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Donau 3000 KM
Donau 3000 KM ―― ド ナ ウ ―― 流れに沿って⑺ 道筋 4)流れに沿って、Beograd(SCG)より Kladovo(SCG)215km、05. 21 満タン給油し、Beograd 市脱出とセルビア南下の道筋を確 かめた。セルビアの高速道路(E-75)を暫らく南下し、や 5月21日(日)、Donau 写真紀行後編の目玉の一つは今日 がて高速道路よりはずれ国道を Djerdap 峡谷の入り口とも 訪れる Derdap Nat.Park 内の Djerdap 峡谷の自然美を眺め、 いえる Golubac 村へ向けて走る。セルビアの道路状況は思 撮 る こ と で あ る。Beograd の Hotel を 後 に し て、 近 く の いの外良好であり、Djerdap 峡谷のドライブも予定どおり Gas-Station でオーストリア国境以来の Gas(Diesel 油)を に進む予感を得ての発進であった。道すがら少々驚かされ たのは、旧共産圏でありながらアメリカ資本 USSteel の巨大な工場が威勢を示しているのをここで 目にしたからである。 Golubac の 街 に 入 る 手 前 で、 隣 国 ル ー マ ニ ア の山々を背景にして湖のように広がる Donau が 久々に姿を現わすのだ。町を通過して間もなく Golubac-Fortress(城跡)とその9つの塔が眼前に 迫ってくる。これより100km 程続く大峡谷への入 り口に現れた中世の城跡、Donau 河岸に突出する 岩の Gate(門)をくぐって峡谷への進入である。 セルビアとルーマニアの国境をなし、峡谷の両岸 は垂直に切り立った岸壁で、その高さは2-300m と そそり立つ。何人も近寄りがたい険しさをみせて おり、道路は河岸に近づいては離れてかなりの高 さまで登り、そこから渓谷(峡谷)美を楽しませ てくれる。峡谷内のドライブはセルビア河岸で、 対岸ルーマニア側にそそり立つ岸壁、時々姿を現 わすルーマニアの小さな町、突然姿を見せた巨大 Djerdap 峡谷入り口の Golubac 城跡(左)、 な石造(岩盤を彫刻した石像)、切り立つ両岸の岸 ルーマニア河岸の岸壁(中)、Tekija にて地ビールでの休憩(右) 壁の間をゆったりとながれる雄たる Donau の景観 80 SEAJ Journal 2007. 11 No. 111 を楽しんだ3時間余のドライブは素晴らしいの一言である。 国境手前数百 m で大きな戸惑いに遭遇する。国境の通過許 Djerdap の峡谷美も Kladovo 町の手前、小さな漁村(港) 可を待っている大型ローリーの大行列が数十台と繋がって Tekija にて終了ということになる。今日の宿泊地 Kladovo いるではないか。通過に数時間が掛ってしまうのではない 町の手前10km に巨大な堰(ダム)が建造されており、こ かと一瞬愕然としたが、ことはわり合いスムーズに展開さ こで Donau では最大級の PowerStation(水力発電所)が姿 れてホットしたのである。ローリードライバーの指図で普 を現わす。ダムは水力発電が主目的ではあるが、治水そし 通車は前に進むことがすこぶる簡単に出来、国境の検問所 てセルビアとルーマニア間を結ぶ唯一の架け橋ともなって に間もなく到着した。 いる。Donau もここまで下ると黒海まで1000km を切る位 何が何だか判らぬままにセルビア側とブルガリア側の検 置となるのだ。夏とも思われる好天に恵まれてのドライブ、 問を無事に終了、熟年カップルの日本人旅行者である事が Djerdap 峡谷の絶景を満喫、Tekija の村はずれで Donau の ことを簡単に済ませたのか。大きなトラブルも無く10分程 流れを遠く眺めて一休み。とある村への入り口でスピード 後にはブルガリアの国道を Sofia へ向けてのドライブとなる。 違反の罰金を課せられた苦くもほほえましい体験も味わさ 最初に目指したのはブルガリア最西北端の都市 Vidin で、こ れた素晴らしい1日であった。Kladovo 町にはまだ日の高 こでブルガリアを流れる Donau に出会うことになる。Vidin 数階建ての田舎町としては立派な造りの Hotel である。旧 て両国の交流を深める意味で重要な位置にある。近い将来 ユーゴ時代に建てられており、往時はその勢いを誇ってい に陸路で行き来が出来るよう巨大な橋梁が架けられるであ たのであろうが、今は何となく寂れた感じが漂っている風 ろう。Quelle(水源)より涌きでた水はこの地で2000km 余、 情である。部屋は Donau に面しており、ベランダより夕日 黒海まで800km 余の旅を重ねて欧州東端の国ブルガリアに に輝く Donau の水面と対岸ルーマニアの町を眺め旅の疲れ 入る。地方都市では地図なしで市内探索と通過が常で、こ を癒した。 こ Vidin 市でも市街地の端に鉄道駅を見つけ出し、間もなく 市は Donau を挟んだ対岸のルーマニアの Calafat 市を介し (5月21日の走行、Hotel Derdap まで 215km) 5)流れに沿って、Kladovo(SCG)より Sofia (BG)475km、2006. 05. 22 Donau の流れとの再会となる。川辺のレストランでパスタ 料理の軽食をとり、地ビールでのどを潤す。 Vidinn 市を脱出し首都 Sofia に向かう国道1号線(E-79)へ、 そして南東方向へ Stara Planina の高原を300km ほど走る 5 月22日( 月 ) 、 朝 早 く Hotel の ベ ランダより対岸ルーマニアの町 Turnu Severin 方面を眺めると、昇る朝日が Donau(Dunav)の川面を照らし薄赤 く染めている。