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ス ポ ー ツ の ま ち
地域と市民の力を 生かして 鹿嶋市には、鹿島神宮に代 表される悠久の歴史と文化、 北浦や鹿島灘などの水と緑あ ふれる豊かな自然、世界に誇 る鹿島港と企業の最先端技術、 剣聖「塚原卜伝」に象徴される武道の精神や鹿島アントラーズを 契機とした新しいスポーツ文化など、多くの魅力ある資源があり ます。 この魅力ある地域資源と「市民の潜在力」を生かし、特色ある 鹿嶋づくりを進めていきます。 新鹿嶋市総合計画では「夢フィールド 交 流のまち かしま」 を将来像としてあげ、スポーツによるまちづくりや教育環境の充 実により世界に羽ばたく人材の育成など、さまざまな施策を展開 しています。 住んでよかった、訪れて良かったと思える魅力あるまちの実現 に向けて、市民とともに協働のまちづくりを推進していきます。 この市勢要覧は、鹿嶋市の今と誇るべき歴史を紹介し、まちづ くりの将来像を描いています。本誌が鹿嶋市を広くご理解いただ くための一助となれば幸いです。 ナイター照明付き全面人工芝のト伝の郷運動公園。一年を通してさまざまなスポーツに利用される (写真=鹿嶋サッカーフェスティバル・8月) 2 地勢・沿革/市民憲章/市の花木鳥/友好都市・姉妹都市 都市宣言/主な基本計画/鹿嶋の特産品 CONTENTS 6 鹿嶋市勢要覧 2007 第2章 FIELD OF DREAMS 輝く未来へ スポーツ先進のまち…18 世界に羽ばたく人づくりを進めるまち…20 健康で安心、快適に暮らせる福祉のまち…22 みんなが誇れる美しいまち…24 交流がつくる魅力と活力のある新しい産業のまち…26 行政のスリム化と市民がつくるまち…28 Taking advantage of the attractive resources and citizens’potential Kashima has abundant attractive resources: An ancient history and culture represented by Kashima Shrine; green rich nature and water including Kitaura and Kashima-Nada, Kashima Port; high technology enterprises known throughout the world; martial-art spirit symbolized by Tsukahara Bokuden, master swordsman; and new sports and culture with the Kashima Antlers as the focal point. Taking advantage of these attractive local resources, we promote the construction of a characteristic Kashima-city. In the new general plan of Kashima-city as“dream field Kashima, a town of exchange”as the future image, we are developing numerous projects to promote sports and foster human resources, becoming active in the world by improving our educational environment. We will work together with citizens to realize an attractive town where residents and visitors are proud to live. This handbook of the city introduces the present Kashima-city and its colorful history, and describes the future image of townmaking. I hope this handbook will be of some help to you in understanding Kashima-city better. 第1章 WELCOME TO KASHIMA 心に響くまち鹿嶋 スポーツのまち/悠久の歴史/豊かな自然/活力ある産業 16 Mayor プロフィール 30 第3章 HISTORY 鹿嶋のあゆみ 原始・古代∼鹿嶋神郡/中世∼鹿島氏の興亡 近世∼天狗騒動/年表でたどる鹿嶋の近・現代史 36 鹿嶋四季彩展 Toshiro Uchida 夢フィールド 交流のまち かしま 1 ● 地 勢・ 沿 革 ● ●市民憲章● ●SYMBOLS● (平成 17 年9月1日制定) こ の 憲 章 を 定 め ま す 一 一 一 一 一 み ん な で 力 を 合 わ せ 潤 い と 活 力 の あ る ま ち に し よ う お 互 い の 立 場 を 尊 重 し 思 い や り の 心 で 住 み よ い ま ち に し よ う 歴 史 と 伝 統 に 誇 り を 健 も 康 ち で 明 薫 る り い 高 ま い ち 文 に 化 し の よ ま う ち に し よ う ス ポ ー ツ に 親 し み 豊 か な 自 然 を 愛 し 水 と 緑 の 美 し い ま ち に し よ う 心 豊 か な 鹿 嶋 市 民 を 目 指 し て 未 来 に 夢 を 持 ち 郷 土 の 文 化 を 大 切 に し プ ロ フ ィ ー ル 2 夢フィールド 交流のまち かしま Kashima-city is located in the south-east portion of Ibaraki Prefecture, about 80 km from Tokyo. It is long and narrow, north and south, bounded by the Pacific Ocean on the east, and Kitaura on the west. Its area is about 93 km2. This land was an important base for Yamato Imperial Court’ s advance into the eastern provinces in ancient times, and the town has prospered and developed as the temple town of Kashima Shrine, the largest shrine in the country of Hitachi. It was originally a farming and fishing town, but the Kashima Development that started in the 1960s marked a great turning point. Thanks