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Discussion Paper No
Discussion Paper No.72
世界における我が国の健康栄養関連研究の状況と課題
~論文を用いた国別・機関別ランキングによる分析~
2010 年 12 月
文部科学省 科学技術政策研究所
第3調査研究グループ
勝野 美江、佐々木 敏
1
本 Discussion Paper は、所内での討論に用いるとともに、関係の方々からのご意見を頂く事を
目的に作成したものである。
また、本 Discussion Paper の内容は、執筆者個人の見解に基づいてまとめられたものであり、
機関の公式の見解を示すものではないことに留意されたい。
【執筆者】
勝野 美江 文部科学省 科学技術政策研究所 第3調査研究グループ 上席研究官
佐々木 敏 文部科学省 科学技術政策研究所 客員研究官(東京大学大学院医学系研究科
公共健康医学専攻社会予防疫学分野(教授))
【問い合わせ先】 文部科学省 科学技術政策研究所 第3調査研究グループ
〒100-0013
東京都千代田区霞ヶ関3-2-2中央合同庁舎7号館(東館)16階
電話:03-3581-2419 FAX:03-3503-3996
Discussion Paper No.72
The Japanese Situation and Subjects of Health and Nutrition-related
Research in the World: Country and Agency Rankings in Article
Production
December 2010
KATSUNO Mie, SASAKI Satoshi
3rd Policy-Oriented Research Group
National Institute of Science and Technology Policy (NISTEP)
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT)
JAPAN
2
世界における我が国の健康栄養関連研究の状況と課題~論文を用いた国別・機関
別ランキングによる分析~
勝野 美江 1 、佐々木 敏 2
1
科学技術政策研究所 第 3 調査研究グループ 上席研究官、 2 文部科学省 科学技術政策研究
所 客員研究官(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野(教授))
要約:
目的:世界の健康栄養関連研究の状況を把握・分析して、日本の人間栄養学の研究基盤
づくりの検討の一助とする。
方法:論文データベース(Scopus)を使って、19 ジャーナルを抽出し、これらジャーナ
ルに 2005~2009 年に掲載された Article のうち、ヒト研究による栄養関連論文、動物実
験による栄養関連論文を抽出した(7695 論文)。これら抽出論文の分析を行うことで、
研究が活発な研究機関の研究体制等について分析を行った。
結果:「ヒト研究による栄養関連論文」に関しては、欧米の研究機関・大学がほぼランキ
ングの上位を占めた。また、世界のトップ機関において栄養に関する研究は、医学部の
他、農学部に栄養学部又は栄養学科が置かれて、なされている場合が多かった。「ヒト
研究による栄養関連論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキングの上位 30 カ国の
それぞれの国内で第 1 位となる論文生産機関をみると、日本を含め 4 ヵ国以外は全て研
究及び教育を行う機関であった。
考察:ランキング上位国では、人間栄養学を行う拠点となる大学に、ほぼ、栄養学の学
部あるいは学科があったが、日本では、上位 10 位以内に栄養学の学科がある大学は 2 機
関のみであった。日本で人間栄養学を勉強したくても、現状では研究者を養成する大学
(学部)・大学院が質・量ともに圧倒的に不足している。世界から長寿国として注目されて
いる日本において、研究・教育機関たる大学(学部)・大学院で、レベルの高い人間栄養学
の教育及び研究が実施される必要がある。
キーワード: 人間栄養学、論文分析、ランキング、データベース、世界トップ機関
The Japanese Situation and Subjects of Health and Nutrition-related
Research in the World: Country and Agency Rankings in Article
Production
KATSUNO Mie 1 , SASAKI Satoshi 2
1
Senior Research Fellow, 3rd Policy-Oriented Research Group, National Institute of
Science and Technology Policy(NISTEP), MEXT, 2 Affiliated Fellow, 3rd Policy-Oriented
Research Group, National Institute of Science and Technology Policy(NISTEP), MEXT,
Professor, Department of Social and Preventive Epidemiology, School of Public Health,
Graduate School of Medicine, the University of Tokyo, Japan
ABSTRACT:
Objective: The objective was to analyze situation in Health and nutrition studies around
the world and to support creating a foundation of human nutrition research in Japan.
Design: 19 journals were extracted using Scopus. 7695 Articles which were human
nutrition-related or animal experiments-related were chosen from 19 journals published
in 2005-2009.We analyzed the active research institutions and their research system by
analyzing those Articles.
Results: The top part of the ranking was mostly occupied by Western research institutes
and universities on “Human research nutrition-related papers”. Nutrition studies in the
world’s top agencies had been done at Department of Nutrition in Faculty of Medicine or
Faculty of Agriculture in many cases. The No.1 institutions which had produced papers in
the top 30 countries were all research and education institutions except for four countries
including Japan.
Discussions: Almost universities which were in the top ranking countries of human
nutrition research had Department or Division of Nutrition. On the other hand, there were
1
only two institutions which had a Department of Nutrition or Division of Nutrition in the
top-10 institutions in Japan. Even if someone wants to study human nutrition in Japan,
researchers training universities (undergraduate, postgraduate) are severely lacking in
both quality and quantity at this moment. High level education and research of human
nutrition should be conducted at the universities (undergraduate, postgraduate) which
are research and education institutions in Japan which has attracted attention as a
country of longevity in the world.
KEYWORDS: Human nutrition, Article analysis, Ranking, Data base, World’s top agencies
2
目
次
【概 要 】
【本 編 】
第 1 章 調 査 の狙 い
第 2 章 分析対象論文の抽出方法
(1) 調 査 対 象 ジャーナルの抽 出
(2) ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 、動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 の抽 出
第 3 章 抽 出 論 文 の生 産 機 関 及 び生 産 国 ランキング
1. 世 界 の論 文 生 産 機 関 、生 産 国 の分 析
(1) 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属
機 関 別 ランキング
(2) 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属
機 関 の所 在 国 別 ランキング
(3) 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングと当 該 所 属 機 関 の所 在
国 別 ランキング
(4) 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングと当 該 所 属 機 関 の所
在 国 別 ランキング
2.日 本 の論 文 生 産 機 関 等 の分 析
(1) 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属
機 関 別 ランキング
(2) 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機
関 別 ランキング
(3) 著 者 に関 する分 析
第 4 章 健 康 栄 養 関 連 論 文 の生 産 機 関 の研 究 体 制
1.世 界 のトップ機 関 の研 究 体 制
(1) ハーバード大 学 (米 国 )
(2) カリフォルニア大 学 (米 国 )
(3) タフツ大 学 (米 国 )
(4) マーストリヒト大 学 (オランダ)
(5) コペンハーゲン大 学 (デンマーク)
(6) フランス国 立 医 学 研 究 機 構 (INSERM)(フランス)
(7) トロント大 学 (カナダ)
(8) Karolinska Institute(スウェーデン)
(9) ロンドン大 学 (UK)
(10) ヘルシンキ大 学 (フィンランド)
(11) (独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 (日 本 )
(12) 米 国 農 務 省 の人 間 栄 養 研 究 センター(米 国 )
2.世 界 のトップ機 関 の栄 養 研 究 の位 置 づけ
第 5 章 主 要 国 の健 康 栄 養 関 連 論 文 の生 産 の状 況
1. 上 位 30 カ国 の国 内 で第 1 位 となる論 文 生 産 機 関
1
2. 上 位 30 カ国 の 5 年 間 の論 文 数 の推 移
第 6 章 考察
1.世 界 の健 康 栄 養 関 連 研 究 の状 況 について
2.日 本 と海 外 の健 康 栄 養 関 連 研 究 の比 較
3.我 が国 における健 康 栄 養 関 連 研 究 の課 題
4.本 調 査 研 究 の限 界 と今 後 の研 究 課 題
第 7 章 謝辞
2
図
【概 要 】
図表 1
図表 2
図表 3
図表 4
図表 5
図表 6
図表 7
表
目
次
「ヒト研 究 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )(N=5926)
「動 物 実 験 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )(N=1769)
「ヒト研 究 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 )(N=5926)
「動 物 実 験 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 )(N=1769)
「ヒト研 究 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 ) (論 文 数 )(N=195)
「動 物 実 験 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 ) (論 文 数 )(N=162)
世 界 のトップ機 関 において「ヒト研 究 論 文 」が生 産 されている学 部 等 の整 理
【本 編 】
第 2 章関係
図 表 2-1 抽 出 した“Nutrition”というタイトルの付 いたジャーナル
図 表 2-2 抽 出 した医 療 系 ジャーナル
図 表 2-3 抽 出 した全 ジャーナル一 覧
第 3 章関係
図 表 3-1 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )
(N=5926)
図 表 3-2 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )
(N=1769)
図 表 3-3 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(被 引 用 数 )
図 表 3-4 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(被 引 用 数 )
図 表 3-5 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文
数 )(N=5926)
図 表 3-6 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論
文 数 )(N=1769)
図 表 3-7 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 の分 布
図 表 3-8 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 の分 布
図 表 3-9 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(人
口 、研 究 者 数 、国 内 研 究 費 総 額 により規 格 化 )
図 表 3-10 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング
(人 口 、研 究 者 数 、国 内 研 究 費 総 額 により規 格 化 )
図 表 3-11 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(被
引用数)
図 表 3-12 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング
(被 引 用 数 )
図 表 3-13 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(分 数 法 )
図 表 3-14 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(整 数 法 )(全 数
=22094)
図 表 3-15 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(分 数
法)
図 表 3-16 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(整 数
法 ) (全 数 =22094)
図 表 3-17 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(分 数 法 )
3
図 表 3-18 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(整 数 法 )(全 数
=5005)
図 表 3-19 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(分
数法)
図 表 3-20 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(整
数 法 )(全 数 =5005)
図 表 3-21 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(論 文
数 )(N=195)
図 表 3-22 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(論
文 数 )(N=162)
図 表 3-23 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(被 引
用数)
図 表 3-24 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(被
引用数)
図 表 3-25 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(分 数 法 )
図 表 3-26 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(整 数
法 )(全 数 =828)
図 表 3-27 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(分 数
法)
図 表 3-28 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(整 数
法 )(全 数 =428)
図 表 3-29 日 本 から発 表 されていた「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の全 著 者 (881 名 )におけ
る著 者 生 産 性 インデックス別 集 計 (いずれかのインデックスが上 位 20 位 以 内 である著 者 )
図 表 3-30 日 本 から発 表 されていた「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 (筆 頭 著 者 又 は責
任 著 者 :189 名 )における著 者 生 産 性 インデックス別 集 計 (いずれかのインデックスが上 位 20
位 以 内 である著 者 )
第 4 章関係
図 表 4-1 調 査 対 象 機 関 一 覧
図 表 4-2 ハーバード大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内
訳
図 表 4-3 カリフォルニア大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の
内訳
図 表 4-4 タフツ大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
図 表 4-5 マーストリヒト大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内
訳
図 表 4-6 コペンハーゲン大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の
内訳
図 表 4-7 トロント大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
図 表 4-8 Karolinska Institute 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」
の内 訳
図 表 4-9 ロンドン大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
図 表 4-10 ヘルシンキ大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内
訳
図 表 4-11 (独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属
機 関 )」の内 訳
図 表 4-12 USDA 人 間 栄 養 研 究 センターの概 要
4
図 表 4-13 世 界 のトップ機 関 において「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」が生 産 されている学 部
等 の整 理
第 5 章関係
図 表 5-1 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキングの上
位 30 カ国 の国 内 で第 1 位 となる論 文 生 産 機 関 一 覧
図 表 5-2 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」筆 頭 著 者 の所 属 機 別 ランキング(論 文 数 )上 位 30 ヵ
国 の論 文 数 の推 移 (2005~2009 年 )
5
1
概 要
2
3
1 調査のねらい(第1章関係)
Discussion Paper No. 63「食料産業クラスター、機能性食品研究に対する大学の貢献につい
ての調査研究」(2010 年 4 月)(科学技術政策研究所)においては、食生活と疾病との関係の研究
がまだまだ十分ではないことがわかった。また、2010 年 6 月には「新成長戦略」が閣議決定され、
「ライフイノベーションによる健康大国戦略」が位置づけられた。さらに、現在、検討がなされている
第 4 期科学技術基本計画においても、グリーン・イノベーションと並んでライフイノベーションが 2 本
の柱の1つとして掲げられることとなっている。このように、食生活と疾病の関係についての研究は、
ますます重要になってきていると言える。また、日本学術会議「栄養・食糧科学研究連絡委員会・
予防医学研究連絡委員会」が 2003 年 7 月に出した報告「21 世紀における人間栄養学の構築と
栄養学専攻大学院及び栄養専門職大学院の在り方について」においても、人間栄養学、食品栄養
学を含めた研究の基盤づくりが必要である、との課題が浮き彫りにされている。
そこで、本 Discussion Paper では、我が国の世界における健康栄養研究の状況と課題を明らかに
し、今後の人間栄養学の研究基盤づくりの検討の一助となることを狙いとして調査を行うこととした。
2 分析対象論文の抽出方法(第2章関係)
世界の健康栄養関連研究の状況を把握・分析するため、論文データベース(Scopus)を使って、
2005~2009 年にジャーナルに掲載された Article のうち、「ヒト研究による栄養関連論文」、(以下
「ヒト研究論文」)、「動物実験による栄養関連論文」(以下「動物実験論文」)を抽出し、これらの論
文の分析を行うことで、研究が活発な研究機関の研究体制等について分析を行った。
分析対象論文は、まず、以下の 2 種類のジャーナル群を対象にした。
(1)“Nutrition”という単語がタイトルに付いているジャーナル
(2)栄養・健康関連研究論文を多く掲載しているジャーナル(Abstract をキーワード(“food” or
“diet” or “intake” or “consumption”)で検索した際にヒット数の多かったもの)のうちの医療
系ジャーナル
(1)については、以下の(a)~(c)、(2)については、(a)及び(b)を基準にしてジャーナルを抽出した。
(a) 個々のジャーナルに掲載されている論文で、タイトル又は Abstract、あるいは引用論文にキ
ーワード(“food” or “diet” or “intake” or “consumption”)が含まれる論文数
(b) ISI Web of Knowledge のインパクト・ファクター又は Scopus の SNIP
(c) 「ヒト研究論文」及び「動物実験論文」の掲載割合
これにより、まず、American Journal of Clinical Nutrition 等の Nutrition 系ジャーナル 13、
International Journal of obesity 等の医療系ジャーナル 6、計 19 ジャーナルを抽出した。次に、
これらのジャーナルに掲載されている分析対象候補論文(9859)のタイトル及び Abstract の内容
を確認し、「ヒト研究論文」5926 論文、「動物実験論文」1769 論文、計 7695 論文を分析対象論文
として抽出した。
なお、今回抽出した 19 のジャーナルについて、本調査の趣旨を説明した上で、これらのジャー
ナルを分析対象にすることの妥当性について、この分野の専門家 4 名(国内 3 名、海外 1 名)に照
会を行った。専門家の方々からは、栄養系ジャーナルの分野を広げること、医療系ジャーナルの分
野を広げることに関する意見をいただいた。これに対し、分析対象論文のボリュームとのかねあ
1
いもあり、Nutrition 系ジャーナルに重きを置いて抽出の条件を設定し、ジャーナルの抽
出を行ったとの説明を行ったところ、抽出ジャーナルについての理解を得た。
3 抽出論文の生産機関及び生産国ランキング(第 3 章関係)
(1) 世界の論文生産機関、生産国の分析
前項で抽出した分析対象論文について、「ヒト研究論文」、「動物実験論文」ごとに、筆頭著者の
所属機関別ランキング(論文数、被引用数)、筆頭著者の所属機関の所在国別ランキング(論文数、
被引用数)、著者の全所属機関別ランキング、全著者の所属機関の所在国別ランキングを作成し、
それぞれの研究論文がどのような機関、どのような国から生産されているかを見た。なお、「動物実
験論文」は、分析対象論文数が少ないことから、「ヒト研究論文」の妥当性を見るための補完的なデ
ータという扱いで、分析を行った。
「ヒト研究論文」及び「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関別ランキング(論文数)(上位 20 位)
については、図表 1 及び図表 2 のとおりとなった。「ヒト研究論文」では、第1位をハーバード大学
(米国)が占めるなど、上位 20 位までのほとんどを欧米諸国の機関が占めている。なお、日本の機
関については、上位 20 位内にはランクインしておらず、最高で第 46 位に国立健康・栄養研究所
がランクインし、第 114 位の東北大学、第 129 位の徳島大学と続いている。
図表 1 「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関別ランキング(論文数)(N=5926)
順位 機関名
国名
1
2
3
4
5
ハーバード大学
マーストリヒト大学
カリフォルニア大学
タフツ大学
コペンハーゲン大学
フランス国立医学研究機構
6
(INSERM)
7 ロンドン大学
米国
オランダ
米国
米国
デンマーク
8 ミネソタ大学
全論文
論文数 に占める
割合
145
110
97
88
85
フランス
75
UK
67
米国
57
2.4%
9 トロント大学
カナダ
56
10 Karolinska Institute
スウェーデン
53
14.1%
11 ジョンズ・ホプキンズ大学
米国
49
12 ワーヘニンゲン大学
オランダ
45
12 ヘルシンキ大学
フィンランド
45
12 Deakin大学
オーストラリア
45
15 フランス国立農学研究所(INRA)
フランス
44
16 オスロ大学
ノルウェー
43
17 Lavel大学
カナダ
41
18 ペンシルバニア州立大学
米国
38
18 Lund大学
スウェーデン
38
18 オタゴ大学
ニュージーランド
38
21.2%
46 (独)国立健康・栄養研究所
日本
22
114 東北大学
日本
11
129 徳島大学
日本
10
注 1:全論文に占める割合とは、第 10 位の 14.1%は、第 1 位から第 10 位までの、第 18 位の 21.2%は、第1位から第 18 位ま
での、それぞれの論文数の合計を全抽出論文数 5926 で除した数値となっている。
注 2:機関によっては、個別のキャンパス、カレッジごとにカウントする場合もあるが、ここでは、同じ大学として総計でカウントし
ている。
注 3:第 5 位のコペンハーゲン大学については、王立農獣医大学と 2007 年 1 月に合併をしており、2007 年以前の論文につい
ては、王立農獣医大学として記載されているもののコペンハーゲン大学のものとしてカウントした。
2
注 4:第 6 位のフランス国立医学研究機構(INSERM)及び第 15 位のフランス国立農学研究所(INRA)については、他機関との
Unit による研究論文がほとんどであり、一部他機関との重複もある。
注 5:第 7 位のロンドン大学については、Imperial College London が 2007 年 7 月にロンドン大学から分離しているため、これを
含めていない。
「動物実験論文」についても、第 1 位にフランス国立農学研究所(INRA)が占めるなど、上位を
ほとんどが欧米諸国の機関が占めているが、「ヒト研究論文」ではランクインしていなかった、ブラジ
ルが 20 以内にランクインしている。このように「ヒト研究論文」と「動物実験論文」とでは、ランクインし
ている機関の顔ぶれやランキングの順位に違いが見られる。なお、日本の機関については、上位
20 位内にはランクインしておらず、北海道大学、東北大学及び京都大学が第 29 位となっている。
図表 2 「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関別ランキング(論文数)(N=1769)
順位
1
2
3
4
5
全論文に
占める割
合
機関名
国名
フランス国立農学研究所(INRA)
カリフォルニア大学
タフツ大学
イリノイ大学
ウイスコンシン大学
フランス
米国
米国
米国
米国
74
42
23
21
20
米国
19
ブラジル
18
ドイツ
18
米国
米国
フランス
カナダ
カナダ
UK
米国
カナダ
ブラジル
スペイン
米国
フィンランド
スペイン
米国
UK
日本
日本
日本
18
18
17
15
15
15
13
12
12
12
11
11
11
11
11
9
9
9
6 テキサスA&M大学
7 サンパウロ州立大学
Martin Luther University of HalleWittenberg
7 ペンシルバニア州立大学
7 ハーバード大学
11 フランス国立医学研究機構(INSERM)
12 アルバータ大学
12 マニトバ大学
12 Aberdeen大学
15 ノースカロライナ大学
16 マックギル大学
16 Campinas州立大学
16 バルセロナ大学
19 テキサス大学
19 ヘルシンキ大学
19 グラナダ大学
19 Baylor College of Medicine
19 ノッティングハム大学
29 北海道大学
29 東北大学
29 京都大学
7
論文数
4.1%
15.3%
24.7%
注 1:全論文に占める割合とは、第 7 位の 15.3%は、第 1 位から第 7 位までの、第 19 位の 24.7%は、第1位から第 19 位まで
の、それぞれの論文数の合計を全抽出論文数 1769 で除した数値となっている。
注 2:機関によっては、個別のキャンパス、カレッジごとにカウントする場合もあるが、ここでは、同じ大学として総計でカウントし
ている。
注 3:第1位のフランス国立農学研究所(INRA)及び第 11 位のフランス国立医学研究機構(INSERM)については、他機関との
Unit による研究論文がほとんどであり、一部他機関との重複もある。
「ヒト研究文」及び「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキング(論文数) (上
位 20 位)は、図表 3 及び図表 4 のとおりとなった。第 1 位は「ヒト研究論文」「動物実験論文」ともに
米国であった。日本は、「ヒト研究論文」が 9 位、「動物実験論文」が 2 位であった。なお、被引用数
についても、「ヒト研究論文」及び「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関別ランキングと当該所属
機関の所在国別ランキングを作成したが、例えば「ヒト研究論文」ではドイツの German Institute
3
of Human Nutrition Potsdam-Rehbruecke(論文数では第 41 位、被引用数では第 11 位)
のように、いくつか論文数のランキングに比して大きく順位を上げている機関が見られた。
また、「ヒト研究論文」及び「動物実験論文」の著者の全所属機関別ランキングと全所属機関の
所在国別ランキングも作成したが、ランキングの出し方によって上位機関の顔ぶれ・順位は若干異
なるものの、図表 1 から図表 4 の結果と類似していた。
図表 3 「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関の
図表 4 「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関の
所在国別ランキング(論文数)(N=5926)
所在国別ランキング(論文数)(N=1769)
順位 国名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
全論文
に占め
る割合
1591 26.6%
525
326
302
267
230
219
218
195
185 68.5%
179
152
151
115
107
89
86
82
77
70 87.2%
論文数
米国
UK
オーストラリア
オランダ
カナダ
ドイツ
スペイン
フランス
日本
イタリア
スウェーデン
デンマーク
フィンランド
中国
ブラジル
ノルウェー
ギリシャ
インド
ニュージーランド
イラン
順位 国名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
米国
日本
フランス
カナダ
スペイン
UK
ブラジル
ドイツ
中国
韓国
台湾
オーストラリア
イタリア
オランダ
インド
デンマーク
スイス
アルゼンチン
ニュージーランド
ベルギー
全論文
に占め
る割合
521 30.1%
162
144
105
93
86
70
63
61
57 77.0%
39
37
35
34
32
23
20
19
16
15 92.3%
論文数
注:全論文に占める割合とは、図表 3 で言えば、第 10 位の 68.5%は、第 1 位から第 10 位までの、第 20 位の 87.2%は、第1
位から第 20 位までの、それぞれの論文数の合計を全抽出論文数 5926 で除した数値となっている。図表 4 も同様である。
(2) 日本の論文生産機関の分析
日本について詳細にみるため、日本国内のみのランキングを作成した。日本の「ヒト研究論文」
及び「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関別ランキング(論文数)(上位 10 位)については、図
表 5 及び図表 6 のとおりとなった。第 1 位は、「ヒト研究論文」では、(独)国立健康・栄養研究所、
「動物実験論文」では、北海道大学となった。この結果を見ると、「ヒト研究論文」と「動物実験論文」
ではランクインする機関の顔ぶれ及び順位が異なることがわかる。なお、被引用数についても、「ヒト
研究論文」及び「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関別ランキングを作成したが、「ヒト研究論
文」では、論文数のランキングに比して花王株式会社を始めとする企業が順位を上げていた。
また、「ヒト研究論文」及び「動物実験論文」の著者の全所属機関別ランキングを作成したが、ラ
ンキングの出し方によって上位機関の顔ぶれ・順位は若干異なるものの、図表 5 及び図表 6 の結
果と類似していた。また、「ヒト研究論文」について筆頭著者が日本の機関に所属している論文を
抽出し、それらの論文の全著者(881 名)に関して、著者の掲載順により重みを変えて、その著者
の論文への貢献度を算出した。さらに、筆頭著者及び責任著者のみを抽出し、筆頭著者を1番目、
4
責任著者を 2 番目の著者に位置付けて、論文への貢献度を算出した。これらの結果から、日本の
「ヒト研究論文」は、独立行政法人の研究機関、国立大学法人の総合大学医学系大学院又は医
学部に所属する著者の貢献度が大きいことがわかった。また、民間企業や女子大学の栄養系学
部に所属する著者も一定の貢献をしていることがわかった。
図表 5 「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関別ラ
図表 6 「動物実験論文」の筆頭著者の所属機関別ラ
ンキング(日本)(論文数)(N=195)
ンキング(日本)(論文数)(N=162)
順位 機関名
1
2
3
4
5
6
6
8
8
10
10
10
10
(独)国立健康・栄養研究所
東北大学
徳島大学
東京大学
花王株式会社
(独)国立がん研究センター
筑波大学
九州大学
新潟大学
国立保健医療科学院
富山大学
静岡県立大学
岐阜大学
論文
数
22
11
10
9
8
7
7
5
5
4
4
4
4
論文
数
1 北海道大学
9
1 東北大学
9
1 京都大学
9
4 (独)農研機構 食品総合研究所
8
4 九州大学
8
6 静岡県立大学
6
6 花王株式会社
6
8 静岡大学
5
8 帯広畜産大学
5
10 (独)国立健康・栄養研究所
4
10 東京農業大学
4
順位 機関名
4 健康栄養関連論文の生産機関の研究体制(第 4 章関係)
ここでは、特に「ヒト研究論文」のランキングから、国のバランスも考慮して、ハーバード大学等の
世界のトップ機関の研究体制について分析を行った。これらについて、どの学部等から論文が生
産されているかを整理したのが図表 7 である。この結果、医学部の他、農学部に栄養学部又は栄
養学科が置かれて論文生産がなされている場合が多く、機関によって異なるものの、公衆衛生学
の研究分野とも大きな関わりがあることがわかった。こうしたことから、栄養学が学際的な学問である
ため、大学等によって設置される学部等が異なることがわかった。
図表 7 世界のトップ機関において「ヒト研究論文」が生産されている学部等の整理
機関名
ハーバード大学
カリフォ
ルニア
大学
デイビス校
国名
米国
米国
ロスアンジェ
米国
ルス校
タフツ大学
米国
公衆衛生学
医学
農学
・公衆衛生大学院内に設置されている ・医学大学院内に設置されている栄養
栄養学科からの論文が多い
学科からの論文あり
※公衆衛生修士(Master of Public
Health)は設置されているが、抽出論
文はなかった
・農業及び環境科学カ
レッジの中に設置された
栄養学のDepartmentか
・医学大学院の医療病理学、医療検査 らの論文が多い。また、
同Department内に設置
学のDepartmentからの論文あり
されたUSDAの人間栄養
研究センターから論文が
出ている
・公衆衛生大学院からの論文あり
・医学部内に設置された人間栄養セン
ターからの論文あり
・医学大学院内の「公衆衛生及びコミュニティ・メディスンのDepartment」に設置
された栄養・感性症ユニットからの論文あり
・医学大学院内に設置された「公衆衛生、家庭医学のDepartment」からの論文
あり
5
その他
・Brigham Women's病院の
Department of Medicineから
の論文が多い
・農業・環境科学と生物化学
のカレッジと2つの専門大学院
(医学、獣医学)の17の学部
の協力により設置された
Nutrition Biologyの大学院
コースからの論文あり
・学内に設置されたUSDAの
人間栄養研究センターからの
論文が多い
・「栄養科学及び政策大学
院」からの論文あり
機関名
マーストリヒト大学
国名
公衆衛生学
医学
農学
コペンハーゲン大学
・ライフ・サイエンス学部
の中に設置された人間
※健康科学部の中に公衆衛生の
デンマー
・健康科学部の中に設置された予防医 栄養学科(2007年1月に
Departmentが設置されているが、抽出
ク
療研究所からの論文あり
合併した王立農獣医大
論文はなかった
学の人間栄養学科を継
承)からの論文が多い
トロント大学
カナダ
Karolinska Institute
スウェー
・公衆衛生科学部からの論文あり
デン
UCL
UK
キングス・カ
ロンドン レッジ・ロン UK
大学
ドン
熱帯公衆衛
生学・熱帯 UK
医学大学院
ヘルシンキ大学
その他
・「健康、医療及びライフサイエンスFaculty」内の「栄養及び毒性研究所」から
の論文が多い
オランダ ・「健康、医療及びライフサイエンスFaculty」内の「公衆衛生、プライマリーケア
School」からの論文あり
フィンラ
ンド
・医学部内に設置された栄養科学科か
・子ども病院研究所内に設置された公 らの論文が多い
衆衛生科学科からの論文あり
・環境医学研究所内に設置された疫学
科(この中に栄養疫学グループが設置
されている)からの論文が多い
・医学大学院内に設置された疫学及び公衆衛生学のDepartmentからの論文が
多い
・子ども健康研究所からの論
文あり
・生医学・健康科学大学院内に設置さ
・医学大学院内に設置された公衆衛生 れた栄養及び食事療法学の
科学のDepartmentからの論文あり
Departmentからの論文が多い
・疫学及び集団健康学部(この中に栄
養、公衆衛生介入研究ユニットが設置
されている)からの論文あり
・医学部内に設置された公衆衛生の
Departmentからの論文あり
・医学部内の臨床医研究所からの論
文あり
・農林学部内の応用化
学、微生物学科に設置
された栄養学のDivision
からの論文が多い
・獣医学部内の臨床化
学のDepartmentからの
論文あり
注 1:フランスの INSERM は論文の所属機関記載内容から、学部等を識別できなかったため、この表には含めていない。
注 2:カリフォルニア大学は論文生産の多かった 2 校を代表としてあげている。
5 主要国の健康栄養関連論文の生産の状況(第 5 章関係)
ここでは、「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキングの上位 30 カ国のそれぞ
れの国内で第 1 位となる論文生産機関を抽出した。この結果、それぞれの国内で第1位となる論文
生産機関は、フランス、日本、インド、南アフリカは研究機関であったが、これら以外は全て大学等
となっていた。大学等のうち、論文生産の多かった学部等については、ほとんどが医学、ライフサイ
エンス系の学部であるが、ドイツのボン大学、イタリアのミラノ大学、フィンランドのヘルシンキ大学は、
農学部に栄養学の学科等が置かれている。また、スウェーデンの Karolinsda Institute、のような
医科大学もあるものの、ほとんどが総合大学であった。また、「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機
関の所在国別ランキング上位 30 ヵ国の年ごとの論文数の推移を見たところ、2009/2005 年比、
2009/2008 年比ともに 100%以上となっているのは、米国、オーストラリア、オランダ等 18 ヵ国であ
った。これらのうち、特に中国は 2009/2005 年比が 277%、インドは同 256%と 2.5 倍以上の伸び
となっていた。日本は、2009/2005 年比は増加しているものの、2009/2008 年比は減少していた。
6 考察(第 6 章関係)
6
(1)世界の健康栄養関連研究の状況について
「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関別ランキングでは、欧米諸国の機関がほぼ上位を独占し
た。特に米国は、上位 10 位以内に 4 機関がランクインし、国別ランキングで第1位をとるなど、圧倒
的な強さを発揮していた。「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキングの結果を
見ると、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、オランダといった国からの論文生産が多かった。論
文数を人口や研究者数、国内研究費総額で規格化することで、この傾向が顕著に現れた。また、
アジアに目を向けると、アジアの中では日本が論文生産量は最も多かったものの、近年、中国、イ
ンドの増加はめざましく、中国については早晩日本を追い抜く可能性もある。
「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキング上位 30 カ国内で第1位となる論
文生産機関については、ほとんどが大学であった。それらは、米国のハーバード大学、カナダのトロ
ント大学、中国の北京大学、ブラジルのサンパウロ州立大学、韓国のソウル大学のように、ほとんど
が総合大学であった。これらの大学においては、それぞれ医学系(公衆衛生学あるいは医学)の学
部又は大学院、あるいは農学部に栄養学の学科等が置かれたり、研究センターが学部と同レベル
の地位を持って設置されたりしており、長期的スパンでみれば、今後、論文数の増加ないし維持が
期待されるのではないかと考えられる。
(2)日本と海外の健康栄養関連研究の比較
「ヒト研究論文」のランキングの結果を見ると、ランキング上位国においては、人間栄養学を行う
拠点となる大学(多くが総合大学)に、ほぼ、栄養学の学部あるいは学科があり、そこから、論文が
生産されていた。一方、日本では、上位 10 位以内にランクインした大学で栄養学の学科があるの
は徳島大学と静岡県立大学のみである。しかも、総合大学は徳島大学のみである。(1)で触れたと
おり、多くの国では、総合大学に栄養学の学部・学科等が置かれ、論文生産がなされていた。これ
らのことから、我が国では、人間栄養学に関する教育が十分行われていない、つまり人間栄養学の
研究者が十分育成できているとは言い難い状況にあると言えよう。
我が国では栄養学という学問が必ずしも重視されてこなかったという歴史があり、このような厳し
い環境の中で、「ヒト研究論文」の筆頭著者の所属機関の所在国別ランキングで第 9 位に日本が
位置しているのは、よく健闘していると言えるかもしれない。ランキングの内訳を見てみると、地方の
国立大学法人の医学部が論文生産に健闘しており、栄養学科は存在していなくても、人間栄養学
を重視する研究者が孤軍奮闘している様子が想像できる。しかしながら、こうした状態では、次の研
究を担う人材育成が我が国においてはほとんどなされていない状態が続いているということになり、
我が国が現在の第 9 位という地位を維持していける可能性は極めて低いと言えよう。
(3)我が国における健康栄養関連研究の課題
世界中から長寿国として注目されている日本において、健康栄養関連研究を拡充させることで世
界に貢献できる可能性が大きい。また、政府が主導してライフイノベーションが本格的に始動する
中で、今後ますます、食生活と健康に関する研究の重要性は高まっていくことが考えられる。しかし
ながら、例えば、世界から注目されている“日本食”についてみても、コンセンサスを得た定義はなく、
7
何をもって長寿食と言えるのかといったことさえも、エビデンスが非常に少ないのが現状である。この
ことは「ヒト研究論文」のほとんどが欧米諸国の機関から生産され、世界ランキングの中で日本の機
関がかなり下位に位置していることからもわかる。つまり、日本においては、欧米での研究結果を輸
入して活用せざるを得ず、また、欧米人を対象にした研究結果を日本人に使えるかどうかの検証も
十分なされているとは言い難い状況にあると言えよう。一方で、中国、韓国が、ここ数年確実に論文
数を増やしてきているのは、この欧米偏重型の人間栄養学研究の現状に危機感を持っているから
ではないかと推察される。
日本の実態は、(2)で触れたとおりであり、人間栄養学を勉強したくても、日本では研究者を養成
する大学(学部)・大学院が質・量ともに圧倒的に不足しているのが現状である。人間栄養学は、ど
の世界のトップ大学のウェブサイトを見ても、学際的な学問、と書かれていたとおり、様々な学問の
集大成として研究されるべき学問である。したがって、総合大学において、医学、公衆衛生学の大
学院等が中心となって様々な学部からなる混成チームを結成し、人間栄養学の専門家教育を実
施する学部・大学院を設置することが望まれる。そのお手本は、例えば、「ヒト研究論文」の筆頭著
者の所属機関別ランキング第 3 位のカリフォルニア大学 Davis 校が 17 学部からなる学際的協力
組織により栄養学の大学院コースを設置していることや、同第 52 位のチリ大学が学際的・横断的
センターとして栄養・食品技術研究所を設置していることなどに見られる。人口規模の大きな国に
おいても、小さな国においても、人間栄養学に人と資金を投入し、論文生産を増加させている。日
本が人間栄養学という学問を重視してこなかったことが、我が国のそして人類の未来の禍根となら
ないように、早急に手を打つべきである。
(4)本調査研究の限界と今後の研究課題
本調査では、分析対象論文のボリュームとのかねあいもあり、Nutrition 系ジャーナルに重きを置
いてジャーナルの抽出を行った。その結果、医療系ジャーナルについては、インパクト・ファクター
が比較的大きく、論文掲載量の多い、糖尿病系、内分泌系のジャーナルが選択され、循環器疾患
やがんに関連したジャーナルが選択されなかった。今後の研究課題としては、医療系ジャーナルに
ついて、インパクト・ファクターのハードルを下げ、さらに幅広い分野から抽出を行うことで対象を広
げて分析を行うこと、があげられる。また、Nutrition 系ジャーナルとして抽出をしたジャーナルにお
いては、栄養学のうちのある特定の領域に特化したもの(例えば、経腸栄養)のように、今回の抽出
基準を満たさなかったために分析対象にならなかったものもある。こうした特定分野を含めた分析を
行うといったことも、今後の課題としてあげられる。さらに、今回は、「動物実験論文」については、補
完的な扱いとして分析を行ったが、これについて、より詳細な分析を行うために、動物実験に関連
したキーワードを用いてジャーナルを抽出し、「動物実験論文」に重点を置いた分析を行う余地は
あった。もちろん、これらの研究課題を全て克服しようとすれば、今回分析対象候補とした約 1 万の
論文の何倍もの論文の分析が必要となり、分析に要する時間と手間が膨大にかかってしまうという
