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報告1 「広島原爆被害の源泉に学ぶ」
2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 8.6第2陣提訴報告・学習会 「広島原爆と低線量内部被曝の危険」 報告1 「広島原爆被害の源泉に学ぶ」 話題提供・報告 岡本 珠代(原告) 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 1 第2陣提訴報告・学習会 1.ウラン型広島原爆と核爆発の原理 ①核分裂爆弾にはプルト ニウム型とウラン型が ある ②ウラン型原爆は高コス トであったため実験を 含め実際に爆発したの は広島原爆1回だけ ③最大の問題はウラン濃 縮 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2 1 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 1.ウラン型広島原爆と核爆発の原理 ④コルダイト爆薬を 起爆剤に使って発 射リングを発射 ⑤標的リングに衝突 させてその時の熱 と圧⼒を使ってウ ラン235を核爆発 させた 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 3 第2陣提訴報告・学習会 1.ウラン型広島原爆と核爆発の原理 ⑥この核爆発は100 万分の1秒という 単位で一瞬にして 終了した ⑦従って、核爆発が 終了した時には、 リトルボーイはま だ原型を保ってい た 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 4 2 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 1.ウラン型広島原爆と核爆発の原理 ⑧この時使用された ウランは合計 64kg。うち使わ れたウラン235は 濃縮率平均約 80%だった ⑨核爆発したのは約 1kg弱。残りのウ ランは核爆発して いない 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 5 第2陣提訴報告・学習会 1.ウラン型広島原爆と核爆発の原理 ⑩当時ですら濃縮率 90%以上でなけ れば核爆発は起こ らないと言われて いた時代 ⑪広島原爆では濃縮 率89%が限度で ウラン235は合計 約50kgが使われ ていたにすぎない ⑫それほどウラン濃縮は国家の一大事業だった 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 6 3 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 (参考)ウラン濃縮率とその応用 ⼈間の技術で爆発を含む核分裂をさせられる物質は ウラン235とプルトニウム239のみ ●天然のウラン鉱石の中にはウラン235の含有 率約0.7% ウラン濃縮とは ●含有率0.7%未満のことを劣化ウラン ●濃縮率5%未満…原発などの核燃料 ウランの中に ウラン235の含有率 を高めること ●濃縮率約20%…放射線治療などで使う⾦属棒 ●濃縮率約40%…原⼦⼒潜⽔艦の炉燃料 ●濃縮率約90%以上…核兵器の燃料 濃縮率99.9% でなければ 設計性能は 出ないとされる 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 7 第2陣提訴報告・学習会 2.核爆発で何が起こったか 大量のエネルギーが放出された ●TNT火薬に換算すると1.5万トン(±20%) で放出される爆発エネルギーに相当する ●そのエネルギーは次のような形態をとった。 熱線…約65% 爆風(ショックウエーブ)…約20% 電離放射線(γ線と中性⼦線)…約15% また核爆発したウラン235は様々な核分裂 物質を生成した(いわゆる死の灰) 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 8 4 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 3.核爆発の被害の源泉 ①熱線による被害… 熱線による蒸発、 いわゆる「ピカドン」の ケロイド、火傷 「ピカ」に相当する 写真資料出典:Wikipedia「広島市への原子爆弾投下」 写真資料出典:Wikipedia「原子爆弾」 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 9 第2陣提訴報告・学習会 3.核爆発の被害の源泉 ②爆風による被害… いわゆる「ピカドン」の 「ドン」に相当する 建物倒壊、施設や 設備等の破壊 ③複合被害… 火事場嵐発生による被害、圧死、 怪我、落下物による怪我、酸素 不⾜による窒息死や傷害 写真資料出典:Wikipedia「広島市へ の原子爆弾投下」 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 写真資料出典:Wikipedia「原子爆弾」 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 10 5 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 3.核爆発の被害の源泉 ④核爆発で発生し … ほとんどが高線量γ線や 高エネルギー中性⼦線に た一次放射線に よる臓器、組織、器官の よる被害 細胞破壊、そしてそれに 伴う機能不全。 いわゆる急性放射線傷害 写真資料出典:Wikipedia「放射線障害」 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 11 第2陣提訴報告・学習会 4.死の灰や爆発しなかったウラン 235やウラン238はどうなったか 広島原爆の核爆発によって 生成される死の灰(放射性 物質)は、ほとんど福島原 発事故で放出された核種と 同じ 希ガス類は広島の大気を汚 染した。 →いわゆる“⿊い⾬”は放射性 物質と煤を含んだ⾬ 【資料出典】旧原⼦⼒安全・保安院『東京電⼒福島第一原⼦⼒発電所の事故に係わる1号機、 2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について』(2011年6月6⽇)なおこの資料は東 電の5月23⽇及び24⽇報告を基に安全・保安院が評価したもの。