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平成27年度自己点検・評価報告書
仙台高等専門学校自己点検報告書 (仙台高専の現状と今後) 平成27年12月 仙 台 高 等 専 門 学 校 目 次 1.仙台高等専門学校の現状と課題及び将来展望 校長 内 田 龍 男 2.専攻科・国際化・地域連携などをキーワードとした個性化・高度化 総務担当副校長 竹 茂 求 3.次世代型教育推進への取り組みを初めとしたカリキュラムの個性化・高度化 教務担当副校長 馬 場 一 隆 4.研究の個性化・高度化 研究・産学連携担当副校長 遠 藤 智 明 5.仙台高専の国際交流 総務担当副校長 竹 茂 1 求 1. 仙台高等専門学校の現状と課題及び将来展望 校長 内 田 龍 男 今年は、仙台高等専門学校の校長職としてだけでなく、国立高等専門学校機構の役員の任 務もあることから、高専全体としての現状と課題、そして、将来への展望と題して記述する。 高等専門学校が制度化されてから既に50年以上が経過したわけであるが、これまでは どちらかといえば比較的順調に推移してきたと言える。教育を中心として、幸いなことに世 の中からも高く評価をされてきた歴史がある。しかし、近年では大変厳しい予算状況となっ ているのが実情である。2年ほど前からは、国立高等専門学校機構本部を中心として、今の ままではもう高専が沈みゆく船になってしまう可能性もあるという相当な危機感を持って、 どのように改革すればよいのかということについて、議論を重ねてきた。 それを受けて、国立高等専門学校機構では全国の高専を五つのブロックに区分して、ブロ ックごとに今後どうすればよいのかについて議論を行っているところである。東北地区は、 北海道と東北が全体約10高専で一つのブロックを形成しており、今後どうするべきかと いう議論を毎月1回程度の割合で行っている。それを受けて、仙台高専が今後どうするのか という議論を進めた結果について、記述する。 まずは、一番大きな問 題は予算減である。国立 高等専門学校機構に配分 される運営費交付金は、 効率化係数により1年間 に1%ずつの予算減とい うことになっている。し かも、運営費交付金は人 件費がかなりの割合を占 めており(約80%程 度) 、それを減らさない とすると残りの20%の 教育研究費を減らさざる を得ないということで、しかもその中には光熱水費のような予算を減らせないかなりの項 目があるので、残った金額から減少分を差引くと、結構な減少であり、この一、二年では 毎年大変大きな額の予算減を行わなければならないことになっている。 この予算額減少が一番深刻なわけであるが、そのほかに人員削減も進行中である。平成2 1年10月に仙台と同じように統合した高専が全国で4高専あり、そのすべての高専が統 合時に学科を1つか2つずつ減らしているが、教員数は統合前の数を維持していた。しかし、 予算額が減少する中で、平成26年度からは、教員数についても削減するよう機構本部の方 2 針が決められた。本校では統合時に2学科減らしたわけであるが、それに伴って教員数を平 成26年度から平成30年度までに11名削減しなさいという要請があった。これは、結構 大変な数である。 さらに、センター専任の教員枠について機構に供出するよう要請があった。本校では、セ ンター専任の教員は実質6名であり、このポストを同じく平成30年度までに機構に渡す ことになっている。合計17名を30年までに計画的に削減しなければならなくなり、大変 厳しい状況になっている。 また、入学志願状況について、仙台市に関しては少子化の直接の影響はまだないが、今後 は大きく影響してくるものと思われる。もう一つはいわゆる専門学校について、高等教育機 関の扱いへと格上げしようという動きが文科省を中心に議論されており、中央教育審議会 の動きでも多分その方向にいくのだろうと思われる。これは、高等専門学校と専門学校との 関係が逆転してしまうという大きな問題を孕んでいる。専門学校が大学相当(高等教育機関) になってしまうと、高等専門学校は大学相当ではない、いわば短大相当か、もしくは制度上 はもっと下というぐらいになってしまう可能性が大いにあるわけである。短大は準学士の 学位を授与することができるが、高専は準学士の称号が与えられるだけで学位の授与には なっていない。これが、高等専門学校と専門学校とが逆転するという、大変厳しい状況なの である。 そういった中で、高専 機構本部を中心に内部で もいろいろな議論をし、 たとえば、今後本当に高 専を存続する意味がある のか、というような議論 までしてきている。その 中で、やはりこの15歳 からの教育を5年間、し かも実践型の教育をしっ かり実施していることや 実践力と行動力を非常に 高く養成して、その後大 学に行く学生たちも高専スピリッツは大変生かされて、大学からも高く評価していただい ていること、国外からも高専の制度は高く評価されており、この種の教育はやはりユニーク な教育として存続すべきだろうという議論になっている。 特に、諸外国から高専制度を導入したいというような声がモンゴルやメキシコなど数カ 国からあり、やはりこの重要なところを生かしながら、次の世代を育てていきたいと考えて いる。しかも、高専は全国各県にあり、日本における地域を活性化させるという拠点として 3 目指すべきだということを考えているところである。 このような状況の中 で、今後どうしていく かということである が、一つは教育、それ から地域貢献、そして 研究という三つの重要 なポイントについて、 何をどうするべきかと いう議論をしており、 特に、教育については コース制の導入をし て、もっと社会と連携 し情勢の変化に合わせ た柔軟な教育体系をとれる仕組みにしていくことや、社会との連携をするために教育指針 会議のようなものを設置して、企業のいろいろな方々からいいただいた意見を取り入れて いくことなど、さまざまな議論をしているところである。学生たちには、いろいろな意味 で現在の教育をさらに発展させて、特にアクティブラーニング等による高度な教育を実施 していきたいと考えている。 地域貢献については、 やはり大きな重要なミッ ションとして考えてい る。卒業、修了する学生の うち、地域への就職率が 今は非常に低いわけであ るが、これを何とか上昇 させていきたいと考えて いる。そのためには、学生 により地域を知ってもら う必要があり、そのため にインターンシップをも っと積極的に、特に長期インターンシップを行い、企業に対する学生の理解と、社会を経験 するということをもっと経験させていきたいと考えている。また、地域企業と高度な連携を とり、仙台地域あるいは宮城県地域の企業を世界で輝くような企業に成長させていくこと で、お互いのウイン・ウインの関係を図りたいということを考えている。 4 最後に研究である が、前に述べた地域貢 献のためにも、研究を しっかりと高度化する ことが大変重要と考え ており、いろいろな方 策も打ち出し始めてい る。