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バスのリデザイン

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バスのリデザイン
バス車両の開発促進等に関する戦略会議報告書
バスのリデザイン
平成 26 年 3 月
株式会社日本総合研究所
目次
■エグゼクティブサマリー ......................................................................................................................... 1
■本編 ............................................................................................................................................................. 3
第1章 背景と目的 ..................................................................................................................................... 3
1節 研究会の背景、目的 ..................................................................................................................... 3
2節 検討体制 ......................................................................................................................................... 6
第2章 バス車両メーカーの課題 ~ 縮小する国内需要、激化する国際競争 ............................. 9
1節 車両メーカーを取り囲む環境変化等 ......................................................................................... 9
(1) 厳しい経営環境に苦しむ乗合バス事業........................................................................................ 9
(2) 事業者の新陳代謝が進む貸切バス事業...................................................................................... 17
(3) バス事業の制約となる車両選択の制約、従業員の確保、燃料費の高騰等 .......................... 19
(4) バスの利用者/非利用者からの「声」...................................................................................... 28
(5) その他ステークホルダーの問題意識等...................................................................................... 40
2節 バス車両メーカーの課題 ........................................................................................................... 44
(1) 国内市場の縮小 ............................................................................................................................. 44
(2) 輸入バスの動向 ............................................................................................................................. 46
(3) 国内バス車両メーカーの海外輸出の状況.................................................................................. 47
第3章 戦略的機会としての「東京オリンピック・パラリンピック」 ........................................... 50
1節 東京オリンピック・パラリンピックのコンセプトを支える「輸送戦略」 ....................... 50
2節 ショーケースとしての「東京オリンピック・パラリンピック」 ....................................... 52
3節
東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機として「バス活性化」を図るシナリオ
53
第4章 バスのリデザイン戦略 ............................................................................................................... 55
1節 求められているバス車両のイメージ ....................................................................................... 55
(1) 「日本らしいバス」が生活者、観光客をもてなす .................................................................. 55
(2) 車内空間等の改善がバスのイメージを一新する...................................................................... 56
(3) 運転者を最新の技術でサポートする車両.................................................................................. 62
(4) 小型バスの需要拡大~タクシーとバスの中間サイズの車両に対するニーズ ...................... 64
(5) サービス一体型のバス車両の開発.............................................................................................. 71
2節 環境問題、災害対策等に資するバス車両 ............................................................................... 76
(1) 地球環境を守る技術の開発(それによる差別化) .................................................................. 76
(2) 災害時に人々を守るバスの開発.................................................................................................. 80
第5章 実現に向けたロードマップ ....................................................................................................... 81
1節 開発ロードマップ ......................................................................................................................... 81
(1) 自動車の製品開発プロセス~バスの新規開発にどの程度の時間を要するのか? .............. 81
(2) 新たなバスの製品開発プロセス案1:付加価値の高度化という視点から見たバス開発の方
向性 ....................................................................................................................................................... 82
(3) 新たなバスの製品開発プロセス案2:海外展開強化に向けたバス開発の方向性と戦略 .. 88
(4) 新たなバスの製品開発プロセス案3:小型車両開発の方向性 .............................................. 92
■資料編 ....................................................................................................................................................... 94
バスニーズ調査 ....................................................................................................................................... 94
■エグゼクティブサマリー
(基本的な問題意識)
バスは戦後の経済成長に伴い生まれた市民の旺盛な移動需要を各地域で支え、我々の生活には
欠かすことの出来ない交通手段としての地位を確立してきた。しかしながら、モータリゼーショ
ンの普及、鉄道網の進展、さらには少子高齢化・人口減少等により、バスを取り巻く環境は厳し
さを増している。とりわけ一般路線バスの事業採算性の厳しさ、赤字路線の廃止等により、バス
事業は成熟産業ないしは公的支援を前提として成り立つ事業であるかのようなイメージが広がっ
ている。
そのような環境下で
国民の足として市場を支えてきたバス車両メーカーは、市場規模に対応
した統合・撤退を経て現在、国内では3社に絞られてきた。
他方で、世界に目を転じると、新興国を中心に、バス車両への需要は劇的に増加していくこと
が予想され、新たな市場を巡り世界のバス車両メーカーがしのぎを削る状況が出現している。世
界でトップクラスの環境技術、安全技術を有する国内のバス車両メーカーにとって、その技術を
活かした海外展開は一つの有望な事業領域であり、それが国内市場の再活性化につながることも
見込める。
今こそ、バス車両メーカーから国内市場の再活性化、海外市場の創造・獲得に向けた事業戦略
を打ち出すべきではないだろうか。それはバス車両メーカーおよび周辺産業の成長に寄与するの
みならず、国内のバス利用者の増加と、新興国等の交通問題の解決につながるはずである。本報
告書では、従来の取り組みに囚われず、新たなバスの在り方を打ち出していくことを「バスのリ
デザイン」として取りまとめた。
(本報告書での提言)
1.バス車両に対する国内需要は創意工夫次第で再活性化できる
1990 年以降、バス車両に対する需要は低下傾向を示している。一見、成熟化は避けられない産
業のように見える。特に新車登録台数の減少が激しい。バス事業者等は、バス利用者の減少、及
び収益の低下等を背景に、車両更新への投資を手控えている。
他方で高速バス等の新たな「成長分野」が出てきており、顧客目線からのシート開発等を武器
に急成長を遂げる事業者も現れている。また、成熟したと見られる一般路線バスにおいても、
「需
要に即した路線最適化」
、
「利用者への情報提供方法の工夫」等により利用者の増加を実現した事
業者も出てきている。
バス車両メーカーの立場から、利用者のニーズを把握し、利用者本位の創意工夫(車両開発等)
を展開する余地は未だ残っているものと考えられる。具体的には以下のアプローチがあり得る。
❍ 機能単位の品質向上によるバス利用者の満足度向上。結果としての利用者拡大。
❍ 「おもてなし空間」というコンセプトに基づいたバス車両の開発・提案。
❍ モノ(車両)とサービスが融合した新たな市場の創生。
❍ 地域の公共交通のニーズに即した、より少人数のバス車両の提案。
このような取り組みは、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックを一つの戦略的機会とし
て活用することにより、一気に普及する可能性を秘めている。
1
2.小型バスの需要拡大~タクシーとバスの中間サイズの車両に対するニーズ
地域の社会経済状況およびライフスタイルが多様化していく中で、地域の交通の在り方もさま
ざまな選択肢が模索されている。地域住民等の移動手段を確保するための一つとしてコミュニテ
ィバスや乗合タクシーへの需要がさらに高まっていくことが予想される。
そこで必要とされる車両は、比較的小振りで経済効率性の高いものとなる。一定の経済性を確
保したうえで、地域側の多様なニーズにきめ細かく対応していくことができるかどうかがポイン
トになる。
3.サービス産業とコラボレーションしたバスの開発(サービス一体型のバス車両の開発)
バス車両の強みである「移動や停留の容易性・柔軟性」を活かし、サービス産業とバス車両メ
ーカーとの連携により、バス車両を活用したサービスを開発していく方向があり得る。
今後、様々な形態によるサービスとの連携がありうるが、消費者のニーズ及びビジネス採算が
あるかどうかが鍵である。政府が技術開発のための施策を打つことは産業振興という点から有益
な選択肢となる。一方で、車両メーカーの共同開発の促進等も推進していくことが重要である。
4.国際的なハーモナイゼーションに対応したバス開発の推進
バスを含む大型車のサイズ・重量等の規格の国際的な動向が、バスの車両開発や競争環境にも
影響を与えうる点を考慮し、世界各国が採用する規格の動向を踏まえつつ、国内市場におけるバ
ス利用の活性化や、国内バス車両メーカーの海外展開の拡大を促進していく観点から、道路イン
フラとの整合性を十分に考慮した上で、国際的なハーモナイゼーションを目指していくべきであ
る。
2
■本編
第1章 背景と目的
1節 研究会の背景、目的
バスは戦後の経済成長に伴い生まれた旺盛な移動需要を支え、市民にとって、身近で、親しみ
やすい移動手段として信頼を獲得してきた。しかし、我が国のバスは、モータリゼーションや鉄
道網と住宅開発の連動的整備の進展、さらに少子高齢化・人口減少等、様々な環境変化に晒され
てきた。とりわけ一般路線バスの利用者は減少を続け、全国で路線の廃止等が進んでいる。特に、
地方の事業者が置かれた状況は厳しく、赤字路線を抱えコスト削減の必要に迫られている例も少
なくない。また、高速バスについては、安全対策が強化された新高速乗合バス制度の創設も背景
として、各社はコスト競争一辺倒からサービスの質を巡る競争へと移行している。
そうした状況に鑑み、本戦略会議は、バス車両メーカーを中心に据えたバスの再活性化(リデ
ザイン)の検討を進める目的で設置された。現在、国内のバス車両メーカーは 3 社に絞られてい
る。バス車両の国内市場規模が継続的に落ち込んでいく中で、結果的には、市場の新たな潜在的
なニーズの深堀、または車両メーカーからの新たな提案・ニーズの創造と、市場の融合が最大限
なされてきたとはいえない可能性もあるのではないか。
2020 年に開催が決まった東京オリンピック・パラリンピックでは、世界各国からの来場者の
移動手段を確保することが必要となる。東京オリンピック・パラリンピックを戦略的な機会と捉
え、日本の自動車開発技術、運行技術、おもてなしの精神等を結集した新たなバスをお披露目で
きるよう検討を進めていくことができるのではないか。
他方で、世界に目を転じると、新興国を中心に、バス車両への需要は劇的に増加していくこと
が予想され、新たな市場を巡り世界のバス車両メーカーがしのぎを削る状況が出現している。世
界でトップクラスの環境技術、安全技術を有する国内のバス車両メーカーにとって、その技術を
活かした海外展開は一つの有望な事業領域であり、それが国内市場の再活性化につながることも
見込まれる。
3
図表 1 世界と日本のバス需要
出所:三菱ふそうトラック・バス提供資料
こうした中で、本戦略会議では主に、新たな車両開発を軸としたバス車両に対する国内の需要
の再活性化、及び、国内バス車両メーカーが成長著しい海外市場で展開していく上で必要なビジ
ネスモデルの検討を行う。更に、そうした動きを後押しする政策の可能性について提言を行う。
なお、本書の構成は次図の通りである。バス車両の開発促進等に関する戦略会議を立ち上げた
「意図」
、バス車両メーカーおよびステークホルダーが直面する「課題」、今後の「戦略」および
実現に向けた「ロードマップ」という流れで整理している。
4
図表 2 本報告書の構成
意図
課題
第 1 章 背景と目的
バス車両メーカーの課
第3章 戦略的機会としての「東京
題~縮小する国内市場、激化する
オリンピック・パラリンピック」
第2章
国際競争
東京オリンピック・パラリン
車両メーカーを取り囲む
ピックのコンセプトを支える
環境変化等
「輸送戦略」
ショーケースとしての東京オ
リンピック・パラリンピック
東京オリンピック・パラリン
バス車両メーカーの課題
ピックを一つの契機として
「バス活性化」を図る
シナリオ
戦略
4章 バスのリデザイン戦略
1節 求められているバス車両のイメージ
2節 環境問題、災害対策等に資するバス車両
ロードマップ
5章 実現に向けたロードマップ
1節 開発ロードマップ
5
2節
検討体制
バス車両メーカーをはじめ、バス事業者、自治体、観光の専門家、マスコミ関係者、デザイナー
等々から構成される委員会およびワーキングを設置し、2013 年 10 月から 2014 年 2 月にかけて計 11
回の議論を行った。
バス車両の開発促進等に関する戦略会議
委員会
座長
中村 文彦
横浜国立大学大学院
都市イノベーション研究院長 教授
委員(五十音順)
一條 厚
株式会社 GKダイナミックス 代表取締役社長
小川 誠
日野自動車株式会社 バス事業企画統括主査
加藤 博和
名古屋大学大学院 環境学研究科都市環境学専攻
都市持続発展論講座 准教授
川幡 進
いすゞ自動車株式会社 執行役員 CV/バス統括CE
斉藤 博章
株式会社はとバス 観光バス事業本部 副本部長
谷島 賢
イーグルバス株式会社 代表取締役社長
野村 文吾
十勝バス株式会社 代表取締役社長
橋口 博光
三菱ふそうトラック・バス株式会社 バス事業本部 本部長
三菱ふそうバス製造株式会社 代表取締役会長
山内 和久
東京都環境局 自動車公害対策部長
山川 進
三重県雇用経済部 部長
(敬称略)
6
バス車両の開発促進等に関する戦略会議
ワーキング
座長
加藤 博和
名古屋大学大学院 環境学研究科都市環境学専攻
都市持続発展論講座 准教授
委員(五十音順)
赤穂 啓子
株式会社日刊工業新聞 編集局第1産業部長
影浦 陽一
いすゞ自動車株式会社 商品・架装政策部 大型商品グループ
グループリーダー
金子 亨
東京都環境局 自動車公害対策部計画課長
桐山 登士樹
株式会社TRUNK デザインディレクター、プロデューサー
小松 緑郎
三菱ふそうトラック・バス株式会社 バス事業本部 バス販売部
マネージャー
関川 由都子
株式会社ジェイ・プランニング メディア事業部プロデューサー
中村 正
日野自動車株式会社 バス部営業支援室室長
西村 晴成
東京バス株式会社 代表取締役社長
野並 健治
合歓の郷ホテル&リゾート 総支配人
横山 幸代
株式会社リクルートライフスタイル じゃらんリサーチセンター
副センター長・とーりまかし編集長
吉田 平
ビィー・トランセホールディングス株式会社 代表取締役
(敬称略)
オブザーバー
秋山 誠二
三菱ふそうトラック・バス株式会社 企業渉外・環境部 部長
伊藤 公一
いすゞ自動車株式会社 経営企画部渉外担当部長
梅本 久義
日本自動車工業会 参与・業務統括部長
長尾 政美
日本バス協会 参与
7
宮原 孝夫
日野自動車株式会社 総合企画部 企画・渉外室 主査
藤原 威一郎
国土交通省 大臣官房参事官(自動車(国際))
小熊 弘明
国土交通省 自動車局旅客課 地域交通政策企画調整官
永井 啓文
国土交通省 自動車局環境政策課 課長補佐(総括)
折原 岳朗
東京都環境局 自動車公害対策部 計画課 計画係長
落合 成年
経済産業省 商務情報政策局 サービス産業室長
(敬称略)
事務局
前田 泰宏
経済産業省 製造産業局 自動車課長
日暮 正毅
経済産業省 製造産業局 自動車課 課長補佐(企画調整担当)
小林 章一
経済産業省 製造産業局 自動車課 課長補佐(サービス担当)
(敬称略)
柿崎 平
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 上席主任研究員
渡辺 康英
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 主任研究員
斎藤 創
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 研究員
中山 紗央里
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 研究員
布川 千絵
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 研究員
青木 梓
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 研究員
8
第2章 バス車両メーカーの課題 ~ 縮小する国内需要、激化する国際競争
1節 車両メーカーを取り囲む環境変化等
(1) 厳しい経営環境に苦しむ乗合バス事業
① 長期にわたる需要縮減
バスは、国民生活と密接な関係があり、社会的にも様々な役割を期待されることが多く、我が
国の社会経済の発展に大きく貢献してきた。しかしながら、このような重要な役割の一方で、乗
合バスの利用者は、人口減少、少子高齢化、モータリゼーションや鉄道輸送の拡大等の構造変化
を背景として、減少の一途をたどっている。
図表 3 国内輸送機関別旅客輸送人員数の推移
出所:日本バス協会「2012 年版
日本のバス事業」
他方、こうした状況の中で、乗合バスでも、需要創出・増加のための手段を模索している事業
者もいる。
コラム【乗合バスの需要創造】:十勝バスの取り組み(野村委員資料より抜粋)
乗合バス利用者を増やす方法を明らかにするために、一般路線バスの近隣住民宅を戸別訪問したと
ころ、「バスに不安を感じるから乗らない」、「バスの乗り方が分からないから利用しない」といっ
た声を聞いた。それを踏まえて、バスの乗り方を解説したパンフレットの配布や、運転手からの挨拶
を徹底したところ、好評を得ることに成功した。
さらに、「日帰り路線バスパック」という観光客向けの商品を作ったところ、開始から 2 年目には
9
約 4500 名が利用した。こうした様々な取り組みの結果、十勝バスは 40 年ぶりに利用客数が増加する
という全国初の快挙を達成している。
図表 4 バスの乗り方の説明
図表 5 日帰り路線バスパック
10
図表 6 乗客数の増加
② 赤字経営の常態化
乗合バス事業では、恒常的に赤字が続いており、特に公営および大都市部以外の路線において
は、経常収支率(収入/支出)が 8 割台で推移している。
図表 7 年度別経常収支率の推移(大都市部・その他地域)
出所:国土交通省「平成24年度乗合バス事業の収支状況について」
11
この結果、路線の廃止も進んでおり、乗合バス事業者の経営破綻も起きていることから、多く
の地方自治体は地域住民の足の確保のために路線維持への補助やコミュニティバス等の運行委託
を行うなどの取組を行ってきている。国は不採算路線への補助制度を継続的に実施してきており、
平成 23 年度からは「地域公共交通確保維持改善事業」によって財政支援を講じている。また、地
域公共交通活性化・再生法に基づく協議会や道路運送法に基づく地域公共交通会議の制度を設け、
地域の関係者が一体となった取組みにより地域の足の確保を図る仕組みを奨励している。
図表 8 地域公共交通確保維持改善事業
出所:国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業」
③ 高速バスの成長
一方、乗合バス事業の中でも高速バスは成長分野であり、全国で年間1億人以上を輸送する等、
