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アフガニスタン国 カブール市給水計画調査 事前
アフガニスタン国 カブール市給水計画調査 事前調査報告書 平成 17 年 4 月 (2005 年) 独立行政法人 国際協力機構 (地球環境部) 序 文 日本国政府は、アフガニスタン国政府の要請に基づき、同国カブール市の地 下水の開発可能性に係る調査を実施することを決定し、独立行政法人 国際協力 機構がこの調査を実施することといたしました。 当機構は本格調査に先立ち、本件調査を円滑かつ効果的に進めるため、平成 17 年 2 月 21 日から同年 3 月 12 日までの 20 日間に亘り、当機構 牛木 国際協力 専門員を団長とする事前調査団を現地に派遣しました。 調査団は本件の背景を確認するとともに、アフガニスタン国政府の意向を聴 取し、かつ現地踏査の結果を踏まえ、本格調査に関する協議議事録に署名しま した。 本報告書は、今回の調査を取りまとめるとともに、引き続き実施を予定して いる本格調査に資するためのものです。 終わりに、調査にご協力とご支援をいただいた関係各位に対し、心より感謝 申し上げます。 平成 17 年 4 月 独立行政法人 国際協力機構 理事 北原 悦男 調査対象位置図 調査対象地域 略語集 AGS Afghanistan Geological Survey アフガニスタン地質調査所 AIA Afghanistan Interim Administration アフガニスタン暫定統治機構 BELLER Beller Consult GmbH (ドイツのコンサルタント会社名) BGS British Geological Survey 英国地質調査所 CAWSS Central Authority for Water Supply & Sewerage 上下水道公社 CARE Care International 欧米系の NGO 団体の固有名称 CDM Camp Dressor Magee Inc. (米国のコンサルタント会社名) CIDA Canadian International Development Agency カナダ国際開発庁 DACCAR Danish Committee for Aid to Afghan Refugees DGEH Department of Geo-Engineering & Hydrogeology 地盤・水理地質調査局 EC European Community 欧州共同体 EIRP Emergency Infrastructure Reconstruction 世銀による「緊急インフラ復興計 Program 画」 GTZ Deutsche Gesellschaft fur Technische Zusammenarbeit ドイツ技術協力公社 KfW Kreditanstalt fur Wiederaufbau ドイツ復興銀行 KOICA Korean International Cooperation Agency 韓国国際協力団 LOKRA Lower Kabul River Aquifer カブール川下流地下水区 ICRC IDA デンマークのアフガニスタン難民 救済委員会 International Committee for the Red 赤十字国際委員会 Cross 国際開発協会 International Development Association IMSMA Information Mine Action Management System MMI Ministry of Mines & Industry 鉱工業省 M/M Minutes of Memorandom 協議議事録 MONENCO Montreal Engineering company Ltd. Ministry of Reconstruction & Rural MRRD Development Ministry of Urban Development & MUDH Housing for 対人地雷対策情報管理システム (カナダのコンサルタント会社名) 地方復興開発省 都市開発・住宅省 NDF National Development Framework 国家開発フレームワーク NGO Non Governmental Organizations 民間非政府組織 NSP National Solidarities Program 国家連帯プログラム PREE Programme d'engagement environnemental 環境予備調査 PRSP Poverty Reduction Strategy Paper 貧困削減戦略ペーパー PVC Polyvinyl Chloride ポリ塩化ビニル S/W Scope of Works 実施細則 USAID U.S. Agency for International Development 米国交際開発庁 USGS U.S. Geological Survey 米国地質調査所 UNDP United Nations Development Programme 国連開発計画 UN-Habitat UNHCR United Nations Human Settlement Programme United Nations High Comission for Refugees 国連人間居住計画(ハビタット) 国連難民高等弁務官事務所 UNICEF United Nations Children’s Fund 国際連合児童基金 UNMAC United Nations Mine Action Center 国連対人地雷対策センター UKRA Upper Kabul River Aquifer カブール川上流地下水区 WHO World Health Organization 世界保健機構 アフガニスタン国 カブール市給水計画調査 事前調査報告書 目 序 次 文 調査対象地域図 略 語 表 第1章 事前調査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1−1 要請の背景及び事前調査の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1−2 調査団の構成及び調査日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1−3 協議概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1−4 協力の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 第2章 水資源開発及び水供給にかかる実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2−1 水資源開発/水供給にかかる法制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2−2 水資源開発/水供給にかかる政策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2−3 水供給関連組織の実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2−4 他ドナー、国際機関の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 第3章 調査対象地域の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 3−1 自然・水資源・水理地質状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 3−2 カブール市の給水の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 第4章 調査対象地域の水供給事業にかかる現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 4−1 水供給に関する開発計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 4−2 水資源開発/水供給事業の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 4−3 現地業者と現地資機材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 第5章 環境・社会予備調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 5−1 環境・社会影響評価制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 5−2 プロジェクトの概要とプロジェクト立地環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 5−3 スクリーニング及び予備的スコーピングの結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 第6章 本格調査の実施方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 6−1 本格調査の目的と基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 6−2 調査対象地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 6−3 調査内容及び範囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 6−4 調査工程及び要員計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 6−5 調査実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 6−6 NGO 等ローカルリソースの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 6−7 調査用資機材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 6−8 調査実施上の留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71 【付属資料】 資料 1 要請書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75 資料2 S/W 案及び M/M・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85 資料3 主要面談者リスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99 資料4 訪問記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101 資料5 収集資料リスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117 資料6 現地調達品市場価格表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 121 資料7 現地井戸業者見積用仕様書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 133 資料8 事前評価表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 155 第1章 1−1 事前調査の概要 要請の背景及び事前調査の目的 アフガニスタン国(以下「ア」国) カブール市の人口は 2002 年時点で 186 万人、2005 年では 239 万人*注1と推計されており、一説には難民の帰還により既に 300 万人に達しているとも言われている。 表流水は乾季には枯れ川となることから、市の水源は地下水に頼っているが、その地下水も 200 万 人に給水するのが限度と言われている。将来的に安定して飲料水を供給するためには、近隣水系か らの導水・送水計画を含んだ総合的水資源開発計画が必要であり、これに関してはドイツ技術協力 公社(GTZ)が 2013 年までを 3 つのフェーズに分けて協力してきており、それに歩調を合わせて同 じくドイツ復興金融公庫(KfW)が 2008 年までの融資により、26 本の井戸掘削*注2と給水網の整備 事業を実施協力しているが、これを持ってしても冒頭に述べた 200 万人への給水の需要(671/人日) を充たすのみである。 現在、カブール市の給水は市内数箇所にある井戸を水源としており、上水道は人口の約 20%をカ バーしているに過ぎない。その他の住民は自宅の浅井戸や援助機関・NGO が掘削したハンドポンプ 井戸等から飲料水を得ている。しかし、これらの水源・井戸は市内に 3500 箇所以上もあるとされて おり、しかも総合的な管理がなされていないため、近年の旱魃とも相まって地下水位の低下が懸念 されている。現状のままでは地下水の利用に困難が生じ、市民生活に大きな打撃が起きてくる可能 性があり、かかる状況を改善するためにはカブール盆地地下水の賦存調査および新規帯水層の探査 等を実施し、その結果をもとに地下水を管理しつつ適切に利用する体勢を取ることが不可欠である。 しかしながら、喫緊の課題である新規水源の調査に関しては GTZ、KfW とも着手する計画はない。 以上のような状況の下、2004 年 2 月のカブール市給水計画予備調査後、2004 年 1 月から「ア」国 鉱工業省計画局に派遣されていた地下水開発の調査団員により未利用の深層地下水の存在が資料 「2004 年 4 月第二次地方展開総合調査報告書」から確認された。カブール市の給水計画策定に当た っては、この資料の検証も含めた深層地下水の利用可能性を調査し、カブール滞水盆の新たな水理 地質構造を明らかにする必要がある。 本事前調査は、これまでの調査結果を基に「ア」国の治安情勢にも配慮しつつ効果的な本格調査 の方向性を検討するとともに、先方との協議により本格調査実施のための実施細則 S/W(案)を添付し た協議議事録(M/M)に署名交換を行い開発調査実施の具体的方法につき検討すること等を目的と して実施した。 *注1 カブール市緊急復興支援調査(JICA、2003)による 2002 年時人口 186 万人からの推計値。KfW の 2004 年調査時の推計値では 304 万人とされている。 *注2 鉱山エネルギー省が調査を行うも、現在まで開発にいたっていない 50m∼100m の浅層地下水を対象とする。 -1- 1−2 調査団の構成及び調査日程 (1)調査団の構成 名前 担当分野 牛木久雄 滞在期間 総括 所属 国際協力機構 国際協力専門員 2005 2/22-3/3 宇佐美栄邦 地下水調査計画 株式会社インターテクノコンサルタント 2005 2/22-3/10 今井達也 協力企画 国際協力機構 地球環境部 水資源・防災第一チーム 2005 2/22-3/3 (2)調査日程 日程 調査内容 1 2/21 (月) 成田 →イスラマバード 2 2/22 (火) イスラマバード→カブール JICA アフガニスタン事務所ブリーフィング、事務所長と対処方針打ち合わせ、鉱工 業省表敬 3 2/23 (水) 鉱工業省 MMI 大臣表敬、中央上下水道公社 CAWSS 表敬 日本大使館表敬、都市開発・住宅省 MUDH 表敬 4 2/24 (木) 鉱工業省と継続協議、カブール市内試掘サイト視察 都市開発・住宅省都市計画局及びカブール市都市計画局訪問 5 2/25 (金) 資料整理、団内打合せ 6 2/26 (土) 独 KfW コンサルタント(BELLER CONSULT)訪問 鉱工業省 技術者会議 7 2/27 (日) カブール市内主要サイト調査 8 2/28 (月) アフガニスタン地質調査所 AGS 訪問、鉱工業省と協議、USAID 訪問 9 3/01(火) 鉱工業省と協議、アフガニスタン地質調査所訪問 現地業者訪問、見積もり依頼など 10 3/02(水) 鉱工業省と協議、KfW 訪問、CAWSS 総裁訪問 協議議事録署名、日本大使館報告、JICA アフガニスタン事務所報告 11 3/03(木) (牛木、今井)カブール→イスラマバード→(成田) (宇佐美) 調査継続 12 3/04(金) (牛木、今井)成田着 13-17 3/05(土) (宇佐美)調査継続 (宇佐美)調査継続 -3/09(水) 18-21 3/10(木) (宇佐美)カブール→イスラマバード→カラチ→バンコク→成田 - 3/13(日) -2- 1−3 協議概要 事前調査団は鉱工業省(MMI)を始めとする各機関を訪問し、JICA の援助スキーム及び本格調査に 関する意見交換を行った。鉱工業大臣以下、各機関は概ね協力的であり、本事前調査中及び今後の 情報交換について合意し、本格調査の実施細則(S/W)案及び協議議事録(M/M)に署名した。なお、実 施細則案は JICA 本部の承認を経て発効となる。 鉱工業省内においては、主として地盤・水理地質調査局(DGEH)と協議を行ったが、関連部局との 連絡が必ずしも円滑ではなく、同省内のアフガニスタン地質調査所(AGS)が保管する水理地質情報の 提供など、調査団が DGEH に強く申し入れて実現した訪問もあった。本格調査では、関連省庁間の 合同会合と鉱工業省内の技術会合の二つの会合を設定し、情報共有を図ることとした。 本格調査において最も重要な作業である大深度掘削は、鉱工業省との共同作業または業者への委 託など、予算及びスケジュールとも考え合わせて、事前調査団帰国後に方式を決定する。AGS 保有 の資料等により、どれくらい必要情報を補完できるかが重要な要素となる。 鉱工業省を実施機関として「カブール盆地の地下水資源の賦存状況を明らかにする」という本計 画の目的については、どの省庁、部局からも異論は出なかった。しかし、将来的に新たに地下水を 管理、開発、供給する段階に進む場合、各関係機関の所管範囲を見極め、改めて実施機関を整理す る必要が生じるであろう。 1−4 協力の方向性 本格調査では、カブール盆地の地下水資源を、特に未開発の深層地下水について把握し、水理地 質図の作成及び関連情報の収集により、未利用地下水を活用する水供給計画を策定するための基礎 資料を整備する。本格調査の基本調査項目は S/W 案のとおりである。 調査対象地域として、S/W にカブール盆地内の調査対象帯水層を図示した。事前調査の成果とし て、2005 年 3 月 1 日現在の治安情勢、地雷敷設エリア情報を勘案の上、本格調査で行う物理探査の 範囲、試掘エリア及びその深度をさらに絞った形で提案する。 調査期間は、調査資機材の調達期間を除き、29 ヶ月と見込まれるが、現地の治安情勢等により遅 延の可能性がある。 実施機関は鉱工業省(主として水理地質調査局 DGEH)であるが、関連する機関として都市開発・ 住宅省(MUDH)、上下水道公社(CAWSS)、カブール市役所都市計画局などを個別に訪問し、本調 査の趣旨を説明し、本格調査における情報交換及び本調査が将来的に水供給事業につながる際の協 力を依頼した。鉱工業省内では、DGEH の技術者による会議を開催し、地下水区の認識の共有を図 り、先方の本格調査に対する希望について意見交換を行った。 深層地下水及び浅層の未利用地下水の利用可能性が確認された場合、継続して水利用計画の策定 と地下水モニタリングの技術移転への協力が必要となる可能性がある。ただし、水資源の管理、開 発に関しては各省庁の所掌範囲が錯綜しているので、各省間での整理が必要である。 また、地下水開発事業の実施方法として、鉱工業省の技術者による直接の掘削の後、CAWSS へ井 戸施設を移管する方式が考えられる。この場合、鉱工業省の技術者はソ連時代の技術と機材による 実施に馴染んでいるが、今後の機材の維持管理等も考慮すると、日本人専門家による技術移転が必 要であろう。 -3- 第2章 2−1 水資源開発/水利用にかかる実施体制 水資源開発/水利用にかかる法制度 アフガニスタンの「水条例(Water Act)」は、1988 年の議会下院の承認、1991 年の上院による承 認を経て施行された。同条例は、7 章 53 項から成り、次のような内容を謳っている。 • • • • • • 人民および国家経済の需要に応じた適切な配分と効果的な利用。 水源の保全と合理的な利用。 アフガニスタン国民の伝統に基づき、水利用者の権利を保護すること。 水の利用は無償であること、ただし、私有の灌漑施設所有者には課税すること。 水資源を保全するための関係省庁の責任と義務。 機械堀による深井戸建設は鉱工業省の許可と水・電力省の合意が必要なこと。一方、素 堀浅井戸はその対象ではないこと。 • 水資源の管理は、水・電力省の管轄であること。 この条例は、1991 年の施行以来変更された記述が見られない。しかし、現在に於いては水資源の 管理は水・電力省*注3ではなく、灌漑・水資源・環境省*注4に委ねられており、内容について一部変 更されている可能性があるが確認できる資料は入手できていない。 (2004 年 2 月 JICA「カブール市給水計画予備調査報告書」より抜粋) 2−2 水資源開発/水利用にかかる政策 水・下水部門の開発における国家政策に関する公文書としては、 「水法(Water Law 1999 年 1 月)」 、 「国家開発フレームワーク(National Development Framework、2002 年 4 月)」 、 「地下水とその開発に 関わる関係省代表者会議(The Representatives Meeting from line Ministries on the Condition of Underground Water and Obstinate Excavation、2002 年)」 、「地下水開発 5 ヵ年実施計画(The Five Years Action Plan on the Groundwater Development Sector、2005 年 3 月暫定修正案) 」、 「国家開発戦略(National Development Strategy、暫定版 2005 年 10 月予定)」等がある。また、1970 年代に策定された「7 ヵ年 計画書 1976/1977−1982/1983(Seven Years Plan of President Daud)」が農業灌漑に関わる政策として残 されている。 2−3 関連組織の実施体制(「第二次地方展開総合調査報告書」より抜粋加筆) アフガニスタンの水資源・給水分野に関わる政府組織には、鉱工業省(MMI)、都市開発住宅省 (MUDH)、エネルギー水資源省(MEWR)、地方復興・開発省(MRRD)がある。 本章では特に本格調査のカウンターパートである MMI 下部組織地盤・水理地質調査局及び地方復 興・開発省の実施業務とその能力につき以下にまとめる。 * 注3 * 注4 同省は 2004 年 12 月 23 日付大統領令によりエネルギー・水資源省に改編された。 同省は 2004 年 12 月 23 日付大統領令により解体され、水資源省は旧水・電力省に統合されエネルギー・水資源省となった。 -4- (1) 鉱工業省:Ministry of Mines and Industry(以下、MMI とする) 2004 年 1 月の「カブール給水計画予備調査」報告書では MMI 自体が地下資源開発を行 うことはないと報告されているが、その後の調査において MMI の内部組織である地盤・水 理地質調査局(Geo Engineering and Hydrogeological Department、DGEH)において地下水開 発・調査が実施されることが判明した。同部署は水理地質調査を担当する水理地質調査部 (Hydrogeological Section)および地盤調査を担当する地盤調査部(Geo Engineering Section) に分かれ、同省のさく井チームは水理地質調査部に属する。アフガン地質調査所(AGS) においては、現在は井戸掘削を実施していない。 Minister Deputy Ministerof Industry Deputy Minister of Mining Director of Hard Mining Director of Industry Director of Foreign Supply Director of Tangala Province Curia Dymonian Forest for Director of Administrative Director of Geo-Engineering & Director of Document & Relation Hydrogeology Director of Extraction Agriculture (Electricity Director of Planning Company) Mining and Useful Goods Director of Search of Oil & Baghlan Cement Company Director of Oil & Gas Gas in Northern Part Director of Chaccon in North Kapesa Province Tabel Stage Afghan Cement Director of Herat Province Director of Afghan Geological Survey Afghan Gas Company 図 2-1 鉱工業省の組織図 -5- DGEH 水理地質調査部の主要保有機材および資産は以下のとおりである。 表 2-1 DGEH 保有機材 保有機材*注5 台数 製造年度 稼動年数 現況 ターンテーブル型ロータリー 3台 1974 年/2 台 31 完全老朽化 1978 年/1 台 27 2台 1974 年 31 完全老朽化 Dk-9 1台 1974 年 31 故障 水タンクトラック Gaz 66 2台 1978 年 27 完全老朽化 機材運搬トラック Zil 130 1台 1986 年 19 荷台なし 掘削機 Yp5-3am トレーラー搭載機マッドポンプ エアコンプレッサー a.ロータリーターンテーブル型掘削機及びマッドポンプ 保有掘削機は 1974 年製 2 台、1978 年製 1 台の計 3 台であるが、完全老朽化しており、 修理を繰り返しながら使用している。掘削は泥水循環掘削工法を採用、泥水は同国で採 取できる粘土を乾燥させベントナイトの代用に使用している。 現場写真 1 DGEH 掘削現場(ヘイルハーナ地区) (主任掘削技師 1 名、掘削助手 2 名の計 3 名で掘削中) 現場写真 2 同左 DGEH 掘削現場、別トレーラー搭載型泥水ポンプ (スペアパーツが無いが現場で修理中) 掘削用泥水ポンプは、別置きのトレーラーにエンジン付きで搭載されているものが 2 台あり、掘削機同様完全にスクラップ状態であり、修理を繰り返しながら何とか使用し ている状況である。 b.高圧エアコンプレッサー 既に製造中止のものと思われ、全くスペアパーツが手に入らず使用不可能である。井 戸仕上げ作業で必要であるため、現在は民間からのレンタル機材を使用している。 * 注5 保有機材は、全て旧ロシア製もしくは東欧製である。 -6- 写真 3 コンプレッサー内部:スペアパーツなく、使用不能 現場写真 4 DGEH 掘削現場レンタルコンプレッサー (提供:杉野専門家) c.給水車、機材運搬車 使用可能であるが、車輌に係るスペアパーツが調達できず、常に何らかのトラブルを 抱えている状況である。 現場写真 5 現場写真 6 MMI 庁舎前ヤード、クレーン車と給水車 (提供:杉野専門家) DGEH 掘削現場(ロガール地区)、ツール運搬車と掘削機 -7- d.ストックヤードおよびワークショップ カブール市東方第 9 区の工業地帯に広大な土地を有するストックヤードおよびワーク ショップを保有している。戦時中に壊滅状態となったため、現在は一部の資材および廃 材の保管場所として使用している。1980 年代までは水理地質調査部の本部、ワークショ ップ、水質分析室があった。 現場写真 7 カブール市東部の工業地帯(第 9 区)MMI ストックヤード (現在は管材、資材、廃材置場) (提供:杉野専門家) e.技術者の技術レベル 1) 水理地質調査技術 DGEH にはロシア語で教育を受けた技術者が数名在籍している。技術者の年齢は 40 代∼50 代がほとんどである。若い技術者が不在なのは、現場経験を積ませるため に、地盤・水理地質調査局の 20 代∼30 代の技術者をさく井チームに配置しているた めである。 技術レベルに関しては、比較的若い技術者は現場での機材不足により調査経験に欠 ける面がある反面、机上調査能力に長ける。熟練の技術者は、過去に旧ソ連により実 施された水理地質調査の内容を熟知かつ当時の調査事業実施経験を有する者もおり、 同国の水理地質調査分野では最も優秀な技術者が在籍していると言える。 2) さく井工事技術 政府系機関で泥水循環式のロータリー掘削技術を保有する部門はここだけである。 普通作業員には同省の 20 代∼30 代の若い技術者を起用しているが、さく井主任技術 者は 1980 年代に旧ソ連から掘削技術を習得した技術者である。様々な機械的なトラ ブルや資材不足、スペアパーツ不足に対応する能力もあり、同省のさく井チームは同 国において最も技術力が高いと言える。現場掘削は、主任掘削技師 1 名、掘削助手 2 名の実質 3 名体制で行っており、機材修理の場合に本部から機械工が入り修理、現場 設営と撤去の際にはさらに 3 名程度が加わる。井戸が完成されると、揚水試験と水質 調査に水理地質技術者が加わる。現場は非常に機能的かつ効率的に運営されている。 -8- 現場写真 8 ロガール地区 DGEH 掘削現場、揚水試験/井戸洗浄中 現場写真 9 DGEH が使用するスリット加工スクリーン 3) 水質分析技術 水質分析については、水質分析キットが専門家携行機材として供与され、杉野専門 家により技術移転が実施されている。水質分析には Geo Engineering Section の分析技 師 3 名(内、1 名は 30 代の技術者で英会話能力あり)が当たっている。分析室は 2004 年 12 月に改修されており、ビーカー、メスシリンダー、フラスコ、ピペット等の一 部の基本的なガラス分析機器は配置されている。しかしながら分析に必要な計量器、 電気炉、ドラフトチェンバー、ストップウォッチ等の機器類が全く配備されていない。 また分析に必要とする蒸留水が製造できず、分析の度に保健省より購入手続きを取ら なければならない。これらの機器が配備されれば、水質分析も十分実施できるものと 考えられる。 (2) 地方復興・開発省:Ministry of Rural Reconstruction and Development (MRRD) a. 村落給水分野 同省は地方村落部の民生改善を主として担当している。従って、飲料水に係る村落給 水分野は同省が管轄し、事業の推進を実施している。しかしながら同分野における経験 が浅く、計画の策定から事業実施、モニタリングまでの一連のプロジェクトサイクルに 係るキャパシティービルディングが早急に必要である。また同国では村落部における給 水施設のスタンダードが未だ確立されておらず、給水施設のスタンダード化も急務であ る。 b. 国家連帯プログラム(National Solidarities Program, NSP) 同省では地方再建のために、1 世帯当たり 200 米ドルを拠出し、集落の再建、発展に 寄与するよう NSP を策定し、地方集落の再建を推し進めている。NSP 資金は一括して UN-Habitat に委託され、UN-Habitat が同事業の実質の推進者となっている。 NSP を用いた事業は多種多様に渡り、案件の採択は地元住民により行われている。採 択された事業は住民から UN-Habitat に申請され、UN-Habitat により事業の是非が審査さ れる。飲料水供給に係る事業も多く、この点から考えても、給水施設のスタンダード化 は急務である。 -9- (3) 上下水道公社:Central Authority for Water Supply and Sanitation (CAWSS) カブール市給水計画予備調査報告書にあるとおり、CAWSS は都市開発・住宅省(Ministry of Urban Development and Housing、MUDH)の下部機関であり、都市および地方都市の給水 分野を担当する。しかしながら地方都市の給水分野においては、MRRD との担当分野の境 界が未だ明確ではなく、地方都市給水における担当省庁を早急に協議する必要がある。ま た、カブール市の上水道行政に関しては、CWASS 業務の一部あるいは全体がカブール市に 移管されるとの動きもあり、今後の水道行政組織再編の動きに注意を払う必要がある。 2−4 他ドナー、国際機関の動向、現地業者の能力 2−4−1 他ドナー、国際機関の動向 アフガニスタン国における給水分野政策の基本方針は、前記 2-2 にも記した、前アフガニス タン暫定政権(AIA)時 2002 年 4 月策定の「国家開発フレームワーク(National Development Framework, NDF)」の中に記されている。NDF は、以下の主要 3 項目の柱から構成され、第二 の柱の最重要課題のひとつとして、水資源開発と給水インフラの整備が掲げられた。 • 第一の柱: 人道支援と社会資本の発展 • 第二の柱: 社会インフラの復旧と天然資源開発と保全管理 • 第三の柱: 民間セクターの育成 この NDF の策定に基づき、2002 年7月には世銀が中心となりアフガニスタン復興グループ 会合(Afghanistan Reconstruction Steering Group Meeting)がワシントン D.C.において開催され、 各援助国及び諸援助機関の情報と資料分析をもとに以下の分野において復興支援の大筋が決 定された。 • 公共行政分野と信託業務責任 • 教育分野 • 保健分野 • コミュニティ活性化による地方開発分野と労働集約化による公共事業分野 • 都市と地方自治の分野 • 都市給水と衛生に関する分野 • 電力分野 また、都市給水において緊急に解決されなければならない状況として、下記の 6 項目があげ られた。 • 中央行政機能の欠落により、給水事業は地域単位あるいはさらに小さい自治単位に よる管理下で実施されてきており、これが極めて不適切かつ低い給水普及率及び重 大な健康障害を招く危険性をはらんだ不衛生な状況をもたらしている。 • 長期間に及ぶ給水施設に対する維持管理の不履行と欠如が、給水効率の低下、給水 源の状況悪化、給水網の破壊をもたらしている。 - 10 - • NGO 各団体や国連関係機関がトイレ設備を数多く設置してきているにもかかわらず、 都市部における衛生的なトイレ設備の普及率はきわめて低い状況である。 • 健全な資金源の不足、貧弱な建設能力、資金回収の欠如、近代的運営方法を知らな い政府職員と行政管理能力の脆弱性の問題。 • 給水事業における民間セクター登用の可能性が、殆ど検討されていない。 • 国あるいは地方行政レベルにおいて、政府並びに国際援助機関と援助国との調整が 十分にされていない。 これらの状況解決のために、多数の NGO から復興支援への参加表明が行われた。また特に、 ハビタット(Habitat)、赤十字国際委員会(International Committee of the Red Cross, ICRC) 、CARE International、 デンマークのアフガニスタン難民救済委員会 DACCAR(Danish Committee for Aid to Afghanistan Refugees)及び WHO については、過去 10 年以上にわたり、給水と衛生分野にお いて、アフガニスタンへの支援活動を行ってきた旨が記されている。 2002 年7月のアフガニスタン復興グループ会合の時点で、世界銀行とドイツ復興金融公庫 (KfW)が、都市給水と衛生分野における復興支援の主要ドナーとして具体的な支援実施表明 を行った。一方、日本及び米国国際開発庁(USAID)は、将来的な支援の可能性を示唆するに 止めている。以下、その支援内容の概略である。 (1) 世界銀行 NDF を受け、2002 年 5 月に世銀は「緊急インフラ復興計画(Emergency Infrastructure Reconstruction Project、EIRP)」を策定し、都市インフラサービスの復旧、電力供給の復旧、 及び選択された公共分野における政策支援並びに技術支援の実施、という 3 重点分野に対 し、総額 3,300 万米ドルを無償資金協力として拠出する旨表明した。プロジェクトは、2002 年7月から 2003 年 12 月までの 18 ヶ月間に完了されるものとされている。 この中で給水と衛生関連に関わる EIRP は、首都カブール市を除く CAWSS 管轄下の下記 主要 12 都市*注6に於いて実施され、980 万ドルの予算を振り当てるとされている。 *注6 • チャリカール (Charicar) • ガズニ(Ghazni) • ヘラート(Herat) • ジャララバード(Jalalabad) • カンダハール(Kandahar) • クンドゥース(Kunduz) • マザリシャリーフ(Mazar-i-Sharif) • メフテルラム(Mehterlam) • カラエナウ(Qala-e-Naw) • カラート(Qalat) 後述する米国 Camp Dressor Maggee Inc.(CDM)社の報告書によれば、「緊急インフラ復興計画」における給水事業の F/S は、 12 都市のうち 11 都市で実施、また計画に含まれていないガルデス(Gardez)市が入っている。 - 11 - • シベルガン(Shiberghan) • タルガン(Taluqan) プロジェクトは、中小民間企業、UN 関連機関及び NGO が実施施工をすることとなって いる。また、施工監理と資機材調達については、ドイツの PRI Beller GmBH 社を主契約者 として、その共同企業体であるドイツの Kocks Consultant GmBH 社及びバングラデシュの Bangladesh Engineering & Technological Service 社が、2,463 百万ドルにて契約をした。 EIRP におけるカブール市への支援としては、衛生改善プロジェクト(トイレ、固形ごみ、 排水)が予算総額 150 万米ドルにて実施され、上記 Beller 社共同企業体及びドイツ H.P.Gauff Ingeneure GmBH & Co.,Kg 社が契約をしている。また EIRP の中で、カブール市の給水改善 に関しては KfW が支援し、ヘラートに関しても KfW が実施する可能性があると述べられ ている。 一方、今回の調査において EIRP 以降のカンダハール市、ガズニ市、及びガルデス市に関 する給水整備事業については、USAID がその支援をすることが判明した。 (2) 米国国際開発庁(USAID) USAID は、カンダハール市、ガズニ市、ガルデス(Gardez)市の 3 州都の 380,000 人を 対象とした給水網整備計画への支援を表明している。これら 3 地方都市の給水網整備計画 のフィージビリティスタディーは、前述の世銀の支援による「緊急インフラ復興計画」の中 で実施されている。 図 2-2 カンダハール井戸地域比抵抗調査実施域図 出所:CDM 技術書より カンダハール市に関しては、2002 年に米国 Camp Dressor Maggee Inc.(CDM)社が、緊急給 水復旧支援として、試験井戸、生産井戸の建設、並びに発電機の入れ替えを施工している。 同社は、同じく米国のコンサルタントグループである Louis Berger Group Inc の下請けとし て、上述の世銀 EIRP 以降 2020 年まで実施される「カンダハール市長期給水網整備計画」の - 12 - 実施施工企業とされている。またこの計画は、経済施設サービス復興プログラム(REFS: The Rehabilitation of Economic Facilities and Services Program)の一部として行われるものである。 REFS の中では、カンダハール市を含む 3 州都(他ガズニ、ガルデス)に於いて、新しい地 下水区の調査、設計、及び生産井戸、貯水槽、既存給水網に接続される導水管の新設が実 施されるとしている。同計画のアフガニスタン側カウンターパートは、MUHD と CAWSS であり、詳細設計には前記世銀のコンサルタントであったドイツ Beller 社が参加する予定 とされている。 カンダハール市への給水網整備計画は、2004 年 5 月に完了した地表探査の結果から、第 3 地下水区が取水候補地として選択され、ここで試験井戸を掘削の上で生産井戸が建設され る。そして、近隣に貯水タンクと送水ポンプ場を建設、直径 630mm の導水管を 2.5km 敷設 し、カンダハール市外れの丘上にある 4,000m3 の貯水タンクへ導水し、既存給水管網に重力 落下給水を行うというもので、総額 16.7 百万米ドルが予算化されている。 ガズニ市への給水復興計画には 5.6 百万米ドル、ガルデスには 6.2 百万米ドルが予算化さ れている。 現場写真 10 カンダハール水道局取水場内 USAID 設置変圧器 現場写真 11 (撮影 2004 年 5 月) カンダハール水道局取水場内 USAID 設置発電機 (撮影 2004 年 5 月) また USAID は、MMI 傘下の AGS に米国地質調査所(USGS)から技術者を派遣し、2003 年夏よりカブール市内の井戸の水質分析を開始している。派遣されている技術者は、1980 年代 USGS に在籍した米国籍のアフガニスタン人、Robert. E. Brushears という水質分析専 門家である。採取された水分サンプルは USGS に送られ分析され、衛星写真の井戸データ 上に加えられる。さらに近々水理地質技術者も派遣されることになっており、分析機材も AGS に供与され、化学分析、データベース構築等の技術移転が行われる。これらの事業は 英国地質調査所(BGS)との共同事業であり、BGS はすでに大型のスキャニング機材等を AGS に供与するとともに、Peter N Dunkley という火山地質専門家が派遣されてきている。 さらに USAID は、カブール市南部においてチェヘルドクフタラン・プロジェクト(Chehel Dokhtaran Project)を実施した。これは帰還難民居住地 2,000 世帯を対象とした小規模給水 プロジェクトであり、すでに 3 本の生産井が掘削され現在給水網の建設が行われている。 - 13 - プロジェクトの設計施工は、前述の米国 CDM 社が行っている。 (3) ドイツ復興金融公庫(KfW) KfW は前記 2-4-1 に記したように、2002 年7月のアフガニスタン復興グループ会合時に 都市給水と衛生分野における復興支援へのドナーとしての表明を行っている。 支援実施都市として、現在カブール市において「カブール市給水網拡張計画(Extension of the Water Supply System of Kabul)」を実施中であり、さらに今後ヘラート市及びクンヅース 市への給水事業復興支援を計画している。 「カブール市給水網拡張計画」については、2004 年 2 月の JICA「カブール市給水計画予備 調査報告書」に記載されているが、下記にてこれを補完する。 同計画は、2002 年から 2004 年までに実施されたフィージビリティスタディーに基づき、 2004 年から 2008 年までの、5 年の工期にて実施されるものである。 フィージビリティスタディーの予算は 24 百万ユーロで、2002 年 12 月 18 日にドイツの PRI Beller GmBH 社と同じくドイツの Kocks Consultant GmBH 社の二社共同企業体が契約 し、「Feasibility Study for the “EXTENSION OF KABUL WATER SUUPLY SYSTEM」として実 施され、下記の調査報告書がすでに提出されている。 • • • • • • • インセプションレポート: 2003 年 3 月 31 日 ドラフトインテリムレポート 2003 年 6 月 9 日 ファイナルインテリムレポート: 2004 年 1 月 30 日 ドラフトコンセプトレポート: 2003 年 7 月 26 日 ファイナルコンセプトレポート: 2004 年 1 月 30 日 ドラフトフィージビリティー調査報告書: 2003 年 10 月 10 日 フィージビリティー調査最終報告書: 2004 年 1 月 30 日 フィージビリティスタディーの期間中に、緊急給水措置として裨益人口 500,000 人を対象 に、日量 6,000m3 の給水を行うため、市内ロガール I 地下水区*注7にある 4 箇所のポンプス テーションの改修を行っている(2004 年 3 月完工)。また総延長 600km に及ぶ既存給水埋 設管の調査も行われており、これは 2005 年 5 月に完了の予定である。 * 注7 このロガールⅠ地下水区にある井戸 10 本の改修工事は、世銀とカナダ国際開発庁 CIDA(Canadian International Development Agency)の協調融資により Oxfam、UN-Habitat、ICRC により 1999 年と 2000 年 3 月に行われた。 - 14 - 現場写真 12 ダルラマン取水場の KfW による改修 現場写真 13 発電機(伊製 84kvA)と取水ポンプを改修 ロガール/バグラミ取水区の KfW による改修 発電機(仏製 90kvA)と取水ポンプ(40lps)の改修 フィージビリティスタディーの結果に基づき実施される本体事業、「カブール市給水網拡 張計画」の予算は、104 百万ユーロであり、KfW が 45%、世銀が 55%出資することで決定さ れている。本体事業のコンサルタントは、フィージビリティスタディーに引き続き PRI Beller GmBH 社を主体とする共同企業体が行い、2005 年 1 月 12 日に CAWSS と契約が完了 している。 (4) デンマークのアフガニスタン難民救済委員会 DACCAR ( Danish Committee for Aid to Afghanistan Refugees) DACCAR は、パキスタンのアフガニスタン難民キャンプの女性支援を目的として、1986 年に設立されたデンマークの NGO である。設立後直ぐに、難民キャンプの給水事業支援を 開始、以来現在までアフガニスタン国内の村落給水事業と地方開発事業を行ってきている。 同組織のアフガニスタン政府の主たるカウンターパートは MRRD であり、活動資金はデ ンマーク国際援助活動 DANIDA(Danish International Development Assistance)、EC、UNHCR が主たる拠出先となっており、2004 年の総予算は 7,202 百万ユーロと報告されている。 カブール市における活動については、第 3 章で概略する。 (5) その他の援助機関 給水分野におけるその他の援助機関としては、カナダ国際開発庁 CIDA(Canadian International Development Agency)、赤十字国際委員会 ICRC(International Committee of the Red Cross)、CARE International があり、これらのカブールにおける給水事業活動は第 4 章に記 した。また、水質分析の分野において、韓国国際協力団(Korea International Cooperation Agency, KOICA)が CAWSS 本部に対し、主要イオン分析のできる機材を供与し、2004 年 12 月に納 入業者による技術移転を完了している。 - 15 - 現場写真 14 Care/USAID 支援の水タンクトレーラー 現場写真 15 Care/USAID 支援による El Mufar Hang 取水施設の改修 (ダルラマン取水場内にて) (現在発電機の故障により稼動していない) またドイツ(the Federal Institute for Geosciences and Natural Resources:BGR)が、DGEH に対して 2004 年 9 月に水質分析試験器を供与し技術移転を実施しており、2005 年 2 月に再 度技術協力を実施する予定との事である。ドイツによる供与機材での水質分析項目は、pH、 電気伝導度、溶存酸素、水温、硝酸、塩酸滴定量(> pH 4.3)及び水酸化ナトリウム滴定量 (> pH 8.3)である。 - 16 - 第3章 3−1 調査対象地域の概要 自然・水資源・水文地質状況 3−1−1 地勢 アフガニスタンの国土の大部分は乾燥した大陸性高原気候で、年間を通じて雨は少ないが冬 季にわずかな降雨がみられる。全国的に寒暑の差が大きく、夏は 40℃以上、冬は零下 15℃以 下まで下がることもあり、6∼9 月は強風が吹き付け、北部山岳地帯は冷帯に属している。 調査対象地域である首都カブール市は、標高約 1,800m、周囲を山々に囲まれた盆地(カブ ール盆地)に位置し、気候は高山性の冷帯気候に属し、12 月から 2 月にかけての降雪期の後 4 月まで雨期が続く。その後は長い乾期に入るが、降雪期に積もった雪解け水を利用し、耕作が 営まれる。年間の平均降水量は 286mm で、雨季(12 月∼4 月)の半年間にその 90%が集中す る(図 3-1 参照)。ここ数年間では年間降水量の減少が見られ、世界的な温暖化影響によるも のか山地部の融雪速度も例年より早くなってきており全般的な水不足が懸念されている。 200 20 180 18 最大降雨量 平均降雨量 160 16 最小降雨量 平均降雨日数 140 14 120 12 100 10 80 8 60 6 40 4 20 2 0 日数 降水量 (mm) 平均落雷日数 0 JAN FEB MAR APR MAY JUN JUL AUG SEP OCT NOV DEC 月 図 3-1 カブール市の降水量(1980 年代の 10 年平均値) 出所:JICA(2004), カブール市給水計画予備調査報告書 平均気温は1月に最低(-2.3℃)、7 月に最高(27℃)となり、冬季 12 月および 1 月はほぼ 毎日零度以下を記録し、降雪(月に 12 日前後)が見られる。湿度は年間を通じて低いが、特に 6 月から 10 月にかけては低く、概ね 40%以下を示している。平均的な風向は、10 月∼3 月に北 西方向、4 月∼9 月は北の風が優勢となる。乾季の 6 月∼10 月は平均月 2∼3 日砂嵐が発生し、 - 17 - 視界を低下させる。表 3-1 に、カブール市における 10 年間(1980 年代)の気候データの月平 均値を、図 3-2 にカブール市の気温変化を示す。 表 3-1 カブール市における気候データ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 平均気温(℃) -2.3 -0.7 6.3 12.8 17.3 22.8 25.0 24.1 19.7 13.1 5.9 0.6 4.5 5.9 12.5 19.2 24.4 30.2 32.1 32.0 28.5 22.4 15.0 8.3 最低気温(℃) -7.1 -5.7 0.7 6.0 8.8 12.4 15.3 14.3 9.4 3.9 -1.2 -4.7 68 70 65 61 48 36 37 38 39 42 52 63 月 間 降 雨 (mm) 34.3 60.1 67.9 71.9 23.4 1.0 6.2 1.6 1.7 3.7 18.6 21.6 風速 (m/sec) 1.0 1.0 2.0 2.0 3.0 4.0 4.0 3.0 2.0 2.0 2.0 1.0 最高気温(℃) 平均湿度 (%) 出所: JICA(2004), カブール市給水計画予備調査報告書 40 30 気温(℃) 20 10 0 -10 Jan Feb Mar Apr May Jun -20 Jul Aug Sep Oct Nov Dec 最高気温 平均気温 -30 最低気温 -40 月 (1958年∼1977) 図 3-2 カブール市の気温 出所: JICA(2004), カブール市給水計画予備調査報告書 カブール市における、日照時間を図 3-3 に示す。夏季(6,7,8,9 月)の日照日数は、25 日を越 え、一日の日照時間は 12 時間程度である。冬季(12,1,2,3,4 月)は月の 1/2∼1/3 程度の日照日 数で、一日のあたりの日照時間は夏季の半分程度である。 日照日数 25 日照日数 350 日照時間 300 20 250 200 15 150 10 日照時間 400 30 100 5 50 0 0 Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec 図 3-3 カブール市の日照時間 出典: - 18 - JICA(2004), カブール市給水計画予備調査報告書 カブール盆地にはカブール川とロガール川の 2 つの河川が北流し、カブール川は市街地の中 央部で東に流れを変え、市街地の東方でロガール川と合流する。ロガール川と合流したカブー ル川は同盆地東端の山地を切るように、東へ流れ出る。耕作期になると、昨今の降水量の減少 も相まって、カブール川はその上流部から河川水をジューイ(潅漑用水路)に引き込むため、 市街地での河床は干上がる事が多い。一方、市街地の西方からはパグマン川が東へ流れ、市街 地の中央部でカブール川と合流するが、パグマン川の河床は干上がり、ほぼワジ(水なし川) の状態となっている。 市街地の中央部には北西から南東の方向に標高約 2,200 m 程度の急峻な山々がそびえ、市街 地を 2 つに分断している。主要な山は北西部からアフシャール山(標高 2,252 m)、アリアバッ ド山(標高 2,212 m)、アサマエ山(標高 2,102 m)およびビニシャール山(標高 2,305 m)であ る。カブール川はアサマエ山とビニシャール山の間(標高約 1,800 m)を切って抜ける。一方、 カブール盆地の周囲は標高 2,000m 以上の山地にほぼ取り囲まれており、その上流部や下流部 に広大にかつ連続して開かれている地形は見当たらない。 カブール市の人口は既に 300 万人を越えていると言われ、急速に市街地が拡大している。特 に近年、人口が増加している地域は、確認できただけで、市の北西部に位置するヘイル・ハー ナ(Khair Khana)地区、ヘイル・ハーナ地域に隣接するタイマニ(Taimani)地区、市の南東 部に位置するカライ・ナウ(Qalai Naw)地区、および市の東部に位置するアハマド・シャー・ ミナ(Ahamad Shah Mina)地区である。これら急速に拡大している市街地はそのほとんどが不 法居住の民家で、市役所により計画された市街地ではない場所が多いという。 3−1−2 地質及び水文地質 (以下、第二次地方展開総合報告書(2004 年 4 月)から抜粋、加筆) (1) 地質 カブール盆地の平野部はほぼ沖積層に覆われており、一方、市街地を 2 つに分断してい る山々は先カンブリア時代の片岩、片麻岩により構成されている。市街地の東側には標高 1,850∼1,900m の丘陵や平坦面が見られるが、これらは新第三紀の砂岩、レキ岩および泥岩 により構成されている。 また、カブール盆地には構造線と考えられる地形が幾つか見られる。最も新しいと考え られる構造線は同盆地の北方、カブール川に沿うように東西に走る構造線で、この構造線 の形成により、カブール川は同盆地東端の山地を切って、東に流れ出るようになったと推 測される。 (2) 水文地質 ① 公表されている水文地質調査報告 カブール盆地の水文地質については、1978 年末のソ連侵攻前までに幾つかの水文地質 調査が実施され、これまでそのレポートが公表されてきている。以下に、その調査を年 - 19 - 代順にあげる。 The Soviet Groundwater Exploration 1962-1963 Russian Master Plan for Kabul City 1964 The Investigation of the German Water Economy Group 1964-1972 Geo-Electrical Survey by J. Homilius 1966 & 1967 Second Master Plan for Kabul City by Canada (CAWSS/CIDA/WHO) 1977-1978 これら水文地質調査は主として沖積の帯水層をターゲットとして実施され、現在まで カブール盆地の地下水開発はこれらの調査結果を基にして実施されてきた*注8。 一方これら調査報告書以外に、1980 年から 1983 年にかけて実施された旧ソ連による 試掘を含む最も新しい鉱物資源調査の調査報告書が存在することが、杉野専門家の調査 により明らかとなった。この調査報告書は、タリバーン政権時代には MMI の技術者が 庁舎から持ち帰り保管していたもので、一切外部への流出がなく、暫定統治機構以後 MMI に戻し、ほぼ手付かずの状態で書棚に雑然と保管されていたものである*注9。これ ら調査報告書は、MMI の水文地質技術者のみが活用しており、CAWSS、KfW およびそ の他の地下水に関連する政府機関、国際機関、NGO は、その存在を把握していなかっ たと考えられる。事実、KfW の調査団を受け入れた CAWSS の技術者でさえ、この調査 報告書を全く把握しておらず、また 2004 年 1 月に CAWSS に提出された KfW の調査報 告書にも、この調査資料からの引用やデータ参照の記載が一切見られない。 ② 旧ソ連による調査報告書(パスポート) この旧ソ連の調査報告書によると、最大深度 700m の試掘調査や弾性波探査を用いた 物理探査も実施されており、一部のデータには、帯水層試験を含む水文地質調査も実施 されている。この調査報告書によると、同盆地の水文地質については、表 3-2 のように 説明している。 この調査報告書を 2004 年 1 月の KfW によるフィージビリティー調査報告書と比較す ると、QIV が KfW では Reworked Loess Series、QIII が Lataband Series、N1-2 および N1 が Kabul Series とそれぞれ対比できる。ここで Kabul Series の層相に関する記述を比較 すると、KfW 報告書では Kabul Series はシルト岩、マールおよび粘土と難透水層に分類 される透水性の悪い層相であるとされているが、旧ソ連調査では、その層相は N1-2 およ び N1 の 2 つに分類され、これらの層相は砂岩、レキ岩、巨レキ、泥岩、マール、シル ト岩および粘土と多様である。N1-2 および N1 で帯水層であるとしている層相は、N1-2 が砂岩およびシルト岩、N1 が砂岩、レキ岩および巨レキで、比較的透水性が良いと考え られる。 * 注8 JICA 予備調査報告書においては、1974 年の UNDP による『カブール給水基本計画調査』が唯一入手可能な水理地質報告書と 記されている。 * 注9 JICA 予備調査報告書では、この調査報告書の存在はパスポートとして記され MMI が試掘調査を実施した、としているが、杉 野専門家によると「旧ソ連による調査」という表現が正しいようである。 - 20 - 表 3-2 旧ソ連によるカブール盆地の水文地質層序 地質系統 層相 帯水層名称 第四紀 粘土、シルト、砂、レキ及 QIV 砂及びレキ 0-50m びレキ岩 QIII レキ及びレキ岩 0-120m 砂岩、レキ岩、巨レキ、泥 N1-2 砂岩及びシルト岩 0-250m N1 砂岩、レキ岩及び巨レキ 0-650m 新第三紀 岩、マール、シルト岩及び 粘土 原生代 花崗岩、片岩および変麻岩 始生代 帯水層層相 深度 PR - - AR - - また、N1-2 には数十∼百数十メートルの厚さで泥岩、マー ル、シルト岩および粘土を介在しており、従って N1-2 および N1 における帯水層の地下水は被圧されていると考えられる。 基盤岩の解釈については、この旧ソ連による調査報告書では、 始生代や原生代といった、先カンブリア時代に形成された地 質を基盤岩としており、同盆地における水文地質上の基盤岩 の解釈としては、この調査報告書の解釈が妥当であろう。 さらにこの旧ソ連の調査報告書には、試掘の結果を記した 詳細なロシア語記載の地質柱状図(MMI では「パスポート」 と呼ばれている)が数百枚も残されている。このうち地盤・ 水理地質調査局(DGEH)にて保存されていた資料のみを対 象として、杉野専門家により以下の優先順位で 29 枚の地質 柱状図が選別され、ロシア語から英語に翻訳されている。 1) 掘削深度が 200 m より深いもの。 2) 掘削深度が 200 m より浅いものの中で、基盤 岩に到達しているもの。 さらにアフガン地質調査所(AGS)の資料を確認すれば、 より多くの情報が得られるであろう。図 3-4 は翻訳されたパ スポートの例であり、これらを基に基盤岩の深度を示した基 底面図が杉野専門家の手により作成された。これを図 3-5 に 示す。この図に記される赤印は翻訳されたパスポートの試掘 位置図を示している。 図 3-4 - 21 - 翻訳されたパスポート抜粋 提供:杉野専門家 この基底面図によると、現在カブール川が市街地中央の山を切って流れている部分で、 地表下 400m 以上の谷が形成されている。通常、このように地表下の基盤岩が急激な V 字谷を形成している場合、この V 字谷は断層に起因する谷であると考えるのが自然であ る。この地中の V 字谷は現在の市街地中央部で南西−北東方向に流れる河川の地点で、 ブロック状に落ち込んだ塊であると考えられ、非常に大きな断層運動があったと推測さ れる。この地中に存在すると思われる V 字谷は、カブール市の市街地を流れるカブール 川に沿うように、南西−北東の方向に存在することが推測され、古カブール川かあるい は古パグマン川がこの谷に沿って流れていたことが推定される。つまり深い深度で堆積 する N1 はこの谷を埋設するように堆積していると考えられる。一方、ロガール川流域 の基底面については、本格調査における AGS での既存資料調査により、明らかにして いかなければならない。 図 3-5 翻訳されたパスポートから作成された基底面図 提供:杉野専門家 基底面図に示された南西−北東方向に存在する V 字谷を切るように、英語に翻訳した パスポートを基にして、東−西方向に A-A’断面図(図 3-6)が作成されている。 その結果、V 字谷を埋設している堆積物がレキ岩および砂岩を主とした堆積物で構成 されており、また埋設している堆積物の地質区分は N1 であり、N1-2 は N1 を不整合に覆 っており、その堆積物は泥岩、シルト岩、マールおよび粘土といった、難帯水層に区分 される堆積物で占められていることが明らかになった。 旧ソ連の調査ではいくつかの試掘井で揚水試験を実施しており、また層序別に揚水試 験を実施している資料もあった。その代表例を表 3-3 に示す。 ここで注意しなければならないのは、揚水試験の実施状況である。以下に、考えられ る状況とこれに起因する問題点を示す。 - 22 - 1) ターゲットとする帯水層はその深度まで掘削した後、上部からの地下水の侵入を防 ぐため、所定の深度までケーシングを施しているが、肝心の帯水層は裸孔の状態で 揚水試験を実施している。通常、帯水層と成り得る地層は、例えその地質が硬岩で あっても、地下水の賦存する間隙を有しており、非常に崩壊しやすい地層状況とな っている。このような層相では掘削中であっても掘削孔壁面の崩壊性が高い。そこ で泥水を用い、その比重により掘削孔を保護しながら掘削するか、あるいはワーク ケーシングを挿入しながら地層の崩壊を未然に防ぎつつ掘削作業を継続する。この 試掘では泥水を用いた掘削工法を採用しているようであるが、この場合、泥水によ り地下水を賦存する地層中の間隙がふさがれている可能性があり、揚水量に比べ、 見かけの水位降下が大きくなっている可能性がある。 標高(m) 1850 A' A 45 W-1 0 m 21 1800 2 06 W- 4 m 65 8 14 W- 4 m 45 1 15 W- 0 m 23 6 16 W- 8 m 23 0 15 W- 5 m 40 4 32 W- 0 m 19 標高(m) 1850 1800 QⅢ & QⅣ MS MS, M & C SS 1700 SS CS 1700 MS & M N 1-2 N 1-2 MS SS SS & CS 1600 1600 N 1-2 CS 1500 1500 CS & SS MS & M 1400 1400 SS 凡 例 C :粘土・シルト N1 1300 1300 S :砂 G :砂利、玉石 M :マール MS :泥岩・シルト岩 1200 SS :砂岩 1200 BCS CS :レキ岩 BCS:基底レキ岩 0 4 2 ・・・井戸番号 06 W- 4 m 65 ・・・掘削深度 8 km 1100 1100 図 3-6 表 3-3 試験深度 1.2-34.0 m 50.0-77.0 m 96.0-156.0 m 236.0-405.5 m カブール盆地における A-A 断面図 提供:杉野専門家 カブール盆地の試掘井 W-150 における揚水試験の結果 帯水層名称 QIII (N1-2) (N1-2) (N1-2)、N1 層 相 砂、レキ シルト岩、マール、砂岩 シルト岩、マール、砂岩 シルト岩、マール、砂岩、円レキ 揚水量 自然水位 水位降下 799.8 L/min 1.23 m 2.10 m 36.0 L/min 1.75 m 38.95 m 153.6 L/min 273.0 L/min 1.50 m 1.03 m 40.40 m 28.94 m 提供:杉野専門家 - 23 - 2) 一方、揚水を継続していると、地層中の間隙をふさいでいた泥水が取り除かれるの ことが普通である。この場合は孔壁を押さえていた溶液(泥水や水)と孔壁の圧力 バランスが崩れ、崩壊性の高い帯水層が崩れる事が多い。一度このバランスが崩れ てしまうと、掘削孔壁面の崩壊のため、掘削孔内部は埋積してしまい、この場合も 揚水量に比べ、見かけの水位降下が大きくなっている可能性が大きく、また揚水量 も本来の帯水層の持つ産出量よりも少なくなる。 3) 挿入されているケーシングの口径であるが、236.0∼405.5 m の揚水試験を実施した 時のケーシング口径がわずか 108 mm であった。これでは大容量でかつ高揚程のポン プの外径がケーシング口径よりもはるかに大きく、物理的に小容量かつ低揚程のポ ンプを用いて、揚水試験を実施せざるを得ない。 これらのことから、N1 帯水層での地下水の賦存量は少なくともこの揚水試験の結果よ り大きいと期待できる。 旧ソ連の調査ではいくつかの試掘で揚水試験を実施した帯水層において、水質分析を 実施している。表 3-4 に代表的な水質分析結果を示す。 表 3-4 カブール盆地の各帯水層における地下水の水質分析結果 井戸 No. 帯水層名称 pH Na++K+ Ca2+ Mg2+ Cl- HCO3- SO42- W-062 N1 7.90 3.78 3.90 1.70 7.70 1.40 0.29 W-104 PR 7.85 0.28 3.00 2.50 2.23 0.70 2.60 W-142 QIV 8.50 10.00 2.00 2.00 1.20 4.40 8.00 W-144 QIII 8.50 9.70 2.10 5.20 2.90 5.90 7.90 W-145 N1-2 8.06 2.35 3.20 1.70 1.02 4.00 2.04 QIII 8.04 3.11 1.60 5.50 1.93 6.80 1.34 N1-2、N1 7.85 9.05 4.70 3.30 2.00 12.24 2.77 N1 7.80 4.18 3.00 1.70 3.93 1.20 3.77 W-148 N1-2 8.00 4.95 3.50 2.10 2.01 1.80 6.76 W-149 N1 7.75 6.38 1.50 3.20 5.80 0.80 4.49 W-146 W-150 QIII 8.30 4.53 1.20 5.70 2.10 7.60 1.34 (N1-2) 7.90 6.09 7.40 8.10 0.45 1.00 20.20 (N1-2) 7.60 11.06 3.30 2.50 4.66 1.20 11.02 (N1-2)、N1 7.88 9.23 2.70 2.50 4.67 1.80 7.98 注)pH 以外の単位は epm 提供:杉野専門家 ここで一般的に水質の指標とされる pH に着目すると、沖積層の帯水層である QIII お よび QIV の pH は 8.0 以上であるが、新第三紀の帯水層である N1-2 の pH は 8.0 前後、そ の下位に堆積している N1 の pH は 7.8 前後、基盤岩中の裂っか水の pH においても 7.8 前後である。 また、これら水質試験の結果をヘキサダイアグラム(図 3-7)にプロットすると、沖 積層の帯水層である QIII および QIV といった、上部の帯水層に賦存する地下水の水質 が相対的に悪く、最も深い帯水層である N1 に賦存する地下水や基盤岩中の裂っか水の - 24 - 方が沖積層の帯水層よりも相対的に水質が良いことが分かる。 各水質の成分に着目すると、N1-2 の地下水に硫化物イオンが多いのは、N1-2 の地層が 比較的海に近い環境で堆積した海成堆積物であるためと考えられる。一方、N1 の地下水 に硫化物イオンが少ないのは河川作用により堆積した陸成堆積物であるためと考えら れる。 陽イオン(epm) 10 8 6 4 2 陰イオン(epm) 0 2 4 Na + K 6 8 陽イオン(epm) 10 10 6 4 Na + K Cl HCO 3 Ca Mg 8 Ca Mg SO 4 W-142 QⅣ W-150 N1-2 W-144 QⅢ W-146 N1-2, N1 W-146 QⅢ W-150 N1-2, N1 W-146 QⅢ W-062 N1 W-145 N1-2 W-146 N1 W-148 N1-2 W-149 N1 W-150 N1-2 W-104 PR 図 3-7 2 陰イオン(epm) 0 2 4 6 8 10 Cl HCO 3 SO 4 カブール盆地の各帯水層別の水質 提供:杉野専門家 3−2 カブール市の給水の現状 現在カブール市の給水事業を支援する国際援助機関、NGO としては、KfW、CIDA、ICRC、DACCAR があり、この中でも KfW が最も大規模な支援事業の展開を図っている。 以下その活動内容につき記す。 (1) KfW KfW は、2004 年 1 月に終了したカブール市の給水事業に関わる F/S(Feasibility Study for the Extension of the Kabul Water Supply System)に基づき、カブール市の給水施設の改修、拡 張工事を開始している。 この F/S では、給水事業を 2008 年までの短期事業および 2014 年までの中期事業の 2 段 階に分割し、それぞれの総事業費を 100 万ユーロおよび 400 万ユーロと試算している。し かしながら同 F/S では、短期事業の 100 万ユーロでさえ、KfW だけの資金援助では完了し - 25 - きれないと指摘し、国際援助機関あるいは援助各国に資金援助を求める内容となっていた が、つい先ごろ世銀による協調融資が決定した。 現在ヘイル・ハーナ地区で配水管の敷設替え工事(WB による資金援助)が始まった他、 バグラミ・ポンプ場(Bagromi Pump Station)からの導水管の敷設替えや、カルーガ・カレ ーズ(Kharga Karez)の導水管の敷設替えの工事が開始されている(詳細第 4 章参照)。 (2) CIDA CIDA の活動報告書によれば、カブール市バグラミ地区の給水網のない貧困居住者に対す る支援として、CIDA が組織するアフガニスタン復旧委員会(The Rehabilitation of Afghanistan, ROA)により、ハンドポンプ付き掘り抜き井戸 36 本の建設が実施されたとしている(2003 年 9 月)。資金は、ローカルイニシアチブに対する カナダ資金(the Canadian Fund for Local Initiative in Afghanistan)が利用された。 (3) ICRC ICRC は、カブール市内 2 箇所の給水計画を 実施し、これにより地域住民 33,500 人が裨益 したとしている。さらに、ロガール地下水地区 出所:CIDA Update – September 2003 Issue の送電設備の修復を行ったとしている(ICRC による 2004 年 10 月-12 月最新活動報告書より)。 (4) DACCAR 一方 DACCAR は、タリバーン政権 表 3-5 時代の 1984 年より、アフガニスタンに DACCAR のカブール県新設/修復井戸数 手掘井 機械掘井 増掘修復 裨益者 おいて活動を開始しており、その年次 2003 年 103 井 96 井 57 井 5,500 人 報告書におけるカブール県に対する 2004 年 86 井 113 井 56 井 5,665 人 出所:DACCAR 年次報告書 近年の給水事業の成果は、表 3-5 のよ うに纏められる。しかしながらこれら の井戸のうち、現在何本の井戸が、カ ブール市内のものとして数えられる かは今回の調査では明らかにはなっ ていない。 (5) CARE International CARE の活動報告書によれば、アラ ウディン(Allaudin)及びナサジ (Nasaji)給水システムにおける 8 本 の井戸のうち、2 井の給水ポンプシス A well depening team working on a dry community well in Paghman, west of Kabul - 26 - 出所:DACCAR 2001 年次報告 テムの改修を行い、カブール市内第 2 区、3 区、5 区、6 区、8 区、10 区の 16,500 世帯へ給 水管を新設し、日量 6,220m3 の給水を、総支援額 90 万 US ドルの予算で 2001 年 7 月までに 完成させたとしている。 以上、KfW により実施中のカブール市給水網改善計画事業を含め、上述全てのカブール 市内で実施されてきた給水事業は、1960 年から 70 年代までの古い調査報告書の地下水資料 に基づき実施されてきており、1980 年初頭の旧ソ連によるカブール滞水盆の調査報告書は 全く参考にされていない。 したがって、同市の水源としてこれまで開発されている井戸は、概ね 60m 以下の浅層地 下水を水源とするものである。 このためこれら井戸の状況は、昨今の干魃の影響と緊急復興支援の中で、管理統制され ずに乱開発されてきた影響で、年々水位が低下していると言われている。JICA による 2004 年 1 月の「カブール給水計画予備調査」の報告においても、現在使用あるいは新規に開発 されようとしている帯水層の井戸地下水については、既にその地下水の水収支バランス(需 要と供給)が崩れていると記されている。 しかしながら、3-1 項に記したように、旧ソ連による新しい調査資料の発見により、これ よりも更に深い深度(深度 300∼650 m)での帯水層の存在が明らかになりつつある。この 旧ソ連による水文地質情報の詳細調査を早急に行い、超深層賦存調査抗井の掘削等により 地下水の深層賦存状況を実地検証することが、深刻化しているカブール市の給水状況の改 善と、カブール滞水盆の地下水利用の長期監視システムの構築、並びに地下水の保全利用 のために必要不可欠である。 - 27 - 第4章 4−1 調査対象地域の水供給事業に係る現状と課題 カブール市給水に関わる開発計画 カブール市の給水事業に関する既存開発計画には以下の計画があり、この中で現在実施されてい るものは、KfW による 2008 年を完成年度とした短期 5 ヵ年給水事業*注10のみである。 • KfW による「カブール市給水網拡張計画(Extension of the Water Supply System of Kabul)」 • MUDH が計画する「カブール衛星都市建設計画(Kabul Satellite City Construction)」 (1) KfW による「カブール市給水網拡張計画(Extension of the Water Supply System of Kabul)」 KfW は、2004 年 1 月 30 日に提出された「カブール市給水網拡張計画のフィージビリティ 調査(Feasibility Study for The Extension of the Water Supply System of Kabul)」の結果に基づき、 2008 年までの給水需要を目標年度に設定した短期 5 ヵ年事業計画を実施中である。 この短期事業計画を立案実施するにいたる経緯は、フィージビリティ調査最終報告書の 下記調査段階ごとの検証に従っており、その内容に関し概要を以下に記す。 • • • ドラフトインテリムレポート: 2003 年 6 月 9 日 ドラフトコンセプトレポート: 2003 年 7 月 26 日 フィージビリティー調査最終報告書: 2004 年 1 月 30 日 a.インテリムレポート*注11(KfW フィージビリティ調査最終報告書要約 2004 年 1 月より抜粋) a-1. ベースライン調査 (現時点の人口と将来予測) 過去 20 年に及ぶ脆弱な政治情勢のため、アフガニスタンには満足できる統計資料 が存在しない。国勢調査のデータとして残されているものは 1979 年時のものしかな く、これ以外にはカブール市について調査された 1986 年時のものが存在するのみで ある。本調査において入手できた 2002 年、2003 年の数値では、カブール市の人口は 175 万から 280 万となっているが、コンサルタントによる慎重な評価の結果では、難 民を除く 2002 年カブール市人口は 1,865,000 人と考えられる。2003 年の国勢調査の 結果が判明すれば、この数字の正確な修正を行うことが可能となろう。コンサルタン トによる調査での難民を含めたカブール市の推定人口は下記のとおりである。 2005 年:3,042,000 2010 年:3,527,000 *注10 KfW の F/S 終了時の、短期 5 カ年計画は 2004 年開始、2008 年完成とされていたが、現在は 1 年遅れの 2009 年が事業完成目 標年度とされている。 *注11 インテリムレポートには、カブール市給水事業の現状と将来予測のベースライン調査、既存技術データの収集と分析が記載 されている。 - 28 - 2015 年:4,088,000 (カブール市の地理的将来発展予測) カブール市の開発に関しては、1919 年よりマスタープランが準備されてきたが、 1978 年に策定された最終計画書は、実際のところ現状では全く役に立たない。東西 方向への市の拡張は現在でも可能であるが、一方現在の居住地域がアフシャール地下 水区にまで拡張していること、アッパーカブール地下水区には空き地の確保が必要で あることに注目しなければならない。幸いにして、ロガール地下水区から多少離れた 場所には、開発可能な地域が残されている。 (都市給水需要) 現在のカブール市水消費量に関わる使用可能なデータはない。カブール市民の大多 数が利用する伝統的なトイレシステムを使用する場合の水消費量は、1 日あたり一人 50 リッターであることが知られている。水洗式トイレシステムの設備された住居で は、100 リッターが必要である。さらに、富裕層の住宅の場合には 150 リッターが必 要とされる。したがって、現状の水需要と将来予測については、コンサルタントの専 門的な判断に基づいて数値が出されている。市の中心部とシャレーナウ商業地域、ア パートおよび富裕層の居住区域では給水設備が 100%完備されていると想定してお り、問題なく水道料金が支払われる地域では 2010 年には 60%、2015 年には 80%の 給水普及率に到達すると想定、支払能力に問題があると考えられる地域のそれは、 2010 年 30%、2015 年 60%の給水普及率を設定している。村落地域では、2015 年 50% と想定、漏水率については、2003 年を 50%とし、2005 年 40%、2010 年 30%、2015 年 20%にまで減少と仮定し、下記の給水需要予測と生産必要量が想定された。 表 4-1 KfW 調査によるカブール市給水需要と必要量予測 2005 平均 一般家庭給水需要計 m3/日 3 2015 2010 最大 平均 最大 平均 63,437 140,335 212,397 商業用 m /日 7,612 18,224 31,860 官公庁用 m3/日 6,344 14,033 21,240 工業用 m3/日 0 3,000 5,000 平均総需要合計 3 m /日 77,393 M 28.2 64.1 98.7 m3/日 52,627 70,245 67,624 年間総需要合計 予測漏水量 総必要生産水量 m3 年間必要生産水量 /日 130,021 M 47.5 116,090 168,717 175,612 245,857 89.7 263,417 333,663 270,496 338,120 最大 405,743 473,368 123.4 (出所:KfW フィージビリティ調査最終報告書、2004 年 1 月より) 年間必要生産水量を利用可能な水源と比較すると、既存の地下水源では 2010 年を目標年 度とするカブール市給水需要にすら見合わない。 - 29 - a-2. 既存給水源の評価と現状 カブール市に対する、現状の給水システムを重要度順に並べると、以下の通りとなる。 ① ロガール(Logar) 給水システム ② アラウディン(Allaudin) 給水システム ③ アフシャール(Afshar) 給水システム ④ ナサジ(Nasaji)給水システム ⑤ その他数箇所の補助給水システム ⑥ マクロ・ラヤン(Macro-Rayan)給水システム Lower Kabul Well field (Macro-Rayan) Afshar Well Field Nasaji Well Field Logar Well Field Allaudin Well Field (Upper Kabul Well Field) 図 4-1 KfW による地下水区(給水区) 参照:KfW フィージビリティ調査最終報告書 ① ロガール(Logar)給水システム このシステムは次のコンポーネントから構成される。 • 生産井戸 10 井からなるロガール地下水区、可能採水量 Q=毎時 170m3 井戸 • ポンプ 4 機からなるバグラミ(Bagrami)ポンプ場、送水量 Q=毎時 500m3/ポン プ • 貯水槽(O)容量 V=5,000m3 • バグラミポンプ場からワジルアクバルハーン(Wazir Akbar Khan)までの DN800 導水管線 このシステムの電気関係部品修復後の給水可能量 Q は、日量 63,000m3 である。た だし、導水管線の交換が必要と思われる。 ② アラウディン(Allaudin)給水システム このシステムは次のコンポーネントから構成される。 • 生産井戸 3 井からなるアラウディン地下水区(現在1井が修復中)、合計可能 - 30 - 採水量 Q=毎時 425m3 • 高揚程ポンプ 3 機からなるアラウディンポンプ場、送水量 Q=毎時 200m3/ポン プ • 貯水槽(A)容量 V=7,500m3 • アラウディンポンプ場から貯水槽(A)までの DN350GC 導水管線 • カブール川沿いの井戸 OY01 と OY03、採水量 Q=毎時 100m3/井戸 • 大学の井戸 UY01 と UY02、採水量 Q=毎時 100m3/井戸 • 大学の貯水槽(P) 容量 V=1,000m3(状態は非常に悪い) このシステムでは、大学の井戸と貯水槽は予備システムとして考慮する。導水管線 の最大送水量 Q は、最大1日 23 時間送水で約 14,000m3/日である。 ③ フシャール(Afshar)給水システム このシステムは次のコンポーネントから構成される。 • 生産井戸 6 井からなるアフシャール地下水区(現在 2 井が ICRC により修復中)、 合計採水量 Q=毎時 626m3(ポンプ揚水量) • 貯水槽(F)容量 V=10,000 m3 • 貯水槽(H)容量 V=5,000 m3 • アフシャール地下水区から貯水槽(F)までの DN500DC 導水管線と、貯水槽(H) までの DN400DC 導水管線 • 貯水槽(F)からシャレーナウ(Share-Naw)までの DN400AC 導水管線 このシステムは、1977 年当時の設計井戸採水量 Q=毎時 350 リッター(日量 25,000 3 m )が確保されている。 ④ ナサジ(Nasaji)給水システム このシステムは次のコンポーネントから構成される。 • 3 生産井戸 2 井からなるナサジ地下水区、可能採水量 Q=毎時 260 m(予備 1 井) • ポンプ 3 機からなるナサジポンプ場、送水量 Q=毎時 500 m3/ポンプ • 貯水槽(C)容量 V=1,000 m3 • ナサジ地下水区からポンプ場までの DN300 鋼管と、これより 700m 先の貯水槽 (C)までの導水管線 井戸群への電気供給がない。システムの取水量は、井戸 2 本の採水量に等しい。 ⑤ その他数箇所の補助給水システム 補助給水システムとしては、13 本の井戸とハルガ(Kharga)湧水池より構成される。 • 第 2 区への給水システムとしての、ハルガカレーズとコシャルメナ(Koshal Mena)井戸システム • ワジルアクバルハーン(Wazir Akbar Khan)を除く第 3 区への給水システムと しての旧市街の井戸群 • 500 世帯への給水システムとしての北ヘルハナ(Khair Khana North)井戸群 • ワジルアバッド(Wazir Abad)へ給水する井戸 2 本と、パルワン 3(Parwan3) - 31 - への井戸 これら 13 本の井戸の可能採水量は、Q=毎秒 7∼50 リッター、平均毎秒 14 リッタ ーである。