特に、研究体制の 確立としては、カリキ ュラムを改変し、学習 単位を導入して授業時 間を午後3時前には終 わらせて、教員の研究 時間を確保すること、あるいは学科を越えた複数の教員によるグループ化を推奨し、研究 を推進して連携体制をしっかり作ること、 それからプロジェクトのための研究室を用意するために、学校全体の部屋の管理を今まで の学科等が管理する状態から、全学一括管理体制に変更しようとしているところである。 また、構内にある各種機器・装置について、共同化・共有化を図って装置の有効利用を図る ことを今年度から取り組んでいるところである。 5 2.専攻科・国際化・地域連携などをキーワードとした個性化・高度化 総務担当副校長 竹 茂 求 今、非常に大きな課 題が仙台高専だけでは なく高専全体に存在し ている。その外的要因 は、たとえば少子化、 財政難、産業構造の変 化、専門学校の大学化 等である。その中で, 本校専攻科が抱える課 題として1点重要なこ とは、専攻科の一部の 専攻の区分では学士の 学位授与に係る特例適 用が認められなかった問題がある。これは、一番重要なポイントは去年までは専攻科の2 年生が大学評価・学位授与機構から学士の学位を取得するためには、自分の専攻研究のレ ポートを大学評価・学位授与機構に提出し、それぞれのレポートに応じた試験を個人個人 が大学評価・学位授与機構に直接出向いて受験し、初めて学位が取得できるという制度で あった。ほとんどの学生はこの制度により学士の学位を取得することができるのである が、平均して全国の3%の学生は学位が取得できない状況にあり、これは大きな問題であ った。そこで、各高専が認めれば学位が取れるようにしようという長年の夢が今年から実 現し、今年の専攻科2 年生からは、大学評価・ 学位授与機構による学 士の学位授与に係る特 例適用認定を受けた高 専専攻科においては、 学習総まとめ科目のレ ポートを提出すれば大 学評価・学位授与機構 から学位が授与される という制度になった。 ただし、この専攻科に 関する学士の学位授与 6 に係る特例適用認定審査は、専攻の区分ごとに各教員の研究の業績と指導内容がかなり厳 しくチェックされて、仙台高専も機械の専攻区分だけは去年認定されなかったものである。 機械の区分については、全国的にかなり厳しい審査だったという背景もあった。しかし、今 年の申請においては無事に機械の区分についても認定を受けることができた。今後、認定を 継続させるためには各教員も一層の研究業績の積上げが必要になり、また、優秀な教員を継 続して確保していくことも重要な課題と考えている。 また、第1ブロックではこの1年間特にいろいろな議論をしており、その議論の核は7年 制、それからブロック統合という、非常に大きな議論をしている。7年制については、これ は本当に実現するか、あるいは実現したほうがいいのかどうなのかということも含めて、議 論すべき内容だと考えている。 これは北海道と東北地区 合わせて全10高専を一つ の高専として統一しようと いう、非常に大きな話を検討 していることである。つま り、Aキャンパスが例えば一 関、Bキャンパスは鶴岡と、 そういう意味である。これ全 体を一つの学校として、各キ ャンパスに7年制のある学 科、あるいは5年制のある学 科、それぞれをコース制にし て、各キャンパスに同じコースがあったり違うコースがあったりしてそれぞれの行き来も できるようにする、というように一つの学校にすると、各キャンパスでの学生の定員とか教 員の移動とかも非常に柔軟 にできるので、教育効果とか 財政についてもスケールメ リットを生かして運営でき るのではないかというのが 一つの考え方である。これは 高専機構全体としても検討 していて、どこまでが実現可 能性があるのかどうか等に ついては、不透明なところが 多い。 第1ブロックは毎月さま 7 ざまな事項について議論を している。そのうちの要点が 7年制のためのカリキュラ ムモデルを考えること、ま た、一つの学校にするのでブ ロック全体の各キャンパス の学事日程も統一する、授業 時間も統一するということ を検討している。 重要なポイントは、第一 ブロックの高専では各キャ ンパスが括り入学のための 学科改組をする、つまりコ ース制を選択する場合には連携しなければならなくなる。実は北海道・東北地区は既にか なりの学校が大学科・コース制を導入しており、コース制ではない高専は少数となってい る状況である。そこで、仙台高専は平成29年4月から大学科・コース制が導入できれば ということで、文部科学省への改組相談に向けて検討しているところである。これは実施 できるかどうかはまだわからないという状況である。特に改組のためのカリキュラム関係 及び教員の組織等のワーキンググループをつくって議論しているところである。 それを実現するためにはさまざまな課題があるが、特にキャンパス間での教育の連携も しなければならないので、通常の講義型ではなく、アクティブラーニングを含めた次世代型 教育を推進する必要がある。また、遠隔授業を実施するためにテレビ会議システムも充実さ せなければならない。さらに、専攻科の高度化もしなければならないということもあって、 教員全体の研究力の向上が必須の課題となってくる。現時点での改組の計画では、従来の専 門教育を重視することは当然 であるが、社会に出てからの 人間力、コミュニケーション 力をさらに伸ばすためのリベ ラルアーツやキャリア教育等 を強化しなければならないと 考えている。また、国際化に対 応するための英語教育・英語 コミュニケーション能力を高 める授業をこれまで以上に実 施しなければならないと考え ている。 8 現在検討されている本校の改組・コース制導入計画の素案は、図表のとおりである。本 校は、6年前に統合しており、去年の春初めての卒業生を送り出したので、今は高度化の 統合が完成したばかりである。そこで、どうしてまた急にコース制を導入しなければなら ないのかということであるが、震災前にもさまざまな課題が山積していたわけであるが、 特に東日本大震災を契機に、より少子高齢化、産業構造の変化、地域創生、地域連携の重 要性が特に顕在化し、また、安心・安全、持続可能社会の構築、復興・復旧を含めて地域 創生に拍車がかかってきたこともあり、世の中の動きに合わせて高度化をより進める必要 がある、という考え方である。したがって、平成21年10月の仙台高専としての統合が 第1次の高度化であり、現在本校が検討している改組・コース制の導入が最終的な高度化 を実現するという位置付けで考えている。 具体的に何をどのようにするかということであるが、両キャンパス、二つの高専が一つの 高専になったことが第1次の高度化、そして今回検討している改組・コース制は、広瀬キャ ンパスに3学科、名取キャンパスに4学科本科があり、その上に2つの専攻科があるわけで あるが、本科全体を一つの総合学科にすることである。総合学科をⅠ類、Ⅱ類、Ⅲ類と分類 して、一括で類ごとの入学試験を行い、2年生に進級する際にコースを選択させようとする ものである。 もう一つは、応用科学コースというものを設けることである。