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高吸水性樹脂

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高吸水性樹脂
平成26年度
特許出願技術動向調査報告書(概要)
高吸水性樹脂
平成27年3月
特
許
庁
問い合わせ先
特許庁総務部企画調査課 知財動向班
電話:03-3581-1101(内線2155)
目
次
第1章
調査の概要
第1節
調査の対象範囲
1.調査対象
今回の特許出願技術動向調査では、高吸水性樹脂を調査対象とした。
要
約
2.背景
本調査では、近年、特に注目されている「高吸水性樹脂」の分野について調査分析を
行う。高吸水性樹脂は、幼児用・大人用共に需要が伸びている紙おむつ製品の原材料と
して使われており、製品群の用途拡大、新興国市場での需要が増大している。さらに、
本
編
土壌の保水性を向上させる改質材等、高機能性樹脂として幅広い応用がされていること
等から、注目度が高まっている。
また、高吸水性樹脂に関する技術分野において我が国企業は、世界における高吸水性
樹脂の生産能力の半分程度を有するとともに、世界シェアの約 50%を占めており、高い
技術開発力と市場競争力を有している。一方では、我が国企業と欧米企業との間で活発
第
1
部
な技術開発競争が繰り広げられている
このような背景の下、高吸水性樹脂に関する特許の動向を調査し、技術革新の状況、
技術競争力の状況と今後の展望について検討する。
3.調査の対象範囲
第
2
部
本調査に関連する要素技術、技術分野、応用産業の概要をまとめた高吸水性樹脂の技
術俯瞰図を図 1-1 に示す。本調査での主要な対象技術分野は、
① 樹脂原料となる化合物・樹脂組成物に添加される化合物
② 重合方法
③ 表面架橋方法
④ 後処理方法(乾燥方法
第
3
部
等)
⑤ 特性評価技術
第
4
部
⑥ 応用技術
である。
第
5
部
第
6
部
- 1 -
資
料
編
目
次
図 1-1
高吸水性樹脂の技術俯瞰図
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
本調査の対象範囲は、高吸水性樹脂全般であるが、高吸水性樹脂の応用用途に関する
技術については調査対象範囲外である。
この調査では、図 1-1 の技術俯瞰図に対応した技術区分を設定し、特許及び論文の技
術区分別動向解析を行っている。技術区分の中で大分類の内容を表 1-1 に示した。
- 2 -
目
次
表 1-1
調査対象技術区分大分類の内容
技術区分
内容
高吸水性樹脂
種類
【合成樹脂系】 ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系
ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアミン系 等
【天然物由来系】 ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セル
ロース系 ポリグリコール系 等
原材料
【原料】 モノマー(合成系、天然物由来系)、天然物ポリマー
【添加剤】 重合開始剤、内部架橋剤、連鎖移動剤、キレート剤、架橋抑制剤、分散剤、界面活性剤 等
【後添加物】表面架橋剤、微粒子、消臭剤、抗菌剤、耐候性改良剤、変色防止剤、付臭剤、還元剤 等
製造方法
部分中和、重合(水溶液重合法、逆相懸濁重合法、気相重合法、放射線重合法、2段重合法 等)
表面架橋(化学架橋、UV 照射、ガンマ線照射 EB 照射 等)、後処理(精製、脱水・脱溶媒、乾燥、粉砕分
級、造粒 等)、リサイクル工程、後加工(他素材との複合化 等) 等
特性評価
【高吸水性樹脂性能】 無加圧下膨潤倍率、加圧下吸水倍率、保水能、吸水速度、通液性、再吸収性 等
【一般物性】 平均粒径、粒度分布、粒子形状、粒子強度、ゲル強度、流動特性 等) 等
用途
衛生材料、農業・園芸用途、流通・搬送用途、電気・電子用途、医療用途、建設・土木用途、化粧品用途
その他(日用雑貨 等) 等
第2節
高吸水性樹脂の技術概要
要
約
本
編
第
1
部
高吸水性樹脂とは、JIS K7223(1996)、JIS K7224(1996)にて、「水を高度に吸収して、
膨潤する樹脂で、架橋構造の親水性物質で水と接触することにより吸水し、一度吸水す
ると圧力をかけても離水しにくい特徴を持っている。」のように規定されており、高吸水
性樹脂は自重の 100 倍~1,000 倍、生理食塩水では 20~60 倍を吸収して膨潤し保持する
第
2
部
ことができる。
高吸水性樹脂は、1974 年米国農務省の研究所にて開発されたデンプン-アクリロニト
リルグラフト共重合体の加水分解物が始まりであると言われている。その後、1978 年に
三洋化成工業により世界で初めて工業生産され、1984 年に日本触媒により年間 1 万トン
の量産化が始められる等、高吸水性樹脂は日本で実用化が行われた。これまでに種々の
第
3
部
高吸水性樹脂が提案されているが、現在はポリアクリル酸ナトリウムの架橋体が主流と
なっている。
1.高吸水性樹脂の種類
高吸水性樹脂は、合成ポリマー系と天然物由来系に分類されるが、現在の主流はポリ
第
4
部
アクリル酸塩系である。最近では、再生可能な原料を使用した環境対応型として、天然
物由来のポリグルタミン酸系、ポリアルギン酸系、デンプン系等の高吸水性樹脂の開発
第
5
部
が進められている。
表 1-2
高吸水性樹脂の分類
合成ポリマー系
ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系
ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系等
天然物由来系
ポリグルタミン酸系、ポリアルギン酸系、デンプン系、セルロース系等
2.高吸水性樹脂の吸水原理
高吸水性樹脂は、高分子主鎖、親水性官能基、架橋点の三つから構成されている。高
第
6
部
分子主鎖は、長いほど大量の水を保持できるため、できるだけ分子量の大きい高分子が
- 3 -
資
料
編
目
次
用いられる。親水性官能基は、水中でイオン解離するものが適しており、主にアクリル
酸ナトリウムが使用されている。
要
約
3.対象技術に関する概要
高吸水性樹脂の対象技術は、原料と添加剤、重合技術、脱水技術、表面架橋技術、後
処理技術、特性評価技術、高機能化技術である。重合方法としては、水溶液重合法と逆
相懸濁重合法がある。高吸水性樹脂製造プロセスフローの概要図を下記に示した。
本
編
図 1-2
水溶液重合法プロセスと逆相懸濁重合法プロセスによる高吸水性樹脂製造フロー
①水溶液重合
第
1
部
原
料
部
分
中
和
アクリル酸(Na)
重合開始剤
水 ほか
重
合
脱
水
乾
燥
粉
砕
篩い上
表
面
処
理
②逆相懸濁重合
篩い上
粉砕
表
面
処
理
篩
い
分
け
乾
燥
篩い下
第
3
部
製
品
製造メーカー
日本触媒
BASF
ダウ
エボニック
SDPグローバル
他用途へ
(添加剤等)
篩い下
①水溶液重合
②逆相懸濁重合
第
2
部
篩
い
分
け
製
品
製造メーカー
住友精化
SDPグローバル
他用途へ
(添加剤等)
(1)原料
主流の高吸水性樹脂(ポリアクリル酸塩系)製造に使用される原料モノマーとして
は、通常アクリル酸が用いられる。該アクリル酸は苛性ソーダのようなアルカリで部
第
4
部
分中和されたアクリル酸ソーダとして用いられる。
アクリル酸の製造は、現在、そのほとんどがプロピレンを原料とし、これを直接空気
酸化してアクロレインとし、更に酸化して得られる。最近、プロピレンの代わりに、
天然物由来の原料としてヤシ油から得られるグリセリンを使用する方法が開発されて
第
5
部
いる。
(2)添加剤
高吸水性樹脂の製造工程では物性改良のために、重合開始剤、架橋剤、自己架橋抑
制剤、連鎖移動剤、キレート剤、界面活性剤、増粘剤等の種々の添加剤が使用されて
第
6
部
いる。
(3)重合技術
① 水溶液重合法プロセス
水溶液重合は、モノマー、架橋剤、熱重合開始剤を水に溶解して重合を行う。重
資
料
編
- 4 -
目
次
合熱の除去は容易であるが重合後の水の除去や粉砕が必要である。得られた粒子は
不定形破砕状粒子である。水溶液重合の重合方法として、熱重合開始剤を用いた熱
重合のほかに UV(Ultra Violet:紫外線)や EB(Electron Beam:電子線)等の放
射線を使用する方法等がある。
② 逆相懸濁重合法プロセス
要
約
逆相懸濁重合は、モノマー、架橋剤、重合開始剤の水溶液を有機溶剤中に分散し
重合する。重合時の分散剤種類と撹拌条件が粒径を左右する。脱水後の高吸水性樹
脂は、ビーズ状の単粒子あるいは、これらの単粒子が結合した凝集粒子となってい
るので、粉砕工程を経ず、通常そのまま表面処理工程に導かれ、表面処理が行われ
る。
本
編
(4)脱水技術
① 水溶液重合(バルク重合)の脱水技術
水溶液重合の場合は、通常の乾燥機を使用して脱水が行われる。
② 逆相懸濁重合の脱水技術
第
1
部
逆相懸濁重合の場合、重合後の反応スラリーは、有機溶剤と水との共沸により脱
水するか、静置分離により、有機溶媒相とゲル相を分離後、乾燥工程に送られる。
(5)表面架橋技術(後添加剤)
高吸水性樹脂を紙おむつ等に適用する場合には、加圧下で水分を吸収し、粒子同士
第
2
部
が融着して吸収した部分で滞留する(いわゆる“ままこ現象”)ことなく液を拡散する
機能が必要である。このために、表面近傍のみを選択的に架橋することが行われてい
る。表面架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能エポ
キシにより粒子表面近傍を架橋することが行われている。表面架橋により、粒子同士
の融着が防止でき、特に加圧下での吸水特性や水分の拡散性を確保している。
(6)後処理技術
後処理工程では、重合して得られた高吸水性樹脂の造粒、精製、粉体の流動性改良
等が行われる。精製の対象としては、残存モノマー、残存溶媒、残存水分、水可溶分
第
3
部
第
4
部
(オリゴマー、不純物等)、微粉等がある。
(7)特性評価技術
高吸水性樹脂の主要用途である衛生材料の主な特性評価項目を下記にまとめて示し
た。
第
5
部
第
6
部
- 5 -
資
料
編
目
次
表 1-3
高吸水性樹脂の衛生材料向けの主な特性評価項目
特性評価
評価項目
評価内容
衛生材用途(紙おむつ等)
要
約
本
編
第
1
部
0.9%生理食塩水、人工尿
加圧条件 ① 2.07kPa、② 4.83kPa 等
0.9%生理食塩水又は人工尿(遠心分離により物理的な付着水除去)
保水能
一般的に紙おむつメーカーとしては、実用的な面からこれを吸水能とし
て見る。
常圧下、加圧下にて測定
吸水速度
加圧条件 ① 2.07kPa、② 4.83kPa 等
通液性
耐ゲルブロッキング性の評価
ゲル強度
荷重下でのゲル破断点の測定
耐人尿安定性
樹脂のタンパク質やビタミン耐久性(1 歳未満の乳児の尿を想定)
耐塩濃度依存性 海水(3.5%食塩水)での吸水能
残存モノマー、水可溶分、平均粒径(通常 200~400μm)、
その他
粒子形状 不定形(球状単粒子は紙おむつの内部で偏在化し、均一に
分布しない) 等
平均粒径、粒径分布、粒子形状(不定形、球状)、粒子強度、加工性 等
吸水能
吸水特性評価
物理的特性評価
(8)高吸水性樹脂の技術開発
高吸水性樹脂の技術開発としては、吸水特性の更なる向上等による高性能化、天然
物由来原料等の再生可能原料を使用した環境性能の向上及び原材料費低減や工程合理
第
2
部
化等による低コスト化等が検討されている。
4.高吸水性樹脂の応用産業
(1)高吸水性樹脂の応用産業分野
高吸水性樹脂の各産業分野における主な用途例の概要について下記にまとめて示し
第
3
部
た。
表 1-4
高吸水性樹脂の応用産業
分野
第
4
部
第
5
部
衛生材料
農業・園芸
非衛生
材料
流通・搬送
電機・電子
土木・建築
化粧品
医療
その他
用途例
紙おむつ、生理用品、母乳パッド、失禁パッド 等
土壌保水剤、育苗シート、種子コーティング、肥料の徐放剤、農薬・肥料の崩壊
助剤、砂漠緑化資材 等
保冷剤、コンテナ用結露防止剤シート、鮮度保持剤、ドリップ吸収剤 等
通信ケーブル用止水材、アルカリ電池 等
シーリング工法、コンクリート養生用材、逸泥防止、シーリング材 等
保湿剤 等
創傷保護用ドレッシング材、廃血液固化剤、医療用アンダーパッド、発布剤、体
液吸収剤 等
塗料・接着剤:水濡れ塗料、水膨潤性塗料 等
日用雑貨:ゲル芳香剤、汗取りバンド、使い捨てカイロ、猫砂、ペットシート、消
臭剤、携帯トイレ 等
消火器、油中水分の除去、人工雪 等
第
6
部
資
料
編
- 6 -
目
次
第2章
市場環境調査
第1節
高吸水性樹脂の市場動向
1.世界の高吸水性樹脂の市場規模の推移
2012 年の世界の高吸水性樹脂の販売量は前年比 4.8%増の約 180 万トン、販売金額は
要
約
約 3,839 億円である。中国を始めとする新興国では生活水準の向上に伴い紙おむつの普
及拡大が続いており、高吸水性樹脂の需要も拡大していくものと予測される。今後とも
成長が期待される有望な市場である。
図 2-1
本
編
高吸水性樹脂の市場規模推移(世界市場)
300
予測
5,000
250
4,000
販
200
売
数
量 150
(
万
ト 100
ン
)
50
第
1
部
(
販
売
3,000 金
額
億
2,000 円
)
1,000
0
0
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
販売数量(万トン)
第
2
部
販売金額(億円)
出典:株式会社富士経済「2014 年液状樹脂市場の展望とグローバル戦略」
2.世界における高吸水性樹脂メーカーの販売シェア
高吸水性樹脂の世界市場は日本とドイツのメーカー5 社で世界需要の 90%以上を占有
第
3
部
している。日本のメーカー3 社は世界需要の約 48%を占めており、高い市場競争力を有
している。一方、ドイツのメーカー2 社は約 45%の市場占有率となっており、世界市場
を日本とドイツの二国で分け合っている状況である。
図 2-2
メーカー別販売シェア(2012 年実績、販売数量ベース)
その他
7.8%
E社
22.2%
A社
26.1%
第
5
部
日本のシェア
47.8%
ドイツのシェア
44.4%
B社
11.1%
D社
22.2%
第
4
部
C社
10.6%
出典:株式会社富士経済「2014 年液状樹脂市場の展望とグローバル戦略」
- 7 -
第
6
部
資
料
編
目
次
3.高吸水性樹脂のメーカー別及び、地域別の製造能力
2014 年 10 月現在の高吸水性樹脂メーカー別製造能力を表 2-1 に取りまとめた。日本
触媒は、日本、米国、欧州、中国、インドネシアに製造拠点があり、グローバルな事業
要
約
展開をしている。BASF も米国、欧州、中国、タイに製造拠点があり、今後ブラジルに製
造拠点を設ける予定である。エボニック、住友精化、SDP グローバルも欧米、アジア等
に拠点を設けている。エボニック以外の各社ともアジアに製造拠点を有しており、現在
の市場競争はアジアを中心に行われているものと考えられる。主要 5 社以外では中国、
台湾、韓国のメーカーが自国及び中国を中心に製造を行っており、今後主要 5 社の強力
本
編
な競争相手となることも考えられる。
表 2-1
高吸水性樹脂メーカー別製造能力(2014 年 10 月現在)
