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双子の心理学

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双子の心理学
KTU!Ofxt
6OL.O
*ANUARY
月号
理科好きの子供達を増やすため
には、学校教員が教室の中で行
う授業だけではなく、学校と研究
機関や科学館、ボランティアなど
が連携して行う授業も重要です。
写真は理科大好きボランティアの
活動の様子。
#
/
.
4
%
.
4
3
0EOPLE
独自の理科カリキュラムを草の根で
瀧川洋二
東京大学教養学部附属
教養教育開発機構客員教授
3PECIAL2EPORT
地域のパワーで
理科も数学もずっと面白くなる
JSTの科学技術理解増進事業
理科や数学の学習を支援するため平成 1 4 年度に
スタートした「科学技術・理科大好きプラン」。
全国にまいた種がどうなったか、各地でその成果を探った。
*APAN3CIENCEAND4ECHNOLOGY!GENCY
JST では、青少年の皆さんをはじめとする一
般の方々に、科学技術についての興味や関心を
高め、理解を深めていただくため、科学技術理
解増進に関する様々な取り組みを行っています。
対人地雷廃絶へ大きく前進
例えば、理科や数学教育を重点的に行う全国
99 校の「スーパーサイエンスハイスクール」の活
2$
技術による日本の世界貢献
動の支援、学校の授業で科学技術・理科をわか
4ECHNOLOGY4RANSFER
画期的な運搬体「バイオナノカプセル」
りやすく学習できるデジタル教材の開発、地域の
薬剤を必要な場所に適量運ぶ
科学館と学校などが連携して行う教育活動の支
援をしています。
そのほか、一般の方を対象に科学技術に関す
2$
「首都圏ふたごプロジェクト」
双生児から遺伝と環境の影響を知る
る番組を制作し、CS 放送やケーブルテレビなど
を通じて提供するサイエンスチャンネル事業も行
っています。また、日本科学未来館も運営してお
り、科学技術を身近に感じていただけるよう努力
4REND
JAFoE(日米先端工学シンポジウム)
しています。
社会を意識する研究者
編集長
写真撮影・提供 福島 三喜子
由利修一
梅岡 弘
奈良県立奈良高校
吉川 潔
黒田俊一
安藤寿康
吉本和夫
編集委員 古旗憲一 長谷川奈治
佐藤雅裕 笹月俊郎
和木文敏 飯島邦男
瀬谷元秀
制作協力
サイテック・コミュニケーションズ
(株)学習研究社 科学創造研究所
表紙画
#OLUMN
若者に大きな感動と衝撃を
吉本和夫 大阪大学大学院理学研究科招へい研究員
%NTERTAINMENT
落語で発見! お江戸の科学
試し酒
五十嵐仁之
デザイン
グリッド
JST Newsについてのご意見・ご感想は、以下のE-mailアドレスまでお寄せください。
[email protected]
0EOPLE
独自の理科カリキュラムを草の根で
科学リテラシー、
科学コミュニケーションがちょっとしたブームである。
その仕掛け人でもある瀧川洋二さんは、
これまでの活動を
「無駄ではなかった」というものの、理科離れの現状には、
危機感を募らせている。
9 2 年から科学技術館を中心に展開し
た「青少年のための科学の祭典」
。全
国 9 0カ所、東京の全国大会は 8 万人
の参加を見るまでに関心が膨らんだ。
それが現在のガリレオ工房の出前実
験などの活動につながっている。 9 9 年には英国の教育現場をつぶ
さに見る機会を得た。
「英国は何事も
考えさせる教育姿勢。子供をどこま
で成長させるのかという全体的視点
で、カリキュラムを常に議論してい
る」とその違いに暗然たる思いを抱い
た。
「日本には学習指導要領があるの
東京大学教養学部附属
教養教育開発機構客員教授
NPO 法人ガリレオ工房理事長
NPO 法人理科カリキュラムを
考える会理事長
理科離れといわれて久しい。瀧川
で、そもそもカリキュラムが研究対
さんの半生はこの難題との格闘だっ
象とはならない」
。帰国後、周りの反
た。きっかけは国際基督教大学博士
対を押し切って「理科カリキュラムを
瀧川洋二
課程に進んで以来。大学院に学ぶ傍
考える会」を立ち上げた。
ら同大学高校の物理教師を務めてい
すでに 2 つのカリキュラムが作ら
たからだ。
「良い授業をしたい気持ち
れている。自ら中心になって練った
が高じ、実験などでどう生徒の認識
カリキュラムは「2 1世紀を見渡して、
が変わるかを探る概念形成の研究を
世界的にあるべき標準という考えで
始めた」のがそもそもの出発点。
作った」
。日本の教育を世界標準の中
1 9 8 9 年に学習指導要領が改訂さ
で見つめようという仕掛けだ。それ
れ、理科の授業時間数が大幅に削減
が高じて、現在「科学教育版ウィキペ
された。
「7 0 年代、私の高校生のころ
ディアづくり」に奔走している。学習
は義務教育と高校を合わせて理科は
指導要領とは別個に本来教えるべき
1 5 7 3 時間あった。それが 8 9 年改訂
内容など、授業の直前に先生が読め
で 5 6%に、9 8 年改訂では 5 0%にま
ば役立つサイトである。
「英語版も作
で削減された」
。これでは「昔の義務
り、世界に発信したい」と夢は膨らむ。
教育よりも少ない時間で小学校の先
自治体の分権意識に沿って、独自
生になり、未来を担う子どもたちを
のカリキュラム作成の支援にも乗り
教育することになる。日本の未来は
出している。2 0 0 6 年 4 月に東京大学
暗い」と一層の危機感を抱いた。
に赴任したが、そこでも東京大学が
「このまま看過できない。学校教育
教育のあり方について自治体とどう
だけを考えていては、学校が社会か
スクラムを組めるかを探る。
ら孤立してしまう」と、それまで内々
今も月にいくつか理科の実験を考
の研究会だったものから、社会に出
案する、根っからの理 科の伝道師。
て科学の本当の楽しさを発信する活
草の根から社会に発信する手法はあ
動に転じた。
る種、教育全般に通じるのかもしれ
その中で最も影響を与えたのが、 ない。 (サイエンスライター 男澤宏也)
*34.EWSVOL.O
3PECIAL2EPORT
地域のパワーで
理科も数学もずっと面白くなる
文部科学省が平成14年度から進めている「科学技術・理科大好きプラン」
。
科学技術に関する学習を支援するこのプランは、JSTが中心となって実行している。
全国にまいた種が、
