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森林生態系における炭素の循環

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森林生態系における炭素の循環
林試研報 Bull.
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森林生態系における炭素の循環
一一リターフォール量とその分解速度を中心として一一
河原輝彦 ω
TeruhikoKAWA8ARA:CarbonC
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sdecomposition-一一
要
旨:リターフォー Jレ量および分解畳を中心に有機物の動きを調べ,森林生態系の炭素の循環の
概要を検討し?と。
森林の土壌中 lr 含まれる炭素量は,林分 Ir よって大きく異なるが,広域的にみると,気温の低い亜
寒帯林にくらべて気温の高い熱帯林のほうが少ない傾向にあるといえる。
土壌有機物の主な供給源であるリターフォール量は,一般には熱帯林で最も多く気温が低くなるに
つれて低下するといわれている。しかし筆者の調査例では針葉樹林の場合は明らかでなく,広葉樹林
の場合のみ気温の高い地域 iとある森林ほど多く,気温との聞におよそ一次の直線関係がみられた。
落葉の分解速度は,針葉よりも広葉のほうが速しまた気温の低いととろよりも気温の高いととろ
ほど速し分解速度と気温との聞には指数関数的な関係があった。針葉に広葉を混合すると野外での
リターパッグによる実験では,針葉の分解が促進される傾向がみられたが,室内でのインキュベーシ
ョンによる実験でははっきりしなかった。
2 種の針葉を混合した場合は,野外のリターパッグによる
実験でもその効果ははっきりしなかった。
皆伐に伴う土壌への有機物供給量の変化,あるいはヒノキ純林と混交林におけるん層の状態から,
林地保全土問題のあるととろでは炭素の循環系の乱れをなるべく少なくするような施業法を取り入れ
ていく必要があると考察した。
目次
はじめに… H ・ H ・......・ H ・.....・ H ・ H ・ H ・....・ H ・...・ H ・ H ・.....・ H ・..… H ・ H ・......・ H ・..…...・ H ・.....・ H ・ ..22
I
土嬢中の炭素量…・・ h ・ H ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ……...・ H ・ H ・ H ・ ....23
E
リターフォー Jレ量...・ H ・.....・ H ・ H ・ H ・....・ H ・...・ H ・..……...・ H ・-…・……...・ H ・...・ H ・..… H ・ H ・ ......25
1.季節変化............・ H ・-…....・ H ・-…・…...・ H ・-….....・ H ・...・ H ・..…....・ H ・....・ H ・....・ H ・-… 25
2
.
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1 年間のリターフォー Jレ量・ H ・ H ・..……...・ H ・..….........・ H ・..…...・ H ・..……………・-…… ..28
1)
落葉量…...・ H ・...・ H ・.....・ H ・-…....・ H ・-…....・ H ・...・ H ・.....… H ・ H ・.....・ H ・.....・ H ・ .28
2
)
落葉以外のリターフォー Jレ最・・ H ・ H ・.....・ H ・...…・・ H ・ H ・-…...・ H ・-……....・ H ・...・ H ・....・ H ・ .30
落葉落枝の分解・ H ・ H ・-・・ H ・ H ・...・ H ・...・ H ・...・ H ・..・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
1
. 落葉の分解率の推定………・……………・…........一・……-…...………・…ー…・……・ 30
2
.
3.
IV
2 樹種落葉混合と分解速度…....・ H ・....・ H ・....・ H ・...・ H ・.....・ H ・....・ H ・...・ H ・-…・…・・ H ・ H ・ ..32
材の分解....・ H ・......・ H ・..…....・ H ・..…....・ H ・..・…・・…....・ H ・...・ H ・-……・・...・ H ・.....… .34
土壌呼吸量…...................................................................…-…・・...・ H ・...・ H ・ .....37
1
.
日変化と季節変化....・ H ・ H ・ H ・......・ H ・...・ H ・ H ・......・ H ・-…....・ H ・-・・・・・ H ・ H ・.....… H ・ H ・...・ H ・ .37
2
.
1 年間の土壌呼吸量....・ H ・-…...・ H ・-…...・ H ・......・ H ・...・ H ・...・ H ・...・ H ・...……....・ H ・ ........40
3
.
根の呼吸量の推定....・ H ・....・ H ・..…...・ H ・-… H ・ H ・-…....・ H ・-…....・ H ・・…....・ H ・.......・ H ・-… .40
4
.
枯死材からの COa
1985年 1 月 30 日受理
(11
関西支場
発生量
....・ H ・....・ H ・'"・ H ・...・ H ・.....・・ H ・ H ・...・ H ・....…………-….....・ H ・ .42
造林 -116
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林業試験場研究報告第 334 号
22 ー
V
炭素の循環...・ H ・.....・ H ・-…...・ H ・..…...・ H ・..…...・ H ・...…...・ H ・......・ H ・...・ H ・..…...・ H ・ ...43
1
.
2
.
土壌中での炭素の循環....・ H ・.......・ H ・..…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田・・・・・・・・・目・・・・・・・・・目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
3
.
系全体の炭素の循環……...・ H ・・・……一…....・ H ・....…....・ H ・.....…・……....・ H ・...・ H ・ ...45
V
I
引
樹体部での炭素の循環H ・ H ・...・ H ・ H ・ H ・......・ H ・..…...・ H ・......・ H ・-…...・ H ・...・ H ・..…………… 43
施業と有機物の動き….....・ H ・........・ H ・....・ H ・.....…・・…・…...・ H ・.......・ H ・-… H ・ H ・.....・ H ・ ..45
1
.
皆伐と有機物の動き…....・ H ・....・ H ・....・ H ・.....・ H ・-…..........……・....…....・ H ・・・・ H ・ H ・-… 45
2
.
混交林と有機物の動き・…・・・-…...・ H ・....・ H ・-…・・ H ・ H ・...・ H ・-….....・...…....・ H ・.........・ H ・ 47
用
文
献....・ H ・..・・・・ H ・ H ・......・ H ・..・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
Summary….....・ H ・...…・・…・・…・…・・・・…・…・…・・…・・…・・・…・・…・…・…・・・…・・・田・・・…・…・・・・…・・・… .51
はじめに
最近,スギやヒノキなどの単純一斉造林あるいは大面積の皆伐施業は,土壌に悪影響を与え地力低下の
危険があることなどが,以前にも増して強く指摘されている。
したがって,今後は木材生産とともに地力保全をも重視した森林施業を推し進めていく必要がある。そ
のーっとして,安定している物質循環系の破壊をなるべく少なくするような施業方法を取り入れていく乙
とになろう。そのための基礎資料のーっとして,まず森林生態系での物質循環機構を知り,それらから施
業と物質循環とのかかわり方を解明する必要がある。
森林生態系での物質の動きをみると,つぎのようになる。植物体は土から水と無機物を吸収し,太陽エ
ネルギーを利用して空気中の炭酸ガスから有機物を合成し,植物体を作りあげる。一方,落葉・落校,根
の枯死あるいは枯死木の林地への倒木などによってその有機物の一部および吸収された養分物質の一部
は,
リターとして林地に還元されている。乙の還元された有機物は,土壌動物や土壌微生物の働きによっ
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一一一一一一一ー
呼吸
炭素は COs ガスとして放出
されるが,無機養分の大部分は再び林木 l 乙利用さ
れている。
ここでは,植物体を構成している物質の中で大
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リターフォー j レ
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て徐々に分解され,
土壌呼吸
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きな部分を占めている炭素〈有機物〉の動きにつ
いて検討した。その炭素の循環を模式的に図示す
ると,
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. 1 のようになる。 この炭素の循環を
大きく分けると,植物体を中心とした動きと,土
壌を中心とした動きになる。まずこ乙では林地
〈土壌〉を中心とした炭素〈有機物〉の動きを,
リターフォール量とその分解から検討し,そのあ
と森林の施業と炭素循環との関係について考察し
た。なお,との論文はいままでに報告したものを
中心に取りまとめ再検討し,新しい立場から考察
を加えたものである。
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. 1.森林生態系での炭素の循環
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森林生態系における炭素の循環(河原)
23 ー
I 土壊中の炭素量
土壌中 (Ao 層を合む〉に蓄積されている炭素量は我が国で調査した林分の範囲内では,
41ton/
h
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カ 7 ツ林〉から 230tonfha (カラマツ林〉まであり,最大値と最小値とでおよそ 5 倍の違いがあった 20) 。
また,熱帯林で調べられた炭素量では, 1O~140tonfha51lと林分間で著しい違いがみられるが,全体的
にみれば,我が国の調査林分よりも蓄積量が少ない傾向にあった。
乙のように林分によって炭素量 IC 違いが生じた原因として,気温,降水量,地形,樹種,土壊の性質な
どいろいろ多くのものが挙げられるが,ここでは気温で整理してみた (Fig. 2) 。
両者の関係は,同一気候帯にある森林でも局地的な違いがあるため,かな・りのバラツキがみられる。し
かし,全体的には気温が高くなるにつれて土壌中に蓄積されている炭素量は,指数関数的 IC 減少する傾向
がみられ,その両者の関係を平均値でみると,
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gC= 1
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9
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0
5T
の関係式で表わされる。ここで C は炭素量 (tonfha) , T は月平均気温が OOC 以上の積算気温 ("C) であ
る。この結果は ]ENNY ら 14) が気温と炭素含有率との関係で見い出している法則性とほぼ一致している。
土壌中の炭素は,
成作用を行い,
もともとそとにあったものではない。すなわち,森林が成立するに伴って,葉は光合
大気中から CO2 を取り入れ有機物を作り,
その一部がリターとして林地に加えられ,
部は分解され大気中に放出され,残りが土壌中に移動し,そ乙でしだいに蓄積されたものである。
この蓄積量の時間的変化について,
CROCKER ら引は氷河の後退後の炭素量の変化を調べ,その結果,森
林の成熟とともに土壌中に炭素が蓄積され,
しだいに一定量に近づくととを報告している。また,乙れと
同じ傾向がハゲ山造林地においても認められている 50)。さらに,乙の問題についての研究は,数学モデル
を使って多くなされており,炭素の蓄積量の時間的変化を,
dcfdt=L-k'C または C= 会 (1- e
-kt)
L: 供給量, C: 林地の炭素量, k': 平均分解率, t: 時間
.
