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CONTENTS 平成13年度 試験研究成果概要 研究レポート Q & A お知

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CONTENTS 平成13年度 試験研究成果概要 研究レポート Q & A お知
E
HIME
TECHNI
CAL I
NFORMATI
ON
愛媛県工業系試験研究機関技術情報
№33
(通巻№158)
2002.9
CONTENTS
◆
平成13年度 試験研究成果概要
◆
研究レポート
◆
Q & A
◆
お知らせ
掲載事項についてのお問い合わせは、下記へどうぞ。
愛媛県工業技術センター 〒791-1101 松山市久米窪田町487-2
tel 089-976 -7612
fax 089-976 -7313
愛媛県繊維産業試験場 〒799-1507 今治市東村南2丁目5-48
tel 0898 -48-0021
fax 0898 -47-1494
愛 媛 県 製 紙 試 験 場 〒799-0101 川之江市川之江町281-2
tel 0896 -58-2144
fax 0896 -58-2145
愛 媛 県 窯 業 試 験 場
〒791-2133 伊予郡砥部町五本松2
tel 089-962-2076
fax 089-962-4616
平 成 13年 度
試 験 研 究 成 果 概 要
工 業 技 術 セ ン ター
機
課
械
電
題
子
室
名
試
験
研
究
成
果
概
要
機械構造系振動・
騒音
機械や電子機器製品の筐体等から発生する振動や騒音の低減を目的に、振動
制御技術開発研究
・
音響制御装置の開発に取り組んだ。
(
H.12∼14) 1 動電型とモーメント駆動型の2種類の振動制御装置が開発できた。
2 動電型振動制御装置では、平板に装着することで、10dB以上の騒音低減効果
が得られた。
3 モーメント駆動型振動制御装置では、平板に装着することで振動減衰速度が2
倍で、数dBの騒音低減効果が得られた。
4 動電型振動制御装置のムービングコイルをアルミ管に取り替えることで、駆動電
源不要の振動抑制装置となり、同装置の約半分の抑制効果が得られた。
金属間化合物粉体調整
耐食性等機能的な金属材料製造技術の開発を目的に、Ti
とNi
金属材料を組み
技術開発研究
合わせ、レーザ溶射法によるTiNi金属間化合物の製造技術の開発に取り組んだ。
(
H.11∼14) 1 レーザ溶射雰囲気の酸素量を低減することで、球状の均一なTiNi金属間化合
物粉体を得ることができた。
2 TiNi金属間化合物とステンレス鋼を組み合わせ、機能的な機械材料を作製で
きた。
福祉機器用センシング
電動車椅子など福祉機器の安全性と操作性の向上に取り組んだ。
・
制御技術開発研究
1 電動車椅子の駆動回路を外部からの指令信号で制御できる構造にしたことで、
(
H.12∼13)
操作性が向上した。
2 光電センサーを利用することで、5メートルの感度で障害物を検知し、危険を察
知できるシステムが構築できた。
3 介添者の動きに合わせて、電動車椅子が自動的に追随できるシステムが開発
できた。
4 車椅子に設置したカメラで、無線LANによる遠隔操作をしながら、危険を回避
するシステムが構築できた。
高周波帯域電波吸収材
電子機器等から発生する不要な漏洩電波を防止することを目的に、電波吸収体
開発研究
の開発に取り組んだ。
(
H.12∼13) 1 電波吸収材の材料配合に有用な理論計算式を導き出すことができた。
2 理論計算式を基に、既存製品価格の1/3の材料で、ETC(
自動料金収受シス
テム)
用電波吸収体を開発できた。
3 今後需要が見込まれるミリ波用吸収材として、カーボン繊維が有効であることが
確認できた。
携帯電話利用地理情報
