-1 成果 3‐1‐1 全体成果 本技術開発は平成15年度∼平成19年度までの5年間実施し、終了に当たり事後評価を 行うものである。各テーマとも基盤技術を確立し、最終目標を達成した。 ①環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発 (CO2 削減) 石油精製プロセスにおける熱利用高度化、運転最適化、設備管理における技術開発 を行い、製油所における省エネ効果及び CO2 排出抑制を図り、我が国における他の製 油所へも波及する効果を含めて、国内製油所総 CO2 排出量約 4,383 万 ton-CO2/年 (2001 年度)の約5%(200 万 ton-CO2/年)の削減を可能とする技術の開発となった。 ②廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 製油所における精製廃棄物・排出物削減、汚染土壌処理における技術開発を行い、 製油所における廃棄物発生の抑制及び汚染物質の効率的な処理を図り、我が国におけ る他の製油所へも波及する効果を含めて、最終処分廃棄物量として国内製油所総廃棄 量約2.5万ton/年の約30%(1.0万ton/年)の削減を可能とする技術の開発となった。 3‐1‐2 個別要素技術成果 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 1)熱利用の高度化技術の開発(R1) ①低位熱回収システムの開発(R1.1.1) 当 該 事 例 は、流 動 接 触 分 解 装 置(FCC)の反 応 塔 下 流 主 分 留 塔 塔 頂 部 での従 来 は回 収が困難であった低位廃熱を、高圧・低圧2種の蒸発器を有した2段ランキンシステムを採 用した発電システムを用いて回収したものである。(図3−1参照) 低 位 熱 回 収 シ ス テ ム 概 略 フ ロ ー 図 P IC 既 設 設 備 高 圧 タ ー ビ ン 高 圧 蒸 発 器 L IC P IC 低 圧 蒸 発 器 低 圧 タ ー ビ ン L IC F IC 海 水 主分留塔 凝 縮 器 海 水 既 設 チ ラ ー 水 F IC 主 分 留 塔 塔 頂 受 槽 ホ ゚ン フ ゚ 受 槽 ホ ゚ン フ ゚ 既 設 図3−1 低位熱回収システム概略フロー図 19 蒸 発 器 および発 電 システムを組 み合 わせた熱 回 収 システム化 の検 討 、設 計 を経 て、実 装置に実証システムを設置(図3−2)し、性能評価を実施した。 高圧蒸発器 タービン 低圧蒸発器 図3−2 実証装置設置状況 その結果、主分留塔塔頂熱量の回収率目標65%、回収熱量に対する発電効率目標4. 5%を達成した。省エネルギー効果としては、発電可能量は 1,200kw/h、CO2排出削減量 は、6,670 トン/年。 ②高性能熱交換設備の導入による蒸留塔の熱回収システムの開発(R1.1.2) 当該 事例は、流動接触 分解 装置(FCC)の反 応塔 下流 主 分留 塔塔 底 部の高 粘度 かつ 触 媒 粉を含 む系にて、高 性 能 熱 交 換 設 備(ヘリカル熱 交 換 器)を導 入し、熱 回 収 システム を開発したものである。(図3−3参照) 高性能熱交換器の 適用研究 ①スラリー系 ②分解軽油系 塔頂除熱量 の削減 チャージ (VHHGO+DSRC) 熱回収システムの開発 FG LCO P6 主 HCO 分 P4 留 削減 量の 却 冷 製品 CLO 塔 停止 炉の 熱 油加 原料 ボイラ給水 From 反応塔 200#ST’M To反応塔 To COボイラー 図3−3 研究開発全体概要図 20 事 前 に、シュミレーション解 析 等 で高 性 能 熱 交 換 器 は従 来 型 熱 交 換 器 に比 較 して低 差 圧でスラリー堆積防止効果が期待でき伝熱性能も良いことを確認したうえで(図3−4)、実 装置に実証装置を設置し、運転性能解析及び評価を行った。その結果、高性能熱交換器 はほぼ計画通りの性能を発揮し、スラリー堆積による汚れは見られなかった。 また、高 性 能熱 交 換器 を含む熱 回 収システム全体 も、計 画通り原料 加熱 炉を停 止する ことができ、4,300 FOEKL/年の燃料削減およびCO2 削減 11.4 千トンを達成した。 (a)従来型熱交換器(バッフル数 4 枚) (b)ヘリカル熱交換器(バッフル数 11 枚) 図3−4 従来型熱交換器とヘリカル熱交換器の胴内線速解析結果 2)精製プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) ①水素製造装置への超高次脱硫触媒を適用した技術の開発(R2.1.2) 水 素 製 造 装 置に超 高 次 脱 硫 触 媒・メタン化 促 進 触 媒の導 入による実 証 運 転を継 続し、 その性 能 評 価 を行 うとともに、改 質 炉 出 口 温 度 上 昇 対 策 として改 質 炉 チューブを交 換 し、 スチーム・カーボン比(S/C)低減運転時に生じる脱炭酸系熱不足対策として低圧スチーム リボイラーを設置した(図3−5)。 S/C 低減目標を「現状−0.9」としたシビア運転条件での性能確認を行った。その結果、 エネルギー削減目標値 10%に対し、合計 10.1%のエネルギー削減を達成した。 低 減 (S/C低 減 ) スチーム 加熱炉 改質装置 前処理 CO変性 高温 メタン化促進触媒導入 低温 反応温度上昇 原料ガス 超高 次 脱 硫触 媒へ の 変 更 触媒管材質変更 燃料 ガ ス 削減 脱炭酸 炭酸ガス 水素 メタネ ー ター 脱炭 酸 系 熱交 換器 追 加 図3−5 水素製造装置における超高次脱硫触媒・メタン化促進触媒の導入 21 ②省エネ型脱硫接触分解触媒の実用化研究(R2.2.1) 触媒担体の細孔分布制御技術および触媒細孔への金属担持技術を駆使し、脱硫機能 を有するFCC触媒の試作および性能評価を実施した(図3−6)。 その結果、実験室規模で従来触媒と比較しFCCガソリン収率が高く、コーク収率が低い といった性能を有し、最終目標とする脱硫 率 25%以上 を達成する触媒を開発した。また開 発触媒の耐メタル性、耐再生性、耐摩耗性といった実用性能を評価し、従来触媒と比較し 問題ないことを確認した。 アルミナ (大細孔 ) (大細孔) アルミナ (中細孔) 脱硫重油 H+ S H + H+ M M ゼオライト (小細孔) H2S C−C−C−C S S M : 水素化能を持つ金属担持 : 強酸のアルミナ 図3−6 開発触媒の細孔構造概念図 ③低水素消費型ガソリン脱硫技術開発(R2.2.2) オクタン価 低下・水素 消費を抑えた選択 脱 硫 20,000BPDスケールの実 証化 装 置(図3 −7)を建設し長期実証化運転を実施した。高選択性脱硫触媒の開発、2段脱硫 プロセス の開発を行い、2 年間の運転を継続するとともに、①「硫黄分 10ppm 以下のFCCガソリンを 製造」②「オクタン価の低下が 2.5 以下」をともに達成することができた。またオクタン価補償 のための高オクタン価基材製造プロセス(C4 二量化、C4 脱水素環化)を開発し、2段脱硫 プロセスと高オクタン価 基 材 製 造 プロセスを組 み合わすことでオクタン価ロスの少 ない、硫 黄分 10ppm 以下のガソリン製造の可能性があることを検証した。 図3−7 低水素消費型ガソリン製造技術実証化設備 22 3)製油所総合監視自動化システム技術(R3) ①装置運転無人化を指向した自動化・支援システムの開発(R3.1.1) 未だ完 成 されたシステムとして報 告 がない「非 定 常 運 転 自 動 化 支 援 システム」、「ボード /フィールド連 携 支 援 システム」という通 常 民 間 企 業 単 独ではなかなか開 発 出 来ないシス テムの開発について、経験の浅いボードマン・フィールドマンでも安全確実な作業が実施で きる事をコンセプトとした支援システムの基本機能を開発 /設計を行い、非定常運転自動 化支援システム、ボード/フィールド連携支援システム、異常監視・診断システムを開発し、 テーマ終了時の目標は達成されたと言える。 なお、本 分 野 の技 術 開 発 を進 める中 で開 発 された「防 爆 型 無 線 LANアクセスポイント」 (図3−8)は経済産業省からの強い要望があり、同一施策にある「石油プラント保守・点検 作業支援システムの開発」事業に成果が提供され、有効に活用されている。 図3−8 防爆型無線LANアクセスポイント 4)防食管理技術・効率的検査技術(R4) ①石油精製設備の運転最適化による防食管理技術の開発(R4.1.4) 国 内 外 でニーズの高い水 硫 化 アンモニウム(NH 4 HS)腐 食 が問 題となる機 器を対 象 とし た高感度腐食モニタリングシステムを開発し、流体の腐食性をリアルタイムで監視して運転 管理にフィードバックさせる防食管理手法を構築し、その実用性を実機で検証した(図3− 9)。 図3−9 腐食モニタリングを用いた運転最適化による防食管理モデル 23 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 1)排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) ①磁気分離装置を用いたFCC廃触媒削減技術の開発(R5.1.1) FCC(流動接触分解)触媒は、重金属が堆積し活性が低下するため触媒の一部を連続 的に抜き出し新触媒に交換しているが、抜き出しにあたっては活性が低下していない触媒 も同時に抜き出されてしまう。本技術開発は、密閉型の高勾配磁気分離機を開発し、効率 よく活性が低下した触媒のみ分離し廃触媒量を削減するものである。(図3−10) Fin付き配管 350℃ 既設設備 <100℃ デガッサー 磁気分離機 500℃ Nonmag. Mag 平衡触媒 ホッパー 再生塔 ホッパー Mag触媒. 着磁(Mag) クーラー Air 150℃ Nonmag触媒 非着磁 (Nonmag) 図3−10 計量 ドラム 廃棄 再使用 連続式磁気分離装置フロー 開発にあたり、平衡触媒および分 離触媒の金 属堆積量、磁性、粒径 および活性 を分析 し、磁 気 強 度 を変 化 させることにより磁 気 強 度 と分 離 効 率 の関 係 を明 確 にしたあと、連 続 式磁気分離装置の構造検討、基本設計および詳細設計実施後、実証化装置を建設した。 (図3−11 ) 連続式磁気分離装置全景 図3−11 磁気分離機本体 実証化装置設置状況 24 その結果、目標である30%の廃触媒削減が可能であることを実証できた。これ は、FCC一装置あたり年間500トン以上の触媒削減に相当する。(図3−12) ・金属堆積量一定 3,000ppm ・触媒性能一定 処理量:16.8ton/d 再生塔 磁気分離機 200ton 廃棄 4.2ton/d 4,286ppm 電磁石 触媒廃棄量 6.0 ⇒ 4.2ton/d (30.0%) 年間:630ton 再使用:12.6ton/d 2,572ppm 図3−12 連続式磁気分離装置の効果 ②硫黄の需要創造に向けた高効率改質硫黄固化体製造システム開発(R5.1.3) 改質硫 黄固 化体は、石 油精製 過程 で副生する硫黄に添加 剤を加えた「改質硫黄」をバ インダーとして、鉄 鋼 スラグや石 炭 灰 等 の産 業 副 産 物 ・廃 棄 物 を骨 材 として固 化 するもの で、その用途は河川・海洋および耐酸・耐腐食用土木・建設資材を主とする。