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佐野インランドポート構想書
佐野インランドポート構想書 平成24年2月 佐野市内陸型コンテナターミナル研究会 はじめに 平成 23 年 3 月の北関東自動車道の全線開通を踏まえて、佐野市の交流拠点都 市としての機能向上による活力ある産業の振興及び地域の発展が期待されてい る。 地域経済の活性化のためには、中国をはじめとする新興国の成長と一体とな った輸出入活動の効率化・円滑化が必要とされている。これまでの、食品、電 気製品や衣服の輸入による消費生活の向上だけでなく、安全・安心な国産果物、 野菜等の輸出による地域農業や食品加工業の活性化も期待できるし、自動車や 機械産業等の主力産業の輸出における国際競争力の強化や産業集積の促進、人 的交流の活性化も期待できる。 国は、平成 22 年 8 月に京浜港を「国際コンテナ戦略港湾」に選定し、その広 域的な集荷力強化の一環としてインランドポートの役割にも注目している。さ らに、平成 23 年 3 月には港湾法の改正によって港湾運営管理会社制度の創設も 行われ、京浜港の一体的経営による機能強化が進められており、港湾の国際競 争力向上のための施策が強力に推進されようとしている。 このような環境変化を踏まえて、佐野市内陸型コンテナターミナル研究会は、 平成 22 年度から検討を進め、北関東自動車道と東北自動車道の結節部に位置す る交通の要衝としての機能を活用し、国際コンテナ輸送の効率化に貢献し環境 にやさしい新たな時代の国際物流基地として、佐野インランドポートの実現可 能性を検討してきた。 佐野インランドポートは、これまでのインランドデポとは異なり、単にコン テナ輸送の内陸での中継点としてだけでなく、ラウンドユースの促進をはじめ としたフルコンテナ輸送の効率化支援機能、コンテナ混載輸送の支援機能、保 税機能の3つの機能を備えた総合的な拠点として構想されたものである。イン ランドポートの実現により、北関東の広域的なコンテナ輸送の効率化を促進し、 環境にやさしい港湾と内陸の輸送機能強化に貢献できると共に、地域中小企業 の輸出入物流の共同化や混載による効率化にも役立つと考えられる。 今後の事業化については、解決すべき多くの課題が残されているが、ここに、 佐野インランドポート整備の基本的方向性を構想書としてとりまとめることが できた。委員、関係各位のご協力に深く感謝すると共に、今後の事業化に向け ての関係各位のご活躍を祈念する。 平成 24 年2月 佐野市内陸型コンテナターミナル研究会 委 員 長 岡 本 直 久 佐野インランドポート構想書 佐野インランドポート構想書 本 編 本 編 目 次 目 次 序 検討の概要 序―1 検討の目的 序―2 検討のフロー 1 現状と課題の整理 (1)佐野市経済の現状と課題 (2)港湾物流の現状と課題 2 基本方針の作成 (1)目標 (2)佐野インランドポートの意義と役割 (3)佐野インランドポートの基本機能 3 候補地の選定 (1)候補地選定の前提条件 (2)候補地の比較検討 4 佐野インランドポート機能の検討 (1)フルコンテナ輸送の効率化機能 (2)コンテナ混載輸送の支援機能 (3)保税機能 5 佐野インランドポートの需要の検討 (1)ヒアリング調査結果 (2)佐野インランドポート需要のマクロ的検討 (3)佐野インランドポート需要のミクロ的検討 (4)佐野インランドポートの環境負荷改善効果の検討 6 事業化計画の検討 (1)機能及び施設構成の検討 (2)事業主体の検討 (3)事業化にあたっての留意点 (4)整備スケジュール (5)支援措置の検討 (6)規制緩和要望 7 今後の課題 序 検討の概要 序 検討の概要 序 検討の概要 序―1 検討の目的 序-1 検討の目的 本検討は、高速交通都市としての立地条件を最大限に活かし、佐野市の将来像である交流拠点都 市の実現、活力ある産業の振興及び地域の発展を目指し、並びに国土交通省交通政策審議会の答申 本検討は、高速交通都市としての立地条件を最大限に活かし、佐野市の将来像である交流拠点都市の にあるインランドポートを含めた内陸型コンテナターミナルの実現に向けた取組について、その方 実現、活力ある産業の振興及び地域の発展を目指し、並びに国土交通省交通政策審議会の答申にあるイ ンランドポートを含めた内陸型コンテナターミナルの実現に向けた取組について、その方策の研究及び 策の研究及び検討を行い、 「佐野市内陸型コンテナターミナル研究会(以下、本研究会という。) 」と 検討を行い、 「佐野市内陸型コンテナターミナル研究会(以下、本研究会という。)」として取りまとめ して取りまとめを行うことを目的とする。 を行うことを目的とする。 なお、本研究会では、実現すべき内陸型コンテナターミナルを「佐野インランドポート」と定義 なお、本研究会では、実現すべき内陸型コンテナターミナルを「佐野インランドポート」と定義する。 する。 序―2 検討のフロー 序-2 検討のフロー 検討の全体フローは、図序.1 のとおりである。 検討の全体フローは、図序 .1 のとおりである。 図序.1 検討の全体フロー 図序 . 1 検討の全体フロー 1 現状と課題の整理 2 基本方針の作成 3 候補地の選定 4 佐野インランドポート機能の検討 5 佐野インランドポート需要の検討 6 事業化計画の検討 7 今後の課題 1 1 佐野インランドポート構想書 検討項目別の概要は、以下のとおりである。 1 現状と課題の整理 佐野市の経済と輸出入動向に関する現状と課題を整理する。 2 基本方針の作成 佐野インランドポート整備の目的、意義及び役割を取りまとめる。 3 候補地の選定 平成 22 年度検討成果を踏まえ、5カ所の候補地別の事業化可能性を比較検討し、候補地の絞り込み を行う。 4 佐野インランドポート機能の検討 佐野インランドポートの基本方針に基づき、佐野インランドポートの基本機能として、フルコンテナ 輸送の効率化機能、コンテナ混載輸送の支援機能及び保税機能の観点から詳細に検討する。 5 佐野インランドポート需要の検討 主要荷主やインランドポート整備に関する船社、港湾関係者、物流事業者(フォワーダー・運送事業 者)の意向や動向を踏まえ、利用意向を把握し、コンテナ輸出入バランスやコンテナ流動の実態を踏ま えてマクロ的な検討を行い、インランドポートの需要を検討する。 6 事業化計画の検討 インランドポート機能に応じて、都市計画・土地利用、保税施設関係(管理能力等)、運送事業法等 の事業化に関わる今後の課題を整理し、事業化手法を検討すると共に、施設の概略(面積、施設・設備、 付帯機能)を作成し事業構想書を取りまとめる。 あわせて、事業参画者や利用事業者への支援措置について検討する。 7 今後の課題 本構想書を踏まえ、今後の事業化を行う際に検討すべき残された課題を取りまとめる。 2 1 現状と課題の整理 1 現状と課題の整理 (1)佐野市経済の現状と課題 1)現状 佐野市は、首都東京から 70km 圏内にあり、市内には東北自動車道の佐野藤岡インターチェンジが ある。 平成 23 年 3 月 19 日に開通した北関東自動車道は、群馬、栃木、茨城を横断的に結ぶ高速道路で、 田沼地域の市街地と佐野地域の最北部を東西に走り、市内には佐野田沼インターチェンジが設置され、 佐野市は3つのインターチェンジを有する交通の要衝になっている。 現在、雇用と生産の拠点となる 5 つの工業団地、定住の拠点となる土地区画整理事業の推進、佐野 短期大学をはじめとする教育環境の充実等、快適で文化的な定住環境の整備が進んでいる。 しかし、こういった基盤整備や都市機能の集積にも関わらず、佐野市の総人口は 121,249 人(平成 22 年国勢調査結果)となっており、平成 2 年までは増加を続けていたが、それ以降は減少傾向にある。 また、就業人口総数は、平成 7 年以降減少している。 平成 21 年「工業統計表」(従業員 4 人以上)に見る佐野市の製造業は、事業所数 486 件、従業員数 13,298 人、製造品出荷額等 3,194 億円であり、近年、工場集積にも関わらず、製造品出荷額も従業員 数も減少傾向にある。 2)課題 今後は、交通の要衝として佐野市の優位性を活かした地域の発展を図り、物流拠点の整備を進める と共に新たな産業の立地、鉱工業、観光等の振興を図っていく必要がある。さらに、今後発展すると 見られる環境関連ビジネスや生活・医療・福祉等新しい需要に対応した生活関連産業の育成と拡充を 図り、活力ある産業のもとに、市民の豊かな暮らしを支えていくことが必要とされている。 全国の工場立地動向を見ると、栃木県を含む関東内陸は最も立地件数の多い地域であり、相対的に 優位な位置を占めており、国際経済動向や新しい技術開発、市場動向に対応した産業集積を促進する ポテンシャルは比較的高いと考えられる。 特に、「産業構造ビジョン 2010」(産業構造審議会産業競争力部会報告書、平成 22 年 6 月)では、 国の新経済成長戦略の方向性を見ると、自動車単一産業依存からインフラ関連・システム輸出、環境・ エネルギー課題解決産業、文化産業、医療・介護・健康・子育てサービス、ロボット・宇宙等の戦略 5 分野の強化へ転換や新興国需要への対応が必要とされている。 (2)港湾物流の現状と課題 世界の海運輸送量は、特に中国の WTO 加盟後に急増している。港湾におけるコンテナ取扱量も、平 成 11 年の2億本(TEU1)から平成 21 年の4億6千万本(TEU)へと 2.3 倍に増加している。他方、 3 佐野インランドポート構想書 日本のコンテナ取扱量は、同じ期間に 1,210 万本(TEU)から 1,629 万本(TEU)と 35%の伸びにとどまっ ている。 我が国の産業は、石油等の基礎資源の面でも、食品や衣類等の生活商品の面でも、すでに高い輸入依 存度を示している。このため、調達・生産・消費のグローバルなネットワークの一環として、中国をは じめとする新興国需要に対応し、内外一体となった地域産業の活性化を図る必要がある。 (参考資料、コンテナ輸出入の現状、p. 1~ 19 参照) 1)国際コンテナ戦略港湾 我が国の港湾は、国際コンテナ物流の急拡大やコンテナ船の大型化、中国諸港の勃興に伴う東南ア ジアにおける港湾間競争の激化に伴い、我が国の基幹航路を取り巻く状況は一層厳しさを増している。 船社が港の選別を図る中で、我が国への寄港を確保するためには、高水準のサービスレベルと十分な 能力の港湾サービスを提供する必要があり、「選択」と「集中」により京浜港及び阪神港を国際コン テナ戦略港湾として、港湾の国際競争力を強化することとした。国際コンテナ戦略港湾実現のための 国の主要施策を以下に示す。 ① 基幹航路維持・強化のためのコスト低減 ② 広域からの貨物集約 ③ 荷主へのサービス向上 ④ 環境への配慮、セキュリティ水準の高い国際物流 ⑤ 戦略的な港湾経営の実現 このように、京浜港の国際コンテナ戦略港湾の実現にとっても、広域からの貨物集約や荷主へのサー ビス向上、環境への配慮等の視点から、インランドポートの整備が重要な役割を果たすことが期待さ れる。 2)「京浜港の総合的な計画」で示した方向性 京浜港は、平成 22 年 8 月に「国際コンテナ戦略港湾」に選定された。その後、策定された「京浜 港の総合的な計画」(平成 23 年 9 月)では、背後圏の拡大による集荷力の強化方策の一環として、内 航フィーダー輸送と鉄道・トラックフィーダー輸送の強化を掲げており、インランドポートについて は、「インランドポートを活用した効率的な鉄道・トラック輸送の実現」のために以下のような方向 性を示している。 「鉄道やトラック輸送による国内フィーダー輸送に係る大きな課題として、輸送コストと共に、空 コンテナのピックアップ若しくは返却のためのコストが大きな負担となっている。 そこで、国が進めるマッチング支援システムの活用や民間事業者のコンテナ輸送に係るコスト縮減 策の検証、各地のインランドポートとの連携等、空コンテナ輸送に係るコスト低減策を検討していく。」 1 TEU:Twenty Equivalent Units の略、20 フィートコンテナ換算値。40 フィートコンテナは 2 本と換算した数値 である。 4 2 基本方針の作成 2 基本方針の作成 (1)目標 佐野市の高速交通都市としての立地条件を最大限に活かし、京浜港の国際コンテナ戦略港湾としての 機能強化に貢献できるインランドポートを整備し、佐野市の将来像である交流拠点都市の実現、活力あ る産業の振興及び地域の発展を目指す。 (2)佐野インランドポートの意義と役割 1)地域産業の活性化と雇用の確保や人口の増加、地元消費の活性化 佐野市が重要な結節部に位置している東北自動車道と北関東自動車道の沿道には、我が国有数の主 要工場が集積しており、栃木県は「ものづくり県」として、全国的に見ても産業立地の活発な地域で ある。 インランドポートは、輸出入機能を強化し、地域産業の活性化、雇用の確保や人口の増加、地元消 費の活性化を促進する。 2)中国等の新興国の成長と一体となった地域の活性化 近年は中国等の新興国の成長が目覚ましく、「新成長戦略」においては、これまでの自動車や電機・ 電子機器の輸出だけでなく、今後は、国際競争力のある環境・医療・文化等の輸出を通じて多様な地 域産業全体の活性化を図る必要があるとされている。 具体的には、既に進展している食材、繊維、部品・原材料等の輸入による価格競争力の強化に加え て、栃木県産の安全・安心な果実・青果物等の生鮮品、食品・飲料の中国等への輸出を通じて地域産 業の活性化に貢献することができると考えられる。 インランドポートは、このような地域産業の輸出入を促進し、中国等の新興国の成長と一体となっ た地域の活性化を促進する。 5 佐野インランドポート構想書 3)国際コンテナ戦略港湾実現のためのインランドポート施策 国際コンテナ戦略港湾では、港湾コストの低減、集荷体制の強化、円滑な通関・検疫・出入国管理 等の諸手続き等トータルな取組が必要とされる。 具体的施策としては、認定事業者制度 2 をはじめとした貿易関係手続きの円滑化や貨物の内陸集荷 拠点(インランドポート)の設置、情報化の推進による利便性向上による物流の効率化が必要とされ ている。 4)輸出入活動における内陸道路輸送の効率化 輸出入に用いられるコンテナ1本のドアツードアの輸送費を見ると、米国西海岸から東京港までの 国際海上輸送費と東京港から新潟までの国内陸送費は、ほぼ同じであり、国内陸上輸送の効率化は国 際輸送全体の改善にとって非常に重要である。 佐野インランドポートは、地域の輸出入における車両の輸送効率の向上や大型化を促進する拠点機 能を担うことによって、コンテナの内陸道路輸送の効率化を図ることができる。 5)生活環境の改善と地球環境改善への貢献 内陸部の生産地から貨物を輸出する場合には、コンテナに貨物を詰め込む前に空コンテナを港湾か ら回送する必要がある一方、内陸部の消費地に貨物を輸入する場合には、コンテナから貨物を取り出 した後、空コンテナを港湾に向けて回送することが多く、このような空荷輸送の回避によりトレーラ の内陸輸送を減少させることができると考えられる。 佐野インランドポートは、港湾周辺とその内陸輸送に関わる渋滞解消等生活環境を改善させると共 に、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出を抑制し地球環境の改善に貢献する。 6)危機管理への対応 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、大規模災害発生時におけるサプライチェーン確保 の重要性を改めて認識させた。 佐野インランドポートは、大規模災害時における広域的な防災拠点として、緊急物資の集配拠点、 燃料・食料の備蓄基地、災害時に利用される代替港湾との搬出入機能等の役割を果たすことができる。 2 認定事業者制度:AEO(Authorized Economic Operator)制度と同義。セキュリティの確保と貿易手続きの円滑化 の両立を図るため、コンプライアンスに優れた輸出者に対して税関手続きを簡素化する特例措置 6 2 基本方針の作成 (3)佐野インランドポートの基本機能 佐野インランドポートは、内陸における港湾機能へのゲート機能となり、輸出入貨物輸送の効率化を 図り、環境負荷の削減、港湾搬出入時間の短縮、港湾周辺混雑の緩和に貢献することが見込まれる。 佐野インランドポートには、コンテナの内陸輸送の経済性・効率性・迅速性向上に関わる機能を中心 として、以下のような機能が見込まれる。 1)フルコンテナ輸送の効率化機能 フルコンテナ輸送の効率化を支援するバンプール機能及びシャーシプール機能 ・フルコンテナのラウンドユースを促進するための機能 ・シャトル便による往復実入りコンテナ輸送 2)コンテナ混載輸送の支援機能 中小荷主のための貨物集約、コンテナ混載輸送による輸送効率化機能 ・荷役、保管機能:コンテナへの貨物の荷積み、荷卸し、保管機能 ・コンテナへの貨物混載のための貨物集荷機能 ・コンテナから荷卸しした貨物の顧客への配送機能 3)保税機能 内陸の保税蔵置場としての機能 ・空コンテナの蔵置機能 ・輸入の場合における、長期の保税蔵置と市場動向に応じた出荷 ・輸出の場合における、事前の輸出通関処理による船積みまでの時間短縮 ・港湾と内陸保税蔵置場までの保税運送における消費税の節税機能 7 佐野インランドポート構想書 3 候補地の選定 (1)候補地選定の前提条件 候補地選定にあたっては、基本方針を踏まえると以下の前提条件を満たす必要があると考えられる。 1)道路交通条件 大型車によるコンテナ輸送の効率化を促進するため、高速道路一体又は近接の道路交通条件である こと。 2)沿道土地利用条件 大型貨物輸送車の沿道環境への影響を考慮し、商業・住宅地区に近接した地区を避けること。 3)産業拠点との連携 地域活性化に資する機能を確保するため、工場や物流施設との複合的な産業核形成に必要な面積を 有し、関連施設集積地と近接した地区であること。 本研究会では、「佐野市都市計画マスタープラン」(平成 21 年 3 月策定)における「産業振興拠点」 及び「土地利用調整エリア」を元に、上記の前提条件をほぼ満たす候補地として5地区を選定し、さ らに、高速道路に近接する候補地区として佐野田沼IC周辺及び出流原地区を選定した。 8 3 候補地の選定 (2)候補地の比較検討 (2)候補地の比較検討 佐野田沼IC周辺及び出流原地区の土地利用条件は、下表のとおりである。 佐野田沼IC周辺及び出流原地区の土地利用条件は、下表のとおりである。 この比較を踏まえて、本研究会では、出流原地区を候補地として検討することとする。ただし、 この比較を踏まえて、本研究会では、出流原地区を候補地として検討することとする。 今後、各条件における変更が生じた場合には、再検討することになると考えられる。 表3. 1. 1 候補地の比較検討(1/2) 表 3.1.1 候補地の比較検討(1/2) 候補地 農振法上の位置づけ 都計法上の位置づけ 土地利用の状況 土地所有者状況 都市計画マスタープラ 都 ンの位置づけ 市 的 土 地 交通結節点(インター 利 チェンジ)へのアクセ 用 ス性 周辺住環境への影響 周辺交通環境への影響 (交通渋滞への影響 等) 都市的評価 佐野田沼IC周辺 農業振興地域(適用除外予定) 市街化調整区域 (市街化区域編入予定区域) ・水田を中心とした農地 ・住宅市街地(第一種低層住居専用 地域や第一種中高層住居専用地 域)に隣接 約105名 ・工業エリア 【運輸・流通機能等の産業振興拠点 の形成】 ○ ・高速道路から区域内へ直接アクセ スすることはできない。 ・北関東自動車道佐野田沼ICとは 約2㎞と近接しており、インター アクセス道である岩崎バイパスが 地区内を通る形で整備予定となっ ている。 ○ ・地区内に既存住宅が立地すると共 に、地区東側が市街化区域(低層 住居地域)に隣接している。大型 車が走ることによる周辺住環境へ の影響があると思われる。 △ ・国道 293 号に接しており、またイ ンターチェンジが設置されたこと による周辺の道路網整備も進んで いるため、区域周辺における交通 環境への影響は少ない。 ○ ○ 出流原地区 適用外 市街化調整区域 ・鉱山跡地を中心とした山林地域と なっている。 ・地区周辺に商業・住居系市街地は なし。 約6~7名 ・土地利用調整エリア 【主に産業による地域の振興を期待 するエリア】 ○ ・スマートIC設置により高速道路 から区域内へ直接アクセスするこ とが可能となる。 ※スマートIC設置については、現 在関係機関と調整中である。 ○ ・周辺に住宅は立地しておらず、住 環境に対する影響は少ない。 ○ ・高速道路から区域内へ直接アクセ スすることを想定しており、周辺 交通環境への影響は少ない。 ※スマートIC設置については、現 在関係機関と調整中である。 ○ ◎ 9 9 佐野インランドポート構想書 表3. 1. 2 候補地の比較検討(2/2) 表 3.1.2 候補地の比較検討(2/2) 候補地 農 業 的 土 地 利 用 土地基盤整備事業の実施 状況 かんがい排水事業等の実 施状況 農地の状況 農業的評価 総合評価 佐野田沼IC周辺 ・実施されていない。 ・実施されていない。 ○ ○ ・実施されていない。 ・実施されていない。 ○ ○ ・地区南側は集落が点在した農地が ・鉱山跡地を中心とした山林地区で 広がっているものの、北関東自動 あり、周辺農地への影響はなし。 車道により周辺農地と分断されて おり、周辺農地への影響は小さい。 ○ ○ ◎ ◎ ○ ◎ 10 10 出流原地区 3 候補地の選定 図図3. 1 候補地位置図 候補地位置図 出流原地区 佐野田沼 IC 周辺 佐野市都市計画マスタープラン土地利用方針図より 11 11 佐野インランドポート構想書 4 佐野インランドポート機能の検討 4 佐野インランドポート機能の検討 佐野インランドポートは、内陸における港湾機能へのゲート機能を有し、輸出入貨物輸送の効率化を図 り、輸送費用の削減や所要時間の短縮をはじめ、環境負荷の削減や港湾周辺混雑の緩和に貢献することが 佐野インランドポートは、内陸における港湾機能へのゲート機能を有し、輸出入貨物輸送の効率 見込まれる。 佐野インランドポートには、コンテナの内陸輸送の経済性・効率性・迅速性向上に関わる機能を中心と 化を図り、輸送費用の削減や所要時間の短縮をはじめ、環境負荷の削減や港湾周辺混雑の緩和に貢 して、以下のような機能が考えられる。 献することが見込まれる。 (参考資料、フルコンテナ輸送の効率化機能、コンテナ混載輸送の支援機能及び保税機能を活用する場合、 佐野インランドポートには、コンテナの内陸輸送の経済性・効率性・迅速性向上に関わる機能を p.20 ~ 51 参照) 中心として、以下のような機能が考えられる。 (参考資料、フルコンテナ輸送の効率化機能、コンテナ混載輸送の支援機能及び保税機能を活用す る場合、p.20~51 参照) (1)フルコンテナ輸送の効率化機能 (1)フルコンテナ輸送の効率化機能 フルコンテナ輸送(FCL: Full Container Load)は、一荷主がコンテナ単位で輸送する場合である。 この場合には、コンテナのラウンドユースによる効率化が考えられる。佐野インランドポートの機能に フルコンテナ輸送(FCL: Full Container Load)は、一荷主がコンテナ単位で輸送する場合であ は、以下のようなラウンドユース方式とシャトル方式が考えられる。 る。この場合には、コンテナのラウンドユースによる効率化が考えられる。佐野インランドポート の機能には、以下のようなラウンドユース方式とシャトル方式が考えられる。 1)ラウンドユース方式 1)ラウンドユース方式 この方式では、港湾からの実入りコンテナを輸送してきた車両が、輸入者の工場等にオンシャーシ この方式では、港湾からの実入りコンテナを輸送してきた車両が、輸入者の工場等にオンシ で引き渡した後、空コンテナを佐野インランドポートに搬入し、代わりに輸出者が利用する船会社の ャーシで引き渡した後、空コンテナを佐野インランドポートに搬入し、代わりに輸出者が利用 実入りコンテナを佐野インランドポートから引き取り京浜港に輸送する。輸出者の工場等への空コン する船会社の実入りコンテナを佐野インランドポートから引き取り京浜港に輸送する。輸出者 テナの搬入と実入りコンテナの引き取りは、佐野インランドポートを中継拠点として利用する。この の工場等への空コンテナの搬入と実入りコンテナの引き取りは、佐野インランドポートを中継 方法によって、京浜港からのコンテナ輸送車両によるラウンドユースに時間的限界のあった大田原等、 拠点として利用する。この方法によって、京浜港からのコンテナ輸送車両によるラウンドユー 栃木県内全域の往復輸送が可能になる。 スに時間的限界のあった大田原等、栃木県内全域の往復輸送が可能になる。 図 4.1.1 ラウンドユース方式の場合 図 4.1.1 ラウンドユース方式の場合 ラウンドユース (佐野利用) 輸出者 佐野 輸入者 ラウンドユース (佐野利用) 空 港湾 12 12 実入り 4 佐野インランドポート機能の検討 2)シャトル方式 2)シャトル方式 港湾からのコンテナ輸送車両による輸出入者の工場間輸送が所要時間・距離の制約で実施で 港湾からのコンテナ輸送車両による輸出入者の工場間輸送が所要時間・距離の制約で実施できない きない場合には、佐野インドランドポートを拠点とする搬出入用の車両を利用する。 場合には、佐野インドランドポートを拠点とする搬出入用の車両を利用する。 輸入の場合には、予め港湾から佐野インランドポートに輸送された実入りコンテナを輸入者 輸入の場合には、予め港湾から佐野インランドポートに輸送された実入りコンテナを輸入者の工場 の工場等に搬送し、輸入者の工場等から引き取った空コンテナは佐野インランドポートに戻さ 等に搬送し、輸入者の工場等から引き取った空コンテナは佐野インランドポートに戻される。 れる。 輸出の場合には、予め港湾から佐野インランドポートに輸送された空コンテナを輸出者の工場等に 輸出の場合には、予め港湾から佐野インランドポートに輸送された空コンテナを輸出者の工 搬送し、輸出者の工場等から引き取った実入りコンテナは佐野インランドポートに搬入される。この 場等に搬送し、輸出者の工場等から引き取った実入りコンテナは佐野インランドポートに搬入 方法によって、京浜港からのドレージ車両によるラウンドユースに時間的限界のあった大田原等、栃 される。この方法によって、京浜港からのドレージ車両によるラウンドユースに時間的限界の 木県内全域の往復輸送が可能になる。 あった大田原等、栃木県内全域の往復輸送が可能になる。 港湾と佐野インランドポートの間では、輸入用の実入りコンテナと輸出用の実入りコンテナの往復 港湾と佐野インランドポートの間では、輸入用の実入りコンテナと輸出用の実入りコンテナ 輸送が行われる。港湾と佐野インランドポートの間のシャトル便は、港湾からのコンテナ輸送車両が の往復輸送が行われる。港湾と佐野インランドポートの間のシャトル便は、港湾からのコンテ 利用される。 ナ輸送車両が利用される。 図 4.1.2 シャトル方式の場合 図 4.1.2 シャトル方式の場合 シャトル便 (佐野利用) 輸出者 佐野 輸入者 シャトル便 空 港湾 実入り 3) 関連する管理機能 3)関連する管理機能 ・情報管理システム: 運送・保管依頼、貨物の所在、輸送状況に関する情報交換 ・情報管理システム ・コンテナ・シャーシ管理機能 運送・保管依頼、貨物の所在、輸送状況に関する情報交換 ・コンテナ、シャーシ管理機能 在庫管理機能 在庫管理機能 4)利用上の留意点 ① 運営上の留意点 4)利用上の留意点 コンテナのラウンドユースは、異なる荷主、船会社間のコンテナの相互利用による輸送効 ① 運営上の留意点 率化方策であるので、運営上は、コンテナ輸送を行う運送会社を含め関係者間の情報連携や コンテナのラウンドユースは、異なる荷主、船会社間のコンテナの相互利用による輸送効率化方 運行責任、保険等の運営ルールの整備等のソフト面の整備が極めて重要になる。 策であるので、運営上は、コンテナ輸送を行う運送会社を含め関係者間の情報連携や運行責任、保 13 険等の運営ルール整備等のソフト面の整備が極めて重要になる。 13 佐野インランドポート構想書 ② 利用者(荷主)にとっての留意点 一般に、船会社へのコンテナの返却期間は、6日間まで無料であり、追加1日ごとに追加料金を 負担することになる。 コンテナ輸送料金では、荷主側の責によりトラクタがコンテナの発着地(コンテナヤード、コン テナフレートステーションを含む)に到着後2時間を経過しても出発できない時は、その2時間を 超える時間について所定の車両留置料を収受することになっており、トラクタ 30 分毎に 3,970 円 といった料金負担が必要になる。 トレーラが 24 時間を超えて留置された場合は、その超えた時間につき所定の車両留置料を収受 する。例えば、トレーラ 24 時間毎に 20 フィートでは 1,680 円、40 フィートでは 2,190 円といった 料金負担が必要になる 3。 3 (社)神奈川県トラック協会の平成9年2月 14 日改正の料率表(距離帯別運賃率、一般貨物自動車運送事業運賃・料金、 国際大型海上コンテナを運送する場合に限る)の付帯料金の例である。本数値は、規制緩和に伴って現在届出制となっ ており、基準・指針の意味合いを有する数値ではない。 14 4 佐野インランドポート機能の検討 (2)コンテナ混載輸送の支援機能 コンテナ混載輸送(LCL:Less than Container Load)は、一荷主の貨物がコンテナ単位にまとまら ず、複数荷主の貨物を混載する場合である。この場合には、輸出貨物のコンテナ詰めや輸入貨物のコン テナからの取り出しが必要になる。このようなコンテナへの貨物の積み卸しや集配場所は、通常、コン テナフレートステーション(CFS:Container Freight Station)と呼ばれている。CFS は、FCL(Full Container Load)輸送における工場で荷役作業ができない貨物の積み卸しにも利用される。 佐野インランドポートは、このような CFS 機能を担うことが考えられる。 1)コンテナ輸送機能 中小荷主のための貨物集約、コンテナ混載輸送による輸送効率化機能 ・輸出時:コンテナへの貨物混載のための貨物集荷機能 ・輸入時:コンテナから荷卸しした貨物の顧客への配送機能 ・輸出入コンテナの港湾との輸送機能 2)コンテナ荷役・普通トラックによる貨物集配・保管機能・流通加工機能 ・荷役機能: コンテナへの貨物の荷積み、コンテナからの貨物の荷降し機能、輸送梱包等の作業を含む。 ・車両連結解除: トラクタ、シャーシ、コンテナの保管・管理機能 ・保管機能: 輸入の場合、コンテナ貨物の普通トラックによる配送までの貨物の保管 輸出の場合、普通トラックの集荷から港湾へのコンテナ輸送までの貨物の保管 ・仕分け、流通加工機能: 包装、梱包、商品名の表示等の作業 3)関連する管理機能 ・情報管理システム: 運送・保管依頼、貨物の所在、輸送状況に関する情報交換 ・管理調整機能 コンテナ・シャーシ管理機能 在庫管理機能 輸配送管理機能 倉庫管理機能等 15 佐野インランドポート構想書 4)利用上の留意点 ① 運営上の留意点 一般に、港湾相互間の特定船舶を利用する貨物のコンテナ混載を行うことは比較的容易である が、ドアツードアで同一コンテナ、同一経路・時刻での国際輸出入貨物がコンテナ単位で集約で きる可能性は考えにくい。このため、実際には 10 トン車クラスで積載率の高い港湾との間の幹線 共同運行的な利用の方が一般的になり、コンテナ混載の場所は臨海部での倉庫やターミナルを利 用した既存手法を用いることになると考えられる。 ② 物流事業者にとっての留意点 CFS 機能は、港湾諸料金に比して、内陸で安価な保管・荷役・流通加工機能を担うことが重要 である。また、集配費用も共同集配によって削減する工夫が必要になる 4。 4 参考までに東京港の関連する港湾諸料金を見ると、以下のような水準にある。 ・コンテナ詰め料金 1トンに付き 機械類 2,217 円、10 トン 22,170 円、20 トン 44,340 円 ・コンテナ出し料金 1トンに付き 機械類 2,217 円、10 トン 22,170 円、20 トン 44,340 円 ・コンテナ内貨物固定作業料金 ドライコンテナ 20ft 1本 7,600 円~ 8,060 円(1口作業員数2人) 40ft 1本 11,400 円~ 12,080 円(1口作業員数2人) ・集配費用(60km 圏、車扱いの場合) 2トン車 7,500 円 4トン車 9,500 円 10トン車 12,500 円 混載1トンあたり 5,000 円 16 4 佐野インランドポート機能の検討 (3)保税機能 近年、優良事業者制度や保税蔵置主義の見直しによって保税工場が減少する傾向にある。しかし、自 社で通関処理を実施できる企業は、大手企業の一部企業に限定されており、大半の企業にとって保税蔵 置場は重要な役割を果たしている。特に、今後、国際物流が増加すると見込まれる地域の中小企業にとっ て輸出入業務や保税機能が果たす役割は、一層重要になると考えられる。 内陸の保税蔵置場としての主な保税機能には、以下のような効果がある。 1)輸入の場合 2年間程度の長期保税蔵置が可能となり、市場動向に応じて出荷でき、関税・消費税の納入から商 品販売に伴う入金までの間の金利負担が節減できる。 保税効果は、輸入時における関税や消費税の支払いから商品販売による入金までの金利負担の節減 として、以下のように評価することができる。 ・効果計算例 年間商品輸入金額 年間 100 億円、関税及び消費税負担率 7% 関税及び消費税負担額 年間7億円、借入金利 年5% 保税効果:関税及び消費税負担時点から商品販売時点までの期間別の「関税及び消費税負担額」 に対する金利負担額 3ヶ月の場合 875 万円 6ヶ月の場合 1,750 万円 12 ヶ月の場合 3,500 万円 24 ヶ月の場合 7,000 万円 2)輸出の場合 事前の輸出通関処理により、港での待機時間が短縮できる。 保税蔵置場では、輸出通関を行うことができ、港湾のコンテナヤード(CY)に搬入後の通関手続 き時間を節減でき、船便の荷役・出港時間に対応したタイムリーな工場出荷が可能になる。類似の機 能は、認定事業者制度や保税蔵置主義の見直しによって見込まれる時間短縮効果と同様であり、約1 日の短縮効果が指摘されている。 3)保税輸送の節税効果 港湾と内陸保税蔵置場までの保税運送の消費税が課税されない。 保税輸送の運送費については、消費税が免除されるため、5%の節減効果が見込まれる。 ・効果計算例 年間支払運賃額 消費税額 1,000 万円 50 万円(5%) 17 佐野インランドポート構想書 5 佐野インランドポートの需要の検討 ここでは、佐野インランドポート需要の基本となる我が国のコンテナ輸出入量の現状を再検討し、マク ロ推計結果の取扱量を参考にしつつ、荷主や船社のニーズに関するヒアリング結果を踏まえて、フルコン 5 佐野インランドポートの需要の検討 テナの効率化やコンテナ混載に関わる佐野インランドポートの需要の検討を行う。 (参考資料、ヒアリング調査結果及び需要予測、p.52 ~ 70 参照) ここでは、佐野インランドポート需要の基本となる我が国のコンテナ輸出入量の現状を再検討し、マ クロ推計結果の取扱量を参考にしつつ、荷主や船社のニーズに関するヒアリング結果を踏まえて、フル コンテナの効率化やコンテナ混載に関わる佐野インランドポートの需要の検討を行う。 (参考資料、ヒアリング調査結果及び需要予測、S~ 参照) (1)ヒアリング調査結果 (1)ヒアリング調査結果 1)輸出入関係者の利用ニーズ 1) 輸出入関係者の利用ニーズ 輸出入関係者のヒアリング結果を要約すると、下表のようになる。 輸出入関係者のヒアリング結果を要約すると、下表のようになる。 荷主は、コンテナの国内輸送コスト削減に資する仕組みづくりに強い関心があり、コンテナのラウ 荷主は、コンテナの国内輸送コスト削減に資する仕組みづくりに強い関心があり、コンテナの ンドユースを拡大するためのインランドポート機能への関心も高い。しかし、国際物流の業務に携わ ラウンドユースを拡大するためのインランドポート機能への関心も高い。しかし、国際物流の業 る関係者は多く、船会社別のコンテナの相互利用に関する制約をはじめ、個々の大手荷主では輸送効 務に携わる関係者は多く、船会社別のコンテナの相互利用に関する制約をはじめ、個々の大手荷 率化を進めることが難しく、全体最適化のための調整役が必要とされている。 主では輸送効率化を進めることが難しく、全体最適化のための調整役が必要とされている。 コンテナ輸送会社、フォワーダー等においては、荷主のコスト意識の高まり等による事業者同士の コンテナ輸送会社、フォワーダー等においては、荷主のコスト意識の高まり等による事業者同 競争環境の激化により、 コンテナラウンドユースへの関心を持つ企業が見られる。一方で、荷主、フォ 士の競争環境の激化により、コンテナラウンドユースへの関心を持つ企業が見られる。一方で、 ワーダー、コンテナ輸送会社といった重層的な請負構造の中で、実際に輸送効率化の必要性を感じて 荷主、フォワーダー、コンテナ輸送会社といった重層的な請負構造の中で、実際に輸送効率化の いるコンテナ輸送会社から荷主への効率化提案が難しいなどの問題も指摘される。 必要性を感じているコンテナ輸送会社から荷主への効率化提案が難しいなどの問題も指摘され しかし、荷主意向に対応して、船会社やコンテナ輸送会社、通関業者等が、協力してコンテナ輸送 る。 の効率化を進める動きも見られるようになっている。貨物の集約や共同配送等の輸送効率の向上を促 しかし、荷主意向に対応して、船会社やコンテナ輸送会社、通関業者等が、協力してコンテナ 進し、環境負荷を削減するために、このような、荷主と物流事業者の間の業際的な取組が必要とされ 輸送の効率化を進める動きも見られるようになっている。貨物の集約や共同配送等の輸送効率の ている。 向上を促進し、環境負荷を削減するために、このような、荷主と物流事業者の間の業際的な取組 が必要とされている。 関係者 荷主企業:大手 荷主企業:地元 船会社 コンテナ輸送会社 表 5.1.1. ヒアリング結果の総括表 表 ヒアリング結果の総括表 インランドポートの利用ニーズ ・輸出企業を中心にコンテナラウンドユースに対する強い需要がある。 ・他企業との調整にも積極的な荷主がいる。 ・コンテナ単位に荷がまとまらない。 ・輸出入貨物輸送の効率化に対する強い需要がある。 ・内陸でのコンテナ輸送管理に対しては、各社の経営方針によって異なり、 内陸のインランドデポ活用に積極的な船会社もある。 ・大手荷主のニーズに応じた輸送効率化には協力的である。 ・コンテナ輸送効率化のイニシアティブをとることはできない。 ・空コンテナの輸送実態については把握している。 ・環境負荷削減、港湾ゲート渋滞緩和への関心は強い。 フォワーダー ・コンテナ輸送効率化のイニシアティブをとることはできない。 ・国際コンテナ輸送関係者間の状況は把握している。 インランドデポ管理者 ・施設管理者として、コンテナ輸送効率化への直接関与は難しい。 ・近年の国際物流量の減少に伴って事業採算性は厳しい状況にある。 18 18 5 佐野インランドポートの需要の検討 2)コンテナラウンドユースの成立条件 関係者のヒアリングを踏まえると、コンテナのラウンドユースには以下のような条件が必要になる。 ・船会社の同意、同一船会社のコンテナの利用 ・コンテナサイズの整合性(20ft、40ft) ・コンテナ種別の整合性(ドライ、冷凍等) ・シャーシの整合性(20ft、40ft、二軸・三軸等) ・輸入コンテナを輸出に転用するための輸出との輸送量のバランス ・輸入と輸出で同一コンテナを利用するための適合性(傷、洗浄、油、におい、保冷等) ・複数荷主利用の場合のコンテナの管理責任の明確化 ・コンテナ輸送と工場搬出入、港湾搬出入のタイミング調整 ・タイミング調整用の空コンテナの保管期間の限界 ・コスト削減効果の確保(横持ち距離・時間) ・輸入コンテナ→輸出者工場への横持ち費用の負担配分ルール ・関係者間の調整、仲介者の存在が重要(輸入者、輸出者、輸出入で利用している船会社、 通関業者、コンテナ運送会社、ターミナル管理会社等) 3)佐野インランドポートの必要要件 コンテナのラウンドユースを実現するためには、以下のような機能・設備が必要となる。 ・コンテナの輸送状況や入出荷予定を把握し調整するための情報管理機能 ・空コンテナの保管機能 ・空コンテナや実入りコンテナを荷役するためのリフター機器 ・コンテナの修理機能 ・シャーシ等の保管機能 なお、シャトル輸送を可能にするには港湾側におけるターミナル機能も必要になる。また、コン テナ貨物の集配機能によるコンテナ混載や大型車輸送による港湾と内陸との輸送効率化のために は、以下のような機能・設備が必要となる。 ・集配のためのトラックターミナル機能 ・貨物保管、荷役、仕分、流通加工機能 ・保税機能 19 佐野インランドポート構想書 (2)佐野インランドポート需要のマクロ的検討 (2)佐野インランドポート需要のマクロ的検討 佐野インランドポートの需要量は、栃木県における既存のコンテナ利用量割合を基にした推計の結 佐野インランドポートの需要量は、栃木県における既存のコンテナ利用量割合を基にした推計の 果、インランドポートの利用率1%、5%、10%、20%、30%の5段階設定で、年間コンテナ取扱本数 結果、インランドポートの利用率1%、5%、10%、20%、30%の5段階設定で、年間コンテナ取 は、1千本(TEU)、6千本(TEU) 、11 千本(TEU) 、23 千本(TEU) 、34 千本(TEU)となる。既 扱本数は、1千本(TEU) 、6千本(TEU) 、11 千本(TEU) 、23 千本(TEU) 、34 千本(TEU) 存のインランドデポの利用量と後背地需要との関係を見ると、利用率 10%程度が見込まれる。しかし、 となる。既存のインランドデポの利用量と後背地需要との関係を見ると、利用率 10%程度が見込ま 社会経済条件が急速に変化しているので、ここでは、利用率の5段階の幅をもたせた推計結果にとどめ れる。しかし、社会経済条件が急速に変化しているので、ここでは、利用率の5段階の幅をもたせ る。詳細については、今後事業化にあたって詰めるべき事項である。 た推計結果にとどめる。詳細については今後事業化にあたって詰めるべき事項である。 この需要推計は、以下の前提条件で行っている。 この需要推計は、以下の前提条件で行っている。 ① 京浜港と栃木県との現状のコンテナ流動パターンを前提とし、将来の増加を見込んでいない。 ① 京浜港と栃木県との現状のコンテナ流動パターンを前提とし、将来の増加を見込んでいない。 ② 群馬県や栃木県北部の需要を除いたものであり、競合施設分は除いている。 ② 群馬県や栃木県北部の需要を除いたものであり、競合施設分は除いている。 ③ 既存のコンテナ取扱量をベースにしているので、自動車の完成車のように 既存のコンテナ取扱量をベースにしているので、自動車の完成車のように RORO 船(ロールオン ・ ③ RORO 船(ロール ロールオフ、完成車を自走で積卸できる船)を利用した輸送は除いている。 オン・ロールオフ、完成車を自走で積卸できる船)を利用した輸送は除いている。 ④ 自動車部品や電機、機械製品のように、栃木県下での輸出入需要の中心となる業種の需要に限定してお ④ 自動車部品や電機、機械製品のように、栃木県下での輸出入需要の中心となる業種の需要に限 り、食品や繊維・アパレル関係を除いている。 定しており、食品や繊維・アパレル関係を除いている。 図 5.1.1 需要推計結果 図 5.1.1 需要推計結果 1 港湾取扱量 現状・将来 東京港 横浜港 3,823万トン、340万本(TEU)平成21年 4,181万トン、256万本(TEU)平成21年 2 後背地集配需要 栃木県 後背地比率 栃木県43万本(TEU) 3 競合施設分担 23万本(TEU) 4 輸出入関連比率 11.5万本(TEU) 5 佐野 インランドポート 貨物需要量 東京港→栃木県(輸入)5.8%(4.5%)↑ 東京港←栃木県(輸出)7.4%(5.2%)↑ 横浜港→栃木県(輸入)6.8%(5.8%)↑ 横浜港←栃木県(輸出)5.3%(6.2%)↓ 平成20年と平成15年の比較(トンベース) 利用率 北関東自動車道沿道 需要分52.8% 自動車・機械製品関連 需要分50% 1%、5%、10%、20%、30% 0.1、0.6、1.1、2.3、3.4万本(TEU) 参考 所要面積 佐野 インランドポート 施設需要量 注:港湾取扱量は、(財)港湾近代化促進協議会、「外貨コンテナ貨物取扱量」、平成 22 年 7 月 1 日の数値、コンテナの栃 20 木県との流動比率は、国土交通省「平成 20 年、全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果」による。 20 5 佐野インランドポートの需要の検討 (3)佐野インランドポート需要のミクロ的検討 栃木県下の大手荷主に見る輸出入コンテナ本数は、輸入で家電を中心に年間 8,400 本もの空コンテナ が発生している工場がある一方で、輸出側で機械製品を中心に年間 1,200 本クラスの空コンテナを京浜 港から搬送し、実入りを輸出している工場が2件見られる。この3工場間だけでも、最大年間 2400 本 のコンテナについて、ラウンドユースの潜在的可能性がある。年間 240 日として1日平均 10 本に該当 する。 現状では、自社内の輸出入コンテナのラウンドユースが中心であり、一部、他社とのコンテナラウン ドユースを実施している。しかし、コンテナの船会社の違い、入出荷のタイミング、工場相互間輸送の 時間制約等の多様な制約の下で量的には拡大していない。 このように、船会社に対応したコンテナの提供、タイミング調整機能を担い、環境にやさしくコスト 削減に貢献できるコンテナのラウンドユースの促進のために、佐野インランドポートの整備が必要とさ れている。 (4)佐野インランドポートの環境負荷改善効果の検討 1)フルコンテナ輸送の効率化による環境負荷削減効果 佐野インランドポート整備に伴うフルコンテナ輸送の効率化支援を中心に、CO2 排出量に見る環 境負荷の削減効果を検討すると、輸入者と輸出者の場所とコンテナラウンドユースの利用経路によっ て異なるものの、佐野インランドポートを経由するラウンドユースの場合で 20%から 30%の改善が 見込まれ、東京港と佐野インランドポートのシャトル輸送を用いる方法の場合で 10% から 20%の改 善が見込まれる。 コンテナ2本の輸送の効率化に伴う CO2 排出量の改善量は、栃木と宇都宮の組合せの場合約 100kg であり、当該パターンがマクロ需要量の 1.1 万本の場合の CO2 排出量で 550 トン、3.4 万本の 場合で CO2 排出量 1.7 千トンの規模となる。また、栃木県下の3社のラウンドユース対象コンテナの 年間 2400 本で計算すると、120 トンの CO2 排出量削減効果となる。 2)コンテナ混載輸送の効率化による環境負荷削減効果 コンテナ混載輸送の効果は、佐野インランドポートと港湾間の輸送単位の大型化効果と積載率向上 効果の2種が考えられる。他方、佐野インランドポート利用時の集荷・配送分と既存の港湾との直送 分の差分は個々の施設分布と輸送量に依存するので、ここでは、佐野インランドポートと港湾間にお ける 10 トン車、積載率 40%と積載率 80%の条件差における CO2 排出量にみる環境負荷削減効果を 推計する。 混載需要量の輸出・輸入合計 112 千トンの輸送にあたって、佐野インランドポートと京浜港の間の 110km について推計すると、改善前 CO2 排出量 2,321 トン、改善後 CO2 排出量 1,323 トン、CO2 排 出量の削減量 997 トンとなり、43.0%の改善が見込まれる。 21 佐野インランドポート構想書 3)環境負荷削減効果の関係者間配分 環境負荷の関係者間の配分にあたっては、荷主に帰属するトンキロ又はコンテナ本数比率といった 指標で配分し、荷主と物流事業者間については単純な 50:50 といった配分方法、物流事業者相互間 については、その売上高比率で配分するといった手法を検討する必要があると考えられる。 環境負荷の低減は、改正省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)に基づく省エネ努力と して荷主、運送事業者に貢献できると共に、小売業の場合は商品のカーボンフットプリント表示にお ける排ガス量の削減にも反映することができる。 22 6 事業化計画の検討 6 事業化計画の検討 (1)機能及び施設構成の検討 1)佐野インランドポートの基本機能と所要施設 ここでは、佐野インランドポートの基本機能を、対応する所要施設・設備機器として整理する。 (1)フルコンテナ輸送の効率化機能に対応した施設・設備 フルコンテナ輸送の効率化機能は、以下のような施設からなる。 ・空コンテナの蔵置場(バンプール) ・シャーシ蔵置場(シャーシプール): 実入りコンテナ、空コンテナの中継機能を果たすためのシャーシ蔵置場及びオンシャーシ蔵置 場(シャーシプール)、コンテナ修理施設 ・荷役機器: バンプールにおけるコンテナを段積みするため荷役用のリフター等の機器 ・冷凍コンテナ用の給電機器 ・情報システム機器 (2)コンテナ混載輸送の支援機能に対応した施設・設備 コンテナ混載輸送の支援機能は、以下のような施設からなる。 ・コンテナフレートステーション棟: トラックと海上コンテナ間又はトラックとトラック間の積換ヤード・バース、小口貨物を混載 して、コンテナ貨物に仕立てる荷役スペース、流通保管倉庫、燻蒸施設、冷蔵倉庫等 ・構内作業用荷役機器 ・情報システム機器 (3)保税機能に対応した施設・設備 ・保税蔵置場、保税倉庫 ・保安用のフェンス、監視施設、出入管理施設 (4)港湾機能に対応した施設・設備 佐野インランドポートでは、物流事業者、通関業者、フォワーダー等の輸出入関連付帯サービス 事業者のための事務所棟が必要である。こういった事務所棟では、船積スペースの予約、入出港情 報、コンテナ貨物情報、在庫管理情報等の情報サービス機能、検量、検才、検数の実施、船積書類 の作成等、港湾における船積手続の大半を処理する機能、輸出入貨物をターミナル内保税施設にお いて通関する業務等が行われる。 ・利用事業者用事務所棟 23 佐野インランドポート構想書 (5)管理機能 以上の機能を確保するため、以下のような共通管理施設が必要である。 ・管理事務所 2)関連施設規模の検討 バンプールやシャーシプールの所要面積は、コンテナ取扱量とその手法によって設定することにな るが、その他の施設については、今後の詳細検討を必要とするので、ここでは、既存のインランドデ ポの施設規模事例を踏まえ、港湾整備計画に見られる諸元も参考にしつつ、佐野インランドポートの 機能別に必要となる施設・設備及び所要規模を例示する。 (1)CFS の形状 コンテナ1個に満たさない小口貨物(LCL: Less than Container Load)については、輸出の場 合には特定の場所に集積して仕向地別の仕分けを行ってコンテナへ詰合せを行う。また、輸入の場 合には、混載貨物をコンテナから取出して仕向地ごとに仕分して荷受人に引き渡さねばならない。 この作業を行う場所がコンテナフレートステーション(Container Fright Station)である。通常、 通関業務もここで行われる。通関業務は当然 LCL を含むが、FCL(Full Container Load、フルコ ンテナ)も未通関のものは、ここで通関が行われることになる。構造的にはコンテナヤードと異なり、 一般貨物の詰込み、取出し及び保管を行わねばならないため、屋根で覆われている(低床式、高床式)。 通常の場合、ルーズ貨物の入口(トラックや貨車が到着するサイド)とコンテナの入口は別々に なっており、コンテナフレートステーションを間に対向の形になっていることが多い。 (資料: 「港湾計画概論」井上春男・泉信也・石渡友夫編著、全建技術シリーズ〈第 26 巻〉1999 年) (2)ゲート コンテナがコンテナターミナルに出入する際に必要な書類の授受、コンテナの異常有無の点検、 コンテナ重量の測定等のために、コンテナヤードゲートが設けられており、空コンテナは損傷につ いて、実入りコンテナは更に重量及び内容について検査される。ゲートの検査所では、通路の一部 が秤になっており、これをウェイングブリッジ(weighing bridge)という。 コンテナを積んだトレーラは、ここでトレーラ毎に重量が計測されコンテナの重量が算出される。 同時に、コンテナの外側の損傷及び内容がチェックされる。コンテナがゲートに入るとコンテナ貨 物搬入票を提出し、それは直ちにコントロールセンターに送られる。 なお、ゲートの出入に際して、ターミナルオペレーターと荷送人又は荷受取人は、機器受渡書を 交して責任の限界を明確にする。また、セキュリティ確保上の必要性もあり、入退出管理施設、柵 や監視カメラの設置も必要である。 24 6 事業化計画の検討 表 6.1.1 既存のインランドデポの施設構成例(1/2) 表 6.1.1 既存のインランドデポの施設構成例(1/2) 項目 名称 OICT UICT TICT 太田国際貨物ターミナル 宇都宮国際貨物ターミナル つくば国際貨物ターミナル 37,000 ㎡ 56,985 ㎡ 27,771 ㎡ 敷地面積 (保税エリア 施設構成 6,151 ㎡) 1)バンプール(重舗装) 4,191 ㎡ (保税エリア 10,286 ㎡) 1)コンテナヤード CY 2) 倉庫 1,500 ㎡ 6,160 ㎡ (合計 16,422 ㎡) 1)保税蔵置場 2)倉庫(7 棟) 第1倉庫 (保税エリア 46,706 ㎡) 屋外 10,902 ㎡ 屋内 5,520 ㎡ 2)施設概要 (保税蔵置場) CFS(2F) (コンテナホーム: 航空貨物上屋 1,810 ㎡(2F) 事務棟(2F) ドックレベラー3基) 一般倉庫 上屋棟(一部 2F) 延 6,500 ㎡ 併設 荷捌場 900 ㎡ 併設第3倉庫 100 ㎡ 第2倉庫 14,849 ㎡ 29,757 ㎡(2F4 棟) 危険物貯蔵所 290 ㎡(2 棟) (保税蔵置場 屋内3棟、危険物含む (コンテナホーム: 2,405 ㎡ 危険物倉庫 100 ㎡ 3) 管理事務所 屋外5カ所 992 ㎡ 事務所 I 第2 565 ㎡ 事務所 II 3)設備機器 延 1,500 ㎡ スプレッダーフォーク(37 ㌧) 7,881 ㎡) 1台 フォークリフト(1.5~5.0 ㌧) 1,720 ㎡) 第1(2F) 延 1,993 ㎡ (流通加工業務用) 3)事務所棟(2 棟) (合計 27,771 ㎡ 空調上屋スペース 3,300 ㎡ ドックレベラー1基) 用地 8台 1,300 ㎡(2F) 検量機器 420 ㎡(2F) 4)高床ホーム コンテナ積卸用 海上コンテナ接続本数 180m 60 本 5)荷役機器 フォークリフト 45 台 垂直搬送機 13 基 荷物用エレベーター 6) 3基 駐車場 普通乗用車 70 台 25 25 佐野インランドポート構想書 表 6.1.2 既存のインランドデポの施設構成例(2/2) 表 6.1.2 既存のインランドデポの施設構成例(2/2) 項目 浜松 名称 浜松内陸コンテナ基地 敷地面積 施設構成 32,921 ㎡ 1)コンテナヤード(重舗装) CFS の概要 11,880 ㎡(一部軽舗装) 2)CFS 等 CFS1号棟 9,306 ㎡ CFS2号棟 1,827 ㎡ CFS 管理棟(2F)220 ㎡ くん蒸棟 70 ㎡ (輸出貨物の包装用木材等の 検疫、くん蒸) 作業員詰所(2F)448 ㎡ トラックチェックブース 12 ㎡ 3)関連施設 トラックスケール(3×15) 1台(秤量 50 ㌧) 照明塔 4基(120 ルックス) 冷凍コンセント 変電設備等 6 カ所 一式 26 26 6 事業化計画の検討 3)佐野インランドポート施設規模の検討 3)佐野インランドポートの施設規模の検討 (1)コンテナヤードの所要面積 (1)コンテナヤードの所要面積 バンプールやシャーシプールの所要面積は、コンテナ取扱量とその取扱方法によって異なる。 バンプールやシャーシプールの所要面積は、コンテナ取扱量とその取扱方法によって異なる。 佐野インランドポートでは、フルコンテナのラウンドユースを推進するため、臨海部では確保で 佐野インランドポートでは、フルコンテナのラウンドユースを推進するため、臨海部では確保 きないシャーシプールを確保でき、その迅速かつ円滑な仮置き、中継、輸送が可能になる施設が必 できないシャーシプールを確保でき、その迅速かつ円滑な仮置き、中継、輸送が可能になる施設 要となる。また、今後、ダブルストレーラの利用を可能にする場合には、コンテナの取り回しに必 が必要となる。また、今後、ダブルストレーラの利用を可能にする場合には、コンテナの取り回 要な構内条件を整備しておく必要がある。 しに必要な構内条件を整備しておく必要がある。 ここでは、10%利用率の数値を前提に検討する。 ここでは、10%利用率の数値を前提に検討する。 コンテナの取扱本数は、20 フィートコンテナ換算で年間 11,000 本が予測されている。 コンテナの取扱本数は 20 フィートコンテナ換算で年間 11,000 本が予測されている。 当該本数は、輸入又は輸出いずれかの輸送本数を基本とした数量である。コンテナラウンドユー 当該本数は、輸入又は輸出いずれかの輸送本数を基本とした数量である。コンテナラウンドユ スの場合には、輸入の場合には空コンテナの港湾への返送、輸出の場合には空コンテナの調達が必 ースの場合には、輸入の場合には空コンテナの港湾への返送、輸出の場合には空コンテナの調達 要となるので、両者のマッチングを行う佐野インランドポートでは、倍の 22,000 本近くのコンテ が必要となるので、両者のマッチングを行うインランドポートでは、倍の 22,000 本近くのコンテ ナやシャーシのスペースが必要になる。 ナやシャーシのスペースが必要になる。 また、コンテナの1日平均の取扱量は、年間の回転数に依存する。コンテナのラウンドユースで また、コンテナの1日平均の取扱量は、年間の回転数に依存する。コンテナのラウンドユース は、輸出と輸入の中継が中心となるため、内陸への蔵置期間の制約も考慮すると5日程度になると では、輸出と輸入の中継が中心となるため、内陸への蔵置期間の制約も考慮すると5日程度にな 考えられる。年 365 日÷ 5 日=年 73 回転で設定すると、22,000 本の1日あたりの蔵置本数は、約 ると考えられる。年 365 日÷5 日=年 73 回転で設定すると、22,000 本の1日あたりの蔵置本数 300 本となる。オンシャーシ蔵置の場合も空コンテナの場合も同様に考える。 は、約 300 本となる。オンシャーシ蔵置の場合も空コンテナの場合も同様に考える。 コンテナ1本の所要面積は、20 フィートコンテナの場合で操車のためのスペースを考慮して、 コンテナ1本の所要面積は、20 フィートコンテナの場合で操車のためのスペースを考慮して、 通常は、下図のように1本あたり約 40㎡を設定する。40 フィートの場合にはこの倍の約 80㎡が必 通常は、下図のように1本あたり約 40 ㎡を設定する。40 フィートの場合にはこの倍の約 80 ㎡が 要となる。 必要となる。 図 6.1.1 20 フィートコンテナの占有面積 図 6.1.1 20 フィートコンテナの占有面積 27 27 佐野インランドポート構想書 このため、占有面積として 300 本×40 ㎡=12,000 ㎡が必要となる。 このため、占有面積として 300 本× 40㎡= 12,000㎡が必要となる。 コンテナの蔵置場では、空コンテナでは3段積み、実入りコンテナでは2段積みが一般的なの コンテナの蔵置場では、空コンテナでは3段積み、実入りコンテナでは2段積みが一般的なので、 で、専有面積としては、3分の1か2分の1となる。仮に、シャーシプールと空コンテナ蔵置の 専有面積としては、3分の1か2分の1となる。仮に、シャーシプールと空コンテナ蔵置の取扱量 取扱量を半々だとすると、シャーシプール、6,000 ㎡、バンプール約 3,000 ㎡の合計 9,000 ㎡とな を半々だとすると、シャーシプール 6,000㎡、バンプール約 3,000㎡の合計 9,000㎡となる。 る。 他方、セミトレーラの車両軌跡は下図のようになっており、コンテナの出し入れを円滑に行うた 他方、セミトレーラの車両軌跡は下図のようになっており、コンテナの出し入れを円滑に行う めには、操車・通路面積を十分に確保する必要がある。また、将来ダブルストレーラの利用等を予 ためには、操車・通路面積を十分に確保する必要がある。また、将来ダブルストレーラの利用等 定する場合には、連結・解除スペースをより広く確保しておく必要がある。 を予定する場合には、連結・解除スペースをより広く確保しておく必要がある。 