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2008-09年度年次報告 - 国際ロータリー第2620地区

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2008-09年度年次報告 - 国際ロータリー第2620地区
a
国際ロータリー
ロータリー財団
2008-09年度年次報告
国際ロータリーおよびロータリー財団
ロータリー・クラブの世界的連合体である国
際ロータリーの使命は、他者に奉仕し、高い
倫理的基準を促進し、事業と専門職務およ
び地域社会のリーダーの間の親睦を通じて
世界理解、親善、平和を推進することです。
国際ロータリーのロータリー財団の使命は、ロ
ータリアンが、健康状態を改善し、教育への支
援を高め、貧困を救済することを通じて、世界
理解、親善、平和を達成できるようにすること
です。
Rotary Images/Alyce Henson
b
2008-09年度年次報告書
世界各地で紛争、不安定な政情、不況といった情勢が見られる中、2008-09年度、ロ
ータリーは「夢をかたちに」するために、子供の死因の根源に果敢に取り組むと同時
に、ポリオ撲滅の終焉に向けても忍耐強く闘い続けました。
国際協議会では、ビル・ゲイツ氏から、前回の1億ドルの補助金とは別
に、さらに2億5,500万ドルの補助金をロータリーに授与するとの発表
がありました。これは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が、ポリオ撲滅
に捧げるロータリーの献身に大きな信頼を寄せてくれた証です。2度に
わたり授与されたこの補助金の条件に応えるため、私たちは「ロータリ
ーの2億ドルのチャレンジ」を通じて上乗せ資金を集める募金活動を行
っており、現在までに、目標額の半分近くを達成しています。
1988年に世界ポリオ撲滅推進計画が開始されて以来、ポリオの感染は
99パーセント以上減りました。未だポリオの常在国として残されている
のは、インド、ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンのわずか4カ国で
す。私たちはついにこの闘いの最後のハードルに近づいています。しか
し、この最後のハードルこそが最も努力を強いられる難関なのです。
この報告書を読んでいただければ、ロータリー家族が飢えた子供たちに
食糧と安全な飲み水を与え、病気の予防と治療に取り組み、また、成人
には人生を大きく変える識字教育を行い、独自に商売を立ち上げるのを
援助し、さらに平和な世界をめざし尽力している様子がお分かりいただ
Rotary Images
けることと存じます。
このようなかたちで、ロータリーは子供の死亡率の削減に努めてきまし
た。ユニセフによると、毎日、5歳未満の子供のおよそ25,200人が死亡
しています。しかし、その約3分の2は未然に防ぐことができるものだと
いう事実に勇気付けられ、ロータリアンはもっと多くの子供たちの命を
守るために努力してきました。
李東建RI会長(右)とジョナサン B. マジィアベ
ロータリー財団管理委員長
ロータリー財団は、人々の生活改善に取り組むクラブと地区の能力を何倍にも増やそうと力を注いでいます。現在5,000以上の財団
補助金プロジェクトを通じて、世界中の人道的なあらゆる問題への取り組みが行われています。
国際問題研究のためのロータリー・センターは400人以上の卒業生を輩出しており、それぞれが紛争の解決、人道的な支援、外交、政
府関連の分野で活躍しています。ロータリーの理念を実践するため、毎年90名余りのロータリー世界平和フェローが選ばれています。
また、未来の夢計画を通じて、財団は今後何世代にもわたり、
「夢をかたちに」するための土台づくりを行っています。この計画によっ
て、財団は簡素化を図り、的を絞った新しい補助金のアプローチを実践することが可能になるでしょう。
世界的なポリオ撲滅活動のおかげで、ロータリー財団は国際的な舞台で不動の立場を築くことができました。ロータリーは今後も、
持てるリソースを最大限に生かすことによって、長期的な視点から、最も力を発揮できる場で奉仕を行い、最も深刻な人道的ニーズ
に応えることによって、世界平和の基盤をさらに強化していくのです。
李東建
ジョナサン B. マジィアベ
2008-09年度会長
2008-09年度管理委員長
国際ロータリー
ロータリー財団
今年度の功績と課題
2008-09ロータリー年度が始まって間もなく、世界を震撼させる経済危機が発生しました。それと同時
に、ロータリアンを含む多数の人々が職を失い、大きな投資の損失を被るという事態が起きました。不
安定な石油の価格と食糧不足があいまって、危機にあえぐ人々が増える中、ロータリー・クラブや地区で
も、人道的な問題への需要が急激に高まっていきました。しかし、世界中の非営利団体は、従来は確実
だと思われた慎重な投資の原則も通用しなくなった不安定な市場の中で、自分たちの資産価値が失われ
ていくのを目の当たりにしました。
この危機によって、国際ロータリーとロータリー財団では、ロータリアンによる奉仕に対する劇的な需要
未来の夢計画
試験段階(パイロット)への
参加を希望し、
かし、ロータリーの最も重要なリソースである120万人のロータリアンの価値が失われることはありませ
んでした。ロータリアンはこの危機をものともせず、世界中の地域社会にたゆまぬ援助の手を差し伸べ続
けたのです。
応募した地区が
277
74
あった中、
全
が増加する一方、その需要に応えるためのリソースが減少するというジレンマに陥ることになりました。し
カ国から
ロータリー・ゾーンを
代表する
100
この年次報告書では、国際ロータリーとロータリー財団がどのようなかたちで協力し合い、今日の最も
深刻な課題に取り組んでいるかが包括的に述べられています。草の根のロータリアンも含め世界の大
半は、国際ロータリーとロータリー財団がそれぞれ別個の財務表を備えた2つの異なる組織であるこ
とを知らずに、ロータリーという名の1つの組織であるとみなしています。国際ロータリーの収入は、主
に、33,000の加盟クラブからの半期に1度の会費によってもたらされています。一方、慈善部門であるロ
ータリー財団は、ロータリアンをはじめ、ロータリーの目標を同じくするロータリーの友人、企業、団体か
らの寄付によって支えられています。
この2つの組織は使命と支援基盤が似ているため、切り離して考えることは不可能です。財団がリソース
地区が
選ばれました。
を調達し、それを有効に配分しなければ、ロータリアンが奉仕する能力は限られてしまいます。逆に、ロ
ータリアンが提供する財政支援と奉仕の労力がなければ、財団の存在はあり得ません。
この相互関係は、財団の未来の夢計画の立案により、さらに強化されることになりました。この計画の下
では、これまでロータリー・クラブが成果を挙げてきた奉仕プロジェクトの6つの重点分野が掲げられて
います。2010年から、100のロータリー地区がこの新計画を試験的に実施し、2013年7月の世界的実施
に向けて、調整を図り、改善に努めます。
この報告書では、将来、さらに長期的な計画に基づいてリソースを活用していく上で、的を絞るべき重点
分野を中心に、ロータリーの活動をご紹介します。
重点分野におけるロータリー財団補助金の過去5年間の概要(2004-09年度)
527
2,436
2,718
2,664
1,625 434
金額はすべて米ドル表示
件 母子の健康の分野における補助金授与額
7,172,184ドル
件 水と衛生設備の分野における補助金授与額
30,484,779ドル
件 疾病予防と治療の分野における補助金授与額
34,189,400ドル
件 基本的教育と識字率向上の分野における補助金授与額
件 経済と地域社会の発展の分野における補助金授与額
28,008,087ドル
24,498,464ドル
件 平和と紛争予防/紛争解決の分野における補助金授与額
20,460,000ドル
ポリオ撲滅活動3
「撲滅という目標に私自身が深くかかわるようになった
のは、撲滅を目指して努力を傾けるロータリーのひたむ
きな姿に深い感動を覚えたことが大きな理由です」
Rotary Images/Monika Lozinska-Lee
米国カリフォルニア州、サンディエゴで開かれた国際協議会で
講演するビル・ゲイツ氏
4
国際ロータリーとゲイツ財団が
5億5,500万ドルを共同投入
1月、国際協議会で、ビル・アンド・メリンダ・ゲイ
「ロータリーの2億ドルの
チャレンジ」には、既に
9,000
万ドル
以上の資金が
集まっています。
ツ財団のビル・ゲイツ氏が、世界ポリオ撲滅推進
計画の支援に向けて、国際ロータリーのロータリ
ジェリアにおけるポリオ撲滅の闘いは、再び活発
さを取り戻しました。全国予防接種日と準全国
予防接種日には、国内のロータリアンが、以下の
ような主要な役割を果たしています。
●
ー財団に2億5,500万米ドルの補助金を授与する
ことを発表しました。これは、2007年にゲイツ財団
から寄せられた1億ドルの補助金に続くものです。
る家族を説得する。
●
ドルをこの補助金に上乗せすることを約束しまし
くるよう母親に呼びかける。
●
1985年以来、ポリオの撲滅をロータリーの最優
先項目として、ロータリーはこの撲滅活動に8億ド
ルを寄付してきました。その結果、ポリオの症例
数は99パーセント以上減りました。
「ロータリーが存在しなければ、今の世界は違っ
ていたでしょう。また、将来も、ロータリーがなけ
れば、私たちが目標とする世界にたどり着くことは
予防接種担当チームの移動に使う車を手配
する。
た。この募金活動は「ロータリーの2億ドルのチャ
レンジ」と呼ばれています。
州営ラジオ局で公共奉仕放送を流し、地元の
人を雇って、予防接種所に子供たちを連れて
この2回の補助金の総額は3億5,500万ドルと
なり、ロータリーは、2012年6月30日までに2億
子供に予防接種を受けさせることを拒んでい
●
1人でも多くの子供が予防接種の機会を逃さ
ないようにするため、路上や市場、公園、遊
び場で予防接種に当たるチームを配置するな
ど、新しい対策を推進する。
アフリカ地域ポリオ・プラス委員会は、委員がナ
イジェリアの予防接種プラス・デーに参加できる
よう、3月下旬にカノ市で会合を開く予定を組み
ました。
できないでしょう」とゲイツ氏は述べています。
ナイジェリアのポリオ・プラス委員長を務めるブ
ナイジェリアのポリオ撲滅活動が
再び活発に
る状況観察に基づく限り、国内ですべての子供
ウマル・ヤラドゥア・ナイジェリア大 統領をはじ
め、ほかの州ガバナーや宗教界のリーダー、地域
スイ・オナボル氏は、
「現在の対策と現場におけ
に予防接種を行い、野性ポリオウイルスの感染
を抑止するという大きな課題は克服できるもの
と、当委員会は考えます」と語りました。
カノ州の保健局担当者とともに、ナイジェリ
アでの正式な予防接種プラス・デーの開始を
祝う、ブスイ・オナボル・ポリオ・プラス委員
長(中央)と第9120地区のゴッドウィン・ア
ティア・ポリオ・プラス小委員長(左)。
Rotary Images
の指導者からの支援が増えたことを受けて、ナイ
ポリオ撲滅活動 | 5
パキスタンでローターアクターが大活躍
7月の準全国予防接種日に、パキスタンにある6
つのローターアクト・クラブが、カラチの人口密
度の高いキマリタウンで、5歳 未満の子 供たち
4,200名に予防接種を行う手伝いをしました。
パキスタン・ポリオ・プラス委員長、アブドゥル・ヘ
イ・ハーン氏の緊急な要請を受けて結成されたロ
Jean-Marc Giboux
ーターアクターのチームは、各家庭を戸別に訪問
して子供たちに経口ワクチンを投与し、指に接種
済みの印を付けた後、その家のドアにチョークで