to the construction of the large coastal industrial zone centering on Kashima Port, which led to a rapid increase in population, it became the central city of the south-east portion of the prefecture, and then“Kashima City”in September 1995 combining Kashima-town and Onovillage. Kashima-city is an energetic and attractive town, an industrial city boasting advanced science and technology, and is also the home-town of the Kashima Antlers of J League: Kashima combines beautiful nature and historical tradition. 自動車を利用した場合 東 京 方 面 京葉道路 または 湾岸道路 宮 野 木 J.C.T 世 界 に 開 か れ た 鹿 島 港 の あ る ま ち 鹿 島 神 宮 の あ る 歴 史 の ま ち わ た し た ち の 鹿 嶋 市 は 市 章 市名の頭文字 「 カ 」 の図案化 で、鹿島灘の波頭をアレンジし、 市の躍進・発展と、市民の融和・ 団結を象徴したものです。昭和 41 年 (1966) に一般公募し、同 年 11 月に選定しました。 鹿嶋市へのアクセス Access Profile わ た し た ち は 美 し い 自 然 に 恵 ま れ た ま ち で す ■市の花/はまなす 大小志崎海岸に自生するハマ ナスは、自生南限地帯として国 の天然記念物に指定されていま す。市内の公園や道路の愛称に も用いられ、市民に親しまれて います。 Profile 鹿嶋市は東京から約 80km、茨城県東南 部に位置しています。東の太平洋、西の北 浦に挟まれた南北に細長い地形をしてお り、面積は約 93km2 あります。この土地は 古来、大和朝廷の東国経略の拠点として重 要な地勢を占め、常陸国一の宮・鹿島神宮 の門前町として栄え、発達してきました。 産業は半農半漁のまちでしたが、昭和 30 年代後半に始まった鹿島開発で大きな転機 を迎えました。鹿島港を中心とした一大臨 海工業地帯の建設により、人口も急増して 県東南部の中心都市となり、平成7年9月 1日には鹿島町と大野村が合併して「鹿嶋 市」となりました。 鹿嶋市は美しい自然と歴史的伝統を持ち ながら、一方で最先端の科学技術を駆使し た工業都市として、またJリーグ鹿島アン トラーズのホームタウンとして、活力と魅 力に満ちたまちです。 東関東 自動車道 潮 来 I.C. 国道 51 号 (10 分) ※東京から約 100 分 鹿 嶋 国道 51 号 国道 245 号 (90 分) 日 立 南 大 田 常磐 自動車道 I.C. 東 北 方 面 ■市の木/まつ 白砂青松の地、鹿嶋。四季を 通じて緑を保ち、高くそびえ立 つ姿にたくましさと生命力の強 さを感じさせるマツにまちの姿 を重ねています 。 高速バスを利用した場合 東京駅 お台場 高速バス(120 分) (30 分) 鹿嶋 羽田空港 高速バス(120 分) 高速バス(110 分) 東京 ディズニーリゾート 鹿嶋 鹿嶋 電車を利用した場合 東 京 駅 千葉駅 佐原駅 (JR成田線) 鹿嶋 (鹿島神宮駅) (JR鹿島線) 大洗鹿島線 (75 分) 水 戸 駅 ■市の鳥/きじ 国鳥として認定され、市内の 雑木林などに生息するキジは、 その格調高く美麗な姿をまちの 精神の表れとしています。 夢フィールド 交流のまち かしま 4 3 第1章 WELCOME TO KASHIMA 心に響くまち鹿嶋 ① ② ③ ④ ようこそ、私たちのまちへ。 鹿嶋の空に響く歓声 いにしえの時を伝える文化 心やすらぐ自然 活気あふれる産業 「かしま」にはあなたの心に響く 何かがあるはずです。 悠久の時を超え、今を感じてください。 Welcome to our town. With cheers in the sky of Kashima, culture to convey ancient traditions, nature to comfort and relax you, and vigorous industry, Kashima will touch your heart. Feel its presence through the eternal times. ①県立カシマサッカースタジアムと名誉市民・ジーコ像 ②緑の中に鮮やかに浮かぶ鹿島神宮の楼門 ③湖面全体をオレンジに染める北浦の夕日(撮影:飯島昌寿氏) ④鹿島宇宙技術センターのパラポラアンテナが宇宙を見つめる (写真提供:情報通信研究機構 鹿島宇宙技術センター) 6 夢フィールド 交流のまち かしま 訪れる人の心を癒す「鹿島神宮の樹叢」 (県天然記念物指定) 夢フィールド 交流のまち かしま 7 ス ポ ー ツ の ま ち 「スポーツの拠点 カシマスポーツセンター」 年間を通してさまざまなスポーツ大会が開催される 鹿島アントラーズ・クラブハウス メインアリーナでの剣道大会 「ト伝の郷運動公園多目的球技場」ナイター設備が整い夜間の利用も可能 スポーツ少年団などで子どもたちが スポーツに打ちこむ (写真=鹿島少林寺拳法スポーツ少年団) Jリーグ・鹿島アントラーズ ( 撮影:オフィス・プリマべーラ ) 8 夢フィールド 交流のまち かしま 「鹿島アントラーズのカシマウェルネスプラザ」 カシマサッカースタジアム内で目的にあった健康づくりプログラムを展開 「鹿島ハイツスポーツプラザ」 サッカー、野球、ラグビー、テニスなどのスポーツ合宿に最適 夢フィールド 交流のまち かしま 9 悠 久 の 歴 史 み ふねさい 【鹿島神宮・御船祭】 12 年に一度の午年の9月2日に、五色の吹流しをつけた御座 船が、約 90 艘の供奉船を従えて常陸利根川を水上巡幸します。 【鹿島神宮 本殿】 社殿は元和5年(1619)、徳川秀忠公より奉納された もので、桃山期の極彩色が華やか。幣殿・拝殿・石の 間とともに、国の重要文化財に指定されている。背後 にある杉の巨木は、根廻り 12 mで、樹齢 1,200 年と 推定されるご神木。 【提灯まち】(9月1日) 【直刀 ( みたまのつるぎ くろ うるしひょう もん た ち こしらえつけたりかたなからびつ 神幸祭出御の明かりともいわれる。氏子たちにより、無数の提 灯をつけた大きな青竹が、楼門前のかがり火に奉納されます。 (写真提供:鹿島神宮) 霊剣)黒 漆 平文太刀拵 附刀唐櫃】鹿島神宮蔵 鹿島神宮の祭神・武甕槌神の神剣として神宮の内陣深く秘められてきた神宝。刀身は長さ 223.4 ㎝、切刃造り角棟。制作時期は、刀身は奈良から平安時代、拵えは平安時代とされ ている。日本最古・最大の剣。国宝に指定。 