(図3−13) 図3−13 改質硫黄固体化の製造スキム 本 研 究 では、効 率 的 な改 質 硫 黄 固 化 体 の最 適 製 造 システムを開 発 するとともに、実 証 試験により、その活用性について検証した。 その結果、改質硫黄固化体製造システムの目標処理時間1バッチ当り10分に対 して、実績4分と目標を大幅に達成し、実用化に向けた量産による採算性向上を検 証した。(図3−14) 25 図3−14 製造能力の確認とシステムの最適化 また、製造した検体の実現場試験を行い(図3−15)、活用性はコンクリートと 同等以上であることを検証した。 図3−15 漂砂制御マット設置 (福岡県芦屋海岸 ) 海洋生物着生性試験( 室蘭市追直漁港 ) ③低エミッション型高度重質油処理技術の開発(R5.2.1) 間脱触媒として、中間目標である基準触媒の1.3倍以上の脱硫活性を有する触 媒を開発し、直脱触媒として基準触媒の1.4倍相当の脱硫活性を有する触媒を開 発した。開発した間脱・直脱触媒及びFCC触媒の実証化研究を実施した。間脱及 び直脱触媒のベンチプラントによる長期寿命評価において、減圧軽油の高度間接脱 硫技術(生成油硫黄分0.1wt%)の開発及び現状1年の間脱触媒寿命を2年まで 延長することで廃触媒を半分に低減可能なこと、また重質残油の高度直接脱硫技術 (生成油硫黄分0.2wt%)の開発により現状半年の直脱触媒寿命を1年まで延 長することで廃触媒を半分に低減可能なことを確認した。 製油所実装置における実証化研究により、ラボと同等の性能を発揮することを確 認した(図3−16、図3−17)。また、FCC実装置を用いた実証化研究から、 目標としたFCCガソリンのオクタン価向上を確認すると共に(図3―18)、高度 前処理した原料油をFCC実装置に供給することにより、再生塔負荷の低減効果、 原料油の分解性向上、並びにガソリン収率の向上効果が得られることを実証した。 26 要求温度(℃) Base+10 Base-10 Base-20 推定値 実測値( analyzer値) 実測値 基準触媒 Base-30 Base Base-10 Base-20 実測値(実証化触媒系) 推定値( 実証化触媒系) 推定値( 基準触媒系) 0 20 40 60 80 100 0 通油日数 (Vol%) オレフィン含有量 オクタン価 + 1.0 + 0.8 + 0.6 + 0.4 + 0.2 Base 50 100 150 通油日数 図3−16 間脱実証化触媒の活性推移 図3−17 直脱実証化触媒の活性推移 目標レベル ⊿RON=0.5 +4.0 +2.0 Base - 2.0 - 4.0 実証化触媒 (Run 1) 基準触媒 実証化触媒 (Run 2) 実証化触媒 (Run 3) 実証化触媒 (Run 4) 図3−18 FCC実証化におけるオクタン価の確認 ④C 重油削減を目指したFCC前処理触媒の高機能化のための技術開発(R5.2.2) 直脱後段触媒へのホウ素添加技術を最適化すること、添加物として新たにシリカ を検討することで、基準触媒に対して最大200ppm程度のさらなる窒素低減が 可能 な 後段 触媒 を 開発 した ( 図3 −1 9)。 これ ら の開 発触 媒 の直 脱処 理 油 は FCC 反応性が改善され、FCCボトム得率が1%以上低減した。一方、前段触媒について は、マクロ孔量及び比表面積を最適化することで、基準触媒よりも脱メタル性能が 向上した前段触媒を開発した(図3−20)。メタル含有化合物の触媒細孔内拡散が 促進され、耐メタル性が改善されていることが使用済み触媒解析及び処理油詳細解 析結果から確認された。開発触媒の組み合わせ最適化を行った後、完成された開発 触媒システムの長期寿命試験(1年間)を実証化作業として開始した。事業終了時 点で運転期間7ヶ月まで進捗しており、最終開発目標(FCC分解残油得率1%以 上低減)が継続して達成されていることを確認した。 500 N in RDS Effluent (TLP) / wtppm 要求温度(℃) Base 400 300 200 100 基準触媒 B a s0e -100 ホウ素及 びシリカ添 加による活性 点の 質的 向上 -200 開 発 触 媒 (ホ ウ 素 添 加 ) -300 -400 開 発 触 媒 (シ リ カ 添 加 ) -500 40 50 60 70 80 90 100 110 120 R e la t iv e a m o u n t o f N O a d s o r b e d / % 図3−19 ホウ素及びシリカ添加後段触媒における活性点の質的向上 及び脱窒素性能の向上 27 200 V+Ni in RDS Effluent / wtppm 1.5 1.0 0.5 試作触媒C 基準触媒 Base 0.0 ←比表面積向上 -0.5 -1.0 試作触媒B -1.5 C−2 -2.0 -2.5 C−4 試作触媒A C−3 -3.0 -3.5 Macro Pore Volume / arb. 図3−20 マクロ孔量及び比表面積の最適化による前段触媒脱メタル性能の向上 2)含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) ①石油含油土壌の高度浄化技術の研究開発(R6.1.2) 軽質炭化水素化合物類の土壌汚染に起因した地下水油汚染の拡散防止技術の開発 を行った。汚染源の地下水流の下流側に設置する浄化壁についての構造、製造条件、 また土壌微生物の活用による浄化効率の向上技術を確立した(図3−21)。 実験室レベルで、要素技術の開 浄化壁 発後、浄化壁実験装置で目標とし た浄化能力を確認し、実証試験用 浄化壁の仕様を決定した。 油 石油関連施設の実現場に設置し 地下水面 浄化された地下水 た実証試験用浄化壁により汚染地 下水の浄化能力を確認し、技術を 確立した。 油汚染 本事業の成果により、地下水を 地下水流れ 経由した石油汚染拡散防止対策に 本技術が実用化できる目途を得た。 不透水層 図3−21 浄化壁による地下水油汚染の拡散防止 28 3-1-3 特許出願状況等 平成15年から19年の5年間における技術開発において、特許出願は137件、 論文、学会発表等の対外発表実績は合計328件に達している。 分野別特許等出願状況を表3−1に示す。また、「製油所操業支援システム(R3)」 で開発された防爆型無線LANアクセスポイントは、すでに実用化の域にあり、同一 施策にある「石油プラント保守・点検作業支援システムの開発」事業に成果を提供し活 用されている。 表3−1 分野別特許等出願状況 分野(グループ) 環境負荷低減 型石油精製プロ セス技術開発 (CO2 削減) 廃棄物削減・再 利用・汚染浄化 技術開発(ゼロエ ミッション) 計 熱利用高度化 (R1) 精製プロセス高 度活用・効率化 (R2) 製油所操業支 援システム(R3) 製油所設備管 理(R4) 排出物削減・高 度リサイクル (R5) 含油土壌高度 浄化(R6) 国 際 標 準 へ の 寄 与 取 得 ラ イ セ ン ス 料 論 文 被 引 用 度 数 計 論 文 発 表 雑 誌 等 投 稿 学 会 等 発 表 特 許 出 願 特 許 権 実 施 件 数 3 1 4 0 0 0 0 - 8 10 11 15 37 0 0 0 - 73 5 5 26 14 4 0 0 - 50 1 2 11 5 2 0 0 - 19 25 87 86 65 1 0 0 - 263 4 2 30 16 0 0 0 - 52 48 108 172 137 7 0 0 - 465 特許出願においては件数のみならず事業戦略に沿って適切に出願されているかと いう観点も重要である。表3−1における137件の特許出願は、いずれも各参加会 社の事業戦略に基づき出願されたもので、無駄なく技術範囲をカバーし将来の事業展 開に不可欠な要素となっている。さらに、海外での事業展開が想定される場合、海外 特許出願を適切に行うことも重要である。上記137件のうち優先権を主張して海外 に出願された特許は13件となり、その海外出願に関しては我が国のみならずアジア 地区での事業展開も視野に入れた事業戦略の上で出願されたものであり、独自技術の 権利化に向けた取り組みとなっている。 また特許出願以外では、論文発表は48件、学会等発表は172件、雑誌等投稿(新 聞掲載含む)は108件を実施している。学会発表、雑誌掲載は将来の事業化の布石 29 として活用しており、技術開発実施企業の実用化への意気込みを示すものである。ま た新聞掲載は硫黄固化体、低水素消費型脱硫プロセスといった既に実証レベルに近い 開発案件が取材を受ける形で公表された内容が多く、技術開発の注目度および社会か らの要請が高いことを意味している。 30 3-2 目標の達成度 開発期間に発生した課題について柔軟に対応することにより技術基盤を確立し、実 証化検討を進めた結果、当該事業の目標を達成し実用化の目途を確認した。 以下に具体的な技術開発案件の達成状況を示す。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 表3−2に環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発分野のテーマ毎の目標・指標、成果、 及び達成度を示した。 表3−2 分野別テーマと成果、目標の達成度(CO2削減) 分野 要素技術 目標・指標 ○ :達 成 △:一 部 未 達 成 成果 熱 利 低 位 熱 回 低 位 熱 回 収 システムを既 設 流 動 接 用 高 収 シ ス テ ム 触 分 解 (FCC)装 置 に適 用 することに 度化 の開発 よ り 、 効 率 的 な エ ネ ル ギ ー回 収 を 行 (R1) (R1.1.1) う。 ①主 分 留 塔 塔 頂 熱 量 の回 収 率 :6 5.0% ② 回 収 熱 量 に 対 する 発 電 効 率 : 4 . 5% 実 証 装 置 の設 置 を行 い、実 証 化 運 転 により、 低 位 熱 回 収 設 備 の性 能 評 価 、動 力 回 収 設 備 の性 能 評 価 を実 施 した。 ①主分留塔塔頂熱量の回収率は7 2.4%であり、目標達成 ②回 収 熱 量 に対 する発 電 効 率 は6. 7%であり、目標達成 高性能熱 交換設備 の導 入 によ る蒸留 塔の 熱 回 収 シス テムの開発 (R1.1.2) 精 製 プロセ ス 高 度 活 用 、効 率化 (R2) 既設 FCC 装置における制約を回避 ① 高 性 能 ヘ リ カ ル 熱 交 換 器 を 導 入 し し 、 効 率 的 な 廃 熱 回 収 に よ り 、 原 料 た。実 装 置 に設 置 した実 証 試 験 を行 油加熱炉を停止可能とする。 