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第17 講 春秋・戦国時代

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第17 講 春秋・戦国時代
基礎からわかる世界史
第 17 講 春秋・戦国時代
春秋・戦国時代 … 周の勢力がおとろえ、有力諸侯が分立抗争した時代
= 周の洛邑遷都(前 770 年)~秦の中国統一(前 221 年)
1.春秋・戦国時代
①春秋時代(前 770~前 403 年)… 周王の権威はかろうじて維持
そんのうじょうい
(周王を尊び異民族を追い払う)をかかげ政治を主導
・覇者と呼ばれる有力諸侯が「尊王攘夷」
せい
かんこう
・春秋の五覇:斉の桓公・晋の文公など
→ 晋が韓・魏・趙の三国に分裂し戦国時代へ
②戦国時代(前 403~前 221 年)… 周王の権威は有名無実化
・有力諸侯は公然と王を称して、自国の富国強兵につとめる
・戦国の七雄:斉・楚・燕・韓・魏・趙・秦
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第 17 講
春秋・戦国時代
<戦国の七雄>
2.春秋・戦国時代の社会の変化
・鉄製農具と牛耕の普及
→ 農業生産力の向上 ―→ 小家族単位の農業が可能 → 氏族社会の崩壊
ぎ び
→ 商工業の発達 → 青銅貨幣(刀銭・布銭・円銭・蟻鼻銭など)の使用
―
→ 有力諸侯が大規模な開墾事業を推進
諸侯国による中央集権的な領域国家の形成へ
3.春秋・戦国時代の文化
①諸子百家
諸侯国は、春秋・戦国時代の激動を生き抜く処世術を求め、身分にとらわれない人材採用を行う
→ 諸子百家とよばれる様々な思想家・学派が出現
・儒家 … 仁(家族道徳)を基本とする礼を重視。徳治主義を説く
孔子(前6~前5世紀)
:儒家の祖。
『論語』
(孔子と弟子の言行録)
孟子(前4~前3世紀)
:性善説(人の本性を善とする)や王道政治(徳による政治)を主張
じゅんし
せいあく
:性悪説(人の本性は悪なので礼による教化が必要とする)を主張
荀子(前3世紀)
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基礎からわかる世界史
・墨家 … 兼愛(無差別の愛)
・非攻(戦争の否定)を説く
墨子(前5~前4世紀)
:墨家の祖
む い
・道家 … 無為自然(人為を排除し自然に従って生きる)を説く
老子(生没年不詳)
:道家の祖
荘子(前4世紀)
・法家 … 法治主義を説く
しょうおう
:戦国時代の秦の孝公に仕え、変法(富国強兵策)を実施
商 鞅 (前4世紀)
かん ぴ
:法家思想を大成
韓非(前3世紀)
り し
:秦の始皇帝に仕え、統一政策を推進
李斯(前3世紀)
・陰陽家 … 天体の運行と人間生活の関係を説く
すうえん
鄒衍(前4~前3世紀)
:陰陽五行説を集大成
・兵家 … 兵法・戦略を説く
そんぴん
孫子(春秋時代の孫武と戦国時代の孫臏のこと)
呉子(呉起)
(前5~前4世紀)
・名家 … 名称と実体との関係を明らかにする論理学を説く
公孫竜(前4~前3世紀)
・農家 … 農業技術を説く
じゅうおう(しょうおう)か
・ 縦
横
家 … 戦国時代の外交戦略を説く
がっしょう
蘇秦(前4世紀)
:合 従 (秦に対抗して秦以外の6国が同盟する策)を主張
れんこう
張儀(前4世紀)
:連衡(秦が秦以外の6国とそれぞれ同盟する策)を主張
②文学
ろ
「春秋時代」という名の由来
・
『春秋』
:魯(孔子の出身国)の年代記。儒学の経典。
・
『戦国策』
:戦国時代の縦横家などの策を集録。
「戦国時代」という名の由来
・
『詩経』
:中国最古の詩集。華北の風土を反映。儒学の経典。
・
『楚辞』
:戦国時代の楚の屈原(前4~前3世紀)らの詩歌を集録。華中・江南の風土を反映
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第 17 講
春秋・戦国時代
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基礎からわかる世界史
次の文章を読み、各問に答えよ。
〔駒澤大学〕
前 771 年、西方から侵入した犬戎によって鎬京が陥落し、周は東方の洛邑に遷都した。東遷以
前を西周、以後を東周と呼び、さらに東周の前半を春秋時代、後半を戦国時代という。春秋時代
の半ば、周王の権威が衰えると、斉の桓公、晋の