井戸 OY02 を除くこれらの井戸すべては浅井戸であり、汚染の危険性もあ るため、代替の給水システムが構築され次第閉鎖されるべきであるが、現状では重要 な給水源であり、取水ポンプ等の電気設備が装備される必要がある。 ⑥ マクロ・ラヤン(Macro-Rayan)給水システム このシステムは次のコンポーネントから構成される。 • 生産井戸 11 井からなる給水システム、可能採水量 Q=毎時 78 m3 • 貯水槽(MR)容量 V=3,000m3 • 貯水槽からの給水管環状網 マクロ・ラヤンは、2003 年 4 月に CAWSS に統合されるまでは、公共事業省傘下 のマクロ・ラヤンメインテネナンス局により運営されてきた。 a-3. 地下水賦存量(KfW フィージビリティ調査が参照した過去の調査) 大規模な地下水賦存量調査としては、1960 年代に旧ソ連邦が実施し、1964 年から 1972 年にかけてドイツ水資源経済開発グループ(German water economy group)に引き継がれ たものがある。この調査期間中の 1966 年から 67 年に、水文地質調査と電気探査が行わ れている。また、国連機関による地下水調査報告書も発行されている。1970 年代には、 それまでの調査を検証しカブールの主要帯水層の包括的調査を行った、UNDP とカナダ の Proctor & Redfern International Ltd.(PRIL)社による報告書がある*注12。KfW フィージビ リティ調査における水文地質学的考察と地下水賦存量評価は、これら 1960 年代の調査 報告書と、特に PRIL、FAO、及びドイツの調査団による報告を活用している。 (カブール帯水盆の地下水ポテンシャル) カブール川上流域帯水層(UKRA)及びロガール川流域帯水層のみが既存の地下水区 として唯一拡張可能な帯水層である。カブール川下流域帯水層(LOKRA)は、量的に も質的にも限界があり、ハルガ川帯水層を含むパグマン川帯水層は、成水能力としては きわめて有望であることが証明されているが、河川からの集水域が小さいために涵養に 限界があり、評価としては下げなければならない。 UKRA の拡張可能域は、主にアラウディン地下水区の南側、とりわけカブール川の左 岸に存在する。また短期的に更なる開発の可能性を持つ地下水区は、ロガール川帯水層 である。この地下水区には、既存の井戸群に加え、安定的水供給を行える相当数の井戸 開発の余地が残されている。 *注12 UNDP-PRIL 《Kabul waterworks system Contract Document No.1 – No.12A,1977-1978》 - 32 - 表 4-2 KfW 調査によるカブール帯水盆における地下水開発ポテンシャル ポテンシャル 井戸ポンプ能力 追加井戸ポンプ能力 (百万トン/エーカー) (トン/日) (トン/日) 追加井戸本数 カブール川上流域帯水層 16 24,000 ∼20,000 8 井、2,500 トン/日 ロガール川流域帯水層 25 43,000 ∼25,000 8 井、3,500 トン/日 パグマン川帯水層 6 以下 ∼19,000 0 0 カブール川下流域帯水層 6 以下 ∼15,000 0 0 53 以下 101,000 ∼45,000 16 合計 (出所:KfW フィージビリティ調査最終報告書、2004 年 1 月より) 将来予測として開発が必要となるカブール市遠隔の地下水域としては、カブール市北 方 60km のパンジシール(Panjisher)川流域とゴルバンド(Ghorband)川流域がある。 b. コンセプトレポート(KfW フィージビリティ最終調査報告書要約 2004 年1月より抜粋) b-1. 開発戦略 前述のインテリムレポートにおいてカブール帯水盆は、閉鎖地下水域すなわち「地域 的」地下水源であり、現状の給水需要と将来の予測人口を補うには不十分であることを 示している。 実際、現状の水理学的状況を復旧したとした平均総給水量 122,000m3/日は、 2 百万人程度の住民に対する給水を行えるに過ぎない。将来的には、1970 年代後半のカ ナダ MONENCO による調査*注13で記されるカブール市遠隔地域の開発(例えばパンジシ ール帯水層)、あるいはダム建設による給水が必要とされるが、これらは将来実施され るべきフィージビィティ調査の中で選択されるべき「中期事業計画」である。KfW による フィージビリティ調査のコンセプトとしては、現状の需要に見合う給水事業計画として、 既存の水資源を利用し最も安価で現実的な「短期事業計画」を提案する。 この「短期事業計画」の概算事業費は 100 百万ユーロであり、「中期事業計画」では最低 でも 300 百万ユーロの事業費が必要となろう。実際この「中期事業計画」立案のためには、 1980 年の MONENCO 報告書の見直しだけでは不十分であり、パンジシール帯水層の賦 存量調査や社会経済調査などを十分に行う必要があろう。おそらく、2015 年のカブール 市人口予測の給水需要に見合う「中期事業計画」への事業投資額は、400 百万ユーロ以上 が必要と想定される。 b-2. 「短期事業計画」の概念 短期事業計画の技術コンセプトは、段階的に構築された。第 1 段階は、貯水槽 1 基で 給水し得る地域範囲の計画、第 2 段階はこれらの貯水槽の各々に十分給水できる生産井 戸と導水システムの計画、そして第 3 段階においてこれらの生産井戸と導水システムは、 既存の 4 地下水区採水許容能力範囲が不均衡であるがゆえに、分散配置されることで計 画された。 *注13 Montreal Engineering Company Ltd. 《Kabul River Valley Development Project, Master Plan Development, Sep. 1978》 - 33 - c. KfW 「短期事業計画」フィージビリティ調査最終報告書(2004 年 1 月)要約 c-1. プロジェクト戦略 短期事業計画は、現況の給水状況の改善と経済復興を目指すものであるが、既存の取 2010 水源の採水可能量は年間 44 百万トン、平均日量に換算すると 121,999 トンに過ぎず、 年の給水需要予測の 167,000 トン(一人あたりの消費量 50 リットル/日)をはるかに下 回る。したがってプロジェクトは、2008 年末を完成年度とする実施期間 5 年という期間 から「短期事業計画」と呼ばれるものである。 表 4-3 カブール市給水需要と消費予測 短期事業計画実施 中期計画 出所: KfW フィージビリティ調査最終報告書、2004 年 1 月 c-2. プロジェクト概要 (取水源) プロジェクトの取水源と既存給水源は同一のものであり、ロガール川、カブール川、 そしてパグマン川により涵養される地下水源である。これらの帯水層は、Homilius の 1966 年報告書*注14とその後の報告書により、下記の二つの地下水盆に存在する。 • 上部カブール地下水盆 − カブール川上流帯水層(UKRA) − パグマン(及びカルガ)川帯水層 • 下部カブール地下水盆 − カブール川下流帯水層(LOKRA) − ロガール川帯水層 カブール市への給水源として採水可能なこれら 4 つの帯水層の成水量は、表 4-4 に示す通りであるが、短期事業計画完成時の給水量は、年間約 25 百万トンと推 定される。 *注14 J. Homilius 《Hydrogeological and geoelectrical investigations in the Kabul Basins, Afghanistan, Hannover, 1966》 - 34 - 表 4-4 採水可能4帯水層の特性(Properties of the local and readily available resources.) 帯水層名(地下水区) 年間可能採水量 (百万トン) 平均日量(トン) 最大日量(トン) 集水域(km2) ロガール 24.6 67,500 99,200 9,722 アラウディンと UKRA 12.5 34,200 48,800 1,646 3.7 10,000 11,500 387 N/A アフシャール(パグマン) LOKRA 総量 3.7 10,000 11,500 44.4 121,700 171,000 出所: KfW ドラフトフィージビリティ調査報告書、2003 年 10 月 (生産井) ロガール、アラウディン、及び上 部カブール(新規開発)の 3 地下水 区において 26 本の生産井を掘削し、 毎時 125 トン∼175 トンの揚水量を有 する水中モーターポンプを設置する。 井戸の深度は 50∼60m で、これらの 井戸から日量平均 121,000 トン、ピー ク時 171,000 トンの給水をカブール 市に行うことができる。また、導水 管 46km、送電線 26km の敷設、15km の進入路の建設も計画される。 カブール川下流帯水層(LOKRA) 図 4-2. KfW アラウディン地下水区開発計画 すなわちミクロロヤンシステム、及び パグマン帯水層(アフシャールシステ ム)は拡張の余地がなく、逆にアフシ ャールについては日量 10,500 トンま で生産量を減じる必要がある。 (工期と予算) 工期は、2004 年から 2008 年末まで の 5 年間とし、2004 年は施設設計と 大規模工事関連の入札、2005 年から 2006 年までは、ポンプステーション、 貯水槽、導水管敷設に集中し、以降給 水網整備を 2008 年までに行う。短期 図 4-3. KfW ロガール地下水区開発計画 事業計画の総予算は、105 百万ユーロ である。 以上が KfW による、カブール市給水網拡張計画(「短期事業計画」)の概要である。 - 35 - (2) MUDH が計画する「カブール衛星都市建設計画(Kabul Satellite City Construction)」 当該計画は、現在のカブール市中 心部から約 30km の北東パイマナ (Paymunara)地域に人口 70 万人規模 の新衛星都市を作る計画で、2003 年 に構想の大筋が MUDH により策定さ れた。計画では、地域を 10 区に分割、 それぞれ 70,000 人の住居を建設し 2004 年中には第 1 区画が完成し住民 の入居が可能となり、2013 年までに は全ての居住区が完成するとされて いる。給水施設建設、電力供給施設 建設、市内道路建設も計画に含まれ 図 4-4 カブール衛星都市計画 出所:MUDH る。しかしながら、特に給水施設建設については、KfW が実施 する拡張計画事業の範囲外であるため、新たな給水源を見出す ことが必要とされており、パイマナ地域における深層地下水の 可能性が期待されている。事業資金は、計画の初期段階ではア フガニスタン政府の自己資金で実施するとされているが、本体 事業についての予算に関しては、現在のところ資金的目処は立 っていない。US Trade & Development Agency (米国貿易開発機 構 USTDA)が、2003 年 6 月に事業予算 4 億ドルの投資先を公募 する記事を出している。 図 4-5 新衛星都市1区画のプラント 出所:MUDH 図 4-6 USTDA の記事 出所:USTDA Project Resource Guide – Afghanistan: Rebuilding a Nation, Chicago, June 2003 - 36 - 4−2 水資源開発/水供給事業の現状と課題 (1) 対象地域の水資源開発の現状と課題 (カブール盆地の帯水層に対する新旧調査報告と開発の可能性) KfW による 2004 年 1 月完了のフィージビリティ調査は、主として CAWSS に保管されて いる 1960 年代の調査報告書と、特に PRIL、FAO、及びドイツの調査団による水文地質調査 の報告書を基に取りまとめられており、その結果カブール盆地の水文地質については、表 4-5 のように説明している。 表 4-5 KfW によるカブール盆地の水理地質層序 地 質 系 統 完新世 Reworked Loess Series 更新統 Lataband Series 新第三紀 Kabul Series 層 相 表土 砂、レキを挟む粘土及びシルト レキ岩及び砂岩、一部にレキ シルト岩、マール及び粘土 帯水層名称 層 厚 Upper Aquifer 10-50 m Lower Aquifer 30-65 m - - KfW の報告書によると Upper Aquifer の地下水は自由地下水であるとしており、同盆地の 主帯水層であるとしている。一方、Lower Aquifer はレキ岩の亀裂やセメント化していない 部分であるか、あ るいは一部のレキ に賦存している被 圧地下水であると している。ただ、 一部の地域におい ては両帯水層の特 徴が明確に区分で きる所もあるが、 全ての地域で共通 する特徴であると はしていない。つ まり、両帯水層は水 現場写真 16 ロガール地下水区 文地質的に連続している箇所もあり、1 つの帯水層と見なしても良いであろうと結論づけて いる。 また同報告書では、新第三紀をカブール盆地の水文地質的な基盤岩としており、これよ り深い深度での帯水層を地下水開発の対象としては見なしていない。つまり KfW の報告書 では、過去の調査で見出された新第三紀の地質が、シルト岩、マールおよび粘土のみで、 いずれの地質も難透水層に分類されることから、これを基盤岩として扱っているのである。 したがって、KfW による「カブール市給水網改善計画事業」 (「短期事業計画」)では、短 期事業プロジェクトの取水源を、既存給水源と同一のロガール川、カブール川、そしてパ - 37 - グマン川により涵養される 4 つの帯水層(地下水区)とし、新規開発井戸はこれらの滞水 層の 3 地区において行い、深度も、更新統、Lower Aquifer を対象とした 50∼60m と設定し ている。 上述の KfW によるカブール市給水網改善計画事業を含め、全てのカブール市内で開発さ れた井戸は、これらの古い調査報告書の地下水資料に基づき実施されてきており、現在ま で開発されてきた井戸は概ね 60m 以下の浅層地下水を水源とするものである。これら井戸 は、昨今の干魃の影響、地下水管理行政の不備、そして緊急復興の支援状況の中で管理統 制されずに乱開発されてきた影響で、年々地下水位が低下していると言われており、 JICA2004 年 1 月の「カブール給水計画予備調査」においても、現在使用あるいは新規に開 発されようとしている帯水層の井戸地下水については、既にその地下水の水収支バランス (需要と供給)が崩れていると報告されている。 一方、本編第 3 章において記したよ うに、KfW のフィージビリティ調査に おいて参照されたこれら過去の水文地 質調査報告の他に、1980 年から 1983 年にかけて旧ソ連により実施された、 鉱物資源調査の調査報告書「パスポー ト」の存在が明らかとなっている(杉 野専門家)。 1970 年以前の帯水層が 4 地下水区に 分類されるのに対し、この旧ソ連の調 査では7地下水区に分類し、さらには 現場写真 17 ロガール地下水区の珍しい木製ケーシング カブール盆地の基盤岩を 400m∼700 m以深の先カンブリア時代に形成された地質としている。この新資料の存在が明らかにな ったことにより未開発の有望な深部帯水層の存在の可能性が高まった。 (地下水区に対する考え方) 過去幾つかの水文地質調査が実施され、それぞれの調査によりカブール盆地の滞水層の 地下水区分が行われてきており、また DGEH、CAWSS 等の地下水開発あるいは給水事業を 行う機関によってそれぞれ異なる地下水区の名称と区分けが採用されている(表 4-6)。 事前調査においては、現状使用される上記地下水区の名称と旧ソ連邦による鉱物資源調 査の結果に基づき、今後カブール盆地における深部地下水の開発可能性が期待され、かつ 深部帯水賦存調査が必要とされる地域について DGEH と下記の深部帯水賦存調査 9 地下水 区を決定した(図 4-7)。 1. 北カブール(North Kabul) 2. ポレチャルヒ(Pole-Charkhy) 3. ダルラマン−チェヒルストン(Darlaman−Chehilston) - 38 - 4. アフシャール(Afshar) 5. カブール市中央部(Kabul Center) 6. ロガール−バグラミ(Logar-Bagrami) 7. 平原部新第 3 紀 8. 空港北東部 9. ロガール川∼カブール川間 表 4-6 既存地下水区の名称と開発の状況 地下水区名 KfW/CAWSS の名称 DGEH の名称 Afshar Afshar(Pagman) Afshar 開発終了、新規開発の余地はない。 Allaudin Allaudin (UKRA) Allaudin 開発終了、新規開発の余地はない。 Chehilston − Chehilston Logar-Bagrami Logar, Nasaji Logar-Bagrami 既存地下水開発の状況 調査完了。生産井 50 本の開発が可能。 開発可能 20 本生産井(10 本/Profile)のうち、 1-profile(10 本)のみ完了。 Microroyan Microroyan (LKRA) Microroyan 開発終了済み(生産井 11 本)。 Khir Khana − Khir Khana 開発終了済み(生産井 3 本)。 North Kabul − North Kabu 開発可能 22 本生産井のうち 2 本のみ完成。 Pole-Charkhy − Pole-Charkhy 要調査。 Kala-ye-Kaze − Kala-ye-Kaze 要調査。 Donrishmand − Donrishmand 要調査。 1 7 8 2 5 4 6 3 9 図 4-7 期待される深部帯水賦存調査域 - 39 - (深部帯水賦存調査における課題) 現在深刻化するカブール市の給水状況改善のためには、このカブール盆地深部地下水賦 存調査と一連の水文地質評価の実施を行い、今後の水資源開発計画と給水事業ならびに地 下水行政へ反映させることが急務である。このためには、対象となる深部帯水賦存地域に おける詳細な深層地下水資源調査を行い一連の水文地質図にまとめるほか、これらを総合 した地下水資源の評価を実施し、将来の深層地下水利用によるカブール市給水計画策定の 基礎資料整備を行う必要がある。 しかしながら、アフガニスタン国における地下水資源調査に責任を有する MMI、並びに その下部組織である DGEH は、深部掘削調査に必要な機材を保有しておらず、現地には適 切な調査掘削業者も見当たらない。またこれらの対象地域の幾つかは、日本人技術者が立 ち入ることのできない制限地域でもあり、先方実施機関の技術者による代替調査施工等の 必要性が想定されるため、本格調査はこれらの課題を十分検討の上、実施される必要があ る。 (既存給水源の水質汚染) 2004 年から、米国地質調査所 (USGS)が MMI 傘下のアフガ ニスタン地質調査所(AGS)とカ ブール帯水盆の既存井戸台帳整 備と水質調査を開始している。調 査井戸数は 148 井におよび、水質 は多岐に飛んでいることが報告 されている。 この報告によれば、幾つかの地 域における地下水の水質は溶存 固形物が低濃度であり問題の要 素はないが、他の幾つかの地域で は、溶存固形物が高濃度であり、 人間と作物に有害なある種の高 濃度イオンが検出されていると 図 4-8 USGS によるカブール市街水質調査井戸 されている。また特に帯水盆のあ 出所:USGS る部分においては、高濃度の硝酸 塩、ホウ素および溶存固形物と、排泄物による汚染の上昇が表示されていると報告されて いる。今後これらの資料を参考に、本格調査での水質分析と、カブール帯水盆の地下水の 長期観測システムと地下水保全のための維持管理への提言等が望まれる。 (KfW による短期事業計画以外の地域における水供給) KfW の短期事業計画による施設改修・拡張工事の基礎となるフェィージビリティ調査は、 - 40 - あくまで過去に計画されていた給水計画でこれまで実施されていなかった地域や、戦争に よりその施設が破壊された地域に限定されており、もともと計画のなかった地域の給水計 画までは策定されていない。 しかしながら現状では、これら想定外の地域においても市街地は拡張しており、カブー ル市の給水事業を管轄している CAWSS としては、このような地域においても安全で安定 した飲料水の供給が切迫した課題であると認識している。このような地域に居住する住民 は大口径の浅井戸の水を飲料水として利用しており、その水質はかなり汚染されている。 同市の東部に位置するアハマド・シャー・ミナ(Ahamad Shah Mina)地区は、推定人口 が約 40 万人と言われるが、水道の設備が全くない地域であり、地域住民の代表者がほぼ毎 日 CAWSS を訪問し陳情を続けている。この地域の住民の利用する浅井戸の簡易水質分析 が、杉野専門家により行われている。井戸水は臭気こそないものの、色は白濁しており、 電気伝導度は 1,970µS/cm と非常に高く、塩素イオンは 200 mg/L と基準値を超え、硝酸性窒 素および亜硝酸性窒素も 10 mg/L と基準値を超えたと報告されている。また一般細菌や大 腸菌もこの井戸水からから検出されており、飲料水に適した井戸水とは言えないという結 果が出ている。 アハマド・シャー・ミナ地区の他に、KfW による F/S の対象地域から除外され、給水計 画について全く目途の立っていない地区は、南東部のカライ・ナウ(Qalai Naw)地区、西 部のクシャル・ミナ(Khushal Mena)地区および南西部のカルテ・シャー(Karte She)地区 北部の 3 地域である。ここに挙げた 3 地区については、カブール市の都市計画に沿った市 街地であるため問題はない。一方、先に市街地拡張の速度が非常に早いと紹介したタイマ ニ(Taimani)地区やヘル・ホナ地区郊外の現在市街地が拡張している部分は、不法居住区 であり、いずれ住居が撤去される可能性も否定できない。すなわちここで注意しなければ ならないことは、拡張している市街地が、カブール市の都市計画に沿ったものか、あるい は不法住居区域であるのかを十分に確認する必要があるということである。MUDH および CAWSS は、不法住居区域の飲料水供給は実施しないとの姿勢を示しているため、今後の給 水計画の策定のためにはこれらの確認が必要である。 - 41 - 4−3 現地業者と現地資機材 (1) 現地井戸掘削業者 本事前調査においては、ロータリー泥水掘削工法により、最低でも 200m 程度の井戸を掘 削できる現地業者を、下記の 4 社に絞り、保有機材の状況、掘削現場視察、資料等の提出 などにより調査を実施し、さらに、本格調査において想定される掘削工事仕様書(図 4-9) を作成し工事見積を提出させた。 一方、2004 年 2 月 JICA の「カブール市給水計画予 備調査報告書」に記載される業者に関しては、浅井戸 用パーカッション掘削業者であるため、本事前調査の 対象から外した。 なお、本調査期間中に、これら 4 業者及び DELTA 社(今回の調査には含めていない)は、トルコ資本の 掘削業者であることが判明し、これらの業者を MMI 関係者が登用したがらない理由のひとつとして、この 辺りに事情があるのではないかと類推された。 • • • • KARIZMA Construction Co., Ltd. AFTUR Construction Company Ltd. PYRAMID Geo-Engineering & Construction. Co. EKEMLER 図 4-9 現地業者見積用仕様書 なお上記 4 社を含め、ロータリー掘削を実施できる 現地掘削業者のリストは表 4-7 の通りである。 a.KARIZMA Construction Co., Ltd. 2003 年 7 月にカブールに設立されたトルコ資本の業者で、自社製作のトラック搭載型 掘削機を保有し、韓国国際協力事業団 KOICA(Korea International Cooperation Agency ) の発注による井戸掘削の実績を有している。本事前調査団による現地調査直前に、JICA 専門家現地活動費による 400m の試掘調査井戸の契約が行われ、掘削が開始されていた。 しかしながら、同社はこの調査井戸掘削において、二度に亘り失鑿事故を発生させ、結 局試掘調査井を完成させることはできなかった。 1 回目の失鑿事故は、深度 150m まで挿入された肉薄の鉄製ワークケーシング*注15が、 150m より浅い深度で泥灰岩の押し出しにより圧壊、さらに 200m 付近で逸水による崩 落現象を発生させ、事故回復を行えず、掘削を放棄した。さらにこの事故直後、同社は 施主になんらの事故報告もせず失鑿孔を埋め戻し、掘削地点を移動し再掘削を開始して しまった。 注 * 15工事発注仕様書では肉厚ケーシングを要求していたが、アフガニスタン国内では調達できないとのことで、現地調達可能な肉 薄タイプのものが挿入された - 42 - 2 回目の失鑿事故は、同 社の報告義務違反並びに 施工業務違反に端を発し ている。施工契約の仕様で は、井戸ケーシングとスク リーンの建て込みにあた っては、当然のことながら 事前に井戸検層とその結 果報告を行い、施主の指示 と了解の下に建て込み作 業を開始すべきとされて いた。しかしながら同社は、 この義務を怠り(実際に検 現場写真 18 KARIZUMA 社による試掘井失鑿現場 層を行ったかどうかも不 (Pule-Charkhy 現場) 明)、独断で 6 インチ PVC パイプの挿入を開始してしまった。ところが建て込み作業途中、ケーシングが深部で埋 没し、抜管もおこなえず失鑿事故を起こしてしまった。施主による、事前立会い検査を 実施することができなかったために、粗悪な泥水掘削が原因で建て込み途中に孔壁崩落 を誘発させたのか、掘削ズリの循環排土の不完全によるものなのか、あるいは掘削孔そ のものが孔曲がりを起こしていたためなのか、原因は特定できていない。 KARIZMA 社は、現地業者の中でも技術ランクでは最上位にある会社*注16と言われて いたが、地質的に掘削時には十分配慮しなければならない泥水管理が全く行われておら ず、泥水用ベントナイトも現地での調達はできないということで、山粘土を使用した粗 悪なものを使用しており、深くても実力的には 200m 程度の井戸掘削までしか行えない と判断される。 工事現場も DGEH の掘削現場に比し、非常に乱雑、かつ排土と排泥処理が極めて粗 悪であり、また工事仕様書に記載される各種の施工条項・条件の殆どが理解できていな いものと考えられた。 保有掘削機は、自社製トラック搭載型のものであるために、その実際の掘削能力、耐 荷重、安全性について、全く検証することができない。したがって、実際にどの程度ま での深度の井戸掘削業務を発注することができるかの、定量的判断を行える材料と保証 基準がないのが実態である。 b.AFTUR Construction Company Ltd. AFTUR 社副社長 Sher Muhammad Iman Nazar 氏によれば、アフガニスタン解放直後の 本格的井戸掘削事業は、サウジアラビア資本の AFTUR 社と、トルコ資本の DELTA 社 により、2002 年 12 月から開始された。 *注16 これは DGEH 技術者の発言によるものだが、DGEH の技術者は当初から KARIZMA 社ではこの井戸を完成させることはでき ないとしていた。 - 43 - AFTUR 社は、DELTA 社持ち込みのトルコ製中古掘削機を購入することで、DELTA 社 への資金援助を行った。2003 年以降、アフガニスタンに設立されたトルコ資本系の会社 PYRAMID 社、EKEMLER 社、KARIZMA 社等は、AFTUR 社からの資金提供、もしく は掘削機材の提供を受けて設立されている。従って、AFTUR 社の掘削現場は、すなわ ち、これらの会社の現場ということである。 実際、同福社長が AFTUR 社の現場と称して本、事前調査団を案内したカブール空港 北部ヘイル・ハーナ地区とダルラマン地区の両掘削現場は、まさに PYRAMID 社の現場 であった。また案内された機材置き場は、空港北部にある EKEMLER 社の機材置き場で あった。 c.PYRAMID Geo-Engineering & Construction. Co. 以下は同社地質技師 Ihsan Ozer 氏と、経理担当の Ahmed Shoaib 氏による、訪問面談 時の提供情報である。 同社は、トルコに本社を持つ井戸掘削 及び地質調査の会社であり、自社で井戸 掘削も行うが井戸検層と電気検層も請 け負う。水質分析については、トルコに 検体を送り分析をする。 井戸掘削機は、自社製 250m 級のトラ ック搭載機 3 台を保有しており、これら 3 台の機械を 11 人の技術者で動かして おり、250m の掘削に要する期間は 20∼ 現場写真 19 ダルラマンの PYRAMID 社現場 25 日程度である。 ケーシングは、通常マイルドスチール のケーシングと、自社でスリット加工を したスクリーンを使っている。施主に PVC ケーシングを求められる場合には、 ドイツ製のものをトルコから持ち込む。 泥水用のベントナイトは、トルコ製ベ ントナイトが高価なために使用してお らず、現地で調達できる山粘土を使用し ている。 現場写真 20 空港北部 PYRAMID 社現場 現在稼動させている現場は 2 箇所あり、 カブール空港北部の、米国ダイナコール社により建設された新警察宿舎用の給水井戸の 現場(井戸の深度は 60m、ケーシングは 6 インチ)と、カブール市内ダルラマン地区に ある、発注がインド大使館の修復中の高校用給水井戸現場がある。掘削は、9 インチで 80mまで掘り下げた後、13 インチに拡径し、最終 160m 深度まで掘削の予定である。 - 44 - d.EKEMLER 同社は、2005 年 2 月にカブールへ進出してきたばかりのトルコ系井戸掘削会社である。 所長 Zafer Ekem 氏は、Ekem 一族の次男で、まだ 25 歳と非常に若く、井戸掘削事業の 経験は殆どない。 井戸掘削機は、米国 TAMROCK 社製エア掘削専用機 1 台、泥水ロータリー掘削機(自 社製)2 台を保有しており、ここでも掘削用泥水のベントナイトは、山粘土を使用して いるとのことである。 掘削現場を見せてもらう話であったが、現場終了とのことで空港北部にある同社ワー クショップを案内してもらったが、実際にはワークショップではなく単なる機材置き場 である。しかもその場所は、前記 AFTUR 社副社長が本事前調査団を案内した場所であ った。結局、同副社長の発言が裏付けられたもので、トルコ系業者は同業者同士でアフ ガニスタンにおける井戸掘削市場を持ち回りしているようである。 (2) 現地資機材 井戸掘削用資機材を除き、殆どの土木・ 建設用資材は、品質と量を問わなければ現 地にて調達することができる。採石、骨材 などはローカル品があるが、その他セメン ト、丸棒、鋼板、鋼材、釘、番線、角材に いたるまで、全てがロシア製、中国製、パ キスタン製である。また鋼管については、 肉厚 5.5mm、直径 10 インチのパキスタン 現場写真 20 イタリア製 4 水中モーターポンプ 製の炭素鋼鋼管が現地で入手できる最 大のものである。PVC 管は、肉厚 7mm、 直径 4 インチの現地製もしくはイラン 製のものが入手できる。但し、イラン 製のものは、本事前調査で知りえたも のは肉厚 3.2mm であった。機械工具類 は、中国製、パキスタン製、ドイツ製 のものが入手できる。 現場写真 22 ローカルの PVC とスリット加工 現場写真 21 ローカルのグラベル 大型建設機械は、日立建機、小松、BOMAG、キャタピラー、KOBELCO、SAKAI、KATO などのものがレンタル市場に出回っている。現地品の詳細市場調査結果については添付資 料に記す。 - 45 - AFTUR Karizma PYRAMID Construction Co., Geo-Engineering & Ltd Construction Co. DELTA Construction Name of Company Construction Co., Co., Ltd Ltd EKEMLER Drilling Wells KHALID SABAUN + and Construction Co. WODRO No. of office staff 5 12 5 2 2 5 No. of drillers 6 3 2 3 2 12 No. of assistant drillers 4 8 3 6 4 12 3 1+1 1 1 1 2 No. of mechanics 1 4 2 1 1 2 No. of site coodination staff 3 1 - - 1 2 No. of Hydrogeologist and Geophysist Rotary rig, Russian mad Capacity 250 m Capacity 600 m 1 produced by 1 produced by 2 TAMROCK D40KW in 2 - 46- Turkish rotary rig DELTA, 1996 1 rotary rigs, 2 1996, capacity 600 m KARIZMA capacity 200 m Capacity 400m Drilling rigs Pakistan made Capacity 300 m produced by Capacity 500 m Capacity 400 m 5 produced by 3 2 1 percussion rigs, 8 EKEMLER, rotary Russian rotary rig capacity 100 m DELTA, 1995 table type Machinery in Afghanistan Capacity 150 m 1 7 bar IR 1 7 bar ROMVAYT 1 - 15 bar 1 - - Test pump, 2" - 3" 2 Test pump, 2" Loader 2 Pick-up 2 Dump truck 5 3-ton water tanker 3 Crane truck, 1996 1 15 bar IR 3 SULLAIR (5 - 25) 1 - Test pump, 2" - 3" - Pick-up 2 Pick-up 2 Water tank 3 3-ton water tanker - Crane truck, 1996 1 - 4 Compressor Water pump Trucks Other machinery Concrete mixer 1 Logger, 200 m 1 Resistivity, 400 m 2 Test pump 3 表 4-7 現地業者リスト(1/3) Capacity 600 m PYRAMID AFTUR DELTA EKEMLER Drilling Karizma KHALID SABAUN + Geo-Engineering Name of Company Construction Co., Construction Co., Construction Co., Ltd Ltd Ltd Wells and WODRO & Construction Construction Co. Co. cent work in SystemScience Owner Argandi Poyon KOICA - Daccor Louis Berger & CDM Water supply - Water supply - Water supply Water supply Japan Government - - - Swedish fund Louis Berger Kabul Kabul Kabul - Ghazni Gardiz $10,200 - - - $50,000 $50,000 Aug, 2003 Aug, 2003 Feb., 2004 - Aug - Sep, 2004 Dec, 2004 - cont 60 m 75 m 120 m - 40 - 70 m 60 m Casing diameter Over 175 mm - 8-1/2 inches - 150 mm 100 -110 mm Number of wells 4 - - - 5 3 Drilling method - - - - 100 % DTH 65 % Rotary Brawn + Root DEH - ISABAZ - - US Army Afghanistan Consultant Name of Project Source of fund Location Duration Depth of wells - 47- MIADI MASKAN Owner Construction Co. Name of Project Water supply - Water supply - - Water supply Source of fund US Embassy - - - - US Army Kabul Kabul Kabul - - Kandahar $17,860 - - - - $62,000 July, 2003 May, 2003 Feb., 2004 - - June - Sep, 2003 140 m 202 m 100 m - - 105 - 110 m Casing diameter Over 175 mm - 8-1/2 inches - - 100 - 110 mm Number of wells 3 - - - - 3 Drilling method - - - - - 65 % Rotary Location Contract amount Duration Depth of wells 表 4-7 現地業者リスト(2/3) Contract amount PYRAMID AFTUR DELTA EKEMLER Drilling Karizma KHALID SABAUN + Geo-Engineering Name of Company Construction Co., Construction Co., Construction Co., Ltd Ltd Ltd Wells and WODRO & Construction Construction Co. Co. Afghanistan - 48- Owner Sanpo-International Turk - Afghan School - - - USAID Name of Project Japan Government - - - - Water supply Water supply - - - - USAID Kabul Kabul - - - Kandahar $88 per meter - - - - $90,000 Duration - Apr., 2003 - - - Dec, 2002 - May, 2003 Depth of wells - 50 m - - - 90 - 145 m Casing diameter - - - - - 100 - 150 mm Number of wells - - - - - 7 Drilling method - - - - - 45 % Rotary Source of fund Location Contract amount 表 4-7 現地業者リスト(3/3) Recent work in 第5章 5−1 環境・社会予備調査 環境・社会影響評価制度 (1) 環境・社会影響評価制度 アフガニスタン国では、2002 年に国連環境計画(UNEP)により『内戦後の環境評価 34 (Post Conflict Environmental Assessment 34)』が行われ、2003 年 2 月にはその報告書がまと められている。本報告書では、ごみ廃棄物、下水、上水道等に関わる都市環境問題の包括 的評価と、その他様々な環境分野での首都カブール市に於いて特定の評価が行われたこと が報告されているが、これらの都市環境特定評価は、UNEP の環境評価チームによるアフガ ニスタン国政府関係者、コミュニティーリーダー、NGO、一般市民、国際機関スタッフへ のインタビューを元に実施されたに過ぎない。 現状のアフガニスタン国における環境社会評価制度の法制化は、2004 年 8 月に灌漑・水資 源・環境省環境法設立委員会(Environmental Law Team)によりダリ語版で出され、2005 年 2 月 28 日に英語版中間報告書としてまとめられた『Afghanistan’s Draft Environmental Protection Act』が進められているのみである。この準備中の環境保護法は、アフガニスタン 国の環境保護の基本理念のみを纏め上げたもので、行政組織、環境保護の基本原理、包括 的環境汚染防止基本方針、生物多様性と自然保護基本理念が記載されるのみであり、環境 評価法の着手にまではいたっていない。 5−2 開発調査プロジェクトの概要と立地環境 本節では、本格調査で想定される試掘調査について、JICA「環境社会配慮ガイドライン」(平成 16 年 4 月施行)と JICA 開発調査環境配慮ガイドライン「VIII 地下水開発計画」(平成 4 年)に準じて、ス クリーニング及び予備的スコーピングを行う。 本格調査では、カブール帯水盆の深層地下水賦存調査の結果に基づき地下水資源評価図を作成し、 地下水揚水及び給水に関する課題の抽出と提言を取りまとめる。ただし、本格調査の結果、深層地 下水開発の妥当性が確認できれば、アフガニスタン政府の合意を条件に、カブール市を対象とした 都市給水計画の策定にも協力する可能性がある。その場合には、計画内容が具体化する段階で、改 めてスコーピングを行う必要がある。 ここでは、スクリーニングとスコ−ピング作業のために試掘調査計画について、その概要と立地 環境を記述した。なお、調査井の試掘の結果、揚水試験、水質検査等を行うが、その際の排水につ いて十分留意する。 試掘調査計画の概要とプロジェクト立地環境を、表 5-1 及び表 5-2 に示す。 - 49 - 表 5-1 項 試掘調査計画概要 目 内 プロジェクト名 背 景 目 的 位 置 容 カブール市給水計画調査(開発調査) アフガニスタン国の首都カブール市の生活用水は、カブール盆地内の浅 層地下水を水源としているが、上水道は人口の約 20%をカバーしている に過ぎない。しかも近年の旱魃と相まって水源地下水位の低下が目立っ てきており、現状のままでは浅層地下水の利用に困難が生じ、カブール 市の住民 240 万人(一説には 300 万人)の生活に大きな打撃が起きる事 が懸念される。 既存水源以外の有望な水資源、特に未開発の深層地下水賦存状況を調査 し、既存の浅層地下水源と併せ、カブール盆地全体の地下水資源のポテ ンシャルを予測する。