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全体会 パネルディスカッション 女性スポーツの振興について考える
全体会 パネルディスカッション 女性スポーツの振興について考える <間野> ジュースの理事をしております早稲田大学の間野と申します。コーディネーターを務めさ せていただきます。よろしくお։いします。 最初にパネリストの皆さんをご紹介したいと思います。まずは、財団法人日本サッカー 協会女子委員会の綾美知枝さんです。綾さんはサッカーの普及に取り組み、1994 年に はエイボン女性スポーツऩ、1998 年に朝日スポーツऩを受ऩされています。 次は、女性スポーツ財団日本支の三ッૌ洋子さんです。三ッૌさんは我々NPO 法人ジ ュースの۳問もしてくださっていますけども、新聞社の社会、運動を経てフリージャ ーナリストとしてご活された後、女性スポーツ財団の日本支を立ち上げられました。 現在は、日本プロサッカーリーグの理事もなさっています。最後は NPO 法人ジュースの 小笠原悦子さんです。現在はアジア女性スポーツワーキンググループの議ସを務めていら っしゃいまして、「2006 世界女性スポーツ会議くまもと」を開催するための国際女性スポ ーツワーキンググループ(IWG)の共同議ସを勤められています。今日はこのお三方にそ れぞれのこれまでの取り組みやӀ題、今後の方向性について存分に意見交換をしていただ ければと思っております。 今日のパネルディスカッションの進め方ですが、ポイントを 3 つに絞って話を進めてい きたいと思います。先ほどの調査結果からもかなりӀ題が山積されているであろうという ことが推測されました。これらのӀ題の背景にあるものとして 1 つは「メディアの問題」 について話をしたいと思います。女性選手のメダル獲得数の方が多いのに、なぜ女性のス ポーツ実施率が依然として男性よりも 10%低いのかということです。これはやはり社会へ 伝える媒体、つまりメディアに何かしらӀ題があるのではないかということが考えられま す。2 つ目は「意思決定」への参加です。団体の中で、女性スポーツの環境を改善するた めにはまだまだ女性理事が少ない、理事が増えればいいのかというとそれだけではないと いうことです。3 つ目がそういった問題を各団体が個別にそれぞれがӕ決していけばいい のかというとそうではなく、むしろ同じような問題をかかえている団体があるのではない か、すなわち各団体の「ネットワーク」についての必要性を考えていきます。以上の 3 つ について話をしたいと思っています。「メディア」「意思決定」「ネットワーク」、それぞれ 順にしたがってパネラーから報告してもらおうと思います。 それでは、まず、メディアの話に入る前に、女性競技者の人口が今現在どうなっている のかについて、三ッૌさんの方から報告をお։いします。 <三ッૌ> こんにちは。今日はଵ満員で、女性スポーツにこれだけの方が関心を持ってくださるこ とに感激しております。先ほどご紹介いただきましたように私が代表をしているのは「女 性スポーツ財団日本支(通称 WSF ジャパン)」とۗいますが、1981 年にスタートし細々 と続けております。 あの当時と比べますと本当に隔世の感があります。先ほど調査の報告がありましたけど も、私どもでも 10 年以上前に各競技団体の事務局に「女性の役員は何人いますか?」と 聞いたことあるんですけども「何でそんなことを聞くんだÁ」と叱られてしまいまして、 その調査は頓挫いたしました。 そういう経験があるものですから世の中変わったなぁというふうに思っております。し かし、まだまだ女性としては納得できないところもありますので、それがいったいどんな ことなのか、数字を押さえながら考えていきたいと思います。 スポーツ実施率ですが、笹川スポーツ財団(SSF)が定期的に調査をしております。そ のデータを見ますと、やはりどこの国も男性のほうが女性よりもスポーツを実施している パーセンテージがݗくなっています。そのデータの中で、いくつか簡単にポイントだけご 紹介したいと思います。 年代別で見ますと、೪常に面白いことが 1 つわかりました。カナダ、オーストラリア、 日本と並べた経年変化のデータがあるのですが、それらの国と比べますと、2002 年では、 日本のスポーツアクティブ参加率は 40 50 代は女性の圧勝という数字が出ているので驚 きました。その逆転がいつごろから始まっているのかといいますと 1994 年からです。 45 64 歳というカテゴリーで男性が 5.6%、女性が 6.8%でした。2 年後の 1996 年もや はり同じ年代で男性が 8.2%、女性が 8.4%、1998 年になりますと新たにその下の世代の 25 44 歳のグループでも女性が逆転し、男性 11.4%、女性 12.4%で 1 ポイント女性が上 回っております。さらにこの 1998 年は 45 64 歳のグループは男性が 12.6%に対して女 性が 15.4%となり、2.8 ポイントも多いということです。 2000 年のスポーツライフデータによりますと年代の区切りが違っているのですが 40 代 の場合、男性が 8.2%、女性が 13.9%で 5.7 ポイントの差があります。さらに 50 代は男性 が 8.6%、女性が 16.1%、この世代は女性が男性の倍ぐらい元気よくスポーツに関わって いるという結果が出ました。少し話はそれますが、最、ؼ私どもの会社で、ゴルフ関連の 調査をやっております。ゴルフスクールでは中年の女性が 90 パーセント以上を占めると いうことをチラッと聞きましたので、今の数字は納得できるかなぁと思います。ゴルフの 場合は圧倒的に女性が関心を持っているという分もあるようですが、全体的にみても、 女性がかなりスポーツをする傾向があるようです。 若い世代も見てみました。笹川スポーツ財団の調査でো少年のスポーツライフデータと いうのがあります。私が関心を持ちましたのは、実施しているスポーツ種目上位 10 種目 をずらっと並べて比Ԕしたものです。この中に男の子が好きなスポーツ、女の子が好きな スポーツというのが色分けされています。これはさまざまな背景、歴史、社会のあり方な どいろいろな条件でこういうことになっていると思います。 男の子の場合、過去 1 年間によく行ったスポーツは①サッカー ②野球 ③バスケット ボール ④筋力トレーニング ⑤水泳 ⑥ジョギング ⑦卓球 ⑧ボウリング ⑨バレー ボール ⑩バドミントンといった順番です。女の子は①バドミントン ②バレーボール ③バスケットボール ④ウォーキング ⑤水泳 ⑥縄ଶび ⑦ジョギング、⑧ソフトテニ ス、⑨ボウリングと筋力トレーニングとなっています。ベスト 10 の中で男の子が選んで 女の子が選ばなかったものはサッカー、野球、卓球です。逆に女の子が選んで男の子が選 ばなかったのがウォーキング、縄ଶび、ソフトテニスです。 さらに一般の成人の方々が、過去 1 年間に楽しんだスポーツのランキングもでています。 これは年に 1 回以上行ったということで、1 回だけでもカウントしてありますから、先ほ どのアクティブスポーツというレベルとはちょっと違いますが、男性は①散歩 ②ボウリ ング ③ゴルフ(コース)④ୟり ⑤ウォーキング ⑥ゴルフ(練習場)、⑦体操 ⑧キ ャッチボール ⑨筋力トレーニング ⑩水泳、⑪スキーという順番になっています。女性 は①散歩 ②体操 ③ウォーキング ④ボウリング ⑤水泳 ⑥バドミントン ⑦海水浴 ⑧ハイキング ⑨筋力トレーニング ⑩サイクリング ⑪縄ଶびとなっています。 こうして見てみますと、成人の場合にۗえることは、女性はあまりお金のかからないス ポーツをしているということです。ゴルフとなりますと、コースに出るのはもちろん、練 習場にもお金がかかりますし、ୟりやスキーも結構お金がかかります。女性は手ؼでお金 のかからない೪常にࡐ実剛健な結果が出ておりまして、なるほどと思いました。 簡単ではありますが、現在の日本のスポーツの状況、関わっている種目というのが大体 把握していただけたかと思います。この中でもう 1 つ、最ؼよくマスコミには、男性のス ポーツと思われていたものに、女性がずいぶん進出するようになりました。