印をつけて、予防接種を受けた家庭を紙に記録
していきました。
カラチ・カーサス・ローターアクト・クラブの会員、
マヒーン・アラワラさんは「どのチームが最も多く
の家庭を訪問できるかといった、良い意味での競
米国のインターアクターが
インドでポリオ撲滅活動に参加
222,270,331人の
インド、チャンディーガルで実施された全国予防
10
22
接種日で、ポリオワクチンを子供に投与するソフィ
争心が生まれ、1日で150軒を訪問したチームが
ア・ハミードさん(左上)とアンナ・ホルムブレーカ
2つもありました」と感想を語っています。
「本当
ーさん。米国フロリダ州のマイアミ・ハイ・インター
に素晴らしい体験でした」
アクト・クラブの会員である二人は、2月、40人以
上のロータリアンとともに、12日間の旅に参加しま
した。
子供が、5月下旬の
日間、
カ国(そのうち
17カ国がアフリカ大陸)で、
ポリオの予防接種を
受けました。
ポリオ撲滅を支援する米国と英国の人
々が、携帯メールで「POLIO」と打ち、1
回限りの寄付を行っています(米国は5
ドル、英国は5ポンド)。
Mark Wallace/ Rotary Down Under
パキスタンのカラチで予防接種を受けた子供の小指に印をつ
けるローターアクター
ポリオのない世界をめざす
ロータリーの約束
2月23日、ロータリーの創立104周年を記念し、
オーストラリアのシドニー・オペラハウスで「End
Polio Now」のメッセージが映し出されました。こ
のメッセージは、ほかにも英国下院やローマのコ
ロシアムなどの有名スポットで投射されました。
6 | ポリオ撲滅活動
ロータリー家族が「ロータリーの
2億ドルのチャレンジ」に貢献
9月13日の
「全国小児麻痺と闘う日」
の
キャンペーンに、スイス国内
200以上の市町村から
ロータリアンが
ゲイツ氏の帽子をポリオ撲滅の
オークションで落札 ビル・ゲイツ氏が2009年国際協議会で着用した
サイン入りの帽子を、エンジェル・ジメネスさんが
17,600米ドルで落札しました。2月にeBay(イー
ベイ)のオークションにかけられたこの帽子の収益
一斉に参加し、
ロータリーのチャレンジを
支援するため、
は、ロータリーの2億ドルのチャレンジに充てられ
ます。ゲイツ氏は、インドで子供にポリオワクチンを
投与した際にも、この帽子をかぶっていました。
ひまわりの種を一袋
75
インターアクターが小指を紫に 669,000
た活動です。
米国モンタナ州のボーズマン高校インターアクト・
セントで
クラブでは、毎日、昼食時間を利用して、寄付をし
た生徒の小指を紫に染めています。これは、ロー
タリーのチャレンジのための資金集めを目標とし
売ったところ、総額
米ドル
元青少年交換学生2名が
ポリオ撲滅の資金集めに奮闘 2009年4月、パリマラソンに出場するため、元青
少年交換学生(米国からベルギーへ留学)のロー
ラ・ウィリアムズさん(左)とキャロライン・ステッ
クレイさんが、18年ぶりに再会しました。2人は
ロータリーのチャレンジに向けて5,000ドルを調
達 。これに第7120地区(米国ニューヨーク州)
から同 額が上 乗 せされたため、寄 付金は総 額
10,000ドルに膨らみました。
元奨学生がロータリーに恩返し 元ロータリー財団奨学生、ハニー・ワンさんは、
第3450地区学友会(香港、マカオ、モンゴル)主
催の「India Night End Polio Now(インドの夕
べ:今こそポリオ撲滅のとき)」と銘打った募金活
動の企画に尽力しました。11月に香港で開催され
たこの行事では、ロータリーのチャレンジに向け
て6,200ドル以上の寄付が集まりました。
ロータリー親睦活動グループによる健闘
以上が集まりました。
共通の関心事項を持つロータリアン同士が集まる
ロータリー親睦活動グループは、ポリオのない世界
をめざし、以下のような募金活動を実施しました。
●
全国ポリオ・コントロール・セルとは
パキスタンのテレビ局が一体となり、全国
予防接種日と準全国予防接種日の監視と
推進を助けるため、コミュニケーションの
調整を図りました。各局は、ワクチン投与員
が見逃してしまった地域があれば、その通
知を電話で受け付けるフリーダイアルの番
号を、放送中に映し出しました。テレビの
画面には、予防接種チームにより適切な処
置がなされるまで、問題の地域の情報がテ
ロップで流れる仕組みです。3月の全国予
防接種日には、イスラマバードにある全国
ポリオ・コントロール・セル(電話受付セン
ター)に14,400件以上の電話が寄せられ
ました。その結果、22,300人の子供たちが
予防接種の機会を逃さずに済みました。
ワイン愛 好 家ロータリアンの 親 睦グル ープ
は、会員から寄せられる100ドルの寄付の最
4月のパキスタン準全国予防接種日の開始
前と実施当日には、携帯電話に加入している
700万人以上に携帯メールが送られました。
初の75人分に同額を上 乗 せすることによっ
て、15,000ドルを拠出しました。
●
ロータリー・レトロ調自動車親睦グループとリ
プリー&センド・ロータリー・クラブ(英国、サ
リー)が、タイヤのオンライン販売で市場をリ
ードする英国のブラック・サークルズと手を組
み、2億ドルのチャレンジに向けて6,000ドル
を調達しました。
●
マラソン・ランナー・ロータリアン国際親睦グ
ループの150名のメンバーが、2008年ニューヨ
ークシティー・マラソンに参加し、メトロ・ニュ
ーヨークシティー・ロータリー・クラブの支援を
はじめ、ほかのクラブや家族、市民からの協力
により、3,500ドルを集めました。
母子の健康7
「ロータリアンに向けて子供の死亡率削減に努めてい
ただくよう最初に呼びかけたとき、私は必ず結果を生む
ことができると信じていました。しかし、ロータリアンか
らの反応は、私の期待を上回るものでした。私たちは固
い決意を持って1つ1つのプロジェクトに挑み、人々の
命を救っているのです」
Rotary Images/Alyce Henson
2008-09年度RI会長、李東建
8
ロータリー・クラブが
後援する
ローターアクター・クラブは、
18歳から30歳までの
青年男女を対象に、
リーダーシップと
職業的専門能力を
奉仕組織で、
140
世界
あります。
カ国に
Rotary Images
開発することを目的とした
ロータリアンの支援するドミニカ共和国の診療所で、待ち望んでいた医療サービスを受けるために並ぶ家族。
ロータリアンが子供の死亡率削減に貢献
5歳未満の子供の死は痛ましいものです。マラリ
アのような予防も治療も可能な病気で命を落とし
た場合は、特にそうです。しかし、2009年ユニセ
フは、5歳未満の子供の死亡率が、2007年の1日
当たり25,500人から24,000人に減ったと発表し
ました。
また、同じくユニセフは、世界人口が増加している
にもかかわらず、国際的な子供の死亡率は低下の
一途をたどっていると報告しています。
これは、2008-09年度「夢をかたちに」しようと、
子供の死亡率低下をめざす地元や国際奉仕プロ
ジェクトに取り組んだロータリー家族にとっては、
朗報です。
ドミニカ共和国のモカ2デ・マヨ・ローターアクト・
クラブ会員、メリッサ・グズマンさんの例をご紹介
しましょう。専門医学実習生であるグズマンさん
は、ほかのクラブ会員とともに、全国の学校や市
町村のセンターで開催される保健クリニックで定
期的にボランティア活動を行っています。
2009年に遠隔地の学校で実施されたクリニック
では、カナダのロータリー・クラブからの寄贈に
よる薬の見本を使って子供たちの治療を助けまし
た。グズマンさんが治療に当たったのは最も多く
みられる病気の1つ、下痢でしたが、これはユニセ
フによると、世界的にHIV/エイズより5倍も多い
子供の死因となっています。通常、汚染された水
や衛生設備の不足、不衛生な状態などが原因と
なっている下痢は、適切な治療と教育をはじめ、
水や衛生プログラムを通じて予防することが可能
です。
「いろいろなかたちで社会のために役 立ちたい
と願う人々が集まるグループの一員になれて嬉し
Rotary Images
い」とグズマンさんは語ります。
ドミニカ共和国の家族の治療を終えたローターアクター、メリ
ッサ・グズマンさん(左)。
母子の健康 | 9
ネパールの女性たちに助産師の資格を
ヒマラヤ山脈に囲まれたネパールの山村は、家族
計画の知識も経済発達の機会も乏しく、幼児の
死亡率が最も高い地です。
こういった問 題に 取り組もうと、ロータリアン
は、10の遠隔地域を対 象に出産前後のケアを
提供するために必要な集中的研修プログラムを
開発しました。カトマンズ・ミッドタウン・ロータリ
ー・クラブとダルムシュタット・ベルグシュトラッ
セ・ロータリー・クラブ(ドイツ)の協同によるこの
プロジェクトは、ロータリー財団の保健、飢餓追
放および人間性尊重(3-H)補助金、283,725ド
ルを得て実現しました。
研修の対象は補助看護師兼助産師をめざす52人
の若い女性たちで、バエダとカトマンズの病院で
実習を受けます。
山々に囲まれたネパールの10の遠隔地域出身の若い女性たち52名が、
地元で医療サービスを提供することを目指し、補助看護師兼助産師とな
るための研修を受けています。写真は、晴れて卒業した第一期生。
これらの女性たちの大半は、ネパールの恵まれな
い山村の貧困家庭の出身者です。授業料は、国
連人口基金と世界銀行の貧困削減基金が援助し
ています。
研修修了後、助産師となった卒業生には、故郷で
診療所を開業する目的でマイクロクレジット(小
口融資)を利用する資格が与えられます。診療所
では、地域の女性や少女たちにケアを提供するだ
けでなく、早期結婚や妊娠の問題、家族計画の
恩恵について教育することもできます。
「このプロジェクトは、マイクロクレジット、妊婦
のケア、家族計画を結びつけたアプローチがユニ
ークな点」と語るのは、プロジェクトのコーディネ
ーターを務めるカトマンズー・ミッドタウン・クラブ
の元会長、ハートムット・バウダーさんです。
コンゴで人道的活動に尽くす元奨学生
ロータリーの支援を受けて公衆衛生の学位を取
得した元国際親善奨学生、木下倫子さんが、コン
ゴ民主共和国で人道的な危機に見舞われている
人々を助けています。2008年、同国では、反乱軍
と政府軍の衝突により25万人もの人々が移動を
余儀なくされました。
ゴマを拠点とする木下さんのユニセフでの仕事
は、母子の健康、水と衛生、子供の保護といった
プログラムを通じて、内戦を逃れてきた人々を支
援することです。孤児や少年兵を含む女性と子供
を専門に扱い、ユニセフの現地スタッフが仕事の
成果を挙げられるよう支援しています。
母国日本で助産師として働いた後、木下さんは国
際親善奨学生として米国に渡り、2003年ノースカ
ロライナ大学(UNC)チャペルヒル校で修士課
程を終えました。
ロータリーなしに今の自分はありえない、と木下さ
んは言います。UNCを通じてマラウイのセーブ・
ザ・チルドレンでのインターシップの機会を得て、
初めてアフリカを訪れ、新生児の死亡率を削減す
るプロジェクトで働くことになったのです。コンゴ
のキンシャサに派遣された木下さんは、現地に住
5歳未満の子供の死亡の
67
パーセントは、
専門知識を持つ人の
介助による出産、
み、妊婦を対象としたHIV・エイズやマラリアの
新生児ケア、
治療介入に焦点を当てたUNC研究プログラムの
予防接種などによって
管理に当たりました。また、もう1つのプロジェクト
では、助産師を教育することで新生児の死亡率に
どのような影響が出るかについての研究を行いま
した。コンゴには、専門の助産師なしに出産が行
われるケースが全体の65パーセントという地域が
あります。
「私がこの国に残ろうと決めた理由は、ほんの少
