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風波の力学における幾つかの問題について

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風波の力学における幾つかの問題について
九州大学応用カ学研究所所報第 1
4
6号(4
9
7
3
)2014年 3月
4
9
風波の力学における幾つかの問題について
光易恒* 1
(2014年 1月 20 日受理)
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,Waves
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u
m
1
.
著言
最近、風波の研究が少なくなったように思える。これは、
国内のみならず国際的にも言えそうである。一つには、
実用的にほぼ充分な精度で海の波の複雑な性質を記
述し、さらにその予報まで、
全球的なスケールで、行えるよう
2
. 風波の現象とそれを支配する力学
風波に関する具体的問題を議論する前に、問題の所
在をはっきりさせるため、風波の現象の全体像と関連す
る力学(括弧内)を示した。
1
) 静止水面上に風が吹くと、表層流と共に小さな風波
になった、観測に関しても人工衛星を利用しでかなりの
精度で広域の波の観測が出来るようになった、これ以上
2
) 風が吹き続けると風波は時間的・空間的にスケール
に何が必要なのか? 研究してもあまり面白い事は発見
を増大し、発達を続ける(風波の発達機構、風から
されないのではないか?と言った雰囲気が生じているの
ではなし、かと思う。
3)この時、風波は安定したスペクトル構造を有している
確かに第二次世界大戦中に始まった海洋波の研究
は既に半世紀以上経過し、この間世界中の多くの海洋
力学研究者、流体力学研究者、応用数学者などがこの
ーさざ波ーが発生する(風波の発生機構)
波への運動量輸送機構)。
(ランダム波としての風波のスペクトル構造とそれを
維持する機構)。
4) 風波のスベクトノレ形は発達と共に緩やかに変化する
問題を研究した結果、上記のような状況になっているの
が、ある範囲では相似形を保っている(風波のスベ
であるから、そう考えるのも無理は無い。しかしながら、風
クトル構造、相似構造)。
波の基本的性質に関しては、未解決で非常に興味深い
問題が数多く残されている。それら未解決のあるいは解
決されてもすっきりしない問題の幾っかについて、思い
つくままに議論した。その中には、筆者等が昔に行った
初期実験の結果に関する議論も含まれる。
*
l
九州大学応用力学研究所(名誉教授)
5)発達途上の風波は砕波を生じている(強非線形現
象としての砕波 、波のエネルギー損失、砕波に伴う
気流の剥離および水中乱流の発生とその構造)。
6)風波は際限なく発達を続けるわけではなく、風速、
風の吹送時間、風の吹送距離(風域の上端からの
距離)等に応じて飽和状態に達する(風波のエネノレ
ギ一平衡)。
7)強風速時における波の力学(気泡や水滴で覆われ
た波面の記述と力学モデル)
5
0
光易恒:風波の力学における幾つかの間題について
本論文では、主として 1)および 2)の現象に関わる力
学の諸問題について議論する。
3
. 風波の発生機構
3.
1 限界風速
よく知られているように、水面上に風が吹くと表層流と
共にさざ波が発生する。波が発生し始める限界風速に
及ぼす可能性が有り、水面波だけ取り出して議論するの
では不十分であることを意味する。同様なことは後に議
論する、水面波の風による増幅や減衰においても云える
ので、今まで波の現象と流れの現象を、多くの場合別々
に考えて調べていたのを、同時に考慮に入れる必要が
生じたのかもしれない。
3
.
3 初期波の発生・発達において注目すべき現象
関してはかなり昔から研究がおこなわれ、風速 lm/s前後
Ka
wai
(
1
9
7
9)の実験によると、水面に一定風速の風を
と云われているが、まだ確定していない。これは、次に述
急に加えて最初に発生する波は峰が横方向に連なり
(
l
o
n
g
c
r
es
t
e
d で)波長も比較的一定し比較的規則的な
べる波の発生機構に関わるので、様々な条件に依存し、
しかも、波の検出精度にも依存するので、無条件に確定
した値を求めるのは困難ではないかと思う。
波だが、時間と共に発達するにつれ波峰は切れ切れ
(
s
h
o
r
t
c
r
es
t
e
d)で、波長も不規則な普通の風波となる。
同様な現象は、 Ramamonnjiarisoaetal
.
(
1
9
7
8)の実験
3
.
2 風波の発生機構
風によって水面に波が発生する機構としては、
結果にも見られる。彼らは、実験水槽で比較的低風速
(5m/s
)で発生した風波が、風の吹き出し口付近では
l
o
n
g
-c
r
e
st
ed で比較的規則的だが、風下に向かって発
P
h
i
l
l
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ps
(
l957)による共鳴機構と Va
l
enzuel
a
(
l976)や
h
o
r
t
c
r
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s
t
e
dの不規則波になる事を発見した。
達すると、s
Kawa
i
(
l979)による 2層流不安定機構とが代表的である。
これを彼等が得た周波数スペクトルで見ると、発生初期
P
h
i
l
l
i
p
s
(1
9
6
7)の共鳴機構は、気流中に含まれる乱流圧
の波は線スベクトルを示しているが、発達と共にスベクト
力変動によって波が発生し、この乱流圧力変動と共鳴
ル幅が広がり、風波のスペクトルに移行している。
条件を満たす波が発達すると云う機構である。彼は、こ
の機構が初期波の発生のみならず、その後の波の発達
生初期の水面波は 2次元の規則的な性質を示すが、波
に対して適用できるとしたが、後者に関しては、乱流圧
が発達するにつれて 3次元の不規則波(普通の風波)に
力変動が弱くて有効でないとされ、今日に至っている。し
移行する事で、これは後に議論する、不安定な波および
砕破の発達においても見られ、非線形性の増大、不安
かし、初期波の発生に関しては、有力な機構と考えられ
るが、十分な検討は行われて居ないように思う。
2 層流不安定機構は、風と水面との聞に生じる境界
層(空気側と水側)の不安定によって、波が発生する機
構である。 Kawai(1979)は理論および実験によって、風
波の発生初期の興味深い性質を明らかにするとともに、
2層流不安定機構が風波の発生に重要な役割を果たし
時間的発達と空間的発達に共通して云える事は、発
定の発生、さらには砕波等が重要な役割を果たすものと
考えられるので、改めて議論する。
3
.