例えば、ボク シングは初のアマチュアボクシング大会が 2 年前に開催されました。それから今は野球の リトルリーグに参加する女の子が 200 人くらいいるそうですし、サッカーも女の子たちが ずいぶんやるようになったと思います。 こういった調査のランキングや数字には、なかなか出てこないのですが、いろいろな地 域、場面で、女の子たちが「私たちだってスポーツがやりたいÁ」ということでチャレン ジしている動きも見えるのではないかと思います。 <間野> ありがとうございました。全国調査の統ڐでは、女性のスポーツ実施率が男性より 10% ほど低いという話がありましたけども、分、分で見ていくと今までのスポーツ構造か ら変わりつつある、すなわち構造改革が少しずつ進みつつあるということが実感として出 てきているというお話でした。構造改革というお話をしましたけども、その最先端を行っ ているといわれている女子サッカーの現状はどうでしょうか? <綾> 日本サッカー協会の綾でございます。どうぞよろしくお։いします。男子のサッカー は先端を行っているといっても決して間違いではないですが、女子のスポーツから考えた ときに、はたして女子サッカーが先端をいっているかどうかということは、今日私がここ で発ۗさせていただくなかで、ぜひ皆さんにご判断いただければと思っています。 まず日本の女子サッカーをどこまで皆さんに知っていただいているかというと、これま でなかなか認知されてきませんでしたし、いまだに「女の子がサッカーなんてやるの?」 ということを地方によってはいわれております。選手数は、今現在、日本サッカー協会登 人数 80 万人のうち女子は 2 万人、これは全体の 2.5%でございます。意思決定者は理事 会 27 名のうち 1 名が女性ということで、私がその仕事をやらせていただいております。 女子サッカーの登数を年齢別に見ますと、このグラフは右にいくに従って年齢がݗく なっております。1 6 歳までは幼児期でございますので登制はとっておりません。実は、 山のૌ間になっておりますのは中学生年代です。ݗ校年代は伸びて、最ݗ年齢は 70 歳く らいの方までやっているというのが現状ですが、これは日本サッカー協会がそれぞれのカ テゴリーの大会をやっている結果ではないかと思っております。まず小学生(U-12)の大 会、そして、中学生(U-15)大会。中学生大会は、小学生の 5z6 年生も加入が出来ます。 また、ݗ等学校単位で女子サッカーを作ってくれたということで、さらにこのグラフ通 り、登者数が増えています。ݗ等学校大会とݗ等学校単位の女子選手ではない 18 歳以 下の選手たちの活の場として、この年代に関しましては、日本サッカー協会の主催で 2 つの大会を開催しております。1 つは U-18 の大会、もう 1 つはݗ等学校大会です。18 22 歳くらいは大学、もしくはLリーグのカテゴリーに入っている大会、そしてそのチャンピ オンを決めるのが男子は天皇杯、女子は全日本選手権ということになります。一番元気な 年代を終えて、これでサッカーは終わりということではなく、今、私たちが取り組んでい るのは、ママさん年代の開発です。ママさん年代、すなわち生涯スポーツということです。 要するに、元気な女性が元気な家庭を作り、元気な社会を作る、女性が元気でなかったら 社会は元気にならないということですね。お父さんは、リストラで大変な思いをしていま す。働く女性も増えてきましたが、職場の中で女性が明るければ、ちょっとつまらないこ とがあっても職場の華になって、思いやりのある心を十分に発揮するものだと思います。 スポーツは単なるスポーツを楽しむだけでなく、社会における明るさというものを提供す ることができると思っております。 ݗ校年代をさらに分析したユース人口の変化と登数のグラフをご覧に入れたいと思い ます。これは今のݗ校生年代の人口を棒グラフにしたものです。折れ線グラフが日本サッ カー協会の登数です。三Ԓは男子、下の 印になっているものは女子の登を表してい ます。女子の登がいかに低いかということがおわかりいただけると思いますが、実はこ れから先、男性の流れを見ていただきますとわかると思いますが、登は頭打ちになって いくだろうと思います。ということで、女性の登者数、競技人口を増やすことがこれか らの我々の仕事でありますし、「日本サッカー協会の将来は女性にかかっている」と川淵 キャプテンもはっきりと申し上げました。 今、女子サッカーのトップ、王国はアメリカでございます。アメリカは 1600 万人の登 人口のなかで 800 万人が女性ということで全体の約 50%を占めております。こうした登 数の背景に、トレーニングセンター制度がしっかりしているとか、女性のスポーツとし てアメリカでは認知さる男女平等国であるということを感じておりますが、やはりアメリ カの成功の影には、女子がプロリーグとしてスタートしたことにあると思います。ここで アメリカの例を見習って女子のスポーツに提案できることは「タイトルⅨ」というアメリ カのスポーツにおける平等化の法律です。例えば学校の男女比が 6:4 であったならば、 すべてその比率に合った予算や機会を与えるといったものです。男子の運動が 10 ある のに女子が 5 つしかない場合でも、権利としては、女子が 8 つの運動を作ることができ るということです。このようにして学校に女子の活が増えていき、まさに女子サッカー はその 1 つになったということです。アメリカの学校で活を作るということは、専任の コーチを雇うということと奨学金入学生をとれるということを意味しているそうです。こ の法律に違反していると訴えられ、判決が出たら活を作らなければならなりません。本 当にすばらしい法律だと思っております。 第3回女子ワールドカップサッカーは、アメリカで開催されました。女子スポーツの画 期的なイベントで、全観客は 65 万人、全世界でテレビを見た人が 10 億人、入場料収入 230 万ドル(約 24 億円)でした。このとき、FIFA は「ロサンゼルス宣ۗ」を出しました。こ れは女子サッカーの普及・振興を FIFA が率先して行っていくということを示した宣ۗで す。FIFA 加盟国 203 カ国の協会が女子サッカーの今後の発展のためにこのようなことを 努力すると宣ۗしました。要するに、女子サッカー発展の活動のために、プログラム、資 金援助を増やし、今後 4 年間で女子の登選手を最低でも全体の 10%までに増やすという ことです。日本は全登数の 2.5%ですので頑張らないといけませんが、80 万人という今 の日本の登数に 10%をかけますと 8 万人ということになります。現在 2 万人ですからこ れから 6 万人増やさなければならないということで進めているところです。 <間野> ありがとうございました。女子サッカーはアメリカが大国であるという話がありました。 これはサッカーの魅力であるとか、芝生がたくさんあるとかそういったこともあると思い ますが、たぶんそれ以上に、メディアの影が大きいのではないかと思うんですね。実際 に、世界で 10 億人が女子のワールドカップを見て、24 億円の入場料収入があったという のは、アメリカのメディアにおいて女子サッカーの取り上げ方に何か違いがあるのではな いかと思います。次の話題ですが、メディアについて皆さんと一緒に考えていきたいと思 います。日本における女性スポーツのメディアの問題点について実際にそのメディアの立 場にいらした三ッૌさんの方からお話いただけますでしょうか。 <三ッૌ> 私は大学を出てサンケイスポーツに入社し、運動に配属されてスポーツ記者となりま した。サンケイスポーツ運動の女性記者第 1 号でした。その当時、大と東京の女性記 者が何人いたか数えますと産経新聞に1人、毎日新聞にスポーツ担当の女性が1人、報知 新聞に1人いたかと思いますが、日本全国に 5 人くらいしかいないということでしたので 大変少ない数字でありました。 「女性スポーツ白書」という本がでているのですが、その中で興味深い調査結果があり ましたのでご紹介したいと思います。