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学校をドロップアウトした日系南米人の子 どもたち - MIUSE

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学校をドロップアウトした日系南米人の子 どもたち - MIUSE
Master's Thesis / 修士論文
学校をドロップアウトした日系南米人の子
どもたち : インタビュー調査とアンケート
調査をもとに
オチャンテ, カルロス
三重大学, 2008.
三重大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程地域文化論専攻
http://hdl.handle.net/10076/10942
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オチャンテ・カメレロス
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複写可
「学校をドロップアウトした日系南米人の子どもたち」
-インタビュー調査とアンケート調査をもとに-
人文社会科学研究科
地域文化論専攻
地域社会文化論専修
106M202
オチャンテ・カルロス
目次
はじめに----------------==・----・-----------=----=--------------2
第1章
三重県に住む日系南米の子どもの現状
Ⅰ.外国人登録統計から見る三重県下における外国国籍の子どもの増加状況---I--3
ⅠⅠ.公立学校に登録している外国籍の子どもたちの統計から見る就学状況------4
ⅠⅠⅠ.子どもたちの日本語について---------=-------=--I--=--------5
第2章
鈴鹿市の調査-
「日系南米の親子が語る、中学校生活」
Ⅰ.鈴鹿市における日系南米人の子供の教育状況---------=-------------------7
II.日系南米人の中学生-のアンケート調査1-----I--=---=--一一-----------------18
第3章
インタビュー方法
Ⅰ.調査概要---=--------==-------=--I----・=--I-----------=-----=-=-21
ⅠⅠ.インタビュー項目--=--------------・-=------==----=-------==--=22
ⅠⅠⅠ.
9人の事例の分析-----------------------=------------=---------23
第4章
Ⅰ.
結果と考察
9人の事例の分析により分かったこと----I-----------------==---26
ⅠⅠ.日系南米人中学生の親のバックグラウンドー・--------=--------------------=38
おわりに--I-------I----I--------=--=-----==-----=-=--=----------45
謝辞------=--I-----------1一------------------------I---------------46
参考文献---------=-----・=------------‥--=一---------------I-=-----47
1
はじめに
三重県で外国人を見かけることは、今や珍しいことではなくなった。
1990年に入国
管理法が改正され、早くも18年が過ぎようとしている。その間、今日まで、日本-移
住する外国人の数は増加し続けている。中でも、日系南米人の増加は著しい。三重県は
静岡県や愛知県に続いて日本で三番目に日系南米人が多い県である。
三重県には、平成19年の時点で約5万1千人の外国人登録者がおり、現在ではそれ
以上の数の外国人が三重県内で生活していると言われている。彼らの来日の主な目的は
出稼ぎで、
しかし、
90年代前半頃は2,
3年の短期間日本に滞在した復帰国する者が多かった。
90年代後半から、家族を同伴して来日したり、家族を母国から呼びよせたり
して定住化するケースが増えている。
90年代前半、当時から日系南米人が多かった鈴
鹿市や四日市では、ブラジルやペルーの食品を販売している店は少なかったが、今では
日系南米人のためのレストラン、美容院があり、彼らの子どものためには幼稚園、小学
校、中学校、高校などの教育施設も設立され、そこに通う者が少なくない。日本の公立
学校に通う子どもの数も日に日に増加し、教育現場にも様々な変化が表れてきている。
しかし、教育現場では外国籍の子供たちを受け入れる体制が、いまだ十分に整備されて
いない。そのため、外国人の多い学校では、独自に試行錯誤が続けられているのが現状
である。
子どもの親は不規則な労働日時を強いられることが多く、不安定な生活を送っている
中で親は子どもの生活を養うことはできても、子どもに教育を保証することは難しい。
現在では不就学や学力低下などの問題があり学校をドロップアウトする子どもの数は
少なくない。政府や各団体による日系南米などの学生を対象にした調査によってさまざ
まなことが分かってきており、近年、教育行政により彼らのための様々な対策がとられ
ている。しかし、その多くの調査は就学を対象にしたもので不就学や不登校の子どもに
ついてはあまり調べられていない状況である。不就学や不登校の子どもの数を把握する
ことは難しいが、今でも決して少なくないと思われる。三重県でも、公立の小学校や中
学校に通う日系南米の子どもは多数存在しており、不就学や不登校も課題になっている。
ドロップアウトした子どもは不就学や不登校を経験したことが多いと考えられる。そ
のため、それらの経験をしているまたは経験した日系南米の少年を対象にしたインタビ
ューの実施により、様々なことが分かると考えられる。
本研究の目的は、三重県に住む9人の日系南米(特にブラジル人)の少年をインタビ
ューし、自分自身が経験した家庭環境、学校生活について調べることにより、問題の本
質と解決のプロセスを探ることにある。ドロップアウトをした過程を分析することによ
り、家庭や社会、教育制度における問題を明らかにして、今後の対策に役立てる一助と
なれば幸いである。
2
第1章
三重県に住む日系南米の子どもの現状
Ⅰ.外国人登録統計から見る三重県下における外国国籍の子どもの増加状況
入国管理局によると19年度の時点で外国人の数が三重県で5万を越えている。しか
し、管理局では、外国人登録している者の数のみ把握しており、不法滞在の数は含まれ
ていない。入管の厳しさなどによってその数が減少している傾向にあるが、しかしまだ
少なくないと考えられる。三重国際室が毎年各市役所を通じて学齢期(7-15歳)にあ
る子どもの人数を調べている。図1では過去5年間の子どもの数のデータである。
Ⅲ14
と比較すると、 H19時点での数が1000人を超え、今後も増加し続けることが予想され
る。子どもの国籍別の割合を把握することは難しいが、日系南米人の子どもは外国籍の
子どもの6割以上を占めていると考えられている。
図1で大きく異なっているのが小学校と中学校での増加のペースである。中学校の学
齢期にある子どもの数は大きな変化がなく、どちらかといえば小学校の学齢期にある子
どもの方の数が増加している。近年、日系南米人の来日する時の年齢は、子どもを生み
育てる20代後半が多い。そのため、子どもを幼い年齢で連れてくることが多いと思わ
れる。また、日本で生まれる子どもも増加しており、その数はグラフに現れ始めている。
図1は、外国人登録に基づく学齢期の子どもの数を示しており、実際に就学している
子どもの数ではないことに注意が必要である。
図1
学齢期(7歳-15歳)の外国人の子どもの人数
出所:三重県国際室調べより
3
ⅠⅠ.公立学校に登録している外国籍の子どもたちの統計から見る就学状況
上記したように、近年、学齢期の外国人の子どもたちが増加し続けている。しかし、
その数の中で、どのぐらいの子どもが実際に日本の公立学校-通っているのだろうか。
子どもの就学状況を探るために三重県で外国人が一番多く住んでいると思われる市の
データを収集した。市同士で今年度(5月末現在)の学齢期7-1
5才(日本の義務教
育に基づく計算)と公立の小・中学校に在籍中の子どもの数を比較した。その結果を表
1に示す。公立学校の在籍数パーセンテージを見ると全て市で50%を超えている。し
かし亀山の場合は84%と他の市よりはるかに高い就学率を持っている。考えられる一
つの理由は、亀山にはブラジル人学校がなく就学可能な学校の選択が限られているとい
う事実である。鈴鹿市、四日市市、津市などの他市の場合はブラジル人学校があり多く
の子どもが通っている。これによって、ブラジル人学校を選ぶ親が出現し日本の公立学
校を選択する親との差が現れると考えられる。
表1
2008年5月末現在の学齢期(7-15歳)の外国人と公立学校在籍の外国人数
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107人
董墓室墓書::::.一字8未
・..■...8晦.■:.-
(各市役所の外国人登録年齢別データ,各教育委員会の公立学校の外国人在籍数により作成)
表1でも見ることができるのは学齢期の子どもと公立学校に在籍している子どもの
数を引いた不明の数である。この数の中には不就学の子どもを含めて、以下の子どもが
含まれていると考えられる。
・ブラジル人学校-通う子ども
・どの学校にも在籍していない不就学の子ども
・仕事で引越しをし、住所変更を届けていないもの
・不法滞在者の子ども
・帰国し、市に外国人登録をしたままの子ども
・ブラジル国内で義務教育(ブラジルでは14歳まで)を終了した後、来日し、違法
的に仕事をしている可能性のある子ども
上記で見たように不明の部分が表している数に様々なケースが考えられ、それらの実
態を正確に知ることができない.一番気になる"不就学"の状態の子どもの数を探るこ
とは容易ではない。
4
ー6%-■■■
ⅠⅠⅠ.子どもたちの日本語について
日本の小中学校に通う外国籍の子どもたちのほとんどが日本語を話せない状態で入
学をする。日本で生まれている子どもも増えているが日本で生まれるから大丈夫だとは
限らない。むしろ日本語ができない子どもが多いと考えられる。理由としては多く日系
南米人の場合、日本語を使用しない生活ができており、日本人との交流も薄い。いわゆ
るセグリゲーション問題が起きているからである。たとえばブラジル人の場合、ポルト
ガル語しか話せない環境の中で育てられた子どもは、多くの場合、日本語が話せない状
態になる。日本人の多い幼稚園に入り、日本語を覚え始めれば、子どもは小学校に入っ
た時に幼稚園で学んだ日本語を基礎にして、小学校ではそれほど苦労せずにやっていけ
ると思われる。しかし、日本で生まれてもエスニックの幼稚園に通うと小学校から日本
語語学能力がゼロに近い状態で入学することになる。その、語学力のハンディにより、
子どもは勉強の遅れが避けられない。彼らと南米で生まれて日本の小学校の途中で入学
した子どもの日本語能力の状態があまり変わらない状況も起こりうる。どちらのケース
も文化的な違いや言語の壁を背負うことになる。また、彼らに対する学校からの対応は
TT
同じで、日本語の指導が取り出し授業に守ったり、
(teamteaching)で補助の先
生が隣について通訳をする。日本語が必要な子どもはほとんどこのやり方で日本語を取
得していく。
現在、日本語指導が必要な児童生徒の数が増加しており、三重県の場合(図3)
前の2倍以上になってきていることが明らかになっている。これには、主に二つの原因
が考えられる。まずは、今まで述べてきたように外国籍の子どもが増加していることに
よる。二つ目の理由は,不十分な日本語指導によって日本語の習得が遅れた子どもの人
数が、翌年の日本語指導が必要とされている子どもの数に繰り越されているからである。
筆者が勤めている小学校では日本語教室に通い続けている、またはTTの支援を受け続
けている子どもが数名存在している.日本の小学校に一年生や低学年からいるにもかか