うめたけまき え くら 【梅竹蒔絵鞍】鹿島神宮蔵 (写真提供:鹿島神宮) 鎌倉幕府を開いた源頼朝が建久2年(1192)、国の平 安を祈って奉納した馬に添えられたとされる。国の重 要文化財に指定。 【鹿島神宮・神幸祭(山車まつり)】(9月1日) 鹿島神宮の神輿が本殿から行宮に出御する祭りで、9月1日か ら2日にかけて、山車が各町内を練り歩きます。 め おとづか 【宮中野古墳群・夫婦塚古墳】 6世紀ごろの鹿島の治政者たちの墳墓で、その数 100 基以上とい う県内最大級の古墳群。その盟主的古墳・夫婦塚古墳は、墳丘長約 108 mの鹿行地域最大規模の前方後円墳。市指定史跡に指定。 10 夢フィールド 交流のまち かしま 【鹿島神宮・祭頭祭】(3月9日) 奈良∼平安時代に起源をもつ五穀豊穣と天下泰平を 祈る祈年祭。色鮮やかな衣装を身に付けた囃人が樫 棒を組んでは解きながら、参道を練り歩きます。 夢フィールド 交流のまち かしま 11 豊 か な 自 然 雄大な北浦と鹿嶋市・行方市を結ぶ北浦大橋(通称=サンブリッジ) ( 撮影:飯島昌寿氏 ) 大野潮騒はまなす公園 鹿島港魚釣園 掘込港湾としては世界最大級の港「鹿島港」 鶴賀山神向寺内の大イチョウ ( 樹高 19m 幹周 4.15m) 12 夢フィールド 交流のまち かしま (撮影:渡辺典博氏) 海水浴のほか、一年を通してマリンスポーツを楽しめる平井海岸 鹿島城山公園の桜まつり 夢フィールド 交流のまち かしま 13 活力ある 産業 世界最高レベルの品質と生産性を誇る住友金属工業鹿島製鉄所 買い物客でにぎわう市内のショッピングセンター 家族連れなどで賑わう「かしま商工夏まつり」 (写真提供:住友金属工業鹿島製鉄所) メロン 正月に向けて出荷作業が行われる「鹿島松」 収穫前に鹿島灘の海水をかけて育てられる「汐菜キャベツ」 水揚げされた鹿嶋特産の「鹿島灘はまぐり」 歯ごたえがあり、鹿嶋の逸品として 定評のある「鹿島だこ」 掘込港湾としては世界最大級の規模を誇る「鹿島港」 (写真提供:茨城県土木部港湾課) 14 夢フィールド 交流のまち かしま 夢フィールド 交流のまち かしま 15 新 鹿 嶋 市 総 合 計 画 将来像 ふ れ あ い 第2章 『夢フィールド 交流のまち かしま』 FIELD OF DREAMS 新鹿嶋市総合計画では、「豊かな心あふれるまちの創造」を基本理念に、平成 14 年を初年度と した 10 年間の“まちづくりの道しるべ”を定めています。 市が目指すべき将来像を『夢フィールド 交流のまち かしま』とし、スポーツや自然、歴史や 文化を守り、育てる「将来的にも住みたいと思うまち」 「訪れてよかったと思うまち」の実現に向け、 6つの「まちづくりの目標」の実現に取り組んでいます。 輝 く 未 来 へ 6つのまちづくりの目標 1 スポーツ先進のまち 光がふりそそぐ豊かな大地に咲く人々の笑顔。 その笑顔がもっと輝くために ■いろいろなスポーツを楽しめるまちづ くり ■スポーツを核とした交流のまちづくり 2 世界に羽ばたく 人づくりを進めるまち ■個性豊かな教育のまちづくり ■世界を身近に感じるまちづくり ■文化・芸術を身近に感じるまちづくり 鹿嶋市は 21 世紀の基本理念を 「豊かな心あふれるまちの創造」とし 自然や人と人の心のつながりを大切にした 安らぎと活力ある都市の実現を目指します。 3 健康で安心、 快適に暮らせる福祉のまち 4 みんなが誇れる 美しいまち ■支えあいとやさしさのあるまちづくり ■自然を守り、育むまちづくり ■健康に暮らせるまちづくり ■自然環境にやさしいまちづくり ■安心して暮らせるまちづくり ■美しくうるおいのあるまちづくり ■快適に暮らせる質の高いまちづくり 5 交流がつくる魅力と活力 のある新しい産業のまち People’ s smiles blooming over the rich shining land. To further brighten the smiles, Kashima aims at being a city to provide comfort and peace, treasuring nature and heart-to-heart connections with people, The basic philosophy of the 21st century is the creation of a “rich warm-hearted town.” 6 行政のスリム化と 市民がつくるまち ■自然と調和したまとまりのあるまちづくり ■市民がつくる市民のためのまちづくり ■活力ある産業の振興を目指すまちづくり ■コンパクトな行政による市民サービス ■鹿島港を活かした産業の振興を目指す まちづくり ■誰もが安心して働くことができるまち のまちづくり ■情報通信技術(IT)を活かしたまちづ くり づくり 16 夢フィールド 交流のまち かしま 夢フィールド 交流のまち かしま 17 1 スポーツ先進のまち 人々が出会い、喜びを分かち合う スポーツを核とした交流のまち 都市対抗野球大会で黒獅子旗獲得(優勝)を目指す 「鹿嶋市代表・住友金属鹿島硬式野球部」 市民大応援団のスティックバルーンが東京ドームを埋め尽くす 全国高校サッカー選手権大会で活躍 する鹿島学園高校イレブン 鹿嶋市は、だれもがいつでもスポーツを楽 しめる環境が整ったまちを目指します。 豊かな自然の中にスポーツ施設が整い、一 貫した指導体制のもとで運営される「かしま スポーツクラブ」も活動しています。 また、ゆったりと落ち着いたスポーツ環境 では、競技だけでなく、心身のリフレッシュ や健康づくりのために体を動かし、充実した 時間を過ごすことができます。 老若男女を問わず、アマチュアからプロま でさまざまなスポーツを身近に楽しむことが でき、ときには全国、世界が集う大きな大会 も開かれるまち。スポーツを通して人々が出 会い、喜びを分かち合うまち 。 にぎわいにあ 照明付人工芝グラウンド「卜伝郷の運動公園多目的球技場」 健康づくりで注目を集める「グラウンド・ゴルフ」 (高松緑地公園) (写真=高校ラグビー・清真学園高校 対 名渓学園高校 ) ふれ、多くの人が「ずっと住みたい」 「また訪 れたい」と思うまちを目指します。 (写真上) 一年を通して利用が可能な「高松緑地温水プール」 (写真下) 総合型地域スポーツクラブ「NPO法人かしまスポーツクラブ」 ショートテニスやスポーツチャンバラなど合計 12 種目のスポーツ を気軽に楽しむことができる 18 夢フィールド 交流のまち かしま Kashima-city will be a town with a well-cared for and improved environment where all residents can enjoy sports at any time. We have well-maintained sports facilities in the rich natural environment and an active“Kashima Sports Club”operating under a competent leadership system. In this comfortable and calm sports environment, you can enjoy your time exercising to refresh your mind and body, in addition to competing in sports. Regardless of age or sex, everyone can readily enjoy various sports, amateur and professional. And from time to time, competitions with participants from throughout Japan and the world are held. We aim at being a town where people meet and enjoy sports together, as well as a prosperous town where people desire to live for a long time and visit often. 観客を笑顔で出迎える「スポーツボランティア」 夢フィールド 交流のまち かしま 19 2 世界に羽ばたく人づくりを 進めるまち 生きる力と豊かな心を育み 世界に羽ばたく “鹿嶋人” を育てる 郷土の歴史や伝統文化を伝承する「文化財愛護かるた大会」 「文化財愛護かるた」のほか、「高松かるた」「大野今昔かるた」「とよつ親子かるた」の 合計4つの郷土かるたが制作され、地域文化が語り継がれている 「NLT(ネイティブの英語講師)による英語授業」 異文化に触れ、国際感覚とコミュニケーション力の 向上を目指す 鹿嶋市は、世界に羽ばたくための基礎とな る英語力や情報技術力を向上させる環境が 整ったまちを目指します。 経済がグローバル化する中で、地域社会に 「はまなす塩作り体験」 地域の協力のもと、子どもたちが海水からの塩作りに挑戦する とっても国際的なかかわりがますます重要に なっています。21 世紀の豊かで活力あるまち づくりには、国際社会の「人」 「もの」 「情報」 の流れにも的確に対応し、開かれた地域社会 と柔軟な経済構造を有していることが必要で す。そしてこれを支えていくのは、国際感覚 を身につけた人々が中心となります 。 国際人として自国の歴史と文化を伝え、相 手の文化を理解できる“鹿嶋人”を育て、世 界に開かれたまち「かしま」を目指します。 世界の文化が集う鹿嶋市国際交流協会による「国際交流パーティ」 「中学生海外派遣交流事業」 市内の中学2年生が、塩城市(中国)・西帰浦市(韓国)・カラウ ンドラ市(オーストラリア)で交流する Kashima-city will be a town whose ambience is well maintained and improved to enhance English proficiency and information technology, thus providing a foundation for the people to become internationally active. As the economy continues to globalize, it is increasingly important for a local community to have international relations. To build a rich and vigorous town in the 21st century, it is necessary to accurately cope with the flow of people, material and information from international communities, and thus maintain an open local community with a flexible economic structure. This is accomplished mainly by people with an international sensibility and cosmopolitan spirit. We foster“Kashima People”who can convey the history and culture of their own country and at the same time understand other countries’cultures as Citizens of the World, to create“Kashima”that is open to the world. 大自然の中で生きる力を育む「フロンティアアドベンチャー」 那須連山の縦走や阿武隈川河原での水遊びを体験する子どもたち 20 夢フィールド 交流のまち かしま 市内で出土された土器などの埋蔵文化財を展示 「どきどきセンター」 夢フィールド 交流のまち かしま 21 3 健康で安心、 快適に暮らせる福祉のまち いきいきと暮らすために 支えあいとやさしさのまちづくり 児童クラブで放課後を過ごす子どもたち (写真左)総合防災訓練で消火器による消火体験を行う中学生 (写真上)鹿嶋市消防団消防ポンプ操法大会 鹿嶋市は、すべての市民が健康で生きがい を持ち、充実した生活を送ることができるま ちを目指します。 道路や上下水道などの生活基盤施設が整備 鹿島保健センターでの乳児健診 され、災害に強く、学校や職場、店舗や病院 などへの移動もスムーズに行えるまち。 保健や福祉、医療が充実し、高齢者や障が いのある人を優しく支える環境が整っている など、だれもが安心して健康に暮らすことが できるまちです。 学校やまちづくりセンター(公民館)を中 心に、市民の創意工夫が生かされ、みんなで 支えあう個性ある地域社会の形成を目指しま す。 桜まつりに合わせて開催される「桜ウォーキング大会」 平日の 20 時∼ 23 時に応急診療を行う 「鹿嶋市平日夜間小児救急診療所」 The goal of Kashima-city is to be a town where every citizen is healthy, living with purposes and enjoying life. A town where infrastructures including roads and water/sewerage systems are well prepared/maintained and tough in times of disaster, where citizens can smoothly go to schools, workshops, stores, and hospitals. A town where health, welfare, and medical services are provided in an atmosphere of support for elderly people and physically handicapped persons so that all can anticipate good