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Significance of Parmales パルマ藻の重要性
Significance of Parmales パルマ藻の重要性 ○今野進(山形大学大学院),原田尚美(JAMSTEC), 池原実(高知大学),Richard W. Jordan(山形大学) 北太平洋・オホーツク海・ベーリング海・南大洋は、堆積物の大部分が珪藻軟泥であることからも わかるように植物プランクトンの珪藻が多く生息し,特にベーリング海は「珪藻の海」と呼ばれてい る。さらに近年では,温暖化の影響のためか円石藻の大量発生も見られるようになってきている。そ のような中で本研究では,パルマ藻という大きさ 2~5µm 程度の珪藻と同様に珪質の殻を持つ微小な海 洋植物プランクトン(Iwai & Nishida, 1976)が珪藻と同様に重要な一次生産力の一つとして考えられ るのではないかと言うことを,植物プランクトン(珪藻・円石藻・パルマ藻など)の分布・生息密度調 査から明らかにした。 パルマ藻は,大きさが微小であるために走査電子顕微鏡の海洋学分野への導入まで発見されず,その 存在が知られるようになってからまだ 30 年ほどしかたっていない。そのため研究の歴史も浅いと言わ ざるを得ない。パルマ藻の構造は,Booth et al.,(1981)により解析され,Konno & Jordan (2007)によ り,より詳細に解析された。さらに Konno et al.,(2007)では、北太平洋・オホーツク海・ベーリング 海において詳細に同定され、6 種の新種を含む 10 種に分類され、その分布域も示された。 従来,パルマ藻の生産量は,体サイズが小さいために限定的であると考えられてきた。しかし海域に よっては,珪藻を上回る生息密度で示すことがあることが明らかになり(Tanimoto et al., 2003), Komuro et al.,(2005)によると珪藻の円心目とともにパルマ藻が夏期に表層で多く見られることが報告 されている。 これらのことからパルマ藻が海洋の一次生産に少なからず貢献している可能性が浮上して きた。 本研究は,海洋地球研究船「みらい」MR06-04 航海(St.3-日本海,St.6-オホーツク海),学術研究船 「白鳳丸」KH99-3 航海(St.15・St.18(KNOT) -北太平洋,St.16(GAT) –ベーリング海)・KH07-4 航海(St.1・ St.3・St.4-南大洋)の試料を用いた。各 Station では CTD 採水器により表層から水深 200~300m まで の鉛直水を採水した。鉛直水試料をフィルター(MILLIPORE 製 Membrane type Filter 孔径 0.45μm 直 径 47mm)でろ過し,自然乾燥させた後密封常温保存した(一部ろ過直後に冷凍保存)。その後山形大学 にて,フィルターを塩抜きし,電子顕微鏡下での観察・同定・カウントを行った。 南大洋でのパルマ藻の分類は,それほど進んでいないため,南大洋に関しては分類を詳細に行うこ とにも重点を置いた。 植物プランクトンの分類、分布および生息密度を各海域の水深ごとの変化を報告する。