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IVI 計測器ドライバ プログラミング・ガイド (セットアップ編)

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IVI 計測器ドライバ プログラミング・ガイド (セットアップ編)
IVI 計測器ドライバ・プログラミング・ガイド
IVI 計測器ドライバ
プログラミング・ガイド
(セットアップ編)
June 2012 Revision 2.0
1- IVI 計測器ドライバの概要
1-1 IVI-C と IVI-COM
IVI 計測器ドライバは、IVI Foundation (www.ivifoundation.org)によって定義された業界標準
仕様のに基づいて設計された、計測器制御用ミドルウェアです。計測器ドライバ自体はアプ
リケーションソフトではないので単体で実行する事はできませんが、計測制御を行うアプリ
ケーション・ソフトが必要とする計測器の I/O 制御機能をカプセル化して提供します。
現在の IVI 仕様では、計測器ドライバーは Windows DLL の形式で提供されます。通常、専用
のセットアッププログラムが用意され、DLL の他にオンライン・ヘルプなどのドキュメント
が付きます。また計測器ドライバは、計測器の機種(又は機種シリーズ)ごとに個別に提供さ
れます。
IVI 仕様では計測器ドライバとして下記の 3 種類の「API 仕様」が定義されています。
Table 1-1
IVI ドライバの API 仕様
タイプ
説明
IVI-C
従来からある VXI Plug&Play 仕様計測器ドライバを拡張したもの。このタイプ
のドライバは関数ベースの Windows DLL 形式で提供される。
LabWindows/CVI、LabVIEW での利用に適している。
IVI-COM
Microsoft COM (Component Object Model)テクノロジーを利用した、プロセス
内 COM サーバーDLL。Microsoft Office VBA、Visual Basic 6、C++での利用に適
している。インタロップアセンブリを通じた.NET 言語にも適している。
IVI.NET
.NET 言語専用のアセンブリ (現時点当社製の IVI 計測器ドライバは未対応。)
1-2 インターチェンジャビリティ
IVI 計測器ドライバの特徴の一つは、インターチェンジャビリティ機能です。これは、自動
計測システムで使用する計測器を別の機種に交換してもアプリケーションを再度コンパイ
ル・リンクすることなくそのまま動作させる事ができる機能です。
インターチェンジャビリティ機能を利用するには、計測器の交換前・交換後のそれぞれの機
種に対して、IVI 計測器ドライバが提供されている必要があります。またこれらの計測器ド
ライバは、共に同じ「計測器クラス」に属している必要があります。
計測器クラスとは、類似した機能の計測器の代表的な機能だけを拾い出してカテゴリ別けし
た物です。例えば、弊社製 KikusuiPwx IVI 計測器ドライバ(Kikusui PWX シリーズ DC 電源用)
は、IviDCPwr クラスに属しています。従って、KikusuiPwx ドライバを使用するアプリケーシ
ョンがインターチェンジャビリティを意識して設計されている場合、計測器ドライバを例え
ば AgilentE36xx IVI 計測器ドライバ(Agilent Technologies E3600 シリーズ DC 電源)に交換し
ても、アプリケーションを再ビルドせずに動作させる事ができます。
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注意点として、インターチェンジャビリティを意識するアプリケーションでは使用する計測
器の固有機能を利用する事はできません。例えば IviDCPwr クラス・インターフェースには、
DC 電源装置として一般的な機能は定義されていますが、機種固有の特殊機能については定
義されていません。また、インターチェンジャビリティ機能を使用するアプリケーションは、
特定機種用の計測器ドライバを直接利用するのではなく、クラス・インターフェース(IVICOM 又は IVI.NET の場合)又は National Instruments 社が提供するクラス・ドライバ(IVI-C の
場合)を通じて計測器ドライバを間接的に利用しなければなりません。
Notes:

インターチェンジャビリティ機能は、特定機種に依存した固有機能までは交換可能にはしてくれ
ません。計測器クラスに対応したドライバが提供する基本的かつ標準的な機能だけを利用する場
合に意味を持ちます。

インターチェンジャビリティを意識したアプリケーションが、必要に応じて機種固有機能を利用
することは可能です。但し、実際に接続されている計測器がその機能に対応しているか十分注意
する必要があります。

