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2014年度JFCC研究成果集PDF版 - 一般財団法人ファインセラミックス
目 次 【研究成果紹介】 ◆ 二次電池 ◆ R-1 位置分解 EELS によるその場形成負極活物質の電子状態計測 1 R-2 位置分解 EELS による全固体 Li イオン電池の LiCoO2 正極の劣化解析 2 R-3 リチウムイオン伝導体の低温短時間合成 3 R-4 リチウムイオン二次電池用正極膜のナノ構造解析 4 R-5 固体電解質 LLTO 中 90°ドメインの Li 伝導への影響 5 ◆ 省エネルギー ◆ R-6 LED 用サファイア基板精密研磨のための電界 CMP 用複合砥粒開発 6 R-7 電子ビーム PVD による複雑形状部材への膜被覆性の均一化 7 ◆ 環境・安心安全 ◆ R-8 太陽熱レシーバ評価のための人工光源シミュレータ開発 8 R-9 高いアパタイト形成能を有する生体用チタンの開発 9 R -10 過熱水蒸気を利用したセラミックス成形体の高速脱脂 10 ◆ 第一原理計算 ◆ R -11 第一原理計算によるウルツァイト型結晶構造の強誘電性解析 11 R -12 アルミナ中の粒界拡散に関する理論解析 12 R -13 第一原理計算による単鎖イノケイ酸塩 Bi2SiO5 の強誘電性の解析 13 R -14 第一原理計算による LiCoO2 ポリタイプの構造と特性 14 R -15 第一原理計算による水素吸蔵 Ti-V 合金の固溶状態解析 15 ◆ ナノ解析 ◆ R -16 貴金属ナノ触媒による炭素材料酸化過程のその場観察 16 R -17 収差補正モノクロメータ STEM による高エネルギー分解能 EELS 測定 17 R -18 電子顕微鏡を用いたイットリウム系長尺超電導線材の微細構造解析 18 R -19 ゼオライト水分離膜の構造解析 19 R -20 ゼオライト内吸着カチオンの精密構造解析 20 R -21 透過電子顕微鏡を用いた複合評価による SiC 結晶欠陥の定量解析 21 ◆ 信頼性・機能評価 ◆ R -22 SiC 結晶切断方法によるダメージ導入の評価 22 R -23 ネオジム磁石の高温における磁区・磁壁構造観察 23 R -24 パワーデバイス用 SiC ウエハに対する低欠陥加工技術の開発 24 ◆ 材料開発 ◆ R -25 焼結シミュレーションソフトウェア SinterPro 改良版の開発 25 R -26 La 系ペロブスカイト酸化物多孔質球状粒子の開発 26 R -27 レーザー加熱法によるサーメットの熱衝撃試験と解析 27 R -28 高温酸素ポテンシャル勾配下における輻射熱反射膜の最適構造設計 28 R -29 炭素繊維-樹脂間の密着性に及ぼす過熱水蒸気のガス添加効果 29 R -30 エアロゾルデポジション法によるアルミナ膜の集合組織形成 30 R -31 高温ガス透過法に基づくセラミックス中の物質移動評価解析技術 31 【最先端機器・技術紹介】 T-1 JFCCの試験評価機器をご利用下さい 32 T-2 粉体特性の評価技術 33 T-3 液相合成によるセラミックス・金属微粒子合成技術 34 T-4 新規材料開発・研究に貢献するセラミックス製造技術 35 T-5 耐熱・耐環境厚膜から機能性薄膜までのコーティング技術 36 T-6 シリカエアロゲルの製造と頒布 37 T-7 セラミックスの高精度加工技術 38 T-8 超高分解能走査型電子顕微鏡による低加速・無蒸着観察技術 39 T-9 デュアルビーム FIB-SEM 装置を用いた三次元解析技術 40 T -10 電子線ホログラフィーを用いた電子材料,磁性材料の定量観察 41 T -11 後方散乱電子回折法による結晶方位マッピング 42 T -12 X 線回折による結晶相の同定 43 T -13 非破壊による材料評価技術 44 T -14 マイクロ波~ミリ波における誘電特性と電波吸収特性の評価技術 45 T -15 電気特性評価(抵抗率) 46 T -16 燃料電池・固体電解質の電気化学特性評価技術 47 T -17 SOFC 用多孔質電極材料のガス透過率評価技術 48 T -18 機能性材料の構造・化学結合の分析評価技術 49 T -19 機械的特性に関する材料評価技術 50 T -20 熱的特性評価技術~熱伝導率・熱膨張率等の評価・解析~ 51 T -21 エッチピット法による SiC 結晶の欠陥解析評価技術 52 T -22 サブナノ~ミクロンオーダーの細孔径分布測定による機能性評価 53 T -23 高温高圧水環境下における評価技術(水熱腐食、摩耗) 54 T -24 破壊試験時に放出される材料中の微量ガス分析 55 【JFCC 課題解決ハンドブック】 【JFCC のオープンラボ】 位置分解EELSによるその場形成 負極活物質の電子状態計測 R-1 技術の 全固体Liイオン電池の電極/電解質界面におけるLi分布と ポイント 遷移元素(Ti) 、酸素(O)の電子状態変化を同時計測する 基礎 研究 背景 全固体Liイオン電池の実用化には、電極/電解質界面におけるイオンの 移動抵抗を下げる必要がある。しかし、界面近傍のイオン分布や他の元素 への影響など、反応に関するメカニズムは不明であった 目的 低い界面抵抗を示す「その場形成負極/固体電解質」界面近傍のLi分布と 遷移元素(Ti) 、酸素(O)の電子状態分布を位置分解EELSを用いて同時に 計測し、低い界面抵抗を示す界面の反応メカニズムを探る 成果 (1) 挿入されたLiイオンの濃度により遷移元素Tiと酸素Oの電子状態が 変化することがわかった(Oも電荷補償に寄与する ) (2) Liイオンの挿入によって、O-O間の平均距離がピコメートルスケール で拡がっている分布が観察できた Liイオンの挿入に伴う電池反応メカニズムを解明した (a) (b) FE gun (c) Pt (d) Li (e) Ti L-edge K-edge A その場 形成負極 (f) C D G I E F K O K-edge 低 強度 高 H J sample 固体電解質 (LASGTP) B 500 nm 60 70 450 (g) Au 2D CCD camera energy loss electron zero loss electron (h) O-O 間の平均距離 [nm] rectangular slit for selecting region magnetic prism 460 470 “β” “α” 530 540 550 560 L 570 電子エネルギーロス [eV] 正極 (LiCoO2) 固体電解質 その場形成負極 Li 濃度(相対値) lenses Li+ 10 Ti3+ Ti4+ Ti4+ 5 0 A 0.32 B 充電 0.31 0.30 Li+ 放電 0.29 0.28 0.27 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 Pt集電体/その場形成負極界面からの距離[nm] 図(a)位置分解EELSの実験セットアップ、(b)全固体電池の模式図、(c)その場形成負極/固体電解質界面近傍のTEM像、 (d)Li、(e)Ti、(f) Oの位置分解EELS像、(g)界面近傍のLi分布とTiの価数分布、(h)O-O間の平均距離分布 期待される 適用分野 参考文献 ① 高性能 Liイオン二次電池の開発 ② 電気二重層キャパシタや燃料電池などの電気化学デバイスへの応用 K. Yamamoto et al., J. Power Sources 266 (2014) 414-421. 謝 辞: 本研究は、NEDOの「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」の一環として実施したものである 担当者: 山本和生、吉田竜視、佐藤岳志、平山司 /共同研究者: (日立ハイテク)松本弘昭、(名大)入山恭寿 位置分解EELSによる全固体Liイオン 電池のLiCoO2正極の反応解析 R-2 その場位置分解EELS計測により、全固体Liイオン電池 のLiCoO2電極内部の電池反応の解析を行う 技術の ポイント 基礎 研究 背景 全固体Liイオン電池ではイオンの界面抵抗が問題となるが、Liイオンの挿 入脱離による電極内部の反応は不明な点が多く、ナノスケールでのその場 反応解析が重要になっている 目的 TEM内で全固体Liイオン電池を充放電させながら、LiCoO2正極内部の位置 分解EELS計測を行い、充放電による電極内部の電池反応について明らか にする 成果 (1) TEM内で電池を充放電させながら、LiCoO2電極内部のその場位置 分解EELS計測に成功した (2) LiCoO2内の位置分解EELS像から、 充放電時のLiイオン挿入脱離 反応に伴うCoの価数変化が確認された。(L3/L2比により評価) LiCoO2正極材料の電気化学反応の理解 ・手法:位置分解TEM-EELS法 ・評価: Co-L端のEELSスペクトル (L3/L2比からCoの平均価数変化を評価) 785 790 795 800 固体電解質 (LASGTPO) その場形成 負極 白金 高 LiCoO2 LASGTPO 低 L3 L2 図2. 正極のTEM像と 充電前のCo-L端の位置分解TEM-EELS像 図1. 全固体型Liイ オン電池の模式図 期待される 適用分野 参考文献 参考文献 /特許 /特許 Co-L端のL3/L2比 805 1.9 LiCoO2内の位置 電子エネルギーロス (eV) 200nm 正極 (LiCoO2) 780 位置 0.8 mm 90 mm ボルタメータ 金 1.8 1.7 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Co3+多い (Li多い) Co4+多い (Li少ない) 図3. 充放 充電前 電前後のCo 充電後 放電後 のL3/L2比 ① 高安全性Liイオン蓄電池の開発 ② 高信頼性電池材料の開発 ③ 新規電極材料の開発 K. Yamamoto et al., J. Power Sources 266 (2014) 414-421. 謝 辞: 本研究は、NEDOの「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」の一環として実施したものである 担当者: 下山田篤史/共同研究者: (JFCC)山本和生、吉田竜視、平山司、(名大)入山恭寿 リチウムイオン伝導体の 低温短時間合成 R-3 技術の ポイント 反応メカニズムの解明により、合成時間を大幅に短縮し、 基礎 リチウムが揮散しない低温・短時間プロセスを開発した 研究 背景 LLZ(Li7La3Zr2O12)は、優れたリチウムイオン伝導性酸化物。従来の合成プ ロセスでは、粉体の合成に数日を要しており、生産性に問題があった。また、 高温長時間プロセスのため、リチウム蒸発による組成ずれの問題もあった 目的 LLZの生成メカニズムを解明し、合成プロセスの短縮・低温化を検討する (1) La2Zr2O7を中間生成物とするLLZの生成ルートを発見 成果 (2) La2Zr2O7を原料として用いることにより、加熱時間1時間(従来比 1/10以下)でLLZの単一相粉末を合成。リチウムが揮散しないこと を化学分析で確認 開発プロセス 従来法 Li2CO3 La2O3 900℃ 1100℃ ZrO2 12h 24h LLZ Li2CO3 La2O3 800℃ La2Zr2O7 1h LLZ 繰り返し 組成分析の結果 仕込み 生成物 Li 7 7.01 La 3 3.00 Zr 2 2(基準) 生成物: 粒径2-3 µmの 多角形粒子 Liの揮散なし 期待される 適用分野 参考文献 参考文献 /特許 /特許 ① リチウムイオン二次電池用 固体電解質 ② リチウム-空気電池用 負極保護材料 特願2013-049617. 謝 辞: 本研究は、NEDO「RISINGプロジェクト」の一環として実施したものである 担当者: 木村禎一、松田哲志、野村浩、平山司 技術の ポイント リチウムイオン二次電池用正極膜 のナノ構造解析 R-4 HAADF-STEM、ABF-STEM法により、エピタキシャル正 極膜と基板界面の結晶構造を原子レベルで解析した 基礎 研究 背景 Liイオン二次電池の全固体化に向けて、高効率なLiイオン電池反応を進め るためには、電池材料の積層化、Liイオンの移動に伴う正極材料の界面や 粒界等、ナノレベルでの構造制御が必要 目的 化学溶液法を用いてAu上に製膜したLiMn2O4正極膜の微細構造、基板と の界面構造に着目して解析する 成果 (1) Au/Al2O3 基板上にLiMn2O4エピタキシャル膜の製膜に成功 (2) 結晶成長初期の界面直上約10nmのLiMn2O4膜は、立方晶から正 方晶に歪むことで基板と構造緩和し、その後、立方晶LiMn2O4膜が 安定に形成できることを解明 ・手法: CSD法によりAu(111) / Al2O3(0001) 基板上にLiMn2O4膜を作製し、断面観察試料を FIB法で作製し、高分解能透過電子顕微鏡観察を行った (a) (c) (b) (b) (d) 図1. LiMn2O4膜/Au断面の(a)微構造 (b)電子線回折、界面の(c)HAADF像、 (d)LAADF像 期待される 適用分野 (a) 図2. LiMn2O4膜/Au界面の(a) HAADF像、 (b)ABF像 ①高効率Liイオン電池の開発 ②高エネルギー蓄電材料の開発 謝 辞: 本研究は、トヨタ自動車からの委託研究として実施したものである 担当者: 高翔、幾原裕美、吉田竜視、クレイグ· フィッシャー、桑原彰秀、森分博紀、幾原雄一/ 共同研究者: (トヨタ自動車) 小浜恵一 技術の ポイント 固体電解質LLTO中 90°ドメインのLi伝導への影響 R-5 理論計算により、固体電解質LLTOのLi伝導が 90°ドメインにより支配されていることを明らかにした 基礎 研究 背景 (La,Li)TiO3(LLTO)はLiイオン伝導度の高い酸化物系固体電解質であり, 全固体Liイオン二次電池の固体電解質として盛んに研究されている 目的 LLTOのLi伝導を支配している要因を第一原理計算と原子分解能Cs補正 STEM微細構造解析の連携により明らかにする 成果 (1) LLTO結晶粒中には90°ドメイン構造が大量に存在する (2) ドメインのないLLTO中ではLi伝導エネルギー障壁は非常に低い (3) 実材料LLTO中のLi伝導は90°ドメインが律速している可能性を示唆 LLTOのLi伝導支配要因を、世界で初めて明らかにした ・手法:HAADF-STEM法,第一原理PAW法 図1. LLTO中の90°ドメインの 原子分解能HAADF-STEM像 期待される 適用分野 図2. 