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*生産、QC、保証(障)関連部門に於ける 人材育成の Trend

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*生産、QC、保証(障)関連部門に於ける 人材育成の Trend
*生産、QC、保証(障)関連部門に於ける
人材育成の Trend
生産:国際的分業化の方向、世界展開に対応する為の分業化と製造の集
中化(統一化)
QC:製造企業の集中化、量産化、標準化、世界展開
保証関連:QC・保証の厳密化、標準化、自動化、
Cost down 化
人材育成:人材不足の方向⇒
標準化にて対応の方向(集約化の方向)
a )振動・騒音・寿命 対応と研究・開発面の
人材育成術
モータ技術者にとっては永遠のテーマである。実務経験 10 年選手が対象とな
る。但し、1 工場(社)で専門家は 1∼2 名が現実。
振動と騒音は一体、コインの裏と表/通常のルーチン設計者では無理、理論
展開ができる専門家が必要。
最近の傾向として電磁界解析ソフトの活用により、10 年→(4)∼6 年程度に短
期養成化の方向にある。
基本は
①機器(モータ)の設計、製造知識の修得。
②モータの製造工程、加工技術知識を有する。
③振動・騒音計測技術の修得と理論学習。
④FEM 解析に対するモデリング技術の修得
以上①∼④の条件を必要とする。さもなくば、最近では外部専門家への委託
も有望である。
b)人材の育成にはハードとソフトが必要。
また、知識と現場体験の一体化の必要
上記①∼④に対し、いずれも専門性が要求されるが、この他に単なる専門的
な作業技術・計測・解析技術ではなく、理論的知識との一体化が要求される。
これに対応できる人材は大手企業でも 1000∼3000 人の工場で 1∼2 名程度であ
る。
・・・このレベルは通常の製造工場のルーチンワークレベルから完成できる
ものではなく、設計・加工・計測・評価全てを知った上で更に原因究明と改善
コンサルタント業務のできるレベルの人材といえる、貴重な人材である。
*技術的ポイント
a )国際競争力:
世界の自動車産業の動きは、一国内の企業間競争の時代を過ぎ、企業間・国家間
の縦横連合によるグループ間競争の時代に突入している。この場合、部品類は高品
質化と生産性向上による Cost down 効果のために、極端な標準化指向されている。
北米で 15 年ほど前に、SMMA(Small Motor Manufacturing Association)なる馬
力級以下の小型モータ製造組合が誕生した。この組合の設立に、秋山は直接関係し
ている。
2005 年、ナッシュビルでの年次総会(展示会、技術講演会、理事会、セ
ミナー等が開催される三日間の会合である。会長は二年交替、エマーソン社
副社長が担当。その他米国、カナダの馬力級以下のモータメーカー及び、関
連企業による秘密結社の様な組合であった。この組合が中心と成り、モータ
に関する性能・機能評価と UL&CSA と組んで、安全保障の審査員の養成と
モータに関する保障事業審査員の認定を、UL&CSA をサポートする形で請
負う活動を進めていた。彼等の口からは失われた 20 年という言葉と、我々
モータ産業はワシントンを頼らず民間ベースで建て直すのだと言っていた。
誘導電動機(0.4∼3.7KW)を再建すべくバルドー社は、デンバー空港の近く
に完全自動化の無人化工場を建設した。その様子を PowerPoint で示します。
彼等に中国へ進出する気持ちの有無を聞いてみると、進出する気持ちは無い
との事。その理由は人件費がかかるからだとの答えであり、傾聴に値するも
のがあった。(㊙扱い願います)
従来の企業間の競争意識やライバル意識から縦横連合により、部品(電装品)
の標準化と量産化による Cost down 効果が選択される。これが国境を越え国際
競争に突入している。・・・つまり従来の自社主義(純粋主義)では、国際競争
に成らないレベルに来ている。
逆に言うと各自動車メーカーでは部品の製造を行わなくとも上手な調査・調
達とアセンブリーラインさえ有れば、より良い条件で自動車メーカーとして成
長できる時代に入って来たと言える。・・・米国式(インチ単位)と欧州式(メ