わらず未だに日本語に問題がある子どもも多く存在する。低学年の間の彼らに対する日
本語指導が不十分だった結果だと考えざるをえない。
図4の言語別の割合を見ると、ポルトガル語やスペイン語を母国語とするブラジル人
やペルー人などの子どもの数が8割以上であることが分かる。中国人やフィリピン人と
比べ、南米人の人数が多いのは、南米人の人口が中国人・フィリピン人に比べて多いと
いう原因も考えられる。しかし、もう一つ、漢字圏出身の中国人や英語とタガログも話
せるバイリンガルの多いフィリピン人は日本語習得能力が高いと考えられる。それに比
べて日系南米人は日本語の習得に問題がもっともあると考えられる。日本語習得に対す
る熱意の差の問題も考えられる。
さらに,教育現場において、日本語指導が必要とされる子どもと必要のない子どもの
境界線がはっきりしていないという問題点がある。個々の子どもにとって日本語指導が
必要かどうかを判断することが難しく、本当は日本語指導の必要性の高い子どもが、担
5
7年
任の先生や日本語指導者によって日本語に問題がないと判断されているケースが存在
している。
図2
日本語指導が必要な児童生徒数
出所:三重県教育委員会小中学校教育室調べより
表2
日本語指導が必要な児童生徒数言語別
出所:三重県教育委員会小中学校教育室調べより
※図2、表2は各年度の9月1日時点の調査(平成20年度については、5月1日時点)
6
第2章
調査による日系南米人の子どもに対する教育意識
日系南米人の子どもたちにとって中学校が大きな挑戦になる、そのためドロップアウ
トしてしまうこどもが少なくない。中学校の時期に彼らはどういう状況であるか、親の
教育に対する意識などはどうなっているのかを理解するために、日系南米の親子を対象
に2006年に行われた鈴鹿市での調査を挙げたい。なお、この調査は「三重の文化と社
会」という科目の内容として実施され、同級生と共同作業で行ったものである。また、
今回,論文で紹介するのは調査の一部で、本題である「学校をドロップアウトした日系
南米人の子どもたち」に参考になるものを主に挙げることにする。また、鈴鹿市の調査
は「三重の文化と社会」の研究報告書「鈴鹿市の研究」を「日系南米の親子が語る、中
学校生活」の題名により発行されているので、詳細については、そちらを参照してほし
い。
Ⅰ.鈴鹿市における日系南米人の子供の教育状況
鈴鹿市には、
2006年末現在で約9千人の外国人登録があり,これは市の全人口の
4.6%にも相当する。最も多いのが、ブラジル出身者、これにべルーが続き、この2国
で全体の3分の2を占める。鈴鹿市教育委員会によれば、今後5年間で小中学校対象学
齢児童・生徒数は現在のおよそ1.6倍になると推測されている。
日系南米人の中学校生活の現状を具体的に知るべく、鈴鹿市立中学校の日系南米人生
徒81名と、鈴鹿市にあるブラジル人学校の生徒70名を対象に学校生活に関するアン
ケート調査を行った。同時に、彼らの保護者にも教育に関するアンケートを行った。ま
た、各校の国際担当教師-のインタビューも実施した。
子供たちは日々、何を感じながら学校生活を送っているのだろうか?また、一般にブ
ラジル人の親は教育に対する関心が薄いと言われることが多いが、実際はどうなのだろ
うか?現場の教師はどんな思いでいるのだろうか?こうした基本的な疑問を問いかけ
た。
Ⅱ.日系南米人の中学生-のアンケート調査
1.調査の概要
1)調査目的
鈴鹿市における日系南米人の中学生の学校生活の実態を把握し、現状と今後の課題
を明らかにする。
2)調査対象者
①
鈴鹿市公立中学校に在籍する日系南米人の中学生
②
鈴鹿市公立中学校に在籍する日系南米人の中学生の保護者
7
③
ブラジル人学校に在籍する生徒
④
ブラジル人学校に在籍する生徒の保護者
①は、公立中学校在籍者全員、
ちなみに、
②は公立中学校のト3年にあたる、
年生、 8年生、高校1年生の生徒全員、年齢は12歳-15歳が中心であるが、
歳も含まれている。
3)調査期間
29日
2006年10月30日-11月
4)調査内容
生徒-の質闇
Ⅰ
学校生活についての質問
Ⅱ
言語に関する質問
Ⅲ
行動や価値観に関する質問
Ⅳ
将来についての質問
親-の質問
Ⅰ
言語に関する質問
Ⅱ
学校・教育に関する質問
Ⅲ
子どもの健康管理に関する質問
質問内容は、公立中学校とブラジル人学校とでは、若干異なる。
また、ブラジル人学校の親-の質問は、回収率を上げる目的で16項目(Ⅱ学校・教
育に関する質問が中心)に削減した。
調査票は、日本語、ポルトガル語、スペイン語を用意し、各自が最も回答しやすい
言語を選択して答えてもらった。
5)回収結果
配布数と有効回収数、回収率は表2に示すとおりである。回収率は、生徒が公立
学校ブラジル人学校共に69%、保護者が公立学校53%とブラジル人学校63%であ
った。
表3
アンケート回収率
ブラジル人学校
・公立中学校
生徒
親
生徒
親
配布数
81
81
70
70
有効回収数
56
43
48
44
回収率
69%
53%
69%
63%
8
7
16-19
2.調査結果
1)公立学校の中学生とブラジル人学校の中学生
公立学校の中学生56名と、ブラジル人学校の生徒48名のアンケート結果を集計し
たところ、
2校間にいくつかの相違が見られた。
ここでは、アンケートの内容に沿って、結果を比較形式で報告する。質問文は原文の
まま掲載する。なお、表は左に示すものが公立中学校、右に示すものがブラジル人学校
の集計である。
問1.学校は楽しいですか?
ブラジル人学校
公立中学校
有効
度数パ「セント
はい
いいえ
わからない
合計
窒㌘
合計
44
79%
5
9%
7
13%
56
100%
有効
度数Jキーセント
l乱\
し≠\え
わからない
合計
筆三
66%
14
30%
2
4%
47
1W!o
宝
合計
5…
31
どちらの中学生も、多くが「学校は楽しい」と感じている。公立学校では79%、
ブラジル人学校では66%の生徒が「学校は楽しい」と回答した。授業はほとんどの
科目をまあまあ理解し、文化祭や運動会などの学校行事を楽しみ、外国人だけでなく
日本人の友達も何人かいる-これが彼らの平均的な学校生活である。友達に日本語を
教わったり、先生に熱心に指導してもらったりしたことに嬉しさを感じる者も多い。
問2.学校の生活で困っていることはありますか?
ブラジル人学校
公立中学校
勉強が難しくて分からない
言葉が分からない
日本人の友達が少ない
外国人の友達が少ない
母国と文化が違う
先生と上手く行かない
クラスにうちとけられない
困っていることは無い
その他
勉強が難しくて分からない
言葉が分からない
友達が少ない
13
5
23%
9%
7
13%
1
2%
13
23%
4
7%
困っていることは無い
3
22
5%
39%
5
9%
先生と上手く行かない
8
17%
1
2%
2
4%
0
0%
2
4%
31
65%
その他
4
8%
(%-度数÷有効回
数:48×100)
クラスにうちとけられない
:56×100)
公立学校では、比較的大きくなってから来日した子供は、
「勉強が分からない」
国と文化が違う」ことを多くあげていた。しかし、幼い頃から日本で育った子供の多
くは、
「因っていることが無い」だった。中学校生活の困難さの程度は、来日年齢に
よって大きく異なることがうかがえる。ブラジル人学校では、困ったことは特に挙げ
9
「母
られていなかった。また、公立学校では楽しくないこととして、いじめや外国人差別
-の言及がいくつかあったのに対し、ブラジル人学校では規則の厳しさ-の不満が目
立った。
問3.あなたは、いま、日本語を聞いてどのくらい理解ができますか?次の中から1つだけ選
んで○をつけてください。
会話:
公立中学校
授業で言っていることがよくわかる
友達の言うことならだいたいわかる
日本語はほとんどわからない
ぜんぜんわからない
合計
ブラジル人学校
54%
授業で言っていることがよくわかる
友達の言うことならだいたいわかる
9
28%
17%
1
2%
29
15
54
100%
56
公立学校では、
19%
26%
日本語はほとんどわからない
ぜんぜんわからない
23
49%
合計
47
欠損値
合計
欠損値+2
合計
9
12
3
6%
1 00%
1
48
80%以上が日常会話レベルでの困難を感じていないことが分かる。一方、ブ
ラジル人学校の生徒は50%以上が日本語はあまりわからないという状況である。
問4.あなたは、いま、どのくらい日本語を書けますか?次の中から1つだけ選んで○をつけ
てください。
公立中学校
ブラジル人学校
中学生レベルの漢字
簡単な漢字とひらがな
ひらがなだけ書ける
ぜんぜん書けない
合計
22
41%
27
50%
5
9%
0
0%
54
中学生レベルの漢字
簡単な漢字とひらがな
ひらがなだけ書ける
ぜんぜん書けない
合計
100%
生過塵___________________⊥
合計
56
公立学校では、
3
19
6%
40%
13
27%
13
27%
冬卵
4呂100%
合計
48
90%が簡単な漢字とひらがな以上のレベルである。しかし、ブラジル人学
校では、全く書けない者も27%いる。会話と同様、日本語能力の差が見られる。
10
問5.あなたは、いま、どのくらい日本語を読んで理解できますか?次の中から1つだけ選ん
で○をつけてください。
ブラジル人学校
公立中学校
有効
度数パーセント
教科書や新聞の文章
簡単な文章(マンガ等)
簡単な文章(みえこさんのにほんご初級等)
ぜんぜん読めない
合計
23
42%
20
8
36%
15%
4
7%
100%
欠損値
55
1
合計
56
度数パーセント
教科書や新聞の文章
簡単な文章(マンガ等)
8%
31%
14
29%
15
48
100%
簡単な文章(みえこさんのにほんご初級等)
ぜんぜん読めない
4
15
合計
欠損値
合計
31%
o
48
公立学校では、全く読めない生徒はわずかに7%である。それに対し、ブラジル入学校で
は31%になる。会話、読み書きのレベルが異なる背景には、来日してから日が浅いことと、
また、家も学校も母語で埋め尽くされ、日本語を使う必要がないことも関与していると考え
られる。
問6.将来,どの学校まで進みたいですか?
公立中学校
中学校まで
高校まで
短期大学や専門学校まで
大学・大学院まで
まだわからない
ブラジル人学校
2
4%
19
7
35%
13%
13
24%
中学校まで
2
4%
高校まで
短期大学や専門学校まで
大学・大学院まで
まだわからない
5
11%
2
23
4%
49%
14
30%
14
25%
その他
0
0%
その他
合計
55
1 00%
合計
欠損値
合計
u習nRfE!
合計
1
56
1
47
引
+
48
「高校まで」 35%、
「大学まで」 24%。ブラジル人学校
の生徒の回答は「高校まで」
11%、 「大学まで」 49%。多くの生徒が、進学を望んで
「まだわからない」という答えも目立つ。公立学校では25%、ブラジ
いる。一方、
公立学校の生徒の回答は、
ル人学校でも30%が「まだわからない」と回答している。このことは、将来自分が
どこの国で生活しているのか分からないという漠然とした不安とも結びついている
ようだ。現に4割の生徒は、10年後、自分がどこにいるかわからないと答えている。
しかし、この先も日本に残ることに将来性を感じる生徒も多く、公立では6割、ブ
ラジル人学校でも4割がそのように考えていた。
2)日系南米人中学生の親
公立学校の生徒の親43名と、ブラジル人学校の生徒の親44名に、公立学校では30
問、ブラジル人学校では教育に関することを中心に、
16問の質問をした。結果を集計
したところ、日系南米人中学生の親として、共通する意見が多く見られた。
ここでは、アンケートの内容に沿って、公立学校の結果を中心に報告する。質問文
は原文のまま掲載する。また、比較の可能なものは、その都度二校を並べて報告する。
その場合,表は左に示すものが公立中学校、右に示すものがブラジル人学校の集計で
ある。
ll
2%
1 00%
K親-の質問召
問1.お子さんが日本以外で生まれた方にお聞きします。日本に連れてきてどのくら
(※日本生まれの場合
いになりますか?
