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高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用

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高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用
68 高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用
高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用
長島 素子
高等部の理科の授業は難易度が高く、授業中、板書を書写することや知識を詰め込むことに必死になっ
ている生徒を多く目にする。生徒にとって文字情報は特に大切なので、ノート作成は重要だが、一方で実
験・観察・問題演習の時間設定が難しくなり、身近な現象を考察するなど、理科本来の楽しさを忘れ、生
徒の実力に結びつかない、という状況も懸念される。そこで、生徒の興味・関心を引いたり、複雑な現象
が一目で理解できたり、板書の時間を短縮したりするデジタル教材を中心に、視覚的教材を考案・作成
し、授業で活用している。
1 はじめに
3 授業の進め方と視覚的教材・教具の利用
近年、理科離れが叫ばれてはいるが、理科は、
「実
(1)ワークシート
験があるから好きだ、面白い。」「身近な現象が理解
本校高等部理科の授業は、主にワークシートを用
できる。
」など、物事を理論的に考察することを楽
いて進めている。聾学校の授業では、全員板書の書
しみ、興味を持って取り組もうとする生徒も多い教
写が終わって顔を上げるまで教員は説明ができな
科である。しかし、高等学校の理科は、中学校で扱っ
い、という現状がある。また、生徒によって書写の
た学習分野でも、難易度が急に上がることが多く、
速さがまちまちであるため、この方法は書写の時間
思考力や応用力を問われるようになる。教科書で化
を短縮し、実験や問題演習、生徒どうしの意見交換
学反応式を理解したつもりなのに、問題を前にして
等の時間を増やすことに大変有効であると考えられ
手が止まってしまう生徒を目にしたり、楽しかった
る。
はずの授業がいつの間にか苦しくなったという声を
授業は机に向かうだけでなく、説明を聞いたり、
聞いたりするようになる。我々教員は、そのような
発言をしたり、聞いたりする時間も大切である。生
生徒を一人でもつくらないこと、また、苦手意識を
徒が顔を上げて前を向く、という動作を誘導し、生
すでに持ってしまった生徒も含め、探究することの
徒の視線の移動を減らすために、以下の方法で、ワー
楽しさ、問題を解決できる喜びを知ってもらうため
クシートの内容を提示するようにしている。
の働きかけを常に心掛ける必要がある。
① 機器を用いた提示
そのためには、講義だけでなく、実験・観察が不
授業を進める際、主に、ノートパソコンの画面を
可欠である。探究することの楽しさを知るため、ま
投影している。投影の方法は、
た新単元の導入、既習事項の確認等様々な場面で実
・スクリーン
験・観察を行うことになる。本稿では、執筆者が作
・テレビ画面
成した視覚的教材・教具を中心に、既成のフリーソ
・貼り付け式スクリーン
フトや教具を組み合わせた教材などを紹介する。
・ホワイトボード
2 研究目的及び研究方法
などがあるが、長所・短所がそれぞれにあり、複数
板書を書写する時間を短縮し、演習や実験の時間
を組み合わせて使用するなど、教員によって異なる。
を増やすためのワークシート、活字だけでは理解が
執筆者の場合、スクリーンとテレビ画面を併用する
難しい複雑な現象が一目で理解でき、生徒の興味・
方法を用いている(図1)。スクリーンは角度によっ
関心を引くデジタル教材を考案・作成し、授業内容
て見づらくなる、歪むなどのデメリットがあり、液
の定着をはかる。
晶テレビでそれらを補うようにしている。一方、液
晶テレビは小さいというデメリットがあり、スク
晶テレビでそれらを補うようにしている。一方、液
晶テレビは小さいというデメリットがあり、スクリ
晶テレビでそれらを補うようにしている。一方、液
ーンで補うようにしている。貼り付け式スクリーン
晶テレビは小さいというデメリットがあり、スクリ
晶テレビでそれらを補うようにしている。一方、液
とホワイトボードは直接書き込める、というメリッ
リーンで補うようにしている。貼り付け式スクリー
ーンで補うようにしている。貼り付け式スクリーン
晶テレビは小さいというデメリットがあり、スクリ
トがあるが、執筆者の場合は後述の【4(1)
ワード
ンとホワイトボードは直接書き込める、というメ
とホワイトボードは直接書き込める、というメリッ
ーンで補うようにしている。貼り付け式スクリーン
プロセッサを用いたワークシート】にあるように、
リットがあるが、執筆者の場合は後述の【4(1)
トがあるが、執筆者の場合は後述の【4(1)
ワード とホワイトボードは直接書き込める、というメリッ
あらかじめ必要事項を書き込んでいるので、この2
ワードプロセッサを用いたワークシート】にあるよ
プロセッサを用いたワークシート】にあるように、
トがあるが、執筆者の場合は後述の【4(1) ワード
つはあまり用いていない。
うに、あらかじめ必要事項を書き込んでいるので、
あらかじめ必要事項を書き込んでいるので、この2
プロセッサを用いたワークシート】にあるように、
以上のように、メリット、デメリットがそれぞれ
この2つはあまり用いていない。
つはあまり用いていない。
あらかじめ必要事項を書き込んでいるので、この2
にあり、それらを補う、という意味もあるが、聾学
以上のように、メリット、デメリットがそれぞれ
以上のように、メリット、デメリットがそれぞれ
つはあまり用いていない。
校の授業において、教室のどの位置からも平等に見
にあり、それらを補う、という意味もあるが、聾学
にあり、それらを補う、という意味もあるが、聾学
以上のように、メリット、デメリットがそれぞれ
える、というのは重要な要素であるので、2カ所に
校の授業において、教室のどの位置からも平等に見