国・地域
第
1
部
メーカー
日本触媒
住友精化
日本
SDP グローバル
花王
BASF
エボニック
台湾プラスチック
宣興丹森科技
浙江衛星石化
LG ケミカル
ソン・ウォン
ドイツ
台湾
第
2
部
中国
韓国
製造拠点
日本、米国、ベルギー、中国、インドネシア
日本、シンガポール、フランス、韓国
日本、中国
日本
米国、ドイツ、タイ、中国、ブラジル
米国、ドイツ、サウジアラビア
台湾、中国
中国
中国
韓国
韓国
総計
製造能力
(トン/年)
560,000
287,000
280,000
10,000
510,000
506,000
70,000
100,000
30,000
70,000
5,000
2,428,000
増設計画
(トン/年)
50,000
99,000
80,000
60,000
239,000
出典:各種資料より三菱化学テクノリサーチが作成
第
3
部
第2節
応用産業の市場動向
1.高吸水性樹脂の分野・用途別需要構成
高吸水性樹脂の用途は、約 94%が衛生材料(乳幼児用紙おむつ、大人用紙おむつ、生
理用品
等)である。したがって、高吸水性樹脂の技術開発競争や市場競争の対象分野
は紙おむつや生理用品等の衛生材料分野である。
第
4
部
第
5
部
図 2-3
世界の高吸水性樹脂の用途別需要
その他
6%
衛生材料
94%
出典:株式会社富士経済「2014 年液状樹脂市場の展望とグローバル戦略」
第
6
部
2.紙おむつの世界市場規模の推移と予測
世界における 2013 年の紙おむつの販売量は前年比 4.2%増の約 1,459 億枚と見込まれ
ている。中国を始めとする新興国では生活水準の向上に伴い紙おむつの普及拡大が続い
ており、需要も拡大していくものと予測され、紙おむつは世界全体では今後とも成長が
資
料
編
- 8 -
目
次
期待される有望な市場を形成している。
図 2-4
世界の紙おむつの市場規模推移と予測
1,800
要
約
35,000
予測
1,600
30,000
1,400
25,000
販 1,200
売
数 1,000
量
( 800
億
枚 600
)
400
(
販
売
20,000 金
額
15,000 億
円
10,000 )
本
編
5,000
200
0
0
2011年
2012年
2013年
2014年
販売数量(億枚)
出典:株式会社富士キメラ総研
市場の将来展望」
2015年
2016年
2017年
販売金額(億円)
ケミカルレポート 2013 年 5 月 25 日号 No.1191「紙おむつ・マテリアル
第
1
部
3.地域別の紙おむつ市場規模推移及び予測
日本国内における紙おむつ市場の需要は飽和状況にあり、今後、少子化の影響を受け
て縮小傾向が予測される。また、米国や欧州等も同様に今後現状維持又は微減で推移す
ると予測されている。
一方、中国では、急激な経済成長を背景に乳幼児用紙おむつ需要が拡大しており、年
第
2
部
率約 15%で推移し、極めて注目される市場であると予測される。その他の ASEAN、中東、
中南米、アフリカ等の新興国も同様に経済成長とともに紙おむつの普及率が拡大し、需
要が拡大していくものと予測される。
図 2-5
地域別の紙おむつ市場規模推移及び予測
図 2-6
紙おむつ世界市場シェア
第
3
部
700
予測
600
販
売
数
量
(
億
枚
)
その他
27.6%
500
400
300
中国
7.5%
200
日本
10.3%
2012年
世界全体
1,400億枚
米国
22.5%
100
0
2012年
日本
2013年
米国
2014年
欧州
出典:株式会社富士キメラ総研
市場の将来展望」
2015年
中国
2016年
2017年
欧州
32.1%
その他
第
4
部
第
5
部
ケミカルレポート 2013 年 5 月 25 日号 No.1191「紙おむつ・マテリアル
4.中国の紙おむつ市場規模推移及び予測とメーカーシェア
2013 年の中国における紙おむつの販売金額は約 1,632 億円で、その後年率 15%前後で
第
6
部
成長していくと予測されている。中国の紙おむつ市場の主要プレーヤーは、P&G、ユニ・
チャーム、恒安集団(中国)、キンバリー・クラークである。高吸水性樹脂メーカーが中
- 9 -
資
料
編
目
次
国市場に展開していくためには、これら企業と協業しながら中国市場に合った高吸水性
樹脂の開発が望まれる。
要
約
本
編
第
1
部
図 2-7
販
売
金
額
(
億
円
)
中国の紙おむつ市場規模推移及び予測
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
図 2-8
予測
その他
21%
P&G
40%
キンバリー・
クラーク
8%
恒安集団
15%
2008
2009
2010
2011
2012
2013
出典:日本貿易振興機構「中国ベビー用品市場調査報告書」2012 年 3 月
「2011-2015 年中国母嬰用品市場深度調研及投資前景預測報告」
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
中国におけるメーカーシェア
(2010 年 販売金額ベース)
- 10 -
ユニ・
チャーム
16%
目
次
第3章
政策動向調査
第1節
政策動向
1.日本における科学技術政策、産業政策
日本における高吸水性樹脂関連の科学技術政策・産業政策として、経済産業省が所管
要
約
する社団法人日本沙漠開発協会(DDIJ)、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)、
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を介して実施しているもの、
環境省によるリサイクル関連や文部科学省が所管する JST を介して実施されている技術
開発プロジェクトがある。
科学技術政策・産業政策による技術開発プロジェクトの一覧を表 3-1 に示した。
表 3-1
本
編
日本の高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向
実施年
政策・プロジェクト等の名称
1988 年度~ 乾燥地帯における保水剤技術開発(グリーン・アース計画)
1992 年度
次世代廃棄物処理技術基盤整備事業(使用済み紙おむつの再使用および再
2001 年度
資源化によるリサイクル事業)
2003 年度~ 京都議定書目標達成産業技術開発促進事業(多糖類を用いた生分解性吸水
2004 年度
材の開発)
2006 年度~ エネルギー使用合理化繊維関連次世代技術開発 (廃棄衣料のリサイクル技
2008 年度
術及び高付加価値商品の開発)
2009 年度~ イノベーション推進事業/産業技術実用化開発費助成事業(バイオマスを原料
2010 年度
としたアクリル酸製造技術の開発)
2008 年度
・JST シーズ発掘試験(A 発掘型)
(木質系廃棄バイオマスから環境調和型高吸水性材料への変換技術開発)
2010 年度
・JST A-STEP(FS ステージ探索タイプ・有機化学分野)
(セルロースを用いた環境調和型高吸水性高分子の開発とその性能制御)
2011 年度
・JST 知財活用支援事業 知財活用促進ハイウェイ
(生分解性を有するセルロース系高吸水性ポリマーの実用化検証)
2011 年度
・JST A-STEP(FS ステージ探索タイプ)
(脱石油社会の実現に向けた生分解性を有する新規超吸収性マテリアルの創
成とその機能性評価)
2012 年度~ ・JST A-STEP(FS ステージ探索タイプ)
2013 年度
(生分解性吸水性高分子をマトリックスとした新規肥効調節型肥料の開発)
2012 年度~ ・JST A-STEP(震災復興FS-ステージ)
2013 年度
(新規吸液性ゲルを活用した放射性物質含有水溶液処理剤、土壌除染剤の
開発)
2013 年度
・JST 知財活用支援事業 知財活用促進ハイウェイ
(生分解性高吸水高分子の実用化促進研究開発)
主管
経済産業省/DDIJ
環境省
第
1
部
経済産業省/RITE
経済産業省
経済産業省/NEDO
第
2
部
第
3
部
文部科学省/JST
2.米国における科学技術政策、産業政策
米国では、バイオリファイナリーの分野において、技術力のあるベンチャー企業、関
第
4
部
第
5
部
連産業における主要企業及び政府が三位一体となって展開しており、この取りまとめは
米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)が行っている。バイオリファイナリー
の開発は、DOE 傘下のプログラムオフィスの一つであるエネルギー効率・再生可能エネ
ルギー局(EERE:Energy Efficiency and Renewable Energy)オフィスが統括しており、
天然物由来資源から、エタノールや他の燃料、及び化学品を低コストで効率良く生産す
第
6
部
る研究開発は、2003 年に開始された EERE の「Biomass Program( バイオマスプログラム)」
に基づいて実施されている。
- 11 -
資
料
編
目
次
米国における高吸水性樹脂関連の研究として、この「バイオマスプログラム」に基づ
き、天然物由来の資源を活用したプロジェクトが実施されている。
要
約
米国における高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向を表 3-2 に示した。
表 3-2
米国の高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向
実施年
政策・プロジェクト等の名称
主管
2003 年~2007 年 A New Biorefinery Platform Intermediate
米国エネルギー省(DOE)
The Production of Acrylic Acid via 3HPA from Renewable Raw
2008 年
DOE の補助
Materials
本
編
3.欧州における科学技術政策、産業政策
欧州では、欧州連合(EU)における科学技術の研究・開発に関する財政的支援制度で
ある「フレームワークプログラム」に基づいて科学技術政策が進められている。現在、
第
1
部
「フレームワークプログラム」は第 7 次計画(FP7)の段階にあり、第 6 次計画から継続
し、2007 年 1 月にスタートし、2013 年までの期間とされている。
フレームワークプログラムの資金による高吸水性樹脂関連の研究開発は、
「F³ Factory」
プロジェクトにおいて実施されている。
欧州における高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向を表 3-3 に示した。
第
2
部
第
3
部
表 3-3
主管
欧州委員会
欧州委員会の補助
欧州委員会
4.中国における科学技術政策、産業政策
中国における高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向を表 3-4 に示した。
表 3-4
第
4
部
欧州の高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向
実施年
政策・プロジェクト等の名称
2007 年~2013 年 F³ Factory project(第 7 次フレームワークプログラム:FP7)
2010 年~2012 年 The Diaper project
2014 年以降
EU Ecolabel Absorbent Hygiene Products
中国の高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向
実施年
2008 年
2012 年~
2013 年
政策・プロジェクト等の名称
砂漠化防止技術研究プロジェクト
衛生用高吸水性樹脂プロジェクト
計画生育政策(一人っ子政策)
主管
国家林業局
吉林省
国家衛生・計画生育委員会
5.韓国における科学技術政策、産業政策
第
5
部
韓国政府は近年、3R(リデュース、リユース、リサイクル)政策を推進しており、廃
棄物リサイクルの一部に実装されている主要な政策イニシアチブとして、廃棄物負担金
システム(リサイクルが簡単でないものや有害物質が含まれている製品に適用)、及び拡
大生産者責任制度がある。韓国における高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政
策動向を表 3-5 に示した。
第
6
部
資
料
編
表 3-5
韓国の高吸水性樹脂に関連する科学技術政策・産業政策動向
実施年
1993 年~
2012 年~
政策・プロジェクト等の名称
廃棄物課金システム
Biochemistry Fostering Strategy
- 12 -
主管
環境部
産業資源部
目
次
第2節
標準化動向
1.高吸水性樹脂関連の国際規格
ISO では、福祉用具に関連する技術委員会(TC:Technical Committee)は TC173 が担
当しており、TC173 には四つの分科委員会(SC:Subcommittee)と二つの作業部会(WG)
がある。四つの分科委員会のうちの一つである SC3 において尿吸収用品等のストーマ用
要
約
品に関する規格化作業が行われている。ISO/TC173/SC3(ストーマ・おむつ・収尿器、幹
事国スウェーデン)には、国内審議団体の排泄関連機器標準化協議会が正式に提出され
る 全 て の 問 題 及 び 照 会 原 案 と 最 終 国 際 規 格 案 ( FDIS:Final Draft International
Standard)に対する投票の義務を負う P メンバー 1(Participating member)として参加
している。
本
編
2.大人用紙おむつ国際標準の修正提案
日本の大人用の紙おむつには、
「 テープ止めタイプ」、
「 パンツタイプ」、
「 パッドタイプ」
等多様な製品が開発されており、使用者が生活状況や身体状況等に応じて製品を選択す
ることができる。これらを国際標準に反映させることにより、使用者の使い勝手が良く
第
1
部
なるとともに環境負荷の低減及び費用負担軽減にもなることが期待される。また、大人
用紙おむつに関する評価の一般的指針を国際標準とすることにより、日本企業による 日
本製の大人用紙おむつを高齢化が進むアジア市場等での展開を促進することが期待され
る。
大人用紙おむつの評価に関する一般的指針の国際標準化について、2013 年 8 月に日本
第
2
部
工業標準調査会(JISC)より ISO に提案され、2014 年 3 月 27 日、ISO より新規提案とし
て承認された。2014 年 4 月 14 日、正式に TC173/SC3 委員会に業務登録され、作業原案
(WD:Working Draft)の作成作業が開始された。今後、SC3 委員会に委員会原案(CD:
Committee Draft)を提出、ISO の技術委員会(TC173)で審議が行われ、各国のコンセ
ンサスが得られれば、国際標準として発行されることになる。2015 年中の ISO 15621 の
第
3
部
改訂発行を目指している。
3.高吸水性樹脂の日本工業規格
高吸水性樹脂の日本工業規格(JIS)として、1996 年に「高吸水性樹脂の吸水量試験
第
4
部
方法」の JIS K7223 及び「高吸水性樹脂の吸水速度試験方法」の JIS K7224 が制定され
た。
