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環境への取り組み 11

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環境への取り組み 11
Sustainability Report 2015
環境への取り組み
11
2014年度の主な実績
国内自動車製造業界初となる
ハイブリッド車のグローバル累計販売台数
ISO 50001外部認証取得
765万台突破
さらなる効率的なCO₂低減の手段として、
CO₂排出抑制効果は、同等クラスのガソリンエンジン車と比較し
国際規格ISO 50001に基づく
約5,400万トン、
ガソリン消費抑制量は、約2,000万kL。
エネルギーマネージメント
システムを導入。
効率的な対策立案や
CO₂
ISO
50001
支援に着手。
HV
排出
抑制効果
5,400万トン
約
1997年度比の乗用車平均燃費 日本 94%
日米欧 平均 45% アップ
トヨタ車に占めるハイブリッド車は増加。併せて、従来型エン
ジン車の一層の燃費向上を図った結果、乗用車平均燃費は
着実に向上。
トヨタの燃料電池自動車
MIRAI の 発売と
「地球環境大賞」最優秀賞 受賞
サステイナブルなモビリティ社会の実現に貢献するエコカーと
94%
日本
燃費向上
日米欧平均
燃費向上
しての高いポテンシャル、FCV普及に向けた特許実施権の無償
提供などが評価。
FCV
45%
For the future
地域に根差した環境教育を広く展開する
自動車解体事業者向けに
FCVの
「適正処理関連マニュアル」
作成
使用済みバッテリーや
水素タンクなどの適正
処理や再資源化が、安
全かつ効率的に行える
よう体制を整備。
「トヨタ白川郷自然學校」
開校10 周年
2005年開校から延べ
15万5,000人が来訪。
今後は、
ともに育ち、育
10 th
てあう
「共育」を新たな
テーマに自然体験プロ
グラムを拡充。
11-01 環境マネジメント
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Environment
環境への取り組み
Sustainability
Report 2015
環境マネジメント
11-01
環境理念・方針と環境取組プラン
環境についての理念と方針は、1992年に制定された「トヨタ基本理念」
( 1997年改訂)のもと、環境に対する取り組み
方針を「トヨタ地球環境憲章」
( 1992年制定、2000年改訂)
として定め、全世界の連結事業体556社で共有しています。
2011年に発表した「トヨタグローバルビジョン」の中で環境については、
「 地球環境に寄り添う意識を持ち続けること」
と
しています。
こうした理念・方針に基づき、2015年度には、グローバルでのトヨタ車の平均燃費を2005年度比25%向上
を目指し、併せて2015年末までに21車種のハイブリッド車の新型・モデルチェンジ車を市場に投入します。
また、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)
についても、お客様にとってより最適な
エコカーとして選んでいただけるよう、幅広い技術開発に取り組んでいきます。
トヨタ環境取り組みの体系
トヨタ基本理念
●1992年制定、1997年改訂
トヨタ地球環境憲章(環境の基本方針)
トヨタグローバルビジョン
●1992年制定、2000年改訂
各種環境政策・指針
トヨタ環境取組プラン(5カ年)
2006∼2010年度 第4次プラン
2011∼2015年度 第5次プラン
各環境委員会
(製品・生産・資源循環)
年度方針、計画
トヨタ地球環境憲章
Ⅰ. 基本方針
Ⅱ. 行動指針
1.豊かな21世紀社会への貢献
1.いつも環境に配慮して
豊かな21世紀社会へ貢献するため、環境との調和ある成長を
目指し、事業活動の全ての領域を通じて、ゼロエミッションに
挑戦します。
2.環境技術の追求
環境技術のあらゆる可能性を追求し、環境と経済の両立を実現
する新技術の開発と定着に取り組みます。
・・・生産・使用・廃棄の全ての段階でゼロエミッションに挑戦
(1)
トップレベルの環境性能を有する製品の開発・提供
(2)排出物を出さない生産活動の追求
(3)未然防止の徹底
(4)環境改善に寄与する事業の推進
2.事業活動の仲間は環境づくりの仲間
・・・関係会社との協力
3.自主的な取り組み
未然防止の徹底と法基準の遵守に努めることはもとより、地球
規模、及び各国・各地域の環境課題を踏まえた自主的な改善
計画を策定し、継続的な取り組みを推進していきます。
4.社会との連携・協力
関係会社や関連産業との協力はもとより、政府、自治体を始め、
環境保全に関わる社会の幅広い層との連携・協力関係を構築
していきます。
3.社会の一員として
社会的な取り組みへの積極的な参画
(1)循環型社会づくりへの参画
(2)環境政策への協力
(3)事業活動以外でも貢献
4.よりよい理解に向けて
・・・積極的な情報開示・啓発活動
Ⅲ. 体制
経営トップ層で構成する
コーポレート企画会議による推進
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
第5次「トヨタ環境取組プラン」
第5次「トヨタ環境取組プラン」は、
これからのトヨタの環境活動の方向性とあるべき姿を示し、2011年度からの5カ年の
活動計画と目標を定めたものです。プラン策定に当たり、企業活動における環境問題リスクとビジネス機会(環境対応車
の普及促進など)
という2つの観点から活動を整理。2020∼2030年に向けて企業に求められる環境活動の方向性を
「低炭素社会の構築」
「循環型社会の構築」
「環境保全と自然共生社会の構築」の3大重要テーマに分類し、地球環境と調和
したモノづくり、
クルマづくりと商品およびサービスの提供を通じて、社会・地球の持続可能な発展に寄与します。
温室効果ガス排出量の大幅な削減
3Rを通じた資源循環の推進
低炭素社会の構築
循環型社会の構築
第5次「トヨタ環境取組プラン」
環境保全と自然共生社会の構築
自然の恵みの享受と継承
環境マネジメント
設定した24項目における2014年度の進捗は、ほぼ計画通りに取り組みを推進し、目標を達成しました。
2014年度レビューの詳細は下記URLを参照ください。
https://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/data/data19.html
Web
推進体制・仕組み
2015年4月より、
CSRを経営と一体ととらえ、
経営全般において企業価値向上を図ることをより明確化するための体制変更に
伴い、さまざまな社会課題に対してトヨタが提供する価値を織り込んだ成長戦略を検討する
「コーポレート企画会議」に
おいて環境経営を議論していきます。
また、既存の「製品環境委員会」
「生産環境委員会」
「資源循環委員会」の3つの委員会
にて、各分野の課題や対応方針を検討するとともに、関係するすべての部署が連携し、全社的な取り組みを推進します。
組織・体制図
トヨタ環境取組プラン(5カ年)
(2015年6月末現在)
取締役会
承 認
コーポレート企画会議
製品環境委員会
(1973年設置)
生産環境委員会
(1963年設置)
地域別環境委員会
資源循環委員会
(2008年設置)
作成審議
オールトヨタ生産環境会議 など
展開
個別年度方針、計画(PDCA)
グローバルな環境経営の推進体制
トヨタは、環境を経営の最重要課題のひとつ
グローバルな環境経営の推進体制
として位置付け、グローバルな環境経営の
北米環境委員会(2004∼)
欧州環境委員会(2002∼)
推進体制を構築し推進してきました。
「より
多くの仲間と環境に取り組むべき」
との想い
から、連結子会社等556社を連結環境マネ
中国環境委員会
(2007∼)
コーポレート企画会議(2015∼)
(旧トヨタ環境委員会(1992∼))
ジメントの対象範囲としています。生産台数
のほぼ100%、販売台数の約90%をカバー
南ア環境委員会(2008∼)
豪亜環境委員会(2007∼)
南米環境委員会(2006∼)
しています。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
11-02
Sustainability
Report 2015
連結対象範囲
連結EMSの対象会社は556社で、財務会計上の全連結
11-03
組織・体制
子会社と、財務会計上連結対象外でも主要な生産会社や
海外販売代理店などが対象です。具体的には、
1.
「トヨタ地球環境憲章」
を共有し、
自社の環境方針を立案
①トヨタ自動車(TMC)が直接管理する財務会計上の連結
2.生産分野では数値目標を立ててフォロー
子会社164社
3.販売分野では環境マネジメントシステムの構築、環境
②財務会計上は非連結だが主要な生産会社と海外販売
代理店51社
③そのほか、1法人
④トヨタ自動車が連結子会社を通じて間接管理する財務
コミュニケーションなどに取り組み
4.各国・地域の状況を踏まえたトップレベルの環境対応
※財務上非連結会社への要請事項は、地域・業態によって
異なる場合があります。
会計上の連結子会社340社の4種類です。
連結環境マネジメントの主な対象会社
欧州自主プログラム参加事業体
Toyota Hellas( ギリシャ) Toyota Ireland(アイルランド)
Toyota AG(スイス)
Toyota SA(トルコ)
Louwman&Parqui(オランダ)
その他10社
TSWE
(スウェーデン)
TAF
(フィンランド)
TMMP
(ポーランド)
TMIP
(ポーランド)
TMR
(ロシア)
TMPL
(ポーランド)
TMCZ
(チェコ)
TMH
(ハンガリー)
TPCA
(チェコ)
TES
(スペイン)
ED2
(フランス)
TMI
(イタリア)
TME
(ベルギー)
TMUK
(英国)
TGB
(英国)
T
TMMT
(トルコ)
欧 州
TMMF
(フランス) TFR
(フランス) IMC
(パキスタン)
TTFC
(中国)
TFAP
(中国)
SFTM
(中国)
TMCAP
(中国)
GTMC
(中国)
GTE
(中国)
TTPI
(インド)
TKM
(インド)
TKAP
(インド)
TMAP-EM
(タイ)
TMT
(タイ)
STM
(タイ)
UMWT
(マレーシア)
ASSB
(マレーシア)
TBI
(インドネシア)
販売会社
その他業種
(地域統括会社等)
※アンダーラインのない事業体は財務会計上の連結子会社
アンダーライン付き太字はそれ以外
欧州の非連結代理店15社はTMEの支援のもと、自主的にISO取得を含むEMSを展開。
TDG
(ドイツ)
TMG
(ドイツ)
TDK
(デンマーク)
TNR
(ノルウェー)
生産会社
生販一体会社
(2015年3月末現在)
TFTD(中国)
TMCI(中国)
TTCC
(中国)
FTMS(中国)
FTCE(中国)
TMMC
(カナダ)
北 米
TCI
(カナダ)
TMKR
(韓国)
CAPTIN
(カナダ)
TMMI (米国)
日 本
TMS
(米国)
TMCほか
TABC(米国) TFTE(中国)
CALTY
(米国) TFTM(中国)
TMEC(中国)
TMMBC
Kuozui(台湾)
(メキシコ) Hotai(台湾)
TMP
(フィリピン)
TAP(フィリピン)
TMV(ベトナム)
TMAP-MS
(シンガポール)
TMMIN(インドネシア)
TAM(インドネシア)
TMA(米国)
TMMWV
(米国)
TMMK
(米国)
TEMA
(米国)
TMMMS
(米国)
TMMAL
(米国)
TMMTX
(米国)
BODINE (米国)
TDV
(ベネズエラ)
TDB
(ブラジル)
TASA(アルゼンチン)
AAP
(オーストラリア)
TMCA
(オーストラリア)
TTC-AP-AU(オーストラリア)
中南米
TNZ(ニュージーランド)
TSAM
(南ア) アジア・豪州・中近東・アフリカ
連結EMSの国内の主な対象会社(50音順)
(2015年3月末現在)
生産会社
1グループ
2グループ
物流会社
3グループ
4グループ
5グループ
・連結子会社
・自動車製造業など
・トヨタ自動車の派生会社
・財務会計上は非連結
・主要部品生産会社
・ボデーメーカー など
・連結子会社
・部品生産会社
・連結子会社
・各種製品生産会社
・財務会計上は非連結
・部品生産会社
岐阜車体工業
ダイハツ工業
トヨタ自動車九州
トヨタ自動車東日本
トヨタ自動車北海道
トヨタ車体
日野自動車
愛三工業
アイシン・エィ・ダブリュ
アイシン・エーアイ
アイシン精機
アイシン高丘
愛知製鋼
ジェイテクト
デンソー
東海理化
豊田合成
豊田自動織機
豊田通商
トヨタ紡織
キャタラー
協豊製作所
中央精機
トヨタホーム
プライムアースEVエナジー
豊精密工業
アドマテックス
シンテックホズミ
トヨタタービン
アンドシステム
日本ケミカル工業
FTS
共和レザー
小糸製作所
大豊工業
中央紙器工業
中央発條
津田工業
豊田鉄工
トリニティ工業
ファインシンター
オールトヨタ生産環境会議メンバー
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
販売会社
東京トヨペット
トヨタ部品東京共販
トヨタレンタリース東京
など 計32社
愛知陸運
飛島物流サービス
トヨタ輸送
トヨフジ海運
その他業種
タクティー
トヨタエンタプライズ
豊田中央研究所
トヨタテクノクラフト
トヨタモデリスタ
インターナショナル
など 計46社
※財務会計上
非連結の
1法人含む
オールトヨタ物流
環境会議メンバー
オールトヨタ生産環境連絡会メンバー
Society
・連結子会社
・完成車物流
・部品他物流
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
[ 2014年度の主な取り組み ]
Sustainability
Report 2015
11-04
[マネジメント] 連結環境マネジメントの強化、推進
2014年度連結環境マネジメントの主要会社の取組方針と結果
2014年度取組方針と活動結果
●
各地域との連携を強化した 環境マネジメントの推進
●
各分野の目標 達成
●
●
各社2014年度目標達成に向けた
取り組みの推進
各社異常・苦情の再発防止に向けた
未然防止活動の強化
●
●
トヨタ販売店協会環境マネジメント
システムの第三者認証取得推進を
支援
●
海外販売店環境リスク監査 プログラム
(DERAP*4)
による推進
●
●
(44社*1)
国内
(32社)
販売
(79社)
海外
(47社*1)
国内外その他の会社
(65社)
:各社自主的な活動を推進
目標
取組方針
活動結果
全 体
国内
生産 (40社)
(84社) 海外
2015年度の方向性
目標
取組方針
連結環境マネジメント強化
● 国内外環境会議の実施
● グローバル環境表彰の実施
● 改善事例集
・環境ヒヤリ事例集の
発行・配付
第5次環境取組プランの推進
●
各社において計画的に対策を実施し、
概ね目標達成
未然防止活動を展開してきたが、軽微
な違反が発生
(異常4件*2、苦情0件)
●
●
●
●
各地域との連携を強化した環境
マネジメントの継続推進
第5次環境取組プランの推進
2020年目標(第6次環境取組
プラン)
の策定
将来の環境戦略の方向性立案
●
各分野の目標達成
●
ロードマップ策定
サステイナブル・プラント活動
の推進
異常・苦情ゼロ必達に向けた 未然防止活動のレベルアップ
●
国内/各地域の 目標達成
異常・苦情ゼロ
国内/各地域の 目標達成
異常・苦情ゼロ
●
●
EMS*3 認証取得
店数の拡大
●
EMS認証取得をサポート: 取得店数増加
●
EMS認証取得サポートの継続
実施
●
取得店数の拡大
●
目標達成 販売店数比率: 80%以上
●
目標達成 販売店数比率: 89%達成
●
継続推進
●
目標 達 成 販 売 店 数 比 率: 80%以上(新規参加
代理店、販売店を含
めた目標)
●
●
*1 生販一体の12社はどちらにも含む
*2 国内4件、
海外0件
●
●
*3 EMS
(Environmental Management System)
*4 DERAP(Dealer Environmental Risk Audit Program)
グローバル環境表彰
経緯および目的
グローバル環境表彰は、海外事業体の改善活動を促進するとともに、優秀な改善事例を世界の事業体に
「横展」することを目的に、2006年より
開始しました。選考方法は、各事業体で選ばれた改善事例をトヨタが表彰するというものでした。2011年にグローバル環境表彰をさらにレベル
アップし、活動を盛り上げるため、各地域で選考されたチームの中から優秀提案
チームを選抜し、日本で発表会を行い、最優秀賞を決めるよう変更しました。また、
表彰の種類
種類
現場改善チーム表彰
事業体表彰
分野
・生産/生産事業体(工場)
・物流/統括、生産、物流事業体
・生産/生産事業体(工場)
同時に大きな改善成果を上げた事業体を表彰する
「事業体表彰」を新設しました。
2014年には3回目の表彰を行いました。
2014年度の取り組み
チーム表彰
世界6地域で選抜された12チームの中から、上位5チームによる発表会を日本で開催し、僅差でフランスのTMMFチームが最優秀賞を獲得