その結果を基に、地下水揚水及び給水に関する課 題の抽出と提言をまとめ、カブール市の将来にわたる自立的・持続的飲 料水供給計画策定のための基礎情報の整備を目的とする。 カブール市 実施機関 鉱工業省(MMI) 裨益人口 約 240 万人 計画諸元 計画の種類 深層地下水賦存量調査計画 計画の性格 飲料水/貧困層環境改善 水源/水質 水源:地下水、水質:未知 導水施設 浄水場 計画しない 計画しない 配水施設 計画しない 付帯設備 無し その他特記すべき事項 特に無し。 表 5-2 項 プロジェクト名 試掘調査計画の立地環境 目 内 容 カブール市給水計画調査 社 会 環 境 地域住民(居住者/先住民/計画に 地域住民間の問題は特に発生していない 対する意識) 生活関連施設 上水道普及率は 20%であり、他の多くはハンドポンプ付き (井戸・貯水池・水道/電気) 共同給水、手掘りの浅井戸に依存している。井戸のないと ころでは、カブール市や NGO の給水車、あるいは民間水売 り会社からの買水にも依存する。当該都市部は電化されて いる。 保健衛生 水に起因する下痢、コレラ等の発生 (伝染病・疾病/病院/習慣等) 自 然 環 地形・地質 標高 1800m、周囲を山に挟まれた盆地で、平野部はほぼ沖 (急傾斜地・軟弱地盤・湿地・断 積層で覆われ基盤岩層の露頭もある。平野部は堆積層であ 層等) る。 - 50 - 境 地下水・湖沼・河川・気象 (水質・水量・降雨量等) 年間降水量が 300mm 前後(近年減少傾向にある)、水源は 100m以浅の地下水に頼る。 貴重な動植物・生息域 (自然公園・指定種の生息域等) 苦情の発生状況 公 (関心の高い公害等) 害 対応の状況 (制度的な対策/補償等) その他特記すべき事項 5−3 特になし。 特になし。 特になし。 特になし。 スクリーニング及び予備的スコーピングの結果 スクリーニング段階で環境配慮の必要性が確認された項目につき、予備的スコーピングを行った。 その結果を表 5-3 に示す。 表 5-3 環 1 2 3 4 社 会 5 6 境 項 目 住民移転 雇用や生計手段等の 地域経済 土地利用や地域資源 利用 社会関係資本や地域 の意思決定機関等の 社会組織 環 既存の社会インフラ や社会サービス 貧困層・先住民・少数 民族 試掘調査計画の予備的スコーピング結果 評 定 住民移転が必要な大規模調査施設は計画に含まれない。(スクリ ーニングにより該当項目外と判定) D 地域経済に影響を及ぼす調査規模とはならない。 D D D D 境 被害と便益の偏在 D 8 地域内の利害対立 D 9 ジェンダー D 10 子供の権利 D 11 文化遺産 D 13 HIV/AIDS 等の感染 症 水利権・入会権 拠 D 7 12 根 D C 調査施設は比較的小規模なものとなり、農耕や経済活動に使用さ れている場所は対象外とできる。 一部の地域においては、長老達や有力者らによる伝統的な意思決 定機構は存在するが、既存の都市給水事業が存在しており、本計 画はそれに代替するため、反対意見等は発生しないと考えられ る。 公共の水供給サービスが質・両面で十分でなく、本事業により改 善を目指す。(スクリーニングにより該当項目外と判定) 低所得層にも裨益する事業である。先住民、少数民族に関する紛 争やトラブルの存在は指摘されていない。 一部の市民は汚染された私的な浅井戸などの水を使用している ため、本事業は安全な水へのアクセスの不平等の解消に貢献す る。 基本的に対象地域(カブール都市部)全体に裨益する。 ジェンダーに係わらず市民に裨益する事業である。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 事業との因果関係が認められない。間接的に子供も裨益対象とな る。(スクリーニングにより該当項目外と判定) 影響を与える文化遺産は無い。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 事業との因果関係が認められない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 私有地での試掘調査が想定される場合は調整が必要。 - 51 - 保健衛生 D 15 廃棄物 D 16 災害(リスク) D 17 地形・地質 D 18 土壌浸食 D 自 然 環 19 地下水 D 20 湖沼・河川流況 D 境 21 海岸・海域 D 22 生物・生態系 D 23 気象 D 24 景観 D 25 大気汚染 D 26 水質汚濁 D 27 土壌汚染 D 28 騒音・振動 D 公 14 水因性の疾患の軽減が期待できる事業であり、保健衛生は改善さ れる。(スクリーニングにより該当項目外と判定) 建設廃材が発生した場合でも、適正処理可能な量である。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 事業実施により、旱魃に対するリスク軽減が期待できる。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 地形・地質に影響を与える事業規模にならない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 事業内容との因果関係が認められない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 既存水源地下水位の低下に影響を及ぼす地下水揚水及び給水に 関する課題の抽出と提言をまとめるもので、地下水に影響を与え る事業規模とはならない。 湖沼・河川流況に影響を与える事業規模にならない。 害 内陸地での事業である。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 調査地域内には保全地域は存在しない。また、事業規模が生態系 に影響を与える規模にならない。 気象に影響を与えるような大規模な施設は想定されない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 景観を害するような大規模な構造物の計画は想定されない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 工事中の排気は少ない。事業実施後も大気汚染は発生しない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 水源保護の啓発活動により、現状より改善される可能性がある。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 調査事業排水による土壌汚染の危険性は極めて小さい。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 施工管理、施設の運転管理で防止される。小規模な工事でもあり 期間も短い。共用後も騒音・振動は発生しない。 (スクリーニングにより該当項目外と判定) 揚水試験による地下水汲み上げ量で、地盤沈下の可能性は無い。 29 地盤沈下 D 30 悪臭 D 発生源は無い。(スクリーニングにより該当項目外と判定) 注:評定の区分 A:重大なインパクトが見込まれる。 B:多少のインパクトが見込まれる。 C:不明(検討をする必要はあり、調査が進むにつれて明らかになる場合も十分に考 慮に入れておくものとする)。 D:ほとんどインパクトは考えられないため IEE あるいは EIA の対象としない。 試掘調査事業の総合評価を表 5-4 に示す。 表 5-4 環境項目 水利権・入会権 試掘調査事業の総合評価 判定 今後の調査方針 C 私有地での試掘調査が想定される場合は、水 利権の調整を監督官庁と行う。 - 52 - 備 考 第6章本格調査の実施方針 6−1 本格調査の目的と基本方針 (1) 調査の目的 事前調査団と鉱工業省(MMI)との間で確認された本格調査の目的は、次のとおりである。 ① 調査対象地域において、飲料水として利用し得る開発可能な地下水資源賦存量の評価を する。 ② 調査対象地域において、地下水資源開発計画策定のための基礎資料を整備する。 ③ 本調査の期間中、調査に参加する先方実施機関(鉱工業省)の C/P(カウンターパート) に水資源調査の手法を技術移転する。 (2) 基本方針 1) 本格調査の位置付け カブール市の上水道は、カブール盆地内の 38 ヶ所の掘抜き井戸及びカルーガ地方か ら導水されたカルーガ・カレーズを水源としてきたが、長年に及ぶ戦乱によりその上水 道給水機能は壊滅状態に陥った。このため、KfW の支援によりカブール市の上水道施設 の改修を目的とした調査「Feasibility Study for the Extension of the Kabul Water Supply System」が 2004 年 1 月まで行われ(以下、KfW による F/S) 、これをもとに KfW は「カ ブール市上水道改修整備計画」を策定し現在既存の給水施設の改修工事を行っている。 この KfW による F/S の基礎資料であるカブール盆地の給水源評価では、旧ソ連進行 前の 1970 年代後半までに CIDA などの支援により実施された 100m以浅の沖積の滞水層 を対象とした地下水資源調査報告書がレビューされている。しかしながら、2004 年 4 月に我が国の協力により実施された「第二次地方展開総合調査」(以下、先の調査)に おいて MMI に保管されていた 1980 年代の旧ソ連による水文地質情報が発見され、カブ ール盆地において現在の水源として取水されている帯水層(深度 100m 以浅)よりも更 に深部(深度 300∼650 m)における帯水層の存在が明らかになっている。 現在同市の給水源として使用される 100m以浅の帯水層の地下水については、既に水 収支バランス(需要と供給)が崩れていると指摘されており(2004 年 2 月のカブール市 給水計画予備調査報告書)、また同市内の浅井戸は昨今の干魃の影響で年々地下水位が 低下していると言われている。 現在深刻化しているカブール市の給水状況を改善するためには、先の調査によりその 存在が明らかとなった旧ソ連による水文地質情報の再評価が重要であるが、その精度と 内容は深部地下水資源の評価に十分なものであるとはいいがたい。 したがって本調査においては、将来の深層地下水利用によるカブール市給水計画策定 の基礎資料整備のために、対象地域における詳細な深層地下水資源調査を行い一連の水 文地質図にまとめるほか、これらを総合した地下水資源の評価を実施することを目的と する。 - 53 - 2) 調査方針 本格調査の目的を達成するために、以下の方針で調査・解析を実施する。 ① 既存資料の収集・整理・解析を行い、これに衛星画像・航空写真の判読を加えて、 まず予察的な水文地質図を作成する。 ② 水文地質予察図に基づき、データの不足する地域、水文地質的に問題となる 地域を抽出し、深部地下構造の把握のため物理探査の現場調査を実施する。 ③ 物理探査の結果に基づき、調査対象地域の深部地質構造と帯水層の性状を把 握するために、開発の行われていない第四紀層(200m 程度)及び新第三紀層の 層相と帯水能、及び基盤岩基底面の確認を目的とした中∼深層 (400m 及び 600m)の調査井掘削を行い、土質柱状分析、揚水試験等を実施する。 ④ 調査対象地域に流入する河川の流量と流出量を把握するために河川水位観測 を行うとともに、調査井の地下水位の経年観測を行う。 ⑤ これらの調査結果は、地質図、地質断面図、基盤岩基底面等高図、帯水層構 造図、帯水層定数分析図など一連の水文地質図にまとめあげるほか、これら を総合した地下水資源評価図を作成し、地下水揚水及び給水に関する課題の 抽出と提言を取りまとめる。 3) 物理探査と調査井の掘削 本格調査においては、予察的な水文地質図をもとに物理探査と調査井の掘削を行い、 揚水試験、水文観測を行わなければならない。これらの調査においては先方実施機関 C/P への技術移転もあわせて行う必要があり、また再委託可能な適切な現地業者がいな いため、調査の初期の段階において下記の条件を踏まえ探査・試掘調査計画を立案する 必要がある。 ① 日本人技術者が立ち入ることのできない制限地域における現場調査の実施に ついては、先方実施機関 C/P の技術者による代替調査又は施工監理等の検討 が必要であること。 ② 物理探査では比較的浅部(200m 程度)での地下構造を把握するための垂直電 気探査,及び大深部(600∼700m)の地下構造を把握するための電磁波探査を実 施しなければならないこと。 ③ 調査井の掘削は、既存の給水源たる浅層の帯水層から深層帯水層への地下水 流入を防ぐ必要があること。また地質構造の把握のためには、土質のサンプ ルを採取しなければならないが、これは掘削スライムにより行わなければな らないこと。 ④ 深部帯水層の帯水能は、8 リットル毎秒から 30 リットル毎秒と多岐に及び、 また正確な揚水試験の結果を得るためには掘削終了後の深部帯水層の目詰ま りを十分に取り除く必要があること。 4) 現地購入・再委託 現地購入あるいはレンタルの可能な資機材について、現地再委託可能な現地業者があ る場合には、輸送費の軽減、調達期間の短縮、費用の縮減を図り、技術的な支障の無い - 54 - 限り現地購入・再委託とする。 5) 関係機関の参画 地下水資源調査に関する責任は MMI にあり、地下水資源調査の実施は同省の DGEH が行い、調査データの一元管理は AGS が行うこととされている。 一方、カブール市の上水道(都市部)については、MUDH の下部機関である CAWSS が 給水施設の運営・維持管理及び給水事業(都市部)を実施するものと想定されるが、カ ブール市に移管される可能性もある。 調査期間中の各段階における報告書の提出時には MMI 主催のもと、DGEH、MUDH、 カブール市、CAWSS を含めた合同会議を行う必要がある。また、調査期間中の調査内 容と工程管理の相互理解のために MMI 主催のもと、DGEH、DMA、AGS を含めた関係 機関との合同技術会議を開催する必要がある。 6) 運営維持管理計画について 調査期間中に掘削された調査井並びに水文観測施設の維持管理は MMI が負担するも のとし、調査井のうち数本は調査終了後も観測井として活用されるが、この引渡し先に ついては調査期間中に、アフガニスタン政府と協議の上、決定する必要がある。 6−2 調査対象地域 調査対象範囲はカブール盆地の 600m2 であり、水資源調査の対象地域は、MMI との協議に基づき 決定された下記の地下水区とする。これらの位置は、図 4-7 の調査対象地域図に示す。 • • • • • • • • カブール(North Kabul)地下水区 ポレチャルヒ(Pole-Charkhy)地下水区 ダルラマン−チェヒルストン(Darlaman−Chehilston)地下水区 アフシャール(Afshar)地下水区 カブール市中央部(Kabul Center)地下水区 バグラミ−ロガール(Logar-Bagrami)地下水区 平原部新第 3 紀地下水区 空港北東部地下水区 • ロガール川∼カブール川間地下水区 6−3 調査項目、内容及び範囲 本調査において必要と判断される調査項目、内容及び範囲は次のとおりである。 (1) 調査項目 本調査において必要とされる主要調査項目は次の 10 項目であり、概要を表 6-1 に示す。 a. 既存資料の収集と分析整理、既存取水・給水施設の実態調査 b. 衛星画像、空中写真判読 - 55 - c. 地形、地質、露頭等地下水踏査 d. 地域開発、水利用、土地利用、人口動態、法律・条令・慣習調査、及び水需要調査と水 需要予測 e. 水文要素調査(既存水資源、既存井戸、測水、水質、) f. 物理探査 g. 試掘調査及び揚水試験 h. 試掘調査井水位、水質観測 i. 水文地質、地下水資源評価図の作成 j. 地下水揚水及び給水に関する課題の抽出と提言 表 6-1 調査項目と概要 調査項目 主担当 既 存 資 料 の収集 と ◎総括(地下水調 分析整理 目的 活動内容 関連情報 水文地質予察図の作成及び ・既存井戸インベントリ AGS/DGEH 保有既存調査 査計画) 試掘調査井と物理探査地点 ー調査、水文基盤の岩 井戸資料、AIMS 販売地 ○ 水文地質A の配置予測等井戸掘削計画 質分布・深さ、滞水層の 形図(1/5000)及びカブ ○ 取水・給水施設 の立案 性質と分布、地下水流 ール市区分図、UNMAC 地 域、地下水盆の設定 雷情報地図他 調査 衛星画像、航空写真 ◎水文地質A 水文地質予察図(地質断面 ・土地利用、植生、地形 AGS 保有衛星画像並び 判読 ○水文地質B 図、模式地質柱状図、構造 地質、土壌水分の把握と に空中写真、AIMS 販売 線等高線図、岩相分布図) 地下水流域、地下水盆の 衛星画像等 並びに地下水資源評価図作 設定 成のための基礎資料作成 ・断層位置の推定 地形、地質、露頭等 ◎水文地質A 地下水面等高線図等の地下 ・ 水文基盤の推定、地下 踏査 ○水文地質B 水資源評価図の基礎資料作 水の動水勾配の推定 成 地域開発、水利用、 ○総括(地下水調 調査対象地域の将来の変貌 ・ 土地利用図、給水利用 土 地 利 用 、人口 動 査計画) と水需要予測、並びに法規 者統計、カブール市開 態、法律・条令・慣習 ◎水文地質 B 制・環境規制に関する提言 発計画、水法、環境規 調査、及び水需要調 ○取水・給水施設 の基礎資料作成 制分析 査と水需要予測 調査 ・ 既存水源の利用状況、 既存給水施設実態調査 水文要素調査 ○水文地質 A 地下水資源評価図の基礎資 ・ 簡易標高測量 ◎水文地質 B 料作成 ・ 既存井戸水位観測 - 56 - ◎水質調査 ・ 河川流量観測 ・ 水質分析 物理探査 ◎水文地質A 物理探査法の OJT と地下水 ・ 水文地質予察の結果に ○水文地質B 資源評価図の基礎資料(比 より調査範囲、探査深 ◎物理探査 抵抗断面図と平面図)の作 度を計画 成、及び試掘調査井掘削予 ・ 一次元比抵抗電気探査 定位置の決定 とトランジェントEM 探査の実施と解析 試 掘 調 査 及び揚 水 ◎鑿井指導・管理 地下水資源評価のための基 ・ 地質調査と物理探査 試験 ◎試掘調査 礎情報収集(井戸地質柱状、 の結果に基づき調査 ○水文地質A 滞水層位置と厚さ、不透水 井の掘削、土質サンプ ○水文地質B 基盤深さ、透水・透水量係数 ル入手及び揚水試験 等)と基礎資料作成、及び鑿 を実施 井技術、掘削機材管理 OJT 試掘調査井水位、水 ○水文地質A 地下水面等高線図、地下水 ・ 一斉観測 質観測 ◎水文地質B 位変動曲線、地下水の水質 ・ 継続観測 ◎水質調査 分析図 ○総括(地下水調 水 文 地 質 図 ・ 断 面 図 ・ カブール滞水盆におけ 水文地質、地下水資 源評価図の作成 査計画) ・ 水質調査 (1/25,000)、滞水層・加圧 る深部滞水層別地下水 ◎水文地質A 層層圧分布図、主滞水層等 資源評価図を作成する ◎水文地質B 深線図、水質区分図、及び 地下水資源評価図 地 下 水 揚 水及び 給 水 に 関 す る課題 の 抽出と提言 ◎総括(地下水調 査計画) ○水文地質A 地下水開発計画(案)の策 カブール滞水盆の深部 定と評価、地下水行政(水法 地下水揚水可能量と水 令)への提言 需要予測を勘案の上、 ○水文地質B 数種の地下水開発計画 ○取水・給水施設 を策定し予察的な評価 調査 を行い、あわせ地下水 行政管理(水法令)へ の提言を行う。 - 57 - (2) 調査内容と範囲 調査は、第一年次のインセプション・レポート作成等の国内準備作業と、レポート説明 のための第 1 次現地調査、第二年次の既存資料及びデータの収集と分析、衛星画像並びに 空中写真の判読、既存井戸及び給水施設の実態調査等の基礎調査、社会・経済・給水関連ベ ースライン調査を含む第 2 次現地調査、これに引き続く水文地質予察図の作成と深部地下 水調査計画(案)の策定を行う第 2 次国内調査、そして既存水源と井戸の測水並びに水質調査、 深部滞水層賦存量調査のための電気探査と深部地下水試掘調査及び揚水試験、地下水位・水 質観測等の第 3 次現地調査、第三年次に引き続き第 4 次現地調査として実施される深部滞 水層賦存量調査、そして第 2 次国内調査において実施される深部地下水資源評価図、水文 地質図の作成、深部地下水開発計画への課題の抽出及び地下水行政への提言から構成され る。 第一年次: (1) 国内準備作業 1)既存資料の収集・分析 2)調査の基本方針・調査方法の検討 3)インセプション・レポートの作成 4)井戸掘削機材の出荷前検査と検品 5)調査用資機材の調達・発送準備 (2) 第1次現地調査 1) インセプション・レポートの説明・協議 第二年次: (3) 第 2 次現地調査 1)既存資料・データの収集と分析及び既存井戸インベントリー確認調査 次に示す項目について水文地質予察図の作成、試掘調査井と物理探査地点の配置予測 等井戸掘削計画の立案に必要な既存資料/データを収集し、それらの検討・分析を行う。 社会経済条件 地質、岩質、水文要素、地下水、水質要素、井戸 気象、地形 水資源ポテンシャル 水利用状況 関連プロジェクト 既存井戸インベントリー確認調査 (既存井戸インベントリーの分析を行い、不足資料について確認調査を行う) 最新地雷位置、除去状況 - 58 - 2)衛星画像・空中写真判読 水文地質予察図作成のため、鉱山工業省地質調査所(AGS)が保有する衛星画像並び に空中写真、アフガニスタン情報管理サービス(the Afghanistan Information Management Service−AIMS)が販売する衛星画像等を入手し、地形分類、地質分布、水系分布、湿 地や窪地の分布、植生分布、水文地質構造(リニアメントや褶曲構造)等を判読する。 3)地形、地質、露頭等現地踏査 地下水面等高線図等の地下資源評価図作成の基礎資料収集のために、調査対象地域に おける地形・地質、水文地質等の現地踏査を行う。踏査においては、泉、湿地、植生、 水文地質的な地形要素、地質構造、帯水層の特性等について現地確認する。日本人技術 者が立ち入ることのできない制限地域における現地踏査の実施については、先方実施機 関 C/P の技術者による代替調査の検討も必要である。 4)水利用実態調査 カブール盆地では 1990 年代以降に 3,000 本以上のハンドポンプ井及びつるべ式井戸が 設置されており、可能な限り、これらの井戸(手掘り及び機械掘り)を含めた既存井戸 の実態を調査する。調査では事前に井戸調査票を作成し、これらを井戸台帳として取り まとめる。また暫定政権樹立後に市内で多数の水中モーターポンプ井も掘削されており、 これら新しい井戸も調査対象とする。 一方、昔から伝統的な水源として利用されてきた湧水やカレーズも点在しており、こ れらにおいても事前に調査票を作成し、水源台帳として取りまとめる。 また調査した既存井戸の中から、地下水位の一斉測水調査の対象井戸を 100 本程度、 地下水位継続観測の対象井戸を 10 本程度選定する。 5)既存井戸及び他の水源利用の給水施設調査 水利用実態調査に併せ、各水源がどのような給水施設の形態を用いているのかを調査 する。調査では事前に給水施設調査票を作成し、これらを給水施設台帳として取りまと める。 水利用調査及び給水施設調査において、日本人技術者が立ち入ることのできない制限 地域における調査の実施については、先方実施機関 C/P の技術者による代替調査の検討 も必要である。 6)社会・経済・地下水行政管理ベースライン調査 調査対象地域の社会・経済、地理概況、水利用・地下水開発に関する法律・条令・慣習 を把握する。関係各省庁機関にある、調査対象地域の土地利用図、人口動態、給水利用 者統計、開発計画、法規制、環境規制に関する資料を収集分析し、調査対象地域の将来 の変貌と水需要予測を行い、地下水利用法規制と地下水管理・保全に関わる提言の基礎 資料を作成する。 - 59 - (4) 第 1 次国内作業 1) 水文地質予察図(地質断面図、地質柱状図、構造線等高線図、岩層分布図)の作成 第 2 次現地調査の 2)、3)による既存資料、現地において入手された気象、地形、水 文地質資料等の分析、衛星画像・空中写真判読により地質断面予察図、模式地質柱状図、 構造線等高線予察図、岩石分布予察図の水文地質予察図を作成し、JICA 本部に提出す る。 カブール盆地の深層地下水の賦存状況は、構造運動に起因する古地形が大きく関与し ていると考えられ、従って構造運動を含む古地形の復元が必要とされる。そこで原地形 から推定される構造線を把握し、これに過去のボーリングデータの解析により、古地形 及び水文地質構造を推定する。 水文地質構造の推定については、カブール盆地内の第四紀層のみならず、第三紀層の 水文地質構造を推定する。また既存資料により、各帯水層における水文常数の推定を分 かる範囲で実施する。 (5) 第 3 次現地調査 1)合同技術会議の開催 第一次調査の調査内容と工程管理の相互理解、及び作成された水文地質予察図の相互 確認のために MMI 内にて、DGEH、DMA、AGS を含めた関連部署による第1回合同技 術会議の開催を行う。引き続き 2 ヶ月ないし 3 ヶ月ごとに各工程の実施状況と調査内容 の技術的な相互理解のために第 2 回、第 3 回合同技術会議を開催する。 2)水文要素調査(その 1) 水利用実態調査で選定した既存井戸を対象に測水調査を実施する。調査に先立ち、測 水調査の対象とする各井戸の標高を計測するために、簡易標高測量調査も実施する。 A)簡易標高調査 簡易標高調査は、技術的な支障の無い限り再委託可能な現地業者がある場合には、 費用の縮減のため現地再委託とする。 測点数:110 B)地下水位一斉測水調査 水利用実態調査で選定した既存井戸 100 井を対象に、月 1 回の一斉測水調査を実施 する。一斉測水調査で測定する項目は、地下水位(自然水位か動水位かを記録してお く)、水温、pH 及び電気伝導度とする。 なお地下水位一斉測水調査は、調査期間完了まで一貫して実施することとし、日本 側調査チームが帰国中においても、先方実施機関 C/P にて対応できるような体制を構 築する。 C)地下水位継続観測調査 水利用実態調査で選定した既存井戸 10 井を対象に、地下水位継続観測調査を実施 - 60 - する。使用する機材は、ポンプが設置された井戸でも対応できるように、小口径の圧 力感知式自記水位計とし、センサーには水深 40m の耐圧性能を有するものとする。 また測定間隔はフレキシブルに対応できるものとし、1 分、10 分、1 時間及び 1 日間 隔の測定ができる機材を選定する。 なお地下水位継続観測調査は、調査期間完了まで一貫して実施することとし、日本 側調査チームが帰国中においても、先方実施機関にて対応できるような体制を構築す る。 D)水質調査 既存水源井戸の水質分析を行い、飲料水水源としての妥当性を検討するとともに汚 染の広がりを把握する。水質分析には、地下水開発計画専門家が持ち込んだ水質分析 器(Hack 社製 DR/2400)が先方実施機関にあるので、これを有効利用することとす る。その際には、必要な試薬を調達資機材に入れることとする。 分析は先方実施機関の分析室が担当することとするが、技術移転が十分に施されて いるとは言い難いため、 水質分析の際には OJT による技術移転をも含むこととする。 また解析では、ヘキサダイアグラム及びトリリニアダイアグラム等を用いた解析法 を使用し、これも先方実施機関に OJT による技術移転を施す。 雨季(3∼4 月頃)と乾季の終わり(9∼10 月頃)の計 2 回実施する。分析試料数は 1 回に 50 個程度とする。分析項目は次のとおり。 ① 現場分析項目 次の 3 項目については、現場測定する。 現場分析項目:pH、温度、電気伝導度 ② 室内分析項目 以下の 18 項目について、地下水開発計画専門家が持ち込んだ水質分析 器(Hack 社製 DR/2400)を使用して実施する。 分析項目:硬度、濁度、アルカリ度、ナトリウム、カリウム、マグネシ ウム、カルシウム、鉄、マンガン、重炭酸、塩素、硫酸、アンモニア、亜 硝酸、硝酸、フッ素、二酸化炭素、大腸菌群、糞便性大腸菌(小型孵卵器 を使用) 3)試掘候補地の選定 既存資料分析、地形、地質、水文地質踏査の結果を基に、試掘候補地を選定する。そ の際には、地雷未処理地区を避け、安全に作業が実施できるように配慮する。またこれ に併せ、試掘に先立って実施される物理探査の各側線を設定する。これら側線設定にお いても、地雷未処理地区を避け、安全に作業が実施できるように配慮する。 4)物理探査 地下水資源評価図の基礎資料(比抵抗断面図と平面図)の作成、試掘地点の選定及び 試掘予定深度の決定のために物理探査を実施する。物理探査では、比較的浅い深度での - 61 - 地下構造を把握するための垂直電気探査、及び大深度の地下構造を把握するための電磁 波探査を実施する。 垂直電気探査では深度 200∼250m 程度で基盤岩となる先カンブリア紀の岩盤が出現 する地域を対象とし、以下の要領にて実施する。 測点数: 20 地点 測定方法: ウェンナー電気配列 最大解析深度 : 250 m 電磁波探査では深度 250 m 以上で基盤岩となる先カンブリア紀の岩盤が出現する地 域を対象とし、以下の要領にて実施する。探査手法は、深度方向の解析分解能が良く探 査深度が大きい、また測定時間が短く広範囲の調査が出来る時間領域電磁探査(TEM 法)とする。 探査深度: 600m以上 測定点数: 200 点程度 物理探査は再委託可能な現地業者がいないため、日本人技術者立ち入り制限地域にお ける調査実施への対応も踏まえ、先方実施機関 C/P の技術者への OJT を十分実施できる 調査地点から開始する。 5)深部地下水調査計画の策定と深部滞水層賦存量調査 A)試験井掘削 深部地質状況、基盤岩基底面、深部滞水層賦存量、及び水質調査のため物理探査結 果に基づき、深層調査井戸の掘削と孔内検層および揚水試験を実施し深層地下資源評 価図作成の資料とする。 深層滞水層調査に必要な諸元の調査井戸掘削、掘削土質サンプル、孔内検層、正確 な滞水能調査結果を得られる井戸仕上げ等の技術的に信頼できる再委託業者は現地 にはない。また現地及び近隣諸国では、調査対象地域の地質構造の掘削に適する膨潤 防止力・泥壁形成性・粘性を保てる良質の泥水剤と調泥剤、深部調査井建設に必要な 圧壊強度を有するスチールパイプ、スクリーンを調達することは困難である。 現時点で想定される概略の井戸諸元は下記のとおりであり、調査井掘削地域・地下 水区、井戸本数と井戸深度は表 − のとおりである。 掘削本数 : 最大 14 本 掘削予定深度 : 600m、400m、200mの 3 種 掘削総延長 : 6000m ケーシング仕様 - 62 - ポンプハウジング : 13-3/8 インチ(100m、150m)API、Grade H40 井戸ケーシング : 6-5/8 インチ API、Grade H40 スクリーン仕様 : 6-5/8 インチ巻き線型亜鉛めっきスクリーン 土質サンプル : 3m 毎にスライム判定 井戸洗浄 : ジェッティング、エアリフト洗浄 セメントグラウト : 100m、150m までフルホールセメント 深井戸掘削機、関連資機材、掘削用泥水材料、井戸ケーシング・スクリーンは現地 に持ち込み、日本人技術者指導のもとでの OJT を十分に行い、先方実施機関 C/P の 将来にわたる深部地下水掘削調査に関わる技術の移転を計るものとする。第 3 次現地 調査においてはまず 600m の調査井掘削を実施し、引き続き行われる第 4 次現地調査 での 400m 調査井戸掘削のための基礎資料とする。 200m の調査井戸に関しては、第 3 次現地調査の結果により、基礎資料補完のた めその必要性が認められる場合に掘削を行うかを判断するものとし、この場合は現地 再委託とし施工管理は先方実施機関 C/P が実施するものとする。 表 6-2 試掘予定地下水区と試掘本数 地域・地下水区 200m 400m 600m 井戸本数 北カブール (North Kabul) 1 1 − 2 ポレチャルヒ (Pol-e-Charkhi) − − 2 2 − 1 1 2 アフシャール (Afshare) 1 1 − 2 カブール市中央部(City Center) − − 1 1 バグラミ・ロガール (Bagromi-Logar) 1 1 新第三紀(平原部) − − 1 1 空港北東部 − − 1 1 ロガール川 / カブール川間 1 − − 1 4本 800m 4本 1600m 6本 3600m 14 本 6000m ダルラマン−チェヒルストン (Dar-la-man-Chehilston) 総井戸本数 / 延長 - 63 - 2 B)孔内検層 上記の試掘井について、帯水層と難透水層の位置を把握し、スクリーンの設置位置 を決定するために、孔内検層を行う。 検層項目 :比抵抗、自然電位、自然ガンマ線、キャリパー C)揚水試験 揚水試験は以下の 3 通りの試験を行い、その結果を解析して透水量係数、貯留係数、 漏水係数、比湧出量などの水理定数を求める。 揚水試験には、想定される動水位と揚水量により下記容量の水中モーターポンプを 使用する。 総揚程(m) / 揚水量(lps):40/10, 40/18, 65/27 i. 段階揚水試験 エアリフトによる井戸洗浄時の揚水量から、揚水量を 5 段階に設置する。揚水 時間は 1 段階あたり 120 分を目安とする。 ii. 連続揚水試験 段階揚水試験の結果から得られた適正揚水量で連続揚水試験を行う。48 時間を 目安とし水位が安定するまで実施する。水位が安定しない場合は 72 時間実施す る。 iii. 回復試験 連続揚水試験後の水位の回復を測定する。測定時間は 12 時間を目安とする。 D)試掘井の水質調査 試掘調査で掘削した調査井戸について、水質分析を行う。分析項目は既存水源の水 質調査と同様とする。 E)調査井の地下水位モニタリング 掘削した試掘井は観測井として用いる。観測井は冬の積雪や機材の盗難防止にも耐 え得るように、観測小屋でその全体を覆う。 観測井にはペンレコーダ式自記水位計を設置し、地下水位の継続観測を実施する。 なお観測井の地下水位モニタリングは、調査期間中一貫して実施することとし、日 本側調査チームが帰国中においても、先方実施機関にて対応できるような体制を構築 する。 6)測水(その 2):河川水位観測点の設置及び流量観測 カブール盆地に流入する河川の流量及び同盆地から流出する河川の流量を把握する ために、主要河川に河川水位観測点を設ける。流量は測定した河川水位と月 1 回計測し た流量により、水位−流量曲線を作成し、その全量を把握する。 河川水位観測点は 4 ヶ所設けることとする。 なお主要河川の流量観測は、調査期間中一貫して実施することとし、日本側調査団の - 64 - 帰国中においても、先方実施機関にて対応できるような体制を構築する。 7)技術移転セミナーの開催 政府関係機関、他ドナー、NGO などの関係者からの参加を広く募って技術移転セミ ナーを開催する。 8)インテリムレポートの作成・提出、協議 第三年次: (6) 第4次現地調査 1)初期環境調査(IEE)の支援 2)深部滞水層賦存量調査 第 3 次現地調査に引き続き、調査井戸掘削、掘削土質サンプル、孔内検層、揚水試験 等の深部帯水層賦存量調査を実施し、あわせて、調査井戸について水質分析と自記水位 計の設置による地下水位継続観測を行う。 3)測水(その 3): 第 3 次現地調査に引き続き、既存井戸の地下水位観測(一斉観測)、河川水位観測と 流量観測及び既存水源の水質調査を実施する。水質調査は、雨季の終わり、乾季の終わ りに各1回ずつ実施する。 4)合同技術会議の開催 第 4 次現地調査の調査内容を踏まえ、MMI 内にて、DGEH、DMA、AGS を含めた関 連部署による、第 4 回合同技術会議の開催を行う。 (7) 第 2 次国内作業 1)深部地下水資源評価図作成 これまでの調査結果をもとに、対象地域の 1/25000 の水文地質図及び深部地下水資源 評価図を作成する。一連の水文地質図類には下記の図面が含まれる。 ① 水文地質平面図及び断面図 ② 主滞水層及び加圧層等層厚線図 ③ 主滞水層等深線図 ④ 主滞水層被圧水頭分布図 ⑤ 不圧地下水等高線図 ⑥ 比湧出量分布図 ⑦ 透水量係数分布図 ⑧ 水質分布図 ⑨ 地下水資源評価図及び説明書 - 65 - 2)深部地下水開発基本計画(案) の策定と地下水管理保全行政(水関連法令)への提言 深部地下水資源評価に基づき、深部地下水開発適地を選定し、開発計画(案)を立案す る。 i. 開発適地選定 地下水ポテンシャル、水質から見た地下水開発適地を選定し、開発の優先順 位付けを行う。 ii. 探査方法の提案 開発のための詳細調査項目、探査・調査方法を提案する。 iii. 開発可能量の概算 各開発適地の水文地質状況に応じた 1 井戸あたりの取水可能量(適正揚水量) を算定する。また、群井配置を行った場合の開発可能量を、通常の地下水理学 的解析手法を用いて、いくつかのケースについて算定する。 iv. 深部地下水資源管理・保全のための提言 深部地下水源を水量と水質、将来需要予測に照らし合わせ、持続的に管理・ 保全していくための行政措置等への提言を行う。 3)ドラフトファイナル・レポートの作成 第四年次: (8) 第 5 次現地調査 1)ドラフトファイナル・レポートの説明・協議 (9) 第 3 次国内作業 2)ファイナル・レポートの作成 6−4 調査工程及び要員計画 本調査の調査工程(案)を表 6−3 に示す。全体で 27 ヶ月程度が必要である。ただし、試掘調査 のための資機材の調達状況によって、さらに長期間が必要となる可能性がある。 表 6−3 月 1 2 3 4 5 6 7 8 調査工程(案) 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 調査工程 現地作業 国内作業 調査段階 報告書 フェーズI ▲ IC/R フェーズII ▲ P/R ▲ IT/R - 66 - ▲ DF/R ▲ F/R 本調査に必要とされる要員は以下の通りと想定される。 ① 総括(地下水調査計画) ② 水文地質 A・水文地質 ③ 水文地質 B/測水・賦存調査 ④ 社会・経済/環境配慮・給水計画(取水・給水施設調査) ⑤ 物理探査 ⑥ 鑿井指導/掘削管理 ⑦ 試掘調査/機材管理 ⑧ 水質調査 各団員は複数業務を兼務している場合もある。それぞれの業務に求められる内容は表 6−1 のとお りである。 6−5 調査実施体制 実施機関は鉱工業省(主として水理地質調査局 DGEH)であるが、関連する機関として都市開発・ 住宅省(MUDH)、上下水道公社(CAWSS)、カブール市役所都市計画局などを合同調整委員会のメ ンバーとし、本格調査における情報交換の円滑化を図る。また、それは本調査の成果が将来的に水 供給事業につながる際に、然るべき機関が実施機関としての責任を引き継ぐための準備でもある。 鉱工業省内では、DGEH の技術者による定期会議を開催し、本調査の途中経過及び調査を通じて 行う技術移転に関する情報の共有化を図る。 6−6 NGO等ローカルリソースの活用 ローカルリソースの活用は現地の知見の活用、調査コストの低減化、調査効率の向上の各点から 有効であるが、事前調査までの結果によると現地で活用可能な NGO 等は限られる。本調査は基本的 に調査団と実施機関の直営による調査なので、NGO 等のローカルリソースは既存井戸インベントリ ー調査など、限定的な内容であれば活用可能である。 本格調査における地下水賦存調査のための調査井戸掘削は、200m、 400m、 600m の予定深度を 持って実施されるが、200m の調査井戸については現地井戸掘削業者への再委託の可能性が考えられ る。しかしながら、本事前調査で実施した調査結果においては、現地井戸掘削業者の使用する資材、 特に調泥剤、ケーシング材料等について問題が多く、これらの資材は本格調査団が日本または第三 国から調達する必要がある。また井戸掘削施工技術においても、土質サンプルの採取、フルホール セメンティング、孔内検層、ケーシング及びスクリーン建て込み、井戸洗浄、揚水試験等の基本的 な施工技術が不足しており、本格調査団あるいは鉱工業省による十分な施工管理のもとに再委託業 務が実施される必要がある。 現地業者への再委託が可能なのは、調査井戸完成後に水位観測を行うための自記水位計を設置す る観測小屋の建設、簡易標高調査である。 - 67 - 表 6−4 現地再委託可能リスト 内容 項目 測量 測量地域:カブール市内 600km 測点数:110 地点 備考 現地業者 水位観測小屋建設 小屋サイズ:3.4m(L)x3.4m(W)x2.65m、 ブロック製、基礎工事付 200m 試掘調査 掘削本数:最大 4 本程度 掘削延長: 最大 800m 現地業者(但し、掘削と 掘削深度:200m 調泥剤、ケーシング材は支給、フルホールセ 土質サンプル採取のみ) メンティングと孔内検層は除く 6−7 現地業者 調査用資機材 本調査の実施に必要な調査用機材について、その仕様、調達先、用途等を表 6−5 と表 6−6 に示 す。表 6−5 には購入の必要があるものを、表 6−6 には損料による携行機材を示す。 また、現地で調達可能資機材を用いて現地業者が実施可能な調査業務について、表 6−4 に現地再 委託可能な業務として取りまとめた。 