・g ・
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積算温度 CC)
Temperaturesummation
Fig.2. 林地の有機物量と積算温度との関係
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林業試験場研究報告第 334 号
24 ー
Table1.調査林分の概況
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林分
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森林生態系における炭素の循環(河原)
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文
献
Note
で表されている。そして,このモデルはまた十分時聞がたち,森林が成熟すれば土壌中の炭素量は,動的
平衡状態に達し,供給量と分解量とは等しし L=k'C Iとなる乙とを示している制1)。
乙の L=k'C の式からもわかるように,平衡状態にある土壌中の炭素蓄積量は,供給量と分解率との
大きさによって決まってくる。いいかえれば,供給量と分解率の大きさが,土壌を中心とした炭素の動き
の速さを表しているといえる。
E
林地への有機物の供給源としては,
リターフォール量
リターフォールによるものと,枯死した根によるものがある。しか
し,枯死根量は直接測定するととは困難であるため,乙こでは測定していない。ただ GREENLAND ら町立い
ろいろなデータをもとにして平均的な枯死量としてリターフォール量の約 1/2 ぐらいで,
リターフォー Jレ
量の多い林分では根の枯死量も多い傾向にあるという。リターフォールは降雨とともに林地への養分供給
源として重要であるが17ト19) ,林地への養分供給量のうち 2 ・ 3 の養分を除けばリターフォールの占める割
合は大きい即時 17) 。
とのようにリターフォールは土壌への有機物や養分の主要な供給源であるとともに,すでにみたように
森林の物質循環の解明の上からも主要な経路であるため,
ζ とでは 1 年間のリターフォール量とともに,
それらに関与する要因について検討した。
調査方法はつぎのとりおである。
調査林分内に 1 m2 (1m X 1m) のトラップを 5~10 個設置し,原則として毎月 1 回の割でリターを
回収し,乾燥したのち,葉,校,樹皮,球果,その他に分け,それぞれの重量を測定した。測定年数は林
分によって異なり 1~5 年である。なお,調査林分の概況を Table 1 に示しておく。
1.季節変化
幾つかのリターフォールの季節変化を Fig.3 Iと示した。
針葉樹林や落葉広葉樹林の落葉は,
10 月 ~12 月(林分によっては 11 月 ~1 月〉の落葉期にもっとも多
く落下している。すなわち,秋型の落葉である。しかし,落葉期以外の生育期間中においても少量ずつで
はあるが,絶え間なく落葉し続けている。落葉期以外の季節に落葉した量を全落葉量との割合でみると,
例えば,
40 年生アカマツ林で約 40%,
45 年生ヒノキ林で約 105ぢとなり,
針葉樹林ではかなりの量が生
育期間中でも落葉していることがわかる。このような生育期間中の落葉は,昆虫によるものや,雨風など
気象条件によるものが大きな比率を占めているものと考えられ,また,その落葉の性質も違うであろう錦、
- 26-
林業試験場研究報告第 334 号
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0 1
1 1
2 1 2 3 4
'
8
0
'
79
リターフォールの季節変化
S
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n
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i
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no
fl
i
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t
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l
.
森林生態系における炭素の循環(河原)
- 27 一
Table2
. 1 年間の平均リターフォール量
Averageamountso
fl
i
t
t
e
rf
a
l
l
.
校
測P定
er年
io数
d
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s合
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Cor果n Fe糞ces Flo花werOそthのe他
Bar皮k 球
L葉
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(
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林
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o
.
1 ブ
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4
(
1
)
(
2
)
コ
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47.0
291.9
56.9
437.2
348.9
58.2
14.4
421.5
371.9
3
6
.1
42.8
450.8
3
290.7
93.8
1.0
92.7
10.6
6.7
30.1
525.6
3
450.2 105.0
0.3
1
5
.
7
6.5
3.4
19.2
600.3
27.6
ミズナラ
5
6
(
1
)
(
2
)
2
3
(
g
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m
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2
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1
5
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4
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2
526.5
88.6
27.8
30.1
399.2
316.5
ジイ
C
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u
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d
a
t
a
656.0
673.0
752.3
36.6
(
1
)
303.4
77.5
20.2
28.4
429.5
1
0
(
2
)
281.4
61.9
10.0
24.9
378.2
1
1
(
3
)
234.0
1
4
.
7
10.9
18.8
278.4
1
2
(
4
)
.3 128.5
421
22.0
27.2
624.7
1
3
(
5
)
519.3 124.0
44.7
87.6
775.6
81.0
627.0
15.3
6
.
1
305.1
0.5
8.5
239.3
9
アカマツ
P
.d
e
n
s
i
f
l
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r
a
3
11.8
5.3
8.6
(
6
)
2
546.0
(
1
)
4
231.8
47.4
1
6
(
2
)
4
216.8
1
3
.
5
1
7
(
3
)
2
216.8
0.7
0.5
13.8
3.4
3.4
238.6
1
8
(
4
)
2
210.6
1.0
2.0
2.6
0.2
0.2
216.6
1
9
(
5
)
21.5
352.7
1
4
1
5
ヒ
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キ
C
.o
b
t
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s
a
4.5
、ーー-.,---'
20 スギ
C
.jaρonica
ヒノキ・アカ 7 ツ (1)
2
262.6
1
9
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49.5
、ーーー‘'・ーー'
2
530.0
530.0
2
425.5 126.9
46.8
33.5
49.2
681.9
22
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s
i
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l
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2
)
2
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53.9
2
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22.9
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681
23
(
3
)
2
362.1
54.4
14.9
13.6
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453.0
24
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4
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2
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6.6
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6.8
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(昌)
2
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5
.
1
281.7 1
106.7
523.5
5
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2
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25
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27
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1
519.1
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895.2
28
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1
527.3
201.5
728.8
29
アピトン
534.0
237.7
771.7
534.0
339.3
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30
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フタノ
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-
林業試験場研究報告第 334 号
28 一
一方,
照葉樹林での落葉は,
針葉樹林や落葉樹林の季節変化とは異なり,落葉期の 9~ 1O月にも多少
落葉しているが,落葉のピークは閲葉期の 4~6 月であり,
その時期の落葉量は全体の 55% を占め,落
葉期の 16% よりはるかに大きし春型の季節変化を示している。
熱帯林の落葉の季節変化を,早生樹ア Jレピジア人工林とラワンなどフタパガキ科の天然林で調べた結果
でみると,日本の林分のようなはっきりしたピークのある季節変化をせず,
1 年間を通して絶え間なく落
下している 81)。とのような季節変化をするのは,気温の季節変化の幅が非常に小さし生育休止期がはっ
きりしないために常に葉の更新が行われているためであろう。
落葉以外のリターの季節変化では,花が 5 ・ 6 月に多くなる傾向がみられるが,
それ以外のものではは
っきりした傾向はみられない。
2
.
1 年間のリターフォール量
各林分の 1 年間の平均リターフォール量を Table 2 に示した。
1)
落葉量
落葉量はおよそ 3ton/ha ・年前後といわれているが制,
乙こで測定した結果では 2. 2~5.
