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研究開発 マーケティングナビゲータ2007 - Nomura Research Institute

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研究開発 マーケティングナビゲータ2007 - Nomura Research Institute
研究開発 マーケティングナビゲータ2007
企業の広告宣伝戦略の再構築
1.日本と米国のメディア産業の動向
2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
3.日本企業の広告宣伝戦略をめぐる現状と課題
4.日本企業の広告宣伝戦略に関する提言
2008年3月
研究創発センター
サービス事業コンサルティング部
上席コンサルタント 日戸浩之
マーケティングナビゲータ・プロジェクト/企業の
マーケティング(広告宣伝)戦略提案チーム
野村総合研究所アメリカ
1.日本と米国のメディア産業の動向
①日米生活者のメディア接触時間の変化
実は日米ともに生活者の「テレビ視聴時間」は増加傾向にある
„ テレビ、ラジオ、新聞、雑誌という、いわゆる「マスコミ4媒体」(米国ではTraditional Media)への生活者の接触は、インター
ネットや携帯電話等の「新媒体」の急速な普及と相まって、相対的に低下しているはずである。
„ 確かに、日米ともに新聞、雑誌という「紙媒体(プリント・メディア)」に対する接触(読む時間数)は明らかに低下傾向にある
が、テレビといった「放送媒体」に対する接触(視聴・聴取時間)は増加傾向にある。
z 米国では地上波の視聴時間は減少しているが、ケーブルテレビは飛躍的に増加しており、全体としてテレビの視聴時間は増加している。
z 日本でも、テレビ視聴時間は増加傾向にあるが、その最大の要因は人口の高齢化である。但し、民放の視聴率は低下傾向にある。
„ 但し、日米ともに消費の中核と位置づけられる若年層のTraditional Mediaに対する接触は低下傾向にあるのは事実であ
り、マスメディアの活用に際してもセグメンテーションとターゲティングの重要性が高まっている。
日本人のメディア接触時間数の推移
(1人当たり年間、時間)
米国におけるメディア接触時間数の推移
(1人当たり年間、時間)
2000年
2005年
2005年
-2000年
メディア接触計
3,340
3,543
203
テレビ
1,502
1,659
157
うち地上波
812
679
-133
うちケーブル
690
980
290
100
172
72
インターネット
1995年
テレビ視聴
インターネット
1,267
-
2000年
2005年
2005年
-1995年
1,300
1,331
64
-
89
-
(出所)NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」から、平日
を年間261日、土曜・日曜をそれぞれ年間52日として1人当た
り年間時間に換算。
(出所)Veronis Suhler Stevenson, Communications Industry Forecast
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1
1.日本と米国のメディア産業の動向
②日米の広告費支出の変化
日米とも広告支出総額はGDP成長率と相関しており、年々増加傾向にある
„ かねてより広告支出の伸びはGDP成長率と強い相関があると言われているが、その傾向は日米ともに近
年になっても依然として変わりがない。
z 米国の広告支出総額は概ねGDPの2.5%、日本は1.4%(1985年以来、日本の総広告費は対GDP比1.1~1.2%とい
うのが通説であったが、2007年に電通が総広告費の推計方法を変更したため、突如上昇した)。
„ 米国の広告費支出の中で、テレビ広告費は一貫して増加している。インターネット広告費は急成長している
ものの、まだラジオ広告費の水準には至らず、いわゆるマスコミ4媒体を凌駕・代替するには至っていない。
„ 日本の広告費支出は、2007年に総額が7兆円台に達するなど増加しているが、マスコミ4媒体の広告費は3
年連続して減少。一方でインターネット広告とプロモーションメディア広告の伸びが顕著。
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
20
01
年
20
02
年
20
03
年
20
04
年
20
05
年
20
06
年
百万ドル
米国広告費の推移
日本の広告費推移(2005~2007年)
テレビ
ラジオ
新聞
雑誌
インターネット
屋外
折込広告・チラシ
総広告費
マスコミ四媒体広告費
新聞
雑誌
ラジオ
テレビ
プロモーションメディア広告費
衛星メディア関連広告費
インターネット広告費
広告費(億円)
2005年
2006年
68,235 100.0% 69,399 100.0%
37,408 54.8% 36,668 52.8%
10,377 15.2%
9,986 14.4%
4,842 7.1%
4,777 6.9%
1,778 2.6%
1,744 2.5%
20,411 29.9% 20,161 29.1%
26,563 38.9% 27,361 39.4%
487 0.7%
544 0.8%
3,777 5.5%
4,826 7.0%
