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広帯域レーダ/衛星通信測定
ソリューション: 広帯域レーダ/衛星通信測定 広帯域オシロスコープを用いた 62 GHzまでのX/Ku/Kaバンド・レーダおよび 衛星通信トランスミッタ出力の直接測定/解析 Application Note 概要 問題 航空宇宙/防衛分野の衛星通信(Satcom) とレーダ・システムでは、信号/解析帯域 幅と処理利得の向上が求められています。 Satcomシステムでデータ・レートの高速化 が求められるのと同時に、最新のレーダ・ システムでは処理利得向上のためにレンジ 分解能を高める必要があり、そのために 変調帯域幅の拡大が必要になっています。 また、レンジ分解能を向上し、インターセ プトやジャミングの発生率を低減するため に、最新のレーダ・システムのパルス変調 信号フォーマットはますます複雑になって います。多くのレーダ/Satcomシステムは マイクロ波周波数(X/Ku/Kaバンド)で動作 し、広い変調帯域幅のサポート、高性能化、 アンテナの小型化などの利点があります。 最新のレーダ/Satcomアプリケーションで RF/マイクロ波トランスミッタの性能を迅速 に、正確に、低コストで測定するのは困難 です。また、Satcomトランスミッタのエ ラー・ベクトル振幅(EVM)の測定など、トラ ンスミッタ出力を直接測定できない場合も あります。このような場合は、ダウンコン バータを自作し、COTS(市販)のテスト機 器で測定可能なIF周波数にRF/マイクロ波 周波数をダウンコンバートします。 市販のRFスペクトラム・アナライザやベクト ル・シグナル・アナライザ (または、FFTア ナライザ)の中間周波数(IF)帯域幅を超え る広い帯域幅が必要になる場合がありま す。さらに動作周波数が高くなると、RF エンジニアがレーダ/Satcomトランスミッ タのテストを行う上でさまざまな問題が発 生します。 しかし、ハードウェアのデザイン、構築、 テストに予想外のエンジニアリング・コスト が発生する状況は生産的とは言えません。 ダウンコンバータ・ハードウェア自体にRF の劣化があるので、被試験RF/マイクロ波 トランスミッタの実際の性能を正しく測定 できなくなる可能性もあります。さらに、 歪みが発生して測定するEVM全体に影響 を及ぼし、実際のトランスミッタ出力に起 因するEVMを識別することが難しくなり ます。このように、他の選択肢がない場 合には理想的とはいえない方法を採用せ ざるを得なくなり、測定確度が不確かな 状況に陥ってしまいます。 ソリューション こうした問題を解決するには、RF/マイク ロ波トランスミッタの出力を、自作のダウ ンコンバータを使用せずに直接測定/解析 できるソリューションが必要です。これに は、広帯域オシロスコープが最適です。広 帯域オシロスコープでは、最新のレーダ/ Satcomトランスミッタが出力するX/Ku/ Kaバンド信号(62 GHzまで)を直接測定/ 解析できます。広帯域オシロスコープを使 用する利点は、ダウンコンバータを自作す る時間とコストを節約できるだけでなく、 ハードウェアの校正、システムの劣化や不 確かさを考慮して測定結果を補正する手 間を省ける点です。 一 方 で、RFエンジニアが 広 帯 域レーダ/ Satcom測定を行う場合、一般的に以下の 作業で困難が伴います。 • カスタム/独自仕様の広帯域信号の作 成。一般的に、COTS機器では、トラン スミッタ・テスト用にこのような信号を 作成することはできません。結果とし て、テスト機器を自作せざるを得なくな り、時間とコストがかかってしまいます。 • カスタム/独自仕様の広帯域信号の解 析。レーダ/Satcom信号にはカスタム/ 広帯域オシロスコープを使用することによ り、広帯域レーダ/Satcomトランスミッタ 出力を直接測定/解析することができま す。90000 Xシリーズ は33 GHz、90000 Qシリーズは62 GHzのアナログ帯域幅で、 優れた確度でトランスミッタ出力を直接リ アルタイム測定できるので、外部ダウンコ ンバータは必要ありません。タイム・ドメイ ン解析により、トランスミッタのパルスド RF特性(立ち上がり時間、立ち下がり時 間、パルス幅)の測定が可能です。 M8190AはAXIeモジュール測 定 器 で す。 