東電は2011年10月20⽇に 一部核種のデータの誤りを訂正したが、その訂正は上記表にすでに反映されている。 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 12 6 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 4.死の灰や爆発しなかったウラン 235やウラン238はどうなったか 生成された死の灰(放射性 物質)や、爆発しなかった ウラン235やウラン238は 粒⼦のまま、広島の地表に 降り注いだ これらは一次放射線と違って α崩壊やβ崩壊核種で、広島 にいた⼈々の身体の中に入り 込み「内部被爆要因」になっ た。→代表的には入市被爆 【資料出典】旧原⼦⼒安全・保安院『東京電⼒福島第一原⼦⼒発電所の事故に係わる1号機、 2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について』(2011年6月6⽇)なおこの資料は東 電の5月23⽇及び24⽇報告を基に安全・保安院が評価したもの。東電は2011年10月20⽇に 一部核種のデータの誤りを訂正したが、その訂正は上記表にすでに反映されている。 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 13 第2陣提訴報告・学習会 5.第5の被害の源泉 ①熱線、②爆風、③複合災害、④核爆発時の 第一次放射線(ほとんどが高線量γ線・中性 ⼦線)と並んで、内部被曝要因として「死の 灰や放射性降下物」は広島原爆の第5の被害 の源泉となった。 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 14 7 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 6.アメリカ軍部の⾒解 マンハッタン計画を 推進するアメリカ軍 部は次のような⾒解 をとった。 写真出典:wikipedia「原爆傷害調査委員会(ABCC)1955年頃」 「原爆の放射線被害のうち、 ⼈体に有害なのは核爆発時 の放射線のみである」 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 15 第2陣提訴報告・学習会 6.アメリカ軍部の⾒解 レズリー・グローヴス 1945年9月 アラモゴード砂漠での記者会 ⾒で「核実験場に残留放射能 はない」とデマ報道をさせた トーマス・ファレル 写真左がレズリー・グローヴス、 右がトーマス・ファレル 写真資料出典:Wikipedia「トーマス・ファーレル」 1945年9月 広島で記者会⾒し「残留放射能はない。死ぬ べきものは全て死に絶えた」とデマ報道をさ せた ⽇本の厚生労働省 基本的に原爆による放射線障害は第一次放射 線のみという⾒解をとっている 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 16 8 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 7.低線量内部被曝要因はなかったのか 実際には⿊い⾬に代表される放射性降下 物は広島に住んでいた⼈々、その周辺地 域の⼈々(気象条件を考えると、遠く離 れて出来たホットスポット地域があった 可能性がある)の身体のなかに入り込み、 慢性低線量被曝要因となった。 半減期 ウラン235 ウラン238 ストロンチウム90 セシウム137 7億400万年 44億6800万年 29.2年 30.17年 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 17 第2陣提訴報告・学習会 8.広島原爆と福島原発事故による 被害の共通性 共通するのは 低線量内部被曝の危険性 しかし放射性物質の量が 圧倒的に違う 広島原爆は64kg 福島原発1号炉 合計約229トン。うち約116トン 2号炉 の核物質は放出・拡散したと推測さ (2011年旧原子力安全保安院の炉心損 3号炉 れている。 傷推定による) 伊方原発3号炉…約74トン 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 18 9 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 9.私も内部被曝をしたかもしれない 1986年8月、夫の岡本三夫と共にドイ ツのハイデルベルクやオーストリアの ザルツブルクを訪れた。その時、高木 仁三郎さんや久⽶三四郎さんから内部 被曝に関する忠告を受けたが、実際に は守らなかった。 チェルノブイリ事故の時、南ドイツや オーストリア、スイスの一部はホット スポットだった。 その後身体に異変が… 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 19 第2陣提訴報告・学習会 9.私も内部被曝をしたかもしれない チェルノブイリ原発と岡本夫妻訪問地の位置関係図 チェルノブイリ原発 ハイデルベルク 約1550km ザルツブルク 約1200km チェルノブイリ原発事故では ヨーロッパ全体にホットス ポットができた Googlemapを引用 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 20 10 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 第2陣提訴報告・学習会 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 10. 2016年8月6日 第2陣提訴報告・学習会 まとめ 私もチェルノブイリ事故で内部被曝被害を受 けたかも知れない。 福島原発事故以降の⽇本 では、誰でも私が経験し たようなα線β線核種に よる内部被曝をする可能 性がある。 こうした状況に対して私 たちはあまりに無警戒で はないでしょうか 福島第一原発3号機 事故当初の様子 写真資料出典:東京電力webサイト 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 2016年8月6日伊方原発運転差止広島裁判 21 第2陣提訴報告・学習会 ご静聴ありがとうございました 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 報告1・広島原爆被害の源泉に学ぶ 22 11