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理工周辺科目「固体の物理」講義ノート

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理工周辺科目「固体の物理」講義ノート
理工周辺科目 固体の物理 講義要綱
Online シラバス
授業計画
1結晶構造
2結晶による波の散乱(X線回折、電子線回折等)
3固体結合力
4電子の粒子性と波動性
5結晶内部における電子波の散乱と電気伝導
注意点: 予習と復習
注意点
成績評価:期末試験と宿題の提出。
参考書:小村浩夫・石川賢司・石田興太郎 「固体物理学」朝倉書店
Keyword: 結晶の周期性と これによる波の回折
0 はじめに
0-1、原⼦間の引⼒
イオン結合 強い結合 例:Na(1s22s22p63s1) Cl (3s23p5) 融点 800.4
800 4 ℃
共有結合 例:Si (3s23p2)C(2s22p2)
⾦属結合 例 Na, K, Au, Ag, Cu 等
ファンデルワールス結合 弱い結合 例:He(1s2) 液化点4.2 K
⽔素結合 H2O 融点0 ℃
原子間に存在する各種のクーロン引力によって、温度が下がると、液化、固体化する。
0-2、温度と熱運動
理想気体状態方程式 PV = nRT 単分子気体 U = 3/2 nRT
で学んだように E =自由度XkT/2 T = 0 K ランダムな熱運動が無くなり、完全秩序化。
0-3、秩序と結晶
温度が下がると、熱運動が弱くなり、引力が支配してくる。
充分冷却過程が遅いと 固体で長周期秩序 → 結晶 箱にピンポン玉を詰めると同様
充分冷却過程が遅いと、固体で長周期秩序
秩序性
気体 ない
液体 あまりない
固体 ある
冷却過程が不充分だと、冷凍された液体のようなガラス状態
ガラスが準安定な状態、古いガスが春夏秋冬の繰返し熱サイクルでより安定な結晶状
態へ向かおうとする→脆くなる。
結晶=原⼦・分⼦が規則的に並んでいる物
結晶=原⼦
分⼦が規則的に並んでいる物
⾮晶質=⻑距離にわたって周期性を持たず
チック、ゴム
e.g, 岩塩、⽔晶、雲⺟
岩塩 ⽔晶 雲⺟
e.g.
ガラス、プラス
結晶が規則的だから、簡単に解析でき、これが固体物理学の出発舞台となる。
固体物理学とは?
固体の構造及びその構成粒⼦(原⼦、イオン、電⼦等)間
の相互作⽤と振る舞 を研究し
の相互作⽤と振る舞いを研究して、固体の物性と応⽤への
固体の物性と応⽤ の
道を明らかにする学問である。
宿題
結晶とは? 一言で答えよ。
1 結晶構造
1-1.結晶構造
結晶=原子・分子の規則的な配列
現実の結晶は有限の大きさを持つが、原子の大きさ(~Å)のスケールで見ると1mmでも無限大。
1 mm = 103 mm = 106 nm = 107 Å 1千万倍 地球の赤道1周=2p・6377 km ~ 4・107 m 地
球上4mといった感じ。
従って、3次元空間に無限に広がっていると考えて良い。
格子点――結晶中原子・分子の集合中のどこか(任意)を代表点として選び、結晶の別のところ
(点)から見れば周囲は同じように見える点はすべて格子点「図参照、 ○と●は原子、赤い点は
格子点。*本図はソフトの問題により周期が若干乱れている」。
通常はある原子の位置に置く( ○或いは●原子)
○
●
○
●
○
●
○
●
○
●
○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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○
●
○
●
○
●
す
すべての結晶構造=(空間格⼦)+(単位構造)
結晶構造 (空間格⼦) (単位構造)
原子集合
物質=化学式、1つの物質=1つの構造
例:Cのカーボン、グラファイト、ダイヤ、サッカーボール超伝導体等
有限数の元素の無限組合わせ空間配列により無限数の物質が可能!
