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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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マイクロ波フェライトサーキュレータの比帯域幅に関す
る工学的研究( Dissertation_全文 )
岡村, 宗治
Kyoto University (京都大学)
1976-01-23
https://doi.org/10.14989/doctor.r2947
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
author
Kyoto University
マイクロ波フェライトサーキュレータの
比帯域幅に関する工学的研究
昭和50年4月
岡 村
ぶ
刀 ̄く
治
マイクロ波フェライトサーキュレータの
比帯域幅に関する工学的研究
昭和50年4月
岡村宗治
DOC
1975
13
電気系
内容梗概
マイクロ波帯では,信号の高品質伝送,機器の安定動作を実現するため,非可逆伝送特
¥
性を示すフェライトサーキュレータが広く実用に供されている。本論文は,VHF,UHF
帯左どの低-イタロ波域で使われる集中定数形サーキュレータ,および広帯域性に特徴の
あるストlに・プ線路サーキュレータを対象にとりあげ,比帯域幅に着目して,各種の実現
形式を比較検討し,設計理論を考究した。
第1章では帯域幅に重点をおいたサーキュレータの設計法の確立が必要とされた背景,
おヽよびサーキュレータ設計の性能指数として比帯域幅をとることの妥当性を明らかにした。
第2章ではSパラメータを用いたサーキュレータの回路論的考察を行ない,サーキュレー
タ設計のための必要条件訟よび十分条件を導出した。第3章はせーキュレータの性能限界
を決める材料的制約,す左わち,フェライト材料の特性を論じた。ここでは,非可逆伝送
特性に主役を演じるフェライトの円偏波磁界に対する透磁率を検討した。第4章では,ま
ず種々な回路形式の集中定数形サーキュレータについて個々に比帯域幅を求めた後,中点
容量性接地並列共振形サーキュレータにおヽいて,素子値を最適化すれば,40価以上の比
帯域幅を実現する可能性があることを導びいた。第5章では,ストリップ線路サーキュレ
ータを取扱い,実験的にフェライト装荷接合部の固有値の周波数依存性を明らかにし,一
段の四分の一波長変成器と組合せて20
30価の比帯域幅が得られること,さらに,二段
の変成器と組合せて60価以上のオクターブバンドサーキュレータが実現されることを述
べた。第6章では,フェライト装荷ストリップ線路接合部の数式モデルを導びいたのち,
電子計算機を用いて各設計パラメータのサーキュレータ特性におよほす効果の計算,訟よ
び,比帯域幅の最適化計算を行ない,周波数で正規化した磁化パラメータの重要性,軸よ
●
1
び,第5章に記述した実験的成果の正しさを立証した。
II・i
これらの成果は,どの周波数帯でも有効なことは実験的にも確認され,本研究に基づく
これらの広帯域サーキュレータは各種放送機器,レーダ装置,無線システム,マトクロ波
中継機等に実用化されている。結びでは,以上本論で得られた結果をまとめるとともに,
残された問題点についても述べている。
目
次
まえがき……
1
第1章マイクロ波フェライトサーキュレータ研究の背景………………………
3
1。1サーキュ
3
¥
1.2性能指数(比帯域幅)……………………………………………・・・………
第2章サーキュレータの回路論的考察……………………………………………
2.1
6
10
10
2。2サーキュ
12
2.3サーキュ
14
2。4真性入力インピーダンス…
18
11
22
第3章フェライ
3.1
円偏波透磁率
3.2
22
3。3サーキュレータの動作原理…………………………………………………
27
3。4フェライトの動作
29
3.4.1低磁界動作
29
3.4.2
31
第4章
33
4。1並列共振形集中定数サーキュレータ………………………………………
4。1.1構造………
4。1.2素子値
33
33
●●●●●●●●
4。2直列共振形集中定数サーキュレータ……
4。2.1素子値……
4.3
34
36
36
37
4.3.1
37
4。3.2低磁界動作
40
4。4フェライト内部の磁界分布…………………………………………………
4.5
43
47
4.5.1中点短絡直列共振形サーキ●.レータ
48
4.5.2
中点開放並列共振形サーキュレータ
49
4.5.3
中点容量性接地並列共振形サーキュレータ…..
50
4.5.4
マイクロ波集中定数サーキュレ,タ
53
4.6
55
第5章ストリップ線路サーキュレータ………
60
5。1接合部の等価回路と外部Q…………………………………………………
60
5。2四分の一波長変成器付きサーキュレータ
64
5.2.1
65
5。2.2サーキュレータの特性イン
68
5。2.3・実験結果
70
5。3オクターブバyドサーキュレータ
●●
77
5。3.1固有値(Z:)
77
5。3.2多重反射を除いた入力アドミタ
79
5。3.3二区間イ
79
5.3.4
5。4マイタロストリ
第6章サーキュ
6。1接合部の数式モデル・・・・・・・●・・・●・・・●・●・●●・丿●・●・・・・●●・・●●・・●・・●・・・・●・・・●・・●・・・・●丿●・・・・
6.1.1一様伝送線路モデル・・・・・●・●・・・・・●・・・●・・●・・●●●●・・・・・・●・・・・・・・・●・●・・●・・・・●・・・・・・
82
84
86
86
86
6.1.2
86
6.1.3
88
6。2シミュレーションプログラム
94
6。3最適化プログラム
96
6.4
98
6。4.1固有値の
6.4.2
6.4.3各パラメータの相互関係………………………………………………102
6.4.4一段変成器を用いた場合………………………………………………107
6.4.5二段変成器を用いた場合………………………………………………109
98
101
¥
結ぴ
謝辞…
参考文献
●1
114
●●●●●●●●
●●●●
117
118
付録
122
著者発表
126
まえがき
本論文はマイタロ波フェライトサーキ=・レータの設計理論,とくにその帯域幅改善かよ
び電算機設計化の検討,実験結果との対比などについて,筆者が昭和41年来行なった研
究の結果を記述したものである。ここでとりあつかったサーキュレータは小形に特徴のあ
●
、
る集中定数形サーキュレータと広帯域性に優れたストリップ線路サーキュレータとてある。
本論文の構成は,第1章-イ≒クロ波フェライトサーキュレータ研究の背景,第2章サーキ
●
ュレータの回路論的考察,第3章フェライト材料の考察,第4章集中定数形サーキュレー
タ,第5章ストリップ線路サーキュレータ,第6章サーキュレータの電算機設計,軸よび
結びより々りたっている。
ここでは,本論文の構成と各章の要点を説明する。第1章は帯域幅に主眼を置いた広帯
域サーキュレータ設計法の確立が必要とされた背景,おヽよびサーキュレータ設計の良さを
表わす性能指数として比帯域幅をとるべきであることを述べた。第2章はサーキュレータ
の基礎理論として,Sパラメータを用いた伝送線路接合部の回路論的取扱い,サーキュレ
ータを実現する条件のSパラメータ表示を導びき,サーキュレータ合成のための必要十分
条件について論じた。第3章はサーキュレータの性能限界を決める材料的制約,すなわち,
フェライトの材料定数の範囲,円偏波透磁率の直流バイアス磁界に対する振舞い,おヽよび
磁気共鳴磁界の上下におけるサーキュレータのバイアス磁界動作領域について述べた。将
来重要と痙ると考えられる接合形サーキュレータの概念的な動作原理にも言及した。第4
章では集中定数形サーキュレータの各種の回路構成を述べてから,各々の形式について中
心周波数で正規化した磁化の関数として比帯域幅を求め,比較した。マイクロ波集積回路
に適した,アルミナ基板にーウントする形式のマイクロ波帯集中定数サーキュレータにつ
いても述べ,広帯域化の手法も記述した。第5章ではストリップ線路サーキュレータを取
扱い,フェライト装荷接合部の特性を解明し,四分の一波長変成器と組合せた広帯域サー
キュレータの設計理論と,その延長線上に得られるオクターブ帯域のサーキュレータにつ
いて,実験的側面を主体とした記述を行たった。第6章は従来の実験的試行の繰返しに頼
っていたサーキュレータの開発を電子計算機による数値解析におヽきかえ,サーキュレータ
の設計を迅速かつ経済的にする目的で,サーキュレータの電算機設計を試みた。まず,広
帯域にわたって有効な接合部の数式モデルを求め,シミュレーションによって各設計パラ
メータの効果を調べた後,四分のー波長変成器を用いた広帯域サーキュレータについて設
-1-
計パラメータの最適化計算を行ない,正規化された磁化と各パラメータの最適値との関係
式を求めた。さらに,2区間の変成器を用いたオクターブ帯域サーキュレータの性質を解
明した。結びでは以上の諸章をまとめて,今後に残された問題おヽよび将来のサーキュレー
タの方向を考察した。以上の各章にわたってサーキュレータの設計をその比帯域幅に着目
して統一的に論じ,実際と定性的によく一致する結果を得た。もれ電磁界を解析にとり入
・
れる等近似度を高めることにより,サーキュレータの設計がフィルタ等と同様に直載的に
行ない得るものと考えられる。
-2-
第1章マイクロ波フェライトサーキュレータ研究の背景
1。1サーキュレータとその歴史
-・イタロ波技術はレーダと無線通信の分野で現代社会を支える技術の重要なー領域であ
る。マイタロ波フェライトデバイスはフェーズドアレーを含む各種のレーダや移動ふヽよび
芦
固定の無線通信機器,さらに宇宙通信機器,これらに関連したマイクロ波測定器左どの構
成部品の一つとして,マイクロ波技術と共に発展してきた。その歴史は1952年に発表
(1)
されたHoeanの研究に始まる。フェライトのマイクロ波領域におヽける大き左フマ?デー
効果を利用したアイソレータ,サーキュレータがこのときすでに提案されている。以来,
フェライトデバイスはそのユニークな非可逆伝送特性によってマイクロ波機器に広く実用
されてきた。
フェライトデバイスはきわめて多様々実現形式とその断えざる進歩によって特徴づけら
れる。Hogan以来20年余を経た現在も左訃技術的進展がみられ,周波数領域の拡大,
低損失化,大電力化等の努力が続けられている。しかし,一方,最も多用されている接合
形サーキュレータをとりあげてもその設計は数多くの試行を経るのが通常で,他のマイク
ロ波機器と同様,明解な回路論的取扱いと実際の設計技術とが結び付かず,多くの理論を
(2)
もてあまし気味で,さ痙がら群盲象を撫づが如き様相を呈しているというのが設計の場に
おヽける実状である。しかし,数多くの研究結果と実用化された成果のあとをたどり,整理
すると,そこに技術の中心となる流れを見出すことができない訳ではない。この観点から
本研究は広帯域サーキュレータの設計理論を確立する目的で実施された。
フェライトデバイスの主たる用途は負荷からの反射波を吸収して,発振器,増幅器など
を安定に動作させるアイソレータと負性抵抗増幅器など2端子素子に対する信号の流れを
単方向化するサーキュレータである。サーキュレータはその一端を抵抗終端することにJニ
つてアイソレータにもなるから,最も基本的左フェライトデバイスといえよう。サーキュ。
レータはそのユニークな受動非可逆伝送特性を特徴として数十MHzからりJ波領域にわた
(3).(4)
つて広く実用に供されている。ここで受動とは何等直流電力の供給を要しないということ
である。非可逆伝送特性とは非相反回路と称してもよい,いわゆる多端子対回路におヽいて
相反定理が適用できないことを意味している。より具体的に述べると,サーキュレータは
図1.1のような記号で表わされ,円内の矢印で示した順方向端子間におヽいてのみ信号が低
損失で伝送される性質を有している。すなわち図1.l(a)では端子①から入射した信号は端
-3-
子②に現われ,端子②から入射した信号は端子③に現われ,端子③から入射した信号は端
子①に現われる。図1.1(b)に示した4端子対サーキュレータについても同様である。さら
に拡張すればn端子対サーキュレータも概念的に考えられるが,たとえば4端子対サーキ
ュレータは図1.2に示したように2個の3端子対サーキュレータを結合して構成される。
一方,・2端子対サーキュレータは無意味であるから,3端子対サーキュレータが最も基本
一驚
的な形態である。したがって本研究におヽいては3端子対サーキュレータのみ考究されてい
る。\
4
④
①
①
(a)3ポート
(b)4ポート
図1.1サーキュレータの記号
図1.2
4ポートサーキュレータの構成
サーキュレータはその端子数K:よる差異の他に,動作原理K:基づいて表1.1のように分
(5)
類される。移相器形サーキュレータは1954年にすでにChaitによって報告されているが,
フェライト非可逆移相器と3dBハイブリッドとを組合せて構成され,電力容量が大きい
特徴がある反面,形状が大きくなる。つぎのフフラデー回転形サーキュレータは.C.L.
Hoganの発見した・・イタロ波のフェライト媒質中における大きなファラデー効果をそのま
ゝデバイス化した歴史的意義の大きなサーキュレータである。しかし,ファラデー回転は
円形導波管内のフェライト棒で生起し,サーキュレータを構成するには直交偏波分離回路
を必要とするので,やはり寸法が大きい。これらに比べると,接合形サーキュレータは,
4
表1.1サーキュレータの種類
移相器形
ファラデー回転形
﹄
導波管形
y
サーキュレータ
ストリップ線路形
接合形
斗
マイクロストリップ形
集中定数形
(6)(7)
まず導波管形が1958年頃に開発されたが,表1.1にも示したように,いずれの伝送線路
を用いても実現できるばかりで々く,小形で高性能であるから,現在では最も広範に実用
されている。この点で,本研究はその対象を接合形サーキュレータに限定して考究された。
(8)
ストリップ線路サーキュレータは1960年に初めてMilano他によって発表された。伝
送線路としてストリップ線路はTEM波を基本波としており,導波管のような遮断周波数
がなく,線路自体の周波数分散特性を示さたい。したがって,ストリップ線路サーキュレ
ータの性能,とくにその周波数帯域幅は用いるフェライト材料によってのみ制限され,フ
ェライトサーキュレータの究極的な性能限界はストリップ線路サーキュレータにおヽいて実
現されるものと考えられる。本研究はこのストリップ線路サーキュレータを主たる対象と
(9)(10)
して取扱った。マイタロストリップ線路サーキュレータは1967年,Hershenovにより
実現された。マイクロストリップ線路は誘電体基板の誘電率が大きいとき,伝送波の放射
損失が少なく,実用上十分な精度で近似的にTEM線路として扱える。したがって,マイ
タロストリップ線路サーキュレータもストリップ線路サーキュレータの変形として扱うこ
(11)
とができる。とくに近年,進歩の著しいマイクロ波集積回路との構造的適合性にその価値
が大きく,マイクロストリップサーキュレータもストリップ線路サーキュレータの一部と
して取上げた。
最近のマイクロ波技術の進歩は固体化と集積化による回路の著しい小形化に認められる。
しかし,サーキュレータの場合,広帯域化は一般に外部補償回路の付加によってなされ。
(12)
形状寸法の増加は避けられぬものと考えられている。この壁を越え/」ヽ形広帯域性を同時
に実現するにはもとのフェライト装荷接合部そのものの小形化,広帯域化が大切である。
-5-
:(13)
小形化にとくに有効なのは回路の集中定数化であり,1965年,小西により初めて提案
された。
集中定数形サーキュレータはストリップ線路サーキュレータを誘導性の非可逆結合イン
ダタタyスと容量性の同調キャパシタとに分離して集中定数化したもので,周波数の低い
VHF,UHF帯のサーキュレータをきわめて小形化したばかりでなく,サーキュレータの
1
本質的性質を明らかにする上でも興味ある対象であるのでかなり詳しく取扱った。まず本
研究では集中定数化小形サーキュレータの比帯域幅を種々々回路構成について検討した。
寸
この比帯域幅の追求と綾なすものはサーキュレータ作用の物理的意味の把握である。サー
キュレータの原理はファラデー効果の利用に始まったが,接合形サーキュレータの発見以
来,接合部を共振器とみ々す取扱いが重視される傾向が強い。しかし,一層の広帯域性を
実現するにはふたたび進行波の偏向という電磁波伝播現象に立ち戻って考える必要がある。
一たん,分布定数系として把えた上で,集中定数化しなければ,サーキュレータの広帯域
特性を保つたまい」ヽ形化するのは困難と考えられる。この意味で本研究の後半にぷヽいては
電算機を用いた数値解析手法を使って,分布定数系に属するストリップ線路サーキュレー
夕の帯域幅を考究した。
1。2性能指数(比帯域幅)
サーキュレータの典形的な電気的特性を図1.3(a),(b)に示したが,この図からも明らか
なように,実際のサーキュレータの伝送特性には必ず周波数依存性があり,サーキュレー
タ特性はある中心周波数の近傍にふヽいてのみ実現される。周波数が中心周波数から離れる
にしたがってインピーダンス整合がくずれてVSWRが大きく々る。そう入損失は増加し,
アイソンーションは次第に減少する。サーキュレータの使用周波数帯域は通常,定在波比
(VSWR)1.2以下,アイソレーション20dB以上によって規定される。サーキュレータ
の電気的特性を表わす値としてはVSWR,そう入損失のほかに周波数帯域幅,電力定格
忿どがある。使用可能温度範囲,寸法重量々ども性能指数の一つということができる。フ
ィルタとか増幅器とかいずれのデバイスにおヽいても同様だが,サーキュレータの設計の良
さを一つの数値で代表して表現できれば便利である。サーキュレータは,フェライト材料
の開発に助けられてその適用周波数範囲が拡がってきたが,一方では与えられた材料を用
いてその性能を最大限に発揮させる設計技術が重要である。問題は何をもってサーキュレ
ータの代表性能とするかである。筆者はこゝ数年来無線通信機器や放送機器に実装するサ
-6-
-キュレータの開発に携さわってきたが,その間を通じてつねに共通して要求されるのが,
広帯域性と小形軽量性とであった。
20
そう入損失
s
(dB)
10
1.0
順方向
0.5
0
VSWR
1.1
1.2
0
650
700
周波数(MHz)
750
図1.3(a)サーキュレータの電気的特性
CUHF帯におヽける一例)
40
へ
30
/\、
うノイ ソレーン
20
ノ
ノ
八
\
\
0
八
3.0
加i
3.5
4.0
ノ
4.5
周波数(GHz)
図1.3(b)サーキュレータの電気的特性
(SHF帯におヽける丿列)
-7-
5.0
そう人損失
3n乙1
ン10
(dB)
サーキュレータ開発の初期におヽいてはサーキュレータの性能指数として中心周波数にお・
けるアイソレーション(dB)とそう入損失(dB)の比が用いられ球)。の定義は磁気共
鳴点にバイアス磁界を設定した共振形アイソレータには適切な指数といえる。この場合,
導波管内のフェライト部分に正または負の一方だけの円偏波磁界をいかに有効に発生する
かという設計の良さが性能指数を決めるからである。そしてノ共振形アイソレータを単に
縦続接続しただけではアイソレーショyが2倍に々つても同時にそう入損失も2倍となっ
4
て性能指数は変わらない。しかし,このようカ定義をサーキュレータに適用するのは正し
4
くない。たとえば,サーキュレータのアイソンーションは抵抗終端される端子対のインピ
ーダンス整合によって決ヽまり,ほとんどゼロに等しい電圧反射係数のわずかの変化によっ
て著しく変動するため,個々のサーキュレータに特有の性能指数として採用できない。し
(14)
かも,Auld等のS行列を用いた理論的研究によってサーキュレータの設計は単左る整合
問題にすぎ左いことが明らかにされ,任意の点周波数におヽいてはサーキュレータ特性の実
現がきわめて容易かつ確実に可能と々つている。また。アイソレーションは整合によって
決まるのに対し,そう入損失はフェライト材料の損失によって支配されるから,インピー
ダンス整合と材料定数との換算ができたい限り,異質の項の比較となり,従来の性能指数
は材料特性を含むので,そのまゝ回路設計の良さを示す性能指数としてみたすことができ
ない。
応用上のことを考えるとサーキュレータの第3端子を抵抗終端して得られるア・fソレー
タは,抵抗性減衰器の代わりに低損失バッフアとして用いられることがきわめて`多い。し
たがって,その使用可能周波数帯域は抵抗減衰器のそれに近付くことが望まれる。この意
味でサーキュレータの性能指数は一定の規格,たとえば,VSWRI.2以下といった特性
を満足する比帯域幅をとるのが適当である。実際,より大きな比帯域幅を得ようとすれば,
それだけ複雑な整合回路が必要とたり,比帯域幅は設計の良さをそのま∇ゾ反映している。実
用的なサーキュレータにおヽいては通常そう入損失が0.5dB以下ときわめて小さく,この場
合,理論的にも証明されている通り,VSWRとアイソレーツヨンとは1対1の対応があ
るから,VSWR<1.2という条件は,ア・fソレーション20dB以上という規格で置きか
えることもできる。そこで,本研究におヽいては,サーキュレータの性能指数としてアイソ
レーション20dB以上の比帯域幅を用いることを提案し,サーキュレータの回路設計の個
々について実現できる比帯域幅の限界を追求した。
サーキュレータの性能指数として考慮すべきもう一つの条件はサーキュレータの大きさ
-8-
である。実験的に開発された数多くのサーキュレータは比帯域幅の増加と共にそれに比例
して外形寸法が増大する傾向を示している。したがって,サーキュレータの性能指数は比
帯域幅を,波長で正規化したサイズで除した値をとるのがより高度の定義といえるが,広
帯域性と小形化を同時に満足する設計はまだ容易では々く,今後に残された課題の一つで
ある。
S。
t
-9-
第2章サーキュレータの回路論的考察
サーヤユレータの電気的特性を記述するものとして,そう入損失,VSWR.アイソレー
ションが挙げられる。さらに付加的が条件として,以上の量が規定される周波数範囲,電
カレペル,周囲温度々どを指定する必要がある。より高性能カサーキュレータを実現する
.、●
には個々の要素を一つ一つ検討し々ければならないが,サーキュレータの性能指数として
比帯域幅をとり,その性能限界を追求する立場からは,サーキュレータの特性を記述する
三つの基本量,そう入損失,VSWR.アイソレーションの相互関係を明らかにし,でき
れば一つの量で代表させることが望ましい。以下,本章では,これら三つの基本量の数学
的々取扱いによってその相互関係を検討し,サーキュレータの解析から出発して,サーキ
ュレータの設計に有用方合成の条件を考究する。
2.1S行列解析(14)
もっとも基本的な3端子対サーキュレータの一般的な実現形態は三つの伝送線路,たと
えば図2.1のように方形導波管をたがいに120度の角度をたすように放射状に対称に組
合せた接合部の中心にフェライト円板を装荷し,これに導波管の外部から直流バイアス磁
界Hdcを加えたものである。このよう方多端子対回路の伝送特性はS行列を用いて解析さ
れる。図2.2におヽいて端子対①,⑧③の入射電圧,反射電圧をそれぞれ,a1,a2,a3■'
b1,b2ib3と訟くと,サーキュレータのS行列は
b=Sa(2.1)
Hdc
図2.1導波管形3端子対サーキー.レータ
-10-
y
,
レニ
\④
の七
図2.2サーキュレータの入射波と反射波
で定義される。
ただし,
う
ぐ
う
一一
S
=
123
bbb
ぐ
b
=
う
n心心
ぐ
S11SI2S13
S21S22S23
(2.2)
S31S32S33
対称性を仮定すると,
bll=b22=b33
Sl2―S23―S3I
(2.3)
Sl3―S2I=S32
であるから,
SSS
j
11S12S13
S=
)
(2.4)
13S11S12
12S13S11
ここで.Suは各端子での電圧反射係数,Si2は端子対②→①間の電圧伝達係数.Sl3は
端子対③→①間の電圧伝達係数である。接合部が無損失であると,S行列はユニタリ性を
示し,
}
IS1112十IcI2十IS1312=1
(2.5)
SllSl2*十Sl2Sl3*+Sl3Sll*=0
したがって,いま完全々サーキュレータが得られたものとしてISl3l=lとカ:つたとする
と,Sii―Si2=0となる。逆にSu=0とすると,Sl2―0,ISl3I=1,またはSl3=
-11-
0,│Sl2l=1と左る。ISl2l=1とIS131=1とはたがいに逆'まわりのサーキュレー
タ特性を表わしている。すなわち,回転方向に任意性は残るものの.Sn=0はサーキュ
レータの必要十分条件となっている。すなわち,対称3分岐Y形接合回路にふヽいてサーキ
ュレータ特性実現のための必要十分条件は各端子の整合条件に他ならない。したがってサ
ーキュレータの調整はインピーダンス整合にほかならず,二つの独立々パラメータの調整
・
によって行左えることになる。たとえば,図2.1の構造の導波管形サーキュレータにおヽい
てはフェライトの直径と直流バイアス磁界の強さを変えてサーキュレータ特性を得ること
φ
ができる。直径を固定して周波数を可変してもよい。この場合はどのような大きさのフェ
ライトを接合部に入れてもただ直流磁界を変えるだけでいずれかの周波数でサーキュレー
タ特性を実現できることが保証される。このことはS行列解析の大き々成果である。
つぎに,Y接合部が無損失ではあるが,そのSパラメータがサーキュレータの条件から
わずかにずれている状態を考える。ISi31≒1を(2.5)に入れて。
ISii1≒ISl21,1S1312≒1-2ISu│2(2.6)
を得る。この式は入力端子の反射損失とア・fソレーションが相等しいこと,す痙わち入力
端子のVSWRとアイソレーショyが1対1の対応を示すことを意味している。すなわち
サーキュレータの条件として入力インピーダyスの整合のみ考えれぱよいという状況は,
完全なサーキュレータの条件からやゝずれた場合にも勿論近似的に成立する。
2。2サーキュレータの条件(15)
本節では,Sパラメータで表現したサーキュレータの条件S11=Oをさらに対称成分に
分解して考察する。いま,(2.4)式で表わされる対称Y接合部のS行列に対して,
111
1
ai
一
一
j
ej(Z
1
a-1
一
一
e ̄j(Z
a=
-
2π
3
e-jo£
(2.7)
ejo!