図 6.1.2 セミトレーラの車両軌跡図 図 6.1.2 セミトレーラの車両軌跡図 資料:日野自動車 機動性の高いシャーシプール機能を確保するためには、欧米のシャーシプール型のターミナル 機動性の高いシャーシプール機能を確保するためには、欧米のシャーシプール型のターミナル事 事例に見られるように、オンシャーシコンテナの着脱や操車用のスペースが必要となる。また、 例に見られるように、オンシャーシコンテナの着脱や操車用のスペースが必要となる。また、将来 将来のダブルストレーラやトリプルトレーラの利用を予定する場合には同様にヤード面積に余裕 のダブルストレーラやトリプルトレーラの利用を予定する場合には、同様にヤード面積に余裕幅を 幅を持たせる必要がある。このため、蔵置スペースの 9,000 ㎡に加えて、特に 6,000 ㎡のシャー 持たせる必要がある。このため、蔵置スペースの 9,000㎡に加えて、特に 6,000㎡のシャーシプール シプールにおける操車用の面積として通行路等の余裕幅も含めて 12,000 ㎡とし、コンテナヤード における操車用の面積として通行路等の余裕幅も含めて 12,000㎡とし、コンテナヤード及びシャー 及びシャーシプールの合計敷地面積として 21,000 ㎡を設定する。 シプールの合計敷地面積として 21,000㎡を設定する。 なお、コンテナヤードやシャーシプールでは、重量車両に利用されるため、通常、重舗装が施 なお、コンテナヤードやシャーシプールでは、重量車両に利用されるため、通常、重舗装が施さ れる。 される。 (2)CFS、倉庫、その他の施設用地 CFS、倉庫、その他の施設用地は、コンテナの蔵置面積や操車場面積とは別に必要となる。太田、 宇都宮、筑波、浜松の既存インランドデポを見ると、表 6.1.1 及び表 6.1.2 に見られるように CFS、 28 各種倉庫をはじめコンテナ取扱関連施設が配置されている。既存施設の取扱量は、佐野インランド ポートとほぼ同様の水準であることを考慮し、各種関連施設をフルに備えた場合を想定して、ここ 28 6 事業化計画の検討 では、概ね以下のような施設規模を設定する。 ① CFS の敷地面積 12,000㎡ ② 倉庫の敷地面積 12,000㎡ (保税施設、保管施設、仕分・流通加工設備、冷蔵倉庫等) ③ コンテナ洗浄・整備場 1,000㎡ ④管理施設 1,000㎡ (輸出入振興用の簡易展示・見学、会議室を含む) ⑤その他施設関連 1,000㎡ (作業員詰所 500㎡、燻蒸棟 100㎡、トラックチェック、乗用車駐車場等) ⑥関連設備 トラックスケール、照明塔、冷凍コンセント、発電・変電設備等 (3)全体構成 コンテナヤード及び関連施設の敷地面積合計は、以上のように約 48,000㎡規模となる。 施設配置イメージは下図のとおりである。 なお、下図のイメージ図は、既存の一般道路アクセスを中心とした配置としており、CFS や倉 庫群をトレーラ以外のトラックの出入りが多いと考えられる一般道路側に配置している。今後、高 速道路との連結施設が加わる場合のアクセスは、線形上、コンテナヤード部分に接続することにな ると考えられるので、下図ではゲート位置を2カ所設定している。 6.1.3 施設構成平面図(例) 図図 6.1.3 施設構成平面図(例) ゲート 倉庫施設 240m 管理棟 関連 設備 コンテナフレートステーション (CFS) 倉庫施設 関連 設備 200m バンプール シャーシプール ゲート 高速 道路 アクセス 29 佐野インランドポート構想書 図 6.1.4 施設構成イメージ(例) 図 6.1.4 施設構成イメージ(例) 図 6.1.4 施設構成イメージ(例) 図 6.1.5 施設構成将来イメージ(例) 高速道路アクセスが加わった場合 図 6.1.5 施設構成将来イメージ(例) 図 6.1.5 施設構成将来イメージ(例) 高速道路アクセスが加わった場合 高速道路アクセスが加わった場合 31 30 31 6 事業化計画の検討 (2)事業主体の検討 1)事業主体の性格 佐野インランドポートには、以下のように基盤整備、施設管理、運営主体の3種類の事業主体が考 えられる。 ① 基盤整備に関する事業主体 ・基盤整備に関する事業主体は、一般に建設、不動産関係の宅地開発業者が中心となる場合が多い。 ただし、関連する道路等の公共施設整備が必要となる場合がある。 ・用地取得の方法は、用地買収、賃貸、定期借地権方式等が考えられる。今後の社会経済動向を見 極めつつ、あらゆる方法を検討する必要がある。 ・一団地の宅地開発に必要な関連公益施設整備やアクセス道路等の費用負担を含む宅地開発事業と しての事業収支の確保が必要となる。 ②施設管理主体 ・既存のインランドデポの事業主体は、施設管理主体である場合が一般的である。 ・事務所施設の利用事業者への賃貸収入とインランドポートの利用料収入を基本的な収入源とし、 管理者の人件費のほか各種賃貸料を負担して事業を運営する。 ③コンテナ管理や保税機能の運営主体 ・実際にコンテナ輸送業者や通関業者、フォワーダー、船会社等の国際物流関係者の直接の利用者 との調整、管理、運営を行う事業主体である。 31 佐野インランドポート構想書 2)既存のインランドデポの事業主体 2)既存のインランドデポの事業主体 既存のインランドデポの事業主体は、いずれも施設の運営管理主体である。太田の OICT は、市 既存のインランドデポの事業主体は、いずれも施設の運営管理主体である。太田の OICT は市が が事業主体として主導的に関わっている。宇都宮の UICT は、民間企業による協同組合方式の設立 事業主体として主導的に関わっている。宇都宮の UICT は、民間企業による協同組合方式の設立運 運営となっている。 営となっている。 表 6.2.1 既存のインランドデポの事業主体 表 6.2.1 既存のインランドデポの事業主体 項目 OICT UICT TICT 名称 太田国際貨物ターミナル 宇都宮国際貨物ターミナル つくば国際貨物ターミナル 設立時期、面積 2002 年設立、3.7ha 1989 年設立、5.7ha 1992 年設立、2.8ha 事業主体 代表取締役会長 宇都宮国際貨物流通事業協同組 つくば国際貨物ターミナル 太田市長 合 1 億 4,240 万円 出資金 7,100 万円 出資者 7 社 資本金 出資構成 太田市(25%)、太田商工会 21.3%、県公社( (財) 茨城県開発公社)10.6%、つくば その他法人(64%) 市 73 名(地元大手メーカ及び運 参加企業等 送事業者、通関業者、取扱業者) 和倉庫、 (株)久和物流、 (株)久 参加企業:久和グループ( (株)久 和梱包、 (株)久和、 (有)三村商 事) 、日祥運輸倉庫(株) 、郵船ロ ジスティクス北関東(株)、近鉄 エクスプレス(KWE)、(株)セキ ザワ(輸入商品卸販売)等 1994 年 事前調査、太田税関派 出所誘致促進協議会設立 用地及び建設に係る整備費 用について、群馬県及び太田市 が資金提供 1997 年 施設完成、施設運営の ため株式会社太田国際貨物タ ーミナル設立 33 32 茨城県 議所(7%) 、金融機関(4%) 、 株主、 設立経緯 2 億 8,200 万円 7.1%、その他法人 61% 6 事業化計画の検討 3)佐野インランドポートの事業主体の検討 3)佐野インランドポートの事業主体の検討 ①事業化における官民の役割 ①事業化における官民の役割 インランドポート整備に必要な要件と官民関係者の役割を整理すると、下表のようにまとめる インランドポート整備に必要な要件と官民関係者の役割を整理すると下表のようにまとめるこ ことができる。 とができる。 表 6.2.2 インランドポート整備における関係者の主な役割分担 表 6.2.2 インランドポート整備における関係者の主な役割分担 事業内容 1)施設基盤整備 行政等 ・土地利用調整 施設管理者 ・施設計画策定 物流事業者 ・利用条件提示 (設備機器等) ・関係機関協議 ・税制優遇等支援措置 2)関連公共施設整備 ・関連公共施設整備 ・所要の費用負担 ・関係機関協議 3)施設運営管理 ・地域活性化関連事業 の誘導・指導等 ・利用ニーズ提示 (交通利便性) ・施設管理 ・利用料負担 ・事業運営 ・荷役機器管理・操作 等一部運営支援 ・税制優遇等支援措置 (業務受託) 4)市場開拓 ・地域活性化支援 ・営業活動 ・輸出入促進 (立地促進) (利用促進) 同表の「行政等」は、国、県、市及び港湾管理者等に分けられ、所管権限・機能に応じて役割 同表の「行政等」は、国、県、市及び港湾管理者等に分けられ、所管権限・機能に応じて役割 が異なり、以下のような分担・連携が期待される。 が異なり、以下のような分担・連携が期待される。 A)国 A)国 ・基盤整備に関わる補助の検討 ・基盤整備に関わる補助の検討 ・インランドポートに関連する国際コンテナ戦略港湾の機能整備に関わる支援措置の検討 ・インランドポートに関連する国際コンテナ戦略港湾の機能整備に関わる支援措置の検討 ・港湾管理者、県、市相互間の連携支援の検討 ・港湾管理者、県、市相互間の連携支援の検討 ・保税措置、大型車通行許可制度等の規制緩和事項等の検討 ・保税措置、大型車通行許可制度等の規制緩和事項等の検討 B)栃木県 B)栃木県 ・土地利用との調和、基盤整備上の関係機関協議の検討 ・土地利用との調和、基盤整備上の関係機関協議の検討 ・地域活性化、産業立地政策上の調整等の検討 ・地域活性化、産業立地政策上の調整等の検討 ・輸出入振興、関連サービスの集積促進の検討 ・輸出入振興、関連サービスの集積促進の検討 ・立地、利用上の優遇、支援措置の検討 ・立地、利用上の優遇、支援措置の検討 ・群馬県、茨城県をはじめ関係都県との連携協議の検討 ・群馬県、茨城県をはじめ関係都県との連携協議の検討 34 33 佐野インランドポート構想書 C)佐野市 ・基盤整備の必要性の検討 ・北関東自動車道等の高速道路網を活かした地域産業の活性化支援措置の検討 ・地域中小企業の輸出入業務の支援、促進の検討 ・立地優遇、税制面の支援措置の検討 ・施設管理者と関係機関との協議、調整事項の仲介機能の検討 D)港湾管理者等 ・コンテナ輸送を効率化した環境にやさしい輸送機能実現のための荷主、物流事業者、施設管理 者間連携支援の検討 ・京浜港利用促進、広域集荷に関わる支援の検討 なお、行政の関与を確保する一般的手法としては、各種支援措置に伴う許認可や監督権限を活用 した指導育成による手法と、経営権を確保し直接的に意思決定に参加するための所要比率の出資(株 式取得)による手法が考えられる。具体的な支援方法や行政の関与方法については、今後の詳細検 討が必要になると考えられる。 34 6 事業化計画の検討 (3)事業化にあたっての留意点 1)土地利用調整上の考慮 当地は市街化調整区域であることから、当該事業の実施にあたっては土地利用調整の見込につい て十分検討する必要がある。併せて、県土地利用基本計画や国土利用計画佐野市計画等、県や市の 土地利用関連計画との整合性を十分に図っておく必要がある。 当該事業計画の遂行に伴う周辺土地利用への影響に十分配慮した土地利用計画を検討する必要が ある。特に、事業予定地の一級河川彦間川を挟んだ左岸側(山形町側)については、都市計画区域 外となっており無秩序な開発への懸念に対する検討を十分行う必要がある。 当該事業地での事業実施に必要な個別規制法や処分(許認可)等を十分確認し、調整を図る必要 がある。(例:都市計画法、農振法、農地法、森林法、河川法、鉱山保安法等) 2)保税蔵置場認可 保税蔵置場の認可要件として、以下の点を十分考慮しておく必要がある。 ・申請者及び役員等に関税法違反歴等がないこと ・申請者が、許可手数料や貨物の亡失等の際に課せられる関税等の経済的負担に耐えうる十分 な資金力を有すること 例 許可面積 7 万㎡以上 許可手数料 月額 164,900 円 ・保税業務に関する十分な専門知識を有すること ・申請場所が税関官署から適切な距離帯内にあること ・保税地域の許可は、営業の許可を意味しないこと ・申請にあたっては、具体的な荷主からの貨物の寄託要請があることが前提になること ・保税業務を担当する職員複数人を選任する必要があること ・コンプライアンスの確保のため、社内管理規程の整備が求められること ・輸出入貨物の具体的な物流形態を把握しておく必要があること ・保税蔵置場所は、他の場所とフェンス等で明確に区分されている必要があること ・保税蔵置場所は、外国貨物の適正な保全を図るため、出入り規制や防犯措置が必要であること 3)高速道路利便性の活用 高速道路に近接している利便性を高めるためには、スマート IC(高速道路連結施設)の整備を 進める必要がある。この連結許可を得るためには、公共施設との連結に必要な事業主体の健全性、 継続性が強く求められる。 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の「高速道路利便施設の連結実施要領」があり、 同要領は、高速自動車国道又は自動車専用道路(以下「高速道路」という。)との連結について、 その許可手続き、審査基準及び連結料の算定方法等を定めたものであり、独立行政法人日本高速道 路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)が保有する高速道路との連結について適用するも 35 佐野インランドポート構想書 のである。 平成 17 年 10 月 1 日に施行された「日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関す る法律」(平成 16 年法律第 101 号)により、道路法(昭和 27 年法律第 180 号)及び高速自動車国 道法(昭和 32 年法律第 79 号)の一部が改正され、高速道路に連結することができる施設について の規定が拡充された。これにより、①道路法上の道路等、②休憩所、給油所、商業施設、レクリエー ション施設等(以下「利便施設等」という。)及び③ 利便施設等と高速道路を連絡する通路等(以 下「通路等」という。)が連結の対象施設として規定されている。 この制度は、民間事業者等(以下「事業者」という。)が設置する利便施設等又は通路等(以下 「高速道路利便施設」という。)と高速道路を直接結ぶことを可能としたものであり、高速道路を活 用した多様な事業の推進を目的としている。 事業形態としては、高速道路から当該施設を介して、一般道路への車両の出入りが可能か否かに より、「開放型」と「閉鎖型」の 2 種類に分類される。 高速自動車国道における高速道路利便施設の連結手続は、下図のとおりであり、国土交通省は、 技術的な基準等による審査を行い、地域経済への影響、まちづくり、環境の保全等の観点から、申 し出に係る高速道路利便施設の所在する地方公共団体の意見を聴取することとなっている。また、 連結期間は、連結許可の日から 10 年以内とし、10 年を超える場合は、10 年毎に更新するものとなっ ている。 なお、閉鎖型施設の場合には、機構は連結許可を受けた事業者から連結料を徴収する。 36 6 事業化計画の検討 図 6.3.1 高速道路利便施設の連結手続フロー 図 6.3.1 高速道路利便施設の連結手続フロー 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の「高速道路利便施設の連結実施要領」 38 37 佐野インランドポート構想書 4)コンテナ輸送効率化促進機能の確保 京浜港利用国際コンテナの内陸工場との輸送効率化を促進するためには、荷主、船社、コンテナ 輸送会社等の関係者間の協議調整機能が極めて重要になる。 このため、下記のような機能を確保できるようにしておく必要がある。 ・コンテナラウンドユースのための荷主、事業者間連携機能の整備 ・輸入企業と輸出企業間の協議、連携の場の確保 ・輸入コンテナの輸出コンテナへの転用に伴う管理、責任分担規定の整備 ・コンテナ輸送状況モニタリングシステムの整備によるマッチング可能貨物、コンテナの検索 ・トラクタ、シャーシ、運転者の運行可能条件の確認、調整 5)地元需要の確保 地元需要の確保にあたっては、佐野田沼インター周辺開発、岩崎産業団地開発、栃木未来基地と ちぎ中央(みぶ羽生田産業団地) 、惣社東産業団地等の北関東自動車道沿道地域において、今後見 込まれる産業立地に伴う輸出入需要を取り込む必要がある。 6)推進協議体制の整備 本構想の実現にあたっては、多様な関係者との協議が必要であり、市庁舎内に戦略チームを設け ると共に、民間企業の意向聴取等や事業化に必要な関係機関協議を進める必要がある。 ・利用する港湾、空港:当面、京浜港の後背地としての活用を中心に検討 ・他のインランドデポとの関係の明確化:北関東の既存のインランドデポとの連携方法の検討 ・候補地選定に伴う道路整備状況等の検討 ・安定的な貨物の確保:大手荷主の確保、中小荷主貨物の集約方法の検討 ・出資者の確保:国、県、民間企業等の検討 ・用地代、初期投資の圧縮:用地取得方法の検討 ・業務関連許可の取得:保税蔵置場、第一種利用運送事業、倉庫業等の検討 ・稼動曜日と稼動時間帯の設定:荷主ニーズの検討 38 6 事業化計画の検討 (4)整備スケジュール (4)整備スケジュール(案) 佐野インランドポートの整備スケジュールは、概ね下表のようになると考えられる。 佐野インランドポートの整備スケジュールは、概ね下表のようになると考えられる。 表 6.4.1 事業化スケジュール 表 6.4.1 事業化スケジュール(案) 初年度 第二年度 第三年度 第四年度 第五年度 設計協議等 施設整備 供用開始 ◎ 1)事業着手前の検討事項 整備にあたっては、 (3)事業化にあたっての留意点に記載しているように、土地利用、都市施設整備 1)事業着手前の検討事項 関係をはじめ、保税蔵置場認可、高速道路との連結施設整備、コンテナ輸送効率化のための仕組みづく 整備にあたっては、(3)事業化にあたっての留意点に記載しているように、土地利用、都市施 りや地元需要確保のための産業団地整備との連携等、多くの懸案事項を十分に検討する必要がある。 設整備関係をはじめ、保税蔵置場認可、高速道路との連結施設整備、コンテナ輸送効率化のための このほか、競合施設との役割分担の検討や需要変化への対応をはじめ、以下のような点を検討する必 仕組みづくりや地元需要確保のための産業団地整備との連携等、多くの懸案事項を十分に検討する 要がある。 必要がある。 ・事業計画・設計: 敷地面積、土地利用、施設配置、概算整備費用等事業採算性の検討 このほか、競合施設との役割分担の検討や需要変化への対応をはじめ、以下のような点を検討す ・用地取得、賃貸条件等の用地利用条件の検討 る必要がある。 ・事業参加企業の応募:国際物流関係企業による出資可能性の打診 ・事業計画、設計:敷地面積、土地利用、施設配置、概算整備費用等事業採算性の検討 ・用地取得、賃貸条件等の用地利用条件の検討 2)事業着手後の検討事項 ・事業参加企業の応募:国際物流関係企業による出資可能性の打診 事業着手後の検討事項としては、以下の点に留意する必要があると考えられる。 ・事業収支確保のための利用増・安定的な貨物の確保 ・中小荷主による混載事業展開 2)事業着手後の検討事項 ・港湾側ターミナル整備事業との連携 事業着手後の検討事項としては、以下の点に留意する必要があると考えられる。 ・事業収支確保のための利用増、安定的な貨物の確保 ・中小荷主による混載事業の展開 ・港湾側ターミナル整備事業との連携 40 39 佐野インランドポート構想書 (5)支援措置の検討 佐野インランドポートに適用可能な国の支援措置として、港湾機能高度化施設整備事業費補助金及び 物流総合効率化法による支援が考えられる。 以下にその概要を紹介する。 1)港湾機能高度化施設整備事業費補助金 ①目的 この補助金は、港湾法第2条第5項に掲げる港湾施設の機能の高度化を図るために必要となる施 設について、地方公共団体又は民間事業者が実施する事業に要する経費の一部を国が補助するこ とにより、港湾の国際競争力の強化、物流の効率化、循環型社会の構築、港湾の保安、安全の向上、 観光立国の実現を図ることを目的とする。 ②対象事業 対象事業は、港湾機能の高度化を図ることを目的として行う施設の整備に係る事業で、関係港湾 管理者が、地方公共団体又は民間事業者が当該施設の整備の促進を図る必要があるもの。 ③交付の対象等 ・地方公共団体、地方公共団体の出資若しくは拠出に係る法人又は港湾法により港湾管理者の認定 を受けた者が行う事業※のうち、次項に掲げる経費について、事業者に対して補助金を交付する。 ・本工事費、附帯設備費、附帯工事費、測量設計費、用地費及補償費、事務費とする。ただし、事 務費は、補助対象施設の整備に直接要する経費に限ることとし、事業費に 2.5 %を乗じて得た額 以内とする。 ・補助金の額は、保安・安全向上施設について、対象経費の 1/2 以内、観光交流支援基盤施設につ いて、対象経費の 4/10 以内、その他の施設について、対象経費の 1/3 以内とする。 ※補助金の交付対象となる事業の1つに「貨物積替円滑化支援施設」がある。 貨物積替円滑化支援施設とは・・・ 1.国際戦略港湾、国際拠点港湾又は重要港湾における国際コンテナ又は国際シャーシ輸送に係る小 口貨物等の積替円滑化を支援するために、貨物の積替、コンテナ又はシャーシの蔵置を行うための 施設の整備に関する事業 2.国際戦略港湾、国際拠点港湾又は重要港湾において港湾と鉄道輸送との連携を促進するために、 コンテナターミナルから移送するコンテナを鉄道に積替えるための施設の整備に関する事業 3.指定港湾(輸入コンテナ貨物を1年間あたり 70 万TEU以上取り扱う見込みのある港湾に限る。) において速やかに輸送する貨物を円滑に搬出・積替するために、コンテナを立体的に蔵置する施設 の整備に関する事業 40 6 事業化計画の検討 4.国際戦略港湾、国際拠点港湾又は重要港湾において臨海部産業エリア(産業物流を効率化するた め、埠頭とその近傍において港湾管理者が定める区域)におけるバルク貨物の輸送を効率化するた めに、貨物を能率的に荷さばきするための施設の整備に関する事業(港湾法第 54 条の3第2項に より港湾管理者の認定を受けた者の行う事業で、水深 14 m以上の係留施設に係る臨海部産業エリ アに設置するものに限る。) 2)物流総合効率化法 ①法律の概要 「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」が平成 17 年 10 月に 施行された。物流を総合的かつ効率的に実施することにより、物流コストの削減や環境負荷の低 減等を図る事業に対して、その計画の認定、関連支援措置等を定めた法律である。 ②主な認定基準 ・基本方針に照らして適切なものであること ○輸送・保管・荷さばき・流通加工を総合的に実施するものか ○輸送網の集約・輸配送の共同化・積載率の向上等により効率化を図るものか ○環境負荷の低減が図られるものか 等 ・流通業務総合効率化事業を確実に遂行できるものであること ○計画の目標達成に十分な設備等が導入されているか ○所要資金の調達に十分な見通しがついているか 等 ・特定流通業務施設が基準に適合すること ○立地要件:高速自動車国道のIC等、周辺5㎞の区域内 ○設備要件:データ交換システム、垂直型連続運搬装置、流通加工用設備 等 ○規模要件:普通倉庫の場合は平屋 1,500㎡・多階 3,000㎡以上 等 ③適用を受けた後の主なメリットについて ・事業許可等の一括取得 認定時に、各業法(倉庫業・貨物自動車運送事業・貨物利用運送事業)の許可等を同時に受ける ことができる。 ※許可、登録等の審査に必要な書類は、総合効率化計画の認定申請と同時に提出する必要がある。 ・都市計画法等による処分についての配慮 市街化調整区域において施設の整備を行う場合、開発許可について配慮がなされる。 ※各地方自治体の担当部局との十分な事前調整が必要 41 佐野インランドポート構想書 ・営業倉庫等に関する税制特例 一定の要件を満たす倉庫業用の倉庫及び付属設備については、税制の特例を受けることができる。 (法人税・固定資産税等の特例) (6)規制緩和要望 コンテナ輸送の効率化を図るために、高速道路に隣接している利便性を活用し、ダブルス・トレーラ 等の利用が可能になるように大型車通行許可制度の緩和措置の適用を図る必要がある。 42 7 今後の課題 7 今後の課題 本構想書は、佐野市内陸型コンテナターミナル研究会の検討成果を取りまとめたものである。 研究会では、佐野市におけるインランドポートの意義や役割を検討し、荷主をはじめとする利害関係者 へのヒアリングを中心とした利用ニーズの検討を踏まえて、佐野市の地域活性化に果たす役割と共に、佐 野インランドポートに求められる機能の詳細検討や需要量の概略推計、環境負荷削減効果の推計等を行っ た。 次いで、佐野市内における検討候補地を出流原地区に選定し、既存のインランドデポの事例等も踏まえ つつ、機能や役割、施設・設備、所要面積等、今後の基本計画策定の枠組みに関わる基本的要件の検討を 行い、シャーシプール等から成る約 48,000㎡規模の施設配置イメージを描いた。 本構想書は、このように、佐野インランドポートの成立可能性を検討し、必要性と機能等の整備の方向 性に関わる基本的な枠組みを取りまとめたものである。 今後は、本成果を踏まえて、具体的な事業化に向けた検討を行うことになると考えられる。 事業化計画の検討の項において整理しているように、施設規模の検討、事業採算性の検討、事業主体の 設立、用地確保、事業計画区域の設定にはじまり、関係施設整備から輸出入業務やコンテナ輸送の効率的 な運営システムの実現に至るまでの詳細計画の策定は、すべて今後の検討内容であり数多くの課題がある。 本構想書が、佐野インランドポートの実現に向けての出発点となれば幸いである。 43 佐野インランドポート構想書 佐野市内陸型コンテナターミナル研究会 名簿 番号 氏 名 役 職 1 岡本 直久 委員長 国立大学法人筑波大学 准教授 2 正岡 孝 委 員 国土交通省 関東地方整備局 港湾空港部 (アドバイザー) 3 山﨑 正 委 員 (アドバイザー) 所 属 港湾物流企画室長 国土交通省 関東運輸局 交通環境部 物流課長 4 小川 昌樹 委 員 栃木県 総合政策部 地域振興課長 5 伊藤 満 委 員 栃木県 産業労働観光部 産業政策課 企業立地班長 6 瓦井 利宗 委 員 栃木県中小企業団体中央会 会長 7 島田 嘉内 委 員 佐野商工会議所 会頭 8 大芦 宏 大芦 宏 委 員 佐野農業協同組合 代表理事組合長 9 片柳 岳巳 委 員 佐野内陸コンテナターミナル研究会 会長 10 石戸谷 和久 委 員 佐野内陸コンテナターミナル研究会 専門委員 11 野城 良弘 委 員 佐野市 副市長 12 落合 正 委 員 佐野市 副市長 13 飯塚 久 委 員 佐野市 総合政策部長 14 石田 和也 委 員 佐野市 都市建設部次長 京浜港 ― 田村 彰 オブザーバー 横浜市港湾局 港湾経営部 誘致推進課 担当係長 京浜港 ― 大木 龍介 オブザーバー 東京都港湾局 港湾経営部 振興課 物流企画担当係長 京浜港 ― 安藤 毅 オブザーバー 川崎市港湾局 港湾振興部 誘致振興課 担当係長 44 ― 荒井 仁市 オブザーバー 佐野市議会 議長 ― 大川 圭吾 オブザーバー 佐野市議会 副議長 佐野インランドポート構想書 参考資料 平成24年2月 佐野市内陸型コンテナターミナル研究会 佐野インランドポート構想書 佐野インランドポート構想書 参考資料 参考資料 目 1 目 次 次 コンテナ輸出入の現状 .................................................................. 1 (1)外貿コンテナ取扱個数及び取扱貨物量................................................. 1 (2)コンテナの栃木県との搬出入量 ...................................................... 4 (3)港湾におけるコンテナ取扱量 ........................................................ 8 (4)県内製造品出荷額とコンテナ流動の関係............................................... 8 (5)輸出入企業分布 ................................................................... 13 (6)今後の地元企業の国際化対応ニーズ.................................................. 18 2 フルコンテナ輸送の効率化機能 ......................................................... 20 (1)国際コンテナ輸送費用検討の前提条件................................................ 20 (2)検討方法 ......................................................................... 25 (3)個別往復の場合 ................................................................... 26 (4)コンテナラウンドユースの場合 ..................................................... 28 (5)佐野インランドポートを利用する場合................................................ 30 (6)環境負荷削減効果の試算 ........................................................... 33 3 コンテナ混載輸送の支援機能 ........................................................... 34 (1)概要 ............................................................................. 34 (2)コンテナ荷役・貨物集配機能 ....................................................... 35 (3)コンテナ混載の効果 ............................................................... 