校の授業において、教室のどの位置からも平等に見
にあり、それらを補う、という意味もあるが、聾学
提示している。この方法は、後述の【4 デジタル
校の授業において、教室のどの位置からも平等に見
える、というのは重要な要素であるので、2カ所に
える、というのは重要な要素であるので、2カ所に
教材・教具】でも同様である。
える、というのは重要な要素であるので、2カ所に
提示している。この方法は、後述の【4 デジタル
提示している。この方法は、後述の【4
デジタル
も可能であるが、諸注意の説明が終わり、実験方法
筑波大学附属聴覚特別支援学校紀要 第35巻 69
の説明などを始めると、画面が切り替わり、諸注意
も可能であるが、諸注意の説明が終わり、実験方法
が画面から消えてしまうというデメリットがある。
の説明などを始めると、画面が切り替わり、諸注意
も可能であるが、諸注意の説明が終わり、実験方法
このような場合にポスタープリンターによる提示を
る。このような場合にポスタープリンターによる提
が画面から消えてしまうというデメリットがある。
の説明などを始めると、画面が切り替わり、諸注意
よく用いる。
示をよく用いる。
このような場合にポスタープリンターによる提示を
が画面から消えてしまうというデメリットがある。
よく用いる。
このような場合にポスタープリンターによる提示を
諸注意を提
よく用いる。
示し続ける
諸注意を提
ワークシートの内容
(実験方
↓
諸 注示意し
を続
提け る
法等)を投影
ワークシートの内容
(実験方 示 し↓続 け る
法等)を投影 (実験方
ワークシートの内容
提示している。この方法は、後述の【4 デジタル
教材・教具】でも同様である。
教材・教具】でも同様である。
CCD カメラ
教材・教具】でも同様である。
ノートパソコン
CCD カメラ
CCD カメラ
ノートパソコン
液晶テレビ
ノートパソコン
教卓
液晶テレビ
スクリーン
液晶テレビ
教卓
教卓
スクリーン
スクリーン
プロジェクター
図2
ポスタープリンター
図2 ポスタープリンター
図2
図2
図1 機器の配置
プロジェクター
プロジェクター
②
図1
機器の配置
図1図1 機器の配置
機器の配置
ポスタープリンターによる掲示
~実験の諸注意等~
②ポスタープリンターによる掲示
ポスタープリンターによる掲示
②② ポスタープリンターによる掲示
ワークシートの提示方法として最も多く用いるの
~実験の諸注意等~
~実験の諸注意等~
〜実験の諸注意等〜
は前述した【①
機器を用いた提示】であるが、実
ワークシートの提示方法として最も多く用いるの
ワークシートの提示方法として最も多く用いるの
ワークシートの提示方法として最も多く用いるの
験時にはワークシートの内容をポスタープリンター
は前述した【① 機器を用いた提示】であるが、実
機器を用いた提示】であるが、実
は前述した【①
は前述した【① 機器を用いた提示】であるが、実
で拡大提示をすることが多い。
験時にはワークシートの内容をポスタープリンター
験時にはワークシートの内容をポスタープリンター
験時にはワークシートの内容をポスタープリンター
で拡大提示をすることが多い。
実験は、聴覚に障害を有する生徒にとって、視覚
で拡大提示をすることが多い。
で拡大提示をすることが多い。
実験は、聴覚に障害を有する生徒にとって、視覚
的な情報を与えるだけでなく、実際に触れ、経験す
実験は、聴覚に障害を有する生徒にとって、視覚
実験は、聴覚に障害を有する生徒にとって、視覚
的な情報を与えるだけでなく、実際に触れ、経験す
ることが大きな意味を持つ。同時に、思いがけない
的な情報を与えるだけでなく、実際に触れ、経験す
的な情報を与えるだけでなく、実際に触れ、経験す
ることが大きな意味を持つ。同時に、思いがけない
ことが危険につながる場合もあり、様々な配慮が必
ることが大きな意味を持つ。同時に、思いがけない
ることが大きな意味を持つ。同時に、思いがけない
ことが危険につながる場合もあり、様々な配慮が必
要になってくる。
ことが危険につながる場合もあり、様々な配慮が必
ことが危険につながる場合もあり、様々な配慮が必
要になってくる。
生徒実験の際は、実験前に実験の流れや諸注意を
要になってくる。
生徒実験の際は、実験前に実験の流れや諸注意を
要になってくる。
説明し、諸注意はポスタープリンターで拡大したも
生徒実験の際は、実験前に実験の流れや諸注意を
説明し、諸注意はポスタープリンターで拡大したも
生徒実験の際は、実験前に実験の流れや諸注意を
のを授業中黒板に提示し続けるなどの配慮をしてい
説明し、諸注意はポスタープリンターで拡大したも
のを授業中黒板に提示し続けるなどの配慮をしてい
説明し、諸注意はポスタープリンターで拡大したも
る(図2・3)
。機器を用いて投影し、説明すること
のを授業中黒板に提示し続けるなどの配慮をしてい
る(図2・3)
。機器を用いて投影し、説明すること
のを授業中黒板に提示し続けるなどの配慮をしてい
-2る(図2・3)
。機器を用いて投影し、説明すること -2る(図2・3)
。機器を用いて投影し、説明するこ
-2とも可能であるが、諸注意の説明が終わり、実験方
↓
法等)を投影
ポスタープリンター
ポスタープリンター
図3
諸注意の例
図3 諸注意の例
図3諸注意の例
諸注意の例
図3
(2) 実物投影機を用いた実物の提示
(2)実物投影機を用いた実物の提示
小さなものを拡大して見せたり、教科書の本文、
(2)
実物投影機を用いた実物の提示
(2)
実物投影機を用いた実物の提示
小さなものを拡大して見せたり、教科書の本文、
表、
写真等を見せながら説明をするときに用いてい
小さなものを拡大して見せたり、教科書の本文、
小さなものを拡大して見せたり、教科書の本文、
表、写真等を見せながら説明をするときに用いてい
る(図4)
。
表、
写真等を見せながら説明をするときに用いてい
表、
写真等を見せながら説明をするときに用いてい
る(図4)
。
る(図4)。
る(図4)。
図4
CCD カメラ
図4
CCD カメラ
図4 図4 CCDカメラ
CCD カメラ
(3)板書
1時間の授業の内容が1枚の黒板にまとまってお
り、生徒がノートを見たときにきちんと復習できる
法の説明などを始めると、画面が切り替わり、諸注