い、スラリー堆積の汚れもなく計画 通 ①高性能熱交換器の適合化 りの性能を発揮している。 ② 熱 交 換 設 備 の 最 適 配 列 に よ る 熱 ②熱 交 換 システムも計 画 通 り機 能 し、 回収システムの開発 所 定 の加 熱 炉 停 止 ができ、目 標 とす る熱 回 収 能 力 以 上 の成 果 を達 成 し た。 高 効 率 水 ① 現 状 水 素 発 生 量 に て 、 単 位 発 生 ①既 存 水 素 製 造 装 置 に予 備 改 質 器 、 素 発 生 シス 水 素 当 た り の 燃 料 油 消 費 量 を 1 改 質 器 用 加 熱 炉 、改 質 炉 廃 熱 回 収 テムの開発 0%削減 設備等の実証設備を導入し、各工程 (R2.1.1) ② 単 位 当 た り 燃 料 消 費 量 一 定 の 条 の最 適 化によるスチーム・カーボン比 (S/C)比 の低 減 、廃 熱 回 収 の効 率 件で、水素発生量を12%増加 化 を図 り、燃 料 消 費 量 は従 来 技 術 に 対して10%以上 削減 可 能なことを検 証した。 ②水素発生量の増加目標12%に対し ては、4%増加の確認にとどまった。 この原 因 は、予 備 改 質 器 および既 存 改 質 器 の改 質 工 程 までは期 待 通 り の性 能 発 揮 を確 認 したが、水 素 製 造 装 置 の最 終 工 程 である既 存 水 素 回 収 設 備 (PSA)で水 素 回 収 の能 力 低 下 が判 明 し、発 生 した水 素 回 収 が充 分 出 来 ず、装 置 全 体 としては目 標 未 達となった。 今 後 、本 装 置 の定 期 補 修 時 等 に てPSAの性 能 回 復 操 作 を行 い、目 標達成を目指す。 水素製造 装 置 への 超高次脱 硫触媒を適 用 し た技 術 の開発 (R2.1.2) 超 高 次 脱 硫 触 媒 を適 用 して、低 S /C運 転 により10%のエネルギー削 減を達成する。 ①改 質 触 媒 活 性 劣 化 抑 制 ・低 S/C 運転による燃料消費量の削減: 6% ②低 S/C運 転 による蒸 気 使 用 量 の 削減(燃料換算):4% 31 水 素 製 造 装 置 に超 高 次 脱 硫 触 媒 と メタン化 促 進 触 媒 を導 入 し、S/C低 減目標を「現状−0.9」としたシビア運 転下で性能確認を行った結果、エネル ギー削 減 は10.1%であり、合 計 で目 標を達成した。 なお、①燃 料 消 費 量 削 減 は5.1%、 ②蒸 気 使 用 量 削 減 は5.0%であっ た。 達成 度 ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ 高 性 能 膜 ①膜分 離 技 術:水 素濃 度60%以 と 改 質 技 術 上、回収率80%以上 を 組 み 合 わ ② P S A ( pressure swing adsorption) 技 せた製 油 所 術 : 水 素 濃 度 9 9 .5 % 以 上 、 回 収 副 生 ガ ス の 率75%以上 有 効 利用 に 関 する 研 究 開発 (R2.1.3) 高性能膜分離技術、改質技術および PSA水 素 高 純 度 化 技 術 を組 み合 わ せることによる製 油 所 副 生 ガスを原 料 として有効活用し、既存技術よりも CO2 排出量削減可能な水素製造シス テムを構築した 。 ①膜 分 離 技 術 は水 素 濃 度 99.5%以 上、回収率80%であり、目標達成 ②PSA技術は、水素濃度99.9 9%、回 収 率 88%以 上 であり、目 標達成 省 燃 費 型 ① 粘 度 指 数 (VI)140 以 上 、 硫 黄 分 ① 硫 化 物 触 媒 の 担 体 の 第 三 成 分 を 自 動 車 用 1ppm 以 下 の潤 滑 油 基 油 を、現 行 検討した結果、20%以上の GrⅠ 潤 滑 油 生 比1/2以下のエネルギーで製造す 基 油 を 含 む 低 品 質 ワ ッ ク ス を 原 料 産 に 向 け た るプロセスの開発 としても、VI140 以上、硫黄分 1 ppm 次 世 代 鉱 ②開 発 された基 油 を使 用 し、燃 費 を 以 下 の 高 性 能 潤 滑 油 基 油 を 収 率 油 系 基 油 5%向上させる潤滑油の開発 51%で得られ、目標の製造プロセス 製 造 プ ロ セ ③オイル交換距離を1.2倍延長する 開発を達成した。 スの研 究 開 エンジン油の開発、VI 安定性を1. ②開発した基油を使用し、かつ添加 発 2倍 とする緩 衝 器 油 の開 発 、電 力 剤 を 最 適 化 し た エ ン ジ ン 油 を 使 用 (R2.1.4) 消費を1%削減する作動油の開発 し EC モードで省燃費性を測定した 結果2.83%(5W30 対比)を得 た。ATF でも2.43% (従来 ATF 対比)の向上を得、合計5.26% と、目標を達成した。 ③開発基油を使用し、添加剤を最適 化したエンジン油の寿命が、従来 GrⅢ エ ン ジ ン 油 よ り 1 . 2 倍 以 上 であり、目標を達成した。 また、実機耐久試験にて、開発し た高性能 SAF の粘度安定性を評価 した結果、VI 安定性は1.2倍以 上であることを実証した。 さらに、ATF の作動油への応用拡 大を検討し、省エネルギー評価装 置にて本開発作動油の1%以上の 電力消費量削減効果を確認し、目 標を達成した。 省 エ ネ 型 ①前 処 理 水 素 化 装 置 及 び接 触 分 解 脱 硫 接 触 装置の組合せにおいて、前処理水 分 解 触 媒 素 化 装 置 の水 素 使 用 量 の低 減 : 5%以上 の 実 用 化 研究 ②接触分解触媒の FCC ガソリン脱硫 (R2.2.1) 率:25%以上 触 媒 担 体 の細 孔 分 布 制 御 技 術 およ び触 媒 細 孔 への金 属 担 持 技 術 を駆 使 し、脱硫機能を有する FCC 触媒を製造 し、従来触媒と比較し FCC ガソリン収 率 が高 く、コーク収 率 が低 い性 能 を確 認した。 また、開 発 触 媒 の耐 メタル性 、耐 再 生性、耐摩 耗性といった実用性能を評 価 し、従 来 触 媒 と比 較 し問 題 ないこと を確認した。 ①水 素 使 用 量 は 5% 以 上 低 減 し 、 目 標達成 ②脱硫率は25%以上で、目標達成 低 水 素 消 ① 硫 黄 分 5 0 ppm 、 リ サ ー チ オ ク タ ン ① 高 選 択 性 脱 硫 触 媒 と 2 段 脱 硫 プ ロ 価(RON)90の FCC ガソリンを選 セスの開 発 を行 い、2万 BPDスケー 費 型ガソリ 択 的 に 水 素 化 脱 硫 処 理 し 、 硫 黄 ルの実証化装置の2年間運転により ン 脱 硫 技 分 10ppm 以 下 、RON87.5以 上 検 証 した結 果 、硫 黄 分 が10ppm 以 術の開発 のガソリンを製造する。 下 、オクタン価が RON87.5以 上の (R2.2.2) ②FCC-C4 留 分 を利 用 した高 オクタ FCC ガソリンを製造し、目標を達成し ン価 基 材 製 造 プロセスを 開 発 し、 た。 選 択 脱 硫 技 術 とのパッケージとし ②高 オクタン価 基 材 製 造 プロセス(C4 て、オクタン価低下ゼロで硫黄分1 二量化、C4 脱水素環化)を開発し、 0ppm 以下のガソリンを製造する。 2段 脱 硫 プロセスと高 オクタン価 基 材 製 造 プロセスを組 み合 わせること により、オクタン価 低 下 がゼロ、硫 黄 分 が10ppm 以 下 のガソリン製 造 を 検証し、目標を達成した。 32 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ LCO 有効 利 用のため の省 エネル ギー型 精 製 技 術 の 開発 (R2.2.3) 製 油 所 総 合 監 視 自 動 化 システ ム (R3) 第1段+第2段リアクターシステムで 最 適 運 転 条 件 での寿 命 安 定 性 につい ての評価を実施した。 セタン指 数 は40∼42(230∼360℃ の軽油留分としては48)、硫黄濃度は 10ppm 以下、窒素濃度は1ppm 以下 であり、触 媒 寿 命 は2∼3年 見 込 みと なり目標を達成した。 ○ 装 置 運 転 ①運 転 ノウハウのシステム化 により、経 ① オ ヘ ゚ レ ー タ ー ノ ウ ハ ウ の 抽 出 ロ シ ゙ ッ ク の 構 無人化を指 験 の浅 い運 転 員 でも安 全 確 実 な作 築 、原 油 種 切 替 時 の類 似 条 件 検 索 向 し た自 動 業 が可 能 な支 援 システムを実 現 す システムを開 発し、非 定 常 運 転 自 動 化 ・ 支 援 シ る。 化 支 援 システム開 発 の目 標 を達 成 ス テ ム の 開 ②ボード/フィールド双 方 向 の連 携 業 務 した。 発(R3.1.1) をシステム化 すること により、現 場 ② 危 険 物 エリアで 使 用 可 能 な 防 爆 型 無線 LAN を開発し、通信基盤を確 型(ユビキタス)ボードマンが可能な支援 立 した。また携 帯 端 末 による計 器 室 システムを実現する。 からの情 報 表 示システム、ICタグによる ③音 及 び熱 画 像 を測 定 ・分 析 して、 計 器 ・機 器 識 別 機 能 を構 築 し、ボー 人 間 では把 握 できないレベルでの早 ド/フィールド連 携 支援 システム開 発の 期 異 常 発 見 システムを実 現 、及 び 目標を達成した。 現 場 でフィールドマンが画 像 による遠 隔 確 認 できるモバイル端 末 を実 現 す ③ランダムノイズ解 析 による漏 洩 異 常 検 知 の基 本 機 能 を確 立 。また画 像 処 る。 理 については画 像 位 置 変 換 機 能 の 設 計 を終 え、異 常 監 視 ・診 断 支 援 シ ステム開発の目標を達成した。 ○ 製油所装 置異常診 断自動化 による安 全 対策技術 開発(Ⅰ) (R3.1.3) ① 製 油 所 内 で 防 爆 仕 様 を 満 足 す る ①画像センサ及び音響 センサを搭載し 監視装置を開発する。 た耐 圧 防 爆 構 造 の監 視 装 置 を開 発 ② プ ラ ン ト 内 で 想 定 さ れ る 異 常 を 検 し、画 像 ・音 ・制 御 信 号 を 無 線 伝 送 知できる画像処理を開発する。 する装 置 についても防 爆 構 造 とし、 ③音 響 データを解 析 し、漏 洩 場 所 を 目標を達成した。 特定する技術を開発する。 ②油やガス漏洩による白煙発生、異常 ④ 移 動 監 視 装 置 と 固 定 監 視 装 置 を 加 熱 や音 調 不 良 による示 温 材 の変 組 み 合 せ た 協 調 監 視 技 術 を 開 発 化 を画 像 処 理 により検 知 するロジッ する。 クを開発し、目標を達成した。 ③模 擬 ガス漏 洩 実 験 を実 施 し、漏 洩 場 所 との 距 離 を 変 えた 音 の 周 波 数 スペクトルを解 析 することにより漏 洩 場所を特 定 する技 術を開発し、目 標 を達成した。 ④模 擬 異 常 ではあるが、固 定 監 視 が 異常を検知した場合に、移動監視モ ードを変更して白煙検知 する協調 監 視技術を開発し、目標を達成した。 ○ 音響データ収集技術、連続収集デー 様 々 な 運 転 条 件 下 に お い て 連 続 的 タ 解 析 技 術 及 び異 常 信 号 評 価 技 術 にデータ収 集 を行 い、ピーク値 及 び平 を開 発 し、音 響 モニタリングシステム 均 値 と変 動 幅 のトレンドデータ監 視 を 全体の実用化評価を行う。 実施した。 実 用 化 評 価 のために対 象 往 復 動 圧 縮 機 の開 放 点 検 した際 に、ごく軽 微 な 異 常 が確 認 されたシリンダバルブにつ いて、圧 力 や温 度 などの運 転 トレン ド データからは特 に異 常 が見 られない が、音 響 特 性 より正 常 /異 常 の状 態 の 差 が解 析 により可 能 となり目 標 を達 成 した。 今 後 の異 常 検 知 精 度 を高 める技 術 と し て 、 よ り 適 切 な バ ン ド パ ス フィ ル タ 設 計 と運 用 におけるデータ蓄 積 、様 々 な破 損 モードとの対 応 が必 要 であると いう課題が明確となった。 ○ 音響モニタ リングシス テムによる 往復動圧 縮 機 の連 続状態監 視 システム 開発 (R3.1.4) ライトサイクルオイル(LCO)高 度 精 製反 応 における水 素 対 油比を低 減し た水 素 化 処 理 により、セタン指 数 40 以 上 、硫 黄 濃 度 10ppm 以 下 、窒 素 濃度10ppm 以下の生成油を製造す る。さらに、使用する貴金属触媒の寿 命を1年以上とする。 33 ○ ○ ○ ○ ○ 製 油 所 設 備 管 理 (R4) 機 器 及 び ①ガイド波 透 過 検 査 法 による超 音 波 ① 励 起 波 形 の 最 適 化 、 探 傷 用 ス キ ャ ○ ナーの開 発 、ガイド波 伝 播 速 度 の自 配 管 設 備 探傷装置を開発する。 の 腐 食 検 ②ガイド波 透 過 検 査 法 による肉 厚 測 動 測 定 手 法 、ノイズの影 響 を低 減 す べく時 間 加 算 平 均 化 処 理 ・べき乗 探 査 技 術 の 定手法を確立する。 開発 ③測 定 誤 差 は±10%以 内 とする。 触 子 移 動 加 算 平 均 化 処 理 を行 う解 析ソフト等を開発し、超音 波探傷シス (R4.1.2) (元厚 10mm 程度の配管で±1mm) ④測 定 範 囲 は配 管 20m、機 器 10m テムを構築し、目標を達成した。 ②局 部 腐 食 減 肉 に対 するガイド波 の ○ とする。 伝 播 特 性 挙 動 を解 析 し、局 部 腐 食 で 発 生 する微 弱 な高 次 モード波 の音 速 を測 定 するために必 要 な解 析 ソフト (データ平 均 化 処 理 )の開 発 を行 い、 微 弱 な信 号 を検 出 可 能 とし、目 標 を 達成した。 ③全 面 腐 食 で厚 みが 減 肉 するケ ース ○ は、板 厚 の±10%以 内 の測 定 精 度 を検証し、目標を達成した。 ④保 温 配 管 及 び保 温 機 器 等 に関 する △ 検 証 試 験 の結 果 、探 傷 範 囲 は保 温 機 器 のケースが目 標 の10mを達 成 できた もの の 、 保 温 配 管 のケ ース は 約10mが限界であると分かった。 これは、測 定 環 境 における外 部 ノ イズ強 度 に よって、その 測 定 範 囲 は 限 定 されるためである。また、防 油 堤 貫通部等の防食テープ施工した配管 はガイド波 の減 衰 が著 しく、約 1mが 限界である。 コーティング ①施 工 材 料 の防 食 機 能 が4年 以 上 ① 代 表 的 な 製 油 所 設 備 の 各 種 腐 食 ○ 材 料 を 用 い 保 持 するコーティング技 術 を開 発 す 環 境 を調 査 選 定 し、選 定 したコーテ た防 食 技 術 る。 ィング材 料 を施 工 した。コーティング ②コーティング材 料 の劣 化 評 価 装 置 の開発 材料の防食機能は母材肉厚の測定 を開発する。 (R4.1.3) や腐 食 環 境 に挿 入 した試 験 片 を評 ③防食システムを開発する。 価 し、 コーテ ィング 材 料 に は異 常 の 腐 食 環 境 推 定 技 術 、施 工 技 術 、塗 ないことを確認し、目標を達成した。 膜 評 価 技 術 、及 び塗 膜 余 寿 命 予 測 ②各 種 腐 食 環 境 下 における腐 食 試 験 ○ 技 術 を統 合 した防 食 管 理 技 術 の確 片 によりコーティング材 料 の腐 食 劣 立 化 機 構 を解 明 し、劣 化 評 価 装 置 の 物 理 的 測 定 値 と界 面 腐 食 量 の相 関 関係に関する評価手法を開発し、目 標を達成した。 ③シミュレーション技 術 による腐 食 環 △ 境 の推 定 技 術 を構 築 し、有 機 系 ・無 機系コーティング材料の施工技 術ま で確立した。 防 食 システム確 立 まで手 が届くとこ ろまで開発が進んだため、一般研究 で継 続 研 究 した結 果 、システムを確 立し事業化を実施した。 石 油 精 製 ①湿 潤 水 硫 化 アンモニウム腐 食 の感 ①10μm/y の感度を有する電気抵抗 ○ 設 備 の 運 度 として、10μm/y の感 度 を設 定 法 式 腐 食 モ ニ タ リ ン グ プ ロ ー ブ の 適 転 最 適化 に し、 この 感 度 を4 年 間 維 持 で き るプ 用 性 を廃 水 処 理 施 設 で検 証 し、水 硫 よ る 防 食 管 ローブ技術を開発する。 化 アンモニウム腐 食 の高 感 度 モニタ 理 技 術 の ②精 度 よく 湿 潤 水 硫 化 アンモニ ウム リング技 術 を開 発 した。また、電 気 化 開発 環 境の腐食 性を推 定するシミュレー 学 式 腐 食 モニタリング法 の適 用 性 も (R4.1.4) ション技 術 を開 発 し、シミュレーショ 確認し、目標を達成した。 ン解 析 結 果 をラボ腐 食 試 験 結 果 と ②湿 潤 水 硫 化 アンモニウム環 境 の腐 ○ 比較検証する。 食 性 を推 定 するシミュレーション技 術 ③ 構 築 さ れ た 高 感 度 腐 食 モ ニ タ リ ン を開 発 し、現 場 設 備 で最 も腐 食 性 が グ シ ス テ ム に よ る 防 食 管 理 手 法 の 高 いと 予 想 される 部 位 を推 定 でき る 実用性を実機で検証する。 モニタリ ン グ 部 位 選 定 手 法 を 構 築 し 目標を達成した。 ③運 転 改 善 による防 食 管 理 モデルを ○ 構 築 し、 電 気 抵 抗 法 腐 食 モニタリン グの現 場 適 用 性 を確 認 し、目 標 を達 成した。 34 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 表3−3に廃棄物 削減 ・再利用・汚染浄化 技術 開発分 野のテーマ毎の目標・指標、成果、 及び達成度を示した。 表3−3 分野別テーマと成果、目標の達成度(ゼロエミッション) 分野 排 出 物 削 減・高 度 リサ イクル 利 用 (R5) 要素技術 目標・指標 ○ :達 成 △:一 部 未 達 成 成果 磁 気 分 離 ①既 設 流 動 接 触 分 解 (FCC) 装 置 に ①FCC 触媒を乾燥状態で分離する世 装 置 を 用 い 設 置 した実 証 化 装 置 により有 効 性 界初の高勾配磁気分離機を開発 た FCC 廃 を確認する。 し、FCC 実装置に実証化装置を取 触 媒 削 減 ②FCC における触 媒 廃 棄 量 を30% り付けて有効性を確認し、目標を達 技 術 の 開 削減する。 成した。 発 ②FCC 実装置に設置した実証化装置 (R5.1.1) により、触媒廃棄量を30%削減し、 目標を達成した。 達成 度 ○ ○ 製 油 所 汚 ①高い汚泥削減率のときの排水性状 ①製 油 所 の廃 水 処 理 設 備 に付 設 した 泥 の 高 削 へ の 影 響 を 抑 制 し つ つ 、 安 定 的 に 実 証 試 験 装 置 において 長 期 汚 泥 削 減 技 術 の 余 剰 汚 泥 削 減 率 90%以 上 を可 能 減運転を実施し、高生分解性可溶化 開発 にする高 汚 泥 削 減 シス テムを 開 発 により90%以 上 の高 汚 泥 削 減 率 の (R5.1.2) 運 転 時 においても、排 水 (処 理 水 )性 する。 ②汚 泥 可 溶 化 剤 量 の10%分 に廃 ソ 状 、汚 泥 性 状 に変 化 が無 いことを検 ーダを用 いることができる技 術 を開 証し、目的を達成した。 また、可溶 化 率向 上 効果 のある添 発する。 加 剤 を見 出 し、実 証 試 験 装 置で効 果 を確認できた。 ②汚泥可溶化薬剤の10%分に高 COD 廃 ソーダを利 用 可 能 であること を実験室規模の活性汚泥試験により 検証し、目標を達成した。 ○ 硫 黄 の 需 ①10分 以 内 / バッチとなる高 効 率 で 要創造に向 安 価 な改 質 硫 黄 固 化 体 を製 造 する けた高 効 率 システムの設計・建設を行う。 改 質 硫 黄 ②製 品 の土 木 ・建 築 用 資 材 としての 固 化 体 製 活用性を確立する。 造システム の 研 究 開 発 (R5.1.3) 高 効 率 化 な改 質 硫 黄 固 化 体 製 造 シ ステムの実 証 試 験 と、製 造 された検 体 の現 場 実 験 により、コンクリートと同 等 以上の性能が確認された。 ①効 率 的 改 質 硫 黄 固 化 体 製 造 システ ムの実運転により、4 分以内/バッチ (サイクル)とし、目標を達成した。 ②約 1トン/個 規 模 の検 体 を海 中 下 で の性 能 確 認 を開 始 し、良 好 な生 物 着 生 性 の確 認 と自 然 環 境 (海 中 、水 中 等 )及 び酸 性 雰 囲 気 で高 い安 定 性 を 示すことを確認し、目標を達成した。 ○ 廃 触 媒 ミ ①再 生 後 の触 媒 強 度 を触 媒 再 充 填 ①再 生 時 の触 媒 強 度 低 下 抑 制 に有 望 ニ マ ム 化 技 基 準 (強 度 低 下 抑 制 10%以 上 )に な第 三 成 分 の探 索 を行 い、アルカリ 術の開発 適合させる。 土 類 金 属 を添 加 することで、触 媒 強 (R5.1.4) ②再 生 後 の 活 性 を新 触 媒 に対 し8 度 低 下 抑 制 を10% 以 上 とし、目 標 0%以上に維持させる。 を達成した。 ②長 期 寿 命 評 価 の結 果 、脱 硫 活 性 の 反 応温 度は、基 準の触 媒システムと 比 較 して同 等 であり、その他 の実 用 性 能 である脱 メタル活 性 、脱 窒 素 活 性 、脱 残 炭 活 性 、水 素 化 能 等 の機 能 や安 定 性 についてもすべて基 準 の触 媒 システムと比 較 して同 等 であ ることを確認した。 