どのように成長し花を咲かせているのか。3カ所の取り組みを見て地域のパワーを感じた。
「何も特別なことはやっていないん
ル校の指定を受けている。
です」と話すのは、川崎市教育委員
実際には、果物を使った電池作り
会総合教育センターの上杉岳啓指導
や、空気を温めたときに起こる不思
主事。川崎市は「科学技術・理科大
議な現象の体験など子供たちの印象
好きプラン」のうち、
「理数大好きモデ
に残る授業を行っている。その中で
*1
ル地域事業 」を2005年 4月から行っ
ている。
「理数大好きモデル地域事業」
最も多いのは、身近な自然の観察だ。
バスを借りて多摩川や三浦海岸の
とは、小・中学校と地域の大学や企
城ヶ島に出かけたり、逆に自然調査
業、ボランティアなどが協力して理
団の人たちに学校に来てもらって校
数教育を進めていく取り組みで、子
内の植生を勉強したりする。理由は
供たちに理科の面白さを知ってもら
簡単。
「子供たちに自然を見て触れて
うのが最大の目的だ。川崎市内では
ほしい」というのが学校の要望だから
6 つの小学校と、2 つの中学校がモデ
であり、上杉先生も、この事業の役
JST が進める次世代を担う人材への理数教育
大学院支援
若手研究者支援
など
研究者・
技術者
未来館
科学博物館
研究者情報発信
理科大好きボランティア
成人
IT
理数に
関心ある大人
理数に関心ある大人
ソフト
ハード
理数学生応援
プロジェクト
能力・意欲のさらなる向上
みるみる伸びる
今回取材した取り組みはピンク。赤は来年度、新たに始まる予定の事業。各事業
の URL は *1「理数大好きモデル地域事業」が http://rika.jst.go.jp/risuumodel/、
小学
理科も安心
先生育成
(教員養成)
中学
学校教育
興味・関心・学習意欲の喚起
魅了する
高校
学校外学習
地域での学習機会の拡充
満たす
ティーチャーズ
サイエンス
キャンプ
(教員研修)
好きな子ども
理科支援員等配置事業
スーパーサイエンス
ハイスクール
未来を担う
科学技術系人材を育てる
理科教材開発・活用支援
理数大好きモデル地域事業
児童生徒の科学に対する
知的好奇心や探究心を育む
*2
*3
理科が伸びる教材
地域理科教室
*1
サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト
国際科学技術コンテスト
サイエンス・キャンプ
大学、公的研究機関、
民間企業等と教育現場との連携の推進
環境教育推進グリーンプラン
目指せ
スペシャリスト
大学
理数教育の木を育てる恵みの雨
得意な子ども
科学者との談話室
地域の科学舎推進事業
サイエンス
チャンネル
教員の指導力の向上
導く
*2 サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト
(SPP)が http://rika.jst.go.jp/spp/、
*3スーパーサイエンスハイスクール
(SSH)が http://www.jst.go.jp/rikai/ssh/。
SPP 教員研修講座「魚類の細胞培養実験に
基づく生物学:その理論と実践」
コラーゲンで書いた絵に細胞が付着しているのに
びっくり!左は講師の羽曽部先生(右上)。顕微鏡で
細胞を観察中
(左)
「
。細胞を使ったお絵かき実験」で
はコラーゲンを使って描いた部分に細胞が付着して
紫色に染まった
(左上)。
味のない人はいないはず。ただ、昔は、
テレビの裏を開けて見たら真空管が
あって、原理がわかりやすかったの
に、今は科学技術があまりに発達し
すぎて私たちを寄せ付けなくなって
しまっているんです」と、最近の理科
離れについて話す。
割を「学校が必要としているものを提
は大変なんでしょうね」と理由を分析
先生たちが見せる生徒の顔
する。日々の生活指導で忙しい先生
忙しい先生たちにとってなかなか
には、準備や予備実験、後片付けに
触れる機会のない最先端の科学技術
くさんあり、それらに触れることで、 手間のかかる実験は、負担になって
を少しでも知ってもらおうと、JSTの
供することだ」と考えている。
自然観察に適した材料は身近にた
感受性が養われ、命の大切さを実感
いるということだ。
「サイエンス・パートナーシップ・プ
*2
理科の苦手意識をなくしてもらお
ロジェクト(SPP) 」の指定を受けた
うと、教員を対象にした講座や研修
教員研修が、北海道立理科教育セン
が各地で行われている。川崎市の場
ターで行われている。2 0 0 6 年 11月
合、研修はどれも盛況で、先生たち
2 1日には東京海洋大学の羽曽部正豪
「特別なことをしない」もう1つの
はもともと実験が嫌いというわけで
助教授による「魚類の細胞培養実験
できる。子供たちには最高の教材な
のだ。
理科好きの裾野を広げたい
理由は、多くの子供たちに理科を好
はないようだ。研修では、学校へ戻っ
に基づく生物学:その理論と実践」の
きになってもらうためには、事業の
てからも実験ができるように、道具
研修講座が行われた。
成果がどんな子供にも及ぶものでな
を配ったこともある。また、新しい
ければならないことだ。理科の面白
教材を導入して、児童が興味をもち、 をはじめ遠くは根室管内の中標津町
さを伝えられる先生たちを増やそう
先生が指導しやすい授業プログラム
まで、道内の中学校や高校から定員
とする試みもその1つだ。
の開発にも取り組んでいる(次のペー
いっぱいの 2 0 人の先生が参加した。
2 0 0 5 年に JST が「理数大好きモデ
理科教育センターのある札幌市内
ジ囲み参照)
。これらは、今後につな 「培養細胞を分化させるにはどうした
ル地域事業」に携わる学校や教職員
がる取り組みにしたいという、現場
らいいのか」といった再生医療につな
を対象に行った「事前アンケート調
の気持ちの現れでもある。
がる最先端の話のほか、
「魚を解剖す
査」により、小学校教員の6 割が理科
さらに上杉先生は「家の中にある
る場合、人体と比較すると広がりが
を教えるのが苦手と感じていること
電化製品だって、天気だって、身の
できる」といった授業の進め方への提
がわかった。上杉先生は「専門が理
回りのことはみんな理科と関係があ
案や、コラーゲンが細胞どうしの接
科ではない先生たちにとって、実験
ります。だから、もともと理科に興
着物質だということを確かめる「細胞
*34.EWSVOL.O
を使ったお絵かき実験」などを取り混
門家を全国から招いて、
「SPP」の指