板書が理想的である。しかし、前述したようにワー
意が画面から消えてしまうというデメリットがあ
クシートを主とする授業では、必ずしもそうはなら
1時間の授業の内容が1枚の黒板にまとまってお
(3)
板書
ワークシートは、板書の時間を短縮するために、
(1)
ワードプロセッサを用いたワークシート
り、生徒がノートを見たときにきちんと復習できる
1時間の授業の内容が1枚の黒板にまとまってお
空欄にあらかじめ語句を入れておき、
その上からオ
ワークシートは、板書の時間を短縮するために、
板書が理想的である。しかし、前述したようにワー
り、生徒がノートを見たときにきちんと復習できる
ートシェイプで白い長方形をつくり、
かぶせている。
空欄にあらかじめ語句を入れておき、
その上からオ
クシートを主とする授業では、必ずしもそうはなら
70 高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用 授業の際はかぶせているものをバックスペースキ
ートシェイプで白い長方形をつくり、かぶせている。
板書が理想的である。しかし、前述したようにワー
ず、補足・発展・余談など補助的な意味で黒板を使
クシートを主とする授業では、必ずしもそうはなら
ーで削除していき、語句を表示している(図6)
。
授業の際はかぶせているものをバックスペースキ
うことが多くなる(図5)
。その場合、生徒には全部
ず、補足・発展・余談など補助的な意味で黒板を使
ず、補足・発展・余談など補助的な意味で黒板を使
を書き写さず、必要な内容を精選してメモさせるよ
うことが多くなる(図5)
。その場合、生徒には全部
うことが多くなる(図5)
。その場合、生徒には全
この方法は、パワーポイントに比べ、手元のワー。
ーで削除していき、語句を表示している(図6)
クシートのどの部分の話をしているのか生徒にわか
クシートのどの部分の話をしているのか生徒にわ
この方法は、パワーポイントに比べ、手元のワー
りやすく、また、教員が意図した順番通りに生徒が
かりやすく、
また、教員が意図した順番通りに生徒
クシートのどの部分の話をしているのか生徒にわ
答えなかった場合でも、生徒の発言に合わせた授業
が答えなかった場合でも、
生徒の発言に合わせた授
かりやすく、また、教員が意図した順番通りに生徒
展開が可能になるというメリットがある。
業展開が可能になるというメリットがある。
が答えなかった場合でも、生徒の発言に合わせた授
ࡢ䏚ࠢࠪ䏚࠻ߩౝኈ╬
ࡢ䏚ࠢࠪ䏚࠻ߩౝኈ╬
うにしている。
を書き写さず、必要な内容を精選してメモさせるよ
部を書き写さず、必要な内容を精選してメモさせる
うにしている。
ようにしている。
業展開が可能になるというメリットがある。
黒板は
フリースペース
黒板は
になる
フリースペース
になる
ワークシ
ートの内
ワークシ
容等
ートの内
容等
枠線は消す
枠線は消す
…( 等速直線運動 )または
図5 黒板・スクリーンの配置
図5 黒板・スクリーンの配置
…( 等速直線運動 )または
図5 黒板・スクリーンの配置
4
デジタル教材・教具
4 デジタル教材・教具
前述したワークシートをはじめ、視覚
4授業では、
デジタル教材・教具
授業では、前述したワークシートをはじめ、視覚
的教材・教具を多く用いている。
これらは自作であ
授業では、前述したワークシートをはじめ、
視覚
的教材・教具を多く用いている。これらは自作であ
るもの、
インターネットのホームページからダウン
的教材・教具を多く用いている。
これらは自作であ
るもの、インターネットのホームページからダウン
ロードしたものなど、
それぞれであるが、いずれに
るもの、インターネットのホームページからダウン
ロードしたものなど、それぞれであるが、いずれに
しても、生徒の興味を引くような教材であること、
ロードしたものなど、それぞれであるが、いずれに
しても、生徒の興味を引くような教材であること、
指導の補助になること、
生徒の理解の補助になるこ
しても、生徒の興味を引くような教材であること、
指導の補助になること、生徒の理解の補助になるこ
となどが大切になる。
活用しているデジタル教材・
指導の補助になること、
生徒の理解の補助になるこ
となどが大切になる。活用しているデジタル教材・
教具は、
となどが大切になる。活用しているデジタル教材・
教具は、
(1)教具は、
ワードプロセッサを用いたワークシート
(1)ワードプロセッサを用いたワークシート
(2)(1) パワーポイントを用いた自作アニメーション
ワードプロセッサを用いたワークシート
(2)パワーポイントを用いた自作アニメーション
(3)(2) シミュレーションソフトを用いたアニメーシ
パワーポイントを用いた自作アニメーション
(3)シミュレーションソフトを用いたアニメーショ
(3) ョン
シミュレーションソフトを用いたアニメーシ
ン
の3つであるが、
執筆者が活用しているものは、マ
ョン
の3つであるが、執筆者が活用しているものは、マ
イクロソフトオフィスと指導書の付録以外はすべ
の3つであるが、執筆者が活用しているものは、マ
イクロソフトオフィスと指導書の付録以外はすべて
てフリーである。
以下に、活用の例を含め紹介する。
イクロソフトオフィスと指導書の付録以外はすべ
フリーである。以下に、活用の例を含め紹介する。
てフリーである。以下に、活用の例を含め紹介する。
-3(1)ワードプロセッサを用いたワークシート
ワークシートは、板書の時間を短縮するために、
空欄にあらかじめ語句を入れておき、その上から
オートシェイプで白い長方形をつくり、かぶせてい
る。授業の際はかぶせているものをバックスペース
キーで削除していき、語句を表示している(図6)。
この方法は、パワーポイントに比べ、手元のワー
図6
ワークシートのしくみ①
図6 ワークシートのしくみ①
図6
ワークシートのしくみ①
また、理科の授業では、絵や図を描くことが多い。
また、理科の授業では、絵や図を描くことが多い。
絵を描くことに苦手意識を持つ生徒は、
絵を描くこ
また、理科の授業では、絵や図を描くことが多い。
絵を描くことに苦手意識を持つ生徒は、絵を描くこ
とで必死になってしまったり、
それだけで時間を多
絵を描くことに苦手意識を持つ生徒は、
絵を描くこ
