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英国都市間高速鉄道車両プロジェクト (Intercity Express Programme
英国都市間高速鉄道車両プロジェクト (Intercity Express Programme)の受注までの歩み (株) 日立製作所 交通システム社 Chief Strategy Officer 兼 経営企画本部長 光冨 眞哉 目 次 1.UK鉄道市場の特徴 2.UK鉄道市場参入への取り組み 3.CLASS395プロジェクト 4.Intercity Express Programme UK鉄道市場の特徴 英国と英国鉄道 英国 人口(2012年) 面積 GDP(2012年) 日本 63,227万人 1億2756万人 243,610㎢ 378,000㎢ 2兆4,718億US$ 5兆9,597億US$ 在留邦人(2012年)65,070人 米国、中国、豪州に続き4番目 英国GDPは世界第7位 (米国、 日本、中国、独、仏、伯、英 国。) Source: 世界銀行 World Development Indicators /外務省 海外在留邦人数統計 英国 路線長 日本 17,052Km 20,071km 電化路線長 5,264 km 12,225Km 車両数(貨車除く) 10,392両 26,218両 Source: 海外鉄道技術協力協会編「世界の鉄道」 データは2003年 EL,EC,DL,DC,PCの総計 UK鉄道市場の特徴 英国鉄道市場構造 (1993年旧 British Rail 民営分割以降) 基本スキーム 上下分離方式 英国交通省 フランチャイズ権 (鉄道運営権)付与 運営補助金交付 運営補助金交付 鉄道事業者 鉄道運営権(7~10年毎) 英国全国25分割 車両パフォーマンス に応じたペナルティ請求 車両メーカー= 車両保守事業者 リース料金支払い 車両メーカ 車両購入 車両保守事業者 車両保守料 車両リース 車両リース会社(銀行系) 車両資産保有管理 インフラ 路線使用料 Network Rail社 地上インフラ設備管理運営 UK鉄道市場の特徴 特徴 鉄道発祥の国 世界が注目する市場 Bombardier, Siemens, Alstom(BIG3) による寡占市場 自国に車両メーカーを持たないことから比較的Openな市場 欧州メーカーの品質、納期遅れに対する批判 複雑な規格体系への適合証明の必要性 参入障壁が高い為、今のところBIG3以外の欧州勢、韓国や中国 のPlayerの参入無し。 UK鉄道市場参入への取り組み UK鉄道市場参入への取り組み UK市場参入に対する活動 2000年 2002年 2つの案件への入札参加 失注 「市場からの声」 2案件入札参加を通じて寄せられた「市場の声」と反省 Hitachi,Who? →家電ブランドから鉄道Brand Profile確立へ 「日本品質」をUKで如何に実現するのか証明することが重要 →Paper Train評価からの脱却 →英国、欧州規格に適合した「商品」開発 →保守事業への能力 UK鉄道業界の真の理解不足 →多様なStakeholderへの適切な営業展開を主導できる 経験豊かなローカル社員の必要性 UK鉄道市場参入への取り組み 鉄道プレイヤーとしての日立ブランド確立の為の活動 地道な営業活動、各種セミナーや展覧会出展 「日本品質」と顧客との長期的関係を重視する「日本流ビジネスマナー」 をアピール。 保守事業展開への準備 JR殿よりの御支援、日英保守経験者の採用 UK鉄道市場参入への取り組み 日本品質の実証 →シミュレーション、各種実証試験。 →2004年~主回路機器の持ち込み試験実施。 (V-Train Project)無故障走行達成。 インフラデータ取得。 →受注前に規格認証獲得活動を開始 ローカル社員の積極的登用。 日本社員とのチームワーク。 CLASS395プロジェクト Class 395車両の受注 2003年 7月 車両リース会社に提案書提出 (Siemens/Alstom/日立が応札) 2003年 10月15日 車両リース会社HSBC Rail UKに決定 2004年 10月 4日 Preferred Manufacturer(優先交渉権) 獲得 2005年 6月 1日 正式契約調印 顧客 HSBC Rail UK. Operator Southeastern(仏系Operator) 契約内容 Class 395 174両 (6両×29編成) 7年間の車両保守 (最長35年) 納期 2009年12月末 CLASS395プロジェクト Class 395 走行路線 ユーロスターの英国内のインフラ改善を目的とし、 海峡トンネル~ロンドン市内(セントパンクラス駅)を結ぶ新線を建設 ロンドン~パリ間の所要時間短縮(2時間55分→2時間15分) ベッドタウンでもある同沿線のKENT州住民の通勤向けに、 新形式高速車両を投入 Class 395 は、高速新線及び 在来線双方を走行可能 な新形式車両。 Ashford~St.Pancras間 現行83 分を37分で結ぶ. 高速新線区間 在来線区間 CLASS395プロジェクト 保守事業 : Ashford車両基地 総面積:110,000㎡ Hitachi Rail Europe.Ltdが管理・運営を行う。 CLASS395プロジェクト 第一編成英国上陸 2007年8月に第一編成6両が英国に到着。現地の新聞や雑誌等の報道多数 CLASS395プロジェクト 「約束」の答え 納期遵守 2009年6月29日予定より6カ月早くPreview Serviceに投入 契約納期通り2009年12月よりフルサービスへ 日本品質の実現 6,713人へのアンケート調査にて乗客満足度95%以上 (2009年9月の調査結果。モダンレールウェイズ誌2009年11月号より引用) CLASS395プロジェクト 2012年ロンドンオリンピック開催 Class395はStratfordのOlympic Parkへのシャトル特急に! No troubleで走行し高い評価を得た。 15 Intercity Express Programme Intercity Express Programme 案件概要 プロジェクト概要 :旧英国国鉄(British Railway;BR)時代に製造された車暦30年超 のHigh Speed Train(HST) (ディーゼル機関車牽引の幹線高速列車 の全面置き換えプロジェクト。) 