格⼦点の定義により規則性(周期性)を抽出し、物質の分類を可能にした
格⼦(lattice)⇒3つの基本並進ベクトルによって記述される
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・ ・
r0
・r ・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
T
点r0から見た時と
点 r = r0 + n1a + n2b + n3c; n:整数
から見た時とあらゆるnに対して
原子配列が常に同じであるようなベクトル
a, b, c が並進ベクトル。
つまり、ベクトルの組合せで並進操作をすれば
他の格子点を再現できる。
1つの格子点から全格子点を再現できれば
↓
基本並進ベクトルa1, a2, a3 と呼ぶ。
↓
最小構成ブロック(基本単位構造)を
基本単位格子と呼ぶ。単位格子(unit cell)
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・ a1 ・
・
・
・
・
どのUnit cellも最小で
1格子点から並進操作で全格子点を再現できる
・
・
・
・
・
・
通常分かりやすい単位格子(直交軸等)を選ぶ。
a2
・
基本並進ベクトルとUnit cellの取り方はいろいろ
しばしば⾮基本格⼦の⽅が結晶性の対称性が⾒やすいのでこれを使⽤
上図:基本並進ベクトルa1, a2, a3 よりは
a, b, c
を選ぶ
a , b , c の長さとベクトル間の角の6要素の組合せによって単位格子の形状が決まる。
全部で7晶系に分類される
7晶系の単純格子は皆それぞれの格子の対称性が異なり、単純格子の面の中心や
7晶系の単純格子は皆それぞれの格子の対称性が異なり
単純格子の面の中心や
格子の中心に格子点を加えて非単純格子を作り、他の格子と異なる対称性を持つも
のを全部数えると14個の格⼦になる。
格⼦点の定義により規則性(周期性)を抽出し、物質の分類を可能にした
すべての物質はこの中のどれかの構造をとっている。
宿題:立方晶系の三つの格子にそれぞれ含まれる格子点の数を答えよ。
3回目
1-2.結晶⾯の指数 (ミラー指数)
結晶中の特定の位置、方向、面を表すには、原則的に並進ベクトルa,b,cに基づく。
c
点
r
r = ua + vb + wc
点座標 ((u v w))
b
a
方向 [001]
[011]
[h k l]
c
b
[010]
[111]
⽅向は⼤きさが無
いので最⼩の整数
の組にする
a
[100]
(u v w)
軸と平⾏⾯は1/∞=0とおく
軸と平⾏⾯は
/
とおく
面
C
c
1つの⽅向の⾯は空間に無数あるので
最⼩整数をとる
b/v
c/w
B
a/u
A
a
(h k l)
b
これを⾯指数⼜はミラー指数と呼ぶ
*ミラー指数は軸長の逆数を取っていることに注意!
応用問題
((010)) ((100))
(110)(111)の各面を図中に示せ
c
b
a
1-3.簡単な結晶構造(実例)
CsCl
●
●
●
●
●
●
●
●
体⼼⽴⽅ではない!
単純⽴⽅である
格⼦点の復習を!!
●
NaCl
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
単純⽴⽅にあらず
(⿊い格⼦はうそ!)
⾯⼼⽴⽅である
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
問題:CsCl,NaClの単位格子に
それぞれ含まれる格子点は?
他に著名な構造としてダイヤモンド構造があり、ダイヤモンドC、シ
リコンSi、
ゲルマニウムGe,スズSn(灰⾊)がある。
⼆つの⾯⼼⽴⽅格⼦を対⾓線に沿って
1/4, 1/4, 1/4ずらして重ねるとダイヤモンド格子が得られる
六方最密構造
原⼦を球と⾒⽴て、もっとも密に詰めるとどんな構造になるか?
2種の詰め⽅あり
A
A
A
A
B
B
B
B
C C C C
A
A
A
A
A
B
B
B
B
C C
C C
A
A
A A
A
B
B
B
B
C C C C
A
A
A
A
A
A
ABABABABA
B...
(orACACACA
C...,
この⼆つは等価である)
ABCABCAB
C...
(orACBACBA
ABABABABAB...
CB...,
↓
この⼆つは等価である)
六⽅最密構造
宿題:⾯⼼⽴⽅格⼦の格⼦点に剛体球を詰めると⽴⽅最密構造と呼ばれる。
なぜそうなっているか、⽴⽅格⼦の図を描いて説明せよ。
1-3.逆格子(reciprocal lattice)
固体物理では逆格子ベクトルを使うと便利!
c
C
結晶面ABCに対し、面に垂直方向(ON方向)
P N
O
A
点Pを取り、OP=ρ 面間距離ΟΝ = d とすると
B
ρ * d = 2π
b
の関係で点Pを定める。
点P=逆格⼦点
⼀族の⾯(無数の平⾏⾯)を⼀点に変
換
a
固体の諸物性(X線・電⼦線回折、電気伝導など)は結晶による波の散乱、具体的に
固体
諸物性( 線 電⼦線回折 電気伝導など)は結晶によ 波 散乱 具体的に
結晶⾯による⼲渉の効果に帰する。
例えば、X線・電⼦線回折の場合、同じ⾯指数をもつ無数の平⾏⾯は回折像では1点になる。
以上の理由により逆格⼦を定義すると便利!