とで必死になってしまったり、それだけで時間を多
く費やしてしまったりしがちである。
それらを解消
とで必死になってしまったり、それだけで時間を多
く費やしてしまったりしがちである。それらを解消
するために考案したのが以下の方法である。
く費やしてしまったりしがちである。それらを解消
するために考案したのが以下の方法である。
たとえば、生物Ⅰの「遺伝」の分野では、観察や
するために考案したのが以下の方法である。
たとえば、生物Ⅰの「遺伝」の分野では、観察や
スケッチと違い、
絵を上手に描くことよりも、形質
たとえば、生物Ⅰの「遺伝」の分野では、観察や
スケッチと違い、絵を上手に描くことよりも、形質
をしっかり記すことに重点を置く必要がある。
この
スケッチと違い、絵を上手に描くことよりも、
形質
をしっかり記すことに重点を置く必要がある。この
ような学習分野の場合、
あらかじめオートシェイプ
をしっかり記すことに重点を置く必要がある。
この
ような学習分野の場合、あらかじめオートシェイプ
で絵を描いておき、
色を塗れるように工夫をしてい
ような学習分野の場合、
あらかじめオートシェイプ
で絵を描いておき、色を塗れるように工夫をしてい
る。この場合は、まず色を塗った絵を描き、その上
で絵を描いておき、色を塗れるように工夫をしてい
る。この場合は、まず色を塗った絵を描き、その上
に色を塗っていない絵を上からかぶせている。
授業
る。この場合は、まず色を塗った絵を描き、その上
に色を塗っていない絵を上からかぶせている。授業
の際は、
同様に、かぶせているものをバックスペー
に色を塗っていない絵を上からかぶせている。
授業
の際は、同様に、かぶせているものをバックスペー
スキーで削除していき、
色を表示させている(図7)
。
の際は、同様に、かぶせているものをバックスペー
スキーで削除していき、色を表示させている(図7)。
スキーで削除していき、色を表示させている(図7)
。
図7の例では、
「ハツカネズミの色」と「遺伝子
-3型(yy)」を同時に表示する場合であるが、たとえば、
・色を先に表示し、遺伝子型を生徒に考えさせたい
場合(図8)
・遺伝子型を先に表示し、色を生徒に考えさせたい
場合(図9)
など、授業の進め方によって表示する順序が変わる
・色を先に表示し、遺伝子型を生徒に考えさせた
図7の例では、
「ハツカネズミの色」と「遺伝子
図7の例では、
「ハツカネズミの色」と「遺伝子
い場合(図8)
型(yy)
」を同時に表示する場合であるが、たとえ
型(yy)」を同時に表示する場合であるが、たとえ
・遺伝子型を先に表示し、色を生徒に考えさせたい
ば、
ば、
場合(図9)
・色を先に表示し、遺伝子型を生徒に考えさせた
・色を先に表示し、遺伝子型を生徒に考えさせた
など、授業の進め方によって表示する順序が変わる
い場合(図8)
い場合(図8)
ので、作成方法が異なる。
ので、作成方法が異なる。
・遺伝子型を先に表示し、
色を生徒に考えさせたい
・遺伝子型を先に表示し、
色を生徒に考えさせたい
この方法は、物理Ⅰの「力と運動」など、他の分
この方法は、物理Ⅰの「力と運動」など、他の分
場合(図9)
場合(図9)
野でも活用できる。たとえば問題演習の際、あらか
野でも活用できる。たとえば問題演習の際、あらか
など、
授業の進め方によって表示する順序が変わる
など、
授業の進め方によって表示する順序が変わる
じめワークシートに図を描いておき、矢印、数値、
じめワークシートに図を描いておき、矢印、数値、
ので、作成方法が異なる。
ので、作成方法が異なる。
軸などを授業時に表示し、生徒がそれを見て描きこ
軸などを授業時に表示し、生徒がそれを見て描きこ
この方法は、物理Ⅰの「力と運動」など、他の分
この方法は、物理Ⅰの「力と運動」など、他の分
めるようにし、生徒が慣れてきたら、問題文を読ま
めるようにし、生徒が慣れてきたら、問題文を読ま
野でも活用できる。たとえば問題演習の際、あらか
野でも活用できる。たとえば問題演習の際、あらか
せ自分で図を描かせる、など活用している。
せ自分で図を描かせる、など活用している。
じめワークシートに図を描いておき、矢印、数値、
じめワークシートに図を描いておき、矢印、数値、
軸などを授業時に表示し、
生徒がそれを見て描きこ
軸などを授業時に表示し、
生徒がそれを見て描きこ
めるようにし、
めるようにし、生徒が慣れてきたら、
生徒が慣れてきたら、問題文を読ま
問題文を読ま
せ自分で図を描かせる、など活用している。
せ自分で図を描かせる、など活用している。
黒
黒
図8 yy先に色を表示、遺伝子型を考えさせたい場合
yy
yy
㯮
筑波大学附属聴覚特別支援学校紀要 第35巻 71
㯮
黒
黒
黒
黒
yy
図8
遺伝子型を考えさせたい場合
図8 先に色を表示、
先に色を表示、
遺伝子型を考えさせたい場合
yy
黒
yy
図9 yy
先に遺伝子型を表示、色を考えさせたい場合
yy
yy
yy
yy
㯮
(2) パワーポイントを用いた自作アニメーション
黒
図9 先に遺伝子型を表示、色を考えさせたい場合
黒 前述したように、
語句や絵を表示させるだけであ
図9
色を考えさせたい場合
図9 先に遺伝子型を表示、
先に遺伝子型を表示、
色を考えさせたい場合
ればワードプロセッサのみで充分であるが、動きを
(2)
パワーポイントを用いた自作アニメーション
つけて説明する際は、
パワーポイントを用いた自作
(2)
パワーポイントを用いた自作アニメーション
(2)
パワーポイントを用いた自作アニメーション
前述したように、語句や絵を表示させるだけであ
アニメーションを提示している(図10)
。
前述したように、
語句や絵を表示させるだけであ
前述したように、
語句や絵を表示させるだけであ
ればワードプロセッサのみで充分であるが、動きを
<耳の構造と聞こえのしくみ>
ればワードプロセッサのみで充分であるが、
動きを
ればワードプロセッサのみで充分であるが、
動きを
つけて説明する際は、パワーポイントを用いた自作
音が伝わる順番に確認しましょう
つけて説明する際は、
パワーポイントを用いた自作
つけて説明する際は、パワーポイントを用いた自作
アニメーションを提示している(図10)。
アニメーションを提示している(図10)
。