2007年
70,191 100.0%
35,699 50.9%
9,462 13.5%
4,585 6.5%
1,671 2.4%
19,981 28.5%
27,886 39.7%
603 0.9%
6,003 8.6%
(出所)電通
(出所)TNS Media Intelligence
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1.日本と米国のメディア産業の動向
③日米のメディア産業の経営状況
日米共に伝統的なメディア産業の経営はテレビ・ラジオ・新聞広告の伸び悩みで低成長に
„ 米国のメディア産業の経営状況
z 伝統的なメディア産業の経営は、既に低成長となっている。
• 米国メディア産業の中でも最も伝統的な企業の一つである The New York Times Company の経
営状況の推移(2004年~2006年)を見ると、広告収入、販売収入ともに頭打ちの状況が顕著である。
• 2005年から包括的なWebサービスである「About.com」を開始し、バナー広告だけでなくEコマース
の分野にも進出しているが、まだ全社的な収益の貢献には至っていない。
„ 日本のメディア産業の経営状況
z 日本の放送局の経営は9割が広告収入。特に地方局になるほど収益源の多様化は図られておらず、明るい展望が描
けるものではない。
z 日本の新聞社の経営は販売収入と広告収入から成るが、販売収入からは利益がほとんど上がらない構造になってい
る。新聞社においては広告収入が経営を下支えしていると言っても過言ではないが、その広告収入も新聞業界全体で
は減少傾向にあるため、将来展望の見えない危機的な状況にある。
新聞経営における収入構成の推移
2002年度(99社)
2003年度(98社)
2004年度(96社)
2005年度(96社)
2006年度(96社)
総売上高
23,721
100.0%
23,576
100.0%
23,797
100.0%
24,193
100.0%
23,325
100.0%
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販売収入
12,747
53.7%
12,640
53.6%
12,525
52.6%
12,562
51.9%
12,532
53.7%
単位:億円
広告収入 その他収入
7,709
3,265
32.5%
13.8%
7,544
3,392
32.0%
14.4%
7,550
3,674
31.7%
15.4%
7,440
4,191
30.8%
17.3%
7,074
3,720
30.3%
15.9% (出所)日本新聞協会「新聞年鑑」
3
1.日本と米国のメディア産業の動向
④日米メディア産業の経営戦略
米国Traditional Media企業と日本企業ではネット等の新規メディア対応が根本から異なる
„ 米国のメディア産業(Traditional Media)の経営戦略
z テレビ、新聞、雑誌といったTraditional Mediaの戦略は、いずれもコンテンツのアウトレットをできる限り増やし、従来の媒体以外からも消費
者の視聴・購読を促し、広告料を少しでも多く取ることに尽きる。
▪
ネット上でも存在感を高めている米国の放送局や新聞社
z 海外戦略としては、日本の市場に関心がなく、アジア市場のターゲットは中国に向かっている。
▪
日本の市場は既に出来上がっており、参入が難しいという認識が一般的。
„ 日本のメディア産業の動向
z (法律上の制約もあるのは事実だが)放送局も新聞社もネット展開には著しく消極的。
▪
その結果、ネット上での消費者からの存在感はあまりない。
z 改正放送法で、メディア集中排除原則が緩和されたことに伴い、キー局-ローカル局、新聞社-放送局などグループ化が加速。外資や新興
企業(楽天やライブドアなど)からの買収を阻止するとともに、新聞・テレビ・ラジオなどのTraditional Mediaが広告を囲い込む戦略。ひたすら
「守り」の戦略をとっているといえる。
„ こうした相違が出るのは、日米の広告代理店の役割の違いの影響も大きい。
日本と米国の広告取引の相違
日本
米国
‹広告会社は媒体社との結びつきが強い
‹広告会社は媒体枠の販売側と購入側とに分化して競
争し(1930年代)、購入側が主流になった
‹有力な広告会社が極めて少数なため、一業種一社制は不 ‹有力な広告会社が多数存在し、一業種一社制が実現
可能
可能
‹不透明な市場(相対取引中心、既存広告主優先、競合広 ‹オープンな市場を形成(様々な取引方法が考案・実施
告主排除、口頭取引等の慣行)
され、書面取引)
‹コミッション方式
‹フィー方式等様々な報酬制度
• 電通が民放各社の株主になった(1950年代)
(出所)公正取引委員会「広告業界の取引実態に関する調査報告書」(平成17年11月)
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4
1.日本と米国のメディア産業の動向
④日米メディア産業の経営戦略
英語圏のメディア産業は第二次再編期に
„ 英語圏のメディア産業は、1990年代から2000年頃にかけて大きな再編を経験した。その核になったコンセプトは、「映像コ
ンテンツの多重活用」と「既存メディアとネットメディアの融合」
z 出版大手のタイム社と映画大手のワーナー・ブラザースが合併してタイム・ワーナーが誕生した後、2000年にAOLと経営統合した。但し、AOL部門の不振から2003
