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エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発

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エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」事後評価報告書
平成14年7月
新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」分科会
目
次
はじめに
分科会委員名簿
分科会審議経過
評価概要
第1章
1.
2.
3.
4.
5.
評価の実施方法
評価目的
評価者
評価対象
評価方法
評価項目、評価基準
第2章 プロジェクトの概要
1. NEDOの関与の必要性、制度への適合性
2. 事業の背景・目的・位置付け
3. 事業の目標
4. 事業の計画内容
5. 実用化、事業化の見通し
6. 今後の展開
7. 中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期
8. 研究開発成果
9. 情勢変化への対応
10. 今後の事業の方向性
第3章 評 価
1. NEDOの関与の必要性、制度への適合性に関する評価
2. 事業の背景・目的・位置付けに関する評価
3. 事業の目標に関する評価
4. 事業の計画内容に関する評価
5. 研究開発成果に関する評価
6. 情勢変化への対応に関する評価
7. 実用化、事業化の見通しに関する評価
8. 今後の展開に関する評価
9. 総合評価
10. 今後の研究開発の方向性等に関する提言
第4章
1.
2.
3.
4.
評点法による評点結果
経緯
評点法の目的
評点の利用
評点方法
5. 評点結果
参考資料1
参考資料2
プロジェクト説明資料
周辺動向調査
はじめに
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」プロジェクトは、オゾン層破
壊や地球温暖化などの問題に配慮し、冷凍・空調・断熱ならびに洗浄の各分野
でエネルギー消費を低減させることが可能な性質を備えた、冷媒、発泡剤、洗
浄剤の開発を行うことを主目的とし、平成6年度より8年間の計画で開始され
行われている。
今回の評価は事後評価として、平成13年度に新エネルギー・産業技術総合
開発機構
技術評価委員会「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」分科
会(分科会長:富永健
東京大学名誉教授)において行われたものである。
本分科会では、冷媒・発泡剤・洗浄剤等の技術開発分野に係わる国内外の研
究開発動向や社会情勢の変化も踏まえつつ、プロジェクトの目的・政策的位置
付け、目標・計画内容、研究開発体制や運営状況、成果の意義、実用化可能性
や波及効果、今後の展開等について評価を実施した。
本書は、これらの評価結果をとりまとめたものである。
平成14年7月
新エネルギー・産業技術総合開発機構
技術評価委員会
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」分科会
新エネルギー・産業技術総合開発機構
技術評価委員会
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」(事後評価)分科会
委員名簿
氏
名
所属、役職
分科会長
富永 健
(トミナガ ケン)
東京大学名誉教授
分科会長
代理
鳥井 弘之
(トリイ ヒロユキ)
日本経済新聞
小口 幸成
(オグチ コウセイ)
神奈川工科大学
堅田 晃英
(カタタ アキヒデ)
三菱電機株式会社リビング・デジタルメディア事業
本部 渉外部長
分
科
会
委
員
論説委員
教授
高柳 雄一
文部科学省 高エネルギー加速器研究機構広報室
(タカヤナギ ユウイチ) 広報室長・教授
田口 武夫
(タグチ タケオ)
東京薬科大学薬学部
平塚 豊
(ヒラツカ ユタカ)
株式会社ダン科学テクノセンター研究開発グルー
プ 研究開発部長
森田 昌敏
(モリタ マサトシ)
独立行政法人国立環境研究所化学環境研究領域
領域長
教授
(敬称略、五十音順)
事務局:新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価部
新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術評価委員会
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」(事後評価)分科会
審議経過
●第1回分科会(平成14 年1 月16 日)10 :00 ∼17 :00
(午前の部)公開セッション
1 .分科会の公開について
2 .評価のあり方及び評価の手順について
3 .評価の分担及び評価の論点について
4 .評価報告書の構成について
5 .プロジェクトの概要について(質疑応答を含む)
(午後の部)非公開セッション
6 .プロジェクトの個別テーマの詳細について(質疑応答を含む)
公開セッション
7 .周辺動向調査について(質疑応答を含む)
8 .コメント及び質疑応答(全体について)
●第2回分科会(平成14 年3 月22 日)13 :00 ∼17 :00
公開セッション
1 .評価の進め方について
2 .実施者側の補足説明
3 .評価書(案)の審議及び確定
なお、本評価報告書は、第5回技術評価委員会(平成 14 年7月 16日開催)
において了承された。
評価概要
評価概要
[Ⅰ]総論
1.総合評価
GWP 値の評価手法や物性評価手法を開発したこと、多数の新規物質を合成・
測定したデータの集積は学術的にも利用価値が大きいと思われ、全体としてほ
ぼ目標を達成できたと評価できる。
GWP の推算値、データベース、物性推算については、実用化の可能性は大い
にある。冷媒及び洗浄剤、発泡剤では企業による実用化の意向が示されている
ものもあり、評価できる。しかし、全般的には実用化については技術的な可能
性が示されたものの、コストや普及実用化までのタイムスケジュール、事業化
の効果など経済性についての実際的見通しは必ずしも明らかにされていない。
実用化に向けては競合物質との比較優位性及び経済・社会へのインパクトにつ
いての見通しを具体化していく必要がある。
現時点で候補に上がった物質の適用想定範囲を整理し、実用化・事業化の可
能性を検討した上で、情勢変化にすみやかに対応しつつ、今後の取り組み方を
検討すべきである。
2.今後の研究開発の方向性等に関する提言
環境影響評価法やデータベース、物性推算法は、本プロジェクトの成果として
広く国内外に公開していくべきである。今後の実用化に向けては、企業が主体
的に取り組む課題である。
新規代替物質については、知的財産権を確実にした上で、普及戦略を検討す
る必要があり、環境影響評価技術研究等に加えてコスト面の課題の解決も含め
て、今後も取り組みを継続することが妥当と考えられる。
[Ⅱ]各論
1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性
本プロジェクトは代替物質の探索と分子設計を経た合成、各種評価等の基盤
的な分野からの取り組みが必要であること、環境影響評価や安全性評価等が重
要であること、最終的に事業化へのリスクが高いことから、民間のみでは対応
できなかったものと考えられる。また、我が国が国際的約束を遵守し、指導的
な役割を担うという観点からも、産学官の連携により、成果を公平に活用でき
る NEDO の事業としては妥当であった。
2.事業の背景・目的・位置付け
事業開始時点においては、国際的なフロン規制の動きや温暖化防止の動きから
見て、長期的に使用可能な代替物質の探索と実用化は急務であり、本プロジェ
クトの事業目的や政策的位置付けは、極めて妥当であった。
8年間という長期のプロジェクト期間中に外部の社会的環境は変化している
が、現時点においても時代の要請から見て目的は妥当であり、政策的位置付け
は明確であると考えられる。
3.事業の目標
オゾン層保護、地球温暖化防止のための代替物質の探索という大命題に対し、
使用される機器や構造体等においてエネルギー効率がよく、更に実用化に不可
欠な環境影響評価や安全性評価と、冷媒、発泡剤、洗浄剤としての諸要求特性
を目標に設定していることは妥当である。
一方で、化合物合成の経済性や用途別性能評価での実用化のための水準が明
確ではない。
4.事業の計画内容
研究開発の3つのスキームに合わせて個々の研究開発が互いに連携し、総合化
されており、さらに中間評価を踏まえて事業加速のために体制が強化されてお
り、計画内容は妥当であった。スケジュールについても、プロジェクトの目標
から見て妥当と判断できる。
ただし、プロジェクト後半期における要素技術開発の多さ等を考えたとき、
人的投入は特に実用化試験でもう少し必要であったかも知れない。また、費用
対効果についての検討の必要性も無視できない。
5.実用化、事業化の見通し(実用化のイメージ)
GWP の推算値、データベース、物性推算については、実用化の可能性は大い
にある。
具体的な新規代替物質の絞り込みも行われており、産業技術の見極めとして
は妥当であるが、実用化に向けては競合物質との比較優位性及び経済・社会へ
のインパクトについての見通しを具体化していく必要がある。
6.今後の展開(実用化までのシナリオ)
冷媒及び洗浄剤、発泡剤では企業による実用化の意向が示されているものもあ
り、評価できる。
しかし、全般的には実用化については技術的な可能性が示されたものの、コス
トや普及実用化までのタイムスケジュール、事業化の効果など経済性について
の実際的見通しは必ずしも明らかにされていない。
現時点で候補に上がった物質の適用想定範囲を整理し、実用化・事業化の可
能性を検討した上で、情勢変化にすみやかに対応しつつ、今後の取り組み方を
検討すべきである。また、成果を幅広く情報発信し、今後もPRをすることが
望ましい。
7.研究開発成果
GWP 値の評価手法や物性評価手法を開発したこと、多数の新規物質を合成・
測定したデータの集積は学術的にも利用価値が大きいと思われ、個々には課題
が残されている面もあるが、全体としてほぼ目標を達成できたと評価できる。
多額の公的研究費を投入したプロジェクトであり、その成果の主要な部分は、
一部専門家だけでなく、広く社会一般にわかりやすく公開し、いろいろなメデ
ィアを通じて還元するよう積極的に努めるべきである。
8.情勢変化への対応
オゾン層保護・地球温暖化防止への国際的対応、代替物質開発への企業の取組
みなどの背景が速やかに変化しており、中間評価の際に実用化への努力の促進
を要請されたのに対して、プロジェクト後期で実用化可能な新規候補物質の絞
り込みに重点をおいて推進するなど、妥当であると判断できる。
一方、非フロン系の類似物質が代替品としてすでに市場に登場しており、本
プロジェクトで開発された新規物質が、競合しつつ実用化される見通しについ
て明確化すべきであった。
技術評価委員会における主なコメント
以下のコメントは、第5回技術評価委員会(平成14年7月16日開催)にお
いて本評価報告書を諮り、当該委員より頂いたコメントをまとめたものである。
事業実施者及び評価事務局は本コメントを踏まえて今後の効果的な事業及び評
価の実施に参考とする。
•
経済性を含めつつ実用化についてプロジェクトの中でどこまでやる必要が
あるかということを、もう少しきちんと決めておいたほうがよいと思う。
•
機能材料とか機能物質の開発といったような川上の技術開発に関しては、最
終的には経済性の壁に突き当たるものであって、実用化をすぐに目指すとい
うタイプの国のプロジェクトにはなじまないのではないか。基盤的に可能性
がある系統の物質を幾つか開拓してみるというところに国が力をそそぐと
わりきってしまうことのほうがむしろいいのではないか。
•
このプロジェクトでは、非常にたくさんの物質群を系統的な手法で攻めてい
い成果をあげていることをもって、機能物質の開発という観点からは、評価
してよいであろう。
第1章
評価の実施方法
第1章
評価の実施方法
本事後評価は、「技術評価実施要領」(平成 13 年5月制定、以下「実施
要領」という。)に基づいて以下のとおり行われた。なお、「技術評価実施
要領」は、以下の2つのガイドラインに定めるところによって評価を実施
することになっている。
z 科学技術会議にて取りまとめられた「国の研究開発全般に共通する評価
の実施方法の在り方についての大綱的指針」(平成9年8月内閣総理
大臣決定)
z 経済産業省にて取りまとめられた「経済産業省技術評価指針」(平成 13
年5月経済産業省告示)
暦年
法律
1994
1995
科学技術基本法
1996
1997
9511
施行
9403
1998
平成13年12月現在
2000
2001
1999
9806
行政施策
評価法
中央省庁等改革基本法 施行
9611
0106 国会成立
0101 0204 施行予定
施行
9907 公布
政府
各省庁設置法
9806
政府
科学技術 0103
閣議決定
基本計画
(第2 期)
9607
科学技術 閣議決定
基本計画
9511
9707
大綱的指針 総理大臣決定
大綱的指針
9610
政策評価広
報課
0111
総理大臣決定
9912
経済産業省
政策立案・ 告示
評価指針
9905
技術評価課
×
評価指針
9708
告示
0005
評価指針(改定) 告示
9903
評価指針
(改定)
0105
告示
0010
NEDO
技術評価課
設置
0110
技術評価部
設置
1.評価目的
実施要領において、評価の目的は、
z 評価をする者(評価者)と評価を受ける者(被評価者)が意見交換
を通じ研究開発の意義、内容、達成状況、今後の方向性等につい
て検討し、より効率的・効果的な研究開発を実施していくこと、
z 高度かつ専門的な内容を含む研究開発の意義や内容について、一般国
民にわかりやすく開示していくこと、
z 限られた研究開発リソースの中で、国の政策や戦略に対応した重点分
1-1
野・課題へのリソース配分をより効率的に実施していくこと、とされ
ている。
本評価においては、この趣旨を踏まえ、本事業の意義、研究開発目標・計画の妥
当性、計画と比較した達成度、成果の意義、成果の実用化の可能性等について検討・
評価した。
2.評価者
実施要領においては、事業の目的や態様に即した外部の専門家、有識者からなる
委員会方式により評価を行うこととされているとともに、技術評価委員選定に当た
っては、以下の事項に配慮した選定を行うこととされている。
z
科学技術全般に知見のある専門家、有識者
z
当該研究開発の分野の知見を有する専門家
z
研究開発マネジメントの専門家、経済学、環境問題その他社会的ニー
ズ関連の専門家、有識者
z
産業界の専門家、有識者
また、評価に対する中立性確保の観点から事業の推進側関係者を選任対象から除
外し、また、事前評価の妥当性を判断するとの側面にかんがみ、事前評価に関与し
ていない者を主体とすることとしている。
これらに基づき、技術評価委員会分科会(以下、「本分科会」という)委員名簿
にある8名が選任された。
なお、本分科会の事務局については、新エネルギー・産業技術総合開発機構技術
評価部が担当した。
3.評価対象
平成6年度から平成 13 年度までの計画で実施されている「エネルギー使用合理
化新規冷媒等研究開発」プロジェクトを評価対象とした。
なお、本分科会においては、当該事業の推進部室(新エネルギー・産業技術総合
開発機構 環境調和型技術開発室)及び以下の研究実施者等から提出された事業原
簿、プロジェクトの内容、成果に関する資料をもって評価した。
研究実施者等:財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)
オゾン層保護対策産業協議会
独立行政法人 産業技術総合研究所
慶應義塾大学
1-2
神戸大学
九州大学
茨城大学
静岡大学
大阪府立大学
日本大学
日本産業洗浄協議会
上智大学
蓄熱式給湯器メーカー
日本ヒートパイプ協会
日本電機工業会
旭化成株式会社
旭硝子株式会社
関東電化工業株式会社
昭和電工株式会社
セントラル硝子株式会社
ダイキン工業株式会社
東亞合成株式会社
三井・デュポンフロロケミカル株式会社
4.評価方法
本分科会においては、当該事業の推進部室及び研究実施者からのヒアリング
と、それを踏まえた本分科会委員による評価コメント作成、評点法による評価
及び実施者側等との議論等により評価作業を進めた。
なお、評価の透明性確保の観点から、知的財産保護の上で支障が生じると認めら
れる場合等を除き、原則として、本分科会は公開とし、研究実施者と意見を交換す
る形で審議を行うこととした。
5.評価項目、評価基準
本分科会においては、次に掲げる「研究開発事業評価における標準的評価項目・
評価基準」(平成 12 年8月 25 日、産業技術審議会評価部会)に準じ、大きく事業
全体及び研究開発項目別に分けて評価を行った。事業全体に係わる評価においては、
主に事業の目的、計画、運営、達成度、成果の意義や実用化への見通し等について、
評価をおこなった。各研究開発項目に係る評価については、主にその技術的達成度
等について評価した。
1-3
評価項目・評価基準
1.NEDO の関与の必要性
(1)NEDO の事業としての妥当性
z 経済産業省の政策方針に適合しているか。(現在及び事業開始時点の時
代認識から見て)
特定の研究開発制度に属する事業として実施されているものについては、
当該制度の趣旨、目的(選定基準)への適合性を問う。
(民間のみでは改善できないもの
z NEDO の関与が必要とされるテーマか。
であって、以下のような「市場の失敗」に該当しうるテーマか。(政策
立案・評価ガイドライン参照))
—
公共財的性格を持つ財・サービスの供給
—
環境問題等市場原理が働かない外部性
—
不確実性(リスクの高さ)や情報の偏在などに基づく市場の不完全
性等
z 上記以外で民間のみでは改善できない問題に対応するために、NEDO の
関与に公共性が認められるものか。
z 緊急性、重要性が高く優先して実施すべき事業か。
2.事業の背景・目的・位置付け
(1)事業目的・政策的位置付けの妥当性
z 評価時点の時代背景認識から見て、事業の目的は妥当で、政策的位置付
けは明確か。
z 事業開始時点の時代背景認識から見て、事業開始時の目的は妥当で、政
策的位置付けは明確か。
z 事前評価は、当時の時代背景認識から見て妥当なものであったか。
z 政策課題(問題)の解決に十分資するものであるか。
3.事業の目標
(1)研究開発目標の妥当性
z 立案時点または計画見直し時点の時代背景認識から見て、目標達成のた
めに、具体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定しているか。
z 目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。
z エネルギー特別会計を使用している場合には、費用対効果分析など定量
的なエネルギー政策上の目標が立てられているか。
1-4
4.事業の計画内容
(1)研究開発計画の妥当性
z 目標達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配
分を含む)となっているか。
z 目標達成に必要な要素技術を過不足なく、取り上げているか。
z 研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か。
(2)研究開発実施者の事業体制の妥当性
z 目標を達成する上で、事業体制は適切なものか。
z 各研究開発実施者の選定等は適切に行われたか。
z 関係者間の連携/競争が十分行われるような体制となっているか。
5.実用化、事業化の見通し(実用化のイメージ)
(1)成果の実用化可能性
z 産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか。
z 公共財としての需要が実際にあるか。見込みはあるか。【注】
z 公共性は実際にあるか。見込みはあるか。【注】
(2)波及効果
z 成果は関連分野へのインパクトを期待できるものか。
z 当初想定していなかった波及的な成果はあるのか。
z プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及
効果を生じているか。
6.今後の展開(実用化までのシナリオ)
(1)実用化の見通し
z コストダウン、導入普及、実用化までの期間、事業化とそれに伴う経済
効果等の見通しは立っているか。
z 研究開発を今後も現行の計画どおり継続することは妥当か。
7.研究開発成果
(1)計画と比較した目標の達成度
z 成果は目標値をクリアしているか。
z 全体としての目標達成はどの程度か。
z 立案時点または計画見直し時点の時代背景認識から見て、事業は研究開
発として成功したといえるか。また、評価時の時代背景から見てどう
か。
(2)要素技術から見た成果の意義
z 世界最高水準、世界で初めて、又は国際水準から見て優れた成果がある
1-5
か。
z 新たな技術領域を開拓するような成果の独創性が認められるか。
z 新たな市場創造につながるような新規性、先進性が認められるか。
z 汎用性のある(応用分野の広い)技術が開発されているか。
z 当初想定していなかったような成果(派生技術等)はあるか。
z 将来の時代背景の変化により、重要性の増すあるいは減る成果はどのよ
うなものか。
(3)成果の普及、広報
z 論文の発表は、質・量ともに十分か。
z 特許は適切に取得されているか。
z 必要に応じ、成果の規格化に向けた対応が取られているか。
z 広報は一般向けを含め十分に行われているか。
(4)成果の公共性【注】
成果の公共性を担保するための措置、あるいは普及方策を講じているの
か。(JIS 化、国際規格化等に向けた対応は図られているか、一般向け広
報は積極的になされているか等)
8.情勢変化への対応
(1)情勢変化への対応の妥当性
z 技術動向や社会・市場ニーズの変化等に対応して、計画を適切に見直し
たか。
z 計画の見直しに当たっては、時代背景の変化を考慮していたか。
(2)研究開発実施者の運営の妥当性
z 意思決定、進捗状況、計画見直し等の検討が適切に行われているか。
z プロジェクトリーダー(サブテーマのリーダーを含む)が有効に機能し
ているか。
z プロジェクト開始後の情勢変化(目標未達が明らかになった場合を含
む)への対応は適切であったか。
<特記事項>:○評価項目・評価基準にある各項目の「重み」は、被評価プロジェクトの性格
等に応じて、異なるものである。
○評価においては、プロジェクトに対する提言を含めて検討を実施するものと
する。
【注】:知的基盤・標準整備等のための研究開発のみ。
1-6
(参考資料)
政策立案・評価ガイドライン(抜粋)
(平成 11 年 12 月経済産業省策定)
IV.評価事項
1.事前評価
(1)施策・制度の必要性[どのような問題が存在するのか、なぜその問題を改善する
上で行政の関与が必要なのか]
民間活動のみでは改善できない問題であって、かつ、行政が関与することにより
改善できるものが存在することを論証しなければならない。
行政の関与の必要性については、
「市場の失敗」と関連付けて説明すべきことを
原則とする。「市場の失敗」については以下に概念を示すが、より詳しくは、行政
改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」(平成8年 12 月 16 日)の「行政関
与の可否に関する基準」による。
行政関与の必要性の説明として、「市場の失敗」に該当しないものも許容するが、
その場合には、上述した問題の存在することの説明や公共性が高いことの根拠はで
きる限り客観的に明らかにしなければならない。
<市場の失敗>…行政改革委員会「行政関与の在り方に関する基準」
(平成8年 12 月)による
(a) 公共財的性格を持つ財・サービスの供給(経済安全保障、市場の整備、情報の生産、
文化的価値を含む)
複数の人が同時に消費できたり、対価の支払いなしに(まま)消費を制限することが
困難である財・サービスのことをいう。
例:市場ルールの形成
(b) 外部性
ある個人・企業の活動が、市場を経ずに他の個人・企業の経営環境に影響すること
をいう。好ましいものを正の外部性、好ましくないものを負の外部性という。
例:負の外部性の例として地球環境問題(正の外部性については、解釈に幅があると
される)
(c) 市場の不完全性
不確実性や情報の偏在(財や価格について取引の当事者間で情報量にばらつきがあ
ること)などがあるために市場取引が成立しないこと。
例:技術開発(不確実性)、製品事故(情報の偏在)
(d) 独占力
独占力は、一般には、市場におけるマーケット・シェアやライバル企業と異なる品
質の製品を提供することによって生まれる価格設定力である。市場参加者が大きな独
占力を持っている場合には、行政の関与が許容される場合があるとされる。
(e) 自然独占
平均生産費が、市場で需要される産出量を超えても逓減するため、新規参入が利潤
をもたらさず、また1社だけ存在することが効率的になるため生ずる独占のことをい
う。
(f) 公平の確保
公平の確保を図るための施策については、機会の均等を図ることを第一とし、事後
的な公平については、所得・資産の多寡を基準とした再分配に原則として限定し、そ
れ以外の施策からは原則として撤退する、とされている。
1-7
第2章
プロジェクトの概要
当該事業の推進部室及び研究実施者から提出された事業原簿をもって、当該プロ
ジェクトの概要とする。
エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
事業原簿
作成者
新エネルギー・産業技術総合開発機構
環境調和型技術開発室
作成時期
2002 年 3 月 18 日
制度名
事業の概要
1.国 の 関 与 の 必 要 性 ・
制度への適合性
2.事業の背景・目的・位
置付け
3.事業の目標
(全体目標)
事業名
エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
オゾン層破壊や地球温暖化などの地球環境問題に配慮し、地球環境に対する影
響を最小とし、CFC 等の主たる用途である冷凍・空調・断熱ならびに洗浄の各分野
でエネルギー消費を低減させることが可能な性質を備えた、主として冷媒、発泡
剤、洗浄剤の開発を行う。
本研究開発は技術難度も高く、国際的な規制や国家政策との関連も強いため、オ
ゾン層保護と地球温暖化抑制対策を強力に推進するには、国家プロジェクトとして
産官学が連携し合って、研究開発を推進することが妥当である。
1992 年モントリオール議定書締約国会合における特定フロン等の規制,1997 年の
COP3(京都)及び 1998 年の COP4(ブエノスアイレス)における HFC 等の規制動向
を踏まえ、オゾン層破壊、地球温暖化等の地球環境問題に対応するため、家電製
品やクリーニング等広く国民生活の中で活用されてきた特定フロン等の代替化合
物を開発することが急務である。
エネルギー効率が高く、オゾン層破壊係数がゼロであって、且つ地球温暖化係数
の低い冷媒、発泡剤及び洗浄剤等の代替化合物及び技術の開発を行う。
(1) エネルギー効率
;エネルギー消費量が小さいこと
(2) オゾン層破壊
;オゾン層の破壊に寄与しないこと(ODP≒0)
(3) 地球温暖化効果
;既存の代替品よりも大きくないこと
(4) 安全性
;毒性が低く、燃えにくいこと
(5) 特性
;冷媒、発泡剤、洗浄剤等に適した特性を持つこと
H 6 fy H 7 fy H 8 fy H 9 fy H10fy H11fy H12fy H13fy
総 額
(8年間)
4.事業の計画内容
(単位:百万円)
一般会計
特別会計(電特)
特別会計(石特)
特別会計(エネ高)
350
700
総予算額(計)
350
700
研究開発体制
省内担当原課
運営機関
(実態に併せて記載)
再委託先
790
860
986
868
764
597
5,915
790
860
986
868
764
597
5,915
製造産業局 オゾン層保護等推進室
財団法人 地球環境産業技術研究機構
(付帯調査:オゾン層保護対策産業協議会)
慶應義塾大学、神戸大学、九州大学、大阪府立大学、日本大
学、茨城大学、上智大学、静岡大学、日本産業洗浄協議会
共同研究先
独立行政法人産業技術総合研究所 フッ素系等温暖化物質対
策テクノロジー研究センター
5.実用化、事業化の見 2005 年以降順次実用化が進められ、2010 年頃から本格化すると見込まれる。冷
通し
媒としては廃熱回収用ヒートポンプ用途に、発泡剤として住宅建材用途に、洗浄剤
としては精密機器の洗浄用途などを中心にとして実用化されることが予想される。
6.今後の展開
新規化合物は CFC、HCFC、HFC に比べて合成方法が複雑なためコストアップに
繋がる。今後、経済的合成法の開発等を目指し、コストダウンを図る。
7.中間・事後評価
中間評価 (平成10年3月)
8.研究開発成果
特許(出願)数:58(83)、査読論文:数 50、研究発表数:176(国外 70)、
新聞発表等:3
(本資料作成時までの累計とする)
9.情勢変化への対応
基本計画の変更
なし
変更内容
該当せず
評価履歴
中間評価(産業技術審議会 評価部会 エネルギー使用
合理化新規冷媒等研究開発評価委員会)
10. 今後の事業の方向性 経済省オゾン室は14年度より、新規化合物の省エネルギー・低環境負荷型合成
プロセスの開発を行う後続プロジェクト(5ヵ年)を立案、予算要求を行っている。
作成日
平成14年3月18日
-i-
−目次−
1.
国の関与の必要性・制度への適合性 .........................................................................................2-1
1.1 国が関与することの意義 ..................................................................................................2-1
1.2 費用対効果........................................................................................................................2-1
2.
事業の背景・目的・位置付け....................................................................................................2-4
2.1 事業の背景・目的・意義 ..................................................................................................2-4
2.1.1 オゾン層保護対策の動向...........................................................................................2-4
2.1.2 温暖化対策の動向......................................................................................................2-5
2.2 事業の位置付け.................................................................................................................2-6
3.
事業の目標 ................................................................................................................................2-8
4.
事業の計画内容........................................................................................................................2-10
4.1 事業全体、個別研究開発項目の計画内容 .......................................................................2-10
4.1.1 研究開発項目の計画内容.........................................................................................2-10
4.1.2 研究開発基本スキーム ............................................................................................2-10
4.2 研究開発項目毎の内容の詳細 .........................................................................................2-12
4.3 研究開発実施主体の体制 ................................................................................................2-15
5.
実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ) .......................................................2-17
5.1 成果の実用化可能性 .......................................................................................................2-17
5.2 波及効果 .........................................................................................................................2-18
5.2.1 地球環境影響評価技術の進展..................................................................................2-18
5.2.2 フッ素系有機化学や他の分野への波及効果 ............................................................2-18
6.
今後の展開(政策目的達成までのシナリオ).........................................................................2-19
6.1 新規冷媒の実用化シナリオ.............................................................................................2-19
6.2 新規洗浄剤の実用化シナリオ .........................................................................................2-20
6.3 新規発泡剤の実用化シナリオ .........................................................................................2-20
7.
中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期 ............................................2-22
7.1 プロジェクトの意義に関する評価 ..................................................................................2-22
7.2 研究目標に関する評価 ....................................................................................................2-22
7.3 研究開発計画の妥当性 ....................................................................................................2-23
7.4 国のプロジェクトである必要性......................................................................................2-23
7.5 研究開発体制 ..................................................................................................................2-23
7.6 プロジェクトの成果に関する評価 ..................................................................................2-24
7.7 各要素研究の評価 ...........................................................................................................2-24
7.8 今後の課題......................................................................................................................2-25
8.
研究開発成果...........................................................................................................................2-27
8.1 事業全体の成果...............................................................................................................2-27
8.2 研究開発項目毎の成果 ....................................................................................................2-33
8.2.1 代替方法の現状調査及び新規候補化合物設計研究..................................................2-33
8.2.2 新規化合物の合成及び物性、安全性等評価 ............................................................2-41
8.2.3 新規候補化合物の温暖化効果等環境影響評価技術研究 ..........................................2-60
8.2.4 実用化試験・総合評価 ............................................................................................2-72
9.
情勢変化への対応....................................................................................................................2-76
9.1 中間評価への対応 ...........................................................................................................2-76
10.
今後の事業の方向性.........................................................................................................2-78
- ii -
1. 国の関与の必要性・制度への適合性
1.1
国が関与することの意義
クロロフルオロカーボン(CFC)が全廃され、また代替物質であるハイド
ロクロロフルオロカーボン(HCFC)は 2020 年原則全廃が決まっているた
め、民間企業では、次の世代の代替物質としてハイドロフルオロカーボン
(HFC)系の製品化に全力で取り組んでいるところであったが、平成9年1
2月に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)の結果、HFC が排出抑
制対象物質となったため、新たな代替物質の開発が必要となった。しかし、
本プロジェクトで取り上げているような新規構造の代替物質開発は、アメリ
カ、ヨーロッパにおいて関連の報告がいくつか見られるが、ほとんど系統的
に研究されたことがなく、民間企業にとってはリスクが高い研究である。ま
た、候補化合物の評価には、GWP(地球温暖化係数)の算出が必須であるが、
GWP の組織的な算定はアメリカやヨーロッパの3∼4ヵ所でしか出来ず、
国際会議での議論等もそれらに頼るしかないのが現状であった。よって、
GWP の小さい代替物質を開発する上で必要な GWP の算出プログラムの確
立及びその基礎となる大気中寿命の実測、推算手法を確立することも必要で
あるが、これは民間企業の研究対象ではない。
したがって、オゾン層保護や地球温暖化といった地球環境問題への対応は,
我が国にとって喫緊の課題であるため、国がプロジェクトとして取り組み、
早急に代替物質を開発する必要がある。
1.2
費用対効果
CFC 製造が全廃された 1995 年時点で、日本国内のフルオロカーボン総出
荷量は約82千トン程度であり、主な用途としては冷媒54%、発泡剤2
5%、洗浄剤18%であった(図 1-1 参照)。この数量はモントリオール議
定書によるフロン規制以前の 1986 年当時のフルオロカーボン総出荷量が約
180千トンであったことを鑑みると凡そ半減しており、1995 年の時点で既
に洗浄剤を中心にフルオロカーボンから主として水系洗浄剤等への代替が
進んでいたことを示している。一方で、発泡剤や冷媒用途では依然としてフ
ルオロカーボンが多用されており、とりわけ冷媒用フルオロカーボンの出荷
量は 1986 年に約42千トンであったのが 1995 年に約44千トンが出荷され
ており、全く減少していないばかりか逆に微増傾向すら示している。この事
実からも、気液二相間の変化を利用したランキンサイクルを最も容易に行え
る安全な媒体としてはフルオロカーボン以外に候補が無いことが示唆され
2-1
る。また、液体としての表面張力の低さという点でもフルオロカーボンに勝
るものはなく、微小な間隙にも浸入し、適度の親油性をもって機器の洗浄を
行う特性は、表面張力の大きな水系の洗浄剤では得られないものである。
一方、上記のフルオロカーボン出荷量を種類別にみると、1995 年時点では
CFC:25千トン、HCFC:45千トン、HFC:10千トンの内訳であった
が、モントリオール議定書発効による CFC 全廃によって、2000 年出荷量で
は CFC:0千トン、HCFC:48千トン、HFC:16千トンとなっている
(図 1-1 参照)。
欧州でフルオロカーボンに代わる小型冷蔵庫用の冷媒として近年使用さ
れ始めたn-ブタン/i-ブタンや、日本国内でも電気冷蔵庫断熱フォーム用発
泡剤として使用され始めたシクロペンタン等の炭化水素は、可燃性物質であ
るため用途が限定されており、冷媒・発泡剤として現在使用されているフル
オロカーボンの主たる代替物質となるとは考え難い。また、洗浄剤用途とし
て現在も使用されている HCFC 類が水系洗浄剤や炭化水素系洗浄剤で完全
に置き換えられることは、前述の理由から困難であると予想される。
このようにフルオロカーボン類の特異的な性質である、① 気液二相間の
変換の容易さ、② 液相における表面張力の低さ、③ 化学的・熱的な安定
性、④ 適度な親油性、⑤ 比重の大きさ、を考えるとフルオロカーボンに
代えて非フルオロカーボン系物質を用いることは、多くの場合に非常に困難
であると云える。
以上の事情から、主として冷媒用途、及び水系洗浄剤や炭化水素によって
は代替できない洗浄剤用途、発泡剤用途については、現在でも HCFC、HFC
が使用されており、今後も引き続きフルオロカーボンに対する需要が相当量
見込まれる。現在、このフルオロカーボン需要をまかなっている HCFC、
HFC であるが、2020 年に HCFC が全廃されることを考慮すると、HFC と
併存しながらフルオロカーボン需要をみたすことができて、尚且つ地球環境
影響・温暖化の観点から HFC にも勝る特性を有する代替化合物を開発する
ことは、空調、冷蔵・冷凍、給湯、建材、電子部品等といった産業界への効
果を考慮すれば極めて重要であり、資金を投下する価値のある事業であると
考えられる。
2-2
フルオロカーボン国内出荷量の推移 (単位:千トン)
140
120
100
80
その他
洗浄剤
発泡剤
エアゾール
冷媒
60
40
CFC
HCFC
HFC
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
0
1990年
1995年
2000年
20
合計
** 1990 年 HCFC-22 出荷量は、CHClF2 総生産量(6 万トン)の約 4 割程度と見積もった。
図 1-1 フルオロカーボン国内出荷量の推移(日本フルオロカーボン協会調
査データを基に作成)
2-3
2. 事業の背景・目的・位置付け
2.1
事業の背景・目的・意義
2.1.1 オゾン層保護対策の動向
1928 年トーマス・ミッジェリによってアンモニアに代わる電気冷蔵庫用冷
媒として開発されたクロロフルオロカーボン( CFC )は、その優れた特性
によって冷媒の他、発泡剤、洗浄剤及びエアゾール用噴射剤等として広範な
用途に使用され、現在の高度な産業技術と快適な生活環境を維持するために
不可欠なものとなった。しかし、CFC はその優れた安定性により大気中では
分解しにくく、成層圏まで上昇しそこで太陽からの強い短波長の紫外線によ
って分解し、生成した塩素原子が地球上の生態系を守っているオゾン層を破
壊するというオゾン層破壊説が 1974 年カリフォルニア大学のローランド教
授らによって提起された。
その後の国際的な検討の結果、国連環境計画(UNEP)は 1987 年「オゾ
ン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」を採択し、CFC5種、
消火剤ハロン3種が規制されることになり、1990 年のロンドン改正からは更
にメチルクロロフォルム、四塩化炭素も追加された。
その後の科学的調査の結果、1992 年コペンハーゲンで開催されたモント
リオール議定書第4回締約国会合において CFC の 1995 年末全廃、及び代
替化合物 HCFC の 2020 年原則全廃が採択された。我が国ではハイドロクロ
ロフルオロカーボン(HCFC)の使用状況、代替物資、代替技術の開発状況
を踏まえ、削減・全廃の円滑な実施を確保するため、HCFC の規制スケジュ
ールの目標が次のように示された。
新規設備充填用の冷媒としての HCFC-22 は 2010 年全廃、既設設備への
補充用冷媒としての HCFC-22 は 2020 年全廃、洗浄剤用 HCFC-141b は
2000 年以降漸次削減、発泡用は 2004 年全廃、発泡剤としての HCFC-142b
は 2010 年全廃、洗浄剤としての HCFC-225 は 2010 年以降漸次削減する
等とされた。(図 2-1 参照)これらの規制によって大気中のオゾン層破壊物
質濃度の増加率が鈍化しつつあり、対流圏の塩素と臭素の量は 1994 年にピ
ークに達し、成層圏における量も20世紀末にピークに達したものと考えら
れている。それ以降、21世紀初頭からオゾン層は回復に転じ、南極のオゾ
ンホールも 2045 年頃には出現しないようになると予測されている。
2-4
(%)
100
80
60
40
20
0
モントリオール議定書で 定められたHCFC削減ス ケジュール
65
35
10
HCFC-22冷媒(新規)
我が国におけるHCFCの削減目標
HCFC-22冷媒(補充用)
HCFC-141b洗浄
HCFC-141b発泡
HCFC-142b発泡
HCFC-225洗浄
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
↑
議定書で定められた全廃期限(補充用冷媒を除く)
図 2-1 我が国における HCFC 削減目標
2.1.2 温暖化対策の動向
地球環響へのもう一つの大きな影響として、炭酸ガスを主とする温室効果
ガスの増加により地球の気温が上昇し、海水面の上昇や生態系への影響が予
想され深刻な問題となっている。大気圏外の人工衛星から測定された地球か
らの放射スペクトルによると、波数 800∼1250 ㎝−1のいわゆる「大気の窓」
領域は吸収が小さく透明度が高い。地球の赤外放射エネルギーは、この領域
を通して宇宙に放散する。CFC、HCFC 及びハイドロフルオロカーボン
(HFC)類は赤外吸収スペクトルでこの領域に強い吸収を有するため、炭酸
ガス同様に温室効果ガスとなる。1988 年国連環境計画(UNEP)が世界気象
機関(WMO)と「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」を設立し、地
球温暖化に関する最新の自然科学的及び社会科学的取り組みを開始した。そ
の成果は2度にわたる評価報告書にまとめられ、地球温暖化の進行防止の為
には温室効果ガスの排出量の削減が必要との知見を発表した。
1997 年 12 月に京都で行われた第3回気候変動枠組み条約締約国会合
(COP3)において、地球温暖化抑制の為に、先進国に対して温室効果ガス
の排出量削減目標が設定された。また、温室効果ガスとして二酸化炭素のみ
2-5
ならずメタン、亜酸化窒素等の6ガスが提起され、その中に HCFC の代替ガ
スである HFC も含まれることとなった。その後も 1998 年 11 月にブエノス
アイレスにて開催されたCOP4及び 1999 年 10 月にボンにて開催された
COP5 における規制動向を考慮すると、HFC 等の地球温暖化物質に対する規
制強化への対応が喫緊課題である。日本では地球温暖化対策推進大綱に基づ
き 2010 年を目標年次として HFC 等の地球温暖化物質の総排出量を削減する
ことと定めている。
2.2
事業の位置付け
CFC 等の化合物は、優れた安全性等から各種産業界はもとより、電気冷蔵
庫、エアコン等の家電製品、カーエアコン等の分野における効率の良い冷媒
として幅広く使用されてきた。また、優れた断熱特性と発泡特性によって各
種産業分野において、ウレタン樹脂やスチレン樹脂等の発泡剤として使われ
てきた。さらには、優れた安全性と洗浄特性によって各種製造業をはじめド
ライクリーニング等の分野で幅広く使用され、水等の非フロン系物質と比較
して省エネルギー効果の高い物質として使われてきた。
この様に CFC 等は、国民生活・各種産業界に幅広く使用されてきた重要
且つ必須の化合物であった。
しかしながら、1989 年 7 月より、オゾン層を破壊する物質に関するモン
トリオール議定書に基づき、その生産等に係わる規制が開始された。その後、
1990 年 6 月に開催された第2回モントリオール締約国会合において、CFC
等を 2000 年までに全廃すること等を内容とする議定書の改定が決定された。
その後も予想以上のオゾン層の破壊が進んでいることなどを踏まえて、1992
年 11 月に開催された第4回モントリオール議定書締約国会合において、そ
の全廃時期を 1995 年末とし4年間前倒しにすることが決定された。さらに
CFC の代替品として期待の高かった HCFC が規制対象に追加され、2020 年
に実質全廃とすることが決定された。
こうした事態を踏まえ、CFC 等の主要分野であった冷媒、発泡剤、洗浄剤
用途における当面の代替品として、HCFC 等が使用される一方、塩素を含ま
ずオゾン層への影響の無い代替化合物 HFC の開発が鋭意進められている
状況である。しかし、昨今温暖化への影響が懸念されているため、今後の温
暖化問題を考えると、さらに幅広く新しい代替化合物に関する研究開発が焦
眉の急である。
また、既存の代替品として、例えば洗浄分野では水系洗浄剤等が検討され
ているが、これらの代替品の使用は CFC 等に比べて乾燥に多大のエネルギ
ーを必要とするなどエネルギー効率の大幅な低下が不可避であり、こうした
2-6
洗浄剤への転換はエネルギー消費を増加させる恐れがある。
したがって、上記の状況を踏まえて、今後の地球環境問題を解決するため
には本研究開発により多様な用途に対応し得る、エネルギー効率が高く且つ
環境負荷が小さく、さらには安全性をも満足する、特性の優れた代替物質の
開発を HFC 以外でも幅広く行うことが急務であり、その開発によって HFC
を補完する役割を果たすことが期待される。これは、環境の保全及びエネル
ギー使用の合理化のために極めて重要なことと考えられる。
本研究では先行プロジェクト「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発」
において見出された CFC-114 冷媒代替候補物質の特性評価と実用化に向け
た絞込みを行うとともに、HFC 以外の新規な構造を有する代替候補化合物
の特性を評価し、CFC-114 代替以外の冷媒の他、発泡剤、洗浄剤としての
可能性を探索し、その開発を目標とする。
代替化合物の開発に当たって、その絞り込みに必要な OH ラジカルとの反
応速度の実測、推算と大気寿命の計算、更に GWP の計算モデル(日本版)の
確立を目指す。TEWI、LCA については、更に検討が進み代替候補化合物の
実用化の段階で、使用機器の目途が立ち、使用条件が明確に把握された時点
で、評価を行う。当プロジェクトで実測または推算された OH ラジカルとの
反応速度に基づく確度の高い GWP を用いて計算が可能となろう。
図 2-2 本プロジェクト開発化合物の地球環境影響における位置付け
2-7
3. 事業の目標
オゾン層破壊や地球温暖化などの地球環境問題に配慮し、地球環境に対す
る影響を最小とし、冷凍、空調、断熱ならびに洗浄の各分野でエネルギー消
費の低減が可能な下記の性質を備えた、主として冷媒、発泡剤、洗浄剤の開
発を行う。(図 3-1 参照)
①エネルギー効率
:エネルギー消費量が小さいこと
②オゾン層破壊
:オゾン層の破壊に寄与しないこと(ODP≒0)
③地球温暖化効果
:既存の代替品よりも大きくないこと
④安全性
:毒性が低く、燃えにくいこと
⑤特性
:冷媒、発泡剤、洗浄剤等に適した特性を持つこと
(表 3-1 参照)
エネルギー効率
エネルギー消費 小
地 球 環 境
ODP≒0
安 全 性
新 規 代 替 品
毒性低い
温暖化効果 小
燃えにくい
特 性
実用可能性
冷媒
製造法
発泡剤
実用化技術
洗浄剤
図 3-1 研究開発の目的と計画概要
2-8
表 3-1 代替化合物の用途別目標物質および特性
用途
冷媒
基本条件
沸点 ≦ 50℃
望ましくは≦30℃
代替目標物質
CFC-114
HFC-134a
特
成績係数(COP)H*
5.46
4.63
*
≦
50℃
発泡剤
沸点
洗浄剤
沸点 40∼120℃
表面張力≦30mN/m
HFC-245fa
HFC-365mfc
シクロペンタン
HFC-43-10mee
ヘプタフルオロシクロペンタン
1,1,1-トリクロロエタン
CFC-113
2-9
性
物性推算プログラム(THEDYNA)での計算値
廃熱回収条件 Te=30℃ Tc=80℃
気体の熱伝導度(40℃)
14.9
9.0
15.3(60℃)
表面張力 mN/m / 蒸発潜熱(J/g)
14.1(25℃)
130(25℃)
18.0(45℃)
44.6(30℃)
25.6
242
17.5
146
4. 事業の計画内容
4.1
事業全体、個別研究開発項目の計画内容
4.1.1 研究開発項目の計画内容
1. 代替方法の現状調査及び新規候補化合物設計研究
新規冷媒、発泡剤及び洗浄剤の探索を効率的に行うため、代替方法の現状
と問題点の調査を行う他、既存化合物の特性、化学構造及びそれらの関係等
について調査研究を行う。以上を踏まえ、新規候補化合物の設計研究を行う。
2. 新規候補化合物の合成及び物性、安全性等評価
新規冷媒、発泡剤及び洗浄剤として必要な物性を有すると見込まれる新規
候補化合物の合成及び基本物性等の測定・評価を行う。また、各用途の基礎
性能評価及び安全性の測定・評価を行う。
3. 新規候補化合物の温暖化効果等環境影響評価技術研究
合成された新規候補化合物の環境への影響度を測定・評価する。また、新
規候補化合物のGWPをより精度よく評価するため、GWP推算プログラム
の開発を行う。
4. 実用化試験・総合評価
新規候補化合物の冷媒、発泡剤及び洗浄剤としての実用化試験を行い、実
用特性の評価を行う。また、他の候補化合物との比較検討により総合的な実
用可能性評価を行う。
4.1.2 研究開発基本スキーム
本研究開発は地球環境に影響の小さい新規冷媒、発泡剤、洗浄剤の設計研
究、合成研究及び基本物性の測定、及び毒性、安全性を評価し、各用途に適
した特性を有する化合物を得ることを目指すものである。その為の基本スキ
ームは、図 4-1 (p.11) に示したように各プロセスは一つのスキームに有機
的に組み込まれて目標が達成される。本プロジェクトで選択した化合物の範
囲分は、利用出来る既存データが少ない。基本物性データの有無、合成の難
易度、利用できる化合物の量、及び特性評価の手法の利便性などを総合的に
勘案し、各段階で得られた実験結果をそれぞれフィードバックしながら効率
的に進める必要がある。効率的な研究のためには、物性推算方法の積極的な
利用が必要である。候補化合物の合成には、利用し得る既知合成法の活用と
新規な合成ルートの開拓が不可欠である。
環境影響評価には、全体として確立された手法がなく個々の状況に応じて
開拓する必要があり、OH ラジカルとの反応速度の実測と推算、大気寿命の
推算、GWP の計算モデルの確立等基礎的な分野まで踏み込んだ検討が必要
である。
2-10
エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
HCFC代替化合物開発
地球環境配慮(ODP≒0、GWP少)
エネルギー消費量少
安全性、経済性
新規候補化合物
データベース
物性推算プログラム
含フッ素エーテル
含フッ素オレフィン 化合物の選定
含フッ素ケトン及びエステル 含フッ素ヘテロ環化合物 含フッ素複合ヘテロ環化合物
化合物合成
合成ルートの設計
合成法開発
物性測定
沸点、凝固点、蒸気圧等
物性評価
基礎性能評価
熱物性
熱伝導率
毒性測定評価
粘性率
など
安全性評価
環境影響評価
GWP算出精度アップ
OH反応速度測定、大気中寿命
分解反応過程解明
反応中間体検出
赤外線吸収速度
赤外線吸収強度
用途別候補化合物選定
冷媒候補化合物
発泡剤候補化合物
洗浄剤候補化合物
潤滑油選択 気体熱伝導率測定
洗浄性試験
ドロップインテスト 冷媒性能試験 ポリオール選択
実用洗浄機
実用化試験
経済的合成ルート
の開拓
発泡成形性
性能試験
実用機性能試験
総合評価
省エネルギー効果
経済的製造法
実用特性評価
図 4-1 研究開発基本スキーム
2-11
4.2
研究開発項目毎の内容の詳細
研究開発計画に基づき、平成13年度迄に実施した開発経過を図 4-2
(p.13)に示した。全期間の前半は基礎的な検討に重点を置き、後半は各分
野での性能評価に重点を置いて研究開発を遂行した。
2-12
大項目
中項目
1.代替方法の現状調査及び 1-1 代替方法の現状調査
新規候補化合物の設計研究
小項目
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度
平成10年度
平成11年度 平成12年度 平成13年度
(1)既存冷媒・発泡剤・洗浄剤の特性
や用途毎の市場動向及び技術動向
(2)代替冷媒の環境影響に関する調査
(3)HCFC,CFC代替品の技術開発動
1-2 データベースの作成
(1)研究支援用データベース
(2)公開用データベース
1-3 新規候補化合物の設計 (1)純物質の物性推算
研究
(2)混合系の物性推算
(3)熱物性推算システム
Windows版開発、機能追加(多成分等)
推算式の拡充、32ビット化、英語版対応
2.新規化合物の合成及び物 2-1 新規候補化合物の合成 (1)候補化合物の設計・探索
性・安全性等評価
(2)サンプル合成
(3)候補化合物の合成法検討
2-2 基本物性の測定
5化合物
9化合物
17化合物
2-3 各用途毎の基礎性能評 (1)冷媒
価
(2)発泡剤
(3)洗浄剤
2-4 安全性の測定・評価
(1)燃焼性
①燃焼性測定・評価方法の確立
②ASHRAE法評価(RFナンバー等)
③候補化合物の燃焼性評価
(2)毒性
①急性毒性試験
②化審法対応試験
図 4-2 研究開発項目毎の内容詳細と経過
2-13
12化合物
15化合物
10化合物
5化合物
大項目
中項目
小項目
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度
平成10年度
3.新規候補化合物の温暖化 3-1 反応速度等の測定・評 (1)OHラジカルとの反応速度の測定
効果等環境影響評価技術研 価
①絶対法
②相対法
(2)OHラジカルとの反応速度の計算
3-2 環境からの除去過程の (1)光分解反応
研究
(2)気相反応生成物
(3)水の関わる除去過程
(4)固体粒子の関わる除去過程
3-3 GWP推算プログラムの (1)三次元移流拡散モデルの開発
開発
(2)二次元光反応モデルの開発
(3)雲、雲水による分解過程モデル化
(4)大気中分布モデルの開発
(5)新規候補化合物のGWP推算
4.実用化試験・総合評価
4-1 新規冷媒の実用化予備 (1)実機安定性試験
試験
(2)ヒートポンプサイクル試験
(3)冷凍実機性能試験
4-2 新規発泡剤の実用化予 (1)ポリオール相溶性試験
備試験
(2)ハンド発泡試験
(3)マシン発泡試験
4-3 新規洗浄剤の実用化予 (1)基礎洗浄性能試験
備試験
(2)各洗浄方法による性能試験
(3)実用洗浄機による性能試験
4-4 その他用途
エッチングガス
2-14
消火剤
平成11年度
平成12年度
平成13年度
4.3
研究開発実施主体の体制
図 4-3 (p.16) に示すように、本プロジェクトは経済産業省の補助金を得
て、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より(財)地球環境産業
技術研究機構(RITE)が受託し、参加企業8社より派遣された研究員を中心に
独立行政法人産業技術総合研究所フッ素系等温暖化物質対策テクノロジー
研究センター(旧工業技術院物質工学工業技術研究所、旧資源環境技術総合
研究所、旧名古屋工業技術研究所)との共同研究で実施した。派遣研究員は
主として産業技術総合研究所つくば中央第5事業所(旧物質工学工業技術研
究所)内つくば分室において集中研究を実施し、主として候補化合物の合成
及び物性等の測定を行った。産業技術総合研究所つくば西事業所(旧資源環
境技術総合研究所)には RITE 研究員を派遣し、環境影響評価を行った。企
業分室である大阪分室(ダイキン工業)及び鹿島分室(旭硝子)では、主と
して兼務出向者を中心に、それぞれ冷媒、発泡剤の実用化予備試験として性
能評価を行った。
さらに、冷媒熱物性の測定を慶応義塾大学に、気体熱伝導率の測定を神戸
大学に、合成研究を茨城大学に、伝熱特性評価を九州大学に、混合系の熱物
性評価を静岡大学に、環境影響評価を大阪府立大学に、物性評価・物性推算
を日本大学に、洗浄性能評価を日本産業洗浄協議会に再委託した。
また、プロジェクト終盤には総合評価・実用化試験を加速する目的で、候
補化合物の仮想ユーザーに対してサンプル供給を行い、蓄熱式給湯機メーカ
ー、日本ヒートパイプ協会、日本電機工業会(JEMA)での実用化予備試験
を外注、実施した。
プロジェクトの運営は、参加企業8社及び共同研究先から選任された運営
委員、業務委員及び技術委員により行われ、技術委員会には合成、冷媒、発
泡、溶剤、環境影響の各部会および熱物性・データベース作業部会を設け、
外部専門家の参加を得て研究方針、内容の審議を行った。
運営委員会は基本的な事項の審議を、業務委員会は運営に関する基本的事
項の立案、運営委員会への建議を、技術委員会は業務委員会と協議し、各部
会の助言を得て、研究開発の具体的な事項を審議決定した。
2-15
経済産業省
補助金 : エネルギ−需給構造高度化対策特別会計
新エネルギー・産業技術総合開発機構
付帯調査
独立行政法人産業技術総合研究所
オゾン層保護対策産業協議会
共同研究
財団法人 地球環境産業技術研究機構
研究所
再委託研究
新規冷媒等
プロジェクト室
合成部会
冷媒部会
発泡部会
溶剤部会
環境部会
熱物性・データ
ベース作業部会
慶應義塾大学 神戸大学
九州大学 茨城大学
静岡大学 大阪府立大学
日本大学(理工、生産工)
日本産業洗浄協議会 上智大学
運営委員会
業務委員会
技術委員会
フッ素系等温暖化物質
対策テクノロジー研究センター
実用試験外注
管理部
技術部
蓄熱式給湯器メーカー
日本ヒートパイプ協会
日本電機工業会
研究協力参加企業
旭化成 ㈱
旭硝子 ㈱
つくば分室
名古屋分室
研究員派遣
大阪分室
鹿島分室
関東電化工業 ㈱
昭和電工 ㈱
セントラル硝子 ㈱
ダイキン工業 ㈱
東亞合成 ㈱
三井デュポンフロロケミカル㈱
図 4-3 研究開発体制
2-16
5. 実用化、事業化の見通し(政策目的達成時のイメージ)
5.1
成果の実用化可能性
CFC 及び HCFC の代替化合物として HFC の開発実用化が緒についてい
るが、温暖化の問題に直面している。そこで冷媒分野では、炭化水素系, CO2
などの天然冷媒の利用が、発泡剤ではシクロペンタン等の炭化水素系、及び
洗浄剤分野では水系洗浄剤等を中心に多くの代替技術の利用がそれぞれ検
討されている。しかしながら、炭化水素系物質には可燃性の問題があるため、
冷媒・発泡剤の汎用的な代替候補とはなり得ないものと推察される。また、
洗浄用途の代替技術である水系洗浄剤にしても、水切り乾燥にはフロン系洗
浄剤以上のエネルギーを要するため、よりエネルギー消費の小さい洗浄剤に
対する需要は小さくない。
以上の背景から、本プロジェクトの開発成果は、多くの代替技術と共存、
競合しつつ不燃性などの安全性を活かしてある程度特殊な分野で活用され
ることが見込まれる。現在の研究開発状況から予測すると、新規代替物質の
実用化は 2005 年に一部の分野で実現されるものと考えられ、更に 2010 年か
らは新規代替物質がより広い分野で実用化されていくものと予測される。
(図 5-1)冷媒としては廃熱回収用ヒートポンプ用途に、発泡剤として住宅
建材用途に、洗浄剤としては精密機器の洗浄用途などを中心に実用化される
ことが予想される。
但し、本プロジェクトにより開発した新規化合物は CFC、HCFC、HFC
に比して合成方法が複雑なためコストアップに繋がる。今後、経済的合成法
の開発などを目指し、コストダウンを図ることが実用化・事業化に対する第
一関門となるものと思われる。
HCFC-22 冷媒(新規)
HCFC-22 冷媒(補充用)
HCFC-141b 洗浄
HCFC-141b 発泡
HCFC-142b 発泡
HCFC-225 洗浄
CO2 冷媒
Cyclopentane 発泡
HFE-347pc-f 洗浄
HFE-245mc 冷媒
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
図 5-1 本プロジェクト開発化合物の実用化時期(予想)
2-17
2030
5.2
波及効果
5.2.1 地球環境影響評価技術の進展
本プロジェクトにおいては、候補化合物の環境影響を評価するために、大
気中での除去過程を検討し、主反応である OH ラジカルの反応速度の測定、
推算及び大気寿命の推算手法を確立し、独自の GWP プログラムを開発し、
以前は国内で計算不可能であった新規化合物の GWP の計算を可能にした。
今後は新規化合物の環境影響特に地球温暖化を考える場合、そのインパクト
を正確に、定量的に評価することが必要である。
また、1997 年の地球温暖化防止京都会議を始め、現在国際的な議論の場に
於いて化合物の地球温暖化効果を議論する際には、GWP の 100 年間の積分
値 GWP(ITH=100)で比較するのが通例であるが、この指標では大気中寿
命が 5 年程度の化合物は温暖化効果の全量が積算されるのに対して、大気中
寿命が 100 年を超える化合物(例えば PFC で 50,000 年)の場合は 100 年以
降 50,000 年後までの温暖化影響は無視されることになる。すなわち、より
長期的な視点で持続可能型社会の構築を考えた場合、100 年値の評価は短期
評価であって、長期評価には向いていないと云う主張も発信してきた。
プロジェクト終了後もこのような環境影響評価技術を維持、発展させ、持
続的可能型社会の構築に向けて活用していく必要がある。
5.2.2 フッ素系有機化学や他の分野への波及効果
系統的に含フッ素ヘテロ化合物の合成、物性測定、毒性評価、燃焼性の検
討等を行い、殆ど未知の分野であった含フッ素ヘテロ化合物についてデータ
ベースを構築し、物性等の推算手法を開発、熱物性等の推算プログラムも開
発した。これらの成果は広く公開の予定で、関連の研究者にとっては大きな
指標となるであろう。
また、本プロジェクトの成果を基に、半導体クリーニング用への実用化可
能性が見出され、CVD プロジェクトへ展開された(平成 10 年度∼14 年度)。
さらに、中間評価時の指摘により、消火剤としても評価を実施し、可能性を
有することを見出した。
更に、燃焼性の検討に関し、燃焼範囲測定技術の基礎的な項目である着火
方法及び測定容器の大きさ・形状の影響を明らかにし、新しい燃焼性のスケ
ールを提案したことは、測定方法と燃焼性スケールの見直しを進める
ASHRAE/ISO に対し大きなインパクトを与えた。
2-18
6. 今後の展開(政策目的達成までのシナリオ)
6.1
新規冷媒の実用化シナリオ
本プロジェクトでこれまでに検討した膨大な数の含フッ素化合物の中で、
現在、実用化に向けた予備試験に供されている冷媒は、HFE-245mc および
HFE-143m である。
HFE-245mc は蓄熱式給湯機用ヒートポンプシステムでの使用を念頭に実
証試験機で約 8,000 時間の連続運転を達成しており、また貯湯式給湯機実機
を用いた試験でも一段で 90℃の熱湯が得られた。成績係数(COP)は 2.5∼
2.7 とやや低いものの、圧縮機などのハードウェアを HFE-245mc に最適化
したものに改良することによって COP は改善可能とみられ、圧縮機の変更
を検討中である。給湯機メーカーから HFE-245mc を使用した機器開発の希
望が寄せられ、すでに化審法を申請した。現時点で製造実績は数十 kg 程度
である。市場予測では数 10ton∼100ton 程度が期待される。今後詰めるべき
課題は多くあるが、一応供給体制をプロジェクト参加企業2社で検討をして
いる。
HFE-245mc がカバーする用途としては、蓄熱式給湯機用ヒートポンプシ
ステム用冷媒のみならず、従来熱源としては殆ど利用されなかった 30℃程度
の低温廃熱から廃熱回収を行って 80∼90℃の熱湯を得ることが出来るので、
将来、必ず問題となるであろうエネルギー有効利用の観点から考えるとき重
要な新冷媒と考えられる。ムーンライト計画等で考えられていたのような
CFC-114 利用のヒートポンプやランキンサイクルを利用した廃熱回収・エネ
ルギー有効利用システムを再検討すべきでは無いかと思われる。ODP がゼロ
で大気中寿命も 5 年程度と短いことから地球環境影響の観点からも非常に好
ましい次世代冷媒候補化合物で、冷媒としての性質も CFC-114 と近似して
おり、HFC での同等性能の候補が殆ど提案されていないこともあり、組織的、
積極的に用途開発も含め、国の政策による実用化助成が必要となるものと考
えられる。
HFC-134a 相当の HFE-143m については、HFC-134a 用電気冷蔵庫への
ドロップイン試験の結果、ほぼ HFC-134a 同等の性能が期待できる事が判明
した。しかし、経済性を勘案すれば早期に HFC-134a の代替として実用化す
ることは困難であろう。
ヒートパイプについては水が使用できない分野の作動流体として HCFC
が使われており、これに代替する用途に使用される可能性がある。一部検討
が開始されている。
2-19
6.2
新規洗浄剤の実用化シナリオ
1995 年の CFC-113 およびメチルクロロフォルムの全廃に伴い、洗浄の多
くは無洗浄、水洗浄、アルコール洗浄などに置き換わり、HCFC、HFC 系溶
剤が使用されているのは電子材料などの精密洗浄のみとなった。精密洗浄の
分野は成長している。
本プロジェクトで開発した含フッ素エーテル化合物 HFE-347pc-f は現在
市販されている HFC 系洗浄剤と比較して同等以上の性能を発揮し、且つ
ODP がゼロであり大気中寿命も 6 年程度と推算され、地球環境への影響も
小さい。
現段階の製造実績は 300kg 程度であるが、特殊な原料を使用せず、且つ合
成プロセスも一段で簡単であることから、製造量が増加すれば製造単価を低
減することが可能であろうと予想される。また、現在市販されているバート
レル、ゼオローラ、ノベック等競合製品の市場単価が 5,000 円/kg であるこ
とを考慮すると、競合可能なレベルにあると判断される。
本プロジェクト参加企業の1社から、HFE-347pc-f 事業化に向けての検討
を始めたい意向が表明されており、現在安全性等のデータを添えて化審法申
請中である。来年度以降、国の実用化助成等により、早期に市場に参入でき
るよう促す必要があると思われる。
また、高温蒸気洗浄において炭化水素系洗浄剤のリンス用として
HFE-55-10mec-fc を検討中であるが、溶解度の温度勾配が大きいことを見出
し、この分野は市販品で良い物がなく期待が大きい。
HFE 系溶剤は全般的に脂質の溶解度が小さいため、単独で HCFC 溶剤を
代替することは難しく、アルコール等の一般的な溶剤との共沸組成物が代替
溶剤として使用されるものと考えられる。関連先行用途特許は有るが実用化
に当たって特に障害にならないと思われる。
6.3
新規発泡剤の実用化シナリオ
発泡剤用途の代替競合技術としては HFC-245fa や HFC-365mfc 等のフル
オロカーボン以外に、最近ではペンタン、シクロペンタンといった炭化水素
化合物が断熱フォーム用発泡剤に使用されている。これら炭化水素化合物は
強燃性を有していることから、これらに代わる含フッ素代替物質で地球環境
への影響が小さく、発泡剤としての特性に優れる化合物が得られれば、実用
化の可能性は小さくないと思われる。
本プロジェクトでは、ポリオールとの相溶性試験や小規模発泡試験(ハン
ド発泡)の結果から、発泡剤用途の候補化合物として HFE-254pc がシクロ
2-20
ペンタンと同等またはそれ以上の断熱性能を有することを見出している。今
後はさらに大型のマシン発泡試験を経て、実用化を目指すこととしたい。
また、HFE-254pc は 4 フッ化エチレンへのメタノール付加反応で合成さ
れ、汎用の原料を使用して一段で合成できることから、製品単価の低減も比
較的容易と思われる。
2-21
7. 中間・事後評価の評価項目・評価基準、評価手法及び実施時期
研究開発開始より4年を経過した平成9年度に、産業技術審議会評価部会
のもとに設置されたエネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発評価委員会
による中間評価が行われた。
中間評価の結果を受けて、研究開発実施体制の見直しを行い、広範な開発
対象範囲をカバーすべく大学への研究開発再委託を大幅に増強した。また実
用化試験を加速するため、産業洗浄協議会への再委託や、空調機メーカーへ
のサンプル供与・外注による実機評価を開始する等の手段を講じた。
指摘事項について以下に示す。
7.1
プロジェクトの意義に関する評価
オゾン層破壊への対応から、生産・消費の全廃が国際的に義務づけられて
いる CFC、HCFC 等は、地球温暖化防止の観点からも対策が求められてお
り、代替物質の開発は喫緊の課題と言える。特に、地球温暖化対策に関して
は、1997 年 12 月に京都にて開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)
において、CFC、HCFC の有望な代替物質の1つとされていた HFC が規制
対象物質となったためにその排出抑制が国際的な義務となり、本プロジェク
トが目標とする新規代替物質開発の重要性はさらに増している。このような
情勢の中、本プロジェクトは、関連技術動向を的確に把握した上で、冷媒用、
洗浄用、発泡用の CFC、HCFC 等に代わる物質として、オゾン層を破壊せ
ず、地球温暖化効果が小さく、かつエネルギー効率の高い特性を備えた物質
の開発を目標にしており、その目的・意義は極めて明確である。
7.2
研究目標に関する評価
研究目標は、オゾン層保護、地球温暖化防止対策という本プロジェクトの
直接的な目的のみならず、CFC、HCFC 等の現実の利用状況に即して、実用
化には不可欠な安全性や、実用化において主な利用分野になる冷媒、発泡剤、
洗浄剤としての必要諸条件などを目標に加えている点で、よく配慮された構
成となっており、妥当なものと判断される。今後プロジェクトの後半で実用
化に向けた研究開発を実施するに当たっては、一層具体的な目標を織り込み、
プロジェクト終了時点で実現を期する目標の内容を明確にすべきである。
また、本プロジェクトは行政によるオゾン層保護及び地球温暖化防止対策
の推進と密接に結びついており、プロジェクトの成果に基づいて、技術的見
2-22
地のみならず行政的(政策的)見地からも、的確な施策を講じていくことが
重要となる。したがって、プロジェクトの成果を踏まえてどのような施策が
必要になるかという観点からも、本プロジェクトの目標と実用化との関係を
十分に考察しなければならない。
7.3
研究開発計画の妥当性
本プロジェクトが技術的に困難であることを考えると、開発物質の基礎デ
ータ収集により大きな重点を置いた方が長期的には意義が大きいとの指摘
もあったが、地球環境問題を巡る現下の情勢等を考えると、新規代替物質の
開発が最大の目的であり、プロジェクト実施中に得られた基礎データや試料
物質を整理、保存することは主目的の効率的な達成に重要・不可欠な開発計
画の一環であると位置付けるのが妥当と結論した。
7.4
国のプロジェクトである必要性
CFC、HCFC 等に代わる代替物質の開発は喫緊の課題であり、技術的に多
くの困難さを伴うであろうことや長期間にわたる総合的な研究開発が不可
欠なことを考慮すれば、国の施策として研究開発に取り組むことが必要であ
ると判断される。先進国として率先して地球環境保全に努めるという国際責
務履行の観点からも国の施策としての役割は重要である。
また、候補化合物の評価には地球温暖化係数(GWP)の算出が必須であり、
本プロジェクトでもこれを対象としているが、その組織的算出はプロジェク
ト開始時点では欧米の数ヶ所でしかできない状況にあったことから、こうし
た内容についても民間企業が単独で取り組むことは困難なものである。
7.5
研究開発体制
本プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)を経由
して財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)に委託する形で行われて
いる。また、RITE は3国立試験研究機関との共同研究契約、民間企業8社
との研究協力(研究者派遣)、大学に一部物性測定の再委託を行っている。
本体制は、それぞれの知見や特色を生かすものとなっており、妥当なものと
判断される。
2-23
しかし、開発対象範囲の大きさと現プロジェクトの残りの期間を考えると、
現在の研究体制は必要な規模に不足するのではないかと懸念される。また、
要素研究が非常に多重化しているため、それらの進捗状況を調整して研究課
題相互の関連を確保できるような配慮が必要である。
7.6
プロジェクトの成果に関する評価
設定した目標物質群の一部ではあるが、目標仕様に近い有望候補物質の開
発に成功したことは、プロジェクト本来の目的の実現が可能であることを示
唆する成果としてその意義は大きい。また、各種化合物の基本物性値や GWP
値、安全性試験などのデータは有意義であると同時に、学術的にも優れた業
績である。
実用化試験は後半期に重心がおかれているため、現時点で実用化の見通し
が立ったとは判断できない。しかし、高沸点冷媒の代替候補について、実用
化試験を通じて有望性が確認できたことは大きな成果である。また、現時点
で低沸点冷媒については有望な特性を有する代替物質が見出されていない
が、CFC、HCFC 等に代わる物質の有無に関する見通しは、産業界としての
今後の中長期的な対応を検討する上に大きな意味を持ち、早期にその見通し
を確立することが求められる。成果が具体的に見え始めている廃熱回収等を
目的とするヒートポンプ用高沸点冷媒に関しては、共同研究の促進を図れば
実用化の早期実現が期待される。また、予定の開発範囲に比して研究体制規
模が不十分であると思われ、場合によっては開発範囲に合理的な優先順位の
設定が必要となろう。
7.7
各要素研究の評価
1.
