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人工知能学会研究会資料
SIG-SW&ONT-A301-03
MMM (Meta-Model Management) プロジェクトの構想
和泉 憲明† 福田 直樹‡ 山口 高平‡
†産業技術総合研究所 サイバーアシスト研究センター
〒135-0064 東京都江東区青海 2-41-6
‡静岡大学情報学部 〒432-8011 静岡県浜松市城北 3-5-1
E-mail: †[email protected],‡{fukuta, yamaguti}@cs.inf.shizuoka.ac.jp
あらまし Tim Berners-Lee により提唱された セマンティック Web は,オントロジーが切り拓く次世代 Web と
して盛り上がりをみせ,今では,さまざまな研究開発分野のキーワードとして登場している.そして,セマンティ
ック Web の定義や期待は,関連分野の技術発展とともに,今後も変化し続けると思われる.本稿 では,MMM
(Meta-Model Management) という観点から,知識工学の研究技術をセマンティック Web のコンセプトとして具現化させるプロジ
ェクトについて,その構想などを紹介する.
キーワード
セマンティック Web,メタモデル,多粒度リポジトリ,オントロジー開発と利用
MMM: Project Concept of Meta-Model Management
Noriaki IZUMI† Naoki FUKUTA‡ and Takahira YAMAGUCHI‡
†Cyber Assist Research Center (CARC),
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
2-41-6 Aomi Koto-ku Tokyo
135-0064 Japan
‡Department of Computer Science, Shizuoka University
3-5-1 Johoku Hamamatsu Shizuoka 432-8011 Japan
E-mail: †[email protected],‡{fukuta, yamaguti}@cs.inf.shizuoka.ac.jp
Abstract The Semantic Web, proposed by Tim Berners-Lee, has been paid much attention as the ontology-enabled Web
tomorrow. Recently, various areas of research and technology is forming their further expectation with continuous
development and the changing definitions. This report tries to figure the concept of ongoing project, which aims at promoting
the knowledge-engineering technologies by regarding metamodel management paradigm as the Semantic Web viewpoint.
Keyword Semantic Web, Meta-Model, Multi-Grain-Size Repository, Development and Use of Ontologies
1. は じ め に
イ ン タ ー ネ ッ ト 網 の 急 速 な 整 備 と , e-ビ ジ ネ ス の 普
などを検討しているが,具体的な発展のイメージは明
確 で は な い . こ れ に 対 し て , Web サ ー ビ ス は , 次 世 代
及 に と も な い , 最 近 の セ マ ン テ ィ ッ ク Web へ の 期 待
Web の 動 的 側 面 を 支 え る 分 散 計 算 環 境 の 基 盤 と し て ,
は,単なる情報流通基盤からサービス流通基盤をも包
企業主導で急速に具現化されようとしている.現時点
含し,次世代の企業間連携やユーザ利用環境の確立が
で Web サ ー ビ ス は , 米 国 MS(マ イ ク ロ ソ フ ト )社 の .
予 感 さ れ る よ う に な っ て い る . な か で も , 次 世 代 Web
NET
( ド ッ ト ネ ッ ト )や IBM 社 を 中 心 と す る J2EE( JAVA
に階層的な概念構造の導入を提唱した,米国国防総省
2 Enterprise Edition)関 連 製 品 の 共 通 仕 様 と し て の 側 面
DARPA を 中 心 と し た DAML プ ロ グ ラ ム は , オ ン ト ロ
が強い.このため,企業間連携に直結するようなビジ
ジー記述の枠組みだけでなく,サービス記述の枠組み
ネスプロセスなどの記述概念に対して,知識工学技術
03-1
人工知能学会研究会資料
SIG-SW&ONT-A301-03
として確立されている領域固有のオントロジー構築技
術などとの乖離が懸念されている.このため,セマン
MR3
テ ィ ッ ク Web の 思 想 的 な 枠 組 を ,実 現 可 能 な 枠 組 み と
RDFS+RDF管理ツール
して推進させる具体的な概念は,いまだ明確化されて
い な い [1].
