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猪股 豪 総合的な学習の時間「国際協力と国際交流」 猪股 豪 青森県立三本木高等学校 地理(地理歴史科) 教 科 Ⅰ 総合的な学習の時間 12時間 対 象 1 学年 21名 実践の目的 本校では総合的な学習の時間を、各教員が学習指導要領に沿ったテーマを自由に設定して、生徒 が選択するという形式をとっている。私は今年度、国際協力や国際貢献の分野で活躍する人材を育 てたいという思いで「国際協力と国際交流」をテーマとして設定し、全11回の授業実施計画を作成 した。われわれ先進国にある市民は開発問題にどのように関わり責任ある行動をとっていかなけれ ばならないのかについて考え、そして、同世代の海外の人たちと「顔の見える交流」を行うことで、 異文化と共生し平和の構築に向けて行動する態度を育成することを目指した。 私はこれまで「地理」の授業の中で、開発問題に直面している途上国の人びとの姿をリアルに伝 え、生徒自身の課題として受け止められるような授業実践を心がけてきた。問題を抱える人びとの 心に近づいたとき、生徒の心は大きく動かされる。だからこそ、世界の大多数を占める開発途上国 の人びとの生活や文化をリアルに生徒に伝えなければならない。しかし、映像で途上国の現状を見 ても、「日本に生まれてよかった」 「貧しくて気の毒」と他人事の感想が出てくることがある。途上 国の現状をよりリアルに生徒に伝えるため、これまで用いた映像資料だけでなく、今回訪問したパ ラグアイを教材化することで、開発途上国に必要な援助について生徒が考察する授業実践を行うこ とを目的とした。 また、本校の生徒とパラグアイの生徒との交流を図る授業実践を行った。私はかつて学生時代に 1 年間、タイで現地の高校生に日本語を教えていた経験がある。そのときの生徒たちやホームステ イ先の家族といったタイの人びととの交流は、私にとって心揺さぶる出会いであり感動であり、開 発教育に積極的に関わりたいと思うきっかけともなった。 パラグアイの生徒との交流を行うことは、 10代の多感な生徒たちにとって国際協力や国際交流に興味を持つ貴重な経験となり、さらに、開発 問題の解決に向けた「知って考え行動する」力を養うことにつながると考えている。 Ⅱ 授業の構成 1 )総合的な学習の時間(前期:選択制のテーマ学習) ※前期は教員が設定した14のテーマを、生徒が自由に選択して受講する内容。 私のテーマは「国際協力と国際交流」とし、21名( 1 学年241名中)の生徒が選択した。 ― 58 ― 猪股 豪 時間 1 内容 オリエンテーション ねらい 書籍『世界がもし100人の村だったら』 ・CD『イマジン』 を読み、 『イマジン』を聴くことで国 ・ 書 籍『世 界 が も し ( 5 月 6 日) 際協力の重要性について学ぶ。 2 映画『忘れられた子供 ( 5 月13日) たち』視聴 ンテン(ゴミ山)で働く同年代の子供 ( 5 月20日) 人の村だったら』フィ 4 ・ワークシート 近年のフィリピンのスモーキーマウン ・DVD『世 界 が も し テンで働く子供たちの様子を視聴し、 100人の村だったら』 リピンのスモーキーマ 20年前と実態が変わっていないことを ・ワークシート ウンテン編視聴 学ぶ。 DVD『世界がもし100 ガーナで労働力として搾取される子供 ・DVD『世 界 が も し ( 5 月27日) 人の村だったら』カカ 5 子供たち』 たちの様子を視聴し、フィリピン以外 100人の村だったら』 オ農園で働く子供たち の 発 展 途 上 国 の 現 状 を 知 る。 ま た、 ・ワークシート 編視聴 フェアトレードについても学ぶ。 ロールプレイング 先進国側が考える援助と、開発途上国 ・ワークシート ( 6 月10日)「発展途上国の保健厚 生大臣になって」 側が本当に必要とする援助とのギャッ プについて考え、どのような援助が求 められているかについて考察する。 6 ロールプレイング ( 6 月17日)「もしガーナに行った チョコを見たこともない現地の貧農の ・テレビ番組『あいの 家族に日本人がチョコをあげるか悩ん り』 ら 子 供 た ち に チ ョ コ だシーンを視聴し、自分たちはどのよ ・ワークシート 7 レートをあげるか」 うに行動するか考える。 