しました。それぞれの発表内容については、
TMMFは工業用水購入ゼロ達成に向けた排水リサイクル率の向上、TMMKはエネルギー使用量
低減につながる電極整形機への油噴霧による油使用量の低減、CAPTINはアルミホイール鋳造工程のエネルギー低減、GTMCは排水スラッジ
低減による廃棄物の低減、TMMINはミルクランの統合による物流の効率化など、各事業体にとって大変重要なテーマであり、解決にあたって
は大変な苦労があった中で、大きな成果を上げた事例でした。
チーム表彰結果
表彰式では、環境担当の寺師専務役員(当時)より発表者へ、
「世界
中で環境対応がより厳格化している状況下で、今後もトヨタらしさ
を示すべく、グローバルでの改善活動など自力を高める活動が
最優秀賞
TMMF(フランス)
優秀賞
TMMK(米国)
CAPTIN(カナダ)
GTMC(中国)
TMMIN(インドネシア)
益々重要になってきます。改善活動のリーダーとして頑張ることは
もとより、後輩の育成にも力を入れていただきたいと思います。」
事業体表彰結果
とのコメントがあり、取り組みに向けた努力や頑張りに対する激励
最優秀賞
が送られました。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
TMMBC(メキシコ)
TMP(フィリピン)
TKAP(インド)
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
最優秀賞を獲得したTMMFのメンバーと
寺師専務役員(当時)
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
ISO 14001認証取得状況
Sustainability
Report 2015
国内外のISO認証取得企業数
国内外の生産会社・生販一体会社において、各社ともISO
生産会社
生販一体会社
11-05
販売会社・その他業種
14001認証取得の更新をしており、環境マネジメントシステム
国内
39社
̶
10社
の維持・改善に日々取り組んでいます。
海外
32社
12社
19社
コラム
さらなるエネルギーマネジメントのレベルアップに向け、国内自動車製造業界初となるISO 50001外部認証取得
地球温暖化がますます深刻化し、取り巻く環境が変化する中、
トヨタにも一層のCO₂低減の取り組みが期待されています。そこで、さら
なる効率的なCO₂低減の手段として、国際規格ISO 50001に基づくエネルギーマネジメントシステムを導入し、外部認証を取得しました。
取得に当たり、全社CO₂を議論する生産環境委員会委員長から、
エネルギーミニマム化への強力なリーダーシップのもと、ISO 14001に
ないISO 50001の強みを取り込み、今以上のCO₂低減レベルの向上と後戻りしない仕組みの構築を目指す大方針が示されました。
これを
受け、選抜メンバーによるワーキングチームを結成し、
トヨタ独自のエネルギーマネジ
メントの継続的レベルアップの手法について議論を深めながら仕組みを構築しました。
具体的な仕組みは、
全社エネルギー管理事務局を核としたエネルギーマネジメントチーム
によるエネルギー管理・改善を強力に推し進め、PDCAサイクルを確実に回す体制を
構築し、計量区分の標準化、
エネルギーデータの見える化などの取り組みを進め、効率的
な対策立案や支援に取り組みます。今回の取り組みで得た成果・ノウハウを、工場や生産
技術部門にも共有・展開し、さらなるエネルギー低減活動を推進し、ゼロエミッションに
向けた取り組みを加速していきます。
ISO50001認証取得交付式
[マネジメント] 製品開発における環境マネジメントEco-VASの推進
LCAで新型車・フルモデルチェンジ車全6車種を評価
目的
車両の生産、使用、廃棄まですべてのプロセスを通じ、総合的な環境性能を評価するEco-VAS*1 の中で、素材製造、車両製造、走行、
メンテ
ナンス、廃棄まですべての段階で環境への影響を評価するLCA*2を実施しています。
Eco-VASでは、開発初期段階から目標値を設定し、着実に環境パフォーマンスを高めていくため、チーフエンジニアが開発企画段階で環境
性能ごとに目標値と達成シナリオを策定し、開発プロセスを通して目標の達成状況をフォローし、着実な達成を図ります。
*1 Eco-VAS( Eco-Vehicle Assessment System) *2 LCA(Life Cycle Assessment)
:ライフサイクルアセスメント
2014年度の進捗
新型車・フルモデルチェンジ車6車種
(
「エスクァイア」
「MIRAI」
「アルファード」
「ヴェルファイア」
、
レクサス
「RC」
「NX」
)
についてLCAを実施しました。
MIRAIのLCA評価
CO₂指数
1.0
MIRAIは水素の製造方法によりガソリン車やハイブリッド車に比べてライフサイクル
廃棄
0.8
−約50% −約70%
メンテナンス
環境負荷を大きく削減することができます。将来、再生可能エネルギーを利用して水素
走行
を効率的に製造できるようになれば、環境負荷の大幅な削減が期待できます。
走行(燃料製造)
車両・部品製造
0.6
素材製造
トヨタの取り組み範囲において、資源採取から廃棄・リサイクルまでの各段階で、
クルマが環境に与える要因を
定量化し、総合評価する手法(LCA[ライフサイクルアセスメント]
:Life Cycle Assessment)
で評価しました。
自動車の生涯走行距離10万km(10年)
をJC08モードで走行した場合の結果です。LCA評価結果は指数で示し
ています。燃料電池自動車の走行時に使う水素は、製造方法により環境負荷が異なります。現状の燃料電池自動
0.4
車の走行
(燃料製造)
時の排出量は苛性ソーダ製造過程で発生する副生水素を利用した前提となっています。
0.2
MIRAIとガソリン車、
ハイブリッド車を比較したライフサイクル環境
影響評価は、
ドイツの第三者認証機関テュフ ラインランド社による
0
ガソリン車 ハイブリッド車 MIRAI
将来の燃料
電池自動車
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
ISO14040/14044規格に基づく審査・認証を受けました。
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
[マネジメント] サステイナブル・プラント活動の推進
11-06
工場の森づくりに重点を置いて活動継続
目的
モノづくりにサステイナブルの概念を取り入れ、
2007年よりプリウスを生産する堤工場をモデル
サステイナブル・プラント活動のコンセプト
自然を活用し、自然と調和する工場づくり
工場として「サステイナブル・プラント活動」
に取り
組んでいます。コンセプトは「自然を活用し、自然
と調和する工場づくり」で、エネルギー低減・エネ
ルギー転換・地域交流・生態系保護に取り組んで
【エ ネ ル ギ ー 低 減】低CO₂生産技術の開発・導入と日常カイゼン活動
【エ ネ ル ギ ー 転 換】再生可能エネルギー(太陽光など)の活用
【地域交流・生態系保護】工場の森づくり活動∼Green for Tomorrow∼
います。
従業員のエコマインド向上活動
2014年度の進捗
工場の森づくりは貞宝工場、TMEC(中国)、衣浦工場、本社工場で植樹会を行い、従業員とその家族、地域住民など
1,500名が参加し9,000本の苗木を植えました。
トヨタ自動車は2008年堤工場から始まり、当初の目標である生産全12工場の植樹会を実施しました。累計植樹本数は
11万本(国内)、74.5万本(海外)
となりました。
堤工場
衣浦工場
上郷工場
累計植樹本数:
累計植樹本数:
累計植樹本数:
5万2,060本
8,250本
1,503本
高岡工場
下山工場
広瀬工場
累計植樹本数:
累計植樹本数:
累計植樹本数:
2,430本
5,000本
3,360本
田原工場
三好工場
貞宝工場
累計植樹本数:
累計植樹本数:
累計植樹本数:
5,240本
670本
3,160本
元町工場
明知工場
本社工場
累計植樹本数:
累計植樹本数:
累計植樹本数:
1万3,628本
3,876本
632本
コラム
中国研究開発センターで森づくり
2015年4月13日、中国江蘇省常熟市にあるトヨタ自動車研究開発センター
(TMEC)
において、植樹会を実施しました。当日は、従業員をはじめ、常熟市の政府
関係者、周辺地域の小学生や大学生の方たちなど総勢900名が参加し、全員が
一体となって、約7,000本の苗木を一本一本丁寧に植えました。また、植樹後は
施設見学会を開催し、TMECへの理解を深めていただきました。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
4月13日に開催されたTMECにおける
植樹会の様子
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
コラム
11-07
「サンベルナルドREBORN」プロジェクト
サンパウロ郊外にあるブラジルトヨタ
(TDB) のサンベルナルド工場は、1958年
に設立されたトヨタで最も古い海外工場です。TDBの原点である同工場を再生
する取り組みが「サンベルナルドREBORN」プロジェクトです。同プロジェクトは
「ECO企業」
「INNOVATIVE企業」
「COMPETITIVE企業」
「FRIENDLY企業」の
4本柱からなり、
ブラジルNo.1のエコカンパニーを目指し、以下のようなサステイ
ナビリティプロジェクトに取り組み、環境に関する重大な責任を果たしていきます。
REBORN式典を実施
地域の環境と調和した工場敷地内の緑地/緑地帯の整備
再生可能電力の100%利用
雨水の再利用(一部実施済み)
と工業用水のリサイクル(2017年予定)
埋立廃棄物ゼロと廃棄物削減の推進
ステークホルダー(販売店およびサプライヤー)に対する
環境保護活動の働きかけ
[マネジメント] ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進
販売店における環境取り組みの推進
トヨタ自動車販売店協会 CSR研究会では、2005年に制定した「トヨタ販売店
CSRガイドライン」を基に、全販売店が一丸となり、自主的な取り組みを推進して
います。さらに取り組みを進めるため、第三者による環境マネジメントシステム
認証の取得を推奨し、環境にやさしいお店・人づくりを加速し、お客様からの信頼
をより強固なものにしていくことを目指しています。エコアクション
(EA21)認証
登録時には、EA21事務局より、認定書の授与式を行っています。
カローラ愛知の授与式
海外販売店環境リスク監査プログラム(DERAP)達成販売店数比率の向上
海外販売店のワークショップにおける環境リスクを軽減するため、DERAP*を継続実施しています。
この監査プログラムの
目標は、廃棄物や排水処理など環境基礎5項目についての体制確立です。
2014年度は世界57カ国の60代理店、3,464販売店(2013年度比+5代理店、+126販売店)がDERAPに参加しました。
そのうち、5項目達成の販売店は参加全体の89%に向上しました。世界レベルで見ると、参加していない代理店/販売店
も多くあるため、引き続きDERAP参加の拡充と、参加会社の活動推進を支援していきます。
* DERAP(Dealer Environmental Risk Audit Program)
コラム
南アフリカトヨタ(TSAM)の販売店で排水と雨水を利用した水リサイクル
南アフリカの水不足は年々深刻化しており、水使用に関する法規も見直されて
います。そのような状況下、TSAMは、2008年より傘下の販売店に対し、
「水の
リサイクル利用」を推奨しています。一部の販売店では、
5つの貯水タンクと
太陽光発電を備えた水浄化装置を導入し、200日分の洗車に必要な水量
(10万リットル)
を、排水と雨水のリサイクルにより賄っています。TSAMは、
この
ように環境活動に優れた販売店を毎年表彰し、地域内の販売店の意欲付けと、
環境活動のレベルアップに取り組んでいます。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
一部の販売店による排水と雨水のリサイクル
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
[マネジメント] 遵法活動
11-08
異常・苦情ゼロに向けて
2014年度は、4年ぶりに異常・苦情ゼロを達成することができました。
主な活動取り組み内容としては、過去10年間に発生した異常および苦情ヒヤリ*事例をもとに、
「 排水異常撲滅に向けた
設備・管理の重点ポイント集」を作成しオールトヨタに展開、環境月間や排水処理研修会などの教育の場での未然防止
活動に活用しました。
また、
日頃、目の行き届きにくい寮社宅、保養所などの遠隔地施設については、本社機能の環境担当者
が全国対象施設を現地で確認し、潜在リスクを洗い出しリスク低減対策を進めています。
* 異常および苦情ヒヤリ:事故にいたらなかったものの、潜在的にリスクの高い事例
PCB含有電気工作物の届出と保管
2005年度より社外委託処理を開始しました。4,918台については処理などを実施済みです。未処理の変圧器・コンデンサー
329台については、2015年度以降も委託処理を継続します。
地下水に関する取り組み
生産6工場における地下水の流出防止
トリクロロエチレン測定
環境基準値:0.03
単位:mg/L
対策は、1997年に完了しています。浄化
工 場
地下水測定データ
完了に向けて、引き続き揚水曝気浄化
本 社
0.002未満∼1.06
元 町
0.002未満∼0.19
上 郷
0.002未満∼0.16
高 岡
0.002未満∼0.36
三 好
0.002未満∼0.15
堤
0.002未満∼0.36
処理を行い、
トリクロロエチレンの測定
結果を行政に報告するとともに
「地域協
議会」の場で地域の方にも説明を行って
います。
(注1)
トヨタ自動車の全工場で測定しています。
(注2)
記載工場以外では検出していません。
(注3)測定ポイントは各工場に複数あるため、
測定値に幅があります。
[マネジメント] エコ・ファクトリー活動
エコ・ファクトリー活動を8工場で実施
新工場建設・能増プロジェクトを対象に、その地域でNo.1の工場を目指す、環境対策を確実に織り込むエコ・ファクトリー
活動を継続しています。
これは、企画・設備計画、
トライ、操業の各段階で、環境配慮の織り込みを
「現地現物」でチェックし、
不具合がある場合には是正し、環境対策を確実に織り込む活動です。
2014年度の進捗
エコ・ファクトリー活動
北米、
インドネシア、
タイ、
ブラジル、中国
インド
ネシア
北米
TMCAP
GTE
17
SFTM
長春新工場
パフォーマンス評価
(CO₂、VOC等)
中国
TDB
新エンジン
16
ブラ
ジル
STM
第2工場
TMMIN
新エンジン
コンプライアンス、
リスク評価
ました。
TMMAL
TMMMS
の8工場でエコ・ファクトリー活動を行い
タイ
15
16
15
15
17
16
企画
設備仕様監査
現物監査
:能増P/J( 12年度∼)
:∼ 13年度実施済み
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
: 14年度実施済み工場
数字のみ:今後の実施予定年度
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
コラム 工場の環境保全活動の取り組み事例
11-09
三好工場の「CO₂排出量低減活動」事例
三好工場では、
ドライブシャフト、プロペラシャフトなどの駆動系部品や、冷間鍛造・焼結によるエンジン部品などを
製造しています。今回、設備の集約化*1や工程数の削減によるエネルギー使用量の低減活動について紹介します。
エネルギー使用量の多い熱処理工程では、焼入油の種類の統一化や、部品パレットの収容数を増加させる工夫に
よって、10基ある浸炭炉を8基に集約化することができました。
さらに2015年度中に6基にまで集約化できる見込み
です。同様にプロペラシャフトの生産ラインにおいても、生産変動に合わせて設備の集約化を行っています。
また 2014年に製造を開始したターボ生産ラインでは、従来 別の建屋で生産していた鋳造ラインを、作業方法の
改善や小型設備の採用などによって機械加工ラインに直結し、生産工程のエネルギー量と併せて物流工程のエネ
ルギー量も低減しました。
一方、
ドライブシャフトの生産ラインでは、部品の原価低減をねらった革新ライン*2の稼働を2015年4月より開始
しました。加工方法の改善や工程の集約化により工程数、設備数をほぼ半減し、CO₂排出量は年間約30トン低減
できる見込みです。
*1 集約化:生産変動に合わせて、稼働率の低い複数あるラインや設備を、ひとつにまとめて稼働率を向上させること
*2 革新ライン:コスト競争力を向上させるために、画期的な機械加工技術の織込みによって原価低減をねらった生産ライン
ターボ生産ラインにおける鋳造・機械加工の一貫ライン化
【従来】
M工場
革新ラインによる工程数/設備数の
集約化状況
S工場
20
鋳造工場
機械加工ライン
建屋間物流
工 程・設 備 数
鋳造ライン
機械工場
三好工場