代替方法の現状調査及び新規候補化合物設計研究
冷媒、発泡剤および洗浄剤用途の新規候補化合物の探索を効率的に行うた
めの調査と候補化合物設計を行うもので、合理的な方法で進められている。
代替候補化合物のデータベースと物性推算システムについては、プロジェク
ト後半期の研究計画立案や効率的な進行管理の基盤として期待される。これ
らの利用人口が拡大すれば関連データ収録への寄与を通じて本プロジェク
トを側面から促進する効果が期待できるため、今後公開を積極的に進めるこ
とが望ましい。
2-24
2. 新規候補化合物の合成及び物性、安全性等評価
新規候補化合物の合成、物性、安全性等の目標指標及びその水準は妥当で
あり、計画された指標に従って綿密に実施されている。目標化合物群の合成
に広く応用できる各種の一般的合成法を創案し、その方法を用いて47種類
の候補化合物を合成したことは評価できる。また、各用途ごとの基礎性能評
価についても、ほぼ満足できる成果が得られたものと判断できる。
ただし、今後は、対象化合物群内および化合物群間での調査対象物質の選
択について優先順位を合理的に決めるとともに、神経毒性試験を計画に加え
ることを提言する。
3.
新規候補化合物の温暖化効果等環境影響評価技術研究
指標設定、目標水準とも妥当に設定されている。最終ゴールから見ると、
未検討の部分がかなりあるが、中間段階である現時点において概ね満足でき
る成果を達成していると判断できる。特に、GWP 推算プログラムの開発に
関しては達成度が高い。また、温暖化効果のより正確な評価手法の確立を目
指して、候補化合物の OH ラジカルとの反応速度や赤外吸収スペクトルを実
測し、GWP を求めた成果の意義は大きい。
OH ラジカルとの反応速度の温度依存性の測定、大気中での分解生成物の
環境影響評価、GWP 算定の高精度化等、まだ十分に実施されていない点に
ついては、今後、さらに研究を進めていくことが必要である。
4.
実用化試験・総合評価
本要素研究は新規候補化合物の冷媒、発泡剤及び洗浄剤用途としての実用
化試験を行い、実用特性を評価するものである。実用化に際しては、使用目
的に適した性能の比較によって候補化合物を選別するが、本要素研究では選
別の基準となる複数項目の基本的な指標が使用目的別に設定されている。い
ずれも使用目的について本質的に重要な指標であり、設定された指標の妥当
性には疑問の余地はない。
用途別に見た場合、高沸点冷媒の代替候補について、実用化試験を通じて
有望性が確認できたことは大きな成果である。発泡剤及び洗浄剤の代替候補
については、まだ予備試験の段階であり、研究開発計画より遅れている。今
後、研究の大幅な加速が必要である。
7.8
今後の課題
本プロジェクトの後半期においては、主要な用途毎に現時点で想定してい
る代替されるべき物質の種類や、ある程度の誤差や許容範囲があることを認
2-25
識した上で目標数値を挙げることにより、具体的な目標を明示して、その達
成・実現に向けて研究開発を推進する必要があると考える。
当初計画に照らせば、後半期は4年であり、予定の探索範囲を調査するた
めには、現在の研究体制では適正規模を下回ることが案じられ、組織の強化
や探索範囲の重点化などを図ることが不可欠と考えられる。今後は、このよ
うな諸点を十分配慮して研究開発計画の再確認が必要である。
本プロジェクトの成果は、産業界においては、代替物質への転換をどのよ
うな形で実施していくことが可能かを検討する上での貴重な基礎データと
なるとともに、政府における関連施策の立案、遂行に密接な関連を有してい
る。このような点を十分に念頭に置いて、研究開発成果はすみやかに具体的
な対応策へと反映されていくことが重要である。また、最終目標達成のため
には、諸外国との連携が必要になる場合もあり得ることから、早い段階から
国際的な研究交流の活動を活発化していくことが望まれる。
2-26
8. 研究開発成果
8.1
事業全体の成果
事業全体の成果については付表 8-1(p.79)から付表 8-4(p.83)にまと
めて掲載した。また本プロジェクトに係る研究発表、投稿論文、出願特許を
年度別にまとめ、付表 8-5(p.84)に掲載した。
1.
代替方法の現状調査及び新規候補化合物設計研究
(付表 8-1)
設計研究に必要な既存技術および情報調査を広範囲に実施し、合成法、物
性、毒性等のデータを収録した 3,500 件の既存化合物の研究開発支援用デー
タベースを作成した。中間評価時の指摘を受け、当プロジェクトで新規に取
得したデータを中心に関連の含フッ素化合物約 600 件のデータを厳選し、総
合的データ集としてまとめ、インターネット上に公開しフッ素関連の研究者
に資する予定である。また、これらのデータを使用し既存の方法より精度の
高い独自の物性推算法を開発した。
また、冷媒用に高度な物性推算プログラムを開発し、化学構造や実測デー
タより、多成分系を含め多種の熱物性、輸送物性を推算し、ランキンサイク
ルシュミレーションを行い、主な線図を出力する事を可能にした。このプロ
グラムも国際的に公開予定である。
以上のデータベース、物性推算法等によって得られた情報を整理・解析し
た結果、新規化合物の開発の焦点を含フッ素エーテル、同ケトン、同エステ
ル、同オレフィン、同ヘテロ(複合)環状化合物に当てることとした。
2.
新規化合物の合成及び物性、安全性等の評価(付表 8-2)
プロジェクトで新たに合成した候補化合物と既存化合物の81種につい
て、13項目の基本物性を測定した。これらの中から冷媒、発泡剤、洗浄剤
用途に可能性のある化合物を抽出し、用途毎に要求される基礎性能を評価し
た。以上の結果を基に、含フッ素エーテル、同ケトン、同エステル、同オレ
フィン、同ヘテロ(複合)環状化合物について合成特許および用途特許併せ
て 41 件の特許出願を行った。候補化合物の代表的物性等のまとめを 図 8-1
∼図 8-4 に示す。沸点についてみると、図 8-1 の青色のゾーンが、ほぼ冷媒
として使用可能な範囲であるが、ジメチルエーテル型の低沸点の化合物は何
れも大気中寿命が長く対象から外され HCFC-22 に代替する化合物は得られ
ないことが判明した。
2-27
120
120
100
100
80
80
沸 点
60
60
40
40
C4F9OCF3
141b
123
11
20
20
C5F10O
CH3OCF2CF3
114
00
142b
124
12
134a
-20
―20
115
22
-40
―40
CH3OCF3
CF3OCF2CF2CF3
C2F5OC2F5
C4F8O
CF3OCF2OCF3
CF3OCF2CF3
CF3COCF3
C3F6O
407C
410A
―60
-60
CF3OCF3
CFC,HCFC 混合系 MeOMe MeOEt
HFC
HFC
MeOPr
EtOEt
MeOC4 MeOC5 ジエーテル
環状 ケトン オレフィン モルフォリン
エーテル
図 8-1 含フッ素化合物の沸点
表面張力は精密洗浄剤として考えるとき、微細な間隙まで入り込みうる能力
の指標と考えられる。図 8-2 に含フッ素化合物の表面張力をまとめたが、環
状エーテルを除き、ほぼ CFC-113 と同程度又はそれ以下の表面張力を示し、
微細な間隙に入り込み、精密洗浄に適していることが示されている。
30
表面張力 (mN/m)
(℃)
C4F9OCH3
(HFE-7100)
225cb
225ca
113
20
10
CCl3CH3
CFC-113
ー
鎖
状
ジ
エ
テ
ル
テ
ル
環
状
エ
ー
ー
鎖
状
エ
テ
ル
図 8-2 含フッ素化合物の表面張力
2-28
ケ
ト
ン
環
状
複
合
ヘ
テ
ロ
元
素
一般に発泡剤の気体熱伝導率が小さいほど得られた発泡体の断熱性能は
向上する。図 8-3 に示す如く、含フッ素エーテル類 HFE は、次代の候補化
合物として考えられているシクロペンタンや HFC より、気体熱伝導率が小
さく、基本的には優れた発泡剤としての要件を満たしている。
15
HFC-365mcf
HFC-245fa
14
c-C5H10
熱伝導率(mW/m・K)
HFE-254pc
13
HFE-236pc
HFE-347mcc
12
HCFC-141b
11
10
CFC-11
9
10
20
30
40
50
60
沸点(℃)
図 8-3 含フッ素化合物の気体熱伝導率
候補化合物については燃焼性、毒性試験等の安全性評価を行い、候補を絞
込んだ結果、冷媒4種、発泡剤5種、洗浄剤9種を一次候補化合物として抽
出した。更に大学を主体とした再委託先での基礎物性測定や詳細な追加毒性
試験、候補化合物/既存化合物混合系での物性検討、経済合成法の可能性等
を検討して最終的に冷媒2種、発泡剤2種、溶剤2種に収斂させ実用化予備
試験に供することとした。
(表 8-1)
表 8-1 本プロジェクト開発代替最終候補の一覧
用途
冷媒
発泡
洗浄
候補化合物
代替対象(具体的用途)
特性比較(候補化合物/対象化合物)
HFE-245mc
CFC-114 代替 (廃熱回収、ヒートポンプ用冷媒)
HFE-143m
CFC-12,HFC-134a 代替(電気冷蔵庫、カークーラ) 沸点℃:-24.0/-29.8、-26.5
HFE-254pc
HCFC-141b,HFC-245fa,シクロペンタン等代替
気体熱伝導率 mW/(m・K):
HFE-236pc
(ポリウレタン等の発泡剤)
13.34、13.19/11.65、13.86、14.19
HFE-347pc-f
HCFC-225,HFC-43-10mee 等代替(置換乾燥剤)
表面張力 mNm-1:16.2/16.2,
HFE-55-10mec-fc
ZEORORA-H 等代替(炭化水素のすすぎ剤)
表面張力 mNm-1:17.7/18.0
2-29
沸点℃:6/3.8
14.2
3.
新規候補化合物の温暖化効果等環境影響評価の技術研究(付表 8-3)
GWP 評価を行うために必要な、化合物の大気中寿命と赤外吸収断面積の測
定を行った。大気中寿命については、OH ラジカル等との気相反応、水分と
の反応、固体への吸着や反応、光分解といった、大気中での除去過程の速度
を計算することにより、各除去過程の大気中寿命へのインパクトを判断した。
これら除去過程の内で最も寄与の大きい OH ラジカルとの反応速度の実測に
ついては、信頼性の高い絶対法と、比較的簡便な相対法を併用した測定法を
開発した。図 8-4(p.31)から HFE-125 及び HFE-134p を除けば、HFC-32
以下の大気中寿命を持ち、地球温暖化への影響が少ないことが示唆される。
更に計算機化学により、候補化合物と OH ラジカルとの反応速度を推算す
ることを目的として、化合物の構造式と遷移状態理論・電子状態理論を用い
る厳密法と、結合エネルギーとハードネスの概念を用いる簡便法を開発した。
また、反応速度の実測値と厳密法による計算値を入力とし、学習効果をアル
ゴリズムに取り入れたニューラルネットワーク法の開発を行い、OH ラジカ
ル反応速度推算の速度を向上させた。
以上のデータを使用し、これに国際気象データを取り入れた GWP 推算プ
ログラムを開発した。本成果は米国AER社による検討結果を加えて論文化
し、最終的にIPCC(気候変動に係る政府間パネル)に提案し、第3版の
報告書に引用された。また、本プロジェクトで合成された新規候補化合物の
GWP 値は既存の化合物に比べ数分の1程度であると計算された。
2-30
10000
115
1000
13
114
23
CF3OCHF2
年
100
HFE-125(150年)
12
2
113
113
143a
11
125
142b
10
43-10mee
134a
22
22
141b
225cb
245fa
124
32
225ca
41
21
152a
CHF2OCHF2 HFE-134p (26年)
C4F9OCH3 HFE-449mccc (5.0年)
C3F7OCH3 HFE-347mcc (4.5年)
CH3OCF3 HFE-143m(4.4年)
CHF2OCH2CF3 HFE-245mf(4.4年)
CF3CF2OCH3 HFE-245mc (4.3年)
(CF3)2CFOCH3 HFE-347mmy(3.5年)*
CHF2CF2CH2OCHF2 HFE-356pcf(3.2年)
CHF2CF2OCHF2 HFE -254pc(2.4年)*
123
1
C4F9OC2H5 HFE-569(0.77年)
0.1
図 8-4 含フッ素化合物の大気中寿命
(出典:IPCC レポート 3rd Ed.(2001))
2-31
4.
実用化試験・総合評価(付表 8-4)
(1) 冷媒分野
ヒートポンプ用冷媒として HFE-245mc を約 8,000 時間に及ぶ実機実証試
験を実施し、さらに貯湯式給湯機メーカーに於いて実機での冷媒性能評価試
験を実施し、炭酸ガス冷媒との比較データを取得して、実用可能性を検証し
た。更に、機器メーカーより HFE-245mc を使用する機器開発の意向が表明
され化審法の申請を行い、供給体制を検討中である。
また、小型冷蔵庫用冷媒として HFE-143m を用いた実機ドロップイン試
験を実施した結果、既存のフルオロカーボン HFC-134a とほぼ同性能であり、
同程度の性能を維持しながら環境への影響を低減出来ることが実証された。
他にヒートパイプ用作動流体としての使用可能性が確認され、光通信関連機
器冷却試験をメーカーとの間で検討中である。
冷媒用途の実用化研究をもとに3件の特許出願を行った。
(2) 発泡分野
HFE 系が炭化水素系より熱伝導率が小さいことを見出し、発泡用候補化合
物として HFE-254pc に絞って実用化予備試験を実施中である。発泡剤用途
の実用化研究をもとに5件の特許出願を行った。
(3) 洗浄剤分野
洗浄機メーカーで HFE-347pc-f/アルコール系で実用予備試験を実施し
水切り性能について市販のフッ素系洗浄剤と比較検討し、良好な結果を得た。
実用化に興味のある会社もあり化審法を申請中である。また、特異な溶解
度・温度特性を見出した結果、高温蒸気洗浄において炭化水素系洗浄剤のリ
ンス用として HFE55-10mec-fc を検討中であるが、この分野は市販品で適し
た物がなく期待が大きい。洗浄剤用途の実用化研究をもとに30件の特許出
願を行った。
(4) その他の波及効果
・半導体用クリーニング剤への新規に合成した各種フッ素化合物の検討。
・含フッ素化合物の消火剤への検討実施し、4件の特許出願を行った。
・後続プロジェクトへの成果の反映等。
2-32
8.2
研究開発項目毎の成果
8.2.1 代替方法の現状調査及び新規候補化合物設計研究
1.
代替方法の現状調査
冷媒、発泡剤及び洗浄剤用途の新規候補化合物の探索を効率的に行うため、
市場動向、技術動向等の代替方法の現状調査を行った。現在最も多く使用さ
れている冷媒、発泡剤、洗浄剤用途の CFC、HCFC 等の代替品の開発動向
についての概要を以下に示す。
(1) 代替冷媒の動向
CFC の全面禁止、HCFC の 2020 年原則全廃に対応して冷媒メーカー及
び冷凍・空調メーカーは代替冷媒の研究に勢力を注いできた。従来使用され
てきた冷媒と代替冷媒の主なものを用途別に 表 3-1 (p.33) に示す。
CFC-12 の代替として HFC-134a が使用され、ビル等の集中空調システムで
使用されていた遠心式チラーの主冷媒であった CFC-11 の代替としては、
HCFC-123 が使用されている。
しかし、前述の HCFC の 2020 年原則全廃により、最も影響を受ける空
調用の主冷媒である HCFC-22 の代替については、日、米、加、欧の主要空
調機メーカーが主体となり、共同で代替冷媒の開発を行って来ており、
HCFC-22 の代替としては R-407C、R-410A が、R-502 の代替としては
R-404A、R-507A が主流となりつつある。これらの代替品は単一成分系では
達成できず2成分系、3成分系が採用されている。
一方、ヨーロッパでは家庭用冷蔵庫に天然冷媒であるイソブタンを冷媒に、
またシクロペンタンを発泡剤に用いたものが使用されている。これらはいず
れも可燃物であり、安全対策が重要であり、日米では炭化水素系冷媒の実用
化の目途は立っていない。
中−高温域での冷媒として遠心式圧縮機で用いられていた CFC-11 に代
わる HCFC-123 の代替品については、安全性、熱力学特性等の諸条件を満
たす適切な代替品候補は見つかっておらず、一部は HFC-134a を用いる高圧
ターボに移行している。
蓄熱式給湯機で使用されてきた中−高温域冷媒である CFC-114 の代替冷
媒としては自然冷媒である CO2の使用が検討され、2001 年夏から二酸化炭
素冷媒使用給湯機として国内で市販され始めている。また各国でカーエアコ
ンへの適用も検討されているが、これら CO2 使用機器は従来の冷媒に比べて
使用圧力が高いため、ハードウェアの高圧化対応が必要となり、課題が残さ
2-33
れている。
表 8-2
用
途
遠心式冷凍機
用途別有力代替候補の一覧
規制冷媒
有力代替冷媒
CFC
、
HFC、その他
HCFC
CFC-11
HFC-134a(一部 高圧ターボ)
HCFC-123
キャブクーラ
給湯システム
廃熱回収
CFC-114
カーエアコン
CFC-12
HFC-134a(高圧)
CO2 (給湯)
HFC-134a
CO2
家庭用電気冷蔵庫
CFC-12
パッケージエアコン
HCFC-22
HFC-134a
R-600a (イソブタン)
R-407C(HFC-32/125/134a=23/25/52)
ルームエアコン
HCFC-22
R-410A(HFC-32/125=50/50)
業務用低温冷凍機
R-502
HCFC-22
R-404A(HFC-125/143a/134a=52/44/4)
R-507A(HFC-125/143a=50/50)
2-34
(2) 代替発泡剤の動向
冷蔵庫用断熱材の性能は、冷蔵庫の省エネルギーに大きく寄与するため、
使用される硬質ウレタンフォーム用発泡剤の熱伝導率の大小は重要な問題
である。従来は発泡剤として、CFC-11 が使用されてきたが、1995 年末の全
廃に伴い HCFC-141b が代替物質として使用されている。この HCFC-141b
も 2004 年に使用禁止となるため、産業界では精力的に HFC 系代替発泡剤
の開発を行い、HFC-245fa 及び HFC-236ea を選定した。フィールドテスト
を含む各種性能評価の結果、HFC-245fa が最有力候補化合物として位置付け
られた。その後、海外から HFC-365mfc が紹介され、現在では両化合物が代
替の有力候補となっている。
また、一部では真空断熱パネルや、シクロペンタンを発泡剤とした断熱材
も使用されているが、前者は断熱性能の長期維持の実績が待たれること、後
者は断熱性能が HCFC-141b よりも約1割低く、強燃性がある為に安全対策
が必要であること等の問題があり、現状では HFC 系代替発泡剤の開発が中
心になっている。
表 8-3
発泡剤
化学式
沸点
代替発泡剤の物性
℃
気体熱
伝導率
mW/(m・K)
(40℃)
燃焼性
ODP
Vol%
大気
寿命
年
7.2
GWP
毒性
(急性経口)
LD50
100年
mg/Kg
HFC-245fa
CHF2CH2CF3
15
14.9
不燃
0
HFC-236ea
CF3CHFCHF2
6
15.8
不燃
0
HFC-365mfc
CF3CH2CF2CH3
40
9.0
3.5∼9.0
0
10
890
HCFC-141b
CH3CCl2F
32
11.3
7.6∼17.7
0.11
9.3
700
10
950
>2000
>200,000
>2000
62,000
1200
Cyclopentane* C5H10
49
15.3(60℃) 1.4∼9.4
0
数日
3
n-Pentane
36
1.8∼8.0
0
数日
3
C5H12
毒性
(急性吸入)
LC50 (4H)
ppm
11,260
* M.Suzuki et al., Proceedings of The International Conference on OzoneProtection Technologies, p487
(Washington D.C.,October 21-23, 1996)
2-35
(3) 代替洗浄剤の動向
1,1,1-トリクロロエタンや CFC-113 の規制に伴い、それらが果たして来た
汎用洗浄剤としての役割を代替する化合物が検討されて来た。しかし、現在
では多くの用途で水および水系の洗浄剤が使用されるようになり、一方で脱
脂洗浄には環境負荷の小さい塩素系溶剤も未だ使用されている。しかし、用
途によっては、不燃性で表面張力が小さく、微細な間隙等の精密洗浄が行え
る含フッ素洗浄剤への要望も根強く、現在は HCFC-225、HCFC-141b が使
用されている。これらの HCFC の代替として、現在開発中の環境への影響
を考慮した含フッ素代替洗浄剤としては、①HFC-43-10mee、②Cyclic HFC、
③HFE-7100 等が報告されている。それらの基本物性を表 8-4 に記載した。
何れもオゾン層破壊を考慮して、分子中に塩素原子を持たない構造となって
いる。
表 8-4
化合物
化学式
沸点
代替洗浄剤の物性
蒸発潜熱
℃ cal/g(J/g)
55 31.0(130)
引火点 ODP 大気中寿命
なし
0
年
17.1
18.0 (18.0)
なし
0
3.4
30 (126)
13.6 (13.6)
なし
0
4.1
47.6 35.1(147)
17.3 (17.3)
なし
0.8
HFC43-10me CF 3 CHFCHFCF
e1 )
2CF3
F
F
Cyclic HFC2)
82.5 44.6 (187)
F
表面張力
dyne/cm (mN/cm)
14.1 (14.1)
GWP
1300
250
F
F
F
H
F
H
H
HFE-71003)
C4F9OCH3
CFC-1131)
CF3CFCl2
61
85
1,1,1-トリクロロエ CCl3CH3
74 57.7(242)
25.6 (25.6)
なし 0.12
4.8
タン
1) 三井・デュポン フロロケミカル VERTREL XF Technical Information、2000,Sept.
2) 日本ゼオン ZEORORA-H カタログ、2001,Aug. 蒸発潜熱は30℃、表面張力は45℃の値.
3) 住友スリーエム NOVEC カタログ、2000,Jun.
2-36
320
5000
140
2.
データベースの開発
効率的な候補化合物の絞り込みや分子設計研究を行うために、対象含フッ
素化合物に限定した研究支援用データベースの構築を文献調査及びオンラ
イン調査で行った。収録化合物は約 3500 件、合成法:約 580 件、毒性:約
140 件、スペクトル:約 70 件、試薬カタログ:約 670 件、気液平衡:約 1300
件である。
中間評価時の指摘を受けて、データベースを公開するための検討を行い、
著作権問題をクリヤーするために公開用のデータの作成、WWW 上での公開
システムの開発を行った。
公開用データベースの種類は、基本物性、蒸気圧(PVT)、気液平衡(VLE)、
毒性、NMR、及び IR である。収集したデータは、本プロジェクト及び圧縮
式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロジェクト)において測定された
ものに、HFE、HFK、HFC を中心とした文献調査を行い文献から直接デー
タを収集した値のみ追加した。掲載されている化合物数は約 600 にのぼる。
(表 8-5)
表 8-5
また、これらのデータベースを一般
に公開するため、World Wide Web
(WWW) 技術を用いた公開システム
の開発を行った。プロジェクト終了後
産総研のデータベースの一つとして
公開すべく準備を進めている。 出力
画面の一例を図 8-5 に示す。
2-37
掲載物性一覧
物性
標準沸点
臨界温度
臨界圧力
臨界体積
融点
液密度
熱容量
粘度
蒸発潜熱
表面張力
誘電率
水への溶解度
SP値
気体熱伝導率
液体熱伝導率
屈折率
燃焼性
毒性
PV T
VLE
データ数
593
78
74
63
78
321
187
171
205
189
195
168
181
19
166
147
120
157
192
114
図 3-2-2-3 基 本 物 性 検 索 結 果 の 一 例
図 8-5 データベース出力画面の一例
2-38
3.
(1)
設計研究
物性推算手法を用いた候補化合物の探索
候補化合物の絞り込みを加速するため、情報化学、計算化学の手法を用い、
物性を予測する推算手法の開発を行った。純物質の基本物性については
Neural Network を用いた経験的な推算手法により、既存の推算手法よりも
優れた精度を有する推算式の開発に成功した(標準沸点、臨界点、密度、粘
度、蒸発潜熱、表面張力、液熱伝導度、気体熱伝導度、SP 値、気体熱容量)。
また、溶解度や気液平衡など混合系の物性についても、Neural Network を
用いることにより精度良く推算可能となった。
混合系の物性推算については、Monte Carlo 法を用いた非経験的な分子シ
ミュレーションによる物性推算手法の開発も平行して行った。これにより、
混合系の溶解度、ポリオールの相溶性、気液平衡推算等が可能となった。
また、分子間相互作用の詳細な解析を行い、分子シミュレーションに必要
なポテンシャルパラメータの開発も併せて行った。推算手法としては全て 3
層からなる階層型 Neural Network を用いた。(図 8-6)
一例として、これまで検討を行った基本物性の一覧、及びそれらの推算精
度について表 8-6 に記す。いずれの物性も高い精度で相関、予測が可能であ
ることが分った。
表 8-6
x1
x2
x3
y1
y2
yj
z
出力層
xi
中間層
入力層
純物質の基本物性推算精度
物性 入力パラメータ
標準沸点
臨界温度
臨界圧力
臨界体積
密度
粘度
蒸発潜熱
表面張力
液熱伝導度
気体熱伝導度
SP値
気体熱容量
原子団
原子団
原子団
原子団
臨界定数など
臨界定数など
臨界定数など
臨界定数など
臨界定数など
臨界定数など
臨界定数など
臨界定数など
図 8-6 階層型 Neural Network
2-39
相関精度
予測精度
(相関係数) (相関係数)
0.993
0.987
0.996
0.984
0.988
0.982
0.995
0.993
0.997
−
0.985
−
0.997
−
0.994
−
0.974
−
0.928
−
0.972
−
0.996
−
4.
THEDYNA(熱物性推算システム)の開発
THEDYNA(熱物性推算システム)は、化合物の物性を推算するために圧縮
式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロジェクト)から開発に着手した
推算のためのプログラムである。
新規候補化合物、特に冷媒候補化合物を対象に各種の推算法を用いてその
基本物性と熱物性及び性能を推算するためのプログラムとして開発を進め
てきた。化合物を合成することなく、予めその基本物性や熱物性を推算し、
さらに拡張して冷媒性能を推算する。また、別途実測された基本物性値や熱
物性値を最大限活用して、その他の物性や性能を直ちにより精度よく推算で
き、主要な線図も出力可能にすることを目標としている。
THEDYNA は、計算結果を迅速に得、すぐに表示して検討、評価すること
ができるように、今後とも急速な性能向上が期待できるパーソナルコンピュ
ーター上で稼働することを条件にした。
THEDYNA は、化合物の分子構造式を最低の条件として、物性推算機能を
用い、その化合物の物性や性能を推算できる。また、実験結果や文献情報等
から物性データが得らるたびに THEDYNA に取り込むことで、物性推算の
精度向上に反映できるように設計されている。
THEDYNA は、物性推算分野で頻繁に使われる推算法及び最新の推算技術
についても容易に取り込めるように拡張性を持たせる方向で開発を進めた。
第一次開発段階として、圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロ
ジェクト)では MS-DOS の下で稼働することを前提に各種の物性推算式、
純成分系、二成分系、多成分系に関する基礎的プログラム開発した。これら
の推算プログラムを用いることで早い段階から冷媒候補化合物の性能推算
を順次実施することが可能となった。
次いで、第一次開発成果に含まれていなかった多成分系臨界点の計算、蒸
気圧式の追加、気液平衡計算(X−Y 線図)を追加した他、SI 単位への対応を
行って THEDYNA の機能の向上とブラッシュアップを行い、混合系の計算
を行う際に実測値がない場合でもある程度の推算が出来るよう、過剰自由エ
ネルギー型混合則モデルも追加した。
一方、第一次開発成果の THEDYNA が MS-DOS の環境下で稼働すること
により必然的に抱えていた操作性、拡張性、計算結果の評価し易さ、及び別
のソフトとの結果の共有化などについての多くの制約と課題を改善するた
めに、THEDYNA をウインドウズ対応にすることに取り組み、最終的には
32bit プログラムを作成した。
また、プログラムを国際的に公開することを見据え、英語版の作成を行っ
た。
2-40
8.2.2 新規化合物の合成及び物性、安全性等評価
1. 新規候補化合物の合成
本研究開発に当たっては、目的とする化合物として燃えにくい、低毒性、
浸透性等の性質が要求されるので比較的高度にフッ素化された化合物を前
提とし、さらに、適度な大気寿命が必要な条件となるため分子内にヘテロ原
子を包含する下記の化合物群を検討対象とした。(ただし、オレフィンだけ
は例外的に分子中にヘテロ原子を含んでいないが、これまで系統的な代替品
としての検討はなされておらず、本プロジェクトの対象とした。)
エーテル
オレフィン
アルコール
ケトン
窒素化合物
エステル
硫黄化合物
ヘテロ環
ケイ素化合物
複合ヘテロ環
このリストの左側の化合物群は既に「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究
開発」(旧プロジェクト)で検討された。中でもエーテル系は、旧プロジェ
クトで最終的に絞り込んだ冷媒候補化合物を含んでいる最も有望な化合物
である。一方右側は未検討の化合物群である。本プロジェクトでは、エーテ
ル系の一層の展開を図ること、及び早期にリスト右側の未検討化合物群の可
能性を見極めることを当初の目的として合成検討を行った。上記のうちエー
テル系に関しては分子構造によって合成ターゲットを4種類に分類し合成
検討を進めた。
これらの化合物は、既存のデータベース等では沸点以外の詳しい物性等の
記載は少なく、基本物性や急性毒性等の測定等のために多くの化合物の合成
が必要になった。合成規模は、数 g∼100g 程度の探索合成から、更に詳細な
物性の測定、反復投与毒性等を測定する段階では、500g∼数 kg の試料を供
給する必要があった。更に、用途開発の段階では、10kg 以上の試料が要求
された。
つくば分室に於ける集中研究では、購入出来ない化合物の探索合成を中心
に行い、規模の大きな合成は委託外注を活用し効率的な展開を心がけた。以
下に各化合物系の合成検討結果を記す。
(1) RfOR 型鎖状エーテル
この構造のエーテルの合成検討として、「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒
研究開発」(旧プロジェクト)でしばしば活用された方法を基に、原料とし
て RfOCl を使用し、2段法で高収率化を実現するなどの改良を行い、候補
2-41
化合物合成の一層の展開を図った。また、Rf 基及びR基の鎖長の変更や、
ペルフルオロ三級アルコールを使用することによって多種の RfOR 型エー
テルを合成した。
(2) その他の鎖状エーテル
KOH 存在下、ぺルフルオロオレフィンに含フッ素アルコールを付加する
事で、新規なものを含む数種の含フッ素エーテルを合成した。この方法で発
泡剤及び溶剤の有力な候補エーテルを大量に合成することが可能である。ま
た、Cu 触媒で CF3CFIOCF3 が種々の含フッ素オレフィンへ付加することを
見出し、その結果-OCF3 基を有する一連のエーテルの合成法を開発できた。
(3) 鎖状ジエーテル
RfOR 型鎖状モノエーテル合成法を応用し、ペルフルオロアルコキシ酸フ
ルオリドに KF とジアルキル硫酸を反応させてジエーテルとする方法やペ
ルフルオロビニルエーテルのオレフィン部にアルコールを付加してジエー
テル化する方法、さらにアルデヒド誘導体と含フッ素アルコールによりジエ
ーテル化合物(アセタール)を合成する方法等、合成法は数種開発したもの
の、鎖状ジエーテルはモノエーテルと比べて沸点が高く、また溶剤として特
長ある性質が見いだせず、評価は基礎性能評価段階で中断した。
(4) 環状エーテル
エーテルであると同時にヘテロ環にも分類される分子構造を有している。
エーテル構造を共通とすることにより、鎖状と比較した環状の物性や特徴を
解明することを目的としていた。しかし、鎖状エーテルに比べて沸点が高く、
溶剤として特長ある性質が見いだせず、評価は基礎性能評価段階で中断した。
(5) 非エーテル化合物
当初検討を計画した含フッ素エステルは、既知データ及び市販品の予備試
験に基づき、加水分解性が非常に大きいことが判明したので合成対象から除
外した。ケトンについては、有力な候補化合物である RfOR 型エーテルに対
応した RfCOR 型ケトンをはじめとする種々の含フッ素ケトンを合成したが、
大量合成に適した合成法が見出せない等の理由から合成検討を中断した。他
の化合物群についても合成検討を実施したが、含フッ素エーテル類と比較し
て用途面で特長が見出せない等の理由から基礎性能評価段階で検討を中断
した。
以上概観したような合成法を利用して、合成規模の大小はあるが、これま
でに合成した含フッ素化合物の種類別、年度別個数は表 8-7 のとおりである。
2-42
表 8-7
報告年度(平成)
RfOR型エーテル
6
その他エーテル
2
鎖状ジエーテル
1
環状エーテル
4
ケトン
8
オレフィン
3
環式複合ヘテロ元素系 2
小計
26
経済合成法
(候補エーテル)
計
26
7
新規
4
2
1
2
年度別合成候補化合物数
8
新規
1
10
2
2
4
2
3
2
6
21
10
21
9
新規
10
新規
11
新規
12
新規
2
2
2
2
1
5
2
2
1
2
4
1
2
1
4
8
3
13
1
2
1
10
5
0
4
1
0
4
7
1
8
13
2
15
0
5
0
11
1
4
計
新規
10
4
9
6
18
3
9
2
15
0
5
0
12
6
78 21
13
0
91
本プロジェクトでは、多くの反応形式を検討し、様々な種類の含フッ素化
合物を合成する事ができた。特に有力な候補化合物である含フッ素エーテル
については、基本的なフッ素化技術を発展させた他、全く新たな合成経路を
確立し、数多くのエーテル合成の手法等を開発することができた。
(6) 候補化合物の経済性評価
各用途における実用化へ向けてのアプローチの一環として、有力な候補化
合物(冷媒用途の HFE-245mc や溶剤用途に適する比較的高沸点を有する直
鎖エーテル)については、その経済的合成法を検討するために多くの合成法
を比較検討し、原料の入手可能性、原料価格等をも勘案して、候補化合物の
経済性評価を行った。
(表 8-8) また、フルオロオレフィンへのアルコール
の付加反応による含フッ素エーテルの合成において反応溶媒に水を使用す
ることで、副生成物の生成を抑制できることを見いだした。
表 8-8
候補化合物の経済性評価
原
化
合
物
料
合
成
法
総合
入手可能性
推定市場価格
反応段数
難易度
HFE-143m
×
×
1
△
△
HFE-245mc
△
△
1
△
△
HFE-347pc-f
△
○
1
○
○
HFE-254pc
○
○
1
○
○
HFE-55-10mec-fc
代表的なジエーテル
○
○
1
○
○
×
×
2
×
×
代表的な環状エーテル
×
×
3
×
×
2-43
21
2. 基本物性等の測定・評価
候補化合物の絞り込みに当たって、各化合物の基礎物性が必要になる。既
知の化合物でも殆どが沸点のみ記載されている場合が多く、化合物群の特徴
を把握するためには、新たに合成した化合物や試薬として購入したものの基
礎物性を測定する必要があった。
(1)
純物質の性質
①
基本的物性の測定・評価
基本的物性として測定した項目及び測定方法を以下に示す。
項目
1. 沸点
2. 蒸気圧
3. 蒸発潜熱
4. 溶解度パラメータ
5. 比熱
6. 動粘性率
7. 密度
8. 表面張力
9. 熱伝導率(液体)
10. 水への溶解度
11. 誘電率
測定方法
アイソテニスコープ法
同上
蒸気圧曲線より計算
蒸発潜熱及び密度より計算
DSC法
毛細管粘度計法
ピクノメーター法
リング法(精密電子天秤)
比較定常法(同心円筒型)
GC−FID法
自動平衡ブリッジ法
項目 1∼11 の物性については、本プロジェクトで新たに得られた化合物及
び、既存フッ素化合物で比較のための基本物性が必要な化合物から、含フッ
素エーテル 44 化合物、含フッ素ケトン 15 化合物、含フッ素モルホリン 4 化
合物、含フッ素アミン 4 化合物、含フッ素エステル 2 化合物、含フッ素オレ
フィン 5 化合物、その他含フッ素化合物 3 化合物の合計 77 化合物を測定し
た。
蒸気圧は、ほとんどの化合物について常圧から沸点付近について数点の測
定を行い、測定データについては Antoine 式で相関を行った。これらの結果
は各用途に適した化合物や組成を選定する為に必要不可欠なものである。
②
純物質の熱物性
(ア)
臨界定数測定装置の開発と測定
2-44
臨界定数の測定は、物質の性質を知る上で特に重要であり、状態方程式を
用いて他の熱力学物性を推算するためにも必要不可欠である。そのため、少
量の試料を用い、高い臨界温度に対応し、混合系における測定も正確、確実
に測定できる装置を新たに開発した。
HFE については、28 種の物質の臨界定数が得られた。これらの測定に際
しては、すべて測定前に装置に直結した不純物除去装置による前処理を施し
ている。以前分解により測定出来なかった4種の HFE についても測定に成
功した。ヒドロフルオロケトンについても 6 種の物質の測定を行った。一部
の高い臨界温度を有するケトンには熱分解の兆候が見られた。ヒドロフルオ
ロアミン類 4 種についても測定を行ったが熱分解の兆候は全く見られていな
い。 以上、新規物質 49 種のうち熱分解を防ぎきれなかった 7 種を除く 42
種の測定に成功し、熱物性推算のためにも貴重なデータが得られた。
(イ) 蒸気圧の測定
試料量 2 ml で測定可能な小型蒸気圧測定装置を使用して HFE 13 種、ヒ
ドロフルオロケトン 5 種の蒸気圧を測定し、Antoine 式等により相関し沸点
を求めた。測定範囲は 243 K∼353 K、精度は±0.02%である。
(ウ) 密度
新規候補化合物として合成された物質の液体密度を大気圧下(0.096∼0.10
MPa)、温度範囲 278 K∼323 K、測定確度±0.2%で測定し、温度と密度関係
について検討した。
測定では多品種少量の試料を簡便に短時間で高精度測定する必要性が求
められ、また、低温での測定では、外気中水分の凝縮混入を避けるため、密
閉系であることが望まれるため、密度測定装置として振動式密度計を選定し
た。
(エ) 誘電率
化合物の性質の一つに誘電率がある。本研究で提供された試料は低沸点、
少量、多品種であり、これら試料のキャパシタンスを的確かつ迅速に測定す
るための蓄電器(セル)を備えた測定装置は市販品には見あたらない。そこで、
少試料量で密閉型のセルを試作し、圧力 0.09∼0.10 MPa 下で試料温度を 277
K から 5 K または 10 K 間隔で 332K まで変え、各温度で液体試料の誘電率
を測定確度±0.3%で測定した。
(オ) 粘性率
熱交換器、発泡、洗浄機等の装置設計に必要とされる新規化合物の液体粘
性率を測定し、温度に対する粘性率変化について検討した。測定装置として
2-45
回転振動式粘性率計を選定した。更に、内容積 25 ml の密閉セルを試作し、
温度の均一化を図り、測定精度を高める工夫を施して、液体粘性率を大気圧
下(0.096∼0.10 MPa)で温度範囲 276∼323 K、測定確度±2%で測定した。
(2)
混合系の物性
①
共沸系の測定
共沸は特に洗浄剤、溶剤としての用途には大事な性質である。共沸点は気
液循環式気液平衡測定装置を用いて測定した。111 組成について測定を行い、
そのうち 77 組成が共沸することを見出した。またこの他に、主に ASOG パ
ラメータの決定を目的に 35 系について精密な測定を行った。
②
混合系の熱物性
微燃性冷媒候補化合物 HFE-143m と不燃化ガスとの混合系について、臨
界定数、沸点圧力、飽和液体密度及び圧縮液体密度の測定し、その解析を行
った。
(ア) 臨界点(臨界軌跡)の測定
混合系の高圧気液平衡、臨界軌跡を測定するために現有の純物質臨界定数
測定装置の容積固定セルを容積可変セルに取り替えた装置を試作し、一部に
ついては信頼性のチェックを行った。いずれの装置も少量のサンプルでも高
精度で測定が可能なようにするために従来の装置を改造し、3 種類の 2 成分
系冷媒候補化合物の臨界定数(軌跡)を測定した。
(イ) 沸点圧力、飽和液体密度及び圧縮液体密度の測定
測定のため、気液両相循環型高圧気液平衡測定装置を試作した。最高使用
温 度 473 K 、 最 高 使 用 圧 力 10 MPa 、 試 料 必 要 量 100 cm 3 で あ る 。
HFC-134a/HFE-143m および HFC-125/HFE-143m 系混合冷媒につき、磁
気密度計による沸点圧力、飽和液体密度および圧縮液体密度を測定した。
(ウ) 混合系冷媒の沸点圧力相関式の開発
HFC-134a/HFE-143m および HFC-125/HFE-143m の 2 成分系混合冷媒
の沸点圧力については、PR 式を用いてその再現性を考察した。
(エ) 混合冷媒の飽和液体密度相関式の開発
混合冷媒の飽和液体密度の実測値に関しては、開発した相関式を用いた場
合 に つ い て も そ の 再 現 性 を 考 察 し た 。 HFC-125/HFE-143m 系 お よ び
HFC-125 /HFE-143m 系混合冷媒の飽和液体密度実測値は、新たに開発し
2-46
た相関式によって±0.2 % 以内の相対密度偏差で再現されている。
(オ) 混合冷媒の圧縮液体密度相関式の開発
HFC-134a/HFE-143m 系混合冷媒の殆どの圧縮液体密度実測値は新たに
開発した相関式によって±0.3 %以内で再現される。HFC-125/HFE-143m 系
混合冷媒では、混合冷媒の臨界温度に近いものを除き、相関式は実測値に対
して十分満足できる再現性を示した。
2-47
3.
各用途ごとの基礎性能評価
(1) 冷媒候補化合物
冷媒候補化合物として、5つの候補化合物即ち CF3OCH3 (HFE-143m)、
CF3CHFOCF3
(HFE-227me) 、 CF3CF2OCH3
(HFE-245mc) 、
CF3CF2CF2OCH3 (HFE-347mcc) 、(CF3)2CFOCH3 (HFE-347mmy) を中
心に基礎性能評価を行った。特に HFE-143m および HFE-245mc は、次世
代冷媒の有力候補物質と位置付け、重点的にその評価を行った。
HCFC-22 程度の低沸点を有する冷媒候補としては、ジメチルエーテル型
の含フッ素化合物が存在するが、以下に述べるように大気中寿命が極めて長
いことが判明した。一般に含フッ素化合物の沸点はペルフルオロ化合物が一
連の化合物の中で最低の沸点を示し、フッ素が水素に置換されるに従って沸
点は高くなるが、これと同時に大気中で OH と反応する点(H)が多くなるた
め、大気中寿命は短くなる。
(表 8-9 参照)。本プロジェクトで対象とした含
フッ素化合物の中では含フッ素エーテルで CF3OCF3 が最も低沸点の化合物
であるが、大気中寿命は 150 年より大幅に長いものと推定され、地球環境に
対する影響が小さくない。
表 8-9
ジメチルエーテル構造含フッ素化合物の沸点と大気中寿命
化合物
構造式
沸点
大気中寿命
(℃)
(年)
HCFC-22
CHClF2
- 41
11.9
HFE-125
CF3OCHF2
- 34.6
HFE-116
CF3OCF3
- 58.7
150
> 150(推定)
以上の事情から、冷凍機等で使用される低沸点冷媒として HCFC-22 を代替
し得る、従って R-407A、R-410C 等を代替しうる HFC 代替候補化合物は、
含フッ素化合物類には存在し得ないものと結論した。
①
熱力学物性
冷媒候補化合物の性能を評価する上で必要不可欠な熱力学性質である飽
和蒸気圧力、飽和液体密度、圧縮液体密度、および圧力、比体積(または、逆
数である密度)、温度の関係を与える、いわゆる PVT 性質の精密測定および
一連の解析的研究を行った。
(ア) PVT 性質の精密測定
本研究の一連の測定は等容法測定装置、磁気密度計、バーネット装置およ
2-48
び気液界面の消滅の直接観測が可能な臨界定数測定装置を用いて行った。
(イ) 解析的研究
・ 飽和蒸気圧力相関式の開発
HFE-143m、HFE-245mc、HFE-347mcc および HFE-347mmy 純物質に関
して、飽和蒸気圧力相関式を、共通の関数形をもつ相関式として開発した。
・
飽和液体密度相関式の開発
飽和液体密度に関しては、その温度依存性を与える飽和液体密度相関式を、
各純粋冷媒に対して共通の関数系によって表した。開発した相関式は、
HFE-143m 及び HFE-245mc については、臨界点付近を除いた実測値を±
0.3 %以内の密度偏差で再現、HFE-347mcc 及び HFE-347mmy については、
実測値を±0.1 %以内の高精度に再現している。
・ 状態方程式の開発
HFE-143m、HFE-245mc、HFE-347mcc および HFE-347mmy について得
られた熱力学性質に関する一連の実測値に基づき、4 種類の純粋冷媒に関し
て共通の関数系をもつ状態方程式を開発した。
②
輸送物性
HFE-245mc 及び HFE-143m をそれぞれヒートポンプ用冷媒、冷凍機用冷
媒として実用化するために不可欠である気液両相における輸送性質(粘性率
及び総括伝熱係数)の測定を行い、その温度及び圧力の効果についても検討し
た。
(ア) 液相粘性率
HFE-245mc 及び HFE-143m の液相粘性率測定を落体法の一種である落
下円筒法にて行った。開発した相関式の外挿により決定した飽和液体の粘性
率は、本研究の測定温度範囲において CFC-114 よりも約 22%低い値を示す
ことが判明した。ヒートポンプ用冷媒の代替物質としての用途から判断する
と、低粘性率は望ましい結果と考えられる。
(イ) 液相熱伝導率
HFE-245mc の飽和液熱伝導率は、測定温度範囲において CFC-114 よりも
約 7∼11%高い値をとることが判明した。一般に、冷媒の熱伝導率は高い値
であることが要求されており、前述の低粘性率とも併せて評価すれば、輸送
性質に関する限り HFE-245mc がヒートポンプ用冷媒として CFC-114 より
も優れた特性を有するものと判断できる。
2-49
(ウ) 気相熱伝導
非定常細線法(白金線:5 μm)によって、気相域における HFE-143m の熱
伝導率測定した。熱伝導率は圧力の増加に伴い緩やかに増加しており、測定
温度・圧力範囲内では比較対象物質である CFC-12 よりも約 25∼40%高い値
を示すことが明らかになった。HFE-245mc の気相熱伝導率においても、同
様の温度・圧力依存性を確認した。
③
燃焼性
(ア) 可燃性クラスの確認
冷媒候補物質の HFE-143m 及び HFE-245mc は、可燃範囲を有すること
が確認されている。そこで、日本の高圧ガス保安法準拠の方法及び、冷媒の
可燃性について世界的な基準となりつつある ASHRAE の方法により、その
可燃性クラスの確認を行った。結果を表 8-10 に示す。比較として、既存冷
媒の HFC-32 及び HFC-245fa の結果も示す。
2-50
表 8-10 冷媒候補物質の燃焼性
高圧ガス保安法準拠
ASHRAE Standard 準拠
燃焼範囲
燃焼範囲 (100℃) 下限 燃焼熱
取り扱い
Class
下限
上限
下限
上限 (23℃) (推算)
3
vol.% vol.%
vol.% vol.% kg / m kJ / kg
HFE-143m
11.75
22.75
HFE-245mc
−
−
13.1
27.8
−
−
HFC-32
HFC-245fa
可燃性ガス
ではない
可燃性ガス
ではない
可燃性ガス
ではない
可燃性ガス
ではない
10.5
23.5
>0.45
7570
7.5
17.5
>0.50
6330
12.5
28.5
未測定
9400
7.5
10.5
−
8130
2
(微燃)
2
(微燃)
2
(微燃)
2
(微燃)
(イ) 不燃化の検討
冷媒は安全上、不燃であることが有利である。そこで、既存の不燃性冷媒
による可燃性候補物質の不燃化を行うため、混合物の ASHRAE 法による燃
焼範囲を測定し、不燃化のための限界組成を求めた。HFE-143m の不燃化に
必要な不燃性ガスとしての HFC 濃度は 43∼72vol%、HFE-245mc について
は 18∼25vol%である。
④
熱安定性
圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロジェクト)では 80∼
120 ℃での熱安定性試験をシールドガラスチューブ法により実施した。しか
し実際の圧縮機内ではさらに高温になるケースもあり、より高温での耐熱性
の試験が必要である。
そこで、HFE-143m 及び HFE-245mc について、温度を 150 ℃または
175 ℃まで上げて、鉄、銅、ステンレススチール及びアルミニゥムを浸漬し
同様に試験を行った。その結果、両者とも 175℃、30 日で特に問題は無かっ
た。F イオンの微量に検出されたものもあるが、問題のない程度であると考
えられる。
⑤
高分子材料への影響
HFE-143m 及び HFE-245mc の高分子材料への影響を測定し、図 8-7 に示
す結果を得た。シリコンゴム及びフッ素ゴムへの影響が大きいことが分った。
2-51
ポリエチレン
ポリプロピレン
硬質塩ビ
ポリカーボネート
アクリル
66ナイロン
ポリアセタール
PTFE
ニトリルゴム
ブチルゴム
クロロプレンゴム
シリコンゴム
フッ素ゴム
天然ゴム
-5
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
重量変化率 (wt%)
HFE-245mc, 100°C, 5days
HFE-245mc, 50°C, 15days
HFE-143m, 50°C, 15days
図 8-7 冷媒候補化合物の樹脂&エラストマーへの影響
浸漬後、室温に冷却し、取り出し直後に測定
2-52
60
(2)
発泡剤
①
気体の熱伝導率
断熱材に用いる硬質ポリウレタンフォームの発泡剤として必要とされる
性質の中でも気体の熱伝導率は製品となったポリウレタンフォームの断熱
性を大きく左右し重要である。発泡剤として適切な沸点を持つ化合物を中心
に、同心円型定常法および非定常細線法の2種類の方法により、含フッ素直
鎖エーテル系 27、含フッ素環状エーテル系 8、含フッ素ケトン系 2、含フッ
素オレフィン系 3 の合わせて 30 化合物の測定を行った。熱伝導率について
は概ね以下の傾向が見られ、含フッ素エーテル系化合物は発泡剤の有力な候
補となりうることを示唆している。
CFC-11<HCFC-141b<HFE<HFC-245fa,365mfc<シクロペンタン
同心円筒型定常法は本プロジェクトで開発した方法であり、精密なカロリ
ーメーターに円筒状の測定容器を組み合わせて、熱伝導率が既知である標準
気体を用いて検量線を求め、気体試料の熱伝導率を求める方法である。一方、
非定常細線法は、気体試料中に配置した白金細線に一定のジュール熱を供給
して、白金細線の温度上昇の時間変化から試料の熱伝導度を直接測定する方
法である。それぞれの測定結果は非常によく一致し(最大測定間差 3.39%)、
信頼性が確認された。
温度の上昇と共に全ての化合物の熱伝導率は、増加する傾向にあることが
わかる。HFE は塩素を含む CFC や HCFC と比較して熱伝導率は高いが HFC
と比較して低い値を示す傾向は変わらず HFE 系化合物の方が優れていると
考えられる。
② ポリオールとの相溶性
代表的なポリオールと発泡剤を混合して均一となるか不均一となるかを
観測し、溶解性を測定した。使用したポリオールは、G400 > 750ED > 450S
> PE315 の順に溶けやすく、PE315 がもっとも相溶性が低い。G400、750ED、
450S の3種類についていては 40wt%まで、PE315 については 60wt%まで
の相溶性を測定した。
フッ素を持たないエーテルである PrOMe や EtOEt と、シクロペンタンや
n-ペンタンを比較すると、明らかにエーテルの方が相溶性は高い。酸素原子
を含むことにより相溶性が上がっているのではないかと考えられる。中でも
高い相溶性を示す化合物は、酸素原子を挟んで左右の炭素数が違う EtOMe
系、PrOMe 系などの形であり、CHF2-、-CHF-基を含んでいるものがよい効
果をもたらしていると考えられる。
2-53
物性推算を用いた候補化合物探索の成功例として、ポリオール PE-315 へ
の 溶 解 度 推 算 に よ り 、 発 泡 剤 の 候 補 化 合 物 で あ る HFE-236pc
(CHF2CF2OCHF2) が見出されたことが挙げられる 。この溶解度推算には、
モンテカルロ法を用いて得られる分子間相互作用の情報、分子軌道法計算よ
り得られる水素の電荷の最大値、及び液密度と分子体積を入力パラメータと
して選択し、図 8-8 に示すような構造の Neural Network を用いた。推算結
果を図 8-9 に示す。相関、
予測における絶対平均誤差はそれぞれ 5.5、10.1wt%
であり、実験誤差が概ね 5wt%程度あることを考慮すると、溶解性の傾向は
十分予測できていることが分る。
このようにして構築した Neural Network を用い、実際には合成されてお
らず、従って溶解度が実測されていない様々な HFE 構造の溶解度を推算し
た結果、溶解度の高い化合物として HFE-236pc を発泡剤の新たな候補化合
物として選択した。実際に HFE-236pc を合成し、ポリオール PE-315 への
溶解度を測定した結果、予測通り 60wt%以上溶解することが確認され、物性
推算による候補化合物の探索が有効であることが示された。
分子 体 積
液密 度
混合 前 後 の最 安 定 な
分子 間 エネルギー の差
PE-315へ
の溶 解 度
HFE中 の水 素 の電荷 の
最大 値
定数 項
図 8-8 ポリオール PE-315 への溶解度
推算に用いた Neural Network の概略図
Calculated Solubility in PE-315 [wt%]
80
60
40
20
0
-20
-20
0
20
40
60
Observed Solubility in PE-315 [wt%]
図 8-9 ポリオール PE-315 への溶解度推算結果; (○)相関値; (+) 予測値
2-54
80
③ 候補化合物の選定
沸点・気体の熱伝導率・ポリオールとの相溶性の3つ要素が発泡体の物性
に大きく影響を与えると考えられる。また、分子量が小さいほど、発泡時に
必要な発泡剤量が少なくなり経済的に有利である。これらのことより C-O-C、
C-C-O-C、C-C-C-O-C、C-C-O-C-C のパターンの化合物が、発泡剤用途に適
した物性を持つと推測された(表 8-11)。
表 8-11 発泡剤用途の含フッ素エーテル
沸点
熱伝導
率
相溶性
C-O-C
×
−
−
C-C-O-C
◎
○
◎
安定性
毒性
分子量
◎
○
この分
類によ
らない
この分
類によ
らない
C-C-C-O-C
○
○
○
C-C-O-C-C
○
○
△
C-C-C-C-O-C
△
−
△
△
C-C-C-O-C-C
△
−
−
△
○
○
発 泡 剤 候 補 化 合 物 と し て 、 沸 点 は 10 ∼ 50 ℃ 、 気 体 の 熱 伝 導 率 は
13.5mW/m・K 以下、相溶性は 40wt%以上の物性を持つものがよいと考えて
いる。
以上の結果より HFE-254pc,HFE-236pc,HFE-347mcc を発泡剤代替候補
化合物として選定した。
2-55
(3)
洗浄剤
当プロジェクトでは、洗浄剤候補化合物の目標とする物性値として沸点 40
∼120 ℃、蒸発潜熱は 1,1,1-トリクロロエタンと同等以下、表面張力は 30
mN/m 以下としている。これまでにプロジェクトでは、洗浄剤として適切な
沸点を持つと考えられる 64 化合物についての評価を行ってきた。
新規洗浄剤を開発するに当たり、まず汚染物質のモデルとして n-エイコサ
ン、アビエチン酸及びラウリル酸を選び、常温での溶解度測定を行い、一般
の溶剤と比較した。n-エイコサンは油脂の一種であり、アビエチン酸、ラウ
リル酸はフラックスの一成分として使用されている物質である。いくつかの
化合物については、沸点近傍での溶解度の測定も行っている。しかしながら、
含フッ素エーテル、含フッ素ケトンは n-エイコサン、アビエチン酸及び切削
油 G-6050 のいずれもわずかな量しか溶解せず、沸点近傍における溶解度も
従来使用されてきた CFC-113 より低い。含フッ素ケトン 2 化合物について
は、沸点近傍での n-エイコサンに対して任意に相溶するという興味深い溶解
現象を見出したが、この 2 化合物は引火点を有することが明らかになったた
め、候補化合物から除いている。従って含フッ素エーテル、含フッ素ケトン
ともに単独では特殊な場合を除き、HCFC 代替溶剤とは考えにくい。
一方、含フッ素エーテルは一般的な溶剤との共沸組成物を作ることが見出
された。この組成物は一般溶剤が持つ可燃性や大きな表面張力という短所と
含フッ素エーテルの持つ低い溶解度という短所を相互に補完することがで
きるため非常に有用であると考えられる。そこで、いくつかの共沸組成物に
対する n-エイコサン、アビエチン酸及び切削油 G-6050 の溶解度測定を行っ
た。いずれの含フッ素エーテルもアルコール添加により、n-エイコサンの溶
解度はそれほど向上しなかったものの、アビエチン酸、G-6050 の溶解度を
向上することが明らかになった。このような共沸組成物は新たな HCFC 代替
洗浄用溶剤開発の可能性を示している。
以上より、含フッ素エーテルを共沸組成物とすることによりある程度の溶
解度の改善を行うことができることが明らかになったが、含フッ素エーテル
化合物単体では構造による溶解度の差はそれほどなく、全体的に溶解度は小
さいと考えられた。そこで、特に経済的合成面から優れていると考えられる
化合物に着目して、毒性試験、安定性試験などを行い、候補化合物を絞り込
むことにした。安定性の評価は沸点還流試験により行った。代表的な化合物
である含フッ素エーテル 12 化合物、それらに加え含フッ素ケトン 2 化合物、
含フッ素アセタール 1 化合物につき検討したが、いずれの化合物も沸点、表
面張力、蒸発潜熱などは洗浄剤として適しているが、引火点、沸点還流試験
における安定性、毒性データに問題のあるものは候補化合物から除いた。
このようにして、HFE-55-10mec-fc、HFE-458mecf、HFE-54-11mec-f、
2-56
HFE-449mec-f、HFE-347pc-f 及び HFE-347mcf の 6 つの含フッ素エーテル
を溶剤候補化合物として選定した。また、この 6 化合物の中の 5 化合物につ
いては OH ラジカルとの反応速度を測定し、いずれも 10-15 cm3molecule-1s-1 より
大きく、大気寿命に換算して約5年程度と温暖化影響が小さいことが明らか
になった。
4.