問題はある。しかしながら、この分野の今後の発展のために、学会等においてもこのような研究に取
り組むことを期待したい。
8
本 編
9
1
第 1 章 調 査 の狙 い
Discussion Paper No. 63「食 料 産 業 クラスター、機 能 性 食 品 研 究 に対 する大 学 の貢 献 に
ついての調 査 研 究 」(2010 年 4 月 )(科 学 技 術 政 策 研 究 所 )においては、各 国 等 の機 能 性 食
品 の基 準 等 の比 較 を行 ったが、疾 病 リスクを低 減 させるという健 康 強 調 表 示 を付 すことのできる
食 品 (成 分 )というのは、かなり限 定 的 であるということがわかった。この背 景 には、食 生 活 のみな
らず、食 品 の中 の特 定 成 分 が、どのくらいの摂 取 期 間 と頻 度 により、病 気 にどのくらい影 響 する
のか不 明 確 であることや、食 品 (成 分 )関 連 の因 子 と病 気 についての研 究 の設 計 、実 施 及 び解
釈 が難 しいことが原 因 として考 えられた。個 々人 の栄 養 要 件 には遺 伝 的 なばらつきがあり、日 々
口 にする食 べ物 は種 類 も量 も多 種 多 様 であり、ライフスタイルや行 動 などの因 子 と食 生 活 との
相 互 作 用 も絡 んでくるため、こうした研 究 は一 筋 縄 ではいかない。また、個 人 や国 民 一 般 の食
物 摂 取 について正 確 な情 報 の入 手 が難 しいという点 も、機 能 性 食 品 の研 究 を一 層 、複 雑 なも
のとしている、数 多 くの遺 伝 、環 境 、および行 動 因 子 が影 響 している病 気 では、食 生 活 との因
果 関 係 を実 証 することが難 しい 1 、という状 況 にあることがわかった。
一 方 で 、 2010年 6月 に は 「 新 成 長 戦 略 」 が 閣 議 決 定 さ れ 、 こ の 中 で 、「 ラ イ フ イ ノ ベ
ー シ ョ ン に よ る 健 康 大 国 戦 略 」 が 位 置 づ け ら れ た 。 こ れ に よ れ ば 、「 2020年 ま で に 実 現
す べ き 成 果 目 標 」と し て 、生 活 習 慣 病 の 大 幅 改 善 や 健 康 寿 命 の 延 伸 と い っ た こ と が 掲 げ
ら れ て い る 2 。ま た 、現 在 、検 討 が な さ れ て い る 第 4期 科 学 技 術 基 本 計 画 に お い て も 、グ
リ ー ン・イ ノ ベ ー シ ョ ン と 並 ん で ラ イ フ イ ノ ベ ー シ ョ ン が 2本 柱 の 1 つ と し て 掲 げ ら れ 、
これを戦略的に展開することとされている 3 。この中の「革新的な予防法の開発」とし
て 、「 国 民 の 健 康 状 態 を 長 期 間 追 跡 し 、 食 な ど の 生 活 習 慣 や 生 活 環 境 の 影 響 を 調 査 す る
とともに、臨床データ、メタボローム、ゲノム配列の解析等のコホート研究を推進し、
生 活 習 慣 病 等 の 発 症 と 進 行 の 仕 組 み を 解 明 す る こ と で 、客 観 的 根 拠( エ ビ デ ン ス )に 基
づいた予防法を開発する」といったことも位置づけられている。
このように、我 が国 において、食 生 活 と疾 病 の関 係 についての研 究 は、ますます重 要 になっ
てきていると言 える。
また、日 本 学 術 会 議 「栄 養 ・食 糧 科 学 研 究 連 絡 委 員 会 ・予 防 医 学 研 究 連 絡 委 員 会 」が
2003 年 7 月 に出 した報 告 「21 世 紀 における人 間 栄 養 学 の構 築 と栄 養 学 専 攻 大 学 院 及 び栄
養 専 門 職 大 学 院 の在 り方 について」によれば、我 が国 においては、「分 子 細 胞 生 物 学 ・医 学 ・
農 学 に関 連 した基 礎 研 究 に取 り組 む研 究 者 は多 いが、人 間 栄 養 学 を意 識 した研 究 ・教 育 や
実 践 に興 味 を示 す研 究 者 ・教 育 者 は極 めて少 ないのが現 状 」ということである。また、同 報 告 で
は、「我 が国 において、栄 養 学 系 大 学 院 は、主 として家 政 学 系 私 立 大 学 並 びに一 部 の公 立 大
学 に設 置 され、国 立 大 学 には 3 校 が設 置 されているに過 ぎない」 4 としている(徳 島 大 学 医 学 部
栄 養 学 科 、お茶 の水 大 学 生 活 科 学 部 食 物 栄 養 学 科 (2004 年 ~)、奈 良 女 子 大 学 生 活 環 境
学 部 食 物 栄 養 学 科 (2005 年 ~))。海 外 においては、栄 養 学 (Nutrition)は、人 間 を対 象 とし
1 『フードポリティクス
肥 満 社 会 と 食 品 産 業 』 マ リ オ ン ・ ネ ス ル 著 、 三 宅 真 季 子 ・ 鈴 木 眞 理 子 訳 ( 2005
年 1 月)より
2 「 新 成 長 戦 略 」( 2010 年 6 月 18 日 閣 議 決 定 ) よ り
3 「 科 学 技 術 に 関 す る 基 本 政 策 に つ い て( 答 申 原 案 )」第 94 回 総 合 科 学 技 術 会 議( 2010 年 12 月 10 日 開 催 )
配布資料より
4 「 21 世 紀 に お け る 人 間 栄 養 学 の 構 築 と 栄 養 学 専 攻 大 学 院 及 び 栄 養 専 門 職 大 学 院 の 在 り 方 に つ い て 」 が 出
された時点では1校だったが、その後、2 校増えた。
1
たHuman Nutritionと食 品 に重 みを置 いたNutrition and Food Scienceに大 別 され、「人
間 栄 養 学 」及 び「食 品 栄 養 学 」を含 めた栄 養 学 系 大 学 院 が数 多 く設 置 されているとのことであ
った(米 国 138 校 、カナダ 17 校 、イギリス・アイルランド 21 校 等 )(同 報 告 より)。同 報 告 におい
ても、「人間栄養学に特化した大学院を設置し、高い意識を持った先駆的指導者の育成が急がれる」とさ
れており、人間栄養学、食品栄養学を含めた研究の基盤づくりが必要である」との課題を浮き彫りにしてい
る。
本 Discussion Paper では、我が国の世界における健康栄養関連研究の状況と課題を明らかにし、
今後の人間栄養学の研究基盤づくりの検討の一助となることを狙いとして調査を行うこととした。
2
第 2 章 分 析 対 象 論 文 の抽 出 方 法
世 界 の健 康 栄 養 研 究 の動 向 を把 握 ・分 析 するため、論 文 データベース(Scopus)を使 って
論 文 を分 析 し、研 究 の活 発 な研 究 機 関 の抽 出 を行 い、それらの研 究 体 制 等 を調 査 ・分 析 す
る。
分 析 対 象 論 文 は、2005~2009 年 にジャーナルに掲 載 された Article のうち、ヒト研 究 による
栄 養 関 連 論 文 、「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」を抽 出 することとした。これらの分 析 対 象 論
文 の抽 出 を行 うため、
9 調 査 対 象 ジャーナルの抽 出
9 分 析 対 象 候 補 論 文 から「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」、「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論
文 」の抽 出
を行 った。これらにより、抽 出 された論 文 について、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」、「動 物 実 験
による栄 養 関 連 論 文 」ごとに、
9 分 析 対 象 論 文 の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 ・国 のランキング
9 分 析 対 象 論 文 の著 者 の全 所 属 機 関 ・国 のランキング
を作 成 した。以 下 、詳 細 な抽 出 ・分 析 方 法 を示 す。
(1) 調 査 対 象 ジャーナルの抽 出
健 康 栄 養 研 究 関 連 論 文 は、“Nutrition”という単 語 がタイトルに付 いているジャーナルに掲
載 されている可 能 性 が高 い。一 方 、医 療 系 ジャーナルにおいても、栄 養 ・健 康 関 連 研 究 論 文 を
多 く掲 載 しているジャーナルが存 在 する。これらの 2 種 類 のジャーナル群 から、調 査 対 象 ジャー
ナルを抽 出 することとした。
① “Nutrition”というタイトルの付 いたジャーナルの抽 出
“Nutrition”という単 語 がタイトルに付 いたジャーナルを、Scopus を使 って抽 出 した。ジャー
ナルを抽 出 する際 の選 択 基 準 は以 下 のとおりとした。
9 ISI Web of Knowledgeの イ ン パ ク ト ・ フ ァ ク タ ー (5 年 ( 2008 年 ) )が 1 以 上 、 あ
る い は Scopusの SNIPが 0.7 以 上 5
9 2009 年 に 掲 載 さ れ て い る 論 文 数 が 45 以 上( Article で の ヒ ッ ト 数 で あ っ て 、“food”
or “diet” or “intake” or “consumption”の キ ー ワ ー ド で 絞 り 込 み を し た 後 の 数 値 。
Supplement 誌 へ の 掲 載 記 事 、 Abstract の 掲 載 が な い 論 文 を 除 く )
9 今 回 の 分 析 対 象 と な る 論 文 が 掲 載 さ れ て い る 割 合 :「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論
文 」及 び「 動 物 実 験 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」の 掲 載 数 が 、2009 年 で 50 論 文 中 、65%
以上
こ れ ら の 基 準 に よ り 、 抽 出 さ れ た ジ ャ ー ナ ル は 13 ジ ャ ー ナ ル と な っ た 。
5 ISI We b of Knowledge の イ ン パ ク ト・フ ァ ク タ ー の み な ら ず 、Sco pus の SNIP
( So urce Norm alized Im pact
Pe r Pape r)( イ ン パ ク ト ・ フ ァ ク タ ー に 類 似 ) を 活 用 し た の は 、 IS I We b of Knowledge に 掲 載 さ れ て い な
いジャーナルがあったため、補完的な指標として採用したため。
3
図 表 2-1 抽 出 した“Nutrition”というタイトルの付 いたジャーナル
ジャーナル・タイトル
②
Supplement,Abstr
actのないものを除 ヒト研究 /50
いた後の論文数
動物実験 /50
活用可能論
文割合
AMERICAN JOURNAL OF CLINICAL
NUTRITION
1607
39
0
80.0%
JOURNAL OF NUTRITION
1395
27
21
98.0%
NUTRITION METABOLISM AND
CARDIOVASCULAR DISEASES
214
30
3
74.0%
BRITISH JOURNAL OF NUTRITION
1492
23.5
19
96.0%
EUROPEAN JOURNAL OF CLINICAL
NUTRITION
849
41
0
82.0%
PUBLIC HEALTH NUTRITION
712
46
0
92.0%
NUTRITION
575
16
17
74.0%
EUROPEAN JOURNAL OF NUTRITION
281
19.5
13
88.0%
Nutrition Journal
165
36
3
90.0%
ANNALS OF NUTRITION AND
METABOLISM
297
25
11
78.0%
JOURNAL OF RENAL NUTRITION
174
34
0
85.0%
JOURNAL OF NUTRITION EDUCATION
AND BEHAVIOR
197
32
0
74.4%
ASIA PACIFIC JOURNAL OF CLINICAL
NUTRITION
318
33
0
67.3%
医療系ジャーナルからの抽出
医 療 系 ジ ャ ー ナ ル の 抽 出 方 法 と し て は 、 2005 ~ 2009 年 の Article
Abstract に お い て 、“food” or “diet” or
を対象に、
“intake” or “consumption”の キ ー ワ ー ド が 含
まれるジャーナルの中で、医療系のものを抽出した。
この中から、以下の基準により、6 ジャーナルを抽出した。
9
個 々 の ジ ャ ー ナ ル に 掲 載 さ れ て い る 論 文 で 、 タ イ ト ル 又 は Abstract、 あ る い は
引 用 論 文 に キ ー ワ ー ド ( “food” or “diet” or “intake” or “consumption”) が 含 ま
れ る 論 文 数 が 3 年 間 で 250 以 上
9
ISI Web of Knowledge の イ ン パ ク ト ・ フ ァ ク タ ー (5 年 ( 2008 年 ) )が 3 以 上 、
あ る い は 、 Scopus の SNIP が 1.5 以 上
4
図 表 2-2 抽 出 した医 療 系 ジャーナル
ジャーナル・タイトル
③
キーワードヒッ
ト数(3年)
American Journal of Epidemiology
473
Diabetes Care
252
Journal of Applied Physiology
415
Endocrinology
554
International Journal of Obesity
508
Diabetes
386
抽出したジャーナルに対する専門家からの意見
今 回 分 析 対 象 と し て 選 ん だ 図 表 2-1 及 び 図 表 2-2 に 示 し た 計 19 ジ ャ ー ナ ル に つ い
て、本調査の趣旨を説明した上で、このジャーナルを分析対象とすることの妥当性に
ついて、この分野の専門家 4 名(国内 3 名、海外 1 名)に照会を行った。
専門家の方々からは、以下のような意見をいただいた。
(a) Impact Factor は 低 い が 、ア メ リ カ 静 脈 経 腸 栄 養 学 会 (A.S.P.E.N.)の 2 冊 の 学 会 誌
には、きわめて臨床的・実践的な内容の論文が掲載されており、これらも含めて
はどうか。
(b) 医 療 系 ジ ャ ー ナ ル の 範 囲 を も う 少 し 広 げ て み た ら ど う か 。 精 査 し な け れ ば わ か ら
ないが、高血圧、循環器関係の学術誌があっても良いと思う。また、栄養に特化
しない学術誌も検討すべきではなかったか。
(a)の 意 見 に 関 し て は 、「 Nutrition 系 ジ ャ ー ナ ル で 考 慮 す べ き と 指 摘 さ れ た 雑 誌 は 、
栄養学のうちのある特定の領域に特化したもの(例えば、経腸栄養)であり、そのた
め、研究者人口が限定され、インパクト・ファクターが低く、今回の抽出基準を満た
さなかったなどの理由により、候補には含まれていたが、最終的な抽出対象からは洩
れ て し ま っ た 」、(b)の 意 見 に 関 し て は 、
「 医 療 系 ジ ャ ー ナ ル 数 は Nutrition 系 ジ ャ ー ナ
ル数に比べるとはるかに多い。このため、今回は抽出基準をインパクト・ファクター
では 3 以上とするなど高く設定した。このことから、抽出の範囲を狭める結果になっ
てしまったものと考えられる。また、指摘のあった医療系ジャーナルについては、イ
ン パ ク ト ・ フ ァ ク タ ー 以 外 の 条 件 と し て 、 “food” or “diet” or
“intake” or
“consumption”の キ ー ワ ー ド で の ヒ ッ ト し た 論 文 数 が 3 年 間 で 250 以 上 と い う 基 準 や 、
分 析 対 象 論 文 の ボ リ ュ ー ム と の か ね あ い も あ り 、 Nutrition 系 ジ ャ ー ナ ル に 重 き を 置
いてジャーナルの抽出を行った、という事情もあり、最終的な検討対象雑誌からは洩
れ て し ま っ た も の と 考 え ら れ る 」と い っ た 説 明 を 行 っ た と こ ろ 、専 門 家 の 方 々 か ら は 、
「少なくとも決定的な取りこぼしはしていないようである」ということで、抽出ジャ
5
ーナルについての理解を得た。
(2) ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 、動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 の抽 出
上 記 で 抽 出 し た ジ ャ ー ナ ル に 2005~ 2009 年 に 掲 載 さ れ た Article の う ち 、
Supplement 誌 へ の 掲 載 記 事 、 Abstract の 掲 載 が な い 論 文 を 除 い て 、 分 析 対 象 候 補 論
文 9859 を 抽 出 し た 。こ れ ら に つ い て 、タ イ ト ル 及 び Abstract の 内 容 を 確 認 し 、さ ら
に 、「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」、「 動 物 実 験 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」、 そ れ 以 外 の 3
つに区分した。この区分の際のルールは以下のとおりとした。
区分ルール
【全般的なルール】
・ 一 般 的 な 栄 養 素 と は 言 え ず 判 断 の 難 し い 物 質 に つ い て は 、そ の 物 質 が 食 品
由来(漢方薬も食品とみなす)であれば「ヒト研究による栄養関連論文」
あるいは 「動物実験による栄養関連論文」に区分。
・ 1 つの文献中でヒト研究も動物試験も両方行っている場合には「ヒト研究
による栄養関連論文」及び「動物実験による栄養関連論文」と区分。
・ 1 つ の 文 献 中 で in vitro 試 験 と 動 物 試 験 を 行 っ て い る 場 合 は 「 動 物 実 験 に
よる栄養関連論文」に区分。
・ タイトルにシステマティック・レビューまたはメタアナリシスとあって、
か つ 内 容 が 栄 養 関 連 な ら「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 あ る い は 「 動
物実験による栄養関連論文」に区分。
【アルコール、水、喫煙について】
・ ア ル コ ー ル ( ア ル コ ー ル フ リ ー ビ ー ル を 除 く )、 水 の 摂 取 と 健 康 に つ い て
の論文や喫煙と健康の論文は対象外。
・ 解析対象に飲酒や喫煙と食事がセットで組み込まれているような場合に
は「ヒト研究による栄養関連論文」に区分。
・ ア ル コ ー ル の 摂 取 量 を 調 べ る た め に
FFQ ( Food Frequency
Questionnaire) を 用 い て い て も 、 他 の 食 品 に 注 目 し て お ら ず 、 解 析 さ れ
て い な け れ ば 、ア ル コ ー ル の 研 究 と み な し て 対 象 外( ア ル コ ー ル と 事 項 に
ある母乳の研究を外すのは、それらに関係する雑誌を対象から外したた
め 。水 の 研 究 を 外 す の は 、水 の 摂 取 に よ る 人 体 の 物 理 的 変 化 や 生 理 作 用 を
見 て い る 研 究 が 多 い た め )。
・ ア ル コ ー ル 飲 料 の 影 響 を 検 討 し て い る 場 合 で も 、飲 料 中 の 他 の 成 分 に 着 目
し て い る 場 合 は ア ル コ ー ル そ の も の の 研 究 で は な い の で「 ヒ ト 研 究 に よ る
栄養関連論文」 あるいは 「動物実験による栄養関連論文」と区分。
(例)ワイン中のポリフェノールなど。
【母乳のからむ研究について】
・ 乳 と 健 康 の 関 係 を 検 討 し て い る 場 合 、母 乳 が 含 ま れ る 場 合 は 対 象 外 、そ れ
6
以 外 の 乳( 粉 ミ ル ク 、牛 乳 な ど )の 場 合 は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」
あるいは 「動物実験による栄養関連論文」と区分。
(例)母乳と粉ミルクの栄養の違いなど、母乳との比較対象で粉ミルクが
使われている場合には対象外。粉ミルク中の成分が健康に及ぼす影響
を 検 討 し て い る 場 合 に は 「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」。
・ 母 乳 保 育 と 人 工 乳 保 育 の 比 較 、 離 乳 時 期 に よ る 健 康 状 態 の 違 い な ど 、「 育
て方」や「食事の与え方」などに注目している場合は対象外。
・ 授 乳 中 の 母 親 が 摂 取 し た サ プ リ メ ン ト に よ り 、乳 の 成 分 が ど の よ う に 変 化
したか検討した研究は「ヒト研究による栄養関連論文」 あるいは 「動物
実 験 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」と 区 分( 血 清 の か わ り に 乳 を 使 っ て バ イ オ マ ー
カ ー を 検 討 し た と 考 え ら れ る の で )。
・ 粉ミルクに成分を添加して、摂取した乳児の健康状態を検討した研究は
「ヒト研究による栄養関連論文」 あるいは 「動物実験による栄養関連論
文 」 と 区 分 ( 乳 は 溶 媒 で し か な い た め )。
【血中成分を測定している研究】
・ 栄 養 素 の 代 謝 を 検 討 す る た め に 、食 品 の 摂 取 量 と 血 中 の 成 分 な ど を 測 定 し
て い る 場 合 は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 あ る い は 「 動 物 実 験 に よ
る栄養関連論文」と区分。
(例)血中カロテノイド、各種ビタミンの代謝など
・ 栄養素のバイオマーカーと考えられるものを測定している場合は、栄養、
食 生 活 の こ と が 記 載 さ れ て い な く て も「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 あ
るいは 「動物実験による栄養関連論文」と区分。
(例)血中レチノール、カロテノイド、ルチン、ゼアキサンチン、リコ
ピ ン 、 各 種 ビ タ ミ ン 、 セ レ ン 、 EPA、 DHA、 尿 中 ナ ト リ ウ ム 、 カ
ル シ ウ ム 、カ リ ウ ム 、マ グ ネ シ ウ ム( 尿 中 排 泄 量 は 摂 取 量 と み な せ
ることが多い)
※ 血 中 脂 質 は バ イ オ マ ー カ ー と は な ら な い た め 、医 学 検 査 と し て 利 用 さ
れ て い る も の( コ レ ス テ ロ ー ル 、ヘ モ グ ロ ビ ン 、ラ ク ト フ ェ リ ン 、ホ
モシステインなど)は対象外。
※ GI も バ イ オ マ ー カ ー と し て は 使 わ な い が 、ど ん な 食 品 を 食 べ る と GI
が 上 が る か な ど 、食 事 の 検 討 が 含 ま れ る も の は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養
関連論文」 あるいは 「動物実験による栄養関連論文」と区分。
※ ど ん な 成 分 を 栄 養 素 の バ イ オ マ ー カ ー と し て 利 用 す る か 、判 断 に 迷 っ
た ら 、 Willet WC (1998) Nutritional Epidemiology, 2nd ed. New
York: Oxford University Press p.228 Table 9-1 を 参 考 に 判 断 す る 。
・ そ の 栄 養 素 を バ イ オ マ ー カ ー と し て 測 定 し て い る こ と が Abstract か ら 読
み取れれば、上の例以外のものでも「ヒト研究による栄養関連論文」 あ
るいは 「動物実験による栄養関連論文」と区分。
・ 「普通の貧血」に関する論文は、直接栄養、食生活のことが記載されてい
7
な く て も 、「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 あ る い は 「 動 物 実 験 に よ る
栄 養 関 連 論 文 」 と 区 分 。 遺 伝 的 な も の な ど 、「 普 通 で な い 貧 血 」 で あ る こ
と が 読 み 取 れ た 場 合 は 対 象 外 (「 普 通 の 貧 血 」 は 栄 養 と 強 く 関 連 が あ る と
考 え ら れ る た め )。
【身体測定がからむ研究】
・ 身 長 、 体 重 、 腹 囲 な ど の 計 測 に よ る BMI の 分 布 、 肥 満 者 の 割 合 の 変 遷 を
示 し て い る 研 究 は 、 栄 養 に つ い て の 記 述 が な け れ ば 対 象 外 (「 栄 養 に つ い
て の 記 述 」 と は 、 当 該 論 文 の Abstract 中 、 考 察 で 少 し 述 べ て い る よ う な
記 述 で は な く 、 栄 養 に 注 目 し て 研 究 を 行 っ た か が 分 か る 記 述 の こ と )。
・ 途 上 国 の 子 ど も の 成 長 障 害 や 老 人 の 栄 養 不 足 な ど の 研 究 で 、BMI が 栄 養 状
態を表す指標として使われている場合には「ヒト研究による栄養関連論
文 」。
・ 「 BMI を 栄 養 の 指 標 と し て 使 っ た 」と 書 い て い な く て も 、栄 養 不 良 や 成 長
障 害 の 研 究 で あ る こ と が 読 み 取 れ た 場 合 に は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論
文 」。
( 例 ) stunted、 malnutrition な ど の 語 が 入 っ て い る 場 合 。
【エネルギー消費量がからむ研究】
・ エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 測 定 や 測 定 法 の 検 討 し て い る 研 究 で 、摂 取 エ ネ ル ギ ー
と 消 費 エ ネ ル ギ ー の 両 方 の 情 報 が あ る 場 合 は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論
文」 あるいは 「動物実験による栄養関連論文」と区分(エネルギーは栄
養 素 の ひ と つ と 考 え ら れ る た め )。
(例)安静時エネルギー消費量の検討、基礎代謝の測定などで、摂取した
エネルギーが分かるもの。
・ 運 動 や 肥 満 と 消 費 エ ネ ル ギ ー の 違 い を 検 討 し て い る 研 究 で 、摂 取 エ ネ ル ギ
ー を 調 べ て い な い も の は 、栄 養 以 外 の も の に 着 目 し て い る と 考 え ら れ る の
で対象外。
【収入・社会階層のからむ研究】
・ 収 入 や 社 会 階 層 が 食 品 を 選 択 す る 要 因 で あ る と み な し て い て 、具 体 的 に 購
入 し た 食 品 な ど が 読 み 取 れ た も の は 、 食 行 動 の 研 究 と 考 え 、「 ヒ ト 研 究 に
よる栄養関連論文」と区分(単に「食費」に注目しているだけではどんな
食品を購入したか分からない。購入したら食べるだろうという考えのも
と 、 栄 養 学 研 究 に 含 め る )。
・ 収 入 や 社 会 階 層 が 肥 満 や 病 気 と 関 係 し て い る か 検 討 し て い る 研 究 は 、身 体
計測がからむ研究と同様で、栄養の記述がなければ対象外。
【 食 料 品 店 で の 購 入 や 食 料 安 全 保 障 ( food security) な ど の 研 究 】
・ 具 体 的 に 購 入 し た 食 品 と 、ヒ ト の 情 報 と い う 両 方 が あ る 場 合 に は 、食 行 動
の 研 究 と 考 え 、「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 と 区 分 。
・ ファーストフード店などについても同様の考え方。
・ 個 人 の 購 入 や 個 別 の 食 品 に 注 目 し て お ら ず 、地 域 の 店 の 分 析 な ど の 場 合 は
8
対象外。
・ 食 料 品 店 へ の ア ク セ ス の し や す さ や 、フ ー ド ス タ ン プ と 個 人 の 購 入 の 関 係
を検討した研究などで、購入した個別の食品が分からなければ対象外。
・ 食 料 安 全 保 障 ( food security) も 食 料 品 店 へ の ア ク セ ス と 同 じ 考 え 方 で 、
購入した個別の食品が分かれば「ヒト研究による栄養関連論文」と区分、
分からなければ対象外。
【調査方法の研究】
・ 栄 養 摂 取 状 況 な ど に 関 す る 調 査 方 法 論 の 研 究 は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連
論文」と区分。
・ 個 人 の 栄 養 摂 取 を 直 接 測 定 す る 方 法 以 外 の 調 査 法( 例:food security の 調
査法など)の開発は対象外。
・ ある仮定をおいてシミュレーションのみを行っている場合は対象外。
【栄養の知識や理解に関する研究】
・ 食 品 表 示 の 理 解 度 な ど を 検 討 し て い る 場 合 は 、そ れ が 食 の 行 動 に つ な が る
と 考 え 、「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 と 区 分 。
・ 表 示 の 書 き 方 な ど 、食 品 自 体 を 分 析 し て 、研 究 の 対 象 者 が い な い 場 合 は 対
象外。
・ 栄 養 の 知 識 レ ベ ル に 注 目 し て い る 研 究 は 、栄 養 の 知 識 が 食 の 行 動 に つ な が
る と 考 え 、「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 と 区 分 。
・ 病 気 を 予 防 す る 食 事 教 育 理 解 度 な ど を 調 べ た 研 究 も 同 様 に「 ヒ ト 研 究 に よ
る 栄 養 関 連 論 文 」。
【栄養政策・栄養関係の政府統計に関する研究】
・ 各 国 の 栄 養 政 策 の 比 較 、実 施 可 能 性 の 検 討 な ど し て い る 場 合 は ヒ ト 研 究 で
はないとして対象外。
・ 年 ご と の 栄 養 摂 取 量 や 摂 取 食 品 の 推 移 な ど を 示 し て い る 場 合 は 、栄 養 の 記
述疫学研究と考えて「ヒト研究による栄養関連論文」と区分。
【フォーカスグループインタビュー等の質的研究】
・ 質 的 研 究 の 場 合 で も 、ヒ ト の 健 康 に 関 わ る 栄 養 や 食 品 に 注 目 し た 研 究 の 場
合は「ヒト研究による栄養関連論文」と区分。
(例)野菜や果物を食べる要因の議論、未精製穀物の認識について、食品
ラベルの理解度など。
【非経口栄養の研究と経口栄養の比較研究】
・非経口栄養と経口栄養の比較研究的なもので、本来の目的が非経口栄養に
関する研究の場合は、食事内容の詳しい記載がなければ、対象外。
【その他】
・ 断 食 の 影 響 を 検 討 し て い る 研 究 は 、栄 養 の 研 究 と 考 え ら れ る の で「 ヒ ト 研
究による栄養関連論文」 あるいは 「動物実験による栄養関連論文」と区
分。
・ 食 欲 や 満 腹 感 に 関 す る 研 究 は 、実 際 に 食 事 を し て 測 定 し て い る し 、肥 満 な
9
どの研究とも関わってくるので「ヒト研究による栄養関連論文」 あるい
は 「動物実験による栄養関連論文」と区分。
・ 薬 剤 や 手 術 の 影 響 に よ り 食 欲 の 変 化 を み て い る 研 究 は 、薬 剤 や 手 術 な ど の
研 究 と 考 え ら れ る の で 対 象 外( 薬 剤( 手 術 )の +/-で 比 較 し て い る の で 、薬
剤 ( 手 術 ) の 研 究 と み な せ る )。
・ 薬 剤 摂 取 し て い る 場 合 の 、食 品 や 栄 養 成 分 と の 相 互 作 用 の 研 究 は「 ヒ ト 研
究による栄養関連論文」 あるいは 「動物実験による栄養関連論文」と区
分 ( 食 品 の +/-で 比 較 し て い る の で 、 食 品 の 研 究 と み な せ る )。
・ 家 畜 の 飼 料 の 開 発 や 、家 畜 を 食 品 と し て み な し て い る 研 究 、家 畜 の 健 康 状
態に注目している研究など、畜産系の研究と判断されたものは対象外。
( 例 ) 反 芻 動 物 の ル ー メ ン 中 の 微 生 物 と 消 化 吸 収 の 関 連 な ど 。( ウ シ や 魚
な ど は ヒ ト の モ デ ル と は 考 え に く い が 、 豚 の 場 合 判 断 が 難 し い 。)
・ ヨーグルトや植物由来の乳酸菌などをヒトや動物が摂取していると判断
で き た も の は「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 あ る い は 「 動 物 実 験 に よ
る栄養関連論文」と区分、食品由来ではない腸内細菌の研究は対象外。
・ 食品の味覚や香りが健康へ及ぼす影響は対象外。
以 上 の 作 業 に よ り 、9859 の 論 文 か ら 、7695 の 分 析 対 象 論 文 を 抽 出 し た(( 1 )の 作
業 で 抽 出 し た 論 文 の 78% )。こ の よ う な 抽 出 方 法 を と っ た 結 果 、
「ヒト研究による栄養
関 連 論 文 」は 5926、
「 動 物 実 験 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」は 1769 抽 出 さ れ 、前 者 が 6 割 、
後者が 4 割を占めた。
10
図 表 2-3 抽 出 した全 ジャーナル一 覧
番号
ジャーナル・タイトル
分析対象候
補論文数
(ALL)
ヒト研究に 動物実験に
よる栄養関 よる栄養関
連研究論文 連研究論文
(H)
(A)
H+A
ALL/(H+A)(%)
N1
AMERICAN JOURNAL OF CLINICAL
NUTRITION
1507
1351
20
1371
91.0%
N2
JOURNAL OF NUTRITION
1393
614
483
1097
78.8%
N3
NUTRITION METABOLISM AND
CARDIOVASCULAR DISEASES
214
127
16
143
66.8%
1490
751
467
1218
81.7%
EUROPEAN JOURNAL OF CLINICAL
NUTRITION
849
745
1
746
87.9%
PUBLIC HEALTH NUTRITION
712
593
0
593
83.3%
NUTRITION
575
281
172
453
78.8%
EUROPEAN JOURNAL OF NUTRITION
281
133
84
217
77.2%
NUTRITION JOURNAL
165
140
6
146
88.5%
ANNALS OF NUTRITION AND METABOLISM
297
183
79
262
88.2%
JOURNAL OF RENAL NUTRITION
174
103
2
105
60.3%
197
99
0
99
50.3%
318
239
8
247
77.7%
N4
N5
N6
N7
N8
N9
N10
N11
BRITISH JOURNAL OF NUTRITION
N13
JOURNAL OF NUTRITION EDUCATION AND
BEHAVIOR
ASIA PACIFIC JOURNAL OF CLINICAL
NUTRITION
M1
AMERICAN JOURNAL OF EPIDEMIOLOGY
244
158
0
158
64.8%
M2
DIABETES CARE
224
138
0
138
61.6%
M3
JOURNAL OF APPLIED PHYSIOLOGY
217
66
38
104
47.9%
M4
ENDOCRINOLOGY
384
2
196
198
51.6%
M5
INTERNATIONAL JOURNAL OF OBESITY
333
181
71
252
75.7%
M6
DIABETES
285
22
126
148
51.9%
9859
5926
1769
7695
78.1%
N12
合 計
11
第 3 章 抽 出 論 文 の生 産 機 関 及 び生 産 国 ランキング
1.世 界 の論 文 生 産 機 関 、生 産 国 の分 析
第 2 章 で抽 出 した分 析 対 象 論 文 について、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」、「動 物 実 験 によ
る栄 養 関 連 論 文 」ごとに、筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 、被 引 用 数 )、筆 頭 著 者
の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 、被 引 用 数 )、著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング、全
著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキングを作 成 し、それぞれの研 究 論 文 がどのような機 関 、どの
ような国 から生 産 されているかを見 ることとした。
なお、今 回 分 析 する論 文 は、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」は 5926、「動 物 実 験 による栄
養 関 連 論 文 」は 1769 となっており、後 者 については、分 析 対 象 論 文 数 が少 ないことから、あくま
で前 者 の妥 当 性 を見 るための補 完 的 なデータという扱 いで、分 析 を行 うこととする。
(1)「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属
機 関 別 ランキング
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機
関 別 ランキング(論 文 数 )(上 位 30 位 )については、図 表 3-1 及 び図 表 3-2 のとおりとなった。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」では、第 1 位 をハーバード大 学 (米 国 )が占 めるなど、上 位 30
位 までほぼ欧 米 諸 国 の機 関 が占 めている。なお、日 本 の機 関 については、上 位 30 位 内 にはラ
ンクインしておらず、最 高 で第 46 位 に国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 がランクインし、第 114 位 の東 北
大 学 、第 129 位 の徳 島 大 学 と続 いている(日 本 のみのランキングは「2.日 本 の論 文 生 産 機 関 等
の分 析 )参 照 )。
12
図 表 3-1 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )(N=5926)
順位 機関名
国名
1
2
3
4
5
ハーバード大学
マーストリヒト大学
カリフォルニア大学
タフツ大学
コペンハーゲン大学
フランス国立医学研究機構
6
(INSERM)
7 ロンドン大学
米国
オランダ
米国
米国
デンマーク
8 ミネソタ大学
9
10
11
12
12
12
15
16
17
18
18
18
21
22
23
24
25
25
27
27
29
29
トロント大学
Karolinska Institute
ジョンズ・ホプキンズ大学
ワーヘニンゲン大学
ヘルシンキ大学
Deakin大学
フランス国立農学研究所(INRA)
オスロ大学
Lavel大学
ペンシルバニア州立大学
Lund大学
オタゴ大学
テキサス大学
MRC Human Nutrition Research
シドニー大学
ノースカロライナ大学
Harokopio大学
グーテンブルグ大学
Baylor College of Medicine
ボン大学
オックスフォード大学
Aberdeen大学
29 スイス連邦技術研究所
46 (独)国立健康・栄養研究所
114 東北大学
129 徳島大学
全論文
論文数 に占める
割合
145
110
97
88
85
フランス
75
UK
67
米国
57
カナダ
スウェーデン
米国
オランダ
フィンランド
オーストラリア
フランス
ノルウェー
カナダ
米国
スウェーデン
ニュージーランド
米国
UK
オーストラリア
米国
ギリシャ
スウェーデン
米国
ドイツ
UK
UK
56
53
49
45
45
45
44
43
41
38
38
38
37
36
35
34
32
32
31
31
30
30
スイス
30
日本
日本
日本
22
11
10
2.4%
14.1%
21.2%
27.3%
注 1 : 全 論 文 に 占 める 割 合 とは 、第 1 0 位 の 1 4 .1 %は、第 1 位 から第 1 0 位 ま での、 第 1 8 位 の 21 .2 %は 、 第 1位 か ら 第
18 位 までの 、 第 2 9 位 の 2 7 .3 %は、 第 1 位 か ら第 2 9 位 まで の、そ れぞれ 論 文 数 の 合 計 を 全 抽 出 論 文 数 59 26 で除 した
数 値 とな ってい る。
注 2 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 3 : 第 5 位 の コペンハーゲン大 学 については 、 王 立 農 獣 医 大 学 と 2 0 07 年 1 月 に 合 併 をしており、 2 0 0 7 年 以 前 の 論 文
については、 王 立 農 獣 医 大 学 として記 載 さ れ ているもののコ ペンハーゲン大 学 の ものとして カ ウントした 。
注 3 : 第 6 位 の フラ ンス国 立 医 学 研 究 機 構 ( IN SERM) 及 び 第 15 位 のフラ ンス 国 立 農 学 研 究 所 ( INRA) につ いては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
注 4 : 第 7 位 の ロンドン大 学 に ついては、Imperial College Londo n が 2007 年 7 月 にロンド ン大 学 か ら 分 離 しているた め 、
こ れを含 めてい ない。
13
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」についても、第 1位 にフランス国 立 農 学 研 究 所 (INRA)
が占 めるなど、上 位 をほとんどが欧 米 諸 国 の機 関 が占 めている。しかし、第 7 位 と第 16 位 に
南 米 、ブラジルのサンパウロ州 立 大 学 と Campinas 州 立 大 学 が、第 29 位 に日 本 の北 海 道
大 学 、東 北 大 学 及 び京 都 大 学 の 3 校 の他 、中 国 農 業 大 学 (中 国 )、台 湾 大 学 (台 湾 )といっ
たアジア各 国 の機 関 がランクインしている。
このように「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」と「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」とでは 上 位 5
位 を見 ても、第 1 位 から第 5 位 までの顔 ぶれが、カリフォルニア大 学 及 びタフツ大 学 を除 いて
異 なるなど、ランクインしている機 関 の顔 ぶれやランキングの順 位 に違 いが見 られる。
図 表 3-2 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )(N=1769)
順位 機関名
1
2
3
4
5
国名
フランス国立農学研究所(INRA)
カリフォルニア大学
タフツ大学
イリノイ大学
ウイスコンシン大学
6 テキサスA&M大学
7 サンパウロ州立大学
Martin Luther University of Halle7
Wittenberg
7 ペンシルバニア州立大学
7 ハーバード大学
11 フランス国立医学研究機構(INSERM)
12 アルバータ大学
12 マニトバ大学
12 Aberdeen大学
15 ノースカロライナ大学
16 マックギル大学
16 Campinas州立大学
16 バルセロナ大学
19 テキサス大学
19 ヘルシンキ大学
19 グラナダ大学
19 Baylor College of Medicine
19 ノッティングハム大学
24 ペニントン生医学研究センター
24 ペンシルバニア大学(私立)
24 Guelph 大学
24 Purdue大学
24 アーカンソー医科大学
29 シンシナチ大学
29 ミズーリー大学
Grand Forks Human Nutrition
29
Research Center、USDA
29 コーネル大学
29 北海道大学
29 東北大学
29 京都大学
29 中国農業大学
29 台湾大学
14
全論文
論文数 に占め
る割合
フランス
米国
米国
米国
米国
74
42
23
21
20
米国
19
ブラジル
18
ドイツ
18
米国
米国
フランス
カナダ
カナダ
UK
米国
カナダ
ブラジル
スペイン
米国
フィンランド
スペイン
米国
UK
米国
米国
カナダ
米国
米国
米国
米国
18
18
17
15
15
15
13
12
12
12
11
11
11
11
11
10
10
10
10
10
9
9
米国
9
米国
日本
日本
日本
中国
台湾
9
9
9
9
9
9
4.1%
15.3%
24.7%
32.1%
注 1 : 全 論 文 に 占 める 割 合 とは 、第 7 位 の 1 5 .3 %は、第 1 位 から第 7 位 ま で の、 第 19 位 の 24 .7 %は、 第 1 位 か ら第 1 9
位 までの 、 第 2 9 位 の 3 2 .1 %は、 第 1 位 から 第 29 位 までの 、そ れぞれ 論 文 数 の合 計 を 全 抽 出 論 文 数 1769 で除 した 数 値
となっている。
注 2 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ る が、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ン トしている。
注 3 : 第 1 位 の フラ ンス国 立 農 学 研 究 所 ( INR A) 及 び 第 1 1 位 の フラ ンス 国 立 医 学 研 究 機 構 ( INSERM) に ついては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
次 に「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所
属 機 関 のランキング(被 引 用 数 )(上 位 30 位 )は図 表 3-3 及 び図 表 3-4 のとおり となった。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」に関 しては、上 位 の顔 ぶれは論 文 数 のランキングとほぼ変 わ
りがないものの、第 11 位 のドイツの German Institute of Human Nutrition
P otsdam-Rehbruecke のように論 文 数 に比 して大 きく順 位 を上 げている機 関 もいくつかあった。
日 本 の機 関 では、花 王 株 式 会 社 が論 文 数 のランキングに比 して上 位 に位 置 した。
15
図 表 3-3 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(被 引 用 数 )
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
29
28
30
30
66
94
118
(参考)順
位(論文
数)
機関名
国名
被引用 (参考)
論文数
数
1 ハーバード大学
米国
2542
145
4 タフツ大学
米国
1181
88
3 カリフォルニア大学
米国
1163
97
2 マーストリヒト大学
オランダ
1059
110
6 フランス国立医学研究機構(INSERM)
フランス
923
75
5 コペンハーゲン大学
デンマーク
771
85
7 ロンドン大学
UK
755
67
8 ミネソタ大学
米国
661
57
10 Karolinska Institute
スウェーデン
605
53
12 ワーヘニンゲン大学
German Institute of Human Nutrition Potsdam41
Rehbruecke
18 ペンシルバニア州立大学
オランダ
582
45
ドイツ
565
25
米国
563
38
11 ジョンズ・ホプキンズ大学
米国
488
49
29 オックスフォード大学
UK
485
30
カナダ
484
56
16 オスロ大学
9 トロント大学
ノルウェー
473
43
15 フランス国立農学研究所(INRA)
フランス
452
44
29 Aberdeen大学
UK
451
30
27 Baylor College of Medicine
米国
425
31
36 Shaheed Beheshtiy大学
イラン
419
28
24 ノースカロライナ大学
米国
381
34
22 MRC Human Nutrition Research
UK
376
36
12 ヘルシンキ大学
フィンランド
370
45
32 アテネ大学
ギリシャ
361
29
52 疾病管理予防センター
米国
360
21
29 スイス連邦技術研究所
スイス
356
30
12 Deakin大学
オーストラリア
349
45
27 ボン大学
ドイツ
348
31
72 ペニントン生医学研究センター
米国
339
17
18 Lund大学
スウェーデン
321
38
43 Navarra大学
46 (独)国立健康・栄養研究所
153 花王株式会社
スペイン
日本
日本
321
213
142
24
22
8
114 東北大学
日本
106
11