health without anxiety. We aim at forming a unique local community supported by all our citizens with their originality and ingenuity effectively utilized, focusing on the schools and the town-making community center. (写真上)「安全・安心まちづくり鹿嶋市民大会」 自警団連絡協議会や鹿嶋警察署などによる地域安全パレード (写真下)波野小児童の下校時の見守りパトロール「なみぱと」 22 夢フィールド 交流のまち かしま 高齢者や障がい者の生活様式に対応したバリアフリー設計 「市営平井団地」 夢フィールド 交流のまち かしま 23 4 みんなが誇れる 美しいまち 豊かな自然環境を生かして うるおいのあるまちづくり スタジム大通り(国道 51 号)とふれあい大通り(国道 124 号)で市民が花植えボランティア 「花いっぱい運動」 にぎわい通りに彩りを添える街路樹 鹿嶋市は、自然と調和した美しく快適な環 境のまちを目指します 。 鹿島灘や北浦の水辺には人々が憩い、遊び、 整備された田や畑には四季の作物が実り、心 自然を活用した新エネルギー・風力発電。北海浜工業団地に 風車が立ち並ぶ にうるおいと安らぎを与える緑があふれてい るまち。公園には子どもたちの声が響き、歩 きやすい歩道とよく手入れされた街路樹が茂 る美しい街並が見られるまち。 私たちが暮らすふるさとの、多様で豊かな 自然と美しい環境をみんなで守り育む、優し い心の人が住むまちを目指します。 大小志崎海岸に自生するはまなす 太平洋側の「ハマナス自生南限地帯」として、国の天然記念物に指定されている 門前町の風情が漂う「大町通り」 神栖市と鹿嶋市が運営するごみ固形燃料化施設 「広域鹿嶋RDFセンター」 (写真上)地域でごみの不法投棄を監視する「環境サポーター」 (写真下)資源ごみの収集体制を整備し、ごみの減量化と再資源化を推進 24 夢フィールド 交流のまち かしま Kashima-city wants to be a town with a beautiful, pleasant environment well harmonized with nature. Kashima-city aims at being a green town to provide recreation and relaxation where people can rest and play on the shore of Kashimanada and Kitaura where crops of all four seasons are produced in the fields and paddies. A town with children’ s cheers heard at parks, wide sidewalks, and beautiful streets lined with trees. A town where kind-hearted people live who protect and foster the diversified rich nature and beautiful environment of their hometown. 鹿島灘の海岸を守るヘッドランド (写真:平成 16 年7月茨城県土木部撮影) 夢フィールド 交流のまち かしま 25 5 交流がつくる魅力と活力のある ・ 新しい産業のまち 創意と工夫で 活力に満ちた未来をつくる 鹿嶋育ちの新鮮野菜を販売「農水産物直売所」 鹿島港中央航路と住友金属工業鹿島製鉄所 (写真提供:住友金属工業鹿島製鉄所) 鹿嶋市は、働く場所や住む場所 、 憩いやレ クリエーションを楽しめる場所が、自然と調 和しながらバランスよく整ったまちを目指し ます。 地域色豊かな「おおの商工産業祭」 まちには、にぎわいと活気のある商業や鹿 島港を中心とした物流産業、高度な生産技術 が集積する工業、安全で新鮮な食べ物を提供 する農業と漁業など、独自の生産活動が展開 され、温暖な気候の中、気軽に自然とふれあ うこともできます。 首都圏をはじめ海外からも多くの人々が訪 れ、集い、語り合い、楽しめる鹿嶋市は、さ まざまな交流の舞台となります。人と人、文 化や技術の交流を通じて活力のあるまちを目 指します。 観光案内に市民ボランティアが一役「鹿嶋ふるさとガイド」 市民・企業・行政がともにつくりだす「鹿嶋まつり」 鹿島神宮駅前に新たな賑わいの創出 「KASHIMA 光のアート・ギャラリー」 (写真=かしま少年少女合唱団「虹キッズ」によるミニコンサート) 鹿嶋特産「鹿島灘はまぐり(写真上)と鹿島だこ(写真下)」 26 夢フィールド 交流のまち かしま Kashima-city will be a town where work places, living places, and areas for relaxation and recreation are well balanced and harmonized with nature. Such a town features prosperous and vigorous commerce, with a distribution industry centering on Kashima Port, and unique production activities including high tech industry with advanced production. In this town, farming and fishing will provide safe and fresh foods, and you can easily enjoy nature in a mild climate. Kashima-city: where people from the metropolitan area and overseas gather and communicate in an arena of cultural exchange. We aim at being a town made vigorous through exchanges of people, cultures, and technologies. 鹿嶋市を舞台にしたテレビドラマの撮影(大町通り) 夢フィールド 交流のまち かしま 27 6 行政のスリム化と 市民がつくるまち 一人ひとりの声と力を生かし オンリーワンのまちづくりを 開かれた議会を目指し、市議会一般質問の模様をモニターテレビで放映するほか、 エフエムかしまでも中継 転出入の諸手続きを1箇所で行うことができる 「総合窓口サービス」 鹿嶋市は、複雑・多様化する市民ニーズに も的確に対応する、スリムで効率的な行政運 営が行われるまちを目指します 。 市民の、主体的かつ自主的なまちづくり活 動への支援を充実させるとともに、まちづく りに民間活力が有効に活用され、行政と市民 協働によるまちづくりが進められているまち。 