更に、1 年間相当のメタルを蓄積さ せた開 発 触 媒 を再 生 し、新 触 媒 と脱 硫 活 性 を比 較 した結 果 、再 生 触 媒 は目 標 の80%以 上 の性 能 を有 して おり、2年 目 も充 分 使 用 できることが 確認でき、目標を達成した。 ○ 35 ○ ○ ○ 重質油か ら高 品 質 な 灯軽油を製 造 するため のDAO高 度水素化 分解技術 の開発 (R5.1.5) ①重 質 油 の拡 散 に適 したメソ孔 を有 ①ゼオライトを脱アルミニウム処理する ○ こと に より メ ソポア を 開 孔 し、 熱 処 理 していること。 ② 重 質 油 の 分 解 に 適 し た 固 体 酸 性 を加え骨格外 Al の大部分を骨格内 Al に変えることにより35∼500Åの 質を有していること。 ③アモルファス系 触 媒 に比 べ約 2倍 メソおよびマクロ細 孔 が増 加 し、マル の 相 対 分 解 活 性 と 触 媒 寿 命 を 有 テン の 分 解 に 有 効 に 働 くこと が 確 認 し、かつ同 程 度 の中 間 留 分 選 択 性 できた。 また、粒子径の大きい NaY を USY を有していること。 ④分 解 率 70 %以 上 ,中 間 留 分 選 択 化することで 50∼500Åに新たなメソ 性 70%以 上 の条 件 でセタン指 数 6 細孔 が多く生 成することが確認 され、 目標を達成した。 0以上の軽油が得られること。 ⑤未分解油を FCC 原料油として用い ② 上 記 ① に よ り 固 体 酸 性 量 の 増 加 も ○ たとき、高 収 率 で高 品 質 なガソリン 確認され、目標を達成した。 ③開 発 触 媒 の溶 剤 脱 れき油 (DAO)水 ○ が得られること。 素 化 分 解 寿 命 試 験 より2.2倍 の運 転 寿 命 であることが確 認 できた。中 間 留 分 選 択 性 は80%となり、目 標 を 達成した。 ④分 解 率 80%、中 間 留 分 選 択 性 8 ○ 0%、セタン指 数 60の軽 油 が得 ら れ、目標を達成した。 ⑤DAO 分解反応の 375℃ + 未分解油の ○ FCC 原 料 油 としての評 価 を行 い、通 常脱硫 VGO に比べ、分解率,ガソリン 収 率 ,コーク収 率 ,水 素 収 率 に極 めて 優 れていることが明 らかとなり、高 品 質 なガソリンの製 造 が可 能 となり、目 標を達成した。 製 油 所 に 10 万 BPD 規模の製油所で処理し お け る 廃 て い る 廃 油 軽 質 留 分 99,000KL/ 年 油 軽 質 留 の効率的な処理方法を開発する。 分の高度 処理技術 の開発 (R5.1.6) 廃油軽質留分のモデル油を用いて ○ 実装置での処理検討を行った結果、 約 1,000KL のモデル油を問題なく処 理できることを確認した。 この処理量は、10 万 BPD 規模の製 油所を例にすると約 83,000KL の廃 油軽質留分の処理に相当するが、モ デル油を装置原料油へ10%混合 程度であれば、間接脱硫装置での廃 油 軽 質 留 分 99,000KL/年 処 理 は 十 分可能であることが確認され、目標 を達成した。 触 媒 再 生 ① 触 媒 の 詳 細 分 析 技 術 を 確 立 し 、 ①XRD,XPS,TEM 等を用いて触媒に担 ○ 技 術 による 再生方法最適化技術を開発する。 持 さ れ た 金 属 の 価 数 、 凝 集 性 等 を 廃 触 媒 削 ② 1 回 の 触 媒 再 生 に つ き 活 性 低 下 評価できる分析技術を確立した。 減 技 術 の が 5%以 下 で あ る 触 媒 再 生 技 術 を また、再生触媒の分析結果より、 開発する。 研究開発 触媒の性能(再使用の可否)を判 ③開発した触媒再生技術を検証す 定する「再生触媒使用のスクリー (R5.1.7) る。 ニング技術」を開発した。さらに、 その後の「回収工程」、 「使用工程」 における再生触媒の使用比率を高 めるために、再生触媒の性能判定 結果を「再生工程」にフィードバ ックし、再生方法の最適化を可能 とする「触媒再生方法最適化の指 針」を確立し、目標を達成した。 ②留出油脱硫装置で使用された触 ○ 媒について、活性低下の小さい触 媒構造(担持金属 Mo の構造)が発 現するようにラボ再生を行った結 果、活性低下は 1 回目のラボ再生 が 2%、2 回目のラボ再生が 3%とな り、触媒再生につき活性低下が 5% 以下となり、目標を達成した。 ③再生触媒予備硫化・再生技術最適 ○ 化装置により、再生した触媒を予 備硫化した後の活性を評価し、開 発した触媒再生技術を検証した。 36 低 エミ ッ シ ① 重 質 残 油 の 高 度 脱 硫 に よ る 生 成 ョ ン 型 高 度 硫 黄 分 を0.2%及 び触 媒 寿 命 を1 重 質 油 処 年とする。 理 技 術 の ②減 圧 軽 油 の高 度 脱 硫 による生 成 開発 硫 黄 分 を0.1%及 び触 媒 寿 命 を2 (R5.2.1) 年とする。 ③FCC ガソリンのオクタン価を0.5% 向上させる。 開発した間脱、直脱及び FCC 触媒 のベンチプラント及び製油 所実装 置で 実 証 化 研 究 を実 施 し、目 標 達 成 を確 認した。 ①重 質 残 油 の生 成 油 硫 黄 分 0.2%、 現 状 の触 媒 寿 命 を1年 まで延 長 し、 廃触媒を半分に低減 ②減 圧 軽 油 の生 成 油 硫 黄 分 0.1%、 現 状 の触 媒 寿 命 を2年 まで延 長 し、 廃触媒を半分に低減 ③ FCC 実 装 置 に よ る 実 証 化 研 究 か ら、オクタン価の 0.5%向上を確認 ○ ○ ○ さらに、高度前処理した原料油を FCC 実 装置 に供給し、再 生塔 負荷の 低 減 効 果 、原 料 油 の分 解 性 向 上 、並 びにガソリン収率の向上を実証した。 C 重 油 削 ①FCC ボトム得率を残油 FCC(RFCC) ①直 脱 後 段 触 媒 のホウ素 添 加 技 術 の 最 適 化 とシリ カの新 添 加 により窒 素 減 を 目 指 し 原料基準で1%以上低減する。 た FCC 前 ② 基 準 直 脱 原 料 油 メ タ ル 分 よ り も 1 低 減 が 実 現 し 、 FCC ボ ト ム 得 率 が 処 理 触 媒 0%以上多い原料油を処理しても触 1%以上低減し、目標を達成した。 ②マクロ 孔 量 及 び比 表 面 積 を 最 適 化 の 高 機 能 媒寿命が短命化しないこと。 することにより脱 メタル性 能 が向 上 し 化 のための た前 段 触 媒 を開 発し、直 脱 後 段 触 媒 技術開発 との組 合せた長 期寿 命 試 験を実 施し (R5.2.2) た結 果 、触 媒 寿 命 が短 命 化 しないこ とを確認し、目標を達成した。 ○ 新 規 熱 分 ①熱 分 解 工 程 においては、廃 触 媒 を ①新 規 の熱 分 解 ・ガス化 技 術 (超 臨 界 解 法 に よ る 発生させることなく残油の 70%程度 水 中 で の 重 質 油 熱 分 解 ・ ガ ス 化 技 高 度 排 出 を軽 質 な 石 油 製 品 化 原 料 と して回 術 ) により、原 料 の減 圧 残 油 に対 す 物 削 減 型 収できるプロセスを開発する。 る水 素 、燃 料 ガス、LPG 分 、分 解 油 残 油 処 理 ② 分 解 残 渣 分 の ガ ス 化 反 応 工 程 と の製 品 重 量 収 率 で約 79%(炭 素 換 プ ロ セ ス の 併 せ、残 渣 の発 生 量 を処 理 残 油 の 算収率では70%)が有用な生成物と 研究開発 5%以 下 に抑 える処 理 法 を確 立 す して生 成 、回 収 され、目 標 を達 成 し (R5.2.3) た。 る。 ②残渣は1%となる残油処理が可能で あることを確認し、目標を達成した。 ○ 重 質 油 有 ①重 質 油 中 のバナジウム含 有 量 を1 効 利 用 のた ppm 以下とする。 め の ガ ス タ ②改 質 され た燃 料 特 性 評 価 として、 ービン燃 料 安 定 燃 焼 ,NOx,CO発 生 量 を従 化 技 術 の 来燃料並みとする。 研究開発 ③改 質 器 の耐 腐 食 性 を3年 間 無 交 (R5.2.4) 換可能とする。 ④システムの総 合 コスト評 価 により、 機 器 費 回 収 期 間 の目 標 を3年 とす る。 37 ガスタービン実 機 燃 焼 器 一 缶 分 の実 圧 燃 焼 試 験 装 置 に 接 続 した「 水 熱 反 応 利 用 大 型 重 油 改 質 試 験 装 置 」によ り、重 質 油 改 質 技 術 を検 証 し、目 標 達 成を確認した。 ①ガスタービン翼 腐 食 原 因 となるバナ ジウムを,現 行 ガスタービン許 容 値 である 1ppm 以下まで除去でき,要素 試験と同等 の改質性能 が得られるこ とを確認した。 ②ガス燃 料 ,液 体 油 燃 料 をガスタービ ン実 機 と同 規 模 圧 力 で燃 焼 試 験 し、 NOx,CO 排出量を従来ガスタービン 燃 料 油 燃 焼 時 と同 等 以 下 に抑 制 で きることを確認した。 ③従 来 の超 臨 界 水 反 応 装 置 に用 いら れているインコネル材 料 に対 し、コス トが 1/2 以下となる SUS316 材料で 大 型 装 置 を 設 計 するとと もに, 要 素 試験にて耐 腐食 性を詳 細検 討し、重 油 改 質 反 応 器 に 使 用 で きる 可 能 性 を 確 認 し た 。 ま た 減 肉 速 度 か ら 、 10 年 以 上 の使 用 においても問 題 ないこ とを確認した。 ④機 器 仕 様 詳 細 評 価 ,システムの総 合 コスト試 算 および特 性 解 析 を実 施 し、装置 コスト回 収期 間 の目標 3 年 以内が実現可能なことを確認した。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 含 油 土 壌 高 度 浄 化 (R6) 化 学 ・ 微 化 学 処 理 法 と微 生 物 処 理 法 を組 合 生 物 複 合 せ、重 質 油 汚 染 土 壌 の炭 化 水 素 分 型 重 質 油 (5,000ppm)を 3 ヶ月以内に 1,000ppm 汚 染 土 壌 以下まで浄化する。 の浄 化 技 術の開発 (R6.1.1) 実汚染 土壌 による総合 評価として 200kg 処 理 規 模 で化 学 /微 生 物 の連 続 処 理 を実 施 、目 標 である油 分 濃 度 1,000ppm 以 下 までの浄 化 を確 認 し、 目標を達成した。 ○ 石 油 含 有 ①地 下 水 中 の軽 質 炭 化 水 素 類 の濃 ①実 験 室 レベルと実 汚 染 現 場 での実 土 壌 の 高 度を90%以下に浄化 証 試 験用 浄 化 壁により、軽 質 炭化 水 度 浄 化 技 ②設置費用:4.5∼5.0万円/㎡ 素 類 を90%以 上 浄 化 できる技 術 を 術 の 研 究 確立し、目標を達成した。 