ートル単位)の融合化が進められている為、この傾向は加速しつつある。最近
は各企業で全世界を対象に販売している。逆に部品の標準化を進める事により、
どこの国でも部品調達・修理・メンテナンスを可能化しているのである。
b)優位性の確保対応策について
従来の日本的製造物の競争原理は、オリジナル製品の研究・開発ではなく、
欧,米,先進国の品物(製品)に対する、改良・改善・コストダウンであった。
確かにこれは必要であるが、いわゆる差別化戦略であり、製造設備の機能・性
能の向上により、どこの会社でも、どこの国でも金さえ有れば設備の導入によ
り簡単にコピー品をより良く、より安く作れる事は、1990 年以後の日本のバブ
ル経済以降のアジアと、日本の製造業の関係を見ればよういに理解できよう。
逆に限界技術に挑戦した製品(主に化学材料面での技術差による差別化製品
はコピーが難しく、永年優位な立場を維持できる)。この様な Copy 製品が簡単
に実現できない競争力のある製品を、優位差戦略と言う。
自動車産業では正に、この優位差戦略が打てる製品こそが(超)高速ブラシ
付 DC モータであると言えよう。中国,台湾でも、この分野には手を出さない
でいる。ブラシの寿命は有限であり、その寿命は技術力により大きく支配され
る。この事が長時間品、超高速品、EMC 対応、振動・騒音対策には不可欠なの
である。
超高速ユニバーサルモータなどは結局このブラシと整流子技術で決まる。現
実には、200V系 33,000rpm 入力 1.5KW 級の超高速エアクリーナーとなると
日本でも手が出ない。当然、中国,台湾では更に困難。スロベニアのモルガナ
イト社の整流子を使用しないと実現できない現実を知ってほしい。Cost もしか
りである。このような「優位差戦略」こそが、自動車電装品にこそ求められて
いるのである。ブラシレス化ではなくブラシ付である事は当然である。
この他にも、自動車電装品として日本メーカーが優位差戦略を打てるのが、
駆動モータや EPS,カーエアコン,パワーウィンドウではないかと考えている。
「ムービングエアギャップ」
シミュレーションソフト「価値判断」
三角形の法則,逆三角形の法則
回転電機の変遷(整流現象)
的問題点及びアタックポイントを考える。
*整流火花,EMC,寿命,騒音を中心に技術
パワーモータ(100W前後のブラシ付 DC モータ)の最大の問題と差別化のポ
イントはブラシとコミュテータであるが、現在まで科学的且つ技術的な設計・
計算・理論解析は皆無と言って良かろう。対象は、回転速度・UMP・振動・騒
音・電流・電圧・EMC・整流火花解析・ブラシ寿命、及びコストである。
小生もこの分野では数多くの論文を発表しているが、大半が対症療法に近い
ものであり、純粋論,純設計技術としての完成は困難であった。
但し、最近(仏)グループ(グルノーブル大学/CEDRAT FLUX Soft)及び(ISEN
/ATILA Soft)との協同研究等により、上記の多くの問題を計算機ソフトによ
るシミュレーション技術とモデリングの技術により解析、シミュレーションに
成功したのでここにその一例を示す。最大の成果は、ブラシと整流子の整流火
花電圧現象の解析、シミュレーションと UMP(不平衡磁気吸引力)の解析、振
動現象シミュレーションである。
エキスターナルサーキットによる連成解析式の作成
ブラシとコンミによる整流現象時の電圧方程式
回転角度変化による整流子とブラシの接触抵抗
変化のモデリング
ブラシとコミュテータのモデリング
ユニバーサルモータの AC 電源駆動時の印加電圧、
コイル電流、コイル電圧及び発生トルクの
シミュレーション事例
例えば整流子(スロット)数とマグネット形状、スロットオープニング寸法
とトルク脈動の定量解析による整流現象のオピテコイゼーションなどである。
{詳細情報は、巻末に示すので一読下さい。
(ソフト名,操作方法,支援先,購
入方法,etc…)}
2 技術開発ツールとその設計事例
一般論:
最近、有限要素法(FEM 解析)により、構造物の応力解析はおろか、電磁界
解析,モータ,発電機,プランジャーマグネット等の吸引,反発力解析,トル
ク,コギングトルク解析の分野でその威力を発揮している。この調子でゆくと
FEM 解析ソフトは万能であり、全ての現象を解析,シミュレーションできると
誤解している人が多い、注意を要する!