携帯電話を利用した人員管理、物流管理システムなどの構築を目的に、安価で
システム開発研究
操作性の優れた情報ネットワークシステムの開発に取り組んだ。
(
H.13∼14) 1 携帯電話に付加させた小型GPS(全地球測位システム)
ユニットから、遠隔地
にあるサーバ(
基地局)
に位置情報(
緯度・
経度等)
を伝送する通信システムを開
発した。
2 開発した通信システムを技術移転し、企業で「
徘徊者支援システム」
を商品化
し、販売した。
無線LAN対応電光掲示
板システムの開発研究
工業技術センタ−と㈲上田電子開発で、Web対応型の新しい電光掲示板システ
ムの共同開発に取り組んだ。
1 パソコン端末から電光掲示板に、○インターネットで入力できる、○専用のソフト
(
新製品・
新技術創造
を必要としない、○操作性が高い、○設備コストが安い等の特徴を持つシステム
共同研究) が開発できた。
2 同システムは、道路情報、防災情報表示や広告媒体表示等への利用を目的に
(
H.13)
企業で商品化し、販売を開始した。
化
課
学
環
題
境
名
室
試
験
研
究
成
果
概
要
刺激応答性利用悪臭分
環境に優しい紙おむつの普及を目的に、悪臭等の吸着機能を有し、かつ、生分
解吸着材料開発研究
解性に優れた紙おむつ材料の開発に取り組んだ。
(H.12∼14) 1 紙おむつの表面材料として、ポリ乳酸からなる不職布、シートが生分解性に優
れていることが分かった。
2 紙おむつの水分吸収体として、カルボキシメチルセルロースの誘導体が生分解
性、悪臭分解吸着機能に優れていることが分かった。
アルミニウム表面改質技
アルミニウム機械部品の耐腐食性向上等を目的に、陽極酸化皮膜を利用しため
術開発研究
っき技術の開発に取り組んだ。
(
H.12∼13) 1 アルミニウム表面に酸化皮膜を作ることで、めっきが可能になった。
2 アルミニウム表面に分散めっきを行うことで、アルミニウム機械部品の耐腐食性
が著しく改善できた。
製品デザイン提示技術
家具等に対する消費者ニーズを的確に捉えることを目的に、デザイナー等がイメ
開発研究
ージする製品デザインを、コンピュータ画面上に画像として提示する技術の構築に
(H.12∼13) 取り組んだ。
1 家具を対象に、デザイナー或いは顧客が製品イメージを言語で表現すること
で、具体的な製品デザインをコンピュータ画面上に提示するシステムを作ることが
できた。
2 このデザイン提示システムを利用することで、家具等製造企業での製品製造作
業を効率的に支援できることが分かった。
環境浄化微生物普及事
環境浄化微生物を利用して、企業の排水処理施設等から発生する余剰汚泥・悪
業
臭の低減化技術の実証・
普及に取り組んだ。
(H.12∼14) 1 食品・
衛生材料製造工場等(
12工場)
の排水処理施設において、余剰汚泥低
減等の効果が認められ、経費の削減に効果的であることが分かった。また、病院
・
商業施設等(
14施設)
では悪臭低減効果と排水の水質向上が認められた。
2 魚肥・
堆肥等製造工場(3施設)
では、製造工程で発生する悪臭の低減に効果
的であると共に、発酵速度を増進する効果も確認できた。また、魚肥製品の悪臭
が少ないことから、商品価値が大幅に向上した。
食
課
品
加
題
工
室
名
試
験
研
究
成
果
概
要
微生物利用機能性糖質
微生物から作製したキチン質の実用化を目的に、抗菌性・
凝集性などの機能を
製造技術研究
生かした利用技術の開発に取り組んだ。
(
H.12∼14) 1 黄色ブドウ球菌、大腸菌に対して、高い抗菌性(
99.99%)
のある食品トレイ用の
吸水シートが試作できた。
2 微生物キトサンから、従来品に比べて性能の優れた水処理用凝集剤が試作で
きた。
3 乳酸発酵とキトサンを組み合わせ、味の優れた健康飲料とごま入りドレッシング
が試作できた。
魚肉利用水産加工食品
利用価値の低い雑魚(
小型のタチウオ、アジ等)