とぶヽくと。
Saj°Siai・iニo・1・-1(2●8)
が成立するから,ao,a1,a_1は固有ベクトルである。固有ベクトルaoは各端子の同相
励振電圧を表わしているから同相励振と呼ばれる。ai,3-1はそれぞれ各端子の電圧が正,
あるいは逆方向に120度ずつ位相のずれた励振電圧を意味しているから,正相,おヽよび逆粍励振
と称する。固有値Siは各固有ベクトルに対して,・(2.8)式から
12-
So―Sn+Si2+Si3
│
Si―Sii十S12eμ十S13e-j(゛
(2.9)
S-1=S11+S12e-j(z+S13eμ
左る関係式で与えられる。逆に固有値So,Si,S-iが与えられると.(2.9)を解いて,
j
-1
3
(So十SI十S-1)
S11
一
一
S12
=廿(So十Sle-μ十S-lej(゛)
tt
(2.10)
1
Sl3―
- 3
(So十Slej(゛十S_le-j(z)
を得る。したがって,各端子の整合条件であるサーキュレータ条件Sii=0は。
So十SI十S-1=0(2.11)
となる。接合部が無損失であるとS行列の固有値Siの振幅はつねに1であり,Siはスミ
ス図表の円周上にある。このとき.(2.11)式で表わされるサーキュレータ条件は各Si
がスミス図表の外円周上でたがいに120度の間隔で配列することと等価である。ただし,
Soに対し,Si,S-1の順序関係が入れ換わると,図2.3に示したようにサーキュレータ
の回転方向も逆転することは,(2.10)式を検討すると明らかである。
S-
S
S
Si
③
①
①
②
●
(a)右まわり
図2.3
(b)左まわり
サーキュレータの条件
-13-
2。3サーキュレータの合成
前節で明らかにしたサーキュレータの条件を合成する方法は,つぎの二つに大別される。
1)フェライト装荷接合部のパラメータを変える方ぶ4)
(16)
2)外部補正回路を付加する方法
第一の方法は,B.A.Auldによるもので,図2.1に示したように導波管のY形接合部中
11・
心にフェライト円柱をマウントし,その直径をほゞ半波長に選ぶと,S行列の固有値So
とS1(=S-1)との関係は,図2.4(a)に示したように,180変に開く。続いて,フェラ
イトに直流磁界を加えてゅくと,正円偏波回転磁界に対するフェライトの透磁率μ十は小
さくなり,一方,負円偏波磁界に対する透磁率μ-は大きくなるので,S1とS-1は,その
位相角がたがいに逆方向に移動する。ある適当々バイアス磁界のもとでは,図2.4(b)のよ
うに120度に開く。このとき,三つの固有値は前節図2.3に示したサーキュレータの条
件を満足している。実際には直流磁界の印加とともにSoの位相角も変化するが,その変
化はきわめて小さくフェライト直径の補正によって容易に調整できる。Soの位相角の変
化が小さい理由は以下のように説明される。
Si
So
So
S-1
(a)Hdc
図2.4
一
一
0
(b)Hdc≒0
サーキュレータ条件の調整
各固有励振r対する接合部の電磁界を考えると,同相励振の場合図2.3(a)K点線で示し
た接合部の境界面を横切る電流は存在しないので,こ・の境界面は開放終端した状態となる。
したがって接合部中心部に置かれたフェライト中には電界のエネルギーのみが貯えられる。
卜
固有値Soにはフェライトの誘電率のみが寄与する結果,フェライトに直流磁界を加えて
透磁率μ士が変化してもSoはほとんど影響されない。一方,回転励振に対しては接合部
の中心点がつねに中性点とたり,ゼロ電位に保たれる結果,短絡終端されたのと同じ状態
と々つて,フェライト中には磁界のエネルギーが集中する。しかも,各端子から流入する
電流は端子間でたがいに120°の位相差を伴って順次に流れ込むから,接合中心部のフェ
-14-
ライト中には正ヽまたは負の円偏波磁界が発生する。したがって固有値Si,S-1はそれぞれ
フェライトの円偏波透磁率μ土に大きく依存することにたる。
以上に記述したサーキュレータの合成法は接合部そのもののパラメータを変えるもので
あった。これに対し,すでに2.2節でサーキュレータの条件は無損失Y接合の整合にほか
ならないことが明らかにされた。したがって,Y接合の各端子に適当な整合回路を付加す
S「
ればサーキュレータを合成できるはずである。この立場をとったサーキュレータ合成の第
二の方法はHumphreysとDaviesによるもぶ16)対称Y接合部が無損失性のときサ
ーキュレータを合成するための必要十分条件は接合部の各パラメータ.Si1,Si2.Sl3のう
ちS12とS13がたがいに異なる大きさをもつことであると結論されている。すなわち構
造的に回転対称痙Y接合部を用意したとき順,逆方向の端子間での伝送特性に差があれば,
サーキュレータを合成できることに力:る。整合の程腹に関係なく少しでも非可逆性のある
Y接合があれば,各端子の整合をとってサーキュレータが合成できる。このことはつぎの
ようにして証明される。
接合と無損失4端子回路との組合せを考
え,接合部のS行列を
<ドjロ1・
4端子回路NのS行列を
O
SrSい
(2.13)
②
StSr;
\\ミ
を図2.5のように定めると,
b'2
う
=
11el
ba
︱
SrSt
ai
StSr
i=1
図2.5外部回路の付加による
bi
2
サーキュレータの合成
3
(2.14)
-15-
'゜`
とかく。各端子の入射波と反射波の記号
べ /3
/恥
まず図2.5のように無損失非可逆性Y
乍刮
首普
変形して
一
一
う
″・111
ab
ぐ
/sに
レ
ai
(2.15)
bi
i
SNはユニタリであるから,
I
SrSr*+StSt*゜1
(2.16)
SrSt*+Sr*StニO
(2.16)式から
q2
St-
1
一
-
一
St
マ
j
︱ab
牛づ
(2.15)に代入して,
う
う
=
(y
C2.17)
Sr*
St*
一方,S行列の定義によ
り
b=Sja
ただし,
=
j
1C4rt
bbb
l
b
j
M心心
1
=
a
Q
一
一
Sr
-
St
001
010
St
-
P=
100
1
=
いま
(2.18)
とぶヽくと.(2.17)式を用いて,
((ya'十Pb')=SJ(P*a'十Qが)
∴(P-SJQ).b'=(SJP*-Q*)a
(2.19)
-16-
サーキュレータのS行列を
1
010
100
じ001
R=ej∂
(2.20)
とぶヽくと,
b'=Ra'(2.21)
1、
であるから,(2.21)を(2.19)に代人して,
(P-SJQ)R=SJP*-Q*(2.22)
を得る。すなわち(2.22)式を満足するようたSt,Srの存在条件を考える。(2.22)式
を書きかえると
SuSr
St
-
1-SuSr
St
-
Su一Sr*
ej∂=
ej∂
-
一
St*
立
(2.23)
一
St*
Si2Sr・∂S13
一一一一e'こ
StSt*
ej∂を消去して
S13
S11Sl3-S122
Sr=
Sr*
一
一
S11-
(2.24)
S132
S12
(2.25)
したがってSrを決定するには,
S13_
一 S11*-
SllSl3-S122
S13*2
S12*
が成立したければならない。この式はSJがユニタリである条件
S11S11*+S12S12*+S13S13*=I
(2.26)
SliSl2*+S,2Sl3*+Sl3Sll*=0
Sn*Si2+Si2*Si3+Si3*Sii=0
を用いて変形すると,
Sl2Sl3*(S11S12*十Sl2Sl3*十S13S11*)=0
-17-
となり.(2.24)式と(2.25)式とは相矛盾しない。さらに
将
St*
Sr -
ニiSrI
St
S13
s12
が成立しなければならないが,受動回路に対してはISrl<1であるから,
(2.27)
ISi2l>IS13I
j,
で々けれぱたらない。一方/
J
010
100
001
[
R=ej∂
(2.28)
に対して,明らかに
lSl2l>IS13I(2.29)
である.Srが決まると,StはSNのユニタリ条件(2.16)から決まる。す友わち,ISl2
HISialでありさえすれば,サーキュレータを合成できることになる。友加.ISl2l=
ISl3lと非可逆性の存在しないときには.ISrI=1.St=0とがって,入射波はすべ
てそ0入射した端子に反射されるという各端子が完全に分離された状態を示し,サーキュ
レータの合成は不可能である。
また,(2.25)式の右辺は,次節に述べる真性入力インピーダンスに他々らず.(2.25)
式は図2.5の端子①におヽける共役インピーダンス整合を意味していると考えろことができ
る。
2。4真性入力インピーダンス
接合部の入力・fンピーダンスは通常図2.6に示したように余分の端子②,③に無反射終
端を接続して測定される。このとき,a2=a3=0であるから.(2.1)より
b1―Si1a1(2.30)
したがって,入力インピーダンスに相当するS行列の要素S11はalとblとの比として決
まる。しかし入力インピーダンスは端子①そのもののインピーダンスではたい。たぜたら,
亀・
端子①のインピーダンス整合が成り立っていない場合,端子②,③におヽいても整合条件が
満足されず.Si1は端子①で発生する反射波のほかに透過波の一部が端子②および端子(ぎ)
で反射して再び端子①から現われる成分,すなわち,サーキュレータの内部における多重
反射の影響を含んでいるからである。
-18-
一般にサーキュレータの等価回路は図2.7に示
したように周波数特性を伴なわない理想サーキュ
a
 ̄ ̄-①
レータとその各端子に付加された3個の可逆回路
の組合せで表わされる。可逆回路Nはサーキュレ
べ
b.
ータの周波数特性を表わす部分であり,たとえば
4ト
並列共振回路で表わされる。このとき,信号周波
数が中心からずれると各端子にはインピーダンス
図2.6
不整合による反射が生じる。中心周波数におヽいて
通常の入力インピーダンス
測定法
も,理想サーキュレータの特性インピーダンスが
測定系のそれと異Zkる場合,各端子で反射が生じ,多重反射の原因となる。広帯域サーキ
ュレータの設計は,各端子のインピーダンス整合をとって,これら反射波をいかに広帯域
にわたって除去するかという問題である。
③
この整合回路の設計に必要なもとの
サーキュレータ接合部の入力fyピー
理屈!サー-キレ●-タ
ダンスは,多重反射の影響を除いた端
子①のみの電圧反射係数Siri'または
Sinに対応した入力インピーダンスで
ある。各端子に分離したこのインピー
ダノタを真性人力インピーダンスと呼①
②
ぷことにする。
図2.7
接合部の内部に軸ける多重反射波は,
サーキュレータの等価回路
検波器
出力Min
図2.8のように出力側の端子回または
③でインピーダンス整合をとれぱ,除
くことができる。したがって,非可逆
性接合部の等価回路に軸いて可逆回路
・
Nに対する反射係数Sinは,図2.8の
ブ
ユ
配置で端子③に接続された検波器出力
が零となるようにスタブチューナを調
整したときの端子①の反射係数として
(17)
与えられる。
図2.8真性入力インピーダンスの測定法
-19
プ
数式的には,真性入力インピーダンスに対する電圧反射係数SinとSパラメータとの関
(18)
係は,以下のようにして求めることができる。図2.8にふヽいて,スタブチューナの調整に
よって端子②の共役インピーダンス整合がとれていると,端子③におヽける接合部内での反
射波がなくたり,理想サーキュレータを経て端子③に現われる反射波b3=0となる。
b3=Oとa3=Oを(2.1)式に代入して,
1,
bi=Siiai+Si2a2
0=Si2ai+Si3a2
a2を消去して,
b1
一
Sin
一
-
斗22.lSl2l≦tSl3l
S11一
一
一
a1
(2.31)
S13
を得る。この式で右辺第二項はS11に含まれている多重反射の寄与分に相当する。なふヽ,
スタブチューナを調整してb3=0とすることは,端子②におヽいて,接合部側からみた入
射波a2を新たに発生させて,もともと存在した反射波と打消し合うようにすることであ
って,a2≒Oである点注意すべきである。ISl2l>IS13Iの場合は,端子③の方にス
タブチューナを接続して,同様に
Sin
一
一
-
S132
b1
一
一
a1
S11
-
ISl2l>ISl31
S12
が得られる。(2.31),(2.32)式を用いれば,接合部のSパラメータから容易に真性入
力インピーダンス(または,アドミタンス)を算出することができる。
以上により,実験的,理論的の如何を問わず接合部のS行列の要素が求められると,上
式により真性入力インピーダンスを計算し,接合部のパラメータを調整するか適当な外部
回路を付加して,真性入力インピーダンスを入出力伝送線路の特性インピーダンスに整合
させることによってサーキュレータの合成が可能であることが示された。
-20-
(2.32)
第3章
フェ
ライ
ト材料の考察
サーキュレータはフェラ・fトを用いたマイクロ波回路素子の一つであり,その性能は最
良の回路設計のもとでフェライト材料の特性によって制限される。逆に回路設計者として
はフェライト材料の制約の範囲内でフェラ・fト材料固有の優れた特性を最大に活用するよ
啄
う留意しなけれぱならたい。本章では,サーキュレータの性能限界を決めるフェライト材
料の特性について記述する。
3.1種類と定数(19)
通常,サーキュレータ等の非可逆伝送-イタロ波素子に用いられるフェライトはつぎの
3種類に大別される。
a)スピネル形フェライト(MgMn系フェライト等)
b)ガーネット形フェライト(イットリウム鉄ガーネット:YIG等)
c)六方晶系フェライト(Baフェライト等)
-イクロ波フェライト素子の設計に関係したフェライトの材料定数には飽和磁化,磁気
回転比,異方性磁界,テyソル透磁率,磁気共鳴半値幅,比誘電率,おヽよびその損失角カ
どがある。これらのうち最も重要な飽和磁化の選択できる範囲を図3,1に示した。AI置
換体を含めてイットリウム鉄ガーネット(YIG)系フェライトの飽和磁化は200
1800
ガウスの範囲にある。YIG系は磁気的損失0日安となる半値幅jHが,スピネル形の約
5000eに対し,約500eときわめて小さいので,約7GHz以下の周波数領域で広く使
用されている。マグネシウム系およびニッケル系フェライトはいずれもスピネル形フェラ
イトに属し,YIG系より大きな飽和磁化を有するので,より高い周波数帯で用いられる。
六方晶系のBaフェライト等は,保磁力が大きく,もっぱら永久磁石として使われるので
種類
4πMs
100020卯3000川oo5000
│
ガーネット系
マグネシウ4系
tッケル系
│
図3.1
フェライト材料の飽和磁化
-21-
図3.1には示さなかった。
カ:訃,フェライトの比誘電率は9
16の範囲にあり,その損失角は大きくても0.002,
小さいものでは0.0002以下である。
3。2円偏波透磁率
み
マ・rクロ波フェライト素子,とくにサーキュレータの比帯域幅は主にフェライトの透磁
率に左右される。透磁率は飽和磁化によって決まる。ただし,従来はとかく材料定数であ
る磁化の飽和値とサーキュレータ特性との関係が問題にされていたが,サーキュレータの
イyピーダンス,おヽよび比帯域幅などは使用状態におヽけるフェライトの実効動作磁化によ
って決まる。飽和磁化は単に動作磁化の最大値を与えるにすぎない。実際,低磁界動作の
場合フェライトは飽和していないことが多い。このような場合サーキュレータの設計にあ
たっては,動作磁化を飽和磁化の関数というよりは,直流バイアス磁界の関数としてとら
えることが重要である。この意味で,バイアス磁界とフェライトの磁化との関係を図3.2
(20)
に示した。磁化の大きさは直流磁界HdcがNz・4πMsに達するまでの範囲で著しく変化す
る。ただし,NZはフェライトの形状によって決まる反磁界係数である。円板状の試料の場
合,0.8
0.9とほゞ1に等しい。図3.2に戻って,フェライトの磁化はほゞ直流磁界に比
例して増加する。しかし,さらに直流磁界を増しても,フェライトの磁化は4πMSで飽和
するから,Nz・4πMs以上のHdcの増加は単にフェライトの内部磁界を増すにとどまる。
サーキュレータの形状には,フェライトにバイアス磁界を与える磁気回路が大きく関与す
る。フェライトの磁界動作点をフェライトの丁度飽和する点に設計することによって,最
も小さなバイアス磁界で最大の磁化を得ることができる。また,飽和点よりもやゝバイア
ス磁界の弱い点に動作磁界を設定すれ
4πMorHi
ば,磁界の大きさの加減によって磁化
の大き・さを調節し,サーキュレータの
4πMs
電気的特性を最適化できる利点が生じ
・
る。このよう々訳で,非可逆性透磁率
に寄与するフェライトの磁化を,必ず
しも飽和していカ:い場合も含んだ一般
Hdc
Nz゛4πM
の実効動作磁化に拡張して考えること
はきわめて重要である。
図3.2直流バイアス磁界とフェライトの磁化
-22-
サーキュレータ等フェライト素子の電気的特性をフェライト材料との関連におヽいて論ず
る場合に重要左ことは,材料定数,たとえば透磁率を決めるフェライトの磁化を一般的表
現に:高めることである。以下の記述に訟いて,繰返し述べられることになるが,磁化を周
波数で正規化した磁化パラメータpを用いることが有益である。たとえば,サーキュレー
タの比帯域幅は,サーキュレータの構造を指定すれば,材料的にはこの磁化パラメータに
よって規定されることが明らかにされるのである。
さて,いよいよフェライトの円偏波透磁率について述べる。直流バイアス磁界Hdcを加
えたフェライトに,フェライト内部の直流磁界HOと直交した高周波磁界を加えると,磁
化ベクトルは,
(i)ニけ│゜Ho(3●1)
の周波数で図3.3に示したよう々才差運動を行痙う。
ただし,rは磁気回転比で-2.8MHz/Oe。この磁化の回転運動がサーキュレータの非可逆
性の源である。高周波磁界が右まわりの円偏波であると,磁化の才差運動はこの磁界のエ
ネルギーを吸収して増大するが,高周波磁界の回転方向が才差運動のそれと逆であると,
相互作用はほとんど生じない。この磁化の才差運動の存在によって高周波磁界と磁束密度
との関係を表わす透磁率は,z軸方向に直流バイアス磁界を加えたとき,
﹁叫。。リ
・μμo
μ・μ0
rト 卜卜に`
〔μ〕=μ0
(3.2)
(21)
とテンハレ量で表わされる。しかし,非可逆性の原因が磁化の才差運動にあることを考
慮すると,直流磁界と直交した面内の円偏波高周波磁界に対する透磁率を考えるのがより
本質的である。また,円偏波は直線偏波よりも基本的な
量とみなすこともできる。たぜなら,すべての直線偏波
Hdc
は二つの円偏波成分に分解できるからである。円偏波磁
界とともに回転する座標系を考えると,透磁率はスカラ
ー量となり,数式的表現も簡明化される。右まわり(正)I
訟よぴ左まわり(負)の円偏波に対する透磁率は,
(3.3)
と表わされ,フェライトの磁化おヽよび直流磁界と関係づ
図3.3磁化の才差迎動
-23-
けられる。損失jHを考える場合は,
け14πM
μ土ニニμ干A;ニ1十
(3.4)
ばIHi干ω十jl同価
と々る。直流磁界を加えてゅくと,微小磁区の磁化方向がそろってきて,図3.2に示した
ように直流磁界方向の磁化4πMがその飽和値4πMsに近づく。さらに直流磁界を加える
か
と,今度は内部磁界Hiが増加する。とくに,正の円偏波に対する透磁率μ十は.Hi=
午で磁気共鳴し,その絶対値がきわめて大きくなる。
フェライトの透磁率の一般的な表現は,磁化パラメータpのほかに,直流磁界おヽよび半
値幅に対応したパラメータa,aが用いられる。す々わち,
(J=
│川4πMs
-
4πMs
Ho
p°
-
Hi
-
IrlHi
-
(3.5)
Ho
jH
けI^H
a==
2Ho
2ω
これらは,磁化々どを周波数で正規化したとも考えられるし,才差運動の周波数と直流磁
界は(3.1)式によって1対1の対応があるから,この磁気共鳴に対応した直流磁界Ho
で正規化したとみなすこともできる。(3.3),(3.4)に代入して,
p
μ土=1+
(7
一
千
C3.6)
1
_p
μ土=1+
(3.7)
(J干1十ja
という簡単座表現が得られる。損失を伴々う(3.7)式の場合は,透磁率が複素数となり,
その虚数部分が損失を表わす。
μ土=μ士'-jμj
μ士'=1+
(3.8)
」
(3.9)
a
(y干1十
ノ/
μ士=
p
(7干1
α
((7干1)2十α2
-24-
αは通常きわめて小さいから.O=Iの磁気共鳴点てμ十″がヱという大きな値をとる
α
ことが判る。サーキュレータは本来無損失回路であるから,(7≒Oの低磁界領域あるいは
(J>>1となる共鳴以上の,磁気共鳴点を避けた磁界動作点が用いられる。直流バイア
ス磁界とμ士おヽよびμ√との関係を定性的に図3.4(a)に示した。未飽和の領域ではつねに
(7=0であるが,磁化pが変るため,μ士も変化する。図3.4(b)はp=0.7,a=3×10-2
≒
のときのμ十'を(7の関数として表わしたものである。磁気共鳴点近傍ではμ十が著しく変
化するとともに,損失項μ+″がきわめて大きい値をとることが判る。バイアス磁界を加え
ない状態(p=0,(7=0)と(7=・=・の場合を除いて,一般にμ士はたがいに相異なる
値をとる。このμ士の差がすべてのマイタロ波フェライト素子の非可逆性の起因する所で
ある。
透磁率
・
-
1
0
図3.4(a)バイアス磁界と円偏波透磁率
(直流バイアス磁界との関係)
-25-
a
25
1
μt
μ,-
11S
11
11
4
4'
20
1'
'│
│1
1
│1 1
11
11
3
-1
2
15
1'
1
1
1
1
1
1
1
1
lμr
10
-1
ミ
1
1
1
1μ_
i
1
a
1
ク
へ。_一ノ
0
/
'\05
1
1
X
yμご
χ
ゝ -__1
)0.5(72
\
1
-2
図3.4(b)
バイアス磁界と円偏波透磁率
(p=0.1,a=0.03の場合)
-26-
//
0
つぎにフェライトサーキュレータの解析にぷヽいて重要な透磁率としてもう一つ実効透磁
率μeffがある。直流磁界と高周波電界とが平行で,直流磁界と高周波磁界とは直交して