我が国の基幹的な公共交通機関として都市間・地域間交流の拡大を支える存在となっている。ま
た、インターネットの普及が追い風となり、広告宣伝・予約・決済コストが大幅に低下するとと
もに、利用者が求めるサービスを柔軟に提供できるようになってきている。
従来は、乗合バス事業者が運行する高速乗合バスと、貸切バス事業者が利用者を募集する旅行
会社との契約に基づいて運行する高速ツアーバスとが併存していたが、関越自動車道の高速ツア
ーバス事故を受け、2013 年 8 月から両者は新高速乗合バスとして一本化され、より安全性を重視
した輸送が行われるようになっている。
12
図表 9 高速バス輸送人員の推移
出所:国土交通省料
コラム【シートの独自開発で差別を実現】
:ウィラーアライアンス社の取り組み
ウィラー社は多彩なシートと乗客への価格訴求力を特長とした高速バス事業を行っている。現
在一日 200 便を運行し、年間 200 万人が利用している。2006 年以降、それまでの常識を打ち破る
ような車両の開発やサービスを提供している。その中心的施策が、乗り心地を追求したシートや
カラフルなシートの独自開発である。
車両の開発に当たっては、
「現在バスに乗っていない人にどうしたら乗ってもらえるか」を考え
たという。車両ごとに 20 代女性、ファミリー層、40 代ビジネスマン等細かくターゲットを定め、
そうした特定の層の潜在的なニーズを汲み取った車両となっている。
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図表 10 多彩なシートラインナップ
出所:ウィラーアライアンス社ウェブサイト
なお、シート等への投資を回収するため、独自の価格戦略を実行している。すなわち、閑散期
には低価格、週末や休暇の時期にはある程度高い価格を提示することで、利用者の納得感を得ら
れる価格訴求力を実現している。
コラム【高速バスにおける車両開発】
:中国バスの取り組み(中国バスホームページより抜粋)
両備グループの一社である中国バスでは、
2012 年 8 月、
新たな高速バス車両
「DREAM SLEEPER」
を完成させた。このバスは「お客さまに最高の眠りと上質なリラクゼーションをお届けすること」
をメインコンセプトに開発されており、夜間に長距離を移動するストレスを和らげ、乗客が快適
な睡眠をとれるよう工夫されている。
14
図表 11 DREAM SLEEPER 車両外観
出所:中国バスホームページ
このバス車両の座席数は単独 2 列 14 席のみであり、パーティション、カーテンで区切ることで
個室のような空間が実現されていることが特長である。
図表 12 個室のように区切られた車内空間
出所:中国バスホームページ
現在、この車両は広島新幹線口―横浜間で毎日運航されており、運賃はゼログラビティシート
が往復 25,200 円(片道 14,000 円)
、エグゼクティブシートが往復 21,600 円(片道 12,000 円、いず
れも 2014 年 2 月 12 日現在)である。
さらに、こうしたシートの工夫にとどまらず、安眠に効果があるとされるさくら色の LED の導
入、ストレスを和らげるウェルカム・アロマの使用、除菌・脱臭効果のある「ナノイー発生器」
の搭載等、細部に渡って快適さを追求している。
15
図表 13 快適さを追求したシート
出所:中国バスホームページ
④ バリアフリー(ユニバーサルデザイン)対応
本格的な高齢化社会を迎え、乗降が容易で立席及び着席がしやすい等、利用者のニーズに応じた、
高齢者・障害者等に優しいバスを普及させていくことが喫緊の課題となっている。
代表的なものがノンステップバスである。ノンステップバスは、床面を概ね 30 ㎝以下とする超
低床構造として乗降ステップをなくし、高齢者や障害者にも乗り降りが容易なものとなっている。
また、補助スロープやニーリング装置(床面をさらに下げる装置)により、車いすでの乗降もス
ムーズであり、全ての人に使いやすい「人にやさしいバス」の代表として欧州各国では相当普及
している。わが国でも、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、
「移動
等円滑化の促進に関する基本方針」において導入目標を定めるとともに、国土交通省が標準仕様
ノンステップバス認定制度の設定や財政的支援等により、普及を促進している。
今後、高齢化が一層進む中で、乗合バスのバリアフリー(ユニバーサルデザイン)化を加速さ
せることは、高齢者・障害者等に優しいバスとなることであり、それはすなわちバス利用者の利
便性にも資するものである。
16
図表 14 ノンステップバスのイメージ
出所:国土交通省資料
(2) 事業者の新陳代謝が進む貸切バス事業
① 貸切バス事業者数の増加と事業採算性の悪化
近年、旅行者数及び総消費額とも横ばいの状況にある一方、貸切バス事業者数は、2000 年の
規制緩和後、新規参入事業者が増加し、事業者間の競争が厳しくなっており、海外からのツア
ー客向けのバス等における激しい価格競争など、本来の付加価値競争によるパイの拡大を目指
す動きができにくくなっているとも指摘されている。
図表 15 国内宿泊旅行者数及び消費額
出所:日本バス協会「2012 年版
17
日本のバス事業」
コラム【貸切バスの高付加価値競争】:東京バスの取り組み(西村委員資料より抜粋)
バスに乗車している時間を、単なる移動ではなくエンターテイメントの場と捉え、様々な取り
組みを行ってきた。つんく♂氏作詞作曲による社歌の制作や、お笑い芸人とのコラボレーション
企画等を実施している。今後はインバウンドの富裕層向けの車両開発や一層のエンターテイメ
ント性を備えたツアー開発を行っていく予定である。
図表 16 ソフト面での取り組み
18
② 安心安全の向上
貸切バスは、事業者数や車両数が増加する一方で、需要の増加は限定的であるため、価格競争
の激化により、日当たりの車の収益が下落し、安全性の低下や運転手の労働条件の悪化等が指摘
されていた。このような中で、関越道において高速ツアーバス事故が発生し、貸切バス事業者を
めぐる構造問題と高速ツアーバスの業態構造に起因した問題が浮き彫りとなったため、2013 年 4
月に「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を策定し、同プランに盛り込まれた措置を迅速
かつ着実に実施することにより、事故の再発防止と高速・貸切バスへの信頼の回復を図ることと
している。
図表 17 高速・貸切バスの安全・安心回復プラン
出所:国土交通省
(3) バス事業の制約となる車両選択の制約、従業員の確保、燃料費の高騰等
ここでは乗合バス事業、貸切バス事業に共通する課題を確認する。
① 車両選択の制約
国内のバス規格(バス車両の長さ、幅及び高さ、転角、軸重等の規格)
自動車は、道路インフラとの整合性を図りつつ、道路運送車両の保安基準及び車両制限令にお
いて、バス車両の長さ、幅及び高さ、転倒してしまう角度、重量等に関する規格が定められ、バ
ス車両の長さは 12 メートル、幅 2.5 メートル、高さ 3.8 メートルを超えてはならないと定められ
ている。
他方、欧州では規格が緩和され、車両の長さは 1 軸車であれば 13.5 メートル、2 軸車であれば
15 メートル、幅 2.55 メートル、高さ 4 メートルと規格が定められており、日本のバス規格より欧
州規格の方が大きく定められている。
19
図表 18 バス車両の海外規格(欧州規格)と国内規格の比較
(欧州規格)
(国内規格)
出所:自動車工業会
バス車両の長さ、幅及び高さ等の規格外車両の申請手続き
現在、道路運送車両の保安基準に当てはまらない規格のバス車両を走行させるためには、道路
運送車両の保安基準の第五十五条の通り、地方運輸局局長へ基準緩和のための申請等を行えば、
定められたルートのみ走行させることが可能となる。
<基準緩和申請の項目>
基準緩和の項目は、車両の長さ、幅、高さ、車両総重量等が挙げられる。
<基準緩和申請の件数>
規格外車両を走行させるための基準緩和の年間申請件数は、延べ約 12,000 件(2012 年度)であ
った。なお、当該件数は乗用車、トラックを含む自動車全体に関する基準緩和の各種申請の年間
申請件数であり、バスに関する個別の緩和項目の集計はできていない。
<基準緩和申請の手続き>
規格外車両を走行させるための手続きはバス事業者が行う。バス事業者等よりバス車両メーカ
ーへ規格外車両の発注があった場合、バス車両メーカーはその状態では規格がある事を発注者に
説明した後、発注に基づき生産し、発注者が走行ルート、時間等を限定し、地方運輸局へ基準緩
和申請を行う。
基準緩和申請の手続きは、下図に示す通りである。また、申請手続きに要する時間は、二週間
から一ヶ月程度である。
20
図表 19 基準緩和申請の手続きの流れ
出所:国土交通省
規格外車両の走行事例
基準緩和の申請を行い、規格外車両を走行させている事例として、ここでは連節バス、二階建て
バスを挙げる。
<連節バス>
連節バスは、二つの車体を連結器で繋ぎ、二つの車体の中を自由に行き来できる、
「切り離しの
出来ない構造のバス」を総称する。車体が長く定員を増やすことが可能であり、欧州をはじめ多
くの国で採用されている。近年、バスの乗務員が減少するなか、バス活性化のプロジェクトの一
つとして国土交通省でも積極的に検討されている。
21
図表 20 連節バスの車両概要
出所:三菱ふそうトラック・バス提供資料
車両
連節バス
ノンステップ一般大型バス
定員
129 名(架装例)
76 名(架装例)
全長
17.99m
11.01m
全幅
2.55m
2.49m
全高
3.07m
3.085m
重量
24,575kg
14,900kg
軸重
11,900kg
10,000kg 未満
エンジン
排気量 12L ユーロ 5
排気量 8L ポスト新長期
尿素・DPF 方式
尿素・DPF 方式
回転半径
9.5m
8.8m
非常扉
無し
左後方
国際基準準拠
脱出ハッチ及びハン
マー
出所:三菱ふそうトラック・バス提供資料
図表 21 連節バスの歴史
年
出来事
1985 年
科学万博 つくば 85 にて富士重工のボルボ製シャーシに架装した連節バス 100 台が、
日本で始めて運行。
(主に専用道路を走ることを条件に特別に運行を認可)
1998 年
運輸省(当時)が、
「連節バス構造要件」を通達。一般路線でも、連節バス通行が可
能になった。
富士重工がボルボ社製シャーシに架装。初めての一般路線運行が開始される。
22
(京成バスが幕張で運行を開始)
2000 年
富士重工が販売中止。
(2002 年、富士重工、バス架装事業から撤退。)
2005 年
ネオプラン製ノンステップ連節バスが日本で初めて運行開始。
(神奈川中央交通が湘南台で運行を開始)
2008 年
ベンツ製ノンステップ連節バスが日本で初めて運行開始。日本の道路で初の幅 2.55
mバス。
(神奈川中央交通が本厚木で運行を開始)
2010 年
京成バスは排ガス規制により、ボルボ-富士重工車をベンツ車に代替。
出所:三菱ふそうトラック・バス提供資料、日野自動車ヒアリング
連節バスは、国内の6つの都市で、33 台が稼働中である。(2013 年度現在)
図表 22
年度
2004
2005
2007
2009
2010
2010
2012
2013
2013※
連節バスの運行状況
ユーザ
神奈川中央交通
神奈川中央交通
神奈川中央交通
京成バス
京成バス
岐阜乗合自動車
神奈川中央交通
神姫バス
岐阜乗合自動車
自治体
藤沢市
藤沢市
厚木市
千葉市
千葉市
岐阜市
町田市
三田市
岐阜市
台数
2
2
4
10
5
2
4
2
2
※岐阜乗合自動車 2013 年度分の2台は 2014 年3月下旬導入予定のため、稼働台数については
2013 年ならば 31 台、2013 年度であれば 33 台である。
出所:国土交通省
<二階建てバス>
二階建てバスは、二層の客室構造で設計・製造されたバス車両を指す。
観光バス事業者にとって、二階建てバス車両は、多くの客が乗車可能となるだけではなく、
“観光要素”としても魅力があることから、導入の要望が多い。また、今後更なる発展が期待
される高速乗合バス事業者にとっても、大量輸送が期待できる車両である。
しかしながら、二階建てバス車両は、過去に三菱自動車(現・三菱ふそうトラック・バス)、
日野自動車、日産ディーゼル(現・UDトラックス)が製造していたが、国内では需要が無く、
現在国内のバス車両メーカーは製造していない。現在、バス事業者が二階建てバス車両を購入
するためには、海外バス車両メーカーより輸入するしかない。
さらに、海外のバス車両メーカーよりバス車両を購入する場合は、日本のバス規格に適合し
た車両が存在しないことから、特別に製造を依頼する必要があり、多額の費用がかかる。
23
図表 23 二階建てバス車両(はとバス)
車両名
二階建てオープンバス「オー・ソラ・ミオ」
コンセプト
屋根を取りはらい、二階建て仕様にすることにより、これまで屋根に遮られ見
ることができなかった迫力の高層ビル群や街路樹等のダイナミックな景観を体
験することができる。
出所:株式会社はとバス
<その他事例>
バス事業者からは以下のような意見もある。
自在で快適なシートレイアウト(特に観光・高速乗合バス)
シート安全規制強化に伴い、強度試験方法が厳格化され、現物での試験を求められるようにな
った。そのため、試験研究費が莫大になり、シートバリエーションの減少・価格の上昇を招いて
いる。
また、①国内バス規格の全長・全幅・軸重の制限により、定員・シートピッチといった仕様の
決定に制約があり、②そうした制約が緩和されれば、仕様の多様性が広がり、定員増加につなが
る可能性が高い。
24
基準や要件の見直しの必要性
バスを含む大型車のサイズ・重量等の規格の国際的な動向がバスの車両開発や競争環境にも影
響を与えうる点を考慮し、世界各国が採用する規格の動向を踏まえつつ、国内市場におけるバス
利用の活性化や、国内バス車両メーカーの海外展開の拡大を促進していく観点から、道路インフ
ラとの整合性を十分に考慮した上で、国際的なハーモナイゼーションを目指していくべきである。
2012 年 12 月の笹子トンネル天井板落下事故を契機に、道路・トンネルの維持管理に関する見
直しが順次実施される予定である。道路・トンネルの維持・管理に関する検討の中に、国際的ハ
ーモナイゼーションの観点も視野に入れ、道路の強度についても検討していくことも考えられる。
② 乗務員(運転者等)の確保と育成
バスの運転者の確保は、バス事業者にとって大きな課題の一つとなっている。
バスの運転者については、営業用バスの運転が可能な大型第二種免許の保有者数が、2003 年か
ら 2012 年の間に約 15 万人減少している。また、営業用バス運転者の平均年齢は 48.5 歳と全産
業労働者(男子)の平均である 42.5 歳を 6 歳上回っており、さらに、乗合バス事業の運転者(男
子)の年間労働時間数は、2012 年時点で 2,544 時間と全産業の労働時間を 400 時間以上上回って
いるにも関わらず、年間所得額は 432 万円と、全産業と比較して 100 万円近くも低い水準となっ
ている。こうした厳しい労働環境も営業用バスの運転者の確保を難しくする要因の一つであると
考えられる。
このため、国土交通省では、「バスの運転者の確保及び育成に向けた検討会」を設置し、その
対策の検討を行っている。
図表 24 年齢階層別大型第二種免許保有者数(2012 年)
年齢階層 保有者数(人)
20歳~24歳
1,734
25歳~29歳
9,365
30歳~34歳
23,380
35歳~39歳
50,917
40歳~44歳
76,652
45歳~49歳
92,506
50歳~54歳
97,056
55歳~59歳
103,850
60歳~64歳
142,236
65歳~69歳
121,173
70歳~74歳
108,634
75歳~79歳
115,261
80歳~84歳
67,433
85歳以上
15,983
計
1,026,180
出所:警察庁「運転免許統計」
25
図表 25 乗合バス事業運転者の労働時間と所得額の推移
営業用バス運転手と全労働者の平均年齢の推移
バス
全産業
2001年
46.1
40.9
2002年
45.6
41.1
2003年
46.0
41.2
2004年
44.7
41.3
2005年
45.4
41.6
2006年
46.2
41.8
2007年
46.5
41.9
2008年
46.8
41.7
2009年
47.9
42.0
2010年
46.6
42.1
出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
③ 燃料費の増加
経営環境に関わる要素の一つに燃料費の変動が挙げられる。産業用軽油価格は、2003 年以降
は 1L110 円台で推移している。2003 年の 60 円台と比較すると、大きく値上がりしていること
が分かる。このため、乗合バスにおいては、運送原価に占める燃料費の割合は、2003 年度の
6.3%が、2012 年度には 9.4%に増加している。
26
図表 26 産業用軽油価格の推移
注:各年 4 月
出所:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」
また、貸切バスの走行キロ当たり経費構成比率において、全体に占める燃料油脂費の割合
は徐々に増加し、2010 年には約 1 割を占めるまでになっている。一方で、貸切バスの実車キ
ロ当たり経費自体は、2003 年以降約 350 円とほぼ横ばいであることから、燃料費の高騰はバ
ス事業者の経営を圧迫する要因になっていることが分かる。
図表 27 貸切バス実車キロ当たり経費
出所:日本バス協会「2012 年版
27
日本のバス事業」
図表 28 貸切バス実車キロ当たり経費の構成比率推移
出所:日本バス協会「2012 年版
日本のバス事業」
(4) バスの利用者/非利用者からの「声」
本節では、バスの利用者、非利用者向けに Web を通じて実施したアンケート調査結果及びグル
ープインタビュー調査の結果について記載する。
① バスの利用者、非利用者向けアンケート調査概略
一般路線バス、高速バス、観光バス、新たなサービスを提供するバスについて、バスを普段利
用している人、普段利用していない人のニーズを明らかにするため、20 歳代から 70 歳代までの
男女 500 名を対象に、Web によるアンケートを実施した。
また、アンケートの回答者の中から、一般路線バス、観光バスの利用者、非利用者を 8 名抽出
し、グループインタビュー調査を行った。
【要約】
○ 一般路線バスに関して、一般路線バスを普段利用している人は「運行時間や本数」について改善
すべきと感じているのに対し、普段利用していない人は、「誘導サイン」「情報板」といったバス
を利用する前段階の情報提供についての改善を求めていた。
○ 高速バスは、普段利用している人と利用していない人に共通して、「運賃・料金」
「運行時間や本
数」のほか、
「シート」について改善が必要と感じられていることが分かった。
○ 観光バスは、バスの座り心地や座席の位置について改善の余地があることが分かった。また、グ
ループインタビュー調査ではバスの空調が気になるという意見も寄せられた。
28
○ バスとサービスの連携については、
「レストランバス」と「ホテルバス」を利用したいという声が
あった。また、グループインタビュー調査では、
「ものづくり体験バス」のサービス提供を支持す
る意見が多かった。
② 一般路線バスのニーズ
<一般路線バスの改善すべき点>
一般路線バスの利用者にとって、
「運行時間や本数」が最も改善すべき点であることが分かった。
次いで、
「定刻通りの運行」
「運賃・料金」が改善すべき事柄として挙げられた。
(詳しくは報告書
の資料編を参照。
)
同様に、一般路線バスの非利用者にとっても、
「運行時間や本数」が最も改善すべき点と認識さ
れている。次に、
「運賃・料金」が改善すべきと感じられており、運行時間や本数、料金等の利用
にあたっての情報が分からない状況であることが見て取れる。
<グループインタビュー調査>
・ 定時性に問題を感じており、電車を使ってしまう。バスを選択するのは、電車で行きにくいと
ころに出かける時である。
(30 歳代女性 一般路線バス利用者)
・ もう少し遅い時間まで運行してほしい。
(30 歳代女性 一般路線バス利用者)
・ 週に 1 回自宅から駅まで利用するが、 短い距離の割に値段が高いと感じる。車体が大きいのに
昼間は空いている。値段を下げて小型の電気バス等を導入するとよいのではないか。現状の大
きな車両では採算が合わないのではないか。
(40 歳代女性 一般路線バス利用者)
・ 通勤時間帯は大きな車両でよいが、昼間はもう少し小さな車両でもよいのではないか。
(60 歳代
男性 一般路線バス非利用者)
図表 29 一般路線バスの改善すべき点
路線バス非利用者
全体
定刻どおりの運行
運行時間や本数
運賃・料金について
他の交通機関との乗り継ぎ
運行情報の入手のしやすさ
交通機関のバリアフリー
道路の混雑状況
道路標識・案内誘導標識
シート
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
安心・安全性に関する情報表示
バス車両のデザイン性
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
20%
40%
60%
80%
100%
22.2
42.2
31.9
21.1
15.1
1.6
7.6
0.5
3.8
5.9
3.2
1.1
4.3
27.6
<一般路線バスの車両(シート)>
一般路線バスのシート(座席)について、改善されればさらに利用したくなる/他の人に一般
路線バスの利用をすすめたくなると感じる点を聞いたところ、一般路線バスを普段利用している
人及び利用していない人に共通して、
「清潔感」が最も気になる点であることが分かった。次いで、
シートの幅についても改善の要望が多かった。
29
図表 30 一般路線バスの車両(シート)
路線バス利用者
全体
シートの幅
シートの数(数を増やすべき)
シートの数(数を減らすべき)
デザイン性(色・形のデザイン性を向上)
清潔感
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
20%
40%
20%
40%
60%
100%
80%
30.2
27.3
1
2
3
4
5
6
7
7.6
9.5
30.2
4.1
31.7
路線バス非利用者
全体
シートの幅
シートの数(数を増やすべき)
シートの数(数を減らすべき)
デザイン性(色・形のデザイン性を向上)
清潔感
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
1
2
3
4
5
6
7
60%
80%
100%
24.9
13.5
11.4
4.9
29.7
1.6
43.2
<一般路線バスの車内モニター>
一般路線バスの車内にモニターが設置され、バス停周辺施設、他交通機関(一般路線バス含む)
の遅延等の運行情報が提供された場合、一般路線バスをもっと利用したくなるかどうかを聞いた
ところ、利用者の場合は過半数(5~6 割)、非利用者の場合は 3~4 割の人が「大いに思う」もし
くは「少しは思う」と回答した。
図表 31 一般路線バスの車両(車内モニター)
路線バス利用者
大いに思う
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバス(n=281)
少しは思う
12.8
23.6
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバス(n=208)
あまり思わない
26.0
38.9
25.7
3.モニターに他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報が表示されたバス(n=292)
どちらともいえない
38.4
全く思わない
17.1
22.6
39.0
5.7
9.6
21.9
5.3
9.6
3.8
路線バス非利用者
大いに思う
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバス(n=177)
9.0
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバス(n=152)
9.2
3.モニターに他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報が表示されたバス(n=182)
少しは思う
22.6
どちらともいえない
あまり思わない
45.2
30.9
11.0
34.6
全く思わない
15.3
40.8
7.9
11.2
38.5
11.0
7.9
4.9
<一般路線バスの運賃支払い方法:IC カード>
一般路線バスの運賃を支払う際に、現金支払いではなく IC カードが使えるバスに乗車したこと
があるかどうかを聞いたところ、一般路線バスの利用者の 7 割以上が「IC カードが使えるバスに