先ほど申しました新聞社の運動女性記者の割合に ついて調査したものです。この調査では一般紙とスポーツ紙合わせて 17 紙の大と東京 の記者の数が出ています。男性が 980 人、女性が 53 人。だいたい女性が 5%ということ になるのでしょうか、まだまだ少ないですね。 しかし、30 年前はたった 4 5 人ですから、10 倍くらいに増えたということになると思 います。その他にもスポーツ新聞における女性の記事がどれくらい取り上げられているの かという調査結果も出ていました。紙面での女性の扱いのスペースを比Ԕした調査です。 2000 年の 7 月 21 日、スポーツ新聞 5 紙の記事の面積を比Ԕした結果、女性の記事という のは男性のそれと比べて 6 分の1しかなかったそうです。 スポーツ新聞といっても、スポーツのことばかり書いてあるわけではありません。ギャ ンブルや芸能、最ؼは社会面もあります。すべての記事の中の女性スポーツ関連の記事と いうのは、たったの 10 分の 1 しかなかったということです。純粋に女性スポーツが取り 上げられているパーセンテージは大変少ないということです。もちろんこれは日によって 違いますし、ݗ橋尚子さんが活したり、田村亮子さんが結婚したりということになりま すとスペースは大きくなりますけども、一般的にトピックのない場合には、かなり女性の 記事というのはスポーツに限ると少ない割合になっています。 なぜこんなに少ないのかということは、いろいろな理由があると思いますが、1 つは記 事の切り口というのがあると思います。女性記者ならではというۗい方はあまり好きでは ないのですが、男性記者には気がつかない分が当然あるわけですね。ですから、男性記 者が気付かない分で一般の読者にも喜んでもらえることが女性記者には書けるのではな いかと思いますが、残念ながら日本では、全体に比べて女性記者の割合が大変低くなって います。 外国との比Ԕのデータがありましたのでご紹介します。1993 年に外国ではどのくらいの ジャーナリストが活しているのかというパーセンテージが出ています。アメリカ、イギ リス、デンマーク、マレーシア、日本の 5 カ国を比Ԕしたものです。アメリカの新聞社に は女性が 37%、放送局には 40%。イギリスは新聞社が 25%、放送局は 40%、デンマーク は新聞社が 29%で、放送局が 43%、マレーシアの新聞社は 26%、放送局が 28%、日本は 新聞社が 7%、放送局が 9%ということです。 悲惨な数字ではありますが、これでも以前よりはよくなったと思っています。それから 先ほどۗいましたように、女性のトップの選手が活しますと取り上げられる比率が大変 ݗくなり、良いことではあるのですが、その取り上げ方というのもやはり女性から見ます とこうした切り口でいいのだろうかと思うことが多々あります。 具体的にたくさんの例を挙げる時間がないのですが、最ؼ話題になっておりますゴルフ の宮里藍さんは、大変チャーミングなݗ校生のゴルファーです。やはりかわいらしい女性 の選手が出てくるとマスコミが殺到するという構図になっています。特にそうした切り口 が悪いというわけではないのですが、そればかりというのもどうなのかなぁという気がい たします。 また、ゴルフでは男性のツアーに女性が参加するという話題がいくつかありました。去 年はスウェーデンのアニカ・ソレンスタム選手が男子のツアーに混じってプレーしました。 これは主催者側の意向で彼女に声がかかって参加したそうです。なぜ主催者側が声をかけ たかといいますと、これは話題性だと思います。58 年ぶりに女子の選手が男子の大会に参 加したという、大変マスコミ的には面白い話題であったということです。 結果としては予選で負けてしまいましたけども、テレビ中継は過去最ݗの視聴率を稼い だということで、主催者の意図するところは成功に終わったということです。ということ でマスコミに取り上げられる女性スポーツというのは、いろいろな思惑で取り上げられて いるという現状をご紹介しました。 <間野> ありがとうございます。取り上げられることは悪いことではないと思いますが、取り上 げられ方、ࡐの問題が問われてきているんだと思います。サッカー界はどうでしょうか? <綾> やはりメディアとの関わりというのは、選手にとっても、また見ていただくという事に おいても೪常に大きなӀ題であると思います。先ほど、アメリカのワールドカップの例を お話して大成功だったと申し上げましたが、これはメディアの力ということが成功の大き な要因だったと思います。アメリカでは、あちらこちらにマイケルジョーダンやタイガー ウッズなどの有名選手のナイキのポスターが貼られています。そういうポスターの中に、 ただ 1 人女性のポスターがありますが、これがアメリカの女子サッカー代表選手のミア・ ハムという選手です。先に挙げた 2 人と並んでポスターが貼られているんです。ミア・ハ ムさんはとっても素敵な女性で、なおかつ結婚しています。普通、結婚している女性には 男性は目もくれないんですけども、彼女は೪常に人気がありまして、お父さんが自分の娘 を連れてサッカーのࠟ合を見に行くんです。お母さんが女子サッカーのࠟ合に連れて行く のではなく、アメリカでは女の子が生まれたら、お父さんが娘と手をつないで女子サッカ ーのࠟ合を見に行くことがステータスなんだそうです。ですから、そういう意味でタレン トをしっかりと作ったというところも大きな成功につながったのだと思います。女子サッ カーの会場では、女の子がみんなポニーテールなんですよ。なぜかというとミア・ハムが ポニーテールだからです。みんなミア・ハムに憧れているのですね。さらにアメリカ代表 選手全員といっていいくらいみんなポニーテールなんです。ですから、こういうことも 1 つの手だなと思いました。実は、つい最、ؼFIFA のブラッター会ସがとんでもない発ۗを してしまいました。悪気があったのではないのでしょうけども「もっと女子に注目しても らうには、ユニフォームをタイトにしてはどうだろう」とۗったんです。そうしましたら、 すごく大きな反がありました。悪い反ではありましたけども、ニュース性としてはか なりݗかったのではないかなと思います。私はৌ岡県の清水市出身なんですが、ワールド カップを招致したときに芝生が枯らされてしまったんです。そうしましたら、それまでロ シアチームが清水市に来るなんていうことは小さなニュースだったんですけども、あっと いう間にニュースが日本中だけでなくロシア全土に広がって、ロシアでは「やはり日本人 はロシアを嫌っている」というまでのニュースになったそうです。そういうような悪いニ ュースも、清水市を宣伝するには悪くなかったかなと思います。カメルーンがૺれてきた から某村はかなり有名になったということもありましたしね。それ以外にも、国体の中に サッカーを種目として入れていただいたことによって、地方紙はؚ土の選手を紙面に載せ てくださったので、小さな地方での大きな結果になったということがあると思います。 しかし、やはりなんといっても、日本ではワールドカップよりもオリンピックです。2002 ワールドカップが日本にやってきて、やっと皆さんにワールドカップがどんなものかとい うことをわかっていただけたと思いますが、やはり日本におけるオリンピックの価値とい うものはそれ以上のものがあるわけです。特に女子の場合にはオリンピックに出なければ、 なかなかメディアには載らないのではないかというということで、アテネオリンピックの 切符を目指して女子サッカーは頑張っているところです。また JFA(日本サッカー協会) ニュースというものを月に 1 回、各ற道府県および 80 万人の登選手に送っているわけ ですが、その中の数ページを女子のための情報を載せさせていただくという形をとってお ります。また、幸いにもサッカー協会は、川淵キャプテンそのものがある面では広報マン でありますので、キャプテンが動くと必ずメディアが動きます。ということは、キャプテ ンが女子の大会に来てくれればメディアが必ず来てくれます。一昨年に広島でママさんサ ッカー大会を行った際に「本当にキャプテンが女子サッカーに力を入れるというのであれ ば、ママさん大会も見に来てください」とキャプテンにۗいましたら、本当に来てくれた んです。