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2 福祉教育等の推進

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2 福祉教育等の推進
12月4日から10日までの「人権週間」に
とは、国民の理解と協力を得ながら施策を
おいては、障害のある人に対する偏見や差
進める上で欠くことのできないものであ
別を解消するため、「障害のある人の完全
る。
参加と平等を実現しよう」を強調事項とし
このため、内閣府では、国会に報告する
て掲げ、法務省の人権擁護機関である法務
「障害者白書」のほか、「障害者施策関係
局・地方法務局及び人権擁護委員等を通じ
予算の概要」
、「障害者基本計画に基づく
て、全国各地で講演会や座談会の開催、ポ
『重点施策実施5か年計画』の進ちょく状
スター・パンフレットの作成・配布等の啓
況」
、「都道府県・指定都市における障害者
発・広報活動が実施された。
施策関係単独事業の実施状況」等について
毎年調査し、公表している。また、平成19
(4)バリアフリー化推進功労者の表彰
年度においては、視覚障害のある人のため
障害のある人や高齢者を含むすべての人
の音声コードを付与した新5か年計画を作
が安全で快適な社会生活を送ることができ
成・配布するとともに、知的障害のある人
るよう、社会全体のバリアフリー化を推進
が「障害者基本計画」及び新5か年計画の
する観点から、バリアフリー化の推進につ
内容を理解しやすくするため、「わかりや
いて顕著な功績又は功労のあった個人・団
すい障害者計画」を作成し、配布したとこ
体に対して、内閣総理大臣表彰等を行うこ
ろである。
とを通じて、バリアフリー化に関する優れ
た取組の普及に努めている。表彰は、平成
2
福祉教育等の推進
14年度から5年間の期限を決めて実施して
きたが、19年6月にはさらに5年間延長す
るとともに、ユニバーサルデザインの推進
(1)学校教育における取組
−交流及び共同学習の推進
も対象にするなど表彰の範囲を拡大した。
学校教育において、福祉についての正し
平成19年度においては、15団体の取組に対
い理解を深めることは重要なことであり、
して表彰を行った。
具体的には、児童生徒の発達の段階に応じ
て、社会科、家庭科、道徳等において、社
会福祉についての理解を深める指導を行う
とともに、思いやりの心、社会奉仕の精神
などの育成を図っている。
障害のある子どもと障害のない子どもや
地域の人々が活動を共にすることは、すべ
ての子どもの社会性や豊かな人間性を育成
する上で大きな意義があり、同じ社会に生
きる人間として、お互いを正しく理解し、
バリアフリー化推進功労者表彰を行う岸田内閣府特命担当大臣
共に助け合い、支え合って生きていくこと
の大切さを学ぶ重要な機会であると考えら
(5)障害者施策に関する情報提供
28
れる。
政府等が実施している各種障害者施策の
このため、特別支援学校はもとより幼稚
状況について積極的に情報提供していくこ
園、小学校、中学校及び高等学校の学習指
■ 図表1―14 平成19年度バリアフリー化推進功労者表彰
受
賞
者
(五十音順)
第
2
章
名
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
内
閣
総
理
大
臣
表
彰
︵
2
件
︶
相
互
の
理
解
と
交
流
みんなが使いやすい携帯電話(
「らくらくホン」や「2画面ケータイ」)をユニバーサルデ
ザインの考え方に基づいて開発し、発売。また、
「ドコモハーティスタイル」で多様な環
境にある人々へのサービス提供に取り組む。
※ユニバーサルデザイン:障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利
用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方
中部国際空港株式会社
基本設計段階から障害者団体と検討を積み重ねて建設した日本初の国際空港旅客ターミナ
ルビル施設。
岡山県立興陽高等学校
「バリアフリー庭園」を造園し、一般にも開放。学校全体でユニバーサルデザインに関す
る研究や実践活動を推進。
花王株式会社
キザミ付きシャンプーを日本で初めて商品化。誰もが安全・安心に使える家庭用製品の開
発に取り組む。
京都リップル
内
閣
府
特
命
担
当
大
臣
表
彰
優
良
賞
︵
8
件
︶
映画に日本語字幕や副音声をつけた「バリアフリー上映会」や障害者理解のための講演会
を実施。
特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会
インターネットを利用した日本最大の視覚障害者情報ネットワークを運営。多くの視覚障
害者が自分で必要な情報を得られるようになり、情報アクセスのバリアフリー化に貢献。
凸版印刷株式会社
包装や容器を使いやすく、表示をわかりやすくすることに加えて、「パッケージ
バーサルデザイン診断システム」を開発し、体系化。
ユニ
はあとねっと輪っふる
埼玉トヨペット本社ビルを利用して、情報発信や活動の企画・実践を行い、様々な人々が
共に働き、暮らす社会の実現に向けて活動。
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所
福祉のまちづくりを推進するための日本で唯一の県立の研究機関として、調査研究・製品
開発に加えて、研究者の育成にも取り組む。
ユニバーサルデザインリフォームプラザ静岡
ユニバーサルデザインの考え方に基づいた住宅の建築・改築の提案に加え、実際に体感す
ることによる啓発活動も実施。
29
受
賞
者
名
大洗サーフ・ライフセービング・クラブ
水陸両用の車いす、障害者用トイレ・更衣室の導入、段差の解消などのほか、ライフセー
バーによるサポートなど、ハード・ソフト両面の取組により、誰もが海水浴を楽しめる日