しでもこの目で変化を見たいと思ったからです」と
木下さんは話します。
「自分の仕事が、人々の健
康や生活の改善につながり、開発に貢献できて
いるという実感が得たかったのです」
防げるものです。
水と衛生
10
「水は命であるというのは真実ですが、多くの人々が安全な
飲み水のない暮らしをしているというのもまた、悲しい事実で
す。しかし、ロータリーには、安全な飲み水を大勢の人々に供
給するための専門知識を持つ会員が世界中にいます」
Rotary Images/Alyce Henson
ウィリアム B. ボイド、元RI会長
11
ロータリーが米国国際開発庁と
協力関係を結ぶ
国 際ロータリーと米 国 国 際 開 発 庁(U S A I D)
が、International H 2 O Collaboration(国際
H 2 O協力)という名称の下、2009年、発展途上国
で水・衛生関連プロジェクトに着手しました。
USAIDの最高執行責任者であるアロンソ・フルガ
ム氏は次のように述べます。
「この重要な協力関
係を通じて、世界中の大勢のロータリアンによる
奉仕の精神と意欲が、USAIDの誇る国際開発の
専門知識と技術面での率先力に一体化されるこ
とになります。この関係から、地球上で最も貧しく
弱い立場にある人々に広く水と衛生設備がもたら
され、その成果は持続し続けることでしょう」
両組織は、ガーナ、フィリピン、ドミニカ共和国で
初のプロジェクトに着手する予定です。これらの
国々において、ロータリー・クラブと地区ならびに
USAIDが、効果的に水と衛生プロジェクトを実施し
ていく能力を備えていることは既に実証済みです。
プロジェクトの資金はロータリー財団とUSAIDが
共同で拠出し、ロータリー・クラブと地区による活
動経費は保健、飢餓追放および人間性尊重(3-H)
補助金で賄われます。また、ロータリーとUSAID
が技術面や現地での支援活動に当たります。
USA I Dは、米国の外交 政 策目標を支えるため
に、経済、開発、人 道面で援助を提 供していま
す。USAIDのグローバル開発アライアンスは、非
政府組織、財団、法人などの優れた民間組織と
の協力を推進しています。
インドの青少年が、RYLAワークショップを通じて水の保全プロジェクトを実施しました。
RYLA参加者が水保全に挑戦
ロータリアンは、ロータリー青少年指導者要請プ
現在、
ログラム(RYLA)を通じて、リーダーシップの技
安全で清潔な飲料水を
能を身につけるためのセミナー、キャンプ、ワーク
ショップなどに出席する若者(14~30歳)の選考
を行います。
インドでは、8月にロータリアン、バル・イナムダー
さんが、健康、衛生、農夫の換金作物の改善と、
次世代の水専門家の育成を目指し、水をテーマと
する初のRYLAワークショップを開催しました。
160名の参加者は4つのグループに分けられまし
た。2つのグループが小川に沿って貯留型ダムを
造り、1つのグループが山からの雨水を貯蔵する
ための堤防を造りました。そして28名の聴覚障害
者から成る4つ目のグループが、地元の学校の屋
根に取り付ける貯水システムを造りました。
ムンバイの浄水会社がプロジェクトに技術面での
サポート支援をしたほか、同社の科学者2名がプ
ロジェクトの審査にあたりました。
得ることのできない人々が
8 8,400
億
万人、
適切な衛生設備を
利用できずにいる人々が
25
億人います。
12 | 水と衛生
多地区合同でドミニカ共和国に
きれいな水をもたらす
小さなプロジェクトは、後に多地区合同活動へと
ロータリアンは、ロータリー財団のマッチング・グ
ボーデナー夫妻は、地区内のクラブに呼びかけ、
ラントの支援を受けて150,000米ドルのプロジェ
フィルターの働きを実際に見てもらうため、ドミニ
クトを実施し、ドミニカ共和国の家庭に1,250個
カ共和国への訪問旅行を組みました。ほかの地区
のバイオサンド・フィルターを設置しています。
とも協力して「Thirsting to Serve」と題する年次
これは第4060地区の「Children’s Safe Water
Alliance」という取り組みの最近のプロジェクト
徐々に広がりを見せました。サンティアゴ・モニュ
を行ってきました。
メンタル・ロータリー・クラブ(サンティアゴ)のデ
5
5,000
歳以下の子供たち
人が
亡率の40パーセントを占め、第2の死亡要因とな
っている下痢を減らすことができるのです。
「Children’s Safe Water Alliance」の生みの
親は、当時、ドミニカ共和国のプエルトプラタ・イ
ザベル・デ・トレス・ロータリー・クラブの会長を
務めていたボブ・ヒルドレスさん、米国ミシガン州
のロックフォード・ロータリー・クラブのジェーム
ス・ボーデナー元クラブ会長と妻のスーザンさんで
した。フィルターのシンプルな構造と、わずか60
イビッド・クロウ氏は、5年前にこのフィルターに
ついて知りました。ヒルドレス氏が同クラブにフィ
ルターを寄贈し、地元地域の指導者が関心を示
すかどうか尋ねてきたのです。クラブは、カナダの
カルガリー・ウエスト・ロータリー・クラブの支援
の下、このプロジェクトを継続するため、早速マッ
チング・グラントの提案書を作成しました。
2009年まで、カナダ、ドミニカ共和国、米国をはじ
めとする国々の150以上のクラブから「Children’s
Safe Water Alliance」へ100万米ドル近くの寄
付が寄せられました。これには、30口のマッチン
グ・グラントも含まれています。
米ドルという費用の安さに惹かれ、3人が始めた
Rotary Images
世界で毎日、
命を落としています。
きれいな水を300地域、10万人に提供する支援
す。しかし、このフィルターのおかげで、子供の死
劣悪な衛生状態により、
する場を設けています。
ドミニカ共和国で試験的に始まったこの活動は、
く、電気も必要がないので、いたってシンプルで
不十分な衛生設備や
会合を開き、水専門家とロータリアンが一堂に会
です。わずか7年間で、1万9千個のフィルターと
バイオサンド・フィルターは部品が壊れることもな
不衛生な水と
発展しました。
ドミニカ共和国の家庭で新しいバイオサンド・フィルターを設置するロータリアン、サラ・ルセナ氏。
13
疾病予防と治療
2009年RI国際大会で講演する潘基文国連事務総長
Rotary Images/Alyce Henson
「私たちは複数の危機に直面しています。保健の
予算を削減して、多くの命と発展の可能性を失う
か、保健に投資して、これを未然に防ぐか、私た
ちの選択肢は明らかです」
14
ケニアのナイロビにあるロータリー主催の課外活動で孤児たちとともに過ごす
エイズと闘うロータリアン委員長のマリオン・バンチさん。
エイズ予防に取り組むロータリアン
1998年以来、ロータリーが
ロータリアン活動グループ「エイズと闘うロータリ
ポリオ全国接種日中に
アン(RFFA)」は、ケニアの若者たちの間で広ま
ビタミンAの配給を
行ってきた結果、
150
推定
っているエイズ感染と闘うため、民間と公共部門
のリーダーたちからなる大規模な連合に加わりま
した。
万人の
子供たちの命が
救われています。
ビタミンA不足により、
失明や感染の危機が高まり、
麻痺、マラリア、
下痢などのような
米国政府の調整の下、2008年にケニアのナイロ
ビで開始された「Partnership for an HIV-Free
Generation」と呼ばれるこのパートナーシップ
は、今後5年間で 新たにH I Vに感染する10 歳
~24歳までの若者の数を5割減らすことを目標と
しています。参加団体は、健康的なライフスタイル
の提唱、危機下にある青少年を対象とする個人
指導の提供、経済と教育の機会の創造をめざす
促進キャンペーンの開発と監視にあたります。
「これほど多くの一流民間団体が米国政府と団
結して、若者のHIV感染の削減に取り組んでいる
のは、前例のないことです」と、RFFA委員長のマ
リオン・バンチさんは述べます。
「このプログラム
は、サハラ以南のアフリカ全域におけるHIV感染
率を劇的に減らすための実践方法の模範を示す
ものです。このような時代の先端を行くプログラム
に関与できることを誇りに感じています」
RFFAは、ナイロビで保健と教育の機会の改善に
携わるかたわら、若者たちに個人指導を行うロー
タリー地域社会共同隊のボランティアをサポート
します。
食品技術者が何百万人に栄養を補給
何百万人という途上国の子供たちに栄養価の高
い食糧を供給してきたアレックス・ブキャナンさん
小児期の疾病が原因で
は、ある種の「達成感」を感じていると言います。
死亡する率が
オーストラリア、ビクトリア州、メルボルン・ロータ
25
リー・クラブの会員であるブキャナンさん(75歳)
は、食品技術者として高たんぱく質の食品「オー
ストラリア・ミルク・ビスケット」と「ハイ・エナジ
パーセントも
ー・ビスケット」を開発。これらのビスケットは、現
上昇することがあります。
在、オーストラリアで国際食糧援助の必需品とな
っています。
こういった数々の功績に対し、元ロータリー奨学
生であるブキャナンさんに、ロータリー財団から
2008-09年度学友人道奉仕世界賞が贈られまし
た。アレックス・ブキャナンさんを学友人道奉仕
世界賞に推薦したのは、2008-09年度ロータリ
アレックス・ブキャナンさんにお祝いの言葉を述べる
ドン・ヤゴさん。
ー財団地域コーディネーター(ゾーン8)、ドン・
ヤゴさんです。
疾病予防と治療 | 15
3万件目のマッチング・グラントで心臓手術
先天性心臓疾患を患う20人以上のインドの子供た
ちが、ロータリー財団から授与された3万件目のマ
ッチング・グラントの恩恵を受けています。
財団は、去る12月、インド、ケララのコーチン・ミッ
ドタウン・ロータリー・クラブと、英国、チェシャー
る」と、コーチン・ミッドタウン・ロータリー・クラブ
のV.J. ジョン会長は、地区が手術を優先させたこ
2001年以来、
との理由を説明します。
サハラ以南のアフリカで
1965年以来、財団は、199カ国における国際奉仕
会員となった
プロジェクトに3億6,200万ドルを超えるマッチン
ロータリアンの数が
グ・グラントを提供してきました。
5,000
38
のサンドバック・ロータリー・クラブの合同プロジェ
人を超え、
クトに15,000米ドルの補助金を承認しました。こ
の補助金により、インドの南部と北部に住む年齢3
これは
カ月から18歳までの子供たちに、心臓異常を治す
手術を行うための資金が提供されます。
パーセントの
増加です。
このプロジェクトは、世界的にロータリー・クラブ
が支援する団体、ギフト・オブ・ライフ・インターナ
ショナルを通じて行われるものです。また今回の
Rotary Images
プロジェクトは、ロータリーが創立105年を迎える
2010年までに、貧困家庭の子供たち105人に心臓
切開手術を提供することを目指してきたコーチン・
ミッドタウン・ロータリー・クラブと第3201地区の
活動において新たな進展となりました。
「貧困家庭に心臓疾患を患う子供が生まれると、
5、6人の家族全員が経済的に困窮することにな
ニューヨーク市の国連で開かれた「ロータリー国連デー」に参
加中、ウガンダの11歳の少年、ジョナサン・オランガ君にお祝
いの言葉をかける李東建RI会長。10月、ジョナサン君は、ギフ
ト・オブ・ライフ・インターナショナルを通じて、手術を受けた
1万人目の子供となりました。
ソロモン諸島におけるマラリアとの闘い
5 億人
66%
200,000ドル
10.5%
毎年、
マラリアにかかり重体となる人々の数。世界
保健機関によると、
マラリアの発症はアフリカ、ア
ジア、南アメリカの熱帯地域に集中しています。
ソロモン諸島、ガタルカナル島のホニアラ・ロータ