4
初期波の発生に関する実験
初期波の発生に関わる問題の解決には、風洞水槽を
ている事を示している。しかしながら、初期波の発生と発
用いた実験が一つの有力な手段となるであろう。ただ、
達率を実験的に詳しく調 べたその後の研究、例えば
l
くa
hmae
ta
l
.(1988)
は
、 2 層流不安定機構を決定的に
実験に際しては、気流の制御 に充分注意を払い、例え
ば Kawai(l979)の実験のように急激に風を吹かせる、ある
支持するとは言えず、低風速の時の初期波の発生に対
いは徐々に風速を増加させる、さらに、気流中の乱流強
しては、 P
h
i
l
l
i
p
s の共鳴機構を検討する余地が残されて
度を人為的に変化させるなど様々な試行が必要ではな
いることを示している。この問題は、実用的にはそれほど
いかと思う。
深刻でないので、筆者の知る限り、その後あまり研究が
また、吹送流が関与している事を考えると、急に一定
行われていないが、力学的には極めて興味深い問題で
風速の風を加えるか、徐々に風速を増して一定風速に
あるので、今後の独創的な研究が望まれる。
するか、風の加え方によって現象が少し異なるかもしれ
この問題に関連して、もう一つ注意しなければならな
ないし、境界条件にも充分注意する事が必要である。さ
い事は 、波と水中の流れとの関連である 。Veron and
らに、表面張力波の発生は表面皮膜等の影響を受けや
Melvi
l
le(
2001)は、河合と同様な水槽実験を行って、水
すいので、後に述べるような水面の状態にも充分注意を
面上に風を送ると風波の発生と殆ど同時に勇断流の不
払うことが必要であろう。
安定によってラングミュアー循環流が発生する事を示し
ている。この事は、初期波の発達過程に微妙に影響を
九州大学応用力学研究所所報第 1
4
6号 2
0
1
4年 3月
3
.
5
風による表面張力波の発生
5
1
Helmholz の不安定機構が考えられる。しかしながら、筆
者の経験では、風洞水槽においては、波形勾配の大き
表面張力波は、上に述べたように低風速で発生する
い波の前面に発生する表面張力波は絶えず見られるに
が、比較的高風速でも発生する。すなわち、比較的高風
もかかわらず、このように風波の波面全体を覆う表面張
速で発達中の大きな波の波面を注意深く眺めると、そこ
力波はあまり見たことがない。なぜこのような差が生じるの
に表面張力波が乗っているのが見られる場合が多い(写
か、不思議である。風潟水槽で起こした風波の波面をみ
。
)
真1
ると、高風速時には波面は、砕破によって生じたと思わ
れる不規則な凹凸に覆われている場合が多いので表面
張力波が発生しにくいのかもしれない。しかしこれは推測
に過ぎないので、表面張力波に注意を払った新しい研
究が必要と考える。
3
.
6 風波の発生・発達に及 i
ます表面皮膜の影響
M
i
t
s
u
y
a
s
u and Honda (
1
9
8
6)は、風による単一周期
の規則波の発達を調べる際、問題を単純化する為、界
面活性弗j
を用い、表面皮膜の作用で規則波に重なって
生じる風波の発生を抑え、滑らかな規則波の発達を調
べた。この研究に先立って、風波の発生を抑えるため、
水中の界面活性剤の濃度を順次変化して、発生する風
波の性質を調べ、非常に興味深い結果を得ている。そ
の結果の一部を、図 lに示した。
’
o
'
u
r
'
φ ( cm• .
.
.c
)
u
j
'
u
f
'
写真 1 風速 7
8m/sで変動の激しい風が吹いて
いる時、風波の波面を覆った表面張力波
撮影場所は福岡市郊外の奈多港港内、風
.
5・0.6m。表面張力波は風速
波の波長は 0
の変動に応じて急速に発生したり消滅
したりして風速変動に敏感
このような、支配的な風波の上に乗っている表面張力
波は、沿岸部や外洋においてもしばしば見られる。例え
ば、光易( 2007)の図書「海の波を見るJ
の 11 頁の写真
(津屋崎沖で撮影)や Thorpe(2005)の図書 The
T
u
r
b
u
l
e
n
t Ocean の表紙にある外洋(大西洋)の風波の
写真に示されている。これらの写真を注意してみると、上
10
.
.
.
1~
10~
10
10
ft
剛 3
図 I 界面活性剤の水中濃度を変えた場合に発生
した風波のスベクトルの変化
最上段のスベクトノレから下向きに、濃度
03 %):0
,2
.
3
,5
.
0
,7
.
3
,26。濃度 2
.
6×
(
×1
1
0
2%では風波が発生していない
(
M
i
t
s
u
y
a
s
uandHonda,1
9
8
6
)
記の篤異 1に見られたような表面張力波が、うねりゃ風波
の表面に明瞭に現れている。
図 1に示された結果によると、活性剤の濃度の増大と
風速 7-8m/s、あるいはそれ以上の風速で表面張力
共に、風波のスペクトルは減衰し、この実験では、活性剤
波を発生し、それを維持している機構としては、 Kelvin-
の濃度が 2
.
6×1
02 弘で、風波の発生は殆んど抑えられ
光易恒:風波の力学における幾つかの問題について
5
2
た。ただし、風波が抑制できたのは、風速が us10m/sで
/レによる計算結果の検証において重要な役割を果たす。
あって、風速が 1
2
.
5m/s に達すると、活性剤の濃度が
2.
6
x1
0
2唱で、あっても、突発的に風波が発生し、その周
(
1
9
7
2)の有名な 3/2乗則は、形式的には、波高と周期に
なお、風波の局所平衡の考えから導かれた Toba
波数スペクトルは真水の場合のものに近かいととを示し
関する各吹送距離則から吹送距離を消去すると容易に
た。おそらく高風速で表面皮膜が破れたのではないかと
導かれるが、筆者は、新しく吹送距離則を導いた際、波
思
う
。
図 1において、興味深いことは、周波数スペクトルにお
の発達特性に集中していて、これに気付かなかった。先
入観に囚われると重要なことを見落とす一例で、振り返
いて、表面皮膜の影響を受けやすい高周波領域のみな
ってみるとこの種の失敗は多い。
らず、全体的にスベクトル・エネルギーが減少し、しかもス
ベクトルが相似形を保っていることである。なお、活性剤
で減衰した波のスベクトルが相似形を保っていることはこ
の研究で確認されている。
界面活性剤が、風波のスペクトルの全周波数領域の
4
.