そうしましたら広島の地方紙だけでなく、キャプテンが東京から全国版のいろい ろなメディアの方を連れてきてくださいまして、なんと女子サッカー史上最多 24 社の中 央紙が集まりました。そういう意味でこれからは女子にも関心を持っていただくようにと お։いしているわけです。 去年の女子のワールドカップは、もともと中国で開催するはずだったのですが SARS の 関係でアメリカに移ってしまいました。その時に日本はアジア予選で残念ながら 2 位枠の 中に入らなかったのでプレーオフを戦いました。要するに、アジアの 3 位と南米のチーム がࠟ合をやって、勝ったチームがワールドカップに出場できるというものでした。アジア で行っていた予選については、おそらく日本では、女子サッカー関係者以外は誰も知らな かったのではないかなと思うのですが、プレーオフに進出したことによって国立競技場に たくさんの方が応援に来てくれましたし、NHK が放送してくれました。しかも、劇的な勝 利によって出場権を得ることができましたので、そのときは本当にたくさんのメディアに 取り上げていただいたと思います。その後はちょっと影が薄くなっていますが、また 4 月 のアテネオリンピック予選までには、なんとかまた波に乗せていただいて、選手を元気づ けると同時に、中学生年代に夢を与えられればと思います。 <間野> ありがとうございます。4 月のアジア予選、ぜひ注目して見てみたいと思います。アジ アの中で予選をやるわけですが、アジアというと日本はすぐ東南アジアや東アジアを思い 浮かべますが、アジアというのは西アジアも含めてイスラムの国々もあるわけです。世界 の中でアジアは、女性のスポーツというのはどちらかというとૺれているわけですね。そ の中でメディアとどういう関係を持って女性のスポーツをより発展させていくのかという ことが、先月の 12 月に開かれました第 2 回アジア女性スポーツ会議の中で話し合われた と聞いています。これについて小笠原さんの方から報告していただけますでしょうか。 <小笠原> アジア女性スポーツ会議を 2 年に 1 度開催しようということが、2001 年に大で行な われた「第 1 回アジア女性スポーツ会議」において決まりまして、それ以来の会議となり ました。私たちが大で開催したときには、14 の国と地域の方たちの参加だったのですが、 今回は、44 あるアジアの国のうち 38 ヶ国、割合としては 86%の国が参加したことになり ました。2003 年 12 月 18 日から 20 日まで、カタールドーハでの開催でしたが、日本から は JOC のスタッフの永島さんが参加され、私は主催者側として参加してきました。今回 は、アジアにおける女性とスポーツの出来上がったネットワークをさらに強化しようとい うことが目的でした。3 つのテーマとしてあげました。1 つ目は、アジア大会がカタール のドーハ(2006 年)で開かれますので、この地域における「女性の参加の問題」について。 2 つ目は、今もトピックにあがっております「女性スポーツに関するメディアの意ࡀݗ揚」 について。3 つ目は、イスラム圏の問題がこのアジア大会のトピックの中心でありますの で、「女性のスポーツと社会」ということについて話し合いをしました。形態としては、1 日目は、先ほど小粥 JOC 副会ସからもお話がありましたように「第 1 回アジアオリンピ ック評議会(OCA)女性スポーツ委員会」を、この第 2 回アジア女性スポーツ会議の連結 会議として開きました。2 日目は開会式、全体会、そして先ほどの 3 つのテーマを 4 つに 分けてワークショップを行いました。それから、アジアの女性スポーツワーキンググルー プのメンバーを選ぶという選挙を行いました。そして 3 日目にワークショップで話し合っ た内容を発表し、最終的に会議の決議文に結びつけるためのディスカッションを行い、閉 会式となりました。今からそのイメージをお伝えするためにスライドで写真をお見せしま す。 1日目にプレス発表を行いました。特に地元の女性記者がたくさんいらっしゃいました。 OCA 女性スポーツ委員会第1回目の会議で、OCA が女性スポーツに関して、かなり積極 的なプロモーションを展開するということを発表しました。その後、全体会が開かれたの ですけども、アフガニスタンからも 2 名が参加しておりました。地元の選手たちもこの会 議にはオブザーバーとして参加しておりました。OCA のメンバーとともに次のアジア大会、 2006 年の組織委員会の方もワークショップに参加されまして、ボランティアを含む女性の 存在がいかに大事かということを強調しておられました。この 8 名が新しく選ばれたアジ ア女性スポーツワーキンググループ(AWG)のメンバーです。最後はアジアのリーダーた ちです。38 カ国が参加したということでした。 女の人たちはスポーツやっていないんじゃないかということをۗわれておりますが、と んでもなく、この会議以外に参加者たちが訪れた施০で、かわいい子たちが男の子と一緒 に体操のトレーニングしておりました。今回は女性にしかその様子を見せてくれなかった のですが、普段は男性と女性がこんなൌに一緒に練習しているということです。皆さんが 思っている以上に、೪常に活発に練習をしていますし、アジア大会に向けて着々とトレー ニングは進んでいるようです。 皆さんにご紹介したいのですが、我々ジュースの職員にヤシーン・カバージという者が おり、世界女性スポーツ会議を開催する主体となっている国際女性スポーツワーキンググ ループ(IWG;International Working Group on Women and Sport)の事務局ସをやってお ります。今回、私がアジア女性スポーツワーキンググループ(AWG)の議ସに選ばれたと いうこともありまして、ヤシーンが引き続き事務局をやらせていただくことになります。 彼は 5 ヶ国(܃英、܃フランス、܃スペイン、܃日本、܃モロッコ出身ですのでアラビア )܃を話すことが出来ます。 では、第 2 回アジア女性スポーツ会議のときに、メディアに関連したどのような決議が なされたのかということをご紹介したいと思います。実際はワークショップの 3 というと ころで話し合われました。話題としてはスポーツ界に女性のジャーナリストが不ੰしてい るということ、それからスポーツ記事のࡐと量において女性があまりにも注目を浴びてい ないという 2 点です。会議の決議文に最終的に以下が盛り込まれました。 <各国の政府とスポーツ当局に促すこと> ・ 男性と女性にとってスポーツは人間の自然な権利であり、文化の一であり、女性の 健康とその家族の健康に有益であることに気づかせる啓発プログラムを立ち上げる ・ メディアと連携し、女性と少女にとってのスポーツと身体活動の重要性(身体的、心 理的、社会的な意味で)に対する意ࡀをݗめる役割を担わせる ・ メディア界において女性、特に元運動選手やコーチが働くことを奨励し、スポーツメ ディアにおける優れた女性報道に必要な研修を行う 一番重要なことは、今現在、どういうことが֬こっているのかという情報をメディアに 流さなければいけないということがワークショップの中でも話し合われました。情報がな ければ書けませんし、記者が少なければ少ないほど当然ながらその情報を得る窓口も少な いわけで、そういう意味では積極的に記者会見、あるいはプレスリリースという形でスポ ーツ組織側が情報を提供することが重要だということです。ですから、普段から女性スポ ーツに関わっている人たちが、女性の記者とコミュニケーションを取り合って、いろいろ な情報をお互いに共有するということが೪常に重要であると思います。女性の記者だけで なく、男性の記者でも関心のある人にはどんどん情報を提供していくことが重要であると 思います。今回の第 2 回アジア女性スポーツ会議でも、このような決議文がきちっと入り ましたので、それぞれの政府あるいはスポーツ当局に「こんなことをやってほしい」とか 「こんなふうにやっています」ということで進めていくことが大事であると思います。 <間野> ありがとうございます。