アニメーションを提示している(図10)
。
回転の受容
<耳の構造と聞こえのしくみ>��管
฼ܰ‫ܖ͈ۯ‬໐
<耳の構造と聞こえのしくみ>
<耳の構造と聞こえのしくみ>
耳�骨
は� き ��
じ ���こ�
大脳へ
音が伝わる順番に確認しましょう
音が伝わる順番に確認しましょう
������い
聴��
音波
回転の受容
回転の受容
����
฼ܰ‫ܖ͈ۯ‬໐
は� き ��
じ ���こ�
じ ���こ�
こ ま�
がい じ ど�
は� き ��
��管
��管
耳�骨
耳�骨
鼓膜
�耳�
ஜೳௗ
じ ��
音波
音波
耳殻
��
฼ܰ‫ܖ͈ۯ‬໐
大脳へ
ஜೳ
大脳へ
��
������管
������い
平衡の受容
������い
聴��
聴��
振動が伝わる様子を矢印を動かすことで表現
����
����
��
��
こ ま�
がい じ ど�
がい じ ど�
�耳�
こ ま�
鼓膜
鼓膜
��
�耳�
<伝音性難聴の例>
ஜೳௗ
ஜೳௗ
じ ��
じ ��
耳殻
耳殻
��
������管
������管
ஜೳ
ஜೳ
平衡の受容
平衡の受容
伝音系
感音系
・ 補聴器などで音を増幅
骨導
振動が伝わる様子を矢印を動かすことで表現
させれば明瞭に聴こえる
振動が伝わる様子を矢印を動かすことで表現
外耳
骨導
導
骨
音波
じ ��
yy
㯮
㯮
感音系
感音系
大脳へ
大脳へ
大脳へ
-4-
がい じ ど�
がい じ ど�
�耳�
�耳�
������い
������い
����
����
図10
枠線は消す
枠線は消す
図7
図7 ワークシートのしくみ②
ワークシートのしくみ②
・ 高音、低音による違い
があまりない
・ 補聴器などで音を増幅
・ させれば明瞭に聴こえる
補聴器などで音を増幅
させれば明瞭に聴こえる
������い
・ 手術などで聴力が回復 聴��
・ できる場合が多い
手術などで聴力が回復
中耳
外耳
内耳
中耳
外耳
内耳
できる場合が多い
回転の受容
は� き ��
回転の受容
����
は� き ��
��管
・ 骨導聴力は正常
฼ܰ‫ܖ͈ۯ‬໐
��
��管
・ 骨導聴力は正常
฼ܰ‫ܖ͈ۯ‬໐
じ ���こ�
じ ���こ�
こ ま�
・ 高音、低音による違い
耳�骨
がい じ ど�耳�骨
・ があまりない
高音、低音による違い
鼓膜
��
�耳�
があまりない
������管
ஜೳ
ஜೳௗ
�まり、�音を感じる��」の��が正常であれば、
耳殻
平衡の受容
聴��
音波 �こに��を伝えるこ�によ��聴こえる。
聴��
音波
yy
ワークシートのしくみ②
yy図7図7 ワークシートのしくみ②
黒
黒
耳�骨
主主
なな
特特
徴徴
色を塗っていない絵
枠線は消す
色を塗っていない絵
��管
・ 骨導聴力は正常
฼ܰ‫ܖ͈ۯ‬໐
じ ���こ�
��
�
�
色を塗った絵
色を塗った絵
黒
補聴
聴器
器
補
yy
回転の受容
は� き ��
主な特徴
伝音系
伝音系
色を塗っていない絵
・ 手術などで聴力が回復
内耳
できる場合が多い
��
色を塗った絵
補聴器
<伝音性難聴の例>
<伝音性難聴の例>
<伝音性難聴の例>
中耳
こ ま�
こ ま�
��
アニメーションの例
��
鼓膜
鼓膜
��
������管��
ஜೳௗ ������管
ஜೳௗ
ஜೳ
ஜೳ
�まり、�音を感じる��」の��が正常であれば、
耳殻
平衡の受容
�まり、�音を感じる��」の��が正常であれば、
耳殻
平衡の受容
�こに��を伝えるこ�によ��聴こえる。
�こに��を伝えるこ�によ��聴こえる。
じ ��
じ ��
図10
図10 アニメーションの例
アニメーションの例
-4-4-
図10 アニメーションの例
(3)シミュレーションソフトを用いたアニメーショ
図8 先に色を表示、遺伝子型を考えさせたい場合
ン
パワーポイントと同様、動きを見せたほうが効果
yy
㯮
yy
的な場合は、シミュレーションソフトを用いること
(3) シミュレーションソフトを用いたアニメーシ
科センター)
」を用いて、人の声、楽器などの波形や
振幅、振動数の違いを観察している(図12)
。
ョン
72 高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用
科センター)
」を用いて、人の声、楽器などの波形や
(3)
シミュレーションソフトを用いたアニメーシ
パワーポイントと同様、
動きを見せたほうが効果
ョン
シミュレーションソフトを用いること
(3)的な場合は、
シミュレーションソフトを用いたアニメーシ
パワーポイントと同様、
動きを見せたほうが効果
もある。
もある。これらはホームページで公開されているも
ョン これらはホームページで公開されているも
的な場合は、
シミュレーションソフトを用いること
の(図11・12・13)
、指導書の付録(図15)
の(図11・12・13)
、指導書の付録(図15)などが
パワーポイントと同様、
動きを見せたほうが効果
もある。
これらはホームページで公開されているも
などがあり、特に物理Ⅰの「音」の分野に関するも
あり、特に物理Ⅰの「音」の分野に関するものは工
的な場合は、
シミュレーションソフトを用いること
の(図11・12・13)
、指導書の付録(図15)
のは工夫をして活用している。
夫をして活用している。
もある。
これらはホームページで公開されているも
などがあり、特に物理Ⅰの「音」の分野に関するも
① 腎臓のしくみ(生物Ⅰ)
① 腎臓のしくみ(生物Ⅰ)
の(図11・12・13)
、指導書の付録(図15)
のは工夫をして活用している。
腎臓がろ過をする器官であることをすでに知っ
腎臓がろ過をする器官であることをすでに知って
などがあり、特に物理Ⅰの「音」の分野に関するも
①ている生徒は多いが、
腎臓のしくみ(生物Ⅰ)
高等学校の生物Ⅰでは、ろ過
いる生徒は多いが、高等学校の生物Ⅰでは、ろ過し
のは工夫をして活用している。
腎臓がろ過をする器官であることをすでに知っ
したものすべてを排出するのではなく、
再吸収も行
①たものすべてを排出するのではなく、再吸収も行っ
腎臓のしくみ(生物Ⅰ)
ている生徒は多いが、
高等学校の生物Ⅰでは、
ろ過
っていることを学ぶ必要がある。
そこで、ろ過され
ていることを学ぶ必要がある。そこで、ろ過される