次元 m-11
逆格⼦ベクトル
-数式での定義
a* = 2π b×c/VC
b* = 2π c×a/VC
c* = 2π a×b/VC
Vc:単位格⼦体積
Vc = a・[b×c]
= b・[c×a] = c・[a×b]
上記2定義が等価である
c*
Vc = c・[a×b] = dc・absinθ
c
b*
θ
a* a
b
dc
c* = 2π/dc = 2π|a×b|/Vc
方向まで入れて
c* = 2π a×b/VC
同様
a* = 2π b×c/VC
b* = 2π c×a/VC
2.結晶による波の散乱
2-1.回折格⼦
Laueは結晶がX線の回折格⼦の可能性を指摘、
1912年Friedrich, Knippingが実験で証明、
Bragg親⼦等が実験と理論で解明
結晶:原子間距離~数Å、回折効果を起こす条件:波長~Å程度
X線の発⽣: ⾼電圧(数kV
⾼電圧(数kV~数10kV)で加速された電⼦がターゲットに衝突し、
数10kV)で加速された電⼦がタ ゲットに衝突し、
標的物質の軌道電⼦を励起。励起電⼦が基底軌道に戻るときにX線電磁波を放出。
⾦属Cuが電気伝導性と熱伝導性が良いことからもっとも広く使⽤されている。
h fmax = eV
λmin = c/fmax = ch/eV ~ 12000/V
λmin ~ 1Åを得るには V = 10 kV が必要
CuのX線スペクトル、特性Kα線 ~ 1.54 Å
MoKα線 ~ 1.54 Å
X線回折ー現在もっとも普遍的な物質研究ツール
現在極めて強⼒が放射光(synchrotron)X線もあり、構造解析に活躍。⿃栖シンクロトロ
ン施設
電子線回折
dde Broglie
B li 物質波
λ = h/p, p2/2m = eV
λ= h/(2meV) ½ ~ (150/V) ½
60 kV で0.05 Åの波長を出せる
表⾯、薄膜などに威⼒
中性子回折
原⼦炉等で⽣じた⾼速中性⼦は減速材の⿊鉛と衝突
し、⿊鉛の温度と平衡したエネルギー分布をもつ中
し、⿊鉛の温度と平衡した
ネルギ 分布をも 中
性⼦となって取り出される。
λ = h/p, p2/2m = 3/2kBT
λ = h/(3mkBV) ½
100 ℃、 λ ~ 1.33 Å
軽い原⼦の構造解析に有効
磁気モーメント持つので磁性体の構造決定に威⼒
宿題:
X線はどうやって発⽣されるかを説明せよ。
2-2.回折条件
X線線源と結晶間距離>>結晶の大きさ
平行X線と見なす。
光路差が 2dsinθ
= nλ, n整数
を満たす時に反射波が強め合い
強い反射が見られる。
d
θ
Bragg反射条件
一般的に
般的に
A(任意格子点)
S
O(格子点)
原点
Aの位置ベクトル Rl = l1a + l2b + l3c
光路差=-Rl・S0 + Rl・S
干渉強め合う条件
X線の波数ベクトルkで表示
干渉強め合う条件
Rl・(S-S0) = nλ
ko = 2π/λ S0; ko = 2π/λ S
Rl・(k-k0) = 2πn
Rlの逆格子をKhと記すと干渉強め合う条件は
k-k0 = n Kh
散乱波数ベクトルと入射波数ベクトルの差が
逆格子ベクトルの整数倍のときに強い反射が見られる
Bragg反射条件
逆格子空間
=
kk-kk0 = n Kh
実空間
光路差が 2dsinθ
= nλ
n=1の1次反射を見よう
k0
点線⊥Kh
S0
k
θ
Kh
S
θ
s
結晶面(h k l)を表す
kはk
は 0が結晶面(h k l)に反射されたもの
最大干渉方向は結晶面の反射方向と一致する
干渉の条件は結晶面の反射条件に転換される
|k-k0| = 2π|S/λ–S0/λ| = 2π|s|/λ = 4πsinθ/λ
逆格子空間Bragg反射条件から
|k-k0| = n Kh = 2πn/dhkl
実空間Bragg反射条件
2dhkl sinθ = nλ
2-3.反射球
k-k0 = Kh から反射球(エバルト球)を作れる
式
逆格子
点
Kh
P
k
O
k0
C
⼊射線はCO⽅向とする
一つの逆格子点から|k0|=2π/λを
取り、C点を中心に2π/λを半径と
した球面は
反射球(エバルト球)と呼ぶ
Kとk0の
交差点
球面に乗る逆格子点PがあればCP方向
の反射はBragg反射条件k-k0 = Khを
満たし、強い反射が見られる。
点線はKhに対応した
結晶面(h k l)を示す
P
Kh
k
k’
O
k0
C
k”
反射球⾯に乗る逆格⼦点は
すべてBragg反射条件を満た
し
強い反射が⾒られる。
通常⼀つの反射球⾯にちょうど乗る
逆格⼦点の数は限られる程少ない
反射はあまり観測されない
2-4.実際のX線回折実験法
O
C’
C
X線強度
①Laue法=結晶固定+連続X線
λmin
λmax
X線波長
2π/λmax < 半径 < 2π/λmin
の球面内空間にある逆格子点は
すべて反射球に乗るチャンスがある
→ たくさんの反射が出る
X線
サンプル
フィルム
⽤途:
良い単結晶かどうかの判定
結晶の⽅位決定
② 回転結晶法=単色X線+結晶回転
反射球は一つだけであるが、逆格子空間と反射球が相対的に回転
逆格子が球面に乗るたびに一つ可能な反射を起こすので、球内のすべて
の逆格子点はBragg反射条件を満たす
結晶構造解析の主流
③ 粉末法(デバイ・シェラー法)=単一波長+微結晶粉末
微結晶(多結晶、セラミックス等)が色んな方位に向くのでたくさんの反射が出る
Co2(OH)3Cl
101
2θ
024
113
003
012
20
021
110
202
006
30
033
211 205 107
125
214
122
40
2θ (deg.)