36 (4)環境負荷削減効果の試算 ........................................................... 37 4 保税機能を活用する場合 ............................................................... 38 (1)保税蔵置場の動向 ................................................................. 38 (2)関税率の動向 ..................................................................... 50 5 インランドポートに関する利用の現状と課題(ヒアリング調査結果) ........................ 53 6 需要予測 ............................................................................. 66 (1)算出フロー ....................................................................... 66 (2)設定条件 ......................................................................... 67 (3)算出結果 ......................................................................... 69 7 佐野インランドポートの需要の詳細検討(まとめ)........................................ 71 参 考 資 料 1 コンテナ輸出入の現状 (1)外貿コンテナ取扱個数及び取扱貨物量 京浜港における外貿コンテナ取扱個数は、次ページの表に見られるように、平成 22 年の輸出入合計 で 681 万本(TEU1)である。 貨物量で見ると、9,202 万トンであり、20 フィートコンテナ1本換算で平均 14 トンの貨物量である。 コンテナ本数を港湾別に見ると、東京港 382 万本(TEU)、横浜港 298 万本(TEU)である。 貨物量を港湾別に見ると、東京港より横浜港が若干多く、東京港 4,283 万トン、横浜港 4,903 万トン である。 コンテナ本数を輸出入別に見ると、輸入 347 万本(TEU)、輸出 334 万本(TEU)で、輸入の方が若 干多い。 貨物量を輸出入別に見ると、輸入 5,369 万トン、輸出 3,833 万トンで輸入貨物量が4割多い。 この結果、20 フィートコンテナ1本換算の平均積載量は、輸入 15 トン、輸出 11 トンと、輸出の効 率の方が低い。 実入りコンテナ本数で見ると、輸入 232 万本(TEU)、輸出 324 万本(TEU)であり、輸出が多い。 空コンテナ本数は、輸入の方が多く、102 万本(TEU)であり、輸出は、23 万本(TEU)と少ない。 ここで、空コンテナの輸出入は、国際港湾相互間の輸出入バランスに依存し、輸出超過の場合には、 空コンテナの輸入量が輸出量より多くなる。 コンテナのラウンドユースは、輸入の実入りコンテナを降ろした後に、輸出の実入りコンテナを搬出 する動きなので、実入り相互間で比較することになる。港湾コンテナ取扱個数の合計値で見ると、上記 のように、輸出 324 万本に対して、輸入 232 万本と、4割、92 万本多く、全ての輸入と輸出のコンテ ナがラウンドユースされている場合でも、京浜港だけで 92 万本は輸出用の空コンテナを追加充当する 必要がある。 資料:(財)港湾近代化促進協議会、「外貿コンテナ取扱個数及び貨物量」 1 TEU:Twenty Equivalent Units の略、20 フィートコンテナ換算値。40 フィートコンテナは 2 本と換算した数値 である。 1 佐野インランドポート構想書 表 1.1.1 外貿コンテナ取扱個数(TEU)の推移 表 1.1.1 外貿コンテナ取扱個数(TEU)の推移 2001年 輸出 東京 輸入 横浜 輸入 川崎 輸入 京浜港計 輸入 千葉 輸入 常陸那珂 輸入 新潟 輸入 輸出入計 2008年 2010年 892,581 1,018,704 1,074,954 1,100,885 1,108,686 1,019,652 867,198 973,735 491,814 512,792 586,641 614,909 609,927 709,418 684,066 764,804 1,362,305 1,468,114 1,677,523 1,785,457 1,883,416 1,944,875 1,949,496 1,959,397 1,815,536 2,057,449 実入り 空 実入り 空 実入り 空 実入り 空 実入り 空 実入り 空 14,975 19,372 12,876 41,304 47,308 35,183 50,427 38,835 14,698 20,116 2,535,841 2,712,348 3,074,794 3,358,257 3,592,319 3,695,852 3,718,536 3,727,302 3,381,498 3,816,104 795,303 844,214 945,864 1,090,289 1,133,282 1,282,723 1,402,100 1,410,839 1,143,307 1,334,308 315,943 309,048 283,826 265,415 285,511 270,075 250,373 278,581 235,981 254,562 1,062,904 1,042,036 1,053,873 1,105,832 1,152,814 1,225,742 1,254,748 1,231,304 1,038,367 1,176,667 71,789 105,686 124,908 144,980 154,984 195,202 274,101 283,147 137,581 209,736 2,245,939 2,300,984 2,408,471 2,606,516 2,726,591 2,973,742 3,181,322 3,203,871 2,555,236 2,975,273 24,411 14,403 19,463 15,468 23,278 23,204 25,819 16,773 5,867 9,572 7,277 3,549 5,048 3,565 8,016 4,543 1,566 1,000 1,187 1,360 13,051 6,305 5,694 6,247 6,766 7,313 15,121 12,114 4,226 3,514 81 193 238 358 611 1,216 776 302 9 184 44,820 24,450 30,443 25,638 38,671 36,276 43,282 30,189 11,289 14,630 1,542,185 1,687,694 1,857,908 2,124,461 2,231,514 2,406,812 2,536,605 2,447,264 2,016,372 2,317,615 759,310 708,382 780,688 781,772 880,168 889,527 861,866 988,999 921,234 1,020,726 2,438,260 2,516,455 2,737,090 2,897,536 3,042,996 3,177,930 3,219,365 3,202,815 2,858,129 3,237,630 86,845 125,251 138,022 186,642 202,903 231,601 325,304 322,284 152,288 230,036 4,826,600 5,037,782 5,513,708 5,990,411 6,357,581 6,705,870 6,943,140 6,961,362 5,948,023 6,806,007 28,890 27,905 23,392 23,105 20,105 20,999 13,314 10,349 13,947 16,986 4,183 2,758 3,405 3,103 2,755 3,108 2,433 3,322 1,621 2,897 15,827 16,802 18,852 21,706 21,673 20,079 13,304 12,388 8,729 10,612 3,512 2,739 791 469 482 474 171 109 725 359 52,412 50,204 46,440 48,383 45,015 44,660 29,222 26,168 25,022 30,854 実入り 1,024 1,864 3,262 2,891 3,076 2,194 925 1,008 1,014 874 空 3,179 4,687 3,802 2,062 2,230 1,762 3,616 3,929 4,268 3,674 実入り 3,929 6,944 7,785 6,173 6,953 4,179 6,160 8,614 6,670 6,815 124 195 310 335 440 286 55 30 21 76 実入り 空 実入り 空 実入り 空 空 8,256 13,690 15,159 11,461 12,699 8,421 10,756 13,581 11,973 11,439 実入り 11,848 15,190 15,472 19,069 22,206 24,902 26,933 25,682 31,973 41,019 空 39,818 41,562 46,243 52,336 56,133 56,708 54,997 53,130 35,587 38,121 実入り 51,457 57,023 62,649 72,095 78,376 80,868 78,928 77,735 70,304 79,493 463 526 703 975 711 1,420 1,033 1,081 1,992 4,008 103,586 114,301 125,067 144,475 157,426 資料:財団法人 港湾近代化促進協議会 注:四捨五入のため港湾管理者の数値と差がでることがある。 163,898 161,891 157,628 139,856 162,641 空 2 2 2009年 395,785 輸出入計 輸出 2007年 829,077 輸出入計 輸出 2006年 436,090 輸出入計 輸出 2005年 722,471 輸出入計 輸出 2004年 実入り 輸出入計 輸出 2003年 空 輸出入計 輸出 2002年 参 考 資 料 表 1.1.2 外貿コンテナ取扱量(千トン)の推移 表 1.1.2 外貿コンテナ取扱量(千トン)の推移 2001年 東京 横浜 川崎 常陸那珂 新潟 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 14,372 15,998 17,448 17,572 16,069 16,930 13,157 11,448 12,933 輸入 20,450 21,472 24,184 25,524 25,618 26,343 26,496 29,703 26,783 29,898 計 34,276 35,845 40,182 42,972 43,189 42,412 43,426 42,860 38,230 42,831 輸出 15,125 15,994 16,771 19,464 20,296 23,317 25,760 25,870 21,046 25,279 輸入 19,564 19,962 20,231 21,317 22,090 23,936 25,148 24,154 20,767 23,748 計 34,688 35,956 37,003 40,781 42,387 47,253 50,908 50,024 41,813 49,027 輸出 276 187 222 171 251 229 291 212 63 118 輸入 150 66 64 73 77 75 177 155 63 49 426 253 286 243 329 304 468 367 126 166 輸出 29,227 30,553 32,991 37,083 38,119 39,616 42,981 39,239 32,556 38,330 輸入 40,164 41,501 44,479 46,914 47,785 50,354 51,821 54,012 47,613 53,694 計 69,391 72,054 77,470 83,996 85,904 89,969 94,802 93,251 80,169 92,024 445 430 372 352 291 305 202 153 212 276 輸出 千葉 2003年 13,826 計 京浜港 2002年 輸出 輸入 4 3 3 3 3 3 2 3 2 3 計 450 433 375 355 294 308 205 157 214 279 輸出 11 24 40 39 33 37 8 7 9 7 輸入 43 95 96 68 76 66 63 92 72 80 計 54 119 136 107 109 102 70 99 80 86 輸出 229 298 297 385 439 509 528 499 617 789 輸入 1,018 1,194 1,278 1,776 1,681 1,789 1,762 1,668 1,576 1,777 1,247 1,491 1,574 2,161 2,120 資料:財団法人 港湾近代化促進協議会 注:四捨五入のため港湾管理者の数値と差がでることがある。 2,298 2,290 2,167 2,193 2,566 計 3 3 佐野インランドポート構想書 (2)コンテナの栃木県との搬出入量 コンテナの内陸への搬出入状況は、5年毎に実施される国土交通省港湾局「平成 20 年度全国輸出入 コンテナ貨物流動調査結果」(平成 21 年 3 月)に見ることができる。同資料は、調査年の1ヶ月の集計 値(平成 20 年 11 月1日~ 11 月 30 日)である。その概要は、以下のとおりである。 1)コンテナ貨物量、申告件数、申告価格 ・輸出コンテナの貨物量は 5,067 千トン、申告件数は 159 千件、申告価格は 1 兆 7,277 億円。 ・申告1件当たりの貨物量は 31.9 トン、申告1件当たりの申告価格は 1,087 万円、トン当たりの申 告価格は 34.1 万円。(前回調査:各々 32.2 トン、949 万円、29.5 万円) ・輸入コンテナの貨物量は 8,276 千トン、申告件数は 231 千件、申告価格は 1 兆 6,392 億円。 ・申告1件当たりの貨物量は 35.8 トン、申告1件当たりの申告価格は 709 万円、トン当たり申告価 格は 19.8 万円。(前回調査:各々 35.9 トン、524 万円、14.6 万円) ・上記の数値を輸出入合計で見ると、申告価格 3 兆 3,669 億円、13,343 千トン、トン当たり 25 万円 であり、1TEU 平均 14 トンを乗じると、1TEU 平均で 353 万円の商品価値を輸送しているこ とになる。 2)調査の捕捉率 ・調査期間中(平成 20 年 11 月)の海上コンテナ貿易額(輸出 19,975 億円、輸入 19,710 億円:財務 省貿易統計より)に対する調査データ(輸出 17,277 億円、輸入 16,392 億円)の捕捉率は、84.8%(輸 出:86.5%、輸入:83.2%)である。 3)コンテナ貨物の生産地、消費地 (1)生産地(輸出) ・生産地を都道府県別に見ると、栃木県が 113 千トン、シェア 8.7%、同じく、群馬県が、83 千ト ン、6.4%、茨城県 157 千トン、12.1%である。ちなみには、埼玉県、170 千トン、13.1%、千葉県、 180 千トン、13.9%、東京都、166 千トン、12.8%、神奈川県、430 千トン、33.1%である。 ・この割合を京浜港の年間輸出コンテナ取扱量、3,833 万トンに乗じると、栃木県 333 万トンになる。 当該数値を、11 トン /TEU で割ると、年間 30 万 TEU になる。300 日で日換算すると1日約 1 千 TEU になる。 (2)消費地(輸入) ・消費地を都道府県別に見ると、栃木県が 176 千トン、シェア 6.1%、同じく、群馬県が、170 千ト ン、5.9%、茨城県 336 千トン、11.7%である。ちなみには、埼玉県、441 千トン、15.3%、千葉県、 447 千トン、15.5%、東京都、683 千トン、23.7%、神奈川県、627 千トン、21.8%である。 ・この割合を京浜港の年間輸入コンテナ取扱量、5,369 万トンに乗じると、栃木県 328 万トンになる。 4 参 考 資 料 当該数値を、15 トン /TEU で割ると、年間 22 万本(TEU)になる。300 日で日換算すると1日 約 700 本(TEU)になる。 4)コンテナ流動 (1)輸出【生産地→詰め場所】 ・関東、中部 ・ 北陸、近畿の生産貨物の 90%以上は、同地方内で詰めている。 ・コンテナ詰め施設の比率は、業者施設(53.4%)、荷主施設(39.8%)、公共施設(5.8%)、第3セクター 施設、インランドデポ等のその他施設(1.1%)の順である。 (2)輸出【詰め場所→船積港】 ・関東詰め貨物の船積港は横浜港(56.7%)、東京港(40.6%)等であり、横浜港(前回平成 15 年 46.2%)の比率が拡大し、東京港(前回 50.2%)の比率は低下している。 ・関東生産貨物の 61.3%横浜税関、34.8%は東京税関で通関している。 (3)輸入【船卸港→取出場所】 ・関東取出貨物の船卸港は、東京港(66.4%)、横浜港(31.8%)等で、前回調査に比べ東京港(前 回 62.5%)の比率が拡大している。 ・東京税関通関貨物は、88.6%が東京港卸しである。 ・横浜税関通関貨物は横浜港で 80.6%、東京港で 12.5%が船卸ししている。 ・コンテナ取出(デバンニング)施設の比率は、業者施設(59.1%)、荷主施設(34.3%)、その他施 設(4.5%)、公共施設(2.1%)の順である。 (4)輸入【取出場所→消費地】 ・関東、中部 ・ 北陸、近畿、中国 ・ 四国 ・ 九州 ・ 沖縄の消費貨物の 95%以上は、同地方内で取出し ている。 ・関東消費貨物の 65.7%は東京税関、32.3%は横浜税関で通関している。 5 佐野インランドポート構想書 図 1.1.1 生産地別コンテナ貨物量(輸出) 図 1.1.1 生産地別コンテナ貨物量(輸出) 資料:国土交通省港湾局「平成 20 年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果」 (平成 21 年 3 月) 資料:国土交通省港湾局「平成 20 年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果」(平成 21 年 3 月) 6 6 参 考 資 料 図 1.1.2 消費地別コンテナ貨物量(輸入) 図 1.1.2 消費地別コンテナ貨物量(輸入) 資料:国土交通省港湾局「平成 20 年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果」 (平成 21 年 3 月) 資料:国土交通省港湾局「平成 20 年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果」(平成 21 年 3 月) 7 7 佐野インランドポート構想書 (3)港湾におけるコンテナ取扱量 港湾の埠頭別の取扱量を、その埠頭別の取扱能力で見ると、東京港の外貿コンテナ埠頭は、大井7バー ス、青海5バース、品川4バースの3カ所あり、ドライコンテナヤード面積は 152ha、コンテナの蔵置 能力は、それぞれ、58 千本(TEU)、24 千本(TEU)、6 千本(TEU)となっており、合計 87 千本(TEU) である。岸壁総延長は、4,669 mである。 横浜港は、本牧、大黒、南本牧の3埠頭があり、コンテナヤード総面積は 194ha である。 資料:各港湾管理者ウェブサイト (4)県内製造品出荷額とコンテナ流動の関係 栃木県内の製造品出荷額は、9.3 兆円(平成 20 年)である。 一般に、製造品出荷額は、国内入出荷が多い。輸入額と輸出額の合計は 160 兆円(平成 20 年度)であり、 出荷側の輸出額で見ると約 81 兆円である。平成 20 年の製造品出荷額は、258 兆円であり、輸出額のシェ アは、31.4%である。 かつ輸出入の場合も、コンテナ輸送は少なく、外貿取扱貨物量 13 億トン(平成 20 年)に占めるコン テナ取扱貨物量は 19.3%である。 つまり、製造品出荷額における輸出額と輸出額に占めるコンテナ貨物の割合を見ると、31.4%の 19.3%、製造品出荷額の 6.1%の水準にある。 ここでは、製造品出荷額の市町村別分布が、コンテナ流動の県内分布に比例するとみなして評価する こととする。この前提のもとで、栃木県内の製造品出荷額分布を見ると、下図のように国道4号、東北 道沿道に集中しており、かつ県南の集積割合が高い。栃木県の製造品出荷額に占める北関東自動車道沿 道市町村の割合は、52.8%と半分を占めている。 8 参 考 資 料 図 1.1.3 栃木県及び群馬県の市町村別製造品出荷額の主要分布 図 1.1.3 栃木県及び群馬県の市町村別製造品出荷額の主要分布 39 76 41 35 169 93 59 78 42 123 39 42 67 78 219 63 円内の数値、製造品出荷額、単位:百億円 資料:経済産業省、「工業統計表」平成 20 年値をプロットした 資料:経済産業省、 「工業統計表」平成 20 年値をプロットした 9 9 佐野インランドポート構想書 1.1.3 北関東自動車道沿道地域の工業集積状況 表表1.1.3 北関東自動車道沿道地域の工業集積状況 平成㻞㻜年値 10 10 参 考 資 料 1.1.4 北関東自動車道の IC、PA 及び関連高速自動車道 図図 1.1.4 北関東自動車道の IC、PA 及び関連高速自動車道 http://www.driveplaza.com/dp/SAPAMap 資料:東日本高速道路株式会社 http://www.driveplaza.com/dp/SAPAMap 資料:東日本高速道路株式会社 同様に、佐野市内の状況を見ると、平成 年「工業統計表」 (従業員 4 人以上)に見る佐野市の製造 同様に、 佐野市内の状況を見ると、平成 21 21 年「工業統計表」 (従業員 4 人以上)に見る佐野市の製造業は、 業は、事業所数 486 件、従業員数 13,298 人、製造品出荷額等 3,194 億円であり、一事業所当り従業員数 事業所数 486 件、従業員数 13,298 人、製造品出荷額等 3,194 億円であり、一事業所当り従業員数は 27 人、 は 27 人、製造品出荷額等は 6.6 億円である。近年、工場集積にも関わらず、製造品出荷額は横ばい状態 製造品出荷額等は 6.6 億円である。近年、工場集積にも関わらず、製造品出荷額は横ばい状態であるのに であるのに対して、従業員数は減少傾向にある。 対して、従業員数は減少傾向にある。 なお、 「工業統計表(用地用水編) 」(従業員 人以上)に見る佐野市の製造業は、平成 年において、 なお、 「工業統計表 (用地用水編) 」 (従業員 3030人以上) に見る佐野市の製造業は、平成 21 21 年において、 事業所数 事業所数 98 98 件、工場敷地面積 件、工場敷地面積 387ha 387haであり、一事業所当り平均敷地面積は であり、一事業所当り平均敷地面積は4.0ha 4.0haである。 である。 このうち、 市内最大規模の佐野工業団地の事業所数は45 45件、 件、 従業員数2,944 2,944人、 人、 製造品出荷額等は 1,071 このうち、 市内最大規模の佐野工業団地の事業所数は 従業員数 製造品出荷額等は 1,071 億円と、事業所数の 億円と、事業所数の 9.3%、従業員数の 9.3%、従業員数の 22.1%、製造品出荷額の 22.1%、製造品出荷額の33.5%を占めており、工業集積核を形成 33.5%を占めており、工業集積核を形 している。佐野工業団地内の工場で見ると、一事業所当り従業員数は、65 人と市平均の 2 倍規模であり、 成している。佐野工業団地内の工場で見ると、一事業所当り従業員数は、65 人と市平均の 2 倍規模であ 製造品出荷額は 24 億円と市平均の 4 倍規模の中堅・大手が集積している。 り、製造品出荷額は 24 億円と市平均の 4 倍規模の中堅・大手が集積している。 11 11 佐野インランドポート構想書 図 1.1.5 佐野市の製造品出荷額等と従業員数の推移 図 1.1.5 佐野市の製造品出荷額等と従業員数の推移 従業員数(人) 製造品出荷額等(億円) 18,000 4,500 16,000 4,000 14,000 3,500 12,000 3,000 10,000 2,500 8,000 2,000 6,000 1,500 4,000 1,000 2,000 500 0 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 資料:経済産業省「工業統計表」を共に作成 資料:経済産業省「工業統計表」を共に作成 12 12 2008 2009 参 考 資 料 (5)輸出入企業分布 荷主ヒアリングを踏まえると、家電、一般機械、自動車部品等で海上コンテナでの輸出も輸入も多く、 その工場間のラウンドユースニーズも強いと見込まれる。他方、食品関係は地元調達や首都圏市場への 出荷が多く、電子・半導体関係も製品が小さくコンテナ単位の荷が少ないと考えられる。ただし電子・ 半導体製品では、世界シェアの高い製品も多く航空貨物による輸出ニーズは強い。 佐野市と栃木県における主要企業の取扱品目は、以下のとおりであり、輸送用機械(自動車関係)や 一般機械関連の工場相互間に、インランドポート利用の可能性が考えられる。 1)佐野市内の主要工場 佐野市内の主要工場には、以下のような工場がある。面積や従業員数は最近の有価証券報告書の数 値である。 (1)輸送用機械、一般機械関連 ・日本電産コパル電子(株)佐野事業所 産業機器市場向けの電子部品(圧力センサ・アクチュエータ)、 敷地面積 64 千㎡、従業員 235 名 ・東京計器(株):油空圧機器(油圧ポンプ、油圧バルブ、油圧モーター) 佐野事業所、敷地面積 50 千㎡、従業員 136 名 田沼事業所、敷地面積 40 千㎡、従業員 8 名、他に那須工場がある ・新明和工業(株)(本社、兵庫県宝塚市):特装車、敷地面積 23 千㎡、従業員 237 名 ・藤倉化成(株):コーティング材(塗料等)、第1工場、敷地面積 78 千㎡、従業員 148 名 他に、第2工場、佐野事業所第3工場がある ・(株)CKP 佐野工場2地区:カルソニックカンセイ子会社、自動車部品 敷地面積 24 千㎡、従業員 237 名 (2)その他主要工場 ・(株)大協精工(本社 墨田区):医療医薬用パッケージ、会社全体の従業員 550 名 佐野栄工場(佐野第4)、敷地面積 19 千㎡ 佐野越名工場(佐野第1)、敷地面積 5 千㎡ 佐野大町工場(佐野第3、第2は閉鎖)、敷地面積 15 千㎡ 佐野羽田第1工場(佐野第5)、敷地面積 33 千㎡ 佐野羽田第2工場、敷地面積 33 千㎡ ・(株)セイケイ佐野工場(本社 佐野市):鋼管 敷地面積 18 千㎡ ・ヤマトエスロン(株)関東工場(本社 八尾市):合成樹脂製品(歯間ブラシ等) 13 佐野インランドポート構想書 ・(株)タマル工業 ・(株)遠藤照明佐野事業所 ・ハウス食品(株)関東工場(本社 東大阪市):加工食品 敷地面積 61 千㎡、従業員 374 名 ・(株)日立プラントテクノロジー佐野事業所 ・(株)寺岡製作所佐野工場:粘着テープ ・トッパンコンテナー(株)佐野工場:段ボール箱 ・日本カーバイト工業(株) ・(株)協伸製作所佐野工場 ・(株)マテックス栃木工場 ・エスエスシー北関東(株) ・(株)ダイセキ関東事業所 ・新和工業(株)佐野工場 ・三福工業(株) ・(株)小林鉄工所 ・(株)常磐製作所 ・(株)エヌゼットケイ佐野工場 ・シーアイ化成(株)佐野工場 ・(株)イエックス ・(株)東輝 ・(株)竹中 ・(株)武蔵野(本社 朝霞市)栃木工場:弁当製造販売、会社全体 749 億円、4,685 名 (株)武蔵野栃木第2工場 ・(株)栃木日本板硝子:自動車用ガラス ・三笠産業(株)栃木工場 ・(株)サンコープラスチック関東工場 ・シモジマ加工紙(株) ・昭和ワニス(株)栃木工場 ・吉澤エムス(株) ・住友大阪セメント(株)栃木工場 等 2)栃木県の主要工場 (1)輸送用機械、一般機械、電気機器 ・アキレス(株)第一工場、足利市、プラスチック加工(靴、自動車部品、産業資材) ・オイレス工業(株)足利事業所、足利市、オイルレスベアリング、免震制震耐震装置 ・ジェイ・バス(株)宇都宮事業所、宇都宮市、路線バス製造(日野・いすゞ向け) ・キヤノン(株)宇都宮事業所、光学機器・レンズ ・クボタ(株)宇都宮工場、コンバイン・乗用田植機作業機生産、農業機械 ・平田機工(株)事業本部 関東事業部、宇都宮市、自動車電器関係部品 ・川田工業(株)栃木工場、大田原市、鉄鋼・橋梁・建築・機械システム(人型ロボット) ・(株)小松製作所 小山工場、小山市、建設機械エンジン、油圧、車軸生産 ・昭和電工(株)小山事業所、小山市、アルミ製品、自動車部品(熱交換、冷却器) ・住友電工電子ワイヤー(株)、鹿沼市、電子ワイヤー製品(世界シェア一) ・東芝ライテック(株)鹿沼工場、鹿沼市、照明機器(蛍光ランプ、LED) ・東プレ(株)栃木事業所、上三川町、自動車用プレス製品、冷凍空調 ・GKN ドライブラインジャパン(株)本社工場、栃木市、自動車駆動系部品 ・(株)ケーヒン 栃木開発センター、高根沢町、自動車部品 ・(株)ブリヂストン 栃木工場、那須塩原市、タイヤ生産 ・テイ・エス テック(株)技術センター、高根沢町、自動車用シート、内装部品(ホンダ向け) ・ボッシュ(株)栃木工場、那須塩原市、自動車機器(ブレーキ) ・日本ピストンリング(株)栃木工場、野木町、輸送用部品 14 参 考 資 料 ・ソニーエナジー・デバイス(株)栃木事務所、下野市、リチウムイオン二次電池等(蓄電池) ・日本コークス工業(株)栃木事業所、栃木市、工業用粉砕器、ミキサー (2)精密機器、電子部品等 ・エム・イー・エム・シー(株)本社・宇都宮工場、シリコンウエハ製造販売 ・バンドー化学(株)足利工場、足利市、ゴム・プラスチック製品、プリンタ用伝動ベルト、450 名 ・住友ベークライト(株)宇都宮事業所、半導体封止材料、情報通信関連材料 ・マニー(株)清原工場、手術用ステンレス製縫合針等医療機器 ・池上通信機(株)生産統括本部 宇都宮工場、映像機器カメラ ・東芝メディカルシステムズ(株)、大田原市、画像診断医療機器 ・富士電機機器制御(株)大田原事業所、大田原市、漏電遮断機等 ・オリジン電気(株)間々田工場、小山市、特殊電源、半導体装置、複写機、紙幣印刷機向け ・ナカニシ(株)、鹿沼市、歯科医療機器(超高速回転技術) ・セイコーインスツル(株)栃木事務所、栃木市、水晶発振子 ・セイコー NPC(株)那須塩原事業所、那須塩原市、時計用半導体(水晶発振用ICシェア世界一) (3)食品・日用雑貨 ・花王(株)栃木工場、市貝町、生理用・紙おむつ、清掃シート等吸水ポリマー製品 ・王子板紙(株)日光工場、宇都宮市、段ボール原紙ライナー生産、古紙再生 ・カルビー(株)新宇都宮工場、スナック菓子 ・マルハニチロ食品(株)宇都宮工場、ハムソーセージ製品 ・森永製菓(株)小山工場、小山市、菓子・食品、チョコボール ・サントリー酒類(株)梓の森工場、栃木市、酒類(スピリッツ) ・カゴメ(株)那須工場、那須塩原市、缶飲料等、トマト・人参加工 (4)その他主要工場 ・東京製鐵(株)宇都宮工場、鉄スクラップリサイクル ・大日本塗料(株)那須工場、大田原市、塗料 ・昭和アルミニウム缶(株)小山工場、小山市、アルミ缶製造・リサイクル ・文化シヤッター(株)小山工場、小山市、住宅建材 ・レンゴー(株)小山工場、小山市、段ボール ・トヨタホーム(株)栃木事業所、栃木市、住宅生産(ユニット) ・住友ベークライト(株)鹿沼事業所、鹿沼市、プラスチックシート、フィルム、防水材料 ・(株)DNP グラフィカ、テイ・エステック(株)技術センター、商業印刷物 ・HOYA(株)ペンタックス益子事業所、益子町、光ディスク用レンズ、セラミック人工骨 ・SABIC イノべーティブプラスチックスジャパン(合)真岡事業所、真岡市、 プラスチック、フィルム ・グラクソ・スミスクライン(株)今市工場、日光市、医薬品 15 佐野インランドポート構想書 ・グラクソ・スミスクライン(株) 今市工場、日光市、医薬品 3)栃木県における対象業種の状況 3)栃木県における対象業種の状況 栃木県及び茨城県、群馬県の輸送機器や機械関連業種の立地状況を見ると下表のようになっている。 