腎臓がろ過をする器官であることをすでに知っ
したものすべてを排出するのではなく、
再吸収も行
るものと再吸収されるものを色分けして、
アニメー
ものと再吸収されるものを色分けして、アニメー
ている生徒は多いが、
高等学校の生物Ⅰでは、
ろ過
っていることを学ぶ必要がある。
そこで、
ろ過され
ションで表すソフト
「高校生物授業用アニメーショ
ションで表すソフト「高校生物授業用アニメーショ
したものすべてを排出するのではなく、
再吸収も行
るものと再吸収されるものを色分けして、
アニメー
ン」を用いている(図11)
ン」を用いている(図11)
。 。 そこで、ろ過され
っていることを学ぶ必要がある。
ションで表すソフト「高校生物授業用アニメーショ
るものと再吸収されるものを色分けして、アニメー
ン」を用いている(図11)
。
この部分で、血液中の物質
ションで表すソフト「高校生物授業用アニメーショ
がろ過される様子がアニメ
ン」を用いている(図11)。
この部分で、血液中の物質
ーションになっている。
がろ過される様子がアニメ
この部分で、血液中の物質
ーションになっている。
がろ過される様子がアニメ
ーションになっている。
振幅、振動数の違いを観察している(図12)
。
科センター)
」を用いて、人の声、楽器などの波形や
振幅、振動数の違いを観察している(図12)
。
マイク
マイク
マイク
「音オシロ」をダウンロードしたパソコン
図12 音オシロ
「音オシロ」をダウンロードしたパソコン
図12 音オシロ
「音オシロ」をダウンロードしたパソコン
また、
「音」以外に「電気」の分野でもこのソフト
図12 音オシロ
を活用することができる。
「電子ブロック(学研)
」
図12 音オシロ
また、
「音」以外に「電気」の分野でもこのソフト
を用いた簡易うそ発見機は、被験者の電極の握り方
また、
「音」以外に「電気」の分野でもこのソフ
を活用することができる。
「電子ブロック(学研)
」
や発汗量のわずかな変化で電気抵抗値が変化し、音
また、
「音」以外に「電気」の分野でもこのソフト
トを活用することができる。
「電子ブロック(学研)」
を用いた簡易うそ発見機は、被験者の電極の握り方
が変化するしくみになっているが、これら2つを組
を活用することができる。
「電子ブロック(学研)
」
を用いた簡易うそ発見機は、被験者の電極の握り方
や発汗量のわずかな変化で電気抵抗値が変化し、音
み合わせて実験を行っている(図13)
。
を用いた簡易うそ発見機は、被験者の電極の握り方
や発汗量のわずかな変化で電気抵抗値が変化し、音
が変化するしくみになっているが、これら2つを組
や発汗量のわずかな変化で電気抵抗値が変化し、音
が変化するしくみになっているが、これら2つを組
いいえ
み合わせて実験を行っている(図13)
。
が変化するしくみになっているが、これら2つを組
み合わせて実験を行っている(図13)。
いいえ 。
み合わせて実験を行っている(図13)
いいえ
この部分で
・すべてのグルコース
この部分で
・多くの水
簡易うそ発見機
図13 音オシロと簡易うそ発見機
簡易うそ発見機
図13 音オシロと簡易うそ発見機
・すべてのグルコース
この実験では、
電気回路の学習だけでなく、
「被験
が血管に再吸収される様子がアニメーション
簡易うそ発見機
この部分で
・多くの水
者が動揺する質問を考えよう」
「うそか本当か見破ろ
になっている。
図13図13 音オシロと簡易うそ発見機
音オシロと簡易うそ発見機
・すべてのグルコース
この実験では、
電気回路の学習だけでなく、
「被験
が血管に再吸収される様子がアニメーション
う」という気持ちが働くので、生徒は自然に、わず
・多くの水
者が動揺する質問を考えよう」
「うそか本当か見破ろ
になっている。
かな波形の変化に注目するようになる。
そこで、
「何
図11
腎単位でのろ過と再吸収
図11 腎単位でのろ過と再吸収
この実験では、
電気回路の学習だけでなく、
「被験
が血管に再吸収される様子がアニメーション
この実験では、電気回路の学習だけでなく、
「被
※タンパク質、塩類は無視している
う」という気持ちが働くので、生徒は自然に、わず
によって波形が変化したのか」
という問いかけをし、
※タンパク質、塩類は無視している
者が動揺する質問を考えよう」
「うそか本当か見破ろ
になっている。
験者が動揺する質問を考えよう」
「うそか本当か見
かな波形の変化に注目するようになる。
そこで、
「何
図11 腎単位でのろ過と再吸収
「音」の復習をしつつ、答えが「電気抵抗」である
う」という気持ちが働くので、生徒は自然に、わず
破ろう」という気持ちが働くので、生徒は自然に、
② 音の波形(物理Ⅰ)
によって波形が変化したのか」
という問いかけをし、
※タンパク質、塩類は無視している
ことを考えさせている
(正確なうそ発見機ではなく、
② 音の波形(物理Ⅰ)
かな波形の変化に注目するようになる。
そこで、
「何
図11 腎単位でのろ過と再吸収
わずかな波形の変化に注目するようになる。
そこで、
物理Ⅰの「音」に関する分野では、音を視覚的に
「音」の復習をしつつ、答えが「電気抵抗」である
あくまで「電気抵抗」のみで判断している、という
物理Ⅰの「音」に関する分野では、音を視覚的に
によって波形が変化したのか」
という問いかけをし、
※タンパク質、塩類は無視している
「何によって波形が変化したのか」という問いかけ
表すソフト「音オシロ(北海道立教育研究所附属理
ことを考えさせている
(正確なうそ発見機ではなく、
②表すソフト「音オシロ(北海道立教育研究所附属理
音の波形(物理Ⅰ)
ことにも留意する)
。
「音」の復習をしつつ、答えが「電気抵抗」である
をし、
「音」の復習をしつつ、答えが「電気抵抗」
科センター)
」を用いて、人の声、楽器などの波形
物理Ⅰの「音」に関する分野では、音を視覚的に
-5- あくまで「電気抵抗」のみで判断している、という
ことを考えさせている
(正確なうそ発見機ではなく、
②や振幅、振動数の違いを観察している(図12)
音の波形(物理Ⅰ)
であることを考えさせている(正確なうそ発見機で
。
ことにも留意する)
表すソフト「音オシロ(北海道立教育研究所附属理
。
あくまで「電気抵抗」のみで判断している、という