開発 ②経 済 性 評 価 により、500㎡以 上 の (R6.1.2) 規 模 において浄 化 壁 の建 設 ・維 持 管 理 コストは4.5∼5.0万 円 /㎡以 下 となることを確 認 し、目 標 を達 成 し た。 製 油 所 、 ①油分含有濃度を 500mg/kg 以上の ポータブルモニターにより土 壌 ガスを 油 槽 所 にお 精 度で検 出 可 能な土 壌 汚 染把 握シ 測 定 し 、 デ ー タ を 現 場 に て パ ソ コ ン 処 理 することにより、場 所 の制 約 を極 力 ける土 壌 汚 ステムを確立する。 染 状 況 把 ②本 評 価 技 術 とボーリング調 査 等 を 回 避 し、短 時 間 で測 定 可 能 なシステム 握 技 術 の 組 み 合 わ せ 、 従 来 評 価 法 に 比 較 を開発した。 開発 し、コストと調査期間を 1/2 にする。 ①実 汚 染 現 場 で、検 出 油 分 濃 度 500 mg/kg の評 価 精 度 を確 認 し、目 標 を (R6.1.3) 達成した。 ②従 来 と比 較 してコストと調 査 期 間 が 1/2 になることを確認し、目標を達成 した。 ○ ○ ○ ○ 石 油 汚 染 ①バイオレメディエーションの条 件 を ①土 壌 酸 素 、土 壌 温 度 、土 壌 水 分 含 土 壌 浄 化 自 動 管 理 する、数 m 3 のベンチスケ 有 量 の最 適 浄 化 条 件 範 囲 を自 動 的 の省 力 化 に ールの自 動 浄 化 装 置 を考 案 ・開 発 に 維 持 ・ 管 理 を す る ス ク ー プ 撹 拌 方 関 する技 術 する。 式を用いた土壌 撹 拌システムを考 開発 ②油臭・油膜が消失する浄化終了ま 案 ・開 発 し、石 油 汚 染 土 壌 浄 化 の実 (R6.1.4) でに要する浄化期間を現行技術(ラ 証試験を行った。 ン ド フ ァ ー ミ ン グ 法 ) に 対 し て 3 0 % ②開発されたシステムにより、軽質油 短縮する。 から重質油まで種々の油種を含む土 壌を油臭・油膜が消失する浄化期間 を現行技術の40%∼60%短縮する ことを確認し、目標を達成した。 ○ CO 2 洗 浄 ① 軽 質 油 か ら 重 質 な 油 汚 染 土 壌 を ①超 臨 界 CO 2 (助 剤 添 加 を含 む)を用 技 術 を用 い 時 間 オ ー ダ ー の 条 件 で 浄 化 し 、 残 い る こ と に よ り 、 軽 質 油 ∼ 重 質 油 汚 た 汚 染 土 留油分濃度200mg/kg 以下或は無 染 土 壌 を 時 間 オ ー ダ ー の 条 件 で 浄 壌の浄化シ 臭 と す る と と も に 、 ベ ン ゼ ン の 溶 出 化 し 、 残 留 油 分 濃 度 2 0 0 mg/kg ( 土 ス テ ム の最 量 に つ い て も 0 . 0 1 mg/ ℓ 以 下 と す 壌 )以 下 或 は無 臭 の目 標 を達 成 する 適化開発 る。 とともに、ベンゼンの溶 出 量 について (R6.1.5) ②可搬型オンサイト CO 2 土壌浄化シ も0.01mg/リットル以下 とし、目標を 達成した。 ステムを構築する。 ②実 証 試 験 で得 られたデータに基 づ き、石 油 系 汚 染 土 壌 の浄 化 に対 応 し た土 壌 浄 化 システムを構 築 し、実 機 を想 定 した可 搬 型 オンサイト CO 2 土 壌浄化システムを構築した。 高 濃 度 ・ ①C重 油 を5%以 上 含 有 する土 壌 を 原位置で浄化できる薬剤や工法を開 重 質 油 含 油 回 収 工 法 に よ り 、 油 分 1 % 以 下 発し、目標を達成した。 有 土 壌 に に低減する。 ①油回収工法により、油分1%以下に 対 応 可 能 ②C重 油 を1%含 有 する土 壌 を化 学 低減 な 原 位 置 酸 化 分 解 工 法 により、油 分 0.3% ②化 学 酸 化 分 解 工 法 により、油 分 0. 浄 化 工 法 以下に低減する。 3%以下に低減 の開発 ③C重油を0.3%含有する土壌をバ ③バイオ分 解 工 法 により、油 臭 ・油 膜 (R6.1.6) イオ分 解 工 法 により、油 臭 ・油 膜 な なしに浄化 ④機 器 分 析 により、現 行 法 の油 臭 ・油 しに浄化する。 膜の有無判定と90%以上合致する ④現行法の油臭・油膜の有無判定と 油臭・油膜の定量 法を開 発し、目 標 90%以 上 合 致 する油 臭 ・油 膜 の を達成した。 定量法を開発する。 ○ 38 ○ ○ ○ ○ ○ ○ バ イ オ サ ①浄 化 目 標 として油 分 1000 mg/kg ①ランドファーミングにおいて、バイオ ー フ ァ ク タ 及び油膜・油臭なしとする。 サーファクタント(BS)添 加 により重 質 ン ト を 使 用 ②油膜・油臭 処理期 間の短縮等で、 油 含 有 土 壌 に 対 し 、 油 分 濃 度 した土 壌 浄 浄 化 期 間 を従 来 法 の2/3に短 縮 1000mg/kg 以 下 、油 臭 ・油 膜 なしに 化技術の させる。 することを実証し、目標を達成した。 開発 さらにスラリーリアクターに BS を使 (R6.1.7) 用 すると廃 白 土 のように多 孔 質 内 に 取 り込 まれた油 分 除 去 に有 効 である ことが確認できた。 ②BS を2段 階 で投 入 することにより、 油 臭 ・ 油 膜 な し と する 期 間 が 2 / 3 以 下 に短 縮 可 能 となることから、BS 添 加にコストがかかるものの、工期短縮 によるコスト削 減 が可 能 であることが 判明し、目標を達成した。 39 ○ ○ 4.事業化、波及効果 4-1 事業化の見通し 本 事 業 の技 術 開 発 テーマにおいて計 画 通 り目 標 を達 成 しており、今 後 の実 用 化 ・事 業 化 が十分可能なレベルにあるといえる。 例えば、高性能ヘリカル熱交換器、FCC選択脱硫技術、防爆型無線LANシステム、腐食 モニタリング技術、改質硫黄固化体、重質油有効利用の為のガスタービン燃料化技術、地下 水汚染拡散防止浄化壁システム等は、開発期間において事業化可能な技術レベルに達して おり、国産技術として世界に誇れるものとして今後の展開に期待できる。 今後の実用化に際しては、伝熱性能の時間変化、触媒寿命、実証化運転による長時間の 運転実績の蓄積等いくつかの課題を克服しており、実用化展開に移行できる目途を得ている と考える。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 1)熱利用高度化技術の開発(R1) 本開発は、製油所の CO2 排出量削減の一環としてこれまで民間企業では投資回収困難 なレベルの低温排熱の有効利用技術に対し、高効率熱利用・熱回収技術の実証化を行った。 一 方 で、実 証 化 後 に必 ずしも直 ちに事 業 化 に移 行 出 来 る訳 ではなく、開 発 技 術 の適 合 可 能 性、経済性の厳密な検討、コストダウンによる普及促進策の検討等その後の課題は大きいも のの、製油所等石油精製業界のみならず化学業界等他業界への技術展開による事業化/ 事業展開に関するハードルはかなり低くなると考えられる。 2)製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) 接触分解装置等の副生ガス(C/H 比が低く、水素含有率は30%程度)を水素と炭化水素 ガスに膜 分 離 し、炭 化 水 素 ガスを改 質 して高 純 度 水 素 を製 造 する要 素 技 術 開 発 は、この副 生ガスを水素製造用原料として有効活用することによって、CO2 発生を削減する新規な水素 製 造 方 法 である。事 業 化 に際しては、本 事 業 で開 発する基 盤 的 要 素 技 術をもとに実 証 化 検 討を行い来るべき水素社会に備え事業化の目途を得る必要がある。 3)製油所総合監視自動化システム技術(R3) 今回開発した無線 LAN システムや音響画像監視は高い先進性があり、研究開発を通じて 2つのメーカーへ特許権の供与を行っている事も示す通り、ハード的にはすでに実用レベルに あると考えられる。 ソフト面では、監視システムのアルゴリズムなどに改善の余地はまだ残されているが、いず れも、実際 の製造 現 場 での使用を前提 に開 発 されたものであり、条 件付 き(現 場にあわせた チューニングが必要)で実用可能な段階まで開発されていると考えられる。従って、本分野の 技術開発では、今後、広報活動(学会発表、論文発表、展示会等での啓蒙活動)を通じて技 術の普及を図ることが肝要である。 4)防食管理技術・効率的検査技術(R4) 腐食検査システムは実用化可能であることを検証したが、適用出来 る限界も明らかとなっ た。今後は、適用限界に対する解決策の検討を行い、実機器及び配管設備を用いた検証デ ータを蓄積するとともに、さらに研究成果を公表し評価を受けることで、実用化可能な腐食検 40 査技術として確立できると考えられる。 石油 精 製設 備の運 転 最 適化 による防食 管 理技 術の開 発は、水硫化 アンモニウム腐食 環 境下に腐食モニタリングセンサを取付けるべく、シミュレーションで腐食が最も進行すると予想 される最適な部位を推定し、実設備に取付け実証化を行った。今後、コーティング材料を用い た防食技術の開発とともに、腐食モニタリング実証データを継続して採取し実用化を目指す。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 1)排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) 製油所における排出物削減と環境負荷低減を図るべく、石油精製装置から大量に排出さ れる廃棄触 媒の排出量 のミニマム化技術、排水処理から発生する汚泥を削減する技術、超 クリーン燃 料 製 造 に伴 い製 油 所 から排 出 量 が増 加 する硫 黄 並 びに廃 油 軽 質 留 分 を有 効 利 用するリサイクル技術の開発、重質油の白油化や高付加価値化に対応する高度分解プロセ ス・処理技術の開発を行い、いずれの技術開発においても計画通り終了した。大部分のテー マについてはすでに実証化・工業化検討を開始し検証を実施中であり、今後さらに事業化検 討を行っていく予定であり、事業として確立できる可能性は高いと考えられる。 2)含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) 油汚染土壌への効率的な対応を図るため、汚染土壌の浄化、汚染の拡散防止、汚染状 況の迅速把握の 3 つの観点から技術開発を進めた。実験室規模・実現場での実証試験によ り目標達成を得て、現在は事業化に向けた検討を進めている。今後、事業化に対し実施例を 積み上げる必要があり、着実な検討が必要であり時間が掛かると予想されるが、本事業で蓄 積した技術をもとに事業化は十分可能であると判断する。 4-2 波及効果 本事業における各技術開発は計画通りに終了しており、今後、実用化・事業化を図り、さら に本成果を他業界への横展開を図ることでより一層の効果が期待される。 