これは、低学年で既に専門 科目を学習した後に、理学的な要素、物理とか数学とか、そういう理学的な要素を勉強する コースである。つまり、技術に基づいたサイエンスを勉強するということであり、日本の教 育システム、あるいは世界にもないかもしれない、非常に特徴的な教育カリキュラムだと考 えている。このコースを両キャンパスに跨って作ろうと考えている、将来は専攻科にも応用 科学コースに対応した専攻を作る予定である。 それから、大学科・コース制にすることのメリットは、単なる学科をコースに変えたとい うわけではなく、例えば学科ごとにカリキュラムは編成されているので、その学科の中でど れだけの単位を取らなければ ならないという制限があるわ けであるが、学校全体を一つ の学科だとすると、いろいろ なコースの科目もある意味で は自由に取れるというメリッ トがでてくる。つまり、本当 の学習の融合化というものが 実現できるのではないかと考 えている。また、一つの総合 工学科に教員全員が所属する ことになるので、小さい学科 9 ごとに教育するだけではなくて、全学的な視野で教員がいろいろなコースを教育できるの ではないかと考えている。 カリキュラムの全体像について、記述する。高専教育制度については、特に専門教育の 早期実践導入等の点で高く評価されている。しかし、今後は人文社会とか、一般数理を含 めたリベラルアーツも高専独自のカリキュラムとして教育すべきであると考えている。ま た、社会人になるためにはキャリア教育がまさに重要であると考えており、低学年時から キャリア教育を進めていくことを考えているところである。高専の長所の一つとしては、 1年生から3年生までは高校の学年であるけれども、高校の指導要領にとらわれる必要が ないことが挙げられる。無視するということではなく、基本となることはしっかり勉強し て、将来技術者を目指してい る学生にとっての有効な教育 カリキュラムを構築すること ができること、それが最大の メリットだと考えている。こ れは、従来の専門科目を教え ていたこと対して、同程度の レベルまで教えようと計画し ているということである。そ の際に、全体が一つの学科で あるので、低学年ではいろい ろなコースをミックスして、 学ぶことができるようにな る、または幾つかのコースに跨って学生が学ぶこともできることを想定している。さら に、上級生が下級生に対してコースに限らず指導する、また、学年の縦のつながりとコー スの横のつながりを有効的にミックスさせて、効果的な教育をしなければならないと考え ている。例えば、実際の企業 でもいろいろな専門部署の方 が集まって一つのプロジェク トを遂行するということがあ るわけなので、学生の間にそ ういう体験をさせて社会に送 り出すべきであると考えてい る。 また、本科卒業後に専攻科 2年生まで進学することを考 えると、制度的には海外に1 10 年間のインターンシップに行かせる、または、企業での1年間のインターンシップを実施す る、ということも十分に可能であると考えている。さらに、実現できるかどうかはわからな いが、高専が7年制になった場合には5年の後期から専攻科1年の前期にかけて、ヨーロッ パ、アメリカなどの高等教育機関のカリキュラムに沿った留学も実施できるようになるの ではないかと考えている。また、授業時間についても1コマ90分授業を1日3コマくらい 用意して、早い時間で正規の授業を終了させて、放課後の空いた時間には先に記述した縦横 のミックスした授業とか、主体的な学びの時間を確保できるのではないかと考えている。こ の点は東北地区のブロックでは平成28年度から共通に実施しようと議論が進んでいると ころである。 最後になるが、研究・産学連 携担当副校長の分野と重複す る部分もあるが、本校は今後 まさに地域と連携してウイ ン・ウインの関係を作りなが ら、地域企業をともに発展さ せることによって、仙台高専 の存在価値を高めていく必要 があると考えている。そのた めにも、専攻科に係る教育と 研究両面でより地域に貢献で きるよう学生を教育しなけれ ばならないと考えている。また、卒業生は国内、国外問わずにグローバルに活躍しているわ けであるが、地元活性化のためのJターン、Iターン、Uターンなどの希望も含めて、多く のOBや企業の方々のニーズにも対応できる体制をとらなければならないと考えている。 11 3.次世代型教育推進への取り組みを初めとしたカリキュラムの個性化・高度化 教務担当副校長 馬 場 一 隆 今年は、次世代型教育推進への取り組みを初めとしたカリキュラムの個性化・高度化と題 して、この1年間の教務関係について記述する。 仙台高専では、次世代 型の教育推進について、 継続して取り組んでいる ところである。この図表 は、次世代型教育推進へ の取組みを示した図であ るが、全体3つの柱から 構成されている。1つは アクティブラーニング型 授業、もう1つは問題解 決型・プロジェクト型の PBL教育の充実、そし てもう1つは自学等の後 で個別指導や対面授業を行うマイペース完全習得型学習、反転授業に近いものですが、こ ういった3つの柱を次世代型教育推進室を中心に積極的に進めているという状況である。 学生の能力を引き出すような教育を構築するという目的がある。 この次世代型教育を推 進するための枠組みをつ くりたいということを考 えており、教育内容の見 直しと授業時間の削減を 進めることにした。具体 的には、授業時間につい て1コマ90分授業の導 入ということであり、特 に専門科目は現在50分 授業を2コマ連続で実施 することが多いのである が、それをまとめて90 分授業1コマで実施するという形にするものである。このそもそもの発端は、北海道・東 北ブロック内での授業時間の共通化等を進めるということで、第一ブロック内で授業時間 12 を統一するということが発端であった。90分授業を導入するためには、それに対応する ようにカリキュラムの全面的な見直しと改定が必要になってくる。さらに、本校では最終 的には全学年で、90分授業を1日3コマで授業自体は完了させるような体系にもってい くことを考えているところである。 その結果、生じる学生 の余剰の時間について は、PBL教育を充実さ せるための時間として使 うこと、また、学年・学科 横断型の教育を行うこ と、あるいは学生の課外 活動を初めとする自発的 な活動を活性化させると いうことを考えており、 これを通して教員の授業 とか課外活動指導等の負 担を軽減させていきたい と考えている。 1コマ90分授業の導入であるが、学内に設けている教育改革本部会議の本年6月3日 の会議において、来年度から1コマ90分授業を導入することを正式に決定した。下図表 が変更後の授業時間の枠組みである。1校時が8時50分から始まり90分授業、その 後、10分間の休みがあり、2校時の終了が12時となる。その後50分の昼休みを挟み 3校時が12時50分から始まり、14時20分には最終的に授業が終わりになるような 形である。その後、4校時目を設けてあるが、それが終了するのが16時という時間割の 枠組みを作った。