2008 年には、「ポリアクリル酸系高吸水性樹脂の空中浮遊量測定方法」の JIS K0307
が制定された。この規格は、国際規格 ISO 17191 での個人暴露量を測定する方法でのサ
ンプル捕集方法の記載がないことに対応させ、また、同等性能を持つサンプル捕集部品
第
5
部
を使用可能にすることにも対応させており、ISO 17191 の一部を変更して作成した日本
工業規格となっている。
第
6
部
1
票決のために正式に提出されるすべての案件に対する投票の責務を負い,業務に積極的に参加し,また会
議に貢献するメンバー
- 13 -
資
料
編
目
次
第4章
特許出願動向調査
第1節
要
約
調査対象と調査方法
1.使用したデータベースと検索式
「高吸水性樹脂」に関する出願を抽出するために、国際特許分類、高吸水性樹脂に関
連するキーワードを組み合わせて検索を行った。特許文献は Derwent World Patents
Index1(WPINDEX)(STN International2)で 2014 年 10 月 1 日に検索を実施した(STN
は American Chemical Society の登録商標である)。
本
編
2.調査対象国
日本、米国、欧州、中国、韓国、インド、ASEAN の 7 か国・地域において出願又は登
録された特許と、国際出願(PCT 出願)を対象とした。
第
1
部
また、一部の調査では、オーストラリアにおいて出願又は登録された特許も対象とし
ている。
世界の主要国の解析では、日米欧中韓印 ASEAN の 7 か国・地域の出願あるいは登録を
合計して「日米欧中韓印 ASEAN への出願」とした。
第
2
部
3.調査に用いたデータベースと、データベースへの特許文献の収録状況に関する注意
調査には Derwent World Patents Index 1(WPINDEX)(STN International 2)を使用し、
出願年(優先権主張を伴う出願にあっては優先権主張年)が 1980 年から 2012 年までの
33 年間の文献を抽出した。
ただし、特許文献が発行されてからデータベースに収録されるまでには数か月の期間
第
3
部
を要することに、注意が必要である。調査対象としたどの国・地域においても特許出願
が公開されるのは出願から 18 か月後であるが、PCT 出願については、国際出願公開は出
願から 18 か月後であるものの、各国への移行は原則として優先日から 30 か月後である。
したがって、本調査においてデータベースの検索は 2014 年 10 月 1 日に行ったが、優
先権主張年が 2011 年ないし 2012 年のデータについては、十分に収録されておらず、実
第
4
部
際より少ないデータになっている可能性がある。
上記1.~3.の条件に従って特許出願を検索し、日本特許文献約 14,800 件、外国特
許文献約 7,000 件について一次文献(公開公報あるいは登録公報の公報単位)を取得し、
要約等の確認によりノイズ除去を行った。一次文献について、特許請求の範囲、図面、
第
5
部
発明の詳細な説明等を読解の上詳細解析を行った。この一次抽出後の特許出願件数は、
日本への出願 7,194 件、米国への出願 4,171 件、欧州への出願 6,806 件、中国への出願
2,843 件、韓国への出願 1,107 件、インドへの出願 339 件、ASEAN への出願 461 件、PCT
国際出願 4,320 件であった。
解析の対象とした出願人国籍は、日本、米国、欧州、中国、韓国、インド、ASEAN の 7
第
6
部
か国・地域であり、それ以外はその他とした。
1
2
資
料
編
トムソン サイエンティフィック リミテッドの登録商標
ジ アメリカン ケミカル ソサイエティの登録商標
- 14 -
目
次
出願人の国籍は公報に記載されている出願人の住所を出願人の国籍とし、出願人が共
同出願人の場合は筆頭出願人の住所を採用した。グローバル企業については名寄せして
本社所在地の国を採用した。また米国公開公報に多く見られる出願人の記載のない公報
要
約
については、出願人の記載のあるファミリー特許がある場合はその国籍を採用、ない場
合は筆頭発明者の住所を出願人の国籍とした。
出願人名については、公報に記載されている名称を用いたが、合併や社名変更によっ
て出願人名が変更されている場合には、現在の社名で集計した。例えば、ヘキスト・セ
ラニーズ、クラリアント、ケムダールの出願特許は BASF に、ストックハウゼン、ダウ・
ケミカルの出願特許はエボニックに集約した。
グループ企業としては、製鉄化学、住友化学を住友精化に、三洋化成工業を SDP グロ
本
編
ーバルに集約した。また、名寄せ企業の表記に当たっては、英文表記等における表記ゆ
れを考慮した。また、名寄せ企業の表記に当たっては、英文表記等における表記ゆれを
第
1
部
考慮した。
第2節
全体動向調査
出願人国籍別の出願件数の推移と比率を、図 4-1(a)、図 4-1(b)に示す。また、出願人
国籍別の出願件数を三期に分けた出願人国籍別出願件数推移を、図 4-1(c)に示した。
1980 年から 1999 年にかけて穏やかな増加傾向を示しているが、2000 年以降は年によ
って増減はあるものの日米国籍出願人の出願件数は減少傾向にある。一方、欧州、中国
国籍出願人の出願件数は増加傾向で推移している。全体では、日本国籍出願人が最も多
第
2
部
くの特許出願を行っており、次いで米国籍出願人、欧州国籍出願人、中国籍出願人の順
になっている。
全体の出願件数における日米欧のⅡ期(1991 年~2001 年)とⅢ期(2002 年~2012 年)
の比較では、日本国籍出願人からの出願件数は減少しており、米国籍出願人は変化がな
く、欧州国籍出願人の出願件数は増加している。直近 11 年間のⅢ期においては、特に中
第
3
部
国籍出願人の出願件数が増加しているという特徴がある。
図 4-1(a)
1,600
優先権主張
1980-2012年
1,400
1,231
1,200
815
800
602
600
200
657
488 476
599 613
1,073
1,008
949
1,000
400
1,223
1,103
993
923
853
912 927
778
816 784
721
700 682
547
480
399 377 388
第
5
部
236
178 210 180
出願年(優先権主張年)
出願人国籍(地域)
日本
米国
欧州
中国
韓国
インド
ASEAN
その他
合計
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
0
1980
出
願
件
数
第
4
部
【日米欧中韓印 ASEAN への出願】出願人国籍別の出願件数推移
(出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
第
6
部
注)2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない
可能性がある。
- 15 -
資
料
編
目
次
図 4-1(b)
【日米欧中韓印 ASEAN への出願】出願人国籍別の出願件数比率
(出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
要
約
韓国籍
186件
0.8%
インド国籍
16件
0.1%
ASEAN国籍
5件
0.02%
中国籍
1,186件
5.2%
第
1
部
日本国籍
9,302件
40.6%
欧州国籍
5,920件
25.8%
本
編
合計
22,921件
米国籍
5,978件
26.1%
図 4-1(c)
その他
328件
1.4%
【日米欧中韓印 ASEAN への出願】三期に分けた出願人国籍別出願件数推移
(出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
10,000
日本国籍
第
2
部
3,260件
8,000
欧州国籍
出
願
件
数
6,000
韓国籍
2,726件
インド国籍
2,128件
2,736件
2,000
954件
1,038件
0
1980-1990年
12件
15件
0件
0件
44件
2,146件
70件
47件
ASEAN国籍
1,104件
5件
1991-2001年
3件
122件
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
中国籍
2,298件
4,000
第
3
部
米国籍
3,914件
- 16 -
2002-2012年
124件
11件
2件
162件
その他
目
次
日米欧中韓の 5 か国・地域での出願件数収支を、図 4-2 に示す。
日本国籍出願人は、米国、欧州に比較的多くの出願を行っており、中国への出願も多
い。一方で、他の国・地域から日本に対して行われている出願は少ない。米国籍出願人
要
約
は欧州に比較的多くの出願を行っており、欧州国籍出願人は米国に比較的多くの出願を
行っている。
図 4-2
出願先国別-出願人国籍別出願件数収支(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年)
:
1980 年~2012 年)
中国籍
2件
0.0%
日本への出願
7,194件
インド国籍
0件
0.0%
韓国籍
11件
0.2%
本
編
ASEAN国籍
0件
0.0%
その他
33件
0.5%
欧州国籍
838件
11.6%
米国籍
763件
10.6%
日本国籍
5,547件
77.1%
763件
第
1
部
838件
米国への出願
4,171件
欧州への出願
6,806件
2件
中国籍
8件
0.2%
韓国籍
23件
0.6%
インド国籍
3件
0.1%
ASEAN国籍
4件
0.1%
その他
111件
2.7%
11件
韓国籍
22件
0.3%
1,478件
1,002件
2,131件
中国籍
15件
0.2%
日本国籍
1,002件
24.0%
欧州国籍
1,190件
28.5%
1,190件
インド国籍
3件
0.0%
欧州国籍
3,059件
44.9%
15件
23件
米国籍
1,830件
43.9%
502件
中国への出願
2,843件
インド国籍
0件
0.0%
ASEAN国籍
1件
0.0%
韓国籍
14件
0.5%
504件
その他
68件
2.4%
日本国籍
597件
21.0%
中国籍
1,157件
40.7%
2件
14件
米国籍
502件
17.7%
韓国籍
114件
10.3%
日本国籍
1,478件
21.7%
第
3
部
196件
364件
424件
597件
その他
98件
1.4%
第
2
部
米国籍
2,131件
31.3%
22件
8件
ASEAN国籍
0件
0.0%
インド国籍
0件
0.0%
ASEAN
国籍
0件
0.0%
その他
7件
0.6%
日本国籍
364件
32.9%
中国籍
2件
0.2%
欧州国籍
196件
17.7%
韓国への出願
1,107件
第
4
部
第
5
部
米国籍
424件
38.3%
欧州国籍
504件
17.7%
第
6
部
- 17 -
資
料
編
目
次
本調査では、各国の国内段階に移行することになる国際特許出願(PCT 出願)件数の
推移と比率を図 4-3 に示す。出願年(優先権主張年)は 1980 年~2012 年の 33 年間につ
いて、調査を行っている。
要
約
PCT 出願は、1980 年から 1999 年まで増加傾向で、2000 年以降はほぼ一定の出願件数
で推移している。出願件数比率は米国と欧州からの出願が同程度であり、続いて日本か
らの出願が多い。日米欧で全体の約 95%を占めている。近年、特に日本からの出願が多
く、欧州からの出願と肩を並べるまでになっている。
本
編
図 4-3
出願人国籍別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率(出願年(優先権主張年):1980 年~
2012 年)
200
175
優先権主張
1980-2012年
135 137
1997
1995
1996
1994
6
1990
10
1991
4
1988
9
20
1989
8
1987
5
1985
0
1983
7
1984
2
22
59
83
137
出願人国籍(地域)
第
4
部
第
5
部
日本
米国
韓国籍
22件
0.8%
欧州
インド国籍
5件
0.2%
中国
インド
ASEAN国籍
1件
その他
0.0%
83件
3.1%
中国籍
13件
0.5%
日本国籍
621件
22.9%
欧州国籍
989件
36.5%
合計
2,711件
第
6
部
資
料
編
韓国
- 18 -
米国籍
977件
36.0%
ASEAN
その他
2012
2010
合計
2011
2009
2007
2008
2005
2006
2004
2002
2003
2000
2001
1999
1998
1993
1986
1981
1982
1980
0
出願年(優先権主張年)
第
3
部
159
142 144
44
36
23
60
81
164 166
120
115
出
願
100
件
数
50
第
2
部
169
152
150
1992
第
1
部
162
155
目
次
第3節
技術区分別動向調査
全特許文献について、どんな技術に注力して開発が行われているかを調べるため、技
術区分別、用途別、課題別の解析を行った。
まず、大分類別の解析として、図 4-4 に、技術区分(大分類)について出願人国籍別
の出願件数を示した。なお、バブル図の示す数値はバブル面積に対応している。
要
約
大分類に関して、日米欧国籍出願人とも「原材料」と「製造方法」に関する出願件数
が多い。中国籍出願人、韓国籍出願人では、
「原材料」に次いで「製造方法」に関する出
願が多く、特に、中国籍出願人では、「材料」の出願比率が他国籍出願人に比べて高い。
図 4-4
技術区分別出願人国籍別出願件数(大分類)
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優
先権主張年):1980 年~2012 年)
大
分
類
原材料
2,687
製造方法
2,690
特性評価
1,670
その他
1,081
1,170
621
2,150
2,035
1,181
667
368
69
第
1
部
73
9
2
3
1
55
本
編
85
185
30
4
39
第
2
部
51
35
日本
15
米国
欧州
5
中国
韓国
インド
出願人国籍(地域)
ASEAN その他
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 19 -
資
料
編
目
次
図 4-5 には、中分類の項目について出願人国籍別の分析結果を示した。日本国籍出願
人は、
「高吸水性樹脂としての性能」に関する出願が一番多く、原材料の「合成系モノマ
要
約
ー」が続いている。米国籍出願人では、「後加工」に続いて、「高吸水性樹脂としての性
能」に関する出願比率が高い。欧州国籍出願人では、原材料の「合成系モノマー」に続
いて、
「高吸水性樹脂としての性能」に関する出願比率が高くなっている。中国籍出願人
では、
「添加剤等」に関する出願が最も多く、次に原材料の「天然物」に関する出願比率
が高いという特徴がある。
本
編
図 4-5
第
1
部
技術区分別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張
年):1980 年~2012 年)
原
材
料
第
2
部