年以降は再びタイム・ワーナーに。
z 映画大手のウォルト・ディズニーは、3大ネットワークのABCを傘下に。
z 2003年、電機大手のGEは、フランスのヴィヴェンディと、それぞれのメディア部門を統合してNBCUを設立。3大ネットワークのNBCはその傘下に。
z オーストラリアの新聞王ルパート・マードックが英国で「タイムズ」や「サン」を買収した後にB Sky Bを立ち上げて放送分野に進出。米国では映画大手の20世紀フォッ
クスを買収した後、放送分野にも進出し、フォックス・ネットワークを既存の3大ネットワークに次ぐ規模に育成。
„ 2007年、ニューズ・コーポレーションによるダウ・ジョーンズの買収、加トムソンによる英ロイターの買収が起こる。これらは
2000年頃までの映像コンテンツの多重活用やネットとの融合を目指したものとは明らかに異なる。
z 直接的に収益を生むコンテンツである経済・金融情報の獲得であり、金融機関や事業会社向けにB2Bのサービスを拡大しようとしているところが、B2Cのサービスに
偏っていた従来のメディア産業と異なる。
„ ちなみに、日本のメディア産業は、こうしたダイナミックな動きとは無縁。
„ 日本の新聞業界は、Webサイト等のネットメディアに記事を配信することは「新聞紙」購読者を減らし、自らの首を絞める行
為につながるものとして非常に消極的であった(自社サイトも、朝夕刊発刊後に記事を掲載するのが原則)。しかし、ここに
きて新たな動きも若干ながら見られるようになってきている。
ANYプロジェクト
2007年10月に、朝日・日経・読売3紙がインターネット分野の共同サイトを立ち上げることを発表。2008年1月から3紙
の読み比べが可能となる「新s(あらたにす)」が開始された。
47News
3大紙と競合関係にある地方紙52紙は、共同でニュースポータルサイト「47 NEWS」を運営している(ポータルの運営
は共同通信社、広告は電通扱い)。地方紙単独では取りにくいネット広告を共同で獲得していくのが狙い。
産経新聞
2007年10月からマイクロソフトと提携し、MSNにニュースを供給していくことになった(それまでは毎日新聞がMSNに
ニュース供給していた)。速報性の高いニュースについては、新聞の発行を待たずにWebに記事を掲載する「ウェブ・
ファースト」の姿勢を掲げている。
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1.日本と米国のメディア産業の動向
⑤日本のメディア利用の特徴
„ 日本におけるインターネットのサイト利用をみると、動画共有やSNS、CGM系のサイトの利用時間が多い。
„ 日本におけるネットメディアの利用は、ライトコミュニケーションや携帯利用という面が特徴。
SNS
mixiやモバゲータウンの利用が多い
• mixiは日本オリジナルのサービス。携帯
からの利用が多い
• モバーゲータウンは、携帯専用のゲーム
兼SNSサービス
動画共有
ニコニコ動画の方が、利用者1人あたり
でみると、訪問回数も平均時間も多い
• ニコニコ動画は日本オリジナルのサービ
ス。中身のコンテンツよりも、その上に
載っている書き込みを見る場としての利
用が多いとみられる
その他の
CGM系サイト
2chやブログサイトの利用が多い
• 2chは日本独自の掲示板サービス。匿名
利用、携帯対応が特徴。
• 日本のブログは、携帯対応。
„ 日本では、将来、このようなユーザーサイドのユニークなネットメディア利用の状況が、メディア供給サイドに
対して大きな変化をもたらす可能性がある。
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
勢いを失ってきたテレビCM
„ 番組視聴率とCM視聴率に大きな差が生じている
視聴率至上主義の崩壊
„ その他、広告クラッター(広告が氾濫している状態)の問題が深刻化し、あまりにCMが多いため、
番組に対する視聴者の満足度が低下
テレビCMが信用できなくなった広告主
„ 総広告費に占めるテレビ広告費の割合は減少傾向
„ CMは、露出(exposure)よりも、消費者との関り方(engagement)が重視される時代に
消費者はマス広告は介入的(Intrusive)
欲しいのは、実質的な価値のある
(relevantな)情報
„ テレビCMも、デモグラフィックによるターゲティングは行われているが、視聴者のライフスタイル
とか、ライフステージとかはそれほど考えられていない。大多数の人に向けてメッセージを発信
している
„ マス広告はお仕着せがましいところがある(見たくないのに見させられている)
„ 一方で、消費者のライフスタイルに変化が生じている。映像も音楽もオンデマンド化
„ 消費者は、自分に関係のないものはどんどん排除し、時間を有効に使いたいと思っている
リッチメディア化が進んだインターネット。
„ Web2.0(次世代Web)として、CGM(Consumer Generated Media)が出現
これまでMedia Consumerだった消費者
がMedia Generatorへ
注目されているインターネットだが・・・
伸びは高いが、実は金額はまだ少ないイ
ンターネット広告
„ 企業はまだ、広告費の多くをマスメディアに投入している
米国のメディア別広告費内訳(2005年)
Direct mail
19.8%
Radio
7.4%
Newspaper
17.7%
Yellow Pages
5.3%
Broadcast TV
17.5%