RD
開 FSコ
発
支 ンテ
援
ン
技 ツ
術
一方,著者らは,領域オントロジーの構築支援環境
DODDLE(a
Domain
Ontology
rapiD
DeveLopment
MMM
ル
デ
モ 境
DF 環
R
用
利
(Meta-Model Management)
Environment)や , ビ ジ ネ ス ア プ リ ケ ー シ ョ ン 構 築 支 援
DODDLE
環 境 Lord Bader (Layer-Organized Repository BaseD
領域オントロジー構築環境
Business Application Development EnviRonment) の
LoadBader
セマンティックWeb
+Webサービス
Webサービス連携環境
研究開発を通して,オントロジー構築から利用を統合
的 に 考 え る こ と の 重 要 性 を 認 識 し て い る [2]. そ し て ,
知識を循環させるというオントロジー構築の統合利用
図 1. メ タ モ デ ル 管 理 プ ロ ジ ェ ク ト の 構 想
のコンセプトが,新たな内容指向の研究技術としての
セ マ ン テ ィ ッ ク Web の 発 展 に つ な が る も の と の 認 識
にいたった.
そ こ で ,本 稿 で は ,セ マ ン テ ィ ッ ク Web を 推 進 す る
コ ン セ プ ト は ,さ ま ざ ま な Web コ ン テ ン ツ に 付 加 さ せ
るべきメタ情報の管理である,との観点から,企業応
用システム合成の基盤として整備した多粒度リポジト
リ を ,領 域 固 有 の オ ン ト ロ ジ ー 構 築 技 術 に よ り 展 開 し ,
こ れ を , RDF コ ン テ ン ツ に 特 化 し た セ マ ン テ ィ ッ ク
Web ツ ー ル と し て 帰 結 さ せ る , と い う メ タ モ デ ル 管 理
のコンセプトを提案する.そして,このコンセプトか
ら 展 開 し て い る MMM( Meta-Model Management)プ ロ
ジェクトの概要を述べる.
2. メ タ モ デ ル 管 理 に 基 づ く セ マ ン テ ィ ッ ク
3. メ タ モ デ ル 管 理 に 基 づ く Web サ ー ビ ス 連 携
3.1. Webサービス連 携 のための多 粒 度 リポジトリ
本プロジェクトでは,我々が従事した多粒度リポジ
トリのモデルである 3 階層意味モデルを,企業応用の
Web サ ー ビ ス 連 携 へ 応 用 す る こ と に よ り , メ タ モ デ ル
管 理 の コ ン セ プ ト の 具 現 化 を 目 指 す .具 体 的 に は ,EIS
( 企 業 情 報 シ ス テ ム ), EAI(企 業 応 用 統 合 ), B2B( 企
業間連携)の3つの枠組みをメタモデル管理というコ
ンセプトの元、統一的なモデルの中で取り扱う.ここ
では,ビジネスアプリケーションにおける「企業間連
携 概 念 ,企 業 活 動 の プ ロ セ ス 概 念 ,ソ フ ト ウ ェ ア 概 念 」
の 3 段階の展開プロセスを,コンテンツ間の関連とし
て 捉 え ,そ れ ぞ れ ,「 企 業 間 連 携 の 抽 象 概 念 ,企 業 活 動
Web と Web サ ー ビ ス の 統 合
概 念 ,Web サ ー ビ ス と し て 提 供 さ れ る SOAP/XML の サ
本 プ ロ ジ ェ ク ト で は ,セ マ ン テ ィ ッ ク Web を 推 進 す
ービス概念」として対応付ける.これにより,多粒度
る 技 術 と し て ,RDF の よ う な 十 分 に 発 展 し て い る メ タ
の概念階層定義のライブラリ化をセマンティックし,
コンテンツ記述の枠組みを,企業活動モデルや企業間
ユーザ端末などから汎用的に利用するために各リポジ
連 携 モ デ ル を 駆 動 源 と し た Web サ ー ビ ス の 動 的 な 連
トリコンテンツの連携機構の実現を目指す.
携を展開することにより,オントロジー構築研究の新
たな展開を目指す.
こ こ で は , 単 に , 企 業 モ デ ル を RDFS に 基 づ い て 管
理 し ,企 業 活 動 を ソ フ ト ウ ェ ア と し て モ デ ル 化 し ,Web
サービスの合成として実現するだけでは不十分である
と考える.これに対して,我々は,オントロジー構築
と同期した企業モデルの構築に関する試行錯誤と,試
3.2. 多 粒 度 リポジトリの設 計
ビ ジ ネ ス ニ ー ズ を 駆 動 源 と し て Webサ ー ビ ス 連 携 を
達 成 す る た め に は , 次 の 3つ の 段 階 が 必 要 で あ る .
1.