有効
一問4-お進みください)
度数パーセント
1年未満
1年-5年未満
5年-10年未満
10年以上
合計
欠損値+I
合計
4
13%
9
28%
10
31%
9
28%
32
2
100%
44
5年未満がおよそ4割で、
5年以上が約6割を占める。日本での滞在が長い子ども
が多いことが分かる。多くが日本の小学校を卒業していると考えられる。
間2.お子さんを日本につれてきた理由は何ですか?あてはまるものにいくつでも○
をつけてください。
有効
度数パーセント
日本で教育を受けさせるため
10
子どもも日本で働かせるため
家族が一緒に暮らすのは大切だから
子どもと過ごせないことが寂しかったから
23%
1
2%
31
70%
15
34%
子どもを母匡H=残すのは不安だから
特に理由は無い
6
14%
0
0%
その他
3
(%-度数÷有効回答数:
一番多いのは、
ている。また、
7%
44 ×
100)
「家族が一緒に暮らすのは大切だから」で、全体の70%の親が考え
「子供を母国に残すのは不安だから」
34%も多い。家族を大切に思う気
持ちがうかがえる。また「日本の教育を受けさせるため」も23%ある。
Ⅱ.言語に関わることでお聞きします。
間3.あなたの日本語能力はどのレベルだと思いますか?次の中から1つずつ選んで
番号に○をつけてください。
・会話
有効
度数パーセント
全く話せない
挨拶・買い物程度
日常会話が可能
ニュースが理解できる
ディスカッションが出来る
日本言吉岡様に話せる
合計
欠
合計
6
14%
14
33%
15
35%
4
9%
1
2%
3
43
7%
1 00%
44
「日常会話が可能」が35%、それ以上に話せる者も合わせて20%ほどいる。約半
数は、コミュニケーションは取れるレベルであると言える。しかし、
12
「全く話せない」
も14%いる。
・読み書き
度数パーセント
全く書けない
15
38%
単語が分かる
文章を読める
11
28%
14
35%
手紙を書ける
新聞を読める
0
0%
0
0%
0
文章で自己表現が出来る
合計
欠損値_.十.
40
0%
1 00%
4
合計
44
自然に身につく会話とは違い、学習が必要な読み書きは習得が難しいようである。
「全く書けない」
「単語が分かる」
38%、
28%のレベルに留まっている。
「文章を読め
る」のも35%である。
間4.あなたの家庭で使われている言語についてお伺いします。
会話は主に何語で行っていますか?複数言語を使用する場合、各言語の使われる割合
を%で(
)内に記入してください。
例:[日本語(40%)・ポルトガル語(6
0%)]
(3)あなたからお子さん-
(子供がいる方のみお答えください)
数パーセント
母語100%
母語90% + 日本語10%
母語80%+
日本語20%
母語70%+
日本語30%
母語60% + 日本語40%
母語50% + 日本語50%
母語40% + 日本語60%
母語10%+
日本語90%
日本語100%
合計
生塵壇
合計
23
4
55%
6
10%
14%
2
5%
1
2%
1
2%
2
5%
2
1
5%
42
2%
1 00%
2
44
夫婦間では、、母語が使われる割合が当然ながら高い。日本語が混じるのは、配偶者
が日本人の場合であろう。しかし、子供と会話するときには、母語100%の割合は55%
で、それ以外は多かれ少なかれ、日本語が混ぜて使われていることが分かる。
13
問5.あなたは、ご自身のお子さんに次のような方法で、母国語を教えていますか?
あてはまるものにいくつでも○をつけてください。
有効
度数パーセント
14
32%
母国語の映画やテレビを見せる
14
32%
母国語で会話するよう心がける
母語教室で勉強させる
親が子どもに教えている
30
68%
母国語の本を読ませる
1
2%
9
20%
どれもしていない
1
2%
その他
5
11%
(%-度数÷有効回答数:44×
100)
「母国語の本
68%である。また、
一番多いのは「母国語で会話するように心がける」
を読ませる」 32%や、
「母国語で会話するように心がける」
32%も多い。日本で生ま
れ、日本で育った子供が増えた今、母国語は意識的に使わなければ、使えなくなって
しまうという心配がある。
Ⅲ.学校・教育に関することでお聞きします。
問6.日本で子供を入れる学校を決めるとき、どんなところから情報を得ましたか?
あてはまるものにいくつでも○をつけてください。
ブラジル人学校
公立学校
効
度
36
82%
鈴鹿市役所
0
0%
その他の役所
鈴鹿市役所
2
5%
その他の役所
0
0%
日本人の知人
外国人の知人
2
5%
9%
日本人の知人
外国人の知人
0
0%
24
10
52%
親戚
インターネットのホームページ
ポスターやパンフレット
外国人支援団体
ブラジル.ペルーの店
その他
4
4
9%
0
0%
1
2%
0
0
0%
0%
1
2%
親戚
インターネットのホームページ
ポスターやパンフレット
外国人支援団体
ブラジル、ペルーの店
その他
1
22%
2%
4
9%
1
2%
2
4%
4
9%
(%-度数÷有効回答数:46×100)
公立学校に入れるための情報は「鈴鹿市役所」
82%というのが一番多かった。また、
「外国人の知人」 52%や「親戚」
22%であった。ブ
ラジル人学校のポスターやパンフレットが、ブラジル人経営の店で目にされることか
ブラジル人学校で多かったのは、
ら、 「ポスターやパンフレット」や「ブラジル、ペルーの店」は選ばれていると考えら
れる。
14
問7.今の学校を選んだ理由は何ですか?あてはまるものにいくつでも○をつけてく
ださい。
ブラジル人学校
公立学校
家から近い
24
55%
学費が安い
6
14%
日本語を覚えさせるため
16
母国語を覚えさせるため
同じ母国の子どもが通っている
0
5
36%
0%
教育が充実している
役所で勧められた
子どもの将来を考えて
前の学校で子ども力q,\じめにあった
家から近い
学費が安い
9
0
20%
ポルトガル語を学ぶため
16
35%
5
11%
9
2mi
13%
母国言吾を覚えさせるため
同じ母国の子どもが通っている
11%
O%
8
18%
教育が充実している
6
17
39%
役所で勧められた
0
mi
12
27%
27
59%
子どもの将来を考えて
前の学校で子ども力q,\じめにあった
0
0%
5
11%
評判が良い
5
11%
評判が良い
4
9%
先生が信頼できる
8
18%
先生が信頼できる
3
知人の紹介
3
7%
知人の紹介
6
7%
13%
特に理由は無い
2
5%
特に理由は無い
0
0%
その他
5
11%
その他
3
7%
公立学校では、
「家から近い」
本語を覚えさせるため」
「役所で勧められた」 39%や「日
55%が最も多いが、
「子どもの将来を考えて」
27%もそれに続いて多い。
36%、
「ポルトガ
「子どもの将来を考えて」
59%が一番多かった.
一方ブラジル人学校では、
ル語を学ぶため」 35%も多い。このことから、ブラジル人学校の親の多くが、子ども
の将来をブラジルで考えていると思われる。
間8.子供を学校-行かせることについて、どのようにお考えですか?
次からあなたの考えに近いものを選んで1つだけ○をつけてください0
ブラジル人学校
公立学校
最高の教育を受けさせ、出井は惜しまない
経済的に可能な範PEIで良い教育をしたい
17
41 %
JL高の教育を受けさせ、出女は惜しまない
22
48%
23
56%
経済的に可能な範囲で良い教育をしたい
20
43%
義務教育なので学校には通わせるべき
1
2%
兼務教育なので学校には通わせるべき
1
2%
家庭の事情によっては行かせなくてもよい
0
0,i
家庭の事情によっては行かせなくてもよい
0
0%
0
0,i
0
0%
その他
0
0%
2
合計
41
4%
1 00%
学校に通わせる必要はあまり感じない
欠損値
学校に通わせる必要はあまり感じない
その他
45
欠損値
3
公立学校の親の場合、
「経済的に可能な範囲で良い教育をしたいJ
次に多いのが「最高の教育を受けさせ、出費は惜しまない」
学校では、
1
「最高の教育を受けさせ、出費は惜しまない」
41%である。ブラジル人
48%が最も多く、高い授業料
を払って通わせていることを考えると、納得のいく結果となっている。
15
56%が最も多い。
間9.母国の教師と日本の教師はどちらが厳しいと思いますか?次の中から1つだけ
選んで番号に○をつけてください。
有効
度数パーセント
母国の教師
日本の教師
どちらも変わらない
わからない
合計
欠損値
合計
9
21%
20
48%
9
21%
4
10%
100%
42
2
44
日本の教師が厳しいと思う親が多く、約半数である。日本の教育が、しっかりして
いるとイメージがあるようである。
問10.あなた(親)自身は、次のような学校の行事に参加していますか?あてはまる
ものにいくつでも○をつけてください。
運動会
27
61%
授業参観
12
27%
23
52%
6
14%
ほとんど参加しない
10
23%
その他
0
0%
教師との個人面談
保護者同士の懇談(那)
「運動会」 27%が一番多く、その次が「教師との個人面談」
23%である。しかし「ほ
とんど参加しない」と答えた親も23%と少なくない。親の労働時間が不規則で長いケ
ースが多いことが原因で、参加しにくいのだろうと考えられる。
間11.あなたのお子さんが、もし学校をやめたいと言いだしたらどうしますか?
あなたの考えに近いものを、次の中から1つだけ選んで番号に○をつけてください。
ブラジル人学校
公立学校
何が何でも学校に行かせる
14
37%
何が何でも学校に行かせる
20
44%
0
0%
学校に行くように説得する
3
7%
代わりに仕事をするなら認める
2
5%
ほかにやりたいことがあるなら認める
21
55%
子どもの好きなようにさせる
0
0%
その他
1
3%
学校に行くように説得する
合計
欠損値
合計
38
代わりに仕事をするなら認める
ほかにやりたいことがあるなら認める
子どもの好きなようにさせる
その他
合計
100%
0
0%
22
49%
0
0%
0
0%
45
1 00%
宝達壇
6
合計
44
両校共に、 「ほかにやりたいことがあるなら認める」か「何が何でも学校に行かせる」
の二つに意見が分かれた。
16
問12.あなたはご自身のお子さんに、将来どの学校まで進学して欲しいと考えていま
すか。
次の中から1つだけ選んで番号に○をつけてください。
ブラジル人学校
公立学校
中学校まで
0
7
0%
16%
10
23%
20
4
47%
9%
高校まで
短期大学や専門学校まで
大学・大学院まで
まだわからない
その他
合計
2
43
中学校まで
高校まで
短期大学や専門学校まで
大学・大学院まで
まだわからない
5%
その他
0%
4%
7
15%
33
2
72%
4%
2
合計+1
100%
欠損値+1
生逸鎮
合計
0
2
台計
44
0
46
多くの親が、子供には大学まで進学して欲しいと考えている。公立学校では47%、
ブラジル人学校では72%が「大学・大学院まで」と回答した。しかし、公立学校では
「高校まで」や「まだわからない」を選択した親も多かった。一見、問15の質問と矛
盾しているかに見える。おそらく、良い教育を受けさせたい気持ちは強いが、現実的
な困難も大きいと考えているのだろう。
問13
【ブラジル人学校のみ実施した質問】
あなたの子どもにはどの国の大学に進学してほしいですか?
ブラジル人学校
ブラジル
日本
そ0)他
合計
欠損値
合計
唇数/(-セント
42
2
1
45
93%
4%
2%
1 00%
1
46
ブラジル人学校の親のほとんどは、子どもにブラジルで進学してほしいと考えてい
る。これは、多くの親が、将来的にブラジルに帰国を考えているからと思われる。
問14.もし、経済的な理由で、将来あなたのお子さんを高校や大学に進学させること
が困難になった場合、どうしますか?