乗車したことがある」と回答したのに対し、一般路線バスの非利用者の 8 割近くが「IC カードが
使えるバスに乗車したことがない」と回答された。
「IC カードが使えるバスに乗車したことがない」と答えた回答者に対し、IC カードが使えるバ
スの方がもっと利用したくなる/他の人に一般路線バスの利用をすすめたくなるかどうかを聞い
たところ、
(一般路線バスの非利用者の)4 割以上が「IC カードを利用できた方がバスを利用した
くなる」と回答した。
30
図表 32 一般路線バスの車両(IC カード)
路線バス利用者
0%
20%
路線バス非利用者
40%
60%
80%
0%
100%
20%
40%
60%
80%
100%
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ある
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ある
21.1
25.7
74.3
78.9
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ない
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ない
路線バス利用者
0%
路線バス非利用者
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
100%
どちらともいえない
どちらともいえない
16.0
35.8
34.6
大いに思う
少しは思う
少しは思う
13.0
9.9 3.7
30.8
39.0
11.6 5.5
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
<一般路線バスに関する情報提供、周辺設備>
一般路線バスの利用にあたって、誘導サイン、情報板、バス停、時刻表、車内情報(音声、モ
ニター)等のうち、どの情報提供に工夫が必要かを聞いたところ、一般路線バス利用者は「時刻
表」の情報提供に工夫が必要と感じる人が最も多かった。これに対し、一般路線バス非利用者は、
「誘導サイン」
、「情報板」といった利用する前の段階の情報に関連した情報提供について、工夫
が必要と認識していた。
<グループインタビュー調査>
・ 都内で知らない場所に行ったときに利用しようかと考えたが、時刻表を見たがよく分からず、
結局徒歩で移動した。
(20 歳代男性 一般路線バス非利用者)
・ 地元で電車が通っていない地域のバスには、目的地が同じでも経由の違いで複数のルートがあ
る。どれが目的地に早く着くのかが分からない。行き先も様々ありよく分からない。
(30 歳代
女性 一般路線バス利用者)
・ バスは行き先がよく分からない。経由地は違うが目的地が同じ場合、どちらに乗ればよいのか
分からない。目的地に確実につきたい場合はタクシーを利用する。
(30 歳代女性 一般路線バ
ス非利用者)
・ 電車の場合は駅員に聞くことができるが、バスはそういうわけにいかない。
(30 歳代女性 一
般路線バス利用者)
31
図表 33 一般路線バスの情報提供、周辺設備で改善すべき点
路線バス利用者
0%
全体
誘導サイン
情報板
バス停
時刻表
車内情報(音声)
車内情報(モニター)
その他(_)
工夫すべきと感じる点は特にない
20%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
37.5
41.0
40.6
49.2
1
2
3
4
5
6
7
8
12.4
14.6
0.6
12.7
路線バス非利用者
0%
全体
誘導サイン
情報板
バス停
時刻表
車内情報(音声)
車内情報(モニター)
その他(_)
工夫すべきと感じる点は特にない
20%
30.8
30.3
26.5
30.3
1
2
3
4
5
6
7
8
12.4
9.2
0.5
31 4
<バス乗換案内サービス>
一般路線バス乗換案内サービスが提供されれば、一般路線バスをもっと利用したくなる/他の
人に路線バスの利用をすすめたくなるかを聞いたところ、一般路線バス利用者の方がもっと利用
したくなると思う割合が高かった。
一般路線バス乗換案内サービスの提供媒体としては、共通してスマートフォン、携帯電話(ス
マートフォン以外)よりもパソコンによる提供が好まれる傾向にある。
<グループインタビュー調査>
・ 電車のように路線図がほしい。このバス停とこのバス停は近いから乗り換えができる、といっ
た情報がほしい。
(30 歳代女性 一般路線バス利用者)
・ 事前に労力をかけて調べない限り、今いる地点からどこ行きのバスが走っているのか分からな
いのが不便である。 電車用乗換案内のバス版がほしい。
(40 歳代男性 一般路線バス利用者)
図表 34 バス乗換案内サービスのニーズ
路線バス利用者
大いに思う
少しは思う
どちらともいえない
20.0
1.パソコンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=315)
43.2
21.6
2.スマートフォンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=315)
全く思わない
27.6
33.7
17.5
3.携帯電話(スマートフォン以外)で路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=315)
あまり思わない
38.4
7.6
31.4
7.6
5.7
29.5
9.5
5.1
路線バス非利用者
大いに思う
1.パソコンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=185)
8.6
2.スマートフォンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=185)
8.6
3.携帯電話(スマートフォン以外)で路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=185)
9.7
少しは思う
33.0
29.2
28.6
どちらともいえない
あまり思わない
42.7
全く思わない
13.0
2.7
47.0
10.3
4.9
45.9
11.9
3.8
<バスロケーションシステム>
「バスロケーションシステム」のサービスが提供されれば、一般路線バスをもっと利用したく
なる/他の人に一般路線バスの利用をすすめたくなると思うかどうかを聞いたところ、一般路線
32
バス利用者の半数以上がバスロケーションシステムの提供は一般路線バスの利用を促すと回答し
た。一方、一般路線バスの非利用者のうち、バスロケーションシステムの提供が一般路線バスの
利用を促すと回答した人は全体の 3 割程度にとどまった。
<グループインタビュー調査>
・ 大きなターミナルでは「あと○分で到着」と表示されておりよいと思う。娘はスマート
フォンで運行情報を確認している。
(50 歳代女性 一般路線バス利用者)
図表 35 バスロケーションシステムのニーズ
路線バス利用者
0%
路線バス非利用者
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
100%
どちらともいえない
どちらともいえない
10.4
45.9
29.4
大いに思う
少しは思う
少しは思う
4.0
11.3 3.0
28.8
42.9
17.5
6.8
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
<一般路線バスの車両のデザイン性・機能性>
一般路線バス車両の外装および内装のデザイン性の高さに応じて、一般路線バスをもっと利用
したくなる/他の人に一般路線バスの利用をすすめたくなるかどうかを聞いたところ、一般路線
バス利用者、非利用者とともに、一般路線バスの内装のデザイン性の高さが利用に影響を与える
可能性があることが分かった。
<グループインタビュー調査>
・ 利便性を高めるような改善がなされれば別だが、デザインが変わったからという理由で乗りたい
とは思わない。ただし、混雑時に座席を折りたためるのはよいアイディアだと思う。
(20 歳代男
性
一般路線バス非利用者)
・ これまでバスのデザイン性を意識したことがないが、ドラえもんミュージアムへ行くバスはドラ
えもん仕様で作られており、乗っていて楽しかった。一般路線バスも地味で面白くないよりは、
このようにデザイン性が高い方が気分が変わってよいかもしれない。
(30 歳代女性 一般路線バ
ス利用者)
・ 一度、田舎に帰省した際に乗ったバスは、車内のシートやカーテンがデニム素材でできていた。
その土地独自のものをバスでアピールするとよいのではないか。
(30 歳代女性 一般路線バス利
用者)
・ 基本的にデザインには関心がなく、機能的で便利であればよい。アニメや映画とコラボレーショ
ンしているバスは乗るのが楽しいと思う。そうした遊び心があると若者も利用するのではないか。
バスは「まじめ」
、
「お年寄り」というイメージがある。
(30 歳代女性 一般路線バス非利用者)
・ 日本家屋のバスは画期的であり、オリンピックに向けてアピールになる。私も乗ってみたいと思
う。パノラマバスもよいと思う。車内のデザインも、今までのバスの暗いイメージを変えてくれ
てよいのではないか。
(40 歳代女性 一般路線バス利用者)
・ シート等にはこだわらないが、混雑時に座席を折りたためるのは魅力がある。(50 歳代女性 一
33
般路線バス利用者)
・ 窓が大きいと気分がよいので、パノラマシートに魅力を感じる。
(50 歳代女性 一般路線バス利
用者)
・ 一般路線バスには通勤のイメージがあるので、折りたたみシートは使えると思う。
(60 歳代男性
一般路線バス非利用者)
・ 葛飾区在住なのだが、
「寅さんバス」があるとよいかもしれない。
(60 歳代男性 一般路線バス非
利用者)
図表 36 一般路線バスの車両のデザイン性・機能性
路線バス利用者
0%
路線バス非利用者
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
大いに思う
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
どちらともいえない
17.5
27.3
27.9
20.3
8.1
7.0
20%
31.9
21.1
11.4
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
路線バス利用者
0%
27.6
路線バス非利用者
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
大いに思う
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
22.2
40.3
24.1
どちらともいえない
11.7
11.4
36.8
33.5
14.1
4.3
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
③ 高速バスのニーズ
<高速バスの改善すべき点>
高速バスの改善すべき点について聞いたところ、普段高速バスを利用している人(直近 1 年間
で利用)
、普段高速バスを利用していない人(直近 1 年間で利用していない)に共通して、
「運賃・
料金について」
「運行時間や本数について」、
「シート」に改善の余地があると感じていることが分
かった。
高速バス非利用者は、シートに次いで、
「他の交通機関との乗り継ぎ」について、改善余地があ
ると感じていることが分かった。
図表 37 高速バスの改善すべき点
高速バス利用者
全体
定刻どおりの運行
運行時間や本数
運賃・料金について
他の交通機関との乗り継ぎ
運行情報の入手のしやすさ
交通機関のバリアフリー
道路の混雑状況
道路標識・案内誘導標識
シート
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
安心・安全性に関する情報表示
バス車両のデザイン性
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
20%
40%
28.6
41.0
52.2
15.5
7.5
1.9
9.3
0.0
39.8
6.2
10.6
1.9
6.8
6.2
34
60%
80%
100%
高速バス非利用者
全体
定刻どおりの運行
運行時間や本数
運賃・料金について
他の交通機関との乗り継ぎ
運行情報の入手のしやすさ
交通機関のバリアフリー
道路の混雑状況
道路標識・案内誘導標識
シート
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
安心・安全性に関する情報表示
バス車両のデザイン性
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
20%
40%
60%
80%
100%
8.3
23.6
28.9
14.7
13.0
1.2
8.8
1.8
18.0
4.7
11.5
1.5
2.4
31.6
<高速バスを利用しない理由>
高速バスをあまり利用しない/これまで利用しなかった理由を聞いたところ、「特に理由がな
い」と回答した人が最も多かった。高速バスを移動手段として想起していない場合が多いことが
分かった。次いで、「バス停までが遠い」「バスの移動が快適でない」という理由が多く挙げられ
た。
図表 38 高速バスを利用しない理由
高速バス非利用者
全体
どこをどう運行しているのか知らない
運行時間帯が限られている
バス停までが遠い
運行本数が少ない
予約が面倒
行きたい場所へ運行されていない
バス停に駐車場が無い・少ない
時間が不正確
バスの移動が快適でない
乗換が面倒
安全面に不安がある
時間がかかる
その他(_)
特に理由はない
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
20%
40%
60%
80%
100%
12.4
9.1
18.9
8.3
5.6
10.9
6.2
2.7
14.5
2.1
8.6
11.8
7.4
37.2
④ 観光バスのニーズ
<バスツアーの良いと感じる点>
観光バスが使われる用途の一つである「バスツアー」について、バスツアーの良い点を聞いた
ところ、観光バスを普段利用している人(直近 2 年間で利用)と普段利用していない人(直近 2
年間で利用していない)の回答傾向は類似していた。
「価格の安さ」や「気軽に参加できる」とい
った点が評価されていた。
35
図表 39 観光バスツアーの良いと感じる点
観光バス利用者
0%
全体
価格が安い
気軽に参加できる
荷物が少なくて済む
時間が無くても行ける
プラン・企画が面白い
手続きが簡単
お土産をもらえることが多い
バスに乗るのが楽しい
その他(_)
20%
40%
60%
80%
100%
60%
80%
100%
72.1
68.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
21.8
4.1
34.0
19.7
6.8
6.1
2.0
観光バス非利用者
0%
全体
価格が安い
気軽に参加できる
荷物が少なくて済む
時間が無くても行ける
プラン・企画が面白い
手続きが簡単
お土産をもらえることが多い
バスに乗るのが楽しい
その他(_)
20%
40%
69.4
65.3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
22.4
2.0
24.5
14.3
2.0
6.1
2.0
<バスツアーに参加したことがない理由>
バスツアーに参加したことがない理由について聞いたところ、観光バスの利用者及び非利用者
に共通して、
「行く機会が無いから」という理由が多く挙げられた。
図表 40 観光バスツアーに参加したことがない理由
観光バス利用者
全体
行く機会が無いから
自由に行動したいから
ゆっくり楽しめないから
知らない人と旅行に行くのは嫌だから
興味のあるプランがないから
バスに乗れない(酔うなど)
食事がおいしくなさそう
価格が高いから
その他(_)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
55.4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
33.9
17.9
16.1
12.5
14.3
3.6
12.5
1.8
観光バス非利用者
全体
行く機会が無いから
自由に行動したいから
ゆっくり楽しめないから
知らない人と旅行に行くのは嫌だから
興味のあるプランがないから
バスに乗れない(酔うなど)
食事がおいしくなさそう
価格が高いから
その他(_)
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
20%
56.5
28.6
15.7
12.5
14.9
4.8
2.0
9.3
3.2
<バスツアーの良くないと感じる点>
バスツアーの良くないと感じる点を聞いたところ、観光バスの利用者及び非利用者に共通して、
「スケジュールがあわただしい」
「バスの座り心地が良くない」と感じられていることが分かった。
また、
「バスの座席の位置」
「バスの空調」と回答した人が 3 割程度いた。
<グループインタビュー調査>
・ ツアー自体は楽しくても、バスに戻ると窮屈な気持ちになった。トイレに自由に行けないのは
不便であった。
(30 歳代女性 観光バス非利用者)
36
・ 座席が狭く、リクライニングもあまりできず、トイレもなく窮屈であった。トイレがあっても
狭いことが多いので、もう少し広いとよい。
(30 歳代女性 観光バス非利用者)
・ シートや幅については、圧迫感を感じる。長時間乗るので足を伸ばしたい。飛行機はエコノミ
ーでも幅を広くしてくれている。バスもそのように従来よりもゆったり座れるようになってほ
しい。
(30 歳代女性 観光バス非利用者)
・ シートが固くて座りにくく、隣の人が近いと感じる。家族や友人のグループで区切れるような
カーテンがあるとよい。ボックス席のような形でもよい。(30 歳代女性 観光バス非利用者)
・ 何回も利用したことがあるが、車内の空気が悪いと感じる。利用後に具合が悪くなったことも
ある。
(40 歳代男性 観光バス非利用者)
・ シートの間隔はもっと広い方がよい。観光バスに一人で乗ることがあるので、一人向けのシー
トがあるとよい。
(40 歳代男性 観光バス非利用者)
・ 空調が気になる。
(50 歳代女性 観光バス利用者)
・ トイレ休憩はあると思うが、車内に大きめのトイレがあるとよい。
(50 歳代女性 観光バス利
用者)
・ シートの幅はやや狭いと感じる。
(50 歳代女性 観光バス利用者)
・ 空調に関して、吹き出し口の下にいると暑かったり寒かったりする。サーキュレーター等を使
って温度を均一にしてほしい。
(60 歳代男性 観光バス利用者)
・ 観光バスに乗った際にリクライニングは使わないようにと言われた。もう少し空間的に余裕が
あるとよい。
(60 歳代男性 観光バス利用者)
図表 41 観光バスツアーの良くないと感じる点
観光バス利用者
全体
スケジュールがあわただしい
食事のメニュー・味が良くない
バスの座り心地が良くない
バスの空調が気になる
バスの座席の位置
プランの内容
ガイドが良くなかった
事前の紹介と違った
その他(_)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
60.1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
29.1
37.9
12.3
26.6
9.9
3.4
2.0
4.4
観光バス非利用者
全体
スケジュールがあわただしい
食事のメニュー・味が良くない
バスの座り心地が良くない
バスの空調が気になる
バスの座席の位置
プランの内容
ガイドが良くなかった
事前の紹介と違った
その他(_)
20%
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
65.0
15.5
25.3
13.8
15.8
17.8
2.0
2.7
57
⑤ バスとサービスの連携のニーズ
バスとサービスの連携について、レストランバス、ものづくり体験バス、就活バス、劇場バス、
ホテルバス、健康診断バス、子供向け FUNBUS について、写真付きの説明書きを表示した後、そ
れぞれのバスとサービスの連携について、利用したい/人にすすめたいと思うかどうかを聞いた
ところ、レストランバス、ホテルバスについて利用したい/人にすすめたいと感じる人が 4 割近
くいることが分かった。
37
<グループインタビュー調査>
1.レストランバス
・ レストランは料理の質次第だと思う。ただ、おいしい料理だとしても、内装等がきれいなお店で
食べたいと思ってしまう。パノラマバスと合わせて、夜景等眺めのよいところでお酒を飲みなが
ら煙草も吸えたら、非日常を楽しめる。
(30 歳代女性)
・ レストランバスは、厨房がついているのであれば、海で地引網でとった魚を、その場で料理する
ツアーといったことも考えられるのではないか。
(40 歳代男性)
・ 外国人観光客向けに、日本のお菓子や軽食等を出すのはよいと思う。
(40 歳代女性)
2.ものづくり体験バス
・ ものづくり体験バスは普及させるべきである。親が申込みをし、ニートやひきこもりの人が体験
することで、雇用創出が可能かもしれない。
(20 歳代男性)
・ 地方で埋もれているものを若い人にアピールし、働き手を確保することは必要だと思うので、こ
のようなバスはとてもよいと思う。
(40 歳代女性)
3.就活バス
・ 就活バスについては、地方でも働き手が必要だと思うので、都市部で就職先が決まらなかった人
が地方の中小企業を見て、そこで働きたいと思ってもらえるとよいのではないか。
(40 歳代女性)
・ 乗りたいと思うものはないが、就活バスは需要があるのではないか。逆に地方から都市部に向け
て運行した方がよいのではないか。
(60 歳代男性)
・ 就活は学生にとって大きな負担なので、それを軽減できればよいのではないか。金融業界をまわ
るツアー、マスコミをまわるツアー等を実施するとよいと思う。3,000~3,500 円であれば需要が
あるのではないか。
(60 歳代男性)
4.劇場バス
・ 劇場バスは楽しそうだが、2 階建てで屋根がないものだったら乗りたいと思う。風に当たって開
放感を楽しみたい。ネオンや街並みを楽しみたい。
(30 歳代女性)
・ 東京は賑やかなところが多いので、地元の人も含めて劇場バスは楽しめるのではないか。
(40 歳
代女性)
5.ホテルバス
・ ホテルバスは利用してみたいと思う。ベッドがあるのは非常に魅力的である。料金に関しては、
利用する距離によるが、通常のバスの 1.5 倍くらいは払ってもよい。
(20 歳代男性)
・ ホテルバスは、座席ではなくベッドが搭載されているのが魅力的である。
(30 歳代女性)
・ ホテルバスはよいと思う。寝て起きたら目的地についているのは嬉しい。
(30 歳代女性)
・ この中で興味を持ったのはホテルバスである。上高地に行く際に夜行日帰りバスを利用するが、
乗っている時間が長いため、このようなバスだとゆったりと過ごせると思う。 現在利用している
バスの 2 倍くらいの値段は払ってもよい。
(50 歳代女性)
6.健康診断バス
・ 健康診断バスについて、祖母が岩手の山奥に住んでおり、時間をかけて通院しているので、そう
した交通の便の悪いところにこのバスが来てくれたらよいのではないか。
(20 歳代男性)
・ 過疎地域で健康診断バスが活躍するとよいのではないか。
(40 歳代男性)
38
・ 健康診断バスは利用したことがある。病院に行くのが困難な方もいると思うので、このようなバ
スが増えるとよいと思う。
(30 歳代女性)
※その他
・ 車体全体が広告になっているラッピングバスは面白いと思う。電車のように、車外だけでなく車
内の広告まで統一すると面白いかもしれない。広告収入により運賃が下がればさらに魅力的であ
る。
(40 歳代男性)
図表 42 バスとサービスの連携に関するニーズ
大いに思う
1.レストランバス
(n=500)
13.2
2.ものづくり体験バス
(n=500)
3.就活バス(n=500)
4.劇場バス(n=500)
5.ホテルバス(n=500)
少しは思う
28.6
8.6
4.4
24.8
34.0
32.4
9.0
7.2
7.子供向け
FUNBUS(n=500)
6.6
全く思わない
19.6
12.2
21.2
11.4
23.2
24.8
10.4
あまり思わない
26.4
13.4
6.健康診断バス
(n=500)
どちらともいえない
26.6
32.8
17.2
32.2
26.0
27.4
19.6
36.6
18.6
16.2
11.8
16.2
35.4
12.6
19.2
20.2
また、バスとサービスの連携それぞれについて、一人当たりどの程度の価格であれば利用した