しかし、実際には上記のようにブラシ付 DC モータの温度上昇,火花電圧,
運転特性,損失,効率,振動,騒音解析,EMC 解析等の事例は見ていない。つ
まり FEM 電磁界解析ソフトの最大の特徴は瞬時値解析であり、最大の弱みは運
転特性の平均トルク,損失,力率,効率,温度上昇等の設計・計算である。
つまり Holding Torque やコギングトルクのシミュレーションではすばらしい能
力を発揮するが、温度上昇や運転特性の解析,シミュレーションの例は見られない。
(もしも可能ならば、新技術として高く評価されよう。)
*世界の電磁界解析ソフト、モータシミュレーシ
ョンソフトのオリジナルは 5 本
*開発,改良,設計のためのツール事例の紹介
FLUX−2D,3D [(仏)CEDRAT]
Motor CAD [(英)motor Design]
ATILA [(仏)ISEN]
Prodesigner [SML]
SPEED [(英)Glasgow Uni.]
Application Soft [SML]
Hyper linx (EMC 対応ソフト)(米)
* 電装品用ブラシ付 DC モータを開発,設計
する為の一般的手順と事例
カーエアコンファンの事例 北芝電機(株)
パソコンによる特性計算例
*ブラシ付 DC モータの応用事例:カーエアコン
*モータ CAD
世界最高速のモータ熱計算ソフト
*EPS の事例
マグネティックプレイシアの磁場解析
*半波駆動の事例
*中国製電動バイク
*超音波モータ異常現象解析の事例
3
モータ開発・設計の為の技術ポイント
を紹介
*振動・騒音対策と設計諸元を用いた
シュミュレーションの検討事例
自動車電装品モータではブラシ付 DC モータを主体としている。この為、馬
力級モータスタータ・オルタネータ・空調冷凍機エアコンモータ・駆動モー
タ(HV)では BLDC モータも対象と成り得る。
以下三つの出力に分類(イ)20W 以下(小型 DC モータ)、
(ロ)100W 級(パ
ワーモータ)及び(ハ)kW級以上(馬力級 BLDC モータ)としてその要求さ
れる使用条件は主に下記の様に考えて良い。
(イ)小型ブラシ付 DC モータの設計
(α)仕様−V,I,ω,life,θ°.
(β)特徴−低価格,中寿命,低騒音,付属装置の騒音.
(γ)制約条件−寿命(h),EMC.
(σ)付属機器/装置−負荷との組み合わせ,責任分岐条件,責任主体者
補修条件.
(一般論 I)
小型ブラシ付 DC モータに関する設計理論では、(α)の仕様にほぼ示され
ているが(イ)の場合整流条件、巻線回数、製造経済性等より、電源電圧は
6V∼(12V)が理想とされる。・・・・42V 系ではない。
詳細、秋山著(はじめてのモータ技術参照方)
(α ) Spec に関しては上記(α)の各項目の中より困難な度合い(ボト
ルネック)の順位を想定しボトルネックに一番近い項目を順に選び、
これを回避する手段を他の要因に振り分けて行く。
(注)各仕様項目
は、他の項目との調整により変更できるため。
(β ) 対象機が使用条件として何を制約条件として求められているかを
検討する。そのボトルネックに当たる項目を上記(α )の手法で
他項目とのバランス手法により回避、緩和して行く
(γ
(σ
)
life(h)と EMC は他要因への転換が困難な場合が多いので、検
査条件、評価条件を十分検討、客先との話し合い、確認し文章化し
て対応する必要がある。次の段階として、設計変更・仕様変更とす
るべきである。
) 小型モータの場合、問題、トラブルの大半が負担側、(相手機器)
との組合せ(分岐点)により生ずる。責任分岐点の明確化が困難な
場合が多い。理想としてはモータ単体で検査、評価方法を取り決め
られれば、これに勝る事は無い。しかし、振動、騒音問題の多くは、
相手機器(負荷)との組合せの結果生ずる場合が多い。よって事前
に過去の事例をベースに条件及び評価方法の具体的取り決め(数値
化評価法)が望ましい。
(一般論Ⅱ)
設計理論、設計技術、
(シミュレーション技術)による改良、改善の方向は
見出せる。
*振動、騒音、温度上昇、寿命を何(dB)、何時間(h)と数値目標に改良
する、と言う定量化設計・改良は困難だが、最近の FEM 電磁界解析手法のモ
デリング技法により問題発生原因、及びその改良、改善方法はある程度示し
得る。問題のレベルによっては外部の専門家や第3機関やコンサルタントの
活用も有望である。
(EMI),&振動/騒音/(磁界)、(EMC)対策、(by Hyper Lynx)
対象分野
(用途 Ex.)
