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沖縄における特定防除資材の重曹による雑草防除効果・方法に関する
沖縄における特定防除資材の重曹による雑草防除効果・方法に関する調査研究 We 研究会(大竹岩男、川田美和、喜屋武忍、大城泰宏) 1.調査目的 沖縄県は高温多湿の気候に恵まれ、雑草の発生が旺盛で、その生長も早い。過去、雑草 軽減については防草シート・マルチング等の活用が試されてきたが、有効な手法の確立に は至っていない。そのため、雑草生長に伴い生ずる景観・安全性悪化等が起こった時点で、 その都度刈取・除草等の対応処置を随時行っている現状にある。 雑草対策としては、近年、県外において特定防除資材の重曹による除草が注目され、道 路維持管理作業等で実用されているが、本県に発生する雑草への効果は未だ実証できてい ない。そこで、県内の強害雑草での効果を実験・調査し、本県の雑草軽減・防除への一方 法に寄与する目的において調査を行った。 本調査においては、主に下記のような視点において調査・分析を行った。 ・ 重曹による雑草防除への効果について、調査対象雑草を2つに大別し、主にこれらに 対する景観的な雑草ボリューム(雑草被度、草丈伸長)への抑制効果を検証した。 ¾ センダングサを主体とするキク科を中心とした広葉系雑草 ¾ 各種イネ科を中心とした細葉系雑草 ・ 雑草が混入した芝生地への除草効果、及び芝生への影響についても検証した。 2.調査内容 本研究では、雑草繁茂特性により異なる下記の計 3 種の調査地を設定することとした。 また各調査地においてさらに重曹水散布、草刈・雑草搬出の作業項目を加え、これらの作 業の有無により調査区を 5 種(A~E)設定した。 表2-1.調査地区分 調査地の区分 概要 広葉雑草区 広葉系の雑草(キク科、ナス科等)が優占する残 地 細葉雑草区 細葉系の雑草(イネ科等)が優占する残地 芝生地雑草区 芝生が植栽された後、雑草が進入・繁茂してきた 植栽地 調査地は浦添大公園(浦添市伊祖地 表2-2.調査区 作 業 項 目 調 査 重曹 雑草 区 散布 草刈 搬出 調 査 区 設 定 の 意 図 比較 対象 A ○ × × ・高圧 重曹 水散布 のみ (草 刈・搬出無 し)によ る効 果比較 Aと B ・草刈 後( 搬出無 し) の重曹 水散布 との 効果比 較 Aと D ・草刈 機使 用時と の雑 草残渣 の風化 状態 比較 B ○ ○ × ・草刈 のみ (搬出 無し )の除 草作業 にお ける効 果比 較 ・草刈 り後 放置し た雑 草残渣 の風化 状態 比較 C ○ ○ ○ ・通常 の維 持管理 作業 (草刈 +搬 出) におけ る効 果比較 Cと E ・搬出 する 雑草重 量の 比較 D × ○ × ・草刈 のみ (搬出 無し )の除 草作業 実施 ・重曹 水散 布を行 わな い比較 対照区 - E × ○ ○ ・通常 の維 持管理 作業 実施( 草刈+搬 出) ・重曹 水散 布を行 わな い比較 対照区 - 内)である。 Bと D 3.調査結果(まとめ) <雑草軽減効果について> ・ 特に広葉系雑草(センダングサ、ウエデリア等)に対する繁茂抑制、矮小化効果等が 認められた。 ・ 良好な芝生地に対する通常の維持管理作業と重曹水散布を併用することにより、芝生 を美しく保ち、広葉雑草やウエデリア等の侵入を抑制する効果が認められた。 ・ ウエデリアの繁茂抑制効果も見られたため、本種の植栽地からのはみ出し防止等、植 栽範囲のコントロール等にも活用できると考えられる。 ・ 重曹の撒き方については、高圧散布のみでも広葉系雑草の繁茂抑制・矮小化効果が認 められたが、太い茎や繊維等は千切れにくく残りやすかったため、景観を重視する必 要のある箇所では草刈と併用したほうがよい。 <雑草残渣量の軽減に対する効果について> ・ 特に広葉系雑草(センダングサ、ウエデリア等)に対する矮小化効果、分解促進効果 等が認められた。また、芝生地雑草区においては、重曹水散布地の搬出雑草量が明ら かに少なかった。このため、雑草搬出を行わなくて良い箇所では搬出せず放置でき、 また景観上処分が必要な箇所においては雑草処分量の軽減や焼却処分の際の Co2 削減 効果が見込めると考えられる。 ・ 細葉系雑草の繊維や太い茎に対しては目立った溶解反応等は認められなかった。 <土壌への影響について> ・ 重曹水散布による土壌の変質、変色等は認められなかった。 4.沖縄における重曹の活用について ・ 芝生地においては、通常の維持管理作業と併用することにより雑草抑制効果を発揮す ることが明らかに認められたため、併用することによる維持管理回数の軽減や必要人 員の削減等、維持管理経費節減につながると考えられる。 ・ 雑草繁茂地においては、広葉系の強害雑草に対する分解促進作用及び度重なる散布に よる雑草矮小化効果等が認められたことから、刈草を搬出しないでも早期に処理でき る点や、将来的な雑草繁茂抑制が望める点が重曹活用による雑草防除の魅力となると 考えられる。現在の雑草処理は草刈後に刈草を運搬処理している為、運搬処理に人件 費と運搬費及び処分費が費やされていることから、現場にて処理できるという点では 費用削減及び環境問題から望ましい状況と言える。上記効果に加え、比較的施工が簡 易で必要人員も少なく、短時間で広い面積を処理できる利点もあり、雑草防除費用 の削減につながる結果となった。今後さらなる実例を踏まえながら実証を重ね、実 用する価値があると考えられる。 ・ しかしながら、散布後の枯れた雑草を放置することになれば景観や安全上の問題が発 生するため、枯れた雑草を放置できる箇所であるか、否かでその価値を発揮しうるか 決定されることになる。よって、景観を余り重視しない残地等において経費節減効果 を発揮しうると考えられる。一般道路の歩道・中央分離帯などでは余り適しない。