製
造
方
法
第
4
部
特
性
評
価
第
5
部
1,165
天然物由来系
モノマー
120
天然物
192
添加剤等
421
977
120
84
59
185
216
183
1,045
317
866
289
後添加物
963
394
829
91
その他
38
78
原料からの
不純物の除去
中
分
類
第
3
部
合成系モノマー
24
27
15
3
1
61
67
重合
981
後処理
949
リサイクル工程
57
後加工
749
681
495
その他
87
60
102
1,289
462
931
115
792
245
420
73
高吸水性樹脂
としての性能
一般物性
その他
35
日本
95
47
137
646
142
300
792
99
19
51
米国
69
7
35
3
1
1
2
1
15
26
1
1
34
33
2
9
2
17
2
部分中和
6
15
1
15
9
1
28
12
73
1
9
2
32
8
5
22
4
10
2
37
4
15
欧州
8
1
5
2
25
5
中国
韓国
インド
ASEAN
その他
出願人国籍(地域)
第
6
部
図 4-6 には、大分類「原材料」における中分類「合成系モノマー」の小分類について
出願人国籍別の分析結果を示した。日本、米国、欧州、中国、韓国籍の出願人共に「(メ
タ)アクリル酸塩系」に関する出願が一番多く、全体の半数以上がアクリル酸系のモノ
マーに関する出願特許である。次に「アクリルアミド」に関する出願が多い。
資
料
編
- 20 -
目
次
図 4-6
小
分
類
【大分類「原材料」の中分類「合成系モノマー」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日
米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
(メタ)アクリル酸塩系
887
スルホン酸塩
60
無水マレイン酸塩
47
アクリルアミド
164
ビニルアルコール
51
アルキレンオキシド
45
ポリアミン系
(メタ)アクリル酸エステル
N-ビニルアミド
N-ビニルラクタム
アクリロニトリル
イソシアネート
ジカルボン酸類
834
27
27
75
5
21
72
56
1
20
11
1
4
要
約
10
14
1
1
18
2
19
8
34
59
9
27
2
18
23
20
16
4
145
19
5
2
2
16
本
編
5
8
18
7
3
4
3
コハク酸イミド
その他
265
24
第
1
部
24
31
228
145
129
日本
米国
欧州
14
中国
13
韓国
インド
ASEAN その他
出願人国籍(地域)
図 4-7 には、大分類「原材料」における中分類「添加剤等」の小分類について出願人
第
2
部
国籍別の分析結果を示した。日本、米国、欧州、中国、韓国籍の出願人共に、
「内部架橋
剤」の出願比率が一番高く、次に多い「添加剤等」の項目としては、日本国籍出願人で
は、「界面活性剤」、米国、欧州、中国、韓国籍出願人ではいずれも「重合開始剤」の出
願比率が高い。
図 4-7
第
3
部
【大分類「原材料」の中分類「添加剤等」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日米欧中
韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
重合開始剤
重合安定化剤
24
159
63
7
13
内部架橋剤
464
連鎖移動剤
25
キレート剤
小
分
類
164
7
189
1
510
1
5
1
106
19
10
17
架橋抑制剤
1
11
4
6
14
4
1
分散剤
72
発泡剤
29
界面活性剤
198
水溶性樹脂
56
重合不活性
有機化合物
40
粘土鉱物
28
その他
108
1
7
2
25
27
45
57
7
19
第
4
部
3
2
第
5
部
3
89
18
20
18
3
14
2
1
2
60
2
4
日本
63
米国
7
124
欧州
4
2
中国
韓国
3
インド
出願人国籍(地域)
- 21 -
第
6
部
ASEAN その他
資
料
編
目
次
図 4-8 には、大分類「原材料」における中分類「後添加物」の小分類について出願人
国籍別の分析結果を示した。「後添加物」では、日米欧の国籍出願人共に「表面架橋剤」
要
約
に関する出願比率が高く、表面架橋技術の開発に注力していることが推測される。次に
多い後添加物としては、日本、欧州国籍出願人は、
「微粒子」に関する出願が多い。米国
籍出願人は、「消臭剤」に関する出願が多い。
図 4-8
【大分類「原材料」の中分類「後添加物」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日米欧中
韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
本
編
第
1
部
第
2
部
表面架橋剤
451
174
426
18
14
微粒子
155
32
91
11
12
消臭剤
56
40
53
抗菌剤
49
21
41
10
1
4
9
変色防止剤
16
付臭剤
12
還元剤
31
キレート剤
58
水溶性高分子
36
疎水化剤
29
界面活性剤
その他
3
2
3
36
1
4
4
10
13
8
11
30
13
15
20
1
1
9
10
176
日本
第
3
部
3
4
耐候性改良剤
小
分
類
11
2
132
米国
1
1
2
166
欧州
6
1
1
中国
韓国
インド
ASEAN その他
出願人国籍(地域)
図 4-9 には、大分類「製造方法」における中分類「重合」の小分類について出願人国
籍別の分析結果を示した。
「逆相懸濁重合法」に関する日本国籍出願人の出願比率は他の
第
4
部
国・地域と比較して非常に高い。逆相懸濁重合技術については日本が世界で高い技術力
を有していることが推測される。欧州国籍の出願人は、「水溶液重合法-気相重合法」に
関する出願比率が高い。欧州の BASF 等が気相液滴重合に関する技術開発に注力している
ことが推測される。
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 22 -
目
次
図 4-9
【大分類「製造方法」の中分類「重合」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日米欧中韓
印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
小
分
類
水溶液重合法静置重合
143
水溶液重合法ニーダー重合
71
水溶液重合法ベルト重合
86
水溶液重合法層状連続重合
17
水溶液重合法気相重合法
39
水溶液重合法支持体上での
加熱重合
97
逆相懸濁重合法
387
造粒(重合時)
55
その他
145
36
110
46
要
約
11
2
17
96
39
3
3
62
3
4
1
7
114
4
3
1
11
7
17
本
編
1
14
1
15
125
26
5
1
21
2
43
日本
6
5
第
1
部
141
米国
欧州
7
1
1
中国
韓国
インド
3
ASEAN その他
出願人国籍(地域)
第
2
部
図 4-10 には、大分類「製造方法」における中分類「後処理」の小分類について出願人
国籍別の分析結果を示した。日米欧の国籍出願人共に「表面架橋」に関する出願比率が
一番高い。各国・地域共に表面架橋の製造工程に関する技術開発に注力していることが
推測される。
図 4-10
【大分類「製造方法」の中分類「後処理」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日米欧
中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
精製
小
分
類
第
3
部
9
4
脱水・脱溶媒
27
22
ゲルの解砕、粉砕
64
27
乾燥
181
粉砕
64
分級
61
造粒
105
表面架橋
378
残存モノマー低減工程
33
68
粉体流動性改良工程
その他
10
6
3
2
160
24
15
23
1
4
2
7
1
3
2
60
6
5
23
37
12
135
360
第
5
部
15
5
1
43
7
残存溶媒低減工程
残存水分低減工程
第
4
部
3
第
6
部
1
5
1
5
160
5
69
13
175
1
日本
米国
欧州
中国
1
韓国
インド
出願人国籍(地域)
- 23 -
ASEAN その他
資
料
編
目
次
図 4-11 には、大分類「製造方法」における中分類「後加工」の小分類について出願人
国籍別の分析結果を示した。「後加工」では、日米欧国籍出願人共に「繊維との複合化」
要
約
に関する出願比率が一番高い。米国籍出願人には、P&G やキンバリー・クラークの 2 大
衛生材料メーカーがあり、紙おむつ向けにパルプと高吸水性樹脂の複合化の技術開発に
注力していることが推測される。
図 4-11
本
編
第
1
部
小
分
類
【大分類「製造方法」の中分類「後加工」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日米欧
中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
熱可塑性樹脂
との複合化
151
繊維との複合化
284
ゴムとの複合化
62
シート化
57
発泡マトリックス
との複合化
21
ポリマー間架橋
第
2
部
第
3
部
94
13
82
2
7
312
129
13
10
24
13
9
50
34
13
1
31
31
45
13
56
その他
203
日本
5
12
11
高吸性樹脂
同士の混合
68
115
米国
78
9
1
1
10
1
1
中国
韓国
インド
1
154
欧州
出願人国籍(地域)
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
2
1
5
- 24 -
ASEAN その他
目
次
図 4-12 には、大分類「特性評価」における中分類「一般物性」の小分類について出願
人国籍別の分析結果を示した。
「一般物性」については、各国籍出願人共に「平均粒径」、
「粒度分布」、「粒子形状」、「強度」に関する出願比率が高く、一般物性としては高吸水
性樹脂の粒子形態や強度に関して技術開発に注力しているものと推測される。
図 4-12
小
分
類
要
約
【大分類「特性評価」の中分類「一般物性」】技術区分別出願人国籍別出願件数(日米
欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
平均粒径
408
140
125
粒度分布
177
30
111
粒子形状
72
嵩密度(嵩比重)
73
架橋密度、架橋分布
13
6
5
29
本
編
6
9
5
11
8
2
pH
第
1
部
20
4
含水率
20
重量平均分子量と分布
38
粘度
11
強度
86
色調
19
7
2
1
1
6
2
13
2
9
40
42
31
2
2
第
2
部
23
6
粉塵量
その他
45
1
4
96
日本
4
25
米国
51
欧州
1
1
中国
韓国
1
インド
出願人国籍(地域)
ASEAN その他
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 25 -
資
料
編
目
次
高吸水性樹脂の「原材料」について出願人国籍別出願件数の推移を解析した。
「原材料」について出願件数推移と出願件数比率を図 4-13 に示した。日本国籍出願人
の出願が全出願件数のうちで一番多く、次いで欧州と続いている。2006 年以降日米欧国
要
約
籍出願人の出願が減少し、中国籍出願人の出願件数が増加している。
図 4-13
大分類(原材料)の出願人国籍別出願件数推移と出願件数比率
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
500
本
編
優先権主張
1980-2012年
400
405
337 330
297
出 300
願
件
数 200
134
151
72
1981
55
49
1983
67
1982
100
246
233
247 248
230 221
149
143
108
105
99
234
264
188
183
137
307
239
221
213
1980
第
1
部
267
278 281
出願年(優先権主張年)
第
2
部
第
3
部
第
4
部
出願人国籍(地域)
日本
米国
欧州
中国
インド
ASEAN
その他
合計
注)2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない
可能性がある。
韓国籍
69件
1.0%
インド国籍 ASEAN国籍
9件
2件
0.1%
0.0%
その他
73件
1.1%
中国籍
667件
9.9%
日本国籍
2,687件
39.9%
欧州国籍
2,150件
31.9%
米国籍
1,081件
16.0%
第
5
部
第
6
部
資
料
編
韓国
- 26 -
合計
6,738件
2012
2010
2011
2008
2009
2007
2005
2006
2003
2004
2001
2002
1999
2000
1997
1998
1995
1996
1993
1994
1991
1992
1989
1990
1987
1988
1985
1986
1984
0
目
次
「製造方法」について出願人国籍別出願件数の推移を解析し、出願件数推移と出願件
数比率を図 4-14 に示した。出願件数は 6,407 件で、日本国籍出願人の出願が全出願件数
の 42.0%と一番多く、次いで欧州国籍出願人、米国籍出願人と続いている。2007 年以降
要
約
中国籍出願人の出願件数が増加している。
図 4-14
大分類(製造方法)の出願人国籍別出願件数推移と出願件数比率
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
500
優先権主張
1980-2012年
400
412
本
編
318
287
出 300
願
件
数 200
100
249
229
155
90
55
245
224
153
146 137
144
302
283
198
177
132 128
287
256
250
226
201
111
262
306
150 153
第
1
部
61
52
28
2012
2010
2011
2008
2009
2006
2007
2004
2005
2003
2001
2002
1999
2000
1997
1998
1996
1994
1995
1992
1993
1990
1991
1989
1987
1988
1985
1986
1983
1984
1982
1980
1981
0
出願年(優先権主張年)
出願人国籍(地域)
日本
米国
欧州
中国
韓国
インド
ASEAN
その他
合計
注)2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない
可能性がある。
韓国籍
55件
0.9%
第
2
部
インド国籍 ASEAN国籍
3件
1件
0.05%
0.02% その他
85件
1.3%
中国籍
368件
5.7%
日本国籍
2,690件
42.0%
欧州国籍
2,035件
31.8%
米国籍
1,170件
18.3%
合計
6,407件