220
50
簡便で物質同定に多⽤
最近結晶構造解析にも使われる
特に⾼輝度放射光の出現で
宿題:X線回折実験法の種類について簡単に述べよ。
223
217
009 208
401
131
312
134 042
60
2-5.構造解析の基礎
原⼦散乱因⼦
X線の散乱=結晶内の原子の散乱の和
原子のサイズ~X線の波長
→原子内部異なる位置の電子雲による
散乱波に位相差が生じる
散乱波間の干渉を考慮すべし
O
S0
P s
r
原⼦散乱因⼦ f =
S
θ
原子内すべての電子による散乱波の和
1電子の散乱波の振幅
rは原子中ある点Pの位置ベクトル
S0、Sは入射、反射方向単位ベクトルとすると
P点の散乱波と原子中心の散乱波の位相差は
φ=2π/λ (S-S0)・r
=(k-k0) ・r =2π s・r/λ
ρ(r)dτは電子がP点dτ体積内にある確率とおくと
f(s) =∫∫∫ρ(r) exp(i2π s・r/λ)dτ
電子分布が球面対称だったら r → r+dr 球殻内にある確率;U(r) = 4πr2ρ(r)
図のような座標をとれば
f(s) =1/4π∫0-∞∫0-πU(r) exp(i2π srcosφ /λ) dt 2πsinφ dφ dr
= ∫0-∞ U(r) sinβr/βr dr; β = 2π s/λ
f(s)はs,即散乱の方向と関係
k→k0のとき、s = 0, sinβr/βr
→1, f(0) = ∫U(r) dr = Z = 原子番号
即ち、⼊射⽅向の原⼦散乱波の振幅はそれぞれの電⼦散乱波の振幅の単純
和
Cu
f
各原子の原子散乱因子と角度の関係は
データベースとして与えられている
Ag
Si
Sinθ/λ
構造因⼦
結晶 = 空間格子 + 単位構造
一つの基本単位格子「一つの格子点」に2つ以上の原子を含む場合を考えよ
が同じ方向に同じBragg反射条件を満たす
結晶面の相対位置のずれ⇒反射波の位相差
∑反射強度=f ( fi, 原子の相対位置 )
原子散乱因子の場合の各電子の散乱の和と同じ考えである。
R1,R2,…,Rj,…,Rn
Rjはunit cell中のj番目原子の位置ベクトル
cell中のj番目原子の位置 クトル
Rj
jと原点の位相差 φj = (k-k0)・Rj = 2π/λ s・Rj
その方向の散乱波振幅
F(s) = ∑fj e i (k-k0)・R = ∑fj e i 2π s・Rj/λ
j
fjはj番目原子の散乱因子
F(s) を構造因⼦と呼ぶ
反射は結晶⾯によるので、Fhklで表
⽰
Bragg反射条件により
k-k0 = nKh = n(ha*+kb*+lc*); a*,b*,c*は逆格子ベクトル
Rj = uja + vjb + wjc; uj, vj, wj は分数、j原子の座標
を代入して
Fhkl = ∑fj e i (k-k0)・Rj = ∑fj e i 2πn (huj + kvj+ lwj)
反射強度
Ihkl ∝ |Fhkl|2 = Fhkl*Fhkl
= [∑fj cos 2πn (huj + kvj+ lwj)]2
+ [∑fj sin 2πn (huj + kvj+ lwj)]2
原子散乱因子と原子の配列
⇔
強度パターンが分かる
禁制律
異なるサイトの原⼦からの反射が
位相がちょうど半周期ずれていれば
消しあって消滅することがある。
消しあって消滅することがある
e.g.: 体心立方構造 原子サイト:(0 0 0); (½ ½ ½)
同種原子だったら、fjは皆同じ
Ihkl ∝ |Fhkl|2 =f 2 [1+ cos πn (h + k+ l)]2
+ f 2sin 2πn (h + k + l)
n (h + k + l)は奇数であれば、反射が消滅す
る。
Bragg反射条件を満たしたのに回折が⾒られない。
宿題:面心立方構造
(0 0 0); (½ ½ 0); (½ 0 ½); (0 ½ ½)に各1個の原子があるとして、
この場合の禁制律を示してください。
番外編
佐賀大・理工・物理 鄭グループの研究実例
我々が電子線、X線、中性子線回折を利用した成果のうち、世界
トップ物理学論文誌Physical Review Lettersに掲載した先端研
究成果の実例を3つ示す。
透過電⼦顕微鏡
(電⼦線回折)を⽤い
て酸化銅CuOにおいて
電荷秩序を発⾒した。
電荷秩序を発⾒した
上図:
電⼦線回折パターン
下図:
数珠状に繋がった電荷
秩序ドメイン(チャー
ジストライプ)
掲載誌 Physical
掲載誌:
i Review
i Letters 85, 5170-5173
1 0 1 3 (2000)
160000
140000
120000
80000
60000
40000
20000
0
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
32
34
36
38
2θ / °
10
1
Cu2Cl(OH)3
8
0.8
6
0.6
4
0.4
2
0.2
0
0
5
10
15
20
Baseeline
Muon spin rotation
n frequency (MHz)
Intensity
100000
0
Temperature (K)
放射光X線回折を⽤いて鉱物clinoatacamiteと同じ構造の
Cu2Cl(OH)3において新規量⼦相転移を発⾒した。
上図:
放射光X線回折パターン及び解析された結晶構造
下図:
Cu2Cl(OH)3で発見した新規量子相転移を示す相図
掲載誌:Physical Review Letters 95, 057201-1-4 (2005)
40
(101) Peakk Count /h
IIntensity (a.u.)
