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DELAWARE デラウェア州

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DELAWARE デラウェア州
DELAWARE
デラウェア州
I.
II.
III.
IV.
I.
保護命令
離婚
親権・面会交流権
養育費
....... 1 ~ 5 ページ
....... 6 ~ 8 ページ
....... 8 ~ 13 ページ
....... 14 ページ
保護命令
保護命令とは?
保護命令とは、DV 行為や犯罪行為の被害者が、加害者から、身体的、又は、精
神的な危害を受け続ける恐れのあるとき、裁判所が発行する法的保護措置のこと
を指します。デラウェア州では保護命令は、Order of Protection from Abuse と呼ば
れています。
家庭裁判所と刑事裁判所の違いについて
法律制度は、大きく民事法と刑事法の 2 つに分けられます。それぞれ、どの裁判
所が管轄を持つか決められています。DV のケースでは、家庭裁判所(民事法)と
刑事裁判所(刑事法)という二つの性質の違う裁判所から、同じ DV 行為に対して
の法的措置を同時に求めることも可能です。DV の危険から最大限に身の安全を守
るため、状況によっては、両方の裁判所から、保護命令の発行を求めることが最
善策というケースもあるでしょう。民事法と刑事法の一番大きな違いは、各法的
措置の申立人の違いにあります。
家庭裁判所(民事法)のシステム
民事法のシステムでは、申立人は、被害者、又は、先に申し立てを行った申請者
です。よって、民事法上の保護命令取得のためには、被害者が直接裁判所へ出向
き、法的保護を求める保護命令陳述書の申し立てを行う必要があります。保護命
令発令後、加害者が命令内容に違反した場合には、加害者が逮捕されることもあ
りますが、基本的に、民事法制度では、申立人は、DV の行為に及んだ加害者の
逮捕、又は、懲役などの刑罰を与えることを裁判所に求めるわけではありません。
刑事裁判所(刑事法)のシステム
一方、刑事法のシステムでは、検察局 (District Attorney’s Office) が申立人とな
ります。刑事法制度では、ハラスメント、暴行、殺人、強盗等の刑法に違反する
1
犯罪行為が扱われます。刑事告訴の中では、加害者の処罰も求められます。刑事
法制度では、検察官“prosecutor”
(地方検事“district attorney”とも呼ばれる)
がケースの主導権・決定権を持ち、刑事裁判を続けるかどうかの判断権も持ちま
す。刑事裁判では、州・地方自治体が、加害者に対する刑事裁判の申し立てを行
います。もし、被害者が、加害者の告発 (press charges) を希望しない場合、検
察官は、刑事告訴を取り下げる判断をする可能性もありますが、かならずしもそ
うではありません。検察官は、被害者がそう希望しない場合でも、加害者に対す
る刑事告訴を取り下げず、裁判を続行することもあります。また、その際、被害
者に対して召喚状 (Summons = 特定の人に対し、裁判所へ出頭し、証言するこ
とを命じる裁判所の命令書)を発し、証言人として出廷させる可能性もあります。
家庭裁判所 Family Court のシステムを利用して保護命令を申請する場合
加害者(abuser)が、申請者と下記の関係にある場合、家庭裁判所にて、保護命
令を求めることが可能です。




配偶者か元配偶者
同棲関係にある男性と女性のカップル
現在、真剣に交際をしている、又は、過去に真剣に交際していた異性又は同
性の交際相手“substantive dating relationship”
養子縁組または、血縁関係のある家族(養父母・兄弟・姉妹、義理の父母・
兄弟・姉妹を含む)
* 10 Del.C. §1041(2)
家庭裁判所で“Order of Protection from Abuse”の発行時に適用されている DV 行為
の定義










身体的、又は、性的な危害を加える行為に及んだ、又は、及ぼうとした行為
身体的、又は、性的な危害を被害者が恐れるような行為に及んだ、又は、及ぼ
うとした行為
被害者の所有物を破損したり、壊したり、または奪う行為
不法侵入行為
児童虐待
誘拐罪
不法な監禁行為
親権侵害行為
恐怖心や心理的な苦痛を与える行為
通常の人が脅迫的または、有害と感じるその他の行為
** 10 Del.C. §1041(1)
2
保護命令の種類と有効期間について
デラウェア州で発行される保護命令の種類と有効期限は、下記の通りです。
裁判官が、被害者の状況を吟味する中で、どの保護命令を発行するか判断します。
➣ 緊急保護命令 Emergency (ex parte) Order