3ton/ha
・年
ι 林分間で大きな違いがみられた。とれは樹種,測定年次,地位,林齢,気温など非常に多くの要因に
影響されているためであり,乙 ζ でいくつかの要因と落葉量との関係について検討した。
(1) 落葉量の年変動:同一林分でも落葉量に年変動が認められる。その例として, 4 年間測定された
ヒノキ幼齢林でみると,最少量1. 6ton/ha ・年から最多量 2.7tonjha ・年と倍近い差がみられる。また,
3 年間測定されたコナラ林においても, 3.8ton/ha ・年から 5.1 tonjha ・年とかなり大きな違いがある。
このように年によって差が生じる理由については今のととろはっきりしないが,その年の新葉量や気候な
どが影響しているのかもしれない。とれらの結果からすれば,その林分の平均的な落葉量を求めるために
は,数年間継続して測定する必要がある。
(2) 地位と落葉量:一般に地位を表す指標として樹高が用いられ,樹高の高いところほど地位が良い
とされている。この関係を約 23 年生で地位の異なるアカ 7 ツ林 3 林分でみた m
分の平均樹高が 8.6m であったのに対して,
(
F
i
g
. 4) 。地位の良い林
地位の悪い林分では 4.3m と前者の半分の樹高である。
のような地位の異なるアカマツ林での落葉量は,
乙
3.0ton/ha ・年と 2.3ton/ha ・年となり,地位の良い林
分ほど多くなる傾向がみられる。とれと同じような傾向として,地位の悪い斜面上部よりも地位の良い斜
面下部のほうで落葉量が多くなる乙とが報告され
5
コ】
ている加。
(3) 林分構造と落葉量:落葉量は純林か混交
林かで,また,単層林か複層林かなど林分構造の
Tム
=田守』岡山」
(h
」・何\
戸Z
』 OH)
酬雌剛被
ィク/・/
違いによって変ってくると思われるので,ととで
。
5
平均樹高
Averaget
r
e
eh
e
i
g
h
t(m)
Fig.4.
アカマツ落葉量と平均樹高(地位〉
との関係
R
e
l
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n between average tre巴
h
e
i
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t(
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rf
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n
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t
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r
a
.
1
0
は,ヒノキ純林とヒノキに天然生アカマツが混っ
た混交林とで落葉量の比較をした船。
純林も混交林も,
ì!ltl定年による差はそれほど大
きくなかったので,
2 年間の平均値で林分閣の比
較をした。ヒノキ純林の落葉量は約 2ton/ha ・年
であったのに対して,混交林の落葉量は 2. 7~4.6
-
森林生態系における炭素の循環(河原)
うが,そのーっとして,
ヒノキとアカマツの樹高差をあ
げることができる。落葉量と樹高差との関係を図示する
と,
Fig.5 のようになり,
林齢が進み両種の樹高差が
(L・
hε切
N
\)
混交林間で落葉量 1<::: 差が生じた理由 lとはいろいろあろ
制加
酬縦模
ヒノキ純林より多い。
=ε・』岡田O一H』CコOE 〈
tonJha ・年で林分間の差はあったが,いずれの混交林も
/子一一
。
2
大きくなるにつれて落葉量も多くなる傾向がみられる。
Fig.5.
6
8
アカマツとヒノキの樹高差
(Hp-H c ) と落葉量との関係
分布し,光の利用度が大きく,葉の生産量も多くなる。
R
e
l
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t
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n b巴tween mean height
d
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n
c
e(Hp-H c
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g
h
to
fC
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b
t
u
s
a
Hc:h
それに伴って落葉量も多くなったものと考えられる。し
ラマツ混交林で 2.7tonJha ・年80〕,
4
Hp-Hc (m)
すなわち,樹高差の大きい林分ほどクローネが立体的に
かし,他の混交林における落葉量をみると,
29 ー
ヒノキ・カ
ヒノキ・クロマツ混
交林で 2.8tonJha ・年19) となり,混交林での落葉量が必
ずしも多いとはいえないデータもあるので,今後検討する必要がある。
(4) 林齢と落葉量:一般に若い林分ほど落葉量は多くなる傾向があり,アカ 7 ツ林でみると. 15~18
年生林で 5. 2~5.
5tonJha ・年であったが, これより林齢の商い林分では 3. 0~3. 7tonJha ・年と少なくな
っている。乙れと同じような傾向は蜂屋ら 10) によって報告されている。
これは林齢 20 年前後で林分葉量
が最大になるとともに,生長量も最も大きくなるので,それに伴って落葉量も多くなるものと思われる。
(5)
気候と落葉量: BRAY
& GORHAM 8 )
や RODIN ら叫〉は,世界のいろいろな森林で測定されたリター
f
o
r
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アカマツ幼歯不
You 円 9 日 r
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・引 ~:I', J 判、
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Suh-alpim、I1('Cて11" forcst弓_/ぞ
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10 ト B1 川\d-le川町1
-一ーーーーー・ーー一ーー一ーーーーー一一-
。
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2
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25
30
年平均気温
AnnualmeantemperatureCC)
Fig.6. 年平均気温とリターフォー Jレ量との関係
R
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nbetweenannual meantemperatureandamounto
f
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実線:広葉樹林のリターフォール量の範囲
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famounto
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点
線:アカマツ幼齢林を除いた針葉樹林のリターフォー Jレ量の範囲
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famounto
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r
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s
t
s
-
林業試験場研究報告第 334 号
30 ー
のデータを集め,気候の違いとリターフォー Jレ量との関係を調べている。それによると,
リターフォー Jレ
量は熱待林で最も多くなり,ついで暖温帯林,亜寒帯林となり,緯度が高くなるにつれて少なくなるとい
う。すなわち,気温が低くなるにつれて落葉量は少なくなっている。
この関係を著者の調べた林分の落葉量でみるとく Fig. 6) ,広葉樹林では気温の高い地域にある森林ほ
ど落葉量は多くなる傾向がみられる。一方,針葉樹林では気温との関係ははっきりしないが,アカマツの
幼齢林の落葉量を除けば気温との関係、はほとんどなく,
2.5~4.5ton/ha ・年の範囲の値をとるとみなし
てよいであろう。
2
) 落葉以外のリターフォーノレ量
全リターフォー Jレ中落葉の占める割合が,最も大きく 58~91% であるが,ついで多いのが落校である。
落枝量は林分によってかなり大きな違いがあり,その量は O. 3~ 1
.3ton/ha ・年となり,全リターフォー
Jレ量の 5~19% を占めている。なお,乙こで測定されている落技量は,
林など大枝の落下の多い森林で枝量を測定するためには,
ほとんどが小枝であるが,
天然
トラップを大きくして測定する必要がある。
落葉校以外のもので多いものが,樹皮と球果であるが,樹皮では特にアカマツ林で多く O. 1~0.
2
t
o
n
l
ha・年である。球果・種子の落下量は年により極端な変動が認められ,豊作,凶作の波がみられる。例え
ば,栃木のブナ林で 4 年間測定した結果では 29) ,
ぞれ 0.6ton/ha ・年,
1973 年が並作,
1
.Oton/ha ・年に達するが,
視する程度に少ない。なお,
1976 年が大豊作で,その落下量はそれ
それにくらべて凶作の 1974 年と 1975 年の落下量は無
1976 年の種子の落下量は同年の全リターフォー Jレ量の 20% を占めた。乙の
ような球果や種子の落下量の年変動は,ヒノキなどほかの樹種の林分においても認められる。
これらのほかに花・虫糞などがあるが,これらの量は針葉樹林よりも広葉樹林のほうが多い傾向がみら
れる。
E 落葉落枝の分解
落葉落枝などリターフォー Jレとして樹体から林地に供給された有機物は,土壌微生物や土壌動物の働き
によってしだいに分解されていくが,一部は腐植として土壌中に蓄積される。ととでは落葉や材の分解経
過や気温との関係,樹種による分解速度の違いなどについて検討した。
1
. 落葉の分解率の推定
落葉の分解の時間的経過を知るために,
リタートラップにたまったものを集め,一定量の落葉を寒冷紗
の袋に入れ,それぞれの林の地表に置き,一定期間どとに回収し,落葉の残存重量を測定した。なお,と
のパッグ法は自然状態とはかなり異なるところもあるが.22) ,落葉の分解経過が簡単に求められる ζ とか
ら,ここではこの方法を用いた。
それらの結果をみると師団へいずれの落葉も時間が経過するに伴って分解が進み,その量は少なくなっ
ていく
(Fig. 7) 。すなわち,重量は初年度に大きく減少し,しだいにその減少は緩慢になっていく。言
い換えると重量は時間の経過に伴って指数関数的に減少し,その重量減少は,
y=r kt
で表される。こ乙で , y は落葉の残存率(%),
………………・………・ .(
k は重量減少(分解〕率
(Yr- 1 )
,
1)
tは地表に設置してか
らの時間 (Yr) である。これと同様の傾向は安藤円 OLSON虹〕,堤ら岨〉によっても報告されている。
いずれの落葉も同じような傾向がみられるが,直線の勾配であらわされる重量減少率は,樹種や地域 lと
-
森林生態系における炭素の循環(河原〉
31 ー
2
.
0
.
〉、
∞
時株桜酬馴
由』芸凶
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(ぷ)切
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』一三ε倍
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-ls/パB
1
.
0
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.
5
5
C
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E生 .5
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.
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.