びたいか」を大切にしようと、選択科
ぜた、バラエティーに富んだ研修だっ
定を受けた教員研修を年に6回実施
目中心に単位制のカリキュラムを組
た。
している。人気があるため全ての先
んでいる。つまり、理科や数学が学
「スキルアップが目的で参加してい
生に参加してもらえないのが悩みで、 びたいだけ学べるということだ。
ますが、できそうな実験があったら
もっと多くのチャンスを提供したい
「SS 数学(スーパーサイエンス数
授業に取り入れます」
「子供たちは雑
と、来年度から回数を増やすことを
学)
」
「
、SS 理科」
といった教科では、専
談が大好きですから、それのネタと
検討中だという。
門家を招いての講義や大学の研究室
して最先端科学技術の話をします」
と先生たち。去年まで、自分も高校
に出向いての実験なども行われてい
地域らしさを生かす
る。力を入れているのは、いわゆる
の教師として参加していたという理
これからの科学技術を担う人材の
理数系の教科だけではない。
「SS 英
科教育センター研究員の佐藤裕之先
育成を目的とした事業もある。平成
語」では、科学的な題材を読み解く
生は「先生たちは、講義を聞いたり
1 4 年度(2 0 0 2 年)から実施している
ことで、英語という言葉を使って考
実験をしたりすると、学生時代を思 「スーパーサイエンスハイスクール
えることを学び、科学に携わる国際
*3
い出すようです。先生が感動したこ (SSH) 」がそうだ。現在、約1 0 0 校
人をめざす。そのため、母国で数学
とは、間違いなく子供たちに伝わり
の高校が SSH 指定を受け、独自のア
と環境の教員経験のある英国人男性
ます」と話す。先生たちが、生き生き
イデアで授業に取り組んでいる。指
が指導に加わっている。こういった
とした気持ちを思い出すことの意義
定校の 1つ奈良県立奈良高等学校は、 授業について、生徒たちは年に 1回、
は大きいようだ。
1 学年が 1 0クラス 4 0 0 名のマンモス
成果をまとめて報告することになっ
北海道立理科教育センターでは物
校で、7 割が理系という理数教育の
ている。
「電子の質量を求める」実験や、
理、化学、生物、地学の各分野の専
盛んな学校だ。生徒たちの「何を学
ネット上で使われている「RSA 暗号
「新兵器」を取り入れた理科の授業
川崎市の住宅街にある西野川小学校。2 0 0 6 年12月6日、4 年
1組の児童が理科室で、松井瑞月先生による「もののあたたまり
方」の授業を受けた。
「理数大好きモデル地域事業」の一環として、
事業に参加している各校から大勢の先生が集まり、授業研究会
が開かれた。
授業はまず、さまざまな形に切り抜いた銅板の一部を熱したと
き、熱がどのように伝わるかを予想することから始まった。児童が、
自分の「説」を、理由とともに発表する。続いて、グループでの実
験で、その「説」が正しいかどうかを確かめる。銅板には液晶イ
ンクが塗ってあり、ガスコンロやハンダごてで端や中心を熱する
と、熱の伝わるのが液晶インクの色の変化でとらえられる。しか
し、矢印など、複雑な形になると、熱の伝わり方がはっきりわか
らない部分もある。そこで、
「新兵器」のサーモグラフィーが登場
し、子どもたちは熱の伝わり方をカラー画像で確かめた。
サーモグラフィーを使うというアイデアは松井先生によるもの
で、装置はメーカーから借りた。見学の先生たちは、銅板の形や
あたため方について議論したり、自分でもサーモグラフィーのカ
メラに手をかざしてみたりしていたが、この授業の試みは、それ
だけでは終わらない。上杉先生は、
総合教育センターの経費でサー
モグラフィーの簡易装置を購入し、他の先生たちも、自分のアイ
デアで授業に用いることができるようにした。
この授業の教材準備には、かなりの労力がかかっているよう
に見受けられた。しかし、児童たちは実験を楽しそうに繰り返し、
松井先生自身も見学の先生方も授業を楽しんでいた。このように
して新しい授業プログラムの開発とその普及が進めば、理科好き
の子どもたちは増えるに違いない。
(サイエンスライター 青山聖子)
まず、もののあたたまり方を予想する
(上)
。液晶インクを塗った銅板で予想
を確かめる
(下左)
。サーモグラフィーでもっと詳しく調べる
(下右)。
奈良高校 SSH の活動 田原南遺跡での発掘作
のしくみ」の研究、さらには全文英語
何なのか。自らも奈良高校の卒業生
で書かれた研究報告もあり、そのレ
だというSSH 担当の森田好博先生は、
ベルの高さには驚かされる。
「SS 奈良
同窓生や同級生の大阪大学や京都大
(スーパーサイエンス奈良)
」という授
学の研究者にも、多大な協力を得て
業を見つけた。
「SS 奈良」の科学とは
いるという。地域の人々に支えられ
いったい何なのだろうか。
ているということだ。
業では土器のかけらを発見して感激(上 2 枚、平成
17 年度)。奈良教育大学で土器の成分を調べる(下
左、平成 18 年度)。いずれも SS 奈良。夏休みには、
科学系クラブの有志が、他の SSH 校やロサンゼル
スの高校の生徒とともに京都大学瀬戸臨海実験所
所長の白山義久教授が主催するNaGISA プロジェク
ト
(沿岸生物の多様性調査)に参加した
(下右、平成
18 年度)。
奈良といえばかつて都があった場
続けられる取り組みを
所だ。
「学校帰りに平城京の“第一次
大極殿”の復元工事の一般公開にフ
川崎市教育委員会の上杉先生には、 現場と地域とのネットワーク”だとい
ラッと行った」と男子生徒がいうよ
まだまだやりたいことがある。1つに
う。
「理数大好きモデル地域事業」を
うに、歴史と子供たちの距離は近い。 は、川崎市の 7 つの区に 1 校ずつ理
進める中で、川崎市青少年科学館や
彼は見学の成果として、木材の選び
数大好きモデル校を置き、そこを拠
企業の見学に出かけたり、近くの大
方、瓦の焼き方、組み木による建築
点に理数教育を発信したいというこ
学や“かわさき自然調査団”から学外
法などについて報告し、情報をクラ
とだ。しかし、
「理数大好きモデル地
活動を手伝ってくれる人を派遣して
スのみんなと共有した。歴史は文系
域事業」は3 年が一区切りになってお
もらったり、移動には市の交通局の
の学問という意識が強く「遺跡で埴
り、次に指定を受けられるとは限ら
協力を得るなど地域との関係を作っ
輪を見て、何のために作られたのか
ない。川崎市の場合、期間は残すと
てきた。これは、北海道理科教育セ
という疑問は出ても、その材料にま