024
202
1500
λ = 1.8143A
1000
500
0
0
5
10
15
T (K)
220
027
20
triangular lattice plane
113
006
20 K
104
021
kagome lattice plane
015
205 107
300 303
033
122 116214 125
312
101
012
2.5 K
10
20
211
110
30
40
50
131
60
70
2θ (deg.)
中性⼦線回折を⽤いてCo2Cl(OH)3において新規磁気構造ー
zero-field kagome iceを発⾒した。
上図:
下図:
中性⼦線回折パターン及び結晶構造
新規磁気構造ーzero-field
新規磁気構造
zero field kagome ice
掲載誌:Physical Review Letters (2006) 印刷中
3.固体結合
⼒
⇒
結合と熱運動の競合
原子/分子間に結合力が必ずある
充
充分に温度が低くなれば、すべての物質が固体化する
度
、
質
結合力は原因はすべてクーロン引力であるが、結合力のタイプにより
イオン結合
共有結合
金属結合
ファンデルワールス結合
水素結合
に分かれる
3-1 イオン結合
NaCl
●
●
●
●
●
●
安定閉殻
●
●
●
●
●
●
●
11番元素Na:1s22s22p63s1
17番元素Cl:1s22s22p63s23p5
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
Na:1s22s22p6
Cl:1s22s22p63s23p6
正、負イオン間の静電引力で結合
エネ
ネルギー
排他律による斥力エネルギー
全エネルギー
原子核間距離
静電引力エネルギー
特性:結合に方向性ない、固体で絶縁性・半導体
(溶けた状態で導電)、誘電率高い、脆性、
極性溶媒に可溶、融点は高い、硬い
3-2 共有結合 二つの原子が中間領域の高い電子密度を
(or電⼦対結合)
共有することによって結合
⽔素分⼦H2内の電⼦密度
密度は双方の原子核の近くがもっとも大きく、遠ざかるにしたがって小さくなるが、
中間領域では減り方がゆるい。二つの山が繋がっている感じ。クーロン引力で結合
Si ダイヤモンドC、SiC等
Si,
ダイヤモンドC SiC等
Si
2
2
14Si:(Ne)3s 3p
特性:
結合に方向性あり、固体液体
いずれも絶縁性・半導体、誘電率低い、
いずれも絶縁性
半導体、誘電率低い、
脆性、液体は非極性溶媒に可溶、等
多くの場合は共有結合とイオン結合の中間
例:GaAs
As
Ga
As
Ga
Ga
As
Ga
As
As
Ga
As
Ga
31Ga:(Ar)3d
104s24p1
33As:(Ar)3d
104s24p3
3-3 ⾦属結合
主役は“自由”電子
Li 1s22s1 Na 1s22s22p63s1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
3-4 ファンデルワールス結合 不活性元素He,Ne,Ar
(分子間力)
飽和化合物H2,O2,CH4
等
2つの原子が近づくと、2つの電子の波が重なり、上の2状態に
ある時間が下の2状態よりわずか長くなり、時間平均では僅かな
がら引力が生じる。
非常に弱いので不活性元素He,Ne,Ar、飽和化合物H2,O2,CH4
等の液化点、固化点が非常に低い。
水素融点(℃)-259.14 沸点(℃) -252.87
酸素沸点-183℃、融点-218.9℃
アルゴン融点
ゴ 融点 83.8
83 8 K ((-189.3℃)
189 3℃) 沸点 87.3
8 3 K ((185.8℃)
ヘリウム融点(℃) -272.2 沸点(℃) -268.9 高圧で固
化
3-5 ⽔素結合
H2O結晶(氷)
DNA分子鎖間の結合
Oー
H+
ファンデルワールスより強い引力
水素が両側の酸素に共有される、平均で共有結合
余談:⾮常に⾯⽩い性質を作り出す
宿題:金属の性質を列挙し、その原因を述べよ。
余談:統計⼒学に有名なアイス・ルール
H位置:2
位置 close 2 far
絶対零度でも⾃由度を持ち
熱⼒学第3法則が破れる?!