1
1
0
6
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時
3
プナ
x
アカ 7 ツ
*ヒノキ
2
5
3
0
Fig.8. リターバッグ法による落葉の分解率と
Fig.7. 落葉の重量残存率の時間的変化
0
2
0
AnnualmeantemperatureC
C
)
年平均気温との関係
Decompositionr
a
t
eo
fth巴 leaf-litter
observedbyt
h
el
i
t
t
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rbagmethod.
.コナラ
1
5
年平均気温
Time(
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)
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1
0
コ
4
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Fagus cre1叫ta
Quercus s
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b
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.Faguscrenata , 5
.C
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ュ
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.
c
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b
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l
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sglauca , 6
Magnoliaobovata, 8
.G
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s
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p
i
n
e
s
)
.
よって違いがみられる。そ乙で,重量減少率を環境や樹種との関係について検討した。
重量減少率(分解率)
k と年平均気温 T との関係を図示すると,
ば,樹種の違いもあるが ,
F
i
g
.8
のようになる。大きくみれ
k は気温 iと支配され,両者の問には片対数グラフで直線関係にあり,
l
o
gk= O
.7
2
1+O
.0
2
7
7T
で表される。
年平均気温が 8 C 前後で h は O. 2~O.
0
4Yr- 1,
15 C 前後で約 0.5Yr- 1 ,
0
28 C で約 1.2Yr- 1
0
となり,気温の高いところほど重量の減少速度は大きくなっている。すなわち,気温の高いところほど有
機物の分解が早いととになる。
F
i
g
.7
において,針葉樹よりも広葉樹のほうが,
また,
常緑樹よりも落葉樹のほうが上方に位置して
いるものが多い。このことは針葉樹よりも広葉樹の落葉のほうが,また,常緑樹よりも落葉樹の落葉のほ
うが,分解が速いことを表しており,落葉広葉樹,落葉針葉樹,常緑広葉樹,常緑針葉樹の)1買に分解速度
が小さくなる傾向がみられる。このような樹種による落葉の分解速度の違いは,落葉の養分量,
とくにチ
ッ素含有量 IC 大きく影響されていると考えられている姐〉。森林型別にチッ素含有率の大きい)1買にみると,
落葉広葉樹>落葉針葉樹 >72 緑広葉樹>常緑針葉樹となり 52) ,分解速度の大きさの )1頁と同じである。
ζの
ととからもチッ素含有率の大きい落葉ほど早く分解する傾向があるととがわかる。これと同じような結果
について大政・森釦によっても報告されている。
A。層に集積している全有機物の平均分解率 k' は,
k'=一五L
.....… (2)
Lo+F
で求められる 8) 笹山。乙こで ,
ある。なお,
L。は 1 年間の落葉量 (gfm 2 ) ,
F は落葉直前の A。層の有機物量 (gfm 2 ) で
この式は林分の Ao 層有機物が動的平衡状態に達し,
みかけ上は一定量になっているときに
成り立ち, Ao 層全体の平均の分解速度が求められる。
A。層の有機物量および落葉量の測定が共に行われている林分で (2 )式を用いて平均分解率を求める
- 32と,
林業試験場研究報告第 334 号
温帯林のブナ林で O.36Yr- 1 ,
る。落葉が完全に分解し ,
コナラ林で O.45Yr- 1 , 照葉樹林で O.60Yr- 1 , 熱帯林で O.98Yr- 1 とな
A。層から消失してしまうまでの年数は,
温帯林で 2~3 年,照葉樹林で1. 5
~2 年,熱帯林で約 1 年である。乙の結果はリターパッグ法で落葉の分解過程を調べた結果と同じく,気
温が高い地域の森林ほど Ao 層の有機物は早く分解している。
リターバッグ法で求めた重量減少率 (k) と A。層有機物量とリターフォー Jレ量から求めた k' との関
係は次のとおりである 26) 。
毎年林地に供給される落葉が,パッグ内の落葉と同じ分解率で減少していくと仮定すると,落葉から n
年後の重量は,
k
Ln= Loe-n
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(3) 式から,
k'=l-r k または k= ー log
…(4)
(1-k う
が得られる。
ここで l 例として,落葉直前の Ao 層有機物量 (F) が 501g/m 2 ,
1 年間の落葉量 (Lo) が 3 年間の平
均値で 427g/m 2 であるアカマツ林の k および k' ;を求めて比較した。
(2) 式から求めた k' は O.460Yr- 1 であったのに対して ,
に代入して求めると ,
k
'= O
.377Yr-1
=
O
.474Yr- 1 を (4) 式
となった。乙の k' は (2) 式から求めた値よりも小さくなり,一
致しなかった。乙のような違いが生じたのは,
とや,
(1)式で求めた k
リターバッグ法による分解と自然状態とでは分解が違うこ
A。層の有機物には落葉以外に分解の遅い樹皮,実,小枝などが含まれているためであろう。
2
.
2 樹種落葉混合と分解速度
針葉樹の落葉よりもテッ索合有率の高い広葉樹落葉のほうが分解が早い傾向があったととや,一般には
広葉樹林のほうが土壌微生物や土壌動物の数が多く 38)制,また針葉樹 l乙広葉樹が混ざると針葉樹だけより
も土壌動物の数が増えるといわれていることなどから叩,分解速度の遅い針葉 lと広葉を混合すれば針葉
の分解が促進されることが期待される。
乙の問題については,
いままでに幾つかの試験が行われている
が山釦蜘国),はっきりした結果は得られていない。そこで,針葉 lζ 広葉を混合した場合,針葉の分解速度
!とどのような影響を与えるかを検討した。
実験室的には,
ヒノキやアカマツの落葉にチッ栄含有率の大きいヤシャブシの落葉や (NHρ2.S0 4 を
混合して,インキュベーション法で CO 2 発生量の変化を調べた 28) 。
しかし,
混合の効果ははっきりしな
かった。これはこの方法では微生物の分解活動が制限されているうえに,土壌動物の働きの大部分が除か
れているためである。そこでインキュベーション法よりも多少自然状態に近いリターバッグ法を用いて,
混合の効果を推定した 20) 。
ヒノキ落葉をバッグに入れ,隣接したヒノキ林とブナ林に設置し,その重量減少を比較した。その結果
(
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g
. 9) ,
ヒノキ林に置いたものは 3 年間で 43% の重量減少があったのに対して,
プナ林に置いたもの
-
森林生態系における炭素の循環(河原〉
ヒノキ落葉
ヒノキ落葉
Chamaecypariso
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Fig.9. 落葉を異なった樹種の林に置いた場合の分解速度の比較
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.
は 55% の減少があり,ヒノキ林に置いたものよりも早く分解している。
うが,
ヒノキ林の生物相よりも豊富であり,
ブナ林の生物相のほ
すなわち,
ブナ落葉がヒノキ落葉の分解を促進させる効果があったと認
めるととができる。一方,逆にプナ落葉をヒノキ林とプナ林 IC 置いた場合をみると,
葉の分解は,
ヒノキ林 IC 置いた落
プナ林 lζ 置いた落葉よりも遅かった。乙のことからも上に述べたようにヒノキ林の生物相が
プナ林に比べて貧相であるととが推察される。
これと同様の試験として,
た。その結果では,
アカマツ落葉をコナラ林とアカマツ林 lと設置して,
コナラ林 lζ 置いた落葉のほうが分解が早く,
その分解速度を比較し
18 か月日で 60% の重量減少があった。
これに対して,アカマツ林 IC 置いたアカマツ落葉は 45% の重量減少であった。
つぎに,ヒノキ蕗葉をヒノキ純林とアカマツ・ヒノキ混交林に置いて,分解速度の比較を行った 89)0
年間の重量減少率をみるとヒノキ林では 60~75%.
3
混交林では 55~80% となり,純林と混交林とではっ
きりした差はなかった。すなわち,純林と混交林では有機物分解 lと関与する微生物相には違いがあるのだ
ろうが,
ヒノキ落葉の分解速度への影響の違いは小さかった。
-
林業試験場研究報告第 334 号
34 ー
以上みてきたように,ヒノキやアカマツなど針葉樹の落葉に,ブナやコナラなどの落葉広葉樹の落葉を
混合すれば,針葉樹の落葉の分解が促進され,物質循環速度が速められる効果もあるだろう。しかし,針
葉樹に針葉樹の落葉を混合した場合,今回の実験ではその効果ははっきりしなかったので,今後ともこれ
に関するデータを集める必要がある。
3.
材の分解
リターフォー Jレとして林地に供給された太枝や枯死個体の分解速度の推定は,落葉に比べて分解に長時
聞かかることや,測定困難なととなどによって,これに関する報告は非常に少ない 96)加問時〕。
ここでの材の分解速度の推定を,
①
一定の長さの試験中寸(アカマツ,
ヒノキ,カラマツ〉を林床に設置し,その重量の経年的変化の測
定 96)30)
②亜高山帯の縞枯現象にあるシラベ林で,倒れてからの年数が異なるシラベ材の重量測定2引
の二つの方法で行った。なお,シラベ林での倒木してからの年数は,後継樹の年齢から推定した。
材を林床 lこ放置しておくと,分解が進み,しだいに重量は減少していく。乙の変化をアカマツの重さ卸
(長さ 10cm あたり)とその中央直径 D との関係、でみると (Fig.
