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「新しい金融サービス業」の実現に向けて

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「新しい金融サービス業」の実現に向けて
「新しい金融サービス業」の実現に向けて
UFJ グループは、
「社会の信頼に応え、お客さまとともに成長する、革新的な金融グループでありたい」との経営ビジョンのもと、
これまでの銀行の枠にとらわれず、お客さまに価値ある総合金融サービスを提供する「新しい金融サービス業」をめざして
います。ここでは、経営統合の状況や、事業部門ごとの業務展開など、めざす姿の実現に向けた UFJ グループの取り組みを
ご紹介します。
UFJ グループのスタート
総合金融サービスの提供
2001 年 4 月、三和銀行・東海銀行・東洋信託銀行が持株会社「UFJ ホールディングス」を設立して
経営を統合し、UFJ グループが誕生しました。UFJ グループは、中堅・中小企業、個人をはじめ
とするお客さまに対して、銀行、信託銀行、資産運用会社、証券会社、クレジットカード会社
など、グループ各社の機能を活かして幅広いサービスを提供する、総合金融グループをめざして
います。
現在、それぞれの業務において、グループのネットワークを効率的に活用しながら、お客さまに
より一層ご満足いただけるようサービスの向上に努めています。さらには、生命保険、損害保
険、消費者金融など、他業態の金融各社との業務提携や共同事業をはじめ、新規事業への進出・
新規業務の開発も積極的に行っています。
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け
て
経営統合の進展
UFJ グループは、総合金融サービスを提供するうえで最適かつ効率的なグループ経営の実現を
めざし、統合作業を着実に進めています。2002 年 1 月 15 日には、三和銀行と東海銀行が合併し、
「UFJ 銀行」が誕生しました。合併と同時にシステム統合も完了しているため、すべての店舗で
共通のサービスをご利用いただけることはもちろん、商品開発などサービス向上に向けた取り
組みや、店舗統廃合による合理化を、効率的に進めていくことができます。一方、東洋信託銀行
も「UFJ 信託銀行」と社名を改め、UFJ 銀行とならぶグループの中核会社として新たなスタートを
切っています。UFJ 信託銀行は、預金・貸出業務を UFJ 銀行に統合し、信託業務に特化する銀行
となる予定です。これによって、両行間の業務の重複を解消するとともに、グループの店舗
ネットワークをさらに有効に活用することで、サービスの向上につなげていきます。
その他のグループ会社の再編・統合も順調に進展しています。各社の事業基盤や強みを融合
することで、
「UFJ つばさ証券」
( ホールセール・リテール証券業務)、
「UFJ パートナーズ投信」
(投資信託運用業務)、
「UFJ アセットマネジメント」
(年金運用業務)、
「UFJ カード」
(クレジットカー
ド業務)など、競争力の高い会社が誕生しました。このほか、シンクタンク、ベンチャーキャピ
タル会社などの統合も完了しています。これらの会社は UFJ グループが総合金融サービスを
提供するうえで重要な役割を果たすとともに、社名に「UFJ」を冠することにより、UFJ ブランド
の浸透にも貢献しています。
法人ビジネス
日本ビジネス
リース
UFJビジネス
ファイナンス
UFJキャピタル
UFJ住宅販売
UFJ
パートナーズ投信
資産運用ビジネス
モビット
UFJ銀行
UFJ
ホールディングス
リテールビジネス
UFJ信託銀行
UFJアセット
マネジメント
プライベート
証券
マネジメント
ユーフィット
U FJ カード
ジェーシービー
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UFJ総合研究所
海外銀行現地法人
カブドットコム証券
UFJつばさ証券
アプラス
海外証券現地法人
市場国際ビジネス
太陽生命
証券ビジネス
日本興亜損保
大同生命
●「フィナンシャル
ワン」
UFJ 銀行、UFJ 信託銀行、大同生命保険、太陽生命保険、日本興亜損害保険、
UFJ つばさ証券の 6 社によるアライアンス(業務提携)。ジェーシービー、アプラ
スの 2 社とも協力関係を結んでいます。
このアライアンスは、業態の異なる各社がそれぞれの持つ専門性や強みを融合
することで、総合金融サービスの提供をめざすものです。その第一歩として、
各社の顧客基盤を最大限に活用するため、クレジットカード業務を UFJ カードに
統合して、ゲートウェイ事業を進めています。
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UFJ グループは、経営統合によって強化された総合金融サービスを提供する力を活かし、
統合効果の発揮
お客さま一人ひとりのニーズに対してこれまで以上に幅広くお応えしていきます。現在は、
UFJ 銀行・UFJ 信託銀行による共同店舗設置や、UFJ 銀行による信託代理業務の取り扱いなどを
通じて、UFJ 銀行のお客さまに証券代行・年金といった財務管理サービスを積極的に提供する
よう努めています。これによって、お客さまに対するサービスが向上することはもちろん、UFJ
グループ自身にとっても収益面のプラス効果が見込まれます。
一方、コストの削減にも努めています。サービス向上と事務効率化を同時に可能にする新しい
システムの導入効果などが期待されるほか、隣接する店舗など店舗ネットワークの見直しや、
グループ内の人員配置の効率化を進めていきます。まず、店舗については、2002 年 3 月末
時点で 517 カ店であった国内本支店数を、従来の削減スケジュールを半年間前倒しし、2003 年
3 月末までに 406 カ店とします。また、従業員数については、2002 年 3 月末時点で 24,205 人で
したが、従来の削減計画に 1,000 人上乗せし、2005 年 3 月末までにこれを 19,000 人台にまで
削減します。こうした取り組みを行うことで、人件費および物件費を削減していきます。
(計数は
いずれも UFJ 銀行、UFJ 信託銀行合算(単体))
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国内本支店数
(単位:店)
450
300
150
0
98/3
02/3
03/3(計画)
従業員数
(単位:千人)
30
20
10
0
98/3
02/3
05/3(計画)
下のグラフは、経営統合が UFJ 銀行、UFJ 信託銀行にもたらす収益増加、経費削減(プラス効果)、
ならびに一時費用・追加経費発生(マイナス効果)の実績・見込みを年度ごとに表したものです。
2002 年 3 月期における統合効果の収支は約 400 億円のマイナスとなっており、また、2003 年
3 月期についても引き続きマイナスを想定しています。これは、三和銀行・東海銀行のシステム
統合に伴う旧システム処分にかかる損失や、店舗統廃合に伴う一時費用の発生などの影響です。
その後、収益面のプラス効果、店舗統廃合や人員削減などによる経費削減効果が徐々に大きく
なります。年間収支は 2004 年 3 月期にプラスに転じ、2007 年 3 月期までの 6 年間累計では、
およそ 2,900 億円のプラス効果が見込まれます。
統合効果
(単位:億円)
2,000
収益増加
人件費削減
物件費削減
プラス統合効果
1,000
33
その他統合コスト
システム統合コスト
0
店舗等統廃合コスト
ネット統合効果累計
統合コスト
-1,000
02/3
03/3(計画)
04/3(計画)
05/3(計画)
06/3(計画)
07/3(計画)
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リテールビジネスにおける取り組み
金融の自由化の進展や、情報技術の発達に伴い、個人のお客さまの金融商品・サービスに対する
ニーズは、ますます多様化しています。UFJ グループは、こうした幅広い金融ニーズに的確に
お応えするため、これまで培ってきたノウハウやグループのネットワークを最大限に活かすとと
もに、新しいサービスの開発も積極的に進めています。ここでは、個人のお客さまの借り入れ、
資産運用ニーズへの対応、そして、店舗をはじめとするチャネル(お客さまとの接点)の改革に
ついて、UFJ 銀行による取り組みを中心にご紹介します。
借り入れニーズへの対応
企業だけでなく、個人のお客さまに対しても安定的に資金を供給することは、まさに銀行として
の重要な役割のひとつです。UFJ 銀行は、ローン商品を豊富に取り揃えるとともに、借りやす
さなど利便性を向上させることで、個人のお客さまの借り入れニーズにお応えしています。
また、消費者金融会社との共同事業により、新しいローン商品の提供も行っています。
個人向け貸出ビジネスの拡大は、UFJ グループ自身の収益力を高めるうえでもたいへん重要な
テーマです。住宅ローンは使途がはっきりしていることもあって、相対的に安全な収益源となり
ます。一方、消費者ローンは高い収益性が見込まれる有望なビジネスです。また、個人向けロー
ンは 1 件あたりの金額が小さく、信用リスクが小口分散していることから、銀行にとってリスク