90°ドメインでのLi伝導ポテンシャル a)La空孔がない場合,b)La空孔がある場合 ① 自動車用Liイオン二次電池の開発 ② 全固体Liイオン二次電池の開発 文献: Gao et al., J. Mater. Chem. A , 2 (2014), 843-852. 謝 辞: 本研究は、トヨタ自動車との共同研究として実施したものである 担 当 者: 森分博紀、高翔、桑原彰秀、幾原裕美、木村禎一、CAJ Fisher / 共同研究者:(東大)幾原雄一、(トヨタ自動車)小浜恵一、當寺ヶ盛 健志 LED用サファイア基板精密研磨 のための電界CMP用複合砥粒開発 R-6 サファイア研磨特性に優れ、外部印加電界応答性に 優れた材料の複合化砥粒を開発した 技術の ポイント 基礎 研究 背景 LED用サファイア基板は、高品位な窒化ガリウム(GaN)をエピタキシャル 成長させるため、原子レベルの平坦性が求められている。化学的に安定で、 かつ、硬脆材料であるサファイアの精密研磨には長時間を有しているのが 現状である 目的 化学機械研磨(CMP)中に電界を印加する新しい精密研磨技術(電界 CMP)に特化したサファイア研磨用砥粒の開発 成果 (1) 球状のSrTiO3粒子を噴霧熱分解法で合成 (2) ゾルゲル法によって球状SrTiO3粒子にSiO2を被覆し、市販コロイダ ルシリカスラリーと比較して高い研磨性能と高い外部印加電界応 答性を両立 サファイアの電界CMPに特化した複合砥粒を開発 ・手法: 噴霧熱分解法とゾルゲル法を用いた複合砥粒合成 ・評価: 2inchΦのサファイア基板を用いたCMP CMP中に外部交流電界を印可し、電界印加効果を評価 図1. SrTiO3砥粒とSiO2砥粒および複合砥 粒によるサファイア研磨速度 期待される 適用分野 参考文献 参考文献 /特許 /特許 図2. 開発砥粒および市販砥粒を用いた サファイア研磨速度に及ぼす外部電界 印加効果 ① サファイア基板のCMP ② 複合化砥粒とCMPへの外場利用による硬脆材料の精密研磨 特願2014-54845 「研磨材および研磨方法」 謝 辞: 本研究は、経済産業省 東北経済産業局の委託事業「平成23~25年度戦略的基盤技術高度化支援 事業(グリーンイノベーションを加速するLED向けサファイア基板の革新的高効率加工システムの開 発)」の一環として実施したものである 担当者: 川原浩一、鈴木俊正 電子ビームPVDによる複雑形状部材 への膜被覆性の均一化 R-7 タービン動翼・静翼などの、凹凸が混在する複雑形状 部材の膜厚分布を均一化させる 応用 研究 技術の ポイント 背景 航空機エンジン用遮熱コーティングを実用化するためには、動翼・静翼など の複雑形状部材に均一な膜厚でコーティングする技術が不可欠である 目的 電子ビームPVDによるセラミックス膜堆積において、蒸着源/基材間距離、 回転軸に対する基材の配置などが、膜厚分布・膜構造に与える影響を明ら かにして、複雑形状部材における膜被覆性の均一化に関する指針を得る 成果 (1) 電子ビームPVDによる膜厚分布は余弦則に従い、蒸着源直上から の距離の関数で膜厚を予測可能である (2) 回転軸に対する基材の配置方向によって、同じ部材を用いても膜 厚分布が大きく異なる ・試料: 電子ビームPVD法により堆積したイットリア安定化ジルコニア膜 ・評価: 走査電子顕微鏡による膜厚・膜構造観察 1.1 1.0 cosθ cos2θ cos3θ d/d0 0.9 実測値 0.8 Δ 0.7 d0 d q 蒸気 電子ビーム cos4θ 0.6 0.5 1mm 0.4 0 50 100 蒸着源 d0:蒸着源直上での膜厚 d: 蒸着源直上からの距離Δにおける膜厚 150 Δ (mm) 図1. 蒸着源直上からの距離が膜厚に及ぼす影響 1.1 1.1 配置① 1.0 0.9 0.8 r=0.5mm 0.7 0.5 0.8 0.6 0 3 6 x (mm) 9 0.5 鋭角凸基材の形状 r=3mm 0.7 0.6 r r=8mm 0.9 r=3mm d d 1.0 r=8mm x 配置② r=0.5mm 0 3 6 x (mm) 9 配置① 凸曲面が回転方向 d:x=0での膜厚で規格化した膜厚 図2. 鋭角凸形状基材における膜厚分布 期待される 適用分野 担当者: 山口哲央 配置② 凸曲面が回転軸方向 ① 航空機エンジン・発電用ガスタービン用遮熱コーティング ② 自動車エンジン等内燃機関用遮熱コーティング 太陽熱レシーバ評価のための 人工光源シミュレータ開発 R-8 集光した太陽光を熱変換するレシーバ(集熱管)の変換 実用化 効率を、定量測定するシミュレータ・評価法の開発 研究 技術の ポイント 背景 太陽光を集光して得られる高温熱源による太陽熱発電システムなどにて、 光を熱に変換する基幹部材「レシーバ」の効率評価法が確立されていない 目的 人工光源による光照度(入力エネルギー)および集熱量(出力エネルギー) を定量測定できるシステムを構築し、レシーバの集熱効率を評価 成果 (1) 太陽光を熱に変換する太陽光吸収膜のモデル構造を形成 (2) レシーバ(4000mm×70mmf)に疑似太陽光を線集光させる人工光源、 レシーバ管内に熱媒体を循環させる集熱量測定機構からなる「太 陽熱シミュレータ」を構築し、効率導出の基本動作を実証 SiO2 太陽光 吸収層 低濃度 Cermet 高濃度 Cermet E. Lüpfert et al., J. Solar Energy Eng., (2008) 人工光源により 安定性・再現性 測定精度を向上 赤外輻射 抑制層 Mo quartz 図1. 太陽光吸収膜の構造例 線集光レンズ系 ( Xeランプ:5kW×20灯) 中心角 (o) 温度上昇DTより集熱量を測定 熱媒体 循環 水 or オイル 光照度積分値 = 入力エネルギー 90 45 0 -45 -90 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 長さ方向 (mm) 図2. レシーバの外観と光照度分布 期待される 適用分野 参考文献 /特許 20℃ ~300℃ kw/m2 0.0 10 20 30 38 70mmf 集熱効率 = 熱媒体の集熱量 照射光エネルギー 図3. 太陽熱シミュレータの外観 太陽熱(発電・産業熱利用)のレシーバ性能評価 ⇒ レシーバ開発支援・プラントシステム設計支援 ⇒ 再生可能エネルギーの普及促進に貢献 特願2014-057518 「太陽熱レシーバの集熱効率測定用の擬似太陽光照射装置と その光照射強度分布測定装置、及びこれらを利用した集熱効率測定方法」 謝 辞: 本研究は、「新エネルギー等共通基盤整備促進事業(経済産業省からの委託事業)」の一部として 実施したものである 担当者: 奥原芳樹、黒山友宏、伊岐見大輔、横江大作、加藤丈晴 / 共同研究者: (豊田自動織機)則武和人 高い水酸化アパタイト形成能を 有する生体用チタンの開発 チタンを酸窒化処理した際に、表面に形成する窒素 固溶ルチル層が、高い水酸化アパタイト形成能を発現 技術の ポイント R-9 基礎 研究 背 景 チタンの酸窒化処理により形成されるスケールは、優れた水酸化アパタイト (HAp)形成能を有するが、その微細構造は不明のままである 目的 スケール断面の微細構造解析を基に、優れたHAp形成能の発現機構を 解明する 成果 (1) スケール層は表面近傍にNが固溶したルチル層、基板側にTiN層から なる積層構造体であり、全体の厚さは100-200 nm (2) 固溶Nの存在位置は、酸素置換型ではない(光触媒機能無し) →電気的中性条件を満たすために酸素空孔が形成。 (3) ルチル層表面に酸素空孔が濃化し、その結果として、表面が正に大き く帯電。→擬似体液中でリン酸イオン(負)が優先的に吸着し、引き続 いてCaイオン(正)が引き寄せられHAp核形成が促進したものと推察 図1. HAp被覆率(a)と擬似体液浸漬時間(t) の関係 期待される 適用分野 参考文献 図2. 酸窒化スケール断面のTEM像とN固溶 ルチル層中のN-殻吸収端ELNESスペク トル(実験、計算) 高生体活性を有するチタン合金部材(人工股関節・椎体等) M. Hashimoto, K. Hayashi and S. Kitaoka, Mat. Sci. Eng. C., 33, 4155-4159 (2013). 謝 辞: 本研究は、JSPS科研費25106008の助成を受けたものである 担当者: 橋本雅美、北岡諭 /共同研究者: (名大)武藤俊介、巽一厳 技術の ポイント 過熱水蒸気を利用した セラミックス成形体の高速脱脂 R-10 過熱水蒸気を利用することにより、脱脂処理時間を 大幅に低減 実用化 研究 背 景 従来のセラミックス成形体の脱脂においては、成形助剤(有機物)の急激な熱 分解・酸化(熱暴走)とそれに伴う熱衝撃等による成形体の割れを防止するた め、非常に緩やかに昇温する必要があり、極めて長時間の処理を要する 目 的 セラミックス製造における生産効率の飛躍的向上と工場(連続炉)のダウン サイジンク化の一環として、過熱水蒸気脱脂により、成形体のき裂の発生を 抑制しつつ、成形助剤成分を高速・短時間で除去する技術を開発する アルミナモデル成形体(Φ120×H120mm)を用いて、過熱水蒸気脱脂を 検討した結果、従来の大気脱脂に比べて、脱脂処理時間(脱脂処理温 度における保持終了まで)を1/10以下に低減可能であることを確認した 成果 アシスト ヒータ 処理室 処理容積 250×250×250mm 脱臭 装置 MAX.800 ºC サンプル 市水 溶存酸素 濃度調整 用ガス イオン 交換水 生成器 誘導コイル 800 ºC Al2O3モデル成形体 ・Φ120×H120mm ・CIP成形:100MPa ・成形助剤:3wt%(PVA系) 排出 (ガス) 脱脂雰囲気 過熱水蒸気生成装置 (700℃×1hの 保持終了まで) 排出 (水) 処理時間 過熱水蒸気 17h 脱脂処理温度 ・700℃×1h 焼結温度 ・1540℃×2h 大気(比較) 137h (200hでき裂無し) La1-xSrxMnO3+dヒータ 高周波 電源 焼結体 の外観 溶存酸素計 100 ºC ボイラ Al2TiO5管 N2,O2,CO2,Ar等 図1. バッチ式高温クリーン過熱水蒸気処理 装置の概念図 期待される 適用分野 参考文献 /特許 き裂なし き裂有り 図2. アルミナモデル成形体の脱脂処理- 焼結後の外観 ① 各種セラミックス成形体の高速脱脂 ② 金属を含む成形体の高速脱脂 (酸素分圧を制御することで、金属の酸化を抑制し有機物を除去) [1] 北岡諭,田中誠,セラミックス,46 (2),138-140 (2011). [2] 特開2012-148941 謝 辞: 本研究は、経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」の一環として実施したものである 担当者: 和田匡史、河合和彦、林一美、北岡諭 / 共同研究者 : (大同)永井敬大、 (高砂工業)鈴木基晴、中村寿樹、 (マルワイ矢野製陶所)矢野仁、高嶋伸悦 技術の ポイント 第一原理計算によるウルツァイト 型結晶構造の強誘電性解析 R-11 原子レベルでの理論計算により、ウルツァイト型結晶構 造の強誘電性の可能性について検討する 基礎 研究 背景 ウルツァイト型結晶構造は強い共有結合による四面体配位の為、強誘電体 ではないと考えられていた。しかしながら強誘電的なふるまいが観測された という実験報告がある[1] 目的 ウルツァイト構造単純カルコゲナイドの第一原理計算を行い、それらが 分極反転可能な物質群であるかどうかを検討する 成果 (1) ウルツァイト構造は非分極(P63/mmc)を中心として二つの分極構 造(P63mc)を安定構造としたダブルミニマムポテンシャルを有して いる (2) ZnOではポテンシャル障壁がPbTiO3に匹敵するほど低く[2]、分極 反転が起きやすいことが示唆された ウルツァイト型結晶における強誘電性の可能性を示唆 ・手法:密度汎関数理論に基づく擬ポテンシャル法(VASPコード、PAW法) ・評価:ΔE=(カチオンの変位位置における形成エネルギー)-(安定構造での形成エネルギー) ΔEMAXは分極反転の起こりやすさ(ポテンシャル障壁) 図1. ウルツァイト型結晶の結晶構造(P63mc)と 中心対称性構造(P63/mmc) 期待される 適用分野 参考文献 参考文献 /特許 /特許 図2. カチオン変位に対するΔE 新規非鉛強誘電材料の開発 [1] S. Sawada, et al. : J. Phys. Soc. Jpn. 35 (1973) 946. [2] R. E. Cohen : Nature 358 (1992) 136. [3] H. Moriwake, A. Konishi, T. Ogawa, K. Fujimura, C. Fisher, A. Kuwabara, T. Shimizu, S. Yasui, M. Ito : Appl. Phys. Lett. (accepted). 