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添付1 - 研究会概要

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添付1 - 研究会概要
STIC法を用いた遠隔胎児心臓スクリーニングの
有用性と問題点の検討
武井 黄太1,10
山田 崇弘2 長谷山 圭司3 塩野 展子4 春日 亜衣5 渡邉 行朗6
前田 信彦6 三宅 敏一7 幡 洋8 山田 俊9 水上 尚典2
1 北海道大学大学院 小児科学
2 北海道大学病院 周産母子センター 産科
3 北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科
4 市立札幌病院 新生児内科
5 札幌医科大学大学院 小児科学
7 愛産婦人科
9 JCHO北海道病院 産婦人科
6 札幌東豊病院 産婦人科
10 長野県立こども病院 循環器小児科
8 大谷地産科婦人科
背景
 重症先天性心疾患では胎児診断の有用性が報告されているが、
特に医療資源の限られた地方では未だ不十分である。
 近年STIC法による遠隔胎児心臓スクリーニングが報告されてお
り、その有用性と問題点を検討した。
• 18~37週の100例において全例でSTIC法による画像収集が可能
で、94%で基準を満たす心構造の解析が可能であった。
Vinals F, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2003
• STIC法による胎児CHDスクリーニング(5461例)の検出感度は
32%(9/28例)で、TGA, TAPVCR, SVは異常を指摘することが
できた。
石井ら 日本小児循環器学会雑誌 2010
背景
方法
 期間:2013年10月~2015年3月
 対象:大学病院、総合病院産科、産科病院計5施設において、
胎児心疾患を指摘されていない22週以降(30週まで)の妊婦
 画像記録:妊婦検診時の胎児エコーの際にSpatio-Temporal
Image Correlation (STIC) 法による3D画像データを記録.
 使用機器:Voluson E8 Expert/E8/E6(GE社製)
解析装置:ViewPal 6(GE社製)
 画像記録設定:
設定
収集時間
画角
2D
10sec
50°
Color
7.5sec
40°
HD color
7.5sec
40°
方法
 画像データは必要に応じてDVDで郵送
 画像データの解析は小児循環器医4人が分担
 解析シートを用いて以下の心血管構造16項目について
「正常」「異常」「確認できず」を判定
 解析項目: 腹部大血管、胃泡の位置、心臓の位置
心臓の大きさ、心尖の向き、心室のバランス
肺静脈、心室中隔、弁逆流
大動脈、肺動脈、大血管のバランス
大血管血流方向、肺動脈分枝、動脈管弓、大動脈弓
方法
 総合評価として
全て「正常」
→「異常なし」
一つでも「異常」→「異常あり」
上記以外
→「一部不明」
 「一部不明」「異常あり」症例:
妊婦検診の際に再度STIC画像を記録、もしくは胎児心エコー
外来へ紹介。
 「異常なし」「一部不明」症例:
出生後の診察、1ヶ月健診において異常の有無を確認。
※ 出生後の心エコー検査は、一部施設でのみ全例に行われている。
方法
結果
 検査回数:4789回(3888例)
 1例当たりの検査回数:1.2±0.5 (1-6) 回
 施行週数:25.7±2.5 (22-38) 週
検査回数
施行週数
産科病院A
1388
26.4±3.2
産科病院B
1830
25.2±1.7
産科病院C
578
25.7±2.6
総合病院
434
25.0±2.1
大学病院
559
25.7±2.5
総合評価
異常なし
72.4
一部不明 異常あり
21.3
6.3
(%)
評価の施設間比較
「確認できず」
1.9±2.9
9.1
1.4±2.2
9.9
0.5±1.5
0.1±0.6
8.1
4.8
1.4
8.2
27.3
19.8
46.9
1.0±2.2 項目/例
40.6
異常なし
一部不明
異常あり
87.0
72.0
44.0
71.3
49.5
(%)
大学病院
総合病院
産科病院A
産科病院B
産科病院C
各項目の「確認できず」の割合
0.7
1.3
0.2
0.3
0.4
1.1
3.7
腹部大血管
心臓の位置
心尖の向き
大動脈
胃泡の位置
心臓の大きさ
心室のバランス
腹部断面
四腔断面
4.1 (%)
