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報告書 - 経済産業省
平成26年度地球温暖化対策技術普及等推進事業 (ベトナム鉄鋼業への省エネルギー技術の導入に よるJCMプロジェクト実現可能性調査) 報告書 平成27年 3月 JFEテクノリサーチ株式会社 JFEスチール株式会社 目次 1.事業目的 .................................................................... 1 2.ベトナム鉄鋼業の現状と省エネルギー技術の検討 ................................ 2 2.1 ベトナム鉄鋼業の現状とエネルギーの使用状況 ............................ 2 2.1.1 ベトナム鉄鋼業の現状 ............................................ 2 (1)鉄鋼消費・生産動向 .................................................. 2 (2)生産体制・鉄鋼政策 .................................................. 4 (3)鉄鋼設備投資計画 .................................................... 6 (4)課題 ................................................................ 8 2.1.2 ベトナムのエネルギー事情 ........................................ 8 2.1.3 ベトナム鉄鋼業におけるエネルギーの使用状況 ..................... 11 2.2 ポジティブリスト作成 ................................................. 14 2.2.1 電気炉製鉄所の概要 ............................................. 14 2.2.2 日本の優れた電気炉製鉄所における省エネルギー技術 ............... 15 (1)電気炉製鋼法における省エネルギー ................................... 15 (2)圧延加熱炉の省エネルギー ........................................... 18 2.2.3 ベトナム電気炉製鋼における省エネルギー技術ポジティブリスト ..... 20 (1)電気炉製鋼に関係する省エネルギー技術(No.1~12): ................. 21 (2)圧延加熱炉に関係する省エネルギー技術(No.13~16): ................ 26 (3)その他の省エネルギー技術(No.17~18): ............................ 28 3. 事業化に向けた具体的なプロジェクト計画の検討 ............................. 32 3.1 A-Company における事業化に向けた具体的なプロジェクトの検討・特定 ..... 33 3.1.1 A-Company 概要 ................................................. 33 3.1.2 検討すべき省エネルギー課題の特定 ............................... 35 3.1.3 省エネルギー課題の診断と導入技術の評価 ......................... 36 (1)電気炉における省エネルギー技術の検討 ............................... 36 (2)圧延加熱炉の燃料削減検討 ........................................... 40 3.2 B-Company における事業化に向けた具体的なプロジェクトの検討・特定 ..... 48 3.2.1 B-Company 概要 ................................................. 48 3.2.2 検討すべき省エネルギー課題の特定 ............................... 49 (1)電気炉における省エネルギー技術の検討 ............................... 50 (2)取鍋予熱の燃料削減検討 ............................................. 54 (3)圧延加熱炉の燃料削減検討 ........................................... 56 3.3 エネルギー消費量及び CO2 排出削減量の試算および経済性評価 ............. 60 3.3.1 A-Company におけるエネルギー消費量及びCO2排出削減量の試算および 経済性評価 ................................................................. 60 (1)エネルギー消費量及び CO2 排出削減量の試算 ........................... 61 (2)経済性評価の試算 ................................................... 63 3.3.2 B-Company におけるエネルギー消費量及び CO2 排出削減量の試算および経 済性評価 ................................................................... 63 (1)エネルギー消費量及びCO2排出削減量の試算 ......................... 64 (2)経済性評価の試算 ................................................... 66 3.4 ファイナンス手法の検討 ............................................... 68 4.JCM方法論の検討 ......................................................... 73 4.1 「多変数情報に基ずく電極制御システム導入による電気炉省エネルギー技術」の 方法論 ....................................................................... 74 4.2 「取鍋加熱用酸素バーナ設備」の方法論 ................................. 86 4.3 「鉄鋼半製品加熱炉へのリジェネバーナの導入」の方法論 ................. 97 5.省エネルギーの調査報告並びにJCMセミナー報告 ............................ 106 5.1 政府関係者への JCM 関連部署への事前説明 .............................. 106 5.2 セミナーの実施 ...................................................... 110 6.事業化した場合の経済効果の分析 ............................................ 113 7.まとめ .................................................................... 117 7.1 ベトナムにおける JCM に関連する政策提言 .............................. 117 7.2 総括、及び来年度以降に向けた提案・提言 .............................. 119 Annex1 省エネ技術ポジティブリストの解説 .................................... 120 1.事業目的 我が国は、気候変動問題の解決に向け、海外での温室効果ガス排出削減に貢献できる優れ た技術や製品を多く持っている。しかし、現在これらの技術や製品の普及等を通じた途上国 での貢献を唯一制度的に後押しする「クリーン開発メカニズム(CDM)」は、我が国が得意 とする低炭素技術(省エネルギー技術、新エネルギー技術、高効率石炭火力等)に対する適 用が比較的少ない状況にある。また、難易度の高い手続を要することや審査プロセスが複雑 であること等から、中小規模の途上国にとっては活用が難しいものとなっており我が国が低 炭素技術・製品を通じて途上国において広く貢献していくことを後押しするには不十分な状 況にある。 そこで、日本国政府は、我が国が世界に誇る低炭素技術・製品の途上国への普及等を積極 的に推進して、世界規模での地球温暖化対策を進めていくため、CDMを補完する制度として、 「二国間クレジット制度(JCM)」の構築を行っている。 JCMは、既に、アジアやアフリカ諸国との間で制度に関する二国間文書に署名し、そのう ち数カ国との間で具体的な運用を開始しており、JCMと我が国の低炭素技術の普及に期待が 寄せられている。 本調査は、ベトナム社会主義共和国(以下、「ベトナム」と記す)の鉄鋼業において、日本 の優れた技術を紹介するとともに、2箇所の製鉄所における現地調査を実施し、ベトナム鉄 鋼業への省エネルギー技術の適用可能性を検討すると同時に、経済性とCO2削減量の評価を 行い、JCMの適用可能性を検討したものである。 1 2.ベトナム鉄鋼業の現状と省エネルギー技術の検討 2.1 ベトナム鉄鋼業の現状とエネルギーの使用状況 2.1.1 ベトナム鉄鋼業の現状 (1)鉄鋼消費・生産動向 図表 2.1-1 にベトナムの過去 10 年の鉄鋼生産・消費量(粗鋼換算)と自給率の推移を示す。 消費量は、ベトナム経済の高成長を背景に、2004 年から 2011 年にかけて倍に伸びた。2011 年、インフレ抑制のため政府が金融引き締めを断行したため、不動産バブルが崩壊し、鉄鋼 消費増の勢いが鈍化したが、最近は再び漸増してきている。生産量は 2004~2011 年はおおむ ね消費量以上に伸びており、自給率は増加傾向をたどってきた。2012、2013 年は、消費の伸 びに比べ、生産の伸びが低くなって、自給率は若干減少している。これは、特に中国からの 低価格輸入品が増えたことによる。 鋼種別の消費を図表 2.1-2 に示す。ビレット、条鋼、鋼板(熱延、冷延、表面処理)、鋼 管いずれも 2010 年まで一気に増えたが、その後勢いが鈍化している。ベトナムの鉄鋼需要は、 自動車や家電産業が未発達なこともあり、土木・建設向けが大半を占める。2005~2010 年は、 不動産投資ブームを背景に土木・建設業からの鉄鋼需要が増えたが、2011 年の不動産バブル 崩壊を境に鈍化した。 鋼種別生産と輸入依存度を図表 2.1-3、2.1-4 に示す。後述のように、元々、棒鋼を中心と した条鋼生産を行う企業が多かったため、条鋼の輸入依存度は低い(自給率が高い)。その 母材となるビレットの生産量が過去 10 年増え続けており、輸入依存度がかなり下がってい る。冷延鋼板は、2005 年に国営 Vietnam Steel 傘下の Phu My Flat Steel Sheet がベトナム最 初の冷延ミル(40 万トン)を稼働させ、その後、2009 年に韓国 POSCO がオートバイや建 材向け需要に対応するため、120 万トン冷延ミルを Vung Tau に完成させたので、一気に冷 延能力が増大した。これらにより、輸入依存度が下がっている。さらに 2013 年には、中国鋼 鉄(台湾)と新日鉄住金の合弁 China Steel Sumikin Vietnam が 120 万トン冷延ミルを完成・ 稼働させている。一方で、ベトナムには熱延、厚板生産設備がないので、これらは全面的に 輸入に頼っている。 2 16,000 50% 粗鋼消費量(*) 粗鋼生産量 自給率 12,000 45% 40% 35% 10,000 30% 8,000 25% 6,000 20% 自給率 粗鋼消費・生産量(千t) 14,000 15% 4,000 10% 2,000 5% 0 0% 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 年 (*)粗鋼換算鉄鋼消費量 粗鋼生産・消費量と自給率1 図表 2.1-1 鋼種別消費量2 図表 2.1.-2 (単位:千t) 2004年 鋼塊・半製品(ビレットのみ) 条鋼 厚中板・熱延鋼板 冷延鋼板 表面処理鋼板 鋼管 2,979 2,986 1,155 912 551 502 2005 2006 3,047 3,214 1,367 915 603 541 2007 3,693 3,705 1,524 903 748 543 4,212 4,561 2,743 1,408 895 672 図表 2.1.-3 2004年 銑鉄・DRI・HBI 鋼塊・半製品(ビレットのみ) 形鋼 棒鋼 線材 厚中板・熱延鋼板 冷延鋼板 電磁鋼板 表面処理鋼板 鋼管 186 689 198 1,687 879 0 0 0 400 450 2005 202 889 253 2,073 938 0 80 0 450 450 2006 211 1,869 243 2,289 936 0 215 0 600 460 2008 2009 4,130 4,280 2,541 1,371 979 582 6,157 6,237 4,355 1,998 1,356 747 2011 5,525 5,941 3,584 1,732 1,428 695 2012 5,403 5,390 5,356 1,968 1,819 676 2013 5,486 5,832 5,846 2,229 2,233 933 鋼種別生産量 2 2007 2008 170 2,024 136 2,859 960 0 392 0 723 528 255 2,250 82 2,898 887 0 432 0 904 550 2009 275 2,700 189 3,495 1,039 0 631 0 979 568 (*) 冷延鋼板は2005~2013年の平均、他は2004~2013年の平均 1世界鉄鋼協会「Steel 5,095 5,382 4,037 1,592 1,176 597 2010 Statistical Yearbook 2014」を基に作成。 Statistical Yearbook」を基に作成。 2東南アジア鉄鋼協会「Steel 3 2010 500 4,314 43 4,665 950 0 1,720 0 1,196 674 2011 600 4,900 35 4,428 1,007 0 1,473 0 1,479 731 2012 n.a. 5,298 30 3,975 1,044 0 1,747 0 1,642 775 (単位:千t) 年平均 2013 増加率* n.a. 5,474 22 4,100 1,001 0 1,992 0 2,205 969 26% -22% 10% 1% 37% 21% 9% 図表 2.1-4 鋼塊・半製品(ビレットのみ) 条鋼 厚中板・熱延鋼板 冷延鋼板 表面処理鋼板 鋼管 2004年 77% 9% 100% 100% 27% 14% 鋼種別輸入依存度(輸入量/鋼種別見掛生産量)2 2005 71% 3% 100% 91% 25% 17% 2006 49% 11% 100% 76% 20% 18% 2007 52% 17% 100% 72% 31% 25% 2008 55% 17% 123% 74% 26% 14% 2009 47% 15% 102% 65% 31% 11% 2010 30% 12% 118% 16% 29% 15% 2011 15% 13% 123% 22% 23% 9% 2012 9% 14% 101% 36% 32% 15% 2013 7% 22% 103% 28% 31% 18% (2)生産体制・鉄鋼政策 ベトナムでは、国営 Vietnam Steel Corporation (VSC) が、多くの鉄鋼企業、組織を統合し て、1995 年に正式に設立された。同社は鉄鋼生産に加え、鉄鉱石・石炭等の原料開発も行っ てきた。企業活動だけでなく、ベトナムの鉄鋼政策立案にもかかわり、1990 年代後半には 「Master Plan on Vietnam Steel Industry Development to 2010」策定に深く関与した(同マ スタープランは 2001 年に首相承認が得られた)。 1990 年代初めにソ連の崩壊に伴って同地域からの鉄鋼輸入が一時的に止まったことを契 機に、VSC を中心としながら、数多くの私有中小・零細企業が参入した。その数は 200 社以 上に上ったと言われているが、ほとんどが量産設備を持たない、年産 10 万トン未満の規模だ った。政府が 2001 年まで、棒鋼・線材の輸入を原則禁止する保護的政策をとったこともあり、 これら零細企業は操業を続け、現在も多く存続している。しかし、その設備は旧式のままで ある。 2000 年代に入ると、ベトナム経済の活況を背景に、内外民間資本による鉄鋼生産設備の新 設・拡張が行われるようになり、それまでの中小・零細企業とは異なる、ある程度近代的な 設備をもった私有企業や外資 100%企業が条鋼圧延分野に参入し始めた。例えば、地元資本 私有企業として Hoa Phat Group がある。同グループは、家具などの分野で名をはせ、グル ープ内に蓄積した資金を基に、条鋼ミル、次いで、電炉・ビレット連鋳機を建設した。この ように、自力で製鋼圧延企業を建設することができる程度に資本・技術・経営ノウハウを蓄 積した私有企業が出現し、現在まで新規参入・設備拡張が続いている。これらの、ある程度 の規模を持った地元資本鉄鋼メーカは、参入時点で新鋭の設備(ハード)を導入しているが、 ベトナム鉄鋼協会(VSA)の話によると、十分に使いこなすソフト面が不足したまま現在に 至っており、生産性やエネルギー効率などフルに性能を発揮できていないという。 また外資 100%企業としては、台湾資本による Sun Steel が 1996 年に設立されたのが初で ある(同社は現在、日本の丸一鋼管の子会社となっている)。 2010 年前後からは、ベトナムの将来性を見込み、外資による大規模な投資が目だってきて いる。(1)で挙げたように、2009 年には韓国 POSCO が 120 万トン冷延ミルを完成・稼働、 2013 年には中国鋼鉄と新日鉄住金が同規模の冷延ミルを完成・稼働させた。後述のように、 現在は、台湾、中国、日本の資本による設備新設・拡張計画が進行している。 図表 2.1-5~6 に、鋼種別・メーカ別生産能力を示す。ビレットと条鋼については、個別に 確認できるのは、図表 2.1-5 のとおりであるが、東南アジア鉄鋼協会の最新データ(Steel Statistical Yearbook 2014)によると、ベトナム全国の合計生産能力はビレット 11,430 千ト 4 ン、条鋼 10,930 千トンとなっており、これらの分野でほかに多くの小規模メーカが存在する ことがうかがえる。ビレット、条鋼、表面処理鋼板、鋼管では多くの企業が存在し、また、 冷延では上述のように大型設備が完成しているため、これらでは、需要(図表 2.1-2)に対し、 生産能力が倍近くあることになり、過剰供給体制となっている。一方、スラブ、ブルーム、 熱延、厚板の生産設備はいまだにない。 図表 2.1-5 主要ミルの粗鋼・半製品・条鋼生産能力3 会社名(製鉄所) Vietnam Steel (Danang Steel) 〃 (Southern Steel) 〃 (TISCO LuuXa Steelmaking) 〃 (TISCO Thai Nguyen) Hai Phong Steel(Hai Phong Steel) Hoa Phat Group(Hanoi Plant) 〃 (Hai Duoung) Hung Yen Steel(Hung Yen) Song Da (Hai Phong) ShengLi Vietnam(Thai Binh) SSE Steel (Hanoi) ThepViet (Pomina Steel) 〃 (Phu My) Van Loi (Van Loi Steel) Viet Y (Hai Phong) Dinh Vu Steel (Dinh Vu Steel) Vietnam Italy Steel Joint Stock Kyoei Steel Vietnam (*1) Vina Kyoei Steel (*2) Maruichi Sun Steel Joint Stock (SUNSCO) (*3) POSCO-Vietnam (VPS) (POSCO35%出資) Natsteel Vina (印Tata Steel傘下) Vietnam Lao Cai Steel (Lao Cai) (*4) 合計 粗鋼 半製品 (転炉) (電炉) スラブ ビレット ブルーム 1,500 1,500 500 500 500 250 760 300 300 240 200 200 200 350 300 600 200 200 400 500 500 700 500 500 1,000 1,000 250 500 600 400 200 (単位:千t/年) 条鋼 棒鋼 線材 形鋼 150 150 400 150 50 300 200 250 500 100 300 350 850 500 300 180 200 200 300 150 300 100 40 500 1,900 6,490 0 500 8,260 0 250 4,840 200 150 100 120 1,800 200 (*1) 共英製鋼60%、伊藤忠丸紅鉄鋼20%、メタルワン20%出資により、北部の地場鉄筋棒鋼メーカーの圧延ラインを2012年取得。 線材も生産。 (*2) 共英製鋼45%、Vietnam Steel40%、三井物産9%、伊藤忠丸紅鉄鋼6%出資。ベトナム南部。1994年設立、1996年操業開始。 (*3) 丸一鋼管69.35%、JFEスチール8%出資。Sun Steel Joint Stockを2011年より改名。 (*4) 2014年正式稼働。昆明鋼鉄(中国)45%、Vietnam Steel(ベトナム)45%、Lao Cai Mining(ベトナム)10%出資。高炉1基(500㎥)も 設置。 3 Metal Bulletin「Steel Capacity & Capex Study 2014 1Q」、報道情報、各社 HP を基に作成。 5 図表 2.1-6 鋼板・鋼管生産能力 3 会社名(製鉄所) 冷延 Vietnam Steel (Phu My Flat Steel Sheet) 鋼板 POSCO-Vietnam (VSC-POSCO Vung Tau Plant) Hoa Sen Group (Hoa Sen Steel) LiLAMA Hanoi Joint Stock Company (Lilama) Maruichi Sun Steel Joint Stock (SUNSCO) Thong Nat (Phu My) POSCO Vietnam Stainless Steel China Steel Sumikin Vietnam (My Xuan, Vung Tau) ( ) 合 計 表面 Vietnam Steel (Southern Steel) 処理 BlueScope Steel (Phu My) 鋼板 Hoa Sen Group (Hoa Sen Steel) LiLAMA Hanoi Joint Stock Company (Lilama) Perusahaan Sadur Timah Malaysia (Perstima Vi ) Phuoc Khanh Trading and Manufacturing Posvina (POSCO50%、Vietnam Steel50%出資) Maruichi Sun Steel Joint Stock Vingal Industries (Dong Nai) Fujiton Color Coating Steel Joint Stock (*2) China Steel Sumikin Vietnam (My Xuan, Vung Tau) (*1) その他 合 計 電磁 China Steel Sumikin Vietnam (My Xuan, Vung Tau) 鋼板 (*1) 鋼管 Hoa Phat Group (Hanoi Plant) J-Spiral Steel Pipe (旧Jeong An Vina) SeAH Steel (Dong Nai) Sujia Pipe (Ho Chi Minh) Maruichi Sun Steel Joint Stock (SUNSCO) ThepViet (Pomina Steel) Nippon Steel & Sumikin Pipe Vietnam (*4) その他 合 計 (単位:千t/年) 能力 備考 400 1,200 POSCO85%、新日鉄15%出資 580 2011年、180→580千t 180 200 200 2009年12月稼働 235 ステンレス冷延 1,200 2013年10月正式稼働。(*1) 4,195 150 亜鉛メッキ150 175 亜鉛メッキ125、カラー鋼板50 850 亜鉛メッキ550、カラー鋼板300 110 亜鉛メッキ60、カラー鋼板50 100 ブリキ100 150 亜鉛メッキ100、カラー鋼板50 60 亜鉛メッキ40、カラー鋼板20 260 亜鉛メッキ200、カラー鋼板60 40 亜鉛メッキ 40 60 カラー鋼板60 亜鉛メッキ300 2013年10月正式稼働。(*1) 1,927 亜鉛メッキ1,854、カラー鋼板73 内、亜鉛メッキ3,419 4,182 ブリキ100、カラー鋼板663 300 200 2013年10月正式稼働。 無方向性。(*1) 150 50 2010年に日本メーカーが買収 (*3) 180 60 320 36 60 1,059 2,115 (*1) 中国鋼鉄51%、新日鉄住金30%、住友商事5%、その他企業14%出資。(2014年9月に、中国鋼鉄56%、住友商事0%に) 冷延500千tはそのまま外販、200千tは酸洗コイルに、300千tは表面処理(溶融亜鉛メッキ)、200千tは無方向性電磁鋼板へ。 (*2) 日鉄住金鋼板25%、伊藤忠丸紅鉄鋼25%、地元民間2社50%出資。2011年設立・工場建設開始、2012年稼働。 (*3) JFEスチール35%、丸一鋼管35%、豊田通商30%出資 (*4) 新日鉄住金73.57%出資。 (3)鉄鋼設備投資計画 現在の主な鉄鋼設備投資計画を図表 2.1-7 に示した。最も注目されているのは、台湾・台 塑集団(Formosa Plastics Group)が主導して建設中の高炉一貫製鉄所 Formosa Ha Tinh Steel である。完工・稼働すれば、ベトナム初の熱延ミルとなる。このほか、ビレット・条鋼につ いては外資および地元資本双方による能力拡張が続いている。 6 一方で、インドの Tata Steel は、高炉一貫製鉄所建設を検討していたが、2013~2014 年に かけて手を引く旨を表明した。世界鉄鋼業の能力過剰、ベトナムの土地スペースの制約、港 湾などインフラ整備の負担の重さなどが原因とされている。 図表 2.1-7 企業名(場所) ベトナムの最近の設備投資および計画4 設備概要(年産能力:千 t) 備考 Formosa Ha Tinh Steel Mill 高炉一貫製鉄所 (Vung Ang Industrial Zone, Ha Tinh (第 1 期:10,500) 省)(台湾・台塑集団 95%、台湾・中国鋼 高炉(3,500×3 基)、 鉄 5%出資) 転炉(8,400)、 スラブ連鋳機(2,700×2 基)、 ビレット連鋳機(1,200)、 ブルーム連鋳機(1,500)、 熱延ミル(5,300)、線材ミル 建設中 第1期:2015 年稼働予定 第 1 高炉、転炉、連鋳機: 2015 年稼働予定 第 2 高炉、熱延ミル: 2016 年稼働予定 第 3 高炉: 2017 年稼働予定 第 2 期:2020 年稼働目標 Vietnam Lao Cai Steel (Lao Cai) 条鋼圧延ミル(500) ( 中 国 ・ 昆 明 鋼 鉄 45 % 、 Vietnam Steel45%出資の合弁) 2014 年に完成・稼働した製 鉄所第 1 段階(高炉、転炉、 ビレット連鋳機(500 千t))に 続き、第 2 段階として追加 予定。 POSCO Specialty Steel (Phu My) 電炉・ビレット・形鋼/棒鋼 完工したようだが、試験運 (1,000) 転開始は 2015 年にずれ込 (内、大型形鋼 700、棒鋼 300) んでいる。(2010 年着工) Kyoei Steel Vietnam (Ninh Binh) (共英製鋼のベトナム北部子会社) 電炉・ビレット・棒鋼(500) Vina Kyoei Steel (Ba Ria Vung Tau) (共英製鋼のベトナム南部子会社)(*) 電炉・ビレット連鋳機新設(500) 建設中:2015 年稼働予定 棒鋼/線材ミル増設(450→950) (2012 年着工) Nhgi Son Iron and Steel Hoa) ( Thanh 電炉・ビレット(1,000) 2014 年稼働予定だったが 延期。(2012 年着工) 2013 年稼働予定だったが、 依然建設中のもよう。 Vietnam-China Mineral Resources 電炉(1,000) 2015 年稼働予定 Vietnam Steel 熱延ミル(2,000) 2012 年稼働予定だったが、 政府命令により中止 聚亨企業/燁聯鋼鉄 →台湾・E-United (Dung Quat Industrial Zone, Quang Ngai 省) 高炉一貫製鉄所新設計画 (当初計画 5,000、現在 3,500) E-United は単独で検討中。 印 Tata Steel (65%)/ 高炉一貫製鉄所(4,500) Vietnam Steel (30%)/ Vietnam Cement Industries (5%) (Ha Tinh 省) 投資許可待ち→2013 年 5 月、Tata は撤退を認めた。 (*) Vina Kyoei Steel は 1994 年設立、1996 年操業開始。ベトナムの鉄鋼需要増にあわせて生産能力を増強してきた が、今回の新設・増設により、電炉からの一貫体制を確立し、平鋼や構造用鋼など新製品も加える。 4報道情報、各社 HP を基に作成。 7 (4)課題 ベトナム鉄鋼業の課題としては、第1に、需要と供給能力のアンバランスが挙げられる。 上述のように、ビレット、条鋼、冷延、表面処理鋼板、鋼管に関しては、現状、生産能力が 過剰となっている。冷延に関しては、家電産業が発展する兆しがあることから、現状よりも 需給バランスが良くなる可能性があるが、ビレット、条鋼に関しては、建設需要が再び急増 するようなことがない限り、既存生産能力の整理・淘汰が必要になると考えられる。逆に、 熱延、厚板については供給能力が不足しているいびつな構造にあるが、(3)で述べた、台 塑集団による Formosa Ha Tinh Steel の熱延ミルが完成・稼働すれば、状況は変わっていく と考えられる。 課題の第2としては、生産コストの問題が挙げられる。条鋼に関しては、(1)で述べた ように、旧式・零細設備が依然として残っているのに加え、2000 年代に入って導入された新 規設備については十分のその性能が活用されていないと見られ、生産コスト低減が進んでい ない。また、電力料金がベトナムではこれまで政策的に抑えられてきており、現在約6~7 US cents/kWh となっているが、政府計画(ベトナム第7次国家電力マスタープラン)では 2020 年までに8~9US cents/kWh にするとしており、電炉の多いベトナム鉄鋼業にはコス ト増加要因となる。一方で、低価格の中国製鉄鋼の輸入が増える傾向にあるため、これらと 競合していくために、コスト低減が必要となる。中国製品の流入を止めるためには関税もし くは非関税障壁を設ける手段もあるが、ベトナムは 2007 年に WTO に加盟しており、むやみ な貿易制限措置をとることは難しいと考えられる。 2.1.2 ベトナムのエネルギー事情 鉄鋼業はエネルギー多消費産業であり、省エネルギーを進めることで CO2 削減に大きく 寄与することができる。一方省エネルギー設備を導入していくためには経済的に成立するこ とが重要であり、エネルギー価格の動向が経済性に大きな影響を与える。本事業で対象とす る電気炉製鉄所は電気炉と加熱炉を保有しており、電気炉では電力料金が大きなウェイトを 占め、加熱設備においては、石炭、天然ガス、石油といった燃料価格が大きなウェイトを占 める。したがって経済効果の分析を実施するに当たってはこれらのエネルギー価格の動向に 配慮しなければならない。 ベトナムはエネルギー資源には恵まれており、石油・天然ガス・石炭の生産は、東南アジ ア地域では屈指の規模である。しかし、近年の急激な経済成長に伴い、エネルギー需要も急 増している。以下に各エネルギーの情勢を示す5。 ・ 石油:埋蔵量は豊富であるが、40 万バーレル/日強を記録した後、減少に転じ、2011 年には 石油の純輸入国に転じたと推計されている。今後の石油生産に関しては、短期的には油田 探鉱・開発が進められることで多少の回復は期待できるが、更なる探鉱・開発が必要な状 5 アジア太平洋研究所 “東南アジアの電力需要に関する研究” 8 況にある。 ・ 天然ガス:天然ガス埋蔵量も大きく、生産量は、2010 年には 2900 億 CF となったが、全 て国内消費に向けられている。 しかしながら消費の伸びも大きく、 2025 年には大量の LNG の輸入が必要とされている。 ・ 石炭:豊富な埋蔵量を有し、埋蔵量の 98%を無煙炭が占めているところに特徴がある。 ベトナムは石炭輸出国であり、他方、石炭需要は発電用を中心に生産量を上回るペースで の増加が予測されており、「石炭開発マスタープラン 2011」では、ベースケース(前提: 経済成長率=7~7.5%)の場合でも、2016 年以降は石炭の純輸入国となると予想されてい る。 以上のように、エネルギー資源は豊富であるものの、経済成長に伴いエネルギー輸入国に 転ずると予想されており、今後エネルギー価格は上昇していくものと推定される。 図表 2.1-8 にエネルギーの最大の消費源である電源開発の 2012 年以降の推移を示す。現状 ベトナムでの電力事情は大きく改善しており、2012 年時点では水力が大きな割合を占めてい るが、今後は石炭発電の割合が大きく増加すると予想されている。 160000 MW 140000 120000 Nuclear Renewable Import Coal Oil & Gas Hydro 100000 80000 60000 40000 20000 0 2012 2015 図表 2.1-8 2020 2025 2030 2010 年以降の電源開発の推移6 一方これら電力需要の増加に呼応した電源開発のニーズから、電力市場の自由化も始まっ ており、投資を呼び込むための電力価格の適正化が進みつつあると同時に、エネルギーの輸 入国になることからも電力料金の上昇が予想されている。図表 2.1-9 に 2000 年からの電力料 金の推移を示す。 6一般財団法人石炭エネルギーセンターhttp://www.jcoal.or.jp/coaldb/country/11/post_22.html 9 図表 2.1-9 2000 年からの電力料金の推移7 ベトナム第7次国家電力マスタープラン8では2020年までに電力価格を8~9US cents/kwh へ引き上げることが明記されており、そこへ向かって電力料金は徐々に上昇しつつある状況 である。 また、図表2.1-10は2011年時点のデータ8に基づく2030年までの石炭価格の推移の代表例を 示す。 図表2.1-10 2030年までの石炭価格の推移(ニンビン火力発電所) 以上のように、石油、天然ガス、石炭さらには電力ともに今後の価格上昇が予想され、2020 年時点では、電力で約 30%、石炭で約 15%程度の価格上昇が予想される状況にある。 このような状況のなか、鉄鋼業においても省エネルギー技術導入の重要性が増してくるも 7 8 「ベトナム調査 2013」2013 年 3 月 日本貿易振興機構(ジェトロ) ハノイセンター 編 「ベトナム調査 2011」2011 年 6 月 日本貿易振興機構(ジェトロ) ハノイセンター 編 10 のと予想される。 また CO2 排出係数については、図表 2.1-8 からわかるようにベトナム国内の水力発電比率 が高いこと等から比較的低い数値となっている。そのため現在電力削減に関する技術は、 CO2 削減量が少ない状況であるが、今後石炭発電が増加するに従い、CO2 排出係数も徐々 に増加すると予想されている。 2.1.3 ベトナム鉄鋼業におけるエネルギーの使用状況 文献及び現地調査を通して、ベトナム電気炉製鉄所のエネルギー原単位の実績及びその較 差などを調査し、ベトナム電気炉製鉄所において、日本の省エネルギー技術適用時における 省エネルギー量及び CO2 排出量削減ポテンシャルを試算するための基礎データを整理した。 2011 年の UNIDO Vietnam Mission 報告9によるベトナム鉄鋼協会加盟の電気炉製鋼企業 18 社の電気炉エネルギー原単位 (GJ/t-steel)、CO2 排出量(kg-CO2e/t-steel)を、図表 2.1-11、図 表 2.1-12 に示す。図表 2.1-13 には、報告書から拾い上げた操業条件やその他操業指標を整理 した。また、図表中には、電気炉熱エネルギー原単位(GJ/t-steel)から換算した電力原単位 (kWh/t-steel)も示した。図表 2.1-14 に、2011 年 UNODO Vietnam Mission 報告および 2012 年 UNIDO Seminar10で公表されたベトナムの電気炉製鉄所の電力原単位と CO2 排出量原単 位を日本の平均的な値と比較して示すが、ベトナムの電気炉製鉄法における電力原単位、お よび CO2 排出量は、いずれも、日本の平均的レベルの約 1.5 倍と推察された。 