ころあと1年 3カ月だ。
ンターも奈良高校も同じだ。地元の
では目が向かないようです」と担当の
白石正樹先生。
教育に関する取り組みについて
「続けることが何より大事」と考える
そんな歴史に科学的な見方を取り
入れたのが「SS 奈良」だ。古墳遺跡
上杉先生は、支援期間が終わったあ
施設や人との関係を築いている。こ
の協力関係に期限はない。
JSTは平成1 9 年度(2 0 0 7 年)から、
とに何が残るかを常に意識している。 小学校の先生の実験の準備を手伝う
の発掘作業を見学しても、見るだけ 「高い実験装置を買ったけれど、誰
「理科支援員」の派遣をはじめ、新し
では終わらない。奈良教育大学の協
も使わないようでは意味がありませ
い試みをいくつも始めようとしてい
力により、蛍光 X 線分析で土器に含
ん」
。これは「理数大好きモデル地域
る。これらの事業でも、地域のネッ
まれる元素を調べた。
「歴史に限らず、 事業」に限ったことではない。
「SPP」 トワークが作られ、その中で、先生
物を見る科学的な目が育ってくれた
も「SSH」も魅力的な授業やアイデア
ら」と白石先生は話す。
の実現を JST がサポートしているが、 がってくれたら、理数教育の“樹”は
奈良高校のこれだけハイレベル
で多様な授業を可能にしているのは、
期限がある。
川崎市の場合、残るものは“教育
や子供たちが育ち、次の世代へつな
ますます大きく育つことだろう。
(サイエンスライター 池田亜希子)
*34.EWSVOL.O
2$
技術による日本の世界貢献
対人地雷廃絶へ大きく前進
紛争地域を中心に、
世界中に埋まっている地雷の数は約1億1000万個。
すべての地雷を除去するには、現在のペースでは最短でも数百年かかるといわれる。
地雷が埋められている国の復興には、除去のペースを早めることが欠かせない。
2 0 0 2 年1月2 1日、アフガニスタン
年間の「短期的研究開発課題」は、地
復興支援国際会議のオープニング・
雷と土壌の物性の相対的な違いに着
スピーチのなかで、小泉前首相は対
目した地雷探知(センシング)技術と、
人地雷廃絶に向け、政府の方針をふ
センサーを地雷原に運ぶアクセス・
まえたコメントを発表した*。
制御技術を開発し、地雷被埋設国に
これを受けた文部科学省の示す目
技術を提供する。5 年間の「中期的研
標に沿って、2002年10月、JSTは「人
究開発課題」は、地雷の爆薬自体の
道的対人地雷探知・除去技術研究開
物性に着目したセンシング技術の開
発推進事業 **」
(以下、事業と表記) 発を中核としている。
を立ち上げた。
地中の地雷を立体的に見る
顔の見える支援
*「復興支援の前提というべき安全の確保のた
めに、地雷・不発弾の除去に力を入れたいと思
います。緊急に必要な機材の整備、除去事業へ
の支援、犠牲者支援計画への協力を行います。
また、日本は、地雷除去の技術開発に努めます」
** 人道的対人地雷探知・除去技術
研究開発推進事業
人道的観点から、対人地雷の探知・除去活動を
支援するセンシング技術、アクセス・制御技術
の研究開発を推進することを目的とする。この
事業の詳細については、以下を参照下さい。
http://www.jst.go.jp/kisoken/jirai/index.html
従来、地雷探知には金属探知機を
この事業の研究総括、古田勝久・
使っていたが、これにはいくつかの
東京電機大学教授は言う。
「この事業
難点がある。まずプラスチック製の
の目的は、地雷探知・除去技術の開
地雷には反応しない。また、探知は
発だけではありません。技術を現地
音の変化だけが頼りのため、地表で
の地雷除去作業に携わる人々に伝え、 の位置はわかるが深さがわからない。
安全かつ効率的に撤去作業を行える
しかも、地面から1 5cmより深くなる
ようにし、そのことで自らの手によ
と探知が困難になる。そして「探知
る復興を促すのです」
。お金や物資を
した地雷の位置の記録を残すことが
出すだけではない「顔の見える支援」
、 できないため、時間が経つと正確な
これが事業の真の目的である。
事業は大きく2 つに分けられる。3
位置がわからなくなって除去作業の
とき非常に不便なのです」と古田総括。
短期的課題では、これらの探知機
の問題を克服するために地中レーダー
(GPR:Ground-Penetrating Radar)
を開発した。これは、特定の周波数
の電波を出し、地雷の表面で跳ね返っ
てきた電波をセンサーで捕捉するもの
だ。地面に水平にスライスした2次元
の画像を何枚か積み上げて擬似的に
3次元表示をすることで(右ページの
図)
、どこのどの深さに、どんな形状
のどれくらいの大きさの地雷が埋まっ
ているかがわかる。深さ2 0cm 以上ま
で探知できる感度の高さも魅力だ。さ
らに、記録を残しておくこともできる。
クロアチアでの実証試験
(20 0 6 年 2∼3月)
。アームの先端に円盤状の金属探知機とGPR が装備されている。
現在、外務省の ODA によりカンボジアで実証試験が行われている。
センサーを運ぶ車両、遠隔操作す
るアームなど、センサーをより有効
に活用するためのアクセス・制御装
置も開発。現在は、それらすべてを
組み合わせて、世界各地で実証試験
を行っている(前ページの写真)
。
爆薬を探知するために
Type72
(金属部分が微小な対人地雷)
GPRによる地雷探知
(実証試験)
。実際に
はもっとノイズがあり、簡単に地雷とは
見分けられない場合もある。地面に水平
な2 次元画像(右)と、これらを合成した
横 6 0cm×奥 行 8 0cm×高さ 35cm の 3
次元イメージ(下)
。試験のために埋めた
3つの地雷が探知されている。
地表
中期的課題の目標は、地雷の爆薬
PMN2
(比較的大型の対人地雷)
そのものを探知することである。じ
つは、紛争地の土壌に埋まっている
金属のほとんどはただの破片である。
実際、
「アフガニスタンで金属探知
機に捉えられたもののうち、地雷は
1 0 0 0 個中1 個程度」
(古田総括)でし
かない。爆薬そのものを探知できれ
ば、地雷や不発弾をずっと効率よく
な核融合を起こして中性子を発生さ
発見できる。爆薬の探知に向けて、3
せ、生成するガンマ線を高い効率で
つのチームが研究を推進している。
計測する装置である。安全性が高く、 GPR が期待通りの性能を発揮すると、
まず、中性子センサーの開発であ
る。地雷に向けて中性子を照射する