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み
をコントロールしやすい貸出ポートフォリオ形成に役立ちます。
住宅ローン
UFJ 銀行は、個人向け貸出の中心となる業務として、住宅ローンビジネスに積極的に取り組んで
います。住宅ローンの新規貸出のおよそ 4 分の 3 は、不動産販売業者を通じて受け付けている
住宅ローン残高
(単位:兆円)
ものです。UFJ 銀行では、こうした業者との関係強化を通してローン案件を取り込むことで、
ローン残高の拡大を図っています。また、審査プロセスの効率化、自動審査モデルの高度化によ
4
り、お申し込みを受け付け後、融資の諾否を回答するまでに要する時間を大幅に短縮するなど、
お客さまの利便性向上にも努めています。こうした取り組みの結果、2002 年 3 月期中に 1 兆円を
2
超える新規貸出を行い、期末時点のローン残高は前期末比 4,405 億円増加し、5 兆 4,390 億円と
0
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02/3
なりました。
住宅金融公庫の業務縮小などに伴い、民間の住宅ローンマーケットは今後拡大することが見込ま
れます。UFJ 銀行は、最長 30 年の固定金利選択型ローンなど商品ラインアップの一層の充実に
よって、お客さまのニーズに幅広くお応えするとともに、不動産販売業者向けの営業拠点である
ローンセンターの拡充や、そうした営業活動を支える事務体制の整備に努めることで、ローン
残高の増加、マーケットシェアの拡大につなげていきます。
消費者ローン
UFJ グループにとって、消費者ローンは住宅ローンとならぶ個人向け貸出ビジネスの柱です。
モビット契約口座数と貸出残高
(億円)
プロミス、アプラスとの共同事業による個人向けローン会社「モビット」を中心に残高の増加に
(千口座)
取り組んでいます。
600
90
400
60
感を活かすことで、順調に貸出残高を伸ばしています。2002 年 3 月末時点における貸出残高は
200
30
641 億円、契約口座数は 11 万 3,000 口座となりました。また、地方銀行の個人向けローンに対す
0
る保証業務も取り扱っています。2002 年 3 月末までに地方銀行 8 行からの受託を開始し、保証
2000 年 9 月の営業開始以来、モビットは消費者金融会社のノウハウ、銀行のブランド力と安心
0
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残高は 59 億円となっています。
貸出残高
これまで、モビットはインターネット、電話、ファクスなどの手段でローン申し込みを受け付け
契約口座数
てきました。これらに加えて、2002 年 5 月には UFJ 銀行の無人店舗内に自動申込機の設置を
スタートし、申し込み件数の増加を図っています。
一方、UFJ 銀行では、2002 年 4 月から郵便貯金のキャッシュカードと一体化した「郵貯・UFJ
ジョイントカード」の取り扱いを開始し、UFJ 銀行とお取引のない郵便貯金の利用者にも、UFJ 銀
行のカードローンをご利用いただけるようになりました。
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取
り
組
み
「オールワン」
UFJ 銀行の「オールワン」は、お客さま一人ひとりのライフステージに合わせ、預金・運用商品、各種ローン、
ダイレクトバンキングなど、さまざまな機能やサービスをひとつのパッケージにしたトータルマネーサービスです。
資産構成からローン残高、入出金の状況から運用商品のお取引状況まで、すべてのお取引情報をひとつにまとめた
「総合ステートメント(総合取引明細書)」を毎月お届けするほか、お取引状況に応じて各種手数料の優遇サービスも
受けられます。
また、
「オールワンカード(キャッシュカード)」は、国内の加盟店においてデビットカードとして利用できるほか、
世界 100 カ国以上の ATM・CD にて現地通貨を引き出すこともできます。
1ページ
1月分/
2002年
まことに
、
立てを賜り
につ
ご愛顧お引き
とのお取引き
平素より格別の
あなたさま
ございます。
し上げます。
ありがとう
ご案内申
ますよう、
次のとおり
きまして、
立てください
銀行をお引き
今後ともUFJ
申し上げます。
よろしくお願い
ートメント
総合ステ
オールワン 1―1
手町1―
代田区大
東京都千
ター
オールワン顧客数と預り資産残高
東京事務セン
UFJ銀行
株式会社 114
郎 様
佐藤 一
(万人)
―8
1―1
〒100
営業部)
手町1―
店 東京
代田区大
東京都千
(お取扱
さい】
必ずお読みくだ
トメント留意事項を
っては総合ステー
ントのご利用にあた
【本ステートメ
(兆円)
1.お預り
100
5
80
4
資産・お
借入れの
円
5,420,332 円
3,124,630
産の合計
料
A お預り資
□
ATM利用手数
高
手数料・他行
の合計残
50ポイント】
本支店間振込
B お借入れ
ポイント 1
□
ルワン取引
利用手数料・
3
2
40
332円
5,420,
内訳〉・合計
り資産の
A お預
〈□
1
0
0
1.507%
ユーロ
1%
〈通貨別〉
米ドル
15%
円
84%
円貨定期
55%
円貨投信
24%
外貨定期
7%
円貨普通
5%
B お借
〈□
)
1月末現在
(2002年
124,630円
合計 3,
訳〉・
入れの内
住宅ローン
97%
ン
カードロー
3%
20
)①
)
(試算値
総合利回り 高 3,371,398円
象残
(計算対
)②
)
(試算値
総合利回り 高 4,121,513円
象残
(計算対
【オー
時間外
3月当行ATM
2002年
す。
が優遇されま
〈商品別〉 外貨投信
9%
60
残高
ください
事項をご参照
トメント留意
総合ステー
1.760%
きましては
計算式等につ
)
1月末現在
(2002年
高
入れの残
産とお借
お預り資
残高
〈毎月の推
0円
越
1,654,00
総合口座貸
)
限度額(※
0円
①ご利用可能
0円
1,654,00
②ご利用額
額(=①−②)
能限度額は
①のご利用可
③ご利用可能
合、
用の場
期担保をご利 れます。
・外貨定
見直さ
(※)投信
銀行営業日に
毎月最終
移状況〉
(単位:万円)
A
計額 □
お預り資産の合
1,000
800
B
計額 □
お借入れの合
600
99/3
99/9
00/3
00/9
01/3
01/9
02/3
400
200
0
顧客数
預り残高
在
2001/ 8月末現
在
2001/ 9月末現
在
2001/10月末現
在
2001/11月末現
在
2001/12月末現
在
2002/ 1月末現
資産運用ニーズへの対応
歴史的な低金利が続くなか、UFJ グループは個人のお客さまのさまざまな資産運用ニーズに
お応えするため、総合金融グループとしての機能を活かし、幅広いサービスを提供しています。
UFJ 銀行では、円預金はもちろんのこと、外貨預金や投資信託など、運用商品を豊富に取り揃え
ているほか、銀行窓口における販売担当者、および富裕層のお客さま向けの営業担当者を増強
するなど、販売体制の強化も進めてきました。
その結果、2002 年 3 月期末における個人のお客さまからの投資信託預り資産残高は前期末比
761 億円増加し、5,679 億円となりました。
UFJ ダイレクト契約者数
(単位:千件)
このほか、UFJ グループでは、UFJ 信託銀行がさまざまな信託商品を提供しており、また、UFJ
つばさ証券、カブドットコム証券が株式・債券・投資信託などの販売に力を入れています。
1,500
1,000
チャネル(お客さまとの接点)の改革へ
500
インターネットや携帯電話の普及、情報技術の発達に伴い、お客さまは銀行の店舗で取り
0
扱うサービスの多くをパソコンや携帯電話を通して利用できるようになりました。一方、銀行
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の店舗も各種相談サービスをご利用いただくうえで重要なチャネルであることに変わりは
ありません。UFJ 銀行では、お客さまの利便性向上を図るため、一部の店舗において窓口営業時
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組
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間の延長や休日営業を開始したほか、窓口営業時間以外でも口座開設や住所変更などを行える
テレビ電話窓口「ACM」
(自動応対サービス機)を ATM コーナーなどに設置しています。これらの
チャネル改革を進めることにより、
「いつでも」
「どこでも」銀行の商品・サービスをご利用いただ
ける態勢を整えていきます。
ダイレクトチャネル普及への対応
UFJ 銀行のダイレクトバンキングサービス「UFJ ダイレクト」は、自宅や職場にいながら、原則
24 時間、電話・インターネット・携帯電話などを通じ、残高照会や振込、外貨預金、投資信託、
ローンなど幅広いお取引が可能な利便性の高いサービスです。多忙で店舗に行く時間のない
ビジネスマンの方々を中心に、契約されるお客さまが急速に増えてきています。
(2002 年 6 月
現在「UFJ ダイレクト」契約者数は約 210 万件)