9 UNIDO, 10 "Energy and Resource Efficiency in the Vietnamese Steel Industry", July 2011 Green Industry Initiative and Promotion of Green Technologies 20120828-Green_Industry.pdf, (UNIDO Seminar, Tokyo (2012)) 11 図表 2.1-11 ベトナム鉄鋼協会加盟の電炉企業 18 社の電気炉エネルギー原単位 図表 2.1-12 ベトナム鉄鋼協会加盟の電炉企業 18 社の CO2 排出量 Electric power,、CO2 Emission 1600 Electric power, kWh/t-liquid steel (2011/7) 1400 (Hot metal ratio/50%) Electric power, kWh/t-liquid steel (updated baseline, 2012/8) 1200 CO2, kg-CO2e/t-steel billet(2011/7) 1000 800 600 400 200 0 L 図表 2.1-14 E O M K Q G J N A H D P I F C R B Average Japan ベトナム鉄鋼協会加盟の電炉企業 18 社の電力原単位、及び CO2 排出量 (日本の電力原単位は、t-steel billet 当り) 12 図表 2.1-13 ベトナム鉄鋼協会加盟の電炉企業 18 社の電気炉操業条件、および操業指標 Operation Condition No Operation Index SPH EBT Cooling Ladle Warm EAF electric power EAF electric power Production EAF Pane Furnac or Hot consumption consumption ,x10,000t/y Capacity ,kWh/t-steel charge ,GJ/t-liquid steel ,t/ch e (2011/7) *3 (2011/7) Plant *1 1 A Private 20 15-20 2 B Private 25 60 3 C Public 7 4 D Public 5 E 6 CO2 Tap to EAF CC energy RHF Energy Emission Factor*2 Reference 1 tap Electrode Consumptio consuption *1 ,kg CO2e/t-steel GJ/t-billet consumptio ,min n n GJ/t-billet kg/t-billet × × ○ ○ 2.7 540 672 0.5 1.5 3.4 96 690 Stage-1 ○ ○ ○ ○ × 4.1 820 706 0.4 no mill 2.7 60 1,180 Stage-1 15-20 × × × × × 3.45 690 754 0.2 no mill 4.1 70 930 Stage-1 10 15-20 × × × ○ ○ 3.1 620 602 0.3 1.6 3.1 80 720 Stage-1 Private 45 60 ○ ○ ○ ○ ○ 2.1 420 717 0.2 1.2 1.45 60 620 Stage-1 F Public 50 60 ○ ○ ○ ○ × 3.3 660 593 0.3 1.7 1.35 45 820 Stage-1 7 G Public 2.6 520 564 3.8 150 520 Stage-2 8 H Public 3.1 620 660 2.6 75 1,450 Stage-2 9 10 11 12 13 14 I J K L M N Public 3.25 2.6 2.55 2 2.55 2.6 650 520 510 400 510 520 646 655 586 459 561 593 5.8 3.3 3.3 2.7 3 3.15 158 110 80 80 90 110 780 790 720 530 580 620 Stage-2 15 O Private 2.2 440 494 2.7 76 750 Stage-2 16 17 18 P Q R 3.15 2.6 3.8 2.0 4.1 2.9 630 520 760 400 820 575 380 *4 345 *7 684 586 892 2.25 3 4 1.4 5.8 3.1 56 80 120 45 158 89 800 590 930 520 1450 779 530 *5 Stage-2 Private Average of 18 companies × EAF electric power consumption ,kWh/t-steel (2012/8) *8, *3 Private Private Private Private Private >50 Public Private (Oxygen consumption =30~50Nm3/t-steel *3) min max ave UNIDO Report *1→ Fig21 Japan level world revel 1.7 *1 Fig5,6 Table2 Fig5,6,10 p.9 p.9 p.9 Table7, Fig17 p.9 Fig5,6,7,9,21 0.3 *1 1.2 1.7 1.5 0.6-1.2 *6 0.5 *1 1.1 *7 Table2 Table2 Fig17 Fig12 Table4 Reference 2 *1 less advanced plant, fig4 more advanced plant, fig4,10 less advanced plant, fig4 less advanced plant, fig4 more advanced plant, fig4,10 more advanced plant, fig4,10 Hot metal ratio50%,fig19, HP Stage-2 Stage-2 Stage-2 Stage-2 Stage-2 Stage-2 more advanced plant, fig4,10 RHF:CGF、low production/ Fig18 Stage-2 Fig20 *1: UNIDO, "Energy and Resource Efficiency in the Vietnamese Steel Industry", July 2011、 *2: Total on and off site emissions *3: 講演資料 Nguyen Thi Ngoc Tho (Energy Efficiency and Conservation Center of Ho Chi Minh City), "Overview of Steel and Paper Industry – Energy Saving Potential"2012, と*1 の比較から、電 力の熱量換算係数を 5.0GJ/MWh と仮定し、計算。、*4: 第 5 版、鉄鋼便覧、第 1 巻、p.322 (2014)(表から酸素原単位=40m3N/t-steel 時の値を推定) *5: 西野誠 : 一貫製鉄プロセスにおける二酸化炭素排出理論値に関する調査報告, ふぇらむ Vol.3(1998)No.1、*6: 第 5 版、鉄鋼便覧、第 6 巻、p.216 (2014)(スラブの場合) *7: P.Dahlmann, R.Fandrich and H.B.Lüngen: Stahl Eisen, 132(2012), Nr.10, 29 *8: Green Industry Initiative and Promotion of Green Technologies 20120828-Green_Industry.pdf, (UNIDO Seminar, Tokyo (2012)) 13 2.2 ポジティブリスト作成 電気炉製鋼法における日本の省エネルギー技術を精査・整理するとともに、過去の「地球 温暖化対策技術普及等推進事業」の成果物である省エネルギー技術リストなどとの比較を行 いながら、ベトナム鉄鋼業に対する効果的な省エネルギー候補技術のリストアップをはかっ た。本ポジティブリストは、平成 26 年度「省エネルギー等国際標準化・普及基盤事業(省エ ネルギー等国際標準協同研究開発・普及基盤構築)」の「ISO14404(鉄鋼 CO2 排出量・原単 位計算方法)に関する普及基盤構築」と並行して実施されており、当該事業のカスタマイズド リストと同じものとなる。 以下、電気炉製鉄所の基本的なプロセスを示すとともに、効果的な省エネルギー候補技術 をリストアップしたポジティブリスト、および本リストの中で、本調査において検討対象と なった技術について示す。 2.2.1 電気炉製鉄所の概要 電気炉製鉄所は電気炉および LF(Ladle Furnace、取鍋精錬炉)を中心として半製品を製 造する製鋼工程と、半製品を製品化する圧延工程からなっている。 製鋼工程は電気炉製鋼法による半製品の製造工程と言える。電気炉製鋼法は高炉法とは異 なり、基本的にバッチプロセスである。一方、圧延工程は高炉法と同じ連続運転工程となっ ている。 電気炉製鉄所における普通鋼鋼材の製造工程を図表 2.2-1 に示す。本フローは、原料から 普通鋼電気炉製品ができる出荷までの工程を図示したものである。一貫製鉄所が鉄鉱石を原 料とするのに対して、電気炉製鉄所では、回収スクラップ(橋、ビル、自動車等)や生産工 場発生の加工スクラップを原料としている。なお、ベトナムでは、国内のスクラップの発生 量が少なく、その多くをアメリカ他の鉄鋼先進国からの輸入に頼っている。これら鉄スクラ ップを電気炉で溶解し、不純物を除き、所要の成分・温度を得るという一連の精錬(電気炉 製鋼)を行い、次工程の連続鋳造機で溶鋼から圧延素材としての各種鋳片(ビレット、ブル ーム、スラブ等)を製造する。鋳片は、加熱炉を経るなどをして各製品圧延機で圧延され、 鉄筋棒鋼、線材、平鋼などの鋼材製品として生産される。 14 スクラップ ヤード スクラップ スクラップ配合 電炉工場への スクラップ搬入 電気炉 炉外精錬 (取鍋精錬) 鋳片(鋼片) 半製品 連続鋳造 電気炉へバケットで スクラップを装入 ビレット ブルーム バケット 出 鋼 スラブ 市中回収スクラップ(橋、ビル、自動車等) 生産工場発生の加工スクラップ (a)製造工程1(製鋼工程・・・スクラップから半製品まで) 加熱炉 圧延機 棒鋼圧延機 粗圧延 中間圧延 主な製品 仕上圧延 小形棒鋼 線材圧延機 加熱炉: 1000~1200℃ 平鋼圧延機 ステルモア 仕上圧延機 粗圧延機 中間圧延機 粗圧延 クーリング (NTブロックミル) 冷水ゾーン コンベアー 中間圧延 線材 仕上圧延 平鋼 (b)製造工程2(圧延工程・・・半製品から製品まで) 図表 2.2-1 2.2.2 電気炉製鉄所普通鋼の鋼材の製造工程11 日本の優れた電気炉製鉄所における省エネルギー技術 今回の調査においては、日本の優れた電気炉製鋼法および圧延加熱炉等の加熱技術を中心 とした省エネルギー技術の中から、ベトナム鉄鋼業に適した省エネルギー技術の選定を行う と共に、これらの省エネルギー技術の中から対象製鉄所において導入可能と思われる省エネ ルギー技術を選択した。 そのための基礎情報として、まずは日本の優れた省エネルギー技術の整理・分類を行なっ た。 (1)電気炉製鋼法における省エネルギー 前述したように電気炉製鋼法は高炉法とは異なり、基本的に 40 分~80 分ごとに溶鋼を出 鋼するバッチプロセスである。電気炉製鋼法における省エネルギーの重要な要素はスクラッ 11 普通鋼電炉工業会ウェブサイト;http://www.fudenkou.jp/manu_01.html 15 プおよび溶鋼への伝熱効率の向上ならびに炉本体からの放散熱の低減である。電気炉プロセ スは前半は主にスクラップを溶解するスクラップ溶解期、後半は溶鋼の昇温や成分調整を中 心とする精錬期となっているため、各々の操業状況に応じた技術が有効となると同時に、変 化するプロセスに対し、適切な技術を適切に制御していくことが重要となる。 ①スクラップ溶解期におけるスクラップ溶解促進技術 スクラップ溶解期は装入されたスクラップに電極を挿入し、アークを介して大電流を通す ことによりスクラップを溶解する期間である。したがって、常に大きな電流を安定して流す ことが操業上の重要な技術となる。 スクラップ溶解効率を向上する技術としては、大電流を安定的に供給するハード・ソフト とともに、助燃バーナの技術がある。通常電気炉内には電流の流れにくいいわゆるコールド スポットができるため、スクラップの溶解遅れが発生し、溶解時間の延長、アークからの放 熱の増大が発生する。このコールドスポットに溶解促進用のバーナである「助燃バーナ」(図 表 2.2-2)を設置することでスクラップの溶解促進、アークの放熱削減を実現することが一 般的である。この助燃バーナは、補助燃料として灯油・重油・またはLNG等を使用し、こ れらを効果的に燃焼させるために必要な酸素を同時に供給して、高温の火炎を得てスクラッ プ溶解を補完するものである。助燃バーナはコールドスポットに配置され、部分的溶解の不 均衡を解消する。スクラップ溶解期にバーナを使用することでコールドスポットに対して高 い伝熱効率が得られる。助燃バーナの最適な配置、使用法により溶解時間も短縮され、エネ ルギー効率が向上する。 コールドスポット スクラップ 助燃バーナー 酸素 燃料 図表 2.2-2 溶解期前半の電気炉内イメージと助燃バーナ ②溶解期末期から精錬期にかけての放熱低減技術 精錬期は、スクラップの溶解がほぼ完了し、出鋼のための成分調整、温度調整を実施する 期間である。スクラップ溶解末期から精錬期にかけてはスクラップの溶解がほぼ完了してい るため、電極からのアークが炉内でむき出しとなり、アークからの放熱が多くなりやすい時 期である。 この放熱対策としてスラグフォーミング技術が使用される。この技術は、溶融メタル上に 存在する溶融スラグ中に炭材と酸素を吹き込んで CO ガスの気泡を発生させ、スラグをフォ ーミングさせることで電極を包み込み、アークからの放射放散熱を減少させ溶鋼への着熱を 増大させるものである。また炭材と酸素の吹込みによって発生した CO ガスを二次燃焼する (二次燃焼技術)ことで、電気炉内に高温雰囲気を形成し、溶鋼への伝熱の促進と炉からの熱 16 放散を低減することができる。 そのためには、炭材と酸素の吹き込み装置の導入・設置が必要であり、設置場所・個数な どによりその効果が異なるため、現地の状況に合わせた吹き込み装置の設計が重要なポイン トなる。 フォーミングしたスラグ アーク コークス粉 酸素 図表 2.2-3 精錬期の電気炉内イメージとカーボンインジェクション ③ その他省エネ技術 電気炉製鋼法の通電中は、常にある程度の高温の排ガスが排出されている。電気炉はバッ チプロセスであることから排熱回収技術は限定されるが、装入するスクラップを予熱する技 術、および排熱から直接エネルギーを回収する技術がある。 また電気炉での電力削減のために溶鋼を受ける取鍋の予熱が一般的に実施されている。し かしながらこの取鍋の予熱もバッチプロセスとなることから、予熱装置には排熱回収技術が 適用されていないことが多く、省エネルギー技術の適用が可能である。 日本の電気炉製鋼法の省エネルギーを支えている技術を、図表 2.2-4 に示す。 図表 2.2-4 省エネルギー技術 電気炉製鋼法における主な省エネルギー技術 技術名称 必要とされる設備・システム 分類 電気炉溶解技術 ① 電気炉スクラップ溶解促進技 高効率バーナ、酸素吹精装置 術 ② 電気炉溶解期末期から精錬期 高 性 能 カ ー ボ ン イ ン ジ ェ ク シ ョ にかけての放熱低減技術 ン・酸素吹精装置 電気炉計算機制御 ③ 電気炉溶解・精錬プロセス制御 高効率電力投入制御システム 技術 技術 電気炉電気設備最 ④ 電気投入電力最大活用技術 ・トランス・リアクタンス最適化技 適化技術 術 ・低インピーダンス導体支腕 排エネルギー回収 ⑤ 高温スクラップ予熱技術 環境対応型高効率アーク炉 技術 ⑥ 電気炉の排熱回収技術 電気炉からの排ガス顕熱回収 燃料効率改善 ⑦ 取鍋の高効率予熱技術 取鍋のリジェネバーナ・酸素バーナ 17 (2)圧延加熱炉の省エネルギー 圧延工程においては加熱炉の燃料と圧延に要する電力が大きなエネルギー消費源である一 方、加熱炉ではビレット、ブルーム、スラブを 1000℃以上に加熱することから大きなエネル ギー消費源となっている。特にベトナムでは加熱炉の省燃料に関してはまだ十分に先進的な 技術が導入されているとはいえない状況となっているものと想定される。日本の加熱炉の省 エネルギーを支えている技術を図表 2.2-5 に示す。 図表 2.2-5 圧延加熱炉における主な省エネルギー技術の分類 省エネルギー技術分類 加熱炉計算機制御技術 技術名称 ① 加熱炉最適燃焼制御技術 必要とされる設備・システム 最適空燃比制御・最適ヒート パターン制御システム 燃料効率改善 ② 加熱炉排ガス顕熱高効率回収技術 リジェネバーナシステム これらの加熱炉省エネルギー技術はベトナム鉄鋼業で適用が可能と思われる有力技術で、 電気炉製鋼法の技術と同様に具体的に導入可能な設備をポジティブリスト候補とした。 これらの省エネルギー技術を念頭に、それぞれの中からベトナム鉄鋼業で適用が可能と思 われる主な技術で、具体的に導入可能な設備などを、下記資料を参考として、ポジティブリ ストを作成した。 ①平成25年度地球温暖化対策技術普及等推進事業 「インド鉄鋼業における省エネルギー技術普及等のための事業化に向けた計画等検討調 査」報告書の成果物である省エネルギーの「技術カスタマイズドリスト」(Technologies Customized List & Technologies On e by One Sheets (Ver.2) ②H24年度地球温暖化対策技術普及等推進事業 「鉄鋼業における未利用熱エネルギーの有効活用及び省エネルギー実態調査」報告書の成 果物である、電気炉製鉄所における未利用顕熱・排熱エネルギー活用技術の現状(アンケ ート結果) ③State-of-the-Art Clean Technologies (SOACT)(2nd Edition)(改定版:2010 年 12 月。 以降、SOACT と省略)、http://asiapacificpartnership.org/japanese/soact2nd.aspx ④Japanese Technologies for Energy Savings/GHG Emissions Reduction(NEDO 2008 年改 定版。以降、NEDO と省略。)、http://www.nedo.go.jp/content/100107259.pdf ⑤Best Available Techniques (BAT) Reference Document for Iron and Steel Production(EU) (最新版;2012 年 3 月。以降、EU-BAT と省略)、hftp://ftp.jrc.es/pub/eippcb/doc/IS_11_17-06-2011.pdf ⑥Available and Emerging Technologies for Reducing GHG Emissions from the Iron and Steel Industry (USA-EPA BACT)(最新版:2010 年 10 月。以降、EPA-BACT と省略)、 http://www.epa.gov/nsr/ghgdocs/ironsteel.pdf 18 19 2 .2 .3 ベトナム電気炉製鋼における省エネルギー技術ポジティブリスト 2.1節、及び2.2.2項をもとに、ベトナムにおける製鉄所に適用可能な省エネルギ ーのポジティブリストを 3 つのカテゴリーに分類し、図表 2.2-6 を作成した。 図表 2.2-6 ベトナム電気炉製鋼に適格性を有する省エネ技術ポジティブリスト Fig に「○」がついた項目について Annex1 に添付 また、これら 3 つのカテゴリーに分類された省エネルギー技術の内容を、以下に概説する。 上記技術の内容を加え、同時に本調査において対象として検討した技術についての説明を加 える。 20 ( 1 ) 電 気 炉 製 鋼 に 関 係 す る 省 エ ネ ル ギ ー 技 術 ( N O .1~ 12) : No.1、No.2 は電気炉に装入する主原料(DRI、HBI、スクラップ)の装入温度の高温化によ る省エネルギー技術である。 No.3 は、大容量トランスによる高二次電圧(ロングアーク化)・低二次電流操業で、溶解時 間短縮による省エネルギーを達成する技術である。 No.4 は、電源二次側経路の電極を支持する導体支腕のアルミ合金化で、リアクタンス低減に よる有効電力増を達成する技術である。 No.5 は、電気炉の電流を、交流から直流方式とすることによる省エネ化技術である。 No.6 は、酸素に加えてコークス粉や化石燃料を同時に吹込むもので、金属酸化熱やコールド スポット部のスクラップのカッティング効率向上による溶解促進により、省エネルギー を達成する技術である。コヒーレントバーナと呼ばれる超音速バーナである。 No.7 は、EBT と呼ばれ、出鋼樋に替わり炉底出鋼することで省エネルギーを達成する。副次 効果として、石灰石・合金鉄歩留向上、出鋼時間短縮等の副次効果が挙げられる No.8 は、電気炉排ガス顕熱で蒸気を回収する設備で、これによるエネルギーの削減効果が期 待できる。 No.9 は、溶鋼を受ける取鍋の予熱技術で、2 種類がある。 9.1:取鍋予熱時に発生する排ガス顕熱を燃焼用空気の予熱に効率よく利用する、リジェネバ ーナ予熱方式 9.2:急速予熱が可能な酸素バーナ予熱方式 No.10 は、スクラップ溶解期において、効率良く電力を投入するために電極を自動制御する 技術で、これにより省電力を図ることが可能となる。 No.11 は、電気炉操業最適化のための自動制御技術で4つに分類した。 11.1:プリセット電力投入パターンの自動追従システム。 11.2:排ガス分析値を指標にした操業自動化システム。 11.3:電気炉の高調波と炉内発生音をもとにスクラップの最適溶落時期を自動判定し、電力 原単位の低減を可能とするシステム。 11.4:複数の制御因子を取り込み、Fuzzy logic により電極を制御するシステム。 No.12 は、スラグフォーミングさせるためのカーボン・酸素インジェクション技術で、フォ ーミングスラグでアークを覆うことにより熱効率を向上させる。 上記技術の中で、後述するように、下記三つの技術が導入すべき対象技術となったことか ら下記にその内容を示す。 ・ No.6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of Direct Suction Type Dust Collector) ・ No.11 .4 Control and Automation for EAF Optimization:Optimum Regulation System with multi-variable control using Fuzzy logic ・ No.9.2 Ladle Preheating: Oxygen/fuel burner Total system 21 “No.6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of Direct Suction Type Dust Collector)” 図表 2.2-7 にこの“Oxy-fuel Burners/Lancing (or Super Sonic Burner ) “の写真を示す。 Effective length〜2m length〜2m 図表 2.2-7 Oxy-fuel Burners/Lancing の写真12 本技術では、従来のバーナに比較し、バーナフレームが超音速で噴出することにより、燃 焼フレーム/酸素が炉内のスラグ/溶鋼により深く侵入することが可能となり、スクラップ溶 解やスラグ/溶鋼との反応をより改善する。 さらに、この Oxy-fuel Burners/Lancing の付帯技術の一つであるドアバーナの採用はさら にエネルギー効率の向上を可能とする。 図表 2.2-8 にドアバーナの概要を示す。 図表 2.2-8 ドアバーナの概要 12 このドアバーナの効果は次のようになる。一般的に電気炉では炉内からのスラグ排出のた めのスラグ排滓口が設置されており、精錬期にはこのスラグ排滓口から排滓が実施される。 スラグ排滓口は外気の侵入を防ぐため、スラグドアが設置されている。スクラップ溶解期の 12 株式会社ニッコー提供資料 22 スラグドアの閉止は、外気の侵入を防止し炉が冷却されることを防ぐこととなり、省エネル ギーを進める上で重要な要素となる。一方で、適切なバーナ/ランス配置ができない場合、ス ラグ排滓口を利用してバーナ/ランスを使用するケースも多く、この時はスクラップ溶解期に もスラグドアを開放することとなり、外気の吸い込みによる炉内温度低下を招き、熱ロスの 原因となる。このドアバーナはこれらの問題点を解決する技術であり、スラグドアによりス ラグ排滓口を閉止することを可能にすると同時に、スラグドアを閉止したままバーナ/ランス を使用することが可能となり、効率的に燃料/酸素を供給できる。この効果により電力削減、 操業時間の短縮を可能とする。 この Oxy-fuel Burners/Lancing はスクラップ溶解期には補助燃料を使用したバーナとし て、またスクラップ溶解期末期から精錬期にはスラグフォーミング用カーボンインジェクシ ョン設備として使用することも可能である。 図表 2.2-9 にこれらを統合したドアバーナを有するバーナシステムを示す。 図表 2.2-9 ドアバーナを有するバーナシステム 12 ただし、この Oxy-fuel Burners/Lancing 技術適用にあたっては、以下の点に留意する必要 がある。 ・ 電気炉内のガスおよびダストを吸引できる適切な集塵能力を持っている必要がある。吸 引能力不足はエネルギー源であるガス等が外部に放出されるため、エネルギーの損失に つながる。 ・ 電力原単位の削減は可能であるが、同時にスクラップ溶解のための補助燃料が必要とな る。よって、電力削減がそのままエネルギー削減につながらないケースが多く、補助燃 料の使用量も十分に考慮し、トータルのエネルギー削減量、CO2 削減量を評価する必要 がある。 “No.11 Control and Automation for EAF Optimization” 電気炉はバッチプロセスであり、制御しなければならない多くの因子があるが、その中で 23 電極の制御は重要な制御である。特にスクラップ溶解期には、スクラップが溶解にあわせて 崩れたり移動したりすることで動くことから、電極の位置や投入電力を最適に制御し、より 多くの電流を効率的に流すことが必要である。適切な電極制御により効率的なスクラップ溶 解がはかれる。 この電極制御において新しい Power Regulation System を導入することで効率的な電力投 入が可能となる。図表 2.2-10 にこの Optimum Power Regulation System の概要を示す。 Identification of the Mechanical system SETPOINT I:Current RA:Arc Resistance Z:Impedance VA: Arc Voltage Mast Position DIGITAL SIGNAL PROCESSOR CARD CORRECTION OF PI PARAMETER BY FUZZY LOGIC VOLTAGE CURRENT ACTIVE POWER MEASUREMENT I:Current RA:Arc Resistance Z:Impedance VA: Arc Voltage Control Strategy by Fuzzy logic 図表 2.2-10 PLC PROCESS INFORMATION Optimum Power Regulation System の概要 12 通常はインピーダンスのみを考慮して制御することで電極の位置等を制御するのに対し、 本システムでは電流、電圧、アーク抵抗、投入電力等の多くの因子を取り込み、Fuzzy Logic による適切な電極制御を実施する制御方式である。このような適切な電極制御により、より 多くの電力の投入が可能になる。 この原理は、図表 2.2-11 に示す同一電圧におけるアーク電力・回路入力・力率の関係から わかるように、電流量の増加により力率は低下するものの投入電力が増え、より多くの電力 を投入できることがわかる。 Tap/630 V Power Curve Circuit Power (MW) New Regulation System Arc Power (MW) Current Condition Refractory Index (x100) Power Factor 24 図表 2.2-11 同一電圧におけるアーク電力・回路入力・力率の関係 12 本制御の適用にあたっては制御部分の更新だけではなく、同時に電極制御に関連するハー ドウェアーについても制御が実現できるかどうか検討が必要である。 “No.9.2 Ladle Preheating: Oxygen/fuel burner Total system” 取鍋は電気炉からの溶鋼を受け、取鍋精錬を実施したのち、連続鋳造機において、スラブ・ ビレット等を製造するための溶鋼を貯留・搬送すると同時に溶鋼温度を保持する装置である。 そのため、溶鋼保持中の温度降下を防止することは重要であり、一般的に事前に予熱したの ちに使用される。十分に予熱することにより、電気炉の出鋼温度の低下、取鍋精錬での温度 降下防止、連続鋳造機での温度保持が可能となる。 この取鍋予熱では一般的に排熱の回収装置は設置されていないケースが多く、効率の悪い 予 熱 と な っ て い る 。 こ の 取 鍋 の 高 効 率 予 熱 の 技 術 と し て 、 リ ジ ェ ネ バ ー ナ ( No.9.1 -Regenerative Burner Total System)または酸素バーナ(No.9.2 -Oxygen/fuel Burner Total System)がある。今回、酸素バーナの適用を提言する。 酸素バーナ適用時の効果を図表 2.2-12 に示す。 Conventional Air Combustion Fuel Oxygen Combustion Others Fuel Gas volume 25% Waste gas Waste gas 図表 2.2-12 酸素バーナの原理13 従来型のバーナは空気で燃料を燃焼させることでフレームを形成し、取鍋の予熱を実施す る。一方、酸素バーナでは(図表中は 100%の酸素を使用した場合を示す)、空気に代わって 窒素を含まない酸素を直接に燃焼用として供給するため燃焼後の排ガス量は約 25%に減少 する。そのためフレーム温度がより高温となり、伝熱効率が上昇することおよび排ガス量が 減少し排ガス顕熱が減少することから省エネルギーが可能となる。 図表 2.2-13 に天然ガスを燃料として取鍋を予熱した場合の従来バーナと酸素バーナでの取 鍋内温度推移の比較を示す。 13 中外炉工業株式会社提供資料 25 1600 1400 Ladle inner wall temperature by O2 Temperature [℃] 1200 1000 Difference heating capability 800 600 Ladle inner wall temperature by Air 400 Ladle Casing 200 0 0 図表 2.2-13 50 100 150 200 Heating Time (min) 250 300 取鍋予熱時の従来バーナと酸素バーナとの取鍋内温度推移比較 13 図表 2.2-13 中、青線は従来バーナの温度推移、赤線は酸素バーナの温度推移を示し、各々 取鍋内表面温度と取鍋の鉄皮温度を示している。図表 2.2-13 からわかるように酸素バーナを 使用することにより耐火物温度の上昇が速く、かつ高温になり、短時間で予熱が可能となる。 酸素バーナのフレーム温度が高くなることによる伝熱効率の向上と予熱時間の短縮により 大きな省エネルギーが可能となる。 本技術では、使用する酸素に留意する必要がある。本技術は当然ながら酸素の供給を受け る必要がある。自工場内に酸素プラントを保有し、酸素を製造かつ供給する能力を持った工 場では、省エネルギー効果に比較し酸素のコストは安価となり経済的効果が得られやすい。 一方一部の電気炉工場では液体酸素を購入し酸素を気化して使用しているケースがあり、こ の場合一般的に液体酸素のコストは高く、経済効果が小さくなり、経済的に成立しないケー スが発生しやすい。 ( 2 ) 圧 延 加 熱 炉 に 関 係 す る 省 エ ネ ル ギ ー 技 術 ( N O .13~ 16) : No.13 は、加熱炉における燃焼用空気予熱の省エネ技術であり、目標とする予熱空気の温度 (Tair)レベルにより、3 つの技術がある。 13.1(Tair≧1000℃):リジェネバーナシステム(原理は No.9-1 に同じ) 13.2(Tair~600℃) : 耐熱鋼(CrSiAl 系)を使用したレキュペレーター 13.3(Tair~400℃) :一般的に普及しているレキュペレーター No.14 は、加熱炉の内壁材料として、低熱伝導率で断熱性に優れるセラミックファイバを使 用し炉外壁からの放散熱量を減らし、燃料原単位の低減を達成する技術である。 No.15 は、加熱炉の燃焼制御システムの導入により加熱条件に合せた最適燃焼(ヒートパター ン制御、排ガス中酸素濃度制御、炉圧制御等)を可能とし、加熱炉の燃料使用量削減を達 成する技術である。 No.16 は、吸収式冷凍機で、加熱炉の燃焼排ガスを熱源に、温水を取り出し冷房に利用する 26 技術である。 “No.13 -1 - Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System“は通 称リジェネバーナシステムと呼ばれる日本で発展・普及している技術である。今回の調査・診 断においても提言された内容であり、その内容を以下に示す。 “No.13 -1 - Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System“ 加熱炉では一般的に排ガス温度の顕熱を燃焼用空気の予熱に使用することで排熱回収を 実施している。 図表 2.2-14 にこの燃焼用空気予熱による燃料削減効果を示す。 図表 2.2-14 燃焼用予熱空気温度と燃料削減率の関係(炉温 1350℃の場合)14 一般的に設置されている熱交換器では図表 2.2-14 中に示すように 400℃前後に空気が予 熱される。一方耐熱性の高い熱交換器を使用した場合は最大 650℃までの予熱が可能とな る。さらに本技術であるリジェネバーナを設置した場合、炉温に近い温度まで予熱が可能 となり、大幅な省エネルギーが達成できる。図表 2.2-14 中に示すような炉温 1350℃の場合、 通常の熱交換器に対し約 30%、耐熱性の熱交換器を使用している場合に対しても約 15%の エネルギー削減が可能となる。ただしエネルギー削減量は炉温によって変わること、およ び経済的に考えた場合、燃焼負荷の高いバーナを対象に部分的にリジェネバーナに更新す るといった選択もあり、省エネルギー量に関しては各々のケースに対して経済性も含めて 評価する必要がある。 図表 2.2-15 にこのリジェネバーナシステムの概念図を示す。 14 ◇State-of-the-Art Clean Technologies (SOACT)(2nd Edition) 27 Regenerative burner system Fuel Fuel Burner A Fuel Burner B 1350℃ 1350℃ Ceramic Regenerator B Ceramic Regenerator A Billets Billets 1250℃ 1250℃ Switch valve Exhaust gas 200 deg.C Air 図表 2.2-15 リジェネバーナ概念図 14 リジェネバーナシステムは燃焼部(バーナ)と蓄熱部(リジェネレータ)が一体になった構造 を持つバーナであり、基本的にバーナ 2 本を 1 ペアとして使用する。 一方のバーナ(図中バーナB)で燃料とセラミック蓄熱部を通過した空気で燃焼している 時、その燃焼排ガスを反対側(図中バーナA)に取り込み、セラミック蓄熱部で排ガス顕熱 を蓄熱する。セラミック蓄熱部での蓄熱が完了したのち、A側を燃焼、B側を蓄熱側に切り 替える。燃焼に用いる空気が蓄熱部を通るときに加熱され高温空気になっている(すなわち 排熱を回収している)ことがわかる。 リジェネバーナシステムでは排熱の約 85%以上を回収できるため、鉄鋼製品の加熱炉・熱 処理炉だけでなく、取鍋の予熱やアルミ溶解炉、ガス処理等日本国内では広く適用が進められ ている。 本バーナの加熱炉への取付けは最少 1 ペア(バーナ 2 本)で、通常は複数のペアがセットと なって設置される。加熱炉へ適用する場合には、高熱効率であることに加え、 ・炉内ガス強制循環により火炎の最高温度低下が可能となり NOx 濃度が低減される ・炉内平均温度の高温化が可能となり高生産性、柔軟性のある操業が可能になる ・交互燃焼及び炉内ガス強循環により均一な炉内温度分布が得られる ・炉長方向へのガス流れが少なくゾーン加熱制御が容易になる ・空気比が変動しても熱効率への影響が少ない 等の利点がある。 また、リジェネバーナは新規加熱炉に導入するだけでなく、既設の加熱炉を改造するとい う枠組みでも導入できる。 ( 3 ) そ の 他 の 省 エ ネ ル ギ ー 技 術 ( N O .17~ 18) : No.17 は、ファン、ポンプなどの電動機の回転速度を変化させるインバータ制御技術であ り、電気炉操業に合せて各種流量、揚程、ダンパー開度等を制御し、省電力する。 No.18 は、電気炉製鉄所におけるエネルギー消費の最適化のための監視・管理システムで 28 あり、これにより製鉄所全体のエネルギーロスを回避する。 以上、No.1~18 の省エネルギー技術の適用場所を、電気炉製鉄プロセス図表 2.2-16 の中 に技術 No.とともに図示した。 これら技術の省エネルギーと CO2 排出量削減の定量的効果を図表 2.2-18 に整理した。 この際、省電力、省熱量の CO2 排出量への換算は、図表 2.2-17 のデータを使用した。 図表 2.2-17 CO2 Emission Factor Vietnam t-CO2/MWh t-CO2/GJ 0.564 *1 0.095 *2 CO2 排出係数 Remarks IEA statistics, 2013 edition (average of '09-'11) *3 Vietnam India Japan 0.415 0.904 0.444 world *2 0.504 0.095 *1 http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=2137 (20141031_iges_er_sheet_gridef_JP.xls) *2 Data collection user guide_v6. - World Steel Association *3 CO2 Emissions from Fuel Combustion Highlights (2013 Edition), IEA 29 図表 2.2-16 電気炉製鉄プロセス別に図示した技術ポジティブリスト記載技術 (図表中噴出し内の省エネ技術タイトル先頭数字は図表 2.2-6 技術 No.に対応) 30 技術ポジティブリスト記載の省エネルギー技術の導入効果(省電力・CO2 削減量)の推定 Effect of Technologies Introduction Miscellaneous EPA-BACT NEDO Co-benefits Technologies Reference EU-BAT Title of Technology No. Energy Savings (Fuel) GJ/t kWh/t of product of product India TCL ver.2 CO2 Reduction kg-CO2/t of product SOACT 図表 2.2-18 Steelmaking 1 2 3 4 Hot DRI/HBI Charging to the EAF Scrap Preheating (ex. Ecological and Economical Arc Furnace) Transformer efficiency—ultra-high power transformers Aluminium Alloy Conductor Arm for Supporting Electrode 84.6 84.6 8.5 1.6~3.3 5 DC Electro Arc Furnace 5~10.1 6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of direct suction type dust collector) 7 Eccentric Bottom Tapping (EBT) on existing furnace 8 9 10.1~20.2 Waste Heat Recovery from EAF Ladle Preheating 9.1 -Regenerative Burner Total System 9.2 -Oxygen/fuel Burner Total System 10 11 11.1 11.2 11.3 11.4 12 0.14 3.9~14 Electrode Position Control for Power Optimization Control and Automation for EAF Optimization - by pattern presetting - by using Off-gas Analysis - Automatic Scrap Meltdown Timing Judgment System by Acoustic Spectrum Analysis for AC EAF - Optimum Regulation System with multi-variable control using Fuzzy logic Carbon and Oxygen Injection System for foamy slag practice 81.7 0.86 20.0 0.21 or 51% ≧50% 10.4~16.9 0.11 19.7 1.6~3.3 2.8~3.9 0.04~0.05 or 2.5~3% >150 150 15 3~6 ≦5% 9~18 18~36 13.6 (7~25) ○ 1. reduction of DXN, Dust, Noise ○ ○ *1 1.electrode consumption -(40-60)% 2. reduction of flicker -(50-60)%, noise ○ ○ ○ ○ 1. 