現在専 門科目等で行っている5 0分プラス50分の授業 では合計100分、休み 時間も通して授業をする と110分の授業を行っ ていたわけであるが、こ れを90分に減らすとい うことを来年度から行い たいので、先生方に授業 内容の精査と削減をお願 いしているところであ 13 る。また、将来的には完全に3校時までで授業が終わることになるので、学生の主体的な 活動の時間を充実させることで、課外活動指導等の教員負担を軽減させたいと考えている ところである。 時間割に合わせてカリ キュラムの改定も進める ことにした。特に広瀬キ ャンパスでは、先行して 来年度の入学者から対象 となるカリキュラムの改 定作業を進めることとし た。大学科・コース制の 導入についても進行中で あるが、基本的にはコー ス制導入後も枠組みは変 えないこととしている。 したがって、来年度の入学生から90分授業を1日3コマ授業で対応できるようなカリキ ュラムを導入することとしている。名取キャンパスでは、平成29年度からの入学者から カリキュラムの改訂を行う予定である。改定のための作業については、昨年の前半から進 めており、改定前と改定後、こういう枠組みで一般科目と専門科目を組み合わせるという 全体の枠組みを決めて各学科等に検討を依頼し、ここに示すようなロードマップをつく り、昨年9月までに90分授業3コマに対応するようなカリキュラムを作成した。 ここまでのところを まとめると、まず次世 代型教育を推進すると いう取り組みを積極的 に進めており、90分 授業導入による授業時 間の削減を進めている こと。また、それに対 応してカリキュラムの 見直しと改定を行い、 広瀬キャンパスでは来 年度の入学者から、名 取キャンパスでは平成 29年度の入学者から新カリキュラムが適用されることとなること。現カリキュラムの対 応者についても、授業時間の削減に努めていきたいと考えており、学修単位A型15時間 14 について、可能な科目は授業を転換して大学などの学修単位を積極的に導入していくこと とした。また、可能な範囲で今年の入学者までの旧カリキュラムで学ぶ学生に、一部新カ リキュラムを導入することで、これを進めていきたいと考えている。余剰の時間について は、PBL型の教育を充実させる、また、学年・学科横断型教育を積極的に進める、ある いは学生の自発的な活動を活発化させていきたいと考えている。 そのほかの取り組み としては、高専機構本部 が推進しているモデル コアカリキュラムの導 入等への取り組みも進 めている。高専機構本部 では、教員がWeb上で シラバスの入力作業等 が可能となるWebシ ラバスというシステム を作成したが、今年度か ら試行的に本校でもW ebシラバスを導入し ている。各教員が使用して改善意見、要望事項等を集約し機構本部へ回答したこともあり、 使いやすいシステムとなってきているので、もう少し精度を上げることで全高専でも使用 できるのではと期待している。 そのほか、学生の国際 性を育む教育について は、従前から重要視して 継続的に取り組んでい る事項である。例えば、 本科5年生の海外への 長期インターンシップ は、今年は広瀬キャンパ スで8名、名取キャンパ スで2は名参加してい る。また、海外研修生に ついても積極的に受け 入れを実施している。ま た、本科4年生では、タイKMITLへの海外研修旅行を継続して実施している。さらに、 海外学術協定校の外国人教員を招聘して英語による集中講義を今年も実施しており、その 15 科目は総合科目A,Bとして単位化することも継続して実施している。 入学志願者数当については、以下のとおりとなっている。 入学志願者数の総計は、前年度に比較して45名減となっており、前年度に続けて減少傾 向にある。減少の理由について分析するとともに、オープンキャンパス等をさらに充実して 入学志願者が増加するよう努力していかなければならないと考えている。 16 4.研究の個性化・高度化 研究・産学連携担当副校長 遠 藤 智 明 本校は、平成21年10月に統合し、高度化高専となっている。その統合の際に、本校の 研究の推進、産学連携の推進等については、地域人材開発本部という大きな組織が設置され、 専任教員6名配置により東北6高専の中心になるという形で地域イノベーションセンター、 CO-OP 教育センター、ICT 先端開発センターの3センターがそれぞれの活動を行ってきた。 その3センターの人員について、機構本部から通知があり、センターに係る人員枠6名を平 成30年度までに機構本部に返還しなければならなくなった。したがって、活動を段階的に 縮小していかなければならないということで、平成27年度からは地域人材開発本部を廃 止し、本校の研究の推進、より地域に密着した連携活動の拠点として新たに研究推進センタ ーを設置して、活動を行っているところである。 研究推進センターの設 立に当たっては、本校教 員のみならず地域企業の 方々を交えてさまざまな 議論を行った。企業の皆 様からの意見を集約する と、やはり地方再生を踏 まえて仙台高専の立つ位 置というのは、地域密着 型の学校でなければなら ないことがより明確にな ってきた。地域の産業が 活性化しなければ仙台市 の活性化もないし、宮城県、東北の復興再生、活性化もない。そのような地域再生に寄与す るためには、本校の体制等をどのように構築すればよいのか検討し、研究推進センターが設 置された経緯がある。 研究推進センターの役割については、第一に地域企業との連携をより強化して、研究・開 発を地域密着型で実施することが挙げられる。本校には、地域企業協力会である仙台高専産 学連携振興会があり、また、宮城県内の地域企業等に対して、技術相談から技術開発、事業 化等に県内外の大学、高専などが連携して支援を行うためのネットワークであるKCみや ぎ等もあるので、ともに連携・協力を強化して、地域再生を進めていく必要がある。具体的 には、従来は教員と企業の方々、というような組み合わせで研究・開発を行ってきたわけで あるが、これからは学生も含めて連携を強化していくことが一番大きな効果があるのでは ないかという結論になり、従来から実施していた就業体験型のインターンシップに加えて、 17 専攻科1年時に1~3ヶ月間の課題解決型長期インターンシップを実施することとした。 学生は、お客さん扱いではなく、企業の実際の問題・課題等に対して改善案等を提示し、実 際に企業の役に立ちながら学生も育っていくというものである。学生が1~3ヶ月の長期 間学校を離れることが可能となる仕組みは、専攻科の課程にクウォータ制を導入すること で解決した。また、産学連携振興会の会員企業とはこれまでも個別に教員との間で共同研究 という形で連携を行ってきた実績があるが、なかなか製品化等までは進展できていない、と いう現実があるので、個別にではなく教員も企業の方々も連携して一体化したプロジェク ト型の共同研究ができないかということを検討中である。 また、そのようなことを進めるためには教員の研究体制も変更をはじめたところである。 学内の研究の活性化を図るため、教員の縦横連携による専門分野の融合をテーマとしたグ ループ研究を推進する制度である。