設定時
10) ,
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o
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. 10. 試験材(アカマツ〕の中央直径の二乗と重量との関係
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森林生態系における炭素の循環(河原〕
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年目
l
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4
年目
log 卸=
O
.2
9
1+1
.080l
o
gD9
となった。時閣の経過に伴って切片,勾配ともに変化し,切片は分解が進むにつれて小さくなり,また勾
配は逆に分解が進むにつれて大きくなっている o
時間と勾配,
時間と切片との関係は Fig. 11 のように
なり,両者の潤にはきれいな直線関係が得られた。乙の関係を使えばその後の重量変化を知ることができ
る。なお,分解 lと伴う勾配の変化は,直径の大きい材など分解速度が遅くなるためである。
材は分解に伴って軽くなっていくが,分解に伴う材の容積
_
.
.
.
.
.
8
の変化がほとんどみられない場合が多い。すなわち,とのこ
1.0 ト---.~
とは分解が進み重量が減少していくに伴って比重(重さ/容
.~
¥
積〉が小さくなっていくことになる。アカマツで重量減少率
と比重との関係をみると (Fig.12) ,重量減少率 (R 凹)と比
¥
重 (p) との聞には直径や経過時間の違いに関係なく一本の
¥
直線
p= O
.5-O
.0
0
5R叫
で近似するととができ,重量減少率の大きい材ほど比重は小
さくなっている。したがって,比重の変化をもって材の分解
o0
程度を表す乙とができる。このととはヒノキやカラ 7 ツの材
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関数的に減少しく Fig. 13) ,残存率 (y) と時間 (A) との
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時間
についてもいえる。
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. 12. 幹材の重量減少率と比重との関係
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林業試験場研究報告
第 334 号
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. 13. アカマツ材の重量減少率の
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. 15. 年平均気温と材の重量半減期
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- 37-
森林生態系における炭素の循環(河原〉
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の関係がみられる。 Fig. 13 からアカマツ材の分解率 (k) を直径階別 lと求めると,直径 1~2cm で分解
率は 0.20Yr-1, 5~6cm で 0.12y γ-1, 9~10cm で 0.07 Yr- 1 となる。
アカマツと同じ方法でヒノキとカラマツの材の分解率を直径の大小 (3~12cm) を含めた平均値で求め
カラマツで 0.17 Yr- 1 が得られる。重量の半減期はヒノキで約 9 年,カラマツ
ると,ヒノキで 0.08 Yr-l,
で約 4 年となり,ヒノキに比べてカラマツのほうがかなり早く腐っていく
とがわかる。
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i
g
. 14 のようになり,分解率を求める
一方,~高山帯のシラベ材の分解経過を比重の変化でみると,
と 0.0064Yr- が得られた。
ζ
乙の結果からシラベ材の比重が生材の 1/2 あるいは 1/10 になるまでの年数
1
を推定すると,約 110 年と約 360 年が得られる。
材の分解速度の違いは,
樹種の違いや直径の大小にも左右されるが,気温の違いにも大きく支配され
る。そこで,年平均気温と材の重量が半分になるまでの年数(半減期〉との関係を熱帯林での値目〉も含め
てみると Fig. 15 のようになり,
材の分解も気温に大きく支配され,気温の高い地域での材の分解は非
常に早いととがわかる。
lV土壊呼吸量
林床 lと落ちた新鮮落葉の分解過程は,リターバッグ法で割合簡単に知るととができる。一方,土壌中の
腐植化した有機物の分解過程を知ることは困難であるが,有機物は分解すると最終的には土壌表面から
C~ として放出される(乙れを土壌呼吸という〉。
この土壌呼吸量を測定する乙とにより,有機物の分解
の季節変化や 1 年間の有機物分解量を知る乙とが可能である。しかし,土壊呼吸量には有機物の分解によ
るものと,根の呼吸によるものが含まれている。したがって,系での炭素の収支を考える場合には両者を
分離する必要はないが,有機物の分解量を推定するためには両者を分離する必要がある。
1
. 日変化と季節変化
土壊呼吸の日変化の測定は,
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3
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J:l乙
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URAS を使った通気法で行った
が,その他の森林での測定方法は
密閉アルカリ吸収法である。
土壌呼吸量の日変化をみると
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. 16) ,正午近くで大きくな
っている場合が多い。乙の変化は
土壌表面温度に支配され,温度の
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土壌呼吸
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上昇に伴って土壌呼吸量も大きく
なっている。
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流量
一方,土壊呼吸量の季節変化を
みると,夏に多く冬 lと少なくなる
傾向がみられる
(Fig. 17) 。乙の
傾向は測定林分すべての土壌呼吸
量にみられる 26)船舶。すなわち,
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. 16. 通気法による土壌呼吸量の日変化
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林業試験場研究報告
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. 17. 土壌呼吸量および平均気温の季節変化
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. 18. 土壌呼吸量と平均気温との関係
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.
森林生態系における炭素の循環(河原〉
有機物の供給は主に1O~1l月に行われているのに対して,
-
39 ー
有機物の分解は 7~8 尽の気温の高い時期に
行われ,分解と供給とに時間的な差がみられる。
前述した落葉の分解速度と気温との間には指数関数的な関係が認められたことからも,
1 日間の土嬢呼
吸量と気温との聞にも同様の関係が成り立っているととが期待される。そ乙で,気温(測定日の最高気温
と最低気温との平均値)と土壌呼吸量との関係を片対数グラフに図示すると,
F
i
g
. 18 のようになり,直
線近似する ζ とができる。乙の回帰式は
l
o
gCO
a= A +BT
で表される。
各林分の勾配 B は,
0
0.03 に近い値を示している。すなわち,気温が 10 C 上昇すると土壌呼吸量がほ
ぼ 2 倍になるいわゆる QI0 キ 2 の関係をほぼ満たしているといえる。
Table3
.
1
年聞の土壌呼吸量
Annuals
oi
1r
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林分
樹
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9
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Pinus
ナ
Fagus
An間n吸土ua壌
量l
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林
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-
林業試験場研究報告第 334 号
40 ー
切片 A は B とは異なり林分によって差がみられる。この違いは年平均気温に影響され,年平均気温の
低いところにある林分ほど大きくなる傾向がある。すなわち,気温の低い地域にある林分ほど土壊有機物
量が多くなる ζ とから,切片 A は土壌有機物量の多い林分ほど大きくなっている。
2
.
1 年間の土鳩呼吸量
1 年間のおよその土壌呼吸量は,上の関係式と各月の平均気温から推定することができる。乙れまでに
報告されている土壌呼吸量とともに Tab!e 3 に示した。著者が求めた 1 年間の土壊呼吸量は1. 1~ 1.
kgCO2 /m
2 • yr
7
で,林分間の差はそれほど大きくはなかった。
これまでに報告されている 1 年間の土壌呼吸量と比較すると,ことで得られた値は,千葉らベ
ら 87>, WANNER仙,
KUCERA
WITKAMP船の値に近かったが,そのほかの値よりもかなり小さく,例えば桐図仙の値
に比べて 1/2~1/3 であった。
乙のように測定者によって土壌呼吸量に違いが生じた原因のーっとして,
測定方法の違いが考えられ
る。測定は大きく分けて二つの方法(密閉アルカリ吸収法と URAS による空気流通法)で行われている。
一般に前者の方法より後者の方法で求めた値のほうが大きく.
KUCERA ら自のによればアルカリ吸収法は
流通法の約 60% の値しか得られず,特 l乙夏期 lζ 大きな差があったという。
そ乙で,
密閉アルカリ法と URAS による空気流通法とを比較検討した。
URAS で求めた CO s 濃度と
i
g
.1
9
流量 (1l/分)とから推定した 1 日間の CO 2 量と,アルカリ吸収法で求めた値との関係、をみると . F
のようになり,両者の値は非常によく一致し, KUCERA ら釦の報告の結果とは異なった。アルカリ吸収法
と URAS の債とが一致したととからも,
ここで求めた 1 か年間の土壌呼吸量が過小評価値であるとはい
えない。
3
.
根の呼吸量の推定
土壌呼吸量から有機物の分解量を推定するためには,土壌呼吸量から根の呼吸量を差し引く必要があ
る。
そとで,苗畑の 15 年生アカマツ林と 5 年生ス
ギ林を使って,立木を含まない一定面積の周囲の
ととろまで切断した根切断区と,自然状態のコン
トロール区で土壌呼吸量を測定し比較した船。
コントロール区の
土壌呼吸量の増加 lとともなって根切断区の土壌呼
吸量も増加するが,一部の点を除けば根切断区の
/
只d
結果を Fig.20 に示した。
制 om)
(』円
ω〈区コ
-何
N万
Eo
\
根を土壌を撹乱しないように深き 30~40cm の
1
0
・4J-
土壌呼吸量はコントロール区のそれよりも小さ
く,アカマツが約 80%.