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 27 -
資
料
編
目
次
「特性評価」について出願人国籍別出願件数の推移を解析し、出願件数推移と出願件
数比率を図 4-15 に示した。出願件数は 3,730 件で、日本国籍出願人の出願が全出願件数
要
約
の 44.8%と一番多く、次いで欧州と続いている。
図 4-15
大分類(特性評価)の出願人国籍別出願件数推移と出願件数比率
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
300
優先権主張
1980-2012年
250
200
126
102
1980
1981
1982
1985
8
37
1986
13
35
1984
9
40
18
161
159
157
164
125
114
96
86
85
207
186
156
147
60
105
98
100
52
29
2011
2012
2010
2008
2009
2006
2007
2005
2003
2004
2002
2000
2001
1998
1999
1997
1995
1996
1993
1994
1992
1990
1991
1988
1987
0
1983
第
1
部
179
171
出
願 150
件
数
100
50
250
214
1989
本
編
241
出願年(優先権主張年)
出願人国籍(地域)
第
2
部
第
3
部
日本
米国
欧州
中国
第
5
部
インド
ASEAN
その他
合計
注)2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない
可能性がある。
韓国籍
30件
0.8%
中国籍
185件
5.0%
インド国籍 ASEAN国籍
4件
0件
0.1%
0.0%
その他
39件
1.0%
日本国籍
1,670件
44.8%
欧州国籍
1,181件
31.7%
第
4
部
韓国
米国籍
621件
16.6%
合計
3,730件
図 4-16 に出願人国籍別の用途に関する出願件数を示した。特に記載がない場合や数多
くの用途が記載されている場合のように、用途が特定できない場合を用途不特定とした。
用途としては、「衛生材料」に関する出願が一番多く、続いて、「農業・園芸用」、「医療
用」の出願が多い。日米欧国籍出願人共に、
「衛生材料」の出願比率が高く、
「衛生材料」
以外では、日本国籍出願人では、「農業・園芸用」、米国籍出願人及び欧州国籍出願人で
第
6
部
資
料
編
は、「医療用」の出願比率が高い。また、中国籍出願人では、「農業・園芸用」の出願比
率が他国籍出願人と比べて高い特徴がある。
- 28 -
目
次
図 4-16
用途の出願人国籍別の出願件数
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
衛生材料
2,746
農業・園芸用
1,412
570
2,225
149
365
273
51
30
流通・搬送用
100
12
大
分
類
電気・電子材料
112
医療用
286
建設・土木用
306
63
5
37
375
429
93
134
77
471
用途不特定
997
92
286
37
3
32
3
1
1
4
3
85
11
237
708
197
3
48
日本
米国
欧州
中国
韓国
第
1
部
59
2
10
281
本
編
4
2
14
用途その他
2
13
151
要
約
119
40
インド
第
2
部
ASEAN その他
出願人国籍(地域)
図 4-17 に用途別大分類の出願件数推移を示した。紙おむつ等の衛生材料に関する出願
が非常に多く、継続的に衛生材料の研究開発に注力していることがうかがえる。衛生材
料以外では、「農業・園芸用」及び「医療用」の出願件数が増加傾向で推移している。
225
175
278
194
91
62
55
57
96
41
68
23
24
24
21
2
30
19
5
19
37
12
5
29
11
38
12
29
42
41
35
25
21
35
71
63
27
41
66
66
91
15
1
45
14
11
79
15
1
23
7
17
14
65
27
44
63
92
66
19
77
11
20
36
7
出願年(優先権主張年)
14
22
8
4
64
19
5
63
18
8
82
4
6
75
21
8
53
9
4
29
43
39
23
27
53
43
89
83
96
81
72
128
12
2
27
16
20
72
5
7
10
8
21
11
4
14
48
3
40
13
16
36
57
57
21
25
27
27
57
88
71
39
97
83
101
117
120
55
64
14
34
5
第
4
部
29
2012
29
252
65
2011
5
342
75
2010
13
95
13
416
54
12
1
45
390
55
2009
56
17
450
27
2008
15
71
28
5
11
275
36
2007
14
26
13
257
52
2006
11
17
3
40
3
291
24
2005
2
9
5
293
43
2004
12
15
8
313
37
2003
15
30
2
14
11
283
26
2002
15
47
14
7
153
26
2001
9
28
20
6
47
2
170
37
2000
3
1
25
3
20
204
1999
17
3
163
1998
34
1997
221
28
1996
3
12
141
26
1995
14
256
37
1994
12
15
128
23
1993
12
8
13
1983
用途不特定
9
16
1982
用途その他
1981
建設・土木用
21
86
22
2
2
13
113
34
1992
3
電気・電子材料
医療用
20
111
37
1991
13
100
1990
2
11
95
1989
16
30
1988
30
1987
9
1980
大
分
類
63
1986
流通・搬送用
62
1985
衛生材料
農業・園芸用
用途別の大分類の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
1984
図 4-17
第
3
部
第
5
部
第
6
部
- 29 -
資
料
編
目
次
衛生材料以外の主要用途である「農業・園芸用」及び「医療用」の中分類の出願件数
推移を図 4-18、図 4-19 に示した。農業・園芸用では「土壌保水剤」、医療用では「創傷
保護用ドレッシング材」の出願件数が多く、今後の市場の広がりが期待される。
1
2
7
14
8
2
3
16
33
8
1
9
1
46
1
5
2
32
7
3
15
4
2
59
51
2
1
2
6
4
7
3
1
12
1986
5
2
1
19
13
10
1
1
2
10
7
8
2
2
6
1
37
62
4
4
4
6
4
1
36
2
2
2
2
45
2
7
2
5
6
1
8
2
2
1
1
6
1
10
3
3
5
16
2
2
6
2
1
2
2006
12
2004
1
39
6
2005
11
51
4
1
12
2002
1
8
1985
1984
8
2
1994
1
31
3
1992
3
1982
1
1
1983
1980
2
2
2
1
1981
1
1
2
1993
1
11
4
1
1
2
22
6
4
3
12
2
2
5
1
2011
2
1
2
12
4
4
2012
1
1
14
2003
1
2
1990
キノコ培地
2
23
2009
6
2010
14
2007
21
2000
2
その他
出願年(優先権主張年)
5
5
3
3
6
10
6
2
1
4
1
鼻腔用タンポン
13
4
6
2
13
18
12
1
1
5
13
20
10
17
31
12
25
22
29
29
52
28
26
23
9
21
25
14
20
14
4
1
11
6
1
1
2
9
9
4
20
4
2
5
4
5
5
1
8
1
1
1
1
1
1
外用軟膏剤
1
けい皮吸収材
1
医薬品担体
1
6
3
6
6
4
1
カテーテル
6
15
2
15
6
12
1
コンタクトレンズ
5
11
9
9
医療用材料
10
インプラント材料
5
9
1
3
2
4
3
6
5
2
15
2
1
1
7
1
1
5
1
1
1
3
14
2
1
4
4
11
2
7
1
1
5
1
6
5
4
15
6
2
2
1
4
2000
2002
2003
2004
1
3
9
1
9
4
8
3
2
7
12
17
1
3
2011
11
2012
1
2009
13
2010
7
2006
7
2005
2
2001
1996
1
1
1998
9
2
1
1999
10
1
1997
3
2
1994
4
7
1995
8
1992
1
6
1993
5
12
1990
5
1
1991
4
1988
3
1986
1982
1983
1980
1981
その他
1
1985
5
1984
8
2
3
3
血管用材料
1
1
6
11
1
細胞用担体
5
1
5
5
歯科材料
不特定
10
2
3
1989
中
分
類
2
2007
創傷保護用
ドレッシング材
体液、血液吸収材
用途【大分類(医療用)の中分類】の出願件数推移(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出
願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
2008
図 4-19
第
2
部
第
4
部
11
2001
1
農業フィルム
不特定
第
3
部
22
1991
1
肥料・農薬の溶出制御
第
1
部
8
2
緑化用資材
中
分
類
15
1987
本
編
20
2008
25
1998
15
1999
12
1996
6
1997
14
1995
8
種子コーティング材
1988
土壌保水剤
用途【大分類(農業・園芸用)の中分類】の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
1989
図 4-18
1987
要
約
出願年(優先権主張年)
中国籍出願人の主要用途である「農業・園芸用」に関しての中分類及び「農業・園芸
第
5
部
用」の技術課題の出願件数推移を図 4-20、図 4-21 に示した。また、中国籍出願人が出
願した「農業・園芸用」用途の出願人属性別出願比率を図 4-22 に示した。
「農業・園芸用」に関しての中国籍出願人の出願件数は 2000 年頃より増加しており、
その中で「土壌保水剤」に関する出願が最も多く、技術課題としては「吸水性能の向上」、
「高機能化」、「環境性能の向上」及び「コスト低減」の多方面から検討を進めている。
第
6
部
資
料
編
この用途の出願人属性としては大学が 46.9%と多くを占めており、大学を中心に技術開
発が行われていると推測される。
- 30 -
目
次
中国籍出願人の用途「農業用・園芸用」の中分類の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
1
1
1
1
2
緑化用資材
1
4
6
2
6
2
8
9
18
1
1
1
2
3
2
2
2
4
1
5
1
1
3
1
肥料・農薬の溶出制御
2
3
キノコ培地
2000
1999
1997
1998
1995
1993
1994
2
1991
1
1992
1
1989
1
1990
1
1988
1
1986
その他
1987
2
1984
1
1985
1
1982
1
1983
1
1980
1
1981
不特定
2
11
36
3
4
4
1
1
1
2
1
4
3
2
5
1
2
7
3
2
2
1
3
1
2006
4
2004
5
2002
1
2003
1
2001
1
2007
1
2005
農業フィルム
1996
中
分
類
7
1
10
37
2
要
約
6
9
1
3
2
4
2
3
3
2
4
1
3
2011
1
2012
1
2010
2
2008
土壌保水剤
種子コーティング材
2009
図 4-20
本
編
出願年(優先権主張年)
吸水性能の向上
1
1
高機能化
1
1
3
3
2
5
6
1
1
2
2
4
2
4
2
2
11
8
5
32
7
17
5
7
10
3
19
3
10
8
2
15
2
2
15
4
6
2011
中国籍出願人の用途「農業・園芸用」の技術課題の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
2012
図 4-21
第
1
部
快適性能の向上
環境性能の向上
2
1
安全性
コスト低減
2
1
1
1
1
1
2
1
2
2
2
3
3
10
2
2
1
2
1
1
11
6
課題その他
2009
2010
2008
2006
2007
2004
2005
2002
2003
2000
2001
1998
1999
1997
1995
1996
1993
1994
1991
1992
1989
1990
1987
1988
1986
1984
1985
1982
1983
1980
1
1981
課
題
第
2
部
出願年(優先権主張年)
図 4-22
中国籍出願人の用途「農業・園芸用」の出願人属性別出願件数比率
大学を含まな
い共同出願
14件
5.1%
企業
57件
20.9%
個人
53件
19.4%
研究機関
14件
5.1%
大学との
共同出願
7件
2.6%
第
3
部
第
4
部
大学
128件
46.9%
合計
273件
第
5
部
第
6
部
- 31 -
資
料
編
目
次
大分類(原材料)の主要な中分類・小分類項目の出願件数推移を図 4-23 に示した。
「合
成系モノマー」と「内部架橋剤」に関する出願は、年により増減はあるものの毎年コン
スタントに出願されている。「表面架橋剤」は、年により増減はあるものの 1990 年から
要
約
2007 年にかけて出願件数が多い傾向がある。
33
43
23
28
82
47
86
85
64
101
84
49
95
66
64
80
50
145
116
97
92
97
94
90
145
173
104
84
101
56
110
116
40
内部架橋剤
6
20
20
9
55
12
39
28
33
43
46
25
36
40
36
33
35
47
39
55
47
60
38
41
66
84
31
37
61
42
59
32
44
表面架橋剤
13
5
12
10
15
37
16
11
17
5
52
18
35
37
53
25
4
47
83
54
63
23
30
52
106
71
29
74
26
14
29
21
6
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
分
類
合成系モノマー
1980
本
編
大分類(原材料)の中分類・小分類項目の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
1981
図 4-23
第
1
部
出願年(優先権主張年)
大分類(製造方法)における主要な中分類・小分類項目の出願件数推移を図 4-24 に示
第
2
部
した。
「水溶液重合法」に関する出願は、1993 年から 2007 年にかけて件数が増加してい
る。
「逆相懸濁重合法」では、1985 年から 1992 年及び 2003 年から 2011 年に出願件数が