2 風波の発達理論
風からの運動量輸送による、水面波の発達を記述す
発達を抑制し、しかもスベクトノレが相似形を保っているこ
る代表的な理論としては、有名な M
i
l
e
s
(1
9
57
)の理論およ
びその改良版、例えば C
o
r
n
e
l
i
s
, Duin a
n
dJ
a
n
s
s
e
n
とは、後に風による水面波の発達のところで述べる、 U
、
)B
e
l
c
h
e
randHunt(
1
9
9
3
、
)M
i
l
e
s(
1
9
9
3)等がある。
(
1
9
9
2
s
i
m
i
l
a
r
i
t
y の成立を示唆する。すなわち、界面活性剤の
M
i
l
e
s
(
l957)の最初の理論は、実測された発達率に比べ
濃度に応じて、海面状況が変化して海面粗度(摩擦速
小さな値を与えたので、その後様々な改良がなされた。
上記の改良理論のうち初めの 2者は、 P
l
a
n
t(
1
9
8
2)がま
本
度)が変化し、風から波への運動量輸送が変化した結果
として説明できるかも知れない。しかしながら、 Mitsuyasu
a
n
d Honda (
1
9
8
6)の研究では、活性剤の濃度を順次変
とめた発達率に関する計測データよりも小さい値を与え
るが、 M
i
l
e
s(
1
9
9
3)の改良理論は、図 2(彼の論文の図 1
)
えた場合の摩擦速度が測定されていないので、これは今
に見られるように、 u.;cs1では P
l
a
n
t
(
l982)がまとめた実
後の問題である。
測値に非常に近い値を与える( U
.は風の摩擦速度、 C
は波の位相速度)。
4
. 風波の発達と発達理論
4
.
1
風波の発達と実験式
風波は、風の吹送時間、吹送距隊および風速の増大
と共に発達を続ける。風波の全体的な特性量(波高、周
期、全エネルギー、スペクトルのピーク周波数等)の空間
的変化に関しては、かなり糟度の高い実験式(吹送距離
則)、例えば Wilson(1959)
、 Mitsuyasu(1970)
、
Hasselmann e
ta
l
.(
1973)等がある。 W
i
l
s
o
n(1959)の式
は、半世紀以上昔のもので、当時非常に計測困難であ
った波浪デ‘ータを使用しているにもかかわらず驚くほど
.
2
x
σ
I
D
'
精度が高い。 Mitsuyasu(1970)の式は、より進んだ計測
技術、新しく導入されたスベクトルを用いた波の記述をも
とに、実験水槽および博多湾のデータを使用して導いた
もので、 Wilson(1959)の式が有義波に関する式であるの
’
1
0
-
に対し、スベクトルのパラメータに関する式である。
Hasselmanne
ta
l
.(
1
9
7
3)の式は、 M
i
t
s
u
y
a
s
u(
1970)の式
と同様な式を、主として北海における観測データをもとに
導いたものであるc
これらの式は、風波の特性量、すなわち波高や周期
あるいは周波数スベクト/レ等を計測して、風速や吹送距
隊と結びつけたもので、発達機構に立ち入ったものでは
ない。しかしながら、かなり精度の高い式であるので、簡
単な条件のもとにおける波浪予報や、波浪の数値モデ
.
.
~
UJ<
図 2 水面波の無次元発達率 2πuと波齢の逆数
U•/C との関係( Miles, l
993から転載)
l
a
n
t
(
l982)がまとめたもの、曲
データは P
線は Miles(1993)の理論計算の結果
九州大学応用力学研究所所報第 1
4
6号 2014年 3月
4
.
3
5
3
風 波 の 発 達 率 の 計 調J
I
。
Jfc
計測が行われ、比較的信頼度の高い実験データが提出
t
/
f
されている。例えば P
l
a
n
t
(
l982)は、多くの研究者が 1982
年以前に行った計測のデータの代表的なものを集めて
1
0寸
実験式を提案している。時を同じくして Mituyasu and
Honda(l982)は、実験水槽で精密に計測された水面波
の発達率をもとに、実験式を提出した。このとき採用した
;/グ//附
手法は、一つの代表的手法なので、簡単に示しておく。
送風機付きの水槽で、まず単一周期の規則的水面波を
発生して伝播方向の変化を調べ、粘性による減衰率を
1
0
2
求める。次にこの波の上に風を加え伝播方向の発達を
測定する。波は風によって指数的な発達を示すので、指
数発達率を求め、粘性損失を補正した上で発達率を決
定する。比較的最近、 P
e
i
r
s
o
nand G
a
r
c
i
a(
2
0
0
8)は、実
dpw
.
4
P
風波の成分波の発達率に関しては、かなり昔から多くの
1
0
3
つ異なるところもある。
4
.
4
風波の発達率に関する問題点
・
QO
・
06
IO
験水槽において MituyasuandHonda(l982)とほとんど同
じ手法を用いて発達率を測定し、新しい実験式を提出し
ている。相互に似た式であるが、後述するように、少しず
。
仰/
'L
)
00
・
0
1
0
・
0
2
(
)0
・
0
3
C
>0
・
04
eo・
0
5
図 3水面波の無次元発達率 {
3If と U•/C との関係
ゆ1
i
t
s
u
y
a
s
uandHonda,1982から転載)
直線は MitsuyasuandHonda(1982)の式、破
ta
l
.(
1
9
8
1)の式
線は Snydere
た訳ではない。それは波面上の気流の乱流特性がはっ
きりしないため、数多くの仮定が行なわれている点である。
M
i
l
e
s
(
l
9
9
3)の改良理論の結果が、波の発達率の実測
これは、十分な実験データが無いことに原因があるので、
値にかなり良い一致を示すことを考えると、風による水面
今後、波面上の気流の乱流特性を、精密で的確な計測
波の発達の問題は、ある程度解決されたかのような印象
によって明らかにすることが必要である。この場合、計測
を与えるが、基本的に問題が解決されたわけではない
量の選定や計測結果の適切な解析が重要であるので、
(実用的には十分だと云う考え方もあるが)。力学的に見
実験の研究者と理論の研究者との密接な共同研究が望
て、現時点での幾つかの間題点について述べる。
ましいと考える。
「実験J一つは、実験式の元となる実測データの散乱が
非常に大きいことである(多くの場合座標が対数座標で
あることに注意)。 P
l
a
n
t(
1
9
8
2)がまとめたデータは、実験
水槽ならびに実海域の風波の計測から求めたデータを
「砕波」もう一つ厄介な問題は、砕破の問題である。砕
破は波の運動量の損失機構としても重要かっ厄介な問
題であるが、同時に波面上の気流に峰付近での剥灘を
含み、しかも様々な研究者による計測方法が異なり精度
促進し、風から波への運動量輸送にも大きな影響を与え
る。この現象を定量的に解明し、 Donelane
ta
l
.(
2
0
0
6)
が
も異なるデータを集約したものであるので、ある程度デー
試みているように、モデル化して理論に取り込むことも重
タの散乱はやむを得ない。しかしながら、 Mituyasu and
Honda(
1
9
8
2)
やP
e
i
r
s
o
nandG
a
r
c
i
a(
2
0
0
8)のデータのよ
要な問題である。
うに、実験水槽で十分に制御された実験条件のもと、単
一周期の規則波の風による波の発達率を計測したデー
タにおいても、測定結果にかなりの散乱が見られる(図 3
参照)。
この場合には、取り扱っているのは風波のように統計
的現象ではないので、データが非常に散乱する原因に
ついては今後の検討が必要である。当面考えられる原
因としては、後述する風の摩擦速度の決定の問題かもし
れないし、気流が乱流であることに起因する本質的な問
題かもしれない。
「理論」理論の倶j
Jにおいても基本的に問題が解決され
4
.