表 6−5 機材名 調査用機材購入品リスト 数量 仕様 調達先 ランドサット画像 5 シーン 画像精度 1/100000 程度、使用衛星画像 ASTER もしくは Landsat(地上分解能 30m 程度) 日本 衛星画像・空中写真判読 空中写真 10 シーン 1/50,000 モノクロ、A1 サイズ 現地 衛生写真・空中写真判読 地形図 10 枚 1/50,000 カラー、A1 サイズ 現地 衛生写真・空中写真判読 水位計 2台 100m、ブザー感知式、山口商店 ST 型相当 日本 測水/既存井戸一斉観測 ポータブル電気伝導度計 2台 YSI−30M-10 相当、3m ケーブル電極付、 電導度標準液付 日本 測水/既存井戸一斉観測 ポータブル pH 計 2台 YSI−60-10 相当、3m ケーブル電極付 日本 測水/既存井戸一斉観測 2式 50 回分/式 日本 測水/既存井戸一斉観測 2式 50 回分/式 日本 測水/既存井戸一斉観測 2台 0.5L、 日本 測水/既存井戸一斉観測 pH4 標準粉末 pH7 標準粉末 井戸用採水器 - 68 - 用途 GPS 2台 GARMIN 日本 既存井戸インベントリー 調査、 物理探査、各種現地踏査 圧力式自記水位計 10 台 対応水深 100m、データ送信用ソフトウエ ア、ハンディターミナル付き、応用 S& DL 相当 日本 測水/既存井戸定期観測 採水サンプル用ボトル 110 個 500cc、DR-2000 用、セントラル科学 日本 測水/既存井戸定期観測 試験用試薬 2式 DR-2000 用、セントラル科学、50 回分/1 式 大腸菌郡用検出紙 2式 DR-2000 用、セントラル科学、100 枚/箱 日本 測水/水質調査 2箱 DR-2000 用、セントラル科学、100 枚/箱 日本 測水/水質調査 サンプルセル 3組 DR-2000 用、セントラル科学 日本 測水/水質調査 デリバリチューブ 3組 DR-2000 用、セントラル科学 日本 測水/水質調査 光源ランプ 2個 DR-2000 用、セントラル科学 日本 測水/水質調査 ハンマー 4本 日本 物理探査 バッテリー 2台 日本 物理探査 1 ダース 日本 物理探査 一般細菌用検出紙 ビニールテープ 測水/水質調査 巻き縄 4本 50m 日本 物理探査 電池 10 本 9V 日本 物理探査 パソコン (デスクトップ) 1台 CPU: 2000 MHz、HDD: 100GB、 メモリ: 512MB、Windows XP, Office 2003 現地 井戸台帳作成、 地下水シミュレーション パソコン (ノートブック) 1台 CPU: 1200 MHz、HDD: 30GB、 メモリ: 256 MB 以上、重量 2.1kg 以下、 RS232 シリアルポート、Windows、Office 現地 試掘井のモニタリング、 データロガーとの通信用 プリンター 1台 A3、インクジェット、カラー 現地 現地事務所用 レポート作成 スキャナー 1台 解像度 2400dpi 以上、USB2.0 現地 地下水シミュレーショ ン、 その他 1台 A3、白黒 現地 現地事務所用 1台 4WD 車、(購入とレンタカー借上げを費用 により比較する) 現地 全ての現地調査 1台 トラック搭載型、600m 掘削ツールス、井 戸仕上げ用機材他付 日本 超深部帯水層調査井掘削 日本 超深部帯水層調査井掘削 コピーマシン 車輌 600m 調査井戸掘削機 調泥材 14 井分 ベントナイト、テルフレックス、テルポ リマー、分散材、ウェルクリーナー、消 泡剤 - 69 - 井戸用ケーシング 14 井分 20”SGP、13-3/8 API、6-5/8”API 日本 超深部帯水層調査井掘削 井戸用スクリーン 14 井分 6-5/8”巻き線型亜鉛めっき製 日本 超深部帯水層調査井掘削 ケーシング用付属品 14 井分 セントラライザー、ボトムプラグ 日本 超深部帯水層調査井掘削 井戸検層器 1式 600m 深度用、比抵抗、自然電位、自然ガ ンマ、キャリパー検層用ゾンデ付 日本 超深部帯水層調査井掘削 揚水テスト用エアコンプ レッサー 1台 吐出圧力 1Mpa、空気量 17m3/min. 日本 超深部帯水層調査井掘削 揚水試験用テストポンプ 1式 TDH40m/Q10LpS 、 TDH40m/Q20LpS 、 TDH65m/Q27LpS、各 1 式付属品付 日本 超深部帯水層調査井掘削 三角ノッチ 1台 L=1800mm、W=900mm、H=900mm 日本 超深部帯水層調査井掘削 揚水テストポンプ用発電 機 1台 100KvA/50Hz、50m キャブタイヤケーブル 付 日本 超深部帯水層調査井掘削 15KL 水タンク車 1台 左ハンドル、6x4、積載重量 15,000kg、高 地寒冷地仕様 日本 超深部帯水層調査井掘削 カーゴトラック 1台 左ハンドル、6x4、積載重量 6,000kg、高 地寒冷地仕様、荷台内寸 6.5m、3t キャブ バッククレーン付 日本 超深部帯水層調査井掘削 小型車両、ダブルキャビ ン 1台 左ハンドル、4x4、積載重量 700kg、高地 寒冷地仕様、定員 6 名、エアコン付 日本 超深部帯水層調査井掘削 表 6−6 その他機材(損料扱い) 機材名 数量 仕様 用途 実体鏡 1 反射式 空中写真判読 精密高度計 3 目盛り幅 0.5m、ポーリン高度計 MDM-5 相当 井戸標高の測定 電磁探査装置 1 MAXIMIN I-8EM 相当 物理探査(垂直探査) 探査装置 1 SYSCAL R1 Plus 相当 物理探査(水平探査) パソコン 2 ノートブック型 データ整理、 レポート作成 プリンター 1 携帯型 キャノン PIXUS 80i 相当 データ整理、 レポート作成 - 70 - 6−8 調査実施上の留意点 (1) 現地の民間掘削業者は、単に井戸を掘るだけの(それも最大 200m まで)機材と技術 しか持たず、調査事業に要求されるような掘削施工監理と井戸管理技術、並びに資機 材は持たない。しかし、調査の初期の段階で、DGEH にしっかりとした技術移転を行 えば(例えば最初の 600m 井戸掘削において、本格調査団と井戸掘削業者が全てを指 導)、かなりのレベルの掘削技術が移転される。これにより、日本側が立ち入れない 地域の調査、あるいは再委託した現地業者に対する施工監理もコンサルタントに代わ って行うことが出来る。 (2) 地表探査(電気探査、電磁探査)を行える現地業者はいない。したがって、調査井戸 掘削と同じく、DGEH の技術者を養成することで実施していくしかない。 (3) 本格調査において調査井として掘削された井戸が、かなりの地下水の生産量を有する のであれば、どの時点で生産井として転用するか、また転用するのであればその生産 井を用いた給水設備をどこの範囲まで見ることにするのか、この意思決定者(アフガ ニスタン側は都市住宅省と CAWSS か)と方針決定の時期と段階を確認する必要があ る。 - 71 - 付 属 資 資料 1 要請書 資料 2 S/W 案及び M/M 資料 3 主要面談者リスト 資料 4 訪問記録 資料 5 収集資料リスト 資料 6 現地調達品市場価格表 資料 7 現地井戸業者見積用仕様書 資料 8 事前評価表 - 73 - 料 - 75 - - 76 - - 77 - - 78 - - 79 - - 80 - - 81 - - 82 - - 83 - - 84 - 資料2 - 85 - S/W案及びM/M 資料2 - 86 - S/W案及びM/M 資料2 - 87 - S/W案及びM/M 資料2 - 88 - S/W案及びM/M 資料2 - 89 - S/W案及びM/M - 90 - 資料2 S/W案及びM/M - 91 - 資料2 S/W案及びM/M 資料2 - 92 - S/W案及びM/M 資料2 - 93 - S/W案及びM/M 資料2 - 94 - S/W案及びM/M 資料2 - 95 - S/W案及びM/M 資料2 - 96 - S/W案及びM/M 資料2 - 97 - S/W案及びM/M 資料2 - 98 - S/W案及びM/M 資料3 主要面談者リスト 面談者リスト 面談先機関名 氏 名 在アフガニスタン日本国大使館 奥田 紀宏 加藤 元彦 田村 賢周 JICA アフガニスタン事務所 松島 正明 佐藤 公平 今西 浩明 Mr. Abdulf Kuddus 鉱工業省(MMI) Dip, Eng, M M Sediq Eng. M. Ibrahim Adel Hydrogeologist, N. Naim Tookhi Eng. Gul Raikhan Eng. Sayed Saif Rahman Eng. Abd-ul Qadir Eng. Gul Aqa Eng. Abd-ul Jalil Eng. Khawaja Zulgai Eng. Abdul Wassy Eng. M. Amin Akbari Mr. Peter N Dunkley 杉野 晋介 都市開発・住宅省(MUDH) Dr. Qiamuddin Djallalzada Dr. Sultana 中央上下水道公社(CAWSS) Eng. Najibullah Patan Eng. Moh Akbar Mamed カブール市(Kabul Municipality) Mr. Ali Neyaze KfW Mr. Martin Jenner USAID Mr. Patric Fine Mr.Philip Durgin UNMACA Mr. Abdul Ghafar Mohibzada Mr. Yoshiyuki Yamamoto Beller Consult GmbH Mr. Claudius Witting Mr. Bernd Fiscaess 現地井戸掘削業者 Mr. Sher Muhammad Iman Nazar Mr. Zafer Ekem Mr. Ihsan Ozer Mr. Ahmad Shoaib - 99 - 役 職 特命全権大使 公使 一等書記官 所長 次長 企画調査員 現地職員 大臣 副大臣(鉱山) 地盤水理地質局総局長 同副局長 同計画部長 同地盤技術部長 同水理地質本部長 同水理地質部長 同地質化学副部長 AGS 所長 AGS 地下水部部長 BGS 専門家 JICA 専門家(地下水開発部門) 副大臣 都市計画局長兼対外関係官房 CAWSS 総裁 同副総裁 計画局長 カブール事務所長 アフガニスタン事務所長 給水衛生インフラ担当課長 MIS 担当部長 上級計画局員 水門環境技術部技師 水門環境技術部技師 AFTUR 社 副社長 EKEMLER 社 事務所長 PYRAMID 社 地質技師 PYRAMID 社 経理 資料3 - 100 - 主要面談者リスト 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月22日 13:30∼14:30 鉱工業省地盤・水理地質局(DGEH) 局長 Eng. M. Naim Tookhi、副局長 Eng. Gul Raikhan 表敬、事前調査団の派遣目的説明他 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西職員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 1. 調査団より以下説明及び要請を行った。 (1) 今次調査団は、本格調査の事前調査を目的に派遣された。 (2) 本格調査は、カブール滞水盆の深層地下水の調査を行いカブール市給水の将来計画 策定に寄与するのが目的。本格調査の結果によっては引き続き給水計画の実施に 引き継がれる可能性もある。 (3) 本格調査の期間は概ね1.5∼2年と思われるが、今次調査の結果次第。 (4) 本格調査はDGEHの技術者と日本側調査団の共同作業となるゆえ、DGEH側に おいても技術者の準備を行ってもらいたい。 (5) S/Wのアフガニスタン側調印署名者を選定してもらいたい。 (6) 現場訪問調査時のDGEH側技術者の同行を要請。 2. Tookhi局長より以下説明あり。 (1) 事前調査の目的は了解した。 (2) 本格調査の早期実施を希望する。 (3) S/W署名者は大臣となろうが、追って回答する。 (4) 現場同行者の件は了解した。 以上 報告者 - 101 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月22日 15:00∼16:00 JICAアフガニスタン事務所 松島事務所長、佐藤次長 事前調査団の調査目的、内容、対処方針等の説明 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、 杉野派遣専門家(DGES)、宇佐美(コンサルタント) 1. 調査団より松島所長へ対処方針の内容並びに以下説明を行った。 (1) 本格調査開始予定は、昨年の大統領選挙の状況を鑑みれば総選挙実施以降となろう。 (2) 現時点での本格調査のイメージは、カブール市の深層のポテンシャル調査が主体であり 場合によっては(良好な結果が得られるのであれば)途中契約変更をし、給水計画まで 行く可能性もある。 (3) 本格調査の現地カウンターパートは鉱工業省地盤・水理地質局(DGHE)とする。 都市開発・住宅省上下水道公社(CAWSS)は含めない。 2. 上記報告に対し、松島事務所長より下記コメントがあり。 (1) 本格調査は選挙後ということではなく、6月には開始してもらいたい。 その理由として、まず現在までの以下客観的な治安情勢の変化が第一点にある。 a. DDRのスピードが相当に早いこと。 b. ISAF(国際治安部隊)、NATO、ANA(新国軍)、新警察の力を入れた治安維持と 軍閥の解体により、旧反勢力側はその体力が著しく低下しむしろ政治プロセスへの 方向に活動を転換している。 c. タリバンの優秀な人間を政党に取り込む作戦により、タリバン勢力の分割が進み 残された反政府側と第三国との結びつきが弱まった。 d. これらの治安情勢の変化により、議会選挙は平穏に終わるであろうとの国際分析が なされている。 以上の客観的状況とカブール市給水の現況を配慮し、前倒しに実施してもらいたい。 (2) 予備調査で表流水利用が提案されているようだが、本格調査では地下水賦存量並びに そのフィージビィリティについてはしっかり調査をしてもらいたい。 (3) 都市開発・住宅省のパシュトゥーン大臣にも本件説明をしてもらいたい。 水資源開発はアフガニスタンの主要分野であるが、その開発と管理に関してはJICAの 重点分野でもある。当該調査による最新の情報分析とデータに基づいたカブール市への 給水事業計画が提言できる、ということを大臣にも伝えてもらいたい。 (4) 今後の無償との絡みであるが、地下水開発用掘削機の要請が出されており平成17年度 案件として要望していたが遅れるようである。 (5) USAIDの投資額が相当大きくなっており、USAIDの動向についても今回の事前調査の 範囲に加えてはどうか。水分野の専門家もいるはずである。 以上 報告者 - 102 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月23日 8:00∼9:00 鉱工業省(MMI) 鉱工業省大臣 Dip, Eng. M M Sediq 表敬、S/W説明他 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西職員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 1. 事前調査団より以下説明を行った。 (1) カブール市の給水改善に関しては、Kfwが既存施設の改修並びに井戸の新設により 実施中であるが、KfwのF/Sの水源にかかわる基礎資料は1970年代後半にカナダの CIDAにより実施された150m以浅の地下水調査を基にしている。本邦JICAは昨年より MMI下部組織であるDGEHに専門家(杉野)を派遣しDGEHの技術者との資料調査の 中で1980年代初頭の初頭の旧ソ連による400∼700mの深部カブール滞水盆調査の 資料を発掘することができた。この資料によれば、カブール滞水盆の深部には未だ 開発が行われていない有望な滞水層が存在する可能性が示されている。 (2) 本格調査では、この深部地下水開発の可能性を見極めるため選定された数箇所に おいて深井戸の掘削をを行い、最低1観測年の期間水位変動の観測を行い基礎資料 を整備するものである。 (3) これらのS/Wの詳細内容については、今後Tookhi局長と事前調査団において詰めるが S/W調印は大臣に行ってもらいたい。 (4) またMMIにはDGEHの他に地質調査局(DGS)があるが、これまでDGSからの資料公開を 得られずにきているため、是非ともDGSと事前調査団の協議の場を調整してもらいたい。 おそらく、DGSにも本格調査における有望な資料があるはずである。 2. これに対し、大臣より以下コメントがあった。 (1) 大臣は、カブール大学卒業後米国ネブラスカ大学に留学1968∼1971年までMMIに勤務。 その後、南アフリカ・パキスタン・エチオピア等に滞在した経歴を有する。 (2) 本格調査の目的については了解した。DGEHはアフガニスタンにおける最高の地下水 調査組織であり、本格調査団には有能な技術者をカウンターパートとして派遣すること ができよう。カウンターパートの給与は日本側で支払うことができるのか。 (3) S/W署名については2月26日よりの米国出張が予定されているゆえ、副大臣が行うこと になろう。 DGSの局長はEng. Hd, Abudul Wasyであり、彼との協議を行えるよう指示する。 報告者 - 103 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月23日 9:30∼10:30 都市開発・住宅省上下水道公社(CAWSS) 副局長Eng, Moh Akbar mamed、技術部長Khwaja Zaiuddin Sidiay、 カブール市給水部長A.Sayad、地方都市担当部長Heduyatullah 表敬及び調査団来訪目的説明 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西職員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) CAWSS局長との面談予定であったが、同局長ドイツ訪問中のため副局長との面談となった。 詳細については局長帰国後の面談時に説明することとし、調査の目的と内容の概略説明を 行った。 CAWSS側からは協力を惜しまない旨の表明がされた。 報告者 - 104 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月23日 11:00∼11:45 在アフガニスタン日本国大使館 奥田紀宏 大使、田村賢周 一等書記官 表敬、事前調査団の調査目的、内容、対処方針等の説明 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西職員(企画調整)、宇佐美(コンサルタント) 杉野派遣専門家(DGEH) 調査団より、事前調査の目的、本格調査の目的と内容の概略説明を行った。 これにつき大使より下記コメントがなされた。(括弧内は調査団の回答。) (1) カブール市の現状を鑑みれば早期の実施が求められるが、この3年間の中で何が 行われてきたのか。(1年前に予備調査が行われたが、大統領選挙、治安情勢の変化等の 外的要因もあって今日に至ってしまった。) (2) 水の問題は、人道並びにある意味では治安の問題にもかかわる分野である。 今回の調査は本格的給水事業まで踏み込むのか。(本格調査は、深部地下水の賦存量 調査が目的であるが、良質な井戸は生産井にすることも考える。ただし調査の結果が良好 なものであっても、地下水のみを水源とする給水ではカブール市の人口300万人に対しては 2∼3年の一時しのぎでしかないと思われる。) (3) カブール市の地下水位の低下がいわれているがどうなのか。また、KfWも給水並びに 電気関連の援助を行っていると聞いているがこれとの関係はどうなるのか。(KfWの援助で 行われているカブール市の給水改善計画は、1970年代のカナダCIDAの調査が基礎資料と なっている。今回日本側で行われる調査は深部の地下水調査でありKfwの行う事業とは 直接関連しないと考えるが、現在の水位低下の状況も含めKfwを訪問し協議したい。) (4) 表流水によるカブール市への給水計画の提案書が某所から持ち込まれてきたが、 ADBで検討してもらうべく話をつないだ。 以上 報告者 - 105 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月23日 14:00∼15:30 都市開発・住宅省(MUDH) 副大臣Dr. Qianuddinn Jalalzada 表敬及び調査団来訪目的説明 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西職員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 大臣Eng. M. Yusef Pashtunとの面談予定であったが、副大臣との面談となった。 まず調査団側より調査の目的と内容の概略説明を行い、副大臣より下記コメントがなされた。 (1) MUDHは都市の上下水道にかかわる政策と戦略策定を行う中央政府行政機関であるゆえ、 本格調査開始の暁には定期的な報告をMUDHに対しても行ってほしい。 (2) MUDHの管轄する都市とは、カンダハール、ヘラート、マザーシャリフ、カンダハール、 ジャララバード、クンヅース、ガルディズの7都市である。 (3) Kfwの調査報告書は2004年9月に完成しており、Kfw実施事業と日本側実施事業が 重複するのは避けたい。 (4) USAIDが帰還難民用住宅建設プロジェクトを、カブール市南部のChel Doctalanにおいて 実施中のはずである。 (5) 現カブール市の北部に100万人規模の新カブール市建設の計画があるが、給水計画に 関わる水源の確保が未定である。日本側調査事業の中で、新都市計画地域の1/4を カバーできる範囲だけでもよいから地下水賦存量調査を実施できないか。 (この要請に関する調査団側回答としては、治安情勢、地雷等を含めまだ調査対象地域が 未定であること、今次調査は現カブール市への給水状況改善を目的としたものであること等 種々今後の検討課題があり、副大臣の要請を検討課題に含めるとしても検討用資料の提供 が必要である、とし資料の提供を求めた。これに対し、資料は計画地図のみであり、その コピーを提供する旨副大臣回答があった。) 以上 報告者 - 106 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月24日 10:45∼11:30 都市計画・住宅省 都市計画局 局長兼対外関係官房Dr.Sultana カブール市における給水計画全般の情報収集 牛木団長、ICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、宇佐美(コンサルタント)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 事前調査並びに本格調査の目的を説明した後、カブール市全般の給水状況並びに計画につき 質問を行った。先の同省副大臣によるカブール市新都市計画に関しては同局長も知らず、資料 調査とその提供を依頼した。 つい先ごろ、国会議事堂のダルラマン地区への移転が閣議決定され、インド政府が2500万ドル の支援を行う旨の発表があったとの情報が提供された。 以上 報告者 - 107 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 訪問記録 平成17年2月24日 14:00∼15:00 カブール市計画局 計画局長Ali Neyaze 表敬、カブール市における給水計画全般の情報収集 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 結果 事前調査並びに本格調査の目的を説明した後、カブール市全般の給水状況並びに計画につき 質問を行った。 カブール市のの新都市計画については、同計画局長も未知であったが、そのような計画が現在 進行形であるならば当然カブール市の計画局並びに建設設計局も知っていなければならないと のコメントであった。 カブール市の給水については、現在CAWSSが実施機関となっているが近々カブール市へ移管さ れるであろうとのこと。 現在カブール市は16区に分割されているが、帰還民数の拡大に伴い市の拡張が進んでおり、 22区までに増やす計画が進められている(調査団から22区割りの市街図の提供を求めた。) 新市街図は、後日提供するとのことであった。 追記 3月4日に新市街図提供の確認をしたところ(宇佐美)、現在計画段階であり最終決定までには あと1ヶ月ほど要するためにまだ未完成との回答であった。 以上 報告者 - 108 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 補足説明 訪問記録 平成17年2月26日 10:00∼11:00 BELLER CONSULT 水理環境技術部 Claudius Witting、同Bernd Fiscaess、同Yar Mohammad現地職員 KfWの実施するカブール市給水網拡張計画の情報収集 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) DGEH水理地質技師 Eng. Yar Mohammed、 本来であれば、発注者であるKfwの担当責任者Martin Jennerとの面談を先に行うべきところ 同氏ドイツへ帰国中のため、受注先の同社との面談を先に行った。結果的には同社も警戒し KfW資金によるカブール市給水網拡張計画の詳細情報入手にまではいたらなかったが、 一部判明したところ以下の通りであった。 (1) F/Sに於いては、既設のカブール市内4箇所のポンプステーションの改修のみが 実施された(井戸の新設はなかった。) (2) F/Sに於いて総延長500kmの既設の埋設給水管の電気的探査が行われ、昨年内に 完了するとの情報であったが、探査は一部にとどまり殆どが開削による調査で実施され 現在も続けられている(本年5月に完了の見込みとのこと)。 (3) 拡張計画事業は、5ヵ年総額1億ユーロで計画されているが、資金不足が懸念され現在EC、 USAID、アラブ銀行等に協調融資の打診を行っている。 以上 後述する3月2日のKfW責任者Martin Jennerとの面談、並びに3月8日実施のCAWSS総裁 Eng. Najibullah Patanとの面談時の情報による補足は下記の通りである。 (1) F/Sの実施内容は、 a. プロジェクト全体のフィージビィティースタディー(2004年1月に完了済み) b. 500,000人を対象に、6,000cu.m/dayの給水を行うための一部ポンプステーションの 改修(2004年3月完了済み) 及び c. 既存埋設給水管網の実態調査(2004年5月完了予定) である。 ロガールⅠ給水源(井戸10本)の井戸改修工事はKfwが実施したものではなく、CIDA/WBの 協調融資によりOxfam、UN-Habitat、ICRCにより1999年、及び2000年3月に行われた。 (2) 拡張事業は、2005年1月12日にBELLER CONSULTとの契約が完了(契約書TOR入手済) 2005年から5年の工期で実施される。 (3) 全体予算は、128百万ユーロでありその内訳は、 a. 24百万ユーロ(改修分、F/Sで実施) b. 104百万ユーロ(本格事業分) であり、45%がKfw予算残り55%がWB予算で実施されることが決定され、2005年度中には Disburseされる。 報告者 - 109 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月26日 13:00∼14:30 鉱工業省DGEH 局長 Eng. M. Naim Tookhi、副局長 Eng. Gul Raikhan、及び以下技術部門責任者 計画部:部長 Eng. Sayed Saif Rahman、地盤技術部:部長 Eng. Abd-ul-Qadir 水理地質部:本部長 Eng. Gul-Aqa、部長 Eng. Abd-ul-Jalil、 地質化学部:副部長 Eng. Khwaja Zulgai、水理地質技師: Eng. Khaled、Eng. Yar Mohammed、 Eng. Wsayed Anwarf、化学分析技士:Eng. Laal Mohammded 第1回技術ミーティング 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 過去幾つかの水理調査が実施され、それぞれの調査によりカブール盆地の滞水層の区分けが されており、かつDGEH、CAWWS、MUHD等の地下水あるいは給水資源を取り扱う省庁により ことなる滞水層区分けを採用している。 このため、今後の調査に支障をきたさぬよう滞水層区分に関わる認識を明確かつ共通化する 目的で、第1回技術ミーティングを行った。 結果、下記滞水層(地下水取水区)を採用し今後はDGEH、日本側双方ともこの滞水層名を共有 することとした。 1. 過去調査が実施されある程度資料が存在し、生産井の開発も実施されている区域 主滞水層(5区分): (カブール市への主給水源) − Afshar 開発終了済み − Allaudin 開発終了済み − North Kabul 要開発(22本の生産井の開発が可能だが現在2本のみ完了) − Logar、Bagrom 要開発(10本/profile、2-profile計20本の生産井の開発が可能だが 現在1profile10本のみ完了、今後さらに10本の開発が必要) − Chehilston 要開発(調査終了、50本の生産井の開発が可能) ローカル滞水層(2区分): (地域的給水源) − Microryan 11本の生産井が開発完了 − Khair Khana 3本の生産井が開発完了 2. 一部のみ調査が実施され、情報・資料が全く不十分な区域 追加新滞水層区分: − North Kabul upto Tangi (Pole-Charkhy) − Kala-ye-Kaze − Donrishmand その他カブール市中心部に何本かの生産井が存在するが、いずれも給水網には接続されて いない独立した取水源で、他の政府機関所有の井戸である。 以上 報告者 - 110 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月27日 9:00∼16:00 カブール市内取水源他現場調査 (同行者)DGEH水理地質技師 Eng. Khaled、CAWSSロガール取水区担当 Eng. Ahamad Ali 現場状況調査 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 1. ロガール・バグラミ取水区 ProfileⅠの10本の生産井については、取水ポンプ・発電機の改修が完了していた。 発電機:仏LEROY SOMAR社製72kw/90kvA、380V、50Hz 揚水量:40l/sec(聞き取り調査) ProfileⅡについては10本の観測井がCIDAにより掘られたが、2本以外は破壊された。 2. シャハダエサレヒ(Shohada-e-Sahlehi)湧水点 地下水の自噴も想定されていたが、山の岩盤亀裂湧水のようである。 3. ダルラマン(Darlaman)ポンプ場 KfwのカブールⅠプロジェクトにより、取水ポンプの改修がつい最近完了されていた。 発電機:伊MarelliMotori社1997年製84kvA、400V、50Hz 場内にUSAID/Careのマーキングをした給水タンク車、ローリーが数台あり。 4. ELMUFAR HANG取水場 Careによる発電機とポンプの改修が行われたが、現在発電機が故障中。 発電機の詳細は読み取れず。 5. DGEHの掘削現場 (1) ロガール地区近郊の灌漑省発注による灌漑要井戸掘削現場 掘削クルーは3名、掘削完了しエアリフトポンプ実施中。現場後片付けのため2名増員。 掘削機はロシア製トラック搭載機(ロータリー)だが、非常に古く傷みも激しい。クルーは 非常に訓練されている。 掘削データ:(現場で記録されていた) a. 深度66m、最終掘削径16"(12"から拡径)、ケーシング10"、スクリーンは現場で スリット加工(開孔率は見たところ2%程度)。 b. スクリーン設置深度:24-30m、36-42m、46-64m。 c. 地層:砂・シルト・礫の互層 d. 掘削に要した日数:0-42mを3日、42m-66mを20日 e. 搬入から現在までの所要日数:2ヶ月 f. 現在の揚水量(想定):20-25l/sec、静水位6m、動水位8m (2) ヘルハナ(Kheir Khana)給水用生産井掘削現場 掘削クルーは、ここでも主任ドリラー1名、助手2名の3名体制。 掘削機はロシア製トラック搭載機(ロータリー)だが、ロガール現場同様非常に古く傷みも 激しく、訪問時にはマッドポンプが故障しておりメカニシャンが現場で分解中であった。 掘削クルー、並びにメカニシャン共々てきぱきと作業をこなしており調査団が訪問しても 作業を中断することはない。 以上 報告者 - 111 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月28日 9:30∼10:30 鉱工業省 鉱山総局:総裁Eng. Mohammad Ibrahim Adel (3月2日より副大臣に昇格) 同副総裁 Eng. Aziz、DGES局長 Eng.Mohammed Naim Tookhi アフガン地質調査所:局長 Eng. Ab-dul Wassy、地下水部部長 Eng. M. Amin Akbari DGES並びにアフガン地質調査所(AGS)との合同会議 牛木団長、今井職員、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、 Abudul Kuddus現地JICA職員、杉野派遣専門家(DGEH)、宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) AGSに保管される有益な資料を今後の調査においてスムーズに提供してもらうべく、DGES、 AGSそして調査団の三者で本格調査の意義と目的を共有化するための合同会議を行った。 1. 調査団より、本格調査の目的と意義の説明を行うと共に、日本の協力は二国間のみに留まり 得られた情報は二国間で共有されるものであると述べられた。 2. Adel総裁より、AGSはアフガニスタン全土にまたがる地下水の総合科学情報センターであり、 あらゆるアフガニスタンの地下水情報はAGSに集積されデータベース化されなければならず、 一方地下水開発の技術センターであるDGESは、この情報を元に地下水開発を行う部門で ある。これは制度として定められたことであり、従って日本の援助による協力に対しても、 AGSとDGESは協力しなければならない旨の宣言が行われた。 3. AGS総裁、並びに地下水部部長より、本格調査への協力は惜しまない旨の発言がされ、 今後どのような調査が実施されるのかその内容については三社で話し合って行きたいとの 申し出がされた。 また、AGSには旧ソ連による200ページに及ぶ調査報告書と100枚の地図が保管されている ことが明らかにされた。 4. 本格調査での成果品として1/25,000の水門地質図が作成されることを希望する旨の要請 が調査団に示された。 5. 最後に総裁より、今後とも引き続き(本格調査団と)毎月1回ないしは2回の技術会議が実施 されることを期待したい旨の発言がなされた。 以上 報告者 - 112 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月28日 11:00∼12:30 鉱工業省DGEH 局長 Eng. M. Naim Tookhi、副局長 Eng. Gul- Raikhan、及び以下技術部門責任者 計画部:部長 Eng. Sayed Saif Rahman、地盤技術部:部長 Eng. Abd-ul-Qadir 水理地質部:本部長 Eng. Gul-Aqa、部長 Eng. Abd-ul-Jalil、 地質化学部:副部長 Eng. Khwaja Zulgai、水理地質技師:Eng. Khaled、Eng. Yar Mohammed、 Eng. Wsayed Anwarf、化学分析技士:Eng. Laal Mohammded 第2回技術ミーティング 牛木団長、今井職員、杉野派遣専門家(DGEH)、Abudul Kuddus現地JICA職員、 宇佐美(コンサルタント) Qader Hashemi(専門家アシスタント)、Nesr Ahmad Mateen(通訳) 2月26日の第1回技術ミィーティングに引き続き、DGEH側の本格調査への希望事項を拾い 上げることを目的とし、第2回技術ミーティングを開催した。 DGEH側より下記要望が出された。 1. 第1回技術ミーティングで確認された主滞水層5区以外に、有望な滞水層が発見された場合 には新たな滞水層区分に組み入れる。 2. 解放前の15年間は技術力と人材の不足の時代であり、この間に実施された調査に関しては その信頼度に疑問がある。とりわけ、NGOが実施した調査に関しては評価に値しない。 現在DGEHに在籍する水理地質技術者は、旧ソ連邦下の時代にはAGSで調査を実施した 経験を持っており、AGSに残されている調査報告書の精査を本格調査の前に行う必要が あり、これを事前調査で行うことを提案したい。 − この提案に対しては、事前調査では地域のみをある程度決め、その後DGEH技術者 と杉野専門家によりAGSに存在する調査報告書を精査し日本側へDGEHの考え方を 伝え、本格調査の初期の段階で地域と掘削地点を決定することとした。 − その後3月1日の調査団AGS訪問による旧ソ連邦報告書(参:2月28日の訪問記録) を見る限り、その殆どの資料がDGEH・杉野専門家の手元にあること判明した。 3. 調査地域が、日本側の危険地域に含まれる場合にはMMIが代行調査ができる。 4. ローカルコントラクターに関しては、現在ポルチャリヒで試掘を行っているトルコ系業者の作業 状況が、毎日Tookhi局長のもとへDGEHの水理地質技術者から報告されてきているが、 安全管理・泥水管理・掘削のどれを見てもその技術力に信頼性を求めることができない。 MMIには、26∼27年の経験を有する技術者がおり、本格調査での井戸掘削はMMI自身で 実施したい。またMMIの技術者は、1,200ft、2,000ftの掘削を経験しているので問題ない。 − これに対し調査団より、JICA調査はコントラクトベースで実施されるゆえカウンター パート政府機関には発注できないこと、掘削機材を日本で調達す場合には調査期間 に間に合わない可能性があること、予算上の問題があること等種々検討課題がある が、MMIの考えは日本側に伝えるとした。 以上 報告者 - 113 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 結果 訪問記録 平成17年2月28日 16:00∼17:30 USAID 事務所長(Mission Director) Patric Fine、プロジェクトマネージャー Philip Durgin USAIDの活動について情報を得る 牛木団長、JICAアフガニスタン事務所今西所員(企画調整)、宇佐美(コンサルタント) Nesr Ahmad Mateen(通訳) 1. カブールにおける活動 USAIDは米国地質調査所(USGS)から技術者をMMI傘下のAGSに派遣し、2003年夏より カブール市内の井戸の水質分析を開始している。派遣されている技術者は、1980年代 USGSに在籍した米国籍のアフガニスタン人Robert. E.. Brushears という水質分析専門家 である。 採取された水分サンプルはUSGSに送られ分析され、衛星写真の井戸データ上に加えられる。 さらに近々水理地質技術者も派遣され、機材がAGSに供与され化学分析、データベース構築 技術等の技術移転が行われる。 これらの事業は英国地質調査所(BGS)との共同事業であり、BGSはすでに大型のスキャニ ング機材等をAGSに供与するとともに、Peter N Dunkleyという火山地質専門家が派遣されて きている。彼の上司は、Burber Sherなる人物で現在休暇中。 − 旧ソ連時代の大深度井戸掘削調査資料の存在を知っているかという質問に対し、 その地質調査資料については最近までその存在を知らなかったが、一週間ほど前に発見し 現在BGSがスキャニングを開始している。 一方カブール市南部の帰還難民居住地を対象としたChehel Doctalan Projectは、2,000世帯 を対象とする小規模給水プロジェクトであり、すでに3本の生産井が掘削され現在給水網の 建設が行われている。このプロジェクトの設計施工は、米国のCamp Dresser Magee Inc.社 が行っている。 2. その他地域での活動については、情報なし。 補足説明 3月8日にCAWSS総裁Najibula氏を表敬訪問した際、下記情報を入手。 − カンダハール市の給水網整備計画については、昨年世銀によりF/Sが完了し(実施コンサル タントはKfWのプロジェクトと同じBeller社である)事業をUSAIDが実施することになっている。 実施のコンサルタントは、Louis Berger GroupでありそのサブコンとしてCMD社が契約されて いる。 事業規模は、カンダハール16.7百万ドル、ガズニ5.6百万ドル、ガルデス6.2百万ドルと されている。 − アフガニスタンの給水プロジェクトの図式の全容は、 世銀F/S(カンダハール、ガズニ、ガルデス、クウヅス、ヘラート)をドイツBeller社 カンダハール事業実施USAIDのコンサルタントを、Loui Berger Group & CMD inc.社 KfW事業プロジェクト(カブール、クンヅス、ヘラート)のコンサルタントをBeller社 である。(宇佐美所管) 報告者 - 114 - 宇佐美 資料4 年月日 時間 訪問先 面談者 訪問目的 訪問者 訪問記録 平成17年3月6日 AM8:00∼10:00 AFTUR Construction Company Ltd. Mr. Sher Muhammad iman Nazar (Vice president) AFTUR社の掘削現場見学 宇佐美、Mr. Nesar Ahmad Mateen (通訳) 結果 1. カブール空港北部ヘルホナ地区及びダルラマン地区の掘削現場訪問。 2. 両掘削現場とも昨日のPYRAMID社の現場であった。 内容 3. AFTUR社副社長Mr. Sher Muhammad iman Nazarによれば、アフガニスタン解放直後の 井戸掘削事業はサウジアラビア資本のAFTUR社とトルコ資本のDELTA社により2002年12月 に開始された。AFTUR社は、DELTA社持ち込みのトルコ製中古掘削機をを購入することで DELTA社への資金援助を行った。2003年以降アフガニスタンに設立されたトルコ資本系の 会社PYRAMID、EKEMLER、KARIZMA社等はAFTUR社より資金提供を受けているか、 或いは掘削機材の提供を受けている。 従って、PYRAMID社の現場すなわちAFTUR社の掘削現場という図式である。 