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ちょっと気になる 吊り下げ式防虫剤
商品テスト情報 近年、殺虫剤に代わり空間用の害虫忌避剤 はじめに 平成 27 年 6 月 №156 の市場が拡大しており、特に「吊り下げ型」の 売り上げが圧倒的に高くなっています。 ちょっと 気になる 吊り下げ式防虫剤は火や電気を使わずに常 温で揮発する薬剤が使用されており、網目状 の樹脂等に練り込んだ薬剤が風を受けて少しずつ拡散し、虫が 近づかない空間をつくるというもので、雨にさらされても効果 が変わらず、一定期間虫よけ効果が持続するとされています。 一方で、県民生活センターには、化学物質過敏症等の相談者から、 「マンション階下の家でベランダに吊るしている防虫剤が原因で、 息苦しく窓も開けられない」等の相談が寄せられています。 そこで、吊り下げ式防虫剤について、製品の適切な使用方法 を県民に情報提供するため、化学物質の拡散状況や使用状況に よる拡散量の変化についてテストしました。 県や市町では、消費者の皆さんから 商品についての相談や苦情を受け付け ています。お近くの県民生活センター 又は市町の消費生活相談窓口まで 御連絡ください。 吊り下げ式防虫剤 東部県民生活センター 沼津 ☎055-952-2299 中部県民生活センター 静岡 ☎054-202-6006 テスト したのは 西部県民生活センター 浜松 ☎053-452-2299 ★消費者ホットライン ☎0570-064-370 ※消費者ホットラインからお近くの市町の消費生活相談 窓口へつながります。 ※居住地の郵便番号の入力が必要です。 ※通話料がかかります。 吊り下げ式防虫剤 全8銘柄 No. 使用期間(目安) No. 使用期間(目安) 1 200 日間 5 150 日間 2 200 日間 6 1 年間 3 100 日間 7 120 日間 4 200 日間 8 30 日 なお、このパンフレットについての問合せは 静岡県環境衛生科学研究所 医薬食品部 静岡市葵区北安東 4 丁目 27−2 ☎054-245-7684 へお寄せください。 また、過去に発行したパンフレットについては、 当研究所のホームページ http://www6.shizuokanet.ne.jp/eikanctr/ に掲載しております。 ☜ 結果は 中面に 手軽に使えることから人気 の『吊り下げ式防虫剤』。 どんな成分が使われているの かな? 成分はどのように広がって いくのかな? 調べてみました。 静岡県環境衛生科学研究所 静岡県環境衛生科学研究 再生紙を使用しています 印刷用の紙にリサイクルできます 吊り下げ式防虫剤の防虫成分 どんな成分が使用されているの? 吊り下げ式防虫剤からの防虫成分の広がり② 全ての銘柄でトランスフルトリン又はエンペントリンという ピレスロイド系農薬成分が使用されていました。 No.1∼8の銘柄を雨に濡れない屋根の下に設置し、時間の経過 による防虫剤からの防虫成分の拡散量の変化を調べました。 時間がたつとどう変化するの? 時間の経過による防虫成分の拡散量の変化 1.5 1.0 0.5 空気濃度(μg/㎥) 空気濃度(μg/㎥) ●開封後は銘柄や使用期限に関わらず、時間の経過ととも に防虫成分の拡散量の低下が見られたことから、使用期 限まで、開封直後と変わらずに同じ効果を得ることは難 しいと考えられました。 1.5 1.0 0.5 0.0 含有量(㎎) 終了後 空気濃度(μg/㎥) 2.0 6か月後 空気濃度(μg/㎥) 2.5 5か月後 チョット耳より No.8(n=1) ∼雨に濡れると…∼ 50 40 30 20 10 0 終了後 空気濃度(μg/㎥) 終了後 6か月後 5か月後 3.0 4か月後 1.0 4か月後 2.0 ●防虫成分の拡散状況は、風向きや防虫剤からの距離に よって大きな差が見られたことから、防虫効果を期待す る場所からより近くの風上側に防虫剤を設置すること が、防虫効果を得るためには重要であるといえます。 ●商品購入に際しては、パッケージの説明をよく読み、適 用害虫を確認するなど、目的に応じて適切な選択をする ことが必要です。 No.6(n=2) 3.5 3か月後 3.0 3か月後 空気濃度(μg/㎥) 終了後 6か月後 5か月後 4か月後 3か月後 ●風向きや風の強さによっては防虫成分が 広範囲に拡散されることで濃度が低くなり、 あまり防虫効果が期待できない可能性も あります。 0.0 開封直後 ●風下 40cm 地点における防虫成分の量を 100%とすると、防虫 成分の量は風下 100cm 地点では約 80%、サイド 40cm 地点で は約 30%、サイド 100cm では約 10%まで減少しました。 0.5 2か月後 ●防虫成分の拡散状況は、風向きや防虫剤からの距離によって大 きな差が見られました。 1.0 2か月後 サイド 100㎝ 1.5 60 4.0 0.0 No.4(n=2) 2.0 開封直後 風下 100㎝ 0.0 No.7(n=2) 5.0 終了後 サイド 40㎝ 0.5 1か月後 1.0 1.0 開封直後 2.0 1.5 1か月後 風下 40㎝ 0.0 終了後 終了後 サイド 100㎝ 2.0 3か月後 風下 100㎝ 4.0 4か月後 サイド 40㎝ 6.0 8.0 2か月後 風下 40㎝ No.5(n=2) 1か月後 10.0 3.0 0.0 開封直後 0.0 3か月後 2.0 1.0 3か月後 3.0 0.0 2か月後 1.0 0.5 4.0 2.0 2か月後 1.5 2か月後 4.0 5.0 2.5 開封直後 2.0 1か月後 5.0 終了後 2.5 No.2(n=3) 6か月後 No.3(n=2)) 3.0 開封直後 各地点における防虫成分の拡散量 5か月後 3.5 1か月後 No.1、2 の銘柄を対象に、防虫剤からの防虫成分の拡散量を調 べました。 4か月後 開封直後 距離によってどう変化するの? 3.0 吊り下げ式防虫剤からの防虫成分の広がり① 3か月後 2か月後 0.0 1か月後 ●今回調査した全ての銘柄でトランスフルトリン又はエ ンペントリンというピレスロイド系農薬成分が使用さ れていました。 No.2(n=2) 3.5 1か月後 空気濃度(μg/㎥) 2.0 開封直後 除虫菊に含まれる天然殺虫成分であるピレトリンに似た化 合物 害虫の神経に作用し麻痺させることで効果を発揮する一方 で、ヒト等の哺乳類の体に入っても速やかに分解され、短時 間で体外に排出されることから、安全性の高い成分である とされている 濃度が高い場所では殺虫効果が期待されるが、低い場所で は虫が近付いてこないという忌避効果がある No.1(n=2) 2.5 空気濃度(μg/㎥) 空気濃度(μg/㎥) ピレスロイドとは? No.1(n=3) まとめ ※ No.1 ∼7はトランスフルトリン、No.8 はエンペントリンを測定した。 ※ No.1 ∼7は空気中の成分濃度、No.8 は製品に含まれる成分量を測定した。 「雨に濡れても効果は変わらない」 との記載がある銘柄もありましたが、 雨に濡れることにより、防虫成分が流 れ出ることがわかりました。 そのため、できる限り雨に濡れない 場所に設置することが望ましいと考 えられます。 ●銘柄や使用期限に関わらず、時間の経過とともに空気中の成分 濃度が低下しており、防虫成分の拡散量が減少している傾向が 見られました。 ●2∼4 か月経過時点で、開封直後と比較して成分拡散量が 50%以 下になっており、特に使用期間の長い銘柄では、使用開始直後か ら終了時まで全く同じ効果を期待するのは難しいと考えられま した。 今回は、室内に扇風機と吊り下げ式防虫剤を設置し、ポンプで 一定時間室内空気を捕集して、空気中の防虫剤成分の濃度を測 定するという方法でテスト を行いました。 ポンプ 防虫剤 風(2.0m/s) 「吊り下げ式防虫剤からの防虫 成分の広がり②」の設置位置→ 扇風機 40cm 50cm