調達規模 :Great Western Main Line・East Coast Main Line向け 866両 納入時期 :2015年から2019年 調達方式 :今回は初のPPP(Public Private Partnership)方式 にて調達 Intercity Express Programme PPP(Public Private Partnership)方式による調達 鉄道運行会社 フランチャイズ契約 英国運輸省 車両リース契約 Lender (銀行団) 融資契約 (70%出資) Agility Trains社 (リース事業) 全体枠組み契約 出資 John Laing社, Metlife社 (30%出資) 車両保守契約 車両製造・保守拠点建設契約 車両製造 車両保守契約 保守拠点建設 Intercity Express Programme 走行路線 凡例 電化区間 非電化区間 Inverness Aberdeen Glasgow Edinburgh East Coast Main Line Newcastle 車両数497両 Harrogate Hull 車両数369両 Doncaster 2012年7月24日に Financial Close完了 Lincoln Kings Lynn Carmarthen Great Western Main Line Hereford Cardiff Bristol TM Swansea London Reading Plymouth Paignton 2014年内に Financial Close予定 Intercity Express Programme IEP Preferred Bidder 獲得まで 2007年8月 PQ審査結果発表 以下3社(連合)が通過 ①Hitachi Europe ②Express Rail Alliance (Siemens/Bombardier/Babcock&Brown/Angelのコンソ) ③Alstom/Barclays銀行連合 (2008年2月に辞退決定) 2008年6月 入札 Intercity Express Programme 暗雲 2009年12月までの契約締結を目指し交渉開始するも リーマンショック後の欧州経済情勢悪化に伴い、 「日本企業」への発注に対する批判や資金調達への懸念 が顕在化。 交渉長期化 Intercity Express Programme 決断 英国に工場建設を決断 雇用創出貢献を強くアピール JBIC殿NEXI殿のサポートにより融資獲得可能をアピール 上記奏功し2010年2月契約締結目前に Intercity Express Programme 凍結 2010年2月26日 英国運輸省 Adonis大臣 交渉凍結を発表 同年5月6日に迫る英国総選挙への影響を避ける為 Intercity Express Programme 政 権 交 代 英国歳出削減 2009年5月 IEPは仕分対象に Intercity Express Programme 仕分 Spending Review Sir Andrew Foster委員会 (Foster Report) 旧政権により遂行されてきたIntercity Express Programmeが英国にとって有益で合理的な車両調達 であるか否かの審査 同レポートにて、本計画のいくつかの問題点が指摘され、 英国運輸大臣に答申された Intercity Express Programme 官民連携 トップセールス、総力を挙げての営業活動 IEPのプロセス並びに内容の正当性につきロビーイング 日本国政府によるトップセールスの展開 経済産業省、国土交通省、外務省、駐英日本大使館 UK内のサポーターと連携したキャンペーン Intercity Express Programme 復活!! 2011年3月1日 英国運輸省ハモンド大臣(当時) IEP交渉再開、年内正式契約を発表。 Intercity Express Programme 圧力 欧州鉄道産業連盟による「IEP再開決定に対する警告」 Unife Press release 3 | 03 | 2011UNIFE alarmed by decision to award UK Intercity Express Programme (IEP) to Hitachi Brussels 03 March 2011 – UNIFE, the European rail industry, is alarmed by the UK Government’s decision to resume negotiations on the Intercity Express Programme (IEP) with Hitachi. The IEP is considered to be amongst the largest orders to have ever been awarded to a rolling stock manufacturer in the world. 欧州不況下欧州メーカーに発注すべき 長期にわたる交渉の間に、入札条件が変更になって いるのではないか 「再入札」へのプレッシャー Intercity Express Programme 日英両政府の支援 日本政府関係閣僚、日本大使館からの継続的 英国政府への働き掛け 英国政府による調達手順に対する慎重な内部 レビューを経て、万が一の欧州側からの訴訟等に 備えた周到な準備 欧州委員会へのアプローチ Intercity Express Programme 最後の高い壁 欧州ソブリンリスク顕在化 欧州銀行の融資能力低下 銀行団からの離脱 Intercity Express Programme 強力な金融支援 日本の官民金融機関からの絶大な金融支援 =「先進国向け投資金融制度」適応 =「海外事業資金貸付保険」適応 = 邦銀各行の支援 Intercity Express Programme At Last 24thJuly2012 Intercity Express Programme Signing Ceremony Intercity Express Programme ご清聴ありがとうございました。