以上 報告者 - 115 - 宇佐美 資料4 - 116 - 訪問記録 様式第1号(記第2関係) (収集/作成資料) 資 料 リ ス ト 平成 17 年 主管チーム長 プロジェクトID 地域 中近東 国名 アフガニスタン - - - 実施番号 - - 月 日作成 図書館 受入日 - 調査団名 又 は 調 査の種 類 カブール市給水計画(事前調査) 事前調査(S/W 協議) 担 当 部署 専 門 家 氏 名 又は指導科目 現地調査期間 17 年2月 21 日∼17 年 3 月 13 日 担当者氏名 配属機関名 又は派遣期間 地球環境部 今井達也 種類 番号 資料の名称 発行機関 形態* 収集 専門家 取扱区分 JICA 図書館記入欄 - 117 - テキスト その他 資料 作成資料 作成資料 A-1 国家開発フレームワーク(主題と国家優先 政策) A-2 国家開発フレームワーク(協議用ドラフ ト)− A-3 2002 年 4 月 アフガニスタン復興グループ会合(分野別 報告書抜粋) A-4 − 2002 年 9 月 緊急インフラ復興計画概要報告書 − 2002 年 5 月 A-5 緊急インフラ復興計画(技術付録書) − 2002 年 5 月 A-6 アフガニスタンへの暫定的支援戦略 2003 年 3 月 − AIA プリントアウト ○ JR・CR( )・SC AIA プリントアウト ○ JR・CR( )・SC WB プリントアウト ○ JR・CR( )・SC WB プリントアウト ○ JR・CR( )・SC WB プリントアウト ○ JR・CR( )・SC WB プリントアウト ○ JR・CR( )・S 収集資料リスト 開発計画関連政策・報告書 資料 5 A A-7 アフガニスタン国家開発戦略の概要 アフガニスタン政府 ○ プリントアウト JR・CR( )・S 種類 番号 資料の名称 発行機関 形態* 収集 専門家 取扱区分 JICA 図書館記入欄 テキスト その他 資料 作成資料 作成資料 A-8 水分野緊急評価 A-9 USAID のアフガニスタン支援 USAID プリントアウト ○ JR・CR( )・S USAID プリントアウト ○ JR・CR( )・S MUDH プリントアウト ○ JR・CR( )・S A-11 カブール衛星都市建設計画 MUDH プリントアウト ○ JR・CR( )・S A-12 カブール衛星都市建設計画 米国貿易開発機構 プリントアウト ○ JR・CR( )・S A-13 地下水開発 5 カ年計画予算申請書 MMI A-14 アフガニスタン環境保護条例(案) − (前)灌漑・水資源・環境 − 2002 年 5 月 − 2002 年 6 月 A-10 カブールと選択された他の市における給水 と衛生復旧計画書 - 118 - 2004 年 8 月 給水関連資料 B-1 カブール市給水網拡張計画フィージビリテ ィスタディ最終報告書要約 2004 年 1 月 カブール市給水網拡張計画コンサルティン グ契約書 − JR・CR( )・S コピー ○ JR・CR( )・S Kfw コピー ○ JR・CR( )・S 2005 年 1 月 CAWSS コピー ○ JR・CR( )・S コピー ○ JR・CR( )・S カンダハール市給水計画概要書 CDM B-4 CARE によるカブール市給水計画概要書 CARE プリントアウト ○ JR・CR( )・S B-5 CIDA によるバグラミ地区給水実績案内 CIDA プリントアウト ○ JR・CR( )・S B-6 ICRC によるカブール市給水実績案内 ICRC プリントアウト ○ JR・CR( )・S B-7 アフガニスタン村落の給水現況報告書 DACCAR プリントアウト ○ B-8 アフガニスタンにおける井戸への砒素混入 DACCAR プリントアウト ○ 収集資料リスト B-3 資料 5 ○ 省 B B-2 コピー 予備調査 種類 番号 資料の名称 発行機関 形態* 収集 専門家 取扱区分 JICA 図書館記入欄 テキスト その他 資料 作成資料 作成資料 C 地質・水理地質関連資料 C-1 カブール市地形図(1/50000、B5 版 4 枚) AIMS C-2 アフガニスタン全国給水源形態別位置図 C-3 カブール市政区分図(全 19 シート) プリントアウト ○ JR・CR( )・S DACCAR 電子 ○ JR・CR( )・S AIMS 電子 ○ JR・CR( )・S C-4 アフガニスタン鉱物資源図(1/2,000,000) AIMS 電子 ○ C-5 アフガニスタン地質図(1/2,000,000) AIMS 電子 ○ C-6 アフガニスタン地形区分図(1/300,000、全 AIMS 電子 ○ IMSMA コピー ○ IMSMA コピー ○ 71 シート) - 119 - C-7 カブール市地雷位置図 − 2004 年 12 月時 − 2004 年 12 月時 (1/50,000) C-8 カブール市地雷位置図 (1/100,000) C-9 カブール滞水盆地下水台帳 USGS ○ プリントアウト MMI 電子 ○ C-11 カブール市内 60 井一斉測水調査表 MMI 電子 ○ C-12 旧ソ連試掘調査 29 井分 Well Log MMI 電子 ○ C-13 旧ソ連試掘調査 26 井分詳細データ表 MMI 電子 ○ 資料 5 C-10 カブール市既存給水井戸諸元表(30 井) 収集資料リスト 種類 番号 資料の名称 発行機関 形態* 収集 専門家 取扱区分 JICA 図書館記入欄 テキスト その他 資料 作成資料 作成資料 D 組織・会社案内 D-1 EKEMLER 社会社概要書、調査票 EKEMLER 社 コピー ○ JR・CR( )・SC D-2 Karizma 社会社概要書、調査票 Karizma 社 コピー ○ JR・CR( )・SC D-3 AFTUR 社会社概要書、調査票 AFTUR 社 A コピー ○ JR・CR( )・SC D-4 DELTA 社会社概要書、調査票 DELTA 社 コピー ○ JR・CR( )・SC D-5 KHALID SABUAN + WODRO 社会社概要書、調査 KHALID SABUAN + WODRO コピー ○ JR・CR( )・SC - 120 - 票 社 D-6 DACCAR 年次報告書 1998 DACCAR プリントアウト ○ JR・CR( )・SC D-7 DACCAR 年次報告書 1999 DACCAR プリントアウト ○ JR・CR( )・SC D-8 DACCAR 年次報告書 2000 DACCAR プリントアウト ○ D-9 DACCAR 年次報告書 2001 DACCAR プリントアウト ○ JR・CR( )・SC D-10 DACCAR 年次報告書 2002 DACCAR プリントアウト ○ JR・CR( )・SC D-11 DACCAR 年次報告書 2003 DACCAR プリントアウト ○ JR・CR( )・SC D-12 DACCAR 年次報告書 2004 DACCAR プリントアウト ○ JR・CR( )・SC 資料 5 *図書、地図、ビデオテープ、電子媒体等 収集資料リスト 現地調達品市場価格表(1/11) No 1 2 Description Specification Price Aggregate 1.Filling Gravel 2.River Gravel 3.Pit Gravel 4.Crushed stone For well filter, less than 5.0 mm Less than 25mm Less than 25mm Less than 25mm Local Local Local Local 20$/ cbc.m 9.18$/ cbc.m 20.0 $/ cbc.m 20.0 $/ cbc.m Fine Aggerate 1.River Sand 2.Pit Sand after sieving after sieving Local Local 9.18$/cbc.m 8.5$/cbc.m do do Pakistan 4 $/ Bag do Concrete Block 1.Concrete Block 2.Concrete Block 3.Concrete Block It needs check the size 200x400x100 mm 200x400x150 mm 200x400x200 mm NA NA Local 0.36$/ Pcs Reinforced Bar 1.Round Bar 2.Round Bar 3.Round Bar 4.Round Bar 5.Round Bar 6. Deformed Reinforcing Bar It needs check the size D 8 mm D 10 mm D 12 mm D 14 mm D 16 mm D 8 mm D 10 mm D 12 mm D 14 mm Russian Russian Russian Russian Russian Russian Russian Russian Russian 674$/Ton 714$/Ton 674$/ Ton 674$/ Ton 674$/ Ton 714$/Ton 674$/ Ton 674$/ Ton 674$/ Ton Ramin Construction material Shop, Qoh Markaz, Kabul do do do do do do 現地調達品市場価格表 4 Aziz Ahmad, Taimainy do do do 資料6 1.Normal Portland Cement - 121 - 3 5 Remarks 現地調達品市場価格表(2/11) No Description Specification D 16 mm 6 7 - 122 - 10 Russian 674$/ Ton do Russian Russian Russian 1.22$/Kg 1.22$/Kg 1.22$/Kg do do do Steel Plate 1. Steel Plate 2. Steel Plate 3. Steel Plate It needs check the size t=20mm, 1250x2500 t=12, 1500x900 Shape Steel 1. H Beam 2.ditto 3.I Beam 4. ditto 5.Equal Angle 6.ditto 7.Channel Steel 7.Channel Steel 8. Ditto 9. Ditto It needs check the size 140x60x5 12 meter length 200x80x7.0 12 meter length 5.5x15x80 6 meter length 7x200x100 6 meter length 6x50x50 6 meters 5x40x40 6 meters 5x70x30 6 meters 5x80x40 6 meters 5x100x40 6x125x65 Russian Russian Russian Russian Russian/ Pakistani Russian Pakistani Russian Russian/ Pakistani NA 122.5$/pcs 450 $/pcs 72$/pcs 301$/pcs 16.32/10.20 10.61 4/pcs 16.70$/pcs 36.32$/pcs 40.81/33$/pcs Light Gauge Steel 1. Lip Channel Steel 2. Ditto 3. Ditto It needs check the size 60x30x10x2.3 6 meters 75x45x15x2.3 100x50x20x2.3 6meters Pakistan NA Pakistan 7$/pcs do 26$/pcs do Zinc Plate 60x3000 NA Nail 1. Nail It needs check the size 1" China Haji Abdul Karim, Qoh Markaz do 12 meter length 602 $/pcs Haji Abdul Karim, Qoh Markaz do do do 1.22 $/kg 現地調達品市場価格表 9 Remarks 資料6 8 Price 現地調達品市場価格表(3/11) No 11 12 - 123 - Specification Price Remarks 2" 3" 4" 1" 2" 3" China China China China China China 1.22 $/kg 1.22 $/kg 1.22 $/kg 2.4$/kg 2.4$/kg 2.4$/kg Wire 1. Banding Wire It needs check the size 3.2 mm 1.0 mm China China 1.5$/kg 1.0$/kg Steel Pipe 1. Carbon Steel Pipe 2.ditto 3.ditto 4.ditto 5.ditto 6.ditto 7.ditto 8.ditto 9. Carbon Steel Pipe 10.Carbon Steel Screen Pipe It needs check the size 20"x6 meter 18"x6 m 16"x6 m 14"x6m 12"x6m 10"x6m 5.5 mm thick 8"x6m 5.5 mm thick 6"x6m 8 mm thick 6"x6m 6"x6m NA NA NA NA NA Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan 204$/pcs 163.26$/pcs 112.24$/pcs 95$ 95$ Haji Abdul Karim Shop Haji Abdul Karim Shop Haji Abdul Karim Shop Shirkat Haseeb Charai Ansari PVC Casing Pipe 1.PVC Casing Pipe It needs check the size 1000mm, t = 7mm Local 4 / 6 meter M Anwar Paktiawal 2.PVC Screen Pipe 100mm, t= 10 mm, Opening > 4% Local 4 / 6 meter 3. PVC Socket 100mm local 15 / 23 $/pcs 16.5 / 24 $/pcs 5 $/pcs do 現地調達品市場価格表 2. Ditto 3. Ditto 4. Ditto 5. Concrete Nail 6. Ditto 7. Ditto 資料6 13 Description 現地調達品市場価格表(4/11) No 14 - 124 - 15 NA 1.PVC Casing Pipe 2.PVC Screen Pipe 3. PVC Socket 4. PVC Cap 100mm, t = 3.2 mm 6 meter 100mm, t = 3.2 mm 3.2 meter NA NA Iran Iran 14 $/pcs 15 $/pcs Khair Limited Charai Ansari do Timber 1. Square Timber 2. Ditto 2. Timber Board 3. Ditto 4. Timber Plate 5. Timber Plate 6.Timber Pile It needs check the size 100x100mm, L= 2,000mm 150x150mm, L= 2,000mm t= 10mm, 10x200x2000mm t= 20mm, 20x200x2000mm t= 10mm, 50x2000 t= 20mm, 50x2000 dia 60mm, Length=1000 mm Russian Russian Russian Russian Russian Russian Russian 4.70$ 11.25$ 1.50$ 3.00$ 050$ 1.00$ 1.50$ Askar Hussain Building Material Store, Qoh Markaz do do do do do Fuel 1. Diesel 2. Petrol 3. Parafin It needs check the size Iran Iran Pakistan 0.46$/lit 0.48$/lit 5.0$/lit 4. Engine Oil UAE 1.5$/lit 5. Hydraulic Oil 6. Grease USA UAE 1.70/lit 1.0$/kg It needs check the size NA NA NA Price Remarks 現地調達品市場価格表 100mm Drilling Agent 1. Bentonite 2. Water Soluble Foam 3. Sodium Carboxy Methyl. Specification 資料6 16 Description 4. PVC Cap 現地調達品市場価格表(5/11) No 17 Description - 125 - It needs check the size Round Square With handle 2lb 200mm 200mm 300 3.2mm, 5kg 4.0mm, 5kg with pressure gauge Triangle Half round Flat 50mm China China China Local Local Local China Germany China China Japan China China China China China China Iran Pakistan Pakistan China China China China China Pakistan 2.0$ 2.85$ 2.85$ 4.08$ 4.25$ 1.0$ 8.16$ 50$ 3$ 3.25$ 5.10$ 2.44$ 0.20$ 4$ 5$ 5.10$ 6.0$ 30.0$ 100$ 1$/kg 13$ 5$ 4$ 4$ 4$ 0.20$/pcs Remarks Frosh Gah Mawad Tamirati Gull Mohammad do do do do do do do do do do do do do do do do do do do do do do do do do 現地調達品市場価格表 with rubber hose Price 資料6 Tools 1. Shovel 2. Ditto 3. Pick 4. Hammer 5. Ditto 6. Chiesel 7. Box Wrench Set 8. Offset Wrench set 9. Shifting Spaner 10. Ditto 11. Screw driver set 12. Hack Saw 13. Hack Saw blade 14. Vice 15. C Vice 16. Welding bar 17. Ditto 18. Cylinder for gas 19. Oxygen cylinder 20. Acetyline 21. Tip nozzle 22. Welding mask 23. File 24. ditto 25. ditto 26. Bolt and Nut Specification 現地調達品市場価格表(6/11) No Description - 126 - 150mm 180mm 200mm M6 M7 M8 M9 300mm 1200mm 800mm Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan China China China China China Pakistan Pakistan China China Germany Germany China China China Germany China Iran / Pakistan Japan Caterpillar Caterpillar Caterpillar 0.3$/pcs 0.3$/pcs 0.3$/pcs 0.12$ 0.12$ 0.12$ 0.12$ 1.0$ 25$/pcs 24$/pcs 12$/pcs 4$ 2$/pcs 4$ 40$ 10$ 200$ 2$ 2$ 60$ 3$ 150$ 10$ 300 / 100 $ 420$ 8000$ 11500$ 12800$ Remarks do do do do do do do do Ikhlas Sultani Co Ltd, Qoh Markaz 現地調達品市場価格表 3 k VA 13 k VA 44 kVA 65 kVA Price 資料6 27. ditto 28. ditto 29. ditto 30. Washer 31. Washer 32. Washer 33. Washer 34. Level 35. Wheel Barrow 36. Pry Bar 37. Pry Bar 38. Scraper 39. Wooden Trowel 40. Steel Trowel 41. Electric Saw 42. Electric Saw disc 43. Electric Grinder 44. Grinder disc 45. Cutting disc 46. High Speed Cutter 47. Cutting Disc 48. Electric drill 49. Drill Bit 50. Electric Welder 51. Engine Generator 52. ditto 53. ditto 54. ditto Specification 現地調達品市場価格表(7/11) No 19 Description ditto 55. Tripod 56. Chain Block Caterpillar Price 14000$ China 30$ White Black Pakistan Pakistan 1.10$/lit 1.10$/lit Beige White Black Beige Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan Pakistan Universal 3" China 3" Pakistan Universal 4" China 4" NA ICI Pakistan 1.10$/lit 2.65$/lit 2.65$/lit 2.65$/lit 3.87$ 0.61$ 5.71$ 1.0$ Aerial Photographs 1. Aerial Photograph AIMS 2. Road Map 3. Topographical Map 4. Geological Map A 4 to A 1 A 2 = 10$ A 1= 20$ 1 to 10$ 2 to 10$ 1 to 5$ Painting Equipment 1. Water Paint 2. Water Paint 3. Water Paint 4. Gloss Paint 5. Gloss Paint 6. Gloss Paint 7. Paint Brush Specification 83 kVA - 127 - 8. Paint Brush 9. Paint Brush 10. Thinner Stationary 1. Copy machine 2. Typewriter Cannon 6171 do do do do 8.36$ 700$ 400$ 現地調達品市場価格表 21 Waris Khan Paint house Charai Ansari 資料6 20 9" 3.64 liters Remarks 現地調達品市場価格表(8/11) No Description 3. Electric Stand 4. Black board 5. Notice Board 6. Desk and Chair 7. Meeting Table - 128 - 600x900mm 600x900mm 8 persons 6 persons A4, 500pcs A4, 500pcs 16. Printing fee 17. DHL 1 pcs Tarrif rate to Tokyo 18.Telephone with Fax mach 19. Telephone 20. Fax Panasonic tarrif rate to Tokyo tarrif rate to Tokyo Accomodation 1. Hotel 1 day with b fast and laundary 2. Hotel 1 month with b fast and laundary 3. Rental House with 5 bed r 4. Rental House with 5 bed r with furniture wihout furniture Pakistan Pakistan Malasia Malasia Malasia Malasia Malasia Pakistan Indonesia China China 24 pcs 1 Film 0.5 kg 1.0kg Malasia Park Palace Kabul Park Palace g house Kabul Remarks 3.6$ 5.91$ 180$ 350$ 300$ 200$ 150$ 180$ 3.16$ 2.85$ 0.40$ 1.32$ 0.51$ 0.10$ 135$ 147$ 175$ 55$ 1650$ 600$ 300$ 現地調達品市場価格表 8. Cabinet 9. Book Store 10. Safety Box 11. Copy Paper 12. Typing Paper 13. Not Book 14. Film 15. Film Development Fee Price 資料6 22 Specification 現地調達品市場価格表(9/11) No Description 5. Bed 6. Locker 7. Dinning Table Set and Chairs Specification Double Single Pakistan Pakistan Pakistan 500$ 200$ 300$ 6 persons Pakistan 365$ 8 persons Pakistan Local Korea Iranian Korea Pakistan Korea Pakistan 500$ 400$ 420 / 235 $ 40$ 313$ 400$ 600 / 400$ 40$ 8. Reception Set 9. Gas range 10. Gas cylinder 11. Refrigerator 12. Freezer 13. Air Compressor 14. Electric Fan - 129 - 23 6. Chicken 7. Sea fish 8. Rive fish Dast gah mobil sazi Abdul Ghafoor, Charai Ansari do do do do Panj Sitara, Shahr e Nau Panj Sitara, Shahr e Nau 1450$ 1100$ Pakistan 0.83$ 1.5$/ pkt 0.16$ 3.0$/kg NA 1.73$/kg NA 2.8$/kg 現地調達品市場価格表 Food 1. Rice 2. Noodle 3. Bread 4. Beef 5. Pork 20 ft 20 ft Remarks 資料6 24 Container 1. Container 2. Used Container Price 現地調達品市場価格表(10/11) No Description 9. Onion 10. Potato 11. Carrot 12. Cabbage 13. Chinese Cabbage 14. Lettuce 15. Coca Cola 16. Local Beer 17. Cigarette 1 Specification Price 0.42$/kg 0.40$/kg 0.35$/kg 0.52$/kg 0.65$/kg Heniken Holland 0.30$ 1.0$ 1.22$ Rental Fee for Heavy Machinery DAUDI Construction Co., Ltd. - 130 - Mobile(Wheel) Mobile(Wheel) Stone breaker, track type Track type 2. Roller (Compaction) Plain drum HITACHI EX-100 KOMATSU HITACHI EX-200 HITACHI EX-200 Track type Track type KOMATSU D85 Caterpiller D6D Shaped drum Tandem roller 1992 model 1985 model 1992 model 6000$/month 1993 model 6000$/month 1994 model 5000$/month 1992 model 3000$/month 1990 model 300$/day 300$/day 1988 model 1987 model 現地調達品市場価格表 Roller for spalt HAMM 12-ton, Model 2410 HAMM 12-ton, Model 2420 BOMAGE 7-ton, BW141RD SAKAI, FTR 200$/day 200$/day 300$/day 7000$/month 資料6 1. Excavator 3. Dull Dozer Remarks 現地調達品市場価格表(11/11) No Description 4. Loader Specification Wheel 5. Truck Crane Price KOBELCO TCM 6000$/month 2002 model KATO 30-ton 300$/day 1987 model 6. Air Compressor 2 4000$/month 7. Diesel Generator DENYO 150 KvA 3000$/month 8. Folk Lift 8-ton 3000$/month TOTAL 2045.02 $ - 131 - 2.59 m3 1.8 m3 8.28 m3 2.78 m3 6.26 m2 87.2 m2 2.4 m2 87.2 m2 資料6 Construction Cost, Pump Housing Excavation Refilling R.C.C Concrete P.C.C concrete Brick Masonry Plaster work Doors Water Painting Remarks 現地調達品市場価格表 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team TECHNICAL SPECIFICATION FOR DRILLING, CONSTRUCTION, DEVELOPMENT AND TESTING OF 200, 400, AND 600 METER OBSERVATION WELLS IN THE KABUL BASIN FEB 27, 2005 PREPARED BY JICA PREPARATORY STUDY TEAM - 133 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team CHAPTER 1 – DRILLING AND CONSTRUCTION General 1.01 The Works will include drilling, constructing, developing, and testing in a number of observation wells in Kabul Basin. These tube wells will be completed in Quarternery to Neogene complex of Kabul Basin. The number of bores and area of drilling will have been delineated at the time of acceptance of the quotation by JICA. Depth and Geology 1.02 The depth of boreholes to be drilled shall be defined into 3 types of 200 meters, 400 meters and 600 meters. They shall be drilled through strata including, alt. of sand, gravel, and sandstone, marl, and mudstone layers in Quarternery to Neogene Complex in Kabul Basin. Drilling Methods and Equipment 1.03 Unless otherwise approved, boreholes shall be drilled by a rotary method using a fluid continuous cutting flushing. Drilling and ancillary equipment shall be capable to perform the drilling tasks implicit in the borehole depths and diameters specified with both deep water tables so that the drilling rig(s) mobilized by the Contractor shall have at least following minimum rated capacity. (a) For 200 meter tubewells: (b) For 400 meter tubewells: (c) For 600 meter tubewells: Rated Capacity Drawworks single line pull Mast (kgf) (kgf) 15,000 3,000 30,000 6,000 40,000 8,000 The Contractor shall be requested to submit the specification of drilling rig(s) to mobilize in the Works with their quotation. Each item of equipment shall be subject to the approval of Consultant Engineer (the Engineer) withdrawn at any time. Circulating fluid pumps in particular must be able to provide adequate circulation return as defined by the ascending velocity of cuttings conforming to good practice and related to the fluid viscosity and the maximum diameter of the drilling hole so that the pump shall have minimum rated capacity of 1,500 liter per second in use with a drill strings of 4-1/2 inch diameter. The Contractor shall be free, at his own expense, 1 - 134 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team to employ any type and capacity of fluid pumps and any size of drill strings for drilling boreholes on the works of the Contract but their use shall be approved by the Engineer. The Contractor shall be entirely responsible for the control of artesian pressure during construction of the Works. If caving formations are encountered during drilling, the Contractor shall take such measures to ensure that drilling can continue through the caving formations without causing any detrimental effect to a producing zone. The measures that the Contractor chooses to adopt shall be subject to the approval of the Engineer. Drilling Fluids 1.04 The Contractor must have the equipment available for direct circulation rotary drilling based on biodegradable artificial polymer mud with chemical control. Additions of clay-based viscosifiers and gelling agents will only be allowed with the Engineer’s approval. With the exception of chemicals used to extend the life of bio-decradable polymers, all chemicals used in drilling shall be non-toxic and in any case shall be subject to the Engineer’s approval. All mud chemicals and bases shall be proprietary grades and no locally-dug or loose materials shall be allowed. Surface storage for recirculated drilling fluids may be provided either as mud tanks or as ground pits. At each location the total surface storage shall be a minimum of 40 cubic meters for 200 m drilling, 60 cubic meters for 400 m drilling, and 80 cubic meters for 600 m drilling, and shall be maintained at full capacity during drilling operations. The storage must be effectively divided into two sections and so designed and operated to prevent recirculation of cuttings, except when lost circulation additives have been permitted. The Contractor shall increase effective surface storage or take equivalent measures to prevent cutting recirculation whenever so ordered by the Engineer. Fluid Circulation 1.05 Addition of drilling fluids to the bit shall be maintained at all items during drilling operations and the Contractor shall ensure that all cuttings produced are removed from the drilled borehole. Every effort shall be made to maintain adequate return of circulation to the surface together with cuttings, by means of fluid control. Water and Fluid Quality 1.06 Provision of water for drilling purposes shall be the Contractor’s responsibility. 