いかを聞いたところ、ホテルバスについては 9,000 円以上を支払えると回答した人が 5 割近く存
在していた。
図表 43 バスとサービスの連携の価格
3,000円以下
3,001円~5,000円
1.レストランバス
(n=500)
5,001円~7,000円
40.6
30.2
2.就活バス(n=500)
6.健康診断バス
(n=500)
7.子供向け
FUNBUS(n=500)
3.6
16.6
56.4
4.劇場バス(n=500)
28.4
49.2
24.2
52.4
22.0
74.0
10.6
2.6
5.0
11.2
9.2
7.0
17.4
39
6.4
16.2
22.0
4.8
10.8
26.2
30.6
15,001円以上
19.4
74.6
3.ものづくり体験バス
(n=500)
5.ホテルバス(n=500)
7,001円~9,000円 9,001円~10,000円 10,001円~15,000円
3.0
2.2
5.8
5.4
2.4
(5) その他ステークホルダーの問題意識等
バス利用に関連するステークホルダーのニーズを把握するために、旅行業者、乗換案内サービ
ス事業者等にヒアリング調査を実施した。また、委員会、ワーキンググループの委員のうち、地
方自治体所属の委員より、研究会の場でプレゼンテーションを依頼し、情報収集を行った。
① 旅行業者
観光向けバスの逼迫
日本では、アウトバウンド(海外旅行客)に比べ、インバウンド(外から入ってくる旅行、一
般的に訪日外国人旅行を指す)の数が少ないことから、現在、「訪日旅行促進事業(ビジット・
ジャパン事業)」が行われている。将来的にはインバウンド人口を 3,000 万人とすることを目標
としており、2016 年までに 1,800 万人、2020 年まで 2,500 万人の目標を掲げている。
インバウンド人口増加にあたって、貸切バスの不足、宿泊施設不足、ツアーガイドの不足が懸
念されている。また、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、MICE 需要増加
の加速、スポーツツーリズムの増加が見込まれ、貸切バスの不足に拍車がかかることも予想され
る。
さらに、2013 年 8 月より施行された「高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準 」
により、貸切バスの運転者の確保が困難な状況も発生しており、特に観光シーズンやイベント開
催の際の貸切バス事業者の手配が困難な状況も発生している。
2020 年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、貸切バスのほかに宿泊施
設が不足することが見込まれる。2013 年現在、8 月と 9 月の東京、京都、福岡の宿泊施設は 85%
稼働している状況であり、インバウンド人口が増加した場合、宿泊施設は確実に不足する状況で
ある。
さらに、ガイド人材も不足することが見込まれる。ガイド人材は、インバウンドに対応するた
めに、英語のほか東南アジアからの観光客に対応したガイドが必要となる。
旅行事業業界において、東京オリンピック・パラリンピックは一つのエポック(きっかけ、機
会)になり得ると考えられている。ただし、東京オリンピック・パラリンピックに向けて貸切バ
ス等のバス車両の手配は必要であるが、同時にオリンピックが開催された後も継続的に活用され
る取組み、仕組みを構築していくことが必要と認識されている。例えば、バスの仕組みをパッケ
ージ化して(新興国等へ)輸出することもあり得るとの声もあった。
② 乗換案内サービス事業者
乗換案内サービスは、出発地と到着地との間を鉄道・空路・航路・高速バス・一般路線バス等
公共交通機関を使って移動する最適経路の情報を提供するシステム・サービスを指す。
バス乗換案内サービス
乗換案内サービスの中で、高速バス・一般路線バスの乗換えに関する情報を提供するサービス
は提供されてきたものの、バスに関する乗換案内サービスは有料であった。従って、経路検索に
あたってバスに関する情報を取得するためには通常の乗換案内サービスに加えて課金される状況
であった。さらに、全国に存在するバス事業者の全てが乗換案内サービスに登録されているわけ
40
ではなく、登録が比較的大規模な事業者に限られていたことから、過疎地域のバス経路検索が出
来ない場合が多い状況であった。
バス検索サービスにバス事業者が登録するためには、乗換案内サービス事業者に時刻表を提出
することが必要となる。しかしながら、バス事業者の中で、規模が小さい事業者を中心に、時刻
表データを電子データとして整備していない事業者があり、乗換案内サービス事業者が電子デー
タ化する必要があった。そうした時刻表の電子データを持ち合わせない事業者のデータを一つず
つ登録し、サービスのカバー範囲が徐々に拡大していき、現在では、バス事業者が全国 300 社近
く登録された乗換案内サービスを提供できている乗換案内サービス事業者も存在している状況で
ある。
バス乗換案内サービスの無料化
乗換案内サービス業界では、バス検索サービスの無料化の流れが出てきている。その要因とし
て、グーグルやヤフーをはじめとして、検索サービス大手の企業がバス検索を検索サービス大手
の企業がバス検索を無料化したことが挙げられる。
バス検索を無料化したことをきっかけに乗換案内サービス事業者からは、
「普段バスを利用しな
い人」を「バスを利用する人」へ変換することが可能になるのではないかとの意見もあった。当
該乗換案内サービス事業者によれば、バス検索サービスを無料化してから、時刻表の閲覧回数が
従来よりも 3 割増加したとのことである。
バス乗換案内サービスの多言語対応
乗換案内サービス事業者の中で、インバウンド人口の増加を見込み、乗換案内サービスの多言
語対応を進める事業者が出てきている。一部の乗換案内サービス事業者は、既に鉄道やリムジン
バスの経路検索は英語対応されている状況である。今後、バス検索についても英語対応すること
が検討されている。
図表 44 バス乗換案内サービス
出所:ジョルダン株式会社
41
③ 地方自治体
地域の観光政策の中て、バスは重要な役割を担う。地方自治体が中心となり、バスを積極的に活用
している例が多く挙げられる。その中で三重県では、環境面に配慮したバスの導入を積極的に実施す
る計画である。
電気自動車バス等の活用(伊勢市)
三重県でバス事業を展開する三重交通株式会社は、2014 年 3 月に伊勢市内の一般路線バスに電気自
動車バスを導入することを計画している。さらに、EV コミューターの実証試験を伊勢市で展開する。
NTN 株式会社より三台の EV コミューターの提供を受け、伊勢市役所のイベントや日常業務での活用
や、観光・商業施設等での近距離移動、伊勢市観光ルートの開発等、新たなモビリティーの社会実証
試験を実施する。
地域観光政策としてのバスの活用
現在東京から伊勢に来るには、名古屋経由で新幹線や電車を乗り継がなくてはならないが、日本橋
からバスで直接伊勢へつなぐ便の運行を検討する動きがある。
図表 45 電気自動車バス等の活用
(山川委員プレゼンテーション資料より抜粋)
42
図表 46 バスの地域観光政策での活用
(山川委員プレゼンテーション資料より抜粋)
43
2節 バス車両メーカーの課題
(1) 国内市場の縮小
①
国内バス
全需の推移と市場環境
国内のバス車両需要は、1990 年代以降、景気の状況を受けた変動があるものの、減少傾向で
推移している。2009 年以降、1万台を割り込んでいる。
これは、乗合・貸切バス事業全体での輸送人員減少により、バス事業者の保有台数が減少傾向
にあることによるものである。2010 年度の国内輸送機関別の旅客輸送人員をみると、総輸送人
員は 290 億 77 百万人
(前年 293 億 28 百万人)と対前年 0.8%減と前年から 249 百万人減少した。
また、車両使用年数が長期化していることから、新車需要が長期的に低迷している状況である。
図表 47 国内バス全需の推移と市場環境
出所:自動車工業会
② 国内バス
保有台数の推移、全需と市場環境
バスの新車登録台数は、約 20 年に渡って減少傾向であり、2011 年には、ピーク時(1990 年)
の約 3 分の 1 まで落ち込んでいる。
44
図表 48 国内バス保有台数の推移
出所:自動車工業会
③ 車両の高齢化(代替期間の延長)
国内の大型バス保有台数を車齢別に比較すると、2000 年に 18.1%であった車齢 14 年以上の車
両の割合は、2012 年には倍以上の 41%になっており、車両の買い替えが進んでいないことがう
かがわれる。
図表 49 国内大型バス車齢別保有台数の推移
出所:自動車工業会
45
(2) 輸入バスの動向
① 欧州企業の動向
バス事業者は、日本のバス車両メーカーで製造されていない連節バスについては、欧州のバス
車両メーカーより購入している状況である。
神奈川中央交通株式会社は、2005 年 2 月 4 日より、厚木バスセンター(小田急線・本厚木駅)
と厚木アクスト間の一般路線バスに、2 台の車両をつなげたノンステップ大型連節バス「ツイン
ライナー」4 両の運行を開始した。これは、ダイムラー・ベンツの連節バスを購入したものであ
った。
連節バス
「ツインライナー」
は、全長約 18m、全幅 2.55m あり、ほぼ電車 1 両分の長さである。
定員も電車 1 両分に相当する 131 名。ツインライナーの大量人員輸送で駅前の混雑が解消し、バ
スの運行回数が減ったことで、排出ガスの軽減等、環境面でも効果が現われている。
② 韓国企業の動向
現代自動車は、日本では、2008 年に韓国ヒュンダイモーターカンパニーと東洋エス・イー株
式会社によって初めて先行試験車として日本に輸入され、2009 年 2 月 5 日にヒュンダイ自動車
(現代自動車)の日本法人であるヒュンダイモータージャパン株式会社より正式に発売された。
現代自動車はユニバース(大型観光バス)を世界戦略車として捉え、右ハンドルで排出ガス規
制や保安基準が他国と大きく異なる日本への投入が成功すれば、品質面で他国でも受け入れても
らえ、またオセアニア等右ハンドルを採用する地域への投入も容易になるという判断があった。
日本国内のバス事業者としては、近年の景気低迷で輸送需要に伸びが見られない上、新たな排
出ガス規制への対応のたびに上昇する車両価格に頭を痛めている現状で、量産効果から比較的低
価格な輸入車に注目が集まっている。
日本では発売以後、メーカーが仕様設定を行っているツアーバス、インバウンド向け観光バス
会社への投入が目立つほか、広交観光、中国バス、富士急行等一部の高速路線バスでも導入が進
められている(きりしま号;いわさきバスネットワーク、びんごライナー:中国バス)。
このほかに 2011 年には富士急行が傘下の富士急静岡バスで昼行高速便(東京~富士宮)、観
光車でも富士急行観光にも観光格納式補助席バージョンを投入。日本最大のバス事業者である西
日本鉄道(西鉄バス)でも高速バス仕様の車両を投入している。西鉄の導入に続いて、九州では
九州産交バス、昭和バスが複数台を導入し急速に普及が進んでいる。
現代自動車の最大の強みは 1、価格競争力である。同社は韓国・全州(チョンジュ)にある商用
車専用工場の自動化ラインで年間 3,500~4,000 台の大型観光バスを生産し、中東やアジア等全
世界に輸出している。これは年間千数百台で推移している日本の大型観光バス市場の倍以上にあ
たる規模と言われる。
桁違いの生産効率の格差に円高ウォン安の為替影響も加わり、日本市場での車両価格は
「(3,000 万~4,000 万円台が一般的な)国内勢より 1,000 万円は安い」と言われている。
しかし、イニシャルコストの面では国産バスより優れてはいるものの、例えばワイパーゴム
1
ここでの現代自動車に関する記述は、MSN 産経ニュース(2012.10.10 )に基づいている。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121010/biz12101009320004-n1.htm
46
(ワイパーブレード)の交換をしようとするとゴムだけの部品が無くアームごとの交換になり、
結局交換費用が一桁上がるといったように、ランニングコストの高さという問題も抱えている。
(3) 国内バス車両メーカーの海外輸出の状況 2
① バス車両の輸出
バス輸出については、輸出台数は 2004 年以降、右肩上がりで伸び、2000 年の 4 万 1,000 台から
2008 年には 15 万台に達したが、2009 年にリーマンショックの影響で一気に減少し、その後東日
本大震災で生産能力が減少した影響で 2011 年に再び落ち込み、2012 年には 13 万台近くまで戻し
ている。バスの種別では、2000~2012 年の間に輸出された大型バスの累計は 15 万 7,643 台、小型
バスは 97 万 1,032 台であり、小型バスが約 86%を占めている。
このことから、日本のバス輸出は小型バスが主体であることが分かる。大型バス車両は、海外
展開にあたって、完成車輸出ではなく、仕向地で完成車を組み立てるためのシャーシや部品の輸
出が主流になっている。これは、次第に現地ボディメーカーが架装する例が増えたこと、完成車
は航送費用がかさむこと、完成車への高課税から内製化率を高める必要性が生まれる等様々な環
境変化があったためである。
なお、日本のバス車両メーカーはいずれも日本向けと海外向けの製品ラインアップを別々に取
り揃えている。その背景には、日本国内ではボデーの美しさや豪華さ、快適性・安全性等が強く
求められ、耐久性等を重視する輸出向けと方向性が大きく異なるようになったことが挙げられ
る。
図表 50 バス輸出台数の推移
出所:自動車工業会
② いすゞ自動車におけるバス車両の輸出
いすゞ自動車では、1970 年代までは大型バスは完成車輸出が大半を占めていたが、次第に完成
2
バス車両の輸出に関する記述は、各バスメーカーへのヒアリング、ぽると出版「バスラマインター
ナショナル」の記事に基づく。
47
車輸出の割合を減らし、現在は仕向地で完成車を組み立てるためのシャーシや部品輸出を主に行
っている。完成車の輸出は、航送費用がかさむこと、さらに完成車への高い課税から内製化率を
高める必要性が生まれていることから、シャーシ・部品輸出が主流となっている。輸出台数は、1
万 3,000 台弱であり、大型バスと小型バスの割合は 1:9 の比率で小型バスが主体となっている。
(2012 年現在)
輸出している大型バスのシャーシは、リヤエンジンバスシャーシである。仕向地によっては、
大型フロントエンジンバスが依然として需要があるため、そうした国へは現在はトラックシャー
シベースで対応をしている。日本から輸出している小型バスはフロントエンジンシャーシのみで
ある。いすゞ自動車で輸出しているフロントエンジンシャーシの大半は、トラックシャーシがベ
ースとなっている。輸出されたシャーシは現地のディストリビュータよりバス事業者へ販売され、
その後地元の架装メーカーに持ち込まれて架装される場合が多い。
バス輸出先として、南米(特にコロンビア)が多くを占める。南米は GM との関係で開拓し、
仕向地ではシボレーブランドで販売されており、この場合はシボレーのバッジをつけて販売され
る。海外のいすゞ系販売会社には、そのベアシャーシに自社製のボデーを架装、完成車として販
売する例があり、トルコ、インド、ウクライナ、ウズベキスタンに輸出している。
③ 日野自動車におけるバス車両の輸出
日野自動車では、1970 年代に完成車輸出に代わり、フレーム付シャーシの輸出へ移行した。1990
年代には完成車輸出を完全になくし、シャーシ輸出に一本化した。輸出台数は、基本的には年間
4,000~5,000 台で推移しており、日本国内の販売台数を大きく上回っている。また、大型バスの
輸出が主体であり、大型バスが輸出台数の大半を占める。
輸出されたシャーシは、現地製造・販売会社がシャーシを組み立て、ボデーは現地ボディービ
ルダーが架装する方法と、現地の日野関連会社でボデー架装を含めて完成車に仕上げる方法に大
別される。
日野自動車が輸出しているシャーシは、メンテナンスや架装等の仕向地の様々なニーズ、環境
規制を踏まえ、フロントエンジン、リヤエンジンとも幅広くラインアップを取り揃えている。
バスの輸出先としては、アジアがインドネシア、台湾、パキスタン、バングラデシュ、マレー
シア、タイ、フィリピン等である。このうち、インドネシアが輸出先の中で最も多い台数を輸出
している。中南米では、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ等、中近東がアラブ首長国連邦(UAE)
等である。アジアを主体として輸出しているが、中南米、中近東向けの輸出も伸ばしている状況
である。
④ 三菱ふそうにおけるバス車両の輸出
三菱ふそうにおいても、為替や輸出先の政策、関税の変化等の背景から、完成車輸出から現地
ボデーの架装を前提としたフレーム付シャーシ輸出に販売形態を変更している。一方、小型バス
の輸出では、完成車輸出が主体となっている。輸出台数は年間およそ 4,000 台である。
輸出用の小型バスの車型展開として、ロングとスーパーロングを設定している。また、パワー・
トレインは仕向地の環境規制やニーズに合わせて多様なエンジン、トランスミッションをそろえ
48
ている。環境規制で一般的なユーロ規制を例に見た場合、無規制(中東等)からユーロⅤ(香港
等)まで多機種をそろえる必要がある。
なお小型バスも近年は韓国や中国メーカーの進出が目立ち、販売台数に影響を受けている。性
能面や品質では三菱ふそう社製の小型バスの優位性が大きいものの、韓国の現代自動車ではほぼ
同等のスペックながら廉価な価格設定であり、強力なライバルになっている。
主な輸出先はおよそ半数を占める中東、次いで約 20%のオーストラリアで、近年は中南米への
輸出も増えてきている。アジア市場では香港、マカオ等では長年の実績があるが、開発途上国で
は、小型トラックシャーシに現地でボデーを架装する、より廉価なバスが求められる傾向が強い。
49
第3章
戦略的機会としての「東京オリンピック・パラリンピック」
本報告書では、バス車両メーカーの立場で展開可能な様々な創意工夫(車両開発等)を検討し
ているが、それを実現していくために 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックを戦略的機会
として活用していくことが望まれる。ここでは、東京オリンピック・パラリンピックの「輸送戦
略」を概観し、それを一つの契機として「バス活性化」を図るシナリオなどについて考察する。
1節
東京オリンピック・パラリンピックのコンセプトを支える「輸送戦略」
東京都の「立候補ファイル」では、今回の東京オリンピック・パラリンピックの輸送戦略を以下の
ように述べている 3。
(輸送に関する目標と戦略的取組)
2020 年東京大会のきわめてコンパクトな施設配置に、効率的な輸送システム及び世界有数の公
共輸送ネットワークが組み合わさることで、迅速、安全、円滑な移動が可能となる。円滑な輸送
環境により、素早く効率的に快適な移動ができることは、選手が最高のパフォーマンスを発揮す
る一助となる。
その一方で、東京の公共輸送システム及び交通網により、都市の活発な経済活動に伴う一般交通
需要と大会開催に伴う交通との整合を図り、大会時における人員・物流輸送が円滑に行われるよ
うに緻密かつ臨機応変な体制を構築する。
このため、2020 年東京大会は、以下の輸送目標を設定する。
・ 各クライアントのニーズを踏まえた質の高い輸送サービスの提供
・ 東京の充実した公共交通網を活用した円滑な観客輸送
・ 大会にかかわる輸送需要が一般の市民生活や都市活動に与える響の最小化
・ 徹底した環境負荷の低減
上記の目標を実現するため、下記に示す極めて有効な資産を最大限活用する。
・ 1,052km、760 駅に及ぶ鉄道をはじめとする高密度かつ信頼性の高い公共交通網
・ 高速道路と主要幹線道路だけで総延長 1,575km に及ぶ充実した道路網
・ 道路交通や鉄道輸送等各交通手段を適切に管理する交通運用システム
・ 高度道路交通システム(ITS)やユニバーサルデザイン、自動車排ガス対策等に関する高度な
技術基盤
さらに、大会開催時に提供するサービスをより確実なものとするため、以下の戦略的な取組を進
める。
・ 選手村から半径 8km 圏内(公共輸送機関等が集積)への 28 の競技会場の設置
・ オリンピックによる交通需要を確実に満たし、競技会場、非競技会場及び練習会場を結ぶ総
3
この交通戦略は東京都の「立候補ファイル3」から抜粋したものである。
50
延長約 607kmのオリンピック・レーン等の適宜設置
・ 高度道路交通システム(ITS)等の最先端の情報通信技術を駆使した大会輸送運営システムの
構築
・ 自動車交通量の約 10%低減を目標とする交通需要マネジメントの実施
・ 使用車両等への徹底した環境配慮技術の導入
・ 需要に応じた適切な臨時シャトルバスやパーク&ライドの運用
・ 「2020 年の東京」等の都市計画に基づく交通基盤の質的向上を図る道路を主としたインフラ
整備の推進
選手をはじめとする大会関係者の輸送に関しては、競技会場と主要施設をコンパクトに配置する
とともに、各施設をオリンピック・レーン及びオリンピック・プライオリティ・ルートで接続す
ることにより、72%の選手が選手村から各競技会場へ 10 分以内に確実にアクセス可能な快適な
輸送環境を提供する。さらに、下記に示すとおり、クライアント別にその特徴やニーズを踏まえ
たサービスを提供する。
・ 選手・チーム役員及びIFについては、移動に伴うストレスを感じることなく、競技において
パフォーマンスに集中できるよう、安全で確実、迅速、快適な輸送サービスを提供する。
・ スタッフやボランティアについては、各運営の業務を完璧に、かつ効率良く果たせるよう、
充実した公共交通網を活用し、安全で確実な輸送サービスを提供する。
・ メディア関係者については、24 時間体制でシャトルバスを運行する。
また、オリンピック放送機構のニーズに関しては、そのニーズに応じた専用の輸送サービスを提
供し、IBC/MPC から約 85%の競技会場までの所要時間を 30 分以内にする等移動時間の短縮を実
現する。
・ IOC、NOC及びIF関係者については、効率的かつ柔軟な専用の車両サービスを 24 時間提供す
る。IOCホテルから約 94%の競技会場までの所要時間は 30 分以内である。
・ マーケティング・パートナー関係者向けの輸送サービスは、必要性に応じた専用のバスプロ
グラムの確実な実施をサポートする。
・ 観客については、約 2,570 万人/日が利用する世界有数の鉄道網によりほぼすべての競技会場
への迅速、確実な接続を提供する。また、特設シャトルバスが大会スケジュールに合わせて、最
寄り駅まで運行される。
一般市民への影響については、会場等を半径 8km というコンパクトなエリアに集中的に配置す
ることにより、輸送効率を高めることが可能であり、大会にかかわる輸送需要が市民生活に与え
る影響を相対的に小さなものとしている。さらに、輸送需要別に重要度や代替手段の有無等を踏
まえつつ、交通需要マネジメントを実施し、大会開催時に適宜一般市民へ交通情報を提供する。
(輸送全般に関する各機関の責任)
輸送に関するさまざまな場面で権限を担う各機関の役割は下記のとおりである。
・ 国土交通省
全国のインフラ整備の全体調整、鉄道等の公共交通機関の運営監督、国道の整備及び管理、東京
51
国際空港(羽田空港)の整備及び運営等交通政策全般
・ 警察庁
全国における道路交通の安全と円滑化のための交通取締や交通規制に関する全国都道府県警察と
の調整等道路交通政策全般
・ 東京都
東京におけるインフラ整備の全体調整、一部の地下鉄やバスの運営、都道の整備及び管理等交通
事業全般
・ 警視庁
東京における交通安全意識の広報啓発、交通規制、交通情報提供、新交通管理システム(UTMS)
整備等の交通管制、交通違反の取締り等道路交通対策全般
・ 高速道路会社
エリア別に高速道路を運営・整備
・ 民間鉄道会社
路線別に鉄道を運営・整備
・ 民間バス会社
路線別にバスを運営・整備
・ 成田国際空港(株)
成田国際空港を運営・整備
2節
ショーケースとしての「東京オリンピック・パラリンピック」
バス車両メーカー等にとっては、東京オリンピック・パラリンピックの輸送戦略は国内外に新
たなバスの魅力を提案する絶好の機会となる。日本の自動車開発技術、運行技術、おもてなしの
精神等を結晶化したバスを開発していくべきではなかろうか。
日本の技術等の粋を集めたバスという意味で、東京オリンピック・パラリンピックに向けて開
発が期待されるバスをここでは「JAPAN バス・システム」と呼ぶ。それは大きく次図の5つの要
素から構成される。
図表 51 JAPAN バス・システムのコンセプトと構成要素
52
JAPAN バス・システムを具現化していくためには、多数の関係者による「すりあわせ」が必要
不可欠となる。その際には、できる限り具体的なイメージ案(車両、走行ルート、運行体制等)