あなたの考えに近いものを、次の中から1つだけ選んで番号に○をつけてください
度数パーセント
進学をあきらめさせる
経済的に余裕が出来たら行かせる
友達や銀行からお金を借りて行かせる
奨学金を借りて行かせる
その他
合計
1
2%
5
1 2%
8
1 9%
24
4
42
57%
10%
1 00%
欠損値+2
合計
44
(%-度数÷有効回答数:44×
100)
多いのは「奨学金を借りる」で57%、また「友達や銀行からお金を借りる」も19%
17
4%
0叩
である。実際、進学時に奨学金をもらっている場合も多く、また、銀行からも永住ビ
ザであればお金を借りることができる。
問15.お子さんの教育について悩みがあった場合、誰に相談しますか?あてはまるも
のにいくつでも○をつけてください。
ブラジル人学校
公立学校
有効
度数パーセント
配偶者
親戚
日本人の友達
外国人の友達
学校の先生
外国人支援団体の人
市役所
誰にも相談しない
その他
22
50%
14
32%
5
11%
4
23
6
2
12
2
(%-度数÷有効回答数:44×
配偶者
親戚
日本人の友達
ブラジル人の友達
担任の先生
外国人支援団体の人
市役所
担任以外の先生
9%
52%
14%
5%
27%
5%
28
61%
13
28%
0
0%
3
7%
10
22%
0
0%
その他
0
0%
5
11%
1
2%
敬:46×100)
100)
日本の学校の場合、多いものから「学校の先生」
52%、
「配偶者」 22%、
「親戚」 14%
となっている。ブラジルの場合は「配偶者」
61%が最も多い。日本の学校は、放課後
に教師と親が面談する機会があったり、学校側から子供のことで連絡を取ったりする
ためだと考えられる。こういったことは、ブラジル人学校では見られないケースであ
る。
問16.現在通っている学校に対して要望はありますか?あてはまるものにいくつでも
○をつけてください。
ブラジル人学校
公立学校
有効
卑弊/く-セント
学校行事に関する情報が欲しい
5
進学に関する情報が欲しい
/トセント
11%
学校行事に関する情動eekLL
I
14
30%
13
28%
2仇
22
50 %
18
41%
9
9
20%
先生にもっと厳しく指導して欲しい
2
4%
8
18%
母国語の教育をもっとしてほしい
5
11%
9
20%
4
9%
子どもの学校での様子をもっと詳しく知りたい
翻訳された資料などを増やして欲しい
その他
(%-度数÷有効回
公立学校では、
≡≡
子ど脚淵拝壱もっと詳しく知L)たい
:46 XIOO)
敬:44×100)
「進学に関する情報が欲しい」
50%、
「子供の学校での様子をもっと
詳しく知りたい」
41%が多かった。また「翻訳された資料などを増やして欲しい」も
三番目に多く20%あり、より充実した情報提供が求められていることが分かる。一方
ブラジル人学校では「学校行事に関する情報が欲しい」
をもっと詳しく知りたい」
30%と「子供の学校での様子
28%が多く、公立学校のように言語の問題が無いにも関わ
らず、情報提供が不足しているように思われた。
18
問17.子どもと接する時間が足りないと思ったことがありますか?
公立学校
ブラジル人学校
有効
度数パーセント
度数パーセント
はい
32
74%
はい
41
91%
いいえ
11
26%
いいえ
4
9%
わからない
合計
0
00。
45
100o.
わからない
合計
欠損値+._
0
43
0%
100%
_
欠損値
合計
1
合計
44
_
1
46
公立学校では74%、ブラジル人学校では91%の親が子供と接する時間が足りない
と感じている。日系南米の親は、労働時間が不規則で長いケースが多い。それが、子
供との接触時間を少なくする要因のひとつになっていると考えられる0
問18.子どもの将来について不安になることがありますか?
ブラジル人学校
公立学校
はい
いいえ
わからない
合計
38
90%
3
7%
1
2%
42
はい
いいえ
わからない
合計
1 00%
43
96%
2
4%
0
45
欠損値
諾値
面
合計
..2
1 ∝汎
1
どちらでも、ほとんどが「はい」と答え、多くの親が将来について少なからず不安を
抱いていることが分かった
問19.将来、母国に帰る予定はありますか?
ブラジル人学校
公立学校
有効
度数′i-セント
はい
いいえ
わからない
合計
度数/く一旦ント
はい
9
20%
いいえ
1
2%
13
30%
0
0%
44
100%
わからない
合計
45
1 00%
欠場値
欠損値+o
合計
M44
50%
22
44
合計
98%
1
46
ブラジル人学校の親の98%が「はい」と答えたのに対して、公立学校の親は母国帰る予定は50%に留まり、
20%は帰る予定がないと答えている。また、公立学校の場
合は「わからない」が30%もある。生徒に対するアンケートで、将来についてわから
ない子供たちが多いことが分かったが、親も将来の見通しが十分に立てられない状況
のようである
-
19
第3章
インタビュー方法
1.調査概要
本調査は、日本の公立小学校、中学校または高校で勉強をドロップアウトし、現在不
就学の状態や職場に勤めている日系南米少年の9人にインタビューによる調査を試み
ている。調査対象の人数は少ないが、インタビューによる質的調査で、様々な要因を総
合的に分析しようとするものである。
(丑調査期間: 2007年11月から2008年5月。
②実施日時、場所
調査は三重県の鈴鹿市、津市、伊賀市と松坂市で行った。インタビューを行った場所
は様々で、喫茶店、公民館、教会等だった。
③対象者について
調査対象者は、日本の公立小学校、中学校または高校で勉強をドロップアウトし、現
在不就学の状態や職場に勤めている日系南米少年である。しかし、中学校を卒業しても
何らかの理由によって高校を断念するケースもドロップアウトとしてカウントする。全
部で9人であるが9人の事例中8人はブラジル人で残りの一人がペルー人であった。
最初の対象者であるブラジル人らの紹介によって、次の対象者が見つかることもあった。
彼らは、知り合いのブラジル人、ペルー人の友達を紹介してくれた。実際に紹介しても
らった人数はもっと多かったが、電話で問い合わせると、親が反対するケースが多かっ
た。たとえば「家の子どもは今、不就学だけど、ブラジル-帰国の予定があるから帰っ
たら勉強させるつもり」などのコメントもあったo電話での問い合わせに対し、時に親
から「そんな取材なんかを受けたら恥ずかしいので断る」というコメントもあった。そ
んな中、インタビューに了解を得ることができたのがこの9人の少年で、それでも了解
をしてもらうために研究の目的を説明し、同意してもらう必要があった.というのも、
今回対象になった少年は何らかの理由で学校をドロップアウトしており、多くの場合学
校では不良的な態度をとった経験をもつからである。今では落ち着いている様子を何わ
せる者もいればそうでない場合もあった。そのためインタビューや打ち合わせなどの連
絡、調整時間、場所が非常に難しかった。
2.主な質問項目
本研究では、ドロップアウトした日系南米青少年の家庭生活、学校生活、将来をめぐ
る問題に主眼を置いているため、対象者の就学体験、家庭生活経験、または彼らの将来
などについて、半構造化された質問として問うことにした。主な質問として以下に述べ
20
る。
学校・教育
就学体験
・
小・中
・ブラジル人学校に通ったのか(転校の理由)
・学校をやめた、または行かなかった理由
・学校の先生との関係
・進学するより、就職する意味があるのか
・進学-の情報提供があったのか
・周りに進学している事例かモデルがあったのか、または就職したのか
・学校に通っている子どもたちに必要とされているものがあれば。(自分が学校に通っ
ていた時になかったもの)
・親の支援があったのか
仕事(就職中の者のみ)
・どんな仕事
・社員か派遣
・現在の経済状況
アイデンティティや現在・将来の懸念
・現在、将来の懸念・不安
・親との関係
・家族と同居・別居で既に家族持ちなのか
・アイデンティティについての悩み
・自分の故郷、地元
・日本人との交流
・外国人であることはプラスであるかマイナスであるのか
・刺激や動機付けとなったものがあれば
「こうしとけばよかった」やり残したことと思うようなことがあるの
・今からみれば、
か
家族について
・家族構成
・親の仕事
実施状況
約1時間のインタビュー、相手の話し易さで主にポルトガル語でインタビュー、場合
によって日本語。了解のもとに録音。
21
3.分析対象の9人の事例
事例Å
19歳、男、親と3人暮らし。在日歴10年
日本の小学校5年生から入学し、卒業をした。十分な日本語を身につけずに中学校進む。しかし、勉強に付いていけない状態で学校より仕事が恋しくなり、中学校2年生
のときに学校をやめ、それ以降工場で働いているという。勉強を続けたい気持ちでいる
が日本語以外での方法が見つからないという。
事例B
16歳、女、彼氏と同居、在日歴8年、子育て中。
言葉の問題と文化の違いが原因でわずか-ケ月しか小学校に通っていない。日本の小
学校を経験したあとブラジル人学校に入ったが質の悪さなどで転校をし、次の学校も同
じ問題があった。また、勉強が遅れているためそれぞれの小学校で1年生から勉強を繰
りかえした。また、父が働かないなどの家庭間題、経済問題のため勉強できない環境が
続いた。
1
3歳の年齢で小学校を終わらないまま彼女は学校をやめ、それ以降不就学に
なった。出会った同じブラジル人の男性と付き合い始め、
1
5歳で妊娠した。現在は、
母親との不仲により、家出しており、彼氏の家族と一緒に暮らしている。
事例C
17歳、男、弟、父と三人の暮らし、在日歴10年
小学校に1年生の途中に入学した後、引越しのため一回学校を転校し、そこで′ト学校
も中学校も卒業することができた。しかし中学校1年の時、母がガンで亡くなり、また、
2年生のときに担任の先生が変わり、先生と父との間でトラブルが続いた。
3年生に担
任が変わり、いろいろなアドバイスを受けた後進学を決め高校-進むが、高校生活にお
いては、刺激が少なく、お金もほしかったので高校一年生の時に辞めた。仕事が見つか
りにくく、現在は無職である。
事例D
16歳、男、弟(E)、父・母(離婚)、現在父と二人暮らし、在日歴7年。
日本の小学校の途中に入ったDは頻繁に欠席を繰り返した後、十分な日本語を身に
つけることなく中学校に進んだ。しかし親の離婚が原因でそれまで仕事をしていなかっ
た母が仕事をせざるを得ない状況になり、勉強がついていけない学校生活を続けるより
仕事をし、母を手伝う方が良いと判断し、中学校3年生で学校を辞め、仕事を始めた。
現在は工場で働きつつ、将来的に母と帰国したいと考えている。
22
事例E
15歳、男、兄(D)、父・母(離婚)、現在母と二人暮らし、在日歴7年。
日本の小学校に途中で入学した。しかし言葉や文化の違いのため学校を辞め2年間の
不就学を経験する。十分な日本語を身につけることがないまま中学校-進学した。中学
1年の時に親が離婚し、勉強-の興味を失い、中学を2年生の時に辞めることになった。
現在工場で働き、母親と一緒に暮らしている。
事例r
17歳、男、会社の貸し家で彼女の同居、在日歴13年。
幼稚園から高校1年生まで日本の公立学校に通った。しかし、選んだ高校と自分の期
待の違いに不満を抱き、さらに暴走族の人に誘われ、勉強をあまりしなくなった。高校
1年生の時に学校を辞め、仕事もしなかったので彼は、親に家から追い出され、現在、
建設現場で仕事をしながら、妊娠した彼女と同居中である。
事例G
19歳、男、姉と同居、在日歴13年。
小学校1年生から中学校3年まで日本の公立学校に通った。しかし親の仕事の都合で
引越しを3回重ね、違った町の小学校-の転校を繰り返した。中学校でも転校経験があ
り、荒れた学校-の転校によって、自分も荒れ、授業さぼりがちになった。担任の教師