謝 辞: 本研究は、JSPS科研費25106008及び24560833の一環として実施したものである 担当者: 森分博紀、小西綾子/共同研究者: (東工大)清水荘雄、安井伸太郎、伊藤満 技術の ポイント アルミナ中の粒界拡散に関する 理論解析 R-12 原子レベルの理論計算により、 アルミナ粒界における 原子拡散のメカニズムを検討する 基礎 研究 背景 多結晶アルミナは優れた酸素遮蔽性を有することから、様々な非酸化物系 耐熱材料の酸化保護膜として使用される。この酸素遮蔽性は粒界を介した 原子移動により支配されるが、その機構は未だ明らかでない 目的 酸素透過実験により、アルミナ粒界において拡散する原子種が酸素分圧に よって変化することが示されている。粒界における原子空孔の生成しやすさ について検討することで、その理論的機構を明らかにする 成果 (1) アルミナ粒界において、エネルギーバンドギャップは60%程度まで小 さくなる (2) 粒界において、低酸素分圧側で酸素空孔がエネルギー的に低くな る領域が現れる アルミナ粒界における拡散原子種の変化について原子レベルの理解 S13G(O) S31 バルク結晶: バンドギャップ=9.1 eV VO2+ VAl3酸素分圧 [Pa] 粒界(S31): バンドギャップ= 5.5 eV 空孔形成エネルギー[eV] S13G(Al) 空孔形成エネルギー [eV] バンドギャップ (バルクに対する相対値) ・手法:第一原理計算(VASPコード) ・評価: 原子空孔形成エネルギー、エネルギーバンドギャップ、粒界エネルギー VO2+ VAl3酸素分圧 [Pa] 粒界エネルギー [eV] 図1. 粒界構造とバンドギャップの関係 期待される 適用分野 参考文献 図2. 空孔形成エネルギーの酸素分圧依存性 ① 優れた耐酸化膜の開発 ② 高信頼性遮熱コーティング部材の開発 T. Ogawa, A. Kuwabara, C. A. J. Fisher, H. Moriwake, K. Matsunaga, K. Tsuruta, and S. Kitaoka, Acta Mater. 69, 365-371 (2014). 謝 辞: 本研究は、 JST-ALCA(先端的低炭素化技術開発事業)の一部として実施したものである 担当者: 小川貴史、北岡諭 第一原理計算による単鎖イノ ケイ酸塩Bi2SiO5の強誘電性の解析 R-13 第一原理計算により強誘電体Bi2SiO5の構造相転移の メカニズムを明らかにし、電子構造を解析する 技術の ポイント 基礎 研究 背景 従来の強誘電体セラミックスはペロブスカイト型構造中の酸素八面体の 変位に伴う構造相転移により自発分極を発生する。さらなる高機能化の ためには新しい相転移機構を有する材料を探索する必要がある 目的 第一原理格子動力学計算を用いて新規強誘電体である単鎖イノケイ酸塩 Bi2SiO5のフォノン状態を解析することで構造相転移機構を明らかにする 成果 (1) Bi2SiO5は常誘電体である高温相(空間群:Cmcm)においてブリル アンゾーン内に複数のソフトモードを有する。ゾーン中心の振動 モードと剪断変形により室温相に(空間群:Cc)相転移する (2) Cmcm相からCc相への構造相転移は(Si2O6)4-鎖の屈曲による 振動モードのソフト化により発生する 従来のペロブスカイト系強誘電体酸化物と異なる分極モード ・手法: 第一原理PAW法(VASPコード)、Phonopyコードによる格子動力学計算 ・評価: ブリルアンゾーンにおけるフォノン分散、全エネルギー計算 Bi3+ O2- [Bi4O4]3+ [Si2O6]4- 図1. 高温相Bi2SiO5(空間群Cmcm)の結晶構造 Cmcm 35 Frequency / THz Si4+ Cc 30 25 20 15 10 5 0 -5i Z T Y Γ Z R Wave vector S Γ M V Γ A L Wave vector V 図2. 高温相(Cmcm)と室温相(Cc)の ブリルアンゾーン内のフォノン分散曲線 期待される 適用分野 酸素八面体配位以外の結晶構造を有する新規な強誘電体の開発 参考文献 H. Taniguchi, A. Kuwabara, J. Kim, Y. Kim, H. Moriwake, S. Kim, T. Hoshiyama, T. Koyama, S. Mori, M. Takata, H. Hosono, Y. Inaguma, M. Itoh, Angew. Chem. Int. Ed., 52 (2013) 8088. 担当者: 桑原彰秀、森分博紀/共同研究者: (名大)谷口博基、(東工大)伊藤満 Z 第一原理計算による LiCoO2ポリタイプの構造と特性 R-14 Li 二次電池用正極材料 LiCoO2 における多形体の安定 性・正極電位の積層順序に対する依存性を検討する 技術の ポイント 基礎 研究 背景 正極材料として使用されるLiCoO2は立方最密充填(ccp)系の多形体である が、近年、他のポルタイプ(O2, O4)の合成・特性評価も報告されている 目的 LiCoO2の八面体Li系ポリタイプを中心として、積層構造と電池用正極材料 関連の特性について、理論計算を用いて系統的に検討する 成果 (1) O1ポリタイプはhcp積層構造であり、最も低電位の多形体である (2) O2ポリタイプはccp構造とhcp構造のミックスであり、特性がO3とO1の 中間である。ポリタイプの単位セルはO3より大きくなる。最も安定な 積層構造の電位と密度はO3の特性に近くなる。 O3ポリタイプが最も安定性、密度、電位が高い多形体である ・手法: 経験的原子間ポテンシャル法(GULPコード)と密度汎関数理論(DFT; VASPコード) ・評価: ΔEform=(ポリタイプのエネルギー)-(最も安定なポリタイプO3のエネルギー) 電位: V=[(LiCoO2のエネルギー)-(CoO2のエネルギー+Liのエネルギー)]/ファラデー定数 O1 O4 O3 a = 2.801 Å c = 4.882 Å O2 a = 2.833 Å c = 14.180 Å a = 2.822 Å c = 9.611 Å Li+ Co3+ O2- a = 2.830 Å c = 19.117 Å 図1. On-LiCoO2(n= 1~4)ポリタイプの単位セル (最も安定な積層構造の場合). 期待される 適用分野 参考文献 図2. On-LiCoO2(n=1~7)の相対エネルギー ΔEformと電位Vのポリタイプ依存性. ① リチウムイオン二次電池用正極材料の最適化 ② 高信頼性リチウムイオンキャパシター材料の開発 ③ 高エネルギー蓄電材料素子の開発 M. S. Islam and C. A. J. Fisher, Chem. Soc. Rev., 43 (2014) 185. C. A. J. Fisher, et al., Phys. Status Solidi RRL, 8 (2014) 545. 担当者: クレイグ・フィッシャー、桑原彰秀、森分博紀 /共同研究者:(東大・JFCC)幾原雄一 第一原理計算による 水素吸蔵Ti-V合金の固溶状態解析 技術の ポイント 原子レベルの理論計算により、 Ti1-xVxH2合金の 固溶状態について解析する R-15 基礎 研究 背景 Ti-V合金は燃料電池自動車用水素吸蔵合金の有力な候補である。しかし、 各元素の結晶サイトの占有状態に関するデータが少なく、正確な固溶状態 は分かっていなかった 目的 Ti-V二元合金の水素化物の固溶状態について理論計算を行い、規則構造 の有無を検討する 成果 Ti1-xVxH2を対象に、9組成で不規則(ランダム)構造と代表的な規則構造 の生成エネルギーを比較した 結果、Ti:Vの比率が1:1の場合に、低温で規則構造が出現する可能性が あると分かった。但し、規則構造と不規則構造のエネルギー差は 20meV程度であり、高温の合金合成条件下では不規則固溶状態に あると考えられる ΔE (eV/f.u.) ・手法: PAW法による第一原理バンド計算(VASPコード) ・評価: 生成エネルギー(近似) ΔE=(合金の電子エネルギー) -(1-x)(TiH2の電子エネルギー)-x(VH2の電子エネルギー) 規則構造 不規則構造 Ti V H Vの割合x 図1. Ti1-xVxH2の生成エネルギー 期待される 適用分野 図2. x=0.5 規則構造と不規則構造例 ① Ti-Vベースの多元水素吸蔵合金の開発 ② 燃料電池自動車用水素吸蔵タンクの開発 謝 辞: 本研究は、NEDOの「水素利用技術研究開発事業」の一環として実施したものである 担当者: 大谷紀子、桑原彰秀、小川貴史、齋藤智浩、佐々木優吉 貴金属ナノ触媒による 炭素材料酸化過程のその場観察 技術の ポイント R-16 環境電子顕微鏡を用いガス環境下での反応過程を ナノスケールで直接観察する 基礎 研究 背景 白金ナノ粒子を担持した炭素材料は燃料電池の電極触媒などとして利用 されている。それらにおける貴金属使用量の削減には担持法の改良や 長寿命化がもとめられている 目的 加熱酸化雰囲気下で貴金属触媒ナノ粒子の凝集メカニズムおよび担持 炭素材料の酸化機構をその場観察により明らかにする 成果 (1) 酸素導入時においてナノ金属粒子の凝集が大きく進行する (2) 貴金属粒子は炭素材料表面を大きく移動しながら酸化浸蝕する 貴金属触媒の酸化雰囲気下における劣化挙動のその場観察に成功 ・試料: 貴金属ナノコロイド水溶液と炭素材料(SWCNT, MWCNT, CB)との物理的混合 ・評価: 環境電子顕微鏡によるその場観察(日立ハイテクH9500) 試料温度:~350℃、酸素分圧:~2Pa 10 nm i 10 nm 10 nm 10 nm 40sec 図1. 環境電子顕微鏡試料室 (差動排気システム) 期待される 適用分野 20sec 0 sec(O2導入直後) 60sec 図2. 多層カーボンナノチューブに担持した 白金ナノ粒子の触媒酸化挙動 ① 燃料電池触媒電極の構造最適化 ② CSFの触媒酸化反応に関する基礎的知見の構築 謝 辞: 本研究は、名古屋大学超高圧電子顕微鏡施設との共同研究として実施したものである 担当者: 吉田要、佐々木優吉/共同研究者: (名古屋大)荒井重勇、田中信夫 技術の ポイント 収差補正モノクロメータSTEMによる 高エネルギー分解能EELS測定 R-17 収差補正とモノクロメータを装備したSTEMにより、原子 レベルの空間分解能と高エネルギー分解能EELS測定 基礎 研究 背景 収差補正装置による高分解能観察と、モノクロメータによる高エネルギー 分解能を両立し、局所領域の元素分析・状態分析を可能とする 目的 軽元素(Li、H等)の高精度元素分析、および状態分析を原子レベルで 可能とする。また、半導体のバンドギャップ等の測定も可能とする 成果 (1) モノクロメータによる高エネルギー分解能EELS(ΔE=36meV)を達成 (2) Fe添加Al2O3粒界でのバンドギャップ変化を測定 軽元素分析および状態分析の原子レベルの解析 ・手法:収差補正STEM、EELS、モノクロメータ ・評価:高エネルギー分解能EELSによる軽元素分析、バンドギャップ、状態分析 図1. 収差補正モノクロメータ STEM:JEM-2400FCS 期待される 適用分野 参考文献 図2. ゼロロスのEELS 図3. Fe添加Al2O3粒界と 粒内のEELS ① Li電池材料の構造・劣化解析 ② 半導体・絶縁材料のバンドギャップ測定 ③ 局所領域の状態分析(粒界・表面) M. Mukai, E. Okunishi, et.al, Microsc. Microanal, 19, 1126-1127(2013). 担当者: 齋藤智浩、平山司/共同研究者: (九大)佐藤幸生、(東大)幾原雄一 (日本電子)向井雅貴、奥西栄治 電子顕微鏡を用いたイットリウム系 R-18 長尺超電導線材の微細構造解析 EuBa2Cu3Oy超電導層内部の超電導電流阻害粒子の分 布をFIB-SEMデュアルビーム装置により3次元的に把握 技術の ポイント 背景 目的 基礎 研究 イットリウム系超電導線材では、超電導層の膜厚増加に伴い、臨界電流(Ic) が飽和することが知られているが、BaHfO3(BHO)ナノロッドが分散する EuBa2Cu3Oy (EuBCO)超電導層は、高磁場において、膜厚が増加しても 直線的にIcが増加する EuBCO超電導層内部の超電導阻害粒子の同定と、これら電流阻害粒子の 分布を3次元的に把握する 成果 (1) 3.6μm厚のEuBCO超電導層内部に形成された電流阻害粒子は、 マトリックスに対して方位が異なるEuBCO結晶、Ba-Cu-O、Cu-O、 BHO、Eu2O3粒子と同定 (2) FIB-SEMの3次元解析から超電導電流阻害粒子の体積割合は、 2vol%以下であることが判明 厚膜EuBa2Cu3Oy超電導層のIcが直線的に増加する要因の一つを解明 図1. BHOナノロッド分散EuBCO層の断面TEM像 図2. FIB-SEMによるEuBCO層の3次元構築結果 :電流を阻害するEuBCO結晶 :Cu-OとBa-Cu-O :BHOとEu2O3 期待される 適用分野 参考文献 ① 磁場中で高Icを有する 高性能超電導線材の開発 ② 高性能超電導線材を用いた超電導機器開発 T. Kato et al., ISS2013 WT-21 invited, D. Yokoe et al., ISS2013 WTP-23. 