15-25% reduction of CaO(kg/t) 2. shorter tap-to-tap times ○ ○ ○ *2 1. life extension of refractory 30 1. electrode consumption -25% 2. Productivity: +(9-12)% 35 3-6 10 1. skill free ○ ○ ○ ○ ○ 5~7 *3 *4 *6 ○ Reheating Furnace 13 Combustion Air Preheating for reheating furnace 13.1 - Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System 16.1~19.9 13.2 - Preheating temperature 600℃ by Recuperator using high heat resistance steel 10.7~13.3 13.3 14 15 16 - Preheating temperature 400℃ by Recuperator 7.1~8.8 Thermal insulation by Ceramic Fiber on inner wall of reheating furnace Process Control for Reheating Furnace Air Conditioning by Hot Water Absorption Chiller utilizing Waste Heat 15.2 19.9~79.8 1.5 45%(S), 0.17-0.21(N) 30% 20% (S) 0.7(E) 2-5%, 0.16 0.21~0.84 1. reduction of NOx ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ *5 2.6 Miscellaneous 17 Inverter (VVVF; Variable Voltage Variable Frequency) Drive for Motors 18 Energy Monitoring and Management Systems for Steel Plant with EAF Remarks; *1: NIKKO Industry CO.,LTD, and "Tekko-Binran" (Handbook of Iron and Steel) Vol.5, No.6, p.224 *2: CHUGAI RO Industry CO.,LTD, and http://www.klchem.co.jp/blog/2013/08/post_2094.php *3: Iron Steel Technol Conf Proc, vol.1, 2006, pp.509-518 *4: Daido Steel *5: estimated by JFE Techno-Research Corp. from data supplied from EBARA Refri. Equip. & Systems Co., Ltd. *6: NIKKO Industry CO.,LTD 31 42% 0.5% ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 3. 事業化に向けた具体的なプロジェクト計画の検討 現地調査を実施するにあたり、ベトナム政府(MOIT:Ministry of Industry and Trade)、 Heavy Industry Dept.(重工業局))を通して、ベトナム国内の電気炉製鉄所へのエネルギー 診断と技術導入に係るプロジェクト検討の受け入れを希望する製鉄所の選定を依頼し、2社 が候補としてあげられた。最終的にはこの2社ともにエネルギー診断とプロジェクト検討を 希望したため、2社の現地調査を実施した。この2社を A-Company、B-Company と記す。 この2社ともにベトナム北部に位置し、一つは長い歴史を持つ製鉄所、もう一つは 2000 年以降に設立された比較的新しい製鉄所であり、対照的な製鉄所となっている。 この2社に対する調査に当たっては、具体的には以下に示すスケジュールにより、現地調 査および報告を実施した。 第1回訪問(2014 年 9 月) ; 電気炉製鉄所2社の現地事前調査 訪問内容:本プロジェクトの趣旨説明(JCM スキームの紹介を含む) 工場の実態把握(工場見学および操業見学) エネルギーに関する課題のディスカッションと対象技術の絞込み 第2回訪問(2014 年 11 月); 電気炉製鉄所2社の対象技術調査 訪問内容:電気炉および加熱炉のエネルギー診断 各プロセスの省エネルギー診断と技術導入の可能性調査 省エネルギー量評価のためのデータ収集と評価 第3回訪問(2015 年 1 月):セミナーの開催 診断結果報告、各技術の経済性評価、JCM についての説明 2社のベトナム電気炉製鉄所に関しては、1回目の訪問にて製鉄所の実態調査見学と製鉄 所幹部とのディスカッションを通し対象設備・技術を絞り込んだ後、2回目訪問で具体的な 調査・診断を実施し、3回目の訪問で、セミナーと言う形で調査・診断結果の報告とその技 術導入の経済性評価を中心に報告する形とした。2回目の診断時には製鉄プロセスである電 気炉および加熱炉の専門エンジニアリングメーカも同行し、診断・技術導入可能性調査と同 時に導入の可能性のある技術の見積りおよびメリットの試算を実施した。 なお、第1回訪問、第2回訪問にあわせ、ベトナムの JCM 関係省庁への本事業の活動内 容の説明および JCM に関する説明を実施したが、この内容に関しては、第5章で紹介する。 以下にこれら訪問の内容について示す。 32 3 . 1 A-C OMPANY に お け る 事 業 化 に 向 け た 具 体 的 な プ ロ ジ ェ ク ト の 検討・特定 A-Company に関しては、図表 3.1-1 に示す日程およびメンバーにて第 1 回、第2回の訪問 を実施した。 図表 3.1-1 A-Company 訪問実績 期間 第 1 回訪問 メンバー JFEテクノリサーチ:2 名 2014 年 9 月 11 日、12 日 11 日:概要説明および電気炉・圧延加 JFEスチール:2 名 熱炉の見学 12 日:製銑設備等の見学およびディス カッション 第 2 回訪問 2014 年 11 月 17 日、18 日、19 日 JFEテクノリサーチ:2 名 対象設備・技術の調査・診断 JFEスチール:2 名 エンジニアリングメーカ 電気炉関係:2 名 加熱炉関係:2 名 第3回 2015 年 1 月 20 日:ハノイでのセミナ JFEテクノリサーチ:2 名 ーにて報告 3.1.1 JFEスチール:1 名 A-C O M P A N Y 概 要 図表 3.1-2 に A-Company の製鉄所概要を示す Main Facilities Coke Making Sinter BF Blast Furnaces, Sintering Plant, Cokes ovens No.2 EAF Capacity: 45ton/heat production :300,000ton/y No.1 EAF Capacity: 20ton/heat production :150,000ton/y Reheating Furnace No.2 RHF Capacity: 50ton/h Reheating Furnace No.1 RHF Capacity: 30ton/h 図表 3.1-2 製鉄所の概要 33 A-Company は川沿いに沿って高炉、コークス炉等を有し、その背後に焼結炉、電気炉工 場を有する敷地の広い製鉄所である。 製鋼プロセスは電気炉であり、スクラップと高炉からの溶銑の両方を鉄源としている。製 鋼・圧延設備としては 2 つの電気炉および 2 つの加熱炉・圧延ラインを有する工場であり、上 工程としてコークス炉、焼結炉、高炉を有する製鉄所となっている。電気炉での溶鋼の製造 にあたり、鉄源の約半分が高炉からの溶銑、残りがスクラップで操業しているところに大き な特徴がある。 製鋼工場では、電気炉を 2 炉有しているが、大型の No.2 電気炉(No.2 EAF)を主体に操 業を実施している。設備は両炉ともに中国製であり、かなり古い設備である。 溶鋼は取鍋精錬(LF)を実施した後に、4ストランドの連鋳機により鋳造された後、加熱 炉へと送られている。加熱炉は中国製の古い No.1 加熱炉(No.1 RHF)と 1996 年に稼働し た No.2 加熱炉(No.2 RHF)の 2 つを有している。No.2RHF へのビレット供給では製鋼工場 からのホットチャージが志向されており、ビレットの 80~85%が 500~600℃で加熱炉に供給 されており、良好なホットチャージが実施されていた(No.1RHF へのホットチャージはなし)。 加熱炉の燃料は No.1、No.2RHF ともに、Oil(F.O.(Fuel Oil))が使用されていたが、その 種類・性状については最後まで明確な回答は得られなかった。No.1RHF は中国製の古い設備 であるが、設備自身はよくメンテされ、良好な状況を維持していた。一方、No.2RHF につい ても炉自身は、良好な状態が維持されていた。 この圧延工程で生産される棒鋼が最終製品となり、出荷されている。 一方で、本製鉄所は将来的に年間生産量を約 100 万トンとする増強計画を有している。現 在高炉 2 基を有しているが、新しい高炉を建設中であり、あわせて製鋼工場、焼結工場、コ ークス炉が建設予定である。また、新しい加熱炉はほぼ建設が完了した状態となっていた。 その意味では一貫製鉄所とほぼ同様な形に移行する期間にあると思われる状況であった。 今回の対象となる電気炉および加熱炉の概要を下記に示す。 最 終 的 に 検 討 の 対 象 と し た No.2EAF の 典 型 的 な 操 業 指 標 を 示 す 。 以 下 の 数 値 は A-Company の資料及びヒアリングに基づくものである。 電気炉 ・ 平均出鋼量: 約 45 t-steel/heat ・ 平均電力原単位: 約 250 kwh/t-steel ・ 平均酸素原単位: 約 55 m3N/t-steel ・ 平均石炭(カーボン源)原単位: 約 10 kg/t-steel 溶銑を多く使用していることから、平均的な電気炉に比較し電力原単位が低く、一方酸素 使用量は多いという特徴を有している。 加熱炉 ・ 加熱炉能力: 50 t-steel/h ・ ホットチャージ率: ・ 燃料: Oil (ウォーキングハース式) 80~85% (温度は 500~600℃と推定) (種類・組成等は不明) 34 ・ 燃料原単位: 24 l/t-steel(210,000 kcal/t-steel:ホットチャージ時) 31 l/ t-steel(273,000 kcal/t-steel:コールドチャージ時) Oil は A 重油(JIS K2205 Class)と仮定し発熱量を 8,800 kcal/l で評価している。 ・ 炉内温度: 1150℃ 一般的な加熱炉であるが、ホットチャージを志向していることから平均的な加熱炉に対し、 燃料原単位は低くなっている。 3.1.2 検討すべき省エネルギー課題の特定 第 1 回目訪問時に、日本の技術を紹介し、工場全体の見学を実施すると同時に、A-Company の持つ課題を中心にディスカッションを行った。 図表 3.1-3 第 1 回訪問時説明風景 A-Company の関心事、およびディスカッションと、現地工場観察で確認した現状から、 以下の技術を対象に検討を実施することとした。 (1)電気炉における省エネルギー技術 酸素ランス、バーナ、コールインジェクション、最適電気炉制御等の適用による電力 原単位の削減 (2) 圧延加熱炉の燃料削減 現状の操業診断とリジェネバーナ導入による燃料削減 (3) 製鉄所全体におけるガスの利用方法 製鉄所全体のガスバランスと、Bガスの有効利用方法 以上の項目の検討を前提に、第2回訪問で調査・検討を実施し、導入技術候補を特定するこ ととした。(3)の項目については具体的なプロジェクトにはつながらないものの、今後の 製鉄所の省エネルギーとしては重要な項目であることから、今回の検討の対象に含めた。 35 3.1.3 省エネルギー課題の診断と導入技術の評価 前述の3つの課題に対し、第2回訪問では電気炉及び加熱炉の専門エンジニアリングメー カを加え、現地での調査・診断を実施した。調査においては現地での操業に立会い、操業観察 を通して現状の操業改善への提言および最適な導入技術の検討を実施した。同時に専門エン ジニアリングメーカによる見積り・工期等の検討も実施した。 以下各々の技術についての検討内容を示す。 (1)電気炉における省エネルギー技術の検討 技術の検討として、現地での操業に立ちあい、課題を抽出した後、適切な技術導入を検討 するステップをとった。以下技術導入による概算のメリットも示すが、さらに詳細な検討を 必要とする。 図表 3.1-4 電気炉の操業風景 ① 現地での操業観察 図表 3.1-5 に電気炉で立ち会った操業の観察結果を示す。 Tap V(V) ③ Timing of Hot metal charge SC① 10t HM 20t SC③ 5t SC② 10t 509V 509V Charge: SC 25t,HM 20t ⇒Tap:42t Power consumption: 241kWh/t Oxygen consumption:55Nm3/t 500 450 ② Tap change 442V 442V 442V 428V 400 Time (min) Total (kWh) Oxygen PON Cutting (min) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 600 4511 8244 7093 Tap 16min Tap change De-C Tap change Decarburization Tap change ① Oxygen supply 図表 3.1-5 現地観察時の操業状況 36 10142 観察結果は以下のようなものであった。 ・ スクラップ (SC①) 10 トンを装入し、酸素でのスクラップカッティングを 3 分間実施 後、溶銑(HM)20 トンを装入 ・ その後通電によるスクラップ溶解を開始し、スクラップがある程度溶解した時点で 2 回 目のスクラップを装入 ・ その後同様にスクラップ溶解を実施し、スクラップがある程度溶解した時点で第 3 回目 のスクラップ溶解を実施 ・ 3 回目のスクラップ装入後酸素の吹込みのみ(約 16 分)を実施、スクラップが溶解した 時点で、精錬期に移行。カーボンインジェクションによるスラグフォーミングを実施し ながら、精錬を終了。 ② 操業における課題 操業観察を通して以下のような課題があげられた。 課題 1:図表 3.1-5 の①Oxygen Supply に示すように、通電を実施せず、酸素のみを供給する 時間が長く、操業時間を延ばしている。 課題2:図表 3.1-5 Tap change に示すように、通電電圧を変更するたびに一旦通電を停止 している。同時に図表 3.1-6 に示すように各電極の電流変動が大きく、安定して高い電力が 投入できておらず、操業時間の延長につながっている。 図表 3.1-6 課題3:図表 3.1-5 各電極の電流変動 ③Timing of Hot metal charge に示すようにスクラップ装入直後に溶銑 装入を実施しており、装入した溶銑が凝固する可能性がある。 課題4:図表 3.1-4 電気炉の操業風景に示すように操業時間全体を通して、炉からのフレー ムの吹き出しがあり、エネルギーロス、周辺設備の損傷、周辺環境の悪化につながっている。 以上のような課題をもとに適切な導入技術の提言を実施した。 ③ 改善の提言 課題1および課題4に対しては共通する対策が必要となる。 最初に課題4に関する本設備の特徴として、図表 3.1-7 に示すような通常の電気炉に設置 されている図中の赤丸で囲まれる Dust Collector という集塵装置が設置されていないことを 37 確認した。そのため、炉内で発生した可燃物は全て炉外へ放出され、電気炉上部に設置され た建屋集塵で回収される形となっている。 Suction Dust collector Slag Door 図表 3.1-7 電気炉の Dust Collector そのため、炉内は常に正圧となり、炉内で発生したガス等は全て炉外へ放出され、炉外で 空気と反応して燃焼する形となっている。このような場合以下のような問題点がある。 ・ 炉内での未反応物が炉外で燃焼することによりエネルギーの損失が生じる。 ・ 炉外で燃焼することにより、炉蓋、電極ホルダー等周辺機器の劣化が大きくなり、修繕費 が増加する。 ・ 炉内で発生したダスト等が建屋集塵で十分に回収できず、周辺の環境悪化につながる。 以上のような課題から、まずこの Dust Collector を設置することが省エネルギー、環境改 善につながる。 一方課題1に関しては、操業として溶銑(通常カーボンが 4%以上含まれている)が使用 されているため、溶銑中のカーボンを下げるための酸素が必要であるが、現状はスラグ排滓 口から挿入する酸素ランスからの酸素が唯一の酸素供給源となっている。Dust Collector が ないことから、エネルギー損失が生じると同時に酸素の供給律速によるスクラップ溶解時間 の操業時間延長が電力原単位の悪化につながっている。 これらの対策としては、 ・ 十分な能力を有する Dust Collector を設置すること ・ スクラップの溶解促進および積極的な酸素の供給を進めること が 必 要 と な る 。 後 者 の 酸 素 供 給 に 対 し て 、 ポ ジ テ ィ ブ リ ス ト 内 の “No.6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of Direct Suction Type Dust Collector) “ 技 術の適用が提言できる。さらに、Oxy-fuel Burners/Lancing 技術の一つであるドアバーナを 設置することで一層のエネルギー効率の向上が可能となる。 現状の電気炉ではスラグ排滓口からランスによってのみ酸素が供給されているため、 Oxy-fuel Burners/Lancing を設置するとともに、さらにドアバーナを設置することで、外気 の侵入を防止すると同時に効率的に酸素を供給することにより、電力削減、操業時間の短縮 38 が可能となる。 以上のことから提言技術の一つとして”Oxy-fuel Burner System +Introduction of Direct Suction Type Dust Collector”技術の適用が提言され、電力原単位として 25kwh/ t-steel の削減 が可能と推定される。 ただし、前述したようにバーナを使用する場合、補助燃料が必要となる。この補助燃料と して、本製鉄所では余剰となっているコークス炉から発生するCガスの使用が考えられる。 本プロセスでは溶銑を利用していることからスクラップ溶解初期にのみバーナ機能が必要で あり、天然ガス 5 m3N/t-steel 相当の補助燃料が必要とされる。Cガスを使用する場合、 11.1m3N/ t-steel のCガスが必要となる。 CO2 削減の観点から考えると、現状電気炉に必要な十分なCガスが放散されていることが 確認できれば、Cガスのコストはなく、また CO2 源の増加はないことになるが、今後調査 が必要である。 課題2に関しては、制御の改善が必要となる。この技術として技術ポジティブリスト内の “No.11 Control and Automation for EAF Optimization”の適用が提言できる。制御方式を更新 することにより電圧の設定を通電停止することなく切り替えることが可能になると同時に、 さらに前述した新しい Optimum Power Regulation System を導入することで効率的な電力 投入が可能となる。この技術の採用により 10kwh/ t-steel の電力削減が可能となる。 最後に課題3では、スクラップ投入しスクラップの酸素によるカッティングを実施した直 後に溶銑装入を実施している点に課題がある。 図表 3.1-8 に Fe とカーボンの状態図を示すが、 カーボン約 4%を含む場合、この溶銑の凝固点は 1147℃であり、スクラップが充填されてい る炉に溶銑を装入した場合、スクラップにより溶銑が冷却され、凝固する可能性がある。こ の対策として、スクラップ装入後スクラップ溶解を実施し、スクラップをボーリングしたの ちに溶銑装入を実施することが望まれる。溶銑の炉内凝固を防止することにより、電極の折 損防止、溶銑の飛散防止につながる。 Fe-C diagram [C] = 4% 1147℃ 図表 3.1-8 Fe とカーボンの状態図 39 ④ 提言技術のまとめ 以上のように操業立会いを通して、以下の技術の提言を実施した。 ・ “No.6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of Direct Suction Type Dust Collector) “ ・ “No.11 Control and Automation for EAF Optimization” また操業上の改善として、溶銑装入のタイミングの改善を提言した。 これらの提言の効果について図表 3.1-9 にまとめる。 図表 3.1-9 A-Company 電気炉における提言の効果 Electric Power Items Effect Saving kWh/t-steel Electric Power Saving Oxy-fuel Burner System + Introduction Suction of Type Other merit 1. Increase of productivity Direct 2. Saving of Operational expenses 15% Dust Collector (Electricity / Electrode / Refractory / + 10 Alloy / etc.) 3. Improvement of Environment Electrode 15 & Safety Regulation Electric Power Saving and Automation Control Other merit for EAF Optimization 10 1. Increase of productivity total 35 (2)圧延加熱炉の燃料削減検討 電気炉と同様に技術の検討として、現地での操業に立ちあい、課題を抽出した後、加熱炉 の診断と同時に適切な技術導入を検討した。観察は No.2 加熱炉のみを対象として実施した。 図表 3.1-10 A-Company No.2RHF 圧延加熱炉 40 ① 現地での操業観察 図表 3.1-11 に操業中の加熱炉における操業状況をまとめた結果を示す。 図表 3.1-11 操業中の加熱炉における操業状況 Hot charge operation on November 18,2014 Furnace condition Zone1 (PHZ) Zone2 (HZ) Zone3 (SZ1) Zone4 (SZ2) 1038 1131 1168 1168 ? ? ? 285 1009 984 893 935 Zone temperature (degC) Oil flow rate (L/h) Air flow rate (m3N/h) Waste gas temperature (degC) 662 Hot air temperature (degC) 391 Furnace pressure (??) -0.28 Insulation good Material condition Size (mm) 150 x 150 x 6000 Charging temperature (degC) 300 Production rate (t/h) 43 図表 3.1-11 からもわかるように数値が正確に把握できないものがあった。これは主に、測 定装置のメンテに起因するものである。今後正確な数値を把握することが操業管理を進める うえで重要であると考えられる。 操業観察時はホットチャージが実施されており、炉温は平均的には 1,150℃、43 t-steel /h で操業されていた。正確な Oil 使用量および発熱量は把握されておらず、この時点での燃料 原単位は正確に評価できなかった。 観察時はホットチャージが実施されており、この点は非常に評価できるものであった。装 入されるビレットはほのかに明るく温度は 500~600℃と推定された。また、炉の断熱はし っかりとしており、炉の耐火物の状況はしっかりしているものと推定できた。 ② 操業における課題 操業に立ち会う際に、予熱空気温度が仕様 400℃に対し 350℃程度であることも診断の対 象にして欲しいとの要望のもと、この点も含めて観察を実施した。 ただし、前述したように操業上の数値で把握できないものが多く、今後操業管理を進めて いく上で、これらの数値の整備(測定装置のメンテも含め)、および数値を管理していくこ とが重要である。 炉周りの観察を通し、以下のような課題が見られた。 課題1:熱交換器の点検が必要であること 課題2:適正な空燃比(燃焼空気量/燃料使用量)の設定が必要であること 課題3:適正な炉圧制御を実施すること これらの課題はあくまで目視等の推定によるもので、今後点検等で確認・是正していくこ 41 とが必要である。 課題4:リジェネバーナ適用の検討 燃料の削減に関しては、ポジティブリスト中“No.13-1 Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System”、いわゆるリジェネバーナの導入について評価を実施 した。ただし、リジェネバーナの設置に関しては、将来増強時の副生ガスの利用も見据えた 改造計画が有用であることを提言した。 以上課題1~課題3は操業上の改善に関する課題であり、課題4は新しい技術の導入に関 する検討となる。 ③ 改善の提言 課題1の熱交換器では、空気の不十分な予熱対策を中心に実施したが、図表 3.1-12 に示す ような問題点が見られ、 点検の必要性を提言した。 第 1 は熱交換器上部からの発煙が見られ、 排ガスがリークしている可能性があること、第 2 は排ガス入口温度が低いこと(排ガス等の リークがないか)、第 3 は燃焼用空気のバイパスダンパーが設けられており、リーク等の点 検が必要であること、と言った点であった。 Fume from recuperator Leakage inside ? Low waste gas temperature Leakage in duct ? Bypass damper Cold air mix with hot air? 図表 3.1-12 燃焼用空気の予熱用熱交換器 Parallel flow type (Existing) 図表 3.1-13 Counter flow type 熱交換器の改造 さらに空気予熱温度を上げるハード的な対応として図表 3.1-13 に示すように現状の並流型 42 熱交換から、交流型熱交換に改造する提言を実施した。 課題2に関しては炉内観察から、炉負荷の変更により燃焼状態が変わっており、燃料使用 量に応じた空燃比の設定がなされていないものと推定できた。また、燃料の使用量が表示さ れていないことからも適正な空燃比が設定されていないと推定された。空気量が過剰な場合 は排ガス量が増加することで排ガス熱損失が増加し、逆に少ない場合は燃料の不完全燃焼に つながり、エネルギーの損失となる。 課題3に関しては、炉圧は表示されているものの炉圧制御自身が実施されておらず、観察 時も炉からのガスの噴出し・吸い込みが見られた。ガスの噴出しは熱のロスにつながり、外 気の吸い込みは炉を冷やすことになりやはり熱のロスにつながる。 これら課題1~3は現状の操業改善への提言となるが、その前提として測定機器(センサ ー)のメンテ、正確な測定機器による制御機能の保持がまずは求められる。さらに操業の測 定結果の記録・管理をしっかりとおこない、操業を正常な状態に維持するエネルギーマネー ジメントシステムの構築というステップに移行することが必要であることを提言した。 課題4のリジェネバーナの導入に関しては以下の炉の配置、操業等を考慮し、また経済性 の検討が必要であるという観点から、全体バーナ交換と部分バーナ交換を提言した。図表 3.1-14 に部分バーナ交換に関する計画図を示す。 Existing burner After modification Zone1 & 2 Regenerative burner 2pairs Zone1 & 2 burner : 2+4 Zone3 and 4 Burner : 10 (same as existing) Zone3 & 4 Burner : 10 図表 3.1-14 バーナ部分交換計画図 この炉は現在予熱帯(バーナ 2 本)・加熱帯(バーナ 4 本)・均熱帯 1,2(バーナ各 5 本) から構成されている(図中の青字部分参照)。バーナ部分交換の計画としては予熱帯と加熱 帯の 6 本のバーナを2ペアのリジェネバーナ(赤字部分参照)とし、同時にバーナを大型化 し、均熱帯の改造は実施しないこととしている。バーナを大型化することによりリジェネバ ーナを通して燃料をより多く供給することで、省エネルギー効果を高くすることを狙いとし ている。 図表 3.1-15 に全体バーナ交換と部分バーナ交換の効果の比較を示す。 43 図表 3.1-15 全体バーナ交換と部分バーナ交換の効果の比較 Case Energy saving ratio Shut down period A Replace all burners Zone 1 ~ 4 15.0% 4weeks B Replace burners in Zone1 & 2 10.0% 3weeks 全体バーナ交換はバーナ本数の多い均熱帯の改造も実施するため効果も大きくなるが、投 資はさらに大きく増加することになり、経済性を考慮した上で適用を検討する必要がある。 また、メリットについてはデータに不足部分が多いことからさらに精査が必要な部分が残さ れている。 一方同時に将来の設備増強に伴うガスバランスの検討を実施した。 増強完了時には副生ガス(Bガス、Cガス(後述))の余剰が生じる可能性が高く、この ときに副生ガスを加熱炉燃料として利用できる可能性がある。加熱炉では現在 Oil を使用し ているが、副生ガスにすることにより大きな省エネルギーが達成できる。製鉄所全体のガス バランスを検討すると同時に、加熱炉の副生ガス適用の可能性を検討した結果を以下に示す。 ④ガスバランスの検討 このガスバランスの検討・推定にあたっては、製鉄所での各種副生ガスの発生量、使用量 が不明確であるため、データを入手するとともに各種経験値も使用した。 図表 3.1-16 に現状のガスバランスと将来増強後の副生ガスバランスを示す。 Present Condition (Gcal/y) Expansion Condition (Gcal/y) 400,000 400,000 200,000 200,000 0 0 図表 3.1-16 OIL Consumption 600,000 BFG Consumption 600,000 BFG Production 800,000 COG Consumption 800,000 Residual Steam Boiler Melting shop Blast Furnace Cokes Oven Sinter COG COG Production 1,000,000 OIL Consumption 1,000,000 BFG Consumption 1,200,000 BFG Production 1,200,000 COG Consumption 1,400,000 COG Production 1,400,000 現状のガスバランス(左)と将来増強後のガスバランス(右)の推定結果 各横軸はコークス炉からのCガス発生とCガス消費、高炉からのBガス発生とBガス消費 を示し、横軸右端は加熱炉の Oil 使用量を示している。左図が現状のガスバランスで右図が 増強後のガスバランスの推定値となっている。 またこのときに使用したBガスとCガスの特性を図表 3.1.-17 に示す。 44 図表 3.1.-17 BガスとCガスの特性15 発生量 成分と発熱量 コークス炉ガス 300~400 H2;50~54%、CH4;30~33% (Cガス) m3N/t-coal CO;6~8%、炭化水素;2~4% 発熱量;4,500~5,000kcal/m3N 高炉ガス 約1,500 CO;21~23%、CO2:19~22%, (Bガス) m3N/t-hot metal H2 :2~3%、残りN2 発熱量;700~750kcal/m3N 現状のガスバランスではBガスはかなり余剰となっているが、Cガスの余剰は少ないこと がわかる。増強後はBガスの余剰は大幅に増加し、Cガスもある程度余剰になる。同時に加 熱炉の Oil 使用量も加熱炉増強に伴い増加している。熱量的にはBガスの余剰は大きいが、 加熱炉燃料の Oil から副生ガスへの燃料転換には 2,000kcal/m3N 以上の熱量が必要であり、 加熱炉をBガスのみで操業することは難しい。そのため、発熱量の高いCガスと混合し、 2,000kcal/m3N 以上の混合ガス(Mガス)として加熱炉に供給する必要がある。加熱炉燃料 としてのガス発熱量を 2,000kcal/m3N 以上にするにはMガスの総発熱量に占めるCガスの熱 量を 75%以上にする必要がある。現在のままでの増強では、Cガスの余剰熱量が加熱炉で使 用する熱量の 75%に達しないため、一部の加熱炉の燃料転換は可能であるが、全ての加熱炉 の燃料転換を進めることは難しいと推定された。 一方で、本製鉄所は高炉、コークス炉等一貫製鉄所の工程を有しており、他設備に各種省 エネルギー設備導入の余地があり、省エネ設備導入によりCガスをさらに余剰する可能性を 検討した。図表 3.1-18 に一貫製鉄所における代表的な省エネルギー技術を示す。 :Considered technologies Power・Slag : other energy saving technologies ・Efficient power generation ・Efficient air separator ・Energy audit ・Power saving Energy: power station, utility supply Coke Oven Gas Blast Furnace Gas Power Steam BOF Gas By-product Gas Power, Air, Steam, etc. ・Combustion Control (Δ15%) Coke Making Furnace ・CDQ BF ・High efficiency ignition burner (Δ50%) Sinter ・Product cooler heat recovery 図表 3.1-18 15 •TRT Hot Stove •Combustion Control •Heat Exchanger (Δ15%) BOF rolling Rolling mills ・BOF gas recovery OG ・Off gas boiler ・Regenerative burner (Δ15%) 一貫製鉄所における代表的な省エネルギー技術 世界大百科事典 第2版より 45 これらの技術の中で、赤枠で示す比較的導入しやすい技術(各技術の省エネルギー率を赤 枠内に同時に示す)を増強時に導入した場合のガスバランスを図表 3.1-19 に示す。 Improvement Condition (Gcal/y) 1,400,000 LDG Residual Steam Boiler Melting shop Blast Furnace Cokes Oven Sinter COG 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 図表 3.1-19 O IL C onsum ption B F G BFG +LDG C onsum ption B F G BFG +LDG P roduction C onsum ption C O G C O G 0 P roduction 200,000 代表的な省エネルギー技術を導入した場合のガスバランス 省エネルギー技術を導入することでBガスの余剰も増えるがCガスの余剰も増え、Cガス の余剰熱量が加熱炉用燃料である Oil 熱量のほぼ 75%となることから、加熱炉用燃料の全量 副生ガスへの燃料転換が可能となる。省エネルギー設備を導入することにより副生ガスの余 剰が大きくなり、加熱炉の燃料を副生ガスに転換することで Oil の駆逐が可能となり、この 燃料転換がもっとも効率的な省エネルギーと考えられる。また、加熱炉燃料転換後余剰とな ったBガス、Cガス(図表中転炉から発生するLDガスも含む)は発電設備を設置し、発電 することでさらに省エネルギーが達成できる。30%の発電効率の発電設備を設置することで 230Gwh/y の電力削減も可能となる。 以上のように製鉄所全体としての省エネルギーを進めることで加熱炉の Oil から副生ガス への燃料転換が可能となる。リジェネバーナの設置に関しては現状の Oil を使用している状 況に対し、この副生ガスへの燃料転換時にリジェネバーナを設置することで投資の重複を避 けることができ、より効率的な省エネルギーが達成できると推定された。 ⑤ 提言技術のまとめ 圧延用加熱炉に関しての提言として ・ 熱交換器の点検・メンテナンスの推奨 ・ 測定機器、制御の復旧・正常化による適正な燃焼制御と炉圧制御の実施 ・ リジェネバーナ設置によるエネルギー削減 を提言した。 その中で、リジェネバーナ“No.13-1 Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System”をプロジェクト検討対象技術として、取り上げた リジェネバーナ技術の導入に関しては 46 ・ バーナ全部をリジェネバーナに更新する全体バーナ更新とバーナの一部を更新する部 分バーナ更新の二つの方法を検討対象とした。 ・ もう一つの検討対象として、A-Company の将来の増強計画時の副生ガスバランスを検 討し、加熱炉の Oil から副生ガスへの燃料転換を検討した。 後者の燃料転換に関しては、現有設備および将来計画設備に適切な技術を導入することで 副生ガスの余剰が生じ、加熱炉の Oil を全て副生ガスに切り替えることが可能であると推定 されることを提言した。 加熱炉の燃料転換が省エネルギー効果としては大きいものの、今回はプロジェクト検討対 象技術としては現状の Oil を使用した加熱炉へのリジェネバーナ適用を取り上げた。 47 3 . 2 B-C O M P AN Y に お け る 事 業 化 に 向 け た 具 体 的 な プ ロ ジ ェ ク ト の 検 討・特定 B-Company に関しては、図表 3.2-1 に示す日程およびメンバーにて訪問を実施した。 図表 3.2-1 B-Company 訪問実績 期間 第 1 回訪問 メンバー JFEテクノリサーチ:2 名 2014 年 9 月 9 日、10 日 9 日:概要説明および圧延加熱炉の見学 JFEスチール:2 名 10 日:概要説明および電気炉設備の見 学 第 2 回訪問 2014 年 11 月 20 日、21 日、22 日 JFEテクノリサーチ:2 名 対象設備・技術の調査・診断 JFEスチール:2 名 エンジニアリングメーカ 電気炉関係:2 名 加熱炉関係:2 名 第3回 2015 年 1 月 20 日:ハノイでのセミナー JFEテクノリサーチ:2 名 にて報告 3.2.1 JFEスチール:1 名 B-C O M P A N Y 概 要 図表 3.2-2 に本製鉄所の概要を示す。 Main Facilities Electric Arc Furnace ⇒ Consteel® System Capacity: 70ton/heat, 400,000ton/y Reheating Furnace Capacity: 50ton/h 250,000ton/y 図表 3.2-2 B-Company の概要 B-Company は電気炉および加熱炉を各 1 基有し、スクラップ 100%操業を実施している典 48 型的な電気炉製鉄所である。電気炉の能力が加熱炉の能力を上回っているが、現状は加熱炉 能力に合わせた操業を実施している。この製鉄所の特徴として、電気炉と加熱炉が車で約 2 時間離れているため、ビレットを陸上輸送に頼らざるを得ない点がある。 今回の対象とした電気炉、取鍋予熱装置および加熱炉の概要を下記に示す。