との折り合いも悪く、不登校になり、卒業も認められなかった。現在、バイク屋経営の
夢を抱きつつ、工場で働いている。
事例H
18歳、女、姉,母・父と4人暮らし。在日歴6年。
12歳で来日、中学校-入る年齢だったが違う文化の学校-の怖さやいじめや差別の
噂を耳にしていたため、日本の学校に対して恐れを抱き、二年間不就学の状態が続いた。
実際に学校に入ったのは3年生の時である。しかし学校に通ったのは、短い期間だった
ため十分な日本語を身につけることができず、また親の帰国予定の可能性に進学をあき
らめた。現在、工場で仕事をしながら、いつか家族と一緒に帰国する予定でいる。
事例I
17歳,男、親と3人の暮らし(年上の兄弟が独立)、在日歴12年
日本の幼稚園から小学校の低学年まで通った。後、帰国し、再び日本-戻った時はブ
ラジル人学校-入学し卒業したが、学校の質の悪さのため、日本の中学校-転校した。
しかし、
-から日本語を学び始めるのが難しかった上、勉強にもともと問題があったた
め頻繁に学校を休むようになったo何とか中学を卒業ができたものの、勉強-の関JLも
23
なく進学する意味も分からなかったので就職を選んだ。現在は工場で働きながら、特に
目標なく家族と同居中である。
24
結果と考察
第4章
近年、外国人のための就学や進学のガイダンスが頻繁に行われているしつしかし一方で、
一度就学した子どもや、高校に進学ができた子どもに対する教育の保障は十分になされ
ていない状況である。そのため、ドロップアウトする子どもの数が後を絶たない。ドロ
ップアウトした子どものほとんどが不就学や不登校の経験がある。そこで、そのような
日系南米の少年を対象にしたインタビューによって、様々なことが分かるのではないか
と考え、本調査を行った。まず、三重県に住む9人の日系南米人(特にブラジル人)の少
年にインタビューを行い、彼らを取り巻く家庭環境、学校生活についての分析を試みたo
また、筆者は、以前鈴鹿市において、特に日系南米人の親の教育に関する意識調査もし
ており、これは第二章で詳しく述べた。分析の結果、対象者が育ってきた環境をよりよ
く理解することができ、さらに、彼らの中には様々な共通点があることも明らかになっ
た(,,そこで、以下、本調査の分析結果を述べていくことにする。
Ⅰ.9人の事例の分析により分かったこと
①学校を辞めた(あきらめた)
「学校を辞めた理由はなんですか」という質問に対して、
いう答えが多かったQ
わらず、
「仕事をしたかったから」と
しかし、就職は中学校を卒業してからでも可能である。にもかか
「なぜ中学校を中退したか」の原因を探るために、インタビューの質問をより
具体化した(.,そして、詳しい事情を尋ねた結果、中退の理由が明らかになったoすなわ
ち、大雑把に言えば、
「学校で勉強をすることに対して諦媒)た」ということであった。
そうすると、問題になってくるのが、なぜ辞めたのかではなく、
"なぜ学校で勉強する
ことを諦めた''のかということである。その答えは、日本語力が十分でないため学校の
勉強について行けないからである。
中学校の場合
Dの場合、親が離婚し、母を経済的に支えるために就職を選択したと答えた。
しかし、
Dによると「母には学校を辞める必要はないと言われたが、私は就職を選んだ」
という。つまり、学校に在籍しても勉強が理解できないのなら、いっそ仕事したら役に
立てるのではないか、と思ったのである。また、弟のEも学校を中退したが、彼は「学
校があまり好きじやなかったし、仕事をしたかったからやめた。でも14歳だから仕事
が見つからなかったが、学校にはもう戻りたくなかった」と答えている。すなわち、
やEも、経済的に家庭を支えるというのは建前であり、本音は学校の授業についてい
けないのが最大の理由であったのである。
その他の事例を見ると、
Gの場合は「卒業証明がもらえないと分かったから、もう行
25
D
くのを諦めた」というしつ Gは中3から欠席が増え、担任に3学期に1日でも休んだら
卒業証書をあげないと言われた。そしてGは実際に学校を休んでしまい、結果、本人
も行き続ける理由を失ったという。
Gは結局、卒業証書をもらえず、その後、高校への
進学を希望したが、それは不可能になった。中学校での勉強を諦めた人が中退すれば、
当然、卒業証書はもらえない。そのため、後になって定時制の夜間高校などへ進学を望
んでも、中学校の卒業資格なしでは難しいと考えられる。.,したがって、高校への進学を
考えた場合、中学校の卒業認定試験をクリアするという道しかないのである。
また、問題の所在は、この卒業認定試験は5教科制で、日本人でも難しいといわれて
いることである。奈良県の場合、過去に学校-行けなった高齢者の方や在日朝鮮人のた
めの夜間中学校があり、そこにドロップアウトした日系南米人が通い始めている。しか
L、現在、三重県にはそのような施設がないのが現状である。そのため、多くの若者は
再び学ぶチャンスを得られていないのである(。
高校の場合
高校まで進学できた事例はCとFで、
2人の辞めた理由は異なったo
まず、 Cは「仕事をしたかったから」と答えている。彼は工業高校に進学したが、最
初からそこに行きたかった訳でもなく、あるブラジル人の先輩に、試験が簡単だから同
学校を勧められ、入学したというo
しかし勉強は中学校よりレベルが高く、特に数学で
困ったという。なお、高校での勉強が大変でアルバイトもできず、自分の生活費に困っ
たとも言っている。周りのブラジル人の友達は皆仕事をしたお金で、遊んだり、バイク
に乗ったりしていたため、より自分の状況が深刻に思えたのであろうo高校のブラジル
人の先輩には「あきらめるな」と言わカtたこともあったが、最終的に学校を辞めること
にした。
Fの場合は学校を辞めた理由が2つあったという、一つ目は、
性がないから」という理由であった。
「進学した高校で将来
Fは絵が好きで、中学校から美術を習う学校に通
っていたという。そして、美術を学べる高校にはFの友達は誰も進学せず、部活(サッ
カー)仲間とサッカーの強い高校-進んだ。しかし、高校のサッカーのレベルが低く「皆
-たくそでここにいても将来性がないな」と感じ、学校に関心を失っていく。また、そ
の頃、友達の紹介で暴走族と知り合いになり、入りたいと思うようになるが、暴走族に
「その前に高校を辞めないといけない」と言われ、高校を辞めることにした。
高校をドロップアウトした2人の理由は異なるかもしれないが、共通点としては、「自
分たちが行きたかった高校に進学できなかった」という点である{。また、
Cの場合、高
校-は行きたかったが勉強面での問題があり、簡単に入れる高校を選ぶという、限られ
た選択肢に迫られていた。
Cは小1から日本の学校で学び、中学校も卒業したが、高校
を受験できるレベルの知識が身についていなかったと考えられる。そのため、進学でき
る高校が限られ、
"とりあえず進学した"というケースである。特にその後、明確な目
26
標がなかったため、勉強に対する意欲も失っていったのであろう()
一方、 Fの場合も、希望した進学校と違って、友達が行く高校を進学先に選んだのが
問題であった。彼の場合、高校に入る前から勉強したいことがはっきりしており、進学
したい高校も調べていたo
Cと違って言葉や勉学の面ではそれほど問題がなく、選択肢
が限られてなかったが、友人と違う高校-進学することにためらいを感じ、本命の高校
「親
を断念してしまった。高校を替えたことで親に反対されたのではないかと聞くと、
は行きたいところに行けばいいと許可してくれた」というo進学という将来に関わるこ
とにもかかわらず、親の判断も甘かったと考えざるをえない。
②進学しなかった事例(H,Ⅰ)
中学校は卒業できたが、進学せずに仕事を始めたHとⅠがいるo
かった理由を訊ねた.。
Hの場合、
彼らに進学をしな
2年間の不就学を経験した後、中学校の3年生に在籍
することになった{,進学については、両親に「勉強を続けたかったらしてもいいし、今
後ペルーには帰る予定があるから、ペルーで勉強を続けてもいい」と言われた。しかし、
中学校で1年しか学んでいなかったHは日本語が少ししか話せず、すべての教科が全
然ついてなかったという。そのため、進学を難しく思い、諦めていたという。また、日
本語ができなかったHは、日本語ができたブラジル人によくいじめられていたという。
そのため学校-行くのも嫌になっていたと述べる。
Hは、とりあえず就職を選んだ。しかも、それから3年が経つが、
Ⅲは帰国を待ち
続けている。
二つ目の事例として、
Ⅰは中学校を卒業すると同時に就職をした。なぜ進学をしなか
「私の家では皆若い頃から仕事をしている
ったのかを聞くと「お金が欲しかったから」、
から」と答えた。そして、
Ⅰに進学のことを考えなかったかと聞いたら「もう中学校の
途中からあきらめモードだったで、自分は行けないと思っていた」と答えている。勉強
について行けてなかったのが進学をあきらめた最大の理由だと考えられる。
③就学中に学校をどれぐらい休んだのか
対象者に小学校や中学校生活について話を聞いたときに、休みを繰り返した生徒が多
かったのが分かった。特に中学校を卒業しなかったA、
休んだ」と語っている。
D,
Eの場合、
の他、高校の時点で学校を辞めたC、
が、
D、
E、
Gの場合、
「よく学校を
′ト学校からすでに頻繁に学校を休んでいた。そ
「それほど休んでない」と語っている
Fの場合、
「高校を辞める前には学校を休み始めるようになった」と語っている0
ドロップアウトした生徒の多くが学校を頻繁に休む、つまり不登校を経験していたの
だo確かにインタビューした者の中に不登校者がやや多かった(。しかし、問題は、実際
に学校で勉強をしているかどうかである。これに対して中学校を卒業したⅠの場合は、
学校をそれほどは休んでいないが「中学校-行っても授業ではただ座っているだけで、
27
先生の詰も開かずにサボることが多かった」と語っている(.,
日系南米人の生徒は日本人の生徒と比較すると、休むことが多い,.。それはサボるとい
う理由だけではない。たとえば、日本語をある程度覚えた子どもは、親の通訳をするた
捌こ学校を休むo親は日本語が少ししかできないから子どもを病院に連れていき、診察
時の通訳をしてもらうことがしばしばある。
不就学の経験が見られた事例
今回不就学の経験があると答えたのはB、
E、
Hである。
Bのケースは複雑である。日本の小学校を1ケ月で辞めた後、一度不就学になるoブ
ラジル入学校に入学するが勉強の質が問題で学校をやめ、
2回目の不就学を経験する。
次に転校したブラジル人学校で、
/ト学校3年生の途中で"13歳''にして学校をやめる。
不就学を経験した期間が不明であるが、最後のブラジル人学校に入学した時、勉強の遅
れが原因で、小学校1年生から再び勉強をすることになったのである0
Eの場合、小学校の3年生に一度入学するが、言葉や文化の違いのため、学校をやめ、
二年もの不就学を体験し、家で特に何もしていなかったという。
Eによると小学校-戻
ったのは5年生の時という.。
Hが来日したのは12歳の時だが、中学校に入学することなく二年間の不就学を経験
するo 家で特に何もしていなかったHは親に学校-行くようにと勧められたが、文化
の違いや日本語が分からないという理由から登校を拒み、不登校を続けていた。さらに
Hによると、近所の友達で公立学校に通っていた同国籍の生徒に学校-行くのを辞めた
方がいいように言われていたoHはその子に「学校-行くといじめられるよ」と言われ、
ますます不安だったと述べている。
④なぜ学校を休んだのか
対象者の中には小学校から休んだケース、中学校から休んだケース、また、小、中学
校とも休んだケースもみられた。そして、休む理由も変化することが分かった。
また、子どもたちが学校を休む理由は二段階に分けられる、それは、日本語が理解でき
ない「最初の段階」と日本語が理解できるようになる「後の段階」の二段階である
最初段階の理由
1言葉がわからなかったから(学習言語、日常会話が共に理解困難であった)