を提起しつつ、それを関係者でバージョンアップしていくアプローチが有効である。
ここでは今後の議論に資することを狙いに、東京オリンピック・パラリンピックの交通戦略を
踏まえた一案を示しておきたい。世界で最も環境に優しいバスの整備(電気バス、燃料電池バス
等)を、オリンピック・パラリンピック会場の中核拠点を結ぶ基幹道で運行させる案である。
図表 52 世界最先端のバス路線のルート(案)
3節 東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機として「バス活性化」を図る
シナリオ
東京オリンピック・パラリンピックを戦略的機会として、その後にどのような展開を目指すか
が肝心であり、そのシナリオを「国の成長戦略」として位置付けていくことが望まれる。そうし
た位置づけがあればこそ、車両メーカー等の投資も実現していくと考えられる。
一つ目のシナリオは、東京オリンピック・パラリンピック後に、主に途上国(の代表的都市)
向けにいわゆるパッケージ輸出を図っていく方向である。オリンピック・パラリンピックで東京
を訪れた選手、大会関係者、政府関係者に「JAPAN バス・システム」を体験いただき、その後の
導入につなげていくべきである。途上国向けには技術協力、人材育成等を ODA 等も併用しつつ、
推進していくシナリオを明確化しておきたい。
二つ目は、首都・東京への集中投資が日本全体のバス事業活性化へつながるシナリオである。
主な視点は以下の通りである。
インフラ投資(充電拠点、バス発着場所等)
❍ 原理的に、インフラ投資は(いずれかへの)集中投資が必要。
❍ 首都として、バスの新たな可能性を実証していく役割が東京にはある。
東京のバス・システム更新と地方への波及
❍ 東京で先行的にバス車両を更新していくことで、地方のバスも連動的に比較的新しいバ
53
スに置き換わっていく。
❍ 東京で効果が確認された新バスシステム(情報提供、新交通システム等)を地方へ横展
開することで、コスト低減に結び付く。
(地方はリスクをとらない形で)
東京の実績を踏まえた地方都市での「地方都市版バス・システム」開発へ
❍ 東京で効果が確認された新バス・システムを一つの参考として、それを上手く活用しつ
つ、地方都市に合ったバス・システムの開発につなげていく。※基礎部分は東京バージ
ョンを活用することでコスト負担を軽減できる。
東京オリンピック・パラリンピックは海外のお客様を国内各地の伝統行事等へ誘導するチャン
ス4
❍ 開催時期の 7 月 24 日~8 月 9 日は外国人が好む日本の祭りが目白押しであることから、
となる 2020 東京オリンピック・パラリンピックはインバウンドビジネスにとって最大の
チャンスになる。オリンピック・パラリンピックと観光をパッケージ化し、大々的に売
り込む機会であり、その際に、日本らしい「おもてなしの観光バス」をお披露目するこ
とが効果的であろう。
青森ねぶた(8 月 2 日~7 日)
仙台七夕(8 月 6 日~8 日)
秋田竿灯祭り(8 月 3 日~6 日)
岐阜・郡上おどり(郡上八幡は 8 月 13 日~16 日)
京都・祇園祭(7 月 1 日~31 日)
徳島阿波踊り(8 月 12 日~15 日)
高知よさこい祭り(8 月 9 日~12 日)
❍ インバウンドの観光客は、2013 年に 1,036 万人を達成し、さらに、2,000 万人の高みを目
指している。2020 年はおおよそ 2,000 万人程度となるとすれば、それに東京オリンピッ
ク・パラリンピック効果を加えて、2,000 万人を超える市場ができることが見込まれる。
しかも、その後も増加する見込みであり、
「インバウンド向けのバス(ツアー)」市場が
見込めるため、東京オリンピック・パラリンピックを睨み、貸切バス事業者の投資が期
待できる。
4
「東京五輪で日本はどこまで復活するのか」市川宏雄、メディアファクトリー新書 090 より引用。
54
第4章
バスのリデザイン戦略
2章ではバス車両メーカーが置かれた事業環境を概観したうえで、国内市場縮小、バス事業者
の収支の悪化、グローバル市場における競争激化といった課題を確認した。これらはかねてより
議論されてきたものであり、言わば伝統的課題ともいえる。
続く3章では、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックがバス交通へ一つの大きなチャン
スをもたらすことを指摘した。ここで日本の技術やおもてなし精神を活かした「Japan バス・シス
テム」を国内外へプレゼンテーションすることで、その後の国内外での市場拡充が図れる可能性
を示唆した。ただし、その際重要なことはそうした目標を共有したうえでの戦略的投資、技術開
発の加速化を官民一体で推進していくことであることを再確認した。
以上を踏まえ、この4章ではバス車両メーカーに求められる戦略を議論する。バス利用者の拡
充に向けて、車両メーカーから提案できる余地が多分にあることを具体的に記述している。一見、
成熟化した「乗り物」と見られているバスは、創意工夫次第で新たな価値を創出していくことが
できると考えるものである。
1節
求められているバス車両のイメージ
以下では、先ずはバス車両の硬直化されたイメージを一新させるコンセプトとして「日本らし
いバス」のデザインを示す。続いて、車内空間の改善余地が大きいことを具体的提案も盛り込み
ながら概説する。さらには、バスの ICT 化の必要性、安全技術の重要性を述べ、小型車両や大型
車両の潜在的ニーズについて整理する。最後に、バス車両をサービス提供の場ととらえた時に見
えてくる新たな事業のアイディアを述べる。
(1) 「日本らしいバス」が生活者、観光客をもてなす
日本らしく、細かな部分まで配慮の行き届いたバスは、生活手段として日常的に親しまれると
同時に、観光客向けの「おもてなし」としても機能する。都市戦略の一環として開発していく意
義が大きいものと考えられる。例えば、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの会場間輸
送に採用する等の戦略的な取り組みを進めていくべきである。次図には「日本らしいバス」の一
例を示す。
55
図表 53 全席パノラマシートバス(一條委員資料より抜粋)
図表 54 動く日本家屋 縁側・廊下・居間・2 階リビング(一條委員資料抜粋)
乗り込む作法
部屋へ入るドラマの演出をする
「ようこそいらっしゃいませ」
エクステリアとインテリアの変化幅
本事業の中で実施した利用者ニーズ調査で、グループインタビューの中で、デザインは利用意
欲には関係ないといった意見と共に、
「窓が大きいと気分がよいので、パノラマシートに魅力を感
じる。
(50 歳代女性 一般路線バス利用者)」
「日本家屋のバスは画期的であり、オリンピックに向
けてアピールになる。車内のデザインも、今までのバスの暗いイメージを変えてくれてよい。
(40
歳代女性)
」といった意見もあった。
(2) 車内空間等の改善がバスのイメージを一新する
① デザイン性と機能性を兼ね備えた空間デザイン
(シートの開発)
公共交通機関としてのバス車両の開発は、必要な性能を満たし安全に乗客を乗せることができ
るという機能性や、経営環境の厳しさから、できる限り費用を抑えられるよう標準化された車両
を導入することに重点が置かれてきたといえる。しかし、今後バスが新たな需要を掘り起こして
いくためには、性能が満たされていることを超えて「車両自体の魅力」を高め、既にバスを利用
している人のみならず、現在はバスを利用していない人も「乗ってみたい」と思うような車両を
開発していくことが必要なのではないだろうか。そうした車両は、デザイン性に優れるばかりで
なく、機能性を兼ね備えたものとなるはずである。
例えば、現在一般的な乗合バスの座席はシートの下に脚がついているが、次図のように足のな
いカンチレバー式シートを導入すると、座席下に荷物を収納するスペースができる。座っている
乗客にとっては重い荷物を抱えたまま乗車する必要がなくなり、立っている乗客は車内混雑時に
邪魔にならないよう荷物を置くことができる。そうした利便性に加えて、座席の下に空間ができ
56
ることで、視覚的にすっきりとしたインテリアが実現される。
図表 55 カンチレバー式シートの導入
既存のバス車両は、紺色やえんじ色のシートが一般的であるが、視覚障害者へのバリアフリー
の観点に留意しつつ、そうした色合いも再考の余地があるのかもしれない。また、座席の素材も
布製だけでなく、木等の天然素材を使うことも考えられる。
本事業で実施したバスニーズ調査では、シートの幅や清潔感に関する改善要望が多く見られた。
利用者・非利用者のニーズを踏まえたシートの改善が期待される。
図表 56 天然素材の利用
Yannick Golay / Agatha prospectiv project
Yannick Golay / Agatha prospectiv project
さらには、手すり、つり革、運賃収納箱、両替機、降車ボタン等車内の様々な設備について、
機能性を兼ね備えたデザインとすることで、快適に過ごすことができ、さらには「豊かな移動経
験」をもたらすような車両とすることが可能である。
(立っている乗客向けの空間デザイン)
混雑時には、多くの乗客が立つことを想定し、そうした利用者が快適に乗車できるような工夫
も重要である。例えば、図表 57 のように立っている乗客の腰の高さにクッションを設けること
57
で、急な揺れ等の際に衝撃を和らげる役目を果たすほか、立っているときの背もたれにもなる。
図表 57 立っている乗客に配慮したスペース(一條委員資料より抜粋)
(荷物も一つの「乗客」の一部として扱う配慮)
座席による工夫だけでなく、荷物置き場をバスの中に設けることでも車内の居心地のよさを高
めることができる。大きな荷物をあらかじめ荷物置き場に置くことで、乗客が過ごしやすく、乗
り降りのしやすい移動空間が実現される。
図表 58 荷物置き場の導入(一條委員資料より抜粋)
コラム【乗合バスの需要創造】:バスの前面に自転車を乗せられる「自転車ラックバス」(神奈川中
央交通)
神奈川中央交通株式会社は、バス車両の前面に自転車を乗せられる路線バスを一部路線で運行して
いる。自転車の飲酒運転や傘を指しながらの片手運転などによる交通事故の防止にも貢献する。
ラックは乗降口に近いバス前面に設置されており、容易に扱える構造になっている。積載料金は1
58
台につき 100 円で、現金のほか IC カードでも利用できる。
自転車ラックバスは、沿線の住民に通勤や通学、買い物などでバスと自転車を利用した新たな移動
方法を提供できるほか、観光地まで自転車をバスで運び、目的地のまわりを自分の自転車で手軽にサ
イクリングを楽しめるようになるなど、日常利用から観光利用まで幅広く利用されている。
図表 59 自転車ラックバス(神奈川中央交通)
出所:神奈川中央交通
② 照明による快適空間の演出
さらに、照明により車内空間のデザインをすることも可能である。光の温度は室内空間で快適
に過ごす際に非常に重要な要素の一つである。照明による快適さ、季節感の演出等車内の雰囲気
を左右する要素となる。
図表 60 アクセントのあるライティング(一條委員資料より抜粋)
*なお、図表 55、図表 56、図表 57、図表 58、図表 60 の写真は、バスのものではないが、バ
ス車両のデザインの参考になるものとして、一條委員から提出されたものである。
59
③「常識」を崩す最新技術の活用
(運賃支払い箱、運賃支払い方法)
乗合バスの乗車または降車時に運賃を支払うが、その際の専用箱がバス車内空間の自由度を下
げているのではないか。IC カード化の徹底、スマートフォン等での端末を活用した支払等をさら
に促進することで、スマートな車内空間を実現することができる。
(車内での情報提供ディスプレイ)
乗合バスを利用する際、降車バス停の確認と料金の支払いを行う必要があるが、バスの車両に
よっては、車内の料金表および路線図の字が小さく、後方の座席からは確認しづらいことがある。
その結果、特に土地勘のない場所でバスを利用する際に、「どのバス停で降りたらよいのだろう
か」、「料金はいくらになるのだろうか」と不安に感じることも少なくない。
車内の情報提供という観点からは、電光掲示板を用いて比較的離れたところからも確認できる
ような料金表や路線図を提示することで利用者の利便性が向上すると考えられる。バス停につい
ても、次の停車地のみならずその先のバス停名もいくつか画面上に表示することで、安心感を得
られるのではないだろうか。さらに、電車等他の交通機関と接続のある停車地に関しては、駅等
への道順や、遅延情報等の運行情報についても情報提供を行うことが考えられる。
車内の前方にある表示を大きくすることは当然として、車内の側面にもディスプレイを貼り付
け、車内のどこに居ても容易に情報を見ることができる状況を作っていってはどうか。
本事業で実施したバスニーズ調査では、車内に情報提供ディスプレイが設置され、バス停周辺
施設、他交通機関の遅延等の運行情報が提供された場合、利用者の半数程度が更に利用したい(他
者に利用をすすめたい)と回答している。
④乗客の健康をケアできる車内空間
車内清浄化によるインフルエンザ等の感染防止、難聴者のための補聴システムの整備、
サスペ
ンションの工夫による車酔いの緩和など、ノンステップ等の乗降時のユニバーサルデザインだ
けでなく、乗客の健康等をケアできる車内空間としてはどうか。
図表 61 バス運行会社と空調メーカーによる車載用ウイルス除去装置の共同開発
❍ バス車内は閉鎖空間であり、様々な病気症状を空気感染させる恐れがある。例えばインフ
ルエンザは毎年流行しており、個々人が予防注射やマスク着用等で感染予防を図っている。
❍ 両備グループは、空調メーカーでありウイルス対策技術「光速ストリーマ技術」をもつダ
イキン工業と共同でバス車載用の大型のウイルス除去装置を開発した。約 6 カ月というス
ピード開発した同製品は、次の特徴をもっている。
1. 既存のバス空調ダクトに組み込める省スペース
2. 冷暖房運転しない時期でも送風で利用可能
3. フィルター等は年一回の交換のみ、かつ簡単交換が可能
4. 20 万円という廉価な価格
出所:両備グループホームページより作成
60
図表 62 補聴システム「磁気誘導無線装置」
❍ 補聴器を用いる難聴者にとって、走行中の騒音の中でテレビやカラオケ等の音声を聞き分
けるのは難しい。
❍ 音声を難聴者の補聴器に流すシステムで、電話用切り替えスイッチがついているものであ
れば対応が可能。
出所:イーグルバス(株)ホームページより引用(文章一部改変)
⑤
乗合バスのダイヤ最適化のための情報の収集および活用
乗合バスの運行データを継続的に収集し、ダイヤ最適化のために活用している事例として、イ
ーグルバス株式会社の取り組みがある。運行ダイヤ最適化によるコストと品質の改善を目指して、
一般路線バス事業の「見える化」
、データを利用した収支と品質の改善、定量的評価と継続的改善
を、それぞれマーケティングの導入、IT によるバスデータの取得・分析・評価、PDCA サイクル
による改善、によって進める取組みを行ってはどうか。
本事業で実施したバスニーズ調査では、「バスロケーションシステム」「乗換案内サービス」と
いった情報ツールが提供され、ダイヤが最適されたり、情報が活用されれば、バスをもっと利用
したくなる/他の人にバスの利用をすすめたくなると思う割合が高かった。
コラム【乗合バスの需要創造】:イーグルバスの取り組み(谷島委員資料より抜粋)
イーグルバスでは、3 年間かけて一般路線バス事業改善モデルを運用してきた。PDCA サイクルを実
行することで、①ダイヤ最適化による改善、②路線の最適化による改善、③地域おこしによる事業改
善、という 3 つの改善が得られたという。特に、路線の最適化に関しては、バスが利用者のいないバ
ス停を巡っているという状況が明らかになったことから、利用者のいる場所を通るよう変更した。そ
して、地域おこしによる事業改善については、通勤・通学の利用時間帯と観光客が利用する時間帯は
互いに補い合うことに着目し、ハブ&スポーク形式による効率化を図ることで、利用者を 25%増加さ
せることに成功した。
61
図表 63 路線の最適化モデル
図表 64 地域おこしによる事業改善
(3) 運転者を最新の技術でサポートする車両
バスの「サービスプロバイダー」のメインは運転者である。運転者の皆さんが誇りを持って働
くことのできる環境づくりが必要である。
運転操作の補助技術やヒューマンエラーによる事故防止策は、バスの安全性能の向上や運転者
の労働環境の向上にとって、重要なテーマとなっている。
例えば、運転者の状態をモニターして注意を促す技術、前方車両との適切な車間距離の保持技
術等安全運転を補助するシステム、衝突被害を軽減するブレーキシステム等の開発・導入が進ん
でいる。システム例として、運転注意力モニター「MDAS-Ⅲ」、車間距離保持機能付オートクル
62
ーズ、PCS(プリクラッシュセーフティ)等がある。
図表 65 運転注意力モニター「MDAS-Ⅲ」
高速走行時、ドライバーの運転状態を常にモニターし、注意力低下を警報するシステム。走行
状況や運転特性を学習するとともに、白線認識カメラや各種センサーの情報から運転注意力を
推定。高精度なマルチ表示システム「Ivis(アイヴィス)」の注意力レベル表示に加え、さら
に必要に応じた警報を発生します。また、注意力が低下した状態で車線を逸脱した時は、逸脱
側のスピーカーから警報を発する等、運転を積極的にバックアップ。予防安全性を高めます。
出所:三菱ふそうトラック・バス(株)ホームページより抜粋して転載
図表 66 車間距離保持機能付オートクルーズ
高速長距離走行等において、ドライバーの疲労を効果的に軽減します。ジェイクブレーキとエ
ンジンをオートクルーズが統合制御。降坂時等で設定車速以上のスピードを抑えるとともに、
車間距離警報装置や自車レーン認識機能を付加し、車速と、前走車との車間距離の双方を最適
にコントロール。さらに、永久磁石式リターダーを装着すれば、より安全で強力な統合制御が
実現します。
出所:三菱ふそうトラック・バス(株)ホームページより抜粋して転載
図表 67 PCS(プリクラッシュセーフティ)[衝突被害軽減ブレーキシステム]
PCS は、衝突時の速度を抑え、衝突被害の軽減に寄与するシステムです。走行中、ミリ波レー
ダーが常に前方を検知・分析。万一追突の恐れがある場合に警報やブレーキ作動で注意を促し、
追突の可能性が高くなるとより強力なブレーキが作動します。
63
出所:日野自動車(株)ホームページより転載
コラム:運転士の居眠り防止の技術【東芝】
運転士の居眠り防止のための技術も開発も進んでいる。東芝は自動車用品のカーメイトと提携
し、運転士の居眠り防止に役立つアプリを開発している。
新サービスは、同社の運送データ管理と東芝の医療関連技術を組み合わせる。具体的には、ス
マホと心拍数を測る生体センサーを組み合わせて提供を行う。運転士は専用アプリを取り込んだ
スマホを車内に置き、生体センサーを身につけるだけで済む。
スマホの画像認識センサーや加速度センサーが、走行データをリアルタイムで収集し、前方車
両との距離やブレーキ使用状況を推定する。スマホで収集した走行データと生体センサーが検知
する心拍数を無線で東芝グループのサーバーに送信する。両データを解析し、運転士が居眠りし
ないよう必要に応じて音声で注意喚起する仕組みである。
東芝情報システムとカーメイトは、2015 年1月からサービスを開始する見込みである。利用料
は月額数百円の見通しである。長距離バスの運行事業者やタクシー会社が、運転士の体調管理な
どに活用することを想定している。3年後に5万人が利用する年間 10 億円のサービスに育てる。
(出所:2014 年 2 月 5 日(水)日本経済新聞)
(4) 小型バスの需要拡大~タクシーとバスの中間サイズの車両に対するニーズ
地域の社会経済状況およびライフスタイルが多様化していく中で、地域の交通の在り方もさま
ざまな選択肢が模索されており、地域住民等の移動手段を確保するための一つとしてコミュニテ
ィバスや乗合タクシーへの需要がさらに高まっていくことが予想される。そこで必要とされる車
両は、比較的小振りで経済効率性の高いものとなる。一定の経済性を確保したうえで、多様な地
域側のニーズにきめ細かく対応していくことができるかどうかがポイントになる。
図表 68 コミュニティバスの定義と事例
定義
「コミュニティバス」とは、交通空白地域・不便地域の解消等を図るため、市町村
等が主体的に計画し、以下の方法により運行するものをいう。
(1) 一般乗合旅客自動車運送事業者に委託して運送を行う乗合バス(乗車定員11
人未満の車両を用いる「乗合タクシー」を含む )
。
(2) 市町村自らが自家用有償旅客運送者の登録を受けて行う市町村運営有償運送
事例
名称
武蔵野市「ムーバス」
事業主体
関東バス株式会社,小田急バス株式会社(武蔵野市)
64
運行事業者
関東バス株式会社,小田急バス株式会社
運行区域
武蔵野市内(吉祥寺東循環、吉祥寺北西循環、境南循環、三鷹駅北
西循環)
事業概要
□ 路線:4路線(ムーバス1号・2・4号路線は関東バス㈱、3号
路線は小田急バス㈱が運行)
□ 運賃:大人・子供ともに 100 円均一(小学生未満は無料)
□ 運行便数(1 日):1号路線(45 便)、2号路線(52 便)
、3号
路線(東・西循環共 41 便)、4号路線(37 便)
□ その他の特徴:
・ バス内車椅子収納スペースの設置
・ 大人と子供が座れるための 1.5 人掛けシート
・ 電動ステップの整備
・ 無料貸し傘の設置 等
□ムーバス1号運行開始:1995 年
出所:国土交通省「コミュニティバスの導入に関するガイドライン」、
国土交通省「全国のバス再生事例集」
一方、コミュニティバス等による中小型の車両については、ピーク時の乗車人員に応じて選定
することが必要である一方で、国内バス車両メーカーが提供する車種バリエーションは少ない。
バスとしては、11~15 人程度のものが存在しない状況である。
図表 69 小型バス以下の事業用バスの種類
乗車定員
車両外観
25~35 人程度
日野自動車:ポンチョ
11~15 人程度
トヨタ:ハイエース
65
10 人以下
トヨタ:ハイエース(福祉車両)
このため、コミュニティバスと乗合タクシーの双方で利用可能な中間サイズの車両を作ること
で、コミュニティバス、乗合タクシーに最適な車両を最適な費用負担で提供することが可能とな
る。費用が最適化されれば、利用者が負担する運賃体系も見直すことが可能となり、新たなサー
ビス体系を生み出すきっかけにもなると考えられる。
本事業の中で、新たな小型バス車両イメージの案を一條委員に作成いただいた。一條委員の提
案は 3 つのコンセプトで構成されている。
コンセプト 1 扉の工夫:左右に優雅に開く 日本の「いらっしゃいませ」
扉をマルチドア仕様にすることで、乗り降りを迅速に行うことが可能。
コンセプト 2 レイアウトを変える:コミュニケーションが増える
対面シートでコミュニケーションが増える効果を検討。
コンセプト 3 インテリア:ユニバーサルデザイン
車椅子の出入りは歩道から行えるようにデザインを検討。(車道からの出入りより安
全)また、車椅子が入れるドアサイズの寸法に設計し、シートは跳ね上げタイプにする
ことを想定。
図表 70 新たな小型バス車両イメージ(一條委員資料より掲載)
左右に優雅に開く 日本の「いらっしゃいませ!」
66
16人~20人
一般的シートアレンジ
小型バスの定型を変える
マルチドア 乗り降りが迅速
高齢者を考え 歩く距離を短くする
料金カード支払いシステムで、停車時間短縮を図る
New
Interior concept
Community bus New Interior
concept
レイアウトを変える
ストレートトイン&アウト
対面シートでドア数を減らす
コミュニケーションが増える
20人
6.60m
2m
New Interior concept
New
Interior concept
Community bus New Interior
concept
14人
10人
参考
トヨタ コースター超ショート
全長5.5m×全幅2.0m×全高2.8m
乗車8名
4.30m
4,9m
2m
2m
67
最小空間で最大定員数
Community bus Interior concept
ミニマム 軽量 低燃費
アレンジ可能シートピッチ
3、4、6座シート 路線採算
短中長は車両ストレッチ
小型バスの可能性は引き出せる
Community bus
●路線運用へのフレキシブルな展開性
車内シートアレンジはバス運用会社の
汎用性を高める効率 快適
●バスの新鮮な商品力なしには
新たな需要を掘り起こせない
細やかな心遣い
GKの日本航空シートデザイン
車椅子出入り歩道から(車道からより安全)
●海外展開
小型バスの新基準を作り途上輸出を視野に入れる
ハイエースの輸出数から需要予測大
Interior concept
リムジンスタイル
マルチドアが生みだす小型バス革新
だれもが微笑む 愛らしいバスのへ
愛される公共交通へ
68
インテリア透視図
日本のおもてなし
左右スライド
バスは新しくなれる!