5
風波の発達率の計測上の問題
水面波の発達率に関しもう少し立入った議論を行う。各
実験式を求めた元のデータの散乱については前に述べ
たが、式自体 P
l
a
n
t
(
l982
、
) MituyasuandHonda(l982、
)
P
e
i
r
s
o
n and G
a
r
c
i
a(
2
0
0
8)で少しずつ異なっている。例
えば、
P
l
a
n
t
(1
9
8
2
)
戸
/w =(
0
.
0
4平 0
.
0
2
)
(
U
.
/
C
)
2
。
(
1
)
MituyasuandHonda(l982)
/w =0
.
0
5
4(
仏
/C
)
2
(
2
)
光易恒:風波の力学における幾つかの間題について
54
P
h
i
l
l
i
p
s(
1
9
8
5)
は
、 MituyasuandHonda(l982)の式が、
M
i
l
e
s
(
l993)の計算結果を示した図 2 を見るとはっきりす
u
.
;
c孟 2xlQ
P
l
a
n
t
(
l982)の式より大きな発達率を与える点に疑問を
る。すなわち、
呈しているが、後者は十分制御された条件のもと、規則
線から外れ少し下側に曲がっている(理論、計測データ
共に)。 P
l
a
n
t
(
l982)の式は、これを直線で近似している
的水面波上に風を送り、水面波の発達を直接に測定し、
I
では、無次元発達率は直
u
.
;
cが比較的大きい実験水槽のデータのみを用
u
.
;
cが比較的
粘性損失を補償し、風の摩擦速度を正確に測定して求
ので、
めたものであるので、測定上の誤差は極めて少ないもの
いた実験式とより小さめにでる。ただし、
と考えられる。
小さい現地の波を予報する発達率としては、 P
l
a
n
t
(
l9
8
2
)
両者の可否を議論する前に、この問題に関して幾っ
か注意すべき点を指摘する。一つは、 P
h
i
l
l
i
p
s(
1
9
8
5)
が
集約した発達率に関する図 4(彼の論文の F
i
g
.1
)を見る
の式の方が適切であろう。
もう一つ注意すべき重要な問題は、両者の式を導く際
に用いた具体的な測定量が異なる点である。 Mituyasu
u
.
;
cが重
and Honda(l982)は、単一周期の規則波に風を加えそ
なる領域で見ると P
l
a
n
t
(
l982)が集約したデータの散乱
の発達を直接測定して発達率を求めたのに対し、
P
l
a
n
t
(
1
9
8
2)が使用した基礎データは、異なった測定法
と
、 Mituyasuand Honda(l982)のデータは、
の中にある。
で得た様々なデータを使用している。例えば、彼が使用
した Snydere
ta
l
.(
1
9
8
1)
や Shemdinand Hsu(1967)
の
1
0
1
データは、実海域において、風波の波面の運動と共に
波面上の圧力変動を測定して風波のスペクトル成分に
対し風から輸送される運動量を測定して求めたもの、
Larson and W
r
i
g
h
t
(
l975)のデータは水槽で水面上に風
1
0
-
を急に吹かせて、時間的に発達する短波長の風波を、
マイクロ波を使用して測定して発達率を求めたものであ
る。このように異なった測定法で、求めた発達率がある程
度統一的にうまく表現できるのは驚きでもあるが、データ
が散乱するのはやむを得ないであろう。
ところで、風による水面派の発達は風から輸送される
運動量によって生ずるので、あるから、理想的な条件の場
合(砕波によるエネルギー損失や非線形伝達の影響が
.
戸
1
0
。。
。
。
。
1
0
1
無い場合)には、風から波に入る運動量の測定から求め
た発達率は、具体的に波の発達から求めた発達率と一
致するはずであるが、これを精密に確かめた例は少ない。
最近、計測技術の進歩と共に、風から波に入る運動量
1
0
1
u
,
/
r= t
r
u
,
/
i
図 4 水面波の無次元発達率と
の精密な測定が行われている(例えば、 Donelane
ta
l
.
,
2005;S
a
v
e
l
y
e
ve
ta
l
.
, 2011)。前者は実海域での測定、
U•/C
との関係
(
P
h
i
l
l
i
p
s
,1
9
8
5から転載)
(
f代りに角周波数を用いているので縦軸は
/
2
π であることに注意)
図 3の 1
丸 で 囲 っ た も の が Mituvasu and Honda
(
1
9
8
2)のデー夕、その他は P
l
a
n
t
(
l982)が
使用したもの
後者は実験水槽での測定だが、いずれも波の空間的発
達が測定されていない。
具体的に、運動量の収支を明らかにするためには、出
来るだけ大型の風洞水槽において(水槽自体の影響を
避けるため)、制御された風を規則的水面波の上に送っ
て、水面波の伝播方向の発達を直接に測定すると共に、
P
l
a
n
t の式の元となったデータは、現地で計測された
波面の運動や波面上の風速変動や圧力変動を精密に
u
.
;
cが小さい領域のデータをも含み、この領域のデー
測定し、風から波に輸送される運動量を求め両者を比較
タは彼が最小自乗法で求めた式より小さめの側に偏って
するのが、一つの方法である。実海域での実験において
いるため、室内実験のデータのみを用いた式に比べて
は
、 JONSWAPの場合と同様に、比較単純な境界条件な
小さめの値を与えるのかもしれない。実際、 P
l
a
n
t
(
1
9
8
2
)
らびに気象条件のもと、風波の空間的発達あるいは時間
が用いた
u
.
;
cが大きい領域のデータ(小型風洞水槽
で得られた LarsonandWright(l975)のデータ)は実験式
より大きめの傾I
]に寄って分布している。このことは、
的発達を測定すると共に、風からの運動量輸送を同時
に精密に測定し、両者を比較する方法が考えられる。
九州大学応用力学研究所所報第 146号 2014年 3月
4
.
6
55
抑制し、滑らかな水面波の発達特性を調べた。その結果、
波面の状態が波の発達に及ぼす影響
波面が滑らかな場合の発達率は波面が風波で覆われて
前述のように、風による水面波の発達を実験的に調べ
いる場合の発達率に比べてかなり小さいが、それぞれの
るには、機械的に起こした単一周期の規則的な水面波
場合(風波が発生した場合と風波を抑制した場合)の風
の上に制御された風を送り、水面波の発達を直接に測
の摩擦速度を使用すれば、水面波の発達率は統一的
定する方法、あるいは、波面の運動と同時に波面上の圧
に表現できる事( U,相似則)を見出した(図 5参照)。
力変動を測定して風から波への運動量ブラックスを測定
この結果は興味深いものであるが、各々の計測データ
する方法(代表的なものは Snydere
ta
l
.(
1
9
8
1)、比較的
最近のものでは Donel
a
ne
tal
.(
2
0
0
5)
や Savelyeveta
l
.