2 - 135 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team The source quality and means of storage of such water shall be subject to the approval of the Engineer and its salinity shall not exceed 1,000 parts per million without the express permission of the Engineer. Water used in any one bore shall all be of the same quality. Made-up drilling fluids shall be sampled from return circulation at least once per day and at intervals of 20 meters of drilled depth and on every occasion when fresh water, mud base or additives are added to the circulation. The Contractor shall test every sample taken from density, viscosity and resistivity, and shall when requested by the Engineer, deliver to him samples in one liter containers. The equipment for such tests shall be kept by the Contractor at each site. In addition the Contractor shall keep at a single central location equipment for measuring the filtrate loss, mud cake properties and pH of mud samples and shall make the measurements when ordered by the Engineer. The quality of the drilling fluid shall be such as to have no adverse effect on the quality of the completed well or on any sampling or geophysical logging operations, and shall be to the approval of the Engineer. Fluid density and viscosity shall generally be kept as low as is practically compatible with the operations being performed. Density shall be the minimum practical, unless flowing artesian conditions are encountered, while viscosity shall always be less than 45 Marsh seconds. Drilling fluids may be re-used on subsequent bores or for subsequent operations at the Engineer’s discretion. Formation Sampling 1.07 The return of circulating fluid or formation water at the wellhead during drilling shall be so arranged that a representative portion of the return flow may be intermittently diverted to a sample collection box which shall be of a design suitable for the fluid being used. The sampling box shall be used to obtain samples of drilling cuttings at intervals of 3 m of drilled depth and at every change of stratum. Sample diversion and collection shall take place immediately upon exit from the well casing and before any settlement or segregation can occur. Mud drilled samples shall be rinsed in clean water without the use of a sieve and by a method to retain all particles from the stratum while removing all mud contamination. Sampling at each level shall continue until at least one kilogram of dry weight of 3 - 136 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team material has been collected; this weight shall be placed in plastic bags, securely tied and indelibly labeled with depth of origin, date, time and borehole designation before being placed in an approved box having individual sample compartments. Full sample boxes containing no more than 25 samples shall be delivered to the Engineer at whatsoever place he shall designate. Whenever a major change of stratum is encountered or when so ordered by the Engineer, drilling shall be halted but circulation continued until the return flow is free from cuttings. Drill penetration shall then continue until an adequate cutting sample has been obtained when drilling shall again be discontinued until the return of the flow is clear. During such operations the flow rates, penetration rates, and lag times shall all be fully recorded. Where the formation being drilled is unconsolidated granular material or heavily weathered basement, the Engineer may order the Contractor to carry out a sieve mechanical analysis of any of the samples, in accordance with BS 1377, Test 7A or 7B. Samples for such analyses shall be returned to the Contractor from the boxed samples referred to above. Geophysical Logging 1.08 The Engineer will require geophysical logs to be run in all boreholes prior to casing. Logs shall be continuously recorded at vertical scales of 1 to 200 on approved forms with headings and spaces for recording all pertinent information. The original may be pen-recorded or film recorded but in any case the Contractor shall deliver the original and two true-to-scale copies to the Engineer. The logs required include the following although variations in log type and suite may be permitted: a) a dual electric log b) a natural gamma log c) a recording caliper log Electric logging shall comprise any approved combination of measurements: the minimum requirements would be satisfied by a self potential plus a formation resistivity log with ‘16’ and ‘64’inch normal electrodes. The natural gamma ray logs shall be run at speeds and time constants approved by the Engineer. The instrument for caliper logging must be capable of accurately measuring and recording the bore diameter up to twice the bit size used in drilling. 4 - 137 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team Logs shall be produced to a quality which is to the approval of the Engineer. They shall generally be run up-hole and repeat runs shall be made whenever ordered by the Engineer. Consistency of log response will be one criterion of acceptability. Verticality and Alignment 1.09 The verticality and alignment of bores shall for the purposes of acceptance or rejection, be checked during and after casing only. The Contractor may carry out any drilling checks he desires to ensure satisfactory completion. The verticality of cemented and formation-supported pump housing casing, defined as all casing above the highest screen position, shall be such that its centre line lies within a cone of revolution with its apex at ground level and its swept surface with an inclination of 1 in 300, horizontal to vertical. The alignment of pump housing casing shall be such that the production pump issued to the Contractor may be freely inserted into it to the full depth of pump chamber without sticking or jamming in any way whatsoever. Pumps which touch the casing string in more than two places shall be deemed to have jammed. The verticality of production zone casings and screens will not be subject to check. The alignment of production zone casings and screens shall be such as to guarantee the free passage of subsequent drilling and testing tools and to ensure an adequate gravel filter annulus around the screen. Excessive sand-pumping of any well may be interpreted by the Engineer as evidence of unacceptable alignment of either drilled hole or screen string, or both. Conductor Casing 1.10 All boreholes shall be drilled through a conductor casing of 9 to 12 meters depth and material adequate to prevent ground erosion by the drilling method and fluid being used. The Contractor shall be entirely responsible for the choice of conductor casing and the prevention of ground erosion and shall not be reimbursed for operations prior to any ground erosion event should such event result in failure to complete any borehole, nor for any remedial operations stemming from ground erosion. The conductor casing shall be of 3 meters flush jointed steel pipe, equivalent to the API line pipe, outside diameter of 508mm, thickness of 11.13mm. Conductor casing may be temporary or permanently incorporated in the Works. In the former it shall be withdrawn only at the time of cement grouting the boreholes 5 - 138 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team upper sanitary seal and in such a manner as to ensure the grout forms a sound seal with the formation outside the casing. If permanently incorporated, it shall be at least 9 meters long and shall itself be cement grouted at the time of its original installation in its external annulus to form a sanitary seal. Borehole Configuration 1.11 Boreholes shall comprise: a drilled hole of the 3-steps diameter telescopic fashion from 24 inches to 12-1/4 inches, 20 inches diameter conductor casing pipe, a string of 13-3/8 inches diameter API steel casing for working and pump housing, a string of 6-5/8 inches diameter API steel casing, galvanized wire wound continuous slot type well screens, and a backfilled annulus between casing and drilled hole. The holes shall be drilled to the depth and diameters comprising of: (a) Down to a depth of 9 – 12 meters by 24 inches diameter. (b) Down to a depth of 100 – 150 meters by 17-1/4 inches diameter. (c) Down to a depth of 200 – 600 meters by 12-1/4 inches diameter. A string of casings and screens to be installed in the Contract shall be specified as below. (i) Well casing with thread and coupling, size 13-3/8" Size : API 13-2/8", range 1 (approx. 6 m) Materials : Grade H40 Thickness : 8.38 mm (ii) Well casing with thread and coupling, size 6-5/8" Size : API 6-5/8", range 1 (approx. 6 m) Materials : Grade H40 Thickness : 7.32 mm (iii) Well screen, galvanized steel, size 6-5/8" Size : 6-5/8" Screen effective length : 3 m / unit Materials : Galvanized wire wound with support rod type Yield Good enough strength to resist the over load on setting strength: depth of 600 m Size of slot : 1 mm Opening ratio : approx. 20 % Type of thread: Round thread for jointing to API 6-5/8" casing Annulus backfill between 6-5/8 inches well screen and drilled hole shall be a graded gravel filter as specified herein after, but above gravel filter shall be backfilled by 6 - 139 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team drilling cut fills. Annulus between drilled hole and a string of 13-3/8 inches diameter API steel casing used as a working and pump housing casing shall be a sand-cement bentonite grout to the top of surface. A string of 13-3/8 inches diameter API casing as a working and pump housing casing shall always set with a bottom-end reinforcing metal shoe to prevent any casing damage. Bottom end of a string of 6-5/8 inches APII steel well casing and galvanized steel well screen shall be set with 10 m of blank casing with a bottom plug. Top end of a string of 6-5/8 inches API steel well casing and galvanized steel well screen shall be set with a 1.5 meter short steel casing of same diameter with left hand joint at top end for telescope fashion. When a string of 6-5/8 inches diameter API steel well casing and galvanized well screen has been set down to the specified depth and slightly pulled by drill strings, the annulus between well screen and casing shall be gravel packed and backfilled so that the entire string shall be held down to the bottom of the hole and 1.5 meter short casing on the top of string is then disconnected from the drill pipes by turning it to the right several turns to unscrew the left hand joint of 1 m short casing. After removing the drill pipes, the bail bottom packer shall be placed on the top of short casing and expanded with a swedging tool to seal the annulus between a 13-3/8 inches diameter API steel casing and a 6-5/8 inches steel casing to complete telescopic fashion. Casing Fittings and Installation 1.12 6-5/8 inches well casing and screens shall generally be installed as a single string in any one borehole and shall be equipped with a bottom plug as specified and centralizers only below the upper joint of screen. All casing shall be suspended rather than landed to the bottom of the borehole. Before installing casing, the Contractor shall check that the drilled depth is adequate to receive the length of string ordered. During placement of gravel filters, formation support material by a sufficient force from the surface to ensure that the casing remains straight and vertical while the remaining annulus fill of whatever kind is placed. Gravel Filter 1.13 Graded gravel filter material shall consist of clean, well rounded siliceous material free from contaminants which shall include especially, dust, calcareous material, ferruginous material, and acid-soluble components. Both individual batches and the overall material source shall be entirely to the Engineer’s approval. Gravel grading shall initially be as set out below but may be changed to a coarser or finer version as the Engineer directs for particular boreholes. 7 - 140 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team Gravel filter shall be placed by a method to be proposed by the Contractor and approved by the Engineer. In any case, once commenced, gravel placement shall be at an even continuous rate to avoid segregation and specific requirements of the Engineer may include: (i) (ii) (iii) washing-in of gravel in boreholes where there is a significant length of “dry” annulus, the thinning of any viscous drilling fluid to below 32 Marsh Funnel seconds before gravel placement, the circulating-out of borehole fluid to create a gentle inflow through the screens assisting gravel compaction. Percentage passing Min Max 100 100 91 97 66 90 17 42 5 19 0 0 BS 410 Sieve Nr 3 4 6 12 16 22 Size (mm) 5.6 4.0 2.8 1.4 1.0 0.71 Gravel filter will be placed until the annulus is filled to at least a level 10 m in a 200 meter borehole and 20 m in 400 - 600 meters boreholes above the top of the topmost joint of screen. Formation Support Material 1.14 Formation support material may be granular material of any grading but of maximum size less than 11.2 mm and free from dust and other contaminants as defined for Gravel Filter Material. The Contractor shall, if so ordered, vary the actual grading of formation support material in order to ensure its satisfactory emplacement. The systems of emplacement assistance specified or approved for gravel filter may also require to be used with formation support material. Cement Grout 1.15 In the upper 150 m of borehole, the annular spaces between borehole wall and 13-3/8 inches steel casing and between casing overlaps shall be grouted solid with cement grout to form a sanitary seal. If any part of this interval is occupied by liquid drilling fluid or by borehole water at the time of grouting, then the method of grouting shall be by tremie pipes injection from the bottom of the annulus. 8 - 141 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team Emplacement may otherwise be effected by an approved means which does not risk the collapse of borehole wall material. The Contractor shall ensure that the fluid head or vibration applied to grout is sufficient to force it into close contact with the borehole walls. Cement grout shall be based on cement and water or on cement, fine sand and water and shall be of a type resulting in minimum shrinkage. Cement shall be Sulphate Resisting Cement complying with BS 4027 or ASTM C150-61 Type V, All grout shall be thoroughly mixed in a plant having a capacity able to produce the maximum required theoretical quantity in less than one hour. Water used shall be the minimum amount necessary to produce a homogeneous mixture suitable for injection but shall not in any case exceed 4 1/2 parts of water to 10 parts of cement weight. Mixed grout shall not be allowed to stand for more than one hour before use and shall be continuously agitated before injection. The addition of plasticizers or set retarders to the mix will be permitted subject to the approval by the Engineer of the type and method of use, but the addition of Chloride based accelerators or metallic additives will not be permitted. Cement grouting shall be carried out only after initial and final development. Records 1.16 Wherever it is explicit or implicit in this Specification that an arrangement is required to measure or quantify some aspect connected with the Works, the Contractor shall be entirely responsible for making that measurement as often as is required, recording it on a form to be approved by the Engineer and delivering the original record and up to two copies to the Engineer within 24 hours of the measurement being made. Specific records required by the Engineer their Clause reference and approximate frequency include: (i) (ii) (iii) (iv) (v) Airlift drilling discharge, Clause 1.04, hourly and at major changes in flows; Corresponding depths to be reported. Drilling fluid condition, Clause 1.06, daily and at intervals of 20 m of drilling and at each addition of any constituent. Formation sample analyses, Clause 1.07, at the rate of about four samples per hole. Geophysical logs, Clause 1.08, one per log per hole. Verticality tests, Clause 1.09, one per completed well recorded as piano wire deviation using a suspension point at least 6 m above casing top and dolly 1/8 inch less than casing ID. 9 - 142 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team (vi) Filter grading analyses, Clause 1.13, whenever ordered by the Engineer, but at least once per borehole, tests to be carried out on sample taken by the Engineer. In addition, the Contractor shall cause to be taken and delivered to the Engineer on approved forms, a complete signed record of daily drilling operations, including drill rods and tools being used, depths reached and times of penetration, the driller’s opinion of material being cut, drilled diameters and times and reasons for stoppages and interruptions. The quantities, sizes and setting depths of permanent materials incorporated in the Works shall also be recorded and reported. All such records of the type referred to in this paragraph shall also be delivered to the Engineer’s Representative within 24 hours of the event recorded. The signature on the record shall be that of the Contractor’s most senior agent normally resident on site. Any countersignature on the part of a member of the Engineer’s Staff shall simply signify receipt of the form in question and, shall in no way be taken as a guarantee or acceptance of its correctness. The units for reporting and recording purposes shall be mainly in the Metric system, partially including diameters which may be stated in inches. The Contractor shall produce a record drawing on electrical files at an approved scale of each bore constructed. This drawing shall show the sizes, grades and setting depth of all components used and shall incorporate a table showing the location, manufacturer’s designation and the material of all fittings. It shall also record all depths of drilling at all diameters and all material used. Unsatisfactory Boreholes 1.17 Boreholes shall be constructed to the depths and diameters ordered by the Engineer and otherwise to the standards specified herein. Any borehole not so constructed or which has its completion to the satisfaction of the Engineer prevented or excessively delayed for any reason such as accident to Plant, breakage or jamming of tools or casing, lack of alignment or for any other cause, shall be considered unsatisfactory and shall be abandoned at no cost to the Employer. If, in the opinion of the Engineer, an otherwise unsatisfactory borehole may be rectified by measures proposed by the Contractor, such measures may be allowed but also at no cost to the Employer. In such cases the Engineer would require to be convinced that adequate water yield was also probable. The Engineer shall be permitted at any time to order the abandonment of a borehole. The Contractor shall then remove the Plant and such materials as may be practicable 10 - 143 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team and leave the borehole in a condition approved by the Engineer. The Contractor shall then, without delay, construct a further borehole at a new site indicated by the Engineer. If such abandonment is for reasons that in the Engineer’s opinion an unsatisfactory borehole would have resulted, no payment shall be due to the Contractor. The Contractor shall be free, at his own expense, to remove any materials of construction from unsatisfactory boreholes and may re-use them on the works of the Contract provided their use is approved by the Engineer. CHAPTER 2 – DEVELOPMENT AND TESTING Initial Development 2.01 On completion of placement of gravel filter and any formation support material, but before placement of cement grout, the borehole shall be developed. Initial development shall consist of gently mechanical surging by the sand pump type bailer of cleaning out the screen, along with picking up the sand from the bottom of the screen. The total time for the initial development shall be approved by the Engineer as the quantity of sand brought in each time decreased. Final Development 2.02 Final development shall be by a process of gently airlift-discharging all boreholes, after backfilled by drilling cut fills above gravel filter and completed telescopic fashion by the placement of bail bottom packer