リー・クラブとオーストラリア、クイーンズランドの
ケンモア・ロータリー・クラブによる協同プロジェ
クトを支援するため、ロータリー財団の保健、飢
餓追放および人間性尊重(3-H)補助金を通じて
提供された資金の総額。技術的な援助と助言は、
マラリア撲滅のためのロータリアン行動グループ
が提供しました。
30,000人
ロータリーが学校と協会を中心に実施するマラリ
ア予防教育プログラムから直接恩恵を受けた人
の数。
15,000 枚
ロータリーのプロジェクトを通じて配られた蚊帳
の数。
マラリアとデング熱の原因となる蚊の残留噴霧を
実施するロータリーのプロジェクトのおかげで、
マラリアにかからずに済んだホニアラの人口率。
2005年から2008年にかけて、ホニアラで削減
された年間マラリア感染率。
手塗りの看板は、ソロモン諸島にお
けるマラリア予防に対する一般市民
の認識を高める運動の一環として配
置されています。
基本的教育と識字率向上
16
「読み書きを習い、教育を受ける機会に恵まれ
たおかげで、貧困生活を経験せずにすんだ私た
ちは皆、識字のチャンピオンとなれるのです」
Rotary Images/Alyce Henson
デビッド・ファウラーさん、RI識字率向上支援グループ
17
Holly Sasnett
満面の笑みをたたえる歌手のドリー・パートンさん。
(左下から時計回りで)ジョン・ジャーム・ロータリー
財団管理委員、テッド J. プロープス第6900地区ガバ
ナー、シャウナ・ヴォン・ハンシュタイン第6910地区
識字委員長、ケナン J. カーン第6920地区ガバナー、
ゲイリー C. ムーア第6910地区ガバナーとともに。
歌手のドリー・パートンがロータリーと協力
勉学のかたわら奉仕に励む奨学生たち
米国の有名なカントリー歌手、ドリー・パートンさ
国際親善奨学生の援助によって、新しい図書室と
んと国際ロータリーは、幼児期からの読書を推進
10台のコンピューターが利用できるようになった
する新しい活動において協力関係を結ぶことを発
チリの公立学校の子供たち。
表しました。
2008年、バルパライソの大学に通うかたわら、ネー
両者の同意の下、カナダ、英国、米国のロータリー・
サン・ギルさん、ポール・ゴールドバーグさん、ハン
クラブは、0~5歳の乳幼児に毎月1冊の本を寄贈
ナ・ケリーさん、スーザン・オーウェンさんの4人は、
しているドリーウッド財団の「イマジネーション・ラ
学校改善プロジェクトを始めました。地元のロータ
イブラリー」を支援するよう奨励されています。
リアンと住民の力を借りて、倉庫として使われてい
地元のクラブは、地域社会でこのプログラムを推
進したり、恵まれない子供を探して登録したり、本
と郵送代のために寄付をしたりするなどして、この
プログラムに参加しました。2008-09年度には、
300を超えるロータリー・クラブが参加しました。
パートンさんは、ポリオ撲滅にロータリーが果たし
ている役割の重要性を称え、このプロジェクトを
通じてロータリーと協力できることを誇りに思うと
語りました。
「まさに理想的なパートナー関係で
す。世界中で素晴らしい事業を実施しているロー
タリーと手を組めるなんて、私たちにとってはまた
とないお話。ロータリーのような権威ある団体と
仕事ができて光栄です」
た部屋を、図書室兼マルチメディアルームに変身
させたのです。2つのローターアクト・クラブの会員
と、複数の大学生からもこのプロジェクトに支援が
寄せられました。また、RIの第4320地区(チリ)、
第5230地区および第5240地区(米国カリフォル
ニア州)、第6400地区(カナダ、オンタリオ州と米
国ミシガン州)、ならびに第7690地区(米国ノー
スカロライナ州)からも資金が寄せられました。
年間およそ750名の学生が、ロータリーの国際親
善奨学金を得て海外に留学し、親善使節を務め
ます。この奨学金プログラムは、民間による大学
レベルの海外留学プログラムとしては世界最大級
のものです。
貧しい家庭で読み書きのできない父親に育てられ
た生い立ちゆえに、故郷のテネシー州セヴィール
郡の幼稚園児のために識字プログラムを始めよう
という決意が生まれたのだと言います。
「イマジネ
ーション・ライブラリ」は、米国47州をはじめ、カナ
ダと英国の一部でも活動を行っており、これまで
に1,500万冊以上の本が子供たちに贈られました。
ドリーウッド財団によると、本に親しむ機会のあ
る幼稚園児は、小学校への入学を楽しみにする
傾向にあるだけでなく、就学後も成績が良く、学
年相応もしくはそれ以上の読解力を発揮し、高校
の卒業率も高く、大学進学率も伸びることが明ら
かになっています。
チリの国際親善奨学生は、公立学校の児童のために図書室を設置しました。
世界総人口の
15
パーセントは、
基本的な識字能力の
ない人々です。
18 | 基本的教育と識字率向上
ロータリアンが2004年の津波により
破壊された学校を建て直す
今、スリランカでは、悲劇から生まれた5年計画
が多大な成果とともに完 遂されようとしていま
す。2004年12月の津波後間もなく、第3220地区
(スリランカ)がスタートした学校復興プロジェク
トを通じて、22の学校が建設されました。
2008-09年度、RIの
オンラインのデータベース、
ProjectLINKには、
68
カ国からの
570
件の
このプロジェクトで建設された学校には、今日、
11,000名以上の生徒が在籍していると、ロータリ
ーSCB Schools Trustの委員長を務めるK.R. ラ
ビンドラン・ロータリー財団管理委員は言います。
「生徒たちは、こんなに立派な学校ができるとは
通っていたアンバランゴダの学校が津波で全壊し
たというイメシャ・ウダリ・デ・ゾイザさんは、現在
18歳。新しく建てられたランドンベ・カニシュタ・
ヴィヤラヤ・スクールを晴れて卒業し、小児科医に
なることを目指して進学した彼女は、
「卒業した学
校は宮殿みたいに立派で、一生の思い出」だと語
ります。
このプロジェクトには、40,000人近い死者を出し
たスリランカ沿岸地帯の津波直後に、ロータリー
財団によって設立された南アジア災害連帯基金
を通じて、ロータリアンとロータリー・クラブから
約182万ドルが寄せられました。
夢にも思っていなかったので、まるでオックスフォ
ード大学やケンブリッジ大学にでも入学したかの
ような気分を味わっています」
模範プロジェクトと、
支援を求める
29
カ国からの
396
件の
プロジェクトが
掲載されました。
これは前年度に比べ、
33
Rotary Images
パーセントの増加です。
スリランカのロータリアンが立ち上げた学校復興プロジェクトにより建てられた学校には、
現在11,000以上の子供たちが通っています。
19
経済と地域社会の発展
「世界人口の半数が一日に2ドル未満で生活
しているという現実こそ、私たちが考えなくて
はいけないことなのです」
Rotary Images/Alyce Henson
2009年RI国際大会で講演するディーパ・ウィリンガム氏、
「PACE Universal (Promise of Assurance to Children
Everywhere)」を創設したロータリアン
20
コロンビア難民に、商売を立ち
上げるための小口融資の支援を
行っているロータリアン、ベル
タ・ロペラさん(右)。
す。プロジェクトの目的は、加工済みの蚊帳、井戸
とポンプ、農業用具と家畜、職業訓練と機器、教
材と制服を提供し、4千人の村民の生活を改善す
ることにあります。第1630地区(ベルギー、ルクセ
ンブルグ)、第1720地区(フランス)、第3100地
区(インド)、第9200地区(エリトリア、エチオピ
ア、ケニア、タンザニア、ウガンダ)のクラブからも
援助が提供されました。
このほか、ロータリー地域社会共同隊(RCC)が
Rotary Images
10の小委員会を結成し、各小委員会が会計、家
畜、水の供給などプロジェクトの各側面を監督し
ました。RCCについて、
「村の人々は、ロータリーの
2008-09年度、
ロータリー財団が授与した
3-H補助金とマッチング・
グラントの総額は、
3,020
万ドル。
この資金は、
世界各地のロータリアンが
企画・実施した
国際奉仕プロジェクトの
支援に費やされました。
新しいミシンのおかげで、ウガンダの女性たちは職業
技能を身につけると同時に、不足している蚊帳を作る
ことができるようになりました。
仲間になれたことを喜んでいます」と、ムイェンガ・
クラブの会員、フランシス・ムサカさんは話します。
新しくかんがい設備の整えられた村の農場では、
食糧や換金作物が収穫されるようになっただけ
長期プロジェクトで
ウガンダの複数の課題に取り組む
2009年、ウガンダムイェンガ・ロータリー・クラブ
とベルギーのジェンク・ノールド・ロータリー・クラ
ブが、ウガンダのムピギ地区にあるカサム・カヤリ
教区に長期的な経済の安定をもたらそうと、数年
間にわたるプロジェクトを開始しました。
250,000米ドルをかけて実施されたこのプロジェ
クトは、ロータリー財団の保健、飢餓追放および
人間性尊重(3-H)補助金の支援を受けていま
でなく、新しい農業技術や栽植法、畜産などに関
する研修も行われるようになりました。学齢期の
子供たちだけでなく、識字能力や事業開発技術を
欠く成人への教育的ニーズも満たされるようになり
ました。このほか村の人々は、新しく購入されたミ
シンを使って、学校の制服や蚊帳を作っています。
「これは、一時的なプロジェクトではありません」
とジェンク・ノールド・ロータリー・クラブのマー
ク・モレマンさん。
「このプロジェクトが村全体の
人々のために末永く持続され、次世代を支えるも
のとなることを願っています」
経済と地域社会の発展 | 21
の保健、飢餓追放および人間性尊重(3-H)補助
金をはじめ、第2241地区と第5220地区のクラブか
らの支援が寄せられています。
オラデアのカミナル・フェリックス孤児院内に設け
られた最新の職業訓練センターでは、酪農と農
業の研究、自動車修理、パンづくり、大工技術な
どの授業を提供しています。同孤児院が経営する
酪農場では、月に11.4キロリットルの牛乳が生産
され、これは、院内に住む250人の孤児だけでな
く、近くの病院や学校、ほかの孤児院の子供たち
が飲むのに十分な量です。一方、孤児院内の農場
コロンビアの人々に
マイクロクレジットを提供
コロンビア出身で、ブリティッシュコロンビア州の
バーノン・ロータリー・クラブ会員であるベルタ・
ロペラさんは、暴力により土地を追われ、難民と
なった300万人近くのコロンビア人の苦境を目の
当たりにしてきました。そこで彼女は、ロータリー
財団の補助金を利用し、70名のコロンビア難民
では、月に牛肉453キログラム、豚肉226キログラ
ム、卵3,600個が生産されています。パン工房で
は、職業訓練のほか、現場での実地訓練も提供
しており、院内の孤児全員を賄える分のパンを生
産しています。
孤児院で働く以外にも、6カ月から2年間の職業
訓練プログラムを修了した若者の多くが、地元で
会社を経営するロータリアンから就職口を斡旋し
に小口融資の支援を提供することにしました。
てもらっています。
ロペラさんとボゴタ・センテナリオ・ロータリー・ク
職業訓練は、人々に自立の道を拓くだけでなく、
ラブの会員たちが、カズカ(ボゴタから南に2時間
の場所にあるスラム街)、ベレン、フロリダの小事
業者(およびこれから小事業を始めようとしてい
る人々)を指導、支援しました。カナダの3クラブ
が、150ドル~400ドルの融資を行いました。ボゴ
国の経済復興のカギとなります。
「職業訓練は希
望をもたらす」と、モデスト・サンライズ・クラブ会
員でプロジェクト・コーディネーターのデビッド・
ギャラガーさんは言います。
「希望が持てなけれ