これらの数値 は B-Company の資料およびヒアリングに基づいたものである。 電気炉 Consteel®16 type ・ スクラップ投入方式 ・ 平均出鋼量: 約 70 t-steel/heat ・ 平均電力原単位: 約 345 kwh/ t-steel ・ 平均酸素原単位: 約 39 m3N/ t-steel ・ 平均カ石炭(カーボン源)原単位: 約 24 kg/t-steel この電気炉はスクラップの連続投入機能を持つ Consteel® が採用されているところに大 きな特徴がある。Consteel® では電気炉の横方向から連続的にスクラップを供給すると同時 に、かつ電気炉からの排ガスがスクラップ供給ルートを通して排気されるため、排ガスによ るスクラップ予熱の効果もあることが特徴である。このスクラップの予熱効果もあり、電力 原単位は比較的良好である。また、酸素原単位は妥当なものの石炭原単位は高めの数値とな っている。 取鍋予熱装置 ・ 予熱装置:縦型取鍋予熱装置 2 基、横型取鍋予熱装置2基 ・ 燃料:石炭ガス化プラントによる石炭ガス ・ 燃料原単位:7 kg-coal/t-steel(360kg/h) ・ 平均予熱時間:40~50 分 取鍋予熱装置は、石炭をガス化したガスを燃料として使用していることころ(ガス化プラ ントについては後述)に特徴がある。 加熱炉 ・ 加熱炉能力: 50 t-steel/h ・ ホットチャージ率: ・ 燃料: (ウォーキングハース式) 0%(全てコールドチャージ) 石炭ガス化プラントによる石炭ガス ・ 燃料原単位:約 71 kg-coal/t-steel 52,600 kcal/t-steel:石炭発熱量 ・ 炉内温度: 7,350 kcal/kg 1,170℃ 一般的な加熱炉であるが、取鍋予熱装置と同様に石炭ガス化ガスを燃料として使用してい ることに特徴がある。以前は Oil を燃料としていたが、数年前にコスト的に安価な石炭に転 換している。 3.2.2 検討すべき省エネルギー課題の特定 第 1 回目訪問時に A-Company と同様に日本の技術を紹介し、工場全体の見学を実施する 16 http://www.tenovagroup.com/consteel_system.php?id_prodotto=8 49 と同時に、B-Company の持つ課題を中心にディスカッションを行った(図表 3.2-3)。この 製鉄所は電気炉と加熱炉が別の場所にあるため、各々の工場を訪問しディスカッションを実 施した。 図表 3.2-3 第2回訪問時説明風景 電気炉工場訪問 電気炉工場での関心事とディスカッション、現場見学を実施し、以下の項目に対し検討する こととした。 (1)電気炉省エネルギー技術 操業解析を実施し、酸素ランス、バーナ、コールインジェクション、最適電気炉制御 といった技術の適用に関する検討 (2)取鍋予熱の効率化 酸素バーナを適用した取鍋予熱の高効率化技術の適用 以上の項目の検討を前提に、第 2 回訪問で調査・検討を実施し、導入技術候補を特定するこ ととした。 圧延工場訪問 (3)圧延加熱炉の現状操業診断と燃料削減検討の能力増強可能性評価 (1)電気炉における省エネルギー技術の検討 第 2 回訪問時に、現地での操業に立ちあい(図表 3.2-4)、課題を抽出した後、適切な技術 導入を検討した。 50 図表 3.2-4 電気炉見学風景 ① 現地での操業観察 図表 3.2-5 に電気炉で立ち会った操業の観察結果を示す。 Scrap Charge (t) 80 60 Tap V(V) 100 tal e to g r a Ch ap r c S (t) 70.6 Scrap Charge 7ton 700 55.6 44.1 40.0 630V 40 1575℃ 1565℃ 630V 33.0 600 20 94 82.4 18.3 Slag off 0 0 Oxygen lance Carbon-Inj Current (kA) Power (MW) 10 30 25~30 40 20 30 3200~3300Nm3/hr 20~28 25~30 図表 3.2-5 (Unstable)~30 20~30 20~35 26~30 (min) 60 Tapping 50 25~35 30~32 30~35 30~32 現地立会い時の操業状況 立会い時の操業は以下のようなものであった。 ・ 前チャージからの溶鋼を 18 トン残し、連続的にスクラップを投入しながら通電を開始 ・ 通電 10 分後に炉蓋を開放し、スクラップを投入 ・ 再びスクラップを連続投入しながらスクラップ溶解を継続 ・ 通電 30 分後頃からスラグ排滓口からスラグフォーミングのためのカーボンインジェク ションを開始。これに伴いスラグ排滓口からスラグ流出開始。 ・ 通電 50 分過ぎから精錬期に入り、昇温を実施し約 70 トンを出鋼(再び溶鋼を残す) ② 操業における課題 操業観察を通して以下のような課題があげられた。 51 課題1:図表 3.2-6 に操業開始 10 分後のスクラップ装入後からの各電極の電流変動を示す (グ ラフは 10 分後が 0second に相当)。電流変動を見ると、No.1 電極の変動が最も激しく、No3. 電極が最も安定しており、操業開始 30 分後(グラフで 1200seconds に相当)には全ての電 極の電流が安定したものとなっている。この電極間のアンバランスが一つの課題である。 Unstable arc current #1,#2 fluctuate ,#3 stable (A) (second) 図表 3.2-6 通電開始 10 分後からの各電極の電流変動 課題2:図表 3.2-6 からわかるように A-Company と同様にスクラップ溶解期の各電極の電 流変動が激しい。そのためにやはり電力投入効率が低くなっていると推定される。 ③ 改善の提言 課題1に関して電極間の電流アンバランスは以下のような現象に起因すると考えらえる。 図表 3.2-6 の現象から図表 3.2-7 のような炉内状況を推定した。 #2(B) # 1(A) #3(C) EBT Molten Steel Circulation Scrap Oxygen lance Carbon Injection 図表 3.2-7 推定される炉内状況 スクラップは図表中右側から連続的に供給される。そのため、スクラップ供給側にスクラ 52 ップが残りやすく、No.1,No.3 電極の電流は変動しやすくなっていると推定された。また、 スクラップ溶解後期にはスラグ排滓口からスラグフォーミングのためのカーボンインジェク ションが実施されるが、フォーミングしたスラグがすぐにスラグ排滓口から排出され炉全体 をカバーしきれず、そのため同時に高いカーボン原単位になっていると推定された。 以上のような現象から図表 3.2-8 に示すような提言を実施した。 Oxy-fuel burner Non-melted scrap Burner and Carbon Injection Carbon Injection Molten steel Circulation Burner and Carbon Injection Oxygen lance 図表 3.2-8 Carbon Injection 電極間の電流アンバランスへの提言 未溶解のスクラップが存在する電極の背部にバーナを設置することにより、溶解を促進す る。また、カーボンインジェクションについても設置場所を変更することで、フォーミング スラグでより効果的に電極を包み込むことが可能となり、電力原単位の削減が可能となる。 さらにドアバーナを設置することで効果的なスクラップ溶解を実現できる。以上のようなポ ジティブリスト内の“No.6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of Direct Suction Type Dust Collector) “さらには Oxy-fuel Burners/Lancing 技術の一つであるド アバーナを設置することで一層のエネルギー効率の向上が可能となる。この技術の適用によ り 20kwh/ t-steel の電力削減が可能である。同時にカーボン原単位も 10 ㎏-coal / t-steel 程度 にまで削減が可能となる。バーナ技術の適用には補助燃料の使用が必要であるが、本製鉄所 では外部から調達する必要がある。地域的な要因から Oil または石炭の選択肢となるが、石 炭は着火安定性に課題があり適用は難しいと考えられる。 一方、課題2の電流変動に対しては A-Company と同様に技術ポジティブリスト内の “No.11 Control and Automation for EAF Optimization”の適用が提言できる。前述した新しい Optimum Power Regulation System を導入することで効率的な電力投入が可能となる。この 技術の採用により 10kwh/ t-steel の電力削減が可能である。 ④ 提言技術のまとめ 以上のように操業観察を通して、以下の技術の提言を実施した。 ・ “No.6 Oxy-fuel Burners/Lancing (together with enough capacity of Direct Suction Type Dust Collector) “ ・ “No.11 Control and Automation for EAF Optimization” 53 これらの提言の効果について図表 3.2-9 にまとめる。 図表 3.2-9 B-Company 電気炉における提言の効果 Electric Power Items Effect Saving kWh/t-steel Introduction of Oxy-fuel Electric Power Saving Burner System & Multi Point Other merit Injection 1. Saving Power on time (△5min) System 20 2. Yield up by 1% Electrode Regulation and Electric Power Saving Automation Control for EAF Other merit Optimization 10 1. Saving Power on time (△ 3 min) total 30 (2)取鍋予熱の燃料削減検討 取鍋の予熱装置は図表 3.2-10 に示すように石炭ガス化装置によりガスを発生させ、このガ スにより取鍋を予熱している。 Coal Gasification Gas 図表 3.2-10 取鍋の予熱の仕組み ① 現地での操業観察 石炭ガス化装置は充填層方式のガス化炉で下部から空気を吹き込み、石炭を部分燃焼させ ることでガスを製造する。ガスの必要量に応じて空気の吹き込み量を制御し同時にガス化炉 の上部ガス温度を 300℃になるように石炭を装入することで制御している。発生するガスの 発熱量は 1300kcal/m3N 前後で冷却をせず発生したガス温度 300℃のまま利用されている。 また、取鍋の予熱時間に関しては図表 3.2-11 に示すようなサイクルで回転しているとから 決まってくる。 54 EAF LF Ladle#1 Ladle#2 1hr CC Ladle#3 Pre-heater 図表 3.2-11 取鍋のタイムサイクル 取鍋は、連続鋳造機(CC)で連続的に溶鋼を鋳造するために、CC に滞留しなければなら ず、そのため連鋳機での滞留終了後から電気炉(EAF)で溶鋼を受けるまでの時間に相当す る 40~50 分の待ち時間に、取鍋の冷却およびそれによる EAF からの受鋼時の溶鋼温度低下 を防止するために予熱を実施される。 ② 操業における課題 現状の予熱完了時の取鍋内温度は 800℃前後となっている。石炭ガス化炉から発生するガ ス発熱量は 1300kcal/m3N 前後と低いため、十分に高温のフレーム温度が得られていないと 推定される。 ③ 改善の提言 ポジティブリストで提言した“No.9.2 Ladle Preheating: Oxygen/fuel burner Total system”、いわゆる酸素バーナを提言することができる。酸素バーナの採用により現状より高 いフレーム温度を得ることが可能となり、より高温の取鍋予熱が実現できる。 一方予熱技術とは別に操業の改善により燃料を削減できる可能性がある。図表 3.2-11 に示 したように現状の取鍋のタイムスケジュールは電気炉での溶製と連続鋳造の時間の関係に律 速され、40~50 分の待ち時間が生じている。そのため別の対策により EAF の操業時間が短 縮できた場合、図表 3.2-12 に示すように現状 3 つ使用している取鍋を 2 つに削減しかつほと んど取鍋に待ち時間を作ることなく操業することが可能となる。 If EAF time is reduced… EAF LF Ladle#1 Ladle#2 1hr CC Ladle#3 Pre-heater 図表 3.2-12 EAF 時間短縮時の取鍋のタイムサイクル この場合取鍋は連続鋳造終了後にすぐに電気炉の出鋼を受けることができるため、取鍋の 温度は下がらず、予熱の必要性はなくなる。しかしながら EAF の時間短縮は別の対策となる ため、今回の提言には含めないこととしたが、省エネルギーを評価する観点からは常に考慮 しておく必要がある。 55 ④ 提言技術のまとめ 以上のような検討を通して、以下の技術の提言を実施した。 図表 3.2-13 に検討結果を示す。 図表 3.2-13 B-Company における取鍋予熱装置に関する提言の効果 Original burner Burner capacity 2250Mcal/h Fuel consumption 7.0kg/ton Coal Gasification gas (80~100%O2) 1890m3/h Supplied O2(80~100%) volume *1 O2 burner → 45~55% down Nothing 1000Mcal/h 3.5kg/ton 840m3/h 200~250m3/h 本技術は石炭使用量を約 50%削減することが可能となる。しかしながら同時に予熱するた めの酸素が必要であるが本製鉄所は酸素製造装置を有していることから安価な酸素が入手可 能であり、十分に適用の可能性がある。 (3)圧延加熱炉の燃料削減検討 B-Company の加熱炉では取鍋予熱装置と同様に図表 3.2-14 に示すような石炭ガス化によ るガスを燃料として使用している。ガス化方式の原理は取鍋予熱装置と全く同じであるが、 ガス使用量の点からはるかに大きな設備となっており、そのガス化プロセスを図表 3.2-15 に 示す。本ガス化プロセスではガス化炉に空気を吹き込み部分燃焼によりガスを製造し、冷却、 昇圧、ドレン分離後、加熱炉へ燃料ガスとして供給されている点に特徴がある。発生するガ スは 1,350kcal/m3N と低発熱量ガスとなっている。 Coal Gasification Gas 図表 3.2-14 石炭ガス化炉 Reheating Furnace Capacity: 50ton/h 250,000ton/y 圧延加熱炉への燃料供給の仕組み 冷却 図表 3.2-15 昇圧 石炭ガス化プロセス 56 加熱炉へ A-Company の加熱炉と同様に、現地での操業に立ちあい、課題を抽出した後、適切な技 術導入を検討した。 ① 現地での操業観察 図表 3.2-16 に操業中の加熱炉における操業状況をまとめた結果を示す。 図表 3.2-16 操業中の加熱炉における操業状況 Production on November 20,2014 Furnace condition Zone1 Zone2 Zone3 Zone4 Zone temperature (℃) 1031 1031 1168 1168 Gas flow rate (m3N/h) ? ? ? ? 5750 11500 ? ? Air flow rate (m3N/h) Waste gas temperature (℃) Inlet 845 Waste gas temperature (℃) outlet 389(?) Hot air temperature (℃) 553(?) Furnace pressure (mmH2O) 1.72 Material condition Size (mm) 130 x 130 x 12000 Charging temperature (℃) 20 Production rate (t/h) 50 図表 3.2-16 が示すように数値が正確に把握されていないものがあった。これらは計器の故 障等に起因するものであり、正確な数値を把握することは操業管理を進めるうえで重要であ ることから、しっかりしたメンテナンスが必要である。 操業観察時は、炉温は 1,168℃、処理能力 50 t-steel/h で操業されていた。正確な石炭およ びガスの使用量は把握できず、この時点での燃料原単位は正確に評価できなかった。 ② 操業における課題 前述したように操業上の数値で把握されていないものが多く、今後操業管理を進めていく 上で、これらの数値の整備(測定装置のメンテも含め)、および数値を管理していくことが 重要である。 炉周りの観察を通し、以下のような課題が見られた。 課題1:熱交換器の温度計の点検が必要であること 課題2:適正な空燃比(燃焼空気量/燃料使用量)の設定が必要であること 課題3:適正な炉圧制御を実施すること これらの課題は推定部分もあり、今後点検・是正が必要である。 課題4:リジェネバーナ適用の検討 燃料の削減および炉の能力が仕様に達成していないことに関してはポジティブリスト中 “No.13-1 Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System”、いわゆ 57 るリジェネバーナの導入により達成できる可能性が高く、この点に関しても評価を実施した。 以上課題1~課題3は操業上の改善に関する課題であり、課題4は新しい技術の導入に関 する検討となる。 ③ 改善の提言 課題1は熱交換器出口の温度測定に関するものである。図表 3.2-16 に示すように予熱空気 温度が排ガス出口温度よりも高く表示されていた。熱交換器が並流型熱交換器であることか ら考えにくく、温度計も含めた点検が必要である。また A-Company と同様に予熱温度の上 昇の手段として並流型から交流型に改造することは提言できる。 課題2では、炉内観察によると炉の負荷の変更により燃焼状態が変わっていることが確認 できた。同時に燃焼用空気量はマニュアルで設定されており、また燃料の使用量についても 表示されていないことから空燃比制御が実施されていないことがわかる。空気量が過剰な場 合は排ガス量が増加することで排ガス熱損失が増加し、逆に少ない場合は燃料の不完全燃焼 につながり、エネルギーの損失となる。 課題3に関しては、基本的には正圧となっていたが、炉圧も表示されておらず制御自身は 実施されていなかった。観察ではやはり炉からのガスの噴出し・外気の吸い込みが見られた。 ガスの噴出しは熱のロスにつながり、外気の吸い込みは炉を冷やすことになりやはり熱のロ スにつながる。 これら課題1~3は現状の操業改善への提言となる。測定機器(センサー)のメンテ、正 確な測定機器による制御機能の保持等がまずは求められる。さらに操業の測定結果の記録・ 管理をしっかりとおこない、操業を正常な状態に維持するエネルギーマネージメントシステ ムの構築というステップに移行することが必要である。 課題4のリジェネバーナの導入に関しては炉の配置・操業等を考慮し、A-Company と同 様に全体バーナ交換と部分バーナ交換を提言した。本加熱炉は A-Company と比較すると、 使用している燃料が異なっている点を除けば、ほぼ同様な構造・構成となっている。図表 3.2-17 に部分バーナ交換に関する計画図を示すが、A-Company と全く同じ改造となる。 Existing burner After modification Zone1 & 2 Regenerative burner 2pairs Zone1 & 2 burner : 2+4 Zone3 and 4 Burner : 10 (same as existing) Zone3 & 4 Burner : 10 図表 3.2-17 バーナ部分交換計画図 58 図表 3.2-18 にその効果を示す。この効果についても A-Company と同じ数値となる。 図表 3.2-18 全体バーナ交換と部分バーナ交換の効果の比較 Case Energy saving ratio Shut down period A Replace all burners Zone 1 ~ 4 15% 4weeks B Replace burners in Zone1 & 2 10% 3weeks A-Company と同様に全体バーナ交換は効果が大きいもののバーナ本数の多い Zoen3 と Zone4 の改造も含まれるため、効果に対し投資は大きく増加する。部分バーナ交換時、効果 は小さくなるが改造範囲は小さく投資も小さくなる。どちらを選択するかに関しては経済性 を考慮する必要がある。ただし、図表中のメリットは観察および各種得られた数値をもとに 評価したもので、操業上の数値で不明確なところもあり、精査が必要である。 一方、現状能力が仕様に対し不足している点に関しては、バーナ能力の増強が提言される。 一方で、本加熱炉では 1,350kcal/m3N といった低発熱量ガスを使用しているため、加熱炉内 炉温が上がりにくくなっている点がある。リジェネバーナでは高温の空気を回収することか ら、フレームの温度が上昇することで炉温を高くすることができること、同時に熱回収によ りバーナの能力も大きくできることから、加熱炉能力の上昇が可能となる。 ④ 提言技術のまとめ 圧延用加熱炉に関しての提言として ・ 熱交換器の温度計の点検の推奨 ・ 測定機器、制御の復旧・正常化による適正な燃焼制御と炉圧制御の実施 ・ リジェネバーナ設置によるエネルギー削減 を提言した。 リジェネバーナ“No.13-1 Preheating temperature ≧1000℃ by Regenerative Burner Total System”を JCM 検討対象技術として、取り上げた リジェネバーナ技術の導入に関しては、バーナ全部をリジェネバーナに更新する全体バー ナ更新とバーナの一部を更新する部分バーナ更新の二つの方法を検討対象とした。 リジェネバーナの導入により省エネルギーのみでなく、炉能力の改善にもつながり、操 業改善に大きく寄与することが予想される。 59 3 .3 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 及 び CO2 排 出 削 減 量 の 試 算 お よ び 経 済 性 評 価 導入候補対象技術に対してエネルギー消費量、CO2 排出削減量の試算および経済性の評価 を実施した。設備投資に関しては各エンジニアリングメーカの見積もりをベースとして実施 した。 評価にあたっては、図表 3.3-1 に示す前提条件を使用した。ベトナムでは一般的に設備償 却期間は 10 年、また現在のベトナム国内銀行からの借り金利は 8~12%、貸付期間は 6 年程 度が通常である。また付加価値税(VAT)が 10%となっており、この点は国内の取引に関し てのみ適用されるものとした。 CO2 係数については前述したが再度図表 3.3-2 に示す。 図表 3.3-1 経済性評価時の前提条件 Estimated condition Depreciation period 10years Remaining book value 10% Interest rate 10.0 % Depreciation method Fixed Installment Budget Loan from the bank Loan period 6 years Maintenance Expense 3 % of initial investment /year Depreciation period 10years 図表 3.3-2 CO2 排出係数(再掲) Conversion factor 3.3.1 CO2 Coefficient for Electric Power 0.564 t-CO2/MWh CO2 Coefficient for Fuel Energy 5.9GJ-CO2/MWh A-C O M P A N Y に お け る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 及 び C O 2 排 出 削 減 量 の 試算および経済性評価 A-Company の対象技術として以下の 4 つを検討した。 電気炉技術 1. Direct Suction Dust Collector & Installment of Oxy-fuel burner system 直接吸引システムを持つ酸素バーナ技術の導入 2. Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization 電気炉の電極制御システム 圧延加熱炉技術 3. Regenerative Burner Total System :Replacement of all burners 4. Regenerative Burner Total System :Replacement of partial burners 60 リジェネバーナシステムの全体バーナ交換と部分バーナ交換 また、この時試算に使用したエネルギーコストを図表 3.3-2 に示す。この数値はヒアリン グに基づくものである。 図表 3.3-2 エネルギーコスト Utility price Electric power price 1,374VDN/kwh Coal price 4,414VDN/kg Oil price (Assumed) 19,751VDN/l COG Price 0.0VDN/m3N *)Exchange rate 21,358 VND/USD また、経済性の試算では独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の 平成 26 年度の委託事業17を利用できた場合の経済性評価を実施した。平成 26 年度の NEDO の委託事業は、全体の投資の中で日本ポーションを委託事業で実施する事業であり、4 年の 償却期間(残存簿価 10%)に関し 1 年の償却後にこの日本ポーションを買い取る仕組みとな っている。この委託事業を実施できたとした時の回収年数を同時に評価した。 ( 1 ) エ ネ ル ギ ー 消 費 量 及 び CO2 排 出 削 減 量 の 試 算 電気炉技術 1. Direct Suction Dust Collector & Installment of Oxy-fuel burner system 直接吸引システムを持つ酸素バーナ技術の導入 直接吸引システムおよびバーナの改善により 25kwh/t-steel の電力削減が可能であり、これ がエネルギー削減効果となる一方で補助燃料が必要となる。補助燃料は A-Company で余剰 になっていると推定されるコークス炉から発生するCガスを使用することで検討を実施し た。 電気炉で使用されるCガスは放散されているためコストはないと仮定した。また、Cガスの 組成は図表 3.1-17 に従って以下のように設定した。 Cガス: 使用量 11.1 m3N/t-steel (天然ガス 10 m3N/t-stee 相当の熱量) Cガス起因の CO2 発生量: 0.21 t-CO2/ t-steel また、Cガスの使用に関しては約 0.3MPa まで昇圧する必要があり、この電気量について も同様に 0.138kwh/m3N の動力を考慮した。 以上の前提によりエネルギー削減量、CO2 発生量を評価した。 2. Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization http://www.nedo.go.jp/koubo/EX2_100021.html、平成 26 年度「地球温暖化対策技術普及等推 進事業」(JCM 実証事業)に係る公募について 17 61 電気炉の電極制御システム 電気炉の電極システム技術導入は電極の制御の高度化をはかることにより電力原単位を削 減するものである。このメリットは電力使用量 10 kwh/ t-steel の削減につながり、電力削減 によるメリットを享受できる。 加熱炉技術 3. Regenerative Burner Total System :Replacement of all burners 4. Regenerative Burner Total System :Replacement of partial burners リジェネバーナシステムの全体バーナ交換と部分バーナ交換 リジェネバーナシステム技術の適用は加熱炉に投入する燃料の削減に直接つながるもので ある。今回の評価では使用している Oil の削減をメリットの対象とした。 以上をもとに評価した結果を図表 3.3-3 に示す。 図表 3.3-3 CO2 削減量とエネルギー削減量の評価 Electrical Arc Furnace Direct Technology Suction Collector Dust and Installment of Oxy-fuel burner system Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization Electric power Saving Electric of EAF 25kwh/t-steel Merit: Reheating Furnace Regenerative burner : Replacement of all burners Regenerative burner : Replacement of partial burners power Fuel Saving at Reheating Saving of EAF Furnace (Requires Consumption 10kwh/ t-steel Each Energy Saving 15% & of 10% COG gas 11.1m3N/t t-steel) CO2 Reduction (t-CO2 /y) Energy Saving (GJ/y) *1) ▲ 2,798 *1) ▲ 23,435 2,142 2,411 1,607 22,511 32,368 21,578 If COG is assumed to be free of carbon, the result is 5,326t-CO2/y & 56,068 GJ/y Direct Suction Dust Collector & Installment of Oxy-fuel burner system の CO2 削減、エネ ルギー削減量の評価の結果は、C ガス起因の CO2 およびエネルギーを評価した数値であり、 トータルとしては逆に CO2 増、エネルギー増となっている。一方、C ガスが放散されてい ることが確認できた場合、放散しているガスを使用していることになり、図表 3.3-3 *1)に示 すように CO2 削減、エネルギー削減につながる。JCM プロジェクトにするためには C ガス が加熱炉に使用できる十分な量が放散されていることを確認する必要がある。 62 (2)経済性評価の試算 エンジニアリングメーカの見積もりに基づいた投資額をもとに、投資の回収年数および内 部利益率(IRR:10 年)を試算した結果を図表 3.3-4 に示す。また同時に NEDO の委託事業 を利用できた場合の投資回収年数を試算した。NEDO の委託事業の回収年数を試算するため に日本ポーションの投資金額も同時に評価している。 図表 3.3-4 各技術の経済性評価(回収年数の評価) Electrical Arc Furnace Direct Dust Suction Electrode Collector Regulation and and Installment Automation Technology of Oxy-fuel Control for EAF burner system Optimization Reheating Furnace Regenerative Regenerative burner : burner : Replacement of Replacement of all burners partial burners Investment 3,000,000 600,000 4,300,000 2,100,000 VND 66,423,380,000 12,942,948,000 93,676,188,000 45,748,836,000 63.3 90.0 80.0 80.0 8.1 2.7 8.7 6.1 4.6 35.5 2.8 10.8 US$ Japanese portion (%) Pay Back (years) IRR (%) In the case of Application of NEDO Scheme Pay Back (years) 6.3 2.3 6.2 4.3 ベトナム国内での銀行の貸付期間が 6 年であることを考慮すると、4 つの技術の中では電 気炉の Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization が最も回収年数が 短くプロジェクトになる可能性が高い。一方圧延加熱炉のリジェネバーナシステム技術に関 して全体バーナ交換は NEDO の委託事業を受けても回収年数が長く、経済性からプロジェク トとして難しいが、部分バーナ交換は委託事業を受けた場合はプロジェクト対象となる可能 性があるが、A-Company の加熱炉に関しては、Oil から副生ガスへの燃料転換が最も経済的 であり、その時点でのリジェネバーナの採用が望まれる。 3.3.2 B-C O M P A N Y に お け る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 及 び CO2 排 出 削 減 量 の 試 算および経済性評価 B-Company の対象技術として以下の 7 つを検討した。 電気炉技術 63 1. Installment of Oxy-fuel burner system with oil as a fuel 2. Installment of Oxy-fuel burner system with coal as a fuel 電気炉へのバーナシステムの導入 導入技術に関しては補助燃料として Oil を使用した場合と石炭を利用した場合を検討した。 3. Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization 4. Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization with hardware 電気炉の電極制御システム技術の導入 本システムについては B-Company の要望もあり、制御のみの改造と、制御とともに関連 したハードすべてを導入した場合の 2 種類について検討した。制御のみを導入してもハード が追従しない可能性もあり、実際のプロジェクト遂行にはさらに調査・検討が必要であり、 これらの投資の中間に最終的に必要な投資が存在するものと考えられる。 加熱技術 5. Ladle Preheating 取鍋の予熱装置としての酸素バーナ技術導入 6. Regenerative Burner Total System :Replacement of all burners 7. Regenerative Burner Total System :Replacement of partial burners リジェネバーナシステムの全体バーナ交換と部分バーナ交換 また、経済性評価に使用したエネルギーコストを図表 3.3-5 に示す。 図表 3.3-5 エネルギーコスト Utility price Electric power price 1,484VDN/kwh Coal price 3,441VDN/kg Oil price (Assumed) 19,751VDN/l *)Exchange rate 21,358 VND/USD また、経済性の計算時には前述と同様に、NEDO の委託事業を利用できた場合の経済性評 価も同時に実施した。 (1)エネルギー消費量及びCO2排出削減量の試算 電気炉技術 1. Installment of Oxy-fuel burner system with oil as a fuel 2. Installment of Oxy-fuel burner system with coal as a fuel 電気炉へのバーナシステムの導入 バーナ技術の導入により 20kwh/t-steel の削減が可能であり、これがエネルギー削減効果と なる一方で補助燃料が必要となる。補助燃料として Oil、あるいは石炭を利用した場合を検討 した。 電気炉での CO2 削減、エネルギー使用量削減に関してはスラグフォーミングに使用され 64 ている石炭が 15 ㎏-coal/t-steel 削減されることを前提とし、一方補助燃料としては Oil また は石炭を利用する場合に関し評価するものとし、各々図表 3.3-6 図表 3.3-6 のように数値を設定した。 補助燃料の評価のために使用した各種数値 Heavy oil Coal (grade A) (data* from B company) 10 l/t-steel 15 kg-coal /t-steel 発熱量, kcal/kg-coal 8,800 6,500 カーボン, kg/kg-coal 0.87 0.85 CO2 発生量,t-CO2/t-steel 3.19 3.12 使用量 *: Moisture: 2,703%, Ash: 12,48%, Volatile matter:3.21%, Carbon: 84.31% 以上の前提によりエネルギー削減量、CO2 発生量を評価した。 3. Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization 4. Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization with hardware 電気炉の電極制御システム技術の導入 電気炉の電極システム技術導入は電極の制御の高度化をはかることにより電力原単位を削 減するものである。このメリットは電力使用量 10 kwh/ t-steel の削減につながり、電力削減 によるメリットを享受できる。 加熱技術 5. Ladle Preheating 取鍋の予熱装置としての酸素バーナ技術導入 酸素バーナの技術導入では 45~55%の燃料削減が可能である。バーナ使用に伴う酸素の使 用量は酸素濃度 80%になるように供給するものとし、またメリットに関しては保守的に評価 することとし、40%の燃料削減として評価した。同時に酸素バーナには酸素が必要であるが、 本製鉄所は酸素プラントを有している。酸素は酸素プラントの電力使用により製造され、こ の酸素製造の電力原単位は 1.57kwh/m3N-O2 であり本数値を採用した。 削減対象となる石炭は、前記した電気炉に使用される石炭と同じものである。 この取鍋予熱に関しては操業によってはタイムサイクルが変更となる可能性を残してお り、この点についてのフォローが必要となる。 6. Regenerative Burner Total System :Replacement of all burners 7. Regenerative Burner Total System :Replacement of partial burners リジェネバーナシステムの全体バーナ交換と部分バーナ交換 ジェネバーナシステム技術の適用は A-Company と同様に加熱炉に投入する燃料の削減 に直接つながるものである。今回の場合は石炭使用量の削減となる。 以上をもとに評価した結果を、電気炉については図表 3.3-7、加熱関係については図表 3.3-8 に示す。 