栃木県及び茨城県、群馬県の輸送機器や機械関連業種の立地状況を見ると下表のようになってい 栃木県内におけるこれらの企業の立地分布は、製造業全体の分布と大差がなく、製造品出荷額に占め る。栃木県内におけるこれらの企業の立地分布は、製造業全体の分布と大差がなく、製造品出荷額 る割合も高い。 に占める割合も高い。 表 1.5.1 栃木県におけるコンテナ輸送関連業種 表 1.5.1 栃木県におけるコンテナ輸送関連業種 事業所数 事業所数 内従業者 計 30人以上 栃木県 製造業計 対象業種小計 金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業 業務用機械器具製造業 電気機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 群馬県 製造業計 対象業種小計 金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業 業務用機械器具製造業 電気機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 茨城県 製造業計 対象業種小計 金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業 業務用機械器具製造業 電気機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 4,930 1,838 595 123 419 166 193 342 1089 410 97 31 59 49 60 114 原 材 料 製造品 有形固定資産 使用額等 出荷額等 年末現在高 (従業者30人以上) 千人 199 90 14 6 14 11 15 30 億円 46,155 19,821 2,584 1,444 1,886 1,790 3,607 8,510 億円 76,797 31,183 3,907 1,564 3,159 2,749 6,436 13,368 億円 20,058 8,354 1,335 649 991 693 1,191 3,494 5,770 2,579 792 185 510 201 329 562 1,150 538 114 40 79 48 77 180 192 95 16 11 11 7 14 37 41,090 23,582 1,834 1,847 1,036 2,442 1,918 14,505 67,067 36,249 3,470 2,780 1,942 4,697 3,287 20,074 19,983 10,672 1,196 620 701 623 606 6,926 6,180 2,247 819 190 402 180 396 260 1,491 511 150 42 80 54 114 71 266 109 21 14 19 18 25 13 62,960 21,846 3,199 3,387 5,393 2,841 5,100 1,926 97,794 34,139 5,435 6,194 7,617 4,178 8,076 2,638 32,219 8,825 1,571 1,109 2,089 2,068 1,135 854 資料:工業統計表、平成 21 年 資料:工業統計表、平成 21 年 16 16 従業者数 参 考 資 料 表 1.5.2 栃木県内の都市別にみる海上コンテナ輸送関連業種 表 1.5.2 栃木県内の都市別にみる海上コンテナ輸送関連業種 事業所数 事業所数 内従業者 計 30人以上 従業者数 (従業者30人以上) 千人 栃木県対象業種計 都市小計 佐野市 宇都宮市 足利市 栃木市 鹿沼市 日光市 小山市 真岡市 大田原市 矢板市 那須塩原市 さくら市 那須烏山市 下野市 1,838 1,483 142 232 263 78 169 63 130 86 69 28 80 46 58 39 410 342 34 67 39 15 30 12 29 27 21 7 25 15 12 9 原 材 料 製造品 有形固定資産 使用額等 出荷額等 年末現在高 90 67 4 17 6 2 5 2 9 5 7 1 3 2 2 2 億円 19,821 12,498 610 2,875 940 221 634 288 2,239 1,299 2,356 106 413 135 125 257 億円 31,183 18,596 1,016 4,612 1,535 368 1,138 499 2,625 1,892 2,994 229 782 262 248 395 億円 8,354 4,884 206 1,213 481 29 336 57 1,051 756 311 0 176 90 66 112 資料:工業統計表、平成 21 年 資料:工業統計表、平成 21 年 17 17 佐野インランドポート構想書 (6)今後の地元企業の国際化対応ニーズ 今後の施設需要に関連する地元企業の輸出入又は海外投資動向を見ると、以下のように、現在、輸出 入実績のない 61.2%の企業のうち、19.2%程度の新規需要が見込まれ、すでに予定のある企業が 2.7% ある。つまり全体の 11.8%増加の可能性があり、1.7%は短期での増加が見込まれる。 資料:栃木県産業労働観光部「平成 21 年度 栃木県国際経済交流調査報告書」アンケート調査 1)調査概要 ・対象:県内に立地する事業所 1,000 社 ・回収:485 社(回収率 48.5%)、県内本社企業 339 社 ・輸出入実績有り:188 社(38.8%) ・輸出のみ 45 社、輸入のみ 53 社、輸出入共に実績有り 90 社 ・海外展開企業 64 社(18.9%) 輸出のみと輸入のみの企業間でのコンテナ有効利用の可能性を検討する余地が有る。ただし、下 記のように輸出は横浜港、輸入は東京港中心である。 2)輸出入動向(平成 20 年度) 輸出額は 9,572 億円、前年度に比べ 4,012 億円(29.5%)減少した。 輸入額は 3,931 億円、前年度に比べ 10 億円(0.3%)減少した。 輸出は、輸送用機械器具製造業が 6,604 億円で最大であった。次いで、精密機械器具製造業が 1,524 億円となり、この2業種で県内の輸出額の 84.9%を占めている。本県に本社がある企業で見ると、 精密機械器具製造業が最大であり、次いで輸送用機械器具製造業となっている。 輸入額は、化学工業製造業が 1,823 億円で最大であった。次いで、精密機械器具製造業が 581 億 円となり、この2業種で県内輸入額の 61.1%を占めている。本県に本社がある企業で見ると、精 密機械器具製造業が最大であり、次いで一般機械器具製造業となっている。 3)通関場所と積込・取卸場所の状況 輸出は、東京税関本関を通関する企業が最も多く、次いで横浜税関本関が多い。また、利用する 港は、横浜港が最も多く、次いで成田空港が多い。 輸入は、東京税関本関を通関する企業が最も多く、次いで横浜税関本関が多い。また、利用する 港は、東京港が最も多く、次いで成田空港、横浜港が多い。 4)輸出入先 地域別の輸出額は、北米が 5,416 億円(56.6%)で最大となっている。次いで、アジアが 1,800 億 円(18.8%)、ヨーロッパが 1,312 億円(13.7%) の順となっている。 地域別の輸入額は、ヨーロッパが 1,510 億円(38.4%)で最大となっている。次いで、北米が 1,226 億円(31.2%)、アジアが 1,117 億円(28.4%) の順となっている。 18 参 考 資 料 5)今後の輸出入予定 現在、輸出入を共に行っていない企業 297 社の今後の輸出入の予定では、下記のように 19.2%に 可能性がある。 ・新たに輸出をする予定がある 5 社(1.7%) ・新たに輸入をする予定がある 3 社(1.0%) ・1 ~ 2 年後に輸出の具体的な予定はないが、関心がある 32 社( 10.8%) ・1 ~ 2 年後に輸入の具体的な予定はないが、関心がある 17 社(5.7%) 19 佐野インランドポート構想書 2 フルコンテナ輸送の効率化機能 2 フルコンテナ輸送の効率化機能 (1)国際コンテナ輸送費用検討の前提条件 (1)国際コンテナ輸送費用検討の前提条件 1)京浜港と栃木県主要都市との距離 1)京浜港と栃木県主要都市との距離 料金の計算に適用する港湾及び荷主施設間距離は、一般道距離を用い、以下のように設定した。 料金の計算に適用する港湾及び荷主施設間距離は、一般道距離を用い、以下のように設定した。 2.1.1 主要港湾・都市間距離図 図図2.1.1 主要港湾・都市間距離図 大田原 55km 75km 宇都宮 60km 36km 佐野 15km 28km 栃木 10km 35km 小山 110km 96km 東京大井ふ頭 25km 横浜大黒ふ頭 輸送距離は、運賃計算用の一般道経由の距離であり、距離程表の数値が ある場合は当該数値を利用した。 20 20 参 考 資 料 2)コンテナ輸送費用の設定方法 2)コンテナ輸送費用の設定方法 ・国際コンテナ輸送費用の計算では、一般に、空コンテナの回送が必要になるため、港湾から荷主 国際コンテナ輸送費用の計算では、一般に、空コンテナの回送が必要になるため、港湾から荷主 工場までの一般道輸送距離の往復距離における料金率を適用している。輸送距離は、前ページの数 工場までの一般道輸送距離の往復距離における料金率を適用している。輸送距離は、前ページの数 値を利用する。 値を利用する。 国際コンテナの陸送料金については、 (社)神奈川県トラック協会の平成9年2月 1414日改正の料 国際コンテナの陸送料金については、 (社)神奈川県トラック協会の平成9年2月 日改正の料 率表(距離帯別運賃率、一般貨物自動車運送事業運賃・料金、国際大型海上コンテナを運送する場 率表(距離帯別運賃率、一般貨物自動車運送事業運賃・料金、国際大型海上コンテナを運送する場 合に限る)をもとに、市場動向を踏まえて、金額を半分として設定し、下記の距離帯別料金を適用 合に限る)をもとに、市場動向を踏まえて、金額を半分として設定し、下記の距離帯別料金を適用 する。なお、上記料率表は、規制緩和にともなって届出制となっており、基準・指針の意味合いを する。なお、上記料率表は、規制緩和にともなって届出制となっており、基準・指針の意味合いを 有する数値ではない。 有する数値ではない。 図 2.2.1 コンテナ輸送費用モデルの設定条件 図 2.2.1 コンテナ輸送費用モデルの設定条件 円 160,000 140,000 120,000 100,000 20FT 80,000 40FT 60,000 40,000 20,000 550 480 440 400 360 320 280 240 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 5 0 km 距離帯区分の適用は、当該距離を含む距離帯の上位の距離帯で適用する。金額の算定にあたって 距離帯区分の適用は、当該距離を含む距離帯の上位の距離帯で適用する。金額の算定にあたっては、 は、500 円未満の端数は 500 円に、500 円を超え 1000 円未満の端数は 1000 円に切り上げて計算す 500 円未満の端数は 500 円に、500 円を超え 1000 円未満の端数は 1000 円に切り上げて計算する。 る。 コンテナラウンドユースの場合は、片道距離の適用になる。ただし、輸入地と輸出地が同一場所 ・コンテナラウンドユースの場合は、片道距離の適用になる。ただし、輸入地と輸出地が同一場所 でない場合は、その間の空コンテナ輸送が必要となり、当該費用配分について輸入者と輸出者の間 でない場合は、その間の空コンテナ輸送が必要となり、当該費用配分について輸入者と輸出者の間 での調整が必要になる。 での調整が必要になる。 21 21 佐野インランドポート構想書 表 2.2.1 コンテナ輸送費用の距離帯別運賃率の設定条件 表 2.2.1 コンテナ輸送費用の距離帯別運賃率の設定条件 距離帯 km 5 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 220 240 260 280 300 320 340 360 380 400 420 440 460 480 500 550 600 20FT 円 8,495 10,070 12,525 14,985 17,450 19,900 22,365 24,825 27,280 29,740 32,205 33,870 35,530 37,185 38,850 40,520 42,185 43,855 45,510 47,175 48,840 51,235 53,610 56,000 58,375 60,765 63,155 65,535 67,920 70,305 72,685 75,080 77,455 79,835 82,215 84,610 88,660 92,725 22 22 40FT 円 13,065 15,495 19,355 23,220 27,075 30,935 34,790 38,640 42,495 45,855 50,220 52,585 54,935 57,300 59,655 62,020 64,385 66,745 69,105 71,465 73,830 77,165 80,495 83,825 87,165 90,500 93,835 97,170 100,505 103,855 107,190 110,510 113,845 117,180 120,530 123,865 129,350 134,825 参 考 資 料 3)コンテナ輸送の輸送事例 3)コンテナ輸送の輸送事例 ここでは、コンテナ輸送方法を検討するための参考資料として、大井埠頭から内陸への中距離輸 ここでは、コンテナ輸送方法を検討するための参考資料として、大井埠頭から内陸への中距離輸 送の実際にみる業務時間構成の例を示しておく。 送の実際にみる業務時間構成の例を示しておく。 3)コンテナ輸送の輸送事例 ここでは、コンテナ輸送方法を検討するための参考資料として、大井埠頭から内陸への中距離輸 (1)コンテナ輸送業務の概要 (1)コンテナ輸送業務の概要 送の実際にみる業務時間構成の例を示しておく。 図 2.3.1 コンテナ輸送の 3 つのパーツ (1)コンテナ輸送業務の概要 図 2.3.1 コンテナ輸送の 3 つのパーツ 図 2.3.1 コンテナ輸送の 3 つのパーツ 資料:セイノー情報サービス 資料:セイノー情報サービス 図 2.3.2 コンテナ輸送業務の輸入の場合 資料:セイノー情報サービス 図 2.3.2 コンテナ輸送業務の輸入の場合 図 2.3.2 コンテナ輸送業務の輸入の場合 資料:セイノー情報サービス 資料:セイノー情報サービス 資料:セイノー情報サービス 23 23 23 佐野インランドポート構想書 (2)コンテナ輸送の所要時間 実際のコンテナ輸送の状況を見ると、約 100 km圏では、高速道路利用を含み平均時速 40km/h ~ 50km/h で、片道2時間から2時間半程度の走行であり、輸出者の工場で空コンテナに荷物を詰 める作業で約1時間を要している。10 時半に京浜港を出発して 13 時に到着し、工場でのコンテナ 詰めの間にドライバーは昼食休憩をとっている。また、京浜港に戻って港湾のコンテナヤードに搬 入するまでに待ち時間 40 分程度を要している。1日1往復である。 事例1 輸出の場合、片道距離 99km(小山周辺) 例1&2 (他の業務終了後) 10:30 空コンテナ・シャーシ接続、自社事業所出発 走行2時間半(平均速度 40km/h、高速利用を含む) 13:00 客先工場到着、荷詰め(1時間:ドライバーは、この間休憩) 14:00 実入りコンテナ・シャーシ接続、客先工場出発 走行2時間(平均速度 50km/h、高速利用を含む) 16:00 大井 CY、ヤード並び(40分) 16:40 大井 CY、実入りコンテナ卸し 16:50 自社事業所到着、シャーシ切り離し 例3 (他の業務終了後) 9:50 空コンテナ・シャーシ接続、自社事業所出発 走行3時間(平均速度 33km/h) 12:50 客先工場到着、荷詰め(1時間:ドライバーは、この間休憩) 13:50 実入りコンテナ・シャーシ接続、客先工場出発 走行2時間半(平均速度 40km/h、高速利用を含む) 16:20 大井 CY、ヤード並び(40分) 17:00 大井 CY、実入りコンテナ卸し 17:30 自社事業所到着、シャーシ切り離し 事例2 輸出の場合、片道距離 170 km(大田原周辺) 例1 6:50 空コンテナ・シャーシ接続、自社事業所出発 走行2時間半(平均速度 68km/h、高速利用を含む) 9:20 客先工場到着、荷詰め(1時間半) 10:50 実入りコンテナ・シャーシ接続、客先工場出発 昼食休憩1時間、走行3時間40分(平均速度 46km/h、高速利用を含む) 15:30 大井 CY、ヤード並び(2時間) 17:30 大井 CY、実入りコンテナ卸し 17:40 自社事業所到着、シャーシ切り離し 例2&3 9:50 空コンテナ・シャーシ接続、自社事業所出発 走行3時間(平均速度 57km/h、高速利用を含む) 12:50 客先工場到着、荷詰め(1時間) 13:50 実入りコンテナ・シャーシ接続、客先工場出発 昼食休憩1時間、走行3時間(平均速度 57km/h、高速利用を含む) 17:50 自社事業所到着、シャーシ切り離し (翌朝 CY 搬入) 24 参 考 資 料 (2)検討方法 フルコンテナ輸送(Full Container Load)は、一荷主がコンテナ単位で輸送する場合である。 ここでは、比較のため、既存の港湾と内陸工場等の間の個別往復の場合と比較して、いくつかの効率 化方策を検討し、その効果と実施上の課題や方策を整理する。 1)個別往復の場合 荷主は個別に港湾へのコンテナ搬出入を行う場合である。輸入時には、実入りコンテナが港湾か ら内陸の輸入地工場等へ輸送され、荷卸しの後、空のコンテナが港湾へ返却される。輸出時には、 空コンテナを港湾から輸出地工場等へ回送し、荷詰めの後、実入りコンテナが港湾へ出荷される。 2)コンテナラウンドユースの場合 空コンテナマッチングとも呼ばれる。コンテナラウンドユースは、輸入用に利用されたコンテナ から貨物を輸入地工場等で荷降ろしした後の空コンテナを、輸出者の工場等へ転送し、輸出用のコ ンテナに利用することによって、空コンテナの港から内陸工場への搬入ロスを削減する機能である。 3)佐野インランドポートを利用する場合 佐野インランドポートを利用する場合は、ラウンドユースの中継基地としての利用の場合とシャ トル便利用の場合の2種が考えられる。シャトル便は、内陸への中長距離輸送におけるコンテナ輸 送時のトラクタやシャーシの輸送効率を向上させるため、幹線部とフィーダーとなる輸送を分離し、 幹線部を定期的な往復輸送とし、フィーダー輸送については、コンテナの荷役待ち時間を利用した 複数施設間の回送等を含むショートドレージを行うことによって、コンテナ輸送全体の効率化を図 るものである。 25 佐野インランドポート構想書 (3)個別往復の場合 1)費用 輸入者が、通常コンテナによる輸入を行う場合には、京浜港湾から自社工場までの間の実入りコ ンテナの輸送のために、空となったコンテナの京浜港湾までの回送輸送費を含む往復距離帯に対応 した運賃を支払っている。 輸出者も、同様であり、輸出貨物を運ぶための空コンテナは京浜港から工場まで輸送し、荷を詰 め終わった実入りコンテナを京浜港に輸送するためにも、空コンテナの搬入と実入りコンテナの搬 出の往復運賃を支払っている。 輸入者が佐野市周辺で、輸出者が宇都宮市周辺の場合の両者の運賃を単純合計すると、40 フィー トコンテナ輸送で 16 万 1500 円を要する。 2)所要時間 所要時間を見ると、佐野周辺の場合も、宇都宮周辺の場合も、京浜港から2時間程度の距離帯で あり、京浜港を 8 時に出発し、10 時に荷主の工場に到着すると、コンテナ・シャーシを分離し、1 時間程度で荷降し又は荷積みを行って、午後 1 時頃にコンテナ・シャーシを引き取って京浜港に戻り、 午後 3 時頃からコンテナヤードに搬入することになる。 26 参 考 資 料 図 2.3.1 個別輸送の例 図 2.3.1 個別輸送の例 個別往復の場合 輸入者 佐野周辺 実入り コンテナ 輸送 110km ×2= 220km 輸出者 宇都宮周辺 輸入+輸出 20ft 107,500円 40ft 161,500円 20ft 40ft 実入り コンテナ 輸送 124km ×2= 248km 51,500円 77,500円 東京港 大井埠頭 20ft 40ft 56,000円 84,000円 東京港 大井埠頭 27 27 佐野インランドポート構想書 (4)コンテナラウンドユースの場合 1)費用 佐野市内の輸入者に搬入した後の空コンテナを宇都宮市の輸出者が利用できる場合には、輸入者 は実入りのコンテナ輸送部分の費用負担となり、空コンテナの回送費用を節減でき、輸出者は、京 浜港からの空コンテナ搬入費用ではなく、佐野市からの搬入費用と実入りコンテナの京浜港までの 輸送費のみを負担することになり、両者共に輸送費を削減できる。空コンテナの佐野市から宇都宮 市までの輸送費用も京浜港のコンテナ輸送費用と同一だとして計算すると、全体の輸送費は、40 フィートコンテナで 14 万 5500 円となり、1本当たり1万 6 千円を削減できる。 輸入者にとっては、40 フィートコンテナの場合、7 万 7500 円が 5 万 3 千円に、2 万 4500 円削減 できる。輸出者にとっては、佐野市から宇都宮市までの輸送分を全額負担した場合、8 万 4 千円が、 9 万 2500 円と、8500 円のコストアップとなる。佐野市から宇都宮市までの輸送費を輸入者と輸出者 で折半するとした場合、輸入者は 7 万 7500 円から 7 万 500 円に 7 千円の削減となり、輸出者は、8 万 4 千円が、7 万 5 千円に 9 千円の削減となる。このように、ラウンドユースのコスト面での正否 は輸入者と輸出者の間の輸送費に依存している。 2)所要時間 ラウンドユースの場合の所要時間は、佐野周辺から宇都宮周辺への移動時間1時間が追加される。 コンテナからの貨物の積降し時間を削減するために、輸入者へ搬入したコンテナとは別の空コンテ ナを引き取り、輸出者でも空コンテナを搬入後、予め実入り準備したコンテナを引き取って京浜港 に輸送する方式であれば、1日のコンテナ輸送のサイクル内で輸送することができる。 注 1:船会社へのコンテナ返却期間 例 6日間まで無料、追加1日ごとに追加料金負担 注2:車両留置料 荷主側の責によりトラクタがコンテナの発着地(コンテナヤード、コンテナ・フレイト・ステー ションを含む)に到着後2時間を経過しても出発できない時は、その2時間を超える期間につ いて所定の車両留置料を収受する。 例 トラクタ 30 分までごとに 3,970 円 トレーラが 24 時間を超え留置された場合は、その超えた時間につき所定の車両留置料を収受 する。 例 トレーラ 24 時間までごとに 20 フィート 1,680 円 40 フィート 2,190 円 28 参 考 資 料 図 2.4.1 ラウンドユースの個別輸送に対するコスト削減効果 図 2.4.1 ラウンドユースの個別輸送に対するコスト削減効果 輸入+輸出 20ft 94,000円 40ft 145,500円 △ 7,500円 △16,000円 輸入者 佐野周辺 輸出者 宇都宮周辺 空コンテナ 回送60km 20ft 40ft 22,500円 35,000円 実入り コンテナ 輸送 実入り コンテナ 輸送 110km 20ft 34,000円 40ft 53,000円 124km 20ft 37,500円 40ft 57,500円 東京港 大井埠頭 東京港 大井埠頭 29 29 佐野インランドポート構想書 (5)佐野インランドポートを利用する場合 (5)佐野インランドポートを利用する場合 1) 概要 1)概要 佐野インランドポートを利用する場合のラウンドユースとシャトル便は、下図のように、京浜港 佐野インランドポートを利用する場合のラウンドユースとシャトル便は、下図のように、京浜港 と佐野インランドポートの間の幹線輸送と、栃木県下の輸出入者の間のコンテナ輸送を分離し、栃 と佐野インランドポートの間の幹線輸送と、栃木県下の輸出入者の間のコンテナ輸送を分離し、栃 木県内全域にわたるフルコンテナの搬出入のターミナルとする方法である。 木県内全域にわたるフルコンテナの搬出入のターミナルとする方法である。 図図 2.5.1 佐野インランドポートの利用イメージ 2.5.1 佐野インランドポートの利用イメージ 単純往復 ラウンドユース 輸出者 ラウンドユース (佐野利用) シャトル便 (佐野利用) 輸出者 輸出者 佐野 佐野 輸入者 シャトル便 港湾 港湾 港湾 港湾 実入り 空 2)利用効果の検討 2)利用効果の検討 ここでは、小山、栃木、宇都宮及び大田原と佐野インランドポートの関係にみるラウンドユース ここでは、小山、栃木、宇都宮及び大田原と佐野インランドポートの関係にみるラウンドユース の効果を検討する。 の効果を検討する。 走行距離にみる節減量は以下のようになる。 走行距離にみる節減量は以下のようになる。 (1)東京港との個別往復の輸送距離 (1)東京港との個別往復の輸送距離 ・小山 192km ・小山 192km ・栃木 211km ・栃木 211km ・宇都宮 248km ・宇都宮 248km ・大田原 358km 30 30 参 考 資 料 (2)都市間でのラウンドユースの場合の輸送距離 ( )内は2地点の単純往復合計と節減距離(km)、節減率(%) ・小山と栃木:東京→小山→栃木→東京 212km(404km - 192km、47.5%) 注:単純往復は東京→小山→東京 :96 × 2=192 +東京→栃木→東京 :106 × 2=212 ・小山と宇都宮:東京→小山→宇都宮→東京 248km(440km - 192km、43.6%) 注:単純往復は東京→小山→東京 :96 × 2=192 +東京→宇都宮→東京 :124 × 2=248 ・小山と大田原:東京→小山→大田原→東京 358km(550km - 192km、34.9%) 注:単純往復は東京→小山→東京 :96 × 2=192 +東京→大田原→東京 :179 × 2=358 ・栃木と宇都宮:東京→栃木→宇都宮→東京 266km(460km - 194km、42.2%) 注:単純往復は東京→栃木→東京 :106 × 2=212 +東京→宇都宮→東京 :124 × 2=248 ・栃木と大田原:東京→栃木→大田原→東京 376km(570km - 194km、34.0%) 注:単純往復は東京→栃木→東京 :106 × 2=212 +東京→大田原→東京 :179 × 2=358 ・宇都宮と大田原:東京→宇都宮→大田原→東京 358km(606km - 248km、40.9%) 注:単純往復は東京→宇都宮→東京 :124 × 2=248 +東京→大田原→東京 :179 × 2=358 (3)佐野インランドポートをラウンドユースの一部に組み込んだ場合の輸送距離 船会社の違いや入出荷のタイミング調整上、佐野インランドポートを利用してラウンドユース を行った場合の輸送距離節減量は以下のようになる。 ( )内は単純往復に対する節減距離(km)、節減率(%) ・小山と栃木:東京→小山→佐野→東京及び佐野→栃木往復 331km( 73km、22.1%) ・小山と宇都宮:東京→小山→佐野→東京及び佐野→宇都宮往復 333km(107km、32.1%) ・小山と大田原:東京→小山→佐野→東京及び佐野→大田原往復 381km(169km、44.4%) ・栃木と宇都宮:東京→栃木→佐野→東京及び佐野→宇都宮往復 333km(127km、38.1%) ・栃木と大田原:東京→栃木→佐野→東京及び佐野→大田原往復 381km(189km、49.6%) ・宇都宮と大田原:東京→宇都宮→佐野→東京及び佐野→大田原往復 435km(171km、39.3%) 31 佐野インランドポート構想書 (3)佐野インランドポートと東京港のシャトル便利用の場合の輸送距離 船会社の違いや入出荷のタイミング調整上、佐野インランドポートと東京港の間はシャトル便 で実入りコンテナの往復利用を行い、他地域の工場との間の集荷・配送を行う場合の輸送距離節 減量は以下のようになる。 ( )内は単純往復に対する節減距離(km)、節減率(%) ・小山と栃木:東京→佐野→東京及び佐野→小山往復と佐野→栃木往復 300km(104km、25.7%) ・小山と宇都宮:東京→佐野→東京及び佐野→小山往復と佐野→宇都宮往復 372km( 68km、15.5%) ・小山と大田原:東京→佐野→東京及び佐野→小山往復と佐野→大田原往復 420km(130km、23.6%) ・栃木と宇都宮:東京→佐野→東京及び佐野→栃木往復と佐野→宇都宮往復 352km(108km、23.5%) ・栃木と大田原:東京→佐野→東京及び佐野→栃木往復と佐野→大田原往復 400km(170km、29.8%) ・宇都宮と大田原:東京→佐野→東京及び佐野→宇都宮往復と佐野→大田原往復 472km(134km、22.1%) 3)適用上の課題 本システムに類似する輸送事例としては、JR 貨物を利用して、東京貨物ターミナルと宇都宮貨物 ターミナル間を鉄道輸送し、両端末のショートドレージの輸送を効率化した実証実験事例がある。 当該事例で指摘されている実施要件としては、両端末におけるショートドレージのコストを抑制す る必要がある。既往の距離帯別料金表では、佐野と宇都宮間の 60 km程度の輸送で 20FT、22,500 円、 40FT、35,000 円を要する。このため、トラクタの有効活用等によって、ショートドレージコストを 削減する方策が必要になる。幹線輸送に従事したトラクタによるコンテナ荷役作業中の横持ち移動で ショートドレージ費用を大幅に削減するといった方策が必要である。 32 参 考 資 料 (6)環境負荷削減効果の試算 (6)環境負荷削減効果の試算 佐野インランドポート利用の場合の環境負荷削減を、上記モデルパターン(2本のコンテナの往 佐野インランドポート利用の場合の環境負荷削減を、上記モデルパターン(2本のコンテナの往復輸 復輸送をラウンドユース又はシャトル輸送で効率化した場合)について計算すると、以下のように 送をラウンドユース又はシャトル輸送で効率化した場合)について計算すると、以下のようになる。 なる。 (1)前提条件 (1)前提条件 実入りコンテナの燃料消費率は、実測値をもとに 2.5km/ リットル、空コンテナの燃料消費率 実入りコンテナの燃料消費率は、実測値をもとに 2.5km/リットル、空コンテナの燃料消費率 4km/ リットルとして計算する。 4km/リットルとして計算する。 換算係数は、1リットル= 2.62kg- CO 軽油消費量の 2 とした。 軽油消費量の CO CO22 換算係数は、1リットル=2.62kgCO 2 とした。 資料:村野昭人、鈴木武「コンテナトレーラの燃料消費特性の把握」国土総合政策研究所資料、 資料:村野昭人、鈴木武「コンテナトレーラの燃料消費特性の把握」国土総合政策研究所資料、 N0.109、2003 年 N0.109、2003 年12 12月(YSK-N-41) 月(YSK-N-41) (2)計算結果 (2)計算結果 計算結果は、次表のとおりである。ラウンドユースは環境負荷低減が明確であるが、シャトル便 計算結果は、次表のとおりである。ラウンドユースは環境負荷低減が明確であるが、シャト の場合には東京港と佐野インランドポートの間の長距離輸送が双方向とも実入りコンテナとなるた ル便の場合には東京港と佐野インランドポートの間の長距離輸送が双方向とも実入りコンテナ め、コストダウンにはなるものの、排ガス量の削減率が低い場合も見られる。 となるため、コストダウンにはなるものの、排ガス量の削減率が低い場合も見られる。 環境負荷の低減は、改正省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)にもとづく省エネ努 環境負荷の低減は、改正省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)にもとづく省エ 力として荷主、運送事業者に貢献できると共に、小売業の場合は商品のカーボンフットプリント表 ネ努力として荷主、運送事業者に貢献できると共に、小売業の場合は商品のカーボンフットプ 示における排ガス量の削減にも反映することができる。 リント表示における排ガス量の削減にも反映することができる。 表 2.5.1 環境負荷削減効果(コンテナ2本分) 表 2.5.1 環境負荷削減効果(コンテナ2本分) 輸送地域 単純往復 排ガス量 kg-CO2 小山と栃木 344 小山と宇都宮 375 小山と大田原 468 栃木と宇都宮 392 栃木と大田原 485 宇都宮と大田原 516 佐野インランドポート利用 ラウンドユース シャトル便 排ガス量 削減量 削減率 排ガス量 削減量 削減率 kg-CO2 kg-CO2 kg-CO2 kg-CO2 % % 282 62 18.1 299 45 13.2 284 91 24.3 360 15 3.9 324 144 30.7 401 67 14.4 284 108 27.6 343 49 12.4 324 161 33.2 384 102 20.9 370 146 28.2 445 71 13.7 33 33 佐野インランドポート構想書 3 コンテナ混載輸送の支援機能 (1)概要 コンテナ混載輸送(Less than Container Load)は、一荷主の貨物がコンテナ単位にまとまらず、複 数荷主の貨物を混載する場合である。主に、中小荷主の貨物を集約して輸送する場合である。この場 合には、輸出貨物のコンテナ詰めや輸入貨物のコンテナからの取り出しが必要になる。このようなコン テナへの貨物の積み卸しや集配場所は、通常、コンテナ・フレイト・ステーション(CFS:Container Freight Station)と呼ばれている。ただし CFS は、FCL 輸送の場合に、工場で荷役作業ができない貨 物の積み卸しの場合にも利用される。 ここでは、LCL 輸送の機能と効果を整理する。 1)コンテナ荷役・貨物集配機能 中小荷主のための貨物集約・コンテナ混載輸送による輸送効率化機能 ・輸出時:コンテナへの貨物混載のための貨物集荷機能 ・輸入時:コンテナから荷卸しした貨物の顧客への配送機能 2)コンテナ輸送機能 ・荷役機能: コンテナへの貨物の荷積み、コンテナからの貨物の荷降し機能、輸送梱包等の作業を含む。 ・車両連結解除: トラクタ、シャーシ、コンテナの保管・管理機能 34 参 考 資 料 (2)コンテナ荷役・貨物集配機能 中小荷主のための貨物集約・コンテナ混載輸送による輸送効率化機能には、以下のような機能があり、 内陸部のインランドポートでの集配のメリットは、幹線部分の輸送効率化と荷役作業料金のコスト削減 が見込まれる。 ・輸出時:コンテナへの貨物混載のための貨物集荷機能 ・輸入時:コンテナから荷卸しした貨物の顧客への配送機能 注1)東京港における港湾諸料金の例 ・コンテナ詰め料金 1トンに付き 機械類(1 個5トン未満) 2,217 円 10 トン 22,170 円 20 トン 44,340 円 ・コンテナ出し料金(上記同一) 1トンに付き 機械類(1 個5トン未満) 2,217 円 10 トン 22,170 円 20 トン 44,340 円 ・コンテナ内貨物固定作業料金 ドライコンテナ 20ft 1本 7,600 円~ 8,060 円 (1口作業員数2人) 40ft 1本11,400 円~ 12,080 円 (1口作業員数2人) 注2)集配費用の例 60km 圏(佐野~宇都宮) ・車扱い 2トン車 7,500 円 4トン車 9,500 円 10トン車12,500 円 ・混載1トンあたり 5,000 円 35 佐野インランドポート構想書 (3)コンテナ混載の効果 (3)コンテナ混載の効果 コンテナの混載の場合の輸送効率化は、下図のように中小型車で港湾に輸送する場合の費用とコンテ コンテナの混載の場合の輸送効率化は、下図のように中小型車で港湾に輸送する場合の費用とコ ナによる大量一括輸送の際のコスト差が中心になる。 ンテナによる大量一括輸送の際のコスト差が中心になる。 図 3.3.1 コンテナ混載輸送の場合 図 3.3.1 コンテナ混載輸送の場合 現状型の輸送コスト例 輸出者 輸入者 5トン車 140km 車扱い 20,000円×6台 =120,000円 +港湾倉庫における 荷出し費用 +港湾倉庫における 荷詰め費用 コンテナ混載時の輸送コスト例 輸出者 輸入者 60km圏(佐野~宇都宮) 共同集配 10トン車 15,000円×2台=30,000円 実入りコンテナ輸送料金 132km、ラウンドユース時 (140km帯料金を適用) コンテナからの荷出し コンテナへの荷詰め のコスト削減 20ft 39,000円×2= 78,000円 合計費用108,000円 △12,000円 36 36 参 考 資 料 (4)環境負荷削減効果の試算 ここでは、輸出入貨物のインランドポートと京浜港との間の小型車から大型車への集約に伴う環境負 荷削減効果を検討する。2)の佐野インランドポート利用の場合の環境負荷削減を、上記モデルパター ン(2本のコンテナの往復輸送をラウンドユース又はシャトル輸送で効率化した場合)について計算す ると、以下のようになる。 (1)前提条件 ・環境負荷の低減は、改正省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)にもとづく改良トン キロ法を用いて推計する。 ・ここでは 10 トン車の積載率が 40%から 80%に向上するとし、燃料消費率がトンキロ当たり 0.0179 リットルから 0.0410 リットルに向上した場合を推計する。 ・対象距離はインランドポートから京浜港までの 110km とする。 ・輸送量は、混載需要量の 56 千トン(4 千 TEU)の輸入・輸出両方向とする。 ・軽油消費量の CO2 換算係数は、1リットル= 2.62kg- CO2 とした。 (2)計算結果 ・対象トンキロ:12,320 千トンキロ ・燃料消費量:改善前 886 千リットル、改善後 505 千リットル、削減量 381 千リットル 改善率 43.0% ・二酸化炭素排ガス量:改善前 2,321 トン、改善後 1,323 トン、削減量 997 トン 37 佐野インランドポート構想書 4 保税機能を活用する場合 4 保税機能を活用する場合 内陸の保税蔵置場としての主な保税機能には、以下のような機能がある。 ①輸入の場合 内陸の保税蔵置場としての主な保税機能には、以下のような機能がある。 2年間程度の長期の保税蔵置が可能となり、市場動向に応じて出荷でき、関税・消費税の納入から ①輸入の場合 商品販売に伴う入金までの間の金利負担が節減できる。 2年間程度の長期の保税蔵置が可能となり、市場動向に応じて出荷でき、関税・消費税の納 ②輸出の場合 入から商品販売に伴う入金までの間の金利負担が節減できる。 事前の輸出通関処理により、港での待機時間が短縮できる。 ②輸出の場合 ③保税運送料に係る消費税の免税 事前の輸出通関処理により、港での待機時間が短縮できる。 港湾と内陸保税蔵置場までの保税運送の消費税が課税されない。 ③保税運送料に係る消費税の免税 港湾と内陸保税蔵置場までの保税運送の消費税が課税されない。 (1)保税蔵置場の動向 (1)保税蔵置場の動向 1)保税地域の種類 1)保税地域の種類 保税地域には、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の 5 種類がある。 保税地域には、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の 5 種類があ 保税地域においては、外国貨物の積卸し、運搬、蔵置、加工・製造、展示等の行為をすることができ る。保税地域においては、外国貨物の積卸し、運搬、蔵置、加工・製造、展示等の行為をすること るが、関税徴収の確保及び取締りの適正を期するため、保税地域にある外国貨物は税関の監督下にお ができるが、関税徴収の確保及び取締りの適正を期するため、保税地域にある外国貨物は税関の監 かれる。インランドデポは、保税蔵置場の機能の一つである。 督下におかれる。インランドデポは、保税蔵置場の機能の一つである。 表 4.1.1 保税蔵置場の種類 表 4.1.1 保税蔵置場の種類 種類 指定保税地域 (関税法第37条) 保税蔵置場 (関税法第42条) 保税工場 (関税法第56条) 保税展示場 (関税法第62条の2) 総合保税地域 (関税法62条の8) 主な機能 蔵置期間 外国貨物の積卸し、運搬、一時蔵置 財務大臣の指定 2年(延長可) 税関長の許可 2年(延長可) 税関長の許可 例)コンテナヤード 等 外国貨物の積卸し、運搬、蔵置 例)倉庫、上屋 等 外国貨物の加工、製造 例)造船所、製鉄所、製油所 等 外国貨物の展示・使用 税関長が必要と認める期間 税関長の許可 例)博覧会、博物館 等 保税蔵置場、保税工場、保税展示場の総合的機能 2年(延長可) 例)中部国際空港 等 資料:財務省関税局資料をもとに作成 資料:財務省関税局資料をもとに作成 それぞれの概要は、以下のとおりである(資料:財務省関税局) 。 それぞれの概要は、以下のとおりである(資料:財務省関税局) 。 38 38 設置の手続 1ヵ月 税関長の許可 参 考 資 料 (1)指定保税地域 国や都道府県、市のような地方公共団体等が所有し、管理している土地や建物等公共的な施設 について、財務大臣が指定して設置するものである。指定保税地域は、税関手続を簡易、迅速に 処理するために設けられたものである。 この地域では、輸入手続がまだ済んでいない貨物、輸出の許可を受けた貨物、わが国を通過す る貨物(これらをあわせて外国貨物と呼びます)を積卸し、運搬し、又は一時(原則として 1 か月) 蔵置することができる。 指定保税地域は、本来、貨物の税関手続と荷捌きのため、だれでも自由に、しかも安く利用で きることを理想とするので、あまり長期間貨物を置くことや、指定業者が独占的に使用すること は認められない。また、この地域内で、複雑な加工や製造をして貨物の性質を変えるようなこと もできない。 指定保税地域は、税関手続のために、貨物を置く場所として設けられたものであるため、主と して税関所在地の近くに設置されている。 (2)保税蔵置場 外国貨物を置くことができる場所として、税関長が許可した場所をいう。 ここには、外国貨物を積卸し、又は蔵置(原則 2 年、延長可能)することができる。その間は関 税等の税金はかからない。保税蔵置場は、取引の円滑化と中継貿易の発展を図るために設けられた ものである。 (3)保税工場 外国貨物について関税等を課さないままで加工、製造できる場所として税関長が許可した場所を いう。 保税工場は、加工貿易の振興のために設けられたもので、その加工又は製造の期間は原則として 2 年であるが、作業の都合によっては、更に期間を延長することも認められる。この期間中は、関 税等がかからないので、この間に外国貨物に加工、製造を加えて、製品を外国に送り出せばよい。 保税工場は、外国産原料の輸入や製品の輸出に便利な場所に設置されるのが普通であるが、国内 販売品と一緒に輸出品の加工や製造を行う場合もあり、この場合には国内販売のための工場の立地 条件に左右され、港から離れた場所にあることもある。 保税工場で加工、製造している主な製品としては、魚介類の缶詰、菓子、鋼材、電線、船舶、自 動車、精密機械、土木機械、工作機械、石油製品、繊維、農薬、化学製品、フィルム等がある。 (4)保税展示場 外国貨物を展示する会場として、税関長が許可した場所を保税展示場という。保税展示場は、国 際的な規模で行われる博覧会や公的機関が行う外国商品展示会等の運営を円滑にするために、外国 貨物について関税等を課さないままで、簡易な手続により展示し、使用する場所として設けられた ものである。東京モーターショー等は、この制度を利用して行われている例である。 39 佐野インランドポート構想書 ものである。東京モーターショー等は、この制度を利用して行われている例である。 (5)総合保税地域 (5)総合保税地域 前記(2)から(4)に掲げる保税地域が有する外国貨物の蔵置、加工、製造、展示等の各種機能 前記(2)から(4)に掲げる保税地域が有する外国貨物の蔵置、加工、製造、展示等の各種機能 を総合的に活用できる地域として、税関長が許可した場所をいう。 を総合的に活用できる地域として、税関長が許可した場所をいう。 総合保税地域は、輸入の促進や対内投資事業の円滑化等の動きを背景として、各種の輸入インフ 総合保税地域は、輸入の促進や対内投資事業の円滑化等の動きを背景として、各種の輸入インフ ラ集積のメリットを助長するため、そのような施設が集積する地域に対応する保税制度として創設 ラ集積のメリットを助長するため、そのような施設が集積する地域に対応する保税制度として創設 されたものである。 されたものである。 総合保税地域では、地域内において様々な機能を有する各種施設を弾力的に配置することができ、 総合保税地域では、地域内において様々な機能を有する各種施設を弾力的に配置することができ、 地域内の各施設の間では、手続を必要とせずに外国貨物の移動ができる等、手続の簡素化が図られ 地域内の各施設の間では、手続を必要とせずに外国貨物の移動ができる等、手続の簡素化が図られ ることになる。 ることになる。 2)保税蔵置場所の状況 2)保税蔵置場所の状況 国内の保税蔵置場所の状況は、以下のようになっており、件数、面積共に保税蔵置場が多く、平成 国内の保税蔵置場所の状況は、以下のようになっており、件数、面積共に保税蔵置場が多く、平 22 年 1 月 1 日現在で 5,095 件あり、1 件当たり面積は、平均 13 千㎡となっている。コンテナヤード 成 22 年 1 月 1 日現在で 5,095 件あり、1 件当たり面積は、平均 13 千㎡となっている。コンテナヤ 等の指定保税区域は 86 件で、1 件当たり面積は、平均 304 千㎡である。 ード等の指定保税区域は 86 件で、1 件当たり面積は、平均 304 千㎡である。 指定保税地域は、地方港湾の国際化の進展に伴って増加しているが、保税工場は、関税率の低下に 指定保税地域は、地方港湾の国際化の進展に伴って増加しているが、保税工場は、関税率の低下 伴う保税効果の低下や AEO 制度の新設に伴って減少傾向にある。 に伴う保税効果の低下や AEO 制度の新設に伴って減少傾向にある。 表 4.1.2 保税蔵置場の動向 表 4.1.2 保税蔵置場の動向 件数 面積(千㎡) 1件当り面積 年 1990 2010 1990 2010 1990 2010 指定保税地域 73 86 16,368 26,184 224 304 保税蔵置場 5,169 5,095 66,801 68,579 13 13 保税工場 1,013 312 59,157 35,307 58 113 総合保税地域 - 4 - 1,256 - 314 合計 6,255 5,497 142,326 131,326 23 24 注:各年1月1日現在 資料:財務省、「財政金融統計月報」 3)保税蔵置場の許可基準(関税法第 3)保税蔵置場の許可基準(関税法第43 43条) 条) (1)人的要件 (1)人的要件 ①申請に係る保税蔵置場の業務内容その他から判定し、保税蔵置場の業務を行ううえで必要な法 ①申請に係る保税蔵置場の業務内容その他から判定し、保税蔵置場の業務を行ううえで必要な法 令等についての知識及び記帳能力等が十分であって、外国貨物等の保管業務に関し十分な業務処 令等についての知識及び記帳能力等が十分であって、外国貨物等の保管業務に関し十分な業務 理能力を有すると認められた者 処理能力を有すると認められた者 ②下記③の要件を満たす施設において、許可申請書に添付された貨物管理に関する社内管理規定 に基づき、保税地域における貨物の亡失等を防止し、外国貨物の適正な保全を図るための体制、 業務手順、手続等を確保できる能力を有すると認められる者 40 ③貨物取扱量を勘案して、関税法の規定により課される許可手数料、亡失貨物に係る関税等の経 済的負担に耐え得る資力を有すると認められる者 40 参 考 資 料 (2)場所的要件 ①当該施設の所在地を所轄する税関官署からの路程が 25㎞以内の場所にある施設 ②当該施設の所在地を所轄する税関官署からの路程が 25㎞を超えおおむね 100㎞以内の場所にあ る施設であり、その施設の所在地及び周辺の地域における道路、港湾及び空港その他の交通施 設が整備されているもの ③上記以外の場所にある施設で、蔵置施設、蔵置する貨物の種類、地域の国際化 ・ 活性化に資す る観点等を勘案し、上記以外の場所に立地することがやむを得ない事情にあると税関長が認め るもの (3)施設的要件 貨物管理に関する社内管理規定に基づき、保税地域における貨物の亡失等を防止し、外国貨物の 適正な保全を図るための体制が確保できる施設であること。 また、当該施設につき、原則として、以下の措置が講じてあること。 ① インランドポート、野積場等の土地に貨物を蔵置する保税地域においては、当該保税地域内 に外部から容易に侵入できないような障壁、フェンス等を外周に設置すると共に、当該保税地 域内において適度な照度を確保できるような照明装置が設置されていること。また、出入口に は施錠が可能なゲート等の設備が設置されていること。 ②コンテナ・フレイト・ステーション、倉庫等の貨物を蔵置する施設を有する保税地域において は、当該施設の出入口、窓、その他の侵入が可能な部分について、外部から不審者等が容易に 侵入できないように施錠その他の措置が講じてあること。 (4)量的要件 申請に係る施設の輸出入貨物取扱見込量が、当該施設の所在する港湾又は地域における既存の同 種条件にある保税蔵置場等に比較して同程度か又はそれ以上であると認められるものであること。 http://www.fujii-jimusho.com/tsukan/hozeizouchi.html 41 佐野インランドポート構想書 4)栃木県下を中心とする現状の保税蔵置場等の状況 (1)指定保税地域(コンテナヤード等港湾区域) 京浜港 大黒埠頭地区指定保税地域 京浜港 山下埠頭地区指定保税地域 京浜港 本牧埠頭地区指定保税地域 京浜港 南本牧ふ頭地区指定保税地域 仙台塩釜港 仙台港区高砂埠頭地区指定保税地域 京浜港 東扇島地区指定保税地域 京浜港 千鳥町地区指定保税地域 (2)保税蔵置場(宇都宮出張所管轄) 宇都宮国際貨物流通事業協同組合 UICT保税蔵置場 宇都宮製氷冷蔵 ( 株 ) 保税蔵置場 ABCロジテム ( 株 ) ABC物流センター保税蔵置場 ABCロジテム ( 株 ) 壬生物流センター保税蔵置場 ( 株 ) オークコーポレーション保税蔵置場 ( 株 ) オークコーポレーション PDセンター保税蔵置場 久和物流 ( 株 ) 平出倉庫保税蔵置場・物流センター保税蔵置場 サン永 ( 株 ) 保税蔵置場 サントリー酒類 ( 株 ) 梓の森工場保税蔵置場 ニッカウヰスキー ( 株 ) 栃木工場保税蔵置場 澁澤倉庫 ( 株 ) 北関東支店栃木営業所第二倉庫保税蔵置場・北関東支店栃木営業所保税蔵置場 住友電気工業 ( 株 ) 電子ワイヤー事業部保税蔵置場 ( 株 ) T・I・I 鹿沼情報物流センター保税蔵置場 東京重機運輸 ( 株 ) 大田原事業部保税蔵置場 ( 株 ) ニチボ 上三川流通センター保税蔵置場 ( 株 ) 日新 芳賀倉庫保税蔵置場 日本通運 ( 株 ) 宇都宮航空保税蔵置場・宇都宮支店宇都宮保税蔵置場 ( 株 ) ホンダロジスティクス 栃木事業所ロジスティクスセンター保税蔵置場 ( 株 ) ミツワハウステック 葛生工場保税蔵置場 都運送 ( 株 ) 宇都宮バンプール保税蔵置場 都運送 ( 株 ) 都ロジスティックセンター第2号倉庫保税蔵置場 ヤマトグローバルロジスティクスジャパン ( 株 ) 栃木保税蔵置場 ( 株 ) ユーユーワールド 保税蔵置場・足利保税蔵置場 42 参 考 資 料 (3)保税工場(宇都宮出張所管轄) 日立エーアイシー(株) 芳賀工場保税工場(真岡市) 古河電気工業(株) 日光事業所保税工場(日光市) 和光堂(株) 栃木工場保税工場(さくら市) (保税工場に併設された保税蔵置場) 日産自動車(株) 追浜専用埠頭保税蔵置場 (株)東芝 京浜事業所保税蔵置場 味の素(株) 川崎事業所保税蔵置場 (4)保税展示場(全国2カ所) 独立行政法人 国立文化財機構 九州国立博物館 (財)長崎孔子廟 中国歴代博物館 (5)総合保税地域(横浜税関管内) (株)横浜港国際流通センター (大黒埠頭出張所) かわさきファズ(株)物流センター(川崎税関支署東扇島出張所) 43 佐野インランドポート構想書 5)横浜税関宇都宮出張所における取扱量の推移 5)横浜税関宇都宮出張所における取扱量の推移 図 4.1.1 宇都宮出張所輸出入貿易額の推移 図 4.1.1 宇都宮出張所輸出入貿易額の推移 資料:横浜税関 資料:横浜税関 44 44 参 考 資 料 図 4.1.2 宇都宮出張所の輸出入品目内訳 図 4.1.2 宇都宮出張所の輸出入品目内訳 資料:横浜税関 資料:横浜税関 45 45 佐野インランドポート構想書 6)AEO 制度(Authorized Economic Operator:認定事業者制度) 6)AEO 制度(Authorized Economic Operator:認定事業者制度) 輸出については、セキュリティの確保と貿易手続きの円滑化の両立を図るため、コンプライアンスに 輸出については、セキュリティの確保と貿易手続きの円滑化の両立を図るため、コンプライアン 優れた輸出者に対して税関手続きを簡素化する特例措置が設けられており、特定輸出者の場合には、保 スに優れた輸出者に対して税関手続きを簡素化する特例措置が設けられており、特定輸出者の場合 税地域以外の場所におかれた貨物であっても輸出通関許可を受けることが可能となっている。このため、 には、保税地域以外の場所におかれた貨物であっても輸出通関許可を受けることが可能となってい 保税蔵置制度とは別に当該制度の認定事業者については、すでに港湾区域での輸出通関は不要となって る。このため、保税蔵置制度とは別に当該制度の認定事業者については、すでに港湾区域での輸出 いる。 通関は不要となっている。 図 4.1.3 AEO 制度の概要 図 4.1.3 AEO 制度の概要 46 46 参 考 資 料 図 4.1.4 保税蔵置主義見直しの動向(平成 22 年 10 月 29 日関税局資料)1 図 4.1.4 保税蔵置主義見直しの動向(平成 22 年 10 月 29 日関税局資料)1 47 47 佐野インランドポート構想書 4.1.5 保税蔵置主義見直しの動向(平成 図図 4.1.5 保税蔵置主義見直しの動向(平成22 22 年 年10 10 月 月29 29 日関税局資料)2 日関税局資料)2 48 48 参 考 資 料 図 4.1.6 保税蔵置主義見直しの動向(平成 22 年 年 10 10 月 月 29 29 日関税局資料)3 日関税局資料)3 図 4.1.6 保税蔵置主義見直しの動向(平成 22 49 49 佐野インランドポート構想書 (2)関税率の動向 (2)関税率の動向 関税率は、WTO ルールの適用や FTA の締結に伴って低下傾向にあり、輸入総額に対して、平均 1.4% 関税率は、WTO ルールの適用や FTA の締結に伴って低下傾向にあり、輸入総額に対して、平均 の水準にある。また、対有税品輸入額について見ると、平均 8.0%の水準にある。 1.4%の水準にある。また、対有税品輸入額について見ると、平均 8.0%の水準にある。 