注 1 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 2 : 第 6 位 の コペンハーゲン大 学 については 、 王 立 農 獣 医 大 学 と 2 0 07 年 1 月 に 合 併 をしており、 2 0 0 7 年 以 前 の 論 文
については、 王 立 農 獣 医 大 学 として記 載 さ れ ているもののコ ペンハーゲン大 学 の ものとして カ ウントした 。
注 3 : 第 5 位 の フラ ンス国 立 医 学 研 究 機 構 ( IN SERM) 及 び 第 17 位 のフラ ンス 国 立 農 学 研 究 所 ( INRA) につ いては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
注 4 : 第 7 位 の ロンドン大 学 に ついては、Imperial College Londo n が 2007 年 7 月 にロンド ン大 学 か ら 分 離 しているた め 、
これを含 めてい ない。
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」については、第 3 位 のサザンプトン大 学 (UK)、第 6 位
Compinas 州 立 大 学 (ブラジル)、第 7 位 のペニントン生 医 学 研 究 センター(米 国 )、第 9 位 の
ワーヘニンゲン大 学 (オランダ)のように、全 体 数 が小 さいことが影 響 してか論 文 数 のランキング
16
で下 位 の機 関 が引 用 論 文 数 のランキングでは上 位 に来 ているものが多 く見 られる。また、日 本
の機 関 は、被 引 用 数 ではトップ 30 位 以 内 にはランクインしていない。
図 表 3-4 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(被 引 用 数 )
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
18
20
21
22
22
24
25
26
27
28
29
29
32
41
43
47
(参考)順
位(論文
数)
機関名
国名
(参考)論
被引用数 文数
1 フランス国立農学研究所(INRA)
フランス
550
74
2 カリフォルニア大学
米国
436
42
UK
349
8
38 サザンプトン大学
3 タフツ大学
米国
346
23
7 ハーバード大学
米国
325
18
16 Campinas州立大学
ブラジル
281
12
24 ペニントン生医学研究センター
米国
264
10
米国
187
19
38 ワーヘニンゲン大学
オランダ
185
8
68 イェール大学
米国
175
5
20
6 テキサスA&M大学
5 ウイスコンシン大学
米国
173
- 分子医学研究所
フランス
166
1
米国
148
9
29 シンシナチ大学
11 フランス国立医学研究機構(INSERM)
フランス
146
17
米国
144
18
38 ミシガン大学
米国
139
8
15 ノースカロライナ大学
米国
136
13
ドイツ
133
18
12 Aberdeen大学
UK
133
15
29 中国農業大学
中国
132
9
46 German Institute of Human Nutrition Potsdam-Rehbruecke
ドイツ
129
7
19 テキサス大学
米国
121
11
19 グラナダ大学
スペイン
121
11
7 サンパウロ州立大学
ブラジル
120
18
4 イリノイ大学
米国
116
21
53 Garvan Institute of Medical Researc
オーストラリア
113
6
19 Baylor College of Medicine
米国
112
11
68 Catholic University of Leuven
ベルギー
110
5
24 アーカンソー医科大学
米国
108
10
7 ペンシルバニア州立大学
7 Martin Luther University of Halle-Wittenberg
- DSM Nutritional Products Ltd
スイス
108
2
- 島根大学
日本
105
2
38 (独)農研機構 食品総合研究所
日本
84
8
38 九州大学
日本
80
8
29 京都大学
日本
72
9
注 1 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 2 : 第 1 位 の フラ ンス国 立 農 学 研 究 所 ( INR A) 及 び 第 1 4 位 の フラ ンス 国 立 医 学 研 究 機 構 ( INSERM) に ついては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
17
(2)「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属
機 関 の所 在 国 別 ランキング
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機
関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 )(上 位 30 位 )は、図 表 3-5 及 び図 表 3-6 のとおりとなった。第
1位 は「ヒト研 究 」「動 物 実 験 」ともに米 国 であった。(1)の機 関 別 ランキングと比 べ国 別 ランキン
グでは、バラツキが少 なく、上 位 20 カ国 でほぼ 9 割 の論 文 が生 産 されていることがわかる。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」について、機 関 別 では上 位 30 位 内 に欧 米 、オセアニア諸 国
以 外 がランクインしていなかったが、国 別 でみると、アジア(日 本 (第 9 位 )、中 国 (第 14 位 )、台
湾 (第 21 位 )、韓 国 (第 24 位 ))、中 東 (イラン(第 20 位 )、イスラエル(第 28 位 ))、南 米 (ブラ
ジル(第 15 位 )、メキシコ(第 27 位 )、チリ(第 28 位 ))、アフリカ(南 アフリカ(第 25 位 ))の各 国
がランクインしている。
図 表 3-5 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング
(論 文 数 )(N=5926)
全論文
に占め
る割合
1591 26.6%
525
326
302
267
230
219
218
195
185 68.5%
179
152
151
115
107
89
86
82
77
70 87.2%
68
59
57
55
53
40
31
23
23
22 94.4%
順位 国名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
28
30
論文数
米国
UK
オーストラリア
オランダ
カナダ
ドイツ
スペイン
フランス
日本
イタリア
スウェーデン
デンマーク
フィンランド
中国
ブラジル
ノルウェー
ギリシャ
インド
ニュージーランド
イラン
台湾
スイス
ベルギー
韓国
南アフリカ
アイルランド
メキシコ
イスラエル
チリ
オーストリア
注 : 全 論 文 に 占 める 割 合 と は 、 第 1 0 位 の 6 8 . 5 % は 、 第 1 位 か ら 第 1 0 位 まで の 、 第 20 位 の 87 . 2 % は 第 1 位 か ら 第 2 0
位 までの 、 第 3 0 位 の 9 4 .4 %は、 第 1 位 から 第 30 位 までの 、そ れぞれ 論 文 数 の合 計 を 全 抽 出 論 文 数 5926 で除 した 数 値
となっている。
18
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」についても、欧 米 諸 国 の機 関 がほとんどを占 めていたが、
国 別 でみると、アジア(日 本 (第 2 位 )、中 国 (第 9 位 )、韓 国 (第 10 位 )、台 湾 (第 11 位 )、イン
ド(第 15 位 ))、南 米 (ブラジル(第 7 位 )、アルゼンチン(第 18 位 )、メキシコ(第 25 位 ))、中 東 (イ
スラエル(第 23 位 )、トルコ(第 28 位 ))、アフリカ(チュニジア(第 28 位 ))の各 国 がランクインし
ている。
図 表 3-6 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング
(論 文 数 )(N=1769)
全論文
に占め
る割合
521 30.1%
162
144
105
93
86
70
63
61
57 77.0%
39
37
35
34
32
23
20
19
16
15 92.3%
13
13
12
10
9
7
7
6
6
5
5 97.5%
順位 国名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
21
23
24
25
26
26
28
28
30
30
論文数
米国
日本
フランス
カナダ
スペイン
UK
ブラジル
ドイツ
中国
韓国
台湾
オーストラリア
イタリア
オランダ
インド
デンマーク
スイス
アルゼンチン
ニュージーランド
ベルギー
フィンランド
スウェーデン
イスラエル
ノルウェ-
メキシコ
ポルトガル
ギリシャ
トルコ
チュニジア
スロベニア
ハンガリー
注 : 全 論 文 に 占 める 割 合 と は 、 第 1 0 位 の 7 7 .0 % は 、 第 1 位 か ら 第 1 0 位 まで の 、 第 2 0 位 の 92 . 3 % は 、 第 1 位 か ら 第 2 0
位 までの 、 第 3 0 位 の 9 7 .5 %は、 第 1 位 から 第 30 位 までの 、そ れぞれ 論 文 数 の合 計 を 全 抽 出 論 文 数 1769 で除 した 数 値
となっている。
19
図 表 3-5 及 び図 表 3-6 の結 果 を地 図 上 にプロットしてみると、図 表 3-7 及 び図 表 3-8 のとお
りとなるが 6 、地 図 上 の分 布 で見 ると、論 文 を生 産 している所 属 機 関 の所 在 国 の分 布 は、双 方 と
も類 似 していることがわかる。
図 表 3-7 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 の分 布
図 表 3-8 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 の分 布
さらに、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の
所 属 機 関 の所 在 国 別 の論 文 数 を、人 口 、研 究 者 数 、国 内 研 究 費 総 額 によって除 した数 値 の
偏 差 値 をとって論 文 数 の規 格 化 を試 みた。この結 果 は、図 表 3-9 及 び図 表 3-10 のとおりであ
る。人 口 、研 究 者 数 、国 内 研 究 費 総 額 により規 格 化 したランキングの結 果 を見 ると、「ヒト研 究 に
6 MANDARA と い う フ リ ー ソ フ ト を 活 用 。
20
よる栄 養 関 連 論 文 」に関 しては、上 位 に北 欧 諸 国 が位 置 していることがわかる。また、オランダ、
ニュージーランドも比 較 的 上 位 にランクインしている。「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」に関 して
は、ニュージーランドが 1 位 又 は 2 位 と上 位 に位 置 し、スロベニアも論 文 数 で見 ると 30 位 である
が、規 格 化 した数 値 のランキングは上 位 となった。なお、日 本 については、「ヒト研 究 」、「動 物 実
験 」のいずれについても、規 格 化 した数 値 のランキングは、論 文 数 の順 位 よりも低 くなっている
(ヒト研 究 :論 文 数 :第 9 位 、規 格 化 (人 口 ):第 22 位 、規 格 化 (研 究 者 数 ):第 23 位 、規 格 化
(研 究 費 ):第 24 位 、動 物 実 験 :論 文 数 :第 2 位 、規 格 化 (人 口 ):第 18 位 、規 格 化 (研 究 者
数 ):第 23 位 、規 格 化 (研 究 費 ):第 23 位 )。
図 表 3-9 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(人 口 、研 究 者 数 、
国 内 研 究 費 総 額 により規 格 化 )
順位
(論
文
数)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
28
30
国名
米国
UK
オーストラリア
オランダ
カナダ
ドイツ
スペイン
フランス
日本
イタリア
スウェーデン
デンマーク
フィンランド
中国
ブラジル
ノルウェー
ギリシャ
インド
ニュージーランド
イラン
台湾
スイス
ベルギー
韓国
南アフリカ
アイルランド
メキシコ
イスラエル
チリ
オーストリア
論文
数
人口(千
人)
1,591 301,621
525
60,975
326
21,072
302
16,382
267
32,976
230
82,263
219
44,874
218
61,707
195 127,771
185
59,375
179
9,148
152
5,457
151
5,289
115 1,331,581
107 187,642
89
4,709
86
11,193
82 1,134,023
77
4,228
70
71,532
68
22,867
58
7,551
57
10,623
55
48,456
53
48,287
40
4,339
31 105,791
23
7,180
23
16,598
22
8,315
偏差値 国内研究
偏差値
偏差値
偏差値
偏差値
(件数/ 費(購買
(件数/ 研究者数
(件数/国
(件数/人
(件数/研 研究者 力平価に
人口) (人)
内研究
口)
究者数) 数)の順 よる100万
の順位
費)
位
米ドル)
52.6
57.0
66.1
70.0
56.3
49.3
52.1
50.3
47.6
49.7
71.5
82.5
83.4
45.7
46.4
70.7
55.8
45.7
69.7
46.9
49.6
55.8
52.7
47.1
47.1
57.8
46.0
49.9
47.5
49.1
14 1,425,550
9 175,476
7
87,270
5
44,116
10 134,300
20 284,305
15 122,624
16 211,129
22 709,974
18
88,430
3
47,762
2
29,572
1
39,000
28 1,423,381
27
-
4
24,769
11
20,817
30
-
6
18,300
26
-
19 103,455
12
25,400
13
35,937
24 221,928
25
17,303
8
12,169
28
48,401
17
-
23
-
21
31,352
45.9
55.5
59.3
75.2
50.3
44.3
49.3
45.4
41.6
50.9
59.4
66.5
60.0
40.6
58.6
61.3
61.7
43.5
51.8
48.3
41.4
55.8
57.0
43.4
43.7
17 368,799.0
11 38,892.8
7 14,914.4
1 10,949.8
14 23,781.0
19 71,860.8
15 18,000.3
18 43,232.6
23 147,800.8
13 19,678.1
6 12,076.3
2
5,008.4
5
6,519.7
25 102,331.0
-
8
4,133.0
4
1,828.4
-
3
1,383.7
-
21 18,324.8
12
7,474.3
16
7,028.3
24 41,741.6
10
3,654.3
9
2,855.1
22
5,919.0
8,845.8
-
20
8,530.1
44.5
50.9
56.8
60.9
49.3
43.7
50.0
45.0
42.3
48.1
51.9
62.8
57.8
42.2
56.6
74.6
80.7
44.0
46.9
47.1
42.3
51.7
51.3
45.1
43.3
43.2
偏差値
(件数/
国内研
究費)
の順位
19
11
6
4
13
21
12
18
24
14
8
3
5
26
7
2
1
20
16
15
25
9
10
17
22
23
注 1 : デ ー タ は 、 総 務 省 「 世 界 の 統 計 2 0 10 」 よ り。
注 2 : 人 口 につ いては、 基 本 的 には 年 央 推 計 人 口 ( 2 00 7 )を活 用 している が 、 年 央 推 計 人 口 ( 2 00 5) しか 掲 載 され ていな
いものは、2 0 05 の数 値 を 用 い た 。さらに、 年 央 推 計 の 数 値 がない国 につい ては、「 セ ンサス 人 口 」 の 値 を 用 いた 。
注 3 : 国 内 研 究 費 については、 政 府 、 企 業 の 総 額 の 数 値 。
注 4 : 偏 差 値 に ついては、ラ ンクイ ンした 全 て の国 を 対 象 とし て算 出 した が 、 順 位 については 、 上 位 3 0 ヵ 国 のみで 順 位 付
け し た結 果 とな って い る 。
21
図 表 3-10 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(人 口 、研 究 者
数 、国 内 研 究 費 総 額 により規 格 化 )
順位
(論文
数)
注
注
注
注
国名
論文
数
人口(千
人)
偏差値 国内研究
偏差値
偏差値
偏差値
偏差値
(件数/ 費(購買
(件数/
(件数/国
(件数/人
研究者数( (件数/研 研究者 力平価に
人口)
内研究
口)
究者数) 数)の よる100万
の順位
費)
順位
米ドル)
偏差値
(件数/
国内研
究費)
の順位
1 米国
521
301,621
54.6
13 1,425,550
48.7
16 368,799.0
44.8
21
2 日本
162
127,771
51.0
18 709,974
43.4
23 147,800.8
43.4
23
3 フランス
144
61,707
59.2
7 211,129
60.9
8 43,232.6
53.0
8
4 カナダ
105
32,976
65.8
3 134,300
64.7
3 23,781.0
57.7
6
5 スペイン
93
44,874
57.2
10 122,624
63.8
7 18,000.3
60.9
4
6 UK
86
60,975
52.1
16 175,476
53.5
10 38,892.8
48.2
15
7 ブラジル
70
187,642
44.1
27
8 ドイツ
63
82,263
47.2
20 284,305
43.1
24 71,860.8
42.5
26
9 中国
61 1,331,581
41.6
30 1,423,381
36.2
26 102,331.0
41.3
27
10 韓国
57
48,456
50.3
19 221,928
44.5
20 41,741.6
44.6
22
11 台湾
39
22,867
54.4
14 103,455
49.1
15 18,324.8
47.9
17
12 オーストラリア
37
21,072
54.8
12
87,270
50.9
11 14,914.4
49.4
12
13 イタリア
35
59,375
45.8
23
88,430
49.8
14 19,678.1
46.4
19
14 オランダ
34
16,382
57.2
9
44,116
64.3
6 10,949.8
52.1
9
15 インド
32 1,134,023
41.5
31
16 デンマーク
23
5,457
73.7
1
29,572
64.5
4
5,008.4
58.4
5
17 スイス
20
7,551
61.6
4
25,400
64.9
2
7,474.3
50.2
11
18 アルゼンチン
19
39,356
45.0
26
38681
53.5
9
2656.2
69.4
2
19 ニュージーランド
16
4,228
70.4
2
18,300
68.3
1
1,383.7
88.3
1
20 ベルギー
15
10,623
52.1
15
35,937
50.7
12
7,028.3
47.9
16
21 フィンランド
13
5,289
60.2
6
39,000
47.4
6,519.7
47.3
18
21 イスラエル
13
7,180
55.2
11
18
8845.8
45.0
20
23 スウェーデン
12
9,148
51.4
17
47,762
44.3
21 12,076.3
43.0
24
24 ノルウェ-
10
4,709
57.6
8
24,769
50.1
13
4,133.0
49.1
14
25 メキシコ
9
105,791
41.9
28
26 ポルトガル
7
10,608
46.3
21
27986
44.2
17
2849.7
49.3
7
26 ギリシャ
7
11,193
46.1
22
20,817
47.5
22
1,828.4
55.2
13
28 チュニジア
6
10,225
45.8
24
28 トルコ
6
73,875
41.9
29
49668
39.2
25
6,830.0
42.5
25
30 スロベニア
5
2,019
60.3
5
6450
64.5
5
828.3
64.6
3
30 ハンガリー
5
10,056
45.1
25
17,391
45.7
19
1,822.9
50.5
10
1 : デ ー タ は 、 総 務 省 「 世 界 の 統 計 2 0 10 」 よ り。
2 : 人 口 につ いては、 基 本 的 には 年 央 推 計 人 口 ( 2 00 7 )を活 用 している が 、 年 央 推 計 人 口 ( 2 00 5) しか 掲 載 され ていな
いものは、2 0 05 の数 値 を 用 い た 。さらに、 年 央 推 計 の 数 値 がない国 につい ては、「 セ ンサス 人 口 」 の 値 を 用 いた 。
3 : 国 内 研 究 費 については、 政 府 、 企 業 の 総 額 の 数 値 。
4 : 偏 差 値 に ついては、ラ ンクイ ンした 全 て の国 を 対 象 とし て算 出 した が 、 順 位 については 、 上 位 3 0 ヵ 国 のみで 順 位 付
け し た結 果 とな って い る 。
次 に「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所
属 機 関 の所 在 国 のランキング(被 引 用 数 )(上 位 30 位 )は、図 表 3-11 及 び図 表 3-12 のとおり
となった。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」については、被 引 用 数 のランキングと論 文 数 のランキングで大
きな差 は出 なかった。日 本 は、被 引 用 数 のランキングがわずかに論 文 数 のランキングに比 して低
くなった(論 文 数 :第 9 位 、被 引 用 数 :第 11 位 )。
また、「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」についても、被 引 用 数 のランキングと論 文 数 のランキ
ングで大 きな差 は出 なかった。
22
図 表 3-11 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(被 引 用 数 )
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
(参考)順
位(論文
数)
被引用
数
国名
1 米国
(参考)論文
数
1591
18694
2 UK
525
5396
4 オランダ
302
3137
3 オーストラリア
326
2591
6 ドイツ
230
2459
5 カナダ
267
2187
8 フランス
218
2074
10 イタリア
185
1783
179
1718
219
1688
11 スウェーデン
7 スペイン
195
1591
12 デンマーク
9 日本
152
1558
13 フィンランド
151
1503
16 ノルウェー
89
935
17 ギリシャ
86
794
14 中国
115
702
20 イラン
70
680
22 スイス
59
668
15 ブラジル
107
568
18 インド
82
504
19 ニュージーランド
77
445
23 ベルギー
57
426
25 南アフリカ
53
414
21 台湾
68
358
26 アイルランド
40
354
24 韓国
55
232
28 イスラエル
23
225
30 オーストリア
22
151
28 チリ
23
146
31 ポーランド
20
144
23
図 表 3-12 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング
(被 引 用 数 )
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
(参考)順
位(論文
数)
被引用
数
国名
1 米国
5583
(参考)論
文数
521
3 フランス
1287
144
2 日本
1233
162
6 UK
1169
86
677
93
5 スペイン
7 ブラジル
538
70
4 カナダ
537
105
8 ドイツ
536
63
14 オランダ
459
34
9 中国
420
61
10 韓国
393
57
12 オーストラリア
350
37
17 スイス
271
20
11 台湾
257
39
16 デンマーク
212
23
15 インド
207
32
13 イタリア
180
35
20 ベルギー
139
15
21 スウェーデン
136
13
23 イスラエル
124
12
24 ノルウェ-
115
10
19 ニュージーランド
93
16
18 アルゼンチン
83
19
35 オーストリア
65
3
21 フィンランド
63
13
26 ギリシャ
54
7
26 ポルトガル
41
7
35 アイルランド
36
3
25 メキシコ
26
9
32 ポーランド
25
4
24
(3)「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングと当 該 所 属 機 関 の所
在 国 別 ランキング
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング 7 (上 位 30 位 )及 び当 該
所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(上 位 25 位 )を、2 種 類 の方 法 で示 す。論 文 の著 者 の所 属 機
関 として列 記 されている機 関 が複 数 ある場 合 (例 えば、A機 関 、B機 関 とある場 合 )、A機 関 を
1/2、B機 関 を 1/2 と計 算 する方 法 と、A機 関 を1、B機 関 を1と計 算 する方 法 があり、前 者 を分 数
法 、後 者 を整 数 法 として、ランキングの整 理 を行 った 8 。この結 果 は、図 表 3-13 から図 表 3-16
のとおりとなった。
図 表 3-1 で示 した筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )と同 様 、分 数 法 、整 数 法 のラ
ンキングともに、上 位 30 位 までを欧 米 諸 国 がほとんど占 めており、第 1位 は、図 表 3-1 の結 果 と
同 様 、ハーバード大 学 (米 国 )となった。上 位 国 の顔 ぶれも、順 位 の上 下 はあるもののほぼ変 わ
りがないが、分 数 法 のランキングでは、第 29 位 にイランの Shaheed Beheshti 大 学 がランクイン
している。また、分 数 法 、整 数 法 で多 少 の順 位 の上 下 はあるものの、ほぼ顔 ぶれは同 様 となって
いる。なお、日 本 の機 関 については分 数 法 で第 95 位 、整 数 法 で第 67 位 に国 立 健 康 ・栄 養 研
究 所 がランクインしている。
7 著 者 の 全 所 属 機 関 別 ラ ン キ ン グ と は 、 Affiliations 欄 に 記 載 さ れ て い る 所 属 機 関 全 て を カ ウ ン ト し て 分 析
を 行 っ た も の で あ る 。例 え ば 、著 者 が 2 名 い て 著 者 A 、著 者 B の 所 属 機 関 が 同 一 で あ っ た 場 合 、Affiliations
欄には、その一つの機関名しか記載されないが、その場合は、その機関数を1とカウントしている。
8 「 サイエンスマ ッ プ 2 00 8 ― 論 文 デ ータベ ース 分 析 ( 2 00 3 年 から 2 00 8 年 ) によ る 注 目 され る 研 究 領 域 の 動 向 調 査 ― 報
告 書 」 ( 20 10 年 5 月 ) ( 科 学 技 術 政 策 研 究 所 科 学 技 術 基 盤 調 査 研 究 室 阪 彩 香 、 伊 神 正 貫 、 桑 原 輝 隆 ) を 参 考 に
考 え方 を整 理 した。
25
図 表 3-13 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(分 数 法 )
順位 機関名
1
2
3
4
5
国名
ハーバード大学
マーストリヒト大学
カリフォルニア大学
タフツ大学
コペンハーゲン大学
米国
オランダ
米国
米国
デンマーク
6 ロンドン大学
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
ミネソタ大学
トロント大学
フランス国立医学研究機構(INSERM)
ヘルシンキ大学
Karolinska Institute
ワーヘニンゲン大学
オスロ大学
Deakin大学
ノースカロライナ大学
ジョンズ・ホプキンズ大学
オタゴ大学
フランス国立農学研究所(INRA)
Lavel大学
国立ガン研究所
テキサス大学
ボン大学
Shaheed Beheshti 大学
Lund大学
MRC Human Nutrition Research
シドニー大学
27 ペンシルバニア州立大学
28
29
30
95
Baylor College of Medicine, Houston
Aberdeen大学
アテネ大学
(独)国立健康・栄養研究所
件数
149.80
90.80
87.80
75.60
66.90
UK
59.14
米国
カナダ
フランス
フィンランド
スウェーデン
オランダ
ノルウェー
オーストラリア
米国
米国
ニュージーランド
フランス
カナダ
米国
米国
ドイツ
イラン
スウェーデン
UK
オーストラリア
54.40
52.80
49.00
45.50
41.00
40.20
40.00
39.80
36.70
36.37
36.36
33.70
33.60
31.50
31.40
28.30
28.28
28.10
27.70
27.58
米国
27.53
米国
UK
ギリシャ
日本
26.30
25.20
24.54
11.60
注 1 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 2 : 第 5 位 の コペンハーゲン大 学 については 、 王 立 農 獣 医 大 学 と 2 0 07 年 1 月 に 合 併 をしており、 2 0 0 7 年 以 前 の 論 文
については、 王 立 農 獣 医 大 学 として記 載 さ れ ているもののコ ペンハーゲン大 学 の ものとして カ ウントした 。
注 3 : 第 9 位 の フラ ンス国 立 医 学 研 究 機 構 ( IN SERM) 及 び 第 18 位 のフラ ンス 国 立 農 学 研 究 所 ( INRA) につ いては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
注 4 : 第 6 位 の ロンドン大 学 に ついては、Imperial College Londo n が 2007 年 7 月 にロンド ン大 学 か ら 分 離 しているた め 、
これを含 めてい ない。
26
図 表 3-14 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(整 数 法 )(全 数 =22094)
順位 機関名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
30
30
30
30
30
67
国名
ハーバード大学
カリフォルニア大学
タフツ大学
マーストリヒト大学
コペンハーゲン大学
フランス国立医学研究機構
(INSERM)
トロント大学
ロンドン大学
ミネソタ大学
ヘルシンキ大学
国立ガン研究所
ジョンズ・ホプキンズ大学
オスロ大学
ノースカロライナ大学
Karolinska Institute
ワーヘニンゲン大学
フランス国立農学研究所(INRA)
テキサス大学
コロンビア大学
Lavel大学
ペンシルバニア州立大学
オタゴ大学
アテネ大学
シドニー大学
Aarhus大学
国立公衆衛生研究所
German Institute of Human
Nutrition Potsdam-Rehbruecke
アデレード大学
Aberdeen大学
Deakin大学
Lund大学
Baylor College of Medicine,
Houston
Kuopio大学
南カロライナ大学
ワシントン大学
(独)国立健康・栄養研究所
米国
米国
米国
オランダ
デンマーク
全数に
件数 占める
割合
783
3.5%
351
302
265
221
フランス
217
カナダ
UK
米国
フィンランド
米国
米国
ノルウェー
米国
スウェーデン
オランダ
フランス
米国
米国
カナダ
米国
ニュージーランド
ギリシャ
オーストラリア
デンマーク
フィンランド
209
187
177
175
167
155
150
140
139
137
122
116
111
110
107
105
99
98
92
90
ドイツ
86
オーストラリア
UK
オーストラリア
スウェーデン
84
82
81
81
米国
81
フィンランド
米国
米国
日本
81
81
81
49
13.1%
19.2%
25.2%
注 1 : 全 数 に 占 める 割 合 とは、 第 1 0 位 の 1 3 .1 %は、 第 1 位 か ら第 1 0 位 まで の、 第 20 位 の 19 .2 %は、 第 1 位 か ら第 2 0
位 まで の 、 第 3 0 位 の 2 5 .2 % は 、 第 1 位 から 第 3 0 位 まで の 、そ れ ぞ れ 合 計 を全 数 2 2 09 4 で 除 し た 数 値 と なっ て い る 。
注 2 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 3 : 第 5 位 の コペンハーゲン大 学 については 、 王 立 農 獣 医 大 学 と 2 0 07 年 1 月 に 合 併 をしており、 2 0 0 7 年 以 前 の 論 文
については、 王 立 農 獣 医 大 学 として記 載 さ れ ているもののコ ペンハーゲン大 学 の ものとして カ ウントした 。
注 4 : 第 6 位 の フラ ンス国 立 医 学 研 究 機 構 ( IN SERM) 及 び 第 17 位 のフラ ンス 国 立 農 学 研 究 所 ( INRA) につ いては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
注 5 : 第 8 位 の ロンドン大 学 に ついては、Imperial College Londo n が 2007 年 7 月 にロンド ン大 学 か ら 分 離 しているた め 、
これを含 めてい ない。
27
次 に著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング 9 を見 ると、図 表 3-5 に示 した筆 頭 著 者 の所
属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 )と比 較 しても、分 数 法 、整 数 法 で比 較 しても、多 少 の順
位 の上 下 はあるものの、ほぼ類 似 の結 果 となっており、第 1位 は、図 表 3-5 と同 様 、いずれも米
国 であった。
全所属機関別ランキングに比べて、全所属機関の所在国別ランキングでは、アジア
( 日 本( 分 数 法:第 9 位 、整 数 法:第 8 位 )、中 国( 分 数 法 、整 数 法 と も に 第 15 位 )、
イ ン ド (分 数 法 : 第 18 位 、 整 数 法 : 第 20 位 )、 台 湾 (分 数 法 : 第 20 位 、 整 数 法 : 第 16
位 )、 韓 国 (分 数 法 : 第 24 位 、 整 数 法 : 第 23 位 ))、 中 東 ( イ ラ ン (分 数 法 : 第 21 位 、
整 数 法 : 第 24 位 ))、 南 米 ( ブ ラ ジ ル (分 数 法 : 第 14 位 、 整 数 法 : 第 17 位 ))、 ア フ リ
カ( 南 ア フ リ カ (分 数 法 、整 数 法 と も に 第 25 位 ))の 欧 米 諸 国 以 外 の 国 々 が 、下 位 で は
あるがランクインしている。
図 表 3-15 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」 図 表 3-16 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の
の著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキン
著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(整 数
グ(分 数 法 )
法 ) (全 数 =22094)
順位
国名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
21
21
24
25
米国
UK
オーストラリア
オランダ
カナダ
ドイツ
フランス
スペイン
日本
イタリア
スウェーデン
デンマーク
フィンランド
ブラジル
中国
ノルウェー
ニュージーランド
インド
ギリシャ
台湾
イラン
ベルギー
スイス
韓国
南アフリカ
件数
1586.2
519.1
320.1
301.2
253.4
227.2
218
192.8
192.8
181.3
180.3
155.6
155.5
103.2
97.5
97.2
78.3
76.3
76
66
64.7
58.7
58
54.4
51.3
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
国名
米国
UK
オランダ
オーストラリア
フランス
スペイン
カナダ
日本
ドイツ
イタリア
フィンランド
スウェーデン
デンマーク
ノルウェー
中国
台湾
ブラジル
ギリシャ
ニュージーランド
インド
スイス
ベルギー
韓国
イラン
南アフリカ
全数に占める
割合
件数
6344
1665
1087
999
985
934
909
828
799
736
719
639
613
395
315
303
272
243
239
208
208
194
192
182
159
28.7%
69.2%
87.0%
91.3%
注 : 全 数 に 占 め る 割 合 と は 、 第 10 位 の 6 9 . 2 % は 、 第 1 位 から 第 1 0 位 まで の 、第 2 0 位 の 8 7 . 0 % は 、第 1 位 から 第 2 0
位 までの 、 第 25 位 の 91.3%は、 第 1 位 から 第 25 位 までの 、それぞれの 合 計 を 全 数 22094 で除 した 数 値 となっている。
9 著 者 の 全 所 属 機 関 の 所 在 国 別 ラ ン キ ン グ と は 、 Affil iatio ns 欄 に 記 載 さ れ て い る 所 属 機 関 の 所 在 国 全 て を
カ ウ ン ト し て 分 析 を 行 っ た も の で あ る 。 例 え ば 、 著 者 2 名 が い て 著 者 A、 著 者 B の 所 属 機 関 が 同 一 で あ っ た
場 合 、 Affiliat ions 欄 に は 、 そ の 一 つ の 機 関 名 ( 国 名 ) し か 記 載 さ れ な い が 、 そ の 場 合 は 、 そ の 国 数 を 1 と
カウントしている。
28
(4)「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングと当 該 所 属 機 関 の所
在 国 別 ランキング
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(上 位 30 位 )と当 該 所
属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(上 位 20 位 )を(3)と同 様 、分 数 法 、整 数 法 に分 けて整 理 した。
その結 果 は、図 表 3-17 から図 表 3-20 のとおりとなった。
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングでは、図 表 3-2 の筆 頭
著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )と同 様 、第 1位 はフランス国 立 農 学 研 究 所 (INRA)
(フランス)であり、第 2 位 も変 わらず、カリフォルニア大 学 (米 国 )であった。こちらも、上 位 のほ
とんどが欧 米 諸 国 の機 関 が占 めているが、南 米 、ブラジルのサンパウロ州 立 大 学 (分 数 法 、整
数 法 ともに第 6 位 )と Campinas 州 立 大 学 (分 数 法 :第 23 位 、整 数 法 :第 14 位 )、アジアの
台 湾 大 学 (分 数 法 :第 21 位 、整 数 法 :第 26 位 )が、分 数 法 、整 数 法 ともにランクインしている。
なお、日 本 の北 海 道 大 学 は、分 数 法 では第 24 位 にランクインしているが、整 数 法 では、圏 外
の第 36 位 となっている。
図 表 3-17 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(分 数 法 )
順位
機関名
国名
1
2
3
4
5
6
7
8
フランス国立農学研究所(INRA)
カリフォルニア大学
フランス国立医学研究機構(INSERM)
イリノイ大学
ペンシルバニア州立大学
サンパウロ州立大学
タフツ大学
テキサスA&M大学
Martin Luther University of Halle9
Wittenberg
10 ウイスコンシン大学
件数
フランス
米国
フランス
米国
米国
ブラジル
米国
米国
65.91
37.51
18.92
18.81
18.79
18.63
18.32
18.01
ドイツ
17.50
米国
16.55
11 Aberdeen大学
UK
15.20
12
13
14
15
16
米国
米国
UK
米国
カナダ
13.33
12.97
12.92
11.89
11.73
17 マニトバ大学
カナダ
11.72
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
米国
米国
カナダ
台湾
米国
ブラジル
日本
米国
スペイン
米国
スペイン
カナダ
米国
11.58
11.31
11.20
10.89
10.15
9.90
9.82
9.70
9.32
9.18
9.00
8.63
8.49
テキサス大学
ハーバード大学
ノッティングハム大学
Purdue大学
マックギル大学
ノースカロライナ大学
ペンシルバニア大学(私立)
アルバータ大学
台湾大学
アーカンソー医科大学
Campinas州立大学
北海道大学
ミズーリー大学
バルセロナ大学
コーネル大学
Complutenses大学
トロント大学
シンシナチ大学
29
注 1 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 2 : 第 1 位 の フラ ンス国 立 農 学 研 究 所 ( INR A) 及 び 第 3 位 のフラ ンス国 立 医 学 研 究 機 構 (INSERM) につ いては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
注 3 : 第 1 5 位 の Pu rdue 大 学 は、Un ive rsity of Alabam a at B irm in gh am との共 同 研 究 機 関 による 論 文 も カ ウントしてい
る。
図 表 3-18 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(整 数 法 )(全 数 =5005)
順位 機関名
1
2
3
4
5
6
7
8
8
10
国名
フランス国立農学研究所(INRA)
カリフォルニア大学
フランス国立医学研究機構(INSERM)
テキサスA&M大学
イリノイ大学
サンパウロ州立大学
タフツ大学
ウイスコンシン大学
ハーバード大学
アーカンソー医科大学
フランス
米国
フランス
米国
米国
ブラジル
米国
米国
米国
米国
全数に
占める
割合
120
2.4%
104
74
64
48
41
40
39
39
37
12.1%
件数
10 テキサス大学
米国
37
10
13
14
14
16
17
17
19
19
21
21
21
21
25
26
26
26
26
26
26
26
36
米国
米国
ブラジル
オーストラリア
カナダ
米国
米国
カナダ
ベルギー
カナダ
米国
米国
米国
UK
米国
カナダ
米国
台湾
米国
スペイン
スペイン
日本
37
35
33
33
31
30
30
29
29
28
28
28
28
27
26
26
26
26
26
26
26
23
ミズーリー大学
ペンシルバニア州立大学
Campinas州立大学
ニューサウスウェールズ大学
マニトバ大学
Purdue大学
イエール大学
トロント大学
ルーベン・カソリック大学
アルバータ大学
ミシガン大学
コーネル大学
コロンビア大学
Aberdeen大学
Baylor College of Medicine
マックギル大学
ペンシルバニア大学(私立)
台湾大学
シンシナチ大学
バルセロナ大学
Complutenses大学
北海道大学
18.6%
25.0%
注 1 : 全 数 に 占 める 割 合 とは、 第 1 0 位 の 1 2 .1 %は、 第 1 位 か ら第 1 0 位 まで の、 第 19 位 の 18 .6 %は、 第 1 位 か ら第 1 9
位 までの 、 第 26 位 の 25.0%は、 第 1 位 から 第 26 位 までの 、それぞれの 合 計 を 全 数 5005 で除 した 数 値 と なっている。
注 2 : 機 関 によ っては、 個 別 の キャンパス、カ レ ッ ジごとにカ ウン トする場 合 もあ るが、ここでは 、 同 じ 大 学 として 総 計 でカ ウ
ントしている。
注 3 : 第 1 位 の フラ ンス国 立 農 学 研 究 所 ( INR A) 及 び 第 3 位 のフラ ンス国 立 医 学 研 究 機 構 (INSERM) につ いては、 他 機
関 との Un it に よる研 究 論 文 がほとんどで あ り、 一 部 他 機 関 との重 複 もある 。
注 4 : 第 1 7 位 の Pu rdue 大 学 は、Un ive rsity of Alabam a at B irm in gh am との共 同 研 究 機 関 による 論 文 も カ ウントしてい
る。
30
次 に所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキングを見 ると、図 表 3-6 に示 した筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所
在 国 別 ランキング(論 文 数 )と同 様 、第 1位 は米 国 で、上 位 の顔 ぶれは、分 数 法 、整 数 法 で比 較
しても、多 少 の順 位 の上 下 はあるものの、ほぼ類 似 の結 果 となった。
これも筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 )と同 様 の傾 向 で、所 属 機 関 別 ラ
ンキングに比 べ所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキングでは、アジア(日 本 (分 数 法 :第 2 位 、整 数 法 :
第 3 位 )、韓 国 (分 数 法 :第 9 位 、整 数 法 :第 6 位 )、中 国 (分 数 法 、整 数 法 ともに第 10 位 )、台
湾 (分 数 法 :第 11 位 、整 数 法 :第 14 位 )、インド(分 数 法 :第 14 位 、整 数 法 :第 19 位 )、南 米
(ブラジル(分 数 法 、整 数 法 ともに第 7 位 )、アルゼンチン(分 数 法 :第 19 位 ))が 20 位 内 にランク
インしている。
図 表 3-19 「動 物 実 験 による栄 養 関 連
図 表 3-20 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著
論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 の所 在 国
者 の全 所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(整 数
別 ランキング(分 数 法 )
法 )(全 数 =5005)
順位
国名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
14
16
17
18
19
20
米国
日本
フランス
カナダ
スペイン
UK
ブラジル
ドイツ
韓国
中国
台湾
オーストラリア
イタリア
オランダ
インド
デンマーク
スイス
ベルギー
アルゼンチン
フィンランド
件数
順位
513.46
162.01
144.7
101.46
95.8
86.95
68.08
62.61
54.67
53.97
39.33
37.52
35.27
33.6
30.67
21.24
19.97
18.51
17.97
15.73
国名
1
2
3
4
5
6
7
6
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
米国
フランス
日本
カナダ
スペイン
UK
ブラジル
韓国
ドイツ
中国
オーストラリア
イタリア
オランダ
台湾
ベルギー
デンマーク
スイス
フィンランド
インド
ノルウェー
全数に
占める
割合
1523 30.4%
431
428
269
242
206
184
166
164
128 74.7%
126
119
115
100
68
56
53
51
45
41 90.2%
件数
注 : 全 数 に 占 め る 割 合 と は 、 第 10 位 の 7 4 . 7 % は 、 第 1 位 から 第 1 0 位 まで の 、第 2 0 位 の 9 0 . 2 % は 、 第 1 位 から 第 2 0
位 までの 、それ ぞれの 合 計 を 全 数 5005 で除 した数 値 となっ ている。
2.日 本 の論 文 生 産 機 関 等 の分 析
