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FTA 植物用プロトコール

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FTA 植物用プロトコール
FTAプロトコール BDJ05
FTAⓇ植物用プロトコール
FTAⓇ技術とは
FTA技術とは、様々な生物由来の核酸の採取、輸送、保存、精製を簡単に行えるよう設計された最新の技術です。血液、
口腔細胞、植物サンプル、組織細胞・培養細胞、微生物、プラスミド、その他様々な生物ソースが対象となります。
FTAカードは特殊な化学処理がなされ、アプライしたサンプルの細胞膜を溶解しタンパク質を変性させます。そして、核酸
は濾紙繊維に固定・安定化され、室温で保存が可能となります。FTAカードに固定化されたDNAは、ヌクレアーゼ、酸化、
紫外線、微生物および菌類の攻撃から保護されます。FTAカードは細胞膜を溶解しタンパク変性させることにより、サンプ
ルに存在する伝染性病原体も不活化されます。
FTAカードに採取されたサンプルは室温で保存が可能で、核酸は長期間安定を保ち、ゲノムDNAを少なくとも14年の安定
度を持つことが立証されています。
また、米国郵政公社はサンプルをアプライしたFTAカードを保護用ポーチ(WB100036他)に封入して送付することを許可し
ています。
指示薬付FTAカードはサンプルをアプライするとピンクから白色へ変化するため、無色透明のサンプルに適しています。
クローンセーバーカードは、プラスミドDNAの室温採取・保存に最適です。
*US Patent 5, 807, 527 and other issued and pending patents.
FTA成功のポイント
FTA標準プロトコール
1. FTAは細胞を溶解し、核酸を放出してセルロース繊維
に絡みつけ、またDNAを保護します。このプロセスには
FTAカードに含まれている試薬を反応させるための水分
が重要です。
プラスミド DNA の場合はプロトコールが異なりますので、
お問い合せ下さい。
2. PCR等のダウンストリームアプリケーションには、FTAカ
ードから細胞残渣や阻害物質を取り除いて使用します。
この洗浄ステップは非常に重要です。たとえば、血液、
植物のように着色したサンプルは色が無くなるまで洗浄
する必要があります。不十分な洗浄はその後のダウンス
トリームアプリケーションの結果に影響してしまいます。
①FTA カードにサンプルをアプライし
て、室温にて約 1 時間乾燥させる。
②上記からサンプルをディ スク状
(通常φ1.2mm またはφ2.0mm)に
打ち抜く。
使用上の注意
・ FTA カードまたはクローンセーバーカード使用の際は、
汚染防止のため必ずグローブを着用して下さい。
・ 未使用のFTA カード/クローンセーバーカードは、過
度の湿気・光を避け、乾冷所で保管して下さい。
・ 生物サンプルの取扱いについては、一般的な注意事項
に従って下さい。
・ FTA カード/クローンセーバーカードは人体に無害です。
③ディスクを PCR チューブに入れ、
FTA 精製試薬で洗浄する。
④ディスクを TE-1 バッファーで洗浄
する。
⑤ディスクを自然乾燥する。
⑥PCR マスターミックスをディスクが入った
PCR チューブに加え、ディスクを入れた
まま PCR を実行する。
植物サンプルの FTA カードへのアプライ方法
1. FTA カードに直接葉をプレスする方法
1. サンプル識別をカードに付けておきます。
2. FTA プラントセーバーカードに直接葉(若葉などなるべく水分を
多く含む組織)を置き、カバーをかぶせます。(プラントセーバー
以外の FTA カードの場合パラフィルムで覆って固定して下さい)
* サンプルが乾燥していれば、基本的にパンチを介してのコンタミはありません。
気になる場合は以下の方法でパンチの先端を洗浄後キャップをして下さい。
①カードの未使用部分をくり抜く②パンチの先端をエタノールですすぐ
③乾燥したエアー等でスプレーする
* FTA プラントセーバーカードとは、植物をプレスしやすいようにカバー部
分がラミネートされ、丈夫な構造になった植物用にデザインされた FTA カ
ードです。
1. FTA 精製試薬を 200μL、ディスクの入った PCR チューブに加
えて下さい。
2. 室温で5分間、インキュベートします。(残渣分離と洗浄促進のた
めに、必要に応じて適度にピペットで混合して下さい)
3. ピペットを用い、使用した FTA 精製試薬をすべて取り除いて下さい。
4. 上記 2∼4 の過程をさらに 2 回繰り返し、計 3 回 FTA 精製試薬で
洗浄します。
5. この段階でディスクが白くなって(クロロフィルが除かれて)いな
ければ、さらに 2∼4 の過程を繰り返して下さい。
6. TE-1 バッファー(10mM Tris-HCl, 0.1mM EDTA, pH 8.0)200μL
を加えます。
7. 室温で 5 分間、インキュベートします。