小型なため持ち運びが可能である。
一方、井口哲夫・名古屋大学教授
を測定できる。
中性子センサー、NQR センサーや
地雷除去の効率は金属探知機に比べ
てどのくらいアップするだろうか。古
と、爆薬を構成する原子にその中性
は、同じく中性子の発生が制御でき、 田総括は「地雷原の状況にもよります
子が捕らえられ、特定のエネルギー
持ち運びができる中性子センサーを
が、単純に装置1台で比較すると6 ∼
をもったガンマ線が放出される。それ
開発している。こちらは、大強度コ
7 倍だと思います。しかし、探知精度
を測定するのだ。ガンマ線の量によっ
ンパクト加速器中性子源と、ガンマ
の面では比較になりません。金属探
て爆薬量も見積もれるが、ガンマ線
線を検出する「蛍光パターン認識型
知機は取りこぼしがかなりあり、地
量は距離に反比例するため、位置を
ガンマカメラ」からなる。ガンマ線の
雷を除去したはずの地域での地雷事
特定できるGPRとの併用が望ましい。 量だけでなく、飛んでくる方向も検
故が後を絶ちません。新しい装置を
出できるので、地雷の位置もわかる。
使えば、そのようなことは劇的に減
これまでにもこのような中性子発生装
置はあったのだが、放射性物質(放射
こ れ と は 別 に、NQR(Nuclear
性重元素)が自発的に崩壊して出す中
Quadrupole Resonance、核四極共鳴)
性子を使っていた。しかし、中性子
センサーを開発しているのが、糸崎
雷の除去が数十年で終わり、しかも
の発生を制御することができず、探
秀夫・大阪大学教授である。この装
取りこぼしの心配がほとんどなくな
知作業以外の保管・管理や運搬作業
置は、原理的には爆薬の種類まで特
る。技術の国日本の面目躍如である。
での被ばくの危険があった。
定できる。地雷に使われる爆薬のデー
るでしょう」と強調する。
数百年かかるといわれた全ての地
地雷のない世界へ
吉川 潔・京都大学教授は、超小型
タをあらかじめ装置に記憶させてお
放電型中性子源(下の写真)と複合型
き、測定データと照合することで爆
アフガニスタン復興支援から始まっ
ガンマ線測定子からなる探知技術を
薬を探知する。この装置も、地雷の
たこの事業だが、現在アフガニスタ
開発している。重水素による人工的
位置を 3 次元イメージ化し爆薬の量
ンでの地雷除去のめどは立っていな
い。2 0 0 6 年 5 月以降、イスラム原理
主義勢力タリバーンの攻勢が強まり、
夏からは首都カブールでも自爆テロ
が相次いでいる。
「アフガニスタンでは、新たに地
雷が埋められているそうです。減る
どころか、増えているようです」
。し
かし、だからこそこの事業を成功さ
せ、この世から地雷をなくさなけれ
ばならないのだ。古田総括の顔から
左は、中性子センサーの中性子源。下に向
かって中性子が放射される。右は、核融合
生起中の放電写真。
(吉川 潔教授提供)
は、そんな決意が読みとれた。
(サイエンスライター 吉戸智明)
*34.EWSVOL.O
4ECHNOLOGY4RANSFER
画期的な運搬体「バイオナノカプセル」
薬剤を必要な場所に適量運ぶ
強力な効果を示す薬剤が、目的以外の場所で思わぬ副作用を起こしたり、
目的の場所に到達する量が足りずに
十分な効果が得られず、運搬の問題で薬剤の開発を断念することも多い。
最近、
ウイルスの感染力を利用した「バイオナノカプセル」
が開発され、
汎用性の高い運搬体として実用化が期待されている。
DDS(ドラッグデリバリーシステム) 業の一環として始まり、その後 2 0 0 3
は、10 0ナノメートル(1ナノメートルは
年10月から2 0 0 6年 9月までは、同じ
10 億分の1メートル)ほどのカプセルな
くJSTの育成研究プロジェクトとして
どに薬を封入し、それを運搬体として
進められてきた。現在は、引き続き「地
生体内の目的の場所(標的部位)に運
域研究開発資源活用促進プログラム」
ぼうというものである。たとえば、細
の1つとして続いている。
もともと黒田助教授は、民間の製薬
胞膜と同じリン脂質からなる微小カプ
セル(リポソーム)などが試されている。 会社でB 型肝炎ワクチンの開発を行っ
といっても、標的部位以外に運ばれて
ていた。
「酵母を用いて新しいタイプの
しまったり、細胞内に取り込まれる効
B 型肝炎ワクチンの粒子を作らせまし
率が悪い運搬体が多く、実用化された
た。それで基礎研究から臨床試験まで
ものはほとんどない。
こぎつけ、厚生省(当時)の製造承認
大阪大学産業科学研究所生体触
も得たのですが、採算のとれる売上が
媒科学研究分野の黒田俊一助教授は、 望めないとの会社判断で販売を断念し
ウイルスがもつ感染力と従来のリポ
ました」
。黒田助教授は19 9 3年当時を、
ソームの技術を融合させ、従来の問題
そう振り返る。
点を克服する汎用性の高い運搬体「バ
神戸大学バイオシグナルセンターに移
イオナノカプセル」を作り上げた。
* RNA 干渉(RNAi)
2 0∼ 3 0 塩基対ほどの二本鎖の RNA 断片を細
胞に導入したときに、きわめて強力に遺伝子発
現が抑えられる現象。現在、特定の遺伝子機能
を抑える手法として使われるようになっている
が、標的部位によっては、RNAをうまく運搬で
きないという問題がある。
製薬会社の限界を感じ、19 9 4年に
籍。さらに19 9 8年、大阪大学産業科
はじまりは
B 型肝炎ワクチンの開発
学研究所に研究室を開いていた大学
院時代の恩師、谷澤克行教授の誘い
黒田助教授のバイオナノカプセル研
を受けて現職に就いた。
「ちょうどその
究は、2 0 01年に JSTの権利化試験事
ころ、製薬会社時代の先輩で岡山大学
バイオナノカプセルのしくみ
L タンパク質
薬剤
バイオナノカプセル
遺伝子
肝臓
タンパク質
融合
注射
siRNA
酵母の小胞体内に蓄積されたバイオナノカプセル
(電子顕微鏡写真)
リポソーム
約 100 ナノメートル
さまざまな運搬体の長所と短所
長所
リポソーム
高分子ミセル
ウイルス
ベクター
バイオ
ナノカプセル
薬剤を少しずつ放出できる。
がん細胞へのある程度の
標的化が可能。
遺伝子導入能力が高い。
ウイルス由来の高い感染力をもつ。
比較的副作用が少ない。
任意の細胞や組織を標的化できる。
薬剤、遺伝子、RNA、タンパク質
などが運搬可能。
細胞への取り込み効率が低い。
短所
特定の細胞だけに取り込ませる
こと(標的化)が難しい。
薬剤、遺伝子、RNA、
一部のタンパク質などが運搬可能。