研究に関して、テーマを決めて学内で研究グループを作 り、校長宛に研究費の申請を行い、ヒアリングを経て申請が承認される仕組みである。財源 としては、運営費交付金のうちの教員研究費分について、半額を留保することにより捻出し ている。翌年度には研究結果のヒアリングも予定している。 また、学内研究活性化の支援策のもう一つは、学内共同利用設備・機器の有効利用と効 果的な運用体制の確立を図ったことである。学内には高価な設備・機器があるが、これを もう少し有効に活用しなければならないと考えている。そのためには宮城県産業技術総合 センターと協力するということも一つであるが、学内で使いやすい体制を構築していかな ければならないと考えている。また、研究を進めるためには機構本部からの運営費交付金 だけでは当然間に合わないので、外部資金を積極的に導入していくことが必要であり、そ のための仕組みづくりを進めている。さらに、研究・開発の中で生まれてくる知的財産も 有効に活用していきたいと考えている。 また、産業界を中心と した地域連携について、 今 後の仙 台高専モ デル と いうも のを検討 中で ある。本校では、就職を 希望する卒業生のうち、 地 元に残 らない学 生が 多く、地元に就職する学 生 は少な い傾向が 続い ている(15~20%程 度)。地元に残ってくれ る 学生を 増やすに はど うしたらよいのか、さま ざまな検討を行ってきた。その結果、学生が入りたいと思うような企業を増やすことが大事 18 であるという結論に達した。そのためには、地元企業にがんばってもらうことも当然必要で あるが、ある分野では日本有数の企業となるように、または世界有数の企業となるように本 校としても貢献していかなければならないと考えている。例えば、地元企業等との密接な関 係を築いたうえで、技術相談や共同研究等がうまく活性化していくと、当然地域企業との連 携も強くなることが予想される。さらに、自治体、政府機関あるいは金融機関などの支援を 受けながら、これまで以上に連携を強化するよう取り組んでいきたいと考えている。そのた めには、前述したように学生を介する企業課題発見・解決型のインターンシップなどを強力 に進める必要があると考えており、その中から研究のニーズやシーズも生まれてくるはず である。こういう関係がうまくいけば、企業自身もしだいに大きな会社となっていくのでは ないか。そうすると、このよい関係性が強まれば、世界へ進出できる企業も出てくるのでは ないか、と考えている。 もう一つは、こういった流れをつくるために社会人の教育をする、あるいは企業の方々に お願いして学生を教育するということも重要になってくる。そういった活動を継続して実 施することができれば、もう既に働いている社会人の皆さんにも戻ってきたいという企業 が出てくるのではないかと考えている。戻ってくるときに、もう一つスキルアップという形 で仙台高専を利用して戻ってもらえるような形、そして地元の企業に再就職してもらえる ような仕組みができないかと検討している。このような一つのモデルがうまく回り始める と、最終的には地域の活性化が可能になるのではないかと考えている。 そこで、具体的に何を 実施したかということ であるが、本年度は専攻 科の1年生を対象に課 題解決型の長期インタ ーンシップを実施した ところである。これは受 入れ企業にとっても利 益のあるインタ-ンシ ップとすること、また、 学生に地元の企業をよ く知ってもらうこと、教 員にも地元の企業をよ く知ってもらうこと、地元の企業の方にも仙台高専をよく知ってほしいということが狙い となっている。従来は、教員と企業とのマッチングをとろうとしてもなかなかうまくできな かったが、学生を介在することによって非常にスムーズにマッチングがとれてきたという 実感がある。インターンシップの期間も1~3カ月という長期にすることにより、単なる就 労体験型のお客さん型のインターンシップではなくて、実際に企業の問題・課題を解決して 19 くる、あるいは解決策を提示するということが可能になってくる。 これは、そんなことが可能なのか疑問に思われるかもしれないが、インターンシップを受 入れた企業の方々からは、ほとんどの企業から、長期インターンシップを実施して企業にと ってもメリットがあったという評価をいただいているところである。また、課題解決の中で 出てきた成果は、特許の知的財産につながるからこれ以上はお話できないけれども、非常に 役立っているとか、そのような言葉もいただいているところであり、来年度以降も継続して 進めていきたいと考えている。 また、教員グループの研究促進ということで、教員個人個人の持つ力を伸ばすのも一つの 方法であるが、グループとして研究を開始することができれば、まったく新しい問題にも取 り組める機会も増えることが予想され、学生指導の面からもとても効果的ではないかと考 えている。 また、これはまだ実際には進んでいないが、教員複数と産学連携振興会企業の方々複数と でプロジェクトを結成して、一つの新しい課題に取り組んで新たな製品等を生み出そう、と いう試みであり、今後できるだけ早い時期に進めたいと考えている。 インターンシップの 実施イメージであるが、 今までであれば1カ月 間実施したとしても最 初の2週間は企業の紹 介やら業務、設備等の説 明などで終わってしま い、企業体験を実際に行 う期間としては2週間 程度でしかない、という 形が過半数であったと 思われる。これは、就労 体験型に分類されるも のと考えている。それに対して、課題解決型長期インターンシップでは、期間を3カ月に延 ばすことによってどういうことが可能かというと、1回体験したことに対して、改善案の考 察や失敗の原因調査などを行い、さらに改良を加えられるかというように考える期間を設 けることができるところである。また、インターンシップの実施方法についても、従来は個 人で企業に伺うという形が主だったが、これを学生複数で伺うことを可能とした。つまり、 専門の異なる学生を複数で送り出すと、かなり大きなシナジー効果が出るということもだ んだんわかってきたことである。こういうことを通して、問題を解決して帰ってくるという ことが可能になってきたということである。来年度以降についても、課題解決型長期インタ ーンシップは継続して実施したいと考えている。 20 平成27年度外部資金受入状況一覧 資金種別 件数 広瀬キャンパス 名取キャンパス 受入金額 受入金額 うち間接経費 件数 うち間接経費 件数 合 計 受入金額 うち間接経費 受託研究 0 0 0 1 1,365,000 315,000 1 1,365,000 315,000 共同研究 19 2,490,806 187,346 7 3,270,960 287,360 26 5,761,766 474,706 受託事業 1 2,484,000 0 3 3,798,020 0 4 6,282,020 0 受託試験 0 0 0 0 0 0 0 0 0 寄附金 7 13,271,433 0 9 11,464,261 0 16 24,735,694 0 補助金等 5 18,520,000 0 4 34,117,586 1,741,058 9 52,637,586 1,741,058 科研費 29 45,355,200 10,237,200 22 26,177,700 5,948,700 51 71,532,900 16,185,900 合計 61 82,121,439 10,424,546 46 80,193,527 8,292,118 107 162,314,966 18,716,664 資金種別 教育研究 支援基金 件数 0 法 人 金 額 個人等 金 額 件数 0 1 件数 2,000 21 1 合 計 金 額 2,000 平成27年度外部資金受入状況 平成 科研費 NO. 