謝 辞: 本研究は、経済産業省の「高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクト」の一環として実施したものである 担当者: 加藤丈晴、横江大作、吉田竜視、平山司/ 共同研究者: (国際超電導産業技術研究センター)吉田朋、衣斐顕、吉積正晃、和泉輝郎、塩原融 ゼオライト水分離膜の構造解析 技術の 微細結晶粒子層からなるゼオライト膜が、 ポイント 高い過飽和状態を経た後に形成した 背 景 目 的 成 果 R-19 基礎 研究 石油化学工業における最も重要な分離プロセスの一つとして、水/酢 酸分離がある。ゼオライト膜による分離は、蒸留に代わる大幅な省エ ネルギー効果が期待される新しい分離技術であり、膜の開発が国家プ ロジェクトを経て、実用化の研究が進められている 優れた水/酢酸分離特性を有するゼオライト(MOR型)膜の微細構造 を透過電子顕微鏡(TEM)を用いて解析し、特性発現の要因を解明する とともに膜の形成機構を解明する 種結晶を塗布した後、希薄溶液中でゼオライト膜を作製 ⇒水以外が透過しない緻密な膜が合成された ⇒微結晶が集積した非配向層が形成されていた ⇒膜厚の時間変化がS字曲線 ⇒過飽和反応溶液からの急激な多核形成が原因と推定した ・手法:イオン研磨法による超薄片試料作製、Low-Dose法による透過電子顕微鏡観察 結晶粒子 図1.a)ゼオライト膜の断面形状(TEM写真) b)ゼオライト膜の厚さの計測(SEM写真) 期待される 適用分野 謝 辞: 担当者: 図2. 合成時間とゼオライト膜の厚さの 関係 ・水と化学薬品(アルコール、酢酸など)の混合物の脱水精製 本研究の一部は、NEDOの「規則性ナノ多孔体精密分離膜部材基盤技術の開発」 プロジェクトの一環として実施したものである 佐々木優吉、関川みゆき、吉田要/共同研究者:(早大)松方正彦 技術の ポイント ゼオライト内吸着カチオンの 精密構造解析 R-20 ゼオライト内の有効なイオン交換・吸着サイトについて 電子顕微鏡法と計算科学手法により評価・解析する 応用 研究 背景 ゼオライトは放出される放射性物質の有効な吸着材などとして利用されて いる。しかしその吸着機構は複雑で未解明な部分も多く存在するため、 より深いメカニズムの知見が求められている 目的 NaA型ゼオライトと非放射性セシウム水溶液を用いたモデル系において イオン交換を行い、電子顕微鏡法と計算科学手法により有効なイオン交換 サイトについて解析を行う 成果 セシウムのイオン交換・吸着は3種類あるイオン交換サイトのうち 1種類でのみ起こる。Cs吸着のサイト選択性はゼオライト細孔と カチオン半径との一致が一因となる ・試料:NaAゼオライトを7.5 mM–CsCl (aq) 中で12H保持した後乾燥 ・観察手法:AC-HRTEM、AC-STEM ・計算:第一原理分子動力学(AIMD)法 Cs+ (Na2) Na+ (Na2) AC-STEM (HAADF) Na+ (Na1) Na+ (Na1) Na+ (Na2) Cs+ (Na2) Na+ (Na1) Na+ (Na1) NaA AC-HRTEM (NCSI) NaAゼオライト 図1. 電子顕微鏡像と対応するモデル構造 期待される 適用分野 参考文献 /特許 Cs + NaA Cs吸着NaAゼオライト 図2. 300K での8員環内 AIMDカチオン軌跡 (灰色ドット:Na+ or Cs+) ① Cs吸着材の高効率化 ② 新規ゼオライト触媒の材料設計 〔1〕 K. Yoshida et al.: Sci. Rep. 3, 2457 (2013). 〔2〕 K. Yoshida, et al. : AIP Advances 3, 042113 (2013). 担当者: 吉田要、佐々木優吉、幾原裕美/共同研究者: (名大)松永克志、豊浦和明、 (京大)倉田博基、(大阪府立大)中平敦 透過電子顕微鏡を用いた複合評価 によるSiC結晶欠陥の定量解析 SiC単結晶内に形成される様々な欠陥の抽出技術 およびその欠陥構造を精密に解析する技術を開発 技術の ポイント R-21 基礎 研究 背景 SiCは優れた性質(高耐圧・高速・低損失・高温動作)を有しており、Siに代わ る次世代パワーデバイスとして期待されている。しかし、SiC単結晶内には 種々の要因により結晶欠陥が形成されるため、デバイス特性が劣化する 目的 六方晶系のSiC単結晶内に形成される欠陥(転位や積層欠陥など)を正確に 抽出し、その欠陥構造を透過電子顕微鏡法により精密に解析することで、 特性を劣化させるキラー欠陥とその構造との相関を明らかにする 成果 (1) KOH+Na2O2エッチング法と集束イオンビーム(FIB)マイクロサンプリング法を連 携させて、所望の位置からの欠陥抽出を可能にした (2) SiC単結晶中の欠陥解析にウィークビーム暗視野法と大角度収束電子線回折 (LACBED)法を併用することにより、結晶欠陥の精密な構造解析を可能にした (c) (a) (a) (b) 図1. (a) 小型六角形ピットと貫通転位の 模式図. (b) SiC表面のエッチピット分布. (c) 貫通転位のウィークビーム暗視野像. 貫通転位の変位ベクトル(図2. (b)-(d)より導出) b=1/3[1210] ウィークビーム暗視野法とLACBED法の複合評 価により、分解した貫通転位の存在を実証. 期待される 適用分野 図2. (a) LACBED法の模式図. (b)-(d) 貫通転位 から得られたLACBEDパターン. SiC, GaN, Diamondなどの 次世代パワーデバイス用半導体材料の欠陥評価 参考文献 Y. Sugawara, Y. Yao, Y. Ishikawa et al., Mater. Sci. Forum, 778-780 (2014) 366. 謝 本研究は、トヨタ自動車からの委託研究として実施したものである 辞: 担 当 者: 菅原義弘、姚永昭、石川由加里/共同研究者: (トヨタ自動車)旦野克典、鈴木寛、 別所毅、(東大)幾原雄一 SiC結晶切断方法による ダメージ導入の評価 遊離砥粒ワイヤーソー切断と固定砥粒ワイヤーソー 切断で導入される結晶欠陥の特徴を評価・解析する 技術の ポイント 背景 R-22 基礎 研究 SiC結晶は、パワーデバイス用ウエハ材料として利用の拡大が始まっ ているが、硬くて脆いため加工に時間がかかり欠陥が生じやすい。 切断速度が大きく導入欠陥の浅い切断法の開発・選択を要する 目的 SiC結晶切断法選択の指針を得るために、遊離砥粒ワイヤーソー切断 と固定砥粒ワイヤーソー切断で導入される欠陥の特徴を明らかにし、 ダメージ導入メカニズムを推定する 成果 (1) 遊離砥粒切断では分散した三角形の加工変質領域が発生し、 MSPゴシック 14point 3行程度 その下に表面に垂直な転位のハーフループが伸びる (2) 固定砥粒切断では連続した加工変質層が発生し、その下に傾い た転位のハーフループが伸びる (3) 加工変質層の制御は固定砥粒切断が有利と推定 (b) Triangular damaged area ()(b) SF Half-loop bundle (U) (b) 1 m 図1 加工変質層の断面構造 a) 固定砥粒ワイヤーソー b) 遊離砥粒ワイヤーソー 期待される 適用分野 ①パワーデバイス用単結晶半導体の加工 ②高硬度・高脆性材料の加工 参考文献 Y. Ishikawa, et. al, Mater. .Sci. Forum,,778-780, 362 (2014). 謝辞: 本研究は、近畿経済産業局の「戦略的基盤技術高度化支援事業」として実施したものである 担 当 者: 石川由加里、姚 永昭,佐藤功二、菅原義弘/共同研究者:(アクト)岡本好弘、林 紀孝 技術の ポイント ネオジム磁石の高温における 磁区・磁壁構造観察 R-23 180℃近辺における外部磁場印加にともなう ネオジム磁石内の磁区構造変化の動的観察・解析 基礎 研究 背景 ネオジム磁石は電気自動車などの次世代自動車に用いられる永久磁石で ある。しかし、使用環境の温度の上昇と共に保磁力が減少してしまう。その ため、微細組織と磁区・磁壁構造との相関を動的観察することで、保磁力 発生あるいは保磁力低下に関する知見を得る必要がある 目的 ローレンツ顕微鏡法で微結晶磁石中の磁区構造を観察するとともに、高温 における磁区構造変化に関する知見を得る 成果 (1) 着磁した微結晶薄膜試料をTEM内で加熱することで、高温における 逆磁区発生を観察することが可能 (2) 着磁した微結晶薄膜試料に逆磁場を印加しながら加熱すると、 無磁場の条件と比較して低い温度域で逆磁区が発生 TEMサンプル磁場印加装置 外部磁場印加前後および熱消磁後の試料全体像 着磁後の微結晶サンプルの温度変化による磁区・磁壁構造観察 期待される 適用分野 ・耐熱性磁石の開発 ・自動車用モーターの評価 謝 辞: 本研究は未来開拓研究プロジェクト(次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発) の一環として実施したものである 担当者:鈴木俊正、川原浩一、田中春佳/共同研究者: (産総研)尾崎公洋 技術の ポイント パワーデバイス用SiC ウエハの低欠陥加工技術の開発 R-24 SiCウエハ表面の機械加工ダメージ層を、短時間 で容易に除去できる化学的加工技術の開発 基礎 研究 背景 SiC単結晶は高硬度を持つため、インゴットをウエハに機械加工する時に多 くの欠陥が加工表面から導入される。表面ダメージ層の除去は化学的エッ チング技術がなかったため、高価なCMP加工プロセスに頼らざるを得ない 目的 SiCウエハに欠陥を導入せず、機械加工による表面ダメージ層を容易に除 去できるエッチング技術の開発 成果 (1) SiCウエハの表面ダメージ層を除去できる高温溶融KCl+KOHエッチ ング法を開発 (2) KCl+KOHエッチングを行い、Si面から約9μm 、C面から約36μm の表面ダメージ層の除去に成功(世界初) (3) エッチング後の表面状態をAFMで評価し、機械研磨で生じた線状 研磨痕の除去を確認 ・エッチング条件: 1100 oC、1時間 ・評価: レーザー顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM) 図1. AFM像. (a) エッチング処理前; (b) KClエッチング後; (c) KCl+KOHエッチング後。上段=Si面;下段=C面 期待される 適用分野 参考文献 参考文献 /特許 /特許 表1. 機械研磨(MP)/化学機械研磨(CMP) と化学エッチング法の比較 ① SiCウエハ表面加工技術の開発 ② 半導体ウエハの平坦化技術の開発 ③ 大口径ウエハの高品質化 Y. Yao, et al., Mater. Sci. Forum, 778-780, 746-749 (2014). 特願2013-136195 •謝 辞: 本研究は、(独)科学技術振興機構研究成果最適展開支援プログラムの一環として実施したものである 担当者: 姚永昭、石川由加里、菅原義弘、佐藤功二 焼結シミュレーションソフトウェア SinterPro改良版の開発 R-25 焼結シミュレーションソフトウェアSinterProの改良を行い、 実用 研究 新機能を追加し既存機能を大幅に改良した 技術の ポイント 背景 JFCCで独自に開発し2005年度より販売している焼結シミュレーションソフ トSinterProに対して、ソフト購入企業や焼結シミュレーションフォーラム会員 等から改良の要望が多く上がっていた 目的 焼結シミュレーションソフトSinterPROに対して新たな機能開発や既存機能 の大幅改良を行い、バージョンアップ版として新たに販売する 成果 (1) ミクロ組織の焼結・粒成長シミュレーションができるMC版では、以下 に掲げた様々な新たな焼結現象をシミュレーションできるようになった (2) 焼結体形状変化やひずみ等のシミュレーション解析ができるMC-FEM 連携版では、計算速度の大幅な向上など以下に掲げる改良を行った ことで、実際の製品に近い複雑形状部品の焼結シミュレーションがで きるようになった →さらに多くの焼結プロセスについて、見える化と数値化が可能に →JFCC独自のシミュレーション技術が進化 バージョンアップ版の主な新機能や改良機能 ►MC版: 固溶化を伴う粒成長、再結晶を伴う粒成長、酸化・還元、ガス存在下の焼結、温度変化に よる入力条件テーブル化など ►MC-FEM連携版: 計算の高速化(数十万要素モデルまでの対応)、画像表示の機能強化と高速化、 底面着脱機能、変形抵抗入力のテーブル化など 相対密度 % 91.6065 Ti(C,N)とMoが固溶化しながら溶解・再析出により粒成長(リム部) リム: (Ti,Mo)(C,N) リム(黄+橙): (Ti,Mo)(C,N) コア:Ti(C,N) 緑(コア):Ti(C,N) 薄灰色:Co主体結合相 焼結体SEM像 青:Co主体結合相 91.6062 シミュレーション像 図1. MC版によるシミュレーション例 Mo添加炭窒化チタン基サーメットの固溶化を 伴う粒成長。 