これを使用して、最新のレーダ/Satcomシ ステムのテストに必要な広帯域波形を作成 できます。この高精度1チャネル/2チャネ ルAWGにより、14ビットDAC分解能で最 大8 Gサンプル/s、12ビット分解能で最大 12 Gサンプル/s( 現在の市販製品より2 ∼ 4ビット高い)の優れた信号性能が得られま す。また、チャネルあたり最大2 Gサンプ ルの波形メモリ (市販のAWGの30倍の容 量)を備えているので、レーダ・シミュレー ションなどで長時間の現実的なシナリオを 作成できます。3 dB帯域幅が約5 GHzの 出力経路は、I/QベースバンドとIFジェネ レータの両方で使用できます。 PSG信号発生器は、高品質のテスト信号を 生成します。広帯域I/Q入力は、広帯域レ ーダ/Satcom測定に理想的です。PSGと M8190Aを組み合わせることによって柔 軟な信号生成が可能になり、カスタム/独 自仕様のレーダ信号とSatcomアプリケーシ ョンで求められる広帯域変調信号(QPSK、 16QAMなど)を作成できます。この信号 は、ラボ環境での被試験デバイス (DUT) テ ストに使用でき、コストをかけてテスト機 器を自作する必要がありません。 コンポーネントDUTのテストでは、M8190A で広帯域I/Q信号を生成し、これをPSGの 広帯域I/Qに入力します。PSGで生成され たマイクロ波テスト信号は、DUTスティミ ュラスとして使用されます。DUTの出力 を広帯域オシロスコープに接続し、レーダ /Satcom測定を行います(図1)。スタンド アロン・トランスミッタを測定する場合は、 オシロスコープをトランスミッタ出力に直 結するだけで簡単に実行できます。 独自のフォーマットを使用する場合があ り、ある程度カスタマイズした方法で信 号解析を行う必要があります。 以上のことから、カスタム/独自の信号の 作成と解析に対応できるソフトウェアを内 蔵するCOTSテスト機器を探すことは、非 常に困難です。 Agilent Technologiesは、このようなニー ズを満たすことができるソリューションとし て、Infiniium 90000 Xシリーズ (33 GHz) /90000 Qシリー ズ(62 GHz)高 性 能 オ シ ロスコープ、PSGベ クトル 信 号 発 生 器、 M8190A任意波形発生器(AWG)、ベクト ル信号解析(VSA) ソフトウェアを提供して います。これらを組み合わせたソリューシ ョンにより、広帯域レーダ/Satcom測定で 必要な機能と柔軟性を実現できます。 図1: 広帯域レーダ/Satcom信号の生成と解析で使用される代表的なハードウェア・テスト・セットア (左上)、広帯域I/Q入力を装備するPSG (左下)、VSAソフトウェア搭載の広 ップ。M8190A広帯域AWG (右) 帯域90000 Xシリーズ オシロスコープ 2 カスタム/独自測定 90000 Xシリーズと90000 Qシリーズのオシ ロスコープでは、ユーザ定義のMATLAB 関数も使用でき、例えば、トレース波形に これを適用してパルスドRFエンベロープ を計算すれば、パルスドRF波形エンベロ ープの測定と表示が可能になります。定義 済みのオシロスコープ測定で、RFレーダ・ パルスの立ち上がり時間、立ち下がり時 間、パルス幅、オーバシュートを測定でき ます(図2)。この測定では、Xシリーズ/Q シリーズのオシロスコープに搭載されてい る2 Gサンプルのキャプチャ・メモリが重要 な役割を果たし、多数のレーダ・パルスの 捕捉と解析が可能になります。 さらに、オシロスコープに搭載されている メモリで捕捉/解析できるレーダ・パルス の数を最大にするために、セグメント・メ モリが威力を発揮します。このメモリには、 パルスをズームして、パルスが「オン」の ときのみ捕捉し、「オフ」のときには無視 する機能があります。セグメント・メモリ は、ユーザ定義のMATLAB関数では使用 できますが、VSAソフトウェアでは使用で きない点に注意してください。 