コラム【小型車両へのニーズ】:ビィー・トランセホールディングスの事業構想(吉田委員資料
より抜粋)
人口密集地域において、バスとタクシーの中間需要に対するサービスが必要とされている。行
き先となる半径 5km 圏内の個人医院や美容院、飲食店といった店舗から販促費として 5,000 円~
10,000 円/月を支払ってもらい、それを広告収入とするタブロイド紙(出資者の店舗のクーポン券
を掲載)を作成し、地域内の全住宅に無料配布する。そうすることで、バスとタクシーの中間程
度の料金でサービスを提供することができる。15 人程度の乗車が可能なバス車両の開発が期待さ
れる。
69
図表 71 人口密集地域における移動ニーズ
図表 72 サービスのイメージ
図表 73 サービスの枠組み
70
(5) サービス一体型のバス車両の開発
バス車両の強みである「移動や停留の容易性・柔軟性」を活かし、サービス産業とバス車両メ
ーカーとの連携により、バス車両を活用したサービスを開発していく方向があり得る。
【具体例】
① レストランバス
観光地をめぐるバスツアーで、目的地でフランス料理のフルコースを車内で味わうことができ
る。バスの 1 階に備え付けられた厨房内でシェフによって調理された食事を、2 階のテーブル座
席で広い窓から景色を堪能しながら料理を食べることができるバス。
(仕様)
2 階建て車両、1 階に厨房と洗面所、2 階にテーブル席を設置。全 30 席を想定。
(採算性分析)
料金は 9,720 円/名と設定すると、収支が均衡。
【計算過程】
前提条件を設定し、採算を取る(投資を回収する)ための料金を算出した。
(前提条件)
売上に関する追加条件は以下。
<客数/台> 座席数を 30 席、稼働率は平均 80%と仮定し、客数は 24 名と設定。
<回転数>
昼・夜の営業で 2 回転を想定。
<営業日数> メンテナンス等を考慮し、年間 300 日と仮定。
費用に関する追加条件は以下。
<材料費> 300,000 円/日。
(1 人当たりの材料費は 5,000 円、60 名分と仮定)
<人件費> バス運転手(日給 30,000 円)
、シェフ(日給 30,000 円)
、
配膳係(日給 12,000 円)
<維持費>
150 万円と設定。
(保険料、税金、整備・点検、燃費込み)
<減価償却費> 車両代を 9,800 万円、償却期間を 7 年と仮定し、
1400 万円/年と設定。
<開業費用> 営業許可申請、食品衛生責任者申請、防火管理者申請、労災保険 140,900 円
<間接費>
費用全体の 10%と設定。
(計算式)
下記の計算式で、利益が 0 円となるよう X(料金)を算出。
売上(X(料金)×24(客数)×2(回転数)×300(営業日数))
費用(
(300,000(材料費)+72,000(人件費))×300(営業日数)
)+
150 万(維持費)+1400 万(減価償却費)+140,900(開業費用)+(間接費)
71
図表 74 レストランバスイメージ
② 就活バス
就活学生を各社説明会/面接に運ぶ。対象は、就職活動のために地方から上京した学生。不慣
れな土地において、会社間の移動に電車、地下鉄、タクシー等を乗り継ぐ代わりに、就活バスに
乗車すれば目的地間をドア to ドア形式に移動することが可能。
(仕様)
1 階建て車両で、くつろげる広めシート、Wi-fi サービス、プリンターが設置されることを想定。
(採算性分析)
料金は 7,100 円/名と設定すると、収支が均衡。
【計算過程】
追加前提条件を設定し、採算を取る(投資を回収する)ための料金を算出した。
(追加前提条件)
売上に関する追加条件は以下。
<客数/台> 座席数を 28 席と設定。(稼働率は 100%と想定)
<回転数>
原則 1 回転と想定。
<営業日数> 就職活動期間と想定し、年間 50 日程度と仮定。
費用に関する追加条件は以下。
<人件費>
バス運転手(日給 30,000 円)
<維持費>
150 万円と設定。
(保険料、税金、整備・点検、燃費込み)
<減価償却費>車両代を 3,000 万円、償却期間を 5 年と仮定し、600 万円/年と設定。
<間接費>
費用全体の 10%と設定。
(計算式)
下記の計算式で、利益が 0 円となるよう X(料金)を算出した。
売上(X(料金)×28(客数)×1(回転数)×50(営業日数))
費用(30,000(人件費)
)×50(営業日数))+150 万(維持費)+600 万(減価償却費)+(間
接費)
③ ものづくり体験バス
就活学生に地方のものづくり中小企業見学(体験)ツアーを提供。交通アクセスが容易でない
地方の中小企業や工場を見学するためのバス。見学にとどまらず、実際に業務を体験することも
可能。
72
(仕様)
1 階建て車両で、くつろげる広めシート、Wi-Fi サービス、プロジェクタ、電子ホワイトボード
が設置されることを想定。
(採算性分析)
料金は 3,500 円/名と設定すると、収支が均衡。
【計算過程】
追加前提条件を設定し、採算を取る(投資を回収する)ための料金を算出した。
(追加前提条件)
売上に関する追加条件は以下。
<客数/台> 座席数を 40 席と設定。(稼働率は 100%、平日は 50%と想定)
<回転数>
原則 1 回転と想定。
<営業日数> 就職活動準備期間と想定し、年間 150 日程度と仮定。
費用に関する追加条件は以下。
<人件費>
バス運転手(日給 30,000 円)
<維持費>
150 万円と設定。
(保険料、税金、整備・点検、燃費込み)
<減価償却費>車両代を 3000 万円、償却期間を 5 年と仮定し、600 万円/年と設定。
<間接費>
費用全体の 10%と設定。
(計算式)
下記の計算式で、利益が 0 円となるよう X(料金)を算出した。
売上(X(料金)×(40(客数)×1(回転数)×40(営業日のうち土日)+20(客数×平日
の稼働率 60%)×1(回転数)×110(営業日のうち平日))
-
費用(30,000(人件費)
)×150(営業日数))+150 万(維持費)+600 万(減価償
却費)+(間接費)
73
コラム:就活バスニーズについて
※横山委員資料より抜粋
※ワーキンググループ横山委員より、就活バスの現状と課題に関するプレゼンテーションがあった。
以下に、横山委員のプレゼンテーションより抜粋して記載する。
図表 75
横山委員プレゼンテーションより抜粋
74
75
④ 健康診断バス
健康診断バスとは、医師をはじめとする医療技術者が、お客様のもとへ検診車でお伺いするこ
とで、比較的小さな時間的、経済的負担で受けることの出来る健康診断を提供する車両を指す。
受診率と実施期間に柔軟に対応可能。現在でも一定程度普及しているが、需要の拡大、医療技術
の高度化に合わせてさらなる普及が期待される。
(仕様)
1 階建て車両で、胸部レントゲン、乳がん検診設備を設置。
図表 76 健康診断バスイメージ
出所:三菱ふそうトラック・バス提供資料
2節 環境問題、災害対策等に資するバス車両
(1) 地球環境を守る技術の開発(それによる差別化)
日本のディーゼルエンジンに排出ガス規制がされるようになったのは光化学スモッグが社会
問題となった 1970 年代である。まずは黒煙が規制され、続いて一酸化炭素(CO)
、窒素酸化
物(NOx)、粒子状物質(PM)のいわゆる三種規制が行われた。窒素酸化物については年を経る
ごとに排出量の規制値が下げられていった。このようなエンジンに関する規制と並行して、1992
年からは東京・大阪都市圏での大気環境の改善を目指して「自動車NOx・PM 法」が施行され(2007
年に改正・強化され名古屋圏にも適用範囲が拡大)
、これによってディーゼル車両の使用年限や
特定地域への流入に関する規制等が行われた。その中で、PMが全く出ずNOxも大幅に低減する
圧縮天然ガス(CNG)バス 5の導入が進められた。
さらに、省エネ法が 2005 年以降にバスの燃費についてトップランナー制度を導入したことを
機に、燃費向上への要求が高まり、また自動車完全税制のグリーン化も行われたことから、大気
汚染物質の排出が少ないまたは全く排出しない、燃費性能が優れている等の環境性能に優れた自
動車(=低公害車)の開発・普及が進められている。注目すべき主な技術(バス)を次に挙げる。
5
圧縮天然ガスバスはガスボンベへの規制緩和等により、車両のノンステップ化が可能となることで
普及が進んだ。しかし、ディーゼルエンジンの改良・燃費工場等により、コストが目立ち始め、い
すゞ自動車(株)のみが製造中。都市部の公営バス等が自前の CNG 充填スタンドを保有して運用して
いる。
76
① 燃料電池バス
燃料電池バスは車載の水素と空気中の酸素を反応させて燃料電池で発電し、その電気でモータ
ーを回転させて走るバス。ディーゼルエンジン車と比べて高いエネルギー効率を有している。
日野自動車とトヨタ自動車が燃料電池とバッテリー(蓄電池)を動力源としたハイブリッド式の車
両を共同開発している。
図表 77 実用化等の事例と普及に向けた課題
実用化等の

2005 年、愛・地球博で会場間輸送に使用
事例

羽田空港行きリムジンバスで実走行

2012 年、関西国際空港でのターミナル間連絡バスで実証走行

2013 年度、トヨタ自動車九州が北九州市とその近郊で実証走行

車両自体は大型路線バスや観光バスでの対応は可能であるが、燃料供給場
普及に向け
た課題
所(水素ステーション)の確保が課題。
コラム【水素ステーションの低価格化が加速】JX の構想
JXホールディングスは燃料電池車向けに低コストの水素供給に乗り出す。水素を安全で大
量に輸送できる技術を開発、2020 年をメドに新技術を使った供給網の整備を始める。供給
コストを3割程度削減、ガソリン並みに利用できる価格実現を目指す。石油元売り最大手の
同社が水素の低価格化に動くことで、燃料電池車の普及に弾みがつきそうだ。
(出所:2014 年 1 月 15 日(水)日本経済新聞)
コラム【PHV バスは 2015 年めどに実用化、燃料電池バスは 2016 年に】:日野自動車
日野自動車は現在開発中の外部給電機能付き中型 PHV(プラグインハイブリッド)バスを
2015~2016 年に実用化を目指すと明らかにした。また現在、環境省の実証事業としてトヨタ
自動車と共同開発している大型路線燃料電池車(FCV)のバスについては 2016 年をめどに
限定導入する計画としている。
今後は、電気自動車(EV)
、PHV、FCV を次世代パワー・トレインと位置付け、ユニット
のモジュール化等により効率的に全方位で開発を進めていく方針としている。
2003 年から実証運行を重ねてきた FCV でも外部給電システムを搭載する方針である。環
境省「平成25年度 CO2 排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として進めている
大型路線用 FCV バスは、市場投入に向けた性能や信頼性、耐久性評価等を行っている。2016
年に限定的に市場導入を目指す。
(出所:2013 年 9 月 26 日(木)日刊自動車新聞)
② 電気バス
バッテリー(蓄電池)に蓄えた電気でモーターを回転させて走るバス。動力源の構造が簡便で
部品数が少なく、部品自体も小型化できるため、車両自体の小型化も比較的容易と言われている。
77
排出ガスは一切なく、走行騒音も大幅に減少する。
近年の走行事例として、2012 年に電気バス車両とその充電設備の導入費用の半額を助成する国
土交通省の「電気自動車による公共交通のグリーン化促進事業」を利用し、東京都羽村市が日野
自動車の「ポンチョ」をベースとした小型電気バスを 1 台導入した。3 月 10 日より同市が運行(西
東京バスへ委託)するコミュニティバス「はむらん」の新路線に投入し、これが日本初の電気バ
スによる一般路線バス実用運行となった。その後、東京都墨田区で循環バス「すみだ百景 すみま
るくん・すみりんちゃん」が運行を開始し、導入された車両の中には電気バス 1 台が含まれてい
る。
2014 年 2 月より、株式会社東芝が開発を進めていた電気バスが東京都港区のコミュニティバス
「ちぃばす」芝ルートにおいて実証運行される。ディーゼルエンジンのバスが走行するルートを、
電気バスに同じダイヤで走らせる取組みは国内初といわれている。
図表 78 実用化等の事例と普及に向けた課題
実用化等の

事例
2012 年、東京都の羽村市と墨田区のコミュニティバスで実用運行が最初と
言われる。小松市、宮古市等でも実用運行中。

2013 年、長野市と早稲田大学が市内循環バスを使ったワイヤレス給電の実
証実験。

2013 年 10 月、秋田県内の企業数社が開発した電気バスを秋田駅周辺の一
般路線バスとして本格運行。
普及に向け

た課題
給電時間の短縮化(給電の高速化)・航続距離の短さ、給電設備の設置・
非接触給電設備の普及、蓄電池の低コスト化等による車両費の低廉化が課
題。

コミュニティバス等小型バス向きとも言われる。
図表 79 日本のバス車両メーカーの電気バス
車両
■日野自動車
・小型バス「ポンチョ」を EV バスへ改造(小型電気バス「はむらん」)
全長
全幅
全高
乗車定員
車両総重量
最高速度
永久磁石同期型モータ
リチウムイオン電池
消費電力量
発生CO2重量
発生Nox重量
78
6,990mm
2,080mm
3,100mm
31名
7,500kg
60km/h
150kW
30kWh
約0.7kWh
約60%低減
約90%低減
③ ハイブリッドバス
複数の動力源を組み合わせ、それぞれの利点を活かして駆動することで低燃費と低排出ガスを
実現するバス。最も普及するのは、ディーゼルエンジンと電気モーターの二つを動力源としたも
の。既に発進時にモーターによるエンジンアシストや、減速・制動時のエネルギーを回収し、駆
動用エネルギーとして再利用する技術等が導入されている。
図表 80 実用化等の事例と普及に向けた課題
実用化等の

2007 年、いすゞ自動車が 2012 年からそれぞれ発売。
事例
普及に向け
大型路線バスでは、日野自動車が 1991 年、三菱ふそうトラック・バスが

大型観光バスでは、日野自動車が 1997 年から発売。

車両費の低廉化が課題
た課題
図表 81 日本のバス車両メーカーのハイブリッドバス
車両
■日野自動車
・日野セレガハイブリッド
型式
排気量
トランス
ミッション
最高出力
バッテリー
日野自動車 日野セレガ QQG-RU1ASBR
8,866cc
6速MT
265kW(360PS)/1,800rpm
ニッケル水素電池 3.9kWh 約400V
・日野ブルーリボンシティハイブリッド
型式
日野ブルーリボンシティハイブリッド
(JO8E-1M)
7,684cc
排気量
トランス
5速MT
ミッション
最高出力 206kW(280PS)/2,500rpm
バッテリー ニッケル水素電池 13Ah 約400V
■いすゞ自動車
・エルガハイブリッド
型式
排気量
トランス
ミッション
最高出力
バッテリー
モーター
システム
79
いすゞエルガハイブリッド(6HK1-TCC)
7,790cc
6速AMT(機械式自動変速機)
191kW(260PS)
リチウムイオン電池 3.9kWh 約350V
44kW
パラレルハイブリッドシステム
(2) 災害時に人々を守るバスの開発
電気の遮断等特殊な環境下でも役に立つバスの開発が進められている。例えば、ハイブリッド
バスでは発電機能と蓄電機能を備えており、それらを外部に供給して他の用途に使用できるよう
にする開発が進められてきた。
① 外部給電機能付きのバス
トヨタ自動車や日野自動車が外部給電可能なハイブリッドバスを開発している。
図表 82 外部給電機能付で災害時に電力供給可能なバスの開発(日野自動車)
❍
中型バス「日野メルファ」をベースに、ハイブリッドシステムに大容量のリチウムイオン電池
を組み合わせ、EV 走行とハイブリッド走行を可能にするとともに、ディーゼルエンジンによ
る長時間の給電機能を備え、災害時には避難所等への電力供給が可能。
❍
災害時の外部給電は、ディーゼルエンジンによる発電または搭載したバッテリーからの給電で
行う。燃料タンク 1 回充填の軽油(100L)で、体育館の照明(400W の水銀灯 20 灯と想定)
を 30 時間程度点灯可能で、夜間 10 時間の点灯であれば 3 日間点灯することが可能。
車両
型式
寸法
車両総重量
日野メルファ SDG-RR7JJCA改
長さ 8.9m×幅2.3m×高さ3m
約11,000kg
乗車定員
40+1(乗客+乗務員) ※仕様により異なる
ボデー仕様
最高速度
最高出力(エンジン)
最大トルク(エンジン)
システム モーター最大出力
バッテリー
形式
定格
充電装置 方式
普通充電
急速充電
外部給電 供給可能電力
供給可能電力量
ツーステップタイプ(中扉付も設定)
70km/h(最終減速比により変更可能)
169kW(230PS)
657Nm(67kgm)
175kW
リチウムイオン
40kWh(355V×112Ah)
プラグイン
AC200V
CHAdeMO方式
定格約10kW ※受電容量による
最大248kWh
出所:日野自動車(株)ホームページより引用
80
第5章 実現に向けたロードマップ
1節 開発ロードマップ
(1) 自動車の製品開発プロセス~バスの新規開発にどの程度の時間を要するのか?
4章で提案しているバスの開発ロードマップを検討するにあたり、ここではいったん自動車の
製品開発プロセスを確認しておく。一般的には「1.コンセプト創造」、
「2.製品基本計画」、
「3.
製品エンジニアリング」
、
「4.工程エンジニアリング」といった明確なステージに分割される 6。
図表 83 情報処理システムとしての製品開発
出所:「自動車製品開発のプロセスと組織(1)」東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究
センター・センター長
藤本隆宏、東京大学 COE ものづくり経営研究センター MMRC Discussion
Paper No. 61、2006 年 1 月
また、このステージを時間軸に配置したものが次図である。バスの開発期間は個々の事情によ
って様々であるが、次の図では、当時の日本の乗用車メーカーの平均値を採用した場合、一つの
6
「自動車製品開発のプロセスと組織(1)」東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センタ
ー・センター長 藤本隆宏、東京大学 COE ものづくり経営研究センター MMRC
81
自動車を新たに開発するには 43 か月、つまり約 3.5 年の年月を要することが示されている。
図表 84 自動車の製品開発プロセス
出所:「自動車製品開発のプロセスと組織(1)」東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究
センター・センター長
藤本隆宏、東京大学 COE ものづくり経営研究センター MMRC Discussion
Paper No. 61、2006 年 1 月
以上の開発プロセスはバス車両においても同じであると考えられる。
以下(2)~(4)では、バス開発の方向性を示す。今後、グローバル市場において、コスト
低減、車種の多様化、関連技術分野の拡大が求められる中で、より戦略的な選択と集中による経
営資源の配分や開発・生産体制の整備が重要となる。このため、官民一体で、産・産、産・学の連
携による協調体制の強化を進めていくことが必要となる。
(2) 新たなバスの製品開発プロセス案1:付加価値の高度化という視点から見たバス
開発の方向性
バス車両メーカーの活性化を図る一つの有力な方向は「付加価値を上げていく」ことである。4
章で提案されたバスを付加価値の度合いと時間の二つの軸で整理したものが次図になる。
ここでは 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックを目標に、大きく三つの段階で付加価値
向上を実現していくことを提案している。オプション1は「機能単位のクオリティ向上」である。
車内のシートや吊革、情報表示パネル等の個々の品質を上げていく段階である。これは制度的な
変更を伴うことなく、車両メーカー、運行事業者等の創意工夫で推進できるレベルである。その
82
取り組みにより利用者の満足度が向上し、バスへの信頼性が増せばバス需要の拡大、延いてはバ
ス関連産業の活性化が期待できる。
オプション2はバスを「おもてなし空間」として再構築するものであり、取り組み可能性の幅
が大きいが、最新の技術を盛り込んだ形で、一部エリアでパイロット的に取り組むことは十分可
能である。そのターゲットとして東京オリンピック・パラリンピックを見据えつつ、進め方次第
でバス車両メーカー、バス事業者のビジネスが大きく拡大していく可能性を秘めている。
オプション3はバスを活用し、新たなサービスを開発していくものである。このオプション3
は、オプション2の進化型というものでは必ずしもなく、現在、日本の車両メーカーでは発注を
受ければ多からず開発しているところである。しかし、このオプション3においては、今後ます
ます進展すると思われるニーズの多様化に対応し、関連業界とのコラボレーションで進めていく
ことになる。バス車両メーカーおよびバス事業者に期待されることは、バスの可能性を自ら提案
し、市場を開拓していく戦略である。国内の「顕在化した市場」のみを前提にすることなく、バ
スの可能性に最も精通している車両メーカーから積極的に働きかけていくことが求められている。
いくつかのケースは 4 章で採算等を試算したが、やり方次第では十分に可能性のあるビジネスに
なっていくものと考えられる。
図表 85 バスの付加価値向上に向けた3段階
オプション3
モノ(車両)とサービスが融合した新
カテゴリー市場の創生
高い
付加価値/おもてなし度
オプション2
おもてなしの空間の提供
オプション1
機能単位の品質向上
低い
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
ここではオプション2の「おもてなし空間」としてのバスを開発する場合のステップを示す。
前提として東京オリンピック・パラリンピックを一つの目標として、車両メーカー、バス事業者
等の戦略的取組を醸成していくことを想定する。その際、従来の取り組み方法を前提にした計画
83
では既存の枠組みを脱しきれず、大きなイノベーションには結びつかないことに注意を要する。
つまり、東京オリンピック・パラリンピックを迎える6年後に実現したい絵を見据えて、それを
実現するためにはどのようなスケジュールでどのような課題を乗り越える必要があるのかという
視点、すなわちバックキャスティング手法で計画を立案するべきである。
6年間という時間はバス車両の新規開発を行う上では十分な時間といえる。ただし、従来のバ
ス車両の開発とは次元の異なる挑戦を行うための時間という意味では極めて短い時間であるとも
考えられる。そこで、以下のフローを1つの試案として、速やかな車両開発プロジェクトを立ち
上げていくことを提言する。その際のポイントは以下の通りである。
○都市戦略との連動
「バスによる移動」を都市の魅力の1つとしていく考え方が必要になってくるだろう。バス車
両のみならず、バス停や各種表示、他交通機関との円滑な連結の確保も一体的に取り組んでいく
方向が望ましい。その具体的ケースが東京オリンピック・パラリンピックをターゲットにした東
京都の戦略である。
○低コスト化への創意工夫
相応のコストに抑える生産イノベーションがなければビジネスベースには乗らないだろう。バ
ス車両メーカーが従来から取り組んできている生産技術をフルに活用し、さらに新たな生産手法
を開発していくことも求められてくるだろう。
○ICT の活用
「おもてなし」の強化ではソフト面の充実が大きな検討課題となってくる。スマートフォンを
利用したバス交通情報の提供、バス車内での情報提供などで、利用者にストレスを感じさせない
工夫をしていくことが求められる。
84
図表 86 「おもてなし空間としてのバス車両」等開発のロードマップ
開発フェーズ
検討内容
検討体制
1.コンセプト創造
車両のコンセプトを創造するには以下
【ケース1】
の側面からの検討を統合させることが
特定の車両メーカーを選定し、
必要。
開発を進めるケース。進捗遅れ
○車両メーカーの戦略との合致度(そ
等が発生した場合のリスクヘ
の車両を国内外でどのように生産・販
ッジが必要だが、プロジェクト
売していくのか)
自体は進め易い。東京都は最初
○日本らしさを表現するバスの機能・
のユーザー候補として関与。
デザインの明確化(国内外での市場規
【ケース2】
模の見込み)
。
複数の車両メーカーが共同開
○東京オリンピック・パラリンピック
発を行うケース。プライムをど
の理念との親和性の確保。
こにするかの選択が必要だが、
○東京都のシンボルの一つとしていく
オールジャパンとして、東京都
とすれば、都市デザイン戦略との整合
ないしは日本のシンボル的な
性。
車両を開発するイメージを作
○最新技術(安全性、環境配慮(EV、 ることが出来る。開発フェーズ
)
、快適性等)の活用。
FCV 等を含む。
から東京都や国が深く関与し、
責任(経済的支援等)を共有す
85
ることになる。経済的支援の論
理としては、国は「高い環境性
能・安全性能」を有する車両の
開発促進という意図があり、東
京都はそれに加えて「魅力的な
都市づくりのアイテム開発」と
いう意図があり得る。
開発後は、東京都が最初のユー
ザーになり、そこでの実績やノ
ウハウ等を結晶化させ、海外へ
の展開も官民共同で推進 する
ことが目指される。
2.製品基本計画
○コスト低減と魅力的な車両作りを一
EV バス,FCV バス等の開発に
体的に進めるための更なるモジュール
あたっては、政府が政策的支援
化の推進
を行うことも検討すべきであ
る。
3.製品エンジニア
上記1、2の内容に依存するため省略する。
リング
4.工程エンジニア
リング
次にサービス一体型のバス車両の開発ロードマップを示す。ここでのポイントは以下の通りで
ある。
○車両とサービスを同時に検討するプロセスの設計・実践。
ここでは、
(少なくとも当面は)車両開発のプロセス自体に変更を求められることになる。車両
の利用方法を新たに開発するプロセスに連動させた形での車両開発プロセスを描く必要がある。
それをいかなる主体がコーディネートしていくのか、という体制面での課題も出てくる。
86
図表 87 車両一体型サービス事業の開発ロードマップ
開発フェーズ
検討内容
検討体制
1.コンセプト創造
・バス業界の常識にとらわれずに多様
これまでとは まったく異なる
なアイディアを出し、それを採算のと
仕掛けが必要。
れるビジネスモデルに仕立て上げるこ
一つの選択肢として、政府が広
とがカギになる。
くアイディアを募集し、優秀な
・検討の視点は「切実な課題の存在」
ものを選び、それを多方面の専
と「資金の出し手」とを結びつけるソ
門家が集中的に「磨いて」ビジ
リューションとなるかどうか、という
ネスモデルを創り上げる方法
ことになる。
があり得る。
・そのソリューションの中身次第で、
バス車両の特殊度(どの程度の特殊開
発が必要か)が決まってくる。
2.製品基本計画
当該のサービスを実現するための車両
車両開発の費用負担を軽減す
を仕様に落とし込む作業となる。
るため、当該サービスのビジネ
(その際、当該主体の発注量が1台だ
スモデルとしての有効性を広
とすれば、完全な特殊車両としての開
く知らしめ、複数の実施主体を
発となり相応の費用が必要となる。
)
募る方式があり得る
特定の一社が最初から手広く
展開するために一定量の車両
を発注することも歓迎される。
3.製品エンジニア
上記1、2の内容に依存するため省略する。
リング
4.工程エンジニア
リング
87
(3) 新たなバスの製品開発プロセス案2:海外展開強化に向けたバス開発の方向性と
戦略
① 国際的な動向と調和したバス開発の方向性
バスを含む大型車のサイズ・重量等の規格の国際的な動向がバスの車両開発や競争環境にも影
響を与えうる点を考慮し、世界各国が採用する規格の動向を踏まえつつ、国内市場におけるバス
利用の活性化や、国内バス車両メーカーの海外展開の拡大を促進していく観点から、道路インフ
ラとの整合性を十分に考慮した上で、国際的なハーモナイゼーションを目指していくべきである。
② バス車両メーカーの海外展開状況、およびその進化の方向性
国内では長らくバスは成熟産業と見られているが、世界全体では成長産業であることは間違い
ない。世界トップクラスの技術を有する日本のバス車両メーカーには、拡大する海外需要の受け
皿になっていく組織能力があるはずで、今後のさらなる事業展開が期待される。
ここでは日本のバス車両メーカーが海外の需要を取り込みつつ、ビジネスの拡大・高度化を図
っていく方向を示したい。結論を端的に言えば、
「交通インフラサービス供給者への展開」である。
その取組の段階は次図の通りである。
図にあるように、国内バス車両メーカーの海外展開は、バス車両の輸送コストが大きい中でシ
ャーシの輸出、現地でのノックダウン生産が中心である(図の①、②の段階)。
政府が交通システムの輸出を検討しているところであるが、交通システム全体のオーガナイザ
ーまたはオペレーター、その中核的存在となる車両の供給者となることにより、大きなビジネス
チャンスが存在しているものと考えられる。それは同時に途上国等の開発課題(交通問題、環境
問題等)の解決にも資する。そうであるがゆえに、日本政府もICカード等の技術を含めたトータ
ルな交通システムの輸出を後押しする方向を模索している 7。システムの方向へ向かうことで、運
行管理技術や運転士の育成・管理等の伝統的ノウハウからICTやEV、FCV等の先端技術まで、日
本の多様な技術が活かされる余地が増え、付加価値の獲得につながっていくものと考えられる 8。
それを実現するために、中核をなす車両メーカーの先進性(技術のみならずビジネスモデルと
しても)は産業界全体から期待されているところである。この流れを強化すれば、図の「③バス
交通システムの供給(単独路線)
」
、「④バス交通システムの供給(複数路線)」と進み、最終的に
は「⑤バスを軸にした(その他の交通手段も含めた)交通システムの供給」といったビジネスへ
進化していくことも期待できる。
IC カードを使用した公共交通システムの輸出を後押しする制度を 2014 年につくる(日本経済新聞
2014 年 1 月 8 日夕刊)。ODA を活用し、2014 年 5 月からベトナム・ハノイ市で路線バスの利用者向
けに 20 万枚を無償で配り、機器も置く(日本経済新聞 2014 年 1 月 28 日)。
8 2014 年 3 月末にも ODA 無償資金協力で日本の電気自動車(EV)をアジアや北アフリカの新興国に
供給する。技術協力で「日本方式」のノウハウを伝える研修も予定。(日本経済新聞 2014 年 1 月 11
日夕刊)
7
88
図表 88 海外のバス需要の取り込み方~パーツ供給から交通インフラパッケージへ
③ バス車両メーカーの海外展開強化にあたっての課題