世 界 のランキングでみると日 本 の機 関 があまり登 場 しないことから、日 本 について詳 細 にみる
ため、ここでは日 本 のみの詳 細 な分 析 を行 う。
31
(1) 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属
機 関 別 ランキング
日 本 の「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の
所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )(上 位 10 位 )については、図 表 3-21 及 び図 表 3-22 のとおり
となった。第 1位 は、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」では、(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 、「動
物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」では、北 海 道 大 学 となった。この結 果 を見 ると、「ヒト研 究 による
栄 養 関 連 論 文 」と「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」ではランクインする機 関 の顔 ぶれが異 なる
ことがわかるが、国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 (ヒト研 究 :第 1 位 、動 物 実 験 :第 10 位 )、東 北 大 学
(ヒト研 究 、動 物 実 験 ともに第 2 位 )、花 王 株 式 会 社 (ヒト研 究 :第 5 位 、動 物 実 験 :第 6 位 )、
九 州 大 学 (ヒト研 究 :第 8 位 、動 物 実 験 :第 4 位 )、静 岡 県 立 大 学 (ヒト研 究 :第 10 位 、動 物 実
験 ;第 6 位 )は、両 方 のランキングに登 場 している。
図 表 3-21 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(論 文 数 )(N=195)
順位 機関名
1
2
3
4
5
6
6
8
8
10
10
10
10
(独)国立健康・栄養研究所
東北大学
徳島大学
東京大学
花王株式会社
(独)国立がん研究センター
筑波大学
九州大学
新潟大学
国立保健医療科学院
富山大学
静岡県立大学
岐阜大学
論文
数
22
11
10
9
8
7
7
5
5
4
4
4
4
図 表 3-22 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(論 文 数 )
(N=162)
論文
数
1 北海道大学
9
1 東北大学
9
1 京都大学
9
4 (独)農研機構 食品総合研究所
8
4 九州大学
8
6 静岡県立大学
6
6 花王株式会社
6
8 静岡大学
5
8 帯広畜産大学
5
10 (独)国立健康・栄養研究所
4
10 東京農業大学
4
順位 機関名
32
次 に「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所
属 機 関 のランキング(被 引 用 数 )(上 位 10 位 )は、図 表 3-23 及 び図 表 3-24 のとおりとなった。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」については、論 文 数 のランキングに比 して、被 引 用 数 では花
王 株 式 会 社 、明 治 製 菓 株 式 会 社 、カルピス株 式 会 社 、ネスレ日 本 株 式 会 社 、ヤクルト中 央 研
究 所 といった企 業 が順 位 を上 げている。
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」については、論 文 数 のランキングに比 して、被 引 用 数 では、
島 根 大 学 、信 州 大 学 、佐 賀 大 学 が順 位 を上 げている。
図 表 3-23 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(被 引 用 数 )
(参考)
順位
(論文
数)
順
位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
9
9
被引 (参考)
用数 論文数
機関名
1
5
2
14
6
3
8
32
10
20
32
(独)国立健康・栄養研究所
花王株式会社
東北大学
明治製菓株式会社
(独)国立がん研究センター
徳島大学
九州大学
カルピス株式会社
富山大学
ネスレ日本株式会社
ヤクルト中央研究所
213
142
106
76
75
59
58
43
36
36
36
22
8
11
3
7
10
5
1
4
2
1
図 表 3-24 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(被 引 用 数 )
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(参考)順
位(論文
数)
14
4
4
1
1
1
14
30
14
8
被引用 (参考)
論文数
数
機関名
島根大学
(独)農研機構 食品総合研究所
九州大学
京都大学
東北大学
北海道大学
久留米大学
信州大学
佐賀大学
帯広畜産大学
33
105
84
80
72
56
49
46
45
37
32
2
8
8
9
9
9
1
1
2
5
(2)「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機
関 別 ランキング
日 本 の「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所
属 機 関 別 ランキングについて、1(3)及 び(4)と同 様 、分 数 法 、整 数 法 に分 けて整 理 した。その
結 果 は、図 表 3-25 から図 表 3-28 のとおりとなった。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」については、分 数 法 、整 数 法 ともに、図 表 3-21 の筆 頭 著 者
の所 属 機 関 別 ランキング(論 文 数 )と同 様 、第 1位 は、(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 であった。筆
頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキングと、著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングの分 数 法 、整 数 法 ともに、
多 少 の順 位 の上 下 はあるものの第 10 位 までにランクインしている機 関 の顔 ぶれはほぼ同 様 とな
っているが、著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキングに、筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキングには登 場 し
ていなかった女 子 栄 養 大 学 が分 数 法 で第 6 位 、整 数 法 で第 3 位 に登 場 している。逆 に、図 表
3-21 の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキングで第 10 位 となっていた国 立 保 健 医 療 科 学 院 、静 岡
県 立 大 学 、富 山 大 学 及 び岐 阜 大 学 の 4 機 関 がランク外 となっている。
図 表 3-25 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(分 数 法 )
順位
機関名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
件数
(独)国立健康・栄養研究所
東北大学
花王株式会社
徳島大学
東京大学
女子栄養大学
(独)国立がん研究センター
筑波大学
新潟大学
九州大学
11.6
8.4
7.6
6.6
5.505
5.503
5.1
4.5
4.1
3.5
図 表 3-26 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(整 数 法 )(全 数 =828)
順位
1
2
3
3
5
6
6
8
9
10
機関名
件数
(独)国立健康・栄養研究所
東北大学
東京大学
女子栄養大学
徳島大学
(独)国立がん研究センター
新潟大学
花王株式会社
筑波大学
九州大学
34
49
30
26
26
24
18
18
16
15
14
「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」についても、図 表 3-22 の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキン
グと同 様 、分 数 法 、整 数 法 ともに、第 1位 は、北 海 道 大 学 であった。これらを比 較 すると、多 少
の順 位 の上 下 はあるものの、登 場 する顔 ぶれはほぼ類 似 しているが、筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別
ランキングで第 10 位 となっている(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 が著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキン
グでは分 数 法 、整 数 法 ともに圏 外 となっている。また、分 数 法 と整 数 法 を比 較 すると、分 数 法 で
ランクインしている東 京 農 業 大 学 、帯 広 畜 産 大 学 が、整 数 法 では圏 外 となり、代 わりに、大 阪 府
立 大 学 、東 京 医 科 歯 科 大 学 、大 阪 市 立 大 学 がランクインしている。
図 表 3-27 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(分 数 法 )
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
機関名
件数
北海道大学
9.82
(独)農研機構 食品総合研究所
7.4
京都大学
7.03
花王株式会社
6.33
東北大学
6.13
静岡県立大学
6
九州大学
5.92
東京農業大学
3.23
静岡大学
2.93
帯広畜産大学
2.83
図 表 3-28 「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 の全 所 属 機 関 別 ランキング(日 本 )(整 数 法 )
(全 数 =428)
順位
1
2
3
3
5
5
5
8
8
10
10
機関名
件数
北海道大学
京都大学
(独)農研機構 食品総合研究所
東北大学
花王株式会社
静岡県立大学
九州大学
静岡大学
大阪府立大学
東京医科歯科大学
大阪市立大学
23
20
16
16
11
11
11
8
8
7
7
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」(分 数 法 、整 数 法 )と「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」(分
数 法 、整 数 法 )を比 較 すると、ランクインしている機 関 の顔 ぶれは異 なるが、東 北 大 学 (ヒト研
究 (分 数 法 ):第 2 位 、ヒト研 究 (整 数 法 ):第 2 位 、動 物 実 験 (分 数 法 ):第 5 位 、動 物 実 験 (整
数 法 ):第 3 位 )、花 王 株 式 会 社 (ヒト研 究 (分 数 法 ):第 3 位 、ヒト研 究 (整 数 法 ):第 8 位 、動
物 実 験 (分 数 法 ):第 4 位 、動 物 実 験 (整 数 法 ):第 5 位 )、九 州 大 学 (ヒト研 究 (分 数 法 ):第
35
10 位 、ヒト研 究 (整 数 法 ):第 10 位 、動 物 実 験 (分 数 法 ):第 7 位 、動 物 実 験 (整 数 法 ):第 5
位 )は、すべてのランキングに登 場 している。
(3)著 者 に関 する分 析
ここで、さらに日 本 における「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の生 産 の状 況 を見 るため、著 者 に
関 する分 析 を行 うこととする。筆 頭 著 者 が日 本 の機 関 に所 属 する論 文 を抽 出 し、それらの論 文
の全 著 者 (881 名 )に関 して、著 者 の掲 載 順 により重 みを変 えて、その著 者 の論 文 への貢 献 度
を算 出 した。この方 法 には、“A new author ’s productivity index : p-index”
(Scientometrics(2010)85:415-427,N. Assimakis, M. Adam) に示 されている、以 下 の 3
種 類 の方 法 をとった。
① 統 一 生 産 性 イ ン デ ッ ク ス ( The uniform productivity index: up-index)
これは、著者の掲載順にかかわらず、著者の貢献度は均等であるとの考え方で算出
さ れ る も の で あ る 。 i 番 目 の 論 文 の j 番 目 ( j= 1,….a i ) (a i
者 数 )の 著 者 の 貢 献 度 up i j
up i j = 1 /a
は、i 番目の論文の全著
は、
i
で算出される。
この際、
ai
Σup i j = 1
としている。
J=1
② 線 形 生 産 性 イ ン デ ッ ク ス ( The linear productivity index: lp-index)
これは、著者の掲載順に貢献度の重みを置く方法である。それぞれの著者の貢献度
を そ の 順 番 の 数 値 に 直 線 的 に 関 連 さ せ て 算 出 し て い る 。 i 番 目 の 論 文 の j 番 目 ( j=
1,….a i ) (a
lp
ij
は 、 i 番 目 の 論 文 の 全 著 者 数 )の 著 者 の 貢 献 度 lp
i
= - 2 r j /{a i (a i +1)}×+2j /a
で 算 出 さ れ る 。 こ こ で 、 rj= j
ここでも、
ai
Σlp i j = 1
ij
は、
i
である。
としている。
J=1
この計算方法の特徴は、
lp
i2
- lp
i1
= lp
i3
- lp
i2
= lp
i4
- lp
i3
= ・・・・ = lp
iai
- lp
I ai-1
= - δ= lp
iai
としているところである。
③ 幾 何 学 的 生 産 性 イ ン デ ッ ク ス ( The geometric productivity index: gp-index)
これも、著者の掲載順が重要な役割を果たしているとの考えで、著者の掲載順に指
36
数 関 数 的 な 方 法 で 貢 献 度 を 算 出 し て い る 。i 番 目 の 論 文 の j 番 目( j= 1,….a i )(a i は 、
i 番 目 の 論 文 の 全 著 者 数 )の 著 者 の 貢 献 度 gp
gp
ij
ij
は、
= λrj
λ a i + 1 - 2λ+1= 0
λ= gp
0< λ< 1
i1
で算出される。ここでも、
ai
Σgp i j = 1 と し て い る 。
J=1
この計算方法の特徴は、
gp
i2/
gp
i1
= gp
i3/
gp
i2
= ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ gp
iai/
gp
iai-1
=λ
としているところである。
筆 頭 著 者 に対 する重 みは、統 一 生 産 性 インデックス<線 形 生 産 性 インデックス<幾 何 学 的
生 産 性 インデックスと後 者 程 、大 きくなっている。
以 上 の 3 種 類 の方 法 を使 って、全 著 者 (881 名 )における著 者 生 産 性 インデックスの集 計 を行
ったのが、図 表 3-29 である。
37
図 表 3-29 日 本 から発 表 されていた「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の全 著 者 (881 名 )における著 者 生 産
性 インデックス別 集 計 (いずれかのインデックスが上 位 20 位 以 内 である著 者 )
著者
ID
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
U
V
W
X
Y
Z
AA
AB
AC
AD
所属
論文数
著者生産性インデックス
統一生産性イ 線形生産性イン 幾何学的生産
ンデックス
デックス
性インデックス
インデッ
インデッ
インデッ
順位
順位
順位
クス
クス
クス
(独)国立健康・栄養研究所、東京大学大学院
(独)国立健康・栄養研究所、東京大学大学院
(独)国立健康・栄養研究所、女子栄養大学
(独)国立がん研究センター、東京農業大学
岐阜大学大学院
(独)国立健康・栄養研究所
九州大学大学院、(独)国立国際医療センター
富山大学
東北大学
京都女子大学
花王株式会社
九州大学
新潟大学大学院
明治製菓株式会社
国立保健医療科学院
長崎シーボルト大学大学院
東北大学
花王株式会社
新潟大学大学院
徳島大学大学院
(独)国立健康・栄養研究所
大阪大学大学院
(独)国立がん研究センター
女子栄養大学
(独)国立がん研究センター
花王株式会社
花王株式会社
お茶の水女子大学大学院、徳島大学大学院
(独)国立がん研究センター
(独)国立健康・栄養研究所
著者ID欄
所属機関欄
所属機関欄
所属機関欄
所属機関欄
著者生産性インデックス欄
著者生産性インデックス欄
著者生産性インデックス欄
24
32
12
7
5
21
8
4
8
4
4
3
9
3
3
3
7
5
12
5
2
9
5
13
6
6
10
9
11
6
3.522
4.450
2.226
1.130
0.960
2.695
1.156
0.660
0.808
0.452
0.625
0.510
0.414
0.347
0.833
1.000
0.697
0.925
1.973
0.519
0.583
0.999
0.894
1.427
1.071
1.129
1.505
1.117
1.690
0.893
2
1
4
10
16
3
9
32
21
72
35
47
83
116
20
14
29
17
5
44
38
15
18
8
13
11
7
12
6
19
5.460
5.494
2.696
1.741
1.536
2.647
1.594
1.070
1.228
0.726
0.998
0.869
0.717
0.622
1.133
1.267
0.807
1.229
1.542
0.813
0.900
0.837
0.903
1.086
1.063
0.863
0.650
0.559
0.560
0.552
2
1
3
5
8
4
6
14
11
28
16
19
29
35
12
9
24
10
7
22
18
21
17
13
15
20
34
50
49
51
10.570
6.890
3.249
2.787
2.292
2.224
2.097
1.775
1.768
1.565
1.540
1.515
1.511
1.502
1.333
1.276
1.274
1.193
1.187
1.127
1.062
0.911
0.889
0.783
0.689
0.519
0.401
0.303
0.249
0.161
図表3-29及び図表3-30両方のランキングに登場
独立行政法人の研究機関
国立大学法人の総合大学の医学系大学院、国立大学法人の総合大学の医学部
民間企業研究所
その他
統一<線形<幾何学
統一>線形>幾何学
統一、線形、幾何学すべてのランクが高い
注 1 : 算 出 を 試 みた 3 種 類 の イ ンデッ クスのいずれかで 2 0 位 以 内 に 位 置 づけられた 30 人 について 結 果 を 示 した 。
注 2 : 表 は 幾 何 学 的 生 産 性 イ ンデッ クスの 降 順 で 示 した 。
注 3 : 所 属 機 関 に 複 数 の 機 関 が記 載 さ れてい るのは、 同 一 著 者 が 異 なる 機 関 に 異 動 した た めである 。
<補 足 情 報 > 著 者 1 人 当 た り の論 文 数 ならび に 各 イ ンデッ クスの 基 本 統 計 量
論文数
平均
標準偏差
最大
最小
1.789
2.109
32
1
統一生産性イ 線形生産性イ 幾何学的生産
ンデックス
ンデックス
性インデックス
0.221
0.221
0.221
0.282
0.342
0.523
4.450
5.494
10.570
0.022
0.005
0.000
38
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
33
34
36
45
75
167
182
282
299
一 方 、論 文 の貢 献 度 を考 えた場 合 、著 者 の掲 載 順 のみならず、責 任 著 者 の貢 献 度 が大 き
いことから、筆 頭 著 者 及 び責 任 著 者 のみを抽 出 し、筆 頭 著 者 を1番 目 、責 任 著 者 を 2 番 目 の
著 者 に位 置 付 けて、同 様 に①~③の著 者 生 産 性 インデックスの算 出 を試 みた。その結 果 が、図
表 3-30 である。
図 表 3-30 日 本 から発 表 されていた「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の著 者 (筆 頭 著 者 又 は責 任 著 者 :
189 名 )における著 者 生 産 性 インデックス別 集 計 (いずれかのインデックスが上 位 20 位 以 内 である著 者 )
著者生産性インデックス
統一生産性イ 線形生産性イン 幾何学的生産
ンデックス
デックス
性インデックス
論文数
著者
ID
A
B
E
D
N
M
J
L
H
C
O
K
U
G
AE
AF
AG
AH
AC
AI
AJ
V
AB
所属
(独)国立健康・栄養研究所、東京大学大学院
(独)国立健康・栄養研究所、東京大学大学院
岐阜大学大学院
(独)国立がん研究センター、東京農業大学
明治製菓株式会社
新潟大学大学院
京都女子大学
九州大学大学院
富山大学
(独)国立健康・栄養研究所
(独)国立健康・栄養研究所、女子栄養大学
花王株式会社
(独)国立健康・栄養研究所
九州大学大学院、(独)国立国際医療センター
東北大学
東北大学大学院
西南女学院大学
(独)農研機構 果樹研究所
(独)国立がん研究センター
徳島大学大学院
大阪市立大学大学院
大阪大学大学院
お茶の水女子大学大学院、徳島大学大学院
著者ID欄
著者ID欄
著者ID欄
著者ID欄
所属機関欄
所属機関欄
所属機関欄
所属機関欄
注
注
注
注
筆頭
20
0
4
5
3
3
3
3
3
4
2
3
2
2
2
2
2
2
0
1
2
0
0
責任
1
23
4
1
3
3
3
3
2
0
3
1
2
2
2
2
2
2
5
3
1
4
4
インデッ
インデッ
順位
クス
クス
10.500
11.500
4.000
3.000
3.000
3.000
3.000
3.000
2.500
2.000
2.500
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
2.500
2.000
1.500
2.000
2.000
2
1
3
4
4
4
4
4
9
12
9
12
12
12
12
12
12
12
9
12
23
12
12
13.667
7.667
4.000
3.667
3.000
3.000
3.000
3.000
2.667
2.667
2.333
2.333
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
1.667
1.667
1.667
1.333
1.333
順位
1
2
3
4
5
5
5
5
9
9
10
10
13
13
13
13
13
13
19
19
19
22
22
インデッ
順位
クス
12.743
8.785
4.000
3.472
3.000
3.000
3.000
3.000
2.618
2.472
2.382
2.236
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
2.000
1.910
1.764
1.618
1.528
1.528
図表3-29で統一<線形<幾何学
図表3-29で統一>線形>幾何学
図表3-29で統一、線形、幾何学すべてのランクが高い
図表3-29に登場しない
独立行政法人の研究機関
国立大学法人の総合大学の医学系大学院、国立大学法人の総合大学の医学部
民間企業研究所
その他
1 : 算 出 を 試 みた 3 種 類 の イ ンデッ クスのいずれかで 2 0 位 以 内 に 位 置 づけられた 30 人 について 結 果 を 示 した 。
2 : 表 は 幾 何 学 的 生 産 性 イ ンデッ クスの 降 順 で 示 した 。
3 : 所 属 機 関 に 複 数 の 機 関 が記 載 さ れてい るのは、 同 一 著 者 が 異 なる 機 関 に 異 動 した た めである 。
4 : 著 者 ID 番 号 は 図 表 3 - 23 と同 一 の 者 は同 じ I D として ある。
39
1
2
3
4
5
5
5
5
9
10
11
12
13
13
13
13
13
13
19
20
21
22
22
<補 足 情 報 > 著 者 1 人 当 た り の論 文 数 ならび に 各 イ ンデッ クスの 基 本 統 計 量
論文数
平均
標準偏差
最大
最小
1.789
2.109
32
1
統一生産性イ 線形生産性イ 幾何学的生産
ンデックス
ンデックス
性インデックス
0.221
0.221
0.221
0.282
0.342
0.523
4.450
5.494
10.570
0.022
0.005
0.000
図 表 3-29 及 び図 表 3-30 の結 果 から、日 本 の「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」は、独 立 行 政
法 人 の研 究 機 関 及 び国 立 大 学 法 人 の総 合 大 学 医 学 系 大 学 院 又 は医 学 部 に所 属 する著 者
の貢 献 度 が大 きいことがわかる。また、民 間 企 業 の研 究 所 や女 子 大 学 の栄 養 系 学 部 に所 属 す
る著 者 も一 定 の貢 献 をしていることがわかる。当 該 著 者 の所 属 機 関 のうち、栄 養 学 科 等 の栄 養
学 に関 する研 究 室 を有 している機 関 は、女 子 栄 養 大 学 、東 京 農 業 大 学 、京 都 女 子 大 学 、長
崎 シーボルト大 学 、お茶 の水 女 子 大 学 、徳 島 大 学 、西 南 女 学 院 大 学 であった(大 阪 市 立 大 学
も生 活 科 学 科 に食 物 栄 養 学 科 を有 しているが、今 回 の著 者 の所 属 は、医 学 部 であった)。この
うち、国 立 大 学 法 人 の総 合 大 学 医 学 系 大 学 院 は徳 島 大 学 のみであった。徳 島 大 学 医 学 部 に
は医 学 科 、栄 養 学 科 および保 健 学 科 があり、このうち、栄 養 学 科 に関 しては 1969 年 に大 学 院
栄 養 学 研 究 科 が設 置 されている。大 学 院 栄 養 学 研 究 科 は、1971 年 に栄 養 学 分 野 の指 導 的
な研 究 者 および教 育 者 を育 成 するために設 立 されている。栄 養 学 科 は、国 立 大 学 医 学 部 とし
ては、我 が国 で唯 一 のものであり、栄 養 学 7 講 座 からなり、栄 養 学 を中 心 にした健 康 の増 進 に
貢 献 しうる(管 理 )栄 養 士 および栄 養 学 教 育 ・研 究 者 の育 成 を行 っている 1 0 。
また、図 表 3-29 で、統 一 生 産 性 インデックス<線 形 生 産 性 インデックス<幾 何 学 的 生 産 性
インデックスと、後 者 にいくほど順 位 がより高 くなっている著 者 については、共 著 数 はそれほど多
くないものの論 文 での掲 載 順 位 が高 くなっていると言 えるかもしれない。また、逆 に、統 一 生 産
性 インデックス>線 形 生 産 性 インデックス>幾 何 学 的 生 産 性 インデックスと、前 者 ほど順 位 がよ
り高 くなっている著 者 については、共 著 数 はある程 度 多 いが論 文 での掲 載 順 位 が低 くなってい
ると言 えるかもしれない。さらに、統 一 生 産 性 インデックス、線 形 生 産 性 インデックス、幾 何 学 的
生 産 性 インデックスいずれも高 い著 者 は、共 著 文 も多 く、論 文 での掲 載 順 位 も高 いと言 って良
いかもしれない。
図 表 3-29 で、いずれのインデックスの順 位 も高 い著 者 、統 一 生 産 性 インデックス<線 形 生 産
性 インデックス<幾 何 学 的 生 産 性 インデックスと、後 者 にいくほど順 位 がより高 くなっていた著 者
は、図 表 3-30 の結 果 も比 較 的 上 位 に位 置 していた。ただし、図 表 3-30 では筆 頭 著 者 となって
いる論 文 数 、責 任 著 者 となっている論 文 数 が上 位 2 者 を除 いては、すべてインデックスが 5 以
下 と数 字 が小 さく、大 きな差 が出 なかった。
10 徳 島 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
40
第 4 章 健 康 栄 養 関 連 論 文 の生 産 機 関 の研 究 体 制
1.世 界 のトップ機 関 の研 究 体 制
ここでは、第 3 章 でみてきた「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」のランキング(論 文 数 )に注 目 して、
国 のバランスも考 慮 して、以 下 の機 関 を対 象 に、それらの研 究 体 制 について調 査 を行 うこととす
る。なお、筆 頭 著 者 の所 属 機 関 による生 産 論 文 数 に焦 点 をあてて分 析 を行 うこととする。また、
合 わせて、日 本 で筆 頭 著 者 の論 文 生 産 が最 も多 かった(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 と、論 文
生 産 の多 かった全 米 6 カ所 に設 置 されている米 国 農 務 省 (USDA)の人 間 栄 養 研 究 センター
についても焦 点 を当 てて簡 単 な分 析 を行 うこととする。
図 表 4-1 調 査 対 象 機 関 一 覧
機関名
国名
筆頭著者
(論文数)
著者の全所 著者の全所
筆頭著者
属機関/分 属機関/整
(被引用数)
数
数
ハーバード大学
米国
第1位
第1位
第1位
第1位
カリフォルニア大学
米国
第3位
第3位
第3位
第2位
タフツ大学
米国
第4位
第2位
第4位
第3位
マーストリヒト大学
オランダ
第2位
第4位
第2位
第4位
コペンハーゲン大学
デンマーク
第5位
第6位
第5位
第5位
フランス国立医学研究機構(INSERM)
フランス
第6位
第5位
第9位
第6位
トロント大学
カナダ
第9位
第15位
第8位
第7位
Karolinska Institute
スウェーデン
第10位
第9位
第11位
第15位
ロンドン大学
UK
第7位
第7位
第6位
第8位
ヘルシンキ大学
フィンランド
第12位
第23位
第10位
第10位
(独)国立健康・栄養研究所
日本
第46位
第66位
第95位
第67位
注 : 表 中 の 順 位 は全 て「 ヒト 研 究 による 栄 養 関 連 論 文 」 のラ ンキングである 。
(1)ハーバード大 学 (米 国 ) 1 1
ハーバード大 学 からの「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の生 産 の詳 細 は、図 表 4-2 のとおりで
ある。
11 ハ ー バ ー ド 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
41
図 表 4-2 ハーバード大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
Harvard School of Public Health (計)
Department of Nutrition
Department of Epidemiology
Departments of Nutrition and Epidemiology
Department of Society, Human Development and Health
Department of Environmental Health
記載なし
Harvard Medical School (計)
Department of Nutrition
Division of Aging
Department of Medicine
Department of Ophthalmology
Epidemiology Unit
Department of Ambulatory Care and Prevention
記載なし
Brigham and Women's Hospital (計)
Department of Medicine(計)
詳細記載なし
Division of Preventive Medicine
Division of Aging
Obstetrics and Gynecology Epidemiology Center
Channing Laboratory
Departments of Psychiatry and Medicine
Connors Center for Women's Health and Gender Biology
Beth Israel Deaconess Medical Center (計)
Department of Medicine
Cardiovascular Division, Department of Medicine
Cardiovascular Epidemiology Research Unit, Department of Medicine
Massachusetts General Hospital (計)
Department of Psychiatry
Center for D-receptor Activation Research
Neuroendocrine Unit
Diabetes Control and Complications Trial, Epidemiology of Diabetes
McLean Hospital
Consolidated Department of Psychiatry
Children's Hospital(計)
Division of Infectious Diseases
Division of Endocrinology
Division of Gastroenterol. and Nutrition,
Faculty of Arts and Sciences
Robert Wood Johnson Health and Society Program
(総 計)
86
67
8
5
2
1
3
57
1
1
1
2
1
37
31
15
15
1
1
3
1
1
6
3
1
2
4
1
1
1
1
1
3
1
1
1
1
1
145
こ れ ら の 結 果 か ら 、研 究 論 文 は 、Harvard School of Public Health(公 衆 衛 生 大 学 院 )
( 86 論 文 ) と Harvard Medical School(医 学 大 学 院 )( 57 論 文 ) に お い て 多 く 生 産 さ
れていることがわかる。
以下、特に論文生産の多かった部署に関する研究内容等について詳細をみる。
①
ハ ー バ ー ド 公 衆 衛 生 大 学 院 ( Harvard School of Public Health)
42
ハ ー バ ー ド 公 衆 衛 生 大 学 院 ( Harvard School of Public Health) の 起 原 は 、 米 国 に
お い て 初 め て 公 衆 衛 生 学 の 専 門 教 育 プ ロ グ ラ ム を 実 施 し た 、 1913 年 に ス タ ー ト し た
Harvard-MIT School for Health Officers に あ り 、 1922 年 に ハ ー バ ー ド が MIT か ら
分 裂 し 、 Harvard School of Public Health が 正 式 に 発 足 し た 。 1946 年 に は 、 医 学 大
学院の一部としてではなく、ハーバード大学の自立した大学院としての新たな地位を
与えられた。
現 在 、 Harvard School of Public Health は 、 ハ ー バ ー ド 大 学 の 10 の 大 学 院 の 一 つ
として、疾病予防及び治療プログラムの発展のみならず、国内外における健康サービ
スの実行のためのシステムの計画とマネジメントに力を入れている。公衆衛生大学院
の フ ァ カ ル テ ィ は 350 人 以 上 に の ぼ っ て い る 。
公 衆 衛 生 大 学 院 に は 、 9 つ の Department が あ る 。
< School of Public Health の 9 つ の Department>
Department of Biostatistics( 生 物 統 計 学 部 )
Department of Environmental Health( 環 境 健 康 学 部 )
Department of Epidemiology( 疫 学 部 )
Department of Genetics and Complex Diseases( 遺 伝 子 及 び 複 雑 疾 患
学部)
Department of Global Health and Population( グ ロ ー バ ル ・ ヘ ル ス
及び集団学部)
Department of Health Policy and Management( 健 康 政 策 、経 営 学 部 )
Department of Immunology and Infectious Diseases( 免 疫 学 及 び 感
染症学部)
Department of Nutrition( 栄 養 学 部 )
Department of Society, Human Development, and Health( 社 会 、 人
間発達及び健康学部)
ここでは、特に、ハーバード公衆衛生大学院の中で比較的、研究論文の多かった、
Department of Nutrition( 67 論 文 ) 及 び Department of Epidemiology( 8 論 文 ) に
ついて詳細をみる。
(a) Department of Nutrition
Department of Nutrition は 、 公 衆 衛 生 大 学 院 の 中 で も 最 初 に で き た Department
で あ り 、1942 年 に 設 立 さ れ て い る 。ハ ー バ ー ド の 医 学 コ ミ ュ ニ テ ィ の 中 の 一 組 織 と し
て、他の組織の科学者たちとの幅広い共同プロジェクトに取り組んできた。そのミッ
シ ョ ン は 、 質 の 高 い 栄 養 を 通 じ て 人 の 健 康 を 改 善 す る こ と に あ る 。 Department of
Nutrition は こ の 目 標 を 達 成 す る た め に 、 ど の よ う な 食 事 が 健 康 に 影 響 を 与 え る の か
についての研究を行い、健康への栄養の影響に関する新たな知識の普及、栄養戦略の
開発、研究者や開業医に対する教育を行っている。
43
Department of Nutrition は 、栄 養 と 心 疾 患 、が ん の 関 係 、食 生 活 と 遺 伝 的 要 因 及
び肥満との関係、摂取とバランス及び食事成分の要件との関係の理解に大いに貢献
し て き た 。現 在 、Department of Nutrition の 研 究 者 た ち は 大 規 模 な 食 生 活 の 要 素 と
主な疾病との関連についての詳細な研究を実施している。
Department of Nutrition は 公 衆 衛 生 に 影 響 を 与 え る 観 点 か ら 栄 養 に 関 す る 、ま た 、
疫学に関する基礎科学の分野におけるトレーニング及び研究機会を提供している。
特にラテンアメリカ、アフリカ、アジア及び米国の人々に関する栄養政策や栄養上
の 介 入 の 評 価 は 、Department of Nutrition が 長 期 間 に わ た っ て 関 心 を も っ て い る 分
野 で あ る 。Department of Nutrition の 研 究 範 囲 は 、分 子 生 物 レ ベ ル か ら 、人 の 心 疾
患及びがんに関する研究まで広がっており、介入調査も実施している。学生は、生
化学、生理学、生物統計学、疫学等の最先端の学問を学び利用している。学部の研
究は人の健康に関するものであれば、基礎研究でも応用研究でも実施可能である。
学位プログラム
Department of Nutrition で は 、2 つ の ド ク タ ー プ ロ グ ラ ム が あ る 。一 つ が 栄 養 学
に 関 連 す る 、 SD( Doctor of Science) あ る い は 、 DPH( Doctor of Public Health)
である。これらは、栄養疫学及び公衆栄養学に関する学位となる。
もう一つが、生物科学、公衆衛生(栄養学的生化学、心臓血管生物学)について
の プ ロ グ ラ ム で あ る 、PhD( Doctor of Philosophy)で あ る 。PhD プ ロ グ ラ ム の 申 請
者 は 、医 学 、獣 医 学 、歯 学 の Clinical Degree 保 持 者 で あ る 必 要 が あ り 、栄 養 生 化 学
に お け る SD
degree と は 異 な る カ リ キ ュ ラ ム を 選 択 し た い 者 が こ ち ら を 選 ぶ と 良
い。なお、修士課程のプログラムはない。
ファカルティ
フ ァ カ ル テ ィ と し て は 、 Primary Faculty に 、 Walter Willett 教 授 ( 学 部 長 ) を 始
め と す る 13 名 、Secondary Faculty に 8 名 、Adjust
Faculty に 7 名 が 名 を 連 ね て い
る。
(b) Department of Epidemiology
ハ ー バ ー ド 公 衆 衛 生 大 学 院 の Department of Epidemiology の ミ ッ シ ョ ン は 、 研 究
及び教育を通じて人の健康の評価と改善を行うことにある。研究、方法論、教育とい
う3つのアプローチを通じてこれらのミッションに取り組んでいる。
9 研 究:整 合 性 の と れ た 予 防 措 置 を 得 る た め の 人 の 病 気 の 分 布 や 決 定 因 子 の 評 価
のための学際的な基礎的研究
9 方 法 論 : 疫 学 的 方 法 が 有 効 に 活 用 さ れ る よ う 、有 効 性 を 拡 大 し 、活 動 の 視 野 を
広げ、疫学調査のための方法論を改善するための継続した努力
9 教 育:健 康 に 関 す る 専 門 家 や 一 般 の 人 々 へ の 知 識 の 普 及 と と も に 、疫 学 分 野 の
44
将 来 の 研 究 者 や 開 業 医 に な る た め の 準 備 。公 衆 衛 生 大 学 院 は グ ロ ー バ ル な 視 点
を も っ て お り 、疫 学 部 に お い て も 同 様 で あ る 。米 国 に 限 ら ず 国 際 的 に 健 康 の 質
の向上に関与していく。
また、がん、心疾患、その他の慢性病についての疫学に関する、また、疫学の方法
論に関する研究及び教育には、長年の歴史を誇っている。
学位プログラム
Department of Epidemiology に は 、 以 下 の 学 位 プ ロ グ ラ ム が あ る 。
・ Master of Science
42.5 単 位
夏季限定
臨 床 及 び ヘ ル ス ケ ア 専 門 家 の た め に 設 け ら れ も の で 、3 夏 学 期 以 上 の プ ロ グ ラ ム
を 履 修 す る 課 程 。学 位 論 文 が 求 め ら れ 、プ ロ グ ラ ム は 、臨 床 効 果 の 夏 の プ ロ グ ラ
ムあるいは、公衆衛生研究セッションのいずれかで始める。
・ Master of Science
42.5 単 位
秋 又 は 春 限 定 (学 位 論 文 不 要 )
秋 学 期 及 び 春 学 期 を そ れ ぞ れ 1 回 以 上 履 修 す る 課 程 。医 学 又 は 生 物 学 の 修 士 レ ベ
ル 課 程 を 修 了 し た 者 向 け 。臨 床 効 果 あ る い は 公 衆 衛 生 研 究 の 夏 の プ ロ グ ラ ム 1 つ
を終了した後に履修することが想定されている。
・ Master of Science
80 単 位
2 年オプション
学 位 論 文 が 必 要 な 4 学 期 以 上 の 履 修 が 必 要 な 課 程 。学 士 修 了 者 の た め の 課 程 と し
て 設 置 さ れ て お り 、 生 物 学 及 び 数 学 に 強 い バ ッ ク グ ラ ウ ン ド を 持 ち 、 GRE ス コ
ア の 数 学 の 高 い 得 点 が 必 要 で 、研 究 に 対 す る 高 い 目 標 が 求 め ら れ る 。学 位 論 文 も
必要となる。
・ Doctor of Science、 Doctor of Public Health
このプログラムは、パートタイムでもフルタイムでも認められる。申請者は生
物 学 及 び 数 学 に 強 い バ ッ ク グ ラ ウ ン ド を 持 つ 必 要 が あ る 。Doctor of Science 申
請 者 は 、学 士 の 資 格 を 持 ち 、Doctor of Public Health 申 請 者 は 、Master of Public
Health の 学 位 を お さ め て い な け れ ば な ら な い 。コ ー ス ワ ー ク は 両 者 と も に 類 似
しており、1つの主専攻科目、2 つの副専攻科目を履修する(主専攻:疫学、
副 専 攻: 生 物 統 計 学 の 他 に も う 一 つ を 選 択 )。最 初 の 2 年 は 授 業 に 専 念 し 、記 述
式テスト、口頭テストに合格する必要がある。また、学位論文の提出も求めら
れる。
ファカルティ
フ ァ カ ル テ ィ と し て 、Primary Faculty に 、Hans-Olov Adami 教 授( 学 部 長 )を 始
め と す る 35 名 、Secondary Faculty に 40 名 、Adjust
Faculty に 22 名 が 名 を 連 ね て
いる。
② ハ ー バ ー ド 医 学 大 学 院 ( Harvard Medical School ) ~ Brigham and Women's
Hospital( BWH)
45
ハ ー バ ー ド 医 学 大 学 院 は 、 1782 年 に 設 立 さ れ て い る 。 同 大 学 院 に は 、 多 く の 関 連
病 院 、関 連 施 設 が あ る が 、今 回 抽 出 さ れ た 論 文 は 、Brigham and Women's Hospital、
Beth Israel Deaconess Medical Center、Massachusetts General Hospital、McLean
Hospital、Children's Hospital、Joslin Diabetes Center と い っ た 機 関 か ら 生 産 さ れ
ていた。
な お 、ハ ー バ ー ド 医 学 大 学 院 に は 、医 学 大 学 院 、テ ィ ー チ ン グ・ホ ス ピ タ ル の 研 究 、
教育、患者のケア等を含めた栄養関連活動の調整を行うことを目的として、栄養学
科 ( Division of Nutrition) が 1996 年 に 設 置 さ れ て い る 。 こ の 栄 養 学 科 は 、 ど う や
って健康的な食生活を続ければ良いか、栄養補助食品の重要性、臨床的な疾病管理
において栄養的なサポートをどう利用すれば良いかといった医学的情報を一般市民
に提供することとしている。この目的を果たすため、公衆衛生大学院栄養学部の支
援 を 受 け る と と も に 、 NIH( 国 立 衛 生 研 究 所 ) の 資 金 に よ り 、 臨 床 栄 養 研 究 セ ン タ
ーが設置されている。また、公衆衛生大学院栄養学部との共同で2つのポスドクを
訓 練 す る プ ロ グ ラ ム が 作 ら れ て お り 、 NIH の 資 金 に よ り 、 開 業 医 及 び 学 部 卒 の 学 生
を訓練するためのファンドが作られている。さらに栄養学科は、ハーバード医学大
学院の学生が、心臓血管疾患、高血圧、タイプ 2 型糖尿病の予防のためや肥満の予
防のために、健康的なライフスタイルを送りたいとする患者に、栄養に関する相談
にのれるような実践的な栄養教育の機会を与えている。
Brigham and Women's Hospital( BWH)
Brigham and Women's Hospital( BWH) は 、 ボ ス ト ン の 最 も 古 い 最 も 優 秀 な ハ ー
バ ー ド 大 学 の テ ィ ー チ ン グ・ホ ス ピ タ ル 3 つ( the Peter Bent Brigham Hospital, the
Robert Breck Brigham Hospital, and the Boston Hospital for Women) が 1980 年
に 合 併 し て 作 ら れ た 病 院 で 、そ の ル ー ツ は 1832 年 に さ か の ぼ る こ と が で き る 。BWH
は 、777 床 の ベ ッ ド を 持 ち 、外 来 患 者 及 び 臨 床 へ の 対 応 、最 先 端 の 治 療 技 術 、研 究 室
を備えており、最高のクオリティーで患者への対応を行いつつ、次世代の医師、看
護 師 、 研 究 者 等 に 対 す る 教 育 を 行 い 、 研 究 を 行 っ て い る 。 ま た 、 NIH か ら の 研 究 費
も年間 4 億ドル以上獲得している。また、女性の健康に関する傑出した地域リーダ
ーであるとともに、米国における移植センターとしても有名であり、整形外科、神
経科学、関節炎、リューマチ障害、がんに関する研究及び臨床にも優れていること
が知られている。
BHW の 中 で 、 論 文 生 産 が 多 か っ た の は 、 Department of Medicine( ヒ ト 研 究 : 31
論 文 ) で あ っ た 。 医 学 の Department に は 、 以 下 の 18 の 学 科 が あ る が 、 特 に 論 文 の