の散乱を考えるとより精密な計測が必要なように思われ
(
2
0
1
1)などがある。
の実験においてもデータの散乱が大きいと云う、予想外
しかしながら、水面波の上に風を送ると新たに風波が
る。しかも、界面活性剤を用いて条件を単純化したはず
の結果が得られている。
発生して規則的な水面波の波面を覆う。したがって、こ
の風波が規則的水面波の粗度として作用して波面上の
気流の構造を変えると共に、風波を介しての運動量輸送
4
.
7
複合波の発達
を考える必要も生じる。このこと自体は、現実に近い状況
水面波の発達率や風からの運動量フラックスは、水槽
を作り出すのだが、規則波の波面を覆う風波自体が規
実験では多くの場合、上述の研究の様に単一周期の規
則波の性質(とくに波形勾配)に依存して変化し
(
M
i
t
s
u
y
a
s
u
,
1
9
6
6
:
P
h
i
l
l
i
ps and Banner,1974)、しかも風
則波を用いて測定を行っている。しかしながら、このよう
にして求めた発達率を、波浪モデ‘ルにおいてスベクトノ
レ
波は風下に向かって発達するので、規則的水面波に対
構造を有する風波の各スペクトル成分の発達に適用す
する風波の影響が規則的水面波自体の性質や吹送距
るには心配な点がある。
それは、特定のスペクトル成分に対する風からの運動
離によって変化すると云う厄介な問題が生じる。実際、
MitsuyasuandHonda(1972)の実験では、風下に向かつ
て風の摩擦速度が少し変化したので、増幅率を調べた
量輸送が他のスペクトル成分の影響を受けないと云う保
証はないからである(成分波間の非線形相互作用等は
区間の平均的な摩擦速度を用いてデータの整理を行っ
別としても)。言い換えると、風からスペクトル構造を持つ
ている。
水面波への運動量輸送が線形的かどうかという問題を
造波機で起こした規則波の上に新たに発生する風波
の影響を除いて、条件を単純化するため、 Mitsuyas
u
andHonda(l982)
は、界面活性剤を用いて風波の発生を
調べる必要がある。しかしながら、これに関する検討は、
殆ど行われていない。
筆者の知る限り、この問題を実験的に調べた唯一の
研究は、はるか昔に行われた草場・光易( 1984)による初
期的な実験である。彼らは組み合わせの種類がかなり異
なった 2成分に規則波( 2成分の周波数が比較的近く合
成波がピート構造を示すものと、周波数が非常に異なっ
て長周期の波に短周期の波が乗っているように見えるも
事
I
f
の)をそれぞれ起こし、それ等に風を加え、各成分波の
発達を調べた。
図 6は、その結果の一部で、これによると、 2成分規則
波の各成分波の発達率は、大雑把にみると各成分波が
単独に存在する時の発達率と大差が無く、したがって他
・
0
1
0
2
T
a
pw
a
t
e
r
の成分波の影響は少ないことを示している。しかしながら、
S
u
r
f
a
c
t
a
n
t
実験の種類は 2成分に限られ、しかもデータの散乱がか
なり大きいので(特に活性剤を使用した場合)、これに関
してはより本格的な実験が必と考える。
1
0
3
その場合、さらに成分波の数を増やした実験や、風波
1
01
1
0
司
u
.
1
c
図 5 波の無次元発達率。 If と U•/C との関係
(MituyasuandHonda,1982から転載)
波面が滑らかな場合と風波が重なった場
合との比較、直線は MituyasuandHonda
(1982)の実験式( I
)
’
のスベクトノレに類似したスペクトル構造を有する合成波を
使用した実験なども必要と考える。さらにまた、前にも述
べたように、波面上の気流の圧力変動や風速変動を同
時に測定して、気流の特性や風から波に輸送される運
動量などを同時に明らかにする事も重要である。
光易恒:風波の力学における幾つかの間題について
5
6
//
41
FrELL
n
u
n
u
w
β
a
nd Banne
r(
1
9
74)が提出した減衰機構は、ある程度の
説明を与えているが、必ずしも充分とはいえない(坂井、
草場、増田、 1994
。
)
さらに大きな問題点は、うねりの向きが風波の向きと逆
の場合、理論と実験とが大きな差を示す点である。すな
わち、 P
h
i
l
l
i
p
sand B
a
n
n
e
r
(
l974)の理論によるど、この場
lOI
合にも風波の減衰が生じるが、実際には、風波は殆ど減
衰 し な い か 、あ る い は 逆 に 発 達 が 糟 強 さ れ て い る
。
Tapwater
• S
a
r
f
a
c
t
a
n
t
lQI
新しい機構のーっとして、すでに 1
0 年以上昔になる
e
l
c
h
e
r(
2
0
0
0)が、面白いアイディアを提
が
、 Chenand B
出している。風向きに進むうねりは、風の運動量を吸収し
U普/C
103
h
i
l
l
i
p
s & Banner(1974)の理論を改良す
するためには、 P
るか、新たに別の機構を考える必要がある。
.
102
(
M
i
t
s
u
ya
su and Y
o
s
h
i
d
a
, 2005)。このような問題を解決
1
0
0
i
d
図 6 2成分波を構成する各成分波の発達率(草
場・光易, 1984から転載)
直線は、 1成 分 波 に 対 す る Mituyasuand
)
Honda(
1
9
8
2)の実験式( I
界面活性剤を用いて波面を滑らかにした
場合のデータの散乱が大きい
て発達するロ M
i
t
s
u
y
a
s
u
(
l985)が簡単な考察で示したよう
に、うねりの波形勾配が大きくなると、風から海面に輸送
される運動量のかなりの部分をうねりが吸収する。このた
め、風から海面に輸送される風の運動量が不変と考える
と(これは検討する必要があるが)、風波に輸送される残
りの運動量は減少することになる。彼らはとのようなモデ
ルを考えて、具体的に風波の減衰を計算した。計算結
1966)の計測結果にかなりよく一致して
果は Mitsuyasu(
いる。ただし、風側の運動量の収支に関しては、果たし
5
.
風波・うねり・流れの共存系
て彼らが考えたような事が生じているかどうか、今後実際
に計測して確かめる必要がある。
ここで取り上げる流れは、海流の様な大規模の流れで
はなく、風によって風波と同時に発生するいわゆる吹送
5.