アクチュエータ系
ポンプ系
ファン系
パワー系
(ギヤ組込)
(ロ)100W 級 DC パワーモータの設計、対策
(α)仕様−(イ)αに同じ。V,I,ω,life,θ°.
(β)特徴−長寿命,(ファン),アクチュエータ(ギヤ)。
(γ)制約条件−(イ)γに同じ/取付方法、効果、θ°.
(σ)負荷、付属機器−(イ)σに同じ。
(ε)抵抗(競争)機種−BLDC モータ、USM。
(α
(β
(γ
(σ
)電源電圧は 24V レベルが理想設計可能、長寿命化が要求される。
)(低騒音化の低振動の)要求も強い、温度上昇、でも寿命も大切。
)Cost 寿命、EMC−相手機器対応設計が必要。
)(イ)σ に同じ。−ユーザー{(イ)他社メーカー}との協調が大
切。
(例)、
パワーウインドウ
ワイパー
スーパーチャージ
電動ファン
ラジエータファン
比較法が大切 (絶対値は無理)
(注)設計、解析、シミュレーション事例(トリケップス)ゴールド、シル
バー業書(秋山)参照
(工業調査会・はじめてのモータ技術
秋山著
参照)
(ハ)KW(電力)級モータの設計
(α)仕様−(イ)αに同じ。V,I,ω,life,θ°.
(β)特徴−BLDC モータ(AC 化),長寿命化。
(γ)制約条件−ハーネス機、EMC.
(σ)負荷/付属機器−負荷に合わせて専用設計。
(ε)対抗機種−(特徴、機能、コスト).
*対象機種
スタータ:カークーラ・EPS・HV、FCV 駆動モータ
オルタネータ(一体型):ウインチ−荷物作業用
*温度上昇計算/シミュレーション(ロ)(ハ)共通
Motor CAD モータ熱計算専用(学会/一般論)/Speed.u)
(一般論)古典論として、熱伝導、冷却問題に関しては、熱移動現象として
伝導 Conduction
対流 Convection
放射 Radiation
の3現象によりほぼ説明されている。この(伝)熱方程式で特に問題は無い
が、使用上の問題として、実機のモデリング技術と境界条件の設定において
(未完成)であり、この技術が永遠のテーマ、技術課題として残る。
(英)グラスゴー大学教授 TJE Miller
(University of Glasgow,UK)氏の見解
[電気機器の温度上昇問題に対する Simulation 技術]
2009 年 ICEMS,NAGASAKI での
特別講演より
最近の FEM Simulation 技術に関しては、電場、磁場、渦電流、力、発熱、
冷却等従来困難であった問題が微細に解析出来る様になった。その理由は計
算機の高速化、高機能化と計算機シミュレーション技術の研究向上によるも
のであると。また古典的な熱移動理論の伝導、伝達、輻射の理論を否定する
ものではない。その結果、各種モータの温度上昇シミュレーションも可能で
ある。(特にネオジ鉄磁石型 HV 駆動モータの温度上昇シミュレーションに関
する質問に対し)、この発言に対する Prof. Miller の回答では、その為には
何台のスパコンで何十年、何百年掛かるのかという逆質問の提示であった。
つまりナンセンスと言う答えである。これは正に上記の実機に対するモデリ
ング技術と境界条件の設定に関する質問者の無知度を暗に指摘したものであ
る。
R研究室では各種モータに対する外皮構造、
氏の答はグラスゴー大学 Speed○
取り付け条件、モータ内部冷却の工夫に対する数千例に達する実験データを
保有していると言う。
(これらに対しフィンの高さ、回転速度等を変えた)実
験から冷却実験式を作成している。これこそが実用的なモータの冷却設計法
だと言う。結果的に①モータの取付状態(Conduction)、②外被冷却フィンの
高さ(放熱面積と熱抵抗、放射)、③回転子羽根構造等(Convection)を変数と
した各種データが取られていると言う。