多 か っ た 予 防 医 学 科 ( Division of Preventive Medicine) に つ い て 研 究 内 容 等 に つ い
て詳細をみる。
∗ Aging ( 老 齢 学 )
46
∗ Hospitalist Program ( 病 院 プ ロ グ ラ ム 学 )
∗ Arthritis and Joint Diseases ( リ ウ マ チ 関 節 症 学 )
∗ Infectious Diseases ( 感 染 症 学 )
∗ Cardiovascular Medicine ( 心 臓 血 管 内 科 )
∗ Osher Clinical Center for Complementary and Integrative Medical Therapies
(補完一般臨床センター、統合医療セラピー学)
∗ Endocrinology, Diabetes and Hypertension ( 内 分 泌 、 糖 尿 病 、 高 血 圧 学 )
∗ Pharmacoepidemiology and Pharmacoeconomics ( 薬 剤 及 び 医 薬 学 )
∗ Gastroenterology, Hepatology and Endoscopy ( 消 化 器 、 肝 臓 、 内 視 鏡 検 査 学 )
∗ Preventive Medicine ( 予 防 医 学 )
∗ General Internal Medicine and Primary Care( 一 般 内 科 及 び プ ラ イ マ リ ー ケ ア
ー)
∗ Pulmonary and Critical Care Medicine ( 肺 及 び 救 命 医 療 学 )
∗ Genetics ( 遺 伝 学 )
∗ Renal Medicine ( 腎 医 学 )
∗ Global Health Equity ( グ ロ ー バ ル ・ ヘ ル ス ・ エ ク イ テ ィ )
∗ Rheumatology, Immunology and Allergy ( リ ウ マ チ 、 免 疫 及 び ア レ ル ギ ー 学 )
∗ Hematology ( 血 液 学 )
∗ Sleep Medicine ( 睡 眠 医 学 )
予 防 医 学 科 ( Division of Preventive Medicine)
BWH の 予 防 医 学 科 は 世 界 的 に 疫 学 研 究 の セ ン タ ー と し て よ く 知 ら れ て い る 。主 な
研究テーマは、慢性疾患の予防であり、特に、心臓血管疾患、がん、糖尿病、加齢
に 伴 う 眼 疾 患 に 関 す る 大 規 模 な 無 作 為 臨 床 試 験 に 力 点 を 置 い て い る 。 ま た 、 20 年 間
実 施 し て い る 何 万 人 も の 参 加 者 の 詳 細 な 病 歴 、食 生 活 の ア セ ス メ ン ト 、血 液 及 び DNA
サンプルを収集し続けている。これにより、予防医学科の研究者は、ライフスタイ
ル、分子及び遺伝学上の疾病要因と関連した膨大な数の仮説を探索することができ
る。予防医学科のファカルティは臨床医学、心臓病学、遺伝子学、生物統計学及び
疫学を含めた補完的な多様な分野を提供している。
教 育・訓 練 プ ロ グ ラ ム と し て は 、加 齢 に 関 す る 疫 学 訓 練 プ ロ グ ラ ム( Epidemiology
of Aging Training Program ) と 心 臓 血 管 疾 患 に 関 す る 疫 学 訓 練 プ ロ グ ラ ム
( Epidemiology of Cardiovascular Disease Training Program)が あ る 。前 者 に は 、
疫学、生物統計学、加齢学等を特に重視した公衆衛生あるいは疫学の修士あるいは
博 士( MPH、MS、DrPH、ScD)課 程 コ ー ス が あ る 。後 者 に は 、疫 学 、生 物 統 計 学 、
心 臓 血 管 疾 患 等 を 特 に 重 視 し た 公 衆 衛 生 あ る い は 疫 学 の 修 士 あ る い は 博 士 ( MPH、
MS、 DrPH、 ScD) 課 程 コ ー ス が あ る 。
研究テーマは以下のとおりとなっている。
47
・ VITAL (VITamin D and OmegA-3 TriaL)
・ Women’s Health Study
・ Physicians' Health Study I
・ Physicians' Health Study II
・ Women’s Antioxidant and Folic Acid Cardiovascular Study
・ Women’s Health Initiative (WHI)
・ JUPITER Trial (Justification for the Use of statins in Primary prevention:
an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)
・ Kronos Early Estrogen Prevention Study
・ LANCET Trial (a randomized clinical trial of Lantus for C-reactive protein
reduction in early treatment of type 2 diabetes)
・ Val-MARC Trial
(2)カリフォルニア大 学 (米 国 ) 1 2
カリフォルニア大 学 からの「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の生 産 の詳 細 は、図 表 4-3 のとおり
である。
12 カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
48
図 表 4-3 カリフォルニア大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
Davis(計)
Department of Nutrition(計)
詳細な記載なし
Program in International and Community Nutrition
USDA Western Human Nutrition Research Center
Department of Internal
Medicine
4
Division of Endocrinology(計)
Clinical Nutrition, and
Vascular Medicine
詳細な記載なし
Department of Nutrition Biology
School of Medicine
Department of Medical Pathology and Laboratory Medicine
School of Veterinary
Department of Molecular Biosciences,
Medicine
General Clinical Research
Laboratory for Atherosclerosis and Metabolic Research
Center
Department of Food Science and Technology
詳細記載なし
Los Angeles(計)
David Geffen School of
Center for Human Nutrition
Medicine
Harbor-UCLA Medical Center, Los Angeles Biomedical Institute(計)
Harold Simmons Center for Kidney Disease Research and
Epidemiology
Division of Nephrology and Hypertension
School of Public Health(計)
Department of Community Health Sciences
詳細記載なし
Department of Physiological Science
Berkeley(計)
Department of Integrative Biology(計)
Exercise Physiology Laboratory
詳細記載なし
School of Public Health(計)
Division of Epidemiology
College of Natural Resources
Community Health and Human Development
Center for Weight and Health
詳細記載なし
49
62
50
19
22
9
3
1
1
2
1
1
1
2
14
6
3
2
1
3
2
1
2
9
3
2
1
6
1
1
1
1
2
San Francisco(計)
Department of Epidemiology and Biostatistics,
School of Medicine
Department of Family Health Care Nursing
Department of Pediatrics
Department of Medicine(計)
詳細情報なし
Division of General Internal Medicine
Center for Health and Community
詳細記載なし
San Diego(計)
School of Medicine(計)
Department of Family and Preventive Medicine(計)
Division of Epidemiology
Division of Biostatistics
詳細記載なし
Rady Children's Hospital Department of Pediatrics
Moores UCSD Cancer Center
(総 計)
7
1
1
1
3
1
1
1
1
5
3
2
1
1
1
1
1
97
注 :一 般 的 には、カリフォルニア大 学 は、個 々のキャンパスごとにランキング等 の扱 いを行 うようであるが、ここでは、合 計
でカウントした。
こ れ ら の 結 果 か ら 、研 究 論 文 は 、
「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」に つ い て は 、Davis
校 の 栄 養 学 部( Department of Nutrition)( 50 論 文 )に お い て 多 く 生 産 さ れ て い る こ
とがわかる。
以下、特に論文生産の多かった部署に関する研究内容等について詳細をみる。
① Davis 校
栄 養 学 部 ( Department of Nutrition)
カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 Davis 校 ( UC
Davis) の ル ー ツ は 1905 年 に 、 カ リ フ ォ ル ニ
ア州政府が州立農業大学院の設立を承認したことにある。
栄 養 学 部 は 、 農 業 及 び 環 境 科 学 カ レ ッ ジ ( College of
Agricultural and
Environment Science)の Human Science 科 の 中 に あ り 、学 部 教 育 を 行 っ て い る 。主
専攻は臨床栄養と栄養科学の 2 つがある。
な お 、 栄 養 学 の 大 学 院 コ ー ス と し て は 、 Graduate Group in Nutrition Biologyが あ
る が 、 こ れ は 、 2 つ の カ レ ッ ジ ( Agricultural and Environmental Sciences と
Letters and Science; Division of Biological Science) と 2 つ の 専 門 大 学 院
( Medicine 及 び Veterinary Medicine )の 17 学 部 の 73 人 以 上 の フ ァ カ ル テ ィ か ら な
る学際的協力組織により提供されている。ここで学生は栄養生物学の修士及び博士の
学位を受けることができる。
栄養学部は、教育、研究において国際的にリーダーシップをとっている。学部の目
標は、
9
次の世代の栄養科学者を訓練すること
50
9
栄養学の知識を米国市民へ普及すること
にある。栄養学部は、地域、州、全米及び国際的なチャネルを通じて市民に科学的な
情 報 を 提 供 し て い る 。 UC Davis の 栄 養 プ ロ グ ラ ム を 修 了 し た 卒 業 生 は 、 全 米 一 と 認
識され、産業界、政府、教育機関に積極的に採用されている。正確な栄養に関する情
報 を 共 有 す る た め 、 UC Davis は 、 カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 の 農 業 お よ び 自 然 資 源 学 科
( Division of Agriculture and Natural Resources) と と も に 全 国 民 の 健 康 を 改 善 す
るという共通の目標を持って努力をしている。
UC Davis の 研 究 プ ロ グ ラ ム は 世 界 一 で あ る と 認 識 さ れ て お り 、 特 に 成 長 の た め の
栄養、子どもへの影響、食事制限や慢性疾患の進展に対し、個々人の病気へのかかり
や す さ を 調 整 す る 食 生 活 の 役 割 と い っ た 分 野 に 強 い 。 ま た 、 UC Davis の フ ァ カ ル テ
ィの研究によって、妊娠中及び授乳中の女性の食生活が重要な役割を果たしていると
いうことを推奨している。また、子どもたちの成長や発達に改善を与え、先天性欠損
症の出現率を下げることに重要な結果をもたらしている。ここ数年間で、肥満につな
がる遺伝的要素と食事摂取をコントロールする要素に関する新たな知見が得られてい
る。この分野の研究は重要な公衆衛生上の問題の治療への新たなアプローチを提供し
て い る 。 ま た 、 食 生 活 と 慢 性 疾 患 と の 関 係 と い っ た 分 野 に お い て は 、 UC Davis の フ
ァカルティは食事の実質的な変化が健康面で劇的な改善をどうやってもたらすのかと
いうことを理解するための最前線の研究を行っている。
【主専攻】
臨 床 栄 養 ( Clinical
Nutrition)
臨床栄養専攻は栄養科学専攻の栄養学のクラスと基本的には同じであるが、追加的
なコースとして、食品科学管理、教育、社会学、市民とともに働く準備としてのコミ
ュニケーションスキルを含んでいる。最初の 2 年は、社会科学のいくつかの科目と基
本的な生物科学の準備コースを履修する。最後の 2 年は、通常の栄養学また臨床栄養
学、食品科学、生物化学、管理技術といった科目を履修する。
栄 養 科 学 ( Nutrition Science)
栄 養 科 学 専 攻 は 食 品 、食 品 成 分 の 消 費 及 び 活 用 の す べ て の 面 を 包 含 す る も の で あ る 。
学 習 の カ ギ と な る 分 野 は 、栄 養 素 及 び 食 品 成 分 の 活 用 に と っ て 重 要 な 生 物 化 学 反 応 や 、
健 康 や 疾 病 へ の 食 生 活 の 影 響 、政 策 や 公 衆 衛 生 の 問 題 に 関 連 し た 栄 養 学 を 含 ん で い る 。
栄 養 科 学 専 攻 に は さ ら に 栄 養 生 物 化 学 ( nutritional biochemistry)、 コ ミ ュ ニ テ ィ 栄
養 学 ( community nutrition) の 2 つ の オ プ シ ョ ン が あ る 。 栄 養 生 物 化 学 の オ プ シ ョ
ンを選択する場合は、化学及び生物学、微積分学、物理学のバックグラウンドが、コ
ミュニティ栄養学のオプションを選択する場合は経済学のバックグランドが必要とな
る 。1,2 年 生 時 に 栄 養 生 物 化 学 を 選 択 し た 学 生 は 、追 加 的 に 生 物 化 学 、遺 伝 子 学 、微
生物学、生理学、免疫学、毒性学のコースを追加的に履修する必要がある。コミュニ
ティ栄養学を選択した学生は、社会学及び健康関連科学のコースを追加的に履修する
必要がある。
51
【副専攻】
栄養学部は、食品及び栄養学の分野に集中したプログラムを専攻したい学生向けに
4 つ の 副 専 攻 プ ロ グ ラ ム 、 コ ミ ュ ニ テ ィ 栄 養 学 ( community nutrition)、 栄 養 科 学
( nutrition science)、 食 品 サ ー ビ ス マ ネ ジ メ ン ト ( food service management)、 栄
養 及 び 食 品 ( nutrition and food) を 提 供 し て い る 。
② Davis 校
Program in International and Community Nutrition( PICN)
PICN は 、低 所 得 国 、米 国 内 の マ イ ノ リ テ ィ 民 族 や 貧 困 層 の 栄 養 問 題 に 関 す る 共 同 研
究 や ト レ ー ニ ン グ 活 動 を 行 う た め に 、 1987 年 に 設 立 さ れ て い る 。 1994 年 に は 、 こ の
プ ロ グ ラ ム は 、 Office of Research の Organized Research Unit( ORU) に な っ た 。
PICN の 目 的 は 、
9
開発途上国の国民の栄養に関する問題の基礎的応用的研究の実施
9
大学院プログラムに参加する博士課程の学生のための国際栄養の指定地域への
教 育 カ リ キ ュ ラ ム の 管 理 計 画 を た て 、そ の 他 の 大 学 院 生 や ポ ス ド ク の フ ェ ロ ー に
対するトレーニング活動の調整を行うこと
9
開 発 途 上 国 の 食 料 及 び 栄 養 政 策 に 関 連 し 、米 国 政 府 及 び 国 際 機 関 の 技 術 的 援 助 を
行うこと
9
UC Davis と 海 外 の 研 究 及 び 訓 練 機 関 と の 学 生 及 び 研 究 者 の 共 同 交 流 の 促 進
にある。
③ Los Angeles 校 医 学 部 ( the David Geffen School of Medicine at UCLA)
カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 Los Angeles 校 ( UCLA) 医 学 部 は 、 1945 年 10 月 に 設 置 が 決
ま り 、 1947 年 に 最 初 の 学 部 長 が 就 任 し て い る 。
こ こ に 設 置 さ れ て い る 、 人 間 栄 養 セ ン タ ー ( Center for Human Nutrition) は 、 以
下の 5 つのプログラムからなる。
9
栄養研究:臨床栄養研究ユニットのように、食生活と運動、肥満と乳がん、前
立 腺 が ん 、 大 腸 が ん と の 関 係 を 研 究 す る 。 NIH の 「 栄 養 ・ 肥 満 ト レ ー ニ ン グ ・
プログラム」の支援を受けて、ライフサイクルを通じた肥満の病院、治療及び
予防に関する豊富な臨床研究及び基礎研究プログラムを実施中である。また、
大 学 肥 満 セ ン タ ー (University Obesity Center)の 臨 床 研 究 プ ロ グ ラ ム は 非 政 府
組織からの支援を受けて実施中である。新たな植物化学物質の研究イニシアテ
ィブは、加齢に伴う一般的な疾病の予防や治療にかなり有望視されている。
9
臨 床 プ ロ グ ラ ム : 週 に 200 人 の 患 者 を 扱 う 大 学 肥 満 セ ン タ ー (University
Obesity Center)の よ う に 、 Nutrition Medicine Center は 、 何 千 人 も の UCLA
の メ デ ィ カ ル セ ン タ ー や 、KidShape と い う 青 年 肥 満 プ ロ グ ラ ム 参 加 者 や 病 的 な
肥満患者の命を守るための胃の手術を受けた患者など様々なタイプの患者の相
談にのる。
9
情報公開及びアウトリーチプログラム:イブニング・セミナー、料理教室、運
52
動クラス、より健康な栄養及びライフスタイルの行動プログラム
9
教育プログラム:医学大学院のカリキュラムのような、ポスドクの栄養トレー
ニング・プログラム、研修医のトレーニング・プログラム、公衆衛生栄養学の
栄養士トレーニング、コミュニティ・プライマリー・ケア・プログラムの医師
向け医療教育プログラムの継続
9
国際栄養プログラム:エジプト、イスラエル、中国、東アフリカなどの卓越し
た研究機関とののアカデミックな研究連携
Center for Human Nutrition の 将 来 の 方 向 と し て は 、遺 伝 子 と 栄 養 の 相 互 作 用 、栄
養 情 報 シ ス テ ム 、 食 事 介 入 、 生 物 工 学 に よ っ て 作 ら れ た 21 世 紀 の 食 品 、 食 品 の 非 栄
養成分の健康への影響といったことにも取り組んでいくこととしている。プログラム
的には、引き続き肥満の他、特に男性については前立腺がん、女性については乳がん
に重点を置く。また、栄養科学の学際的研究や一般市民や健康関連の専門家の教育に
ついて新境地を開拓することとしている。
また、公衆衛生大学院を通じて国際的なコミュニティの栄養プロジェクトやプログ
ラムと協力していくこととしている。
(3)タフツ大 学 (米 国 ) 1 3
タフツ大 学 からの、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の生 産 の詳 細 は、図 表 4-4 のとおりであ
る。
13 タ フ ツ 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
53
図 表 4-4 タフツ大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
Jean Mayer US Department of Agriculture Human Nutrition Research Center on Aging(計)
詳細記載なし
Cardiovascular Nutrition Laboratory
Dietary Assessment and Epidemiology Research Program
Nutrition and Genomics Laboratory
Vitamin Metabolism and Aging Laboratory
Nutritional Immunology Laboratory
Vitamins and Carcinogenesis Laboratory
Antioxidants Research Laboratory
Nutritional Epidemiology
School of Medicine(計)
Departments of Public Health and
Nutrition/Infection Unit
Community Medicine
Department of Public Health and Family Medicine
Depertment of Family Medicine and Community Health
Gerald J. and Dorothy R. Friedman School of Nutrition Science and Policy(計)
John Hancock Center for Physical Activity and Nutrition
詳細記載なし
Tufts-New England Medical Center(計)
Division of Endocrinology, Diabetes and Metabolism
Institute for Clinical Research and Health Policy Studies
Institute for Clinical Research and Health Tufts-New England Medical Center
Policy Studies
Evidence-based Practice Center
(総 計)
77
51
6
3
5
2
1
1
1
7
4
2
1
1
3
1
2
4
2
1
1
88
こ れ ら の 結 果 か ら 、研 究 論 文 は 、Jean Mayer US Department of Agriculture Human
Nutrition Research Center on Aging( 77 論 文 ) に お い て 、 多 く 生 産 さ れ て い る こ と
がわかる。
以下、特に論文生産の多かった部署に関する研究内容等について詳細をみる。
① Jean Mayer US Department of Agriculture Human Nutrition Research Center
on Aging( HNRCA)
ジーン・メイヤー
14
米 国 農 務 省 ( USDA ) 高 齢 化 に 関 す る 人 間 栄 養 研 究 セ ン タ ー
( HNRCA ) は 、 USDA の 研 究 部 門 で あ る 、 農 業 研 究 サ ー ビ ス ( ARS : Agricultural
Research Service)の 支 援 を 受 け た 全 米 に 6 つ あ る 人 間 栄 養 研 究 セ ン タ ー の 一 つ で あ る 。
HNRCAは 、 高 齢 者 の 健 康 を 促 進 す る た め に 必 要 な 栄 養 に 関 す る 要 件 を 追 求 し 、 加 齢
に伴う変性要件を確認することにより、栄養と高齢化及び健康との関係に関する研究
を 行 う こ と を ミ ッ シ ョ ン と し て い る 。 HNRCAの 研 究 組 織 は 以 下 の と お り と な っ て い
る。
1 4 Jean
Maye r と は 、 タ フ ツ 大 学 元 学 長 、 タ フ ツ 大 学 栄 養 学 大 学 院 の 創 設 者 の 名 前 を 由 来 と し て い る 。
54
【 Scientific Services(科 学 サ ー ビ ス )】
Biostatistics( 生 物 統 計 学 )
研究活動をサポートする新たな統計的技術
やソフトウェアの開発、研究デザイン作成
に対する援助、実施、分析、相談を実施
Comparative Biology Unit ( 比 較 生 物 学
米国実験動物ケア認定協会の認定を受けた
ユニット)
2 万 5 千平方フィートの動物研究施設
Mass Spectrometry ( 質 量 分 析 )
ガスクロマトグラフィ質量分析計 4 台、液
体クロマトグラフィ質量分析計 4 台、安定
同位体比質量分析装置 1 台を装備
Metabolic Research Unit ( 代 謝 研 究 ユ ニ
14 人 の 居 住 者 ボ ラ ン テ ィ ア の 宿 舎 や 代 謝
ット)
研 究 の た め の キ ッ チ ン 、ダ イ ニ ン グ ル ー ム 、
実験室、医療記録ライブラリーといった施
設を含めた 2 万 5 千平方フィートの施設。
ボランティア・サービス課は健康な若いボ
ランティア及び高齢者ボランティアの最も
大きなデータベースの一つを維持してい
る 。 ボ ス ト ン 在 住 の 約 3000 人 の 成 人 及 び
高齢者のボランティアを毎年集めている。
Nutrition Evaluation Laboratory ( 栄 養
人、動物の専門の生物化学的分析や臨床的
評価実験室)
分析を行っており、疫学的、フィールドス
タディを実施している。
【 Research Laboratories( 研 究 室 )】 ( *ア ン ダ ー ラ イ ン は 、 研 究 論 文 生 産 の あ っ た Unit)
・ Antioxidants( 抗 酸 化 物 質 )
・ Body Composition( 体 組 成 )
・ Bone Metabolism( 骨 代 謝 )
・ Carotenoids & Health( カ ロ テ ノ イ ド と 健 康 )
・ Cardiovascular Nutrition( 心 血 管 栄 養 )
・ Dietary Assessment( 食 生 活 評 価 )
・ Energy Metabolism( エ ネ ル ギ ー 代 謝 )
・ Epidemiology( 疫 学 )
・ Lipid Metabolism( 脂 質 代 謝 )
・ Nutrition & Cancer Biology( 栄 養 及 び が ん の 生 物 学 )
・ Nutrition, Exercise, Physiology & Sarcopenia (NEPS)( 栄 養 、 運 動 、 生 理 及 び サ ル
コペニア)
・ Nutritional Genomics( 栄 養 ゲ ノ ミ ク ス )
・ Nutritional Immunology( 栄 養 免 疫 学 )
・ Neuroscience( 神 経 科 学 )
・ Nutrition and Neurocognition( 栄 養 認 知 神 経 学 )
・ Nutrition & Vision Research ( 栄 養 及 び ビ ジ ョ ン 研 究 )
55
・ Obesity Metabolism ( 肥 満 代 謝 )
・ Vascular Biology ( 血 管 生 物 学 )
・ Vitamins & Carcinogenesis ( ビ タ ミ ン 及 び 発 が ん )
・ Vitamin K ( ビ タ ミ ン K)
・ Vitamin Metabolism ( ビ タ ミ ン 代 謝 )
②
医 学 大 学 院 ( School of Medicine)
タ フ ツ 大 学 医 学 大 学 院 は 1893 年 に 設 立 さ れ て い る 。 組 織 構 成 は 以 下 の と お り と な
っ て い る ( *ア ン ダ ー ラ イ ン は 、 研 究 論 文 生 産 の あ っ た Unit) 。
Clinical Departments(臨 床 学 のDepartment)
•
Anesthesiology ( 麻 酔 科 )
•
Dermatology ( 皮 膚 科 )
•
Emergency Medicine ( 救 急 医 療 科 )
•
Family Medicine ( 家 庭 医 学 科 )
•
Medicine ( 薬 学 )
•
Neurology ( 神 経 科 )
•
Neurosurgery ( 脳 神 経 科 )
•
Obstetrics and Gynecology ( 産 婦 人 科 )
•
Ophthalmology ( 眼 下 )
•
Orthopaedic Surgery ( 整 形 外 科 )
•
Otolaryngology / Head and Neck Surgery ( 耳 鼻 咽 喉 科 /頭 頸 部 外 科 )
•
Pediatrics ( 小 児 科 )
•
Physical Medicine and Rehabilitation ( 物 理 医 学 及 び リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 科 )
•
Psychiatry ( 精 神 科 )
•
Public Health & Community Medicine ( 公 衆 衛 生 ・ コ ミ ュ ニ テ ィ 医 療 科 )
•
Radiation Oncology ( 放 射 線 腫 瘍 科 )
•
Radiology ( 放 射 線 科 )
•
Surgery ( 外 科 )
•
Urology ( 泌 尿 器 科 )
Basic Science Departments(基 礎 科 学 のDepartment)
•
Anatomy and Cellular Biology ( 解 剖 学 及 び 生 物 細 胞 学 科 )
•
Biochemistry ( 生 化 学 科 )
•
Molecular Biology and Microbiology ( 分 子 生 物 学 及 び 微 生 物 学 科 )
•
Neuroscience ( 神 経 科 学 科 )
•
Pathology ( 病 理 学 科 )
•
Pharmacology and Experimental Therapeutics ( 薬 理 実 験 治 療 科 )
56
•
Physiology ( 生 理 学 科 )
School & Program と し て は 、 以 下 の も の が あ る 。
MD Program( 修 士 課 程 プ ロ グ ラ ム ) : タ フ ツ 大 学 の MD( 修 士 課 程 ) の カ リ キ ュ ラ
ムは、集中的な臨床訓練を伴う基礎的科学の学習との組み合わせで行われる。
Public Health & Professional Degree Programs( 公 衆 衛 生 及 び 専 門 学 位 プ ロ グ ラ ム )
:タフツ大学の公衆衛生及び専門学位プログラムは大学コミュニティの資源をフルに
利用し、深い、学際的なイノベーションのプログラムを提供する。公衆衛生修士の学
位( Master of Public Health(MPH) degree)は 、そ れ だ け で も 取 得 で き る し 、ま た 、
タ フ ツ 大 学 に よ っ て 提 供 さ れ る MD、DVM、栄 養 学 の MS、BAあ る い は BSの 学 位 と の
組み合わせによっても取得できる。
Sackler
School
of
Graduate Biomedical
Sciences( Sackler医 歯 薬 学 総 合 大 学
院 ) : Sackler医 歯 薬 学 総 合 大 学 院 は 、 学 際 的 プ ロ グ ラ ム で 、 学 生 が そ の 所 属 す る 機
関を変えて、いくつかの研究室を経験し、ライティング・コース、ジャーナル・クラ
ブ、定期的なプレゼンなどを通じて、コミュニケーションスキルを向上させるという
ものである。
MSTP
Program:Sackler医 歯 薬 学 総 合 大 学 院 は 、タ フ ツ メ デ ィ カ ル・ス ク ー ル と 共
同 で 、 医 学 者 ト レ ー ニ ン グ ・ プ ロ グ ラ ム ( Medical Scientist Training Program :
MSTP) を 通 じ て 、 M.D.及 び Ph.D.の 学 位 を 組 み 合 わ せ て と る 学 生 に 対 す る 機 会 を 与
える。
Non-Degree Research Programs( ノ ン ・ デ グ リ ー 研 究 プ ロ グ ラ ム ) : 学 部 学 生 向 け
の医歯薬学総合の夏季研究プログラム
③
Gerald J. and Dorothy R. Friedman School of Nutrition Science and Policy( 栄
養科学及び政策大学院)
Gerald J. and Dorothy R. Friedman School of Nutrition Science and Policy は 、
1981 年 に 設 立 さ れ た 。 北 ア メ リ カ 唯 一 の 栄 養 学 の 大 学 院 で あ り 、 そ の ミ ッ シ ョ ン は 、
新たな知識の創造、エビデンス・ベースの情報の普及及び適用、この分野の未来のリ
ーダーの教育及びトレーニングを通じて、世界中の人々の栄養的な福祉を向上させる
ことにある。このミッションは、臨床栄養、社会政策、公共政策、生体臨床医学の分
野 の 専 門 家 を 集 め て 取 り 組 む べ き こ と で あ る 。こ の 大 学 院 の フ ァ カ ル テ ィ メ ン バ ー は 、
無数の人々の成長と発達を助ける役割や共通の栄養的な脅威に関する問題に関心を持
った、人類学者、生化学者、経済学者、疫学者、栄養学者、医師、政治科学者、心理
学 者 か ら な る 。現 在 は 213 人 の 学 生 が 在 籍 し て お り 、研 究 プ ロ グ ラ ム は タ フ ツ 大 学 の
7 つ の 他 の 大 学 院 や 、 Jean
Mayer USDA Human Nutrition Research Center on
Aging、 Frances Stern Nutrition Center を 巻 き 込 ん だ 学 際 的 な ア プ ロ ー チ を 行 っ て
いる。また、この横断的な協力関係を受けて、いくつかの修士課程プログラムが用意
されている。
57
(4)マーストリヒト大 学 (オランダ) 1 5
マーストリヒト大学からの「ヒト研究による栄養関連論文」の生産の詳細は、図表
4-5 の と お り で あ る 。
図 表 4-5 マーストリヒト大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
Faculty of Health, Medicine and Life Sciences(計)
Nutrition and Toxicology Research Institute Maastrich(NUTRIM)(計)
Department of Human Biology
Department of Human Movement
Sciences
Department of Health Education and
Health Promotion
Department of Surgery
Department of Health Risk Analysis
and Toxicology
詳細記載なし
School for Public Health and Primary Care (CAPHRI)(計)
Department of Epidemiology
Department of Health Care and
Nursing Science
School for Oncology and
Department of Epidemiology
Developmental Biology (GROW)
School for Mental Health and
Department of Psychiatry and
Neuroscience (MHeNS)
Neuropsychology
Cardiovascular Research Institutes of Maastricht(計)
Department of Human Biology
Department of Pharmacology,
University Hospital Maastricht(計)
Department of Respiratory Medicine
Department of Pediatrics
Department of Surgery
Department of Internal Medicine,
Division of Gastroenterology
Hepatology
Department of Human Biology
Department of Pharmacology and
Toxicology
Department of Epidemiology
Department of Experimental
Psychology
Department of Respiratory Medicine
詳細記載なし
Faculty of Psychology and
Neuroscience
詳細記載なし
Department of Clinical Psychological Science
(総 計)
15 マ ー ス ト リ ヒ ト 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
58
107
44
23
7
7
2
2
3
5
2
3
6
2
2
1
1
5
2
1
1
1
35
1
2
2
3
1
2
110
こ の 結 果 か ら 、 研 究 論 文 は 、 健 康 、 医 学 及 び ラ イ フ サ イ エ ン ス 学 部 ( Faculty of
Health, Medicine and Life Sciences) 、 マ ー ス ト リ ヒ ト 栄 養 及 び 毒 性 研 究 所
( Nutrition and Toxicology Research Institute Maastricht: NUTRIM) の 人 間 生 物
科 ( Department of
Human Biology) ( 23 論 文 ) か ら 多 く 生 産 さ れ て い る こ と が わ
かる。
マ ー ス ト リ ヒ ト 大 学 は 1976 年 に 設 立 さ れ た 大 学 で あ り 、 健 康 、 医 学 及 び ラ イ フ サ
イ エ ン ス 学 部 ( Faculty of Health, Medicine and Life Sciences) の 他 、 心 理 学 及 び 神
経 科 学 部 ( Faculty of Psychology and Neuroscience) な ど 、 全 部 で 5 つ の 学 部 と ビ
ジネス及び経済大学院を有している。
○ 健 康 、 医 学 及 び ラ イ フ サ イ エ ン ス 学 部 ( Faculty of Health, Medicine and Life
Sciences: FHML)
FHML に は 、 以 下 の と お り 、 6 つ の 研 究 機 関 が あ る 。
公衆衛生及びプライマリィ・
人々の健康の改善に向けて予防からリハビリテーション
ケ ア ・ 研 究 所 ( School for
にかけて、ヘルスケア・イノベーションに焦点をあてた、
Public Health and Primary
公衆衛生及びプライマリィ・ケア
Care- CAPHRI )
心 臓 血 管 疾 患 研 究 所 ( School
心臓血管疾患:血栓症、止血、心機能、心不全、血管生
for Cardiovascular Diseases-
物学
CARIM )
腫瘍学及び発生生物学研究所
個々人の疾病予防、患者の診断及び治療に対しイノベ―
( School for Oncology and
ティブなアプローチを行うことを目的とした、トランス
Developmental Biology -
レーショな研究に重点を置いた、(エピ)ジェネティッ
GROW )
クな、細胞の要因、(ミクロな)環境の要因や正常な発
達(胚及び胎児)及び異常な発達(がん)の底にあるメ
カニズムの解明
メンタルヘルス及び神経科学
一般的な精神科の、神経精神病学の、神経学的な状況に
研 究 所 ( School for Mental
重点を置いた、基礎的な脳のメカニズムの間の複雑な相
Health and Neuroscience -
互 作 用 、 脳 /神 経 認 知 機 能 及 び 精 神 病 理 学
MHeNS )
栄養学、毒性学及び代謝研究
代謝及び慢性炎症性疾病における栄養及び身体活動の健
所 ( School for Nutrition,
康上の利点及びリスク
Toxicology and Metabolism NUTRIM )
健康の専門家及び教育研究所
学習及びイノベーティブな学習環境、アセスメント及び
( School of Health
評価
59
Professions Education SHE )
こ れ ら の 機 関 の 中 で 特 に 論 文 生 産 の 多 か っ た NUTRIM( 44 論 文 ) は 、修 士 及 び 博 士
課 程 の プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 、オ ラ ン ダ 内 外 の 栄 養 学 、代 謝 及 び 毒 性 学 の 分 野 を サ ポ ー ト
し、発展させるレベルの高い、優秀な科学者を生み出すことを狙いとしている。
NUTRIM は VLAG 大 学 院 ( 食 品 技 術 、 土 壌 生 物 学 、 栄 養 及 び 健 康 科 学 ) に 参 加 し て お
り 、 Royal
Academy of Arts and Sciences(KNAW)に よ っ て 、 食 品 及 び 栄 養 の ト ッ プ
機 関 の パ ー ト ナ ー で あ る と み な さ れ 、製 薬 の ト ッ プ 機 関 で あ り 、か つ ト ラ ン ス レ ー シ ョ
ナ ル な 分 子 医 学 の 中 心 と な る 機 関 の 一 員 と み な さ れ て い る 。 NUTRIM の 研 究 者 及 び サ
ポ ー ト ス タ ッ フ を 合 わ せ て 約 245 人 、 PhD の 学 生 が 120 人 所 属 し て い る 。
【NUTRIM の Department】 (*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあった学 部 )
Department of Anatomy & Embryology (解 剖 発 生 学 )
Department of Bioinformatics (生 命 情 報 科 学 )
Department of Clinical Chemistry(臨 床 化 学 )
Department of Epidemiology (疫 学 )
Department of Genetics and Cell Biology(遺 伝 子 学 及 び細 胞 生 物 学 )
Department of Health Promotion and Education (健 康 促 進 及 び教 育 学 )
Department of Health Risk Analysis and Toxicology (健 康 リスク分 析 及 び毒 性 学 )
Department of Human Biology (人 間 生 物 学 )
Department of Imaging(画 像 学 )
Department of Internal Medicine (内 科 )
Department of Medical Microbiology (医 療 微 生 物 )
Department of Movement Sciences (運 動 科 )
Department of Ophthalmology(小 児 科 )
Department of Paediatrics (眼 科 )
Department of Pharmacology and Toxicology (薬 理 学 及 び毒 性 学 )
Department of Plastic Surgery (形 成 外 科 )
Department of Respiratory Medicine (呼 吸 器 科 )
Department of Surgery (外 科 )
論 文 生 産 の 多 か っ た 人 間 生 物 学 の Department に つ い て は 、ウ ェ ブ サ イ ト で 詳 細 な
情報提供されていないが、代謝に対する栄養及び身体活動の役割や慢性疾患の予防及
び 管 理 に 関 す る 研 究 を 重 視 し て お り 、学 部 及 び 修 士 課 程 の プ ロ グ ラ ム を 提 供 し て い る 、
とされている。
60
(5)コペンハーゲン大 学 (デンマーク) 1 6
コペンハーゲン大学からの「ヒト研究による栄養関連論文」の生産の詳細は、図表
4-6 の と お り で あ る 。
図 表 4-6 コペンハーゲン大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
Faculty of Life Sciences(計)
Department of Human Nutrition
Department of Human Nutrition Centre for Advanced Food Studies
Department of Veterinary Pathobiology
Faculty of Health Sciences(計)
Panum Institute
Copenhagen University
Hospital(Bispebjerg)
Copenhagen University
Hospital (Frederolsberg)
Copenhagen University
Hospital Herlev
Hvidovre Hospital
Department of Odontology
Department of Dermatology
Department of Medical Physiology
Institute of Preventive Medicine(計)
Research Unit for Dietary Studies
Danish Epidemiology Science Centre
Research Unit for Dietary Studies and
Danish Epidemiology Science Centre
詳細記載なし
36
28
7
1
18
1
1
1
12
7
1
1
3
Department of Internal Medicine
1
Department of Nephrology
1
Department of Clinical Nutrition
Department of Exercise and
Copenhagen Muscle Research
Faculty of Science(計)
Sport Sciences
Centre
Royal Veterinary and Agricultural University(計)
Department of Human Nutrition(計)
Centre for Advanced Food Studies
詳細記載なし
Institute of Human Nutrition
(総 計)
1
1
31
30
23
7
1
86
注 : コペンハー ゲン大 学 につい ては、 王 立 農 獣 医 大 学 と 2 0 07 年 1 月 に 合 併 をしており、 2 0 0 7 年 以 前 の 論 文 につ い て は 、
王 立 農 獣 医 大 学 として 記 載 さ れているものも コペンハーゲン大 学 の ものとし てカ ウントした 。
コ ペ ン ハ ー ゲ ン 大 学 は 、1479 年 に 発 足 し て お り 、北 ヨ ー ロ ッ パ で 最 も 古 い 大 学 の 一
つ で あ る 。 図 表 4-6 の 注 に も 記 載 し た と お り 、 コ ペ ン ハ ー ゲ ン 大 学 は 2007 年 1 月 に
王立農獣医大学及びデンマーク薬科大学を合併し、ライフサイエンス学部及び薬学部
の 2 つの新たな学部を設置している。
論 文 を 多 く 生 産 し て い る の は 、ラ イ フ サ イ エ ン ス Faculty の Department of Human
Nutrition( 28 論 文 )で あ り 、こ れ は 、王 立 農 獣 医 大 学 に あ っ た Department of Human
Nutrition( 30 論 文 ) を 継 承 し て い る も の と 思 わ れ る 。 ま た 、 健 康 科 学 部 の Institute
of Preventive Medicine( 12 論 文 ) も 多 く 論 文 を 生 産 し て い る 。
以下、論文生産の多かった研究機関について詳細をみる。
16
コペンハーゲン大学ウェブサイトより
61
Faculty of Life Sciences Department of Human Nutrition
①
人 間 栄 養 学 の Department( Department of Human Nutrition) は 以 下 に 示 す 、 ラ