on the top end of 6-5/8 inches casing, in order to remove wall cuttings and to stabilize the gravel filters of completion boreholes. The mud degrading agent must be added prior to final development. The Engineer may order eductor pipe to be used in this process up to the full borehole depth and air lifting pipes up to the depth to get the satisfied submergence rate, in order to localize washing effects. Final development shall be continued until a clean discharge is obtained, but for a minimum of twelve hours per borehole. During this period discharges shall be measured and for the same period and for 30 minutes thereafter, water levels shall be observed in the annulus between casing and eductor pipe. The borehole potential yield and drawdown shall be estimated and recorded during initial development. The Contractor shall prepare, at his own expense, any air compressor with a satisfied free air delivery and a rated operating pressure of minimum 10.5 kgf per square cm 11 - 144 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team used for the development so as to maximum discharge. The usage of air compressor in the Works is approved by the Engineer. Final development shall terminate with a 30 minute sustained period of discharging the well at a high and nearly constant rate. During this period discharges shall be measured and for the same period and for 30 minutes thereafter, water levels shall be observed in the annulus between casing and eductor pipe. Test Pumping Equipment 2.03 With each test pumping unit deemed necessary to fulfill the test pumping program, the Contractor shall maintain and operate at least one each of pump/prime mover sets of two different duties. The pump shall be submersible motor type and pump/prime mover sets shall be capable of running at duty discharge for up to 3 days without maintenance stops. They should also be capable of being valve or speed controlled to discharge down to 20 percent of their duty discharge for short periods without hunting or causing resonant cavitations. The pump and column pipe dimensions shall be such that they can freely be inserted into the pump housing casing specified. The duty points of the various pumps are as specified below. Unit Reference a) total head (m) b) discharge (lps) 1 2 High Q 40 40 65 10 18 27 Pumping Test 2.04 The Contractor shall execute the pumping test on each borehole. The pumping test on each borehole shall consist of the primary pumping test, the step drawdown test, the continuous test and the recovery test as below. (1) The Primary Pumping Test The primary pumping test shall be executed for estimation of rough pumping rate. The test shall be continued at least 4 hours, but shall be approved by the Engineer until pumping the clear water. (2) The Step Drawdown Test 12 - 145 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team The step drawdown test shall be executed for calculation of the limited pumping rate. The pumping rate of the test shall be decided according to the result of the primary pumping test. Prior to the step drawdown test, the Contractor shall report the pumping rate to the Engineer for his approval. The test shall consist of five (5) steps by each two (2) hours, totally ten (10) hours. The Contractor shall observe the water level in the annulus between casing and eductor pipe by the portable water level indicator. The intervals of measurement of each step are shown as below. (3) The Continuous Test The continuous test shall be executed for establishment of the pumping plan. The pumping rate of the test shall be indicated by the Engineer. The duration of the test shall be twenty-four (24) hours. The Contractor shall observe the water level in the annulus between casing and eductor pipe by the portable water level indicator. The intervals of measurement of each step are shown as below. (4) The Recovery Test The recovery test shall be executed immediately after the continuous test. The duration of the test shall be maximum twelve (12) hours or till the Engineer’s approval. The Contractor shall observe the water level in the annulus between casing and eductor pipe by the portable water level indicator. The intervals of measurement of each step are shown as below. The water level measurements shall be taken in accordance with the following schedule. Every one (1) minute for the opening ten (10) minutes. Every two (2) minutes for the period ten (10) minutes to twenty (20) minutes. Every five (5) minutes for the period twenty (20) minutes to sixty (60) minutes. Every ten (10) minutes for the period sixty (60) minutes to one hundred twenty (120) minutes. - Every twenty (20) minutes for the period one hundred twenty (120) minutes to three hundreds (300) minutes. - Every thirty (30) minutes for the period three hundreds (300) minutes to four - 13 - 146 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team hundreds eighty (480) minutes. - Every sixty (60) minutes after four hundreds eighty (480) minutes. Ancillary Test Equipment 2.05 The Contractor shall supply and maintain all necessary temporary piping work at the casing head together with a discharge regulating valve so as to enable the total flow to be evenly delivered to a discharge measuring device. He shall make arrangements for the accurate and continuous measurement and recording of discharge from bores during test pumping which shall be maintained within 5 percent of the rate ordered by the Engineer. For the low discharge units 1 and 2 above, a simple calibrated volume system will be acceptable but for the high discharge until an orifice device will be preferred to other means and will be permitted subject to the Engineer’s approval before every use. No discharge interruptions using test will be permitted however, so any alterations to the measurement device to change its range of sensitivity must be made under discharge conditions. The Contractor shall also supply and maintain all necessary piping work or channels for the conveyance of water discharge during test pumping from the point of discharge measurement to a point off the site 30 m from the casing head or such distance as ordered by the Engineer to prevent leakage interference with the pump test and interference with property. The Contractor shall further supply and maintain at each test site two 200 m electric contract water level gauges, accurately calibrated in 0.01 meter intervals for measuring water levels, during tests. Casing arrangements shall permit these gauges to be inserted and passed freely. During all tests the Contractor shall provide the services of skilled observers to measure and record water levels at intervals to be decided by the Engineer, during both pumping and recovery. Where room exists for it, a 1/2 inch I.D. access tube shall be temporarily installed between pump rising mains and borehole casings for measurement of water levels. Plant Ownership and Failure 2.06 All plant and equipment provided for development and for pumping tests and disposal arrangements shall be deemed to be Constructional Plant and shall be removed by the Contractor upon completion of the Works. 14 - 147 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team The pumping plant must be capable for pumping any rate within the specified range for a continuous period not exceeding 3 days without the need for servicing. If any test of duration less than 3 days is stopped for a period exceeding 10 minutes it shall be repeated at a time and date to be specified by the Engineer who will allow the aquifer time to recover fully. No payment shall be due to the Contractor in respect of an abortive pumping test, or recovery time. Water Samples 2.07 The Contractor shall keep on site suitable, clean one litre capacity water sample containers and shall collect and store water samples as directed by the Engineer. These shall be delivered to the Engineer, labelled as directed. The Engineer may however return water samples from selected boreholes to the Contractor, who shall arrange for these to be analyzed at an approved chemical laboratory for the following parameters:- total hardness, total alkalinity, calcium, magnesium, sulphase, chloride. Some samples shall on request be analyzed also for sodium and total dissolved solids. Wellhead 2.08 Upon completion of testing, to the approval of the Engineer, the Contractor shall if required construct the wellhead plinth to the dimensions and details shown on the Drawings. A temporary blanking cap shall be affixed to the wellhead casing during such operations if the permanent pump is not installed. Records 2.09 Wherever it is explicit or implicit in this section of the Specification that a measurement or record be kept, such measurement or record shall be the responsibility of the Contractor and shall be reported to the Engineer on an approved form within 24 hours of the event measured or recorded. The Contractor shall propose and agree record forms for pumping tests with the Engineer before commencing such tests. Development records shall be kept and delivered in similar detail to construction records. 15 - 148 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team CHAPTER 3 - ENGINEER’S REQUIREMENTS Meetings and Reports 3.01 Approved representatives of the Contractor shall attend formal meetings at the office of the Engineer or Employer on Site or in Kabul when called upon, for the purposes of Contract administration. Such meetings, unless otherwise agreed, shall not be more frequent than once per month. The Contractor shall submit to the Engineer each month a report on his progress in the performance of the Contract. Photographs 3.02 The Contractor shall supply negatives and four unmounted positive prints of photographs, not less than 5 x 4 inch, as may be directed by the Engineer and specified herein. The negatives and prints shall not be retouched. The negative of each photograph shall be the property of the Employer and shall be delivered to the Engineer with the prints. No prints from these negatives shall be supplied to anyone without the written permission of the Engineer. The photographs shall be properly referenced to the approval of the Engineer and on the back of each print shall be recorded the date of the photograph, the direction in which the camera was facing, an identifying description of the subject, and the reference. In addition the Contractor shall supply four albums each suitable for mounting a minimum of fifty photographs. Mobile Quarters 3.03 If ordered by the Engineer, the Contractor shall supply transport and maintain for the sole use of the Engineer mobile quarters as specified below. Such quarters shall be deemed to be Constructional Plant. Each mobile quarter shall comprise an approved rainproof tent having a covered floor area approximately 12 square meters. It shall be supplied with flysheet and verandah and shall be equipped with a portable bed and mattress, a table, a collapsible chair, portable wash hand-torch, all to the approval of the Engineer. Such quarters are intended to accompany a drilling rig or a development and testing rig of the Contractor and to accommodate a member of the Engineer’s Site supervisory staff. 16 - 149 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team The Contractor shall transport each quarter whenever the Constructional Plant with which it is associated is moved from one borehole site to the next. He shall fix and secure each quarter in an approved position at each such site. He shall maintain in good condition the quarters and equipment, supply portable and washing water, and keep the lighting and torch charged. Field Communications System 3.04 The Contractor shall, if ordered by the Engineer, supply install and maintain telecommunications equipment and arrange licensing from the appropriate Government department to connect the office of the Engineer to each drilling rig. Assistance to the Engineer 3.05 The Contractor shall supply such labors either continuously or from time to time, as may be required by the Engineer to assist him in checking the setting out of the Works, in measuring the Works, as messengers in connection with the Works, and as watchmen over the Engineer’s offices and equipment. 17 - 150 - 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team Bill of Quantity 1. Unit Construction Cost for 600 m Observation well in Kabul Basin Unit Price Q’ty Unit Item Descriptions (US Dollars) A Construction of 600 m Observation Well 1. Mobilization and demobilization 1 L.S. L.S. 2. Preparation of site, erection and 1 dismantling of equipment 3. Drilling of 24” diameter borehole 12 m 4. Drilling of 17-1/2” borehole 150 m 5. Drilling of 12-1/4” borehole 450 m 6. Electrical resistivity logging 1 L.S. 7. Installation of 20 inches conductor 12 m pipe 8. Installation of 13-3/8” steel casings 150 m 9. Installation of 6-5/8” steel casings & 450 m screens 10. Placement work of gravel packing 1 L.S. 11. Initial development work 1 L.S. 12. Cement grouting 1 L.S. 13. Final development work 1 L.S. 14. Pumping test 1 L.S. 15. Water sampling and analysis 1 L.S. 16. Well head work 1 L.S. 17. Report and documentation 1 L.S. Sub total A: Construction works B Supply of Materials 1. 20” conductor casing 12 m 2. 13-3/8” API steel casing 150 m 3. 6-5/8” API steel casing 390 m 4. 6-5/8” wire wound Johnson type well 60 m screen 5. Bottom plug, casing centralizer, etc. 1 LOT 6. Gravel for gravel packing 1 LOT 7. Cement 1 LOT 8. Mud materials 1 LOT Sub total B: Supply of materials TOTAL AMOUNT: A + B Estimated Construction Period per well: percent subject to Proposed Special Discount: - 151 - Amount (US Dollars) days boreholes 18 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team Bill of Quantity 2. Unit Construction Cost for 400 m Observation well in Kabul Basin Unit Price Q’ty Unit Item Descriptions (US Dollars) A Construction of 600 m Observation Well 1. Mobilization and demobilization 1 L.S. L.S. 2. Preparation of site, erection and 1 dismantling of equipment 3. Drilling of 24” diameter borehole 12 m 4. Drilling of 17-1/2” borehole 150 m 5. Drilling of 12-1/4” borehole 250 m 6. Electrical resistivity logging 1 L.S. 7. Installation of 20 inches conductor m 12 pipe 8. Installation of 13-3/8” steel casings 150 m 9. Installation of 6-5/8” steel casings & m 250 screens 10. Placement work of gravel packing 1 L.S. 11. Initial development work 1 L.S. 12. Cement grouting 1 L.S. 13. Final development work 1 L.S. 14. Pumping test 1 L.S. 15. Water sampling and analysis 1 L.S. 16. Well head work 1 L.S. 17. Report and documentation 1 L.S. Sub total A: Construction works B Supply of Materials 1. 20” conductor casing 12 m 2. 13-3/8” API steel casing 150 m 3. 6-5/8” API steel casing 190 m m 4. 6-5/8” wire wound Johnson type well 60 screen 5. Bottom plug, casing centralizer, etc. 1 LOT 6. Gravel for gravel packing 1 LOT 7. Cement 1 LOT 8. Mud materials 1 LOT Sub total B: Supply of materials TOTAL AMOUNT: A + B Estimated Construction Period per well: percent subject to Proposed Special Discount: - 152 - Amount (US Dollars) days boreholes 19 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team Bill of Quantity 3. Unit Construction Cost for 200 m Observation well in Kabul Basin Unit Unit Price Q’ty Item Descriptions (US Dollars) A Construction of 200 m Observation Well 1. Mobilization and demobilization 1 L.S. 2. Preparation of site, erection and 1 L.S. dismantling of equipment 3. Drilling of 24” diameter borehole 12 m 4. Drilling of 17-1/2” borehole 100 m 5. Drilling of 12-1/4” borehole 100 m 6. Electrical resistivity logging 1 L.S. 7. Installation of 20 inches conductor m 12 pipe 8. Installation of 13-3/8” steel casings 100 m 9. Installation of 6-5/8” steel casings & m screens 100 10. Placement work of gravel packing 1 L.S. 11. Initial development work 1 L.S. 12. Cement grouting 1 L.S. 13. Final development work 1 L.S. 14. Pumping test 1 L.S. 15. Water sampling and analysis 1 L.S. 16. Well head work 1 L.S. 17. Report and documentation 1 L.S. Sub total A: Construction works B Supply of Materials 1. 20” conductor casing 12 m 2. 13-3/8” API steel casing 100 m 3. 6-5/8” API steel casing 70 m 4. 6-5/8” wire wound Johnson type well 30 m screen 5. Bottom plug, casing centralizer, etc. 1 LOT 6. Gravel for gravel packing 1 LOT 7. Cement 1 LOT 8. Mud materials 1 LOT Sub total B: Supply of materials TOTAL AMOUNT: A + B Estimated Construction Period per well: percent subject to Proposed Special Discount: - 153 - Amount (US Dollars) days boreholes 20 資料7 現地井戸業者見積用仕様書 Feb 27, 2005 By JICA Preparatory Study Team - 154 - 資料 8 事前評価表 事業事前評価表(開発調査) 作成日:平成17年 6月7日 担当グループ:地球環境部第三グループ (水資源・防災) 1.案件名 アフガニスタン国 カブール市給水計画調査 2.協力概要 (1)事業の目的 対象地域であるカブール市に安全な水を供給する計画を策定するための水資源賦存状況を把 握する。 (2)調査期間 2006 年 2 月から 2008 年 6 月まで(29 ヶ月) (3)総調査費用 約6.9億円 (4)協力相手先機関 鉱工業省(MMI) (5)計画の対象(対象分野、対象規模等) アフガニスタン国カブール市の住民約 240 万人 3.協力の必要性・位置付け (1)現状及び問題点 現在、カブール市の生活用水はカブール盆地内の浅層地下水を水源としているが、上水道は人 口の約 20%をカバーしているに過ぎない。その他の住民は、自宅の浅井戸や援助機関・NGO が掘 削したハンドポンプ井戸等から飲料水を得ている。しかし、これらの水源・井戸は、市内に 3,500 箇所以上もあるとされているが、総合的な管理がなされていないため、近年の旱魃とも相まって、 地下水位の低下が目立ってきている。現状のままでは、浅層地下水の利用に困難が生じ、市民生 活に大きな打撃が起きてくる可能性がある。かかる状況を改善していくためには、未開発の有望 な深層地下水の賦存状況を調査し、既存の浅層地下水源と合わせて、カブール盆地全体の地下水 源のポテンシャルを予測し、その結果を基に地下水を適切に管理しつつ利用する体制を取ること が不可欠である。 (2)相手国政府国家政策上の位置づけ アフガニスタン政府の樹立後、包括的な国家計画、水資源の開発計画等は未だ打ち出されてい ないが、カブール市の人口急増は喫緊の課題として認識されており、水源の確保が必要とされて いる。 (3)他国機関の関連事業との整合性 カブール市の給水整備には GTZ(ドイツ技術協力公社)が 2013 年までを3つのフェーズに分 けて協力しており、それに歩調を合わせて同じくドイツの KfW(復興金融公庫)が 2008 年まで の融資により、既存地下水源の 26 本の井戸と給水網の復旧に協力しているが、これらは戦争前 の状態へ現状を復旧させる計画である。その他、本件の対象地域では一部NGO等が浅井戸掘削 などの小規模な給水事業を行っている。 - 155 - 資料 8 事前評価表 (4)我が国援助政策との関連、JICA 国別事業実施計画上の位置づけ JICA 国別事業実施計画を策定中(2005 年5月現在) 4.協力の枠組み (1)調査項目 (a) 関連資料の収集・分析 1) 地域開発計画、土地利用状況、社会経済状況調査 2) 水需要調査及び需給バランスの予測 3) 水資源開発/水供給行政システム調査 4) 関連計画/プロジェクトの実施状況の把握 5) その他、対象地域の水理地質構造に関する既存資料など (b)既存水源、給水施設実態調査 (c)水文要素調査(河川水量、地下水位、地下水水質) (d)既存浅層地下水賦存状況の把握 (e)深層地下水賦存状況の把握 (f)水理地質解析 (g)環境影響評価手続きの支援 (2)アウトプット(成果) 1)カブール盆地の一連の水理地質図(地質図、地質断面図、基盤岩基底面等高図、滞水層構 造図など)の完成 2)水資源開発/利用及び給水に関する課題の抽出と提言 3)調査作業を通じた近代的な地下水探査/掘削技術のカウンターパートへの移転 (3)インプット(投入):以下の投入による調査の実施 (a)コンサルタント(分野/人数) 8名(総括/地下水開発計画、副総括/水理地質A、水理地質B(測水・賦存量調査)、 取水・給水施設調査、物理探査、さく井指導/掘削管理、試掘調査/機材管理、水質調査) (b)その他 研修員受入れ 5.協力終了後に達成が期待される目標 (1)提案計画の活用目標 地下水資源の把握、水理地質図の作成及び関連情報の収集により、カブール盆地の地下水 賦存の全体量が明らかにされ、地下水の開発・利用・管理計画が作成される。 (2)活用による達成目標 策定された計画に基づき、地下水の開発・利用・管理が実施される。 6.外部要因 (1)協力相手国内の事情 (a)政策的要因:開発政策の変更による提案事業の優先度の低下等 (b)行政的要因:行政省庁・実施組織間での調整の遅延 (c)経済的要因:特に無し (2)関連プロジェクトの遅れ 特に無し。 7.貧困・ジェンダー・環境等への配慮(注) 基本的に貧困層の飲料水確保を目指した調査であり、不衛生な水を飲むことで最も健康被害を 受けやすい乳幼児が最も裨益する。 水源開発により資源が枯渇しないよう、十分な水資源の賦存と涵養を確認する。 8.過去の類似案件からの教訓の活用(注) 特に無し。 - 156 - 資料 8 事前評価表 9.今後の評価計画 (1)事後評価に用いる指標 (a)活用の進捗度 ・ 本件で整備された情報を使用して、水資源開発計画及び水利用計画が作成される。 (b)活用による達成目標の指標 ・ 策定された計画に基づく事業実施の度合い (2)上記(a)及び(b)を評価する方法並びに時期 (a) 現地JICA事務所によるモニタリング (b) 調査終了後 3 年後以降に評価を実施する。 (注)調査にあたっての配慮事項 - 157 -