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モテ部屋の研究 - 椙山女学園大学 生活科学部 生活環境デザイン学科
No88 インテリアとモテ(モテ部屋の研究) ~男性誌を対象として~ 阿部研究室 鎌田弓 インテリア取り扱い時期 ■背景と目的 モテる為の要素になったのではないかという 6 5 特集回数 「モテ部屋」という言葉を知り、インテリアが 7 4 3 2 仮説を立てた。「モテ」に関する書籍は Amazon ブックスで 6410 件ヒットした(2009.12.3 現 1 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 年 2000 2002 2004 2006 2008 【図 1】調査対象誌のインテリア取り扱い時期 在)。この中に男性向けインテリア雑誌があっ インテリア取り扱い件数(大宅文庫) 600 たことから、男性が考えるインテリア・モテ部 500 件数 400 屋を調べることとした。 300 200 本研究は男性誌でのインテリアの取り扱わ 100 0 1988 れ方を調査し、「モテの要素になったのはいつ か」「本当にモテるのか」を明らかにし、新たな 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 【図 2】大宅文庫「インテリア」ヒット件数 インテリアの位置づけを考察することを目的 ■男性誌におけるインテリアとモテの関係 とする。 モテ目的特集の取り扱い時期【図3】 2005 年からモテを目的としたインテリア特 ■調査対象の選定方法 ①男性誌データベース:社団法人日本雑誌協会 2008 年 集が急激に増加し始めたことが分かった。 5 データベース及び書店取り扱い男性誌より、65 い、インテリア特集を行っており資料閲覧が可 能な 5 誌を選出した。 ②大宅壮一文庫:日本有数の蔵書をもつ雑誌専 門図書館大宅文庫データベース (1)を用い「モテ 部屋」「モテ&インテリア」等をキーワードに検 索を行い、9 誌を検出した。 以上の方法により、14 誌を調査対象とした。 ■男性誌におけるインテリア取り扱い時期と内容 2004 年からインテリア特集が増加し始めた ことから、男性誌でインテリアが頻繁に取り扱 われるようになったのは、2004 年以降と推測 される【図1】。 特集回数 誌選出した。この 65 誌にヒアリング調査を行 4 3 2 1 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 年 【図3】調査対象誌のモテ目的取り扱い時期 モテ目的特集の内容 部屋紹介の他に、女性による部屋評価、風水 などがあった。また「ヤレるモテ部屋」という特 集があったことから、女性に惚れさせること、 性行為を意識した部屋作りが存在することが 分かった。 女性誌と男性誌の「モテ」の違い 女性は料理・収納など「部屋で何かをする」 ことでモテようとしているのに対し、男性は部 さらに、大宅文庫で「インテリア」をキーワード 屋のきれいさ・おしゃれさなど「部屋」自体で に検索した結果、1988 年に比べ2001 年から特 モテようとしているということが分かった。 集回数が倍以上になっており、インテリアの取 男性のインテリアへの意識 り扱いが増加傾向にあることが分かった【図2】。 情報誌だけでなくファッション誌で取り扱 多くの雑誌が部屋紹介を取り扱っており自 われるようになったことから、男性自身の満足 己表現・自己実現を目的としたものが多かった。 だけでなく「部屋を人からどう見られるか」を 意識しているのではないかと推測される。 部屋 3% ■男性の部屋に対する女子大生の評価 「男性の部屋」に対する女性の評価を探るため、 記入依頼式のアンケート調査を行った。調査対 象は本学学生333名とした。