いるにもかゝわらず,正または負円偏波の一方のみの独立した存在を許さないような境界
条件のもとにMaxwe11の方程式を解くと,伝播定数は,
μ2-尼2
μeff°
一
-
一
μ
μ+
-2
+
(3.10)
μ-
によって決まることが判る。たとえば,ストリップ線路のように高周波の進行方向に沿っ
て磁壁境界があるような場合,高周波磁界は磁壁に垂直でなければならないから,高周波
磁界はつねに直線偏波とフをるように拘束され,いつも正負同じ大きさの円偏波成分を有す
ることにたる。このような波の伝播定数はμ士のいずれでも左くμeffという一つの透磁
率で決定されることにたる。なあヽ.(3.10)式のμeffはμ士の逆数の平均値の逆数とた
っている。このことは磁気的に正負円偏波が並存していることを意味している。
3。3サーキュレータの動作原理
サーキュレータの性能限界を追求するにあたってまずその動作原理を理解してかくこと
は必要である。マイタロ波フェライトデバイスの応用は,進行方向に磁化されたフェライ
ト媒質中の電磁波の偏波面がずれるいわゆるフ7ラデー効果に初まった。接合形サーキ・,
レータの動作原理はテンソル透磁率を示すフェライト媒質中を平面電磁波が進行する際,
波面がしだいに偏向する性質にある。図3.5におヽ
いて各端子の伝送線路とフェラ・fト装荷接合部と
③
がその境界面におヽいてインピーダンス整合してい
るものと仮定すると,端子①から入射した波はフ
ェライト中を伝播する間に60度だけ偏向すれば,
①一
そのヽまゝ端子②に現われサーキュレータ特性が得
高周波磁界
られる。
③
この偏向現象はつぎのようK説明される。い・ま
図3.6のように座標系をとり,z=Oで高周波磁
図3.5サーキュレータの動作原理
界が
h=hsinωt
(3.11)
-27-
と表わされるような直線偏波磁界を考え,この平面波がz=Oでz軸の正方向に進行して
いるものとする。このとき,高周波磁界hはy軸方向に向いている。このTEM波がz軸
正方向に伝播しつゝ曲線路に沿って距離s進む間にθ度偏向するものとすると,sと∂の
関係はつぎのようにして算出される。すなわち,hはx軸に平行々直流磁界Hiのまわり
の2つの正負円偏波磁界に分解できて,
φ;
h
h=j
(e-jωt-ejωt)
-2
(3.12)
正負円偏波磁界に対する伝播定数は
β士=・o√て石几 ̄瓦T
(3.13)
で与えられる。したがって曲線路s上の磁界分布は
h=j
h
-2
{e-j(゜Jt-β-s)_ej(ωt
-β十S)
β一一戸
一
一
j
β十十β
-
hsin(ωt-
-
s)e
十
S
2
(3.14)
この式は偏波面がsの単位長さ当り,
∂ニ=
β--β+
-
〔rad〕
(3.15)
だけ回転することを示している。この式はファラデー回転の表現と全く同じである。した
がって接合形サーキュレータの動作原理も一種のフアラデー回転現象とみなすこともでき
る。ただし,以上の記述はそのまゝサーキュレータの設計に適用できたい。実際の接合形
サーキュレータの動作を解析するにはフェライト装荷接合部の境界条件を合せて考慮し,
計算することが必要とたるからである。
Hi
X
y
Z
図3.6平面電磁波の偏向
-28
3。4フェライトの動作領域
既述のようにサーキュレータはフェライトのテンソル透磁率を利用する。第2章で述べ
たようにサーキュレータは無損失の回路素子である。しかるに図3.4をみるとフェライト
は磁気共鳴点て著しい共鳴損失を伴う。したがって,μ士の差が大きく,しかも損失の少
カ:いバイアス磁界領域としてサーキュレータには,
4
1)フェライトの磁化が飽和する前後の低磁界領域
2)共鳴以上の領域
の二つが選ばれる。以下,この二つの動作領域の特徴を個々に検討する。
3.4.1低磁界動作
まず第一に低磁界動作は文字通り所要バイアス磁界が小さく,したがって小さ々永久磁
石で済むので,小形のサーキュレータを製作できる特徴がある。第二の特徴は低磁界動作
サーキュレータの広帯域性である。第一の点は自明であるが,第二の点についてさらに考
察する。
いま,フェライトの磁化が飽和するまでの領域を考えると,図3.2に示すように直流磁
化4πMは直流磁界Hdcにほ・ご比例して増加するが,HdcがNz・4πMs以上になると,磁
化は飽和してもはや4πMs以上にならないから,Hdcの増加分は単にフェライト内部の直
流磁界Hi(=Hdc-Nz・4πMs)を増すに過ぎず,μ土の変化は不飽和領域に比べてゅる
やかになる。非可逆性指数η=│μ十-μ-│/(μ十十μ-)を,pをパラメータとする
Hdcの関数として図3.7に示した。この図か
らフェライ・トの飽和磁化は低磁界損失の生じ`η
1.0
ない範囲でできるだけ大きく.p=0.6
0.8
に選び,しかもフェライトの磁化が丁度飽和
8
する点まで直流磁界をバイアスするのが,小
6
さなHdcで大きなηを得るために有効なこと
4
が判る。したがって本項以降,低磁界動作の
2
サーキュレータはすべて磁界動作点をすべて
フェライトの磁化が丁度飽和する点に設定す
0
るものとして取扱う。このとき,a=oであ
2
4
Hdc
Ho
るから.(3.6)式より
6
8
(=p十r7)
図3.7バイアス磁界と非可逆性指数
(低磁界動作)
-29-
1.0
μ士ニμ干ICニ1干p
(3.16)
μeffニ1-p2
(3.17)
に ̄y°p
(3.18)
となり,きわめて大きな非可逆性が得られる。ηが大きいとサーキュレータの特性は広帯
域性を示すが,この際低磁界損失を避ける条件p<1は使用周波数帯域の下限で満たされ
ねばたら々いから,比帯域幅をwとすると,
p<1-
W
-
(3.19)
2
となる。このpの選び得る範囲を図3.8に示した。ただし,pは(3.5)式で定義されて
いるが,比帯域幅wが大きく,角周波数
100
wの範囲が広くカると,pは定数とみな
80
せなくなるので,中心周波数におけるp,
すなわち,poニIrI47!:Ms/cyoを新
60
W
しく定義して用いた。図3.8によれば,
(価)40
たとえば最終的に40多の比帯域幅を有
20
するサーキュシータを設計するには・Po
く0.8を満足するフェラ・f卜材料を用い
0
0
左ければならないことが判る。さらに,
0.2
0.40.60.81.0
・Po
比帯域幅70価のときには・po<0.65
図3.8磁化パラメータと比帯域幅限界
と制限される。
ヵ:か,pの定義式(3.5)を磁化が飽和していヵ:い領域にまで拡張して,
pニ
IrI4πM
(3.20)
ω
に訟ける4πMを0
4πMSの範囲で変化し得る量とすると,同一のフェライト材を使い
友がら単に直流磁界を変えるだけでpの値をO
け14πMS/ωの範囲で自由に変えられ
ることが図3.2より明らかである。この関係は磁化パラメータpとサーキュレータ特性の
関係を実験的に検討する際便利に利用される。
-30-
i
3。4.2共鳴以上の動作
一般に共鳴以上の動作は低磁界動作が使えヵ:いときに用いられる。
1)lGHz以下のVHF.UHF帯ではp=0.6
0.8とすると4πMS<200ガウスO
フェライトが必要となる。しかし,このように4πMSの小さいフェライトはキューIJ温度
が低くなりすぎて,4πMsの温度変化が著しく実用性がない。そこで,4πMsの大きいフ
●
ェライトを用い,低磁界損失を避けるため,フェライトに共鳴以上の強いバイアス磁界を
加えて用いる。フェライトは磁化した多数の磁区に別れていて,これらがランダムな方向
をむいているので,外部から磁界を加えたくてもすでに磁界が存在し,この磁界により局
部的な磁気共鳴吸収を伴左う。この低磁界損失はフェライトに強い磁界を加え,磁化を飽
和させるとなく痙る。
2)lGHz以上の周波数帯にふヽいても,使用電力の大きい場合,非直線効果によるそ
う入損失の増加を避けるため,共鳴以上の直流磁界動作点が選ばれる。
以上の二つが共鳴以上の動作の用いられる主な場合である。このほかに,共鳴以上の動
作の方がより低損失々サーキュレータの得られることが経験的に知られている。また,
3.2節で述べたようにμeffはμ土の一種の平均値となっている。したがって,図3.4か
らも知れるように共鳴以上の動作ではμeff>1である。一方,低磁界動作の場合μeff
1-p2く1であるから,共鳴以上の動作の方がフェライト寸法が小さい。この効果は,
強いバイアス磁界を加えるために必要な大きな磁石により相殺されるが,共鳴に要する磁
界は周波数に比例し,lGHz以下では数百ガウスにすぎないから支障とならない。
共鳴以上の動作が低磁界動作と大きく異たる点は非可逆性指数ηの大きさである。(3.6)
式を用いて,
│μ十一μ-│
1
(3.21)
-
η゜
μ十十μ-
(y(1十
(7
)
1
-p
pを。'゛ラメータとして(Jとηの関係を図3.9^C示した。共鳴以上の領域のうちa=1の近
傍は磁気共鳴による損失を伴うので,a≫1の磁界動作が選ばれる。この際,実用的な
ηの値は0.1
0.2程度である。したがって共鳴以上の動作でサーキュレータの広帯域特性
はほとんど期待できたい。本論では広帯域特性を取扱っているので,主として低磁界動作
のみが考察の対象とされる。
-31-
1.0
万
864
000
嚢
、
0,2
0
1
2
3
4
5
6
(J
図3.9バイアス磁界と非可逆性指数
(共鳴以上の動作)
1
-32-
一一
一一
第4章 集中定数形サーキュレータ
第3や万1でにおヽいて,サーキュレーjタの合成条件おヽよびフJ,ライトのjl刈通性透倣率と
これらの開連小川を考察したので,いよいよ個々のサーキュレータの仇成に川して,凡俗
{13)(23)(24)
夕を淑土げる
域幅の検討を行痙う。まず本章では,集中定数形サーキュレー
集中定数形サーキュレータは,サーキュレータ作用を有するフェライト契仙接合部分の
共振系において,磁気的結合素子と容量性同調素子とを物理的に分離し,これらを叱中定
数素子で俳成したものである。サーキュレータ特性をほとんど劣化することなく杵しい小
形軽祐化か実現されている。集中定数形サーキュレータの実例を図4.1にポした。集中定
数サーキュレータは100∼1,000MHzのいわゆるVHF,
数でそう人損失0.5
UHF帯に訟いて任意の中七ヽ川波
dB以下の低損失特性を実現することができる。さらに4
GHz 以 ̄トの低
(25)
マイクロ波帯に訃いても研究開発されつつある。
図4.1
集中定数形サーキュレータ
41 並列共振形集中定数サーキュレータ
4. 1.1 溝 造
集中定数形サーキュレータの構造を図4.2に示した。 3対の終端短絡ストリップ線路中
心導体を120度の間隔で対称に組合せ,フェライト円板を装荷したインダタタとインピー
ダンス整合用のコッデyサとから構成される。 3対の中心導体は絶縁性シートでたがいに
直流的に分離するが,静電容量的結合を小さくすると同時にフェライト内部における高周
波磁界の分布を一様にするため,2本の細幅導体に分割する。フェライトには外部磁石に
lGHz以下のVHF,
UHF帯では,通常のフェライトは低磁界
33−
一一
よや直流磁界を加えるが,
‘で
・、/.`"フェライト円板
-●
●●
●●●●●●●●●
●●4●●
③
[二こニコ
網状中心導体
①
①
シールドケース
コンデンサ
匹1
永久磁石
図4.2集中定数サーキュレータの構造
損失を伴うので,バイアス磁界を磁気共鳴以上の領域に設定して低損失特性を得る。
このサーキュt/-タの等価回路は図4.3で表わされる。入力端子から見て。LPとCPが
並列共振回路(ParallelResonanceCircuit)を構成しているので,後述するS形と
区別するためP形集中定数形サーキュレータと呼ぶことにする。
4.1.2素子値
P形集中定数サーキュレータを設計する際,必要なインダクタンスLPおよび静電容量
a■■
CPなど,の素子値はつぎ0ようにして求められる。2.2節で述べたサーキュレータの条件
は各固有アドミタンスがスミス図上で120度の間隔で配列することを要求している。図
4.2の構造におヽいて,各端子を同相の固有ベクトルに比例した電圧源で励振したとき,3
対の中心導体には同位相の電流が流れ,これらの電流による磁界はフェライト内部で一様
に分布しているものとすると,ベクトル和が零となり,フェライト内には高周波磁束を
発生しないから,同相励振に対する固有アドミタンス(アドミタンスで表現したS行列
(2.4)の固有値)は,
Yo゛(')(4.1)
一方,直流バイアス磁界に対してそれぞれ正相,逆相の関係にある固有ベクトルに対応し
た電圧源で励振したとき0固有アドミタンスは,図4.3の等価回路におヽいてインダクタと
コンデンサとが並列に接続されているから。
1
(4.2)
Y士゛j(゜CP ̄
ωμ士Lp
一liI
となる。ただし,ωは角周波数,CPは静電容量である。LPはフェライトを取除いたとき,
-34-
③
Yバ
\/TR
理想
サーキュレータ
Yo=(x)
4
①
②
1
Y_=-j
--
、/3R
図4.3並列共振形集中定数サーキュレータ
図4.4並列共振形集中定数
の等価回路
サーキュレータ0固有
アドミタンス
`またはフェライトの比透磁率を1としたとき0インダjクタの構造で決ヽまるインダクタンス
である。
共鳴以上のバイアス磁界に対してzz.ト>zz-であることに注意すると,YO=・)であるか
ら,サーキュレータの条件を満足する固有アドミタンスをスミス図上に示すと,図4.4の
ようになる。すなわち,サーキュレータの特性インピーダンスをR剛とすると。
1
(4.3)
Y土゛土j
√3R
(4.2),(4.3)式よj
ωLp
玉
-
μ十
)=
、/7R
(4.4)
゜Cp=
・
一
ωLp
÷爪子)
したがって″士が与えられると,LPとCPの値は一意的に定`まる.すなわち,
LP=
V^R11
匹ビーズ)
│
(4.5)
cp=二y余こ皮十七)
非可逆性指数
η゛
μ十 一 μ_
一
一 μ十 十 μ_
(4.6)
-35-
を用いて表わすと,
Lpこ
■v/3Rη
a.ω
(4.7)
1
Cp=
y ̄hRη
すなわち,CPはηと周波数だけで決まることが判る。さらに(3.3)式のμ士を用いると,
合
共鳴以上の動作の場合けIHi≫CO,[r│4;z:M≫ωであることを考慮して。
/ ̄i ̄
硲二円4πMバ1+六)2
│
(4.8)
Cp
│rlHi
√iω2
Hi
4πMs
(1+
)
すなわち,LPは周波数に無関係である。したがってLPさえ(4.8)式を満たすように選
ばれているなら,単にCPを変えるだけでサーキュレータ特性の中心周波数を可変にでき
ることが判る。
4。2直列共振形集中定数サーキュレータ
4.2.1素子値
図4.3にふヽいて回転励振に対する中心導体の電流の総和はつねにゼロであるから,中心
導体の他方の端を共通に接続しさえすれば,図4.3のように接地する必要は全くない。そ
こで,中心導体を接地から離すと,同相励振に対する電流路が断たれ,同相励振に対する
固有インピーダンスが無限大となる。このときのスミス図上における固有インピーダンス
R
の配置を図4.5に示した。直列にコンデン
Z-ト=j
サCSをそう人しても同相励振に対する固
有インピーダンスは変らず,
ZO=(x)
(4.9)
Zo°(゛)
したがって,
Z_=一j
zぞ==j(心土^s
.^c
ブ)゛j漆
図4.5
(4.10)
J
直列共振形集中定数サーキュレータ
の固有インピーダンス
36
のとき,特性インピーダンスR(功のサーキュレータが得られる。以下この形式をS形集中
定数サーキュレータと呼ぶことにする。
(4.9),(4.10)式よ軋S形集中定数サーキュレータの素子値Ls,Csは,
R2
Ls
一
一
一一
y3 ̄(1)7]μ十十μ_
{4.11)
√豺
CS=
ωR
とな久この場合もωCsはηのみで決定される。
ηとCp・Csとの関係を
図4.6に示した。77≒0.6の
4
ときにはCp≒Csである力り
通常共鳴以上の動作に対して,
3
このよう々大きた刀の値は,
p:I
Q
動作点が磁気共暗点に接
S
2
近しすぎて,フェライト
の損失が増加するので使
1
用できない。実用的なη
≠0.2のときはCP≠10
0
Csとな机P形の方がイ
00.20.40.60.8
1.0
η
yダタタンスLが小さく
図4.6非可逆性指数と静電容量Cp,Cc
て済むことになる。低イ
ンダタタンスの方がフェライトの寸法が小さぐなるぱ力りでなく,中心導体幅を広く設計
できるoで,バイアス直流磁界と直交した高周波磁界oフェライト内部におヽける一様な分
布が得やすく,P形の方がよj帯域幅の広いサーキュレータを実現することができる。
43比帯域幅
43.1共鳴以上の動作
サーキュレー.タの最も重要な性能指数である比帯域幅についてP形とS形0比較を行な
う.ここでは透磁率μ士の周波数依存性を無視した取扱いから始める.これは共鳴以上の
動作に適用される.まずP形について考えると,基準コンダクタンスG(=RミRはサ
-37-
-キュレータの特性インピーダンス)で正規化した固有アドしタンスは(4.1),(4.2)式
から,
yo
(4.12)
≒
一 )R=土j
ωμ士Lp
゛j(ωCp-
y士
、/T
固有アドミクンスとS行列の固有値との関係は,
1-y
S=
(4.13)
1十y
であるから,
∂Sこ:-。2.I。I∂y
(1十y)2
(.4.14)
(4.12)を(4.14)式に代入して
δSOニ0
}
(4.15)
δS士゜一子(1士j,/了)δy士
しかるに(2.10)式から
{4.16)
8Sn°÷(δSo+aS十十f5S-)
(4.15)式を代入して,
<5Sn=ドレ{(虹ト+δy-)+j
/了(δy十一心y-)}
(4.17)
さらに(4.12)式から,μ士の周波数依存性を無視して,
1
∂y土
j(ωoC+
一
一
)Rδ
(4.18)
ωoμ士Lp
ただし,
δ
ら
(4.19)
ω-ωO+δω
一
一
ω0
ω゜ωoにお゛いて(4.12)式が成立するから,この関係を用いて,δy十を求め,(4.17)
一
式に代人して
δS11゛(べ一一jQP)δ,Qr=ω0CpR(4.20)
`また,(4.12)式から,非可逆性指数は
η゜
μ十 ̄μ一
一
μ十十μ一
1
(4.21)
VTQp
したがって,
-38-
1_
QP=
(4.22)
√随
(4.20)式に代人して,
\dS,,\=ソズドyT?シン・1δ│
(4.23)
同様にしてS形のサーキュレータについても│∂S111が算出できる。すなわち,固有イン
魯
ピーダンスとS行列の固有値との関係は
Z-1
S=
(4.24)
Z+1
であるから,
2
δS=
(z+1)2
dz
(4.25)
(4.9),(4.10)式を基準インピーダンスRで正規化して
Zq=oo
(4.26)
z士゛j(・回生Ls一言)ここ士1
(4.25)に代入して,
δSO゛0
(4.27)
δS生゜子Oでj,/ ̄y)az士
これを(4.16)に代入して,
∂S11={{(∂z十呻z-)+jヽ/T(8z一一δz十)}
(4.28)
さらに,(4.26)から,
δz士゛j(ωoμ土Ls十
ωo^s
将
δ
(4.29)
(4.28)式に代人して整理すると,
‘「
δS11/と子^りQs)GQs°て石し瓦
また(4.26)から,非可逆性指数は
77ニ
μ十 ̄μ一
一
μ十十μ一
へ/ ̄yQs
-39
(4.30)
(3.31)
√S ̄η
∴QS=
したがって,
│δs111=、/スニスズニ│副
(4.32)
この式は(4.23)式と全く同一である。すなわちP形もS形も同じ大きさの比帯域幅を
魯‘
有する。したがってP形とS形いずれの回路構成を選ぶかは性能では友く,素子値の大小
による製作上の難易さを考えて決めなければ友ら友い。
友加,通常サーキュレータ0比帯域幅はアイソレーション・20dB,入力VSWR1.2で規
定されるから・\dSn'max°0.1とふ`いて・比帯域幅`″は・
ストニ宍⊇ ̄
ヽ
(4.33)
・=2国。aχ=0.2べ/
で与えられる。ηを増すほど比帯域幅の増すこと,しかし,その最大値は40価を越えな
いことなどがうかがえる。本節の初めに仮定したように共鳴以上の動作に対しては,ηを
大きく選ぶためには,磁界動作点を磁気共暗点に接近させなければならない。しかし,こ
のとき共鳴吸収による損失がふえるので,低損失サーキュレータの実現に適したηの範囲
はたかだか0.2に限られる。η=0.2のとき比帯域幅wはほぼ7価である。
(26)
4.3.2低磁界動作
周波数が1GHz以上のいわゆるマイクロ波領域では低磁界動作のフェライトを用いるこ
とができる。このとき,円偏波透磁率は
け14πMs
-
μ士=1でP=17
(4.34)
と表わされるが,Pはかな!)大きい値をとるので,低磁界動作サーキュレータの比帯域幅
を求めるにはμ士の周波数依存性を考慮する必要がある。`まずS形の場合,μ十の周波数特
一
性を考えると,(4.26)式から
`f
1
)と→-j竺少七生
δz土ニjjF(ωoμ土Ls十
CDqCs'ωo
しかるに,(4.34)式から
dμ士
=士
dω'ω-ω0
け14πMs
ω02
40
h
(4.35)
lr│4πMs
Po
とぷヽいて
一
一
ω0
dμ士
Po
ω0
=土
dω
(4.36)
と
∴δz士=j-iV{(・o≒Ls+玉
)士ωoLsPo}δ,δ゛
(4.37)
ω0
さらに,(4.26)式から,
ωoLs(μ十十μ-)=2ωoLs=べ
゜qCs
(4.38)
(1)OLs(μ十 ̄μ-)= ̄2(zJOLsPo=一言R
(4.37),(4.38)を(4.28)式に代入して,
δz十十δz-
j4
一
一
ωoLs
R
d=j4Qs5
δz十-dz-=0
∴it
(4.39)
`また(4.38)式から,
1
Qs
(4.40)
一
一
へ/S"Po
V^Po
∴8Sn=J
a
(4.41)
\dSn1く0.1をサーキュレーメの帯域として9maxニ0.1×`/でrPo
したがって比帯域幅は
W3=28
y
max
=0.2へ/3"po
(4.42)
で与えられる・poと`″sとの関係を図4.7に示した.すなわち9S形サーキュレータの
比帯域幅はpo゛0.7のとき`″s≠24価である.