がん細胞以外の細胞を
標的化するのが難しい。
遺伝子以外の物質は運搬できない。
比較的多くの投与量が必要。
幅広い細胞に感染してしまう。
なし
副作用の危険が大きい。
薬剤の運搬が可能だが、
遺伝子などは困難。
の直径は、100ナノメートルほど。薬剤
に移った妹尾昌治先生が、B 型肝炎ワ
染色体に組み込まれる」
、
「免疫系に異
クチンの粒子が中空なので、そこにな
常が生じる」といったことが起こりうる。 などは、あらかじめ別のリポソームの中
黒田助教授は、自らが開発したB 型
に入れておく。そのリポソームとバイオ
た。計算してみると、薬剤も遺伝子も
肝炎ウイルスワクチンをヒントに、ウイ
ナノカプセルを混ぜ合わせると、両者
入るサイズで運搬体に適していること
ルスの遺伝子(ゲノム)を完全に排除し
の膜が自発的に融合して、薬剤がバイ
がわかりました。この経緯を、神戸大
つつ、
「ヒトの肝臓にのみ感染する」と
オナノカプセル内に入り込んでいく。
「抗
学で細胞の表層工学を専門とする近藤
いう特徴は残し、しかもヒトの細胞と
がん剤などの薬はもちろんのこと、かな
昭彦さんに話したところ、おもしろそ
融合しやすいリン脂質からなる運搬体
り長い遺伝子も入れられるほか、RNA
うだということになり、研究チームを
を作ることを考えた。かつて開発した
を入れてRNA干渉(RNAi)*をおこす
作ってJSTに応募したのです」と黒田
と黒田助教授。
B型肝炎ワクチンは、酵母(酒造酵母) ことも可能です」
助教授。
にB 型肝炎ウイルスの外皮タンパク質
Lタンパク質は、ヒトの肝細胞の表
の遺伝子を入れ、酵母の小胞体内(細
面にある特定の受容体にのみ結合する。
床医にも仲間に入ってもらい、大阪大
胞内小器官の1つ)で作らせた小粒子
その後、ナノカプセルの膜と肝細胞の
学、神戸大学、岡山大学、慶應義塾
だった。
膜が融合することで、内包物(薬剤)が
にか入れられないかと提案してきまし
その後、慶應義塾大学医学部の臨
同じ原理を利用して、まず、酵母の
目標である肝細胞の中に入り込む。
「L
ゲノムに、B 型肝炎ウイルスが肝細胞
タンパク質の外皮タンパク質を一部改
本特許とともに、十数件の周辺特許を、 に感染するために必要なタンパク質の
変すれば、さまざまな細胞(がん細胞
国内外で申請してきた。
遺伝子(L 遺伝子)を導入。すると酵
など)を特異的に認識させることも可
母は、小胞体のなかで Lタンパク質を
能です」
と黒田助教授。
大学によるベンチャー(社名:ビークル)
を設立。研究開発は順調に進み、基
ウイルスの感染力をもつ
リン脂質の粒子
合成しはじめ、それらを小胞体由来の
さまざまな用途に使えそうなバイオ
膜にLタンパク質がささった状態の小
ナノカプセルだが、黒田助教授はまず、
運搬体としてウイルスを用いるのは、 粒子として貯め込んでいった。そこで
2 013年の発売を目標に、抗がん剤を
目新しいことではない。たとえば、生
酵母を壊して小粒子だけを精製すると、 封入した肝臓がん用のカプセルを完成
まれつき免疫系に異常をもつアデノシ
「すでに前臨床
考えたとおりの「バイオナノカプセル」 させたいと考えており、
ンデアミナーゼ欠損症(ADA欠損症) が得られた。
「このカプセルは、ウイル
試験(動物を対象に、毒性や催奇形性
などに対してはウイルスを用いた遺伝
スのタンパク質をもっていますが、肝
などを検証)まで進んでおり、現在の
子治療が行われており、ある程度の効
心の遺伝子を全くもたないため、病原
10分の1の薬剤投与量で同程度のが
果を上げている。ウイルスのゲノムに
性を発揮することはありません」と黒田
ん抑制効果が得られることなどを確か
正常なヒトの遺伝子を組み込み患者の
助教授。従来のリポソームの数百倍も
めています」
と話す。
白血球に感染させることで、遺伝子の
の効率で細胞内にものを導入できるほ
本来の機能を発揮させるというものだ。 か、培養や精製も容易だという。
ただしウイルスを用いた遺伝子治療
は、副作用として「ウイルスの病原性
が出る」
、
「ウイルスの遺伝子が患者の
黒田助教授が開発した技術により、
デリバリーの段階でつまずくことの多
かった創薬が、飛躍的に進むことが期
抗がん剤のDDSとして
酵母に作らせるバイオナノカプセル
待される。
(サイエンスライター 西村尚子)
*34.EWSVOL.O
2$
「首都圏ふたごプロジェクト」
双生児から遺伝と環境の影響を知る
JST社会技術研究開発事業*「脳科学と教育」研究の一環として、
双生児を対象とした5年計画の大規模調査(2004∼09年)
が首都圏で進んでいる。
遺伝と環境の発育への影響を考えるとき、双生児たちはまたとない語り部だ。
双生児が誕生したその日から、両
グラフィー検査 **、データベースづく
親は 2 人同時進行の子育てに追われ
り、統計処理や解析など、多岐にわ
る。ふたご育児特有の不安や苦労も
たる作業に 4 0 人あまりの調査員や研
数々あるが、健やかに成長する 2 人
究者が取り組んでいる。
を育む充実感と楽しさは通常の育児
では味わえないもののようだ。
ふたごは何を語ってくれるか
「ふたごをもつ家庭は両親や家族
ゲノムに書かれた遺伝情報を1 0 0%
の結び付きが強く、特に父親の育児
共有する一卵性双生児と、5 0%を共
協力度が高いのです」と語るのは、行
有する二卵性双生児。同じ日に生ま
動遺伝学が専門で、多数の双生児や
れ、同じ環境で育つ 2 人は、遺伝要
その家族と付き合いを重ねてきた慶
因についても環境要因についても特
應義塾大学文学部の安藤寿康教授だ。 別な条件の下にある貴重な存在だ。
安 藤さんは「首 都圏ふたごプロ
認知能力やパーソナリティーの発
ジ ェクト」
(Tokyo Twin Cohort
達に遺伝と環境がどう影響するかを
Project=ToTCoP)のリーダーとし 「双生児法」で研究してきた安藤さん
て、1 6 0 0 組 の 双 生 児 を 5 年 間 に わ
は、一卵性と二卵性どうしを比べて
たって調査するチームを組織してい
みることで、遺伝と環境の相互作用
る。正規の手続きを踏んで住民票か
についてさまざまなことがわかって
ら同日生まれの双生児を探し出して
くると語る。
リストアップ、質問票の郵送と回収、 「指紋の本数、体重、身長、頭囲
インフォームド・コンセントの手続き、 のように数値で表現できる形質を指
家庭訪問、脳の活動を調べる光トポ
標にして、2 人の類似性を相関係数
という統計量で表します。完全一致