の有効利用を目的に、高齢化社
開発研究
会や健康志向に対応した魚肉ペースト状加工品の開発に取り組んだ。
(
H.10∼14) 1 魚肉の持つ臭い、色を改善できた。
2 マアジおよびタチウオから作製した魚肉ペーストには、血圧上昇抑制効果のあ
ることが分かった。
3 魚肉ペーストを利用したアイスクリームや、エビを殻ごと微粉砕化したものを添
加した風味豊かな魚肉ペースト製品が試作できた。
土壌中環境ホルモン分
環境ホルモン等による環境汚染の改善を目的に、白色腐朽菌と堆肥を組み合わ
解剤開発研究
せて、環境ホルモン分解剤の開発に取り組んだ。
(
H.13∼14) 1 堆肥を滅菌処理(
121℃-15分間)
することで、白色腐朽菌の生育が向上し、環
境ホルモン分解酵素の活性も高くなることが分かった。
2 白色腐朽菌は、比較的低温に強く、5∼15℃でも生育し、酵素を産生できること
が分かった。
3 白色腐朽菌の培養には、栄養源として糖類(
多糖類)
を添加する必要があること
が分かった。
機能性成分ギャバ付加
カンキツ類に含まれる機能性成分ガンマ・
アミノ酪酸(
ギャバ)
について、果実内
技術開発研究
での生成機構を解明し、健康維持に役立つギャバリッチな食品素材の開発に取り
(
H.13∼14) 組んだ。
1 温州ミカンの果実に、グルタミン酸ナトリウムを添加することで、ギャバを30倍
(
1,000㎎/100g)
以上に高めることができた。
2 ギャバの生成能力は、じょうのう膜が最も高く、次いで果皮、砂じょうの順であっ
た。ただし、果皮及び砂じょうについても、ピリドキサルリン酸(
補酵素)
を添加する
ことで、じょうのう膜と同等にギャバ生成能を高めることができた。
3 温州ミカンを利用することで、機能性成分ギャバを豊富に含む食品素材を開発
できる可能性のあることが分かった。
水産物品質保持技術開
養殖ハマチの長距離輸送や生産調整(
長期保存)
を目的に、養殖ハマチのフィ
発研究
レーや切り身の品質保持に必要な凍結技術の開発に取り組んだ。
(
H.11∼15) 1 養殖ハマチの血合い肉は、酸素透過度が約89㏄/㎡/24hの包材で真空包装
し、凍結(
-20℃、-30℃)
貯蔵することで、褐変を1年間防止できた。
2 解凍後の血合い肉は、酸素透過度が50∼90㏄/㎡/24hの包材で真空包装し、
0℃貯蔵により、褐変を4日間防止できた。
カンキツ機能性成分利
カンキツ類の消費拡大を目的に、貯蔵・
加工処理に伴う機能性成分の変化を解
用技術研究
明し、機能性成分を保持した加工技術の開発に取り組んだ。
(
H.12∼13) 1 フラボノイドは、貯蔵中に多少減少するが、リモノイド配糖体は果皮とじょうのう
膜で増加することが分かった。
2 搾汁残滓からは、吸着樹脂を用いてリモノイド配糖体、メトキシフラボンの回収
が可能で、精油からは蒸留によりメトキシフラボンの回収ができた。
3 回収したメトキシフラボン等を利用して、機能性成分を強化したカンキツ加工品
の製造が可能になった。
黒大豆を使った菓子類
への加工研究
(
H.13)
小粒等規格外の黒大豆の有効利用を目的に、黒大豆の特性や機能性成分を活
かした食品素材及び付加価値の高い黒大豆加工品の開発に取り組んだ。
1 黒大豆の機能性成分の一つであるアントシアニンは、pH5以下、10℃以下で安
定しており、加工品の製造には、この条件を保持する必要があることが分かった。
2 黒大豆の豆乳を乳酸発酵させることで、アントシアニンの淡い赤紫を保持した
硬めのヨーグルトを試作することができた。
3 黒大豆を用いて、鮮やかな赤紫の色調を保持したゼリー、ドレッシング等の加
工品が試作できた。
繊 維 産 業 試 験 場
課
題
名
試
験
研
究
成
果
概
要
キチン・
キトサン利用セ
セルロース繊維の天然染料濃染化を目的に、キトサンを利用した天然染料の染
ルロース繊維機能化研 色性改善技術の開発に取り組んだ。
究