9ぎにp形の場合は,(4.12)式から,
)鵠
1
土
Q)Qμ±^Lp
-41-
・争り
100
80
00
6
4
(尽)S蓉貸推戦
4・
20
0
00.20.40.60.81.0
Po
図4.7磁化パラメータと低磁界動作集中定数サーキュレータの比帯域幅
(並列共振形と直列共振形との比較)
1
)士
゛jR〔(ωoCP十
(4.43)
ωOμ±2
ωo/4士Lp
しかるに(4.12)式から,
R
(z)oLP
1
(土
十
)゜2ωgCpR°2Qp
-
μ
μ十
-
R
(士
-
-
白=
、/丁
ωoLp
(4.34)式を代入して
ωoLp
R
1
R
一
一
Qp.
1 ̄p02
一一
ωoLp1
比
2
‘po`
、/丁
1
o)qCpR゛
(4.44)
へ/了po
-42-
R
1 ̄p02
(4.43)式に代人して,
2
δy十
一
一
δ
J●
√3Pod-Pn
(4.45)
4
2
<5y-=j
δ
へ/てrpo(1十po)
(4.17)式に代入して
δSII=
1 ̄p02
(1-j
リ
びてiPo
(4.46)
│δS111<0.1とおいて,P形サーキュレー夕の比帯域幅は,
/二万ふ二
w=0.2(1-Po')べ/
(4.47)
を得る・poとwPとの関係も図4.6中に点線で示したが,wrはたかだか10価であるこ
とが判る。したがって,低磁界動作の場合はS形の方が比帯域幅の大きなサーキュレータ
が得られる。しかし,S形の集中定数サーキュレータを実現するには,zo=α=,とするため
対接地浮遊容量の小さい物理的に超小形のインダタタを使用する必要がある。
4。4フェライト内部の磁界分布
集中定数形サーキュレータは基本的にP形とS形との2形式に大別されることを述べた
が,いずれの場合も非可逆性結合インダタタと可逆性の整合コンデンサとの組合せとなっ
ている点は共通している。サーキュレーメの性能限界を考究するには,まず非可逆性結合
部分の動作を明確に把握してかく必要がある。そして,一たん2.4節で述べた真性入力イ
ンピーダンスさえ求`まれば,サーキュレータの合成は可逆性2端子インピーダンスの整合
ゝ y
問題に帰着する。したがってサーキュレータ研究の本質は非可逆性結合インダタタの特性
を明らかにする点にある。ここでは,従来取扱われていないフェライト内鄙の磁界`または
磁束の分布をP形とS形それぞれについて求め,両者の動作機構上の差違を調べる。
まずP形の場合,Yo=(x)であるから,同相電流は電源電圧Eと電源0内部抵抗Rとに
よって決ま軋
lo=旱('1.48)
-43-
一方,回転励振に対する電流は,(4.3)式を用いて),
I士
E
R十Y√1
-
一
一
1
E
=-e E土辺
一
-
一
R
(4.49)
17jヽ/i2R
う
ぐ
うノ
e-J≪
III
ぐ
白
1.J一e
ぐ
上CO
111
う
ぐ
ICOM
III
1
晶晶〇
したがって,端子電流は
(4.50)
eJα
端子電圧は図4.8から明らかに
う
E一2ヱ20
=
 ̄12R
/卜に︲ドいいy
=
う
ぐ
う
V1
V2
V3
ぐ
E-IiR
(4.51)
-I3R
13
す次わち,端子①,②,③に入る電力
←
をPI,P2,P3とすると,
R
P戸÷V山=値((L)2,
E
P2=÷V2l2=-Pi.P3=0
R
(4.52)
とな久端子①から端子②へ電力が伝
図4.8サーキュレーメの端子電流
送されることが判る。
P形集中定数サーキュレータにおけるフェ
I士
R
ライト内部の磁界分布はコイル電流からつぎ
のようにして求められる。同相電流は合成ベ
→
μ土Lp
クトルが零となるから,フェライト内部には
全く磁界を生じない。一方,回転励振によj
図4.9回転励振に対する等価回路
コイルに流れる電流は図4.9を参照して,
IL士=I土
^:j^/3R
j°μ士L
i'
■s/lR
一
一
了I士
(1)μ土L
(4.49)式を代入して,
へ/3E土jΞ
IL士『2こ7でコニe3
-44-
すなわち,
_._2π
J3.Il
一
e
一
μ_
π一3
.J
上Ie
μ十
I
Il+=
,I=
^/IE
(4.53)
2ωL
磁界Hはその大きさが電流に比例し,一般にμ十≒μ_であるから,P形集中定数サーキュ
レータのフェライト内部に発生する高周波磁界は楕円偏波となる。
4
磁束密度と磁界との関係はB=μHで与えられ,円偏波透磁率μ土はスカラーであるこ
と,おヽよび磁界Hが電流Iに対して空間的にlだけ反時計まわり方向にずれていることを
考慮すると,
IB』=│B_│=B
│
arg(B+)=一子+÷こ一子
(4.54)
ars(B-)=-イトー÷こ一子
y
ただし,B士は回転磁界成分の振幅である.図4.10
のように座標軸をと久電圧をEcoso)tとぶヽくと,
X
BX=B匝(・t一令+cos(V!-・t)}
B=B{cos(&>t一子)+sin居-・t)}
すなわち,
図4.10フェライト中の高周波
磁束分布(並列共振形)
BXニ2Bs恒jFsin°t゛B=2Bcs{ドsin(IJt
(4.55)
∴B゛'Bx十JBy゛B(iイ`/`Jj)sincut
したがって,磁束Bは端子③のコイルに平行な直線偏波とな軋端子②には電圧を誘起せ
ず,端子③はアイソレートされる。
つぎにS形の場合を考えると≫Zg=ooであるから,
lo=0,vo°E(4.56)
`¥
E
π一6
.J
一十
回転励振に対しては,(4.10)式を用いて,
1
e
I↓こら゜¬こー' ̄
=にT・二二函
,/了
したがって,端子電流は,
-45-
(4.57)
0
十一
II
μ
・
eJ
=
ej(゛
う
長長o
/Lいy
=
う
ぐ
う
1・
111
ぐ
う
111213
ぐ
1
(4.58)
“
e ̄j
P形に釦ける端子電流の式(4.50)と比較すると,12の向きが逆に;なj,電圧VIとV2
とが同相になっている。13=Oであるから,S形でも電力はP形と同様に端子①から②
の方向に伝送される。
さらに,フェライトを装荷したコイル部分の電圧,電流を考えると,S形の場合,lo=0
であるから,コイル部分の電圧も端子電圧に等しく。
VLo=vo゛E(4.59)
回転励振によjコイルに流れる電流は(4.57)式ですでに与えられている。したがって
回転励振によるコイル部分だけに生じる電圧は,
e
VL士゜jωμ士Lsl士=jωμ士Ls
2R
各コイルの端子電圧は,
万
E戮呪
ぐ
う
一
eJ
ee
j(x
e -
1・μ.コ
二3
111
ぐ
う
ぐ
1COCO
呪n呪
1
(Z
すなわち,
{七万(叫十几)一輿(/yk)
Vli
リ
E/\/3"a>Lt?{ぢ(叫りー)+-1(りりー)}〕
Vl3
=子〔1一一£yRド(り-z・-)〕
(4.10)式の関係を用いてμ士を消去すると,
E
Vli
(R-j・Cs)
一一
-
i/
│
2R
(4.61)
Vl3゛0
(4.60)式の第一項は同相励振によjコンデンサを介して静電結合した端子③のコイル
-46-
端に生じる電圧を表わしている.VI,3==Oとなる0は,この同相励振による電圧と回転励
振による電圧とが打消し合った結果であることが,以下のようにして判る。
S形サーキュレータにおヽけるフェライト内部
y
の磁界を求めると,磁界Hの大きさは電流に比
例し,その方向が空間的に1だけ反時計まわり
にずれているから,(4.56),(4.57)式よ
軋
X
Ho=O,IH+1=IH」=耳
-・g(H-ト)=一斗十号=子
図4.117エライト中の高周波磁界
arg(H-)=÷一子=一子
分布(直列共振形)
図4.11のように座標軸をと軋電圧をEcosωtとおくと,
H=H(i+√3j)COSωt
(4.62)
すなわち,S形の場合はP形と対照的に磁界が直線偏波となる,磁束密度は,
jW
B十゛μ十H十゛μ十He
(4.63)
B_=μ_H-=μ_H。 ̄七
共鳴以上の動作の場合μ十>μ-であるから,磁
束密度は楕円偏波となり,図4.12のような時
間変化を示す。端子①のコイルにも鎖交する磁
束成分が存在し,電圧を誘起するが,この電圧
X
VE3は同相励振による静電結合電圧によって打
消され,端子⑧の電圧は零と次るのである。
了
4。5その他の形式図4.12フェライト中の高周波磁束
第2章で論じたようにサーキュレータはS12分布(直列共振形)
≒S13であるような非可逆結合度を有する接合部さえあれば,これに外部補正回路を付加
して合成することができる。このとき接合部0真性人力インピーダンスを求めておヽけば広
帯域サーキュレータの合成は単なる可逆回路の広帯域整合問題に帰着する。4.1節では集
-47-
中定数サーキュレータの基本的友形式としてP形とS形のサーキー.レータを取扱ったが,さ
らに異なる接合部と整合素子の組合せによってもサーキュレータ特性を実現することができ
る。本節ではその二,三について言及する。
丿27)
4.5.1中点短絡直列共振形サーキュレ
中点短絡s形サーキュレーメの等価回路を
図4.13に示した。
固有インピーダンスは,
Zoニーj☆
(4.64)図4.13中点短絡直列共振形集中定数
サーキュレータの等価回路
z土=j(回土L一去)
で与えられる。サーキュレータの条件はつぎのようにして求めることができる。
(4.65)
Qs=てJj7瓦
とぶヽくと,正規化インピーダンスは,
1十So
zo= ̄jQs=
1十jQs
1-jQs
∴SOニ
(4.66)
1―Sq
1-Qs'
=-
2Qs
-
1十Qs^
(4.67)
帽イ ̄
い`まSoニe坪と訟くと
9=taぶ1
2QS。土π
1-Qs'
サーキュ゛一タの条件は,S行列の固有値So-S土がたがいに120度の位相差を有するこ
とであるから,
s士゛ej?e士jv
(4.68)
¥
‥Z士
_1十S士.へ/でi士Qs
 ̄マスニアうてマ聶
(4.69)
(4.64)と(4.69)式から
(z・.ト+・μ-)優=jツM夕今立T
│
(4.70)
(/り-zz-)孚二≒ま吉?こと
-48-
1
μ+ ̄μ一
μ十十μ一
.'.η゛
(4.71)
yyQs
したがって,フェライトのバイアス磁界動作点を与えれば,Qs■またはCsが決`ま到さら
に(4.70)式を用いてLを決定することができる。さらにこの構造のサーキュレータは
単に回転励振に対する固有インピーダンスに止まらず,同相固有インピーダンスも周波数
依存性を有し,たがいにそれら0入力インピーダンス変化への寄与を部分的にも相殺する
ので,P形,S形よ!)も広帯特性が得られる。Qs≠1の動作点で設計し,比帯域幅15価
の得られることが実験的にも確認された。
4。5.2中点開放並列共振形サーキュレータ
中点開放のP形サーキュレータの等価回路を
図4.13に示した。4.1節に述べたP形とS形
との関係と全く同様にして中点短絡S形に対し
このような形式の回路構成が考えられる。固有
アドミタンスは
図4.14中点開放並列共振形集中定数
サーキュレーメの等価回路
Yo゛jωCp
↑
(4.72)
Y士=j(・cr-☆)
Qp
(4.73)
(uCpR
一
一
とおくとタ正規化アドミタソスは,
yo
一
一
1-So
jQp=
(4.74)
1十So
_リ良二!二堕-j2Qp
-一一
So= -一一一一
1+jQpl唄j
T司戸
(4.75)
So=e坪とおくと,サーキュレーメの条件は,
士jy
¶
ら=eJ?e
y+=
-
(4.76)
1 ̄S土
1十S士
一
一
芋j
へ/3"TQp
1土へ/3Qp
(4.77)
(4.72)と(4.77)式とから
-49-
11R6Qp(l十QP2)
(轟七こ)ごてQ
p'-i
(斗斗)寺=2混り堺2)
(4.79)
一一
ωL3Qp2-l
μ-μ十
μ+ ̄μ..n
=-=
μ十十μ-
へ/3Qp
卜
したがって前項同様フェライトのバイアス磁界動作点を与えれば材料定数からηが定ま久
●●
これに対応してQPまたはCPが決`まる。さらに
③
(4.78)式を用いてLを決定することができ
卜
る。
4レ5.3中点容量性接地並列共振形サーキュレ
-タ
①
(18)(19)
前項の回路構成において非可逆結合インタ≒ク
姉
夕の網状に組合せた中心導体間の浮遊容量Ci,
y
お`よび,イ゛タ≒クタの対接地浮遊容量C2を考
慮すると,図4.15に示したよう忿等価回路が
図4.15中点容量性接地並列共振形
集中定数サーキュレータの
得られる。コンデンサC1は回転励振,コンデ
等価回路
シサC2は同相励振の固有アド礼タンスにのみ
関係するから,図4.15の回路に対する固有アドミタンスは,
Yo=jω(CP十
号)
↓
(4.80)
1
YニL
一
一
j{ω(CP+3C1)ωμ十L
-
で与えられる。コイル間容量CIは△-Y'の変換によj3CiとしてCPに加わる。各端子
の並列容量を取除いてCP=Oとしてもなお調整可能なパラメータとしてインダクタンスL
のほかにCi.C2の二つの静電容量があ久設計の自由度が既述のどの回路構成よ!)も大
きくなっている。そのため,任意のインダクタンスLに対しても,勿論その範囲は限られ
るものCD,Cj,C2を適当に定めることによってサーキュレータ条件を満足することがで
きる。Ct,C2を解析的に解くこともできるはずであるが,簡単ではない。ここではFie(28)
tcher-Powel1法によるパラメータの最適化プログラムを用いて,所定の周波数におヽい
てVSWR=1.0と・なるようにCI,C2を定めた。
-50-
│y/
Fletcher-PoweI1法は最適化の過程で,最適化関数の微係数を必要とする。この微
係数が解析的に求められると,計算は安定しかも確実に収束する。入力パラメータは,
(1)中心周波数ω(たとえば,1.7GHz)
(2)フェライトの磁化パラメータp
(3)インダクタンスL
(4)コンデンサCi,C2の初期値
である。最適化する目的関数は中心周波数におけるVSWRとした。その最小値は1.0であ
る。固有アドミタンスは(4.80)式で与えられているから,固有値は(4.13)式を用
いて容易に換算できる。固有値からS行列の要素S11は(2.10)式で与えられる。S11
か求まると,VSWRは
1+β
1-β
VSWR=
P=ISnI
(4.81)
である。電圧定在波比VSWRの偏微分係数は,
∂(VSWR)
∂C2
d(VSWR)∂。∂bi
_
∂(VSWR)
∂c.
d(VSWR)
一一
∂bi∂C2
dp
dβ
(
∂βdb2∂βdb3
一一+-●∂b2dC,∂b3dCi
ただし,
-
b1こlm(yo)こω苧R
1
)
b2゛lm(y十)゜(3(uCi-
R
(4.83)
ωμ十L
)R
b3゛lm(y-)゛(3ωc,-
(4.81)式よ軋
d(VSWR)
_2
一一
dβ
(4.84)
(1-β)2
(4.83)式を(4.80)に代入して,
(4.85)
yo°jbいy十゜jb2タy-゜jb.
1-Jbi
SO=
1十jbi゛
l-jb2
S十゛
l-jb.