スギで約 60% である。
乙の両区の差を根の呼吸量とすると,土壌呼吸量
中に占める根の呼吸量の出率はおよそ 20~40%
ぐらいであるといえる。 HABER ら 9) も根の占める
割合を 1/3 と推定している。
コントロール区の 1 年間の土壌呼吸量を,平均
5
1
0
KOH(gC02/ m2 ・ day)
F
i
g
. 19. アルカリ吸収法 (KOH) と URAS
(通気法〉との比較
Co
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Irespirationrates
bythemethodo
fKOHabsorptionand
byt
h
a
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-
森林生態系における炭素の循環(河原)
気温と 1 日の土壊呼吸量との関係から推
6kgCO
/m2
2
アカマツ林で1.
・年,スギ林で 0.48kg ∞'2/m2. 年と
なり,これらを乾物量に換算すると,お
のおの 750g/m 2 • 年と 225g/m 2 • 年とな
る。アカマツ林の値はすでに求めた高木
林とほぼ等しいが,
まだ Ao 層有機物が
ほとんど発達していないスギ林ではかな
り小さい値になっている。
(h
ANE\N切
aHコUHOOML
帽刀
O)
O
HO
一
凶盗暦騨
定すると,
41 ー
1
0
細根の呼吸量が全体の土壌呼吸量中 fr
占める上七率がアカマツ林で 20~ぢ,
林で 40% であると仮定し,
スギ
コントロール区
C
o
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lp
l
o
t(gC02/m 2 ・ day)
この比率と
上で求めたコントロール区の 1 年間の土
壌呼吸量から細根の 1 年間の呼吸量を推
2•
定した。アカマツ林で O. 3
2kgC0
/m
2
19k9CO 2 /m2 ・年とな
年,
スギ林で O.
り,
乙れを乾物量に換算すると ,
150g/
Fig.20.
コントロール区と根切断区との土壊
呼吸量の比較
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図中の数字はコントロール区と根切断区との比
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m2 • 年と 90g/m 2 • 年となる。
アカマツ林で測定した 1 年間のリターフォール量は,葉が 546g/m 2 • 年,その他が 81g/m 2 ・年,合計
量で 627g/m 2 • 年であった。
コントロール区の土壌呼吸量からリターフォール量を差し引いた量を根の
.Table4
. 土壊有機物の分解量と供給量との関係
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7
4
-
林業試験場研究報告第 334 号
42 ー
呼吸量であるとすると, 123g/mJ • 年となり,
いて求めた根呼吸量〈有機物換算で
コントロール区の土壊呼吸量から根切断区のそれを差し引
150g/m l
・年〉に近い値になった。
とれらの結果から根の呼吸量を土壌呼吸量の 30% として,土壌呼吸量が測定されている林分での土壊
有機物の分解量を求め,
リターフォー Jレ量(有機物供給量〉との関係をみたくTable 4) 。
との両者の関係を有機物の供給量と分解量の比率でみると,
O
.44~ 1. 12% となり,
多くの林分で分解
量のほうが大きかった。とのことはしだいに土壌有機物が減少する傾向にあるといえる。ただし,こ乙で
求めた供給量は高木からのリターフォー Jレだけであって,林床植生の枯死量や根の枯死量が合まれていな
い乙と,また,分解量においてもその推定法にまだ問題点も多いととなどを注意しておく必要がある。
4
. 枯死材からの C02 発生量
林床から放出される COJ 量には,土壊呼吸量として測定可能な∞2 量のほかに,
倒木や太い落枝から
の C01 発生がある。
スギやヒノキなどの人工林では,枯死あるいは太技の落下がほとんどないため,それほど大きな問題と
はならない場合が多い。しかし,成熟した天然林などでは,倒木あるいは太い落枝が多いために,とれら
から放出される C0 9 量は,系全体の炭素の動きをみるためには,無視することはできない。
枯死材からの C01 発生量を知るために,試験材料として,分解程度の異なるアカマツとシラベ材を用
いて,アルカリ吸収法で
CO
2 発生量を測定した副 )26)。
材は分解に伴って∞2 ガスを放出していくが,分解の程度(ここでは比重で表す〉によって α為発生
量が異なると考えられるので,乙の両者の関係をみた (Fig. 21) 。バラツキの幅はあるが,傾向としては
材の太さにはあまり関係なし分解が進み比重 P (g/cm 8 ) の小さくなった材ほど CO2 発生量 (mgC0 2 /g)
A
1
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シラベ
アカマツ
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.:林床 11:置いてから 3 年目の材
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.:43年前に倒れた材
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*:林床に置いてから 4 年自の材
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Relationbetweens
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cgravity and CO
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-
森林生態系における炭素の循環(河原)
43 ー
は多く,
00
aP+b
2= -
(a ,
b: 常数〉
の関係が認められる。乙の関係を温度別に求めるとともに林床の倒木量を知ると,それらの倒木から放出
される 1 年間の CO 2 放出量が推定される。
米国 57) が常緑広葉樹林で調べた結果によれば,
地表に蓄積されている枯死木 9.5tonJha から放出され
る 00 2 量は,全土壌呼吸量の 14% に相当したことを報告している。このことからしても枯死木あるいは
太技の分解 iとともなう 00 2 発生量は,系金体の炭素の循環の中では無視できない乙とがわかる。
V
すでに述べたように,
炭素循環
リターフォール量やその分解速度はいろいろ多くの要因に影響されるため,林分
によって大きく異なった。しかし,気温をベースにして整理してみると,
リターフォール量,分解速度と
も一定の傾向がみられた。そこで,炭素の循環速度を気候帯との関係、で整理検討した。
1
.
樹体部での炭素の循環
乾物量は,林齢,樹種,環境条件などいろいろな要因が違うために,林分によって大きく異なる。しか
し,成熟し十分時閣がたった林分では,生長による増加量と落葉技や枯損などによる減少量とが等しくな
り,動的平衡状態に達し,乾物量は与えられた環境や樹種 1 1:応じて一定値に近づくと考えられる。
そ乙で,十分時間がたち成熟しているであろうと思われる天然林で,気候帯別に乾物量をみると,熱帯
多雨林で 30か-400ton/ha88 )89) ,暖帯の九州照葉樹林で 310ton/ha佐久亜寒帯のトドマツ林で 320 t
o
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a
5
9
)