イ フ サ イ エ ン ス Faculty に あ る 9 つ の Department の 一 つ で あ り 、世 界 的 に も 高 い レ
ベ ル の 研 究 と 教 育 を 実 施 し て い る 。1987 年 に 設 置 さ れ た デ ン マ ー ク で 初 め て の 人 間 栄
養 学 に 関 す る 研 究 を 行 い 、栄 養 学 に 関 し て 他 の 機 関 へ の ア ド バ イ ス を 行 う 機 関 で あ る 。
ラ イ フ サ イ エ ン ス Faculty の Departments and institutes:
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
Department of Basic Animal and Veterinary Sciences ( 基 礎 動 物 ・ 獣 医
科学)
Department of Food Science ( 食 品 科 学 )
Department of Basic Sciences and Environment ( 基 礎 科 学 ・ 環 境 )
Department of Human Nutrition ( 人 間 栄 養 )
Department of Agriculture and Ecology ( 農 業 ・ エ コ ロ ジ ー )
Department of Small Animal Clinical Sciences (in Danish only)( 小 動 物
臨床科学)
Department of Plant Biology and Biotechnology ( 植 物 生 物 学 ・ バ イ オ テ
クノロジー)
Department of Large Animal Sciences (in Danish only)( 大 型 動 物 科 学 )
Department of Disease Biology (in Danish only)( 疾 病 生 物 学 )
Forest & Landscape ( 森 林 及 び 景 観 )
Institute of Food and Resource Economics ( 食 品 及 び 資 源 経 済 研 究 所 )
研 究 分 野 に つ い て は 、心 臓 血 管 疾 患 及 び が ん の 予 防 、食 欲 の 抑 制 、肥 満 、小 児 栄 養 、
成長及び微量栄養素から、栄養の状態の測定方法、食品や食習慣の社会科学的な研究
ま で を カ バ ー し て い る 。Department of Human Nutrition の ミ ッ シ ョ ン は 、健 康 を 改
善し、食生活に関連した疾病の予防や治療のための学際的な基盤を強化することを目
的に食習慣に影響を与える要因や人間栄養学に関する研究及び教育を実施することに
ある。
2009 年 11 月 現 在 、 Department of Human Nutrition に は 136 人 の ス タ ッ フ が お
り 、 う ち ア カ デ ミ ッ ク ポ ス ト に つ い て い る の は 87 名 で あ る 。
Department of Human Nutrition の 研 究 内 容 に つ い て は 、以 下 の と お り と な っ て い
る。
1) 健 康 の 改 善 及 び 疾 病 の 予 防
1a. 食 生 活 及 び ラ イ フ ス タ イ ル を ベ ー ス に し た 予 防
1b. バ イ オ ア ク テ ィ ブ な 食 品 成 分 を 含 め た 食 品 ア イ テ ム を ベ ー ス に し た 予 防
1c. 最 適 な 成 長 、 発 達 、 機 能
2) リ ス ク グ ル ー プ の 治 療 及 び 食 生 活 関 連 疾 病
2a. 食 生 活 及 び ラ イ フ ス タ イ ル に よ る 疾 病 治 療
2b. バ イ オ ア ク テ ィ ブ な 食 品 成 分 を 含 め た 食 品 の 摂 取 を ベ ー ス と し た 治 療
62
Department of Human Nutrition は 、 Ph.D.コ ー ス と し て 以 下 の プ ロ グ ラ ム を 提 供
している。
9
Current trends in human nutrition ( 人 間 栄 養 学 の 現 在 の 動 向 ) (6 ECTS 1 7 )
9
Energy balance in humans ( 人 の エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス ) (3 ECTS)
9
Nutrition and infectious diseases in Ethiopia ( エ チ オ ピ ア に お け る 栄 養 関 連 疾
病 と 感 染 症 ) (3 ECTS)
9
Food, medicine and philosophy in East and West( 東 西 の 食 品 、 薬 品 及 び 哲 学 )
9
(2-6 ECTS)
Workshop course on the gut-brain axis and its implications ( 腸 と 脳 の つ な が
り と 関 係 に 関 す る ワ ー ク シ ョ ッ プ コ ー ス ) (2 ECTS)
な お 、 Department of Human Nutrition の Centre for Advanced Food Studies
( LMC) か ら 7 つ の 論 文 が 生 産 さ れ て い る 。こ の LMC と は 、デ ン マ ー ク の 公 的
な食品関連研究の調整を目的としたバーチャルな組織であり、コペンハーゲン大
学、デンマーク技術大学、オルフス大学、南デンマーク大学で研究が進められて
い る 。ま た 、LMC は 産 業 関 連 研 究 の 調 整 組 織 と し て も 機 能 し て お り 、デ ン マ ー ク
農 業 協 会( Landbrugsraadet)及 び デ ン マ ー ク 産 業 同 盟( DI)は エ グ ゼ ク テ ィ ブ ・
ボ ー ド 及 び 代 議 員 会 の メ ン バ ー で も あ る 。 LMC の 2009-2013 年 戦 略 に よ れ ば 、
LMC の 戦 略 は 、協 力 機 関 の 戦 略 と 連 動 し て 学 際 的 で あ り 、食 品 関 連 研 究 と 他 の 研
究 の Principle と の 、ま た 、産 業 界 と 大 学 と の 、新 た な 関 係 の 創 設 を 行 い 、そ の 関
係 を 維 持 す る こ と と し て お り 、協 力 機 関 の 能 力 を 橋 渡 し す る こ と と し て い る 。LMC
は 、EU や 他 の 国 際 的 な あ る い は 国 内 の 資 金 配 分 機 関 へ の 研 究 フ ァ ン ド に 応 募 す る
こ と で 、デ ン マ ー ク の 食 品 研 究 の 発 展 に 寄 与 す る こ と と し て い る 。ま た 、LMC が
中心となって、大学や産業界における競争前の食品研究に関する協力を働きかけ
ていくこととしている。
コ ペ ン ハ ー ゲ ン 大 学 と の 関 連 で は 、 ラ イ フ サ イ エ ン ス Faculty 及 び サ イ エ ン ス
Faculty が LMC の 一 部 と な っ て 協 力 を し て お り 、ラ イ フ サ イ エ ン ス Faculty で は 、
食 品 科 学 、 人 間 栄 養 学 、 獣 医 疾 患 生 物 学 の Department が 、 サ イ エ ン ス Faculty
で は 、2 つ の 研 究 グ ル ー プ が LMC に 参 加 し て い る 。中 心 分 野 は 、食 品 科 学 、食 品
微生物学、微生物学的食品安全学、微生物学的エコロジー、知覚科学、乳製品技
術、ミートサイエンス、植物及び動物由来食品、分光法及び多変量データ解析、
健 康 促 進 栄 養 素 、肥 満 予 防 及 び 治 療 、臨 床 及 び 実 験 栄 養 、食 品 社 会 学 、小 児 栄 養 、
国際栄養となっている。
②
Faculty of Health Science
Faculty of Health Science の 組 織 は 以 下 の と お り と な っ て い る 。
17
ETCS と は 、 Europe an Credit Transfer System の 略 で 、 欧 州 単 位 互 換 制 度 の こ と
63
Pre-clinical
Departments
¾
Department of Biomedical Sciences ( 生 医 科 学 )
¾
Department of Cellular and Molecular Medicine ( 細 胞 及 び 分 子 医 学 )
¾
Department of Neuroscience and Pharmacology ( 神 経 科 学 及 び 薬 理 学 )
¾
Department of International Health, Immunology and Microbiology ( 国 際 健 康 、
免疫学、微生物学)
¾
Department of Odontology ( 歯 学 )
¾
Department of Public Health ( 公 衆 衛 生 学 )
¾
Department of Forensic Medicine ( 法 医 学 )
Clinical Departments
¾
Department of Orthopaedics and Internal Medicine ( 整 形 外 科 及 び 内 科 )
¾
Department of Surgery and Internal Medicine ( 外 科 及 び 内 科 )
¾
Department of Neurology, Psychiatry and Sensory Sciences( 神 経 科 、 精 神 科 、
知覚科学)
¾
Department of Gynaecology, Obstetrics and Paediatrics( 産 婦 人 科 、 小 児 科 )
¾
Department of Diagnostic Sciences( 診 断 科 学 )
インターナショナルの学士のコースは 5 年間のコースで修士の学位は医学の場合は
6 年間のコースとなる。全てのコースは、専門的な実験室でのトレーニング、臨床技
術 、科 学 的 な セ オ リ ー を 提 供 す る 。最 初 の 学 位 コ ー ス は 、以 下 の と お り と な っ て い る 。
First degree courses (BSc
+ Msc programmes)
9
Medicine( 医 学 ) ( Master of Science in Medicine)
9
Odontology( 歯 学 ) ( Master of Science in Dental Surgery)
9
Public Health( 公 衆 衛 生 ) ( Master of Science in Public Health)
9
Molecular Biomedicine( 分 子 生 物 医 学 ) ( Master of Science in Molecular
Biomedicine)
9
Medical Engineering( 医 療 工 学 ) ( Master of Science in Biomedical
Engineering)
9
Nanotechnology( ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー )
( Master of Science in Nanotechnology)
9
Health Informatics( 健 康 情 報 ) ( Master of Science in Health Informatics)
これに加えて、1から2年の修士プログラムを多数提供している。これは、他の研
究や仕事の経験を持っていながら、フォローできるものである。
64
9
Master of Public Health( 公 衆 衛 生 修 士 )
9
Master of International Health( 国 際 健 康 修 士 )
9
Master of Disaster Management( 災 害 管 理 修 士 )
9
Master of HIV( HIV 修 士 )
9
MSc in health Science( 健 康 科 学 に お け る 修 士 )
な お 、 健 康 科 学 Faculty( Faculty of Health Science) と し て 12 論 文 が 生 産 さ れ て
い た Institute of Preventive Medicine( 予 防 医 学 研 究 所 )に つ い て は 、コ ペ ン ハ ー ゲ
ン 健 康 サ ー ビ ス の 研 究 機 関 と し て 1992 年 に 設 置 さ れ て い る 。 デ ン マ ー ク に お け る 、
また、国際的な心身の疾病、健康、他の疫学的問題に関する研究及び教育を行うこと
を目的としている。より具体的には、疾病予防と健康改善のための知識の発展のため
の研究を狙いとしている。遺伝学、生物学、臨床、精神科学、行動学、社会学といっ
た研究を含め、研究分野に制限はない。質量ともにベストな研究が十分な科学的自由
のもとで実施されるとの想定がなされている。
(6)フランス国 立 医 学 研 究 機 構 (INSERM)(フランス) 1 8
フ ラ ン ス 国 立 医 学 研 究 機 構 INSERM は 、 1964 年 に 科 学 技 術 的 性 格 公 施 設 法 人
( EPST) と し て 、 保 健 省 及 び 研 究 省 の 共 管 に よ り 設 立 さ れ て い る 。
INSERM は 、独 自 研 究 の 他 、フ ラ ン ス の 独 自 の 研 究 ス タ イ ル と し て 、他 の 研 究 機 関
と 共 同 で 研 究 混 成 ユ ニ ッ ト( unité mixte de recherche: UMR)を 立 ち 上 げ て 研 究 を 行
っていることが多く、今回抽出した論文のほとんどは、後者の研究混成ユニットによ
るものであった。従って、他の機関のような整理を行うのが難しいため、ここでは
INSERM の 概 要 と 、特 に 論 文 生 産 の 多 か っ た 研 究 混 成 ユ ニ ッ ト を と り あ げ る こ と と す
る。
予 算 額 は 、 2010 年 で 742.6 百 万 ユ ー ロ ( 当 初 予 算 ) と な っ て い る 。 INSERM に は
全 部 で 13,000 人 の ス タ ッ フ が い る が 、う ち 、約 8,000 人 が INSERM の 雇 用 で 、3,000
人 は 大 学 病 院 、 1,450 人 は 外 国 人 研 究 者 で あ る 。 研 究 ユ ニ ッ ト は 318 あ り 、 そ の う ち
の8割が大学やティーチング・ホスピタルにある。研究組織は、以下のとおりとなっ
ている。
∗
生物の分子構造学
∗
細胞生物学、進化発達学
∗
遺伝子学、ゲノミクス、生物情報学
∗
神経科学、認知科学、神経学、精神医学
∗
がん
∗
微生物学、感染症学
1 8 INSERM ウ ェ ブ サ イ ト 、 NISTEP REPORT No.117 科 学 技 術 を 巡 る 主 要 国 等 の 政 策 動 向 分 析 ( 科 学 技 術
政 策 研 究 所 )、 パ リ 13 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト 、 NutriNet -Health ウ ェ ブ サ イ ト よ り
65
∗
循環器、代謝、栄養学
∗
免疫学、血液学、呼吸器学
∗
公衆衛生学
∗
ヘルスケア・テクノロジー
今 回 抽 出 し た INSERMの 研 究 論 文 で 最 も 多 か っ た の が 、UMR557 と い う 研 究 混 成 ユ
ニ ッ ト で あ っ た ( INSERMの ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 75 論 文 中 、 25 論 文 ) 。 こ
の 研 究 混 成 ユ ニ ッ ト は 、NutriNet-Health 研 究 と 呼 ば れ る 研 究 に 参 加 し て お り 、こ の
母 体 は 、 UREN 1 9 ( 国 の 疫 学 研 究 ユ ニ ッ ト 、 INSERMの UMR557、 パ リ 13 大 学 、 フ
ラ ン ス 国 立 農 学 研 究 所 ( INRA) 、 国 立 美 術 工 芸 学 校 ( CNAM) の メ ン バ ー か ら 構 成
さ れ る ) と な っ て い る 。 NutriNet-Health研 究 の 資 金 は 保 健 省 等 か ら 出 さ れ て い る 。
NutriNet-Health 研 究 の 目 的 は 、栄 養 と 健 康 の 関 係 に つ い て の 評 価 と 食 習 慣 の 理 解 に
ある。この研究は、フランス在住の大勢の人々の参加によって実施される(5万人規
模を目標としている)。調査項目としては、年齢、性別、社会経済的状況、住所、食
習慣等となっており、食生活、身体活動、栄養状態、健康状態、喫煙習慣、家族の病
歴などについても調査をする。一方で、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓血
管疾患、がんなどの主な疾病についても調査される。これらによって、疾病と関連し
た栄養のリスクファクターと防止ファクターを特定し、疾病リスクの低減のために推
奨される食生活の確立や、現在及び将来の国民の健康の改善を目的としている。次に
多 か っ た 研 究 混 成 ユ ニ ッ ト は UMR476( 研 究 論 文 は 6 論 文 ) で 、 こ れ も や は り INRA
等との共同ユニットで、人間栄養と脂質に関する研究が行われている。
1 9 UREN は 慢 性 疾 患 を 決 定 づ け る 栄 養 関 連 の リ ス ク フ ァ ク タ ー 、 あ る い は 防 止 フ ァ ク タ ー を 特 定 す る た め
の一定の個体群レベルの研究を長年実施している研究者からなる。このユニットは、疫学、特にコホート研
究 に 関 す る 豊 富 な 経 験 を 持 つ 医 者 、 疫 学 者 、 統 計 学 者 、 生 物 学 者 か ら な る 。 URE M は 1994 年 に 設 置 さ れ 、
1万3千人以上の大人の被験者に対するコホート研究等を実施している。
66
(7)トロント大 学 (カナダ) 2 0
ト ロ ン ト 大 学 か ら の 論 文 生 産 の 詳 細 を み る と 、「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 に
つ い て は 、 図 表 4-7 の と お り で あ る 。
図 表 4-7 トロント大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
Faculty of Medicine(計)
Department of Nutritional Sciences
Department of Paediatrics
Department of Anaesthesia
Department of Health Policy, Management and
Research Institute,Hospital for Sick Children(計)
Department of Nutritional Sciences
Department of Public Health Sciences
Department of Clinical
Division of Nephrology
Dietetics
Leslie Dan Faculty of Pharmacy
Physiology and Experimental Medicine
Department of Metabolic Medicine
詳細記載なし
Department of Pharmaceutical Sciences
(総 計)
38
35
1
1
1
17
4
1
1
1
1
9
1
56
ト ロ ン ト 大 学 は 1827 年 に キ ン グ ス ・ カ レ ッ ジ と し て 創 立 さ れ 、 そ の 後 大 規 模 な 複
合的機関に発展した。
論 文 を 多 く 生 産 し て い る の は 、 医 学 部 の 栄 養 科 学 科 ( Department of Nutrition
Science) ( 35 論 文 ) で あ っ た 。 以 下 、 論 文 生 産 の 多 か っ た 医 学 部 栄 養 科 学 科 に つ い
て詳細をみる。
○ 医 学 部 ( Faculty of Medicine)
トロント大学医学部には以下の学部及び研究施設がある。
Department and Institutes (*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあった Department 等 )
—
Anesthesia( 麻 酔 科 )
—
Banting and Best Department of Medical Research( バ ン テ ィ ン グ 医 学 研 究
最高学科)
—
Biochemistry( 生 化 学 科 )
—
Biomaterials and Biomedical Engineering( Institute of ) ( バ イ オ マ テ リ ア
ル及び生体工学(研究所))
20 ト ロ ン ト 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
67
—
Della Lana School of Public Health( デ ラ ラ ナ 公 衆 衛 生 大 学 院 )
—
Family and Community Medicine( 家 族 及 び コ ミ ュ ニ テ ィ 医 学 科 )
—
Graduate Department of Rehabilitation Science( リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 科 学 大
学院)
—
Health Policy, Management and Evaluation( 健 康 政 策 、 マ ネ ジ メ ン ト 及 び 評
価学科)
—
Immunology( 免 疫 学 科 )
—
Laboratory Medicine and Pathobiology( 医 学 研 究 所 ・ 病 理 生 物 学 科 )
—
Medical Biophysics( 医 療 生 物 物 理 学 科 )
—
Medical Imaging( 医 療 造 影 学 科 )
—
Medical Science(Institute of)( 医 科 学 ( 研 究 所 ) )
—
Medicine( 医 学 科 )
—
Molecular Genetics( 分 子 遺 伝 学 科 )
—
Nutritional Sciences( 栄 養 科 学 科 )
—
Obstetrics and Gynaecology( 産 婦 人 科 )
—
Occupation Science and Occupational Therapy( 産 業 科 学 、 産 業 療 法 学 科 )
—
Ophthalmology and Vision Sciences( 眼 科 及 視 覚 科 学 科 )
—
Otolaryngology – Head and Neck Surgery( 耳 鼻 咽 喉 科 、 頭 頸 部 外 科 )
—
Paediatrics( 小 児 科 )
—
Pharmacology and Toxicology( 薬 理 学 及 び 毒 性 学 科 )
—
Physical Therapy( 理 学 療 法 学 科 )
—
Physiology( 生 理 学 科 )
—
Psychiatry( 精 神 科 )
—
Radiation Oncology( 放 射 線 腫 瘍 科 )
—
Speech-Language Pathology( 音 声 言 語 病 理 学 科 )
—
Surgery( 外 科 )
こ こ で は 、 特 に 論 文 生 産 の 多 か っ た 栄 養 科 学 科 ( Department of Nutritional
Sciences) ( 35 論 文 ) に つ い て 詳 細 を 見 る こ と と す る 。
○ 栄 養 科 学 科 ( Department of Nutritional Sciences)
トロント大学の栄養学科は、医学部の中に設置された北アメリカでも数少ない栄養
学科の一つである。栄養学科は基礎科学の中心にありながら、その活動は基礎科学と
してだけでなく、臨床的、コミュニティ的な面にも及んでいる。これらの活動は、ト
ロント大学の健康科学を複合した統合モデルをなしており、臨床や公衆衛生政策に影
響を与える栄養と人の健康、慢性疾患(がん、肥満、糖尿病、心臓血管疾患、神経変
性疾患、骨粗しょう症等)との関係の追究を行うものである。栄養学科は、公衆衛生
科 学 科 と 共 同 で 、 学 士 、 修 士 、 Ph.D.の 学 位 プ ロ グ ラ ム を 提 供 し て お り 、 コ ミ ュ ニ テ
ィ 栄 養 学 に お け る 専 門 修 士 学 位 ( Master of Health Sciences) を 提 供 し て い る 。
68
そのミッションは、「基礎的栄養科学、臨床、社会文化及び栄養学のコミュニティ
面も含めた人間栄養学における研究、教育、リーダーシップを通じて健康の改善を行
うこと」とされている。
研究内容は、分子生物学、生化学代謝、臨床試験、質的研究に及び、医学部の中の
位置付けとしては、研究者が他の基礎科学分野(公衆衛生学、臨床関連科等)から得
られる以上の力を与え、公衆衛生プログラムや臨床の実験に影響を与えるものとされ
ている。
以下に示すのが栄養科学科の研究分野であり、多くの研究者は以下の分野のうち1
分野以上の研究を行っている。
—
Bone Health ( 骨 の 健 康 )
—
Carbohydrate/Fibre Metabolism ( 糖 質 /食 物 繊 維 代 謝 )
—
Community and Public Health Nutrition( コ ミ ュ ニ テ ィ 栄 養・公 衆 衛 生 栄 養 )
—
Diabetes and Cardiovascular Disease ( 糖 尿 病 ・ 心 臓 血 管 疾 患 )
—
Diet and Cancer ( 食 生 活 と が ん )
—
Food Intake Regulation and Obesity ( 食 品 摂 取 規 制 と 肥 満 )
—
Functional Foods and Nutraceuticals ( 機 能 性 食 品 と 栄 養 補 助 食 品 )
—
Lipid Metabolism ( 脂 質 代 謝 )
—
Nutrigenetics and Nutrigenomics ( ニ ュ ー ト リ ジ ェ ネ テ ィ ク ス と ニ ュ ー ト リ
ゲノミクス)
—
Nutrition and Brain Function/Behaviour ( 栄 養 と 脳 機 能 /行 動 )
—
Nutrition in Diseased Populations ( 罹 病 集 団 に お け る 栄 養 )
—
Nutritional Epidemiology ( 栄 養 疫 学 )
—
Nutritional Toxicology ( 栄 養 毒 性 学 )
—
Paediatric Nutrition ( 小 児 栄 養 )
—
Protein and Amino Acid Metabolism ( た ん ぱ く 質 及 び ア ミ ノ 酸 代 謝 )
—
Vitamin and Mineral Metabolism ( ビ タ ミ ン 及 び ミ ネ ラ ル 代 謝 )
学位プログラム
(a) 学 部 教 育
栄 養 科 学 は 学 際 的 な 性 質 を 持 っ た 学 問 分 野 で あ る 。栄 養 科 学 の 学 部 プ ロ グ ラ ム は 、
健康の維持や疾病予防における食品や栄養素の役割について探索する内容となっ
ている。栄養に関する学問の取り扱う課題としては、以下のようなものがある。
9 我々の食品選択、利用に影響を与える内外の要因は何か
9 ど の よ う な 食 品 や 栄 養 素 を 体 が 要 求 し て い る か 、そ し て そ れ ら を 成 長 や 通 常 の
体の代謝プロセスでどのように利用しているか
9 心 疾 患 、糖 尿 病 、肥 満 、が ん 及 び 栄 養 失 調 と い っ た 病 気 は 食 品 と ど の よ う な 関
係があるのか
69
9 栄養素は我々の遺伝子にどう作用し、人の健康に影響を与えているのか
9 我々は適切な食品利用に関して一般の人々に対しどのように効果的に情報提
供し、相談にのることができるのか
栄 養 素 の 健 康 へ の 影 響 や 疾 病 に お け る 役 割 を 理 解 す る こ と は 、代 謝 プ ロ セ ス の 知
識 の 他 、適 切 な 栄 養 素 を 通 じ て 最 適 な 健 康 を 達 成 す る と い う 国 内 外 の 目 的 に 関 し て
統合された社会的、行動学的知識や、食品の化学の知識を基盤としている。
学 部 学 生 に と っ て 栄 養 化 学 コ ー ス は 、プ ロ グ ラ ム の 2 年 目 に ス タ ー ト さ せ る こ と
も 可 能 で あ る 。1 年 目 は 、基 礎 化 学 や 適 当 な 選 択 に お い て 必 要 と さ れ る 科 目 を と る
こ と が 必 要 で 、 1 年 目 に 生 物 、 化 学 を 習 得 し 、 GPA2.7 以 上 を と っ た 後 、 1 年 目 の
終わりに主専攻プログラムに応募することができる。
主専攻プログラムは栄養研究の大学院での研究を希望する者のための準備段階
の 内 容 、あ る い は 、医 学 部 、歯 学 部 と い っ た 専 門 学 部 の た め の 内 容 を 提 供 し て い る 。
基 礎 的 あ る い は 臨 床 栄 養 研 究 、教 育 、健 康 促 進 、栄 養 相 談 、コ ミ ュ ニ テ ィ 栄 養 の キ
ャ リ ア を 求 め る の で あ れ ば 、更 な る 上 級 学 位 を 必 要 と す る が 、学 部 卒 業 者 で も 、食
品 、医 薬 品 産 業 の 製 品 開 発 や 品 質 管 理 、マ ー ケ テ ィ ン グ 部 門 に 就 職 し て い る 者 も い
る 。栄 養 士 は 、多 く の 学 士 プ ロ グ ラ ム で 一 般 的 な 経 歴 で は あ る が 、ト ロ ン ト 大 学 の
栄養科学プログラムは、このためのコースを提供していない。
(b) 大 学 院 教 育
栄 養 科 学 科 は 、M.Sc.及 び Ph.D.プ ロ グ ラ ム を 提 供 し て い る 。そ の 狙 い は 、学 生
に以下の力を付けさせることにある。
9
栄養科学の基礎的側面の十分な先進的な知識や多くの分野からの視点を持つ力
9
独自の考えを概念化し、合成する能力や、研究プログラムへのアプローチ、あ
る発見を分析し、解釈し、伝える力
M.Sc.及 び Ph.D.は 栄 養 科 学 科 外 の 学 科 の 提 供 す る 先 進 的 レ ベ ル の コ ー ス ワ ー ク
や、専門研究プロジェクトの実施、研究論文の作成を通じて得ることができる。
栄 養 科 学 科 は 、 専 門 の 修 士 プ ロ グ ラ ム と し て 、 M.H.Sc.コ ミ ュ ニ テ ィ 栄 養 プ ロ グ
ラ ム を 公 衆 衛 生 科 学 科 と 共 同 で 提 供 し て い る 。こ の プ ロ グ ラ ム の 狙 い は 以 下 の と お
りである。
9
栄養学的なコミュニティの必要性を評価するために必要な知識と能力を鍛える
こと
9
教育的理論の原則を理解し、適用すること
9
コミュニティ栄養プログラムをデザインし、実行し、評価すること
M.H.Sc.プ ロ グ ラ ム の 特 徴 は 、 コ ー ス ワ ー ク 、 自 己 学 習 、 公 衆 衛 生 学 科 、 コ ミ ュ
ニ テ ィ ヘ ル ス セ ン タ ー 、任 意 の 健 康 組 織 、マ ー ケ テ ィ ン グ ボ ー ド 、政 府 、企 業 に お
ける演習にある。
ファカルティ
70
フ ァ カ ル テ ィ メ ン バ ー は 、他 学 科 と の 併 任 者 も 含 ま れ る が 、教 授 が 23 名 、Assistant
Professor が 7 名 、 Associate Professor が 2 名 、 講 師 が 5 名 、 名 誉 教 授 が 8 名 、 非
常 勤 教 授 が 4 名 の 計 49 名 と な っ て い る 。
○ 小 児 病 院 ( Hospital for Sick Children)
Hospital for Sick Children か ら は 17 論 文 が 生 産 さ れ て い る 。 同 機 関 は 、 子 ど も の
健康改善が専門のヘルスケアコミュニティである。ミッションは、家族介護を中心と
した思いやりのあるケアを行い、科学的な臨床的な進展のリーダーとなり、子どもの
健康における次の世代のリーダーとなることである。
71
(8)Karolinska Institute(スウェーデン) 2 1
Karolinska Institute か ら の 「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 の 生 産 の 詳 細 は 、 図
表 4-8 の と お り で あ る 。
図 表 4-8 Karolinska Institute 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
24
Institute of Environmental Medicine(計)
22
Division of Epidemiology(計)
Nutritional Epidemiology
19
Cardiovascular Epidemiology
1
Environmental Epidemiology
1
詳細記載なし
1
詳細記載なし
2
Karolinska University Hospital Huddinge(計)
13
Department of Medicine Huddinge
4
Department of Clinical Science Intervention and Technology
3
Department of Clinical Science
1
Department of Neurotec
1
1
Department of Laboratory Medicine
Department of Internal Medicine
Obesity Unit M73
2
詳細記載なし
Obesity Unit
1
3
Karolinska University Hospital(計)
詳細記載なし
King Gustaf V Research
Institute
Atherosclerosis Research
Unit
1
Department of Endocrinology, Metabolism and Diabetology
詳細記載なし
Centre for Surgical Sciences
Department of Public Health Sciences
Department of Neurobiology,
Care Sciences and Society
1
Division of Surgery
1
Child and Adolescent Public
Health Epidemiology Group
3
Center for Family and Community Medicine
Department of Clinical Science, Intervention and Technology(計)
3
2
Divisions of Renal Medicine and Baxter Novum
1
詳細記載なし
1
Department of Medical Epidemiology and Biostatistics
2
Department of Medical Nutrition
1
Department of Medicine
1
詳細記載なし
Division of Geriatric Epidemiology, Neurotec
(総 計)
1
53
Karolinska Institute は、1810 年 に設 立 された医 科 大 学 である。この組 織 は以 下 のとおりとな
っている(*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあった Department 等 )。
2 1 Karo lins ka Ins titute ウ ェ ブ サ イ ト よ り
72
KI Solna Campus(KI ソ ル ナ キ ャ ン パ ス )
—
Department of Cell and Molecular Biology( 細 胞 分 子 生 物 学 部 )
—
Department of Learning, Informatics Management and Ethics( 学 習 、 情 報 管
理、倫理学部)
—
Department of Medical Biochemistry and Biophysics( 医 療 生 化 学 、 生 物 理 学
部)
—
Department of Medical Epidemiology and Biostatistics( 医 療 疫 学 、 生 物 統 計
学部)
—
Department of Microbiology, Tumor and Cell Biology( 微 生 物 、 腫 瘍 細 胞 生 物
学部)
—
Department of Neuroscience( 神 経 科 学 部 )
—
Department of Physiology and Pharmacology( 生 理 学 、 薬 理 学 部 )
—
Institute of Environment Medicine( 環 境 医 学 研 究 所 )
KI at Karolinska University Hospital(Solna) and Danderyd Hospital( KI カ ロ リ ン
スカ大学病院(ソルナ)、ダンデリード病院)
—
Department of Clinical Neuroscience( 臨 床 神 経 科 学 部 )
—
Department of Clinical Science, Danderyd Hospital( 臨 床 科 学 部 、 ダ ン デ リ
ード病院)
—
Department of Medicine, Solna( 医 学 部 、 ソ ル ナ )
—
Department of Molecular Medicine and Surgery( 分 子 医 学 、 外 科 学 部 )
—
Department of Oncology-Pathology( 腫 瘍 病 理 学 部 )
—
Department of Public Health Sciences ( 公 衆 衛 生 科 学 部 )
—
Department of Women’s and Children’s Health( 女 性 ・ 子 ど も 健 康 学 部 )
KI Huddinge Campus with Karolinska University Hospital (Huddinge) and Söder
Hospital( カ ロ リ ン ス カ 大 学 病 院 ( Huddinge) KI Huddinge キ ャ ン パ ス 及 び ソ ー
ダ病院
)
—
Department of Biosciences and Nutrition( 生 物 科 学 、 栄 養 学 部 )
—
Department of Clinical Science and Education, Södersjukhuset( 臨 床 科 学 、
教育学部、ソーダ病院)
—
Department of Clinical Science, Intervention and Technology( 臨 床 科 学 、 介
入、技術学部)
—
Department of Dental Medicine( 歯 科 医 学 部 )
—
Department of Laboratory Medicine( 臨 床 検 査 学 部 )
—
Department of Medicine, Huddinge( 医 学 部 、 Huddinge)
—
Department of Neurobiology, Care Sciences and Society( 神 経 生 物 学 、 ケ ア
73
サイエンス、社会学部)
こ の 中 で 、論 文 を 多 く 生 産 し て い る の は 、Institute of Environmental Medicine の
疫 学 科 ( Division of Epidemiology) ( 22 論 文 ) で あ っ た 。 以 下 、 論 文 生 産 の 多 か っ
た Institute of Environmental Medicine に つ い て 詳 細 を み る 。
○ Institute of Environmental Medicine( Institutet för miljömedicin; IMM)
環 境 医 学 研 究 所( IMM)の 歴 史 は 、国 立 公 衆 衛 生 研 究 所( National Institute of Public
Health)が 設 立 さ れ た 1940 年 代 に さ か の ぼ り 、1972 年 に 公 衆 衛 生 研 究 所 が 国 立 食 品
管 理 局 ( National Food Administration) 、 労 働 安 全 衛 生 の 国 家 安 全 委 員 会 の 研 究 部
( Research Department of the National Board of Occupational Safety and Health)、
国 家 環 境 保 護 委 員 会 の 環 境 衛 生 部 ( Department of Environmental Hygiene of the
National Environment Protection Board) に 分 か れ た 。 国 家 環 境 保 護 委 員 会 の 環 境
衛 生 部 が 国 立 環 境 医 学 研 究 所 の 元 に な る 組 織 と み な さ れ て い る が 、1980 年 に は 、そ の
組 織 が 国 家 保 健 福 祉 委 員 会 ( National Board of Health and Welfare) の 付 属 組 織 と
な る 。 現 在 の 、 環 境 医 学 研 究 所 は 1993 年 に 国 立 環 境 医 学 研 究 所 と Karolinska
Institute の 毒 性 学 と 保 健 学 の 2 つ の 学 部 と が 合 併 し て 設 立 さ れ た 。 最 近 数 年 の 間 に 、
国 立 労 働 生 活 研 究 所( National Institute for Working Life)か ら 2 つ の ユ ニ ッ ト( 労
働環境毒性学、肺及びアレルギー研究)が環境医学研究所に移管されている。
環境医学研究所のミッションは、科学的な知見を元に、健康を阻害する環境要因か
ら人々を守り、良い環境状態を通じて公衆衛生を促進することにある。
環 境 医 学 研 究 所 は 4 つ の 学 科 に 分 か れ て い て 、 そ れ ぞ れ の 学 科 に 3~ 6 つ の ユ ニ ッ
トがある。学科は以下のとおりである。
—
Occupation and Environmental Health( 産 業 、 環 境 保 健 )
—
Epidemiology( 疫 学 )
—
Physiology( 生 理 学 )
—
Toxikology( 毒 性 学 )
○ Division of Epidemiology
環 境 医 学 研 究 所 の 中 で 論 文 が 多 く 生 産 さ れ て い た の は 疫 学 科 ( Division of
Epidemiology) ( 22 論 文 ) で あ っ た 。 疫 学 科 の 中 に は 、 以 下 の 5 つ の ユ ニ ッ ト が あ
る (*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあったユニット) 。
—
Biostatistics
—
Epidemiology
—
Environmental Epidemiology
—
Cardiovascular Epidemiology
—
Nutritional Epidemiology
74
こ の 中 で 特 に 論 文 生 産 の 多 か っ た の が 栄 養 疫 学 ユ ニ ッ ト ( Nutritional
Epidemiology) ( 19 論 文 ) で あ る 。 栄 養 疫 学 ユ ニ ッ ト の 研 究 は 、 主 に 栄 養 的 な 要 因
( 食 生 活 、栄 養 補 助 食 品 、食 事 パ タ ー ン 、エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス 、人 体 測 定 、身 体 活 動 、
その他のライフスタイルの要因、がん、心臓血管疾患、骨粗しょう症、白内障、肥満
等 の 主 な 慢 性 疾 患 の リ ス ク )に 着 目 し て 行 わ れ て い る 。研 究 は 、10 万 人 以 上 の 参 加 者
による集団をベースとした前向きコホートをベースに実施している。栄養疫学ユニッ
トはスウェーデンで最大の前向きコホートを実施しており、質問表と生体指標の両方
を 利 用 し て い る 。 ス ウ エ ー デ ン ・ マ ン モ グ ラ フ ィ ・ コ ホ ー ト ( SMC) は 1914~ 48 年
に生まれたヴェストマンランド州及びウプサラ州に住む 6 万人の女性を対象とした研
究 で 、 20 年 間 、 乳 が ん 、 子 宮 内 膜 が ん 、 卵 巣 が ん を 追 跡 調 査 し て い る 。 曝 露 情 報 は
1987~ 90 年 の ベ ー ス ラ イ ン の 際 に 集 め ら れ 、 1997 年 に ア ッ プ デ イ ト さ れ 、 拡 張 さ れ
た 。 ス ウ エ ー デ ン の 男 性 コ ホ ー ト 研 究 ( COSM) は 1918~ 52 年 に 生 ま れ た ヴ ェ ス ト
マ ン ラ ン ド 州 と オ レ ブ ロ 州 に 住 む 5 万 人 の 男 性 を 対 象 と し た 研 究 で 1997 年 か ら 実 施
されている。
栄 養 疫 学 ユ ニ ッ ト の ス タ ッ フ は 9 名 ( う ち 3 名 は PhD の 学 生 ) と な っ て い る 。
○ IMMの 教 育 プ ロ グ ラ ム
環境医学研究所では、毒性学、環境医学に焦点を当てた医学、生医学、公衆衛生の
中でも疫学について大学院及び追加的教育及びトレーニングを実施している。疫学及
び毒性学については研究準備コースが提供されている。環境医学研究所では、次の 2
つの大学院教育プログラムを用意している。
—
環 境 要 因 及 び 健 康 ( Environmental factor and health(EFH))
—
疫 学 ( Epidemiology(EPI))
ま た 、 博 士 課 程 プ ロ グ ラ ム と し て は 2001 年 か ら 疫 学 の コ ー ス を 用 意 し て い る 。 こ
の プ ロ グ ラ ム は 、 環 境 医 学 研 究 所 と 医 療 疫 学 及 び 生 物 統 計 学 部 ( Department of
Medical Epidemiology and Biostatistics(MEB)) と 公 衆 衛 生 学 部 ( Department of
Public Health(OHS) ) と の 共 同 で 実 施 し て い る 。
疫学プログラムの学生は、独立して質問を定型化し、研究デザインを作り、データ
の収集の計画と実行、データを分析し、結果について議論し、解釈する能力を身につ
けて卒業する。プログラムは、疫学や生物統計学の論理や方法論に関するものに焦点
が当てられている。最初のレベルは、先進的なコースと、オプショナルコース、臨床
疫学及びその他のコースからなる。
75
(9)ロンドン大 学 (UK) 2 2
ロ ン ド ン 大 学 か ら の 「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」 の 生 産 の 詳 細 は 、 図 表 4-9 の
とおりである。
ロ ン ド ン 大 学 は UK に お け る 最 も 古 く 、 最 も 大 き く 、 最 も 多 様 性 の あ る 大 学 の 一 つ
で あ る 。 大 学 を 構 成 す る 19 の カ レ ッ ジ と 研 究 機 関 に お い て 教 育 が な さ れ て お り 、 ロ
ンドン大学の学生は、特定のカレッジに属するとともに、ロンドン大学自身にも所属
することになる。それぞれのカレッジは自治を行っており、個々の研究機関とみなさ
れることもある。カレッジは独自の入学基準を持ち、独自の学位を提供する。大学や
研 究 機 関 に は 3700 以 上 の コ ー ス が あ り 、 1 万 2 千 人 以 上 の 学 生 が い る 。
論 文 生 産 の 多 か っ た の は 、 University College London( UCL) の Royal Free and
University College London Medical School( UCL Medical School) ( 24 論 文 ) で 、
次 に 、 King’s College London の School of Biomedical and Health Sciences の
Department of Nutrition and Dietetics( 栄 養 及 び 食 事 療 法 学 の Department) ( 15
論 文 ) 、 UCL の Institute of Child Health( 13 論 文 ) 、 University of London の 一
組 織 で あ る London School of Hygiene and Tropical Medicine( 11 論 文 ) と 続 い て い
る。
以下、論文生産の多かった機関について詳細をみる。
22 ロ ン ド ン 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
76
図 表 4-9 ロンドン大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
University College London(計)
Royal Free and University College London Medical School(計)
Department of Epidemiology and Public Health(計)
Cancer Research UK Health Behaviour Research Centre