今の話はメディアの中の話でしたが、最終的にはメディアの中 にもデスクがいて、デスクが何を取り上げるかということを決定するわけです。スポーツ 組織のほうもメディアに何を流すのかというところでは、ただ流したいから流すのではな いですね。組織としての決定というところがやはり関わってくるわけです。ということで 続いて次の話題ですけども、意思決定、この場面に女性がどれだけ関わっているのかとい うことについて、まずはサッカー協会の現状について綾さんのほうからお話いただけま すでしょうか。 <綾> 日本サッカー協会では、毎月行われます日本サッカー協会の理事会で最終的な意思決定 がなされます。そのメンバーは先ほどお話させていただきました 27 名中 1 名の女性とい うことでしたけども、女子担当に関わる理事は全で 3 名おりますので、ほぼ 1 割の理事 が女子に関わる意思決定権を持っているということになります。そしてその理事会の下に 女子委員会という機構がありまして、そこには 17 人中 3 名の女性がおりますけども、強 化、技術、普及、大会というような๖で話し合いがされております。そして 47 ற道府 県のサッカー協会にそれぞれ女子委員ସというものを作っていただきまして、各ற道府県 におきましてはその女子委員ସを中心にして決定されています。そして、今回初めて、ݗ 等学校の選手の普及をしたいということで、全国 9 地域のݗ校生担当者を選んでいただき、 会議を開かせていただきました。ちなみに、今日パワーポイントの操作をしてくれている 者は、日本サッカー協会女子委員会のメンバーである小林美由紀でございます。 <間野> ありがとうございました。今、メディアの話から意思決定の話に移ってきたわけですけ ども、三ッૌさんはメディアの立場としても、あるいは WSF ジャパンをいち早く立ち上 げて女性スポーツの流れを作られたという点から、これまでの日本における意思決定と女 性の関係について少しお話いただけますでしょうか。 <三ッૌ> WSF ジャパンを作った時はフリーのスポーツライターをしておりまして、何でこんなこ とを私がやらなければいけないのかなと最初は思っていました。例えば日本体育協会の中 に女子委員会を作ってもいいのではないかというふうに思いました。1970 年代後半から 80 年代の初めのころは、女性のスポーツについて考えている人は誰もいませんでした。かと いって文句をۗってもしょうがないかなということで、ボランティアの団体として始めた んです。 その当時、当然ながら女性の理事は 1 人もおりませんでした。女性のスポーツの団体と いうとママさんバレーボールなど、いわゆる家庭婦人のスポーツの団体があるだけでした。 そして、ママさん団体は既存のスポーツ団体とは別の組織でした。ママさんたちが、ある いは引退した女子の選手たちが集まって組織を作っていったわけで、従来の統括団体の役 員、あるいは事務局の方から見ると、「彼女たちは勝手にやっているので、うちとは関係 ない」という意ࡀの方がほとんど 100%という感じでした。 じゃあ、女性が自分たちで問題をӕ決することが大切かなと思い、1981 年に「WSF ジ ャパン」をスタートさせたわけです。いろいろな会合や勉強会を通じて、女性スポーツの 振興に関わっていらっしゃる方の話を聞くと、やはり中核となる組織の中に、まずきちん と女性のテーマを取り上げていただく、あるいは女性が意見をۗえる場がなくてはいけな いんじゃないかということで、1989 年に日本体育協会と日本オリンピック委員会に「女性 役員の登用に関する要望書」というのを提出しました。 なぜこの時期かといいますと、日本体育協会の一委員会だった日本オリンピック委員会 が分離独立して別組織になることになったからです。この機会に女性の理事を入れてほし い、あるいは女性の委員会を作ってほしいということで提案をしてみました。 ちょっとସくなるのですが、要望書の内容をご紹介します。その当時、一生懸命考えて 作った文案ですが、これが今の時代にどう聞こえるかわかりませんけども、ご紹介させて いただきます。財団法人日本体育協会会ସ職務代行・ো木半治様宛にこんな文章をお出し しました。 今般の日本オリンピック委員会の法人化に伴う財団法人日本体育協会の寄付行為改正に 当り、私たち WSF ジャパンでは女性理事の登用と女性スポーツ委員会の০置を強く要望 することを決議しました。昨今の女性スポーツへの普及は目を見張るものがあります。特 に一般の女性のスポーツ志向はݗまるばかりで、従来のバレーボール、テニスといった 伝 統的な女子種目 ばかりでなく、マラソン、エアロビクスダンス、ゴルフなどのほか、サ ッカー、ラグビー、アイスホッケー、トライアスロンなど、その広がりは驚くばかりです。 また、社会体育の分野においても、女性指導者が急激に増えているのが現状です。この ような 女性スポーツブーム の時代にあって生涯スポーツを振興するためには、女性が 男性とは全く異なるライフスタイルを持っている事実を認ࡀし、そこから各種振興策を打 ち出していくことが大切だと考えます。 その意味で、 「女性の立場を代表する女性理事を少なくとも 1 人登用すること」、そして 女性とスポーツの問題を医学、心理学、社会学など関わりのあるあらゆる分野から検討し、 より現実に即した普及、振興策を考え実行していく「女性スポーツ委員会の০置」の 2 点 を強く要望します。 それから、日本オリンピック委員会委員ସ・柴田勝治様宛に次のような要望書をお出し しました。 今般の日本オリンピック委員会の法人化にあたり、私たち WSF ジャパンでは新組織の 理事 20 人の中に現在の女性スポーツ選手・指導者の声を代表する女性理事を入れていた だくよう要望することを決議しました。 ؼ年、オリンピックでは女子の種目が増え、それに伴いさまざまな種目で多くの女子選 手が活するようになりました。しかし、女子種目としては歴史の浅いいくつかの種目で は、男子用の強化プログラムしかないところもあり、女子選手向けのプログラム開発が最 大のӀ題となっています。 また、ସく女子種目として親しまれている競技でも女子選手ならではの肉体的、家庭的、 社会的な種々の問題を抱えているのが現状です。そうした問題を各競技団体のレベルで片 付けるのではなく、女子スポーツという 1 つの土俵に乗せてӕ決していってこそ、より効 果的な競技力の向上ができるものと考えます。 7 月 5 日の日本オリンピック委員会総会では、理事予定者として全日本なぎなた連盟の 小西ৌ子理事ସの名が挙げられていたようですが、なぎなたが現在の女子スポーツ界を代 表できるということは到底考えられません。 この意味で現実に国内や海外で活する女子選手や女性指導者の声を広く代表する女性 理事を置き、女子種目全般の一層の強化に取り組んでくださることを強く要望します。 この中で、なぎなたの小西理事ସというお名前を出したのは、人選についていろいろ伺 っていた際に、お名前が挙がっているということだったので挙げたものであり、別になぎ なたを否定するというものではありません。この結果がどうなったかといいますと、現実 には私どもの政治的な交渉力がなかったせいか、たぶんこの要望書は机の中にしまわれて しまったかなと思います。 まだまだ未熟だったものですから、なかなか実を結びませんでしたけども、要望書を出 したということを記者発表して、マスコミの方にも知っていただきました。その結果とし て、こういう女性スポーツの団体から要望が出ているということが、少し社会に知ってい ただけたかなというふうに思います。 日本のスポーツ団体は、ସく男性が作って運営してきたものですから、その団体の意思 を決定する理事という肩書き、要職というものはそうしたスポーツ界に関わってきた男性 にとっては 1 つの勲章となっています。そういう勲章を欲しいからとはいいませんけれど も、そうしたものを目指していろいろと仕事をしてきた男性にとっては、さあ、今度は自 分の番だとなったときに、新参者の女性がポッと来て理事になるなんてÛというふうにۗ われますとなかなか難しい分もあります。 