電子スピンも同様な状況
スピン・アイス
現在磁性物理学の最先端
鄭 ホームページにある
学科ニュース寄稿文を参照
スピンの向き:2 in 2 out
4 電⼦の粒⼦性と波動
性
10-11回目
4-1
4
1
光の粒⼦性と波動性
Youngの干渉実験 Thomas Young 1805
波動性理論
粒子性理論
実測
小穴S1、S2を通った光波のP点での振動
はそれぞれE1、E2とすると、
P
S1
E1=E0cosωt
E2=E0cos(ωt + 2π/λ dsinθ)
P点での振動は
θ
E = E1+E2
= E0cosωt +cos(ωt + 2π/λ dsinθ)
= 2E0cos(πd/λsinθ)cos(ωt+πd/λsinθ)
S2
When sinθ = nλ/d, n=0,1,2,…
|E| = |Emax | = 2E0
D
When sinθ =(n+1/2)λ/d, n=0,1,2,…
E=0
Albert Einstein の光電効果 1905年
1921年ノーベル賞
光を陰極に当てる
⇒電子が出る
光の周波数に閾値があり、ω<ω0 でいくら光の強度を大きくしても
光電子が出ない。
光の電磁波理論:光のエネルギーは光の強度で決まり、周波数と無関係
- ω 光の強度⇒フォトンの数
粒子性:1個のフォトン エネルギー=h
1/2mv2 = ħω – W0
Einsteinの相対論
相対論
E = cP,
E=m0c2/sqr(1-v2/c2); フォトンm0 = 0
E2 = m02c4 + c2P2, P 運動量
E = ħω = hυ; P = hυ/c n = h/λ n = ħk
n: 方向ベクトル k:波数ベクトル ħ =Planck 定数 (÷2π),
1.054573, ×10-34, Js.
4-2 粒⼦の波動性
de Broglie デブロイの仮説: 光のみならず微粒子も波動性
E = ħω = hυ; P = h/λ n = ħk
自由粒子の運動エネルギーはE, 速度は<<c
E = P2/2m ⇒λ =h/P = h/sqr(2mE)
q(
)
If 電子が電位差Vで加速され、E = eV
o
λ= h/sqr(2mE) ~ 12.25 /sqr(V) A
V=150
V
150ボルト, λ ~ 1A 10 kV
kV, λ~0.122A
λ~0 122A
1927 Bell 研 Clinton Davisson と Lester Germer が
ニッケル結晶へ電子束を飛ばして実証
-
1/λ = n/2dsinθ = P/h = sqr(2meV)/h
1/λ(nm) = n/2dsinθ = 0.815sqr(V)
電子の波動性をYoungの実験でも実証
1961, Claus Jönsson
更に1個の電子でも実証
1974 Pier Giorgio Merli
1989 Tonomura
T
(日立)美しい動画
宿題:光の波動性と粒子性を決
定付けた実験をそれぞれ述べよ
動画が下記サイトにある
http://www.hqrd.hitachi.co.jp/em/movie/doubleslite-n.wmv
4-3
Schrödinger⽅程式ー量⼦⼒学 Nobel prize 1933
de Broglie 物質波
E = ħω = hυ; P = h/λ n = ħk
自由電子 ⇒ 平面波とすると
Ψ=Acos[2π(x/λ – υt)]
= Acos(k・r
A (k – ωt))
複素形式 Ψ=Ae i(k・r – ωt)
Ψ=Ae i/ħ (P・r – εt)
de Broglie 波
If電子が時間or場所で変化するポテンシャル(力の場)を受けるなら
運動量とエネルギーは定数ではなくなる。
粒子
= 平面波
波動関数と呼ぶもっと複雑な波が必要、デブロイ波は特例
粒子の方程式 ⇒ Schrödinger方程式
導出(厳密な証明ではなくデブロイ波からの拡大解釈だが、
結果は有効であることが明らかにされている):
自由粒子
Ψ=Ae
Ψ
Ae i/ħ (P・r – εt)
∂Ψ/∂t=-i/ħεΨ,
(1)
(2)
∂2 Ψ /∂x2 = -APx2/ħ2 exp[ i/ħ (Pxx+Pyy+Pzz-εt)] = -Px2/ħ2 Ψ
∴∂2 Ψ /∂x2 +∂2 Ψ /∂y2 +∂2 Ψ /∂z2 =▽2 =-P2/ħ2 Ψ (3)
▽= i∂Ψ /∂x + j∂Ψ /∂y + k∂Ψ /∂z
(2)と(3)を変形させ
εΨ= iħ∂/∂t Ψ
(4)
(P・P) Ψ=(-iħ ▽)・(-iħ ▽) Ψ