被害者が加害者から暴力を受ける危険性が高い場合、緊急保護命令が認可される
可能性があります。DV が起こった後、できるだけ速やかに、最寄の家庭裁判所
でご申請下さい。家庭裁判所では、裁判所の事務員“Clerk”に、保護命令を申請
したいとお伝え下さい。申請当日または、翌日に、裁判官(Commissioner of the
Court)が申請者から簡単な DV の概要を聴取し、緊急保護命令を発行するか否か
を判断します。緊急保護命令は、"ex parte" と呼ばれていますが、"ex parte" とは、
裁判官が申請者(被害者)の証言のみを基に、保護命令の発行を判断することを
指します。通常、裁判は、相対する当事者間の間で行われるものであり、裁判官
の判断も、当事者双方の話を聞いてから判決が下されますが、緊急保護命令の場
合、被害者の証言のみを聴取し、裁判官が保護命令の発行の有無を決めます。緊
急保護命令は、通常、次の出廷日まで有効です。次の出廷日には、加害者も裁判
官の前へ出廷し、裁判官の前で証言し、証拠を提出する機会が与えられます。こ
の出廷日は、緊急保護命令が発行されてから、大体 10 日以内の日時に設定さえる
ことになっています。
➣ 長期的保護命令 Long-Term Order of Protection from Abuse
長期的保護命令の発行は、担当の裁判官が被害者と加害者の双方からの証言や目
撃者の証言を聞き、各証拠を吟味した後に行われます。申請者が、定められた出
廷日に出廷しなかった場合は、保護命令の有効期限が切れるため、次に保護命令
が必要になった場合、始めから再申請をすることになります。
長期的保護命令は、一般的に一年までの有効期限が設定されています。しかし、
被害者が申し立てている情状の中に、下記の“aggravating circumstances”と定義付
けされている行為があり、加害者に対し DV 行為を禁止する条項、及び/または、
被害者への連絡禁止条項が含まれている保護命令で、被害者の安全を守るために
保護命令の長期化が必要と裁判官が判断した場合、最長 2 年までの有効期限を明
記することが可能です。
“aggravating circumstances”と定義付けされている行為



被害者が、加害者から身体的な傷害を受けた、または、加害者が、被害者の家
族にそのような傷害を加えた
危険な器具や道具(武器など)の使用があった
過去に、加害者が保護命令の内容に違反した経歴がある
3


加害者に被害者に対する暴力の前科がある
また、過去の加害者の行動を聴取後、裁判官の見解により、被害者または、被
害者の家族の一員にとって加害者が非常に危険であると判断されたケース
* 10 Del. C. § 1045(b)
➣ また、長期的保護命令は、6 ヶ月までの延長を申請することも可能です。この
際も、双方が法廷に出廷する必要があります。延長が認可されるために必要な条
件も下記のように定められています。




DV が長期的保護命令の有効期限内に起きている
加害者が保護命令の内容に違反した
または、被害者が、延長に値する理由を述べている場合
または、加害者が延長に同意する場合
延長は何度でも再申請可能です。
* 10 Del. C. § 1043; 1044; 1049A
* 10 Del. C. § 1045(b)
* 10 Del. C. § 1045(b), (f)
保護命令は、当事者が同居を再開しても法的効力は持続します。
保護命令を変更するためには、法廷への出廷が必要です。
保護命令書中に明記できる事柄:
 被害者への接近禁止
 被害者の自宅、職場、学校やデイケアなど(保護命令に接近を禁止する場所の
明記が必要)への接近禁止
 脅迫行為や暴力行為の禁止
 被害者への連絡禁止
 被害者のため養育費や配偶者扶養料の支払い命令
 その他、適当な生活費の出費の支払い命令
 加害者が銃器などの武器を所持している場合には、すべて銃器を引き渡すよう
命令(裁判官は、被害者が加害者が所持している銃器を描写することができ、
更に、過去に銃器を使って脅されたことがある、または、加害者が銃を使う可
能性がある場合、警察官に銃器の家宅捜索と押収を命令する可能性がありま
す。)
 加害者にカウンセリングに通うよう命令
 共同で所有している所有物を破損したり、隠匿したり、売却することを禁止
 加害者に住居からの退去を命令し、被害者に、共同で使用している所有物(車
など)の使用権を与えること。この際、当事者のどちらが家や所有物の所有者
4
として明記されているかは考慮されません。
 暫定的親権を被害者に授与
 被害者への加害者と子供との面会をどのように実行したいかを決める判断権
の授与
この他にも、被害者と子供の安全を守るために適当と判断された事項が記載され
ます。
* 10 Del. C. § 1045
5
II.