5月下旬はそろそろ初 夏の気配、今日も30度を越える天候で 晴れ渡る空の下での Sofia への旅が待っ ているようだ。Donau の流れとは暫ら く別れ国道を南下してブルガリア国境 へ の 通 過 点 Negotin 市 へ と、Negotin 市までのドライブは全く快適であった が、道すがら再度セルビア Police の 網の目にかかりスピード違反の罰金 Hotel Derdap(左) Negotin 近郊地図(中) 支払という寸劇が発生した(軽傷) 。 Negotin は小さな町のように思えたが、 市内でブルガリアへ向かう道を見つけ 出すのは容易ではなかった。道路標識 にブルガリアへの道標があるのであろ うがどうしても見つからない、という よりも全く判らないのだ。どうにか聞 き出して国境へとドライブとなるが、 Vidin 郊外を流れる Donau(左)、国道陥没で急停車(中)、2000M 級の山が迫る(右) SEAJ Journal 2007. 11 No. 111 81 予定だ。Donau 川沿いの地方道を走る選択 肢もあったが、道路状況が全く判らないこ とよりこれは断念することとし、Donau と 離れて首都 Sofia への道と Sofia での宿泊を 選択した。ブルガリアへの入国は初めて、 交通事情も判らずがままに広大に広がるブ ルガリアの荒野を走り続ける。道路標識は 地方の村々ではブルガリア語だけになり、 Sofia の文字も消えて困惑する場面もしばし ば登場する。単調な荒野のドライブは注意 力をも散漫にさせたのであろう。何が原因 ドナウ対岸に沈む夕日 かは不明だが行く先での国道陥没事故で迂 回せよの標識に気がつかず、陥没現場を目 の前にしてビックリして引き返すという寸 劇も起きた。迂回道路は暫らくの間は悪路 で往生したが、好天と周りの山岳風景がド ライブに一服感を与えてくれ、やがて Sofia へ向かう高速道路に出会う。Sofia も人口 100万人をゆうに超す大都会であり、市内 Hotel より眺める Vitosha の輝き(上)、ドナウの流れと Hotel-Riga(左)、 に到着したのが早い時間の夕方であり車の 遠く Donau に架かる橋を撮る(右) 混雑は頂点に達していた。詳細地図を持た ない車の旅では市内での迷いは当たり前、それに夕方ラッ 中間地点の都市 Pleven 市を過ぎて Rousse 市までは変化の シュアワーが重なったことで宿泊先の Hotel-Lozenetz 到着 ない景色が続く退屈な3時間程のドライブであった。 まで小1時間、市内での道探しは単純ではなかった。 (5月22日の走行、Sofai Hotel-Lozenetz まで320km) 6)流れに沿って、 Sofia(BG)より Rousse(BG) 320km、2006. 05. 23 5 月23日( 火 )、Hotel-Lozenetz の 部 屋 よ り 眺 め る Mt. Rousse(Ruse)市はブルガリア Donau 河岸に開けたブ ルガリア第5の中核都市で、川を挟んで隣国ルーマニアへ のあらゆる意味での Gateway となっている。20万以上の 人口を擁し Donau と共に発展してきた都市でもある。中央 広場 Svoboda Square は市民の憩いの場、ブルガリア国内 でもその優美さが自慢されている。ここで偶然にも日本人 Vitosha(2280m)は、山頂付近には雪をいただき快晴下の 朝日に照らされ輝いていた。出発前に Hotel 近隣の BG 文 かわして分かれてしまったのは少々寂しい感じもした。宿 化センター(NDK)と近隣公園をぶらつき、緑なす山々を 泊先の Hotel Riga は Svoboda 広場より徒歩で10分、Donau 背景にした美しい Spofia の景色を目に焼付け Hotel を後に 川沿いに高く突き出すタワー構えのホテルである。最上階 した。首都 Sofia は人口150万に達する大都市で海抜550m の にある展望レストランからは360度のパノラマが楽しめる。 素晴らしい高原都市である。今回の旅は Donau 紀行が主目 Donau のゆったりとした流れの向こうはルーマニア、眼下 的であり、Sofia は単なる通過点ということで風光明媚なる には Donau 河岸都市にはありきたりになっている Bote( l 川 都市と近郊の観光は残念ながら出来ずであった。高速道路 面のボートホテル)と巡航船が行き来している。Donau 対 A-2を100km 程、その後1級国道を Rousse(Ruse)市へ向 岸に沈む初夏の夕日を眺めつつ、ブルガリア料理と地ビー け東北へひた走る。主要国道はかなり整備されておりドラ ルそして地元の爽やかなワインでの夕食は格別である。 イブには全く支障はないものの、たまに大型道路工事で迂 隣国ルーマニアの首都ブカレストより Donau の眺めと料 回を余儀なくされるとここで意外に無駄な時間を費やすこ 理を楽しむために在留邦人がこのホテルレストランにやっ とになる。Sofia より Rousse 市までは300km 余、休みなし て来るとのレストランシェフの話もあった。明日は久々に でのドライブでも6時間強の時間を要さねばならなかった。 Donau に架かる大橋を渡ってのルーマニアへの入国となる。 高原地帯を過ぎて、ブルガリア北部の平原はただただ広く、 82 SEAJ Journal 2007. 11 No. 111 (5月23日の走行、Hotel-Riga まで 320㎞)