1 キトサンを繊維に固定化することで、染色布の明度が低下し、彩度が高くなり、
(
H.12∼14)
染色性の向上が図れた。
2 染色堅牢度は、湿摩擦堅牢度で若干低下したが、洗濯、水堅牢度試験では、
1級程度向上した。
新しい工程短縮型製織
新しい工程短縮型製織技術の開発について取り組んだ。
技術の開発に関する研 1 クリールから直接パイル糸を織機に供給することで、整経作業の省略化が可能
究
となった。
(
新商品・
新技術の開発 2 片面パイルによるジャカード柄製織技術の開発で、従来にないインテリア用パ
研究)
(
H.10∼14)
イル生地が開発できた。
素材の特徴を活かした
用途開発を目的とする生活提案商品の開発に取り組んだ。
タオル製品の開発研究 1 近年の消費者ニーズ(
自然志向など)
に合わせて、さわやかさや気持ちよさを
(
新商品・
新技術の開発
イメージした製品企画を行った。
研究)
2 特化綿糸の糊付け条件の検討と極太甘撚り糸のカバーリング加工技術及び製
(
H.10∼14)
織技術の研究により、柔らかさ、風合い、吸水性などタオル本来の機能性を向上
させることができた。
タオル製品デザイン企
画手法開発研究
(S.45∼)
県下の特徴ある観光スポットの土産品企画を目的に、デジタルカメラとCG機器を
用いた迅速でオリジナリティーに富んだ企画プロセス研究及び提案手法の開発に
取り組んだ。
1 選定したモチーフをリアルな表現やキャラクター化するなどのデザイン表現技
法を確立した。
2 タオル製品と県内各地の特産物を組み合わせることで、“
愛媛らしさ”
を備えた
商品開発が可能となり、土産品として新しい市場開拓が期待される。
天然機能性成分利用タ
シソやキハダなど天然の植物に含まれる機能性物質を利用した、タオル製品の
オル製品開発研究
機能性加工法の開発に取り組んだ。
(
H.13)
1 草木染め手法を用いた加工を行うことで、タオル製品に天然の抗菌機能を付与
できた。
2 従来の製品に比べ、約40%薄くて軽いタオルハンカチに、抗菌効果を付加す
ることができた。
介護用ファショナブル生
介護着やホームウェアへの展開を目的に、生地表面に部分的な「
しぼ」
などを
地開発研究
形成した付加価値の高い衣料用生地の開発に取り組んだ。
(
H.13)
1 タオル織機の特徴を活かし,糸の縮みの差を利用することで、立体感のある生
地が開発できた。
2 パイル経糸の張力を任意に変更できる付加装置を開発することで、生地の凹凸が従来より大きく形成されるようになった。
温湿度調整機能保有タ
夏用寝装品に適したパイル織物の開発を目的に、麻糸等を使用したタオルケッ
オルケット等開発研究
トの開発に取り組んだ。
(
H.13)
1 麻糸は吸湿量が多く、通気性に関しても良好であることが確認でき、高温多湿
の日本の夏用寝装品に適していることが分かった。
2 基布に乾燥性の良い素材を使うことにより、乾燥性に優れたタオルケットが開発
できた。
パイル抜け防止技術開
発研究
(H.13)
織り組織の変化や特殊な緯糸を利用することにより、パイル保持性の向上技術
の開発に取り組んだ。
1 地組織と経糸密度を変化させることにより、パイル保持性が改善された。
2 緯糸にトウモロコシ原料の繊維素材を使用すると、綿糸に比べ、約2倍のパイ
ル保持力があることが分かった。
3 加熱により接着性を発揮する樹脂を緯糸に付着させると、絹やベンベルグ(化
学繊維)
でも、パイル保持性は向上することが分かった。
異素材利用特殊綿布織
立体感に優れた風合いと機能性を有するアパレル用綿布織物の開発に取り組
物の開発研究
んだ。
(
新製品・
新技術創造
1 生地表面に立体感を持たせることにより、柔らかさとボリューム感ある生地が開
共同研究) 発できた。
(H.13)
2 通気性・
保温性に富んだアパレル用生地が開発できた。
軽量薄地パイル織物の
機能性を有する軽量薄地パイル織物の開発に取り組んだ。