65 図表 3.3-7 電気炉技術の CO2 削減量とエネルギー削減量の評価 Electrical Arc Furnace Technology Electrode Installment of Installment of Electrode Oxy-fuel Oxy-fuel burner Regulation burner system system Automation and with oil as a with coal as a Control for EAF fuel Optimization fuel Regulation and Automation Control for EAF Optimization with hardware Electric power Saving of EAF Electric power Saving of EAF 10kwh/ Merit: 25kwh/t-steel t-steel (Requires Consumption of Control system only, and Control 5 l/t-steel for oil, system with hardware 15 kg-coal/t-steel for coal CO2 Reduction (t-CO2 /y) Energy Saving (GJ/y) 4,484 2,848 1,424 1,424 40,020 29,979 14,990 14,990 図表 3.3-8 加熱技術の CO2 削減量とエネルギー削減量の評価 Heating Technology Technology Merit: Ladle Preheater with oxygen/fuel burner Reduction of fuel at Ladle Preheating Energy Saving CO2 Reduction (t-CO2 /y) Energy Saving (GJ/y) 40% Regenerative burner : Replacement of Regenerative burner : all Replacement of partial burners burners Fuel Saving at Reheating Furnace Each Energy Saving 15% & 10% 2,238 8,156 5,437 20,294 80,590 53,727 (2)経済性評価の試算 以下にエンジニアリングメーカの見積もりに基づいた投資額をもとに、投資の回収年数と IRR(10 年)を試算した結果を電気炉関係については図表 3.3-9 に、加熱関係については図 表 3.3-10 に示す。また同時に NEDO の委託事業を利用できた場合の投資回収年数を試算し た。NEDO の委託事業の回収年数を試算するために日本ポーションの投資金額も同時に評価 66 している。 図表 3.3-9 電気炉技術 各技術の経済性評価(回収年数の評価) Electrical Arc Furnace Technology Electrode Installment of Installment of Electrode Oxy-fuel burner Oxy-fuel burner Regulation system system Automation Control and with oil as a with coal as a for fuel EAF Optimization fuel Regulation and Automation Control for EAF Optimization with hardware Investment US$ 2,000,000 2,000,000 VND 43,997,480,000 43,997,480,000 Japanese portion(%) Pay Back (years) IRR (%) 800,000 17,257,264,000 2,200,000 47,457,476,000 70.0 70.0 90.0 90.0 No return 9.6 7.2 27.6 - 0.8 7.4 ▲ 17.3 4.9 14.3 In the case of Application of NEDO Scheme Pay Back No return (years) 図表 3.3-10 7.1 加熱技術の経済性評価(回収年数の評価) Heating Technology Ladle Preheater with Technology oxygen/fuel burner Regenerative burner : Replacement of Regenerative burner : all Replacement of partial burners burners Investment US$ 225,000 4,300,000 2,100,000 VND 4,997,772,000 93,676,188,000 45,748,836,000 Japanese 70.0 80.0 80.0 Pay Back (years) 3.0 20.2 13.2 IRR (%) 33.3 Δ12.0 Δ5.0 portion(%) In the case of Application of NEDO Scheme Pay Back (years) 2.2 12.3 67 8.8 電気炉技術の Installment of Oxy-fuel burner system では Oil を補助燃料として使用した場 合、Oil 価格が電力や石炭に対し高いことから投資を回収できない。また、石炭を補助燃料と した場合も良い回収年数とはならない。これは電気代が石炭や Oil に比較し安価であること に起因している。しかしながら今後電気代が上昇したのちには検討対象となる可能性は残さ れている。 ベトナム国内での銀行の貸付期間が 6 年であることを考慮すると、これらの技術の中では Ladle Preheater with oxygen/fuel burner(酸素バーナ)が最も回収年数が短くプロジェクト になる可能性が高い。また、電極制御システムについては改造の範囲を限定した場合は回収 年数的にも可能性があるが、ハードに関する改造範囲を見極める必要があり、さらに調査・ 診断が望まれる。一方加熱炉のリジェネバーナシステム技術に関しては、全体バーナ交換に 較べて経済性が良い部分バーナ交換においても、NEDO の委託事業を受けても回収年数が長 く、適用対象となりにくい。ただし炉能力の復旧・増強と言う効果ももっており、これらメ リットも含めた検討が必要である。 2社の経済性評価を実施した結果、ベトナム鉄鋼業での上記省エネルギーを適用していく 上で下記のような課題が見られる。 電気炉のバーナ技術に関しては、補助燃料の使用により電力を削減することが目的である が、電気代が燃料に比較して安価であること,またベトナム国内での電力の CO2 係数が低い ことから CO2 削減、経済性評価の両方の面で成立しにくい技術となっている。今後、情勢 変化で電力 CO2 係数の上昇、電気代の上昇になった場合、成立する技術と考えられる。 燃料削減の技術に関しても、まだベトナム国内のエネルギー価格が比較的安価であること から成立しにくい技術が多い。またその中で、リジェネバーナ等加熱技術について既設バー ナの交換を前提とした改造を実施する場合は改造工事となるためコストがかかると同時に改 造に時間を要し、時間的制約とともに経済性の面でも適用が難しい。部分バーナ交換とする ことによりメリットは小さくなるものの経済的には大幅に改善する。加熱炉等新設にあわせ てリジェネバーナの導入を前提とした場合であれば、大幅にコストダウンが可能となる。 3.4 ファイナンス手法の検討 本調査結果のプロジェクトの事業化実現につながるような有効な資金調達スキームを検討 するため、ベトナムにおけるファイナンス状況及びベトナム国内の支援策の調査・ヒアリン グを行った。 ベトナム政府や関係機関、商業銀行による資金援助措置としては、製鉄業向けに特別なも のはない。しかし、近年、下記のような施策が打ち出されており、この中に、省エネ機器や 技術の導入について適用できると考えられるものがある。 (1)財務省(Ministry of Finance)関連 ①法人税 ベトナム国会は、2014 年 11 月 26 日付け Law No. 71/2014/QH13 を承認しており、この中 68 で、法人税一般の改訂を規定している。これによると、標準的法人税は、従来 25%だったが、 2015 年1月1日より 22%に下げられる。さらに、総収入が 200 億ドンを超えない企業につい ては 20%となる。また、省エネや高グレード鉄鋼生産に関わる新規投資プロジェクトを行う 企業については、2016 年1月1日より、優遇税率 17%が適用される。 ②減価償却 財務省の 2013 年4月 25 日付け Circular No. 45/2013/TT-BTC で固定資産の減価償却期間 が定められている。これによると、製鉄関連(Metallurgical and anti rust and corrosion surface equipment)は最低7年、最高 15 年と定められている。この中では、省エネ機器に 関する特例などは規定されていない。 (2)計画投資省(Ministry of Planning and Investment)関連 ベトナムの企業の多くが、どちらかというと旧式だが安い機器を輸入しがちであるのに対 し、計画投資省は、新鋭の機器輸入を奨励するスタンスをとっている。具体的には、Law No.80/2006/QH11(2007 年7月発効)の下記のような規定により、税の免除・優遇が認めら れている。 44 条第2項:ベトナム国内で生産できない機器で、技術の研究・開発・更新に直接使われる 輸入品、ベトナム国内で開発できない技術、については輸入税が免除される。 44 条第3項:ベトナム国内ではまだ生産できない特別な機器については、付加価値税が免除 される。 44 条第4項:技術更新や生態環境改善にかかわる投資を行う企業は、それにより増えた収入 に対して法人税が4年間免除される。さらに、その後7年間、50%免除される。 (3)科学技術省(Ministry of Science and Technology)関連 2015 年1月より、「National Technology Innovation Fund」が正式に発足した(根拠法 令は 2013 年の Decision No. 1051/QD-TTg dated July 03, 2013 of the Prime Minister)。 これは、科学技術省傘下の「独立」組織で、社会・経済の開発や、高度・新鋭技術の移転に 大きな影響を与えるような、科学・技術プロジェクトを行う組織、企業、個人に対して資金 助成を行う基金である。登録資本金は1兆ドン(約 4600 万ドル)。 資本金の半分(5000 億ドン)までを、企業による科学的・技術的調査やその応用に対する 援助に充当できる。残り半分(5000 億ドン)までを、技術移転などを行う企業に対して借入 れの保証やソフトローンの形で提供できる。 2015 年は、初年度ということで、年間予算規模は 3000 億ドン(約 1400 万ドル)で、企業 による調査プロジェクトに対する資金助成を主に行う予定である。現在、最初の助成対象を 決めようとしている最中である。 本基金の設立は、特に、新規技術を取り入れようとするベトナムの小規模企業にとり、意 義が大きいと考えられている。 なお、「独立組織」とされているが、同基金の「Science and Technology Council」が助 成対象を決め、この Council には、科学技術省の代表者が入るので、実質は科学技術省の意 69 向で資金助成対象が採択されると考えられる。 (4)商工省(Ministry of Industry and Trade)関連 過去に、ドイツ政府からの資金援助を受ける目的で、エネルギー節減にかかわる技術につ いてベトナム政府が支援策をとったことがあった。ただ、同施策は、調査段階で止まってし まった。その後、現在に至るまで、商工省関連では、省エネ機器・技術に関する資金支援措 置はみられない。また、同省にヒアリングしたところでは、当面も、そうした措置が導入さ れる計画がないとのことである。 (5)ベトナム開発銀行(Vietnam Development Bank、VDB) VDB はベトナム政府が 100%出資する政府系金融機関。首相決定 108 号(Decision No.108/2006/QD-TTG、2006 年)により、開発支援基金(Development Assistance Fund、DAF) を改組する形で、開発投資および輸出信用の供与を実施するための組織として、2006 年 7 月に設置された。VDB は銀行セクター全般の改革方針を示す首相決定 112 号(2006 年)、通 称「銀行セクターロードマップ」においても、開発投融資を担当する政策金融機関として、 商業銀行の機能とは一線を画した位置づけを与えられており、インフラ、産業開発分野の旺 盛な投資需要を満たし、ベトナムの継続的な高度経済成長に貢献することが期待されてい る。 省エネ技術に関するプロジェクトは、ベトナム開発銀行による貸付が優先的に行われる分 野とされている。ただし、主に中小規模の企業によるプロジェクトを対象とし、大手企業に よるプロジェクトは優先されないようである。なお、製鉄業一般については、同銀行による 優遇ローンなどはない。 (6)その他の銀行 そのほかの銀行による資金援助・貸し出し優遇措置について、ベトナム現地の下記銀行に ヒアリングを行った。これら銀行による貸し出し金利、期間、条件は図表 3.4-1 のようにな っている。省エネ機器・技術の導入もしくは製鉄業に向けた一般的な援助的貸し出しや優遇 措置はなく、ケース・バイ・ケースとのことである。 ・Vietinbank (Vietnam Joint Stock Commercial Bank for Industry and Trade、ベトナム 商工銀行):ベトナム中央銀行(State Bank of Vietnam)が過半数株を所有する国営大手銀 行。2012 年より三菱 UFJ 銀行が 20%出資。 ・Asia Commercial Bank (ACB):ベトナムの民間最大手銀行 ・TP Bank:2008 年設立の民間中堅銀行 ・HD Bank (Ho Chi Minh City Development Joint Stock Bank、ホーチミン市開発銀行): 1990 年設立の民間大手銀行。2013 年にベトナム最大の外資金融会社のひとつ Societe Generale Viet Finance (SGVF)を完全買収。国内金融機関による 100%外資金融機関の完全 70 買収はこれが初めて。 ・Viet Bank:2007 年設立の民間銀行。 以上のように、ベトナム開発銀行のような政府系金融機関や市中銀行では、省エネ機器や 技術の導入、製鉄業に向けた特別の優遇措置はなく、ケース・バイ・ケースである。 一方、ベトナム政府は、安いが時代遅れの設備については導入や輸入を制限し、省エネ技 術・設備の導入や高付加価値鉄鋼製品の開発に前向きな基本スタンスであるが、これまでは、 それを推進する具体化的な資金支援措置が欠けていた。しかし、2015 年に発足したばかりの 科学技術省関連「National Technology Innovation Fund」や、2016 年から適用される省エ ネや高グレード鉄鋼生産に関わる新規投資プロジェクトを行う企業に対する優遇税制など、 現在、資金的支援措置が具体化しつつあると言える。 これら新しい支援措置については、実際に特定の省エネプロジェクトが適用を受けられる かどうかは、当局への申請、交渉をおこなってみなければわからないところがある。したが って、前記でファイナンス関連の試算を行うにあたっては、市中銀行の一般貸し出し条件を ベースとした。 71 図表 3.4-1 Name of bank Vietinbank 参考:銀行の標準的貸し出し利率・期間 Interest rate for Interest rate for Medium-term loans/ Long-term loans/ Loan Period Loan Period Around of 11% Around of 11% Determined case-by-case. If the Branch can Maximum 7 years Maximum 7 years arrange the funding sources, the loan term can Notice be more than 7 years Asia Commercial from 8-11% from 8-11% Depends on customers’ requirements, capable of Bank (ACB) Maximum 84 months Maximum 84 months paying, value of collateral, etc TP Bank Around of 9.5% Around of 9.5% Grants credit case-by-case From 1 to 5 years More than 5 years but not exceeding 10 years HD Bank The Clients rated AAA ability: around The Clients rated AAA ability: around of Depends of 11.75%; 11.75%; Viet Bank the investment sector, capital-recovering capacity of the project, the the FDI enterprise: around of 10.75%. the FDI enterprise: around of 10.75%. Maximum 5 years on time of depreciation of fixed assets and so on. Maximum 20 years The first 3 months: 12%; from the 4th The first 3 months: 12%; from the 4th month: For real estate as loan collateral, the interest month: calculated on the 12 calculated on the 12 month-term deposit rate plus 0.5%. month-term deposit interest rate plus interest rate plus margin (currently applied: Principal margin (currently applied: 8+4.5%) 8+4.5%) within 3 months or 6 months and Interest Max 5 years From 5 to 10 years or longer amounts must pay per month; Allowed to repayment period: one time extend loan period in duration of operation, construction. 72 4.JCM方法論の検討 JCM 方法論の作成に当たっては本調査にて適用可能性の高い技術について考慮すること とした。作成に当たっては、2014 年 2 月に実施された日本・ベトナム国間の第 2 回合同委員 会にて合意された提案方法論開発ガイドラインに従って、簡潔で分かりやすく、なおかつ様々 な対象設備、リファレンスシナリオに対応できるような方法論となるよう努めた。(ガイド ラインによると方法論は英語で作成するものとあるが、ここでは、日本語とした)。 今回、3つの JCM 方法論を検討した。これらはいずれも、2.2.3 で記載した技術ポジティ ブリストに合致する技術である。 このようにして、本方法論においては、事業者が検討すべき項目を可能な限り簡素化し、 負荷を軽減することを考慮した。 以下にその方法論を示す。 (1)多変数情報に基ずく電極制御システム導入による電気炉省エネルギー技術 (2)取鍋加熱用酸素バーナ設備 (3)鉄鋼半製品加熱炉へのリジェネバーナの導入 73 4.1 「多変数情報に基ずく電極制御システム導入による電気炉省エ ネルギー技術」の方法論 スクラップ溶解を行う電気炉において、電力投入を行う電極の位置、タップ電圧選択を人 を極力介さない、かつ最適アルゴリズムが組まれた制御装置に改造する。その結果、電力の 効率投入および放熱時間の短縮により、電力由来の CO2 排出量を削減できる技術であること を記載する。 JCM 方法論提案書式 JCM 方法論提案書式のカバーシート 提案方法論を提出する際の書式 ホスト国 Socialist Republic of Vietnam 提案者の名称 JFE Steel JFE Techno-Research 適用される分野 4. Manufacturing industries 方法論の名称およびヴァージョン 多変数情報に基ずく電極制御システム導入 による電気炉省エネルギー技術 Version number: 1.0 本書式に添付される書類のリスト (対象にチェックを入れる): 草案 JCM-PDD: 追加情報 Date of completion 改定 ヴァージョン 年月日 改定内容 74 A. 方法論の名称 多変数情報に基ずく電極制御システム導入による電気炉省エネルギー技術 Version number: 1.0 B. 用語および定義 用語 ビレット(Billet) 定義 ビレット連続鋳造機で鋳造された角や円の断面をもつ 鋼の半製品 電気炉(EAF) 電極間のアーク放電によりスクラップを溶解する鉄鋼 精錬炉。同時に酸素ブローにて溶存する炭素等の不純物 を除去する。 ビレット連続鋳造機(CC) EAF にて溶解・精錬した溶鋼を、連続的に鋳造・凝固さ せ、角や円の断面の半製品(ビレット)を製造する装置 取鍋炉(LF) 必要に応じて、EAF と連鋳機の間に配置される。溶鋼中 の不純物(特に S)を除去する。 溶銑 高炉で生産される溶融状態の鉄。高炉から排出されたば かりの温度はおおよそ1500℃。主成分は鉄。4%程 度のCなどが含まれる。 型銑 溶銑を固めたもの 出鋼温度 電気炉での溶解が終了し、鍋に受け取る際に電気炉内で 測定する溶鋼の温度 C. 方法論の要約 項目 温暖化ガス削減の手法 要約 既存電気炉に対し、新型電極制御システムを導入する。電 気炉での電力投入効率を改善し、電気炉プロセス系内に投 入される電力および化石燃料等由来のCO2を削減する。 75 スクラップ 電力 型銑 電気炉 溶銑 LF 連鋳機 ビレット 炭材 天然ガス 重油 電力 蒸気 リファレンスの計算 酸素 プラント 他プロセス プロジェクト適用前にリファレンスデータ測定期間を設 ける。リファレンスデータ測定期間における、電気炉で使 用された電力量・化石燃料等の数量およびそれらの CO2 排出係数(ただし、プロジェクト期間の値を使用)から計 算する。 プロジェクト適用時の計 プロジェクト適用後に、電気炉で使用された電力量・化石 算 燃料等の数量およびそれらのCO2排出係数から計算する。 モニタリング対象 1) ビレットの生産量 2) 電気炉での電力使用量 3) 電気炉での型銑使用量 4) 電気炉での溶銑使用量 5) 電気炉での石炭使用量 6) 電気炉での天然ガス使用量 7) 電気炉での重油使用量 8) 電気炉での酸素使用量 9) 酸素プラントでの電力使用量 10) 酸素プラントでの蒸気使用量 11) 他プロセスでの酸素使用量 12) 電気炉での出鋼温度 D. 適格性要件 この方法論は以下の要件すべて満たすプロジェクトに適用される。 要件 1 既設の電気炉プロセスにおいて、電気炉の電極制御システムの導入によ り、エネルギー効率を改善するプロジェクト。 要件 2 導入前の電極制御システムが、インピーダンスのみに基づく電極制御シス テムであること。 要件 3 導入する電極制御システムが、多変数情報に基づく電極制御システムであ 76 ること。 要件 4 電気炉で溶製された溶鋼は全量、ビレットに鋳造される。 要件 5 リファレンスの出鋼温度とプロジェクトの出鋼温度の差が±10℃以内。 E. 排出源と温暖化ガスのタイプ リファレンス GHG タイプ 排出源 電気炉で使用する電力(グリッドから購入) CO2 電気炉で使用する型銑に由来する CO2 CO2 電気炉で使用する溶銑に由来する CO2 CO2 電気炉で使用する石炭に由来する CO2 CO2 電気炉で使用する天然ガスに由来する CO2 CO2 電気炉で使用する重油に由来する CO2 CO2 酸素プラントで使用する電力(グリッドから購入) CO2 酸素プラントで使用する蒸気に由来する CO2 CO2 プロジェクト GHG タイプ 排出源 電気炉で使用する電力(グリッドから購入) CO2 電気炉で使用する型銑に由来する CO2 CO2 電気炉で使用する溶銑に由来する CO2 CO2 電気炉で使用する石炭に由来する CO2 CO2 電気炉で使用する天然ガスに由来する CO2 CO2 電気炉で使用する重油に由来する CO2 CO2 酸素プラントで使用する電力(グリッドから購入) CO2 酸素プラントで使用する蒸気に由来する CO2 CO2 F. リファレンスの確立と計算 F.1. リファレンスの確立 プロジェクト適用前にリファレンスデータ測定期間を3ヶ月以上設ける。リファレン スデータ測定期間において、電気炉で使用された電力量、化石燃料(石炭・天然ガス・ 重油)量、酸素量および連鋳機でのビレット鋳造量を測定する。各CO2排出源のCO2排 出係数は、プロジェクト時点のものを使用する。年間換算する際にはプロジェクト導入 後の年間ビレット生産量を用いる。 電気炉で使用する型銑および溶銑はCを含有する。これらのC濃度は大きく変動しな いことから4%に固定する。 77 F.2. リファレンスの計算 REy = (REelec + REcm + REhm + REcoal + REng + REoil + REo2) /WRbillet ×WPbillet,y ここで、 REy : 年間リファレンス排出量[t-CO2/y] REelec : リファレンスにおける電気炉で使用する電力由来のCO2排出量[t-CO2] REcm : リファレンスにおける電気炉で使用する型銑由来のCO2排出量[t-CO2] REhm : リファレンスにおける電気炉で使用する溶銑由来のCO2排出量[t-CO2] REcoal : リファレンスにおける電気炉で使用する石炭由来のCO2排出量[t-CO2] REng : リファレンスにおける電気炉で使用する天然ガス由来のCO2排出量 [t-CO2] REoil : リファレンスにおける電気炉で使用する重油由来のCO2排出量[t-CO2] REo2 : リファレンスにおける電気炉で使用する酸素由来のCO2排出量[t-CO2] WRbillet : リファレンスにおけるビレット生産量[t-billet] WPbillet,y: プロジェクト開始後の年間ビレット生産量[t-billet/y] REelec = EReaf × EFelec ここで、 EReaf : リファレンスにおける電気炉で使用する電力量[MWh] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] REcm = WRcm × 0.04 × (44/12) ここで、 WRcm REhm : リファレンスにおける電気炉で使用する型銑量[t] = WRhm × 0.04 × (44/12) ここで、 WRhm REcoal : リファレンスにおける電気炉で使用する溶銑量[t] = WRc × EFcoal ここで、 WRc : リファレンスにおける電気炉で使用する石炭量[t] EFcoal : 石炭のCO2排出係数[t-CO2/t] 78 REng = QRng × EFng ここで、 QRng : リファレンスにおける電気炉で使用する天然ガス量[km3N] EFng : 天然ガスのCO2排出係数[t-CO2/km3N] REoil = QRoil × EFoil ここで、 QRoil : リファレンスにおける電気炉で使用する重油量[m3] EFoil : 重油のCO2排出係数[t-CO2/ m3] REo2 = (ERo2 × EFelec + WRsteam × EFstea) ×QRo2 / (QRo2 + QRo22) ここで、 ERo2 : リファレンスにおける酸素プラントで使用する電力量[MWh] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] WRsteam : リファレンスにおける酸素プラントで使用する蒸気量[t] EFsteam : 蒸気のCO2排出係数[t-CO2/ t] QRo2 : リファレンスにおける電気炉で使用する酸素量[km3N] QRo22 : リファレンスにおける他プロセスで使用する酸素量[km3N] G. プロジェクト適用時の計算 PEy = (PEelec+ PEcm + PEhm + PEcoal + PEng + PEoil + PEo2) ここで、 PEy : 年間プロジェクト排出量[t-CO2/y] PEelec : プロジェクトにおける電気炉で使用する電力由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEcm : プロジェクトにおける電気炉で使用する型銑由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEhm : プロジェクトにおける電気炉で使用する溶銑由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEcoal : プロジェクトにおける電気炉で使用する石炭由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] 79 PEng : プロジェクトにおける電気炉で使用する天然ガス由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEoil : プロジェクトにおける電気炉で使用する重油由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEo2 : プロジェクトにおける電気炉で使用する酸素由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEelec = EPeaf, y × EFelec ここで、 EPeaf, y : プロジェクトおける電気炉で使用する電力量[MWh/ y] EFelec PEcm : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] = WPcm, y × 0.04 × (44/12) ここで、 WPcm, y : プロジェクトにおける電気炉で使用する型銑量[t/ y] PEhm = WPhm, y × 0.04 × (44/12) ここで、 WPhm, y : プロジェクトおける電気炉で使用する溶銑量[t/ y] PEcoal = WPcoal, y × EFcoal ここで、 WPcoal, y : プロジェクトにおける電気炉で使用する石炭量[t/ y] EFcoal PEng : 石炭のCO2排出係数[t-CO2/t] = QPng, y × EFng ここで、 QPng, y : プロジェクトにおける電気炉で使用する天然ガス量[km3N/ y] EFng : 天然ガスのCO2排出係数[t-CO2/ km3N] PEoil = QPoil, y × EFoil ここで、 QPoil, y : プロジェクトにおける電気炉で使用する重油量[m3/ y] EFoil : 重油のCO2排出係数[t-CO2/ m3] 80 PEo2 = (EPo2, y × EFelec + WPsteam, y × EFsteam) ×QPo2, y / (QPo2, y + QPo22, y) ここで、 EPo2, y : プロジェクトにおける酸素プラントで使用する電力量[MWh/ y] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] WPsteam, y : プロジェクトにおける酸素プラントで使用する蒸気量[t/ y] EFsteam : 蒸気のCO2排出係数[t-CO2/ t] QPo2, y : プロジェクトにおける電気炉で使用する酸素量[km3N/ y] QPo22, y : プロジェクトにおける他プロセスで使用する酸素量[km3N/ y] H. 削減量の計算 CO2排出削減量は、レファレンス排出量とプロジェクト排出量の差として求める。 DPRy = REy - PEy ここで、 DPRy I. : 年間CO2排出削減量[t-CO2/y] 事前に固定されたデータおよびパラメータ 事前に固定されたデータおよびパラメータの情報源は以下にリストアップされる。 パラメータ EFelec データの説明 プロジェクト年におけ 情報源 1.「IGES CDM プロジェクトデータベース」 る、 グリッド電力の CO2 http://www.iges.or.jp/en/cdm/report.html でのベト EFcoal EFng EFoil 排出係数 ナム公表値 (CM)。 プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、石炭の CO2 排出係 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User 数 Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、天然ガスの CO2 排 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User 出係数 Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、重油の CO2 排出係 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User 81 EFsteam 数 Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、蒸気の CO2 排出係 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User 数 Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 具体例として、JCM スプレッドシート(インプットシート、計算シート)を、図表 4.1-1, 図 表 4.1-2 に示す。 82 図表 4.1-1, JCM スプレッドシート例 JCM_VN_F_PMS_ver01.0 Joint Crediting Mechanism Proposed Methodology Spreadsheet Form (input sheet) [Attachment to Proposed Methodology Form] Table 1: Parameters to be monitored ex post (a) (b) (c) Monitoring Parameters Description of data point No. (d) Estimated Values (e) Units (f) Monitoring option (g) (h) Source of data Measurement methods and procedures (i) (j) Monitoring Other frequency comments 250,000 t-billet/y C Monitored data - Counting the number of the produced billets divided into each billet size. - Having data of the weight per a billet of each billet size by direct mesuaring or by calculating using billet size and dencity. - Calculating "Pbillet,y" from the number of the produced billets and the weight per a billet of each billet size Consumption of electricity at the EAF 97,500 MWh/ y C Monitored data - Measuring the Watt-hour meter equipped to the EAF at the start and the end of the period WPcm, y Consumption of cold pig iron at the EAF 12,500 t/ y C Monitored data - Measuring the weight of the charged cold pig iron - Integration of the weights at every charge to EAF (4) WPhm, y Consumption of molten pig iron at the EAF 0 t/ y C Monitored data - Measuring the weight of the charged molten pig iron - Integration of the weights at every charge to EAF (5) WPcoal, y Consumption of EAF coal at the EAF 6,250 t/ y C Monitored data - Reading the delivery amount of the EAF coal described in the invoice at every delivery (6) QPng, y Consumption of natural gas at the EAF 0 km3N/ y C Monitored data - Measuring the integrating flowmeter equipped to the EAF at the start and the end of the period (7) QPoil, y Consumption of heavy oil at the EAF 0 m3/ y C Monitored data - Reading the delivery amount of the oil described in the invoice at every delivery (8) QPo2, y Consumption of oxygen at the EAF 10,000 km3N/ y C Monitored data - Measuring the integrating flowmeter equipped to the EAF at the start and the end of the period (9) EPo2, y Consumption of electricity at the oxygen plant 8,750 MWh/ y C Monitored data at the start - Measuring the Watt-hour meter equipped to the oxygen and the end plant of the period 45 WPsteam, y Consumption of steam at the oxygen plant 1,563 t/ y C Monitored data - Measuring the integrating flowmeter equipped to the oxygen plant at the start and the end of the period (11) QPo22, y Consumption of oxygen at the other plant 2,500 km3N/ y C Monitored data - Measuring the integrating flowmeter equipped to the other plant at the start and the end of the period (12) Ttap, y Tap temperature 1,600 degrees Celsius C Monitored data - Immersion thermocouple is used to measure the temperature of steel bath at EAF - Average value during the project period At least, once a day during operation (1) WPbillet,y Production of billets per a year ex post (2) Epeaf, y (3) 83 once at the end of the yearly monitoring Table 2: Project-specific parameters to be fixed ex ante (b) (a) Description of data Parameters EFelec CO2 emission factor for the Viet Nam grid system (c) Estimated Values (d) (e) (f) Units Source of data Other comments The combined margin(CM) emission factor in Viet Nam from "IGES CDM project data 0.564 t-CO2/MWh base"(http://www.iges.or.jp/en/cdm/report.html) 1) The data is calculated from the carbon content of the coal, which is measured by chemical analysis. 2) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, 3.257 t-CO2/t Version 6"(worldsteel). (unless instructed by the Joint Committee) 1) The data is calculated from the carbon content of the natural gas, which is measured by chemical analysis. 2.014 t-CO2/km3N2) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel). (unless instructed by the Joint Committee) 1) The data is calculated from the carbon content of the heavy oil, which is measured by chemical analysis. 2.907 t-CO2/m3 2) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel). (unless instructed by the Joint Committee) EFcoal CO2 emission factor for the EAF coal EFng CO2 emission factor for the natural gas EFoil CO2 emission factor for the heavy oil EFsteam CO2 emission factor for the steam WRbillet Production of billets during the reference period 50,000 t-billet Monitored data. - Counting the number of the produced billets divided into each billet size. - Having data of the weight per a billet of each billet size by direct mesuaring or by calculating using billet size and dencity. - Calculating "Pbillet,ref" from the number of the produced billets and the weight per a billet of each billet size EReaf Consumptio of electricity at the EAF during the reference period 20,000 MWh Monitored data. - Measuring the Watt-hour meter equipped to the EAF WRcm Consumption of cold pig iron at the EAF during the reference period WRhm Consumption of molten pig iron at the EAF during the reference period WRc Consumption of EAF coal at the EAF during the reference period QRng Consumption of natural gas at the EAF during the reference period 0 km3N Monitored data. - Measuring the integrating flowmeter equipped to the EAF Qroil Consumption of heavy oil at the EAF during the reference period 0 m3 Monitored data. - Reading the delivery amount of the oil described in the invoice QRo2 Consumption of oxygen at the EAF during the reference period 2,000 km3N Monitored data. - Measuring the integrating flowmeter equipped to the EAF ERo2 Consumption of electricity at the oxygen plant during the reference period 1,750 MWh Monitored data. - Measuring the Watt-hour meter equipped to the oxygen plant WRsteam Consumption of steam at the oxygen plant during the reference period 313 t Monitored data. - Measuring the integrating flowmeter equipped to the oxygen plant QRo22 Consumption of oxygen at the other plant during the reference period 500 km3N Monitored data. - Measuring the integrating flowmeter equipped to the EAF Ttap, ref Tap temperature during the reference period 0.195 t-CO2/t 2,500 t 0t 1,250 t 1,601 degrees Celsius The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel). (unless instructed by the Joint Committee) Monitored data. - Measuring the weight of the charged cold pig iron - Integration of the weights Monitored data. - Measuring the weight of the charged molten pig iron - Integration of the weights Monitored data. - Reading the delivery amount of the EAF coal described in the invoice Monitored data. - Immersion thermocouple is used to measure the temperature of steel bath at EAF - At least, once a day during operation - Average value during the referencce period Table3: Ex-ante estimation of CO2 emission reductions CO2 emission reductions Units 1,409 tCO2/y [Monitoring option] Option A Option B Option C Based on public data which is measured by entities other than the project participants (Data used: publicly recognized data such as statistical data and specifications) Based on the amount of transaction which is measured directly using measuring equipments (Data used: commercial evidence such as invoices) Based on the actual measurement using measuring equipments (Data used: measured values) 84 図表 4.1-2 JCM 自動計算シート例 JCM_VN_F_PMS_ver01.0 Joint Crediting Mechanism Proposed Methodology Spreadsheet Form (Calculation Process Sheet) [Attachment to Proposed Methodology Form] 1. Calculations for emission reductions Fuel type Emission reductions during the period of year y Value Units 1,410 tCO2/y Parameter DPRy 2. Selected default values, etc. CO2 emission factor for the Viet Nam grid system ----- 0.564 t-CO2/MWh EFelec CO2 emission factor for the EAF coal ----- 3.257 t-CO2/t EFcoal CO2 emission factor for the natural gas ----- 2.014 t-CO2/km3N CO2 emission factor for the heavy oil ----- 2.907 t-CO2/m3 CO2 emission factor for the steam ----- 0.195 t-CO2/t EFng EFoil EFsteam 3. Calculations for reference emissions 82,781 tCO2/y REy ----- 50,000 t-billet WRbillet Electricity 20,000 MWh Reference emissions during the period of year y Production of billets during the reference period Consumptio of electricity at the EAF during the reference period EReaf Consumption of cold pig iron at the EAF during the reference period ----- 2,500 t WRcm Consumption of molten pig iron at the EAF during the reference period ----- 0t WRhm Consumption of EAF coal at the EAF during the reference period Fossil Fuel Consumption of natural gas at the EAF during the reference period Fossil Fuel Consumption of heavy oil at the EAF during the reference period Fossil Fuel 1,250 t 0 km3N 0 m3 ----- 2,000 km3N Consumption of electricity at the oxygen plant during the reference per Electricity 1,750 MWh Consumption of steam at the oxygen plant during the reference period ----- 313 t Consumption of oxygen at the other plant during the reference period ----- 500 km3N Consumption of oxygen at the EAF during the reference period WRc QRng Qroil QRo2 ERo2 WRsteam QRo22 4. Calculations of the project emissions 81,371 tCO2/y PEy Production of billets per a year ex post ----- 250,000 t-billet/y WPbillet,y Consumption of electricity at the EAF Electricity 97,500 MWh/ y Epeaf, y 12,500 t/ y WPcm, y Project emissions during the period of year y ----- Consumption of cold pig iron at the EAF ----- Consumption of molten pig iron at the EAF Consumption of EAF coal at the EAF Fossil Fuel Consumption of natural gas at the EAF Fossil Fuel Consumption of heavy oil at the EAF Fossil Fuel Consumption of oxygen at the EAF Consumption of electricity at the oxygen plant 0 t/ y WPhm, y 6,250 t/ y WPcoal, y 0 km3N/ y 0 m3/ y ----- 10,000 km3N/ y Electricity 8,750 MWh/ y Consumption of steam at the oxygen plant ----- 1,563 t/ y Consumption of oxygen at the other plant ----- 2,500 km3N/ y 85 QPng, y QPoil, y QPo2, y EPo2, y WPsteam, y QPo22, y 4.2 「取鍋加熱用酸素バーナ設備」の方法論 取鍋の加熱に使用する既存の空気バーナを酸素バーナに改造することにより、取鍋加熱 の効率化を図り、その結果、取鍋加熱用の燃料削減に伴う取鍋加熱時の排ガス中 CO2 排出量 を削減できる技術であることを記載する。 JCM 方法論提案書式 JCM 方法論提案書式のカバーシート 提案方法論を提出する際の書式 ホスト国 Socialist Republic of Vietnam 提案者の名称 JFE Steel JFE Techno-Research 適用される分野 4.Manufacturing industries 方法論の名称およびヴァージョン 急速高温取鍋加熱のための酸素バーナ加熱 システム Version number: 1.0 本書式に添付される書類のリスト (対象にチェックを入れる): 草案 JCM-PDD: 追加情報 Date of completion 改定 ヴァージョン 年月日 改定内容 86 A. 方法論の名称 急速高温取鍋加熱のための酸素バーナ加熱システム Version number: 1.0 B. 用語および定義 用語 石炭ガス化炉 (CGF) 定義 石炭を原料に、空気を酸素源として、石炭をガス化する 炉。 石炭ガス化ガス(CG) 石炭ガス化炉で石炭から製造される混合ガス。ガスの主 組成は、CO、H2、CO2、CH4、水分、N2(bal.)である。 取鍋 (LD) 溶鋼を移送するための容器 取鍋加熱酸素バーナ (LOB) 石炭ガス化ガス、天然ガス、重油のうちいずれか 1 つを 燃料として酸素と混合させ、取鍋内耐火物を高温加熱で きるように設計されたバーナシステム 電気炉(EAF) 電極間のアーク放電によりスクラップを溶解する鉄鋼 精錬炉。同時に酸素ブローにて溶存する炭素等の不純物 を除去する。 取鍋精錬炉 (LF) 電気炉で製造された溶鋼を、目標とする温度、成分に調 整する炉。 ビレット連続鋳造機(CC) EAF(-LF)にて溶解・精錬した溶鋼を、連続的に鋳造・凝 固させ、角や円の断面の半製品(ビレット)を製造する 装置 ビレット ビレット連続鋳造機で鋳造された角や円の断面をもつ 鋼の半製品 C. 方法論の要約 取鍋加熱の効率化により、取鍋加熱用の燃料の削減に伴う取鍋加熱時の排ガス中 CO2 排出 量を削減できる。さらに、鍋加熱温度の上昇(900℃から 1400℃以上へ)による、電気炉か ら出鋼後の溶鋼温度低下の抑制が期待できる。よって、電気炉からの出鋼温度を低く設定で き、その結果、電気炉の電力原単位の低下という波及効果が期待される。出鋼温度の変更を 実施しない操業の場合には、取鍋精錬炉(LF)に到着する取鍋内溶鋼温度が従来よりも高く なることが期待されるため、LF における溶鋼処理後の溶鋼目標温度までの昇温代を小さくで き、LF 電力原単位の削減に繋がるという波及効果の可能性がある。 87 しかし、これらの波及効果は、電気炉やLFでの操業条件に影響し、その定量的効果の評 価が困難であるため、予想される波及効果をもたらす電気炉とLFはバウンダリーから除外 する。 よって、ここでは以下の図表に示すようなバウンダリーで方法論を検討する。 項目 要約 温暖化ガス削減の手法 「急速高温取鍋加熱のための酸素バーナ加熱システム」導 入による取鍋加熱効率向上に起因した燃料(石炭、天然ガ ス、あるいは重油)消費量と電気消費量の削減 gas/oil flow steel flow Coal 4-1.Powe Gasification 1.Coal CC Furnace 2.Natural gas LD 3.Heavy oil Oxygen 4-2.Powe 6.O2 10.Billet Oxygen Burner Production system Plant for Ladle 7.Power LF LD temperature Boundary 8.Steam リファレンスの計算 EAF 5.O2 9.Steel before tapping リファレンス CO2 排出量は、「急速高温取鍋加熱のための 酸素バーナ加熱システム」導入前の取鍋加熱のための燃料 消費および電力の消費に由来する CO2 排出から計算。 プロジェクト適用時の計 プロジェクトCO2排出量は、「急速高温取鍋加熱のための 算 酸素バーナ加熱システム」導入後の取鍋加熱のための燃 料、酸素および電力の消費に由来するCO2排出から計算。 モニタリング対象 1) 取鍋加熱燃料を製造する石炭ガス化炉の石炭消費量 2) 取鍋加熱燃料の天然ガス消費量 3) 取鍋加熱燃料の重油消費量 4) 石炭ガス化炉・取鍋加熱設備での電気消費量 5) 取鍋加熱設備の酸素消費量 6) 取鍋加熱設備以外での酸素消費量(自社製造の場合) 7) 酸素製造設備の電力消費量(自社製造の場合) 8) 酸素製造設備の蒸気消費量 9) EAFからの出鋼温度 10)製品ビレットの生産量 88 D. 適格性要件 この方法論は以下の要件すべて満たすプロジェクトに適用される。 要件 1 提案する方法論は、EAF にてスクラップを溶解し、LF で溶鋼処理し連続 鋳造機でビレットを生産するプロセスにおいて、既存(稼働中)の取鍋加 熱空気バーナを「急速高温取鍋加熱のための酸素バーナ加熱システム」に 改造するにより、取鍋の加熱効率を改善するプロジェクトに適用する。 要件 2 プロジェクト開始に当り、取鍋加熱空気バーナが既に稼動中で、かつ対象 とする取鍋加熱酸素バーナーシステムが導入されていないこと。 要件 3 「急速高温取鍋加熱のための酸素バーナ加熱システム」導入により取鍋加 熱効率が改善されることが、実績データの解析により、容易に証明可能で あること。また、システム導入前の実績データを、比較・検証可能な形で、 有すること。 要件 4 取鍋加熱用のバーナーの燃料が、石炭ガス化ガス、天然ガス、あるいは重 油のいずれか 1 種類であること。 要件 5 リファレンスの出鋼温度とプロジェクトの出鋼温度の差が±10℃以内。 E. 排出源と温暖化ガスのタイプ リファレンス GHG タイプ 排出源 石炭ガス化設備・取鍋加熱設備が消費する電力 CO2 取鍋加熱用燃料の石炭ガス製造に使用する石炭に由来する CO2 CO2 取鍋加熱用燃料の天然ガスに由来する CO2 CO2 取鍋加熱用燃料の重油に由来する CO2 CO2 プロジェクト GHG タイプ 排出源 石炭ガス化設備・取鍋加熱設備が消費する電力 CO2 取鍋加熱用燃料の石炭ガス製造に使用する石炭に由来する CO2 CO2 取鍋加熱用燃料の天然ガスに由来する CO2 CO2 取鍋加熱用燃料の重油に由来する CO2 CO2 酸素の製造設備が消費する電力、及び蒸気に由来する CO2 CO2 F. リファレンスの確立と計算 F.1. リファレンスの確立 89 1.プロジェクト適用前のリファレンス排出量は、3ヶ月以上の期間を設けて計測した 以下の合計値とする。また、石炭、天然ガス、重油、蒸気および電力のCO2排出係 数は、プロジェクト時点のものを使用する。 1) 石炭ガス化設備・取鍋加熱設備操業に係る電力消費量 2) 取鍋加熱用の燃料に由来するCO2排出量 2.ビレット生産に伴うCO2排出量は、電力効率に加え、取鍋加熱用の燃料消費量やビ レット生産量にも大きく左右される。 よって、 3.取鍋加熱用の燃料のリファレンスCO2排出量は、プロジェクトビレット生産量で補 正されたリファレンスにおける取鍋加熱用の燃料消費量を用いて計算する。 4.電気のリファレンスCO2排出量は、プロジェクトビレット生産量で補正されたリフ ァレンスにおける電気消費量を用いて計算する。 F.2. リファレンスの計算 以下の算定式に基づきリファレンス排出量を算定する。 REy = ( REcoal + REng + REoil + REelec ) / WRbillet × WPbillet,y (t-CO2/y) ここで、 REy :リファレンス排出量(t-CO2/y) REcoal:リファレンスの取鍋加熱用石炭ガス化炉の石炭消費による CO2 排出量 (t-CO2) REng:リファレンスの取鍋加熱用天然ガス消費による CO2 排出量(t-CO2) REoil:リファレンスの取鍋加熱用重油消費による CO2 排出量(t-CO2) REelec:リファレンスの電力消費による CO2 排出量(t-CO2) WRbillet, : リファレンスにおけるビレット生産量(t-steel billet) WPbillet,y : プロジェクトにおけるビレット生産量(t-steel billet/y) REcoal = WRcoal × EFcoal (t-CO2) ここで、 WRcoal :リファレンスにおける取鍋加熱用石炭ガス化炉の石炭消費量(dry t-coal) EFcoal :石炭の CO2 排出係数(t-CO2/dry t-coal) REng = QRng, × EFng (t-CO2) 90 ここで、 QRng : リファレンスにおける取鍋加熱用の天然ガス消費量(km3N-ng) EFng : 天然ガスの CO2 排出係数(t-CO2/ km3N-ng) REoil = QRoil × EFoil (t-CO2) ここで、 QRoil : リファレンスにおける取鍋加熱用の重油消費量(m3-oil) EFoil : 重油の CO2 排出係数(t-CO2/m3-oil) REelec = ER × EFelec (t-CO2) ここで、 ER:リファレンスにおける電力消費量(MWh) EFelec : 電力の CO2 排出係数(t-CO2/MWh) ER = ERcgf + ERld ここで、 ERcgf:石炭ガス化炉設備のリファレンス電力消費量 (MWh) ERld:取鍋加熱設備のリファレンス電力消費量(MWh) G. プロジェクト適用時の計算 以下の算定式に基づきプロジェクト排出量を算定する。 PEy = PEcoal + PEng + PEoil + PEelec + PEsteam(t-CO2/y) ここで、 PEy : プロジェクト排出量(t-CO2/y) PEcoal:プロジェクトの石炭ガス化炉の石炭消費による CO2 排出量(t-CO2/y) PEng:プロジェクトの天然ガス消費による CO2 排出量(t-CO2/y) PEoil:プロジェクトの重油消費による CO2 排出量(t-CO2/y) PEelec:プロジェクトの電力消費による CO2 排出量(t-CO2/y) PEsteam:プロジェクトの酸素製造設備の蒸気消費による CO2 排出量(t-CO2/y) PEcoal = WPcoal,y × EFcoal (t-CO2/y) ここで、 WPcoal,y : プロジェクトにおける石炭ガス化炉の石炭消費量(dry t-coal/y) EFcoal :石炭の CO2 排出係数(t-CO2/dry t-coal) 91 PEng = QPng,y × EFng (t-CO2/y) ここで、 QPng,y : リファレンスにおける取鍋加熱用の天然ガス消費量(km3N-ng/y) EFng : 天然ガスの CO2 排出係数(t-CO2/ km3N-ng) PEoil = QPoil,y × EFoil (t-CO2/y) ここで、 QPoil,y : リファレンスにおける取鍋加熱用の重油消費量(m3-oil/y) EFoil : 重油の CO2 排出係数(t-CO2/ m3-oil) PEelec = EPy × EFelec (t-CO2/y) ここで、 EPy:プロジェクトにおける電力消費量(MWh/y) EFelec : 電力の CO2 排出係数(t-CO2/MWh)(購入電力の場合、ディフォルト値) EPy = EPcgf,y + EPld,y + EPld o2,y (MWh/y) ここで、 EPcgf,y:プロジェクトにおける石炭ガス化炉設備の電力消費量 (MWh/y) EPld,y:プロジェクトにおける取鍋加熱設備の電力消費量(MWh/y) EPld o2,y:プロジェクトにおける取鍋加熱用酸素消費のための電力消費量(MWh/y) ・酸素自家製造の場合; EPo2,y =[QOld,y/(QOld,y + QOother,y )] × EPo2 plant,y (MWh/y) ここで、 QOld,y:酸素製造設備で製造した取鍋加熱用酸素の消費量 (m3N-o2 /y) QOother,y:酸素製造設備で製造した酸素のうち、 取鍋加熱設備以外で消費した酸素総量(m3N-o2 /y) EOo2 plant,y:酸素製造設備での電力消費量(MWh/y) PEsteam = WPsteam,y × EFsteam (t-CO2/y) ここで、 WPsteam,y :酸素製造設備での取鍋加熱用酸素消費由来の蒸気消費量(t-steam/y) EFsteam :蒸気のCO2 排出係数(t-CO2/ t-steam) WPsteam,y =[QOld,y/(QOld,y + QOother,y )] x WSy ここで、 QOld,y:酸素製造設備で製造した取鍋加熱用酸素の消費量 QOother,y:酸素製造設備で製造した酸素のうち、 92 (m3N-o2 /y) 取鍋加熱設備以外で消費した酸素総量(m3N-o2 /y) WSy:酸素製造設備での蒸気総消費量(t-steam/y) ・酸素外部購入の場合; EPo2,y == QOp,ld,y × UOP (MWh/y) ここで、 QOp,ld,y:取鍋加熱における外部購入酸素の消費量 (m3N-o2/y) UOP:酸素製造の電力原単位 (kWh/m3N-o2) H. 削減量の計算 以下の算定式に基づき CO2 排出削減量を算定する。 DPRy = REy - PEy DPRy : y 年目における CO2 排出削減量(t-CO2/y) REy :プロジェクト排出量(t-CO2/y) PEy : y 年目におけるプロジェクト排出量(t-CO2/y) I. 事前に固定されたデータおよびパラメータ 事前に固定されたデータおよびパラメータの情報源は以下にリストアップされる。 パラメー データの説明 情報源 タ EFcoal プロジェクト年における石炭の 1. 実績値あれば使用 CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 EFng プロジェクト年における天然ガス 1. 実績値あれば使用 の CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 EFoil プロジェクト年における重油の 1. 実績値あれば使用 CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 EFelec プロジェクト年におけるグリッド 93 1.「IGES CDM プロジェクトデータベ 電力の CO2 排出係数 ース」 http://www.iges.or.jp/en/cdm/report.html でのベトナム公表値 (CM)。 EFsteam プロジェクト年において、酸素製造 1. 実績値あれば使用 に使用される蒸気の CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 EFo2 プロジェクト年における酸素の 1. 実績値あれば使用 CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 UOP 酸素 1 km3N 製造に必要な電力消費 1. 実績値あれば使用 量(酸素製造に使用される蒸気製造 2. EFo2 / EFelec として換算 のための電力は EFsteam で考慮) 具体例として、JCM スプレッドシート(インプットシート、計算シート)を、図表 4.2-1, 図 表 4.2-2 に示す。 94 JCM スプレッドシート例 図表 4.2-1, Table 1: Parameters to be monitored ex post (a) (b) (c) (d) (e) Monitoring Estimated Parameters Description of data Units point No. Values Project consumption of coal in coal 1,020 drt t-coal/y 1 WPcoal,y gasification furnace(CGF) for ladle preheating furnace(LPF) Project consumption of natural gas 2 QPng,y 0 km3N-ng/y for LPF Project consumption of heavy oil for 3 QPoil,y 0 m3-oil/y LPF Project consumption of elecricity for 4-1 EPcgf,y 200 MWh/y CGF Project consumption of elecricity for 4-2 EPld,y 400 MWh/y LPF Project consumption of oxygen 5 QOld,y produced in oxygen production 300 km3N-o2/y plant(OPP) for LPF Project consumption of purchase 5 QOp,ld,y 0 km3N-o2/y oxygen for LPF Project consumption of oxygen 6 QOother,y produced in OPP for other plant 10,212 km3N-o2/y except for LPF Project consumption of elecricity for 7 EPo2 plant,y 2,064 MWh/y OPP Project consumption of steam for 8 WSy 1,314 t-steam/y OPP Project average tapping 1,600 deg C. 9 TPtap,y temperature of molten steel in EAF 10 WPbillet,y Project production of billet 220,000 t-billet/y (f) (g) Monitoring Source of data option Monitored data Monitored data Monitored data Monitored data (h) Measurement methods and procedures - Measuring the weight of the charged coal - Integration of the weights - Measuring the integrating natural gas flowmeter equipped to LPF - Measuring the integrating oil flowmeter equipped to LPF - Measuring the Watt-hour meter equipped to CGF - Measuring the Watt-hour meter equipped to LPF C Monitored data - Measuring the integrating O2 flowmeter equipped to LPF C Monitored data C Monitored data at the start and the end of - Measuring the integrating O2 the period flowmeter equipped to LPF - Measuring the integrating O2 at the start and the end of flowmeter equipped to the other plant the period except for LPF - Measuring the Watt-hour meter at every charge to OPP equipped to OPP - Measuring the integrating steam at the start and the end of flowmeter equipped to OPP the period - Measuring molten steel tempareture in at every charge from EAF EAF before tapping from EAF - Counting the number of the produced billets divided into each billet size. - Having data of the weight per a billet of each billet size by direct mesuaring or at the start and the end of by calculating using billet size and the period dencity. C C C C C C C C C Monitored data Monitored data Monitored data Monitored data Monitored data (i) Monitoring frequency (j) Other comments at every charge to LPF at the start and the end of the period at the start and the end of the period at every charge to CGF at every charge to LPF at the start and the end of the period - Calculating "Pbillet,ref" from the number of the produced billets and the weight per a billet of each billet size Table 2: Project-specific parameters to be fixed ex ante (b) (a) (c) Estimated Values Description of data Parameters EFcoal CO2 emission factor of coal EFelec CO2 emission factor of grid electricity EFo2 CO2 emission factor of oxygen EFng CO2 emission factor of natural gas EFoil CO2 emission factor of heavy oil EFsteam CO2 emission factor of steam WRbillet Reference production of billet WRcoal Reference consumption of coal for CGF QRng Reference consumption of natural gas for LPF QRoil Reference consumption of heavy oil for LPF ERcgf Reference consumption of elecricity for CGF ERld Reference consumption of elecricity for LPF ERld Reference elecricity consumed at LPF Reference average tapping temperature of molten steel in EAF Table3: Ex-ante estimation of CO2 emission reductions CO2 emission reductions Units 1,502 t-CO2/y TRtap,y (d) (e) (f) Units Source of data Other comments The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, 3.257 t-CO2/dry t-coal User Guide, Version 6"(worldsteel) unless instructed by the Joint Committee. The combined margin(CM) emission factor in Viet Nam from "IGES CDM project data 0.564 t-CO2/MWh base"(http://www.iges.or.jp/en/cdm/report.html) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, 0.355 t-CO2/km3N-o2 User Guide, Version 6"(worldsteel) unless instructed by the Joint Committee. The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel) unless