今の日本の状況、当時もそうですけども、女性のスポーツについて真剣に考える、そう した機会が是೪必要ではないかと思います。その中には当然ながら、女性が入っていなけ ればいけないのではないかなというふうに思いまして、今申しましたような活動をしてま いりました。 当時、女性理事は1人もおりませんでしたし、女性スポーツ委員会もありませんでした。 今では少ないですけども、JOC に理事が 2 人、体協にも理事が 1 人か 2 人いらっしゃいま すでしょうか。これらの理事の方がどういう仕事をされて、満ੰできる成果を挙げている かということに関しては、また別の機会に検討させていただきます。本年度より、JOC に も女性スポーツ委員会ができたようですので、ここにり着くまでに 10 年以上がかかっ たかなというふうに思います。 <間野> ありがとうございました。15 年前にすでに今お聞きしたような要望書が出されていたん ですね。その意味で、昨年 JOC の中に女性スポーツ委員会ができたということを聞いて、 隔世の感があるというふうにおっしゃったんだと思います。意思決定者の役割の重要性、 あるいはこれを実際に制度化していくためには、どんな点がポイントになるんでしょう か? <小笠原> 三ッૌさんが 1980 年代の終わりに、要望書を出された話をされていらっしゃいました けれども、実際に֬こった世界的なムーブメントというのは、1994 年、イギリスのブライ トンというところで「第1回の世界女性スポーツ会議」が開かれたところから始まってい きます。このときに「ブライトン宣ۗ」というのが出されまして、これにサインをしたの が国際オリンピック委員会でした。1995 年にこの国際オリンピック委員会がスポーツ界に おける男女平等宣ۗ(ブライトン宣ۗ)にサインしまして、まず何をしたかというと、1 つはオリンピック憲章に男女平等を書き込みました。それから次に、サマランチ会ସが国 際オリンピック委員会の中に「女性スポーツワーキンググループ」を作りました。そして、 1996 年に「第1回 IOC 世界女性スポーツ会議」を開きまして、このときに決議された最 も重要な事項は、「それぞれのスポーツ組織の意思決定機関に占める女性の構成率を 2000 年の 12 月 31 日までに少なくとも 10%、2005 年 12 月 31 日までに 20%とする」という 目標を掲げたんです。この具体的な目標が IOC から世界中に発せられたことによって大き く動き出しました。今年の 3 月にモロッコのマラケシュで「第 3 回 IOC の世界女性スポー ツ会議」が開かれますけども、これが焦点になると思います。しかし、このムーブメント が終わってしまいますと、おそらくまた火が消えたようになると私は思っております。こ れに対して女性のリーダー的立場に立つ人たちが、こうなることを意ࡀし、盛んな活動を しております。 例えば IOC は、1999 年にクアラルンプールで「東アジア・東南アジア地区サブリージ ョナルセミナー」を開催しました。さらにこの 4 年後、昨年 2003 年 10 月、JOC から女 性スポーツ委員会の田辺ຨ子委員が代表で出席され、タイバンコクで第 2 回目サブリージ ョナルセミナーが開かれました。ここで勧告文の中に盛り込まれたものです。 <スポーツにおける女性のリーダーシップ> ①「IOC に対し、あらゆるレベルでのリーダーシップについて、最低 20%を女性にすると いう目標を 2005 年末までに到達させること、また、女性にリーダーシップの道を開く、 より効果的な戦略を開発するように促す」 ②「アジアオリンピック評議会(OCA)、とアジアの全 NOC に対し、各国のメンバーであ るスポーツ連盟(サッカー連盟や水泳連盟、バスケットボール連盟のこと)も含め、こ の目標に到達するように奨励する」 ③「NOC(日本の場合は JOC)における女性代表者の現状を再検討及び分析し、より多く の女性を意思決定機関へと送り込む戦略を開発する」 ④「女性をリーダーシップの地位へ選出するのを促進させるような協働体制を開発する」 それからもっと注目すべきことは、ただ単に役員の椅子を取りなさいという話ではないと いうことです。一番重要なことは、女性のプログラムに対してしっかりと予算が配分され ているかというところに着目しなさいというところです。 <予算配分> ①「NOC に対し、女性スポーツプログラムのための予算政策を提示するように促す」 ②「オリンピック・ソリダリティー支援プログラムというのは広く知らせており、女性の 利益のためによりよい活用法であることを確認する」 ③「アジアオリンピック評議会(OCA)に対し、アジアにおいて有意義なプログラムを開 発し導入できるように、女性スポーツのための予算政策を立てるように主張する」 ②は、女性スポーツを推進する上で国際オリンピック委員会が独自に持っているお金のこ とです。このオリンピック・ソリダリティー支援プログラムは世界中ではよく知られてお りますので、女性スポーツ利益のためには、よりよい活用法であると思います。こういう ことを知らないこと事態がもったいないわけです。これは皆さんに活用していただけるも のなのですが、JOC を通してということになります。ですから要望しない限りは何も֬こ らないし、資金も出ないということになります。 私から皆さんにこのような情報を流すということはどういうことかといいますと、皆さ んが情報を知らなさすぎるということです。いろいろな方法があるんだけどもその方法を 知らない、知らなかったから使えなかったということが、たくさんあるんじゃないかなと 思うわけです。意思決定者というのはそういう情報を必ずもらえるところに行くことがで きます。そのポジションに座ることによって、常に書་が自分のところに来ることになり ます。ですから、その要望をいろいろな形、手段の中から叶えられるということになるわ けです。ただし重要なことは、責任をも負うということになります。先ほど三ッૌさんが おっしゃられたように、例えば理事に就かれた方が今、何をされているのでしょうか。ど のようなことをしたのでしょうかという意味での評価も、೪常に重要になると思いますし、 責任は大変重くなると思います。 <間野> ありがとうございます。ところで今、さまざまな勧告文、決議文、宣ۗ文が出されてい るということを皆さんは知ったわけですけれども、様々なものがたくさん出されてきたの にどうして変わってこなかったのか?これは情報がなければ変わらないというのが、まず 第 1 の理由だと思うのです。ではその情報をどうやって得ればいいのでしょうか。インタ ーネットを使って、あるいは世界各国のいろんなߙ誌を集めてÛという方法ももちろんあ りますけども、現実的ではありません。おそらく情報というのは現実の世界では、口コミ や face to face で話し合って初めて、本物の生きた情報になると思います。そういう環境 をどうやって作っていくのかが重要で、つまり私たちはそういうものを「ネットワーク」 と呼ぶわけです。このネットワーク作りをどう進めていったらいいのかということについ て、アジアでの最新の取り組みがあれば教えていただけますでしょうか? <小笠原> 今回の「第 2 回アジア女性スポーツ会議」というのは、まさにそのネットワークをどう やって強化したらいいのかというのが話し合われました。 IOC がたくさんの情報をくださっています。積極的に女性スポーツの推進に対する政策 を打ち出しています。しかし、アジアの人たちがそれを自分の国に持って帰ったときに、 どうしたらいいのだろうかと悩むわけです。例えば、日本オリンピック委員会の理事を増 やしたらいいというけれども、何もわからない女性がいきなり理事になれるのかというと、 そんなルールはありません。それぞれのスポーツ組織、例えば卓球連盟やサッカー協会な ど、いろいろなところからの代表からあがってこなければ、JOC の理事として選ぶことも できないわけです。今のルールによると、女性が推薦される確率は限りなくゼロにؼい状 態です。それをどうやって 2005 年の 12 月 31 日までに 20%に上げるのかということです。 