期待される 適用分野 ・自重により垂れが生じる ・自重変形により密度差が発生 図2. MC-FEM連携版によるシミュレーション例 スリット入り部品の焼結時における密度分布と 形状予測。 ① 焼結材料の研究・開発の高効率化→新規材料開発、組織の最適化など ② 焼結プロセスの問題解決→焼結体形状の寸法制御、組織不良の対処など 担当者: 野村浩、松原秀彰 La系ペロブスカイト酸化物 多孔質球状粒子の開発 技術の 電極材料などで必要とされる高度多孔質構造を達成 ポイント する多孔質球状粒子を合成するプロセスを開発した R-26 基礎 研究 背景 燃料電池用の電極材料などに用いられているLa系ペロブスカイト酸化 物は、ガスとの反応効率を上げるため多孔質構造とされており、更な る性能向上が求められている 目的 均一な多孔質構造を粒子レベルで達成する多孔質球状粒子の合成プロ セスを開発する 成果 (1) クエン酸法、炭化法と噴霧熱分解法を組み合わせることで焼 成後に粒子内に均一な孔を形成できる粒子を開発した (2) 粒子サイズは0.1~3μm、孔径約100nm程度、比表面積 6.8m2/gであった (3) 焼結体中で微細孔の存在を確認した ・手法:クエン酸法、炭化法、噴霧熱分解法 ヒーター 捕集機 Air La(NO3)3.6H2O, Sr(NO3)2 Mn(NO3)2.6H2O ←クエン酸 超音波発生器 図1 噴霧熱分解法装置概念図 . 図3 合成粒子の断面SEM写真(FIB-SEM) 期待される 適用分野 担当者: 図2 合成(La,Sr)MnO3粒子のSEM写真 図4 1200℃焼結体の孔径分布(水銀ポロシメータ) ・燃料電池用電極 ・環境対応素子への電極応用 高橋誠治、大川元、末廣智 技術の ポイント レーザー加熱法によるサーメットの 熱衝撃試験と解析 R-27 耐熱衝撃性が高いサーメット材料の熱衝撃特性に関す る評価手法を開発し、破壊メカニズムを解析した 応用 研究 背景 過酷な熱環境下で使用される切削工具などのサーメット材料は、局所的に 加熱冷却されるため、耐熱衝撃特性が重要となる。しかし、高い耐熱衝撃 特性を有する材料の評価手法は確立されていない 目的 急速加熱によるクラック発生を利用して、耐熱衝撃特性を評価できることを 提案し、本研究ではクラック発生メカニズムについて検討 成果 (1) AE信号を用いることで破壊を計測することを可能にした (2) サーメット材料の熱衝撃破壊挙動を明らかにした (3) レーザーを用いた急速加熱により、耐熱衝撃性の高いサーメット材料 の耐熱衝撃特性を比較することを可能にした ・モデル材料:サーメット (Ti,Mo)(C,N)-Ni ・実験条件:レーザー加熱 ・評価特性:AE信号、FEM ・熱流束一定試験法:セラミックスなど脆性材料では外周部の引張り応力で破壊 ・本試験方法:レーザー照射直下、冷却時にクラック発生 ・弾塑性体を仮定したFEM解析:クラック発生のメカニズムを解析 図2. 発生クラック サーメットB レーザー照射 サーメットA クラック発生までの時間 (照射条件により変化) AE信号 図1. 装置概念図 期待される 適用分野 担当者: 松田哲志 図3. クラック発生時のAE 図4. サーメットの耐熱衝撃特性比較 ① 工具材料(切削工具など)の熱衝撃損傷評価 ② 金属材料の耐ヒートクラック性の評価 高温酸素ポテンシャル勾配下におけ R-28 る輻射熱反射膜の最適構造設計 技術の 高温において輻射熱反射機能を発現する酸化保護膜の ポイント 酸素遮蔽性と構造安定性を共に向上させる手法を提案 基礎 研究 背景 SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料は軽量かつ耐熱性に優れることか ら、次世代航空機エンジン用高温部材への適用が期待されているが、腐食 防止の観点から耐久性に優れる耐環境性保護膜の形成が不可欠である 目的 高温で反応しない二種類の耐熱性酸化物を交互に積層することにより、 輻射熱反射機能が発現する。この条件を満たすY2Ti2O7とAl2O3からなる 積層膜(図1)において、1300℃の使用想定温度における酸素遮蔽性 (酸化防止機能)と構造安定性を共に向上させる手法を提案する 成 果 1.Al2O3層の酸素遮蔽性を支配する酸素とAlの流束は、Mullite層側酸素 分圧(PO2(lo))の増加に伴い低下する。Mullite層の酸素遮蔽性が高い程、 積層膜中の酸素透過を抑制できる (図2) 2.Al2O3層において、酸素の拡散が支配的な層にYを、 Alの拡散(層構造 の崩壊原因)が支配的な層にHfを粒界偏析させることで、輻射熱反射膜 全体の酸素遮蔽性と構造安定性が共に向上することが予測される(図2) 酸素遮蔽性: Al2O3 >> Y2Ti2O7 酸素ポテンシャル勾配DmOは Al2O3 層間において形成 図1 輻射熱反射機能を有する耐環境 性保護膜の構成 期待される 適用分野 図2 輻射熱反射膜におけるAl2O3合体層内の酸素とAlの 流束分布とAl2O3層におけるドーパントの最適配置 特定波長域の熱エネルギーを閉じ込める、伝えないことが 要求される耐熱・耐酸化部材 参考文献 〔1〕 T. Matsudaira et al., Acta Mater., 59, 5440 (2011) DOI: 10.1016/j.actamat.2011.05.018 /特許 〔2〕 S. Kitaoka, et al. J. Am. Ceram. Soc., in press (2014) DOI: 10.1111/jace.12935 謝 辞: 本研究は、科学技術振興機構の 「JST-ALCA(先端的低炭素化技術開発事業)」の 一部として実施したものである 担当者: 松平恒昭、田中誠、北岡諭 炭素繊維-樹脂間の密着性に及ぼす 過熱水蒸気へのガス添加効果 R-29 過熱水蒸気に添加するガス種の違いにより、炭素繊維 表面の官能基量の制御が可能 技術の ポイント 基礎 研究 背景 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)廃材からの繊維回収と同時に繊維- 樹脂間の密着性向上(繊維のその場表面改質)が実現できれば、回収繊維 のサイジング剤フリー化によるCFRP製造コストの大幅削減が期待できる 目的 過熱水蒸気を利用したCFRPリサイクル技術開発の一環として、炭素繊維 単体を過熱水蒸気処理し、処理時のガス添加が樹脂との密着性(界面せん 断強度)と表面官能基量の変化に及ぼす影響を明らかにする (1) 過熱水蒸気に添加するガス種の違いにより、炭素繊維-樹脂間の 界面せん断強度が変化し、特にN2ガス添加が効果的であることを 確認した 成果 (2) ガス添加なしではOH基が、N2添加の場合はOH基に加えて塩基性 官能基が、CO2添加の場合はCOOH基がそれぞれ増加し、これら が界面せん断強度向上に関与したものと考えられる フラグメンテーション法 繊 維:東レ製トレカT700 樹 脂:エポキシ(ビスフェノールA) 硬化剤:トリエチレンテトラミン 界面せん断強度 (MPa) ○ あり(比較) ◆ なし ▲ 処理雰囲気 処理雰囲気 n=3 未処理 ◇ 80 0.20 過熱水蒸気(SHS) SHS+4vol%N2 ■ SHS+4vol%CO2 60 40 表面官能基量 (x10-3eq/g) サイジング剤 100 Boehm法 繊維:東レ製トレカT700(サイジング剤なし) 繊維処理条件:700℃×5min □ 0.15 ■ SHS(過熱水蒸気) ■ 0.10 未処理 SHS + 4vol%-N2 ■ SHS + 4vol%-CO2 0.05 0.00 20 300 // 400 500 600 700 800 処理温度(℃) 図1. 炭素繊維-樹脂間の界面せん断強度 期待される 適用分野 参考文献 /特許 図2. 炭素繊維表面の官能基量の変化 ① CFRPのリサイクル ② 炭素系材料の表面改質 [1] 和田匡史、河合和彦、鈴木智幸、平博仁、北岡諭、セラミックス、49 (1)、44-48 (2014) [2] 特願2014-10822 謝 辞: 本研究は、愛知県の「知の拠点あいち・重点研究プロジェクト」の一環として実施したものである 担当者: 和田匡史、河合和彦、林一美、北岡諭 共同研究者: (大同大学)平博仁、(科学技術交流財団)鈴木智幸、((株)大同)永井敬大 エアロゾルデポジション法による アルミナ膜の集合組織形成 エアロゾルデポジション法により、基板面に対し底面 配向したアルミナ膜の形成が可能 技術の ポイント R-30 基礎 研究 背景 表面エネルギーの小さい面が優先配向したアルミナ膜は、化学的安定性に 優れた保護膜など耐環境性を必要とする分野への適用が期待される 目的 エアロゾルデポジション(AD)法により形成したアルミナ膜の結晶方位を解析 すると共に、結晶方位分布に及ぼす製膜後の熱処理の影響について検討 する 成果 (1) 様々な基板上にAD成膜したアルミナ膜の集合組織・結晶方位 分布を解析した(XRD)。その結果、膜の結晶方位分布が基板面に 対して底面配向する傾向が認められた (2) 成膜後熱処理時の温度と時間の増加により、上記の底面配向 組織がさらに発達することが明らかとなった(EBSD, XRD) AD法の特徴 ・室温環境下での製膜 ・緻密質膜形成 図1. AD装置の概略図 期待される 適用分野 参考文献 参考文献 /特許 /特許 図2. EBSDによる結晶方位測定例 ① 耐食膜 ② 切削工具用コーティング ・秋山滉太, 大木洋輔, 長谷川誠, 田中誠, 北岡諭, 香川豊, 日本金属学会春期講演大会 (2014). ・特願2013-161822 謝 辞: 本研究は、科学技術振興機構の 「JST-ALCA(先端的低炭素化技術開発事業)」の一部として実施 したものである 担当者: 田中誠、北岡諭 /共同研究者:(横浜国大)長谷川誠、(岐阜大)櫻田修、(東大)西岡潔、香川豊 高温ガス透過法に基づくセラミックス 中の物質移動評価解析技術 高温のガス分圧勾配下に曝された酸化物膜中の物質移 動機構を評価・解析した 技術の ポイント R-31 基礎 研究 背景 金属表面に形成する酸化保護膜等、酸化物膜が高温の酸素・水蒸気の ポテンシャル勾配下で使用される事例は極めて多い。酸化物膜のさらなる 高性能化を図るためには、このような過酷環境下における膜中の物質移動 機構を十分に理解した上で、その動きを積極的に制御する必要がある 目的 同位体を用いた高温ガス透過法を基に、酸素や水蒸気ポテンシャル勾配 下に曝された酸化物中の物質移動機構を評価解析する技術を開発する 成果 1.四重極質量分析装置を付与したガス透過試験装置を開発し、様々な ガス(16O2, 18O2, H2O, D2O, N2)を対象とした評価解析を可能にした 2. ガス透過試験とその後のサンプル断面の二次イオン質量(SIMS)分析 との融合により、膜中の物質移動の厳密な評価を可能にした 図1 ガス透過試験装置の構成 期待される 適用分野 参考文献 /特許 図2 多結晶アルミナの粒界拡散 係数の膜厚方向分布(1600℃) 図3 多結晶アルミナ膜 断面の18O濃度分布 (SIMS, 1600℃) ① 高温の酸素・水蒸気環境下において優れたガスバリア性、 構造安定性を発現する酸化物膜の開発 ② 金属の表面酸化を利用した高機能膜の開発 (例:Ti表面に 形成するチタニア膜の生体活性能の向上 等) 〔1〕 M. Wada, et al., J. Ceram. Soc., Jpn., 119, 832 (2011) DOI: 10.2109/jcersj2.119.832 〔2〕 T. Matsudaira, et al., J. Am. Ceram. Soc., 96, 3243 (2013) DOI: 10.1111/jace.12420 謝 辞: 本研究は、JSPS科研費「新学術領域研究ナノ構造情報(25106008)」の一環として実施したものである 担当者: 松平恒昭、北岡諭/共同研究者: (京大) 中川翼、 (東大) 柴田直哉、幾原雄一 ファインセラミックスセンターの 試験評価、機器利用 T- 1 ・高性能な各種研究・評価設備を完備 技術の ・基礎から応用までの研究開発を支援 ポイント ・原料調整から焼結、加工、各種特性評価設備の利用 微構造解析、結晶・形態解析 機械的特性 各種強度評価、弾性定数、 破壊靱性、疲労特性、他 各種電子顕微鏡、X線回折(XRD)、エネル ギー分散型X線分析、他 熱的特性 熱膨張係数、熱伝導率、 比熱容量、熱拡散率 電気的特性 培ってきた技術と経験で 『高精度かつ信頼性の高い データ』を皆様にご提供 します 非破壊試験、表面分析 3次元X線CT、光電子分光(ESCA) 、赤外線放射率、赤外分光 粉体特性 粒度分布、粉末真比重、比表 面積、ζ電位、粒子破壊強度 誘電率、電波吸収 特性、抵抗率 焼結プロセス、加工、試作 焼結体、テストピースの作製、特殊 加工、その他試作(エアロゲル等) 特殊解析 SiC結晶欠陥解析、ガス透過率測定、 特殊材料細孔分布 【担当者: 青木正司】 粉体特性の評価技術 T- 2 粉体粒子や多孔質体の物性を様々な手法で測定 技術のポイント 保有技術・設備 細孔分布(水銀圧入法) 粒子破壊強度 圧力 平面圧子 φ50μm 水銀 θ 試料 試料 細孔 試料台 水銀に圧力を加え、細孔に圧入していく 