ば、幸せな生活を送れるはずはありません」
タ・センテナリオのロータリアン、
マリア・クリステ
ィナ・ヘナオさんは、
「この小口融資プロジェクト
は、能力のあるコロンビア人たちを援助するもの」
であると述べます。サンチェスさんの5人の子供の
うち3人は、内紛に巻き込まれて亡くなりました。
彼女は裁縫の稼ぎで孫たちを支えています。
孤児の将来に希望の光
1989年、ニコラエ・チャウセスク政権が覆された
ルーマニアの革命後に孤児となった子供は、国内
に推定250,000人いると言われています。革命か
ら20年が経ち成人したかつての孤児たちに今必
要なのは、生涯の財産となりうる職業技能です。
ルーマニアのオラデア・ロータリー・クラブと米国カ
リフォルニア州、モデスト・サンライズ・クラブとの協
同プロジェクトでは、オラデアに住む1,000人以上
の孤児を対象として職業訓練や職業斡旋を実施す
るほか、食糧の提供も行っています。290,000ドル
近くを投じたこのプロジェクトには、ロータリー財団
この農場とロータリーからの支援のおかげで、ルーマニアの孤
児院の若者たちに職業訓練とパートの仕事を提供することが
可能になっています。
中央および東ヨーロッパでは、
過去10年間で
ロータリーの会員が
80
パーセント以上
増えました。
平和と紛争予防/紛争解決
22
「ロータリー平和フェローも私も、戦争のない世界の実現
は可能だと信じています。そして、飢える者のいない世界
を築くことも可能です」
デズモンド・ツツ(名誉大主教、ノーベル賞受賞者)
(2009年ロータリー世界平和シンポジウムにて)
23
東ティモールで平和活動に専心する
平和フェロー
イザベラ・ペレイラさん(左)は、国連統合ミッシ
ョンの民主統治担当官として2008年4月に東ティ
モール民主共和国に赴いて以来、この国の人々の
生活の劇的な変化を目の当たりにしてきました。
「東ティモールの大統領暗殺未遂事件の直後に
この国に来ました」と、2005-07年度ロータリー
世界平和フェローとしてアルゼンチンのサルバド
ール大学で学んだペレイラさんは話します。
「首
都全域にわたって、60以上の難民キャンプが設
置されていたのを覚えています。現在ディリには、
このようなキャンプはもう存在しません」
ペレイラさんは、東ティモールの主要な政府機関
を監視し、国民のための民主的な方策について
助言をしています。現在のこの活動には、平和フェ
ローであったときの体験が役立っている、とペレ
イラさん。フェローシップ中に米州機構の派遣団
の一員として、コロンビアとニカラグアで選挙を監
視しました。また、セネガルでは国連婦人開発機
関(UNIFEM)とともに紛争防止策に取り組み、
コートジボアールでは女性を対象とする平和構築
のための国連派遣団に参加しました。
25年も続いた紛争の傷跡は深く、社会基盤の構
築、識字率の向上、雇用の安定化など、成すべき
仕事は山ほどあると、ペレイラさんは言います。そ
して「多大な支援と機会を与えてくれたロータリー
財団の素晴らしいサポート」に感謝しているとも
述べています。
ラテンアメリカに平和の支柱を
2003-05年度ロータリー平和フェローであるウ
ィリアム・ペインさん(サルバドール大学)は、コ
ロンビア、暴力にあえぐボリバル県南部の農村
に平和をもたらすため、教会を代表する国際派
遣団を指揮しました。ペインさんは、現在、カナ
ダ国際協力協議会の活動グループの一つである
「Americas Policy Group of the Canadian
Council for International Cooperation」でコ
ーディネーターを務めています。このグループは、
人道団体、労働団体、教会など40の団体から成
り、ラテンアメリカにおける持続可能な開発と社
会的公正の達成を目的としています。
「東ティモールが独立してからたった7年。この国
での活動ほどやりがいのある仕事はほかに考えら
れません」
元平和フェローが平和および
紛争解決プログラムの設立に貢献
インド北東部8州のうちの1つ、アッサム州出身の
ナニ・マハンタさんは、インド北東部で横行する暴
力を目の当たりにしてきました。同州では、テロや
民族紛争の犠牲者の数がインドで最高となって
います。35余りの武装勢力が、アッサムのインド
からの独立をめざし闘っているのだとマハンタさ
んは言います。
2002-04年度ロータリー平和フェローであるマハ
ンタさん(米国、カリフォルニア大学バークレー校)
は、現在、インド、アッサムのガウハーティ大学で
准教授を務めるかたわら、自らが設立を助けた平
和および紛争解決プログラムのコーディネーター
を兼任しています。自身の講義の中で、民族性、
人権、平和と紛争、経済発展、環境、文化、ジェン
ダー、子供の問題について生徒に教えています。
「反乱軍のことを原理主義的で疎外的、不満に満
ちた暴徒とののしる人もいるでしょう」と記すマハ
ンタさんは次のようにつけ加えます。
「しかし、問
題を最終的に解決するのは、説得、譲歩、努力へ
の報い、対話、政治的意志なのです」
2008-10年度、
86
7
名のロータリー
世界平和フェローが、
校ある「平和および
紛争解決の分野における
国際問題研究のための
ロータリー・センター」に
留学し、修士課程か
専門的職業開発
修了証取得プログラムの
いずれかで学びました。
24 |
平和と紛争予防/紛争解決
「彼らは、国境を越えた共通語、すなわち音楽を
通じて対話しています」と話すのは、プログラムの
創設者で、コロナド・ロータリー・クラブのビル・ス
タージョン氏です。
「共に演奏しながら、互いの才
能を称えあっているのです」
似たような合宿プログラムがヨーロッパで実施さ
れていることを知ったスタージョン氏は、サンディ
エゴで地区青少年交換夏季合宿を始めました。
この合宿プログラムには音楽の才能に恵まれた多
くの学生が参加し、大成功を収めました。その結
果、同氏は、もう1つ別に特別音楽合宿プログラム
を開始することを決めました。その後、サンディエ
ゴ・ユース交響楽団の理事長がこの音楽合宿プロ
グラムを恒久的なプログラムにしたいと関心を示
したことから、
「MusiCamp」が生まれました。
交換学生は、交響楽団とともに2週間の集中練
世界各地から訪れた青少年は、音楽には国境がないということを、青少年交換音楽合宿で学びました。
音楽を通じて国際的な懸け橋を
2008-09年度、
「MusiCamp」と呼ばれる、第5340地区(米国
年齢15~19歳の学生
8,500
名が、
ロータリー青少年交換
カリフォルニア州)の短期青少年交換プログラム
習を行い、最終的には地元の人々の前で演奏しま
す。また合宿の3週目には、およそ6つのロータリ
ー・クラブの家庭に滞在し、サンディエゴ地域で
文化活動に参加します。また、この交換プログラム
の一環として、サンディエゴの青少年たちが、ヨー
ロッパの合宿に参加します。
により、イタリア、ポーランド、トルコ、ベネズエラ出
「若者たちは、すぐに打ち解けました。すばらしい
身の学生20名とその他の国出身の10名が、8月
ことです」とスタージョン氏。
「彼らは、これから
にサンディエゴ・ユース交響楽団の音楽家20名と
一生涯、友好を深めていくでしょう」
ともに練習し演奏するために訪米しました。
プログラムを通じて、
80
71
カ国に
留学しました。そのうちの
パーセントが
長期交換を体験しました。
南スーダンで食糧難と闘う
南スーダン、トリットで 健 康な赤ちゃんを抱く
アナリア・ラモスさんは 、アルゼンチンから英
国、ブラッドフォード大学に留学した2004- 06
年度ロータリー平和フェローです。
「Concern
Worldwide」という人道的救援・開発に取り組む
団体でコーディネーターとして食糧確保を担当し
ています。食糧不足との闘いは「子供の笑顔を見
ると、すべての努力が報われる。どんなに困難な
ときでも神様が見守っていてくれて、空腹のまま
眠りにつかずにすんだ人がいると思えるから、や
りがいがある」、ラモスさんはそう述べています。
ロータリー財団への寄付
「奉仕を実践する場として、ロータリー以外には考えられません。また、社会に恩返
しをするのにふさわしい場として、ロータリー財団以外には考えられません」
アーチ C. クランフ・ソサエティ会員、エドワード・ブレンダー元地区ガバナー
韓国の大口寄付者が模範を示す
韓国は米国に次いで、アーチ C. クランフ・ソサエテ
ィ会員の最も多い国です。1月、新たに4組の夫妻
がソサエティの仲間入りを果たしました(ロータリ
ー財団へ少なくとも250,000米ドルを寄付した人ま
たは夫婦が、ソサエティ会員として迎えられます)。
米国イリノイ州にあるRI世界本部で行われた入会
式では、韓国および同国からの寄付者に対して敬
意が表されました。李東建RI会長が進行役を務
め、シカゴを代表する韓国の名士数名も出席しま
した。
ウンスー・ムーン氏ご夫妻
キョンモ・チョン氏ご夫妻
3620地区ガバナ
された第 3 5 4 0
ー、
「ザ・ロータリ
地区ガバナー、
ー・コリア」誌の
チョン氏は、退
専 務 理事、ムー
役海軍少将でソ
ン・デンタル・ク
ウル永登浦ロー
リニック社 長を
タリー・クラブ
務める天安兜率ロータリー・クラブ会員です。ムー
の会員でした。2007年、チョン氏はチェ夫人とと
ン氏とヤン夫人は、年次プログラム基金、恒久基
もに、ロータリー財団の冠名国際親善奨学金基
金、ポリオ・プラスを支援しています。
「助けの手
金を設けました。ご夫妻は長い間、年次プログラ
を差し伸べてくれる人がいなければ、貧困や困難
ム基金を支えてきました。
「政府は世界のすべて
を乗り越えるのは非常に難しいことだ」と話すムー
のニーズを満たすことはできない。民間団体がそ
ン氏は、自身の若い頃に財政的に困難な状況に
のニーズの一部を満たすべきです。ロータリーは
陥った経験があることを語りました。
「私が今こう
私たちがボランティアをしたり、活動に参加したり
して、ニーズのある人々を助けているのは、まさに
するための手段なのです」と、チョン氏は語ってい
そのためなのです」
ました。
ソン・オン・ホン氏ご夫妻
ソンヒー・ナム氏ご夫妻
学友コーディネー
リー・クラブ会
ターを務めるホ
員で、第3700地
ン氏は、第3670
区の 元 ガバ ナ
地 区の 元 ガバ
ーであるナム氏
ナーであり、全
は、大邱保健大
州豊南ロータリ
学の学長を務め
ー・クラブの会員です。クラブ会長を務めた2000-
ています。ご主人のキム氏は大邱ロータリー・クラ
01年度には、所属クラブに45名の新会員が入会
ブの会員です。夫妻は長年にわたって年次プログ
し、第9ゾーンにおける新記録を達成しました。ホ
ラム基金を支援し、ポリオ・プラスへの寄付にも大
ン氏とパーク夫人は年次プログラム基金、恒久基
きく貢献されました。
「世界では、数多くの政治的
金、
マッチング・グラント・プログラムを支援してい
な違いや大きな貧富の差がありますが、ロータリ
ます。ホン氏は次のように語っています。
「ロータ
ーを通じて、かけ離れた世界に橋をかけ、お互い
リーに入って、私は大変充実した人生が送れるよ
の理解を築くことができると信じています」とナム
うになりました。それは、ロータリーで人々に奉仕
氏は述べています。
ムーン氏は、第
ロータリー財団
する機会とリーダーシップとして成長する機会が
得られたおかげです」
去る6月に逝去
大邱水蓮ロータ
2008-09年度には、
9,930
万ドルが
年次プログラム基金に、
1,160
万ドルが
恒久基金に、
570
万ドルが
ロータリー・センター
大口寄付推進計画に
寄せられました。
26
識字教育への情熱
「インドの総人口の相当数が、教育とは無縁の農
インドで子供を中心にもっと多くの人々に読み書き
の能力を授けたいという願いから、先日アーチ C.