UFJ 銀行では、安心してご利用いただけるよう万全のセキュリティ対策をつくすことはもちろん、
つねに最も便利で使いやすい機能を提供しているほか、お得な振込手数料を設定するなど、
ダイレクトチャネルでのサービス普及に努めてきました。具体的には、総合口座をお持ちの
お客さまであれば印鑑・書類なしで「UFJ ダイレクト」のお申込みが簡単にできるほか、簡単で
便利なネット完結型決済サービスの提携加盟店を拡大するなど、機能の充実やサービスの向上に
積極的に取り組んでいます。
有人店舗の変革
有人店舗に対するお客さまのニーズは、曜日・時間帯・立地条件などによりさまざまです。銀行
の店舗で取り扱うサービスの多くはダイレクトバンキングでもご利用いただけるため、有人店舗
の役割として、各種相談業務を中心とした対面でのサービスがますます重要となっています。
UFJ 銀行では、イメージ処理など最新の情報技術を活用した新営業店システム「FITS21」の導入
店頭 CRM システム
お客さまにお薦めした商品・サービ
により、窓口担当者の事務負担を軽減し、お客さまへの運用アドバイスなどに専念できる体制を
スやお客さまのニーズを、ネットワー
整えています。また、
「店頭 CRM システム」を導入することで、お客さま一人ひとりのニーズに
クを活用して営業店の窓口担当者が
合った商品・サービスをタイムリーにお薦めすることが可能になりました。
共有化するしくみです。窓口に限ら
ず、ダイレクトメールなどのご案内履
曜日・時間帯・立地条件などによりさまざまなニーズへの対応も進めています。具体的には、
歴なども共有化することで、お客さ
「窓口営業時間中に相談に行けない」というお客さまの声を反映し、一部の店舗において窓口
ま一人ひとりのニーズにあった商品・
営業時間の延長や休日営業も開始しています。加えて、お客さまのニーズにさらにきめ細かく
サービスをタイムリーにご紹介する
対応するため、ショッピングセンター内にいわゆる「インストアブランチ」
(現在 4 店舗)を設置し
ことが可能となります。
ているほか、UFJ 銀行・UFJ 信託銀行の共同店舗(6 店舗)、住宅ローン専門のチャネルとして
「ローンプラザ」
(1 店舗)、外貨両替専門の「外貨両替ショップ」
(4 店舗)などを展開しています。
無人店舗(ATM コーナー)の展開
これまで UFJ グループは、お客さまの現金引出しニーズなどにお応えするため、無人店舗を
多数設置し、有人店舗ネットワークを補完してきました。2002 年 3 月末時点での無人店舗数は
UFJ 銀行・UFJ 信託銀行合わせて 1,444 となっています。また、郵便局やクレジット会社との
提携により、キャッシュポイントの充実に努めているほか、セブンイレブン、ローソンに設置
されている ATM も 24 時間ご利用いただけます。
また、ATM 機能の充実にも積極的に取り組んでいます。UFJ 銀行の ATM では、通帳の繰越が
可能なほか、外貨預金などの運用商品も取り扱っています。
ACM(自動応対サービス機)
ACM(Automated Consulting and contract Machine)は、お客さまがテレビ電話を
通じてオペレーターにアクセスすることで、銀行の窓口と同様に各種お手続きが
できる UFJ 銀行独自の新しいシステムです。UFJ 銀行の 254 カ店に 362 台(2002
年 6 月 30 日現在)設置されており、銀行窓口終了後および休日も、口座開設や
住所変更、キャッシュカード・通帳の喪失・発見のお届け、住宅ローンの一部返済
などを取り扱っています。また、お取引店以外での手続きも可能なため、お客さ
まの利便性は飛躍的に向上します。
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取
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み
法人ビジネスにおける取り組み
UFJ グループでは、企業のお客さまのニーズに的確にお応えするとともに、お客さまの企業価値
向上と事業発展のお役に立てる最適な機能・サービスをスピーディに提供できる「ベストソリュー
ションバンク」をめざしています。ここでは、UFJ 銀行による取り組みを中心にご紹介します。
まず、中堅・中小企業のお客さまには、貸出を中心に、決済・外国為替関連など、日々のビジ
ネスニーズに対応したサービスを提供しているほか、事業承継や海外進出ニーズにも、これまで
蓄積してきたノウハウを活用してお応えしています。
一方、大企業・公開企業のお客さまには、資金調達の多様化、事務効率の改善などのニーズに
対して、シンジケートローン、M&A、資産・債権の流動化、CMS(キャッシュ・マネジメントサー
MBO
マネジメント・バイアウト(Management
ビス)などの決済サービスなど、付加価値の高い金融サービスの提供を進めています。
Buy-out)の略。企業の事業部門や子
会社の現在の経営陣が当該事業部門
や子会社の営業資産あるいは株式を
買収すること。通常、経営陣が買収
の対象となる資産を担保として、買
資金調達ニーズへの対応
運転資金・設備資金はもちろん、企業買収資金やプロジェクト向け資金など、企業のお客さまの
多様化する資金調達ニーズに対し、円滑かつ安定的な資金供給によってお応えすることは、銀行
収資金を借入れでまかないます。
の社会的使命であると考えています。UFJ 銀行では、金利・期間・返済方法など資金調達に
かかるさまざまなニーズに対応するため、通常の貸出に加え、MBO、PFI などに代表される事業
PFI
38
プライベート・ファイナンス・イニシ
ア ティヴ( Private Finance Initiative)
法
人
ビ
ジ
ネ
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に
お
け
る
取
り
組
み
金融や、貸出債権を銀行が流動化することを前提とする貸出、シンジケートローン、CBO・CLO
といった与信スキームにも積極的に取り組んでいます。
の略。公共施設等の建設、維持管理、
運営等を民間の資金、経営ノウハウ
および技術力を活用して行うもの。国
や地方公共団体の事業コストの削減、
質の高い公共サービスの提供をねら
シンジケートローン
(件数)
(億円)
90
30
60
20
30
10
いとします。
CBO・CLO
CBO は債券担保証券(Collateralized
Bond Obligation)、CLO はローン担保
0
0
01/3
証券(Collateralized Loan Obligation)
アレンジ件数
の略。CBO では複数の会社の発行す
業務粗利益
る社債を担保に、CLO では複数の会
社に対する貸出債権を担保に、証券
を発行します。投資家は複数の会社
の社債・貸出債権を担保とすること
で、リスクを分散させることができ
ます。
01/9
02/3
事業金融への取り組み
事業金融とは、プロジェクト・ファイナンスや MBO、不動産ノンリコースローンなど、特定の
事業や資産から生み出される収益・キャッシュフローを返済原資とするファイナンス手法のこと
です。企業にとっては、特定事業に伴うリスクが本業に及ぼす影響を限定できるだけでなく、
バランスシートに与える影響を抑えての資金調達が可能となります。従来は海外で利用されて
きましたが、1998 年に三和銀行(現 UFJ 銀行)が国内初のプロジェクト・ファイナンス案件に調印
して以来、企業の事業再構築やバランスシートスリム化のニーズともマッチし、国内でも大企業
を中心に、さまざまな形態の事業金融へのニーズが高まっています。
こうしたニーズにお応えしていくため事業金融に積極的に取り組んできた結果、UFJ 銀行の
革新的な提案はマーケットでも高く評価されています。
例えば UFJ 銀行がファイナンシャルアドバイザー兼アレンジャーとして取りまとめを行った神戸
製鋼所の電力卸供給事業向けプロジェクト・ファイナンスは、日本では最大規模のものであり、
プロジェクト・ファイナンス専門誌「プロジェクト・ファイナンス・インターナショナル」で、2001
年度のアジアパシフィック地域における発電事業向けファイナンス案件の年間最優秀賞にあたる
「パワー・ディール・オブ・ザ・イヤー」に、また、
「プロジェクト・ファイナンス・マガジン」でも
2001 年度のアジアの電力部門における「ディール・オブ・ザ・イヤー」に選出されました。
39
このようなファイナンスを国内で組成するにあたっては、UFJ 銀行が、これまで海外で培って
きたノウハウが役立っています。
神戸製鋼所の電力卸供給プロジェクト全景
法
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お
け
る
取
り
組
み
ソリューションビジネスへの取り組み
銀行には、資金供給者としての役割から一歩進んだソリューション(課題解決)の提案力が求めら
れています。お客さまのニーズは、資金調達以外にも、海外進出、事業再編、事業承継など多岐
にわたります。UFJ グループは、グループのもつ総合金融機能を組み合わせて提供することで、
企業のお客さまの経営課題解決に結びつけていく、いわゆる「ソリューションビジネス」に
積極的に取り組んでいます。
UFJ 銀行では、お客さまに最適なソリューションを迅速に提供するため、
「カスタマー・ソリュー
ション・データベース(CSDB)」を開発しました。 お客さまのニーズは支店担当者によりデータ