(4)と(5)より
ε ⇒ iħ∂/∂t,P = -iħ ▽
(5)
(6)
エネルギーと運動量の量子力学的表現
ε =P
P2/2m
/2
より
(6)を代入して iħ∂Ψ /∂t = -ħ/2m▽2 Ψ
(7)
今ポテンシャル場中の波動関数の方程式を求める
場
動 数
ε =P2/2m + U(r)
にΨをかけて(6)式を代入
iħ∂Ψ /∂t = -ħ/2m▽2 Ψ +U(r)Ψ
波動方程式、平面波以外にも成立
方
も成
定常状態
-ħ/2m▽2 Ψ +U(r)Ψ = εΨ
粒子の運動状態は波動の時間的空間的変動を表す波動関数に
よって記述される。
波動関数の意味:ボルンの確率解釈 |Ψ|2=粒子の存在確率
粒子の運動状態は波動の時間的空間的変動を
表す波動関数によって記述される。
波動関数の意味:
ボルンの確率解釈 |Ψ|2=粒子の存在確率
1個の電子のYoung実験で正しさを実証
宿題:粒子の運動状態を記述す
る波動関数の意味を述べよ
動画を載せたサイト
http://www.hqrd.hitachi.co.jp/em/movie/doubleslite-n.wmv
5 結晶内部における電⼦波
12回目
の散乱と電気伝導
粒子の波動性
波動力学ー量子力学
波動力学
量子力学
波動方程式
-ħ/2m▽2 Ψ +U(r)Ψ = εΨ
5-1
5
1
|Ψ|2=粒子の存在確率
金属中の自由電子
表面
波動関数とエネルギー
金属中の電子が自由電子だとすると V =
真空
∞
V=0; 0<x,y,z<L
V=∞; x,y,z<=0 or x,y,z>=L
-ħ/2m▽2 Ψ(x,y,z)
( ,y, ) = εΨ
V=0
x=0
x=L
前回デブロイ物質波から波動方程式を得たときに分かるようにこの解は簡単な平面波
Ψ(x y z) = L-3/2exp{i(kxx + kyy + kzz)}
Ψ(x,y,z)
以下のように解いても良い
Ψ(x,y,z) = Ψ(x) Ψ(y) Ψ(z) ;
ε = ħ2k2/2m = ħ2/2m (kx2+ky2+kz2) とおくと
d2Ψ(x)/dx2 +kx2 Ψ(x) = 0 ;
d2Ψ(y)/dx2 +ky2 Ψ(y) = 0 ;
d2Ψ(z)/dz2 +kz2 Ψ(z) = 0 ;
この微分方程式を解くことで
解を得る
表⾯の効果を無くす周期的境界条件を導⼊すると
Ψ(0, y, z) = Ψ(L, y, z) = 0 etc.
kx = 2πnx/L
nx: 整数値
etc. が成立しなければならない
エネルギーは
ε = ħ2k2/2m = h2/2mL2 (nx2+ny2+nz2)
k(運動量に対応)とエネルギーεは不連続の値を取る 量子化
L=1cmとすると、とびは10-15eVと非常に小さい
しかし 電子がP liの原理
しかし、電子がPauliの原理
同じエネルギー準位に2個の電子(スピンup&down)しか入れない
に従うため、この不連続はこれから述べるように重要な意味を持つ
状態密度
kが以下の状態に無ければならない
kx = 2πnx/L
nx: 整数値
ky= 2πny/L
ny: 整数値
kz = 2πnz/L
nz: 整数値
逆格子空間に対応
波数kの取り得る値は逆格子点
2π/L
・ ・
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・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・kF ・
・ ・ ・
・ 0・ ・
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・
・
1つの状態のk空間に占める占有体積は
2π/L ×2π/L ×2π/L = (2π/L)3
故に k → k+dk 間の状態の数は
1つのkで指定された状態がスピン
正負に分かれるのでこれを計上
(2π/L)3 dkxdkydkz
状態密度 ρ (k) = 1/(2π/L)3 = V/8π3 = V/4π3
次にエネルギー ε → ε+dε 間の状態の数は
dZ = V/4π3 ・4πk2dk ;
dk =√2m/ħ ・dε/2√ε
ρ (ε )
エネルギー空間における
状態密度
放物線
ρ(ε) = dZ/dε =4πV(2m/h2)3/2√ε
ε
1つの状態に1つの電子しか存在できない ⇒ Pauliの原理
ε
同じエネルギー準位に2個の電子
(スピンup&down)しか入れない
絶対零度(0K)でも大きな平均エネルギー!