2嫌なことがあった(いじめ、差別)
3文化の違い(給食、習慣)
4出席するための動機付けの不足、親の甘さ、同情?(休んでも許される)
また、学校に入ったばかt)の子どもがこのような理由によって学校を休む、あるいは
28
辞めると考えられる(〕
日本語が分からないと他の子どもと会話ができず、無口のままになると友達ができず、
逆にいじめられる可能性がある√〕また言葉が分からないと文化も理解できにくい。その
ため言語と他の要素が関連していると言えるl。さらに、これらの理由を理解している親
は同情L、子どもの不登校を厳しく非難できない。そのため、子どもが別に休んでも大
丈夫だと考、その結果、休みがちになってしまうのだ。
しかし、言葉をある程度理解できるようになるとその理由が変化していく。
後の段階の理由
("×"はなくなった理由)
1言葉が理解できないから
×
3いじめや差別
×
4文化の違い
×
2学校の勉強についていけない
0
5親の甘さ
0
ある程度日本語を覚えると最初に見た理由が減っていく。そのため、いじめや文化の
違いは少なくなり、学校でより安定した生活ができると考えられる。しかし、
「言葉が
分からないから」が無くなったというのは生活言語に熟達したということであって、学
習言語ではない。そのため、友達と楽しく会話ができ、日本の文化を取り入れることが
できても、学校の勉強を理解できない状態であることは変わらない。そのため、授業で
分からないことが多く、達成感が少ない中で勉強に対する生きがいが感じられなくなる。
そのため、授業をさぼったり、学校を休んだりするようになってしまう。
⑤言語能力について
様々な年齢で来日した少年が日本語や母国語のレベルが異なる。
・日本語能力について
彼らには日本語レベルを測る能力テストを行っていないが、質問の中で、どれぐらい
の日本語ができるかと聞いたo多くの場合は話せる、または、漢字に関して低学年のも
のならまだ覚えているが少ししか書けないという状態であることが分かった。しかし、
FとGのインタビューは希望により日本語で行われ、日本語のレベルは高いことが分
かった。また、漢字に対して「漢字が書けることは少ないが携帯ではよく使っているよ」
と語っているo
FとGは幼い頃から日本に来て、小学校からずっと日本語を勉強し、
周りに日本人の友達がいて日本語を使うことが多い。
ろではブラジル人がいない、あるいは少ないと答えている。
29
2人の場合、仕事をしているとこ
・母語について
しかし、前述のように日本語のレベルが高かったFとGは、実際に母国はどうかと
聞くと会話ができるものの書くとなると「書けるけど、習ってないから誤字だらけにな
る」と答えている。
日本語があまりできなかった他の対象者は、インタビューは母国語で行われ、そのた
め、会話にはそれほどの問題がないと思われるo
しかし、質問中,
"アイデンティティ"
や"経済状況"のような少し難しい用語が出ると理解できない様子であったので、用請
を説明しなければならない暗もあったc彼ら自身も、会話ができても実際に書くとなれ
ばスペルや文法的な間違いがあると答えている。おそらく彼らは来日後、家で母国の衛
星テレビを観たり、同じ国の友達と母語で会話をしていた。そのため母語を聞いたり、
実際に話しても、読んだり、書いたりすることがほとんどなかったと考えられるo
また、特にテレビは言語や文化理解に大きな役割を果たしていると考えられる。第2
章で挙げた鈴鹿市の調査で、子どもに母語をどのように教えているかという質問に対し
て、
「母語の映画やテレビを見せる」と答えたのは3割だった。他の方法もあったがテ
レビを見る時間というのはたとえば「本を読ませる」などの他の方法より圧倒的に使う
時間が長い。そのため聞く、話すだけの言語活動に限られてしまう。また、日本語を幼
いころから学んでいる日系南米人の子どもが母国の衛星テレビより日本のテレビのア
ニメを見る傾向があり、他の日本人の子どもと流行のアニメのキャラクターのおもちゃ
で遊んだりしている。そのため日本人の子どもと友情関係が生まれやすくなり、日本語
力も上達する。しかし、その代わり母語を忘れる可能性もある、。このようにテレビで見
る番組によっては、文化も理解しやすくすることが分かり、さらに言語理解は文化理解
にもつながるo
そして、これらの要素は時には、彼らのアイデンティティに影響するc,
そのことについては、後ほど述べることにする。
⑥学校の先生との関係
学校の先生との関係を′ト学校及び中学校時に分けて聞いた。
・小学校の先生との関係
先生との関係はどうだったかという質問に対して、多くの場合「良かった」と答えて
いる。
彼らによると勉強がわからないとき「先生は一生懸命教えようとしてくれた」と答え
ている。その中でも、
Dが「関係は良かった。叱られる場合は、僕の方に問題があった」
と話す。しかし「あまり親切ではない先生もいた」と答える生徒もいたo
の場合は、
たとえばB
「先生は自分のことを全然かまってくれなかったし、できる子しか見ていま
せんでした」と語っている。その他、
Eの場合、
「5年生のときに社会の先生に自分が
知らない漢字を書くように言われ、自分が書き方すら分からなかったにもかかわらず先
30
生にアホと言われ、僕は腹立って、アホはあなただと返事したら叩かれた」と語ってい
る。おそらく、その先生は、
Eの日本語能力状況が分からなかったことが問題のきっか
けになったのではないかと思われる。
小学校では生徒は担任の先生と過ごすことが多いため、外国の子どもたちの日本語状
況などを一番分かっているのは先生である。しかし、他の先生の場合、十分な知識をも
Terumi
Hatano
Lilian
っていないことから、誤った指導を行う可能性がある.また,
(2007, p7)によれば他の教員たちは自分が担当していない子どもの状況に関心を寄せる
余裕などなく、また、いずれ自分が外国籍の子どもの担当になるかも知れないなどとは、
想像さえしないのであると述べている。
現在では三重県の多くの小学校に外国の子どもが在籍し,国際理解などの取り組みに
よって学校の先生の中に関心が高まっているように思われる。しかし、これは最近始ま
まだ外国の子どもと接したことがない先生
ったことで10年前では状況が違っていたo
が多く、指導をするときにどうすればいいのか、先生側の不安が大きい。教室の中で何
も分からない子に対して声をかけにくかったり、多くの場合その子どもをほったらかし
する状態が続くこともある.
Bが言うように「7う、まってくれなかった」というのはそう
いう先生のことであると思われる。
また、特に小学校の場合、先生が生徒の様子などを親に完全に伝えない場合もある。
筆者は現在、小学校に勤めているが、先生と親の懇談会の通訳を頼まれることがしばし
ばある。その場合、先生が親に子どもの様子を楽観的に伝え、親に心配を与えたくない
かのよう伝えているという印象を受けた。これが現在の日本の小学校のやり方かもしれ
ないが、それによって親が子どもを過大評価してしまう原因になる。さらに、親が安心
してしまうため、子どもの教育に力を入れなくても大丈夫だと考えてしまう傾向もある。
児童を褒めることは大切であるが、こどもが安心できる状況にいないのと親が了知すれ
ば一刻も早くそのことを最優先しなければならない.
先生との関係がよかったと語った対象者も実際に同じ状況にいたと考えられる。その
ため、もし、先生が親に子どもの言語問題と成績の悪さなどを正確に伝えていたら、親
が子どもを心配し、子どもにもっと厳しくし、もっと勉強をさせたりすることになる。
そしてもしかして先生との関係がこれほど良かったと答えるものがいなくなるかもし
れないと思われる。
・中学校の先生との関係(B以外)
小学校と同じように、中学校も多くの場合「よかった」と語っている。対象者の多く
が中学校時代には学校をサボったり、勉強しなかったりしたことが多く、先生に怒られ
たりするようなことが多かったにもかかわらずこのような答えは意外であった。
たとえばFは関係が良かったと答え、このような発言をしている。
「それは先生に何回
か殴られたりはあったけど、自分が悪かったのでしかたない」と自分の態度を反省して
31
いることが見られた。また関係が悪かったと答えたCの場合は関係がよかった担任の
変更によって「新しい担任との関係が悪かった」と語っているo
その他「日本人じゃな
く、外鼠人だけを注意していたのがむかついた」とGは語る,,
鈴鹿の調査(オチャンテ&大川)で「尊敬できる先生がいますか」という質問に対して
「いない」または「わか
多くの子どもが尊敬できる先生がいると答えている。しかし、
らない」と答えた子どもは少なくない.。インタビューで語ってもらった「先生との関係」
と鈴鹿の調査の質問と少し異なるかもしれないが先生を尊敬することがいい関係作り
の基本ではないかと考えられる。
⑦親との関係について
前章の分析で見たように、対象者のほとんどが親と同居している。ほとんどのケース
は親との関係が安定していて「良い」または「普通」だと答えている。仕事をしなかっ
たため家から追い出されたFは、今では親と関係が良く週末には親や弟に会いに行っ
たり、親にいろいろ手伝ってもらったりしているというo
また、
「今度生まれる赤ちや
んのことも心配してくれている」と語っている。
中学校から親との関係に問題があったCの場合では「父との関係が良いときとそう
でないときがある」と語っている。Cによると父は息子と話すような人ではなかったし、
「母が亡くなって、僕と弟を孤児院
母が亡くなった後、急に父が冷たくなったというc
に入れたかった」
「僕のことがあんまり好きじやないかな」などと語っている。彼は高
校を辞め仕事したかったのも、親から独立したかったからと考えられる。その他、親と
の関係が悪いと答えたのはBである。父が酒好きで面倒も見てくれなかったBは彼氏
「母に二度と顔を見たくないと言われ
と同居するために家を出て、妊娠し母に叱られ、
た」という。あれ以降一切連絡を取っていないそうだが、
「私には親はもういないよ」
と語る。
今回、親と関係が悪いと答えた者が少なかったが、日本に住む日系南米人の家族の粋
が様々な苦難を背負っている。言葉の問題と仕事に追われ、時間不足によりコミュニケ
ーションができない。そのため、子どもとの関係が薄くなっていく。南米では90%以
上の人がクリスチャンで教会が家族的な共同体として、大きな役割を果たしている。し
かし日本では教会があってもなかなか行けなかったり、宗教との関係が薄くなり教会行かない、あるいは信仰を失っている者が大多数である。
⑧親の支援があったのか
学校通っていた頃に、親が自分にどのような支援をしてくれたのかという質問を行っ
た。学校をドロップアウトした子どもたちは、親からあんまり支援を受けられなかった
のではないかと思われる。しかし今回、対象者の少年たちに質問をするとほとんどの場
合、 「親の支援はあったと思う」と答えている。また、その支援がどのようなものだっ
32
たのかと聞くと、多くの場合、
「アドバイスをしてくれた」と答えているしつ
たとえばCの場合、父にいつも「勉強が大事だ」とアドバイスしてくれたという。
その他Fの場合では「親が高いお金を出して、美術の学校に通わせてくれたりした」
と述べているQ
しかしBのように、親が酒好きで仕事もしなかったから、支援は母か
らしかもらっていないと述べているケースもある,_,
親の支援のかたちというのは、多くの場合、助言、つまり口頭によるものであったこ
とが分かった(つ 日本の公立学校で学ぶ日系南米の子どもには親の支援が限られている。
そのため、学校の宿題や勉強の進み具合をチェックしたりするような日本語能力が身に
ついていないことが多く、支援のかたちは先述の通り口頭の助言にとど去る(〕親からの
アドバイスは子どもたちの学校での生活を支えるために必要不可欠なものであるが、そ
れだけでは子どもの教育を支えられない。たとえ、学力的、学歴的に高い親であっても、