実用化研究
1 従来のタオル生地よりも薄くて軽く、柔軟性、皮脂取りなどの機能性を有するパ
(
新製品・
新技術創造
イル製品(
ハンカチ、スカーフ)
が開発できた。
共同研究) 2 開発製品の商品化に向けて、パッケージやディスプレイまでの総合的な商品企
(H.13)
画を行った。
製 紙 試 験 場
課
題
名
試
験
研
究
成
果
概
要
エアースルー乾燥技術
芯鞘構造のPET繊維を用いて、エアースルードライヤーによる湿式不織布の作
開発研究
成技術の開発に取り組んだ。
(
H.13∼14) 1 熱風乾燥機による芯鞘PET繊維の溶融マップを作成した。
2 ヤンキードライヤーとエアスルードライヤーによるPET繊維の湿式不織布を作
成した。
3 試作紙の物性評価を行ったところ、裂断長や比破裂度など強度的項目につい
ては乾燥温度に伴って増加する傾向が見られた。
天然高分子利用機能紙
木材代替資源として注目されている天然高分子中に、機能性材料を包含させ機
開発研究
能性天然高分子繊維の開発に取り組んだ。
(
H.13∼14) 1 安定した形態の繊維を作製するための紡糸時のデンプン浴濃度、凝固浴濃
度、射出圧が分かった。
2 広葉樹パルプ中に紡糸したデンプン繊維を添加し(
対LBKP:
0,10,40%)、デン
プン繊維混抄シートを作製した。
感性イメージ紙製品開
消費者の紙に関する好み(
感性データ)
の見出しが行えるシステム及びそのデー
発研究
タに則したランプシェードを開発に取り組んだ。
(
H.13∼14) 1 「
個々の言葉や物が各個人に与える感情的意味」
の見出しが行えるSD(Seman
-tic Differential method)
法が適していた。
2 白色度が異なる5種類の和紙サンプルを作成した。
3 情報追加、複数の掛け合わせ検索、画像閲覧が可能なカード型データベース
のプログラムを作成した。
塗工式防水透湿紙開発
生分解性樹脂エマルジョン塗料を用い、塗工技術による生分解性防湿紙の開発
研究
に取り組んだ。
(
H.12∼13) 1 生分解性樹脂塗料単体では防湿性は発現しないが、これにパラフィン系ワック
スエマルジョンを添加し、樹脂の最低造膜温度以上で乾燥・
熱処理を行うことに
より、塗工紙の防湿性が発現した。
2 脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂(ビオノーレ)では、ワックス含有塗料の熱
処理方法としては熱風処理のみを行う方が、防湿性発現には効果的であった。
3 デンプン脂肪酸エステル系生分解性樹脂(ランディ)では、ワックス含有塗料の
熱処理方法としては熱圧処理を行う方が、防湿性発現には効果的であった。
4 ランディ塗工紙では、ワックス10%添加時に、180℃・
19.6kN/mの熱圧処理によ
り、防湿性としては最高の57g/m2・
24hrが得られた。
窯 業 試 験 場
課
題
名
試
験
研
究
成
果
概
要
釉薬調合システム開発
陶磁器製造において、熟練した技術者に頼っていた釉薬調合技術のマニュアル
研究
化を目的に、コンピュータを利用して、釉薬調合データーベースの構築に取り組ん
(
H.13∼14) だ。
1 釉薬調合計算ソフトを作成し、ゼーゲル式から釉薬調合、釉薬調合からゼーゲ
ル式への変換が容易になった。
2 同じ釉薬調合でも、素地の違いで、貫入、ちぢれ等の欠陥を生じるものがあっ
た。
水質浄化セラミックス開
発研究
(
H.13)
粘土瓦や砕石廃泥のリサイクルを目的に、これらの材料を用いた水質浄化セラミ
ックスの開発に取り組んだ。
1 押出成形技術を利用して、ハニカム状及び積み重ね形の多孔質セラミックス材
料を試作することができた。
2 基材表面に、珪藻土やアコヤ貝等をコーティングすることで、微生物担体や魚
礁・
藻礁への応用が可能な資材を開発することができた。
研
究
レ
ポ
ー
ト
みかんの花から酵母?!