種 研 究 題 目 重度・重複障害児を対象としたeラーニングシステム の基礎的研究 言語聴覚士のための言語機能訓練教材の開発と訓練支 基盤研究(C) 援システムの構築 受入金額 直接経費 1,560,000 1,200,000 650,000 500,000 3 袁 巧微 教授 基盤研究(C) GPUを用いたモーメント法の高速化に関する研究 1,040,000 800,000 4 早川 吉弘 教授 基盤研究(C) 全結合型人工神経回路網の巨大システム化の技術開発 1,170,000 900,000 5 高久 裕之 研究員 基盤研究(C) 内視鏡用高強度先端部一体型赤外伝送路の開発 1,690,000 1,300,000 6 高橋 晶子 准教授 協調メカニズムデザインに基づく安心でロバストな災 若手研究(B) 害情報共有システム 1,560,000 1,200,000 7 園田 潤 教授 基盤研究(B) 上空・地上の複合レーダと自律航法技術による大規模 自然災害の効率的な捜索手法の開発 11,180,000 8,600,000 8 園田 潤 教授 基盤研究(B) 1,690,000 1,300,000 2,210,000 1,700,000 2,210,000 1,700,000 1,170,000 900,000 研究代表者 1 竹島 久志 教授 2 與那嶺 尚弘 准教授 9 菅谷 純一 教授 10 馬場 一隆 教授 11 佐藤 公男 教授 目 基盤研究(C) 上空・地上の複合レーダと自律航法技術による大規模 自然災害の効率的な捜索手法の開発 慣性ロータ型倒立振子を用いた制御教育・出前授業支 基盤研究(C) 援システム ブロック状光素子を用いるアクティブラーニング型光 基盤研究(C) 技術教育の実践的検証 ネットワーク利用による簡易型バスケットボール支援 基盤研究(C) システムの利便性向上 12 矢島 邦昭 教授 基盤研究(C) 次世代型PBLを意識した国際出前授業の推進 1,560,000 1,200,000 13 松枝 宏明 教授 量子・情報物理・幾何の絡み合いの解明:量子古典対 基盤研究(C) 応の研究 2,470,000 1,900,000 14 林 忠之 教授 基盤研究(C) 2,080,000 1,600,000 15 宮城 光信 名誉教授 基盤研究(C) 無侵襲内視鏡治療用無破断レーザ光伝送装置の研究 2,080,000 1,600,000 1,820,000 1,400,000 3,380,000 2,600,000 780,000 600,000 500,000 500,000 195,000 150,000 195,000 150,000 390,000 300,000 538,200 414,000 390,000 300,000 910,000 700,000 195,000 150,000 390,000 300,000 208,000 160,000 16 關 成之 准教授 17 園田 潤 教授 局所励磁機能を兼備する新たなSQUID顕微鏡開発とそ の高分解能磁気記録・検出応用 傾斜機能構造を有する透明導電膜のナノミスト堆積法 基盤研究(C) による新規な作製技術の確立 落雷予測のための高精度3D地形モデルと超高速GP 挑戦的萌芽研究 Uクラスタによる雷放電電磁界解析 18 佐藤 健太郎 助教 若手研究(B) 原子層物質の共鳴ラマン分光 太田 隆 技術専門職 19 員 コンピュータ動作の基礎学習のためのビギナー向け教 奨励研究 材開発 海陸複合電磁気観測網による地殻変動準備過程および 基盤研究(A) 地下流動の検知・監視技術の開発 20 園田 潤 教授 21 松枝 宏明 准教授 基盤研究(B) 22 兼下 英司 准教授 基盤研究(B) 23 關 成之 准教授 挑戦的萌芽研究 24 園田 潤 教授 基盤研究(A) 25 千葉 慎二 教授 挑戦的萌芽研究 26 兼下 英司 准教授 基盤研究(C) 27 大場 譲 助教 基盤研究(B) 28 竹島 久志 教授 基盤研究(C) 非平衡系における量子シミュレーション法の開発 3d遷移金属化合物のスピン・電荷励起と非弾性X線 散乱の理論 3状態スマートウィンドウの陰イオン濃度制御による 可逆/不可逆切替機構に関する研究 圧縮センシングと最適空間サンプリングによる地雷検 知用レーダ・イメージングの効率化 超小型飛行ロボットを利用したサイバー・リアルコン ピューティング基盤技術の創生 内包イオンの局所対称性の破れが誘起するクラスレー トの高い熱電変換特性の物理的起源 テレコピーロボットを用いた遠隔地間における運動と 力覚の複製 障害者への合理的配慮を実現するための動作と所作の 自己調整・学習メゾットの開発 22 29 袁 巧微 教授 基盤研究(C) 高効率の無線電力伝送システムの設計法の研究 30 大町 方子 准教授 基盤研究(C) 統計的構造解析による画像認識用データの自動構築 650,000 1,820,000 人間の認知特性を活かした情報呈示インタフェース・ 若手研究(B) デザインの実証的提案 応力場を考慮した構造体コンクリートの耐久性照査・ 若手研究(B) 劣化予測システムの構築 ワイヤレス充電時のインピーダンス変化に基づく充電 基盤研究(C) 情報計測システムの実証的検証 1,040,000 34 濱西 伸治 准教授 基盤研究(C) 「骨導マップ」による剣道難聴のメカニズム解明 1,300,000 35 岡崎 久美子 教授 基盤研究(C) 高等専門学校の学生のコミュニケーション能力を高め る英語教科書の研究開発 1,040,000 36 矢入 聡 准教授 若手研究(B) 聴覚ディスプレイにおける音像の存在感に関する研究 1,690,000 37 相模 誓雄 准教授 基盤研究(C) 38 遠藤 智明 教授 基盤研究(C) 39 山田 洋 准教授 基盤研究(C) 40 永弘 進一郎 准教授 基盤研究(C) 41 藤田 智己 准教授 基盤研究(C) 42 坂口 大洋 教授 基盤研究(C) 43 吉野 裕貴 助教 研究活動スター ト支援 44 田中 ゆみ 奨励研究 45 佐藤 安功 特任教授 基盤研究(C) 18世紀啓蒙主義の自然観と現代の教育哲学 46 権代 由範 助教 基盤研究(B) と適用 災害復興における計画策定とその実装に関する国際比 基盤研究(B) 較研究 東北地方に現存する野外舞台建築・芝居小屋の活用実 基盤研究(C) 