増加している。「重合」以降の「後処理」については 2010 年まで増加傾向で推移してい
る。
「後加工」については、2006 年まで出願件数は増加傾向で推移し 2007 年以降は減少
傾向である。
23
20
6
18
28
28
21
37
50
42
40
50
41
57
58
68
69
31
53
46
22
21
6
5
14
17
22
23
29
40
23
23
8
7
25
8
13
12
11
13
5
5
23
21
31
21
20
20
18
50
35
3
2
29
22
27
31
37
38
52
52
46
55
55
68
56
58
102
84
59
65
49
83
110
95
169
125
105
106
124
152
38
55
23
11
20
37
45
49
47
46
40
92
38
105
70
45
73
36
104
108
97
92
104
91
100
111
111
84
19
47
35
46
36
49
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
26
16
1992
後加工
18
1991
12
41
1990
16
19
1989
後処理
28
1988
5
29
1987
3
9
1986
逆相懸濁重合法
6
1985
12
1984
3
1983
水溶液重合法
1982
第
5
部
大分類(製造方法)の中分類・小分類項目の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
1980
第
4
部
図 4-24
1981
第
3
部
3
分
類
出願年(優先権主張年)
大分類(特性評価)における主要な中分類・小分類項目の出願件数推移を図 4-25 に示
した。「無加圧下吸水倍率」及び「加圧下吸水倍率」については、2005 年頃までは出願
第
6
部
資
料
編
件数は増加傾向であったが、その後件数は減少傾向で推移している。
「平均粒径」及び「粒
径分布」は 2003 年から 2005 年にかけて出願件数が多い。
- 32 -
目
次
31
37
53
41
17
12
17
25
18
13
15
2
6
3
9
8
20
35
39
30
33
36
42
35
71
36
25
79
80
90
58
19
30
21
28
19
1
23
1
3
4
21
17
44
4
6
6
3
2
1
9
5
2
3
9
2
3
18
6
7
8
12
13
21
23
13
16
14
16
54
25
35
10
16
15
16
30
6
1
14
3
10
3
4
5
8
4
10
17
35
27
27
5
18
2
9
10
5
1
3
15
7
1
5
2
11
4
7
13
10
8
7
6
11
1
14
8
10
6
4
2012
12
69
2010
5
2011
12
5
2009
1
6
2007
5
2008
1986
31
2005
1984
29
2006
2
13
2003
5
15
2004
1
26
2002
1
8
2000
4
40
2001
4
25
1999
8
1985
1983
1981
1982
1980
強度
1
17
1997
1
9
10
1998
粒度分布
4
21
1996
1
9
6
1994
7
16
1995
分 残存モノマー量
類
平均粒径
7
1992
6
5
1993
加圧下吸水倍率
10
1990
13
1991
4
1989
6
1987
無加圧下吸水倍率
大分類(特性評価)の中分類・小分類項目の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
1988
図 4-25
6
要
約
本
編
出願年(優先権主張年)
高吸水性樹脂に関する特許について、「技術的課題」の解析を行った。
課題の大分類(吸水性能の向上)における中分類項目に関して出願人国籍別分析を行
った結果を図 4-26 に示した。日米欧中韓印 ASEAN 国籍出願人共に、「吸水倍率」に関す
第
1
部
る出願が一番多い。次に日韓国籍出願人では、
「吸水速度」の出願比率が高く、米欧中国
籍出願人では、「保水能」の出願比率が高い。
図 4-26
【大分類(吸水性能の向上)の中分類項目】出願人国籍別技術的課題の出願件数
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
吸水倍率
保水能
吸水速度
1,253
506
403
275
763
492
133
59
1
89
728
194
278
15
2
11
13
48
5
15
課
題
透過速度(通液性)
376
128
332
ゲルブロッキングの防止
285
204
248
血液吸収性向上
14
5
12
6
10
吸水性制御
27
その他
39
21
31
日本
米国
欧州
第
2
部
25
第
3
部
1
2
2
第
4
部
1
3
6
中国
韓国
インド
ASEAN
その他
出願人国籍(地域)
第
5
部
課題の主要な大分類の出願件数推移を図 4-27 に示した。「吸水性能の向上」や「高機
能化」について出願件数が増加傾向で推移しており、注力して開発が進められていると
推察される。
「コスト低減」について、出願件数が多い状態で推移しており、継続してコ
スト低減に注力していると推察される。
- 33 -
第
6
部
資
料
編
目
次
図 4-27
吸水性能の向上
50
49
32
52
103
69
98
97
91
152
207
135
87
152
192
154
129
214
210
196
197
163
168
327
253
283
234
174
154
182
233
188
107
高機能化
50
38
25
37
56
113
122
119
89
153
123
92
203
105
147
138
90
218
148
174
190
155
189
201
180
242
148
141
151
179
222
89
139
19
15
25
37
29
33
45
55
56
61
69
68
87
95
47
26
27
29
54
37
43
43
20
28
29
32
18
16
76
52
38
60
54
28
26
74
42
62
17
60
70
48
31
53
15
10
11
163
41
15
8
83
13
17
7
130
1
120
10
11
95
7
2
10
118
36
33
16
2011
27
14
90
9
72
1
2012
16
6
110
2009
5
73
2010
9
2
80
2007
21
4
81
2008
14
7
50
2005
1
91
2006
9
27
2004
11
7
43
2002
13
12
70
2003
15
10
45
2000
4
39
2001
8
20
1998
3
7
38
1999
6
4
41
1996
2
7
37
1997
4
13
75
1994
10
5
39
14
34
1995
7
7
76
1993
1
3
36
1991
7
8
27
8
1992
9
7
21
1989
31
10
11
1990
3
8
3
14
1987
1
17
1988
2
16
10
8
1985
11
10
1986
1
1980
本
編
9
7
40
7
1983
課題その他
11
7
1984
安全性
コスト低減
3
6
1982
快適性能の向上
課
題 環境性能の向上
1981
要
約
技術的課題(大分類)の出願件数推移
(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年):1980 年~2012 年)
出願年(優先権主張年)
注)2011 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない
可能性がある。
第
1
部
第4節
出願人別動向調査
特許出願件数分析では、出願人別の出願件数ランキングを求めた。ランキングに当た
っては、完全子会社になっている場合や買収されている場合には、特許出願件数を親会
社や買収会社に統合した。
第
2
部
日本、米国、欧州、中国、韓国、インド、ASEAN への出願件数上位の出願人ランキン
グを表 4-1 に示した。調査期間全体では、日本触媒が最上位にあり、ドイツの BASF やエ
ボニックが続いている。次に米国の P&G が 4 位、住友精化が 5 位、SDP グローバルが 6
位、米国のキンバリー・クラークが 7 位、花王が 8 位、三菱化学が 9 位、ユニ・チャー
ムが 10 位に入っている。全体として、日本メーカーは 10 位内に過半数以上のメーカー
第
3
部
がランクインしており、日本で高吸水性樹脂の技術開発が継続的に行われていることが
うかがえる。
表 4-1
第
4
部
第
5
部
出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張
年):1980 年~2012 年)
優先権主張年:1980-2012 年
順位
出願人
出願件数
1 日本触媒
1,548
2 BASF(ドイツ)
1,381
3 エボニック(ドイツ)
984
4 P&G(米国)
644
5 住友精化
411
6 SDP グローバル
311
7 キンバリー・クラーク(米国)
299
8 花王
288
9 三菱化学
278
10 ユニ・チャーム
第
6
部
208
注目出願人として、表 4-1 の出願件数が 10 位までの日本 6 社(日本触媒、住友精化、
SDP グローバル、花王、三菱化学、ユニ・チャーム)、米国 2 社(P&G、キンバリー・ク
ラーク)、欧州 2 社(BASF、エボニック)の合計 10 社を選び、これらの企業の高吸水性
資
料
編
樹脂分野における特許出願件数の推移により、出願動向の特徴把握を試みた。注目出願
- 34 -
目
次
人 10 社の技術的な特徴を調べるため、大分類についての出願件数を図 4-28 に示した。
全般的に大分類の「製造方法」に関する出願が多いが、エボニック、SDP グローバル、
花王は「原材料」に関する出願が多い。
図 4-28
大
分
類
注目出願人の大分類の出願件数(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年)
:
1980 年~2012 年)
原材料
734
762
654
290
218
214
119
169
141
77
製造方法
990
968
527
340
237
115
207
102
210
148
特性評価
684
420
416
243
132
147
84
106
91
32
その他
5
日本触媒
7
BASF
37
1
エボニック
P&G
3
住友精化
本
編
第
1
部
7
SDP
キンバリー・
グローバル クラーク
要
約
花王
三菱化学 ユニ・チャーム
出願人
注目出願人 10 社の製造方法(重合方法)の出願件数を図 4-29 に示した。高吸水性樹
第
2
部
脂メーカー5 社で比較すると、日本触媒、BASF、エボニック、SDP グローバルは「水溶液
重合法」に関する出願比率が高い。一方、住友精化と花王、三菱化学は「逆相懸濁重合
法」に関する出願比率が高い。また、BASF は「気相重合法」の出願比率が高いという特
徴がある。BASF は既存設備を気相液滴重合法による製造設備に改造することを発表して
おり、「気相重合法」に関する技術開発に注力していると推察される。
図 4-29
注目出願人の製造方法(重合方法)の出願件数(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年
(優先権主張年):1980 年~2012 年)
水溶液重合法
186
水溶液重合法-気相重合法
重
合
方
法
2
184
49
7
21
9
112
4
6
支持体上での加熱重合
23
10
逆相懸濁重合法
59
30
11
日本触媒
BASF
エボニック
2
8
149
6
P&G
住友精化
10
6
2
SDP
キンバリー・
グローバル クラーク
13
22
23
15
51
花王
三菱化学
出願人
第
3
部
第
4
部
1
11
ユニ・
チャーム
第
5
部
第
6
部
注)水溶液重合法は、静置重合、ニーダー重合、ベルト重合、層状連続重合の合計値
- 35 -
資
料
編
目
次
注目出願人 10 社の用途別出願件数を図 4-30 に示した。各社共に「衛生材料」に関す
る特許出願が一番多い。「衛生材料」以外の用途としては、日本触媒、BASF、住友精化、
SDP グローバル、花王、三菱化学、ユニ・チャームは「農業・園芸用」、エボニック、P&G、
要
約
キンバリー・クラークが「医療用」の出願比率が高い。また、住友精化は「電気・電子
材料」の出願比率が比較的高い。
図 4-30
本
編
第
1
部
第
2
部
注目出願人の用途別の出願件数(日米欧中韓印 ASEAN への出願、出願年(優先権主張年)
:
1980 年~2012 年)
衛生材料
用
途
1,134
988
684
農業・園芸用
174
202
64
流通・搬送用
43
48
44
1
28
電気・電子材料
23
医療用
38
86
81
建設・土木用
41
40
46
用途その他
46
90
275
186
10
7
10
14
23
9
11
20
12
21
38
33
60
325
281
202
51
65
日本触媒
BASF
エボニック
P&G
住友精化
1
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 36 -
233
158
29
59
4
22
186
10
4
1
64
3
1
1
9
20
2
14
19
35
SDP
キンバリー・
グローバル クラーク
出願人
資
料
編
261
43
23
24
用途不特定
570
32
78
花王
三菱化学
5
5
16
ユニ・
チャーム
目
次
第5章
研究開発動向調査
第1節
調査対象と調査方法
1.調査対象
日本及び外国における学術雑誌や専門誌、学術会議で発表された論文(以後、単に「論
要
約
文」と記載する。)について調査を行った。調査対象期間は、発行年ベースで 1980 年~
2013 年の 34 年間である。
2.使用したデータベース
本調査のデータベースには、JSTPlus、JST7580(JDreamⅢ)を使用した。
本
編
JSTPlus、JST7580 は、国内外の科学技術に関する論文を収録しているデータベースで
あり、高吸水性樹脂も収録対象としている。
検索で得られた論文は 1,388 件であった。ノイズ除去を行った結果、解析対象として
586 件を抽出した。
第
1
部
3.論文の解析法
研究開発動向調査では、主要国際誌 145 誌について解析を行った。
原則、日本語での発表論文は解析対象外としているので、日本からの研究発表の場が
国際論文誌ではないものについては含まれていないことに留意が必要である。
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 37 -
資
料
編
目
次
第2節
全体動向調査
図 5-1 には、研究者所属機関国籍別論文件数の推移を示した。論文件数は 34 年間で
586 件と全体的に非常に少ない。大学などの機関による高吸水性樹脂そのものの研究開
要
約
発は活発に行われていないものと推察される。
論文件数は緩やかな増加傾向で推移しており、研究者所属機関国籍別では、中国から