S_
l十jb2'
-51
一
一
1十jb3
したがって,
3
3
1
S11=
1 ̄bi2
{ ぞ 十よ
i 1
i
- 3
ぞ
i 1
j
(4.86)
z・゛{〔R。(S11)〕2+〔lm(S11)〕2}i
す忿わち,
戸
立
一
一
∂bi
1
2
一一●
3
べ1一日)i2)2
(4.87')
{Re(S11)2bi+lm(S11)(1-bi2)}
さらに,
∂b】
1
ωR
一
一
∂C2(pF)
- 3
χ10 ̄12
(4.88)
∂b2
∂b3
一
一
∂Ci(pF)
3ωRx10
-12
∂CI(pF)
∂(VSWR)
一
一
∂c,
3P(Q2+Q3),
∂(VSWR)
∂C2
■
(4.84),(4.87),(4.88)を(4.82)式に代入して,
P°Qi
-
(4.89)
ただし,
4ωR−12
{4.90)
一︱
Q
゛でミにTと町r〔Re(Sii)2bけlm(Sll)(トbr)〕
表4.1最適化計算の試行例
最適化計算の試行例を表4.1に示した。初期値から,
(f0=1.7GHz.P=0.4.lj=1.5nH)
収束に到る経路を図4.16に示した。良好な収束状
3Ci{pF) C2(pF)
VSWR
1
2
5.0000
3.0000
2.0268
2.5349
2.6701
1,6214
3
4
5
3.3099
2.8403
1,5351
3.8213
3.6408
3.3549
4,6236
1.4219
1.2m
6
7
8
3,5961
4.6674
1,1632
3.8267
5.6104
1.0938
3.6751
5.7053
1.0454
9
10
11
3.7595
5.9865
1.0151
3,7647
6,1365
1.0056
3.7582
6.1365
1.0030
12
13
14
15
3.7540
6.1158
1.0015
3.7530
6.1032
1.0008
3.7535
6.0990
1.0004
3.7543
1.0002
16
17
3.7545
6.1010
6.1033
3.7544
6.1037
1.0000
18
19
20
3.7543
6.1034
1.0000
3.7543
6.1031
1.0000
3.7543
6.1031
1.0000
Na
況が判る。こ0ようにして,回路定数が決まれぱ,
サーキュレー。タの周波数特性を算出するのは,すで
に容易である。
ヽまず,P=0.5,0.6の場合について,サーキュレ
ータの条件を満足するC1,C2の値を求め,Lの関
数として,図4.17に示した。各回路定数の組合せ
に対して比帯域幅を算出し,図4.18に示した。こ
の図はC2==(・=・の並列共振形,あるいは直列共振形
といった既述の集中定数形サーキュレータよjもは
-52-
f
1.0001
るかに広帯域特性を実
6
現できる可能性を示し
ている。さらに,比帯
VSWR
5
こ"'
域幅をpの関数として
図4.19に表示した。
4
口
この図から。
4
F●4
Q
(1)pの値の如何にか
C¥つ
かわらず,Lのある値
3
に対して最大の比帯域
幅が得られること,
1.62
(2)pの値が大きい程,2
2
3
4
大きな比帯域幅の得ら
5
6
C2(pF)
れること,
図4.16初期値から,収束に到る経路
が判る。しかもL,Ci,
C2を最適に選択すれ
ば,図4.15の回路構
15
P=0.6
成で,4Ofo以上の比
帯域幅を実現できるこ
10
7Jd
とが明らかになった。
4.5.4マイクロ波集
W
中定数サーキュレー
(26)
タ
Q
5
近年,セラミ・ツタ基
\
板上のマイタロストリ
ップ線路を主体とした
0
123456
マイクロ波集積回路
(MicrowaveInte-
7
L(nH)
図4.17インダクタンスLとCi,C2
gratedCircuits,
MIC)はマイクロ波部品の著しい小形化を可能にしている。しかし,サーキュレータ,
アイソレーメ等フェライトを用いた非可逆伝送回路素子はもともとフェライトのテンソル
-53-
7
透磁率によって電磁波の進行方向
を偏向させる原理を利用してお軋
40
本来分布定数素子と考えられるの
で,その大きさは波長に比例して梁
大形化する゜既述の集中定芦サ ̄720
・鼻
キュレー.タはVHF,UHF帯サー
キュレータの小形化に寄与したが,0
1
MICの進歩に伴って,1
2
3
L
4
6
45
7
(nH)
GHzの低マイクロ波領域のサー
図4.18インタ≒クタンスLと比帯域幅
キュレータを集中定数化すること
がきわめて重要と
み々される。
100
MICに適したサ
ーキュレータを設
計する際の一つの
利点はフェライト
が低損失の誘電体
でもあるため,基
板材料としても使
八
50
尽
心
IS
用できることであ
る。従来のMIC
用サーキュレータ
は,セラミック基
板に穴をあけてフ
0
ェライト円板を埋
め込むか,サーキ
0
0.5
1.0
p
図4.19磁化パラメータと比帯域幅
ュレータを必要と
する回路部分だけフェライト基板を用いる方法によって製作されている。しかし,サーキ
ュレーメを集中定数化することによって,半導体素子をセラミック基板にマウントするの
と同様に,フェラ・イト装荷インダタタをセラミック基板にマウントすることが可能である。
-54-
零
5。 3皿に,趾座した川路構成を用いて,片さ0.
1。7GHz
6 3 5 ≫iのアルミナ枯仮にマウントした
帯集中定数サーキュレ
ータの実例をドレ1.
フェライトは直径1
2 0に小した。
0
m厚さ
1回のAI置換YIGで,飽和磁
化け350ガウスである。 この寸
言のフェライト円板を2枚重ね,
その間にプリント回路化した網
状中心耳体をはさみ,全体をシ
ールドケース内忙収容した。中
心導体の各端子はAuリボンでそ
図4.
れぞれ50nのマイクロストリ
2 0 アルミナ基板にマウントしたマイタロ波
集中定数サーキュレータ
ッブ線路に復続されている。図
30
1.2 1は得られたサーキュレー
タの電気的特性である。 アイソ
レーシ。ン20
dB以上の比帯城
帽'は7併,そう人損失はこの帯
放内で0.7
5∼1.0 dB とやや多
い点はきらに改善の余地が残さ
氷班べ
れている。
20
ap︶
/へ
(13)
4。6 広帯域化の手法
4.1節で取扱ったような基本
心
卯
10
的な回路構成,すなわち,非可
逆結合インダタタと同調コンデ
ンサとの組合せで表わされるサ
ーキュレータの人カアドミタン
2
スは,基準面を適当にとると並
0
列共振回路で表わされ,しかも
1.7
1.8
1.9
周波数(
その外部Qはフェライト材料の 図4.
2 1
2.0
GHz
-
)
アルミナ基板にマウントしたマイク口波
集中定数サーキュレータの特性
−55−
2.1
透磁率の関数として決`まる(式(4.21)参照)。接合形サーキュレータの広帯域化は真
性入力インピーダンスを負荷とする回路の広帯域整合に等価であるから,この並列共振性
の周波数特性をもった負荷に直列共振回路を付加すると入力インピーダンスの整合範囲は
拡大される。このような周波数特性を伴ったサーキュレータの等価回路,たとえば図4.3
においては,理想サーキュレーメの各端子に入力インピーダンスの周波数特性を表わす並
列共振回路が付加されている。ここで,理想サーキュレータの特性インピーダンスをRと
かくと,並列共振回路の外部Q.Qeは,
一
一
(4.91)
Qp
である。同じく図4.3におヽいて,各端子①,②,⑤Kおヽける電圧反射係数をrとおくと,
電圧透過係数は,/7二 ̄ア2 ̄となる。したがって,サーキュレータの端子①に電圧振幅1の入
射波を加えると,まずrの電圧反射波が生じる。一方,理想サーキュレータに入った波
へ/i ̄二7rはさらに,/T二7・ ̄倍されて端子②に現われる。さらにr倍の電圧波が端子ので
反射して端子③に向かう。同様な透過と反射が順次に各端子で生起する。この多重反射の
結果・理想サ ̄キュ゛ ̄タの各端子に生じる反射電圧`または透過電圧をvri(i゛1,2・3)
とおくと,
Vri゛r十r2(1-r2)十r5(1一戸)十…
│
二
vr2
(1-r2)`1'r3(1-r2)゛r6(1一戸)十¨・
(4.92)
Vr3゛バ1-r2)゛戸(1一戸)十rUi一戸)+‥・
厳密な解を求めるには,反射係数の位相角おヽよび埋想サーキュレータ内部における遅延位
相を含めて(4.92)の計算をしなければならない。しかし,「≪1のときは,r3以上の
微小量を無視して,
ト
Vri゛r(1十r)
Vr2ニ゜i-r2,(4.93)\
Vr3゛r・,
●
したがって・端子①・②・⑧に現われる電力Priは
Pri゛Pr3゛r2タPr2°1 ̄2r2(4.94)
とな刺(2.6)式でr=│Sn1とおいたものと一致してか久図4.3の等価回路の正当
性が示された。し
56
rくKIのときは多重反射の影響
LsCs
を無祝できるから,各端子を独立
R
に整合をとることができる。一つ
の端子のみ取上げ,理想サーキュ
レータをRΩの整合負荷で置き換
えた図4.22において最大平担特
性の広帯域化を行なう場合,直列図4.22
外部に直列共振回路を付加して広帯域化
共振回路のQ,Qsは並列共振回路
したサーキュレータの等価回路
のQ,Qpと等しく選ばれる。すなわち,
_1
_゜0Ls
Qs一下
Q
-
゛Qp
ω0CgR
一
一
(4.95)
F行列を用いると,そう入損失は,
A+一旦+CR+D
1
20logio1R
L(dB)=
(4.96)
2
01
IY
10
(F)こ(ズ;)=(
ぐ
j
ZI
しかるに,
ト(でで)(4.97)
ただし,
Z°j(ωLs-
1
ωCs
)
jR・2Qδ
(4.98)
上
Y゛j(ωCpωLp
)≒j2Q(5/R
(4.96)式に代入して,
犬│
(dB)=20logio
゜10logio{1+4(Q5)'}
(4.99)
直列共振回路を付加しない場合は,Z=Oであるから,
L(dB)゛2010glolj二?旦卜10loglo{1+(Qδ)2}
サーキュレータの周波数帯域幅は通常VSWR=1.2で規定されるから,これに対応する反
射係数はr=0.1である。損失に換算すると,L(dB)=0.05となる。Qδ≪1とおヽいて,
-57-
(4.100)
(4.99),(4.100)式を計算すると,それぞれ4.343X4(Q∂)4=0.05お・よぴ
4.343×(Qδ)2=0.05となる.したがって,Q(5=0.232またはQ<5=0.l07を得る.
すなわち,図4.22のような回路構成を用いて最大平担特性による広帯域化を行なえば,
その比帯域幅は2.24倍になる.同様のことをチェビシェフ特性で行なえば,比帯域幅
/
は3.55倍に攻る。ただし,チェビ
λ
-
-
ム,
/
/
シェフ特性の場合は使用周波数帯域
の中心でVSWRが大きくな机わず
かの素子偏差によってVSWRが1.2
を越すので設計の余裕が少痙い。し
たがって,広帯域化の設計値は最大
\
平担特性とチェビシェフ特性との中
間に設定するのが実際的である。こ
図4.23広帯域化0回路構成
の場合,約2.5
3倍の帯域幅拡大
が期待できる。
つぎに,この広帯域化手法の一例として,4.5.4項に述べたマイクロ波集中定数サーキ
ュ゛-タに適用した場合を説明する。入力イ゛ピーダンス○実測」値はQe=2.57の並列共
振回路と等価次特性を示したので,インピーダンス測定の基準面から四分の一波長離れた
位置に,それそれ終端開放ヽまたは短絡した5oΩ線路スタブからなる並列共振回路を付加
して広帯域化を図った。図4.23に示したような並列共振回路の外部Qは,スタブの特性
インピーダンスを基準の特性インピーダンスに等しく選んだとき,
Qe=
π
4
1
s
(4.101)
「∂
で与えられる。ただし,∂は短絡スタプの中心周波数におヽける電気長である。Qe=1.8
とおいて,∂=41°を用いた。中心周波数1.75GHz,おヽよび波長短縮率2.69を与えると,
マイタロストリップ線路パターンの設計は容易である。このようにして広帯域化されたサ
ーキュレータを図4.24に示した。その電気的特性を図4.25に示した。アイソレーショ
ン20dB以上の帯城幅は18価,4.5.4項で述べた8価と比べるとほぼ2.5倍に相当する。
-58-
図4.
2
4
アルミナ基板にー・ウントしたーイタロ波集中
定数サーキュレーメ(広帯域化後)
心
回︶
心
氷班べ︵や
`1
1。6 1.7 1.8 1.9 2.0
1.5
周波数(GHz)
2
5
アルミナ基板にマウントしたマイクロ波集中
定数サーキュレータの特性(広帯域化後)
−59−
¥4jl;−r
図4.
第5章ストリップ線路サーキュレータ
ストリップ線路Y接合形サーキ●。レータは小形軽量で,しかも低限界助作の場合,30
俤以上の周波数帯域幅が容易に得られるので,1,000MHz以上のマイクロ波領域で広く
実用に供されているごしかし,その理論的取扱いは,第2章で述ぺたS行列による現象論
の域を出ず,広帯域を主目的とするサーキュレータ0設計はもっぱら央験的に行なわれて
いた。設計にしぱしぱ利用されている理論的成果としては,わずかにBosrnaの電磁界解
析から導びかれたも鳥,接合部に装荷するフェライト円板の直径を1.841/π=0.59
波長に選ぶべきである,ということだけであった。Bosmaの解析は,サーキュレータに
用いるフェライトの界面における電磁界の整合を考えているが,回路イッピーダyスをと
り入れていないので,狭帯域動作のサーキュレータ条件を導ぴく結果に終った。Fayと
Comstocとも四分の一波長変成器を用いた広帯域サーキュレータの近似的設計法を初め
て提案したが,真性入力アドミクソスの概念はまだ存在しなかった,一方,Simol?1文数
多くの実,験的試行を繰返して,構造の複雑々オタタープパンドサーキュレータに到達した9
これらに対し,本論文はBosmaの電磁界解析とSimonの導入した真性入力アドミタッス
とを結びつけて,系統的左広帯域サーキュレータの設計法を確立したものである。
本章では固有アドミタンスの伝送線路モデルを用いてフェライト装荷接合部の解析を,
低磁界動作の場合について行ない,さらに四分の一波長インピーダンス変成器を付加して
広帯域化したサーキュレータの設計理論を記述する。2
4GHz帯で帯域幅30価以上の
広帯域サーキュレータを試作し,理論と一致する結果を得た,さらに,1
4
2,2
4,
8GHz帯をカバーする一連のオタタープバンドサーキュレータを開発した。
(32)(33)
5.1接合部の等価回路と外部Q
ストリップ線路のY形接合部中心導体と│司径のフェライト円板を装荷したサーキュレー
タ主要部の構造を図5.1に示した。このような接合部の入力アドミタッスは,フェライト
の比誘電率が14
16と大きいこと,お・よぴ中心導体の幅が大きいことによって接合部が
低イyピーダンスの半波長共振器と等価に左るため,フェライト円板の端面を基準に選ぶ
と図4.3のような並列共振等価回路で表わされる。理想サーキュレータの特性イッピーダ
yスはフェライトの磁化によって決ヽま凱磁化が大きい程低くたる。
ストリップ線路サーキュレータの固有アドミタンスはフェライトを等方性の誘電体で置
60-
¥
きかえた図5.2に示す構造の入力アドミタンスから導ぴくことができる。│司相励振に対し
ては図5.2で開放面とした境界を横切る電流が存在し得ないので,接合邦円板を3分割し
た境界には終端開放条件が適用される。
導体
フェライト
円板
図5.1ストリップ線路乞キュレータの構造
ノ∧
図5.2固有アドミメンスの等価回路
一方,回転励振に対しては,各端子からの各端子からの電流の総和が零であるから,接合
部中心0電位が接地電位に等しくな凱接合部円板を入出力端子の対称軸について二分割
した境界面は終端短略条件に従がうツフェライトの透磁率は第一近似として同相励振の場
合。eff.回転励振に対してはz4士を用いれば,フェライト装荷接合部の固有アドミタッ
スが得られる。すなわち,同相励振の固有フドミタンスは終端開放線路の入力アドミタソ
スで,回転振励の固有アドミタyスは終端短絡線路の入カアトミタソスで近似でき,
-61-
y0=jA/―シンD=ttan(B/司77 ̄77Df)(5コ)
y土=-μ/JΞニーD±COt(B'y/T+TTDf)
(5.2)
とお・くことができる。ただし,
蛎
D:フェライト円板と中心導体の直径(・)
Dt=D/t,t:フェライト円板の厚さ(u)
f:周波数(GHz)
A,A',B,B':Y接合邱の構造で決まる実験定数
である。図5.3(g)に示した寸法の50おストリ
ップ線路の負荷として,厚さ3.5mmのスタイキ
ャスト(Er=15)板を用いた固有アドミタン
スの等価回路を接続し,アドミタソスを実側し
たo同相励振に対応したyOの場合は直径25.5
uの円板を図5.2のように3等分し,端部を開
放終端した。回転励振に対しては円板を2等分
して短絡終端し,接合部の固有アドミタンス廓
ツ
定のIモデルとした
測定値が(5.1),(5.2)式
(a)
に合うよう実験定数を定め,
A=0.15,K=0.30,B=B'=0.5
(deg/u/GHz)(5.3)
を得た。B,B'は厳密には図5.3(b)に示した,
接合部におヽいて入出力ストリップ線路のはる角
2fの関数であり.(5.3)式の値をつねに用い
(b)
得るとは限ら左いが,こゝでは典形的な値とし
てそのヽまゝ計算をすゝめることにする。サーキ
図5.3ストリップ線路の寸法
と接合鄙中心導体の
ュレータの中心周波数はyo=°°.すなわち,
開口角
-62-
0.5]//IefferDfo=90(deg)
(5.4)
を満足するから,f=:=foのとき,
y士=-j0.3
Dtcot(0.5\//i±ej.Df)
(5.5)
低磁界動作の場合,a=0の磁界動作点を選ぶと,(3.6)式から
μ士ニ1こFp・μeff=1-P2
4
p≪1とおくと,
\/
M±
=1干与,/瓦了F==1-ギ字1
(5.6)
(5.4),(5.6)を(5.5)式に代入して,さらにe=15とぷ・くと,
・寺o千÷)}
二
=1+8,cot(―十∂)=―tane ―eなる関係を用いて,
fo
y士-j1.16Dt(1士÷)く卜(∂千手)
(5.7)
yo=(x)であるから,正規化特性インピーダンスrのサーキュレータを得るための条件
y士=千丿土を用いて,
y一一y十゛j1.8Dtp=j
ユ
(5.8)
ぽr
固有アドミタンスの配置,おヽよび微少周波数変化に対する固有アトミタソス(7)変化分は図
5.4の通りであるから,入力アドミタソスの周波数変分は次式で考えられる。
=
いJ
5y=2Xj1.8Dt∂cos÷
2
伍pr
∂
並列共振回路の式
y=(1+j2Qa),dy
=J-
.2Q5
「
と比較して,
Q一
1
母p
(5.9)
-63-
を得る。すなわち,Qはフェライトの
寸法に関係せず,周波数で正規化した
y一こ
磁化パラメータだけで決定されること
が判る。Qが低い程広帯域になるから,
(X)
上式は磁化が大きい程大き左比帯域幅
の得られることを示している。そo上
限は低磁界損失条件pく0.8によって
y十=
上
向
卜
制約される。Qに換算すると0.72以上
とな凱比帯域幅は1δyl=0.1(vs
図5.4
サーキュ1/一タ条件を満足する
固有アドミタンスの配置
WR1.2相当)よ久25=0.14,すな
わち14価を得ることができる。ただし,
(5.9)式はp≪1の条件で求めた結果であるから,その精度は必ずしも十分ではない。
5。2四分の一波長変成器付きサーキユレータ
四分の一波長変成器を用いて広帯域化したストリップ線路サーキュレータの構造を図5.
5に示した。
地導体
図5.5四分の一波長変成器を用いて広帯域化したストリップ線路
サーキュレータの構造
-64-
豆
ストリップ線路Y形接合部に中心導体と同謎のフェライト円板を装荷したサーキュレータ
本体と,広帯域化の目的でフェライト円板の外側にはめ込んだリング状誘・収体の四分の一
波長変成器とから構成されている。4.6節で述べた広帯域化のための共振回路として四分
の一波長変成器の直列共振効果を利用する。図5.6(a)のように特性インピーダンスZ.f=
/Ξ乱iを有し,インピーダンスZoで終端した四分の一波長線路を考えると,その入力イ
ンピーダyスはZo〉Rのとき,
(5.10)
∂=
兪(1+∂)とかくと,t政小周波数偏差に対し,∂くKIであるから,
cos∂字一才δ,sin∂幸1
二
4
∴z字R{1+j2
)O
(5.11)
したがって,図5.6(b;》のよう次直列共振的等価回路を有し,そのQ値は,
Q={
)
(5.12)
で考えられるツ
oぺm丿
2
ωL
R-
Q=Z。
(a)
図5.6
-■
a-・
R
ωCR
..._?n{
R一'^'0
(b)
特性インピーダンスRのサーキュレーy測からみた四分の一
波長変成器とその等価回路
5。2.1設計手順
四分の一波長変成器を用いて広帯域化した低磁界動作ストリップ線路サーキュレータに
図5.7に示したような手順で設計することができる。
1)フェライト材の選定:飽和磁化が所望の周波斂帯でp≦0.7を満足するフェライト
-65-
のうちできるだけ4πMsが大きく,
半値幅jHの小さい材料を選ぶ。
2)サーキュレータの特性インピー
ダンス:フェライト材が決ヽまると(5.