2
逆風によるうねりの減衰
流やラングミュアー循環流、さらに波が誘起するストーク
ス・ドリフトや砕破に伴う流れなどである。
多くの場合、風波、うねり、吹送流の問題などは独立
風に逆行するうねりは、風波を変化させると同時に、う
ねり自体は逆風によって減衰する。 Mitsuyasu and
して別々に研究されてきた。例えば、吹送流の問題は、
Yos
h
i
da (
2
0
0
5)の研究によると、逆風によるうねりの減表
風で発生する表面流のみを取り上げて研究し、共存する
率は、順風によるうねりの発達率と同程度であった。とこ
風波やラングミュアー循環流の影響などについてはほと
e
i
rs
on,G
a
r
c
i
a and P
e
l
is(
2
0
0
3)は、ほとんど同じ
ろが、 P
んど触れなかった。風波ゃうねりの研究についても同様
ような実験を行なったにも関わらず、これよりはるかに大き
で、それぞれ単独に研究された。比較的関心を集めた
な減衰率を求めている。彼らは、逆風による波の減衰に
共存系の研究は、うねりと風波との相互作用の問題であ
おいて、水中の流れや乱れの寄与が大きいと推測してお
る
。
り、水野( 2011)は、風に対するうねりの向きによって水槽
ここでは、当面、実際の海洋における現象を離れ、単
内の流れが大きく変化することを発見し、これがうねりゃ
純化した力学現象として取り扱うため、室内実験におい
風波の変化に及ぼす影響について言及している。この
て造波機で起こした規則波(一種のうねり)の上に風を送
混乱した状況を解明するためには、風波・うねり・流れの
って風波を発生させた場合の現象について議論する。
共存系に関する新しい研究が今後必要と思われる。
5.
1
5
.
3
風波の発達に及ぼすうねりの影響
風波と同一方向に進むうねりの波形勾配が大きいと
風波の著しい減衰が生じる事が発見されたのは、既に
吹送流に及ぼすうねりの影響
i
ts
uyas
u(
1
9
9
2)は、奇妙
約 20年前に、 Chengand M
な現象を発見た。実験水槽において、水面上に風を送
5
0 年近く昔のことである( M
i
ts
u
y
a
s
u,1966)。しかしなが
って発生した吹送流が、風と同一方向に進むうねりが存
ら、その減表機構は未だにはっきりしていない。 P
h
i
l
l
i
p
s
在してもあまり変化しないのに対し、逆行するうねりの場
九州大学応用力学研究所所報第 146号 2014年 3月
合、特にうねりの波形勾配が大きくなると、著しく増強さ
5
7
これまで度々述べた、規則的水面波の発達率を計測
れる現象である。この場合、風に逆行するうねりによって、
した Mitsuyasu and Honda(1982)の実験では、条件を単
風の摩擦速度が増大したことが原因ではないかと考えら
純化するため、水面波が安定で指数的な増幅を示す範
れるが、吹送流の速度は実測した風の摩擦速度を用い
囲で増幅率を計測している。しかしながら、水面波が風
て無次元化されているので、風の摩擦速度の増大として
の作用をうけて発達し波形勾配を増し、不安定になって
砕波するようになると、図 7(MitsuyasuandHonda(1982)
は説明できない。この奇妙な現象を解明するためには、
今後新たな研究が必要であり、風及び波によって生じる
のF
i
g
.I
O)に見られるように、それまで指数的な増大を示
水中の流れの全体像の解明がこの場合にも必要ではな
していた規則波のエネルギーはすこし減少を始める。
この図は、初期値で規格化された波のエネルギーの
いかと考えている。
風下に向かつての変化を示したもので、ある範囲では波
6
.
水面波の発達における波の不安定と
砕波の問題
6
.
1
不安定な波および砕波の発達
のエネルギーは指数的増大を示すことが、明瞭に見られ
る。しかしながら、最上段の波形勾配が大きい波は、伝
播距離 Sm付近で増幅を止め減少し始めている。
単一周期の規則的水面波の波形勾配が堵大すると、
側帯波不安定が生じることは、かなり昔から研究されて
おり(例えば, BenjaminandF
e
i
r
,1967)、これに風が加わ
6
.
2
不安定な波および砕波の発達:実験的検討
った場合についてもその後研究が行われ、興味深い結
上記の、波が不安定となって、指数的増幅をしなくな
っ た 後 の 現 象 を 明 ら か に す る た め 、 Kusaba and
果が報告されている(例えば、 Briben e
ta
l
.
,1
9
8
5
: Hara
Mitsuyasu (
1
9
8
6)は、基礎的な実験を行っている。彼ら
andM
e
i
,1
9
9
4
:WasedaandT
u
l
i
n
,1999)。しかしながら、
は、風の作用を受けて発達している規則波が、不安定と
ここでではこの不安定機構の問題には深く立ち入らない
なり砕波を生じるようになった時の現象を、波形の変化、
周波数スペクトルの変化、更にスベクトノレの代表的な周
で、風の作用を受けている単一周期の規則波の発達率
やスベクトル・エネルギーの変化に対する、波の不安定
や砕波の影響につい、 Kusabaand Mitsuyasu (1986)
の
波数帯のエネルギーの移動などを実験的に調べて、解
実験結果をもとに議論する。
の現象と対比して検討するため、無風状態における同じ
明することを試みた。その際、風の作用を受けない場合
波の変化につでも殆んど同一条件で計測している。
f
この研究の主要な結果は、実験条件を含め、見易い
T
=
0
.
7
s
e
c
;
, U•IOm/s
形に編集して本論文の付録として最後に添付した。内容
& E/(E),
は、水面波の波形(写真)、水位変動、周波数スベクトル、
!
、
/-'--..1~
H/L)o-0
偶
波の伝播に伴う代表的周波数帯におけるスベクトル・エ
−
、
ネルギーの変化である。なお、風の影響を浮かび上がら
xt E
帽
せるため、各データは、無風時と、風の作用を受けている
Sト E/(E)1
場合との双方を対比して示してある。この研究で明らか
になった興味深い現象は以下のようなものである。
(
1)規則的水面波は風の作用を受けると指数的発達を
Xl•I
示すが、やがて不安定になって砕破を生じ、次第に
店
十 E/(E),
ランダム波としての風波に漸近する。
(
2
) この過程において、側帯波不安定が過渡的役割
X
1
1
1
1
1
を果たす。すなわち、波の周波数スペクトルで見る
と、無風時ほど鋭くはないが側帯波が発生し、とく
に、低周波側の側帯波が、少し幅を広げながら発
達し、そこをスペクトルピークとする、風波のスベクト
ノレに漸近する。この時、周波数スペクトルは風波に
1
0
図 7
主巴
固有の Toba(1972)
の 3/2乗則を満たしており、ほ
1
5
風による単一周期の規則波の発達.