表 4.3.1 輸出入額と関税率の推移 表 4.3.1 輸出入額と関税率の推移 (単位 百万円,%) 区 分 輸 入 額 負 担 率 輸 出 額 年度別 関税収入額 総 額 うち有税品 対有税品輸入額 平成元年度… 38,882,993 30,404,171 14,006,310 895,926 2.9 6.4 2……… 41,874,991 34,171,137 14,733,031 928,056 2.7 6.3 3……… 42,696,582 30,970,420 12,729,550 1,020,504 3.3 8.0 4……… 43,052,879 29,225,047 12,610,043 1,005,831 3.4 8.0 5……… 39,613,243 26,449,917 11,088,126 962,943 3.6 8.7 6……… 40,750,347 28,988,814 11,798,946 994,289 3.4 8.4 7……… 42,069,432 32,952,956 12,095,904 1,032,104 3.1 8.5 8……… 46,040,586 39,671,661 14,817,472 1,109,290 2.8 7.5 9……… 51,411,190 39,961,467 14,162,538 1,011,740 2.5 7.1 10……… 49,449,347 35,393,751 12,026,405 920,506 2.6 7.7 11……… 48,547,648 36,451,616 13,066,985 863,710 2.4 6.6 12……… 52,045,241 42,449,370 15,419,850 876,408 2.1 5.7 13……… 48,592,792 41,509,071 15,213,671 901,578 2.2 5.9 14……… 52,727,107 43,067,102 15,657,993 835,111 1.9 5.3 15……… 56,060,293 44,855,181 15,744,168 844,999 1.9 5.4 16……… 61,720,757 50,367,565 18,661,771 861,836 1.7 4.6 17……… 68,290,157 60,511,292 22,099,281 930,298 1.5 4.2 18……… 77,460,585 68,447,346 12,363,354 947,335 1.4 7.7 19……… 85,113,381 74,958,073 11,279,323 940,991 1.3 8.3 20……… 71,145,593 71,910,441 10,419,305 883,109 1.2 8.5 21……… 59,012,559 53,780,653 9,136,757 731,880 1.4 8.0 資料:関税局 資料:関税局 50 50 対輸入総額 参 考 資 料 参考:AEO 取得企業一覧(横浜税関) 1)特例輸入者(横浜税関承認分) ビー・エム・ダブリュー株式会社 株式会社ブリヂストン 日本アイ・ビー・エム株式会社 日本軽金属株式会社 日産自動車株式会社 株式会社オリエンタルランド 東北リコー株式会社 株式会社リコー (平成 22 年 7 月 27 日現在 計 8 者) 2)特定輸出者一覧(横浜税関承認分) 味の素株式会社 アンリツ株式会社 株式会社ブリヂストン 株式会社ディーアンドエムホールディングス デュポン株式会社 富士フイルム株式会社 日立オートモティブシステムズ株式会社 株式会社日立オートパーツ&サービス 株式会社日立カーエンジニアリング 日立建機株式会社 株式会社日立ハイテクノロジーズ 日本アイ・ビー・エム株式会社 いすゞ自動車株式会社 伊藤忠商事株式会社 岩崎通信機株式会社 JUKI株式会社 株式会社ケンウッド コマツ物流株式会社 株式会社小松製作所 リーダー電子株式会社 株式会社メタルワン 三菱ふそうトラック・バス株式会社 NECインフロンティア株式会社 日産フォークリフト株式会社 日産自動車株式会社 日産トレーデイング株式会社 日本精工株式会社 オリンパス株式会社 オリンパスイメージング株式会社 オリンパスメディカルシステムズ株式会社 株式会社プライムポリマー 株式会社リコー 日本サムスン株式会社 住友商事株式会社 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 東北リコー株式会社 東北セミコンダクタ株式会社 東芝メディカルシステムズ株式会社 東洋ゴム工業株式会社 株式会社アルバック 日本ビクター株式会社 (平成 23 年 3 月 8 日現在 計 41 者) 51 佐野インランドポート構想書 3)特定保税承認者一覧(横浜税関) 株式会社石川組 石巻埠頭サイロ株式会社 株式会社宇徳 楠原輸送株式会社 互興運輸株式会社 住化ロジスティクス株式会社 東洋合成工業株式会社 日本埠頭倉庫株式会社 日立物流シーアンドエア株式会社 丸全昭和運輸株式会社 まるま運輸株式会社 株式会社ユーユーワールド (平成 23 年 6 月 13 日現在 計 12 者) 4)認定通関業者一覧(横浜税関認定分) 味の素物流株式会社 株式会社石川組 楠原輸送株式会社 丸全昭和運輸株式会社 株式会社宇徳 (平成 23 年 3 月 16 日現在 計 5 者) 5)特定保税運送者一覧(Authorized Logistics Operator)(全国:東京税関承認分のみ) 株式会社大崎 商船三井ロジスティクス株式会社 株式会社ユー・ティー・アイ (平成 22 年 12 月 21 日現在 計 3 者) 52 参 考 資 料 5 インランドポートに関する利用の現状と課題(ヒアリング調査結果) 1)概要 昨年度は、地元企業7社、船社3社(邦船1社、外国船社2社)、フォワーダー2社、インランドデ ポ1社のヒアリングを行った。あわせて関西のインランドデポ整備動向について港湾管理者1社のヒア リングも実施した。 今年度は、地元企業3社にヒアリングを行った。また、栃木県内でコンテナラウンドユースを実施し ている大手企業4社にヒアリングを行い、船社は追加4社(邦船2社、外国船社2社)にヒアリングを 行った。船社のうち2社は電話打診のみで、直接のヒアリングはできなかったが、その際の内容もあわ せてまとめることとした。この過程で、実際のコンテナラウンドユースを行っているコンテナ運送会社 2社のヒアリングを行い、1社からはコンテナ陸送の輸送実態データを入手した。また、ラウンドユー スの既存事例に関係してJR貨物にも事業の拡張可能性を中心にヒアリングを行った。 以下、昨年度と今年度のヒアリング結果を取りまとめ、コンテナラウンドユースの成立要件やインラ ンドポートの整備要件について検討した結果を取りまとめる。 ヒアリング一覧(合計 27 社) ・荷主:14 社(地元 10 社) ・船社:7社(邦船3社、外国船社4社) ・コンテナ運送会社:2社 ・インランドデポ管理会社:1社 ・JR貨物 ・フォワーダー:2社 53 佐野インランドポート構想書 2)荷主企業 2)荷主企業 荷主企業では、環境負荷削減やコスト削減の要請が強いため、輸出、輸入共にコンテナラウンドユー 荷主企業では、環境負荷削減やコスト削減の要請が強いため、輸出、輸入共にコンテナラウンドユー スのニーズは強く、そのために必要となるインランドポートへの関心も高い。 スのニーズは強く、そのために必要となるインランドポートへの関心も高い。 ただし、現在、コンテナラウンドユースを行っている企業の場合でも、自社内の輸出と輸入の間での ただし、現在、コンテナラウンドユースを行っている企業の場合でも、自社内の輸出と輸入の間での コンテナ利用はある程度の本数がラウンドユースしているものの、他社との間でのラウンドユースの成 コンテナ利用はある程度の本数がラウンドユースしているものの、他社との間でのラウンドユースの成 立本数は極めて少ない。 立本数は極めて尐ない。 昨年度調査では、地元企業中心にヒアリングを実施し、今年度調査では、栃木県に立地しコンテナラ 昨年度調査では、地元企業中心にヒアリングを実施し、今年度調査では、栃木県に立地しコンテ ウンドユースを積極的に実施している大手企業4社のヒアリングを実施した。 ナラウンドユースを積極的に実施している大手企業4社のヒアリングを実施した。 ヒアリング企業にみる、輸出入コンテナ本数(単位:TEU)とラウンドユースの実施例は、以下の ヒアリング企業にみる、輸出入コンテナ本数(単位:TEU)とラウンドユースの実施例は、以下 とおりである。D 社工場は、栃木県内の取扱量が少なく、茨城県の工場が主力工場とのことである。各 のとおりである。D 社工場は、栃木県内の取扱量が尐なく、茨城県の工場が主力工場とのことであ 社の主要な指摘事項は、以下のとおりである。 る。各社の主要な指摘事項は、以下のとおりである。 ラウンドユースの現状と課題 A社 輸入 月 700 本~800 本 輸出 月 100 本(うち 80%で自社内ラウンドユース実施) 他社とのラウンドユース数本程度 佐野インランドポート のニーズ ・大手の輸出企業があれば、自社工場 との距離的には連携の可能性があ る。 ・物流子会社を活用して、ラウンドユースを積極的に実施している。 ・ラウンドユースは、コンテナサイズや種別に加えて、ニオイ等も 製品に移るので嫌われることがある。 ・JR 貨物の利用が一層拡大できればいいと考えている。 ・JR 貨物利用の場合でも、大井側の距離帯の短い部分でもコンテナ ヤードの待ち時間等を中心にコストがかかるので、港湾側のター ミナル機能も必要である。 ・他社との連携によるコンテナラウンドユースは、特定1社の例で は月にコンテナ2本程度である。 ・物流子会社が物流事業者として AEO を取得しており、通関処理を 実施している。 B社 輸出 月 350 本(20ft、40ft 混在) ・現状では利用する船会社のコンテナ コンテナラウンドユースは、福島県工場の輸出入(中国)で がある場合には宇都宮のデポを利用 実施しており自社内月 100 本程度 している。週に2本、月に8本前後 ・他社とのラウンドユースは検討しているが実施例なし である。利用を増加させたいが、連 ・一部部品の輸入もあるが、自社内では、輸出貨物量が圧倒的に多 携可能なコンテナがない。空コンテ い。 ナがなければ東京港から搬入してい ・物流子会社を活用して、ラウンドユースを積極的に実施している る。これは船会社のバンプール機能 が、現状では自社内の輸出入間調整にとどまっている。主な利用 を利用しているだけで、ラウンドユ は福島県から新潟港利用での中国への輸出である。 ースを行っているわけではない。 ・ラウンドユースのためにシャーシサイズを 40 フィートにあわせて ・調整可能な大手企業があれば、利用 いるが、輸送効率面から輸入は 20 フィートの方が望ましい。 可能性はある。 ・ラウンドユースのネックは、シャーシサイズ・コンテナサイズや ・コンテナ輸送会社のターミナルがあ 管理責任の調整等の他に、個々のコンテナの入出荷とのタイミン れば、栃木県内での横持ち基地とし グ調整が難しいことにある。 ての利用可能性があると考えられ ・出荷先は世界中であり、船会社も方面別に毎年入札しており、変 る。 更の可能性もある。 ・コンテナラウンドユースでJR貨物宇都宮ターミナルも利用して いる。 ・出荷は基本的に午前中であり、量が多いと、前の日 18 時から出荷 というパターンもある。前日に荷物を並べておいて、朝にバンが 来てから出荷作業に入る。 ・CY カットに対してギリギリの時間で出荷しており、JR貨物利用 の場合は、1日前に出荷する必要があるので、その分の出荷を早 54 54 参 考 資 料 C社 D社 めている。 ・特定輸出者(AEO)としての資格はとっているが、事前通関はや っていない。ヤード搬入してから通関している。通関を切ってか ら事故があった時には、問題になる。混載作業によるコンテナ積 載率向上の際にも港湾ヤードでの通関の方が便利である。 ・往復運賃を支払っている。ドレージコストをどうにかしたい。海 外の運賃とくらべると、国内の陸送費が高い。 ・中国からの輸出は安い船会社を選んでいけば、地域の中小船会社 になってしまう。そうすると、輸出側の船会社と合わなくなって しまう。 輸入 月 10 本 輸出 月 120 本(自社内ラウンドユース月 20 本程度) 他社とのラウンドユース数本程度 ・全てラウンドユースで利用できるわけではない。 ・他社との連携によるラウンドユースは可能であるが、利用件数は 増加していない。主たるネックは、栃木県下でのコンテナ輸送の 所要時間限界にある。 ・関係企業にも声をかけてラウンドユースを積極的に実施したいと 考えているが、実際には、現在連携している輸入企業から自社ま での距離が長く、空コンテナの横持ちの所要時間、利用船社の空 コンテナへの切替え時間等を含めると実現可能な本数は限られて おり利用は増加していない。 ・JR 貨物の利用が一層拡大できればいいと考えている。ただし、JR 貨物の利用も、船社側にも特例的な対応をしていただいており、 時間制約やコスト面では現状の利用条件が、一般的な利用モデル として他社に利用できるものではないと考えられる。 ・AEO を取得しており、自社で通関を実施している。 ・空コンテナの回送費用は大きく、ラウンドユースを積極的に展開 する方向で検討している。 ・すでに家電企業の輸入コンテナとのラウンドユースを実施してい るが、距離帯が遠く、横持ちの所要時間がかかるため、利用本数 が増えない。 ・今後とも、デポ運営業者、複数の船社、ドレージ会社を巻き込ん だ形で検討する予定である。 ・地元に大手の輸入企業があれば、連 携の可能性はある。 ・京浜港からのコンテナ輸送を行って いるトラクタを利用するには、栃木 県内の距離が長いので限界がある。 このため、京浜港とコンテナの搬出 入に利用しているトラクタの活用で はなく、栃木県内にコンテナ輸送の 基地を設け、当該基地から所要のシ ャーシや空コンテナを搬出入する仕 組みと京浜港から内陸に輸送する幹 線部分のシャトル便を組合せて利用 する方法が有効であると考えられ、 船社等の関係者に提案しているが、 反応がない。地元のコンテナ輸送会 社が対応してくれることが望まし い。 ・主力工場が茨城なので、佐野市との 距離が遠く、利用は難しいと考えら れる。筑波周辺に関係企業かインラ ンドポートがあれば利用したい。 55 55 佐野インランドポート構想書 3)地元企業 3)地元企業 現状の利用状況は以下のとおりであり、単車トラックによる輸送が中心であり、その輸送効率化が求 現状の利用状況は以下のとおりであり、単車トラックによる輸送が中心であり、その輸送効率化が求 められている。また、コンテナ輸送コストの削減には強い関心がある。インランドポートの利用によっ められている。また、コンテナ輸送コストの削減には強い関心がある。インランドポートの利用によっ て、コスト削減が可能な具体的条件なり提案があれば各社共に検討したいと指摘している。 て、コスト削減が可能な具体的条件なり提案があれば各社共に検討したいと指摘している。 地元 S-A S-B S-C S-D S-E S-F S-G S-H S-I S-J 56 輸出入概要 輸入のみコンテナ1日1本程度(繁忙期5~10 本)月 20 本程度 輸出は輸送梱包単位、10 トン車利用 輸出中心、輸送梱包単位、10 トン車利用 輸入中心、直接搬入はトラック、一次輸送はコンテナ2,3ヶ月で1本程度 輸入中心、トラック輸送 輸入中心、トラック輸送 国内、宅配便利用 輸入中心、月コンテナ 10 本程度 輸入年間 530 トン(月 10TEU)、輸出年間 490 トン(月 12TEU) 、輸出入共に中国の自社グループ工場 輸入は港湾地域でデバンニング、輸出は宇都宮でバンニング。電子部品 輸出中心、トラック輸送1日 10 トン車1台程度、グループ企業内を巡回集荷し、横浜本牧ふ頭に集約して輸出 自動車部品 輸入年間 120 トン(月 14TEU)、輸出年間 100 トン(月 2TEU) 、自動車部品、工場でのコンテナ扱い不能 56 参 考 資 料 4)船会社 4)船会社 船会社は、邦船社と中国・韓国・台湾の8社に打診した。このうち7社は、世界のコンテナ運航会社 船会社は、邦船社と中国・韓国・台湾の8社に打診した。このうち7社は、世界のコンテナ運航会社 トップ トップ2020位に入っている大手である。 位に入っている大手である。 船社 概要 J-A ・邦船社といっても日本の港の全てにヤードがあるわけではなく、日本の国際港湾 67 港のうち7港程度しか対 応していない。地方港湾利用も含めての国内港湾の議論であれば韓国の船会社を中心に外国船社に打診した方 がいい。 ・船会社としては、輸送需要のあるところに寄港しないと採算がとれない。このためには、輸送需要の中心であ る中国の港と米国の港の間の輸送といったハブポート間の幹線輸送に注力することが最優先となる。 ・リーマンショックのように、コンテナ船で 40%、自動車輸送の RORO 船で 60%の減少といったような、急 激な輸送需要の減少時には、船舶を運航させるよりも停止させる方が有効という状況にあった。荷量は回復基 調にあるものの、一層厳しいコスト管理が要請されており、収入につながりにくく、コストアップ要因になる 内陸コンテナ輸送には基本的にタッチすることはない。 ・京浜港との距離帯が近すぎると思う。また、すでに類似デポがある。 ・基本的に内陸へのコンテナ輸送は、船会社にとってコスト高になる。このため、地元にかなり大手の荷主があ る場合でないと、船会社として直接対応することは考えられない。中小荷主の荷の集荷も船会社にとってはコ ストアップ要因になるので対応することは考えられない。 ・空コンテナのラウンドユースは、極めて限定的な条件の下でしか成立しない。しかも、コンテナ一般で互換性 や融通性があるわけではなく、ドライとリーファーのコンテナタイプ別に見ると、マッチングの可能性はさら に低下し、荷主の輸送品質管理でコンテナを共用できなければ、マッチングによる効率化の可能性は非常に低 くなる。 ・船会社としては船の運航の採算確保のためのコストダウンと中国・米国間での幹線航路での空コンテナ需給対 応のための船舶の運航管理だけでも大変な状況にあるので、インランドデポやインランドポートの運営には基 本的には関与することはない。 ・いずれにしても、インランドポートの問題ではなく、ベースカーゴとなる企業立地が先行する必要があると考 えられる。しかし、空洞化を止めるのは中央政府の役割である。国内産業集積を促すには、為替・円高対応、 法人税、FTA 締結、排ガス 25%削減目標、雇用・派遣法問題等、企業立地にとって国際競争上不利な条件を 政府が対応する必要があり、効果的な施策が打てなければ円高もエネルギー資源の高騰もあるので一層、企業 流出が進むと考えられる。 ・邦船社 B 社も基本的には邦船社 A 社と同じ見解である。 ・一般的な顧客サービスとして、インランドポートやラウンドユースのサービスを提供していない。 ・現状で実施しているコンテナラウンドユースは、個別荷主別の個別案件として条件が適合する場合に実施して いるものであって、いわば大手荷主向けの付帯的なサービスの一環として行っている。 ・船会社としては、港湾相互間の海運を主たる業務としており、コンテナの陸送部分は、付帯的位置づけにある。 1)コンテナの内陸輸送 ・一般的に、船社として国内各地のインランドデポとの利用契約を締結している。ただし利用を保証するもので はない。 ・最近は内陸デポよりも、コンテナラウンドユースの機能に関心が高まっており、船社よりも荷主側の関心が強 い。日本海側の港はいずれも輸入超過なので、輸出企業との連携ニーズがある。 ・船社としては、コンテナ管理基準があり、維持管理や修理方法について厳しく管理している。荷主による修理 も基本的には禁止している。床面、外装を含めて管理基準がある。 ・船社として、港湾サイドにオフドックのデポを有しており空バンを置いている(2万坪程度) 。 ・邦船社は各社とも専用埠頭を有しており、後背地にオフドックをもっている。 ・国内陸送を行っている関連会社(トラクタ、シャーシ等約 500 台保有)は、内陸では柏にも基地をもってい る。柏と大井の間をシャトル便輸送し、翌日大井とCYの間を輸送する方式を用いている。 ・群馬では同様の機能を有するコンテナ輸送業者がある。 ・リースコンテナの利用の場合(料金は高くなるが短期リースの場合)には、日本で借りて米国で返す方式の利 用も可能である。一般には外航用は長期間のマスターリースを利用している。 ・船会社だけでは国内陸送の調整はできないので、既存の実施例でも第三者による調整の場があり荷主企業もそ こに参加している。 ・茨城県では、地場トラック会社が、インランドポート機能を整備している例がある。その概要は以下のとおり である。この会社では、北関東一円の中心を担う、海上コンテナにおける総合物流拠点として、京浜港・北関 東等を結ぶ船社対応のオフドック CY としての機能を目指しており、グリーン経営認証マーク、安全性優良事 業所認定マークも取得している。また、現在、貨物のセキュリティ管理とコンプライアンスの体制が整備され 」の承認取得を目指している。 た運送者のための「特定保税運送制度(AEO 運送者制度) J-B J-C 57 57 佐野インランドポート構想書 ・所在地:茨城県常総市 ・施設:敷地面積 35,000 坪 ・コンテナ収容スペース:3,500 本(40ft) ・機能:24 時間常駐の警備体制、及びセキュリティーシステムの完備、24 時間搬出入対応、 コンピュータによるロケーション管理 ・設備:コンテナの荷詰め、荷出し機能を持つ物流センター(400 坪) ・42t、コンテナスプレッダ(実入りコンテナ積み卸し可能) ・20t、サイドスプレッダ ・2.5t、2.0t、3.5tフォーク (デバンニング用) ・冷凍コンテナ用電源コンセント コンテナインスペクション機能・コンテナ内清掃設備完備 (2)コンテナラウンドユースの成立条件 ・インランドポートでは 40 フィート対応のトップリフターが必須である。 ・コンテナラウンドユースの話の契機は、輸出者から依頼されることが多い。 ・輸出者が船会社と契約する。 主に空コンテナの再利用でのクレームを行わないことに関する条件等が中心である。 ・ラウンドユースのためには近くで輸入が潤沢にあることが必要になる。 ・港湾側のターミナル機能としては、川崎港の活用も考えられる。 ・保税蔵置主義の見直しによる荷主企業での検査対応は今年 10 月1日から実施の予定と聞いている。 ただし、コンテナの運用に大きな影響はないとみている。 ・ラウンドユース月 100 本は、実務上難しいと考えられる。オンシャーシの時間調整の必要もあるので実現し ても月 50 本が限界ではないかと考えている。 F-A (3)船会社における内陸輸送情報の欠如 ・船会社は、コンテナの内陸輸送状況に関する情報を把握していない。どうしてもコンテナが船社に集まらない。 また、コンテナがいつ船社に戻ってくるかもわからない。コンテナの陸送を行っている事業者は実態をわかっ ているが、ラウンドユースの調整をする権限・機能はない。各船社はグループのコンテナ陸送の子会社や協力 会社をもっており、船会社が直接は把握していない。 、出荷条件のみで、船会社の管理運営に必要な ・PO(Purchase Order:注文書)では、商品の売買(数量・価格) コンテナの動静情報がない。 ・国際取引条件のインコタームズに定める CIF(Cost, Insurance and Freight:運賃保険料込み条件、輸入港 に荷揚げするまでの費用を輸出者側が負担する条件)でも、大井埠頭に荷揚げされた後に、コンテナがどこま で行っているのか船社には把握できない。ただし、コンテナ番号での確認は可能であるが、船荷証券(BL: Bill of Lading)との情報システムでの関係を照合しないと内容がわからない。 ・昔は、EIR (Equipment Interchange Receipt:機器受渡証、コンテナ物流の場合、船会社が自社の持ち物で あるコンテナを荷主に貸し出し、荷物を詰めて輸出入を行っている。その場合に使用される船会社と荷主(実 際にはコンテナ運送事業者)間で受渡しされるコンテナの外装状態等を記載した証明書のこと。 EIR にはそ のコンテナを識別する船名、VOY.NO、コンテナ NO 等色々な記載事項があり、その中にはダメージを記載 する項目もある)が、手書きだったので、データがインランドポート側にも残っており状況が把握しやすかっ たが、情報化が進み、現在では明細がデータベースの中で、一般的に確認できなくなっている。 (1)インランドデポの利用 ・基本的に港までのサービスしか行っていないので、本件についてはあまりコメントすることがない。ドアデリ バリーまで行うケースは、極めて例外的で1%あるかないかである。 ・一般に、輸出用の空コンテナ回送ニーズが強いので、輸入 50 対輸出 30 位の比率でないとコンテナの回送は うまくいかない。輸入しても、輸出に利用する場合には、輸出メーカ側でのコンテナ内のチェックが厳しく、 不良品は回収するしかない。タイヤメーカー等は製品の裸積みなので、一般貨物よりもコンテナの維持管理品 質を厳しく要求することが多い。 ・中小荷主の荷を船会社として集荷しても、荷の輸送先がバラバラで相手国内の配送コストを考慮すると採算が 合わない。 ・船会社としては、空コンテナが内陸でマッチング処理するために発生するアイドリングタイムが長くなると困 る。 (2)コンテナラウンドユースのニーズ ・東北のメーカで、特定荷主で同一ドレージ業者の利用の場合に行われている例がある。 (3)コンテナ管理の運用実態 ・コンテナは、船会社が所有しているか、リースコンテナの管理者である。しかし、コンテナは封印されている ので、船から陸揚げした時点では確認できない。一般には、コンテナ輸送会社が、輸入者の倉庫や工場でコン テナから荷物を出した時点で内容物及びコンテナの良否の確認を行い、その旨を船会社に連絡する方法(L/G: Letter of Guarantee の発行)をとっている。不良品の場合は、その発生原因や管理責任がどこにあるかを輸 出国側までさかのぼって確認し、原因者に所要の費用を負担してもらうことになる。また、コンテナ内の清掃 等の管理は、輸入者の責任・費用負担においてドレージ会社が代行することが基本である。 58 58 参 考 資 料 F-B ・輸入コンテナが品質上問題ないとわかれば、ドレージ会社が同一である場合、輸出者向けに回送することもで きる。ドレージ会社によっては、輸出入者の場所や取扱コンテナ量に応じて、内陸で、こういった回送をシス テム化し、一定量をデポにプールしながら輸送費の節減を図るようなサービスを行っているところもある。 ・輸出時のコンテナ内の貨物の積載状態や重量等も、実務面ではコンテナ詰めを行った事業者のみが確認できる ものであり、封印された状態で船積みされるので、貨物のコンテナ搬入時点でのコンテナの状態についてもド レージ業者なり物流事業者側の報告書類をもとに判断するしかない。輸出時に問題があったとしても、船会社 でクレームが確認できるのは輸入者の倉庫や工場で内容物を取り出すために確認した以後の時点ということ になる。 (1)インランドポートの機能について ・西日本は東日本に比べて地方港(瀬戸内、中国、四国、九州・・・)が多い。よって、内陸デポはあまりない。 あったとしても草津、栗東、南方面では和歌山、堺等がある。東日本では地方港が尐なく、常陸那珂、宮城等 はあるが、その他では日本海側まで行かなければないので陸送距離が長くなる。 ・現在、内陸デポはもっていない。できない理由は、 (輸出と輸入で)コンテナのタイプが合わない、輸入の製 品が尐ない。また、米国はバルクが多く、欧州は 20ft等原材料系が中心であり、コンディションが良くな いため輸入であっても内陸デポには適さない。やはり、アジアから来る白物家電が一番よいが当該サービスを 現状ではあまり担っていない。 ・既存取引先は、全て東京 CY(青海)で受けている。内陸デポを経由するよりもこれが一番シンプルである。 ・港のゲートオープン時間の延長はあったが、まだまだ渋滞は残っている。バースも込み合っている。リーマン ショックの頃とは違い、現在、バースの予約がなかなか取れない状況になってきた。 ・荷主相互で行う空コンテナのマッチングの例はあるが、船社にとっては、それをすることで運賃は上げられず、 コストだけ増える。ドレージ業者は、ハーフラウンドで行うので、環境負荷は減るが、売上げも減る。 ・輸入で宇都宮近郊まで行ってコンテナを降ろして、ヘッドは空で帰っている。ドレージ会社は港湾近隣にある。 お客様にとって、これでは料金は安くならない。 ・コンテナの所有権は、保険上は CY を出たらお客様の責任で、税関上では、船会社の管理である(5 日前後の フリータイムがあるのでコンテナの管理を行う) 。コンテナが不足しているときにコンテナが滞貨すると本社 から指摘が入る。 ・荷主は、デポ利用で CO2 削減以外にドレージ費用が安くなるというメリットがある。ドレージ会社側では、 車両待機ロスが減るメリットがある。 ・輸出のドレージは、国際取引条件 FOB のコストなので輸出工場が負担するケースが多く、工場側がデポ利用 を推進するケースが多い。 ・直江津港、新潟港等北はメリットがある。東京まで持ってくるトラックの運賃が高いので、海上運賃をアップ しても商売できる。ただ、北関東付近のデポとなると運賃は上げられない。 (2)船社の役割 ・船会社がデポを設定する目的の一つに顧客の囲い込みがある。これをすることで差別化を図る。また、わざわ ざ空コンテナをデポに持って行き、補充しているケースもあるようだがこれでは意味はない。 ・船会社の発想では、コンテナを集約することでユニットコストが下がり、取扱量が増える。逆にデポを増やす ことは、コンテナの在庫を分散させることになる。米国がいい例で、CY が何十か所もあり、それを減らす方 向にある。コンテナ在庫が分散し、輸出と輸入のコンテナサイズやタイプが合わない等、結局、西岸に持ち帰 ってくる等は非効率である。西日本も同じである。 ・船会社は本来、やりたくない。やはり、コンテナは分散化させたくない。 ・本来、港から遠い場所にコンテナを持って行き、コンテナの在庫を分散させたくはないが、大手荷主がそれを 望めば考えざるをえない。 F-C (3)佐野インランドポートの成立可能性について ・北関東周辺に内陸デポの需要は確かにあるが、あまりにも点在しすぎている。これらを集約しきれていない。 栃木県に荷主がいるが、需要としては点在している。これらを佐野に集約するメリットがわかりにくい。 ・空コンテナの蔵置場としての機能であれば、一定の役割を果たしうるかもしれない。この場合も、船会社とし てデポの運営費用(空コンテナの保管料とディテンション・チャージ等)の負担を行う事業採算性が問題にな る。 ・佐野インランドデポの活用については、まず、マーケティングをして輸入があるかどうか等ポテンシャルを見 てから考える。まずは輸入があって、その空コンテナがどの顧客の輸出に合うのかを考えるのが自然である。 これにより自社の取扱貨物が増えるのであれば事業に参加する。また、参加するのであれば、コンテナのメン テナンスが必要となる。 ・ 「顧客から提案しなさい」と言われた場合、このようなスキームがありますと提案すれば、お客様は興味を示 すこともあるはずである。一応、差別化要素にはなる。輸入の多い荷主等は自ら勉強して利用検討するケース もある。本来、港から遠い場所にコンテナを持って行き、コンテナの在庫を分散させたくはないが、大手荷主 がそれを望めば考えざるをえない。 ・佐野インランドポート利用の可能性については、荷主リスト及び物量を見てからの判断になる。 (1)インランドデポの利用状況 ・内陸のインランドデポを利用したことはない。ただ利用方法について興味はある。問題はコンテナのグレード である。ラウンドユースによってコンテナのグレードが変化することは避けたい(例:コンテナの劣化・汚損 等)。 59 59 佐野インランドポート構想書 ・京浜港も利用しており、高速道路網も整備されているので、利便性は高い。しかし、現状、高速道路利用で1 日1ラウンドが限界である。 ・震災後、最近ようやく東京港のコンテナ量も増加しており、最近ではスペースが不足している。現在、利便性 の高い品川や本牧のバースを利用している。また、現状、ターミナルの待ち時間は2~3時間待ちとなってお り、特に金曜は出荷が多いため混雑する。 (2)佐野インランドポートについて ・現状、常陸那珂で業務を行っているが、常陸那珂と佐野とで提携して業務を行っても面白いと考えている。こ の点から、佐野インランドポートに興味を持っている。 ・船社(キャリアー)の立場として、佐野インランドポートを利用する際は、荷物の量を確保できるかの問題も あるが、コストをどのように負担するかが最大のポイントである。 ・デポを作るならば、近隣の企業を取り込む必要がある。近隣の企業・工場とインランドポートをシャトルで結 ぶような仕組みを作れば、利便性が向上し、誘致しやすいのではないか。 ・現在、東京港付近は混雑しており、川崎付近は比較的余裕があるので、利用するならば川崎港が良い。現状、 コンテナ取り扱いは年間3万 TEU 程度である。 ・将来、ダブルストレーラの利用が実現できれば、常陸那珂~佐野間を結ぶ北関東高速道路において利用するこ とができ、利便性の面では、佐野インランドポートの利用価値が大きく向上すると考えられる。 60 60 参 考 資 料 F-D (1)コンテナラウンドユースについて ・当社は茨城にもデポを置いている。東日本全体で 20 程度のデポと契約している。栃木でも、宇都宮と契約し ており、宇都宮は機能している。大きなボリュームで動かないところもあるが、コスト割れしない仕組みを作 っている。 ・当社は内陸型のデポは業界のなかでは従前から実施しており、今後も、発展させて行きたいとは考えている。 ・コンテナのラウンドユースについては、マッチングする確率が非常に低い。コンテナ種別、方面等でパターン を分けていけば確率がどんどん狭くなる。エリアのお客さんに強い人が、仲人ではないがマッチングしてくこ としかない。その中で1件3件とマッチするかどうかである。 ・コスト負担は、両者とも追加のコスト負担がないように行っている。 ・バンプールに置いているだけでもお金がかかるかどうかは、契約による。尐なくとも、港湾で置くよりも安く ないと意味がない。往復での利用が必要。空バンの移送が発生するとコスト的に難しい。 ・10 年以上インランドデポの展開をやってきている。デポを経由してやる前提だが、ファシリティなしでもマ ッチングさせることはできる。ファシリティとマッチングで比べると、マッチングの方が難しい。 ・いまはデポを介さずにラウンドユースできるような方法を考えている。そのため荷主情報等を必要としている。 ・船のスペースを売るという観点で考えると、デポがあれば売る武器が増える。また、環境問題でのアピールも ある。そういったサイドエフェクト的な効果が大きい。ただし、収入面で大きく貢献しているかどうかという 意味で言えば、議論の余地がある。 ・セールス強化の効果を考え、より拡げていく考えであり、他の船社とは異なる展開である。 ・マッチングは原理的に簡単なようで難しい。いろんな利害関係があり、調整が容易ではない。しきり役がいな い。 ・出と入りで別の船会社を使うのは無理である。 ・同じ荷主でも、輸入と輸出のパターンが違うといった時代があったが、輸出が子会社等になる等、環境が変わ ってきた。自社内でやっとできるようになってきた。 ・誰が仕切れるか、と言えば、荷主になる。フォワーダーが主導するのはまだ難しい。 ・主導できるのは、荷主であり、船会社を選定するのは荷主である。船会社もコンテナを提供する意味である程 度主導できる。 ・荷主同士が情報を交流するコミュニティがあれば良い。 ・船会社では、最終的な仕向地の情報はあまり持っていない。書いてあるが、信頼性が低い。その意味で、船会 社が主導するのは無理がある。 ・元々スタートした頃のデポは、北米からの輸入貨物を扱っている会社がありそこをデポとし、近くにいる輸出 荷主に声を掛けていったことが始まりである。これは特定会社のものなので、あまり広がりはない。細々とや っている。 ・もう一つはオープン型(太田、宇都宮)である。特定の船会社だけでなくやっているものであり、立ち上がり は遅かったが、次第に、拡大してきている。 ・もう一つ出てきているのが、個人経営のトラック会社が、輸出入貨物の情報を持っている場合である。地方の 独自情報がもっともフレッシュで有効である。 ・実入りを動かせる機械は限られるが、空であれば、20ftならフォークでも動かせる。 ・実入りのハンドリングができるデポは多くない。実入りはオンシャーシでハンドリングするしかない。 ・トップリフターの実入りが扱えるものは7千万円程度の初期投資が必要となってしまう。 ・邦船社では、陸側は別のグループ会社を持っており、そちらで損が出る可能性があると手がけづらい。 ・10 年程度やってきたが、ここ2年ほどで、荷主からの問い合わせ等が2倍以上に増えている。荷主の関心も 環境問題等で高まっている。 ・横浜、神戸、大阪等港湾局が内陸に関心を持つようになってきた。その意味では先見性があった。 ・東京港は待ち時間が4時間もかかっており、ここ数年、悪化してきている。 (2)佐野インランドポートについて ・輸出がないと厳しい。輸入はなんとかなる。 ・周辺のポテンシャルのある貨物をどこまで取り込めるかにかかっている。 ・内陸でのマッチングが進めば、港からの出入りが半分になる。これは、東京港の混雑解消に大きな効果に繋が るはずである。 ・栃木県下の大手荷主は、いずれも顧客であり、必要であれば対応可能である。 61 61 佐野インランドポート構想書 5)コンテナ運送会社 5)コンテナ運送会社 '$ ()コンテナ輸送効率化方策 ・港湾のゲート待ち時間の短縮が最優先の課題である。事業採算がとれなくなって撤退する企業も多く、東日 本大震災によって福島県等、南東北の協力業者に依頼できなくなっている。ゲートの待ち時間が長くなる要 因は複雑であり、 年以上にわたって改善要望を行っているが、状況はよくなっていない。 ()コンテナラウンドユース ・コンテナラウンドユースにあたっては、コンテナとシャーシのサイズを含め、調整に時間がかかる。 ・コンテナの一般的管理責任の問題だけでなく、コンテナ内のにおいや汚れを気にして他社の利用したコンテ ナの転用を了解してくれない例もある。 ・輸入者から輸出者の工場に搬送する費用部分でさえ、負担配分の調整は難しく、全体としてはコスト削減に なるが、両者共に直接自社の搬出入に必要なコストではないので、負担してくれない場合が多い。 ・輸送実態については、個々の輸送毎にデータ入力しており、全て把握可能である。 ()コンテナラウンドユースについて ・関東にはデポが多い、宇都宮(8,&7、つくば、群馬太田(2,&7)等がある。 ・昔はよくラウンドユースもやっていた。阪神大震災で、物流が分散してしまい、商売が成り立たなくなって しまった。以降は古紙関係がメインであった。最盛期には日に 本くらい(関東)扱っていた。その後、 シャーシ利用の制約が強くなり、規制も強化されて利用が低調になった。 ・輸入の場合、デバンが終われば、後は運送会社の仕事である。荷降し作業が終われば基本的に関知しない。 輸出の方は、お客さんによってはシビアな場合がある(床板の水分の%が一定以上ではダメ、釘がでっぱっ てはダメ、油汚れはダメ等)。 ・最近、またラウンドユースに取り組もうという話になり、ホームページでも宣伝している。その契機は船社 から環境負荷削減の協力要請があったことにある。関西では港湾管理者から依頼があった。 ・実際に今年の7月から営業活動を始めて、関東における実績はまだ累計で8本程度しかない。 ・弊害となっている条件は、コンテナの管理責任等である。 ・一度デバンが終わったコンテナは、チェックのため大井の自社営業所までもってきている。直接荷主にはい けない。貨物にダメージが出たとき、保険等の問題があり、コンテナ運送会社にコンテナを確認した旨の証 明が求められている。 ・荷物がラウンドで確保できるかどうかは、荷主が重要である。 ・当社は荷主に直接話ができない。乙仲経由である。直接は難しい。仕事は乙仲、海貨業者からもらっている。 ・自社内のデータでコンテナの流動は全て把握可能であるが、データベースの解析が必要である。 ()佐野インランドポートについて ・インランドデポを使ってやることが最終的な目的と考えている。 ・ラウンドすれば、環境負荷は半分になる。遠距離ほどそのメリットは大きい。 ・宇都宮、つくば、太田はすでに機能しており、新規に整備するのは難しいと思う。 ・我々の運送会社の立場で土地を使って何かやる、というのはすぐにはない。ただし、荷主から話があって、 ある程度の貨物量があれば検討していくことになる。採算性が重要である。 ・いまは大井、青海の混雑がひどくなっている。青海は朝から並んで夜搬出というようなケースもある。待ち 時間ロスでコストが発生しており、そこを改善するための自主的な努力の一つとして、ラウンドユースがあ る。 '% 62 62 参 考 資 料 6)インランドデポ施設管理者 1)現状の課題 ・現在の事業採算性は、わずかに黒字の状態である。 ・出資社の協力で、施設賃貸料等を調整して、事業採算が確保されている状態である。 ・事業収入としては海運よりも航空貨物の方が多い。 2)コンテナランドユース等における役割 ・インランドデポ管理者として独自に荷主開拓の営業をしても、荷主には、すでに既存のドレージ 会社やフォワーダーとの取引関係があるので新規に営業することは難しい。施設管理会社として は直接荷主向けに営業をしていない。施設利用のフォワーダーの営業に依存している。 ・コンテナのラウンドユース等の仕組みづくりや関係者間調整も行っていない。このため、コンテ ナ輸送の実態や、コンテナ輸送における自社施設の利用可能性等の状況はわからない。 3)バンプール機能としての利用状況 ・現在コンテナのバンプールとしての利用は外国船社1社の利用のみである。現状 100 本程度が置 かれている。正確に把握していないが1日1、2本の出入りだと思われる。邦船社は、ラウンドユー ス用のコンテナの出入りがある場合のみの利用であって、保管はしていない。 ・バンプール用の敷地は十分にある。1500 坪、5000㎡あり、40ft コンテナ1本 30㎡として平積みで 100 本でも 3000㎡で十分である。 ・バンプールでは、トップリフターが必要であり、空コンテナ用でも1台5千万円以上し、リフター の購入だけでも、よほどの利用本数がないと収支が合わなくなる。 ・施設管理者としては、コンテナ搬入時に穴あき等の不良コンテナはチェックし、自社内にはコン テナ修理施設がないので、バンプールへの搬入は拒否している。 7)JR貨物 1)コンテナラウンドユースの成立要件 ・現状のラウンドユースに利用している車両は、北海道行きの車両の一部を減車して利用しており、 100km 帯で専用の列車を走行させても採算が確保できない。 ・現状では、20 両編成のうちの8両、コンテナ貨車1両(62ft、積載 60ft)に 20ft、2本、40ft は 中央に1本(鉄道コンテナ (12ft) なら5本積載可能)を積載して運行し、宇都宮(タ)からの追 加車両があるので、大井からのコンテナを降ろした後に、宇都宮の貨物を積んで北海道へ行って いる。北海道行きの便がなくなれば宇都宮へのコンテナ輸送もできなくなる。 63 佐野インランドポート構想書 2)発着時間帯 ・輸入コンテナは、夕方の 18:00 が搬入期限であり、列車運行は 22:00 大井発→ 01:00 宇都宮着であ る。宇都宮ターミナルからの搬出は翌朝になる。 ・輸出コンテナは、原則として、前日中に集荷したコンテナの輸送であり、列車運行は 11:00 宇都 宮発→ 14:00 大井着である。当日朝の搬入は例外的扱いである。また、大井(タ)から港湾 CY への搬入は、当日中ではなく、翌朝に行われる。 3)輸送能力 ・大井(タ)に国際コンテナ用のターミナル機能として蔵置できる余地はあまりない。 ・宇都宮(タ)には余地があるが、列車編成に制約がある。 ・宇都宮(タ)でのトップリフターは他のターミナルの遊休分を転用して活用しており新規購入で はない。 4)佐野市内、東武線への JR 貨物列車の乗り入れ可能性の有無 ・久喜→東武伊勢崎線(館林分岐)→東武佐野線(吉水・田沼間に新規引込線整備)の可能性につ いては以下のとおりである。 ・現在でも、東武線に新規車両を入れる場合には、JR 貨物を利用して搬入している。 ・昔、館林経由で、石油タンク輸送が行われていたことがある。しかし、コンテナ貨車の輸送例は 過去にない。コンテナ貨車用の機関車もない。 ・JR貨物による新規のターミナル整備、コンテナトップリフター等の整備費用は負担できない。 ・コンテナの鉄道輸送の需要が見込めたとしても、当該距離帯では、鉄道・貨車の保守・維持管理 費用だけでも採算確保は難しいと考えられる。 8)フォワーダー フォワーダーは2社の見解がほぼ同一内容なので以下に一括して取りまとめる。 1)コンテナラウンドユースについて ・一般に、輸入側と輸出側のコンテナ利用をマッチングできる割合自体が、入出荷量、輸出入方面、 船会社、入出荷時刻等の条件が整わなければ成立しないので非常に低い。情報システムとして輸 入コンテナと輸出コンテナの流動が把握できても、それだけでマッチングできるわけではない。 ・フォワーダーの立場でも、一般に、複数荷主の荷を束ねるだけの力はない。個別荷主毎への対応 を受け身で行う以上のことは実態として難しい。 ・空コンテナマッチングを行う際の重要なネックの一つは、コンテナのメンテナンスである。コン テナの洗浄は当然のこととしても、傷やへこみ等の責任や費用負担について、複数の荷主や物流 事業者が関与する場合には、責任の帰属が不明確になるため、基本的に難しい。船会社に対して 責任を担う窓口には誰もなりたがらない。 64 参 考 資 料 ・船会社は、コンテナ管理の利便性を考慮して、港近くでコンテナを管理することを指向するのは 当然であり、一般に内陸への輸送や管理は、各荷主や物流事業者の責任で行い、ちゃんと港に返 してくれればいいという立場であり、内陸輸送の効率化まで支援することには消極的である。 ・外国の船会社は、陸送コスト削減によるドアツードアサービスによる競争力の向上をいうが、実 態は国内のエージェント(代理店)を通じての業務なので、実際の空コンテナのマッチングを運 用できる立場にはないと考えられる。 ・既存のコンテナラウンドユースの事例のように、荷主が1対1であり、物流事業者も1社の場合 には、船会社向けにも、コンテナのメンテナンスや管理責任の面でも協議がまとまりやすいので、 こういったケースで空コンテナを共同利用している例は、ほかにも見られる。しかし、中小荷主 も含めた不特定多数向けの仕組みとして運用することは非常に難しいと考えられる。 ・佐野で行う場合でも、大手荷主と大手物流事業者の間の関係3者が近くにいることが重要である。 ・リースコンテナが増えていても、借り手は船会社なので、その管理システムや運用の面での船会 社の役割は変わらない。その意味では状況は以前と同様である。 ・現在、保税蔵置主義の廃止、見直しの動きがあり、平成 23 年度春の通常国会へ当該法案の提出が 予定されている。この動きによって、複数荷主の荷を、保税地域外で集約し、コンテナを管理運 用する仕組みが変わるようであれば佐野のインランドポートにとっても大きな影響があると考え られる。逆に、保税機能を有していることがコンテナの集約の要因にならないというマイナスの 影響も考えられる。ただし、新しい仕組みなので現状ではその影響を評価することが難しい。問 題のあるコンテナは保税蔵置施設での検査があるので、短期的には大きな変化に繋がらないかも しれないが、中長期的には国際コンテナの国内流動パターンや荷主側施設での扱い方に大きな影 響を与える可能性もあるので、注意して法改正動向を確認しておいた方がいいと思われる。 2)佐野インランドポートについて ・100km 圏という距離帯が微妙である。一般に、デポに立ち寄ると時間がかかるので、100km 圏だ と直送を選択する場合が多い。もう少し京浜港に対して遠隔地の方が可能性としては高くなるよ うに思う。 ・また周辺の既存デポもあり、太田支店も各社の荷主向けの営業上設置しているが、過去に北関東 の営業所単体で採算がとれたことはなく、取扱量も少ないが事務所経費がかかる。自治体毎や県 毎に設置するのではなく、広域的に集約可能な拠点を国主導で整備すべきだと思う。 65 佐野インランドポート構想書 6 需要予測 6 需要予測 (1)算出フロー (1)算出フロー 基本的な方法は、上述したコンテナ取扱個数の平成 21 年値に栃木県の輸出入比率を乗じて計算し、 基本的な方法は、上述したコンテナ取扱個数の平成 21 年値に栃木県の輸出入比率を乗じて計算し、い いくつかの補正係数を乗じたものである。 くつかの補正係数を乗じたものである。 図 5.1 需要推計フロー 図 5.1 需要推計フロー 1 港湾取扱量 現状・将来 2 後背地比率 3 競合施設分担 後背地集配需要 栃木県 4 輸出入関連業種比率 5 利用率 佐野 インランドポート 貨物需要量 参考 佐野 インランドポート 施設需要量 66 66 面積/取扱量 参 考 資 料 (2)設定条件 (2)設定条件 1)対象取扱量 1)対象取扱量 京浜港のみとした。対象取扱量は、6,832 TEUである。 である。 京浜港のみとした。対象取扱量は、6,832 千千TEU 資料: 「外貨コンテナ貨物取扱量」 、財団法人 港湾近代化促進協議会、平成 7月 1日 資料: 「外貨コンテナ貨物取扱量」 、財団法人 港湾近代化促進協議会、平成 2222 年年 7月 1日 2)後背地比率 2)後背地比率 栃木県のみで推計する。参考値として北関東自動車道沿道(太田含む)需要を検討する。 栃木県のみで推計する。参考値として北関東自動車道沿道(太田含む)需要を検討する。 資料:国土交通省「全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果 平成 年」 資料:国土交通省「全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果 平成 2020 年」 注:平成 年のトンベースにみる港湾別・後背地各県別シェアを適用した。 注:平成 2020 年のトンベースにみる港湾別・後背地各県別シェアを適用した。 参考までに、栃木県企業の京浜港の利用率を見ると以下のようになっている。 参考までに、栃木県企業の京浜港の利用率を見ると以下のようになっている。 東京港→栃木県(輸入)5.8%(4.5%) 東京港→栃木県(輸入)5.8%(4.5%)↑↑ 東京港←栃木県(輸出)7.4%(5.2%) ↑ 東京港←栃木県(輸出)7.4%(5.2%)↑ 横浜港→栃木県(輸入)6.8%(5.8%) ↑ 横浜港→栃木県(輸入)6.8%(5.8%)↑ 横浜港←栃木県(輸出)5.3%(6.2%) ↓ 横浜港←栃木県(輸出)5.3%(6.2%)↓ 平成 20 年 (2008 年 ) トンベース 平成 20 年(2008 年)トンベース 3)競合施設分担 3)競合施設分担 県内製造品出荷額分布で配分、栃木県内需要を分割することとした。 県内製造品出荷額分布で配分、栃木県内需要を分割することとした。 配分比率は、下図のとおりである。北関東自動車道沿道以外は宇都宮インランドデポの需要とした。 配分比率は、下図のとおりである。北関東自動車道沿道以外は宇都宮インランドデポの需要とした。 図 5.2 配分比率 図 5.2 配分比率 製造品出荷額の地域別割合% 群馬県内の地域別割合 栃木県内の地域別割合 15.3% 高崎・前橋 21.0% 25.6% 北関東自動車道沿道 太田 佐野 52.8% 63.7% 21.6% 宇都宮 注:県内配分比率は、経済産業省「工業統計表」平成 20 年値の製造品出荷額の市町村別分布をもと 注:県内配分比率は、経済産業省「工業統計表」平成 20 年値の製造品出荷額の市町村別分布をもとに設定した。 に設定した。 67 67 佐野インランドポート構想書 4)輸出入関連業種比率 コンテナの取扱量が多く、輸出入関連の基幹産業である輸送用機械製品や機械製品関連業種の比率 が全製造業の出荷額に占める比率は約 50%であるので、当該業種比率を乗じる。 5)利用率 既存の多くの貨物は、トラックで京浜港等へ直送されることが多く、インランドポートを経由する 割合が少ないとみられる。ただし、利用率の設定根拠に必要な数値がないので、ここでは、下記の 5 つの利用率を設定することとした。 1%、5%、10%、20%、30% 参考までに、韓国の事例にみるインランドデポの利用率を見ると以下のようになっている。 ・釜山港のコンテナ貨物取扱量 1,198 万 TEU(平成 21 年)、中継を除く輸出入量 661 万 TEU ・30km 圏の梁山 ICD の利用本数合計 57 万 TEU(実入 10 万 TEU) 釜山港取扱量の 8.6%(実入 1.5%) ・400km 圏の義王 ICD の利用本数合計 29 万 TEU(実入 13 万 TEU) 釜山港取扱量の 4.4%(実入 2.0%) 5)面積・取扱量比率 年間取扱コンテナ本数(TEU)当たりの所要面積は、大きく年間の回転率やコンテナの蔵置方法 に依存する。シャーシプールの場合には、平置きとなるので1日平均の所要台数に依存する。 また、コンテナ蔵置場所やシャーシ蔵置場所の面積以外にも、管理施設や保税倉庫等の施設面積も 必要となる。 ここでは、仮に、5 日間で1回転として、年間 73 回転とし、20 フィートコンテナの1本の敷地面 積を 40㎡としてコンテナ関連の敷地面積を計算することとした。 68 参 考 資 料 (3)算出結果 (3)算出結果 算出数値は、最大値の場合で下図のようになり、施設需要量は、最大で 4.8ha と推計される。詳細に 算出数値は、最大値の場合で下図のようになり、施設需要量は、最大で 4.8ha と推計される。詳細に ついては、今後、事業化にあたっての需要調査を踏まえて、道路・緑地等の公共用地面積等の土地利用 ついては、今後、事業化にあたっての需要調査を踏まえて、道路・緑地等の公共用地面積等の土地利用 計画の策定時に、検討することになると考えられる。 計画の策定時に、検討することになると考えられる。 また、このほかにインランドポートには、韓国の事例にみられるように、倉庫、流通加工施設を含 また、このほかにインランドポートには、韓国の事例にみられるように、倉庫、流通加工施設を含め、 め、ベースカーゴを確保するための輸出入関連製造業の誘致を含む工業団地整備等を付帯させる場合が ベースカーゴを確保するための輸出入関連製造業の誘致を含む工業団地整備等を付帯させる場合が多く、 多く、コンテナヤード以外に複合機能を併設する場合の所要面積を別途考慮する必要がある。 コンテナヤード以外に複合機能を併設する場合の所要面積を別途考慮する必要がある。 ここで面積に換算する前のコンテナ取扱本数を見ると、10%利用率で 1.1 万本(TEU)であり、この ここで面積に換算する前のコンテナ取扱本数を見ると、10%利用率で 1.2 万本(TEU)であり、この 本数は、1回転 5 日、年間 73 回転で換算すると実入りだけで平均 150 本(TEU)であり、40 フィート 本数は、1回転 5 日、年間 73 回転で換算すると実入りだけで平均 150 本(TEU)であり、40 フィート コンテナのみの扱いであればその半分の 75 本程度の保管規模が必要となる。 コンテナのみの扱いであればその半分の 75 本程度の保管規模が必要となる。 図 5.3 算出結果 図 5.3 算出結果 1 港湾取扱量 現状・将来 東京港 横浜港 3,823万トン、340万本(TEU)平成21年 4,181万トン、256万本(TEU)平成21年 2 後背地集配需要 栃木県 後背地比率 栃木県43万本(TEU) 3 競合施設分担 23万本(TEU) 4 輸出入関連比率 11.5万本(TEU) 5 佐野 インランドポート 貨物需要量 東京港→栃木県(輸入)5.8%(4.5%)↑ 東京港←栃木県(輸出)7.4%(5.2%)↑ 横浜港→栃木県(輸入)6.8%(5.8%)↑ 横浜港←栃木県(輸出)5.3%(6.2%)↓ 平成20年と平成15年の比較(トンベース) 利用率 北関東自動車道沿道 需要分52.8% 自動車・機械製品関連 需要分50% 1%、5%、10%、20%、30% 0.1、0.6、1.1、2.3、3.4万本(TEU) 参考 所要面積 佐野 インランドポート 施設需要量 69 69 佐野インランドポート構想書 表 5.3.1 算出結果一覧(栃木県) 表 5.3.1 算出結果一覧(栃木県) 表 5.3.1 算出結果一覧(栃木県) 港湾取扱量 港湾取扱量 千本(TEU) 千本(TEU) 東京港 1,998 輸入 東京港 1,998 横浜港 1,514 輸入 横浜港 1,514 東京港 1,630 輸出 東京港 1,630 横浜港 1,689 輸出 横浜港 1,689 合計 6,831 合計 6,831 対象業種比率50%×226千本(TEU)=113千本(TEU) 対象業種比率50%×226千本(TEU)=113千本(TEU) 栃木県比率 栃木県比率 5.8 5.8 6.8 6.8 7.4 7.4 5.3 5.3 % % 利用率 利用率 10% 10% 11 11 1% 5% 1% 5% 113 1 6 113 1 6 施設需要量(㎡) 施設需要量(㎡) コンテナ蔵置場 619 3,096 6,192 コンテナ蔵置場 619 3,096 6,192 コンテナ蔵置場面積=コンテナ利用量(本)÷73回転×40㎡/コンテナ1本 コンテナ蔵置場面積=コンテナ利用量(本)÷73回転×40㎡/コンテナ1本 利用量(千本:TEU) 利用量(千本:TEU) 栃木県 北関東自動車道沿道 栃木県 北関東自動車道沿道 千本(TEU) 千本(TEU) 千本(TEU) 千本(TEU) 116 61 116 61 103 54 103 54 121 64 121 64 90 47 90 47 430 226 430 226 20% 20% 23 23 30% 30% 34 34 12,384 12,384 18,575 18,575 同様の計算を群馬県において行うと、太田市等の北関東自動車道沿道は、佐野市の場合よりも若干低 同様の計算を群馬県において行うと、太田市等の北関東自動車道沿道は、佐野市の場合よりも若干 同様の計算を群馬県において行うと、太田市等の北関東自動車道沿道は、佐野市の場合よりも若干低 い施設需要量が見込まれる。取扱量は 10%利用率で1万本(TEU)規模である。1回転5日として、年 低い施設需要量が見込まれる。取扱量は 10%利用率で1万本(TEU)規模である。1回転5日として、 い施設需要量が見込まれる。取扱量は 10%利用率で1万本(TEU)規模である。1回転5日として、年 間 73 回転、1本 40 40㎡で計算した場合のコンテナ蔵置場面積は ㎡で計算した場合のコンテナ蔵置場面積は 5,534 ㎡であり、現在の太田国際インラ 年間 73 回転、1本 5,534㎡であり、現在の太田国際イン 間 73 回転、1本 40 ㎡で計算した場合のコンテナ蔵置場面積は 5,534 ㎡であり、現在の太田国際インラ ンドポートの利用量は 1 万本(TEU)前後であり、コンテナバース面積は約 4000 ㎡である。 ランドポートの利用量は 1 万本(TEU)前後であり、コンテナバース面積は約 4000㎡である。 ンドポートの利用量は 1 万本(TEU)前後であり、コンテナバース面積は約 4000 ㎡である。 表 群馬県での推計結果 表5.3.2 5.3.2 群馬県での推計結果 表 5.3.2 群馬県での推計結果 港湾取扱量 港湾取扱量 千本(TEU) 千本(TEU) 東京港 1,998 輸入 東京港 1,998 横浜港 1,514 輸入 横浜港 1,514 東京港 1,630 輸出 東京港 1,630 横浜港 1,689 輸出 横浜港 1,689 合計 6,831 合計 6,831 対象業種比率50%×203千本(TEU)=101千本(TEU) 対象業種比率50%×203千本(TEU)=101千本(TEU) 利用量(千本:TEU) 利用量(千本:TEU) 1% 1% 1 1 群馬県比率 群馬県比率 5.5 5.5 3.6 3.6 6.9 6.9 2.4 2.4 利用率 利用率 10% 10% 10 10 5% 5% 5 5 % % 101 101 施設需要量(㎡) 施設需要量(㎡) コンテナ蔵置場 553 2,767 5,534 コンテナ蔵置場 553 2,767 5,534 コンテナ蔵置場面積=コンテナ利用量(本)÷73回転×40㎡/コンテナ1本 コンテナ蔵置場面積=コンテナ利用量(本)÷73回転×40㎡/コンテナ1本 70 70 70 群馬県 北関東自動車道沿道 群馬県 北関東自動車道沿道 千本(TEU) 千本(TEU) 千本(TEU) 千本(TEU) 110 70 110 70 55 35 55 35 112 72 112 72 41 26 41 26 318 203 318 203 63.7% 63.7% 20% 20% 20 20 30% 30% 30 30 11,068 11,068 16,603 16,603 参 考 資 料 7 佐野インランドポートの需要の詳細検討(まとめ) 1)フルコンテナ輸送効率化 ・現状のコンテナラウンドユースは、自社内の輸出入間が中心である。 ・他社とのコンテナラウンドユースは、今後拡大の可能性があるが、成立条件が厳しく現状での利用 本数は少ない。 ・京浜港と栃木県との間のシャトル輸送と、栃木県下企業間のコンテナ輸送効率化はニーズも関心も 高く、フルコンテナのターミナル機能としての役割が期待されている。特に、京浜港 CY での優先 入場を前提としたシャトル輸送が必要である。 ・茨城県においてコンテナ運送会社によるターミナル機能提供の実例があり、3500 坪(約 11,550㎡)、 40 フィートコンテナ 3,500 本の収容能力を有している。茨城県の海上コンテナ輸送対象業種の規模 は栃木県同様であり、同種規模の事業は十分成立可能であると考えられる。 2)コンテナ混載需要 ・コンテナの混載需要は、積載量 10 トンあるいはそれ以下のトラックで港湾倉庫等と栃木県内の工 場との間を輸送しており、現状の栃木県発着のコンテナ取扱量には反映されていない需要である。 ・混載需要は、佐野市の地元企業ヒアリング6社の工場分で見る実績年間 364 本の輸入コンテナと推 計 1,500 本の差分でいえば、1,136 本になる。この数値を、ヒアリング対象企業の製造品出荷額で 佐野市全体に拡大すると約4倍の4千本程度になると見込まれる。 ・上記の数値は、コンテナの輸出入地や利用港湾、船社の同一性を保証するものではないので、中国、 京浜港間を中心に 10%程度が一致したとすると、年間 400 本程度になると見込まれる。 ・当面は、コンテナ輸送ではなく、10 トン車クラスでの混載による積載率向上から着手することに なると考えられる。 以上 71 参 考 資 料 佐野インランドポート構想書 発 行 日 編集・発行 平成 24 年2月 佐野市内陸型コンテナターミナル研究会 佐野市役所 総合政策部 政策調整課(事務局) 〒327-8501 栃木県佐野市高砂町1番地 電 話 0283-20-3000(直通) FAX 0283-21-5120 http://www.city.sano.lg.jp 73