9)式からQが決まる。このQを用い
て(5.12)式からサーキュレータの
特性インピーダンスは
r=
旦
Zn
汗玉石ニ
一
一
1十万(πp)2+1
(5.13)
四分の一波長変成器を用いて
広帯域化したストリップ線路
サーキュレータの設計手順
図5.7
pとrの関係を図5.8に示した。rさ
えわかれば四分の一波長イyピーダy
ス変成器の設計は容易である。
3)フェライト円板の寸法:フェライトの直径は(5.4)式にZzeff=1-p2とε
一
一
15を代人して,
DニZTrみ915
(5.14)
fo(GHz)(u)
フェライトの厚さtは(5.8)式から,
Dt°0.64
j
1
-
p「
.・..喊Lノ
(5.15)
(5.13),(5.14)を代入して,
t=737rlE二;元二
ドド匹。
爪玉石乱,
h
゜fo(
(u)
Hz)
(5.16)
pを。・ヽ;ラメータとしてフェライトの直径D(u),厚さ(u)の値を図5.9,図5.10に
示した。
-66-
│││11
30
20
/
/
/
10
/
\r\4πMs
-
p°
R
(,2)
5
/
/
/
/
2
/
1
/
0.5
0.1
0.2
0.5
p
図5.8磁化パラメータとインピーダンス変成比
50
(昌)Q
20
10
5
12510
周波数(GHz)
図5.9磁化パラメータとフェライトの直径
-67-
1.0
10
5
今●
(蓋)‘
t
2
1
0.5
I
5
2
10
尚波数((1Hz)
図5.10磁化・゛ラメータとフェライトの厚さ
5。2.2サーキュレータの特性インピーダンス
フェライト装荷接合に磁界を加えたときのサーキュレータの特性インピーダンスは式(
5.15)から
Rニrzo=j1AytZo
(5.17)
とフなるが,実験的にもつぎのようにして確認できるにすなわち,サーキュレータのほかの
二つ0端子をZOで終端し,入力アドミタyスを測定する。正規化インピーダンスrのサ'
-キュレータの等価回路は中心周波数にお・いて図5.11のように表わされる。ここで理想
サーキュレータのS行列は
う
100
001
(7
(S)=e-jπ
(5.18)
0
理想変成器のS行列は
-68-
理想サーキュレータ
IZcニ==Rこニr4
Zo:RQt
R:Zo
Qt
理想
変成器
バフェライト装荷
│
L
_│
接合部
図5.11正規化インピーダンスかrの
サーキュレーメの等価回路
VU
-U
(St)
l-r2
一
U
一
V
一
一-
V ̄
1十r2
2r
I十r2
(5.19)
(5.18).(5.19)から
Sii=―(u十コ己ごど-u
1+u3)一一可一二77で『
(5.20)
中心周波数におヽけるVSWRをβoとかくと,βoは入力コンダクタンスと等しく,
ρoニvinp=―トミiE{1÷=一jゾにjごー
-
●●「
(5.1)
-
(5.21)
4/石 ̄7-1
(5.22)
(5.3)式を用いて入力アドミタソス
-69-
・︱
y
I-S11
1
一
np
一
Sii=
I十S11
,i=0,士
- 3
yi+1
(5.22)
を算出し,図5.12に示した。すなわち,磁化を増すにつれてスミス図表の実軸を切る点
近傍のアドミタソス軌跡がしだいに集`ま凱さらに磁化を増すとループを描くようにな4
スミス図表の実軸を切る点,図5.12では1.87GHzの点が。oを与える。点線で示した軌
¥
跡は実験値であ凱フェライトに加える直流磁界を増して磁化を大きくしたが,計算値と
よく一致していることが判る。
5.2.3実験結果叫
5.2.1項の設計手順にしたがって1.8
4.5GHz帯をカバーする5種のサーキュレータ
を試作し,各サーキュレータの中心周波数とフェライトの飽和磁化から図5.9,図5.10を
用いて求めたフェライトのサイズD,tの理論値と実験値とを表5.1に示し比較した。サーキュ
レータI,IV.Vについてはよく一致しているが,Ⅱ,ⅢではD,tともに実験値が理論
値より相当小さくなっている。これは直流磁界がフェライトの磁化飽和点より弱く実効的
にp=:=0.6に下げた状態で動作しているためであると考えられる。
表5.1フそライトサイズ.理論値と実験値の比較
サーキュレータ
fo(GHz)
p
1
n
Ⅲ
Ⅳ
V
2.125
2.65
3.125
3.65
3.9
0.59
0.74
0.81
0.69
0.65
理論
27
26
25
18
16
実験
27
23
18.5
15
14
D(u)
戸
理論
3.7
6.3
7.4
3.5
2.7
実験
3.0
3.5
3.0
2.5
2.5
t(u)
四分の一波長変成器端面を基準とする各サーキュレータの入力アドミタyスを図5.13
に示した。アドミタンスの周波数軌跡が最大平坦特性に相当する尖点を伴なったり,チェ
ビシェフ特性に対応するループとフ1つたりしていることが判る。各サーキュレータの電気
的特性をまとめて図5.14に示した。いずれも比帯域幅は25価以上でとくにⅣは36価
である。
-70-
・●
図5.12入力アドミタンスの計算例
-71-
卜・
図5.13(ai)四分の一波長変成器を用いた広帯域サーキュレータの入カアドミタンス(I)
-72-
図5.13(b)四分の一波長変成器を用いた広帝域サーキュレータの入力アドミタンス(n)
-73-
●
図5.13(c)四分の一波長変成器を用いた広帯域サーキュレータの人力フドミタンス(Ifl)
-74-
●
図5.13(d)四分の一波長変成器を用いた広帯域サーキュレータの人カアドミタンス(N)
-75-
そI入損失
(dB)
20
-りQ1
0
420
111
VSWR
2
3
4
5
周波数(GHz)
図5.14四分の一波長変成器を用いた広帯域サーキュレータの特性
a
5。3オクターブバンドサーキユレータ
本節では,ストリップ線路サーキュレータの比帯域幅の限界を追求し,その結果得られ
たオクターブ帯域を有するサーキュレータについて記述する。ストリップ線路サーキュレ
ータの動作原理はすでに明らかであ凱四分の一波長変成器を用いた広帯域サーキュレー
タの設計理論も確立されたが,実験的に開発されたオタタープ帯域のサーキュレータを説
C17>
明する報告はSimonによる例を除いて見当ら次い。Simonの説明もフェライト材料の飽
和磁化の選定が重要であることを実験的に指摘したに止ヽまっている。四分の一波長変成器
を用いて広帯域化する場合は,フェライト装荷接合を等価的な共振器でおヽきかえて解析す
るが,対象とする比帯域幅が30価以上に達するとフェライトの透磁率の周波数依存性が
大きくなって単一共振器モデルでは表現できなくなり,実験的手法に頼らざるを得友くな
る。しかし,電算機利用の発達した現在では実験的試行の大部分を数値計算にふヽきかえ,
広帯域サーキュレータの設計を経済的に行なうことが可能である。この問題は第6章で取
上げることとし,ここではオタタープパyドサーキュレータの実際的側面を取扱かう。
5.3.1固有値の位相角
固有アドミタンスを特性インピーダンス0一様な伝送線路で近似し,(5.1),(5.2)
式を導びいたが,この式では固有アドミタソス○ゼロと極が交互にしかも周期的に現われ
る。しかし,フェライト円板と円形の中心導体とから構成された接合部は,オタタープ帯
域にわたって一様な伝送線路とみなすことができない。フェライト円板を誘電体共振器と
みなした場合,そのTMuoモードの近傍でサーキュレータ動作が得られるが,オクタープ
帯域に対しては高次モードの影響が現われる。図5.13に示した実際のサーキュレータの
入力アドミタンスを見るとすでに高周波側でアドミタyスの著しい周波数変化が認められ
るo
そこでフェライトを誘電体でお・きかえた図5.2の固有値モデルの入力アドLダンスを広
い周波数範囲にわたって測定した。電圧反射係数の振幅はつねに1であるから,反射係数
の位相角のみを図5.15に示した。TMu,TM21モードの共振周波数を計算し,図中に
合せて示したが実測値とよく一致していることが判る。このように中心導体の形状が円形
であると,ベッセル関数が使え,電磁界解析に便利であるが,それ以外には円形とする理
由がなく,むしろ3.3節で述べた動作原理からすると凹のなめらかな曲線で各端子の伝送
嶮路を接続するのが適当と考えられる。Y字形の中心導体を用いた場合の反射係数位相角
の測定結果を図5.16に示した。図5.15と比べるとTM21モードの共振はtくなり,回
'-77-
転励振の第二のゼロはほ!ごIGHz高い点に移動している。サーキュレータの条件は各固有
値0位相角が1200ずつの間隔で配置することであるが,バイアス磁界を加え力;い状態で
は同相励振固有値と回転励振固有値とが1800位相のずれていることが必要とされる。し
かるに同相励振の位相角と回転励振の位相角とが一致しているときは,どのような回路を
付加してもこの周波数ではサーキュレータ特性を実現できない。円形中心導体をY字形に
変えるとこのようカ:TM21モードの共振を抑制し,サーキュレータの帯城をより高周波側
に拡大することができる。この事実はオタターブパyドサーキュレータを得るための必要
条件である。
360
レ
し
一測定
--一計算
V
270
へ
位相角
180
So
二
プ
90
(度)
0
0
1
2
へ
∧
3
六
5
4
周波数(G11z)
図5と15固有アドミタyスの位相角(円形中心導体)……
…ε=15,D=25.6加,t=3.5四
360
☆
犬
270
位相角
180
づ∧ ヘヘヘ
(度)90
│
鴫
ヽ・1\
こy
[`M11TM21M!
1↓y
0
§1●
012345
周波数(HGz)
図5.16固有値の位相角(Y形中心導体)…e=15,D=25.6iM
t^3.5ma・
-78-
\
\
5。3.2多重反射を除いた入力アドミタンス
出力側で整合をとり,多重反射を除いた入力アドミタンス(2.4節参照)を,円形中心
導体とY字中心導体とについて測定し,図5.17,図5.18に示した。円形中心導体の場
合は中心周波数1.45GHzの1.3倍の1.9GHzですでにTM21モードの影響が現われアド
ミタンス軌跡がスミス図表の外周に達している。しかるにY字形中心導体の場合はlGHz
から2GHzにわたって正規化アドミタンスの軌跡はコンダクタンスが3.0の周辺によくま
とまっているoこのような結果からもオタタープ帯域のサーキュレータは円形でないTM,,
モードの共振を抑制した形の中心導体を使わないと実現できないことが判る。
5.3.3二区間インピーダンス変成器
図5.18から接合部中心導体としてY字形を選ぶと真性入力アドミタンスがよく・まとヽま
り,とくにサセプタンスの周波数変化のきわ。めて小さくtつていることが判る。これはフ
ェライト装荷接合部の本質的痙広帯域性を表わしており,フェライトの非可逆性透磁率O
周波数依存性によるものと考えられる。磁化パラメータpは磁化を周波数で割った量であ
るから,周波数が高くなるにつれて小さくなり,電気長の長いことの効果を相殺するもO
とみなせる。
そこで周波数特性の少ないインピーダyス変成器として2区間の四分の一波長変成器を
用いて50j2線路との整合をとることにし,その周波数特性を調べる。2区間の四分の一
波長変成器の設計は,図5.19にお・いて
Ztl゛41/Zi; ̄li ̄瓦
(5.24)
R
Zo
Z12°4/i7 ̄瓦5J
により決めることができる。このとき,
中心周波数近傍でのリアクタンスの変化
図5.192区間四分の一波長変成器O
等価回路
率はゼロとカ:る。しかし,オクターブ帯
域に対しては全域を大局的に見てZ口≫Zt2を決定する必要がある。,Zo(=50£?)側
のインピーダンス変成比をやゝ大きめに選ぶことによってより改善されたサーキュレータ
特性が期待できる。
い`ま,ある与えられた負荷アドミタンスYLを,それぞれ特性インピーダンスZtl,Zt2
の2区間四分の一波長変成器を用いて電源インピーダンスZOに整合したものとすると,
-79-
気
図5.17多重反射を除いた入力アドミタンス(円形中心導体)
80
J
図5.18多重反射を除いた入力アドミタンス(Y字形中心導体)
-81-
YLは図5.20に示した仮想的な
回路を用いて算出することができ
Zo
るo変成比Zo/R=3の場合にYL ̄ ̄Zt2
ついてZtl.Zt2を(5.24)式
-0.25λo-0.25λO
で決めた場合とZt1の変成比をや
図5.20仮想負荷YLの等価回路
や大きめに選んだ場合のYlS:図5.2I
に示した。後者の方が2
4GHzのオタターフ苓
域全体でみて図5.18の接合部の真性入力アドミ
タンスとよく一致していることが判る。帯域の中
心におヽけるサセプタyスのスロープは逆に左って
いるものの帯域両端部にお・けるサセプタンスの開
きが小さくなっている。
5.3.4実験結果叫
前項`までの実験的考察に基づいて二区間の四分の
図5.21(a)仮想負荷YLの
アドミタンス周波数特性,
一波長変成器を用いたストリップ線路サーキュレー
Zt1ニ38・£?・Zt2°22j2
タの設計手順はつぎの通りになる。
1)フェライト材の選定:フェライトの磁化が大
きい程帯域幅が広くなる。しかし,低磁界損失条件
によって上限が決`まる。オタタープ帯域に対しては
比帯域幅w=0.67であるから,図3.8を参照して
中心周波数におヽける磁化・゛ラメータp0=0.67と
した。フェライトの直径と厚さは5.2節と同様の方
法で定める。
2)中心導体:TM21モードの共振を除くため円
図5.21(b)仮想負荷YLの
形でなくY字形とする。
アドミタンス周波数特性,
3)バイアス磁界:接合部の多重反射を除いた真性
Zti=33・Q,Zt2=i9・12
入力アドミタyスがj尼抵坑性を示すヽまで十分なパイア
ス磁界を加える。このときのアドミタソスはほ!c60mUとなる。
4)整合:2区間の四分の一波長インピーダンス変成器を付加して各端子の整合をとる。
上述の設計手順にしたがって試作したオクタープバンドサーキュレータを図5.22に示
-82-
した。図5.
2 3はこれらオクターブバンドサーキュレータの電気的特性である。いずれも,
1∼2,2∼札 4∼8
Gllzとそれぞれのオクターブ帯城にわたってVSWR<
人損失<0.5dB,フィンレー−シjン〉1
1.3,そう
8dBを満足している。
図5. 2 2 オクタープバンドサーキュレータ
そう人禎失心
3
0
2
5
2
0
1
5
1
0
1.5
VSWB
1
0
1
1.5
2
2.5 3 3.5 4
5 6 7
周波数(GHz)
図5. 2 3 オクターブバyドサーキュレータの特性
−83
8 9
一一
一一
5。4 マイクロストリップサーキユレータ
ニ導体系のーイクロストリップ線路も三導体系のストリップ線路と同様にTEM伝送線
路であるから,ストリップ線路サーキュレータをそのまゝマイタロストリップ線路構造に
(9)帥叫帥
変換することができる。アルミナ基板の穴にフェライト円板をはめ込んでフェライト装荷
接合部を作る方法と基板全休をフェライトにする方法とがある。いずれの場合も線路導体
パターンを真空蒸着とエッチングで形成する。Xバンドにおヽける周波数帯域福は約3GHz
に達し,比帯域幅は40価もある。図5.
2 4はフェライト基板を用いた・・・イクロストリッ
プサーキュレータの実例を示したもので,電気的特性を図5.
2 5に示した。
図5. 2 4 マイタロストリップサーキュレータ
そう入損失
20
10
(dB)
2
1
0
3
4
5
6
7
8 9
周波数(GHz)
図5. 2 5 マイタロストリップサーキュレータの特性
−84−
10
設計上,ストリップ線路の場合と異なるのは,マイタロストリップ線路が複合誘電体線
路であるから,その特性インピーダyスと波長短縮率を計算する場合,媒質の実効誘電率,
実効透磁率として,
Eeff=1十q(ε-1)
(5.25)
心ff={1+q(.-1-1)}-1
(5.26)
を用いなけれぱなら々い点だけである。ただし,qはWheelerの求めた実効充禍ぷちあ
るoqはほとんどε,。の大きさには関係せず,線路導体の幅wと誘電体基板の厚さhと
の比により決まるとみなすことができる。この比w/hとqとの関係を図5.26に示したo
qの精度は5多以下であ久サーキュレーメの設計には十分である,
q
00,21246102040(x)
w/h
図5.26-イタロストリップ線路の実効充てん率
-85-
第6章サーキュレ・一タの電算機設計
電算機利用の発達した現在では,実験的試行の大部分を数値計算にふヽきかえ,広帯域サ
ニキュレータの設計を経済的に行なうことが考えられる。電算機設計を行なうには,まず
フェライト装荷接合部の数式モデルを確立することが失決である。このモデルが一度得ら
れると,フィルタなどと同程度の確実さでサーキュレータの設計が可能となるはずである。
(42)
このとき,必要な実験はただ設計データをチェッタするだけとなる。
本章ではフェライト装荷接合部の数式モデルを検討し,さらにこの数式モデルを用いて
フェライト装荷接合部と四分の一波長インピーダンス変成器とを組合せた低磁界動作スト
リップ線路サーキュレータの最適化計算を行なって,その最大帯域幅を追求し,フェライ
ト装荷接合部がフェライトの適当なある磁化に対してきわめて広帯域な特性を有すること
を明らかにした。
6。1接合部の数式モデル
(43)
6.1.1一様伝送線路モデル
ー様伝送線路モデルは接合部を一定の特性インピーダンスをもった伝送線路とみなし,
その固有アドミタソスを式(5.1),(5.2)で表わす数式モデルである。一様伝送線路
の場合,入力フドトタンスは周波数軸上で,極と零点が周期的に現われる。しかし,接合
部の固有アドミタンスを実測した図5.15をみると,極と零点の周期性は認められない。
たとえば,回転励振に対する固有アドミタンスの最初の零点(反射係数位相角:O度)が
1.85GHZにあるが,2番目の極(反射係数位相角:180度)は,その2倍の3.7GHzで
なく,はるかに低い2.45GHzにある。なおヽ,最初の極は周波数零の点であることはいう
までもない。したがって,一様伝送線路モデルの適用範囲は中心周波数の近傍とその低周
波側に限られる。比帯域幅でいえば10価程度の範囲に限られ,30価以上の広帯域サー
キュレータの設計には適用できない。
(18)
6.1.2連分数モデル
ストリップ線路サーキュレータの固有アドミタンスは,5.1節図5.2に示した構造の誘
電体の入力アドミタンス実測値から,導びくことができる。外部直流磁界を加えたフェラ
イトの固有アドミタンスを求めるには,第一近似として,同相励振の場合透磁率にμeff
を,回転励振のときの透磁率にはμ士を用いればよい。固有アドミタンスの等価回路は,
-86
同相励振,回転励振の場合いずれも無損失であるから,その入力アドミタンスはいわゆる
リアクタンス関数で表わされる。交互に現われる零点と極のうち,角周波数ω=ooでアド
ミタソスの極を仮定すると,
Y(ω)=jωCn-l-l
(ω2一司〉
(ω一同
)
(ω2-(ぺ
)(ω2一司〉………(ω2-
1)
,n=2m(6.1)
`または,ω1==Oのとき,i→i-1と書きかえて,
(印2-ω?)(ω2-ωi)………(ω2-(遍m-1)
Y(ω)゛JωCIIりω2(ω2 ̄ω2)………………(ω2-ωim-2-,,n=2° ̄1
(6.2)
と表わされる。同相励振に対する固有アドミタソスはω=Oに零点,回転励振の場合は
ω=Oで極をもつから,前者は(6.1)式,後者は(6.2)式で表わされる。実測結果か
らωiを定めると,残る未定係数Cn-t-lは実験値との偏差が小さくなるよう最小自乗法等を
用いて決定できる。
一般に,リアクタンス関数は連分数形式に展開することができて,
1
Y(ω)=alλ十
λ=jω(6.3)
1
a2λ十
j
83λ十a4λ
………
とフ1り,図6.1のような集中定数回路で実
a2a4
現できる。しかも,伝送線路は分布した直
一一--
列インダクタンスと並列キャパシタンスと
一一一一
から構成されているから,その物理的イメ
図6.1
ージが明確になり,フェライトの誘電率,
連分数形式リアクタソス
関数の集中定数回路表示
透磁率を数式モデルに組込むことが容易に
カ:る。透磁率μのフェライトを装荷した場合のイソダクタソスの値は誘電体モデルのイン
ダクタンスを単にμ倍すればよい。さらに,比誘電率Ed,直径Dd,厚さtdの誘電体円
板を比誘電率Ef,直径Df,厚さtfのフェライト円板で置換した場合の回路定数はつぎO
式で換算することができる。
│
lj°μi{IL'μi゛μeffまたはμ士
(6.4)
(イ=昔昔(U1)2c
-87-
以上の諸式を用いて一回の誘電体等価回路の測定から,フェライトの飽和磁化4πMsと
誘電率Efを用いて種々の直径と厚さをもったフェライト円板の固有アドミタンスを計算
することができる。設計の中心周波数が変ってもpを一定に保ち,すなわち飽和磁化4πMs
を周波数に比例して加減し,フェライト円板の直径ど厚さを周波数に反比例して換えれば
固有アトヅ。ダンスは変らないから,設計計算は任意の一周波数で行なっても一般性を失な
わない。
こ0モデルは誘電体円板を用いた実測値をもとに定めるので,中心導体の形状に関わり
なく使用できる利点がある。しかし,フェライト円板のTM21,TM31など周方向に電磁
エネノレギーの振動をしているモードに対しては伝送線路を想定したモデルとの間に物理的
イメージの対応がつかない欠点がある。その反面,TM21.TMsiなどのモードはサーキ
ュレータ動作に寄与しないモードであり,帯域を広く設計するときには抑制除去すべきモ
ードであって,後の計算の支障とはならない。どのようにしてこれらの不要共振モードを
除くかが設計上の要点となる。
613電磁界解析モガ(44)(45)
前項ヽまでに述べた接合部の数字モデルはいずれも実験的に求めた誘電体モデルの可逆性
固有アドミタソスにフェライトの円偏波透磁率を組合わせたものであった。ここでは簡単
∂=O°
ヵ:境界条件を仮定するの,
みで,円形中心導体の上
下にフェライト円板を装
荷した接合部の数学モデ
ルを電磁界解析により求
めた。
解析の対象となる接合
部の構造を図6.2に示し
\2π
∂J
∂゜ヱ
た。フェライト円板内の
Hdc
電界はz軸方向の成分の
フェライト
み存在し,しかもzに関
円板
し一定であるとすると,
内導体
地導体
図のようにz軸に平行な
直流磁界を加えたとき,
図6.2フェライト装荷接合部の構造
-88-
Ezは次式を満足ずる
○
上り
争
1↑r
首
c
言祐十k2〕Ez=0
(6.5)
ただし,
£2
一 £2
一
一
一
μ
(6.6)
一一n
聡
∞Σ一一
μ,A;は磁化されたフェライトのPolderテンソル成分である。式(6.5)の一般解は,
anJn(kr)ej11θ
(6.7)
ただし,Ezの時間依存性はej°tである。磁界成分はMaxwe11の方程式から
J●
H∂=-
ωμoμeff
J●
Hr
一
一
ωμoμeff
(等ドド今)
⑤畳づ等)
(6.8)
(6.9)
以下,各固有ベクトルで励振した場合の電磁界から固有インピーダyスを求める。
(a)同相励振
同相励振の場合は図6.3
のような境界条件を考える。
すなわち各ポートのストリ
ップ線路上では,
Hθ(R,∂)=H
2π
-
(6.10)
図6.3同相励振に対する境界条件
その他では,
H∂(R,∂)=0
(6.11)
このH∂をFourier級数に展開すると,
J
4
Cnejllθ
一
H∂=
ただし,
1
-
Cn°
-
/゛H∂e ̄jll∂d∂
2π
J
2n
π
H(eJ響+1十e-jヂ)(e-jぽ-ejllr)
-89-
したがって1n=3mのときのみCn≒0
∴Cn=言Hsihnr=半H勁べ1jFぞしと
n=Oのときは,
Co=五球H∂d∂=ギH
(゛)3ysin(ZmW・)
‥H∂‰五
(6.12)
ωミ ̄H3mr
一方(6.7)を(6.8)式に代入して,
慧z二=yankJ;1(kr)ejl1∂
∂rn一一(x)
づ7y
J
=
∂n一一oo
anJn(kr)jnejll∂
∴Ha=-jYeffian〔Jn(A:)-p―Jn(;if)〕ejl゛(6.13)
n°―ooχ
ただし,
匹
Yeff°
yp°まタχ=kR
(6.12),(6.13)式を比較して,
3rsin(ZmW)/3m
マH-Tiiy一-=-JYeffa3m〔J3m―pアJ3m〕
∴a。―a3m―jZ。ffH
了s≒言¥ノレ(J
3m
p午りm)
4
したがって,同相励振に対する電界は,
グf)J
Ezo(r,0)゛jzeffH叉・,=-003m
3°(χ)/(J;m(χ) ̄p予J3m(χ))〕J3ml9
゜・響゜j2・ff莞jとよ斗ぶぎjとJ3●(゛)/(Jふix)-P亨Jm(゛))〕eJ3m0
(6.14)
-90-
輿
ストリップ線路上で平均した電界を考えると,
俗耳eJ3m(?dd=-Ξ昴士〔eJ3me〕≒゜鮭回ミび白 ̄
であるから,
句心半4‰=-oooブ))2J31(゛)/(Jふ(゛) ̄゛ミy!J3J))〕
(6.15)
この式は波動インピーダンスZwを表わしている。そこでZoで正規化した回路インピー
ダンスを考えると,設計に直ちに使用できる量とな
る。フェライト装荷接合部の場合と同様にふち効果
を無視して考え,図6.4に示したように電界はすべ
H!t
匹
1._・│・¶
ここ_L-と」__.1.‥
てZ軸に平行であると仮定すると,ストリップ線路
から接合部をみた回路インピーダンスは,
'図6.4ストリップ線路の