子どもが学んでいる言葉を使うことができなければ、支援の仕方が限定される。
現在、日本語を必要としない生活が日本で可能になっており、そのため、日本語を学
ぼうとしない日系南米の移民者が多いことが大きな問題になっている。
⑨日本で外国人であることについて
対象者に、
「外国人であることはプラスであるかマイナスであるのか」という質問を
したo そこで、言葉の問題に直面した彼らは学校もドロップアウトし、今では3Kの重
労働をしていることを含めて参考にすると、外国人であることがマイナスであると答え
るのではないかと予測をしていた。しかし、外国人であることがマイナスであるよりも
プラスであると答えた方が多かったのは意外な結果であった。なぜそう思うのかと聞く
と何人かは「ブラジルで生活し、働いても、ここみたいに物が買えないよ」と答えた。,
例えば、
Ⅰの場合「時給が日本人より良いし、仕事がたくさんあるから」とあまり現
実を理解していないような返答をしている。しかし、マイナスであると答えた者になぜ
そう思うのかと聞くとGの場合「社会に出る面ではマイナスだな」とか「仕事も外人
だから断られるとこもあるからな」と現実的に答えた。その他、
Hからこういう答えも
あったo
「プラスなところやマイナスなところもあると思う。問題は、この国に働きに来てい
る私たちがルールを守っていないことだと思う。この間、近くに外国人によるひき逃げ
があって結局捕まえられたけど、そういう事件が自分たちにマイナスのイメージを与え
ているのだと思う」。
対象者は外国人が日本で働けることがプラスであって、そのためブラジルでできなか
ったことや、購入できなかったものが購入できるメリットを重視している。しかし、例
えば日本人との待遇を比べるとマイナスである現実を理解しているものが今回少なか
ったことが、結果に現れている。
33
⑲仕事について
現在仕事をしているのはB、
C以外の全員である。.学校辞ギ)てからすぐに仕事をし始
めた者が多く、そのた凍)年齢が低く14、
1.5歳が多い(〕中では特にBが早く、
13轟か
ら仕事をし始めたという。しかし、皆が仕事を簡単に見・つけたわけではなく、だいたい
他人の紹介を通して見つけた者が多い(_,雇用の仕方は派遣を通したものが多かったc,
また、多くのところでは雇用条件として「残業ができる」または「運転免許」が定め
らj・tているため多くの若者がこ遠1によって仕事が限られてくるo
というのは、残業がで
きる年齢が18以上であるため、対象者の中では、まだ一人しかいないc.現在無職のC
も「18歳になればできる仕事が増えるから、今そのときを待っている」と語る{,しか
し、年齢が時間の問題だけであっても、車の免許を取ることが彼らにとって大きな壁に
なるだろう。車の免許を取るために自動車学校-通い、そのためある程度の漢字レベ′レ
がないとできないから難しいと考えられる。、また、母語にも問題があるため、たとえ母
国で免許を取ろうとしても難しい,,これは、別の問題にも関連する。そのような状況に
置かれている日系南米の少年が、無免許で運転をしてしまう、という問題である。車に
手を出してしまう。そして、無免許で運転し、事故を起こすケースが近年、増加してい
る。
⑪現在、将来の懸念、不安について
対象者の中で今やこれからの生活で不安に思うことがないと答えたものが多かった。
しかしB、
Cは現在仕事をしていないにもかかわらず「別に不安がないよ」と答えてい
る。反対に不安があると答えたのがFとHの2人だけである。
F
と同居している日本人の彼女が妊娠し、今年中に生まれる予定であるが、そのた
めFは「子どもが生まれたら生活して行けるのか。彼女はもう仕事をしていないし、
金が足りない」と不安に思っていることや、そして彼女との交際をどうすればいいのか
も悩んでいる。
「彼女と最近喧嘩がばかりしとるから結婚したらうまく行かないんじや
ないかなと思うと、結婚をするかどうかまだ決めてない」という。
Hの場合も、日本人の男性と1年前から付き合い始めそのため、日本で暮らすのかそ
れとも帰国予定の親と母国-帰るのかを悩んでいる。もともと親と一緒に仕事をして、
ペルーで自営業をする計画がある。しかし日本人の彼氏と別れたくないから、もし将来、
ペルーに帰ることになったら、どうすればいいのか不安であるという。
対象者の年齢はまだ10代後半である(〕そのため今や将来をまだ真剣に考えていない
時代といえる。また、多くの場合親と同居していて、住む場所、食べ物などで自分が負
担を背負っていないと思われる。つまり、まだ親に面倒を見てもらっている状態だから
不安に感じることがないのだろう。
Ⅰの場合「不安がないよ,そんなことは考えたりは
しない。今が大事」というように「今」を生きるという傾向が日系南米の少年になぜか
多い。しかし、
Fのように自力で生活を送っている場合、不安を感じたり、将来のこと
34
を真剣に考えたりする傾向があると考えられる(,
⑫過去を振り返って、
「こうしとけばよかった」やり残したことと思うようなことがあ
るのか
学校を辞めたというより"諦めた''という話は前述したが、学校を諦めたことに対L
て、現在振り返って後悔の気持ちがあるかどうかを調べるのに行った質問である。ほと
んどのケースが「勉強を続ければよかった」と後悔の気持ちを表した。また、希望の高
校を選ばなかったGの場合は「やっぱり、もともと行きたかった高校へ行けばよかっ
たな」、 「もしその高校に入っていれば今でも勉強していただろうな」と述べているt.,ま
た、 Hのように文化や言葉の違いで登校を拒否し、不就学になったことを後悔している
と語った者もいる。
しかし,
「別に後悔がない」と答えたC、または「まあ、そんなことは考えたりしな
い」と答えたⅠのように、後悔を感じない者もいる。
Ⅰの場合、中学校を卒業できたた
め、後悔があるとしてもそれが中学校で勉強をサボっていたことや高校-進学をしなか
ったことなのではないかと考えられたo彼の話を聞くと、現在仕事をし、今の暮らしに
不自由を感じないかのように伝わったoそのため、過去のことを悔やむ気持ちがないと
いうことが理解できないことでもない。また、
Ⅰは「家族が皆若い頃から仕事をしてい
るからな」と述べている。つまり自分の家族では進学を望む傾向がないことも伺える。
Cの場合、高校まで進んですぐに辞めることになるが、彼が親との関係は母が亡くなっ
てから不安定になり、
「親が学校の授業料を払っても、その他に全然お金をくれなかっ
たo若者として、服を買ったり、ゲームを買ったりしたかったから、仕事をできるだけ
早くしたかった。」と語っている。おそらく、周りのブラジル人の友達が仕事をしてお
金を使っているのを見て、悔しい思いをしていたと考えられる。
⑬自分の故郷とアイデンティティについて
今回、幼いころに来日したケースがいたものの日本生まれのケースまではいなかった。
しかし母国についてどう思うかと聞くと「実際に帰ったことがないからよく知らない」
や「あんまり覚えていない」という答えが多かったo
lO牢近くも日本で滞在し、母国
-1度も帰ったことないケースも多かったことが、その理由であろう。しかし、アイデ
ンティティについての質問をした時にほとんどの対象者が、自分はブラジル人やペルー
人とはっきり答えている。彼らのアイデンティティが日本で育てられたという点からみ
ると、これは興味深いものであるoしかし、彼らは母国に実際に帰ったことがなくても、
自分のエスニックコミュニティ(日本での)との関わりが強く、宗教、音楽、メディア(衛
星テレビ)、食べ物などに依存し、その環境で育てられてきたために、自分の国の歴史
や社会情勢をあまり知らなくても母国の文化をはっきりと理解していると考えられる。
対象者の中に日本語でインタビューを行ったのがFとGであるが彼らにアイデンテ
35
イティについて質問したら、
Fの場合「一応ブラジル人やけど、まあ友達(日本人)に、
あんたは日本人にしか見えないと言われる」と答え、
「日本にいることが長
Gの場合、
いからな。。。でも俺はブラジル人だと思っているよ」と答えている。
2人の場合、日本
にいることが長く、日本人と生活をすることが多いため、一応ブラジル人であるが、日
本化された人生によってアイデンティティも変わってきたと感じていると思われる。
⑭帰国予定について
母国にいつか帰りたいと思いますかという質問に対して、多くの場合「帰りたくない」
と答えた。また、彼らの中には、来日後、帰国した人が少なく、皆が自分の国を知らな
いと答えている。
「帰国というより、観光だけで行ってまた日本に帰るよ」と述べる。
このように、将来を日本で過ごすことを考えている人がほとんどである。しかし、分か
らないと答えた人に対して、
「10年後、あなたはどこにいると思いますか」と質問した
ら、 「日本にいるかな」と答えた。これでH以外の少年が日本に残る選択をしたことに
なる。Hの場合、親が母国での何らかの計画があり、帰国する予定があると考えている。
しかし、先述の事例通り、付き合っている日本人の男性との交際をきっかに、将来はま
だ分からないと語っている。また、他の事例と違って、
Hの場合、日本語ができないが
母語ができるので、母国で暮らす際の不安はないという、ある種の自信が伝わった。
また、日本に残りたいと答えた人に、
「ブラジルより日本のほうが好きか」という質
問をしたら、例えばEは「物がいっでも簡単に買える、という意味では日本やけど、
そうでなければブラジルがいい」と述べている。日本で仕事をすれば物が簡単に手に入
れられるが、ブラジルでは言語で不自由のない暮らしや同じ文化を共有できる人々と暮
らす満足さが得られることを示す答えである。
ⅠⅠ.日系南米人中学生の親のバックグラウンドー鈴鹿市の調査をもとに
第2章では、中学校で学ぶ日系南米人の子どもと親についての調査結果を述べたが、
他方で、子どもの教育に対しての関心や働きは親によって異なる。
鈴鹿市の調査には学歴などのデータを取ったものの実際には報告書には乗せなかっ
たo今回、親の背景を重視するためにそれらのデータをグラフ化し、参考資料として扱
うことにする。
①親の学歴
親の学歴が高ければ子どもに与える影響がプラスであると言われている。図3と図4
で現れている親の学歴を見ると、学歴が高等学校までが多く、大学を出たものがいずれ
にしても2割になっている。また、大学-の進学率が日本と比べればずっと低いが、逆
に南米では大学生の目的意識が高い。そのため工学部に所属しているなら、高い割合で
36
エンジニアi十亡どになることを目指L.ている_.=
また,ブラi/JL/人学校J
)グラフで壬Ti、もi=,ろん、ブラジJL人が大半であるJ
)に対して,
公立学校U)場合、
-こルー人なビU-)L血o)南米出身者が含去れている,,ペ′レ-では高等幸枝
削がなく中学校が,5年制度のため、高校とL.て答えている昔が多いと考えL:_)れる7
しかし、いずれの場合、学歴が平均よりやペコ高いことが分かった_⊃
そのために、子ど
i,を高校や大学-行かせたいと望む親が多く,綴らの教育に対する意識が高いといえる.)
図3親の最終学歴(E]本の公立学校の場合)
37
図4親の最終学歴(ブラジル人学校の場合)
(診母国での仕事
学歴を見た後、今度は学歴と母国の職業との関係を囲5、
6で見るo
ような職を得た人が何人かおり、これは上の学歴に当てはまる数と言えるo
大卒に相当する
また、どち
らも商売人が多いことが分かる。学歴で高校までと答えたものが多く、おそらく商売を
営んでいる可能性が高いとみられる。しかし日本の公立学校とブラジル人学校の最も大
きな違いは、専業主婦の割合であり、ブラジル入学校より公立学校で専業主婦が多いと
いう結果が出たD公立学校とブラジル人学校で回答の男女別割合が平等であったが、専
業主婦が多かった公立学校の場合、夫だけが働いていることが多いと考えられる。また、
専業主婦が少なかったブラジル人学校の場合、夫婦とも働いていることが多いと考えら
れる.