彼は以前 GE(N.Y)応用研に勤務、その後(英)リーズ大学 Prof.Lawrenson
の研究室で助教授、その後、英グラスゴー大学教授、(Speed 研)所長とな
り現在に至っている。KW 級モータの専門家、小生とは友達付き合いをしてい
る。ことごとく書を信ずれば書無きにしかず。(FEM)計算機シミュレーショ
ンを信じきるは解析ソフト無きにしかず。つまり独自の応用能力が加味され
ない状態では実用性が乏しいと言うことである。→これが解析ソフト活用の
場合のモデリング技術なのである。極めて大切な応用技術と言える。心した
いものである。
(*)ブラシ付き DC モータの整流現象のシミュレーション技術、FLUX−2D
(仏、CEDRAT 製)による解析、及び整流・火花電圧解析、DC モータの整流子
間火花電圧解析は DC モータ技術者の永遠の夢であった。然し、この問題を(秋
山研)及び SML によるモデリング技術により定量解析に成功した。
手法
ブラシと整流子の火花(電圧)現象に関係する要因を全て組み込む事は現
実的ではない(上述熱計算と同じ)。そこで整流火花電圧に関係すると考えら
れる要因約 20 種類の中から①一番関係の強いと考えられる要因(制御理論で
言う代表根に相当)を Pick Up する。②次に整流火花電圧現象のモデリング
化を行う。③ここで時間関数としての火花電圧現象の時間シミュレーション
を行う。④その次に火花電圧に影響を与えそうな設計上の変化要因を取り込
み、パラメータサーベイを行う。(Ex.整流子片数、整流子幅、(オープニン
グ幅)、ブラシ幅、etc.)⑤これらのパラメータサーベイ結果、最適な組合せ
条件を抽出する。但し、④⑤の組合せが多くなる為、ほどほどに!!
〇半導体インバータ駆動モータとブラシ付整流子方式の類似性を比較。
○ 磁気音発生要因には 3 種類ある。①偏心回転子,②不平衡磁気吸引力 UMP,
③転流タイミング不整合。
*半導体インバータ駆動モータの磁気音、
EMC 現象の FEM シミュレーション。
①に関しては一般的に不平衡磁気吸引力と呼ばれエアギャップ面の吸引・
反発力が軸対象に分布化成っていない場合,回転子に不平衡磁気吸引力(UMP)
Unbalanced Magnetic Pull が発生し,強度の弱い軸の変形やベアリング部の
振動現象と成る。
①の要因としてはシャフト曲がりによる回転子の偏心や,②界磁マグネッ
トの着磁のアンバランスや奇数スロットによるパーミアンスの非対称性が原
因と成っている場合が多い。③インバータの整流タイミングのバラツキ等イ
ンバータの制御に起因するものである。
ローゼンベルグの不平衡磁気吸引力の式を示す。
下図に古典的な直流機の回転子の偏心に起因する
この場合単なる軸心の取付偏心静態偏心はベアリングの編荷重効果は出る
が磁気音には成りにくい。但しシャフトの曲がりがある場合には回転子は大き
く振れ回り,振動や磁気音の原因と成る。シャフトが斜めに取り付けられてい
る場合は磁気音の発生原因と成り得る。その他インバータの整流(転流)タイミ
ングの不具合等も同様に考えて下さい。
4電装用モータ類の将来展望
NdFeB 希土類磁石の経済及び政治的不安定性
原因を考慮しての自動車電装品開発への応用
最近の小型モータ・パワーモータに対しては、ネオジム磁石の使用が常識化
しているきらいが見られる。それも、モータ設計経験歴の少ない若手技術者に
多く見られる点を大変危惧する者である。確かに、フェライト磁石の時代に設
計開発をしてきたモータ設計者の多くは、ネオジム磁石の使用により小型化し、
トルクも増大する。この魔法の磁石に取り付かれている。では本当にネオジム
磁石を今後長期間使用しつづけることが出来るかどうか真剣に考えてみてほ