以下に具体的な技術開発内容の関連分野他への波及効果の有無、期待について示す(表 4−1)。今後の幅広い普及、波及効果を上げるためにも、実用化・事業家の検討を通じ、さら なる長期の耐久性、信頼性の確立が必要であり、用途の見極めと応用技術の開発が必要で ある。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 1)熱利用高度化技術の開発(R1) 各 種 熱 交 換 機 器の実 証 装 置の設 計 、実 証 化 運 転 により、高 効 率 高 性 能 熱 交 換 技 術、高 効率バーナー等新たに確立した熱利用技術は、石油精製業のみならず化学反応を伴うプロ セスを取り扱う業界においては共通の技術であり、今後の研究を通じて適用限界を明らかに し、性能実績・運転ノウハウの公表により石油精製業のみならず他業界への展開も可能とな る。 なお、熱利用高度化の技術開発目標を達成したことにより、我が国のすべての製油所に本 技術を適用したとすると 97 万 ton-CO2/年の削減が期待される。 41 2)製油所プロセス高度活用・効率化技術の開発(R2) 省エネ型プロセス開発における開発項目である「高性能触媒の開発」等の要素技術は、ナ ノレベル分子制御技術開発等最先端技術開発を伴い、開発した基盤技術は他分野における 高選択性触媒の開発指針等に貢献するものと考えられ、波及効果は大きいと考えられる。 また、特 に高 性 能 分 離 膜 と改 質 技 術 を組 合 せた製 油 所 副 生 ガスの有 効 利 用 に関 する研 究 開 発 は、その研 究 成 果 が他 分 野 、例 えば燃 料 電 池 用 純 水 素 製 造 技 術 へ応 用 することが 可 能 であり、将 来 の水 素 社 会 構 築 に向 けたインフラ整 備 や効 率 的 な水 素 供 給 に寄 与 すると いった大きな波及効果が期待されている。 なお、製油所プロセス高度活用・効率化の技術開発目標を達成したことにより、我が国のす べての製油所に本技術を適用したとすると 130 万 ton-CO2/年の削減が期待される。 3)製油所総合監視自動化システム技術(R3) 今回開発した無線 LAN システムや音響・画像監視は高い先進性があり、かつ防爆対応を 前提に開発されているため、石油精製業以外の装置産業全般への適用拡大が可能である。 特に無線 LAN は従来市販品に防爆対応のものが無く、本研究を通して防爆対応品を開発 しており、既に他事業で採用されるなど汎用性の高い要素技術の成果物となっている。 なお、製油所総合監視自動化システムの技術開発目標を達成したことにより、我が国のす べての製油所に本技術を適用したとすると 14 万 ton-CO2/年の削減が期待される。 4)防食管理技術・効率的検査技術(R4) 設備管理診断技術、防食管理技術は、大型プラントの長期的な安定/安全運転確保に欠 かすことのできない技術であり我が国装置産業において最も重要な課題の一つである。今回 開発を行った設備の腐食劣化に対する防食管理技術・検査技術において、基礎研究や実設 備を用いた検証データを蓄積することによって、石油精製設備だけでなく、あらゆる産業の腐 食劣 化環 境 に応用することが可能 であり、実 証化 後の展 開が期 待でき波 及効 果 は大きいも のと考えられる。 特 に、水 硫 化 アンモニウム環 境の腐 食 機 構の解 明 に関する知 見 は、腐 食 科 学 的 にも高く 評価される内容であり、モニタリングの測定精度を高める上で重要なだけでなく、モニタリング 結果の信頼性向上に波及効果が期待できる。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 1)排出物削減・高度リサイクル技術の開発(R5) 排出物削減・リサイクル技術、硫黄等の排出物の高度利用に関する要素技術は、我が国 のみならずアジア地区の新興国等はもちろんのこと環境負荷低減・排出物削減に取り組まな ければならない世界中のすべての製油所にも適用可能な要素技術であり本技術開発の波及 効果は大きい。 なお、排出物削減・高度リサイクルの技術開発目標を達成したことにより、我が国のすべて の製油所に本技術を適用したとすると 32 万 ton-CO2/年の削減、および 9,500ton/年の廃 触媒、2 万 ton/年の廃アルカリ、1.8 万 ton/年の汚泥の削減が期待される。 2)含油土壌浄化・処理技術の開発(R6) 含油土壌浄化・処理技術は、石油各社の国内各製油所・油槽所のみならず、給油所や市 中の油製品を扱う設備等に対しても展開を図ることができる。生活環境の保全の観点で国民 生活への直 接的な寄与 にもつながる極めて重 要な技術開 発課題であり、これら要素技術 確 42 立・実証化運転による技術確立後の波及効果は大きい。 表4−1 分野別波及効果 CO2削減量 万Ton−CO2/年 分野(グループ) 環境負荷低減型 石油精製プロセス 技術開発 (CO2削減) 熱利用高度化(R1) 97 − 精製プロセス高度 活用、効率化(R2) 130 − 14 − − − 32 汚泥:1.8 廃触媒:0.95 廃アルカリ:2 − − 製油所総合監視 自動化システム(R3) 製油所設備管理 (R4) 廃棄物削減・再利用 ・汚染浄化技術開発 (ゼロエミッション) 再利用+廃棄物 削減量万 ton/年 排出物削減・高度 リサイクル(R5) 含油土壌高度浄化 (R6) 273 計 汚泥:1.8 廃触媒:0.95 (廃アルカリ:2) 合 計:4.75 (廃アルカリ含む) 注)事業全体の研究開発目標は、①国内製油所の CO2 排出量を200万 ton/年の削減、及 び②国内製油所における最終処分廃棄物量を約1万 ton/年の削減であり、波及効果を 考慮すると研究開発目標を達成。 43 5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等 5-1 研究開発計画 本 事 業 は、環 境 負 荷 低 減 ・廃 棄 物 削 減 という国 民 的 課 題 に対 し、実 証 化 までを視 野 に入 れた技 術 課 題 の克 服 を目 指 すというプログラムとなっており、技 術 開 発 を実 施 する計 画 にお いて5年間という事業期間は必要かつ十分な期間である。図5−1に本事業の事業計画を示 す。 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 環境負荷低減型石油精製プロセス技術(CO2削減) 熱利用高度化技術開発 (R1) 精製プロセス高度活用・効率 化技術開発(R2) 実用性能評価 導入・評価 要素技術開発 システム設計 プロセス設計・開発 実証化検討 導入・評価 実用性能評価 要素技術開発 システム化検討 実証化試験 実用性能評価 基本設計 要素技術検証 管理手法の確立・実証試験 排出物削減・高度リサイクル技 術開発(R5) 含油土壌高度浄化技術開 発(R6) 図5−1 プロセス検討・開発 詳細設計 試作・実証化検討 基本特性把握 浄化手法確立 導入・評価 分析方法・除染条件設定 価 廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術(ゼロエミッション) 総合検証 評 要素技術開発 複合化開発 総合検証 後 個別システム開発 全体システム仕様検討 総合検証 事 製油所設備管理技術開発 (R4) 詳細設計 中 間 評 価 製油所操業支援システム技術 開発(R3) 基本設計 工業化検討 評価・検証 実用性能評価 総合検証 プロセス開発・試作 石油精製等高度化技術開発の事業計画 5年間の研究開発計 画では、前半期間においては要素技術開発、基本設計、詳細設計を 実施し適用技術の見極めを行い、後半期間においては実用性能評価、実証化検討を実施し 技術検証を行った。なお、一部のテーマにおいて、中間段階で社会情勢の変化も加味し事業 計画の変更を実施したものもあるが、平成 19 年度に計画通り研究目標を達成し事業を終了 した。 5-2 研究開発実施者の事業体制・運営 事 業 の実 施 にあたっては、技 術 開 発 事 業 に即 した専 門 の研 究 室 を設 置 し、それらの研 究 室を技術開発分野として六つの研究開発グループに大別し、当該専門分野の最先端研究者 である大学、公的研究機関、民間会社における技術者からなる技術小委員会を組織した(図 5-2)。年3回程度の報告会等(計 92 回/5年間)を開催し、専門家並びに有識者の適切な 助 言 指 導 を受 け、技 術 開 発 目 標 に対 する到 達 度 、進 捗 管 理 等 を実 施 するとともに、研 究 室 間の技術情報交換並びに技術課題の共有化を行った。 図5−3に本事業の実施体制を示す。各研究室はグループ毎に組織された技術小委員会 の助 言・指 導を受 け、研 究 開 発 期 間を通 じて適 切 かつ妥 当 に運 営 され、目 標 達 成 に向 け効 44 率 的 に技 術 開 発を実 施 た。また、複 数 の研 究 室 による共 同 研 究 等、他 と異なる形 態 の研 究 体制も含まれており、適切な研究従事者の配置、関係者間の十分な連携を確保した。 技術企画委員会 熱利用高度化 技術小委員会 ︵ R1︶ 精製プロセス高度活用 技術小委員会 ︵ R21︶ 精製プロセス効率化 技術小委員会 ︵ R22︶ 製油所操業支援 技術小委員会 ︵ R3︶ 製油所設備管理 技術小委員会 ︵ R4︶ ム テ ス シ 排出物削減・ 高度 技術小委員会 ︵ R51︶ 重質油削減・ 高度利用 技術小委員会 ︵ R52︶ 含油土壌高度浄化 技術小委員会 ︵ R6︶ ル ク イ サ リ 賛助会員研究室 図5−2 石油精製等高度化技術開発の技術小委員会(平成17年度) 賛助会員 熱利用高度化(R1) 熱利用高度化(R1) 製油所操業支援システム(R3) 製油所操業支援システム(R3) 製油所設備管理(R4) 製油所設備管理(R4) ゼロエミッション 排出物削減 排出物削減 ・高度リサイクル/利用(R5) ・高度リサイクル/利用(R5) 含油土壌高度浄化(R6) 含油土壌高度浄化(R6) 参加研究 CO2削減 ︵ 財︶ 石油産業活性化センター 補助金 経済産業省 資源エネルギー庁 資源・ 燃料部 石油精製備蓄課 図5−3 精製プロセス高度活用・効率化(R2) 精製プロセス高度活用・効率化(R2) 石油 エンジニ アリング メーカー 触媒 メーカー 非鉄 金属 ゼネコ ン 石油精製等高度化技術開発の実施体制 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 対象となる4グループ、22研究室 において上 記に述べたような適切な運営がなされた。開 催された技術小委員会は5年間で計47回におよび、目標設定のあり方、具体的な目標値の 45 議 論から、達 成した成 果 内 容の検 証、目 標 値 の見 直 し(必 要があれば)、等 に関 する議 論を 実施し、最終目標に対する課題整理等を実施した。