の論文件数が一番多く、全体の 25.6%である。次いで欧州が 18.3%、インドが 12.5%
で続いており、日本からの発表は少ない。
本
編
図 5-1
研究者所属機関国籍別論文件数推移と論文件数比率(論文発表年:1980 年~2013 年)
60
53
論文発表年
1980-2013年
50
40
発
表 30
件
数
20
34
26
15
0
0
1
0
0
0
1980
1982
1983
1984
1985
1986
1987
7
7
1994
0
8
1992
0
1981
2
1993
14
6
4
23
8
論文発表年
日本
米国
ASEAN国籍
15件
2.6%
欧州
その他
108件
18.4%
中国
韓国
インド
日本国籍
52件
8.9%
米国籍
69件
11.8%
欧州国籍
107件
18.3%
韓国籍
12件
2.0%
合計
586件
第
5
部
第
6
部
- 38 -
ASEAN
その他
合計
2013
2011
2012
2010
2008
2009
2006
2007
2004
2005
2003
2001
2002
1999
2000
1997
1998
1996
1995
1990
1991
1988
0
中国籍
150件
25.6%
資
料
編
28
16
15
インド国籍
73件
12.5%
第
4
部
32
31
20
研究者所属機関国籍(地域)
第
3
部
24
23
10
第
2
部
39
38
30
1989
第
1
部
43
39
目
次
図 5-2 には、研究者所属機関国籍別論文件数を三期(1980 年~1990 年、1991 年~2001
年、2002 年~2013 年)に分けた推移を示した。論文件数は、全体として増加しているが、
研究者所属機関国籍別では、日本と米国からの論文件数は減少している。一方、中国や
欧州、インドでは 2002 年~2013 年の期間において論文件数が増加している。
図 5-2
要
約
研究者所属機関国籍別論文件数推移(論文発表年:1980 年~2013 年、三期)
400
350
300
17件
19件
日本国籍
63件
米国籍
欧州国籍
250
発
表
件
数
本
編
131件
中国籍
200
33件
8件
45件
4件
100
55件
35件
5件
0
16件
9件
0件
29件
1980-1990年
0件
1991-2001年
インド国籍
10件
19件
2件
50
第
1
部
韓国籍
150
ASEAN国籍
5件
76件
第
2
部
その他
2002-2013年
2件
0件
3件
図 5-3 には、高吸水性樹脂に関する論文件数と特許出願件数の経年変化の関係を分析
した結果を示している。特許出願件数の約 2 万件に対して、論文件数は約 600 件で非常
に少ない。特許出願件数は 2000 年まで増加し、その後減少傾向で推移しているが、論文
発表件数は緩やかな増加傾向で推移している。これは、ここ 10 年間は、欧州や中国、イ
第
3
部
ンドの発表件数が増加していることによるものである。中国及びインドでの高吸水性樹
脂の研究開発が活発になっていることがうかがえる。
図 5-3
特許出願件数と論文発表件数の推移(特許出願年(優先権主張年): 1980 年~2012 年、
論文発表年:1980 年~2013 年)
1,600
80
第
4
部
特許
特 1,200
許
出
願 800
件
数
400
60
論文
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
0
年
- 39 -
論
文
40 発
表
件
数
20
第
5
部
0
第
6
部
資
料
編
目
次
第3節
技術区分別動向調査
技術区分別動向の分析を行った。特許では、全体的に製造方法と原材料に関する出願
要
約
が多かったが、図 5-4 に示すように論文では、原材料に関するものが多い。研究者所属
機関国籍別の「その他」では、イランからの発表が 41 件と多い。
図 5-4 【大分類】技術区分別-研究者所属機関国籍別論文件数(論文発表年:1980 年~2013 年)
本
編
大
分
類
第
1
部
原材料
43
58
97
132
10
62
13
95
製造方法
10
11
15
26
2
12
3
20
特性評価
7
7
11
13
1
6
1
8
その他
第
2
部
2
日本
米国
欧州
中国
韓国
インド ASEAN その他
研究者所属機関国籍(地域)
図 5-5 には、課題(大分類)の研究者所属機関国籍別の分析結果を示した。全体的に、
第
3
部
「吸水性能の向上」や「高機能化」に関する発表が多い。
図 5-5
課題(大分類)別-研究者所属機関国籍別論文件数(論文発表年:1980 年~2013 年)
第
4
部
吸水性能の向上
30
41
72
107
8
56
10
84
高機能化
20
26
32
58
6
15
6
28
12
9
3
15
1
13
1
8
2
1
5
1
3
1
4
4
1
1
1
欧州
中国
快適性能の向上
第
5
部
第
6
部
課
題
環境性能の向上
安全性
コスト低減
1
課題その他
1
日本
米国
1
韓国
インド ASEAN その他
研究者所属機関国籍(地域)
資
料
編
- 40 -
目
次
図 5-6 には、主要な課題項目の論文件数の推移を示した。
「吸水性能の向上」と「高機
能化」に関する発表が 1988 年頃から始まり、その後増加傾向で推移している。また、
「環
境性能の向上」に関する発表も件数は少ないものの 1992 年より継続的に発表されている。
図 5-6
要
約
課題項目の論文発表件数の推移(論文発表年:1980 年~2013 年)
吸水性能の向上
1
高機能化
1
3
10
4
5
6
6
7
18
26
12
12
17
16
5
17
18
22
35
20
28
23
28
29
17
22
1
1
5
1
3
1
1
8
7
12
3
3
8
8
2
6
9
8
6
12
11
9
11
26
12
17
1
1
1
2
3
2
3
1
1
2
1
4
5
2
3
2
2
10
6
10
1
1
2
2
快適性能の向上
1
2011
2012
2009
1
2010
2007
2005
2006
1
1
2013
2
2004
1998
論文発表年
1999
1996
2
1
1997
1994
1995
1992
1
2000
1
1993
1990
1988
1989
1986
1987
1984
1985
1982
1983
1980
1
1991
課題その他
1
2008
6
本
編
1
2002
コスト低減
1
2003
安全性
2001
環境性能の向上
1981
課
題
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 41 -
資
料
編
目
次
第4節
研究者所属機関・研究者別動向調査
研究者所属機関別の論文件数ランキングを表 5-1 に示した。上位には大学が多く入っ
要
約
ており、高吸水性樹脂は、主に大学で研究開発が進められている。特に、イラン、中国、
トルコ、インド、台湾、エジプト等の新興国の大学が研究開発を進めていることがうか
がえる。
表 5-1
研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング(論文発表年:1980 年~2013 年)
順位
本
編
第
1
部
研究者所属機関
1 シャリフ工科大学(イラン)
23
2 中国科学院蘭州化学物理研究所(中国)
21
3 アイドゥン メンデレス大学(トルコ)
16
3 中国科学技術大学(中国)
16
5 Sri Krishnadevaraya Univ.(インド)
14
6 大同大学(台湾)
13
7 National Center for Radiation Res. and Technol.(エジプト)
10
8 華僑大学(中国)
9
8 蘭州大学(中国)
9
8 イラン高分子・石油化学研究所(イラン)
9
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
件数
- 42 -
目
次
第6章
調査結果の分析
市場環境からは、中国を始めとする新興国では紙おむつの普及拡大が続いており、先進
国では高齢化に伴い大人用紙おむつの需要増大が見込まれ、高吸水性樹脂の需要も今後と
も成長、拡大していくことが期待される。高吸水性樹脂の世界シェアは、日本触媒と BASF、
要
約
エボニック、住友精化、SDP グローバルの 5 社で世界需要の 90%以上を占有している寡占
市場である。日本のメーカーは世界需要の約 48%を供給しており、高い市場競争力を有し
ている。主要 5 社以外では中国、台湾、韓国のメーカーが自国及び中国を中心に製造を行
っており、今後主要 5 社の強力な競争相手となるものと推測される。
主要企業では継続的に技術革新が進められ、例えば、BASF は「気相液滴重合法」による
本
編
高吸水性樹脂の生産を計画しており、住友精化では、
「逆相懸濁重合法」の改良により、
「高
吸水量」で「加圧下吸水倍率」の高い樹脂の製造技術を確立したことを発表した。こうし
た技術開発により、更に高品質で高性能な高吸水性樹脂の製造が行われ、市場開発競争が
ますます激しくなっていくものと考えられる。
第
1
部
政策動向及び標準化動向調査から、日米欧を中心とした国家プロジェクトにより、天然
物由来資源を原料としたアクリル酸、ポリアクリル酸等の高吸水性樹脂関連バイオベース
化学品の開発が進められており、今後地球温暖化防止やエネルギー・環境対策に向けて革
新的な技術開発が推進されていくことが期待される。また、廃棄物削減の観点から、欧州
を中心に高吸水性樹脂の主用途である紙おむつから高吸水性樹脂を回収する再生プロセス
第
2
部
の技術開発が進められている。また、欧州では、吸収性衛生用品のエコラベルが提案され
ており、今後高吸水性樹脂の基準(残存モノマー濃度、アクリルアミド不使用等)が更に
厳しくなることが予想される。
日本製大人用紙おむつのノウハウを組み込んだ ISO 15621 の修正案が提案され、2015 年
の改訂発行を目指している。国際標準化により、使用者の使い勝手が良く、環境負荷の低
第
3
部
減及び費用負担軽減ができ、日本製の大人用紙おむつの高齢化が進むアジア市場等への展
開を促進することが期待される。
産業政策としては、中国等において砂漠化防止のための高吸水性樹脂を活用した保水剤
の開発が進められており、今後、高吸水性樹脂の高機能化により砂漠化防止に寄与する高
第
4
部
吸水性樹脂が開発されていくものと考えられる。
特許出願動向調査から、特許出願件数では日本がリードし、日本の技術優位性が維持さ
れていると推察されるが、欧州国籍出願人の出願件数は、全体の 2 割強と多く、BASF、エ
ボニック等の欧州の高吸水性樹脂メーカーの存在が大きいと考えられる。一方、中国籍出
第
5
部
願人の出願件数は非常に少なく、中国高吸水性樹脂メーカーの戦略として、現状、高吸水
性樹脂の高機能化ではなく、従来技術で対応可能な汎用高吸水性樹脂の生産に特化してお
り、高吸水性樹脂の技術開発が十分に進められていないと推察される。
用途としては、
「衛生材料」に関する出願が一番多く、全体の 6 割弱が「衛生材料」に関
する出願である。続いて、
「農業・園芸用」や「医療用」に関する出願が多い。中国籍出願
第
6
部
人では、
「農業・園芸用」の出願比率が他国籍出願人と比べて高く、これらの出願は大学か
らの出願が多い。
- 43 -
資
料
編
目
次
技術課題の大分類の出願件数推移は、
「吸水性能の向上」や「高機能化」について出願件
数が増加傾向で推移しており、注力して開発が進められている。また、
「コスト低減」につ
要
約
いても、出願件数が多い状態で推移しており、継続してコスト低減に注力している。
出願人ランキングは、日本触媒が最上位にあり、ドイツの BASF やエボニックが続いてい
る。次に米国の P&G が 4 位、住友精化が 5 位、SDP グローバルが 6 位に入っている。全体
として、日本メーカーは 10 位内に過半数以上のメーカーがランクインしており、日本で高
吸水性樹脂の技術開発が継続的に行われていることがうかがえる。
本
編
重合方法に関する出願では、日本触媒、BASF、エボニック、SDP グローバルは「水溶液
重合法」に関する出願が多く、住友精化と花王、三菱化学は「逆相懸濁重合法」に関する
出願が多い。また、BASF は「気相重合法」の出願比率が高いという特徴がある。BASF は気
相液滴重合法による高吸水性樹脂を製造することを発表しており、
「気相重合法」に関する
技術開発に注力していることがうかがえる。
第
1
部
研究開発動向調査から、論文発表件数は 34 年間で 586 件と全体的に非常に少ない。中国
からの論文件数が一番多く、次いで欧州、インドが続いており、日本からの発表は少ない。
論文件数は、全体として増加しているが、2002 年~2013 年の期間において、日本と米国か
らの論文件数は減少している。一方、中国や欧州、インドでは、2002 年~2013 年の期間に
第
2
部
おいて論文件数は増加している。
技術区分表の大分類における「中分類」の項目について分析した結果では、原材料の「合
成系モノマー」の発表件数が一番多く、続いて「添加剤等」や「天然物」に関するものが
多い。
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
研究者所属機関別では、論文件数上位には大学が多く入っており、高吸水性樹脂は主に
大学で研究開発が進められている。特に、イラン、中国、トルコ、インド、台湾、エジプ
ト等の新興国の大学が研究開発をを進めていることがうかがえる。
以上の分析結果を以下にまとめた。
市場環境
政策動向
分析結果
・新興国では生理用品、乳幼児用紙おむつの普及拡大が続いており、先進国では大人用紙おむつ
の需要増大が見込まれるために、今後も高吸水性樹脂需要は拡大していく。
・高吸水性樹脂の世界シェアは、主要メーカー5 社の寡占市場。日本のメーカーは世界需要の約
48%を供給、高い市場競争力を有している。
・主要 5 社以外では中国、台湾、韓国のメーカーが、生産規模を拡大している。
・技術革新が進められ、BASF の「気相液滴重合法」による高吸水性樹脂の生産、住友精化の高吸
水量を維持したまま加圧下吸水倍率を高められる樹脂の製造技術等の技術開発により、更に高
品質で高性能な高吸水性樹脂の製造が行われていくと予想される。
・新興国を巻き込んだ市場開発競争がますます激しくなっていくことが推測される。
・日米欧を中心とした国家プロジェクトにより、天然物由来資源を原料としたアクリル酸による、ポリ
アクリル酸等の高吸水性樹脂の開発が進められ、今後地球温暖化防止やエネルギー・環境対策
に向けて革新的な技術開発が推進されていく。
・欧州を中心に、廃棄物削減の観点から紙おむつから高吸水性樹脂を回収再生する技術開発が
進められている。また、吸収性衛生用品のエコラベルが提案されており、高吸水性樹脂の基準が更
に厳しくなることが予想される。
・日本製の大人用紙おむつの国際標準化により、将来高齢化が進むと予想されるアジア市場等へ
の展開を促進することが期待される。
・産業政策として、砂漠化防止のため高吸水性樹脂を活用した保水剤の開発が進められている
が、今後、高吸水性樹脂の高機能化により砂漠化防止に寄与していくものと考えられる。
- 44 -
目
次
特許出願動向
研究開発動向
分析結果