MitsuyasuandHonda(
1982)の F
i
g
.
I
O
とんど風波のスベクトノレと言える。この後は、通常の
風波として発達するものと恩われるが、水槽の長さ
に制限され検証されていないので、実験的検証が
光易恒:風波の力学における幾つかの間題について
5
8
必要である。
(
3)上記の過程は、 3
.
2 で述べた静止水面に風で発生
した初期波が、当初は 2次元の規則波の性質を示
ここまで書いてきて、昔 W. H. Munkが述べた次のよう
な言葉が気になってきた。
“
I
’
vbeenad
a
b
b
l
e
r
.ldosomethingf
o
rt
e
ny
e
a
r
s
,and
すが、発達と共に 3 次元の不規則波となり、そのス
t
h
e
nldosomethinge
l
s
e
.Thei
n
e
v
i
t
a
b
l
eoutcomei
st
h
a
t
ベクトルが普通の風波のスペクトルとなる過程に類
Idon’
tdo a
n
y
t
h
i
n
gv
e
r
yw
e
l
l
, becauseIdon’
ts
t
i
c
k
似している。これらのことを考えると、風波の構造は
風の作用下にある水面波の非常に安定した構造と
’
mn
o
tmucho
fas
c
h
ol
a
r
.ldon’
t
w
i
t
hi
tl
o
n
ge
n
o
u
g
h
.I
言うことができる。
(
4)規則波の周波数スペクトルの高周波側は、早い段
p
u
b
l
i
s
h
e
d
,whereyouhavet
of
i
g
u
r
ei
to
u
tf
o
ry
o
u
r
s
e
l
f
.
"
階から風波のスペクトルに近づいており、これは逆
に言えば、風波のスペクトルの高周波領域は共存
する規則波の影響を殆んど受けない。
(
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) これに対し、風波単独のスペクトルのピーク周波数
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)
最後に述べた高風速の作用下の海面の力学以外は、
Munkが述べた内容の対極にあることを書いたような気が
するが、研究には様々なスタイルがあるので、この小論が
少しでも今後の研究に役立てば良いがと考えている。
付近は、共存する規則波の影響を受けてたえずス
謝辞
ベクトル・ヱネルギーが低下しており
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(
l966)と同様な現象がこの実験でも生じ
ここで引用した筆者らの研究の大部分は、筆者が九州
ている。このことは、定常状態における風波のスベク
大学応用力学研究所に在籍していた当時、草場(元、
トルのピーク付近のスベクトノレ・エネルギーは、風の
本多)忠夫助教授と共に行なったものである。これらの研
作用下にある水面波として、この周波数帯における
究の様々な段階において、増田章教授から多くの貴重
最大のエネルギーを含む構造になっていることを意
な意見を頂いた。長期間にわたる好意に対し感謝致しま
味する。
す。またこの論文の原稿に目を通し有益なご意見を頂い
た本地弘之九州大学名誉教授に御礼申し上げます。さ
7
.
結語
風波の力学に関し、筆者が気になっている諸問題の
幾っかについて述べた。今回は、初期波の発生機構は
らに、この論文の発表に際し色々とお世話になった、京
都大学(元九州大学)の吉川裕准教授に感謝致します。
なお、 J
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別として、多くは自分自身が研究を行ないながら、釈然と
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(1985)の各論文中の図(本
していない問題を中心に議論を行ったので、いささか古
典的な問題が多い。初期波の発生機構は、かなり厄介
論 文 中 の 図 2 および図 4)の利用は、 Cambridge
な問題である上、実用的にどのように役立つか不明だが、
して樹意を表します。
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sの好意により行うことが出来た。ここに記
力学的には興味深い。風波の発達の問題は、現象論的
にはかなり明らかになっているので、実用的には十分な
参考文献
状況ではないかとの考え方もあるが、内部機構に立ち入
って見ると不明の点が多く、決して既に解決した問題と
は言えない。
今回は、ほとんど触れなかったが、超高風速の時の海
面の力学も気になる問題の一つである。1970年代に、台
風の通過頻度の高い沖縄海域に、安定したスパー型の
大型プイを設置して台風時の海面付近の現象を計測す
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の問題は依然として気になっている。
最近、高風速の時の海面の抵抗係数に関し、いくつか
の研究が行われているが(例えば P
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光易恒:風波の力学における幾つかの間題について
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8
,114-130.
42 )光易恒( 2007 ):慈のlt~Jt-6 ・庭生から勝訴B君子、
岩波書店、頁 1
1
.
1
9
8
4):二成分規則波の風によ
4
3)草場忠夫、光易恒 (
る発達(序報)、九州大学応用力学研究所所報、第
60号
、 455-466.
44)坂井淳子、草場忠夫、増田章( 1994):うねりと風波
3
7
)Toba, Y
. (1972
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風波エネルギーの解析を中心としてー.九州大学
応用力学研究所所報、第 76号
、 123-142.
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45)水野信二郎( 2011):波と流れの相 E作用による循
環流の形成機構.ながれ、 30、195ー2
0
4
.
九州大学応用力学研究所所報第 1
4
6号 2014年 3月
付録風の作用を受けた波形勾配の大きい
波の非線形不安定ならびに発達に関
する研究
6
1
データ処理
データ・サンプリング: 2
0
4
.
8
H
z
デ、ータ長: 8192ポイント(=2勺
サンプル数:無風時の規則波は 3、風波および共存波は 6
この付録は、下記の論文の内容のうち、実験内容と主要
スペクトル解析: 8
1
9
2(
=213)データを用いて FFT、サンプ
な実験結果とを編集してまとめたものである;
ル平均を取った後スペクトル腺 3本の三角
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2 実験結果
実験結果は、無風時の波に関するデータと風の作用を
実験の内容
受けた波に関するデータとを左右に対比して示した。
実験水槽において、波形勾配を異にする 3種類の規則
データ:
的水面波を発生し、無風の場合と風を加えた場合について、
1
)波の写真:篤実 Ala、篤虞 Alb、篤異 Ale、
それらの伝播に伴う変化を調べた。結果は、寓虞、複数の
2)波の水位変動の記録:図 Ala、図 Alb、図 Ale、
測定点における水位変動、周波数スベクトノレ、スベクトルの
3)周波数スペクトルの変化(表示は 20Hzまで):
代表的周波数帯におけるスベクトル・エネルギーの変化な
どをもとにして示した。
図 A2a、図 A2b、図 A2c、
4)代表的周波数帯の区分の説明図・図 A3
5)代表的周波数帯のエネルギーの変化:
実験水槽.幅 0.6m、高 0.8m(水深 0.32m
)、実験水域の長
さ 約 15m
6)風の作用下の水面波と風波の局所平衡:図 A5
実験波:使用した規則的水面波(3種類)
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9
(波数 k=16.lmlで無次元化した距隊)
風速:風洞の吹き出し口の風速(ほぼ風路断面の平均風速)
Ur=lOm/s
風速はピトー管で測定、波の測定店で水面上の風速
の鉛度分布を測定して風の摩擦速度を決定
波の測定
水面波による水位変動の測定は、電気抵抗式波高計を
使用して次ぎの 3種類の測定を行なった。
1)無風時の水面波の測定
2)風波のみの測定
3) 定 常 状 態 の 風 波 の 中 に 規 則 的 水 面 波 を 送 っ て 生
じた共存波の測定
図 A4a、図 A4b、図 A4c、
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約 0.