内訳は、生活科学 部生活環境デザイン学科4年27名、3年49名、2 その他 3% 仕事 11% 知り合って 間もない人 2% 性格 25% その他 1% 無回答 2% 恋人 38% 友達以上 恋人未満 22% 頭の良さ 11% 友達 立ち居振 る舞い 22% 35% n=333 n=1109 【図 5】2 人きりで男性の部屋に行く関係 【図 4】男性をカッコイイと思う要素は何か 見た目 25% 上がらない 3% どちらでも ない 15% 生活感がない 2% その他 無回答 3% 0% 個性的 8% 趣味であふれ ている 年105名、1年97名、他学部他学科55名である 清潔感がある 32% 12% (実施期間:2010年10月28日~11月15日)。 アンケート回答者の属性 男性をカッコイイと思う要素は何か、という インテリアにこ 上がる 82% 整理整頓され だわっている ている n=772 n=333 18% 25% 【図 6】部屋が好みであったら好感度は上がるか 【図 7】素敵と思う部屋はどんな部屋か 21.2% 4年 インテリアにこだわっている 質問では、複数回答の全回答中の25%は同割合 3年 18.8% 2年 18.6% 1年 18.6% 清潔感がある 整理整頓されている で「性格」「見た目」だった。「部屋」と回答した人 は3%のみで、部屋は男性をカッコイイと思う 要素ではほぼ無いといえる【図4】。 2 人きりで男性の部屋に行く関係は「友達」 が35%であった。よって、友達の関係でも男性 の部屋に行くことは少なくないといえる【図5】。 趣味などであふれている 個性的 生活感がない その他 他学部 無回答 11.6% 0% 20% 【図 8】所属・学年別 どうも思わない 9% 100% n=333 どうも思わない 7% n=333 無回答 3% どちらでもない 13% 否定的 9% 否定的 21% 肯定的 56% 肯定的 73% n=333 n=333 【図 9】インテリアにこだわる男性をどう思うか どうも思わない 4% どちらでもない 23% 【図 9】インテリアで好感度を上げようとする男性をどう思うか 無回答 4% 無回答 2% どうも思わない 6% 肯定的 25% 肯定的 15% どちらでもない 16% 味がある」といえる【図6】。 男性の、素敵と思う部屋はどんな部屋か、と 80% 無回答 1% どちらでもない 8% 「好感度が上がる」と答えた。部屋をオシャレ にすることは、モテの要素として使用する「意 60% 素敵と思う部屋はどんな部屋か 「男性の部屋」に対する意識 回答者の82%が、部屋が好みであった場合 40% n=333 否定的 46% 否定的 59% n=333 【図 10】インテリアで惚れさせようとする男性をどう思うか【図 12】インテリアでスムーズに性行為に至ろうとする男性をどう思うか いう質問では、「インテリアにこだわっている」 ■まとめ が3位に上がり、インテリアにこだわることは 男性誌でのインテリアの取り扱われ方 女性から素敵だと思われるということが分か インテリアが多数特集され始めたのは2004 る【図7】。所属・学年別では、生環学生が他学 年、モテ要素として捉えられるようになったの 部学生より「インテリアにこだわっている」こ は2005 年からと推測される。またファッショ とを評価した割合が高く、インテリアに関心の ン誌でも扱われ始めたことから、ファッション ある女性は、インテリアへのこだわりに好感を と同じような位置づけになってきたといえる。 持つ傾向にあるといえる【図8】 。 「男性の部屋」に対する女性の評価 「インテリアにこだわりを持つ男性」に対する評価 (2) 部屋にこだわる意図によって、評価に相違が インテリアにこだわる男性に対して、73%が あることが分かった。男性の部屋が好みである 「肯定的」であった。これはインテリアが趣味の 場合、好感度が上がる女性は82%であり、趣味 一つとして捉えられるのではないかと推測さ として下心を感じない程度にインテリアにこ れる【図9】。 だわることはモテる事に繋がるといえ、「部屋 さらにインテリアで好感度を上げようとす のインテリアはモテの要素である」といえる。 る男性、惚れさせようとする男性、スムーズに 【注】 (1)大宅壮一文庫のデータベースは、1988年1月以降に 出版された雑誌の蔵書を検索することが出来るも のである。 (2)自由記述式設問のため、「肯定的」「否定的」「どちら でもない」「どうも思わない」の4 つに分類する。 性行為に至ろうとする男性をどう思うか、の質 問では段々と否定的割合が増加した【図10, 11,12】。