クランフ・ソサエティの会員となったラジェンドラ
R. 氏ならびにシュバ・ラクシュミ・チャプワレ氏は、
今後3年間にわたりさらに200万米ドルをロータ
リー財団に寄付することを約束しました。
夫妻は、4月のソサエティ
らに支えるものです。
Rotary Images
ロータリーの主要強調事
項の一つが識字であるこ
とに着目したラジェンドラ
氏は、次のように述べて
います。
「ロータリー財団に冠名奨学金基金を設
置すれば、この目標をもっと効果的に支え、成果
を早めることができるのではないかと考えたので
す。インド全国にはロータリー・クラブのネットワ
ークがありますし、マッチング・グラントの力を借
りれば、識字率の向上は達成できるはずです」
ムンバイ・ノース・アイランド・ロータリー・クラブ会
員のラジェンドラ氏は、2007-08年度にクラブ会
100%ポール・ハリス・
フェロー・クラブの
認証を受けています。
子供に、将来に通じる機会が与えられるべきでは
ないでしょうか」ラジェンドラ氏は、このように語り
ました。
「できる限りを尽くしていきます」
ロータリー財団での体 験をきっかけに、ジェリ
たな誓約は、この基金をさ
ロータリー・クラブが、
機会に恵まれたおかげです。地球上のすべての
に250,000ドルを財団に
設立しています。今回の新
の
ます。私たちが今日こうしてあるのは、さまざまな
約を発 表する以前に、既
寄せ、冠名奨学金基金を
1,234
への道を拓いてやるのが、私たちの責任だと信じ
プログラムに触発され
平和フェローシップ基金を設立
入会式典でこの寄付の誓
ラジェンドラ R. 氏ならびにシュバ・
ラクシュミ・チャプワレ氏
村の子供たちです。この子供たちを教育し、将来
長を務めた際に、財団の担う役割の大切さを深く
理解するようになったと言います。同様に、ムンバ
ー・ウィルフォードさんと妻のゴールディーさん
は、財団プログラムを通じて末永く人々の生活を
豊かにしていきたいと願うようになりました。
「1994年にGSEのチームリーダーとしてオランダ
を訪れてから、ロータリー財団に密接にかかわる
ようになりました」と話すジェリー・ウィルフォード
さんは、米国チリコシー・ロータリー・クラブの会
員で第6040地区の元ガバナーです。
ウィルフォード夫妻は、タンザニアの小学校にき
れいな水を提供するマッチング・グラントでも財団
を支援した経験があります。それはオーストラリア
のブリスベーンで開かれた2003年RI国際大会の
講演者から話を聞いてのことでした。
最近では、2つのロータリー世界平和フェローシ
ップ基金を設立しました。
「平和フェローに直接
会ったこともありますし、このプログラムに大変満
足しています」とジェリーさん。
イ・ノース・アイランド・インナーホイール・クラブの
元会長であるシュバ夫人も、ロータリーへひたむ
きな熱意を傾けており、2011-12年度にはインナ
ーホイール地区委員長を務める予定です。
「ロータリーと財団の巨大なネットワークを活用
すれば、インドが抱えるすべての問題に取り組み、
多くの人々に教育の機会を与えることが可能にな
ると確信しています」と、シュバ夫人は語ります。
ラジェンドラ氏は、インドの遠隔地域における中・
高等学校の校舎の建設、修復、維持を専門に扱
う土地開発会社、Monarch Realty Developers
Pvt. Ltdの創設者です。同氏は、教育を通じて恵
まれない子供たちの自尊心と意欲を培うことに情
熱を傾け、草の根の非営利団体「Child Rights
and You」とも密接に協力しています。
ジェリー L. ウィルフォードご夫妻
ロータリー財団への寄付 | 27
年次寄付上位10カ国(地域)
6 カナダ
7 英国
$6,140 $110
2 日本
$5,281 $55
$15,440 $124
「毎年あなたも100ドルを」
$7,103 $76
8 イタリア
$59,149† $101
313,037
人の
5 ドイツ
1 米国
2008-09年度、
3 韓国
$4,960 $77
$8,555 $116
寄付者、
233,757
人の
「財団の友」会員、
10 ブラジル
$4,038 $58
4 インド
$8,165 $46
9 台湾
$4,881 $131
2008-09年度寄付総額 米ドル(千単位)*
2008-09年度ロータリアン1人あたりの年次寄付 米ドル
7,033
人の
ポール・ハリス・ソサエティ・
メンバー有資格者が、
* 通貨寄付が含まれています。
† 米国の財団、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から受領したポリオ撲滅活動に対する補助金、8,000万ドルは含まれていません。.
ロータリー財団の
年次プログラム基金を
支援しました。
設立された基金の一つは「ディック・アンド・ドリ
び遺贈友の会の会員となっています。毎年こつこ
ス・バーネット・ロータリー世界平和フェローシッ
つとロータリー財団に寄付し続けた結果、ついに
プ基金」と名づけられました。ウィルフォードさん
大口寄付額に達したのです。
の友人で、良き先輩、また「常に自分より他人のこ
とを第一に考える、真のロータリアン」のバーネッ
ト氏は、RIの元理事でもあります。バーネット夫
妻は、既に夫妻の名前を冠した平和フェローシッ
プを別に設立しています。
「世界70カ国以上を旅行する機会があり、世界
についてより深く理解できるようになった」とウィ
ルフォードさんは話します。
「ロータリー財団の一
員となり、ロータリアンからの財団への寄付によ
ってこれほど多くの人道的功績が達成されたのを
「寄付をするには “TRF-DIRECT” が一番手っ取
り早い方法だと、私はいつもみんなに言っていま
す」と、この電子送金プログラムをカナダにもたら
した元地区ガバナーのボブさんは言います(この
プログラムが利用できるのは米国とカナダのみ)。
夫妻による財団への貢献はボランティア活動(全
国予防接種日やガーナでの識字プロジェクトな
ど)にとどまらず、クラブと地区を巡って寄付や援
助を呼びかける講演も行っています。
見ることができ、大変嬉しく思います」
「財団がどれほど世界を変えているかがわかっ
「こつこつと」蓄えて大口寄付者に
ても重要だと感じるようになるのです」とメアリ
てもらえれば、おのずと財団を支援することがと
ボブ・ギャラガーご夫妻が1991年に初めて地区
ー・ジーンさんは語ります。
大会に出席したとき、ポール・ハリス・フェローに
財団に対する夫妻の献身は、二人が襟に付けて
強い印象を受けたといいます。
「寄付をしてフェローになるのは素晴らしいこと
だけれど、すぐには実現できないと思いました」と
語るメアリー・ジーンさんは、夫婦ともども所属し
ているカナダ、オンタリオ州、ウィンザー・ローズラ
ンド・ロータリー・クラブの会長を務めています。
今日、ギャラガー夫妻はマルチプル・ポール・ハリ
ス・フェローであるばかりでなく、大口寄付者およ
いるピンに負けぬほど、誰の目にも明らかです。
「ほかの人々の意欲を刺激する意味で、
大口寄付者のピンを身に付けています」
とボブさん。
「これを見て『彼にできる
なら、私にもできる』、と思ってくれる
人がいれば嬉しいですね」
ボブ・ギャラガーさんと夫人の
メアリー・ジーンさん
国際ロータリーの財務報告
28
8
世界
国際ロータリー収入の部
収入は予算より110万ドル少ない結果となりまし
RIの収入総額は、会費、RI業務、投資収益を含
カ所の事務局では、
RIと財団のプログラムと
業務を支援するため、
27
種類の通貨で
資金の徴収と配分が
行われました。
め、6,670万ドルでした。世界的な金融市場の低
迷により投資損失が生じたことが主な原因とな
り、収入は予算を1,970万ドル下回るとともに、前
年度を730万ドル下回りました。
たが、人頭分担金の収入は予算額を70万ドル上
回りました。これは、会員数の増加が主な理由と
なっています。
実収入は、投資収益が740万ドル減少したこと
が主な要因となり、前年度を下回りました。さら
に、2009年RI国際大会の収入が低かったことか
差異に関する説明
一般資金からの7,830万ドルの投資は13.4パー
セント(1,210万ドル)の損失を出し、9,050万ド
ルの投資に基づき7.35パーセントという予想収
益率を下回りました。業務提供とその他の活動の
ら、業務提供とその他の活動による収入が前年
度より140万ドル減少しました。一方、人頭分担金
からの収益は、会員1人あたり1ドルという値上げ
により前年度より150万ドル増加しました。
収入
米ドル(100万単位)
予算と比較した収入
86.4
22.1
21.0
22.4
57.8
56.3
(12.1)
(4.7)
2009年実績
2008年実績
57.1
7.2
(12.1)
2009年予算
2009年のRI収入の内訳
運営費
57.8
業務提供とその他の活動
21.0
報告から引用されたものです。会長
の経費を含むRIの2008-09年度の
収支明細は、RIウェブサイト(www.