タ ス ク を 明 示 化 す る こ と に よ り ,事 業 活 動 を 明 確
行錯誤を介したビジネスプロセス管理に基づく業務改
化 す る エ ン タ ー プ ラ イ ズ の モ デ リ ン グ ( B2Bレ ベ
革,ならびに,ビジネスモデルに基づくソフトウェア
ア プ リ ケ ー シ ョ ン 合 成 な ど を , RDFs コ ン テ ン ツ の 利
用の元に,統合的な解釈を与えることを目標とする.
ル)
2.
業 務 内 容 を 一 連 の 処 理 の 流 れ に よ っ て 表 し ,詳 細
化 す る こ と に よ り , Webサ ー ビ ス の プ リ ミ テ ィ ブ
以上のコンセプトの元に,本プロジェクトは,
へマッピングするためのワークフローモデリン
DODDLE[5], LoadBader[4], MR 3 [3]の 3 つ の サ ブ プ ロ ジ
ェクトから構成される.
ビジネスニーズにおいて必要とされるビジネス
グ ( EAIレ ベ ル )
3.
Webサ ー ビ ス と し て 提 供 可 能 な ア プ リ ケ ー シ ョ ン
構築のためのアプリケーションのモデリング
03-2
人工知能学会研究会資料
SIG-SW&ONT-A301-03
( EISレ ベ ル )
ントロジーの研究開発が成熟しつつある.しかし,実
用レベルのオントロジーを考えると,領域オントロジ
そこで,本研究では,各段階に対して,粗粒度リポ
ーは,概念数の膨大さと概念の意味の専門性が高いこ
ジトリ,中粒度リポジトリ,細粒度リポジトリを開発
とから,その構築はユーザに委ねる部分が多く,多大
することにより,アプリケーション構築を支援する.
な開発コストを要している.
また,各リポジトリを利用するためのツールとして,
本プロジェクトでは,メタ情報コンテンツのライフ
それぞれ,エンタープライズモデルエディタ,ビジネ
サイクルを考え,これをメタモデル管理の下に位置づ
スプロセスエディタ,コンポーネント連携パターンエ
け , 概 念 階 層 に 特 化 し た 構 築 支 援 環 境 DODDLE(a
デ ィ タ を 開 発 す る . 各 ツ ー ル の 入 出 力 は XML に よ り 与
Domain Ontology rapiD DeveLopmentEnvironment),概 念
えられ,そのためシームレスにデータを交換すること
階 層 と 概 念 定 義 の 両 方 を 構 築 支 援 す る DODDLE-II の
が可能である.本支援環境の概要を図2 に示す.
発展を推進する.
4.2. 領 域 オントロジー構 築 支 援 の概 要
Merge and Edit
Enterprise Model
Business Process
Editor
Extract Business Process Pattern
from Task
Merge and Edit Business
Process Pattern
DODDLE で は ,領 域 オ ン ト ロ ジ ー を 構 築 す る た め に ,
Component Relevance
Pattern Editor
Workflow Model
Search Enterprise Model
Business Task HAS-A Structure
Enterprise Model
Editor
電 子 化 辞 書 (MRD)と テ キ ス ト コ ー パ ス を 用 い て , 領 域
Extract Component Relevance
Pattern from Business Process
Primitive
オントロジーの構築を支援する.
Edit Component Relevance Pattern
MRD は 多 数 の 概 念 を 対 象 と し た 概 念 階 層 構 造 を 持
Generate Source Code
っており,領域オントロジーの概念階層構造を構築す
Enterprise
Model
Library
Business Task
Ontology
Coarse-Grain-Size Repository
Business
Object
Ontology
Business
Process Pattern
Library
Middle-Grain-Size Repository
Component
Library
る た め の 基 盤 と し て 利 用 可 能 で あ る .し か し ,MRD の
Component
Relevance Pattern
Library
概念階層構造と問題領域における概念階層構造には,
Fine-Grain-Size Repository
対象領域の違いにより,種々の差異があると推定され
る .DODDLE で は 3 つ の 戦 略 を 用 い て こ れ の 修 正 を 支
図2. 多粒度リポジトリの基本設計
援する.