世界でのインフラビジネスは、今後ますますパッケージ型の色彩が強くなっていく可能性があ
る。とりわけ、主戦場となる世界の大都市での交通ビジネスを中心にバス車両の調達ではなく、
交通サービスを含めたシステム全体の調達が拡張していくことが想定される。ハードとしての車
両供給のみならず交通システム全体の組織化と運用の付加価値を獲得していくことが課題となる。
④ 検討の進め方
開発フェーズ
検討内容
検討体制
1.コンセプト創造
先ずは、車両メーカー、バス関連産業
車両メーカー、サプライヤー、
及び政府が、海外の「成長市場」に対
バス運行事業者、ICT事業者等
する共通認識を持つことが必要。
と経済産業省、国土交通省によ
コンセプトを車両次元はもとより、交
る「バス産業海外輸出協議会
89
通システム次元で創ることになる。汎
(仮称)*1」を設置し検討する。
用性と地域特殊性のバランスに留意し
*1.ここで提案する協議会は、国土
つつ、日本での実績を反映できるコン
交通省で開催した「バス事業の海外
セプトになるだろう。
展開等に関する意見交換会」(2014
年 1 月 28 日)の趣旨と共通する部分
が大きい。場合によっては、
「バス事
業の海外展開等に関する意見交換
会」の中で議論していくことも一つ
の現実的な選択肢となるものと考え
られる。
2.製品基本計画
たとえば新興国の首都クラスの都市に
例えば、バス車両メーカー、関
おける交通システムをパッケージで受
連機器メーカー、バス運行事業
注できる「製品とサービスのラインア
者、及び東京都等の地方公共団
ップ」を構築していく(できれば複数
体がチームを組成し、新興国の
パターン)
。
コンペに参加する体制 を組む
などが考えられる。
交通政策はもとより都市計画
等のノウハウもパッケージ化
した提案に勝機を見出してい
く方向が望ましい。
3.製品エンジニア
上記1、2の内容に依存するため省略する。
リング
4.工程エンジニア
リング
⑤ 国土交通省の政策との調和
ここで提案する「海外展開」は、国土交通省が展望する政策との親和性も高い。すなわち、国
土交通省は鉄道の IC カード乗車券のような先進的な交通システムの輸出を後押しする制度を
2014 年度につくり、アジア等の新興国で試験的に導入する際に日本の官民で費用を負担し、運営
も支援することを検討中である(2014 年 1 月 8 日、日本経済新聞)
。実際に日本の交通システム
の性能や利便性の高さを試してもらい、将来の本格的な導入につなげる考えである。
また、2013 年 2 月に有識者の意見を踏まえて国土交通省がまとめた「これからのインフラ・シ
ステム輸出戦略」においては、
「システム思考のソリューション提供」をはじめとした四つのポイ
ント、
「総合受注を担える体制整備:プレイヤーの確保」
、
「国内市場の国際化」等をはじめとした
今後の方向性と戦略が提起されている。いずれも、本報告書において提案する内容と非常に近い
ものであり、省庁を超えた政策実現が期待できる領域である。
90
図表 89 これからのインフラ・システム輸出戦略
出所:国土交通省「インフラ海外展開推進のための有識者懇談会最終取りまとめ「これからのイン
フラ・システム輸出戦略」について.」http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo05_hh_000076.html
図表 90 新たなステージへの展開 戦略と具体策
出所:国土交通省「インフラ海外展開推進のための有識者懇談会最終取りまとめ「これからのインフ
ラ・システム輸出戦略」について.」http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo05_hh_000076.html
91
(4) 新たなバスの製品開発プロセス案3:小型車両開発の方向性
① 小型車両開発の方向性
4章で述べた通り、10 数名乗りの小型車両のニーズが今後顕在化していく可能性が高い。ただ
し、その潜在的ニーズは自然に顕在化するわけではなく、車両メーカー、バス事業者等の供給側
の創意工夫次第であることはいうまでもない。4章ではその一例を示したが、以下ではその開発
に向けたロードマップを確認しておきたい。
図表 91 小型車両等開発のロードマップ
この市場を発掘し、拡大していくためには、以下の検討を官民一体で推進していくことが必要
である。
開発フェーズ
検討の進め方
検討体制
1.コンセプト創造
ある程度の提案は出ており、今後、具
個別企業に委ねても進むもの
現化に向かっての検討、精査が必要な
と考えられる。その開発・普及
段階である。ただし、車内空間の機能
を国内で加速させ、量産化を実
性・デザインについては従来の常識に
現し、海外市場への横展開を後
囚われないアプローチが必要。
押しする政策はありえる。例)
複数パターンのユーザーまたは活用シ
小型 EV 車の普及促進に関する
ーンを設定し、それに適った車両を提
助成等。
案していくことが期待される。国内で
の実績を活かした海外展開を進めるこ
とを前提にした設計・デザインとした
い。
92
2.製品基本計画
どの程度の量産を見込むかにより設計
同上
が変わる。例えば「世界戦略車」的な
位置づけでいくとすれば相応の設計と
生産戦略が求められる。
3.製品エンジニア
上記1、2の内容に依存するため省略する。
リング
4.工程エンジニア
リング
以上
93
■資料編
バスニーズ調査
①アンケートの概要
【調査目的 】
20 歳代~70 歳代の路線バス、観光バスの利用者及び普段利用していない人を対象に調査を実施。
路線バス、観光バスの利用者及び普段利用していない人の意識について把握し、今後のバス車
両開発、サービス提供の在り方の検討に資するものとする。
【調査方法】
Web によるアンケート調査、グループインタビュー調査
【調査時期】
Web によるアンケート調査 2014 年 1 月 14 日~1 月 16 日
グループインタビュー調査 2014 年 1 月 28 日
【調査対象条件、総サンプル数】
Web によるアンケート調査
プレ調査として、今までの路線バス及び観光バスの利用の有無と年齢、性別を調査。路線バス、
観光バスの利用者及び普段利用していない人を抽出する。20 歳代から 70 歳代の男女計 500 名を
調査対象とした。
グループインタビュー調査
20 歳代から 70 歳代の男女計 8 名を抽出し、グループインタビュー調査を実施した。
94
②アンケート調査項目
アンケート調査は Web リサーチ会社によって調査画面を設計し、Web を通じて回答する方式と
した。
バスのニーズ調査
■スクリーニング条件(3 問)
バスのニーズに関する調査
問 1 あなたご自身について、お聞きします。
性別
○男性 ○女性
年齢
○20 歳代 ○30 歳代 ○40 歳代 ○50 歳代 ○60 歳代 ○70 歳代
お住まい
○北海道
○青森県 ○岩手県 ○宮城県 ○秋田県 ○山形県 ○福島県
○茨城県 ○栃木県 ○群馬県 ○埼玉県 ○千葉県 ○東京都 ○神奈川県
○新潟県 ○富山県 ○石川県 ○福井県 ○山梨県 ○長野県 ○岐阜県
○静岡県 ○愛知県
○三重県 ○滋賀県 ○京都府 ○大阪府 ○兵庫県 ○奈良県 ○和歌山県
○鳥取県 ○島根県 ○岡山県 ○広島県 ○山口県
○沖縄県
スクリーニング問 2 の前に、次の用語説明を入れる。
路線バス、観光バスとは以下を指します。
路線バス
日本の路線バス車両の大半は、車両左
側の先頭及び中間の 2 か所にドアが設
置されている。
バスの停留所(バス停)や駅前等に設
けられたバスターミナルで乗車する。
観光バス
日本の観光バスの乗車口は前方一か
所で、座席が進行方向に向いているも
のが多い。
バスガイドによる観光案内サービス
提供、近年は格安バスツアーのツアー
コンダクターによるサービス提供が
行われる。
95
問 2 あなたは直近 1 年間で、バスに乗車されましたか。
路線バス
○はい
○いいえ
観光バス
○はい
○いいえ
問 3-a は、スクリーニング問 2 に「はい」と回答された方にのみ表示
問 3-a あなたの直近 1 年間の路線バス及び観光バス利用状況についてお聞きします。
路線バス
あなたの直近 1 年間の路線バスのご利用状況を教えてください。
○ほぼ毎日 ○週 2~3 日 ○週 1 日程度 ○月 2~3 回
○月 1 回 ○年 1 回以下
観光バス
あなたの直近 1 年間の観光バスのご利用状況を教えてください。
○月 2~4 回以上 ○月 1 回
○二か月に 1 回 ○三か月に 1 回
○半年に 1 回 ○年 1 回
あなたが直近で観光バスを利用した理由を教えてください。
○修学・卒業旅行 ○日帰りバスツアー ○(日帰りでない)バスツアー
○その他(
「その他」を選択された場合、利用した理由を簡潔に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
*「その他」を選択した時に自由回答欄を表示する
問 3-b は、スクリーニング問 2 に「いいえ」と回答された方にのみ表示
問 3-b あなたの直近の路線バス及び観光バス利用状況についてお聞きします。
路線バス
あなたの直近の路線バスのご利用状況を教えてください。
○二年に 1 回 ○三年に 1 回 ○四年に 1 回 ○五年に 1 回以下
観光バス
あなたの直近の観光バスのご利用状況を教えてください。
○二年に 1 回 ○三年に 1 回 ○四年に 1 回 ○五年に 1 回以下
96
あなたの直近の観光バスを利用した理由を教えてください。
○修学・卒業旅行 ○日帰りバスツアー ○(日帰りでない)バスツアー
○その他(
「その他」を選択された場合、利用した理由を簡潔に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
*「その他」を選択した時に自由回答欄を表示する
■本調査
バスのニーズに関する調査
1.あなたのバスに対する意識について教えてください。
路線バスについておたずねします。
(1)路線バスについて、改善されればもっと利用したくなる点についてお聞きします。
問 1 路線バスについて、改善されれば路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バス
の利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(MA)
(最大 3 つまでお答えください)
○定刻どおりの運行
○運行時間や本数
○運賃・料金について
○他の交通機関との乗り継ぎ
○運行情報の入手のしやすさ
○交通機関のバリアフリー
○道路の混雑状況
○道路標識・案内誘導標識
○シート
○IC カード利用範囲(IC カードを利用できる路線バスが少ない)
○安心・安全性に関する情報表示
○バス車両のデザイン性
○改善すべきと感じる点は特にない
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
*「改善すべきと感じる点は特にない」と他選択肢を同時選択した時にエラー表示する
(2)路線バスの車両についてお聞きします。
問 2 あなたは路線バスのシート(座席)について、改善されればもっと利用したくなる/他
の人に路線バスの利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(MA)
(最大 3 つまでお答えください)
○シートの幅
○シートの数(数を増やすべき)
97
○シートの数(数を減らすべき)
○デザイン性(色・形のデザイン性を向上)
○清潔感
○改善すべきと感じる点は特にない
○その他(
「その他」を選択された場合、改善すべきと感じられる点を簡潔に
記載してください。
)
(自由回答欄)________________________
*4 つ以上回答した場合はエラー表示する
*「改善すべきと感じる点は特にない」と他選択肢を同時選択した時にエラー表示する
*「その他」を選択した時に自由回答欄を表示する
問 3 あなたは路線バスの車内にモニターが設置され、バス停周辺施設、料金やルート表示、
他交通機関(路線バス含む)の遅延等の運行情報提供がされたバスに乗車されたこと
がありますか。
(SA)
○バス停周辺施設
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバスに乗車したことがある
2.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバスに乗車したことがない
<車内モニターのバス停周辺施設紹介イメージ>
○料金表示やルート表示
1.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバスに乗車したことがある
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバスに乗車したことがない
<車内モニターの料金表示やルート表示イメージ>
○他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報表示
1.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバスに乗車したことがある
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバスに乗車したことがない
98
<車内モニターの遅延情報表示イメージ>
*問 3-a は、問 3 に「2.モニター○○情報が表示されたバスに乗車したことがない」と回答
された方にのみ表示
問 3-a あなたは路線バスの車内にモニターが設置され、バス停周辺施設、他交通機関(路
線バス含む)の遅延等の運行情報提供がなされた場合、もっと利用したくなる/他の
人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。(SA)
○バス停周辺施設
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
○料金表示やルート表示
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
○他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報表示
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
99
問 4 あなたは路線バスの運賃を支払う際に、現金支払いではなく IC カードが使えるバスに
乗車されたことがありますか。(SA)
1.IC カードが使えるバスに乗車したことがある
2.IC カードが使えるバスに乗車したことがない
<IC カードを使える支払システムイメージ>
問 4-a あなたは路線バスの運賃を支払う際に、現金支払いではなく IC カードが使えるバス
の方がもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思います
か。
(SA)
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
(3)路線バスに関する情報提供・周辺設備についてお聞きします。
問 5 あなたは路線バスの利用にあたって、誘導サイン、情報板、バス停、時刻表、車内情報
(音声、モニター)等のうち、どの情報提供に工夫が必要だと思われますか。(MA)
(最大 3 つまでお答えください)
○誘導サイン
○情報板
○バス停
○時刻表
○車内情報(音声)
○車内情報(モニター)
○工夫すべきと感じる点は特にない
○その他(
「その他」を選択された場合、工夫すべきと感じられる点を簡潔に
記載してください。
)
(自由回答欄)________________________
100
<誘導サイン>
<情報板>
問 6 あなたは路線バス乗換案内サービス(※)が提供されれば、路線バスをもっと利用し
たくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。パソコン、スマ
ートフォン、携帯電話で配信される場合に分けてお答えください。(SA)
※路線バス乗換案内サービスとは、出発地と到着地との間を路線バス・鉄道・空路等公共
交通機関を使って移動する最適経路の情報を提供するサービスを指します。
○パソコンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない(
「全く思わない」を選択された場合、理由を簡潔に記載して
ください。
)
(自由回答欄)________________________
○スマートフォンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない(
「全く思わない」を選択された場合、理由を簡潔に記載して
ください。
)
(自由回答欄)________________________
○携帯電話で路線バス乗換案内サービスが提供される場合
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない(
「全く思わない」を選択された場合、理由を簡潔に記載して
101
ください。
)
(自由回答欄)________________________
<路線バス乗換案内サービスのイメージ>
問 7 あなたは「バスロケーションシステム」のサービスをバス停や携帯電話、パソコンで利
用したことがありますか。
(SA)
※バスロケーションシステムとは、GPS 等を用いてバスの位置情報を収集し、バス停の
表示板や携帯電話、パソコンに情報提供するシステムです。
○バス停
1.バス停でバスロケーションシステムのサービスを利用したことがある
2.バス停でバスロケーションシステムのサービスを利用したことがない
○携帯電話(スマートフォン)
1.携帯電話でバスロケーションシステムのサービスを利用したことがある
2.携帯電話でバスロケーションシステムのサービスを利用したことがない
○パソコン
1.パソコンでバスロケーションシステムのサービスを利用したことがある
2.パソコンでバスロケーションシステムのサービスを利用したことがない
問 7-a あなたは「バスロケーションシステム」のサービスが提供されれば、路線バスをもっ
と利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。(SA)
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
102
4.あまり思わない
5.全く思わない
問 8 あなたは駅やバス停に設置されたモニターや電子掲示板等によるバスの利用案内を利
用したことがありますか。
(SA)
1.駅やバス停に設置されたモニターや電子掲示板等によるバスの利用案内を利用した
ことがある
2.バ駅やバス停に設置されたモニターや電子掲示板等によるバスの利用案内を利用し
たことがない
問 8-a あなたはバス停や駅にモニターや電子掲示板等が設置され、バスの利用案内等の情報
が提供されれば、路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすす
めたくなると思いますか。
(SA)
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
<駅やバス停のモニターや電子掲示板による利用案内イメージ>
(3)路線バスの車両のデザイン性・機能性についてお聞きします。
問 9 の前に、次の説明を入れる
103
<バス車両デザインの工夫>
(例 1)全席パノラマシートバス
(例 2)日本家屋 縁側・廊下・居間
乗り込む作法
部屋へ入るドラマの演出をする
「ようこそいらっしゃいませ」
エクステリアとインテリアの変化幅
問 9 あなたは、写真のようなデザインの車両のバスが運行されていれば、路線バスをもっと
利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
(SA)
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
問 10 の前に、次の説明を入れる
<バスの内装デザインの工夫>
(例 1)バスの内装について、天然素材
(例 2)混雑時には、座席を折りたためるように
を用いてナチュラルな雰囲気にし、ソフ
座席の機能を工夫。
トかつ本物の品質感を追及。
問 10 あなたは、写真のようなデザインの内装を備えたバスが運行されていれば、路線バス
をもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
(SA)
1.大いに思う
2.少しは思う
104
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
高速バスについておたずねします。
問 11 の前に、次の用語説明を入れる。
高速バスとは以下を指します。
高速バス
主に高速道路を通行する路線バスのこと
を指す。距離が数十から数百キロの都市間
輸送、ないしは都市と観光地を結ぶものの
中で、高速道路を利用するものを指す。
問 11 あなたは直近 1 年間の中で、高速バスを利用されましたか。(SA)
○利用した
○利用していない
問 11-a あなたが直近 1 年間の中で、高速バスを利用した回数を教えてください。
○年 1~4 回
○年 5~9 回
○年 10~29 回
○年 30~49 回
○年 50 回以上
問 11-b 高速バスについて、改善されれば高速バスをもっと利用したくなる/他の人に高速バス
の利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(MA)
(最大 3 つまでお答えください)
○定刻どおりの運行
○運行時間や本数
○運賃・料金について
○他の交通機関との乗り継ぎ
○運行情報の入手のしやすさ
○交通機関のバリアフリー
○道路の混雑状況
○道路標識・案内誘導標識
○シート
○IC カード利用範囲(IC カードを利用できる路線バスが少ない)
○安心・安全性に関する情報表示
105
○バス車両のデザイン性
○改善すべきと感じる点は特にない
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
*4 つ以上回答した場合はエラー表示する
*「改善すべきと感じる点は特にない」と他選択肢を同時選択した時にエラー表示する
*「その他」を選択した時に自由回答欄を表示する
*問 11-c、問 11-d は、問 11 に「利用していない」と回答された方にのみ表示
問 11-c あなたが高速バスをあまり利用しない/これまで利用しなかった理由を教えてください。
○どこをどう運行しているのか知らない
○運行時間帯が限られている
○バス停までが遠い
○運行本数が少ない
○予約が面倒
○行きたい場所へ運行されていない
○バス停に駐車場が無い・少ない
○時間が不正確
○バスの移動が快適でない
○乗換が面倒
○安全面に不安がある
○時間がかかる
○特に理由はない
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
問 11-d 高速バスについて、改善されれば高速バスをもっと利用したくなる/他の人に高速バス
の利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(MA)
(最大 3 つまでお答えください)
○定刻どおりの運行
○運行時間や本数
○運賃・料金について
○他の交通機関との乗り継ぎ
○運行情報の入手のしやすさ
○交通機関のバリアフリー
○道路の混雑状況
○道路標識・案内誘導標識
○シート
106
○IC カード利用範囲(IC カードを利用できる路線バスが少ない)
○安心・安全性に関する情報表示
○バス車両のデザイン性
○改善すべきと感じる点は特にない
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
*4 つ以上回答した場合はエラー表示する
*「改善すべきと感じる点は特にない」と他選択肢を同時選択した時にエラー表示する
*「その他」を選択した時に自由回答欄を表示する
観光バスについておたずねします。
問 12 あなたは直近 2 年間の中で、バスツアーに参加されましたか。
○参加したことがある
○参加したことはない
*問 11-a、問 11-b は、問 11 に「参加したことがある」と回答された方にのみ表示
問 12-a あなたが直近 2 年間の中で、バスツアーに参加した回数を教えてください。
○1 回
○2~3 回
○4~5 回
○6~9 回
○10 回以上
問 12-b あなたはバスツアーの良い点は何だと感じますか。
○価格が安い
○気軽に参加できる
○荷物が少なくて済む
○時間が無くても行ける
○プラン・企画が面白い
○手続きが簡単
○お土産をもらえることが多い
○バスに乗るのが楽しい
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
*問 12-c は、問 12 に「参加したことがない」と回答された方にのみ表示
問 12-c あなたがバスツアーに参加したことがない理由は何ですか。
○行く機会が無いから
○自由に行動したいから
○ゆっくり楽しめないから
107
○知らない人と旅行に行くのは嫌だから
○興味のあるプランがないから
○バスに乗れない(酔う等)
○食事がおいしくなさそう
○価格が高いから
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
問 13 あなたがバスツアーの良くないと感じる点は何ですか。
○スケジュールがあわただしい
○食事のメニュー・味が良くない
○バスの座り心地が良くない
○バスの空調が気になる
○バスの座席の位置
○プランの内容
○ガイドが良くなかった
○事前の紹介と違った
○その他 (上記選択肢に当てはまらない場合、具体的に記載してください。)
(自由回答欄)________________________
問 14 今後(も)バスツアーに参加したいと思いますか。
○ぜひ参加してみたい
○まあ参加してみたい
○どちらともいえない
○あまり参加したくない
○全く参加したくない
108
(4)バスとサービスの連携についてお聞きします。
問 15 の前に、次の用語説明を入れる。
バスとサービスの連携として、例えば以下を指します。
<レストランバス>
観光地をめぐるバスツアーで、目的地でフランス料理のフルコースを車内で味わうこと
ができる。バスの 1 階に備え付けられた厨房内でシェフによって調理された食事を、2 階の
テーブル座席で広い窓から景色を堪能しながら料理を食べることができるバス。
<ものづくり体験バス>
就活学生に地方のものづくり中小企業見学(体験)ツアーを提供。交通アクセスが容易
でない地方の中小企業や工場を見学するためのバス。見学にとどまらず、実際に業務を体
験することも可能。
<就活バス>
就活学生を各社説明会/面接に運ぶ。対象は、就職活動のために地方から上京した学生。
不慣れな土地において、会社間の移動に電車、地下鉄、タクシー等を乗り継ぐ代わりに、
就活バスに乗車すれば目的地間をドア to ドア形式に移動することが可能。
<劇場バス>
観光地の街中を走りながら、街中で開催している路上のショーを鑑賞。横向き座席で、
横の窓からショーを鑑賞できる。
109
<ホテルバス>
観光地の街中を走る。バスにベッドやキッチン、トイレを設備。
<健康診断バス>
医師をはじめとする医療技術者が、お客様のもとへ検診車でお伺いすることで、時間的、
経済的負担なく実施できる健康診断。受診率と実施期間に柔軟に対応可能。
<子供向け FUN バス>
バスの車内にマットや遊具を設備。子供向けの遊び場の環境を提供。
110
問 15 あなたは、上記のバスサービスそれぞれについて、利用したい/人にすすめたいと思いま
すか。
(SA)
①レストランバス
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
②ものづくり体験バス
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
③就活バス
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
④劇場バス
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
④ホテルバス
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
111
⑤健康診断バス
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
⑦子供向け FUNBUS
1.大いに思う
2.少しは思う
3.どちらともいえない
4.あまり思わない
5.全く思わない
問 16 あなたは、上記のバスサービスそれぞれについて、一人当たりいくらの価格であれば利用
したいと思いますか。
(SA)
①レストランバス
②就活バス
③ものづくり体験バス
④劇場バス
④ホテルバス
⑤健康診断バス
⑦子供向け FUNBUS
1.3,000 円~5,000 円以下
2.5,001 円~7,000 円以下
3.7,001 円~9,000 以下
4.9,001 円~10,000 円以下
5.10,001 円~15,000 円以下
6.15,001 円以上
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ご回答いただきありがとうございました。
112
③アンケート結果
【基本属性】
ア.性別比率
男女偏りはない。回答者の性別は男性 50%、女性 50%であった。
0%
20%
40%
60%
50.0
80%
100%
男性
50.0
女性
イ.年代別構成比
回答者の年代別構成比に偏りはない。20 歳代から 70 歳代まで均等に回答が得られた。
20%
0%
17.6
40%
16.8
16.0
60%
16.0
80%
17.6
100%
16.0
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代
70歳代
上記以外
ウ.住まい
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県を「都市部」と定義し、
その他を「地方部」と定義した。
都市部の合計と地方部の合計の比率を半々となるよう、回答者の住まい属性を調整してサンプ
リングした。
113
n
全体
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
500
22
5
4
10
6
2
7
10
7
8
21
16
61
43
10
4
10
4
4
5
11
16
31
12
2
11
36
33
5
5
5
3
9
10
9
2
2
6
1
18
2
4
3
1
2
1
1
%
100.0