rotary.org)でご覧いただけます。
2.3
専属保険会社
0.8
出版物および事務用品
0.7
純投資収益
$
(12.1)
収入総額
$
66.7
換
貨
免許料、徽章使用料、
その他の収入・支出(正味)
外
4.4
8.4
2.3
、役
員
、委
員
会
国際大会
算
7.0
5.8
事
は、国際ロータリーの監査済み財務
$
ワン・ロータリー・センター
6.8
9.1
4.3
務
$
失
運営費に使用された人頭分担金
雑誌
ここで用いられているすべての数字
米ドル(100万単位)
損
米ドル(100万単位)
理
2009年実績
コ
ミ
ュ
ニ
ケ
お ー
よ シ
び ョ
広 ン
報
業
57.8
区
ガ
バ
ナ
ー
純投資収益
74.0
務
21.0
人頭分担金
66.7
地
66.7
財
業務提供とその他の
活動に関連した経費
前年度と比較した収入
29
国際ロータリー支出の部
運営に関連した経費が2007-08年度より870万ド
RIの支出総額は8,350万ドルで、予算を280万ド
ル下回りましたが、前年度に比べ850万ドルの増
加となりました。
ル増加したのは、主に外貨換算による損失が330
万ドル増加したことに伴うものです。業務提供と
その他の活動に関連した経費は、国際大会の経
費が少なかったことに伴い20万ドル減少しました。
差異に関する説明
投資市場の悪化を受け、組織全体を通じて運営
費の大幅な削減が実施されました。運営関連の
経費は、外貨換算による230万ドルの損失を除
き、予算を330万ドル下回りました。業務提供とそ
の他の活動に関連した経費は、RI国際大会出席
者数が見込みより少なかったため、予算を180万
ドル下回りました。
会長の経費
RIは会長、会長エレクト、会長ノミニーに対して
(または会長、会長エレクト、会長ノミニーに代わ
り)それぞれ711,000ドル、505,000ドル、98,000
ドルを支払いました。これらの経費には、旅費(航
会計を専門とする世界各地の
ボランティアの財務代行者
11
名が、
資金の徴収と配分を助け、
地元のクラブと地区に
奉仕を提供しました。
空運賃、ホテル、食事)、RIテーマ、広報、家賃、引
越し費用が含まれています。RIは会長室の運営に
526,000ドルを、会長主催会議に92,000ドルを
支払いました(RI細則17.080)。
支出
米ドル(100万単位)
予算と比較した支出
前年度と比較した支出
86.3
83.5
20.7
83.5
22.5
20.7
62.8
63.8
62.8
2009年実績
2009年予算
2009年実績
業務提供とその他の
活動に関連した経費
75.0
20.9
運営に関連した経費
54.1
2008年実績
2009年のRI支出の内訳
プ
ロ
グ
ラ
ム
お
よ
び
会
報
サ
ー
ビ
ス
国
際
情
協
議
会
合
米ドル(100万単位)
3.0
6.0
理
務
5.2
部
の
管
本
界
世
事
際
国
8.1
会
員
業
5.8
務
局
3.8
運営費(以下の内訳参照)
$
62.8
業務提供とその他の活動
20.7
雑誌直接費
$
5.5
ワン・ロータリー・センター
7.0
国際大会
4.7
免許料、徽章使用料、
その他の収入・支出(正味)
1.0
専属保険会社
0.9
出版物および事務用品
1.6
支出総額
$
83.5
30 | 国際ロータリーの財務報告
国際ロータリーの財務
99
2007-08および2008-09会計年度は、再び、低
RIの純資産は、支出が収入を1,680万ドル上回
パーセントの
ロータリー・クラブが、
期日通りにRIの会費を
納めています。
ったほか、RIの年金債務が昨年より増えて570万
ドルが借方に記入されたため、前年度と比べて
2,250万ドル減少しました。
迷し不安定な投資環境が主な原因となって、支
出が収入を上回りました。
現在の投資の指針は、国際ロータリー理事会、ロ
ータリー財団管理委員会により定められたもの
です。ロータリーは、特定市場の損失の影響を緩
最近の動向
2001~03会計年度においては、不調な投資環境
により予算を支払うに十分な投資収益が得られ
なかったことが主な原因となり、支出が収入を超
えました。この赤字が、この期間の純資産の減少
につながりました。
2003-04~2006-07会計年度においては、収入
が支出を上回ったほか、投資収益の回復、人頭
分担金の値上げ、支出の削減により純資産が増
加しました。
和するために分散化されたポートフォリオを維持
しています。このような慎重な投資管理から判断
し、プログラムとプロジェクトをこれまで通り続行
することに支障はないものと思われます。
これまでRIの投資計画は非常に良好な結果をも
たらしてきましたが、RI財務委員会は、不安定な
金融市場により高まっているリスクに備えるため、
投資方針の見直しを行います。これは、この方針
が長期的に今後も適切なものであり続け、ロータ
リーが引き続き世界中で良いことを行っていくた
めに必要なプロセスです。
資産
負債および純資産
米ドル(100万単位)
米ドル(100万単位)
未払勘定
現金および投資
$
クラブおよびその他の受取勘定
97.9
3.9
固定資産(正味)
37.4
$
6.4
未払経費
15.8
繰延歳入
4.1
年金債務
10.7
ロータリー財団からの未払分
1.4
負債合計
$
その他
3.0
制約のない純資産
合計
$ 143.6
$ 143.6
合計
37.0
106.6
収入、支出、純資産の推移
米ドル(100万単位)
140
120
純資産
収入
支出
100
80
60
40
20
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
ロータリーの投資
国際ロータリーとロータリー財団の投資
慎重な投資管理の実践に従い、両組織は、米国
および米国外株式、確定利付証券を含むさまざ
ロータリーの2008-09会計年度中に発生した、前
まなポートフォリオに分散投資しています。財団
例をみない世界的な財政危機により、両組 織は
は、また、不動産、未公開株、ヘッジファンドとい
投資収益の損失を被ることになりました。ほぼす
った代替資産クラスにも投資を行っています。ロ
べての資産クラスにおける投資に大幅な損失が
ータリーの投資プログラムは、管理委員3名、投
もたらされました。しかし、2009年3月には、世
資を専門とするロータリアン6名、RI財務委員会
界各国の政府による経済刺激策の効果が現れ始
から成る財団投資諮問委員会により監督されて
め、金融市場の回復とともにRIと財団が保有する
います。ロータリーはまた、投資問題について両
債権の価値も回復し始めました。
組織に助言を提供し、その投資状況を見守る独
投資収益の表をご覧いただければ、2008-09年
立した投資顧問をつけています。ロータリーの資
度がいかに例外的な年度であったがおわかりい
金はすべて、経験豊かなプロの投資会社によって
ただけるはずです。RIと財団の投資損失は、とも
運用されています。
に過去15年間で最大となりました。また、投資収
投資方針声明、投資運用会社の指針、管理委員
益がいかに不安定であるかもうかがえます。15年
会および理事会による投資関連の重要な決定、
前、両組織は、4年連続して二桁増という過去最
社会責任投資に関する財団の管理委員会の方針
高の投資収益率を記録しました。この同じ期間、
声明書、よく尋ねられる質問など、ロータリーの投
年次プログラム基金の投資収益率も高く、投資
資に関する詳細は、www.rotary.org/financials
収入としてもたらされた米貨9,930ドルは、ポリオ
(画面下の「日本語」をクリック)でご覧いただけ
撲滅活動とその他の人道的プログラムに使用され
ます。
ました。毎年、良好な投資収益を見せているポリ
れる流動資金と損失に対する備えを提供します。
これまでの投資収益
年次投資収益率
30%
20%
6.8
6.7
10%
6.3
5.4
0
-10%
-20%
-30%
9
19
6
97
19
9
19
8
9
19
年次プログラム基金 9
20
00
20
01
投資収益、
210
1,000
万ドルで、
万人の子供に
運営費が賄われました。
の債権に投資された結果を表しており、必要とさ
5
ポリオ・プラス基金からの
予防接種を行うための
オ・プラス基金は、資金の100パーセントが短期
9
19
2008-09年度、
20
02
恒久基金 20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
ポリオ・プラス基金 20
08
20
09
RI一般資金
年率
ロータリー財団の財務報告
財団収入の部
の国と地域が、一人当たりの寄付額100ドルとい
う「毎年あなたも100ドルを」の世界的な目標を
寄付
上回りました。恒久基金への寄付額は米貨1,160
世界的に厳しい不況の中でも、ロータリー財団
万ドルで、2007-08年度の1,390万ドルより16.4
にはロータリアンから寛大な寄付が寄せられま
%の減少となりました。ポリオ・プラス・プログラム
した。不況にもかかわらず、年次プログラム基金
では、世界ポリオ撲滅推進計画の支援に1億970
(APF)には9,930万ドルの寄付がありました。ま
万ドルの寄付が寄せられ、これにはビル・アンド・
た、
「ロータリーの2億ドルのチャレンジ」への支
メリンダ・ゲイツ財団からの8,000万ドルが含ま
援のため、寄付先がAPFからポリオ・プラスへ移
れています。米貨2億3,940万ドルの寄付総額に
行する傾向が見られました。カナダ、香港、日本、
は、1,560万ドルの通過寄付が含まれています。
韓国、ナイジェリア、セイシェル、台湾、米国の8つ
ロータリー財団への寄付
2008-09年度、新たに
524
人が
遺贈友の会会員に、
2,897
人が
ベネファクターになり、
ロータリー財団への支援を
米ドル(100万単位)
300
223.8
250
200
150
約束しました。
100
50
0
2000
2001
2002
2003
2004
年次プログラム基金 2005
2006
恒久基金 通過寄付 ロータリー財団年次プログラム基金への世界的寄付
2007
2008
2009
ポリオ・プラス基金
その他
寄付を行ったロータリアンの数と割合
ロータリアン1人あたりの平均寄付(米ドル)
40
100
30
314,027人
313,037人
10
293,336人
232,767人
20
254,979人
25.4%
0
$85.13
75
50
25
0
2005
2006
2007
2008
2009
2005
2006
2007
2008
2009
33
財団支出の部
賃、ホテルおよび食事)米貨180,000ドル、および
管理委員長エレクトの同経費米貨23,000ドルが
プログラムの支出
プログラム支出は、主にポリオ・プラス・プログラ
ム補助金が3,890万ドルに減少したことに伴い、
昨年度より米貨5,99 0万ドルの減少となりまし
た。さらに、管理委員会承認の予算からマッチン
グ・グラント資金が削減されたことが主な理由と
なり、人道的プログラムの支出が1,850万ドル減
少しました。2008-09会計年度の全プログラム
支出は、ポリオ・プラス・プログラムの補助金米貨
9,000万ドル、人道的プログラム4,760万ドル、教
育的プログラム2,860万ドル、その他のプログラム
140万ドルを含む、1億6,760万ドルでした。
20 08- 09会計年度の寄付 増進関連の支出は、
1,450万ドルでした。これには、寄付を増やし、寄
付者を認証するのにかかる人件費、サービス業
務、通信費、出版物、広報、備品、コンピュータ
ー・サポート、法律顧問、認証品目などが含まれ
ます。
管理委員会関連の支出には、事務的支援、会合
費用、旅費などが含まれます。一般管理運営費に
は、管理委員会委員長の旅行関連経費(航空運
含まれます。これらの旅費は、ロータリー財団のプ
ログラム推進、寄付およびロータリー財団の認識
の増進、国際協議会、RI国際大会、管理委員会
会合、およびロータリー研究会へ出席(RI細則、
第22.060項)に伴い生じたものです。これらの経
費に関する詳細は、www.rotary.orgをご覧くだ
さい。
過去10年間、財団の支出総額の87%はプログラ
ム経費、9%は寄付増進と認証、および4%が一
般管理運営費となっています(87パーセントという
プログラム支出は、最低65パーセントの業界基準
と比べて好ましいものとなっています)。これと同
時期、プログラム支出の40%はポリオ撲滅、36%
は人道的プログラム、23%は教育的プログラム、
1%はその他のプログラムへと充てられています。
財団の純資産
財団の純資産は、主に投資の実現損益と含み損