離婚
離婚とは?
離婚とは、結婚を解消するための法的措置です。デラウェア州で離婚の法的手続
きを行うためには、下記のステップを踏むことになります。デラウェア州では、
家庭裁判所が離婚の管轄をもちます。
↓
↓ステップ 1: 居住条件を満たしている
↓
ステップ 2: 離婚理由 grounds がある
↓
ステップ 3: 離婚嘆願書を申請した側が、第三者を通して、離婚申請
書類を相手に手渡す(service of process)
↓
ステップ 4: 相手側が書類内容に同意できない事項がある場合、相手
側にも裁判所に異議申し立てを行う機会が与えられます。相手側の
同意が得られない場合、その離婚は、“contested divorce”と呼ばれます。
この際、双方が法廷へ出向き、裁判官の前で、双方が申し立て内容
を争うことになります。もし、相手側が離婚の嘆願書の内容に特に
異議がなく、離婚書類に署名し、同意した場合は、“uncontested divorce”
と呼ばれます。相手側に離婚書類を届けた後、一定期間中に、相手
側が離婚書類に署名をしない、または、異議申し立ての書類を裁判
所に申請しない場合もまた、“uncontested divorce”として、裁判所での
離婚のケースを進めていくことが可能です。いずれのケースも、離
婚専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。
↓
ステップ 5: 財産分与や配偶者扶養料を相手に求める場合、裁判所の
外での交渉によりこれらの点についての取り決めを行うか、又は、
法廷での争いの中で取り決められてからでないと離婚の最終判決が
下りません。また、離婚の嘆願書が申請される前に、親権や養育費
の件が前もって決定されていない場合、離婚裁判の中に親権と養育
費の内容も取り込まれ、家庭裁判所での離婚裁判の中で、これらの
点についても同時に取り決められる可能性があります。
* 13 Del.C. § 1511(a)
6
居住条件とは?
デラウェア州で離婚を申請する為には、離婚の申請時点で、少なくても一方の配
偶者が、6 ヶ月間継続してデラウェア州に住んでいるか、デラウェア州米国軍基
地に派遣されている必要があります。
* 13 Del. C. § 1504 (a)
離婚理由とは?
デラウェア州では、どうしても修復不可能な夫婦の溝ができ、夫婦関係を修復で
きない状態 Irretrievably Broken のみが離婚理由として認められています。夫婦関
係を修復できない状態 "irretrievably broken"は、下記の状態を証明することで認め
られます。
1.
2.
3.
4.
自主的別居“voluntary separation”-自主的別居とは、当事者同士が別居をし
ており、双方が別居することに同意をしている状態のこと
配偶者が別居に至る行動を起した場合“separation caused by your spouse’s
misconduct”-配偶者が結婚生活を継続していけないような行動を起し、そ
のような状況がこれからも継続することが見込まれる状況のこと。この状況
に当てはまる行動の例:不義、重婚、犯罪を犯し、一年以上の実刑をうけた、
配偶者または子供に対する身体的または言葉の暴力が繰り返されている、
結婚生活の放棄“abandonment”、同性愛、夫婦の営みを故意に拒否して
いる、性病に感染した、日常的な飲酒、又は薬物の使用等。
配偶者の精神病による別居“separation caused by your spouse’s
mental illness”
夫婦として相性が良くないための別居“separation caused by incompatibility”
-夫婦どちらにも非はないけれども、夫婦としてうまく生活が遅れていな
い状況、性格の不一致
離婚理由として使用される“別居”の定義を満たすためには、夫婦が住まい
を別々にしている状態が 6 ヶ月、またはそれ以上継続していることが必要で
す。しかし、2 の配偶者が別居に至る行動を起した場合“separation caused by
your spouse’s misconduct”を理由に離婚をする場合は、6 ヶ月の別居がなくて
も離婚理由として認められます。
しかし、離婚の申請に関しては、6 ヶ月の別居期間を満たす前に離婚の申請書を
提出することが可能です。つまり、この 6 ヶ月ルールは、裁判官が離婚裁判を開
廷する際、または、離婚判決を下す際に用いられるルールであり、申請書の提出
時までに、6 ヶ月の別居期間が経過している必要はありません。
7
☞豆知識:夫婦が同じ家の中に暮らしている場合でも、別々の寝室を利用し、
性的関係がない場合には、“別居している=separated” “別々に離れて暮らし