しい。秋山の考えは下記の点から常に最大限の注意をしながら使用すべきと考
えている。
NdFeB 希土類磁石の要注意点
(1) 活性が強く、十分な防錆処理を行わないかぎり長期間の使用は不可能
である。特に水分と反応し気化する。例えば金属メッキコーティング処
理を施すとか十分な厚さの樹脂モールド保護を施すか、または、水分や
酸素雰囲気を完全に避ける条件下にある事が保障される場合である。例
えば窒素雰囲気内とか冷凍系のフロン雰囲気内使用や水分含有量の少
ない油中での運転が保障される場合等である。
(2.1) 大型モータ(10∼100kW)の様な HV 駆動モータの場合ギャ
ップ面の高調波磁束成分が多く、ネオジム磁石内で大きな高調波渦電流
損(鉄損)が発生する。ネオジム磁石は最大磁束密度Bmax を極力高
く設定し、見掛けの発生トルクを大きくするのが各磁石メーカーの戦略
である。この結果ネオジム磁石やサマリウム磁石の場合、温度特性の悪
い希土類磁石を作る事になる。
(2.2) 添加物のボロンを少量添加する事により温度上昇による最大磁束密
度Bmax 値の減少を抑制する事が出来る。当然、ボロンの添加量を多
くすればする程、温度特性は良くなるが反面、モータで一番大切な温度
特性は急激に悪くなる。要は二律背反の現象をモータの磁石の場合使っ
ている事は知っておかれたらよいと思う。
(2.3) また、ネオジム磁石自体は物質的には鉄の塊に近い物であり、透磁
率、電気伝導度等ほぼ鉄に近いため、ギャップ面のスロットによるパー
ミアンス変化や起磁力高調波成分によりネオジム磁石内に大きな高調
波渦電流損が発生し、温度上昇の原因と成る。この他自動車のエンジン
ルームに近く、またはエンジンに取り付けられている場合もある為高温
状態で為、Bmax 値は低下し期待通りのトルクが少ない事態も起こり
得る。ネオジム鉄磁石の場合、高温使用(熱減磁)と防錆処理が十分に
できないかぎり劣化が早く、短寿命化は避けられない。サマリウムコバ
ルト(サマコバ磁石)は、この点有利であるが価格が高く成る。
(3) これは、純技術の問題ではないが更に厄介な政治、経済の問題であり
技術的解決方法は無い。つまり、サマリウムに比べネオジム元素は地球
上に10倍、100倍と有ると言われているが、その資源が中国一ヶ国
に偏在している点である(90%超が中国に偏在しているとの事であ
る)。別添の資料(経済産業者資料)、でも示される通り昨年1年間でネ
オジム資源の(原料)価格が2倍強上昇している。その原因が中国政治
である事も分かっている。国家、政治の問題は我々技術者の努力では解
決困難と考えた方が良い。また希土類に関しては中国政府はこれらを国
策として対応すると表明している点も考慮しておくべきであろう。
高性能モータの可能性を検討
ネオジム希土類磁石を使用しない
現時点で永久磁石を使用しない高性能モータ(自動車電装用モータ)として
2種類のモータ方式がその可能性を有していると思う。
(4.1) その1つは、
(英)リーズ大学教授 Prof. P.L.Lowrenson の提案した、
SRモータ○
R(switched reluctance motor)である。これは VR 型 motor
の原理であり、磁極位置検出用 PPS(pole position sensor)も保有す
るので脱調現象は起こらないし、力率制御やトルク角制御も可能である。
最大の強みは永久磁石も Coil も回転子上に使用していない事、及び積
層鉄心の磁石(又は歯)構造の磁気抵抗変化型(突極構造)モータであ
る為、耐遠心力強度に於いて、これ以上の機種は存在し得ない。
(4.2) ここまでは、万人の認める点であるが、最大発生トルクがほぼギャ
ップ寸法に逆比例して発生する為に、通常のマシンのδg 0.1∼0.