Z=
tEz_t
EjEi ̄ ̄ΞiZ`″
I
(6.16)
電磁界
注1
で与えられる。ただし,Vは中心導体と地導体間の電圧,Iは各導体を流れる電流である。
図6.2におヽいて,w=2Rsinr=DsinΨの関係があるから
z=万詰y乱
(6.17)
(6.15)をZwに代入し,基準インピーダンスZoで正規化すると,
zo°j謡どじ畳
/孚ダスゾ畿言些)2J回(7)/(J‰(゛)-pヂJ
(6.18)
zoが求まると,S行列の固有値Soは
S=
Z-1
Z+1
(6.19)
4
によって算出することができる。
注1.ストリップ線路の特性インピーダyスの計算には,もれ電磁界をも考慮に入れたよ
り正確な近似式Z=(1/4)£n(1+2t/w)Zwがある。しかし,フェライトの周辺で
のふち効果を無視している本解析では,ストリップ線路に対しても同様にふち効果を
無視した(6.16)式を用いるのが適当と考えられる。
-91-
「゛))
(b)回転励振
つぎに,同様にして正,負の回転励振に対する固有値を求める。このときの境界条件は
H∂(R,∂)=
H,-W<dくF
Hej気等-rく∂く子十『
He ̄j苧,-V-rく∂く一V十y
(6.20)
0,elsewhere
で与えられる,(6.20)をFourier級数に展開して,
H∂=JCneJn∂
n°―oo
Cn≒=言くHp ̄jll°d∂
=jム(1十e・■3! ̄泄十.j匠町立Ξ)(.-jぼー.jぼ)
n=3m十1,m=0,士1,士2,………のときのみ,
Cn°jリrH豆114アがf)
(6.21)
その他は
Cn=O
∴H∂=J―Hsin(3°+1)rej(3°+1)∂
m=-ooπ(3m+1)y
(6.22)
(6.13),(6.22)式を比較して,
3rsin(3m+l)W__^I3m4-l
てHマ=H〔J一丁Jり〕
.3rsin(3m+1)w..,3m+l
°゜311°83°-1-1=JZeffHて(3m+1)r/(J31114 ̄1 ̄pヱ
したがって回転励振に対する波動インピーダンスは,
Ez13r(゛)sin(3m+l)W
コF°Jz・"瓦玉ジコ萍tH-1)?^゜
J3m+1
,3nri-l〕ej(3°ト1)∂
J3m+1-p了J3m+1
-92-
同相励振の場合と同様にストリップ線路上で平均した電圧を考えると,
L
乙
2『
ej(3111+1)∂dθ=sin(3m+l)『
(3m+l)W
であるから,
) 2Jsm4-1
/3m+1
J3mキ1-pアJ3nH-i
〕
したがって,Zoで正規化した回路インピーダンスは,
3t¥71377
-〕
zl=J四万
J3mf1-p万
(6.23)
逆まわりの回転励振に対するインピーダンスは(6.23)式のpを-pで置換すれば求めら
れる。励振の回転方向を変えるのは,励振をそのまゝにしておヽいてフェライトに加える直
流バイアス磁界の方向を逆転するのと等価であるからである。こうして,
!S°j謡匹丿愕ン可元し〔(s階器1/)≒J3首=,〕
J3m4-i十pアJ3mト1
(6.24)
z1・zはいずれも(6.17)式を用いて換算し,S1,SJi得られる。
4
以上の,ようにして求まった固有値の式を用いて,固有値の位相角を算出し,実験的に求
められた値(図5.15参照)と比較したのが,図6.5である。両者の定性的な一致はきわ
めてよいことが判る。同図中には参考としてTM11おヽよびTM21モードの共振周波数も
示してある。
-93-
J3m+1
360
270
位相
180
角
(度)
90
0
周波数(GHz)
図6.5固有値の位相角(実験値との比較)
…εニ15,D=25.6,t=3.5,p=0
(46)
6.2シミュレーションプログラムと数値解析
固有値So>Si,S-1が求まると.Sil,Sl2.Sl3は
一
S11
一
Sl2―
1
3
(So十S1十S-1)
1
-3
(So十Sie-J≪十S-1eJ≪)[,a=等
ぶ
(2.10)
1一3
=
3
S1
(So十Sleμ十S-le ̄μ)
で与えられる。サーキュレータの入力インピーダンスは(6.19)の逆変換
Z=
1+S11
べ
1-S11
(6.24)
で与えられる。サーキュレータの条件は2.1節で述べたようにSii=Oであるから,
So十SI十S-1=0(2.11)
しかし,一般にフェライト装荷接合部は当初,整合条件が成立していカ:いと想定しなけ
-94-
ればならフ1いから,サーキュレータ設計の立場から重要カ:値は多重反射を除去したとき0,
2.4節で述べた真性入力アドミタソスyinである。すなわち,
w
21
り″
Sin°
S11S13
ISizI≦ISl31
(2.32)
Sii-
S?3
S12
ISl2l>IS13I
以上の諸式を用いて,多重反射を除いた真性入力アドミタンスを算出することができる。
計算の手順を図6.6に示した。
図6.6真性人力了トベタンスの計算手順
-95
独立変数は
フェライト材料の比誘電率εと飽和磁化4πMs
フェライト円板の直径Dと厚さt
人出カストリップ線路がフェライト円板の周上にはる角『
の5個である。これら5個の‘'゛ラメ ̄夕を与えると任意の周波数にお゛けるyinを計算す
ることができる。
さらにフェライト装荷接合部のSパラメータが判ると,各端子にキャパシタを装荷した
り,四分の一波長変成器を付加したときのSパラメータも容易に算出できる。この新しい
Sパラメータを用いてサーキュレータ特性を求めるシミュレーションプログラムを作成し
た。このプログラムを用いて第2,第3端子を50Ωで無反射終端した際のVSWR,入力
アドミタソス,そう人損失,アイソレーショyなどを知ることができる。プログラムは
FORTRANⅣで記述し,計算結果はVSWR,そう入損失,アイソレーションなどをグラ
フの形で,入力アドしタンスはスミス図表の形式で印刷されるようなサプルーチンを用意
(47)
し,シミュレーション結果の直観的判定の助けとした。スミス図表をプロットするサブル
ーチyはVSWR2以下の範囲を拡大して示すことも可能とした。
6。3最適化プログラム
シミュレーションの計算結果を実験と照合することによってプログラムされた数学モデ
ルの妥当性が確認されると,広帯域サーキュレータの設計は前節で述べたε,4πMs,
D,t,Wフ1る5個のパラメータを与えられた中心周波数に対して比帯域幅を最大にするよ
う最適化する問題になる。
最適化のアルゴリズムが適当であると,最適化プログラムは与えられた初期値から出発
して,その都度,目的関数の値を計算しつ5。その目的関数値が最大または最小になるよ
うパラメータを変えてゆく。パラメータの値を変更するアルゴリズムとして,各点での目
的関数の微係数を利用する勾配法と,目的関数値そのものを比較してつぎの試行点を決め
(48)て
る直接法とがある。勾配法,たとえば4.5.3で述ぺだFletcher-Powe11法は極値の
近傍に達すると収束が速いという特徴があるものの,極値の近傍に達するヽまでの段階では,
両者の差異は小さい。勾配法は微係数が解析的に求まる場合以外は,差分でもって微係数
を近似せざるを得痙くなり,両者の本質的相異点はなくなってしまう。さらに電算機の特
徴を生かせば/できるだけ簡単なアルゴリズムで数多くQ試行を行なうのがより有効と考
-96-
令
'えられる。したがって,ここでは目的関数としてVSWRがL2以下の比帯域幅をとり,ア
ルゴリスムとしては直接法に属するパターy探索法を用いて最適化のプログラムを作成し
た。中心周波数におけるVSWRβoが1.2以上のときは比帯域幅を求めることができない
ので・一β0を目的関数として定義することにした。
・・゛ターン探索解は図6.7に示したように,座標軸と
斜交した狭い稜線に達ずるとしばしばみかけの極値
(49)
に落込むので,この難点を除くためRazor探索を
を用い,初期値をラソダムに変更してパターン探索
を繰返し,二つのみかけの極値を比較することによ
って,稜│線方向を検出できるようにした。比帯域幅
最適化計算の試行例を図6.8に示した。こ0例では
図6.7みかけの極値
6回のラyダムな初期値変更の後に,最大値が80・石以上に達している。しかし,この計
計に用いた連分数モデルはこのような広い周波数範囲に適用できないことが判っている
(6.1.2参照)ので,こいではRazor探索による最適化プログラムの有効性を確認する
に止まった。
n:べ夕-ノ探索繰返回数
100
75
Oa
t9
n`
一
評価関数値
イだ丿﹂
0
l
-a
1
亀
3
-a
試行回数
図6.8Razor探索の計算例
-97-
6。4計算結果
6.4.1固有値の位相角
`まず,6.2節のシミュレーションプログラムを使って4πMsを順次増しつゝ,接合部の
入力アドミタンスを算出した。一様伝送線路を用いても,図5.12に示したように,磁化
4πMsを増すにつれて次第に入力アドミタンスの軌跡が集ヽまり,さらに磁化を増すとルー
プを描く々ど,実験とよく対応した結果が得られた。
こうして,シミュレーションプログラムの有用性が確かめられたので,より正確な電磁
界解析モデルを用いて,磁化4πMsを変え,磁化パラメータをしだいに大きくしたときの
固有値の位相角を図6.9に示した。同図(a)と(b)をみると,1.1GHz付近でpo=Oとpo=
0.3との間でS±1とSoの位相角の差が120度となり,サーキュレータ条件を満足するこ
とが判る。さらに,po=0.1と0.2の中間でサーキュレータ条件を満たすことが,図6.9
(c)と(d)より判る。しかし,同時にサーキュレータ条件を満足する周波数範囲もきわめて狭
いことが伺がえる。さらにf=1.45GHz付近でSIとS-1の順序が入れ変わっている。
これはpoの増加に即してTMiiモードの共振周波数がS-1では低くなり,SIでは高く
なるのに反し.TM21モードの共振周波数は逆にS-1では高く,S1で低くなるためであ
る。このためpoの変化に関係なく,つねにf=1.45GHZでSIとS-1の入れ代りが生じ,
この点でサーキュレータの回転方向が逆転することになる。したがって,フェライト装荷
接合部単体では狭帯域特性しか期待できないこと,お・よびインピーダンス変成器を付加し
てもその周波数上限が1.45GHz付近に制限され,さらに広帯域化するには中心導体の形
を変えてTM21モードの共振を避けなければ左らないことが判る。TM21モードは円周方
向に2波長の定在波がのり,円周方向の共振であるから,中心導体の形状を円形からY字
形に変えると図5.18に示したようにTM21モードの共振がなくなる。回転励振に対する
固有アドミタyスの第二の零点は約30価高い周波数に移動する。
以上により,フェライト装荷接合部のモデルおヽよび計算プログラムの有効性が確認でき
たから,続いて各設計パラメータのサーキュレータ特性に与える影響をシミュレーション
により検討する。なおヽ,固有値の式に含まれる無限級数の項数をかえてTMuモード共振
周波数の3倍の周波数まで固有値を計算し,J9(χ)ヽまでの項を用いれば十分であることを
確認した上で,以後の固有値の計算にはJ10(χ)以上の項を無視することにした。
-98-
●
360
360
270
位相
位相
270
180
角
角180
(度)
(度)
︱ふQ
90
90
0
TMn
TM,,
TM2I
fソGHz:
L、GHzj
(a)4πMs=Oガウx(po=O)
(b)4πMe=120ガウス(po=0.3)
図6.9-1固有値の位相角(4πMsを変えた場合)
……ε=16,D=40㎜,t=6㎜
TM21
360
360
270
270
位相
位相角
180
180
角
-100-
ぐ度j
(度)
90
90
0
0
TMi,
TM21
TMn
fCGHzj
f:ghzj
(d)4πMs=80ガウス(po=0.2)
(c)4πMs=40ガウス(po=0.1)
図6.9-2固有値の位相角(4πMsを変えた場合)
……ε=16,D=40㎜,t=6皿
TM2,
6。4.2各パラメータの効果
(a)飽和磁化:r=20・,D=40u,t=6n,ε=16の場合について,飽和磁化を
変え,多重反射を除いた真性入力アドミタンスを計算して図6.10に示した。一方,出力
側にスタプチューナをそう人して各測定周波数で整合をとりつ5,測定した真性入力アトリ
ダンスの実測値は図5.17に示されている。パラメータは印加磁界である。両者の定性的
な一致はここでもきわめてよいといえる。飽和磁化あるいは印加磁界を強めて磁化を増ナ
につれてアドミタソスの周波数軌跡は一点に収束してゆく。このとき,従来考えられてい
たように入力アドミタンスが純コンダクタンスとなる周波数をサーキュレータとしての中
心周波数とすると,その周波数はしだいに高くなるが,広帯域サーキュレータを実現する
のに適したアドミタンス軌跡の中心周波数は磁化を増しても変化し座いことが判る。こO
収束したアドミタンス軌跡から適当な補正リアクタソスを求め,これを付加して広帯域特
性を実現すべきものであることが結論できる。
(b)開口角:各端子のストリップ線路幅を表わす角¥ノ'を変えて同様0計算を行ない,・f
ンピーダンス表示で図6.11に示した。こ0図からrを変えても基準面の位置がずれるO
みでアドミタンス軌跡の形はほとんど変らないことが判る。入力アドミタッスが純コッタ'
タタンスとなる点をサーキュレータの動作点とみる従来の考え方によればrの効果は著し
いといえるが,広帯域サーキュレータの設計におヽいてはyは本質的なパラメータではない
ということができる。rが小さい程各端子に直列に付加された可逆性のインダクタソスが
増加したのと等価でそれだけ大きな補正キャパシタンスが必要とされるにすぎない。した
がって以下のシミュレーションでは¥/`=20°の一定値さして計算をすゝめる。
(c)フェライトの直径と比誘電率:磁化を変えてもサーキュレータ0広帯域動作に適し
た中心周波数は変らない。この中心周波数は
fO=
1.841・C
(6.25)
πへ/ ̄FD
で与えられる。したがって,サーキュレータの中心周波数はフェライトの直径Dと比誘電
率εとによって決まる。逆に,foとεを与えればDはユニークに決定される。フェライ
トの誘電率は制御の余地がほとんど左いから,結局Dはfoに対して定まり,設計の自由
度がないことになる。ナなわち,サーキュレータを小形化するには,フェライト材の比誘
電率を大きくするか,最後の方法として集中定数化するほかないことになる。
な訃,図6.9における中心周波数を図5.17の実験値と比較すると,著しく低いことが
-101-
判る。実験的に得られた1.455GHzに対し,(6.25)式で求めたf0=1.099GHzは
24.5価低い。ただし,フェライトの比誘電率は16,直径は40nとした。このずれの原
因は電磁界解析においてフェライトのふち効果を無視したためと考えられるが,なお明ら
かではない。設計理論を確立する上で,今後に残された問題である。
(d)フェライトの厚さ:厚さtを変えた場合,多重反射を除いた入力アドミタンスはt
に反比例して変る。この関係は固有インピーダyスの式(6.18),(6.23),(6.24)か
ら容易に判る。したがって,たとえば,図6.10におヽいて,tを3倍にすると,4πMs=
●
200ガウスのインピーダンス軌跡がスミス図表の中心を通り,何等インピーダンス変成
器を付加すること痙くサーキュレータ特性が得られる。実際,入出力線路部分の基板厚さ
よりもフェライトの厚さを約5倍にとったマイタロストリップサーキュレータも報告され
(50)
ている。しかし,フェライト直径と厚さの比は8.5で必ずしも厚いとは云えない。図6.10
の例で厚さを3倍にするとこの比は2.2である。また,厚くすると形状が大きくなるので
実用的には余り好ましくない。
6.4.3各パラメータの相互関係
広帯域サーキュレータにおヽけるフェライト装荷接合部の設計パラメータは既述のように
ε,4πMs,D,t,yの5個である。本項ではこれら諸パラメータの相互関係を考える。
固有インピーダンスの式(6.16)等をみると,
(6.26)
゛i°fi(犬・p・χ・F)・i°O・士
の形で表わされていることが判る。ここで,
p=今po,χ=kR=πf^/TD^/T二 ̄F ̄/c
(6.27)
であるから,
zにfi(去,壁po,πf√i ̄D,/i ̄二戸/C,r)(628)
4
(6.25)式から,
、/ ̄i ̄D=
1,841C
πfo
∴zi=fi(T式≒て右,ヂ
1。841
-
λ
0
p0,1.841二ヽ/T二7ny)(6.29)
fo
-102-
●
図6.10.真性入力アドミタンスの計算値(4πMsを変えた場合)
ε=16,D=40翼翼,t=6"n
-103-
j
図6.11.真性入力インピーダンスの計算値(rを変えた場合)
……£=16,D=40.り=〒6_
-104-
したがって。/7を変えてもDを変えてもその効果は同じであることが(6.28)式から判
る。いずれのときも(6.25)式のfoが変則逆にfoを決めると\/
£
Dは(6.25)式を
満足するように選ばなければたらないのである。yがあまり本質的なパラメータでないこ
とを考慮すると,広帯域サーキュレータ設計上の独立なパラメータはt/λoとpoのみに
なってしまう。√i ̄Dはfoが与えられると決まり,独立なパラメータではない。しかも
固有インピーダンスは単にtに比例して増減するだけであるから,真に独立なパラメータ
はpoのみである。したがって,磁化をパラメータとして入力アドミタソスの周波数特性
を示した図6.9がすぺての状態を表現していると考えてよい。図6.9をみると磁化パラメ
ータpoを増すにつれて入カアドミタンスの周波数変化が小さくなる。この特性が広帯域
サーキュレータの実現を可能にするのである。
y=200の場合についてPo
と負荷Q.Qlとの関係を図
3
6.12に示した。図6.9にお
いて・4πMsの小さいときは
並列共振回路と等価なアドミ
メンス軌跡を示しているので,
-12
Ql
基準面を少し移動すれば,サ
1
セプタンススロープとコンダ
クタソスとの比からQLを求
めることができる。しかし,
0
0
4πMsが100ガウ゛以上・Po
0.2
0.1
Po
にして0.3以上に左ると,し
図6.12磁化パラメー-タと負荷Q
だいにコンダクタンスの変化
が大きくなり,並列共振回路のそれとは等価とみなせなくなる。この場合,並列共振回略
を想定したQLは定義できなく痙るが,中心周波数1.1GHzとその上下,すなわち1.0と
i
1.2GHzの3点TCのアドミタンスからQLを算出し,図6.11にプロットした。とくに,
4πMsを300ガウスまで増したpo=0.7以上では,850
1450MHzに訟けるアドミタ
ンスが3-jの近傍に集まってしまった。QLは零に相当する。すなわち,poが0.3越す
と,もはや狭帯域近似の式QI.=(,/j ̄po)-1が適用できなくなる。とくにpoが0.7以上
では,サセプタyスの変化がなくなり,QLはきわめて小さくなる。`これは,フェライト
-105-
0.6
の非可逆性透磁率の周波数依存性K:よるものと考えられる。すなわち,3.3節に述べたサ
ーキュレータの動作原理によれば,サーキュレータの条件はフェライト中での電磁波の偏
向角が60度(π/3rad.)に等しいことであった。いま,非可逆性指数が周波数に関係な
く一定であるならば,フェライト中での電気長の長くなる高周波側では偏向角が増すはず
である。しかるに,磁化パラメータpは磁化を周波数で除した量であるから,周波数が高
くなるにつれて小さくなり,電気長の伸びによる効果を相殺して物理的単位長当りの偏向
角が周波数に関係なく,一定値に保たれるものと考えられる。式(3.15)にお・いて周波数
依存性のある部分のみとり出すと,ぬに含まれるωとμ士がそれで,この部分をCfとぶヽ
くと,
cf=寺{、/にて八}9]y-
1つo贈
(6.30)
周波数の関数としてCfを図6.13に示した。poの値に関係なく,ほ!ご一定値をとるこ
とが判る。友加,サーキュレータの条件は総偏向角
πDπ
″予
一
一
(6.31)
3
である。ただし,∂の積分路は図3.5におヽいて端子①,③間を結ぶ円弧であり,その長さ
はπD/3である。(6.31)式より,
∂D=
β一一几
D=1
2
.・.ミレ、/7芦ら√TD(√こー√可)=1
(6.32)
(6.25)式の関係、/Td=1.841C/(πfo)
を代入すると、
pO=0.7
Cf=寺(、/万こーへ/石)=0.543Cf
f
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'pO=0.5
(6.33)0.5
を得る。この値も図6.13中に点線で示し
Po=O.3
た。すなわち,po=:=0.5で広い周波数範
0.8
0fて
1
0.6
囲にわたh偏向角60度というサーキュ
1.2
レータの条件を満たしていることが判る。
図6.13偏向角θの周波数依存性
-106-
1.4
しかし,図5.17の実測による真性入力アドミタソスの周波数特性をみると,コンダク
タンスの変化が残っておヽり,コンダクタンスの周波数依存性がサーキュレータの帯域帽を
制限する要素とたることが判る。
ここで,サーキュレータの設計パラメータのスケーリングについて述べる。サーキュレ
一タの中心周波数foを変える場合にまず(6.25)式満足するようにへ/7Dを変える。ナ
左わち,周波数f,foをk倍する場合は,まずフェライト直径Dをk分の一にする。さ
らに・(6.26)式の関数fiの第1の変数t/(y7D)を一定に保クため・フェライト
f
の厚さtもk分の一にする。第二,第三の変数p,χを一定に保つため,po一定,すな
わち,磁化4πMsをk倍にする。こうすれば,(6.26)式で与えられる固有インピーダ
アJ゛2iも変らず・タミ゛図表上におけるその周波数軌跡の形も変らない。このようにし
て,スケーリングが可能であるから,本章で論ずるサーキュレータの設計は,中心周波数
の如何を問わず一般性をもったものとなる。ziもアドミタンス軌跡の形も変らないこと
が保証される。したがってスケーリングが自由に行なえるから,サーキュレータの設計は
中心周波数に関係なく一般性をもったものとなる。
6.4.4-段変成器を用いた場合
(a)パラメータの最適化
100
前項でフェライト装荷接合
部の特性が明らかに力;つたの
80
で,これに四分の一波長変成
器を付加したサーキュレータ
60
W
の最適化を行なった。中心周
波数foを与え,独立変数とし
(刻
佃
てフェライトの直径と厚さ,
変成器の特性インピーダンス
20
と線路長の4個を用い,パタ
¥
ーン探索を繰返した。飽和磁
0.2
化を中心周波数で正規化した
0.8
1.0
Po
磁化パラメータと比帯域幅w
との関係を図6.14に示した。
0,6
0.4
図6.I4磁化バラメータと比較域幅
(-・段変成器付き)
一段の四分の一波長変成器を
-107-
a
用いた場合の最大比帯域幅は約57Sで,Po=O.55
0.7のときに得られる。QL=Oと
左ってもコンダクタンスの周波数特性によって帯域幅が制限され,一段の四分の一波長変
成器を使っただけではオクターブバンドをカバーするサーキュレータは実現できないこと
が明らかにされた。中心周波数をlGHzにとったときの・v/TD,tおヽよび変成器の特性
インピーダタス,線路長の最適値を図6.13に示した。poを大きくするにつれて,QLが
小さくなるので,フェライトの厚さが次第に増加し,変成器のインピーダンスも大きくな
る傾向を示している。フェライトの直径はpoに関係なくほゞ一定で,6.4.2項の結果と
一致している。変成器の長さはpoの増加につれてしだいに短かく左っている。
00
<r>lo
000
rora4
£=16
oD/t:任意
D
●D/t=10
→べ)4-o-r°・・●・。、
40
Z
00
COcs)
.S
q・
i
`N
昌30
0.3
0.2
620
10
ぶご
10
0
0
0.1
0
0
0.20.40.60.8
Po
0.20.40.60.8
Po
図6.15磁化パラメータと最適寸法(fo=1GHz)
(b),/ ̄FD/tを一定にした場合
サーキュレータを小形化するには,フェライト装荷接合部の大きさを決めるフェライト
のD,tをともに小さくする必要がある。Dを小さくするにはεを大きくすればよいが,
通常フェライトのεを制御することはきわめて困難である。一方,比帯域幅を大きくする
にはフェライトの厚さtを大きくしなければならなくなる。このtの増加は小形化の目的
に反するので,D/tを一定値10に拘束してパラメータの最適化を行なった。その結果も
図6.1り,図6.1りに合せて示した。比帯域幅の最大値はpo=0.4のとき約40価である。
図6.141には5.2.3に記述した一段変成器付きサー々ユレータの実測による比帯域幅をプ
ロットしているが,両者とも同じ傾向を示している。実験的にはpo=0.5で36価の比帯
域幅が得られている。
-108-
寸
6.4.5二段変成器を用いた場合
60価以上の比帯域幅を得ようとすれば,2段の四分の一波長変成器を用いる必要があ
る・p=:=0.7でサセプタン゛の周波数変化が々くなることを考えると,周波数特性の小さ
いインピーダンス変成器が要求される。2区間の四分の一波長変成器はたがいにその周波
数特性を打消し合って中心周波数におけるサセプタンスの変化を零にすることができる。
このためには,負荷インピーダンスZLをrZLに変成する場合,2区間の変成器の特性イ
・!