ベースに入力され、同時に本部の専門部署と共有されることにより、課題解決に適した専門的
アドバイスをいち早くご提供することが可能になりました。
ここでは、UFJ 銀行が提供するソリューションのうち、主なものをいくつかご紹介します。
決済サービス
これまでの決済サービスは、資金移動の仲介を行うだけのものが主体でした。UFJ グループで
は、これらの従来銀行が担ってきた「決済」機能に「与信」
「事務合理化」
「認証」などの機能を付加
することで、一歩進んだソリューションの提供を可能にしました。
40
例えば、委託販売の際に役立つ売上金保全サービス「ロックアカウント」は、最終販売先から回収
法
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ス
に
お
け
る
取
り
組
み
した売上金をUFJ 銀行が受領し、
「ロックアカウント」
(引出制限口座)に入金、委託販売先に対する
ロックアカウントのスキーム図
商品
最終販売先
商品
委託販売先
(1)’
委託販売先の
口座を通す方法も
可能です。
(1)売上金受領
UFJ銀行
ロックアカウント
(2)売上金保全
委託販売元
(4)販売手数料
(3)売上金
(販売先受取手数料
差引後)
販売手数料を差し引いた上で、委託販売元に売上金を入金するサービスです。 このサービスでは、
委託販売元と委託販売先の間に銀行が入ることで、委託販売先の信用力を補完しています。
また、給与計算サービス「スーパーペイロール」は、煩雑な給与・賞与計算事務や給与振込み
だけでなく、マスターデータの保管、給与明細の封入・封緘作業まで UFJ グループで請け負う
サービスです。 この他にも、アウトソーシングニーズの高い事務を中心に、お客さまの事務
効率化に役立つ商品をご提供しています。
グローバル CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)は、海外にあるお客さまの口座の残高
照会や資金移動、取引一覧照会、輸入信用状発行受付などをパソコンを通じて可能とするサー
ビスです。このサービスはお客さまの本社・地域統括会社による支社の資金の集中管理に役立
っています。また、プーリングやネッティング機能を持つグローバル TMS(トレジャリー・マネジ
メント・サービス)や、ドイツ銀行との提携による欧州 CMS など、クロスボーダーでのグループ
資金一元管理ニーズへの対応にもいち早く取り組んでいます。
外国為替関連サービス
書類の授受による取引が中心であった貿易の世界でも、情報技術化が急速に進んでいます。
サプライチェーンマネジメント
特にアジアにおいては、多くの企業が、韓国、中国、台湾などの国々を網羅したサプライチェー
受発注・原材料調達・在庫管理・配
ンマネジメントへの取り組みを進めています。 このような動きの中で、多くの書類のやりとり
送の一連の流れを、情報技術を駆使
による煩雑な貿易業務の効率化や、物流に連動した資金決済、およびファイナンスに対する
して統合管理し企業の経営合理化を
図る手法。企業がグローバルなビジ
ニーズが高まっています。
ネスを展開するなか、国内ー海外あ
UFJ 銀行では、船荷証券、各種貿易書類の電子化をねらいとした「Bolero(ボレロ)」に早い時期か
るいは海外ー海外間の効率的な物流
ら参加するとともに、
「Identrus(アイデントラス)」電子認証プロジェクトにも中核メンバーとし
システムの構築を進めている企業が
増えています。
て参加するなど、お客さまのサプライチェーンマネジメントに役立つ決済・与信サービスの提供
に向け準備を進めています。
(次ページのボレロの概念図をご参照ください)
Bolero(ボレロ)
Bill of Lading Electronic Register
Organization の略。国際的な金融機
関の通信ネットワークを運営する
S W I F T と、運送業者・港湾当局の
相互保険組合である TT クラブが推進
母体となっている世界的な貿易金融
EDI( Electronic Data Interchange)
プロジェクトです。
41
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み
ボレロの概念図
<輸出地>
<輸入地>
船会社
船会社
Identrus(アイデントラス)電子認証
電子船荷証券
アイデントラス電子認証とは、
「世界
電子船荷証券
共通の電子認証規格」を実現するため
荷主
(商社・メーカー)
に 1999 年春に日米欧の金融機関が設
ボレロネットワーク
立したアイデントラス社が推進する
荷受人
(商社・メーカー)
電子認証スキームのことです。アイ
電子船荷証券・送り状等
デントラス電子認証は、
(1)デジタル
電子船荷証券・送り状等
証明書の有効性確認がリアルタイム
で行えること、
(2)1 枚のデジタル証
電子船荷証券・送り状等
明書があらゆる商取引で利用できる
銀行
銀行
こと、の2 つが大きな特徴です。
42
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組
み
財務管理サービス
UFJ 銀行では、
「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」の改正を受け、2002 年 3 月 1 日
より、UFJ 信託銀行の代理店として信託代理業務を開始し、証券代行業務・年金信託・金銭債権
信託・動産信託・有価証券信託・特定金銭信託・特定金外信託および不動産信託(一部の不動産
信託関連業務を除きます)を取り扱っています。これにより、UFJ 銀行は、UFJ 信託銀行のもつ
信託機能を最大限活用し、多様なソリューションをお客さまに直接提供することが可能となり
ました。信託代理業務の取扱店舗には、UFJ 信託銀行からの出向者など、財務管理サービス専門
の営業担当者を配置し、お客さまに満足していただけるサービスの提供に努めています。
(財務
管理サービスについては、44 ∼ 45 ページをご覧ください)
成長企業の支援に向けた取り組み
UFJ グループ各行は、1983 年に財団法人三和ベンチャー育成基金(現 UFJ ベンチャー育成基金)、
1999 年に東海ニューフロンティア企業育成基金(現 UFJ ニューフロンティア企業育成基金)を設
置するなど、従来からさまざまな形で有望なベンチャー企業・事業の発掘と支援・育成を行って
きました。このような実績をもとに、UFJ 銀行のスタートに合わせて成長企業支援室を設置し、
株式上場をめざすなど成長の見込まれる企業に対して、成長段階に応じたソリューションを提供
しています。また、総合金融グループとして、UFJ 銀行、UFJ 信託銀行、UFJ キャピタル、UFJ
つばさ証券などのグループ会社が連携し、ベンチャーキャピタル投資、株式上場のアドバイス
業務、それに続く株式上場、証券代行など、専門性を必要とする一連の金融サービスを提供して
います。
市場関連ビジネス、国際ビジネスにおける取り組み
UFJ 銀行は市場関連業務として、トレーディング、バンキング業務に加え、高度な金融手法を
駆使したデリバティブ商品の開発・提供を行っています。事業から生じるさまざまなリスクを
回避したいお客さまには天候デリバティブやエネルギーデリバティブなどの事業に関わるリスク
ヘッジ商品を提供、低金利の環境において少しでも有利な資産運用を行いたいというお客さま
には通貨オプション付外貨預金などニーズをとらえた運用商品を提供しています。
一方、国際業務に関しては、アジア・中国をはじめ 20 カ国 34 都市に広がるグループのネット
ワークを活かし、日系企業のお客さまに対する貸出・決済サービスや、海外進出サポートに力を
入れています。また、MBO、プロジェクト・ファイナンスをはじめとする事業金融や、貿易金融
などのストラクチャード・ファイナンスにも取り組み、これまで海外で培ってきた金融手法を
国内マーケットへも展開しています。
中国におけるビジネス展開
日系企業にとって、アジア、特に WTO 加盟を果たした中国はこれから高い成長が見込まれる
マーケットです。UFJ 銀行は従来から、お客さまの進出意欲の強い中国におけるネットワークの
充実に積極的に取り組んできました。
旧三和銀行が 1986 年に深
に支店を開設して以来、次第に拠点網を拡大し、現在は中国国内
(香港特別行政区を除く)に 5 支店(北京、大連、天津、上海、深
)、1 駐在員事務所(広州)を
有しています。地域的にも、華北に 3 支店、華東 1 支店、華南 1 支店・1 駐在員事務所とバランス
よく展開しており、中国各地での情報収集およびお客さまの営業支援に役立っています。
これらの支店では、外貨建ての預金・貸出及び為替業務、人民元と外貨との両替業務のほか、
お客さまの資金効率性の向上に役立つグローバル CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を
提供しています。 さらに、上海、深
の両支店に加え、2002 年 6 月には天津支店が同市に
進出している外国銀行の支店としては初めて人民元業務(人民元建ての預金・貸出・為替などの
業務)の取り扱いの認可を取得するなど、中国国内で業務展開をしているお客さまの利便性の
向上を図っています。
北京支店
大連支店
天津支店
上海支店
深 支店
香港支店
広州駐在員事務所
43
市
場
関