38
図5母国での職業(日本の公立学校の場合)
図6母国での職業(ブラジル入学校の場合)
39
こi:i:・親Lr)・J吊宅時間と労働時間について
公立学校とブラジル人草校r/:)学費の遠いによって労俸如二必要な時間が':[iT化す,7'Jと考
え仁,わる、.ノ公立とブラジル人学校L7)千t:Il阜,に「あなたJ)ご両親は何時ごろ家に帰り去-l
か?」とい;)質問をした.=
そu)結果(図7,8)、両親u
)帰宅時問は、非常に不規則であるこ
とが明確になった=夕方までiこ帰宅できる親もいるが、
20暗から22時という場合がや
や多いようfr=.。二つの学校の親の帰宅時間を比較すると、プラジ/レ人学校に通う子ども
また、母親u)中には、公立学校の場合一
の場合、公立の学校より長時間働く親が多い「〉
日中家にいる者もいるが、それは数名である.っ
図7公立学校の親の場合
家lこ一日
いる
22時
2α寺
29%
腰■■■
図8ブラジル人学校の場合
」
_
】
40
7%
17時
-
④家族形態
世界の反対側に家族を残し、父親一人が家族と離れて出稼ぎにくることは、
の初頭まではごく普通のことであったo
に生活する日系南米人が増えてきているo
90年代
しかし、現在では家族を日本へ呼び寄せ、一緒
「家族が一緒に暮らすのは大切だから」と考
える親は全体の約7割。家族を大切に思う気持ちが強い。また、それに伴って日本で出
産することも増えてきているため、幼い頃から日本で生活する子供たちが多くなってい
る。この傾向は今後ますます増加すると考えられる。
⑤言語能力
親の多くが、日常会話程度でしか日本語を使えないので、子どもとのコミュニケーシ
ョンは主に母国語になる。
ところが、公立学校に通う子どもは学校で日本語を覚え、母国語を忘れてしまうケー
スが極めて多い。これでは、親子間の会話にも支障が出るおそれがある。子どもに母国
語を忘れないようにさせるために、7割の親が「母国語で会話するように心がけている」
と答えている。一方、子供が日本語を覚えることが「大切である」と答えた親はほぼ全
員であった。日本語が出来ない親にとって、子供は親の大切な通訳者である。公立学校
の教師の話では、時には親の通訳のために、学校を欠席する生徒もいるそうである。
⑥教育に対する意識
鈴鹿市やその周辺で、親が選択できる学校は、公立学校か母国語の学校(ブラジル人
学校)の二つになる。親は、主に将来日本で暮らすつもりなら公立学校、また母国-棉
る予定ならブラジル人学校と、目的によって通わせる学校を選択しているようである。
教育に対する保護者の意識は、全体として非常に高い。これは意外な結果であった。
公立学校、ブラジル入学校ともに、
「経済的に可能な範囲で良い教育をさせたい」
「最高
の教育を受けさせ、そのため出費は惜しまない」と多くの親が考えていた。少なくとも
子どもを学校に通わせている親は、子どもの教育に積極的であることが伺える。実際、
所得が高いとは言えないにも関わらず、授業料が高い(日本の私立学校並み!)ブラジル人
学校に通わせる親が多いことは、上述のことを示しているといえよう。また、公立学校
の教師の詣では、運動会などの学校行事には仕事を休んで参加する親や、国際交流学習
の一環として伝統料理や文化のレクチャーに協力してくれる親も多数いるということ
だった。
教育に関する相談相手は、基本は配偶者である。それ以外の相談相手として、公立学
校では2人に1人が「学校の先生」を挙げていた。ブラジル人学校での学校の先生-の
相談度が2割程度だったことを考えると、公立学校の教師が、仕事で忙しい親たちから、
いかに両親たちから頼りにされているかが分かるo
学校-の要望としては、公立学校では、
「進学に関する情報が欲しい」、
41
「子どもの学
校での様子をもっと知りたい」が多かった。また「翻訳された資料を増やして欲しい」
も三番目に多く、より充実した情報提供が求ギ)られていることが分かるo一方ブラジル
入学校では「学校行事に関する情報が欲しい」、
「子供の学校での様子をもっと知りたい」
が多く、言語の問題がないにも関わらず、情報提供が不足しているように思われた.。た
だ、日系南米人の親は、労働時間が不規則かつ長いケースが多く、子どもとJ;、れあう時
間も少なくなりがちである。そのため学校からの情報が、子どもから親に確実に行き届
かないことも考えられ、必ずしも学校側の問題とは言い切れない。
そのため、親を雇用する派遣会社の労働基準の見直しが必要と考えられる。その他、
ブラジル人学校では日本語の授業時間が少ないことや、教育の質-の不満などが挙げら
れていた。
⑦子どもの将来
多くの親が、子供には「大学まで」進学して欲しいと考えている。しかし、公立学校
では「高校まで」、
「まだわからない」を選択した親も多かった。先程、親の教育-の意
識で彼らが教育に熱心な傾向を述べたため、この回答は一見矛盾しているかに見えるが、
これはおそらく、公立学校の親は、良い教育を受けさせたい気持ちは強いが、現実的な
困難も大きいと考えているのだろう。
将来への考え方は、二つの学校ではっきりと差がみられた。ブラジル人学校に通わせ
る親は、 98%がブラジル-の帰国を前提とし、子どもをブラジルの大学に進学させるこ
とを望んでいる。ただし現実には、ブラジル人学校を卒業してもブラジル-帰れず、日
本に残って働くことになるケースは少なくないだろう。ブラジル人学校は日本で正式に
認ギ)られた教育機関ではないので、卒業してから母国に帰れなければ、親の望むような
大学進学という将来を得ることがとても難しくなってしまうのである。一方、公立学校
では将来帰国するつもりだと答えた親は50%に留まり、子供の将来は日本でと考える
者が多いようであるoまた、親は日本で高齢になると労働者としての仕事が無くなるだ
ろうから日本で生活を送ることは難しいため実際に帰国するのはほとんどの親である
だろうと考えられる。
3)学校現場の声
教育現場には、多くの課題が山積みである。国際担当の先生方-のインタビューによ
れば、日本語の指導に始まり、教科指導、学校生活の指導、親との連絡、進路の問題、
指導出来る教員の不足など、課題は尽きない。言葉の壁や、異文化-の戸惑いもある.。
そんな多くの問題を抱えながらも、教師たちは外国籍生徒の指導に熱心に取り組んでい
る。その努力の結果が、生徒が学校を楽しいと感じたり、親が教師を額りに思ったりす
ることに反映しているのだろうo
現場からの要望としては、日本語学習のためのプレスクール設置、大学生やボランテ
42
イアによる支援、常勤の通訳の各校配属、一貫した指導指針の確立などがあげられてい
た。
4)課題、そしてこれから
今後、何が必要なのか。外国人の子どもが学習するうえで、最も重要なのは、言語の
習得であるo事実、日本語をゼロから覚える子どもがほとんどである。にもかかわらず、
公立学校での日本語指導には限界があるoそのため、日本語学習のためのプレスクー/レ
の設置が必要である。
また、公立学校が対応できるように外国人のいる学校に常勤の通訳の各校配属が必要
である。
今回の調査を通して、日系南米人の中学生の多くが、楽しく学校生活を送っているこ
とが分かった。ただしそこには、外国人特有の悩みや将来-の様々な不安も見え隠れし
ていたL,また、親にも様々な事情や不安があることも分かったo
しかし、今回のアンケ
ートは鈴鹿市の外国籍の子供達の現状を知るための、ほんの辛がかりに過ぎないだろう。
今後、ますます増加が予想される外国籍の子供たち、)生徒、親、教師を様々な角度か
らサポートする体制が、一層必要となるだろう。
43
終わりに
最近、日系南米人の不就学問題や進学問題が注目されている。教育委員会や他の団体
が力を合わせて就学や進学ガイダンスなど対策を行っている。そのため、就学率が上が
り、進学率も年々に増加している。
三重県も例外でない。しかし、日本語が分からない子どもが増え、結果として学力低
下も続いている。また、高校に進学する子どもがいても、目標のなさにやめてしまった
り、また、卒業しても職業に結びつかず、結局、親と同じ3Kの仕事をしてしまう。
このような状況の中で学校や進学を諦め、ドロップアウトする子どもたちの存在が避
けられない。そのためドロップアウトした子どもの実態を把握するために研究する必要
があった。本稿においてはドロップアウトの経験がある9人の対象者をインタビューし、
自分自身が経験した家庭環境、学校生活について調べ、ドロップアウトの選択に迫られ
た要因を探ることが目的であった。
彼らはドロップアウトしていない少年との共通点が多い。カルチャーショックや言葉
の壁などは皆が経験をする。しかし、問題はそれをクリアしたものとクリアできなかっ
たもので分けられている。
学校と親のサポートがなければクリアができないし、学校だけで、または親だけでは
クリアが難しいのである。しかし現在の学校からの日本語指導は不十分であるし、親の
支援も限られていて、不十分である。このように両方のサポートが中途半端な状況では
問題をクリアする子どもとしない子どもの格差が現れる。
現在日本語指導の見直しなどの様々な対策が行われている。しかし、子どもがクリア
するためのもう一つの基盤である親のために、何もされていないのは事実である。不安
定で不規則な労働状況にある親は、子どもの教育をサポートする余裕がない。
今回、対象者のケースの中に離婚などの家庭被壊が起こっているが、これはたまたま
ではないと考えられる。最近日本で離婚する日系南米人の夫婦が増えているのが事実で
ある。過労による結果、ストレス、病気、家庭内暴力などの問題が現れている。ようす
るに不安定で不規則な生活が家庭全体に影響を与えていて、子どもだけではないのであ
る。
今後、外国人が増加し続ける見込みである。そのために子どもも増え、日本の小学校
に通う外国籍の子どもの割合が日本の子どもを上回る時代が現在の少子化問題も重な
っては遠くないだろう。三重県のある小学校のクラスでは外国籍の子どもが半分にもな
り、言語問題により授業のペースが落ち、不満を抱く日本人の親が現れ、学校を変更し
たりするケースが現れている。
外国籍の子どもの日本語習得が第二言語ではあるが、しかし、その言語が将来の可能
性を開くための必要不可欠な道具である。今回の9人の対象者の中にその道具がなかっ
たものが多かった。しかし彼らの多くに勉強を続けたいチャンスが欲しいという気持ち
44
があった(、彼らと同じようにドロップアウトしたものが多いと思われる。。その多くも後
iこなって後悔し勉強の必要性を理解するようになる。そんな彼らのために遅くても勉強
のできるチャンスを与えることが望まれる。この問題は日本が決して初めて経験するこ
とではないo在日韓国・朝鮮人などのオールドカマ--の歴史も経験しているo
同じ外国
人として、現在日本で勉強をしている外国籍の子どもが、将来、不自由なく生活できる
人間になることを願う。
謝辞
本研究の作成にあたってご指導を下さった先生方に感謝致します。また、調査に御協
力いただいた各市の教育委員会その他関係者の皆様に感謝を表しますo
更に、本研究にあたって、調査にご協力がなければ実現できなかった9人の対象者に
心から御礼申し上げますL.,お忙しい中、調査を理解し、嫌な思いがあったにも関わらず、
正直に語り、筆者のしつこい質問に答え、心を開いて、大切な時間を提供していただい
たことに対し深く感謝します。
そして彼らが、今後、より良い生活が送れることを心から願う次第です。
45
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