【今回】
18
16
15
10
10
7
5
鋳造ラインを同一建屋に
集約(占有面積約半減)
鋳造ライン
機械加工ライン
0
機械工場
工程数
設備台数
下山工場の「廃棄物量低減活動」事例
下山工場では、
エンジンの組み付け、
および排気系部品の生産を行っており、
日々 廃棄物低減活動では、積極的に
「カ
イゼン」
を進めています。
その中で、
近年 成果の上がった事例として、
濃縮廃液の社外処理量の低減活動を紹介します。
これまでエンジン部品の、機械加工後に廃却される切削/洗浄液は発生量が多いため、排水処理場の処理能力上、
直接、自社で排水処理ができなく、蒸発濃縮装置により約10分の1に減量化した後、濃縮した廃液を、社外で委託
処理をしていました(廃棄物が発生)。
2013年度より、
「自社の排水処理場で処理ができないか?」
のトライを開始し、
原水量および廃液のCOD*3濃度を測定
し、
定量ポンプで注入量を一定にコントロールすること、
およびクーラントの長寿命化などによる、
廃液発生量の減少に
より、
自社の排水処理場で直接排水処理をすることができるようになり、
2014年4月より正式に運用を開始しました。
この結果、蒸発濃縮装置を停止させることができ、蒸気の使用量も減少し、省エネルギー化にも貢献することが
できました。
*3 COD(Chemical Oxygen Demand)
:化学的酸素要求量
【対策前】
【対策後】
切削/洗浄廃液
切削/洗浄廃液
蒸気
(凝縮液)
蒸発濃縮
装置
排水処理
P
社外処理
定量ポンプ
P
排水処理
P
(注入量設定)
廃液槽
濃縮廃液
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
廃液槽
(濃度測定)
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Environment
環境への取り組み
Sustainability
Report 2015
低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-10
低炭素社会構築の基本的な考え方
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から最新の第5次評価報告書(科学的評価、気候変動による影響・適応・脆弱性および気候変動の緩和
策について)が2013年9月∼2014年4月に順次発行されました。
それによれば、①気候システムの温暖化については疑う余地がない、②海洋上部で水温が上昇していることはほぼ確実、③20世紀半ば以降に
観測された温暖化の主な要因は、人間活動の可能性が極めて高い、
としています。温暖化の影響は、単に平均気温が上がるだけにとどまらず、
下図に示すように、世界全体で見ると気候変動によるさまざまなリスクが想定されます。
たとえば気象現象で言うと、強い降雨の発生頻度が増えたり、熱帯低気圧の最大風速が増大したりします。日本でもゲリラ豪雨の発生やこれ
までにない降水量を記録するなど、すでにその徴候が現れています。
気候変動によると思われる台風や大雨による洪水などの自然災害が生じた場合、
トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、
またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、
トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。
また、気候変動は干魃を増加させ、生物の多様性や農業生産にも影響を与えます。
こうした事態を抑制するためには、全世界がCO₂排出量の
少ない低炭素社会の構築に取り組む必要があります。
トヨタは温暖化問題への対応を経営上の最重要課題のひとつと位置付け、
クルマの開発・設計、生産、物流、販売のあらゆる段階、すべての事業
領域において、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。
3
2
2
1
1
0
−0.61
0
℃
1900
1950
2000
4
3
3
2
2
1
1
0
−0.61
2100 ℃
2050
5
4
℃
0
独特で
脅威に
曝される
システム
※ ①
観測値
極端な
気象現象
影響の
分布
世界
総合的
影響
大規模
特異現象
②
③
④
⑤
世界平均気温の変化
4
3
5
工業化前の水準の近似値(1850∼1900年)
との差 ℃
4
世界平均気温の変化
5
(1986∼2005年比 ℃)
5
工業化前の水準の近似値(1850∼1900年)
との差 ℃
世界平均気温の変化
(1986∼2005年比 ℃)
気候変動による影響
℃
気候変動による追加的リスクのレベル
RCP8.5(高排出シナリオ)
重複部
検出できない
中程度
高い
非常に高い
RCP2.6(低排出緩和シナリオ)
※想定されるリスクの一例
①脆弱なシステム
(北極海氷やサンゴ礁)
への影響
②極端な降水、
極端な暑熱、沿岸洪水など
③国や地域による偏在的な影響
④生物多様性および世界経済全体への影響
⑤大規模かつ不可逆的な変化
(グリーンランド氷床消失による海面上昇、生態系変化)
出典:IPCC第5次評価報告書 第2作業部会報告書
「気候変動2014:影響、適応、及び脆弱性」政策決定者向け要約(環境省)
エネルギー/気候変動・温暖化に対するトヨタの基本的スタンス
開発・設計
●
生 産
燃費改善、HV、PHVを核とした
次世代車の開発
低CO₂生産技術の開発・導入と日常
改善活動によるCO₂低減活動の推進
● 各国、各地域の特性を考慮した
再生可能エネルギーの活用
● エネルギー起源以外の温室効果ガスの管理
●
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
物 流
●
輸送効率の一層の向上による
CO₂低減活動の推進
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
販 売
●
省エネ法への確実な対応
年率1%以上の計画的なエネルギー
原単位の低減
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
[ 2014年度の主な取り組み ]
Sustainability
Report 2015
11-11
次世代車の開発推進とそれぞれの特長を活かした普及促進
ハイブリッド車のグローバル累計販売台数が765万台を突破
1997年12月に世界初の量産ハイブリッド乗用車「プリウス」を発売以来、多くのお客様に支えられ、2015年3月末の
全世界累計販売台数は765万台となりました。
なお、2015年3月末までに販売したハイブリッド車のCO₂排出抑制効果は、車両サイズおよび動力性能が同等クラスの
ガソリンエンジン車のCO₂排出量と比較し、約5,400万トン、ガソリン消費抑制量は、同等クラスのガソリンエンジン車の
ガソリン消費量と比較し、約2,000万kLの効果があったと試算しています。
ハイブリッド車累計販売台数
160
国内
海外
ハイブリッド車によるCO₂排出抑制効果(トヨタ試算)
800
累計
単位:万台(折れ線グラフは右目盛り)
140
700
2015年3月現在、
HV35モデル(PHV1モデル)
を、
約80の国・地域で販売
120
100
CO₂低減量
6,000
CO₂低減量累計
単位:万t( 折れ線グラフは右目盛り)
1,000
5,000
800
4,000
600
3,000
400
2,000
200
1,000
600
500
80
400
60
300
40
200
プリウス
20
1,200
100
0
0
00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
0
0
97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
(1∼3月)
(1∼3月)
[開発・設計] トップクラスの燃費性能を目指す開発と各国基準への対応
2015年度燃費基準を15区分中すべての区分で達成
2015年度燃費基準は重量別に設定されており、
2014年度はすべて
の区分(15区分)
で達成
2014年度の新型車、
フルモデルチェンジ車5車種で2015年度燃費
2014年度 2015年度燃費基準達成状況
重量区分
2014年度
燃費基準
2014年度 新型車・
(車両重量:kg) (km/L) 平均燃費
(km/L) フルモデルチェンジ車の適合車種
601∼740
21.8
34.8
基準をクリア
741∼855
21.0
28.5
ガソリン乗用車の燃費基準達成車の生産台数比率は91%
856∼970
20.8
24.1
971∼1,080
20.5
29.2
1,081∼1,195
18.7
26.6
1,196∼1,310
17.2
17.4
1,311∼1,420
15.8
25.9
1,421∼1,530
14.4
21.9
1,531∼1,650
13.2
18.4
エスクァイア、エスクァイアHV
1,651∼1,760
12.2
17.2
エスクァイア、
RC300h、
NX300h
NX200t
1,761∼1,870
11.1
15.6
NX300h、
NX200t
1,871∼1,990
10.2
10.9
NX300h、アルファード
ヴェルファイア
1,991∼2,100
9.4
9.9
アルファード*、アルファードHV
ヴェルファイア*、
ヴェルファイアHV
2,101∼2,270
8.7
11.8
アルファード、アルファードHV
ヴェルファイア、
ヴェルファイアHV
2,271∼
7.4
7.8
2014年度燃費基準達成状況とトヨタ車の燃費実績
(km/L)
トヨタ車の2014年度平均燃費
35
2015年度燃費基準
30
各区分でのトヨタ車トップの燃費値
25
20
15
10
5
0
601∼ 741∼ 856∼ 971∼ 1,081∼ 1,196∼ 1,311∼ 1,421∼ 1,531∼ 1,651∼ 1,761∼ 1,871∼ 1,991∼ 2,101∼ 2,271∼
(重量区分:kg)
主要車種 新旧モデル燃費比較
燃費(km/L)
20
従来車
新型車
(120)
(137)
15
(181)
(207)
10
( )
の数値はCO₂排出量
(g/km)
5
0
ハイブリッド車
注1:*印は、適合車種でも型式および仕様によっては達成していないものがあります。
注2: 部分は燃費基準を達成。
注3:2013年度以前の達成車は掲載していません。
注4:燃費値はいずれも、国土交通省JC08モード走行諸元値を持つものの平均値です。
ガソリン車
アルファード/ヴェルファイア
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
平均燃費の向上
2014年度も引き続き、ハイブリッド技術を各種エコカー開発に必要なコア技術と位置付け、その普及に取り組みました。
11-12
日本では、
「エスクァイア」
「アルファード」
「ヴェルファイア」、
レクサス
「RC」
「NX」の各ハイブリッドモデルを販売。
トヨタ車に
占めるハイブリッド車は増加し、平均燃費向上に大きく貢献しています。併せて、従来型エンジン車のパワートレーンの効率
向上など、一層の燃費向上を図った結果、
日本および日本米国欧州における乗用車平均燃費は、着実に向上しました。
トヨタの日本における乗用車平均燃費の推移
トヨタの日本米国欧州における乗用車平均燃費の推移
(指数)
(指数)
2.00
1.50
1.40
1.30
1.50
1.20
1.10
+94%
+45%
1.00
1.00
97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14(年度)
97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14(年度)
コラム
高い熱効率と力強い加速を両立した直噴ターボエンジンを開発
化石燃料の消費抑制のため、
販売車両の多数を占める従来型エンジン車の燃費向上にも取り組んでいます。
高いエンジン熱効率と、力強い加速をもたらす動力性能を両立した1.2L直噴ターボエンジンを新開発し、2015年4月
発売の「オーリス」
に新たに設定しました。新型ターボエンジンは、
ハイブリッド専用エンジンならびに従来型エンジン
の開発で培った技術に、過給技術を追加することにより、世界トップレベルの高熱効率の過給エンジンを実現して
います。
また、2014年7月に発売した
「レクサスNX」
にも、2.0Lタイプの高熱効率・低燃費エンジン
を搭載しています。
こうした高熱効率の低燃費エンジン群に、動力性能も両立した過給エン
ジンを追加することで、お客様にとって最適なエコカーを選んでいただける選択肢
が増えました。高熱効率・低燃費エンジンは、2014年に発売した「パッソ」
「ヴィッツ」を頭出しに、2015年4月時点で8機種がすでに投入されており、
2015年度末までに6機種を加え、
全14機種をグローバルに展開します。
オーリス
高熱効率・低燃費過給ガソリンエンジンの採用技術
ハイブリッド用エンジンに
織り込んできた技術
燃焼改良
急速燃焼
高圧縮比化
●
従来車エンジンで
車エンジンで
磨き上げた技術
過給として取り組んだ技術
(新技術)
●
●
●
ポンピングロス低減
損失低減
●
・アトキンソンサイクル
・過給
●
●
低フリクション
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
●
●
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
11-13
コラム
水素エネルギー社会実現の先駆者となる、FCVの普及を目指して
自動車の次の100年のために、水素エネルギー社会実現の先駆者となる
世界初の量産FCV「MIRAI」が、2014年12月に発売開始となりました。
高い
効率、ガソリン車に匹敵する航続距離、短い充填時間、走行中の排出物は
水のみ。
まさに
“究極のエコカー”
と呼べる非常にポテンシャルの高い環境
技術が盛り込まれています。そのこだわりは、
すぐれた環境性能はもとより、
ひと目でFCVとわかる未来感のあるデザイン、乗って楽しく、静かで気持ち
良い快適な乗り心地、ずっと乗っていたくなるようなクルマに仕上ってい
ます。
トヨタは世界に先駆けたハイブリッド技術で、
「 プリウス」をはじめと
するエコカーをグローバルに普及させ、地球環境への貢献に努めてきま
した。そして今、自動車の次の100年のためにFCV「MIRAI」を市場に投入
し、その普及を目指しています。
欧米では2015年秋頃に発売予定です。
加速状況にあるインフラ整備
水素ステーションの数は、2015年4月中旬時点で19カ所が稼働しており、76カ所が予算化されています。インフラのさらなる整備が
望まれますが、
「MIRAI」は、新技術を多く搭載し、高い品質レベルで一台一台を丁寧に造り込みながら慎重に立ち上げていくため、生産
台数は限られています。FCVとインフラの普及は「花とミツバチ」のように互いに助け合う関係にあり、
トヨタは自動車メーカーができる
こととして、
まずFCVの販売を進めます。
インフラ事業者はこれによってビジネスがしやすい環境が整います。そういった意味で、現状の
水素ステーションの整備状況は、半年前に比べるとはるかに加速している状況であり、
これからも互いが必要な存在として相乗効果を
発揮し、Win-Winの関係で助け合いながら水素社会を作っていくことが望ましいと考えています。
FCスタック・タンク搭載
生産中のMIRAI
検査中のMIRAI
MIRAIが『第24回地球環境大賞』を受賞
フジサンケイグループの「地球環境大賞」は、
「 産業の発展と地球環境との共生」を目指し、産業界を対象とする顕彰制度として
1992年に創設されました。第24回目となる
「地球環境大賞」で、燃料電池自動車「MIRAI」が『大賞』
を受賞しました。受賞理由は、
「自動車用燃料の多様化に対応し、
サステイナブルなモビリティ社会
の実現に貢献するエコカーとして高いポテンシャルがある。FCV
普及のため、単独で保有している特許実施権の無償提供も決めて
いる」などです。
2015年4月9日に開催された授賞式では、内山田竹志会長が「『次の
100年のために』
を合言葉に、未来を担う子どもたちが憧れるクルマ
にしたい、
という思いを込めて
『MIRAI』
を造った」
と述べました。
「地球環境大賞」授賞式
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
コラム
11-14
新燃料電池システムを搭載したバスを豊田市での営業運行向けに提供
FCバスの実用化に向け、
トヨタ自動車と日野自動車は、
「トヨタフューエルセルシステム
(TFCS)」
を搭載した燃料電池
バスを開発し、2015年1月から愛知県豊田市内を走る路線バスの営業運行向けに提供しています。TFCSは、燃料
電池技術とハイブリッド技術を融合させ、
「MIRAI」向けに開発したシステムで、
今回のFCバスには、出力を高めるためにFCスタックおよびモーターなどを
2個搭載するほか、高圧水素タンクを8本搭載しています。さらに、外部電源
供給システムは、2013年11月より開始した実証試験などの結果を活かし