となり,気候帯による違いはあまり大きくはなく,おおよそ 300~400ton/ha ぐらいの範囲に入ってくる
林分が多い。
このように閉鎖した高木林を形成する気候帯の範囲内において,乾物量と気候帯との聞にははっきりし
た関係がみられなかった乙とは,森林が気候帯lζ応じて樹種を変え,その気候にあった生活型をとってい
るためであろう。
平衡状態にある森林の乾物量カξ 気候帯によって大きく違わなかったととは,乾物生産の速度もまた同
様であるということを示しているものではない。すなわち,乾物量は収入と支出のバランスによって決ま
ってくる。収入は光合成作用であり,支出はリターフォー Jレと呼吸による放出である。
収入の光合成量は総生産量(純生産量 11:呼吸量を加えたもの〕で表すととができ,熱帯林で 120tonJha
・年,暖温帯林で 40~80 ton/ha ・年,落葉樹林で 20~30ton/ha ・年の値が報告されており割、気温の高
いと乙ろほど光合成量は大きい。すなわち,樹体の炭素の収入は,高温地域ほど大きいといえる。
乾物量が熱帯から亜寒帯まで大きな違いを示さず,ほぼ同じくらいであるとすれば,熱帯では高い収入
に見合った高い支出があり,また,亜寒帯では低い収入 lと釣り合った低い支出があるととになる。
支出としてのリターフォール量と呼吸量はともに気温の高い地域ほど大きい。前述したリターフォール
量を気候帯別にまとめてみると,熱帯林で 8~15ton/ha ・年,暖温帯林で 3~8ωn/ha ・年,亜寒帯林で
1
.5~3 ton/ha
・年となり,気温が低くなるにつれてリターフォール量は直線的に減少する傾向がある。
以上の結果,樹体での炭素の出入量は気温の高いととろほど多く,炭素の循環速度は大きいといえる。
2
. 土壊中での炭素の循環
林地への炭素の供給量は,高温地域ほど大きいにもかかわらず,林地に蓄積されている炭素量は,気温
-44-
林業試験場研究報告
第 334 号
の高いと乙ろほど少なくなる傾向にある。すでにみたようにリターバッグ法による落葉の分解速度と気温
との関係でも認められたように,
リターとして林地に加えられた有機物は,高温地域ほど速く分解してし
まうためであろう。
そとで,
として ,
現存量調査をした森林において土壌有機物 (A。層も含む〉が動的平衡状態に遥しているもの
k
'=L/C
から平均分解率を求め,分解率と気温との関係を広い地域で検討した。
ただし,供給量としてのリターフォール量が測定されていない林分も多いので,と乙では葉の生産量を
もって供給量とした。葉の生産量としては,落葉樹林では現存量そのものを,また,常緑樹林ではその林
分が何年分の葉を持っているかを推定し,現存量をその年数で割ったものを使った。
ζ のような方法で求めた土壌有機物の平均分解率と積算温度との関係をみると (Fig. 22) ,同一積算温
度の地域においても,局地的な条件の違いや樹種の違いなどに影響され,林分聞にかなりのバラツキがみ
られる。
しかし,
傾向としては気温が高くなるにつれて分解率は指数関数的に増大し,
90 C の亜寒帯林に属するトドマツ林で O. 01~0.
0
Yr- 1
掛り
300~3500C のタイ熱帯林で
0
4
Yr- 1
積算温度が約
附,約 190 C の暖帯の九州照葉樹林で 0.04~0.09
0
0.25Yr- 161 ) 前後の大きな値を示している。
この平均分解率を用いて気候帯別に,林地 i乙落ちたリターが,
どれくらいの年月で完全に分解消失する
かを計算してみた。熱帯林ではわずか 4 年,暖温帯林で 11~25 年,亜寒帯林で 25~100 年ぐらいかかり,
気温の高いととろほど循環速度が速いといえる。
リターフォール量と気温との間には,ほほ一次の直線関係、があり,亜寒帯林と熱帯林との違いは,せい
ぜい 5 倍程度であった。乙れに対して,分解率と気温との聞には,二次曲線的な関係、にあり,亜寒帯林と
熱帯林とでは 20~25 倍の違いがみられる。したがって,林地の炭素量は,
C=L/k' から,ほほ分解率の
差によって決まってくるといえる。
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積算温度
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Fig.22. 土壌有機物の平均分解率と積算温度との関係
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森林生態系における炭素の循環(河原)
45 ー
3
. 系金体の炭素の循環
総有機物量〈樹体 +Ao 層+土壌)と気温との関係を上限値でみると,気候帯にあまり関係せず同じく
らいの 500ton/ha 前後の値をとっているのが多い。
天然林のような森林では,樹体の乾物量と気温との関係はほとんどないのに対して,土壌有機物は気温
の高いと乙ろほど少なくなっている。
このことから高温地域ほど炭素は,樹体部分に相対的に多く集積
し,土壌に少ない傾向にある。
系のもつ総炭素量は,樹体での炭素の循環および土壌中での循環の結果として現れたものであり,系の
もつ炭素量は収入と支出との量的な釣り合いによって決まってくる。すなわち,系内への収入は樹木の光
合成であり,系外への主な支出は樹木の呼吸と土壌呼吸である。
すでに述べたように光合成速度,樹木の呼吸率,分解率ともに気温の高いところほど大きい乙とから,
系金体での炭素の循環速度は高温地域の森林ほど大きいといえる。
VI
施業と有機物の動き
土壌を中心とした有機物の動きをみると,天然林あるいは古い人工林ではある程度安定した状態にあ
る。このことはリターフォールとして供給される有機物量とその分解量とはおよそ釣り合った状態にある
ととになる。
しかし,乙のような安定した森林を伐採収穫すると,
リターフォー Jレ量や分解量などに変化が起乙り,
安定していた有機物の動きに乱れが生じる乙とになる師〕。
また,スギやヒノキなどの保育が遅れた閉鎖林分では林床の植生が消失する結果,地表の有機物や土壌
が雨水で流亡しやすくなり,物質循環系が乱れ,林地の悪化をもたらしやすくなる1) 16) 0
林地保全上, ζ のような物質循環系の乱れをなるべく軽減させるような施業法を取り入れていく必要が
あろう。
1
. 皆伐と有機物の動き
有機物の林地への供給量は,森林を皆伐すると一時的にゼロになるが,後継樹の生長 lζ 伴ってしだいに
供給量は増加していく。しかし,植栽初期でも下刈りによる草や潅木などによる林地への有機物の供給が
ゼロになるととはほんの数年である。その l 例として朗、ヒノキ林およびブナ林伐採跡地の下層植生量の
変化をみると,
Table5 のようになり, 4~5 年目で 4~5ton/ha となっている。新植地では 5~6 年間
毎年下刈りが行われているので,およそとれだけの下層積生量が,毎年リターとして林地に供給されてい
る ζ とになる。乙の量は高木林の平均落葉量と同じかそれよりやや多い量である。
森林が伐採されると,土壌への有機物供給量 IC 変化が起乙るばかりではなく,林地の有機物の分解速度
にも変化が起とると思われたので,
リターバッグ法と土壌呼吸測定法で調べた。
ヒノキとブナの落葉をそれぞれバッグに入れ,それぞれの樹種の林内と伐採跡地におき,それらの重量
減少を調べた盟副 (Table 6) 。
ヒノキの落葉は林内においたものよりも伐採跡地においたもののほうが分解が速かった。しかし,ブナ
の落葉では林内と伐採跡地とで大差なかった。とれは伐採跡地では乾燥のために葉がちぢみ,地表面から
浮き上がり分解されにくくなったためであろう。
ヒノキ伐採跡地で土境呼吸量を測定した結果をみると,ヒノキ林内では1.
5kgC臼1mB • 年であったの
-
林業試験場研究報告第 334 号
46 ー
Tabl巴 5.
皆伐跡地の植生量
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ムラサキシキブ
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スズタケ
Sasa ρurpurascens
スズタケ
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3 年後から毎年 1 回下刈り
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Table6.
リターバッグ法による落葉の分解
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2
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・年とかなり大きな値となった。すなわち,伐採跡地の有機物
の分解量は,林内の約 1. 2 倍になっている。乙れは地表の混度が林内のそれに比べて高くなり,土壌中の
生物の活動を活発化させ,有機物の分解を促進させたためである。なお,ヒノキ伐採跡地での有機物の分
解量は供給量の約1. 5 倍であった。
以上のように森林を皆伐すると,土壌への有機物の供給量が減るに加えて,土壊中での有機物の分解量
-
森林生態系における炭素の循環(河原〉
47 ー
が増えるととになり一時的に土壌有機物が減る ζ とになる。さらに,森林の伐採によって土墳の流亡など
が起こるため,前生林時代に土壌中に蓄積されていた養分量の減少にもつながるととになる。とくに熱帯
地域では土壌有機物量が非常に少ないうえに,気温が高く雨量が多いために,皆伐の影響は大であろう。
ζ のような皆伐による林地の悪化を防ぐ方法のーっとして,なるべく林地の裸地化をさけた択伐のよう
な非皆伐施業を取り入れていくべきであろう。したがって,今後は非皆伐施業と物質循環との関係につい
て,より詳しく検討していく必要があると恩われる。
2
. 混交林と有機物の動き
樹種混交林は単純林よりも光, J](,養分などをより有効に利用するために,物質生産は大きしまた,
単純林よりも雨水による土壌や土壌有機物の流亡防止など環境保全的機能や木材生産機能において優れて
いる可能性が大きいといわれている 82) 。
すでにみたように針葉に広葉を混合すれば,針葉の分解を促進させる効果があるととも巳ヒノキ落葉
のように細かくなる針葉に広葉を混ぜると,土壌や有機物の流亡を防止する効果もある。しかし,針広混
交林を作り上げる乙とは困難な点が多い。そ
のため同じような効果を期待して,間伐によ
り下層植生を導入する方法がとられている。
乙の下層植生量は間伐の強さによって異なる
が (Table 7) ,との効果を量的に表したデー
タは乏しい。赤井ら 1) や苅住15】が人工降雨で
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--一一一・混交林
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土砂流亡を抑えているといえる。
針広混交に対して,ヒノキ・アカマツのよ
うな針々混交では,分解速度の促進効呆はほ
Table7.
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. 23. 林齢と Ao 層有機物量との関係
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林業試験場研究報告第 334 号
48 ー
とんどない。しかし,すでに Fig.5 でみたようにリターフォー Jレとしての有機物供給量は,ヒノキ純林
よりも混交林のほうが多くなる傾向がみられる。また,
Ao 層の有機物量はヒノキ純林 11:比べて混交林で
はかなり多くなり,地表面を覆っている (Fig. 23) 。とのととはアカマツ落葉はヒノキ落葉の飛散や土壌
の流亡を抑える効果があるといえる。とのように樹種混交は環境保全的機能面で優れているととろが多い
ので,今後は樹種によっては混交林の造成を考慮する必要があろう。
引用文献
1
) 赤井龍男・吉村健次郎・真鍋逸平・有光一登・相場芳憲・杉浦孝蔵:人工降雨によるヒノキ林内の
落葉・土壊等の流出移動について (ll) ,下層植生の成立状態の異なる若齢林分のリター,表層土の
移動量, 92 回目林論, 213~214, (
1
9
8
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)
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.Eco1.,
2
) ANDO , M.:L
20,
(
1
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)
170~181 ,
3
) BRAY , J
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.GORHAM:L
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.Adv.Eco
1
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.2,
(
1
9
6
4
)
101~156.