工業技術センター
は
じ
め
に
成人一人あたりのアルコール消費量はそれほど変
化していないにもかかわらず、平成11年度の日本酒
(清酒)の消費量は、平成6年度に比べ81.9%と激減
しています。愛媛県では、全国平均以上に著しく減
少している現状にあります。これらの原因として、
一般的に、車社会の定着や食生活の変化、酒類のソ
フト化などがあげられます。
これらの変化は昨今急激に起こったものではなく、
何十年もかけて徐々に生じた変化であります。この
ような変化に対して清酒メーカはきちんと対応して
きたか、消費者ニーズを最優先にした商品開発をし
てきたかと問えば、イエスと答える人は少数ではな
いでしょうか。
近年、清酒製造は、技術を磨き上げ、芸術的とい
えるほどの吟醸酒を生み出した反面、技術の画一化
による多様性の欠如という状態を生み出しており、
まさにこの点が、他の酒類に比較して清酒の競争力
の弱さの源と考えられます。
多様性を生み出すための方法
清酒の多様化の方策として、原料米の違いや甘口
・辛口の違い、精米歩合の違いなどがあげられます
が、画一化から抜け出す手法としては、少し小さい
ように思われます。
大きな変化を求めるためには、基本的には仕込み
方法そのものを見直していく必要があります。
−職 員 紹 介−
みやおか しゅんすけ
食品加工室 主任研究員
【専門分野】
醸造・発酵生産
【趣
味】
テ ニ ス
【出
身】
東宇和郡宇和町
主任研究員
宮岡俊輔
例えば、日本酒ライスパワーネットワークの「あ
あ不思議なお酒」や「米米酒」などがこういった試
みに該当すると考えられます。しかし、地方に多く
存在する小規模メーカでは、一足飛びにこのような
試みを行うことは、技術的にも資金的にも大きな負
担が伴い、困難であると思われます。 しかし、多
様化の一つとして、もう少し簡単に取り組める方策
には、現在の清酒醸造法の延長線上にあり、これま
でと異なった性質の酵母を利用するという方法が考
えられます。
自然界からの酵母の分離
既存の酵母源を利用せず、自然界に酵母源を求め
ることにより、その独自性は高まり、より新規性の
高い商品開発に結びつく可能性があります。もちろ
ん、清酒酵母は非常に長い年月の間に選抜されてき
たもので、清酒製造におけるその優秀性は簡単に代
替えが見つかるものではありません。 しかし、現
在の清酒の範疇を少しはずれた多様化清酒開発用の
酵母となれば話は違うのではないでしょうか?。ま
た、バイオテクノロジーの急速な発展に伴う酵母の
育種法の進歩は、この難題に答えを見いだしうるも
のと考えております。
このような考えから、当センターでは、愛媛県の
特産品である「みかん」を主題に、その花及び果皮
から酒類製造用の酵母の分離・利用技術の研究に取
り組んでおります。
地域と密接に結びついた多様性のある酒類開発に
繋がればと考えており、本研究に関しましてご意見
がございましたら、筆者までお願いします。
研
究
レ
ポ
ー
ト
古紙パルプの粘着物質の同定と除去
製紙試験場
は
じ
め
に
環境問題への関心が高まるのに伴い,古紙のさら
なる利用が求められています。古紙中の,粘着性を
有する異物は抄紙工程での断紙・穴あき,加工時の
印刷不良等のトラブルを引き起こすため,古紙利用
における最も大きな問題の一つに挙げられており,
粘着物質の同定並びに除去を行うことが古紙利用率
の増加に必要不可欠です。
そこで,溶媒抽出法により抽出した古紙パルプ中
の粘着物質の同定を行うと共に,パルプの洗浄方法
について検討したので紹介します。
大橋 俊 平
主任研究員
い,粘着物質の除去率は増加する傾向が認められま
した。また,8カットスクリーン(スリット幅:0.2
mm)のみで精選したパルプと12カットスクリーン
(スリット幅:0.3mm)で精選後,再度12カット
スクリーンで精選したときの,パルプ中の粘着物質
の量を比較した結果,2段の工程で処理したパルプ