ンピーダンスはそれぞれr4Zr.r'ZLとすればよいo
いま,ある仮想的な負荷アドミタソスYLが与えられ,これに2区間の変成器を付加し
てZoΩの電源とすべての周波数におヽいて整合がとれたものと仮定すると,負荷YLは
図6.16に示したモデルで表わされる。Zo=5on,r=0.33として,Zi=38n,
Z2=22nの場合についてYEを求め・図5.21(a)に示した。中心周波数におヽいてはサセ
プタンスの周波数変化率(dB/dω)=Oとなっているものの,オクタープ帯域におヽいては
Zo
z,,t】Z2.^2Z2,-toZI,-ぞ.1
Zn
図6.16仮想負荷YLの等価回路
相当々サセプタンス変化が認められる。等価なQLは0.4にも達する。そこで変成比o配
分を変えて,たとえば,Zi=33a,Z2=19nにとると,図5.21(b)のような周波数
軌跡が得られ,オクタープ帯域にわたってのサセプタンス変化か小さくなる。しかもコノ
ダクタンスの変化が大きく,フェライト装荷接合部のアドミタソス軌跡と類似しているこ
とが判る。
f2
さらに2区間変成器の線路長も加喊すると
スミス図表上におヽいてYLの占める位置も移
動させることができる。このようにして.Yl
¥
と接合部の真性人カアドミタフ゛Yinとは
図6.17に示したように3点の周波数で一致
させることができる。YLとYinとの一致は
インピーダンス整合を意味し,この周波数で
図617仮想負荷YLとG性入力
アドミタンスYinとの比較
アイソレーションはピークを示ナ。実際のオ
-109-
クターブパyドサーキュレータの電気的特性を図6.18に示したが,ここでもアイソレー
ション特性に3つのピークが見られる。このようにして,結局,広帯域サーキュレータの
設計はYLとYinとを所望の周波数範囲にお゛いてどの程度`まで一致させることができるか
という問題に帰着する.ただし・図6.翼にお`いてYLとYinが.゛ミ゛図表上で交わる・
あるいは一致しても,
同時に周波数的にも一
致しなければサーキュ
レータ条件を満足しな
いことは,以上の議論
う入損失
そ
を通じて明らかである。
アドミタンス軌跡Yl
1.4
(dB)
2
1
ソダクタソスとサセプ
タンスを表わす二次元
HAVSA
とYinとの整合は,コ
1.0
2
3
的スミス図表にさらに
4
周波数(GHz)
周波数軸を考えた三次
元空間での二つの曲線
図6.18オクタープパンドサーキュレータの
特性
を一致させることが要
求されている点,留意する必要がある。この点を確認するために,さらにつぎの実験を行
力:つた。図6.19に示しだのは,Y字形中心導体を用いたフェライト装荷接合部真性入力
アドミタンスの実測例である。同図のカープIがそれで,同様な実験結果を示す図5.18
と比較すると,バイアス磁界がより強く加えられているため,サセプタンスの変化かきわ
めて小さくたっている。カーブIIは,カーブIのアドミタンスを二段の四分の一波長変成
器を経てみたアドミタンスである。変成器の特性インピーダンスはそれぞれ36.2n,23.2Ω
として計算により,変換後のアドミタンスを求めた。カープⅡと図6.20に示した実験の
オタターブパンドサーキュレータの入力アドミタンス実測値とを比較すると両者の特性は
よく一致していることが判る。
結局,実験的にオタターブサーキュレータが得られ,理論的にもそのメカニズムを明確
に説明できた。これによると,図6.18に示したようなオクターブバンドをカバーする広
帯域特性は接合形サーキュレータにより得られる限界値と考えざるを得たい。実験的にも
-110-
9
¥
図6.19真性入力アドミタyスと変換後のアドミタソス
-111-
1
図6.20オタタープパンドサーキ,レータの
入力アド・ミタンス
-112-
この値以上の帯域を得た報告はない。オタタープ以上の比帯域幅を必要とする場合は,大
(51)
形になることを犠性にしてもペリフェラルモードなど,他の動作モードのサーキュレーメ
をとろ他左いであろう。
・
-113-
結
び
サーキュレータは最も多くの用途を有するマイ。クロ波フェライトデバイスである。本研
究におヽいては,その広帯域性と小形性とに着目して,集中定数形と分布定数系に属するス
トリップ線路形サーキュレータを取上げ,その比帯域幅を考究した。その結果,つぎのよ
●
うな知見を得ることができた。これらの事象はいずれも実験的に確認されている。
(1)サーキュレータの性能指数としてアイソレーション20dB以上の比帯域幅をとるの
・
が適当である(1.2)。
(2)接合部のSパラメータと真性入力インピーダンスの関係式を求めた。外部付加回路
を用いてこの多重反射を除いた人力インピーダンスを電源インピーダンスと共役整合
すればサーキュレータを合成できる(2.3,2.4)。
(3)サーキュレータの比帯域幅は,回路構成を指定すれば,あとはフェライトの磁化に
よ:つて決まる。磁化は周波数で正規化したパラメータを用いて一般的取扱いをするこ
とができる(3.2)。
(4)サーキュレータの動作原理は磁化されたフェライト媒質中に訟ける電磁波の偏向現
象にある。しかし,境界条件を合せて解析しなければならたい(3.3)。
(5)集中定数形サーキュレータの回路構成は基本的に並列共振形と直列共振形の二者に
大別され,共鳴以上の動作の場合はいずれも同一の比帯域幅を有し,その大きさは数
パーセントである。低磁界動作の場合は透磁率の周波数依存性によって直列共振形の
方が大きな比帯域幅を示す(4.齢3)。
(6)集中定数サーキュレータの回路構成にはさらに多くの変形例が存在し,とくに中点
容量性接地並列共振形サーキュレータは40価以上という基本形よりも著しい広帯域
特性が見込まれる(4.13)。
(7)マイクロ波集積回路に適した集中定数形サーキュレータを開発し,広帯域化して約
20脊の比帯域幅を実現した(4.5.4,4.6)。
(8)ストリップ線路サーキュレータは入力インピーダンスの周波数特性が並列共振回路
と等価な振舞いを示し,その負荷Qは磁化パラメータに反比例して小さくたる。フェ
ライト装荷接合部のみで約1o価の比帯域幅が得られる(5.1)。
(9)ストIJツプ線路フェライト装荷接合部に四分の一波長変成器を付加すれば30
40
価の広帯域特性が得られる。フェライト材の選定から始めてその設計手順も示された
(5.2)。
-114-
闘接合部中心導体の形状を円形からY字形に変えてTM21モードの不要共振を除去し,
さらに2区間の四分のー波長変成器を付加すればオタターブバンド(67価)の超広帯
域特性が得られる(5.3)。
剛フェライト基板を用いると二導体系のマイタロストリッブ線路構造のサーキュレー
タが得られ,その帯域特性はストリップ線路形のそれにほsご近いものが得られる
(5.4)。
筒フェライト円板の周辺に磁壁を仮定してベッセル関数で展開した電磁界解析を行な
・
うことにより,オクターブ帯域以上のきわめて広い周波数範囲で有効なサーキュレー
タの数式モデルが得られる。すなわち,接合部の真性入力インピーダンスがフェライ
トの材料定数と接合部の寸法を用いて数式的に表現される(6.1.3)。
日接合部の数式モデルを用いて各設計パラメータの変化が真性入力インピーダンスに
及ぼす効果を評価することができ,フェライト円板の直径が中心周波数を決めること,
おヽよびフェライトの磁化が比帯域幅の決定に最も重要であることが判明した(6.4.2,
6.4.3)。
叫接合部の数式モデルとパラメータの最適化アルゴリズムとをプログラム化して広帯
域サーキュレータ設計の自動化が可能々ことを示した(6.4.4)。
回接合部の数式モデルを用いた真性入カアドミタンスの周波数特性と2区間四分の一
波長インピーダンス変成器の特性とを比較し,オタターブバンドサーキュレータの広
帯域整合態様を明らかにした(6.4.5)。
以上,本研究により所望の大きさと比帯域幅を与えた場合,サーキュレータの回路構成
の適切な選定と設計が可能になった。次表は,本論で対象とした各種サーキュレータの比
帯城幅をまとめたものである。
さらに接合部のもれ電磁界の効果とか寄生素子の影響を含めたより精密な数式モデルを
求めれば,電算機設計の手法を用いて,従来のような実験的試行錯誤を全く必要とせず,
サーキュレータの設計がフィルタと同様に確実に行なうことができるものと考えられる。
-H5-
サーキュレータの比帯域幅(価)
磁界動作点
形式
低磁界動作 共鳴以上
直列共振形
(中点開放)
<24
7
-
15
<10
7
-
一
中点短絡直列共振形
並列共振形
(中点短絡)
集中定数形
中点開放並列共振形
中点容量性接地
並列共振形
く40
原形
ストリップ線路形
(分布定数)
卜・
一
3
-
キャパシタンス付加
く10
<10
一段変成器付き
20
二股変成器付き
40
67
-
V
y
-116-
謝
辞
この論文をまとめるにあたり,終始御指導,御鞭琵いただいた京都大学池上淳一教授に
心から御ネL申上げる。また,本研究の機会を与えられた東芝総合研究所蛎崎賢治所長,同
4
マイクロ波特別開発部永井淳部長,電波機器事業部林周―技監,日常の仕事で有効な指導
と助言をいただいた永井虎雄主任研究員,実験に協力いただいた菊地良雄主事をはじめ,
・
東芝社内の多くの方々の御援助を得た。こいて厚く感謝の意を表する。
●・
「
117
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4
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●
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¥
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「
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-119-
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J
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-120
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t
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1
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ψ'
「
-121-
附録1.Fletcher-Powell法による最適化プログラム
極値近傍におヽける関数を
;JJGりXiXj
f=fo+Jaixi+
i=1
(A.1)
i=li=l
で表わす。Xは行ベクトル(xl,x2……)とすると,転置行列χ1は列ベクトルとなる。
i
このとき.(A.1)式は,
(A.2)
f一fa+axt+ナXGxt
1
些
と書き直せる。
∂χi
を要素とする列ベタ.トルは
(A.3)
gt=at+Gχt
とたるo最小値を与えるxiの値xoiは,
(A.4)
gtニat+Gχt=0
を解いて,
(XO)t
=一
G-iat
(A.5)
(A。4)より
χt=G-1(gt-at)(A.6)
したがって,xtと(xo)tとのときよ!)は,
(χo)t-χo==-G-lgt(A●7)
で与えられる。ここで,Fletcher-Powell法はG-1を直接求めない。その代りに行
列Hを使ってパラメータの補正を
St=-Hgt(A.8)
によ!・行なう。Hの初期値には単位行列を用いることができる。同時に≫Xt―At十St
のStとして,HGの固有値を求め,HはG-1に収束するようにする。
y
Fletcher―Powe□法による最適化プログラムのフローチャートを図A.1に示した。
ただし,foは中心周波数,。士はフェライトの円偏波透磁率,L,Ci,Coは中点容量性
接地形集中定数サーキュレータのイソダクタソスとキャパシタyスである。
-122-
7
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄fo・μ士≫LiC1IC2
の初期値設定
t
1
一一一一-foにおヽけるVSWR:β
の計算
∂β
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄gl=
g2=iで7
-
αは係数
1●・
i
図A.1FletcherPowe11法による最適化プログラムの
フローチャート
123
∂ρ
附録2.(4.96)式の誘導
F行列の定義は,
う
EIノ
け‰
0ノ
ぐ
(A.9)
負荷インピーダンスをRI?とすると.V2=I2R。負荷で消費される電力はV:R。(A
X
9)に代人して,
(ン(ズド:)
1
(A.10)
電源電圧を2E,その内部インピーダンスをRj2とぶヽくと,この電源の最大有能電力は
E2/R,さらに,
Vi=2E-11R(A,11)
(A.10)(A.11)から,
2E=(A+B/R+CR+D)V2
vl
- 兪)
∴IL(dB)=10login(
A+B/R+CR+D
゜20logio(
)
(A.I2)
2
附録3.(4.101)式の誘導
本文図4.23におヽいて,電源側伝送線路のアドミタソスにスタブ0アドミタンスを加え
て.
L
fo
yt=go+jgocot(∂
δ=
ニ
fo
yt
)十jgoton(
π
2.
-∂)
-
f
fo
(A.13)
1を用いて,
ヽ4
一
一
go〔1+jCOt(∂+∂∂)十jcotロー(
π
2
-∂)川〕
こ一∂
 ̄i ̄
●
 ̄・ ̄
go{1+j
go{1+j
π/2
sin2∂
∂}
(A.14)
δの係数をjgo・2Qと等置して,式(4.96)を得る。
-124-
附録4.パターン探索最適化プログラム
・'゛ターy探索法はn変数の関数f=f(XI,X2.……・,xn)の最大値を与える点xo
=(x10タx20タ'¨゜¨lxno)を求める方法の一つである。簡単のため,`2変数の場合に
ついて手順を説明すると,
(1)二つの数jχ1,jχ2を定める(ステップサイズ)。
{
(2)初期値xl,x2を定め,最初のパターy中心CIおヽよぴ最初のペースポイントBOと
●・
するo
1
(3)パターン決定:k番目のパターン中心Cにおヽいて,5点,すなわち,(xlk,x2k)
(xlk+jχ1,χ2k),(xlk一jχ1,χ2k),(xlk,x2k+jχ2)お・よび(xlk,
X2k一ix2)で関数値を求め,そ0最大値を与える点をk番目のペースポイy卜とする。
(4)パターン移動:k-1番目のベースポイントとk番目のベースポイy卜を結び,そO
線分のα倍((z>1)だけ延長した点を新しいk+1番目のパターツ中心とする。
(5)ステップ(3).(4)を繰返し,新しいベースポイントがパターy中心と・一致するに到った
場合は極値が近いものとみなし,ステップサイズを縮小した後(3),(4)の探索を再開する。
(6)何回かのステップサイズ縮小により,ステップサイズが所定の値よ:りも小さくカ:つた
ら探索を止める。
計算の進め方は以上の通!)であるが,単に目的関数の値のみを求めるだけで済むから,
勾配法に較べると簡単で多変数の場合に応用しやすい探索プログラムである。
1
11
-125-
著者発表論文目録
発表機関
共著者
論文名
1.円錐走査円偏波アンテナ
田中
昭35全大149
2.円錐走査円偏波アンテナ
田中
昭36連大1095
0励振機構
11
昭36全大232
3。フェライトセロダインによる本間
嘩1`
周波数変換
昭37全大254
4.遮断導波管を用いたフェラ吉田
イトスイッチ
昭38連大1357
5.Graded―Junetionダイ大原
オートによる周波数てい倍
6.円錐走査円偏波アyテナ田中
信学会アyテナ研資(1963-7)
7.RotatingSubreflectorS.Tanaka
electronics,P.44,Feb.14,
1964.
ReducesCircular
Scanning
昭41連大1074
8.集中定数形Yサーキュl/一栗原
夕の温度特性
昭41連大1075
9.VHF・UHF帯集中定数形安藤他
Yサーキュレータ
昭41全大358
10.VHF・UHF帯電力用小形永井他
Yサーキュレータ
11.7Gc帯エサキダイオード永井佐々木昭41全大402
増幅器
昭41全大S9-16
1
Jlt
12.パルタGaAsの負性コソダク久留
ダンスとマイクロ波増幅特性
東芝レビュー22,p.508
13.VHP・UHF帯小形Yサー菊地
(1967-4)
キュレータ
昭42連大1377
14.低磁界動作ストリップ線路菊地,徳永
Yサーキュレータについて
15.UHF帯大電力Yサーキュレ菊地,徳永昭42全大457
-タ
-126-
16.最近のマイタロ波フェライト
昭42全大S8-5
装置
17.広帯域ストリップ線路Yサー佐々木他
昭43連大1315
キュレータ
18.低磁界動作フェライトサーキ永井
昭43連大1316
41
ユレータの広帯域化
19.20°K広帯域4ポートサー永井他
昭43連大1317
t7
キュレータ
20.VHF帯方向性可変結合器
浜崎他
昭43連大2273
21.UHF帯低雑音受信装置
永井他
昭43全大.446
22.VHF帯中電力用サーキュ
菊地,徳永
昭43全大532
レータ
23.衛星通信パラメトリック永井,菊地信学会-イタロ波研資(1969-4)
増幅器用サーキュレータ
24.VHF帯大電力用サーキュ永井,神田昭44連大1538
レータ
25.フェライト基板を用いたマイ菊地,徳永昭44連大1540
夕ロストリップサーキュレータ
26.マイクロ波集積回路用フェラ
信学誌52,p.1377(1969-11)
イト素子
27.VHP-andUHF-bandT.Nagai
IEEETrans.,MTT-17
StackedJunction
p.1151(1969-12)
Circulators
・it
28.フェライト基板を用いた2菊地,徳永昭45連大1341
GHz用マイタロストリップ
i`;
サーキュレータ
29.UHF帯固体パラメトリッ
小西
昭45連大1429
タ増幅器
30.Computer-aided
T.Nagai
DesignOptimization
1970IEEEGMTTSymp.,
p.141
ofBroadbandStrip1ine
Y―circulators
-127-
31.広帯域ストリップ線路Y
永井
信学会マイクロ波研資(1970-11)
サーキュレータの電算磯設計
32.オクターブバンドストリップ線岩瀬,永井昭46全大539
路Yサーキュレータ
33.広帯域ストリップ線路サーキ永井
信学会マイクロ波研資(1971-10)
Vf
ユレータの数値解析
34.非可逆回路材料
永井,千葉
昭46連大73
35.直列共振形集中定数サー
岩瀬,黒川
昭46東海支連大15a一G-4
キュレータ
36.ALumped-e1ement
TNagai
Circulatoronthe
1972IEEEGMTTSvmp。
p.243
ceramicSubstrates
J4
-128-
Fly UP