安全性の測定・評価
(1) 燃焼性
プロジェクト開始当初は不燃の化合物のみを目標としていたが、欧州にお
いて炭化水素が小型冷蔵庫用として受け入れられるなど状況が大きく変化
して来た。TEWI や LCA の考えにより、難燃性または微燃性の化合物であ
ってもエネルギー効率のよいものが選択される様になりつつある。
①
着火方法および容器形状の影響
新規候補化合物の適正な燃焼性評価のために、燃焼性を表す最も重要な物
性値である燃焼範囲について、正しい測定法の確立を目的として研究を行っ
た。着火方法と容器形状の影響という二つの支配的な因子について調べた結
果、着火方法については交流放電の場合 15kV ネオントランス/電極間隙
7mm/0.15sec、金属線溶断の場合は 0.3mm 径モリブデン線/2.0cm 長/
DC36∼48V 通電、という条件が最適と考えられることがわかった。容器形
状については、円筒型容器において内径と内部高さが不足すると測定値への
悪影響があることが判明した。径としては 20cm 以上、高さとしては 40cm
を越える容器、例えば 30φ×60cm のような容器が適正なデータ取得のため
には必要であることがわかった。一方、暫定的であるが、10φ×40cm の容
器を用いていくつかの新規候補化合物について、ASHRAEの測定法との
比較をしながら燃焼範囲の実測を行った。
②
燃焼性指標
F ナンバーという新しい燃焼性指標を提案した。その値は、分子構造パラ
メータを用いた経験式によって表すことができ、したがって、未知化合物の
燃焼性を予測することができる。他方、化学量論濃度に選択拡散効果の補正
を施すと燃焼の上下限界の幾何平均が求まることが明らかになったが、これ
と F ナンバーを組み合わせることにより、燃焼の上下限界を予測することが
できることが分った。
③
燃焼危険性指標
冷媒等の弱燃性化合物を一般の可燃性物質と区別するために、新しい燃焼
2-57
危険性指標 RF ナンバーを考案して提案を行った。RF ナンバーは、可燃性
ガスによる燃焼爆発危険性の期待値を、発火の確率と発火したときに考えら
れる災害の大きさの積として表したものである。RF ナンバーにより、フッ
素原子を含む新規冷媒等の燃焼危険性が一般の可燃性ガスの危険性と比べ
て小さいことが定量的に示される。ASHRAE 及び ISO の委員会に報告し、
新しい燃焼性のスケールの提案として検討中である。
(2) 毒性の測定・評価
検討する化合物は毒性等のデータは殆ど無く、研究者の安全確保のため一
次試験として急性毒性、変異原性を中心に化合物群の毒性傾向の把握を行っ
た。候補化合物については化審法申請用のデータも整え、2化合物について
は化審法を申請中である。
各一次試験の試験法の概要は次の通りである。
急性経口毒性試験:1 用量当たり雌雄各 5 匹のラットに単回経口投与後、2
週間に亘り一般状態の観察、体重測定を行った後、剖検する。
用量:30 mg/kg, 300 mg/kg, 2,000 mg/kg の 3 段階
急性吸入毒性試験(鼻部):内容積 2Lの鼻部暴露用チャンバーを用いて 4 時
間、単回鼻部吸入暴露すること以外、急性経口毒性試験と同じである。
用量:0.5 mg/L, 2.0 mg/L, 20.0 mg/L の3段階の少なくとも1段階
Ames 試験(液体): 安衛法ガイドライン(昭和 63 年)及び化審法ガイドライン
(昭和 61 年)に基づき、ネズミチフス菌と大腸菌を用い、改良プレインキュベ
ーション法で被験物質の復帰突然変異誘発性を判定する。
また、圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロジェクト)で最終
候補化合物として選定した 3 種の HFE を含む 8 種類の HFE について一次
毒性試験だけでなく、化審法対応のスクリーニング毒性試験の内、染色体異
常試験と 28 日間反復投与毒性試験を追加実施した。その状況は表 8-12 の通
りである(○は圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロジェクト)で
実施済み、□は当プロジェクトで実施)。
2-58
表 8-12
RITE Name
主要候補化合物の毒性試験状況
Ames 試験
染色体異常試験
28 日間反復投与毒
性試験
HFE-245mc
○(気体)
○(気体)
○(鼻部吸入)
□(全身吸入)
HFE-347mcc
○(液体)
□(気体)
□(全身吸入)
HFE-347mmy
HFE-143m
□(気体)
□(気体)
□(全身吸入)
□(気体)
□(気体)
□(全身吸入)
HFE-347pc-f
○(液体)
□(液体)
□(経口、全身吸入)
HFE-449mec-f
□(液体)
□(液体)
□(経口)
HFE-54-11mec-f
□(液体)
□(液体)
□(経口)
HFE-55-10mec-fc
□(液体)
□(液体)
□(経口)
更に、必要に応じて分解性、蓄積性の検討も行い、化審法対応のデータを
整備した。この結果から含フッ素化合物全般についての毒性を論じることは
できないが、現在までの研究では、系統的な含フッ素化合物の毒性は、含フ
ッ素アルコール化合物に見られただけであり、含フッ素エーテルでは低毒性
の化合物が多かった。
冷媒候補化合物の HFE-245mc については全身吸入暴露で、溶剤候補化合
物の HFE-449mec-f については経口投与で、28 日間反復投与による神経毒
性試験を行ったところ、被験物質による神経毒性は無いものと判定された。
なお、本プロジェクトで行った含フッ素化合物の毒性試験の種類別、年度
別試験数は表 8-13 の通りである。
表 8-13
試験項目
急性吸入毒性試験
急性経口毒性試験
28日間反復投与毒性試験(吸入)
28日間反復投与毒性試験(経口)
Ames試験
染色体異常試験
分解度試験
分配係数測定試験
濃縮度試験
合計
年度別毒性試験実施状況
H6 H7 H8
0
3
1
7
9 13
0
0
1
0
0
0
10 7 13
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
17 19 28
2-59
H9 H10 H11 H12 H13 合計
1
4
0
0
0
9
11 13
11
3
1
68
0
2
0
2
0
5
0
0
0
1
4
5
11 12
3
8
2
66
2
2
2
5
2
13
0
0
0
0
2
2
0
0
0
6
2
8
0
0
0
0
1
1
25 33
16
25
14 177
8.2.3 新規候補化合物の温暖化効果等環境影響評価技術研究
候補化合物の環境への影響度を測定・評価し、代替候補としての可能性を
検討する。候補化合物の地球温暖化に対する影響は、化合物の大気中寿命を
測定・推算し、さらに赤外吸収断面積をも併せて考慮した GWP100 年値を
総合的な温暖化指標として用いることが一般的である。本研究では高精度の
大気中寿命測定法の開発と、日本では未開発で従来は評価できなかった
GWP 値の評価を行うために評価モデルの開発を試み、世界的レベルの独自
の GWP 評価モデルを得た。
本研究開発の候補化合物である含フッ素エーテル類等では、赤外吸収断面
積の違いは余り大きくないため、温暖化への影響を比較評価するためには、
大気中寿命の正確な評価・比較が重要となる。また、大気中寿命は評価化合
物の大気中での各除去過程の総和として決められ、その除去速度の大きさか
ら各除去過程の重要度が判断される。
比較的大気寿命の長い化合物の除去過程は大気中の OH ラジカルとの気相
反応による分解過程であることを鑑み、OH ラジカルとの反応速度の実測及
び推算を行った。従来の CFC 等とは異なり、水への溶解も無視できないと
考え、水滴(雲霧雨)中への吸収と反応を検討するとともに、GWP 評価モデル
に大気中の雲等の分布を記述する気象データを取り入れ、独自の改良 GWP
モデルを開発した。更に分解生成物の挙動についても検討した。
(図 8-10)
大気中雲分布
気象データ
気相反応:OH との反応速度・
(測定と推算)
反応生成物
候補化合物
水滴(雲霧雨)中への吸収と反
応:
(pH、金属イオン、過酸化水素、
オゾン)
大気中寿命
固体への吸着と反応:
(エアロゾル、土壌)
光分解:UV 吸収、分解速度、
分解生成物
赤外吸収断面積
図 8-10
GWP 評価モデル開発
2-60
改良 GWP
評価モデル
総合的な大気中の寿命τtotal は、各分解除去過程の速度から算出する大気中
寿命と次に示す式で関係づけられる。ここでτOH は OH ラジカルとの反応に
よる寿命、τwater は水への吸収による寿命、τsolid は固体表面反応による寿
命、τlight は光分解による寿命である。
1
τ total
=
1
τOH
+
1
τwater
+
1
τsolid
+
1
τlight
この式により各除去過程がどの程度総合的な寿命に影響するか見積もるこ
とができる。
1.
新規候補化合物とOHラジカルとの反応速度の測定
OHラジカルとの反応速度の測定には絶対法と相対法がある。各候補化合
物の精製度に応じ、これら両者の測定法を併用して反応速度を測定し、大気
寿命の計算やGWP値の推算の迅速化を図った。
(1) 絶対法による OH ラジカルとの反応速度の測定
絶対法とは測定チャンバーへOHラジカルと相対的に大過剰の被測定試
料を導入し、OHラジカルの濃度変化を測定し、得られた OH ラジカルの濃
度変化から反応速度の絶対値を求める方法である。高精度・高信頼性がある
が不純物の影響を受けやすく試料に高純度が要求され、試料の精製に時間が
かかる。
OH ラジカルと種々の含フッ素化合物との反応速度の測定においては、以
下に示す 5 種類の OH ラジカルの生成法を必要に応じて交互に採用し、それ
ぞれの手法によって得た値が誤差範囲内で一致することを確認しながら測
定を進めることで、測定値の信頼性を高めるように努めた。
① フラッシュフォトリシス法(FP-H2O 法)
② レーザーフォトリシス法(LP-H2O 法)
③ レーザーフォトリシス法(LP-CH4 法)
④ レーザーフォトリシス法(LP-H2O2 法)
⑤ 放電流通法(DF 法)
何れの場合も、OH ラジカルの初濃度に対してフロン代替物等の被測定試料
の濃度が大過剰の擬一次条件下で反応を行った。反応による OH ラジカルの
濃度変化はレーザー誘起蛍光法(LIF 法)で測定し、得られた OH ラジカル
の濃度変化から反応速度の絶対値を求めた。測定温度は、250∼430K の範囲
で行った。
(2) 相対法による新規候補化合物と OH ラジカルとの反応速度測定
相対法とは大型大気化学反応チャンバー(内容積 1 m3、SUS304 製、内壁
2-61
面テフロンコーティング)内に所定濃度の測定物質、参照物質、オゾンと水
を調整し、キセノンショートアークランプと光学フィルターを用いて、
260nm 以上の波長領域で光照射を行い、OH ラジカルを生成させる。生成し
た OH ラジカルとの反応により、測定物質と参照物質は減少する。FTIR ま
たは GC-FID を用いて、測定物質と参照物質の気相濃度の経時変化を測定し、
両者の濃度変化と反応速度定数との関係式から測定物質の反応速度定数を
見積もった。不純物の影響を受けにくいが、誤差の蓄積を防止するため適切
な絶対反応速度既知の標準物質を同時に測定する事が必要である。
相対速度法で得られる反応速度定数の値は、参照物質の OH ラジカルとの
反応速度定数の誤差を含む。一方、絶対速度法と異なり、試料中の不純物に
よる影響が少ないので、kOH が 10-14 以下の遅い反応速度定数の測定に有効
である。実験では、各測定試料に対して、2 種類の参照物質を用いて独立し
た実験を行い、測定結果の比較により信頼性を検証した。
(3) 測定結果
絶対法で 18 個、相対法で 7 個の測定を行った。その内 4 個は同一化合物で
あり測定値は良い一致を示している。測定値の一例を表 8-14 に示す。
表 8-14
含フッ素化合物の OH ラジカルとの反応速度とアレニウスパラメータ例
RITE 名
化合物
HFE-143m
CF3OCH3
HFE-245mc
CF3CF2OCH3
k298×1014
cm3molecule-1s-1
1.19±0.14
∼1.1
A×1012
cm3molecule-1s-1
4.22
1.21±0.09
1.90 −0.61
+0.90
+0.84
2.60 −0.63
E/R
K
1750
方法
相対
絶対
1510±120
絶対
2.24±0.11
0.59±0.05
1.7
1420±90
1700
絶対
相対
0.99±0.04
1.5
1500
相対
0.916±0.040
+0.40
1.49 −0.31
1520±70
絶対
HFE-245pc
HFE-245qc
CHF2CF2OCCH2F
CH2FCF2OCHF2
HFE-347pc-f
CHF2CF2OCH2CF3
HFE-449mec-f
CF3CHFCF2OCH2CF3
0.85±0.03
∼0.7
相対
絶対
HFE-55-10mec-fc
CF3CHFCF2OCH2CF2CHF2
1.10±0.10
∼1
相対
絶対
HFE-54-11mec-f
CF3CHFCF2OCH2CF2CF3
0.82±0.08
相対
HFES-123m
CF3OC(O)H
1.68±0.20
相対
2.
計算化学を用いた新規候補化合物と OH ラジカルとの反応速度推算
候補化合物と OH ラジカルとの反応速度を実験で正確に測定するためには高
2-62
純度の精製試料や大気チャンバー等の大がかりな測定装置が必要となる。し
かし、コンピューターを用いた計算化学的手法では実験コストがかからない
上、実際に合成や精製を行う前に含フッ素化合物の化学構造より反応速度を
推測することができる。このことは、新規候補化合物の開発に大変有益であ
る。そこで、プロジェクトでは以下の2つの計算手法を検討した。
1 厳密法:遷移状態理論に基づいた高精度な分子軌道計算
2 簡便法:分子軌道計算より求めた C-H 結合力等に着目して導き出した相
関式を用いて反応速度を推算する方法
(1)
厳密計算法
遷移状態理論と電子状態理論に基づき反応速度定数を予測する方法につ
いて検討した。新規候補化合物と OH ラジカルの反応は水素の引き抜き反応
であり、その反応速度は遷移状態理論により計算することができる。温度 T
における速度定数 k(T)は、
kT Q ≠
 E 
exp − 0 
k (T )= γ (T )
h Q A QB
 kT 
と表すことができる。ここで QA, QB, Q≠はそれぞれ反応分子 A, B 及び遷移
状態の単位体積あたりの分配関数であり、E0 は遷移状態と始原系(A+B)の零
点エネルギーの差、すなわち活性化エネルギーである。また γ は量子力学的
なトンネル効果であり、この値は Wigner の式で評価した。これらはいずれ
も分子や遷移状態のエネルギー、構造、振動数から計算できる量であり、分
子軌道法計算によって推定することができる。
非経験的分子軌道法は、分子が大きくなると計算に要する資源なども膨大
なものになってくるそのため、必要な計算精度と計算コストのかねあいによ
り、必ずしも十分ではない基底関数系、波動関数で計算することになる。結
果の信頼性は実験で反応速度が決定されている反応系についてある程度広
い範囲の分子種について計算を行い、実測と比較し検証した。反応原系及び
遷移状態につき 6-31G**基底関数系、MP2 波動関数で構造最適化し、振動数
を計算し、分配関数を求めた結果としての反応速度定数は実測値よりほぼ1
桁小さい値となった。その理由として電子相関の効果取り込みが不十分であ
ると考え、MP2 法で得られた分子と遷移状態の構造、振動数などを MP-SAC
法でエネルギーのみを補正した。その結果実測値との一致は格段に向上した。
結果を図 8-11 にまとめた。
2-63
-12
-13
log kobs
-14
-15
-16
MP2
MP-SAC2
-17
-18
-18
-17
-16
-15
-14
-13
-12
log kcalc
図8-11 OHラジカルとの反応速度定数
MP-SAC2 法に基づく反応速度定数(logk)の推定精度は比較した 23 分子種
から推定すると 2σで 0.43 である。このことは、反応速度定数の計算値を
kcalc として、反応速度の真の値がおよそ 3kcalc∼1/3kcalc の範囲にあることを
意味する。
(2)
簡便計算法
厳密法では計算時間の問題により、扱う分子の大きさに限度があるため、
量子化学計算によって比較的容易に求めることができる反応原系や生成系
の物理量(最高被占軌道(HOMO)のエネルギーレベル、chemical potential 、
hardness や水素原子引き抜き反応における反応エンタルピーもしくは C-H
結合エンタルピー(bond dissociation enthalpy, BDE D0298 K ))を用いて OH
ラジカルによる水素引き抜き反応の速度を予測・推算することを検討した。
エーテル系化合物について水素引き抜き反応の反応速度の予測を試みた結
果を表 8-15 に示す。予測値と報告されている実測値との整合性はほぼ妥当
なものである。
2-64
表 8-15
ハロエーテル化合物の C-H 結合エネルギーと
水素引き抜き反応の反応速度予測値
calc.
BDE
(kcal/mol)
Expt.
k (298 K)
(cm3 molecule-1 s-1)
Predicted
k (298 K)
(cm3 molecule-1 s-1)
CH3OCH3
95.7
2.86E-12
1.92E-12
CH3OCH2F
CH3OCH2F
97.4
97.9
1.57E-13
1.56E-13
100.6
97.8
3.13E-13
5.58E-15
1.69E-13
molecule a
CH3OCHF2
CH3OCHF2
CF3OCH3
100.7
3.5E-14
1.2E-14
1.75E-13
1.54E-14
CF3OCHF2
103.5
4.1E-16
5.08E-16
CHF2OCHF2
103.4
2.3E-15
1.10E-15
CH3OCF2CHF2
CH3OCF2CHF2
101.8
100.5
2.46E-15
1.82E-14
2.24E-14
103.4
98.9
2.06E-14
5.52E-16
4.55E-14
CF3CF2OCH3
100.9
1.21E-14
4.60E-14
1.31E-14
CF3CF2CF2OCH3
101.1
1.18E-14
1.11E-14
(CF3)2CFOCH3
99.8
1.52E-14
3.24E-14
CH3OCF2CHFCl
CH3OCF2CHFCl
98.8
100.6
CF3CH2OCHF2
CF3CH2OCHF2
7.83E-15
1.67E-14
3.76E-14
a 斜体は考慮する
2.46E-14
C-H 結合の位置を示す
(3) 簡便法による候補化合物の気相分解生成物である含フッ素ぎ酸エステ
ルと OH ラジカルとの反応速度推算
候補化合物 HFE-245mc 等のペルフルオロメチルエーテルの主な分解中間
生成物が含フッ素ぎ酸エステルであることが実験より確認されている。また
これらの含フッ素ぎ酸エステルの大気寿命(τOH )が比較的長いことが実験的
に予想されている。そこで、簡便法を用いて、パーフルオロアルキル基を持
つ含フッ素ぎ酸エステル、及びアルキル基に水素を1つ含む含フッ素ぎ酸エ
ステルの OH ラジカル反応速度(kOH)を推算した。推算結果を表 8-16 に示す。
含フッ素ぎ酸エステル間で C-H 結合エンタルピーBDE に有意な差がないた
め、いずれの化合物も OH ラジカルとの反応による大気寿命は 2 年前後であ
ると予測された。
2-65
表 8-16
含フッ素蟻酸エステルの反応速度推算結果
Formate
CF3OC(O)H
C2F5OC(O)H
C3F7OC(O)H
C4F9OC(O)H
CHF2OC(O)H
CHF2CF2OC(O)H
Eact
syn anti
2.4 1.9
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
1.9
1.9
1.9
1.8
1.9
CF3CHFOC(O)H
2.5
1.7
CHF2CF2CF2OC(O)H
2.4
1.9
CF3CHFCF2OC(O)H
CF3CF2CHFOC(O)H
2.3
2.5
1.9
1.8
syn
k OH
anti
Total
1.7×10-14
3.0×10-14
2.0×10-14
1.7
1.7×10
-14
3.0×10
-14
2.1×10
-14
1.6
1.7×10
-14
3.0×10
-14
2.1×10
-14
1.6
1.7×10
-14
3.0×10
-14
2.1×10
-14
1.6
1.7×10
-14
3.5×10
-14
1.7×10
-14
2.0
1.7×10
-14
3.0×10
-14
2.2×10
-14
1.5
1.4×10
-14
4.2×10
-14
1.4×10
-14
2.4
1.7×10
-14
3.0×10
-14
2.3×10
-14
1.5
2.0×10
-14
3.0×10
-14
2.5×10
-14
1.3
1.4×10
-14
3.5×10
-14
1.4×10
-14
2.4
τ OH
Eact [kcal/mol]; kOH [cm3 molecule-1 s-1]; τOH [year]
3.
環境からの除去過程の研究
環境からの除去過程を以下の4つの視点から検討した。光分解については
含フッ素エーテル化合物の除去には寄与が薄いが、含フッ素ケトンでは有意
な分解除去過程となる。また、エーテル化合物の気相分解生成物である蟻酸
パーフルオロエステル化合物は水(雲等)により有意に除去される。一方、
固体粒子による除去は大気中では OH ラジカルとの反応に比べると寄与は少
ない。気相分解において含フッ素エーテルは分岐比1で含フッ素ぎ酸エステ
ルに変換され、最終的に CO2 と COF2 に変換される。COF2 は雲等への溶け
込みにより、数週間の大気寿命を持つため全体の大気寿命への寄与はない。
また中間分解生成物の含フッ素ぎ酸エステルも水(雲等)の溶け込みより優
位に除去されることが分った。
(1)
光分解
新規候補化合物である、一連のメチルパーフルオロケトン類の対流圏にお
ける光分解による寿命を推定するために、光路長 0.95 m の試料セルを用い、
光吸収断面積を室温で測定した。さらに、内容積 1m3 の大型反応チャンバー
により、CH3C(O)CF2CF2CF2CF3 について、260nm 以上の連続光に対する
光分解の量子収率を測定した。
太陽光強度は、場所、天気、時間などにより異なるが、天頂角 40°、晴天
の場合の太陽光強度を用いて、光分解速度の上限(光分解の量子収率1の場
2-66
合)を見積もると、吸収断面積の一番小さな CH3C(O)CF(CF3)2 で 13 h と計
算された。この計算結果は、光分解がこれらフルオロケトンの有意な大気中
除去機構となる可能性を示している。対流圏上空に相当する気圧 100 Torr
付近では、量子収率Φ = 0.1 より、CH3C(O)CF2CF2CF2CF3 の光分解による
大気寿命は、温度依存性がない場合に、6 日以下程度(仮定した太陽光強度
が 1 日の 3 分の 1 の間得られると仮定)と計算された。これよりメチルパー
フルオロケトン類については光分解が主要な除去過程になることがわかっ
た。
(2)
水の関わる除去過程
雲への溶解など水の関わる除去過程は、新規候補化合物よりも、その大気
中分解生成物の大気中除去過程として重要である。ヒドロフルオロカーボン
類などの大気中分解生成物である、カルボニルフルオライド(COF2)などの酸
フルオライドは、OH ラジカルとの反応性は低いが、雲に溶解し加水分解さ
れることにより、数週間の大気寿命となることが知られている。新規候補化
合物であるフルオロエーテル類では、酸フルオライドに加えて、大気中分解
生成物としてフルオロエステルを生成する。候補品である HFE の大気中分
解生成物である含フッ素ぎ酸エステルは、数年以上の大気寿命をもつと推定
されており、雲等への溶解による除去過程の有意性の有無が HFE の 2 次環
境影響評価に大きく影響を与える。そのため、大気寿命を推定するために必
要なヘンリー定数 H、加水分解速度定数 khyd の測定手法を開発し、類似化合
物 CH3OC(O)CF3 について測定を行った。また、C2F5OC(O)H の加水分解生
成物を測定した。
CH3OC(O)CF3 は 298K で H が 1.90 M atom-1 で khyd の上限が 1.84 s-1 と
測定され、これより雲への溶解による大気寿命は数週間と計算された。この
結果より、C2F5OC(O)H の加水分解速度も同様に速いことが推測され、大気
中中間生生成物である含フッ素エステルは雲等により優先的に大気中より
除去されることが示唆された。従って中間生成物の水による除去は全体の大
気寿命に有意に働くと思われる。また、RfOMe 型のエーテルは加水分解を
起こしペルフルオロ酢酸が生成することが分った。
(3)
固体粒子の関わる大気中除去過程
土壌など固体粒子の関わる大気中除去過程は、大気成分と土壌等の接触す
る機会が小さいため、反応速度が速い場合でも、気相の輸送過程が律速とな
り、大気寿命が数ヶ月以下の揮発性炭化水素等については、多くの場合有意
な大気中除去過程となりえない。それに対して、新規候補化合物の場合、そ
2-67
の大気寿命は従来の HFC 類に比較して短いものの、数年以上である。その
ため、固体粒子上の反応が大気中除去過程として有意になる可能性がある。
そこで、土壌やダストなどの成分である、粘土鉱物及び金属酸化物上の反応
を検討した。
結果として、サハラ砂漠など高温の乾燥地帯の地表面で、本実験で多くの
粘土鉱物が示したものと同程度の活性をもつ粘土鉱物が数 ppm 程度砂漠に
存在すれば、これらの反応は有意な除去機構になる可能性がある。しかし、
現実の寄与は殆ど無視しても良い。
(4) 気相分解生成物
新規候補化合物である一連のメチルペルフルオロエーテル類について、大
気中分解生成物の環境への影響評価(二次環境影響評価)のために、これら
化合物の主要な大気中除去過程である OH ラジカルとの気相反応生成物を調
べ、分解反応の分岐比等を求めた。
その結果、一連のフルオロエーテル類が、OH との反応により、分岐比1
で含フッ素ぎ酸エステルに変換することがわかった。含フッ素ぎ酸エステル
の OH との反応は比較的遅く(大気寿命数年以上)、その大気化学反応性を
検討することが、温暖化等への HFE 化合物の2次環境影響評価として重要
であることがわかった。含フッ素ぎ酸エステルは、エステル構造をもつこと
から、雲等への溶解過程が大気中除去過程として重要になる可能性があると
推定された。含フッ素ぎ酸エステルの OH による酸化反応が進む場合には、
CO2 と酸フルオライド(COF2 及び CmF2m+1C(O)F)が生成する。酸フルオ
ライドは、OH との反応性は低いが、雲等への溶解により数週間の大気寿命
で除去される。そのため、温暖化への影響は小さいが、一方、その加水分解
生成物の反応性等の検討が今後の課題である。
4.
GWP 推算プログラム開発
これまで冷媒等として広く利用されてきたフロン類に対しては、強力な赤
外線吸収能力があることがら地球温暖化への影響が懸念されてきた。そのた
め、新規に開発されたエーテル系化合物などの物質についても、それらが大
気中に放出された場合の気候影響を事前に予測することが重要となる。本プ
ロジェクトでは、温室効果気体としての寄与率を相対的に表すとされる地球
温暖化係数(GWP : Global Warming Potential)を予測計算するための手法
の確立と、新規開発された化合物について実際に測定された物性値を基に、
具体的な GWP 値の計算を行うことを目標とする。また、これらの新規化合
物が大気中に放出された場合、その化合物自身とそれらの分解生成物が大気
2-68
中でどのような濃度分布をするのかを予測するための数値計算モデルを開
発し、具体的な濃度予測を行うことも目標とする。
これまで各種物質の GWP 計算が、世界の多くの研究者により行われてき
た。しかし、そのほとんどにおいて、計算に使用されたモデルの中身や具体
的な設定条件が明らかにされておらず、他の研究者が同じ計算を試みようと
しても、ほとんど不可能であった。そのため、本プロジェクトでは誰でも再
計算が可能なよう、計算精度を保ちつつ、可能な限りシンプルなモデルを開
発し、かつ、各種設定条件を明確にすることを目指した。
GWP の定義そのものは、IPCC (Intergovernmental Panel on Climate
Change) における規定に従った。具体的なモデルや設定条件は以下のとおり
である。
・赤外吸収データ:実測値
・瞬時放射強制力計算に用いる大気モデル:中緯度夏モデル、U.S. Standard
・バックグラウンド大気の赤外放射吸収計算:LBLRTM
・仮定する大気中雲量:ゼロ
・対流圏濃度分布:濃度一様と仮定
・成層圏濃度分布:2次元光化学反応モデルで計算されたスケールハイト(濃
度が 1/e になる高度)で規定
・仮定する積算濃度:(物質鉛直積算量)/(空気分子鉛直積算量)=1ppb で規
定
・大気中寿命:メチルクロロフォルムの大気中寿命と OH ラジカルとの反応
係数を基準としたスケーリング法。
・OH 反応係数:実測値
開発される新規化合物の大気中寿命のほとんどが数年のオーダーにあり、
実際の大気中では経度方向に十分混合されていると考えられることから、本
プロジェクトでは緯度-高度方向についての2次元光化学反応モデルを開発
した。このモデルは、大きく分けて光化学反応計算部と輸送計算部の2つの
主要部分からなる。前者については、米国ジェット推進研究所から出されて
いる光化学反応データベース(1999 年版)を基に計算を行った。新規化合物
の OH ラジカルとの反応係数については、実測された値を使用したが、対流
圏における OH ラジカルそのものの濃度分布については、雲による紫外線の
多重散乱計算など、非常に複雑な計算を要するため、これらの計算結果をパ
ラメタライズして一般に提供されているハーバード大学のデータベースを
使用した。
輸送計算部については、成層圏輸送計算部と対流圏輸送計算部に分けられ
る。このうち、成層圏については、各種人工衛星データに基づく放射計算結
果から2次元輸送パラメータを求める残差循環計算手法を用いた。また、対
2-69
流圏については、Plamb and Mahlman (1987) による3次元輸送パラメタラ
イズ手法を NIRE-CTM による輸送計算結果に適用することで、2次元輸送
パラメータを求めた。これら独立に求められた成層圏と対流圏における輸送
パラメータを、流線関数の連続性などを考慮して結合し、地上から高度約
60km までの連続した2次元輸送パラメータを作成し、データベース化して
実際の物質輸送計算を実施した。
通常、光化学反応モデルなどの計算精度を評価するためには、基準となる
トレーサー物質濃度について観測値との比較が行われるが、本プロジェクト
においては、このような検証が十分行われ、また、2次元モデルとしては世
界の先駆的な役割を果たしてきた米国AER社のモデルによる計算結果と
の比較を行うことで、間接的に計算結果の信頼度を確保することとした。具
体的には、季節ごとの光化学反応係数の比較、トレーサー物質濃度とラジカ
ル濃度の比較などを行った。また、対流圏においてはラドンを、また、成層
圏においては SF6 を用いて、物質濃度の比較から輸送パラメータのチューニ
ングを行った。成層圏においては、物質輸送履歴の指標となる Age spectrum
の計算値の比較も行った。
表 8-17 には、いくつかの候補品化合物について、実測された OH との反
応係数値を用いて計算された GWP 値を示す。これらの結果は、HOMO エ
ネルギー値から OH との反応係数を推定して求めた GWP 値と比べると、瞬
時放射強制力の値はほとんど変わらないものの、大気寿命が短く算定された
ために、最終的な GWP 値として数分の一の大きさにとして算定されている。
また、GWP 値の絶対値としては、HFC-134a などの既存物質と比較して、
数分の一程度の大きさであると結論することができる。
表 8-17
エーテル系候補化合物の GWP 値
GWP
RITE 名
化学式
(20)
(100)
(500)
HFE245mc
CH3OCF2CF3
1900
590
190
HFE347mcc
CH3OCF2CF2CF3
1600
470
150
HFE347mmy
CH3OCF(CF3)2
1100
340
100
HFE143m
CF3OCH3
2200
680
210
HFE254pc
CHF2CF2OCH3
1100
330
100
HFE347mcf
CF3CF2CH2OCHF2
2400
730
230
HFE347pc-f
CHF2CF2OCH2CF3
2800
870
270
環境関連の研究の集大成として当プロジェクトで得られた候補化合物のG
2-70
WP値および絶対法により測定された反応速度定数値はそれぞれ、2001 年の
IPCCのデータ集(Climate Change 2001, The Scientific Basis)に採用
された。
2-71
8.2.4 実用化試験・総合評価
1.
冷媒実用化予備試験
「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発(旧プロジェクト)」で候補化
合物選定がほぼ終了し、HFE-347mcc、HFE-347mmy 及び HFE-245mc
が冷媒候補として選出された。当プロジェクトではその中の HFE-245mc に
絞って実用化予備試験を実施した。
また、微燃性の HFE-143m についても見直しを行い、性能評価を実施し
た 。
(1)
HFE-245mc 関連
先ず、冷媒の単体の安定性を確認するために無給油圧縮機を用いた 500 時
間の連続運転により冷媒のみの安定性試験、及び圧縮機主要材料の浸漬試験、
潤滑油の選定及び二相分離試験等を行い、通常の圧縮機、モータ材料及び
HFC 用の標準のポリオールエステル(POE)油が使用可能である事を確認し
た。次いで潤滑油使用の汎用圧縮機を用いたヒートポンプの冷媒としての性
能評価を行い、CFC-114 と同等の性能を確認した。次いで、ヒートポンプサ
イクル実証試験機により、約 8000 時間の連続運転の実績を得た。引き続き、
貯湯式給湯機における実用的な冷媒性能評価を実施し、炭酸ガス使用のヒー
トポンプに比し、やや低い COP ながら低圧で使用しやすい冷媒であること
が確認された。現在圧縮機の選定など COP 向上の検討を実行中である。機
器メーカーからは HFE-245mc を使用した機器開発の意向が表明され、冷媒
供給体制の検討も行っている。別途、廃熱回収用ヒートポンプや貯湯式給湯
機等の市場調査も実施し、潜在的な需要の存在と今後の課題等を確認した。
(2) HFE-143m 関連
候 補 化 合 物 で 微 燃 性 冷 媒 に つ い て の 見 直 し を 行 い 、 CFC-12 及 び
HFC-134a の代替として使用可能な HFE-143m につき冷媒としての評価を
行った。更に、日本電機工業会において HFC-134a 用電気冷蔵庫へのドロッ
プイン試験を実施し、HFC-134a とほぼ同等の効率を発揮する見込みである
事を確認した。
(3) ヒートパイプ関連
電子機器の放熱・冷却に注目されているヒートパイプ用作動流体には、現
在、用途によっては HCFC が使用されており、HFE 類がこれに代替する性
能を有することが確認できた。アルミニウム製のキャピラリーでは腐食の点
2-72
から、自励発振式キャピラリーでも低表面張力が必要で、水は好ましくなく、
現在 HCFC が使用されており、その代替品が望まれている。現在光通信用の
機器への応用につき大手電子機器メーカーで検討を進める事になり進行中
である。
2.
発泡剤の実用化予備試験
(1) ポリオールと候補発泡剤の相溶性
ポリウレタンフォームの断熱性は、発泡剤の気体の熱伝導率とポリウレタ
ンフォームの発泡状況、特にセルの均一性、緻密性に依存する。一般に、硬
質ポリウレタンフォームはポリオール、発泡剤、水、触媒及び添加剤(整泡
剤、界面活性剤、安定剤等)の混合物からなるシステム液と、イソシアネー
トを発泡直前に混合して製造される。ポリオールと発泡剤の相溶性が低いと、
システム液のハンドリングが悪く、また、ポリオールと発泡剤が2相分離し
ていると均一な発泡が困難になる。
そこで先ず、代表的なポリオールと候補発泡剤の相溶性を測定した結果、
HFE、HFC、HC を比較した場合、酸素原子の有無とその結合位置、フッ素
原子の数とその結合位置により、相溶性に違いが生じることが判明した。
このような知見をもとに HFE-254pc,HFE-236pc,HFE-347mcc を発泡剤
代替候補化合物として選定した。
(2)
ハンド発泡による評価
一般的な電気冷蔵庫用を想定し、シクロペンタン発泡高性能・低熱伝導率
処方をもとに、先ず、発泡剤とポリオールの相溶性試験を行い、相溶性の低
い発泡剤については、界面活性剤の添加、PPG の一部変更等を行い、相溶性
向上を図った。
フリー発泡フォーム密度(フリー密度)が一定になるように、即ち、発泡
倍率が一定になるように発泡剤添加量を調整し、膠質(ゲル)化時間とコア
密度をそろえて発泡させた。
得られたフリー発泡体の外観(セルの均一性、緻密性、肌荒れ)と熱伝導率
の測定値によりマシン発泡試験用候補化合物を選定した。熱伝導率はシクロ
ペンタンより小さく、良好な結果が得られた。
(3) 高圧発泡機による評価
HFE-254pc 改良処方は高圧発泡機による成形でもハンド発泡と同様、シ
クロペンタン低熱伝導率処方と比較して極めて良好な熱伝導率、フォーム外
観を示した。 HFE-254pc は電気冷蔵庫等で使用される硬質ウレタンフォー
2-73
ムの発泡剤として、極めて有力な候補である事が明らかとなった。
3.
洗浄剤の実用化予備試験
(1) 洗浄剤の実用化予備試験の経緯
含フッ素エーテル、含フッ素ケトンの油やフラックスの溶解度測定の結果
から、これらの化合物単体では洗浄に利用できるほどの溶解力が期待できな
いことが明らかになった。溶解度の改善を目的として、含フッ素エーテルと
汎用溶剤の2液気液平衡測定を行い、数多くの含フッ素エーテルと汎用溶剤
との共沸組成物を見出した。このような共沸組成物は、純物質として扱うこ
とができるため、洗浄時に安定した組成を保つことができる他、汎用溶剤と
の組成物であるため含フッ素エーテルの溶解度の向上が可能である有用な
組成物である。このような共沸組成物は、軽微な汚れに対する洗浄、仕上げ
工程に利用可能であると考えられ、含フッ素エーテルを用いた洗浄の一つと
して期待される。
含フッ素エーテルの構造による溶解力の差が小さいことが明らかとなっ
たので、合成面で経済的に優れた含フッ素エーテルの評価を行い、6 化合物
を洗浄剤候補化合物として絞り込んだ。
しかし、これらの 6 化合物についても同様に油やフラックスなどの溶解力
は小さいので、油やフラックスの洗浄といった CFC や HCFC で可能であっ
た洗浄工程とは異なる新規洗浄剤特有の洗浄工程の開発が求められる。表面
張力の小さいこと、比重の重いことを活用した精密洗浄用の水切り乾燥を検
討した。また、溶解度の温度勾配が高いことを見出し炭化水素系洗浄剤のす
すぎ洗浄試験も実施した。
(2) HFE とアルコールの組成物を用いた水切り乾燥試験
つくば分室で、ガラスビーズを用いた付着水除去試験による水切り剤のス
クリーニング試験を行い、成績の良かった水切り剤組成物を用いて日本産業
洗浄協議会に再委託し数種の被洗浄物について小型洗浄装置による実証試
験を行い、市販品と同等以上の性能があることを確認した。
次に、携帯電話用部品を被洗浄物とした連続水切り乾燥試験を行い、実用
化レベルでの性能評価を行った。被洗物からの持ち込み水の混入によるアル
コール濃度低下を補い、アルコール濃度を一定に管理すれば、連続処理にお
いても高い乾燥性を維持できることが分った。
(3) 炭化水素系洗浄剤のすすぎ洗浄試験
HFE を炭化水素系洗浄剤のすすぎ洗浄に用いる場合、HFE に対する炭化
2-74
水素系洗浄剤の溶解度の温度依存性が重要である。そこで、様々な HFE に
対する n-デカン(日鉱石油製 NS クリーン 100 の成分)の溶解度の測定を行
い、使用温度領域での低高温で炭化水素の溶解度の差が大きいものを見出し、
炭化水素系洗浄剤のすすぎ剤として効果的であると判断して実用化の検討
を行った。高温のすすぎ槽で被洗物に残存する炭化水素洗浄剤を HFE に溶
解し、低温の分離槽で炭化水素を分離浮上させて連続的に炭化水素洗浄剤の
すすぎが行われる。日本産業洗浄協議会の静岡分室における小型連続試験装
置による実証試験でも性能を確認することができた。
4.
その他用途
(1) 半導体用エッチングガス
平成8年に EIAJ(日本電子機械工業会)より当プロジェクトの化合物の
提供依頼があり、試料提供と評価の実施と云う関係で HFE 等の半導体エッ
チング/クリーニングガスとしての検討が始まりその有用性が認められた。
その結果等は「CVD プロジェクト」に受け継がれている。
(2) 消火剤
平成10年に上智大学に再委託して一連の含フッ素化合物の消火性能を
検討した。その結果 CF3CHFOCF3(HFE-227me)は爆発限界もなく、現在実
用化されている FM200 や HFC-23 と同等以上の消火能力を有すると結論さ
れた。消炎組成を測定しないと実用性は明確に出来ないが、可能性は見いだ
せた。
2-75
9. 情勢変化への対応
1994 年、本プロジェクトを開始した時点で、オゾン層破壊物質の有力な代
替化合物として検討されていた HFC の地球温暖化効果に対する影響が懸念
され始めており、将来的には HFC 使用に関しても何らかの制限が加えられ
る可能性が予見された。プロジェクト開始後の 1997 年 12 月に京都で行われ
た第3回気候変動枠組み条約締約国会合(COP3)、1998 年 11 月にブエノス
アイレスで開催された COP4 等において、地球温暖化抑制の為に、先進国に
対して温室効果ガスの排出量削減目標が設定され、温室効果ガスとして
HCFC の代替物質である HFC が含まれることとなった。
本研究開発においては、当初、開発代替物質の実用化時期について、2010
年に一部実用化、本格的な実用化は HCFC 全廃時期に設定されている 2020
年を見込んでいた。しかしながら、近年、部分的ではあるがフロン代替冷媒
候補、洗浄剤候補が国内外から提案され始めた事情を鑑み、当プロジェクト
開発の代替候補物質も早期に市場に提案し、競合の中で性能面での優位性を
主張しつつ用途を拡大する必要があるものと判断した。こうした観点から、
当プロジェクト開発の候補化合物で、量産化に対して特に障害が無いと思わ
れる、2,3 の有望な HFE 化合物については、限られた用途ではあるが実用化
想定時期を 2005 年に前倒しし、本格的な実用化も 2010 年を目途とした。実
用化想定時期を 5 年および 10 年前倒ししたことに伴い、本研究開発におけ
る重点を、より実用化研究へシフトさせ、早期実用化を図ることとした。
9.1
中間評価への対応
平成9年度に産業技術審議会評価部会のもとに設置されたエネルギー使
用合理化新規冷媒等研究開発評価委員会による中間評価が実施された。本中
間評価における指摘事項と、これを斟酌し中間評価後の新たな研究開発実施
体制として対応した諸点につき、以下に述べる。
中間評価において、予定の探索範囲を調査するためには当時の研究体制で
は適正規模を下回ることが案じられ、組織の強化や探索範囲の重点化などを
図ることが不可欠、との指摘が為された。この指摘を受けて、主にプロジェ
クトの基礎的な部分を充実させる目的で候補化合物の物性評価・物性推算に
関する大学への研究再委託を拡充し、従来の2大学・研究室から最終的には
8大学・研究室に拡大した。
2-76
また、中間評価時には、洗浄剤の代替候補については、まだ予備試験の段
階であり、研究開発計画より遅れており、研究の大幅な加速が必要であると
の指摘も為された。そこで、洗浄分野で各企業の連絡・代表団体である日本
産業洗浄協議会に実用評価を委託することとし、実際に日本産業洗浄協議会
の参加企業である島田理化工業に日本産業洗浄協議会静岡分室を置いて実
用試験を再委託研究により実施した。
既に実用化試験を通じて有望性が確認できた高沸点冷媒の代替候補につ
いては、直接の競合技術である CO2 冷媒を使用した蓄熱式ヒートポンプ式給
湯機の製造会社に実証試験を外注することによってドロップイン試験を実
施し、CO2 冷媒と同一条件での比較試験も実施した。更に低沸点冷媒の代替
候補についても実用化試験を実施するため、日本電機工業会(JEMA)に実
用評価を外注し、冷蔵庫用冷媒試験を実施した。
各種化合物の基本物性値や GWP 値、安全性試験などのデータは有意義で
あると同時に、学術的にも優れた業績であり、代替候補化合物のデータベー
スと物性推算システムについては、今後公開を積極的に進めることが望まし
い、との指摘が中間評価において為されている。本プロジェクトにおいては
熱物性推算システム THEDYNA を従来の MS-DOS から MS-Windows 上で
動作するシステムに改め、操作性や得られた結果の共有、二次利用を大幅に
改善させた。また代替候補化合物のデータベースも独立行政法人産業技術総
合研究所フッ素系等温暖化物質対策テクノロジー研究センターのサーバー
に置き、外部からの検索・利用を促進すべく公開することとした。
2-77
10. 今後の事業の方向性
経済省製造産業局オゾン層保護等推進室は平成14年度より、「省エネル
ギーフロン代替物質合成技術開発」プロジェクト(5ヵ年)を立案、予算要
求を行っている。「省エネルギーフロン代替物質合成技術開発」プロジェク
トでは、環境影響の少ないフロン代替物質の合成法についてエネルギー効率
ならびにグリーンケミストリーの観点から検討を加え、優れた合成技術の開
発を行うことを主目的としている。
後続プロジェクトにおいては、地球温暖化対策の徹底を前提に、新規反応
に基づく低環境負荷型の代替物質製造技術の開発を通して、製造工程におけ
るエネルギー消費と各代替物の温暖化効果を総合的に勘案した、真の意味で
の環境負荷の低い未来型代替物の開発を促進することで、長期にわたる持続
可能社会の構築に資することを目指す。
2-78
付表 8-1
事業全体の成果
代替方法の現状調査及び新規候補化合物設計研究
研究開発項目
成 果 の 概 要
1 代替方法の現状調査及び新規候
補化合物設計研究
1-1 代替方法の現状調査
冷媒、発泡剤、洗浄剤の各分野で調査した結果、現状では以下のフロン代替物質が使用或いは検討されていることが判明した。
(1)冷媒
代替物質
HCFC
HFC
炭化水素
HCFC-22
HFC-134a
R410A(HFC-32/HFC-125)
R407C(HFC-32/HFC-125/HFC-134a)
n-ブタン / i−ブタン
CO 2
用途
外国
小型電気冷蔵庫(欧州)
米国では使用予定なし
カーエアコンに検討
NH 3
代替物質
HCFC
HFC
炭化水素
HCFC-141b、HCFC-142b
HFC-245fa
HFC-365mfc
ペンタン、シクロペンタン
(3)洗浄剤
代替物質
新規充填2010年まで、2020年全廃
2成分系
3成分系
強燃性である
蓄熱式給湯器実用化開始 高圧である
弱燃性、毒性あり 日本では少ない
用途
外国
国内
備考
(日本)141bは2004年、142bは2010年
全廃予定 (米国)2003年全廃
2002年に工場稼働か?(GE)
断熱フォーム用発泡剤に検討中
(ソルベイ)
断熱フォーム用発泡剤に検討中
米国では使用予定なし 電気冷蔵庫断熱フォーム用 強燃性である
断熱フォーム用発泡剤
用途
外国
国内
備考
2020年全廃
精密洗浄用
商品名:バートレル(DuPont)
精密洗浄・置換乾燥用
HFC
Cyclic HFC-447cce (ヘプタフルオロシクロペンタン)
精密洗浄・置換乾燥用
商品名:ゼオローラH(日本ゼオン)
商品名:HFE-7100(3M)
HFE-449mccc
HFE
精密洗浄・置換乾燥用
*
脱脂洗浄用
可燃性
炭化水素 (ケロシン等)
*
この用途には水系洗浄剤が多用されている。
研究開発支援用データベースを作成し、研究開発に活用した。また、平成9年度中間評価を踏まえ、データベースを公開しインターネット上から検索可能とした。
収録化合物
約 3,500件 スペクトル
約 70件
研究開発支援用
データベース
約 580件 試薬カタログ
約 670件
合成
約 1,300件
約 140件 気液平衡
毒性
**
約 600件 **著作権を考慮し当プロジェクト独自データを中心に厳選した。
収録化合物
公開用データベース
HCFC
1-2 データベースの作成
実質不使用
冷凍倉庫/製氷工場
(2)発泡剤
備考
国内
エアコン
カーエアコン/電気冷蔵庫
ルームエアコン
パッケージエアコン
備考
1-3 新規候補化合物の設計研究 (1)設計研究
HCFC-225
HFC-43-10mee
候補化合物を設計・合成するための指標を得るため、以下の物性推算法を作成し、既存の方法よりも精度の高い推算法を開発した。
推算手法
項目
項目
推算手法
純物質
⑫ 臨界温度
階層型Neural Network法
① 沸点
階層型Neural Network法
⑬ 臨界圧力
同上
同上
② 密度
⑭ 臨界体積
同上
③ 熱容量
原子団寄与法(重回帰分析
⑮ 偏心因子
同上
同上
④ 液体の熱伝導率
① 溶解度
混合系
同上
⑤ SP値(溶解度パラメータ)
階層型Neural Network法
同上
⑥ 表面張力
及びモンテカルロ法
⑦ 誘電率
同上
② 気液平衡
階層型Neural Network法
(活量係数、混合則)
⑧ 生成エンタルピー
同上
同上
⑨ ギブスエネルギー
同上
⑩ 屈折率
同上
⑪ KB(カウリブタノール)値
(2)熱物性推算システム(THEDYNA)
THEDYNAは化合物の物性を推算し、各種線図を作成、理論的サイクル計算を行うために新世代冷媒プロジェクトにおいて開発した、MS-DOS上で動作する熱物性推算システムである。
本プロジェクトにおいては、他成分系の取り扱いを可能にするなど性能向上を図るとともに32ビット化し、MS-Windowsに対応させた。海外での活用も図るため英語化を実施。
2-79
付表 8-2 事業全体の成果
新規化合物の合成及び物性、安全性等の評価
2 新規化合物の合成及び物性、安
全性等評価
2-1 新規候補化合物の合成
本プロジェクトでは含フッ素エーテル、含フッ素ケトン、含フッ素オレフィン等、総計78候補物質を合成し、合成法特許及び用途特許併せて41件の特許出願を行った。
報告年度**
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
合計
8(6)
4(2)
1(1)
2
4(1)
19(10)
含フッ素鎖状エーテル
1(1)
4(2)
5
4
4
18(3)
含フッ素鎖状ジエーテル
4(2)
2
2
1
9(2)
含フッ素環状エーテル
8
3
2
2
15
含フッ素ケトン
含フッ素オレフィン
3
2
5
6(4)
3(1)
1
12(6)
含フッ素環式複合へテロ原子 2(1)
26(10)
21(8)
13(2)
10
4
4(1)
78(21)
年度別計
**表中( )内は新規化合物の数。平成6年度はプロジェクト初年度で研究期間が短く、化合物合成(報告)はされていない。
2-2 基本物性の測定
含フッ素エーテル系、含フッ素ケトン系、含フッ素環式複合ヘテロ原子系、含フッ素オレフィン、含フッ素アミン化合物について、以下に示す①∼⑪の11
項目に亙る基本的物性を測定した。
項目
測定方法
① 沸点
アイソテニスコープ法
② 蒸気圧
アイソテニスコープ法
③ 蒸発潜熱
蒸気圧曲線より計算
④ SP値(溶解度パラメー
蒸発潜熱および密度より計算
⑤ 比熱
DSC法
⑥ 動粘性率
毛細管粘度計
⑦ 密度
ピクノメーター
⑧ 表面張力
リング法
⑨ 液体の熱伝導率
同心円筒型比較定常法
⑩ 水への溶解度
GC−FID法
⑪ 誘電率
自動平衡ブリッジ法
⑫ 共沸点
循環式気液平衡測定装置
⑬ 臨界定数
小型透視セル法
* 測定対象とした化合物の内訳と数は以下の通り。
含フッ素エーテル系
44 化合物
含フッ素ケトン系
17 化合物
含フッ素環式複合ヘテロ原
4 化合物
含フッ素オレフィン
3 化合物
含フッ素アミン
4 化合物
また⑫の共沸点測定は、含フッ素エーテル21化合物からなる111種の組み合わせを検討し、その内77種に共沸組成が存在することを見出した。これらを洗浄剤候
補組成として検討することとした。
⑬の臨界定数は、42化合物(含フッ素エーテル 32、含フッ素ケトン 6、含フッ素アミン 4)の測定を行った。
2-3 各用途毎の基礎性能評価
(1) 冷媒
冷媒候補化合物について熱安定性、電気特性(比誘電率、体積抵抗率)、燃焼範囲、熱力学的特性(圧力、比容積、温度)を測定した。これらの試験により、代替候補化合物HFE245mcは、現行のHCFC或いはHFC冷媒と同等の熱安定性、電気特性を有することが判り、実用評価に供すべきであると結論された。
(2) 発泡剤
・熱伝導率:断熱性能の指標を得るため、約40種の含フッ素系化合物について気体の熱伝導率を測定した。その結果、含フッ素エーテル系(HFE)の熱伝導率は含フッ素炭化
水素(HFC)よりも低く、発泡剤候補化合物として有望であることを見出した。
熱伝導率: CFC < HCFC < HFE < HFC < シクロペンタン
・相溶性:ポリオールとの相溶性(候補化合物12×ポリオール4)を評価し、発泡剤候補化合物の絞込みを行った。
・絞り込み: 他に安定性、毒性を評価して候補化合物を選定した。
(3) 洗浄剤
洗浄性能の指標として溶解度パラメータ(SP値)を測定し、また安定性と表面張力を基準に候補化合物を選定した。
測定に供した化合物の数は以下の通りである。
溶解度の測定
純物質
34 化合物
共沸系
14 系
安定性(沸点還流試験) 純物質
20 化合物
共沸系
11 系
表面張力
純物質
64 化合物
含フッ素エーテル、ケトンの表面張力は1,1,1-トリクロロエタンよりも低く、洗浄剤として優れた特性を有することを見出した。
一方、含フッ素エーテル、含フッ素ケトンともに脂質の溶解度が小さいため、単独でHCFC代替溶剤として使用することは難しく、アルコール等の一般的な溶剤との
共沸組成物が代替溶剤としての可能性を有することを見出した。
本プロジェクトでは、合成した15候補化合物のアルコール等との共沸点を測定し、新たに59種の共沸組成を見出し特許出願した。
2-80
付表 8-2
事業全体の成果
2-4 安全性の測定・評価
新規化合物の合成及び物性、安全性等の評価(つづき)
(1) 燃焼性
評価方法確立のため、①着火方法及び着火エネルギーの影響、②容器サイズ・形状の影響を検討し、ASHRAE法との比較を実施した。
また、燃焼爆発危険性に関する、より定量的な指標として、爆発限界と燃焼熱から計算されるRF指数をASHRAE/ISOに提案した。
RF = [ U / L
U: 爆発限界上限濃度
L: 爆発限界下限濃度
−1 ] × Q/M
化合物
分子量 ASHRAE
クラス
燃焼限界
(vol%)
HFE-245m
HFE-143m
HFC-32
NH3
CH3Cl
HFC-152a
150.0
100.0
52.0
17.0
50.5
66.0
2
2
2
2
2
2
10.5-13.5
10.5-21.5
13.3-29.3
15-28
8.2-20.2
4.8-17.3
i-Butane
n-Butane
i-Pentane
Hydrogen
58.1
58.1
72.1
2.0
3
3
3
3
1.8-8.4
1.6-8.4
1.4-7.6
4.0-75
燃焼熱
(kJ/g)
6.33
7.57
9.40
18.6
13.4
16.6
45.6
45.7
45.3
119.9
Q: モル燃焼熱
M: 分子量
RFナンバー
(kJ/g)
0.86
3.21
4.55
6.82
7.29
20.1
52.9
59.0
60.2
399.4
(2) 毒性
候補化合物について、一般毒性試験の急性経口毒性(LD50)、急性吸入毒性(4hr)、および化審法対応スクリーニング試験のAmes試験、28日間反復吸入毒性試験を実施した。
測定に供した候補化合物数は以下の通りである。
H6,7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
合計
急性吸入毒性試験
3
1
1
4
0
0
0
9
急性経口毒性試験
16
13
11
13
11
3
1
68
28日間反復投与毒性試験(吸入)
0
1
0
2
0
2
0
5
28日間反復投与毒性試験(吸入)
0
0
0
0
0
1
4
5
17
13
11
12
3
8
2
66
Ames試験
0
0
2
2
2
5
2
13
染色体異常試験
0
0
0
0
0
0
2
2
分解度試験
0
0
0
0
0
6
2
8
分配係数測定試験
濃縮度試験
0
0
0
0
0
0
1
1
合計
36
28
25
33
16
25
14
177
上記の一次試験の結果が良好なもので、代替候補化合物として有望と思われる化合物については、化審法に則した分解度、分配係数、蓄積性を測定した。測定に供し
た候補化合物の数は以下の通りである。
2
分解度
化合物
8
分配係数
化合物
1
蓄積性
化合物
2
神経毒性
化合物
(神経毒性は中間評価時に測定項目として追加検討するよう指摘がなされた)
現在、候補化合物2件 (HFE−245mc、HFE-347pc−f) について化審法申請中である。
2-81
付表 8-3 事業全体の成果
新規候補化合物の温暖化効果等環境影響評価の技術研究
3 新規候補化合物の温暖化効果等
環境影響評価技術研究
(1) OHラジカルとの反応速度定数の測定(絶対法)
3-1 反応速度等の測定・評価
・絶対法測定の意義: 被測定試料の濃度が大過剰の擬一次条件下で、OHラジカルの濃度変化(任意単位)を測定するので、OHラジカル濃度のキャリブレーション
が不要である。このため、高精度な反応速度の値が直接得られる。一方、被測定試料中の反応性の高い不純物の影響を受け易いため、高純度の試料が必要。
・不純物の影響を避けるため、試料はガスクロで分取精製し、高純度の試料を用いて測定を行っている。
・11種類の化合物(含フッ素エーテル7種、含フッ素アルコール3種、含フッ素不飽和化合物1種)の測定結果を海外の専門誌に発表し、IPCC等国際的に認知された。
(2) OHラジカルとの反応速度定数の測定(相対法)
・相対法の意義: 反応速度既知の標準物質を共存させ、被測定物質の相対的濃度変化から反応速度を求める。サンプル純度の影響を受けにくいが、副反応の影響を受ける。
・測定条件: 被測定試料の相対的濃度変化を測定。オゾン/水/キセノンショートアークランプ法、温度・圧力・光照射可能な大気化学反応チャンバーとしては日
本最大規模の1m3チャンバーを用い、壁面の影響を極力除いた高精度な測定を実施する。
・測定結果: 新規候補化合物の測定評価を実施。(8化合物)
・分解生成物の測定: 分解生成物であるギ酸エステルの反応速度測定に成功。
・H2O、O2同時光分解法によるHOxラジカル発生装置を用いて気相のラジカル絶対濃度を測定する技術を開発した。
(3) OHラジカルとの反応速度定数の推算
・厳密法: 遷移状態理論、電子状態理論(6-31G**基底関数系、MP2波動関数)に基づき、OHラジカルとの反応速度を、大型コンピュータを用いて予測する手法
の開発に取り組み世界に先駆けてプロピルメチルエーテル程度までの推算は可能になり、候補化合物の評価に活用した。
・簡便法: ハードネス、結合エネルギー等の概念を導入することで、簡便に反応速度を予測する手法の開発に取り組み、コンピュータリソースを軽減しても計算可
能な簡便な方法で反応速度を予測する技術を開発し、候補化合物の評価に活用した。
・分解生成物の反応速度: 結合エンタルピーを指標として簡便法を用いて、実験的に測定が困難な含フッ素ギ酸エステルのOHラジカルとの反応速度を推算評価し、
大気中寿命がほぼ2年前後であることを明らかにした。
3-2 環境からの除去過程の研究
(1) 光分解反応 :含フッ素エーテル化合物の除去にほとんど寄与しないことが判明した。
検討した含フッ素ケトン等化合物については有意の分解が見られ、数十日程度のライフを示す可能性が明らかになった。
(2) 気相反応 :主要候補化合物である含フッ素エーテルの分解過程を明らかにした。
OHラジカルによる水素引き抜き反応により、先ず、ギ酸エステルが生成し、ギ酸エステルは、CO2と酸フルオライドに分解する。
ギ酸パーフルオロアルキルエステルの大気寿命は約2年と推定され、OHとの反応に対し有意な大気中除去過程となる可能性がある。
(3) 水分との反応 :水による除去を推算するために必要。主要分解生成物である含フッ素ギ酸エステルの類似化合物について、ヘンリー定数、加水分解
速度を測定し、その結果を用いて含フッ素ギ酸エステルの雲による除去を推定した。
(4) 固体への吸着等:地表面で分解する可能性を見出したが、大気中でのOHラジカルとの反応に比べると、寄与は小さい。
-CH2OCHF2をもつ候補化合物は、粘土など固体粒子上で分解する。CH3CCl3も同様に分解する。
いずれも砂漠や大気中での活性粘土鉱物の濃度によってはOHの1/10程度の寄与が期待され有意な除去過程になる可能性がある。
3-3 GWP推算プログラムの開発
(1) 3次元のパラメタライズによる2次元モデルを用いてGWP推算技術を開発した。
・GWP評価モデルに大気中の雲等の分布を記述する気象データを取り入れる。
・緯度、高度方向についての2次元光化学反応モデルを開発した。
・光化学反応部: パラアメタライズされたデータベースを活用。
・輸送計算部: 3次元輸送パラメタライズ手法による2次元輸送パラメータを作成。
・AER社との比較等(ラドン、SF6によるチューニング)で信頼性を確保。
・分解プロセスを計算に取り込むことが可能なモデルを作成。(簡単なパラメータ値の変更で)
(2) 新規候補化合物のGWP値を推算し、既存の化合物を下回る値(数分の一)を得てIPCCに提案した。
・新規15化合物の大気中寿命、GWP値についてIPCC第3次報告書(Climate Change 2001, The Scientific Basis)に引用・掲載された。
・既存の化合物に比して、小さいGWP値を有することが判明した。
2-82
付表 8-4 事業全体の成果
実用化試験・総合評価
4.実用化試験・総合評価
4-1 新規冷媒の実用化予備試験 (1) HFE-245mc (CF3CF2OCH3)について以下の評価を行った。 [CFC-114相当]
①冷媒のみ(無給油)の実機安定性試験。500時間
:冷媒変化なし
②潤滑油の選択
:POE(ポリオールエステル)使用可能
③ヒートポンプサイクル(HPC)予備試験(汎用圧縮機使用)
:75℃の熱出力が得られた。
④HPC実証試験機
:30℃→80℃、約8000時間
:一段で90℃の熱湯、COP2.5∼2.7
⑤貯湯式給湯機での評価
機器メーカよりHFE-245mc用の機器開発の希望が寄せられ検討中。
(2) HFE-143m (CF3OCH3)について以下の評価を行った。
①"THEDYNA"による評価
②混合系による不燃化組成の検討
③カロリメータによる冷媒性能評価
④電気冷蔵庫(HFC-134a用)へのドロップイン試験
[CFC-12/HFC-134a相当]
:HFC-134aに匹敵。
:約50Vol%程度の不燃性HFC等必要
:ほぼHFC-134mと同等。
:圧縮機、キャピラリー等の最適化でHFC-134aとほぼ同等の性能が期待できる。
(3) ヒートパイプ作動流体の検討
某電子機器メーカーにてHCFCとの比較を検討中。
:HCFC-141b/142bに代替可能
(4) その他 HFE-347mmy((CF3)2CFOCH3)、HFE-347mcc(CF3CF2CF2OCH3)、HFE-227me(CF3CHFOCF3)はStep 1の段階で中止
4-2 発泡剤の実用化予備試験
4-3 洗浄剤の実用化予備試験
(1) ポリオール相溶性試験
(2) ハンド発泡試験 (硬質ウレタンフォーム)
・処方の検討
・フォーム外観
・熱伝導率の測定(発泡体での)
(3) マシン発泡試験
:3候補化合物に絞る。
:HFE-254pc (CHF2CF2OCH3)、及びHFE-236pc (CHF2CF2OCHF2)に絞る。
:254pc、236pc いずれもシクロペンタン以上の断熱性能を発揮
:HFE-254pc処方はシクロペンタン発泡低熱伝導率処方を上回る断熱性能を発揮
(1) HFE-347pc-f/アルコールの水切り乾燥剤としての試験
①付着水除去試験での絞り込み :HFE-347pc-f (CHF2CF2OCH2CF3)
②小型洗浄装置による実証試験 :市販のHFC系洗浄剤(バートレル)と同等以上の性能
(2) HFE-55-10mec-fc (CF3CHFCF2OCH2CF2CHF2)の炭化水素系洗浄剤のリンス剤としての試験
①炭化水素系洗浄剤との相溶性試験 :溶解度の温度依存性発見
②小型洗浄装置による実証試験 :優れた性能を確認。連続プロセス開発
(3) HFE-347pc-fにつきその他用途も含め参加企業のうち一社が企業化に向けて検討の意向。
HFE-356mecの安定性を再評価し最終候補化合物に加えて化審法申請を実施。
4-4 その他用途
(他分野への波及)
(1) 半導体クリーニング用への実用化可能性が見いだされ、CVDプロジェクトへ展開。
(2) 中間評価時の指摘により、消火剤としての評価を実施。可能性の一端を見出す。
2-83
付表 8-5
研究発表・講演・文献・特許状況
【 平成6年度 】
平成6年度は、特記事項なし。
【 平成7年度 】
(1) 研究発表等
1) 高橋明文、徳橋和明、岩坂雅二、永井秀和、貝瀬正紘、近藤重雄、浦野洋吉、「着火方法及び着火エネルギーが爆発限界測定に及ぼす影響」、第 25 回安全工学シンポジウム (1995. 6. 30)
2) 指宿堯嗣、「フロン代替物の最近の研究動向について」、第 3 回資源環境連合部会総会 (1995. 6. 15)
3) 佐古猛、中澤宣明、大輪優、中根堯、佐藤眞士、伊藤晴明、山下史郎、「フッ化エーテル系新規冷媒の臨界定数の精密測定」、化学工学会第 28 回秋季大会 (1995. 9. 27)
4) S. Misaki and A. Sekiya, "Development of a New Refrigerant", The 1995 International CFC and Halon Alternatives Conference (1995. 10. 23)
5) 徳橋和明、永井秀和、貝瀬正紘、高橋明文、近藤重雄、関屋章、田中正人、山下史郎、伊藤晴明、後藤嘉彦、須賀淳雄、望月雄司、長崎順隆、「フッ素置換エーテルとOHラジカルとの反応速度」、第 19 回フッ素化学討論会 (1995. 11. 10)
6) 黒澤茂、有村隆志、関屋章、山本博志、大田一男、「含フッ素アルケンへのCF3OF付加反応の理論的検討」、第 19 回フッ素化学討論会 (1995. 11. 10)
7) S. Misaki and A. Sekiya, "Development of a New Refrigerant", The 1995 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (1995. 12. 21)
8) 高橋明文、徳橋和明、岩坂雅二、永井秀和、貝瀬正紘、近藤重雄、浦野洋吉、「種々の着火源の着火特性が爆発限界測定に与える影響」、第 28 回安全工学研究発表会(1995. 12. 8)
9) Takeshi Sako, Masahito Sato, Noriaki Nakazawa, Masaru Oowa, Masahiko Yasumoto, Haruaki Ito and Shiro Yamasita, "Measurement of Critical Properties of Fluorinated Ethers as Alternative Refrigerants", I I R Melbourne 96 Meeting (1996. 2.