ている=living separate and apart”と法的に考えられる可能性があります。離婚
申請の前に、双方が結婚生活の修復を試み、一時的に同じ寝室で就寝し、性的
関係を持った場合でも、その一時的な修復期間は、上記の 6 ヶ月ルールを中断
させるものと判断されません。過去 6 ヶ月期間中に、一時的な修復期間があっ
たとしても、離婚裁判の法廷日の 30 日前までに、再度別居状態が続き、寝室
を別にし、性的関係を持たなかった場合、6 ヶ月ルールは有効と考えられる可
能性があります。
* 13 Del. C. § 1502(3)
* 13 Del. C. § 1505, 1503(8)
* 13 Del. C. § 1505, 1503(5)
* 13 Del. C. § 1505(b)(3), (4)
* 13 Del. C. § 1507(e)
* 13 Del. C. § 1503 (7)
* 13 Del. C. § 1505 (e)
離婚と結婚の取り消し annulment の違いについて教えてください。
結婚の取り消し“annulment” とは、結婚の存在そのものを取り消す法的手段で
す。例えば、結婚歴の質問に答える際、結婚の取り消し“annulment”が認められ
ている場合は、結婚歴“なし”と答えることが可能となります。離婚は、法的に
認められる結婚をしている状態で、夫婦または、どちらか一方が、裁判所での法
的プロセスを踏み、結婚生活にピリオドを打つことを指します。
デラウェア州では、下記の条件を満たす場合に、法的な結婚の取り消し
“annulment”が認められています。
1. 夫婦のどちらかが、結婚時に、結婚に同意できる状態になかった。
(例)精神病などで、同意できる精神能力が無い。アルコールや薬物の影響
下で、同意できる精神状態に無かった。
2. 夫婦のどちらかが、嘘の情報や詐欺行為により結婚に同意し、結婚した場
合で、嘘の情報や詐欺行為が結婚に同意した理由の内、大きな割合を占め
る理由であったこと。
(例)夫婦の片方が、結婚前は、異性愛者であると言っていたのに、結婚
後、結婚前から、同性愛者であったことを告白された。
3. 夫婦双方、または、一方が結婚に同意した際、脅迫または恐喝を受けてい
た。
4. 夫婦双方、または、一方が、冗談で、又は挑発されて結婚した。
8
☞豆知識:上記1~4の理由で、結婚の取り消し“annulment”を申請するた
めには、“the aggrieved (wounded) spouse=被害を被った側の配偶者”のみ、
その状況に気が付いてから、90 日後まで申請可能です。
5. 夫婦のどちらかが、結婚後、性的能力がないと発覚した場合で、結婚式が
行われた際、そのことを配偶者が知らなかった場合。
☞豆知識:この理由を使用する場合には、性的能力がないと発覚してから一年
以内に、夫婦のどちらかが結婚取り消しの申請をする必要があります。
6. 夫婦のどちらかが、結婚当時 18 歳以下で、両親の同意なしに結婚している
場合。
☞豆知識:結婚時に未成年だった配偶者のみ、結婚の取り消しを申し立てる
ことができます。
7. 婚姻時、結婚が法的に禁止されている状況だった場合。
(例):配偶者がすでに、結婚していた(重婚)。
8. 配偶者が兄弟、(異母(父)兄弟も含む)、第 3 親族(姪・甥・叔父・
叔母・従兄弟等)、又は同性の場合。
9. 配偶者の一方がすでに離婚をしている場合で、裁判所の事務員が、離婚証
明書と照会し、離婚確認を怠った場合や、配偶者の一方が、執行猶予中の
保護観察下にあるか、仮釈放下にあり、執行猶予や仮釈放を認可した機関
からの認証を受けた上での結婚をしているかきちんを確認をせずに結婚の
認可をした場合。
☞豆知識:7の理由で結婚を取り消す場合、配偶者のどちらがが亡くなるま
で、いつでも申請が可能です。配偶者の死後でも、法的に適当と判断される期
間内であれば、取り消しが可能です。
☞豆知識:共有している財産は、結婚が取り消される際も、離婚時のように
分与されます。また、結婚が取り消された配偶者間のに生まれた子供も、法的
に認知された“legitimate”子供となります。
* 13 Del. C. § 1506 (a) (b); see also 13 Del. C. § 101 (a)(b)
* 13 Del. C. § 1506 (c), (d)
9
デラウェア州-離婚についての法律資料、弁護士情報リスト(英語のみ)
Delaware State Courts
http://courts.state.de.us/family/
Provides information and court forms for filing for divorce.