instructed by the Joint 2.014 t-CO2/km3N Committee. The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel) unless instructed by the Joint 2.907 t-CO2/m3 Committee. The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel) unless instructed by the Joint 0.195 t-CO2/t-steam Committee. Monitored data. - Counting the number of the produced billets divided into each billet size. - Having data of the weight per a billet of each billet size by direct 250,000 t-billet mesuaring or by calculating using billet size and dencity. - Calculating "Pbillet,ref" from the number of the produced billets and the weight per a billet of each billet size Monitored data, 1,700 dry t-coal - Measuring the weight of the charged coal Monitored data, 0 km3N-ng - Measuring the integrating natural gas flowmeter equipped to LPF Monitored data, 0 m3-oil - Measuring the integrating heavy oil flowmeter equipped to LPF Monitored data, 200 MWh - Measuring the Watt-hour meter equipped to CGF Monitored data, 400 MWh - Measuring the Watt-hour meter equipped to LPF Monitored data, 400 MWh - Measuring the Watt-hour meter equipped to LPF Monitored data, 1,600 deg C. - Measuring molten steel tempareture in EAF before tapping [Monitoring option] Option A Option B Option C Based on public data which is measured by entities other than the project participants (Data used: publicly recognized data such as statistical data and specifications) Based on the amount of transaction which is measured directly using measuring equipments (Data used: commercial evidence such as invoices) Based on the actual measurement using measuring equipments (Data used: measured values) 図表 4.2-2 JCM 自動計算シート例 95 1. Calculations for emission reductions Fuel type Value Emission reductions during the period of year y Units Parameter 1,502 t-CO2/y ERy 2. Selected default values, etc. CO2 emission factor of coal ----- 3.257 t-CO2/dry t-coal EFcoal CO2 emission factor of electricity ----- 0.564 t-CO2/MWh EFelec CO2 emission factor of oxygen ----- 0.355 t-CO2/km3N-o2 EFo2 CO2 emission factor of natural gas ----- 2.014 t-CO2/km3N EFng CO2 emission factor of heavy oil ----- 2.907 t-CO2/m3 EFoil CO2 emission factor of steam Electricity equivalent value of oxygen 3. Calculations for reference emissions --------- 0.195 t-CO2/t-steam 0.629 MWh/km3N-o2 EFsteam UOP 5,170 t-CO2/y REy 5,537 t-CO2 REcoal 5,537 t-CO2 REcoal Reference emissions during the period of year y CO2 emissions by reheating ladle fossil fuel CO2 emissions from coal CO2 emissions from natural gas 0.0 t-CO2 REng CO2 emissions from heavy oil 0.0 t-CO2 REoil electricity 338 t-CO2 REelec 3,668 t-CO2/y PEy fossil fuel 3,322 t-CO2/y PEcoal CO2 emissions by electricity consumption 4. Calculations of the project emissions Project emissions during the period of year y CO2 emissions by reheating ladle CO2 emissions from coal 3,322 t-CO2/y CO2 emissions from natural gas 0 t-CO2/y CO2 emissions from heavy oil 0 t-CO2/y CO2 emissions by electricity consumption electricity Electricity consumption for oxygen used at ladle preheating CO2 emissions by steam consumption Steam consumption for production of oxygen used at ladle preheating steam 338 t-CO2/y 59 MWh/y 7 t-CO2/y 38 t-steam/y 96 PEcoal PEng PEoil PEelec EPld o2,y PEsteam WPsteam.y 4.3 「鉄鋼半製品加熱炉へのリジェネバーナの導入」の方法論 ビレットを加熱、熱間圧延により棒鋼等を生産する工程において、加熱炉のバーナをリジ ェネバーナに変更する。技術導入前はバーナ燃焼排ガスが高温で系外に持ち去られているが、 本技術を導入することで、系外への熱ロスが大幅に減少し、比例してバーナ燃料である化石 燃料が減少、化石燃料由来の CO2 排出量が削減できる。 JCM 方法論提案書式 JCM 方法論提案書式のカバーシート 提案方法論を提出する際の書式 ホスト国 Socialist Republic of Vietnam 提案者の名称 JFE Steel JFE Techno-Research 適用される分野 4. Manufacturing industries 方法論の名称およびヴァージョン 鉄鋼半製品加熱炉へのリジェネバーナの導 入 Version number: 1.0 本書式に添付される書類のリスト (対象にチェックを入れる): 草案 JCM-PDD: 追加情報 Date of completion 改定 ヴァージョン 年月日 改定内容 97 A. 方法論の名称 鉄鋼半製品加熱炉へのリジェネバーナの導入 Version number: 1.0 B. 用語および定義 用語 ビレット(Billet) 定義 ビレット連続鋳造機で鋳造された角や円の断面をもつ 鋼の半製品 再加熱炉(RHF) 熱間圧延加工のため、ビレット等の鉄鋼半製品を加熱す る加熱炉。燃料として、天然ガス・石炭ガス化ガス・重 油等の化石燃料を使用する。 半製品 熱間圧延加工により、鋼板・鉄筋棒他を製造するための 半製品。ビレット・スラブなど C. 方法論の要約 項目 温暖化ガス削減の手法 要約 ビレットを加熱、熱間圧延により棒鋼等を生産する工程に おいて、加熱炉のバーナをリジェネバーナに変更する。化 石燃料であるバーナ燃料の持つ化学エネルギーの加熱へ のエネルギー効率を改善することで、化石燃料由来のCO2 を削減する。 ビレット 天然ガス 加熱炉 加熱ビレット 重油 電力 石炭ガス 石炭 電力 ガス化炉 98 リファレンスの計算 プロジェクト適用前にリファレンスデータ測定期間を設 ける。リファレンスデータ測定期間における、加熱炉およ びガス化プラントで使用された電力量、化石燃料量および それらの CO2 排出係数(ただし、プロジェクト期間の値を 使用)から計算する。 プロジェクト適用時の計 プロジェクト適用後に、加熱炉およびガス化炉で使用され 算 た電力量、化石燃料量およびそれらのCO2排出係数から計 算する。 モニタリング対象 1) ビレット供給量 2) 加熱炉での天然ガス使用量 3) 加熱炉での重油使用量 4) 加熱炉での電力使用量 5) ガス化プラントでの石炭使用量 6) ガス化プラントでの電力使用量 D. 適格性要件 この方法論は以下の要件すべて満たすプロジェクトに適用される。 要件 1 ビレットを加熱、熱間圧延するプロセスにおいて、ビレットの加熱炉のエ ネルギー効率を改善し、化石燃料の使用量を低減するプロジェクト。 要件 2 導入前の加熱炉にはリジェネバーナが組み込まれていない。 要件 3 導入するバーナはリジェネバーナである。 要件 4 バーナ用燃料が天然ガス、重油、石炭ガスのいずれかである。 E. 排出源と温暖化ガスのタイプ リファレンス GHG タイプ 排出源 加熱炉で使用する天然ガスに由来する CO2 CO2 加熱炉で使用する重油に由来する CO2 CO2 加熱炉で使用する電力(グリッドから購入) CO2 ガス化プラントで使用する石炭に由来する CO2 CO2 ガス化プラントで使用する電力(グリッドから購入) CO2 プロジェクト GHG タイプ 排出源 加熱炉で使用する天然ガスに由来する CO2 CO2 加熱炉で使用する重油に由来する CO2 CO2 99 加熱炉で使用する電力(グリッドから購入) CO2 ガス化プラントで使用する石炭に由来する CO2 CO2 ガス化プラントで使用する電力(グリッドから購入) CO2 F. リファレンスの確立と計算 F.1. リファレンスの確立 プロジェクト適用前にリファレンスデータ測定期間を3ヶ月以上設ける。リファレン スデータ測定期間において、加熱炉およびガス化プラントで使用された電力量、化石燃 料(石炭・天然ガス・重油)量、加熱炉へのビレット供給量を測定する。各CO2排出源 のCO2排出係数は、プロジェクト時点のものを使用する。年間換算する際にはプロジェ クト導入後の加熱炉へのビレット供給量を用いる。 F.2. リファレンスの計算 REy = (REng + REoil + REelec + REcoal + REelec2 )/WRSbillet ×WPSbillet,y ここで、 REy : 年間リファレンス排出量[t-CO2/y] REng : リファレンスにおける加熱炉で使用する天然ガス由来のCO2排出量 [t-CO2] REoil : リファレンスにおける加熱炉で使用する重油由来のCO2排出量 [t-CO2] REelec : リファレンスにおける加熱炉で使用する電力由来のCO2排出量 [t-CO2] REcoal : リファレンスにおけるガス化プラントで使用する石炭由来のCO2排出量 [t-CO2] REelec2 : リファレンスにおけるガス化プラントで使用する電力由来のCO2排出量 [t-CO2] WRSbillet : リファレンスにおける加熱炉へのビレット供給量[t-billet] WPSbillet,y REng : プロジェクト開始後の加熱炉へのビレット供給量[t-billet/y] = QRng × EFng ここで、 QRng,y : リファレンスにおける加熱炉で使用する天然ガス量[km3N] EFng : 天然ガスのCO2排出係数[t-CO2/ km3N] 100 REoil = QRoil × EFoil ここで、 QRoil : リファレンスにおける加熱炉で使用する重油量[m3] EFoil : 重油のCO2排出係数[t-CO2/ m3] REelec = ERrhf × EFelec ここで、 ERrhf : リファレンスにおける加熱炉で使用する電力量[MWh] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] REcoal = WRc × EFcoal ここで、 WRc : リファレンスにおけるガス化プラントで使用する石炭量[t] EFcoal : 石炭のCO2排出係数[t-CO2/t] REelec2 = ERcgf × EFelec ここで、 ERcgf : リファレンスにおけるガス化プラントで使用する電力量[MWh] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] G. プロジェクト適用時の計算 PEy = (PEng + PEoil + PEelec + PEcoal + PEelec2) ここで、 PEy : 年間プロジェクト排出量[t-CO2/y] PEng : プロジェクトにおける加熱炉で使用する天然ガス由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEoil : プロジェクトにおける加熱炉で使用する重油由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEelec : プロジェクトにおける加熱炉で使用する電力由来のCO2排出量 [t-CO2/ y] PEcoal : プロジェクトにおけるガス化プラントで使用する石炭由来のCO2排出量 [t-CO2/y] PEelec2 : プロジェクトにおけるガス化プラントで使用する電力由来のCO2排出量 101 [t-CO2/ y] PEng = QPng, y × EFng ここで、 QPng, y : プロジェクトにおける加熱炉で使用する天然ガス量[km3N/ y] EFng : 天然ガスのCO2排出係数[t-CO2/ km3N] PEoil = QPoil, y × EFoil ここで、 QPoil, y : プロジェクトにおける加熱炉で使用する重油量[m3/ y] EFoil : 重油のCO2排出係数[t-CO2/ m3] PEelec = EPrhf, y × EFelec ここで、 EPrhf, y : プロジェクトにおける加熱炉で使用する電力量[MWh/ y] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] PEcoal = WPcoal, y × EFcoal ここで、 WPcoal, y : プロジェクトにおけるガス化プラントで使用する石炭量[t/ y] EFcoal : 石炭のCO2排出係数[t-CO2/t] PEelec2 = EPcgf, y × EFelec ここで、 EPcgf, y : プロジェクトにおけるガス化プラントで使用する電力量[MWh/ y] EFelec : グリッド電力のCO2排出係数[t-CO2/MWh] H. 削減量の計算 CO2排出削減量は、レファレンス排出量とプロジェクト排出量の差として求める。 DPRy = REy - PEy ここで、 DPRy : 年間CO2排出削減量[t-CO2/y] 102 I. 事前に固定されたデータおよびパラメータ 事前に固定されたデータおよびパラメータの情報源は以下にリストアップされる。 パラメー データの説明 情報源 タ EFng プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、天然ガスの CO2 排出 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User EFoil 係数 Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、重油の CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 EFelec EFcoal プロジェクト年におけ 1.「IGES CDM プロジェクトデータベース」 る、グリッド電力の CO2 http://www.iges.or.jp/en/cdm/report.html でのベト 排出係数 ナム公表値 (CM)。 プロジェクト年におけ 1. 実績値あれば使用 る、石炭の CO2 排出係数 2. “CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6” (worldsteel)で公表された値。 具体例として、JCM スプレッドシート(インプットシート、計算シート)を、図表 4.3-1, 図 表 4.3-2 に示す。 103 図表 4.3-1, Table 1: Parameters to be monitored ex post (a) (b) (c) Monitoring Parameters Description of data point No. (d) Estimated Values (e) Units JCM スプレッドシート例 (f) Monitoring option (g) (h) Source of data Measurement methods and procedures (i) (j) Monitoring Other frequency comments Monitored data - Counting the number of the supplied billets divided into each billet size. - Having data of the weight per a billet of each billet size by direct mesuaring or by calculating using billet size and dencity. - Calculating "Sbillet, y" from the number of the supplied billets and the weight per a billet of each billet size once at the end of the yearly monitoring C Monitored data - Measuring the integrating flowmeter equipped to the RHF at the start and the end of the period (1) WPSbillet, y Supply of billets to the RHF per a year ex post (2) QPng, y Consumption of natural gas at the RHF (3) QPoil, y Consumption of heavy oil at the RHF 2,250 m3/ y C Monitored data - Reading the delivery amount of the oil described in the invoice at every delivery (4) EPrhf, y Consumption of electricity at the RHF 2,500 MWh/ y C Monitored data - Measuring the Watt-hour meter equipped to the RHF at the start and the end of the period (5) WPcoal, y Consumption of coal at the coal gasification plant 0 t/ y C Monitored data - Reading the delivery amount of the coal described in the at every invoice delivery (6) EPcgf, y Consumption of electricity at the coal gasification plant 0 MWh/ y C Monitored data - Measuring the Watt-hour meter equipped to the coal gasification plant Table 2: Project-specific parameters to be fixed ex ante (b) (a) Description of data Parameters 250,000 t-billet/ y C 0 km3N/ y (c) Estimated Values (d) (e) (f) Units Source of data Other comments EFng CO2 emission factor for the natural gas 1) The data is calculated from the carbon content of the natural gas, which is measured by chemical analysis. 2.014 t-CO2/km3N2) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel). (unless instructed by the Joint Committee) EFoil CO2 emission factor for the heavy oil 1) The data is calculated from the carbon content of the heavy oil, which is measured by chemical analysis. 2.907 t-CO2/m3 2) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel). (unless instructed by the Joint Committee) EFelec CO2 emission factor for the Viet Nam grid system The combined margin(CM) emission factor in Viet Nam from "IGES CDM project data 0.564 t-CO2/MWh base"(http://www.iges.or.jp/en/cdm/report.html) EFcoal CO2 emission factor for the coal 2.461 t-CO2/t WRSbillet Supply of billets to the RHF during the reference period 50,000 t-billet QRng Consumption of natural gas at the RHF during the reference period 0 km3N QRoil Consumption of heavy oil at the RHF during the reference period 500 m3 Monitored data. - Reading the delivery amount of the oil described in the invoice ERrhf Consumption of electricity at the RHF during the reference period 500 MWh Monitored data. - Measuring the Watt-hour meter equipped to the RHF WRc Consumption of coal at the coal gasification plant during the reference period 0t Monitored data. - Reading the delivery amount of the coal described in the invoice ERcgf Consumption of electricity at the coal gasification plant during the reference period 0 MWh Monitored data. - Measuring the Watt-hour meter equipped to the coal gasification plant 1) The data is calculated from the carbon content of the steam coal, which is measured by chemical analysis. 2) The data is sourced from "CO2 EMISSIONS DATA COLLECTION, User Guide, Version 6"(worldsteel). The factor of steam coal is the first choice in the 2nd case. (unless instructed by the Joint Committee) Monitored data. - Counting the number of the supplied billets divided into each billet size. - Having data of the weight per a billet of each billet size by direct mesuaring or by calculating using billet size and dencity. - Calculating "Sbillet, ref" from the number of the supplied billets and the weight per a billet of each billet size Monitored data. - Measuring the integrating flowmeter equipped to the RHF Table3: Ex-ante estimation of CO2 emission reductions CO2 emission reductions Units 726 tCO2/y [Monitoring option] Option A Option B Option C at the start and the end of the period Based on public data which is measured by entities other than the project participants (Data used: publicly recognized data such as statistical data and specifications) Based on the amount of transaction which is measured directly using measuring equipments (Data used: commercial evidence such as invoices) Based on the actual measurement using measuring equipments (Data used: measured values) 104 図表 4.3-2 JCM 自動計算シート例 JCM_VN_F_PMS_ver01.0 Joint Crediting Mechanism Proposed Methodology Spreadsheet Form (Calculation Process Sheet) [Attachment to Proposed Methodology Form] 1. Calculations for emission reductions Fuel type Emission reductions during the period of year y Value Units 727 tCO2/y Parameter EFng DPRy 2. Selected default values, etc. CO2 emission factor for the natural gas ----- 2.014 t-CO2/km3N CO2 emission factor for the heavy oil ----- 2.907 t-CO2/m3 CO2 emission factor for the Viet Nam grid system ----- 0.564 t-CO2/MWh EFelec CO2 emission factor for the coal ----- 2.461 t-CO2/t EFcoal EFoil 3. Calculations for reference emissions 8,678 tCO2/y Reference emissions during the period of year y Supply of billets to the RHF during the reference period Consumption of natural gas at the RHF during the reference peri ----Fossil Fuel Consumption of heavy oil at the RHF during the reference period Fossil Fuel Consumption of electricity at the RHF during the reference perio Electricity Consumption of coal at the coal gasification plant during the refe Fossil Fuel Consumption of electricity at the coal gasification plant during th Electricity 50,000 t-billet 0 km3N REy WRSbillet QRng 500 m3 QRoil 500 MWh ERrhf 0t WRc 0 MWh ERcgf 4. Calculations of the project emissions Project emissions during the period of year y ----- Supply of billets to the RHF per a year ex post 7,951 tCO2/y PEy 250,000 t-billet/ y WPSbillet, y 0 km3N/ y QPng, y Consumption of natural gas at the RHF Fossil Fuel Consumption of heavy oil at the RHF Fossil Fuel 2,250 m3/ y QPoil, y Consumption of electricity at the RHF Electricity 2,500 MWh/ y EPrhf, y Consumption of coal at the coal gasification plant Fossil Fuel 0 t/ y WPcoal, y Electricity 0 MWh/ y Consumption of electricity at the coal gasification plant 105 EPcgf, y 5.省エネルギーの調査報告並びにJCMセミナー報告 JCM 制度の政府関係者、ベトナムの鉄鋼関係者への周知、および今回の調査・検討した結 果の報告のため、ハノイ市内でセミナーを実施した。 なお、政府関係者等の JCM 関連部署へは事前に本年度の活動および JCM の内容の説明を 行った。ここでは政府関係者への事前説明およびセミナーについて報告する。 5.1 政 府 関 係 者 へ の JCM 関 連 部 署 へ の 事 前 説 明 第1、2回ベトナム訪問の機会にあわせ、政府関係者のアポイントをとり、事前説明を実 施した。内容として、今年度の調査の日程とその趣旨・内容、および JCM スキームについ ての説明を実施した。以下に訪問先での内容を示す。 (ア) 商工省エネルギー総局 エネルギー全体を管理する部署となる。 日時:2014 年 9 月 15 日 面談者:MOIT(Ministry Of Industry and Trade)General Directorate of Energy Pham Thanh Tung:Director of International Cooperation Department Nguyen Van Long : Deputy Director General Science Technology and Energy Efficiency Department) 訪問者:十河:JFE スチール、澤、清水:JFE テクノリサーチ Pham Thanh Tung Nguyen Van Long MOIT:省エネルギーに関しては非常に重視している。特に製鉄業の省エネルギーには関心が あり、ぜひいろいろと意見を聞きたい。 JFE-Gr より今年度の活動と JCM スキームについて説明 MOIT:JCM について名前程度は知っているが、今回の説明でよく理解できた。補助金は無 償か、円借款か? また今回訪問した鉄鋼会社は興味を示しているか? JFE-Gr:補助となる部分については無償となる。また鉄鋼会社に関しては診断・提言し、経 済性を示して最後は鉄鋼会社自身の判断となる。JCM の候補案件を作成するのが今 106 回の目的である。 MOIT:個社の調査も良いが、できればベトナム鉄鋼業の実力全体調査してほしい。今後そう いった調査もやってもらいたい。 JFE-Gr:今回は 2 社の調査となるが、なるべくベトナム鉄鋼業の共通因子も探って行きたい。 (イ) 商工省重工業局 ベトナムの重工業部門を管理する部署であり、鉄鋼業もその一つとなっている。 日時:2014 年 9 月 16 日 面談者:MOIT Heavy Industry Department Bui Quang Chuyen: (Deputy Director General of Heavy Industry Department) Tran Van Long: (Official of Heavy Industry Department) 訪問者:十河:JFE スチール、澤、清水:JFE テクノリサーチ Bui Quang Chuyen Tran Van Long JFE-Gr より今年度の活動と JCM スキームについて説明 MOIT:ベトナムの鉄鋼生産量の85%は電炉で製造している。ほとんどのメーカは小さく、 効率が悪く、エネルギー使用量が多く、環境にやさしくない。省エネルギーに取り組 んでもらう今回の活動を高く評価したい。 商工省としても通達を出し、各業種のエネルギー消費、電気使用量に関し上限を規 定した。電気炉の消費に関しても上限を規定した。ただし、これは新規、拡張にのみ 適用され、既存のものには適用されない。各企業も新技術を導入してコスト削減、環 境に良いものを入れたいと思っている。日本の製鉄所に行ったことがあるが、日本は 良い技術をもっていると理解している。ベトナム企業はやる気があるが、資金の準備 ができるかが問題であり、MOIT として、企業を指導することもできるので、協力で きることがあれば言って欲しい。 JFE-Gr:今回訪問した企業は環境対策とともに投資の経済性や優先順位に留意している。 経済性、環境に対し、定性的に評価するだけでなく、定量的にどのようになるか示す つもりである。 MOIT:経済性が明らかになり、企業が判断していく際に商工省に何かできることがあっ たら、言ってほしい。支援する。 JFE-Gr:今後相談できればと考えている。 (ウ) 商工省科学技術局 107 MOIT で JCM を担当する部署である。MONRE が JCM の窓口であるが、技術的な手続き 等については本部署が担当する。 日時:2014 年 9 月 16 日 面談者:MOIT Department of Science and Technology Le Viet Cuong: Pham Truong Son: (Official) Do Xuan Dong: (Official) 訪問者:十河:JFE スチール、澤、清水:JFE テクノリサーチ Do Xuan Dong Le Viet Cuong MSc.Pham Troung Son JFE-Gr より今年度の活動について説明(JCM の説明は省略) MOIT:ベトナム鉄鋼業全体について広く調査する必要があると思う。選択した技術は水平展 開できるものとしてもらいたい。 JFE-Gr:今回は事業の趣旨から 2 社に限定しているが、なるべく共通項を抽出して行きたい と考えている。 MOIT:今回商工省と NEDO との間で初の JCM 案件を実施した。JCM は環境保護にも貢献 するので、JCM を推進して行きたい。環境汚染になりそうな産業も対象になり、鉄鋼 はもちろん入る。今回の案件は是非 JCM 対象になってもらいたい。 MOIT:2013 年 12 月に Green 技術の適用(環境にやさしい技術)を立ち上げた。環境汚染、 エネルギー多消費産業が対象となっている。鉄鋼業の省エネ案件もひとつの手法とな る。 MOIT:JCM が適用できるとしたら、(ベトナム)企業負担はないのか? 今回案件の場合 はほぼ 100%だったが? JFE-Gr:全体費用に対しては 2~3 割程度の補助になるであろうと推定している。 MOIT:全技術を一気に実施する必要はない。ひとつでもふたつでも実行に移すやり方でよい。 MOIT:今後行政手続きを進めることになったら、ローカルパートナーを使ったほうが良い。 ベトナムでの行政手続きや、データの収集と言ったものは現地のパートナーにして もらったほうが効率的である。その方が実行する上でやりやすいと思う。また、プ ロジェクトを推薦する場合には、選択肢を準備したほうが良い。たとえばコストの 108 安い案、高い案と言った具合にした方が進めやすい。 (エ) 資源環境省国際協力局 MONRE(Ministry Of Natural Resources & Environment)で海外との窓口であると同時に、 JCM の窓口となる。 日時:2014 年 9 月 16 日 面談者:MONRE International Cooperation Department Nguyen Xuan Bao Tam:(Deputy Director General)+1 名 訪問者:十河:JFE スチール、澤、清水:JFE テクノリサーチ Nguyen Xuan Bao Tam JFE-Gr より今年度の活動と JCM スキームについて説明 MONRE:JCM について教えていただきありがとう。JCM について、本部署は窓口の役割を している。現在、ひとつの案件について最終手続きしている。JCM に関し新しいス キームでルールを整備している。現在、鉄鋼業に係る案件はない。候補を調査する ことは重要である。 環境省とよく話をする。経済産業省の情報提供をお願いしたい。 JFE-Gr より経済産業省の担当部署を紹介 MONRE:MONRE の中での窓口は当部署であるが、専門的な対応は気候変動局が実施して いる。