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〔栄養繁殖系作物のウイルスフリー苗作出と大量増殖法の開発

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〔栄養繁殖系作物のウイルスフリー苗作出と大量増殖法の開発
〔栄養繁殖系作物のウイルスフリー苗作出と大量増殖法の開発〕
ブバルディアの培養増殖における内生菌感染の影響
~培養シュートの増殖,発根および成長量の評価~
鈴木克彰・宮下千枝子・菅原優司*・竹内浩二*2・篠原弘亮*3
(園芸技術科・*生産環境科・*2 島しょセ大島・*3 東京農大)
-------------------------------------------------------------------------------【要
約】大島のブバルディア基幹2品種に感染している Rhodanobacter 属の内生菌は,
培養シュートの生育に影響を及ぼす。感染シュートは無菌シュートに比べて,培養中の増
殖率は低いが,挿し木発根率は高く,その後の初期成長も優れる。
-------------------------------------------------------------------------------【目
的】
ブバルディアの無病苗で培養シュートの増殖効率が低いことが問題となっている。これ
までに大島基幹2品種が Rhodanobacter 属の内生菌に感染していることを明らかにした。
本試験では,内生菌感染の有無が培養シュートの増殖と発根に及ぼす影響を明らかにする。
【方
法】
1.供試材料:「チェリーピンク(以下,ピンク)」と「ヨホワイト(以下,ホワイト)」の
2品種で,生長点培養由来の,内生菌に感染した培養シュート(以下,感染シュート)
および非感染の培養シュート(以下,無菌シュート)を供試した。
2.増殖試験:約3cm の感染または無菌シュートを各 10 本供試して培養を開始し,以後
1ヵ月ごとに継代培養を行った。継代培養では,1cm 以上伸長した節間部位でシュート
を切り分けて増殖した。培養開始から3ヵ月後にシュート数を調査し,増殖率を評価し
た。なお,培地は BA1.0mg/L+NAA0.01mg/L を添加した MS 培地(pH5.8)を用い,培養条
件は 100μmol・m-2・s-1,16 時間明条件,温度 24℃とした。
3.発根試験:試験区は,感染の有無とシュートの部位(頂芽・側芽)を組み合わせた4
区とし,1区 10~20 本×8反復とした(図1)
。約3cm のシュートをバーミキュライト
に挿し木した後,24℃の培養室内で順化を行った。1ヵ月後に発根率と成長度({(挿し
木 1 ヵ月後の生体重)-(挿し木時の生体重)
}/挿し木時の生体重)を調査した。
【成果の概要】
1.増殖率:3ヵ月間の継代培養でシュートを増殖した結果,2品種ともに,無菌シュー
トは感染シュートより常に増殖本数が多かった(図2)。3ヵ月後の増殖本数を比較する
と,
「ピンク,ホワイト」の感染シュートが各々88,122 本であったのに対し,無菌シュ
ートは各々201 本(2.3 倍),302 本(2.5 倍)であり,増殖率が顕著に高かった。
2.挿し木シュートの発根率:2品種の挿し木シュートの発根率は頂芽・側芽ともに,無
菌シュートよりも感染シュートの方が高い傾向であった(図3)。また,2品種ともに,
頂芽は側芽よりも発根率が高い傾向であった。
3.挿し木シュートの成長度:2品種の挿し木シュートの成長度は頂芽・側芽ともに,無
菌シュートよりも感染シュートの方が有意に高かった(図4)。また,2品種ともに,頂
芽は側芽よりも成長度が高かった。
4.まとめ:内生菌の有無は培養シュートの生育に影響し,シュートの増殖率は無菌シュ
ートで高く,挿し木時の発根率と成長度は感染シュートで高いことが明らかとなった。
頂芽:茎頂を含むシュート
側芽:頂芽下の 1 節を含むシュート
図1
増殖本数
250本
発根試験に供試した培養シュートの各部位の名称
増殖本数
350本
ピンク
ホワイト
302
200本
201
無菌
感染
150本
300本
無菌
250本
感染
200本
88
100本
150本
122
71
91
100本
41
50本
10 10
19 14
開始時
1ヵ月後
48
50本
0本
15
0本
図2
発根率
2ヵ月後
3ヵ月後
開始時
1ヵ月後
2ヵ月後
3ヵ月後
継代培養におけるシュートの増殖に及ぼす内生菌感染の影響
発根率
頂芽
100%
80%
25
10 10
98%
88%
77%
75%
側芽
100%
80%
60%
60%
40%
40%
20%
20%
72%
58%
63%
45%
0%
0%
無菌 感染
ピンク
図3
無菌 感染
ホワイト
挿し木シュートの発根率に及ぼすシュート部位および内生菌感染の影響
成長度
0.95
1.0
無菌 感染
ピンク
無菌 感染
ホワイト
成長度
頂芽
側芽
1.0
0.84
0.8
0.8
0.6
**
0.49
**
0.6
0.48
0.41
0.40
0.4
0.4
**
**
0.20
0.23
無菌 感染
ピンク
無菌 感染
ホワイト
0.2
0.2
0.0
0.0
無菌 感染
ピンク
無菌 感染
ホワイト
図4 挿し木シュートの成長に及ぼすシュート部位および内生菌感染の影響
成長度={(挿し木 1 ヵ月後の生体重)-(挿し木時の生体重)
}/挿し木時の生体重
**: P <0.01(t 検定)
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