の方が効率よく粘着物質を除去することができまし
た。これは,スクリーンのスリット幅が細くなるの
に伴い,パルプの洗浄に時間がかかってしまうが,
長時間洗浄することにより,スリット幅より大きな,
粘弾性の大きい IR,NR がスリットをすり抜けてし
まうためであると考えられます。
0.2
験
方
法
古紙パルプに含まれる粘着物質の抽出・定量は,
溶媒としてベンゼン−エタノールの混合溶媒(混合
比2:1)を使用し,ソックスレー抽出器を用いて6
時間抽出した後,重量法により定量を行いました。
抽出した粘着物質の同定にはフーリエ変換赤外分光
光度計および核磁気共鳴分光装置を用いました。ま
た,パルプの洗浄には標準フラットスクリーンを用
いました。
0.16
異物含有率 / %
実
0.12
0.08
0.04
0
古紙原料
12カット
8カット
12+12カット 12+8カット
スリット幅
スクリーン工程と異物含有率の関係
ま
結
18カット
と
め
果
この結果により,スリットの幅を狭めずに,工程
分析の結果,粘着性のある異物は,エチレンー酢
を増加するという洗浄方法を取り入れることで,粘
酸ビニル共重合体(EVA ),イソプレンゴム(IR),
着物を効率よく除去し,良質の古紙パルプを製造す
天然ゴム(NR)などであることが分かりました。ま
ることが可能となります。
た,スクリーン残査中の粘着物質を同定したところ,
EVA の含有率が高いことがわかりました。これは,
−職 員 紹 介−
EVA はホットメルト粘着剤であり,常温で変形し
やすいゴム系粘着物質である IR,NR に比べ,常温
おおはし しゅんぺい
では変形しにくく,スクリーンで効率よく除去する
技術支援室 主任研究員
ことができるためであると考えられます。
【専門分野】
製 紙
粘着物質を含む古紙パルプのフラットスクリーン
による効果的な洗浄方法について検討するため,ス
【趣
味】
クリーンのスリット幅および洗浄回数を変えて古紙
映画鑑賞・テニス
【出
身】
パルプの洗浄を行い,粘着物質の除去効率を測定し
ました。スクリーンのスリット幅が細くなるのに伴
越智郡
Q & A
工業技術センター
Q
A
る案が公表されており、早ければ、2002年秋には関
連法が施行され、I P 電話と一般加入電話との間で
相互に発着信できるようになります。
(機械電子室
最近、話題になっている「IP 電話」とは
どのようなものか教えてください。
一 般
昔からある電話のしくみは、自宅の電話機や
会社にある PBX と電話局の電話交換機間を電話線
で結び、電話をかけると交換機が音声を次々と中継
して相手に伝えるものですが、I P 電話は、このし
くみをインターネットや社内 LAN などの I P(Inter
-net Protocol )ネットワークで実現するもので、こ
の中で特にインターネットを利用したものをインタ
ーネット電話と呼びます。
I P 電話が脚光を浴びる理由は、
(1) 高価な電話交換機の代わりに割安なルーターを
使えるため(ルーターで IP ネットを構築してい
れば電話専用設備が不要)、特に国際電話や長距
離電話が格安で利用できる。
(2) パソコンや携帯情報端末など TCP/IP が使える
様々なネットワーク機器を電話機として利用でき
る。
(3) パソコン等から I P 電話を使う事で、Web アク
セスと I P 電話を連動させるといったしくみが簡
単に実現できる。
というように、電話がもっと安く便利になるという
大きな可能性があるからです。
こう見ると、"I P 電話= Web アクセス" と考えら
れそうですが、そう単純ではありません。と言うの
も、IP ネットワークは「ベストエフォート型」の
ネットワークであり、空いていればスムーズにデー
タが送れますが、混雑すると少しずつしかデータを
送れないものだからです。この点が、専用の通信回
線を使って確実に相手まで声を届けられる電話のネ
ットワークとは大きく違います。