改良しています。本実証実験は、2010年度から進めているFCバスによる公道
走行試験および非常時における外部への電力供給実証の一部であり、今回の
路線バスの営業運行による実証試験を通じて、FCバスの実用性や有用性を
検証し、着実に研究開発を進めていきます。
コラム
関西国際空港水素グリッドプロジェクト
本プロジェクトは、関西空港にて環境省のご支援および国際戦略総合特区制度を活用して取り組む日本初の空港
施設への大規模な水素エネルギー導入の実証事業です。2014∼2016年度の3年間を実証実験期間に、燃料電池
(FC)
フォークリフトの導入や水素供給施設の整備を進め、本格的な水素エネルギー社会の到来を見据えた水素サプ
ライチェーンのモデル構築を目指します。実証実験では大阪府・新関西国際空港株式会社の「スマート愛ランド
構想」
のもとで、株式会社豊田自動織機
(FCフォークリフトの開発・提供)
、岩谷産業株式会社
(水素インフラの開発
整備)
、およびトヨタ自動車
(主に燃料電池セルの提供)
が参画、水素エネルギーの実用化を推進します。
2015年2月、
FCフォークリフトの導入が始まり、
国際貨物地区
において第1段階の実証運用が開始されました。2015年度
には、FCV
「MIRAI」
の燃料電池セルを搭載した実用化モデル
のFCフォークリフトを導入する計画です。
2015年度からの第1段階の実証期間では、小規模の高圧
水素ガスステーションを使用します。2016年後半から本格的
にFCフォークリフトの導入を計画しており、それに合わせ
大規模な液体水素ステーションの整備を計画しています。
また、水素グリッドプロジェクトの一環として、2015年4月に
FCV
「MIRAI」
を導入。ランウェイチェックや航空灯火のライト
チェックなど、空港維持関連作業車両としての活用も検討し
ています。
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小規模の高圧水素ガスステーション
(写真提供:新関西国際空港株式会社)
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11-37 詳細資料
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コラム
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Report 2015
Scope3で定められた15のカテゴリーの内容
Scope3への対応
項目
バリューチェーン カテゴリー
1
購入した製品・サービス
○
2
資本財
○
3
Scope1、2に含まれない燃料
およびエネルギー関連活動
○
4
輸送、配送(上流)
○
算定基準です。
5
事業から出る廃棄物
○
トヨタは15項目中14項目について把握しています。
6
出張
○
7
雇用者の通勤
○
8
リース資産(上流)
○
9
輸送、配送(下流)
○
10
販売した製品の加工
○
11
販売した製品の使用
○
12
販売した製品の廃棄
○
13
リース資産(下流)
○
14
フランチャイズ
−
15
投資
○
Scope3は、自社および連結会社以外のバリュー
チェーン
(購入した製品・サービス、輸送、出張、通勤、
販売した製品の使用など)からの間接的な温室効果
ガス排出量を見える化するために設けられた新しい
上流
下流
11-15
把握
注)
「フランチャイズ」
については対象外です。
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Report 2015
[生産・物流] 生産活動における省エネ活動の徹底と温室効果ガス排出量の低減
11-16
生産活動におけるCO₂排出量低減活動を継続
トヨタ自動車(TMC)のCO₂排出量の低減は、生産拠点と、
オフィスなどの非生産拠点を合わせた目標を設定して取り組ん
でいます。
2014年度は、効率の良い空調機や冷凍機の導入により、CO₂年間排出量は118万t(1990年度比44%減)、生産台数1台
当たりの排出量は0.41t/台となりました。
グローバルについては、
5カ年プランの目標達成に向けて、新工場・ラインの立ち上げ時には革新技術を導入し、CO₂排出量
の低減を推進しています。
たとえばSFTM
(中国)の長春工場の新工場においては、
ラインのシンプル・スリム化や3Wet塗装
などの革新技術を導入し、
また 蒸気レス化やエアーレス化も実施しました。
結果、2014年度の生産台数1台当たりのCO₂排出量は、0.75t/台(前年度比0.5%減)、CO₂年間排出量は、779万t
(前年
度比0.6%減)
となりました。
グローバルCO₂排出量(エネルギー起源)
と生産台数当たりの
CO₂排出量の推移(工場・オフィス等固定発生源)
TMC CO₂排出量(エネルギー起源)
と
生産台数当たりのCO₂排出量の推移
(万t)
220
160
1
140
117
120
116
120
118
100
900
排出量
排出量︵エネルギー 起 源 ︶
180
CO₂
0.73
80
60
0.5
0.46
40
0.41
0.41
生産台数当たり原単位(t/台)
CO2総量(万t)
生 産 台 数 当 たり
194
200
CO₂
(t/台)
非生産部門のCO₂排出量
生産部門のCO₂排出量
1.5
生産台数当たりのCO₂排出量
211
800
700
701
723
759
784
2
欧州
1.5
600
400
中国
北米
500
1.18
1
日本(除くTMC)
TMC
300
0.83
0.77
0.76
0.75
0.5
200
0.41
779
アジア、豪州、
中近東、
南アフリカ、
中南米
100
20
0
90
01
11
12
13
0
14(年度)
(注1)非生産拠点で1990年度の排出量を把握できない場合は、それ以降で
把握できた最も古いデータを使用しました。
(注2)CO₂排出量は、2011年度までは、生産部門、非生産部門(バイオ・緑化
研究所、福利厚生施設を除く)
を対象としていました。2012年度からは、
非生産部門にバイオ緑化研究所を追加しました。
(注3)CO₂換算係数は、1990年度の経団連係数を使用しています。
換算係数はhttp://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/
environment/data/data28.htmlをご覧ください。
TMC使用エネルギー別熱量構成比率
A重油 2.1%
0
01
11
12
13
0
14(年度)
※TMC、国内外連結会社など 120社
国内 : P11-03 1∼5グループ対象会社〔孫会社を含む(豊田通商を除く)〕
海外 : P11-03 生産および生販一体会社〔除くTMCAP(中国)〕
(注1)2001年度の排出量を把握できない拠点は、それ以降で把握できた最も古いデータを使用
(注2)CO₂換算係数は、GHGプロトコルを使用して算定
換算係数はhttp://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/
data/data28.htmlをご覧ください。
灯油 0.2%
LPG 0.1%
電力 68.2%
都市ガス 29.4%
軽油 0.01%
再生可能エネルギーの利用促進
2008年3月、堤工場に定格出力2,000kW(戸建住宅 500軒分相当)の太陽光発電システムを導入しています。
2014年度は1,903MWhの電力を発電しました。
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Report 2015
コラム 省エネ改善事例
低コストLED照明の開発
従来
11-17
開発
LED照明は省電力で水銀を使用しないなど環境性能にすぐれた
照明です。
しかし、蛍光灯と比較すると価格が高く、工場では初期
投資の回収に時間を要します。そこで、LEDの形状の自由度を
活かした製品をLED照明器具メーカーと共同開発しました。
照明器具
レースウェイ
新しく開発したLED照明では、
レースウェイとLED器具を一体化
することで施工が容易になり、初期投資をより安くすることが
できました。今後は生産工程の切替えに合わせ導入予定です。
[生産・物流] 物流活動における輸送効率の追求とCO₂排出量の低減
CO₂排出量低減活動を継続
2014年度は、積載率向上活動、
モーダルシフト、物流パートナーと一体となった燃費向上活動の継続などに取り組みました。
こうした取り組みにより、CO₂排出量を、当初見込みより0.4万t低減しましたが、遠距離輸送増の影響もあり、排出量は
27.8万tとなりました。仕事量(トンキロ)当たりのCO₂排出量は、109.6g-CO₂/t・kmとなりました。
トヨタ自動車(TMC)物流CO₂排出量の推移(国内)
(万t)
45
TMC物流でのCO₂把握範囲
取り組み範囲
44.0
日本国内
現状管理範囲
40
直送品
当初見込み
27.9
35
29.8
30
29.0
27.8
完成車
国内
販売店
ボデー
メーカー
物流量増など 0.3
改善分 ▲0.4
26.5
海外域内
生産部品
25
完成車
0
管理体制充実化を推進中
お客様
90
11
12
内製工場
(組立ユニット)
14 (年度)
13
※2014年度より、海外生産用部品・補給部品の一部について算出方法を変更した
ため、過去にさかのぼり数値を修正しました。
また、特別出荷品の輸送については対象外とし、同様にさかのぼり修正しました。
(注)
CO₂換算係数は、
「ロジスティクス分野におけるCO₂排出量算定方法共同
ガイドラインver3.0(
」経済産業省・国土交通省)
などを使用しています。
(換算係数はhttp://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/
environment/data/data28.htmlをご覧ください)
国内
共販店
お客様
完成車
サプライヤー
部品
センター
サプライヤー
補給部品
生産部品
物流センター
(梱包工場)
海外
販売代理店
港
港
物流
センタ−
輸入品
工場
仕事量(トンキロ)当たりのTMC物流CO₂排出量の推移(国内)
(g-CO2/t・km)
目標
実績
130
120
CO2排出量低減の改善取り組み結果
127.2
改善の切り口
110
100
107.7
106.7
106.6
0
総輸送距離の
低減
109.6
14 (年度)
12
13
06
11
※2014年度より、九州向け生産用部品の輸送について、原単位の算出方法を
変更したため、
過去にさかのぼり数値を修正しました。
商品
低減量(千t)
主な改善内容
完成車
内航船→外航船転用、陸上→海上シフトなど
2.5
生産部品
トヨタ九州1直化に伴う特便削減、共同物流など
0.6
補給部品
空器具取り回し改善、積載率向上など
0.4
3.5
合計
各国・各地域でCO₂排出量把握、低減活動継続
海外については、2007年度より各国/各地域でCO₂排出量把握を開始しました。2013年度からは、グローバル目標
ガイドラインを明示し、各国/各地域はそれをベースに目標を設定し、低減活動に取り組んでいます。
また、2016年度から、海外で発生するCO₂排出量の開示に向け、準備を進めています
(公表は2017年度版の冊子より)。
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Report 2015
コラム 物流分野のCO₂削減事例
11-18
横須賀ヤード活用による輸送モードの見直し
豊田地区生産東京販売店向け車両は、輸送の途中東富士分室に一時保管していました。2015年1月より横須賀
ヤードが使用可能となり、従来の東富士分室保管車両の一部を、2月より横須賀ヤード保管に変更しました。
これに
より、東富士分室経由で陸上輸送していた車両の一部を名古屋港から横浜港への海上輸送に切り替えました。
この変更により、年間384tのCO₂低減になるほか、副次効果として混雑する横浜港スペースの有効活用が可能
になりました。
改善前
改善後
〈ルート〉 富士松 → 元町 → 東富士分室 → 横浜港
〈ルート〉 富士松 → 名港∼横浜港 → 横須賀ヤード
陸上輸送:332km
陸上輸送:28km(−304km)
海上輸送:0km
海上輸送:380km(+380km)
12km
東富士分室
元町
名港
横浜港
104km
215km
横浜港
東富士
16km
名港
富士松 13km
横須賀ヤード
富士松
陸上
海上
380km
陸上
関西販売店向け車両の中継地変更
従来、関西販売店向けの車両は名古屋港で陸揚げする遠隔地生産分も含め、元町工場中継で輸送をしていました。
この輸送方法では、販売店側で受け入れ時間の制限(9∼17時のみ受け入れ)
や休日
(火曜日)の制限がありました。
名古屋港から元町工場を経由する動線を短縮し運行の平準化を図るため、関西の販売店に近い神戸ポートアイランド
に24時間受け入れ可能なヤードを確保し、名古屋港から直接ヤードに中継するよう改善しました。
この改善により、
動線短縮分として年間78tのCO₂低減効果がありました。
改善前
改善後
270km
兵庫販売店
元町工場
250km
(−20km)
兵庫販売店
名港
(9-17受入可)
名港
神戸ポートアイランド
(24H受入可)
陸上
海上
陸上
海上
空器具輸送ルートの簡素化
上郷センターでは、
トヨタ部品東京共販株式会社(以下、東京共販)への部品輸送、空器具返却があり、ボデーメーカーの
日野自動車からは部品の輸送、空器具の貸出があり、各々で空器具の輸送便がありました。この2ルートでの空器具輸送
便を簡素化するため、東京共販、日野自動車とのコラボレーションにより空器具ルートを東京共販から日野自動車へと集約
化し、2014年9月より実施しました。
この簡素化により、輸送で発生するCO₂が月間3.9t低減できると予想されています。
改善前
改善後
部品
部品
東京共販
TMC
パレット
(返却)
TMC
(上郷センター)
東京共販
パレット
(集約化)
(上郷センター)
パレット
(貸出し)
ボデーメーカー
部品
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11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
部品
ボデーメーカー
(日野自動車)
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11-37 詳細資料
(日野自動車)
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Sustainability
Report 2015
WBCSDを通じて未来のモビリティ社会を検討
WBCSD*は、世界各国の広範囲な産業界から約200社が参加し、持続可能な発展に向け、グローバルな視点で経済成長、
環境保全、社会開発に関する調査・提言活動を行っている組織です。1992年のリオ・サミットを契機に発足以来、環境管理
システム
(ISO 14000)、経済と環境の効率「エコ・エフィシエンシー」の発案など、持続可能な発展を率先垂範する産業界の
リーダーと位置付けられています。
トヨタは創立以来のメンバーで、サステイナブル・モビリティ・プロジェクトをはじめ、
これまでにさまざまなプロジェクトに
参加しています。2013年からは、WBCSDに参画するトヨタを含む15社共同により、
「WBCSDサステイナブル・モビリティ・
プロジェクト2.0(SMP2.0)」がスタート。世界からタイを含むモデル都市6カ所を選定し、さまざまなステークホルダー
と協力し、サステイナブル・モビリティのロードマップづくりを進めています。
* WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)
:持続可能な発展のための世界経済人会議、本部ジュネーブ
コラム
WBCSDを通じたタイ・バンコク市の渋滞緩和を、
トヨタ・モビリティ基金の助成案件として選定
WBCSD サステイナブル・モビリティ・プロジェクト2.0(SMP2.0)の6都市の一つであるバンコクにおいて、
トヨタ
はプロジェクトリーダー会社として、タイ交通省、バンコク都庁、警察、タイ企業、SMP2.0の他のメンバー会社と
協力し、バンコクの高架などの鉄道が大幅に拡大する5年後、15年後に、公共交通機関、
クルマ、人をつなぐ
『マルチ・
モーダル社会』
を構築することで渋滞解消を目指すプロジェクトを開始しました。
プロジェクトは、市民の行動様式の変革と交通マネジメントに関する大規模社会実験を、
バンコクで最も渋滞が厳しい
道路のひとつであるサートン道路で行い、その結果をもとにバンコク全域の実現可能なロードマップを描くことを
目指しています。
このプロジェクトは、より良いモビリティ社会の構築に資するNPO、研究機関などの取り組みを
グローバルに助成する
「一般財団法人 トヨタ・モビリティ基金」
(2014年8月設立)の助成案件として選定され、
タイ
のチュラロンコン大学と協力し、民間セクター、政府、市民が協力することで、渋滞解消に貢献するモデル作りに取り
組んでいます。
■ 対象地区:タイ・バンコク市のサートン地区