メッセージボトル制作 海外の人たちとの交流手段の一つとし ・メッセージボトル ( 6 月24日) 制作 てメッセージボトルを提案し、メッ ・メッセージカード セージボトルを制作することでロマン や夢を感じるような国際交流を行う。 8 パ ラ グ ア イ へ の メ ッ パラグアイの日系社会の歴史について ・メッセージカード ( 7 月 1 日) セージカード作り 学ぶ。また、パラグアイの日本語学校 の生徒に渡すメッセージカード作りを 渡航前 行う。 9 パラグアイの日系人社 ( 8 月26日) 会の歴史 渡航後 パラグアイに住む日系人の苦労の歴史 ・DVD『赤 土 の 街 イ を DVD から学ぶ。また、交流相手の グアス移住地紹介 イグアス日本語学校の授業を撮影した DVD』 映像を視聴し、どのような生徒たちと ・イグアス日本語学校 交流するのかを知り、日本の高校生と で撮影した授業風景 パラグアイの日系人高校生とを比較す DVD る。 ― 59 ― 高等学校 DVD『世界がもし100 100人の村だったら』 20年前のフィリピンのスモーキーマウ ・DVD『忘 れ ら れ た たちの様子を知る。 3 使用教材 猪股 豪 時間 内容 10 パラグアイの日本人学 ( 9 月 9 日) 校とのメール交流 1 ねらい 使用教材 メッセージカードを渡した日本語学校 ・E メール の生徒からのメールを読み、返事の メールを送る。 11 パラグアイの日本人学 ( 9 月16日) 校とのメール交流 2 2 回目のメール送受信を行う。また、 ・E メール JICA のホームページから青年海外協 ・JICA ホームページ 力隊の活動内容や応募の仕方について まとめ も学ぶ。 2 )総合的な学習の時間(後期:キャリア教育) ※後期はキャリア教育をテーマとして、共通のテーマに沿って担任が各クラスで授業を進める形 式をとる。生徒の職業への適性検査を行ったり、職業研究を行ったりしている。2010年11月25 日の授業では、12種類の職業に関する職業人(美術館職員・市役所職員・博物館学芸員・大学 教授など)に来校していただき、生徒が興味のある職業について選択し講話を聞くという機会 を得た。様々な職業を知るという目的で、職業人講話の翌週の2010年12月 2 日に 1 学年241名 の生徒全員を集めて、パラグアイの帰国報告会も兼ねた「青年海外協力隊」に関する講話会を 行った。 日時 内容 (12月 2 日) 講話会タイトル「開発 Ⅲ ねらい 使用教材 提示した写真資料などから開発途上国 ・パワーポイント 途上国を知る~パラグ が抱えている問題を知り、さらに青年 ・資料プリント アイを通して~」 海外協力隊の活動について学ぶ。 授業の詳細 …………………………………………………………………………………………………………………… 1 )総合的な学習の時間(前期:テーマ「国際協力と国際交流」 ) ──────────────────────────────────────────── …………………………………………………………………………………………………………………… 1 時間目 オリエンテーション 生徒が興味から選択した講座「国際協力と国際交流」の最初の 1 時間となるため、自己紹介を した後、テーマである国際協力と国際交流の意義について、ダグラス・ラミレス著の『世界がも し100人の村だったら』とジョン・レノンの曲『イマジン』から学んだ。 「世界には63億人の人が いますが、もしそれを100人の村に縮めるとどうなるでしょう。…」から始まる『世界がもし100 人の村だったら』では、国際協力に特に必要な力と考える文章中の下記の①・②の部分を空欄と し、全文を読んだ後、空欄に当てはまる文章を生徒に考えさせ、発表させた。 いろいろな人がいるこの村では① こと② こと そしてなにより そういうことを知ることが とても大切です さらに、 『イマジン』の歌詞が書かれた資料を配付し、歌詞を読みながら曲を聴くことで、ジョ ン・レノンが理想と考えた世界について考えた。ちなみに、空欄①には「あなたと違う人を理解 する」、②には「相手をあるがままに受け入れる」という文章が入る。 ― 60 ― 猪股 豪 2 時間目 映画「スカベンジャー」視聴 地理 B の授業には、 「スモーキーマウン テン」「ストリートチルドレン」 「パレスチ ナ問題」という開発問題に関わる用語が出 てくる。これらをただの用語として捉える のではなく、その現場で何が起こっている 高等学校 のかを生徒に伝えるため、ドキュメンタ リー映画やテレビ番組などの映像資料を視 聴する授業を行ってきた。私自身も高校時 代の地理の時間に「スモーキーマウンテ ン」をいう用語を習ったが、それはただの 受験用語にすぎず、そこで暮らす同年代の 子供たちの様子など考えもしなかった。教 員となった 1 年目に、フィリピンのゴミ山 (スモーキーマウンテン)でゴミを拾い、 そのゴミを換金してその日暮らしの生活を する子供たち(スカベンジャー)を描いた 四ノ宮浩監督の映画『忘れられた子供たち ~スカベンジャー~』に出会い、それ以 降この映画から開発問題について考える授 業を続けてきた。 今回の総合的な学習の時間のテーマの一 つは「国際協力」としている。国際協力を 必要としている人たちは、どのような状況 下に置かれた人たちか。また、どのように 資料に用いた四ノ宮浩監督に関する新聞記事 国際協力を行っていくべきか。映画『忘れ (朝日新聞2009年11月20日) られた子供たち』を取り上げることで、学 校にも行かずにゴミ拾いを続ける子供たちから開発途上国の現状を学び、さらに、映画を作るこ とから始まった四ノ宮浩監督の子供たちへの支援の様子を新聞記事から読みとり、数ある国際協 力の中の 1 つのアプローチ法について学んだ。 3 時間目 DVD『世界がもし100人の村だったら』スモーキーマウンテン編視聴 スモーキーマウンテンに住む子供たちを撮影した、1989年の映画『忘れられた子供たち』と、 近年撮影されたテレビ番組『世界がもし100人の村だったら』のスモーキーマウンテン編を比較 することで、20年間子供たちがゴミを拾い続けているという実態が変わっていないことを知り、 どのような支援が必要かについて話し合った。 〈生徒の感想から〉 □ゴミの山に暮らして、ゴミを売って生活するという環境が20年間変わっていないのを見て、 ― 61 ― 猪股 豪 ショックを受けた。それまでに市や国が対策をたてないのを疑問に思う。この映画を見て、 国際協力への関心が増した。将来、発展途上国に行って自分の目でできること、やらなけれ ばいけないことを探したい。 (男子) □まだまだ世界にはたくさんの問題があると思う。もっといろいろな問題を知り、自分にでき ることを見つけ、将来、平等な世界づくりのために貢献したいと思った。 (男子) 4 時間目 DVD『世界がもし100人の村だったら』カカオ農園で働く子供たち編視聴 フィリピン以外の開発途上国の例としてガーナを取り上げ、カカオ農園で働かされる子供たち の様子を視聴した。また、開発途上国の農民を支援する 1 つの方法として「フェアトレード」に ついても学び、本校所在地の十和田市にあるフェアトレードショップで扱われている商品につい ても調べた。 5 時間目 ロールプレイング「発展途上国の保健厚生大臣になって」 2005年の『月刊地理 8 月増刊』 ( 「地球に学ぶ新しい地理授業」 )で提案されている授業をもと に、「問題解決」 「意志決定」までの活動を目的とした参加型の授業を実施した。 「あなたは、と あるアフリカの最貧国の保健厚生大臣です。100万ドルの寄付を受けたとき、国民が十分な医療 を受けるため、A)大病院の建設、B)医薬品の生産、C)人材の育成、D)予防保健の充実、の 4 つの案のうちどの案を実施しますか。 1 つ選んだ理由と、他の案が否決された理由を考えなさ い。」(ワークシート 1 ・ 2 )というロールプレイングを行い、 5 ~ 6 名のグループに分かれて討 議し、発表し合った。地域に平均的に診療所を建てることで、より多くの人々を救えるというこ とから D 案が多く選ばれた。しかし、それは「発展途上国の政府」の立場ではなく「先進国の 国民」の立場で話し合った過程であることを指摘し、外資導入による産業振興にもつながる B 案や、高い確率で高度の医療を受けられる A 案が採用されることを説明した。豊かな社会に住 む私たちの発想で国際協力を考えることの困難さに気づき、また、他のグループの異なる意見を 聞いて多様な考え方に触れることができた。 ᚛ᛯȡȢᲴŨȗȩǹ᩿ g ȞǤȊǹ᩿ ኵ ྰ ൞Ӹ ႆޒᡦɥ̬ͤ↝ҽဃٻᐫ↚↙→↕‒ ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ ⅱ↺↨ⅼੲя↗↞˴ⅺ⇁ᎋⅷ↺‒ # కăᲢŨᲣ ƋƳƨƕƨƷǰȫȸȗƸŴǢȕȪǫƴƋǔଐஜƷׄDŽƲƷ᩿ᆢǛNjƭႆޒ ᲢgᲣ ᡦɥƷ̬ͤҽဃٻᐫƱƦƷሊႆǹǿȃȕưƢŵƋƳƨƕƨƷƸ༏࠘Ʊ ʑ༞࠘ƷؾမƴˮፗƠŴɧܭƳව൦ǍƹƭƳƲƷᐯ໎ܹƴᙸᑈǘǕǔƏ $ కăᲢŨᲣ ƑŴם၏ƴNjᒊƠNJǒǕƯƍLJƢŵƓNjƳငಅNjƳƘŴኺฎႎƴᒊƠƍཞඞ ᲢgᲣ ưŴൟƸҗЎƳҔၲƕӖƚǒǕLJƤǜŵ % కăᲢŨᲣ ƱƜǖƕŴƜƷƨƼɭမᘍƷੲяưŴ ɢȉȫǛዅ˄ƞǕǔƜƱƕൿܭ ƍƨƠLJƠƨŵƦƜưŴǹǿȃȕƕ౨᚛ǛƶƯŴˌɦƴᅆƢ ƭƷకƴƠDž ᲢgᲣ ǓLJƠƨŵƠƔƠŴƦǕƧǕƷకƴ ɢȉȫƕƔƔǔƨNJŴ ƭƷకƴൿNJ & కăᲢŨᲣ ǔ࣏ᙲƕƋǓLJƢŵ ᲢƜƜưƸŴ ƭƷకǛ৵ᘞƢǔƜƱƸᎋƑLJƤǜᲣ 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(女子) □サッカーボールやノート、チョコレートをあげたことによって、現地の人たちは喜んでくれ ていた。でも、その喜びは、一時的なものに過ぎないと思う。あの後、日本の若者たちが帰 り、現地の彼らの生活は日常に戻った。いつも通り、カカオ農園で働いていれば、 「あのチョ コレート、おいしかったなあ…」 「また食べたいなあ…」とか思うに違いないと思う。そして、 もう二度と食べられないという現実に直面して、悲しんでしまうと思う。かといって、あげ たことにより、すべてがマイナスになった訳ではないと思う。このチョコレートを食べたこ ― 63 ― 高等学校 を あげる あげない」のどちらかに○をつけ(ワークシート 3 ) 、その理由を記入し、グ 猪股 豪 とにより、自分たちがカカオを栽培していることに誇りをもつかもしれないし、もらった ノートと共に、一生懸命勉強して、大人になったら、自分たちの国を豊かにしようと志して くれるかもしれない。 (女子) 7 時間目 メッセージボトル制作 生徒がわくわくするような国際交流の授業 を行いたいと考え、何年もかけて海を漂流し 誰かのもとに届く「メッセージボトル」を思 いついた。生徒が作ったメッセージボトルを、 近くの漁協の方々にお願いして太平洋に流 す、という授業を実践しようと考えていたと ころ、教師海外研修でのパラグアイ行きが決 まった。パラグアイは内陸国で海に面してな いが、パラグアイ川やパラナ川という大河川 がある。「海ではなく、川にメッセージボト ルを流してみよう。パラナ川はパラグアイ、 写真 1 パラナ川への投入 アルゼンチン、ウルグアイを流れているの で、どこかの国の人が拾ってくれるはずだ。運が良ければ大西洋に出て漂流するかもしれない。」 と考え、メッセージボトルづくりを決定した。私の予想通り、生徒はこの計画に興奮し、授業以 外の生徒も多数、メッセージボトルを作成した。 ボトルはプラスチック製の小型の化粧水入れを選び、その中に名前・誕生日・住所・メールア ドレス・趣味などを英語で書いたメッセージカードを入れ、密封した。 パラグアイでの研修中、機会を見つけ、日本から持って行ったメッセージボトルをパラナ川に 投入した。いつか、生徒の元に海外からの返事が届くことを願っている。 8 時間目 パラグアイへのメッセージカード作り(渡航直前の授業) パラグアイ渡航前の事前研修で研修日程が発表され、現地では日系人社会の学校を数校訪問す ることを知った。 「移民」をテーマに、日本 から海外に出て行った人々を通した国際理解 を図ろうと、日系人社会の学校との交流を行 うこととした。交流では、日本から海を越え て南米へ移民として出て行った人々の歴史的 経験を理解し、その苦労や功績について学ん だ上での交流を目指した。 研修前の 6 月、偶然にもワールドカップ決 勝リーグでの日本の対戦相手国がパラグアイ に決まり、日本では知名度の低いパラグアイ に関する情報がメディアで盛んに報道され た。