連
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、
国
際
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信託ビジネスにおける取り組み
UFJ 信託銀行が提供する財務管理サービスとは、証券投資信託や年金信託などの信託サービス、
日本マスタートラスト信託銀行株式会社
および証券代行、不動産関連、遺言・相続関連などのサービスを指します。UFJ 信託銀行では、
東京都港区浜松町 2-11-3
信託代理店制度の活用や共同店舗の設置を通じ、UFJ 銀行のお客さまの財務管理サービスに
資本金:
100 億円
対するニーズにも広くお応えしています。また今後は、預金・貸出業務を UFJ 銀行に統合する
株主構成:
UFJ 信託銀行
29 %
三菱信託銀行
29 %
ことにより、UFJ 信託銀行は、財務管理サービスに特化した信託銀行として、さらに高度なサー
日本生命保険
29 %
ビスの提供と効率的な業務展開をめざしていきます。ここでは、それぞれの財務管理サービス
明治生命保険
10 %
本社:
ドイツ銀行
事業内容:
3%
ごとに、サービス内容と、新しい取り組みについてご説明します。
有価証券管理業務、
「日本版
マスタートラスト」業務、
確定拠出年金制度における
資産管理機関業務
(2002 年 3 月 31 日現在)
● 証券信託
UFJ 信託銀行では、お客さまによる有価証券の運用・管理・活用ニーズに対して、資産管理機能
(カストディ機能)を活用してお応えしています。お客さまは、有価証券管理事務の省力化を図る
ことができ、また、時価会計や証券決済制度改革への対応も容易になります。具体的には、証券
投資信託委託会社の運用指図に基づいて信託財産の運用・管理を行う「証券投資信託」、お客さま
またはお客さまの代理人である運用機関の運用指図に基づいて信託財産の運用・管理を行う
日本版マスタートラスト
「特定金銭信託」
「特定金外信託」、お客さまが保有する有価証券の貸付運用・管理を行う「運用
複数の受託機関の資産をひとつの信
有価証券信託」などのサービスを提供しています。なかでも証券投資信託は国内の投資信託残高
託銀行(トラスティ)が集約・管理する
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信
託
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サービス。複数の機関に分かれてい
の約 4 分の 1 を受託しているなど、業界トップの実績をあげています。
た情報の統合、有価証券の保管・決済
今後に向けた取り組みとして、
「日本マスタートラスト信託銀行」を中心に、証券決済制度改革や
などの効率化、資産の効率的運用な
日本版マスタートラスト業務への対応を進めています。より高度化・多様化するお客さまのニー
どのメリットがあります。
ズにスピーディかつ的確に対応するとともに、業務運営の一層の効率化をめざしていきます。
株主総会の IT 化
● 証券代行
2002 年 4 月 1 日施行の商法改正で、株
証券代行とは、株式の名義書換、配当金支払い、株主名簿の管理など、株式に関する事務を扱う
主の承諾を前提とした招集通知の電子
サービスです。また、豊富な経験と実績をもとに株式公開のための事務手続きなどを代行し、
化、議決権行使等の電子化(インター
ネットの利用)が認められることにな
幹事証券会社や監査法人とともに株式公開をサポートします。
りました。なお、本邦初の議決権行使
さらには、株主総会 IT 化への対応や、外国人株主向けに日本企業の総会関連情報をインター
IT 化(2002 年 5 月)は、UFJ 信託銀行が
ネットで提供するサービスなど、法制度や環境の変化に応じた新サービスを他社に先がけて提供
手がけています。
しています。また、株式実務を中心とした情報を提供するために、セミナーの開催、レポートの
発行を行っています。
証券代行委託会社数
業界のパイオニアとしてのブランド力、コンサルティング機能の充実、東京・大阪・名古屋の
(単位:社)
3 拠点体制による充実したサービス網、新サービス提供への取り組みは高く評価されており、
1,500
2002 年 3 月末時点での受託社数は 1,749 社で業界トップとなりました。
1,000
● 年金関連
500
UFJ 信託銀行では、確定給付年金(「厚生年金基金信託」
・
「適格退職年金信託」
・
「確定給付企業
0
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受託会社数
うち公開会社数
02/3
年金信託」)および確定拠出年金(企業型)を取り扱っており、退職金制度・年金制度の設計に
関するアドバイス、制度の管理・運営、年金資産の運用・管理など、企業年金制度全般にわたる
サービスを提供しています。
また、確定拠出年金制度の導入など企業年金制度の多様化に対応した「制度コンサルティング」
や、年金資産の効率的な運用のアドバイスを行う「運用コンサルティング」など、コンサルティン
グサービスにも力を入れています。さらに、各種セミナーの開催や「UFJ 年金ニュース」の発行
などによる情報提供、
「キャッシュバランスプラン」、
「マスタートラスト」などの新たな業務・
キャッシュバランスプラン
確定給付年金と確定拠出年金の両方
の特徴を併せ持つ年金制度(混合型年
サービスにも積極的に取り組んでいます。
● 不動産関連
金制度)の代表的な形態。確定給付企
業年金法の施行により、本年 4 月から
UFJ 信託銀行では、グループ会社などの機能も活用しながら、お客さまの多様化・高度化する
導入が可能となったもので、UFJ 信託
不動産関連ニーズにスピーディかつ適切にお応えしています。具体的には、オフィスビル・投資
銀行でも取り扱いを開始しました。
用物件・工場・倉庫・商業施設などの業務用不動産の売買・賃貸借の「仲介」を行うとともに、
マンション・一戸建住宅について、デベロッパーとの「販売提携」を通じて優良な分譲物件をあっ
せん・提供しています。
また、不動産鑑定士(同士補)による「鑑定評価」、遊休地の有効利用、隣接地の所有者との敷地
の一体開発、借地および底地の交換や買い取りの媒介といった「不動産コンサルティング」、不動
産を債券等の有価証券に転換することにより、お客さまの資金調達ニーズなどに応える「不動産
証券化」などにも積極的に取り組んでいます。
一括支払信託
● 資産流動化
多数の納入企業(委託者)が、納入先
UFJ 信託銀行では、主に売掛債権や手形債権などの金銭債権を対象に、お客さまの資産流動化
に対する売掛金を信託銀行(受託者)
ニーズにお応えしています。お客さま(委託者)は金銭債権を信託譲渡し、その債権の信用力を
に対して信託譲渡し、その受益権を
投資家に販売する流動化スキーム。
裏付けとした信託受益権を投資家に販売することにより、資金調達を図ることができます。
委託を受けた信託銀行が煩雑な支払
一方、投資家は信託受益権という新たな運用商品を手にすることができます。
「一括支払信託」
事務を代行するため、支払企業にと
スキームをはじめ多種の品揃えにより、お客さまのニーズに合わせた商品のアレンジが可能で
っては、事務の合理化につながりま
す。一方、納入企業にとっても、受益
権を販売することで安定的な資金調
達が可能になります。
す。信託方式に加え、資産を担保としたコマーシャルペーパー方式(ABCP 方式)も取り扱って
いるほか、リース会社の保有する OA 機器などの多数のリース資産を一括して受託・賃貸する
「リース・プロパティ信託」も提供しています。
● 個人財務管理
個人のお客さまを対象に不動産の有効活用や資産運用に関するサービスを提供しています。
遺言信託の受託件数
(単位:件)
また、遺言・相続に関するサービスとして、遺言作成や財産分与についてのコンサルティング、
遺言書の保管から遺言の内容を実現する「遺言執行(1)」および「遺産整理(2)」を行っています。
4,000
3,000
UFJ 信託銀行の店舗に加え、UFJ 銀行との共同店舗も活用して、お客さまの利便性向上を図って
2,000
います。
1,000
また、
「フィナンシャル ワン」メンバー企業が共同で設立した「プライベート証券マネジメント」
を通じて、資産承継・資産運用等に関するコンサルティング業務を行っています。
0
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(1)遺言書作成のご相談から遺言書の保管、遺言の執行までをお引き受けし、大切な財産の承継をサポートして
います。
(2)相続人の方に代わって、財産目録の作成、遺産分割協議書に基づく諸手続き、残された財産の運用プランの
作成などを行います。
45
信
託
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み
資産運用ビジネスにおける取り組み
UFJ グループの資産運用ビジネスは、商品やサービスの内容により 2 つに分けられます。まず、
UFJ 信託銀行および UFJ アセットマネジメントが「受託資産運用」を担い、企業年金や公的年金の
運用を受託しています。一方、UFJ パートナーズ投信は「投資信託運用」を行っています。
● 受託資産運用
UFJ 信託銀行では、バランス型アクティブ運用と、バランス型パッシブ運用を中心に行ってい