なら1、無関係なら0。例えば指紋の
本数では、一卵性双生児の相関係数
が 0.9 9なのに対して二卵性では 0.5 0。
一卵性と二卵性の比がほぼ 2:1であ
ることは、この形質は遺伝の影響が
強いことを示します。どちらも同じよ
* 社会技術研究開発事業
うな相関係数なら、その形質は遺伝
社会技術研究開発センター(RISTEX)
「脳科
学と社会」研究開発領域では、平成1 6 年度より
コホート(集団追跡)研究に非侵襲脳機能計測
や行動学的観察を組み込んだ「脳科学と教育」
(タイプⅡ)プログラムを6テーマで実施中。
http://www.ristex.jp
ではなく、同じ環境で一緒に育った
影響と考えられます。逆に相関係数
の違いが 2:1を超える時には、優性
遺伝などが想定できるのです」
** 光トポグラフィー検査
影響し合ういくつもの要因を解析
からだを透過しやすい近赤外線
(可視光より波長
がやや長い光)を用いて、脳の活動部位を安全
に画像化する方法。
デリングなどの新しい統計手法が開
首都圏ふたごプロジェクト ToTCoP
発され、遺伝要因と環境要因それぞ
http://www.totcop.jp
するのは簡単ではないが、構造式モ
役所や保健所に掲示された参加呼びかけポスター
れの強弱や速度の解析が可能になっ
てきた。
一卵性双生児 遺伝的類似性:100%
今回のように成長の過程を長く見
ていく「縦断的研究」では、遺伝と環
境の影響がどう変化するかも知るこ
とができる。
配偶子
たくさんのふたごに呼びかけ
「データの統計的な偏りを少なく
二卵性双生児 遺伝的類似性:50%
するために、できるだけたくさんの
ふたごさんに参加していただきたい
のです」
。安藤さんをはじめ調査メン
バーは、双生児をもつ家庭にこう呼
びかける。
プロジェクトは、まず網羅的なふ
たご探しから始まった。東京都、神
奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏を
一卵性双生児は、ひとつの配偶子が分割して誕生し、遺伝的類似性は10 0%。二卵性双生児は、同時に 2
つの卵子が受精して誕生。遺伝情報の 5 0% を共有する。
対象に、調査員が各地の市役所に
足を運び、許可を得て住民基本台帳
を閲覧し、同日生まれの双生児を探
ときどき両親に連れられたふたごた
検査のための装置を頭部に付けても
し出す。閲覧と転記には膨大な手間
ちが集合して、にぎやかに交流会が
らうには、
「似合う!」
、
「かわいい!」な
と費用がかかるが、人口をベースと
行われる。研究者からの報告やふた
どと両親に声をかけてもらうのがコ
した偏りのないデータを得るために、 ご育ての先輩の講演を聞き、参加者
ツだ。
「ToTCoP は、双生児研究に脳
この手順は欠かせない。日本ではま
全員がグループをつくって語り合う。 科学の検査法を取り入れた点でも画
だ、双生児についての中立的で信頼
両親にとっては、家庭での子育てを
性の高いデータベースがなく、この
見直し、ストレスを和らげるよい機
調査がはじめての試みとなる。
会にもなっている。
期的なものです」
(安藤さん)
。
遺伝は豊かな多様性の源
苦労して見つけ出した生後 1 4カ月
三田キャンパスに再び ふたごた
遺伝というと「カエルの子はカエ
までの双生児はおよそ 3 0 0 0 組。そ
ちが現れるのは、光トポグラフィー
ル」と、単純な類似性や後ろ向きの因
の家庭に宛てて調査への参加の呼び
検 査を受ける時だ。脳内の血流量
果律が語られがちだが、たくさんの
かけとともに大まかな質問票を郵送
を近赤外分光法によって知ることで
因子の組み合わせ、遺伝子の組み換
する。調査へのエントリーシートで
脳の活動をキャッチする光トポグラ
えや乗り換えによって、豊かな多様
もある質問票に回答を寄せた家庭は
フィーは、現在、乳幼児でも問題な
性を生み出す源でもあることを見落
1 6 0 0を超えた。参加に同意してくれ
く受けられる唯一の検 査 法である。 としたくない。
た家庭には、
以降3カ月おきに母親用・
安藤さんによると、
「子供は、成長
父親用の 2 種類の質問票を送り、そ
とともに自分の遺伝的素質を伸ばす
れぞれ 4 0 0 項目ほどの問いに答えて
環境を自ら選び取っていくようにな
もらって、子どもの気質、行動、親
る」という。遺伝と環境は二律背反で
子関係、親の行動などをさらに詳し
はなく、環境も選択できるものなのだ。
く調べる。質問調査は最長 5 4カ月ま
今回の調査対象より高い年齢層の
双生児についても、今後、調査を進
で継続して行う計画だ。
子どもの発育の状態や親子関係に
めたいと安藤さんは考えている。目
直接触れる機会である家庭訪問も大
標は「貴重なデータをもとに、個人の
切な調査手段である。専門知識をもっ
遺伝的な素質を生かす教育システム
た調査員が期間中に4 ∼ 5回家庭を訪
を設計する可能性を探ること」であり、
ね、ふたごたちの発達を調べ、その
ヒトゲノムが解読された今こそ、人
様子をビデオに収める。
間の心理や行動をまるごと扱う「文
科系の遺伝学者」が貢献する時、と
ふたごに役立つふたご研究
慶應義塾大学三田キャンパスには、
研究に参加しているふたごと両親の交流会は、出
会いの場。
思い定めている。
(サイエンスライター 古郡悦子)
*34.EWSVOL.O
4REND
JAFoE(日米先端工学シンポジウム)
社会を意識する研究者
沖村理事長の発言があったが、事実、
全ての場面でハイレベルな討論が行
われた。セッションの日本側座長も、
「ディスカッションが成り立つのかと
いう不安があったが、期待以上の討
論がなされた。米国側研究者のほう
「この会議において、適切な質問と
いうものは存在しません。自由に発
が積極的だが、日本側も健闘した 」
と胸をなでおろしていた。
言してください」。会議開始前の座長
米国側の参加者からは、「 異分野
の発言は、異分野交流の難しさを反
研究からヒントを得るだけではなく、
映するものだった。JAFoE は、JST、 自分の研究をPRして今後のキャリア
日本工学アカデミーと全米工学アカ
に結びつけたい」と、ハングリー精神
デミーが共同で開催する、研究者の
あふれる声も聞けた。
異分野交流の場である。
6回目になる2 0 0 6 年のシンポジウ
社会へのメッセージ
ムは、茨城県つくば市の国際会議場
この会議では、初めての試みとし
において 11月 9日∼ 11日に開 催さ