■ 基金からの助成対象期間:2015年4月∼2016年12月
■ 助成総額(見込み)
:約1.1億タイバーツ(日本円で約4億円)
■ 主な取り組み
交通需要コントロールに向けた持続可能なシャトルバスとパーク&
ライドプログラムの運行スキームの開発
人々の行動様式に変化を促すため、交通手段多様化によるメリットを
見える化する情報システムの開発
交通シミュレーションによる交通流ボトルネックの特定と対策の評価
地元警察との協働による信号サイクルの最適化
タイ サートン地区の朝の渋滞
「トヨタ・モビリティ基金」の詳細は、
「特集2 トヨタの社会貢献」
(P03-11)
をご覧ください。
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Report 2015
コラム
11-20
イエローストーン国立公園でサステイナブルな電力へ移行
イエローストーン国立公園のラマー・バッファロー・ランチ・フィールド・キャンパスでは、太陽光発電と再利用の
「カムリハイブリッド」のバッテリーパックを組み合わせた革新的なシステムが稼働中です。2014年6月、
トヨタ、
インディパワーシステム、シャープUSA、パトリオット
ソーラー、ナショナルパークサービスとイエローストーン
国立公園財団が提携し、
ハイブリッド車バッテリーの有効
寿命を伸ばし、アメリカでも未開発な遠隔地に持続可能
な電力を提供する革新的な事業に取り組むことが発表
されました。
太陽電池パネルが発電した電気は、全米のトヨタ販売店
太陽光パネル
から回収された
「カムリハイブリッド」のニッケル水素電池
208個に蓄えられます。2016年には、マイクロ水力発電
のシステムも統合される予定です。ハイブリッド車の
バッテリーは、
かなりの蓄電容量を残してクルマでの使用
を終えます。
トヨタがバッテリーのリサイクルを実施し、
イエローストーンのプロジェクトがバッテリーの有効寿命
を伸ばす取り組みを進めることで、
バッテリーの寿命は約
2倍になると期待されています。
再利用の
「カムリハイブリッド」
ニッケル電池
コラム
インドネシア カラワン工場が「ASEAN Energy Award大企業部門」
1位を獲得
トヨタ モーター マニュファクチャリング インドネシア(TMMIN)カラワン工場
は、ASEAN地域における省エネ管理分野ですぐれた工場に贈られるASEAN
Energy Award 2014年の大企業部門で1位を獲得し、2014年9月にラオス
において授賞式が開催されました。
カラワン工場は省エネ部門において2013
年にインドネシアで1位を獲得し、インドネシア代表としてASEANの賞にノミ
ネートされていました。同工場は2009∼2013年の4年間で、使用エネルギー
原単位を43%、CO₂総排出量を80万5,000t低減していました。
ラオスでの授賞式
今後も、改善活動や「横展」
により、省エネ活動を維持・強化していく予定です。
受賞で評価されたポイントや活動
持続可能性
再現可能性
独創性
経営層と従業員が一丸となった取り組み
社内環境教育やエネルギーパトロール活動による意識付け
省エネ活動の見える化やPDCA評価など、実践とマネジメントによる査定
照明に太陽電池利用、排熱利用による天然ガス利用の低減など、再生エネルギーの活用
集水井による雨水利用
エアコン室外機の設置角度変更による消費電力低減
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13-15
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Report 2015
コラム
11-21
インドネシアの天然ガス自動車普及実証事業
インドネシアでは、政府の方針として運輸部門での天然ガスの利用拡大を進めています。そのためには、信頼できる
圧縮天然ガス(CNG)自動車の導入、高品質なガス燃料の安定供給、使用者の経済的メリットと利便性を達成する
必要があります。
こうした課題を解決するため、
インドネシア政府に協力する日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
は、豊田通商、東邦ガスエンジニアリング、日野自動車とトヨタに、
「 圧縮天然ガス(CNG)車普及にむけたインフラ
構築を含む持続可能な環境整備・実証事業」の業務委託を行いました。実施期間は2015∼2018年度の3年間で、
ジャカルタ郊外の工業団地とジャカルタ中心部でのCNGステーション建設・運営、工業団地間の輸送トラックと政府
公用車でのCNG利用検討、
CNG規格・CNG自動車安全基準の導入支援、の3本柱を軸に事業を進める予定です。
この事業により、インドネシア国内のCNG自動車普及に向けた制度設計を支援し、安全かつ高品質な燃料供給
システムを普及させることで、
より良い自動車社会に貢献できると期待されています。
2015年4月に開催されたワークショップにて
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Environment
環境への取り組み
Sustainability
Report 2015
循環型社会の構築に向けた取り組み
11-22
循環型社会構築の基本的な考え方
資源は有限であり、人口の増加、新興国の経済成長、生活レベル向上などにより消費量は増加しています。
各種工業製品の生産に必要とされる鉱物資源の中でも、自動車部品に不可欠で偏在する傾向のあるレアメタルなどの
資源によっては近い将来枯渇が心配され、社会動向によって価格が乱高下します。加えて、人口増加に伴う農作物の増産
などにより、水の使用量は増加し、21世紀の最大の戦略資源とも言われています。途上国では人口増加によって特に安全な
水の供給が不足しています。
また、資源問題の一側面として廃棄物問題があります。廃棄物は源流対策で資源の有効利用を進めれば減少します。
しかし
現状は、処理場の不足、不法投棄、有害廃棄物の越境移動など、世界各国でさまざまな問題を抱えています。
こうした廃棄物
問題を解決するためには、資源のリデュース、
リユース、
リサイクル、廃棄物の適正処分などに取り組む必要があります。
トヨタはクルマが使用済みになった時に、地球上の限りある資源が単に廃棄されるのではなく、有効に資源循環できる方法
を1970年代から考えてきました。そして現在、その取り組みは廃棄段階のみならず、
クルマの設計段階からライフサイクル
を通しての取り組みに拡大、Car to Carリサイクルのバリューチェーン構築など、日本における循環型社会システムの
モデルとなっています。さらに、近年のハイブリッド車の販売拡大を受け、将来大量に発生する使用済みバッテリーの
バッテリー t oバッテリーリサイクルや、
非鉄金属資源の上位産出国
ネオジ ム・ジ ス プ ロシウム など のレア
資源の上位産出国(2014年)
資源名
2位
1位
レアアース
中国
85%
米国
バナジウム
中国
53%
南アフリカ
白金
南アフリカ
68% ロシア
タングステン
中国
83% ロシア
モリブデン
中国
38%
リチウム
豪州
36% チリ
インジウム※
中国
51%
韓国
コバルト
コンゴ民
50%
中国
マンガン
南アフリカ
26%
中国
ニッケル
フィリピン
18% ロシア
3位
アースが含まれる磁石の効率的な解体
6% インド
3%
94%
技術とCar to Carリサイクルなど、世界
27% ロシア
19%
99%
初となる取り組みにもすでに着手してい
7%
91%
ます。
トヨタは資源循環の分野でも未来
3%
90%
に向けた先駆けとなる取り組みを推進し
25% チリ
15%
77%
36%
中国
14%
86%
18% 日本
9%
78%
6%
63%
豪州
17%
61%
11% インドネシア
10%
39%
16% ジンバブエ
4% カナダ
米国
上位3カ国の
合計シェア
6% カナダ
18%
ていきます。
※インジウムは鉱石産出量ではなく、副生的に生産するインジウム地金の生産量ベース
出典:U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries, 2015
使用済み車を中心としたクルマの中長期3R
(リデュース、
リユース、
リサイクル)活動
Stage 1
Stage 2
過去
クルマの大量生産・廃棄時代を見据え、
世界に先駆け取り組みを開始
クルマのシュレッダー会社
「豊田メタル
(株)」設立(世界初)
トヨタ生産工場の
潤滑油などの処理・再生会社
「豊田ケミカルエンジニアリング㈱」
設立
1973年
クルマの触媒(貴金属)回収会社
「豊通リサイクル
(株)」設立
バリューチェーン構築による
社会システムのモデルへ
廃棄段階
1970年
Stage 3
現在
自動車リサイクル法対応
レアメタル・レアアース
リサイクル
開発・設計段階
2010年
廃バッテリーのニッケルなどを抽出、
バッテリーtoバッテリー
(世界初)
2012年
廃ハイブリッドモーターのレアアース
磁石のリサイクル
2013年
廃バッテリーを定置用蓄電池に
リユース、
トヨタ販売店への提供開始
(世界初)
トヨタリサイクルビジョン
販売段階
バンパーリサイクル
中古部品販売システム
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
レアメタルなどの3R活動への進化、
そして日本から世界へ
エコプラスチック
解体性向上マーク
1985年
生産・物流段階
梱包容器スリム化・
リターナブル化
未来へ向けた先駆け
2014年
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
ワイヤーハーネスから銅資源の
Car to Car リサイクル
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
[ 2014年度の主な取り組み ]
Sustainability
Report 2015
11-23
[開発・設計] 資源の有効利用促進に向けリサイクル設計を一層推進
車両解体性向上の取り組みを設計に反映
使用済み自動車の資源循環を推進するために、解体業者を実際に訪問し実情を調査
した上で、解体しやすく分別しやすい構造を研究開発し、新型車両に積極的に採用し
ています。
2012年6月にエアバッグ類一括作動処理のISO規格が制定されたのを受け、2014年
OBDコネクター
1月に販売された「ヴォクシー/ノア」を頭出しに、以降の新型車やモデルチェンジ車は
ISO方式 一括作動処理ツール
車種によって異なる専用コネクター位置をダッシュボード内側にある
共通化されたOBDコネクタを利用して一括作動処理を行う
ISO規格対応車に切り替え、作業性を向上させています。
植物由来のエコプラスチックの開発・活用
トヨタでは、植物由来の樹脂であるエコプラスチック*
「SAI」エコプラスチック採用部位
を、世界で初めてクルマ用途に開発しました。
材料種類
2013年8月に発売された新型「SAI」
では、
エコプラス
チックを室内表面積の80%に採用しています。
また、
植物系の原料
採用部位
射出成形材料
ポリ乳酸(PLA)
ツールボックス、
カウルサイドトリム、
ドアスカッフプレート、
フィニッシユプレート
基材
ポリ乳酸(PLA)/ケナフ繊維
ドアトリムオーナメント
「SAI」
では樹脂リサイクル材も積極的に活用しており、
フォーム
ひまし油由来ポリオール
運転席クッションパッド
リサイクルビジョンで目標とした「樹脂部品へのエコ
表皮材料
植物由来ポリエステル
天井、
フロントピラーガーニッシュ、
センターピラーガーニッシュ、
リヤピラーガーニッシュ、サンバイザー
2015年までに確立」
を、
前倒しで達成しました。
ポリ乳酸(PLA)
トランクドアトリム、
トランクトリム フロント/サイド/マット、
リアランプサービスホールカバー
* エコプラスチック:植物由来のため、成長時にCO₂を吸収、石油資源
採掘時などのCO₂排出、石油資源の使用量削減にも貢献
植物由来ポリエチレン
テレフタレート(PET)
シート表皮、
フロアカーペット、
パッケージトレイトリム
プラスチック、樹脂リサイクル材の20%使用技術を
[生産・物流] 生産・物流における廃棄物の低減と資源の有効利用
廃棄物低減活動を継続
2014年度のトヨタ自動車(TMC)の廃棄物低減活動については、汚泥の減容化などの廃棄物低減対策などを継続して実施
してきました。廃棄物量は35.9千t(前年度比0.2%減)、一方、国内生産台数の減少(前年度比1.1%減)
などにより、生産台数
当たり廃棄物量は12.5kg/台(前年度比0.9%増)
となりました。
グローバルについては、
こまめなコスト低減とリンクした廃棄物低減活動を継続的に取り組んでおり、その結果、2014年度
の生産台数1台当たりの廃棄物量は、46.0kg/台(前年度比3.7%減)、廃棄物総排出量は475千t
(前年度比3.8%減)
と
なりました。
グローバル廃棄物量と生産台数当たりの廃棄物量の推移
TMC廃棄物量と生産台数当たり廃棄物量の推移
生産台数当たり原単位(kg/台)
埋立廃棄物
35
焼却廃棄物
逆有償リサイクル
30
廃棄物量
(千t)
80
78.4
70
60
29.5
36.0
40
33.9
35.9
35.9
300
20
30
14.1
10
0
01
11
12.1
12.4
12
13
464
53.0
49.4
200
15
20
500
487
494
475
400
25
50
生産台数当たり原単位(kg/台)
廃棄物量
(千t)
600
47.7
46.0
0
0
14(年度)
(注1)廃棄物量は、生産部門、非生産部門(福利厚生施設除く)
を対象としています。
(注2)生産部門における廃棄物の集計は生産活動に伴うものを対象にしています。
(注3)逆有償リサイクル:費用を支払いリサイクルするもの。
アジア、豪州、
中近東、
南アフリカ、
中南米
50
中国
11
12
13
欧州
北米
40
日本
(除くTMC)
30
100
12.5
80 5次プランからの
新たな廃棄物指標
70
逆有償リサイクル*
60 +焼却+埋立
TMC
0
14(年度)
※TMC、
国内外連結会社等 120社
国内 : P11-03 1∼5グループ対象会社〔孫会社を含む
(豊田通商を除く)〕
海外 : P11-03 生産および生販一体会社〔除くTMCAP(中国)〕
* 逆有償リサイクル:費用を支払いリサイクルするもの。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
梱包・包装資材低減活動を継続
梱包・包装資材の使用量低減には、梱包仕様のスリム化および出荷容器のリターナブル化などの改善に、継続して取り
組んでいます。
こうした取り組みにより、低減量は0.13万tとなり、さらに物量変動などの影響もあり、総量は5.17万tと
なりました。出荷容積当たりの梱包・包装資材使用量は、6.98kg/m³となりました。
なお、2008年度より各国/各地域で使用量把握を始め、北米以外はほぼ実施済みです。北米は、仕入先使用分の把握
が難しく、把握方法を検討中です。
TMC梱包・包装資材使用量の推移(国内)
出荷容積当たりのTMC梱包・包装資材使用量の推移(国内)
(千t)
(kg/m3)
70
目標
実績
11.0
10.0
60
55.2
56.8
当初見込み
58.2
56.0
9.63
9.0
8.14
改善分▲1.3
56.3
8.0
51.7
物量変動など▲5.2
50
7.23
7.0
6.97
6.98
6.0
0
10
12
11
13
0
14 (年度)
※2014年度より、特別出荷品の梱包材については対象外としたため、
過去にさかのぼり数値を修正しました。
06
11
12
13
14 (年度)
※過去の掲載分の一部に集計ミスがあったため、過去にさかのぼり数値を
修正しました。
梱包・包装資材使用量低減の改善取り組み結果
改善テーマ
スリム化など
リターナブル化
商品
低減量(千t)
主な改善内容
包装仕様のスリム化
0.7
荷姿改善、
リユースなど
0.1
生産部品
収容数向上、梱包仕様の簡素化など
0.2
補給部品
リターナブル容器の適用拡大
0.1
生産部品
リターナブル容器の適用拡大
補給部品
0.2
合計
1.3
水使用量低減活動を継続
トヨタ自動車
(TMC)
においては、
2014年度も生産工程での蒸気使用量を低減する活動などにより、
総使用量は12.8百万m3
(前年度比0.9%減)、生産台数当たり使用量は4.9m3/台(前年度比1.0%減)
となりました。
グローバルについては、各国/各地域の水環境事情に応じて、地道な節水活動に取り組んでいます。特に水資源の厳しい
地域では、
水のリサイクルの促進などにより、
2014年度の生産台数1台当たりの水使用量は、
3.0m3/台
(前年度比2.9%減)
、
3
となりました。
総使用量は31百万m(前年度比1.2%減)
TMC水使用量と生産台数当たりの
水使用量の推移
グローバル水使用量(車両組立工場)
と生産台数当たりの
水使用量の推移
生産台数当たり水使用量
(車両組立工場) (m3/台)
水の総使用量
(全社)
8
(百万m3)
20
18
7
16
14
12
10
12.8
5.0
12.6
4.9
12.7
4.8
12.9
6
12.8
5
4.9