態と地域における役割に関する研究 455,000 基盤研究(C) 二次元物体後流のカルマン渦列の制御 260,000 31 伊師 華江 准教授 32 権代 由範 助教 33 佐藤 拓 助教 47 坂口 大洋 教授 48 坂口 大洋 教授 49 野呂 秀太 助教 50 武田 淳 教授 50' 武田 淳 教授 51 葛原 俊介 准教授 日本の豪雪地帯における近世期の御蔵所の空間構成原 理及び地方性に関する研究 究極のエコ型施肥装置のためのアンモニア生成触媒の 基礎研究 もったいないエネルギーによるピコ発電システムの開 発 ダイラタント流体の二種類の異なるずり粘化メカニズ ムの解明 東日本大震災における鉄骨置屋根型構造物の損傷メカ ニズムの解明と損傷制御法の提案 BCPを視点とした公共文化施設における災害対策指針 と長期マスタープランの実施化 非構造部材によって連続補剛されたH形鋼梁の横座屈 性能に関する研究 高専学生を対象とした「学習キットを用いた複合的な 学習」による学習動機付けの試み メンテナンスフリーRC構造物を実現する自己修復FRCCの開発 理工系公開学習資源を活用した高専生向け英語教材の 基盤研究(C) 開発法 理工系公開学習資源を活用した高専生向け英語教材の 基盤研究(C) 開発法 基盤研究(B) 金属素材の持続可能な循環利用システムの構築 合 23 計 0 1,950,000 1,040,000 2,730,000 2,730,000 2,210,000 1,300,000 1,690,000 1,560,000 400,000 130,000 260,000 390,000 130,000 130,000 1,922,700 71,038,900 課題解決型インターンシップ実施状況一覧 番号 企業名 課題 期間 希望人数 会員 A-1 株式会社IFG 健康装置の開発 2015/8/17 ~ 2015/11/27 1 会員 A-2 株式会社イマジックデザイン 温熱モデルの作成業務 2015/8/17 ~ 2015/9/18 1 会員 A-3 株式会社岩沼精工 コマの開発 2015/8/17 ~ 2015/11/6 1 会員 A-4 株式会社日本セラテック セラミックスの焼却と評価 2015/8/17 ~ 2015/10/2 1 会員 バイスリープロジェクツ株式会 A-5 画像処理の検討・試作・実験・評価 社 2015/8/17 ~ 2015/11/27 1 会員 A-6 トライポッドワークス株式会社 映像解析技術を用いた新サービス開発 2015/9/28 ~ 2015/11/27 会員 A-7 株式会社馬渕工業所 会員 A-8 創造技研株式会社 非会員 A-9 株式会社ユーメディア 会員 会員 非会員 非会員 A株式会社ジー・イー・エス 10 A株式会社仙台ニコン 12 A大洋電子株式会社 13 A日本精工株式会社 14 学生数 学生数 (広瀬) (名取) 1 受入 備考 決定 - 1 希望者なしのためとりやめ 決定 1 1 決定 実習終了 決定 1~2 2 決定 2015/9/14 ~ 2015/11/27 2 2 決定 2015/8/17 ~ 2015/11/20 1 1 決定 情報システム運用と各種メディア事業 2015/9/14 ~ 2015/11/20 2~3 1 決定 結晶作成実験 2015/8/17 ~ 2015/11/27 1 - 学生が従来型を希望した ため、従来型にて実施 自動装置の最適化 2015/8/17 ~ 2015/11/27 1 - 希望者なしのためとりやめ 光ファイバ照明の改良試作品の作製 2015/9/28 ~ 2015/11/27 1 - 希望者なしのためとりやめ 生産技術開発に関連するテーマ 2015/9/28 ~ 2015/11/27 1 決定 企業型が内容を課題解決 型に変更 エネルギーの最大効率のための課題 抽出 自動車の次世代駆動システムの商品 化開発 1 宮城県 B-1 株式会社TOHO 型 新規事業の提案 2015/8/3 ~ 2015/9/4 4 - 希望者なしのためとりやめ 宮城県 B-2 明治合成株式会社 型 製品検査システムの構築、製品加工ロ ボットの設定 2015/8/3 ~ 2015/9/30 4 - 希望者なしのためとりやめ 宮城県 B-3 株式会社真壁技研 型 一般向け金属ガラスの製品化 2015/9/1 ~ 2015/11/30 4 宮城県 B-4 株式会社ヴィ・クルー 型 新世代自動車の開発 2015/9/7 ~ 10 宮城県 株式会社ジャムコ エアロマ B-5 型 ニュファクチャリング 複数の課題あり。人数等とあわせて今 要相談 後決定。 2015/11/6 ~ 要相談 3 1 決定 2 決定 要相談 キャン パス計 合計 8 希望者なしのためとりやめ 9 17 公開講座 開催日 平成27年7月30日 平成27年8月4日 平成27年9月26日 平成27年11月7日 平成27年11月22日 平成28年3月27日 わくわく体験教室 開催日 平成26年6月21日 平成26年7月19日,20日 平成26年7月28日 平成26年8月2日 平成26年8月10日 平成26年11月23日 講座名 ネットワークを使ったAndroidゲーム開発入門 ラジオで学ぶ電波の世界 ラジオを作って放送局を見学しよう 小中学生向けタグラグビー教室 電波で遊ぶ 見えない光を操ろう 特別支援学校における教育活動支援のためのスイッチ対応学習型赤 外線リモコンの製作 参加人数 10 9 32 8 8 体験教室名 つくって,遊んで,楽しい科学にチャレンジしよう! 親子で作ろう手作りラジオ パソコンによるCAD・CG体験 まじかるマテリアル 分解&改造!逆まわり時計を作ってタイムスリップ!? 親子で作ろう手作りトレーサー 参加人数 25 51 9 10 11 20 24 5 出前授業 開催日 平成27年6月16日 平成27年6月29日 平成27年7月8日 平成27年7月16日 平成27年7月22日 平成27年8月20日 平成27年9月14日 実施テーマ イライラ棒ゲーム ダンボールの大砲で的をたおそう 液チ、ペットボトル 液チ、ペットボトル ゆれると光るLED 暗くなると点灯するLED ダンボールの大砲で的をたおそう 参加人数 102 116 145 77 65 92 87 リカレンジャー 開催日 平成27年7月19日 平成27年8月6日 平成27年8月28日 平成27年9月30日 平成27年10月7日 平成27年10月16日 平成27年11月10日 平成27年11月20日 平成27年12月13日 学校名等 サイエンスデイ 名取市愛島小学校北部地区子供会 名取市増田西児童センター 名取市ゆりが丘児童センター 仙台市立沖野小学校PTA・第二学年 学年委員 富谷町日吉台公民館 名取市立増田小学校2学年PTA 仙台市立八幡小学校6学年 村田小学校 参加人数 150 200 80 50 92 90 300 171 100 25 学校名 仙台市立南材木町小学校 仙台市立長命ヶ丘小学校 仙台市立南中山小学校 仙台市立片平丁小学校 エル・パーク仙台 仙台市立折立中学校 仙台市立桂小学校 5.