4
) 千葉香三・堤
39 ,
91~99,
利夫:森林の土域呼吸に関する研究(I ),土壌呼吸と気温との関係,京大演報,
(
1
9
6
7
)
5
) CROCKER , R
.L
.andJ
.MAJOR:S
o
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Idevelopmenti
nr
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rBray, A
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.Eco1., 43,
427~448,
(
1
9
5
5
)
6
) CRSSLEY, D
.A. , M.P
.HOGLUNDandJ
.HOGLUNG:A I
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rbagmethodf
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estudyo
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571~573 ,
(
1
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)
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S:Continuousmeasurement o
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7
) EDOWARDS , N.T
fromp
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.Ecology, 54,
40令~412,
(
1
9
6
2
)
8
) GREENLAND, D
.J
.andJ
.L
.M.KOWAL:Nutrient c
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f Ghana.
P
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tandSoiI, 12,
154~174,
(
1
9
6
0
)
k
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g
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s
c
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eUntersuchungderBodenatmung. Flora, 146, 107~157, (
1
9
5
8
)
9
) HABER , W.:ヨ
1
0
) 蜂屋欣二・藤森隆郎・初秋一延・安藤貴:アカマツ幼齢林の葉量および落葉量の季節変化,林試
研報,
191 ,
1
1
) 石井
(
1
9
6
6
)
101~113 ,
弘:アカマツ林土壌における糸状菌の分布に関する研究 (4 ),針葉と広葉の糸状菌群落 lζ
おける影響,島根大農研報,
2, 51~56, (
1
9
6
8
)
1
2
) 伊藤悦夫・稲川悟ー・佐藤
1
3
) 岩坪五郎・堤
修:林内雨の養分循環に果す役割,静大農報,
利夫:森林内外の降雨中の養分量について (ll) ,京大演報,
39, 11~124, (
19
6
7
)
39, 110~124 , (
1
9
6
7
)
1
4
) JENNY, H.:S
o
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cmatter-temperaturer
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nunders
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s
.S
o
i
l
Sci. , 31 ,
1
5
)
247~252,
(
1
9
3
1
)
苅住昇・寺田正男:根系調査, r農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究」試験成績書
(第 5 集), 139~142,
1
6
)
(
1
9
7
9
)
片桐成夫・堤利夫:森林の物質循環と地位との関係について(lV),林地への養分供給量,
誌,
日林
58, 79~85 , (
1
9
7
6
)
1
7
) 河原輝彦・岩坪五郎・西村武二・堤利夫:カンレンボク模型林分における物質の動き,日林誌,
50,
125~134,
1
8
) 一一一一・堤
(
1
9
6
8
)
利夫: L
i
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rf
a
l
l による養分還元量について(I ),養分含有率の季節変化,京大
(
1
9
7
1
)
1
9
7
1
)
1
9
) 一一一一一:同 (ll) ,有機物量および養分量, 日林誌, 53, 231~238 , (
S
U
T
S
U
M
I:S
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fcarbonandn
i
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ni
nt
h
e
2
0
) KAWABARA, T.andT.T
演報,
42,
91~102 ,
-
森林生態系における炭素の循環(河原)
f
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y
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m
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.BuI
.KyotoUniv.For. , 44 ,
2
1
) 河原輝彦・蜂屋欣二・竹内郁雄・佐藤
回目林講要旨集,
141~158,
49 ー
(
1
9
7
2
)
明:地位の違うアカマツ林の Litter fall 量について,
8
3
60, (
1
9
7
2
)
fl
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258~261 ,
(
1
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)
1
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)
2
3
) 河原輝彦:同 (II) , 2 種類の落葉混合が分解速度に及ぼす影響,日生態会誌, 25, 71~76 , (
2
4
)
一一一一・佐藤
2
5
)
一一一一:同 (IV) ,土壌呼吸量中の根の呼吸量の推定,
明:同 (m) ,亜高山帯林での材の分解について,日林誌,
日林誌,
58,
57,
353~359,
357~360,
(
1
9
7
5
)
(
1
9
7
6
)
2
6
) 一一一一・佐藤 明:同 (V) ,アカマツの葉,幹および根の分解率の推定, 日林誌, 59, 321~
326, (
19
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)
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) KAwAHARA , T.:Dynamicsof 鈎il o
132~140, (
1
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7
)
2
8
)
河原輝彦:リターの分解について (VI) ,落葉落枝までの重量変化,日林誌,
2
9
) 一一一一・只木良也・竹内郁雄・佐藤
質生産とその循環,
3
0
) 一一一一・佐藤
日生態会誌,
29,
60,
317~322,
(
1
9
7
8
)
明・樋口国雄・加茂措ー:ブナ天然林とヒノキ人工林の物
387~395,
(
1
9
7
9
)
明・竹内郁雄・只木良也・蜂屋欣二:カラ 7 ツ・ヒノキ混交林におけるリターフ
オール量とその分解,林試研報,
313 ,
79~91 ,
(
1
9
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)
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3
2
)
32~327,
(
1
9
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1
)
河原輝彦・山本久仁雄:ヒノキ・アカマツ混交林に関する研究(I ),物質生産と分解速度につい
て,
日林誌,
64,
331~339,
(
1
9
8
2
)
3
3
) 菊沢喜八郎・渡辺弘之・パイラット・サイチュエ・四手井綱英:林床無脊椎動物の現存量につい
て,京大演報,
3
4
)
(昭44年度),
3
5
)
37,
25~39 ,
(
1
9
6
5
)
吉良竜夫:森林の一次生産力と生産エネノレギー効率,天然林の一次生産力の比較研究班,中間報告
(
19
7
0
)
桐田博充:照葉樹林の土壌呼吸に関する研究,
3
6
) 小林繁男・有光一登・宮川
日生態会誌,
21,
230~244 ,
(
19
7
1
)
清・加藤正樹:森林の皆伐に伴う立地要因の変動 (m) ,斜面形態と
表層物質の動き, 91 回日林講要旨集,
(
1
9
8
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)
3
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) KUCERA , C
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Ecology, 52 ,
912~915,
(
1
9
7
1
)
3
8
) 中根周歩:三タイプの極相林における土壌有機物の循環比較と総合的考察,
~172. (
1
9
8
0
)
3
9
) OGAWA ,
H. ,
日生態会誌,
30, 1
5
5
K.YODA , K
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49~80,
(
1
9
6
5
)
4
0
) 大内幸雄・安藤辰夫・沢田善一・青山雅行・小寺伸一・鈴木重蔵:亜高山帯の森林施業 IC:::関する研
究( II) ,亜高山帯林の生産構造と生産力について (1) , p
.32 ,名古屋営林局, (
19
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9
)
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4
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)
322~331 ,
(
1
9
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3
)
大政正隆・森経一:落葉に関する二・三の研究,帝室林試研報,
3,
39~107 ,
(
1
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)
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1
9
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7
)
4
4
) RODIN , L
4
5
) 斉藤秀樹:森林におけるリターフォール研究資料,京府大演報, 25, 78~89 , (
1
9
8
1
)
誠:人吉事業区コジイ天然生林の調査報告, p
.53 ,住友林業, (
1
9
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2
)
4
6
) 四手井綱英・堤利夫・管
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)
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568~571 ,
(
1
9
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8
)
利夫・杉山利治・田村安男:アカマツ落葉の分解 lと対するヒメヤシャプシ落葉混合の影響,日
林講,
63 ,
150~152,
(
1
9
5
4
)
(
1
9
5
6
)
4
9
)
一一一一:林木落葉の分解について,京大演報,
5
0
)
一一一一一:森林の成立および皆伐が土墳の 2, 3 の性質に及ぼす影響について(第 1 報),森林の成
26,
59~87,
34, 37~64, (
1
9
6
3
)
KHENAMARK:タイ国の森林土壌における物質量とその循環,東南アジ
立にともなう土壌の性質の変化,京大演報,
5
1
)
一一一一・菅
ア研,
4,
95~126 ,
誠・ CHOOB
(
1
9
6
7
)
5
2
) 一一一一・河原輝彦・四手井綱英:森林生態系における物質循環について(1),個体および林分
の地上部の養分量,日林誌, 50, 66~74, (
19
6
8
)
5
3
) WAKSMAN , S
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)
543~547,
(
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)
渡辺弘之:森林における大型土壌動物の落葉粉砕と土壌耕転に関する研究,京大演報,
44 ,
1~19 ,
(
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)
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(
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)
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9
) 回大学合同調査:森林の生産力 IC 関する研究(第 1 報), 北海道主要針葉樹林について, 国策パJレ
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(
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