市の健全な運営のために、議論が交わされる「行財政審議会」 身近な行政施設ではITネットワークを利 用した行政サービスが提供され、いつでもど こでも市政や地域に関する情報を受発信する 市内 18 箇所に設置されている 「市長への手紙専用ポスト」 ことができます。 Kashima-city will be a town where a downsized but efficient administrative management competently copes with complex and diversifying needs of the citizens. A town where citizens’volunteer activities are fully supported, the vitality of the private sector is effectively utilized, and town-making is promoted through warm cooperation between the administration and citizens. In your neighborhood, you can take advantage of administrative services utilizing the IT network and can constantly and easily transmit/receive information related to the city government and district. We promise you a town where civil activities are vigorously conducted at the schools and the town-making community center. また、学校やまちづくりセンター(公民館) では市民活動が活発に行われ、公園などの計 画や維持管理も地域で担うまちを目指します。 (写真上)市民活動の拠点「まちづくり市民センター」 (写真下)市民の手による生涯学習講座「かしま灘楽習塾」 ( 写真 = シルクスクリーン版画講座 ) 28 夢フィールド 交流のまち かしま 毎月第3土曜日に市内のショッピングセンターで開催される「市長と語る午後」 夢フィールド 交流のまち かしま 29 第3章 H I S T O うるわ R 原始 ・ 古代 Y 鹿嶋のあゆみ 佳麗しきことの豊かなる地 鹿嶋神郡 鹿嶋の地では約 12,000 年以上前 に人々が暮らし始め、縄文時代の内 海(霞ヶ浦・北浦沿岸)の豊かな自 然の恵みの中で厨台遺跡群などの大 集落が営まれました。 弥生時代には、水田耕作が始まり 小国家群が誕生するとともに大和朝 廷の東国進出とともに大規模な前方 後円墳や方墳、円墳などの古墳時代 へと移行して行きます。 鹿嶋の地名の由来は諸説があり明 確ではないが、近年では東国進出時 の港の船をつなぎとめる杭の意味で ある「カシシマ」が「カシマ」に転 訛したという説が定説化しつつあり ます。 鹿嶋の歴史は、 古く旧石器時代にさかのぼります。 縄文・弥生時代を経て 大和朝廷の東国進出により 鹿島神宮が創建され 関東・東北地方の軍事・産業・信仰の 一大拠点として栄えてきた 悠久の歴史です。 『常陸国風土記』(影印本) 養老年間(717 ∼ 723)に、常陸国司・藤原宇合(藤 原鎌足の孫)により完成したといわれる。山川原 野の名の由来や当時の風習・社会のありさまを断 片的に知ることができる地誌で、鹿島については、 「神と人間の理想郷」と記されている。 鹿島神宮は、大和朝廷の東国進出 に伴い創建されました。常陸国風土 記では鹿嶋を「常世の国の神仙境(理 想郷)」と表現するとともに、全国 的にも希な神郡とし、鹿島大神を天 の大神社と坂戸社・沼尾社の三社を 合わせて香島の大神としています。 また、「…其の社の南に郡 家 あり。 The history of Kashima is ancient, dating back to the Old Stone Age. Through the Jomon Period/Yayoi Period, it has a long proud history prospering as a military, industrial, and religious center in the Kanto/Tohoku region, where Kashima Shrine was established when the Yamato Imperial Court advanced into the eastern provinces. 「鹿島神宮・鹿園の神鹿」 古く鹿の背に鹿島の御分霊を乗せて奈良に旅したという伝説から、鹿は 神鹿と呼ばれ尊ばれた。現在の鹿は、鹿島から移された奈良(春日大社) の鹿の子孫を再び受け継いだもの。 墨書土器(写真左から)「鹿厨」と「神宮」 鹿島郡家(奈良∼平安時代の鹿島郡の役所)の厨家 (台所)と推定される遺構から出土された。古代の 役所は、政治を行う政庁、租税稲を収納した正倉、 食膳を担当する厨家に分かれていた。 北に沼尾の池あり。…」という常陸 国風土記の記載どおりに鹿島神宮の 南から、鹿島郡家跡(神野向遺跡) が発見され、奈良時代の神郡の大社 (神宮)と郡家の関係を明らかにす る唯一の発掘事例として歴史学界よ り注目されています。 鹿島神宮は、武甕槌大神を祭神と して祀り、当時の東国経営・東北進 出へ軍事・産業・信仰の一大拠点と して重要な役割を持ちました。飛鳥・ 奈良・平安時代の名神大社として、 延喜式では伊勢神宮・香取神宮とと もに「神宮」号を持つ大社として位 置付けられています。 大化の改新の英雄で古代律令国家 建設に大きな役割を果たした中臣鎌 足は、天智8年(669)に鎌足が亡く なる直前、天皇から大織冠の位と藤 原の姓を受け、藤原氏の祖となりま す。 「鎌足神社」=宮中(下生) ※注 延喜式…延長5年(927)に完成した、律令の施行細則。 30 夢フィールド 交流のまち かしま 鎌足生誕の地としては、奈良県大 原説と茨城県鹿嶋説の2つの説があ りますが、どちらも定説には至って いません。鹿嶋説は、平安時代後期 に成立した歴史物語『大鏡』に記載 されており、鎌足神社(鹿嶋市宮中) の存在などから、有力視されていま す。また、当時最大の権力者であっ た摂関家藤原氏の子弟が勅使に任命 され、奈良から平安時代にかけて朝 廷の奉幣使(鹿島使)として鹿島を 訪れていることや、春日大社創建時 の「春日曼荼羅」などからも藤原氏 と鹿島神宮の関係を知ることができ ます。 大和朝廷の東北進出に伴う 144 年 続いた戦争は、産業・軍事・信仰に おける鹿島神宮の存在を大きくし、 神宮の分社が東北地方を中心に創建 されるだけでなく、律令体制を弱体 化させ、次の時代の東国での武士の 発生の基盤となってきます。 鹿島神宮・煤払い(12 月1日) 天智天皇に仕え、645 年大化の改新を断行した藤 原鎌足を祀る神社。歴史書『大鏡』には、鎌足が 鹿島神宮の鎮座する地で出生したと記されている。 