物理Ⅰの「音」に関する分野では、音を視覚的に
-5- はなく、あくまで「電気抵抗」のみで判断している、
ことにも留意する)
表すソフト「音オシロ(北海道立教育研究所附属理
。
ということにも留意する)。
-5③ 音の高低の変化(物理Ⅰ)
「音」の高低に関する分野では、生徒にアニメー
筑波大学附属聴覚特別支援学校紀要 第35巻 73
③ 音の高低の変化(物理Ⅰ)
③ 音の高低の変化(物理Ⅰ)
「音」の高低に関する分野では、生徒にアニメー
ションを見せるだけでなく、体を使って感じてもら
「音」の高低に関する分野では、生徒にアニメー
③
音の高低の変化(物理Ⅰ)
③ションを見せるだけでなく、体を使って感じてもら
音の高低の変化(物理Ⅰ)
う工夫をしている。
ションを見せるだけでなく、体を使って感じてもら
「音」の高低に関する分野では、生徒にアニメー
う工夫をしている。
「音」の高低に関する分野では、生徒にアニメー
たとえば、
「音のドップラー効果」については、
う工夫をしている。
ションを見せるだけでなく、体を使って感じてもら
たとえば、「音のドップラー効果」については、
ションを見せるだけでなく、体を使って感じてもら
たとえば、「音のドップラー効果」については、
聴者の多くは、
「救急車が近づいているときは高い
う工夫をしている。
聴者の多くは、「救急車が近づいているときは高い
う工夫をしている。
聴者の多くは、「救急車が近づいているときは高い
音に、遠ざかっているときは低い音に聞こえる」な
たとえば、
「音のドップラー効果」については、
音に、
遠ざかっているときは低い音に聞こえる」
たとえば、
「音のドップラー効果」については、な
音に、遠ざかっているときは低い音に聞こえる」
な
どの説明でイメージができる。しかし、
聾学校では、
聴者の多くは、
「救急車が近づいているときは高い
どの説明でイメージができる。
しかし、聾学校では、
聴者の多くは、
「救急車が近づいているときは高い
どの説明でイメージができる。しかし、聾学校では、
上記の説明でイメージができる生徒はごく限られて
音に、
遠ざかっているときは低い音に聞こえる」
上記の説明でイメージができる生徒はごく限られ
音に、
遠ざかっているときは低い音に聞こえる」な
な
上記の説明でイメージができる生徒はごく限られ
いるのが現状である。
どの説明でイメージができる。
しかし、
ているのが現状である。
どの説明でイメージができる。
しかし、聾学校では、
聾学校では、
ているのが現状である。
教科書の多くは、<音源が動く場合>は音波が変
上記の説明でイメージができる生徒はごく限られ
教科書の多くは、<音源が動く場合>は音波が変
上記の説明でイメージができる生徒はごく限られ
教科書の多くは、<音源が動く場合>は音波が変
形している図が描かれており、音源の後方の観測者
ているのが現状である。
形している図が描かれており、音源の後方の観測者
ているのが現状である。
形している図が描かれており、音源の後方の観測者
(図中Ⓐ)を例にすると、波長が長くなる→振動数
教科書の多くは、
<音源が動く場合>は音波が変
A )を例にすると、
(図中○
波長が長くなる→振動数
教科書の多くは、
<音源が動く場合>は音波が変
A )を例にすると、波長が長くなる→振動数
(図中○
が小さくなる→音が低くなる、というイメージが可
形している図が描かれており、
音源の後方の観測者
が小さくなる→音が低くなる、
というイメージが可
形している図が描かれており、
音源の後方の観測者
が小さくなる→音が低くなる、
というイメージが可
能ではあるが、
<観測者が動く場合>は特に、
イメー
A
(図中○
)
を例にすると、
波長が長くなる→振動数
能ではあるが、
<観測者が動く場合>は特に、
イメ
A )を例にすると、
(図中○
波長が長くなる→振動数
能ではあるが、<観測者が動く場合>は特に、
イメ
ジが困難である(図14)
。
が小さくなる→音が低くなる、
というイメージが可
ージが困難である(図14)。
が小さくなる→音が低くなる、
というイメージが可
ージが困難である(図14)。
<音源が動く場合>
能ではあるが、
<観測者が動く場合>は特に、
<音源が動く場合>
能ではあるが、
<観測者が動く場合>は特に、イメ
イメ
<音源が動く場合>
ージが困難である(図14)
ージが困難である(図14)。
。
<音源が動く場合>
<音源が動く場合>
そこで、「高等学校理科 物理実験シミュレーシ
そこで、「高等学校理科 物理実験シミュレーシ
ョン(大日本図書)」を用いて、耳以外を使って音
そこで、
「高等学校理科 物理実験シミュレーショ
ョン(大日本図書)
」を用いて、耳以外を使って音
そこで、
の高低を感じる試みを行っている(図15)
。この
そこで、「高等学校理科
「高等学校理科 物理実験シミュレーシ
物理実験シミュレーシ
ン(大日本図書)
」を用いて、耳以外を使って音の
の高低を感じる試みを行っている(図15)
。この
ョン(大日本図書)
」を用いて、耳以外を使って音
ソフトは、音源から一定の速さで放射状
(図中点線
ョン(大日本図書)
」を用いて、耳以外を使って音
高低を感じる試みを行っている(図15)
。このソフ
ソフトは、音源から一定の速さで放射状
(図中点線
の高低を感じる試みを行っている(図15)
。この
矢印)に音波(円)が拡がり、耳(観測者)と音源
の高低を感じる試みを行っている(図15)
。この
矢印)に音波(円)が拡がり、耳(観測者)と音源
トは、
音源から一定の速さで放射状(図中点線矢印)
ソフトは、
音源から一定の速さで放射状
(図中点線
をそれぞれ自由に動かして、音波(円)と耳が重な
ソフトは、
音源から一定の速さで放射状(図中点線
をそれぞれ自由に動かして、音波(円)と耳が重な
に音波(円)が拡がり、耳(観測者)と音源をそれ
矢印)に音波(円)が拡がり、耳(観測者)と音源
ったときに音が鳴るしくみになっている。生徒には、
矢印)に音波(円)が拡がり、耳(観測者)と音源
ったときに音が鳴るしくみになっている。生徒には、
ぞれ自由に動かして、音波(円)と耳が重なったと
をそれぞれ自由に動かして、音波(円)と耳が重な
音波と耳が重なったときに、拍手やジャンプなどの
をそれぞれ自由に動かして、音波(円)と耳が重な