4.9
生産台数当たり原単位(m3/台)
水使用量
(百万m3)
35
30
28.5
27.6
29.2
31.2
31.0
6.0
25
20
7.0
5.0
4.8
4.0
4
8
3
6
3.4
15
3.2
3.1
3.0
3.0
2
10
2.0
2
1
5
1.0
0
0
0
0
4
10
11
12
13
14(年度)
(注1)
水総使用量は、
生産部門、非生産部門(福利厚生施設除く)
を
対象としています。
(注2)
生産台数当たり水使用量は、
車両組立工場の生産台数当たり原単位を
示しています。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
01
11
12
13
アジア、豪州、
中近東、
南アフリカ、
中南米
欧州
中国
北米
日本
(除くTMC)
TMC
14(年度)
※TMC(車両組立工場)、国内外連結会社など 37社
※2013年度より対象会社を追加しました。
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
11-24
Sustainability
Report 2015
[販売・リサイクル] 資源有効利用の推進強化
11-25
販売店・部品共販店で着実なリサイクル推進
[修理交換済みパーツの回収・リサイクルの推進]
全国の販売店、部品共販店では、従来より、バンパー、鉛バランスウェイトなど、修理交換済みパーツ
の回収や、タンクローリー車でのオイル運搬によるドラム缶の削減、中古部品販売等、車両の使用
時にも販売店などで可能な限りのリサイクルを推進しています。
2014年12月に販売を開始した「MIRAI」も、市場に導入するに当たり、使用済みバッテリーや水素
タンクなどの適正処理や再資源化が、安全かつ効率的に行えるよう自動車解体事業者向けに「適正
FCV適正処理/回収・
リサイクルマニュアル
処理関連マニュアル」を作成するなどして作業に当たれるよう、態勢を整えています。
コラム
FCVの水素タンクを適切に処理するための技術開発と並行し、解体事業者をサポート
自動車解体事業者には
「適正処理関連マニュアル」
を提供して周知徹底するとともに、
トヨタではFCVの水素タンクを
適切に処理するための技術を開発しています。当面は、暫定的な解体ツールを持参し、解体事業者をサポートするため
のチームを結成して市場に対するサポートを実施。その際は、ガス抜きからガス容器のくず化までを指導するなど
技術的な面をサポートしています。
使用済みバッテリーのリサイクル促進
1997年12月に世界初の量産ハイブリッド乗用車「プリウス」を発売以来、
トヨタは、独自の回収ネットワークを構築して
使用済みバッテリーのリサイクルに取り組み、2015年3月末時点で約4万2,000台を回収し、
全量リサイクルしています。
ハイブリッドバッテリーには、ニッケル・コバルト・レアアースなどの貴重な資源が含まれています。
トヨタは貴重な資源を
もう一度新しいバッテリーに戻す、世界初となるCar to Carリサイクル技術を開発しています。
また、使用済みバッテリーは2020年代には数万個の発生が見込まれているため、使用済みバッテリーを再利用する技術
も開発しました。修理交換用バッテリーとして再利用する技術、
また太陽光発電用の定置式蓄電池への再利用です。
廃車のバッテリーを上手に再利用し、エコな再生エネルギー活用も進めています。再利用が終わった後は、金属素材リサ
イクルでもう一度新しいバッテリーに使います。
HVモーターからのネオジム、ジスプロシウムの回収
磁石には、
レアアースの一種であるネオジムとジスプロ
トヨタが目指す磁石のCar to Carリサイクル
シウムを使用しています。
トヨタは、それらのレアアース
を極力使わないモーターの研究開発を進めると同時に、
Car to Carリサイクルについても、磁石メーカーと連携
新車
してネオジム、ジスプロシウムを抽出し、新品の磁石に
廃車・解体
循環させる世界初のリサイクルシステムをスタートして
います。
S
2012、13年度には、関係会社の豊田メタル(株)、豊通
S
N
N
リサイクル(株)が新エネルギー・産業技術総合開発機構
新車製造
磁石取り出し
の実証事業支援を得て、
モーターから磁石分離を行う設備
を導入し、
リサイクル技術を確立。2012年2月以降、累計
S
で磁石を17t回収しました。
N
S
N
磁石
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
再資源化
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
ワイヤーハーネスの銅資源を、Car to Carリサイクル
電線や送電線に使われる銅資源は、可採年数があと40年程度と言われている中、新興国で送電線の需要が増大しています。一方で、
11-26
今後さらに普及が見込まれるハイブリッド車などモーターを搭載する次世代車でも銅は多く使われます。
そのため自動車業界としては、銅を使用するワイヤーハーネスのリサイクルが大きな課題になっています。そこでトヨタは、矢崎総業(株)、
豊田通商(株)、および同社と取り引きのある中部地区解体業者7社と連携し、Car to Carリサイクルの技術開発を進めてきました。
2011年に微小な不純物の混入を防ぐ世界初の機械式選別方法を開発。2013年からは、本社工場内の実証ラインで再生銅の少量生産を
開始し、2014年3月に純度99.96%の銅を安定的に生産できる
Car to Car リサイクルフロー
めどがつきました。2013年4月以降、ワイヤーハーネスを累計
で80t回収しました。
中部地区解体業者7社(順不同)
会社名
所在地
ニュー岩田(株)
愛知県一宮市三ツ井
城北自動車興業(株)
愛知県春日井市勝川町
(資)三利
愛知県豊田市竹町
(有)森田車輌
愛知県半田市旭町
(株)山内商店
愛知県稲沢市片原一色町
小林商店
(有)丸大産業
三重県津市安濃町
長野県伊那市西春近
タングステンのリサイクル
トヨタでは、自動車が環境に与える負荷を軽減するため、リサイクル技術の開発、回収システムの構築にグループ全体で積極的に取り組んできました。近年
では、ハイブリッド車に使われるニッケル水素電池のリサイクルやレアメタルのリサイクルに取り組んでいます。
クルマ以外のレアメタルリサイクルとしては、超硬工具などに使用されているタングステンのリサイクルがあります。タングステンは全量輸入の資源で、超硬
工具の刃先部の8割に使用されています。このタングステンのリサイクルシステムを住友電気工業(株)と連携し、2010年に確立しました。
トヨタの工場で
発生する使用済み超硬工具を分別回収し、タングステンを100%回収・再資源化しています。2015年3月末までに、約116tのリサイクルを実施しました。
タングステンのリサイクルフロー
超硬
スクラップ
溶融塩
溶解
イオン
交換
Na₂WO₄
APT晶析
(NH₄)₂WO₄
高純度WO₃
焙焼
溶融塩
溶融塩溶解炉
イオン交換塔
焙焼炉
FCスタック回収・リサイクルの仕組み
コラム
FCスタックの回収・リサイクルの
仕組みを立ち上げ、希少金属をリサイクル
取り外し
回収
「MIRAI」
に搭載されているFCスタックには、希少価値
ニッケル水素バッテリー
が高い白金などの金属が使用されています。
そのため、
「MIRAI」
の発売
(2014年12月)
に合わせ、
世界初となる
FCスタックの回収・リサイクルの仕組みを立ち上げ、
資源循環の輪を広げています。
FCスタック
リサイクル
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
リビ ルト/リユース
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
[販売・リサイクル] グローバルな自動車リサイクル法への対応推進
11-27
国内の自動車リサイクル法への対応を確実に実施
トヨタ自動車
(TMC)のリサイクル実効率*2
およびASR再資源化率の推移(国内)
解体・リサイクル事業者との連携のもと、自動車
リサイクル法(2005年1月施行)への対応を着実
(%)
に推進しています。使用済み自動車から発生する
100
97
97
99
99
*1
フロン類、エアバッグ類、ASR の引き取りを行い、
93
リサイクルを実施しています。
94
99
99
96
97
TMCの
リサイクル実効率
(車両換算値)
TMCのASR
再資源化率
85
2014年度、ASRの再資源化率は97%、車両換算
81
したリサイクル実効率*2は99%を達成しています。
70
*1 ASR(Automobile Shredder Residue)
:使用済み自動車の
破砕処理後に出る廃棄物
*2 リサイクル実効率:解体・シュレッダー工程までで再資源化される
比率約83%
(2003/4合同会議報告書より引用)
に、残りのASR
比率17%×ASR再資源化率97%を合算して算出
60
2015年度
法定基準 70%
09
10
11
12
13
14(年度)
海外の自動車リサイクル法への対応
2000年のEU廃車指令に基づく自動車リサイクル法が欧州加盟各国で制定され、2007年1月より、
メーカーによる廃車
引き取りが実施されています。
トヨタ自動車はトヨタモーターヨーロッパ(TME)
・各国代理店と提携し、EU28カ国において
使用済み自動車引き取りネットワークの構築を完了しました。
また、中国においては中国環境委員会の下部組織、
「リサイクル対応ワーキンググループ」が現地事業体と提携し、法動向の
把握や現地インフラ調査など、現地の法対応を推進しています。2014年2月末には、豊田通商グループが32%出資した、
「中国の使用済み自動車の解体モデル工場」
を目指す工場が北京で開所し、2014年度は約1万台解体処理しました。将来的
には、
自動車リサイクル法の施行など中国社会の法整備の進展に合わせ、中国国内の他地区への展開も構想しています。
法制化の状況
状況
国名/地域名
法律制定済み
EU、EFTA*、日本、台湾、韓国、
トルコ、インド、ベトナム
法制化検討中
ロシア、マレーシア、
シンガポール、中国、
カナダ、
メキシコ、ブラジル、チリ、
コロンビア
凡例
* EFTA:スイス、
ノルウェー、アイスランド、
リヒテンシュタインの4カ国
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
コラム
11-28
“工業用水購入ゼロ”へ挑戦するトヨタ モーター マニュファクチャリング フランス
(TMMF)
工業用水の使用量を継続的に低減
自動車製造では全工程で工業用水が使われるため、水の使用はエネルギーと廃棄物に次いで環境への負荷となる
要素です。
「サステイナブル・プラント」活動の海外モデル工場のひとつであり、新型「ヤリス」
と
「ヤリスハイブリッド」
を
製造するTMMFでは、
クルマ製造で使用する工業用水の購入量を継続的に低減してきました。
数年前に、工場のすべての部署が協力し、品質を落とさずにどれだけ水の使用量を減らすことができるか慎重に検討
を重ねました。その結果、
1台当たり3,000Lだった工業用水の購入量を、1,689Lまで減らすことができました。
次に、TMMFのチームは新しい工業用水を
使う代わりに、排水をリサイクルして使用し
ようと、排水の水質とリサイクルの方法を
検討しました。いくつかの行程を変えるこ
とにより、工業用水の購入量は1台当たり
1,362Lになりました。
TMMF
雨水を利用し工業用水ゼロを目指す
さらに継続的に改善を進めるため、工業用水の代わりに雨水の利用を検討しました。平均すると年間の降水は172
日で、雨水の利用が有効であることがわかりました。雨水を集める装置に投資をし、1台当たりの工業用水購入量は
789Lにまで減少しました。
この時点で、TMMFの水使用量は全世界のトヨタ製造工場の指標となりました。
しかし、TMMFは究極の目標、
「自動車製造における工業用水購入ゼロ」
を目指しています。最初の雨水収集器の性能が良かったため、
さらに新しい
装置に投資をしましたが、それでも十分ではありませんでした。
工業用水ゼロを達成するには、水のリサイクルをさらに進める必要がありました。
しかし2014年には、排水の品質を
示す数字が通常の値より悪化したため、
リサイクルのレベルは
低下してしまいました。
トヨタウェイに従い、組織的な原因の
究明が行われ、
リサイクル率を向上させるためすべての部署が
品質の数値を戻すべく取り組みました。その結果、2014年
現在、工業用水を購入したのがわずかに12日という驚くべき
数値を達成しました。
これは工場稼動日の94.5%で工業用水を
購入しなかったということです。
こうした取り組みと実績により、
「グローバル環境表彰」で最優
「グローバル環境表彰」
で最優秀賞を
受賞したTMMFのメンバー
秀賞を獲得しました。
3000
1689
L/台
L/台
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
雨水利用
789
1362
L/台
L/台
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Environment
環境への取り組み
Sustainability
Report 2015
環境保全と
自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-29
環境保全と自然共生社会構築の基本的な考え方
私たちは、先人によって育まれ、受け継がれてきた自然環境を基盤に現在の社会を築き上げてきました。美しく豊かなこの
自然環境を未来の子どもたちにつなげていくためには、大気汚染などの問題をできる限り解決するとともに、長きにわたる
進化の歴史によって形作られ、自然環境の中で培われてきた生物多様性を保全していかなければなりません。
トヨタは排出ガス低減や化学物質管理など環境保全に努めるとともに、自然保護や生物多様性の重要性を認識し、自動車
事業や社会課題への貢献などにおいて、自然共生社会の構築に取り組んでいます。
国内の大気汚染については改善が進み、
クルマの排出ガスも大幅に低減されましたが、引き続き低エミッション技術の
開発、グローバルな展開、VOC*1低減に取り組んでいます。
環境負荷物質については、PRTR*2法のもと工場からの化学物質の排出を継続的に削減しています。併せてサプライチェーン
の方々とも協力し、製品に含有する環境負荷物質の削減に取り組んでいます。
生物多様性については、2008年に取りまとめたガイドラインに沿って具体的な取り組みを展開しています。
また、地域の人・社会・自然の成り立ちと企業のかかわり方を十分に認識しつつ、豊かな社会づくりを目的とした地域貢献
活動を推進しています。
*1 VOC(Volatile Organic Compounds)
:揮発性有機化合物
*2 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)
:化学物質排出移動量届出制度
ガソリン乗用車排出ガス規制・日米欧比較
0.30
昭和53年規制 1978∼2000
PM
(g/kWh)
US 1994∼2003
0.15
EUROⅣ 2005
0.00
0
出典:JAMA
0.1
0.2
0.3
0.20
新短期規制 2003∼2004
0.15
0.10
平成12年規制 2000
EUROⅤ 2009
平成17年規制 2005
平成21年規制 2009 一部車種にPM規制追加
US 2004
0.05
長期規制 1998∼1999
0.25
EUROⅢ 2000∼2004
0.20
0.10
0.30
NMHC:非メタン炭化水素 NOx:窒素酸化物
0.25
NMHC(g/km)
ディーゼル重量車排出ガス規制・日米欧比較
US 2004
US 2010
0.05
0.4
NOx( g/km)
0.00
0
出典:JAMA
US 1998
EUROⅢ 2000
EUROⅥ 検討中
ポスト新長期規制 2009
EUROⅤ 2009
新長期規制
US 2007
2005
1
2
EUROⅣ
2005
3
4
5
NOx(g/kWh)
化学物質管理に対するトヨタの基本的スタンス
生 産
製 品
販 売
車両製造で使用する
資材・副資材
製品・部品に含まれる
物質
アフターサービスに関する
物質
・水質汚濁防止法
・欧州ELV*3・欧州REACH*4-環境負荷
物質規制
・PRTR法 など
・自工会自主目標
・大気汚染防止法
・ボデーペイント
・ロングライフクーラント など
(4物質:鉛、水銀、
カドミウム、六価クロム)など
*3 ELV指令(End of Life Vehicles)
*4 REACH規則(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
6
[ 2014年度の主な取り組み ]
Sustainability
Report 2015
11-30
[開発・設計] 都市大気環境改善に資する排出ガス低減
国内低排出ガス車認定制度適合車の推移
国土交通省「低排出ガス車認定制度」の超-低排出ガスレベル(U-LEV)以上の2014年度の生産台数比率は、ほぼ100%を
達成しています。
平成17年基準低排出ガス車生産台数比率(2014年度)