新聞記事には「世界で一番日本語がうま ― 64 ― 写真 2 メッセージカード作成の様子 猪股 豪 い日系社会 パラグアイ(産経新聞2010年 6 月30日) 」 「不況パラグアイ 国民熱気 きょう日本と対 戦(読売新聞2010年 6 月29日) 」 「親日の国 貪欲サッカー きょう対戦パラグアイ 武田修宏さん語 る(朝日新聞2010年 6 月29日) 」といった記事が並び、これらをもとにパラグアイの日系人社会 に関する授業を行った。 また、事前に日本で作成したメッセージカードをパラグアイの生徒一人ひとりに渡したいと考 え、折りたたみ式のメッセージカードを作成した。メッセージカードには、日本とパラグアイの し、メッセージカードに添付した。 写真 3 メッセージカード 写真 4 イグアス日本人学校の生徒会長に渡す 9 時間目 パラグアイの日系人社会の歴史(帰国後初の授業) 日系人の方々は、なぜ日本を離れることを決意したのか。現地でどのような社会生活を送って いるのか。パラグアイ滞在期間中、日系 1 世の窪前勇さんのお宅にホームステイをさせていただ く機会があり、これらの疑問に関する貴重なお話をたくさん聞かせていただいた。イグアス日本 人会の会長さんからは、入植当時の開墾作業の様子や1983年に導入された画期的な大豆栽培法 「不耕起栽培」によって生産量が飛躍的に増大した歴史などの、イグアス移住地の変遷を収録し た『赤土の街イグアス移住地紹介 DVD』をいただくこともできた。ホームステイ先の窪前さん のお話や DVD を教材化し、どのような歴史的背景を持った人たちと交流を行うのかについて講 義を行った。 また、イグアス日本語学校を訪れた際に、高等部で行われていた「将来の夢」というテーマの 授業実践を撮影した映像を視聴した。日本語学校の生徒たちが、日本人とほとんど変わらない日 本語を話し、一人ひとりが将来の夢を発表する様子を見て、本校の生徒たちは「地球の反対に住 む日本人」と「仲間の前で堂々と自分の夢を語る様子」に皆驚いていた。映像には、私が日本か ら持って行ったメッセージカードを日本語学校の生徒会長に渡したシーンも映っており、生徒た ちはこれから始まる国際交流に期待をふくらませていた。 パラグアイから帰国後の最初の授業ということもあり、日系人社会についてだけでなく、パラ グアイの自然環境や食文化などにも触れ、パラグアイでよく飲まれるマテ茶の試飲も行った。 イグアス日本語学校との交流は、現地を訪れた際に、校長先生と高等部の担任の先生に直接交 流を行いたいという旨を伝え、ご快諾いただいた。高等部の生徒18名に、本校の生徒21名が作っ ― 65 ― 高等学校 国旗の他、顔の見える交流を行いたいという思いで生徒一人ひとりの顔写真をデジカメで撮影 猪股 豪 たメッセージカードを 1 枚ずつ渡していただき( 2 枚渡された生徒もいる) 、メッセージカード に書かれた E メールアドレスに日本語でメールを送ってもらうという交流形式をとった。 写真 5 パラグアイ代表のユニフォームを着ての授業 写真 6 マテ茶を飲む生徒 10・11時間目 パラグアイの日本語学校とのメール交流 1 ・ 2 、前期のまとめ 「本当にメールは来るのか?」と疑心暗鬼だった生徒たちも、情報処理室でメールをチェック し、実際にパラグアイの生徒からメールが届いていると、興奮し友達同士でメールの内容を見せ 合うなど、海外の生徒との交流をとても楽しんでいた。日本という社会しか知らなかった生徒た ちの世界感が一気にパラグアイまで広がり、国際交流に一歩足を踏み出した瞬間だった。グロー バル化が進む今、ちょっとしたきっかけさえ与えれば、生徒たちは軽々と国境を越え、世界の 人々とつながっていく。 「友情は幸せを増幅させ、悪を半減させる」という言葉があるように、 今回の出会いが生徒たちの心の中に「平和の文化」を構築するきっかけとなったことを期待す る。ただし、事前に授業で日系人やパラグアイについて学んでいたとはいえ、お互い知らない者 同士ということもあり、メールはぎこちない内容となった感は否めず、一過性の交流となってし まったことは反省すべき点である。 〈生徒の感想から〉 □今やっているパラグアイとのメールの送受信は、実際にパラグアイからメールが来るとは 思ってもいなかったし、実際に自分がメールをしているのが信じられない!!これからも続 けて、交流をしていきたいと思った。 (女子) □パラグアイの人とメールをすることができて、良い、貴重な経験をさせてもらった。 (男子) メール交換の後、本講座「国際協力と国際交流」のまとめとして、国際協力に携わる方法の 1 つとして青年海外協力隊という制度があることを説明した。全員で JICA ホームページから派遣 国や応募職種、採用試験の過去問などを調べ、自分ならばどの職種でどこの国に派遣されるかを 発表して、本講座を修了した。 ― 66 ― 猪股 豪 …………………………………………………………………………………………………………………… 2 )総合的な学習の時間(後期:キャリア教育) ──────────────────────────────────────────── …………………………………………………………………………………………………………………… 講話会タイトル「開発途上国を知る~パラグアイを通して~」 様々な職業を知るという目的で、職業人講話の翌週の2010年12月 2 日に 1 学年241名の生徒全 員を集めて、パラグアイの帰国報告会も兼ねた「青年海外協力隊」に関する講話会を行った。講 話会は、パラグアイの公用語スペイン語の「こんにちは」を意味する「オッラー!! (Hola)」で 全員が挨拶をし、 「今回の講話会がきっかけとなり、この241人の中の、 1 人でも多くの皆さんの トした。パワーポイントを用いて、①なぜパラグアイへ行こうと思ったのか、②パラグアイ滞在 中の研修行程、③パラグアイの地理(自然環境・町並み・食文化など) 、④抱えている問題(ゴ ミ問題、インディヘナの地位、障害者の人権) 、⑤日系人社会、⑥青年海外協力隊の順に、写真 を提示しながら講話を進めた。生徒への配布資料は、 「教師海外研修報告書」として JICA 東北 に提出したものをもとに作成した。 50分という短時間の中で241名の大人数にメッセージを伝えるために、多くの写真(73枚:写 真 7 ~10は例)からパラグアイの情報を伝え、それらの写真からさらにパラグアイだけではない 多くの開発途上国が共通しての抱える問題に気づけるよう、写真を選別し提示する事を心がけ 写真 7 首都アスンシオンの近代的デパート 写真 8 私立学校の給食(牛カツとリゾット) 写真 9 ゴミ処理場にある家 写真10 公園で生活するインディヘナの子供 ― 67 ― 高等学校 心に『国際協力の火』が、ぽっぽっと灯されることを願います」というメッセージを伝え、スター 猪股 豪 た。海外へ行った教員が授業で多くの写真を提示することは「ただの思い出話」として生徒に捉 えられるという批判もあるが、私はあえて多くの写真を提示しパラグアイでの経験を話すこと で、陽気な国民性や現在進行形で国が発展している様子、そして開発途上国として解決しなけれ ばならない課題などを伝えることを目指した。 次の文章は、JICA 東北に提出した「研修報告書」から抜粋したもので、講話会の資料として 生徒にも配布した。内容は、私がこの講話会を通して生徒に一番伝えたかった事であり、講話会 のまとめとして読んだ。最後は、スペイン語の「さよなら」 「チャオ! (Ciao) 」で講話会を閉じた。 4 .研修に関する全般的な所感/意見について 研修後、パラグアイを題材に開発教育を行うことが求められていたため、研修中は教材と して使えるパラグアイの「発展途上国的な部分」を視察・撮影したいと考えていた。数日視 察し、パラグアイはすでに発展途上国を脱しようとしている国であると感じた。首都アスン シオンにはビルが立ちならび、日本と変わらないショッピングモールやレストラン、日本車 だけでなくヨーロッパの自動車販売店もあり、近代化されている印象であった。しかし、私 自身は発展途上国のステレオタイプ的な部分を求め、スラム・ゴミ山・オンボロのバス・水 洗ではないトイレなどを喜々として撮影していた。 研修終盤に訪れた公立高校での討議を行う授業の際、高校生に「なぜパラグアイに来たの ですか。パラグアイをどう思いますか。 」という質問をされたときに、心臓がズキンと痛く なったと同時に非常に申し訳ないという思いでいっぱいになった。高校生に向けた「このク ラスで携帯電話は何人持っていますか」という質問に対し、全員が手を挙げ、逆に「なぜそ んな質問をするのですか」と聞かれた。