・特許出願件数では日本がリードし、日本の技術優位性が維持されている。
・欧州の出願件数は、全体の 2 割強であり、BASF、エボニック等の欧州の高吸水性樹脂メーカーの
存在が大きいと考えられる。
・中国からの出願件数は少なく、中国高吸水性樹脂メーカーの戦略として、従来技術で対応可能な
汎用高吸水性樹脂の生産に特化しており、技術開発は十分に進んでいないと推察される。しかし、
最近、中国からの出願件数が増加しており、中国の動向に注意する必要がある。
・用途としては、「衛生材料」に関する出願が多く、次に「農業・園芸用」や「医療用」の出願が多い。
・中国からは「農業・園芸用」の出願が多く、これらの多くは大学から出願されている。
・出願人ランキングでは、日本触媒、BASF、エボニック、住友精化、SDP グローバルの高吸水性樹
脂メーカー5 社が上位を占めており、活発な技術開発が進められている。
・重合方法に関する出願では、日本触媒、BASF、エボニック、SDP グローバルは「水溶液重合法」、
住友精化は「逆相懸濁重合法」に関する出願が多い。また、BASF は「気相重合法」の出願比率が
高く、「気相重合法」に関する技術開発に注力している。
・論文発表件数は 34 年間で 586 件と全体的に少ない。
・中国からの論文件数が一番多く、次いで欧州、インドが続いており、日本からの発表は少ない。
・2002 年~2013 年の 12 年間では、日本と米国からの論文件数は減少し、中国や欧州、インドは大
きく増加している。中国及びインドでの高吸水性樹脂の研究開発が活発になっている。
・技術区分別では、原材料の「合成系モノマー」が一番多く、続いて「添加剤等」や「天然物」に関す
るものが多い。
・研究者所属機関別では上位には大学が多く入っており、高吸水性樹脂は主に大学で研究開発が
進められており、イラン、中国、トルコ、インド、エジプト、タイ等の新興国の大学で検討が進められて
いる。
・論文件数の多い研究者のランキングの上位には、中国の中国科学院蘭州化学物理研究所やイ
ランのシャリフ工科大学、トルコのアイドゥン メンデレス大学の研究者が多く名前を連ねている。
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 45 -
資
料
編
目
次
第7章
要
約
提言
【提言1】
高吸水性樹脂の革新的技術の開発のために、基礎研究開発を充実させることが望まれ
る。政府機関は、高吸水性樹脂の研究開発への大学や公的研究機関の関与を積極的に図
ることで、産学官連携の取組を推進していくことが望まれる。
本
編
日本の特許出願件数は全体の 40.6%と欧米の 20%台よりも多く、出願人別出願件数上位
10 位ランキングでも日本企業 6 社が入っており、日本企業は高い技術開発力を有していると
言える。また、高吸水性樹脂の世界市場では、日本企業は世界販売数量の約 48%を占めてお
り、高い市場競争力を有している。
第
1
部
今後、高吸水性樹脂の主要用途である紙おむつ市場では、新興国での市場が大幅に伸びる
見通しであるが、既に日本やドイツ等の企業に匹敵する生産を行い、中国での生産の過半数
を占めている中国の高吸水性樹脂企業は、中国市場において今後も低価格を武器に生産能力
を拡大し、大競争時代を迎えていくことが予想される。かつて、繊維業界でも新興国の台頭
により 1990 年代に国際的な大競争期を迎えたが、日本は汎用分野での価格競争を避け、高付
第
2
部
加価値化への取組を行い、炭素繊維等の高性能及び高機能繊維の開発に成功し、日本の繊維
業界が世界をリードしている状況がある。
高吸水性樹脂業界においても、日本企業が新興国の市場において、収益性の観点から価格
競争に陥ることなく市場シェアを確保していくためには、市場ニーズの強い吸水量、吸水速
第
3
部
第
4
部
度や加圧下吸水倍率等の相反する特性を同時に満足させる高い技術力が要求される高吸水性
樹脂を開発し、日本ブランドの製品として発信していくことが効果的であると考えられる。
この相反する特性改良のブレークスルーには、基本に立ち戻った基礎研究が必要であり、
研究開発の活性化が必要である。
このような現状を踏まえ、革新的技術を目指した基礎研究開発のための取組を以下に提言
する。
日本の高吸水性樹脂産業は世界市場の約半分を占有し、日本が世界をリードしている重要
な産業の一つである。今後とも国際競争力の維持、拡大のために、政府は成長戦略の一つと
して、高吸水性樹脂産業を積極的に支援していくべきである。そのためには、今後必要とさ
第
5
部
れる相反する吸水量と加圧下吸水倍率等の性能向上に向けて、大学等の研究機関に挑戦しが
いのある魅力的な研究開発目標を提案し、大学等の研究機関も参画するような産学官が一体
となったオープンイノベーションにより、飛躍的な性能向上等の革新的な技術開発を目指す
べきである。また、大学や公的研究機関が保有する分析・評価技術を駆使したナノレベルで
の構造解析等の共通基盤的な研究や、高吸水性樹脂となり得る新しい材料の開発等の企業一
第
6
部
社では対応が難しい将来テーマについて、大学や公的研究機関と企業が連携して取り組むこ
とが重要である。
さらに、政府は先端を行く日本の企業からアイデアを募集し、
“ 官設定の重点研究推進領域”
として、一定期間大学や公的研究機関にて研究を実施することを支援することも重要である。
資
料
編
- 46 -
目
次
【提言2】
日本企業は、新興国における乳幼児用紙おむつや生理用品の市場でのシェア拡大 を図る
とともに、日本型大人用紙おむつを用いたケアシステムを世界に展開していくことが望ま
れる。こうした日本企業のグローバル化を政府は積極的に支援していくべきである。
日本が直面している少子高齢化により、国内市場における乳幼児用紙おむつの需要は減少
しており、今後成長が期待される新興国における乳幼児用紙おむつや女性用生理用品の市場
で高吸水性樹脂のシェアを高めていくことが、日本企業が将来の市場シェア競争において優
要
約
本
編
位に立つために重要である。高吸水性樹脂の主要ユーザーである日本の紙おむつメーカーは、
新興国の紙おむつ市場拡大によりシェアを伸ばすチャンスであり、それにより日本の高吸水
性樹脂のシェアも拡大する可能性がある。日本の紙おむつメーカーは、新興国におけるシェ
ア拡大のためにコスト削減と安定供給を目指して、現地生産体制の構築を加速しており、材
料メーカーである高吸水性樹脂メーカーも市場シェア拡大のために積極的な海外進出が不可
第
1
部
欠な状況となっている。
海外展開に当たっては、生産設備の新設や増産はもちろんのこと、原料となるアクリル酸
の安定的な確保も重要な課題である。世界の紙おむつ需要の急速な拡大により、原料となる
アクリル酸の需給がタイトとなり、高吸水性樹脂への供給も逼迫してくる可能性がある。
また、日本において大人用紙おむつの需要は増加傾向で推移している。高齢化先進国であ
第
2
部
る日本では、大人用紙おむつの市場ニーズに応えるための技術開発が進められており、大人
用紙おむつを用いた排泄ケアシステムで世界の最先端の技術を保有している。
高齢化社会は日本等の先進国だけではなく、いずれ新興国においても問題となることが予
測されており、今後大人用紙おむつは新興国においても拡大していくことが予想される。
第
3
部
このような現状を踏まえ、衛生材料分野におけるグローバル展開のための取組を以下に提
言する。
(1)新興国において拡大していく乳幼児用紙おむつや生理用品の市場に、いかに必要とさ
れる量の高吸水性樹脂の原料を安定的に確保できるか、そして、地域のユーザーニーズに合
第
4
部
った高吸水性樹脂を適切な価格(コスト)で安定供給できるかが市場シェア確保競争の優劣
を分けるポイントとなると考えられる。そのために、高吸水性樹脂メーカーは原料メーカー
であるアクリル酸メーカーや主要ユーザーである紙おむつメーカーと連携して、更に強固で
効率的なサプライチェーンを構築する必要がある。
第
5
部
(2)大人用紙おむつについては、着用者の状態によっておむつ選択が異なることから、多
種多様なニーズに対応した高吸水性樹脂の高性能化を図ることにより、国内市場はもちろん
のこと、先進国や市場の拡大が予想される新興国で新たな市場を開拓していくことが期待で
きる。日本企業は将来の市場を取り込むために、日本型大人用紙おむつを用いた排泄ケアシ
ステムを世界に展開していくことが重要である。
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第
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部
資
料
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目
次
(3)企業のグローバル戦略に対応して、政府は経済連携協定等を今後とも更に進展させ、
海外における投資環境整備の取組を推進していくことが必要である。
要
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また、国際的な規格でなければ世界市場に通用しない時代になりつつあり、日本規格を国
際標準にすることは国際競争力向上のために重要な課題となっている。政府は国際標準 への
登録のため積極的な支援を行うべきである。現在、工業会を中心に大人用紙おむつの国際標
準の改訂が議論されているが、資金援助や標準化のエキスパート派遣等による積極的な支援
をしていくことが望まれる。
本
編
【提言3】
産業界においては、ますます環境負荷低減への取組が求められており、天然物由来原
料の使用による CO2 の低減等の環境面への貢献に資する高吸水性樹脂の研究開発・技術開
第
1
部
発を推進していくことが必要である。
現在、高吸水性樹脂は、吸水性能及び価格面の優位性により石油由来のポリアクリル酸ナ
トリウムの架橋体が主流となっているが、地球温暖化を防止し、化石資源に依存しない持続
可能な社会の構築を目指して、日本、米国、欧州等先進国では、国家プロジェクトによる天
第
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部
然物由来資源を原料とするアクリル酸の製造の開発が進められている。
日本ではイノベーション推進事業において、天然物由来のグリセリンを原料としてアクリ
ル酸の中間体であるアクロレインを製造する高性能触媒が開発され、石油由来資源と比べて
地球温暖化の一因となる CO2 の発生を 1/3 程度にまで削減できることが報告されている。
第
3
部
米国エネルギー省主導のプロジェクトでは、天然物由来原料から 3-ヒドロキシプロピオ
ン酸(3-HPA)を生成するための発酵法プロセスの開発が行われており、得られた 3-HPA から
アクリル酸を製造することが計画されている。
このように先進各国は天然物由来資源を原料とするアクリル酸の製造技術の開発を進めて
第
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部
いるが、石油由来原料に比べ劣る天然物由来原料のコスト競争力をどう高めるかが大きな課
題となっている。このため、石油由来と同等のコスト競争力のある天然物由来の原料開発を
推進し、日本の高吸水性樹脂メーカーの環境面での優位性を武器とした競争力強化が望まれ
る。
また、セルロースやデンプン等の天然物由来のポリマーによる高吸水性樹脂の開発におい
第
5
部
ても、現行のアクリル酸系高吸水性樹脂のコストパフォーマンスを維持したままで環境対応
型の樹脂を開発する必要があり、安価な天然物の構造を崩さずにいかに安価に高吸水性樹脂
を製造するかが技術開発のポイントとなる。
第
6
部
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料
編
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目
次
【提言4】
高吸水性樹脂の新規な用途開発により、衛生材料市場に次ぐ新たな市場の創設が望ま
れる。特に、農業・園芸用途では、地球温暖化防止や人口増加による食料問題の解決策
として、日本発の高吸水性樹脂技術による砂漠化防止や節水農業等の推進等により、技
要
約
術による市場の拡大を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献していくことが望
まれる。
日本企業はその技術開発力をいかし紙おむつ等の衛生材料産業において、消費者に期待さ
れる機能を実現するためのソリューションを提供する形で、欧米企業と比べても強い競争力
本
編
を持っている。紙おむつの需要は急拡大で推移しているものの、将来的には需要増大が鈍化
しいずれは飽和していくことが予想される。このため、将来的に更に高吸水性樹脂の市場の
拡大を図っていくために、将来を見据えて衛生材料市場に続く第二の新たな市場創設が求め
られる。新たな用途展開として、高吸水性樹脂の水を保持する特性を最大限にいかし、砂漠
化防止や節水農業への展開を行うことにより、ますます対応が求められている地球温暖化防
第
1
部
止や食料問題の解決策につながることが期待される。
日本の高吸水性樹脂メーカーの技術開発により、中国における「砂漠化防止技術研究プロ
ジェクト」において、砂漠化防止に一定の効果が得られている状況である。
また、日本のベンチャー企業により、高吸水性樹脂をフィルム化することにより、高吸水
性樹脂の特性と植物の生命力をいかした、安全で美味しく、安価な農産物を生産できる次世
第
2
部
代農法を開発し、グローバルに展開しているケースもある 1。
このような現状を踏まえ、将来を見据えた新たな用途展開のための取組を以下に提言する。
農業・園芸用途では、1980 年代に実施された高吸水性樹脂を用いた砂漠緑化プロジェクト
「グリーン・アース計画」で検討が行われ、吸水速度が速く、耐塩性に優れ、砂漠環境下で
第
3
部
劣化分解しない等の高吸水性樹脂の更なる改良が必要であるとの課題が明らかになっている。
これらの課題を解決するための高吸水性樹脂の高性能化や高機能化の更なる技術開発が必要
とされているが、一方では、国の支援の下、高吸水性樹脂企業が土壌分野、水分野、農業分
野、エンジニアリング分野等の専門機関と連携し、高吸水性樹脂活用のシステムを確立する
第
4
部
ことが重要であると考えられる。しかし、こうした高吸水性樹脂活用システムの確立に当た
っては一企業での対応は難しいと考えられ、例えば、技術開発については、経済産業省所管
の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構における国家プロジェクトとして推進
していくことや、国際展開においては、外務省の政府開発援助(ODA)の実施機関である独立
行政法人国際協力機構において、地球環境の保全や改善に貢献する技術協力事業として、他
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国に先駆けて新興国の砂漠化防止や日本の優位な技術をパッケージ化した高吸水性樹脂活用
システムによる節水農業への展開を考えることも必要である。
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1
「土不要の次世代農業が砂漠で進む」月刊事業構想,No.8,p74(2013)
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