JCM は我々にとってあたらしく我々も勉強したいと思っている。関心を持っ ている。普及(水平展開)にも着目して実施して欲しい。 (オ) 資源環境省気候変動局 MONRE (Ministry Of Natural Resources & Environment)で当局は JCM 実施委員会の事務局 であり、Mr. TUAN は事務局の局長である。 日時:2014 年 11 月 18 日 面 談 者 : MONRE Division of Science, Technology and International Corporation, Department of Meteorology, Hydrology and Climate Change LE NGOC TUAN:( Director) 訪問者:十河:JFE スチール JFE スチールより今年度の活動と JCM スキームについて説明 MONRE:JCM に関して現在3案件について両国の事務局で意見聴取をしているところであ 109 る。取り止めになった案件もあり、その理由はベトナム企業と日本企業の情報交換 が足りなかったことに起因している。 JFE:非常に重要なポイントと考えており、企業にも補助金があるから設備投資をするので はなく、導入したい設備に補助金を活用するとの考え方をとるように伝えている。 MONRE:環境省の予算執行は 1 年間でスケジュール的に厳しいこともある。ベトナム内部 の投資の手続きには時間がかかる。経産省と環境省で制度の内容が違うこともベト ナム企業に対して明確にしておいたほうが良い。JCM を適用したい企業があれば最 初に登録するのは商工省であり、MONRE に候補リストがあがり、適用の審査、手 続きなどは JCM 事務局がやることになる。(JCM 案件として最終承認するのが MONRE) 5.2 セミナーの実施 ベトナムの鉄鋼会社およびベトナム政府関係者に向けた下記内容のセミナーをハノイ市内 で開催し、今回調査・検討した結果の概要及び導入候補技術の経済性評価、並びに JCM 制 度などを周知した。 図表 5.2-1 にセミナーのプログラムを、図表 5.2-2 に参加者リストを示す。 20 名の参加者があり、参加者はベトナム政府より 2 名、鉄鋼業から 4 社 18 名の参加であ った。プログラムに沿って発表したのち、質疑応答の時間を設けた。以下に質疑応答の内容 を示す。 質問-1 Q:取鍋の酸素バーナについてであるが、投資と効果が示されているが、投資の精度はどの 程度か? また効果は十分に発揮できるか? A:エンジニアリングメーカが現地を見て、見積りは正確である。ただし現地工事に関して は日本ベースの見積りをしていることから多少高めに見積もっている可能性はある。メ リットについても日本での実績から算定している。 質問-2 Q:リジェネバーナについては、今回の加熱炉は炉幅が広いが、そのような炉幅の大きい炉 110 にも適用が可能か? A:リジェネバーナは逆に炉幅の狭い炉には適用が難しい。日本では 100~200 トン/h の炉 (今回の炉は 50 トン/h)に適用されており、炉幅の大きい炉に適した技術であり、今 回の適用に関して問題はない。 質問-3 Q:電気炉のスラグドア及びドアバーナの説明があったが、電気炉の適切な操業とはどのよう なものか A:理想的には炉圧±0の操業が最も望ましい。スラグドアをしっかり閉めることで、外気の 侵入を防止できエネルギーロスが小さくなる。ドアバーナを取り付ければさらに効率的 な操業となる。 質問-4 Q:溶銑を使用して電気炉を操業する場合、どの程度の溶銑率が適切か? A:適切な溶銑率はコストや状況によって決まるため、個々の工場で違い、一律に答えられな い。 Q:溶銑を電気炉で使用している例は多くあるのか? A:日本国内では非常に稀である。 技術的な質問が多く、セミナーは盛況に終了した。 111 図表 5.2-1 セミナーのプログラム AGENDA for Seminar “Future JCM project applying effective Japanese excellent energy saving technologies to Vietnam Steel Industry” 20 JANUARY 2015 NIKKO HOTEL, HANOI Agenda 9:00 – 9:10 Introduction Kazumasa Sogo (JFE Steel Corporation) 9:10 – 9:40 “Technologies Cutomized list” The introduction of the Customized List to Iron and Steel Industry in Vietnam Masuto SHIMIZU (JFE Techno-Research Corporation) Reporting the results of energy daiagnosis in Iron and Steel Industry in Vietnam 9:40 – 10:20 “Summary of Result Activity of A-Company in 2014” Yoshitaka Sawa (JFE Techno-Research Corporation) Coffee Break 10:35– 11:15 “Summary of Result Activity of B-Company in 2014” Masuto SHIMIZU (JFE Techno-Research Corporation) JCM (The Joint Crediting Mechanism) 11:15 – 11:45 11:45 – 12:00 “JCM Scheme” The introduction of JCM and JCM Pocedure Discussion 112 Kazumasa Sogo (JFE Steel Corporation) 6.事業化した場合の経済効果の分析 ベトナム鉄鋼業では、昔から操業している設備と 2000 年以降の市場開放に伴って導入され た比較的新しい設備が混在した状況となっている。しかしながらまだ日本の最新技術が浸透 する段階までには至っておらず、各種技術の導入余地があることが今回の調査により確認で きた。 しかしながら最新技術の導入・普及は経済性に大きく左右され、経済性評価に示したよう に、現時点では補助等がないと成立しにくい状況である。一方で今後のエネルギー価格の上 昇が予想される中、経済性もしだいによくなるものと予想される。 ここでは、今後のエネルギー価格の上昇を加味し、技術の導入・普及による経済効果を分 析した。 第2章で述べたように今後ベトナムではエネルギー価格の上昇が予想されている。ここで は、2020 年を想定して電力で 30%の価格上昇、燃料で 15%の価格上昇を仮定して経済性を 再評価した。さらに電力 50%上昇、燃料 25%上昇時の検討結果も示し、感度分析とした。 その結果を図表 6.1.-1、6.1-2、6.1-3 に示す。ここでは投資額は変わらないと仮定して算出 しており、補助金等は考慮していない。また、上段の数値は前述した現在の経済性評価を示 している。 図表 6.1-1 A-Company 各技術の経済性評価(電力、燃料価格上昇時) Electrical Arc Furnace Direct Dust Suction Electrode Collector Regulation and and Installment Automation Technology of Oxy-fuel Control for EAF burner system Optimization Reheating Furnace Regenerative Regenerative burner : burner : Replacement of Replacement of all burners partial burners Present condition Pay Back (years) IRR (%) 8.1 2.7 8.7 6.1 4.6 35.5 2.8 10.8 In the case that Electric power price +30%, and fuel price +15% Pay Back (years) IRR (%) 6.0 2.0 7.4 5.1 12.2 48.5 6.3 14.8 In the case that Electric power price +50%, and fuel price +25% Pay (years) IRR (%) Back 5.0 1.7 6.7 4.6 16.9 56.8 8.4 17.2 113 図表 6.1-2 B-Company 電気炉技術 各技術の経済性評価(電力、燃料価格上昇時) Electrical Arc Furnace Technology Installment of Installment of Electrode Oxy-fuel burner Oxy-fuel burner Regulation system system Automation Electrode and with oil as a with coal as a Control for EAF fuel Optimization fuel Regulation and Automation Control for EAF Optimization with hardware Present condition Pay Back (years) IRR (%) No return 9,6 7.2 27.6 - 0.8 7.4 ▲ 17.3 In the case that Electric power price +30%, and fuel price +15% Pay Back (years) IRR (%) No return 7,1 5.3 18.6 - 8.0 15.5 ▲ 11.3 In the case that Electric power price +50%, and fuel price +25% Pay Back (years) IRR (%) 図表 6.1-3 No return 6.0 4.4 15.3 - 12.3 20.4 ▲ 8.0 B-Company 加熱技術の経済性評価(電力、燃料価格上昇時) Heating Technology Ladle Preheater with Technology oxygen/fuel burner Regenerative burner : Replacement of Regenerative burner : all Replacement of partial burners burners Present condition Pay Back (years) 3.0 20.2 13.2 IRR (%) 33.3 Δ12.0 Δ5.0 In the case that Electric power price +30%, and fuel price +15% Pay Back (years) 2.6 16.6 11.1 IRR (%) 38.4 ▲ 8.9 ▲ 1.9 In the case that Electric power price +50%, and fuel price +25% Pay Back (years) IRR (%) 2.4 14.8 10.0 41.7 ▲ 7.1 0.0 114 ベトナムではローン貸付期間が 6 年程度であることから、6 年以内の回収年数が投資の目 安と考えると各技術への評価は以下のようになる。 電気炉技術において、バーナを新たに設置し補助燃料を使用する技術(A-Company:Direct Suction Dust Collector and Installment of Oxy-fuel burner system、B-Company:Installment of Oxy-fuel burner system with oil as a fuel, or Installment of Oxy-fuel burner system with coal as a fuel)の導入は経済性から考えて難しいものと評価される。電力の価格上昇が燃料の価 格上昇を大きく上回った場合にのみ適用の可能性が残されているが現時点で期待することは 難しい。 電極制御技術(A-Company、B-Company:Electrode Regulation and Automation Control for EAF Optimization)は電力削減にのみ寄与するため、電力価格の上昇に伴い大 きく改善する。ただし前述したように制御のみの改善では目的を達成できない可能性も残り、 ハードの改善も同時に必要な場合があるため、ケースバイケースの検討となる。 取鍋予熱への酸素バーナの適用(B-Company:Ladle Preheater with oxygen/fuel burner) は十分に経済性がある技術である。本技術は前述したように、自工場内に酸素プラントを保 有する場合は現時点でも十分に適用できる技術である。 加熱炉のリジェネバーナの適用(A-Company、B-Company:Regenerative burner)につ いては燃料の価格に大きく依存しているが、電力 50%上昇、燃料 25%上昇時においても全バ ーナへの適用は難しい。部分的に適用するケースであれば、石油、天然ガスを使用した加熱 炉で、将来の燃料価格の上昇時には経済性を持つようになる。ただし、B-Company のよう に石炭を使用している場合は石油、天然ガスの価格に比較し安価であることから利用されて いるといった理由もあり、経済性は低くなる。したがって、エネルギー削減のみを目標とす る場合は普及の可能性は低い。しかしながら、加熱炉の新設や増強を目指した改造時等のタ イミングに同時に設置するというケースであれば、十分な適用可能性がある。 これらの考え方と感度分析の結果をもとに、各種数値を仮定して、将来の CO2 削減量を 以下に予測した。 現在ベトナム政府の掲げる 2025 年時点の具体的な数字目標は以下のようになっている18。 ・ 鋼材製品の全体生産量を 38~39 百万トンに拡大する。 ・ 銑鉄の生産量を 2025 年までに 2 千万トンへと拡大する。 今後経済発展が予想される中で、高炉等の建設も進んでおり、将来的には鉄鋼需要増が予 想される。上記の数値を元に、2025 年時点で電気炉により生産される粗鋼は 18.5 百万トン と仮定、また加熱炉の対象量は 38.5 百万トンと仮定する。また、各々の技術に関しては以下 の考え方から普及率を設定する。 ・ 電気炉のバーナ技術;今後エネルギー価格の上昇が予想されるが、電力価格と燃料価格と の拡がりが前提条件であることから今後の普及はあまり進まないと推定される。また必ず 18 平成24年度地球温暖化対策技術普及等推進事業(ベトナム社会主義共和国の鉄鋼業における 日本鉄鋼業の省エネルギー技術を用いたCO2排出削減のための政策提言および事業性調査)に係 る報告書JFEスチール株式会社、JFEテクノリサーチ株式会社 115 しも CO2 削減につながらないといった技術であり、今回の適用技術から除外する。 ・ 電気炉の制御技術:ベトナム国内ではいまだ古い設備が存在することまた、操業技術はま だ未成熟な面があり、今後成熟するに従い普及が期待できる技術である。また、電力価格 の上昇に伴い経済性も改善していく技術である。したがって、今後の普及が予想される 2025 年時点では約 50%の普及率を仮定する。 ・ 取鍋予熱の酸素バーナ技術:現時点でも普及の可能性が高い技術であり、技術の認知が必 要である。しかしながら前述しているように、自工場内に酸素プラントを保有しているか どうかで経済性が変わってくる。ただし自工場内に酸素プラントを保有する工場では経済 的に有利であることから、今後の普及が期待される。2025 年時点で自工場内に酸素プラ ントを持つ工場を 50%と仮定し、その中で 50%の普及率を仮定する。また、酸素プラン トを保有しない場合の技術としては取鍋予熱へのリジェネバーナ技術の適用があるが、こ の技術とあいまった普及も期待できる。 ・ 加熱炉のリジェネバーナ技術:燃料価格が上昇しても現状設備を改造して適用するにはま だ経済性は不十分である。燃料価格の上昇しだいでは部分的な適用は経済性を持つ場合が あるが、全体に適用するのは難しい状況にある。しかしながら 2025 年までには鉄鋼設備 の新設、改善、増強といったものが予想され、このタイミングでリジェネバーナを適用す ることは十分な経済性を持つことができることから 50%の普及率を仮定する。 以上の前提、仮定をもとに 2025 年時点での CO2 削減量を図表 6.1-4 にまとめる。 図表 6.1-4 Technology Disementation 普及の予測と 2025 年時点での CO2 削減量予測 Electrode Regulation Ladle Preheater and Automation Control with oxygen/fuel for EAF Optimization burner 18.5 mil t-steel/y 18.5 mil t-steel/y Ratio in Vietnam x 50% (mil t-steel/y) =9.25 CO2 Reduction ratio (kg-CO2/t-steel) CO2 Reduction (t-CO2/y) x 50% x 50% =4.63 5.64 4.9*1) (10kwh/ t-steel) 52,170 22,600 Reheating Furnace Regenerative burner 38.5 mil t-steel/y x 50% =19.25 10.5 *2) 202,120 *1) B-Company の全バーナへの適用時の CO2 削減量の 1/2 の数値を採用(石炭ガスの場合は 約 2 倍) *2) A-Company の CO2 削減量の数値を採用(石炭ガスの場合は約 2 倍の数値となる) 以上のように今後これらの技術の導入により大きな CO2 削減が期待できる。 116 7.まとめ 本年度は、ベトナム鉄鋼業において昔から操業している製鉄所と 2000 年以降の市場開放に 伴って導入された比較的新しい設備を有する 2 箇所の製鉄所の調査を実施した。これらの製 鉄所は対照的でありながら、両者に共通して言えることは、 ①まだ製鉄技術に未成熟と言わざるを得ない面があることが確認できた。 ②技術として自ら調査・検討する土壌はあまり見られない状況にあった。 ③日本の技術への認知度は低いと同時に、経済性を優先して安価な中国の技術を多く導入さ れている状況にあった。 また、経済性の検討においても、電力を含むエネルギーが比較的安価といった理由から、 日本の技術では経済性が成立しにくい状況が垣間見えた。これらの考え方に基づいて、以下 の政策を提言する。 7.1 ベ ト ナ ム に お け る JCM に 関 連 す る 政 策 提 言 現在のベトナムの鉄鋼業においては、日本の技術の認知度は低く、かつ JCM 制度の認知 はほとんどない状況であった。これらの状況から鉄鋼業での技術導入を進めていくためには 以下のような手段が有効であると考えられる。 1.日本の優れた製鉄技術の認知度を上げること 日本の電炉製鉄所では一般的に採用されている技術についても認知度は非常に低い。日本 が提供する技術はコストも高く、またベトナム鉄鋼業の技術の未成熟さともあいまって、い かに優れた技術であっても技術についての紹介だけでは、技術の有効性、優位性を理解させ ることは難しい状況にあると考えられる。 したがって、日本の技術の提供に当たっては、 ① 対象企業の設備・操業を観察し、有効かつ実施可能な技術を提供すること ② 技術導入の効果を実際のデータを確認しながら評価すること ③ 観察・評価を通して技術の有効性を理解してもらうこと ④ 場合によっては、技術導入意思決定権者日本の優れた技術・設備を見学する機会を 与える。 といった現地調査を含めて技術を提案するステップや先進技術を肌で感じさせることが必 要であると考えられる。同時に操業技術等のリコメンド等により、日本の技術の優位性を示 すことが重要である。 2.JCM を活用して日本の技術を具現化すること ベトナム鉄鋼業に日本の技術を導入するに当たっては、経済性が大きなバリアとなってい る。そのため同様な技術が、日本以外の国から導入されている事例が多い。しかしながら、 同様な技術であっても、日本の技術は優位であり、より確実で大きな効果が期待できる。日 本の技術の導入に当たっては経済性のバリアをクリアーすることが重要であり、当初の技術 導入に当たっては JCM スキームによる支援を活用し、日本の技術の有効性、優位性を実際 117 に示す必要がある。導入事例を作り、実績を示すことが必要であり、そのためには、たとえ 小さな投資であっても導入が実現可能なものから適用していくことも必要と考えられる。 今後電力を含めてエネルギー価格の上昇が予想されており、普及のための土壌を養成して いく必要がある。 3.JCM の内容の理解と活用のための今後の展開 ベトナム鉄鋼業においては、JCM に関する認知度はほぼ皆無と言って過言ではなく、ま た政府関係者からも JCM に関する支援スキームが経済産業省と環境省で大きく異なってお り、非常にわかりにくいと言う意見が出ている状況で、今後、更に正確な情報をわかりやす く提供する必要がある。 一方もう一つの大きな課題として、現状のベトナム鉄鋼業では、十分なデータ収集体制が 確立していないという点がある。そのため適切な MRV 体制ができるかといった検討も JCM を進める上で重要な要素となる。Plan-Do-Check-Action といったいわゆるマネージメントサ イクルが確立していない面が多く見られ、この課題を改善していくことも重要な要素となる。 4.省エネルギーを進める上でのバリア 以下は今回調査を実施した 2 社との協議を通じて、上記の状況も踏まえてベトナム鉄鋼業 の省エネルギー技術の普及や省エネルギープロジェクトの実施を阻害している複数のバリ アを推定してまとめた。 政府間協議に際しては、図表 7.1 のようなバリアを念頭に置き、その解決に向けた方策が 考慮されること期待したい。 分類 バリア 資金・人材 ベトナ ム企業 概 要 ● 資金の不足、エンジニアの検討能力が不足している。 ● 省エネルギー技術に関する知識が不足している。 ● 一般的に設備の建設や改造は製作・現地工事等全てメーカに よって管理・実施されるため、社内検討要員や現地施工者の 情報・知識の不足 経験や能力が不足している。 ● データの整備や管理が不足しており、新しい技術を導入する 体制が整っていない。 ベトナ ム国内 ● 鉄鋼需要の不透明感 直近はベトナム国内の需要減退、国外からのビレット等半製 品の輸入圧力等により、需要増への不透明感がある。(一方 で将来の需要増への期待感もある。) ● 業界団体・学会など日本では一般的な、事業者間で技術情報 を共有する仕組みが不十分である。 新興国 情報不足 ● 国内の設備メーカや施工業者の実力不足のため、建設自身が 全て国外企業へ発注されるケースが多い。その場合、施工実 共通 績に関する情報が国内で共有されない。 事業者間の競争環境 ● 品質や省エネ(エネ原単位)に関する競争も一般的ではない 118 高い金利 ● れる。 ● 高い設備費 インフレ等の影響により資金調達に際して高い金利を求めら 国内設備メーカの実力が不足しており、性能や信頼性の面か ら、海外調達せざるを得ない機器が多い ● 為替リスクや個別企業の信用リスクを考慮し、海外機器メー カの見積金額が高額になりがちである。 JCMへの対応 ● が多く、政府関係者でも理解仕切れていない部署がある。 ● 省エネ政策 JCM に関し、経済産業省・環境省で支援スキームが異なる面 省エネ目標や規制の必要性に対する理解が不十分であると同 時に支援策もあまりない。 ● Plan-Do-Check-Action といったいわゆるマネージメントサイ クルの普及に関する政策がない。 政府 ● く、また、現状の電力価格もコストを反映しない低水準に維 エネルギー価格の不 透明さ ベトナムはエネルギー資源国でもあり、エネルギー価格が低 持されており、省エネが進みにくい。 ● これらが、エネルギーの浪費や省エネ投資の事業性低下につ ながっている 7.2 総括、及び来年度以降に向けた提案・提言 今回の調査において、日本の優れた技術を導入する余地は十分にあることが確認できた。 しかしながら、経済性の観点から導入を検討する段階には至っていない。ただし、JCM によ る支援スキームを利用することで導入可能な技術も見られている。今後の実施については調 査対象となった企業の判断によることになる。 一方で、JCM スキームを利用して技術導入する場合においても、メリット特定のためのさ らなる詳細なデータの入手、現地工事ボリュームの推定、MRV に関するデータの確認が必要 な状況にある。 設備費用の低廉化や各種メリットの取り込みなど、引き続き経済性改善のための詳細な検 討が必要な段階である。 同時に、新技術導入後の確実な具現化を達成するためには、Plan-Do-Check-Action といっ たいわゆるマネージメントサイクルの考え方も並行して定着させていく必要がある。 本調査に当たって、両国政府各機関・関係者をはじめ、多くの方々のご協力をいただきました。 ここに関係各位に心から御礼申し上げます。 119 ANNEX1 省エネ技術ポジティブリストの解説 Hot Conveyor Transport of Hot DRI/HBI to EAF 図表 Annex1-1 No.1: Hot DRI/HBI Charging to the EAF (出典:SOACT) 図表 Annex1-2 No.2: Scrap Preheating (ex. Ecological and Economical Arc Furnace) (出典: http:/www.steelplantech.co.jp) 120 図表 Annex1-3 No.4: Aluminum Alloy Conductor Arm for Supporting Electrode (出典:写真はニッコー提供) Graphite hearth electrode <DC furnace> Electric room DC reactor (DCL) trans VCB Hearth Electrode Thyristor Transformer station High-frequency filter 図表 Annex1-4 No.5: DC Electro Arc Furnace (出典:NEDO ハンドブック) 121 図表 Annex1-5 No.6: Oxy-fuel Burners/Lancing (or Super Sonic Burner ) (出典:ニッコー提供) To application system Steam drum Accumulator Super heater WHRB steam drum Boiler Circulation pump Heat Exchanger Cooling water Circulation pump 図表 Annex1-6 Condensate pomp Boiling feed Deaerator Make-up Water pump water No.8: Waste Heat Recovery from EAF (出典:JASE-World) 122 From application system Waste gas 170deg.C Waste gas Waste gas 4-way selector Valve COG 920 Mcal/h Air Air 20deg.C 1000deg.C Heat Storage material (ceramic honeycomb) COG 600 Mcal/h 1000deg.C from brochure of Chugai Ro Conventional burner Fig Non heat recovery type burner ladle Drying device Horizontal Type Regenerative burner Regenerative burner-type ladle Drying device Vertical Type Making it possible to preheat a number of ladles in a single installation. Furthermore, the high-temperature heating of the ladles is possible with the ladles attached closely together. The preheating of a number of ladles in a single installation is enabled by sliding movement. Furthermore, opening and closing movement back and forth enables the high temperature heating of the ladles with lids attached closely together. 図表 Annex1-7 No.9.1: Regenerative Burner Total System for Ladle Preheating (出典:図は NEDO ハンドブック、写真は中外炉提供) 図表 Annex1-8 No.9.2: Oxygen Burner Total System for Ladle Preheating (出典:中外炉提供) 123 EAF Process Optimization by Off-gas Analysis Power Input Control ・Off Gas Analysis ・Temp, O2, CO, CO2, H2, N2 H2O Carbon & Oxygen Injection Natural Gas & Lime Injection 図表 Annex1-9 No.11.2: Control and Automation for EAF Optimization (出典:SOACT) Automatic Scrap Meltdown Timing Judgment System by Acoustic Spectrum Analysis for AC EAF Data collection Meltdown signal Current transformer Scrap data presetting Current Voltage inverter Touch panel Microphone Sound signal EAF Signals from EAF 図表 Annex1-10 Control Panel No.11.3: Control and Automation for EAF Optimization (出典:大同特殊鋼ホームページ) 124 HYBRID Jet Burner Carbon Electrode ① Focused O2 Frame (Mach = 2) ② O2 Covering Frame UHP long ARC Injected carbon CO+C→CO2 gas A: Reaction of molten steel particle B: Heat Conduction from slag to steel particle Foamy slag C: Heat Conduction from steel particle to steel bath Slag line slag by convection CO gas primary O2 Carbon injection lance 1500 kg/h Metal line Cooling copper box with fins Promotion of steel bath stirring D: Temperature homogenization by bath stirring on tapping molten steel Heat transfer cycle; A→B→C→D 図表 Annex1-11 No.12: Carbon and Oxygen Injection System for foamy slag practice (出典:ニッコー提供) No heat Recovery Fuel usage quantity (%) Fuel: By-product gas Furnace Temperature: 1350 deg.C base condition Δ20% Conventional Recuperator Δ30% High temperature heat exchanger Δ45% Regenerative burner Pre-heating Air Temperature (deg.C) Application of Regenerative burner can achieve (45%) energy saving (45%-20%=25% better than conventional Recuperator). Further information is required for accurate estimation. 図表 Annex1-12 No.13: Comparison of fuel usage quantities versus pre-heating air temperature (出典:SOACT) 125 Preheating temperature >1000℃ by Regenerative Burner Total System Fuel Fuel Burner B Burner A Ceramic Regenerator B Air Exhaust gas 200 deg.C Switch valve Ceramic Regenerator A Regenerative burners, using temperature resistant ceramic heat media, can recover approximately 85% of waste heat from high temperature exhaust gas from reheating furnaces or ladle preheating by directly introducing high temperature exhaust gas into heat media and alternate switching between heat storage and preheating of combustion air. This high performance burner technology achieves superior fuel gas saving and compact reheating furnace equipment. It is desirable to install this system when new furnace is introduced, because the cost will be saved compared to modification of furnaces. 図表 Annex1-13 No.13.1: Combustion Air Preheating for reheating furnace Energy conservation ratio (%) (出典:SOACT) Reheating Furnace (continuous) Reheating Furnace (batch) Ladle Heat treatment furnace (continuous) Heat treatment furnace (batch) Gas treatment furnace Melting furnace Field test project 167 furnaces In case of Reheating Furnace 10 -20% Reduction Treatment Temperature (deg.C) Actual results shows approximately 30% reduction of fuel In case of Reheating furnace, the average is 10-20% reduction compared to the furnace with conventional Recuperator. (These results are mainly from Japanese industries, and the energy saving effect For Reheating furnace depends on the range of revamping) 図表 Annex1-14 No.13.1: Actual Results of application of Regenerative burner (出典:SOACT) 126 Temperature and pressure Control in furnace, ,O2 Control in Fuel gas and Change to ceramic fiber inner wall No.14 Thermal insulation by Ceramic Fiber on inner wall (Heating Furnace) O2 meter Preheating Area Furnace thermometer Soaking Area Heating Area Billet Combustion Air Furnace manometer To Rolling Line Fan Flue gas Cooling water Damper Combustion control system (DCS) Fuel High-performance combustion control system - Furnace temperature control - Flue gas O2 control - Furnace pressure control High efficiency recuperator 図表 Annex1-15 No.15: Process Control for Reheating Furnace (No.14 Thermal insulation by Ceramic Fiber on inner wall を含む) (出典:NEDO ハンドブック) 図表 Annex1-16 No.16: Air Conditioning by Hot Water Absorption Chiller utilizing Waste Heat (出典:revised figure supplied by EBARA Refri. Equip. & Systems Co., Ltd.) 127 Required electric power (%) (1) Delivery side damper control Intake side damper control Variable control of transmitted power (eddy current coupling with fluid gear box) Ideal control (2) Inverter control Source: electrical Installation Technology P27. February 2001 Airflow 図表 Annex1-17 (%) No.17: Inverter (VVVF; Variable Voltage Variable Frequency) Drive for Motors (出典:NEDO ハンドブック) Check Data Acquisition & Monitoring System Power, Carbon, Oxygen, etc. Electric Arc Furnace & Do Ladle furnace Management System Fuel, Temperature , etc. Reheating furnace & Rolling Mill Action Production Scheduling Plan 図表 Annex1-18 No.18: Energy Monitoring and Management Systems for Steel Plant with EAF 128