14)
10) 黒澤茂、芝上基成、田村正則、有村隆志、関屋章、都築誠二、望月雄司、「含フッ素アルケンへのCF3OCl付加反応の理論的検討」、日本化学会北海道支部 1996 年冬季研究発表会 (1996. 2. 1)
11) Kazuaki Tokuhashi, "Measurement of OH Rate Constants for Advanced Refrigerants as well as HCFCs and HFCs", International Symposium on Environmental Impacts of Advanced Alternatives to CFCs (1996. 2. 7)
12) Masaaki Sugie and Tadafumi Uchimaru, "The Reaction Rate of CFC Alternatives with OH Radical, Part 1. Calculation Based on the Transition State Theory and ab initio MO Method", International Symposium on Environmental Impacts of
Advanced Alternatives to CFCs (1996. 2. 7)
13) Tadafumi Uchimaru and Masaaki Sugie , "The Reaction Rate of CFC Alternatives with OH Radical. Part2. Estimation from HOMO Energy Level", International Symposium on Environmental Impacts of Advanced Alternatives to CFCs (1996. 2.
7)
14) M. Toma, S. Kutsuna,K. Takeuchi and T. Ibusuki, "Measurement of Uptake Coefficients of Some Acetyl Halides and Fluorinated Ethers into Water", International Symposium on Environmental Impacts of Advanced Alternatives to CFCs (1996.
2. 7)
15) M. Toma, S. Kutsuna, K. Takeuchi and T. Ibusuki, "Cl Initiated Decomposition of Fluorinated Ethers" International Symposium on Environmental Impacts of Advanced Alternatives to CFCs (1996. 2. 7)
16) Ryoichi Imasu, Shoichi Taguchi and Takahisa Maeda, "Model Calculation of GWPs of Alternatives to CFCs and Advanced Refrigerantsm", International Symposium on Environmental Impacts of Advanced Alternatives to CFCs (1996. 2. 7)
17) 関屋章、「CFC を代替する新規フッ素化合物の開発」、第 1 回JICC洗浄フォーラム'96 (1996. 2. 1)
18) S. Toma, S. Kutsuna, K. Takeuchi and T. Ibusuki, "Measurement of Uptake Coefficients of Some Acetyl Halides and Fluoroethers into Water, "EUROTRAC Symposium '96 (1996. 3. 26)
19) Takashi Ibusuki, Naokazu Itoh, Shuzo Kutsuna and Mitsuhiro Toma, "Degradation Products of Halogenated Organics and their Aqueous Uptake Parameters", EUROTRAC Symposium '96 (1996. 3. 30)
(2) 論文投稿
1) Ryoichi Imasu, Atsuo Suga and Taroh Matsuno, "Radiative Effect and Halocarbon Gloval Warming Potentials of Replacement Compounds for Chlorofluorocarbons" Journal of the Meteorogical Society of Japan, 73, No. 6, 1123 (1995)
2) 関屋章、三崎進、「ヘテロ原子を含むフッ素系のフロン代替物の開発」、エネルギー・資源、16、No. 5、 505 (1995)
(3) 出願特許
1) 岩崎孝彦、高田直門、藤本悦男、関屋章、「低沸点溶剤組成物」、特願平 7 ー 159821(平成 7 年 6 月 2 日)
2) 岩崎孝彦、高田直門、藤本悦男、関屋章、「含フッ素エーテルの製造方法」、特願平 7 ー 209249 (平成 7 年 7 月 25 日)
【 平成8年度 】
(1)
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
研究発表等
S.Kondo, A.Takahashi, Y.Urano, K.Tokuhashi, H.Nagai and M.Kaise "On the Method of Measuring Flammability of Gases" AREP and ASHRAE meeting on Conbustion (Texas, June 20, 1996)
石村隆行、関屋章”フルオロケトンの合成と物性”日本化学会第71秋季年回(October 7,1996)
浦野洋吉、高橋明文、徳橋和明、永井秀和、貝瀬正紘、近藤重雄、”爆発限界測定における交流放電着火の放電時間及び電極間隔の影響”第26回安全工学シンポジウム(October 8, 1996)
高田直門、望月雄司、岩崎孝彦、藤本悦男”CFC 代替RfOR型エーテルの開発”第20回フッ素化学討論会(October 31, 1996)
S.Misaki and A.Sekiya"Up date on Fluorinated Ethers as Alternatives to CFC Refrigerants"International Conference on Ozone Protection Technology (Washington, October 21, 1996)
S.Kondo, A.Takahashi and Y.Urano, "Measurement of Flammability Limits of Gases with Conventional Vessel Method", ASHRAE Winter Meeting (Philadelphia, January 27, 1997)
T.Sako, M. Yasumoto, M.Sato, O.Kitao, R.Yamamoto, K.Ishiguro and M.Kato"Thermodynamic Properties of Fluorinated Ethers as Alternative Refrigerants"Molecular Thermodynamics and Molecular Simulation (Tokyo, January 12, 1997)
當麻充弘、忽那周三、竹内浩士、指宿尭嗣、”Cl を開始剤とすた含フッ素エーテルの気相分解機構”、 日本化学会第72春季年会(April 29, 1997)
2-84
(2) 論文投稿
1) A.Sekiya and S.Misaki "A continuing search for new refrigerants" CHEMTECH DECEMBER 1996, page 45
(3) 出願特許
1) 望月雄司、高田直門、藤本悦男、関屋章、「新規フッ素化合物」、特願平 8-160868(平成8年5月31日)
2) 藤本悦男、望月雄司、高田直門、関屋章、「含フッ素エーテル化合物及びその製造方法」、特願平 8-204232(平成8年7月15日)
3) 高田直門、望月雄司、藤本悦男、関屋章、「含フッ素エーテルの製造方法」、特願平 8-224558(平成8年8月7日)
4) 奥原邦夫、阿部隆、林永二、小野泰蔵、「新規なペルフルオロ[(2,6-ジメチルモルホリノ)アセチル]フルオリド及びその製造方法」、特願平 8-297884(平成8年10月23日)
5) 奥原邦夫、阿部隆、小野泰蔵、西田雅一、「新規なベルフルオロ環状イミン及びその製造方法」、特願平 8-297885(平成8年10月23日)
6) 高田直門、山本博志、望月雄司、関屋章、近藤重雄、徳橋和明、内丸忠文、「硬質ポリウレタンフォームの製造方法」、特願平 8-326130(平成8年11月21日)
7) 石村隆行、秋山稔、関屋章、「溶剤及びそれを用いる物品表面の清浄化方法」、特願平 8-283406(平成8年10月4日)
8) 望月雄司、石村隆行、鈴田哲也、関屋章、「新規共沸及び共沸様組成物」、特願平 8-301365(平成8年10月23日)
9) 望月雄司、石村隆行、鈴田哲也、関屋章、「共沸及び共沸様組成物」、特願平 8-301366(平成8年10月23日)
10) 秋山稔、田窪征司、山本博志、関屋章、「含フッ素エーテルを含む共沸及び共沸様組成物」、特願平 8-327848(平成8年11月22日)
11) 高田直門、藤本悦男、鈴田哲也、関屋章、阿部隆、「含フッ素エーテルの製造方法」、特願平 9-39927(平成9年2月7日)
12) 田窪征司、鈴田哲也、石村隆行、関屋章、「新規含フッ素オキソラン及び含フッ素 オキソラン類の製造方法」、(出願日平成9年3月21日)
13) 田窪征司、藤本悦男、秋山稔、関屋章、「共沸及び共沸様組成物」、(出願日平成9年3月21日)
【 平成9年度 】
(1) 研究発表等
1) 近藤重雄、浦野洋吉、高橋明文、徳橋和明、永井秀和、貝瀬正紘、「爆発限界測定法の標準化に向けて」、第 27 回安全工学シンポジュウム、(1997. 7. 4)
2) 高橋明文、浦野洋吉、徳橋和明、永井秀和、貝瀬正紘、近藤重雄、「モリブデン線溶断着火法による爆発限界測定法に関する研究」、第 27 回安全工学シンポジュウム、(1997. 7. 4)
3) T. Suzuta and A. Sekiya, "Methoxylation of 1,2-Dibromo -tetrafuluoroethane", 15th International Symposium on Fluorine Chemistry, (1997. 8. 2)
4) T. Ishimura and A. Sekiya, "Hydrofluoroketones (HFKs) as the Alternatives of CFCs", 15th International Symposium on Fluorine Chemistry, (1997. 8. 2)
5) N. Takada, T. Abe and A. Sekiya, "Development OF CFCFCs Alternative RfOR Type Ethers", 15th International Symposium on Fluorine Chemistry, (1997. 8. 2)
6) S. Matsuo, Y. Tanaka, M. Ohue, N. Takada, H. Yamamoto and A. Sekiya, "Temperature and Pressure Effects on Gaseous Thermal Conductivities of New Fluorinated Ethers", International Conference on High Pressure Science and Technologies,
JOINT AIRPT-16 & HPCJ-38 (Kkyoto Japan), (1997. 8. 25)
7) Toshihide Tsuge, Haruki Sato and Koichi Watanabe, "Vapor Pressures and PVT Properties of HFE-245(pentafluoroethy methyl ether)", International Conference on High Pressure Science and Technologies, JOINT AIRPT-16 & HPCJ-38(Kkyoto
Japan), (1997.8.25)
8) S. Kutuna, K. Takeuchi, T. Ibusuki and M. Touma, "Heterogeneous Photoreaction of Fluorinated Ethers in Air on TiO2 Particles : the Imprication for a Possible Tropospheric Sink", Fall ACS National Meeting1997. 9. 8)
9) K. Nohara, M. Touma, S. Kutuna, K. Takeuchi and T. Ibusuki, "The Photooxidation Products and Mechanism of Fluorinated Ether Compounds in Troposphere", Fall ACS National Meeting (1997. 9. 8)
10) S. Takubo and A. Sekiya, " Monofluorination of Fluorinated Oxolan with High-Valency Metal Fluorides", Chemistry Technology and Applications of Fluorocompounds, Russian Academy of Sience (1997. 9. 23)
11) 林永二、深谷治彦、小野泰蔵、阿部隆、イリーナ・ソロショコノク、船坂達也、奥原邦夫、「含窒素ペルフルオロカルボン酸塩類の界面活性能と反応性」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
12) 石村隆行、関屋章、「Hydrofluoroketones (HFKS) as the alternatives of CFCS」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
13) 高田直門、山本博志、田中嘉之、松尾成信、関屋章、「含フッ素エーテル類の気体熱伝導率」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
14) 奥原邦夫、阿部隆、深谷治彦、小野泰蔵、林永二、イリーナ・ソロショノク、「cis-2,6-ジメチルモルホリン及び cis-2,6-ジメチルモルホリノ基置換カルボン酸メチルエステル類の電解フッ素化反応」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
15) 奥原邦夫、西田雅一、深谷治彦、阿部隆、「ペルフルオロ環状イミンの合成と反応」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
16) 藤本悦男、関屋章、「含フッ素アルキルジエーテル類の合成とその性質」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
17) 山本博志、関屋章、「フッ素化合物の物性推算」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
18) 鈴田哲也、関屋章、「1,2-ジブロモテトラフルオロエタンのメトキシ化反応」、第21回フッ素化学討論会(平成9年10月8日)
19) Akira Sekiya,Susumu Misaki, "Development of Hydrofluoroethers as Alternatives to Refrigerants and Other Applications", International Conference on Ozone Protection Technologies, (1997. 11. 12)
20) Tosihide Tsuge, Haruki Sato and Koichi Watanabe, "Thermodynamic Properties of a New Alternative Refrigerant, HFE-245mc", International Conference on Ozone Protection Technologies, (1997. 11. 12)
21) 浦野洋吉、高橋明文、近藤重雄、「ASHRAE 型装置による爆発限界測定」、第30回安全工学研究発表会(平成9年11月27日)
22) 奥原邦夫、阿部隆、深谷治彦、小野泰蔵、林永二、「cis-2,6-ジメチルモルホリン及び cis-2,6-ジメチルモリホリノ基置換カルボン酸メチルエステル類の電解フッ素化反応」、フッ素化学第155委員会第31回研究会(平成9年11月28日)
23) 忽那周三、「粘土鉱物と金属酸化物によるフロン代替候補品の不均一除去」、大気環境学会大気化学分科会・関東支部大気化学部会共催後援会(平成10年2月13日)
24) 河合暁子、辻智也、日秋俊彦、本郷尤、「小型気液平衡測定装置の試作と測定」、化学工学会第63年会(平成10年3月24日日)
25) 野原香代、忽那周三、竹内浩二、指宿尭嗣、「バブルカラム法を用いた含フッ素エーテル化合物の気/液界面における付着係数測定」、第74日本化学会春季年会(平成10年3月28日)
(2) 論文投稿
1) 中澤宣明、佐古猛、中根堯、関屋章、河村光隆、佐藤眞士、望月雄司、高田直門、安本昌彦「含フッ素ジアルキルエーテルの液体密度」、日本冷凍協会論文集 第14巻105∼112(1997)
2-85
(3) 特許出願[( )内は、出願日]
1) 望月雄司、石村隆行、鈴田哲也、関屋章、「含フッ素エーテルとアルコール類からなる共沸及び共沸様組成物」、特願平 9-148596(平成9年5月22日)
2) 望月雄司、石村隆行、鈴田哲也、関屋章、「含フッ素エーテルと塩素系有機溶剤かるなる共沸及び共沸様組成物」、特願平 9-148597(平成9年5月22日)
3) 鈴田哲也、田窪征司、秋山稔、関屋章、「1−メトキシ2−ブロモテトラフルオロエタンの製造方法」、特願平 9-169573(平成9年6月11日)
4) 小野泰蔵、林永二、阿部隆、奥原邦夫、「ペルフルオロカルボン酸エステル及びその製造方法」、特願平 9-163355(平成9年6月5日)
5) 西田雅一、阿部隆、奥原邦夫、「N−フルオロアルキルペルフルオロ環状アミン類及びその製造方法」、特願平 9-217995(平成9年7月29日)
6) 石村隆行、田窪征司、秋山稔、関屋章、「含フッ素ケトンと有機溶剤からなる共沸及び共沸様組成物」、特願平 9-256082(平成9年9月4日)
7) 石村隆行、秋山稔、田窪征司、関屋章、「溶剤及びそれを用いる物品表面の清浄化方法」、特願平 9-275013(平成9年9月22日)
8) 望月雄司、石村隆行、鈴田哲也、関屋章、「1−メトキシ1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンとアルコール類からなる共沸又は共沸様組成物」、特願平 9-273603(平成9年9月19日)
9) 望月雄司、石村隆行、鈴田哲也、関屋章、「含フッ素エーテルと塩化メチレンからなる共沸及び共沸様組成物」、特願平 9-273602(平成9年9月19日)
10) 小野泰蔵、林永二、阿部隆、奥原邦夫、「ペルフルオロカルボン酸のω−ハロゲノアルコールエステル及びその製造方法」、特願平 9-273651(平成9年9月19日)
11) 高田直門、田窪征司、山本博志、関屋章、「断熱材」、特願平 9-309644(平成9年10月24日)
12) 高田直門、山本博志、藤本悦男、関屋章、「含フッ素エーテルの安定化方法及びウレタン発泡用プレミックス」、特願平 9-294851(平成9年10月13日)
13) 高田直門、望月雄司、藤本悦男、関屋章、「新規含フッ素ビニルエーテル」、特願平 9-331240(平成9年11月14日)
14) 藤本悦男、高田直門、望月雄司、関屋章、「含フッ素ジエーテル化合物」、特願平 9-331239(平成9年11月14日)
15) 高田直門、望月雄司、藤本悦男、関屋章、「含フッ素エーテルの精製方法」、特願平 9-365344(平成9年12月19日)
16) 久保田俊夫、伊澤弘行、高田直門、望月雄司、藤本悦男、「含フッ素ジエーテル化合物およびその製造方法」、特願平 10-89292(平成10年3月18日)
17) 望月雄司、山本博志、安本昌彦、栃木勝巳、関屋章、「新規共沸組成物」、特願平 10-76590(平成10年3月10日)
18) 高田直門、山本博志、田窪征司、関屋章、「ヒドロフルオロエーテルからなる共沸及び共沸様組成物」、特願平 10-102040(平成10年3月30日)
19) 高田直門、山本博志、田窪征司、関屋章、「パーフルオロプロピルメチルエーテルを含む共沸及び共沸様組成物」、特願平 10-102041(平成10年3月30日)
20) 高田直門、山本博志、田窪征司、関屋章、「共沸様組成物」、特願平 10-102042(平成10年3月30日)
21) 石村隆行、高田直門、関屋章、「含フッ素ケトンからなる断熱ガス及びそれを充填した断熱材」、特願平 10-103610(平成10年3月31日)
22) 石村隆行、高田直門、田窪征司、関屋章、「消火薬剤」、特願平 10-103611(平成10年3月31日)
(4) 新聞・テレビ等
1) 関屋章他、「RITEの研究開発動向:フロン代替化合物の開発」、NHK番組「おはよう日本」(平成9年11月21日)
2) 関屋章他、「RITEの研究開発:フロン代替化合物の開発、代替冷媒を中心に」、NHK番組「サイエンス・アイ」(平成9年12月20日)
3) 奥原邦夫、阿部隆、「こんなに変わった!20年・こんなに変わる!20年てれび博物館2018年代予測」、東海テレビ(平成10年3月28日)
【 平成10年度 】
(1) 研究発表等
1) T. Hiaki, A. Kawai, 「Vapor-Liquid Equilibria of Hydrofluoroether with Alcohol Using New Apparatus」、8th International Conference on Properties and Phase Equilibria for Product and Process Design (第 8 回相平衡国際会議)、1998 年 4 月
26 日、 Noordwijkerhout, オランダ.
2) 野原 香代、忽那 周三、指宿 尭嗣、「The degradation mechanism of some perfluoroalkyl methy ethers in the atmosphere」、6th FECS Conference on Chemisty and the Environment)、1998 年 8 月 26 日.
3) 鈴田哲也、関屋章、「Synthesis and Hydrolysis of 2,2-Difluorooxolane」、12th European Symposium on Fluorine Chemistry、1998 年 8 月 29 日、ベルリン.
4) J. V. Widiatmo,H. Sato, K. Watanabe (Keio University)、「ENTHALPY OF VAPORIZATION OF NEW GENERATION REFRIGERANTS, FLUORINATED ETHERS」、5th Asian Thermophysical Properties Conference (ATPC '98), (Seoul), 1998
年 8 月 30 日.
5) A. Uchimura,J.V.Widiatmo,H.Sato, K. Watanabe, T. Tsuge,「EXPERIMENTAL STUDY ON THE PVT PROPERTIES OF NEW REFRIGERANT CF3CF2CF2OCH3」、5th Asian Thermophysical Properties Conference (ATPC '98)、(Seoul), 1998
年 8 月 30 日.
6) N. Takada, H. Yamamoto, N. Tsukida, H. Takeyasu, A. Sekiya,「Fundamental Study of HFES as New Generation Blowing Agents」, Polyurethanes EXPO '98, SPI (Dallas, USA).
7) 野原 香代、忽那 周三、竹内 浩士、指宿 尭嗣、「含フッ素エーテル化合物の気相分解過程」、第 39 回大気環境学会年会、平成 10 年9月 24 日.
8) 栃木 勝己、宗田 雅裕、佐藤 知巳、望月 雄司、山本 博志、佐古 猛、「含フッ素化合物を含む 2 成分系気液平衡の測定と相関」、化学工学会第 31 回秋季大会、平成 10 年 9 月 29 日.
9) 河合 暁子、辻 智也、日秋 俊彦、本郷 尤、「Hydrofluoroether+Alcohol 系の定圧気液平衡の測定」、第 19 回日本熱物性シンポジウム、平成 10 年 10 月 21 日.
10) 今須 良一、田口 彰一、「代替フロン物質の地球温暖化係数(GWP)評価に関する研究:Ⅲ」、日本気象学会 1998 年秋季大会、平成 10 年 10 月 22 日.
11) 長嶋 雲兵、山本 博志、「ニューラルネットワークを用いたシステムの開発で分子構造から高精度な物性を推算する」、日経サイエンス(雑誌)、平成 10 年 11 月号.
12) 長嶋 雲兵、田島 澄恵、高橋 梨紗、山本 博志、「ベンチサイドコンピューティングを目指した材料設計支援システム Summy の開発(Ⅳ)」、第 21 回情報化学討論会、平成 10 年 11 月 11 日.
13) 鈴田 哲也、阿部 隆、関屋 章、「MeOF のフルオロオレフィンへの付加反応」、第 22 回フッ素化学討論会、平成 10 年 11 月 21 日.
14) 関屋 章、山本 博志、「含フッ素化合物の物性推算(Ⅱ)」、第 22 回フッ素化学討論会、平成 10 年 11 月 21 日.
15) 関屋 章、三崎 進、「含フッ素エーテルの特性と冷媒への応用」、HCFC 代替冷媒国際シンポジウム'98、平成 10 年 11 月 26 日.
16) 浦野 洋吉、高橋 明文、近藤 重雄、「HFE 及び HFE を含む二成分系の爆発限界」、第 31 回安全工学研究発表会、平成 10 年 12 月 3 日.
17) 山本 博志、「コンピューターによる材料開発・分子設計を考える会」パネル討論会、パネル討論会(社団法人企業研究会)、平成 10 年 12 月 3 日.
18) 黒河勇治、関屋章、「Preparation and Properties of Hydrofluoroketones as the Alternatives of CFCS」、14th Winter Fluorine Conference (Jan. 20, 1999).
2-86
19) 河合暁子、辻智也、日秋俊彦、本郷尤、「Hydorofluorocarbon 混合系の定圧気液平衡測定」、化学工学会 第 64 年会、平成 11 年 3 月 25 日.
20) A. K. Chandra, 内丸 忠文、杉江 正昭、関屋 章、「OH ラジカルによるハロメタンの水素引き抜き反応の活性化エネルギー推算のための指標とその適用例について」、日本化学会第 76 春季年会、平成 11 年 3 月 28 日.
21) 浦野 洋吉、高橋 明文、徳橋 和明、近藤 重雄、「爆発容器を用いた爆発限界測定法の妥当性の検証」、日本化学会第 76 春季年会、平成 11 年 3 月 30 日.
(2) 論文投稿
1) S. Takubo, A. Sekiya,「Monofluorination of fluorinated oxolans with high-valency metal fluorides」、Journal of Fluorine Chemistry, 87(1998)105-109.
2) T. Abe, H. Fukaya, T. Ono, E. Hayashi, I. Soloshonok, K. Okuhara, 「Electrochemical fluorination of N-containing carboxylic acids, Part 5. Fluorination of the methyl esters of cis-2,6-dimethylmorpholinogroup substituted carboxylic acids」、
Journal of Fluorine Chemistry, 87(1998)193-201.
3) 高田 直門、松尾 成信、田中 嘉之、関屋 章、「Gaseous thermal conductivities of new Hydrofluoroethers(HFES)」、Journal of Fluorine Chemistry, 91(1998)81-85.
4) S. Mstsuo, Y. Tanaka, N. Takada, H. Yamamoto, A. Sekiya, 「Gaseous Thermal Conductivities of Fluorinated Methyl Ethyl Ethers」、J. of Chem. Eng. Date, 1998, 43, 473-476.
5) N. Takada, T. Abe, A. Sekiya, 「Preparation and physicochemical properties of F-tert-butyl alkyl ethers」、Journal of Fluorine Chemisary, 92(1998)167-171.
6) 田窪 征司、望月 雄司、関屋 章、「次世代冷媒 HFE-245mc の熱的安定性」、冷凍-第 73 巻 第 847 号(1998).
7) A. Takahashi, Y. Urano, K. Tokuhashi, H. Nagai, M. Kaise, S. Kondo,「Fusing ignition of various metal wires for explosion limits measurement of methane/air mixture」、Journal of Loss Prevention in the Process Industries, 11(1998)353-360、
8) 関屋 章、三崎 進、「次世代冷媒としてのフッ素エーテル」、冷凍−第 73 巻 第 853 号(1998).
9) 関屋 章、三崎 進、「次世代のフロン代替物ー含フッ素エーテルなどの可能性ー」、高圧ガス、Vol. 36 No. 3(1999).
10) 関屋 章、高田 直門、玉井 良一、突田 宣昭、武安 弘光、「(仮)Fundamental Study of Fluorinated Ethers as New Generation Blowing Agents」、Journal of CELLULAR PLASTICS, May/1999.
11) 松本高利、長嶋雲兵、田辺和俊、吉元昭二、上坂博亨、山本博志、山本博志、「ニューラルネットワークによる分子設計ー代替フロン探索のための赤外線吸収強度の予測ー」、科学とソフトウエア、第 21 巻第 1 号(1999).
(3) 特許出願[( )内は、出願日]
1) 藤本 悦男、秋山 稔、鈴田 哲也、関屋 章、「1−メトキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,1,2−トリフルオロエタンとアルコール類からなる共沸又は共沸様組成物」、特願平 10−169357(平成 10 年 6 月 2 日)
2) 藤本 悦男、秋山 稔、鈴田 哲也、関屋 章、「1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ−1,1,2−トリフルオロエタンとアルコール類からなる共沸又は共沸様組成物)、特願平 10−169358(平成 10 年 6 月 2 日)
3) 藤本 悦男、秋山 稔、鈴田 哲也、関屋 章、「1−エトキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,1,2−トリフルオロエタンを含む共沸又は共沸様組成物」、特願平 10−169359(平成 10 年 6 月 2 日)
4) 鈴田 哲也、田窪 征司、秋山 稔、関屋 章、「新規なフルオロ環状エーテル及びその製造方法」、特願平 10−179742(平成 10 年 6 月 11 日)
5) 玉井 良一、高田 直門、山本 博志、関屋 章、「2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテルを含む共沸物および共沸様組成物」、特願平 10-188301(平成 10 年 6 月 18 日)
6) 玉井 良一、高田 直門、山本 博志、関屋 章、「ヒドロフルオロエーテルを含む共沸組成物および共沸様組成物」、特願平 10−188301(平成 10 年 6 月 18 日)
7) 玉井 良一、高田 直門、山本 博志、関屋 章、「2,2,1,1−テトラフルオロエチル2’,2’,2’−トリフルオロエチルエーテルを含む共沸組成物および共沸様組成物」、特願平 10−188302(平成 10 年 6 月 18 日)
8) 田窪 征司、秋山 稔、浦野 洋吉、近藤 重雄、関屋 章、「不燃性作動流体組成物」、特願平 10−199567(平成 10 年 6 月 30 日)
9) 田窪 征司、秋山 稔、浦野 洋吉、近藤 重雄、関屋 章、「不燃性を有する作動流体組成物」、特願平 10−199568(平成 10 年 6 月 30 日)
10) 秋山 稔、田窪 征司、鈴田 哲也、関屋 章、「含フッ素オレフィン」、特願平 10−207701(平成 10 年 7 月 23 日)
11) 阿部 隆、奥原 邦夫、「ペルフルオロ(第二アミノ基置換アセチルフリオリド)の製造方法」、特願平 10−258903(平成 10 年 9 月 11 日)
12) 阿部 隆、奥原 邦夫、「新規なペルフルオロ(ピペラジン−N,N’−ジ−アセチルフルオリド)及びその製造方法」、特願平 10−258894(平成 10 年 9 月 11 日)
13) 田窪 征司、秋山 稔、猪俣 忠昭、阿部 隆、関屋 章、「火炎の消火方法」、特願平 10−243870(平成 10 年 8 月 28 日)
14) 鈴田 哲也、若林 邦俊、黒河 勇治、阿部 隆、関屋 章、「含フッ素エーテルの製造方法」、特願平 10−243921(平成 10 年 8 月 28 日)
15) 奥原 邦夫、小野 泰蔵、林 永二、阿部 隆、「ペルフルオロアルキルヨージドの製造方法」、特願平 10−278566(平成 10 年 9 月 30 日)
16) 田窪 征司、浦野 洋吉、関屋 章、近藤 重雄、「不燃性の作動流体組成物」、特願平 10−281781(平成 10 年 10 月 2 日)
17) 田窪 征司、若林 邦俊、黒河 勇治、関屋 章、「含フッ素ジオキサン及びその製造方法」、特願平 10−281789(平成 10 年 10 月 2 日)
18) 奥原 邦夫、小野 泰蔵、林 永二、阿部 隆、「ペルフルオロアルキル基含有ヨウ化アルキルの製造方法」、特願平 10−278590(平成 10 年 9 月 30 日)
19) 田村 正則、関屋 章、田窪 征司、「含フッ素エーテル化合物の製造方法」、特願平 10−296985(平成 10 年 10 月 19 日)
20) Hajimu Kawa (Exfluor Reseach Corp.,米国)、田窪 征司、「含フッ素ジオキソラン類およびその製造方法」、特願平 10−313624(平成 10 年 11 月 4 日)
21) Hajimu Kawa (Exfluor Reseach Corp.)、田窪 征司、「含フッ素アセタールおよびその製造方法」、特願平 10−313730(平成 10 年 11 月 4 日)
22) 田窪 征司、玉井 良一、関屋 章、「断熱ガス」、特願平 11−003448(平成 11 年 1 月 8 日)
23) 黒河 勇治、鈴田 哲也、村田 潤治、関屋 章、「溶剤およびそれを用いる物品表面の洗浄化方法」、特願平 11−007390(平成 11 年 1 月 14 日)
24) 阿部 隆、深谷 治彦、奥原 邦夫、「ガス系消火薬剤及びそれを用いる火災の消火方法」、特願平 11-053848(平成 11 年 3 月 2 日)
25) 阿部 隆、奥原 邦夫、「2−ヨウ化−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオン酸フルオリド及びそのエステルの製造方法」、特願平 11-054024(平成 11 年 3 月 2 日)
26) 村田 潤治、安本 昌彦、日秋 俊彦、関屋 章、佐古 猛、「共沸及び共沸様組成物」、特願平 11-070794(平成 11 年 3 月 16 日)
27) 鈴田 哲也、黒河 勇治、村田 潤治、阿部 隆(名工研)、関屋 章、「新規なフルオロオレフィンエーテル及びその製造方法」、特願平 11-082462(平成 11 年 3 月 25 日)
(4) 新聞・テレビ等
平成10年度には特記事項はなかった。
【 平成11年度 】
(1) 研究発表等
2-87
1) J. Korchowiec,内丸 忠文,「メチルラジカルのエチレンに対する付加反応におけるフッ素原子の置換効果に関する理論的解析」,物質工学工業技術研究所研究発表会,平成 10 年 9 月 16-19 日.
2) 内丸 忠文,J. Korchowiec,杉江 正昭,「分子間相互作用の新たな解析法とフロン代替化合物の反応予測への応用の試み」,物質工学工業技術研究所研究発表会,平成 10 年 10 月 16 日.
3) 内丸 忠文,J. Korchowiec,杉江 正昭,関屋 章,「OH ラジカルによるメタン及びフルオロメタンの水素引き抜き反応の反応座標の解析」,第 21 回情報化学討論会,平成 10 年 11 月 10-11 日.
4) 内丸 忠文,J. Korchowiec,杉江 正昭,関屋 章,「OH ラジカルによるメタン及びフルオロメタンの水素引き抜き反応の反応座標の解析」,第 12 回分子シミュレーション討論会,平成 10 年 12 月 9 日.
5) 内丸 忠文,J. Korchowiec,川原 俊一,松村 一成,都築 誠二,三上 益弘,「メチルラジカルのエチレンに対する付加反応におけるフッ素原子の置換効果」,日本化学会第 76 春季年会,平成 11 年 3 月 28-31 日.
6) 関屋 章,三崎 進,「Preparation and Properties of Hydrofluoroketones as the Alternatives of CFCs」, フッ素化学国際会議 ‘99 東京 (The International Conference on Fluorine Chemistry, ’99 Tokyo, 平成 11 年 5 月 9 日.
7) 鈴田 哲也,阿部 隆,関屋 章,「Reaction of MeOF with Perfluoroolefins」, フッ素化学国際会議 ‘99 東京 (The International Conference on Fluorine Chemistry, ’99 Tokyo, 平成 11 年 5 月 9 日.
8) 黒河 勇治,関屋 章,「Preparation and Properties of Hydrofluoroketones as the Alternatives of CFCs」, フッ素化学国際会議 ‘99 東京 (The International Conference on Fluorine Chemistry, ’99 Tokyo), 平成 11 年 5 月 9 日.
9) Takashi Abe, Hajima Baba, Irina Soloshonok, Kazuhiko Tanaka, 山本 博志,「The Separation of Polyfluorocarboxylic Acids by Ion-Exclusion Chromatography: A New Way for the Analysis of Polyfluorocarboxylic Acids」, フッ素化学国際会
議 ‘99 東京 (The International Conference on Fluorine Chemistry, ’99 Tokyo, 平成 11 年 5 月 9 日.
10) 野原 香代,竹内 浩士,指宿 尭嗣,「バブルカラム法を用いた含フッ素化合物の付着係数測定」,大気化学討論会,平成 11 年 6 月 3 日.
11) Kayo Nohara, Koji Takeuchi, Takashi Ibusuki, 「Atomospheric Photooxidation of New Alternatives for HCFCs and / or HFCs」, ICP99 Conference Photochemistry, 平成 11 年 8 月 1 日.
12) Kayo Nohara, Koji Takeuchi, Takashi Ibusuki, 「Application of Matrix Isolation Method to Reaction Intermediates Analyzing」, ICP99 Conference Photochemistry, 平成 11 年 8 月 1 日.
13) 佐古 猛,「フッ化エーテルの熱物性測定と相関」,第 5 回日韓合同分離技術シンポジウム,平成 11 年 8 月 20-21 日.
14) 田村 正則,関屋 章,田窪 征司,Heng-dao Quan,「Synthesis of alkyl perfluoroalkyl ethers by fluorination of fluoroalkyl ethers」, 218th ACS National Meeting, 平成 11 年 8 月 23 日.
15) 山本 博志,阿部 隆,馬場 甫,イリーナ ソロショノク,田中 一彦,「ポリフルオロカルボン酸のイオン排除クロマトグラフィーによる分離。ポリフルオロカルボン酸の分析の新手法」“The Separation of Polyfluorocarboxylic Acids by
Ion-Exclusion Chromatography: A New Way for the Analysis of Polyfluorocarboxylic Acids”,国際イオンクロマトグラフィーシンポジウム’99(IICS-99),平成 11 年 9 月 14 日.
16) J. V. Widiatmo, H. Sato, K. Watanabe, 「A Challenge to Develop An Equation of State for A New Generation Refrigerant, HFE-347mcc」, 20th International Congress of Refrigeration, IIR/IIF, Sydney, Sept.19-24, 平成 11 年 9 月 19 日.
17) Heng-dao Quan,田村 正則,関屋 章,「多孔性フッ化アルミニウムに吸着した基質のフッ素ガスによるフッ素化反応」,日本化学会第 77 秋季年会,平成 11 年 9 月 25 日.
18) 栃木 勝己,吉田 謙介,山本 博志,村田 潤治,佐古 猛,「含フッ素エーテルを含む系の気液平衡の ASOG 及び PRASOG による推算」,化学工学会第 32 回秋季大会,平成 11 年 9 月 26 日.
19) 関屋 章,「Alterntives to CFCs, HCFCs, HFCs and PFCs」,The Earth Technologies Forum ‘99,Sept. 27-29, 1999, 平成 11 年 9 月 27 日.
20) A. K. Chandra, 内丸 忠文,「OH ラジカルと 1,1-及び 1,2-ジクロロエタンの反応について:非経験的分子軌道法による解析」,分子構造総合検討会,平成 11 年 9 月 28 日.
21) 野原 香代,竹内 浩士,指宿 尭嗣,「塩素ラジカルによる含フッ素ケトン(C2F5COC2H5)の気相分解」,第 40 回大気環境学会年会,平成 11 年 9 月 28 日.
22) 忽那 周三,野原 香代,竹内 浩士,指宿 尭嗣,「新規冷媒候補品 CH3OCF2CF2CF3 と OH の反応速度定数の測定」,第 40 回大気環境学会年会,平成 11 年 9 月 28 日.
23) J. V. Widiatmo, H. Sato, K. Watanabe, 「A Challenge to Develop An Equation of State for HFC-245mc」, 第 20 回日本熱物性シンポジウム,平成 11 年 10 月 20 日.
24) Hirofumi Ohta, Haruki Sato, Koichi Watanabe, 「Measurements of Vapor Pressures and Liquid Densities of HFE-245mc」, 第 20 回日本熱物性シンポジウム,平成 11 年 10 月 20 日.
25) 関屋 章,三崎 進,「新規代替物質開発状況」,オゾン層保護と地球温暖化防止に関するフォーラム,平成 11 年 10 月 20 日.
26) Akira Sekiya, Susumu Misaki, 「Development and selection of alternative compounds to CFCs」, 第 20 回日本熱物性シンポジウム,平成 11 年 10 月 20 日.
27) 日秋 俊彦,「新規冷媒等の熱物性研究に関する最近の動向」,第 20 回日本熱物性シンポジウム,平成 11 年 10 月 20-22 日.
28) 七尾 真紀子,辻 智也,日秋 俊彦,本郷 尤,「Bis (2,2,2-trifluoroetyl) ether + Alcohol 系定圧気液平衡の測定」,第 20 回日本熱物性シンポジウム,平成 11 年 10 月 20-22 日.
29) 田村正則,田窪征司,Heng-dao Quan,関屋 章,「フルオロアルキルエーテルのフッ素化によるアルキル−ペルフルオロアルキルエーテルの合成」,平成 11 年度物質工学工業技術研究所発表会,平成 11 年 10 月 22 日.
30) 村木 正芳,佐野 孝,「第三世代冷媒 HFE 雰囲気下の冷凍機油のトライボロジー特性」,トライボロジー会議(1999),平成 11 年 10 月 29 日.
31) 三崎 進,関屋 章,「オゾン層保護と地球温暖化防止を目指す代替化合物の開発」,電気評論「環境技術ノート」,平成 11 年 11 月.
32) 太田 博文,佐藤 春樹,渡部 康一,「HFE 系冷媒の液相域における熱力学性質」(Liquid Phase Thermodynamic Properties of HFE Refrigerants),第 40 回高圧討論会,平成 11 年 11 月 10 日.
33) ジャヌアリウス・ウィディアトモ,佐藤春樹,渡部康一,「代替冷媒 HFE-245mc および HFE-347mcc の状態方程式の作成に関する討論」(Formulation of Equations of State for Alternative Refrigerants, HFE-245mc and HFE-347mcc),第 40 回
高圧討論会,平成 11 年 11 月 10 日.
34) 徳橋 和明,高橋 明文,貝瀬 正紘,近藤 重雄,関屋 章,藤本 悦男,「含フッ素不飽和化合物と OH ラジカルとの反応速度の測定」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 18 日.
35) Heng-dao Quan,田村 正則,関屋 章,「The Fluorination of Etheric Substrates Adsorbed on PAF (Porous Aluminum Fluoride) by Gaseous Fluorine」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 18 日.
36) 若林 邦俊,玉井 良一,村田 潤治,関屋 章,「含フッ素アセタールの合成と、洗浄剤としての性能評価」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 18 日.
37) 内丸 忠文,A. K. Chandra,杉江 正昭,関屋 章,「OH ラジカルによるハロメタンの水素引き抜き反応の活性化エネルギー推算のための指標とその適用例について」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 18 日.
38) 杉江 正昭,内丸 忠文,関屋 章,「ジメチルエーテルおよびそのフッ素化物と OH ラジカルとの反応速度の計算」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 18 日.
39) 小村 雅男,高橋 和清,深谷 知巳,玉井 良一,久保田 俊夫,「2-メトキシ-2,3,3,3-テトラフルオロプロピオン酸の陽極酸化による溶媒効果」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 18 日.
40) 田村 正則,田窪 征司,Heng-dao Quan,関屋 章,「含フッ素エノールエーテルのフッ素付加反応によるアルキル−ペルフルオロエーテルの合成」,第 23 回フッ素化学討論会,平成 11 年 11 月 19 日.
41) 菊池 智恵,宗田 雅裕,栗田 清文,栃木 勝己,越智 健二,「ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル+酢酸エチル系における定圧気液平衡の測定と相関」,平成 11 年度/第 43 回日本大学理工学部学術講演会,平成 11 年 11 月 20
日.
42) 今須 良一,田口 彰一,関屋 章,三崎 進,「代替フロン物質の地球温暖化係数(GWP)評価に関する研究:Ⅳ」,日本気象学会 1999 年秋季大会,平成 11 年 11 月 26 日.
43) 高橋 和夫,猪股 忠昭,阿部 隆,関屋 章,若林 邦俊,秋山 稔,「ポリフルオロエーテルの燃焼抑制作用」,第 37 回燃焼シンポジウム,平成 11 年 12 月 8-10 日.
44) 阿部 隆,馬場 甫,イリーナ・ソロショノク,田中 一彦,「イオン排除クロマトグラフィーによるポリフルオロカルボン酸の分析」,日本学術振興会フッ素化学第 155 委員会第 39 回研究会,平成 11 年 12 月 9 日.
45) 関屋 章,「フッ素化エーテルと地球温暖化係数 GWP について」,日本学術振興会フッ素化学第 155 委員会第 40 回研究会,平成 12 年 1 月 27 日.
46) 徳橋 和明,高橋 明文,貝瀬 正紘,近藤 重雄,関屋 章,藤本 悦男,「含フッ素不飽和化合物と OH ラジカルとの反応速度の測定」,環境技術研究総合推進会議 第 4 回合同研究発表会,平成 12 年 1 月 28 日.
47) 日秋 俊彦,七尾 真紀子,辻 智也,本郷 尤,「小型気液平衡測定装置の試作と測定」,化学工学会 第 65 年会,平成 12 年 3 月 29-31 日.
48) 七尾 真紀子,辻 智也,日秋 俊彦,本郷 尤,「HFE-356mf-f+Alcohol 系定圧気液平衡の測定」,化学工学会 第 65 年会,平成 12 年 3 月 29-31 日.
2-88
(2) 論文投稿
1) 中沢 宣明,佐古 猛,中根 堯,関屋 章,佐藤眞士,後藤 嘉彦,須賀 淳雄,「含フッ素アルコールと含フッ素エーテルの液体密度および粘性率」,化学工学論文集,第 22 巻第 1 号,p.184-189, (1996).
2) Shigeru Kurosawa, Takashi Arimura, Akira Sekiya, 「Monofluororination of fluorinated ethers with high-valency metal fluorides」, Journal of Fluorine Chemistry, 85, p.111-114, (1997).
3) J. Korchowiec,内丸 忠文,「Density Functional Study of Addition of Fluoromethyl Radicals to Fluoroethylenes: Estimation of Activation Energies」, The Journal of Physical Chemistry A, Vol.102, No.14, p.2439-2442, (1998).
4) J. Korchowiec,内丸 忠文,「Mechanism of Addition of Fluoromethyl Radicals to Fluoroethylenes」, The Journal of Physical Chemistry A, Vol.102, No.33, p.6682-6689, (1998).
5) 西田 雅一,深谷 治彦,阿部 隆,奥原 邦夫,「フッ素イオン存在下におけるペルフルオロ(5,6- ジヒドロ-2H-1,4- オキサジン)のポリフルオロアルキル化、及びポリフルオロアルコキシル化反応」,“ Polyfluoroalkylation and
polyfluoroalkoxylation of perfluoro-(5,6-dihydro-2H-1,4-oxazine) in the presence of fluoride ion”,Journal of Fluorine Chemistry, 91, p.1-3, (1998).
6) Kazuaki Tokuhashi, Akifumi Takahashi, Masahiro Kaise, Shigeo Kondo, Akira Sekiya, Shiro Yamashita, Haruaki Ito, 「Rate Constants for the Reactions of OH Radicals with CH3OCF2CF3, CH3OCF2CF2CF3, and CH3OCF(CF3)2」,
International Journal of Chemical Kinetics, Vol.31, No.12, p.846-853, (1999).
7) Kazuaki Tokuhashi, Hidekazu Nagai, Akifumi Takahashi, Masahiro Kaise, Shigeo Kondo, Akira Sekiya, Mitsuru Takahashi, Yoshihiko Gotoh, Atsuo Suga, 「Measurement of the OH Reaction Rate Constants for CF3CH2OH, CF3CF2CH2OH, and
CF3CH(OH)CF3」, The Journal of Physical Chemistry A, Vol.103, No.15, p.2664-2672, (1999).
8) Takashi Abe, Haruhiko Fukaya, Eiji Hayashi, Taizo Ono, Masakazu Nishida, Irina Soloshonok, Kunio Okuhara, 「Electrochemical fluorination of (N,N-dialkylamino) alcohols」, Journal of Fluorine Chemistry, 97, p.229-237, (1999).
9) Toshihiko Hiaki, Akiko Kawai, 「Vapor-liquid equilibria determination for a hydrofluoroethers with sevreral alcohols」, Fluid Phase Equilibria, 158-160, p.979-989, (1999).
10) 佐古 猛,安本 昌彦,「臨界点とは何か」,NTT 機関誌,平成 11 年 9 月.
11) Heng-dao Quan, Masanori Tamura, Toshiyuki Takagi, Akira Sekiya, 「Fluorination of n-dodecane adsorbed on porous aluminium fluoride by gaseous fluorine」, Journal of Fluorine Chemistry, 99, p.167-170, (1999).
12) 浦野 洋吉,近藤 重雄,高橋 明文,徳橋 和明,「Reinvestigation of Flammability Limits Measurement of Methane by the Conventional Vessel Method with AC Discharge ignition」, Combustion Science and Technology, Vol.145, p.1-15,
(1999).
13) J. Korchowiec,川原 俊一,松村 一成,内丸 忠文,杉江 正昭,「Hydrogen Abstraction from Methane and Hydrofluoromethanes by OH Radical: Modified GAUSSIAN-2 Study」, The Journal of Physical Chemistry A, Vol.103, No.18,
p.3548-3553, (1999).
14) J. Korchowiec,川原 俊一,松村 一成,内丸 忠文,「Activation Energies for Addition of Fluoromethyl Radicals to Fluoroethylenes: A Density Functional Study」, JCPE Journal, Vol.11, No.2, p.93-102, (1999).
15) Asit K. Chandra, Tadafumi Uchimaru, 「An ab Initio Investigation of the Reactions of 1,1- and 1,2-Dichloroethane with Hydroxyl Radical」, The Journal of Physical Chemistry A, Vol.103, No.50, p.10874-10883, (1999).
16) Kazuaki Tokuhashi, Akifumi Takahashi, Masahiro Kaise, Shigeo Kondo, Akira Sekiya, Shiro Yamashita, Haruaki Ito, 「Rate Constants for the Reactions of OH Radicals with CH3OCF2CHF2, CHF2OCH2CF2CHF2, CHF2OCH2CF2CF3, and
CF3CH2OCF2CHF2 over the Temperature Range 250-430K」, The Jouenal of Physical Chemistry A, Vol.104, No.6, p.1165-1170, (2000).
17) 関屋 章,三崎 進,「The potential of hydrofluoroethers to replace CFCs, HCFCs, and PFCs」, Journal of Fluorine Chemistry, 101, p.215-221, (2000).
18) Asit K. Chandra, Tadafumi Uchimaru, Masaaki Sugie, Akira Sekiya, 「Correlation between hardness and activation energies for raactions of OH radical with halomethanes」, Chemical Physics Letters, 318, p.69-74, (2000).
19) Masanori Tamura, Seiji Takubo, Heng-dao Quan, Akira Sekiya, 「New Synthetic Method of Alkyl Perfluoroalkyl Ethers」, Synlett 2000, No.3, p.343-344, (2000.3).
(3) 特許出願[( )内は出願日]
1) 黒河勇治, 鈴田哲也, 村田潤治, 関屋 章, 「溶剤およびそれを用いる物品表面の清浄化方法」, 特願平 11−098630(平成 11 年 4 月 6 日).
2) 阿部 隆, 奥原邦夫, 「イオン排除クロマトグラフィーによる含フッ素カルボン酸の分離定量方法」, 特願平 11−126407(平成 11 年 5 月 6 日).
3) 鈴田哲也, 黒河勇治, 村田潤治, 阿部 隆, 関屋 章, 「新規な含フッ素ターシャリブチエーテル」, 特願平 11−127454(平成 11 年 5 月 7 日).
4) 玉井良一, 若林邦俊, 関屋 章, 田村正則, 「含フッ素アセタールの製造方法」、特願平 11−203449(平成 11 年 7 月 16 日).
5) 若林邦俊, 玉井良一, 関屋 章, 田村正則, 「硫酸触媒を用いる含フッ素アセタールの製造方法」, 特願平 11−227917(平成 11 年 8 月 11 日).
6) 田村正則, 関屋 章, 田窪征司, 「含フッ素エーテル化合物の製造方法」, 特願平 11−237894(平成 11 年8月25日).
7) 猪俣忠昭, 若林邦俊, 関屋 章, 阿部 隆, 「含フッ素モノエーテルを主成分とするガス系消火薬剤」, 特願平 11−276949(平成 11 年 9 月 29 日).
8) 村田潤治, 黒河勇治, 飯島征宏, 関屋 章, 田村正則, 「1,1,2,2-テトラフルオロ-3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)-プロパンとアルコール類からなる組成物」, 特願平 11−356599(平成 11 年 12 月 15 日).
9) 日秋俊彦, 村田潤治, 安本昌彦, 佐古 猛, 関屋 章, 「共沸及び共沸様組成物」, 特願平 11−356611(平成 11 年 12 月 15 日).
10) 田村正則, 関屋 章, クアン ヘン ダオ, 村田 潤治, 「モノフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル及びその製造方法」, 特願 2000−072541(平成 12 年 3 月 15 日).
11) 黒河勇治, 村田潤, 関屋 章, 田村正則, 「含フッ素ケトンとアルコールからなる共沸及び共沸様組成物」, 特願 2000−099264(平成 12 年 3 月 31 日).
【 平成12年度 】
(1) 研究発表等
1) 浦田 新吾,山本 博志,日秋 俊彦,「ニューラルネットワークを用いた代替フロンの物性推算」,計算化学討論会(場所:東京都江東区),平成 12 年 6 月 1-2 日.
2) Januarius V. Widiatmo, Koichi Watanabe,“Thrmodynamic properties of new refrigetants, pentafluoroethyl methyl ether and heptafluoropropyl methyl ether”,International Conference on Fluid and Thermal Energy Conversion 2000(開催場所:
Bandung, West Java, Indonesia),July 3, (2000).
3) Koichi Mizuno,「1. Destruction Technologies for Ozone Depleting Substances in Japan」,「2. Experiences of ODS Disposal in Japan」,International Workshop on DISPOSAL OF OZONE-DEPLETING SUBSTANCES(開催場所:GENEVA
INTERNATIONAL CONFERENCE CENTRE),July 10, (2000).
4) 近藤 重雄,浦野 洋吉,高橋 明文,徳橋 和明,田中 克己,貝瀬 正紘,「F ナンバーによる可燃性ガスの爆発限界予測」,第 30 回安全工学シンポジウム(会場:日本学術会議),平成 12 年 7 月 13 日.
5) 近藤 重雄,浦野 洋吉,高橋 明文,「大型容器による爆発限界測定」,第 30 回安全工学シンポジウム,平成 12 年 7 月 13-14 日.
6) Takashi Abe, I. Soloshonok,Baba Hajime,“Electrochemical fluorination of 4-alkyl-piperazinyl group substituted carboxylic acid methyl esters”,「4-アルキルピペラジニル基置換カルボン酸メチルの電解フッ素化反応」,16th International
Symposium FLUORINE CHEMISTRY(開催場所:Univ. of Durham, UK),July 18, (2000).
2-89
7) K. Wakabayashi,J. Murata,M. Tamura,A. Sekiya,“Synthesis and Properties of Fluorinated Acetals as Cleaning Solvent”,16th International Symposium FLUORINE CHEMISTRY(開催場所:Univ. of Durham, UK),July 18, (2000).
8) Y. Yamada, S. Kondo, Y. Urano, M. Takubo, A. Sekiya, “Methyl Trifluoromethyl Ether as Alternative Refrigerant”,15th International Symposium Fluorine Chemistry(開催場所:University of Durham, UK),July 18, (2000).
9) Takesi Sako, Akira Sekiya, Masahiko Yasumoto, 「Thermodynamic Properties of Fluorinated Ethers and Ketones as Alternative Refrigerants」, 14th Symposium on Thermophysical Properties,(開催場所:Boulder, Colorado, USA),June 25, (2000)
10) K. Tochigi, K. Yoshida, K. Kurihara, K. Ochi, J. Murata, M. Yasumoto, T. Sako, 「Prediction of VLE for Systems Containing Hydrofluoroethers Using ASOG Group Contribution Method」, 14th Symposium on Thermophysical Properties,(開
催場所:Boulder, Colorado, USA),June 25, (2000).
11) Hirofumi Ohta, Yoshiyuki Morimoto, Januarius V. Widiatmo, Koichi Watanabe,“Liquid-phase thermodyanmic properties of new refrigerants, pentafluoroethyl methyl ether and heptafluoropropyl methyl ether”,14th Symposium on
Thermophysical Properties,(開催場所:Boulder, Colorado, USA),June 25, (2000).
12) Yasutake Yoshii, Masao Mizukawa, Januarius V. Widiatmo, Koichi Watanabe,“Mesurements of saturation densities in critical region of pentafluoroetyl methyl ether (245cbEβγ)”,14th Symposium on Thermophysical Properties,(開催場所:
Boulder, Colorado, USA),June 25-30, (2000).
13) Januarius V. Widiatmo, Koichi Watanabe,“Thrmodynamic properties of new refrigetants, pentafluoroethyl methyl ether and heptafluoropropyl methyl ether”,14th Symposium on Thermophysical Properties, (開催場所:Boulder, Colorado,
USA),June 25, (2000).
14) S. Urata, H. Yamamoto, T. Hiaki,「Prediction of physical properties for developing CFCs and HCFCs alternative compounds by Neural Network」,IUPAC(場所:Canada Harifax),Aug. 6, (2000).
15) T. Abe, H. Baba, H. Itoh, K. Tanaka,“The separation of perfluorosulfinic acids and perfluorosulfonic acids by ion-exclusion chromatograhphy”,「イオン排除クロマトグラフィーによるペルフルオロスルフィン酸とペルフルオロスルホン酸の分離」,
国際イオンクロマトグラフィーシンポジウム(開催場所:Nice, France),Sept. 11, (2000).
16) 浦田 新吾,山本 博志,村田 潤治,日秋 俊彦,関屋 章,「ニューラルネットワークを用いた気液平衡推算」,化学工学会第 33 回秋季大会(場所:静岡大学浜松キャンパス),平成 12 年 9 月 13 日.
17) 七尾 真紀子,日秋 俊彦,浦田 新吾,村田 潤治,「HFE-347pc-f+含酸素化合物系定圧気液平衡の測定」,化学工業会第 33 回秋季大会(開催場所:静岡大学浜松キャンパス),平成 12 年 9 月 19 日.
18) 吉田 駿,森 英夫,大石 克巳,「新規冷媒 HFE-245mc の水平管内沸騰・凝縮熱伝達」,平成 12 年度日本冷凍空調学会学術講演会(開催場所:札幌市),平成 12 年 9 月 21 日.
19) 阿部 隆,馬場 甫,I. Soloshonok,“Electrochemical fluorination of 4-alkyl-piperazinyl group substituted carboxylic acid methyl esters”,「4-アルキルピペラジニル基置換カルボン酸メチルの電解フッ素化反応」,第 24 回フッ素化学討論会(開
催場所:京都市,京大会館),平成 12 年 9 月 21-22 日.
20) 阿部 隆,馬場 甫,伊藤 英征,田中 一彦,“The separation of perfluorosulfinic acids and perfluorosulfonic acids by ion-exclusion chromatography”,「ペルフルオロスルフィン酸及びペルフルオロスルホン酸のイオン排除クロマトグラフィー」,
第 24 回フッ素化学討論会(開催場所:京都市,京大会館),平成 12 年 9 月 21-22 日.
21) 陳 亮,怱那 周三,野原 香代,竹内 浩士,指宿 堯嗣,「233−308K における CH3OCF3 の OH ラジカルとの反応速度定数の測定」,第 41 回大気環境学会年会(開催場所:埼玉大学),平成 12 年 9 月 26 日.
22) R. Tamai, S. Urata, H. Takeyasu, H. Sato, A. Sekiya, 「HFEs as New Generation Blowing Agents」,POLYURETHNE CONFERENCE 2000(開催場所:Boston, U.S.A.), Oct. 9, (2000).
23) 三崎 進,関屋 章,「新規冷媒等プロジェクト」,RITE 設立 10 周年記念成果報告会(開催場所:東京),平成 12 年 10 月 11 日.
24) 七尾 真紀子,日秋 俊彦,浦田 新吾,村田 潤治,「HFE-347pc-f + 含酸素化合物系定圧気液平衡の測定」,第 21 回日本熱物性シンポジウム(開催場所:名古屋市工業研究所),平成 12 年 10 月 18-20 日.
25) 粥川 洋平,ジャヌアリウス・ウィディアトモ,渡部 康一,「HFE-143m および HFE-347mmy の気相 PVT 性質および蒸気圧力の測定」,第 21 回日本熱物性シンポジウム(開催場所:愛知県名古屋市),平成 12 年 10 月 19 日.
26) 志方 正範,松尾 成信,田中 嘉之,「振動弦法による気相の粘性率測定」,第 21 回日本熱物性シンポジウム(開催場所:名古屋市工業研究所),平成 12 年 10 月 19 日.
27) 高谷 啓史,松尾 成信,田中 嘉之,「液相における HFE-245mc の熱伝導率および粘性率」,第 21 回日本熱物性シンポジウム(開催場所:名古屋市工業研究所),平成 12 年 10 月 20 日.
28) 浦田 新吾,入澤 潤,玉井 良一,黒河 勇治,関屋 章,「ニューラルネットワークを用いたフロン代替化合物の溶解度推算」,情報化学討論会(場所:京都リサーチパーク),平成 12 年 10 月 26 日.
29) 安本 昌彦,山田 康夫,大竹 勝人,佐古 猛,神澤 千代志,「混合流体用臨界定数測定装置の開発」,第 41 回高圧討論会(開催場所:東葛テクノプラザ(千葉県柏市)),平成 12 年 11 月 7 日.
30) 吉井 保貴,ジャヌアリウス・ウィディアトモ,渡部 康一,「HFE-143m の臨界定数の測定」,第 41 回高圧討論会(開催場所:千葉県柏市),平成 12 年 11 月 8 日.
31) 阿部 隆,馬場 甫,“Electrochemical fluorination of piperazinyl group substituted carboxylic acid nethyl esters”,「ピペラジニル基置換カルボン酸メチルエステル類の電解フッ素化反応」,日本学術振興会フッ素化学第 155 委員会第 43 回研
究会(開催場所:東京都,本郷,学士会館),平成 12 年 11 月 9-10 日.
32) 山田 康夫,関屋 章,「次世代冷媒の開発と特性評価」,(社)日本冷凍空調学会 研究開発プロジェクト「代替冷媒対応管内蒸発器の熱的最適設計法の開発」第 2 回研究会(開催場所:九州大学(福岡)),平成 12 年 11 月 20 日.
33) 吉田 謙介,栗原 清文,栃木 勝己,越智 健二,「ASOG による含フッ素エーテルを含む系の気液平衡の推算」,第 44 回理工学部学術講演会(日本大学理工学部),開催場所:習志野市,平成 12 年 11 月 25 日.
34) 近藤 重雄,浦野 洋吉,高橋 明文,徳橋 和明,田中 克己,関屋 章,「Ab Initio 法による可燃性ガスの生成熱の計算」,第 33 回安全工学研究発表会(会場:パシフィコ横浜),平成 12 年 12 月 5 日.
35) T. Abe, H. Baba, I. Soloshonok,“Electrochemical fluorination of piperazinyl group substituted carboxylic acid nethyl esters”,「ピペラジニル基置換カルボン酸メチルエステル類の電解フッ素化反応」,2000 環太平洋国際化学会議(Pacifichem
2000)(開催場所:米国,Honolulu, Hawai),Dec. 16, (2000).
36) Asit K. Chandra,T. Uchimaru, M. Sugie,「Kinetics of the hydrogen abstraction reactions of 1,1- and 1,2- difluoroethane with hydroxyl radical : An ab initio study」,2000 環太平洋国際化学会議(Pacifichem 2000)(開催場所:Honolulu, Hawai),
Dec. 16, (2000).
37) 村田 潤治,関屋 章,「REACTIONS OF OXALYL FLUORIDE WITH ALKYL TRIFLUOROMETHANESULFONATES (ROSO2CF3)」,15th Annual Winter Fluorine Conference(場所:St. Petersburg Beach, Florida, USA),Jan. 15, (2001).
38) 村田 潤治,黒河 勇治,関屋 章,「含フッ素アルコールとフッ化オレフィンの付加反応によるヒドロフルオロエーテル(HFE)の合成とその物性」,日本化学会第 79 春季年会(場所:甲南大学岡本キャンパス),平成 13 年 3 月 28-31 日.
39) Asit K. Chandra,内丸 忠文,杉江 正昭,関屋 章,「OH ラジカルによる含ハロゲンアルデヒドの水素引き抜き反応:非経験的分子軌道法による解析」,日本化学会第 79 春季年会(開催場所:甲南大学岡本キャンパス(神戸)),平成 13 年 3
月 29 日.
40) 玉井 良一,浦田 新吾,関屋 章,「次世代硬質ウレタン発泡剤の合成と性質」,日本化学会第 79 春季年会(場所:甲南大学岡本キャンパス),平成 13 年 3 月 29 日.
41) 黒河 勇治,村田 潤治,関屋 章,「含フッ素アルコールと HCFC-22 との反応によるヒドロフルオロエーテル(HFE)の合成とその物性」,日本化学会第 79 春季年会(場所:甲南大学岡本キャンパス),平成 13 年 3 月 29 日.
42) 村田 潤治,黒河 勇治,関屋 章,「含フッ素アルコールとフッ化オレフィンの付加反応によるヒドロフルオロエーテル(HFE)の合成とその物性」,日本化学会第 79 春季年会(場所:甲南大学岡本キャンパス),平成 13 年 3 月 29 日.
(2) 論文投稿
1) Shuzo Kutsuna, Mitsuhiro Toma, Koji Takeuchi, Takasi Ibusuki, “Photocatalytic degradation of some methyl perfluoroalkyl ethers on TiO2 particles in air : The dependence on the dark-adsorption, the products, and the implication for a possible
tropospheric sink”, Environ. Sci. Technol, 1999, 33, p.1071-1076.
2) Shuzo Kutsuna, Koji Takeuchi, Takashi Ibusuki, “Laboratory study on heterogeneous degradation of methyl chloroform (CH3CCl3) on aluminosilica clay minerals as its potential tropospheric sink”, J. Geophys. Res., 105, p.6,611-6,620, (2000).
3) Takashi Abe, Hajime Baba, Irina Soloshok, .Kazuhiro Tanaka,“Novel way of separation of polyfluorocarboxylic acids by ion-exclusion chromatography”,「イオン排除クロマトグラフィーによるポリフルオロカルボン酸の新しい分析法」,Journal of
2-90
Chromatography A, 884 (2000) 93-103.