UFJ 信託銀行運用残高
(単位:兆円)
ます。特に運用対象資産の配分においては、UFJ グループの資産運用ビジネスにおける中心的
役割を担うとともに、制度面を含めたコンサルティング業務を提供しています。独自に開発した
4
グローバル均衡モデルにより、お客さまのニーズに応じて長期的な資産配分を決定すると
2
ともに、お客さまの許容リスクの範囲内において、短期的な市場予想を加味した運用を行って
います。
0
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また、2002 年 6 月には、新たに米有力投資顧問会社ブリッジウォーター・アソシエイツ社
*
年金信託
(Bridgewater Associates)と業務提携しました。これは、為替オーバーレイ運用 という為替
公的年金
変動リスクマネジメントを取り入れることで、より高度で安定的な外貨建て資産運用を行うこと
をねらいとしたものです。
UFJ アセットマネジメント運用残高
(単位:兆円)
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資
産
運
用
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み
*外貨建て資産費用における
「為替部分」の運用を、高度なノウハウを有する外部の専門機関に委託する為替管理
手法です。
1.5
一方、UFJ アセットマネジメントは、株式などへの特化型アクティブ運用を行い、特徴ある
1.0
運用を求められるお客さまのご要望にお応えしています。グループの投資顧問業務を統合した
0.5
ことにより強化された運用力を活かし、グループの他の運用会社とも連携しながら、より一層
洗練された運用、サービスの提供を行っていきます。2001 年 12 月末では、投資顧問年金受託
0
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残高は国内第 6 位となっています。
年金
その他
ブリッジウォーター・アソシエイツ社 (Bridgewater Associates)
UFJパートナーズ運用残高
本社:
米国コネチカット州ウエストポート市
設立:
1975 年
運用資産:
334 億米ドル(うち為替オーバーレイ 157 億米ドル)
(2001 年 12 月 31 日現在)
(単位:兆円)
● 投資信託運用
2
UFJ パートナーズ投信は、預り資産残高で国内第 5 位の投信会社です。グループ内の投信運用業
務を統合したことにより強化された運用力のさらなる充実を図っています。また、商品ライン
1
アップの拡充に向け、株式投信、公社債投信に加え、海外の資産運用会社と共同での商品開発に
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も取り組んでいます。
株式投信
今後は、UFJ 銀行や UFJ つばさ証券などとの連携を強化することにより、商品提供力を強化して
公社債投信ほか
いきます。
証券ビジネスにおける取り組み
証券ビジネスは、UFJ グループの総合金融戦略の大きな柱のひとつです。国内には「UFJ つばさ
証券」とオンライン証券業務を行う「カブドットコム証券」が、海外には証券現地法人があり、
国内外の法人、個人のお客さまのさまざまな証券ニーズにお応えしています。
● UFJ つばさ証券
「UFJ つばさ証券」は 2002 年 6 月 1 日、UFJ キャピタルマーケッツ証券とつばさ証券が合併して
誕生した総合証券会社です。旧 UFJ キャピタルマーケッツ証券の商品開発・提案力と、旧つばさ
証券の充実した店舗網・営業力が融合したことで、国内外の公社債や流動化商品などの債券
セカンダリー業務が強化されたほか、成長企業の IPO(新規株式公開)のニーズに積極的にお応
えしています。また、今後は不動産ファンド、プライベートエクイティなどの新規ビジネスも
UFJ つばさ証券の
国内店舗ネットワーク
展開していく予定です。
● 北海道・東北
5 カ店
● 甲信越・北陸
9 カ店
また、国内最大規模の店舗ネットワーク(126 カ店)を有しているほか、インターネットや電話で
のお取引もできるなど、お客さまの幅広いニーズに対応できる体制を整えています。
● 関東
34 カ店
● 東京
28 カ店
● 東海
15 カ店
ことによる統合効果を早期に実現し、高い事業競争力を背景に、お客さまから支持される証券
● 近畿
23 カ店
会社をめざしていきます。
● 中国・四国
8 カ店
● 九州
4 カ店
UFJ つばさ証券は、グループの中核会社として、ホールセール証券、リテール証券を一体化した
UFJ つばさ証券株式会社
(2002 年 6 月 30 日現在)
本社:
東京都千代田区大手町 1-1-3
資本金:
251 億円
株主構成:
UFJ 銀行 61.6 %、UFJ 信託銀行 6.1 %、UFJ パートナーズ投信 3.6 %
2001 年度ランキング(UFJ キャピタルマーケッツ・つばさ証券合算ベース)
■
預り資産残高 第 6 位(金融財政事情調べ)
■
東証売買高シェア 第 4 位(各社公表資料より)
■
IPO 引受参加率 第 3 位(金融ファクシミリ新聞調べ)
■
SB 総引受額 第 6 位(Deal Watch)
■
国内 ABS 総引受額 第 4 位(Deal Watch)
47
証
券
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● カブドットコム証券
オンライン証券会社のカブドットコム証券は、2001 年 4 月の合併・誕生以来、順調に業容を拡大
しています。2002 年 4 月末には、口座数が約 9 万口座となり、オンライン証券会社では第 4 位と
カブドットコム口座数
(単位:口座)
なっています。2002 年 2 月からは新たに信用取引サービスを開始しました。カブドットコム
証券の高度な技術力やセキュリティを背景とした「逆指値」や「ワンウェイ手数料」などの独自の
75,000
サービスは、多くのお客さまからご好評をいただいているとともに、オンライン証券の評価
50,000
サイトなどでもトップクラスの評価を得ています。ゴメス社 2002 年春期オンライン証券ラン
25,000
キングでは、
「機能性・使いやすさ」で第 1 位、
「安定性と信頼感」
「情報量とコンテンツ」で第 3 位、
総合では第 4 位となりました。
0
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● 海外証券現地法人
UFJ グループはロンドン(「UFJ インターナショナルピーエルシー」
「 UFJ つばさヨーロッパ・
リミテッド」)、香港(「UFJ インターナショナル・ファイナンス・アジア」
「UFJ インベストメンツ・
アジア」
「UFJ つばさセキュリティーズ・アジア」)、スイス(「スイス UFJ 銀行」)の 3 地域に証券
現地法人を設置しています。これらの海外拠点では内外企業の資金調達、投資家への先端金融
商品やプライベート・バンキング機能の提供、日本株の海外での販売など、お客さまの幅広い
金融ニーズにお応えする体制を整えています。
48
証
券
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組
み
逆指値
株価が売買注文時から「指定の株価
まで下落したら売り」
「指定の株価
まで上昇したら買い」とする注文形態
のこと。 通常の指値注文と反対の形
態であるため「逆指値注文」と呼ばれ
ています。
http://www.kabu.com/
ALM(資産・負債の総合管理)について
A L M(Asset and Liability Management)とは、財務の安定性の維持と収益の増加を図るために、預金・貸出から生じる金利リスク
および資金流動性リスクを能動的に管理することをいいます。UFJ グループでは、急激な金融・経済環境の変化に際しても、
安定的な財務運営を維持することに ALM の主眼をおいています。
UFJ グループの ALM 方針は、経営会議において審議・策定されます。経営会議では、金融・経済環境の将来見通しや、収益・
資金計画、ヘッジ方針など、ALM にかかわる全ての事項を審議・決定しています。日々の ALM 運営は担当部署によって行われ、
リスク管理部署がこれをモニタリングしています。そして、突発的な市場の動きに迅速に対応するために、モニタリングの
結果は、日々経営陣に報告されています。また、ALM の運営状況は、毎月 1 回経営レベルで精査され、必要に応じて方針の
見直しが行われています。
金利リスク
UFJ グループにとっての収益の根幹である資金収益は、市場金利の動向に左右されやすい側面を
持っています。UFJ グループでは、こうした金利変動が各事業部門の収益に及ぼす影響を排除す
るため、全ての金利リスクを専門部署に移転し、一元的に管理しています。この専門部署では、
許容範囲を超える損失が発生することの無いように、金利リスクをコントロールしています。
その際、金利ギャップ分析やバリュー・アット・リスク(Value at Risk)、アーニング・アット・リスク
(Earning at Risk)などさまざまな測定手法を用いた金利リスクの計測や、金利変動の中長期的
な収益への影響なども予測・分析しています。UFJ グループでは、市場金利などの金融・経済