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 対象となる2グループ、23研究室においても適切な運営がなされた。開催された技術小委 員会 は5年 間で計45回であり、目標 値の設 定、環 境変 化を踏まえた検証、達 成した成 果 内 容の吟味・把握と今後の課題整理等に関する議論を実施し、最終目標に対する課題整理等 を実施した。 5-3 資金配分 本 事 業 は、平 成 15年 度 から平 成 19年 度 までの5年 間 実 施 され、補 助 金 として約 121億 円を投入したプロジェクトであり、事業全体を見ると各技術グループにおいて計画通り目標が 達成された。 本事業における事業費推移を表5−1に示す。本事業においては、主に要素技術の抽出、 要素技術の確立、確立した要素技術の検証、要素技術を適用した実証化検討の4段階を経 るが、6グループにグループ分 けし、技 術 開 発 分 野 毎 に技 術 開 発 の進 捗 度 に応 じ適 切 な資 金配分を行い、研究資金の偏りをなくし効率的な運営を心がけた。具体的には、要素技術の 検証、要素技術を適用した実証化検討の2項目は設備建設等を伴い巨額の資金を必要とす る場合が多いが、要素技術の確立が早かった「熱利用高度化」、「製油所総合監視自動化シ ステム」、「土壌 浄化」の一部のテーマにおいて技術 開発 初期における事業費 配 分を相対的 に大 きくし、要 素 技 術抽 出に時 間をかけた「製 油 所プロセス高 度 活 用 ・効率 化」、「排出 物 削 減・高度リサイクル」では中間評価頃までに要素技術確立を行い、検証段階に移行し終了し た。また、「防食管理」、「土壌浄化」の一部は開発検証が長期にわたり、継続監視すること自 体が技術 開 発事 業そのものであるため、5年 間という開 発期 間を通 じて資 金 配 分は大きくな いもののほぼ一定の資金配分を行っている。 以 上 述 べたように、限 られた補 助 金 を有 効 活 用 し最 大の効 果を得 るためメリハリのきいた 予算運用を行った。 表5−1 事業費推移 (値は補助金ベース、(事業費ベース)、単位:百万円) H15FY 環境負荷低減型石油精製プロセス技術 (CO2削減) 熱利用高度化技術の開発 H16FY H17FY H18FY H19FY 1,423 1,496 2,231 1,389 444 (2,164) (2,282) (3,404) (2,156) (823) 502 229 516 406 - 1,653 (346) (776) (610) - (2,498) 510 897 1,434 897 444 4,182 (823) (6,572) (770) 製油所総合監視自動化シ ステム技術の開発 289 260 213 (442) (398) (327) 防食管理技術・効率的検 査技術の開発 122 110 (186) (168) 廃棄物削減・再利用・汚染浄化技 術(ゼロエミッション) (1,396) 排出物削減・高度リサイ クル技術の開発 (990) 含油土壌浄化・処理技術 の開発 263 199 152 228 123 (406) (305) (236) (348) (193) 総 計 6,983 (10,829) (766) 製油所プロセス高度活 用・効率化技術の開発 その他 合計 914 (1,370) (2,194) 68 (107) (1,414) 86 (132) - 849 (1,299) - - 300 - - (461) 1,144 1,293 1,375 253 4,978 (1,752) (1,979) (2,082) (416) (7,626) 651 945 (1,447) 1,141 1,147 130 4,014 (1,743) (1,734) (223) (6,137) 964 (1,488) 22 22 30 30 30 134 (33) (33) (45) (45) (45) (201) 2,359 2,662 3,553 2,794 (3,594) (4,068) (5,428) (4,283) 46 727 (1,284) 12,095 (18,656) 5-4 費用対効果 前述のように本事業は5カ年亘り実施され、計画通り目標を達成し将来の事業化等に関し ても実現の期待が大きいプロジェクトであるが、石油の安定供給によって国民全体にもたらさ れる便 益 について、それが直 接 的 な効 果 のみならず間 接 的 な効 果 も含 めて極 めて幅 広 くか つ多様であるため、予算額に対しどの程度の効果をあげることができたのかを定量的に算出 することは極めて難しい。しかしながら、エネルギー供給不安による国民経済への影響、燃料 の生産、利用による環境負荷の増大がもたらす地球環境悪化への事後的な対策に係るコス トを考えるに、本施策による費用対効果は大きいものと考えられる。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減):総事業費 108 億円 平成15∼19年度の5年間において、事業費約108億円(うち補助金約70億円)を投入し た。 本 事 業の最 終 的な成 果 は、同 様 の設 備を有する我 が国のみならず世 界 各 国の製 油 所 に 対して広く展開できるものであり、我が国すべての製油所に本技術を適用できたとすると約2 40万トン-CO2 の CO2 を削減することが可能となる。仮に将来CO2排出権として2,500円/ トン-CO2 の価値を生じたとすると、この削減量は60億円/年にも達する膨大な量であることに なる。環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発の与えるインパクトの大きさを示す指標の 一つといえよう。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション):総事業費 76 億円 平 成15∼19年 度の5年 間において、事 業 費 約76億 円(うち補 助金 約50億 円)を投 入し た。 廃棄物の削減技術についてはリサイクル等へ回す必要もなく排出物の本質的な削減を可 能 とするもので、本 技 術 が実 用 化 された場 合 には、国 民 経 済 的 に極 めて大 きなインパクトが あると考えられる。また、これらの成果は同様の設備を有する各製油所に対して広く展開でき るものであり、我 が国 すべての製 油 所 の本 開 発 技 術 を適 用 出 来 たとすると、約 32万 トンの CO2(8億円/年、@2,500円/トン-CO2)、約1万 ton の廃触媒(3億円/年、@3万円/トン廃触媒)、約4万 ton の廃アルカリ・汚泥(8億円/年、@2万円/ton-廃アルカリ・汚泥)を削 減できることになり、国民経済的な影響は大きく十分な経済的効果のみならず国土の有効利 用等が期待される。 さらに、土壌汚染の浄化技術については、製油所のみならず他産業において、石油漏洩事 故 等 が発 生 した場 合 、迅 速 かつ効 果 的 に土 壌 ・地 下 水 の浄 化 を可 能 とするもので、本 技 術 の実用化は、環境被害防止、周辺住民等への被害の最小限化といった観点から、社会的に 大きな効果を有するものである。 5-5 変化への対応 エネルギーを取 り巻 く環 境 はここ数 年 大 きく変 化 しており、平 成 15年 度 に事 業 開 始 以 来 5 年間が経過した時点において、開始当初からの大きな環境変化は、以下の3点である。 ①京都議定書(COP3)は既に我が国においては批准されていたが(平成14年6月4日)、 ロシアの締 結 により発 効 条 件 が満 たされ平 成 17年 2月 16日 に発 効 の運 びとなった。こ れにより、我が国は2008年∼2012年の第1次約束期間内に1990年比6%の排出CO2削 減を義務づけられることが正式に決定した。 ②2005年に入り顕在化 した原油価 格の高騰は最近になっても衰えることを知らず、2008年 47 には原油価格は100$/bblを超える時代を迎えることとなった。 ③上記の背景を踏まえ、我が国政府においてもエネルギー政策の見直しが行われ、①国民 に信頼されるエネルギー安全保障の確立、②エネルギー問題と環境問題の一体的解決 による持 続 可 能 な成 長 基 盤 の確 立 、③アジア・世 界 のエネルギー問 題 克 服 への積 極 的 貢献を戦略によって実現を目指す目標とした。一次エネルギーにおける石油の位置づけ も見 直 され、「石 油 依 存 度 を、今 後 、2030年 までに40%を下 回 る水 準 を目 指 す」とした (新・国家エネルギー戦略;2006年5月)。 このように、本 事 業 を取 り巻 く環 境 は事 業 開 始 当 初 から大 きく変 化 したが、これにより本 事 業の重要性は低下することはなく、事業のさらなる推進及び技術の確立により、我が国のエネ ルギーセキュリティを図らなければならない状況となっている。 (1)環境負荷低減型石油精製プロセス技術開発(CO2削減) 2-1-1 項で述べたように、石油精製業からの CO2 排出原単位は業界の自主努力によって 毎年低下の一途をたどっているが、排出量自体は我が国の経済活動の拡大による石油処理 量の拡大に伴い増加しているのが現状である。 我が国が国際的な約束を達成する上で、本事業の目標を計画通りに達成し、CO2 削減に 寄与することがますます重要となっており、引き続き事業の波及効果を達成する必要がある。 (2)廃棄物削減・再利用・汚染浄化技術開発(ゼロエミッション) 廃 棄 物 削 減 ・汚 染 土 壌 浄 化 技 術 開 発 においても前 記 状 況 変 化 に対 応 する上 で、本 事 業 の目 標 とする技 術 開 発 を確 立 したが、今 後 も引 き続 き事 業 化 を目 指 す展 開を図 る必 要 があ る。 48 6.まとめ 本技術開発事業は、製油所におけるエネルギー使用の効率化を図り、製油所からの廃棄 物、排出物を低減することにより、地球温暖化防止や地球環境汚染に寄与することを目的と して平成15年度から5年間にわたり実施し、当初の技術開発目標を達成して平成19年度に 終了した。 製油所におけるエネルギー使用の効率化技術 開発では、国内製油所 からのCO2発生 量 を年間200万トン削減することを目標に対し、本事業において波及効果を含めて年間270万 トンのCO2の削減を可能とする技術を開発した。また、製油所からの廃棄物、排出物低減技 術開発では、波及効果を含めて廃棄物発生量を年間1万トン削減することを目標に対し、削 減対象である汚泥と使用済触媒を年間2.7万トン削減可能とする技術を開発した。 合 計 6本 の柱 から構 成 された分 野 別 テーマの成 果 は、石 油 精 製 設 備 等 の一 層 の効 率 化 及 び高 度 化 により石 油 精 製 に伴 う環 境 負 荷 の大 幅 な低 減 に貢 献 するとともに、我 が国 の石 油精製業が今後とも石油製品の低廉かつ安定的な供給を確保していくことに繋がるものであ る。 以 上 49