概念定義構築においては,概念定義を整理している
MRD が 少 な い こ と や ,概 念 定 義 が 対 象 領 域 に 大 き く 依
3.3. 関 連 研 究 との比 較
存 す る こ と な ど か ら ,MRD の 利 用 は 困 難 で あ る と 思 わ
Web サ ー ビ ス と セ マ ン テ ィ ッ ク Web の 融 合 は ,次 世
代 Web の 究 極 の 課 題 と し て ,欧 米 で 取 り 組 ま れ つ つ あ
れる.そこで,対象領域に関するテキストコーパスを
り,アムステルダム自由大学はデータベースをキーと
利 用 す る . 汎 用 的 な 情 報 し か 持 っ て い な い MRD に 比
し て ,MIT で は プ ラ ン ニ ン グ 技 術 を キ ー と し て 融 合 を
べ,テキストコーパスからは,より専門性の高い情報
目指しているが,具体的な提案にはいたっていない.
が得られると期待できる.
最 近 , MS 社 , IBM 社 , BEA 社 の 3 社 に よ る ビ ジ ネ ス
システムへの入力としてテキストコーパスと計算
プ ロ セ ス 記 述 と Web サ ー ビ ス の 連 携 に 関 す る 共 同 提
機 可 読 型 辞 書 WordNet を 用 い ,出 力 と し て 領 域 オ ン ト
案( BPEL4WS)が 提 出 さ れ て い る が ,「 case」,「 switch」,
ロ ジ ー を 獲 得 す る . DODDLE は , 1) 概 念 抽 出 モ ジ ュ
「 wait」 と い っ た シ ス テ ム 制 御 的 な 側 面 が 強 く , 次 世
ー ル , 2) 概 念 階 層 構 築 獲 得 モ ジ ュ ー ル , 3) 概 念 定 義
代の動的な企業間連携の基盤確立には,企業間モデル
構 築 獲 得 モ ジ ュ ー ル ,4) イ ン タ ラ ク シ ョ ン モ ジ ュ ー ル
との関連確立が強く望まれている.
と い う , 4 つ の モ ジ ュ ー ル か ら 構 成 さ れ る ( 図 3).
以上に対して本研究は,企業間連携モデルと次世代
Web を 統 合 す る た め に ,Web サ ー ビ ス と セ マ ン テ ィ ッ
WordNet
ク Web を 融 合 す る と い う 課 題 を 達 成 す る も の で ,欧 米
計算機
可読型辞書
で 先 行 し て い る 次 世 代 Web 研 究 に 対 し て ,Web 上 で の
user interface
概念抽出
モジュール
テキスト
コーパス
領域概念
概念階層獲得
モジュール
動的企業間連携といった日本発の新たな試みを内外に
概念定義獲得
モジュール
先立って発信するものである.
概念階層
(初期モデル)
4. 領 域 オ ン ト ロ ジ ー 構 築 支 援 環 境 に 基 づ く メ
タモデル管理
4.1. 領 域 オントロジー構 築 支 援 環 境 DODDLE
user interface
インタラクション
モジュール
概念仕様
テンプレート
領域
オントロジー
領域オントロジー開発コストの軽減を目的として,
“ オ ン ト ロ ジ ー 学 習 ”の キ ー ワ ー ド の 下 ,さ ま ざ ま な オ
図3. オントロジー構築支援環境の構成
03-3
人工知能学会研究会資料
SIG-SW&ONT-A301-03
らわすが,同一のデータモデルで表現される.このた
DODDLE を 構 成 す る 4 つ の 機 能 モ ジ ュ ー ル の 概 要
め ,既 存 ツ ー ル で RDF と RDFS が 混 在 し た コ ン テ ン ツ
を 扱 う 際 に は , 両 者 が 混 在 し て し ま う た め , RDF と
は次のとおりである.
1. 概 念 抽 出 モ ジ ュ ー ル
RDFS を 区 別 す る こ と は ユ ー ザ の 負 担 と な る .
テキストコーパスを入力し,形態素解析などを利用
このような課題に対して,本サブプロジェクトでは,
RDF と RDFS の 関 係 を モ デ ル と オ ン ト ロ ジ ー の 関 係 と
してそこから重要な領域概念を抽出し,出力とする.
してとらえ,その関係の管理を支援するメタモデル管
2. 概 念 階 層 構 築 獲 得 モ ジ ュ ー ル
理 ツ ー ル を 提 案 す る .同 時 に , Java 言 語 を 用 い て 試 作
概 念 抽 出 モ ジ ュ ー ル で 抽 出 さ れ た 領 域 概 念 と MRD
し た ツ ー ル :MR3(Meta-Model Management based on
と を 記 号 レ ベ ル で 照 合 し ,利 用 可 能 な 部 分 木 を 抽 出 し ,
RDFs Revision Reflection) に つ い て の 簡 単 な 実 験 及 び
初 期 モ デ ル を 構 築 す る .さ ら に ,3 つ の 戦 略 を 用 い て ,
その評価と,今後の展開について述べる.