環境の変化だけでなく、金融商品会計などの制度変更による影響を織り込むなど、さまざまな
角度から収益に与える影響を分析しています。
資金流動性リスク
資金流動性リスクは、資金繰りがつかずに支払義務を果たせない可能性や、市場の混乱などに
より適正な価格でタイムリーな資金調達が困難になる可能性をいいます。こうした不測の事態
に備えて、UFJ グループでは、つねに、円滑な業務運営に必要な水準の流動性を維持することを
基本的な考え方として、専門部署が日々流動性をモニタリングし、リスクをコントロールしてい
ます。また、資産・負債の期日管理やシナリオ分析などの手法を用い、中長期的な観点から資金
流動性リスクを計測しています。こうした分析の結果は、日々の限度枠管理だけでなく、資金
調達計画等にも反映されています。
UFJ グループの資金流動性は、グループ各社のお客さまからお預かりした預金などの運用商品
から構成されており、さらに即時換金可能な高格付の有価証券ポートフォリオにより補完されて
います。加えて、資金調達環境の悪化に備えた危機時対応計画(コンティンジェンシー・プラン)
を策定しています。
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A
L
M
︵
資
産
・
負
債
の
総
合
管
理
︶
に
つ
い
て
戦略的なシステム構築に向けた取り組み
近年の情報化社会においては、情報技術活用の巧拙が金融グループの競争力を直接左右するといえます。UFJグループではこのよう
な考えのもと、グループのビジネス展開を支え、
「革新的な金融グループ」を実現するためのシステムを、戦略的に構築しています。
ここでは、2002年1月の三和銀行・東海銀行の合併と同時に完了したシステム統合についてご紹介するとともに、UFJグループの
システムの特長、今後の I T 投資の方向性についてもご説明します。
UFJ 銀行システム統合
2000 年 7 月の経営統合発表以来、三和銀行と東海銀行のシステム統合に重点的に取り組んだ
の完了
結果、2002 年 1 月 15 日の UFJ 銀行誕生と同時に両行のシステム一体化が完了しました。これは、
経営統合を行う金融グループの中では最速のシステム完全統合として、各方面からの注目を
集めています。
このシステム統合の特長は、合併前の 2 行のシステムを一旦連携させた上で時間をかけて一本化
していく、いわゆる「つなぎ方式」を使わず、合併当初より完全に一体化したシステムを全行に
導入した点です。これにより、
「つなぎ方式」に必要なソフトウエア開発の負担を省くとともに、
UFJ 銀行発足当時から全営業店のお客さまに対して同一のサービスを提供しています。また、
システム統合作業の負担から解放され、新商品・サービスの開発や業務効率化などに向けた前向
きなシステム投資を効率的に行うことが可能となるという点でも、大きな意義があります。
50
さらには、効率的な店舗ネットワーク、チャネルの構築も、スピーディに進めていくことができ
戦
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的
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け
た
取
り
組
み
るようになりました。
なお、UFJ 銀行合併直後には一部の口座振替システムに係わる障害により、お客さまに多大な
ご迷惑をおかけする事態が発生しました。UFJ 銀行では発生当初から頭取を本部長とする「総合
対策本部」を設置して全行的な対応を速やかに実施するとともに、今後類似した障害が発生しな
いよう再発防止策を講じています。
(詳しくは 53 ページをご覧ください)
システムの特長
システム統合のスピードに加えて、競争力の強化につながる先進的システムを構築していること
も、UFJ グループの強みといえます。なかでも、システムインフラの整備については、他グルー
プに先駆けてほぼ完了しています。以下、UFJ グループのシステムのうち、特長的なものについ
てご紹介します。
(なお、ダイレクトチャネルや ATM の拡充、ACM など新しいチャネルの開発
などについては、36 ページの「チャネル(お客さまとの接点)の改革へ」をご覧ください)
● 最先端の新基幹システム
従来の銀行のシステムは、ホストコンピュータから営業店の端末・ATM までが含まれる、いわば
「ひとつの巨大なシステム」です。したがって、システムとしての信頼性は高いものの、新しい
業務、商品・サービスなどに対応するにあたっては、柔軟性に問題がありました。
UFJ グループはお客さまのニーズに幅広くお応えするため、総合金融サービスの提供をめざし
ています。そこで、規制緩和の進展などによるビジネスチャンス拡大に備えて、グループ各社に
よる連携や、他社との業務提携を容易にするシステムが重要となります。また、お客さまに最適
なサービスを最適のタイミングでお届けするためには、新しい商品・サービスの開発や、より
利便性の高いチャネルの追加を、柔軟かつスピーディに行うことが必要です。UFJ グループでは、
こうしたことを念頭に置いて、機動性に富むシステムの構築を進めてきました。
こうした考えのもとに創られた UFJ 銀行の新基幹システムは、
「ハブ & スポークス」というコンセ
プトに基づいて構築された、
「システムの集合体」です。柔軟性・効率性に富んでいることから、
チャネル・業務の追加や他社との提携にも容易に対応できるものです。さらに、システムの
開発・変更がしやすいように、融資・預金などの業務ごとに「コンポーネント化」にも着手してい
きます。
また、
「データウェアハウス」と呼ばれるデータベースのしくみにより、各システムに分散してい
る情報を統合し、一元管理することが可能になっています。経営分析・経営判断への活用に加え
て、将来的にはグループ内でのデータ共有を通じて、グループ全体のお客さまに対する効果的な
マーケティング活動を行い、ニーズに合った総合金融サービスの提供につなげていきます。
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み
新システムの概念図
ハブ・アンド・スポークス
チ
ャ
ネ
ル
支店
ATM
インターネット
コールセンター
携帯端末
スポーク
ハブ
プ
ロ
ダ
ク
ツ
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
スポーク
預金
貸出
投信
信託
信販
証券
データウェアハウス
情報活用系(高度なマーケティング、経営管理)
損保
生保
● 新営業店システム「FITS21」
オペレーションの効率化・合理化を進めていく際にも、システム面の対応が鍵を握ることになり
ます。UFJ 銀行では、合併に先駆けてすべての店舗に新しい営業店システム「FITS21(Financial
Innovation Terminal System 21)」を導入し、サービスの向上と事務の効率化の両立を図って
います。このシステムは、イメージ処理など最新の情報技術を活用して、手書き伝票の処理や
印鑑照合などの事務を簡素化するとともに、それぞれの営業店で行っていた事務作業の事務
センターへの集約化を促進するものです。これによって、各営業店での事務負担を小さくする
と同時に、事務人員の削減などの効果も見込まれます。一方、サービス面では、営業店での事務
負担の軽減によって、窓口担当者がお客さまに対する運用アドバイスなどに専念できるため、
一層ご満足いただけるサービスの提供が可能になります。
● 財務管理業務システム
UFJ 信託銀行の財務管理業務システムは証券代行、投資信託業務、年金業務など、個々の業務の
競争優位性を確保するための最先端のシステムです。
証券代行事務においては、イメージ処理などの最新技術を取り入れ、次世代を見越したシステム
の構築を行っています。株主総会の IT 化(インターネットを通じた議決権行使、招集通知送付)
への対応では、高度なセキュリティ機能を有するシステムを開発し、議決権行使については 2002
52
年 5 月に本邦初の運用を開始しました。
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組
み
投資信託システムについても、基準価額の算出照合などの正確性・迅速性を重視した開発を行っ
ており、業界随一の受託額を管理するために必要な、優れた機能を有しています。また、個別対
応の必要な外国証券等の管理システムの柔軟性についても、投資信託委託会社から高く評価され
ています。
年金システムについては、厚生年金基金、適格退職年金に加え、確定給付企業年金の制度変更に
伴う幅広いニーズにスピーディに対応できる機能を有しています。また、新たに導入が認められ
たキャッシュバランスプランに対しても、専用のシステムを既に稼動させるなどさまざまな年金
制度に対応できる受託態勢を整えています。
今後の IT 投資の方向性
UFJ グループでは、このようなシステム構築を進めていくにあたり、十分な金額の IT 投資を実施
しています。2002 年 3 月期における IT 投資額は、UFJ 銀行、UFJ 信託銀行合計でおよそ 1,900 億
円にのぼります。これには、三和銀行・東海銀行のシステム統合に向けた投資と、新営業店シス
IT投資額
(単位:億円)
システム統合、
1,500