日本の場合には 2005 年の 3 月に役員改選ということになりますけども、はっきりۗいま して、JOC 小粥副会ସが一番頭を悩ませているところだと思います。 例えば、国際ホッケー連盟は、連盟の֩則の中に、役員選出に関するジェンダーバラン スを明確に書いております。会ସ、副会ସ、あるいは専務理事といった重職を選ぶ場合、 例えば 1 人の男性が選ばれたならば、必ず他の人は女性にするというようなバランスをと っています。理事においても、男性が 3 名ならば女性も 3 名という形で役員の選出をして おりまして、国際ホッケー連盟の役員の男性女性の割合は、50:50 の状態になっていると お聞きしています。それからもう 1 つは学会の例ですが、ヨーロッパスポーツマネジメン ト学会では理事に女性は 1 人もおりませんでした。しかし、学会の選挙に関する総会(2002 年)のときに、スウェーデンのスポーツ組織で事務局ସをやられている男性が「この時期 になって、女性が 1 人もいないような学会があっていいのだろうか」と提案をしてきまし た。そこで、女性を採用するようなルールに変えませんかということで、男性と女性がバ ランスよく入るようにというルールに改正されました。昨年の選挙では、女性枠をしっか りと০けていましたので女性理事が 4 人も入りました。それからマレーシアのオリンピッ ク委員会の例ですが、これもルールが改正されて、たくさんいる副会ସのうちの 1 つの枠 を女性にするということが決まりました。まだまだ 20%の枠に到達するのには、マレーシ アオリンピック委員会でも大変なようですけども、このルールを改正するにあたり、本当 にたくさんの話し合いをしたそうです。たくさんの話し合いをした上で、ルールを変えて いくという努力が必要であるということです。ただ座っていて、そうなればいいんじゃな いかなあということをۗっているだけでは変わらないと思います。 <間野> ありがとうございました。ネットワークを使って、自分たちの声を上げていくというこ とが必要であるということですね。孤軍奮௩するのではなくて、お互いに情報を共有し合 いながら、戦略的に取り組んでいくことが必要であると思います。そういう中で、サッカ ー界では女子委員会を作ってさまざまな取り組みをしていますが、そのネットワークの作 り方ということで、何かアドバイスはないでしょうか。 <綾> サッカーにおきましては、まず子どもたちの育成からスタートし、そしてその子どもた ちが大きくなって現在の J リーガーや日本代表になってきたという経緯があります。そこ で忘れてはいけないのが、実は母親の存在なんです。お母さんがサッカーを始めたという のは、ママさんバレーのように自分たちが学生の頃に経験したからバレーボールのチーム を作ったというのではなく、自分の子どもがサッカーをやっていたから、お母さんもその サッカーを一緒にやってみようじゃないかということなんです。お母さんはある意味、家 の中の大蔵大臣でもありますので、資金的なバックアップもありますし、子どもを誘って サッカーを見に行くということもあります。ですから、子どもがサッカーをする可能性が ݗくなるわけです。 あるアメリカの選手ですけども、子供がいてアメリカの代表選手なんです。「キャプテ ンズミッション」の中でも、やはりママさんサッカーの活性化ということを重要視して考 えなければならないということで、2003 年 4 月に「CHQ(キャプテン・ヘッド・クウォ ーターズ)」という組織を作り、まずファミリーサッカー、そしてレディースサッカー、 キッズサッカーの普及を始めました。ファミリーは子どもとお父さんとお母さん、レディ ースはアスリートから第一線を外れた人たち、そして生涯スポーツのため、またキッズは 幼稚園年齢ということになります。今現在、元日本代表選手が幼稚園に行き、幼稚園の授 業の中でボールを使った遊びを教えています。その遊びからサッカーへと動機付けるため の展開をしております。そして先ほどもۗいましたように、初めて全国女子委員ସ会議を 行いました。2004 年の 3 月にもこの会議を開催する予定になっております。また、元日 本代表の選手やインストラクターを使い、47 ற道府県の子どもたちや一般の方への普及、 いい選手の発掘を目的に「ウィメンズカレッジ」というプロジェクトも行なっています。 これらの普及活動、年代ごとのトレーニング制度による強化、またற道府県の指導者を養 成という、三位一体の情報交換とネットワークを作り始めましたところ、今年 3000 人以 上の選手と、約 800 人の指導者が参加してくれました。 女子サッカー活性化のために日本サッカー協会では U-15(中学生年代)のチームを作っ てくださいとお։いしています。それには日本サッカー協会の方から支援金を出します。 今まで男性のチームにはこのようなことをやったことはありません。活性化するためにキ ャプテンは「本気でやるから予算を立てる」とۗいました。今、日本サッカー協会では女 子に約 2 億 5000 万円の予算をڐ上してくれていますが、しかしまだまだ、男子と比べま すとかなりの差があります。とはۗうものの、以前は億単位の予算を取ることは全くでき ませんでした。おかげさまで日本でのワールドカップが成功しましたので、いよいよその 成果の中で女子に力を入れることができるようになりました。 そしてこれまで、12 歳以下の全国大会を開催していたのですが、これを廃止いたしまし た。どうして廃止してしまったんだということで、全国からずいぶんお説教されたのです が、実は今まで開催していた全国大会というのは、9 地域から各 1 チームしか出てこられ なかったんです。12 歳年齢は全国大会よりも、例えば、東海 4 県の大会を充実させたほう がいいということなんです。東海 4 県を 1 つの例にしますと、それぞれの県から 4 チーム ずつ出てきて、合ڐで 16 チームで東海大会を開催するんです。これまで日本サッカー協 会が全国大会で使っていた予算をこの大会に使うということです。そうすると、今まで東 海の中で 1 チームしか恩恵を受けてこなかったものが、この体制で行くと 16 チームがそ の予算の配分を受けることができるということです。U-15 から、全国大会というチャンピ オンシップ制をとったらどうだろうかということになりました。もちろん U-12 も完全に 廃止ではなく、しばらく様子を見て、そしてやはり全国大会が必要であればそこで変えれ ばいいという柔ఫな制度を持っております。そして U-15 のチームがたくさんできたらや はりݗ校を受け入れる、そしてݗ校から大学、もしくはLリーグという受け皿をしっかり しようと考えています。しかし、残念ながら人間は年をとっていきます。学生を終えた年 齢の方の受け入れ先として、ますますママさん以上の年齢の方たちの受け皿的なものも見 直す必要があるのではないかということで、大会の見直しをしているところです。また、 サッカー協会は登制をとってはおりますが、「レディースサッカーフェスティバル」と いうのは、登には全く関係ないお祭りです。ボールを使ってサッカーをやってみません かというお誘いでもあります。コートを小さくしたり、またはサッカーのࠟ合だけでなく、 10 個のゴールに 5 分間で何点シュートできるかというシュートゲームであるとか、ヘディ ングとはこうやってやるものですよというように、日本サッカー協会のアンバサダーが行 って指導するということを行っています。まずは興味を持っていただくというネットワー クを広げていくことが、女子サッカー、日本サッカーの 1 つの大きなこれからの発展につ ながるんだろうと思います。 日本代表選手に澤という人間がおります。「夢は見るものでなく、かなえるもの」彼女 のۗったۗ葉です。彼女は読売ベレーザというところでチームを引っ張ってきましたが、 アメリカの女子サッカーのプロチームに初めて、プロとして登された選手です。皆さん と一緒に女性のスポーツを考えたときに、たくさんの意見交換をした後が一番大事です。 やはり動かなければ何も֬きない、夢は待っていてもかなわないということを、私たちは 彼女に教わったような気がします。 <間野> ありがとうございます。