われわれ教員団のイメージでは、パラグアイの高校 生は携帯電話を持っていないという、パラグアイの発展の遅れを望むような答えを期待して いたように思う。 「夢は何ですか」という質問も、パラグアイの高校生からは一攫千金を求 めて「サッカー選手」という答えが返ってくると期待していたが、実際に聞いてみると、医 師や弁護士、プログラマーなどさまざまな職業が出てきて、日本の高校生と進路に対する意 識はさほど変わらないと感じた。 「発展途上国だと思ってパラグアイにやってきて、発展途上的な部分ばかり探していたこ とを申し訳ないと思う。数日視察してみて、日本で想像していた以上にパラグアイは発展し ている。 『大事なものは何ですか』と聞いたときに、パラグアイの高校生は『ファミリア(家 族)』とみんなが答える。日本の高校生に同じ質問をしても、なかなか『家族』という答え は返ってこない。これからもっとパラグアイが発展して物質的に豊かになっても、 『家族』 を大切にするという心の豊かさは持ち続けてください。 」と謝罪したところ、数名の生徒達 が「グラシアス(ありがとう) 」と言ってくれたことに、救いを感じた。世界の国々を先進 国と発展途上国という枠組みでとらえるのではなく、一つの国として相手国と対等に付き合 うという大切さをパラグアイの高校生から学んだ。 私の中にあった発展途上国の人々に対するステレオタイプな認識や差別意識は、日本の多 くの生徒たちの中に無意識のうちに植え込まれている。パラグアイの日本語学校の生徒との 交流授業を展開する中で、異文化に対する偏見や差別意識を軽減し、平和的共生に向けた態 度をはぐくんでいきたい。 (参照:JICA 東北 HP http://www.jica.go.jp/tohoku/enterprise/kaihatsu/kaigaikenshu/2010par/pdf/kenshu_02.pdf) ― 68 ― 猪股 豪 講話会は予想外の反響で、 「講話会おもしろかったよ」 「私も海外青年協力隊になりたい」「大 学で国際関係について学びたい」と話しかけられ、多くの生徒の心に『国際協力の火』が灯され たと実感した。 高等学校 写真11 講話会を聞く生徒の様子 Ⅳ 写真12 パワーポイントを使っての説明 実践の成果 前期の総合的な学習の時間を受講した生徒の感想文を一部抜粋し、実践の成果としたい。 □日本を含め、世界にある貧富の差や病気、様々な問題は、それこそスモーキーマウンテンの ゴミ山のゴミのように数多くあります。私は将来、その問題を一つでも解決、または解決の 手助けができる人間になりたいと思いました。 (男子) □この講座を通じて、世界の広さを感じました。自分の知らないことや、分からなかったこと がたくさんありました。カカオ農園で働いている子供達が、チョコを知らないことや、途上 国の貧しさは先進国が生み出したということには驚きました。パラグアイとのメール交流に は感動しました。将来、国際協力という形で何かにたずさわりたいです。 (女子) □中学校の時の修学旅行でグアムに行ったとき、 「国際交流」 って素敵だな、楽しいな」と感じ た。しかし、別の所を見てみると、 「スカベンジャー」で映っているようなゴミ山で生活し ている人もいるという事、そして、そういう人たちへの国際協力も大切だという事が分かっ た。国際協力とはその国のことをまず知り、よく考えることなんだということを初めて知っ た。「ガーナの子供たちにチョコレートをあげるか?」を見た時は、あの笑顔にどれほど感 動したことか…。 この講座は、私に今までになかった考えや価値観をいくつもくれた。 (女子) □今回の講座を受けて、少しでも自分が成長した気がします。発展途上国の映像などを見て、 どうすれば世界が平等になり、どうすればみんなが平和に暮らすことができるのかなど、た くさんのことについて考えることができました。しかし、具体的にどうすればよいかを考え 出すことはできませんでした。そのため、将来は世界に貢献できるような仕事に就いて、世 界の平和と平等を問いつめていきたいです。 (男子) ― 69 ― 猪股 豪 Ⅴ 課 題 「今の若者は内向き」と言われているが、われわれが学ぶ機会を用意し、きっかけさえ与え れば、生徒たちは自分で課題を見つけ、海外に目を向けてくれることを確信した。