テム「FITS21」の導入や新基幹システムの整備など、インフラ整備に向けた投資額がおよそ 1,000
億円含まれます。
インフラ整備完了により
減少予定
1,000
今後は、中堅・中小企業、個人のお客さまとの取引など、UFJ グループが注力していく分野に
対して、投資効果をこれまで以上に厳しく見極めたうえで、重点的かつ効率的な投資を行ってい
500
きます。2003 年 3 月期の投資計画はおよそ 850 億円と、前年比 1,000 億円以上の減少となりま
0
01/3
02/3
03/3(計画)
すが、先にご説明したインフラ整備にかかる投資を除くと、前年並みの十分な投資額を確保して
いることになります。
< UFJ 銀行の口座振替トラブルについて>
2002 年 1 月に UFJ 銀行において発生いたしました、口座振替システムに関する障害に
おきましては、皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけいたしました。深くお詫び申し
上げます。
障害の概要は、
(1)一部のプログラム不具合により口座振替の委託者への結果通知が所定
の形式でできなくなったこと、
(2)これを解決するために、システム自動運用ではなく、
手作業等の異例運用を繰り返したことから、本来午前には終了する預金者からの引き落
としや委託者への入金が当日午後に遅延したこと、
(3)この遅延を解消するために、さら
に異例運用を行ったことおよび人為的ミス等により、多数の預金者からの二重引き落とし
等が発生したことです。
(なお、ATM を含む基幹システムは正常に稼動していました。)
これらの障害に対しては、発生当初から頭取を本部長とする「総合対策本部」を設置して、
システム部門のみならず全行的な対応を実施し、システム運用を正常な状態に戻しま
した。そのうえで、お客さまとのお取引も正常化しています。
同時に、徹底した原因の究明と再発防止策の検討を行い、まず、口座振替システムの担当
部署を再編するとともに、月末ピーク時の対応体制も見直しました。また、今後類似した
障害が発生しないよう、徹底した機能確認を行いました。
さらに、開発中の新システムが十分な品質を確保するよう、従来の管理制度の運営改善・
ルールの徹底、新しい点検制度の追加導入などにより、システム開発管理・品質管理の
さらなる充実を図っています。また、口座振替以外のシステムについても「評価シート
(リスクの所在や種類を確認するツール)」などに基づき、内在するリスクを洗い出し、
必要なリスク削減策を講じているところです。
口座振替システムの障害を真摯に反省するとともに、その教訓を十分に活かして、従来
以上にシステムリスクの運営管理を強化し、グループとして総合的なリスク削減に取り
組んでいきます。
53
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み
UFJ ブランドについて
今までにない全く新しい総合金融グループを創り上げる…。
「三和」
「東海」
「東洋」というこれまでの名前を引き継ぐことなく、日本の銀行ではじめて、アルファベットの名前を付けたのは、
そんな強い気持ちの表れです。そして、この大きな目的を達成するために、UFJ グループでは「ブランド戦略」を重要な
経営戦略と位置付け、積極的に取り組んでいます。
ここでは、UFJ グループのブランドに対する考え方やその展開についてご説明します。
「UFJ」という名称は、
「我が国を代表する総合金融グループを創造
していく」という思いを込めた「United Financial of Japan」と
いう言葉の頭文字に由来するものです。
「ブランド」とは
「ブランド」とは、消費者が商品・サービスを選ぶ際の手がかりであると同時に、
「名前を聞いた
り、シンボルマークを見たりするだけで、消費者が価値を実感できること」です。UFJ グループ
が、強いブランドを構築し、お客さまから選ばれ続けていくためには、お客さまに提供する価値
を約束すると同時に、約束を実現する努力を続けなければなりません。UFJ グループでは、この
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ブランド構築に対する思いを「こたえていくチカラ。」というスローガンに込めて社内外で展開
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つ
い
て
しています。
UFJブランドにおける4つの価値
タイミング
お
客
さ
ま
スピーディ
オープン
わかりやすさ
お客さまとの接点で、4つの価値を
具体的な形で実現していきます。
U
F
J
グ
ル
ー
プ
UFJ グループのブランド
UFJ グループのブランドコンセプトの策定にあたり、(1) 経営ビジョン・行動指針に込められた
コンセプト
UFJ グループのめざす姿、(2) お客さまが UFJ グループに求めているニーズ、(3) UFJ グループが
現在持っている強みや潜在能力、の 3 点について、さまざまな角度から検討を重ねました。特に
(2) のお客さまのニーズを把握するために、多くの調査・分析を実施しました。
その結果、UFJ グループがお客さまに提供していく基本的な価値として「タイミング」
「オープン」
「スピーディ」
「わかりやすさ」の 4 つの価値を導き出し、ブランドコンセプトの骨子としました。
UFJ ブランドの実践
そして、この 4 つの価値因子に集約された「UFJ ブランドのお客さまへの約束」を、
「ブランド
ステートメント」としてわかりやすい文章にまとめました。
∼大切にしたいのはタイミング∼
お客さま一人ひとりの毎日の暮らし、人生設計、そしてビジネス活動。そこにはさまざま
な希望があり、夢があります。私たち UFJ は、そんな夢や希望を実現するためにお客さまが
必要とすることをその瞬間ごとに的確に捉え、最適なタイミングで最適な金融サービスを
提供することを約束します。
この約束を、具体的なカタチで実現していくために、私たちは、以下の 3 点を実践します。
【オープン】
お客さまが持つ問題や悩みを真っ先に相談していただけるような、
開かれた姿勢による金融サービスの提供
【スピーディ】
お客さまの時間を有効に活かす、迅速な金融サービスの提供
【わかりやすさ】
たとえ専門性の高い商品であっても、
お客さまが確信を持って選び利用できるような、
適切でわかりやすい説明による金融サービスの提供
UFJ グループでは、上記の「お客さまへの価値の約束」を、ビジネスのあらゆる局面で実現し、
UFJ ブランドを構築していきます。そのためにお客さまのニーズにあった商品・サービスを提供
していくのはもちろんのこと、お客さまとの最も重要な接点のひとつである営業店において、
役職員一人ひとりの意識の徹底、サービスの向上、情報提供能力のスキルアップを図ってい
ます。また対外的には営業店の店頭のみならず、各種媒体を活用した取り組みを行って
います。
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ド
に
つ
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● グループ内コミュニケーション
まず、
「UFJ ブランドハンドブック」を全役職員に配布し、
「ブランドとは何か」
「UFJ ブランド構築
に向けてどのように考え、行動すべきか」ということをわかりやすく説明しました。そして、
お客さまとの最も重要な接点である営業店で、
「UFJ ブランド構築につながる行動とはどんな
ものか」ということを、事例を用いて説明した「UFJ 銀行サービススタンダード」や「店舗演出
スタンダード」を作成し、役職員一人ひとりが具体的な行動に移せるようにしました。
● 対外コミュニケーション
2002 年 1 月の UFJ 銀行の誕生前後から、
「 ! ちょっといいでしょ。」シリーズの広告を、テレビ、
新聞、雑誌、営業店のポスター等で展開しています。この広告では、
「オールワン」や「ACM」
など、UFJ 銀行独自の商品・サービスを中心にご紹介しています。また UFJ 銀行のホームページ
では、これらの商品・サービスに関するアンケートを行っています。現在、累計約 63,000 名の方
から回答をいただき、なかでも「UFJ ダイレクト」には、
「便利」という声を多くいただいています。
今後は、アンケートの結果を商品・サービスの改善に役立てていきます。
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ド
に
つ
い
て
UFJ ブランドの現状と
2002 年 3 月に実施した「銀行に対する意識・実態調査」では、UFJ 銀行は合併後 2 カ月で既に
これから
競合他行に劣らない認知度を獲得しており、
「革新性」や「若々しさ」
「オープン」などのイメージ
が強い独特の地位を築きつつあります。商品・サービス面においても、商品開発力や取引の多様
性などで高い評価を得ているなど、概ね合併前にめざした方向に向かいつつあります。今後も
「革新的で活力のある」ブランドイメージを維持しつつ、規定した 4 つの価値因子を中心とした
お客さまからの評価の向上に努めつつ、一貫性のあるブランドへの取り組みを行っていきます。
ブランドイメージ調査
(単位:%)
60
40
20
0
前回
(2001年9月)
若々しさ
オープン
今回
(2002年3月)
革新的な
Fly UP