4.4
1.0
0.8
2.0
1.2
0.4
1.4
2.0
1.4
1.6
4.2
3.2
12.2
8.6
2.0
0.8
2.0
0.8
0.8
1.0
2.2
3.2
6.2
2.4
0.4
2.2
7.2
6.6
1.0
1.0
1.0
0.6
1.8
2.0
1.8
0.4
0.4
1.2
0.2
3.6
0.4
0.8
0.6
0.2
0.4
0.2
0.2
0%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
20%
40%
4.4
1.0
0.8
2.0
1.2
0.4
1.4
2.0
1.4
1.6
4.2
3.2
12.2
8.6
2.0
0.8
2.0
0.8
0.8
1.0
2.2
3.2
6.2
2.4
0.4
2.2
7.2
6.6
1.0
1.0
1.0
0.6
1.8
2.0
1.8
0.4
0.4
1.2
0.2
3.6
0.4
0.8
0.6
0.2
0.4
0.2
0.2
114
60%
80%
100%
【アンケート項目別集計】
・都市部・地方部別の集計結果
路線バスに関する質問項目
■ここからは路線バスについてお伺いします。路線バスについて、改善されればもっと利用したくなる点についてお伺いします。
Q7.路線バスについて、改善されれば路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(3つまで)
都市部
n
全体
定刻どおりの運行
運行時間や本数
運賃・料金について
他の交通機関との乗り継ぎ
運行情報の入手のしやすさ
交通機関のバリアフリー
道路の混雑状況
道路標識・案内誘導標識
シート
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
安心・安全性に関する情報表示
バス車両のデザイン性
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
252
101
122
82
50
41
4
36
2
19
16
5
1
14
42
%
100.0
40.1
48.4
32.5
19.8
16.3
1.6
14.3
0.8
7.5
6.3
2.0
0.4
5.6
16.7
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
248
73
127
99
55
26
7
18
3
9
16
6
1
7
45
%
100.0
29.4
51.2
39.9
22.2
10.5
2.8
7.3
1.2
3.6
6.5
2.4
0.4
2.8
18.1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
0%
20%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
40.1
48.4
32.5
19.8
16.3
1.6
14.3
0.8
7.5
6.3
2.0
0.4
5.6
16.7
地方部
n
全体
定刻どおりの運行
運行時間や本数
運賃・料金について
他の交通機関との乗り継ぎ
運行情報の入手のしやすさ
交通機関のバリアフリー
道路の混雑状況
道路標識・案内誘導標識
シート
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
安心・安全性に関する情報表示
バス車両のデザイン性
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
20%
29.4
51.2
39.9
22.2
10.5
2.8
7.3
1.2
3.6
6.5
2.4
0.4
2.8
18.1
■路線バスの車両についてお伺いします。
Q8.あなたは路線バスのシート(座席)について、改善されればもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(3つまで)
都市部
n
全体
シートの幅
シートの数(数を増やすべき)
シートの数(数を減らすべき)
デザイン性(色・形のデザイン性を向上)
清潔感
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
315
95
86
24
30
95
13
100
%
100.0
30.2
27.3
7.6
9.5
30.2
4.1
31.7
1
2
3
4
5
6
7
248
63
46
23
19
70
9
101
%
100.0
25.4
18.5
9.3
7.7
28.2
3.6
40.7
1
2
3
4
5
6
7
0%
20%
40%
60%
80%
100%
20%
40%
60%
80%
100%
31.0
25.8
8.7
7.9
31.7
2.8
31.3
地方部
n
全体
シートの幅
シートの数(数を増やすべき)
シートの数(数を減らすべき)
デザイン性(色・形のデザイン性を向上)
清潔感
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
0%
25.4
18.5
9.3
7.7
28.2
3.6
40.7
Q9.あなたは路線バスの車内にモニターが設置され、バス停周辺施設、料金やルート表示、他交通機関(路線バス含む)の遅延等の運行情報提供がされたバスに乗車されたことがありますか。
都市部
ある
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバス(n=252)
91.7
27.8
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバス(n=252)
3.モニターに他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報が表示されたバス(n=252)
ない
8.3
72.2
6.3
93.7
地方部
ある
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバス(n=248)
91.5
28.2
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバス(n=248)
3.モニターに他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報が表示されたバス(n=248)
ない
8.5
71.8
4.0
96.0
1 1
115
Q10.あなたは路線バスの車内にモニターが設置され、バス停周辺施設、他交通機関(路線バス含む)の遅延等の運行情報提供がなされた場合、もっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすす
めたくなると思いますか。
都市部
大いに思う
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバス(n=231)
10.4
少しは思う
32.9
18.1
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバス(n=182)
全く思わない
14.7
39.0
19.9
3.モニターに他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報が表示されたバス(n=236)
あまり思わない
どちらともいえない
33.8
28.0
42.8
8.2
7.1
22.9
7.7
8.9
5.5
地方部
大いに思う
1.モニターにバス停周辺施設の情報が表示されたバス(n=227)
12.3
少しは思う
16.9
2.モニターに料金表示やルート情報が表示されたバス(n=178)
あまり思わない
33.9
32.0
20.2
3.モニターに他公共交通機関(路線バス含む)遅延等の運行情報が表示されたバス(n=238)
どちらともいえない
30.8
全く思わない
18.1
32.6
31.9
4.8
13.5
33.6
5.1
11.3
2.9
Q11.あなたは路線バスの運賃を支払う際に、現金支払いではなくICカードが使えるバスに乗車されたことがありますか。
都市部
0%
地方部
20%
40%
60%
80%
0%
100%
20%
40%
60%
80%
100%
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ある
71.4
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ある
28.6
37.5
62.5
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ない
ICカードが使えるバスに乗車したことが
ない
Q12.あなたは路線バスの運賃を支払う際に、現金支払いではなくICカードが使えるバスの方がもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
都市部
地方部
0%
20%
40%
80%
60%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
大いに思う
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
13.9
34.7
38.9
8.3 4.2
どちらともいえない
14.2
31.6
36.8
12.3 5.2
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
■路線バスに関する情報提供・周辺設備についてお伺いします。
Q13.あなたは路線バスの利用にあたって、誘導サイン、情報板、バス停、時刻表、車内情報(音声、モニター)等のうち、どの情報提供に工夫が必要だと思われますか。(3つまで)
都市部
n
%
0%
20%
40%
60%
80%
全体
252
100.0
1
33.7
誘導サイン
85
33.7
2
39.7
情報板
100
39.7
3
36.1
バス停
91
36.1
4
40.1
時刻表
101
40.1
5
11.1
車内情報(音声)
28
11.1
6
11.9
車内情報(モニター)
30
11.9
7 0.8
その他(_)
2
0.8
8
20.6
工夫すべきと感じる点は特にない
52
20.6
100%
地方部
n
%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全体
248
100.0
1
36.3
誘導サイン
90
36.3
2
34.3
情報板
85
34.3
3
34.7
バス停
86
34.7
4
44.4
時刻表
110
44.4
5
13.7
車内情報(音声)
34
13.7
6
13.3
車内情報(モニター)
33
13.3
7 0.4
その他(_)
1
0.4
8
18.5
工夫すべきと感じる点は特にない
46
18.5
Q14.あなたは路線バス乗換案内サービス※が提供されれば、路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。パソコン、スマートフォン、携帯電話(スマートフォ
ン以外)で配信される場合に分けてお答えください。
都市部
大いに思う
1.パソコンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=252)
17.1
2.スマートフォンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=252)
17.9
3.携帯電話(スマートフォン以外)で路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=252)
15.1
少しは思う
どちらともいえない
あまり思わない
42.1
全く思わない
30.6
32.9
8.3 2.0
36.9
35.7
34.5
8.3
4.0
11.9
2.8
地方部
大いに思う
1.パソコンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=248)
2.スマートフォンで路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=248)
3.携帯電話(スマートフォン以外)で路線バス乗換案内サービスが提供される場合(n=248)
14.5
15.7
14.1
少しは思う
36.7
31.0
33.9
116
どちらともいえない
あまり思わない
全く思わない
35.9
37.5
36.7
10.9
2.0
8.9
6.9
8.9
6.5
Q15.あなたは「バスロケーションシステム」のサービスをバス停や携帯電話(スマートフォン)、パソコンで利用したことがありますか。(矢印方向にそれぞれひとつだけ)※バスロケーションシステムとは、
GPS等を用いてバスの位置情報を収集し、バス停の表示板や携帯電話、パソコンに情報提供するシステムです。
都市部
ない
ある
1.バス停でバスロケーションシステムのサービスを利用(n=252)
2.携帯電話(スマートフォン)でバスロケーションシステムのサービスを利用(n=252)
3.パソコンでバスロケーションシステムのサービスを利用(n=252)
88.1
11.9
8.7
91.3
86.5
13.5
地方部
ある
1.バス停でバスロケーションシステムのサービスを利用(n=248)
ない
9.7
90.3
2.携帯電話(スマートフォン)でバスロケーションシステムのサービスを利用(n=248)
8.1
91.9
3.パソコンでバスロケーションシステムのサービスを利用(n=248)
8.9
91.1
Q16.あなたは「バスロケーションシステム」のサービスが提供されれば、路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
地方部
都市部
0%
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
20%
0%
40%
60%
80%
大いに思う
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
どちらともいえない
6.5
42.7
36.7
8.6
11.6 2.5
34.4
34.0
16.3
6.7
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
Q17.あなたは駅やバス停に設置されたモニターや電子掲示板等によるバスの利用案内を利用したことがありますか。
都市部
地方部
0%
20%
40%
60%
80%
100% 駅やバス停に設置されたモニターや電子
0%
20%
40%
60%
80%
100% 駅やバス停に設置されたモニターや電子
掲示板等によるバスの利用案内を利用
したことがある
掲示板等によるバスの利用案内を利用
したことがある
17.5
82.5
17.7
駅やバス停に設置されたモニターや電子
掲示板等によるバスの利用案内を利用
したことがない
82.3
駅やバス停に設置されたモニターや電子
掲示板等によるバスの利用案内を利用
したことがない
Q18.あなたはバス停や駅にモニターや電子掲示板等が設置され、バスの利用案内等の情報が提供されれば、路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
都市部
地方部
0%
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
7.7
46.6
どちらともいえない
9.1
35.1
大いに思う
10.3
32.8
41.7
12.3 2.9
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
■路線バスの車両のデザイン性・機能性についてお伺いします。
Q19.あなたは、写真のようなデザインの車両のバスが運行されていれば、路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
都市部
地方部
0%
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
どちらともいえない
14.7
27.8
29.0
19.8
大いに思う
8.7
13.3
27.0
29.8
21.4
8.5
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
Q20.あなたは、写真のようなデザインの内装を備えたバスが運行されていれば、路線バスをもっと利用したくなる/他の人に路線バスの利用をすすめたくなると思いますか。
都市部
地方部
0%
20%
40%
60%
80%
100%
大いに思う
0%
20%
40%
60%
80%
100%
少しは思う
少しは思う
どちらともいえない
17.5
39.7
29.0
13.5
大いに思う
どちらともいえない
19.0
38.3
26.2
11.7 4.8
あまり思わない
あまり思わない
全く思わない
全く思わない
117
高速バスに関する質問項目
Q23.高速バスについて、改善されれば高速バスをもっと利用したくなる/他の人に高速バスの利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(3つまで)
都市部
n
74
14
29
35
10
6
2
10
0
35
5
10
2
6
3
%
100.0
18.9
39.2
47.3
13.5
8.1
2.7
13.5
0.0
47.3
6.8
13.5
2.7
8.1
4.1
0%
20%
40%
60%
80%
100%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
1
2
3
4
5
6
7
8
9
#
#
#
#
#
全体
定刻どおりの運行
運行時間や本数
運賃・料金について
他の交通機関との乗り継ぎ
運行情報の入手のしやすさ
交通機関のバリアフリー
道路の混雑状況
道路標識・案内誘導標識
シート
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
安心・安全性に関する情報表示
バス車両のデザイン性
その他(_)
改善すべきと感じる点は特にない
1
2
3
4
5
6
7
8
9
#
#
#
#
#
Q24.高速バスについて、改善されれば高速バスをもっと利用したくなる/他の人に高速バスの利用をすすめたくなると感じる点は何ですか。(3つまで)
地方部
n
%
0%
20%
40%
全体
161
100.0
1
9.3
定刻どおりの運行
15
9.3
2
9.3
運行時間や本数
15
9.3
3
20.5
運賃・料金について
33
20.5
4
10.6
他の交通機関との乗り継ぎ
17
10.6
5 5.6
運行情報の入手のしやすさ
9
5.6
6
13.7
交通機関のバリアフリー
22
13.7
7
10.6
道路の混雑状況
17
10.6
8 3.1
道路標識・案内誘導標識
5
3.1
9
12.4
シート
20
12.4
10 2.5
ICカード利用範囲(ICカードを利用できる路線バスが少ない)
4
2.5
11 6.2
安心・安全性に関する情報表示
10
6.2
12
10.6
バス車両のデザイン性
17
10.6
13
12.4
その他(_)
20
12.4
14
34.2
改善すべきと感じる点は特にない
55
34.2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
18.9
39.2
47.3
13.5
8.1
2.7
13.5
0.0
47.3
6.8
13.5
2.7
8.1
4.1
Q25.あなたが高速バスをあまり利用しない/これまで利用しなかった理由を教えてください。(3つまで)
都市部
n
%
0%
全体
178
100.0
1
15.2
どこをどう運行しているのか知らない
27
15.2
2
9.0
運行時間帯が限られている
16
9.0
3
17.4
バス停までが遠い
31
17.4
4 6.2
運行本数が少ない
11
6.2
5 5.6
予約が面倒
10
5.6
6
8.4
行きたい場所へ運行されていない
15
8.4
7 2.2
バス停に駐車場が無い・少ない
4
2.2
8 2.2
時間が不正確
4
2.2
9
16.3
バスの移動が快適でない
29
16.3
10 1.7
乗換が面倒
3
1.7
11
10.7
安全面に不安がある
19
10.7
12
12.9
時間がかかる
23
12.9
13 2.8
その他(_)
5
2.8
1
2
3
4
5
6
7
8
9
#
#
#
#
# 特に理由はない
71
39.9
14
Q25.あなたが高速バスをあまり利用しない/これまで利用しなかった理由を教えてください。(3つまで)
地方部
n
%
0%
全体
161
100.0
1
9.3
どこをどう運行しているのか知らない
15
9.3
2
9.3
運行時間帯が限られている
15
9.3
3
20.5
バス停までが遠い
33
20.5
4
10.6
運行本数が少ない
17
10.6
5 5.6
予約が面倒
9
5.6
6
13.7
行きたい場所へ運行されていない
22
13.7
7
10.6
バス停に駐車場が無い・少ない
17
10.6
8 3.1
時間が不正確
5
3.1
9
12.4
バスの移動が快適でない
20
12.4
10 2.5
乗換が面倒
4
2.5
11 6.2
安全面に不安がある
10
6.2
12
10.6
時間がかかる
17
10.6
13
12.4
その他(_)
20
12.4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
#
#
#
#
# 特に理由はない
55
34.2
14
118
20%
39.9
20%
34.2
観光バスに関する質問項目
■観光バスについてお伺いします。
Q28.あなたはバスツアーの良い点は何だと感じますか。(3つまで)
都市部
n
1
2
3
4
5
6
7
8
9
全体
価格が安い
気軽に参加できる
荷物が少なくて済む
時間が無くても行ける
プラン・企画が面白い
手続きが簡単
お土産をもらえることが多い
バスに乗るのが楽しい
その他(_)
102
74
72
25
3
34
17
5
6
4
%
100.0
72.5
70.6
24.5
2.9
33.3
16.7
4.9
5.9
3.9
1
2
3
4
5
6
7
8
9
94
66
60
18
4
28
19
6
6
0
%
100.0
70.2
63.8
19.1
4.3
29.8
20.2
6.4
6.4
0.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
150
93
45
23
18
20
4
4
9
5
%
100.0
62.0
30.0
15.3
12.0
13.3
2.7
2.7
6.0
3.3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
154
78
45
26
22
24
16
3
21
4
%
100.0
50.6
29.2
16.9
14.3
15.6
10.4
1.9
13.6
2.6
1
2
3
4
5
6
7
8
9
252
168
60
82
26
46
31
10
10
13
%
100.0
66.7
23.8
32.5
10.3
18.3
12.3
4.0
4.0
5.2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
248
147
45
70
40
55
42
3
2
13
%
100.0
59.3
18.1
28.2
16.1
22.2
16.9
1.2
0.8
5.2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0%
20%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
40%
60%
80%
100%
72.5
70.6
24.5
2.9
33.3
16.7
4.9
5.9
3.9
地方部
n
1
2
3
4
5
6
7
8
9
全体
価格が安い
気軽に参加できる
荷物が少なくて済む
時間が無くても行ける
プラン・企画が面白い
手続きが簡単
お土産をもらえることが多い
バスに乗るのが楽しい
その他(_)
0%
20%
70.2
63.8
19.1
4.3
29.8
20.2
6.4
6.4
0.0
Q29.あなたがバスツアーに参加したことがない理由は何ですか。(3つまで)
都市部
n
1
2
3
4
5
6
7
8
9
全体
行く機会が無いから
自由に行動したいから
ゆっくり楽しめないから
知らない人と旅行に行くのは嫌だから
興味のあるプランがないから
バスに乗れない(酔うなど)
食事がおいしくなさそう
価格が高いから
その他(_)
0%
20%
62.0
30.0
15.3
12.0
13.3
2.7
2.7
6.0
3.3
地方部
n
1
2
3
4
5
6
7
8
9
全体
行く機会が無いから
自由に行動したいから
ゆっくり楽しめないから
知らない人と旅行に行くのは嫌だから
興味のあるプランがないから
バスに乗れない(酔うなど)
食事がおいしくなさそう
価格が高いから
その他(_)
0%
20%
50.6
29.2
16.9
14.3
15.6
10.4
1.9
13.6
2.6
Q30.あなたがバスツアーの良くないと感じる点は何ですか。(3つまで)
都市部
n
1
2
3
4
5
6
7
8
9
全体
スケジュールがあわただしい
食事のメニュー・味が良くない
バスの座り心地が良くない
バスの空調が気になる
バスの座席の位置
プランの内容
ガイドが良くなかった
事前の紹介と違った
その他(_)
0%
20%
66.7
23.8
32.5
10.3
18.3
12.3
4.0
4.0
5.2
地方部
n
1
2
3
4
5
6
7
8
9
全体
スケジュールがあわただしい
食事のメニュー・味が良くない
バスの座り心地が良くない
バスの空調が気になる
バスの座席の位置
プランの内容
ガイドが良くなかった
事前の紹介と違った
その他(_)
0%
20%
59.3
18.1
28.2
16.1
22.2
16.9
1.2
0.8
5.2
Q31.今後(も)バスツアーに参加したいと思いますか。
都市部
0%
地方部
20%
40%
60%
80%
100%
ぜひ参加してみたい
0%
20%
40%
60%
80%
100%
まあ参加してみたい
まあ参加してみたい
どちらともいえない
9.5
38.9
34.5
12.7 4.4
ぜひ参加してみたい
どちらともいえない
9.3
33.1
33.9
15.7
8.1
あまり参加したくない
あまり参加したくない
全く参加したくない
全く参加したくない
119
バスとサービスの連携に関する質問項目
Q32.あなたは、上記のバスサービスそれぞれについて、利用したい/人にすすめたいと思いますか。
都市部
大いに思う
6.健康診断バス(n=252)
6.3
7.子供向けFUNBUS(n=252)
6.3
14.3
22.6
32.5
10.7
25.8
23.0
9.9
全く思わない
18.7
34.5
11.1
10.3
4.劇場バス(n=252)
あまり思わない
28.6
22.6
4.8
5.ホテルバス(n=252)
どちらともいえない
27.0
9.5
2.ものづくり体験バス(n=252)
3.就活バス(n=252)
少しは思う
11.5
1.レストランバス(n=252)
25.8
32.1
19.0
29.8
21.4
25.0
25.4
37.7
17.5
34.9
13.9
17.1
1
1 1
15.5
1
13.5
1
19.4
21.8
地方部
大いに思う
4.劇場バス(n=248)
5.ホテルバス(n=248)
6.健康診断バス(n=248)
7.子供向けFUNBUS(n=248)
4.0
あまり思わない
10.1
19.8
32.3
12.1
20.6
26.6
27.4
33.5
15.3
16.9
34.7
27.0
8.1
20.6
33.5
15.7
10.9
全く思わない
24.2
27.0
7.7
6.9
どちらともいえない
30.2
7.7
2.ものづくり体験バス(n=248)
3.就活バス(n=248)
少しは思う
14.9
1.レストランバス(n=248)
29.4
17.7
19.8
9.7
15.3
35.5
35.9
11.7
19.0
18.5
Q33.あなたは、上記のバスサービスそれぞれについて、一人当たりいくらの価格であれば利用したいと思いますか。(矢印方向にそれぞれひとつだけ)
都市部
3,000円以下
3,001円~5,000円
5,001円~7,000円
7,001円~9,000円
1 1
40.5
1.レストランバス(n=252)
1
31.0
9,001円~10,000円
1
10,001円~15,000円
1
1
21.8
75.4
2.就活バス(n=252)
8.3
25.4
32.1
5.ホテルバス(n=252)
25.8
4.0 2.0
11.1
21.4
9.5
13.1
75.0
7.子供向けFUNBUS(n=252)
4.0
18.3
19.4
52.0
6.健康診断バス(n=252)
6.0
32.9
50.4
4.劇場バス(n=252)
2.4 4.0
17.5
54.0
3.ものづくり体験バス(n=252)
15,001円以上
1
7.9
2.0
4.0
18.3
4.8
2.0
地方部
3,000円以下
3,001円~5,000円
5,001円~7,000円
40.7
1.レストランバス(n=248)
15,001円以上
16.9
58.9
6.9
23.8
22.6
14.1
24.6
52.8
22.6
73.0
2.0
13.3
27.0
29.0
5.6
4.8
15.7
48.0
4.劇場バス(n=248)
7.子供向けFUNBUS(n=248)
10,001円~15,000円
73.8
3.ものづくり体験バス(n=248)
5.ホテルバス(n=248)
9,001円~10,000円
29.4
2.就活バス(n=248)
6.健康診断バス(n=248)
7,001円~9,000円
11.3
8.1
16.5
6.0
6.0
4.0
8.9
2.4
7.7
6.0
2.0
2.8
以上
120
禁
無 断 転 載
この報告書の著作権は経済産業省に所属します。
バス車両の開発促進等に関する戦略会議報告書
バスのリデザイン
平成 26 年 3 月
(委託)経済産業省
(連絡先:製造産業局 自動車課)
東京都千代田区霞ヶ関1-3-1
電話: 03-3501-1690
(受託)株式会社日本総合研究所 総合研究部門
東京都品川区東五反田2-18-1 電話: 03-6833-1057
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