Consumer magazines
4.6%
Cable TV
8.2%
Internet
2.6%
出所)AdvertisingAge, 2006 Fact Pack
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
動きの激しいネット広告市場
„ ネット広告市場は急速に成長しているが、広告媒体は寡占化
z Googleがネット広告市場の4割を獲得。それに、大手ポータルサイト(Yahoo!、AOL、MSN)が続く
z 2007年上半期、米国ではTop10サイトがインターネット広告売上げの7割を占めた
„ では、Googleのひとり勝ちは続くのか
z Googleが広めた検索連動型広告やアフィリエイトのPPC(Pay Per Click)広告市場に、赤信号がともり始めている
▪ PPC市場でもクラッターの問題が発生(混雑しすぎてクリックする気にならない)
▪ サイトトラフィックやクリック数が購買行動に繋がっていない
▪ 検索連動広告がネットユーザに信頼されなくなってきている(むしろブログなどの口コミ情報を信頼する傾向)
„ 更に、ポータルサイトの優位性が揺らぎ始めている
z 少し前まで誰もが目指した「ポータルサイト」だが、最近は地位が低下
z 広告主のサイト評価の軸が、ページビュー数からサイト滞在時間にシフト
▪ サイトのリッチメディア化が影響。YouTubeのようなサイトはページ数は稼げないが、滞在時間が長い
z ポータルサイトのページビュー数が伸び悩み
▪ SNSなどのソーシャル系サイトのページビューが爆発的に急増
„ 1年前には常識だったことが、すぐに当てはまらなくなってしまう市場
z 同じビジネスモデルで稼ぐ期間が短い。常に市場の変化を見極め、迅速に対応する能力が必要
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
ネット上で展開されているのは、広告費がかからない広告 - つまり「クチコミ」
マス広告よりも信頼されるクチコミ情報
„ 消費者は、信頼しているブロガーや情報提供者のコンテンツをsubscribe(定期購読)するようになっている
z A-List blogger/A-Lister(アルファブロガー)、Influencerなどの言葉が出現
z また、サブスクライブするためのしくみとして、注目しているWebサイトに新しい情報が掲載された際に知らせが来る、
RSSフィーダーなどの仕組みも現れた
z 更に、信頼・共感する人が注目しているサイトを知るために、ブックマークを共有する仕組みや、より的確な情報を得る
ために情報にタグをつけて(タギング)、それを共有する仕組みも現れた
あなたは、以下のどの広告/情報を信頼しますか?
0
10
20
30
40
50
60
70
90
%
100
78
他の消費者からの推奨
63
新聞
61
オンライン上にある他の消費者の意見
60
ブランドのウェブサイト
テレビ
56
雑誌
56
54
ラジオ
49
ブランドのスポンサー内容
49
登録したメールサービス
38
映画館で見る広告
34
サーチエンジン広告
26
オンライン・バナー広告
携帯電話のテキスト広告
80
※欧州、アジアパシフィック、アメリカ、中東
の47市場の26,486人を対象に調査を実施
18
出所)Nielsen Online Global Consumer Study, April 2007
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
【参考】 消費者の購買行動の変化
„ 消費者が、自分の体験を共有できる場を持ったことにより、購買行動プロセスに変化が生じた
従来の消費者の購買行動プロセス:AIDMA
Attention
(注意)
Interest
Desire
Memory
Action
(関心)
(欲求)
(記憶)
(行動)
ネットにおける消費者の購買行動プロセス
Recognition
Search
(認知)
(検索)
主にマスメディア
検索エンジン
Alternative
(比較・検討)
商品・店舗など
のサイト
Experience
(体験)
商品・サービス
のサイト
Share
(共有)
SNSやブログ
(CGM)
情報の共有が、それぞれのプロセスに影響を及ぼす
Dr. Robert Blackwell (Ohio State University)
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
クチコミの取り込み策を模索中のアメリカの広告・マーケティングビジネス
【事例紹介】
„ 一般企業の動き
z ソーシャル・メディア・ニュースリリースを採用する企業が増加
▪ マスメディアだけでなく、クチコミを支えるソーシャルメディアにもニュースをリリース
„ マーケティング会社/調査会社の動き
z オンライン調査にSNSを活用
▪ Nielsenがオンライン調査のためのSNSを設立
„ ネット企業(ネット広告の広告媒体企業)の動き
z 大手ネット企業がこぞって広告会社を買収
▪ 新しいフェーズを迎えるネット広告
z Widget/Gadget広告の出現
▪ ネット広告のリッチメディア化がもたらした、ブランディング広告の復興
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
事例1 ソーシャル・メディア・ニュースリリース(SMPR/SMNR)を採用する企業
