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介護による利用者権利擁護2012

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介護による利用者権利擁護2012
介護による
利用者権利擁護
その技術を通じた利用者との相互関係にある
20120517/24/31
KazutakaMizoshita
介護サービス、私たちでいう施設
サービスが重要なのは
・人間の尊厳 という「人として守らなければ
ならないもの」があり
・その関係に重みが増すからである
・この関係を作ってるのも、介護技術であり、
それを使う人の要素に大きく左右される。
・介護技術という専門性
介護は
・専門性を駆使して
・人間の尊厳を守るという
・利用者の権利を擁護する実践
介護による
利用者権利擁護とは
特養(施設)を利用する人が、ケア
ワーカー(サービス提供者)の介護
による相互関係を通じて人格が尊重
され尊厳が保持されるということで
ある。
その関係とは、介護サービスを提供しているのだけど、実は利用者は私
たちの介護サービスを通じて、信頼や安心を実感するということに、介
護サービスを、いいかえる私たちの介護技術を通じて、利用者との関係
性が生まれ、続けられるいるというところに、介護という職業の特色が
ある。この連続により人格が尊重され尊厳が保持される
大きく変わった権利擁護
・2000年 社会福祉基礎構造改革の理念
「個人が尊厳をもってその人らしい自立した生
活がお送れるよう支える」
・そして、措置制度から利用契約制度
・市場原理の導入
・利用者の選択に資するというパラダイム転換
介護保険制度
が
選択の余地はなかった
・選択の余地がなかった措置制度
・サービス利用者と事業者との契約に基づく
サービスとなった(つい10年まえまでそうで
はなかったという事実がある)
戦後初めて
契約に基づくサービス
・サービス利用者と事業者それぞれに権利義務
が発生する。
・事業者は、強い倫理観をもって各種制度のコ
ンプライアンス(法令遵守)と事業に伴うリ
スク管理に務めることが求められることと
なった。
これを推し進めるキーワードが
「利用者本位」「自立支援」「対等」「選択」
「地域ケア」「契約」「サービスの質」「権
利擁護」「苦情解決」「情報開示」
利用制度への移行
(社会福祉基礎構造改革)
・利用者と事業者との直接契約への関係性を変
える改革。
しかし、福祉サービスの特質は
介護サービスは対人援助関係における行為(介
護)であり、形としてその行為が物のように
残るものではなく、善し悪しは利用者と提供
者(個々)の介護場面の関係の中で、介護を
通じた相互関係の質において評価され、利用
者の受け止め方により大きく左右される。
サービスの質を
どう担保していくか
・このことは同時に、サービス利用者の権利を
擁護することでもある。
そのためのキーワードが
・「利用者本位」「自立支援」「対等」「選
択」「地域ケア」「契約」「サービスの質」
「権利擁護」「苦情解決」「情報開示」であ
る。
利用者本位
実践のためのキーワード
・介護保険法第1条にの目的及び社会福祉法第
3条の福祉サービスの基本理念には「尊厳の
保持」を運営基準には利用者の「意思及び人
格を尊重し、常にその者の立場に立って」と
利用者本位のサービスであることが示されて
いる。私たちのケアの核は、利用される方の
自立性を尊重し、尊厳を保持するサービスの
提供にある。
自立支援
実践のためのキーワード
・介護保険法第1条の目的に「その有する能力
に応じ自立した日常生活を営むことができる
よう」、社会福祉法第3条の福祉サービスの
基本理念には、「自立への働きかけ」がうた
われており、体が動く動かないということの
みではなく、介護が必要になってもその自身
の価値観に基づくという「自律」のもと生き
る、そしてそれへの対応に努めていくという、
社会にノーマライゼーションの考え方を浸透
させていくということでもある。
対等
実践のためのキーワード
利用者の選択に資するサービスの利用は、契
約関係によっており、サービス利用者と提供
者との関係は、実はそれぞれ権利・義務にお
いて対等な関係にある。
選択
実践のためのキーワード
介護保険制度は社会保障制度の中に位置づけ
られた。社会福祉の充実を担ってはいるが、
保険料を納めることにより受給権が生ずる。
基本的は、いつでもどこでもサービス給付は
利用でき、行われなければならない。社会保
障の中の医療との差異がここにはある。
契約
実践のためのキーワード
介護保険サービス利用の契約においては、事
業者にはサービス提供の義務と利用者料請求
の権利が生じ、利用者にはサービス利用の権
利が生じ、利用料を支払う義務が生じる。一
方だけではなくそれぞれが権利・義務を履行
しなければならない。被害を受けた場合は賠
償請求する権利が生じる、というのが契約関
係。
地域ケア
実践のためのキーワード
社会福祉法第6条で地域福祉の推進をうたっ
ており、地域を理解した施設、在宅サービス
と地域との連携の必要性を示している。介護
保険法では、地域包括ケアシステムにより、
高齢者が地域での生活をできる限り維持でき