0.003~360μmの分布を測定 10μm~の微小な粒子、繊維の強度評価 対数微分細孔体積(ml/g) 粒度分布(レーザー回折散乱法) 1.0 0.5 0.1 10 20 0 1 10 100 測定例 分極 + - 電極 試料調整及び 測定条件が重要 + - Particle Size(μm) 測定範囲:0.02~2000μm 乾式も可 ガスピクノメーター(気体置換法) 音波の減衰 60 ζ potential[mV] 試料調整及び測定条件が重要 ~50vol%の濃厚系 スラリーなどの測定 ←アルミナ 40 20 0 -20 ←シリカ -40 -60 1 P [ボイルシャルルの法則]より 試料室 VCELL バルブ 1000 ゼータ電位(超音波法) 適切な条件 → 超音波発振器 Volume(%) ← 超音波バス のみ 60 0.1 1.5 細孔径(um) シリカの屈折率 で解析 → 40 2.0 0.0 0.001 測定例 アルミナ粉末 100 80 測定例 多孔質アルミナ 2.5 4 7 pH 10 膨張室 VEXP 見かけ体積(⇒密度)を測定 粉体も可 適用分野 ・粉体、多孔体、顆粒体、成形体、スラリー、繊維など 【担当者:野村英生】 液相合成による セラミックス・金属微粒子合成技術 T-3 • 粒子径が揃った微粒子が合成可能 • 2相以上からなる複合微粒子を単一プロセスで合成可能 技術の ポイント 保有技術・設備 液相化学合成法 目的組成の原料溶液から触媒反応・熱分解などを連続的 行い微粒子を合成する方法 Ar condenser tube TC mantle heater 噴霧熱分解合成装置の模式図 controller stirrer 活用/成果の例 ・手法:噴霧熱分解法、 ゾルゲル法、 ホットソープ法、 還元析出法など 高性能SOFC用電極材料や精密研磨用複合砥粒、 高密度磁気記録媒体などへの適応 被覆型 分散型 50 nm SOFC用NiO-SDC複合微粒子 単分散FePtナノ粒子 関西電力㈱との共同研究の一環として実施 適用分野 ・燃料電池用電極材料の開発 ・センサー材料の開発 ・精密研磨用砥粒の開発 ・多孔質触媒材料の開発 ・太陽電池の材料の開発 ・発光材料の開発 など 【担当者:川原 浩一、鈴木 俊正】 新規材料開発・研究に貢献する セラミックス製造技術 技術の ポイント T- 4 これまでに培った原料調製から焼結までの高度な技術と多様 な保有装置を利用し、セラミックスの材料開発を支援します 保有技術・設備 スプレードライヤー CIP ①コンパクトで少量実験に最適 ②大気、不活性雰囲気での乾燥 が可能 ③防爆構造でアルコール溶媒に も対応可能 ①最大245MPaまで加圧可能 ②大型品および小型品の大量処理 が可能(容器:直径30cm深さ30cm) ③圧力の減圧コントロールにより、 処理品の割れを防止 ボールミル ①0.5~20Lのポットに対応可能 ②小型ポット用のローラーにより、 少量のスラリーでも回転可能 ③複数の配合条件のスラリーを 一度に調合可能 脱脂炉 ①大型品の脱脂処理が可能(最高500℃) ②大気、不活性雰囲気ガスフローでの 熱処理可能(最大1000L/hr) ③加圧容器仕様のため、大気・不活性 ガス加圧下で熱処理可能(最大0.9MPa) HIP 雰囲気焼結炉 ①雰囲気は真空又は不活性 ②ホットプレスも可能 ③焼結品の大きさに合わせて 3タイプの焼結炉を保有 ④最高使用温度:2200℃ ①高温・高圧ガス雰囲気での 処理が可能(最高温度:1800℃ 、最高圧力:186MPa) ②容器:直径10cm深さ20cm 適用分野 ●原料粉末に焼結助剤・バインダー等の添加剤を加えた複合粉末の作製 ●各種形状の成形および等方圧加圧成形による成形体の作製 ●バインダー等の樹脂成分除去および空気・不活性ガスフロー中での熱処理 ●高温ガス中および真空中での焼結、HIP処理による高緻密焼結体の作製 【担当者:中平兼司 青木正司】 耐熱・耐環境厚膜から機能性薄膜 までのコーティング技術 技術の ポイント T- 5 様々な基材への薄膜から厚膜のコーティングを、電子ビーム PVD(国内唯一の大型装置)、スパッタ、CVD等により実施可能 保有技術・設備 電子ビーム PVD EB-PVDは蒸着原料を電子ビームで直接加熱・蒸発させることにより、従来技術 では困難であった高融点セラミックスの高速成膜が可能なコーティング方法 ① ジルコニア等の高融点酸化物セラミックスを 1分間に数μmの堆積速度でコーティングできる ②成膜パラメータを精密に制御することにより膜厚 や構造を精密に制御できる ・電子銃 最高出力150kW(国内最高) ・蒸着源 2基(φ63㎜1基、φ40㎜1基) ・基板サイズ 最大φ100㎜×200㎜L ・基板加熱温度 最高1100℃ ・基板回転速度 0~30rpm ・到達真空度 10-4Pa以下 スパッタ 金属もしくは化合物ターゲットをAr+イオンでスパッタリングすることで膜を堆積す る方法。高融点材料の成膜が可能、付着力が強いことが特徴 CVD 気相の原料ガスを基板上で化学反応させて膜を堆積する方法。ガスを原料とす るため、組成や膜厚の制御性が高く、付回り性に優れる 活用/成果の例 EB-PVD遮熱層 (YSZ) EB-PVD金属結合層 (CoNiCrAlY) 100mm Y2O3 TiO2 20mm 10mm 2mm 20mm EB-PVDによるY2O3膜、 TiO2膜 EB-PVDによるTBCシステム (その他Al O , CeO などの各種酸化物膜が可能) 2 3 2 ナノギャップ 適用分野 ○耐熱・耐環境分野 ・ガスタービン用遮熱コーティング ○高温機能性分野 ・電極 ・触媒 ・センサー ○その他 ・透明導電膜 ・光学膜 ・半導体膜 柱状・羽毛状構造 マイクロカラム ナノ粒子 ナノポア EB-PVDによるコーティングの模式図 特異な多孔構造が低熱伝導化 熱膨張係数差の緩和 比表面積の増加・・・などに効果的 【担当者:山口哲央】 シリカエアロゲルの製造と頒布 技術の ポイント T- 6 超軽量で極めて高い断熱特性を持つ透明材料である シリカエアロゲルを、独自の技術で製造して頒布します シリカエアロゲルとは シリカエアロゲルは、 シリカ(二酸化ケイ素:SiO2)の微粒子が3次元 ネットワーク骨格を形成した構造を持ち、体積の95%以上が空隙で 構成される非結晶質の固体です r=0.13 g/cm3 空隙間隔 50~60nm 100nm SiO2粒子径 2~3nm エアロゲルの外観写真 エアロゲルの走査電子顕微鏡画像 エアロゲルの微構造の模式図 シリカエアロゲルの特徴と用途 100nm 100nm 100 nm ・軽量低密度(0.04~0.2g/cm3) ・高い断熱性(熱伝導率:大気圧下でmin 0.02W/mK) ・高い透明性 ・高い化学的安定性(成分は石英ガラスと同じSiO2) 高断熱性・軽量・透明性 ⇒ 窓・壁など透明断熱材への応用 低密度・透明性・安定性 ⇒ チェレンコフ光検出器、宇宙塵捕集材 多孔質性・安定性 ⇒ 吸音材、触媒担体など 頒布シリカエアロゲルの仕様 品名 頒布品の製作時の仕込み寸法 SP-10 SP-15 SP-30 SP-50 110×110×10±2mm (頒布品の標準サイズです。ゲルは製造中に 収縮します。これ以外のサイズ、形状、寸法 精度等がご入用な場合はご相談ください。) 密度 屈折率 0.04 1.010 0.06 1.015 0.12 1.030 0.20 1.050 ・上記以外の寸法・形状などについてはご相談により可能な範囲で作製します 【担当者:青木正司、山田達也】 セラミックスの高精度加工技術 技術の ポイント T-7 材料・部材の評価試験に必要な、多種多様な形状をもつ 試験片の加工に応えます 保有技術・設備 切断・研削・研磨加工まで精密加工装置を揃えています 精密スライサー 平面研削盤 鏡面加工機 ①SiCウェハ等の切断加工 ②V溝等ノッチ加工 ③その他の精密切断加工 ①セラミックスの平面加工 ② 〃 の溝加工 ③CまたはR面加工 ①セラミックスの鏡面加工 ②SiCウェハ等の薄片加工 ③非水研磨加工 活用/成果の例 破壊靱性試験片(Vノッチ加工)や平面研削盤を用いた面取り加工、100μm 以下の薄片加工等 1.5mm Vノッチ加工 (先端ρ=10μm) アルミナR形状加工 アルミナ薄片加工 適用分野 ●SEM観察、亀裂観察、圧着試験面の平坦化など。また非水加工にも対応可 ●ラボレベルから量産加工まで材料評価の信頼性を向上させる高精度 なテストピース作製 ●自動車メーカーや電機メーカー、電力会社、大学その他の関連企業 (年間100社程から 受注加工を行なっている) 【担当者:早川 一幸、青木 正司】 超高分解能走査型電子顕微鏡 による低加速・無蒸着観察技術 技術の ポイント T- 8 低加速電圧&無蒸着にて、電子線に弱い材料や非導電性材料 の試料再表面の微細構造観察が可能 保有技術・設備 ・超高分解能電解放出形走査型電子顕微鏡 SU-8000 日立ハイテク ・エネルギー分散型X線分析装置 X Flash Detector 5030 Bruker AXS社 本体 本体制御用PC EDS制御用PC 検出器と得られる情報 通常観察モード 信号 Top 検出器 Upper 検出器 信号名 信号情報 二次電子 SE1 Upper 最表面情報(電位コントラストを含む) 二次電子 SE2 Lower 凹凸情報 反射電子 HA-BSE Top 組成情報+結晶情報 反射電子 LA-BSE Upper 組成情報+凹凸情報(帯電抑制) リターディングモード(試料に逆バイアスをかけ低加速を実現) 信号 信号名 二次電子 Lower 検出器 検出器 二次電子+反射電子 検出器 信号情報 SE1 Top 最表面情報 SE1+BSE Upper 組成情報+凹凸情報 各検出器の配置 活用/成果の例 電子線に弱い非導電性樹脂(塩化ビニル)の 低加速&無蒸着SEM観察結果 加速電圧5.0 kV 加速電圧1.0 kV 100 mm 100 mm チャージアップ等の影響により 試料表面の観察不可 試料表面の凹凸形状や傷、 ゴミ等の観察が可能 加速電圧0.5 kV 100 mm 加速電圧1.0 kVでは確認でき なかった微細な表面形状(黄色 破線)の観察が可能 適用分野 ・異物・析出物の観察・解析 ・非導電性材料の表面微細構造観察 ・結晶粒径分布解析 ・積層構造材料の断面観察および組成分布解析 等 【担当者:横江大作】 デュアルビームFIB-SEM装置を 用いた三次元解析技術 技術の ポイント T-9 FIBによるスライス加工とSEMによる断面観察を連続的に行い 取得した多数のSEM像をコンピュータで三次元再構成 FIB-SEMデュアルビーム 加工観察装置 大電流による“高速”かつ“精密”な「FIB加工」と 高分解能「SEM観察」を同時に行うことが可能 事例 1 : 超電導線材の構造均一性評価 事例 2 : 超電導線材内部に形成された 空隙および異相分布の可視化 溶液組成A : 電流特性◎ 事例 3 : Liイオン電池正極材料 原料粉末粒子の空隙分布 溶液組成B : 電流特性△ 適用分野 ○材料内部構造の三次元解析 ・サブミクロンサイズの空隙、 析出物、添加物などの分布 サイズ等の可視化 ○TEM観察試料作製 ・積層膜、半導体デバイス ・大気非暴露加工、冷却加工 ・特定部位の抽出 (マイクロサンプリング法) ○SEM断面観察 ・FIBによる任意領域の断面加工 ・5kV以下の加速電圧での観察 ・EDS元素分析 謝辞:事例1および2に示す結果は、高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクトの一環として経済産業省の 委託、事例3に示す結果は革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING)の一環としてNEDOの委託に より実施したものである。 【担当者:吉田竜視、横江大作、加藤丈晴】 電子線ホログラフィーを用いた 電子材料、磁性材料の定量観察 技術の ポイント T-10 機能材料の電場や磁場を直接かつ定量的に観察、計測 保有技術・設備 電子線ホログラフィー:電子波の干渉現象を利用して、 電場や磁場を定量的に観察する透過型電子顕微鏡法 ホログラフィー電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡 ●加速電圧: 300 kV ●加速電圧: 300 kV ●空間分解能: 0.24 nm ●空間分解能: 0.17 nm ●輝度: 2.9x109 A/cm2sr ●輝度: 7.0x108 A/cm2sr ●冷却ホルダー ●高温加熱ホルダー ●高温加熱ホルダー ●電圧印加ホルダー ●磁場印加装置 ●ピエゾ駆動ホルダー ●ピエゾ駆動ホルダー ●雰囲気遮断ホルダー HF3300EH 活用/成果の例 JEM3000F 半導体中のドーパント分布、電池内部の電位分布、磁性体の磁束分布の観察 (b) (a) ゲート ドレイン As ソース As B:1015/cm3 1μm TEM像 100 nm ナノメートルサイズの隕石粒子の(a)TEM像,(b)磁束分布像 固体電解質 mm 11μm 電界効果トランジスタ内部のドーパント分布 (電位分布) 電位 [V] LiCoO2 1.53 V 1 0 0 1 2 3 [μm] 全固体リチウム電池内部の電位分布(正極/固体電解質界面近傍) 適用分野 ●半導体デバイス ・シリコン半導体、化合物半導体(GaAsなど)のドーパント分布解析(電位分布) ●磁性体関係 ・磁区構造観察、動的ローレンツ顕微鏡観察、動的ホログラフィー観察 ・低温、高温、磁場印加における定量観察 ●全固体型リチウムイオン電池 ・充放電その場電場観察 【担当者:山本和生、平山司】 後方散乱電子回折法による 結晶方位マッピング 技術の ポイント T- 11 後方散乱電子回折(EBSD)法により、結晶粒一つ一つの方位や 粒径分布、隣り合う結晶粒のずれ角等の解析が可能 保有技術・設備 ・電解放出形走査型電子顕微鏡 JSM-6330F 日本電子 ・電子線回折結晶方位解析装置 OIM検出器 EDAX 後方散乱電子回折(EBSD)法:試料に照射された電子が試料内で拡散し、拡散した電子は回折され反射電子として 試料から放出される。