„ マスメディア向けの「プレスリリース」だけでなく、ブログやSNSなどのソーシャル・メディア向けに、「ソーシャル・メディ
ア・ニュースリリース」(SMPR/SMNR)を採用する企業が増えてきている
・ソーシャル・メディアでニュースが伝播することを期待
・その他、そのニュースのSociability(社交性)を高めるための手法としても注目されている
Cisco
„ 「Cisco Connected Life コンテスト」に関するプレスリリース
・Ciscoが開催する、Cisco Connected Life コンテストへの参加を募るプレスリリース
・このコンテストは、家庭やオフィス、移動中にネットワークを使ってどんなコミュニケーションがしたいか、どんなこ
とができれば嬉しいかという夢を、1000ワード以内、もしくは簡単なビデオで表現するというもの。優勝者には1
万ドル、優秀賞として10人に1000ドルが与えられる
・このコンテストの紹介のために、通常のプレスリリース以外に、ソーシャル・メディアリリースも用意されている
„ このコンテストは、YouTubeやSecond Life、Del.icio.usやDiggなどのSNSを使っても紹介されてお
り、これらへのリンクが、ソーシャル・メディアリリースの中に書かれている
・こういったSNSを使っているのは、SNSを介してこのコンテストがクチコミで広がっていくのを期待しているため
GM Europe
„ GM Europeは、プレスリリースをソーシャル・メディアリリースに統合
・トップページ右上のアイコンをクリックすると、Social Media Newsroomに飛ぶ。そこで特定のニュースを選んで
クリックすると、ソーシャル・メディアニュースリリースにたどり着く
・GM Europeの例は、ソーシャル・メディアニュースリリースの典型例
„ 各ソーシャルメディアニュースリリースには、主要SNSのアイコンが並んでおり、ユーザは自分が登
録しているSNSのアイコンをクリックするだけで、自分のブログなどにリンクを貼ることができる
・また、この画面の下方には、ユーザからのトラックバックやコメントを受け付ける仕組みも設けられている
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
事例2~事例4 米国の広告・マーケティングの動向
事例2:
オンライン調査
に使われる
SNS
„Neilsen社もオンライン調査にSNSを活用
・2007年9月に、音楽、テレビ番組、映画、俳優・タレント、ウェブサイトなどについて、消費者の意見を集めるSNS
「Hey!Nielsen」をベータ公開
・Neilsenは、このサイトを「映画やテレビ番組に、自分の意見を反映させる場」として紹介
意見を述べたり、意見に反応するためには登録(無料)が必要
事例3:
大手ネット企業
の広告会社買
収戦略
„大手ネット企業の広告会社買収が続いた2007年前半
・4月 GoogleがDouble Click社を買収へ(買収金額31億ドル)
Yahoo!がRight Media社を買収へ(買収金額6.8億ドル(株式の80%を買い増し))
・5月 AOLがモバイル広告のThird Screen Media社を買収(買収金額非公開)
AOLがAdTech AGを買収(金額非公開)
マイクロソフトがaQuantive社を買収へ(買収金額60億ドル)
・7月 AOLが行動ターゲティング広告会社のTacoda社を買収(買収金額非公開)
・9月 Yahoo!がWeb広告会社BlueLitium社を買収(買収金額3億ドル)
事例4:
Gadgetを広告
メディアとして
活用する
Google
„Gadgetは、現在、正式提供に先立ちベータテストを実施中
・広告主は、Googleの広告配信サービス「AdSense」を利用して、Gadget Adsを配信することが可能
・広告掲載料金は、クリック課金制とインプレッション課金制のどちらかを選択可能
・広告主は、サイトの内容、ドメイン、地域、ユーザ層について広告のターゲット設定を行える
・ユーザは、Gadget広告リストの中から気に入ったものを選んで、各自のブログやホームページポータルに組み込
むことが可能。ただし、これらの広告の掲載に対する報奨金は発生しない
・つまり、自分の個性を表現するコンテンツの一つとして、気に入ったブランドの広告を選んで自分のサイトに掲載
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
企業のインターネットを活用したマーケティングの事例
Nike
話題となる活動を実施することで消費者のネット上のコミュニ
ケーションを活発化させた。
„ ランニングデータの保存が可能なNike+というバーチャルなコ
ミュニティサイトを設立し、消費者間のコミュニケーションの場を
提供
„ 消費者に対してコミュニケーションの場を提供するだけではなく、
マラソンレースでの特殊イベントの実施など、クチコミで伝わりや
すい機会を設けて、そこでの話題を提供することで消費者のコ
ミュニケーションを活発化させている。
トヨタ
ターゲットとなる若年層に対し、マスメディア以外の広告で情報を発信
„ 米国のトヨタ自動車はマスメディア以外を中心としたマーケティング活
動を実施。ターゲットである若者向けブランド「サイオン」の北米での売
上を伸ばした。
„ 自社のホームページには商品情報以外のコンテンツを掲載してター
ゲット層の来訪を促進
„ 若年層のバーチャルコミュニティでは将来顧客のブランドロイヤリティ