Cancer Research UK Health Behaviour Unit
Health Behaviour Research Centre
International Institute for Society and Health
MRC National Survey of Health and Developmen
詳細記載なし
Department of Primary Care and Population Health
Department of Paediatrics
Institute of Child Health(計)
Department of Paediatric Epidemiology
Centre for Paediatric Epidemiology and Biostatistics
Centre for International Health and Development
Centre for International Child Health
詳細記載なし
Medical Research Council Childhood Nutrition Research
Childhood Nutrition Research Center
詳細記載なし
King's College London
School of Biomedicai and Health Sciences(計)
Department of Nutrition and Dietetics(計)
Nutritional Sciences Research Division(計)
Diet and Gastrointestinal
Health
詳細記載なし
詳細記載なし
Pharmaceutical Science
Iron Metabolism Interdisciplinary Research Group
Division
School of Medicine(計)
Department of Public Health Sciences
St Thomas' Hospital
Rayne Institute
Gastrointestinal Laboratory
Health Services and
Institute of Psychiatry
Population Research
Section of Epidemiology
Department
University of London(計)
London School of Hygiene and Tropical Medicine(計)
Department of Epidemiology and Population Health(計)
Nutrition and Public Health Intervention Research Unit
MRC International Nutrition
Group
詳細記載なし
Department Infectious and Tropical Diseases
Centre for Ageing and Public Health
詳細記載なし
European Centre on Health of Societies in Transition
詳細記載なし
詳細記載なし
(総 計)
37
24
20
5
3
3
2
1
6
3
1
13
1
3
3
1
1
1
3
19
16
15
14
1
13
1
1
2
1
1
1
11
11
7
5
1
1
1
1
1
1
67
注 :一 般 的 には、ロンドン大 学 は、個 々の構 成 カレッジ等 ごとにランキング等 の扱 いを行 うようであるが、ここでは、
University College London と University o f Lo ndon の他 の機 関 と の 合 計 でカ ウントし た 。 また、Imperial College
Lo n d on は 2 0 0 7 年 7 月 にロ ン ド ン 大 学 から 分 離 して い る た め 、 含 めて い な い 。
77
①
University College of London( UCL)
UCL は 1826 年 に 設 立 さ れ て お り 、 世 界 ク ラ ス の 教 育 研 究 機 関 で あ り 、 学 部 及 び 大
学院教育の幅広い教育プログラムを擁している。
UCL の 中 で も 論 文 生 産 の 多 か っ た Royal Free and University College London
Medical School( UCL Medical School) ( 24 論 文 ) は 、 多 く の 一 流 の 機 関 を 何 年 も
か け て 合 併 し て き て お り 、 そ れ ら に は 、 Middlesex Hospital、 University College
Hospital、 Royal Free Hospital が あ る 。 こ れ ら の 機 関 は 科 学 及 び 医 学 の 先 進 的 な 臨
床 実 践 の 豊 か な 歴 史 を 持 っ て お り 、UCL の 世 界 で も 有 数 の 医 学 研 究 機 関 と し て 組 み 込
まれている。
以 下 、 UCL Medical School の 中 で も 論 文 生 産 の 多 か っ た 疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の
Department( Department of Epidemiology and Public Health) ( 20 論 文 ) 、 子 ど
も 健 康 研 究 所 ( Institute of Child Health) ( 13 論 文 ) に つ い て 詳 細 を み る 。
○ Department of Epidemiology and Public Health
疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の Department は 、 Department of Primary Care and
Population Science や Department of Mental Health Science、Faculty of Biomedical
Sciences の MRC Clinical Trials Unit と と も に 、UCL Division of Population Health
の 一 部 を な し て い る 。 疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の Department は 、 学 際 的 で あ り 、 疾 病 へ
の理解と病気の予防を行うことを目的として、膨大な研究と研究方法の開発を行って
い る 。 こ う し た 知 識 は Department や 大 学 院 で の 教 育 や 、 国 内 外 の 健 康 政 策 、 よ り 広
い公衆衛生の理解に対する貢献といった形で活用されている。
疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の Department に は 、生 物 学 、歯 科 学 、経 済 学 、医 学 、看 護 学 、
心 理 学 、統 計 学 、社 会 学 を 含 め た 様 々 な 分 野 の 130 人 の 科 学 者 が 所 属 し( ス タ ッ フ は
総 勢 166 名 。 他 の Department と の 併 任 あ り ) 、 40 人 の 大 学 院 生 と 約 350 人 の 学 部
生がいる。
疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の Department に は 、 以 下 の 研 究 グ ル ー プ が あ る ( *ア ン ダ ー
ラインは、研究論文生産のあったもの)。
【 Research Groups and Networks】
∗
Cancer Research UK Health Behaviour Research Centre (including Weight
Concern) ( が ん 研 究 UK健 康 行 動 研 究 セ ン タ ー )
∗
Central and Eastern Europe Research( 中 央 東 ヨ ー ロ ッ パ 研 究 )
∗
Clinical Epidemiology ( 臨 床 疫 学 )
∗
Dental Public Health ( 歯 科 公 衆 衛 生 )
∗
Genetic Epidemiology ( 遺 伝 疫 学 )
∗
Global Health Equity ( グ ロ ー バ ル ・ ヘ ル ス ・ エ ク イ テ ィ )
∗
Strategic Review of Health Inequalities in England Post 2010 ( ポ ス ト 2010
78
イングランドにおける健康格差の戦略的レビュー)
∗
Health and Social Surveys Research (including English Longitudinal Study
on Ageing ELSA , and Health Survey for England HSE.)( 健 康 及 び 社 会 サ ー
ベ イ 研 究( イ ギ リ ス に お け る 高 齢 者 の 縦 断 研 究( ELSA)、イ ン グ ラ ン ド の 健 康
サ ー ベ イ HSE) を 含 む ))
∗
Health Care Evaluation ( ヘ ル ス ケ ア 評 価 )
∗
International Centre for Life Course Studies in Society and Health
(including the ESRC Priority Network: Capability and Resilience Research )
( 社 会 及 び 健 康 の 国 際 ラ イ フ コ ー ス 研 究 セ ン タ ー ( ESRCプ ラ イ オ リ テ ィ ・ ネ
ッ ト ワ ー ク : 能 力 及 び 回 復 力 研 究 ))
∗
Leonard Cheshire Disability and Inclusive Development Centre ( レ オ ナ ル
ド・チェシャー障害及び包括的開発センター)
∗
MRC Unit for Lifelong Health and Ageing & MRC National Survey of
Health and Development ( MRC生 涯 健 康 、 加 齢 ユ ニ ッ ト 、 MRC健 康 開 発 全
国サーベイ )
∗
Psychobiology ( 精 神 生 物 学 )
∗
Whitehall II Study( ホ ワ イ ト ホ ー ル Ⅱ 研 究 )( ス ト レ ス 及 び 健 康 研 究 )
【 Special Programmes, Networks & Affiliated Groups 】
∗
UCL International Institute for Society and Health ( UCL国 際 社 会 及 び 健 康
研究所)
∗
Commission for Social Determinants of Health ( 健 康 の 社 会 的 決 定 要 因 委 員
会)
∗
Medical and Social Statistics Network ( 医 療 社 会 統 計 ネ ッ ト ワ ー ク )
こ の 中 の が ん 研 究 UK 健 康 行 動 研 究 セ ン タ ー ( Cancer Research UK Health
Behaviour Research Centre ) は 、 健 康 に 影 響 を 与 え 、 健 康 な ラ イ フ ス タ イ ル を 促 進
す る 行 動 を 理 解 す る た め の 研 究 を 行 っ て い る 。 予 算 は 、 が ん 研 究 UKか ら 主 に 提 供 さ
れており、スタッフは主に健康及び臨床心理学者から構成されている。その他の予算
は 、 MRC( 医 学 研 究 会 議 )、 BBSRC( バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー 、 生 物 科 学 研 究 会 議 )、 保
健 省 、英 国 ハ ー ト 基 金 か ら 提 供 さ れ て い る 。3 つ の 主 な 研 究 分 野 と し て 、食 事 選 択( 食
生 活 と 肥 満 グ ル ー プ )、 ス ク リ ー ニ ン グ プ ロ グ ラ ム の 参 加 ( が ん ス ク リ ー ニ ン グ )、 タ
バ コ( タ バ コ グ ル ー プ )が あ り 、食 事 選 択 と タ バ コ が す べ て の が ん 死 の 7 割 の 要 因 に 、
また、心臓疾患の重要な要因となっていると推測している。食生活と肥満グループの
研 究 プ ロ ジ ェ ク ト と し て は 、「 野 菜 及 び 果 物 摂 取 と 食 事 選 択 ( Fruit and vegetable
intake and dietary choices)」 と 「 子 ど も 及 び 青 少 年 の 肥 満 ( Child and Adolescent
obesity)」、「 大 人 の 肥 満 と 体 重 管 理 ( Adult obesity and weight control)」 が あ る 。
79
学位
疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の Department の 学 位 は 、 以 下 の と お り と な っ て い る 。
9
Undergraduate-MBBS 学 生
∗ Society and the Individual. Years 1 & 2( 社 会 と 個 人
∗ Health Promotion. Years 1 & 2( 健 康 促 進
1 年及び 2 年)
1 年及び 2 年)
∗ Student Selected Components(SSC)( 学 生 選 択 コ ン ポ ー ネ ン ト )
∗ Clinical Epidemiology Year3( 臨 床 疫 学
9
3 年)
大学院プログラム
∗ MSc Dental Public Health( 歯 科 公 衆 衛 生 修 士 )
∗ MSc and Diploma Health and Society : Social Epidemiology( 健 康 及 び 社 会 修
士・ディプロマ(社会疫学))
∗ MSc Health Psychology( 健 康 心 理 学 修 士 )
9
大学院研究機会
∗ Mphil and PhD: Epidemiology and Public Health
( 疫 学 及 び 公 衆 衛 生 学 の Mphil
及 び PhD( 歯 科 公 衆 衛 生 学 を 含 む ))
○ 子 ど も 健 康 研 究 所 ( Institute of Child Health)
子ども健康研究所は、子どもの疾患の理解、診断、セラピー、予防の進展のために
学際的なアプローチを追求している。幅広い小児医療の課題が分子、遺伝子レベルか
ら、集団健康科学の範囲までカバーされている。研究テーマは以下のとおりとなって
いる。
∗ Cancer( が ん )
∗ Cardiorespiratory Sciences( 心 肺 科 学 )
∗ General & Adolescent Paediatrics( 一 般 及 び 思 春 期 小 児 科 )
∗ Genes, Development and Disease( 遺 伝 子 、 発 達 及 び 疾 病 )
∗ Infection and Immunity( 感 染 症 及 び 免 疫 )
∗ Neurosciences and Mental Health( 精 神 科 学 及 び 精 神 的 健 康 )
∗ Nutritional & Surgical Sciences( 栄 養 学 及 び 外 科 学 )
∗ Population Health Sciences( 集 団 健 康 科 学 )
そ れ ぞ れ 3 つ の 論 文 が 生 産 さ れ て い る 小 児 疫 学 及 び 生 物 統 計 セ ン タ ー ( Centre for
Paediatric Epidemiology and Biostatistics) 及 び 国 際 健 康 開 発 セ ン タ ー ( Centre for
International Health and Development) の い ず れ も 、 Population Health Sciences
(集団健康科学)に位置付けられている。
小 児 疫 学 及 び 生 物 統 計 セ ン タ ー は 、20 年 前 に で き た セ ン タ ー で 、そ の ミ ッ シ ョ ン は 、
80
臨床実習や公衆衛生の主要な問題を扱う学際的、協働研究を通じて子どもの健康と福
祉を改善すること、子どもや大人の病気や健康の初期の要因を理解するための生物学
的、遺伝学的、発達、環境、社会メカニズムを理解し、幼少のころの曝露や介入の長
期的な結果を理解すること、子どもや大人になってから影響を与える疾病の予防、診
断、治療の科学的基礎的戦略の改善、子どもに適用する疫学、生物統計学、アカデミ
ックな公衆衛生学の訓練を通じた研究能力の拡大、としている。研究内容としては、
以下のものがあげられている。
¾
母親、胎児及び子どもの感染症
¾
ライフコースの及び異世代間の疫学
¾
遺伝性の先天的な胎児及び子どもの障害
¾
小児眼科疫学
¾
子どもの成長及び肥満
¾
成長及びライフコース分析のための統計的方法
¾
政策研究
国際健康開発センターは、グローバルという文脈において健康や発達に関するアカ
デミックな仕事をリードする学際的な協働組織である。主な研究テーマは、以下のと
おりである。
¾
母体及び新生児の健康
¾
栄養及び生活
¾
幼児期
¾
困難な環境における障害と子ども
HIV の 予 防 と 治 療 、コ ミ ュ ニ テ ィ の 介 入 の 評 価 、健 康 シ ス テ ム 及 び 政 策 の 分 析 と い
った横断的テーマを含んでいる。同センターは卓越したアジアやアフリカの数多くの
機関と協力し、貧困層の人々の健康や栄養、発達の改善に貢献できるよう、幅広く研
究成果を共有している。エビデンス・ベースの素晴らしい実践を促進する国際機関や
NGO と も 協 働 し て い る 。
学 位 ( MPhil/PhD)
す べ て の 学 生 ( 科 学 あ る い は 臨 床 ) は 、 最 初 に MPhil の 学 位 を PhD の 前 に と る 必
要 が あ る 。PhD に 移 行 す る た め に は 、学 生 は レ ポ ー ト を 準 備 し 、口 頭 の プ レ ゼ ン を 行
い 、口 頭 試 験 を パ ス し な け れ ば な ら な い 。フ ル タ イ ム の 学 生 は 通 常 、最 低 3 年 必 要 で 、
パートタイムの学生は、最低 5 年は必要とされるが、3 年をすぎれば論文を提出する
こ と が で き る 。 MPhil、 PhD の 学 生 と も に 比 較 的 狭 い テ ー マ の 研 究 を 行 う が 、 幅 広 い
分野の試験が行われる。
② King’s College London の School of Biomedical and Health Sciences( 生 物 医 学 、
健康科学大学院)
キ ン グ ス ・ カ レ ッ ジ ・ ロ ン ド ン は 1829 年 に 設 立 さ れ て い る 。 ロ ン ド ン 大 学 の 一 部
81
となっているが独自に学位を出すことができる。キングス・カレッジ・ロンドンは、
140 ヵ 国 近 く か ら 、23,000 人 近 く の 学 生( う ち 8600 人 以 上 が 大 学 院 生 )を 抱 え 、5,500
人の職員がいる。
キ ン グ ス ・ カ レ ッ ジ ・ ロ ン ド ン に は 、 以 下 の 9 つ の School が あ る 。
【 キ ン グ ス・カ レ ッ ジ・ロ ン ド ン に あ る School】(*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあ
ったもの)
Œ
Arts & Humanities( 芸 術 ・ 人 文 科 学 )
Œ
Biomedical and Health Sciences( 生 物 医 学 及 び 健 康 科 学 )
Œ
Dental Institute( 歯 科 研 究 所 )
Œ
Institute of Psychiatry( 精 神 医 学 研 究 所 )
Œ
Law( 法 学 )
Œ
Medicine( 医 学 )
Œ
Natural & Mathematical Sciences( 自 然 科 学 及 び 数 理 科 学 )
Œ
Nursing & Midwifery( 看 護 及 び 助 産 師 )
Œ
Social & Science & Public Policy( 人 文 社 会 科 学 及 び 公 共 政 策 )
こ の 中 で 、 論 文 生 産 の 多 か っ た の が 、 School of Biomedical and Health Sciences
( 生 物 医 学 及 び 健 康 科 学 大 学 院 ) ( 16 論 文 ) で あ っ た 。 School of Biomedical and
Health Sciences は 2,800 人 の 学 部 学 生 及 び 大 学 院 生 が 在 籍 し て お り 、 Teaching
Department と し て は 、 以 下 の 9 つ の も の が あ る (*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあ
ったもの)。
【 School of Biomedical and Health Sciences の Teaching Department】
Œ
Anatomy & Human Sciences( 解 剖 学 及 び 人 間 科 学 )
Œ
Biochemistry( 生 化 学 )
Œ
Forensic Science & Drug Monitoring( 法 医 学 科 学 及 び 医 薬 品 モ ニ タ リ ン グ )
Œ
Neuroscience( 神 経 科 学 )
Œ
Nutrition & Dietetics( 栄 養 学 及 び 食 事 療 法 学 )
Œ
Pharmacology & Therapeutics( 薬 と 治 療 )
Œ
Pharmacy( 薬 学 )
Œ
Physiology( 生 理 学 )
Œ
Physiotherapy( 理 学 療 法 )
こ の 中 で 、 論 文 生 産 の 多 か っ た の が Department of Nutrition & Dietetics( 栄 養 学
及 び 食 事 療 法 学 の Department)( 15 論 文 ) で あ っ た 。 同 Department の ウ ェ ブ サ イ
ト に よ れ ば 、「 栄 養 学 ( Nutrition) は 、 食 事 摂 取 の 健 康 や 幸 福 に 関 す る 研 究 で あ る 。
栄 養 学 に お い て 重 要 な こ と は 、第 一 に 病 気 の 予 防( 公 衆 衛 生 栄 養 学 )に あ る と 途 上 国 、
先進国双方の政府に認識されている。公衆衛生栄養学は、食事摂取と病気との関係の
研究を行うことであり、その研究は、栄養疫学のツールを用いることや、その集団の
病気を予防するのを助ける知識(栄養予防学)を適合させることにより実施される。
食 事 療 法 学( Dietetics)は 特 に 個 人 の ニ ー ズ に 合 わ せ た 栄 養 の 知 識 を 適 合 さ せ る こ と
である。食事療法学の実践は主に病院をベースに行われ、病気の治療や管理に食事療
法を利用している。しかしながら、栄養士は、コミュニティでの栄養教育の役割も担
82
っ て い る 」 と あ る 。 Department of Nutrition & Dietetics に は 、 現 在 、 17 人 の フ ル
タイムのアカデミックスタッフの他、非常勤講師や研究作業者、7人の技術、秘書ス
タ ッ フ が お り 、 約 160 人 の 学 部 学 生 と 50 人 の 大 学 院 生 が い る 。
Department of Nutrition & Dietetics に は 、 研 究 学 科 と し て 、 Nutrition Sciences
Research Division( 栄 養 科 学 研 究 科 )( 14 論 文 ) が あ り 、 こ こ か ら の 論 文 生 産 が 多 か
っ た 。 Nutrition Sciences Research Division の ウ ェ ブ サ イ ト に よ れ ば 、 ト ム ・ サ ン
ダ ー ス 学 科 長( 教 授 )の 談 と し て 、次 の よ う な Division の 紹 介 が な さ れ て い る 。
「我々
の 仕 事 は 、食 事 摂 取 が ど の よ う に 健 康 に 影 響 す る か を 予 測 す る こ と に あ る 。こ の た め 、
我々は食品構成物質が体の中に吸収され、代謝され、生理学的な役割を果たすことに
よる生物学的メカニズムを理解する必要がある。我々は、食事調査、介入試験やプロ
グラムを通じて、人の栄養の分子基盤に関することを研究している。研究テーマは3
つある。食事と心臓の健康、食事と胃腸の健康、そしてミネラルの代謝である。これ
らのテーマは臨床医、分子生物学者、生理学者、栄養学者による学際的なグループに
よ っ て 実 行 さ れ て い る 。当 該 学 科 は ヒ ト 研 究 の た め の 臨 床 研 究 施 設 を 持 っ て お り 、22
人 の 主 要 な 研 究 者 、 34 人 の 研 究 ス タ ッ フ 、 32 人 の 博 士 課 程 の 学 生 か ら な る 。 研 究 は
BBSRC(バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー 、 生 物 科 学 研 究 会 議 )、 MRC(医 学 研 究 会 議 )、 食 品 規 格 庁
( Food Standards Agency)、 EU,英 国 ハ ー ト 基 金 に よ っ て サ ポ ー ト さ れ て い る 」
栄養科学研究科では、以下の学位がある。
Undergraduate( 学 部 )
∗ BSc in Nutrition (3 year course) ( 栄 養 学 士 ( 3 年 コ ー ス ) ) : 幅 広 い 多 様 な キ ャ
リアの学生を対象とする。2 年生、3 年生の学生は関連する科目の研究プログラム
に取り組むために選択ができるようになっている。このことで、栄養に関連する
様 々 な 仕 事 に 卒 業 生 が つ く こ と を 可 能 と し て お り 、他 の 生 物 科 学 と 栄 養 学 と の 関 連
性 に よ っ て 栄 養 学 も 発 達 す る と 認 識 さ れ て い る 。こ の コ ー ス を 卒 業 し た 者 は 、U K
の認定栄養士自主登録機関に直接、エントリー申請することができる。
∗ BSc in Nutrition & Dietetics (4 year course) ( 栄 養 学 及 び 食 事 療 法 学 士 ( 4 年 コ
ー ス ) ): こ の コ ー ス で は 、 健 康 専 門 家 協 会 の 食 事 療 法 士 の 登 録 が 可 能 で あ る 。 臨
床 学 部 が 承 認 し た 3 つ の 食 事 療 法 実 習 が あ る 。最 初 の 2 年 間 、学 生 は 主 な 要 素 と し
て 栄 養 学 に 関 す る 生 物 化 学 の 幅 広 い 基 礎 を 確 立 す る 。 一 方 で 実 習 Aに 関 連 し た 専 門
実 習 も 導 入 さ れ る 。 3 年 目 は 、 実 習 Bの 準 備 と し て 基 礎 と な る 食 事 療 法 理 論 の 多 く
を学ぶ。一方、栄養学の研究の継続と、3 年生レベルの適切な知識の維持のための
他 の 科 学 分 野 の 科 目 を 1 つ 選 択 す る 。最 終 年 は 、多 様 な 技 術 や 知 識 の 統 合 を 図 る プ
ロ ジ ェ ク ト と と も に 、職 業 経 験 と 関 連 し た 食 事 療 法 の さ ら に 進 ん だ 研 究 を 行 う 。実
習修了までに、学生は食事療法士として独立した仕事ができるようになる。
∗ BSc in Nutrition with Basic Medical Sciences (1 year course) ( 基 礎 医 科 学 の 伴
う栄養学士(1 年コース)):ロンドン大学の医学部の学生ための栄養学及び基礎
医 科 学 の 1 年 の コ ー ス で あ る 。ロ ン ド ン 大 学 医 学 部 以 外 の 医 学 生 で も 、こ の コ ー ス
に 来 る こ と は 可 能 で あ る 。こ の コ ー ス は 、栄 養 学 、食 習 慣 、応 用 栄 養 学 、臨 床 栄 養
学及び研究プロジェクトを含んでいる。講義の他に毎週実習もある。
∗ SSM ( Special Study Module)in Nutrition (year 2 Medical and Dental students)
(栄養学の特別研究講座(2 年生の医学部及び歯学部の学生向け)):キングス・
83
カ レ ッ ジ・ロ ン ド ン の 医 学 部 及 び 歯 学 部 の 2 年 生 の 学 生 向 け コ ー ス で 、栄 養 学 に 関
する 2 分の 1 のコース単位の特別研究講座である。
∗ Undergraduate courses for Non-Nutrition students ( 非 栄 養 学 専 攻 学 生 の た め の
学 部 学 生 向 け コ ー ス );学 部 レ ベ ル で 科 学 あ る い は 看 護 学 専 攻 の 学 生 に 対 し て 提 供
す る 栄 養 学 の 一 般 コ ー ス で あ る 。こ の コ ー ス は ロ ン ド ン 大 学 の 他 の カ レ ッ ジ で 科 学
を 専 攻 し て い る 科 学 専 攻 学 生 も 選 択 可 能 で あ る 。こ の コ ー ス で は 現 在 栄 養 に 関 連 し
て多くの人に関心のあるトピックスをとりあげたコースとなっている。
Postgraduate( 大 学 院 )
∗ MSc in Nutrition ( 栄 養 学 修 士 ) : 生 物 化 学 、 農 業 、 食 品 科 学 、 食 事 療 法 、 医 学 、
獣医科学の卒業生のための 1 年間(9 月から翌年 9 月まで)の集中コースである。
栄 養 学 の 主 な ト ピ ッ ク ス を シ ス テ マ テ ィ ッ ク に カ バ ー し て 、健 康 教 育 サ ー ビ ス 、政
府 、食 品 産 業 の 分 野 で 、栄 養 計 画 、教 育 あ る い は 研 究 を 行 う 者 の た め の コ ー ス で あ
る 。食 品 科 学 、生 物 化 学 、生 理 学 、食 品 微 生 物 学 、統 計 学 、心 理 学 及 び 社 会 学 と い
っ た 関 連 科 目 を 含 み 、全 て の 学 生 は エ ッ セ イ 、セ ミ ナ ー 、講 義 、主 な 研 究 プ ロ ジ ェ
ク ト を と お し て 自 ら の 専 門 的 関 心 を 高 め て い く 。最 終 学 期 は 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト に 集
中することになる。
∗ Diploma in Nutrition ( 栄 養 学 デ ィ プ ロ マ ) : 2 学 期 を カ バ ー し ( 9 月 か ら 翌 年 4
月)、シラバスは栄養学修士と同様であるが、研究プロジェクトが含まれない。
∗ MSc/Diploma in Dietetics( 食 事 療 法 修 士 /デ ィ プ ロ マ ): 修 士 号 は 、9 月 か ら 2 年
目 の 7 月 ま で の 22 ヶ 月 間 の コ ー ス で あ り 、 3 回 の 臨 床 実 習 期 間 が あ り 、 論 文 の 提
出 が 必 要 で あ る 。 デ ィ プ ロ マ は 、 9 月 か ら 2 年 目 の 1 月 ま で の 17 ヶ 月 間 の コ ー ス
であり、3 回の実習期間がある。これらの学位を取得した学生は、健康専門家協会
に対し栄養士としての登録の志願をすることができる。
∗ MPhil/PhD:栄 養 、食 品 及 び 健 康 研 究 セ ン タ ー は 、キ ン グ ス・カ レ ッ ジ 内 の 研 究 環
境 を 改 善 し て き て お り 、臨 床 病 理 学 、老 年 学 、薬 学 、血 管 生 物 学 、環 境 食 品 科 学 と
い っ た 学 部 の 外 か ら 専 門 家 を 集 め て い る 。多 く の 学 生 は 学 部 外 の 研 究 室 と の コ ラ ボ
レ ー シ ョ ン を 含 め た 学 際 的 な 研 究 を 行 っ て い る 。学 部 は 、栄 養 、食 品 健 康 研 究 セ ン
タ ー に 焦 点 を あ て て お り 、世 界 中 か ら や っ て く る PhD志 願 の 学 生 向 け の シ リ ー ズ の
セ ミ ナ ー や 講 義 を 開 催 し て い る 。 す べ て の PhDの 志 願 者 は 、 最 初 に Mphilの 学 位 を
と る こ と が 求 め ら れ 、研 究 期 間 を 通 し て 、学 生 は 、研 究 に 関 し て 監 督 者( ス ー パ ー
バ イ ザ ー )に 相 談 を す る 。そ し て 研 究 分 野 に 関 連 す る セ ミ ナ ー 、会 合 に 参 加 し 、ラ
イ フ サ イ エ ン ス 分 野 の 研 究 技 術 や Principleに 関 す る シ リ ー ズ の 講 義 に 参 加 す る こ
と が 求 め ら れ る 。研 究 期 間 を 通 し て 、学 生 は 栄 養 、食 品 健 康 研 究 セ ン タ ー の 研 究 セ
ミ ナ ー や 講 義 に 参 加 す る こ と が 期 待 さ れ る 。彼 ら は さ ら に 学 内 及 び 栄 養 学 ソ サ イ ェ
テ ィ の 中 で 彼 ら の 研 究 成 果 を 披 露 す る こ と 、ま た 、学 部 の 教 育 活 動 に 参 加 す る こ と
が 求 め ら れ る 。少 な く と も 1 年 後 に は 、研 究 に 関 す る プ ロ グ レ ス ・ レ ポ ー ト を 作 成
し て 提 出 す る 必 要 が あ り 、口 頭 試 験 を う け な け れ ば な ら な い 。そ の 結 果 が 良 け れ ば 、
Mphilか ら PhDへ と 進 む こ と が で き る 。 ま た 、 3 年 間 の 最 終 年 に は 通 常 、 論 文 を 提
84
出 す る こ と が 求 め ら れ る 。こ れ は 、ロ ン ド ン 大 学 の 学 内 審 査 及 び 大 学 外 の こ の 分 野
の専門家の審査にかけられる。
③
ロ ン ド ン 大 学 公 衆 衛 生 学 ・ 熱 帯 医 学 大 学 院 ( London School of Hygiene and
Tropical Medicine)
ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院は、世界中の健康改善に関与する学際的
な 大 学 院 で あ り 、1899 年 に 設 立 さ れ て い る 。同 大 学 院 は 18 の マ ス タ ー コ ー ス と 4 つ
の遠隔学習コースを有する。教育プログラムは実験室をベースとした生物学コースと
実験室を利用しない社会科学コースがあり、公衆衛生、集団の健康、疫学、感染症の
コントロール及び熱帯医学といったすべての分野をカバーしている。
ア カ デ ミ ッ ク・フ ァ カ ル テ ィ は 以 下 の 3 つ が あ る 2 3 (*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産
のあったもの)。
∗
Faculty of Epidemiology and Population Health( 疫 学 及 び 集 団 健 康 学 部 )
∗
Faculty of Infectious and Tropical Diseases( 感 染 症 及 び 熱 帯 病 学 部 )
∗
Faculty of Public Health and Policy( 公 衆 衛 生 及 び 政 策 学 部 )
こ の 中 で 論 文 生 産 が 多 か っ た の が 、 Faculty of Epidemiology and Population
Health( 疫 学 及 び 集 団 健 康 学 部 )
( 7 論 文 )で あ っ た 。こ の フ ァ カ ル テ ィ に は 、以 下 の
Department が あ る(*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあったもの)。
¾
Department of Population Studies( 集 団 研 究 学 )
¾
Department of Infectious Diseases Epidemiology( 感 染 症 疫 学 学 )
¾
Department of Medical Statistics( 医 療 統 計 学 )
¾
Department of Non-communicable Disease Epidemiology( 非 伝 染 疾 病 疫 学 )
¾
Department of Nutrition& Public Health Intervention Research( 栄 養 及 び 公 衆
衛生介入研究学)
論 文 生 産 の あ っ た Department of Nutrition& Public Health Intervention
Research( 栄 養 及 び 公 衆 衛 生 介 入 研 究 の Department)
( 5 論 文 )に は 、い く つ か の 研
究 グ ル ー プ が あ る が 、Nutrition Group(栄 養 グ ル ー プ )は 、世 界 ク ラ ス の 疫 学 、統 計 学 、
感染症、公衆衛生研究の専門家からなり、数多くの国内外の栄養研究者と協力をして
いる。そのミッションは、堅固な科学的基盤と先進的な人材教育を提供することによ
って、国内及びグローバルレベルで人の成長に影響を与える栄養及び食品に関連した
主な課題に取り組むことに貢献することにある。主な研究分野は以下のとおりとなっ
ている。
¾
子どもの栄養不良及び逆のアウトカムの削減のための栄養介入
2 3 図 表 4 -9 では、Faculty of Epidemiology and Po pula tio n He alth が De par t me n t o f E pi de mi o lo gy a nd
Po pulation H e alth に 、 De partment of Nutrition & Public He alth Intervention Research が Nutrition &
Public He alth Intervention Research Unit と な っ て い る が 、 ロ ン ド ン 大 学 公 衆 衛 生 学 ・ 熱 帯 医 学 大 学 院 の
ウェブサイトの記載がそれぞれ前者となっているため、これに合わせて記述している。
85
¾
栄養、免疫、感染症
¾
遺伝子栄養研究
¾
栄養関連慢性疾患
学位
ロ ン ド ン 大 学 公 衆 衛 生 学 ・ 熱 帯 医 学 大 学 院 は 、 Research Degrees と し て 、
DrPH(Doctor of Public Health)、 MPhil( Master of Philosophy)、 PhD( Doctor of
Philosophy) の 学 位 を 出 し て い る 。 ま た 、 Masters Degrees と し て 、 以 下 の よ う な 専
門分野ごと学位が用意されている。
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
Biology & Control of Disease Vectors ( 生 物 学 及 び 疾 病 媒 介 動 物 の コ ン ト ロ
ール)
Community Eye Health ( コ ミ ュ ニ テ ィ の 目 の 健 康 )
Control of Infectious Diseases ( 感 染 症 の コ ン ト ロ ー ル )
Demography & Health ( 人 口 統 計 学 及 び 健 康 )
Epidemiology ( 疫 学 )
Health Policy, Planning & Financing ( 健 康 政 策 、 計 画 及 び 資 金 調 達 )
Immunology of Infectious Diseases ( 感 染 症 の 免 疫 学 )
Medical Microbiology ( 医 療 微 生 物 学 )
Medical Parasitology ( 医 療 寄 生 虫 学 )
Medical Statistics ( 医 療 統 計 学 )
Molecular Biology of Infectious Diseases ( 感 染 症 の 分 子 生 物 学 )
Public Health ( 公 衆 衛 生 学 )
— Environment & Health stream ( 環 境 及 び 健 康 ス ト リ ー ム )
— Health Economics stream ( 健 康 経 済 ス ト リ ー ム )
— Health Promotion stream ( 健 康 促 進 ス ト リ ー ム )
— Health Services Management stream ( 健 康 サ ー ビ ス 管 理 ス ト リ ー ム )
— Health Services Research stream ( 健 康 サ ー ビ ス 研 究 ス ト リ ー ム )
— Public Health stream ( 公 衆 衛 生 ス ト リ ー ム )
Public Health in Developing Countries ( 途 上 国 に お け る 公 衆 衛 生 )
Public Health Nutrition ( 公 衆 衛 生 栄 養 学 )
Reproductive & Sexual Health Research ( 生 殖 及 び 性 の 健 康 研 究 )
Sexually Transmitted Infections & HIV ( 性 的 伝 染 感 染 病 及 び HIV)
Tropical Medicine & International Health ( 熱 帯 医 療 及 び 国 際 健 康 )
Veterinary Epidemiology ( 獣 医 疫 学 )
Virology ( ウ イ ル ス 学 )
ま た 、 遠 隔 学 習 の Masters Degrees に は 、 以 下 の 学 位 が 用 意 さ れ て い る 。
¾
¾
¾
Clinical Trials ( 臨 床 試 験 )
— MSc Clinical Trials e-learning showcase ( Eラ ー ニ ン グ の 臨 床 試 験 修 士 )
Epidemiology ( 疫 学 )
Infectious Diseases ( 感 染 症 学 )
— MSc Infectious Diseases e-learning showcase - AIDS ( Eラ ー ニ ン グ の 感
染 症 学 修 士 - AIDS)
86
¾
— MSc Infectious Diseases e-learning showcase - MALARIA ( Eラ ー ニ ン グ
の感染奨学修士-マラリア)
Public Health ( 公 衆 衛 生 学 )
(10)ヘルシンキ大 学 (フィンランド) 2 4
ヘ ル シ ン キ 大 学 か ら の「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」の 生 産 の 詳 細 は 、図 表 4-10
のとおりである。
図 表 4-10 ヘルシンキ大 学 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」の内 訳
21
Faculty of Agriculture and Forestry(計)
18
Department of Applied Chemistry and Microbiology(計)
16
Division of Nutrition(計)
詳細記載なし
Calcium Research Unit
詳細記載なし
4
2
3
Department of Food Technology
14
Faculty of Medicine(計)
7
Department of Public Health
4
Department of Medicine(計)
Institute of
Clinical
Medicine
Division of Gastroenterology
2
Division of Internal Medicine
1
Division of Endocrinology
1
Nutraceuticals Group
Institute of Biomedicine
Haartman
Institute
12
Department of Medical Genetics
Department of Health Promotion
Division of Biochemistry
and Chronic Disease Prevention
1
1
1
5
Faculty of Veterinary Medicine(計)
Division of Clinical
Institute for Preventive
Chemistry
Medicine
Institute of Biomedicine, Pharmacology
Department of Clinical
Chemistry
不明 Department of Pharmacology
Department of Psychology
5
2
1
Hospital for Children and Adolescents
1
Folkhälsan Research Center
1
(総 計)
45
ヘ ル シ ン キ 大 学 は 1640 年 に 設 立 さ れ て お り 、 世 界 で 最 も 学 際 的 な 研 究 を 行 う 大 学
で あ る と 自 負 し て い る 。 4,000 人 の 研 究 者 、 教 員 、 オ ペ レ ー タ ー を 抱 え 、 35,000 名 の
学生がいる。
24 ヘ ル シ ン キ 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
87
Faculty は 11 あ る が 、 論 文 生 産 の 多 か っ た の は 、 Faculty of Agriculture and
Forestry の Department of Applied Chemistry and Microbiology( 18 論 文 )、Faculty
of Medicine の Department of Public Health(7 論 文 )、Faculty of Veterinary Medicine
の Department of Clinical Chemistry( 5 論 文 ) と な っ て い る 。
以下、論文生産の多かった機関について詳細をみる。
① Faculty of Agriculture and Forestry( 農 林 学 部 )
農 学 部 が 設 立 さ れ た の は 1898 年 で 、 林 学 は 1908 年 に 加 わ っ た こ と か ら 、 2008 年
が 学 部 の 100 周 年 に あ た っ た と さ れ て い る 。 2,885 名 の 学 生 、 368 名 の 博 士 課 程 の 学
生 、 520 名 の ス タ ッ フ を 擁 し 、 英 語 に よ る 7 つ の 国 際 修 士 号 プ ロ グ ラ ム が あ る 。
Department は 2010 年 1 月 に 改 編 が あ り 、 現 在 は 以 下 の 4 つ の Department と な っ
ている。
∗
Department of Agricultural Science( 農 業 科 学 )
∗
Department of Forest Sciences( 森 林 科 学 )
∗
Department of Food and Environment Sciences( 食 品 、 環 境 科 学 )
∗
Department of Economics and Management( 経 済 管 理 学 )
こ の た め 、 今 回 抽 出 し た 論 文 の 所 属 機 関 と し て 登 場 す る Department of Applied
Chemistry and Microbiology( 応 用 化 学 、微 生 物 学 )は 、現 在 存 在 せ ず 、Department
of Agricultural Science( 農 業 科 学 ) に 他 の 学 科 と と も に 吸 収 さ れ て い る 。
旧 応 用 化 学 、微 生 物 学 Department の“ Annual Review 2008”に よ れ ば 、Department
of Applied Chemistry and Microbiology( 応 用 化 学 、 微 生 物 学 の Department) は 、
農 林 学 部 の 9 つ の Department の う ち 最 も 大 き な Department で あ り 、以 下 の 5 つ の
Division を 持 つ と さ れ て い る 。
9
Chemistry and Biochemistry( 化 学 及 び 生 物 化 学 )
9
Environmental Soil Science( 環 境 土 壌 科 学 )
9
Food Chemistry( 食 品 化 学 )
9
Microbiology( 微 生 物 学 )
9
Nutrition( 栄 養 学 )
現在の農業化学科は、以下の 7 つの研究テーマを有している。
9
Biotechnology( バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー )
9
Food Chemistry( 食 品 化 学 )
9
Food Technology( 食 品 工 学 )
9
Soil and Environment Science( 土 壌 環 境 科 学 )
9
Microbiology( 微 生 物 学 )
9
Nutrition Science( 栄 養 科 学 )
9
Food Science( 食 品 科 学 )
今 回 抽 出 し た 論 文 の 所 属 機 関 と し て 登 場 す る の が 、 Division of Nutrition で あ り 、
ヘ ル シ ン キ 大 学 の 栄 養 学 教 育 は 、 農 林 学 部 、 社 会 科 学 部 が 食 品 化 学 の Annual