Divorce Support - Delaware
http://www.divorcesupport.com/divorce/Delaware-Divorce-2485.html
Provides a professional directory of divorce lawyers, mediators, counselors, financial
planners and other divorce professionals as well as articles on child custody, visitation,
child support, alimony, and property and debt division. You will also find access to
other state specific resources, products and services.
The Delaware Family Law Center
http://www.divorcelawinfo.com/states/de/delaware.htm
A resource on divorce and family law in the State of Delaware for non-lawyers and
pro se litigants.
Legal Services Corp. of Delaware, Inc.
http://www.lscd.com/
DivorceInfo.com
Web: http://www.divorceinfo.com
DivorceLawInfo.com
Web: http://www.divorcelawinfo.com
III. 親権
親権とは?
親権とは、未成年の子(18 歳以下)を養育するため、子を監護・教育する、親の
法的権利義務と法的責任のことです。デラウェア州では、裁判所が親権を決定す
る際、法的親権 Legal Custody と 監護権 Residency の二つの要素について取り決
められます。
➣ 法的親権 Legal Custody -子の養育に関して必要なことを決定する権利のこと
を指します。例えば、どこの学校へ通わせるか、どの宗教を信仰するか等を決め
たり、また、病気にかかったり、怪我を負った際には、医療手段を決める権利を
指します。
➣ 監護権 Residency-監護権は、子供と一緒に暮らす権利のことで、日々の生活
のなかで、子供(18 歳以下)がだれと一緒に住むか、法的に定めたものを指しま
10
す。
裁判官は、子供にとっての最良の環境とは何か?(the best interests of the child)と
いう法的概念を主軸に、家庭環境や家族関係を考察し、子供が安全で幸せな環境
で養育されることが保障されるよう、最終的な親権の判決を取り決めます。
* 13 Del. C. § 727
* 13 Del. C. § 722
デラウェア州では、一方の親に監護権が与えられ、もう一方の親には、面会交流
権“visitation”が与えられる可能性があります。このような取り決めになると、子
供は、一方の親と毎日の生活を共にし、もう一方の親とは、決められた日時に、
面会することで、一緒に過ごす時間を持ちます。裁判官は、子供にとっての最良
の環境とは何か?(the best interests of the child)という法的概念を主軸に、監護権
の振り分けを決めます。
* 13 Del. C. § 728
子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) とはどのようなことですか?


今まで、主たる養育者として養育してきた親と住み続けること。
子供の養育にふさわしい養育者であること(下記の点等が考慮されます)。
*安定した生活様式と家庭を提供できる。
*適切な判断力を持っている。
*安定した仕事に就いている。
*薬物乱用がない。
*アルコール乱用がない。
*身体的・精神的に健全である。

子供の生活に関心を持っている。
親権は必ず裁判所で取り決めなければいけないのですか?
すでに両親間で話し合い、面会日時などの取り決めがあり、特に問題なく面会も
実行している、という理由から、裁判所での親権申請をされない方もいらっしゃ
います。また、裁判所へ行き、親権などの法的措置を求めると、相手側を怒らせ
てしまう、申請者や子供に危害が及ぶという可能性がある場合、無理に裁判所へ
行き、親権の取り決めを申し立てる必要はないかもしれません。このような状況
にいらっしゃる方は、まず、最寄の無料弁護士相談機関や、専門の弁護士にご相
談下さい。
11
法的に親権が取り決められるまでは、子供に対し、両親共に、平等の権利と義務
があります。
☞豆知識:デラウェア州では、親権と養育費の件は、別々のケースとして扱
われますので、親権の判決が決定していなくても、養育費の申請が可能です。
また、養育費を申請した親が、親権を持つ、との判断も法律上されることはあ
りません。
* 13 Del. C. § 701
面会交流 Visitation とは何ですか?
なぜ、離婚した後も子供を相手親に会わせないといけないのですか?
アメリカで認識されている、子供にとっての最良の環境(Best Interest of the Child)
という法的概念の中には、両親が離婚後も子供の養育・監護に関わる、という考
え方も含まれます。そのため、片方の親に単独親権が命じられた場合、非親権者
も、子供と定期的に会い、子供の人生に関わっていけるよう、面会権(Visitation)
が与えられます。
面会交流監督プログラム(Supervised Visitation)とは?