4) T. Abe, E. Hayashi, H. Baba,“Electrochemical fluorination of aliphatic secondary amines”,「脂肪族第2級アミンの電解フッ素化反応」,Journal of Fluorine Chemistry, 106, p.35-42, (2000).
5) T. Abe, S.K. Pandey, H. Baba,“Electrochemical fluorination of hexahydroazepine, methylpiperidines and methyl 1-hexahydroazepine -acetate: the preparation of F-(1-hexahydroazepine-acetyl fluoride) and its derivatives”,「ヘキサヒドロアゼ
ピン、メチルピペラジン及び 1-ヘキサヒドロアゼピン酢酸メチルエステルの電解フッ素化反応:ペルフルオロ(1-ヘキサヒドロアゼピン-アセチルフルオリド)並びにそれらの誘導体の合成」,Journal of Fluorine Chemistry, 105, p.149-157, (2000).
6) K. Tokuhashi, A. Takahashi, M. Kaise, S. Kondo, A. Sekiya, E. Fujimoto,“Rate Constants for the Reactions of OH Radicals with CF3OCF=CF2 and CF3CF=CF2”,Chemical Physics Letters, 325 (2000) 189-195.
7) Heng-dao Quan, Masanori Tamura, Junji Murata, Ren-xiao Gao, Akira Sekiya,“Fluorination of etheric substrates adsorbed on porous aluminium fluoride by gaseous fluorine”,Journal of Fluorine Chemistry, 106, p.121-125, (2000).
8) 関屋 章,三崎 進,“オゾン層保護と地球温暖化防止が可能な代替フロンの開発”,ヒートパイプ技術,Vol.19, No.4, Ser. No.73, 2000 年 10 月.
9) H. Fukaya, E. Hayashi, T. Abe,“Fire extinguishing ability of perfluoroalkylamines and perfluoroethers evaluated by a small cup burner method”,「小型カップバーナー装置によるペルフルオロアミンとペルフルオロエーテル類の消火能力の評価」,
Journal of Fluorine Chemistry, 106, p.143, (2000).
10) K. Nohara, M. Toma, S. Kutsuna, K. Takeuchi, T. Ibusuki,“Cl Atom-Initiated Oxidation of Three Homologous Methyl Perfluoroalkyl Ethers”,Environ. Sci. Technol. 2001, 35, 114-120.
(3) 特許出願[( )内は出願日]
1) 村田潤治、黒河勇治、飯島征宏、関屋 章、田村正則、「共沸又は共沸様組成物」、特願 2000−174314(平成 12 年 6 月 9 日)
2) 馬場 甫、阿部 隆、「新規なペルフルオロ{1,4-ビス[2-(フルオロカルボニル)-n-プロピル]ピペラジン}及びその製造方法」、特願 2000−190861(平成 12 年 6 月 26 日)
3) 馬場 甫、阿部 隆、「イオン排除クロマトグラフィーによる含フッ素スルフィン酸及び含フッ素スルホン酸の分離定量方法」、特願 2000−190862(平成 12 年 6 月 26 日)
4) 関屋 章、クアン ヘンダオ、田村正則、村田潤治、「1-クロロ-1,1,2,2-テトラフロロ-2-メトキシエタン及びその製造方法」、特願 2000−272428(平成 12 年 9 月 8 日)
5) 村田潤治、黒河勇治、関屋 章、田村正則、「含フッ素ジエーテル化合物の製造方法」、特願 2000−344192(平成 12 年 11 月 10 日)
6) 栃木勝巳、村田潤治、関屋 章、「共沸または共沸様組成物」、特願 2000-344256(平成 12 年 11 月 10 日)
7) 村田潤治、黒河勇治、玉井良一、関屋 章、田村正則、「含フッ素オレフィン化合物」、特願 2000−384037(平成 12 年 12 月 18 日)
8) 日秋俊彦、村田潤治、浦田新吾、関屋 章、「含フッ素エーテルとアルコール類からなる共沸または共沸様組成物」、特願 2000−384065(平成 12 年 12 月 18 日)
9) 村田潤治、関屋 章、田村正則、「含フッ素エーテル化合物の製造方法」、特願 2000−402345(平成 12 年 12 月 28 日)
(4) 新聞・テレビ等
平成12 年度には特記事項はなかった。
【 平成13年度 】
(1) 研究発表等
1) K. Tochigi, K. Kurihara, K. Ochi, J. Murata, M. Yasumoto, T. Sako, “Prediction of Vapor-Liquid Equilibrium for Systems Containing Hydrofluoroethers Using ASOG Group Contribution Method”,14th Symposium on Thermophysical Properies,
Jnne 25-30, 2000 (開催場所:Boulder, 米国),Jnne 28, (2000).
2) Hiaki, T., Nanao, M., 浦田 新吾,村田 潤治,“Vapor-Liquid Equilibria for 1,1,2,2-tetrafluoroethyl-2,2,2-trifluoroethyl ether with Several Organic Compounds Containing Oxygen”,16th IUPAC Conference on Chemical Thermodyanmics(開
催場所:カナダ・ハリファックス、Dalhousic University),Aug. 6, (2000).
3) 日秋 俊彦,七尾 真紀子,浦田 新吾,村田 潤治,「HFE-347pc-f+含酸素化合物系定圧気液平衡の測定」,化学工学会第 33 回秋季大会(開催場所:静岡大学),平成 12 年 9 月 12 日.
4) Asit K. Chandra, 内丸 忠文,杉江 正昭,関屋 章,「OH ラジカルによるハロアルカン類の水素引き抜き反応の活性化エネルギーと結合エネルギーの相関について:密度汎関数計算による解析」,第 24 回フッ素化学討論会(開催場所:京都),
平成 12 年 9 月 21-22 日.
5) Asit K. Chandra, 内丸 忠文,杉江 正昭,「OH ラジカルによる 1,1-及び 1,2-ジクロロエタンの水素引き抜き反応:非経験的分子軌道計算による解析」,第 24 回フッ素化学討論会(開催場所:京都),平成 12 年 9 月 21-22 日.
6) 日秋 俊彦,七尾 真紀子,浦田 新吾,村田 潤治,「HFE-347pc-f + 含酸素化合物系定圧気液平衡の測定」,第 21 回日本熱物性シンポジウム(開催場所:名古屋市工業研究所),平成 12 年 10 月 12 日.
7) Hiaki, T., Nanao, M., “Vapor-Liquid Equilibria determination for a hydrofluoroether with Several Organic Compounds Containing Oxygen”,IUPAC 1st Workshop on Thermochemical, Thermdynamic and Transport Properties of Halogenated
Hydrocarbon and Mixtures(開催場所:Italy),Dec, 15, (1999).
8) 七尾 真紀子,日秋 俊彦,浦田 新吾,村田 潤治,「HFE-449mec-f+有機溶剤系の気液平衡測定」,化学工学会第 66 年会(開催場所:広島大学東広島キャンパス総合科学部・工学部),平成 13 年 4 月 2 日∼4 日.
9) Toshihiko Hiaki, Makiko Nanao, Shingo Urata, and Junji Murata,“Vapor-Liquid Equilibria for 1,1,2,3,3,3-Hexafluoroethyl 2,2,2-trifluoroethyl ether with several organic solvents”,IUPAC 2st Workshop on Thermochemical, Thermdynamic and
Transport Properties of Halogenated Hydrocarbon and Mixtures(開催場所:Paris, France),Apr. 9,(2001).
10) 浦田 新吾,高田 章,村田 潤二,日秋 俊彦,関屋 章,“Prediction of Vapor-liquid Equilibrium for Binary Systems Containing HFEs by using Artificial Neural Network”,IUPAC Workshop(場所:Paris, France),Apr. 9-11,(2001).
11) K. Tochigi, K. Yoshida, K. Kurihara, K. Ochi, J. Murata, S. Urata, K. Otake,“Determination of ASOG Parameters for Selecting Azeotropic Mixtures Containing Hydrofluorethers”,第9回相平衡国際会議(開催場所:倉敷),May. 22,(2001).
12) 陳 亮,惣那 周三,瀬戸口 修,竹内 浩士,指宿 尭嗣,「アセトンと OH ラジカルの大気反応速度及び反応機構」,第7回大気化学討論会(開催場所:滋賀県・琵琶湖グランドホテル),平成 13 年 5 月 30 日∼6 月 1 日.
13) 浦田 新吾,高田 章,村田 潤治,日秋 俊彦,関屋 章,「Neural Network を用いた含フッ素エーテルを含む2成分系の気液平衡推算」,2001 計算化学討論会(場所:江東区文化センター),平成 13 年 6 月 6 日.
14) 新井 善博,「環境問題よりみた工業用洗浄剤の使用実態と今後の動向に関する調査」,第 12 回日本産業洗浄協議会洗浄技術セミナー(場所:シャープ㈱・エルムホール),平成 13 年 6 月 21 日.
15) 村田 潤治,黒河 勇治,田村 正則,関屋 章,「Synthesis of hydrofluoroethers (HFEs) by addition reactions of alcohol to fluoro-olefins.」,13th European Symposium on Fluorine Chemistry(場所:Bordeaux, France),平成 13 年 7 月 15∼20
日.
16) T. Abe, H. Baba, K. Okuhara, H. Fukaya,“Electrochemical fluorination of several methyl/or ethyl esters of morpholino-substituted carboxylic acids”,「モルホリノ基置換カルボン酸メチル及びエチルエステル類の電解フッ素化」,13th
European Symposium on Fluorine Chemistry(開催場所:University of Bordeaux(フランス)),平成 13 年 7 月 17 日.
17) Y. Yamada, S. Kondo, K. Maruo A. Sekiya,“Hydrofluoroethers as Alternative Refrigerants”,13th European Symposium on Fluorine Chemistry(開催場所:University Bordeaux(フランス)),平成 13 年 7 月 17 or 19 日.
18) 吉田 駿,森 英夫,大石 克巳,後藤 景亮,「新規冷媒 HFE-245mc の水平管内沸騰・蒸発熱伝達」,日本冷凍空調学会研究開発プロジェクト「代替冷媒対応管内蒸発器の熱的最適設計法の開発」中間報告書,および同第3回研究発表
2-91
会(開催場所:東京都新宿区・早稲田大学理工学部),平成 13 年 7 月 25 日.
19) 田村 正則,Quan Heng-dao,関屋 章,“Fluorination of perfluoroalkeryl ethers and its mechanism”,222th ACS National Meeting(開催場所:米国,シカゴ),平成 13 年 8 月 27 日.
20) Quan Heng-dao,田村 正則,Gao Reng-xiao,関屋 章,“Esteritication of 1,2-olichloro-1,1,2-trifluoro-2-methoxyethame with AlFm (OH) 3-m”,222th ACS National Meeting(開催場所:米国,シカゴ),平成 13 年 8 月 28 日.
21) 滝下 和弘,黒河 勇治,村田 潤治,関屋 章,「新しいフッ素系洗浄剤とその洗浄プロセス」,第6回 JICC 洗浄技術フォーラム 2001(東京),平成 13 年 9 月 13 日.
22) 山田 康夫,玉井 良一,村田 潤治,浦田 新吾,「フロン等代替物の種々用途での開発例」,平成 13 年度 NEDO 先端技術講座(開催場所:つくば研究支援センター研修室),平成 13 年 9 月 26 日.
(2) 論文投稿
1) Hiaki, T., Kaawai, A,“Vapor-Liquid Equilibria determination for a hydrofluoroether with Several Alcohols”,Fluid Phase Equilibria, 158-160, 979-989,(1999).
2) Hiaki, T., Nanao, M., 浦田 新吾,村田 潤治,“Vapor-Liquid Equilibria for 1,1,2,2-tetrafluoroethyl-2,2,2-trifluoroethyl ether with Several Organic Compounds Containing Oxygen”,Fliud Phase Equilibria, 182 (2000) 189-198.
3) Hiaki, T., Nanao, M., “Vapor-Liquid Equilibria determination for Bis (2,2,2-trifluoroethyl) ether with Several Organic Compounds Containing Oxygen”,Fliud Phase Equilibria, 174, 81-91, 2000.
4) T. Abe., H. Baba., I. Soloshonok.,“Electrochemical fluorination of 1-ethylpiperazine and 4-methyl- and/or 4-ethylpiperazinyl substituted carboxylic acid methyl esters”,「1-エチルピペラジン及び 4-エチルピペラジニル基置換カルボン酸メチ
ルの電解フッ素化」,Journal of Fluorine Chemistry, 108 (2001) 21-35.
5) T. Abe., H. Baba, I. Soloshonok,“Electrochemical fluorination of several 1,4-bis [(methoxycarbonyl) alkyl] substituted piperazines”,「数種の 1,4-ビス[(メトキシカルボニル)アルキル]置換ピペラジン類の電解フッ素化」,Journal of Fluorine
Chemistry, 108 (2001) 215-228.
6) T. Abe, H. Baba, E. Itoh, K. Tanaka,“Separation of perfluoroalkylsulfinic acids and perfluoroalkysulfonic acids by ion-exclusion chromatography”,「ペルフルオロアルキルスルフィン酸とペルフルオロアルキルスルホン酸のイオン排除クロマトグ
ラフィーによる分離」,Journal of Chromatography A, 920 (2001) 173-180.
7) 浦田 新吾,内丸 忠史,Asit K. Chandra,高田 章,関屋 章,「C-H 結合解離エンタルピー計算による含フッ素蟻酸エステルの OH ラジカル反応速度推算」,Journal of Computer Aided Chemistry, Vol.2, 45-51 (2001).
8) 浦田 新吾,入澤 潤,高田 章,玉井 良一,黒河 勇治,関屋 章,「ニューラルネットワークを用いた洗浄剤、発泡剤用新規代替化合物の溶解度推算と探索」,Journal of Computer Aided Chemistry, Vol.2, 21-28 (2001).
9) 関屋 章,山田 康夫,「次世代冷媒の開発見通し」,高圧ガス,Vol.38 (9),平成 13 年 9 月 1 日.
10) 新井 喜博,「環境問題から見た工業洗浄剤の使用実態と今後の動向」,工業調査会発刊の雑誌「M&E」(9 月号),平成 13 年 9 月 1 日.
11) K. Tochigi, K. Yoshida, K. Kurihara, K. Ochi, J. Murata, M. Yasumoto, T. Sako,“Prediction of vapor-liquid equilibrium for systems containing hydrofluoroethers Using ASOG group contribution method”,Fluid Phase Equilibria, 183-184 (2001)
173-182.
(3) 特許出願[( )内は出願日]
1) 阿倍 隆、奥原邦夫、黒河勇治、特願 2001-308332 「新規な含フッ素ケトン化合物及びその製造方法」(平成 13 年 10 月 4 日)
(4) その他
1) 日秋 俊彦,「オーガナイズド・セッション:地球を守る熱物性」,熱物性 Vol.14, No.1,平成 12 年 1 月.
2) 浦田 新吾,“2nd Workshop on Thermochemical Thermodynamic and Transport Properties of Halogenated Hydrocarbons and Mixtures 参加報告”,分離技術(分離技術会),平成 13 年 6 月.
3) 日本産業洗浄協議会,「工業洗浄剤に関する調査報告書(環境問題よりみた工業洗浄剤の使用実態と今後の動向に関する調査)」,頒布先:会員及び関係先,平成 13 年 9 月 10 日.
2-92
第3章 評
価
評価
[Ⅰ]総論
1.総合評価
GWP 値の評価手法や物性評価手法を開発したこと、多数の新規物質を合成・測定
したデータの集積は学術的にも利用価値が大きいと思われ、全体としてほぼ目標を
達成できたと評価できる。
GWP の推算値、データベース、物性推算については、実用化の可能性は大いにあ
る。冷媒及び洗浄剤、発泡剤では企業による実用化の意向が示されているものもあ
り、評価できる。しかし、全般的には実用化については技術的な可能性が示された
ものの、コストや普及実用化までのタイムスケジュール、事業化の効果など経済性
についての実際的見通しは必ずしも明らかにされていない。実用化に向けては競合
物質との比較優位性及び経済・社会へのインパクトについての見通しを具体化して
いく必要がある。
現時点で候補に上がった物質の適用想定範囲を整理し、実用化・事業化の可能性
を検討した上で、情勢変化にすみやかに対応しつつ、今後の取り組み方を検討すべ
きである。
(肯定的意見)
○新しい物質の可能性を提案し、その物質を試作した。さらに、その新物質に対して、
環境保全に対する検討、熱物性値測定を含め基礎物性による実証、洗浄剤・発泡剤
としての性能確認、熱物性計算ソフト・データベースの開発など新しい進展をもた
らした。
○20世紀後半になり、フロンは直接大気中に放出するとオゾン層破壊や温暖化に寄
与するという評価を受けたが、片や消費者に密着した製品分野や産業界で長年使用
されてきたものであり、その消費の急激なる削減と全廃の規制は、当時、全地球的
レベルで産業界を震撼させる課題であった。これは、冷凍空調機器事業の存続を掛
けその渦中に身をおいた機器メーカの一員としての実感であり、本プロジェクトを
8年前にスタート頂いたことに、まずもって深謝申し上げる次第である。代替物質
の探索に多額の資金と研究者を投入することは、その事業化の成否を考えると、極
めてリスキーな課題であり、産業界だけではとても取り組めなかったテーマである
と認識している。恒久的に使用できる代替物質が見えない中で、産業界はHFCで
の対策を進めるか、従来常識では扱いづらい代替物質(可燃物質である炭化水素や圧
力の高いCO2 等)を使いこなす技術開発を進めているところであるが、恒久的に使
用できる代替物質の開発は今も急務である。特に、R22 代替の R410A や R407C の後
継冷媒として何があるかが見えないところが極めてつらいところでもある。本プロ
ジェクトが掲げるテーマは、当時から技術的難易度も極めて高く、欧米先進国でも
国が関与したものとしては手がけられていないものである。以上のような背景のも
とに着手された当プロジェクトの意義と目的は明白であり、ユーザー業界からの注
目度は高く期待度も極めて高い。現在、代替物質としてあげられたものは、代替技
術が多様化した現時点においては、従来使用してきた(規制)物質のように多様な用
1
途範囲で採用されることは困難な面もあろうが、まずは特定の分野からの実用化が
期待できるものであると思う。この部分への実用化に注力すべしと考える。現在、
候補となっている代替物質の実用化に向けては、更に時間を必要とするが、その動
きを加速する意味では、今後は個別ユーザーへのアプローチのみではなく、ユーザ
ー業界団体に対しても評価の協力を申し入れていく必要があるのではないかと思う。
併せて実施されたGWP推算の手法開発や代替候補物質の物性データベースは日本
の技術基盤の向上や国際的発言力の向上に大きく貢献できるものとして高く評価し
たい。特に、GWP 推算が国内で可能となったことの意義は大きく、今後の IPCC の議
論への参加権が得られたこと、新規開発物質の GWP 評価がいち早く独自に行えるこ
となどは当然のことながら、温暖化防止の国家政策的な面での日本のプレゼンス強
化に間接的に結びつくものと考えられる。今年度を最終年度とする当プロジェクト
の成果としては、むしろこちらを重視すべきであり、成果としては十分なものと評
価する。今後に対し望みたいことは、新規物質の経済性に優れる製法の探求と、前
段に述べた要素技術を今後どう生かして発展形の技術開発に繋げるかの整理である。
○本プロジェクトの研究開発目標は国際的にも重要なものであり、今後の研究開発に
も影響する具体的な成果をいくつか上げたことは十分に優れたものとして評価した
い。
○CFC, HCFC に加えて HFC の国際的な使用規制により代替物質の開発研究は緊急かつ
重要な課題である。我が国独自の国際的に信頼度の高い代替物質開発の指標を提示
しかつ実用可能な新規代替物質を開発していくにはその技術的困難さの克服のため
に長期にわたる総合的な研究が不可欠であり、環境影響評価手法の開発を含めた内
容は民間企業が単独で取り組むことは困難である。さらに、先進国として我が国が
率先して地球環境保全に務める責務の観点からも、国のプロジェクトとして産官学
が共同で取り組むべきものと考える。先行プロジェクト「圧縮式ヒートポンプ用新
規冷媒研究開発」の後継プロジェクトとして、それまでの実績と周辺状況の推移や
中間評価などに照らし合わせて適正な具体的開発目標を立案し、効率的な研究の進
捗を達成すべく研究体制の構築に努めて研究開発を進めてきたと思う。その結果、
(1)調査・設計研究では、他に類例のない物性データベースの作成や物性推算プ
ログラムの開発を行い、後者は新規代替物質の選択の効率化に具体的に利用され有
用性が検証されている。物性データベースと物性推算プログラムは公開への準備が
整いつつあり、本プロジェクト成果の社会的還元に寄与するものであると考える。
さらに、関連技術の現状調査も適切に行われ、本プロジェクトの冷媒・発泡剤・洗
浄剤の研究開発目標を明確にしている。(2)合成と物性評価研究では、まず代替物
質の基本構造として他ではあまり取り上げられていないエーテル系化合物を中心に
研究開発が進められ、新規で効率的な合成法の開発や従来の合成法の改良に成功し、
41件の合成ならびに用途特許の出願を行うと同時に学会発表や論文発表も積極的
に行っている。物性評価研究のなかで燃焼性評価に関しては、実験法の確立を行い、
さらに燃焼危険性指標として燃焼熱を組み込んだ RF ナンバーの提案は評価できる
成果である。(3)環境影響評価技術研究では、これまで我が国では出来なかった
GWP 推算が信頼度の高いレベルで出来るような評価モデルの確立が完成しつつあり、
2
本プロジェクトの大きな成果として期待される。内外での学会発表や論文発表も積
極的に行われており、今後一層の国際的認知の獲得に務められたい。IPCC 第3次報
告書 (2001) に本プロジェクトで発表した GWP 値が数多く収載されたことは本成果
を裏付けるもののひとつである。(4)実用化試験と総合評価については、肯定的な
面といくつかの問題点・改善点がある。冷媒、発泡剤、洗浄剤の用途分野毎に開発
の指標となる代替物質が具備すべき物性や機能レベルを明確に設定し、それぞれの
分野で新規候補化合物の絞り込みに至っている。実用化試験については冷媒、発泡
剤、洗浄剤の個々の分野での進捗状況には差はあるが、冷媒と洗浄剤で企業化への
段階に進むものがあり、成果として評価したい。「実用化を期する」とした目標に対
して、候補化合物のコスト面の見通しや性能評価研究で得られた基礎的データは必
ずしも十分とは言えず、複数のメーカーが競争的に企業化展開に参入する状況づく
りまでの成果が望まれた。結果的には、プロジェクト後半期の研究開発項目の多重
化に対して、研究期間と人的投入のやや不足を感じ、今後早期に解決してプロジェ
クト成果を関連産業分野に反映させることを期待する。
○目的物質の探索にあたって合成された多数の新規物質に関するデータの集積や、物
性・環境影響評価の手法の開発は、この分野の基礎・応用研究にとって利用価値が
高い成果である。
○プロジェクト開始時期を考えると、国がこれに取り組む必要があったと思われるし、
成果としてもそれなりの結果が出ている。温暖化係数の算定について日本でも独特
の方法を持つことは、国としても意識がある。
○フッ素化合物群を広く探査して、安全で、毒性もなく、合成のしやすさも考慮し、
GWPの比較的小さい冷媒,発泡材、洗浄剤に適する候補物質を見出したことは大
きな成果で評価できる。またGWPを自前で算出できるようにした研究は、プロジ
ェクトの開発の効率化に貢献したばかりでなく、研究進展状況の外国へのリークを
防止できた点で国益に適っている。
○代替フロンの開発と関連して、基礎的な技術的な面において成果が得られている。
(問題点・改善すべき点)
●洗浄剤・発泡剤として環境にやさしい物質を探り当てたが、冷凍機・ヒートポンプ
用の冷媒としては、適切な物質を開発することができなかった。さらに、地熱発電・
廃熱回収など未利用エネルギーの活用といった観点から、その可能性の解析は行わ
れていない。
●国家プロジェクトとしての必要性は理解できるが、今後の産学の役割分担をどのよ
うにすればよいか示唆するデータを残すことも大切である。
●中間評価段階で、プロジェクト終了時点で実用化の実現を期する研究開発の実施が
提言されているが、実用化に関しては完全な目標達成には至っていない。高温冷媒
を除けば実用化への試験期間および研究体制の不足を感じる。現時点で本プロジェ
クトで開発されたもののうちには、冷媒および洗浄剤として企業化に向けた段階に
進むものがあり、今後の展開を期待したい。
●実用化を最終目的とすれば、性能面などでは優れた化学物質でも、コスト等経済性
3
の面で類似製品などと競合し得るかどうかを判断する材料が必ずしも十分ではない。
●投入金額との比でみると成果は十分といえるのか。国がやるべきことと、民間がや
るべきことの境について、より明確にすべきであった。
●冷媒では不燃化組成の具体化、洗浄剤では低コスト化の見通し、洗浄力の向上策な
どの詰めが欲しい。
●材料開発にはスピードが必要であり、短期決戦的にプログラムを組むべきであった。
(その他の意見)
△8年の計画で開始したが、進捗状況と世界の技術的な展開から計画を短縮し、6年
くらいでこの新物質を世の中に出すべきではなかったかと考える。
△代替物質を必要とする用途は多岐に渡るが、例えば、冷媒分野において現在有力代
替物として示されたのは、HFE-143mと 245mc である。冷凍空調機器業界の最大の関
心事は、「HCFC22→R407C や R410A→R32?→この後継冷媒がないか??」であるが、
このプロジェクトの成果の一つとして、次世代冷媒の限界を明らかにしたことを示
す意味でも、何故 HCFC22 に代わるべき非 HFC 系候補化合物が、含フッ素化合物の中
から見出し得ないのかの解説を最終報告書の中では取り上げて頂きたく存じます。
事業原簿には、「ジメチルエーテル型の低沸点の化合物は何れも大気中寿命が長く
対象から外され、R22 に代替する化合物が得られないことが判明した。」と記載され
ており、質問票でも回答頂き下名は理解しましたが(下記注参照)、一般にもよく理
解頂けるように、最終纏めに当たっては再度レビユーして頂けると有り難く存じま
す。
注:含フッ素エーテルでは、CF3OCF3(HFE-116)が最も低沸点(- 58.7℃)であるが、
大気寿命が極めて長い。CF3OCHF2(HFE-125;BP=-34.6℃)の大気中寿命が 150
年であることからして、CF3OCH2F は、HFE-125 より沸点は高く、HFE-143m に近
い沸点であり代替にならない。よって、HFE-143m より低沸点の冷媒は、低 GWP
で大気寿命の短いことを考慮すると存在しないと理解しました。候補化合物の
経済性評価は、この程度の指標で評価せざるを得ないところは十分理解すると
して、△を○にするには、どの程度のハードルがあるのか、そのための最大の
課題は何かなどについて触れて頂けると有り難い。
△日本企業はパブリック・セクターに甘えすぎの傾向がある。個別的には、このよう
なプロジェクトも必要性を深めるが、大きな視点からみると甘え体質を助長してい
ないか。
△要素研究をポテンシャルの高い研究機関に積極的に再委託して、我が国の科学技術
力を結集させた運営は評価する。
4
2.今後の研究開発の方向性等に関する提言
環境影響評価法やデータベース、物性推算法は、本プロジェクトの成果として
広く国内外に公開していくべきである。今後の実用化に向けては、企業が主体的
に取り組む課題である。
新規代替物質については、知的財産権を確実にした上で、普及戦略を検討する
必要があり、環境影響評価技術研究等に加えてコスト面の課題の解決も含めて、
今後も取り組みを継続することが妥当と考えられる。
(次段階の研究を進めるか否か等の提言)
○LCA の観点も含め、総合的に温暖化防止に効果のある物質の可能性を探る必要があ
る。この 8 年間の間に、自然冷媒、HFC 非共沸混合冷媒などの活用に業界は経験を
つんできた。洗浄剤、発泡剤についても HFE を受け入れる余地があるか。この点に
ついては調査の段階にあると言える。
○実用化を加速するためには、代替候補物質の経済的合成法の開発が重要であり、こ
こまでは国の支援が必要な重要テーマであると思う。併せて化審法対応の安全性評
価試験の加速の必要がある。
○プロジェクトのあり方に関しては議論の余地もあるが、研究開発目標に関しては次
段階の研究を進める必要はある。今後も続けるべきである。
○プロジェクトでの開発物質を含めた各種フッ素化合物の物性データの収集とデータ
ベース構築や物性推算法の開発は本プロジェクトの成果のひとつであり、広く公開
していくことは本プロジェクトの公的な性格に照らして社会的な貢献を果たすもの
のひとつである。公開にあたってはその主体を明確にして国際的な認知を得ること
にも務められたい。環境影響評価法の開発は一層の推進を図り、国際的に信頼度の
高い代替物質の開発指標(国際的スタンダード)の提示に向けて継続的に実施すべ
きと考える。産業界に対して関連技術開発における明確な指針を提供するとともに、
我が国が国際的に認知された開発指標を確立することは地球環境問題に対する政策
的見地からも重要と考えられる。実用化の目標が完全には達成できなかった理由と
して、経済性を解決した大量供給を可能とする合成法の確立の遅れがあるように思
われる。この点を含めて中間評価では、要素研究の多重化に比して研究体制の規模
的な不足が懸念された。今後早期に解決を図るべき残された課題のひとつと考えら
れる。
○今後は、企業が主体的に取り組む課題である。物性等について詳細なデータを取る
としても、周辺物質を探索するのも、プロジェクト的に取り組む必要はない。
○フッ素溶剤のもつ表面張力が小さくて、浸透性がよく、素材を傷めない、乾燥性が
よい、不燃性、低毒性が要求される複雑形状の精密加工部品や組立部品の洗浄が、
CFC,HCFCが使えなくなり、その役割を引き継ぐ洗浄剤の出現が望まれてい
る。開発した洗浄剤がこうした需要に答えられる洗浄性能を持つと HCFC225のマ
ーケット(約7000トン)は獲得できる。また製品価格が市販品との競合で重要
であり、経済的合成法の研究は実用化の成否を決める。
○研究は終了し、この後は民間企業にまかせるのが適当である。
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(その他の提言)
△COP7 によって、温暖化防止の方向性が決定した。燃料電池の活用に関心が高まり、
発電所の分散化、水素の利用と製法、排気ガス・水蒸気による環境負荷に研究の必
要性が高まっている。こうした状況から、ハロンが廃止されているため消火剤の研
究も必要と考えられる。図書・情報保存媒体や財産の保護など消火剤は重要である。
△世界市場に如何に認知させ、普及させるかの戦略の検討が要る。このためには知的
財産権を確実なものにしておく必要がある。今後の実用化に向けてのステップとし
て、ユーザー業界との評価プロジェクトの如きものの設定は必要ではないか。評価
に関しては、AREP/JAREP の際のような国際的なプロジェクトや冷蔵庫発泡剤分野で
は ITAC/JEMA 会議などを設定したことがあるが、これらのミニ版のような取組み方
はあり得ないか。どういう方策をとれば実用化が加速するかの検討は重要である。
△現実に実用化可能な新規(代替)物質の開発が、温暖化防止の政策上重要な柱の一
つであることに鑑み、技術的な可能性についてのみ結論を出し経済性についての判
断は企業にゆだねるのではなく、今後はこの種の開発研究の最終段階としてコスト
等を含めた経済性全体についての定量的な評価も明らかにするよう検討すべきでは
ないか。実用化の見通しの可否は、政策決定にあたって比較的速やかに判断を要す
る点であるから。
△広くデータ等を公開し、大学などでの自主的な研究を促す方策を探したい。
△CFC113並みのKB値(30程度)を新洗浄剤に持たせることが出来ると用途拡大
が可能となる。深穴や積層や狭い隙間を持つ品物の精密洗浄が一番代替フロンに求
められている。洗浄性の評価もこうした対象物で直接評価してみることを試みては
どうか。
△代替物そのものの開発よりも、代替物の評価手法等基盤的に必要なツールやインフ
ラに開発の方向性をふり向けた方が有効とも考えられる。
6
[Ⅱ]各論
1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性
本プロジェクトは代替物質の探索と分子設計を経た合成、各種評価等の基盤的な分
野からの取り組みが必要であること、環境影響評価や安全性評価等が重要であること、
最終的に事業化へのリスクが高いことから、民間のみでは対応できなかったものと考
えられる。また、我が国が国際的約束を遵守し、指導的な役割を担うという観点から
も、産学官の連携により、成果を公平に活用できる NEDO の事業としては妥当であ
った。
(肯定的意見)
○本研究が開始された時点では、NEDO の関与は必要であった。新物質の可能性を実
証するために、その物質の製法、製造、オゾン層破壊・温暖化などの環境負荷、熱
物性研究、実用実験など総合的に研究を行うには、営利を超えた団体で実施し、成
果を公平に活用できる組織で計画したことは妥当であった。
○当テーマに対し切実なニーズが、フロン問題に関係のある業界にとり、事業開始時
点の時代状況としてあった。(現時点も状況は変わらず。)度重なる削減スケジュー
ルの強化と全廃時期の前倒しや、HFC の温暖化物質への組入れなどの国際動向の中
で、時宜を得て国の支援事業として取り組んで頂いたことにはユーザー業界の一員
として感謝に耐えない。当テーマは、代替物質の探索と分子設計を経た合成、各種
評価等の極めて基盤的な分野からの取り組みが必要であることと、その過程におい
ては温暖化効果等の環境影響評価や安全性評価等が極めて重要であるゆえ、とても
民間のみでは対応できないテーマであった。更に、最終的に事業化に至るには極め
てリスキーなテーマでもあるゆえ、NEDO 事業以外の取り組み方は考えられなった
ものと思う。よって、NEDO の事業としては極めて妥当なものであったと評価する。
○新規構造の代替物質開発の成果がどれほどのものか評価が難しいが、逆にそのこと
が本プロジェクトの技術的難度の高さを端的に示している。その意味でも新規な代
替物質の開発は国家プロジェクトでしか行えなかったものと言える。さらに環境影
響の評価技術の確立を伴う本プロジェクトのような研究開発は、経済的国際的規制
や各国の国家政策の動向を考えると、ますます民間企業で進めることは難しくなっ
てゆくに違いない。国の関与の必要性は明白であり、産官学の連携を進める上でN
EDOの事業として妥当性あるものと考える。
○エネルギー効率が高く、地球環境影響が極めて小さい代替物質の開発は国際的に緊
急の課題である。実用可能な新規構造の代替物質開発の技術的困難さのため長期に
わたる総合的な研究が不可欠であり、環境影響評価技術の確立を含めた研究開発は
民間企業が単独で取り組むことは困難である。さらに、我が国が地球環境保全に務
める責務と代替物質の開発指標を提示して国際的に指導的な役割を担うとの観点か
らも、国のプロジェクトとして産官学が連携して取り組むべきものと考える。
○国際的約束を守ることは国の仕事であり、それに伴う技術開発も国の関与を否定で
きない。その意味で NEDO が取り上げてもよいテーマであった。
○文明社会の利便性を適えてくれていたCFCが使えなくなり、その代替品のHCF
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Cも将来的に規制される事態になり、既存物質による代替化技術が開発されている
が、何らかの不便さが避けられない。従って環境問題をクリアできる代替フロンの
出現が社会的ニーズとなっていた。フッ素化合物群を広く探査して実用性のある新
物質を発掘する必要があるが、大事業であり、国家的な財力や人材を結集しなけれ
ば実現困難と思われる。この時期にプロジェクトを計画したことは国の環境政策に
適合したものと評価する。
(問題点・改善すべき点)
●開発の進捗状況と世界の動きに伴って、計画の見直しを行うべきではなかったかと
思う。計画の見直しとして実用面の強化を行ったが、実用面の研究は早期に公平に
業界にオープンにすべきではなかったか。
●このような国の関与を必要としていることが明確な事業の中では、産学の果たす役
割についてより見えやすくしたほうが、国民の理解を得やすい。
●民間の技術開発を探す方法としては様々な手法がある。その中で NEDO の委託で RITE
が主に取り組む方法がベストであったかどうかには疑問が残る。
(その他の意見)
△環境負荷低減に関するこうした開発に関しては、特定の業者の独占を許さないよう、
NEDO の関与は妥当であったと考える。
△技術開発に関わる政策も、様々な政策手段があり、そのどれが最も有効かを経済産
業省として考えるべきである。
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2.事業の背景・目的・位置付け
事業開始時点においては、国際的なフロン規制の動きや温暖化防止の動きから見
て、長期的に使用可能な代替物質の探索と実用化は急務であり、本プロジェクトの
事業目的や政策的位置付けは、極めて妥当であった。
8年間という長期のプロジェクト期間中に外部の社会的環境は変化しているが、
現時点においても時代の要請から見て目的は妥当であり、政策的位置付けは明確で
あると考えられる。
(肯定的意見)
○地球環境に貢献する新物質の開発事業は、時代背景から考えてきわめて的確であっ
た。
○事業開始時点、つまり当時の国際的なフロン規制(モントリオール議定書)の動きや、
97年の温暖化防止の動き(COP3)をひかえた状況からして、長期的に使用可能な代
替物質の探索と実用化は急務であり、当プロジェクトの事業目的や政策的位置付け
は極めて妥当なものであったと考える。当事業は、フロン系冷媒・発泡剤・洗浄剤の
代替物質を総合的に探索・評価研究し、元々は 2010 年頃の実用化を目指してスタ
ートしたものであるが、中間評価時期に事業化の前倒し要請を受け現在に至ったも
のと理解する。現時点でも時代の要請は変わっておらず、目的は妥当で政策的位置
付けは明確と評価できる。評者の知る範囲では、国内外ともに、他に類似のプロジ
ェクトは無く、当事業への期待は大きい。日本電機工業会が、94? 97 年に、国の支
援を得て、冷蔵庫用断熱材の代替発泡剤の研究を実施したが、HFC レベルまでのも
のであり、ここまで基礎的なレベルから広範囲で網羅的な探索は実施できず、この
レベルに到底及ぶものではない。
○8年間もの長い期間のプロジェクトだけに、外部の社会的環境は当然かなり変化し
てきている。それにもかかわらず、環境問題の中で、本プロジェクトのような研究
開発の重要性は変わっていない。国際的取組みが避けられないテーマでもあり、国
の政策的位置づけも明確である本プロジェクトの事業目的は妥当なものである。
○事業開始時点の背景すなわち CFC, HCFC の国際的な使用規制により、代替技術の
開発は急務な課題であり本プロジェクトの事業目的は妥当である。CFC, HCFC の
代替として HFC への移行が進行したが、本プロジェクトの中間期には HFC の温暖
化影響が問題点として指摘された。用途別の細部について見ると、温暖化効果がな
いあるいは極小の炭化水素、アルコール、水など非フッ素系のものの使用も内外で
進んできた。一方、フッ素系化合物がもつ特異的な性質に基づく優れた特性は他を
もってして代替できないものであり、用途によってはフッ素系化合物の使用が性能
面ばかりでなくエネルギー効率や安全性の面からも優れている。従って、HFC の代
替として温暖化影響がより小さく、それらと同等あるいはそれ以上の機能をもった
新規代替物質の開発研究を遂行し応用展開に向けた基礎的知見の集積は必要である。
さらに、我が国が独自に信頼度の高い代替物質開発の指標を提示できるようになる
ことは、地球環境問題に対して我が国の主体性を強めることに寄与するものである。
○オゾン層保護および温暖化防止への国際的取組みの中で、HCFC、HFC に代わる非
9
フロン系代替物質の開発は急務となっており、開始時の目的は妥当なものである。
○概ね妥当だったと思われる。
○フロンの三大用途である冷媒、発泡材、洗浄剤をターゲットに、その要求される物
性を把握し、その目標値を設定して研究開発計画を設定する手法は妥当である。研
究開発の努力を発散させない効果があった。
(問題点・改善すべき点)
●新物質の目的として、フロン代替物質を想定したと考える。ハロンも含めてフロン
代替物質の役割としては、冷媒、発泡剤、洗浄剤、消化剤、地熱発電・廃熱回収用
動作流体などがあったが、これらすべてについて事業計画が明確であったか。
●政策課題の解決には資するものではあるが、本プロジェクトの成果を十分に今後に
生かすにはそのためのより具体的な計画を明確にすべきである。
●米国では産業界が独自の取り組みで同等の効果を上げているように思われる。日本
はなぜ国がやらないと出来ないのか。
(その他の意見)
△環境負荷低減は自然界の機能回復も含め、多方面から検討すべき問題を含んでいる
ので、今後とも NEDO の更なる関与が必要である。
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3.事業の目標
オゾン層保護、地球温暖化防止のための代替物質の探索という大命題に対し、使用
される機器や構造体等においてエネルギー効率がよく、更に実用化に不可欠な環境影
響評価や安全性評価と、冷媒、発泡剤、洗浄剤としての諸要求特性を目標に設定して
いることは妥当である。
一方で、化合物合成の経済性や用途別性能評価での実用化のための水準が明確では
ない。
(肯定的意見)
○HFC・自然冷媒だけに頼らない姿勢を示し、新物質の開発に踏み切った研究グループ
があり、当時の時代背景からこれを支援したことは的確であった。開始当時の目標
も評価できる。
○オゾン層保護、地球温暖化防止のための代替物質の探索という大命題に対し、使用
される機器や構造体等においてエネルギー効率がよく、更に実用化に不可欠な環境
影響評価や安全性評価と、冷媒、発泡剤、洗浄剤としての諸要求特性を目標に設定
していることは妥当である。目標値をさらに細かく規程することは、可能性のある
代替物質の芽を摘んでしまうことにもなり、現状の目標設定程度のものが妥当であ
る。応用領域で、更に用途範囲が限定されれば、定量的な目標値も追加できようが、
本プロジェクトの段階では困難なことである。
○民間では進められない環境影響評価技術の開発も織り込んだ新規の代替化合物の探
索、その実用化技術の開発は目標としては大きなものであるだけに、達成のための
具体的開発目標の設定が目立つプロジェクトである。具体的な代替化合物がいくつ
か絞り込まれている成果を見る限り目標水準の設定、判断のための指標も妥当なも
のと思われる。
○研究目標は、緊急を要するオゾン層保護、地球温暖化防止対策を目的としている。
CFC, HCFC, HFC や他の代替物質の使用状況に則して、実用化における主な利用
分野である冷媒、発泡剤、洗浄剤としての物性、機能レベル、安全性などについて
代替候補物質の開発指標を具体的に明示しており、それらは妥当な研究開発目標と
考える。
○開発目標は相当に明確であった。
○目標物性値やGWP、毒性などから候補化合物がハイドロフロロエーテル系に絞ら
れる手順は妥当と思う。
(問題点・改善すべき点)
●計画見直し時点で、実用面が強化されたが、その実現に時間がかかりすぎていなか
ったか。
●開発途中での新しい知見に基づく目標設定・目標水準・評価の指標が変わることは
やむを得ない。そうした変更を成果に生かせる余地を研究開発目標では当然に考慮
されていると思うが、目標達成への柔軟性も肯定的に捉える工夫がもう少しあって
も良いと思われる。
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●一方、本プロジェクトの実用化の最終目標が実用化のどの段階であるかが必ずしも
明確でない。すなわち、基本的には各利用分野で新規候補化合物の実用化試験の基
礎データを集積する段階までとし、後の最適化や生産コストについては後継プロジ
ェクトあるいは民間で行うとしているが、実用化の可能性をできる限り高めておく
ことは極めて重要であり、その点で化合物合成の経済性や用途別での性能評価でど
の程度のレベルの達成度が必須かが明確でない。
●どこまでやれば民間の開発が立ち上がるかという点について明確な認識がなかった
ように思われる。
(その他の意見)
△本研究は新物質を発明するという内容であり、目標達成度を計画段階で測ることは
難しいと考える。
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4.事業の計画内容
研究開発の3つのスキームに合わせて個々の研究開発が互いに連携し、総合化され
ており、さらに中間評価を踏まえて事業加速のために体制が強化されており、計画内
容は妥当であった。スケジュールについても、プロジェクトの目標から見て妥当と判
断できる。
ただし、プロジェクト後半期における要素技術開発の多さ等を考えたとき、人的投
入は特に実用化試験でもう少し必要であったかも知れない。また、費用対効果につい
ての検討の必要性も無視できない。
(肯定的意見)
○多くの研究機関と研究者が関わっていることから、計画段階では、スケジュール、
予算ともに妥当であったと判断できる。
○新規候補物質の設計研究、その物質の基本物性測定/環境影響・安全性評価、3用途
に分けての適合物性評価や基本的な基礎性能評価等に分けて研究開発スキームが組
まれ、それに合わせて互いに連携を組みつつ評価項目のスケジューリングがされて
おり、かつ毎年毎年の評価もされているので計画と体制は妥当と判断する。中間評
価時点で、事業加速のために、体制強化されたことは高く評価できる。要素技術に
ついては、基本的に必要な物性評価などは取り組まれており、最終年度では、ドロ
ップイン的な実機実用の基礎評価もされており、妥当と判断する。中間評価時点で
議論されている如く、課題のアウトプットの緊急性から、新規代替物質の開発を主
目的にし、データベース等の整備を第二目的として進めてこられたのは、やり方と
して妥当であると評価する。前者は更に実用化に向けての時間と協力者を必要とす
るが、本プロジェクト外のことと判断する。
○本研究開発計画は個々の研究開発、技術開発が互いに連携し総合化したプロジェク
トをバックボーンに研究開発の3つのスキームに見られるよう段階的に進められて
いる。目標の巨大さを考えると十分妥当なスケジュールであった。達成に必要な要
素技術の取り上げ方も予算や計画達成の面から必要最小限のものにせざるを得ない
ことを考えると妥当なものである。
○新規代替物質の開発を最大の目的とし、その効率的な実現に向けて開発物質の合成、
物性データの収集と整理や効率的な展開を可能とする推算プログラムの開発、独自
の環境影響評価技術の開発、実用化試験について、各要素研究の相互連携を持たせ
た事業体制が構築されており、全体的には概ね妥当であると考える。
○説明を受けた範囲内では事業体制などに問題はない。
(問題点・改善すべき点)
●予算配分は、新物資の開発と実用機の開発に多くが割かれるべきで、その他の担当
グループとしては、それまでの研究実績によって参画しているところから、多くの
予算を配分する必要があったであろうか。人件費が多すぎなかったか。急性毒性試
験が平成 12 年度までの計画に含まれているが、慢性毒性試験については含まれてい
ない。基本物性の測定を実施する計画であるが推算データのためであったのか、計
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画段階では明確になっていなかった。
●事業体制の妥当性については巨大なプロジェクトだけに、実施者の説明はほぼ妥当
なものと評価したが、こうした長期の大プロジェクトでのスケールメリットがより
明確になるとよいと思われる。
●プロジェクト後半期における要素技術開発の多さ等を考えたとき、人的投入は特に
実用化試験でもう少し必要であったかも知れない。
●予算規模の妥当性についてはその分野の専門家の意見も必要かもしれない。
(その他の意見)
△途中で研究グループを拡大し、テーマに対して真剣に取り組んだ状況が良く分かる。
しかし、進捗状況に応じて、予算配分の変更を行ったか。
△費用対効果についての検討の必要性も無視できない。
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5.実用化、事業化の見通し(実用化のイメージ)
GWP の推算値、データベース、物性推算については、実用化の可能性は大いにあ
る。
具体的な新規代替物質の絞り込みも行われており、産業技術の見極めとしては妥当
であるが、実用化に向けては競合物質との比較優位性及び経済・社会へのインパクト
についての見通しを具体化していく必要がある。
(肯定的意見)
○途中から実用化研究を取り入れたことによって、成果の実用化が明確になったこと
は評価できる。
○環境影響評価であるGWPの推算や大気寿命の算出の部分、候補化合物のデータベ
ースや熱物性推算プログラム THEDYNA 等は、直ぐにも産業界で使用できるもの
ではないか。これら要素技術は直に実用に供することが可能で、今後の技術開発支
援ツールとしても波及効果が大と評価できる。国内国外を問わず、広く公開し評価
を仰ぐことが重要と考える。この成果の想定波及効果をわかりやすく報告書の中に
記載することも必要かと思う。この分野での、これまでの日本の実情(国際的実力)
がどうであり、今回の要素技術をベースにすると今後どんな発展の道があるのかな
どの記載も必要かもしれない。代替候補物質については、今後の適用分野を見定め、
実用化に向けてのスケジュールと見通しを具体化する時期ではないか。その意味で
は、ユーザー業界団体にもきちんとした評価を仰ぐための要請をすべきではないか。
HFC143m、245mc とも適用可能分野は見えつつあるが、今後ユーザー業界の協力
を得て、その見極めの精度アップをしていく必要がある。発泡剤の 254pc は、もっ
とも早く適用される可能性が見えているのではないかと思う。成果の実用化可能性
を更に見極めていくには PR が必要である。
○具体的な新規代替物質の絞込みが出来ている点、用途別性能評価の進行状況を見る
限りは産業技術としての見極めは妥当なものと思われる。
○(1)実用化試験で得られた候補化合物の基礎データが企業化への段階に確実に進
めるに当たって、質的、量的に十分であるか否かは明確でないが、冷媒および洗浄
剤の用途分野で企業化の意向が示されているものがあり、プロジェクトの成果とし
て評価したい。(2)新規に合成した各種フッ素化合物の冷媒、発泡剤、洗浄剤とし
ての利用の他に、半導体用クリーニング剤や消火剤としての検討に入っており、こ
こで得られる知見は関連分野において意義あるもの考えられる。
○一部には実用に動き出した部分もある。
○HCFC225,141bが使われている洗浄用途(現在7000トン)、塩素系洗
浄剤で行っている用途の一部等が今後の規制強化や PRTR 法の関係で他の洗浄剤へ
転換される見込みで、その際の受け皿となるフッ素系洗浄剤が開発されていれば実
用化の公算は大である。
(問題点・改善すべき点)
●冷媒としての実用化には問題が残った。冷媒の回収が義務付けられるようになるの
15
で、自然冷媒への移行も検討されている。洗浄剤についても多くの技術開発が行わ
れたので、産業界に受け入れられるか、早期の普及が必要であった。
●知財権を確実なものにした上、幅広く論文発表を実施するとともに(特に海外への
PR)、専門誌以外の一般的な分野でもやさしく解説したものでの PR を多くすべき
である。
●成果の波及効果がある程度期待できるだけに、今後の産業化やこの分野の研究開発
へのインパクトについてもう少し具体的な見通しがあっても良いのではないかと思
われる。
●(1)企業化の実現には、コストの問題や使用条件の最適化そして他の競合するも
のと比較したときの優位性が十分には解決されていないと思う。今後、後継プロジ
ェクトなどでこれまでの成果を反映させて、解決を図る必要がある。(2)これまで
の成果は出願した特許や学会発表等で公開されているが、実用化の推進に向けては、
今後上記(1)に述べた問題点の解決に取り組むこととや内外の関連メーカーなど
への積極的な宣伝活動も重要である。
●原料物質の量産体制など、社会システムの整備が求められ、もう少し広く産業論的
アプローチも望まれる。
●ノベック(3M),バートレル(デユポン)、ゼオローラ(日本ゼオン)のフッ素系
洗浄剤との競合になるので、価格や特性面での優位性が得られることが必要である。
(その他の意見)
△ここで言う実用化とは違うかも知れないが、物性推算プログラムや環境影響評価モ
デルの開発で得られた成果は、関連分野での利用度は高いと予想され、大きな波及
効果が期待される。
16
6.今後の展開(実用化までのシナリオ)
冷媒及び洗浄剤、発泡剤では企業による実用化の意向が示されているものもあり、
評価できる。
しかし、全般的には実用化については技術的な可能性が示されたものの、コストや
普及実用化までのタイムスケジュール、事業化の効果など経済性についての実際的見
通しは必ずしも明らかにされていない。
現時点で候補に上がった物質の適用想定範囲を整理し、実用化・事業化の可能性を
検討した上で、情勢変化にすみやかに対応しつつ、今後の取り組み方を検討すべきで
ある。また、成果を幅広く情報発信し、今後もPRをすることが望ましい。
(肯定的意見)
○実用化には、事業目標に含まれているエネルギー効率・地球温暖化効果・安全性に
ついて、製造過程においても重要項目として検討する必要がある。そのために今後
の事業の方向性は納得できる。
○新規代替物質の経済的合成法の研究成果がカギを握る。実用化に向けての経済的合
成方法の研究開発を加速化する必要がある。但し、本プロジェクトは一旦終了し課
題整理の後、実用化のプロジェクトを早急に立ち上げるべきではないか。まだもう
一段階は国の財政支援が必要と思う。
○実用化の見通しは具体的なケースで進めなければならないだけに、本プロジェクト
の役割を考えると、それほど明確に出来ない状況も理解できる。本プロジェクトの
研究開発に関しては、現行の計画どおりが良いかはともかく、本研究開発自体は国
際社会にとっても重要性が減ることは無いだけに今後も継続すべきものだと考える。
○(1)実用化試験で得られた候補化合物の基礎データが企業化への段階に確実に進
めるに当たって、質的、量的に十分であるか否かは明確でないが、冷媒および洗浄
剤の用途分野で企業化の意向が示されているものがあり、プロジェクトの成果とし
て評価したい。(2)新規に合成した各種フッ素化合物の冷媒、発泡剤、洗浄剤とし
ての利用の他に、半導体用クリーニング剤や消火剤としての検討に入っており、こ
こで得られる知見は関連分野において意義あるもの考えられる。
○今後計画されている経済的合成法が開発され、溶剤価格が2000円/kg以下が
実現すれば洗浄剤用途での実用化が進むと考える。
(問題点・改善すべき点)
●製造方法の工夫など環境面も含めて、5 年の計画は長すぎるので短期間の開発を行
うべきである。国のプロジェクトとして産業界をまとめて共同研究を行う必要性が
あるかエネルギー効率・安全性・環境面に絞って短期間のプロジェクトがよい。
●ユーザー業界の評価支援を仰ぐための PR が必要。現時点で候補に上がった物質の適
用想定範囲を整理すべきであろう。どのくらいの需要が国内外で想定されるかなど。
片や、実用化・事業化の道はかなり困難であるとか、用途が極めて限定されたところ
でしか使われず、将来に渡っても市場が小規模であるものは、早めの大英断が必要
である。
17
●現実には実用化の見通しは社会的に強く求められる以上、より明確な予測を加えて
もよいのではないかと思う。
●(1) 企業化の実現には、コストの問題や使用条件の最適化そして他の競合するも
のと比較したときの優位性が十分には解決されていないと思う。今後、後継プロジ
ェクトなどでこれまでの成果を反映させて、解決を図る必要がある。(2) これま
での成果は出願した特許や学会発表等で公開されているが、実用化の推進に向けて
は、今後上記(1)に述べた問題点の解決に取り組むことや内外の関連メーカーな
どへの積極的な宣伝活動も重要である。
●性能面で優れたいくつかの新規物質が候補としてあがっているが、実用化について
は技術的な可能性が示されたものの、コストや普及実用化までのタイムスケジュー
ル、事業化の効果など経済性についての実際的見通しは必ずしも明らかにされてい
ない。
●必ずしも見通しは十分ではない。しかし、そこまで NEDO のプロジェクトが考えるこ
とであろうか、民間が自主的に取り組むことかもしれない。
●HFE 洗浄剤は有機物汚れに対する溶解力が弱いが、これを向上させる混合溶剤を見
出せば、複雑形状の精密加工、組立部品の洗浄用途が拡大する。
(その他の意見)
△製造方法等における検討は、産業界のほうが早いかもしれない。本研究によって獲
得した特許を参加していない企業にどの程度まで使用を許可できるか。研究を継続
するのであれば、企業での開発ではできない環境面での研究に主力を注ぎ、早期に
結果を公表する姿勢がほしい。
△実用化に向けた今後の展開については、(1)これまでの成果を広く公開・宣伝し、
企業での開発を働きかける(2)環境影響評価技術研究や物性推算技術研究に加え
てコスト面の課題の解決も含めて、後継プロジェクトで継続する。このとき、実用
化については、企業との共同体制で行うもの、企業間の競争原理で行うものなどの
すみ分けが必要である。
△電子機器のリサイクル法で戻り品の洗浄が必要となっている。解体して再利用でき
る部品を傷めないで丸洗いする用途も考えられる。
18
7.研究開発成果
GWP 値の評価手法や物性評価手法を開発したこと、多数の新規物質を合成・測定
したデータの集積は学術的にも利用価値が大きいと思われ、個々には課題が残されて
いる面もあるが、全体としてほぼ目標を達成できたと評価できる。
多額の公的研究費を投入したプロジェクトであり、その成果の主要な部分は、一部
専門家だけでなく、広く社会一般にわかりやすく公開し、いろいろなメディアを通じ
て還元するよう積極的に努めるべきである。
(肯定的意見)
○新物質を開発したことは高く評価できる。発泡剤と洗浄剤には新しい発展が見られ
た。
○当事業は研究開発として成功したと評価してよい。もし、このプロジェクトを実施
していなかったとしたら、冷媒の HFE-245mc も HFE-143m も、発泡剤の HFE-254pc も、
洗浄剤代替剤も、今日見出せていなかったことになり、産業界にとっての閉塞感は
大きなものであったと思われる。また、R22 の後継冷媒が、含フッ素エーテル系に
は存在しないことが明確になったことも、産業界の今後の方向性探索における意義
としては大きい。最終的評価は、代替物質の実用化にあるが、それにはまだ時間を
要する。環境影響評価のための大気寿命算出や GWP 評価モデル等、当プロジェクト
で取得した化合物のデータベースや熱物性推算プログラム等は、基盤・要素技術の
分野として十分評価されるものと思う。「環境影響評価の技術研究」においては、こ
れまで我国では、このような推算モデルを持たなかったところに、独自の評価モデ
ルを構築できたことは、今回の代替物質を途中評価していく上でも有用であったと
思われるし、何より国際社会の場において、日本の基礎技術基盤が評価され、発言
力の強化に繋がっていくものと大いに評価されるべきものである。「データベース、
物性推算技術研究」も、学術的な共有財産として、今後生かされるものと評価した
い。「応用分野;新規代替冷媒の開発、代替発泡剤の開発、代替洗浄剤の開発」につ
いてみると、冷媒で二種類(HFE-245mc、HFE-143m)が、実用化のための予備評価試験
の段階に到達している。245mc は、既に給湯機での実機評価も進められ、今後は製
品化に向けての期待がある。既に化審法申請中とのことで、今後廃熱回収分野で用
途が広まるとすれば大いに期待できるか。143m が冷蔵庫で評価されたが、経済性さ
えクリアすれば、現在の 134a を代替できるもののようである。冷蔵庫は今後 HC 系
に転換が進む可能性も高いが、134a 用途は他にも多くあり、とにかく早期の代替物
質実用化 PR が必要である。給湯機や冷蔵庫分野では、それぞれ CO2、炭化水素への
転換が進みそうであり、この分野に対しても、あるいは一般にも、PR すべき最後の
チャンスかもしれないので、機を逃さないように願いたい。発泡剤では、HFE-254pc
が、ポリオールとの相溶性試験までの評価が実施されており、大体の基礎的評価は
済んでいる。254pc は原料系や合成法には大きな支障が無いようであり、期待度は
大きい。合成技術の開発も、冷媒ほどはハードルが高くはないようであり、実用化
に向けての加速が必要。2004 年の HCFC 削減(65%)に向けての実用化は困難であろ
うか。
19
○具体的な成果を上げてきている点、それが専門家社会で十分に認知される活動がさ
れている点、産業化への目途も指摘できる点で評価できるプロジェクトである。
○(1)「実用化、事業化の見通し」で述べたような解決すべき点や完成度の高い環境
影響評価技術の早期確立(完成)など今後の課題は残されているが、成果は全体と
して目標に近いものと評価する。(2)各要素技術から見た成果は、他に類例を見な
い物性データベースの作成、物性推算プログラムの開発、独自の環境影響評価技術
の開発、効率的な合成法の開発など、それぞれで世界的に高い水準である。また、
新規構造の代替候補化合物の開発という技術的な困難さを克服して、新規性および
独創性が認められる成果が得られている。(3)論文発表や内外での学会発表も数多
く積極的である。質的な評価は上記(2)の通りである。特許出願についても適切
に行われている。
○GWP 値の評価手法や物性評価手法を開発したこと、多数の新規物質を合成・測定し
たデータの集積は学術的にも利用価値が大きいと思われる。
○目標値をクリアした技術が多い。
○フッ素化合物を広く探査して冷媒、発泡材、洗浄剤として実用性の見込める新物質
を見出せたことは大きな成果と評価できる。
(問題点・改善すべき点)
●発泡剤と洗浄剤については、新物質製造にかかわるエネルギー効率、環境負荷の低
減などを明らかにできなかったのは疑問が残る。今後の事業に挙げられている事項
について、その方向性は明らかにできたと思う。
冷媒については、ターボ冷凍機用のCFC-11、HCFC-123の代替物質が開発できなかっ
たこと、地熱発電用媒体の代替物質が計画に含まれなかったことは残念である。た
だし、ヒートポンプ用冷媒CFC-114の代替冷媒HFE-245mcが開発されたことは評価で
きる。
成果の広報については、論文発表による広報は効果があったが、新聞・テレビ上で
の成果公表が少ない。
●発泡剤代替候補として報告書に記載がある他物質についてガスの熱伝導率の低い
HFE236pc や HFE-347mcc が何故実用レベルにならないのかを成果報告書上に示す必
要がある。
●開発された代替物質の産業化への道を今後どう進めるかの指針を明確にすべき点、
開発途上で集大成された情報の公開の進め方、特に本プロジェクトで開発された環
境影響評価技術も含め国際的に成果をいかに認知させて行くか、さらに考慮すべき
点もある。成果の具体的内容は一般国民にとって専門的過ぎる報告が多いのはやむ
を得ないが、地球の文明に貢献する産官学の国家的研究開発であることはもっと知
られても良い。
●問題点ではないが、成果の公表については下記の点に留意されたい。物性データベ
ース、物性推算プログラムの公開に当たってはその主体を明確にして国際的な認知
を得ることも重要である。環境影響評価法の開発は一層の推進を図り、国際的に信
20
頼度の高い代替物質の開発指標(国際的スタンダード)の提示に向けて継続的に実
施すべきと考える。産業界に対して明確な指針を提供するとともに、我が国が独自
に国際的に認知された開発指標を確立することは地球環境問題に対する政策的見地
からも重要と考えられる。国際的にインパクトの大きい機関や国際会議などの場で
積極的に発信することにも務められたい。
●多額の公的研究費を投入したプロジェクトであり、その成果の主要な部分は、一部
専門家だけでなく、広く社会一般にわかりやすく公開し、いろいろなメディアを通
じて還元するよう積極的に努めるべきである。
●必ずしも世界最高水準と言えるかは疑問。
(その他の意見)
△高圧ガス保安法など具体的な物質名が挙げられている法規や、海外での活用を見据
えた規格化など、実用化に向けた技術面以外の検討も必要であろう。
△成果を国際的にも、もっと発信することが必要ではないか。まずは、本プロジェク
トの成果を4月以降国内ユーザー業界に広くアピールすべし、報告会等の開催もあ
っていいのではないか。特許出願では、抜け落ちのないことを再確認願います。