広帯域オシロスコープへの スムーズな移行 オシロスコープの 波形 ユーザ定義の MATLAB 関数 RFパルス・エンベロープを ユーザ定義のMATLAB関数から抽出 MATLABを 適用した トレース オシロスコープ測定の 追加実行 設定済みのオシロスコープ測定を 表示されているエンベロープにドロップ RFパルスの パルスの立ち上がり時間を測定 図2: パルスドRFエンベロープと立ち上がり時間をエンベロープで測定 LFMチャープ・スペクトラム (10 GHzが中心) チャープ位相 2 GHz 対数振幅エンベロープ 振幅対時間 6 μs 2 GHz レーダ/Satcomアプリケーション向けにカ スタム/独自波形を作成して、独自測定 を 行 う 作 業 は、MATLABを 使 用 す れ ば 非常に簡単になります。手順としては、 MATLABを使用してシミュレーション波 形を作成し、それをM8190A AWGにダウ ンロードします。さらにこれを差動I/Q波 形に合成し、PSG信号発生器の外部I/Q入 力に供給して、変調RF/マクロ波テスト信 号を生成します。 チャープ周波数 図3: 90000XオシロスコープでVSAソフトウェアを用いた広帯域LFMチャープ・レーダ信号の測定 RFテストにはこれまでスペクトラム・アナ ライザとベクトル・シグナル・アナライザが 使 用 さ れ て き ま し た が、 最 新 のレーダ/ RFエンジニアは、VSAソフトウェアのわ かりやすいユーザ・インタフェースを使っ て、一般的なRFパラメータ (周波数スパン 3)。さらに、VSAソフトウェアは信号規 Satcomを測定する上で問題点があり、こ と分解能帯域幅)をオシロスコープで指定 できます。次に、オシロスコープからのデ ータを処理し、ベクトル・シグナル・アナラ イザの振幅/位相ディスプレイを使ってデ ジタイズされた結果を表示します。また VSAソフトウェアでは、周波数ドメイン解 析も実行できます。これにより、RF/マイ クロ波スペクトラム、周波数特性と位相特 性(チャープ位相、チャープ周波数、周波 数ホッピングなどのRFスペクトログラム表 示)、EVMなどの特性が測定できます(図 用されるQPSK、16QAM、64 QAMなど の信号フォーマットに対応できます。以上 の方法で、実際のレーダ/Satcomトランス ミッタ・ハードウェアの性能を優れた確度で 解析することが可能になります。 れを解決する方法として広帯域オシロスコ ープへの移行が進んでいます。90000 X シリーズ/Qシリーズ オシロスコープには AgilentのVSAソフトウェアが内蔵されて います。これにより、ベクトル・シグナル・ アナライザの機能およびユーザ・インタフェ ースを備えながら、62 GHzまでの広帯域 レーダ/Satcomアプリケーションの測定に 対応できるオシロスコープの広帯域性能も 備えていて、両方のメリットを活用するこ とができます。 3 格と変調方式を幅広くサポートしているの で、Satcomなどのアプリケーションで使 例:広帯域16QAM このCOTSテスト機器は、レーダ測定に加え て、広帯域通信などの幅広いアプリケーショ ンに使用できます。ここでは、1.76 GHz 広帯域16QAM信号を例として考えます。 この信号を、図1のCOTSテスト・セットアッ プで作成/解析します。MATLABを使用 して16QAM波形を作り、これをM8190A AWGにダウンロードします。図4で示すよ うに、オシロスコープで動作するVSAソフ トウェアによって16QAM波形が復調され ます。 EVMは、デジタル変調信号の振幅/位相 歪みを示す指標です。この例の残留EVM は約1.17 %であり、Xバンド (10 GHz)に おける1.76 GHz変調波形としては非常に 良好な値です。これに対して従来のテスト 機器を使用した場合、このデータ・レートに おけるEVMは2 ∼ 3 %程度となり、測定 誤差と不確かさが非常に大きくなります。 広帯域デジタル変調: QAM16、1.76 Gシンボル/s EVM=1.17 % Fs=7.2 GHz (振幅補正) 図4: VSAディスプレイの4つの象限には、コンスタレーション・ダイアグラム (左上)、10 GHz Xバンド・スペクトラム (左下)、 EVM対時間(右上)、EVMサマリ(右下)が表示されます。この例では、残留EVM性能は、AWG、PSG(広帯域I/Q入力)、32 GHz デジタル・オシロスコープを組み合わせて取得されています。 結果のまとめ 広帯域レーダ/Satcomトランスミッタの性 能測定に外部ダウンコンバータを使用する 場合、コストと時間がかかります。この方 法では、RF/マイクロ波トランスミッタの 本当の性能を把握できない可能性もあり ます。