て、5つのグループがそれぞれ、特定
れた。参加者は大学、公的研究機関、 のテーマについて「社会へのメッセー
企業などで研究に従事している、3 0
ジ 」をまとめた。そこでは、自分たち
代後半から4 0 代前半の研究者(日本
の研究が社会に与えるポジティブな
側31名、米国側 2 9 名)が中心で、数
側面を説明した上で、研究者の立場
名のシニアの推進委員に見守られな
からの注意すべき点をあげている。
がらの参加となった。4 つのセッショ
例えば、バイオメカトロニクスに
ンで各国 2 名が、2 5 分の発表と2 0 分
ついて討論したグループは、技術の
の質疑応答を行い、その後、5 つの
融合によって様々な診断機器や治療
グループに分かれて、社会へのメッ
機器の開発が可能だが、
研究者はもっ
セージをまとめた。
と途上国向けの医療機器開発に取
り組む努力をするべき、と提言した。
異分野でもハイレベルな討論
別グループは、フレキシブルエレク
開会のスピーチで 「日本人は控え
トロニクスは従来製品より低コスト
めでディベートに慣れていないと言
で、従来の製造プロセスよりも環境
JAFoE ホームページ
われているが、過去のシンポジウム
に与える負荷が少ないが、どこでも
http://www.jst.go.jp/inter/jafoe/index.html
を見る限り心配はしていない」とJST
使える製品が実現できるため、個人
情報、健康に及ぼす影響について考
えるべきとした意見をまとめた。
今後、参加者全員の各メッセージ
への賛同を確認したのち、JAFoE の
ホームページに掲載する予定だ。掲
載については、参加者より「 各メッ
セージに氏名と所属を明記すること
で、発言に責任を持ちたい 」という
希望があり、
“研究者も社会に対して
強い意識を持って研究しており、そ
れを社会に向けて発信したがってい
物質・材料研究機構よりスピンオフしたハイテクベンチャー企業、
(株)オキサイドの古川 CEO によるディナー・
スピーチ。設立当時の事務所がプレハブであったことなど、ベンチャー立ち上げの経験を語った(左)
。社会
へのメッセージを考えるセッション
(右)
。
るのだ”ということを強く感じた。
(JST 鈴木ソフィア沙織)
吉本和夫
#OLUMN
﹁一人でも多くの高校生や大学生に元気を与えるために、
連携教育のプロが指導する連携教育施設を早期に設立し、
体験があって、学びもあり、感動もある実習をより多く実施したい。
﹂
大阪大学大学院理学研究科
招へい研究員
若者に大きな感動と衝撃を
暗いニュースが多く、日に日に教育現場は元気を失いつつある。若者達
は生きる力や明日への希望をすり減らし、感動に飢えている。しかし、わ
ずか 3日間の実習でも、
高校生や大学生の人生を変えるほどの「感動と衝撃」
(ジャイアントインパクト)を与えることができる。私は、この 2 2 年間、大
阪教育大学附属高校平野校舎で生命科学教育や連携教育を研究・実践し、
理科教育再生へのビジョンやノウハウを提案してきた。
高校生が人生を変え、大学生が院生を超える
私は、倉光成紀先生(大阪大学大学院理学研究科教授)との共同授業と
して平成 8 年から始めた分子生物学の実習で、理科好き、思考好きな若者
を増やすための多くの手がかりを得た。この実習は、高校生を主な対象と
して、大阪大学で 3日間延べ 2 4 時間以上かけて行うもので、単に科学技術
を体験することだけを目的とせず、遺伝子組み換えなどの分子生物学の実
験と、そうした実験に関する小問を通じて、結論を急がずに科学や思考を
エンジョイしながら、
生命の本質に迫るものである。よって、
市販の実験キッ
トはいっさい排除し、すべての実験手順・操作を体験させ、その意義を考
えることによって科学の本質に迫り、
「わかるということ」がどういうことか
を、大学生(TA)の指導の下で学ぶ。
生徒達の多くは、感想文を「なぜか、無性に勉強したくなった !」
「何の
ために自分たちは今、高校で勉強しているのか !」
「こういう生き甲斐のある
人生を自分もやってみたい。いやこういう人生をやるために今、勉強して
いるのだ」
「私の人生、変わったと思います !」と締めくくっている。
若者は、自然科学の最前線の科学や思考をエンジョイしながら多くのこ
とを実体験し、自己の視野の狭さに気づくとともに、学ぶこと・思考する
ことの喜び・面白さを知るなど「明日への展望」と「生きる力」を得ていた。
さらに、高校生を指導する大学生も、長時間の指導とその準備のために多
くのことを学び、劇的な成長を遂げて、院生をも超えてしまう。中だるみ
した大学生活に活を入れ「何のために大学に入学したのか ?」を思い出させ、
大学生としての自覚、研究への興味を芽生えさせることができた。
この実習の詳細については文部科学省
SPP 事業紹介サイトを参照。
http://2 1 8.4 5.1 9 6.2 0 4/dvd/dvd_0 4.
html
TAの育成が課題
今後の課題は、この実習の命であるTAを今後どのように安定的に育成
し、また、新人 TAにどのようにして、実習準備と指導法のマニュアルを
受け継がせるかということである。これは、大学内に連携教育施設がまだ
ない現状では、きわめて難しい問題である。
今後は、この実習の恒久的な実施、実施回数の増加、他大学での実施
などを実現し、1人でも多くの高校生や大学生に元気を与え、科学に対し
て「これは面白い、もっと勉強してみたい」と言ってもらえるように、連携
教育のプロが指導する連携教育施設を早期に設立し、このような実習を1
回でも多く実施したい。そのための公的支援を切に要望するところである。
実習風景
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ISSN 13 4 9-6 0 8 5
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発行日 / 平成 19 年1月
編集発行 / 独立行政法人 科学技術振興機構 広報・ポータル部広報室
〒10 2-8 6 6 6 東京都千代田区四番町 5-3 サイエンスプラザ 電話 /0 3-5 214-8 4 0 4 FAX/0 3-5 214-8 4 3 2 E-mail/[email protected] ホームページ/http://www.jst.go.jp
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