るよう支えるとしている。
権利擁護
実践のためのキーワード
なんらかの疾患による生活障害、あるいは判
断能力の低下があったとしても、またその置
かれている状況により、権利を侵害され利益
を損なうことがあってはならない。成年後見
制度は、認知症の人の判断能力が低下してい
る人によっても法的な権利擁護の制度である。
苦情解決
実践のためのキーワード
サービス利用、介護中の事故や何らかの不適
切や不利益などを与えてしまった際には避け
られないものである。苦情や事故の放置は権
利侵害にもつながり、苦情解決への取り組み
は制度上では、事業者が備えておくべき最低
基準である。
情報開示
実践のためのキーワード
社会福祉法第24条の経営の原則に「事業の透
明性」を第44条に会計を「閲覧」できるよう
情報公開をうたっている。他のサービスのよ
うに手にとって確かめることのできない介護
サービスにおいては、どのようなサービスを
提供するのか、また事業者の理念や事業の方
針、苦情の実態、事業計画、事業報告、決算
書などの情報を積極的に公開することによる
関係の構築が望まれる
制度によって権利は擁護されている
・介護サービスは制度に基づくサービスである
「~しなければならない」という行為規範に
よって実は私たちの介護は「提供されている」
・行為規範は人間社会秩序を正しく保つための
ルール→法は組織された力によってもっと厳し
い義務づけを行うものである。
・契約に基づく介護サービスは制度内において提
供される→本来どの事業者であっても質は担保
されている。そしていつでもどこでも、そして
安心。
制度により権利を擁護する
・社会福祉法
第1条の目的「利用者の利益の保護」第3条「個
人の尊厳の保持と自立支援」第4条「ノーマ
ライゼションと地域福祉」第5条「利用者本
位と自己実現」
社会福祉の対象者は、身体的精神的になんらか
の障害を有しており社会生活上において不利
益を被るという、福祉の対象者像を前提とし
て利用者を保護するための法律である
制度により権利を擁護する
・介護保険法
「要介護状態になった者が尊厳を保持し、その
有する能力に応じた日常生活を営むことができ
るよう、利用者の意思及び人格を尊重し、常に
利用者の立場にたったサービスの提供に努め
る」ということがうたわれ2000年に制度化さ
れた。2012年には地域で継続して暮らすこと
を支える地域包括ケアシステムの推進が推し進
められることとなった。
制度により権利を擁護する
・成年後見制度
自己決定権を法的に担保する制度。本人が自
己決定できなくなっても、本人をよく知る成
年後見人が本人の生活と権利を代弁すること
にある。
制度により権利を擁護する
・苦情解決
運営基準第33条「指定介護老人福祉施設は~
苦情に迅速に対応するために苦情の受け付け
る窓口」社会福祉法第65条 施設の最低基準
第82条には苦情解決を義務付けている。苦情
の言える環境づくり、その過程を経て質の向
上に努めていくことを粘り強く実行していこ
とが求められている。
制度により権利を擁護する
・身体拘束の禁止
運営基準 指定介護老人福祉施設サービスの取
り扱い方針第11条第4項に規定「指定~サービ
スの提供にあたっては~生命又は身体を保護す
るため緊急のやむを得ない場合除き身体拘束そ
の他行動を制限する行為を行なってはならな
い」
2001「身体拘束ゼロへの手引き」切迫性、非
代替性、一時性が緊急やむを得ない場合の判
断内容。
制度により権利を擁護する
・安全配慮義務
我々介護サービスを担う者の対象者はなんら
かの障害や疾病により生活障害をきたしてい
る人たちであり、医療機関や福祉施設などは
利用者の生命及び健康等を危険から保護する
よう配慮する義務を常に持ち合わせていると
いうことである。転倒を承知していながら、
適切な対応をとらず予見回避可能と判断され
た場合は過失責任が問われることになる。
制度により権利を擁護する
・個人情報保護法
個人の人格を尊重する理念のもと、個人情報
を保護し、個人の権利権利利益を守ることを
目的としている。私たちは、他人が容易に知
り得ないような個人の情報を詳細に知りえ使
用する立場にある。
制度により権利を擁護する
・高齢虐待防止法
養護者に対する高齢者虐待防止に資する支援
のための措置等を定め~職員による虐待も対
象としている。施設及び事業者で起こした場
合の法的責任、倫理的責任は重く、社会的な
非難はさけられない。サービスの質的向上に
向けた組織的な取り組みによる自浄能力が継
続して求められる。
そもそも判断能力が低下している
方々を対象としている
・ケアの対象となる人をどのように理解するか
は、介護の実践する私たちにとっての核心。
・利用者の意思及び人格~をある。が、そもそ
も認知症の人は、自己決定や判断能力が低下
している人。
・自己決定の尊重とあるが自己決定を前提とし
た人格のとらえ方は、判断能力や自己決定能
力が低下していう人の人格を置きざりにして
しまうことがある。
自己決定よりも人間の尊厳
・人は存在そものもに意味がある。私たちが
「~できる」だけに価値を置いてないように、
人の価値とは「~ができる」「~する」「~
を持っている」などだけではなく「ある」と