1
などの覇者が会盟を主宰して、 2
スローガンを掲げ、乱れた秩序を回復しようとした。いっぽう、長江流域の楚、呉、 3
の
は王
を自称して周王の権威を認めず、北上して黄河流域の諸侯と覇を競った。戦国時代になると、黄
河流域の諸侯も王を称するようになり、斉・楚・秦・ 4 ・韓・魏・趙の七雄が並び立った。
やがて秦が列国を滅ぼして、前 221 年に中国を統一した。
この間、開発の進展によって農業生産が向上し、鉄製農具や
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農法などの普及とあいま
って、多数の自営農民が現れた。商工業も盛んになり、A青銅貨幣が流通し、斉の
6
や趙の
邯鄲などのような経済都市が生まれ、遠隔地間の交易に従事する大商人が活躍した。列国は競っ
てB富国強兵に努め、君主の手足となって政治を支える官僚が登場する。かれらが改革を推進する
ためには、新しい政治理念が必要であったが、これに応えたのが、C諸子百家と呼ばれる多くの思
想家であった。
問1.文中の
に入る最も適当な語句を下記の語群から選べ。
〔語群〕
あ.越
い.燕
き.薊
く.下克上
う.遠交近攻
け.限田
す.井田
せ.成都
そ.尊王攘夷
て.穆公
と.臨安
な.臨淄
え.合従連衡
こ.三圃
た.鄭
お.咸陽
さ.襄公
ち.武公
か.牛耕
し.蜀
つ.文公
に.魯
問2.文中の下線部A~Cに関して、下記の設問に答えよ。
A.韓・魏・趙など、山西・河南地方で主に使用された、農具の形をした青銅貨幣はいっぱんに
何と呼ばれるか。漢字2字で記しなさい。
B.秦の富国強兵策(変法)を推進し、中国統一の基礎を築いた衛出身の宰相は誰か。漢字2字
で記しなさい。
C.儒家を批判し、兼愛や非攻を主張した思想家は誰か。漢字2字で記しなさい。
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第 17 講
春秋・戦国時代
次の文章を読み、問1~問5に答えなさい。
〔日本大学/関西学院大学〕
周は鎬京に都をおいて華北を支配したが、前8世紀になると、西方の異民族に都を攻略され、
遷都を余儀なくされた。それ以降、周の勢力はおとろえ、分裂と抗争の時代がつづくことになっ
た。乱世の前半期は、(ア)春秋時代とよばれ、有力諸侯が覇者として登場した。前5世紀末からは
じまる戦国時代になると、下剋上の風潮が激しくなり、いわゆる(イ)戦国の七雄がならびたって対
立した。こうした動乱の背景には、農業生産力の向上や商工業の成長などの(ウ)社会経済の変化が
あった。またこの時代の激動は、政治や社会の在り方を問い直す多彩な思想を生み出し、(エ)諸子
百家と総称される多くの思想家が登場した。
5世紀半にもおよんだ分裂と抗争の時代は、戦国の七雄の一つであり、前4世紀の( オ )
による政治改革で国力をつけた秦によって統一され、ここに清末までつづく中華帝国が生まれた。
問1.下線部(ア)の時代名は、どの国の年代記に由来しているか、次の1~4の中から一つ選びなさ
い。
1.宋
2.魯
3.呉
4.越
問2.下線部(イ)に関する記述として正しいものを、次の1~4の中から一つ選びなさい。
1. 戦国の七雄の一つである楚は、山東半島を支配していた。
2. 戦国の七雄の一つである燕は、長江流域を支配していた。
3. 戦国の七雄の一つである斉は、現在の北京に都をおいていた。
4. 戦国の七雄のうち、韓・魏・趙は、晋から自立した。
問3.下線部(ウ)に関する記述として誤りを含むものを、次の1~4の中から一つ選びなさい。
1. 牛耕が始まり、深耕により、農業生産力が増大した。
2. 鉄製品が普及し、主に武器として用いられた。
3. 青銅の貨幣が発行され、都市や商業の発達を促した。
4. 戦争の激化や人材の登用によって、世襲的な身分制度が崩れた。
問4.下線部(エ)に関する記述として誤りを含むものを、次の1~4の中から一つ選びなさい。
1. 孟子は性善説を説き、覇道政治を排して、王道政治を主張した。
2. 荀子は儒家思想を批判し、兼愛・交利・非攻・尚賢を主張した。
3. 蘇秦は秦を除く6国の合従、張儀は秦と6国各国との連衡を画策した。
4. 鄒衍は陰・陽の二元論と木・火・土・金・水の循環を説く五行説を集大成した。
問5.空欄( オ )にあてはまる人物を、次の1~4の中から一つ選びなさい。
1.商鞅
2.韓非
3.鄒衍
4.李斯