Professorship を 設 置 し た 1947 年 に 始 ま っ て い る 。栄 養 学 の 研 究 は 、食 生 活 と 病 気 の
88
予防のための生活パターンに焦点が当てられて、骨粗しょう症、結腸がん、冠状動脈
性心臓疾患、タイプ 2 型糖尿病、成長関連ファクターに関する研究がなされている。
栄養学を専攻する学生は、食品化学の学士、あるいは、修士の学位を得ることができ
る。
② Faculty of Medicine( 医 学 部 )
医 学 部 は 、1640 年 に Turku ア カ デ ミ ー に よ り 設 立 さ れ 、1828 年 に ヘ ル シ ン キ 大 学
の Meilahti キ ャ ン パ ス に 移 転 さ れ 、現 在 に 至 っ て い る 。学 生 は 学 部 生 、大 学 院 生 合 わ
せ て 約 2,500 名 と な っ て い る 。医 学 部 に は 、以 下 の 6 つ の Department 及 び Institute
が あ る (*アンダーラインは、研 究 論 文 生 産 のあったもの)。
∗
Institute of Biomedicine( 生 医 学 研 究 所 )
∗
Institute of Dentistry( 歯 学 研 究 所 )
∗
Department of Public Health( 公 衆 衛 生 学 科 )
∗
Institute of Clinical Medicine( 臨 床 医 療 研 究 所 )
∗
Haartman Institute ( ハ ー ト マ ン 研 究 所 )
∗
Department of Forensic Medicine( 法 医 学 科 )
医学部には教育省の支援を受けた以下の大学院が設置されている。
【Ministry of Education Graduate Schools】
¾
Helsinki Biomedical Graduate School ( ヘ ル シ ン キ 生 化 学 大 学 院 )
¾
National Graduate School of Clinical Investigation ( 国 立 臨 床 研 究 大 学 院 )
¾
Doctoral Programs in Public Health ( 公 衆 衛 生 博 士 プ ロ グ ラ ム )
¾
Finnish Graduate School of Neuroscience ( フ ィ ン ラ ン ド 神 経 科 学 大 学 院 )
¾
Helsinki Graduate School in Biotechnology and Molecular Biology ( ヘ ル シ
ンキバイオテクノロジー、分子生物学大学院)
¾
Clinical Drug Trials Graduate School ( 臨 床 薬 剤 試 験 大 学 院 )
¾
National Graduate School in Psychiatry ( 国 立 精 神 医 学 大 学 院 )
¾
National Graduate School of Muskuloskeletal Disorders and Biomaterials
(国立筋骨格障害、バイオマテリアル大学院)
¾
Graduate School in Computational Biology, Bioinformatics, and Biometry
(計量生物学、バイオインフォマティックス、生体認証大学院)
学 位 プ ロ グ ラ ム に つ い て 、 医 学 部 の 最 初 の 学 位 は 、 医 学 の 250 単 位 及 び 歯 学 の 200
単 位 の 学 位 を 含 む 。医 学 は フ ル タ イ ム で 約 6 年 間 、歯 学 は 5 年 で 修 了 す る こ と と さ れ
ている。最初の学位をとった後、学生は専門性に基づく、あるいは研究に基づく大学
院研究に進むこともできる。専門性に基づく大学院課程は医学及び歯学におけるスペ
89
シ ャ リ ス ト・デ グ リ ー を 含 む 。学 生 は ス ペ シ ャ リ ス ト・デ グ リ ー を 終 え る と き に は 49
の 専 門 を 選 択 で き る 。 こ れ に は 5、 6 年 を 要 す る 。 研 究 に 基 づ く 大 学 院 課 程 は 医 科 学
博 士 、 歯 科 学 博 士 、 PhD を 含 む 。
論文の生産のあった公衆衛生学に関しては、ドクタープログラムがあり、上記のと
おり教育省及びフィンランドアカデミーの支援を受けた大学院が設置されているが、
研究内容としては、疫学、臨床疫学、生物統計学、健康経済学、健康運営学、総合医
学、医療人類学、環境医学、産業医学、健康促進学がある。
な お 、 ヘ ル シ ン キ 大 学 と Karolinska Institute と の 生 化 学 分 野 で の 共 同 博 士 プ ロ グ
ラ ム が 2006 年 か ら 始 ま っ て い る 。
③ Faculty of Veterinary Medicine( 獣 医 学 部 )
獣医学部は、人間と動物の健康と幸福を保護することを目的としており、以下の 4
つ の Department が あ る 。
∗ Food Hygiene and Environmental Health( 食 品 衛 生 及 び 環 境 保 健 学 )
∗ Equine and Small Animal Medicine( 馬 及 び 小 動 物 医 学 )
∗ Production Animal Medicine( 生 産 動 物 医 学 )
∗
Veterinary Biosciences( 獣 医 生 命 科 学 )
論 文 生 産 の あ っ た Department of Clinical Chemistry( 臨 床 化 学 )は 、Equine and
Small Animal Medicine( 馬 及 び 小 動 物 医 学 )の 中 に 位 置 づ け ら れ て い る 。臨 床 化 学
は、動物の疾病に関連した生化学の変化や診断、治療、モニタリングにおけるそれ
らの利用について扱っている。
(11)(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 (日 本 ) 2 5
ここでは、
「 ヒ ト 研 究 に よ る 栄 養 関 連 論 文 」の 筆 頭 著 者 の 所 属 機 関 別 ラ ン キ ン グ( 論
文 数 ) で 、 世 界 で 第 46 位 、 日 本 で 第 1 位 と な っ て い る 、( 独 ) 国 立 健 康 ・ 栄 養 研 究 所
をとりあげることとする。
( 独 )国 立 健 康・栄 養 研 究 所 か ら の 論 文 生 産 の 詳 細 は 、図 表
4-11 の と お り で あ る 。
25 ( 独 ) 国 立 健 康 ・ 栄 養 研 究 所 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
90
図 表 4-11 (独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 生 産 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 (筆 頭 著 者 の所 属 機 関 )」
の内 訳
Nutritional Epidemiology Program(栄養疫学プログラム)
11
Scientific Evaluation of Dietary Reference Intakes' Project(食事摂
取基準プロジェクト)
1
Health Promotion and Exercise Program(健康増進プログラム)
1
Information Center(情報センター)
1
Center for Collaboration and Partnership(国際産学連携センター)
1
Centre for Collaborative Research(共同研究センター)
1
Division of Applied Food Research(応用食品研究部)
1
Division of Health Informatics and Education(健康情報教育部)
2
詳細なし
3
(総 計)
22
注 : 組 織 名 の 訳 については、( 独 ) 国 立 健 康 ・ 栄 養 研 究 所 の ウェブサイ ト に 記 載 の あった も のについては、 そ れにならって
いる。組 織 再 編 等 で 現 在 存 在 しないと考 え ら れるものについ ては、 当 方 で 訳 した 。
( 独 ) 国 立 健 康 ・ 栄 養 研 究 所 は 、 1920 年 に 内 務 省 栄 養 研 究 所 と し て 設 立 ( 1938 年
に厚生省へ移管)されている。その使命は、国民の健康の保持増進に資する栄養・食
生 活 、運 動 に 関 す る 調 査 研 究 、健 康 増 進 法 に 基 づ く 業 務( 国 民 健 康・栄 養 調 査 の 集 計 ・
分析、特別用途食品の許可に必要な分析試験及び収去食品の試験)などで、国の健康
増進施策を支える重要な役割を担っている。
(独)国立健康・栄養研究所は以下の 3 つの重点調査研究を実施している。
¾
生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究
¾
日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究
¾
「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査
研究
(独)国立健康栄養研究所の組織には、研究部門、情報部門、対外部門、事務部門
が あ る が 、 こ の う ち 、 事 務 部 門 を 除 い た 組 織 は 、 以 下 の と お り と な っ て い る (*アンダ
ーラインは、研 究 論 文 生 産 のあったもの)。
【研究部門】
∗
栄 養 疫 学 プ ロ グ ラ ム ( Nutritional Epidemiology Program)
∗
健 康 増 進 プ ロ グ ラ ム ( Health Promotion and Exercise Program)
∗
臨 床 栄 養 プ ロ グ ラ ム ( Clinical Nutrition Program)
∗
栄 養 教 育 プ ロ グ ラ ム ( Nutritional Education Program)
91
∗
基 礎 栄 養 プ ロ グ ラ ム ( Nutritional Science Program)
∗
食 品 保 健 機 能 プ ロ グ ラ ム ( Food Function and Labeling Program)
【情報部門】
∗
情 報 セ ン タ ー ( Information Center)
【対外部門】
∗
国 際 産 学 連 携 セ ン タ ー ( Center for Collaboration and Partnership)
論文生産の多かった「栄養疫学プログラム」については、食生活・栄養による健康
への影響を明らかにするため、疫学的手法を用いた栄養学研究を行っている。このプ
ログラムの研究から、現在の日本人の栄養摂取状況や関連する健康状態が把握でき、
その成果は「健康な生活を送るために日本人はどのような栄養素をどのくらい摂れば
よいのか」を定めるための科学的根拠として使われる。同プログラムには、以下の 3
つのプロジェクトがある。
¾
国民健康・栄養調査プロジェクト
¾
食事摂取基準プロジェクト
¾
生体指標プロジェクト
(12)米 国 農 務 省 の人 間 栄 養 研 究 センター(米 国 ) 2 6
(2)の カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 Davis 校 の Department of Nutrition の 中 に あ っ た USDA
Western Human Nutrition Research Center 、 (3) の タ フ ツ 大 学 で 紹 介 し た Jean
Mayer US Department of Agriculture Human Nutrition Research Center on Aging
( HNRCA)は 、米 国 農 務 省( USDA)の 研 究 部 門 で あ る 、農 業 研 究 サ ー ビ ス( ARS:
Agricultural Research Service)の 支 援 を 受 け た 全 米 に 6 つ あ る 人 間 栄 養 研 究 セ ン タ ー
の一部であった。そこで、ここでは、この人間栄養研究センターの全容の概要を紹介
す る ( 図 表 4-12 参 照 )。
26
USDA Agric ultural Research Service ウ ェ ブ サ イ ト 、 Discussion Pape r No .63 よ り
92
図 表 4-12 USDA 人 間 栄 養 研 究 センターの概 要
設置年
(年)
組織名
場所
論文数
被引用
数
10
93
15
110
Beltsville Human Nutrition Research Center (BHNRC)
1941
Grand Forks Human Nutrition Research Center
1977
メリーランド州ベ
ルツビル
ノースダコタ州グ
ランド・フォークス
1979
テキサス州ヒュー
ストン
21
283
1980
マサチューセッツ
州ボストン
77
898
9
113
0
0
132
1497
Children's Nutrition Research Center (CNRC) ( Baylor
College of Medicine、テキサス子ども病院、USDAとの
コラボにより設置)
Jean Mayer US Department of Agriculture Human
Nutrition Research Center on Aging(HNRCA)(タフツ
大学内に設置)
Western Human Nutrition Research Center (WHNRC)(カ
リフォルニア大学Davis校内に設置)
1980
1995
Arkansas Children’s Nutrition Center(ACNC)
カリフォルニア州
ディビス
アーカンソー州リ
トルロック
合計
図 表 4-12 に あ る と お り 、 USDA 人 間 栄 養 研 究 セ ン タ ー が 生 産 し た 論 文 数 は 132 論
文 、 被 引 用 数 は 1497 と 、 か な り の 数 に の ぼ る こ と が わ か る 。
そもそも USDA では、農 業 研 究 サービス(ARS)において、Human Nutrition(人 間 栄 養 )
の国 家 プログラム(NP107)が実 施 されている。この NP107 は ARS の国 家 プログラムで 4 番 目
に大 きなプログラムである。これは、ARS において実 施 されている 1000 の研 究 プロジェクトのうち
の 1 つであり、Nutrition, Food Safety/Quality というカテゴリーの中 に含 まれている。人 間 栄
養 プログラムのミッションは、国 の優 先 順 位 の高 い研 究 を実 施 することで、食 品 及 びその構 成 物
が全 ての米 国 人 のライフサイクルを通 した健 康 を最 適 化 する役 割 を定 義 づけることにある。プロ
グラムのビジョンは、栄 養 の行 き届 いたアメリカ人 が科 学 的 根 拠 を基 に健 康 を促 進 する食 生 活
を選 択 できるようになることにある。また、この ARS の人 間 栄 養 行 動 計 画 は、USDA の 2005~
2010 年 度 の行 動 計 画 の目 的 5.2、ARS の 2006~2011 年 度 の戦 略 計 画 の実 施 手 順 5.2.1、
5.2.2、5.2.3 に位 置 づけられている。
2. 世 界 のトップ機 関 の栄 養 研 究 の位 置 づけ
これまでみてきた世 界 のトップ機 関 において、どの学 部 等 から栄 養 研 究 論 文 が生 産 されてい
るかを整 理 したのが、図 表 4-13 である。
93
図 表 4-13 世 界 のトップ機 関 において「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」が生 産 されている学 部 等 の整 理
機関名
ハーバード大学
カリフォ
ルニア
大学
デイビス校
国名
米国
米国
ロスアンジェ
米国
ルス校
タフツ大学
マーストリヒト大学
米国
公衆衛生学
医学
農学
その他
・Brigham Women's病院の
Department of Medicineから
の論文が多い
・公衆衛生大学院内に設置されている ・医学大学院内に設置されている栄養
栄養学科からの論文が多い
学科からの論文あり
※公衆衛生修士(Master of Public
Health)は設置されているが、抽出論
文はなかった
・農業及び環境科学カ
レッジの中に設置された
栄養学のDepartmentか
・医学大学院の医療病理学、医療検査 らの論文が多い。また、
学のDepartmentからの論文あり
同Department内に設置
されたUSDAの人間栄養
研究センターから論文が
出ている
・公衆衛生大学院からの論文あり
・医学部内に設置された人間栄養セン
ターからの論文あり
・農業・環境科学と生物化学
のカレッジと2つの専門大学院
(医学、獣医学)の17の学部
の協力により設置された
Nutrition Biologyの大学院
コースからの論文あり
・学内に設置されたUSDAの
人間栄養研究センターからの
論文が多い
・「栄養科学及び政策大学
院」からの論文あり
・医学大学院内の「公衆衛生及びコミュニティ・メディスンのDepartment」に設置
された栄養・感性症ユニットからの論文あり
・医学大学院内に設置された「公衆衛生、家庭医学のDepartment」からの論文
あり
・「健康、医療及びライフサイエンスFaculty」内の「栄養及び毒性研究所」から
の論文が多い
オランダ ・「健康、医療及びライフサイエンスFaculty」内の「公衆衛生、プライマリーケア
School」からの論文あり
・ライフ・サイエンス学部
の中に設置された人間
コペンハーゲン大学
※健康科学部の中に公衆衛生の
・健康科学部の中に設置された予防医 栄養学科(2007年1月に
デンマー
Departmentが設置されているが、抽出
療研究所からの論文あり
合併した王立農獣医大
ク
論文はなかった
学の人間栄養学科を継
承)からの論文が多い
・医学部内に設置された栄養科学科か
・子ども病院研究所内に設置された公 らの論文が多い
衆衛生科学科からの論文あり
トロント大学
カナダ
Karolinska Institute
スウェー
・公衆衛生科学部からの論文あり
デン
UCL
UK
キングス・カ
ロンドン レッジ・ロン UK
ドン
大学
熱帯公衆衛
生学・熱帯 UK
医学大学院
ヘルシンキ大学
フィンラ
ンド
・環境医学研究所内に設置された疫学
科(この中に栄養疫学グループが設置
されている)からの論文が多い
・子ども健康研究所からの論
文あり
・医学大学院内に設置された疫学及び公衆衛生学のDepartmentからの論文が
多い
・生医学・健康科学大学院内に設置さ
・医学大学院内に設置された公衆衛生 れた栄養及び食事療法学の
科学のDepartmentからの論文あり
Departmentからの論文が多い
・疫学及び集団健康学部(この中に栄
養、公衆衛生介入研究ユニットが設置
されている)からの論文あり
・医学部内に設置された公衆衛生の
Departmentからの論文あり
・医学部内の臨床医研究所からの論
文あり
・農林学部内の応用化
学、微生物学科に設置
された栄養学のDivision
からの論文が多い
・獣医学部内の臨床化
学のDepartmentからの
論文あり
注 1:フランスの INSERM は 学 部 等 を 識 別 できなかったた め、この 表 には 含 めていない。
注 2 : カ リフォ ルニア 大 学 は 論 文 生 産 の 多 か った 2 校 を 代 表 としてあげてい る。
94
これまでみてきたとおり、栄 養 に関 する研 究 は、医 学 部 の他 、農 学 部 に栄 養 学 部 又 は栄 養 学
科 が置 かれて、なされている場 合 が多 く、機 関 によって異 なるものの、公 衆 衛 生 学 の研 究 分 野 と
も大 きな関 わりがあることがわかる。また、栄 養 学 自 体 が学 際 的 な学 問 であるため、大 学 等 によ
って、設 置 される学 部 等 が異 なることがわかった。特 徴 的 な点 としては、以 下 のことがあげられ
る。
¾ ハーバード大 学 では、公 衆 衛 生 大 学 院 、医 学 大 学 院 の中 にそれぞれ栄 養 の
Department が設 置 されていた。
¾ ハーバード大 学 の他 、医 学 部 に栄 養 に関 する講 座 が設 置 されていたのが、カリフォルニア
大 学 ロスアンジェルス校 、マーストリヒト大 学 、トロント大 学 、ロンドン大 学 (キングス・カレッジ・
ロンドン)であった。
¾ カリフォルニア大 学 ディビス校 には、17 の学 部 の協 力 による栄 養 学 の大 学 院 コースが設 置
されていた。
¾ タフツ大 学 には、栄 養 学 の単 独 の大 学 院 が設 置 されていた。
¾ コペンハーゲン大 学 の人 間 栄 養 学 科 の中 には、先 進 的 食 品 研 究 センターという関 連 の大
学 との共 同 で設 置 されているバーチャルな組 織 が設 置 されていた。
95
第 5 章 主 要 国 の健 康 栄 養 関 連 論 文 の生 産 の状 況
ここでは、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング上
位 30 カ国 に関 する分 析 を行 うこととする。
1.上 位 30 カ国 の国 内 で第 1 位 となる論 文 生 産 機 関
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング(論 文 数 )の
上 位 30 カ国 のそれぞれの国 内 で第 1 位 となる論 文 生 産 機 関 は、図 表 5-1 のとおりである。
図 表 5-1 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキングの
上 位 30 カ国 の国 内 で第 1 位 となる論 文 生 産 機 関 一 覧
当該国内で第1位となる論文生産機関
順位
国名
論文数
機関名
1
米国
同機関のうち論文生産の最も多かった学部等名
1591 ハーバード大学(145)
公衆衛生大学院 栄養学科(67)
525
ロンドン大学(67)
・UCL:メディカルスクール 疫学及び公衆衛生学部
(20)
・キングスカレッジロンドン:生物医学、健康科学大
学院 栄養・食事療法学部(15)
3 オーストラリア
326
Deakin大学(45)
運動・栄養科学大学院 身体活動・栄養研究セン
ター(24)
4
オランダ
302
マーストリヒト大学(110)
健康、医学及びライフサイエンス学部 栄養学、毒性
学及び代謝研究所(44)
5
カナダ
267
トロント大学(56)
医学部 栄養科学科(35)
6
ドイツ
230
ボン大学(31)
農学部 小児栄養研究所(28)
7
スペイン
219
ナバラ大学(24)
科学学部 実験科学科 食品科学、生理学および毒
物学教室(9)
8
フランス
218
フランス国立医学研究機構(75)
UMR557(25)
9
日本
195
(財)国立健康栄養研究所(22)
栄養疫学プログラム(11)
ミラノ大学(12)
農学部 食品科学・技術、微生物学科 人間栄養学
専攻(4)
Federico II 大学(12)
臨床・実験医学部(8)
2
10
UK
イタリア
185
11
スウェーデン
179
Karolinska Institute(53)
環境医学研究所 疫学科 栄養疫学ユニット(19)
12
デンマーク
152
コペンハーゲン大学(86)
ライフサイエンス学部 人間栄養学科(28)
13
フィンランド
151
ヘルシンキ大学(45)
農林学部 応用化学・微生物学科 栄養学専攻(16)
14
中国
115
北京大学(21)
健康科学センター 公衆衛生学大学院 栄養・食品衛
生学部(7)
15
ブラジル
107
サンパウロ州立大学(23)
公衆衛生大学院栄養学部(6)
16
ノルウェー
89
オスロ大学(43)
医学部 基礎医科学研究所 栄養学科(31)
96
当該国内で第1位となる論文生産機関
順位
国名
論文数
機関名
同機関のうち論文生産の最も多かった学部等名
17
ギリシャ
86
Harokopio大学(32)
食生活・栄養科学部(30)
18
インド
82
セント・ジョーンズ国立健康科学アカデ
ミー(15)
集団健康・臨床研究所 栄養学科(14)
19 ニュージーランド
77
オタゴ大学(38)
科学学部 人間栄養学科(32)
20
イラン
70
Shaheed Beheshti 医科大学(28)
内分泌研究センター(18)
21
台湾
68
台北医科大学(9)
栄養・健康科学大学院(6)
22
スイス
59
スイス連邦技術研究所(27)
食品科学・栄養研究所 人間栄養学研究室(25)
23
ベルギー
57
Ghent大学(29)
医学健康科学部 公衆衛生学科(13)
24
韓国
55
ソウル大学(7)
人間生態研究センター食品栄養学科(5)
25
南アフリカ
53
南アフリカ医学研究評議会(19)
生活習慣病ユニット(10)
26
アイルランド
40
コーク大学(18)
食品科学・技術学部 食品栄養科学科(17)
27
メキシコ
31
ケレタロ自治大学(5)
自然科学大学院(5)
28
チリ
23
チリ大学(21)
栄養・食品技術研究所(19)
28
イスラエル
23
Ben-Gurion University of the Negev(9) S. Daniel Abraham 国際健康栄養センター(8)
30
オーストリア
22
ウィ-ン大学(10)
ライフサイエンス学部 栄養科学科(10)
注 1 : 機 関 ・ 学 部 等 名 の 後 ろ の括 弧 内 の 数 値 は 生 産 論 文 数 で ある。 学 部 等 名 の 数 値 は 機 関 名 の 内 数 である。
注 2 : フラ ンスの学 部 等 名 の U MR55 7 とは 研 究 ユニッ ト 名 で ある。
注 3 : イラ ンの S h ahe e d B eh e sh ti 医 科 大 学 に は、 論 文 生 産 の最 も 多 かった セ ンター以 外 に 、 栄 養 学 の 大 学 院 も 別 途 あ
る。
それぞれの国 内 で第 1位 となる論 文 生 産 機 関 は、フランス、日 本 、インド、南 アフリカは研 究
機 関 であるが、これら以 外 は全 て大 学 等 となっている(フランスについては、基 本 的 には研 究 機
関 と大 学 等 とのユニットで研 究 を行 う仕 組 みとなっている。また、インドについては、一 部 医 学 教
育 も兼 ねた機 関 ではあるが、栄 養 学 に関 しては研 究 のみが行 われている)。
大 学 等 のうち、論 文 生 産 の多 かった学 部 等 については、ほとんどが医 学 、ライフサイエンス系
の学 部 であるが、ドイツのボン大 学 、イタリアのミラノ大 学 、フィンランドのヘルシンキ大 学 は、農
学 部 に栄 養 学 の学 科 等 が置 かれている。また、スウェーデンの Karolinsda Institute、台 湾 の
台 北 医 科 大 学 のような医 科 大 学 もあるものの、ほとんどが総 合 大 学 となっている。
これらの機 関 のうち論 文 生 産 が多 かった機 関 については、既 に第 4 章 で紹 介 したが、論 文 数
はそれに及 ばないものの、特 徴 的 な機 関 として、チリのチリ大 学 栄 養 ・食 品 技 術 研 究 所
(INTA) 2 7 がある。INTAは、チリ大 学 の学 際 的 、横 断 的 センターで、基 礎 及 び応 用 研 究 、大
学 及 び大 学 院 教 育 プログラム、技 術 支 援 、エクステンションサービス、臨 床 支 援 を通 じて、チリ
国 民 及 びラテンアメリカの集 団 の栄 養 状 態 を改 善 することをそのミッションとしている。政 府 機 関
とも連 携 し、チリの食 品 及 び栄 養 政 策 プログラムの定 義 付 けや実 施 のための専 門 知 識 を提 供 し
27 チ リ 大 学 ウ ェ ブ サ イ ト よ り
97
ている。INTAは、1954 年 に医 学 部 に小 児 研 究 センターとして設 立 され、1972 年 に栄 養 学 部
が設 置 され、1976 年 に学 部 と同 等 の位 置 づけとしてINTAが設 立 された。医 学 、生 物 化 学 、化
学 、栄 養 学 、看 護 学 、心 理 学 、食 品 教 育 学 、食 品 科 学 技 術 といった分 野 の約 200 人 の研 究 ス
タッフが所 属 している。食 品 ・栄 養 PhDプログラム、農 業 ・獣 医 科 学 PhDプログラム、その他 の
PhDプログラムへの参 加 (例 えば公 衆 衛 生 )、栄 養 科 学 修 士 プログラム、栄 養 専 門 家 、食 品 産
業 管 理 のディプロマ、運 動 科 学 のディプロマといったプログラムを持 っている。
2.上 位 30 カ国 の 5 年 間 の論 文 数 の推 移
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング上 位 30 ヵ国 の
年 ごとの論 文 数 の推 移 は、図 表 5-2 のとおりとなった。「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」全 体 を見
ても、年 々論 文 数 が増 加 していることがわかる。
図 表 5-2 「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」筆 頭 著 者 の所 属 機 別 ランキング(論 文 数 )上 位 30 ヵ国 の
論 文 数 の推 移 (2005~2009 年 )
国名
米国
UK
オーストラリア
オランダ
カナダ
ドイツ
スペイン
フランス
日本
イタリア
スウェーデン
デンマーク
フィンランド
中国
ブラジル
ノルウェー
ギリシャ
インド
ニュージーランド
イラン
台湾
スイス
ベルギー
韓国
南アフリカ
アイルランド
メキシコ
イスラエル
チリ
オーストリア
全論文
順位 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2009/2005比 2009/2008比
1
257
270
375
305
384
149%
126%
2
92
103
95
123
112
122%
91%
3
44
62
69
71
80
182%
113%
4
56
52
55
55
84
150%
153%
5
30
48
61
53
75
250%
142%
6
43
44
50
44
49
114%
111%
7
26
44
48
47
54
208%
115%
8
40
44
46
42
45
113%
107%
96%
9
32
35
36
47
45
141%
10
24
35
49
42
35
146%
83%
34
32
37
44
32
94%
73%
11
30
30
29
35
28
93%
80%
12
22
32
26
34
37
168%
109%
13
14
13
12
20
34
36
277%
106%
15
16
21
17
28
25
156%
89%
18
16
18
21
16
89%
76%
16
13
18
16
19
20
154%
105%
17
18
9
15
15
20
23
256%
115%
11
14
18
16
18
164%
113%
19
20
16
11
13
14
16
100%
114%
21
12
14
15
14
13
108%
93%
13
12
5
11
18
138%
164%
22
7
7
14
14
15
214%
107%
23
24
10
6
13
9
17
170%
189%
25
16
12
9
10
6
38%
60%
9
8
8
7
8
89%
114%
26
27
6
7
2
7
9
150%
129%
28
4
5
5
3
6
150%
200%
43%
28
3
5
5
7
3
100%
300%
38%
30
1
5
5
8
3
955
1084
1254
98
1258
1375
144%
109%
2009/2005 年 比 、2009/2008 年 比 ともに 100%以 上 となっているのは、米 国 、オーストラリア、
オランダ、カナダ、ドイツ、スペイン、フランス、フィンランド、中 国 、ギリシャ、インド、ニュージーラン
ド、イラン、スイス、ベルギー、韓 国 、メキシコ、イスラエルであった。これらのうち、特 に中 国 は、
2009/2005 年 比 が 277%、インドは、同 256%と 2.5 倍 以 上 の伸 びとなっていた。
逆 に 、2009/2005 年 比 、2009/2008 年 比 と も に 100% 以 下 と な っ た の は 、ス ウ ェ ー デ
ン、デンマーク、ノルウェー、南アフリカであったが、前 3 者は、大きな変動がない
一 方 、南 ア フ リ カ は 、2009/2005 年 比 、2009/2008 年 比 と も に 50% 以 下 と な っ て い た 。
日 本 は 、2009/2005 年 比 で は 、141% と 増 加 し て い る が 、2009/2008 年 比 で は 、96%
と減少している。
99
第 6 章 考察
1.世 界 の健 康 栄 養 関 連 研 究 の状 況 について
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキングでは、欧 米 諸 国 の機 関
がほぼ上 位 を独 占 した。特 に米 国 は、上 位 10 位 内 に 4 機 関 がランクインし、国 別 ランキングで
第 1 位 を占 めるなど、圧 倒 的 な強 さを発 揮 していた。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキングの結 果 を見 る
と、本 来 、日 本 より研 究 層 がうすいと思 われる国 から論 文 が多 く出 ていた。「ヒト研 究 による栄 養
関 連 論 文 」においては、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、オランダといった国 からの論 文
生 産 が多 かった。論 文 数 を人 口 や研 究 者 数 、国 内 研 究 費 総 額 で規 格 化 することで、この傾 向
が顕 著 に現 れた。
また、アジアに目 を向 けると、アジアの中 では日 本 が論 文 生 産 量 は最 も多 かったものの、近 年 、
中 国 、インドの増 加 はめざましく、中 国 については早 晩 日 本 を追 い抜 く可 能 性 もある。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 の所 在 国 別 ランキング上 位 30 カ国
内 で第 1位 となる論 文 生 産 機 関 については、米 国 のハーバード大 学 、カナダのトロント大 学 、イ
タリアのミラノ大 学 、デンマークのコペンハーゲン大 学 、フィンランドのヘルシンキ大 学 、中 国 の北
京 大 学 、ブラジルのサンパウロ州 立 大 学 、韓 国 のソウル大 学 、チリのチリ大 学 といったように、ほ
とんどが大 学 であった。これらの大 学 においては、それぞれ医 学 系 (公 衆 衛 生 学 あるいは医 学 )
の学 部 又 は大 学 院 、あるいは農 学 部 に栄 養 学 の学 科 等 が置 かれたり、研 究 センターが学 部 と
同 レベルの地 位 を持 って設 置 されたりしており、長 期 的 スパンでみれば、今 後 、論 文 数 の増 加
ないし維 持 が期 待 されるのではないかと考 えられる。
2.日 本 と海 外 の健 康 栄 養 関 連 研 究 の比 較
これまでの分 析 を踏 まえ、日 本 と海 外 の健 康 栄 養 関 連 研 究 の比 較 をしたい。
日 本 では、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキングの上 位 10
位 以 内 にランクインした機 関 を見 ると、まず、第 1 位 となっている(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 や
第 6 位 となっている(独 )国 立 がん研 究 センターは、研 究 機 関 であって教 育 機 関 ではない。10
位 以 内 にランクインした 13 機 関 中 2 8 、大 学 は 9 校 で、そのうち、栄 養 学 の学 科 があるのは、徳
島 大 学 と静 岡 県 立 大 学 のみである。しかも、総 合 大 学 は徳 島 大 学 のみである。
世 界 のランキング上 位 国 においては、人 間 栄 養 学 を行 う拠 点 となる大 学 (多 くが総 合 大 学 )
に、ほぼ、栄 養 学 の学 部 あるいは学 科 があり、そこから、論 文 が生 産 されていたことに比 べれば、
これに対 応 する機 関 が日 本 では非 常 に少 ないということがわかる。
1.で触 れたとおり、ランキング上 位 国 に限 らず、中 国 、韓 国 、ブラジル、チリといった国 でも、総
合 大 学 に栄 養 学 の学 部 ・学 科 等 が置 かれ、論 文 生 産 がなされていたことと比 べれば、日 本 は
非 常 に不 利 な状 況 にある。
28
同 数 10 位 が 3 機 関 あ っ た た め 、 10 以 内 に ラ ン ク イ ン し た 機 関 は 13 で あ っ た 。
100
これらのことから、我 が国 では、海 外 の主 要 国 に比 べ、人 間 栄 養 学 に関 する教 育 が十 分 行 わ
れていない、つまり人 間 栄 養 学 の研 究 者 が十 分 育 成 できているとは言 い難 い状 況 にあると言 え
よう。この背 景 には、我 が国 では栄 養 学 という学 問 が必 ずしも重 視 されてこなかったという歴 史 が
ある。例 えば、1991 年 まで「学 位 規 則 」において定 められていた「博 士 の種 類 」に栄 養 学 の博
士 が含 まれていなかったことや、文 部 科 学 省 の科 学 研 究 費 補 助 金 の「系 ・分 野 ・分 科 ・細 目
表 」において、数 学 、心 理 学 、社 会 学 、経 済 学 といった分 野 が「分 科 」という上 から 3 番 目 のカテ
ゴリーに位 置 付 けられている一 方 、栄 養 学 は、「分 科 」、「生 活 科 学 」の下 の「細 目 」、「食 生 活
学 」の更 に下 の「キーワード」の中 に初 めて「食 と栄 養 」という文 言 が出 てくるに過 ぎないことにも、
その学 問 的 位 置 づけの弱 さが表 れている。
以 上 のような厳 しい環 境 の中 で、国 別 ランキング(筆 頭 著 者 の論 文 数 )世 界 第 9 位 に日 本 が
位 置 しているのは、よく健 闘 していると言 えるかもしれない。これらの内 訳 を見 てみると、地 方 の
国 立 大 学 法 人 の医 学 部 が論 文 生 産 に健 闘 しており、栄 養 学 科 は存 在 しなくても、人 間 栄 養 学
を重 視 する研 究 者 個 人 が孤 軍 奮 闘 している様 子 が想 像 できる。
しかしながら、こうした状 態 では、次 の研 究 を担 う人 材 育 成 が我 が国 においてはほとんどなさ
れていない状 態 が続 いているということになり、我 が国 が現 在 の第 9 位 という地 位 を維 持 してい
ける可 能 性 は極 めて低 いと言 えよう。
3.我 が国 における健 康 栄 養 関 連 研 究 の課 題
WHOの世 界 健 康 統 計 2010 によれば、平 均 寿 命 が日 本 は男 性 で 79 歳 、女 性 で 86 歳 、男
女 平 均 83 歳 と世 界 でも最 高 長 寿 をほこっている 2 9 。多 くの国 が日 本 に注 目 し、日 本 の食 事 は
長 寿 食 に違 いないと、世 界 各 地 でその効 果 は定 かではないが“日 本 食 ”ブームが起 こっている。
世 界 中 から長 寿 国 として注 目 されている日 本 において、健 康 栄 養 関 連 研 究 を拡 充 させることで
世 界 に貢 献 できる可 能 性 が大 きい。また、政 府 主 導 で「ライフイノベーション」が本 格 的 に始 動
する中 で、今 後 ますます、健 康 栄 養 関 連 研 究 の重 要 性 は高 まっていくと考 えられる。
しかしながら、例 えば、世 界 から注 目 されている“日 本 食 ”についてみても、コンセンサスを得 た
定 義 はなく、何 をもって長 寿 食 と言 えるのかといったことさえも、エビデンスが非 常 に少 ないのが
現 状 である。これは、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機 関 別 ランキングで、
我 が国 トップの(独 )国 立 健 康 ・栄 養 研 究 所 が第 46 位 、次 いで東 北 大 学 が第 116 位 と、世 界
の中 ではかなり下 位 に位 置 していたことからもわかる。
また、食 べ物 と食 事 の関 係 は、その集 団 の食 べ方 と健 康 の関 連 が、異 なる集 団 の間 で必 ず
しも一 致 しないため、日 本 において食 生 活 に関 する研 究 が必 要 であるにもかかわらず、十 分 で
はないため、現 状 では欧 米 での研 究 結 果 を輸 入 して活 用 せざるを得 ない状 況 にある。しかも、
欧 米 人 を対 象 にした研 究 結 果 を日 本 人 に使 えるかどうかの検 証 も十 分 なされているとは言 い難
い状 況 にある。このことは、「ヒト研 究 による健 康 関 連 研 究 論 文 」トップ 30 のほとんどが欧 米 諸 国
の機 関 から生 産 されていることから推 察 される。
2 9 “ Wo rld He a lth Statistics 2010 ” (WHO) Mortality and burden of dis e as e の う ち 、 Life expect ancy at
birth の 数 値
101
一 方 で、中 国 、韓 国 が、ここ数 年 確 実 に論 文 数 を増 やしてきているのは、この欧 米 偏 重 型 の
健 康 栄 養 関 連 研 究 の現 状 に危 機 感 を持 っているからではないかと推 察 される。
日 本 の実 態 は、2.で触 れたとおり、人 間 栄 養 学 の研 究 が興 味 を持 った一 部 の研 究 者 によっ
て成 り立 っている。人 間 栄 養 学 を勉 強 したくても、日 本 では研 究 者 を養 成 する大 学 (学 部 )・大
学 院 が質 ・量 ともに圧 倒 的 に不 足 しているのが現 状 である。しかしながら、人 間 栄 養 学 の研 究
は、本 来 、研 究 対 象 たる集 団 が存 在 する場 所 で研 究 すべきものである。「日 本 人 の集 団 」が存
在 する日 本 できちんとした研 究 者 を育 てていく必 要 があるのである。例 えば、米 国 のタフツ大 学
はボストンに 3 千 人 の、スウェーデンの Karolinska Institute は、スウェーデンに何 万 人 もの研
究 対 象 者 を抱 え、自 国 民 の食 生 活 と健 康 に関 する研 究 を行 っている。それだけ、地 球 の食 生
活 は多 様 なのである。また、人 間 の食 生 活 に関 する行 動 や志 向 はその土 地 の風 土 や気 候 、ラ
イフスタイルなど様 々な要 因 に左 右 される複 雑 なものである。
このため、日 本 において、教 育 機 関 たる大 学 (学 部 )・大 学 院 において、レベルの高 い人 間 栄
養 学 の教 育 及 び研 究 が実 施 される必 要 がある。人 間 栄 養 学 は、どの世 界 のトップ大 学 のウェブ
サイトを見 ても、学 際 的 な学 問 、と書 かれていたとおり、様 々な学 問 の集 大 成 として研 究 されるべ
き学 問 である。したがって、総 合 大 学 において、医 学 、公 衆 衛 生 学 の大 学 院 等 が中 心 となって
様 々な学 部 からなる混 成 チームを結 成 し、人 間 栄 養 学 の専 門 家 教 育 を実 施 する学 部 ・大 学 院
を設 置 することが望 まれる。そのお手 本 は、例 えば、「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著
者 の所 属 機 関 別 ランキング第 3 位 のカリフォルニア大 学 Davis 校 の 17 学 部 からなる学 際 的 協
力 組 織 による栄 養 学 の大 学 院 コースや、同 第 52 位 のチリ大 学 の学 際 的 ・横 断 的 センターとし
て設 置 されている栄 養 ・食 品 技 術 研 究 所 (INTA)などにも見 られる。人 口 規 模 の大 きな国 にお
いても、小 さな国 においても、人 間 栄 養 学 に人 と資 金 を投 入 し、論 文 生 産 を増 加 させている。日
本 が人 間 栄 養 学 という学 問 を重 視 してこなかったことが、我 が国 のそして人 類 の未 来 の禍 根 と
ならないように、早 急 に手 を打 つべきである。
4. 本 調 査 研 究 の限 界 と今 後 の研 究 課 題
本 調 査 では、第 1章 で示 したとおり、19 のジャーナルを抽 出 して分 析 を行 った。この際 、インパ
クト・ファクターの基 準 を Nutrition 系 ジャーナルについては 1 以 上 とする一 方 、医 療 系 ジャー
ナルについては 3 以 上 というハードルの高 い基 準 で抽 出 をしており、このことにより、医 療 系 ジャ
ーナルについては対 象 ジャーナルの範 囲 が限 定 されてしまった。今 回 は、分 析 対 象 論 文 のボリ
ュームとのかねあいもあり、Nutrition 系 ジャーナルに重 きを置 いてジャーナルの抽 出 を行 った。
結 果 として、医 療 系 ジャーナルについては、インパクト・ファクターが比 較 的 大 きく、論 文 掲 載 量
の多 い、糖 尿 病 系 、内 分 泌 系 のジャーナルが選 択 され、循 環 器 疾 患 やがんに関 連 したジャー
ナルが選 択 されなかった。従 って、今 回 のような抽 出 の方 法 では、糖 尿 病 関 連 の論 文 (研 究 )が
過 大 に評 価 され、循 環 器 疾 患 やがんに関 連 する論 文 (研 究 )が過 小 に評 価 されてしまった可 能
性 がある。このことから、今 後 の研 究 課 題 としては、医 療 系 ジャーナルについて、インパクト・ファ
クターのハードルを下 げ、さらに幅 広 い分 野 から抽 出 を行 うことで対 象 を広 げて分 析 を行 うこと、
があげられる。
また、Nutrition 系 ジャーナルとして抽 出 をしたジャーナルにおいて、栄 養 学 のうちのある特 定
の領 域 に特 化 したもの(例 えば、経 腸 栄 養 )が、今 回 の抽 出 基 準 を満 たさなかったため、分 析
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対 象 とならなかった。特 定 分 野 のジャーナルについては、研 究 者 人 口 が限 定 され、インパクト・フ
ァクターが低 かったため、抽 出 されなかったものと考 えられる。今 後 の課 題 としては、こうした特 定
分 野 を含 めた分 析 を行 うこと、もあげられる。
さらに、今 回 は、「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」については、補 完 的 な扱 いとして分 析 を行
ったが、これについて、より詳 細 な分 析 を行 うために、動 物 実 験 に関 連 したキーワードを用 いて
ジャーナルを抽 出 し、「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」に重 点 を置 いた分 析 を行 う余 地 はあっ
た。これについても今 後 の研 究 課 題 である。
もちろん、上 記 の研 究 課 題 を全 て克 服 しようとすれば、今 回 分 析 対 象 候 補 とした約 1 万 の論
文 の何 倍 もの論 文 の分 析 が必 要 となり、分 析 に要 する時 間 と手 間 が膨 大 にかかってしまうという
問 題 はある。しかしながら、この分 野 の今 後 の発 展 のために、学 会 等 においてもこのような研 究
に取 り組 むことを期 待 したい。。
なお、今 回 は英 語 論 文 を対 象 にした分 析 を行 っており、英 語 を母 国 語 としない、日 本 を含 め
たフランス、ドイツ、スペイン、イタリア等 の国 々には言 語 ハンディキャップのバイアスがあるという
点 も念 頭 に置 いて調 査 結 果 を見 ていただきたい。
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第 7章
謝辞
本 調 査 研 究 に際 しては、以 下 の方 々から、多 大 なるご協 力 をいただいた。
19 のジャーナルから抽 出 した論 文 (約 1 万 )について、それぞれのタイトル及 びアブストラクト
から、「ヒト研 究 による栄 養 研 究 論 文 」なのか「動 物 実 験 による栄 養 研 究 論 文 」なのか、それ以 外
なのかの分 類 を行 う作 業 を、東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 公 共 健 康 医 学 専 攻 社 会 予 防 疫
学 分 野 (佐 々木 敏 研 究 室 )大 学 院 生 児 林 聡 美 氏 、同 須 賀 ひとみ氏 、同 本 田 悟 氏 に
協 力 いただき、実 施 した。
抽 出 した論 文 のランキング作 成 作 業 に当 たっては、第 3 調 査 研 究 グループ客 員 研 究 官 の中
山 保 夫 氏 に助 言 をいただいた。
「ヒト研 究 による栄 養 関 連 論 文 」及 び「動 物 実 験 による栄 養 関 連 論 文 」の筆 頭 著 者 の所 属 機
関 の所 在 国 別 の論 文 数 の人 口 、研 究 者 数 、国 内 研 究 費 総 額 による規 格 化 及 び著 者 分 析 に
際 しては、広 島 大 学 若 手 研 究 人 材 養 成 センター特 任 教 授 の川 畑 弘 氏 に助 言 をいただい
た。
日 本 の 機 関 に 所 属 す る 著 者 の 研 究 論 文 に つ い て 、全 著 者 及 び corresponding author
の 抽 出 、こ れ ら の 分 析 の た め の デ ー タ 整 理 の 作 業 を 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 公 共
健 康 医 学 専 攻 社 会 予 防 疫 学 分 野( 佐 々 木 敏 研 究 室 )学 術 支 援 職 員 嶺 佳 華 氏 に 協 力 い
ただき、実施した。
このほか、抽出したジャーナルの妥当性についてのコメントをいただいた専門家の
方々や当研究所の関係者の方々に、多大なるご協力をいただいた。心より感謝を申し
上げたい。
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