△開発物質の用途開発に興味をもった企業が、検討に必要な現物の入手を望んだとき
に、そこに供給することができる製造体制が用意されていなければならない。
21
8.情勢変化への対応
オゾン層保護・地球温暖化防止への国際的対応、代替物質開発への企業の取組みな
どの背景が速やかに変化しており、中間評価の際に実用化への努力の促進を要請され
たのに対して、プロジェクト後期で実用化可能な新規候補物質の絞り込みに重点をお
いて推進するなど、妥当であると判断できる。
一方、非フロン系の類似物質が代替品としてすでに市場に登場しており、本プロジ
ェクトで開発された新規物質が、競合しつつ実用化される見通しについて明確化すべ
きであった。
(肯定的意見)
○研究が開始されてから 4 年間ほどは期待が集まっていたと思う。HFC 非共沸混合冷
媒を使用した冷凍機・空調機の開発時期であった。同時に、自然冷媒への期待も集
まり、開発が進められていた。
○本プロジェクト発足当時と今では、フロン規制の強化こそあれ、其の他では変化な
く、時代のニーズにマッチしたものである。この状況も見つつ、9年度には中間評
価が行われ、事業加速が図られており、本項は、特段の問題はないのではないかと
思う。
○長期にわたるプロジェクトだけに情勢変化への対応が迫られたケースがいくつもあ
るが妥当なものとみなせる。また運営についても特に大きな問題点はないと考える。
○(1)先行プロジェクトの成果や周辺状況の動向を踏まえてプロジェクトの立ち上
げが行われ、さらに中間評価での提言等も踏まえて目標達成に向けて研究開発体制
の強化が図られており、周辺状況への対応は妥当であると考える。(2)研究管理体
制は適切に構築されており、各要素技術の研究実施者の連携を取りつつ運営されて
いる。また、後半期では研究開発項目がかなり増加しているが、それに向けた体制
の強化が図られている。
○オゾン層保護・地球温暖化防止への国際的対応、代替物質開発への企業の取組みな
どの背景が速やかに変化しており、中間評価の際に実用化への努力の促進を要請さ
れたのに対して、後半のプロジェクトでは実用化可能な新規候補物質の絞り込みに
重点をおいて推進している。
○HFEはClを含まないためODPはゼロになるが、汚れに対する溶解力が低下す
る。CFC113と同程度の溶解力を期待したが得られなかった。そのため汚れ除
去を目的とする洗浄剤開発から方向転換して、水切り剤やリンス剤としての成果を
だす様にした判断は良かった。しかし本来の洗浄剤としても使えるようにする努力
も追及して欲しい。
(問題点・改善すべき点)
●今日では、CO2 を使用したヒートポンプも販売され、炭化水素を使用した冷蔵庫が
販売されようとしている。新規冷媒の実用化シナリオにあるように、高温ヒートポ
ンプやランキンサイクル用動作流体として HFE-245mc を期待できるのであれば、
NEDO としてもその方面への展開を研究すべきであろう。
22
●目標達成への過程で行われた変更をどう生かしたか、今後のこのようなプロジェク
トへの教訓となる指摘もあってよいと考える。
●後半期での体制の強化については、例えば経済性を解決した大量合成法の確立や実
用化試験の実施のための人的投入については、研究予算や期間との兼ね合いもあり
明確には判断できかねるが、結果的にやや不足であったと思われる。
●最近、非フロン系の類似物質が代替品としてすでに市場に登場している。本プロジ
ェクトからの新規物質が、これら類似物質と競合しつつ実用化される見通しについ
て、もう少し詳細な検討結果を示すのが望ましい。
(その他の意見)
△研究開発に 8 年間はかかりすぎたと思う。世界の情勢変化を考えると、6 年間に短
縮してつぎの研究段階に入るべきではなかったか。
23
Ⅱ
(要素技術に関するコメント票)
(1)環境影響評価技術研究
1.成果に対する評価(環境影響評価技術研究―1)
本プロジェクトで求められた新規物質のGWP値がIPCC報告に採用されたことは有
意義であり、我が国の成果を国際的に速やかに発信し、評価を得られたことから目
標は十分に達成されている。今後は、これら成果を幅広く情報発信し、国際的な場
での我が国のプレゼンス向上や国際貢献の手段として生かしていくことが求められ
る。
(肯定的意見)
○世界ではじめての総合的な研究であり、自信を持って新物質を提言できたことは、
大きな成果である。
○地球温暖化係数評価に対する研究開発はその成果で得られた数値がIPCCに採用
されるなど国際的にも評価されており、成果の目標は十分達成されている。
○このプロジェクトで求められた新規物質の GWP 値が IPCC 報告に採用されたことは有
意義である。地球環境問題では特に我が国の成果を国際的に速やかに発信すること
が重要。
○目標をクリアしているように思われる。
(問題点・改善すべき点)
●最初の目標の一つであった冷媒の開発は必ずしも成功したとは言いがたい。ターボ
冷凍機の冷媒および HFC 非共沸混合冷媒の代替冷媒が開発できなかったことは 8 年
間をかけた中で悔いが残る。今後、開発した推算プログラムを使用してつぎの展開
ができるであろうか。
●わが国で生まれた成果を国際的な標準にまでしてゆくことが重要な課題として残さ
れているように思われる。これに対する今後の計画があっても良い。
●この技術は今後の政治的効果も大きいのでは。プロジェクトの目的からは外れるが、
その点を国際社会の中でどう利用するかを検討して欲しい。
(その他の意見)
△研究の最初からエーテル系の開発に絞られていたような気がする。地球温暖化係数
の小さな物質に限定しすぎていなかったか。発泡剤と洗浄剤を実用化できるか期待
したい。この点で、急性毒性・慢性毒性、燃焼性などの安全性を高めるよう期待し
たい。
24
2.実用化の見通しに関する評価(環境影響評価技術研究―2)
GWP の推定値に関しては、すでに IPCC 報告に採用されているが、さらに国際的
に受け入れられるような方策を検討すべきである。
(肯定的意見)
○発泡剤と洗浄剤は実用化の可能性がある。HFE-245mc のランキンサイクルへの実用
化も期待が持てる。
○当該分野の産業化を進める上で不可欠な技術だけに、今後取り入れられてゆく事に
関しては十分可能性が認められる。
○GWP 推定は IPCC に使われるなど、すでに使われている。
(問題点・改善すべき点)
●毒性・燃焼性に関する安全性を高める必要があると思われる。
●国際的に急速に受けいれられるような方策をさらに考慮すべきである。
(その他の意見)
△HFE-245mc の超臨界域での熱安定性を高めれば、地熱発電などの熱交換器における
伝熱効率を高めることができる。超臨界域での熱安定性を高める工夫はできるか。
25
3.研究開発実施者の事業体制の妥当性(環境影響評価技術研究―3)
研究開発実施者の業績、当該分野への取り組み意欲から見て、妥当であった。
(肯定的意見)
○当時この分野で開発に熱心であったグループが担当しており、それまでの業績から
考えて妥当であった。
○目標達成上事業体制の不備、関係者間の問題は特に無いと考える。
(問題点・改善すべき点)
●新物質を製造するという点では研究開発実施者の選定は間違っていないが、実用面
を考えると機械研究所のグループも加入したほうが良かったと思われる。
(その他の意見)
なし
26
4.研究開発実施者の運営の妥当性(環境影響評価技術研究―4)
研究開発実施者の組織が大きいため、RITE の下での運営は妥当であったと思われ
る。
(肯定的意見)
○研究開発実施者の組織が大きいため、RITE のもとで運営されたが、適切であったと
思う。
○特に問題はない。
○妥当のように思われる。
(問題点・改善すべき点)
なし
(その他の意見)
なし
27
5.今後の研究開発の方向性等に関する提言(環境影響評価技術研究―5)
本プロジェクト内では目標をクリアしていると思われるが、本プロジェクトの成
果が国際的に用いられるべく、今後は国際協力による開発も考慮すべきである。
(肯定的意見)
○今後も研究開発が必要な目標である。
○目標をクリアしているように思われる。
(問題点・改善すべき点)
●この研究開発の成果は国際的に使われないと十分に目標が達成されたといえない部
分がある。今後国際協力による開発も考慮すべき課題である。
●この技術は今後の政治的効果も大きいのでは。プロジェクトの目的からは外れるが、
その点を国際社会の中でどう利用するかを検討して欲しい。
(その他の意見)
なし
28
(2)応用分野
1.成果に対する評価(応用分野―1)
冷媒、発泡剤、洗浄剤の各分野で、含フッ素エーテル系化合物(HFE)を中心に
研究開発が実施され、それぞれ進捗状況には差はあるが、性能的には優れた新規物
質が実用化の候補として見いだされており、当初の目標は概ね達成されたと言える。
今後の実用化のためには、情勢変化にすみやかに対応しつつ、経済性、安定供給
の面での課題解決が望まれる。
また、一連の化合物の効率的な合成法の開発や従来法の改良、各種化合物の物性
データベースの構築、さらに実用化試験で得られた候補化合物の性能評価のデータ
など本プロジェクトで得られた多くの知見は学術的貢献も大きく、さらに応用技術
開発に極めて有用であり、今後企業化などに向けて広く活用されることを期待する。
(肯定的意見)
○目標の達成度については、少なくとも、冷媒系で2物質(HFE-143m、245mc)、発泡系
で3物質(HFE-254pc、236pc、347mcc)、洗浄剤系で2物質の代替品開発の成果が出つ
つあり、既に実機でのドロップイン試験段階にあるということは、当初の目標値を
クリアしていると判断してよい。いずれも世界初の物質が合成され、評価に至った
ものである。今後の商業化に向けては、経済性に優れる新規物質の合成法や原料系
の問題等の課題解決が必要な部分もありと判断する。但し、当プロジェクトとして
の目標段階には到達していると評価出来るし、経済的合成技術開発や実用化研究の
第二ステップは、別のプロジェクトを新たに起こすことが適当と考える。
○(1)冷媒、発泡剤、洗浄剤の用途分野毎に開発の指標となる代替物質が具備すべ
き物性や機能レベルを明確に設定し、それぞれの分野で新規候補化合物の絞り込み
に至っている。さらに、実用化試験では、冷媒、発泡剤、洗浄剤の個々の分野での
進捗状況には差はあるが、冷媒と洗浄剤については企業化への段階に進むものがあ
り、「実用化を期する」とした目標に対してこれをクリアしていると考える。従って、
成果は目標を概ね達成できている。(2)本プロジェクトでは他ではあまり取り上げ
られていない新規構造すなわち含フッ素エーテル系化合物(HFE)を中心に研究開発
が行われ、得られた成果は新規性、独創性をもつものである。新規化合物を含めた
一連の化合物の効率的な合成法の開発や従来法の改良、各種化合物の物性データベ
ースの構築、さらに実用化試験で得られた候補化合物の性能評価のデータなど本プ
ロジェクトで得られた多くの知見は学術的貢献も大きく、さらに応用技術開発に極
めて有用であり、今後企業化などに向けて広く活用されることを期待する。
○各分野にわたってそれぞれ性能的には優れたいくつかの新規物質が実用化の候補と
して見出された。
○冷媒も含めて、当初の目標以上か近い成果となっている。
○基礎物性値を精度高く測定する技術と、開発した物性値推算技術を駆使して、合成
された多くの含フッ素化合物の特性を調べ、目標用途に適う化合物の選出に大きく
貢献した。その他重要な物質指標であるGWP,燃焼性なども国際的な評価に耐え
る算出法が確立され、本プロジェクトの貴重な成果になっている。今後本格化する
地球温暖化対策にとっても有用なツールとして活用される。
29
(問題点・改善すべき点)
●R22 の代替物質は存在しないことが、当プロジェクトの成果として明らかになった
ことは、最終成果報告書の中で、記載頂くことをお願いします。
●代替候補化合物の性能、安全性などから絞り込みを行って、実用化試験を実施して
いるが、安価な大量供給の確立の遅れが、複数のメーカーが競争的に利用展開に参
入する状況づくりのネックのひとつと思われ、早期の解決が望まれる。
●目標達成すれば、産業化が進むかというと、それ以外の要素が強く働いている。目
標を設定するときに、周辺要素をどう取り込むかが課題ではないか。
(その他の意見)
△物性値の推算式の適用できる化合物はどこまで広げられるのか検討して欲しい。
30
2.実用化の見通しに関する評価(応用分野―2)
HFE-245mc については、先行プロジェクトからの継続ということもあり、実用
化試験を段階的に行って多くのデータが蓄積され、HFE-245mc 使用の機器開発の
意向がメーカーから示されている。
HFE-143m およびヒートパイプ作動流体としての評価については、実用化試験で
基礎データを集積し、その応用について電子機器メーカーで検討に入る段階に到達
できたことは評価できる。
HFE-254pc をはじめとした新規開発物質は既存の HFC 系発泡剤より優れた特性
を有し、実用化試験でも炭化水素を上回る性能が見いだされている。
洗浄剤については HFE−347pcf に 10%エタノール添加して水切り乾燥試験をし
た結果や HFE-55-10mec-fc の炭化水素系洗浄剤のすすぎ乾燥試験の結果、前者は一
応市販品と同等の、後者は高清浄な炭化水素洗浄を行える実証データが得られた。
さらに条件を検討すれば性能的には実用化の可能性は高い。
しかし、技術的には実用化の可能性が示されたものの、コストをはじめ総合的な
経済性の評価、競合する類似製品との詳細な比較検討など、実際の実用化への見通
しは必ずしも明確ではない。
(肯定的意見)
○冷媒の2種類は既に、給湯機(245mc)と冷蔵庫(143m)で実用評価がされているが、
143m のカーエアコン用途へのアプローチや 245mc の廃熱回収冷媒への用途展開や評
価を急がれることをお願いしたい。従来冷媒のように、多用途の範囲に一つの冷媒
が使用されるようなことは、代替技術が多様化していく中で、今後は有り得ないが、
245mc も 143m も、更に協力評価ユーザー団体の数を増やして実用化評価を受けるこ
とをお願いしたい。これを加速する手段の検討が必要である。発泡剤の 254pc の製
法上の課題は、冷媒ほどハードルが高いようには見えない。既にハンド発泡評価ま
で進んでおり、近々、マシン発泡での評価が進むときく。従って、十分実用化の初
期段階までは到達しており、早期の実用化が期待される。断熱性能がシクロペンタ
ンより優れれば、製品の省エネ性重視の観点から建材用途以外に冷蔵庫分野でも使
用する可能性もあり得る。
○まず、高温冷媒 HFE-245mc ヒートポンプ関連については先行プロジェクトからの継
続ということもあり、実用化試験を段階的に行って多くのデータが蓄積されてきた。
HFE-245mc 使用の機器開発の意向がメーカーから示されており、実用化の実現を期
待したい。なお、炭酸ガスなどの今後の使用動向にも影響されることも予想され、
実用化については確定的な判断はできない。低温冷媒 HFE-143m およびヒートパイ
プ作動流体としての評価については、実用化試験で基礎データを集積し、その応用
について電子機器メーカーで検討に入る段階まで漕ぎ着けたことは評価したい。発
泡剤につては、HFE-254pc をはじめとして今回開発研究を行った含フッ素エーテル
系化合物に既存の HFC 系発泡剤より優れた特性(気体熱伝導率、ポリオールとの相
溶性、大気寿命)を有するものが見いだされ、さらに実用化試験で炭化水素(シク
ロペンタン)を上回る性能が見いだされている。HFE-254pc は四フッ化エチレンと
メタノールから容易に合成できるので、量的供給への対応は解決可能と思われるが、
31
実用化に向けては現状の水発泡や炭化水素発泡との競合で特徴をどのように持たせ
るがポイントになろう。洗浄剤について、CFC, HCFC のように塩素を含むものが優
れた特性をもつが、これらの使用規制を背景にフッ素系洗浄剤の使用料はここ10
年間で激減してきた。新規フッ素系洗浄剤の開発では、非フッ素系では代替が困難
な使用分野あるいは使用上でのフッ素系洗浄剤の優れた特性(優位性)の見定めや
エネルギー効率を大幅に高めることが重要であると思われる。本プロジェクトでは、
含フッ素エーテル系化合物のうちに水切り乾燥試験およびすすぎ洗浄試験で好成績
のものを見いだし、企業化への意向が示されたことは評価したい。
○発泡剤等は実用化の見通しがあると考えるが、見通しのないものもあると考える。
○HFE−347pcfに10%エタノール添加して水切り乾燥試験をした結果や
HFE-55-10mec-fc の炭化水素系洗浄剤のすすぎ乾燥試験の結果、前者は一応市
販品と同等の、後者は高清浄な炭化水素洗浄を行える実証データが得られた。さら
に条件を検討すれば性能的には実用化の可能性は高い。
(問題点・改善すべき点)
●254pc に比し、発泡剤の新規物質の 236pc、347mcc の最終評価をお願いします。236pc
は毒性試験未着手、347mcc はポリオールとの溶解性が悪いということでしょうか。
●今後実用化に向けてメーカー側からの開発意向が提示されたものがいくつかあるが、
実用化の確度となるとコストのことや実用化試験の達成度から判断が難しい。
●これら新規物質の実用化への技術的な可能性は示されたが、コストをはじめ総合的
な経済性の評価、競合する類似製品との詳細な比較検討など、実際の実用化への見
通しが必ずしも明確に見えていない。
●平たい板状のワークが重なった場合に水切りが不十分になっている。積層された板
の間に液が浸透していないためで、水切り剤の浸透性か、ワークの揺動方法に問題
がある。また蒸気乾燥に HFE そのものを使用しているが、水の溶解力がないのでア
ルコール置換されないで残った水は殆どそのまま残る。HFEとエタノールの共沸
液を蒸気乾燥に使えば残留水を減らせる。
(その他の意見)
△すすぎ乾燥性能評価で残留 n−デカン量の測定値が部品一個あたりになっているが、
部品表面の単位面積あたりに換算した値も示すべきである。表面清浄度を問題とす
る精密洗浄用に使える洗浄レベルかを判断するのに必要である。
32
3.研究開発実施者の事業体制の妥当性(応用分野―3)
可能な限りの国内の識者、技術陣を結集して進めて来られた事業体制は概ね適切
に構築されているが、後半期の実用化試験については実施時間および人的投入量が
やや不足の感をもつ。
(肯定的意見)
○用途別評価については、専門集団からなる冷媒評価の大阪分室・つくば分室、発泡
剤評価の玉川分室を設け、更には気体熱伝導率の測定を神戸大に、伝熱特性を九大
に委託するなど、可能な限りの国内の識者、技術陣を結集して進めて来られた事業
体制は考えられるレベルの万全に近いものであったのではないかと言え、十分妥当
なものであると判断する。お互いに連携しないと、ここまでの研究には踏み入れな
かったものと思う。事業の最後の2年間においては、冷媒の実用化評価のために、
機器メーカの評価支援も得ており適切な対応が図られている。よって全て妥当であ
る。
○研究開発体制は目標達成に向けて、物性データ収集などについては国内大学への再
委託も、実機での実用試験については関連メーカーや関連業界団体への外注も組み
入れて適切に構築されている。研究開発実施者を含めたプロジェクトの管理運営に
ついては、各要素技術および各用途別の部会を設けて、関係者間の連携を取りつつ、
リーダー、サブリーダーが各部会の進捗・計画の調整などについて横断的に関与す
る運営がなされており、適切なものである。
(問題点・改善すべき点)
●とくに後半期の実用化試験については実施時間および人的投入量が不足の感をもつ。
(その他の意見)
なし
33
4.研究開発実施者の運営の妥当性(応用分野―4)
研究開発実施者を含めたプロジェクトの管理運営については、各要素技術および
各用途別の部会を設けて、関係者間の連携を取りつつ、リーダー、サブリーダーが
各部会の進捗・計画の調整などについて横断的に関与する運営がなされており、適
切なものである。
プロジェクト開始後の情勢変化対応(COP3の動き等により、加速の必要性が生
じたこと)についても、中間時点の評価で体制強化などの運営強化が図られており
妥当である。
(肯定的意見)
○資料類を見る限り、十分な手が打たれているようであり妥当と判断する。新規化合
物の合成、物性測定、環境評価、安全性評価、データベースや推算プログラム構築、
用途別の基礎評価、実用化試験等の多岐にわたるメンバー間の調整を個々の部会や
運営委員会で調整・配慮した運営が行われたものと思う。プロジェクト開始後の情
勢変化対応(COP3の動き等により加速の必要性が生じたこと)に対しては、中間時
点の評価で体制強化などの運営強化が図られており妥当である。
○研究開発体制は目標達成に向けて、物性データ収集などについては国内大学への再
委託も、実機での実用試験については関連メーカーや関連業界団体への外注も組み
入れて適切に構築されている。研究開発実施者を含めたプロジェクトの管理運営に
ついては、各要素技術および各用途別の部会を設けて、関係者間の連携を取りつつ、
リーダー、サブリーダーが各部会の進捗・計画の調整などについて横断的に関与す
る運営がなされており、適切なものである。
(問題点・改善すべき点)
なし
(その他の意見)
なし
34
5.今後の研究開発の方向性等に関する提言(応用分野―5)
まず、新規開発物質の経済的合成法、コストダウン対応に向けての課題整理や原
料物質を産業的に取り扱うための課題の整理が必要である。
また、これまでに採取された物性データや代替物質決定に至った経緯(どういう
判断でそうなったかなど)等を、今後に生きるように取りまとめるとともに、本プ
ロジェクトの成果を広く公開・宣伝し、企業での開発を働きかけることが求められ
る。
環境影響評価技術研究や物性推算技術研究に加えてコスト面の課題の解決も含め
て、今後も取り組みを継続することが考えられる。なお、実用化については、複数
の企業が共同体制で行うもの、企業間の競争原理で行うものなどのすみ分けが必要
である。
(肯定的意見)
○<冷媒>HFE245mc、143m の経済的合成法、コストダウン対応に向けての課題整
理や原料物質(COF2 やCF3OF2)を産業的に取り扱うための課題の整理をまず
お願いしたい。これまでに採取された物性データや代替物質決定に至った経緯(ど
ういう判断でそうなったかなど)等を、今後に生きるように取りまとめ頂きたい。
R22代替は無いとする探索の経緯と理由も最終報告書では触れて頂きたい。
<発泡剤>HFE254pc、236pc、347mcc の中で、254pc を最有力とする整理とまとめ。
254pc のマシン発泡評価結果がまとまるのであれば報告書への入れ込み。プラスチ
ック材料への影響、つまりケミカルクレージングの評価は今後の検討項目でしょう
か。原液の貯蔵安定性なども今後の検討項目でしょうか。
○洗浄剤用は競合製品が市販されており、用途も同じようなものである。成果が実用
化されるには溶剤価格の影響が大きい。その意味で安く出来る経済的合成法の成否
が重要である。水溶媒付加反応法に期待がかかっている。
(問題点・改善すべき点)
なし
(その他の意見)
△実用化に向けた今後の展開については、(1)これまでの成果を広く公開・宣伝し、
企業での開発を働きかける(2)環境影響評価技術研究や物性推算技術研究に加え
てコスト面の課題の解決も含めて、後継プロジェクトで継続する。このとき、実用
化については、企業との共同体制で行うもの、企業間の競争原理で行うものなどの
すみ分けが必要である。
△他の溶剤と混合することでCFC113に近い KB 値をもち、不燃性で、毒性も少な
く、GWP も小さいHFEベースの洗浄剤が開発されると著しく用途拡大が可能であ
る。そうした方向の研究の見込みが明確にできるとよい。
35
(3)データベース、物性推算技術研究
1.成果に対する評価(データベース、物性推算技術研究―1)
代替候補物質の物性データベースや物性推算技術研究は、日本の技術基盤の向上
や国際的位置付けの強化や発言力の向上に大きく貢献できるものであると評価した
い。本成果はフッ素化合物の開発促進に大きく貢献し、有用性が高いと思われるの
で、データベースの維持管理も含めて、国際的にも十分公開利用されるよう進めて
いくことを望む。
(肯定的意見)
○代替候補物質の物性データベースや物性推算技術研究は、日本の技術基盤の向上や
国際的位置付けの強化や発言力の向上に大きく貢献できるものであると評価したい。
新規代替物質の実用化には、本プロジェクト内だけでは終了しきらない分も多く今
後の後続研究と実用化評価が必要であるが、要素技術の部分は、直ぐにも利用可能
なものであり、当プロジェクトの成果として、こちらを重視して纏めあげるべきで
はないかと思う。成果としては十分なものと評価する。「データベース、物性推算技
術研究」も、学術的な共有財産として、今後生かされるものであり、評価は高いと
考える。混合系の物性推算から、発泡剤候補物質の 236pc を見出されたとのことで
あるが、今後も、このように多面的な活用分野があることを期待したい。236pc の
探索事例は、Neural Network を用いた成功事例として報告書中にも解りやすく記載
されたい。
○合成された多数の新規物質についてのデータ、開発された物性推算手法はいずれも
非常に有用性が高いと思われるので、国際的にも十分公開利用されるよう進めてほ
しい。
○ニューラルネットによる物性推定は興味深い。十分な成果が上がっていると思う。
○物性の高精度測定、化学構造からの物性値の推算、化合物間の相互作用のシュミレ
ーションといった高度の技術が開発されたと思う。プロジェクトの主目的である冷
媒、発泡材、洗浄剤として実用性あるフッ素化合物の開発の促進に大きく貢献した。
(問題点・改善すべき点)
●対象とした物性が多く、多成分系の取り扱い、各種線図の作成、理論サイクル計算
なども含まれているが、そうしたデータベースは最近多く開発されている。新しい
推算方法を開発すべきであった。
(その他の意見)
△データベースの作成研究と、新候補化合物の設計研究との繋がりがよくわからない。
本来一体化してデータベースとしてまとめられるものである。また,データベース
の重要なところは,維持管理を怠らないという点である。常に最新の信頼できる情
報と置き換える作業をどこかの組織で継続的して行なうことがなければ,データベ
ースを構築する意味がない。この点の配慮を明記するようお願いしたい。
36
2.実用化の見通しに関する評価(データベース、物性推算技術研究―2)
データベース、物性推算とも国内国外を問わず、使いやすさを考慮して公開する
ことにより実用化される可能性が大きい。国内国外の評価を仰ぐことが重要と考え
る。
(肯定的意見)
○熱物性測定を行っているので、その実測データで推算部分を置き換えれば、さらに
確度が高まるので、そのような修正を行うことによって実用化が果たせる。
○環境影響評価のGWPの推算や大気寿命の算出の部分と、この分野の候補化合物の
データベースや熱物性推算プログラム THEDYNA 等は、直ぐにも産業界で使用できる
ものではないか。これら要素技術は直に実用に供することが可能で、今後の技術開
発支援ツールとしても波及効果大と評価できる。国内国外を問わず広く公開し評価
を仰ぐことが重要と考える。
○データベース、物性推算ともに実用化される可能性が大。
(問題点・改善すべき点)
●英語化を進めているようであるが、確度を高めることが重要であり、新しい推算方
法の開発とともに、推算にこだわらず実測値を取り入れる方が良い。
(その他の意見)
△使用範囲を限定したデータベースは企業各社で開発しており、実用として公表する
には精度と使いやすさが重要である。推算としては粘性率、熱伝導率、拡散率など
実測値の少ない物性には欠かせないが、熱伝導率以外には推算方法が記載されてい
ない。
△プロジェクトの物質選別の手段として開発された物性値測定や推算、或いはシュミ
レーションの技術はデータベースとして公開が計画されているが、これらの技術を
GWPの算出を含めて実際に使ってサービスする事業の計画は考えられないか。
37
3.研究開発実施者の事業体制の妥当性(データベース、物性推算技術研究―3)
中間評価以降、熱物性・データベース作業部会が追加設置されており、再委託先
の充実が図られるなど、データベースや物性推算技術研究に必要な実施体制となっ
ている。
ただし、実用段階で必要とされる精度の確保のための体制確保、今後のデータベ
ースの管理・運営等には課題も見受けられる。
(肯定的意見)
○データベースや物性推算技術研究には、化学工学系の知識が必要であるから、その
関連の研究所を実施者に含めているので妥当性はある。
○妥当なものであると判断する。中間評価時点以降、熱物性・データベース作業部会
が追加設置されており、大学関係の再委託先も充実が図られている。
(問題点・改善すべき点)
●化学工学系の知識は物性推算には不可欠であるが、実用段階で必要とされる精度に
は不満が残る。そうした補強のため、再委託先に多くの研究団体が記載されている
が、研究経過のチェックと研究結果の評価を行う組織が体制化されていたか疑問が
残る。例えば,データベースの管理を今後どの組織で運営していくのかなど,体制
作りが必要に思う。
(その他の意見)
なし
38
4.研究開発実施者の運営の妥当性(データベース、物性推算技術研究―4)
新規物質の合成、物性評価、データベース・推算プログラム構築の個々の部会や
運営委員会で、調整・配慮した運営がなされたと考えられる。また、プロジェクト
開始後の情勢変化対応に対しては、中間評価時点評価で相当強化されており妥当で
ある。
(肯定的意見)
○一応の成果を収めているので,妥当であったのであろう。プロジェクト開始後に実
用試験が重要視されたが,それに十分対応できていると考える。
○資料類を見る限り、十分な手が打たれているようであり妥当と判断する。新規物質
の合成部隊や物性評価部隊とデータベースや推算プログラム構築のメンバー間の調
整は、個々の部会や運営委員会で調整・配慮した運営がされたものと思う。プロジ
ェクト開始後の情勢変化への対応に対しては、中間時点評価で相当強化されたと理
解しており妥当であると考えている。
(問題点・改善すべき点)
●再委託先のグループ別の運営体制などは明記されていない。予算の配分と成果の多
少も判断できない。実施者の運営の是非を判断することは難しい。
(その他の意見)
なし
39
5.今後の研究開発の方向性等に関する提言(データベース、物性推算技術研究―5)
要素技術としての成果を国内外に発信し、特にデータベースについては利用者の
要望に応じて改善を加えていくことが望まれる。
研究開発成果である物性データ、物性値推算式、熱物性推算システムを学会や産
業界の共有財産として科学技術の発展に活用されるようにするまとめ方、公開方法、
活用方法を考えるべきである。
(肯定的意見)
○環境保護と省エネルギーの立場に配慮した製造技術を開発することは重要である。
こうした方面に示唆できれば,有効であろう。
○報告書の取り纏めや今後の対外的広報PRの中では、要素技術としての成果の部分
を、国内外に発信されることをお願いしたい。また、この成果の想定波及効果をわ
かりやすく報告書の中に記載することも必要かと思う。(物性学者や研究者以外に
もわかりやすく)例えばこの分野での、これまでの日本の実情(国際的実力)がどう
であり、今回の要素技術の成果をベースにすると今後どんな発展形の道があるのか
などがあげられる。
○本研究開発の成果として生まれた物性データ、物性値推算式、熱物性推算システム
を本テーマの研究手段として用済みと考えず、学会や産業界の共有財産として科学
技術の発展に活用されるようにするまとめ方、公開方法、活用方法を考えるべきで
ある。
(問題点・改善すべき点)
●再委託先として参加した研究組織以外にも、この分野の研究組織が多い。試料を供
給できれば研究組織に含まれていない団体が研究を行なえるので、さらに精確な実
測値が多く得られ、データベースなどの問題点も明らかになってくるのではないか。
●プロジェクト終了後となろうが、データベースについては、利用される研究者の声
を広く聴いて改善を加えていくことが重要。
(その他の意見)
なし
以
上
40
第4章
評点法による評点結果
第4章 評点法による評点結果
「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」に係る事後評価の実施に併せて、
下記に基づき、本分科会委員による「評点法による評価」を実施した。
1.経緯
(1) 評点法の試行
通商産業省(当時)において、平成 11 年度に実施されたプロジェクト
の評価(39 件)を対象に、評点法を試行的に実施した。その結果を産業
技術審議会評価部会に諮ったところ、以下の判断がなされた。
l
数値の提示は評価結果の全体的傾向の把握に有効
l
評価者が異なっていてもプロジェクト間の相対的評価がある程度可
能
(2) 評点法の実施
平成 12 年5月の通商産業省技術評価指針改訂にて「必要に応じ、評点
法の活用による評価の定量化を行うこととする」旨規定された。
以降、プロジェクトの中間・事後評価において、定性的な評価に加え各
評価委員の概括的な判断に基づく評点法が実施されている。
2.評点法の目的
l 評価結果を分かりやすく提示すること
l プロジェクト間の相対評価がある程度可能となるようにすること
3.評点の利用
l 評価書を取りまとめる際の議論の参考
l 評価書を補足する資料
l 分野別評価、制度評価の実施において活用
4.評点方法
(1) 評点の付け方
l 別紙「評点法による評価シート」により、各評価項目について3段階(1,
3,5)で評価する。
l 総合点の算出に当たっては、表1に示す評価項目の各点数に重み付けの
数値を掛け合わせた後、合算することとする。
l 重みについては、経済産業省で採用されている重みとの整合をとり、両
者を比較できるようにする。
4-1
(2) 評点法実施のタイミング
l 第1回分科会において、各委員へ評価コメント票とともに上記(1)の点
数の記入を依頼する。
l 評価書(案)を審議する前に、集計結果(各項目の平均値、ばらつき等)
を委員に提示、議論の際の参考に供する。
l 上記審議を行った分科会終了後、委員の評点及びそれに基づく総合点を
計算し、当該分科会での議論等を踏まえた評点の修正を依頼する。
l 評価書(案)の確定に合わせて、評点の集計を行う。
(3) 評点結果の開示
l 評点法による集計結果を開示するが、個々の委員の素点については、個
人情報保護の観点から開示の対象外とする。但し、分科会長について
は、議論を円滑に進めるため各委員の素点を参照できることとする。
l 評点法による評価結果の開示については、あくまでも補助的な評価であ
ることを踏まえ、数字のみが一人歩きすることのないように慎重に対
応する。
l 具体的には、図表による結果の掲示等、評価の全体的な傾向がわかるよ
うな形式をとることとする。
4-2
表1
評点の重み付け
評点項目
重み
A 関与の必要性
9/120
B 目的・位置付け
C 目標の妥当性
9/120
8/120
D 計画内容の妥当性
E 実用化の見通し
(1)
8/120
(2)
(1)
9/120
8/120
(2)
8/120
F 実用化のシナリオ
17/120
16/120
8/120
G 研究開発成果の妥当性
H 情勢変化対応妥当
(1)
18/120
(2)
12/120
(3)
(1)
6/120
8/120
(2)
9/120
36/120
17/120
40
20
4-3
H 情勢変化への対応
の妥当性
G 研究成果の妥当性
F 実用化のシナリオ
D 計画内容の妥当性
C 目標の妥当性
B 目的・位置付け
0
E 実用化の見通し
10
A 関与の必要性
重み
30
5.評点結果
平均
標準偏差
A 事業の目的・
政策的位置付け
4.5
0.9
B 事業の背景・
目的・位置付けの妥当性
4.8
0.7
C 事業の目標の妥当性
4.0
1.1
D(1)
研究開発計画の妥当性
4.0
1.1
D(2)研究開発実施者の事業体制の妥当性
4.1
1.6
E(1)成果の実用化可能性
2.7
0.8
E(2)波及効果
3.6
1.0
F 実用化のシナリオ
2.7
0.8
G(1)計画と比較した目標の達成度
3.3
1.3
G(2)要素技術から見た成果の意義
4.5
0.9
G(3)成果の普及、広報
3.0
1.1
H(1)情勢変化への対応の妥当性
3.6
1.5
H(2)研究開発実施者の運営の妥当性
3.9
1.1
全体(
加重平均)
3.8
0.8
5.0
1.8
4.8
4.5
4.5
4.0
4.0
4.1
平均
1.6
標準偏差
3.9
4.0
3.6
3.6
0.8
0.6
2.0
0.4
0.2
4-4
全
体
(
加
重
平
均
)
0.0
E(2
)波
及
効
G(1
F実
果
)計
用
化
画
の
と
シ
比
ナ
較
リ
し
オ
G(2
た
)要
目
標
素
の
技
達
術
成
か
度
ら
見
た
成
果
の
意
義
G(3
)成
H(1
果
の
)情
普
勢
及
変
、
化
H(2
広
へ
報
)研
の
究
対
開
応
発
の
実
妥
施
当
者
性
の
運
営
の
妥
当
性
1.0
A事
業
の
B事
目
業
的
の
・
背
政
景
策
・
的
目
位
的
置
・
付
位
け
置
付
け
の
妥
当
性
C事
業
の
目
D(1
標
D(2
)
の
)研
研
妥
究
究
当
開
開
性
発
発
計
実
画
施
の
者
妥
の
当
事
性
業
体
制
の
妥
当
E(1
性
)成
果
の
実
用
化
可
能
性
平均値
1.0
2.7
標準偏差
3.0
2.7
1.4
1.2
3.3
3.0
3.8
(別
紙)
評点法による評価シート
【Ⅰ.総論(中間評価のみ)】
A.今後のプロジェクトの方向
(1)プロジェクトの内容について
5
3
1
l 国費を使用した技術開発の効果・効率達成の観点に鑑み、今後の事業計画
はいかにあるべきか。
《判定基準》
l 拡大を図るべき
→ 5
l 現行どおり継続すべき
→ 3
l 合理化・縮小することが妥当
→ 1
【Ⅱ.各論】
A.事業の目的・政策的位置付け
(1)NEDO の関与の必要性・制度への適合性
5
3
1
l 経済産業省の政策方針に適合しているか(現在及び事業開始時点の時代背
景認識から見て)
l 研究開発制度の趣旨、目的(選定基準)に適合しているか
l 特定の制度に基づく事業でない場合、以下のような「市場の失敗」に該当
し、NEDO の関与が必要とされるテーマか(政策立案・評価ガイドライン参
照)
² 公共財的性格を持つ財・サービスの供給
² 環境問題等市場原理が働かない外部性
² 不確実性(リスクの高さ)や情報の偏在などに基づく市場の不完全性
等
l 上記には該当しないものの、民間のみでは改善できない問題に対応するた
めに
l NEDO の関与に公共性が認められるものか
l 上記を踏まえた上で、緊急性、重要性が高く優先して実施すべき研究開発
と
l 判断されるか。(緊要性は高いか)
4-5
《判定基準》
l 民間のみでは問題解決が図られず、NEDO の事業として
実施する緊要性が極めて高い
l NEDO の事業実施は妥当
l NEDO の関与がなくとも民間による取り組みで問題解決が可能
→ 5
→ 3
→ 1
B.事業の背景・目的・位置付けの妥当性
(1)事業目的・政策的位置付けの妥当性
5
3
1
l 評価時点の時代背景から見て、事業の目的は妥当で、政策的位置付けも明
確か
l 事業開始時点の時代背景から見て、事業開始時の目的は妥当で、政策的位
置付けも
l 明確か
l 事前評価は当時の時代背景認識から見て妥当なものであったか
l 政策課題(問題)の解決に十分資するものであるか
《判定基準》
l 事業の目的は非常に重要で、政策的位置付けも明確
→ 5
l 事業の目的は妥当であり、政策的位置付けも大まかにはなさ
れている
→ 3
l 事業目的の妥当性は失われており、政策的位置付けも不明確
→ 1
C.事業の目標の妥当性
(1)研究開発目標の妥当性
5
3
1
l 立案時または計画見直し時点の時代認識から見て、目的達成のために、具
体的かつ明確な開発目標、目標水準を設定しているか
l 目標達成度を測定、判断するための適切な指標が設定されているか
l エネルギー特別会計を使用している場合には、費用対効果分析など定量的
なエネルギー政策上の目標が立てられているか。
《判定基準》
l 世界最高水準の目標や事業の目的に応じた目標が具体的に設定
され、指標設定も適切
→ 5
l 目標等が概ね過不足なく設定されているが、必ずしも具体的
ではない
→ 3
l 指標が十分に設定されておらず、目標水準も曖昧
→ 1
4-6
D.事業計画内容の妥当性
(1)研究開発計画の妥当性
5
3
1
l 目的達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配分
を含む)となっているか
l 目標達成に必要な要素技術を過不足なく、取り上げているか
l 研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か
《判定基準》
l 計画は、予算、スケジュール、要素技術の設定とも的確であり、
予算配分も適切に行われている
→ 5
l 計画は概ね妥当で、予算配分も概ね適切である
→ 3
l 計画はスケジュール、予算とも不適切である
→ 1
(2)研究開発実施者の事業体制の妥当性
5
3
1
l 目標を達成する上で、事業体制は適切なものか
l 各研究開発実施者の選定等は適切に行われたか
l 関係者間の連携/競争が十分行われるような体制となっているか
《判定基準》
l 適切な事業体制が構築され、関係者間の連携/競争も十分行わ
れている
→ 5
l 概ね妥当な事業体制が構築されている
→ 3
l 事業体制が適切に構築されていない
→ 1
E.実用化、事業化の見通しの妥当性
(1)成果の実用化可能性
5
3
1
l 産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか
l 公共財としての需要が実際にあるか。見込みはあるか【注】
l 公共性は実際にあるか。見込みはあるか【注】
《判定基準》
l 成果の産業応用について参加企業等が意欲的で実用化へ向けた
課題解決に向けて自主的な取り組みが期待できる
→ 5
l 実用化に向けての課題は明らかであるが、具体的な道筋等は必
ずしも明確ではない
→ 3
l 具体的に産業応用が可能であるか否かを含め実用化に向けた道
筋が描けていない
→ 1
4-7
(2)波及効果
5
3
1
l 成果は、関連分野へのインパクトを期待できるものか
l 当初想定していなかった波及的な成果が得られているか
l プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発を促進するなどの波及効果
を生じているか
《判定基準》
l 成果について当初想定されていた分野を越えて広範な応用が考
えられ、当該分野の研究開発を触発する効果を有する
→ 5
l 成果の応用、波及が当初の想定程度には期待できる
→ 3
l 成果の波及はほとんど期待できない
→ 1
F.実用化のシナリオ
(1)実用化の見通し
5
3
1
l コストダウン、導入普及、事業化までの期間、事業化とそれに伴う経済効
果等の見通しは立っているか
《判定基準》
l 成果の産業応用について参加企業等が意欲的で実用化へ向けた
課題解決に向けて自主的な取り組みが期待できる
→ 5
l 実用化に向けての課題は明らかであるが、具体的な道筋等は必
ずしも明確ではない
→ 3
l 具体的に産業応用が可能であるか否かを含め実用化に向けた道
筋が描けていない
→ 1
G.研究開発成果の妥当性
(1)計画と比較した目標の達成度
5
3
1
l 成果は、目標値をクリアしているか
l 全体として目標の達成度はどの程度か
l 立案時点または計画見直し時点の時代認識から見て、事業は研究開発とし
て成功したといえるか。また、評価時の時代背景から見てどうか
《判定基準》
l 目標水準を大きく上回る成果をあげて、研究開発として成功
した
→ 5
l 目標は概ね達成され、研究開発としては成功したと言っても
良い
→ 3
l 目標にはかなり遠く、研究開発としては失敗した
→ 1
4-8
(2)要素技術から見た成果の意義
5
3
1
l
l
l
l
l
l
世界最高水準、世界初、又は国際水準から見て優れた成果があるか
新たな技術領域を開拓するような成果の独創性が認められるか
新たな市場創造につながるような新規性、先進性があるか
汎用性のある(応用分野の広い)技術が開発されているか
当初想定していなかったような成果(派生技術等)はあるか
将来の時代背景の変化により、重要性の増すあるいは減る成果はどのよう
なものか
《判定基準》
l 要素技術として特筆すべき成果が多く見られる
→ 5
l 要素技術として意義のある成果が多く見られる
→ 3
l 要素技術として意義のある成果はほとんどない
→ 1
(3)成果の普及、広報
5
3
1
l 論文の発表は、質・量ともに十分か
l 特許は適切に取得されているか
l 必要に応じ成果の規格化に向けた対応がとられているか
l 広報は一般向けを含め十分に行われているか
《判定基準》
l 重要な特許が取得され、論文の質、量とも十分で、広報も十分 → 5
l 論文、特許ともほどほどに出ており、広報も適宜行われている → 3
l 論文、特許とも少なく、広報もほとんど行われていない
→ 1
H.情勢変化への対応の妥当性
(1)情勢変化への対応の妥当性
5
3
1
l 技術動向や社会・市場ニーズの変化等に対応して、計画を適切に見直した
か
l 計画の見直しに当たっては、時代背景の変化を考慮したか。
(特段の情勢変化はなかったと考えられる場合は空欄とする)
《判定基準》
l 変化を的確に把握し、計画を適切に見直している
→ 5
l 変化を概ね把握し、計画の見直しも行っている
→ 3
l 変化を把握せず、計画の見直しも行っていない
→ 1
4-9
(2)研究開発実施者の運営の妥当性
5
3
1
l 意志決定、進捗状況の把握、計画見直しの検討等が、適切に行われている
か
l プロジェクトリーダー(サブテーマのリーダーを含む)が有効に機能して
いるか
l プロジェクト開始後の情勢変化(目標未達が明らかになった場合を含む)
への対応は適切か
《判定基準》
l 運営上の課題に対し迅速な意志決定と柔軟な対応がなされ、
適切なプロジェクト管理が行われている
→ 5
l 概ね妥当な運営管理がなされている
→ 3
l 運営管理は適切とは言えず、情勢変化にも対応していない
→ 1
【注】:知的基盤・標準整備等のための研究開発のみ。
4-10
参考資料1
本資料は、第1回「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」
(事後評価)分
科会において、プロジェクト実施者がプロジェクトの概要を説明する際に使用した
ものである。
エネルギー使用合理化新規冷媒等
研究開発
新エネルギー・産業技術総合開発機構
環境調和型技術開発室
財団法人 地球環境産業技術研究機構
新規冷媒等プロジェクト室
オゾン層保護対策産業協議会
エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
分科会・作業分科会 発表内容
1. プロジェクト概要説明
NEDO環境調和型技術開発室
2. プロジェクト全般の成果
RITE新規冷媒等プロジェクト室
中村 主査
三崎 室長
雨宮 技術部長
【 以上 公開部分 】
3. 環境影響評価技術研究
東京大学気候システム研究センター
独立行政法人産業技術総合研究所
4. 代替冷媒の開発
RITE新規冷媒等プロジェクト室
5. 代替発泡剤の開発
RITE新規冷媒等プロジェクト室
6. 代替洗浄剤の開発
RITE新規冷媒等プロジェクト室
7. データベース、物性推算技術研究
RITE新規冷媒等プロジェクト室
【 以上 非公開部分 】
参考1- 1
今須 助教授
徳橋 主任研究員
円尾 専門部長
玉井 主任研究員
村田 主任研究員
浦田 研究員
フルオロカーボン(HCFC/HFC)利用状況
クッション
ルームエアコン
発泡剤
HCFC-141b
冷媒
HCFC-22
冷却用ヒートパイプ
冷媒
HCFC-141b
住宅建材
発泡剤
HCFC-141b
電子部品
洗浄剤
HCFC-141b
冷蔵庫
冷媒
HFC-134a
カーエアコン
冷媒
HFC-134a
フルオロカーボン類の物理・化学的な特異性
1. 気・液二相間の変換の容易さ
⇒ 分子間の引力が小さいことに起因
⇒ ランキンサイクルを最も容易に実現する媒体
2. 液相における表面張力の低さ
3. 適度な親油性
⇒ 小間隙に浸入し、複雑な機器の洗浄も可能
⇒ 気化しやすいため迅速に乾燥できる
4. 化学的・熱的な安定さ
5. 比重の大きさ
参考1- 2
特定フロン、代替フロンに対する規制
特定フロン等
物質名
代替フロン等
HFC, PFC, SF6など
CFC
HCFC
オゾン層破壊
オゾン層破壊
地球温暖化
地球温暖化
地球温暖化
モントリオール議定書
規制スケ
ジュール
京都議定書
1989年 規制開始
1995年 生産全廃 1996年 規制開始
2008年∼2012年
2020年 生産全廃
2004年∼65%
CO2等6ガスの排出量総量
2010年∼35%
を1990年を基準として各国
2015年∼10%
が一定割合を削減
2020年∼ 0%
(HFC等は1995年を基準)
フルオロカーボン国内出荷量の推移 (単位:千トン)
140
120
100
80
その他
洗浄剤
発泡剤
エアゾール
冷媒
60
40
HCFC
HFC
1990年
1995年
2000年
CFC
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
0
1990年
1995年
2000年
20
合計
1990年HCFC-22出荷量は、CHClF2総生産量(6万トン)の約4割程度と見積もった。
参考1- 3
研究開発計画
• 研究開発目的:エネルギー効率が高く、オゾ
ン層破壊係数がゼロであって、且つ地球温暖
化係数の低い冷媒、発泡剤及び洗浄剤等の代
替化合物及び技術の開発を行う。
• 研究開発期間:平成6年度∼13年度(8年間)
• 研究開発費:約60億円
研究開発の目標
エネルギー効率
エネルギー消費 小
地 球 環 境
安 全 性
新代替候補物質
規 代 替 品
ODP≒0
毒性低い
温暖化効果 小
燃えにくい
特 性
実用可能性
冷媒
製造法
発泡剤
実用化技術
洗浄剤
参考1- 4
競合する技術 (1)
− 現在検討されている 冷媒 用途別候補物質 −
規制冷媒
(CFC、HCF
C)
CFC−11
HCFC−123
用途
遠心式冷凍機
キャブクーラー
廃熱回収
CFC−114
カーエアコン
CFC−12
代替冷媒 (HFC、その他)
HFC-134a (一部 高圧ターボ)
HFC-134a (高圧)
HFC-134a
電気冷蔵庫
R-502
HCFC-22
パッケージエアコン
HCFC-22
ルームエアコン
HCFC-22
HFC-134a
R-600a (イソブタン)
HFC-134a
R-407C, R-410A
R-404A, R-507A
R-407C (HFC32/125/134a=23/25/52)
R-410A (HFC-32/125=50/50)
低温冷凍機
R-502
HCFC-22
R-404A (HFC-25/143a/134a=52/44/4)
R-507A (HFC-125/143a=50/50)
CFC−12
競合する技術 (2)
− 現在検討されている 発泡剤 候補物質 −
発泡剤
化学式
沸点
燃焼性
(℃)
( vol%
)
ODP
大気
寿命
(年)
GWP
(100
年)
HFC-245fa
CHF2CH2CF3
15
不燃
0
7.2
950
HFC-236ea
CF3CHFCHF2
6
不燃
0
10
1200
HFC-365mfc CF3CH2CF2CH3
40
3.5 ∼9.0
0
10.2
890
HCFC-141b
32
7.6 ∼17.7
0.11
9.3
700
Cyclopentane C5H10
49
1.4 ∼9.4
0
数日
3
C5H12
36
1.8 ∼8.0
0
数日
3
n-Pentane
CH3CCl2F
参考1- 5
競合する技術 (3)
− 現在検討されている 洗浄剤 候補物質 −
洗浄剤
HFC43-10mee
Cyclic HFC
化学式
CF3CHFCHFCF2CF3
F
F
F
F
F
沸点
表面張力
(℃)
(dyne/cm)
ODP
大気
寿命
GWP
(年)
(100
年)
55
14.1
0
17.1
1300
82.5
18.0
0
3.4
250
320
F
H
F
H
H
HFE-7100
C4F9OCH3
61
13.6
0
4.1
CFC-113
CF3CFCl2
48
17.3
0.8
85
5000
1,1,1-トリクロロ
エタン
CCl3CH3
74
25.6
0.12
4.8
140
国の関与の必要性
• 新規構造の代替物質開発
技術的な難度が高い
• 環境影響評価技術の確立
– 大気中寿命の実測
– 地球温暖化係数(GWP)算出
民間企業の研究対象
ではない
• 国際的な規制や国家政策との関与が強い
国家プロジェクトとして産学官が連携して推進する
ことが妥当である
参考1- 6
本プロジェクトの位置づけ
− 先行プロジェクト 「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発」
(平成2年度∼平成6年度実施) との比較 −
対象用途分野
研究開発の範囲
化合物
冷媒
新規代替化合物の探索
混合冷媒
発泡剤
洗浄剤
実用化技術の開発
含フッ素エーテルおよびアルコール
含フッ素窒素化合物および硫黄化合物
含フッ素ケイ素化合物
含フッ素オレフィン
含フッ素ケトンおよびエステル
含フッ素ヘテロ環化合物
含フッ素複合ヘテロ環化合物
共同研究・再委託研究等
工業技術院
物質工学工業技術研究所
資源環境技術総合研究所
名古屋工業技術研究所
黒字 : 先行プロジェクト
青字 : 本プロジェクトで追加されたもの
大学参画
ユーザー参画
関連業界団体等との協力・提携
研究開発体制 (中間評価時)
通商産業省
新エネルギー・産業技術総合開発機構
付帯調査
オゾン層保護対策産業協議会
共同研究
工業技術院
物質工学工業技術研究所
資源環境技術総合研究所
名古屋工業技術研究所
財団法人 地球環境産業技術研究機構
研究所
再委託研究
運営委員会
業務委員会
技術委員会
新規冷媒等
慶應義塾大学 神戸大学
管理部
技術部
プロジェクト室
合成部会
冷媒部会
発泡部会
溶剤部会
環境部会
つくば分室
名古屋分室
研究員派遣
大阪分室
玉川分室
参考1- 7
研究協力参加企業
旭化成 ㈱
旭硝子 ㈱
関東電化工業 ㈱
昭和電工 ㈱
セントラル硝子 ㈱
ダイキン工業 ㈱
東亞合成 ㈱
三井デュポンフロロケミカル ㈱
研究開発体制 (最終評価時)
(中間評価時)
通商産業省
経済産業省
新エネルギー・産業技術総合開発機構
付帯調査
工業技術院
独立行政法人産業技術総合研究所
物質工学工業技術研究所
フッ素系等温暖化物質
資源環境技術総合研究所
対策テクノロジー研究センター
名古屋工業技術研究所
オゾン層保護対策産業協議会
共同研究
財団法人 地球環境産業技術研究機構
研究所
慶應義塾大学 神戸大学
九州大学 茨城大学
静岡大学 大阪府立大学
慶應義塾大学
神戸大学
日本大学(理工、生産工)
日本産業洗浄協議会 上智大学
再委託研究
運営委員会
業務委員会
技術委員会
実用試験外注
管理部
新規冷媒等
技術部
プロジェクト室
研究協力参加企業
旭化成 ㈱
旭硝子 ㈱
関東電化工業 ㈱
昭和電工 ㈱
セントラル硝子 ㈱
ダイキン工業 ㈱
東亞合成 ㈱
三井デュポンフロロケミカル ㈱
つくば分室
合成部会
冷媒部会
発泡部会
溶剤部会
環境部会
名古屋分室
研究員派遣
大阪分室
熱物性・データ
ベース作業部会
蓄熱式給湯器メーカー
日本ヒートパイプ協会
日本電機工業会
玉川分室
鹿島分室
研究管理体制 (最終評価時)
合成
冷媒
部会
発泡
洗浄
運営委員会 業務委員会 技術委員会
開催頻度
回数/年
経済省製造産業局オゾ
ン室
オゾン室室長
産総研フッ素系等テクノ
ロジー研究センター
センター長
副センター長
主任研究官
(技術委員)
NEDO環境調和型技術
開発室
室長・主任研究員
主査
RITE(京都本部)研究企
画部
専務理事
業務課長
RITE新規冷媒等プロ
ジェクト室
室長・専門部長
技術部長・次長
管理部長・次長
つくば分室研究員
大阪分室研究員
鹿島分室研究員
産洗協
参加企業8社
運営委員(役員)
業務委員
技術委員
討議事項
1
作業部会
環境 熱物性 データベース
5
5
5
5
5
5
2
4
4
●
●
●
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●
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●
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●
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●
●
●
前年度成果
の承認と当
年度実施計
画の審議
●
予算及び資 研究開発の
産管理、事務 進捗状況を
局運営に係 報告し、開発
る各社の役 計画を審議
割を審議
参考1- 8
(●)
(●)
(●)
(●)
研究開発のスキーム (1)
− 新規候補化合物の設計研究 −
エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
HCFC代替化合物開発
地球環境配慮(ODP≒0、GWP少)
エネルギー消費量少
安全性、経済性
新規候補化合物
データベース
含フッ素エーテル
含フッ素オレフィン
含フッ素ケトン及びエステル
含フッ素ヘテロ環化合物
含フッ素複合ヘテロ環化合物
物性推算プログラム
化合物の選定
化合物合成
研究開発のスキーム (2)
− 用途別候補化合物の選定 −
化合物合成
合成ルートの設計
合成法開発
物性測定
沸点、凝固点、蒸気圧等
物性評価
基礎性能評価
毒性測定評価
安全性評価
環境影響評価
熱物性
熱伝導率
粘性率
など
GWP算出精度アップ
OH反応速度測定、大気中寿命
分解反応過程解明
反応中間体検出
赤外線吸収強度
用途別候補化合物選定
参考1- 9
研究開発のスキーム (3)
− 用途別性能評価 −
用途別候補化合物選定
冷媒候補化合物
発泡剤候補化合物
洗浄剤候補化合物
実用化試験
潤滑油選択
気体熱伝導率測定
洗浄性試験
ドロップインテスト
冷媒性能試験
ポリオール選択
実用洗浄機
発泡成形性
性能試験
経済的合成ルート
の開拓
実用機性能試験
省エネルギー効果
総合評価
経済的製造法
実用特性評価
研究開発成果
− 特許、論文、対外発表など (平成13年10月5日現在) −
特 許
査読
研究発表
TV
公告
出願
論文
代替方法の現状調査及び
代替物質の設計研究
0
0
1
2
3
0
新規物質の合成及び物性、
安全性評価
29
41
26
47
73
3
新規物質の温暖化効果等
環境影響予測技術研究
0
0
17
18
24
0
実用化研究・総合評価
29
42
6
3
6
0
58
83
50
70
106
合
計
参考1- 10
海外
国内
発表
3
平成14年1月16日
エネルギー使用合理化
新規冷媒等研究開発
開 発 成 果
新エネルギー・産業技術総合開発機構
環境調和型技術開発室
地球環境産業技術研究機構
新規冷媒等プロジェクト室
産業技術総合研究所
フッ素系等温暖化物質対策テクノロジー研究センター
新規冷媒等プロジェクトの開発項目
4つの開発項目を設定して研究開発を実施した。
1.代替方法の現状調査及び
新規候補化合物設計研究
2.新規化合物の合成及び
物性・安全性等評価
3.新規候補化合物の温暖化効果等
環境影響評価技術研究
4.実用試験・総合評価
参考1- 11
研究開発の目標
− 代替候補化合物に要求される用途別特性 −
用途
基本条件
代替目標物質
冷媒
沸 点 ≦ 50℃
望 ま し く は ≦ 30℃
CFC-114
HFC-134a
発泡剤
洗浄剤
沸点
≦
* 物 性 推 算 プ ロ グ ラ ム (TH EDYN A)に よ る
理論サイクル計算値
廃 熱 回 収 条 件 蒸 発 温 度 30℃ 凝 縮 温 度 80℃
HFC-245fa
HFC-365mfc
シクロペンタン
50℃
沸 点 40∼ 120℃
表 面 張 力 ≦ 30mN/m
特
性
成 績 係 数 (COP H ) *
5.46
4.63
HFC-43-10mee
ヘプタフルオロシクロペンタン
1,1,1-トリクロロエタン
CFC-113
気 体 の 熱 伝 導 度 (40℃ )
14.9
――
15.3(60℃ )
表 面 張 力 (m N/m)/ 蒸 発 潜 熱 (J/g)
14.1(25℃ )
130(25℃ )
18.0(45℃ )
187(30℃ )
25.6
242
17.5
146
含フッ素化合物の標準沸点
(冷媒候補化合物の探索)
120
100
80
沸
60
点
40
20
C5F10O
CH3OCF2CF3
142b
124
12
134a
-20
-60
C4F9OCF3
114
0
-
(HFE-7100)
141b
123
11
(℃)
-40
C4F9OCH3
225cb
225ca
113
-
115
22
CH3OCF3
CF3OCF2CF2CF3
C2F5OC2F5
CF3OCF2OCF3
C4F8O
CF3OCF2CF3
CF3COCF3
C3F6O
407C
410A
CF3OCF3
CFC,HCFC 混合系 MeOMe MeOEt
HFC
HFC
MeOPr EtOEt
MeOC4 MeOC5 ジエーテル 環状 ケトン オレフィン モルフォリン
エーテル
参考1- 12
含フッ素化合物の気体熱伝導率
(発泡剤候補化合物の探索)
15
15
14
14
HFC-365mcf
HFC-365mcf
HFC-245fa
HFC-245fa
c-C
c-C5H5H1010
HFE-254pc
HFE-254pc
熱伝導率(mW/m・K)
熱伝導率(mW/m・K)
13
13
HFE-236pc
HFE-236pc
HFE-347mcc
HFE-347mcc
12
12
HCFC-141b
HCFC-141b
11
11
10
10
99
10
10
CFC-11
CFC-11
20
20
30
40
30
40
沸点(℃)
沸点(℃)
50
50
60
60
含フッ素化合物の表面張力
(洗浄剤候補化合物の探索)
表面張力(mN/m)
30
20
10
CCl 3CH 3 CFC-113
環
状
エ
ー
鎖
状
ジ
エ
ー
ー
鎖
状
エ
テ
ル
テ
ル
参考1- 13
テ
ル
ケ
ト
ン
環
状
複
合
ヘ
テ
ロ
元
素
系
含フッ素化合物の大気寿命
10000
115
1000
13
114
23
23
CF 3 OCHF 2 HFE-125(150年)
100
年
12
113
143a
11
125
142b
22
141
225c
124
10
CHF 2 OCHF 2 HFE-134p (26年)
C 4 F 9 OCH 3 HFE-449mccc(5.0年)
43-10mee
134a
C 3 F 7 OCH 3 HFE-347mcc(4.5年)
CH 3 OCF 3 HFE-143m(4.4年)
CHF 2 OCH 2 CF 3 HFE-245mf(4.4年)
CF 3 CF 2 OCH 3 HFE-245mc(4.3年)
245fa
32
(CF 3 ) 2 CFOCH 3 HFE-347mmy(3.5年)*
225c
21
123
41
CHF 2 CF 2 CH 2 OCHF 2 HFE-356pcf(3.2年)
CHF 2 CF 2 OCH 3 HFE-254pc(2.4年)*
152a
1
C 4 F 9 OC 2 H 5 HFE-569(0.77年)
0.1
CFC
HCFC
HFC
HFE
開発成果の概要
代替品の開発
冷媒 HFE-245mc (CF3CF2OCH3)
・ ヒートポンプ実証試験機 約7000時間達成
・ 貯湯式給湯機 実証試験 COPH 2.5∼2.7
HFE-143m (CF3OCH3)
・ 家庭用電気冷蔵庫 ドロップイン試験: ≒ HFC-134a
発泡剤 HFE-254pc (CHF2CF2OCH3)
・ マシン発泡機での実証試験
洗浄剤 HFE-347pc-f (CHF2CF2OCH2CF3)
HFE-55-10mec-fc
(CF3CHFCF2OCH2CF2CHF2)
・ 小型洗浄システムでの実証試験
参考1- 14
開発成果の概要
要素技術
データベース
(基本物性、気液平衡、毒性、スペクトル等)
・ 支援用データベース
約 3500 化合物
(独自測定データを中心に約 600 化合物について公開予定)
熱物性推算プログラム THEDYNA
・ 化合物構造から物性、状態方程式等の推算
・ p-h 線図作成、サイクル計算、気液平衡推算
OHラジカルとの反応速度の測定・推算等
・ 正確な大気寿命算出
GWPモデルの確立
新規冷媒等プロジェクトの開発項目
4つの開発項目を設定して研究開発を実施した。
1.代替方法の現状調査及び
新規候補化合物設計研究
2.新規化合物の合成及び
物性・安全性等評価
3.新規候補化合物の温暖化効果等
環境影響評価技術研究
4.実用試験・総合評価
参考1- 15
代替方法の現状
冷 媒
用途
代替物質
海外
HCFC
HFC
国内
HCFC-22
エアコン
HFC-134a
カーエアコン/電気冷蔵庫
R410A
(HFC-32/HFC-125)
ルームエアコン
R407C
(HFC-32/HFC-125/HFC-134a)
炭化水素 n-ブタン / i-ブタン
CO2
パッケージエアコン
小型電気冷蔵庫(欧州)
米国では使用予定なし
小型電気冷蔵庫において
平成14年より実用化開始
カーエアコンに検討
蓄熱式ヒートポンプ実用化開始
NH3
冷凍倉庫/製氷工場
代替方法の現状
発 泡 剤
用途
代替物質
海外
HCFC
HFC
HCFC-141b、HCFC-142b
HFC-245fa
HFC-365mfc
炭化水素 ペンタン、シクロペンタン
国内
断熱フォーム用発泡剤
断熱用フォーム用発泡剤に検討中
断熱用フォーム用発泡剤に検討中
米国:使用予定なし
(一部建材用ボードを除く)
欧州:電気冷蔵庫断熱フォーム用
参考1- 16
電気冷蔵庫断熱フォーム用
代替方法の現状
洗 浄 剤
用途
代替物質
海外
HCFC
HFC
HFE
国内
HCFC-225ca, cb
精密洗浄用
バートレル
(HFC-43-10mee)
精密洗浄・置換乾燥用
ゼオローラ
(ヘプタフルオロシクロペンタン)
精密洗浄・置換乾燥用
HFE-7100
(HFE-449mccc, mmyc)
精密洗浄・置換乾燥用
脱脂洗浄用
炭化水素 パラフィン系 等
新規候補化合物の設計研究
データベースの構築
研究開発支援用データベース
約 140件 試薬カタログ
約 670件
熱物性等 約 3,500件
毒性
約 580件 スペクトル
約 70件 気液平衡 約 1,300件
合成
公開用データベース (Fluorine Compounds Database)
約 600件 基本物性、毒性、スペクトル、環境影響、気液平衡等
収録化合物
・ データベース公開システムの開発、公開予定
物性推算法の開発 (推算精度の向上)
・ 階層型ニューラルネットワーク法
・ 原子団寄与法(重回帰分析)
熱物性推算プログラム THEDYNA
・
・
・
・
化合物構造から臨界点、比熱、状態方程式等の推算
p-h 線図作成、サイクル計算、気液平衡推算
2成分系、多成分系にも対応
英語化し、公開予定
参考1- 17
新規候補化合物の合成
年度別合成候補化合物数
報告年度(平成)
報告年度(平成)
77
RfOR型エーテル
RfOR型エーテル
その他エーテル
その他エーテル
鎖状ジエーテル
鎖状ジエーテル
環状エーテル
環状エーテル
ケトン
ケトン
オレフィン
オレフィン
環式複合ヘテロ元素系
環式複合ヘテロ元素系
小計
小計
経済合成法
経済合成法
(候補エーテル)
(候補エーテル)
計
計
66
22
11
44
88
33
22
26
26
88
99
新規
新規
新規
新規
44
22
11
22
22
22
22
22
44
22
33
22
11 66
10
10 21
21
10
10
新規
新規
11
55
22
22
11
11
11
新規
新規
12
12
新規
新規
新規
新規
22
22
22
44
11
22
44
44 33 11 11
88 13
13 22 10
10 00
55
44
11
26
26 10
10 21
21 88 13
13 22 15
15 00
55
00
44
77
計
計
新規
新規
10
10
99
18
18
99
15
15
55
12
12
11 78
78
13
13
11
00
00 11
1
91
21
11 1 91 21
候補化合物の経済性評価
原 料
合 成 法
化 合 物
総合
入手可能性 推定市場価格
反応段数
難易度
HFE-143m
△
×
1
△
△
HFE-245mc
△
△
1
△
△
HFE-347pc-f
△
○
1
○
○
HFE-254pc
○
○
1
○
○
HFE-55-10mec-fc
○
○
1
○
○
*
×
×
2
×
×
×
×
3
×
×
代表的なジエーテル
**
代表的な環状エーテル
*
:CF3OCF(CF3)CF2OCH3
**
:Cyclic-OCF2CF2OCF2CHF-
参考1- 18
44
66
33
22
00
00
66
21
21
基本物性の測定
1.