夢フィールド 交流のまち かしま 31 戦国の栄枯盛衰 ゆれ動く幕末 近世 天狗騒動 中世 鹿島氏の興亡 「塚原ト伝の銅像」 「鹿島神宮・楼門」 鹿島神宮へ向かうせせらぎ通り沿いに、 鹿島神宮駅を見下ろすように建っている。 平成元年(1989)、ト伝の生誕 500 年を 記念して建てられた。 「 鹿嶋城址記念碑」(鹿島城山公園) 天正 19 年(1591)に佐竹氏に滅ぼされるまで約 400 年間の間、鹿島氏は鹿島郡一帯を支配した。 鹿島城山公園には、鹿島氏の盛衰を後世に伝える 記念碑が建っている。 新政権樹立を企てた平将門討伐の 勲功によって、常陸国に広大な荘 園を持つようになったのが平貞盛 です。弟繁盛の子、維幹を養子にし て常陸国を支配しました。維幹は大 掾(現在の知事に相当する職)に任 ぜられ 、 後に常陸大掾平氏を名のる さきがけとなり、代々世襲されてい きます。鹿島地方で強大な力を誇っ た鹿島氏は、大掾氏一族の大掾致幹 の弟、清幹の第三子成幹が鹿島郡の 地頭(郷司)となって鹿嶋に居住し、 鹿島氏を称したのが始まりでした。 成幹には六人の男子があり、三郎 政幹が鹿島氏を継ぎました。政幹の 子宗 幹と弘 幹は、治承4年(1180) 源頼朝の挙兵に参加し、屋島の戦で 戦死。しかし、政幹は頼朝への忠勤 を怠らず、鹿島地方における武家と して鹿島神宮の警護に当たるかたわ ら、勢力を強めていきます 。 32 夢フィールド 交流のまち かしま 後に剣聖と呼ばれる塚原ト伝は幼 名を吉川朝孝といい、戦国時代へと 移り変わる延徳元年(1489) 、宮中に 誕生します。師・松本備前守のすす めで鹿島神宮に 1,000 日間参 籠し、 「心を新たにして敵に当たる」の一 の太刀の極意を会得し、鹿島新當流 を開きます。ト伝 67 歳からの廻国 修行には、将軍・足利義輝や伊勢国 司・畠山具教などが師事したとされ ます。 その頃、常陸国北部で影響力を強 める佐竹氏は常陸国制覇に向けて動 き出し、豊臣秀吉の北条氏征伐の際 にいち早く駆けつけます。その働き によって常陸国における大名として 認められ、常陸国を治めるようにな りました。その後、参陣しなかった 大掾氏をはじめとする諸将に対し、 秀吉の威光の下にこれらを攻め落と していきます。 「 鹿島新當流」 剣聖・塚原ト伝の編み出した剣法は、のちに「鹿 島新當流」と名づけられ、その秘伝の形が現在、 鹿島新當流彰古会によって伝えられている。 寛永 11 年(1634)水戸初代藩主・徳川頼房公により造営された。 阿蘇神社(熊本県)・筥崎宮(福岡県)とともに「日本三大楼門」の一つに 数えられている。 天正 19 年(1591) 、鹿島城の城主 鹿島清秀は、佐竹義宣から大田鶴来 城の梅見に招かれ謀殺されます。そ の知らせを受けた清秀の妻と老臣 などは佐竹氏との合戦に備えます が、物量的な劣勢のためついに落城。 400 年の歴史をもつ鹿島氏もここに 滅んだのです。 慶長5年(1600)の関ヶ原の合戦 の後、徳川家康が江戸幕府を開設す るにあたり佐竹氏は秋田へ国替にな りました。鹿島城落城の際にからく も落ちのびた人々は鹿島家を再興 し、鹿島神宮の総大行事家として旧 城内に住むようになり、鹿島神宮の 社人の要職に就いて明治の初年まで 勤めました。 このころ鹿島の表記は鹿嶋とも表 されています。古きに学び新しい鹿 島をつくろうとの思いから、平成7 年の鹿島町と大野村の合併の際の新 市名決定にあたっては、「 嶋 」 を用 いて鹿嶋市となりました。 「鹿島神宮・奥宮」 慶長 10 年(1605)に徳川家康が社殿として奉納し たものを、元和5年(1619)に現在の場所に移し たもの。境内の社殿中で最古。国の重要文化財。 徳川家の歴代の将軍は、武神を祀 る鹿島神宮を深く崇拝し、朱印地と して 2,000 石を安堵しています。ま た、慶長 10 年(1605) 、関ヶ原の合 戦の戦勝祈願として届けた札の返礼 に徳川家康が社殿を造営したのを初 めとして、元和5年(1619)には徳 川秀忠が本殿、石の間、幣殿、拝殿 を造営し、先の家康が造営した社殿 を移して奥宮としました。 朱塗りの楼門も水戸藩の初代藩主 徳川頼房の寄進で、現在の鹿島神宮 にある重要文化財の社殿はすべて徳 川家一門の寄進によるものです。 江戸時代の鹿島地方は、領主や地 頭によって治められていました。徳 川氏は農民の一揆などを防ぐため に、一つの村を複数の者によって治 めさせています。また、鹿島灘はイ ワシ漁の本場であり、時季ともなれ ば地引船でたいへんなにぎわいをみ せました。 「鯰絵」 幕末の江戸大地震の直後に流行した錦絵仕立ての 風刺画。確認されているだけでも 200 以上の図柄 があり、当時の鹿島の神に対するイメージを垣間 見ることができる。写真は、『鯰を押さえる鹿島大 明神』。 安政2年(1855)の江戸大地震の直 後、地震鯰を描いた瓦版が出版され 大流行します。これは鯰絵と呼ば れ、武甕槌神(鹿島大明神)の宿る 「要 石」が、地震を起こすとされる 鯰を鎮圧するという俗信を錦絵に巧 妙に描いたものです。鯰絵は機知に 富んだ訳書が添えられた風刺画でも あり、当時の風俗を伝える貴重な資 料ともなっています 。 この時代、度重なる外国船の出没 は尊王攘夷思想に影響を与え、元冶 元年(1864) 、天狗党と諸生派の二派 が水戸藩内で争いを起こします。天 狗党の一隊が下生の根本寺へ身を寄 せ、社家との接触を始めると、鹿 島大宮司家の血を受け継ぐ勤王家の 鹿島則文もかかわりを深めていきま す。やがて幕府の軍が天狗党を追い つめ、大船津村などで激しい戦いが 起こります 。 人々を巻き込んだこの 騒乱は、天狗騒動と呼ばれていま す。その後天狗党を鎮圧した幕府は かかわりのあった社家へも懲罰を下 します。中でも則文は危険思想家と して八丈島へ遠島。明治維新を迎え、 明治2年(1869)に帰郷を許された 則文は、鹿島神宮や伊勢神宮の宮司 を務める一方、神宮皇学館大学の創 設にかかわるなどして、明治 34 年 (1901)に亡くなるまで国学の復興 に勤めました。生来読書に親しんだ 則文の蔵書は数万冊に及び、桜山文 庫として昭和女子大学図書館に収蔵 されています。 「天狗党の墓」 鹿島に集結した尊王攘夷派の天狗党は幕府軍に敗 れ、23 人が下生村(現在の宮中下生)で打ち首 になった。榎の下にひっそりと建つ墓石に幕末の 一端を偲ぶことができる。 夢フィールド 交流のまち かしま 33 ▲昭和 30 年頃の旧大野村役場庁舎 待 望 の 鹿 島 線 が 開 通 し、 鹿 島神宮駅が完成 ▲ 1873 1875 1880 1889 1903 1917 1922 年 年 年 年 年 年 年 年 年 ▲鉄道が開通する前の厨地区の様子 市 民の手により砂鉄から作られた「平成の大 直刀」。現在は、カシマサッカーミュージアム 内に常設展示されている 1923 1925 1928 明治6年 鹿島神宮に外国人として初めて英国人が参拝 明治8年 県名が茨城県に。鹿島区域に人力車が始まる 明治 年 現在の和に郵便局が開設される 明治 年 市町村制施行で、鹿島は1町4村、大野は2村に 明治 年 鹿島郵便局で電信開始。