この問題を解決するのが、Agilent の90000 Xシリーズ/90000 Qシリーズ オ シロスコープです。レーダ/Satcomアプリ ケーションでRF/マイクロ波トランスミッタ の性能を直接測定/解析 できます。この オシロスコープを、M8190A AWGおよび PSG信号発生器と組み合わせれば、物理的 なテスト信号の作成/解析が可能になりま す。カスタム/独自信号波形をMATLAB で作成し、これをM8190A AWGにダウン ロードした後、PSG信号発生器を使用して 4 テスト信号を作成します。このオシロスコ ープを使用すれば、トランスミッタ出力を、 AgilentのVSAソフトウェア、MATLAB ユーザ定義関数、またはオシロスコープに 組み込まれているタイム・ドメイン解析機 能で測定可能になります。最新のレーダ/ Satcomアプリケーションでは広帯域化と 高周波化が進んでいるため、90000 Xシリ ーズ/90000 Qシリーズ オシロスコープで トランスミッタ出力を高確度で直接測定す ることは、トランスミッタの本当の性能を 把握し、時間とコストのかかるリワークを 回避するために非常に有効です。 www.agilent.co.jp www.agilent.co.jp/find/radar-focus 関連アプリケーション • LTE MIMO測定、物理層変調解析およ びテスト 関連Agilent製品 • DSOX93204A 32 GHzデジタル信号オシ ロスコープ、以下のオプションを搭載 • 02G、2 Gポイント/チャネルのメモリ • 062、MATLAB標準デジタル・パッケ ージ • 010、ユーザ定義関数 • DSOX96204Q 62 GHzデジタル信号オシ ロスコープ、以下のオプション付き • 02G、2 Gポイント/チャネルのメモリ • 062、MATLAB標準デジタル・パッケ ージ • 010、ユーザ定義関数 • M8190A任意波形発生器 • 89601A/AN VSAソフトウェア、以下の オプションを搭載 • 200、基本ベクトル信号解析 • 300、ハードウェア・コネクティビティ • AYA、ベクトル変調解析 • E8267D PSGベクトル信 号発生器、以 下のオプションを搭載 • 520または532、250 kHz ∼ 20 GHz/31.8 GHzの周波数レンジ • 016、広帯域差動外部I/Q入力 • H18、3.2 GHz未満の広帯域変調 アジレント・アドバンテージ・サービスは、 お客様の機器のライフタイム全体にわたって、 お客様の成功を支援します。また、サービス の品質向上、サービス内容の充実、納期の短 縮に継続的に取り組みます。こうした取り組 みは、機器の維持管理費の削減にも繋がると 信じております。このような修理・校正サー ビスに支えられたアジレント製品を購入後も 安心してお使いください。機器およびサービ スの管理の効率化に、Infoline Webサービスも ご活用いただけます。修理・校正サービスを 通じて、お客様のビジネスの成功に貢献でき るよう努め、エンジニアは専門知識を積極的 にお客様に提供します。 www.agilent.co.jp/find/advantageservices DEKRA Certified ISO 9001:2008 Agilent Electronic Measurement Group Quality Management System Sys www.agilent.co.jp/quality アジレント・テクノロジー株式会社 本社〒 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お 客様窓口 受付時間 9:00-18:00(土・日・祭日を除く) TEL ■■ FAX ■■ 0120-421-345 (042-656-7832) 0120-421-678 (042-656-7840) Email [email protected] 電子計測ホームページ ● www.agilent.co.jp 記載事項は変更になる場合があります。 ご発注の際はご確認ください。 © Agilent Technologies, Inc. 2013 Published in Japan, February 19, 2013 5990-6353JAJP 0000-00DEP