により、前年度に比べ米貨1億2,980万ドルの減
少となりました。下の図表は、財団の2008-09年
度の各基金の活動を示しています。
10
過去
年間にわたり、
財団の支出総額の
87
純資産
パーセントが、
米ドル(100万単位)
年次
プログラム
基金
2008年6月30日現在の純資産
寄付
$
$
投資収益
434.3 $
99.3
$
(106.2)
使途指定から譲渡された純資産
ポリオ・
プラス基金
恒久基金
207.9 $
11.6
$
(59.3)
その他*
合計
42.7 $
6.8 $
691.7
109.7 $
3.2 $
223.8
2.1
0.4
(0.5)
(163.9)
(0.4)
0.0
プログラム補助金・奨学金
(59.3)
(87.8)
(1.9)
(149.0)
プログラム運営
(16.3)
(2.2)
(0.1)
(18.6)
寄付増進
(13.7)
(0.8)
一般管理運営
(5.7)
基金間の送金
(21.0)
年金関係の調整額
2009年6月30日現在の純資産
(5.7)
7.8
(1.7)
$
310.1 $
(14.5)
13.9
(0.2)
168.0 $
* 冠名基金および使途推奨冠名基金
注:括弧のない数字は純資産の増加を、括弧内の数字は純資産の減少を表しています。
77.4 $
(0.7)
0.0
6.4 $
(1.9)
561.9
プログラムに
費やされています。
34
国際ロータリーのロータリー財団 会計年度決済報告
米ドル(100万単位)
2008-09
2008-09年度、全世界で
99
パーセントの
地区がポリオ・プラスに
参加しました。
2007-08
2006-07
99.3 $ 114.8
$ 102.8
2005-06
2004-05
収入
寄付1
年次プログラム基金
$
恒久基金
$
92.6
$
84.7
11.6
13.9
13.3
12.1
9.9
109.7
114.1
3.1
5.6
18.5
ポリオ・プラス以外の使途指定
1.1
0.5
0.3
1.6
4.8
その他の使途未指定
2.1
2.4
13.5
ポリオ・プラス基金
寄付合計
$ 223.8 $ 245.7 $ 133.0 $ 111.9 $ 117.9
投資収益
年次プログラム基金
$(106.2)
恒久基金
$ (30.4) $
70.7
(18.5)
31.8
14.6
11.1
2.1
4.7
2.4
1.1
1.5
(0.5)
(0.1)
0.9
(59.3)
ポリオ・プラス基金
その他のプログラム
$
34.5
$
30.1
投資収益合計
$(163.9)
収益合計
$
59.9 $ 201.4 $ 238.8 $ 162.1 $ 160.6
$
38.2
$ (44.3) $ 105.8 $
50.2 $
42.7
プログラム補助金・奨学金および経費
プログラム補助金・奨学金
人道的補助金プログラム
$
56.7
$
44.8 $
44.3 $
38.5
教育的プログラム
22.0
23.4
23.3
21.9
22.9
ポリオ・プラス・プログラム
87.8
126.7
23.7
24.9
33.1
1.0
1.2
8.4
91.1 $
94.5
その他のプログラム
プログラム補助金・奨学金合計
$ 149.0 $ 208.0 $ 100.2 $
プログラム運営
人道的補助金プログラム
$
9.4 $
10.2 $
9.6
$
8.7
$
7.6
教育的プログラム
6.6
7.1
6.7
6.1
5.0
ポリオ・プラス・プログラム
2.2
2.1
2.3
2.1
3.1
その他のプログラム
0.4
0.1
プログラム運営合計
$
プログラム補助金・奨学金および運営合計
$ 167.6 $ 227.5 $ 118.8 $ 108.0 $ 110.2
18.6 $
19.5 $
18.6 $
16.9 $
15.7
運営費
寄付増進
$
一般管理運営
14.5
$
5.7
13.6
$
6.3
12.6
$
6.3
13.7
$
6.6
12.2
5.7
運営費合計
$
補助金・奨学金および経費合計
$ 187.8 $ 247.4 $ 137.7 $ 128.3 $ 128.1
年金関係の調整額 2
$
財団資産の増加(減少)
$(129.8)
20.2 $
(1.9)
$
19.9 $
(0.3)
$
18.9 $
(0.5)
$
$ (46.3) $ 100.6 $
20.3 $
0.7
17.9
$
(0.3)
34.5 $
32.2
ロータリー財団の財務報告 | 35
2008-09
2007-08
2006-07
2005-06
2004-05
ロータリー財団資産3
現金、誓約、その他の資産
$ 216.0 $
42.8 $
37.4 $
34.7 $
37.9
$
16.7
28.8
24.2 $
21.9
投資
現金および短期投資
19.7
債権
226.3
株式
$
$
$
234.2
150.0
159.8
166.2
261.2
373.6
468.1
378.8
367.4
代替的投資
81.0
124.2
93.0
89.8
62.7
金利分離同意
22.8
27.3
27.2
21.9
18.6
投資合計
$ 611.0 $ 786.0 $ 767.1 $ 674.5 $ 636.8
資産合計
$ 827.0 $ 828.8 $ 804.5 $ 709.2 $ 674.7
ロータリー財団の負債および純資産
負債
未払いのプログラム補助金
$
未払勘定と見越し経費
$ 115.7
19.8
21.4
$
45.8
47.3 $
47.4
20.7
$
24.5
24.4
66.5 $
71.8 $
71.8
172.8
繰延歳入 4
負債合計
72.5
$ 265.1 $ 137.1 $
純資産5
年次プログラム基金
$ 310.1 $ 434.3 $ 475.3 $ 405.0 $ 373.6
ポリオ・プラス基金
77.4
42.7
37.3
52.6
71.3
168.0
207.9
219.6
179.6
157.8
ポリオ・プラス以外の使途指定
0.3
0.7
0.3
0.2
0.2
その他の使途未指定
6.1
6.1
5.5
恒久基金
純資産合計
$ 561.9 $ 691.7 $ 738.0 $ 637.4 $ 602.9
負債および純資産合計
$ 827.0 $ 828.8 $ 804.5 $ 709.2 $ 674.7
$
15.1 $
ポリオ・プラス・パートナー
その他の指定寄付
通過寄付合計
1,188,782人の
ポール・ハリス・フェロー、
11,416
人の
大口寄付者、
238
人のアーチ・
通過寄付
マッチング・グラント
2009年6月30日現在までに、
0.5
$
15.6 $
18.5
$
14.5
$
13.6
$
10.1
クランフ・ソサエティ会員が、
4.4
1.6
1.2
1.2
ロータリー財団に
0.7
0.2
0.5
0.2
支援を提供しました。
23.6 $
16.3 $
15.3 $
11.5
1通貨寄付は含まれていません。これらの資金は、寄付者認証のために財団に一時留まり通過しますが、財務報告として計上されることはあ
りません。
2米国会計基準では、退職年金資産の公正価額が退職年金の累積給付義務を下回る場合には、年金関連の調整を行うよう義務づけていま
す。国際ロータリーは、米国の財務会計基準第158号に従い、財団の給与経費に比例した配分を行っています。
3 2008-09年度のプレゼンテーションに一致させるため、前年度の支出項目が再分類された部分があります。
4 繰延歳入は、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団からの追加補助金の誓約です。
5 純資産とは、組織の合計資産と負債の差額です。
数字はすべて、監査済み財務報告が出典となっています。
36 | ロータリー財団の財務報告
ロータリー財団補助金・奨学金および経費の合計
米ドル(100万単位)
250
187.8
200
150
100
50
0
2000
2001
2002
寄付増進に関する事項 2003
2004
一般管理運営 2005
2006
2007
プログラム運営 2008
2009
プログラム補助金・奨学金
ロータリー財団プログラム補助金・奨学金およびプログラム運営費の傾向
ロータリーは、
100
米ドル(100万単位)
250
パーセントの
透明性を保つことを目指し、
www.rotary.org/
financials(画面下の
「日本語」をクリック)に
200
167.6
150
監査済みの財務諸表を
掲載しています。
100
50
0
2000
2001
2002
教育的プロジェクト 2003
2004
2005
人道的プログラム 2006
2007
2008
ポリオ・プラス小委員会 2009
その他
2008-09年度
国際ロータリー理事会
会長
李東建(韓国)
会長エレクト
ジョン・ケニー(スコットランド)
副会長
モンティー J. オーデナート(カナダ)
財務長
ベルナルド L. ローゼン(ベルギー)
RI理事
エリック E. ラコステ・アダムソン(米国)
トーマス A. ブラナム・シニア(米国)
マイケル・コラサード・シニア(米国)
ラース・ウロブ・フレドリクソン
(フィンランド)
謝 三連(台湾)
マイケル J. ジョーンズ(米国)
ジョン M. ローレンス(オーストラリア)
アショク M. マハジャン(インド)
R. ゴードン R. マッキナリー
(スコットランド)
ポール A. ネツェル(米国)
カトリーヌ・ノワイエ・リボー(フランス)
小沢一彦(日本)
テミストクレス A.C. ピンホ(ブラジル)
ホゼ A. セプルベーダ(メキシコ)
フィリップ J. シルバース(米国)
事務総長
エドウィン H. フタ(布田)
(米国)
2008-09年度の会員基盤
1,234,527 世界のロータリアン総数
534 ロータリー地区
33,790 ロータリー・クラブ
7,741 ローターアクト・クラブ
178,043 ローターアクト会員
12,097 インターアクト・クラブ
278,231 インターアクト会員
Rotary Images/Alyce Henson
6,725 ロータリー地域社会共同隊(RCC)
154,675 RCC会員
統計はすべて2009年6月30日現在
2008-09年度
ロータリー財団管理委員会
委員長
ジョナサン B. マジィアベ(ナイジェリア)
管理委員長エレクト
グレン E.エステス・シニア(米国)
副委員長
ロン D. バートン(米国)
管理委員
裵 渡(ドウ・バエ)
(韓国)
ウィリアム B. ボイド(ニュージーランド)
ピーター・バンガード(デンマーク)
ジョンF.ジャーム(米国)
キャロライン E. ジョーンズ(米国)
デビッド D. モーガン(ウェールズ)
サミュエル A. オクズェト(ガーナ)
ルイ・ピコーニ(米国)
K.R. ラビンドラン(スリランカ)
ホセ・アントニオ・サラザール・クルス
(コロンビア)
カール・ヴィルヘルム・ステンハマー
(スウェーデン)
田中作次(日本)
事務総長
エドウィン H. フタ(布田)
(米国)
表紙
ロータリー財団の保健、飢餓追放および人間性尊重(3-H)補助金を活用したロー
タリーのプロジェクトを通じて提供される給食を楽しむウガンダのムピギ地区にあ
るブジョ小学校の生徒たち。職業訓練、教育、保健、飢餓、経済開発といった多岐に
わたるニーズに取り組むこのプロジェクトは、カサム・カヤリ教区に住む4,000人近く
の村民を対象としています。
Rotary Images/Alyce Henson
本出版物の印刷には、100パーセント使用済みの繊維から成る無塩素加工の再生紙が使用されています。この
紙は、森林の責任ある管理を促進するため、グリーンシールならびに森林管理協議会から認証されたものです。
この紙を使用することにより、以下のようなかたちで環境保全に貢献することが可能になりました。
636本の木 = 毎年、318名に供給できる酸素量
1,100,892リットルの水 = 16,908回分のシャワー(1回につき8分間)
50,685,044キロカロリーの熱量 = アメリカの平均的な家庭、1世帯に807日間供給できる熱量
27,390キログラムの炭酸ガス放出 = 10年間、700本の苗木によって失われる量
8,009キログラムの固形廃棄物 = 毎日、3,839人によって捨てられるごみの量
One Rotary Center
1560 Sherman Avenue
Evanston, IL 60201-3698 USA
www.rotary.org
187-JA—(1109)
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