鹿島区域に自転車が通る 大正6年 鹿島∼湖岸∼鉾田を1日3往復するバスが開通 大正 年 はまなす自生南限地帯が国指定天然記念物に指定 鹿島区域に電灯が点く 大正 年 関東大震災が起こる 大正 年 日本にラジオ放送が始まる 昭和3年 東郷平八郎元帥の大額を鹿島神宮楼門へ設置 大野区域に電灯が点く 昭和4年 旧神宮橋完成 昭和6年 鹿島区域に電話が開通 昭和8年 大野区域に電話が開通。鰐川干拓竣工 昭和 年 神之池航空隊が高松村光に開設 昭和 年 中野村で中野診療所開設 昭和 年 1町4村が合併し、鹿島町誕生 ︵人口1万6千421人︶ 昭和 年 2村が合併し、大野村誕生 ︵人口1万1千420人︶ 昭和 年 神宮橋完成 昭和 年 鹿島臨海工業地帯開発組合発足 昭和 年 鹿島港の建設開始。大野村で学校給食始まる 昭和 年 電波研究所鹿島支所︵現在の鹿島宇宙技術センター︶開設 昭和 年 鹿島町に上水道ができる 昭和 年 大野村に地域集団電話設置 昭和 年 鹿島港開港 写 。鹿島町役場が平井︵現在地︶に移転 [ 真①] 鹿島南部地区消防事務組合発足 住友金属工業鹿島製鉄所が操業開始 国鉄鹿島線︵現在のJR鹿島線︶が開通 写 [ 真②] 大野村役場の新庁舎︵現在の大野庁舎︶が完成 鹿島警察署が現在地に設置 鹿島町立学校給食センターが完成 大野・大洋環境組合が発足。新東京国際空港が開港 常陸鹿島テレビ中継局開局 公設鹿島地方卸売市場が開場 鹿島臨海鉄道が大洗鹿島線の運転開始 写 [ 真③] 鹿嶋勤労文化会館が開館 東関東自動車道の市川∼潮来間が全面開通 昭和 昭和 昭和 昭和 昭和 昭和 昭和 昭和 昭和 写 北浦大橋が完成 [ 真⑤ ] カシマスポーツセンター竣工 知的障害者通所更生施設﹁松の木学園﹂開所 特別養護老人ホーム﹁ウェルポート鹿嶋の郷﹂開所 休日出張窓口﹁市民ふれあいサービスコーナー﹂を開設 エフエムかしま市民放送が開局 写 [ 真⑥] 広域鹿嶋RDFセンター稼動 新カシマサッカースタジアムが完成 かしまスポーツクラブ設立 新神宮橋・国道 号・124号バイパスが開通 ﹁平成の大直刀﹂完成 写 [ 真⑦] カシマサッカースタジアムでサッカーW杯開催 写 [ 真⑧] 名誉市民・ジーコ氏がW杯ドイツ大会日本代表監督に就任 ▲ 天皇皇后両陛下が 鹿嶋市にご来訪 ③ 市制 周年を記念して開催された ﹁NHKのど自慢﹂ ▲鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線が開通 1929 1931 1933 1939 1950 1954 1955 1961 1962 1963 1964 1965 1967 1969 1970 1971 1972 1973 1978 1979 1982 1985 1987 平成8年 平成9年 平成 年 平成 年 平成 年 平成 年 年 年 年 年 年 ▲ 35 夢フィールド 交流のまち かしま ⑦ 1989 平成元年 鹿島∼東京間の高速バス開通 1990 平成2年 大野潮騒はまなす公園展望塔が完成 1991 平成3年 鹿島アントラーズFC誕生。ト伝の郷運動公園が完成 1992 平成4年 鹿島港の南公共埠頭が全面供用開始 1993 平成5年 県立カシマサッカースタジアム完成 Jリーグ開幕 写 [ 真④] 1995 平成7年 鹿島町と大野村が合併し、鹿嶋市誕生 ︵人口6万1千355人 ︶ 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 平成 2003 平成 2004 平成 2005 平成 2006 平成 ⑤ ▲昭和 40 年代の桜町付近 (撮影:鹿島臨海鉄道) 34 夢フィールド 交流のまち かしま ▲鹿島町・大野村合併協定調印式 ▲鹿嶋を世界にアピールした世紀の イベント 「2002F I F A ワールドカップ」 10 ① ④ ▲昭和 3 年旧神宮橋起工式。翌4年に竣工し、 旧豊津村と旧行方郡延方村が結ばれた (写真:『鹿島開発史』) ⑫ ② ⑧ ▲ (写真:『鹿島開発史』) ( 撮影:東進氏) ▲鹿島港開港記念式典(写真:『鹿島開発史』) (写真:『鹿島開発史』) ▲Jリーグ元年。鹿島 アントラーズが初代 チャンピオンに輝く ⑪ ▲昭和初期の大町通り(写真:『大町区誌』) ▲鹿島港に初めての外国船 ▲エフエムかしま市民放送が開局 ▲鹿島開発鹿嶋市事業団が解散し、鹿島開発記 念之碑『未来永劫』が建立される ▲住友金属工業鹿島製鉄所で世界最高水 準の新第一高炉が完成 51 全国高校総体︵サッカー・柔道競技︶開催 中国・塩城市と友好都市締結 市の組織に市民協働部を新設。どきどきセンター開館 大野水道県からの用水給水全面開始 高松緑地温水プールがオープン 韓国・西帰浦市と姉妹都市締結。津賀城址公園が完成 鹿島開発鹿嶋市事業団解散 写 [ 真⑨] まちづくり市民センター開館 住友金属鹿島製鉄所新第一高炉完成 写 [ 真⑩] 茨城県域デジタル放送が鹿嶋の一部で受信可能に ﹁環境サポーター﹂発足 全国植樹祭で天皇皇后両陛下がご来市 写 [ 真⑪] 総合窓口サービス開始。市と茨城大学が包括協定を締結 市制 周年を記念し﹁NHKのど自慢﹂開催 写 [ 真⑫] 農水産物直売所がオープン ト伝の郷運動公園多目的競技場が全面人工芝化 サッカースタジアム∼東京駅間直行高速バス運行開始 ﹁かしま灘楽習塾﹂が開講 10 ⑥ ⑨ ⑩ 36 22 13 11 14 12 44 42 40 39 38 37 36 30 29 25 14 62 60 57 54 53 48 47 46 45 13 12 11 10 14 15 16 17 18 年表でたどる 鹿嶋の近・現代史 鹿島町と大野村が合併して鹿嶋市が誕生したのは平成7年。 もともと鹿島町と大野村は共通の文化圏にあり、同じ歴史を歩んできました。 激動の時代を共に生き抜いたまちの変貌をたどります。 ● 2,000 本のソメイヨシノが魅せる幻想の世界 「鹿島城山公園の桜まつり」(4月上旬∼中旬) 春 ●鹿嶋に春の訪れを告げる「鹿島神宮・祭頭祭」(3 月9日) ●北浦湖上の夜空を彩る 「鹿嶋市花火大会」(8月下旬) SPRING SUMMER 自 然 か ら の メ ッ セ ー ジ で す 。 ● ジャンボすべり台や展望塔など家族で 楽しめる 「大野潮騒はまなす公園」 (はまなすの花の見ごろ=5∼6月) 夏 ●家族連れでにぎわう人気スポット「下津海水浴場」 (開設期間=7月中旬∼8月中旬) 勇 気 づ け て く れ る 秋 AUTUMN ●広大な田園が豊穣の喜びにあふれる そ れ は 、 私 た ち の 心 を 和 ま せ 風 が 薫 る 鹿 嶋 の 四 季 。 光 と 彩 り に 満 ち 、 四 季 彩 展 鹿 嶋 ●北浦に群生するアサザ 冬 WINTER ●全国の強豪チームが競う 「鹿嶋サッカーフェスティバル」(8月) ●鹿嶋の冬の風物詩「鹿嶋市駅伝大会」 (1月中旬) ●最盛期を迎える「たこ漁」 ●さまざまな種類の菊が参道を彩る 「鹿嶋市菊花展」(11 月) ●「鹿島神宮・神幸祭」(9月1日∼2日) 写真=楼門前のかがり火に提灯を投げ入れる「提灯まち」 36 夢フィールド 交流のまち かしま ●JR鹿島神宮駅前を彩るイルミネーション 「KASHIMA光のアート・ギャラリー」 (12 月∼1月上旬) 夢フィールド 交流のまち かしま 37