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基礎からわかる世界史
次の文章を読んで、以下の問いに答えよ。
〔大阪経済大学〕
東周の時期には、王権が次第に衰え、諸侯が割拠するようになった。周の東遷から晋が3国に
分裂するまでの時代を(ア)春秋時代、それ以降、秦が統一するまでを(イ)戦国時代という。
春秋時代の末期から(ウ)農業生産力が著しく増大した。また貨幣経済も発展し、(エ)青銅貨幣が
流通するようになった。周王室の権威が失墜し、諸国の君主は富国強兵策をとるようになった。
政治や社会のあり方をめぐって、多彩な思想があらわれた。この時期の思想家や諸学派を総称し
て諸子百家という。儒家の祖は孔子である。孔子の中心思想は、(オ)仁である。孔子の教えを継承、
発展させた[ (カ) ]は、性善説を唱えた。これに対し、性悪説を唱えたのは[ (キ) ]であ
る。この時代に編集された文学としては、周の王室の儀式の歌と黄河流域の民謡を集めた[ (ク) ]
がある。
問1.下線部(ア)に関して、
「春秋の五覇」の一人として最も適切なものを以下から選べ。
① 聖宗
② 武王
③ 文公
④ 玄宗
問2.下線部(イ)に関して、
「戦国の七雄」の一つとして最も適切なものを以下から選べ。
① 楚
② 倭
③ 呉
④ 蜀
問3.下線部(ウ)に関する説明として最も適切なものを以下から選べ。
① 各地の特産物を政府が買い上げ、不足している地域で転売する政策が実施された。
② 農民に資金を政府が低い利子率で貸し付け、収穫時に返済させる救済策が実施された。
③ 鉄製の犂(すき)を牛にひかせる耕作法が広まった。
④ 北方民族と中国の農民を分けて統治する体制が確立された。
問4.下線部(エ)として最も適切なものを以下から選べ。
① 飛銭
② 染付
③ 青磁
④ 刀銭(刀貨)
問5.下線部(オ)に関する説明として最も適切なものを以下から選べ。
① 国を強くするためには君主は法律によって人民を統治すべきというものである。
② 他者に対する思いやりとまごころ、そして人と人の間に自然に備わる道徳的心情を重視する
ものである。
③ 超現実的な神仙の世界を説くものである。
④ 宇宙の本体は自己の心中に先天的に備わっている道徳心と同一であると考えるものである。
問6.空欄(カ)にあてはまる最も適切なものを以下から選べ。
① 老子
② 王維
③ 衛満
④ 孟子
問7.空欄(キ)にあてはまる最も適切なものを以下から選べ。
① 夫差
7
② 荀子
③ 史思明
④ 荘子
第 17 講
春秋・戦国時代
問8.空欄(ク)にあてはまる最も適切なものを以下から選べ。
① 『長恨歌』
② 『漢書』
③ 『傷寒論』
④ 『詩経』
次の(A)~(E)の各文は中国の戦国時代の諸国について述べたものである。文中の( 1 )~
( 10 )に入れるのに最も適当な語句を下記の語群から選びなさい。また、(A)~(E)の各国は次
ページの地図のどこにあたるか、その記号を地図内から選びなさい。
(A) 斉。
戦国の七雄の一つ。
都城の
( 1 )
には多くの思想家が集まり、
性悪説を主張した
( 2 )
もここに滞在したことがある。陰陽家の( 3 )はこの国の人である。
すう
(B) 魯。周の伝統文化や制度を伝えた国。王道政治を説いた( 4 )はこの国の鄒の出身であ
る。
(C) 楚。戦国の七雄の一つ。古くから王を称し、中原諸国とは風俗を異にした。
『楚辞』で有名な
( 5 )は、王族の一人として内政・外交に尽力したが失脚した。道家の祖である( 6 )
もこの国の人とされるが、実在を疑う説もある。
(D) 韓。戦国の七雄の一つ。春秋時代の( 7 )が三分裂して成立した国の一つ。前4世紀後半
に申不害が宰相として活躍し、強盛を誇った。法家の( 8 )はこの国の王族である。
(E) 秦。戦国の七雄の一つ。前4世紀中頃、法家の( 9 )が孝公に仕えて富国強兵策を実施し、
強大となった。またこの頃、都を( 10 )に移した。
〔語 群〕
(ア) 邯鄲
(イ) 咸陽
(ウ) 曲阜
(エ) 洛邑
(オ) 臨淄
(カ) 韓非
(キ) 屈原
(ク) 孔子
(ケ) 公孫竜
(コ) 荀子
(サ) 商鞅
(シ) 老子
(ス) 鄒衍
(セ) 荘子
(ソ) 蘇秦
(タ) 孫子
(チ) 張儀
(ツ) 墨子
(テ) 孟子
(ト) 李斯
(ナ) 晋
(ニ) 呉
(ヌ) 燕
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