05mmと極端に小さなギャップ長を要求する事と振動・騒音が大きい
点が最大の欠点と言われている。それでもエンジン音よりは静かだとの
話も聞く。再度言うが、SR モータの最大の特徴(特徴/strong point)
は材料費が一番安く、且最高速度のマシンを作り得るという点である。
(4.3) 但し、最初からこのモータ(SR motor)を、ウォッチしていた小生
の立場から言うと、現状技術レベルではマシンハードは90%完成、但
し制御技術は30∼40%レベルと評価している。世界的な SR モータ
の識者が問題視している点は、理屈の上では上記記述内容は認めざるを
得ないが、現実にはそのレベルに達してはいない。SR モータは本当に
使い物に成るのか? もしもダメならばダメな理由を説明できない為
に世界中の学者(技術者)が少なくとも25年間もこの大問題に結論を
出せないまま論争をつづけている。但しこの間回転電機の論文として一
番多くの論文が世界の学会誌に発表されつづけていることも事実であ
る。
新方式の永久磁石無しモータ
もう 1 つの方法は、秋山が提案し、研究を続けている永久磁石を使わず電
磁石方式により主磁束を作る方式の超高速モータである。
(5.1) 自動車電装品では、電動チャージャーや、HV 用駆動モータがその
対象と成ろう。また家電製品、特殊用途ではユニバーサルモータ以上の
高速大容量モータである、業務用クリーナーモータ関係であろう。通常
の DC モータも高速のユニバーサルモータも回転原理としてギャップ
面(内)に回転磁界を作る必要がある。
(5.2) 最近流行の永久磁石(希土類磁石型)BLDC モータもこの分類に入
るが、回転子に永久磁石を取り付け高速回転させた場合の磁石に働く遠
心力(CCF)により最高回転速度は機械的に制限される。その速度は
当然 SR モータにはかなわない。秋山の発明(特許出願)の方式は写真
に示すように、主に DC 励磁巻線に直流電流を流し電磁石を形成する。
その場合 Coil に働く対遠心力は、ほぼ SR モータに匹敵する強度を有
するためである。以降は、通常の BLDC モータと同様の原理で超高速
運転を実現するというものである。
(5.3) この場合希土類磁石を用いた超高速 BLDC モータ及びユニバーサル
モータに比べ確実な長所は、
①磁界強度が簡単に制御できる事,②DC モータや、ユニバーサルモー
タのボトルネックである超高速時の整流子間火花電圧による速度制御
条件が無い事である。この様にして高価な希土類磁石を使用する事無し
に馬力級の超高速モータを実現し得る方法の①,②が考えられる。
(6.1)
超音波モータ(USM)等の新技術による
差別化戦略の導入
・偏平大トルク型(ディスク型が有利)
・・・〔ギヤー、クラッチブレーキ機能内在〕
用途:パワーウインドウ、(アクチュエータ)…
・電動&手動 兼用型(リング型が有利)
カメラのオートフォーカス etc./同時操作可能〔トルク小、クラッチ機能
付〕(利点):取付が簡単(リング型)
・直線駆動(中推力):リニア USM
用途:遠隔操作、アクチュエータ、Ex.天井カーテンの開閉、etc.
・直線短距離(小型):キツツキ型(弾性体ホーン)・
(イスラエル)(韓)アクチュエータ(小推進)
・実物(実演・展示)& 動画(P,P,) デスク型 USM
(6.2)
◎ 各種原理の物を比較検討の上判断する必要がある。
大半の USM はリードスクリュー(ボールネジ)に長けている。但し、パワーウ
インドウに関しては、①形状(寸法)制約、②減速機能、③クラッチ機能、④ブ
レーキの①②③④の条件を同時に満足し得る意味に於いて他にこれに勝る手段が
考えられない、(但し、価格を度外視するとして、・・・)
◎
P.P. ゜トルク特性、゜動画、゜設計 Simulation
゜3つの異状現象の事例
(仏)ISEN
ATILA soft
この著作権は KAIT(秋山研究室)に帰属
します。お取扱にご注意お願い申し上げます。
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