対象領域に特化した修正箇所候補を同定する.
5.2. RDF のためのメタモデル管 理
3. 概 念 定 義 構 築 獲 得 モ ジ ュ ー ル
本サブプロジェクトにおけるメタモデルとは,モデ
テキストコーパスから,共起性に基づく手法によっ
ル 構 成 要 素 (RDF リ ソ ー ス の タ イ プ 及 び RDF プ ロ パ テ
て,概念定義関係があると思われる概念対を抽出し,
ィ )を 表 現 す る モ デ ル で あ る .RDF リ ソ ー ス の タ イ プ を
概念仕様テンプレートを構築する.
表 現 す る モ デ ル は , RDFS ク ラ ス で あ る . RDF プ ロ パ
テ ィ を 表 現 す る モ デ ル は , RDFS プ ロ パ テ ィ で あ る .
4. イ ン タ ラ ク シ ョ ン モ ジ ュ ー ル
RDF と RDFS は モ デ ル と メ タ モ デ ル の 関 係 と し て と
概念階層の初期モデルと概念仕様テンプレートを
ら え ,こ こ で は ,メ タ モ デ ル 管 理 と し て ,RDF と RDFS
統合した後,ユーザとのインタラクションを通して,
を 分 離 し て 両 者 の 関 係 を (半 )自 動 的 に 管 理 す る こ と を
領域オントロジーを完成させる.
目 指 す . 具 体 的 に は , メ タ モ デ ル に お け る RDFS ク ラ
ス 及 び RDFS プ ロ パ テ ィ と ,モ デ ル に お け る RDF リ ソ
4.3. メタモデル構 築 支 援 技 術 としての展 開
ー ス の タ イ プ 及 び RDF プ ロ パ テ ィ を 適 切 に 対 応 付 け
る . メ タ モ デ ル 管 理 の 概 念 を 用 い る こ と で , RDF と
本 サ ブ プ ロ ジ ェ ク ト で は ,共 起 性 に 基 づ く 手 法 に よ る
テキストコーパスからの概念関係抽出方法と,それを
RDFS の 間 の 区 別 を 明 確 に で き , RDF と RDFS の 間 の
利用したオントロジーエディタを提案している.そし
一貫性を自動的に保持することが可能となる.
て,法律分野におい
て 実 験 し , そ の 有 用 性 を 確 認 し た . WordSpace と 相
Meta-Model(RDFS)
関ルールを用いてテキストコーパスから抽出した概念
仕 様 テ ン プ レ ー ト は ,再 現 率 が 50%を 越 え た こ と か ら
RDFS Class
見て,共起性に基づく手法を活用する範囲では,十分
rdfs:Resource
RDFS Property
rdf:Property
に機能していると言える.
ex:Book
今後は,オントロジー構築をメタ情報コンテンツの
ライフサイクルの中に位置づけ,より実践的なドメイ
ex:Person
ex:author
Model(RDF)
ン へ の 適 用 を 目 指 し て ,セ マ ン テ ィ ッ ク Web の 技 術 と
Resource
して発展させる予定である.
ex:author
Marvin Minsky
The Society of Mind
ex:Book
5. メ タ モ デ ル 管 理 の た め の 支 援 ツ ー ル の 構 築
Resource
Property
ex:Person
Resource Type
5.1. RDFs コンテンツとメタモデル管 理
セ マ ン テ ィ ッ ク Web は , W3C に よ っ て 標 準 化 が 行
図4. RDFコンテンツとメタモデル管理
わ れ て い る RDF(Resource Description Framework)及 び
RDF Schema(RDF Vocabulary Description Language)を
図 4 は ,RDF コ ン テ ン ツ の た め の メ タ モ デ ル 管 理 の
基 礎 と し た ,次 世 代 Web と し て 最 も 有 望 な 候 補 で あ る .