確立のためのキャンペーンや広告を実施するなど、ターゲットに応じた
ブランディング活動を実施。
„ 米国では総広告費の約7割をマスメディア以外の広告費として
支出している。
P&G
ネット上の店舗を訪れる顧客の反応を分析してマーケティング
施策に反映
コカ・コーラ
2007年、コカ・コーラは日本で広告の予算配分を見直す取り組みを実
施し、従来のテレビ中心の広告から雑誌広告や屋外広告を重視した予
算配分へと変更を進めている。
„ 米国でティーン向けと母親向けの2つのクチコミネットワークを立
ち上げている。
„ キャンペーンの実施期間を2つに区分し、それぞれで予算配分の異な
る広告を実施する実証実験を行う。
„ ティーン向けのネットワークでは、同世代の意見形成に影響力
がありそうな消費者を集めており、クチコミネットワークを通じた
パートナー企業の商品に対する評価や新商品についての情報
伝達を行っている。
„ 2007年1月~9月までのコカ・コーラの販売を見ると、「毎週1回以上は
飲む」愛飲者の割合が前年同月期に比べて426万人も増加していた。
Copyright(C) 2008 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
„ コカ・コーラは実証実験後、雑誌広告、屋外広告を増やした予算配分を
各ブランドで進めている。
14
2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
インターネット広告の効果測定
„ インターネット広告はログなどにより、詳細なデータを多く収集できるため、広告測定効果を算出しやすいメディアであると考
えられている。米国でのインターネット広告に対する効果測定は1995年10月にCASIEが打ち出した「インタラクティブメディ
アのオーディエンス指針」から開始された。日本においては1996年2月にビデオリサーチがインターネット効果指標研究会
を立ち上げたのが最初となる。
„ インターネット広告の効果には「インプレッション効果」「トラフィック効果」「レスポンス効果」の3つの効果がある。広告掲載
の目的に応じて、効果とコストの測定を行っていくことが望ましい。
z インプレッション効果:広告に接触することによる消費者に影響する効果。実際には広告の出稿量を用いる。
z トラフィック効果:クリックによってウェブサイトに導く効果。
z レスポンス効果:クリックによって具体的なアクション(資料請求、購買)が起こる効果。
インプレッション効果
ウェブ閲覧
トラフィック効果
広告認知
レスポンス効果
広告クリック
行動
インターネット広告の効果測定のために用いる指標:
•
•
•
•
•
•
CPC(Cost per Click):1クリックあたりにかかるコスト。「広告費÷クリック数」で算出。
CPA (Cost per Acquisition):顧客や会員の1件獲得あたりにかかるコスト。「広告費÷獲得件数」で算出。
CPM (Cost per Mill):1000ページビューあたりにかかるコスト
CTR (Click through Rate):表示された回数あたりにかかるクリック数。「 クリック数÷表示回数」
ページビュー:ユーザーのブラウザにページが表示された回数
ヒット数:ユーザーのPCにダウンロードされたファイルの数。
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2.米国の広告ビジネスと企業のマーケティング戦略
【参考】広告効果測定の現状
インターネットメディアについても、独立した評価指標が存在
„インターネットの出現により、消費者のレスポンスが比較的精緻に取得できるようになっている
が、従来のマスの効果測定と融合してるとはいえず、まだそのデータを活かしきれていない
インターネットと4マスの指標の違い
主な測定指標
4マス
(テレビ・ラジオ・
新聞・雑誌)
収集データの特徴
広告認知率
態度変容系が中心
商品・ブランド認知率
(アンケートが中心となるため、サン
プル数や方式によりデータの信頼
度が変動しやすい)
企業・クリエイティブ好感度
視聴率
対費用に見る特徴
伝統的に、商品の売上げ
やシェアを目標変数にしや
すく、マクロ的なROIに陥り
やすい
商品・ブランド購入意向
インターネット
インプレッション数(アド、PV)
レスポンス系が中心
クリック率
(データそのものの精度は高く、即
時性もある。但しサンプルに偏りが
出ること、媒体毎に算出ロジックに
微妙にずれがある場合がある)
コンバージョン率
インターネット視聴率
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CPCやCPAなど、非常に
部分的なROIに陥りやすい
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3.日本企業の広告宣伝戦略をめぐる現状と課題
日本企業の広告宣伝活動の現状
1.メディア構造変化
„ 生活時間におけるメディア消費は、新聞・雑誌といった旧来メディアからビデオやインターネット
へと移行
„ 特に若年層において4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の利用習慣の低下傾向が著しく、その代
替メディアとして趣味・娯楽・教養に含まれるインターネット利用が伸びている
„ インターネット広告が対前年比約25%増で伸びており、ラジオ、雑誌を抜いている