2014年度 国内低排出ガス車認定制度適合車
区分
低減レベル
生産台数比率
低排出ガスレベル
★★★★
SU-LEV
★★★
U-LEV
新☆☆☆
U-LEV
平成17年基準排出ガス
50%低減レベル
2.4%
車種名
型式数
型式数
☆☆☆☆
SU-LEV
平成17年基準排出ガス
75%低減レベル
エスクァイア
3
0
97.4%
RC
3
0
NX
4
0
アルファード
5
0
ヴェルファイア
5
0
計
20
0
国内低排出ガス車の生産台数比率の推移
(%)
100
新☆☆☆
U-LEV
平成17年基準
50%低減レベル
80
60
☆☆☆☆
SU-LEV
平成17年基準
75%低減レベル
40
20
0
10
11
12
13
14(年度)
コラム
深刻化するアジア新興国の大気汚染の実態把握を通じて持続可能な発展に寄与
アジアの新興国では経済が急速に成長する一方、大気汚染が深刻化しています。原因としては、大気汚染の実態や
原因の把握が不十分なケースが多く見られます。効果的、かつ合理的な大気汚染対策を立案するためには、大気
汚染の実態や原因を把握する必要がありました。そこでトヨタ自動車は、豊田中央研究所とIIASA*1の協力を得て、
2008年より中国・インドを対象にTOP(トヨタ・オゾン・プロジェクト)
を開始しました。2013年からは、
タイとインド
ネシアにも枠組みを広げ、TCAP(トヨタ・クリーンエア・プロジェクト)
として活動を継続しています。
大気研究のステップは、1)エネルギー消費量などデータの収集、2)エミッションイベントリ*2の構築、3)大気シミュ
レーションの実施、
4)大気汚染対策の検討、評価です。
このうち、IIASAが「エミッションイベントリ構築」、豊田中央
研究所が「シミュレーション技術」
を各国の研究機関に伝授します。中国への技術支援は2014年度で終了しました。
今後は、タイ・インドネシア・インドを中心に活動を継続していきます。
*1 IIASA(International Institute of Applied Systems Analysis)
:国際応用システム分析研究所
*2 エミッションイベントリ:大気汚染物質の発生量・発生源・空間・時間分布を整理したデータベース
[開発・設計] 製品含有化学物質の管理充実
環境負荷4物質の対応
鉛、水銀、
カドミウム、六価クロムの環境負荷4物質について、国内外の
全生産事業体で全廃しています。国連では2013年10月に、2020年
以降水銀を使った製品の製造・輸出入を原則禁止する水俣条約(水銀
条約)が採択されましたが、
自動車についてはすでに対応済みです。
環境負荷4物質の対応状況
環境負荷4物質
鉛 水銀 カドミウム
六価クロム
国内全生産事業体
全廃 ※
海外主要工場
全廃 ※
※各地の法規適用除外用途を除く
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
REACH規則など、世界の化学物質規制への確実な対応
2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」
(ヨハネスブルクサミット)、2006年のSAICM(戦略的化学物質管理
アプローチ)採択などを受け、世界的に化学物質管理規制が拡大しています。化学物質規制の国際的流れとしては、個々の
物質の有害性のみに注目していた「ハザード管理」から、人や動植物にどれだけ影響を与えるかを加味した「リスク管理」
へと変わってきています。そのため、
どのような状況で化学物質が用いられるかということまで考慮する必要が出てきま
した。化学物質規制については日本の化審法、欧州のELV指令*1、REACH規則*2などがあるほか、北米・アジアでも独自
の規制を設けています。
このような化学物質の規制では、企業は製品中の化学物質の含有情報収集とサプライチェーンの管理が求められています。
トヨタでは、サプライヤーと協力して化学物質管理の仕組みを構築し、運営しています。
2014年度は、欧州REACH規則を鑑み、
「 要認可物質」の使用確認を強化し、
「 情報開示」に対応するとともに、車両部品
の「要認可物質」の使用削減を推進しています。
*1 ELV指令(End of Life Vehicles)
*2 REACH規則(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)
各地域のグリーン調達ガイドライン発行例
欧 州
中 国
北 米
日 本
豪 亜
南アフリカ
南 米
豪亜地域の生産事業体
インドネシア、インド、マレーシア、タイ、
台湾、ベトナム、豪州、パキスタン、
フィリピン
[生産・物流] 生産活動における環境負荷物質の低減
ボデー塗装におけるVOC*排出量の低減
TMC ボデー塗装のVOC排出量
(全ライン平均)推移
活動の目的
原単位
(g/m²)
VOCは、光化学スモッグを発生させる光化学オキシダント
70
原因物質のひとつです。
トヨタでは、
塗装工程で排出される
60
VOC低減の取り組みを進めています。
50
64
40
30
2014年度の進捗
21
20
19
18
11
12
13
14(年度)
20
トヨタ自動車(TMC)
においては、前年度に引き続き洗浄
シンナーの使用量削減・回収率向上の継続的取り組み、
水 性 塗 料 の 切り替え促進により、全ボデー塗装ライン
10
0
98
* VOC(Volatile Organic Compounds)
:揮発性有機化合物
VOC排出量は、面積当たり18g/m²となりました。
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
11-31
Sustainability
Report 2015
[社会との連携] 生物多様性への取り組み
11-32
トヨタ「生物多様性ガイドライン」に沿って取り組みを推進
活動の目的
私たちの暮らしは、生物多様性がもたらす多くの恩恵(自然の恵み)によって支えられています。
しかし、希少動物の乱獲や森林など生態系
の破壊によって、毎年約4万種の生物が絶滅しているとも言われており、生物多様性は危機に直面しています。1992年、ブラジルのリオデ
ジャネイロで「地球サミット(国連環境開発会議)」が開催され、地球環境問題の2つの大きな課題への対応として、
『生物多様性条約』と
『気候変動枠組条約』が採択されました。2010年に愛知県で開催された「第10回国連生物多様性条約締約国会議(COP10)」では、生物
多様性の損失を止めるための共通目標である
『愛知目標』や、遺伝資源へのアクセスと利益配分を定めた『名古屋議定書』が採択されました。
2008年3月、
トヨタはCOP10に先駆けて、持続可能な地球・社会の実現に向けた取り組みの一環として、
『トヨタ基本理念』に基づくトヨタ
『生物多様性ガイドライン』
(自主方針)を取りまとめました。ガイドラインは、生物多様性に関する取り組みの基本的な考え方と、
3つの取り
組み項目(①技術による貢献、②社会との連携・協力、③情報開示)で構成されており、
トヨタはこのガイドラインに沿って、さまざまな活動を展開しています。
2014年度の進捗
2014年度は、従来の取り組みを着実に継続するとともに、環境長期ビジョンや第6次
「トヨタ環境取組プラン」など将来に向けた取り組みの検討、2014年11月に開催された
ESD(Education for Sustainable Development : 持続可能な発展のための教育)
世界会議への参画などに重点を置いて取り組みました。
2014年 5月
「エコプロダクツ展」
プレゼンテーションコーナー
2013年に続き、
「トヨタ環境活動助成プログラム」の活動成果報告会を実施。2014年11月開催のESD世界会議に向けて、
これまでの支援プロジェクトの中から、環境教育・人材育成を中心に、
6つの環境団体から成果報告。
また、公募に関する個別相談も実施。
2014年 8月
「トヨタ白川郷自然學校」で、北米・南米・欧州・アジアなどの海外事業体の自然共生担当者が集まり、第6次「トヨタ環境取組プラン」
における、
グローバルな自然共生の取り組みと連携強化について意見交換実施。
2014年11月
愛知県名古屋市で11月10∼12日の3日間、
UNESCO(国連教育科学文化機関)主催のESD世界会合開催。世界各国から約1,000名が参加し、
「国連ESDの10年(2005∼2014年)」の活動を振り返り、
2015年以降の方策について議論。
「あいち・なごや宣言」
を全会一致で採択。
トヨタ自動車は、①会場でのFCVの車両展示、
②元町工場や
「トヨタの森」見学会、③経団連自然保護協議会と連携し、会場での経団連展示ブース
出展や経団連セミナー開催に協力、④「トヨタ環境活動助成プログラム」
の支援団体のセミナーに参加などを実施。
2014年12月
2014年12月の「エコプロダクツ展」の当社ブースにプレゼンテーションコーナーを設置。3日間の会期中に、
「トヨタの森」
「トヨタ白川郷自然學校」の担当者から約460名の来場者の方に、環境教育プログラムなどの紹介やクイズを実施。
2015年 5月
5月29日に第1回の「オールトヨタ自然共生WG」
を開催。
トヨタグループ約20社の自然共生担当者が集まり、
「生物多様性ガイドライン」の共有や愛知県における生態系ネットワークの形成など連携強化を議論。
生物多様性に関するトヨタの主な取り組み事例
区分
技術による貢献
社会との連携・協力
取り組み項目
具体的な実施事項など
温暖化対策
●
グローバルな燃費向上
●
生産・物流活動におけるCO₂低減
大気環境問題への対応
●
排出ガス低減
●
VOC排出量の低減
資源循環の推進
●
レアメタル・レアアースのリサイクル
●
リサイクル材の使用拡大
工場の森づくり
●
その土地の潜在自然植生種を国内外工場で植樹
森林再生
●
最適な間伐技術の開発(三重県)
新研究開発施設(用地)の取り組み
●
希少動植物の生息・生育環境の保全
人材育成&希少種保護
●
トヨタ環境活動助成プログラム
●
谷津田周辺の環境改善
「トヨタ白川郷自然學校」
や
「トヨタの森」
でのESD
●
●
里山林の維持管理
ESD世界会議参加者の「トヨタの森」見学
テーマを生物多様性と地球温暖化に絞り支援
認知向上と応募促進を図るため、環境関連イベント(ESD世界会議等)での当プログラム紹介
および小規模助成枠の新設
● 環境専門雑誌に助成事例を掲載し、
支援団体の活動をアピール
●
●
情報開示
新研究開発施設の取り組み
●
報告書&ホームページ
●
関係者との
コミュニケーション強化
●
新研究開発施設の検討内容
●
地元行政の自然環境施策に対し情報提供
「地球環境に寄り添って」やホームページでの取り組み紹介
「エコプロダクツ展」
で環境教育プログラムを実施
「こどもエコクラブ全国フェスティバル」
で
「トヨタ白川郷自然學校」の自然体験プログラムを紹介
●
調査により得られた知見を学術論文や学会などで発表
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
コラム 生物多様性の取り組み
11-33
新研究開発施設の自然・地域との共生に向けた取り組み
トヨタは、持続可能な次世代モビリティの開発のため、
豊田市と岡崎市にまたがる地域に新しい研究開発施設の
建設を進めています。
この事業においては「自然と共存し
地域と調和するテクニカルセンター」
をコンセプトに、事業
予定地の約6割の面積を保全エリアとして残し、地域の
皆様とともに森林と谷津田の再生やその管理を行ってい
ます。
また、それら取り組みの状況やここで得られた新しい
知見など、積極的に情報公開をしています。
新研究開発施設の全体図
2014年度の進捗①:野鳥の保全活動∼巣箱をフクロウが利用∼
野鳥の減少は、以前から注目されている問題であり、その原因のひとつとして、巣として利用可能な樹洞(木のうろ)の
少なさが挙げられます。樹洞に営巣する野鳥は少なくありませんが、樹洞ができるような太くて大きい木のある老齢樹林が
少なくなっており、これらの野鳥の営巣環境は十分ではないと考えられています。
新研究開発施設事業地の保全エリアには、老齢樹林を目標として整備する場所も
ありますが、樹洞ができるほどの大きな木が育つにはまだまだ時間が必要です。
そこで、野鳥の保全のため、樹洞の代わりとなる巣箱を設置しています。2012年度
に保護団体と協働のプログラムを立ち上げ、
この地域で減少が危惧されるオシドリ、
フクロウ、ブッポウソウ、キバシリの4種を巣箱による保全の対象種に選定し、それぞれ
の種が利用する樹洞の状況に合わせて巣箱の作製および設置を進めています。
2014年度は、
2つがいのフクロウが巣箱を利用し、無事にヒナの巣立ちが確認され
ました。今後もこの活動を継続し、地域の野鳥保全に取り組みます。
フクロウ用巣箱と巣立ちしたフクロウのヒナ
保全対象種と選定理由
オシドリ
ブッポウソウ
フクロウ
キバシリ
地域的に営巣可能な環境が減少
している中で、事業地周辺で生息
が確認されている。
地域的に繁殖事例が非常に少ない
中で、事業地内で生息が確認され
ている。
地域的に営巣可能な環境が減少
している中で、事業地内で生息が
確認されている。
地域的に繁殖事例が非常に少ない
中で、事業地内で生息が確認され
ている。
写真提供:愛知県企業庁
2014年度の進捗②:地元中学生とクロスズメバチ類調査
クロスズメバチ類は、新研究開発施設事業地に広がる里山環境の指標種である猛禽類のハチクマの餌生物であると同時
に、地元では古くから食用のための「へぼ(ハチの子)採り」の対象として知られています。2014年度には、地元の中学生と
一緒に、豊田森林組合の協力を得て、指標種の保全、地域文化の継承を目的に、
クロスズメバチ類の調査に取り組みました。
調査では、竹竿の先に鶏のササミや生魚を取り付け、クロスズメバチ類をおびき寄せ、飛来したハチの種類や飛来時間、
個体数を記録しました。また、ハチに目印を付けた餌を持たせて、巣を探索する「へぼ採り体験」も行いました。参加した
中学生からは「ハチが単純な方法で捕まるので驚いた」
「 最初は怖かったが親しみやすくなった」などの感想が寄せられ
ました。また、校長先生からも「今後も
さまざまな形で連携していきたい」
との
期待の言葉をいただきました。
この協働
による調査は、将来的には、環境学習
のプログラムのひとつとして継続的に
実施し、経年変化や生息環境について
取りまとめ、環境保全のための資料と
しても活用していく予定です。
クロスズメバチ類の調査の様子
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
生魚におびき寄せられたシダクロスズメバチ
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
[社会との連携] 自然共生社会構築に資する社会貢献活動の推進
Sustainability
Report 2015
11-34
自然の叡智を大切に、地域に根ざした環境教育プログラムを広く展開する
「トヨタ白川郷自然學校」
世界遺産白川郷にあるトヨタ白川郷自然學校は、環境教育普及を目的に2005年4月に開校。白川村・環境NPOと連携し、
運営を行っています。
自然や地域との共生を大切に、地域に根ざした環境教育プログラムを充実させ、広く展開しています。
2014年度の進捗:
“一流の教育と感動”
を提供するプログラム拡充
トヨタ白川郷自然學校は、白山麓に広がる豊かな自然のもと、将来を担う
「これまでの10年」 キーワード:共生
成果 : ①白川村の自然環境において環境教育を実践
②地域との共生
子どもたちをはじめ白川郷を訪れる多くの方々に自然体験プログラムを
③子どもも大人も満足いただける自然学校の実現
提供するとともに、野生生物の生態調査や森林保全活動に取り組んでき
ました。2014年度年間宿泊数は、
これまでで最高の1万4,651人を達成。
2005年開校から延べ15万5,000人もの方がご来場し、
「エコや自然との
共生について考えるきっかけとなった」
といった声をいただいてきました。
「これからの10年」 キーワード:共生につながる共育
「共育」を通して「共生」
につながる人づくり
開校10周年にあたり、2015年6月14日に10周年記念式典を開催。同式典
では、地元白川村や社内外の関係者をお招きし、日頃の活動へのご理解・
子どもたちへは・・・
大人たちへは・・・
ご支援に対する感謝をお伝えするとともに、2015年4月に新たに就任した
人間共育
癒しと活力
学校教育と補い合い
ホンモノの人間共育を
ガイドとともに山や里を歩き、
ホンモノの元気を
山田學校長が、10年間の歩みとこれからの10年の活動方針について述べ
ました。
今後は、近年のさらなる環境意識の高まりや、地域社会の要請を踏まえ、
2013年に再構築した基本理念「一流の教育と感動」のもと、
自然体験プロ
グラムの拡充に取り組んでいきます。
「共生」
に向けて、
ともに育ち、
育て合う
「共育」を新たなテーマとし、これまでの自然との共生を考えるきっかけ
キーワード
実体験・挑戦・気付き
キャンプ
同時に実現する場
づくりから、共生に向けて自ら理解し行動できる人材の育成を図ることを
目的に、自然体験型環境教育を強化するなど、社会貢献活動の新たな
自然体験
ステップを踏み出していきます。
キャッチフレーズ
キーワード
感動・喜び・ライフスタイル