コ ン セ プ ト を 示 し て い る . 図 4 の RDFS ク ラ ス
RDFs 文 書 の 編 集 を 支 援 す る た め の ツ ー ル は い く つ
ex:Book と RDF リ ソ ー ス “ The Society of Mind” の タ
か 提 供 さ れ て い る が , そ れ ら の 主 な 機 能 は , RDFs 文
イ プ は 対 応 関 係 に あ る こ と を 示 し て い る . RDFS ク ラ
書 を RDF デ ー タ モ デ ル に 基 づ い て 視 覚 的 に 表 示 す る
ス ex:Person と RDF リ ソ ー ス “ Marvin Minsky” の
こ と で あ る .RDF と RDFS は 意 味 的 に 異 な る 概 念 を あ
タ イ プ , RDFS プ ロ パ テ ィ ex:author と RDF プ ロ パ テ
03-4
人工知能学会研究会資料
SIG-SW&ONT-A301-03
ィ ex:author も 同 様 に , 対 応 関 係 に あ る こ と を 示 し て
は ,RDF リ ソ ー ス ,RDF プ ロ パ テ ィ ,RDF リ テ ラ ル の
いる.本プロジェクトでは,これらの適切な対応づけ
間の関係を有向グラフで表現し,各要素の属性の編集
に 基 づ き ,メ タ モ デ ル 管 理 支 援 ツ ー ル の 実 現 を 目 指 す .
を 行 う こ と が で き る . ク ラ ス エ デ ィ タ で は , RDFS ク
5.3. メタモデル管 理 ツールの実 装
集を行うことができる.プロパティエディタでは,
ラ ス 間 の is-a 関 係 を 表 現 し , RDFS ク ラ ス の 属 性 の 編
前節で述べた設計に基づいて,プロトタイプツー
RDFS プ ロ パ テ ィ 間 の is-a 関 係 を 表 現 し ,RDFS プ ロ パ
RDFs
ティの属性の編集を行うことができる.アトリビュー
Revision Reflection)を Java 言 語 で 作 成 し た . 図 5 は ,
トダイアログには,各要素の属性を表示し,編集する
3
ル :MR (Meta-Model
Management
based
on
ことができる.名前空間テーブルでは,要素名の名前
MR3 の シ ス テ ム 構 成 を 示 し て い る .
空間を指定した接頭辞で置き換えることができる.
MR
MR3 で は ,RDF モ デ ル を 視 覚 的 に 表 示 す る た め に ,ユ
3
API
Plug-in
Meta-Model
Management
ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス モ ジ ュ ー ル と し て JGraph[6]を 利
RDF Parser
RDFS
RDF Generator
RDFs
RDFs
Document
Document
用している.
5.4. 内 容 指 向 のセマンティックWebツールへの展 開
RDF
Plug-in
Interface
MR 3 は , Plugi-in に よ っ て 機 能 の 拡 張 を 可 能 と し て
い る .現 在 MR 3 は ,Plug-in 作 成 の た め の API と し て ,
Model
GUI
MR 3 の グ ラ フ を Jena の Model イ ン タ フ ェ ー ス に 変 換 す
User Interface
る API と Jena の Model イ ン タ フ ェ ー ス を 引 数 に と り ,
MR 3 の グ ラ フ へ 変 換 す る た め の API を い く つ か 提 供 し
て い る .今 後 は ,RDF と RDFS 間 の よ り 厳 密 な 整 合 性
User
管 理 を 管 理 す る た め に 必 要 な API な ど ,多 様 な プ ラ グ
図 5 . MR 3 の シ ス テ ム 構 成 図
ユ ー ザ は , MR 3 の ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス を 介 し て ,
イ ン 作 成 を 行 う た め の API を 提 供 し ,よ り オ ー プ ン な
環境での開発を目指す予定である.
6. M M M プ ロ ジ ェ ク ト の 展 開
現在,各サブプロジェクトでは,プロトタイプツー
視 覚 的 に RDF コ ン テ ン ツ の 編 集 を 行 う .シ ス テ ム の 入
力 と 出 力 は RDFs 文 書 で あ る . MR に RDFs 文 書 を 入
ルを構築しており,今後,これらの運用を通して,メ
力 す る と ,RDF パ ー サ が RDFs 文 書 の 解 析 を 行 い ,RDFs
タモデル管理に基づくセマンティックWebのコンセ
3
文 書 を モ デ ル と し て 操 作 可 能 に す る .MR 3 は ,RDF パ
プトを進化させる予定である.各ツールのスクリーン
ーサの出力したモデルを内部データ表現に変換し,メ
ショットを,図6に示す.