その際に生じる反射電子回折パターンを用いて局所領域の 結晶方位や結晶構造を解析する手法 ~EBSD測定により得られたデータを解析して得られる情報~ 試料と検出器の位置関係 電子ビーム 検出器 試料 EBSD法の一般的な精度 Image Quality像 パターンの善し悪しにより結晶の歪等に対応した情報を表示 方位マッピング像 方位を逆極点図を利用した色配置で表示 結晶粒像 任意の粒界傾角で定義した結晶粒を表示 結晶粒界構造像 傾角、対応粒界等による結晶粒界を表示 相分布像 結晶系による相の違いを表示 極点図、逆極点図 測定した方位から極点図/逆極点図にプロット 空間分解能(μm) 0.03 方位分散関数 ODF 測定深さ(μm) 0.05 方位差分散関数 MDF 方位精度(°) 0.5 結晶粒径分布等各種データの数値およびグラフ表示 測定事例 JFCCジルコニアリファセラム(ZR1) 結晶粒形状および結晶方位解析 条件:測定領域:1.4×1.4 (μm) ステップ幅:0.05 μm 結晶方位マップ 結晶粒界マップ 極点図 適用分野 ・微小領域での結晶系解析 ・結晶方位分布解析 ・結晶粒径分布解析 等 【担当者:横江大作】 X線回折による結晶相同定 技術の ポイント T-12 高出力X線源(15kW)により、結晶相を同定し、格子定数を測定 ~薄膜試料への対応も可能~ 保有設備 XRD (X-ray diffraction method)高出力型、汎用型の2台 ターゲット: 光学系: 走査軸: 測定方式: 共通仕様 Cu(λ=1.5418nm) 集中法, 縦型ゴニオメータ 2θ/θ, 2θ,θ 連続, FT, FC 測定方式: 連続, FT, FC 2θ角走査範囲: 2~146° スリット: 可変式(0.05°~open) 高出力型 メーカー,型式: リガク, RINT2500 最大定格出力: 18kW (60kV-300mA) 対応可能試料形態(最大寸法): 粉末, バルク(15×17×10mm) サンプリング幅: 0.002~85° スキャンスピード: 0.001~23.9°/min 汎用型 メーカー,型式: 最大定格出力: リガク, RINT2000 3kW (50kV-60mA) 対応可能試料形態(最大寸法): 粉末, 薄膜(直径38mm) バルク(直径38mm 厚さ10mm) その他: 試料の回転、極点測定可 《測定対象は中央部幅10mm×1mm程度》 試料部 多目的回転試料台 (粉末用試料ホルダ) 回折線の回折角と強度を測定 ①結晶層の定性 ②結晶構造 ③化学形態 活用/成果の例 8000 Intensity / cps 6000 ― 50kV-300mA ― 50kV-50mA 1000 Ni添加γ-Al2O3粉末 (特許第5430089号) 4000 〇: Au (65-2870) 通常 500 △: β-Si3N4 (73-1208) 100 100 薄膜専用 50 2000 0 0 2θ / °Cu-Kα 測定例1 高出力測定 ・同一サンプルでXRDパターンを比較 ・高出力X線源→回折X線強度向上→微量成分定性可能 30 40 50 ・低入射角度(2°以下) ・平行X線ビームを入射 2θ / °Cu-Kα 60 70 測定例2 薄膜測定 (X線出力: 40kV-40mA) ・試料:金(Au)蒸着膜(厚さ20nm、基材:窒化ケイ素〔β-Si3N4〕) ・通常光学系(上側):基材のピークに薄膜のピーク埋没 ・薄膜専用光学系(下側):薄膜のピークが主、基材ピーク微小 適 用 分 野 ・セラミックス、金属等無機材料全般の評価 ・各種構造および分離膜、電池等機能性材料の開発 【担当者:佐藤功二・横江大作】 非破壊による材料評価技術 T- 13 試験体を破壊しない(非破壊)で、材料内部の欠陥・劣化状況、 3次元構造等を、X線透過法により観察・解析します 技術の ポイント 保有技術・設備 1.X線差分処理法(JFCCオリジナル) X線発生器 特徴 ①ファイル撮影より高分解能に検出 ②高速検査が可能 2.X線CT法と3次元構造解析技術 特徴 ①性能の異なる3種のX線発生器を選択可能 (各種材質に適用可能) 検出器 ②X線CTで得られた3次元データを使って3次 元構造解析まで可能 X線透過試験装置の仕様 ③分解能:2μm(測定条件による) ・管 電 圧: ~150kV ・焦点寸法 : 1~50μm ・最大試料厚さ: 50mm(Si3N4の場合) ④試料サイズ:最大φ110×150mm 活用/成果の例 差分画像処理 X線CTによる3次元構造解析技術 多孔質アパタイトの気孔径分布計測 セラミック構造部材の欠陥検出 3次元構築 サンプル概観 点線部を撮影 3.0E+07 気孔体積 気孔抽出 気孔体積、μm 3 2.5E+07 ボイド 2.0E+07 1.5E+07 1.0E+07 5.0E+06 クラック クラック 0.0E+00 0 50 100 150 200 気孔径、μm 250 300 適 用 分 野 ・セラミックス、金属、多孔体、高分子材料、ハニカム・フィルター等 ・CFRP等の複合材料、各種構造・機能材料および生体材料 【担当者:水田安俊】 マイクロ波~ミリ波における 誘電特性と電波吸収特性の評価技術 技術の ポイント T-14 無線通信技術を用いた電子デバイスの仕様設計・性能確認に 必要不可欠な材料の電気特性を評価 保有技術・設備 複素比誘電率測定 マイクロ波領域 TM0m0円筒空洞共振器法 基本周波数:3GHz 試料形状:3mmφ×50mmL 測定精度 比誘電率:1.1~100 ±(1~5)% 誘電損失:10-2~10-5 ±(10~30)% 電波吸収特性評価 マイクロ波領域 同軸管法 周波数:0.5GHz~18GHz 試料形状:円管状(ID3mmφ OD7mmφ、L10mm) 測定精度 測定値40dBのとき±1dB以下 (@ダイナミックレンジ60dB) ミリ波領域 遮断円筒導波管法 基本周波数:80GHz 試料形状:3mmφ×50mmL 自由空間法(誘電体レンズ) 周波数:5.6GHz~110GHz 試料形状:200mm□×tmm 測定精度 比誘電率:2~50±(0.2~1.0)% 誘電損失:10-3~10-6 ±(2~10)% 測定精度 測定値40dBのとき±1dB以下 (@ダイナミックレンジ60dB) マイクロ波~ミリ波における誘電特性評価の例 適用分野 マイクロ波~ミリ波領域 自由空間法による電波吸収特性評価の例 電磁波を利用した通信機器 出展 http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/myuse/summary/index.htm 上記以外にも、JIS準拠の測定やGHz帯未満の評価・解析も行っています。 【担当者:伊岐見大輔】 電気特性評価(抵抗率) 技術の ポイント T-15 被測定物の抵抗値により測定方法を2種類から選択: 高温(~1200℃)及び各種雰囲気での測定も可能 保有技術・設備 測定 方法 測 定 範 囲 試料形状 サイズ 測定温度範囲 測定雰囲気 直流 3端子法 体積抵抗率106~1017Ωcm 表面抵抗率105~1016Ω Φ20mm(高温) □63.5~100mm(室温) 厚み0.5~3mm R.T.~1200℃ Air,N2,Ar 直流 4端子法 10-3~106Ωcm 角柱,円柱,短冊 □3~5mm, Φ3~5mm 長さ25~40mm R.T.~1200℃ Air,N2,Ar,H2 関連規格 JIS C2141 JIS C2319 JIS R1661 ASTM D4496-04 直流3端子法 雰囲気:大気中 温 度:R.T.~350℃ ○:JFCC data ×:NIST data 主電極 ガード電極 対極 測定試料及び電極構造 3端子法による抵抗率測定装置 3端子法による抵抗率測定例(SRM-624,NIST) 直流4端子法 雰囲気:大気中 温 度:600~1000℃ 端子線 焼付固定 巻き付け 活性化エネルギー CeO2 0.55eV YSZ 0.89eV 電圧 電流 測定試料及び電極構造 適用分野 4端子法による抵抗率測定装置 4端子法による抵抗率測定例(YSZ,CeO2) 酸化物及び非酸化物系セラミックス基板材料や電極材料、電解質材料等の 絶縁性及び導電性評価(開発品の物性評価、製品の品質管理など) 【担当者:大川 元】 燃料電池・固体電解質の 電気化学特性評価技術 T-16 固体電解質形燃料電池(SOFC)単セルの特性評価 技術と電解質のイオン導電性評価技術 技術の ポイント 保有設備 評価試料 集電体 電極 電 圧 電解質 ガ ス 導 入 インピーダンスアナライザー 電 流 ガラス シール 端子線 電極 管状炉内 四端子法による交流 インピーダンス測定 評価装置の内部構造 SOFC単セル評価装置 装置名 試料サイズ 測定温度範囲 ガス種 小型単セル評価装置 11~18mmΦ(電極面積6mmΦ) 400~1000℃ H2,O2,Air,Ar,加湿水素 中型単セル評価装置 31~38mmΦ(電極面積16mmΦ) 400~1000℃ H2,O2,Air,Ar,加湿水素 雰囲気制御型管状炉 3mm×4mm×36mm 200~1000℃ H2,Air,Ar 1.0 0.40 出力密度 0.8 0.32 0.6 0.24 0.4 0.16 0.2 0.08 0.0 0.00 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 -7 電流遮断法 粒界抵抗 -6 -5 Im(Z ) /Ωcm 0.48 -2 1.2 Power density, P /Wcm Cell voltage, V / V 評価例 -4 -3 バルク抵抗 -2 -1 0 1.2 88 89 -2 Current density,I /Acm 1.5 1.2 試料B 電極 2 0.6 0.4 試料A 0.2 電解質 0.9 0.6 界面抵抗 0 20 40 60 Ttime /h 80 100 SOFC単セルの長期試験*1 0.0 0 0.02 ・燃料電池 0.04 0.06 0.08 0.1 Thickness, t /cm SOFC単セルの界面抵抗測定*1 (*1:関西電力(株)との共同研究で実施したものである) 適用分野 94 95 1.14 1.12 1.10 1.08 0.3 0.0 93 1.16 測定起電力 / V 0.8 ASR /Ωc m Cell voltage, V /V 1.0 91 92 Re(Z ) /Ωcm 4端子法による 交流 インピーダンス測定 SOFC単セルの分極特性 SOFC単セルの発電特性 90 0.12 1.06 1.06 測定試料:8YSZ 1.08 1.10 1.12 1.14 理論起電力 / V 1.16 種々のガス条件による 起電力測定 ・二次電池 ・ガスセンサ ・環境浄化デバイス 【担当者:鈴木雅也、川原浩一】 SOFC用多孔質電極材料の ガス透過率評価技術 T-17 簡便・高精度で多孔質/緻密質積層体の 多孔質膜面内方向のガス透過率を評価 技術の ポイント 保有技術・設備 測定原理 評価器の構成 円盤状試験片を円 筒状試験片と近似 リーク試験における 差圧と時間の関係か らガス透過率を評価 ln ln P0 P P P0 RT V 2 dK t ln P0 R ln 1 R2 P0 P0 P0 P0 P P P0 RT V 2 dK t ln P0 R ln 1 R2 P0 P0 P0 (減圧の場合) (加圧の場合) ΔP:差圧、ΔP0:初期差圧、t:経過時間、K:ガス透過率 d:多孔体膜の膜厚、R1:多孔体膜外径、R2:吸引部分の半径 V:チャンバー体積、T:温度、R:気体定数 評価例 ・リーク曲線を再現性良く評価可能 ・ガス透過率を定量的に評価可能 ・非破壊で評価可能(室温) 適用分野 ・SOFC用電極材料のガス透過率評価 ・多孔体内ガス流れの定量評価 謝辞: 本研究は、資源エネルギー庁の「新エネルギー等共通基盤整備促進事業」で行われた ものである 【担当者:川原浩一、鈴木雅也、鈴木俊正】 機能性材料の構造・化学結合の 分析評価技術 技術の ポイント T-18 化学結合状態・構造・光学的特性の多面的評価を通 じて新規材料の開発に貢献 保有技術・設備 ラマン分光法 X線光電子分光分析法:XPS フォトルミネッセンス (Raman Spectroscopy) (X-ray Photoelectron Spectroscopy) PL (Photoluminescence) 試料室 励起光: 450 W-Xeランプ +ダブルモノクロメータ 励起光: 250-900 nm 励起光波長分解能: 0.3 nm 検出器: 可視域 250-840 nm 赤外域 -1700 nm 発光波長分解能: 0.06 nm (@ 500 nm) XPS: 光電子を測定 ①物質表面の組成 ②化学結合状態の評価 