いう存在そのものに視点をあてている介護。
能力的な観点からみていないのが介護。
・自己決定が困難な人への対応は、自己決定よ
りも上の人間の尊厳という視点、かけがえの
ないのないその人への視点によって始まる。
今を生きる人への介護
・人格を尊重する介護とは、今まで生きてきた
自分史、生活史を大切にしていくこと。
・様々な能力といわれるものが低下している中
で「今を生きている」その今を生きている人
への介護は、倫理と専門性をもってなされる
からその人の尊厳が保持できる。その人「ら
しさ」というその人の価値に基づく、その人
の自律性に価値をおいてゆくことである。
私たちは専門職である
・意思疎通の困難な人へかかわる人がその人の
意思や行動をどのように理解するのか
・その人の何を優先するのか。
・どこまで支援することができるのか。
課 題
私たちは専門職である
・認知症の人の行動や意思について、目でみえ
ていることそのものが本当に問題なのか、ど
うしてそれは問題なのか、誰にとってそれは
問題なか、その行動によって何を伝えようと
しているのか、私たちの技術、チームで解決
できないだろうか。
権利を擁護するとは、これらの課題に具体的
にどのように取り組んでいくのかにかかって
私たちに
いる。それを担う、
介護サービスは法に基づくサービス
・違反すれば制度的制裁がある。
・法令遵守(コンプライアンス)は当たり前。
事業所(従事者)に必要な倫理的視点
・組織倫理で、法令や各種規定に基づく
実践をすることでの信頼性。
・職業倫理で、倫理原則や理念に基づく
実践をするこでの専門性。
個人の倫理
・
で、自分の行動は社会人と
して反していないかという誠実性
介護による
利用者権利擁護
・制度によって権利は擁護されている
・そもそも判断力の低下している方々を対象と
している。
・自己決定よりも人間の尊厳
・今を生きる人への介護
これらを踏まえ
サービスの質をどう担保していくのか
に示した権利擁護に必要な視点を実践
していくことにある。
利用者本位
私たちが実践していくこと
・真に自己決定権を尊重したサービスに努めて
いるだろか。
・利用者の個別性や自律性を大切にした介護に
努めているだろか。
・認知症の人の内的世界を理解した介護に努め
ているだろか。
自立支援
私たちが実践していくこと
・利用者のもっている力を理解しているだろう
か。
・利用者のもっている力を奪ってはいないだろ
か。
・自立(自律)を支援するケアプランとなるよ
う努めているだろうか。
対等
私たちが実践していくこと
・利用者との信頼関係形成に務めているだろか。
・利用者に人格のある存在としているだろうか。
・利用者との関係において強者と弱者の関係に
なっていないだろうか。
選択
私たちが実践していくこと
・その方の暮らしの仕方に合わせてサービスの
提供に努めているだろか。
・個別的なニーズに応じることのできる、新た
な対応や取り組みを行っているだろうか。
・利用者に生活場面で複数の選択肢を考え帝京
しているだろか。
地域ケア
私たちが実践していくこと
・地域住民、事業者、自治体とともに取り組む
福祉の在り方を目指しているだろか。
・生活の基盤は地域にあることを理解した利用
者へのかかわりと介護に努めているだろうか。
・施設は地域を支える重要な資源であり専門的
な情報の提供に努めているだろか。
契約
私たちが実践していくこと
・法令遵守に基づくサービスの提供に努めてい
るだろか。
・サービスにかかる権利と義務を果たしている
だろか。
・契約書等に基づくサービスの提供に努めてい
るだろうか。
サービスの質
私たちが実践していくこと
・個別性を大切にしたケアプランに基づくサー
ビスに努めているだろか。
・自己評価や情報開示によりサービスの質の向
上に努めているだろうか。
・利用者のリスクを考えたサービスに努めてい
るだろうか。
権利擁護
私たちが実践していくこと
・自己決定能力が低下している利用者の権利を
擁護しているだろうか。
・虐待や不適切な介護、身体拘束をしない介護
に努めているだろうか。
・成年後見制度の必要性を認識し普及に努めて
いるだろうか。
苦情解決
私たちが実践していくこと
・第三者を含む苦情解決のためのシステムによ
り迅速な苦情解決に努めているだろうか。
・認知症の人の現れにくい苦情を受け止めるこ
とができるように努めているだろうか。
・利用者も職員も苦情が言える環境づくりに努
めているだろか。
情報開示
私たちが実践していくこと
・サービスや事業内容の開示によりサービスの
状況を理解できるよう努めているだろうか。
・利用者と信頼関係を強めるための情報開示に
努めているだろうか。
・情報開示は時代の流であるそれに対応できる
よう努めているだろうか。
権利擁護が
保持されてゆくには
・制度だけではない、私たちの「介護」によっ
て権利は擁護されている。そしてそれを継続
していることにより保持される。
・利用者の生活に安心・安全などサービスを適
切に提供できるかを、制度の仕組み、サービ
スの質、人材確保・育成などの視点から絶え
ず自らが点検していくことが求められる。
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