9m、最下段は約 l
.
8m)左は無風、右は風速 Ur=lOm/sの 風 の 作 用 下
(
Ur:断面 平 均風速)、波 :
T=0.5sec、
ト1
=1
.7cm、し=0
.39m、初期波形勾配:( ak)
。
= 0
.139
撤影場所(風の吹き出し口か ら各 写 真 の 中 央 までの距離):上から 4.
5m、7.2m、1O.Bm、最下段 10
.2m
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九州大学応用力学研究所所報第 1
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4年 3月
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.
7cm、 L=0.
39m、初期波形勾配:
(
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縦軸の単位 :
cm、測定場所(風の吹き出し口からの距離 X)は図の右側に表示
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図 A2a 規則的水面波の記録と周波数スペクトノレ
左は無風、右は風速 Ur=l
Om/sの風の作用下( Ur:
断面平均風速) 、 波 :T=0
.5sec、H=l
.7cm、 し
=0
.39m、初期波形勾配 :
(
ak
)
。
= 0.
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3
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水面波の記録の縦軸の単位は cm、周波数スペクトノレの中の滑らかな曲線は、比較のために挿入した各側 点における風波のスペクトノレ
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257以外 は図 A 2aに同じ
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図 A2c 規則的水面波の記録と周波数スペクトル
H=
4.
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(
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3
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図 A4a 水面波の各周波数帯におけるスベクトル・エネルギーの変動
Ei (
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,
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,
5
) は図 A3に示した、各周波数帯における波のエネルギー
Eは各周波数帯のエネルギーの総和(波の全エネルギー)、左は無風、右は風速 Ur-lOm/sの風の
作用下( Ur:断面平均風速)
氏
、 H=l.7cm、 L=0.39m、初期波形勾配:(a
ko=0
.
1
3
9
波: T=O.Ss
無風時の波のエネルギーEの変化の所の破線あるいは直線は水の分子粘性による波の減表曲線
光易恒:風波の力学における幾つかの間題について
72
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図 A4b 水面波の各周波数帯におけるスベクトル・エネルギーの変動
H=32cm、初期波形勾配:( a
k
)
o=0
.
2
5
7以外は図 A4aに同じ
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図 A4c 水面波の各周波数帯におけるスベクトル・エネルギーの変動
H=4.
Icm、初期波形勾配:(a
k
)
o= 0
.
3
3
1以外は図 A4aに同じ
10
九州大学応用力学研究所所報第 146号 2014年 3月
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10
図 AS 風の作用下の水面波と風波の局所平衡
図 A2a∼図 A2cに見られるように、風の作用を受けて発達する水面波の周波数スベクトルは、次第に風
波のスベクトノレ形に漸近する。風波のスベクトルで成立する局所平衡の関係と比較すると、伝播と共に局
所平衡の関係、に漸近している。すなわち、水面波が無い時の風波のスベクトルと比較すると、エネルギー
が増加しているが、風波のスベクトルと類似した構造になっている。
主要な結果
上に示した実験結果から次のようなことがわかる。
ーク周波数成分が占め、無風時には分子粘性による減
衰を示す(図 A4a左)。風の作用が加わると、しばらくは
指数的な発達を示すが、ある段階で発達が止まる(図
(
1)波形勾配が大きい波の周波数スベクト/レは、無風時に
は顕著な側帯波を示しているが、風の作用を受けると、
A4a右
)
。
(
7)波形勾配の増大に連れて、無風時には、伝播と共に粘
従来も報告されているように、側帯波は消失する(図 A2b,
性損失よりはるかに大きい減衰を示すようになる(図 A4b
A2c)。これを更に詳しく見ると、
左
,
(
2)スペクトルのピーク周波数の低周波側の側帯波は、少し
A4c 左)。これは、波の不安定や砕破によるもので
]の側帯波のエネルギーは、
ある。これに対し、低周波倶I
周波数幅を広げながら増大し遂にはこの低周波側の側
無風時、風の作用下共に増大を続け、ピーク周波数成
帯波をピークとする風波のスベクトルに漸近する(図 A2b,
)
。
分のエネルギーを凌駕する様になる(図 A4b右
。
)
A2c
(
3)この時のスベクトルは、風波のスベクトルに固有の
(
8)安定な状態では指数的に増大していた規則波の全エ
ネルギーならびにピーク周波数成分のエネルギーは、
Toba(l972)
の 3/2乗則に漸近している(図 A5)。こ後は、
波が不安定になって砕破を始めると増大を止め、若干
風波のスペクトルとして発達を続けるものと考えられるが、
減少するが、持ち直して、ほぽ一定値を保つ。これは風
水槽の長さの制限で調べられていない。
からの運動量輸送と砕破による損失とがバランスした状
(
4
)(
2)及び( 3)の性質は、実用的には、比較的小型の風
態と考えられるが、一種の過渡状態であって、さらに進
洞水槽で大スケールの風波を発生させる手段として利
行すればエネルギーは増大するものと考えられる(図
用することが出来る。すなわち、造波機で大波高で波形
A4a右
, A4b右
, A4c右
)
。
勾配の大きい規則波を発生し、それに風を加えると規則
(
9)規則波と風波とが共存する波のスペクトルに共通して
波は不安定になって砕破を生じ、次第に風波(風のみで
言えることは、規則がない時の風波のスペクトルのピーク
発生した波)と同一構造の波に漸近する
付近のスベクトル・エネルギーに比べて、同じ周波数領
(
5)規則波の周波数スペクトルの高周波側は、早い段階か
域における共存波のスベクトル=エネルギーが小さし、こと
。
)
ら風波のスペクトルに近づいている(図 A2a,A2b,A2c
である。これは、 Mitsuyasu(l966)が発見した現象(うねり
これは逆に言えば。風波のスペクトルの高周波領域はう
による風波の減衰)が今回の実験においても生じている
ねりの影響を殆んど受けない。
ことを意味する。
(
6)波形勾配の小さい波は、波のエネルギーの大部分をヒ。
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