タ モ デ ル 管 理 を 行 う . プ ラ グ イ ン は , MR 3 が 提 供 す る
API を 利 用 し て 構 築 さ れ る . MR 3 は , 内 部 デ ー タ 表 現
を RDF ジ ェ ネ レ ー タ の 入 力 と な る モ デ ル に 変 換 す る .
RDF ジ ェ ネ レ ー タ は 受 け 取 っ た モ デ ル を RDF 文 書 に
変 換 し ,フ ァ イ ル 等 に 出 力 す る .MR 3 で は ,図 5 の RDF
パ ー サ と RDF ジ ェ ネ レ ー タ を 実 装 す る た め に , HP
Labs が 提 供 し て い る Jena Semantic WebToolki[7]t を 利
用 し て い る . RDF パ ー サ の 出 力 と RDF ジ ェ ネ レ ー タ
の 入 力 の モ デ ル は Jena の Model イ ン タ フ ェ ー ス を 用 い
ている.
ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス に は , Model GUI と Plug-in
interface の 2 つ が あ る . 図 5 の Model GUI は , MR3
が基本機能として提供しているユーザインタフェース
で あ る . Plug-in interface は , 個 々 の プ ラ グ イ ン が 提
図 6 . LoadBader の 実 装
供 す る イ ン タ フ ェ ー ス を 示 し て い る . Model GUI は ,
RDF エ デ ィ タ ,ク ラ ス エ デ ィ タ ,プ ロ パ テ ィ エ デ ィ タ ,
アトリビュートダイアログ,名前空間テーブルの,主
に 5 つ の ウ ィ ン ド ウ か ら 構 成 さ れ る .RDF エ デ ィ タ で
03-5
人工知能学会研究会資料
SIG-SW&ONT-A301-03
構築した
概念定義
文
[1]
階層概念
概念関係子の
特定
専門テキスト
[2]
概念仕様
テンプレート
[3]
[4]
図 7. DODDLE の 実 装
[5]
[6]
[7]
[8]
図8. MR3の実装
7. お わ り に
本 稿 で は ,セ マ ン テ ィ ッ ク Web を 推 進 す る コ ン セ プ
トとしてメタモデル管理に基づくフレームワークを提
案 し , こ の コ ン セ プ ト か ら 展 開 し て い る MMM
( Meta-Model Management)プ ロ ジ ェ ク ト の 概 要 を 述 べ
た .本 プ ロ ジ ェ ク ト で は ,さ ま ざ ま な Web コ ン テ ン ツ
に付加させるべきメタ情報の管理が重要である,との
観点から,企業応用システム合成の基盤として整備し
た多粒度リポジトリを,領域固有のオントロジー構築
技 術 に よ り 展 開 し ,こ れ を ,RDF コ ン テ ン ツ に 特 化 し
た セ マ ン テ ィ ッ ク Web ツ ー ル と し て 帰 結 さ せ る ,と い
う構想へと展開した.プロジェクトの成果と進捗状況
は ,本 プ ロ ジ ェ ク ト の ホ ー ム ペ ー ジ [8]で 随 時 公 開 す る
予定である.
今 後 は ,セ マ ン テ ィ ッ ク Web に つ い て ,Web サ ー ビ
スの合成技術だけでなく,ビジネスモデリング技術な
どとの連携について,さらに,内容を掘り下げて議論
したい.
03-6
献
和 泉 憲 明 ,武 田 英 明 ,山 口 高 平:
‘‘ 意 味
理 解 す る Web を 目 指 し て ― -次 世 代 Web の 方 向 性
を 探 る ― ― '' , 人 工 知 能 学 会 誌 , Vol.17, No.4,
pp.384-391,(2002)
N.Izumi, T.Yamaguchi: ‘‘ Integration of
Heterogeneous Repositories Based on Ontologies for
EC
Applications
Development'',
International
Journal of Electronic Commerce Research and
Applications,vol.1, no.1, pp.77-91, (2002)
N.Izumi, T.Morita, N.Fukuta and
T.
Yamaguchi, RDF-based Meta-Model Management
Environment, In Proc. of ISIR 2003, pages 87-88,
2003.
K.Terai, N.Sugiura, M.Sawai, N.Izumi and
T.Yamaguchi.: ”Managing Business Models for
Business Application Development”, PAKM 2002,
LNAI 2569, pp.256-267, 2002
T.Yamaguchi:
”Constructing
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