つまり、IP 電話を実現するには、音声を符号化
して I P パケットに詰め込み、音質劣化の要因とな
る IP ネットワーク特有の遅延やゆらぎ、パケット
ロスを抑えて相手に届け、同時に相手を呼び出し通
話を管理すること(呼制御)が必要不可欠で、それ
らの技術を総称して「VoIP 」と言います。
現在、I P 電話から一般の加入電話に電話をかけ
られるサービスは一部で始まっていますが、加入電
話から I P 電話にかけるには公式に認められた電話
番号が必要です。既に総務省により、IP 電話の番
号は「050 -」から始まる11桁の番号が割り当てられ
西尾 俊文)
繊維産業試験場
Q
最近、タオルマフラーというタオル製品
があるようですが、どのようなものですか。
一 般
A
タオルマフラーは、マフラータオルと呼ばれ
たりするなど、名称について明確な規定はないよう
です。最近、業界で話題に上っているタオルマフラ
ーといえば、今治のあるメーカーが開発した「コッ
トンマフラー」と、その後他メーカーが開発した類
似製品群のことを指し、通称としてこの名称が使用
されているようです。
さて、この製品は、かつての「朝シャンタオル」
以来のヒット商品といわれ、タオル業界の脱ギフト
志向から生まれました。ウォーキングなどの軽めの
スポーツやレジャー用タオル及び保温用のマフラー
として使用されています。今までのウール製品など
のマフラーとは異なり、吸湿性があり、洗濯が容易
であることから、消費者のニーズに応えた商品とし
て市場に受け入れられています。 形状等について、
明確な規定はないようですが、共通した傾向はあり
ますので、この傾向について述べたいと思います。
最大の特徴は、タオル織機で織っているにもかかわ
らず、パイルの形成がほとんど無いことです。また、
織り密度が粗いため、軽量でかつ通気性が良いこと。
さらに、2種類のテンションを持つ綿糸と織り組織
を工夫することで、適度な保温性と吸湿性を有して
いることです。この製品は、消費者の巻き方が多様
であり、ファッション性が問われるため幅22㎝∼34
㎝、長さ120㎝∼180㎝と幅は狭く長さは長めに移行
しつつあります。素材は綿糸が主体です。
今までにない分野の商品として需要の拡大と定着
が期待されています。
(技術支援室
石丸 祥司)
お
知
ら
せ
【10月∼12月】
◎ 中 小 企 業 技 術 者 研 修 (新技術)
工 業 技 術 セ ン ター (℡ 089-976-7612)
食品加工室
「発 酵 食 品 課 程」
・ 実 施 日: 11月予定 (2日間)
・ 場
所: 未 定
・ 募集人員: 20 名
機械電子室
「計測制御技術課程」
・ 実 施 日: 12月予定 (2日間)
・ 場
所: 未 定
・ 募集人員: 20 名
9時間
9時間
化学環境室
「排水処理の基本と新技術課程」
・ 実 施 日: 11月予定 (2日間)
9時間
・ 場
所: 未 定
・ 募集人員: 20 名
繊 維 産 業 試 験 場 (℡ 0898-48-0021)
「繊 維 課 程 」
・ 実 施 日: 11月予定 (3日間)
9時間
・ 場
所: 繊維産業試験場 (今治市)
・ 募集人員: 20 名
窯 業 試 験 場 (℡ 089-962-2076)
「陶磁器デザイン課程」
・ 実 施 日: 11月又は12月 (3日間)
9時間
・ 場
所: 窯業試験場・砥部町陶芸創作館 (伊予郡砥部町)
・ 募集人員: 20 名
※ 詳 し く は 、 各 試 験 場 に お 問 い 合 わ せ く だ さ い。
◎ 研 究 成 果 普 及 講 習 会 (H.13年度の研究成果の展示及び解説)
窯 業 試 験 場 (℡ 089-962-2076)
・ 実 施 日: 11月2∼3日 9:00∼16:00
・ 場
所: 窯業試験場
・ 参 加 費: 無 料
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