もし、夫婦のどちらかが子供の養育に怠慢であったり、虐待的な態度で子供と接
しているため、子供との面会が心配される場合、裁判官は、面会交流監督プログ
ラムを提供している団体を通しての面会(Supervised Visitation)を命令すること
ができます。すでに、親権や面会交流権の法廷が進行中の場合、 Supervised
Visitation を裁判官に求めるという方法もオプションの一つです。しかし、もし親
権や面接交流権の法廷が進行中でない場合は、親権を専門に扱っている弁護相談
機関や弁護士にご相談後、裁判所へご申請されることをお勧めします。裁判官が
Supervised Visitation を命令するためには、何を証明する必要があるのか、あなた
の状況だと、Supervised Visitation を通しての面会期間の長さはどれくらいに設定
されるか等、弁護士にご相談下さい。大抵の場合、Supervised Visitation は、一時
的な設定で、期間付の命令となります。法的専門機関の面接プログラムを通して
の面会を数ヶ月、または、親戚が監督・モニタリングをしながらの面会を数ヶ月
続け、その間特に問題が見られない場合は、監督なしの面会が認められる場合が
ほとんどです。もし、お子さんが面会交流中に虐待を受けた、という場合は、直
ちに児童福祉局にご相談下さい。
親権の申請をするための居住条件は?
親権の申請時までに、子供がデラウェア州に継続して 6 ヶ月住んでいることが居
住条件です。
12
* 13 Del. C. § 1920
配偶者が、子供を連れてデラウェア州、あるいは、アメリカを出て行くと言って
おり、心配です。なにか対処方法はありますか?
配偶者の同意なしに、夫婦のどちらかが子供を連れて、デラウェア州またはアメ
リカを出て行く可能性がある場合、裁判官に緊急親権命令 Emergency Custody
Order の発行を求めることができます。この際、子供を州外に連れ出さないとい
う項目を付け加えて貰ったり、一時的に、面会交流監督プログラムを通してのみ
の子供との面会を相手に求めることができます。
子供がすでにパスポートを所持している場合、親権の係争期間中、子供のパスポ
ートを裁判所で保管してもらうように求めることも可能です。
子供のパスポートがまだ発行されていない場合で、配偶者がパスポートを取得し、
国外へ子供を連れ去ってしまう可能性がある場合、米国国務省の子供のパスポー
ト発行通知プログラム “The Children's Passport Issuance Alert Program
(CPIAP)” の利用が可能です。
アメリカ市民権を有する 18 歳未満の子供を CPIAP に登録するためには、指定登
録書を記入する必要があります。登録後、相手親が子供のパスポートを取得する
ための書類を提出した際、CPIAP が通知してくれます。登録書は下記のウェブサ
イト(英文資料)をご覧下さい。
http://travel.state.gov/abduction/prevention/passportissuance/passportissuanc
e_554.html
詳細は、下記の連絡先にご連絡下さい。
☎ U.S. Department of State
Passport Services, Charleston Passport Center
Attn: Children's Passport Issuance Alert
Program
1269 Holland Street, Building D
Charleston, SC 29405
E-mail: [email protected]
Phone: 843-202-3863
Fax: 843-746-1827
13
IV. 養育費
養育費とは?
原則的に、養育費の金額は、子供の人数により金額が変化します。夫婦の収入を
合わせた金額に対しての養育費の利率が下記のように、法的に定められています。
しかし、子供の生活水準が、両親の離婚により低下してしまう場合(例:父親が
高収入で、子供は低収入の母親と生活をしている場合等)は、子供に離婚前まで
の生活水準を提供するため、裁判官が、父親に対して、養育費の上乗せを命じる
こともあります。また、子供に持病があり、特別な医療経費がかかる場合や、子
供の人数が 6 人以上いる場合など、特別な状況の場合、養育費の上乗せを命じる
可能性があります。養育費の計算ガイドラインの詳細については、下記のウェブ
サイト内の計算表(英文資料のみ)をご参照ください。
http://courts.delaware.gov/SupportCalculator/
* 13 Del. C. § 514
<おことわり>
ここに記載されている各法的措置の資料内容は、下記のウェブサイトに記載されている法
律情報の概要をまとめ、日本語に翻訳されたものであり、法律のアドバイスではありませ
ん。また、将来、法の改正により、法的オプションやシステムが変化する可能性も予想さ
れますので、それぞれのケースは専門の弁護士にご相談下さい。
参考ウェブサイト:
http://www.womenslaw.org
http://www.divorcesupport.com/
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