「夢は見るものではなくてかなえるもの」ですね。おそらく、 皆さんも大きな夢をお持ちだと思います。これをかなえるためには、ネットワークあるい はルール改正が必要だということを、これまで議論してきました。残りの時間もわずかと なりましたけども、三ッૌさん、実際にサッカー界の取り組みを他の競技に普及したり、 日本女子スポーツ全体に波及していくためのӀ題はどんなところになるのでしょうか? <三ッૌ> 今、日本のスポーツ界ではサッカーの 1 人勝ちとۗわれておりまして、他の競技団体の 状況をうかがうと本当に元気がありません。「サッカーはこうやっていますよ、ああやっ ていますよ」とお話しすると、「サッカーは別だ」と思う方が多いんですね。しかし、サ ッカー協会もビルを持つ前は同じ岸記念体育会պの中の小さいオフィスからスタートした わけですから、ସ期展望で頑張れば、サッカービルに負けないビルを買うことができる競 技団体も現れるかもしれません。 女子の取り組みを積極的にやっている競技団体もあれば、女子について考える余裕もな いし、担当者もいない競技団体もあるわけですけども、こうして進んでいる競技団体の現 状などを、それぞれの競技団体がどんどん発信していくことが重要ではないかなと思いま す。例えば、最初に発表がありました各競技団体の取り組みに関する調査についても、各 競技団体の事務局の方が対応されたと思うのですけども、「こんなこと答えるの?」とい うような戸惑いがあった事務局もあったのではないかと思います。 しかし、最ؼはこんなところまで目配りしながらやっている団体もあるというふうに認 ࡀしてもらえるのではないかと思いますし、そういう意味ではジュースが現在取り組んで いること、また、これから 2006 年に向けていろいろな活動をされるかと思いますけど、 とにかくあきらめずに発信し続けることが大事だと思います。 また、それぞれの競技団体、あるいは組織に関わっている女性は、積極的に情報交換す ることで自分が勉強できる場を得ることができますし、理論武装できるメリットもあるか と思いますので、こういう場を存分に活用していく必要があると思います。 ネットワークといっても、要するに突き詰めれば個人の問題なんですね。先ほどお話の 中で指摘されたように、肩書きがつきますとそれなりの責任が出てきます。私もいろいろ な肩書を持ってしまいまして、あれこれ簡単に軽々しくものもۗえなくなったなあと思っ ておりますが、日本の女性の場合には、責任を持って仕事をするということが、これまで 経験としてなかったわけです。ですから、それはスポーツの場でもあるかもしれませんし、 あるいは仕事を持っていらっしゃる方であれば、その職場で責任や職の重みというものを 体験しながら、スポーツの世界に応用していく、あるいは還元していくことになるかと思 います。 そのあたりの個々の責任というものを突き詰めれば、ネットワークを作ること、生かす ことになるのではないかというふうに思います。今回いろいろな資料を見てみましたけど も、ݗいポジションにつくためには、社会人として、職業人としてきっちり仕事をしてい く、そういうことの積み重ねだと思いました。そのやり方というのは社会において、私た ち女性が同じようにしていくやり方ではないかなと思います。ちょっと漠然としておりま すが、最終的にはそういうことの積み重ねが、強い原動力になると思っています。 <間野> そうですね。今日ここに 150 人をଵえる人にお集まりいただきまして、スタッフを入れ れば 200 人くらいだと思いますけども、そういったひとりひとりの声を、どうやって束に して伝えていくのかということですね。JOC 女性スポーツ委員会では、各競技団体の声を 集約しようということで、今回のような全国調査を行ったわけですけども、次の段階とし てはおそらく、今日ここに参加している方、ひとりひとりの声を集めることを期待されて いるのではないかと思います。今、女性スポーツ委員会のସは、小野清子委員ସです。国 務大臣、国家公安委員ସということで、政界でもリーダーシップを発揮されているわけで すね。是೪そういった方にも我々の生の声を伝えていき、ネットワーク作りに力を貸して いただければと思っています。 特にまとめということでは用意しておりません。約 2 時間の今の話を聞きながら、皆さ んそれぞれ、ۗいたいことが出てきているのではないかと思います。「私の話も聞いて欲 しい」「自分のところはこうなんだけど、どうしたらいいだろうか」などなど、問題がお ありだと思うんです。それにつきましては、ワークショップと平行して、この後「ネット ワーク会議」を開催しますので、スポーツ団体の代表の方にお集まりいただきたいと思い ます。このパネルディスカッションを踏まえて議論をするわけですけども、ご関心のある 方はこちらのほうにも参加していただければと思います。 予定の時刻になりました。パネラーの皆さんもまだまだ話しੰりないことがいっぱいあ ると思います。しかしながら、時間に限りがありますので、これをもちまして女性スポー ツサミット 2004 全体会のパネルディスカッションを終わらせていただきたいと思います。 パネリストzコーディネーター紹介 パネリスト: 綾 美知枝 AYABE Michie (財)日本サッカー協会女子委員会 ৌ岡市スポーツ振興Ӏ参事兼サッカーのまち推進室ସ、(財)日本サッカー協会理事。 ৌ岡県スポーツ振興審議会会ସ 1969 年 94 年(25 年間)ৌ岡市内小学校教諭として教ඏ を執る傍ら少年サッカー指導者となり、第 1 回全日本少年サッカー大会優勝監督となる。 子どもを取り巻く父親、母親のサッカーリーグを創০。94 年市教育委員会指導主事を経て 「サッカー」をキーワードとしたまちづくりを展開、2002 ワールドカップにおいてロシア 代表ベースキャンプ責任者となる。94 年エイボン女性スポーツऩ、98 年朝日スポーツऩ を受ऩ。 三ッૌ 洋子 MITSUYA Yoko 女性スポーツ財団日本支代表 スポーツビジネスコンサルタント。女性スポーツ財団日本支代表、NPO 法人ジュース۳ 問。慶應義塾大学卒。新聞社の社会・運動を経てフリージャーナリストとなり、日本 人で唯一モスクワ五輪に招待されるなど取材活動のかたわら、1980 年国際的なトップスポ ーツウーマン7人による世界初のシンポジウム「第1回国際女性スポーツ会議」の企画・ 実施をきっかけに、翌 1981 年女性スポーツの振興団体「女性スポーツ財団日本支(WSF ジャパン) 」を০立。 小笠原 悦子 OGASAWARA Etsuko, Ph.D. NPO 法人ジュース理事ସ オハイオ州立大学にて博士号を取得。スポーツ・マネジメントを専๖とする。 現在、(株)博報堂コンベンション事業局のアドバイザー、東京学芸大学೪常勤講師、࠾屋 体育大学客員助教授を務める。水泳競技、コーチの職務満ੰ、女性スポーツについての論 文・著書 多数あり。これまで、国内外の数多くの学会や会議で研究論文発表、基調講演 あるいはスピーカーを務めた。 オハイオ州立大学博士Ӏ程入学以前は、10 年間、中京大学、࠾屋体育大学で水泳コーチと して活。神戸ユニバーシアード大会、ソウル・アジア大会、そしてソウル・オリンピッ ク大会では、シャペロンとしてコーチング スタッフに加わった。 第1回アジア女性スポーツ会議実行委員ସを務め、現在は、アジア女性スポーツワーキン ググループ(AWG)議ସ。「2006 世界女性スポーツ会議くまもと」開催のため、国際女性 スポーツワーキンググルー プ(IWG)の共同議ସを務める。さらに、OCA(アジアオリンピ ック評議会)及び JOC 女性スポーツ委員会委員も務める。 コーディネーター: 間野 義之, MANO, Yoshiyuki NPO 法人ジュース理事 2002 年4月より早稲田大学人間科学助教授。(株)三菱総合研究所にて 11 年間、文 科学省や地方自治体のスポーツ分野の調査研究等に従事。現在、総合型地域スポーツクラ ブの育成手法として、スポーツ NPO ならびスポーツ PFI に着目し、具体的・実的な調査 研究を展開。専๖はスポーツ政策論。主な著書:共著「スポーツの経済学」、共著「スポ ーツの政治学」など。