„ 広告主側の企業でも、特にインターネット広告に関しての配分意向が強くなっている
„ 高年層においては4マスメディアの利用が継続する可能性が高いが、若年層から中年層にかけ
てのリーチには他のメディアを検討する必要がある
2.企業の広告宣伝
活動の現状
„ 広告代理店に関しては、日本の広告事業の特徴として、ワンストップサービスを受けられる点と、
費用の不透明性が表裏一体である点は意識しておく必要がある
„ 広告業界の取引実態に関する不透明性は、公正取引委員会からも問題視されている
„ 近年は、通信インフラの急速な発展を背景に、広告の出稿媒体に関しても、大幅に選択肢が広
がりつつある
„ ネット広告市場は急拡大しており、各広告主が取り組みを行っている。ただし、従来の広告媒体
とは異なり、露出形態・課金体系の多様性やセルフサービス的な要素を多分に含んでいる
„ 販促費の比率は上昇している
„ 販促費の負担は重く、メーカーの利益を大きく圧迫している
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3. 日本企業の広告宣伝戦略をめぐる現状と課題
企業の広告宣伝活動の課題
課題
具体策のイメージ(例)・具体的論点
TVCMからネット等の新メディアに資源をシフトすべき
メディア間資源配分の見直し
(TV・新聞⇒ネット等へのシフト)
ターゲットと喚起すべき行動を考え計画する
(今のターゲットならまだ4マスか?といった議論を行え
るようにする)
媒体費としてかかっている費用を番組制作費やPR企画
の人件費にシフトすべき
どうやって適切な資源配分を実現する組織にするか。
効果測定と資源配分についての基本原理⇒組織設計
(測定できるもの中心/所管のオーナーにまかせる/・・・)
(コミュニケーション全体のコントロールタワーを持つ/分散
/・・・)
宣伝部・広報部等に分かれている機能の統合・再編
パブリシティのプロの増強と養成 (ネットのセンスも含めて)
宣伝⇒パブリシティのシフト
論客を自社のシンパにするような活動を行う
TVCMへの資源をDMやネット系囲い込みにシフト
すなわち媒体費をCRM企画人件費にシフトすべき
CRMや個別販促策へのシフト
長期的な構造変化を睨んだ体制・仕組みづくりの必要性
「仕込む」「消費者のウケを読む」スキルを向上させる
どうやって適切な資源配分が実現する組織にするか。
効果測定と資源配分についての基本原理⇒組織設計
販促と宣伝の切り分けの組織
マス媒体は未顧客&休眠顧客向け対応、CRMは顧客
向けと割り切るという考え方
新しい考え方の枠組みと新管理手
法と新スキルセット
の確立の必要
メディア戦略企画機能が必要 (何のために誰に何を伝える
か、そのために何を仕込むか)
CM-PRミックス、新メディアミックス Buzzマネジメント等の概念
機能横断的に動ける組織
計測しにくい費用対効果の管理
各部門が囲い込んでいる顧客/市場情報を共有させる
顧客(+社会)の声に「耳を澄ます」
仕組みの必要
宣伝・広報・営業施策への反応をコールセンターログや
ネットから収集した定性情報でつかみ、施策へフィード
バックするサイクルをつくる
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顧客からの情報の見える化
全情報源、全活用部署をカバーする顧客の声活用系のた
めの組織をつくり、課題管理を行う会議体と情報フローを作
る
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3. 日本企業の広告宣伝戦略をめぐる現状と課題
マーケティング関連組織間の情報の共有が課題
„ マーケティング関連組織が縦割りの組織運営になっているため、実施した調査の共有化がなされていない
ことが多い。
調査結果の情報共有が出来ていないと・・・
マーケティング部
製品A受容性
調査
製品A
製品比較調査
製品B受容性
調査
製品B
製品比較調査
商品企画部
広告宣伝部
製品A受容性
調査
製品B受容性
調査
「製品AとBの受容性比較調査」1本を実施して共有すれば十分
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3. 日本企業の広告宣伝戦略をめぐる現状と課題
定期的な効果測定によるPDCAサイクルの確立の必要性
„ 広告の出稿実績や効果検証を含む毎年の活動実績を蓄積していくことにより、翌年以降の広告活動を精緻
化していくプロセスが必要である。
z 毎回設定する「コンセプト」の精度を高めるためには、コンセプトを評価する指標としての実績値が必要
z 実績値は、広告代理店、市場データ、自主調査をはじめとする複数ルートから入手し、定期的に蓄積する
z 結果は、次回のコンセプトへの反映だけでなく、代理店評価や新しいデータ収集の基礎データとして利用できる
定期的な蓄積
■広告出稿の実績値
広告代理店
TV-CMの出稿、到達・認知・内容理解・商品
購入喚起に関する視聴者の態度変容の確認
■ACR調査(ビデオリサーチ)
一人の生活者に対して媒体接触状況と、消
費・購買状況を同時に調査
等
コンセプトとの合致の確認
■CMカルテ(ビデオリサーチ)
市場データ
次回のコンセプトメイクへ反映
パーコスト(視聴率1%あたりのコスト)
等
広告代理店の評価/変更への判断材料
新しいデータ収集(調査)の必要性の検討
■アドホック型調査
自主調査
意識・実態調査、ベンチマーク調査、顧客満
足度調査や製品評価調査