1.
2.
2.
3.
3.
4.
4.
5.
5.
6.
6.
7.
7.
8.
8.
9.
9.
10.
10.
11.
11.
12.
12.
13.
13.
測定項目
測定項目
沸点
沸点
蒸気圧
蒸気圧
蒸発潜熱
蒸発潜熱
溶解度パラメータ
溶解度パラメータ
比熱
比熱
動粘性率
動粘性率
密度
密度
表面張力
表面張力
熱伝導率
熱伝導率
水への溶解度
水への溶解度
誘電率
誘電率
共沸点
共沸点
臨界定数
臨界定数
含フッ素エーテル系
含フッ素エーテル系
含フッ素ケトン系
含フッ素ケトン系
44
44化合物
化合物
17
17化合物
化合物
環式複合ヘテロ原子
環式複合ヘテロ原子
含フッ素オレフィン
含フッ素オレフィン
44化合物
化合物
33化合物
化合物
含フッ素アミン
含フッ素アミン
44化合物
化合物
探索
探索
物性推算
物性推算
用途毎の基本性能評価
冷 媒
Name
構造式
沸点
臨界温度
℃
K
毒性
大気寿命
GWP
years
ITH=100y
燃焼性
Carbon dioxide
CO2
-78.4
304.3
low
1
non
HFC-32
CH2F2
-51.7
351.4
low
5.0
550
flammable
HFC-125
CF3CHF2
-48.5
339.5
low
29
3400
Propane
CH3CH2CH3
-42.1
369.9
low
HCFC-22
CHClF2
-40.8
369.4
low
Ammonia
NH3
-33.4
406.2
non
flammable
11.9
1700
non
CFC-12
CCl2F2
-29.8
385.0
×
low
100
10600
HFC-134a
CF3CH2F
-26.5
374.7
low
13.8
1300
non
HFE-143m
CF3OCH3
-24.0
377.9
low
4.9*
680*
flammable
iso-Butane
CH(CH3)3
-11.6
376.0
CFC-114
CClF2CClF2
3.8
418.8
low
300
9800
non
HFE-245mc
CF3 CF2OCH3
5.5
406.9
low
4.5*
530*
flammable
HFC-245fa
CF3 CH2CHF2
15.1
427.3
7.2
950
flammable
CFC-11
CCl3 F
23.8
471.2
low
45
4600
non
HCFC-123
CF3CCl2H
27.7
456.9
×
1.4
120
non
flammable
non
flammable
iso-Pentane
(CH3 )2CHCH2CH3
27.8
460.6
HFE-347mmy
(CF3 )2CFOCH3
29.4
433.3
low
4.6*
490*
non
HFE-347mcc
CF3CF2CF2OCH3
34.2
437.7
low
3.5*
350*
non
flammable
参考1- 19
用途毎の基本性能評価
冷 媒
物性測定
熱力学物性
輸送物性
液相粘性率の測定
液相熱伝導率の測定
気相熱伝導率の測定
PVT性質の精密測定
・ 飽和蒸気圧力相関式の開発
・ 飽和液体密度相関式の開発
・ 状態方程式の開発
燃焼性測定
高圧ガス保安法準拠
燃焼範囲
下限
HFE-245mc
HFE-143m
HFC-32
取り扱い
vol.%
vol.%
−
−
可燃性ガス
ではない
22.75
可燃性ガス
ではない
11.75
HFC-245fa
上限
ASHRAE Stan dard 準拠
燃焼範囲 (100℃)
下限
上限
下限
(23℃)
燃焼熱
(推算)
3
kJ / kg
vol.%
vol.%
kg / m
7.5
17.5
>0.50
10.5
23.5
>0.45
Class
不燃性ガス
6330
2
( 微燃)
7570
2
( 微燃)
−
−
可燃性ガス
ではない
7.5
10.5
−
8130
2
( 微燃)
13.1
27.8
可燃性ガス
ではない
12.5
28.5
未測定
9400
2
( 微燃)
による
不燃化の検討
(混合冷媒の検討)
用途毎の基本性能評価
発 泡 剤
・気体の熱伝導率
CFC-11 < HCFC-141b < HFE
< HFC-245fa, 365mfc < c-C5H10
・ポリオールとの相溶性
EtOMe系、PrOMe系
CHF2-基、-CHF-基
相溶性大
参考1- 20
用途毎の基本性能評価
発 泡 剤
・候補化合物の選択
沸点
熱伝導率
相溶性
C-O-C
×
−
−
C-C-O-C
◎
○
◎
安定性
毒性
分子量
◎
○
この分類
によらな
い
この分類
によらな
い
C-C-C-O-C
○
○
○
C-C-O-C-C
○
○
△
C-C-C-C-O-C
△
−
△
△
C-C-C-O-C-C
△
−
−
△
沸
点
: 10∼50 ℃
○
HFEHFE-254pc : CHF2CF2OCH3
気体熱伝導率: < 13.5 mW/m・K
相 溶 性 : > 40 wt%
○
HFEHFE-236pc : CHF2CF2OCHF2
HFEHFE-347mcc : CF3CF2CF2OCH3
用途毎の基本性能評価
洗 浄 剤
測定対象化合物
純物質
34 化合物
溶解度の測定
共沸系
14 系
純物質
20 化合物
安定性(沸点還流試験)
共沸系
11 系
表面張力
純物質
64 化合物
評価項目
洗浄特性、安定性、毒性、引火点を基準に評価、選定
経済的合成面の優れているものを中心に検討
参考1- 21
洗浄剤用途候補化合物の選定
構造式
RITE name
沸点
℃
洗浄剤
物性
不燃性
安定性
毒性
大気寿命
年
1
CHF2CF2CF2CF2CH2OCH3
122.5
○
×
○
○
-
2
CF3CHFCF2OCH2CF2CHF2
105.9
○
○
○
○
<5.0
3
CHF2CF2CH2OCF2CHF2
93.2
○
○
○
×
-
4
CF3CHFCF2CH2OCHF2
88.4
○
○
○
○
-
5
CF3CHFCF2OCH2CF2CF3
87.5
○
○
○
○
<6.7
6
CHF2CF2CH2OCHF2
75.5
○
○
×
×
-
7
CF3CHFCF2OCH2CF3
72.7
○
○
○
○
<6.5
8
CF3CF2CH2OCF2CHF2
70.3
○
○
○
△
-
9
CF3CH2OCH2CF3
63.8
○
○
○
×
-
10
CHF2CF2OCH2CF3
56.2
○
○
○
○
<6.0
11
CF3CHFCF2OCH3
54.3
○
○
×
○
-
12
CF3CF2CH2OCHF2
45.9
○
○
○
○
<5.2
優れた洗浄特性を持ち、温暖化影響の小さい 6 種のHFE
化合物 を開発
種のHFE化合物
燃焼性評価
評価方法の検討
① 着火方法及び着火エネルギーの影響
② 容器サイズ・形状の影響
燃焼爆発性の指標開発
① 燃焼性指標: F ナンバーを提案
化合物の構造からその燃焼性を予測
② 燃焼危険性指標: RF ナンバーを提案
フッ素原子を含む新規冷媒等の燃焼危険性が、
一般の可燃性ガスの危険性と比べて小さいことが、
定量的に示される。
参考1- 22
燃焼性評価法 "RF-ナンバー"
RF-No.= ( UFL / LFL − 1 ) × (HOC /M)
UFL : 燃焼上限界濃度、 LFL :燃焼下限界濃度、 HOC : モル燃焼熱、 M : 分子量
化合物
クラス
分子量
(vol%)
ASHRAE
(kJ/g)
燃焼限界
(kJ/g)
燃焼熱
6.33
6.39
7.57
9.40
18.6
13.4
10.1
16.6
HFE-245mc
CH2Cl2
HFE-143m
HFC-32
NH3
CH3Cl
CO
HFC-152a
150.0
84.9
100.0
52.0
17.0
50.5
28.0
66.0
2
2
2
2
2
2
2
2
10.5-13.5
14.1-20.8
10.5-21.5
13.3-29.3
15-28
8.2-20.2
12.5-74
4.8-17.3
Methane
Propane
DME
i-Butane
n-Butane
i-Pentane
Hydrogen
16.0
44.1
46.1
58.1
58.1
72.1
2.0
3
3
3
3
3
3
3
4.6-15.9
2.1-9.5
3.4-27.0
1.8-8.4
1.6-8.4
1.4-7.6
4.0-75
50.0
47.5
28.8
45.6
45.7
45.3
119.9
RFナンバー
0.86
1.23
3.21
4.55
6.82
7.29
14.5
20.1
43.1
52.2
52.4
52.9
59.0
60.2
399.4
毒性評価
毒性試験項目と試験化合物数
試験項目
急性吸入毒性試験
急性経口毒性試験
28日間反復投与毒性試験(吸入)
28日間反復投与毒性試験(経口)
Ames試験
染色体異常試験
分解度試験
分配係数測定試験
濃縮度試験
合計
H6 H7 H8
0
3
1
7
9 13
0
0
1
0
0
0
10 7 13
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
17 19 28
H9 H10 H11 H12 H13 合計
1
4
0
0
0
9
11 13
11
3
1
68
0
2
0
2
0
5
0
0
0
1
4
5
11 12
3
8
2
66
2
2
2
5
2
13
0
0
0
0
2
2
0
0
0
6
2
8
0
0
0
0
1
1
25 33
16
25
14 177
① 不安定な化合物を除いてエーテル系、ケトン系、
評価結果
ジエーテル系は毒性が低い。
② 毒性を理由に候補から漏れた化合物もある。
・ 代替(
代替(有望)
有望)候補化合物については、化審法項目へ展開
・ うち、4候補化合物については、化審法を申請中
・ 冷媒候補、洗浄剤候補の各1化合物について、神経毒性も試験
参考1- 23
環境影響評価の技術研究
大気寿命
OHラジカルとの反応:反応速度(測定と推算)
その他の除去過程について
GWP 評価モデル
国内では、GWPの算出は出来なかった
独自の評価モデルを構築
OHラジカルとの反応速度の測定
絶対法と相対法
絶対法
OHラジカルと大過剰の被測定試料 ⇒ 測定チャンバー
OHラジカルの濃度変化 ⇒ 反応速度の絶対値
高精度・高信頼性
不純物の影響を受けやすため、高純度の試料が必要 (要精製)
相対法
測定物質・参照物質とオゾン、水 ⇒ 測定チャンバー(大型)
測定物質・参照物質の濃度変化 ⇒ 反応速度の相対値
不純物の影響を受けない
絶対値が必要 (誤差の蓄積)
OH以外への適用が容易
中間生成物への適用が可能 (同定・速度)
参考1- 24
OHラジカルとの反応速度の推算
厳密法と簡便法
F
H
C
H
O
H
C
C
F
厳密法
C
F
F
F
H
F
遷移状態理論と電子状態理論に基づき反応速度定数を予測
理論的に定量的な推算が可能
HFEには水素を複数含むうえ、多くの異性体が存在するため、
炭素数が増えると飛躍的に計算時間が増加してしまう
簡便法
C-H 結合エンタルピー(BDE
)等から反応速度を予測・推算
結合エンタルピー(BDE)等から反応速度を予測・推算
遷移構造を求める必要がなく、計算時間は大幅に減少する
環境からの除去過程
総合的な大気中の寿命
1
1
1
1
1
τtotal = τOH + τlight + τwater + τsolid
OHラジカル
OHラジカル メチルフルオロアルキルエーテル類の分解過程を明らかにした
OH⋅
CnF2 n +1OCH 3 
→ CnF2 n +1OCHO → → CO 2, COF 2, Cn −1F2 n −1COF
との反応 生成した含フッ素ギ酸エステルの寿命は約 2 年(OH ラジカルのみ)
光分解反応
水分との反応
固体との反応
含フッ素エーテル化合物の除去には、ほとんど寄与しない
含フッ素ケトン化合物の除去に寄与する可能性有り
分解生成物のヘンリー定数、加水分解速度を測定
分解生成物の雲による除去速度を推定
砂漠などの地表面では、有意な除去機構になる可能性がある
しかし、現実の寄与は殆ど無視しても良い
参考1- 25
GWP評価モデル開発
大気寿命
候補化合物
OHラジカルとの反応 : 反応速度(測定と推算)
反応生成物
水(雲霧雨)への吸収と反応 :
ヘンリー定数、反応速度
赤外吸収
断面積
固体(土壌・ダスト)との反応 : 反応速度
光分解 : UV吸収、分解速度、分解生成物
大気中雲分布
気象データ
GWP 評価モデル
候補化合物のGWP値
RITE名
化学式
GWP
ITH=20
100
500
HFE-143m
CF3OCH3
2200
680
210
HFE-245mc
CF3CF2OCH3
1900
590
190
HFE-347mcc
CF3CF2CF2OCH3
1600
470
150
HFE-347mmy
(CF3)2CFOCH3
1100
340
100
HFE-254pc
CHF2CF2OCH3
1100
330
100
HFE-347mcf
CF3CF2CH2OCHF2
2400
730
230
HFE-347pc-f
CHF2CF2OCH2CF3
2800
870
270
参考1- 26
実用化予備試験
冷 媒
HFEHFE-245mc (CF3CF2OCH3)
・潤滑油の選択
/ CFCCFC-114 相当
:POE(ポリオールエステル
POE(ポリオールエステル))使用可能
・ヒートポンプサイクル実証試験機 :30℃⇒
85℃
℃、約7,000
時間の実証運転
30℃⇒85
、約7,000時間の実証運転
・貯湯式給湯器
:1段圧縮システムで90
℃、COP 2.5∼
段圧縮システムで90℃
2.5∼2.7
HFEHFE-143m (CF3OCH3)
/ CFCCFC-12, HFCHFC-134a 相当
・潤滑油の選択
・カロリーメータによる冷媒性能試験
: POE使用可能
POE使用可能
:ほぼ HFCHFC-134a と同等
・家庭用電気冷蔵庫へのドロップイン試験 :最適化で HFCHFC-134a と同等性能
ヒートパイプ動作流体の検討
某電子機器メーカーにて検討中
:HCFCHCFC-141b/142bに代替可能
141b/142bに代替可能
実用化予備試験
発 泡 剤
HFEHFE-254pc (CHF2CF2OCH3)
ハンド発泡試験 (硬質ウレタンフォーム)
・処方の検討
・フォーム外観
・熱伝導率の測定
:シクロペンタンと同等又はそれ以上の性能
マシン発泡試験 (硬質ウレタンフォーム)
・発泡特性および発泡体性能を実証
参考1- 27
実用化予備試験
洗 浄 剤
HFEHFE-347pc347pc-f (CHF2CF2OCH2CF3)
アルコール混合物の水切り乾燥剤としての試験
・付着水除去試験での絞込み
・小型洗浄装置による実証試験
:市販のHFC
系洗浄剤と同等以上の性能
:市販のHFC系洗浄剤と同等以上の性能
その他の用途も含め、参加企業のうち一社が、
企業化に向けて検討の意向
HFEHFE-5555-10mec10mec-fc (CF3CHFCF2OCH2CF2CHF2)
炭化水素系洗浄剤のリンス剤としての試験
・炭化水素系洗浄剤との相溶性試験 :溶解度の温度依存性
・小型洗浄装置による実証試験
:優れた性能確認。連続プロセス開発
他分野への波及および今後の展開
・半導体クリーニング用への実用化可能性
⇒ CVDプロジェクトへ展開。
・消火剤としての評価を実施。 ⇒ 可能性を見出す。
(中間評価時の指摘による)
・新しい化合物領域(特に含フッ素エーテル等)の
ケミストリーの確立。
・環境評価技術の基盤を強化・確立。今後の活用に期待。
参考1- 28
参考資料2
本資料は、第1回「エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発」
(事後評価)分
科会において、評価の事務局である新エネルギー・産業技術総合開発機構評価部か
ら、株式会社三菱総合研究所へ関連技術の周辺動向調査を依頼したものである。
エネルギー使用合理化新規冷媒等研究開発
周辺動向調査
2002 年1月 16 日
株式会社三菱総合研究所
目次
1.エネルギー使用合理化新規冷媒等開発を取り巻く状況
①国際的な取組 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-1
①国内の動向 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-6
②海外の動向 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-21
2.類似技術開発の動向
①国内 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-30
②海外 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-33
3.技術開発の周辺動向
①国内 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-37
②海外 ∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙∙ 参 2-44
1.エネルギー使用合理化新規冷媒等開発を取り巻く状況
(1)国際的な取組
国連環境計画
1972 年にスウェーデンのストックホルムで開催された国連人間環境会議を契機に、環境問題の重要
性に対する認識が広まり、国連環境計画(UNEP)は国連のもとに設立された。UNEP の重要な任務のひとつ
は、地球環境問題の現状とその動向を分析・把握することである。1977 年にオゾン問題調整委員会(CCOL)
を発足してオゾン層破壊問題に取り組み、1985 年のオゾン層保護のためのウィーン会議、および 1987
年のオゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書を採択した。また採択にあたり、ケニア・ナイロ
ビの UNEP 事務局内に「国連環境計画オゾン課」を設置、ウィーン会議第7条、およびモントリオール議
定書第 12 条に従い、以下の分野で活動を行っている。
¾
関連会議の取りまとめと会議への貢献
¾
決定事項を履行するための取りまとめ
¾
各国における履行のモニタリング
¾
関連機関に対する、会議および議定書の代表の役割
¾
オゾン層破壊物質を生産、消費する団体からの情報収集とデータ分析
¾
情報提供
ウィーン条約
1985 年3月、オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護することを決意して
「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が 172 ヶ国及び EC で締結された。条約では、人の健康及び
環境を保護するために適当な措置をとること、組織的観測や研究及び情報交換を行うこと、適当な立法
措置又は行政措置をとること、基準を定めることに協力することなどが協定された。
ウィーン条約に基づき「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が 1987 年に採択
され、1990 年、1992 年、1995 年、1997 年及び 1999 年の5度にわたって規制強化のための改正等が行
われてきた。改正の経緯などを表 1.1-1 に示す。ウィーン修正までは、消費量は規制されているが、生
産量は規制の対象とはなっていなかった。北京修正は 2000 年1月より発効となっている。1997 年改正
までの各改正による空気中の塩素濃度予測を図 1.1-1 に示す。
2001 年6月 25 日現在のウィーン条約批准国数は 178、モントリオール議定書の批准国数は 177 であ
る。
参 2-1
表 1.1-1 ウィーン条約、モントリオール議定書の改正のスケジュールと関連国、関連業界の動き
会合名
修正事項
関連国、業界の動き
1985 オゾン層保護のためのウィーン会議
オゾン層破壊物質に関する
1987
モントリオール議定書
1990 モントリオール議定書第2回締約国会議 ロンドン修正
1991
ICARMA 設立
1994
EUROVENT/CECOMAF 設立
1992 モントリオール議定書第4回締約国会議
ウィーン修正:
HCFC 廃止スケジュールの決定
・ODP 消費目標量=1989 年時点の CFC
1995 モントリオール議定書第7回締約国会議
の消費量の 2.8%+1989 年時点 HCFC
消費量(ODP 換算/トン)
・2030 年消費全廃
ウィーン条約第4回締約国会議
1996
モントリオール議定書第8回締約国会議
ICARMA
モントリオール修正
HCFC 廃止スケジュールに関
1997 モントリオール議定書第9回締約国会議
する提案
(ウィーン修正の維持)
ウィーン条約第5回締約国会議
1999
モントリオール議定書第 11 回締約国会議
北京修正:
デンマーク提案(HFC の利用
・HCFC の消費量規制に加え、生産量禁止)と ICARMA の反対声明
2000 モントリオール議定書第 12 回締約国会議規制の追加
・2004 年以降の生産量を 1989 年レ
ベルで凍結
(出所)1998 国連環境計画(UNEP)アセスメントパネル報告書
図 1.1-1 各議定書による成層圏塩素換算濃度削減予測
参 2-2
モントリオール議定書により対象物質、物質ごとのオゾン破壊係数などが示されている。モントリオ
ール議定書での規制物質とその規制スケジュールを図 1.1-2 に示す。
注)各物質のグループ毎に、生産量及び消費量(=生産量+輸入量−輸出量)が削減される。
1)消費量の基準量は、HCFC の 1989 年消費量+CFC の 1989 年消費量×2.8%。
生産量の基準量は、HCFC の 1989 年生産量と消費量の平均値+CFC の 1989 年生産量と消費量の平均値消
費量×2.8%。
2)基準量は、1995 年から 1997 年までの生産量・消費量の平均値は生産量・消費量が一人当たり 0.3 キロ
グラムとなる値のいずれか低い値。
3)基準量は、1998 年から 2000 年までの生産量・消費量の平均値又は生産量・消費量が一人当たり 0.2 キ
ログラムとなる値のいずれか低い値。
4)基準量は、1995 年から 1998 年までの生産量・消費量の平均値。
5)検疫及び出荷前処理用として使用される臭化メチルは、規制対象外となっている。
※ 生産が全廃となった物質でも途上国の基礎的な需要を満たすための生産及び試験研究・分析や定量
噴霧式吸入器などの必要不可欠な用途についての生産等は規制対象外となっている。
(出所)環境省資料
図 1.1-2 モントリオール議定書に基づく規制スケジュール(1999 年 12 月改正)
参 2-3
ICARMA(冷凍空調工業界国際評議会)
ICARMA は 1991 年に設立された主要国の冷蔵空調業界の国際評議会で、地球の大気状況と業界との関
わりにおける問題に取り組んでいる。ICARMA は加盟制の機関であり、冷蔵、空調設備の国際市場におい
て主要なシェアを占める国の貿易団体が加盟の対象となっている。現在のメンバーは米国、中国、ヨー
ロッパ、カナダ、日本の企業を代表する5団体であり、それぞれ ARI、CRAA、EUROVENT/CECOMAF、HRAI、
および JRAIA である。これら5団体の加盟企業は世界の冷蔵、空調設備の約 90%生産し、約 60 億ドル
の市場規模を有している。このことから、ICARMA は 1997 年の京都議定書の批准以降、技術革新、規制
の見なおし、自主的行動などによって、温暖化防止対策の一環として、冷却剤(特に HFC)の大気中への
放出を減らす取り組みを行ってきた。
オゾン層保護への対策が段階的に厳しくなる中、ICARMA は 1997 年に HCFC の廃止スケジュールに関
して提案を行っている。その内容は、1995 年のウィーン締約国会合において合意された HCFC 廃止スケ
ジュールの維持を支持するもので、具体的には、ODP の消費目標量を、最大で 1989 年時点の CFC 消費量
の 2.8%+1989 年時点の HCFC 消費量(ODP 換算)に抑え、最終的には、2030 年に HCFC を全廃するという
ものである。ICARMA による以上の提案の背景には表 1.1-2 に示すように4点の主張が見られる。
表 1.1-2 ICARMA の主張の概要
1
モントリオール議定書(1987)の
合意内容が機能していること
2
全ての主体による議定書の履行が
オゾン層保護の目標を達成させる
最善の方法であること
3
大部分の設備において、HCFC を
置き換えるには時間が必要であること
4
CFC を首尾良く、秩序だてて確実に
廃止するには、HCFC が必要であること
モントリオール議定書は 1987 年に採択されて以来、約 10 年間
に渡り、オゾン層を保護する目的を首尾良く果たしてきてい
る。HCFC 廃止スケジュールの前倒しは、大気中のクロリン
(chlorine)蓄積に、最小の影響しかもたらさず、HCFC に関し
ては、1995 年のウィーン会合での合意事項以上に必要とされ
る新たな課題は特に無い。
1992 年のコペンハーゲン修正、および 1995 年のウィーン会合
の合意事項を批准した国は、全体の約 35%に過ぎないが、全
ての主体がこれらを批准することが必要である。
エネルギー節約型の安定性と安全性を備えた部品の開発には
10 年単位の時間が必要とされるため、これらの技術開発、商
品の有効性が確認される前に、HCFC の廃止スケジュールの前
倒しを計画するべきではない。
HCFC 廃止スケジュールのこれ以上の前倒しは、現存の CFC 利用
設備からの移行を遅延させる可能性がある。特に、途上国で
は HCFC 技術への投資インセンティブが低くなる可能性があ
る。現在のスケジュールでは HCFC の消費をやや成長させる
が、CFC から HCFC やその他の代替フロンへの移行を早めること
が可能となる。
参 2-4
気候変動枠組条約の概要と COP
気候変動枠組条約は 1992 年5月に開催されたリオの地球サミットにおいて採択。同年6月に開催さ
れた国連環境開発会議(UNCED)期間中に 155 ヶ国が署名した。同条約においては、1)締約国の共通だ
が差異のある責任、2)開発途上締約国等の国別事情の勘案、3)速やかかつ有効な予防措置の実施等の
原則のもと、主に先進締約国に対し温室効果ガス削減のための政策の実施等の義務が課せられている。
具体的な対策としては、1995 年から始まる気候変動枠組条約締約国会議(COP)により検討されること
となる。
1997 年、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議)において、先進国及び市場経済移
行国の温室効果ガス排出の削減目的を定めた京都議定書が採択された。京都議定書の概要と数値目標を
表 1.1-3 に示す。代替フロンの内では HFC、PFC、SF6 が対象物質となっている。
表 1.1-3 京都議定書の概要と数値目標
概要
数値目標
・ 先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定。
・ 国際的に協調して、目標を達成するための仕組みを導入。(排出量取引、クリーン開発メカ
ニズム、共同実施など)
・ 途上国に対しては、数値目標などの新たな義務は導入しない。
・ 国ごとに具体的な数値目標を設定。
二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素
対象ガス
HFC、PFC、SF6
吸収源
森林等の吸収源による温室効果ガス吸収量を算入
二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素:1990 年
基準年
HFC、PFC、SF6:1995 年としてもよい
目標期間
2008 年から 2012 年
各国毎の目標:日本-6%、米国-7%、EU-8%、豪州+8%等。先進国全体で
目標
少なくとも5%削減を目指す。
(出所)外務省の資料より作成
参 2-5
(2)国内の動向
(a)フロンにかかる規制
ウィーン条約、モントリオール議定書により、国ごとにフロンに対する規制、法制化が必要とされた。
日本国内のフロンに関連する規制、法律などの経緯を図 1.2-1 に示す。
1985
1990
1995
2000
2005
オゾン層保護のためのウィーン条約(1985/3)
国際
気候変動枠組条約(1972/6)
京都議定書(1997/12)
特定物質の規制などによるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)(1988/5)
地球温暖化対策推進法(1998/10)
国内法律
特定家庭用機器再商品化法(1998/5)
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(2001/6)
特定物質の排出抑制・使用合理化指針(1989)
地球温暖化防止行動計画(1990/10)
国内規制等
特定フロン回収促進プログラム(1997/4)
地球温暖化対策に関する基本方針(1999/3)
フロン回収装置導入等促進事業(2001)
図 1.2-1 フロンに関連した法律・規制の経緯
フロンに関連した主な法律・規制の概要を表 1.2-1 に示す。この他に物質の毒性、引火性など安全性
について労働基準法や消防法などにかかわるものがある。また、クロロジフルオロメタンなどは、PRTR
の指定物質となっている他、トリクロロエタンは大気汚染防止法の優先取組物質として指定されている。
参 2-6
表 1.2-1 国内のフロンに対する主な規制、法律の概要
名称
地球温暖化
対策推進法
(1998/10/9 公布)
特定物質の規制等に
よるオゾン層の保護
に関する法律
(1988/5/20 公布)
特定物質の排出抑
制・使用合理化指針
(1998/3/26 公布)
地球温暖化
防止行動計画
(1990/10/23)
地球温暖化
対策に関する
基本方針
(1999/3)
概要
地球温暖化対策の推進に関する法律。1997 年の COP3 での京都議定書の採択を受け、
国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取組むための枠組
みを定めたもの。対象は、京都議定書の対象である6ガスすべて(二酸化炭素、メタ
ン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン及び六フッ化
硫黄)の排出及び吸収。
ウィーン条約およびモントリオール議定書の実施に伴い制定された法律。○特定物質
(CFC、ハロン等)の種類ごとに生産料・消費量の基準限度等を定めた基本事項の公
表○特定物質の製造者に対する製造の許可○特定物質の輸出に関する届け出○使用
事業者に対する特定物質の排出抑制・使用合理化の義務○特定物質の排出抑制または
使用合理化を図るための指針の策定・公表 ○特定物質に代替する物質の開発促進に
対する国の援助○オゾン層の状況等の観測・監視○オゾン層に関する調査研究の推進
「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」第 20 条第1項の規定に基
づく特定物質の排出抑制・使用合理化指針、臭化メチルを土壌くん蒸及び検疫くん蒸
等に使用する場合の排出抑制・使用合理化対策を盛り込むため 1998 年3月 26 日に改
正されている。
温暖化対策を計画的・総合的に推進していくための方針と今後取り組んでいくべき可
能な対策の全体像を明確にしたものです。この行動計画において、二酸化炭素の排出
抑制の目標を次のようにしている。○一人当たりの排出量:2000 年以降概ね 1990 年
レベルで安定化を図る。○総排出量:革新的技術開発等が早期に大幅に進展すること
により、2000 年以降概ね 1990 年レベルで安定化するように努める。このために、都
市・地域構造、交通体系から一人ひとりのライフスタイルにわたる広範な対策を掲げ
ている。また、二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出抑制、二酸化炭素吸収源である
緑の保全や様々な技術開発などの対策の推進も含まれている。
京都議定書の目標の達成、温室効果ガスの更なる長期的・継続的な排出削減を目指す
方向として、国内対策の着実な推進、インセンティブ付与型の施策の重視、すべての
主体の参画及び透明性の確保、国際協力の推進、施策の実効性の確保を指針としてい
る。国の措置として代替フロン等3ガス(HFC、PFC、SF6)の排出抑制対策について
は、産業界の計画的な取組の促進や、代替物質の開発、回収・再利用・破壊等の対策
を推進することなどが盛り込まれている。
生産が全廃となっている物質以外で国内で生産規制が行われているものを表 1.2-2 に示す。
表 1.2-2 国内の生産規制
物質の種類
HCFC
(議定書付属書CのグループⅠ)注2
臭化メチル
(議定書付属書EのグループⅠ)注3
スケジュール
1989 年の消費量の実績を基準として(注1)
1996 年1月1日以降 100%以下
2004 年1月1日以降 65%以下
2010 年1月1日以降 35%以下
2015 年1月1日以降 10%以下
2020 年1月1日
0%以下
1991 年の生産量及び消費量の実績を基準として
1995 年1月1日以降 100%以下
1999 年1月1日以降 75%以下
2001 年1月1日以降 50%以下
2003 年1月1日以降 30%以下
2005 年1月1日以降 0%以下
(注1)基準量=(HCFC の 1989 年消費量)+(CFC の 1989 年消費量)×2.8%(ただし、消費量等は ODPton)
(注2)冷凍空調設備の補充用冷媒に限り、基準量の 0.5%を限度として 2029 年まで生産が認められている。
(注3)輸出入に際して行う検疫に使用される量は規制対象外
(出所)経済産業省の資料より作成
参 2-7
1999 年 12 月のモントリオール議定書第 11 回締約国会合において、先進国は本年(2001 年)7月末
までに、回収、再利用、処理等を含む「国家 CFC 管理戦略」を策定し、UNEP(国連環境計画)のオゾン
事務局に提出することが決定された。これを受けて関係 12 省庁では「オゾン層保護対策推進会議」(事
務局:環境省、経済産業省)において検討を行い、「国家 CFC 管理戦略」を取りまとめている。主な項
目は、CFC の使用製品・機器からの漏洩・放出等による大気中への排出の抑制、CFC の使用削減の推進、
CFC の回収及び回収した CFC の適切な管理・破壊の推進などである。
(b)生産量、排出量など
①日本全体のフロン関連の動向
モントリオール議定書による特定フロン(CFC)の生産量・消費量などの推移を図 1.2-2 に、その他
の特定物質の消費量推移を図 1.2-3 に示す。議定書付属書の HCFC は 2020 年に、臭化メチルは 2004 年
に全廃することが決まっている。その他の規制物質は既に原則全廃となっている。
140,000
120,000
100,000
生産量
80,000
消費量
60,000
基準限度(生産量)
基準限度(消費量)
40,000
20,000
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)
図 1.2-2 モントリオール議定書による特定フロン(CFC)の生産量・消費量などの推移
参 2-8
16,000
14,000
ハロン(議定書付属書AグループⅡ)
12,000
その他のCFC(議定書付属書BグループⅠ)
10,000
四塩化炭素(議定書付属書BグループⅡ)
8,000
1,1,1-トリクロロエタン(議定書付属書BグループⅢ)
6,000
HCFC(議定書付属書CグループⅠ) HBFC(議定書付属書CグループⅡ)
4,000
臭化メチル(議定書付属書EグループⅠ)
2,000
0
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)
図 1.2-3 モントリオール議定書による特定物質(CFC 以外)の消費量推移(ODP 換算トン)
段階的に規制されている HCFC、温暖化ガスである HFC の出荷量の推移を図 1.2-4 に示す。図から HFC
は緩やかな増加傾向にあり、HCFC も横ばいとなっている。
60
50
荷量の推移(単位:千トン)
40
HCFC
HFC
30
20
10
0
1995
1996
1997
1998
1999
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)
図 1.2-4 HCFC、HFC の出荷量(単位:千トン)
京都議定書で対象となっている代替フロンとしては、HFC、PFC、SF6 があり、HFC は冷媒やエアゾー
ル分野等で、PFC は半導体製造工程や精密洗浄乾燥分野で、また、SF6 は電力絶縁用ガスとして使用さ
れている。1999 年の GHG の各物質の排出割合を図 1.2-5 に、HFC、PFC、SF6 について近年の排出量の推
移を図 1.2-6 に示す。図 1.2-4 で示した HFC の出荷量が伸びているのに対して排出量が減少傾向にある
のは、冷媒のように HCFC から HFC への移行を進めている分野では、使用量増加に伴い、回収の徹底、
漏洩対策を行うことで排出の増加を防ぐという傾向も見られる。平成 10 年の地球温暖化対策推進本部
による地球温暖化対策推進大網では、代替フロン等3ガス(HFC、PFC、SF6)の排出量について、プラ
参 2-9
ス2%程度の影響に止めるとしている。
HFC 19.5百万t-CO2 1.5%
PFC 11百万t-CO2 0.8%
SF6 8.4百万t-CO2 0.6%
二酸化炭素(CO2)
メタン(CH4)
一酸化二窒素(N2O)
総量13億t-CO2
ハイドロフルオロカーボン類(HFC)
パーフルオロカーボン類(PFC)
6ふっ化硫黄(SF6)
(出所)環境省資料より作成
図 1.2-5 1999 年の GHG の排出割合
25
20
ハイドロフルオロ
カーボン類(HFC)
パーフルオロカーボ
ン類(PFC)
6ふっ化硫黄(SF6)
15
10
5
0
1995 1996 1997 1998 1999 2000
(出所)経済産業省(H13.5)「我が国における HFC 等排出抑制対策の取組状況について」より作成
図 1.2-6 京都議定書で対象となっている HFC、PFC、SF6 の排出量の推移(単位:百万 t-CO2)
1996 年 11 月 15 日に開催された HFC 等対策に関する調査検討会(座長:富永健東京大学名誉教授)
の環境庁の記者発表資料において以下のように報告している。
「これらのガスについて用途分野別の取り扱い状況(生産時、充填時、使用時、廃棄時)に関して、
今後一層の対策が採られなかった場合についての排出モデルを構築し、2010 年までの排出量の予測を行
った。これらのモデルによれば、現在、生産・使用量に比べ著しく少ないこれらのガスの排出量は、図
1.2-7 に示すように適切な排出抑制策が行われなかった場合、将来急増していくことが示唆された。」
参 2-10
(出所)HFC 等対策に関する調査検討会(1996 年 11 月 15 日)の環境庁の記者発表資料
図 1.2-7 HFC、PFC、SF6 の排出予測
②分野別のフロン関連の動向
1)冷媒
日本冷凍空調工業会によると、カーエアコン、家庭用冷蔵庫は、既に CFC から HFC に移っているが、
空調機や業務用の冷凍機は、これから HCFC から HFC に移ろうとしているところである。
業界の課題は、HCFC から HFC へ切り替わるが、HFC の総量をいかに抑えることができるかである。冷
媒の 1996 年の生産量は4万トンとのことである。冷媒として使用される特定物質などの出荷量推移を
図 1.2-8 に、また 1999 年の割合を図 1.2-9 に示す。1999 年の時点では特定物質の冷媒に使用される割
合が全体の4分の1を占めている。
45,000
CFC-11
HFC-134a
40,000
HFC-134a
35,000
CFC-12
CFC-113
30,000
CFC-114
HCFC-22
25,000
HCFC-22
CFC-12
20,000
CFC-115
HCFC-22
15,000
HCFC-123
10,000
HCFC-124
5,000
HFC-134a
0
1987
1996
1999
その他のHFC
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-8 冷媒として使用される特定物質などの出荷量(単位:トン)
参 2-11
その他のHFC 1000トン 3%
HFC-134a 9,600トン 25%
総量3.78万トン
HCFC-123 300トン 1%
HCFC-22 2.6 8万トン 71%
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-9 1999 年の冷媒用に出荷された特定物質などの種類の割合
用途別の代替品候補を表 1.2-3 に示す。HFC-134a が各用途で代替品となっているが、温暖化係数は
1,300(GWP100)と温暖化ガスである。非フロン系代替品として、以前から業務用冷蔵庫にはアンモニア
が用いられている。
表 1.2-3 用途別の代替品候補
用途
従来使用フロン
遠心式冷凍機 CFC-11,HCFC-123
カーエアコン
電気冷蔵庫
ルームエアコン
業務用冷凍機
CFC-12,114
CFC-12
CFC-115/22(R502) HCFC-22
HCFC-22
CFC-11
CFC-12
CFC114
CFC-115/22(R502)
代替品
新規フロン
規制物質
HCFC-123
HCFC-22
HCFC-124
HCFC-22
HFC-134a
HFC-134a
HFC-134a
HFC 混合系
(R-407C,R410A,R-404A,R-507A)
HFC 混合系
HFC-134a
非フロン系代替品
R-717(アンモニア)
R-600a(イソブタン)
二酸化炭素
臭化リチウム(吸収式)
アンモニア
HFC 混合系
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)等より作成
参 2-12
2)発泡
発泡剤として使用される特定物質などの出荷量推移を図 1.2-10 に、また 1999 年の割合を図 1.2-11
に示す。出荷量の減少の要因としては発泡業界として水、炭化水素、これらの混合発泡などによりフロ
ンなどが使用される量が減少していることが考えられる。内訳では、1999 年の時点では依然として特定
物質の使用割合が 90%以上占めており、HFC の割合は極めて低い。
45,000
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
CFC-11
CFC-12
CFC-12
CFC-113
CFC-11
HCFC142b
HCFC142b
HCFC141b
CFC-114
HCFC-22
HCFC-141b
HCFC141b
HCFC-142b
HCFC-124
HFC-134a
1987
1996
1999
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-10 発泡剤として使用される特定物質などの出荷量(単位:トン)
HFC-134a 400トン 4%
HCFC-124 100トン 1%
HCFC-22 300トン 2%
HCFC-142b 3,700 22%
総量1.66万トン
HCFC-141b 1.19万トン 72%
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-11 1999 年の発泡用に出荷された特定物質などの種類の割合
発泡剤の代替物質としては表 1.2-4 に示すようなものが挙げられる。倉敷紡績によると、軟質ウレタ
ンフォームは、1998 年頃より水などのフロン以外の発泡剤を使用することで、代替フロンに転換するこ
となく、脱フロンを達成している。硬質ウレタンフォームに関しても水発泡が実現されている。
参 2-13
化学品審議会地球温暖化防止対策部会において、発泡業界が混合発泡という考えに基づき、代替品と
して増加するであろう HFC-245fa についても水との混合を検討し、コストなども踏まえた技術の実用化
に取り組むこととしていることなど、脱フロン化が進む可能性がある。
表 1.2-4 発泡剤の代替物質候補
用途
従来使用フロン
軟質ポリウレタン
CFC-11
硬質ポリウレタン
CFC-11,12
ポリスチレン、ポリオレフィン
CFC-12,114
代替品
規制物質
HCFC-141b
HCFC-22,142b,
HCFC-141b
HCFC-22,142b,
HCFC-124
新規フロン
HFC-245fa
HFC-134a
非フロン系代替品
水(二酸化炭素)、塩化メチレン
シクロペンタン、
真空断熱パネル、水
HFC-134a
プロパン,ブタン
(出所)「平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」(環境省平成 13 年)等より作成
断熱材を使用する分野の脱フロンの例としては、家庭用冷蔵庫に用いられる断熱材が挙げられる。表
1.2-5 に示すように、主要な家庭用冷蔵庫メーカーのほとんどがシクロペンタンを用いている。
表 1.2-5 主な家庭用冷蔵庫に使用されている断熱材
メーカー
三洋電機
シャープ
東芝
日立製作所
機種名
SR-43T
シクロ
ペンタン
SJ-WH48D
シクロ
ペンタン
GR-471K
シクロ
ペンタン
R-K46EPAM
断熱発泡剤の種類
HCFC-141b
富士通
ゼネラル
ER-V43AF
シクロ
ペンタン
松下冷機
三菱電機
NR-E46W1
シクロ
ペンタン
MR-Y40X
シクロ
ペンタン
(出所)日本電気工業会の統計データより作成
3)洗浄
日本洗浄協会によると、特定フロン、トリクロロエタンが全廃される 1995 年以前から、大企業では
代替洗浄液として、水系、準水系、炭化水素系に転換を準備し、順次転換していったが、中小企業にお
いては予算、技術などの面で一時的に塩化メチレン、トリクレンに変更する傾向が見られた。洗浄剤と
して使用される特定物質などの出荷量推移を図 1.2-12 に、また 1999 年の割合を図 1.2-13 に示す。出
荷量の大幅な減少は、水系、炭化水素系の洗浄などへの移行、洗浄プロセスの改善による洗浄剤の使用
量の減少、無洗浄とすることなどが原因として考えられる。
参 2-14
100,000
CFC-11
CFC-113
80,000
CFC-12
60,000
CFC-113
40,000
CFC-115
20,000
HCFC-141b
0
1987
1996
1999
HCFC-225
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-12 洗浄剤として使用される特定物質などの出荷量(単位:トン)
その他(CFC-113,CFC-115) 28トン 0%
HCFC-225 3,000トン 43%
総量7,028トン
HCFC-141b 4,000トン 57%
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-13 1999 年の洗浄用に出荷された特定物質などの種類の割合
洗浄の代替候補としては、フロン系では HFC 系、PFC 系などが挙げられるがいずれも温暖化係数が高
い。非フロン系では無洗浄、水系、アルコール系、グリコール系、炭化水素系、テルペン、NMP などの
さまざまな代替方法があり、製品出荷量の減少の原因と考えられる。
4)エアゾル
エアゾルとして使用される特定物質などの出荷量推移を図 1.2-14 に、
また 1999 年の割合を図 1.2-15
に示す。近年エアゾルとして使用されるフロン等は減少しており、HFC-134a の増加が見られる。このこ
とは図 1.2-16 に示すように、製品の 90%は可燃性の LPG、DME の単独または混合物を使用していること
が原因として考えられる。この他の代替方法としては、二酸化炭素、空気(ポンプ式)などがある。
参 2-15
14,000
12,000
CFC-12
CFC-11
10,000
CFC-12
8,000
6,000
CFC-113
CFC-11
4,000
HFC-134a
HFC-134a
2,000
CFC-114
HFC-134a
0
1987
1996
1999
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-14 エアゾルとして使用される特定物質などの出荷量(単位:トン)
CFC-11 34トン 1%
CFC-12 62トン 2%
総量3.195トン
HFC-134a 3,100トン 97%
(出所)平成 12 年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告(平成 13 年7月環境省)より作成
図 1.2-15 1999 年のエアゾル用に出荷された特定物質などの種類の割合
(100万本)
700
600
エアゾール生産量
500
年
別
エ
ア
ゾ 400
ー
ル
生
産
量 300
LPG
200
DME
(千トン)
30
28
26
24
22
20 年
18 別
噴
16 射
14 剤
出
12 荷
10 量
8
6
4
フルオロカーボン
2
0 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 0
(年)
100
(出所)通産省化学工業統計年報、日本エアゾール協会資料より作成
図 1.2-16 エアゾル生産量と主要噴射剤出荷量の推移
参 2-16
(c)業界の取組
1996 年の通産省の化学品審議会において各業界の了解のもとにそれぞれの用途における代替への転
換の自主目標が立てられた。国内の HCFC 使用については、モントリオール議定書を前倒しした目標ス
ケジュールが出されている。そのスケジュールを図 1.2-17 に示す。発泡に用いられる HCFC-141b につ
いては 2003 年末をもって全廃することとなっている。
HCFC-22冷媒(新規)
HCFC-22冷媒(補充用)
HCFC-141b洗浄
HCFC-141b発泡
HCFC-142b発泡
HCFC-225洗浄
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
(出所)化学経済(1998 年3月)より作成
図 1.2-17 国内の HCFC の削減目標
これに基づき各業界では 1998 年6月に代替フロンについて 19 業種が抑制目標、温暖化対策で公約を
発表。自主計画を個々に推進している。自主計画の策定については順次政府からの協力要請に基づくも
のとなっており、GHG である HFC 等に対しての取組については、化学品審議会地球温暖化防止対策部会
報告(中間取りまとめ)による政府のガイドラインにより産業毎に具体的な事項に関して具体的取組の
取りまとめ、計画の推進が求められた。産業毎の排出抑制対策事項を表 1.2-6 に示す。また、回収につ
いても 1997 年4月、旧通商産業省において「特定フロン回収促進プログラム」が策定され、同年9月
関係事業者団体から特定フロン回収に関する計画が行われている。
表 1.2-6 政府のガイドライン各産業への取組要請項目
分野
HFC 等製造
(HFC、PFC、SF6 製造業)
項目
○ 製造プラントのクローズド化等漏洩の削減及び回収・再利用
○ HCFC-22 製造時における HFC-23 の副生率の低減
○ 副生 HFC-23 の回収、利用促進、破壊
○ 出荷時におけるガスのボンベ充填時の漏洩防止
○ 返却ボンベに残存しているガスの適正処理
○ 使用業界と共同した回収ガスの再利用・破壊システムの確立
○ HFC、PFC の代替物質の開発
参 2-17
発泡、断熱材
(発泡剤・断熱材製造業・
断熱工事業)
エアゾール
(工業用・医薬品用エアゾール
製品等製造業)
カーエアコン
(自動車・自動車部品製造業、
自動車販売業、中古車販売業、
自動車輸入業、自動車整備・
修理等業)
家庭用エアコン
(家庭用エアコン製造業、
販売業)
業務用冷凍空調機器
(業務用冷凍空調機器製造業、
冷凍空調設備設置工事施工業、
船舶鉄道車両製造業等冷凍空調
機器使用製品製造業、冷凍・冷
蔵倉庫業、ビル運営・食品製造
業・流通業等冷凍空調機器
使用業)
家庭用冷蔵庫
(家庭用冷蔵庫製造業)
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
電子部品等洗浄
(電子部品等製造業)
半導体製造
(半導体製造業)
電気絶縁ガス使用機器
(電力業、絶縁スイッチ製造
業、絶縁ガス使用一般機器
使用業)
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
製品への充填時の漏洩削減
省発泡剤断熱材の技術開発
製造技術の改良による製品化率の向上
低 GWP、非フロン系等使用断熱材(水発泡、炭化水素発泡、液化 CO2 発
泡等)への転換等代替技術の開発
製品充填時の漏洩防止(製造製品切替時の配管内ガスの回収、ガス小分
け充填時の漏洩量の抑制、製造時の不良品発生の抑制)
一部用途における非フロンガス混合
低 GWP、非フロン系等使用製品への転換等代替技術の開発
カーエアコンへの充填時の漏洩防止
カーエアコンの使用時の漏洩防止
使用時漏洩のより少ないカーエアコンの開発
廃棄カーエアコンからの冷媒の回収・再利用・破壊システムの確立
省冷媒カーエアコンの開発
低 GWP、非フロン系(CO2 等)冷媒カーエアコンの開発
製品への充填時の漏洩防止
設置、使用、修理、サービス時漏洩防止
廃棄製品からの冷媒回収・再利用・破壊システムの確立
低冷媒充填量製品の開発
低 GWP、非フロン系冷媒製品の開発
機器への充填時の漏洩防止・過充填防止
設置、使用、修理、サービス時漏洩防止
廃棄機器からの冷媒回収・再利用・破壊システムの確立
低冷媒充填量機器の開発
非フロン系(吸収式、アンモニア等)冷媒機器の開発・適用範囲拡大
低 GWP 冷媒機器の開発
製品の製造時の漏洩防止
使用・修理時等の漏洩防止
廃棄製品からの冷媒回収・再利用・破壊システムの確立
廃棄製品に含まれる断熱材に残存しているガスの回収・破壊システムの
確立、回収技術の開発
冷蔵庫用低 GWP、非フロン系断熱発泡剤の使用の拡大
冷媒不使用製品及び低 GWP、非フロン系(炭化水素系等)冷媒使用製品
の開発・転換
使用中の漏洩防止(閉鎖系洗浄システムの開発・普及等)
PFC 等を使用しない洗浄システムの開発・普及
PFC 代替物質利用への転換
生産工程におけるガス使用効率化等
PFC 代替ガス・システムの研究開発
排ガスの回収・再利用・破壊システムの開発・普及
機器製造時の漏洩防止
機器点検時の漏洩防止
廃棄機器からの回収、再利用システムの確立
省 SF6 絶縁機器の開発
(出所)通産省基礎産業局オゾン層保護対策室「化学品審議会地球温暖化防止対策部会報告」より作成
参 2-18
各業界の自主行動として、経団連の「経団連環境自主行動計画」より二酸化炭素以外の温暖化対策関
連の各分野の取組の概要を表 1.2-7 に示す。
表 1.2-7 各業界の自主計画概要(CO2 以外の温暖化対策の抜粋)
分野
電力
化学
電子
自動車
電機
製薬
不動産
運輸
団体
電気事業
連合会
目標
対策
○ CO2 以外の温室効果ガスの排出を極力 ○ CO2 以外の温室効果ガス抑制への取
抑制するよう努める。
り組み。
○ CO2 以外の温室効果ガスの排出を極力 ○ CO2 以外の温室効果ガス抑制への取
抑制するよう努める。
り組み(製造プラントのクローズド
日本化学
化などによる漏洩防止、回収、再利
工業協会
用の推進。ユーザー業界における使
用量低減、排出削減、脱フロン化の
推進)。
○ 電子部品の洗浄、半導体等の製造等に ○ 電子部品洗浄に係る取組み(より効
係る PFC、SF6 の排出量の抑制に努め
果的な代替品・製造技術の採用装置
日本
る。(技術的・経済的に適切な代替品
の密閉化、回収の徹底等)
電子機械
の採用、国際協調が可能となっている ○ 半導体等の製造等に係る取組み(使
工業会 他
ことが前提)
用効率化、除外装置、代替ガス・プ
ロセスの開発導入等)
○ 2000 年以降の新型車に冷媒(HFC134a) ○ HFC134a の使用合理化。
使用量を 1995 年度比で概ね 10%低減し ○ CFC12 の回収・破壊。
日本自動車
たカーエアコンを順次採用する。
工業会
○ 関係業界と協力し、使用済車からカー
エアコン旧冷媒(CFC12)を回収し破壊
するシステムの運用を行う。
○ 家庭用冷蔵庫の冷媒として使用してい ○ 管理の徹底、回収・再利用・破壊シ
る HFC の製造時の漏洩量を 2000 年に使
ステム等の確立。
用量の 0.5%以下、家電リサイクル法施
行(2001 年)後、メーカーに引き渡され
日本電機
た使用済み製品の 100%の台数処理体
工業会
制構築。
○ 電力機器の電気絶縁用として使用して
いる SF6 の排出量を 2010 年に正味購入
量の3%以下。
日本製薬団 ○ 2010 年における医療用エアゾールに使 ○ HFC 排出抑制対策(製造設備からの
体連合会、日
われている HFC の使用量を、対策を講
漏出量の削減、代替製剤等への転換
本製薬工業
じない場合に比べ 25%削減。
および用途の制限)
協会
○ HFC の削減にも配慮する。
○ HFC 削減等を考慮した建設資材、空
不動産協会
調システムの選定。
全日本
○ 車両の燃料使用原単位で 2010 年に 1996 ○ フロン回収の促進。
トラック
年比4%削減を目など
協会
(出所)経団連の環境自主行動計画(1998 年版)より作成
経済産業省では毎年9月を「オゾン層保護対策月間」として毎年オゾン層保護対策推進についての協
力要請を行い、取組の現状についての報告を受けている。2001 年9月に行われた「オゾン層保護対策推
進に関する協力要請会議」では、HCFC、臭化メチルの生産・消費の削減、フロンの回収・破壊の促進、
参 2-19
発展途上国の CFC 等削減の支援、地球温暖化問題への対応などが要請項目として挙げられている。産業
界からの主な発言のうち HCFC、地球温暖化に関連したものの概要を表 1.2-8 に示す。
表 1.2-8 オゾン層対策推進に関する協力要請に対する産業界からの主な発言の概要
分野
団体名
日本フルオロカーボン協会
ウレタンフォーム工業会
メチルブロマイド工業会
HCFC 等の
早期かつ円滑な
削減について
日本自動車工業会
日本冷凍空調工業会
日本電機工業会
オゾン層保護対策
産業協議会
ウレタンフォーム工業会
温暖化対策への
取組
日本冷凍空調工業会
オゾン層保護対策推進
産業協議会
発言の概要
HCFC 代替品の上市を実現し、その供給体制を確保するに至っ
ているが、今後一層の早期普及に努めていく所存。
HFC を中心とした発泡法に転換すべく実用化の技術的研究を進
めているところ。
臭化メチルについては、今年度は「基準年の生産量の 50%削
減」を実施。一部用途に関しては、必要不可欠用途として規制
対象からの除外について関係機関の理解と協力を要望。
カーエアコン用冷媒製品については、フロン類の使用量を削
減した省冷媒エアコンの率先導入や非フロン系エアコンの研
究開発等にも全力で取り組んでいるところ。
新規冷媒使用機器の PR に今後とも務めていく。国民に対する
より適切な情報提供等当局の協力を要望。
冷蔵庫の断熱材に使用している HCFC141b の早期・円滑な削減
に向けた取組として、シクロロペンタン等への切り替えを
2003 年末まで行う予定しており、2000 年末時点で冷蔵庫の全
生産台数の約 61%を占め、今後さらに増加・拡大の予定。
関係業界それぞれが代替技術開発に努め、順調に転換が進ん
でいると認識。一方で、オゾン層を破壊せず、温暖化係数が
小さく、燃焼性の小さい新規物質に対する期待は強い。
当面の対策としては、水発泡等非フロン系の発泡法の技術開
発を進めて、HFC の使用量を減らすこと。発泡剤による温暖化
をミニマイズするとともに、高性能断熱材として省エネに貢
献する硬質ウレタンフォームを育てていきたい。
総合的な判断の中で、バランス良く対策を進めることが必
要。研究投資への補助等の優遇措置及び新規冷媒使用機器や
省エネ機器の積極的な購買促進などについて支援いただきた
い。
今後 HFC は、HCFC からの代替物質として使用量の増加は避け
られない状況であり、HFC の排出抑制を促進するに当たっては
十分な配慮が必要。
(出所)経済産業省「オゾン層保護対策推進に関する協力要請会議の結果概要」(平成 13 年9月)より作成
この他に、HFC 等については、産業構造審議会化学・バイオ部会第3回地球温暖化防止対策小委員会
(2001 年5月 31 日開催)において、「化学品審議会地球温暖化防止対策部会中間報告」についての3
回目のフォローアップが行われている。業界別の取組状況を表 1.2-9 に示す。
参 2-20
表 1.2-9 我が国における HFC 等排出抑制対策の取組状況について
分野
取組状況
ガスの製造時の排出原単位は総じて着実に低下しているが、PFC 等一部のガス
については、製造量が増加したことから排出量が増加しており、今後も注意が
必要。HFC23 は実排出量が分野中最大であり、プラントにおける回収・破壊技
ガス製造
術開発が不可欠。また、不可欠用途以外の用途、特に開放系用途向け使用につ
いてユーザー業界と協力して、使用抑制のために可能な具体的措置を早急に検
討すべき。
HCFC からの転換の機をとらえ、本年より可能となると考えられる HFC245fa、
365mfc との比較を行いながら、断熱性能を考慮しつつ、可能な分野に関して、
断熱発泡剤
積極的に非フロン系物質への転換を促進することが必要であり、発泡用途別の
使用物質の体系図(用途別マップ)を早期に策定する事が必要。
ダストブロアー向けの HFC の排出量は高いレベル。HFC の使用が不可欠な用途
エアゾール
を速やかに明確にし、それ以外の用途の使用抑制の徹底を早期に推進していく
(ダストブロアー)
ことが必要。また、ユーザー業界による使用抑制のための取組の拡大が重要。
家庭用エアコン、家庭用冷蔵庫のフロン回収を義務づけた「家電リサイクル
法」が本年4月に本格施行されたところであり、今後法の執行状況を見極める
冷媒使用機器
必要がある。カーエアコン、業務用冷凍空調機器についても、議員立法による
(カーエアコン、業務用冷凍空
冷媒フロン類の回収等の法制化やフロン回収をリサイクルと一体的に実施すべ
調機器、家庭用エアコン、家庭
く自動車リサイクルの法制化の検討が進んでいるが、回収システムの体制整備
用冷蔵庫)
等に向け取組を進めていくことが必要。非フロン冷媒の研究開発、使用拡大等
の取組を拡充することも必要。
洗浄用途について洗浄剤メーカーは、ユーザー事業者と協力し、使用分野を更
に明らかにし、使用の低減を図るための計画的な取組を進める必要がある。洗
電子部品洗浄等
浄以外の分野についても、使用実態の把握及び使用の低減を図っていくことが
必要。
半導体については、総排出量ベースの数値目標が設定されているが、排出量が
増加傾向を示していることには注意。技術開発を着実かつ早期に実現するとと
半導体製造等
もに、目標達成に至る道筋を具体的に示していくことが必要。液晶について
は、目標値が引き上げられたことを評価。今後国際的に協調しつつ、総排出量
による目標の設定が可能となるよう調整が進められるべき。
SF6 の排出は引き続き大幅に減少しており、これを評価。電力業界以外の使用
電気絶縁機器
について、実態を明確化するとともに、整備点検等のチャンネルを生かした取
組の検討が必要。
(出所)経済産業省「我が国における HFC 等排出抑制対策の取組状況について」より作成
(3)海外の動向
(a)海外の政策動向
1980 年代までは、オゾン層破壊物質に対する米国の対応は厳しく、EU では比較的穏やかであった。
米国では、CFC を用いた噴射剤および CFC を噴射剤とするエアロゾル製品の製造禁止を 1978 年3月に行
い、続いて 1978 年6月にスウェーデン、1980 年にカナダ、1981 年にはノルウェーが行うなど、厳しい
対応が図られた。一方で、EU における対応は穏やかであり、EU 閣僚理事会が 1980 年に初めて CFC11、
12 の生産能力を増強しないこと、エアロゾル製品に使用する CFC11、12 を 1981 年末までに 1976 年の少
なくとも 30%を減らすように勧告をした。
しかし 1990 年代に入り、EU における対策も、モントリオール議定書による世界標準よりもむしろ厳
参 2-21
しくなってきている。また、米国においても引き続き厳しい対策が行われている。米国および EU の政
策の近年の動向を表 1.3-1 に示し、以下に近年の政策動向を具体的に説明する。
表 1.3-1 米国、及び EU における近年の政策動向
米国
EU
1992 Clean Air Act(90)の改正 VI の追加
1993 CCAP 開始
1994
EC No3093/94 HCFC の利用禁止について
1995 クラス I 物質の廃止
2000
EC No2037/2000 No2038/2000 No2039/2000 ODP 規制
2003 HCFC-141b の生産、輸入廃止
2010 HCFC-142b 及び HCFC-22 の新規生産、輸入廃止
2015 全ての HCFC の新規生産、輸入廃止
2020 HCFC-142b 及び HCFC-22 の生産、輸入の廃止
2030 全ての HCFC の生産、輸入の廃止
米国の政策動向
米国は、エネルギー政策の一環としてパッケージプラン Climate Change Action Plan(CCAP)を構成
し、国内の市場力に併せて、京都議定書に従い、エネルギー分野で約 40 のプログラムを行っている。
これらのプログラムの主な目的は、規制値の設定、自主規制の促進、エネルギー供給関連の R&D 管理、
その他の再生エネルギー政策である。CCAP は 1993 年に開始されたが、政府による予算の 40%削減に伴
い、計画の効果は下がっているとされる。オゾン層保護は、CCAP の枠組の中で、温暖化効果ガスの削減
の一環として行われている。以下に、その具体的な政策を示す。
‹
オゾン層保護対策全般-Clean Air Act VI- Protection of the Ozone Layer
オゾン層保護対策はモントリオール議定書に従って行われており、議会は Clean Air Act(1990)を
1992 年に改正し、新たに Title VI-オゾン層保護を追加した。VI は、オゾン層を破壊する物質の最終的
な廃止を規定し、オゾン層破壊物質利用からの円滑な移行を計画している。
この法令に基づき、EPA が具体的な規制を設け、履行している。その主な内容は、以下の通りである。
§604 オゾン層破壊物質クラス I の生産・消費の廃止
§606 クラス I 廃止スケジュールの前倒しと新たな規制対象物質の追加
§610 必須で無い(nonessential)CFC・HCFC の生産の禁止
§612 重要な代替物質プログラム
§604 では、クラス I 物質(CFC、カーボンテトラクロロイド、メチルクロロフォルム、ハロン)の廃
参 2-22
止を 2000 年1月としたが、§606 にて廃止期限を 1995 年 12 月 31 日に前倒しした。更に、メチルブロ
マイドおよび HBFC をクラス I 物質に加え、同じく廃止期限を 1995 年末とした。
また§610 において、CFC 及び HCFC を含む必須で無い製品の販売、州際通商を禁止した。必須で無い
製品とは、全てのエアロゾル製品、圧力式ディスペンサー、発泡製品であり、例外は Food and Drug
Administration 21CER2.125(e)で認められた医療用品のみである。
‹
HCFC への対策
米国における HCFC の対策は、基本的にはモントリオール議定書に従っているが、一部の物質につい
ては Clean Air Act VI の規制に基づき、廃止のスケジュールを前倒ししている。前倒しの対象は HCFC
の中で最も有害な HCFC-141b、HCFC-142b および HCFC-22 である。具体的なスケジュールを以下に示す。
2003 年
HCFC-141b の生産、輸入廃止
2010 年
2010 年1月1日以前の製造品を除く、HCFC-142b および HCFC-22 の生産、輸入廃止(新
たな生産、輸入の禁止)
‹
2015 年
2020 年1月1日以前の製造品を除く、全ての HCFC の生産、輸入廃止
2020 年
HCFC-142b および HCFC-22 の生産、輸入の完全廃止
2030 年
全ての HCFC の生産、輸入の完全廃止
代替物質への対策-§612 Significant New Alternative Programme Rule(SNAP)
Clean Air Act VI§612 は、EPA にクラス I 物質、およびクラス II 物質(HCFC)の代替物質を認定し、
認定済みリストを発行することを義務付けている。EPA はこれに従い、重要な代替物質について SNAP
Rule を実施している。これは新たな化学品の使用の可否を評価、公表する制度で、EPA は代替化学品に
ついて、人体の健康と環境への影響を、物質の化学的特性、オゾン層破壊度、地球温暖化、毒性、燃焼
性、大気放出量、経済性、他の代替品の有無、等の項目に関してチェックを行い、総合的に評価してい
る。その上で、冷媒、発砲剤、洗浄用材などの推奨リストと評価結果が公表されている。
現在、認定を受けている冷媒は、Du Pont 社の”Freon”、アライドシグナル社の”Genetron”および ICI
社の”Arcton”である。
EPA は 開 発 さ れ る 新 規 物 質 に つ い て 、 常 に 最 新 の 情 報 を 提 供 し て お り 、 詳 し く は
http://www.epa.gov/ozone/title6/snap/lists/index.htmlより参照する事ができる。(参考資料1∼3参照)
参 2-23
EU の政策動向
‹
オゾン層保護対策全般-Council Regulation No.2037/2000, No.2038/2000, No.2039/2000
EU では、
2000 年にオゾン層保護に関して、
オゾン層破壊物質(ODS)に関する規制が Council Regulation
No.2037/2000 で定められた。法令で定められた物質はモントリオール議定書の定義に従い規定されてい
る。法令の主な内容は、生産コントロール、輸出入、供給、利用漏れ、およびコントロール物質の再生
である。2000 年9月に2ヶ所の修正が行われ、No.2038/2000(医療利用関連)と No.2039/2000(HCFC の割
り当ての基礎年関連)が追加された。
具体的には、オゾン層対策の全体目標としてモントリオール議定書と No.2037/2000 の実行の組み合
わせに基づき、最終的に ODS 排出を EU および世界から廃止すること、短期的にはオゾン層の予測され
ている破壊のピークを制限することを目指す。特に EU 内部政策では、既に廃止されているべき CFC と
その他の有害物質の排出を、次の方法で可能な限り速やかに停止させることを確認している。
¾
医療、軍隊などの必須利用(essential uses)と時限例外を除き、市場に新たな利用禁止令を発効
する。
¾
不法輸出入防止のため、ODS のライセンスシステムを強化する。
¾
輸出入に関して環境、税関連省庁の協力を改善し、現在の法的枠組の履行を促進する。
¾
CFC の必須利用を最小限にとどめる。
¾
コントロール物質の再生と破壊に関して、漏洩を最小化するとともに、より集中的に管理す
る。
‹
HCFC に関する政策
EU における HCFC 対策の基本的な姿勢は厳しく、以下のとおりに要約される。
¾
HCFC がオゾン層を破壊し、また、技術的、経済的に HCFC に代替する物質が存在することから、
HCFC はもはやオゾン層破壊の解決策としてみなす事はできない。
¾
HCFC の利用されている設備は継続的に検査をうけ、代替物質が認められ次第、使用が廃止され
る。
¾
HCFC 生産についてもその他の ODS と同様にモントリオール議定書に従いコントロールすべきであ
る。
¾
EU は HCFC に対する達成可能な行動の更なる実現を目指し、HCFC の廃止へ向けて世界をリードす
るために独自の行動を練ることを考慮する。
具体的な内容を、HCFC 利用の禁止、HCFC 消費量の削減、HCFC 生産量の規定に関して、以下に示す。
…
HCFC の利用禁止-European Regulation on ozone depleting substances 3093/94
参 2-24
モントリオール議定書の HCFC 利用の禁止リスト-Article 2F(7)に従い、1994 年に European
Regulation on ozone depleting substances 3093/94 が設けられた。規制の目的は 2F(7)リストを技術
革新に従い、改編していくことであり、代替物質の技術、経済的評価を行う。最近、技術、経済的に代
替可能な物質が、一部の設備に関して有効となり、ほぼ全ての設備についても将来の近い時点で有効と
なることから、EU は現在利用されている HCFC の利用禁止を新たに提案することになっている。
…
HCFC 消費量の削減
EU 規定は、HCFC の消費量をモントリオール議定書の規定値よりも低く設定している。モントリオー
ル議定書で合意された、「1989 年時点の CFC 利用の 2.8%+1989 年の HCFC 利用(ODP 換算)を最大消費量
とする」規制を、EU では 2.6%としており、さらに 2.0%にまで引き下げることが検討されている。また