音波と耳が重なったときに、拍手やジャンプなどの
きに音が鳴るしくみになっている。生徒には、音波
ったときに音が鳴るしくみになっている。
生徒には、
アクションをするように指示をしている。
これによ
ったときに音が鳴るしくみになっている。
生徒には、
アクションをするように指示をしている。これによ
と耳が重なったときに、拍手やジャンプなどのアク
音波と耳が重なったときに、
拍手やジャンプなどの
り、目で見ただけでは同じように見える音波でも、
音波と耳が重なったときに、
拍手やジャンプなどの
り、目で見ただけでは同じように見える音波でも、
ションをするように指示をしている。これにより、
アクションをするように指示をしている。
これによ
アクションが速くなったり、遅くなったりすること
アクションをするように指示をしている。
これによ
アクションが速くなったり、遅くなったりすること
目で見ただけでは同じように見える音波でも、アク
り、目で見ただけでは同じように見える音波でも、
が体感的にわかるようになる。音源の前方の観測者
り、目で見ただけでは同じように見える音波でも、
が体感的にわかるようになる。音源の前方の観測者
ションが速くなったり、遅くなったりすることが体
アクションが速くなったり、
遅くなったりすること
B )を例にすると、アクションが速くなる→
(図中○
アクションが速くなったり、
遅くなったりすること
B )を例にすると、アクションが速くなる→
(図中○
感的にわかるようになる。音源の前方の観測者(図
が体感的にわかるようになる。
音源の前方の観測者
1秒間によりたくさんの音波を観測する→音が高
が体感的にわかるようになる。
音源の前方の観測者
1秒間によりたくさんの音波を観測する→音が高
中Ⓑ)を例にすると、アクションが速くなる→1秒
B
(図中○
)
を例にすると、
アクションが速くなる→
くなる、
など音の高低の変化を実際に体で感じるこ
B)
(図中○
を例にすると、アクションが速くなる→
くなる、など音の高低の変化を実際に体で感じるこ
間によりたくさんの音波を観測する→音が高くな
1秒間によりたくさんの音波を観測する→音が高
とができる。
1秒間によりたくさんの音波を観測する→音が高
とができる。
る、など音の高低の変化を実際に体で感じることが
くなる、
など音の高低の変化を実際に体で感じるこ
<音源が動く場合>
くなる、
など音の高低の変化を実際に体で感じるこ
<音源が動く場合>
できる。
とができる。
とができる。
<音源が動く場合>
<音源が動く場合>
<音源が動く場合>
音源
音源
音源
音源
低い
低い
音源
音源
音源
音源
高い
高い
観測者
観測者
高い
高い
観測者
観測者
低い
低い
A
観測者○
A
観測者○
<観測者が動く場合>
A
観測者○
<観測者が動く場合>
A
観測者○
<観測者が動く場合>
観測者
観測者
<観測者が動く場合>
<観測者が動く場合>
<観測者が動く場合>
<観測者が動く場合>
<観測者が動く場合>
<観測者が動く場合>
<観測者が動く場合>
音源
音源
音源
音源
低い
低い
観測者
観測者
音源
音源
高い
高い
低い
低い
高い
高い
観測者
観測者
観測者
観測者
音源
音源
B
観測者○
B
観測者○
図14 ドップラー効果
観測者
観測者
観測者図14 ドップラー効果観測者
図15 ドップラー効果のシミュレーション
図15 ドップラー効果のシミュレーション
図14 ドップラー効果
図14
図14 ドップラー効果
ドップラー効果
B
観測者○
B
観測者○
-6-6-6-6-
図15
図15 ドップラー効果のシミュレーション
ドップラー効果のシミュレーション
図15 ドップラー効果のシミュレーション
74 高等部理科の授業におけるデジタル教材の活用
5 成果・今後の課題
6 参考資料
(1)ワードプロセッサを用いたワークシート
「高校生物授業用アニメーション」
・板書の書写の時間短縮に有効だと考えられる
http:www.imb.me-h.ne.jp/~mmk-saku/anime.htm
生徒全員の書写が終わるのを待つ時間が解消さ
第日本図書「高等学校理科 物理実験シミュレー
れ、実験や演習に時間を割けるようになった。
ション」
・絵を描くことに苦手意識を持つ生徒の意欲を高め
北海道立教育研究所 附属理科教育センター「音オ
ることに有効だと考えられる
シロ」
「絵を描かなければならない」と構えていた生徒
http://exp.ricen.hokkaido-c.ed.jp/tobira/htdocs/
が、塗り絵形式にしてからは、進んで遺伝子を組み
index.php?page_id=446
合わせて色を塗るようになった。
学研「電子ブロック」
・生徒の定期試験の答案を見ると、重要語句は押さ
長島 素子「聴覚障害 2012年6月号」
えられているが、文章で答えるなど書く力を育てる
特集4 高等部理科の教育指導 -視覚的教材・教
には不十分ともいえる。
具を用いた授業-
現在も、フリースペースである黒板を用いて記述
問題の指導等を行っているが、さらに探究する必要
がある。
・パワーポイントと違い、生徒の発言の様子などに
合わせて提示する順番を変えることが可能。一方、
作成者以外が使用することが困難な場合がある。
基本的にバックスペースキーのみで操作できるよ
うになっているが、操作が複雑なものもある。
(2)パワーポイントを用いた自作アニメーション
(3)シミュレーションソフトを用いたアニメーショ
ン
・生徒の探究心や意欲を高めることに有効であると
考えられる。
数式や図のみでは理解が不十分であった生徒が、
ドップラー効果の式などを使って進んで考えるよう
になった。
本稿で紹介したものは、「生徒の理解の補助にな
ること」
「生徒の興味を引くこと」「説明や板書の書
写の時間を短縮すること」を念頭において作成した
ものばかりであるが、今後は「学習事項の定着をは
かる」ための教材も必要になってくる。
また、理科の授業において、実験・観察などの実
体験は大変重要なので、実験・観察の際に生徒の理
解の補助となる教材開発に励んでいきたいと思う。
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