8. ピペットで TE-1 バッファーをすべて取り除きます。
9. 上記 6∼8 の過程を再度繰り返し、計 2 回 TE-1 バッファーで洗浄
します。
10. PCR を行う前に、完全に水分を取り除き、ディスクは乾燥させて
おいて下さい。
11. 洗浄、乾燥させたディスクは、PCR に用いることができます。デ
ィスクを入れたまま PCR を実行して下さい。尚、ディスクを加える
ことにより反応ボリュームを変えたり、PCR の条件を変える必要は
ありません。
3. カバーまたはパラフィルムの上からプラスチックの棒など先が鋭
利でないもので叩いて組織を押しつぶします。または、ペンチの
平らな面(カードマトリックスがダメージを受けないため)で組織を
押しつぶします。
注意:カード上に十分な量の植物 DNA 入手するためこの過程は重要な要素
です。 プレスする力が弱いと十分量の DNA がカードに移りませんが、
強すぎるとカードのマトリックスが壊れてしまったり、カードがやぶれてし
まいますので、カードを強く叩きすぎたり、こすって塗布するのはやめて
下さい。
4. 組織液がカードの裏に染みていることを確認し、組織片を取り除
きます。
5. 室温で最低 1 時間、自然乾燥させて下さい。熱を加えて乾燥さ
せないで下さい。マトリックス上で PCR 阻害物質の作用が起きて
しまいます。
6. サンプルを保存する場合は、カードに乾燥剤を同封し FTA 保護
用ポーチに入れるか、湿度管理の行き届いた乾冷所に保管して
下さい。
2. FTA カードに植物ホモジネートをアプライする方法
1. 最低 10mg の若い植物組織に PBS バッファーを体積割合が 1:5
になるように加え、滑らかなホモジネートになるまですりつぶしま
す。(植物と PBS の割合が成功のために不可欠です。大豆やあ
る種類の穀類ではカードに固定化される DNA 量を改善するため
に DTT(Dithiothereitol)を加える必要があります。
2. 先端をカットしたピペットを用い(サンプルの粘性によりつまって
しまうため)、同心円状にカードに滴下します。カード上の化学物
質とサンプルがよく反応するように分散させてアプライして下さい。
同じ場所に多量に滴下しないようにして下さい。 室温で最低 2
時間、乾燥させます。熱を加えて乾燥させないで下さい。
3. サンプルを保存する場合は、カードにシリカゲルを同封し保護
用ポーチに入れるか、湿度管理の行き届いた乾冷所に保管して
下さい。
PCR 解析用 FTA ディスクの作製
1. ディスクを作製する前に、サンプルが乾燥した状態であることを
必ず確認して下さい。ディスクの大きさは、25μL の PCR 反応あ
たりφ2.0mm のディスクを推奨します。(DNA 量が多い植物の場
合はφ1.2mm のディスクを使用して下さい)
2. 台紙を開き、マットを台紙と FTA カードの間に敷きます。
3. パンチの軸の中央部分を親指と人差し指で軽く持ち FTA カード
に直角にパンチの先端を立ててのせます。
4. パンチで軽く FTA カードを押さえつけながら、パンチを数回、
回転させます。
注意:この時にプランジャー(パンチ上部のボタン)を押したり、無理に刃を
押し付けたりしないで下さい。
5. パンチを持ち上げ、FTA カードがくり抜けた事を確認します。
6. PCR チューブにパンチの先端を入れプランジャーを押して、くり
抜いた FTA ディスクをチューブ内に落として下さい。
FTA ディスクの PCR 解析の準備
* 洗浄後のディスクは 3 時間以内に PCR に使用することを推奨します。もし
3 時間以内に使用ができない場合は、冷暗所(4℃または-20℃)で 1 週間
まで保存することが可能です。
イソプロパノールを用いたプロトコール
植物によっては、ディスクからクロロフィルを取り除くのが難しい場合
がありますが、完全に除去できないと、PCR などのダウンストリーム
アプリケーションに影響を与えます。その場合、洗浄力を高める下
記の方法を試して下さい。
1. ディスクを FTA 精製試薬で洗浄後、200μL のイソプロパノール
で洗浄して下さい。
2. 室温で 2 分間インキュベート後、ピペットで数回混合し、洗液を
捨てます。計 2 回イソプロパノールで洗浄して下さい。
3. イソプロパノールを完全に除去できたことを確実にするために、
ディスクは室温にて乾燥させて下さい。
コントロール
下記をコントロールとして各PCR反応に使用することをお奨めします。
・ ネガティブコントロールA
・ ネガティブコントロールB(ネガティブコントロールA+サンプルが
含まれない洗浄ディスク):ディスクがポジティブの結果を引き起こ
さないことを確実にするため
・ ポジティブコントロールA(既知のDNA溶液)
・ ポジティブコントロールB(ポジティブコントロールA+サンプルが
含まれない洗浄ディスク):ディスクがPCR反応を阻害しないことを
確実にするため
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