仙台高専の国際交流 総務担当副校長 竹 茂 求 仙台高専の学生に係 る国際交流については、 いくつかのプログラム に分かれている。一つ は、統合前より実施して いる国費等の留学生の 受け入れである。これ は、3年次への編入学で あり、留学生が来日前ま たは来日してから事前 に日本語を勉強して、日 本人の高専生と一緒に 日本語で授業を受ける 制度である。日本人の学生たちにとっての国際化、という部分は余りないことになる。二つ 目は、学術交流協定を結んでいる海外の大学等があり、学生がドイツとかフィンランド、フ ランス、タイなどの国の学生と交流することで、学生にとっての国際交流のメリットが出て くるところである。一つは、文化交流型といっているが、ドイツの大学と2週間程度学生を 交互に派遣し、また受け入れているプログラムがある。 もう一つは、平成20 年 度か ら実 施し てい る プ ロジ ェク ト研 修型 プ ログラムがある。本科5 年 生の 時期 に実 施す る わけであるが、5年生に な ると もう かな りの 専 門 的な 知識 と技 能を 持 っており、海外に行って も その 専門 性を 生か し た 学習 がで きる とい う の が多 くの 高専 の特 徴 であり、派遣した学生は 派遣先の研究室に配属となり、現地の学生とともに勉強したり授業を受けたりするし、また、 協定校から派遣された留学生も本校の研究室で主に勉強することになる。派遣、受け入れの 26 期間は1カ月から1年ま でさまざまであり、例え ば本科5年生は、通常は 3~5カ月程度派遣して いるところである。派遣、 受け入れの国は、本校が 協定を結んでいる協定校 のほか、機構本部が締結 している学校も対象とし ている。 このプロジェクト研修 型プログラムを実施する に当たっては、文部科学 省のGPに申請し採択され、4年間補助金を受けることができたことが大きいと考えてい る。その間に受け入れ学 生 とか派遣 学生がだ ん だ ん増えて いったと い う背景がある。また、一 つの特徴は、仙台高専だ けではなくて、東北地区 と 北海道地 区の高専 で 連携して、派遣、受け入 れ を実施し ていると い うことである。特に、仙 台 高専はフ ィンラン ド のまとめ役、例えば八戸 高 専はフラ ンスのま と め役、という形になって おり、毎年担当者同士の協議会を開催したり、成果の発表会を合同で実施したりしている。 文部科学省の補助金が終了した後は、JASSOの奨学金について平成24年から高専も 申請が可能になったので、同じような内容のプログラムで申請し、毎年連続して派遣と受け 入れで採択されている。仙台高専は、おそらく高専の中では一番多く金額を頂戴していると 思われる。 また、教育・学術的な面でも海外の教員と連携して活動を行っている。海外の教員を招聘 して、本校の学生に対して英語による集中講義を実施し、また、本校教員が海外で海外の学 生に対して集中講義を実施した。また、併せて学校紹介をお互いに実施したり、最近は教員 27 間での共同研究の話題 も出始めているという 状況になっている。 国際化ということに 関して、研修プログラム はどのような効果があ るか、ということで検証 した結果を図表として 掲載する。大学に比べて 英語力が劣る、というこ とは、企業の方々や一般 社会からの評価であり、 高専の課題の一つとし て、学生の英語力を向上させることは高専のプレゼンスを挙げる上でも重要な事項である と考えている。英語力について、派遣学生とそうでない学生を比較した結果、1年間でのT OEICの成績が、一般学生は3年から4年に上がる1年間で13.5点ぐらいしかアップ してしない。これは全国の高専の平均よりも少しよい程度と思われるが、海外に派遣した学 生 は1 年間 で平 均1 2 3点アップしている。し たがって、460点から 5 80 点と いう そん な に 高い 英語 力と はい え ないかもしれないが、着 実 に効 果は 出て いる と 確 信で きる 数字 とな っ ている。 また、スピーキングテ ストについても、一般学 生 は3 年か ら4 年の 1 年 間で はほ とん ど伸 び ていないのに対して、海外に派遣した学生は24点ぐらいアップしている。 そのほかに、数値では測れない成果があるということを強調したい。海外に派遣された 学生たちを見ていて気づくことは、帰国後には自ら進んで勉強するようになってくる。そ れでますます伸びる、という好循環になる。また、国際化の意識もすごく高くなってく る。 28 これは2008年に 初めて派遣した8名の 学生について、追跡調査 を実施した資料である。 本科5年生のときに5 カ月程度の海外インタ ーンシップを行った学 生であるが、1名を除い て全員専攻科に進学し ている。また、専攻科で も海外インターンシッ プを実施している学生 も多くいることがわか る。さらに、専攻科修了後の進路を見てみると、東北大を初めとして大学院に進学している 学生が多いこともわかる。大学院の博士課程まで進んだのは1名であるが、修士課程修了後 に就職した後の進路について調査すると、1名の学生は、起業して独立し海外と取引も実際 に行っているということであり、また、ほかの学生も海外の勤務地で、または国内において も国際的な業務に従事しているなど非常にインターナショナルな活躍をしている、という ことがわかった。この結果を見れば、海外インターンシップがとても重要であり、いかに学 生の国際化、あるいは国際化の意識を高めているか、そして実際に進路等の実績となってい るか、ということが理解できる。 プログラムの意義を 総括すると、プロジェク ト研修型プログラムは、 専門技術に関する研修 を実施するので、英語が 得意ではなくとも専門 知識があるから、ある程 度コミュニケーション をとることができると いう特長がある。だか ら、英語力に少々不安な 学生であっても、一歩踏 む出すことができるの ではないかと考えている。コミュニケーションがとれるようになると、国際性とか英語力の 向上への意欲が高くなってなる。 (もちろん例外はあるわけであるが。 )また、先輩学生、後 29 輩の学生などを含めて学生同士がお互いの研究室を行き来していることにより、SNSな どの利用も活発なため自然に学生間で友達づくり、仲間意識ができてきて、プログラムを継 続するとそのメリットも大きくなってくると実感している。 今後の課題としては、上記のような成果を上げている学生は年間20~30名程度と一 部の学生にとどまっている現状があり、最近では希望する学生も頭打ちの状況なので、まず 海外に出かけようとする学生をもっと増やすことはできないのか、そのためにはどうすれ ばよいか、ということが挙げられる。そのためにこれから取り組もうとしていることの一つ は、低学年から全学生に国際化教育を推進しようということを考えている。やはり、低学年 のうちから国際化ということに興味を持たせるための工夫が必要と考えており。将来的に は100人程度のところまでいろいろな意味で国際化教育を進めないといけないと考えて いる。 30