等
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人的リソース変更へのリスクヘッジ
2007/4Q
2007/4Q2007/3Q
2007/3Q
2007/2Q
2007/2Q
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4.日本企業の広告宣伝戦略に関する提言
広告の変化の展望
„ マスメディアからインターネットへのシフトは、もはや避けられない。
z インターネット広告市場の着実な増加
z 新聞、雑誌の広告の凋落。但し、テレビは依然大きな影響力を維持
„ 但し、このシフトは徐々に起きるということから、メディア産業側はコングロマリット化を進めることで、そのシフトの影響を吸収してしまう可能性が
高い。テレビは依然として大きな地位を占めることから、広告のパラダイムチェンジがいわゆるサプライサイドから起きるとは考えにくい。
テレビの位置づけ-日米では多少、事情が異なるが依然として大きな影響力を維持-
日本
生活者のメ
ディア接触
„ テレビ視聴時間は微増
z 主な理由は少子高齢化
z ながら視聴(テレビとネット)
メディア産業
の特徴
米国
„ テレビ視聴時間は微増
z テレビ視聴時間が長いヒスパニック系人口の増
加
„ 情報源としてのネット活用は進むが、す
べてを信じている訳ではない。
„ CATVの普及
„ 地上波テレビの媒体価値が高い。
„ 4大ネット以外は、チャンネルが細分化
z 全国ネットである程度の水準の視聴率を
確保
z 規制に守られた典型的な「ガラパゴス」
の産業
„ 放送法の改正により、今後、民放キー
局を核としたコングロマリット化が進む
可能性がある。
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z ブロードバンド回線の普及は日本より遅れる
„ クロスメディア戦略が進んでいる。
z 広告を傘下の様々なメディアで流す。
„ マスメディアといえども、常にM&Aの圧力にさ
らされている。
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4.日本企業の広告宣伝戦略に関する提言
メディアの変化に伴う企業のマーケティング・アプローチ
生活者へのアプローチ手段
サプライサイドの動向
„ マス広告からインターネットへ
広報
z 但し、テレビは依然大きな影響力を維持
„ 広告から販促(SP、CRM等)へ
„ 広報、PRの重視→広告との連動
„ メディア産業はコングロマリット化するこ
とで、すべてをカバーする方向へ
PR
マスメディア
インターネット
企業
マス広告
マスメディア
インターネット広告
インターネット
SP
SP広告(チラシ等)
(広告主)
各種販促策(値引き、
キャンペーン等)
• •クロスメディア・コミュニ
クロスメディア・コミュニ
ケーションの可能性
ケーションの可能性
• •ユーザー分析に基づく
ユーザー分析に基づく
セグメンテーション、広
セグメンテーション、広
告・販促効果分析、そ
告・販促効果分析、そ
れに基づく施策、投資
れに基づく施策、投資
提案の可能性
提案の可能性
• •生活者向けのレコメン
生活者向けのレコメン
デーション、評価情報に
デーション、評価情報に
対するニーズの高まり
対するニーズの高まり
コーポレートブランド
CRM
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DM
生活者
流通チャネル
ダイレクト
需要サイドの動向
„ テレビの視聴時間は微増
ポイント
コンタクトセンター
z 但し、視聴者は高齢化
z CMスキップ問題も顕在化しつつある
„ インターネット情報の活用は進むが、全
てを信じている訳ではない(使い分け)
„ 元々、値引きには敏感に反応
„ ポイントへの関心の高まり
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4.日本企業の広告宣伝戦略に関する提言
企業のマーケティング戦略に向けた提言
1. クロスメディア・コミュニケーションの展開
z メディアの多様化により、複数のメディアを組み合わせたプロモーションが可能になってきた。
▪ マスメディア×インターネット
▪ インターネット×SP広告
z さらにいえば、広告宣伝×広報、コーポレートブランドも含めて考える必要が出ている。
2. 広告の効果測定とその結果の活用
z 広告主企業側から、広告活動の効率化、最適化を図るためには、メディア側に対して、効果測定による情報武装が必要
▪ 広告の効果測定、マーケティングROIの算出に米国の先進企業は取り組んでいる。
▪ インターネットは効果測定がしやすいメディア
▪ <参考>NRIのインサイト・シグナル事業(シングルソースデータに基づくマーケティング関連指標の提案)
z 効果測定を行う上で、重要なのはユーザーのセグメンテーション
▪ 従来のマスメディアには、セグメンテーションの概念はない。
3. 広告宣伝に関するPDCAの運用体制
z 広告効果測定指標等を用いたKPIの設定
z クロスメディア・コミュニケーションを推進する組織のあり方
▪ マーケティング関連組織の統合、連携
▪ 機能別組織(広告宣伝部、調査部等)の役割の明確化
▪ 顧客対応部門、広報・PR部門との連携
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