ε = εF
Fermi-Dirac分布
温度が絶対零度でない時、多数の粒子の場合は物理量は平均値
温度が絶対零度でない時
多数の粒子の場合は物理量は平均値
として求める
電子がフェルミ粒子で、Fermi-Dirac分布に従う
即ち、熱平衡時、
電子が ε の状態にある確率は
1
e (ε-εF)/kBT + 1
εF : Fermi エネルギー
或いは化学ポテンシャル
f(ε)
f(ε) =
T=0K
T≠0K
ε
熱励起、電場励起等、諸物性に関わるのはフェルミ準位近くのごく一部の電子
宿題:⾦属の中の⾃由電⼦の波動関数を表してください。
13回目
5 結晶内部における電⼦波
の散乱と電気伝導
5-1
5
1
金属中の自由電子
状態密度
ρ (ε )
ρ(ε) = dZ/dε =4πV(2m/h2)3/2√ε
放物線
=C√ε
ε
Pauliの原理
同じエネルギー準位に2個の電子
(スピンup&down)しか入れない
ε
ε = εF
絶対零度(0K)でも大きな平均エネルギー!
ε → ε +dε の電子数 dN = C √ε dε
εF0
系の電子総数 N = ⌠0 C √ε dε = 2/3 C (εF0)3/2;
εF0 = h2/2m (3n/8π)3/2
1つの電子の平均エネルギー ε = ⌠ C ε√ε dε
N
= 3/5 εF0
電子密度n=N/V=1028/m3だと、 εF0=数eV 大きな平均エネルギー
Fermi-Dirac分布
温度が絶対零度でない時、多数の粒子の場合は物理量は平均値
として求める
電子がフェルミ粒子で、Fermi-Dirac分布に従う
即ち、熱平衡時、
電子が ε の状態にある確率は
1
εF : Fermi エネルギー
或いは化学ポテンシャル
e (ε-εF)/kBT + 1
f(ε)
f(ε) =
T=0K
T≠0K
εF0
ε
数eV ~ 数万Kの温度に相当
kBT << εF0
金属の電子物性に関わるのはフェルミ準位近くのごく一部の電子
5-2
自由電子モデルの修正
実際の金属は周期的
ポテンシャル場
● ● ● ● ● ● ● ●
自由電子の波動関数 ψk(r) = exp(ikr)
格子定数aの場合、ブラッグ反射条件は2a = nλ(k = nπ/a)
k = +π/aのとき、右方向に進む自由電子の波はただちにブラッグ
反射されて左方向に進行する。左方向に進む波はその逆である。
反射されて左方向に進行する
左方向に進む波はその逆である
このように次々とブラッグ反射を受けて右にも左にも進行しない定
在波となる。
二つの進行波exp(iπx/a) とexp(-iπx/a)から二つの異なる定在波
をつくることができる すなわち
をつくることができる。すなわち、
ψ(+)=exp(iπx/a) + exp(-iπx/a) = 2 cos (πx/a)
ψ(-)=exp(iπx/a) - exp(-iπx/a) = 2 sin (πx/a)
二つの定在波ψ(+)とψ(-)とにおいて空間の電子の密度分布(確率密度╿ψ(+)╿2╿ψ(-)╿2)が異なる
図の下部に示されたイオン殻の場の中において、伝導電子のポテンシャルエネルギーが空間的変化を
もつので、波動関数ψ(+)は電荷を正イオンの殻のところに集め、そのポテンシャルエネルギーは進行
波の平均値より低くなる。反対に、ψ(-)は電荷を正イオンの中間に集め、そのポテンシャルエネル
ギ は進行波の平均値より高くなる 下図のように元々同じエネルギ 準位に縮退していた二つの状
ギーは進行波の平均値より高くなる。下図のように元々同じエネルギー準位に縮退していた二つの状
態にエネルギーのギャップが生ずる。これがエネルギーギャップの原因である。
エネルギーバンドギャップ
つまり、結晶の周期性(周期場)から結晶内の電⼦波の
ブラッグ反射がエネルギー・ギャップの原因である
もともと kx = 2πnx/L
nx: 整数値
でなければならない
したがって 1つのエネルギ
1つのエネルギーバンドは
バンドは
2π/a
2π/Na
= N個のk
⇒2N個の電子を収容
1原子あたりの電子が1の場合は
↓
半分の状態が空き
Li, Na, K が代表的な金属
簡単に⾔えば、1原⼦あたりの電⼦が奇数の場合は⾦属、
偶数の場合は絶縁体
⾦属
絶縁体
半導体
Be, Mgのような2価⾦属は先の簡単なルールでは絶縁体となるが、
現実的に良好な電気伝導を有する。これは3次元的E-k関係を
考慮すれば説明が付く(下図のようにk⽅向によってEの上のバンド
が下のバンドより低く、電⼦が上のバンドに⼀部移⾏してしまうため)。
111
000
100
宿題:
結晶におけるエネルギーバンドギャップ発⽣の理由を簡単に説明せよ
Fly UP