私自身も高 校時代に、理数科教員としてトンガで青年海外協力隊員を経験してきた先生の帰国報告会を きっかけに、国際協力に興味を持った。 「先生方は直接多くの生徒に語りかけることで、生徒 の心を動かすことができる」とおっしゃった JICA 東北市民参加協力調整員の高橋依子さんの 言葉通り、今後も開発教育に関心を持ち続け、実践していくことで、より多くの生徒たちにそ のきっかけを与え続けたい。 関連する学習指導要領の内容と文言 第 4 章 総合的な学習の時間 第 1 目標 横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、 主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに、学び方やものの考 え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的、協同的に取り組む態度を育て、自 己の在り方生き方を考えることができるようにする。 第 3 指導計画の作成と内容の取扱い 1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。 (5)学習活動については、地域や学校の特色、生徒の特性等に応じて、例えば国際理解、情 報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動、生徒が興味・関 心、進路等に応じて設定した課題について知識や技能の深化、総合化を図る学習活動、自 己の在り方生き方や進路について考察する学習活動などを行うこと。 2 第 2 の内容の取扱いについては、次の事項に配慮するものとする。 (2)問題の解決や探究活動の過程においては、他者と協同して問題を解決しようとする学習 活動や、言語により分析し、まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるように すること。 (3)自然体験や就業体験活動、ボランティア活動などの社会体験、ものづくり、生産活動な どの体験活動、観察・実験・実習、調査・研究、発表や討論などの学習活動を積極的に取 り入れること。 (5)グループ学習や個人研究などの多様な学習形態、地域の人々の協力も得つつ全教師が一 体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。 (6)学校図書館の活用、他の学校との連携、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設や社 会教育関係団体等の各種団体との連携、地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫 を行うこと。 ― 70 ― 猪股 豪 ●出典(参考文献・映像資料ほか) ・日本国際理解教育学会(2010) : 『グローバル時代の国際理解教育』 、明石書店、p.257. ・文部科学省(2010) : 『国際理解教育実践事例集 中学校・高等学校編』 、p.188. ・キャロル・オフ(2007) : 『チョコレートの真実』 、英治出版、p.384. ・佐々木智章(2007) : 「パラグアイ共和国イグアス移住地における日本人農業社会の変容」 、 『新地理』 、54(4) 、19-33. ・ダグラス=ラミレス(2001) : 『世界がもし100人の村だったら』 、マガジンハウス、p.64. ・フジテレビ映像企画部制作(2009) :DVD『世界がもし100人の村だったら』 、ポニーキャニ オン. ・イグアス日本人会(2008) :DVD『赤土の街 イグアス移住地紹介 DVD』 . ・ジョン・ウー・スパイク・リーほか(2007) :DVD『それでも生きる子供たちへ』 、ギャガコ ミュニケーションズ. ・四ノ宮浩(1995) :DVD『忘れられた子供たち スカベンジャー』 、ジェネオンエンタテイン メント株式会社. ・フジテレビ(2008) :テレビ番組『あいのり』 、 「♯400 ひとかけらのチョコレート(2008年 5 月 5 日放送) 」 . ・ジョン・レノン(1971) : 『イマジン』 、CAPITOL. ― 71 ― 高等学校 ・古今書院(2005) : 「地球に学ぶ新しい地理授業」 、 『月刊地理』 、50、144.