肺動脈
流出路断面
各項目の「確認できず」の割合
7.5
9.5
6.1
6.5
5.4
6.0
5.2
8.8
(%)
大血管のバランス
動脈管弓
肺静脈血流
弁逆流
肺動脈分岐
大動脈弓
心室中隔
大血管血流方向
3 vessels
3 vessels trachea
Color
「異常あり」症例の転帰
三尖弁閉鎖 両大血管右室起始
右室性単心室 修正大血管転位
HLHS類縁疾患
「異常あり」269
複雑心奇形 7
胎児心精査正常 2
VSD 160
STIC再検「異常なし」117
胎児心精査・生後正常 35
動脈管瘤・蛇行 15
弁逆流 52
VSD 8
STIC再検「異常なし」26
胎児心精査・生後正常範囲 26
その他 53
血管輪 6
ASD 2
左上大静脈遺残 3
TAPVC/PAPVC 6
echogenic focus 10
心臓位置異常 3
血管輪 3 (重複大動脈弓 1)
ASD 1
左上大静脈遺残 3
左横隔膜ヘルニア 1
STIC再検「異常なし」4
胎児心精査・生後正常 11
先天性心疾患 胎児診断例
疾患
施設
右室性単心室, 両房室弁右室挿入
産科病院A
三尖弁閉鎖(1b)
産科病院B
修正大血管転位, 心室中隔欠損
産科病院B
両大血管右室起始(false Tausig-Bing)
産科病院B
HLHS類縁疾患
(房室中隔欠損, 左室低形成, 大動脈離断)
産科病院B
心室中隔欠損 2例
産科病院A
心室中隔欠損 2例
産科病院B
心室中隔欠損 4例
総合病院
心房中隔欠損
産科病院B
肺動脈弁狭窄
産科病院A
重複大動脈弓
産科病院A
右大動脈弓・左鎖骨下動脈起始異常 2例
産科病院A
合計 18例
偽陰性例
疾患
STIC解析結果
施設
大動脈縮窄, 心室中隔欠損
異常なし
産科病院B
ファロー四徴症
異常なし
産科病院C
異常あり (腫瘍指摘なし)
産科病院B
傍膜様部心室中隔欠損 2例
異常なし 2例
産科病院B
筋性部心室中隔欠損 15例
異常なし 13例
一部不明(心室中隔正常) 2例
産科病院B
傍膜様部心室中隔欠損 2例
一部不明 (心室中隔不明) 2例
大学病院
異常なし 4例
大学病院
傍膜様部心室中隔欠損
一部不明 (心室中隔正常)
総合病院
筋性部心室中隔欠損 3例
一部不明 (心室中隔正常)
異常なし
一部不明 (心室中隔不明)
総合病院
心臓腫瘍 (粘液腫)
筋性部心室中隔欠損 4例
合計 30例
※心房中隔欠損、末梢性肺動脈狭窄は含めず
考察
先天性心疾患の胎児スクリーニングについて
① 出生する胎児全例を小児循環器医が解析するのは困難
約2600/年 ⇒ 小児循環器医4人
約40000/年 ⇒ ???
② STICでは心室中隔欠損や弁逆流が疑われたもののSTIC再検査や胎
児心精査で正常である症例が多く、心室中隔欠損や弁逆流では
アーチファクトの影響が大きい
③ 心室中隔欠損は感度22%,陽性的中率5%と非常に低値
心室中隔欠損は胎児循環での診断は難しく、胎児診断の必要性が
乏しい
⇔ 合併疾患発見の端緒となる
考察
画像解析率について
① 画像解析率の施設間較差
大学病院・・・多数の医師が画像収集
産科病院・・・数名の技師が画像収集
画像収集(胎児心エコー)の習熟度に差がでた可能性
② 今後、超音波装置の性能の向上により解析率の向上が期待できる
・画像収集時間の短縮
(胎動などの影響の減少)
・画質の向上
解析率の向上
結語
 STIC法を用いた遠隔胎児心臓スクリーニングは可能
であるが、VSDは偽陽性・偽陰性が多く、スクリー
ニングの対象を複雑心奇形に絞った使用法が合理的
である。
 画質不良が一定の割合で存在するが、今後検者の画
像収集の習熟とエコー機器の進歩による改善が期待
される。
謝辞
北海道胎児心臓スクリーニング研究会
【画像収集施設】
札幌医科大学 産婦人科:齊藤 豪,石岡 伸一
JCHO北海道病院 産婦人科:山田 俊
東豊病院 産婦人科:前田 信彦,渡邊 行朗
大谷地産科婦人科 産婦人科:幡 洋
愛産婦人科 産婦人科:三宅 敏一,塩野 直子
北海道大学病院 産科:水上 尚典,山田 崇弘
【画像解析施設】
札幌医科大学 小児科:堤 裕幸,畠山 欣也,春日 亜衣
北海道立子ども総合医療・療育センター 循環器科:横澤 正人,長谷山 圭司
市立札幌病院 新生児科:塩野 展子
北海道大学病院 小児科:有賀 正,武井 黄太,古川 卓朗
(敬称略)
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