2004 年以降には消費削減が決定されており、初年度は 35%の削減となる。これらに関して次の2点が
指摘されている。
¾
EU の取り組みは技術的、経済的に可能であること
¾
代替物質の開発を促進し、HCFC の不必要な利用を最小限にすること
これにより、議定書で設定された 2030 年までの消費全廃に関しても、よりも早期に可能になるとし
ている。
…
HCFC 生産量
モントリオール議定書では、HCFC を除く ODS の生産規制が設けられているが、EU は HCFC の生産につ
いても同様に議定書に従いコントロールすべきであると繰り返し主張した。これは、HCFC に対する生産
規制が無い場合、HCFC を産出する会社が、より環境への影響の少ない物質への代替が可能であるにも関
わらず、HCFC へ過度に依存する危険があるためである。特に、途上国の CFC 廃止年と先進国の HCFC の
廃止年が一致する事から、生産者が HCFC 余剰生産分を途上国へ廉売し、途上国が HCFC に依存する危険
性を指摘している。そこで、EU は継続的にモントリオール議定書による生産規制の提案をしている。EU
の提案は次の効果を持つ。
¾
EU 生産者に対して、途上国への HCFC および HCFC 利用設備の輸出拡大、また“ダンピング”が
出来ないことを明確に示す。
¾
生産規制に関して、EU の国際的なリーダー的役割を示す。
¾
ヨーロッパ内の会社に HCFC の代替物質利用の促進を促す。
参 2-25
(b)海外の業界の取組、市場の動向
海外における、冷蔵空調業界のオゾン層保護に対する取り組み、および自然冷媒「グリーンフリーズ」
の市場環境を説明する。
冷蔵空調業界の取組
‹
ARI の役割とオゾン層保護への取組
現在 ICARMA の加盟団体である米国 ARI は、1903 年に設立され、国内における 90%のセントラルヒー
ティングおよび商業用冷蔵設備の製造業者を代表している。ARI の主要な役割は、業界の製品に対して
技術標準を設定することであり、製品のパフォーマンス測定、認定のための等級基準を設けている。現
在、60 の基準が発効されており、1999 Standard for Fluorocarbon Refrigerant(Standard 700)にてフ
ッ化炭素に関する規制が設けられている。
環境問題への対策としては、ARI の非営利研究所である Air-Conditioning and Refrigeration
Technology Institute(ARTI)において、
CFC および HCFC の代替物質の研究を目的とするプロジェクトが、
1991 年から 10 年間行われた。
‹
EUROVENT/CECOMAF の役割とオゾン層保護への取組
同じく ICARMA の加盟団体である EUROVENT/CECOMAF は、ヨーロッパの冷蔵空調業界であり、1994 年
に前身機関を統合し、ヨーロッパ各国の空調、冷蔵設備業界の貿易団体を代表して技術規制と標準化の
分野で活動をしている。現在 11 ヶ国、15 団体が加盟しており、1,000 社以上の代表組織となっている。
主な目的は以下の通り。
¾
EU、その他の機関による関連法令の情報提供
¾
世界規模の統計情報システムの開発
¾
製品認定プログラムの開発
¾
世界標準への調整、参加
¾
冷媒、エネルギー、室内大気の質に関する問題の情報交換
¾
技術的な設備マニュアル、ガイドの発行
¾
協調的、準競争的な研究の開発
¾
自主規制の設定
環境問題への対策としては、ICARMA が作成する行動計画に従い、商業用冷蔵、冷却輸送、食品加工・
保存の過程などから発生する冷却剤の排出漏れの削減を目指している。
参 2-26
EUROVENT/CECOMAF の最近の活動として注目すべき点は、2000 年にデンマークより提案された温暖化
効果ガスの規制に関する提案 Proposal for Regulating the Potent Industrial Greenhouse Gases (HFCs,
PFCs, and SF6)への反対声明の発表である。EUROVENT/CECOMAF は、欧-米の貿易振興産業フォーラム
Transatlantic Business Dialogue (TABD)に ARI と共同で参加し、代替フロンの規制に関して、冷却剤
セクターグループを形成しており、このほどデンマークが HFC、PFC、および SF6 に関して独自の強化規
制を提案し、その中で HFC 利用の禁止をしていることに対して、デンマーク提案が以下の点について、
相容れないことを指摘した。
¾
EU の冷却剤規制は EU レベルで考慮されるべきであり、デンマーク独自のイニシアティブによ
って規定されるべきでない。EU は共通政策の決定過程に加盟国の参加を促すべきである。
¾
冷却剤に焦点をあてた規制は、社会に対して、バランスのとれた方法でなければならない。
温暖化効果のみに基づく判断ではなく、職業安定の視点も必要である。
¾
特定の冷却剤に関わらず、すべての冷却剤を適切に管理、再生する必要がある。
¾
冷却剤に関する EU 加盟国の特定 1 ヶ国における独自の規制は、加盟国全体に対する報告を通
したモニタリングが確認されなければならない。
TABD 冷却セクターは、社会に対して最小限のインパクトをもたらしながらも、環境保護対策として
は高い効果をもたらす方法として、HFC 廃止以外の方法を以下のようにあげている。
¾
費用対効果の高い技術を利用し、製品製造過程、製品使用中の HFC の排出を最小限にとどめる。
¾
設備に必要な HFC の量を、最大有効活用する。
¾
労働者およびコミュニティの安全を確保する方法で、HFC の生産、運搬、使用を行う。
¾
HFC ゼロエミッションを可能とする HFC 生産プラントを設計する。
¾
重要な社会的価値が HFC の環境への影響を正当化できるか、
好ましい LCCP(Life Cycle Climate
Performance)を有する HFC 関連プロダクトを提供する。
¾
HFC の直接排出を最小化できる HFC 利用システムを開発、運営、維持する。
¾
技術的、経済的に可能な範囲で、HFC 利用後に回収、リサイクル、還元、破壊する。
¾
規制とおよび責務実行とコンプライアンスを保障するために、HFC 利用の総合的技術者訓練を
促進する。
¾
HFC 利用、維持、運搬、保管を規制しうるすべての基準を満たす、あるいは超える。
¾
HFC を利用しつつ、エネルギー高効率化を可能にするプロダクト、設備の設計、利用、運営、
維持を図る。
¾
HFC 排出の正確な計算法を保障するため、政府と協力する。
¾
原則を世界に適用する。
¾
欧州気候変動プログラムの枠組みの中で、EU レベルの適切な政策立案に貢献する。
参 2-27
自然冷媒「グリーンフリーズ」の市場環境
‹
グリーンフリーズの家庭用冷蔵庫への採用
「グリーンフリーズ」とは、グリーンピースが 1992 年にドイツの研究所と企業に委託して開発した技
術であり、現在、家庭用冷蔵庫で使用され、世界中で販売されている。グリーンフリーズは、環境面で
最も持続可能な技術と言われ、費用対効果が高く、技術的に成熟し、市場でも認められている。具体的
には、断熱用発泡としてシクロペンタン、冷媒としてイソブタンが使用されており、現在までに 3,500
万台が製造され、これまでに可燃性冷媒が原因の爆発や火災事故は報告されていない(グリーンピース
発表)。
モントリオール議定書の多国間基金執行委員会においても、炭化水素利用は、ポリウレタン発泡用と
冷媒用で承認されており、同基金で承認された冷蔵関連プロジェクトの約 67%は発泡用に炭化水素を使
用している。また、多国間基金は、炭化水素を採用する際に、必要となる安全性関連のコストを補うた
めの増加分の 35%を供給している。
…
ヨーロッパの動向
グリーンフリーズは、北西ヨーロッパで最も広く採用され、家庭用冷蔵庫市場の4割以上で使用され
ている。自動霜取り式冷蔵庫に関しても、160 以上のモデルが市場に出回っている。
ドイツ政府関係機関 GTZ によると、1997 年現在、ドイツ家庭用冷蔵庫市場の 100%がグリーンフリー
ズ、その他の各国ではスウェーデン、デンマーク、ノルウェイで 30%、英国で5∼10%、スペインで
25%、その他 EU 各国で 10%以下となっている。
ヨーロッパでグリーンフリーズを市場化しているメーカーは、ボッシュシーメンス(独)、エレクトロ
ラックス(スウェーデン)、リープヘル(独)、ミーレ(独)、クエレ(独)、ヴェストフロスト(デンマーク)、
ワールプール(伊)、バウクネヒト(独)、フォロン(独)、AEG(独)、キャンディグループ(伊)などである。
…
北アメリカの動向
北米では化学産業界の反対が強く、欧米に比べ、炭化水素冷媒技術の導入は進んでいない。しかし、
米国の安全規格を規定する UL(保険協会研究所)では、断熱材発泡剤用、冷媒用に炭化水素の利用を認め
参 2-28
ており、一度に漏洩する炭化水素冷媒の量を 40g 未満と定めた。
一方、Environmental Protection Agency(環境保護庁‐EPA)は、オゾン層破壊係数の最も高いクラス
I 物質、およびクラス II 物質(HCFC)に替わる物質の届け出を義務付けており、それに基づき冷媒、発砲
剤、洗浄用剤などの推奨リストと評価結果を公表している。
‹
グリーンフリーズの業務用冷蔵庫およびエアコンへの採用
ヨーロッパにおけるスーパーマーケットやオフィスビルでは、HFC 類及び HCFC 類を使わないグリー
ンフリーズ技術を採用し、2次冷却システムでは、冷媒として水、ブライン、グリコール、シリコン・
オイル、フロー・アイス等の新しい製品を使用している。冷媒の冷却は1次冷却システムに接続された
熱交換器で行い、通常、ビルの裏手にある独立したプラント室など、安全な場所に置かれている。
またヨーロッパでは、二酸化炭素を冷媒とした、バスや乗用者用のエアコンの試作品試験に成功して
おり、炭化水素を冷媒としたカーエアコン用コンプレッサーの試作品も複数の国で試験が行われ、成功
している。
参 2-29
2.類似技術開発の動向
(1)国内の動向
各政府省のプロジェクトを表 2.1-1 に示す。また、経済産業省では冷蔵庫やエアコンなどの冷媒に使
われているフロンを使用しないで“脱フロン”に取り組む必要が出てきたとして、2002 年度からフロン
の代替となる冷媒の開発に補助金を支給する方針で、補助金制度の創設は 2002 年度予算の概算要求に
盛り込むとされている。これはエーテル系フッ素化合物やアンモニアなどが代替品の候補として挙がっ
ているが、冷媒の効果や安全性、採算性などに難点があるとされており、経済産業省が難点を克服する
技術開発を促すものである。
表 2.1-1 フロン類に関連する研究・開発
分野
冷媒開発
代替物質開発
代替プロセス
開発
非フロン系物
質の利用技術
フロン等破壊
技術
その他のオゾ
ン層保護対策
技術開発テーマ
府省
圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発
NEDO
洗浄剤、溶剤、ドライ
新規フッ素系化合物
エッチング
(化学名:ヘプタフルオロシクロペンタン)
ガス等の開発
代替ガス利用
電子デバイス製造プロセスで使用する
電子デバイス製造
エッチングガスの代替ガスシステム及び代替
エッチングプロセス
プロセスの研究開発
代替ガス利用電子デ
SF6 代替ガス利用
バイス製造クリーニ
電子デバイスクリーニングプロセス
ングプロセス
研究開発
炭化水素、CO2 を利用
した建材用断熱材の
高性能断熱建材技術開発対策事業
開発
混焼分解、プラズマ分
エネルギー使用合理化
解、液中燃焼処理、触
HFC 等破壊処理技術調査
媒分解
混焼分解、
フロン破壊モデル事業評価調査
プラズマ分解
プラズマ分解、
ハロン破壊実証試験
触媒分解
エネルギー使用合理化
混焼分解
CFC 等破壊処理技術調査
備考
H2から
5年間
約 56 億円
工業技術院
物質工学
工業技術
研究所
日本ゼオ
ンとの共
同開発
経済産業省
継続中
経済産業省
継続中
経済産業省
継続中
経済産業省
H12 終了
環境省
継続中
経済産業省
H11 終了
経済産業省
H10 終了
プラズマ分解
温度 10000℃を超える高周波プラズマを利用
して特定フロンを分解する技術
NEDO
平成7年
度までに
開発
分解技術
HFC23 の分解技術の開発
産業環境
管理協会
-
オゾン層の観測・
モデリング技術等
衛星データ等を活用したオゾン層破壊物質の
解明及びモデル化に関する研究
環境省
-
調査
成層圏力学過程とオゾンの変動及び
その気候への影響
文部科学省
科研費、
特定領域
研究
(出所)経済産業省「環境分野における分野別評価報告書」(平成 13 年6月)等より作成
参 2-30
今回のプロジェクトと類似のプロジェクトとして、1990 年から5年間行われている「圧縮式ヒート
ポンプ用新規冷媒研究開発」が挙げられる。概要を表 2.1-2 に示す。同プロジェクトではオゾン層の破
壊せず、温暖化効果が小さいという目標を達成できるものとして冷媒の代替候補3物質を特定したとし
ている。
表 2.1-2 圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発の概要
研究目的
研究期間
研究開発費
研究協力企業
主な成果
代替候補物質
課題
30∼60℃という最も普遍的な廃熱から 100∼150℃という高品位の熱を得る圧縮式ヒートポ
ンプシステムの冷媒として、フロン 114 に代えて使用し得る冷媒の開発。性質として(1)沸
点が 30∼60℃の廃熱を利用する上で適当な水準にある。(2)100∼150℃の高温における安定
性が高い。(3)フロン 114 並かそれ以上の高い熱効率を発揮できる。(4)(特に高温で)相
溶性等のよい潤滑油等が存在する。(5)燃えにくい。(6)オゾン層を破壊しない。(7)温室
効果が小さい。(8)安全性が高い。などを目標としている。
平成2年から5年間(基本計画)
約 56 億円
旭化成、旭硝子、関東電化工業、昭和電工、セントラル硝子、ダイキン工業、東亞合成、ト
ーケムプロダクツ、東ソー、三井デュポンフロロケミカル
物性地等からエーテル系化合物より、代替候補化合物として CFC-114 代替1種、CFC-11 代替
2種の計3化合物を見出した。また発泡剤などほかの用途の抱いた化合物も新たに見出して
いる。得られた候補物質の製造コストは 3,000∼6,500 円/kg。
ペンタフルオロエチルメチルエーテル(CF3CF2OCH3)、ヘプタフルオロプロピルメチルエー
テル(CF3CF2CF2OCH3)、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル((CF2)2CFOCH3)
冷凍サイクル試験との COP 値測定において、最適な冷凍サイクルでの測定までには至ってい
ない。
(出所)「圧縮式ヒートポンプ用新規冷媒研究開発評価報告書」(NEDO)より作成
他の類似のプロジェクトとしては、経済産業省が平成 10 年から平成 14 年までの予定で行っている
「SF6 等に代替するガスを利用した電子デバイス製造クリーニングシステムの開発」(新エネルギー・
産業技術総合開発機構環境技術開発室)が挙げられる。概要を表 2.1-3 に示す。
表 2.1-3 「SF6 等に代替するガスを利用した電子デバイス製造クリーニングシステムの開発」の概要
研究目的
研究機関
研究開発費
主な成果
課題
地球温暖化影響の大きい SF6 ガス等の排出量を削減するために、CVD 工程のクリーニングプロ
セスで利用可能な新代替ガス及び代替プロセス・システムを開発する。
平成 10 年∼平成 14 年(5年間)
25 億円
半導体産業での使用率の大きい C2F6 系に比べてほぼ同等の性能を持つ低温暖化係数、低毒性
の新代替ガス候補として COF2 を挙げ、総排出量削減の指針としている。(全体で 24 種の中か
ら新代替候補8種程度としている)
候補である8種類程度の現実適用可能なシステムとして提案(トータルシステム)、新技術の
産業界の製品製造への自主的応用につながるレベルのシナリオの作成。
(出所)新エネルギー・産業技術総合開発機構環境技術開発室
同プロジェクトでは候補物質に対して、被代替物質を想定して性能評価を行っている。非代替物質を
C2F6 として、表 2.1-4 に示すような評価基準を設け5段階評価を行っている。評価の対象としては C2F6
参 2-31
の評点である 31 点、C2F6 の代替品として米国を中心に普及しつつある NF3 の評点である 36 を目安とし
て、28 点以上 32 点未満、32 点以上である計 24 物質を候補物質としている。この 24 物質を表 2.1-5 に
示す。また初期の段階では、HFE134、HFE227me などのエーテル系物質も候補であったがそれぞれ評価点
が、27 点と候補から外れている。
表 2.1-4 ガス評価基準の一部
5
ガス物性
ガス
基本性能
沸点(℃)
-20 未満
腐食性
無し
毒性
500 以上
ガス温暖化係数
(C2F6 相対値)
エッチレート
(C2F6 相対値)
0 以上 10 未満
120 以上
4
-20 以上
-10 未満
弱
100 以上
500 未満
10 以上
30 未満
100 以上
120 未満
3
-10 以上
0 未満
不明
10 以上
100 未満
30 以上
50 未満
80 以上
100 未満
2
0 以上
20 未満
中
1 以上
10 未満
50 以上
80 未満
60 以上
80 未満
1
20 以上
40 未満
強
0.1 以上
1.1 未満
80 以上
100 未満
30 以上
60 未満
0
40 以上
激
0.1 未満
100 以上
30 未満
(出所)「SF6 等に代替するガスを利用した電子デバイス製造クリーニングシステム」事業原簿より作成
表 2.1-5 代替ガス候補分子の評価表(24 物質)
評価
沸点
GWP100
GWP100
総
分子式
材質 毒性 エッチレ 単位体積 排ガス ガス
除害 コスト
(℃) IPCC1995 IPCC2000 沸点
合
腐食 予測 ート x2 あたり厚み MMTCE GWP100 装置等 予測
点
2
CF4
-128
6500
5700
5
5
5
8
2
1
2
0
3
31
3
C2F6
-78.1
9200
11900
5
5
5
8
3
1
0
1
3
31
4
C3F8
-36.7
7000
8600
5
5
5
6
4
2
2
1
1
31
5
C4F10
-2
7000
8600
3
5
5
6
5
2
2
1
1
30
7
C2F4
-76.4
5
5
3
4
3
2
5
2
3
32
8
C3F6
-29.6
5
5
2
2
4
4
5
3
3
33
9
C4F6
5.5
(<1)
2
5
3
2
4
5
5
3
1
30
11
c-C5F8
27
27
(-90)
1
5
4
2
4
4
5
2
1
28
12
NF3
-129
-129
(8000)
5
5
2
10
4
5
1
4
0
36
13
NF2NF2
-73
5
3
2
8
4
5
5
5
0
37
16
OF2
-144
5
3
0
8
4
5
5
5
0
35
20
F2
-188
5
0
0
10
4
5
5
5
0
34
21
CIF
-101
5
3
2
4
3
5
5
5
0
32
22
CIF3
11.8
2
3
2
8
3
5
5
5
0
33
29
CH2F2
-136
650
550
5
5
4
2
0
2
5
2
3
28
32 CF3CH2F
-26.5
1300
1300
5
5
4
2
0
2
4
2
5
29
36 CH3CHF2
-24.7
140
120
5
5
4
2
0
2
5
2
4
29
38 CF3CF2CHF2 -16.3
4
5
4
4
3
2
3
2
2
29
39 CF3CHFCF3 -15.2
2900
3500
4
5
4
2
3
2
3
2
3
28
60
CF3OF
-97
5
5
0
10
3
5
5
2
1
36
64
CF3COF
-59
5
5
2
4
2
4
5
2
1
30
66
COF2
-83
5
3
2
6
2
5
5
3
4
35
72 CF3OCF=CF2
-22
(<100)
3
4
4
6
5
4
0
3
0
29
73 c-C4F80
-0.8
(12100)
5
5
3
4
3
4
5
3
2
34
83
FNO
-59.9
5
4
2
4
2
5
5
5
0
32
84
F3NO
-85
5
5
2
10
3
5
5
5
0
40
(注1)表左端の番号は同プロジェクト内で初期の段階での候補物質の軽い分子順に振られた番号。
(注2)総合点に網掛けがされているものは NF3 を基準(32 点以上)その他は C2F6 を基準としている。
(出所)「SF6 等に代替するガスを利用した電子デバイス製造クリーニングシステム」事業原簿より作成
参 2-32
発泡の代替プロセスとして炭化水素等を利用した建材用断熱材の開発を行うプロジェクトが経済産
業省の補助により行われている。プロジェクトの概要を表 2.1-6 に示す。
表 2.1-6 「炭化水素、CO2 を利用した建材用断熱材の開発」の概要
研究目的
研究機関
研究期間
研究開発費
現在、一般的に使用されている建築用断熱材で最も性能が高い樹脂発泡系以上の断熱性
能(熱伝導率 0.02kcal/mh℃以下)を備え、かつ原料としてフロンを含む物質を使用しな
い断熱材を開発する。断熱材の熱伝導率を指標とする。
日本建材産業協会
平成 11 年度∼平成 14 年度
(補助率 50%)H12:1.35 億円,H13:1.2 億円 H14(要求):9千万円
(出所)経済産業省住宅産業窯業建材課の評価書(平成 13 年 10 月)より作成
(2)海外の動向
オゾン層保護は地球環境問題であり、国際的に取り組みが行われている。代替物質の開発もその一つ
ではあるが、特許庁の報告によると、現在、政府が民間企業と共同で新たな物質を研究しているのは日
本だけである。
‹
米国におけるオゾン層保護関連プロジェクト
米国においては、代替物質の研究開発として、米国エネルギー省(DOE)による ARTI との共同プログラ
ム MCLR が行われた経緯がある。EU では、政府と民間が提携する代替物質の技術開発は見られないが、
オゾン層保護対策のプロジェクトは現在までに3つ行われた。また、技術開発では無いが、国際的な協
力として、代替フルオロカーボン国際共同環境受容研究(AFEAS)及び、代替フルオロカーボン国際共同
安全性確認試験(PAFT)が挙げられる。これらの類似技術開発の動向を表 2.2-1 に示す。また、以下にそ
れぞれの概要を説明する。
参 2-33
表 2.2-1 類似技術開発の動向
名称
MCLR
プログラム
PFT
AFEAS
国
実施機関
内容
種類
ARTI
米国
(一部 DOE の
潤滑剤利用目的の代替フロン
代替フロン開発
研究開発
グラント)
国際
協力
国際
協力
主要 17 企業
代替フロンの毒性実験
主要 17 企業
代替フロンの環境への影響
8 種の代替フルオロカーボン
の毒性試験
代替 CFC(HFC、HCFC)の環境適
応に関する研究
SESAME
EU
EU
オゾン観測
オゾン層観測プロジェクト2
EASOE
EU
EU
オゾン観測
オゾン層観測プロジェクト1
THESEO
EU
EU
オゾン観測
オゾン層観測プロジェクト3
…
期間
1991-2001
1987-1995
1988-1999
1994.1
1991.111992.3
1998-1999
米国における代替物質の研究開発 MCLR 1991 年-2001 年
ARI の研究機関である ARTI(Air-Conditioning and Refrigeration Technology)が 1991 年から 2001
年の 10 年間、潤滑剤利用目的の代替フロンの研究開発 MCLR プログラム(The Materials Compatibility
and Lubricant Research program)を行った。HCFC-123、HCFC-124、HCFC142b、HFC-32、HFC-125、HFC-134a、
HFC-143a、HFC-152a、HFC245ca を対象に、それぞれの特性および潤滑剤との互換性、システム関連の課
題、および試験方法の開発が研究された。現在、全てのプログラムは完了している。
MCLR プログラムは、一部、エネルギー省(Department of Energy)のグラントを受け、(Grant # DE-FG0291CE23810)、連邦援助が予算の 93.36%、非政府援助が 6.64%の構成で行われた。
‹
EU におけるオゾン層保護関連プロジェクトの動向
…
European Arctic Stratosphere Ozone Experiment(EASOE) 1991 年 11 月-1992 年3月
1991 年から 1992 年の冬の期間、EU は当時ヨーロッパ最大のプロジェクトとして初のオゾン層関連プ
ロジェクト EASOE を実施した。スウェーデン、キルナ(Kiruna)を本拠地に、18 ヶ国から 250 人の科学者
が参加し、1000 ヶ所の大気観測気球と、3機の航空機の定期派遣により、オゾンの観測を行った。
北ヨーロッパ上空のオゾン層密度が記録上、もっとも低いことが結果として明らかになった。この時
点で大量の CFC が既に大気中に放出されており、以降、CFC は数 100 年は大気中に残るため、オゾン層
の破壊はますます進むことを予測した。
参 2-34
…
Second European Stratospheric Arctic and Mid-latitude Experiment(SESAME) 1994 年1月
1991 年の観測データの一部により、ヨーロッパ上空のオゾン層の破壊が予測以上に急速に進んでい
ることが明らかとなったことから、1994 年、EU は環境プログラムの一環として新たなオゾン層測定方
法を発表した。SESAME は 30 ヶ所の地上拠点を観測ネットワークとして、18 ヶ国から 300 人の研究員を
動員し、55 研究チームを構成して行われた。また 26 ヶ所で、成層圏気球と探査機が放たれ、航空機に
よる中緯度上空の定期観測が行なわれた。この実験により、成層化学に対する知識が改善し、ヨーロッ
パ上空のオゾン層の“健康”状態の詳細が明らかとなった。
…
Third European Stratospheric Experiment on Ozone(THESEO) 1998 年-1999 年
1998 年から 1999 年に3度目のオゾン層保護対策関連プロジェクトが行われた。主な目的は、過去 20
∼30 年の間に破壊されたヨーロッパ、および中緯度上空のオゾン層破壊の原因を明らかにすることであ
る。プロジェクトの結果により、より詳細な量的データによる政策の決定が可能となっている。
‹
オゾン層保護に関する国際的な協力プロジェクト
世界 17 の主要化学製品企業(ICI、エルファトケム、アクゾ、旭硝子、アライドシグナル、カリケミ、
セントラル硝子、昭和電工、ダイキン工業、デュポン、ヘキスト、アウジモント、ラロッシュ、ソルベ
イ、ローヌ・プーラン、ハンコック・シンワ、他1社)が協力し、代替フロンの潜在的な環境への影響
を研究するプロジェクトで、AFEAS および PAFT を編成している。
…
Alternative Fluorocarbons Environmental Acceptability Study(AFEAS) 1988 年-1999 年
AFEAS は 1988 年に研究の第1段階を開始し、代替 CFC の環境適応に関する研究を行った。研究結果
は、UNEP/WMO Scientific Assessment of Stratospheric Ozone: 1989 の別冊版に報告されている。そ
の後、1990 年、1993 年、および 1996 年にそれぞれ3年ずつ研究期間が延長され、合計 11 年の研究費
は 11 百万ドルとなっている。
第2段階の 1991 年からは、HFC-134a、HCFC-123、HCFC-124、HFC-227ea を減成する Trifluoroacetic
Acid(TFA)の大気中での分解機構やオゾン層破壊への影響、地球温暖化に対する影響などに関する調査
研究を行い、世界各国大学研究室、私的研究機関、政府の実験機関で、実験が進められた。TFA の研究、
評価活動費は、約1百万ドルであった。TFA 研究は、1992 年の予備試験と 1993 年-1997 年の研究評価の
参 2-35
2段階に分けられ、第1期では TFA の基礎的な特性を明らかにし、第2期にて以下の4つのプログラム
が実施された。プロジェクトは 1999 年に終了している。
…
¾
エリア A-TFA の Biodegradation と Biotransformation
¾
エリア B-TFA の潜在的環境沈着
¾
エリア C-TFA の毒性、新陳代謝、生成集積(Bioaccumulation)
¾
エリア D-主要なバイオケミカルプロセスへの TFA の影響
Program for Alternative Fluorocarbon Toxicity Testing(PAFT) 1987 年-1995 年
同じく主要 17 社の協力で、8種の代替フルオロカーボンの毒性試験プロジェクトが行われた。試験
項目は急性毒性試験、亞急性毒性試験、繁殖毒性試験、神経毒性試験、催奇性毒性試験、変異原生試験
など 11 項目にわたる。1987 年に開始され、ヨーロッパ、日本、北アメリカにおける個別実験機関にて
約 200 種の実験が行われた。開始当初は、HFC-134a および HCFC-123 の実験が行われ、次に HCFC-141b、
HCFC-124、HFC-125、HCFC-225ca/cb、HFC-32 が追加された。全ての実験は 1995 年に終了している。17
社が支出した研究費用は、24 百万ドルであり、自社研究を含めると、その倍ほどになると考えられる。
参 2-36
3.技術開発の周辺動向
(1)国内の動向
①代替フロンに関連したの特許動向
代替フロンの開発は国際的な規制と密接に関連し、日米欧ほぼ同じ時期から開発が進んだ。日本企業
などによる特許・実用新案の出願は、オゾン層保護法が施行された翌年の 1989 年にピークを示し、そ
の後も利用分野に関連したものを中心に増加している。代替フロン関連技術の特許出願件数の推移を図
3.1-1 に示す。2000 年8月までに、8,000 件あまりの代替フロンの特許、実用新案出願がある。
出願年
ウィーン条約採択(1985)
モントリオール議定書採択(1987)
HCFCs規制開始(1996)
フロン規制開始(1989)
フロン生産全廃(1995末)
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.1-1 代替フロン関連技術の特許出願件数推移(1978 年∼2000 年8月までに公開の出願)
代替フロンの利用分野ごとの出願件数割合を図 3.1-2 に示す。冷媒は約4割と大きい割合を占める。
(出所)特許庁
図 3.1-2 代替フロンの利用分野ごとの出願割合(1978 年∼2000 年8月までに公開の出願)
参 2-37
冷媒、発泡剤、洗浄溶剤、ドライエッチングガス、エアゾルの種類別出願件数推移を図 3.1-3 に示す。
各分野で炭化水素、二酸化炭素などのフロン、代替フロン以外の出願件数の増加が見られるなど、全体
に占める代替フロンの出願数の割合は小さくなっている。
冷媒
発泡剤
洗浄溶剤
ドライエッチングガス
エアゾール
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.1-3 各分野での種類別出願数
代替フロン関連技術の出願企業を図 3.1-4 に示す。
参 2-38
0
100
200
300
400
500
600
700
800
旭硝子
ダイキン工業
松下電器産業
日立製作所
三洋電機
東芝
デュポン(米国)
旭化成(旭化成工業)
三菱電機
松下冷機
昭和電工
工業技術院長
研究開発協力企業
セントラル硝子
ICI(イギリス)
その他の企業
エルフ アトケム(フランス)
三菱重工
ソルベイ(ベルギー)
ダウ ケミカル(米国)
三井石油化学工業
アライド シグナル(米国)
積水化学工業
三井デュポンフロロケミカル
鐘淵化学工業
バイエル(ドイツ)
富士通
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.1-4 代替フロン関連技術の出願企業(単位:件数)
②代替フロンに関連した製品
1)共通したもの
複数の用途に使用できる製品として温暖化対策がされているものを表 3.1-1 に示す。
表 3.1-1 各社のフロンなどの代替品となる製品
企業名
製品
「ノベック」
HFE
技術
用途
特徴・性能など
特定フロン代替洗浄剤に求められる特性を備
住友 3M
フッ素系溶剤
冷媒、洗浄
えている。
オゾン破壊係数ゼロ、大気寿命は、半導体製
洗浄、溶剤、ドラ造用ゼオローラ=0.98 年、溶剤用ゼオローラ
日本
ゼオローラ
フッ素化
イエッチング =3.4 年。通産省工業技術院と共同で開発され
ゼオン
HPL
C5 化合物
ガス
ている。米国 EPA「オゾン層保護賞」などを受
賞している。この他、ゼオソルブ HP もある。
マルカゾール
洗浄、硬質ポリ 性能(沸点 49∼50℃)第1石油類、他の製品と
炭化水素系
FH
ウレタン発泡 してマルカゾール R 等
コピー用溶剤、 沸点範囲が狭い。
イソドデカン
金属洗浄剤、エ
マルカゾール R
丸善
(パラフィン系)
アゾール用溶
石油化学
剤、反応溶媒等
コピー用溶剤、 沸点 99.24℃の溶剤で、沸点範囲が狭い。
イソオクタン
金属洗浄剤、エ
マルカゾール8
(パラフィン系)
アゾール用溶
剤、反応溶媒等
参 2-39
オゾン層破壊係数ゼロ、低地球温暖化係数、引火点なし、適度な溶解性、実際上無害、低表面張力で
洗浄、溶剤、冷媒に使用可能とされている製品として 3M の「ノベック HFE」の性能表を表 3.1-2 に示す。
価格は 15kg で、HFE-7100 が 75,000 円、HFE-7200 が 97,500 円。単価はそれぞれ¥5,000/kg、¥6,000/kg
となっている。温暖化係数 GWP は 320(HFE-7100),55(HFE-7200)と自然冷媒に比べれば高いものの、
以前のフロンなどに比べて低くなっている。
表 3.1-2 3M「ノベック HFE」の性能表
特徴
安全性
環境データ
製品名
化学式
価格(15kg)
沸点(℃)
凝固点(℃)
蒸気圧(Mpa)
蒸発熱(沸点)(kJ/kg)
密度(kg/m3)
絶対粘度(Pa・s)
動粘度(cSt)
比熱(J/kg K)
引火点
熱伝導度(W/m K)
表面張力(mN/m)
屈折率
膨張係数(m3/m3 K)
絶縁耐力(kV(2.54mmgap))
体積抵抗(Ω m)
水の溶解度(ppm(Wt))
水への溶解度(ppm(Wt))
急性吸入毒性 ALC/LC50(4 時間)(ppm)
急性経口毒性 LD50(g/kg)
変異原性
皮膚刺激性
ODP(CFC-11=1)
大気寿命(年)
GWP(CO2=1、100 年積算)
VOC
許容濃度(ppm)
HFE-7100/7100DL
C4F9OCH3
¥75,000
61
-135
0.028
125.6
1520
5.8×10-4
0.38
1172
なし
0.069
13.6
1.27
0.00171
28
3.3×107
95
12
>100,000
>5
なし
ごくわずか
0
4.1
320
なし
750*1
HFE-7200
C4F9OC2H5
¥97,500
76
-138
0.016
125.6
1430
5.7×10-4
0.4
1214
なし
0.069
13.6
1.28
0.00158
23
4.1×106
92
<20
>92,000
>5
なし
なし
0
0.8
55
なし
200*2
(注)許容濃度*1*2 許容濃度は公的には『ACGIH』(米国)、『日本産業衛生学会』等によって設定さるもの
で、ACGIH の場合、『1日8時間、1週 40 時間の正規の労働条件で大多数の労働者が繰り返し暴露され
ても健康障害を起こさないとされる濃度』。また、許容濃度は製造会社が社内的に設定する場合があり
ます。*1 HFE-7100、HFE-7100DL の許容濃度は、American Industrial Hygiene Association による設
定値。*2 HFE-7200 の許容濃度は、3M 社内で設定した推奨値。
(出所)3M のホームページより作成(URL:http://www.mmm.co.jp/smd/cleaning.html)
参 2-40
この他に、日本ゼオンのゼオローラが温暖化対策がなされている製品として挙げられる。同製品は
1989 年より、旧通産省の工業技術院物質工学工業技術研究所との共同開発により商品化されている。用
途としては、洗浄剤、乾燥剤、溶剤、ドライエッチングガス等として使用する。特性は、大気寿命が従
来使われている PFC の千分の1以下と短く、地球温暖化係数が非常に小さいため、PFC を置換えると地
球温暖化ガス削減率 97%、また従来の HFC と置換えても削減率 80%以上に相当するとされている。地
球温暖化係数 GWP は 250(100 年換算)となっている。
2)冷媒
温暖化対策がされている冷媒の代替品として製品化されているものは表 3.1-3 に示すようなものが
ある。温暖化対策がされている製品は、フロン系では 3M の HFE、非フロン系では自然冷媒を使用したも
のが挙げられる。R717 アンモニア、R290 プロパンなどの自然冷媒の性能は、冷凍能力ではフロン、HFC
と同等とされているため普及には安全性、コストなどが要因となっているようである。
表 3.1-3 各社の冷媒の代替品に関連した製品
企業名
製品
技術
特徴・性能など
液相で使用できる温度範囲が広い。また引
3M
「ノベック」HFE
フッ素系溶剤
火点がない等から安全性が高い。また洗浄
剤等にも使用可能である。
冷媒保有量が単位冷却能力当り 0.2kg/USRT
アンモニア
前川製作所
アンモニア冷凍機
まで削減されている。
(冷媒関連技術)
(HCFC22 直膨式は 1.4kg/USRT)
自然冷媒アンモニア対応 R717 アンモニア
日立空調システム
スクリュー冷凍機
(冷媒関連技術)
フロン冷媒では実現できなかったヒートポ
東京電力、
ヒートポンプ給湯機
自然冷媒(CO2) ンプの単独運転による 90 度高沸き上げを実
電力中央研究所、
「(愛称)エコキュート」 (冷媒関連技術) 現、
エネルギー効率が COP3以上と高い。
2001
デンソー
年4月発売。
CO2 冷媒は冷凍サイクルに適用した場合、従
来エアコン用冷媒比3倍、冷蔵庫用冷媒の
密閉型 CO2 冷媒対応
二酸化炭素
SANYO
コンプレッサ
(冷媒関連技術) 5倍という高い動作圧(9Mpa)での高効率な
コンプレッサ。
コンプレッサユニット
アンモニア
長谷川鉄鋼
(HVU シリーズ)
(冷媒関連技術)
ゼネラル
スーパーエコ HC
R290 プロパン
R22 の代替として利用可能で、能力低下は
ヒートポンプ工業
ヒートポンプ
(冷媒関連技術) 10%程度、消費電力が少く、低圧力。
家庭用冷蔵庫では R-600a イソブタンを用いたものが以前から欧州を中心として普及しており、グリ
ーンピースによると、世界中に 2,000 万台以上が発売され、生産される家庭用冷蔵庫のおよそ 15%がす
でに自然冷媒を用いたグリーンフリーズである。グリーンピースは 1992 年7月に自然冷媒冷蔵庫を発
表している。国内では松下・日立より 2001 年 11 月に製品が発表されており、価格は従来のものより1
参 2-41
万円程高くなっている。また東芝も 2002 年1月の発売を目指して、フロンを使わない冷蔵庫の開発を
進めている。松下は 1992 年より欧州で非フロン冷媒用のコンプレッサーを販売しているが、国内で発
売にあたっては、課題であった安全性、効率などの問題はクリアされているようである。この他に非フ
ロン系の冷蔵庫としてアンモニア、ペルチェ素子等を用いた方法がある。
3)発泡
温暖化対策がされている発泡剤の代替品として製品化されているものは表 3.1-4 に示すようなもの
がある。水発泡技術が硬質、軟質ウレタンフォームで実現されている。
表 3.1-4 各社の発泡剤の代替品となる技術・製品の概要
企業名
製品
技術
三井・デュポン・
フロロケミカル
フォーマセル Z-2
発泡剤
HFC-152a
特徴・性能など
オゾン破壊係数がなく、地球温暖化係数も
非常に小さい物質。分子量が小さいことか
ら高い発泡効率で使用できる。
冷蔵庫用硬質ウレタンの発泡剤として需要
が拡大している。
性能(沸点 49∼50℃)第1石油類、洗浄剤
シクロペンタン発泡
(硬質ウレタン)
炭化水素系発泡
丸善石油化学
マルカゾール FH
(硬質ポリウレタン)
炭化水素系発泡
ネオマフォームの性能:熱伝導率λ=
旭化成
ネオマフォーム
(グリーンガス) 0.020W/mK(0.017kcal/mh℃)
東洋ゴム工業
建材用・
発泡剤として「水」を使用し、化学反応に
水発泡技術
(協力:ダイト工業 断熱サンドイッチパ
より「炭酸ガス」を独立気泡の中に封じ込
(硬質ウレタン)
株式会社)
ネル
める。連続発泡ラインでの製品化。
硬質ウレタンフォー
水発泡による硬質ウレタンフォームにおい
ムを
水発泡技術
て問題とされていた収縮の問題を解決して
三菱化学、松本建工
用いた住宅断熱パネ
(硬質ウレタン) いる。
ル
日本ゼオン
ゼオソルブ HP
フロン系では三井・デュポン・フロロケミカルのフォーマセルは地球温暖化係数が GWP140 となって
いる。フォーマセル Z-2の物質特性を表 3.1-5 へ示す。
表 3.1-5 三井・デュポン・フロロケミカルのフォーマセル Z-2
分子式
平均分子量
沸点(℃)
凝固点(℃)
比熱(液)(kJ/(kg・k))
(蒸気)(kJ/(kg・k))
熱伝導度(液)(w/(m・k))
(蒸気)(w/(m・k))
燃焼範囲(vol%)
オゾン破壊係数(ODP)
地球温暖化係数(GWP)
既存化学物質番号
許容濃度 AEL(ppm(vol))
フォーマセル Z−2(HFC-152a)
CH3CHF2
66.1
-24.2
-117
1.68
1.03
0.105
0.0136
3.9-16.9
0
140
2-86
1000
(出所)三井・デュポン・フロロケミカル株式会社のホームページより作成
参 2-42
4)洗浄
温暖化対策がされている洗浄剤の代替品として製品化されているものは表 3.1-6 に示すようなもの
がある。3M の HFE は洗浄用途にも使用される。温暖化対策も考慮されている主な代替品としては、炭化
水素などの非フロン系のものが多く見られる。
表 3.1-6 各社の洗浄剤の代替品となる製品の概要
企業名
三井・
デュポン・
フロロケミカル
製品
技術
特徴・性能など
バートレル
HFC-43-10mee
オゾン破壊係数がゼロ。GWP(地球温暖化係数)
が小さい。不燃性。低毒性。
3M
「ノベック」HFE
フッ素系溶剤
日本ゼオン
ゼオローラHPL
フッ素化C5化合物
GE 東芝
シリコーン
テクノケア
揮発性シリコン
東ソー
出光興産
日本石油化学
日鉱石油化学
トクヤマ
日石三菱
第一工業製薬
化研テック
荒川化学工業
花王
ライオン
大塚化学
日本
メカケミカル
特定フロン代替洗浄剤に求められる特性を備え
ている。
オゾン破壊係数ゼロ、大気寿命は、半導体製造
用ゼオローラ=0.98 年、溶剤用ゼオローラ=
3.4 年。この他、炭化水素系のゼオソルブ HP が
ある。
性能(沸点 150∼179℃、表面張力 19∼25mN/m)
消防法第2石油類
性能(沸点 170∼204℃、表面張力 24∼26mN/m な
ど)消防法危険物第2、3石油類
炭化水素系
(パラフィン)
炭化水素系(イソパラフ
タフニークリーナ
第2、3石油類
ィン、ナフテン系など)
フロン、トリクロロエタンの代替洗浄剤、ナフ
炭化水素系
ナフテゾール
テンの純度が高く、他の炭化水素系と比べても
(ナフテン)
高い洗浄力となっている。
炭化水素系
性能(沸点 166∼227℃)消防法危険物第2、3
NS クリーン
(単一物質)
石油類
炭化水素系
性能(沸点 160∼275℃)消防法危険物第2、3
EM クリーン
(芳香族)
石油類
TPS
炭化水素系
消防法第4類第2石油類
性能(沸点 160∼240℃、表面張力 24,26mN/m)消
日石三菱テクリーン
炭化水素系
防法の第2石油類
グリコールエーテル系・
DK ビークリヤ CW/CS
界面活性剤など配合品
炭化水素系
液のランニングコストはフロン(CFC-113)以下。
グリコール系、
マイクロクリン
表面張力は 26,27,29 等、消防法第4類に該当、
アルコール系
アルコール系洗浄剤は該当しない。
パインアルファ
非ハロゲン系
水希釈型、非危険物
開発は 1990 年代前半、用途は主にプリント基板
クリンスルー
水系
用、部品用、半導体関連
界面活性剤の技術による系洗浄剤で、フロン、
サンウォッシュ
水系
塩素系の代替の工業用洗浄剤として 1989 年から
供給している。
安全性・洗浄性に優れた洗浄剤。連続洗浄が可
シャダン C&S
水系
能。引火点がなく、表面張力 26.3dyn/cm
メカパーツ
フロン、トリエタン、シンナーに替る安全、無
水溶性パーツ脱脂洗浄剤
クリーナーH
公害な水溶性生産部品洗浄剤
HC
参 2-43
(2)海外の動向
米国、および EU における代替フロン・フロン無害化技術について、化学薬品関連企業による技術開
発の動向を以下に述べる。(特許庁報告“平成 12 年度一般 17 代替フロン・フロン無害化技術”より一
部抜粋)
米国における技術開発の動向
‹
代替フロン・フロン無害化技術の開発状況
米国における代替フロン・フロン無害化技術に関する登録件数の推移を図 3.2-1 に、登録件数の割合
を図 3.2-2 に示す。わが国の特許庁作成の資料によると、1978 年から 2000 年8月までに米国で登録さ
れた代替フロン・フロン無害化に関する特許件数は 2134 件であり、代替フロン関連の特許が最も早く
登場し、1988 年ごろから登録件数が増加、1993 年以降はほぼ同じレベルの件数が登録されている。
利用分野の件数を見ると、洗浄溶剤の登録件数が 1989 年から増加し、1992 年にピークとなる。また
冷媒と発泡剤は 1990 年から登録件数が増加する。エアゾールの特許は他の利用分野に比べると登録件
数は少ないが、1991 年から増加、1997 年に大きなピークがある。
フロン無害化については絶対的に件数が少ないが、1991 年ごろから徐々に増加している。
分野別登録件数の割合は、代替フロンが全体の約 45%を占める。利用分野では、冷媒、洗浄溶剤、
発泡剤がほぼ同じ割合で 14%を占め、エアゾールは 10%となっている。フロン無害化技術は全体の3%
程度である。
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.2-1 米国における代替フロン・フロン無害化技術に関する登録件数の推移
参 2-44
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.2-2 米国における代替フロン・フロン無害化技術に関する登録件数割合
‹
米国における主要な出願人
米国における特許の主な出願人は、デュポン(米)、アライド・シグナル(米)、ダイキン工業(日)、ア
ウジモント(伊)、ICI(英)、エルファトケム(仏)などであり、フッ化学品の事業展開をしている企業が
多い。10 件以上の出願人を日米欧で比較すると、米国の出願人が約 51%、次いで欧州 21%、日本約 17%
となる。
ヨーロッパにおける技術開発の動向
‹
代替フロン・フロン無害化技術の開発状況
ヨーロッパにおける代替フロン・フロン無害化に関する出願件数の推移を図 3.2-3 に、代替フロン・
フロン無害化技術に関する出願件数の割合を図 3.2-4 に示す。わが国の特許庁作成の資料によると、ヨ
ーロッパにおける 1978 年から 2000 年の代替フロン・フロン無害化に関する特許出願件数は 1511 件で
あり、代替フロンについては 1989 年以降急に件数が増加している。その後も増えつづけ、1992 年をピ
ークにそれ以降、減少している。
利用分野別にみると、冷媒、発泡剤、洗浄溶剤、エアゾールについては、1989 年ごろから件数が増
加しており、洗浄溶剤とエアゾールについては 1991 年、冷媒と発泡剤については 1992 年にピークがあ
る。いずれの分野もその後は出願件数が減少している。
フロン無害化については米国と同様に出願件数の絶対数は少なく、1990 年頃から出願件数が増加し
ている状況も共通している。
特許出願の割合を見ると、最も多いのは代替フロンの 47%である。利用分野では、冷媒が最も多く、
全体の 17%を占め、次いで発泡剤、洗浄溶剤、エアゾールの順である。フロン無害化は全体の3%で米
参 2-45
国と変わらない。
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.2-3 ヨーロッパにおける代替フロン・フロン無害化技術に関する出願件数推移
参 2-46
(出所)特許庁の資料より作成
図 3.2-4 ヨーロッパ における代替フロン・フロン無害化技術に関する出願件数割合
‹
ヨーロッパにおける主要な出願人
ヨーロッパにおける特許の主要な出願人は、デュポン(米)、エルフアトケム(仏)、ダイキン工業(日)、
ICI(英)、ソルベイ(ベルギー)、アウジモント(伊)であり、フッ化学品を事業展開している会社である。
10 件以上の出願人を日米欧で比較すると、欧州の出願人が約 49%、米国の出願人が約 31%、日本の出
願人が約 20%となっている。
特許技術の概要
米国で登録されている主な特許の技術概要を表 3.2-1 に示す。主に代替フロンの候補として、HCFC
と HFE(ジエーテル化合物)を中心に、最新の登録から特許技術を紹介する。
参 2-47
表 3.2-1 欧米の主な特許技術の概要
種類
HCFC
特許番号
登録年
出願者
6,299,792
2001.10
Feiring
, et al
6,291,427
2001.7
Beug-De
eb , et
al
2000.9
Hammel,
et al
6,261,427
譲受者
名称および概要
Halogenated hydrocarbon refrigerant compositions
containing polymeric oil-return agents:
重合体油‐回復作因を含むハロゲン化炭化水素冷媒の
組成
Refrigerant compositions containing polymeric
oil-return agents which solubilize or disperse
mineral and synthetic oil lubricants with
hydrofluorocarbon and
hydrofluorocarbon/hydrochlorofluorocarbon-based
refrigerants are disclosed. These polymeric
oil-return agents, such as copolymers of
fluorinated and non-fluorinated methacrylates, as
a small proportion of an overall refrigerant
composition, permit efficient return of mineral and
synthetic oil lubricants from non-compressor zones
back to a compressor zone in a refrigeration system
operating with hydrofluorocarbon and
hydrofluorocarbon/ hydrochlorofluorocarbon-based
refrigerants.
E. I. Du Pont Azeotropic or azeotrop-like compositions of
de Memours
hydrofluoric acid with dihalomethanes:
Company
ダイハロメタン含有フッ化水素酸のアゼオトロピック
又はアゼオトロプ類組成
The instant invention relates to azeotropic or
azeotrope-like compositions of hydrofluoric acid
with at least one of 1,1-dichloroethane,
1-chloro-1-fluoroethane and 1,1 ‐ difluoroethane.
The invention also relates to manufacturing
processes for separating hydrofluoric acid from a
mixture comprising hydrofluoric acid and one or
more of the 1,1 ‐ dihaloethane
Azeotrope-like compositions containing
fluoroethane:
フルオロエタン(HFC‐161)含有のアゼオトロップ類組
成とその使用
Disclosed are binary azeotrope-like compositions,
and uses thereof, of fluoroethane (HFC-161), with
hydrofluorocarbons, such as, 2-fluoropropane
(HFC-281ea), and 1,1-difluoroethane (HFC-152a), or
hydrocarbons, or dimethyl ether.
参 2-48
Compositions Containing
1,1,2,2-tetrafluororethane (HFC-134) for
closed-cell polymer foam production:
6,121,337
6,288,018
2000.9
2001.9
Hammel,
et al
1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC‐134)含有の閉細
胞ポリマー発泡剤の組成
An improved closed cell polymer foam and foaming
agent involving the use of a hydrogen-containing
halocarbon blowing agent (e.g., HCFC-22) in
combination with an effective amount of a hydrogen
bond forming blocking agent (e.g., organic ether,
ester or ketone). The presence of the blocking agent
is shown to significantly reduce the escape of
blowing agent from and entry of air into the foam
resulting in low thermal conductivity over a longer
period of time and improved thermal insulation
value. The present invention further relates to
compositions comprising a blowing agent and an
active hydrogen-containing compound, commonly
referred to in the art as B-side compositions or
3M Innovative blends, and using such compositions for producing
polyurethane and polyisocyanurate foams in which
Properties
Company
the blowing agent comprises a major proportion of
1,1,2,2-tetrafluoroethane (HFC-134).
Azeotrope-like compositions and their use:
R sub f. OC sub. 2 H. sub 5 で構成されるアゼオト
ロプ類の組成とその使用
The invention provides azeotrope-like compositions
consisting essentially of R.sub.f OC.sub. 2
H.sub.5, where R.sub.f is a branched or straight
chain perfluoroalkyl group having 4 carbon atoms,
and an organic solvent selected from the group
consisting of: straight chain, branched chain and
cyclic alkanes having 6 to 8 carbon atoms; esters
having 4 carbon atoms; ketones having 4 carbon
atoms; disiloxanes having 6 carbon atoms; cyclic
and acyclic ethers having 4 to 6 carbon atoms;
chlorinated alkanes having 3 to 4 carbon atoms and
chlorinated alkenes having 2 carbon atoms. The
compositions are useful for cleaning, as solvents
or carriers for coating and as heat transfer
materials.
Flynn,
et al
参 2-49
Foams comprising HFC-134 and a low solubility
co-blowing agent and a process for making:
6,281,393
2001.5
Chaudha
ry, et
al
The Dow
Chemical
Company
6,225,364
6,255,273
2001.8
Molina,
et al
2001.7
Musso,
et al
HFC‐134 及び低溶解共発泡作因を含有した発泡剤と
その生成過程
Disclosed is an extruded, dimensionally stable,
closed cell alkenyl aromatic polymer foam. The foam
comprises an alkenyl aromatic polymer material
greater than 50 percent by weight of alkenyl
aromatic monomeric units. The foam has a density of
about 16 to about 64 kilograms per cubic meter. The
foam has a thickness in cross section of 15
millimeters or more. The foam has a blowing agent
composition comprising a primary blowing agent of
about 70 to about 95 weight percent
1,1,2,2-tetrafluoroethane and a secondary blowing
agent comprising about 30 to about 5 weight percent
based upon the total moles of the blowing agent
composition. The secondary blowing agent being
selected from the group consisting essentially of
1,1,1,2-tetrafluoroethane, carbon dioxide,
nitrogen, argon, and water. Further disclosed is a
process for making the foam.
Polyols useful for preparing water blown rigid
polyurethane foam:
水発泡による硬ポリウレタン発泡剤のためのポリオル
ズ
Mannich polyols having a viscosity of from 300 to
3,500 cps (0.3 to 3.5 Pa*s) at 25.degree. C. are
prepared by admixing a phenol, an alkanolamines,
and formaldehyde mixed in molar ratios of from 1:1:1
to 1:2.2:2.2 resulting in an initiator which can be
alkoxylated using a mixture of ethylene oxide and
propylene oxide to prepare polyols that have a
nominal functionality of from 3 to 5.4.
Hydrofluoropolyether-based azeotropic or near
azeotropic compositions:
フルオロポリエーテル水素を基礎としたアゼオトロピ
ックまたは類似物質の組成
Azeotropic or near azeotropic compositions based on
difluoromethoxy-bis(difluoromethyl ether) and/or
1-difluoromethoxy-1,1,2,2-tetrafluoroethyl
difluoromethyl ether.
参 2-50
Refrigerating compositions based on
hexafluoropropane, fluoroethers and hydrocarbons:
6,221,273
6,071,564
2001.4
2000.6
Basile,
et al
Ausimont S.
p. A.
6 フルオロプロパン、フルオロエーテル及び炭化水素
をベースとした冷媒の組成
Azeotropic or near azeotropic compositions based on
hexafluoropropane (R 236) as substitutes of
CClF.sub.2 ‐ CClF.sub.2 (R 114) which essentially
consist of R 236 and bis(difluoromethyl)-ether or
n-butane, or mixtures thereof, for heat pumps,
air-conditioners, etc.
Coatings based on perfluoropolyethers:
パーフッ化ポリエーテルを基礎としたコーティング
Use for protective coatings of compositions
comprising (% by wt.): A) from 10 to 60% of a A1)
(per)fluoropolyethereal prepolymer having a
polyisocyanic functionality obtainable by reacting
a bifunctional having hydroxylic functionality,
said fluoropolyethers having --CH.sub.2 OH
terminations directly linked to a perfluoroalkylic
group CF.sub.2 or CF.sub.2 CFX (X.dbd.Cl, F) or
CF(CF.sub.3), with a polyisocyanate containing
isocyanurate rings, preferably obtained by
cyclotrimerization of HDI, IPDI or other monomeric
diisocyanates, by utilizing an excess of isocyanate
groups comprised between 10 and 80% by moles; the
above fluoropolyether prepolymer can be partially
or totally replaced by A2) non fluorinated
polyisocyanates containing isocyanurate rings
and/or hydrogenated polyisocyanate prepolymers; B)
from 0.1 to 50% of a (per)fluoropolyether having
bifunctional hydroxylic functionality of the type
--CF.sub.2 CH.sub.2 OH, --CF.sub.2 CFXCH.sub.2 OH
(X.dbd.Cl, F) or --CF(CF.sub.3)CH.sub.2 OH; or
polyfunctional hydroxylic functionality
termination but containing at least 5% by weight,
preferably 10%, of the same type of termination
indicated above for the bifunctional; or
(per)fluoropolyethers prepolymers as defined in A)
but having a lower prepolymerization degree so to
leave free oxydrilyic functions of the type
--CF.sub.2 CH.sub.2 OH, --CF.sub.2 CFXCH.sub.2 OH
(X.dbd.Cl, F), or --CF(CF.sub.3)CH.sub.2 OH; or the
latter prepolymers having free hydroxilic
functions can be used alone as a single component,
being component A) 0%; C) 10-90%, with respect to
the resin of a diluting solvent.
Marchet
-ti, et
al
参 2-51
Fibers flash-spun from partially fluorinated
polymers:
6,136,911
HFE
6,297,308
6,159,917
2000.10
Shin, et
al
2001.10
Jariwat
a, et al
2000.12
Baran,
Jr., et
al
部分的フッ化ポリマーからのフラッシュスパンファイ
バーと生成過程
A flash-spun material comprised of at least 20%
partially fluorinated hydrocarbon polymers in
which between 10% and 70% of the total number of
hydrogen atoms in each hydrocarbon polymer are
replaced by fluorine atoms. The partially
fluorinated hydrocarbon polymers is preferably
comprised of at least 80% by weight of polymerized
monomer units selected from ethylene,
tetrafluoroethylene, chlorotrifluoroethylene,
vinylidene fluoride and vinyl fluoride. The
flash-spun material may be a plexifilamentary
strand or a microcellular foam. Also provided is a
process for producing flash-spun material from
partially fluorinated hydrocarbon polymers in a
solvent and a solution from which such polymers may
be flash-spun.
Chemical Compositions:
フッ化溶解剤と非イオン系ポリフッ化アルキル、代替
E. I. Du Pont
水酸基外皮の化学組成
de Memours
Described are chemical compositions comprising a
and Company
fluorinated solvent and a nonionic,
poly-fluoroalkyl, hydroxyl-substituted
surfactant.
Dry cleaning compositions containing
hydrofluoroether:
ジエーテル化合物含有のドライクリーニング剤の組成
The invention provides dry cleaning compositions
comprising hydrofluoroether, a cosolvent selected
3M Innovative from the group consisting of glycol ethers,
Properties
fluorocarbon surfactants, alkanols, and mixtures
Company
thereof, and water present in an amount of less than
1 percent by weight. In another aspect, the
invention provides a method of cleaning fabric
articles comprising the step of contacting an
effective amount of the above dry cleaning
composition with a fabric for a length of time
sufficient to clean the article.
参 2-52
Composition comprising lubricious additive for
cutting or abrasive working and a method threfor:
6,294,508
5.908,817
2001.9
1999.6
切断又は研磨用潤滑剤添加物の組成とそのための方法
In one aspect, this invention provides a fluid
comprising one or more hydrofluoroether(s) and one
or more lubricious additive(s) for the cutting and
abrasive treatment of metal, cermet, or composite
materials. In another aspect, the present invention
provides a method of cutting and abrasively
treating metal, cermet, or composite materials
comprising applying to the metal, cermet, or
composite workpiece and tool a fluid comprising a
hydrofluoroether and a lubricious additive.
Lubricants containing a perfluoropolyalkyl ether
and a fluoroalkylphosphazene:
Malibra
t-h, et
al
パーフッ化ポリアルキルエーテル及びフッ化アルキル
燐アゼン含有の潤滑剤
A lubricant comprising a mixture of a
perfluoropolyalkyl ether and a phosphazene is
described. The lubricant is useful in thin-film
magnetic recording disk applications, where very
low static and dynamical coefficients of friction
are desired and balling effects are minimized.
Peretti
e, et al
参 2-53
Fly UP