8000 a) Si SiC PL: 発光強度を測定 ①紫外-赤外域の発光スペクトル ②励起スペクトル Si2p SiO2 6000 4000 Unprocessed o N 2 600 C 2000 o o N 2 600 C Air 400 C 0 96 b) 30x10 98 100 102 104 106 108 110 ex = Binding energy (eV) 3 SiC C CO 20 Organic C 10 0 280 282 284 286 288 290 Binding energy (eV) 50x10 Intensity (arb. unit) c) 3 O1s In2O3 CO SiO 2 40 30 300 20 250 nm MPCS-0.02M MPCS-0.2M MPCS-2M MPCS-5M C1s PL intensity / arb. units ラマン分光法: 分子・格子振動を測定 ①化学結合状態の決定 ②結晶多形の決定 ③ひずみの検出 ④温度依存性の評価 ⑤ラマン信号と発光の対応 :Mg, Al, Al-Kα (max:15 kV, 600 W) 分解能 :0.5 eV 深さプロファイル測定:Arイオン銃 絶縁物測定 :中和銃 Intensity (arb. unit) 活用/成果の例 励起X線 Intensity (arb. unit) 励起光 :355, 488, 532, 785 nm 回折格子 :2400, 1800, 600, 150 本/mm 検出器 :電子冷却CCD 波数範囲 :50 ~ 18,000 cm-1 偏光測定 :励起, 検出側とも0, 90° 波数分解能:0.4 cm-1 以下 空間分解能:1 m 機能 :マッピング, 3次元計測, 深さプロファイル 400 500 600 700 Wave length / nm 10 0 526 528 530 532 534 536 538 540 Binding energy (eV) 測定例 メソポーラスカーボンシリカのPLスペクトル 測定例 SiCの結晶多形・歪発生のマッピング 測定例 発光する籾殻の結合状態 Y. Ishikawa et. al, Jap. J. Appl. Phys. 51 (2012) 1AK02 適 用 分 野 K. Sato et. al., Jpn. J. App. Phys., 51 (2012) 082402. ・電子機能材料開発:透明導電膜、ワイドギャップ半導体(SiC,ダイヤ)、 カーボン材料(電極,フィラー等) ・光学材料開発:発光材料 【担当者:佐藤功二・石川由加里】 機械特性に関する材料評価技術 T-19 様々な使用環境条件における、各種材料の基礎物性や 長期信頼性に関する機械的特性の評価 技術の ポイント 保有技術・設備 機械特性評価技術一覧 評価項目 測定方法 測定範囲 装置メーカー 試料サイズ 曲げ強さ 3、4点曲げ 室温~1500℃ インストロン 3x4x40 破壊靱性 SEPB、IF (SEVNB) 室温~1500℃ インストロン他 3x4x40 疲 労 曲げ、引張 室温~1400℃ インストロン、島津 3x4x40 クリープ 曲げ、引張 室温~1400℃ インストロン、MTS 3x4x40 圧縮強さ 角型、丸型 室温~1500℃ インストロン 5x5(Φ5)x12.5 引張強さ 平型 室温~1500℃ MTS 3x14x120(180) ヤング率 ポアソン比 動的(パルス、共振) 静的(曲げ、圧縮他) 室温~1200℃ nf その他 100x20x2他 硬 さ ビッカース他 室温 ミツトヨ、フィッシャー 15x15x5 熱衝撃 水中急冷法 室温~1300℃ ネムス他 3x4x40 粗 さ 接触、非接触式 室温 東京精密他 - その他の材料評価技術 超微小硬度計 荷重 超深度レーザー顕微鏡 弾性変形 + 塑性変形 弾性回復 h H 押込み変位 押込み変位→硬さ 除荷時の弾性変形→ヤング率 透光性アルミナの 破断面 <主な特徴> <主な特徴> 前 処 理:不要(従来の顕微鏡観察感覚) 評価項目:表面状態の観察、表面粗さ計測等 測定倍率:200~8000倍 測定分解能:0.01μm(高さ方向) 適用分野 評価項目:硬さ、ヤング率、弾性・塑性特性の物性データ 最大試験荷重:2000mN 荷重分解能:≦0.04mN 距離分解能:≦100pm 用 途:薄膜、塗膜、皮膜、高分子材料、表層の観察等 ・セラミックス、金属、多孔体、高分子材料、ハニカム・フィルター等 ・CFRP等の複合材料、各種構造・機能材料および生体材料 【担当者:小川秋水】 熱的特性評価技術 T-20 ー熱伝導率・熱膨張率等の評価・解析ー 技術の ポイント 各種材料の熱伝導率・熱拡散率・比熱容量・熱膨張率を 材料に合わせた適切な方法を用いて評価 保有技術・設備 熱伝導率はレーザフラッシュ法、保護熱板法、示差走査熱量法など により、熱膨張率はレーザ干渉法、示差膨張法により評価・解析 保護熱板法装置 レーザフラッシュ法装置 種々の熱拡散率測定が可能 (1) 単一材の厚さ方向(通常法) 超低熱伝導率を測定可能 (2) 単一材の面方向(ラメラ法) (3) 基材上の膜(多層解析) *熱伝導率:0.001~0.1 W/(m・K) 雰囲気圧力や温度を可変しての測定可能 示差走査熱量計 薄板・薄膜の熱拡散率測定装置 ①温度波熱分析法 :厚さ方向の熱拡散率測定 *試料厚:数10μm~0.5mm程度 ②光交流法 :面方向の熱拡散率測定 *試料厚:数10μm~0.5mm程度 熱膨張計 ①TMA法 :参照試料との膨張量差検出 *温度範囲:室温~1200℃程度 ②レーザ干渉法 :試料の膨張量を直接検出 *温度範囲:室温~700℃程度 比熱容量を測定可能 *室温~1200℃の温度範囲 適用分野 ・ 基板、放熱板の伝熱特性評価 ・ 遮熱コーティングや断熱素材の熱伝導率評価 ・ 真空断熱材の熱伝導率の雰囲気圧力依存性評価 上記以外による評価・解析も行っていますのでご相談下さい セル隔壁の 評価 ハニカム材 ・芯材評価 ・外装材評価 ・断熱性能 真空断熱材 【担当者:小川光恵、鈴木佐知子】 パワーデバイス・青色LED開発を エッチピット法によるSiC結晶の 欠陥解析評価技術 技術の ポイント T-21 エッチピット法により、SiCウエハ欠陥を簡便かつ安価で多面的 に評価・解析します 保有技術・設備 <エッチピット法> 溶融KOH+Na2O2を用いたエッチングによる欠陥検出法 特願:2010-013376 SiCウエハの結晶欠陥位置, 種類, 密度が正確に判別可能 <メリット> 従来評価手法で用いられているX線トポグラフィーと比較して, 簡便かつ安価で評価可能 <適用可能なSiCウエハ> p型-n++型SiC基板・エピ膜のSi面に適用可能 4インチまで適用可能 4インチ以上,C面については,別途相談 活用/成果の例 エッチピット法による実施例 (a)エッチング後のレーザー顕微鏡写真 (b)ピット形状と転位の対応 Y. Yao et. al, Jap. J. Appl. Phys. 50 (2011) 075502. 適 用 分 野 ・ SiCデバイスの開発: ・ SiCウエハ, エピタキシャル膜品質の評価, ウエハの品質保証, デバイスの不良解析 【担当者:佐藤功二・石川由加里】 サブナノ~ミクロンオーダーの 細孔径分布測定による機能性評価 T-22 液体、気体透過に関わる貫通孔の機能性を特徴づけ るネック部の細孔径分布を非破壊で評価 技術の ポイント 保有技術・設備 ナノパームポロメーター パームポロメーター Nano-Perm Porometer Perm Porometer ・手法 : 毛管凝縮法 ・細孔径 :0.5~30 nm (水蒸気) ・形状 : チューブ, 板 ガス透過率測定装置 Gas Permeation test ・手法 :バブルポイント法, ハーフドライ法 ・細孔径 :0.015~597 mm (Silwick) ・形状 : チューブ, 板 ・手法 : ・細孔径: ・温度 : ・形状 : 直接評価 ガス透過法 0.26 ~ 0.55 nm 室温~600℃ チューブ, 板 間接評価 活用/成果の例 -6 10 0.5 as-prepared after hydrothermal exposure 50h 5Ni- -Al2 O3 Permeance / mol/m2・s・Pa Permeance distribution / nm-1 多孔質材料の耐久性・膜のガス分離特性評価 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 -7 10 -8 10 10 -10 10 -11 10 -12 10 0 5 10 Kelvin diameter / nm 15 測定例 水蒸気暴露後のNi添加γアルミナの細孔径変化 T. Nagano et. al., J. Ceram. Soc. Jpn., 117 (7) 832-835 (2009) 適 用 分 野 He H2 CO2 Ar N2 -9 0.001 0.0015 0.002 0.0025 0.003 1/Temperature / K-1 測定例 シリカ膜のガス分離特性 T. Nagano et. al., J. Am. Ceram. Soc. 91 (1) 71-76 (2008) ・分離膜, フィルターの開発 :ガス透過・分離特性評価 ・新規機能性材料の開発 :比表面積・細孔径分布 【担当者:佐藤功二・永野孝幸】 高温高圧水環境下における評価技術 (水熱腐食、摩耗) 技術の ポイント T-23 高温高圧水中における耐腐食性及び耐摩耗性を評価 保有設備,技術 オートクレーブ(小) オートクレーブ(大) ●試験温度: Max. 300℃ ●試験圧力: Max. 12MPa ●試験温度: Max. 300℃ ●試験圧力: Max. 15MPa ●内容積: 0.2L ●内容積: 7.3L ●撹拌機能有り (回転数600rpm) 高温高圧水中 摩耗試験装置 ディスク試験片 圧力容器 摩耗痕 荷重 プレート試験片 SiC試験片 ●試験温度: Max. 300℃ ●試験圧力: Max. 10MPa ●ディスクサイズ:φ40xφ20x4tmm ●プレートサイズ:10x20x4tmm ●押付荷重: 9.8~78.4N ●摺動速度: 0.11~0.84m/s ※軽油環境下における試験も可能 評価方法 ・質量変化量 ・SEM観察、EDS分析 ・気相部のガスクロ分析 ・表面粗さ ・摩耗体積 ・摩擦係数 適用分野 ・ セラミックス、金属、DLC等のコーティング材、CFRP等の複合材料 ・ ポンプ等の軸受、メカニカルシール 【担当者:林一美】 破壊試験時に放出される 材料中の微量ガス分析 T-24 超高真空(10-7 Pa以下)で曲げ/引張破壊試験を行い、材料 から放出される微量ガスを、四重極質量分析計により検出 技術の ポイント 保有設備 破壊ガス分析装置 ◆材料中に残留する極微量ガスの評価が可能 ◆ 材料合成プロセスの課題解決または最適条件設定 活用/成果の例 Load, N Pressure, x10-7Pa Ion Current, A 真空度: 1×10-7Pa以下 応力負荷: 曲げが一般、引張りも可能 元素分析: 四重極質量分析計 質量数(m/e) 1~50(上限400) 0 100 200 Displacement / μm Displacement, μm Al2O3 ZrO2-8mol%Y2O3 1.Al2O3、ZrO2系セラミックス焼結体 (N2、Ar検出) 松本ら,日本金属学会誌,64(10),851-856(2000). 適用分野 0 100 200 Displacement / μm 0 100 200 Displacement / μm 2. Si3N4系セラミックス焼結体 (H2、N2、CHx、 Ar検出) Kitaoka et al., Journal of the Ceramic Society of Japan,105(10),915-917,(1997). 各種セラミックス、金属、複合材料の合成プロセス条件 (焼結/鋳造雰囲気、等)と材料特性との解析 【担当者:永納 保男】 設備投資なしで、研究がすぐにスタートできます JFCCのオープンラボは ◆優れた環境:最新鋭の設備・専用の居室を活用頂けます 専門スタッフが研究をサポートします ◆高い自由度:ニーズに即した研究を進めていただけます 常駐でも非常駐でも対応いたします 利用者のメリット・利用の目的 ●研究投資の軽減 リスクの大きい研究設備投資を回避できます ●研究開発の促進 専門スタッフが随時技術相談に応じます 技術の蓄積や最新の研究動向が把握できます 利用分野 ○透過型電子顕微鏡による微構造観察・解析等 ○第一原理計算を用いての材料設計 ○ケミカルプロセス等材料・プロセス開発 2010年 ○材料組織の制御技術開発 8 ○創エネ・省エネ材料開発・評価 ○機能性材料開発と評価解析 ○構造部材の耐環境性・信頼性付与技術開発 2011年 2012年 2013年 10 8 7 利用実績 利用実績 ・透過型電子顕微鏡による新規材料の観察・解析 ・クラスター計算機を使っての第一原理計算による機能解析・材料設計 ・無機系材料合成 等 お問い合わせ先 非営利 一般財団法人ファインセラミックスセンター TEL 952-871-3500 FAX 052-871-3599 研究企画部 E-mail [email protected] URL http://www.jfcc.or.jp 所在地 〒456-8587 名古屋市熱田区六野二丁目4番1号