本初の「バリアフリービーチ」を運営。
内
閣
府
特
命
担
当
大
臣
表
彰
奨
励
賞
︵
5
件
︶
大阪市交通局
平成18年12月に開業した地下鉄今里筋線において、大阪市の地下鉄で初めてとなる可動式
ホーム柵や全ての出入口へのエレベーター設置など、バリアフリー化に取り組み、快適で
便利な施設を整備。
大日本印刷株式会社
点字入りの容器や簡単に開封できる袋をメーカー側に提案するなど、生活者目線に立った
製品設計を行っており、より多くの人に使いやすいパッケージの開発・普及を推進。
トーワ株式会社
視覚障害者歩行誘導ソフトマット「歩導くん」は、屋内施設において線状ブロックの補完
的な役目を果たし、凹凸がなく高齢者や車椅子利用者も通行しやすく、すべての人が安心
して暮らせるまちづくりに貢献。
特定非営利活動法人 子育て支援の NPO まめっこ
商店街の空き店舗を活用して、子育て活動の拠点となる「遊モア」を開設し、
「遊モア」
が所在する商店街及び周辺地域に関して子育て中の親と子の視点から見た人にやさしい街
つくりマップ(子育てバリアフリーマップ)を作成。
資料:内閣府
導要領等においてもこのような機会を設け
するためには、広く社会一般の人々が、障
ることを示すとともに、教員等を対象にし
害のある子どもとその教育に対する正しい
た講習会を実施するなどして、障害のある
知識と認識を深めることが不可欠である。
子どもと障害のない子どもの「交流及び共
このため、文部科学省では、平成18年度よ
同学習」
の充実に努めてきたところである。
り「特別支援教育全国フォーラム」を開催
また、新5か年計画や、中央教育審議会
し、広く社会一般の人々に対し、障害のあ
答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校
る子どもとその教育について理解啓発を
及び特別支援学校の学習指導要領等の改善
図っている。
について」(平成20年1月)においても、
また、社会教育施設における学級・講座
交流及び共同学習の促進が明記されたとこ
や大学公開講座等においては、障害のある
ろであり、今後ともその一層の推進を図っ
人に対する理解を深めることを重要な学習
ていくこととしている。
課題の一つと位置付け、青少年の学校外活
動や成人一般、高齢者の学習活動が展開さ
(2)地域住民への啓発・広報
障害のある子どもが、自立し、社会参加
30
れている。
このほか、福祉やボランティア等に関す
る内容を扱った映画その他の映像作品及び
が、その中では、人権擁護、手話、精神医
紙芝居について、教育上価値が高く、学校
学などの科目を設けて適切な対応の仕方に
教育又は社会教育に広く利用されることが
ついて講義しているほか、社会福祉施設に
適当と認められるものを「文部科学省選定」
おける介護等体験実習を実施するなどし、
又は「文部科学省特別選定」とするととも
障害のある人に対する理解を促進してい
に、民間放送における優良な教育・教養番
る。
組作りの推進・奨励を目的とした生涯学習
更生保護官署職員に対する各種研修にお
番組提供事業「いきいき!夢キラリ」にお
いては、障害のある人に対する理解を含む
いても、福祉やボランティア等を題材とし
人権全般に関する講義及び精神障害のある
た番組の制作・放送を行っている。
人に関する知識を深める講義や、精神障害
また、精神保健福祉センターや保健所で
のある人等が入所する施設の見学を実施す
は、精神障害のある人に対する正しい理解
る等、職員の経験や業務内容に応じた研修
を促すため、住民に対する精神保健福祉知
を行うことにより、障害のある人に対する
識の普及・啓発を行っている。
理解の促進とその徹底を図っている。
3
公共サービス従事者等に対する
障害者理解の促進
障害のある人が地域において安全に安心
4
第
2
章
相
互
の
理
解
と
交
流
ボランティア活動の推進
(1)学校におけるボランティア教育
して生活していく上では、公務員を始めと
学校教育においては、豊かな心をもち、
する公共サービス従事者等が障害及び障害
たくましく生きる人間の育成を図ることが
のある人について理解していることが重要
重要であり、そのためには、他人を思いや
である。
る心や感謝の心、公共のために尽くす心を
このため、平成17年2月には、「障害者
育てることなどに配慮する必要がある。ま
施策推進課長会議」の下に設置された「公
た、生活体験の希薄化している児童生徒が
共サービス適切対応推進チーム」
において、
体験を通して勤労の尊さや社会に奉仕する
障害者団体からの意見聴取や国の窓口現場
精神を養うことは極めて重要である。この
の調査などを行い「公共サービス窓口にお
ような観点から、現行の学習指導要領にお
ける配慮マニュアル」を作成し、配布する
いては、総則等に「ボランティア活動」の
とともに、内閣府ホームページに掲載し、
文言を盛り込むとともに、特別活動等の中
その普及を図っているところである。
でボランティア活動などの体験活動を行う
警察では、障害のある人からの相談等に
こととするなど、学校教育におけるボラン
適切に対応するための手話講習会や障害の
ティア活動を一層進める内容としている。
ある人に対する応接、介護に関する講習会
さらに、平成19年6月の「学校教育法」の
の開催、有志による手話クラブの結成や職
改正において、学校内外における社会的活
員のボランティア活動への参加の支援など
動を促進し、公共の精神に基づき主体的に
を行っている。
社会の形成に参画し、その発展に寄与する
刑務所等矯正施設に勤務する職員に対し
態度を養うことが義務教育の目標として規
ては、矯正研修所及び全国8か所の矯正研
定されたことからも、学校教育においてボ
修所支所において、各種研修を行っている
ランティア活動を含む社会奉仕体験活動の
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