IVI 計測器ドライバには、任意の SCPI コマンドを送受信するためのパス・スルー関数が用意され
ています。これを使えば、計測器ドライバが前提とする計測器の機種とは関係なく自由にコマン
ドを送受信する事は可能です。
1-3 インターオペラビリティ
特定計測器クラスに属さない IVI 計測器ドライバはインターチェンジャビリティ機能を利用
する事は出来ませんが、だからといって各ドライバが独自仕様のアーキテクチャになってい
るわけではありません。IVI 仕様では、計測器クラスへの所属の有無とは関係なく、必ず従
わなければならない標準の API スタイルが定義されています。例えば、計測器の接続を開始
するには Initialize 又は Initialize With Options ファンクションを使い、装置のリセットを行う
には Reset ファンクションを使い、エラーの問合せを行うには ErrorQuery ファンクションを
使う、といった具合です。これら基本的機能の使い勝手や動作は、全ての IVI 計測器ドライ
バ(ベンダー、機種を問わず)を通じて共通です。従って、ある 1 つの計測器ドライバの使い
方を習得すれば、他機種或いは他社製品の IVI 計測器ドライバを使うのは簡単です。このよ
うに IVI 計測器ドライバは、相互運用性も考慮にいれて設計されています。
1-4 動作パフォーマンス
IVI 計測器ドライバは、動作パフォーマンスの点でも優れています。IVI 仕様では、
RangeCheck, Cache, Simulate, QueryInstrStatus, RecordCoercions, Interchange Check, など
の基本動作を設定する事ができます。このなかでも特に、Cache, QueryInstrStatus の設定は、
アプリケーションのデバッグ作業と最終システムでの実行速度の両立をはかる仕組みを提供
します。
Cache は、計測器に対する無駄な I/O 通信を省略する機能です。(デフォルトでは TRUE。)
たとえば、電圧を一度設定した直後に再度同じ設定値を送っても意味がありません。Cache
機能が有効になっている場合、一度設定された値を計測器ドライバがキャッシュしておき、
そのキャッシュ値が有効で且つアプリケーションが設定しようとする値が同じ場合、I/O を
行いません。これによって冗長な通信が排除されアプリケーションの動作速度が向上します。
QueryInstrStatus は、計測器設定などを行う度にエラー・レジスタを計測器に問い合わせ、
エラーがあれば計測器ドライバ側でエラー扱いにする機能です。(デフォルトでは FALSE。)
通常、メソッドのパラメータやプロパティに渡す値は RangeCheck 機能によって範囲チェッ
クが行われますが、複雑な計測器ではその機能が万全でない場合があります。そのような設
定値を計測器に送ると計測器側ではエラー扱いになります。或いは、計測器の動作状態によ
っては機能が一時的に利用できない場合もあります。このような場合は、設定を行った後に
エラー・レジスタを計測器に問い合わせる事で、計測器が設定を受理したどうかをチェック
する事ができます。この機能が TRUE になっている場合アプリケーションの動作は遅くなり
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ますが、通常このようなエラーを発生させるのは、計測器に対する設定手順などに問題があ
る未完成アプリケーションのデバッグ時です。一度正しい手順が完成されたら(計測器ドライ
バがエラーを発生しなくなれば)、この機能を FALSE に切り替える事で、アプリケーション
の性能を向上する事ができます。
これら以外のパフォーマンスに関わる特徴として、マルチスレッド対応があります。全ての
IVI 計測器ドライバはマルチスレッド環境での使用を考慮されています。IVI-COM ドライバ
の場合にはスレッディング・モデルとして「both」と刻印されています。マルチスレッドを
駆使するアプリケーションとシングルスレッドを使用するアプリケーションの両方で、最高
の動作パフォーマンスを発揮します。
1-5 x86 版セットアップ、x64 版セットアップ
Windows には 32bit 版(x86 版)と 64bit 版(x64 版)があります。IVI 計測器ドライバの SETUP
プログラムは、それぞれのバージョンに合わせて 2 種類が用意されています。
Table 1-2
インストーラの種類
タイプ
説明
x86 版 SETUP
32bit 版 Windows (XP, Vista, 7)に対応したインストーラ。32 ビットアプリケー
ションの開発と実行に必要なコンポーネントがインストールされる。
x64 版 SETUP
64bit 版 Windows (Vista, 7)に対応したインストーラ。32 ビットアプリケーショ
ンと 64bit アプリケーションの開発と実行に必要なコンポーネントが全てイン
ストールされる。
2- セットアップ
2-1 VISA ライブラリのセットアップ
IVI 計測器ドライバは VISA ライブラリを必要とします。下記のいずれかの VISA ライブラリ
を必ず先にインストールしておいて下さい。また複数の物を同時にインストールしないで下
さい。

NI-VISA VER5.0 以降、又は

Agilent VISA IO Libraries Suite 16.0 以降、又は

KI-VISA VER5.0 以降
VISA ライブラリをインストールすると、Microsoft .NET Framework 2.0、IVI Shared
Components 2.x, VISA Shared Components、USBTMC デバイス・ドライバも合わせて自動的
にインストールされます。
2-2 IVI 計測器ドライバのセットアップ
Notes:

本ガイドブックでは、KikusuiPwx IVI 計測器ドライバ(KIKUSUI PWX シリーズ DC 電源)を
Windows7 (x64 版)にインストールする例を示します。他機種用の IVI 計測器ドライバでも、ほぼ
同様の手順で使用できます。

IVI 計測器ドライバは機種毎又は機種シリーズ毎に別々のセットアップ・プログラムを用意してい
ます。
弊社ウェブからダウンロードした IVI 計測器ドライバは全て
KikusuiXXXX_1_0_0_0_(x64).msi (又は.exe)のようなファイル名を持ちます(番号部分はバー
ジョンによって異なる)。
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セットアップ・プログラムを起動すると下記のようなウェルカム画面が表示されます。起動
時に管理者権限への昇格を求められる場合はそれに従って下さい。
Figure 2-1 IVI Driver ウェルカム画面
Next ボタンをクリックするとライセンス同意書が出て来るので必ず読んで下さい。弊社 IVI
計測器ドライバのライセンスでは、台数の制限なく複数の PC にインストールする事を認め
ています。
Figure 2-2 IVI Driver ライセンス同意書画面
更に Next ボタンをクリックするとセットアップ・タイプの選択画面が出てきます。
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Figure 2-3 IVI Driver セットアップ・タイプ選択画面
セットアップ・タイプの選択では通常、コンプリート、カスタムの選択肢がありますが、こ
こではコンプリートを選択して下さい。
Figure 2-4 IVI Driver インストール開始画面
Install ボタンをクリックするとインストールが開始されます。インストールが完了すると、
StartAll ProgramsKikusuiKikusuiPwx にショートカットメニューが作成され、
Readme 文書、オンライン・ヘルプにアクセスできます。
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本ガイドブックに登場する製品名・会社名等は各社の商標または登録商標です。
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