ロングトレイル
大人はトレイルを歩こう。こどもは森でたくましくなろう。
これからの主要プログラム
人間力、冒険心、共助力を育成
大自然と歴史文化を体験
こどもキャンプ
白川郷・白山トレッキング
貴重なブナの原生林など豊かな自然体験
白山国立公園・大白川
こどもキャンプには、4つのプログラムを用意。
自然學校の周辺には、世界遺産に登録された白川
白山の周辺は国立公園に指定されていますが、
「自然學校の森のキャンプ」は、ナイフやロープ、
郷をはじめ、霊峰白山など、
トレッキングで歩いて
その中腹にある「大白川」という地区は、あまり
火を使うアウトドアでのスキルを習得し、創意工夫
大自然とふれあう場所が数多くあります。
まったく
知名度は高くないもののこの周辺でも特に自然
する力を育てます。また「恐竜の眠る秘境探検
のビギナーから登山経験豊富な上級者まで、実力
が豊かな地域です。樹齢数百年のブナやミズナラ
キャンプ」では、学芸員と一緒に化石を探し、知的
と志向に合わせたトレッキングコースや、白川郷
の原生林、白水湖や勇壮な白水の滝など、手つか
冒険心を育てます。
「結いっこキャンプ」
では、
自分
の合掌集落の周りを巡り、白川郷の歴史文化に
ずの大自然を味わうことで癒しや自然の大切さ
たちで作った合掌造りの家屋に泊まり、人との
ふれあうプログラムも用意。上級者向けの白山
を伝えます。
関わりの中で感謝や思いやり、助けあう心を育み
登山では、日本山岳ガイド協会公認のガイドが
ます。
「 春の森のスノーキャンプ」では、都会の子
つき、2泊3日(小屋泊まりを含む)で達成感や
どもたちがチャレンジすることを学習します。
癒しと活力を実感します。
結いっこキャンプ
スノートレッキング
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
大白川・白水湖
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
トヨタ環境活動助成プログラム
11-35
プログラムの概要・目的
トヨタ自動車は、世界初の量産型ハイブリッド車の発売や環境マネジメントシステムの構築、環境情報の積極的な開示
などが評価され、1999年に国連環境計画(UNEP)から
「グローバル500賞」を受賞しました。
これは、
「 持続可能な発展」
のための環境保護および改善に功績のあった個人および団体に与えられる賞です。
この受賞を記念し、社会貢献活動の
一環として、2000年度より民間非営利団体などの環境活動を支援するため助成プログラムを実施しています。
助成対象
「モノづくりは人づくり」
という視点から、環境課題の解決に取り組む人材育成や、実践的に環境課題解決に資するプロ
ジェクトを推進する民間非営利団体の活動を助成します(助成テーマ:生物多様性、地球温暖化)。
2014年度 助成プロジェクトの事例紹介
台湾
ツバメを守ろう! 国際交流ボランティアプログラム「グリーン・ホリデーin台湾」
公益財団法人 日本野鳥の会
日本と東南アジアを行き来するツバメは、台湾でも幸福のシンボルとして人々に親しまれています。
台湾はツバメの繁殖地であり、渡りの中継地、越冬地でもあります。台湾の郊外には、かつての日本
でどこでも見られたような緑豊かな農村風景が広がります。
しかしここでも、近年の宅地開発などに
よる環境変化が進んでいます。
「グリーン・ホリデーin台湾」は、日本国内の一般の方を対象とするボランティアプログラムで、台湾
のNGOや子どもたちと一緒にツバメを観察しながら湿地保全活動に取り組みます。活動を通じて、
国際協力でツバメを保護する動きを盛り上げるとともに、
ツバメをシンボルに湿地や身近な環境の
ツバメのエサになるトンボなどの虫が
すみやすいようウキクサを除去
生物多様性保全を目指しています。
日本
鎮守の森の生物多様性を脅かす外来生物アライグマの基礎研究と対策のための啓蒙活動
関西野生生物研究所
外来生物であるアライグマは、国内各地で自然繁殖が確認されており、農作物に対する深刻な
被害、固有在来種の捕食をはじめとする他種の繁殖環境への影響が懸念されています。
しかし、
被害を受けている多くの地域で、アライグマの実態やその対策方法がわかっていないため、全国
的な調査とその対策法の確立が急務となっています。本プロジェクトは、特に社寺周辺に生息する
アライグマの実態とその被害調査のため、基礎情報のデータベース作成とGIS*による分析を実
施。アライグマの特性を多面的に調査した結果・資料は、
セミナーやシンポジウムで発表されるとと
もにホームページでも多くの市民に情報提供され、鎮守の森の生物多様性に被害を与えるアライ
グマへの有効な対策を提案しています。
寺社の屋根裏にすみついたアライグマ
* GIS
(Geographic Information System)
:地理情報システム
トヨタ環境活動助成プログラム助成プロジェクト助成対象内訳(累計*)
これまでの助成実績
2000年のプログラム開始以来15年間で、世界52の国と地域で278件を支援しています
欧州
6
3
アフリカ
19
6
日本
120
北米・中南米
17
2
12
アジア・太平洋
80
13
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
アジア・
太平洋
北米・
中南米
アフリカ
欧州
日本
合計
2014年度
7
0
1
2
11
21
累計*
93
19
25
9
132
278
* 2000∼2014年度
生物多様性等
* 2000∼2014年度
活動対象地域
地球温暖化等
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
コラム
11-36
アルゼンチン・パタゴニア公園でのパタゴニアカイツブリ保護援助
絶滅の危機にあるパタゴニアカイツブリ
アルゼンチントヨタ(TASA)は、生物多様性保全の取り組みと
して、
アルゼンチンの固有種で絶滅の危機に瀕しているパタゴ
ニアカイツブリを保護するためのプロジェクトに協力しました。
プロジェクトに協力した目的は、
このプロジェクトが「生物多様性
と環境への配慮」
に貢献するもので、
トヨタの環境保護の方針と
合っていること。
パタゴニアカイツブリの保護を通してエコシス
テムの促進につながり、地域における環境意識の醸成につな
がることなどが期待されたからです。またこのプロジェクトに
より、地域の学生や農民のパタゴニアカイツブリに関する認知
を高め、自然に配慮した農法によってエコシステムの質を保つ
こと、
またパタゴニア国立公園でもあるこの地域が、世界的にも
魅力的な観光地となること、
なども期待されました。
調査が行われたサンタ・クルス州北西部
科学調査にハイラックスを貸与
調査が行われたパタゴニア国立公園は2014年に国立公園に指定されたもので、
サンタ・クルス州の北西部、
ブエノス・
アイレス湖とロス・アンティグオスの街の南側に位置します。高原で標高は1,000m以上あり、大地の西の端では
標高が2,500m以上にもなります。土地には多くの貴重な種が生息し、パタゴニアカイツブリの個体数は約700∼
800羽と推定されています。
TASAは、
アルゼンチン鳥類協会が行った2015年2月の科学的な調査や、絶滅への脅威の評価、再生に最適な場所を
決めるための調査に、
「ハイラックス」2台を貸与しました。
調査には、
テレビカメラ2台を含む10名のプレスが参加し、
調査の様子はテレビ、
雑誌、
新聞などによって報道されました。
パタゴニアカイツブリ
高原を走る
「ハイラックス」
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Environment
環境への取り組み
Sustainability
Report 2015
詳細資料
11-37
国内「主要環境データ」の状況(2014年度)
項 目
分野
主要指標
[単位]
1990年度 1995年度
1998年度 2001年度
2012年度 2013年度
2014年度
ガソリン2005年
(平成17年)規制
50%低減レベル達成車 [生産台数比率]
̶
̶
̶
̶
2.3%
2.4%
2.4%
ガソリン2005年
(平成17年)
規制
75%低減レベル達成車 [生産台数比率]
̶
̶
̶
̶
97.4%
97.2%
97.4%
[台]
̶
̶
̶
̶
658,585
718,541
646,258
̶
̶
̶
排出ガス
11-30
販売台数
クリーン
エネルギー車
電気自動車
[台]
̶
19
0
0
ハイブリッド車
[台]
̶
̶
̶
̶
658,517
718,497
646,250
天然ガス自動車
[台]
̶
̶
̶
̶
49
44
8
601∼740kg
30.0
32.4
34.8
741∼855kg
26.2
27.7
28.5
JC08モード
856∼970kg
20.9
20.9
24.1
27.1
26.9
29.2
1,081∼1,195kg
24.4
25.1
26.6
1,196∼1,310kg
16.7
17.2
17.4
1,311∼1,420kg
25.9
25.9
25.9
1,421∼1,530kg
21.6
21.4
21.9
1,531∼1,650kg
14.7
16.0
18.4
1,651∼1,760kg
14.4
18.0
17.2
1,761∼1,870kg
11.7
12.8
15.6
1,871∼1,990kg
10.9
10.7
10.9
1,991∼2,100kg
10.7
9.8
9.9
2,101∼2,270kg
14.0
12.5
11.8
2,271kg∼
8.2
7.9
7.8
[CO₂換算万t/年]
総排出量
̶
971∼1,080kg
製
品
重量区分別
平均燃費
[km/L]
(ガソリン乗用車)
̶
211(注3)
̶
̶
̶
̶
̶
̶
116
120
118
CO₂(注1)
11-11
11-16
生
産
生産台数当たり排出量
リサイ
クル
[CO₂換算t/台・年]
̶
̶
̶
̶
0.41
0.41
0.41
20
19
18
11-31
12.1
12.4
12.5
11-23
99
99
99
11-27
環境負荷物質
ボデー面積当たりVOC排出量
[g/m 2]
̶
̶
64
̶
廃棄物(注2)
生産台数当たり排出量
[kg/台]
̶
̶
̶
29.5
リサイクル率
リサイクル実効率
[%]
̶
̶
̶
̶
(注1)2005年度より非生産拠点も目標範囲に加えたため、1990年度にさかのぼり全社のCO₂排出量を記載
(注2)2000年度に埋立廃棄物「ゼロ」を達成・継続
(注3)1990年1∼12月の集計値
Society
Environment
社会への取り組み
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
本報告書
該当
ページ
上記主要データ以外の指標などについては、
ホームページをご覧ください。
Web
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/data/
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
Sustainability
Report 2015
環境会計
11-38
トヨタでは環境コストを
「環境投資*1」
と
「維持コスト*2」
の2つに分類して集計し、
併せて、
経済効果や環境効率も算出しています。
環境負荷の改善効果(物量効果)
については、
「国内『主要環境データ』の状況(2014年度)」
(P11-37)
をご覧ください。
*1 環境投資:環境配慮型製品の研究開発費など、効果が将来までおよぶ支出
*2 維持コスト:環境コストのうち、環境投資以外の支出
環境コスト
集計範囲:トヨタ自動車(株)
当社フォーマットによる実績
(単位:億円)
12年度
13年度
14年度
2,706
3,032
3,535
リサイクル関連費用
7
7
7
その他費用(社会貢献、ISO認証費用、教育訓練費など)*3
7
3
5
温暖化対策
2
2
4
廃棄物処理
0
1
0
区分
項目
内容
研究開発費用
設備投資
環境投資
環境対応主目的
の設備投資
公害防止他
8
環境対策関連費用
維持コスト
環境修復費用
26
6
③資源循環コスト
0
20
3
18
(2)
上・下流
コスト
リサイクル関連費用、
業界団体分担金
0
8
0
1
16
(3)
管理活動
コスト
環境広告、
環境報告書発行費用、
環境専任スタッフ費用など
0
310
1
21
(4)
研究開発
コスト
環境負荷低減のための
研究開発費用
0
3,535
3
352
(5)
社会活動
コスト
環境保全団体への
寄付など
0
2
0
0
(6)
環境損傷
対応コスト
土壌・地下水汚染の
修復のための費用など
3
2
1
1
20
106
2,809
3,123
3,673
19
20
20
排水処理費用
3
5
4
大気汚染・臭気防止費用
9
10
13
7
6
9
169
272
286
人件費
20
21
22
リコール対策費
46
0
0
3
2
2
広報・宣伝費
環境専任スタッフ費用
9
9
9
地球環境保全費用
理解活動費用
17
72
廃棄物処理費用
土壌・地下水汚染修復費
維持コスト計
276
合計
(売上高比率)
分類
①公害防止コスト
(1)
事業エリア
内コスト
3,085
4,029
3,459
(3.2%) (3.1%) (3.6%)
経済効果
合計
43
423
466
*3 2014年度より算定基準を変更したため過去にさかのぼり数値を修正しました。
*4 設備投資の減価償却費は費用に含んでおりません。
(ご参考)2014年度研究開発費総額:8,862億円 設備投資総額:2,311億円
*5 ボデーメーカー5社:トヨタ自動車東日本、ダイハツ工業、
トヨタ車体、日野自動車、
トヨタ自動車九州(各社採用基準に基づき集計しています)
海外事業体 2014年度実績
投資
TMT
(タイ)
国瑞汽車(台湾)
(単位:億円)
(単位:億円)
費用
合計
15
5
20
6
9
15
〈自動車生産によるCO₂指標〉10工場のみ
700
4,000
13年度
14年度
13
10
5
13
600
0
▲2
1
0
500
リサイクル品売上
44
58
52
72
その他
(環境関係技術収入ほか)
95
98
101
0
廃棄物処理費用の低減
合計
152
164
85
159
顧客効果 ハイブリッド車への代替による石油消費量節約
(単位:億円)
13年度
14年度
1997年12月
(初代プリウス発売)∼累計
2,335
2,379
10,407
6,856
6,674
32,577
2014年度の「顧客効果」算出方法(日本の場合)
高効率
効率のよい設備
機器の導入
年度ごとの平均燃費差*6×年度ごとの保有台数*7×
平均年間走行距離*8×2014年度平均ガソリン単価*9
累計
●
単年度 〔年度ごとの平均燃費差×年度毎の保有台数×平均年間走行距離×
2014年度平均ガソリン単価〕
−2013年度までの顧客効果
*6 その年度に走行しているHV車とそれに相当するガソリン車の燃費の差
JC08モード燃費を実用燃費に換算
*7 毎年販売されたHV台数から、平均車齢を考慮してトヨタで推計したお客様の保有台数
*8 国土交通省「自動車輸送統計」
による乗用車平均年間走行距離:1万キロ
*9 財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター調査による2014年度全国平均
ガソリン単価(消費税含む)
:158.1円
Environment
11-01 環境マネジメント
11-10 低炭素社会の構築に向けた取り組み
11-22 循環型社会の構築に向けた取り組み
04-10
3,000
2,500
300
2,000
200
1,500
100
1,000
(年度)
1990
09
10
11
12
13
14
※売上高/CO₂排出量を指標とし、1990年度を100とした指数をグラフ化、表示しています。
〈自動車生産による廃棄物指標〉
指数
売上高
(指数)
(百億円)
700
4,000
高効率
●
社会への取り組み
3,500
400
600
Society
売上高
(百億円)
12年度
省エネによるエネルギー費低減
指数
(指数)
ボデーメーカー5社
14年度
世界
126 3,903
4,029
24
環境効率(売上高/環境負荷)
実質的効果
日本
②地球環境保全コスト
356
336
ボデーメーカー5社*5
投資
費用
6
79
通常設備投資に含まれる環境対応分
(単位:億円)
トヨタ
投資
費用
117
10
*4
環境投資計
6
環境省フォーマットによる2014年度実績
3,500
3,000
500
汚泥の減容化など
低減対策を継続
400
2,500
300
2,000
200
1,500
100
1,000
(年度)
14
1990
09
10
11
12
13
※売上高/廃棄物発生量を指標とし、
1990年度を100とした指数をグラフ化、
表示しています。
環境への取り組み
11-29 環境保全と自然共生社会の構築に向けた取り組み
11-37 詳細資料
Corporate Citizenship
Governance
社会貢献活動
ガバナンス
12
13-15
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